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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。


2 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/04 22:45:55
ここは遠い南の国の海岸。
加護亜依(モーニング娘。)は辻希美(モーニング娘。)と一緒に
アイスを食べながら至福のときを過ごしていた。周りには食べきれないほどのアイスの山。
(ああ、うちは幸せもんや。)
「さん…、ごさん…」
どこからか声がする。
(なんや、今食べてるとこやのに。)
「加護さん、加護さん、起きてくださいよ。ねえ、加護さん。」
その声はどうやら外から聞こえるようだ。ん? この声はまこっちゃん?

そこで加護の意識は急速に現実に戻された。
(なんや、夢だったんかいな。)
目の前には不安そうな小川麻琴(モーニング娘。)の姿があった。
「まこっちゃん、どうしたの?」
「おかしいんです。楽屋じゃないんです。」
加護は徐々に記憶を取り戻す。たしか、「うたばん」でシャッフルの歌の収録を終え、
次はトーク部分の撮影のはずだった。みんなで楽屋にいたところまでは覚えている…けど…
「ここはどこ?」小川に聞いてみる。
「それがわからないんです。私が目覚めた時にはSALT5のみんなも寝ていて、ほら」
加護は周りを見渡す。たしかに、小川の他にはSALT5の衣装を着た、安倍なつみ(モーニング娘。) と
前田有紀、そして松浦亜弥が床に寝かされていた。ふと、松浦亜弥まで見た時に加護はあることに気付く。
(亜弥ちゃんの首筋、銀色の首輪?)
よくみればみんな同じような首輪をしている。
加護はとっさに自分の首に手を回す…やはり冷たい感触が手を刺激する。
「これ何?」冷たいものに触りながら小川に聞く。
「わ、わかりません。」気のせいか、小川の不安がさっきよりも増している気がする。


3 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/04 22:47:28
加護は今度は部屋を見渡してみる。どこかの家の居間のようだ。
加護の左手にある窓の外からは、綺麗な青い海が見える。太陽はまだ高そうだ。
その時、突如、部屋に大きな音楽が響いた。

ハメて〜、ウ〜ハメて〜、SOMEBADY SOMEBADY SOMEDAY SO ハメて〜

「この恥ずかしい音楽は『うたばん』?」加護は気付く。
大音量に、どうやら眠っていた残りの3人も目を覚ましたようだ。
「ん? 何、この音楽?」「なんだべ?」「どこ、ここ?」
始まった時と同様に突然音楽が終わり、部屋の前の扉から何人か人が入ってきた。
「みんな、ちゃんと起きたかー。寝坊はダメだぞー。」
(この声、聞き覚えがある──。もしかして、)
「中居さん?」声の主はうたばんの司会者、中居正広(SMAP)だった。
彼の後に、カメラマンとADが2人が続く。カメラマンは録画を開始し、ADは島の地図を5人に見えるように貼った。
「私がSALT5担当の中居正広でーす。早速ですがみんなにはこれから『うたばん』のゲームをしてもらうぞー。」
中居は普段と変わらない口調で説明をはじめた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


4 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/04 22:50:24
「早速ですが、みなさんにこれから『うたばん』のゲームをしてもらいます。」
木梨憲武(とんねるず)の言葉に石川梨華(モーニング娘。) は、「うたばん」なのに木梨が出てきた事より驚いた。

石川達、7AIRのメンバーもSALT5と同様に眠らされていたところを音楽に起こされたのである。
しかし7AIRがSALT5と違うところは、眠らされていた場所が倉庫であったことである。
その倉庫の中には窓が上の方に一つしかなく外の様子はわからなかったが、
潮の匂いがすることから海が近いのが分かった。
ここで石川は1つ気になることがあった。それはSALT5と同じように
(それは石川がまだ知らないことではあったのだが)7AIR全員につけられていた金属製の首輪。
(よっすぃーに借りたDVDで見たことがある。これは、もしかして『バトルロワイヤル』の首輪?)

そんな石川の思いをよそに、木梨は、地図に指し棒で指しながら説明する。
「最終的な目標は、自分達の武器で他のチームを全滅させたら君達7AIRの勝ち、
 先に自分達が全滅したら7AIRの負け。ルールはたったこれだけ。
 ちなみに優勝者には豪華商品をプレゼント!」
「つまり、シャッフルチーム対抗でサバイバルゲームをするということですか?」
ミカ(ココナッツ娘。)が聞いた。(さすがは、アメリカンね。)石川はよくわからない感心をした。
「お、そうそう。わかりやすくいうとサバイバルゲーム。まさにそんな感じ。」


5 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/04 22:52:14
そのあと、自分達のいる場所の説明があった。
まず、ここは伊豆諸島のとある島でほぼ円に近い形をしていること。
住民には立ち退いてもらい自分達しかいないこと。
自分達7AIRは島の西側の港の倉庫にいること。
SALT5は島の北側の一般市民の別荘として使われている民家にいること。
11WATERは島の東側の学校にいること。そして──。

「そしてもう1チーム、FOOD7があ、島の南の島の集会所にいます。」
 
突然の発表に、まだ言葉の意味を理解しきれていない石川が唖然としていると、
後ろから今度は高橋愛(モーニング娘。)が木梨に質問した。
「FOOD7ってどんなチームなんですか?」
「といっても俺も初めて聞いたからなあ、どんなチームなのか…。」そんな木梨の元にADが1人近づき、木梨に耳打ちする。
「えー、そのFOOD7のところにいる貴明から、チームの紹介があるそうです。」
というと、木梨は横にあるTVの電源を着けチャンネルを6に合わせた。
古いTVなのでなかなか最初は映像がはっきりしなかったが、徐々に映像が鮮明になり、
やがて画面は、石橋貴明(とんねるず)を映し出した。


6 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/04 22:53:27
「みなさん、こんにちは。えー、これからですね。ハロプロシャッフル史上最大のゲームがはじまるわけですが、
 まあ、せっかくだから4チームにしようというわけで、急遽、つんく♂に作ってもらったFOOD7。
 このチームを今から担当の私が紹介しようと思います。まずは、じゃじゃん。」
といって画面は中澤裕子を映し出した。
「中澤裕子!」
「まだまだ、あんたらには負けへんから。」中澤は腕を組み下目遣いで挑発するようにこちらを睨んでいた。
「こわっ。えー続いては後藤真希。」今度は後藤にカメラがパンした。「後藤〜、会いたかったよー。」
画面の端から石橋が口を尖らせて後藤にチューしようと近づく。
「もー、貴さんたら!」後藤は笑顔で石橋を避ける。「うちとは扱いが違うわ。」中澤のぼやきが横から聞こえる。
「次、みうな。カントリーの新人さんやね。」「よろしくお願いします。」みうな(カントリー娘。)はお辞儀をした。
「んで、亀井絵里(モーニング娘。)。」「皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。」「初々しいねー。」
「田中れいな(モーニング娘。)。」「いえーい!」「お、元気いいねー。」
「ややおもさゆみ(モーニング娘。)!」「…道重です。」「ゴメン、読めなかったよー。」
「そして、最後は保田!」「よ・ろ・し・く・ね。チュッ。」保田圭はしなを作って投げキスをする。
「おえー。」カメラは石橋に戻る。後藤の笑い声が聞こえる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


7 :名無しさん:2003/08/05 20:28:28
( ^▽^)<LF+Rロワイヤルみたい

8 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/05 22:29:01
(ごっちんにけいちゃんかあ。何だかうれしくなっちゃうなあ。私もあっち行きたいなあ。)
吉澤ひとみ(モーニング娘。)は懐かしさで胸が詰まった。

11WATERも前述の2チームと同様の経緯を持って今に至っている。
ただし、彼女らが眠らされていた場所は、島で唯一の学校だそうだ。
11WATERにも、そしてFOOD7にも(TV越しだが)ついていた首輪については、吉澤は演出の一部という意味でのアクセサリーという認識しかなく、
(この首輪、カッケー! 終わったらもらえないかな。)としか考えていなかった。

吉澤がそんなことを思っていると、ADが台車でいくつかのナップザックを運んできた。
中にはすでに何か入っているらしく重量感が感じられる。

11WATER担当の香取慎吾(SMAP)は、ナップザックの1つを開ける。中から出てきたのは、食パン1斤とトランシーバー、懐中電灯、そして島の地図。
それらを確認すると、香取は支給物質の説明を始めた。
「えー、まずこのナップザックは人数分あります。後ほど配布します。中身は、まずは食料。おなかが減っては楽しくゲームができないからね。
 とりあえず1人当たり乾パン1缶。普通の食料が食べたい人は、この島のどこかにあるんで探してみてください。」


9 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/05 22:34:07
そこで、吉澤は不意に肩をつつかれる。隣を見るとそこには辻希美(モーニング娘。)。
「よっすぃー、収録何時間だっけ?」
辻に言われて吉澤は1つ気が付いたことがあった。
それは、どう考えてもこのゲームが2、3時間で終わらないことである。
「今日の予定はたしか『うたばん』しかなったから、
 結構かかるんじゃないかな。まあ、明日になることはないと思うけどね。」

香取の説明は続いている。
「次にトランシーバーです。ゲーム中は他のチームメンバーとこれで連絡を取り合ってください。
 簡単な使いかただけざっと説明しておくと、ここのボタンを押して話し掛けると他のメンバーと会話ができます。
 ちなみにここのつまみで音量を調節します。詳しい機能については、えー、説明書があるので読んでください。
 あとは、暗いところで使う懐中電灯です。夜は足元に注意してください。
 そして島の地図です。これはここに貼ってあるものの縮小版です。」


10 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/05 22:50:24
「質問があるんですけど…。」おずおずと手を挙げたのは柴田あゆみ(メロン記念日)だ。「はい、どうぞ。」
「サバイバルゲームって人数による有利不利があると思うんですけど…。 私達って11人で、他のチームより多いんですけど、いいんですか?」
香取はその質問を受けて、手元の資料を見ながら答える。
「えっと……、その辺は支給される武器によって補われる、そうです。具体的には…、人数の少ないSALT5は、
 武器がしっかりしていて、11WATERは逆にちょっとショボイというわけだそうです。こんな説明でいいですか?」
「わかりました。」柴田は大人しく座る。


11 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/05 22:51:21
「それでは、武器の一部を支給をします。」香取はそういうとスタッフの一人から何かを受け取り、
11WATERのリーダーである飯田圭織(モーニング娘。)のに机の上にそれを置いた。
飯田は銃の形をしているそれを手に取って観察する。モデルガンだろうか? 
真中にくるくる回転する物体がついている。
(これ、なんていうんだっけ? 映画とかのロシアンルーレットする時にくるくる回すんだよね、たしか。)
その時、後ろから「飯田さん、貸してください。」と辻の声がした。「いいよ。」飯田は手渡した。
辻は銃を手にとると構え、隣の吉澤に向け「バーン」と銃声の真似をする。「な、なんじゃこりゃー。ガクッ。」吉澤は死んだふりをした。
(なんで、よっすぃーは松田優作をしっているのかしら?)と思いつつも、「何、バカなことしてるの?」とたしなめる。
「そうそう、リーダーの言うとおり、暴発したら大変です。中には既に実弾が詰まってますからね。
 しかも、それはリボルバーものなんで安全装置はありません。
 まあ、説明書をよく読んで、取扱いには注意しましょう。」
香取がさらっといいのける。焦った辻は持っていた銃から慌てて手を放つ。
銃はリボルバーを中心に床の上をくるくる回転した。


12 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/07 00:20:49
「へ?」村田めぐみ(メロン記念日)が変な声をあげた。
「キャハハ、香取さん、何言ってるんですか、もー。」矢口真里(モーニング娘。)は本気にはしていない。
「…簡単に手に…」「…あるいはフェイク…」
紺野あさ美(モーニング娘。)と藤本美貴(モーニング娘。)は何か話し合っている。
他にもいろんなところからささやき声が聞こえていた。
辻が放った銃をアヤカ(ココナッツ娘。)が拾い上げ、観察する。
「これはデリンジャー!? 正確にはアメリカンデリンジャー・ハイスタンダードモデル。
 アメリカでみたことがある。モデルガンなんかじゃありません。これ本物です。」
アヤカは驚いたように声をあげた。
「だから、本物って言ったんですよ。」香取は少し飽きれたようだった。
すかさず飯田が立ち上がった。「じゃ、じゃあ、私達に殺しあえというんですか?」
「ええ、そうですよ。だから最初に言ったじゃないですか。これは『サバイバルゲーム』だってね。」
飯田は力なく座った。
香取のその宣告によって、教室内は水を打ったように静まりかえった。ただ、TVの音を除いては。

「なんで、あたしらが殺し合いせんとあかんねん。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


13 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/07 23:10:03
「なんで、あたしらが殺し合いせんとあかんねん。」

いつも中澤裕子は普通の顔をしながら怒っていることもあるが、今は本気で怒っていた。
新しい「娘。」の3人、いや、あのカントリーの新人でさえ中澤が怒っているとわかっていることだろう。
後藤真希はそう思った。そしてその理由も…。
(いきなり殺しあえっていわれれば、そりゃねえ。)
と思い中澤の目の前においてある1丁の銃(コルト・ガバメント)を見やった。
異変を感じ取ったのか、銃を持った外国の兵士が数人集会所に入ってきた。
(随分、お金かかってるんだ。)後藤はつまらないことを思った。

それに対し、石橋は右手を上げると、手を上下に振り中澤をなだめた。
「あのさー、もう、君たちでは普通のことしても数字取れないんだよー。
 まあ、うちの局も慈善事業やっているわけじゃないからさー。
 この辺でなんとかしないと、ハロプロのメンバー呼べないわけよ。
 そこで、考えたのがこの『ハロプロ・シャッフル・サバイバル・バトル』。略して、HSSB。
 シャッフルで戦ってもらって、それをSP番組で見せれば視聴率もググンと、もう20%も目じゃない。
 でもさー、普通のモデルガンだと緊張感が足らないし、お遊びになっちゃうでしょ?
 だからモノホンを使って、リアル感を出すっと。あ、やばいシーンはCGで処理するから今日は安心日。
 ちなみに、つんく♂や山崎会長も了承済みだから。」


14 :名無そうそう:2003/08/08 10:33:29
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1027178643/l33

↑の類似品ではないのか?

15 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/08 22:37:51
>14
それはそうなんですが、まー、6期面が加わっていること、
チーム戦であることというプラス要素があるということで。

16 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/08 22:38:45
あまりのことに唖然とする中澤だったが、気をとりなおすとくるりと石橋に背を向けると集会所の出口へ歩いていく。
「おい、中澤ー、どこへ…」
「保田! 後藤! みんな! 帰るわよ! 付き合ってられない。」
「チッ」石橋はそれまでのちょっとおちゃらけた態度から、冷静な態度に変わった。
「なあ、中澤。おまえさ、『バトルロワイヤル』っていう小説か映画か。見たことあるか?」
出口付近まで来ていた中澤が振り返る。「ないけど、それが?」
「後藤は見たことがある?」後藤は首を縦に振る。「よっすぃーに小説借りたことがある。」
「じゃあ、皆の首についている首輪に見覚えはあるだろう?」後藤は黙って再び頷いた。
そう、みんなの首についているものは『バトルロワイヤル』で登場した首輪にそっくりだった。
後藤は、かいつまんでその首輪のことを中澤に説明する。
中澤は眉を顰めながら後藤の話を聞いていたが、後藤が話し終わると「フン」と鼻で笑った。
「どうせ、この首輪、本物じゃないんでしょ? この平和な国でそんな物騒なものどこの企業が作るっていうの?
 本物なら、あたしの首、爆破してみなさいよ?」
石橋は目を閉じるとため息をもらした。
「平和ボケも甚だしいな。中澤。別に日本で作ったとは限らないだろう?」
「能書きはいいから、やれるものならやってみい?」
「…その言葉、後悔するなよ。」
石橋は、再びテンションをおちゃらけモードにすると、
みうな、亀井、田中、道重に次々と指差し、呪文のようなものを唱える。
「ど の こ に し よ う か な 
 て ん の か み さ ま の ゆ う と お…」


17 :名無し娘。:2003/08/10 02:42:07
>>14
まぁ面白そうだし暖かく見守ろうや。
娘のバトロワっては昔からいっぱいあったんだし。

ちなみにそこはオリジナルではない。

18 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/10 18:01:36
「り」のところで指差していた人物は、道重だった。
石橋はやおら、ポケットからリモコンのようなものを出すと、
リモコンを道重の方にかざし、いくつかあるボタンのうち1つを押した。「ポチっとな。」



どこからか電子音が聞こえた。



それはどうやら道重のしている首輪から聞こえるようだ。

ぴぴ

中澤は呆然としている。

ぴぴ

みうなはあたふたしている。

ぴぴぴ

後藤は頭の中でこの次に起こる事態を必死に否定している。


19 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/10 18:02:25
ぴぴぴ

石橋は我関せずという顔をしている。

ぴぴぴぴぴぴ

亀井は下唇を噛み、道重の手をギュッと握り締める。

ぴぴぴぴ

田中は驚いた様子で、「さゆ?」と呼びかける。

ぴぴぴぴぴ

当の道重は状況がよくわかっていないらしく、「え? え?」と戸惑っている。

ぴぴぴぴぴぴぴ

保田は、あと数秒で消えてしまうかもしれない若い命を前に何もできない自分がひどくもどかしかった。

ぴぴぴぴぴぴぴぴ

電子音がけたたましく響く中、亀井が道重に何か囁いた。「……だからね。」「う、うん。」


20 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/10 18:05:48
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ

ぱんっという破裂音のあと、道重の首が……弾けた。亀井の顔が返り血で真っ赤になる。
亀井に手を握られたまま道重はゆっくり前に倒れる。
数秒間、集会所は静寂につつまれた。

「な、なんで、うちやないんや?」中澤は声を絞り出した。
「バーカ、お前だったら、死んでそんでおしまいだからだよ。お前がリーダーだってのもある。
 とりあえず逆らったらこうなることをみせしめだ。
 つまり、あいつはお前のせいで死んだんだ。でも、本当に死んじゃうもんだな。へへっ。」
石橋は何も悪びれることなく感心した。
「あたしが、ころした?」うわごとのようにつぶやく中澤の横を一陣の風を通り抜けた。

田中が石橋の胸倉をつかむ。兵士達の銃口が一斉に田中の方へ向いた。
「…離せよ。」ドスを聞かせた石橋の声があたりを支配する。
今にも石橋に殴りかかろうとする田中を間一髪、保田が羽交い絞めにし止める。
「だめよ、だめ。」
「このあんぽすが、ぱり倒したるけん、さゆをかいせ!」田中はじたばたしながら叫びつづける。
「気持ちはわかるけど、ここは我慢して。」

「ケホケホ、さすがは保田。ナイスフォロー!
 もう3秒遅ければ今度はそいつの首が爆発するところだった。」
石橋は咳き込みながら保田を褒めた。
「別にあなたをフォローしたつもりはないけど。」保田は石橋を睨みつけていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


21 :レクイエム ◆REQU/2yA :2003/08/10 22:59:26
更新お疲れ様です。
色々なジャンルの中でもやっぱりバトロワ小説が一番好きです。
ご執筆大変だとは思いますが、これからも頑張ってください。
自分もバトロワ小説を書き始めた頃は、ちょうどバトロワものが
溢れていた頃らしく、「類似もの」だとか、「この手の小説はもういらない」
とか散々言われました。自分は同じジャンルのものがいくつあっても
いいんじゃないかと思っています。
それぞれに違う作者さんがいて、それぞれ異なった世界が生まれるからです。
 (段々文がワケ分からなくなってきました)
長くなってしまってすみません。
それではこれからもご執筆頑張ってください。
 
 
 

22 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/12 14:33:27
>>17
ありがとうございます。オリジナルについては、羊の「デットオアアライブ」さんが
執筆していたものだったと記憶しております。

>>21
私も、ハリプロ、ジャイアンツ、三国、FFDQなど2chのいろんなバトロワリレーを見ておりまして、
そこから自分でも書いてみたく思いました。
実はそちらのスレもROMっております。お互い頑張りましょう。

23 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/12 14:33:39
道重の様子は図らずも、別荘、倉庫、学校に中継されていた。

別荘のSALT5は、事態を把握しきれていないというのもあったが、誰も動けなかった。
そんな中、中居が冷静に解説する。
「えー、番組に逆らったりすると、このように首輪が爆発します。
 海などの進入禁止の場所に入っても同じく爆発します。
 ……前田、無理矢理外そうとしても爆発するぞ。
 あと24時間、死亡者が出なかったら、全員の首輪が爆発するから気をつけろー。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

倉庫の7AIRは、まず高橋愛の「よ、よくできたCGですね。」という言葉から始まり、
先ほどの出来事を疑う雰囲気が支配していた。
「CGなんですか?」石川梨華が木梨に聞く。
「いや、おそらく本当の出来事だ。くそっ、貴明の奴、先走りやがって。」
石川の耳に新垣里沙の嗚咽する声が聞こえてきた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


24 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/13 23:12:44
学校の11WATERは、道重の首輪が爆発した瞬間、まず矢口真里が悲鳴をあげ、それにつられるように、
悲鳴をあげたり、嗚咽したり、逃げ出そうとする人がいたりと、混沌があたりを支配した。
「おい、お前ら席に着け! ちっ、しょうがないなあ。」
香取は手をあげると、前の入口から入ってきていた兵士達は一斉に床に向けて威嚇射撃をする。
尋常ではない轟音とともに、学校の床が削られ、破片が宙に舞う。
その迫力の前に、泣き叫んでいた娘達の動きが一瞬にして止まった。
そして、威嚇射撃が終わる数秒前 ―― 床を跳ね返された弾の一発が、紺野あさ美の右腿をかすめた。
「キャッ!」紺野がその場にうずくまる。弾がかすめたと思われる場所から血が流れていた。
藤本美貴は自分のハンカチを取り出し、紺野の傷口を押さえる。「動ける?」
痛みよりも精神的なショックが大きいのか頷くのがやっとだった。
「……私につかまって。」
紺野が藤本につかまりながら席に戻るのを見て、他のメンバーも席についた。
(これは、ゲームじゃない本気ね。)藤本は確信した。
「今度は、近距離武器の支給にうつります。」香取は何事もなかったように説明を続けた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『一応の』冷静さを取り戻した集会所では石橋によるその他の武器についての説明がされていた。
亀井は顔を洗い、道重は他のメンバーによって教室の隅に寝かされていた。(さすがにこれは石橋も許可した。)
「まー、さすがに銃だけじゃ心もとないんで、他の武器も一応外の物置に保存してあるわけだ。」
石橋はそういうとポケットから鍵を取り出し、メンバーにみせる。
「これが物置の鍵だが、これは俺がこの島から出るときに渡すぞ。
 そうしないと支給された武器でいっぺんに襲われたらかなわないからな。
 中には銃がもう3丁と、それの銃弾。そして近接用武器──まあ剣とかだな──が入ってる。
 さて、俺からの説明はこれまでだ。時計が12時なったら俺たち司会者はこの島を離れる。
 そしてゲームスタートだ。優勝目指して頑張れよ、FOOD6!」
こうして狂気のゲームはスタートしたのだった。


25 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/14 23:44:18
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
SALT5(担当:中居正広)
安倍なつみ(モーニング娘。)、加護亜依(モーニング娘。)、小川麻琴(モーニング娘。)、松浦亜弥
前田有紀

7AIR(担当:木梨憲武)
石川梨華(モーニング娘。) 、高橋愛(モーニング娘。)、新垣里沙(モーニング娘。)、稲葉貴子
ミカ(ココナッツ娘。)、里田まい(カントリー娘。)、大谷雅恵(メロン記念日)

11WATER(担当:香取慎吾)
飯田圭織(モーニング娘。)、矢口真里(モーニング娘。)、吉澤ひとみ(モーニング娘。)
辻希美(モーニング娘。) 、紺野あさ美(モーニング娘。)、藤本美貴(モーニング娘。)
アヤカ(ココナッツ娘。)、あさみ(カントリー娘。)、村田めぐみ(メロン記念日)
斉藤 瞳(メロン記念日)、柴田あゆみ(メロン記念日)

FOOD6(担当:石橋貴明)
中澤裕子、後藤真希、保田圭、みうな(カントリー娘。)、
亀井絵里(モーニング娘。)、田中れいな(モーニング娘。)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


26 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/16 23:03:00
「はー。」
遠ざかる中居とスタッフと兵士達を乗せた船に向って、松浦亜弥はため息をついた。
(これからどうなっちゃうんだろう?)
隣を見ると、前田有紀は思いっきり中指を突きたてていた。
「ちっ、沈没して死んじまえ!」
「そんな下品なこといっちゃダメだよ。」安倍なつみが注意する。
「フン。」前田は不貞腐れる。
「そ、そんなことより物置をあけましょうよ。」小川はとりなすように提案した。

その提案にしたがい、SALT5は別荘に戻り物置の鍵を開けた。
中に入っていたものは――銃、手榴弾、ナイフ、催涙弾――つまりいろんな武器。
銃のうちの1種類は、家で中居から安倍に渡された銃──デザートイーグルという名前らしい──
と同じものであった。それが4丁。(つまり、人数分ね。用意がいいこと。)
次に出てきたのが、さっきのデザートイーグルとは別種類と思われる銃が5丁。
銃把が銃身の中心付近についていて、銃身の先に細い筒がある。
「イングラムM11マシンガンだって。」加護亜依が説明書の文字を読み上げた。
(戦争をしろってわけね。……ん?)
他のメンバーがそのほかにも予備の銃弾、手榴弾、ナイフ等を整理しているとき、
隙を見て前田が倉庫から自分の後ろに何か隠した……ような気がした。
(きっと、私の見間違いね。)


27 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/17 20:56:11
その後、武器の配布が始まった。
とりあえずデザートイーグルは人数分あるのでそれぞれ持つことにしたが…

「なっちはこんなあぶなっかしいものいらない。だって使わないべさ。」
リーダーである安倍が受け取りを拒否したのだ。
「それはそうかも知れませんが、一応持っておいてください。」
前田が説得にかかる。
「じゃあ、前田さんはこれで誰か撃ったりする?」
「相手が襲い掛かってきたら撃たざるを得ないでしょう?」
「襲い掛かる人なんていないよ。だって私たち仲間じゃない。」
前田はまだ何か言いたげだったが、とりあえず諦めたようだった。
(気持ちはわからなくもないけど、安倍さんは甘いな。)

次にイングラムだが、体格の関係で重火器が使えそうもない加護と、
前述の理由により安倍を除外した3人、松浦・小川・前田が持つことにした。
手榴弾はとりあえず、前田がもつことになった。


28 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/17 20:56:38
最後に5つあったアーミーナイフ。これにも最初は安倍が拒絶反応を示したが、松浦の
「安倍さん、何も武器としてじゃなくて、道具として持っておけばいいじゃないですか。」
という説得が効いたのか、最終的には持ってくれたのだった。

「安倍さん、これからどうしますか?」身の回りの整理が終わる頃、松浦は安倍に今後の方針を尋ねた。
「そうね。とりあえず、欲しいものがあるの。えっと、あれなんていったっけ? 
 えっと、こういうふうにもって」と安倍は右手で拳を作り、自分の顎の前に置く。
「それで声を出すと声が大きくなってあたりに響く機械。」
「あ、拡声器ですか?」
「そう、それ! 拡声器! それが欲しい。なっち、拡声器は学校か村役場にあると思うんだけど。」
松浦は地図を見る。現在SALT5がいる家は北端にある。11WATERがいる学校は東側、
そして、村役場は島の中央からやや北西にある。距離的には村役場の方が近い。
そのことを安倍に報告する。
「それじゃ、とりあえず村役場に行くべさ。」
安倍はみんなに呼びかけにいった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


29 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/18 23:15:31
石川梨華が木梨から帰り際に貰った鍵は、漁業組合のとある部屋の鍵だった。
その部屋にあったのは、倉庫で石川が木梨から渡された銃と同じものが3丁(シグ/ザウェルP230:合計で4丁)、
とその予備銃弾、そして、近接戦闘用として、日本刀、脇差、薙刀、戟、弓、手裏剣などなど。
(太秦の撮影所じゃないんだから。まあ、行った事ないけど。)
4丁ある銃は、リーダーである石川、射撃練習をしたことがあるミカ、あとは年齢順で、
稲葉貴子、大谷雅恵(メロン記念日)が持つこととなった。
近接戦闘用武器は、量が十分にあるので、それぞれ体格にあわせたものを持つことになった。

里田まい(カントリー娘。)は、自分に支給された「正宗」と銘うたれてある刀を観察していた。
その刃は、太陽を反射して鋭い光を放っていた。
(本物よね…。多分…。)
里田はまた、煙玉も持たされていた。
説明書をよむと、「投げると玉から煙幕がふき出しあたりの敵を行動不能にする。」とある。
(つまり、煙幕弾ね。)
最後に、吹き矢。フッと吹いて矢を敵に命中させるらしい。
矢には何種類かあって、しばらく動けなくさせるものから、即死させるものまでいろいろある。
(スポーツ吹き矢ってあるけど。まさか私がやることになるとはね。)

その後の話し合いによって、7AIRはどうするにしても仲間を増やすことに決まった。
白羽の矢が立ったのは、チームの中でも最少人数のSALT5。
7AIRはSALT5と交渉するため北の別荘へ向うことになった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


30 :名無し:2003/08/19 02:44:18
どうなるんだろう…楽しみだな…更新期待sage

31 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/19 22:49:15
辻希美は、左手にうろこの盾、右手に鋼鉄の剣を持ち、地面の見えない敵と戦っていた。
「ばしゅ! 勇者『のぞみ』は、スライムに85のダメージ。スライムを倒した!」
「ちゃららら、ちゃっちゃっちゃっちゃー。」デーモンスピアを持った吉澤ひとみは合いの手を入れる。
「あ、LVあがった。ばんざーい!」
「辻、吉澤。馬鹿なことばっかりしているとおいていくよー。」
2人の引率(?)の矢口真里は、遊んでいる辻と吉澤を注意した。
「はーい。」「はーい。」
その矢口は、毒蛾のナイフとデリンジャーをナップザックに入れていた。
この3人は、紺野の治療用具を得るために、学校の北西にある診療所に向っているところである。
(でもまあ、武器もこんな感じだし、沈んでいるよりはいいっちゃ、いいかもね。)



32 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/19 22:49:49
学校の校長室を香取から貰った鍵で開けた11WATERを待っていたものは、銃器はデリンジャーただ1丁だけだった。
しかし、非銃器はかなり豊富で、剣、槍、ブーメラン、鉤爪、盾などなど。ゲームに出てきそうな武器ばかり。
ただし、ナイフなどのもともと小型なものを除くと、女性用ということで原寸の2/3の大きさらしい。
その中には「ロトの剣」などの有名なものもあったのだが、同封された説明書にはこう書いてあった。
「レプリカですので、使用しても特別な効果はありません。ただ、切れ味は保証しますので、普通の剣としてご使用下さい。」

(…それは、そうと。)
矢口は別行動しているもう1チームを少し心配した。
(メロンの3人は大谷に会うため、倉庫に行くって行ってたけど島の反対側じゃん。どーやっていくんだろう?)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


33 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/20 22:18:36
「えー、ではこれからどうするかってことなんだけど、その前に…。」
南の集会所では、保田圭が中心となって今度の方針について検討していた。
会議に参加しているメンバーば、保田、後藤真希、みうな、それに亀井絵里。
ここにいないメンバーのうちの1人、
中澤裕子は、自分の挑発によって1人の命を失ってしまったためか、「しばらく一人にさせて。」
と言って、外に出て行った。おそらく海を見ているだろう。

そしてもう1人…。
「あれ? 田中は?」
「えっと、れいなは…。」亀井がおずおずと説明しはじめた。

時は10分ほど前に戻る。石橋から鍵を受け取り、集会所の物置から武器を得て、
(ちなみに物置に入っていたのは、コルト・ガバメントがもう1丁、暗視スコープ付ブレーザーR93が2丁、
 ──暗殺でもしろっていうのかい?──
 残りは、青龍偃月刀、蛇矛、方天画戟、弩、弓などの古代中国風な武器だった。
 これも、もともと女性用なものを除くと、原寸の2/3の大きさらしい。 )
集会所の花壇の側にあったスコップで穴を掘り、道重を埋葬したあとの出来事であった。


34 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/20 22:29:16
玄関でローラーブレードを履いている田中を発見したのは、
みんなが会議を前に冷蔵庫にあった麦茶で休憩しているときだった。
「れいな。どこいくん?」
「あ、絵里か。……さゆの仇ばとらんとね。」
「さゆの仇って。……なにか当てはあるの?」
「それは……、今から探すばい。島のどこかにヒントぐらいはあると思うとね。」
「なら、わたしを連れて行って。」
そこで田中は困った顔をした。しばらく亀井をみつめ、空白の時が過ぎる。やがて…。
「…それはできんと。」
「なんで? わたしだってさゆの仇を討ちたいよ。」
「絵里までここを抜けたら、ここには4人しかいなくなってしまうけん。
 絵里には、ここに残って中澤さん達のサポートをしてほしか。」


35 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/20 22:30:10
再び空白の時が流れる。
「…………………うん。」かすかな言葉とともに亀井は頷いた。
「うちはきっと戻ってくるから。」
「約束だよ。」
「うん。……あの時の約束も、うちは忘れなか。」
「私も、ううん、さゆもきっと。」
「中澤さんに、うちがローラーブレードとこの『倚天の剣』と弩を持っていくって伝えといてほしか。」
「うん、わかった。」
「やあね。」田中はまるで近所のコンビニに買い物をしにいく時のように普通に入り口から出て行った。


36 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/22 22:45:09
亀井は報告すると(あの時の約束うんぬんは言わなかったが。)一息ついた。
保田はしばらく窓の外の海に視線を移動させていたが、フッとため息をつくと自分のナップザックからトランシーバーを取り出した。
窓際へ移動しアンテナを伸ばす。
「田中ぁ、保田だけど必ず戻ってくるのよ。」
そういうと保田はトランシーバーを再びナップザックの中にしまった。
「さて、これからなんだけど、私ちょっと手に入れたい物があるの。」保田は仕切り直した。
「圭ちゃん、手に入れたいものって?」後藤が尋ねる。
「パソコン。できれば、ネットにつなぎたいところね。助けを求める…というのは無理かもしれないけど、
 せめて情報収集ぐらいはしときたいかな。……それでありそうなところなんだけど、目星はつけてあるの。
 まずは別荘。おそらくオーナーはお金持ちだろうし、もしかしたらそこにあるかな?
 じゃなければ、村役場にはあると思う。」
「こっからだとどっちも島の中央にある山の反対側ですね。でもちょっとだけ村役場の方が近いかもしれません。」
みうなは地図を確認する。
「ついでに途中にある商店をよってみるわ。後藤はここで裕ちゃんをお願い。
 亀井、一緒についてきてくれる? もしかしたら田中に会えるかもしれない。」
「わかりました。では準備します。」「うん、10分後に玄関でね。私は裕ちゃんに報告してくる。」
保田の言葉を最後に会議は幕を閉じた。

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37 :名無し娘。:2003/08/23 00:48:25
更新乙!期待させて待たせてもらうよ!

38 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/23 23:30:30
村役場への道を前田有紀と松浦亜弥は歩いていた。
SALT5の残りの安倍なつみ、加護亜依、小川麻琴はもうすでに村役場についているのではないだろうか?
何故、2人だけ遅れているのか? それは、いざ出発する時に前田が忘れ物をしたらしく、
安倍達3人に先にいってもらうようお願いしたからである。

「あれ? ナップザックどうしたんですか?」
松浦は、前田がナップザックではなくリュックサックを背負っていることに気付いた。
「これ? 支給されたやつ、穴があいてたんで、あの家に元からあったものを貰ったのよ。……ところで。」
ここで前田は一息つく。
「もし、私たちSALT5が生き残って優勝したらどうなると思う、松浦さん?」
「え? それは豪華商品が…」
「いえ、その後よ。まあ、すごく運が良くて他のチーム同士が戦って
 私たちが何もせずに勝ち残るということがあるかもしれない。でも、そんなことはまずありえないわ。
 基本的に生き残って優勝するということは……。」
そこでまた前田は数秒の間をおいた。
「……誰かを殺すということだと思う。」
「……。」


39 :名無し娘。:2003/08/25 00:56:36
移転しても続けてくれ!
一読者としてマジレス。

40 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/25 01:16:42
「普通なら殺人罪で警察に捕まってしまうわ。でも、あいつら『やばいところはCGで編集』っていってたじゃない。」
「……うん。」
「ということは、ここであったことは一般には公開はされない、ということになると思う。
 知りえるのは、石橋達とうたばんスタッフとつんくと山崎くらいかしら。
 まさか、うたばんが『実はサバイバルゲームじゃなくて本物の殺し合いでした。』なんていうはずがないわ。
 だってそうしたら、あの番組、いや局に非難が集中し、TV局自体がなくなってしまうから。
 だからここでの本当の事は隠蔽されるわね。結局何がいいたいのかといえば、ここで何をしても
 ──生き残った時に人を何人殺していても罪には問われないという事。
 こう考える人はおそらく他にもいるはずよ。もし私達が接触した人がそういう人だったら……どうなるかしら?」
「!!」
「松浦さん、あなたはここで死にたい? 私はまだ死にたくない。私は貴方やモー娘。ほど派手に活躍しているわけではないけどね。」
「それは……わたしも死にたくありません。」
(私は……松浦亜弥。)
上り道を上がりきったところで、村役場らしい建物の入り口からこっちに手を振っている加護の姿が見えた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


41 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/25 01:17:30
応援ありがとうございます。
狩がなくなったら、どこか外部板に移動しようと思います。


42 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/25 23:40:35
SALT5が再び合流するころ、7AIRは別荘に到着していた。
倉庫の周りは島のちょっとした港らしく、その港から別荘のある方へ北東に歩いていった。
途中は砂浜が続いていて、途中には灯台もみかけた。30分くらい歩いただろうか、砂浜が終わるところに別荘はあった。
(へー、結構大きいんだ。)普通の家を想像していた石川梨華は少し驚いた。

リーダーの石川を先頭に門に近づく。どこの家庭でもあるようなインターフォンを石川は押してみる。

ピンポーン

………………

ピンポーン

返事はない。

ピンポーン

やはり返事はない。


43 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/25 23:43:11
「お邪魔しまーす。」石川は門を開けた。門はきいっと音を立てた。
玄関に近づき、ドアに手をかける抵抗なく開けられる。
(鍵をかけていないなんて無用心だなあ。)石川は玄関の扉を開けて呼びかける。
「こんにちは〜、安倍さーん、あいぼーん、おがわー、誰かいませんかー?」

………………

やはり返事はない。

「石川さん、留守のようですが、どうしますか?」石川の側にいた高橋が聞いてくる。
(まあ、ここまで来たんだし。それに、せっかく鍵も開いているし……。)
「そうね……。中で待たせてもらおうかな? お邪魔しまーす。」
ガチャと扉はスムースに開いた。扉を開けて右は二階への階段、正面には通路、そして左手前には扉がある。
石川はその左手前扉をあけた。
そこはどうやら居間らしい、かなり広くソファやTVなどがあった。
「とりあえずここで待ちましょう。」石川の言葉によってSALT5が戻ってくるまで一時解散となった。


44 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/26 22:30:47
解散となると同時に、この家に興味があった高橋は居間を離れる。
みると、新垣里沙も同じようにどこかへ行こうとしていた。
「一応人の家だから、あんまりいじっちゃだめよー。」という石川の声が後ろからかかった。
居間から出たところで新垣は玄関前の階段から2階にあがっていく。
「のぉのぉ、里沙ちゃん、どこに行くん?」
「んー、ちょっと。」と言うと新垣はトントンと階段を上がっていくが、途中で下を振り返った。
「もしかしたら、愛ちゃんにあとでいいもの見せてあげられるかもしれない。」
「…期待しないで待っとるよ。」
高橋は廊下の奥へと進んでいった。


45 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/26 22:33:05
新垣は2階に上がると廊下をすすみ奥のドアをあける。
どうやらそこは、夫婦の寝室らしく大人用のベッドが2つおいてあった。
(私の計算によれば、この奥は必ずっ!)
彼女は胸をときめかせながら、ベッドには目もくれず、奥のサッシを開けベランダに出る。

するとそこには楽園があった。
新垣の目の前に広がる色は空と海の青と、雲と波の白の二色。
(へー、海ってこんな透明なんだ!)
海をみれば底まで見え、目をこらせば魚も見える。
それは海といえば東京湾のすこし濁ったものと連想する彼女に衝撃を与えた。
そして、彼女はカモメの鳴き声をBGMにしばらくその楽園に浸った。



46 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/28 21:55:48
「あ、愛ちゃん呼んで来よう!」
新垣はこの楽園を共有したいと思う相手を思い出し、ベランダを出る。
部屋に戻り、さらに扉に向う途中に彼女の視界にどこかで見たことがあるモノが入った。
そのモノは、2つのベッドの間に挟まるように置いてあった。
(行く時は景色が気になって気付かなかったけど、これは…。)
それは自分が番組から貰ったのと同じナップザックだった。
(誰か忘れちゃったのかなあ? まこっちゃんかな?)
試しにそれを振ってみる。コロコロ。中に何か入っているようだ。
(どうしよっかなあ…。)
『一応人の家だから、あんまりいじっちゃだめよー。』
さっきの石川の言葉が頭に響く。しばし彼女の頭の中では、ハロプロのコントよろしく天使と悪魔が戦っていた。
(うーん、ちょっと覗くだけだし、いいかな。)
好奇心が勝ったらしく、片方のベッドに座り、ナップザックのチャックを開けた。


47 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/28 21:56:44
ピッ…シュッ

なにやら電子音と、何かが抜けた音がした。
(ん?)
中に入っていたのは、何かの機械とゴツゴツとして濃い緑色の金属製のものと……リング付きのピン。
(これってたしかしゅr……)

ドゥーン

2階から聞こえてきた爆発音に驚き、一番初めに寝室に来た高橋を待っていたのは楽園などではなく、
手榴弾によってもはや上半身がバラバラになった新垣里沙の姿だった。

                                        (7AIR→6AIR)



48 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/29 22:15:13
狩がなくなったら、狩狩の世話になろうと思ってます。

49 :名無し娘。:2003/08/29 23:43:41
狩狩で続けてくれるならこんなに嬉しいことはない

50 :名無し娘。:2003/08/29 23:44:18
sage忘れた・・・・マジスマソ・・・  _| ̄|○

51 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/29 23:49:49
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

11WATERの村田めぐみ、斉藤 瞳、柴田あゆみは、大谷雅恵のいる7AIRと交渉するため、倉庫へと歩いていた。
現在彼女らは、島の中央にある山(というより、せいぜい小高い丘だが)の東屋を右手に見つつ歩いているところだ。
ちなみに現在、右方向は切り立った崖であり、その展望台に行くには東側から回り込まなければいけないのだが。

「島の反対側だとやっぱり遠いね。しかも微妙に山道だし。」柴田がため息をつく。
「ちょっと遠回りでも、島の周りを歩いて行った方が良かったかな?」村田は地図を見ている。
「でもまあ、北回りにしろ南回りにしろ、誰かと遭遇する可能性が中央を突っ切るルートより高いしね。
 そこで平和的に通してくればいいんだけど、その遭遇したチームがもし戦う気になっていたら、
 武器の乏しい私達じゃ逃げ切れるかわからないからね。まあ、諦めてよ。」斉藤が2人をなだめる。
「武器かあ、銃ないのはきっついねー。2丁ある銃は、飯田さんと矢口さんがそれぞれ持ってるしなあ。」
柴田は羨ましがる。
「それはしょうがないでしょー。私達が持っていっちゃったら本部が何かという時に困るしね。クロスボウで我慢っと。
 ま、要は、銃なんていらないような展開になればいいのよ。」
斎藤は柴田をなだめた。


52 :名無し娘。:2003/08/29 23:52:00
いつも扱いヒドイから毎回ハロプロロワイヤルで期待してるキャラが死んだよ・・・

53 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/31 00:12:03
11WATERに支給された銃は2丁のデリンジャーであったが、1丁は矢口が持っていった。
もう1丁は、はじめは飯田は斎藤達に持たせようとしたが、「大丈夫。使い方もわからないし。」と理由で断ったのだった。
銃器こそ持ってこなかったものの、近接用武器はそれぞれ1つずつ持ってきている。
斎藤は「モーニングスター」。(これを手にした時、藤本に「メロン記念日なのに、モーニング?」とつっこまれた。)
村田は「ホーリィソード」という名前の西洋剣。(説明書には、「スターオーシャン3のフェイトの武器」らしい。)
柴田は「クロスボウ」。3人の唯一の飛び道具である。

その時3人の歩いていた50m程前を、少女がすーっと滑るように通って行った。
「あれは、たしか田中れいなだよね?」村田が聞き、斉藤は頷く。
柴田は、昼前の道重の首輪の爆発シーンを思い出し少し青くなった。
「どうする? 呼び止める?」「いや、いいでしょ。…それよりも。」斉藤は田中が出てきた方を指差す。
「あそこにほら穴があるわね。あの娘はあそこから出てきたんじゃない? どうする調べてみる?」
「……たしかにどうなってるか興味あるね。」「いいと思うけど、とりあえず本部に連絡しようよ。」2人は賛成する。
「そうだね。」斉藤はトランシーバーを取り出す。
「もしもし、こちらメロンですが、現在島の中央にてほら穴を見つけました。これからそこを調べてみます。どうぞ?」
「─wwヘ√レv…こちら、飯田…v〜…十分気をつけて…─wwヘ√レvv〜─」
「わかりました。(ガチャ)」


54 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/31 00:12:46
3人はほら穴の中に入った。高さは3mくらい、幅は3人並ぶと歩きにくいくらいの大きさである。
ただ、奥行きはそれほどでもなく7,8mくらいしかなかった。
「ん?」「どうしたの?」「あれを見て。」斉藤が懐中電灯で照らした先には、海外旅行などで使うトランクケースが置いてあった。
そして、トランクケースの表には紙が貼ってあり、「宝箱」と大きな字で書いてある。
「怪しい……。」柴田は訝しがる。
「うーん、でもおそらくは……」何の躊躇もなく、斉藤はトランクケースを開けた。
中は………………………カラだった。
「やっぱりね。おそらくあの子が、この中身を持って行ったんでしょう。」
「そうすると、この島のほかの場所にも同じのがあるのかもしれないね。」
「そうね。でもまあ、今はとりあえず、目的地に急ぎましょう。」3人は再び倉庫へ向った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


55 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/31 23:58:34
一方その頃、保田圭と亀井絵里は、商店に到着していた。
(さすがは、商店ね。いろんなものがある。)
商店には、食べ物をはじめ、鍋や箒まで売っていた。そこに店の人がいてもおかしくないラインナップである。
亀井は、ためしに食パンを手にとって製造年月日を見てみる。昨日作られたものだ。
食べ物は他にも、レトルトカレーやら、ポッキーやら、カップラーメンやら……。
「うーん、さすがにパソコンは売ってないみたいですね。」亀井は保田のところに向った。


56 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/08/31 23:59:57
店の奥の住居を探していた保田だが、亀井が来たときにはスーツケース
(これはメロンの3人がみつけたものと同じものだが、もちろん彼女らがそれを知るはずもない)
を前に腕を組んでいた。よく見ると、スーツケースはあけられていて、中には鞭がおいてある。
「これなんですか?」
「んー、ここにスーツケースが置いてあってさ、開けてみたら中身これなのよ。」
「へぇー。…中に一緒に紙が入ってますよ。」
亀井は、説明書を広げて見る。
「なになに…、『これは、ファイナルファンタジー7のキスティスの最強武器のセイブ・ザ・クイーンです。
 しかし特別な効果はなく普通の鞭なので普通にお使いください』だそうです。」
「これをどうしようっかなあと思ってさ。……とりあえず持って行こうかな。
 あとは、食料品ね。これから村役場までいかなきゃいけないから、重いもの持つと歩きにくいしなあ。」
「本部の人に取りに来てもらったらどうですか?」
「やっぱりそれしかないかあ。そうだね、とりあえず連絡しよう。」


57 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/01 23:48:51
「えーこちら、保田。本部聞こえますか、どうぞ。」
「─wwヘ√レv…こちら、本部の中澤です…v〜…聞こえてます、どうぞ…─wwヘ√レvv〜─」
「裕ちゃん、もう大丈夫?」
「─wwヘ√レv…まあ、あたしもいつまで落ち込んでられないからね。…─wwヘ√レvv〜─」
「うん。…………あ、現在、商店にいます。ここに結構食べ物があるんですけど、
 私たちは今から、パソコン探しに村役場の方へ行くので誰かしらここに取りに来て貰えると助かります。」
「─wwヘ√レv…わかりました。誰かしら行かせます。…─wwヘ√レvv〜─」
「じゃあ、よろしく。」ガチャ

「ふう、それじゃあ、村役場に向いましょうか。」
「はい。」

保田と亀井が外に出て村役場の方へしばらく歩いたとき、
何か機械を通したような感じの安倍の声が聞こえてきた。
「みんなー、聞こえてるー? 聞こえてたら山頂に集まってー。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


58 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/03 23:54:16
「みんなー、聞こえてるー? 聞こえてたら山頂に集まってー。」

現在、SALT5は島の中央部の小高い丘にいる。
丘の上は学校の体育館ぐらいの広さはあり、入り口は2つある。まずは、石の階段で大抵の人が使う北側と、
舗装されていない土の小道で裏道として使われている東南だ。
東と西は林になっていて木がたくさん生えている。そして、景色が広がっている南側に展望台はあるのだが、
(展望台といっても東屋にベンチが2台あるのみ。)
安倍は、一人でその展望台から拡声器で呼びかけている。
他の4人はいうと、松浦・加護、前田・小川と2組に分かれ、展望台より少し離れた木の影に隠れている。


59 :名無し娘。:2003/09/04 15:50:38
期待sage

60 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/05 00:07:41
前田有紀は、村役場でのやりとりを思い出していた。
前田と松浦が村役場に到着し、みんなで役場を引っかきまわして探し、ようやく拡声器をみつけた後、
安倍は宣言した。「なっち、これでみんなに呼びかけるんだ。」
「呼びかけてどうするんです?」前田は尋ねる。
「そりゃ、決まっているべさ。みんなで集まってここを脱出するんだ。」
「脱出するって…この首輪があるのにどうするんですか?」松浦が自分の首輪をさす。
「それは……、まだわからないけど、みんな集まればいい案が出てくるよ。」安倍はあっけらかんとしている。
「何度でも言います。危険だと思います。モーニング娘。だけならとにかく。」前田はあくまでも反対だ。
「やってみなければわからないと思う。もし、やってみて誰も来なければその時はその時に考るよ。」
「そういう問題じゃなくて、もし来た人がゲームに乗っている人だったらどうするかってことなんです。
 撃たれていっかんの終わりです。」
「乗っている人なんていないと思うよ。」
「はぁ……。とりあえず、呼びかけるなら私は少し離れたところで見ています。一緒には呼びかけはしませんよ。」
「安倍さん、悪いんですけど私も離れたところにいます。」松浦も慎重派だ。
「加護は……安倍さんと一緒に呼びかける。」「わ、私も。」加護と小川は安倍側につく。が、
「2人とも大丈夫。なっち1人で大丈夫だから。ね。」
安倍は2人にウインクしてみせた。


61 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/06 20:16:59
それは、安倍が5、6回目の呼びかけをした時のことだった。
「みんな集まれば……」

パーン

破裂音が前田の耳に入っていた。前田達が隠れている木の上に止まっていた鳥がぎゃあぎゃあ騒いで飛び立っていく。
安倍の方をふとみる。驚いているようだが無事のようだ。本気であてるつもりだったのか威嚇だったのか。
少し経つと安倍は気を取り直したようで、拡声器を再び手に持つ。

「み、みんな集まればきっとここから脱出できるべさー。」
その時、広場の北側に人影が見えた。あの薄手の衣装は……7AIR。
といっても全員ではなく、石川、稲葉、大谷の3人。
しかし、一緒に脱出しようという雰囲気は彼女達からは感じられなかった。
前田は何かイヤな予感がした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


62 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:14:46
東屋の前にいる安倍は、石川達を見つけると一瞬驚いた表情になったが、すぐ笑顔に戻った。

「あ、梨華ちゃーん。よく来てくれたよー。」拡声器を通した声があたりに響く。
「安倍さん。他の人たちは?」石川は普通に聞いたが、
「ごめーん、遠くてよく聞こえないんだ。近づいて貰っていいかなー。」安倍には声が届かないようだ。
石川は手でメガホンを作り、大声を張り上げる。
「安倍さんが近づいてくださーい。」
「わかったー。」安倍は拡声器を持って、石川のいる北側に近づいてくる。
やがて2人の距離は10m弱ぐらいに縮まったところで安倍は拡声器を地面に置いた。
「本当によくきてくれたよ。なっち、うれしい。」


63 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:21:09
新垣を埋葬した後、AIRは別荘を離れ丘に向っていた。その理由は島を見渡すことと、SALT5の探索だった。
ある程度近づくと安倍の呼びかける声が響いてきた。
新垣の死はAIRに深い悲しみとSALT5に対する疑念を生んだ。
手榴弾の罠は、SALTが意図的に置いておいたのではないのかということだ。
それで正直、石川は安倍の呼びかけは本当の呼びかけか、それとも罠か判断がつかなかった。
とりあえず、ミカに銃を空に向けて撃つよう頼んだ。
これは、もし安倍の呼びかけが本物だったら銃声にもめげずに呼びかけを続けるだろう。
しかし、もし誰かを誘い込むための罠だったら、作戦がバレていると思い、
SALT5が丘から立ち去るのではないかと思った。
結果は……呼びかけは続けられた。とりあえずは3人で安倍に話してみようということになった。

丘に来たとき、そこにいたのは安倍1人だった。
一応、大谷と稲葉は、安倍には向けていないものの利き手にシグ/ザウェルを握っている。
(他の4人はどこ? もしかして近づいた瞬間に攻撃するの?)
だから安倍にこっちに来てもらうよう要請した。もし罠なら何か理由をつけてこないはず。
しかし、安倍はいつもの調子で来て、拡声器を地面に置いた。ということは……いや判断するのはまだはやい。
彼女には聞きたいことがある。それは──


64 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:22:17
「安倍さん、新垣里沙が死にました。」石川は新垣のことをわざとフルネームで話した。
「ええっ、り、里沙ちゃんが? な、なして?」安倍は目を大きくして驚く。
その表情は演技とは思えなかった。しかし──
(単にその被害者が新垣で驚いているのかもしれない。)
「誰かしらの手榴弾の罠に嵌りました。」石川の中で疑惑は薄まることない。
「わ、罠? 誰の?」
「安倍さんはご存知ないですか?」
「いや、今はじめて聞いたよ。酷い人がいるなあ。なっち信じられない。」
(その酷い人はSALTの誰かなのよ。)
「やっぱり、一刻も早くここを脱出するべさ。」
「安倍さんは何か案があるんですか?」
「それは、まだだけど、みんなが集まればきっといい案が思いつくよー。」
(大したポジティブシンキングね。とりあえず他の4人を確認しないと。)
「まあ、いいでしょう。ところで、他の4人はどこですか?」
「……えっと、近くにいるよ。」
「呼んで下さい。」
「う、うん、いいけど、そっちの他の3人は?」
「そっちがでてきたらこっちも呼びます。」
「……わかった。」
といいつつ、やおら自分の背負っているナップザックを開け、中から何か取り出そうとした。
(あれ? 拡声器で呼べばいいのに……)と思ったその瞬間──


65 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:23:47
パーン

破裂音があたりの空気を刺激する。
左胸に穴が穿った安倍が──刑事ドラマのように──スローモーに後ろに倒れる。
それは、ほんの数秒のことかもしれない。しかし、石川には30秒にも1分にも感じられた。
倒れた安倍の右手には──トランシーバーが握られていた。
石川は驚き、銃声が聞こえてきた方向を振り返る。
そこには──シグ/ザウェルを持って立ちすくむ大谷がいた。

「ち、違う違うの。」

大谷は首を激しく振っていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


66 :名無し娘。:2003/09/09 00:52:30
なっち南無

67 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/09 22:43:18
石川が安倍に近づくように求め、安倍が近づくことにより、結果小川麻琴達がいるところから遠ざかり、
小川達には安倍と石川が何を喋っているのか全然聞こえなくなった。
ただ、途中で安倍が「ええっ、り、里沙ちゃんが? な、なして?」と驚いたのだけは聞こえた。
(里沙ちゃんがどうしたんだろう?)
しかしその他はほとんど聞こえなかった。また特に言い争いしている感じにも見えなかった。
しばらくその状態が続き、やがて安倍が自分のナップザックを空けて調べていると、

パーン

突然、銃声が響いた。安倍は後ろに倒れる。
「あ、安倍さん?」聞こえないのはわかっていたが、小川は安倍の名前を呼んだ。
「い、いきなり!?」隣を見ると前田は驚いていたが、「まこちゃん、ここで待っていて」
というと木の影を伝って石川達に近づきながらナップザックを開け、石川達に向かってデザートイーグルを撃つ。

パン


68 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/09 22:44:47
すいません、67のはじめに次の一行を入れてください

時は少し遡る──


69 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/09 22:46:18
その銃声がまるでビデオの再生ボタンを押したかのように、
石川達3人は動き始め、銃声のした方向とは反対側の林に慌てて隠れ反撃する。

パン、パパン、パーン、パラララララ

何回かの銃声のやり取りがあった後、丘の北側の入り口からミカが現れ、前田を狙う。
(前田さんっ、ど、どうしよう?)
そんな小川の心を知ってか、小川から広場を挟んで反対側に林に隠れていた松浦が、
前田を狙うミカを牽制するように、デザートイーグルで援護し始めた。
(わ、私も援護しなくちゃ)
小川は慌ててデザートイーグルを取り出し、誰にも当たらないような方向へ向けて撃とうとするが、

カチッ、カチッ

(あ、あれ? どうして…? そうだ、安全装置!!)
小川は安全装置を外そうとするが、まさかこういう事態になるとは思っていなかったから、
どこをどうしたら安全装置が外れるのかわからず、あたふたしていた。


70 :名無し娘。:2003/09/10 04:18:50
更新乙。移動はいつするんですか?
個人的に不定期の少なめより定期の大量更新期待。

71 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/11(木) 21:00
そんな中でも、銃声は絶えずいろんな方向から響いてくる。
小川があたふたしていたが、そのうち広場の様子がおかしいのに気づいた。
見ると、広場全体が黒い煙で覆われている。小川がびっくりしていると、
「まこちゃん、今のうち逃げるよ。」
目の前には前田が戻ってきていた。良く見れば前田の左上腕の衣装が破れ、血がでている。
「前田さん、その怪我…」
「ああ、ちょっとしくじったよ。そんなことより早く。」前田は小川の手を引っ張る。
「は、はい。」
小川と前田は、黒々とした煙の中をつっきり、反対側の林に飛び込む。
反対側には、突然の煙の発生に驚いた松浦と加護がいたが、前田の「2人とも今のうちに逃げるよ。」という声に促されて、
東南の小道を下って“戦場”から脱出した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

72 :名無し娘。:2003/09/11(木) 22:46
初めて読んだけどすげぇ・・・引き込まれるわ
それにしてもバトロワの団体戦って初めてかも

73 :名無し娘。:2003/09/12(金) 13:01
>>11-12
たしかデリンジャーはリボルバーではなく、
さりとてマガジンがあるわけでもなく、
バレルに直接弾を込める形の銃だったかと。
しかも装弾数は二発。

、、、ピンチだ! 11WATER!!

74 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/13(土) 23:16
>70
移転しますた。大量更新については、その方向でいきたいと思います。
チーム単位で更新できればと。
定期については・・・、できればやりたいなあと。むむむ。

>72
ありがとうございます。

>73
ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!

武器に対してのつっこみ
キタヽ(^◇^〜)ノ (◇^〜ノ) ヽ(  )ノ (ヽ〜^◇) ヽ(〜^◇^)ノーーーーーー!!!!

ううう、銃器の知識がないものですみませんぬ。
えと、「次元が持っているようなリボルバーに6発弾を詰められる銃」のことです。
「うたばんスタッフが名前を間違えた。アヤカも勘違い。」と脳内フォローしてくださいまし。
よろしくおねがします。

75 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/14(日) 19:46
自分なりに落ち着いていた石川だったが、自分の後ろにいる人間の精神状態までは把握できていなかった。

丘にいたのが安倍一人だったことから、いや新垣のあの死に様を見たときから、
大谷の何かがおかしくなっていたのだろう。
冷静を装っていたが、いつ自分があのように殺されるかという恐怖に怯えていた。

そしてそれは、丘で石川が安倍と交渉しているときも、いつ横から他のSALTが、いやWATERやFOODまでもでてきて、
銃で大谷を蜂の巣にするか…、表には冷や汗としてぐらいにしか出ていなかったが、
精神的にリーチがかかっている状態だった。よって、石川と安倍の交渉にも耳に届いていなかった。
そんな中、安倍がナップザックを開け何かを探している様子が大谷の目に映る。

安倍が中からマシンガン取り出し、笑顔のまま大谷へ向けそのままトリガーをひく。

そんな光景が大谷の脳裏に焼きついた。
(死にたくないよ。しにたくない。シニタクナイ…。)
大谷はゆっくりとした動作で、安全装置をはずしてあるシグ/ザウェルを上げ、銃口を安倍に向ける。
ナップザックを探している安倍、そんな安倍を注目している石川と稲葉。大谷の異変に気付くものはいない。
大谷はゆっくりトリガーを弾いた。

76 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/14(日) 19:48
パーン

大谷はどこを狙ったわけでもなかった。むしろ狙っていたら外れていたかもしれない。
銃弾は安倍の左胸に吸い込まれた。安倍がビデオのスロー再生のように後ろに倒れる。
倒れた安倍の右手には──トランシーバーを持っていた。
(え? トランシーバー?)

石川が大谷の方に振り向いた。大谷がシグ/ザウェルを構えているのを知ると驚愕の表情を浮かべる。

「ち、違う違うの。」

大谷は首を激しく振った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

77 :73:2003/09/14(日) 22:03
更新乙です。
何かやる気を削ぐようなレス入れちゃってスマソ。
楽しみにしてるんで頑張ってください

78 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/15(月) 20:16
ミカ・高橋・里田の3人は、丘の北の入り口の階段のところで待機していた。
もし上にいる3人に何かあったら、階段の3人で救助したり、最悪でも3人だけでも残るという石川の配慮からだ。

その中で、ミカは階段の上のほうで丘の様子を伺っていた。
「ミカさーん、上の様子どうですか?」下にいる高橋が聞いてくる。
「うーん、安倍サンと石川サンが何か話しているよ。内容まではちょっとわからないけど…。」
その時、安倍が何かナップザックの中を探しはじめた。その途中で──

パーン

突然、銃声が響いた。安倍は何かを片手にばったりと倒れる。
石川が後ろを向き、驚愕の表情を浮かべている。後ろからなので撃ったのが稲葉なのか大谷なのかわからない。
3人とも、いやミカさえも動けないでいた。しかし、

パン

79 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/15(月) 20:18
ミカから向って右側の林から銃声が聞こえてきた。その音に弾かれるように広場の3人は反対側の林へと姿を隠す。
(はっきりとは見えなかったけど、体型からするとあれは前田サン…。)
「な、何があったんですか?」今度は里田が怯えながら聞いてくる。「うん、大丈夫、とりあえずは…。」
(まさか、安倍サンが撃たれたなんて言えない…。)そうこうしているうちに右側の林と左側の林で銃撃戦が始まった。

パン、パパン、パーン

「アイ! マイ! 危ないからちょっとここで待っててね。」「は、はい。」「わかりました…。」
(サポートしなくては…。)
ミカは1人、シグ/ザウェルを取り出し、安全装置を外し階段の最上段から伏せながら前田を狙う。
(まさか、本気で使うことになるとは…。)
ミカは、前田を牽制することによってしばらく石川達をサポートしていたが──

キュン

80 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/15(月) 20:19
ミカの頭上を銃弾が通り過ぎていく、被っていた帽子が後ろに飛ばされた。
シグ/ザウェルを握っている手が汗ばんだ。仕方なく、銃弾が飛んできたほうに応戦する。
その状態がどれくらい続いただろうか、ふと小さなボールのようなものがミカの横を通り過ぎ、広場に落ちた。
それは落ちると、真っ黒な煙を吐き出した。ミカが驚いて右後方を見ると──

里田が2個目の煙玉を投げるところだった。2個目、3個目──
そこで広場は煙で覆われた。トランシーバーでは聞こえないだろうと判断したミカは、
銃声がまだ聞こえていたが、危険を承知で石川達に近づく。
見ると、石川達もこっちに来るところだった。先頭の石川はミカを見ると安心し、ほっとした表情になった。

「まだ、油断はいけません。早いところ逃げましょう。」
7AIRはミカを先頭に北の階段から“戦場”を脱出した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

81 :名無し娘。:2003/09/15(月) 21:29
更新乙です     ドキドキしっぱなしです

82 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/17(水) 22:49
診療所にいた辻希美は、安倍の声を聞くといてもたってもいられず、矢口の静止を振り切って丘に向った。
(安倍さん……。)
安倍は、辻にとってモーニング娘。内での「お姉さん」ともいえる存在だった。
ミニモニがまだ結成される前の、4期の他のメンバーがプッチやたんぽぽに配属され活躍し、
それを横目に一人いじけていて、レッスンにも身が入らず先生に怒られてばかりだった辻に優しくしてくれたのが、
どこのユニットにも属していなかった安倍だった。

ある時、安倍は気晴らしにとパスタ屋に辻を連れて行った。
「ここ、あんまり有名じゃないけど、おいしんだー。」
そして、辻が何も喋らずカルボナーラを食べていると、
「ねえ、のの。たとえ今、あんまり活躍できなくても、のののこと見てくれている人は必ずいるからさ、
 一緒に頑張るべさ。」
とたらこスパののりが歯についた顔でニッコリ微笑んでくれた。
その言葉を胸に、再びレッスンに真面目に取り組み、矢口がそれを見ていたかどうかはわからないが、
後にミニモニ。で辻は大活躍するようになる。

83 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/17(水) 22:50
辻が急いでいると、目指す丘から銃声が1発聞こえてきた。
しばらくして、今度は銃声が何発も響いてくる。
それでも丘へ向おうとした辻だったが、強い力で後ろから引っ張られ前に進めない。
「ダメだよ、のの。危ないよ。」
辻が振り返ると心配そうな顔をした吉澤がいた。
「で、でも、安倍さんが……。」
「うん、言いたい事はわかるよ。だから」ここで吉澤は辻の前に出る。
「吉澤が前に出るよ。ののは後ろから着いてきて。」
「う、うん。わかった。」辻は頷く。

デーモンスピアを構えた吉澤が慎重に前を行き、剣を持った辻が後から続く。
(盾は診療所に置いてきてしまった。)
銃声はしばらくは響いていたが、そのうちしなくなった。
やがて、2人は丘の方向から降りてくる4人の人影を発見する。
咄嗟に隠れた2人だったが、4人のうち1人が辻にとって親友だったので、姿を現し彼女の元へと駆けていく。

84 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/17(水) 22:50
「あいぼーん!!」
「の、のの…。」

加護は辻の姿を見るとポロポロと泣き出した。
加護が泣き出したこと、前田が左腕を負傷していたこと、そして安倍がそこにいはいないこと。
これらによって安倍がどうなったかなんとなく辻にはわかってしまった。わかりたくはなかったが。

───────────────────────────────────────────────────────────

85 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/17(水) 22:51
>77
いえいえ、お気になさらずに。

>81
ありがとうございます。

86 :名無し娘。:2003/09/17(水) 23:14
更新乙。

87 :名無し娘。:2003/09/18(木) 06:07
安倍が早くも脱落か・・・・先が全く読めない

88 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/20(土) 21:53
矢口真里は、松浦の話を聞き終わると「はぁー」とため息をもらした。
「まさか、石川達が何で安倍さんを……。おいら信じられないよ。」

矢口、松浦、小川、前田は、前田の左腕の応急処置をするために診療所に来ていた。
今は、矢口が丘での出来事を松浦から聞いるところだった。隣の部屋では小川が前田の怪我の応急処置をしている。
「信じられないかもしれませんがこれが真実です。ですから、AIRに会ったら注意してください。」
「う〜ん、とりあえず心に留めておくよ。」

「戻りました。」玄関の方で吉澤の声がする。「おかえり。」矢口は迎えにいった。
吉澤、辻、加護の3人は丘の様子を見に行っていのだ。
「ひぐっひぐっ。おやびーん。なっちさんがー、うぇーん。」
最初に入ってきた辻は、矢口の元に駆け寄り大声でなく。
次に入ってきた加護は、顔を真っ赤にし、今にも泣きそうだった。
最後に入ってきた吉澤は、いつもの陽気さは微塵も見せずに落ち込んでいるようだった。
そして、その吉澤の背中には安倍が──もう冷たくなっていたが──背負われていた。
「野ざらしのままじゃしのびなくて…。」
吉澤は診療所のベッドに安倍を寝かせる。
矢口が観察してみると胸に銃創があり、そこから出る血で衣装は真っ赤だったが、他は怪我もなく綺麗だった。
顔もこころなしか笑っているように見える。

89 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/20(土) 21:53
「最後まで笑顔か…。なっちさんらしいな。」矢口は呟いた。
「ええ、私が見つけた時から笑顔でした。」吉澤が後に続く。

「あ、あの。矢口さん。」
「ん? どうしたあいぼん?」
「安倍さんの手が前で組まれてたんですよ。あと、帽子と拡声器が近くにありませんでした。」
「手が組まれていたのって最初からじゃないの?」
「松浦達が立ち去る時は煙でよく見えなかったのでわからなかったです。
 あと、帽子は……風で飛ばされたのかもしれませんね。拡声器は……AIRが持っていったのでしょう。」
松浦が割り込む。
「あの……、風はほとんど吹いていなかったような気がしますが……。」
「たしかに、そういう気もするね。」
治療の終わったらしい小川が前田とともに戻ってきた。

(拡声器を持っていったのはAIRじゃない気がする…)
矢口は何故かそう思った。

───────────────────────────────────────────────────────────

90 :名無し娘。:2003/09/21(日) 00:54
ヤグの「安倍さん」・「なっちさん」は、違和感が…

91 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/21(日) 11:24
>>90
ΣΣ(゚Д゚;)
こちらの調査不足です。すみませぬ。
調べてこよう。

92 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/21(日) 11:35
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9409/kosyou3.html

そうか、「なっち」もしくは「なっつぁん」なのか。
えと88-89は死に動揺してたということでお願いします。

93 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/21(日) 21:38
安倍の呼びかけに亀井が出て行きそうになったが、保田圭はそれを制した。
「まあ、そう焦らないで。」
保田の脳裏に浮かんだのは、矢口から借りたDVD「バトルロワイヤル」。
そこでは、今の安倍と同じように説得にあたった生徒2人が、ゲームに乗った生徒に銃殺されるシーンがある。
保田はそれを思い出したのだ。
そんな保田に浮かんだシーンをなぞるように、丘の方角から銃撃戦が聞こえてきた。
「保田さん、これは?」亀井が不安そうに聞いてくる。
「おそらく、あまりよくない事態のようね。」眉を顰め、保田は正直に答える。

数分後、銃声がやんだ。気のせいか、丘の方が煙っている気もする。
やがて丘の方角何かに追われるように6人の人物が逃げてきた。
「あれは、石川? ということは7AIR…。」
(おそらくは、あの銃撃戦に関係があるのは疑いもないわね。さて……。)
「亀井」
「はい?」
「私、ちょっと話を聞いてくる。大丈夫だと思うけど、万が一の場合は集会所に逃げて。
 場所はわかるわね?」
「え? それって…」
いまいち保田の発言の意図がわかっていない亀井を置いていき、保田はAIRに近づく。

94 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/21(日) 21:38
「石川!」保田が呼びかけると、石川はビクッとなり、慌ててシグ/ザウェルを構える。
「そんな物騒なものしまいなさいよ。久しぶりね。とはいっても、実際にはそんなには経ってはないけど、ね。」
石川は銃を下げると少し安心したような表情になった。「保田さん……。」
「……新垣は? あと、丘から銃声が聞こえたけど?」

それから石川は保田に今までのことを話した。途中でミカなり、稲葉にフォローしてもらいながら。
ふと、保田は大谷の様子がおかしいことに気付く。寒くもないのに震えているようだ。
だがしかし、今は石川の話を聞いていた。

「というとあのなっつぁんの呼びかけは罠だった。ということね?」
「ええ、他のメンバーが周りの木に隠れていて、近づいたらいきなり撃ってきました。」
「……。」
(自分達のいたところに罠を張り新垣を殺し、しかも呼びかけまでもが罠……。
 なっつぁんがそんなことをするとは思えないけど、他のメンバーが勝手にしたのかもしれないわね。
 嘘か本当か即断は禁物か。)

95 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/21(日) 21:39
「ですから、保田さんもSALTには気をつけてくださいね。」
「ああ、気をつけるわ。石川達はどうするの?」
「とりあえず倉庫に戻ろうと思います。保田さんは?」
「ちょっと村役場に……。じゃあ、また。」
「あ、保田さん、待ってください。」去ろうとする保田に石川は声をかける。
「何?」
「あの…、道重ちゃんは本当に殺されちゃったんですか?」
「!! え、ええ。でも何で石川が知っているの?」
「えっと、倉庫にTVがあって、映されて、ま、した…」
怒気を帯び始めた保田に圧倒され石川の語尾が弱くなる。
「……。」
「えと、で、では。」石川は逃げるようにその場を去った。
(みせしめ、というわけね。)保田は集会所での出来事を思い出し、なんともやりきれない思いになった。

───────────────────────────────────────────────────────────

96 :名無し娘。:2003/09/22(月) 06:25
色んな思惑が交差してるなぁ・・・・

97 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:02
時はまたしても少し戻る──

里田の投げた煙玉で、丘から退却したSALTとAIR。丘には、1人の人物が残されたのみだった。
もしそこに誰かが残っていたら、顔の辺りが少し動いているのがわかっただろう。

そう、大谷に撃たれた安倍なつみだったが、実は即死ではなかったのだ。
とはいうものの、彼女の命の灯火は残りわずかだった。
そして安倍は泣いていた。

それは、大谷に撃たれたから? SALTが自分の安否を確認せずさっさと退却してしまったから?
それとも、確実に迫りつつある死の影に怯えて?
たしかに迫りつつある死に恐怖がなかったといえば嘘だろう。
しかし彼女が泣いていた1番の理由は、自分の力不足で、SALTとAIRが争うことになってしまったからだ。
(やぱりはじめから5人で呼びかければよかったのかな?)
その時、近くに人の気配を感じた。
「だ、誰かいる、の?」安倍は搾り出すように声を出した。人が近づいてくる気配がある。
その人物は安倍の目の前に来た。らしい。残念ながら安倍の視界は出血多量のため、ほとんどないに等しかった。

98 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:03
「…………………」目の前の人物が何か喋ったようだ。だが、
「……ごめん、ね。もう、ほとんど、何も、聞こえ、ないし、何も、見え、ないの。」
安倍の手が、誰かの手に握られるのを感じた。(よかった。まだ触覚はあるみたいべさ。)
「圭織に、伝えて、欲しい、ことが、あるの。頼まれて、もらえる、かな? よかったら、手を、握って。」
再び手を強く握られる感触があった。
「あのね、…………」安倍は最後の力を振り絞って目の前の人物に自分の伝えたいことを伝えた。

数分後、安倍の最期を看取った人物は、心にしっかりとメッセージを刻み込み、安倍の手を組ませると、
安倍の形見にと、帽子と拡声器を持ち、ローラーシューズを再び履き、北側から丘を出て行った。

───────────────────────────────────────────────────────────

99 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:16
怒りを滾らせる保田から逃げるように立ち去った7AIR。
彼女らが倉庫に戻ると、そこにはとある3人の人物が待っていた。

「大谷さん、あれは斉藤さん達ですよ!」
里田まいは、さっきから下を向いている大谷に説明する。大谷はハッとして、顔を上げる。
(WATERが何の用かな?)
向こうもこっちに気付いたようだ。手を振って斉藤が微笑んだが、どこか不自然な笑顔だった。
「あら、メロンの皆さん、どうしたの?」石川が聞く。
「ん? ちょっとね。ところで……。」斉藤は一息つく。彼女は真顔になる。
「さっき、飯田さんから島の中央の丘であなたたちとSALTの間でいざこざが……
 というよりあなたたちが安倍さんを撃ったと聞いたんだけど、それは本当?」
横では村田が斉藤の衣装のひじの部分を引っ張っている。「ちょっと、そんなはっきりと……。」

「ああああああああああああああああああああっ!!」突然の叫び声に稲葉は驚く。
見ると大谷が首を激しく横に振っていた。
「ちがうのちがうのちがうのちがうのちがうのちがうの……。」
「大谷さん、落ち着いて。大丈夫だから。」何が大丈夫かわからなかったが里田は大谷を落ち着かせようとした。
「ううっ、ううっ。グスッ…。」大谷は泣き始めていた。

100 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:17
とここで石川がそんな大谷を隠すように前に出る。
「ええ、それは本当よ。でもね、先にうちの新垣がSALTの卑怯な罠で殺されているの。
 しかも、丘の件だって罠だったのよ。安倍さん以外のメンバーはみんな銃を持って隠れていたし。
 だから、本当に悪いのはSALT。むしろ私たちは被害者ってわけ。帰って飯田さんにそう伝えて。」
しばらく斉藤と石川は喋ることなく互いに凝視していた。
斉藤は石川の発言の真偽を推し量り、石川は自分の言葉が本当であることを主張しているようだった。
30秒ほどその状態が続いただろうか、斉藤が少し表情を緩めた。
「なるほどね。わかった。とりあえず伝えとくよ。」
斉藤はそういうと、東の方に歩いていく。
その後に村田と柴田が大谷を心配そうに見ながら斉藤の後に続いていった。

───────────────────────────────────────────────────────────

101 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/25(木) 23:12
学校への帰り道。柴田あゆみはさっきの大谷の態度について考えていた。
しかし、どうしても悪いことばかりにしか結びつかない。
他の2人も同じ事を考えているのか、さっきから3人の間にはなんとなく重い空気が漂っていた。
そんな時、斉藤が口を開いた。
「理由はわからないけど、実際に安倍さんを撃ったのはマサオのようね。」
それの言葉に対し、隣で村田が息を飲むのがわかる。
「でも…、なんで?」柴田は理由を尋ねた。
「直接の理由はわからない。けれど、先に新垣ちゃんが罠によって殺されたのが何かしらの理由には違いないわね。
 あの狼狽ぶりからすると、殺すつもりはなかったのじゃないかしら? まあこれは私の希望込みでの話だけど。」
「マサオ大丈夫かなあ?」村田が心配そうに聞く。
「たしかに心配だけど、マサオのことは今はAIRに任せておくしかないね。
 ……私が心配なのは、AIRは新垣ちゃんをSALTに殺され、SALTは安倍さんをAIRに殺された。
 つまり、この2チームに因果関係が生まれてしまったこと。
 一度産まれた憎しみは……なかなか消えないでしょうね。
 一緒に脱出に協力しようと思っても、お互いに嫌がるでしょうし。
 だから早いところ戻ってみんなで対策を考えようと思ってるの。急ごう。」
3人は歩みを速めるのだった。

───────────────────────────────────────────────────────────

102 :名無し娘。:2003/09/26(金) 23:44
まだ2人か・・・

103 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/27(土) 00:40
一方、石川達と別れた亀井絵里と保田は村役場に到着していた。
そこで2人はパソコンを探す。探している途中で亀井はあることに気付いた。
「保田さん、さっきまで誰かがいたみたいですねー。しかも何か探していたみたいですよー。」
「うん、私もそう思ってたんだ。あ、あった。亀井ぃー、あったよー。」
亀井がかけよると、上に「経理課」と札のかかった一角にたしかに割と新しめのパソコンはあった。
よく見ていると電話線が繋がっている。
「意外と新しいわね…。最近導入したのかしら?」
「それで、インターネットはできそうですか?」
「電話線は繋がっているようだけど、まだわからないわね。とりあえず立ち上げて見るか。」というと保田はパソコンの電源を入れた。
パソコンは「ピコ」と音を立てて、HDが起動する音がする。
やがて、画面に「Windows 2000」の文字が浮かび上がった。

「……2000(ニセン)か……」保田がつぶやいた。

数十秒後、画面は亀井にもどこかで見たことのあるデスクトップの画面になった。
保田は、デスクトップにあるIEのショートカットをダブルクリックする。
IEの画面が広がり、電話線で繋げるか聞いてくる。保田は「接続」のボタンを押した。

ぴーぴろろろろ…

104 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/27(土) 00:41
パソコンの後ろあたりから電子音が聞こえた。画面には「接続中」という文字が出ている。
やがて、モデムから電子音がしなくなった。画面には「接続失敗しました。」という文字が出ている。

「んー、やっぱりね。」保田は机に肘を、顎を手にのせた。
「どういうことですか?」
「集会所でも商店でも、ちゃんと電話線は繋がっているのに電話がどこにも通じなかったじゃない?」
「ええ」
「多分、島からの電話をまとめているところでどこにも繋がらないように制御されているのね。
 もしかしたらと思ったんだけど……だめだったか。モバイルじゃないとどうしようもないなあ。はぁー。」
「でも、何かしらやってみることは絶対に無駄じゃないと思います。」
「あ、ありがとう。」保田はびっくりしたようだ。
「な、生意気言ってすみません。」亀井はちょっと後悔した。

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105 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/01(水) 23:29
矢口達WATERの3人と安倍を埋葬したSALTの4人は再び別荘に戻ってきていた。
最初は4人とも居間にいたのだが、小川は「お茶入れてきます。」と小川なりに気をつかい台所に行き、
前田は、「ちょっと2階に行ってくるよ。」と2階にいってしまった。
現在、居間にいるのは松浦亜弥、加護の2人。2人は何も喋らずぼっーっとしている。

「松浦さん、松浦さん。」小声で松浦を呼ぶ声がする。見ると居間の入り口のところで前田が手招きをしている。
松浦はすっと立ち上がると、居間の入り口から玄関のところへ出た。
すると前田が、「ちょっと話があるの。こっちに来て。」と階段を登る。
松浦は後に続いた。2人は階段上がった廊下の奥の部屋に入った。
そこは居住者の夫婦用の寝室らしくベッドが2つあった。奥はベランダになっていて海が見渡せるようだ。

部屋に入った時に、少し部屋が火薬臭いのに松浦は気付いていた。
そしてまたベランダ側のベッドの上に、赤と黒の絵の具を混ぜたような色の模様が飛び散っていた。
(これは…、血?)
「松浦さん、あなたに話さなくてはいけないことがある。」前田は真剣に語り始める。
「あれはみんなで物置を探した時に、私はここの物置で何か変わった機械をみつけたんだ。」

106 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/01(水) 23:30
松浦はふと、物置からいろいろ発見したときに前田がとっさに何か隠したのを思い出した。
「一人になったとき説明書を読むと、それは『光学感知式トラップ』というものだった。
 手榴弾と合わせて使うと書いてあったんだ。例として箱にこれと手榴弾を組み合わせて、
 箱を開けたら手榴弾が爆発する仕掛けが作れると。私は試しに作ってみたくなったの。
 ところがいい箱がこの家にはみつからなかった。だから支給されたナップザックを使ったわ。
 作ったのはいいんだけど、持って歩くのは危ないし、とりあえずこの家に置いておく事にしたのよ。
 間違って誰か空けるといけないから、2階の目立たないところに置いたつもりだったけど…、
 甘かったみたい。誰かがここで開けちゃったんだろうね。ああっ、もっと目立たないところに置いておけば…。
 そしてこれを開けたのはおそらくAIRね。それでたぶん、安倍さんのことが信じられなくて撃っちゃったんだと思う。」
前田はそこまで語ると視線を下に落とした。
(なるほど、それでAIRがあんまり友好的ではなかったいうわけね。でも、安倍さん撃つのはやりすぎ思うけど。
 前田さん、故意はなかったいうとるけどホンマかな? その辺はようわからへんけどとりあえずは置いておくとしよか。)

107 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/01(水) 23:31
「前田さん、顔を上げてください。それは事故だったんですよ。
 それよりも敵意のない安倍さんを殺してしまうAIRがひどいと思います。」
「ありがとう。」前田はほっとしたようだ。
「それよりもこのこと、下の子らに言いますか?」
「やがては言わなくてはいけないだろうけど、あの子らも今は安倍さんのことでショック受けているから後にしようと思っているわ。」
「それがいいでしょうね。それで、これからなんですけど……WATERのいる学校に行きませんか?」
「え? どうして?」
「私たちって4人になっちゃったじゃないですか。しかも戦えるメンバーは私と前田さんしかいない。
 これでは、もしAIRがやけになって私たちを本気で壊滅させようとしたら、私たちは大した抵抗ができないと思います。
 そこでWATERと同盟を組むというのはどうでしょうか? そうすれば、11+4で15人になります。
 これでAIRに十分立ち向かえるでしょう。」
「なるほど…、たしかに今のままじゃ心配ね。でも、私、WATERとあんまり面識ある人がいないけど?」
「それなら心配ないです。私はミキスケ…藤本さんと、加護ちゃんは辻ちゃんと、まこっちゃんはあさ美ちゃんと仲がいいです。
 そしてなにより…」
ここまでまくしたて、松浦は息を整えるために一息置いた。
「安倍さんが、AIRに殺されたとなればリーダーの飯田さんが黙っていないでしょう。」

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108 :名無し娘。:2003/10/02(木) 00:38
すげぇ展開だな。更新乙。期待してます。

109 :名無し娘。:2003/10/02(木) 00:53
AIRは?AIRはどうなるんだろう・・・

110 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/04(土) 22:12
そのころ倉庫に戻ってきたAIRは休憩を取っていた。
稲葉貴子は麦茶を飲むと、あたりを見渡す。倉庫の隅で頭から毛布にくるまってじっとしているのが大谷、
その姿に向かって何か声をかけているのが里田。
部屋の入り口で鞘に入れた日本刀をぷらぷらさせながら、虚空をみつめているのがミカ。
石川と高橋は外で見張りをしている。

稲葉は考えていた。
(チーム同士の殺し合いというバカらしいこのゲームだけど、大谷が安倍さんを撃ってしまったことによって、
 円満に脱出というわけにいかなくなってしまったわね。とりあえずSALTがこのまま黙って引き下がるとは思えない。
 しかしリーダーを失ったあのチームでイニシアティブを取れるといったら、前田か松浦──どっちにしてもリーダーとしては微妙。
 まあ、これはうちのチームにもいえること。
 FOODの中澤さんは元モー娘。のリーダー。そしてWATERの飯田さんは現モー娘。のリーダー。
 この2チームに比べるとうちの石川は、将来はともかく現時点としては頼りにならない。
 石川は別荘の件についても、丘の件についても、どちらもSALTの罠と信じて疑ってないしなあ。
 本当に罠だったら、あんな2階の入るか入らないかわからないところに置いておく?
 丘の件についても、安倍さんを撃ってしまったから反撃してきたわけで最初からその気ではなかったかもしれない。
 2つの件についても私が違うと言ってみたけど、全然聞く様子がなかった。
 逆に『稲葉さん、SALTを庇うの?』とまで言われてしまった。まあ、たしかに私はこのメンバーでは浮いているけど…)

111 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/04(土) 22:12
近くで物音がした。ミカが倉庫の扉から外に出たようだ。
(リーダーがこれでは生き残るのは難しいわね。最年長の私に代わってくれとはいわないけど、
 せめてミニモニの現リーダーのミカあたりと変わってくれれば、こっちの意見も聞いてくれそうなんだけど…。)

稲葉は誰かのすすり泣く声に気づく。見ると毛布をかぶった大谷の体が揺れている。側では里田が慌てて何かフォローしている。
(どうやら、何か余計なことを言っちゃったみたいね。ああいう状態の時は、一人にさせておくのが一番なのに。
 …このチームはもうダメね。)
 
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112 :名無し娘。:2003/10/04(土) 22:44
もうダメって稲葉さん・・・

113 :名無し娘。:2003/10/05(日) 10:29
稲葉が物語を動かすのかな・・・先が楽しみ

114 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/06(月) 00:10
WATERのいる学校──

ここは、島、唯一の学校であり、小学校と中学校を兼ねている。学校の校門をくぐると、小さな昇降口がある。
ここには今、藤本とアヤカが教室から持ち出した椅子に座りながら、見張りの当番をしている。
──見張りといっても、そんなに警戒はしておらず、雑談などしているのだが──
2人の隣には見張り当番ではないが、吉澤がいて2人の会話に加わっている。

その昇降口から学校に上がると廊下にぶつかる。
廊下の右手には各教室が続いており、また左手には手前から保健室、職員室、校長室となっている。

保健室は、先ほどの怪我をした紺野あさ美が寝かされており、
矢口達が診療所から持ってきた救急用具であさみ(カントリー)が手当てをしており、側で辻が心配そうに見ている。
(ちなみにスタッフが持ち去ったのか、保健室にあるはずの治療道具は全部なくなっていた。)

115 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/06(月) 00:11
そして職員室では、メロンの3人の報告を飯田圭織と矢口が聞いていた。
「というわけで、AIRとSALTの両方に因縁が生まれてしまったというあまり良くない状況のようです。」
斉藤がそう言って報告をしめた。
「報告ありがとう。教室でゆっくり休んでいて。」
飯田は瞑っていた目を開いた。矢口たちの報告を聞いた時よりは落ち着いて聞くことができた。

メロンの報告の1時間ほど前に矢口から、安倍の死を聞かされたときは、飯田は頭に血が上り、
「今すぐAIRのところに行く!」と強引に出て行こうとし、他のメンバーに説得されなんとか留まった経緯があった。

メロンの3人が職員室を出て行く。
「新垣が……。」矢口は肩を落としている。
(新垣のことには何も触れず、突然AIRがなっちを撃ったというSALTと、
 SALTが新垣を罠に嵌めて殺し、丘でも再び協力するよう呼びかけを使って罠をはり、結果なっちを撃ってしまったというAIRか…。
 本当のところはわからないわね。どうしたらいいのかなあ?)
飯田は職員室から窓の外を見た。小さな運動場が見える。
空は、夕方というには少し早いが太陽が大分西の方に来ていた。
(ねえ、本当はどうだったの? なっち。)

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116 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/07(火) 23:23
集会所──

後藤、中澤、そしてみうなは、保田からの連絡のあと商店に食料品を取りに行っていた。
現在、FOODは6人。他は単独の田中、パソコンを探している保田と亀井である。
つまり、残る全員で食料品を取りに行ったことになる。
まだそんなに警戒をしなくてもよかったのだが、(実際は丘の事件もありそうでもなかったりするが)
やはり1人にするのは問題があるという理由からだ。

持って帰ってきたのは、人参、玉ねぎなど野菜、牛ひき肉、カレー粉、お米など。
つまり、カレーを作ろうというわけである。カレー用の鍋も商店にあった。
皿は、もともと集会所にあるものを使う予定だ。

その時、FOODのトランシーバーから呼び出し音がなる。
「はい。こちら中澤です。」
「─wwヘ√レv…こちら、保田です…v〜…役場でパソコンを見つけました…─wwヘ√レvv〜─」
「あ、ホンマ? で、どうだった?」
「─wwヘ√レv…回線がつながらずダメでした…─wwヘ√レvv〜─」
「……そう。」
「─wwヘ√レv…あと、一つ報告することがあります…─wwヘ√レvv〜─」
「何?」
「─wwヘ√レv…………帰ってから報告します…─wwヘ√レvv〜─」
「あ、うん。気ぃつけて。」
「─wwヘ√レv…はい…─wwヘ√レvv〜─」ガチャ

117 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/07(火) 23:23
「報告って何かなあ?」後藤が呟く。
「うーん、ここで報告しないところをみると重要な事じゃないのかしら。」中澤はトランシーバーみつめている。
「あと、田中さんに連絡とってみませんか?」今度はみうなだ。
「それもそうね。」中澤は再びトランシーバーを持った。

「もしもし、中澤だけど、田中聞こえる?」
「─wwヘ√レv………………─wwヘ√レvv〜─」
「もしもーし、田中さーんいましたら返事してくださーい。」
「─wwヘ√レv…田中です…─wwヘ√レvv〜─」
「あのー、いつごろ戻られますか?」
「─wwヘ√レv…もうちょっと…─wwヘ√レvv〜─」
「夕食作りますけど食べますか?」
「─wwヘ√レv…はい…─wwヘ√レvv〜─」
「わかりました。」ガチャ

中澤は「あー、あの世代の考えはわからんわ。」と愚痴ると2人に向き直り、
「とりあえず、圭ちゃんと亀井を待ちましょう。」と2人の帰りを待つのだった。

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118 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/10(金) 23:33
SALT TEAM'S PHASE──

加護達SALTが学校に到着すると、見張りの藤本とアヤカが無線で飯田と連絡をとり、職員室に来るように言われた。
昇降口から上がる時に藤本に「紺野ちゃん、ちょっと怪我しちゃって今、保健室にいるんだ。よかったら顔を出して行ってよ。」
の言葉に驚いた加護と小川は、前田と松浦の許可をもらいすぐに保健室に向った。
(前田と松浦にしては、飯田への交渉時にはこの2人がいないほうがよかったので問題なかったのだが)
包帯でぐるぐる巻きにされてうなされている紺野を想像し、加護は保健室のドアをあけた。
「こんちゃん、大丈夫!?」
ドアを開けた2人が見たものは、アイスクリームを頬張る辻と紺野の姿だった。
「あ、まこっちゃん。」「あれ、あいぼんどうしたの?」
(なんや、心配して損したわ。)

119 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/10(金) 23:34
数分後、加護と小川もアイスクリームを貰って頬張っていた。近くの民家にあったものらしい。
「勝手に食べていいのかな?」小川が心配する。
「いらなかったら、つぃが食べてあげるよん。」辻が小川のアイスに手を伸ばす。
「あげません。」小川が慌てて口に含む。
「でも、こんちゃんが苦しんだりしているわけじゃないんで安心した。」これは加護の正直な感想だ。
「うん、怪我自体は大したことはなかったんです。どちらかというと銃に撃たれたショックの方が大きかったです。」
紺野はにっこり微笑む。
「ところで、あいぼん達は何をしに来たの?」
「それがなあ、同盟だって。次にAIRが狙うのが加護達だって前田さんが言ってたから、WATERに守ってもらうって言ってた。」
「じゃあ、のの達はあいぼん達と一緒に行動できるの?」辻はきらきらと目を輝かせる。
「ま、そういうことになるかな。」加護が答える。と、そのとき。

「出てって!!」

大きな声が隣の部屋から聞こえてきた。どうやら飯田の声である。
(なんや、なんや? 何があったんや?)

120 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/10(金) 23:35
「わたしも随分甘くみられたものね。さあ、帰って!」飯田の声が続けて聞こえてくる。  
隣のドアが乱暴に開けられる音がした。足音が聞こえてくる。

(こりゃあかんわ。せっかくののと一緒になれるおもうてたのに…。)
保健室のドアが開けられた。「加護ちゃん、まこっちゃん。帰るよ。」松浦が呼びかける。
「え? 一緒に行動するんじゃなかったんですか?」小川が驚く。
「んー、ちょっとね。ダメみたい。」松浦が苦笑する。
「一緒になれなくてごめんな、のの。」
「また、会えるよね?」辻は心配そうだ。
「あたり前だよ。アイスありがと。じゃ、まこっちゃん、行くよ。」

                   *            *

121 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/12(日) 19:19
加護と小川を保健室に行かせた松浦と前田はそのまま職員室に向った。職員室には、WATERのリーダーの飯田の他に矢口もいた。

まずは、前田熱っぽく喋べって、時々松浦が補足する形をとる。
WATERの二人はそれに口を挟むことなく聞いている。
「……残念ながらAIRはゲームに乗ってしまったようです。私たちは、安倍さんの無念を晴らしてあげたいと思ってます。
 そこでWATERの協力が欲しいのです。WATERの人数、そして私たちの武器、これらがあればAIRなんて問題はありません。」
ここで初めて飯田が口を挟む。
「あのさ、あなたちはAIRをどうしたいわけ? 皆殺しにしたいの?」
「そうではありません。改心できればもちろん……。」
「うちのチームの斉藤と村田と柴田──メロンの3人がAIRのいる倉庫へ行ったのね。大谷に会いに。
 そこでいろいろ話を聞いたの。そこでこんな話を聞いたんだ。『先に新垣がSALTの卑怯な罠で殺されている。
 しかも、丘の件だって罠でなっち以外のメンバーはみんな銃を持って隠れていた。』と。
 前田さん、新垣の件については話してくれなかったわよね? この件は本当なの?」
「えっと、それは…。」「新垣ちゃんの件については本当です。」
口ごもる前田に代わって松浦が話し始める。

122 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/12(日) 19:20
「でも、新垣ちゃんは間違って殺してしまいました。メンバーがある場所に手榴弾を置きっぱなしにしちゃって、
 それを新垣ちゃんが間違って暴発させてしまったのです。これに関しては私たちに責任があります。
 でも、丘の件については違います。安倍さんは純粋に一緒に脱出しようとして呼びかけたのです。
 安倍さんをAIRがいきなり撃って…」
「…出てって!」松浦の言葉を遮って飯田が叫ぶ。「言い訳は十分。つまり、どっちもどっちってことじゃない。」
横では矢口が驚いたように飯田を見る。
「それをさも『なっちの仇うちましょう』とかなっちをだしに使って。
 その言葉を使えば私が首を縦に振ると思った? わたしも随分甘くみられたものね。さあ、帰って!」
「いえ、そんなつもりは決して…」飯田はなお、言葉を続けようとする前田を無理矢理、職員室から追い出す。
「さあ、松浦も」続いて松浦も職員室から追い出した。そして「ふぅ」と一息つくと、幾分表情を緩め矢口の方に向く。
「矢口、ゴメン1人にしてもらえる?」「うん、わかった。…何かあったら呼んでね。」

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123 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/13(月) 22:43
WATER TEAM'S PHASE──

昇降口からSALTの4人の背中を見ながら、見張りの藤本美貴はSALTがここへ来た理由を彼女なりに考えていた。
(飯田さんに何らかの話を持ってきたのは間違いないところね。でも破談になったみたい。
 私でよかったら、亜弥ちゃんの力にはなりたかったところだけど……ん?)
その時、SALTと入れ違いになるように一人の人物が入り口に姿を現した。

「田中? どうしたの?」
「こんばんは。」
「こ、こんばんは。」アヤカは思いも寄らぬ人物の登場に少し戸惑っているようだ。
「あの、飯田さんに会わせてもらえますか?」
このとき、藤本はSALTに対して声を荒げた飯田を思い出した。
「聞いてはみるけど、今はちょっとダメかもしれないよ。」
「お願いします。」
「アヤカさん、ここお願いします。」そう言うと藤本は飯田がいる職員室に移動した。
扉の前に立つと藤本は、慎重に扉をノックする。今は飯田一人のはずだ。

コンコン

124 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/13(月) 22:44
「はい。」飯田がまだ少し怒気が含まれている声で返事が聞こえて来た。
「藤本ですけど、今、田中が来て、飯田さんに会いたいと言ってますが…。」
「……今、そんな気分じゃない。どんな用事が聞いて。」
(これはかなり気分が悪いな…。)
藤本は娘。としては入ったばかりだが、飯田が不機嫌の時には近づかない方がいいということは
他のメンバーからも聞かされていた。
藤本はとりあえず昇降口の方に戻ろうとしたが…

「安倍さんの件です。」すぐ後ろにはいつの間にか田中がいた。
「私は、安倍さんの最期の場にいました。そこで、安倍さんから飯田さんに伝言を頼まれました。
 それを伝えにきました。」

それに対する飯田の返答はなかった。かといって田中も立ち去る気配がない。周りの雰囲気がピリピリする。
藤本があまりの緊張感にしびれを切らしかけた時…

「いいわ。入って。」飯田の声が扉の向こうから聞こえてきた。

                   *            *

125 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/14(火) 22:19
正直、飯田はSALTが安倍の名前を使ってWATERを引き込もうとしたことが気にいらず、機嫌が悪かった。
だから、はじめ田中が来た時も、すぐに会おうとは思わなかった。
だが田中の「安倍さんからの伝言」というのが気になった。早く聞かなくちゃいけないと思った。
だから入室を許可した。

入ってきた田中は、まずはナップザックを開けると白い帽子と拡声器を取り出し、飯田にそれを手渡す。
「これは?」
「これは、安倍さんが被っていた帽子と実際に呼びかけのときに使った拡声器です。飯田さんにと思って。」
よくみると両方とも血が付着している。
「うん、ありがとう。…座って。」
田中は座ると、丘での出来事を話し始めた。

126 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/14(火) 22:21
田中の話はこうだ。丘の付近を走っていた田中にも安倍の呼びかけが聞こえたが、丘に近づくと銃声が聞こえたので、
丘の北側の入り口付近で様子を伺った。ちなみにそこには、AIRのミカ、高橋、里田もいた。
やがて銃撃戦がはじまったらしく、田中はまた少し丘から離れた所に移動した。
しばらくすると銃声もやみ、北の入り口からAIRの6人が降りてきた。
田中はちょっと躊躇したが、丘に移動しそこで死に際の安倍を発見したという事らしい。

「安倍さんは、最期に『圭織、みんなをよろしくね。』と。」
その言葉で田中の報告は終了した。
「それでは、私はこれで。」田中は、帽子と拡声器を残し、職員室から出て行った。

飯田はしばらく動けなかった。心にはただ、先ほどの田中の言葉『圭織、みんなをよろしくね。』が
実際に安倍の声になって響いていた。飯田は職員室から学校の小さな校庭に出て、西の空が見えるところまで歩く。
大分傾いた太陽のある空が、丘の稜線で切り取られている。

(なっち…。)

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127 :名無し娘。:2003/10/15(水) 01:15
更新乙です
飯田は何を思うんだろう

128 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/16(木) 18:57
AIR TEAM'S PHASE──

島の西側の港では、赤く染まった夕方の太陽をバックに高橋愛と石川が夕食の材料を探していた。
港なので魚がごろごろ転がっているかと思いきや、全然探しても見つからなかった。

「石川さん、ありませんね。」
「おっかしいなー。さすがに本部の近くにはないということなのかな?」
「あ、あの倉庫ってもしかしたら、冷凍の倉庫じゃありません?」

高橋は、他の倉庫より幾分小さめな倉庫を見つけた。その扉は、まるで冷蔵庫の扉を大きくしたようになっている。

「そうね。…あ、なるほど。あそこに冷凍保存された魚があるかもしれない。そういうことね。」
「はい。」
「そうね。その可能性は高いわね。さっそく行ってみましょう。」

129 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/16(木) 18:57
2人はその冷凍庫の前に立つ。扉に鍵がかかっていたらどうしようもない。
高橋は扉を開けるためについている金属製のバーに手にかけると一息つき、バーを引っ張る。
最初は力を必要としたが、それ以降はさほど苦労せず扉を開けることができた。
中からの冷たい風が2人を震わせた。「さぶっ」隣の石川が思わず呟く。
(こういう時、薄手の衣装は嫌だな…)高橋は他のチームの衣装がうらやましかった。
(そういえば、FOODは揃いのTシャツにGパンだったな。せめてあれぐらいの衣装なら…)

2人は震えながら冷凍庫に入り、手持ちの懐中電灯をオンにする。
生まれた光の輪で冷凍庫の電気のスイッチを探す。寒さに震えながら1分弱でスイッチを見つけ早速ONにする。
冷凍庫内が光で満たされた。気のせいかちょっと寒さが和らいだ気がする。

130 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/16(木) 18:58
「…ビンゴね。高橋、あれ。」
高橋が石川の指差した方向を見ると、5、6種類の魚が冷凍保存されている。
それは、金目鯛・ムツ・メダイなど、この地方で捕れる魚なのだが、高橋には何の魚だがわからなかった。
「解凍するのがちょっと大変そうですね。」高橋は心配した。
「まあ、とりあえずこの小さな魚を持っていきましょう。」
石川は、アジとイワシを人数分6匹ずつ持って来たビニール袋に入れた。
「商店で、ミカさん達が野菜やお米を見つけたらしいし、今夜は魚料理ね。」石川は心なしかウキウキしている。
だが、高橋には一つ心配事があった。
(うちのチームに魚をおろせる人いるかなあ…)
しかしその疑問も、鼻歌まで歌い始めた石川を見ると言うに言い出せなくなってしまった。

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131 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/22(水) 08:54
FOOD TEAM'S PHASE──

田中と連絡のようなものを取ってから、約20分後に保田と亀井絵里は帰ってきた。
中澤の「報告を聞かせて。」の言葉に促され始まった保田の報告は、その場にいる全員を凍てつかせるには十分だった。
道重の場合は、一方的に主催者側から殺されたものであるが、
新垣の場合は過程はどうあれ他のハロプロメンバーに殺されたのである。

あまりのことに誰も喋れなかった集会所に、昼頃聞いた音楽が鳴り響いた。

ハメて〜、ウ〜ハメて〜、SOMEBADY SOMEBADY SOMEDAY SO ハメて〜

音楽はどうやら、外の古びたポールについている拡声器のようなものから聞こえているようだ。
普段は津波の情報とかを知らせるのだろう。
亀井は咄嗟に壁の時計を見る。午後6時を少し過ぎたところだった。
音楽がだんだん弱くなり、その代わりに彼女らが今一番聞きたくない男の声が聞こえてきた。

132 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/22(水) 08:54
「あ、あ、マイクテス、マイクテス。みなさん、聞こえていますでしょうか。
 6時間ぶりの石橋貴明、石橋貴明でございます。え〜、早速、死亡者の発表に移りたいと思います。
 まずは…、SALT5 安倍なつみ。7AIR 新垣里沙。FOOD6 道重さゆみ…は俺が殺したんだっけ。
 ……大丈夫かあ、6時間もやって死亡者2人だけだぞー。24時間誰も死ななかったら全員の首輪が爆発しちゃうぞー。
 と言っても昨日まで普通の仲間だったからしょーがねーよなあ。
 そこでだ。あと1時間後から、また1チーム参戦するぞー。こいつらはハロプロメンバーじゃないから、
 お前らを容赦なく攻撃するぞー。まあ、これで24時間誰も死ななくなるということはなくなるぞ。
 頑張って戦えよー。今度の放送は夜中の0時だからな。バイバイブー。」ガチャ

不快な放送はようやく収まった。放送が終わって口火を切ったのは中澤だった。
「道重と新垣は聞いてたけど、なっちも? 圭ちゃん、どういう事?」保田につめよった。
「いえ、なっつぁんが死んだって事は石川は言ってなかったです。」保田もショックを隠しきれないようだ。
「石川は死んだということを隠していたか、AIRとは別件なのか、銃撃戦で傷つき後で…なのか。
 どちらにしても本人に聞くしかないわね。…あと、もう1チームって誰?」
だが、それに答えられる者はいなかった。当たり前だが。

(ハロプロメンバーじゃないらしいし。誰なんだろう。)亀井は心の中で思っていた。

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133 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/25(土) 00:08
UTABAN'S PHASE──

メンバーがいる島から北東に離れること約20km。ここにも別の小さな島がある。
その島の何かの事務所だったところ。ここには現在様々な放送用機材が置かれている。
とある部屋はモニタールームであり、メンバーがいる島のあちらこちらに取り付けられた無人カメラからの映像を映している。
また別の部屋はメンバーへの定時放送のための部屋であり、石橋はここから放送していた。

石橋は放送を終え、放送室から出る。「お疲れさまでーす。」女性スタッフが声をかけてくる。
まだ若いスタッフだ。最近入ってきたらしい。他にもスタッフはここに10人程いる。
ちなみに、木梨と香取は先に旅館に泊まっている。
「石橋さん、追加チーム入りました。」さっきとは別の男性スタッフに声をかけられた。
「そうか。……中居は?」「先に向ってます。」「そうか。」
石橋は事務所を出て3名のスタッフとともに港の方に歩く。3分ぐらいで港に着く。
港にはクルーザーが泊まっていた。船の入り口には中居が待っている。
「待たせたなぁ。」「うぃーっす。」2人は船に乗り、クルーザーの寝室に入る。

134 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/25(土) 00:08
そこには2人の人物が寝かされていた。
ラジカセを持っていたスタッフがPLAYのスイッチを押す。

ハメて〜、ウ〜ハメて〜、SOMEBADY SOMEBADY SOMEDAY SO ハメて〜

「うるさいなあ、なんだよー。」「何?何が起きているの?」
どうやらとりあえず二人とも起きたようだ。そんな二人を石橋は満足そうに見つめ宣言する。
「ニューチャレンジャー達よ。おはようございまーす。突然ですが、君たちにはこれから殺し合いをしてもらいまーす。
 ルール等は中居君から。」

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135 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/26(日) 23:23
AIR TEAM'S PHASE──

里田・石川・ミカは、FOODと同盟を結ぼうと海に沈んで行く太陽をみながら、集会所へ向っていた。
本来ならば、6人で行くはずだったのだが、どうしても大谷が移動を拒絶したため、3−3に分かれたのだ。
港から集会所へ向う道は途中までが砂浜なのだが、途中で大きな崖に当たるため商店の方によらなければならない。
しかし、まだ砂浜を歩いているところだ。

「放送で安倍サンが亡くなってしまったのがFOODにわかってしまいましたね。大丈夫でしょうか?」ミカは石川に聞く。
「あの放送はどういう状況だったのかわからないから大丈夫よ。
 私たちも放送で知ったことにしましょう。流れ弾にでもあたったんでしょうって。
 まあ、この辺は私に任せといて。話し合わせといてくれればいいから。」石川は歩きながら2人に話す。
「わたしは、残した3人が心配です。」今度は里田である。「大丈夫でしょうか?」
「まあ、急いで帰ってくれば問題ないわよ。SALTも夕食を作っている頃でしょう。」
「そうだといいのですが……。」
(今、普通に動けるのが稲葉さんと愛ちゃんだけ。大谷さんが復活すればいいのだけど)里田はちょっと心配だった。 

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136 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/29(水) 00:08
SALT TEAM'S PHASE──

WATERに拒絶されたSALTは本部である別荘に戻ってきていた。
現在は支給された食パンに別荘にあった、ジャムを塗って早めの夕食をとりながら今後の行動を決めているところであった。

小川は、放送によって新垣の死を知り、ひどく悲しんでいた。食べ物もちょっと食べたばかりで何も喋らずぼーっとしていた。
ちなみに、新垣の死の原因については、
「丘での銃撃戦か、それとも全然関係ないことか。私たちにはわからない。」
と松浦も前田も本当のことは話さなかった。

加護亜依の場合は、安倍のように2人とも直接死体を見ていなかったこともあり、安倍の時ほど落ち込んではいないように見えた。
むしろ加護がショックを受けたのは、松浦と前田から、「私たちは飯田さんに見捨てられた。」と聞かされたからだった。
「飯田さんがうちらのこと見捨てた? なんでや?」思わず関西弁が出てしまう。
(飯田さんに限ってそんなこと…。)
「理由はわからない。ちょっと私の言い方が悪かったのかもしれない。」前田は肩を落としている。
「松浦の補足も悪かったです。だからこの件についてはお互い様ということにしましょう。
 それよりも…。これからどうするかですが…。倉庫に行って、直接AIRと接触するというのはどうでしょう?」
「え?」加護や小川よりも、前田の反応が一番早かった。
「接触って……。話し合うってこと?」加護には前田が何故か動揺しているように思えた。
「そうです。もともとは私たちは仲間だったんだから、向こうも話し合いに応じてくれるはずです。
 だけど今度は、加護ちゃん、まこっちゃん、今度はあなたたちの協力が必要になってくると思う。
 協力してもらえる?」松浦は2人に協力を要請する。
「はい。加護にできることがあれば。」「まこっちゃんは?」「わ、わたしももちろん。」
「では、食事が終ったら……そうね。7時ごろになったら出発します。それでいい?」
「「はい。」」加護と小川は元気良く答えた。

                   *            *

137 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/10/31(金) 00:20
夕食が終わり、一息ついていた松浦は前田に呼ばれて2階にあがった。今度は廊下の右側にある子供用の寝室に2人は入る。
「松浦さん、話し合うって本気なの? そんなことするとは思えないし、たとえできたとしても、
 新垣ちゃんのことがバレちゃうよ。」
「いえいえ、話し合うというのは、加護ちゃんとまこっちゃんを連れて行くための方便に過ぎません。
 勿論、私達の目的はAIRの抹殺、ゆくゆくはゲームに生き残って無事に戻ることです。
 安倍さんの復讐をする、なんていっても2人は来ないでしょう。かつての『仲間』を手にかけられるとは思えません。
 しかし私と前田さんだけで行っても向こうは6人なので敵うはずもありません。残した加護ちゃんとまこっちゃんも心配です。
 だから、2人を連れ出すためにああいう言い方をしたわけです。」
「なんだ、そういうこと…。よかった。」
「まあ、話し合うというのもそんなに嘘ではありませんよ。こっちが話し合いの意志を見せたけど、
 AIRが全く話し合いに乗ってくれないばかりか、こちらを攻撃しようとしたのでやむなく撃ってしまった。
 という事態もありえるわけです。…さて、物置の武器をまた補充しておきましょう。」
そういうと松浦は立ち上がった。

(私は、松浦亜弥。こんなところで死ねない。死んではいけない。)

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138 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/01(土) 22:19
WATER TEAM'S PHASE──

WATERは全員で夕食を食べていた。ものはやきそばである。
みんなで学校の近くの民家を探したところ、見つかったのがやきそばの麺と鶏肉と人参とキャベツであり、
それでやきそばを作ったのだった。だがしかし、WATERは大所帯であり一人当たり0.7人前ぐらいしかなかった。
辻や紺野などはあきらかに足りないようだった。そんな中……

「みんな聞いて。圭織はなっちと同じようにみんなを集めてこんな馬鹿げたものから脱出したい。
 これを見て。」飯田は下に置いてあった拡声器を取り出す。
「なっちはこれでみんなに呼びかけをしたの。だから圭織もなっちの意志を継ぎ、これで人を集めたい。
 ……でもね、やっぱり一度争ったSALTとAIRを仲直りさせるのは難しいとは思っている。
 もし、このゲームを脱出できるいい方法が見つかったら、2チームとも協力してくれると思う。
 みんなのなかで何かいい意見はない?」

139 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/01(土) 22:25
メンバーは隣の人と話したりして、ざわざわざわつきはじめた。
「はい。」「アヤカ。」アヤカが立ち上がる。
「とりあえず、この首輪をどうにかしなければいけないと思います。さっき、斉藤さんのを見せてもらったんですが、
 簡単には外れないようになっているようですし、下手すると爆発するのであまり調べられませんでした。
 せめて外された首輪があればそれを調べられるのですが。」
「首輪か…。たしかにやっかいね。外された首輪は、そう簡単には手に入りそうもないわね。」
(生の状態でその辺においてあるわけないし、誰かの首を切って、そこから外すぐらいしか方法はなさそう。)

「圭織。」「ん? 矢口。」
「海に入ったら爆発しちゃうよね。だったら空から脱出っていうのはどう?」
「それは試してみないとどうとも言えないけど、それよりも何で脱出するの?」
「それは、まあ、気球とか、ハングライダーとか、飛行機とか…。」
「それはどこにあるの?」
「大金持ちの家にあったりしないかなあ、なんて。アハハハハハハ。」
(手段はともかく、空か。考えておこう。)

140 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/01(土) 22:25
「石橋か、中居を人質にとるっていうのはどうですか?」今度は藤本である。
「そうすればスタッフも私たちを脱出させないわけにはいかなくなると思いますけど。」
「その2人をこの島に呼び寄せるのはどうするの?」
「まだ具体的な方法はないんですけど、何か緊急事態になればスタッフごとこの島に来ると思います。」
「なるほど。」
(スタッフが2人を捨て駒として考えていたらダメだけどね。)

「いいらさん!」辻が手を上がる。「のの、何?」
「やきそばお代わり!」
「…………もうないよ。」

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141 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/05(水) 00:24
FOOD TEAM'S PHASE──

集会所では、田中を除くFOODの5人と石川、ミカ、里田の3人が話をしていた。
「なるほどなぁ。そっちの話はわかった。つまり、なっちを撃った自覚はないが、流れ弾で傷つけてしまった可能性が高い。
 そういうことなんやな。」FOOD側の代表として中澤が話を進めている。
「はい。あの時は動揺してしまって…。どっちが先に仕掛けたのかも覚えていません。気付いたときには銃撃戦になってました。
 SALTはきっとわたし達のこと、憎んでいると思います。あのチームが次に狙ってくるのは私たちでしょう。
 ですから、私たちを助けてもらえないでしょうか? 私たちはSALTと和解したいのです。」
「……ふむ。」
(丘の出来事についてはデータが足らないからなんとも言えないわね。
 真実はわかりそうもないけど、AIRがSALTと和解するっていうことならば…。)
「ええよ。うちらの願いもここから逃げ出すことやからな。それでどないすればいい?」
「うちのメンバーで移動できない者がいるから、来て頂けたらありがたいのですが…。」
「怪我でもしてるん?」
「そういうわけではないんですが、ちょっと……。」
(SALTが安倍の敵討ちに来て、それに巻き込まれるかもしれへんし、田中も戻ってきてへん。
 全員で向こう行くのはちょっと心配やな。うーん。)
「……皆がそっちに行ってしまうと、田中が戻って来た時に田中が困るだろうし、
 とりあえず、うちと圭ちゃんが行くわ。それでええか?」
「「「ありがとうございます。」」」AIRの3人は安心したようにお礼を言った。
 
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142 :名無し娘。:2003/11/05(水) 01:03
更新速度早っ!がんばってくだされ

143 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/06(木) 23:44
??? TEAM'S PHASE──

「いやーしかし驚いたよ。俺さ、コンビニで立ち読みしてたんだよ。ヤンジャン。そしたらさ、いきなり肩たたかれてさ、
 横向くと和田さんなんだよ。『よ、久しぶり。』なんていってさ、車に乗せられて。何のようかって聞いたら、
 『目的地着いたら話す』って言われて、いつの間にか寝ちゃったんだけど…。んで起きたら、石橋と中居だろ?
 驚いたのなんのって。」
「…………………………………………。」
「んでいきなり『戦え』だなんてびっくりしたよ。ほんとに。……でも優勝したら芸能界復帰できるなんて夢みたいだよな。
 しかも、殺した人数×2000万円もらえるんだからさ。2人で山分けしても1人1000万円だぜ。うっはー。
 そして、何人殺しても警察に突きつけたりしないと来たもんだ。
 キャバクラの件で俺、追放されてしばらくカタギの生活してたんだけど、ダメだね。物足りない。生活に張りがない。
 やっぱり俺の場所は芸能界だと思ったね。」
「…………………………………………。」

144 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/06(木) 23:45
「それで、俺らの武器のある場所はっと。あの灯台か……。船降ろされる時にもらったこの鍵で入り口を開けるっつーことか。
 そいや、中居が『お前らの武器はいっぱいあるぞ』って言ってたけどさ、何があるんだろう?
 やっぱり銃はあるよな。バッキューンって撃って見たいよなあ。男のロマンだな。」
「…………………………………………。」
「そうそう、お前の芸能活動も見てたけどさ、何? あの裸エプロンとかさ、前ガバッと開いた服とかさあ。
 なんか必死でさ。見てて痛々しかったよ。あーでもしなきゃ売れ…」
「黙れ! お前に私の芸能活動を否定される筋合いはない。いい? 私にとってお前は今やパートナーでもなんでもないわけ。
 無理矢理組まされたから仕方なくやるだけ。私は死にたくない。殺される前に殺す。ただそれだけ。」
「へいへいへい。ま、何はともあれよろしくな。」

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145 :名無し娘。:2003/11/07(金) 00:02
この二人だったのか・・・

146 :名無し娘。:2003/11/07(金) 16:32
矢口、松浦と交流ある訴人と後藤の弟であるユウキ…
どんな展開になんだろ…

147 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/09(日) 23:51
AIR TEAM'S PHASE──

石川達が集会所で中澤達と話している時に、高橋と稲葉は漁業組合で夕食の支度をしていた。
倉庫には調理場がなかったためである。
夕食といっても、魚とご飯だけであるが。高橋は稲葉に教わりながらアジと悪戦苦闘していた。
普段、包丁を握ったこともない高橋にとっては冷や冷やの連続だった。
ふと、調理場の窓がノックされる。高橋が窓の外を見ると、2人の人物が並んで夕暮れをバックに懐中電灯で下から光を当てていた。
「ひゃあ〜」高橋は情けない声をあげた。手放した包丁が流し台のシンクにぶつかる。
今度は、2人とも光を正面から当てる。「愛ちゃん、やっほー。」
「加護さん、まこっちゃん。びっくりしたー。」
「ん? SALT? なんでこんなところに…」横にいた稲葉も驚いたようだ。

料理の残りの工程は稲葉がやってくれるということで、稲葉の許可を得て、
高橋は加護と小川を連れて港の桟橋の方に移動した。桟橋には街頭がついており明るい。

148 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/09(日) 23:52
「夕暮れ綺麗だねー。」加護が目をきらきらさせながら感傷に浸る。
「東京じゃ見られないよねー。」小川も感動しているようだ。
「でも、本当にびっくりしたよ。2人がいきなりくるから。でもよかった。2人に会いたいと思っていたんだ。」
高橋は丘の出来事を思い出していた。といっても階段の下にいた高橋が覚えているのは銃声が鳴り響いていたことぐらいだが。
「うん。前田さんと亜弥ちゃんが仲直りしようって。加護たちの力を貸してくれって。」
「でもみんなFOODの方へ行っちゃって今は高橋と稲葉さんと大谷さんしかいないんだ。」
「ま、しょうがないよ。予告してなかったんだし。」小川が慰める。
「とりあえずきっかけが出来てよかったよかった。」加護が満足そうに頷く。

その時、ジャッポーンと何か飛び込む音が聞こえてきた。
「何? 何の音?」「何かが落ちたよね?」
そのうち、どこかで聞いたことのある電子音が聞こえてきた。

ぴ ぴ ぴ

高橋は懐中電灯を取り出し、音がどこから聞こえてくるか探す。懐中電灯の輪はやがて1人の人物の照らした。

「大谷さん!!」

                   *            *

149 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/12(水) 23:23
「あなたは安倍さんを殺したひとごろし。」
その声は大谷自身の声かもしれないし、違う気もする。脳の中で響いているのかもしれないし、外から聞こえる気もする。
──でも、あれはしょうがなかった。怖かった撃たれるんじゃないかって
「理由なんて関係ない。あるのはあなたがひとごろしだという事実だけ。」
──…………………
「もし、みんなで無事に戻れたとしても、ひとごろしのあなたを他のメロンのメンバーはどう思うかしら?
 そして、安倍さんを殺したあなたのことをモー娘。のメンバーはどう思うかしら?」
──そ、それは…
「表面的には『しょうがない』という態度に出るのでしょう。しかし心の中ではどう思うかしら?
 立場を変えて見ましょうか。例えば、村田さんが誰かに殺されたとします。でも、何とか無事に元の暮らしに戻れたとします。
 あなたはその人のこと、表面上は普通に接することができても、内面では憎しみなく思えますか?」
──それは、無理……
「それが普通の人の反応です。また、あなたが生き残ってもモー娘。のメンバーはそう思うことでしょう。」
──どうすれば?
「あなたは立派な社会人です。自分のしてしまったことに対する責任を取る必要があります。」
──……責任を取る……
「もし、禁止エリアの海に入れば、首輪が爆発します。それは、おそらく痛みを感じる暇もないでしょう。」
──…………………

150 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/12(水) 23:24
大谷はすっと立ち上がり、倉庫の扉に向って歩き出す。倉庫の扉を開けると綺麗な夕日が見える。
大谷はその夕日に向けて一歩ずつ歩いていき、やがて波止場に辿りつく。
目の前には、夕日を反射して赤くなっている海が見える。
──天国? ヒトゴロシなのに天国にいけるの?
大谷はためらうことなく、海に飛び込んだ。着衣のままだが、なんの支障もない。
大谷はそのまま沖の方へ泳いでいく。

ぴ ぴ ぴ

どこからか音が聞こえる。
──天国の人たちが歓迎して曲でも流しているの?

ぴ ぴ ぴ

やがて、大谷の顔に光が当てられる。「大谷さん!!」女の子の声が聞こえる。
──ああ、もうここは天国なんだ。…もう悩まなくてすむんだ。

「どうして…」「どこに…んで…か?」「早く…くだ…い!」
2、3人の女の子が大谷に向って何か叫んでいるようだ。

ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ
──みんな、ありがとう。歓迎してくれるんだね。…まずは、安倍さんに謝らな…

パーン

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151 : :2003/11/14(金) 02:03
死んじゃった・・・

152 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/15(土) 22:56
SALT TEAM'S PHASE──

「何か外から声が聞こえない?」

外の異変に先に気付いたのは、前田ではなくて稲葉だった。
前田が耳を澄ますとたしかに港のほうから誰かの叫び声が聞こえる。

「なんだろう? とりあえず行って見よう。」

前田は稲葉を連れ立って漁業組合の建物を出た。
最初、港に出た誰かが間違って海に落ちてしまい、他の人がそれを助けようとしているのかと思ったが…。
叫び声をよく聞くと、「大谷さ〜ん。」と言っているようだ。

(大谷さんが? 倉庫にいるって話じゃ?)
前田と大谷はスピードを上げる。やがて桟橋が見えるところまで来た。

桟橋には、加護、高橋、小川がいた。加護と小川はお互い体を寄せ合い泣いており、
高橋は四つんばいになり海をじっとみつめている。

153 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/15(土) 22:58
「どうしたの?」前田が声をかける。
泣き顔の顔を充血させた加護が顔を上げる。「前田さん…、大谷さんが、ううう。」
「どういうこと?」後ろから来た稲葉が高橋に聞く。
高橋は黙って自分の懐中電灯をONにし、海を照らす。光の輪は海に浮かぶ何かを照らした。

最初見たとき、前田はそれが何かわからなかった。白いものが何か浮いているとだけはわかった。
目を凝らし、その白いものが人型をしており、周りの海水が赤くなっており、それが血だと理解した瞬間──

「大谷さん?」前田は全てを理解した。高橋は黙って頷く。
「小康状態だったはずなのに。なんで…。」稲葉は驚愕を隠し切れないようだ。
「高橋たちが気付いたときは、もう大谷さんは海の中でした。」

高橋のその言葉を最後に、その場に聞こえる音は、加護と小川の泣き声と波の音だけになった。
そんななか、前田は港の建物の陰から松浦がそっとこっちの様子を伺っているのを発見した。
松浦は……どうやら……うっすらと笑っているように前田には見えた。

大谷雅恵:死亡 【AIR 6人→5人】

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154 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/17(月) 22:40
FOOD TEAM'S PHASE──

中澤と保田がAIRと共に去ってから30分後に、田中は集会所に戻ってきた。
ところが、肩から見慣れないカバンを提げている。
田中がカバンをあけると中からノート型PCと金属製の厚さ5ミリくらいのカードが出てきた。
亀井はカードを取り上げて「これな…」とまで言ったところで、
田中が口の前に人差し指を添えているのを見てあわてて口を押さえる。

「あー、おなかすいた。カレーってまだありますか?」と言いつつ洗面所の方に向う。
洗面所に入り、後藤に向けて手招きをする。
後藤は何のことかわからず人差し指を自分のほうに向けて首をかしげる。田中が頷くと、後藤は洗面所の方へ近づいていく。
そこで田中は2枚、Gパンの前ポケットからプリントを取り出し、1枚目を後藤に渡した。
そこにはどこかのプリンターから出力されたらしく、ゴシック体の文字でこう書かれていた。

155 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/17(月) 22:43
「突然のこのようなメッセージに驚かれたと思いますが、まず言いたい事は、私達は貴方達の味方だと言うことです。
 そして注意して欲しいことは、あなた方の会話は全て盗聴されているということです。
 この島にはいろんなところに隠しカメラが仕掛けられており、行動も監視されています。
 もちろん、トランシーバーによる会話も傍受されています。
 ノート型PCだけではなにもできませんが、このカードがあることによってインターネットもできるようになります。
 本来は、隠しアイテムはノート型PCだけの予定でした。このカードは私独自に用意したものです。
 ですから、主催者にバレると妨害される恐れがあるのでこのカードのことは口に出したり、
 不用意に晒したりしないようにしてください。そしてこのセットはPCに詳しい人に渡すようにしてください。」

頭の中が真っ白になった後藤に田中は2枚目のプリントを渡した。それは一見、後藤達が支給された地図のようだが、
よく見てみると、隠しカメラの位置が書いてある。

(ちょ、ちょおっと待って、これってどういうこと? 信じちゃっていいのかなあ? っていうかこの人誰?
 まあ、とりあえず、裕ちゃんか圭ちゃんに聞いたみたほうがよさそうだ。)
迷う後藤の方を田中がつつく。見ると、田中はゲームのルールを書いた紙の裏にボールペンで文字を書き、
それを後藤に見せた。
『ということなんで重要な問題は筆談がいいと思います。』後藤は頷く。

156 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/17(月) 22:43
「後藤さん、パソコンに詳しいのって誰ですか?」
(そうか、PCがあるっていうのはスタッフも知っているから普通に喋っていいんだ。)
「やっぱり圭ちゃんじゃないかなあ。」
「保田さんはどこにいるんですか?」
「今、AIRの3人と倉庫に向っているはずなんだけど…。ちょっと呼び出してみよう。」
「こちら、後藤です。聞こえてますか、どうぞ」
「………。」
「こちら、後藤です。裕ちゃんか圭ちゃん、聞こえてますか?」
「─wwヘ√レv…こちら、保田だけど…v〜…後藤、どうしたの?…─wwヘ√レvv〜─」
「田中が戻ってきて、ノート型パソコン持ってきたんで、圭ちゃんに見てもらいたいなあと思って。」
「─wwヘ√レv…ちょっとね、こっち立て込んじゃってすぐに戻れそうもなさそうなんだ。
 後藤もパソコンの立ち上げ方ぐらいはわかるでしょ。…─wwヘ√レvv〜─」
(こういうのは圭ちゃんじゃないとダメなんだけど、盗聴されているらしいから、そこまでは言えないなあ。)
「そう。わかった。とりあえず中身を見てみるよ。でも、早いところ戻ってきてね。」
「─wwヘ√レv…わかった。じゃあね。…─wwヘ√レvv〜─」
(取り込んでいるって何があったんだろう?)

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157 : :2003/11/18(火) 13:36
面白くなって参りました

158 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/20(木) 22:46
AIR TEAM'S PHASE──

「もしもし、こちら……。ちょっと報告が。どうやら明日の集まりに裕ちゃんが仲介として来るみたい。
 で、作戦を変更と思って連絡を。……うん。…………………………じゃあ、時間は変わらずに。
 こっちは2人にすればいいわけね。わかった。それじゃ明日。」


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159 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/23(日) 00:01
WATER TEAM'S PHASE──

「ふわぁ〜」
昇降口で教室から持ってきた椅子に座り、見張りをしていたあさみ(カントリー娘。)は今日12回目のあくびをした。
時計を見てみる。午前4:30。
見張りを始めてちょうど半分である。ちなみに彼女の当番は3時〜6時までだ。

彼女は昨日の夜のことを、思い出していた。
飯田主催の「どうやったらこのゲームから抜け出せるか?」という会議は食事終了後も、
矢口、斉藤、藤本を交えて夜遅くまで話し合っていたようだ。
ようだというのは、あさみが夜中の見張り番になり早めに就寝したからであった。
2:50頃の起床を予定にしていたのだが、12:00の放送で一度目が覚めてしまった。
今回の放送は、石橋ではなくて中居だった。
「ど〜も〜、中居正広です。えー、今回ゲームーオーバーになってしまったのは、
 AIRチーム、大谷雅恵、1人。ということで頑張ってくださーい。」
と、死亡者がたった1人にもかかわらずに怒ったりせず、いやにあっさりしたものだった。たぶん眠かったのだろう。

160 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/23(日) 00:01
あさみはまたカントリー娘。について思い出していた。
1999年7月、戸田鈴音(りんね)・柳原尋美・小林梓の3人がインディーズ・デビューする……はずだった。
ところが、その1週間前に柳原尋美が不幸な交通事故で亡くなってしまい、小林梓もそのショックで脱退してしまう。
りんねは1人になり1年近く、ひとりでカントリー娘。を続けていく。
木村麻美があさみとしてカントリー娘。に入ったのはそんな時だった。
あさみは生来の明るさで盛り上げ、やがて石川が助っ人として登場し、里田が入って軌道に乗ったのだっだ。
「りんねちゃん、何やってるんだろう?」
そこまで考えたところで、あさみは入り口に一人の人物が入ってくるのを確認した。

161 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/23(日) 00:02
「こんばんは〜、夜遅くすみません。ここ学校ですよね?」
どうやら少年のようである。だが、明かりをバックにしているせいか顔はよくわからない。
「ええ、そうですが。」
「じゃあ、11WATERの皆さんがいるんですよね?」
「え、ええ。」
「やっぱり。それなら良かった。」
「ところで…。あなたはどちら様ですか?」
「へ? 俺? 俺たちは…。」
そのとき、あさみは突然息ができなくなった。首が何か細いもので締め付けられているようで、とても痛い。
「お前達を殺しに来たのさ。」目の前の少年が答える。
あさみは苦しみに悶えながら咄嗟に首を手で確認する。何か細い糸のようなものが首に巻きついているようだ。
苦しくて思わず立ち上がって、懸命に糸のようなものを手で外そうとするが、
息苦しさと喉の痛みと、首から流れ始めた自分の血のせいででうまくつかめない。
「あ゛、あ゛、あ゛…………」
声にならない声を上げつつ、目の前が真っ白になっていく…。

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162 :名無し娘。:2003/11/23(日) 10:31
あさみが、あさみが・・・

163 : :2003/11/23(日) 18:21
作者は一応メンバー全体を知ってるみたいでよかった。
資料ならいくらでも用意するんで見てる人は多いので頑張ってください!

164 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/25(火) 23:27
EE JUMP'S PHASE──

ソニンがあさみの首に巻きつけたのはただの糸ではない。暗殺用の敵の喉仏を切り裂く武器である。
力が決して強いというわけではないソニンが選んだ武器の一つがこれである。
他にも、ブルーノCzモデル75、オリハルコン(ダガー)を持ってきている。

目の前の目を大きく開き首を掻き毟りながら苦悶するあさみを見て、
ソニンは顎でユウキに中に進むよう促す。ユウキはそれに従い校舎を進んでいった。

──────

ソニンとユウキが灯台にたどり着いたのが、夜7時頃。灯台の鍵を開け、中に入ると、
そこには、剣、銃、弓矢などなど、様々な武器があった。
「かっけ〜。」
ユウキは、すぐさまワルサーPPK9ミリと、エクスカリバー(剣)を手に取った。
それを横目にしつつ、ソニンはブルーノとオリハルコンと暗殺用のワイヤーを手に取る

165 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/25(火) 23:27
「ソニンさあ、最初どこ攻めるの? やっぱり近い倉庫?」
「そうね。最初は…、学校かな。武器も大したことないし、人数も稼げるだろうし。」
「まあ、俺はFOOD以外ならとりあえずいいけどな。よし、じゃあ早速いこうぜ!」
「待って。今はまだ早い。到着してすぐだから向こうも警戒しているかもしれない。
 それにこの時間はまだ皆起きているはず。そうだと人数に劣る私たちは不利よ。
 だから、ここは夜襲をかける。時間は…4時ぐらいね。」
「そりゃそうだよな〜。やっぱ、お前頭いいわ。」

──────

166 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/25(火) 23:27
あさみの首から流れ出た血は、WATERの衣装を更に赤く染め、地面に血だまりを作り始める。
ソニンは更に力をこめた。鋼線は喉仏を切断し、やがて頚椎をとらえる。
抵抗していたあさみの手はだらしなく下がり、首が前に落ちこんだ。

その時──
「あなた、誰?」
「くそっ!!」ターン
銃声音があたりに響く。

ソニンは自分の予想していなかった事態が起きたと悟った。

あさみ(カントリー娘。):死亡 【AIR 11人→10人】

─────────────────────────────────────────────────────

167 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/25(火) 23:29
いつも応援ありがとうございます。
まあ、のんびりと進めていきますのでよろすく。

168 :名無し娘。:2003/11/26(水) 06:30
ここでソニンとユウキ登場か
他の刺客も楽しみにしてます

169 :名無し娘。:2003/11/26(水) 16:00
>>167
あのー、更新してくださる所悪いのですが・・・
>>166はWATERですよ

170 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/26(水) 23:34
あ、ホントだ。指摘ありがd

以下、166の訂正

171 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/26(水) 23:35
あさみの首から流れ出た血は、WATERの衣装を更に赤く染め、地面に血だまりを作り始める。
ソニンは更に力をこめた。鋼線は喉仏を切断し、やがて頚椎をとらえる。
抵抗していたあさみの手はだらしなく下がり、首が前に落ちこんだ。

その時──
「あなた、誰?」
「くそっ!!」ターン
銃声音があたりに響く。

ソニンは自分の予想していなかった事態が起きたと悟った。

あさみ(カントリー娘。):死亡 【WATER 11人→10人】

172 :名無し娘。:2003/11/27(木) 22:55
(*`_´)とても
(・e・)おもしろい
(●´ー`)だべ

173 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/28(金) 23:45
WATER TEAM'S PHASE──

アヤカは、トイレから出ると自分の見張り場である昇降口に戻ろうとした。
ところが、昇降口の方から1人の人物が歩いてくる。窓から漏れた光に照らされたその姿は、
濃紺のパーカーにジーパン。明らかにWATERの人間ではない。
そのうち、その人物と目が合った。その顔を見てとある人物が思い浮かぶ。だが、

「あなた、誰?」思わず誰何してしまった。
目の前の人物──ユウキは──小さな声で「うわっ」と驚くと、右手に持っていたワルサーを構える。
アヤカは、咄嗟に教室の入り口飛びつく。
「くそっ」ユウキは狙いも定めぬまま、焦ってトリガーを引く。弾はそれて、教室の扉の反対の壁にめり込み、
ユウキ自身は不安定な格好で銃を撃ったせいか、態勢を崩し尻餅をついていた。

174 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/11/28(金) 23:45
それを見たアヤカは、急いで教室の中に入り、教室の明かりを点ける。
ここには、吉澤、辻、紺野、藤本が寝ていた。その中で、藤本は銃声で既に起きており、
アヤカに対し、「今の何の音?」と聞いてくる。
また、吉澤と紺野も目を覚ましており、眠そうに目をこすりながら上半身を起こしていた。
全員の姿を確認しつつ、アヤカは教室の前後の扉に鍵をかける。
(これでとりあえずは、入ってこられないはず。あとは…。)

アヤカはナップザックからトランシーバーを取り出すと、スイッチを押し部屋の全員と、
校長室で寝ている飯田、矢口、職員室で寝ている斉藤、村田、柴田に聞こえるように大声で叫んだ。
「みんなっ!!! 起きてー!!! 敵よー!!!」

                   *            *

175 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/01(月) 00:24
「みんなっ!!! 起きてー!!! 敵よー!!!」
夢の世界に居た村田めぐみは、その機械を通した声で現実の世界に戻される。
部屋の見渡すと、斉藤も目を覚ましたようだ。
村田は立ち上がり、職員室の明かりをつける。柴田も起き上がる。彼女もまた目が覚めたようだ。
「何があったの?」柴田が村田に聞いてきた。
「わからない。でも、敵が侵入したらしい。私とひとみんでちょっと様子を見てくる。柴ちゃんはここで待ってて」
「気をつけて。」「うん。」
村田はホーリィソード、斉藤はモーニングスターを持ち、村田が職員室の扉をそっと開け外の様子を伺う。
そこにはシーンと静まり返った廊下があるだけだった。
「とりあえず大丈夫みたい。」2人はゆっくりと廊下へと出た。
2人は武器を構えたままとりあえず廊下の様子を探る。
すると、廊下と昇降口と校庭に通じている廊下の交差点に何か白く細長いものが2本見えた。
目を凝らしてみてみると、どうやらそれは誰かの足らしい。
上半身は校庭側の通路にあるらしく、ここからだと死角になって見えない。

176 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/01(月) 00:25
「誰か仰向けに倒れているみたい。」斉藤は驚く。「とりあえず行ってみよう。」村田が返す。
2人は警戒しながらゆっくりと廊下をすすむ。
近づくにつれわかってきたのだが、廊下の足から昇降口へと足に添って赤いラインが2本ひいてあるようだ。
やがて、2人は足の持ち主がはっきりとわかるところまで来た。
「!!!!!」2人は言葉がでなかった。
持ち主であるあさみの首は何かでざっくり切られたのか、パカっとあいておりそこから血が今だ流れている。
WATERの衣装も自身の血で汚れており、(もともと赤と黒の衣装なのでそんなには目立たないが)
さっきみた赤いラインの正体は血だったのだ。
顔は、口からは舌がだらしなく出ており、目がこれ以上ないくらい飛び出ている。
そしてその生気のない目は、偶然にも村田たちの方を向いている。

177 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/01(月) 00:26
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
気がつけば横の斉藤が後ずさりをし、大声で叫びながら昇降口の方へ走っていく。
「ひとみん! 待って!」村田は追いかける。
「ああああああああああああ!!!!!!!」もはや言葉にならない叫びを続けながら斉藤は走り続ける。
「待ってよ! 待って!」村田は斉藤を追いかけて昇降口を出、さらに校門を出ようとする。
ところが、校門を走り抜ける瞬間、村田は何かに躓き胸から地面に倒れる。
「うわっ、ててて。ん?」
村田は立ち上がろうとするが、上から誰かに乗りかかられ動けない。
「え? 何? 誰なの?」
顔だけ上げると、斉藤は村田の様子など知る由もなく逃げ続けてようで、だんだん斉藤の背中が小さくなっていく。
村田の後頭部に何か冷たいものが当たった。


ターン
ターン

あたりに2発銃声が響いた。

村田めぐみ(メロン記念日):死亡 【WATER 10人→9人】

─────────────────────────────────────────────────────

178 :名無し娘。:2003/12/01(月) 00:52
また推しメンが1人・・・・・
自分的にユウキとソニンがいつ死ぬか注目したいと思います
(本編の前回優勝者ってわけでもないし最後まで残るかわからんしw)
これからも頑張ってください

179 :名無し娘。:2003/12/01(月) 01:42
地味な奴から死んでくな

180 :死後の世界:2003/12/01(月) 10:24
( - Δ-)地味…。

( ;・e・)(●`ー´)大谷さん、なっちを撃つなんてひどいべさ  (`_´; ) 
安倍さん落ち着いて。

从*・ 。.・从<死んでも私ってカワイイ

181 :名無し娘。:2003/12/01(月) 14:23
そういやメロンがすでに二人死んだのか
作者はメロンあんまり好きじゃないみたいだな

182 :名無し娘。:2003/12/01(月) 23:05
>>180
あさみが・・・

183 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/01(月) 23:17
別にメロンが嫌いというわけではないですよ〜。

184 : :2003/12/02(火) 01:53
>>183
特に気にせず計画にそって不要メンをどんどん頑張ってください

185 :名無し娘。:2003/12/02(火) 15:13
(oTvTo)
↑180に忘れられたあさみ

186 :名無し娘。:2003/12/02(火) 16:08
作者さん、周りの雑音は気にせずにがんばってくださいね。
いつも楽しみにしてます。

187 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/03(水) 23:44
EE JUMP'S PHASE──

「くそっ」
態勢を崩し尻餅をついていたユウキは、アヤカが教室に入るのを見て、自分も入ろうと立ち上がろうとする。
ところがその肩を誰かに抑えられた。振り返ると…。
「なんだお前か。なんだよ。早くしないと…。」
「おそらく教室の中は仲間がたくさんいる。深追いは禁物だ。それよりも手伝って欲しいことがある。」
そういうソニンの後にユウキは続く。その後ろで教室に電気が入るのがわかった。
2人は昇降口に戻る。血の海の中で首を切られているあさみを見てユウキは少し吐き気がした。
「オエッ」
「ちょっと足のほう持って。移動するから。」
そんなユウキの気持ちを知ってか知らずかソニンはあさみの頭と腕を持つ。
(勘弁してくれよ…。)と思いつつも仕方なしにユウキは足を持ち、二人は移動した。

少しゆれるたびに、あさみのパックリ割れた喉からいろんなものが見えたりしてユウキは気持ち悪かったが、
そんなにソニンの目的地が遠くなく、5mくらいのところだったのでガマンできた。
着いた場所は、教室と職員室などを繋ぐ廊下と昇降口と校庭に通じている廊下の交差点であった。
そこに、校庭側を頭にそして足を交差点に置いたところで明かりの漏れた教室から、
「みんなっ!!! 起きてー!!! 敵よー!!!」
と誰かの声が聞こえた。2人はそれを聞き、素早く校舎をでる。

188 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/03(水) 23:44
ユウキははじめ灯台へ戻ると思い、校門を出て灯台の方へ行きかけたが、
「違う、違う」というソニンの言葉にはっと振り返る。ソニンは校門のところでしゃがんでいた。
「帰るんじゃないの?」ユウキも校門に戻りつつ聞く。
「まだやることがある。…とりあえずしゃがんで。」ソニンはナップザックから懐中時計のようなものを取り出した。
ユウキはそれを覗き込む。

この懐中時計のようなものはレーダーである。灯台の中で見つけたものだ。
各メンバーの首輪とリンクされており、メンバーの位置を把握できる代物である。
ただし、メンバーの固定まではできず。どのチームに属しているかまでしかわからない。
レーダーの探索範囲は4段階調節できる。最大だと島全体をカバーするが、今は学校を収める3番目の広さにしてある。
学校の中に、WATERチームのメンバーであることを示している青い点がいくつもあり、
それぞれ別の部屋にいるらしく点が1、2、2、5でそれぞれ別れている。
校門のところに、EE JUMPのメンバーであることを示している紫の点が2つある。

189 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/03(水) 23:46
その時、校舎の中から誰かの叫び声が聞こえてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
レーダーを見てみると、ユウキ達に一番近かった2点のうち1点がユウキ達に近づいてくるところだった。
もう1点もそれを追いかけるように付いて来る。
「最初の人物は無視して、私がまず後ろの人物に足を掛けて転ばす。そしたらユウキは背中に乗っかってくれ。」
ソニンが囁き、ユウキは「わかった。」と応えた。
「ああああああああああああ!!!!!!!」「待ってよ! 待って!」
まずは1人目が校門を通り過ぎる。一度見たら忘れられない金髪のパーマ、斉藤瞳。
ソニンは光点に合わせて、校門の陰から足を出す。
「うわっ」
校舎のほうから来た人物はもんどりうって前に倒れこんだ。ユウキは作戦通り上にのしかかる。
「え? 何? 誰なの?」倒れた人物は抵抗する。ソニンがその人物の後頭部にブルーノを押し当てトリガーを引く。

ターン
ターン

190 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/03(水) 23:47
銃弾は目の前の人物の頭に2つの穴をあけ、その人物を死に至らしめた。
ソニンは動かなくなった人物の前に回り顔をあげその人物を確かめる。
「メロンの村田さんだ。」感情もなく報告する。
ユウキはふと、預かっていたレーダーに目をやる。校舎の中のほとんどの光点が移動し始めた。
「みんな移動しはじめたぜ。どうすんだ?」
「そうね……。」というとソニンは校門から中に入り、
ナップザックから手榴弾を取り出し、安全ピンを口にくわえ、
手榴弾を持っている手を右に引くことによって安全ピンを外しおもむろに校舎の廊下の窓に手榴弾を投げる。

ガシャーン……ドゥーン

派手にガラスの割れる音がし、そして手榴弾が破裂した音が聞こえてきた。
中から何人かの悲鳴が聞こえてくる。

「こんなところね。深追いは禁物。…引き上げるよ。」「へーい。」

─────────────────────────────────────────────────────

191 :名無し娘。:2003/12/04(木) 14:44
ソニンつえー

192 :名無し娘。:2003/12/04(木) 19:00
被爆で誰か死んだか

193 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/08(月) 01:46
WATER TEAM'S PHASE──

誰かの悲鳴、そして2発連続の銃声、ガラスの割れる音、何かが爆発する音。
これらによってWATER TEAMは混乱のきわみにあった。

校長室で矢口とともに寝ていた飯田も、トランシーバー越しのアヤカの叫び声で飛び起きた。
トランシーバーでアヤカと連絡を取り合ってところに悲鳴から始まる、一連のコンボが彼女らを襲った。

最初にパニクったのは矢口だった。
「に、にげ、逃げなくっちゃ。」そういうと飯田の静止も聞かず一人で校庭へ逃げ出してしまう。
飯田は矢口を追おうかと一瞬思ったが、
状況の把握が先決と思い自分の武器である王者のつるぎを持つと校長室の扉から出る。

194 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/08(月) 01:50
外は銃声などは聞こえてこなかったが、WATERのメンバーと思われる叫び声や泣き声、廊下を走る音などが聞こえてくる。
(えっと、どうすれば…。)
普段モー娘。のリーダーとして頑張っている飯田だが、さすがにこういう経験はなく動揺していた。
とりあえず隣の職員室を覗いてみる。もう誰もいないようだ。
廊下を進み、昇降口と校庭への通路との交差点に差し掛かる。そこには吉澤がぼーっと突っ立って、何かを見ていた。
「どうしたの? よし…。」
飯田は吉澤に近づく、と同時に吉澤が見ていたものが目に入る。それは…変わり果てたあさみの姿だった。
「!!! これ、どういうことのなの?」飯田は吉澤の腕を掴み、揺らして経緯を尋ねるが、
吉澤は変わらず放心状態で何も答えない。
「そこ動かないでいてよ。」と飯田は言い残し教室へと移動する。
教室に入ると声が聞こえた。「辻ちゃん、しっかりして。」
教室ではアヤカが辻にを起こしているところだった。
目を覚ました辻は、まだ眠そうに目をこすり「あれ? いいらさん? みんなは?」などと暢気である。
こんな状況でもマイペースな辻に対し呆れの感情と安心の感情が同時に起きる。
おかげで少し我にかえる事ができ、一息ついて教室を良く見ると、現在教室にはこの2人しかいない。

195 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/08(月) 01:53
「みんなは?」飯田はアヤカに聞いてみる。
「悲鳴が上がった後、私と藤本さんと吉澤さんで様子を見に行きました。
 そしたら、あさみさんが…。その後、廊下のガラスが割れて爆発音がしました。
 吉澤さんは放心状態になり、藤本さんは急いで教室に戻り、
 紺野ちゃんを連れて2人でどこかへ…。多分、逃げちゃったんじゃないかと…。
 私は辻ちゃんがまだ寝ている事を思い出し、吉澤さんが心配でしたがとりあえず教室に戻りました。
 辻ちゃんは起きていましたが、状況が全く飲み込めてないようでした。
 そこへ飯田さんが入ってきたというわけです。」アヤカは答える。横で辻が目を白黒させている。
「ありがとう。」
飯田は耳を澄まし当たりの状況を探る。
銃声などは聞こえないが、誰かの泣き声が少し遠くから聞こえてくるようだ。
(あとは、メロンの3人か。)
飯田達3人は教室を出て吉澤の居る場所に戻る。吉澤はまだ放心状態だった。

196 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/08(月) 01:53
「しっかりして。」飯田は吉澤の頬を張る。
「あ、飯田さん。」叩かれた頬を押さえ、小さい声を出し吉澤が我にかえる。
「とりあえず、銃声はしていないみたい。安全とはいえないけど、とりあえず外を確認してくる。
 アヤカ。付いて来てくれる? 吉澤は辻と教室で待っていて。」
「「「はい。」」」吉澤と辻は教室に戻った。
「まずはあの泣き声ね。」飯田とアヤカはゆっくりと昇降口へ向う。
昇降口に付くと、そこから外が見える。空がだいぶ明るい、もうすぐ夜明けかもしれない。
そんなサファイアブルーの空の下、WATERの衣装を纏った人物がおり、泣き声はそこから聞こえていた。
「ううううぅぅぅ、めぐたんまで……。」
飯田とアヤカはそっと近づく。
1人は……多分、村田だろう……うつ伏せで倒れており、頭に銃創と思われる穴があいている。
もう1人、柴田はそんな村田に覆いかぶさりひたすら泣いていた。
飯田とアヤカはそんな柴田にかける言葉が見つからず、立ち尽くすばかりだった。

─────────────────────────────────────────────────────

197 :名無し娘。:2003/12/08(月) 02:41
斉藤さんは何処

198 :名無し娘。:2003/12/08(月) 13:56
( ‐ Δ‐)y-~~~ 死んだふりもつらいにぇー

199 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/11(木) 22:00
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井はノートPCから目線を外し、部屋の時計を見る。午前5時3分過ぎである。
「ん〜」亀井は大きく伸びをする。
夜は明けたらしく外は明るく、どこかで聞いたことのあるような鳥の鳴き声が聞こえる。

結局、田中が持ってきたPCは、後藤がカメラの見えない部屋に置き一通り調べたが、
イマイチよく分からなかったようだ。亀井も午前4時からここへ来ていろいろ調べていた。
たしかにインターネットができるようにはなるらしいのだが、設定の仕方がわからず、
「解説書.doc」というファイルを開いてみてもなんのことやらさっぱりわからない。

そこへ、田中が部屋に入ってきた。「おいっす。」
「おはよ〜」「どう?」田中が少し期待を込めて聞いてきた。
亀井は黙って首を振る。「そっか。」田中はがっかりしたようだ。

200 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/11(木) 22:02
その時、2階からドタドタと誰かが慌てたように降りてくるのが聞こえた。
階段から姿を現したのは、見張りをしているみうなである。ちなみにPCを調べていた後藤は今は寝ている。
「「おはよ〜」」「あ、おはよう。あの、帰ってきたよ。」「誰が?」
「ただいま〜」「おじゃましまーす。」集会所の入り口から誰かの声がした。
3人とも入り口に移動する。そこには…。
「あ、保田さんに里田さんも。おかえりなさいといらっしゃいませ。」亀井はお辞儀をする。
「あれ? 中澤さんは?」みうなは中澤がいないことに気付いた。
「うん、裕ちゃんはね、AIRとSALTの和解の立会いに向っているんだ。6時10分に丘の中央に集合で。
 あたしはパソコンが気になったんだけど、ほらこの島って電灯あんまりないじゃない?
 道も暗いし、何があるかわからないし、帰ってこられなかったのよ。それで倉庫に泊めてもらったのよ。」
「朝になったんで、保田さんは一人で大丈夫って言ったんだけど、
 何があるかわからないし私もついてきたと、そういうわけ。」里田が後を継ぐ。
「んで、パソコンは? え、何、何?」見渡す保田を田中が引っ張って洗面所に連れて行く。亀井も続く。
里田が不思議そうな顔をして付いていこうとしたが、みうなが頷いて引き留める。

201 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/11(木) 22:02
田中はポケットから、後藤に見せた「貴方達の味方」と言う人からの手紙を見せた。
保田の顔色が徐々に変わっていく。
亀井は『ということなんで重要な問題は筆談がいいと思います。』と書いた紙を保田に見せた。
保田はその紙に、『わかった』と書いた。
「なるほどね〜。ノート型のXPか。モノはどこにあるの?」保田が聞く。
田中と亀井はPCのある場所に保田を連れて行った。

─────────────────────────────────────────────────────

202 :名無し娘。:2003/12/11(木) 23:18
斉藤さんは!?

203 :名無し娘。:2003/12/12(金) 22:50
石橋「臨時放送だ。只今、この島に新しいチームが到達したようだ。そのチームは芸能界には縁が無く、
   大学の出会い系スーパーフリーの幹部どもだ。勿論文字通りにお前たちをレイプしていくからな。以上だ!」
   
 スーパーフリー、元々は出会い系サークルであったが、スーパーフリーのパーティに来た
女子大生達を次々と強制猥褻していったレイプ集団となってしまった。

 其の幹部達の中でこの島に来たのは、和田真一郎を始め、沼崎敏行、小林潤一郎、小林大輔、藤村翔
、岸本英之、若松直樹、宇田篤史、小泉創一郎、吉野豪洋、高山知幸等である。
彼等はこのゲームで生き残ったら元の大学に復学し、スーパーフリーも復活することが約束されている。

スーパーフリーの幹部達のチームがこのゲームに参加したことでいったいどうなるのだろうか?

204 :名無し娘。:2003/12/12(金) 23:10
エロ小説でつね!

ここからの議論は批判要望板に移行するのかな

205 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/12(金) 23:57
「う〜ん、う〜ん」後藤は悪夢にうなされていた。
それはTVのニュースで見たことのある「スーパーなんとか」が参加すると石橋が放送する夢だった。
「う〜ん、ハッ!」後藤は目覚める。「何だ夢か〜」というと後藤はまた寝てしまった。

206 :ゼロ ◇ZERO/PNu7I :2003/12/13(土) 00:33
その直後、後藤の悪夢が正夢となった、

石橋「臨時放送だ。只今、この島に新しいチームが到達したようだ。そのチームは芸能界には縁が無く、
   大学の出会い系スーパーフリーの幹部どもだ。勿論文字通りにお前たちをレイプしていくからな。以上だ!」
   
 スーパーフリー、元々は出会い系サークルであったが、スーパーフリーのパーティに来た
女子大生達を次々と強制猥褻していったレイプ集団となってしまった。

 其の幹部達の中でこの島に来たのは、和田真一郎を始め、沼崎敏行、小林潤一郎、小林大輔、藤村翔
、岸本英之、若松直樹、宇田篤史、小泉創一郎、吉野豪洋、高山知幸等である。
彼等はこのゲームで生き残ったら元の大学に復学し、スーパーフリーも復活することが約束されている。

スーパーフリーの幹部達のチームがこのゲームに参加したことでいったいどうなるのだろうか?

207 :名無し娘。:2003/12/13(土) 14:18
>>203
>>206
荒らしですか??
ひどいことしますね。
作者さん、無視してがんがってください。

208 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/14(日) 20:34
WATER TEAM'S PHASE──

飯田達はあさみと村田の遺体をとりあえず使っていない教室に寝かせ、
逃げた矢口達が学校内に隠れていないか一通り探したが残念ながら見つけることはできなかった。
飯田達はとりあえず、吉澤達が寝ていた教室に戻った。
部屋に入り、教卓の上に山積みになったいるトランシーバーを見て飯田は愕然とした。
そしてゲームが始まって早々自分が「結構重いし、必要なとき持っていればいいから、とりあえず一まとめにしといて、
使うときは持っていくようにしよう。」と提案したことを思い出した。

がっかりしながらもトランシーバーの数を数えてみる。7つであった。
2つは見張りであるあさみとアヤカが持っており、あとは職員室と校長室に各1台。これはそれぞれ飯田と柴田が持っている。
7+2+2=11。つまり全部学校にあるということ、すなわち逃げたメンバーは誰もトランシーバーを持ってない。
(これじゃ逃げたメンバーと連絡取れない…。)

209 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/14(日) 20:36
それと、アヤカから襲撃者について聞いた。去年の秋に卒業した娘。と大変似ている実弟。
おそらく放送であった、6時からの参加者の一人が彼だろう。
「チーム」ということでもう1人、逆境にも負けないがんばり屋さんの少女の姿を思い浮かべる。
しかしその2人がおそらくあさみと村田を殺した。とは簡単には想像できなかった。

(もしも殺されたのが、ののや矢口だったら、私は怒り狂っているかもね。)
とそこまで考えたところで、あさみと村田の命と辻や矢口の命と均等に扱っていない自分に気付き、
少し落ち込む飯田。

だが、落ち込んでばかりもしていられない飯田は、捜索隊を出すことにした。メンバーは飯田、アヤカ、柴田。
もしかしたら、学校に戻ってくるかもしれないので吉澤と辻は学校で待機である。
「よっすぃ〜、何かあったら連絡をちょうだいね。」「はい。飯田さんこそ気をつけてください。」
飯田達は隠れるのに絶好な場所に当たりをつけ、吉澤と辻に見送られて学校を出発した。

─────────────────────────────────────────────────────

210 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/17(水) 21:05
AIR TEAM'S PHASE──

島の中央部の小高い丘、午前6時より少し前。
仲介役の中澤、AIRから石川と稲葉、合計3人が集まっていた。

時を石川達とともに、中澤と保田が倉庫へ着いた時に戻る。

中澤と保田が倉庫に付くと、高橋と稲葉が何も喋らず落ち込んでいた。2人にわけを聞くと、
大谷が海に飛び込んで自殺した、とのこと。そこからが大変だった。
みんなで港に行き確認すると、石川が稲葉に「稲葉さん、あなた何をしてたの?」と少し怒り気味に聞いた。
稲葉はSALTが来たこと、そして仲直りしたがっていること、明朝の放送後6時10分に丘で待っていること、
そして、SALTの人と話している間は大谷が一人だったことを説明した。

211 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/17(水) 21:05
この仲直りの件について、中澤がかなりの乗り気で「ほなら、仲介はわたしがやるわ。」と仲介役を買ってでて、
あまり乗り気ではなかった石川を説得し、石川も渋々仲直りOKした。
その後は夜になってしまい、暗い中、集会所に帰るのも危険ということで中澤と保田はとまらせてもらった。
次の日、夜明けとともに呼び出された保田と付き添いとして里田を集会所に向わせ、残りのメンバーは丘へ向かった。
丘の入り口まで来たところで2対2の話し合いということで、ミカと高橋を残し3人で上って行った。

6時になり3回目となる音楽が流れる。
「みなさん、ぐっもーにん!! バシタカです。それじゃ、死亡者発表するぞ。
 WATER、あさみ―カントリーの方な。それと村田めぐみ。以上2名だ。夜で明かりも少なくて、
 思うように殺し合いができなかっただろうが、夜も明け活動しやすくなっただろう。
 思う存分殺し合いをしてくれ。以上だ。」
放送は終わった。

212 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/17(水) 21:08
石川が他の2人を見ると、稲葉は平然としており、中澤は丘にあるポールについている拡声器を睨みつけていた。
やがて、前方から人の足音が聞こえてきた。石川が目を向けると丘に入ってくる前田と松浦の姿が現われた。

「お待たせしました。」前田が言う。
「2チームの仲介役として、あたしが進行させてもらってもいい?」中澤がSALTの2人に聞く。
「ええ。」「いいですよ。」前田と松浦はOKを出した。
「じゃあまず、それぞれのカバンの中から武器を出してわたしに渡してもらおうか。」

というと4人ともナップザックを開けて中の武器を取り出し、次々と中澤に渡していく。
中澤はそれを足元に置いた。石川も自分の天のむら雲を渡し、次にシグ/ザウェルを渡そうとしたが、
稲葉にそれを横から取られてしまう。稲葉はシグ/ザウェルの安全装置を外し、構え、
トリガーに手をかけて銃口を松浦に向ける。
「稲葉さん?」石川は稲葉の突然の乱行の理由がわからなかった。
稲葉は体をくるりと90度回転させると、そこにいた人物に向けておもむろにトリガーを引いた。パンと乾いた音が広がる。
銃弾は、不意をつかれた中澤のへそのあたりを貫通した。後ろに飛ばされる中澤。
「う、うぅぅぅ…」呻く中澤に稲葉は近づき、
小さな声で「ごめんな」というと今度は心臓目掛けてまたトリガーを引いた。パンと再び音が広がる。
中澤はびくんと体を揺らして完全に動かなくなった。すると稲葉は石川のほうを振り返ると銃を持ったまま突然走り出し、
石川に体当たりをした。2人とももんどりうって倒れる。

その横で「キャーーーーーーーーーーーーー!!」と松浦が甲高い声を出した。

中澤裕子:死亡 【FOOD 6人→5人】

─────────────────────────────────────────────────────

213 :名無し娘。:2003/12/18(木) 12:57
从#~д~#从<なんや、あのあっちゃんの態度は! 絶対納得いかへん。酒や! 酒もってこい!!

(o゚v゚o;)三          三( ;- Δ-)

(●;´ー`)<裕ちゃん、お酒なんかここにはないべさ。

( `_´)<自棄酒は恥ずかしいことではないです。


从*T 。.T从<死んじゃったんで自分の姿が鏡に写らないの。

( ;・e・)<そ、そうか。

214 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/19(金) 00:00
WATER TEAM'S PHASE──

探索隊の飯田・アヤカ・柴田はとりあえず近場の誰かが隠れることができそうな場所から探していった。
だがしかし、誰も見つけることができない。焦る2人にアヤカが提案する。
「みんなはきっと仲間達のところに向ったんじゃないんでしょうか?」
「それは、一理あるね。」飯田は思い浮かべる。「矢口は……、可愛がってくれている裕ちゃんのところかな?
それとも加護のところ? 藤本達は…、あややと小川のいるSALTのところ? 斉藤さんは…、ちょっとわからないかな。
……よし、とりあえずSALTのいる別荘に行こう。」
3人は別荘へと向った。

─────────────────────────────────────────────────────

215 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/21(日) 11:55
IR TEAM'S PHASE──

ミカと高橋は交渉している間階段下で待機していたのだが、彼女らの耳に2発の銃声の後少し経ってから、
「キャーーーーーーーーーーーーー!!」と誰かの悲鳴が丘から聞こえた。2人に緊張が走る。
(あの声は松浦サンかな。)ミカはナップザックからシグ/ザウェルを取り出し階段をしゃがみながら上がっていく。
高橋も後ろから菊一文字を右手にゆっくりと同じようにしゃがみながら付いて来る。
(昨日も同じことをした気がする。)
やがて、丘の様子が見えるところまで登ってきた。ミカは頭を少しだけ出して様子を伺う。
ミカは驚愕した、なぜなら石川と稲葉が倒れ、松浦と前田が立っていたからである。中澤の姿は見えない。
一瞬、2人とも銃で撃たれたのかと思い焦る。だが良く見てみると石川と稲葉の2人とも動いている。
少なくても生きているようだ。一方、松浦と前田の手には銃はないような気もする。
(状況がここからじゃまったくわからない。とりあえず交渉は成功とはいえなさそうね。
 ここで考えていても仕方ないか。)
「アイ」「はい?」「ワタシは出ていくけどアイはどうする?」「高橋も行きます。」「わかった。」
ミカは銃をとりあえずナップザックにしまうと、スタスタと丘の中央に向けて歩き出す。
途中で、松浦が奥のほうに泣きながら移動するのが見えた。前田は一度こっちを確認したが、
驚きの表情を浮かべたまま、ミカと高橋に対しリアクションを取ることはなかった。
2人が近づくと、石川と稲葉がちょうど起き上がるところだった。ちらっと見たが、大きな怪我とかはないようだ。
しかし、松浦が誰かに覆いかぶさるように泣いている。衣装からするとおそらく中澤だろう。
その顔には生気がまるでなかった。後ろで高橋がハッと息をのむ。

216 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/21(日) 12:01
一方、石川は起き上がるなり、稲葉に詰め寄っていた。「稲葉さん、どういうこと?」
稲葉は答える。「それはこっちのセリフ。なんで松浦に銃を向けたの?
仲直りするんじゃなかったん? 私が飛びついたけど、裕ちゃんが…、くそっ。」と言って地面を蹴る。
(????)突然の仲違いにミカは混乱していた。
石川も同じらしく目を白黒させていたが、「は? 何、それはどういう」
「うるさーい!!!」当たりに前田の叫び声が響く。
「あんた達がね、どうこう騒いだって中澤さんは生き返らないの。
 石川、あんたが松浦を殺そうとしたことは大目に見てやる。だからお前はここから姿を消せ!
 見ているだけで不愉快になる。そこの2人」とミカと高橋に視線を移す。
「石川をつれてここから出て行け!」
「は、はい。」前田の剣幕に圧されるようにミカは思わず返事をしてしまった。
石川の手を引き連れて歩き出す。石川は「なんでわたしが出て行かなくちゃならないの?」と納得していないようだ。
だが、ミカと高橋2人に引っ張られてずるずると引きづられるように移動していく。

ミカは稲葉が付いてきてないことに気付く。「稲葉サン、帰りましょう。」ミカは呼びかけた。
「……、私は残るよ。裕ちゃんをこのままにしとくわけにはいかへん。あとから戻るわ。」稲葉は残るらしい。
「……わかりました。」ミカは答えた。隣で石川が「チッ」と舌打ちをする音が聞こえてきた。

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217 :名無し娘。:2003/12/21(日) 14:07
从#~∀~#从y-~~<たまには死んだフリも悪ないな・・・

218 :名無し娘。:2003/12/21(日) 15:17
よくわからなくなってきた

219 :名無し娘。:2003/12/22(月) 06:03
>>218
うむ     でもそれだけに続きが気になる

220 :名無し娘。:2003/12/22(月) 11:44
石川の謀反があるんだとしたら、その描写が実際の行動の前に無いってのは・・・

221 :名無し娘。:2003/12/22(月) 17:48
ソルトと稲葉が石川を罠に嵌めたってことじゃないの?

222 :名無し娘。:2003/12/22(月) 20:46
まぁなんにせよ今の状態じゃどうにも言えんわな
これだけ絡まった糸を元に戻せたんなら、それこそ名作だな

223 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:48
SALT TEAM'S PHASE──

小川と加護は、ミカ達とは反対側の入り口の下で待機していた。
前田の「何があっても、こっちからトランシーバーで呼びかけるまで出てきちゃダメだよ。」の言葉に従い、
2発の銃声、松浦のと思われる悲鳴、そして石川と前田と誰か(稲葉なのだが、小川にはわからなかった。)の
怒鳴り声が聞こえてきたが動かずじっとしていた。「プープー」トランシーバーが鳴った。
「はい、加護です。」「前田です。出てきてもいいよ。」前田だった。

2人が緊張しながら丘に上ると、そこには前田と松浦と稲葉の2人が居た。
気のせいか松浦が今まで泣いていたかのようにズズッと鼻をすすっていた。
「あれ? 梨華ちゃんは?」加護が尋ねる。
「ちょっとね。」答えたのは前田だった。

224 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:49
その時小川に肩を叩かれる。「加護さん、あれ…。」と小川の指差した先には…。
お腹のあたりと左胸を打ち抜かれた中澤が仰向けになって倒れていた。中澤は微動だにしない。
「なかざわさん?」加護と小川はかけよる。「嘘…」
「最初は、石川は松浦を撃とうとしたの。」後ろから前田の声がかけられる。
「それに気付いた稲葉さんが、銃に取り付いて取り上げようとしたんだけど、
 2人が揉み合っているうちにトリガーが引かれちゃって、ちょうど中澤さんのいた方向に…。」
「ごめんね。加護ちゃんに小川ちゃん。私がもっと早く気付いていれば…。」稲葉が声を掛けた。

中澤裕子は加護が娘。に入った時のリーダーであった。
最初は、怖い人だと思っていて、ちょっとおっかなびっくりしていた。
教育係の後藤や、同期の3人と話すことはあっても、中澤と直接話すことはなかった。
しかし、加護が娘。として活動していくうちに、自然と中澤に対するイメージが変わった。
怖そうに見えるけど、平気で二日酔いで現場にくるし、結構涙もろい。
それからの加護の中澤に対する態度は、辻と2人で中澤を「おばちゃん」と呼んでいたところに表されるだろう。
「みそじ、みそじ〜」とからかう事もしばしばあった。

225 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:49
そんなことを思い出していたら、加護の目から涙が落ちた。
(なんでや、なんでみんな血ィ流して死んでしまうんや? こんな下らないことで、
 昨日まで仲間だったうちらがなんで争わなあかんのや? なんでや? 教えてや、中澤さん。)
その最初の一粒がきっかけとなって、加護は中澤の手を握って再び泣き始めた。
小川は自分のポケットからハンカチを取り出し、そっと加護に渡した。

                   *            *

226 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 21:26
加護が落ち着くのを見計らって、稲葉は話を切り出した。
「私、正直石川さんには正直、これ以上ついていけない。だから、AIRからSALTにチーム変更したいと思う。
 そこでね、SALTのみんなの協力が必要なの。」
「協力?」小川と加護が声を合わせて聞き返す。
稲葉はナップザックを開けると、バトロワのルールが書かれたプリントを出し、2、3枚めくると、
プリントを小川と加護に見えるように差し出した。「ちょっとここ読んでみて。」稲葉はプリントのある場所を指し示す。
小川が代表してその文章を読む。

「えっと、第13条、所属チームの変更について。所属チームの変更は、変更先の過半数以上のメンバーの承認があれば、
 これを認める。ただし、以下の場合は認められない。
 1 変更先のチームの人数がゲーム開始より多くなる場合(SALT 5人、AIR 7人、WATER 11人、FOOD 7人)
 2 チーム変更により変更元のチームの人数が0人になる場合   」
(こんなルールがあるの知らなかったなあ。ざっとしか読んでなかったからなあ。)
小川は読み終わると、プリントを稲葉に返した。
「つまり、加護ちゃん達が私のチーム変更を認めてくれればOKなわけ。」
稲葉はプリントを再びナップザックにしまいながら言う。

227 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 21:27
「とりあえず、松浦からいきます。」松浦は少し落ち着いたようで、手を上げて話し始めた。
「私、松浦亜弥は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」
「前田有紀は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」次は前田だ。
「この時点で、過半数は超えているけど、私は全員の許可を得たいと思ってね。」
「えっと、加護亜依は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。でいいのかな?」加護も賛成したようだ。
「ありがとう。」稲葉が手でサインを出す。
(う〜ん、石川さんが松浦さんを撃とうとしたというのはちょっと信じられないけど、
 とりあえず稲葉さんの加入に反対する理由はないなあ。)小川は思った。
「小川麻琴は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」
「ありがとう。これからよろしくね。」差し出された稲葉の手を加護は握り、小川も同様に握手をした。
その時、小川の心の中にあるアイデアを思いついた。
(これって大丈夫だよね? …うん、多分いけるはず。あとで加護さんに相談してみよう。)

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228 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/25(木) 21:37
WATER TEAM'S PHASE──

学校から逃げた矢口真里は、いろんなところに隠れながら転々とし、
とりあえず自分を可愛がってくれた中澤がいる集会所へ向かおうとしていた。

途中、丘のちょっと北側を通ったところで、SALTのメンバーである松浦・前田・加護・小川と、
なぜかAIRの稲葉が一人、歩いているのを発見した。そして、前田の背には──中澤が背負われている。
「裕ちゃ〜ん、裕ちゃ〜ん」矢口は思わず駆け出していた。
ところが、中澤は矢口がいくら呼びかけてもピクリとも動かないどころか、近づいてみてわかったのだが、
顔に生気がない。
そんな矢口に、加護がぽつりと、「あ、矢口さん。」と声を掛けてきた。
前田は矢口を確認すると、中澤をそっと近くの木の影に下ろした。

229 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/25(木) 21:38
「裕ちゃんは?」矢口は聞く。「中澤さんはもう…。」答えたのは前田だった。
矢口は中澤の胸とへそのあたりの銃創で、中澤に何があったかを知った。
「誰が?」「それは…。」前田が説明する。

SALTとAIRで同盟を組むために丘に集まったが、最初に武器を中澤に集める際に、突然石川が松浦に銃口を向けた。
それに気付いた稲葉が石川に取り付いて銃を取り上げようとしたが、もみ合っている際に2発、発砲されてしまい、
それが中澤の胸と腹に当たってしまい、それが致命傷になった。
SALTは中澤が打たれたのは稲葉のせいにするAIRをその場から追い出した。
そんな中澤をそのままにはしておけず、とりあえずみんなで慎重に運ぶことにした。
診療所の近くの安倍を埋めたところに一緒に埋めるつもりであった。

「石川が?」矢口にはにわかに信じがたい話だった。
「石川は、新垣の件があってから、SALTを目の敵にしてました。」
それから稲葉が石川がいかにSALTを目の敵にしていたか語った。
そして、稲葉がそんな石川についていけず、チームをAIRからSALTに変更したことも付け加えた。
(なるほどね。AIRとSALTには遺恨があるわけね。でも…。)

230 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/25(木) 21:42
「おいら、石川に話を聞いてみる。」矢口は決意した。「裕ちゃんをよろしくお願いします。」
「…わかりました。くれぐれも気をつけて。」「矢口さん、中澤さんは任せてください。」
小川のその一言を最後にSALTは去っていった。

(さて、どうしようかな? 倉庫へ行こうか。それとも向こうから来るのを待とうか。)
「矢口さん。」誰かに呼びかけられ振り向く。松浦だった。
「石川さんは、中澤さんのことでかなり頭に血が上っていると思います。
 …もしかしたら矢口さんを攻撃してくるかもしれません。何か武器は持ってますか?」
(そういえば、学校から出てくるときに慌てててナップザックしか持って来てないや。
 その中の武器といえば、毒蛾のナイフぐらいか…。でも…)
「大丈夫だよ。ま、ナイフはあるから。おそらく武器なんか使わないと思うし。」
「そうですが、一応のことはあります。」と松浦はデザートイーグルを矢口に握らせ、簡単な使い方を説明した。
「でも、松浦はいいの?」
「まだ安倍さんのもありますし、家に帰ればまだまだ武器はありますので。」
「…まあ、後で返すよ。」
「じゃあ。」松浦は別荘の方へと帰っていった。

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231 :名無し娘。:2003/12/25(木) 23:59
次に死んじゃう奴わかっちゃった気がするんだが・・・

232 :名無し娘。:2003/12/27(土) 13:23
>>231
わかってても言うのイクナイ!

233 :名無し娘。:2003/12/28(日) 22:18
>>231
おまいだ

234 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:36
FOOD TEAM'S PHASE──

「う〜ん。」
保田は田中の持ってきたPCの前で腕を組み唸っていた。
最初にPCにあった「解説.doc」の中は、はじめは医学関係のわけのわからない文章だったが、
PCに入っていたとあるソフトで解析すると新たな文章となった。
そしてその文章には、今回の「ハロプロシャッフルゲーム」の様々なことが書いてあった。
スタッフの名前とどこで監視をしているか、警備の人数、ゲームの舞台となる島の建物の位置、
宝箱の位置と中身などなど。
(あの外国の兵士達は昨日一日の契約だけだったみたいね。ま、この辺はプラスになる情報っと。)
その中でも、保田が特に気になったのが首輪システムである。
やはりコンピュータで管理されているらしく、一応防御システムもあるみたいなのだが、
外からの攻撃にはあまり強くないみたいである。
(まあ、外から攻撃されるなんて思ってもみないでしょうけど。ここを突かない手はないわね。)
保田は首輪のシステムに侵入するつもりである。そこからどうするかはまだ未定だ。
とりあえず今は、ネット上に置いてある自分のデータをダウンロードしているところである。
(やっぱりデータが大きいと時間がかかるわね。)

235 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:36
「プープー」その時、FOODのトランシーバーから呼び出し音が鳴った。
(そういえば、交渉が成功したら連絡するって裕ちゃんが言ってっけ。)保田は思い出す。
「保田です。裕ちゃん、どう? うまくいった?」相手が中澤だと思いそのつもりで呼び出しに答えた。が、
「こちら前田です。SALTの前田です。中澤さんのトランシーバーを借りました。
 交渉は決裂しました。それで、中澤さんは…………亡くなりました。」
「へ?」保田は突然すぎて前田の言ったことが理解できなかった。
そして、トランシーバーの向こうから流れる中澤が撃たれた経緯を、
どこか映画かドラマのストーリーを聞くがごとく、現実と認めることができずに、他人事のように聞いていた。
「そういったわけで、AIRには十分気をつけてください。
 あと、これからそちらへ中澤さんの遺品を届けたいと思います。それでは。」通信は終了した。

しばらく現実を認められずに、トランシーバーを握りしめながら、ぼーっとしていた保田だが、
はっと気がつくと、みんなのいる第一会議室(最初にみんなが寝かされていた場所)に走っていく。
中には、亀井・田中、そして目覚めた後藤がいる。どうやら朝食の話をしていたようだ。
「みんな、大変よ!」
3人とも慌てて入ってきた保田をみてびっくりする。「圭ちゃん、どうしたの?」後藤が心配する。
そこで、保田はさっき前田から聞かされた話を3人に話す。
「中澤さんが…、本当なんですか?」3人とも信じられないようだ。そこへ…

236 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:37
「みんな、大変よ!」顔色を変えた里田とみうなが会議室に入ってくる。
「へ? どうしたの?」ちょっと前の自分とほとんど同じ行動の里田に保田は面食らう。
「中澤さんが亡くなったと、石川さんから連絡がありました。」里田は報告する。
「それ、私のところにも前田さんから連絡があったよ。石川が松浦を撃とうとして
 あっちゃんがそれに気付いて飛びついたんだけど、狙いが外れて裕ちゃんに当たったって。」
保田は後藤たちにした話を里田にする。
「え? あたしの聞いた話だと、稲葉さんが突然中澤さんを撃って、そのあと石川さんに体当たりして、
 松浦さんが大声をあげてミカさん達が駆け寄ったらいつのまにか石川が松浦を撃とうとしたことになっていた
 と聞きましたよ。つまり、石川さんは稲葉さんと前田さんと松浦さんの罠に嵌って言ってました。
 それで、あたしに『急いで戻ってきて。』と言ってきました。」

237 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:38
「みんな、大変よ!」顔色を変えた里田とみうなが会議室に入ってくる。
「へ? どうしたの?」ちょっと前の自分とほとんど同じ行動の里田に保田は面食らう。
「中澤さんが亡くなったと、石川さんから連絡がありました。」里田は報告する。
「それ、私のところにも前田さんから連絡があったよ。石川が松浦を撃とうとして
 あっちゃんがそれに気付いて飛びついたんだけど、狙いが外れて裕ちゃんに当たったって。」
保田は後藤たちにした話を里田にする。
「え? あたしの聞いた話だと、稲葉さんが突然中澤さんを撃って、そのあと石川さんに体当たりして、
 松浦さんが大声をあげてミカさん達が駆け寄ったらいつのまにか石川が松浦を撃とうとしたことになっていた
 と聞きましたよ。つまり、石川さんは稲葉さんと前田さんと松浦さんの罠に嵌って言ってました。
 それで、あたしに『急いで戻ってきて。』と言ってきました。」

238 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:39
「なにそれ? 随分情報が違っているわね…。
 とりあえず、その辺の検討はあとでするとして、里田さんは戻ったほうがいいわね。
 後藤、そしてみうなちゃん。里田さんを送り届けて。一人じゃ危ないし。」
「いえ、一人でも大丈夫ですよ。」
「何が起きるか分かりませんし、あさみさんが亡くなって、まいさんまで死んじゃったら私…。」
みうながあさみの死を放送で聞いた時の事を思い出したのか、少し目が潤ませ里田を説得する。
「わかったわ。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。」 
「じゃあ、圭ちゃん、行って来るね。」
後藤・里田・みうなは倉庫へと向った。

(石川が松浦を撃とうとしたせいで裕ちゃんが死んだというSALT。
 そして、石川を嵌めるためにはじめっからあっちゃんが撃ったというAIR。
 共通するのは裕ちゃんの死。…わけわかんないわ。)
保田は混乱していた。

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239 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/28(日) 22:39
すいません。236と237かぶっちゃいました。

240 :名無し娘。:2003/12/30(火) 16:38
>>239
ドンマイです。
いつもありがとう

241 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/30(火) 20:52
SALT TEAM'S PHASE──

SALTは別荘に戻ると、中澤を安倍の横に埋め、遺品を保管すると別荘の2階でFOODに連絡を入れた。
「ふう。」保田に連絡を入れた前田は一息ついた。「これでFOODは大丈夫ですね。稲葉さん。」
「ところがそうもいかないと思う。」横に居る稲葉はそう言った。
「どういうことですか?」松浦が聞く。現在ここにいるのは3人。加護と小川は1階で朝食の準備をしている。
「多分、AIRの里田がまだ集会所にいるから、石川から里田に連絡が行っていると思う、
 だからFOODのもとには、中澤の死に関して2つの理由が存在していることになる。
 …だから混乱はさせることはできても、一方的に石川のせいにでできていないんじゃないかな。」
稲葉は状況を分析する。そんな稲葉を見て、仲間にしてよかったと前田は心の底から思っていた。

                   *            *

242 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/30(火) 20:54
時はSALTが稲葉・高橋・大谷のいる倉庫に来た前日に戻る。
高橋が加護・小川とともに港に行き、松浦が姿を消したあとは、前田と2人きりになった。
前田は開口一番「単刀直入に言います。稲葉さん、SALTに来ませんか?」と稲葉を誘った。
「へ?」と驚く稲葉に前田は、本当はAIRと仲直りする気はなく、むしろ安倍を殺したAIRを滅したい事、
どうせ戻っても芸能界でもマイナー路線を行くくらいなら、状況次第でゲームに乗ってもいい事、
それには人生経験豊富な稲葉がSALTには必要な事を説いた。
「それはAIR全員の意見なの?」稲葉は聞く。
「いえ、加護と小川にはこの話はしてませんが、賛成はしてくれないでしょう。松浦はゲームの件には了解したようです。
 といっても理由は私と違って、こんなところじゃ死ねないというのが理由らしいですが。」前田が答える。

243 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/01(木) 18:21
稲葉は考える。AIRで自分が浮き気味な事、現リーダーである石川の資質。
少なくとも自分がAIRにいても役に立つとも思えない。だが、目の前には自分を必要としてくれる人がいる。
「──わかった。私も居場所はAIRではないと思っていたところだった。」稲葉は了解した。
「ありがとうございます。稲葉さんだったらいい返事をもらえると思ってました。」
「それはいいんだが、チーム変更ってどうやるの?」
「それは、」というと前田はナップザックからバトロワのルールが書かれたプリントを出し、
何枚かめくって稲葉に示す。そこには「第13条、所属チームの変更について。」と書いてあった。
稲葉はその後に続くルールを読んだ。
「こんなルールがあったとはね。ルールブックなんてぺらぺらとしか見なかったよ。」
「人数的には過半数なので、私と松浦で問題ないと思いますが、
 一応みんなに納得してもらうために、稲葉さんがうちに入る動機付けを作っておきたいと思います。
 とりあえず、石川さんを連れて明朝6時過ぎ、放送が終わってからぐらいがいいですね、
 島の中央部の丘に来てください。理由は『同盟を組むから』がいいでしょう。
 2対2で話し合いという条件も付け加えて置いてください。人数が多いと面倒ですから。」

244 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/01(木) 18:22
「うん、わかった。」
「それで、それでその場で銃を空にでも1発放って、それから石川さんにわざとぶつかってください。
 …でも、これはダミーです。状況的には、石川が私を撃とうとして、
 稲葉が取り付いて狙いが外れたということになってます。
 その時に松浦が大声を上げますので他のメンバーも来るでしょう。そうしたら、
 『石川さん、なんで同盟を結ぼうという時に騙まし討ちで前田を撃とうとしたの?』とキレて下さい。
 …まあ、もちろん嘘ですが、私も松浦も『石川が騙まし討ちしようとした』と声を合わせて押し切ります。
 それで、『騙まし討ちをする石川のいるAIRにはいられない』という名目でうちに入れるわけです。
 これから加護と小川も納得してくれるかと。」
「ふんふん。」(まあ、名目なんていらない気もするけど、まあいいや。)
「とりあえず私の、SALTのトランシーバーを置いておきます。何か連絡があれば聞かせてください。」
その時、港のほうで誰かが騒いでいるのに気がついた。
「何か外から声が聞こえない?」

                   *            *

245 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/04(日) 12:40
石川達が到着し、中澤が仲裁役を引き受けた事を知った稲葉は、他メンバーの目を盗んでSALTと連絡を取る。
「もしもし、こちら稲葉です。」
「はい。松浦です。前田さんはちょっと手が離せないみたいで。前田さんから状況は聞いてます。」
トランシーバーの向こうは松浦のようだ。
「わかった。ちょっと報告が。どうやら明日の集まりに裕ちゃんが仲介として来るみたい。
 で、作戦を変更と思って連絡を。前は空砲の予定だったけど、実際に裕ちゃんを撃つことにした。
 そして、その罪も石川に被せる。」
「…………………。大丈夫ですか?」向こうで息を呑む音がする。
「いくらみんなが声を揃えても裕ちゃんはごまかせないから。」
「…………………。わかりました。あ、これは前田さんと決めたことなんですけど、
 石川さんは前田さんを撃とうとしたわけじゃなくて、松浦を撃とうとしたことにしてもらえませんか? 
 そっちの方がインパクトあるので。」
「……うん。(まあ、どっちでもいいや。)」
「時間は、そうですね、6時過ぎのままでいいと思います。人数も2対2のままで。」
「じゃあ、時間は変わらずに。こっちは2人のままでいいわけね。わかった。それじゃ明日。」
「はい。また明日。」通信は終了した。

                   *            *

246 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/04(日) 12:41
一方、加護と小川は5人分のおにぎりを作っていた。
「加護さん?」「何?」「小川の話を聞いてもらえますか?」「いいけど、どしたの?」
小川は手を休めて話し始める。
「稲葉さん、うちに来たじゃないですか。」「そだね。あんなシステムがあるなんて思わなかったね。」
「それです。あのシステムってどこのチームでも有効じゃないですか。」「うんうん。」
「だから、WATERチームでも有効ってことですよね。」「そうなんじゃないの。」
「だから、加護さんと小川、2人でWATERに入れないかなあと思って。」
「へ? う〜ん。」加護は腕を組みしばらく考える。
「そっか。加護達もWATERの半分以上に賛成してもらえればWATERに入れるんだ。」
「そうです。あさみさんと村田さんには悪いですけど、ちょうど2人いませんし、
 おそらく賛成してくれると思います。」
「お〜、そだね。いいね、それ〜。まこっちゃん頭いい〜。」
「えへへ。」小川は照れる。「それで後でタイミング見計らって学校へ行きましょう。」
「前田さん達はどうするの? 正直に言うの?」
「そこが迷っているところなんですよね〜。多分素直に行かせてはくれないんで、
 メモだけ残して行っちゃおうかと思ってますけどね。」
「ま、その辺はタイミング次第でいいんじゃないの? とりあえずおにぎり作っちゃおうよ。」
「そうですね。」2人は再びおにぎりを作り始めた。

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247 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/06(火) 23:30
AIR TEAM'S PHASE──

一方、倉庫に戻ってきていたAIRチームは、里田に急いで戻るように伝えると、
石川が、ミカと高橋に先程の丘でのできごとの説明をしていた。
「じゃあ、いつの間にか石川サンのせいになってたわけですか。」
それまでじっと石川の話を黙って聞いていたミカが口を開いた。
「そうなのよ。ホント、わけわかんない。」
「とりあえず、稲葉さんが戻ってきたら聞いてみましょうよ。」高橋が提案する。
「そうね。…それにしても稲葉さん戻ってこないわね。」石川がまだ少し怒っているようだ。
「ワタシの考えが正しければ、稲葉さんは戻ってこないでしょう。」ミカが衝撃の発言をする。
「なんで?」「どうしてですか?」石川と高橋は同時に理由を尋ねる。

248 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/06(火) 23:32
「おそらくSALTは、石川サン、いやAIRを悪者にするためにそんなことをしたのでしょう。
 石川サンのせいで中澤サンが死んでしまったとなったら、FOODもWATERもAIRを責めるに違いありません。
 つまりはじめっから、SALTはうちと同盟する気なんて全くなくて、
 石川サンをはめるために丘に呼び出したのでしょう。稲葉サンはそれを知っていた…ノー、
 知っていたどころじゃありませんね。計画の一部を関わっていたのでしょう。
 目的を果たした今、『AIRにはついていけない』などの理由で稲葉サンはSALTのメンバーになっていると思われます。」
「他のチームのメンバーってなれるんですか?」高橋が少し訛って聞いてきた。
「ただ一緒に行動しているだけじゃ、そのメンバーで最後まで残っても1チームとして認識されてないから、
 いつまでもゲームは終わらないけど、公式に同じチームになると、1チームとして認識されてることができるから、
 そのチームの勝利になれる。具体的にどうやったら公式的にチームになれるかというと、これを見て。」
というとミカはゲームのルールブックを取り出し、第13条のところを見せる。

249 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/06(火) 23:34
「こんなルールがあったなんて知らなかった。」高橋は驚いている。
「ワタシもこういうルールがあることは知っていましたが、正直これを使う人がいるとは考えてませんでした。」
ミカはルールブックに目は通してあった。
その時、机をバンと叩いて石川が立ち上がった。
「それなら尚のこと、なんでそんなことをしたか聞かなくちゃいけなわね。」
顔に怒りが浮べながら、ナップザックに武器をしまう。「ミカさん、高橋、行くよ。」
「どこにいくんですか?」高橋が聞く。
「SALTのところよ。きまっているでしょう。」石川は(なんでそんなことを聞くの)といった表情だ。
「ちょっと待ってください。今から行っても『飛んで火に入る夏の虫』です。
 向こうは正当防衛とかなんとか理由をつけて、ワタシたちにに危害を加えるでしょう。」ミカが止める。
「何? じゃあ、中澤さんを殺された責任を背負って黙って待ってろと、そいういうわけ?」
「そうとは言ってません。誤解を解くタイミングは絶対にあるはずです。
 それは少なくても今じゃありません。『果報は寝て待て』です。」
「『善は急げ』とも言うわ。」
(善じゃないような…)高橋はそう思ったが口を出さなかった。

250 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/06(火) 23:35

「とにかく、マイが戻ってくるまで待っているべきです。」ミカはあくまでも慎重だ。
その言葉に石川は首を振ると、
「もういい。もういい。もういい。わたし一人で行くから。あなたたちはここでいつまでも待っていなさい。」
というと、倉庫の扉の方に向ってスタスタ歩き始める。
「ダメです。せめて冷静になってからにしてください。」ミカが追いかける。
そんなミカに向けて石川は銃口を向ける。「ついて来ないで。本当に撃つわよ。」
それを見てミカは「くっ、わかりました。とにかく気をつけてください。」と言うと諦めたかのように元の席に戻る。
石川はそれには答えず、倉庫の扉を開けると外へと出て行った。

─────────────────────────────────────────────────────

251 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/10(土) 23:28
WATER TEAM'S PHASE──

居残り組みの辻、吉澤が校門のところで誰か戻ってくるか見張っていると、
WATERの衣装を着た1人の人物が当たりの様子を伺いながら慎重に近づいてきた。
「「美貴ちゃん」」吉澤は藤本に見えるように大きく手を振る。
それが見えたのか、藤本はちょっと安心した顔になり校門まで歩いてきた。
「無事だったんだね。」吉澤がまずは聞く。「うん、ちょっとびっくりしたけど。」
「つぃを置いていくなんて美貴ちゃんヒドイ」「ごめんごめん。」

藤本は紺野と2人で役場の近くの民家に避難し、放送を聞いた後、
とりあえず学校の様子を見ようと藤本一人で学校まで戻ったことを説明した。
吉澤は、飯田達が捜索隊として外に出ていることを教える。

「じゃあ、飯田さんに迎えに行ってもらえばいいね。」「そうだね。じゃあ、連絡してみよう。」
吉澤はトランシーバーを取り出し通信のスイッチを押す。

252 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/10(土) 23:28
「こちら吉澤です。リーダー応答願います。」
「─wwヘ√レv…はい、飯田です…─wwヘ√レvv〜─」
「美貴ちゃんが戻ってきました。」
「─wwヘ√レv…そう…………よかった。…─wwヘ√レvv〜─」
「それで、紺野がまだ隠れているらしいんです。今から藤本に代わって場所を言ってもらうんで迎えに行ってもらえますか。」
「─wwヘ√レv…わかった。…─wwヘ√レvv〜─」
ここでトランシーバーを藤本に渡す。
「じゃあ、まず場所なんですが、役場のですねえ…………」
藤本は場所を飯田に説明した。そして最後に、
「迎えに行くときにですね、ドアの所で「BE ALL RIGHT!」を歌ってください。
 それが合言葉になってて、それを聞いて紺ちゃんはドアを開けますんで。」
「─wwヘ√レv…わかった。そうね、20分くらいでいけると思う。…─wwヘ√レvv〜─」
「じゃあ、よろしくお願いします。」

                   *            *

253 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/12(月) 22:41
紺野あさ美は、役場近くの民家で藤本が出て行って少々不安だった。
しかも、遠くの方で銃声のような音がしたからなおさらである。
必ず味方を連れて戻ってくると思っていたがそれでも、戻ってくるまでの1分が1時間にも感じられた。
(こんなことなら無理にでも付いていったほうが良かったのかな? でも足手まといになったら困るし。)
その時、民家のドアのノブがガチャガチャと回る音がする。が、鍵がかけてあるので開くことはない。
(美貴ちゃんだ!!)とすぐにでも鍵を開けようとしたが、藤本との約束を思い出す。
(そうだ、歌…。)しばらくドアの向こうの人物が歌いだすのを待っていたが、
紺野の期待に反して、その人物が歌いだすことはなく、ドアから離れていった。
(あれ? 別の人だったのかな? それとも合言葉忘れちゃったのかな?)
今野がそんなことを思っていると、ガッシャーンと庭に面しているサッシのガラスが割られる音がした。
紺野は慌てて民家の台所に逃げ込む。
侵入者はガラスの割れたところから手を入れて鍵を開け入ってくる。
紺野の耳に、侵入者の足音が聞こえてきた。

スタスタスタスタ……

侵入者はゆっくりとだが確実に台所に近づいてくるようだ。
紺野の心臓の音がバクバクと大きくなっていく。
(がんばれ、がんばるのよ、あさ美)
紺野はコンサート前にそうやっているように、自分の胸に手を置き、
息を整えるとかつてやっていた空手を思い出しながら、
思い切って台所から飛び出し侵入者へ向けて渾身の正拳突きを繰り出した。
「ぐっ!!」侵入者は吹き飛び、居間のテーブルに背中を思いっきりぶつけ、顔を伏せて痛がった。
「イタタタタタタ…、ひどいなあ、もう。…あれ、紺野さんじゃないですか?」侵入者は顔を上げた。
ユウキだった。

─────────────────────────────────────────────────────

254 :名無しさん:2004/01/15(木) 06:36
あぁ・・・

255 :名無し娘。:2004/01/16(金) 00:10
(♂´ Д `)<HEY!YO!

256 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/16(金) 00:26
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンとユウキは灯台に戻ってくると、それまで一睡もしていなかったソニンは、
(夜中はユウキが寝て、ソニンはずっと起きて、武器の使い方を調べたりしていた。)
「2時間ぐらい寝るから、見張りよろしく。」というと、座って壁にもたれながら眠ってしまった。
ユウキは最初の30分くらいはまじめに見張りをしていたが、そのうち飽きてきてしまった。
手元のレーダーの倍率を縮小したり拡大したりして遊んでみる。
すると、自分のいるところのわりと近くに、WATERのメンバーを示す青い点2つがあり、
そのうちの1つは動いてないが、1つは学校のほうへ動いていく。
つまり自分の近くに1人でいる人がいるということである。

(2人だったら、武器が優勢でもヤバいけど、相手が1人なら、女の子だし武器は有利だし問題ないな。
 さっきはソニンにおいしいところばかり取られちゃって、今度は俺の出番だ。
 ま、ソニンがおきるまでに戻れば問題ないっしょ。)
ユウキは立ち上がると灯台の階段を下り、扉から外に出て、鍵を閉め、レーダーを頼りに人物がいるところへ向う。

257 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/16(金) 00:27
そこへは15分ぐらいで着くことができた。レーダーを確認する。当たりに人は自分と建物の中にいる人物しかいない。
まずは玄関の扉のノブを引く。ガチャガチャ。やはりというか鍵は閉められていた。
(ま、そりゃそうだよな。)
ユウキは裏に回り、庭のサッシのガラスを開けようとするがこちらも鍵がかかっている。
庭の端にあったシャベルでサッシのガラスを割る。ガッシャーンという音がした。
ユウキは慎重に割れたところから手を入れ鍵を外し靴のまま中に入った。
レーダーで、相手の位置を確認する。台所の奥にいるようだ。
(こんなことなら手榴弾でも持ってくればよかったな。)と思ったが取りあえず中に進んでいった。
(ま、ある程度進んだら呼びかけてみるか。)
ユウキはゆっくり相手の方へ進んでいく。ある程度すすんだところで台所の奥から影が飛び出した。
(へ?)
影を確認した瞬間、腹に強い衝撃をうけてユウキは後ろに吹っ飛ばされていた。
今のテーブルに背中を思いっきりぶつけて、腹と背中の痛みでしばらく動けなかった。
落ち着いたところで顔を上げる。そこには構えたままの紺野の姿があった。
「イタタタタタタ…、ひどいなあ、もう。…あれ、紺野さんじゃないですか?」
ユウキは焦って年下に敬語を使ってしまった。

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258 :名無しさん:2004/01/16(金) 05:46
俺実はユウキヲタでした

259 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/18(日) 00:27
WATER TEAM'S PHASE──

「あれ? ユウキさん? ど、どうもすみません。」
紺野はよく知った人物の実の弟の登場に戸惑い、思わず正拳を見舞ってしまったことに頭を下げた。
「まあ、不用意に近づいた俺が悪いんだから。でも良かった。やっと人を見つけられて。」
「でも、こんなところで何を?」紺野の問いかけにユウキは自分の境遇を話した。
和田マネ(ユウキにとっては元だが)にだまされて連れて来られた事、ソニンと組まされてこの島に放り投げられた事、
しかしそのソニンとはぐれてしまい不安に震えながら一人彷徨っていた事、
とりあえずどこかの民家で隠れようとしていた事。(もちろん全てユウキのでまかせだが。)

この時、もしも紺野が逃げる前にアヤカから学校の襲撃者の人相などを聞いていれば相手に気を許しはしなかっただろう。
しかし、紺野にとって目の前にいるのは、敵ではなく同じ境遇の同情すべき人物だった。
紺野も自分の置かれた状況を説明する。「あ〜、こえ〜な〜、早く帰りて〜。」
少し落ち着いてユウキの周りを見てみると、懐中時計のようなものが落ちている。紺野はそれを手に取った。
紫の光点と青の光点が1つずつ見える。

260 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/18(日) 00:29
「これ、何ですか?」紺野は尋ねる。
「そ、それは、レーダーだよ。これでどのチームの人がどこにいるかわかるんだ。
 それが誰かまではわからないけれど。」ユウキはちょっと焦ったように答えた。
「この青い点が紺野さん。んで紫の点が俺。んでここを押すと倍率が変わるっと。まあ、いろいろ試してみなよ。」
紺野は試しに拡大してみる。島全体が移り、各メンバーがどこにいるかわかる。「へぇ〜」思わず感心する。
とりあえず、WATERを示す点を探してみた。学校である東の端に3つある。
(良かった…。学校は無事みたい…。)
他にも探してみると、学校の南側、ちょうど集会所との中間あたりの島の淵に点が1つ。
別荘と学校の間の診療所のあたりに点が3つ。島の中央よりちょっと南に点が1つ。
全部確認したところで倍率を小さくしていく。
最小から2番目の倍率になったところで、さっきは見えなかった緑の点が少し離れたところの北に1つ現われた。
「緑の点は誰を…!?」その時、紺野は自分の腰に衝撃を感じ、床に倒れる。
同時に右の腰の当たりに激痛を感じた。右の脇腹を見てみる。
へその横の辺りがパックリと割れており、中から内臓が見える。紺野は傷口を咄嗟に隠しながらユウキの方をみると、
彼は血で汚れた西洋風の剣を両手で握りながら笑顔を浮かべていた。
「な、なんで?」紺野は思わず聞いた。

─────────────────────────────────────────────────────

261 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/19(月) 22:08
EE JUMP TEAM'S PHASE──

レーダーを見つけられた時にはユウキは焦ったが、とりあえずレーダーに興味を持たせて何とかごまかした。
紺野はすっかりレーダーに夢中でいろんなところをいじっている。
ユウキは後手にエクスカリバーをそっと引き抜く。カチャと音がしたが紺野には気付かれなかった。
ユウキはゆっくりとエクスカリバーを前に持って行き、野球のバッターがボールを待つように右に体を捻り、
少しためて、紺野の横腹目掛けて振りぬく。
「緑の点は誰を…!?」エクスカリバーは何を喋ろうとした紺野の腰の当たりにヒットした。
剣はWATERの衣装を破り腰の肉をえぐった。
倒れこみ、何が起きたかわからずに苦しそうに横腹を押さえる紺野。

262 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/19(月) 22:11
「な、なんで?」顔を苦痛に歪めながら紺野は聞いてきた。
「わりいな。俺さ、このゲームで優勝したら芸能界復帰できるのよ。それに1人殺すごとに2000万円もらえんのよ。」
「く…。」紺野は右腹を抑えながら立ち上がり、庭の方に逃げようと進んでいく。
そんな紺野の足にユウキは自分の足を引っ掛けて転ばせ、うつぶせに倒し、背中を踏み体重を乗せ固定する。
「おいおい、人の話は最後まで聞かなくちゃって先生に教わんなかったのか?
 まあいい。いいことを教えてやろう。学校襲撃したの俺らなんだよ。お前らの仲間を殺したのは俺らだ。
 あと、ソニンとはぐれたって言うのは嘘。あとは本当だけど。ん?」
その時、紺野が何かぶつぶつ呟きながら泣いているのに気付いた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」

263 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/19(月) 22:12
このとき、もちろん紺野はユウキに謝ったわけではなかった。
(自分が油断したために、ユウキ達がまたたくさん人を殺してしまう。
 もしかしたら呼びに行ってくれている美貴ちゃんや、他のメンバーを殺してしまう。)
とハロプロの他のメンバーに謝っていたのだった。
紺野は、赤点での娘。入りや「うたばん」での怪我などの経緯から(自分が他の人の足を引っ張る。)
ということに敏感であった。

しかし、そんなことはユウキの知ったことではなかった。
「謝ったって許すわけねーだろうが、アホ。…まあいい、女の子が苦しがって喜ぶ程俺は変態じゃないからな。」
というとエクスカリバーを下向きに持つ。
「あばよ。」ユウキはエクスカリバーを足の下の紺野の心臓目掛けて振り下ろした。

紺野あさ美(モーニング娘。):死亡 【WATER 9人→8人】

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264 :名無し娘。:2004/01/19(月) 23:51
川o・-・)のネタスレで誇張されているキャラじゃなくて新鮮な感じがしました。
ここでお亡くなりになったけど

265 :名無し娘。:2004/01/20(火) 00:27
こんこ〜ん。・゚・(ノД`)・゚・。

266 :名無し娘。:2004/01/20(火) 23:04
ミキティがこんこんの敵を・・・

267 :名無し娘。:2004/01/20(火) 23:32
川oT-T)<人を信じたわたしが悪かったのでしょうか?

从;#~∀~#从<そ、そんなことないで。あれはユウキが悪いんや。
(●;´ー`)<そ、そうだべさ。
( `_´)<人を信じるのは悪いことではないです。


从*・ 。.・从<鏡に写らなくてもさゆはかわいいの。
( ;・e・)<それはよかったな。


( ;- Δ-) <お酒見つけたけど運べない…。
(;o゚v゚o)<手ぶらでは帰れないし…。

268 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/21(水) 21:45
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤とみうなは、里田をAIRのメンバーのいる倉庫へと送る途中だった。
集会所と倉庫の道筋のもうすぐ半分になろうかというところで、
「プープー」とトランシーバーの呼び出し音が鳴った。
里田がトランシーバーを取り出し呼び出し音に応える。

「はい、こちら里田です。………はい。え? 本当ですか? それで……、はい。わかりました。
 とりあえずSALTの本部に向かえばいいわけですね。……はい。そっちも気をつけて下さい。では。」
「どうしたんですか?」みうながすかさず里田に尋ねる。
「うーん。梨華ちゃんがね、自分がSALTにはめられたって、SALTに怒鳴り込みに行ったらしいの。
 梨華ちゃん自身は、『ついてこないで』って言ったらしいんだけど、やっぱり放っておけなくて、
 ミカさんと愛ちゃんが梨華ちゃんにバレないように後をついていくことにしたんだって。
 そこで、SALTの本部に集合ということになったの。そこでなんだけどね…。」
里田が言葉を続ける前に、後藤が答えた。
「一緒に行くよ。梨華ちゃんが心配だし。みうなちゃんもいいよね。」「もちろんです。」
みうなも頷いた。
「じゃあ、とりあえず圭ちゃんに報告するね。」後藤はナップザックからトランシーバーを取り出した。

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269 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/25(日) 01:54
WATER TEAM'S PHASE──

紺野がレーダーで発見したWATERメンバー、学校の3人とは待機隊の吉澤・辻・藤本であり、
別荘と学校の間の診療所のあたりの3つの点は捜索隊の飯田・柴田・アヤカであり、
また、島の中央よりちょっと南の点が矢口である。

さて、集会所との中間あたりの島の淵の1つの点。
ここあたりは島の淵といっても海岸ではなく、切り立った崖であり海面まではゆうに10mはあるだろう。
(ここから落ちたらまず間違いなく死ぬだろうね。)
とおっかなびっくりと顔だけ出して海を見ている金髪のパーマの女性が一人。
もちろん、ボスこと斉藤瞳である。

270 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/25(日) 01:55
学校から慌てて逃げ、島の南東部の畑の農作業道具などを入れる倉庫に恐怖に震えながら隠れていたが、
明るくなり、放送で村田の死亡を知ると落ち込み、やがて殺されたらそれはそれでいいやと少し自棄になり、
外に出てフラフラしていた。そしてなんとなく島の南東部の崖に辿り着いたのである。

こっちの状況など知るよしもなく、気ままに飛んでいる鳥を見て少し落ち着くと、とりあえず仲間を探すことを決意する。
(まあ、WATERと合流するのが最善だけど、学校は危険かもしれないから、とりあえずFOODのいる集会所に向ってみよう。
 ま、いきなり撃ってくることもあるまい。こっちは手ぶらだし。)
斉藤は腹をくくって歩き始めた。

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271 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/26(月) 21:14
AIR TEAM'S PHASE──

紺野が最後に確認した緑の点、それは島の北西部の海岸沿いをSALTの本部のある北部に向けて歩いている
石川を示していた。その時、この時間に流れるはずのない音楽が流れる。

「どもー。中居正広です。まだ前回の放送から1時間半しか経ってませんが、
 ここで臨時の放送です。えー、チームの変更ですね。AIRチームだった稲葉貴子が、
 SALTチームのメンバーになりました。そんな感じですね。以上です。」

(やっぱり、あれはわたしを悪者にする罠だったんだわ。)石川は確信する。
(ますます、稲葉貴子に問い詰めなくちゃ気がすまないわね。)

海岸が終わり、やがてもうすぐ別荘というところで石川は声をかけられた。
「石川」
声のほうを見るとそこには真剣な顔をした矢口がいた。

─────────────────────────────────────────────────────

272 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/29(木) 23:43
WATER TEAM'S PHASE──

「あれ矢口さん、どうしてこんなところに?」石川は矢口の突然の登場に少し驚いたようだ。
「ま、いろいろあってね。」矢口はつれない。「…ところで石川はこれからどこに?」
「いや、ちょっとSALTの本部へと。」矢口の真剣な態度に少し戸惑う様子を見せる石川。
「チーム変更した稲葉さんを問い詰めるために?」
「それは、そうですよ。……って何で矢口さんが知っているんですか?」石川は驚いた。
「前田さんに聞いたんだ。石川が最初に松浦を撃とうとして稲葉さんが取り付いたんだけど、
 もみ合いの中、発砲されちゃってそれが裕ちゃんに当たって…。」
「それ、間違ってますよ。稲葉が一人で中澤さんを撃ったんです。
 始めっから、稲葉はSALTと組んでいたんです。私を悪者にするために中澤さんを撃ったんです。」
「え?」今度は矢口が驚いた。(話がよくわからないなあ。)
「でも、石川を悪者にするために裕ちゃんを殺したりはしないだろう。」
「それをしたんです。あいつらは!!」石川が語気を荒げる。
「で、稲葉さんに会って問い詰めるの? 『もしかして稲葉さんははじめっからSALTと組んでいたんですか?』って?」
「そりゃ、そうですよ。」
「ま、おそらく稲葉さんは否定するだろうね。『は? 何言ってるの?』って。そしたらどうするの?」
「そ、それは…」石川はもともと勢いでここまで来たので後のことはあまり考えてなかったようだ。

273 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/29(木) 23:43

「とりあえず、落ち着けって。」
「私は冷静です!! 矢口さんこそ、こんなところでブラブラしてないで帰ったらどうですか?
 じゃあ、私は行きますので。」石川は行こうとするが、矢口はそんな石川の肩を抑えて行かせないようにする。
「待ちなって。今あそこ行ってもしょうがないよ。とりあえずAIRの本部にでも帰って朝飯でも食べなって。」
石川は、自分の手で矢口の手を払いのけて別荘のほうへ向おうとするが、
矢口が素早く石川の前に回りこみ進路を妨害する。
「とりあえず、そこどいてください。話をするだけですから。」石川は明らかに苛立っていた。
「そういうわけにはいかないよ。今の石川は何をしでかすかわからないもん。」
矢口は、真面目だがその分キレたら手がつけられない石川の性格をわかっていた。
「フン。どうしてもどいてくれませんか?」「ああ、石川が帰るまでね。」2人とも譲らない。
「これでも、どいてくれませんか?」石川はナップザックからシグ/ザウェルを取り出すと、
銃口を矢口のほうへ向けた。

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274 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/01(日) 00:56
SALT TEAM'S PHASE──

SALTチームは、加護と小川が握ったおにぎりを食べ、
その後、前田・稲葉は中澤の遺品を届けに集会所へ行き、松浦は2階で休憩している中、
加護と小川は1階で書き置きの手紙を書いていた。

「よし、終了っと。」小川はボールペンを置いた。
「じゃあ、とりあえず加護が読んでみておかしかったところは言うね。」加護が読み上げる。
「えっと、
『前田さん・亜弥ちゃん・稲葉さんへ
 私たち、加護亜依と小川麻琴がみなさんに黙ってここから出て行くことをお許しください。
 みなさんは私たちに良くしてくれました。そのことには感謝していますが、
 私たちは友達と一緒になるためにここを出て行きます。わがままを言ってごめんなさい。
                                加護亜依・小川麻琴』
 う〜ん、大丈夫なんじゃないかなあ。加護はあんまり文章書くのが苦手なんで参考にならないと思うけど。」
「じゃあ、とりあえずこれで行きましょう。」小川はテーブルの上に手紙と自分と加護のトランシーバーを置き、
2人は外に出るために玄関に行き、靴を履き始めた。

275 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:55
ドキドキ

276 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/03(火) 01:01
と、そこへ…。「あれ、2人ともどこへいくの?」2階からちょうど松浦が降りてきた。
2人は気まずい顔をし、お互いを見るが、加護が決意し松浦に話し始める。
「……というわけで、加護たちは学校へ行こうと思ってます。裏切りだと言われても仕方ないと思ってます。
 でも、加護たちはそれでもののや紺ちゃんと同じチームになりたいんです。
 だから、加護たちがここから出るのを許してください。」加護は手と手を合わせて祈るポーズを取った。
「お願いします。」小川も同調する。

それまで黙って聞いていた松浦を口を開く。
「いや、許すも何も、松浦はそういうのいいと思うなあ。友情かあ。いいなあ。」うんうんと大きく頷く。
「そういうのいいよね。おそらく、WATERのみんな賛成してくれるだろうし、問題ないんじゃないかなあ。」
「行かせくれるの?」「許してくれるんですか?」加護と小川の顔が輝く。
「許すも何も、どっちにしてももうWATERに行くって決めているんでしょ?
 なら、行ってらっしゃい。でも、びっくりした〜。2人にそんな行動力があったなんて〜。」
松浦は感心をしたようだ。
「「ありがとうございます。」」2人は声を揃えてお礼を言う。
「ここからちょっと海岸沿いに行ったところに矢口さんがいるから、矢口さんと合流するといいんじゃないかな〜。
 あ、向こうに着いたら、ミキスケによろしくね〜。」
「わかりました。」加護と小川は松浦に手を振ると扉を開け、WATERの仲間となるために外へと飛び出した。

277 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/03(火) 01:02
                   *            *

松浦は加護と小川を見送ると、再び2階に上がりベランダに出て双眼鏡で外を見はじめた。
加護と小川が、待ちきれないとばかりに走っていく。
(あの2人の離脱はちょっと早かったなあ。まさか、2人だけで離脱の計画を立てるとはね。
 本来は松浦が2人に話を持ちかけるはずだったんだけど、ま、いいか。)
松浦は双眼鏡を2人が向っていく方向に向ける。
するとそこには……、銃らしき物を矢口に向けた石川の姿が映った。
(こっちは……、まあ順調かな。まだ油断はできないけどね。さて、どうなるかな?)

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278 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/06(金) 23:21
AIR TEAM'S PHASE──

石川が矢口に銃口を向けたのはもちろん本気などではなく、倉庫でミカにしたように脅しの意味を持っていた。
ミカがそうしたように矢口はどいてくれる、石川はてっきりそう思った。
だがしかし、ミカと矢口は石川とのつきあいの深さの度合いが違った。
石川の目の前で矢口はため息を付くと首を振り始めた。
(???)
しばらくあっけに取られていた石川の視界からふと矢口が消えると、お腹の当たりに衝撃を受け後ろに倒れる。
どうやら、矢口にタックルさせられたようだ。頭を地面に打ち付けられ、数秒の間行動が取られなかったが、
ハッと覚醒し、「いたた」と言いながら立ち上がった石川が見たのものは、
倒れた時に思わず手放してしまったシグ/ザウェルを遠くへと放り投げた矢口の姿であった。

頭を打ったこと、そして自分の思い通りにならなかったことにカッとした石川は、思わず斬鉄剣を鞘から抜く。
再び振り返った矢口が殺気に気付き、咄嗟にナップザックに手を入れ、デザートイーグルを取り出した。
(結局、みんな、みんな、私をっ、はめようとしてっ!!!)
石川は完全に理性を失い、自分の取り出したものに唖然としている矢口に斬りかかった。
矢口は偶然、手に持っていたデザートイーグルで斬鉄剣を受けることができた。

279 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/06(金) 23:21
カキーン

金属音が当たりに響いた。
矢口の運もそれまでだったようで、デザートイーグルは斬鉄剣の勢いを消せずにはね飛ばされた。
「ちょっ、ちょっと待っ……」
そんな矢口の声を無視し、石川は今度は矢口の喉元を狙って突きを入れる。
斬鉄剣の刃は、咄嗟に出された矢口の右手を貫通し、矢口の喉の下部に突き刺さった。
石川が斬鉄剣を引き抜くと、矢口の喉から血が飛び散りはじめた。石川の上半身が矢口の血で赤く染まっていく。
「ぐぼっ」矢口は口から血を吐き出し絶命し、ゆっくりと後ろに倒れた。
そんな矢口を見て、石川はふと我に返る。(あれ? 矢口さん、なんで? わたし…いま、何かした?)

「うわああああああっ」1人の人物の悲鳴が石川の右横の茂みから聞こえてきた。
石川はその茂みの方を向く。そこには尻餅をついた加護と、そんな加護を見て慌てている小川の姿があった。

矢口真里(モーニング娘。):死亡 【WATER 9人→8人】

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280 :名無し娘。:2004/02/09(月) 01:03
おぉ・・・バトロワものではほぼ最後に残るのがセオリーの矢口が・・・
今までに無い感じ。期待だすん

281 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/09(月) 12:54
from ******@jp-t.ne.jp
to *****@docomo.ne.jp
subject PCについて

例のPCセットは田中れいなちゃんを通じて、FOODの保田さんに渡ったようです。
現在は、カメラの死角でいろいろ試しているようです。
知っているかとは思いますが、保田さんはPCには詳しいようでとりあえずは一安心です。
首輪システムについてもワード文書にいろいろ書いておきました。
保田さんがもしシステムに侵入してきたら、こちらも同時にアクセスしてカモフラージュする予定です。

                   *            *

from *****@docomo.ne.jp
to ******@jp-t.ne.jp
subject Re:PCについて

報告ありがとう。そっかあ、圭ちゃんに渡ったのかあ。ならばとりあえず安心。
わたしはここで祈ることしかできないけど、みんなをよろしくね。
わたしにできることがあったら、何でも言ってね。

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282 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/11(水) 23:28
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤・みうなが里田のつきそいで倉庫に向った後、亀井は田中とともに2階で見張りをしていた。
「……、というわけで宝箱はたくさんあると思うと。れいなが見つけたのは2つやけど。」
「2つ目がパソコンで、1つ目がこれだったのね。
 ふ〜ん、これってこんなふうになってたんだ。でも、それってサイズ的には合ってるの?」
「サイズは…、れいなんぴったりの大きさばい。やけんSサイズってことやろか?
 表示がなかからわからなかよ。」
「まあ、これはれいなが着ていて大丈夫なんじゃないかな? あとみんな体小さくないし。」
「やったらそうさせてもらおっと。あ、あれ? 誰かおる。」
れいなが指差した方向には、赤い服を着た女性が地図を見ながら近づいてくるところだった。
「あれは、WATERばいね?」「そう、だと思う。誰だろう?」亀井は答えた。
「あ、そうだ。」と田中は声をあげるとブレーザーR93(弾はぬいてある)のスコープを覗く。
「あ、ボスさんだ。メロンの斉藤さんばい。」
「保田さんにとりあえず知らせよう。」亀井は階段を下りる。「れいなも行く〜。」田中もついて来る。

283 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/11(水) 23:29
保田は2人の話を聞くと。「斉藤さん、どしたんだろう?」と言いながら立ち上がり、
集会所の出口のほうへ向う。2人はその後に続く。
入り口まで来て、保田は「あ、2人はここで待ってて。ま、大丈夫だろうけど。」
と言うと一人で外へ出て行った。
2人は再び2階に上がり、2階から保田と斉藤の様子を眺め始めた。

「斉藤さ〜ん」と斉藤に呼びかけながら保田が近づいていく。
「大丈夫かなあ。」斉藤をよく知らない亀井はちょっと心配だった。
地図を見ていた斉藤はハッとして顔を上げ、保田を確認したのか笑顔を浮かべ、保田に向けて手を振り返した。
そして保田と斉藤は仲良さそうに話しはじめ、やがて2人で集会所の方に戻ってきた。
「大丈夫……みたいね。」田中がそれを見て安心したように言った。

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284 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/14(土) 13:54
WATER TEAM'S PHASE──

飯田さんから「紺野と合流したよ。」って連絡がなかったからおかしいと思ったんだ。
吉澤達がいる学校でもみんなそのことには何となく気付いていたけど、誰も口にだしてなかったよ。
ミキティはちょっと落ち着きがなかった。吉澤もちょっと普通に喋っていても、
(何で連絡ないんだろう。)と心の中では思っていた。
まあ、ののは飯田さんたちが戻ってきた時に「あれ? こんちゃんは?」と聞いていたから、
本当に気付いてなかったかも知れないけど。

飯田さんはそんなののの質問に、いったん悲しい顔をしたがすぐに気を取り直し、息を整えて、
「紺野は、このよにはもういないの。」と発言した。
吉澤は最初、「このよにはもういないの」の意味がわからなくて、(まあ、理解したくなかったんだけど)
唖然としていた。残る2人も何も喋らずあたりはシーンと静まり返っていたんだけど、そんな時、
「いないって、どういうこと?」
と静寂を破ったのはミキティだった。その言葉を受けて飯田さんは説明をしたんだ。
ミキティの言われた家にたどり着き、入り口で歌を歌ったが反応なく、裏に回ってみたところ、
庭に通じるサッシのガラスが割られており、そのサッシの近くに既に事切れていた血まみれの紺野がうつぶせで倒れていた。
そしてその紺野の左胸には、するどいもので刺された跡があった。
飯田さん達は、そんな紺野をその家の庭に埋葬してきたと語った。

285 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/14(土) 13:55
話の途中から、ののの目からは涙がこぼれていて、話が終わった途端、「うわーん」と声を出して泣きはじめ、
吉澤の体にしがみついてきたんだ。
ミキティは、「う、嘘でしょ? 本当は元気なんでしょ? 美貴達を驚かそうとしているんでしょ?」
と飯田さんの腕を強く握っていた。そんなミキティに飯田さんは首をゆっくりと横に振った。
するとミキティは「嘘、嘘、うそ…」とその場に崩れ落ちてしまったんだ。

飯田さん達はのの達が心配だったけどこれ以上被害が広がらないようにとまた捜索に出かけていった。
出かける間際、吉澤に「吉澤、2人をよろしく…」と言い残していった。
ののは、心労から保健室で寝込んでしまった。
昨日まで仲良くしていたメンバーが死んでしまったのだ、無理もない。
ミキティは「一人になりたい。」と端の教室に篭ってしまった。
紺ちゃんが死んじゃったのは一人にした自分のせいだと思っている節がある。こっちも心配だ。
吉澤はとりあえず二人に何か食べてもらおうと、食べ物を探し始めた。

                   *            *

286 :名無し娘。:2004/02/16(月) 21:01
むう。

287 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:21
紺ちゃんが死んじゃったのは、わたしのせいと思っていた。
自分1人だけでなく、紺ちゃんも連れて行けば死なずにすんだ。
始めは自分を責めて涙を流したけど、そんなことをしていてもなにもならないと思った。
何よりも自分の気がすまない。とりあえず紺ちゃんの仇を討つと心に決めた。
そう決めると心が落ち着いてきた。
ま、昔から、立ち直りは早いほうだったのよね。
それから冷静に分析をしはじめた。
学校の勉強とかは苦手だったけど、考えること自体は好きなのよ。わたし。

自分達が民家に一度隠れ、その後、学校に様子を見に行くときに、
様子を見に行くのは隠れているよりも、危険とわたしは考えていた。
移動しているときに襲われるかもしれないし、学校に襲撃者が居座っている可能性もある。
だから紺ちゃんを置いていった。だが、それは違った。紺ちゃんは殺された。隠れていた民家で。
何らかの理由で外に出てそれで殺されたのなら外で紺ちゃんがみつかったはずである。
外で殺されて犯人が家の中に入れたという可能性はあるが、わざわざそんなことをする理由がない。
中で見つかったということは…。紺ちゃんが気を許し、相手を中に入れたということ?
いや、それは違う。だったら、サッシのガラスが割れているわけがない。
まあそれすら偽装とも考えられるけど、あのあまり自ら前に出て行こうとしない分、人に恨みを買いにくい
紺ちゃんを偽装して他人のせいにしてまで殺したいと思う人がいるとは思えない。

288 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:22
ということは、やはりサッシのガラスを割って無理矢理侵入したと考えるのが普通だろう。
…でも、隠れている紺ちゃんをどうして? 中から紺ちゃんがゴキブリかなにかみつけて大声をだした可能性はあるけど。
でも、人物を探せる装置みたいなものがあると考えるのがスジかな。
うたばんのスタッフは、首輪で生存確認しているってことは、もちろんコンピュータで管理しているってことだよね。
だからそのシステムを利用して、レーダーみたいのが作ることができてもおかしくはない。
原作だって、杉村がそういうの持っていたっけ。
殺された相手は……、純粋に殺しを楽しんでいる連中かな。
すると…、あさみさん達を殺したあの2人って見るのがスジね。
チームの人数と装備の豪華さが比例するとなると、レーダーがあるとかなり有利だから、持っているとすればあとはSALT。
だけど、同じ娘。メンバーの加護ちゃんやまこっちゃんが紺ちゃんを殺すわけないし、
亜弥ちゃんだってそう。まあ、前田さんは話したことないからよくわからないけど。
やっぱりあの2人か…。

そして、仇を撃つ方法をなんだけど…。
相手は隠れている人物を狙う卑怯者である。ならば自分が囮になればいい。のこのこ登場したところを…。
ま、正直言って武装的には不利なのはしょうがない。あとはいかにしてうまくやるか…。
そう考えると、教室にあったノートにボールペンで、自分は紺野の仇を取るとメッセージを書いた。
普通に言っても止められるだけだしね。

289 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:23
そして、わたしは自分の装備を確認すると、教室から校庭に出てそこから学校の外に出た。
校門を通って外へ出ようとするが、そこにはよっちゃんが待っていた。
「行くの?」よっちゃんはそう聞いた。「もちろん。止めるつもり?」
「いや」よっちゃんは首を振った。「止めても聞かないだろうし。それよりも…、朝食まだだったよね。」
そう言うとよっちゃんは手にもっていた2つのアルミホイルで包まれたものをわたしに渡した。
「これは?」
「おにぎり。昨日のご飯の残りだけど急いで作った。
 オレ、料理とか作らないから形がガタガタだけどさ。何も食べないよりましだと思って。」
と照れて鼻をかきながら言った。
「ありがとう。」わたしは笑顔で答えた。「じゃあ、行って来る。」
「藤本」よっちゃんは呼びかけた。「何?」「生きて帰って来いよ。」
「あったりまえよ。」わたしはよっちゃんに背中をむけたままそう答えるといささか早足で歩き始めた。

                   *            *

だが2人は知らなかった。このときが2人の今生の別れであることを。

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290 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:38
AIR TEAM'S PHASE──

ミカと高橋は石川の後を追っていた。といっても砂浜を歩くとついていっていることが石川にバレるため、
幾分、内陸よりの防風林のあたりを歩く。途中まで歩いたところで、つんつんと高橋に背中をつつかれる。
「ん?」「誰かが近づいてきます。」と高橋が指差した方には、1人の少年がいた。
その少年は、敵意がないことを示すかのように両手をあげてスタスタと歩いてくる。

(あれは…、ユウキ? なんでこんなところに。)ミカは不思議に思った。
「あ〜、良かったやっと人に会えた。」ユウキはホッとした顔をしている。
「あれ、ユウキさん、何でこんなところに?」横の高橋がミカと同じ疑問を持っていたようだ。
それからユウキは自分の境遇を話し始める。「うたばんのやつら許せないっすよね〜。」
ユウキが2人に話したことは実は、さっきユウキが紺野に話したのと同じような内容なのだが、
ミカと高橋はそれを知る由もない。

291 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:39
ユウキと同年代の高橋の反応は、「この人もあっし達と同じなんだ。」という、さっきの紺野と同じであった。
ところがミカは気付いていた。ほんのわずかだが、それは簡単には取れはしない、血の匂いを。
匂いは目の前の少年から感じられた。
(何かにぶつけて傷を負ったという可能性もあるけど、警戒するに越したことはないか。)
そこでミカは尋ねた。
「それで、どうしたいの?」(一緒に行きたいなんて言い出したら厄介ね。)
「そうですね…。いえ、そんなに難しいことではないですよ。」
ユウキはズボンの後ろからワルサーを取り出し、ミカへ向けて銃口を向けようとした。「黙って死んで…」

ミカはユウキに銃口を向けられて、いや向けられる前からユウキに向ってダッシュで移動し、
ユウキが銃口を向けた時は、ユウキの右手に強烈なパンチを見舞っていた。
思わずユウキは地面にワルサーを落としてしまう。ワルサーは2人から2mぐらいの位置に転がった。
同時にワルサーを取ろうとする2人。ワルサーを手に取るタイミングは同じで2人はもつれ、転がりながら
ワルサーを奪い合う。

「アイ!! 早く行って!! 石川サンのところに!! 早く!!」
もつれながらミカが唖然としている高橋に叫ぶ。
「え、でも…。」高橋は決断がつかない。
「いいから早く!! ワタシも後で必ず向うから。」ミカが更に声を張り上げる。
「わ、わかりました。必ず来てくださいね!!」
高橋はダッシュでその場を走り去り、SALTの本部である別荘へ向った。

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292 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:51
EE JUMP TEAM'S PHASE──

人は「やってはいけない」と言われるとそれをしたくなるものである。
特にハイティーンの年代はそれが顕著で、だから喫煙や飲酒をしたり、学校の校則を守らなかったりする。
『ここで人を殺しても、罪には問われならないぜ。』
という石橋の説明の時の、社会的に何の効力も無い言葉は、ユウキの理性を打ち崩した。

「くくくく、クククク。」
紺野の命を絶ったユウキは、罪の意識どころか、
殺人という究極のタブーを破ったという精神的な高揚を感じていた。
「何だ、人なんて簡単に死ぬんじゃないか。」
人の命を奪うことに関して悦びすら感じていた。
「こんな楽しいことを、あいつ(ソニン)はやっていたのか。ずるい女だよなあ。あははは。」
そんなことさえ思った程だ。

293 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:52
紺野を殺害した民家を出ると灯台へ歩きながら、ユウキは手元のレーダーのスイッチを入れた。
「次は、誰にしようかな?」
まずは目に付いたのが1人でいる緑の点(石川)。だが、この点はユウキから離れて北に向っており、
1つの青い点に近づきつつある。ユウキが自分の近くにいそうな人を探す。
近くに1人だけの人物はいないようだ。
(まあ、1人速攻で殺せば2人相手も大丈夫かな。)
とそこに、さっきのAIRの1人を追いかけるようにAIRの2人がユウキのいるところへ近づいてきた。
ユウキはレーダーを頼りに、その2人に気付かれないが、誰だかわかるところまで近づいた。
それはテンガロンハットをかぶった人と、水着みたいな衣装を着ている人であった。
そして2人とも衣装は青と白であった。ユウキは参加者一覧をめくる。

(あれは…、ミカと高橋愛か…。外人は腕っ節が強そうだが、
 高橋は足は速そうだけど力は弱そうだし根性もなさそうだな。
 あの外人さえ殺せば、高橋は余裕だな。ま、逃げられる恐れはあるだろうけどな。
 さっきの紺野と同じ手で行こう。さすがに血で汚れているこの剣を持って行くとヤバげなので置いていくか。
 ワルサーと紺野が持っていた鉄の爪さえあれば、とりあえずは何とかなるか。)
ユウキはエクスカリバーを草むらに隠すと、ほっとした顔を作り2人に近づいていった。

                   *            *

294 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/26(木) 15:23
油断したミカを撃ち、その後高橋も殺すはずだった。だが、いち早く反応されたミカに阻止され、
しかも高橋に逃げられてしまった。
砂浜にでも入り込んだのか、2人で転がるうちに服の中に砂が入り始め不快感をもよおす。
だが、そんなことを気にする暇はなかった。ワルサーをミカに奪われるかもしれない。
ユウキがワルサーに気を取られているうちに、ミカがユウキをマウントポジションに取った。
ユウキはワルサー右手で掴んでいたが、その右手もミカに押さえられて持つことが出来ない。
ミカは空いている右手でユウキの顔面を強打する。ユウキも左手でガードしようとするが、
相手は女性とはいえ、欧米人とのハーフであり、力はユウキ以上である。
ミカはガードの上から遠慮なく強打してくる。そのうち左手のガードも外され、顔に何発も拳を食らった。
そのうち、激痛と共に鼻の穴から生暖かい血が出てくるのがわかる。
「やめろよ。わるかったよ。俺がわるかったよ。」ユウキは思わずわめく。

とその時銃声がターンターンと数発、あたりに響き、ユウキの顔面への強打が止む。
鼻から下を血だらけになったユウキがミカの方を見ると、
ミカは自分の左肩を押さえていて、指の間から血が滲み出してきた。
その苦痛に歪んだ顔はユウキではなく2人の左のほうを向いている。
ユウキはミカの視線を追う。…そこにはうつ伏せに寝転がり、ブルーノを構えたソニンの姿があった。

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295 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/02(火) 02:01
EE JUMP TEAM'S PHASE──

仮眠をとっていたソニンは、ふと目覚めるとユウキがいなくなっていることに気づく。
トイレにでも行っているのだろうと思い、しばらく待ってみたが一向に戻ってくる様子はない。
ソニンは、武器庫になっている灯台の階段の途中にある物置へ行くと、もう1つのレーダーを手に取る。
(学校を襲撃したときは、破損するといけないので置いていった。)

スイッチを入れ、ユウキを探すとわりと近くでAIRの2人(ミカと高橋)に近づきつつあるところだった。
(何やってるんだ? ナンパ? そんなわけないか…。)
ソニンは双眼鏡を物置から取り出し、自分の武器を確認すると階段を下りて行く。
そして灯台から出て、レーダーを頼りにユウキ達のいる方向に近づいていく。
途中で、レーダーからAIRの1人(高橋)が北方向へ向けて速いスピードで離れていったことがわかった。

海岸の岩場の影に隠れ顔を出し、残る2人の様子を見る。
すると、ちょうどユウキとミカがもつれながら砂浜へと転がってくるところだった。
(これだけもつれていると、ミカだけを狙うのは無理か。)
ソニンがそう思っていると、やがてミカがマウントポジションを取り、ユウキを素手で殴り始める。
ソニンはミカにわからないようにゆっくり近づき、伏せてブルーノを構える。
これは、自分が下から撃つ事によって、ミカの下にいるユウキに当たらないようにするためである。
ソニンは、おもむろにトリガーを引いた、1発・2発・3発と発砲したところでミカが顔をしかめ、左肩を押さえた。
どうやら、3発のうちどれかがミカの左肩に命中したようだ。そしてミカが苦悶の表情を浮かべたままこちらを見た。

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296 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

ミカ・タレサ・トッド──父親がオーストラリア人のハーフの少女がココナッツ娘。のメンバーとして、
ハロプロに入ったのは、99年の夏のことだった。しばらくココナッツ娘。として地味に活動していたミカだったが、
2001年の初め、ミカにとって転機が訪れる。ミニモニ。加入である。

矢口をリーダーとし、加護と辻とミカで構成されたミニモニ。の中でミカは明らかに「異質」な存在だった。
人間は「異質」なものに対し、反発する性質がある。当初はミカにとっては、かなりの「向かい風」だった。
「刺身のツマ」のように邪魔扱いされたり、はじめっから無かったことにされたり、
時にはネット上でバッシングも受けたりしていた。

だが同時に人間は「慣れる」生き物である。そのうちミカのいるミニモニ。が当たり前になった。
(これはミニモニ。がTVに出ても決してでしゃばらないなどの、ミカの周りの空気を読める性格によるところも
 あったのだが。)
現在は、ミニモニ。のリーダーとして活躍している。

297 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
もし、ミカがユウキをマウントポジションに取ったときに、腰の脇差で一気に彼の命を奪っていれば、
ソニンは間に合わなかっただろう。だが、ミカはユウキの命を望んだわけではなく、
ただ武装解除し、戦いの意志を奪い、無力化して、自分は高橋の後を追いかけるのが目的だった。
(ミカのシグ/ザウェルの入ったザップザックは2人で転がっている途中でどこかへ行ってしまった。)

ミカが自分の左腕を撃たれ、撃った相手がソニンだと分かったとき、
ソニンも仲間だったというユウキの話を思い出した。ミカは咄嗟に左手で脇差を抜き、刀をユウキの首に添える。
(ホントはこんなことしたくはないが…。)
もちろん本当にユウキを殺すつもりはなく、自分の逃走するための人質であった。
だが、ソニンはなんら動じることはなく、続けてミカに向けて発砲してきた。

298 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:40
銃弾は、ミカとユウキ数メートル後方に着弾する。
(殺すつもりはないってこと、お見通しってわけね。)
ミカはユウキの右手からワルサーを奪い取ると、立ち上がりソニンに1発撃ち込む。
撃たれた左腕に力が入れられないので、銃身がぶれて狙いが外れる。
もう1発撃ってみるもやはり当たらない。
(shit!!)
ミカは応戦するのを諦め、立ち上がると脇差を捨て走り始める。
目標は50m程先の大木。とりあえずここの影に隠れ、それから逃げるつもりである。
もっと近くに障害物があれば安全なのだが、現在地は砂浜でなにもない。

299 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/09(火) 23:00
ミカは一心不乱に走る。だが、なかなか大木は近づいてこない。
後ろから、銃声が何発か聞えてくる。
(God bless me...)
足元が砂で走りずらい。普段は長いとは思わない50mでも今は100mにも1kmにも感じられる。
後ろからは続いて、ソニンがブルーノを撃っているようだ。
やがて、大木があと10mくらいまで近づいてきた。
「ウォオオオオオオオオオオオオオ!!」
ミカは叫び、更にスピードを上げた。だが、突然右の足に突如、火の杭が打ち込まれたような痛みが走った。
前のめりに倒れ、口の中に砂が入る。

(W What?)
ミカは自分の身に何が起こったかわからなかった。
立ち上がってまた走りだそうとするが右の足に力が入らず立ち上がるのが精一杯。
右足の銃創を見てはじめて、自分の足が撃たれたのに気がついた。
後ろを振り向くと、ソニンが歩いてくる。手持ちのワルサーをソニンに向けて撃つ。
だが、手に力が入らずしかも座ったままの姿勢だったので、弾が命中することはなかった。
それでもミカは撃ち続けたが、何発か撃ったところで「カチンカチン」と弾が出なくなった。
(くっ、弾切れ?)
ユウキから奪ったワルサーの予備弾を持っているはずはない。

300 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/09(火) 23:00
弾に当たらないように身を伏せていたソニンはそれを待っていたかのように、
立ち上がり、ミカの方に早歩きで近づいてくる。
立ち上がれないミカはずるずると這うように大木の方へ動いていく。
這ったいるミカが、五体満足なソニンから逃げられるわけがないのはよく考えればわかるのだが、
今のミカを動かしているのは、
(アイの……ところに……行かなくちゃ……)
という思考であった。
それでもなんとか最初の目的地の大木の根元まで来たところで、ブルーノの発砲する音が響いた。
それがミカが人生で最後に耳にした音だった。

ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【WATER 8人→7人】

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301 :名無し娘。:2004/03/10(水) 00:17
更新乙

最後の
>ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【WATER 8人→7人】
ミカは AIR だ

302 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
>>301
あ、ほんとだ。っつーことで訂正。

303 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
弾に当たらないように身を伏せていたソニンはそれを待っていたかのように、
立ち上がり、ミカの方に早歩きで近づいてくる。
立ち上がれないミカはずるずると這うように大木の方へ動いていく。
這ったいるミカが、五体満足なソニンから逃げられるわけがないのはよく考えればわかるのだが、
今のミカを動かしているのは、
(アイの……ところに……行かなくちゃ……)
という思考であった。
それでもなんとか最初の目的地の大木の根元まで来たところで、ブルーノの発砲する音が響いた。
それがミカが人生で最後に耳にした音だった。

ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【AIR 4人→3人】

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304 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ブルーノによって事切れたミカをみるとひといき息をつき、ユウキのいる方に走って戻っていく。
戻ると、ユウキは鼻を押さえながら、立ち上がりかけているところだった。
その顔は、ミカによる殴打で腫れ上がり、その男前が(性格はともかくとして)台無しだった。
「くっそー、あのガイジン、遠慮なく殴りやがって…。」
ソニンは、そんなユウキに自分のティッシュを渡す。
ユウキは「フン」と鼻を鳴らすと、1枚を鼻血が出ている自分の鼻に詰めた。

「なんで勝手な行動してるの? 『見張ってろ』っていわなかったけ?」ソニンは問い詰める。
「たしかに『見張ってろ』とはいったけど、『獲物を見つけても構うな』とは言われた覚えはないが?」
ユウキも負けていない。
「何小学生みたいなこと言ってんの? 私がいなかったら今ごろ、死んでいたかもしれないのよ?」
「はあ? 誰が助けろって言った? 余計なことすんなよ。あそこから反撃しようとしてたんだけど。」
「へぇー。あそこから反撃ねえ。あのマウントポジションからどうやって反撃するのか、
 今後の参考にするから、聞かせてくれない?」ソニンは、皮肉まじりで笑みを浮かべた。
「そ、それは…。」ユウキはつまる。「お前になんか話せるかよ。」ソニンから目線をそらす。
「はぁー。」ソニンはゆっくり首を振ると大きなため息を付いた。

305 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
「とにかく、お前の力を借りなくても、俺はもう1人でやっていける。」
というと、自分の服についた砂を手で払い落とすと、一人で歩き出す。
「おい。」「止めるなよ。」「止めないけどさー、せめて武器くらい持っていきなよ。」
というとソニンは、ミカから取り返したワルサーと、自分のナップザックから手榴弾を3つ渡す。
「どーも。」ユウキは不貞腐れた礼をすると、内陸側に向けて歩いて行った。

                   *            *

306 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/12(金) 23:06
(あったあった。次はエクスカリバーか。)
ユウキはミカともみ合っているうちに、落としてしまった自分のぶんのナップザックを拾い上げる。
(フン。俺は1人でもやっていけるさ。だいたいEEの時だって俺一人で十分だったんだ。)
この時のユウキの自信は、実は紺野を仕留めることができた、ただそれだけなのだが。
(たしかここに…。みっけっと。)
隠してあったエクスカリバーも見つけて、鞘から剣を抜いてみる。
(ん? …くそっ、あのガイジン遠慮なく殴りやがって。)
刀身に写った自分の、いろんなところが腫れ上がった顔を見て毒づく。
(まあいい、それならいきなり攻撃するまでさ。)
ユウキはレーダーのスイッチを入れ、次なる得物を探し始めた。

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307 :名無し娘。:2004/03/13(土) 00:36
(♂´ Д `)ノ<HEY YO!作者さん!がんばってくれYO!

308 :名無し娘。:2004/03/13(土) 09:20

                                 (T◇T〜)[TдT]

川o・-・)<歴代ミニモニリーダー全滅ですね。

从#~д~#从<とりあえず石川シメるか。

309 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:39
SALT TEAM'S PHASE──

加護と小川は、矢口と合流しようと松浦に教わった地点へと急ぐ。
やがて茂みの向こうから、何やらドサッと地面に落ちる音がした。
小川は、茂みから顔を出し、そっと音のした方を見る。
すると、石川が仰向けに寝ていて、矢口が何かを遠くへ投げているところだった。
(どうしたんだろう? いやな雰囲気だなあ。)
「あれ? やぐ…」「しっ」隣に来た加護に向けて小川は右手の人差し指を口に持って行き、
静かにというメッセージを送った。

やがて石川は立ち上がると、腰から斬鉄剣を抜き、矢口に斬りかかる。
振り向いた矢口は咄嗟に手元のナップザックからデザートイーグルを取り出し、それで斬鉄剣を受けた。

カキーン

310 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
金属音と共に、矢口のデザートイーグルは斬鉄剣の勢いを消せずにはね飛ばされた。
「ちょ……って!……」
石川は今度は矢口の喉元を狙って突きを入れる。今度は矢口は防ぎきれずに刃は喉の下部に突き刺さった。
石川が斬鉄剣を引き抜くと、矢口の喉から血が飛び散りはじめた。石川の上半身が矢口の地で赤く染まっていく。
矢口は口から血を吐き出し、ゆっくりと後ろに倒れた。
「うわああああああっ」加護は目の前で行われた悲劇に対し、悲鳴を上げ尻餅をついて座り込んでしまった。
石川がゆっくりと2人のほうを向く。上半身は返り血で真っ赤に染まり、その目は何も見ていなかった。
(こ、この目は危ない。正気な人の目じゃない。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかける。

311 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
加護は、松浦のいる別荘に戻ると玄関のドアを開けようとする。だが開かないようだ。
小川は、玄関のインターホンを連打する。「松浦さーん、松浦さーん!!!!」
すると中から、「今更、中に入れるとでも思ってるの?」という声がした。
加護は「なんでやねん…。」というと、どこかへ向けて走り始める。
「どこへ行くんですかあ?」小川もついていきながら尋ねる。
「学校や。学校にいくんや。!!」その時、パンパンパンと何発か発砲する音が当たりに響いた。
加護が何かに弾かれたように倒れる。「ぐっ…。」左の脇腹を押さえている。
「どうしたんですか?」小川は加護の脇腹を見た。脇腹からは血が流れ始めている。
どうやら撃たれたらしい。
小川が後ろを振り向くと、50mほど先に石川がデザートイーグルを構えて立っていた。

─────────────────────────────────────────────────────

312 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:48
AIR TEAM'S PHASE──

石川が振り向くと、尻餅を付いた加護とそんな加護を見て慌てている小川の姿があった。
(あの衣装は、SALT。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかけていく。
(…SALTと稲葉が私を嵌めなければ、私は矢口さんを殺さずに済んだ…。
 いってみれば、SALTが矢口さんを殺したようなものだ。私はSALTを許さない…。)
石川は自分が人殺しを、しかも一昨日まで一緒に芸能活動をしていた先輩を殺してしまったことを受け止められずに、
他人に転嫁しはじめていた。逃げる2人は石川にとっては、同期や後輩ではなく自分の敵だった。
足元に落ちている矢口の(もともとは松浦の)デザートイーグルを拾うと2人を追いかける。

313 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:49
どうやら2人は別荘に戻ろうとしているようだ。
2人は玄関の扉を開けようとするが鍵が掛かっているのか開ける事ができず、諦めて逃げ出す。
その間に石川は2人との差をつめていた。
(矢口さんの敵、やぐちさんのかたき、ヤグチサンノカタキ…)
逃げようとする2人に向かって石川はデザートイーグルを構えると、トリガーを4回弾いた。
そのうちの1発が加護の脇腹に命中し、加護が崩れ落ちる。
石川はそれを確認すると、デザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜き、2人に近づいていく。
「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
加護はこっちを向くと、小川に支えられて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
だが、2人の逃げるスピードは以前よりも落ちていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
石川は斬鉄剣を抜いたまま、2人を追いかける。

2人はしばらく逃げていたが、やがて二手に分かれる。
(なるほどねー。どっちかは逃げ残るというわけね。さて、どっちを追いかけ…ん?)
「石川さんっ。」
見ると、一方に逃げたはずの小川が立ち止まって石川の方に呼びかけている。
「なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

─────────────────────────────────────────────────────

314 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
SALT TEAM'S PHASE──

「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
(梨華ちゃん言っていること無茶苦茶やな…)
加護はデザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜いて近づいてくる石川を見ると、
小川に肩を借りて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
ところが怪我を負った加護は脇腹に力が入らなく、早く走れなくなっていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
後ろから石川の声が聞こえた。

315 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
(このままじゃ、すぐに追いつかれてしまうな…。今の梨華ちゃんに話は通じへんやろし、……そや。)
「まこっちゃん」加護は小川に呼びかける。「なんですか?」「二手に分かれよう。」「へ?」
「このままだったら追いつかれちゃう。二手に分かれれば、相手は一人だからどっちかしか追いかけられないよ。
 梨華ちゃんがどっちを追いかけるかわからないけれど、2分の1の確率だよ。」
「…わかりました。じゃあ小川は丘のほうから逃げます。…学校で会いましょう。」
「そうそう。絶対生き延びてWATERに入れてもらおうね。約束だよ。」
「はい、わかりました。ぜったい2人でWATERに入れてもらいましょう。」
というと小川は加護から離れていった。

(まこっちゃん、ごめんな。うちは多分約束守れそうにない。
 おそらく梨華ちゃんは怪我している足の遅いうちの方にくるやろ。
 怪我しているうちができる抵抗と言ったら大した抵抗もできへん。
 でもこれでええんや。まこっちゃんが無事に学校にたどり着いてののやこんちゃんと合流できればええんや。
 まこっちゃん、WATERのみんなによろしくな。)

                   *            *

316 :名無し娘。:2004/03/20(土) 04:53
あいぼんの覚悟が泣けるねぇ

317 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:17
小川は、加護から離れると一旦は丘方面へと走ったが、やがて戻り石川に話し掛ける。
「石川さんっ。なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

(加護さんは自分が犠牲になることにより、わたしを逃がしてくれようとしたのかもしれない。
 でも、加護さんばっかり辛い目にはあわせない。石川さんだったら後輩には遠慮してくれる……はず……たぶん。)

「わたしが矢口さんを殺した? 何言ってるの、小川? 
 まあ、たしかに最終的にはわたしがとどめをさす形にはなったけど、
 もともとは、あなたたちSALTが石川達を罠にはめたからそうなったのよ。」
「罠にはめたって…どういうことですか?」
小川と加護は、中澤が死んだのが石川が暴走したせいだと信じている。
「やっぱりとぼけるんだ。」石川は呆れたように言った。
「とぼけるって…。罠にはまったかどうかはともかく命を奪ったのは事実じゃないですか。」
「ええ、命は奪ったわよ。でも私にそうさせたのはあなたたちだって言っているの!」
(え、開き直った…。)小川は石川の意味不明な責任転嫁に呆れて声が出なかった。
「ふん、もう言いたいことはないようね。」というと石川は腰から斬鉄剣を引き抜いた。
「さて、あの世で新垣に謝ることね。」小川にゆっくりと近づいてくる。

318 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:51
この言葉に小川はすぐさま反応した。
(もうこの人は小川の知っている石川さんじゃない。)
あらかじめズボンの後ろのポケットに入れてあったデザートイーグルを取り出すと銃口を石川に向ける。
「!!」石川は驚愕の表情を浮かべるが、すぐさま呆れた表情になった。
「あらあら、小川がそんなことするなんて…。はぁ。」「…撃ちますよ。」
「わたし、ショックだなあ。小川が先輩を撃とうとするなんて。そんなふうに育てた覚えはないんだけどな。」
と言いつつ近づいてくる。
「くっ」(今更先輩気取りされても…)
「わたし、小川にいろいろ教えたよね? 歌はあんまり上手じゃなかったけど、ダンスとか精神的なこととか。」
石川は更に近づいてくる。
「……」(この人は石川さんじゃない。この人は石川さんじゃない…。)
石川に向けた銃身が細かく震えていた。
小川はこのとき思い出してしまっていた。加入からの石川との思い出を。
(撃てるわけ、撃てるわけない…。)小川は石川に向けていた銃口を下に下ろした。
「そうそう。それでいいのよ。」石川は満足気に頷くと斬鉄剣を横に構える。
(お母さん、お父さんごめんなさい。)死を目の前にして自然と小川の目から涙が出てきた。
ぼやけた視界の中で石川が動き、腹部に衝撃を受けて小川の意識はそこで途切れた。
途切れる少し前、「殺しはしないわよ。」という石川の声を聞いたような気がした。

                   *            *

319 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/24(水) 22:17
AIR TEAM'S PHASE──

石川は倒れかかる小川の体を手で支え、ゆっくり地面に寝かすと、斬鉄剣を鞘にしまう。
「みねうち…ってやつね。うまくいってよかった。」
そして意識のない小川に微笑む。
「ま、運がよければ誰かが起こしてくれるでしょう。
 自らの身を挺してあいぼんを逃がしたんだもんね。先輩思いのいい後輩だよ。
 さてと、そんな後輩を見捨てて一人逃げ出したあいぼんにお仕置きしなくちゃね。」
とつぶやくと加護の後を追いかけはじめた。
 
─────────────────────────────────────────────────────

320 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤が合流後、保田は筆記で斉藤さんに首輪システムのコンピュータに侵入することを教えていた。
それで保田自身がしばらくPCにかかりっきりになってしまい、見張りなどできなく、
亀井と田中だけでは心もとないので、斉藤にしばらく集会所に留まるよう要請した。
斉藤はそれを見て頷き、とりあえずは集会所にいる人数は4人となった。

やがて、SALTの前田と稲葉が中澤の遺品を届にきた。
斉藤が顔を見せるとややこしくなりそうなので、保田・亀井・田中の3人で対応。
中澤の持っていたコルト・ガバメントと天狼剣と身に付けていたアクセサリー類を受け取った。
その時に、2人は石川の暴走により中澤が死んでしまったことをさっきよりも詳しく報告した。
最後に2人は立ち去る時に「くれぐれもAIRには気をつけて。」と念を押していった。

321 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
SALTの2人を見送った後、3人は斉藤のいる2階へと上がり、先程のSALTの2人の話を斉藤にもした。
ただ最後に保田が「でも、これはあくまでSALTの2人主張であって、石川のせいと断定するのは危険。」と付け加えた。
そのことについては斉藤も賛同したし、亀井と田中も同じ意見であった。
「石川さんがここに来てくれるといいんですけど。」亀井は言った、
「ま、それが一番なんだけどね。」と言いながら保田は筆記で何か書き始めた。
『これからいよいよ首輪のシステムに侵入』亀井は小さく頷く。隣では田中が息を呑むのがわかった。
『時間との勝負だね。あまり時間をかけすぎると向こうにばれる可能性が高くなるから。』
「じゃあ、私はとりあえず下に戻るから。見張りよろしくね。」
「わかりました。」『頑張ってください』田中が書いた。
保田は頷くと下に戻っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

322 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:17
IR TEAM'S PHASE──

ミカと分かれ一人SALTの本部である別荘へ急ぐ高橋愛は、砂浜を抜けるあたりで前方に誰か倒れているのを見つける。
(誰やろか?)
近寄ってみるとそれは、血だまりの中で息絶えた矢口の死体だった。
(!!!!)
高橋はあまりのことに、声の出し方を忘れてしまったかのように、口をあんぐりと開けたままだった。
そのまま後ずさりしたところで、
「いやあああああああああああ。」
ようやく声が出せた。逃げるようにその場を離れ別荘の方へ向かう。
別荘の近くに近づいたところで息を整える。
(矢口さん…。石川さんはどこに?)
高橋は見渡したが、石川はいないようだ。
(SALTの本部に入ったんやろか?)
と疑問に思っていると、その別荘の玄関のドアが開いた。中から出てきたのは松浦亜弥。
石川が仇にしていたチームのメンバーのいきなりの登場にびっくりし、高橋は身構える。だが、
「石川さんを探しているんでしょ?」と松浦から話し掛けてきた。

323 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
高橋は「罠に嵌められた」石川や、「SALTの企みに気づいた」ミカほどSALTに警戒心を持っていなかった。
しかも、ドアから出てきた人物が自分と同じ年齢の松浦なら尚更である。
そしてこのときは、石川の行方を知りたい気持ちがSALTへの警戒心を上回った。
「う、うん。石川さんはどこへ行ったの?」
「それがね…」というと松浦は話し始めた。

松浦によると、石川はおそらく別荘に向かってくる途中で石川を待っていた矢口と遭遇し口論になった。
おそらくというのは、外で誰かの叫び声が聞えてきたので別荘に2階に上がってみてはじめて、
2人が言い争っているのを見つけたからだ。
口論の結果、石川が矢口を殺傷した。
また、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川がその現場を見つけてしまったようで、
加護と小川はどこかへ逃げ出し、石川は2人を追いかけていったとのこと。

324 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
「愛ちゃんが来てくれて助かった。松浦、加護ちゃんとまこっちゃんが心配で追いかけたかったんだけど、
 さすがに1人じゃ不安だったんだ。一緒に行こうよ。」
高橋にとって同期であり宝塚仲間である小川と、ミニモニ仲間である加護が石川に追いかけられているという。
もちろん、追いかけている石川も心配だ。
「うん、わかった。それで、どこにいったのわかる?」
「えっとね…。方角的には南東の方向かな。ちょっと準備してくるから待っててね。」
というと松浦は別荘に戻る。

「まさか石川さんが矢口さんを…。」高橋は石川の錯乱ぶりと加護・小川のピンチで動揺していた。
だから、仲間に連絡するのをすっかり忘れていた。といってもその時ミカは既にこの世から去っていたのだが。

数分後松浦がナップザックを持って出てきた。
「追いかけましょう。」
2人は石川達の後を追うのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

325 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:29
SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口さんを? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

326 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:30
横向きに倒れた前田は、転がってきた手榴弾が弾け、煙を吐き出し、稲葉が数メートル飛ばされるのを目の当たりにした。
稲葉は仰向けに倒れる。前田からは足しか見えず稲葉の生死はわからない。
「稲葉さん?」前田は呼びかける。足がぴくりと動く。どうやら生きているようだ。

前田は安心し、立ち上がろうとする。とそこへ手榴弾の煙の中から一人の人物が両手で剣を構えて走って近づいてきた。
その横顔は誰かに殴られたのかあちこちが腫れ上がっていたが、見覚えがあった。
(あれは、たしか…EEジャンプの…ユウキとか言ったっけ?)
ユウキは、起き上がろうとした前田を見て少し驚いたようではあるが、そのまま稲葉の方へ近づく。
稲葉のそばに来て、仰向けの稲葉の上で剣を下向きに構える。「や、やめろ!」下の稲葉はわめく。
そんな稲葉の声が聞こえないかのように、ユウキはそのまま剣を稲葉の体に下ろした。
「ぐっ」稲葉の声が聞こえる。
ユウキは剣を稲葉の体から抜くとまた再び突き刺す。抜いて刺す抜いて刺す抜いて刺す…。
突き刺すユウキの表情には喜びすら浮かんでいた。

327 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:31
前田はハッと我に返り、デザートイーグルを探すが見つからない。
周りを見るとちょっと離れた所に落ちている。どうやら突き飛ばされた時に落としたらしい。
前田は銃に飛びつくと、ユウキに向けて銃を1発撃つ。
「くそっ、こいつ!!!」
銃は命中せず、周りの空気を切り裂くのみだった。
ユウキは前田の方を見て、面倒くさそうな顔をすると血塗れたエクスカリバーを抜き身で持ったまま、
「あばよ。ハハハハハ!」と前田に高笑いをし、走って北方向に立ち去った。

「くそったれ!!」と罵りつつ前田は稲葉の元へと駆け寄る。
稲葉の体は…無残なものだった。手榴弾自体の傷は距離が少しあったせいか、たいしたことはなかったらしく、
それでも普通の社会生活に支障はきたすだろうが、
ズボンは破けて、その下の足は傷だらけでところどころ血が流れている程度だった。
しかし、ユウキによる傷は深く、体にはいくつもの剣による穴がうがかれ、
そこからいまだ血が流れ、回りの土をどす黒く染めている。
目はこれ以上ないほど見開いており、口からは一筋の血が流れている。
もちろん、息がないことは子供にだってわかる。
前田はがっくりと膝を付く。
「私が甘かった、とでもいうのかい、稲葉さん?」答えるわけはないとわかっているが、稲葉に呟いた。

稲葉貴子:死亡 【SALT 5人→4人】

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328 :名無し娘。:2004/04/04(日) 23:32
稲葉が矢口さんとさん付けするのはちょっとおかしいような・・・

329 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/06(火) 21:08
>>328
稲葉の方が年上だから呼び捨てですね。

330 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/07(水) 23:23
>>325の訂正版

SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口を? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

331 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:29
EE JUMP TEAM'S PHASE──

(やっぱり人の命を奪うっていうのは最高だ。剣を突き立てる時のあの感触、たまらないぜ。
 その点、銃はダメだな。人を殺す感触がない。やっぱり剣だ。)
ユウキは精神的に高揚していた。
(本当なら2人ともあそこで殺すはずだったんだが…、まあいい。俺は楽しみは後に取っておく方だからな。
 さて、次の獲物はっと…。)
ユウキはレーダースイッチをオンにする。
(さすがに単独行動はあんまりいないか、うん? こいつは…。)
ユウキは診療所近くにWATERのメンバーであることを示す1つの青い点を発見した。
(この期に及んで一人で行動するなんて馬鹿なヤツだ。よし次はこいつだな。)

                  *            *

332 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
一方ソニンは、ミカの遺体を海の家と思われるあばら家に入れると灯台に戻り、
倉庫にあったとある機械を屋上に運んでいるところであった。
これは結構重量があり、女一人で運ぶのはかなり大変だった。
屋上に持ってきた時にはソニンは既に息が上がっていた。
息を整えて、付属していた説明書を改めて読む。

ソニンが屋上に持ってきたのは、無線用ジャマーである。これを起動させれば無線は役に立たなくなる。
もとは外国の軍隊で使われていたものらしく、小さい割には高性能で、島のほとんどで無線による通話を不可能にする。
無線の有効地域は島の東部の学校から南東部を通り、南部の集会所にかけての一部地域のみとなる。
ユウキには既に連絡済である。これからはレーダーでお互いの位置を把握することとなる。

333 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
延長コードで電源をつなぎ、ジャマーを起動させる。何か音がしはじめるかと思ったが、
特にソニンの聴覚に変化はなかった。
(これで、襲撃しても応援を呼ばれる心配はなくなったか。)

その後、レーダーと双眼鏡を使って回りの様子を観察する。今は3人の人物を観察しているところである。
港の方向から来た3人は別荘の方向である北に向っている。
(後藤、里田にみうなだっけ? FOOD2人にAIR1人という組み合わせは妙ね。2チームは組んでいるんだろうか?
 さすがに武装は優れていても3対1では分が悪い。しかも向うは警戒しているようだし。
 あいつがいればまだ…、って姉をあいつが殺せるわけがないか。どちらにしてもここは様子見ね。)

─────────────────────────────────────────────────────

334 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
SALT TEAM'S PHASE──

加護は小川と分かれると、脇腹の痛みを我慢してひたすら走っていた。
とはいうものの元から足が速いほうではない加護が怪我を我慢しながらだから、
石川が追いつくのは時間の問題だと加護は思っていた。
ところがなかなか追いつく気配がない。

(もしや梨華ちゃん、まこっちゃんの方に行ってしもうたんやろか?
 それならうちの読み違いや。…だったらいち早く学校に着いてWATERの人に助けてもらうだけや。)

左の脇腹に添えたハンカチが血で真っ赤になり、はっきりと血の感覚が手にも伝わってくる。

(ほんとなら、動いたらあかんやろうけど、仕方あれへん)

やがて、加護は学校に到着する。校門のところに誰かいるかと思ったが、
誰もいないようだ。加護は仕方なしに校門から中に入る。
昇降口から中に加護は呼びかける。

335 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
「誰か、誰か、いませんかー?」
依然として学校はシーンとしたままだった。
「誰か、誰か、いませんかー!!」
加護はもっと声を張り上げて叫ぶ。

「ここにいるわよ。」声は加護の後ろから聞こえてきた。
「えっ」予想外の方向から聞こえてきた声に驚きながら加護は振り返る。
「梨華ちゃん!!」
石川梨華が息を切らしながら校門のところに立っていた。
「ねえ、あいぼん。いい後輩持ったわね。」たじろぐ加護に石川は近づきながら言う。
「え?」「小川のことよ。あなたと別れてから、小川は逃げずに私のところへ来たのよ。」
「!!」加護は驚く。
「それでまあいろいろ話し合ったんだけどね。結局話が通じなくてね。
 それで、あの小川が銃を私に向けたのよ。信じられる?」
実際は最初に石川が斬鉄剣を抜いたからなのだが加護はそれを知らない。

336 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
「……。」「でもね、私はここにいるの。これ、どういう意味だかわかる?」
石川は微笑む。それを見て加護の顔色が変わる。
「まさか、まこっちゃんを?」石川はそれには答えず微笑み続けるのみであった。
「…よくもまこっちゃんを…」「わが身を呈して先輩の為に立ち向かった小川に比べてあいぼんはさっさと逃げたと。」
(たしかに結果的にそうなってもうたけど、まこっちゃんの命を奪ったお前に言われとうない!)
「……しばくぞ。」加護はデザートイーグルを取り出す。
「あらあら、そんな物騒なものまで取り出しちゃって。おーこわ。」
というと石川は蹴りを繰り出し、それが加護のデザートイーグルを持っている右手に命中し、
加護はデザートイーグルを落とす。続けざまに蹴りが腹部を直撃し、加護は後ろに引っくり返った。

倒れた加護に対しても石川は容赦なく蹴りを入れる。
「あいぼん達がさ、私をはめる真似なんてしなかったら、こんなことにはならなかったんだよ?
 ね? ね? ね?」
蹴りの一発が偶然、さっき撃たれた脇腹に入り加護に激痛が走る。「ぐっ」加護は思わず顔をしかめる。
「ここが痛いの? ね? ここが痛いの? ね?」
石川は傷口を広げるかのように脇腹に蹴りを加える。続けざまに来る激痛に加護は目を開けることが出来ない。その時、
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
誰かが叫びながら飛んできて石川にぶつかり、石川は跳ね飛ばされた。
目を閉じていた加護は自分の良く知った声に反応し目を開ける。
するとそこには、加護を庇うように辻が跳ね飛ばされた石川の前に立っていた。

─────────────────────────────────────────────────────

337 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
ところで、保田→斉藤瞳の呼び方って「斉藤さん」でいいですか?
「ひとみん」じゃおかしいしなあ。

338 :名無し娘。:2004/04/14(水) 20:41
一応ヤスヲタですが、よく分かりません。
たぶん「斉藤さん」で宜しいかと・・・。

339 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/14(水) 21:04
>>338
ありがとう

340 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
WATER TEAM'S PHASE──

紺野の死のショックで保健室のベッドで休んでいた辻は、
「誰か、誰か、いませんかー?」
という声にハッとして起き上がる。
(あれは、あいぼん?)
いてもたってもいられずベッドから立ち上がると声のした方向へと急ぐ。
昇降口をぬけた辻がみたものは、倒れた加護に蹴りを入れている石川の姿だった。

341 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
辻は叫んでダッシュし、石川に体当たりをする。体当たりをもろにうけた石川は吹き飛んだ。
「のの?」「あいぼん、大丈夫?」辻は倒れていた加護の背中を支えて上半身を起こさせる。
「ちょっと、何するのよ!」立ち上がった石川は辻に怒鳴る。
「それはこっちのセリフ! なんであいぼんを蹴るの?」辻も負けてはいない。
「何って、教育よ。だってあいぼんったら小川を見捨ててさっさと一人で逃げちゃったのよ。」
「せやからと言って…、矢口さんやまこっちゃんを殺してええわけはないやろ…。」
痛みに耐えながら加護がボソッと、だがしかしはっきりと呟く。
「梨華ちゃん、その話本当なの?」辻は突然の話に唖然として聞く。
「結果的にはそうよ。それというのもあいぼん達のせいでね。しかも麻琴は殺してはない。
 そもそも、その話は今していないじゃない。今はあいぼんが私を罠にはめたり、小川を見捨てたりしたのかに対しての教育をしてたの。」
「梨華ちゃん、言ってることがわけわかんないよ…。」辻はあきれる。
「…ののまでそんなこと言うんだ。」石川は腰から斬鉄剣を抜く。「2人とも教育しなきゃね。」
「あいぼんはののが守る。」辻は両手を広げて加護を守るように立ちはだかった。と、その時──
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」この緊迫した場面を打ち破るかのようにのんびりとした声がした。
「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が昇降口から出てきた人物の名前を呼んだ。

─────────────────────────────────────────────────────

342 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
UTABAN'S PHASE──

娘。達が激戦を続けている島から北東に離れること約20km程にあるスタッフ達がいる島──

「さあてと、今現在状況はどうなっていますかっと。」
木梨憲武はスタッフがいる事務所のPCのIEのショートカットをダブルクリックする。
IEが立ち上がると「お気に入り」から「バトロワ−現在の状況」を選ぶ。
ログインコードとパスワードを求めてくるので木梨はスタッフから与えられた英数字をそれぞれに入力する。
すると、画面が切り替わる。木梨はまず画面右上の各チームの現在の人数に注目した。

SALT    前田・松浦・小川・加護             4人
AIR      石川・里田・高橋                3人
WATER.   飯田・斉藤・アヤカ・柴田・藤本・吉澤・辻  7人
FOOD    保田・後藤・みうな・亀井・田中        5人
EE JUMP  ソニン・ユウキ                  2人

343 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
(ちっ、AIR残り3人しかいないのか。やべーな。ま、5万しか賭けてないからいいけど。
 でもまあ、俺の本命の個人戦があるか。)
実はこのシャッフルバトロワはTBSが胴元で非公式な賭けとなっている。
といっても対外的には普通のサバイバルゲームということになっているが。

賭けの対象は3つ。
まずはどのチームが最後まで残るかの単勝。
人気は上位から、WATER・FOOD・EE JUMP・SALT・AIR。木梨はAIRに5万円賭けていた。

2つ目が最後に残ったチームと2番目に残ったチームを順不同で当てる連勝式である。
木梨はこれには賭けていない。

344 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:38
木梨は現在の人数の下にある「ジェノサイド」という文字をクリックする。すると画面が切り替わる。

ソニン      3人(ミカ・あさみ・村田)
ユウキ     2人(稲葉・紺野)
大谷(死亡)  1人(安倍)
前田       1人(新垣)
稲葉(死亡)  1人(中澤)
石川       1人(矢口)

(よし! とりあえずトップだ。こっちは40万張ってるからな。来てくれないと困る。)
3つ目はゲーム終了時に誰が一番他人を倒したか(実際には殺したか)を賭けるジェノサイド式がある。
木梨はこれにはソニンに40万、前田に10万賭けている。
ちなみに一番人気はソニン、二番人気はユウキ、三番人気は後藤であった。
ちなみに、道重は石橋が殺したせいで払い戻しとなっていたが、もともと賭けている人がほとんどいなかったのもあり、
あまり影響はないようだ。
(カミさんには内緒で賭けたからなあ。ここで儲けとかないと…。)

                  *            *

345 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
「石田、状況はどうなっている?」
うたばんのプロデューサーは、首輪による監視システムの責任者である石田佳子に尋ねた。
「ええ、学校に3チームのメンバーが集まっている他は大きな変化はありません。」
「そうか。俺は仮眠をとるから後は頼んだぞ。」
「はい。わかりました。」
と言うとプロデューサーは、部屋から出て行った。

石田佳子は、4月から中途でTBSに入った新人であるが、監視システムの責任者を任されている。
なぜなら、東京でも通常の撮影があることから、うたばんのスタッフ全員を離島に連れてくるわけにもいかないので、
アルバイトを募集したりして人数を補った。
そんなわけで離島に連れてきた正社員は石田を含めて5人しかいなく、
他の人は他の人で船舶担当などの責任者になっている。

346 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
プロデューサーが部屋を出て行くと部屋の中は石田とアルバイトの、合計2人だけになった。
しばらくすると、アルバイトがモニタを見て、
「あれ? 現在、システムに侵入している人がいますが、石田さんですか?」と尋ねてきた。
「ええ、私よ。ちょっと気になることがあってね。」とマウスとキーボードを適当に動かしながら答える。
と言っても本当に石田が現在システムに入っているわけではない。
(ついに来たわね。保田さん。ここからが本当の勝負よ。ま、本来は私がやるべきなんでしょうけど、
 私が首輪の効力を解除してもそれを伝える方法がないし、自分でやってもらった方が実感が湧くしね。)

─────────────────────────────────────────────────────

347 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/27(火) 22:33
FOOD TEAM'S PHASE──

別荘へと進む後藤・里田・みうなの3人。浜辺がもうすぐ終わる頃、里田はレシーバーでミカと高橋に連絡が入れてみた。
ところが反応はない様子。これは実は、先程のソニンが起動したジャマーのせいなのだが、3人はそれを知らない。

「どうやら、2人は少し離れちゃったみたい。とりあえず、約束の別荘のほうへ行きましょう。」
この中での唯一のAIRのメンバーである里田が指示する。
「でも、別荘の前にいるならレシーバーで通話できそうなんですけどね。」みうなが不思議に思う。
「んー、なんでだろう? 2人ともレシーバー落としちゃったとか…。
 それとも何らかの事情で別荘から離れて遠いところへ行ってしまったとか。……後藤さん?」
その時、後藤は何かに気がついた。浜辺から別荘に続く道。
何かが、何かが倒れている? あれは……。
後藤は近寄る。「やぐ…ち…さん?」それはさっき高橋も見つけた矢口の死体だった。
喉が切り裂かれ、そこから大量の血が流れていていたようだが、現在は固まりつつある。
「後藤さん、どうしたんで……!?」後藤のところに来た里田とみうなも、矢口の死体をみつけて唖然としていた。

─────────────────────────────────────────────────────

348 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は加護が呼びかけた時は、調理室で捜索隊の3人のための食事をつくっていた。
加護の呼びかけは聞こえなかったが、その後の誰かの足音に気がついた。

最初は気のせいだと思ったがとりあえず確認のため、保健室の中を覗くがベッドに辻はいなかった。
「辻さん? 辻希美さん?」
その時、学校の外から何やら騒がしかったので、自分の武器であるデーモンスピアとデリンジャーを持ち、校門へと向う。
外に出た吉澤が見たものは、斬鉄剣を抜いた石川と、怪我でもしたのか脇腹のあたりを押さえて蹲っている加護と、
その加護の前で両手を広げて加護を庇っている辻の姿だった。

349 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
雰囲気はやばそうだというのは吉澤にはわかったが、ここはわざと呑気に、
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」と声をかけた。
すると「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が吉澤の名前を呼んだ。
吉澤はゆっくりと3人に近づく。
「とりあえず梨華ちゃん、そんな危ないものはしまって、辻も両手を下ろして、
 ん? あいぼん、どうした? 怪我してるじゃないか。」
「うん。」と石川はとりあえず斬鉄剣をしまい、辻は両手を下ろした。
「ちょっと、よっすぃ〜聞いてよ。あいぼんとののったらね〜。」
「梨華ちゃんおかしいんだよ。あいぼんをさー。」辻と石川は2人いっぺんに話しかけてくる。
「ちょ、ちょっと2人同時に話しかけられても、理解できないって。とりあえず順番に話してよ。」

それから順を追って吉澤は3人から話を聞いた。石川の言っていることは支離滅裂で責任転嫁だということは
吉澤にはわかった。だが、石川をここで悪者にしてしまうと、
加護のように誰であろうと傷つけてしまう可能性がある。そこで…。

350 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
「そりゃ、あいぼんが悪いなあ。逃げちゃだめだよ。うん。」と言うと、辻と加護が不満の表情を浮かべた。
「そうでしょ? でしょ? 私わるくないよね?」
「そうだね。でも暴力は良くないよ、梨華ちゃん。」
「よっすぃ〜。おかしいよ!!」辻は不満を口にした。
「まあまあ。梨華ちゃん、ちょっと2人を説得してくるから待ってて。」というと吉澤は辻を連れ、加護をおぶって学校の方へ歩いていく。

石川へ声が届かないところまでくると、吉澤は加護を下ろし、小声で2人に話し掛ける。
「吉澤にだって、梨華ちゃんが悪いことぐらいはわかるよ。でも、ここで吉澤まで梨華ちゃんの敵になったら、
 梨華ちゃん、何をしでかすかわからないからさ。とりあえずはああいう態度を取ったんだよ。」
吉澤は先ほどの態度を2人に説明した。辻と加護は頷く。
「それでさ、とりあえず2人は反省したことにしといて、吉澤が梨華ちゃんは引き止めるから、
 辻は加護を連れて保健室にいって手当てをした後、学校を離れて飯田さん達と合流するんだ。
 トランシーバー使えば連絡とりあえるだろう?」
「うん」
「とりあえず、辻は吉澤と一度梨華ちゃんのところに戻って、『ごめんなさい。加護も反省しています。』って言って、
 …本当はイヤだろうけどさ、なんとか我慢してよ…、それで加護を保健室に連れて行こう。」
「わかった。よっすぃ〜は?」
「そうだな。とりあえず梨華ちゃんが大人しくなったら、トランシーバーで連絡するよ。
 よし、じゃあ行くよ。」というと加護を残し2人で石川の元へと戻る。

351 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
辻がまず石川の前に出ると、
「梨華ちゃんの気持ちもわからず、歯向かったりしてごめんなさい。あいぼん達が悪かったです。
 あいぼんも自分が悪かったと言ってます。」と頭を下げた。
石川は頷くと、「わかってくれればいいのよ。私をはめる真似をしたSALTが全て悪いんだから。」と言う。
辻は下唇を噛みながら、吉澤の顔をじっとみつめた。吉澤は「我慢して」と念じながら見つめ返した。
「じゃあ、のん達は学校に戻ります。」と言うと辻は加護を連れて校舎へと戻っていく。
「あれ? どこへ行くの?」石川は尋ねる。
「さすがにあのままにはしておけないよ。生きて償う罪もあるっていうことだよ。」答えたのは吉澤だった。
「…それもそうね。」少し考えて石川はとりあえず納得したようだ。
「ところで、お腹すかない? 朝メシには遅いし、昼メシには早いけど。おにぎりつくってるところなんだ。」
吉澤は提案した。
「そういえば、朝から何も食べていなかったっけ。じゃあ、よっすぃ〜の手作りをもらおうかな。」
「料理なんて作ったことないから、味に自信はないけどね。ま、男の手料理ということで。」
「んもぅ、よっすぃ〜女の子でしょ?」
「ん? そうだっけ? ま、とりあえずついて来てよ。」吉澤はとぼける。
2人も学校の中へと入っていった。

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352 :名無し娘。:2004/04/30(金) 00:45
これからの展開が気になる・・・

353 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:11
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井と田中が斉藤と入れ替わって2階で見張りをしていると、
保田が斉藤を連れて2階にあがってきた。

「ふー、さっぱりどうしたらいいかわからないわね。」といいつつ紙に文字を書く。
『首輪の効果は解除できた。』
「そうですか…。」亀井も同じくあたりさわりのない会話をしながら筆談を続ける。
『随分早かったですね。』
『私たちにPCを預けた人物が手伝ってくれたのか、簡単に侵入できたし、首輪のコードを無効にできた。』
田中も用意していたメモ帳で筆談に加わる。
『じゃあ、帰れるんですね』
保田はゆっくり首を振った。
『足がないからすぐには無理。船か飛行機がないと。』

354 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:12
「そっかあ…!?」思わず喋ってしまい、田中は慌てて自分で口を押さえる。
『それぐらい聞かれても問題ないって』斉藤も筆談に加わる。
『とりあえずこれからみんなに首輪の効力がなくなったことを知らせなければならないんだけど、
 普通に説得しても信じてもらえないかもしれないでしょ?』保田は話題を戻した。
田中と亀井は揃って頷く。
『首輪の効力を解除してから首輪を外す方法のデータがもらったPCに入っていた。
 これが結構複雑でとても1人じゃできないから斉藤さんに手伝ってもらうことにした。
 マニュアルを見ながら斉藤さんに私の首輪を外してもらう。
 これが成功して首輪がない状態でみんなを説得すれば信じてもらえると思う。
 私と斉藤さんは下に戻って首輪の外す作業をするから見張りを引き続きよろしく。』
亀井と田中は手でOKのサインを出した。
保田と斉藤は再び1階へと戻っていった。

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355 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

「ごちそうさまでした。」石川は手に持っていた皿を机に置いた。
「どうだった? ひとみ特製おにぎりのお味は?」吉澤が得意気に聞いてくる。
「おいしかったよ。でも特製っていっても普通のおかかじゃん。」石川は笑いながら答える。
「そのおかかが特製なんだよ。わかってないなー。かつおぶしの本場だぜ、ここは。」
「もう、よっすぃ〜ったら。」2人は声を揃えて笑った。
「とりあえず、梨華ちゃんの状況はわかった。稲葉さんもグルだったんだよ。
 でも、あいぼんと麻琴は知らなかったんじゃないのかなあ。」吉澤はそれとなく誘導する。
「そんなわけないでしょ。知っていなかったらあんなにタイミングよく2人が登場しないよ。」
石川は真っ向から否定する。

「さてと。」というと石川は立ち上がり、調理室の扉から出ようとする。
「あれ? どこへいくの?」気のせいか吉澤の声が焦りを帯びている。
「保健室。こっち?」石川は扉を開けて学校の反対側へと向う。
「う、うん。そこの奥に行ったところだけど、なんで?」吉澤もついてくる。
「さっきはののには謝ってもらったけどあいぼんはまだ謝ってもらってないから、謝ってもらうの。」
「そ、そう…。」

356 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
石川は引き続き歩き、保健室を探す。吉澤もあとからついてくる。やがて、
「ん? たぶんここね。あいぼんー、いる?」と保健室の扉を開ける。
中に入り、ベッドを覗くが誰もいない。ベッドの下も一応覗いてみるがやっぱりいない。
部屋中を捜してみたがやっぱりいないようだ。
「2人はいないよ。」後から入ってきた吉澤が石川にそう告げる。
「どういうこと?」石川は驚く。
「2人は飯田さん達と合流するためにここを出て行ったよ。」
石川は保健室を出ると昇降口のほうへと向かう。
「どこいくの?」吉澤がついて来ながら尋ねる。
「2人を追いかけるのよ。あいぼんには謝ってもらわなくちゃ。」石川は答える。

357 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:41
吉澤はダッシュすると石川の前に回りこむ。
「それはあとでしてもらうからさ。飯田さん達にはあいぼんの看病をしてもらうんだよ。
 のの一人ではつらいだろうし。とりあえず戻ろうよ。」
「謝るのにそんな時間かかるわけじゃないし、別にいいじゃん。」
石川は吉澤の横を通り抜けて昇降口の方に向かおうとする。
「1人で外出ると危ないし、ここにいた方がいいって。」
吉澤は通り抜けようとする石川の肩を掴んだ。
とその時、石川は別荘のそばで矢口に肩を押さえられたのを思い出した。
反射的に吉澤の手を払いのける。吉澤は突然の態度に驚く。
「よっすぃーだけは私の味方だと思ったのに…。」
「いや別に敵じゃないって。」
「味方だったら、私に黙って2人を行かせたりしないよね? 
 私の進路を邪魔したりしないよね?」
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」吉澤も呆れ始めた。
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。」というと石川はシグ/ザウェルを取り出した。
「どいて。脅しじゃないよ。」
吉澤は首を横に振ると廊下の端により進路を開ける。
石川は銃を下ろし横を通り抜ける。ところが吉澤の真横を通った瞬間みぞおちに強烈な衝撃を受け、
石川は気を失った。

─────────────────────────────────────────────────────

358 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:29
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は通り過ぎる石川のみぞおちに拳を入れると、石川は気を失った。
倒れ掛かる石川の体を吉澤は両手で受け止め、そばに寝かせた。
「乱暴してゴメンな。」
意識のない石川の耳元で吉澤は囁く。
とりあえず、石川が気を失った時に落としたシグ/ザウェルを拾う。
(うおっ、本物じゃん。)吉澤はびっくりする。
(さて、これからどうするかなあ? とりあえず大人しくなるまでどこかの部屋に入れておかないと。ん?)
吉澤は石川の右の腰に一振りの日本刀が鞘に収まっているのに気がついた。
(これも取り上げておくか…。)鞘を腰から外すと、斬鉄剣を鞘から抜いて目の前に掲げ、刀身を見てみる。
刀身の先のほうは血塗られているが、そこ以外は汚れもなく綺麗である。
(これ、本物のポン刀だよ。かっこいいなあ。)

359 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:30
支給武器がどちらかというと西洋武器ばかりだったので、吉澤にとって日本刀は珍しく、
思わず見とれてしまった。だから、背後から近づいてくる人物の気配に全く気づかなかった。
後ろからいきなり、「いやあああぁぁ!!」という叫び声がした。
吉澤は右側から振り返ろうとすると、空気を切り裂く音と共に、いきなり右脇に鋭い痛みが走った。
何かと思っていると、自分の右脇に何かが刺さっているのに気が付いた。
(これは…、日本刀?)
そして、菊一文字の柄は高橋が握っていることに気づいた。高橋は菊一文字を引き抜く。
吉澤は、(た、高橋…、どうして?)と言いたかったのだが、
肺を傷つけられたのか、思うように言葉を発することができない。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。

─────────────────────────────────────────────────────

360 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
AIR TEAM'S PHASE──

松浦と合流した高橋は、「おそらく学校に向かったんだと思う。」という松浦の言葉を信じ、
学校へと向かっていた。ここでも、高橋の中では松浦への不信感より、加護と小川の心配が勝ったのである。

学校への行き方は、以前に行った事があるという松浦の案内で問題なかった。
やがて、学校の前の道へと到着する。そこで2人は、どす黒い血痕を発見する。
「これ、血だよね?」松浦が聞く。「う、うん。」高橋は少し怯えながら答える。
「2人が心配だ。」と言うと松浦は学校の中に入ってく、高橋も後を追う。

361 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
学校の中に入ってから、誰かと誰かが言い争う声が聞こえてきた。
(この声は…、石川さんと吉澤さん?)
2人は昇降口から廊下に入り、校内の廊下とクロスするところまで来た。
松浦は高橋の耳元で「まつーらが様子見てみる。」といい、
柱のところから慎重に声がする方向を覗く。
なおも言い争いは続く。
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。どいて。脅しじゃないよ。」
緊迫した展開に高橋は心配になる。
そしてしばらく経ったところで、松浦が振り返る。その顔には驚愕の表情が浮かんでいる。
「い、石川さんが…、殺された…。」
「え!?」
高橋は松浦を押しのけ、通路に出る。と、そこには仰向けに倒れている石川と立っている吉澤がいる。
吉澤は血まみれの日本刀を持っていた。
実際は剣先だけが血まみれだったのだが、角度的に吉澤自身の陰となって見えなかった。
「最初は口論だったんだけど、そのうち吉澤さんが石川さんを日本刀で…。」松浦が囁く。
「石川さんは無抵抗だったんだよ。それを吉澤さんが…。」

362 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:14
高橋はすっかり吉澤が日本刀で石川を刺したのだと誤解した。しかも相手は無抵抗だったという。
頭に血が上った。高橋は石川の仇とばかりに自分の菊一文字を鞘から抜き吉澤に斬りかかる。
「いやあああぁぁ!!」
刃は振り向こうとした吉澤の右脇に刺さった。高橋はすぐに刀を引き抜く。
吉澤は高橋の顔を見ると驚き、口を開けたり閉じたりと、パクパクさせる。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。
吉澤は何故か抵抗せず、今度は刃は肩から左胸に刺さる。
吉澤は口から血を吐くと、ゆっくりと後ろへと倒れた。
ドスン。
吉澤は後ろ向きに倒れた先には石川がいた。
「ん、ん?」
その衝撃で死んでいたと思っていた石川が目をあける。
高橋は石川の側へと生き、「石川さん、石川さん!」と声をかけた。

吉澤ひとみ(モーニング娘。):死亡 【WATER 7人→6人】

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363 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:53
AIR TEAM'S PHASE──

気絶していた石川だが、何かが足元にドスンと乗っかった衝撃で意識を取り戻す。
「ん、ん?」と目を開けるが、視界がはっきりせず、もやっとしている。
近くで「石川さん、石川さん!」と自分を呼ぶ声がした。
だんだん、視界がはっきりしてくるとそれが高橋だということがわかる。
「あっ、高橋。どうしてここに?」
その言葉を受け、高橋は自分がここにいるわけを話し始める。
同時に自分の足に何かが乗っかっているのに石川は気がついた。
足元を見る。とそこには誰かの上半身があった。顔を見てみるとそれは仰向けに倒れた吉澤だった。
目はかっと見開かれ、上半身はいくつかの致命傷とわかる切り傷がある。
「よっすぃ〜?」石川は起き上がり吉澤の側に行き、体をゆする。予想はしていたのだが反応はない。

364 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:55
「いや、あのー、石川さんがてっきり吉澤さんを殺したと思ったんですよ。」高橋は焦りながら説明する。
「何をいってるの、高橋。なんでよっすぃ〜が私を殺そうとするのよ? そんなわけないでしょ?」
石川はものすごい形相で高橋に迫る。
「いや、でも、松浦さんが…。」
「まあいいわ、で、高橋がよっすぃ〜を殺したの?」
「それはですね、あの、松浦さんがですね。」高橋はしどろもどろだ。
石川は近くに落ちていたシグ/ザウェルを拾うと、銃口を高橋の額に当て、トリガーに指をかける。
「松浦は今は関係ないでしょ? 私はあなたが殺したのかってきいているの!」
これに対し高橋は怯えたように答える。
「はい、はい、殺しました。すみませんすみま…」
石川は高橋の言葉の途中で、シグ/ザウェルのトリガーを引いた。
銃声が学校内に響き渡った。

高橋愛(モーニング娘。):死亡 【AIR 3人→2人】

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365 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:17
SALT TEAM'S PHASE──

松浦にとってこの島は人生を終える地には絶対にしたくなかった。
東京に生きて帰ってあややとして、アイドルを続けるのが絶対条件であった。
だから、どんな手を使ってでも生き残りたかった。

同時に、自分の手を汚したくもなかった。
(人を殺したアイドルなんてまっぴらね)
だから大谷を言葉で攻める事を言って自殺にしむけたし、前田をけしかけてSALTとAIRの争いを起こし、
今もまた、高橋を騙し吉澤を攻撃させた。松浦の予定としてはとりあえず吉澤か高橋かどちらかが争って
死んでくれればいいと思っていたのだが、意外にも息を吹き返した石川が錯乱し高橋を射殺した。
(よし、一気に2人も減った。)
その後も注意深く石川を観察する。

366 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:18
高橋を射殺した石川は吉澤の死体の元でひとしきり泣くと立ち上がり、
吉澤のWATERの衣装の上着を脱がせると、それを自分で着た。
AIRの露出の高めの衣装の上にWATERの赤いちょっとフォーマルな衣装はミスマッチしていて、
(あ、逆にこれはこれでありかもしれない。)
と松浦はのん気に思っていたのだが、やがて石川は歩いてこちらに来る。
目はうつろでその瞳には何もうつっていないだろう。
(ヤバイ)
松浦は下駄箱と下駄箱の狭い空間に隠れ石川をやりすごす。
やりすごす時に、石川が何かつぶやきがながら歩いていくのを耳にした。
幸い石川は松浦に気づかず、昇降口から学校の外へと出て行った。

367 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:19
石川が出て行くのを確認すると、松浦は吉澤と高橋の死体に近づく。
あたりには皮膚の焦げた臭さと、血の匂いと、高橋が撃たれた時に飛び散った
脳漿の匂いが混在しており、耐え難いものだった。
松浦は鼻をハンカチで押さえながら、何か使えるものは余ってないか調べる。
特に直接武器がアーミーナイフしかなかった松浦にとって、
もう少し広い攻撃範囲をもっている武器がほしいところであった。

吉澤のズボンのポケットを調べると、リボルバー式の銃が出てきた。
何かの役に立つかもしれないと思い松浦は銃を自分のナップザックにしまう。
続いて高橋を調べると、吉澤を斬った菊一文字が落ちていた。
人を斬った武器に松浦は少しためらったが決心すると、刃についた血を高橋の衣装で拭き、
鞘を自分の腰につけ刀をしまって、松浦は学校を離れるのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

368 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/17(月) 23:43
WATER TEAM'S PHASE──

辻は加護を保健室に運ぶと自分なりの止血をしてみるが、加護の血はとまらない。
飯田と連絡を取るために、トランシーバー飯田に呼びかけた。
ところが、辻自身は灯台のジャマーの範囲からは外れていたが、飯田がジャマーの効果範囲内であったために、
連絡をとることができなかった。ジャマーの存在を知らない辻は不安になり、
ここにいるべきか、それとも飯田を探しに行こうかと悩んだが、
まだ学校には石川がいることを思い出し、加護を連れて保健室を出て飯田を探しに行く。

と言っても飯田がどこにいるか全くわからない辻は、
トランシーバーで必死に飯田を呼びかけつつ、とりあえず北部へと向かった。

                  *            *

一方、飯田達は、最初にAIRの本部である倉庫へ行って見たものの誰もいなかったので、
次に集会所へと向かう。だが、途中で学校から連絡が一向にないと気づいた飯田は自分から吉澤に連絡をとろうと、
トランシーバーで呼びかけたがこちらも連絡がつかない。
何か異変があったと考え、3人は一旦学校へ戻ることにした。

                  *            *

369 :名無し娘。:2004/05/20(木) 01:54
作者さん作者さん。
途中経過みたいなまとめをつくってくほしいです

370 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
斉藤と保田は亀井と田中には説明しなかったことがあった。
「本当に首輪の効果が解除されたのか」の確認方法である。
いくら首輪の効果が解除されたといっても、それを証明できなければ他のメンバーを説得できない。
PCの中の文書には、首輪システムの侵入方法の他に、首輪の外し方も書いてあった。
といっても力ずくの部分が多く、もし本当に効果が解除されていなければ首輪は爆発してしまうだろう。

保田は、文書通りに首輪システムを解除したつもりだが、それ自体が罠だという可能性もあると考えていた。
だが、斉藤は「それならば、首輪システムに侵入した時点で保田さんの首輪が爆発してしまっているだろうし、
今は、この『味方』を信じるしかない。」と説得した。

それに、他に生命の危険を冒さずに解除されたと証明する方法がないのである。
進入禁止区域にわざと入るという方法もあるが、
元のバトロワでは時間ごとに進入禁止区域が増えていったものの、
このゲームではそれがないので、最初に定められた海に飛び込むくらいしかない。
だが、集会所の近辺は海辺は高い崖となっており、ここから飛び降りたら、首輪と関係無く死んでしまうだろう。
海に直に接するには反対側であるAIRの本部のある西から北西への海岸へ行かなくてはならず、
途中で襲撃者に襲われるかもしれず、これもリスクがある。

371 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
という経緯で、2人は文書に書かれている方法で首輪を外すことにした。
本当は解除されていなかったら、保田の首は飛ぶだろうし、側にいる斉藤も無事ではすまないだろう。
このことは斉藤にも筆談で告げてあるし、斉藤もOKを出しそのリスクを負っている。

現在、保田が椅子に座り、後ろの斉藤がマイナスドライバーを持っている。
斉藤はドライバーで保田の首輪をこじ開けようとしているところである。
こじ開けてから、金属の薄い部分を集会所の倉庫にあった金属用のハサミでぶち切るのである。
外は5月のうららかな陽気にもかかわらず、斉藤の手は汗でひっしょりだった。
(これだけ緊張するのも、デビュー以来かもね。)
ふと斉藤はそんなことを思った。保田は目を閉じてじっとしている。

斉藤は深呼吸をし、息を整えると、左手で首輪を固定し、
思い切って右手でドライバーを首輪の切れ目に突っ込む。

372 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
ガツッ、ガツッ

1、2回目と失敗したが3回目で挿入に成功した。保田の首輪の警告音が鳴り出す気配はない。

ふぅ

2人から同時にため息が漏れた。
(とりあえずは第一段階はクリアってところね。)
差し込んだドライバーを上下に動かす。中がだんだんと見えてくる。
ある程度開いたところで、金属用ハサミを持ち、薄くなった部分を挟みパチンと切る。
あとは、力任せに開き、首輪が外れるところまで広げる。
残るは保田の首を傷つけないように外す。
やがて、保田の首は約1日ぶりに自由となった。保田と斉藤は声を立てずに喜び合った。
斉藤は、田中と亀井を呼びに2階へと上がって行った。

─────────────────────────────────────────────────────

373 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 22:07
>>369
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
11:05 ルール説明 >>4-12
11:20 石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
11:25 ルール説明・続き >>23-24
12:00 ゲーム開始 >>25

こんな感じでしょうか?

374 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 23:01
それともこんなの?

SALT5(中居正広)
×安倍なつみ(説得しようとするが勘違いで大谷に射殺)
_加護亜依(辻と学校を脱出中)
_小川麻琴(そろそろ気絶から回復?)
_松浦亜弥(これからどうしようか考えながらうろうろ)
_前田有紀(稲葉が殺されたことにショック受けながら別荘へ)
×稲葉貴子(ユウキに刺殺)

375 :名無し:2004/05/23(日) 00:40
言った奴が言わないので代わりに。
>>373
>>374
両方の方がわかりやすいと思います。いつも読んでるので頑張ってください。

376 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:49
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
ルール説明 >>4-12
石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
ルール説明・続き >>23
紺野が兵士に撃たれる >>24

377 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:50
じゃ、とりあえず両方のっけます。
ただ、時間は決められないので省略します。

12:00 ゲーム開始 >>25
FOOD 道重を埋葬
FOOD 田中 一人で出て行く
SALT 武器配布、安倍が呼びかけ決意 >>26-28
AIR 武器配布、SALTと交渉のため別荘へ >>29
WATER 矢口・吉澤・辻 紺野の治療用具を得るために、診療所へ >>31-32
WATER 斉藤・村田・柴田 大谷に会うため、倉庫へ 
FOOD 保田・亀井 パソコン探しに出発 >>33-38
SALT 村役場に到着 >>38-40
AIR 別荘へ到着 >>43-44
AIR 新垣 手榴弾入りのナップザックを開け死亡 >>45-47
WATER 斉藤・村田・柴田 田中を目撃 >>51-54
FOOD 保田・亀井 商店に到着、食糧を発見 >>55-57
SALT 安倍 島の中央部の丘より呼びかけ開始 >>58-61
AIR 石川・稲葉・大谷 安倍に新垣が死んだことを伝える >>62-65
AIR 大谷 安倍を射つ >>75-76
SALTとAIRで銃撃戦 >>67-71 >>78-80

378 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:51
WATER 矢口・吉澤・辻 SALTと合流 >>82-84
FOOD 保田 石川と会う >>93-95
FOOD 田中 安倍の最後を看取る >>97-98
FOOD 保田・亀井 役場でPCを見つけるも回線につなげられず >>103-104
吉澤・辻・加護 安倍の遺体を回収 >>88-89
AIR 倉庫で待っていた斉藤・村田・柴田と会う >>99-101
FOOD 後藤・中澤・みうな 商店に食べ物を取りに来る >>116-117
AIR 稲葉、石川に愛想をつかす >>110-111
WATER 矢口・吉澤・辻 飯田に安倍が殺されたと報告
SALT 前田 松浦に手榴弾でトラップを作ったことを告白 >>105-107
WATER 斉藤・村田・柴田 飯田にAIR側からの言い分を報告 >>114-115
SALT 学校へ到着 加護・小川は紺野の看病 前田・松浦は飯田と話し合い >>118-122
WATER 飯田 田中から安倍の遺言を聞く >>123-126
AIR 石川・高橋 冷凍庫に魚発見 >>128-130
FOOD 保田・亀井 集会所に帰還 >>131

18:00 1回目の放送 >>132

379 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:01
7AIR(木梨憲武)
_石川梨華((・∀・)アヒャ!!)
×高橋愛(勘違いで吉澤射殺、怒った石川に射殺)
×新垣里沙(別荘でナップザックを開けてしまい爆死)
×ミカ(ソニンに射殺)
_里田まい(矢口埋葬作業)
×大谷雅恵(海に入って自殺)

380 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:04
11WATER(香取慎吾)
_飯田圭織(学校に戻るところ)
×矢口真里(石川に刺殺)
×吉澤ひとみ(高橋に刺殺)
_辻希美(加護と逃走中)
×紺野あさ美(ユウキに騙されて刺殺)
_藤本美貴(自分を囮にして敵をおびきよせようとしている)
_アヤカ(学校に戻るところ)
×あさみ(ワイヤーでソニンに首斬り)
×村田めぐみ(転ばされてソニンに銃殺)
_斉藤 瞳(首輪の解除中)
_柴田あゆみ(学校に戻るところ)

381 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:06
FOOD6(石橋貴明)
×中澤裕子(稲葉に銃殺)
_後藤真希(矢口埋葬作業)
_保田圭(首輪の解除中)
_みうな(矢口埋葬作業)
_亀井絵里(首輪の解除中)
_田中れいな(首輪の解除中)

EE
ユウキ(獲物発見)
ソニン(???)

382 :名無し娘。:2004/05/23(日) 01:47
>>379に松浦がいないかな?

383 :名無し:2004/05/23(日) 04:43
>>382
松浦はSOLTだよ。スレ汚しスマン。

384 :名無し娘。:2004/05/23(日) 07:55

AIRがやべーな

385 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 15:22
UTABAN TEAM'S PHASE──

「ガツッ、ガツッ、ガツッ。」
保田の首輪についているマイクが、妙な音を拾う。金属と金属がぶつかり合う音がする。
首輪システムが効果をなくしたといっても、それは首輪が爆発しなくなっただけで、
首輪ないの集音マイクは生きているし、生存判定装置もそのままなのである。

アルバイトの男が「これ? なんの音ですかね?」と後ろの石田佳子に聞く。
「トンカチで釘を打っている音ね。何か作ろうとしているんじゃないの?」と彼女は答える。
「へぇー、そうなんですか。」アルバイトは感心する。

(どうやら今度は首輪を外そうとしているわね。こっちも順調っと。彼女に連絡しなくちゃ。)

─────────────────────────────────────────────────────

386 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 16:11
石橋・中居 EE JUMPにルール説明 >>133-134
AIR 里田・石川・ミカ FOODと同盟を結ぶために集会所へ >>135
SALT 夕食しながら今後のことを相談 >>136-137
WATER 夕食しながらゲームからの脱出の方法を相談 >>138-140
集会所で、AIRとFOODが話し合い >>141
里田・石川・ミカと中澤・保田が一緒に倉庫へと戻る
EE JUMP ゲーム開始。武器のある灯台へ >>143-144
SALT 港に到着、高橋と加護と小川の邂逅 >>147-148
SALT 松浦 大谷をおいつめ、自殺させる >>149-150
SALT前田とAIR稲葉 話し合い→異変に気付き桟橋へ >>152-153
SALT とりあえず倉庫から引き上げる
FOOD 田中帰還。PCを持ってくる。「味方」からのメッセージに気付く >>154-156
AIR 稲葉 前田に借りたSALT用のトランシーバーで松浦と連絡をとる >>158

24:00 2回めの放送

387 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:10
AIR TEAM'S PHASE──

矢口を埋葬しようと思ったが、道具がなかったため、
矢口の遺体をとりあえず草むらに隠し、
先にSALTの本部へと着いた里田達だがやはりそこにはミカも高橋もいなかった。
別荘の庭先にスコップなどがないか探したが何もみつからず、
ミカ達が捜索しようにもどこにいるか全くわからないため仕方なく3人は別荘の外で待っていた。
別荘は、道のちょうどT字路の道が分かれている所に立ってあり、
どこから誰が戻ってきてもいいように3人とも別の道を見ていた。

すると、正面の中央の丘へと通じる道を見張っているからみうなが、
「誰か来ますよ。」
と声がかかった。他の道を見張っていた里田と後藤が真ん中に集まる。
こちらへ来る人物はSALTの服装をしていた。
「前田さんだ。」横の里田が呟いた。

388 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
前田は覇気がなくとぼとぼと歩いていたが、正面にいた3人を見ると驚き、目を見開いた。
そして後藤と目があった瞬間、顔つきが険しくなる。
ナップザックに手を入れ、イングラムを取り出すと、
「おまえのせいでー!!!」
と叫び、いきなり乱射してきた。

ぱらららららら

里田が家の門の陰に隠れ、後藤はすかさず横へ転がったが、一番前に立っていたみうなが反応しきれず
腹部に銃弾をくらう。だがなんとか里田のいる門の陰に飛び込む。
「みうなちゃん!」
「うっ」
苦悶の表情を浮かべるみうなの腹の傷からは血が流れ始めているようで、衣装のTシャツを赤く染めていた。

389 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
里田は後藤のほうをみる。後藤は態勢を立て直すと、今、里田達がきた海岸方向へ駆け出すところだった。
途中でコルト・ガバメントを取り出すと、前田を挑発するように2発放つ。
どっちを仕留めようか迷っていた前田はその挑発にのせられ、
「お前の弟のせいで全部台無しだよ!!!」
と叫び、イングラムを乱射しながら後藤を追いかける。
里田は心で後藤に対する感謝と無事を願いつつ、みうなの様子を見る。
「里田さん…、逃げてください…、私はもうだめです…。」
みうなは弱気な発言をする。
「何バカなこと言ってるの! こんなことぐらいで人は死んだりしないわよ!」
里田はそんなみうなに喝を入れる。
とはいうもののお腹の傷は重傷のようでTシャツの血の染みは広がりつつある。
里田は自分の衣装の上着を脱ぎ、みうなの傷よりやや上部に巻きつける。
(止血にすらならないかもしれないけど…。)
「すぐ戻るからちょっと待ってて。」

390 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
というと里田は別荘へと走り、門から中に入り裏側へとまわる。
そこには庭に面したサッシに手にかけ開けようとするが鍵が掛かっていて開かない。
(それならば…)
里田は腰から正宗を鞘ごと抜くと、サッシのガラスに向けてそれを思いっきり叩きつける。
ガラスは派手な音を立てて割れた。割れたところから手を入れて中から鍵を開ける。
里田はそのまま中に入ると、玄関の鍵を解除し扉を開け、玄関を飛び出してみうなのところへ駆け寄る。

「みうなちゃん、立てる?」「は、はい。」
里田はみうなを支えて立ち上がらせて別荘の中へと入っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

391 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:09
EE JUMP 学校を夜襲、あさみ斬殺 >>159-161 >>164-166
EE JUMP 村田銃殺 >>173-177 >>187-190
WATER 被害の確認 >>193-196
FOOD保田・AIR里田 集会所に到着、保田「味方」からのメッセージを見せる >>199-201
WATER 飯田・アヤカ・柴田 捜索隊として出発 >>208-209

3回目の放送 >>211

392 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は海岸沿いを前田から逃げていた。時折コルト・ガバメントで応戦をするが、
目的は、前田を里田達から引き離すことだったので、本格的に狙っていたわけではない。
実際、前田は後藤の後についてきた。AIRの倉庫へ続く海岸沿いの道まで来たところで、
ここまで来ればとりあえずは別荘の2人は大丈夫と思い、
民家の塀に隠れて、前田に声をかける。
「なんで、後藤たちに攻撃をするの? 何もしていないじゃない。」

393 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
「しらばっくれやがって、お前の仲間が稲葉を殺したんだよ!!」
前田の怒りの声が銃声とともに響く。
後藤は思い浮かべる。他の仲間のことを。
(圭ちゃんは自分から殺したりはしないだろうし、PCをいじってるんじゃなかったっけ?
 あとは…、新しい子はよくわからないけれど…。)
「仲間って誰のこと?」
「それはお前が一番知っていることだろう? お前に良く似た弟だよっ。」
(ユウキ!?)
とその時、後藤の側で何かが爆発する音が聞こえた。
これは前田が手榴弾を投げたためであったが、後藤はそれを知らない。
壁にしていた塀が崩れ落ちてくる。
後藤は咄嗟に頭を庇う。塀がそんなに高くはなかったためダメージ自体は少なかったが、
ブロックに下半身が挟まれてしまった。抜け出そうとするが、いつの間にか前田が目の前に来ていた。

394 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
「ユウキがこの島に来ているっていうの?」後藤は自分のピンチにもかかわらず弟のことを聞く。
「それはあんたが知ってるはずだろうが。」前田はイングラムの銃口を後藤に向ける。

その時、前田の後ろに誰かが立った。その人物は左手で前田の口を抑え、
少し大きめのナイフを持った右手で前田の喉を掻ききった。
前田の喉から血がスプリンクラーのように勢い良く飛び散った。
後ろの人物は左手を放す。前田はくぐもった声を出しながら、支えを失って後ろに倒れた。
倒れた後でも、前田の体は首から勢いよく血を飛び散らせながら痙攣を続けている。
前田の後ろから現われた人物は、……ソニンだった。

395 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
ソニンは、後藤の方を一瞥すると無視して前田の装備を物色し始めている。
後藤は、ブロックから抜け出すとソニンに声をかける。
「ソニン……さん? ありがとう…。」
ソニンは、前田のナップザックから手榴弾を取り出して自分のナップザックに入れながら答える。
「…ああいう狂気にかられた手合いは早めに潰さないとやっかいだからであって、
 別に助けたわけじゃない。」
「(まあいいや)で、どうしてここに?」
「この場所にという意味なら君達の後をつけていた。この島にという意味なら連れてこられた。」
「あなたも!? …あなたがいるってことはもしかして?」
ソニンは前田の持っていたイングラムを自分のナップザックに入れる。
他の荷物には興味ないらしく、手をつけずに崩れ落ちたブロックの下に隠す。
「ユウキ? 来てるよ。」
「今、どこにいるの?」後藤はソニンに迫る。
「島のまんなからへんにいるんじゃない?」とソニンはあいまいに言いつつ立ち上がる。
「生きていたらまた会うかもね。」といいつつソニンは西方向へと去っていった。

前田有紀:死亡 【SALT 4人→3人】

─────────────────────────────────────────────────────

396 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、学校を出てから一度紺野がいた民家に立ち寄り、飯田達が紺野を埋めた場所に、
途中で摘んだ花を供えると、決意を新たにし、南に離れた民家を拠点と決めて、
準備をすると襲撃者を待つ。だが、なかなか登場しない。
家の中にいても相手がみつけてくれないかと思った藤本は屋外で待つ。

ちょうど待ちくたびれた頃、何かが横から飛んでくる気配がしたので横を振り向く。
そして偶然に飛んできた黒いボールのようなものをキャッチし、それを反射的に投げ返した。
それは、轟音とともに空中で弾けた。弾けたものから生まれた煙があたりを覆う。
藤本は咄嗟に近くの木の陰に隠れた。

397 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
その煙の中から銃声が聞こえ、藤本の隠れている木に銃弾が当たる。
その後、煙の中から右手に剣を、左手に銃を構えた一人の少年が飛び込んでくる。
(あれは…ユウキ? あいつがあさみさんと村田さんを殺した…
 もしかしたらあいつが紺ちゃんも…。)
藤本は足元にある小石を拾うと、遠くに投げる。小石は地面に当たり「カッ」という音を立てる。
ユウキはその音の方向に銃を撃つ。
銃声に紛れて藤本は拠点のある民家へと逃げる。ユウキも気がついたのか藤本に向けて銃を撃った。
銃弾の内の一発が藤本の左上腕部をかすり、衣装を焦がす。
藤本は熱さを伴う鋭い痛みを感じたが、かまってはいられない。民家に入る。
ユウキも藤本の後を追いかけ始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

398 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:56
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ユウキは、さっきの稲葉にやったように手榴弾で相手を弱らせてから、
エクスカリバーで止めを刺すつもりだった。だが、相手は手榴弾をキャッチし、
しかも投げ返してきた。手榴弾は途中で爆発したが、相手の状態はよく分からない。
とりあえずエクスカリバーを茂みに置き、ワルサーを取り出して相手の方にせまる。
煙が徐々に晴れ、辺りが確認できるようにはなったが、相手の姿は見えない。
(ちっ、逃げたか?)

その時、右後方でカツッと物音がした。足音と思い振り向きざまワルサーを撃つ。
ところが姿は見えない。また右後方から今度ははっきりとわかる足音が聞こえてきた。
またも振り向き姿を確認すると、逃げていくWATERの姿に向けてワルサーを放つ。
(あの衣装と髪型と身長からすると、藤本か?)
1発かすっただけで命中することはなかった。藤本は近くの民家に逃げ込む。

399 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
「逃がしはしねえよ。」
そう呟くとユウキは民家へと追いかける。玄関から入ったところでユウキは藤本が正面の部屋に入ったのを見た。
ユウキも続けて追いかける。正面の部屋に入ろうとしたところで足に何かが引っかかった感触があった。
それが何かを確かめる前に、上から何か粉のようなものが大量に落ちてきた。
その粉末がユウキの視界を遮る。そして…。
(何だこれは? ん?)
そのとき、ユウキはとある衝動に駆られた。
「ふ、ふわっくしょい! ふわっくしょい! こしょうか、くそっ!!」
ユウキはこらえきれず何回も何回もくしゃみをした。たまらず廊下へと戻る。
「ふわっくしょい!」
それでも視界が晴れくしゃみが収まるまで、2分程度かかった。
「時間稼ぎかよ!!」
ユウキは急いで部屋に戻る。

400 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
視界が晴れてよく分かったのだが、部屋はどうやら洗面所のようで洗濯機などがおいてある。
奥には外へ出る裏口があり、ユウキはそこから外に出る。
そこは家の庭だった。物干し竿や物置がおいてある。
「どこ行った! 隠れてないで出て来い!」ユウキはワルサーを構え叫ぶが、反応はない。
(家の横に回って逃げたか?)
とその時、庭の植え込みに赤いものがあるのに気付いた。
(なんだ?)
良く見てみるとそれは赤い布が植え込みから少し出ている。
(こんなところに隠れているのか。っていうか隠れたつもりだったのか。)
ユウキはニヤリとした。
「くそっ、逃げやがったな。」
と言いつつ、わざと足音を立てて追いかけたふりをする。
それから逆に足音を消し、赤い布の方へとゆっくりと歩いていく。
そしておもむろに、隠れていると思われる場所に向ってトリガーを引いた。
周囲に銃声が轟く。
「やったか!?」
とその時、背後から衝撃を受け、うつ伏せに倒れた。

─────────────────────────────────────────────────────

401 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/29(土) 23:59
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、自分の衣装の上着をわざと端だけ見えるように植え込みに隠し、
自分は物置の影へと隠れた。ユウキは裏口から出てきて、一旦は横へ行くふりをし、
足音を消して上着を置いてある場所の近くまで戻ってくる。
そして、ワルサーを上着に向って撃った。

銃声と同時に物置の横から出てユウキの背中へとショルダーチャージをする。
ユウキはそのまま受け、うつ伏せに倒れた。藤本はすかさず上に乗る。
ユウキは起き上がろうとするが、藤本が背中に乗っかっているせいで起き上がれない。
藤本はまずは、ユウキが落としたワルサーを取り、自分には扱えないものなので、
庭の池へとワルサーを投げる。ドポンという音とともにワルサーは池へと沈んだ。
腰から護身刀“竜穿”(小剣)を取り出し、ユウキの首筋に当てる。
「ちょ、ちょっと待って。殺さないでくれ。頼む。」
ユウキは懇願する。

402 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:00
「は? 何言ってるの? あんたあさみさんや村田さんばかりでなく、美貴を殺そうとしたんだよ?」
「ち、ちがう。俺はソニンに無理矢理やらされたんだ。今だってソニンが先に攻撃しろって…。」
(じゃあ、今、近くにソニンがいるっていうこと?)
藤本は咄嗟に後ろを振り向いた。ユウキはその隙を見逃さず右足を折り曲げかかとのキックを藤本に見舞う。
虚をつかれた藤本は脇腹にキックを受けバランスを崩す。
ユウキは横に回転し、藤本の下から抜け出と、近くの自分のナップザックを掴み、藤本と距離を取った。
藤本もすぐに体勢を立て直し、護身刀“竜穿”をつかみ立ち上がる。
ユウキはナップザックから鉄の爪を取り出し、手に装備する。

403 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:01
「お、お前それをどこで?」見覚えのある武器に藤本はユウキを問いただす。
「これか? 戦利品だよ。あいつ…紺野とか言ったっけ?
 こっちが『無理矢理連れてこられた』っていったら簡単に気を許しちゃってさ。」
「じゃあ、お前が殺したんだな?」藤本はユウキを睨みつける。
「ああ、剣で腹をグサリとな。なかなかいい声で泣いてやがったぜ。
 それにしてもあいつ泣くとブッサイクだよなあ。」ユウキは挑発する。
「…かかってこい。包茎野郎。」藤本も中指を立てて挑発し返す。
「お前も直ぐに会えるよ。あの世でなっ!!」
と叫ぶとユウキが右手で藤本の顔面めがけて切りかかってくる。
 
                  *            *

404 :名無し娘。:2004/05/30(日) 10:12
美貴様美貴様(ユウキに)オシオキキボンヌ

405 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:40
藤本がモーニング娘。に加入すると発表になった後の
2003年の正月のハロコンの待ち時間の時、紺野と他愛もない話をしていた。

「…そういえばさ、紺ちゃんって空手やってたんだよね?」
趣味の話からの派生だった。
「うん。ちょっとだけだったけどね。」
「いいなあ。そういうのって。やっぱり今日び自分の身は自分で守らなくちゃね。」
「美貴ちゃんは、空手とか合気道とか、護身系のものってやってないの?」
最初は紺野は藤本のことを「藤本さん」と呼んでいたのだが、
堅苦しいので「美貴ちゃんでいい」と藤本の方からお願いしたのだった。
「ま、そういうちゃんとしたものはね。そうすっとさ、やっぱり正拳突きとかってちゃんとできるの?」
「ちゃんとっていうか、形はあるよ。」
「それ教えてよ。…いつなんどき変態に襲われるかわからないからさ。」
紺野はにっこり笑みを浮かべると、「うん。わかった。」と頷き、藤本に説明し始めた。

                  *            *

406 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:41
藤本は護身刀“竜穿”を左手に持ちかえると、ユウキが右手の爪で切りかかるのを体をひねって交わす。
爪の切っ先が藤本の頬をかすめる。
(腰で体のしなりを作り、十分にスピードを乗せて突く。)
よけた時に体をひねっておいて、ガラ空きとなったユウキの右ボディに向けて
4ヶ月前に教えてもらった通りに正拳突きを放つ。
(当たる瞬間に拳をより強く握り締め、脇も固め、引き手を十分に引く。)
ユウキは今日2発目の正拳突きをくらい吹き飛んだ。
藤本は護身刀“竜穿”を右手に戻しながら、横向きに倒れたユウキに取り付き、
正面を向かせるとためらうこともなく、その左胸に護身刀“竜穿”を突き刺した。

ユウキ:死亡 【EE JUMP 2人→1人】

─────────────────────────────────────────────────────

407 :名無し娘。:2004/05/31(月) 06:37
鳥肌立った   ミキティありがとうミキティ・゜・(ノД`)・゜・

408 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:43
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は、別荘の前に戻ってきて里田とみうなを探す。ところが2人ともみつからない。
もちろんトランシーバーで呼びかけてみたのだが答えはなかった。
実は2人は別荘の中にいるのだが、後藤はまさかガラスを破ってまで侵入をしているとは思っていなかった。
どこかへみうなを治療できる場所に移動したと思い地図を探る。
(診療所!? ここかな?)
後藤は1人診療所へと向った。

─────────────────────────────────────────────────────

409 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
WATER TEAM'S PHASE──

藤本はユウキを倒し一息つくと、ユウキの胸から護身刀“竜穿”を引き抜き、
それを庭の池で洗うとユウキのナップザックを持ち、家の中へと入る。
洗面所に鏡があったので藤本は気になることを確かめるために鏡を覗く。
左頬のところに一筋の傷跡を発見した。
チッと藤本は舌打ちをする。さっきのユウキが鉄の爪で切りかかって来たときに出来た傷だ。
(ま、そんなこと気にしている場合じゃないね。人殺してるんだし。)
藤本は自虐的な笑いを浮かべるとユウキのナップザックを探る。
出てきたのは、手榴弾2発と、PDAのようなものだった。
(なんだこれ?)

410 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
藤本は不思議に思っていろいろいじくっているうちに電源のようなものを見つけ、
それをONにする。すると、モニターの中心に青い点が1つ写し出された。
(どういうこと?)
別のスイッチを押すとやがて右に黄色い点が1つ。
右上の方に黄色い点と青い点が1つづつならんでいてどちらもすこしずつ動いている。
さらに同じスイッチを2回押すと、今度が画面のあちこちに4色の点が現われた。
そこで藤本はピンと来た。
(これってもしかしてレーダー?)
とりあえず一番近くにある右の黄色い点に向って歩き始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

411 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 22:52
現在の状況
SALT
∬´◇`)<加護さん、どこ行ったんだろう…。
从‘ 。‘从<そろそろ別荘にもどろっかな〜。
( ‘д‘)<………。

AIR
川=‘ゝ‘=||<みうなちゃん、大丈夫?
( ゚▽゚)<あひゃひゃひゃひゃ!!

WATER
( ´D`)<あいぼん、にげるのれす。
川VvV从<レーダーゲトしますた。
川σ .σ|||川‘▽‘)|川‘〜‘)||<学校で何があったのかしら?
ξξ “ З.“)<解除中……

FOOD
( `.∀´)<解除中……
从 ` ヮ´)ノノ*^ー^)<どうなるのかなあ?
( ´ Д `)<里田さんとみうなちゃんどこいったの?
μ TヮT μ<痛い……。

EE JUMP
从0‘ ∀‘ 0从<次はどうしようニダ?

412 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:56
SALT TEAM'S PHASE──

いまや生きている者は誰もいない学校。ここにまた一人の人物がおそるおそる入ろうとしていた。
小川麻琴である。石川に気絶させられ、誰にも見つかることなく、普通に気絶から回復した小川は、
加護のことを思い出すと急いで学校へと向かった。高橋達と同じく校門前の血痕を発見し、
加護と同じく「誰かいませんか〜?」と呼びかけるも反応がなかったので、
ゆっくりと昇降口から学校へと入る。やがて廊下とクロスするところへ出た小川は、
左側に2人の人物が倒れているのを見つけた。

小川はまずは手前の人物かけよる。
「愛ちゃん?」
それは小川の同期で、一番エースに近く事務所の後押しもあり、小川が羨ましかった人物だった。
その整った顔立ちは今や恐怖で固まり、額のほぼ中央にはコイン大の穴があいて、
その周りの皮膚は焦げていた。また穴から出た粘っこい血はどろりとこめかみの方へと垂れていた。
時間がちょっと経ったのか血は固まっているように思えた。
また頭の後ろの床には脳漿と思われる液体が飛び散っており、それの匂いがまだ残っている。

413 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:57
小川は思わず顔をそむける。そむけた方にはもう1人の人物がいた。
「吉澤さん?」
それは小川の1期前の先輩で、いつもかっこいいし、楽屋ではちょっとクールな憧れの先輩だった。
吉澤の体は鋭利なもので何回か傷つけられている。そのうちの1つが右胸を抉っており、
これが致命傷だろう。

「!!」
小川は突然吐き気を催し、以前学校に来たときに使ったトイレの位置を思い出し、
2人の死体から逃げるように走り始める。
2人をもう“気持ち悪いもの”としてしか認識していない自分に呆れながら…。

                  *            *

414 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:35
一方、歩くのにも限界が来た加護は辻に背負ってもらっていた。
「重くてごめんな。」
「…東京に戻ったら、一緒にダイエット………バナナって結構……いいらしいよ。」
辻の声がところどころで聞こえなくなってきた。おそらく出血多量によるものだろう。
「そうだね。」
自分の声も自分の頭の内部で響いていて、本当に自分が声に出したのかがわからなくなっていた。
(そろそろ限界やな。)
加護は自分の生命が尽きようとしていることを自覚していた。
(あれだけは言うとかんと。)
「なあ、のん。」
「何?」
「あんなー、前にのんがアイスがなくなったって騒いでた時があったじゃない。」
「うん、あった……誰かの……」
「あれなー、食べたの加護なんだ。なんか1つぽつんってあったから、余ってたのかなって思っちゃって食べちゃったんだ。
 のんが騒いだ時も言い出せなくて……。ごめんな。」
「……あいぼんだった……、びっくり……良く言ってくれたね。」
「言わなくちゃいけないと思って。本当にごめん。……ちょっと眠くなったから眠る。」
「わかった。」
加護は辻の背中で揺られながら考えていた。
(それにしても頼もしい背中や。いつのまにこんなに大きくなったんやろ?)

415 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:36
加護にとって辻は相方だった。はじめのころこそ、唯一の同年代の友達として仲良くしていたが、
加護がたんぽぽに入り、忙しくなるにつれあんまりプライベートで遊ばなくなった。
加護は加護で後藤たちと仲良くなり、辻は辻で飯田や安倍たちと仲良くやっていたようだ。
ミニモニにともに入り、写真集を「辻加護」として入るにつれ、
加護は辻のこと「相方」と思うようになっていた。

加護の意識がだんだん遠のいていく。目の前にあるのが背中という感触はすでになく、
何か暖かいものであった。
(でもこうして、相方の背中に背負われて終わる人生も悪くはない人生や。
 のの、最後まで生き残るんやで……。)
その瞬間、辻の肩に置いてあった手から力が抜け、振動につられ、
すうっと、加護の手が辻の肩からずり落ちたのだった。

加護亜依:死亡 【SALT 3人→2人】

─────────────────────────────────────────────────────

416 :名無し娘。:2004/06/03(木) 23:32
あいぼぉぉぉぉぉぉぉぉん。・゚・(ノД`)・゚・。

417 :名無し娘。:2004/06/04(金) 21:31
殺伐としたなかにも「ええ話」が・・・(泣)。

418 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ジャマーを一度切ってユウキと連絡を取ろうと、レーダーであたりの注意を払いながら、
灯台へと戻っているところであった。
後藤達3人をつけていたことで後藤を偶然救う形となっていたソニン。
だが、何故あそこで後藤を助けたかは自分でもわからない。放っておいてもよかったはずだ。
(やはり、あいつの姉だからか? まさか?)
それを考えるのはとりあえずやめて、ユウキの位置を確認するためレーダーの範囲を広げる。
どんどん拡大していくが、自分以外のEE JUMPのメンバーであることを示す紫の点はみつからず、
ついに島全体をカバーするまで範囲を広げるが、やはり紫の点は存在しなかった。
「どういうこと?」思わず口にする。
そのとき辺りに「うたばん」のテーマが流れ始めた。
(もう昼か……。)

─────────────────────────────────────────────────────

419 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
「石橋貴明が、お昼の12時をお知らせします。ぷっぷっぷっぷー。
 どーもぉ、みなさんお元気でしょうか? あ、死んでるヤツもいるんだっけ。
 まいっか、死亡者の発表をするぞ〜。
 SALT、稲葉貴子・前田有紀・加護亜依、それとAIRのミカ・高橋愛、WATERの紺野あさ美・矢口真里・吉澤ひとみ、
 FOODの中澤裕子、最後にスペシャルチーム ユウキ。以上の10人だ。
 ここへ来てハイペースになっているじゃないかあ。その調子でどんどん殺しあってくれ。」

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420 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:54
FOOD TEAM'S PHASE──

「10人…」亀井は思わずつぶやいていた。
「10人…」隣の田中もつられるように同じことをつぶやく。
ふと保田をみる。保田は窓の外のきっと睨みつけていた。
同期であった矢口の他、娘。だけで5人も死んでいるのだ。
メンバーになって1ヶ月強の亀井でさえ、なんだかやりきれない気持ちになっている。
5年間モーニング娘。として裏を支えてきた保田の気持ちは推して知るべきだろう。
現在は、亀井の首輪を外してもらっているところである。
このあとは田中の首輪を外す予定である。

─────────────────────────────────────────────────────

421 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
SALT TEAM'S PHASE──

松浦は別荘へと戻る途中だった、なぜなら本来はそこで待っているはずだったからだ。
現在は島の中央の丘からやや北へと進んだところだ。もう少し進めば右に道が別れ、
そっちは診療所へと続いているはずだ。下は砂利道で細く、車は通れないようだ。

松浦も放送を聴いて驚いていた。
(前田さんと稲葉さんと加護ちゃんが死んだ? そしてSALTはあと2人?
 どうしよう? まつーらとまこっちゃんだけ、しかも2人ともばらばらじゃ、生き残れない…。
 そうだ! まだ人数の多いWATERかFOODに入れてもらえればいいんだ。
 ……FOODにあんまり仲良い人いないんだよね。やっぱりWATERか。美貴ちゃんがいてくれれば話は早いんだけどな。)

422 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
と、その時、後ろから「亜弥ちゃん?」と聞きなれた声が松浦にかかった。
後ろを振り向くと、そこには今心に思い浮かべた人物がいた。
「美貴ちゃん!!」
(ラッキー! まつーらツイてる! ありがとう、神様仏様イエスキリスト様アッラー様…)
松浦は心に浮かんだありとあらゆる神様に感謝した。
「ふ〜ん、黄色はSALTなんだ〜。」といって藤本は近づいてくる。
手にはPDAのようなものを持っている。
「よかった! まつーら一人で寂しくしていたんだよ。みんなとはぐれちゃって、
 今の放送で前田さんとか稲葉さんとか加護ちゃんが死んじゃっててすごく悲しかった。」
「美貴のいるWATERも、紺ちゃん・矢口さん・よっすぃ〜といなくなっちゃった。」
30秒ぐらい静寂が続いた。松浦は死んだ人間のことを考えていたし、藤本もきっと同じだろう。
松浦は、気を取り直すとさっきから気になっていることを藤本に質問した。
「その傷どうしたの?」近づいて来てわかったのだが、藤本の左頬に横一文字に傷がついていた。
「ん、ちょっと転んでね。」藤本は左頬に触れながら答える。
松浦は傷に関してもう少しつっこみたかったのだが、藤本はあまり話したがらさそうだったので別の話題にうつることにした。

423 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:13
「…ところで、右手に持っているそれ、何?」
「これ? レーダーっていえばいいのかな…。みんなの居場所がわかるんだ。
 この青い点が美貴。んで黄色い点が亜弥ちゃん。」
松浦は覗き込む。そこには黄色い点と青い点が中心付近に並んでいた。
「ここを押すと」と言って藤本は画面の下部についているスイッチを押す。「範囲が広がるっと。」
すると、黄色い点と青い点の位置は変わらないが、赤い点が2つと緑の点が1つ上部に現われた。
赤い点のうちの1つは2人に近づいているようだ。
「へぇ〜、すごいね。」
「美貴は、これで仲間を探すんだ。みんなバラバラになっちゃったでしょ。」
「ねえ、まつーらも一緒に行動していい? やっぱり1人よりも2人の方が心強いし。」
(美貴ちゃんが仲間を集めて、タイミングを見計らってWATERに入れてもらおっと。)
すると、藤本は少し考えて口を開ける。と、その時、
「あれ? ミキティにあややじゃん。」という声が松浦が今から向おうとしている方から聞こえてきた。
2人とも声のした方向を振り返る。

後藤真希だった。

そして、松浦は藤本の顔色が少し沈んだのに気がついた。

─────────────────────────────────────────────────────

424 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:21
SALTとAIR 和睦しようとするもSALTの計画により中澤銃殺、その責任を石川に >>210-212
WATER 探索隊 別荘へ >>214
AIR ミカ・高橋 丘へかけつけるも、SALT逆ギレで石川つれて退散 >>215-216
SALT 加護・小川 丘へ出てくる→稲葉SALTにチーム変更 >>223-227
WATER 矢口 SALTに遭遇、中澤の死を知る >>228-230
FOOD 保田 PCと格闘&中澤の死をSALT側とAIR側から報告をうける
後藤・里田・みうなは倉庫へ >>234-238
SALT 稲葉がSALTに移るまでの経緯 >>241-245
SALT 加護・小川 WATERに亡命決意 >>246
AIR 石川 SALTの目的に気付きブチギレて、別荘へ >>247-250
WATER 藤本 学校へ帰還 >>251-252
WATER 紺野 隠れていたところを発見され、騙されてユウキに殺される >>253-263
FOOD 後藤・里田・みうな 直接別荘へ >>268
WATER 斉藤 集会所へ >>269-270
矢口・石川遭遇。石川が矢口を斬殺 >>271-273 >>278-279
SALT 加護・小川 別荘を出ようとするところを松浦に見つかるが通してもらう >>274-277

425 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
誰かから誰かへのメール >>281
WATER 斉藤 集会所へ到着 >>282-283
WATER 吉澤・辻・藤本 紺野の死を知る >>284-285
WATER 藤本 仇を討つために出て行く >>287-289
AIR ミカ EE JUMPの2人に殺される >>290-299
EE JUMP ユウキが単独行動をとる >>304-306
AIR 石川 加護・小川を追いかける >>309-315
SALT 小川 石川と話し合うが決裂。気絶させられる >>317-319
SALT 前田・稲葉 中澤の遺品を集会所に届けにくる >>320-321
高橋・松浦 石川達を追う >>322-324
EE JUMP ユウキが稲葉を突き殺す >>325-327
EE JUMP ソニンがジャマーを起動 >>331-333
AIR 石川が加護においつく >>334-336
WATER 辻 加護を守る >>340-341

426 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
木梨 現在の状況を確認する >>342-344
石田AD 保田の侵入を確認する >>345-346
後藤・里田・みうなが矢口の死体発見 >>347
WATER 吉澤 石川達の仲裁 >>348-351
FOOD 保田 首輪の爆発装置の解除 >>353-354
WATER 吉澤 加護たちをおいかけようとする石川を気絶 >>355-357
AIR 高橋 吉澤が石川を殺したと勘違いし斬殺 >>358-362
AIR 石川 吉澤が殺されたことに怒り高橋を射殺 >>363-364
SALT 松浦 学校で使えそうなものを自分のものにする >>365-367
WATER 辻 加護とともに北へ >>368
保田と斉藤 首輪を外す >>370-373

427 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
石田AD 首輪を外す行為を確認 >>385
SALT 前田 後藤・里田・みうなに発砲 みうな怪我 >>387-390
EE JUMP ソニン 前田の喉をナイフでかき切る >>392-395
藤本VSユウキ >>396-406
FOOD 後藤 診療所へ >>408
WATER 藤本 レーダーを発見 >>409-410
SALT 小川 学校で高橋と吉澤の遺体発見 >>412-413
SALT 加護 辻に背負われながら出血多量で死亡 >>414-415
EE JUMP ソニン 灯台へ >>418

3回目の放送 >>419

428 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/08(火) 00:11
容量オーバーの前に物語を終わらせたいが・・・・

429 :名無し娘。:2004/06/08(火) 13:34
>>428
思うようにやってください。楽しませてもらいます。

430 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
FOOD TEAM'S PHASE──

里田とみうなを探す後藤は、別荘を離れ診療所に向ったがそこには誰もいなかった。
診療所で放送を聴いたが、里田もみうなも死んではいなかった。
とはいえ、吉澤や加護、自分の実弟であるユウキの死にはかなりのショックをうけたのだが。
しかし実際に死体を見たわけでもないので、彼女らの死については実感がなく、悲しかったが涙は出なかった。

里田とみうなは集会所に帰ったのかと思い、一旦集会所に戻ることにした後藤は、
途中で藤本と松浦をみつけた。そのまま避けて行こうかと一瞬迷ったのだが、
2人とも一応同じユニットに配属された縁もあり、声をかけた。

「あれ? ミキティにあややじゃん。」

431 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
2人は後藤の進行方向、南を向いていたのだが、2人そろって振り向く。
「ごっちん…。」松浦は驚く。
藤本は黙って振り向く。その左頬には横一文字の傷があるのに後藤は気がついた。
「どうしたの、こんなところで?」と後藤は尋ねる。
「偶然、美貴ちゃんと会ってね。といっても美貴ちゃん、レーダー持っているから美貴ちゃんからすれば、
 偶然でもないんだろうけど、ね。」と隣の藤本に賛同を求める。
ところが隣の藤本は下を向いて黙っていた。
「どうしたの、美貴ちゃん?」松浦は心配して尋ねた。
藤本はそんな松浦の質問にはこたえず、真剣な表情をすると、
「ごめん、亜弥ちゃん、ちょっとここで待っていて。」と言って後藤の方へすたすた歩いてくる。
(どうしたんだろう?)と考える後藤に近づき、「ちょっと話がある。」と言って、
後藤のデニムシャツの袖を引っ張りつつ、後藤が来た方向へ歩いていく。
30mぐらいは歩いただろうか。松浦には姿は見えるけど、声が聞こえないところまでは来たようだ。
藤本は立ち止まると「聞いて欲しいことがある。」と話をはじめる。
「何?」「ごっちんの……弟のこと。」藤本は表情を変えずに答える。
後藤は生唾を飲み込んだ。

432 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
それから藤本は語り始めた。ユウキとソニンが今朝、夜明け前にWATERの本部である学校を夜襲し、
あさみと村田を殺したこと。その後、藤本が単独で行動していたところユウキが襲っていたこと。
それでユウキと争い、ユウキが死んだ紺野の武器を持っていたこと。
そして……ユウキを殺したこと。

後藤は話の途中で、藤本がユウキを殺したということはなんとなく予測はしていたが、
実際本人の口から聞くとショックだった。
藤本が話を終え、後藤も喋らなかったので、沈黙が1分程続いた。
後藤は何気なしに、松浦の方を見る。松浦はつまらなさそうに地面を蹴っていた。
「よく言う気になったね。」とここではじめて後藤は藤本に言った。
「人の弟殺しといて、よくも堂々と。」と後藤は右手で銃を作り人差し指を藤本の額につけ、
「バァーンって殺されるかもしれないのに。」と撃つ真似をした。
「言っておいた方がいいと思って。」藤本は後藤を見たままそういう。
「てかさ、ミキティはそれをあたしに言ってスッキリしたかもしれないけどさ、
 あたしにとっては、『はぁ? 何、それ?』って感じ。
 ミキティから見れば自分の仲間を殺したやつだけど、あたしにとっては可愛い弟なんだよ。
 『正当防衛であなたの弟を殺しました。仕方ないですよね?』
 みたいに開き直っている感じがするんだよ。」後藤も藤本を真直ぐ見ながら言う。

433 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
「別にそんなつもりは……。」と藤本。
「……うん、わかってるよ。…そんなつもりじゃないのはわかってる。」
後藤は下を向いて首を横に振りながら続ける。
「ごめん。ミキティにこんなこと言ってもしょうがいないよ。全部、あいつら、うたばんのやつらが悪い。」
「弟が死んだってわかって、すぐ言った私もタイミング悪かったね。」藤本は詫びた。
「んで、あいつと争ったのってどこ? この島に来てわたしはあいつとは会っていないから、
 せめて死体のあいつでも会おうと思って。」
「……美貴が案内するよ。ちょっと目印になるものもないし。」と藤本が自分も同行することを提案した。
「そうしてくれると助かるよ。」
「じゃあ、亜弥ちゃん呼んでくる。」といって藤本は松浦の方へと歩いていこうとする。
「あ、ちょっと待って。」と言って後藤は呼び止める。
「何?」藤本は振り返る。
「まっつーは一緒に来てほしくないんだ。」
「え、なんで?」

434 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:49
今度は後藤が藤本に語る番だった。SALTが中澤を殺した責任を一方的に石川に被せたこと、
その後タイミング良く、稲葉がSALTに加わったこと。
このことからおそらくもともと稲葉がグルではないかという推測。
そしてさっき、前田がいきなり後藤達に襲い掛かってきたこと。

「ま、松浦がどこまでかんでいたかはわからないけどね。
 後藤はSALTを信用してないんだ。だから一緒に行動したくない。」
藤本は面食らって、少し考えているようだったが、
「わかった。2人で行こう。」
「ごめんね。わがまま言って。」

─────────────────────────────────────────────────────

435 :名無し娘。:2004/06/10(木) 01:33
ミキティかっこいいよミキティ

436 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/10(木) 23:32
FOOD TEAM'S PHASE──

『さて、いよいよ急がなくちゃね。』保田は筆談で会話する。
斉藤が保田の首輪を外した後、亀井達はお互いの首輪を外して4人とも外せるようにはした。
だが完全にはずしてしまうと、カメラに写ったら即バレてしまうので、
一応首には装備しておいて、いつでも外せるようにしてあった。
そして今から4人で手分けして、みんなに首輪の効果がなくなったことを知らせて回るのである。
組み合わせは保田と亀井、斉藤と田中の2手に別れる。
保田達は、東の学校方面へ、斉藤達は西の港方面へと向かう。
「それじゃあ、みんな行くわよ。」
こうして4人は集会所を出発した。

─────────────────────────────────────────────────────

437 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
SALT TEAM'S PHASE──

待ちくたびれた松浦は座り込んでいたが、後藤と藤本が近づいてくるのを見ると、
立ち上がりお尻をパンパンとはたく。
「話長かったね。んで、たん、どこに行くの?」
「ん、ごっちんとちょっと行かなくちゃいけないところがあるんだ。」藤本の顔色は冴えない。
「え、まつーらは?」
「ごめん、一緒にいけない…。」
松浦は藤本が当然自分と行動してくれるものとばかり思っていたので、
藤本の突然の翻意に驚愕し、声が出せないでいた。
「…なんで?」10秒後、松浦は少し怒りを込めた声で理由を尋ねた。

438 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
「後藤が2人だけで行動したいって言ったからなんだ。」と隣の後藤がかわりに答えた。
「なんでまつーらはだめなの?」松浦は、そんな後藤を睨みながら尋ねる。
「ふう…」後藤は松浦からいったん目を逸らし、遠くを見つめるとまた松浦と視線を合わせる。
「まっつーのいるSALTがさ、裕ちゃんを殺したっていう話が耳に入ってきているんだよね。
 しかもその罪を梨華ちゃんに被せたっていう話も。」
「そんなのAIRが流しているデタラメに決まっているじゃない。」松浦は声を荒らげる。
「その話が本当かデタラメかっていうのは判断できないんだけど、
 要は後藤はSALTも梨華ちゃんも信用しないってこと。
 だから信用しない人と一緒に行動しない、とそういうこと。ミキティ行こう。」
「う、うん。」藤本は名残惜しそうに松浦をちらちらと振り返りながら、
後藤とともに丘方向へと歩いていく。その道は右側が角度のきつい斜面になっている。
2人はわりと右側を歩き、左に藤本、右に後藤という隊列である。

439 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
松浦は左の親指の爪を噛みながら、2人を恨めしそうに睨んでいた。
自分だけが仲間はずれにされた事、親友の藤本に後藤が余計なことを吹き込んだ事。
(後藤が余計なことを言わなければ……。あの魚女め!)
松浦は体が勝手に走り出していた。
後藤と藤本は熱心に何か話し合っているらしく、こちらには気付かないようだ。
松浦はスピードを上げる。ある程度近づいたところで2人は気付いたらしく、2人とも振り返る。
松浦は両手を前に出し勢いをつけて、振り返った後藤を斜面側に突き飛した。

─────────────────────────────────────────────────────

440 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、通常ならば後藤よりも松浦を優先するところであったし、
どっちを信じるかって言われれば、松浦の方を信じただろう。
実際この時も、中澤さんの件に関しても松浦は軽くしかかんでいないだろうと思ってはいた。
だが後藤の言うとおり松浦の同行を断ったのは、ひとえに「後藤の弟を殺した」という負い目からだった。
とはいえ、殺した行為自体は正当防衛だとは思っていることには変わりはない。

松浦を置いて2人で、藤本とユウキが戦ったところへと向う。右側が急斜面になっており、
自然と後藤が右側になった。
「その顔の傷…」と後藤は自分の左頬を指で一文字になぞる。「もしかして…」
藤本は黙って頷く。それで後藤も全てがわかったようで、「そう。」というと、
「ところで、その家までここからどれくらいあるの?」と話題を変えた。

441 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
その時である。後ろから誰かが砂利道を駆けて来る音がする。
2人は振り返るとそこには、怖い顔をした松浦が走ってきていた。
松浦は振り向いた後藤の胸を、ドンと斜面のほうへと突き飛ばす。
突然の事に後藤は対応しきれず、体勢を崩しながらも咄嗟に松浦の手を掴む。
後藤の後ろには一応、転落防止用らしき木の横板があったものの長年の風雨で腐っていたらしく、
倒れてきた後藤を支えられずあっけなく破れる。

後藤と松浦は2人で斜面上に投げ出される。
藤本は慌てて、道路の端へ行き斜面を見る。2人は悲鳴をあげながら斜面を転がっていく。
途中まで2人は同じ軌道で動いていたが、途中からは別々の軌道を描きながら落ちていく。
斜面の下の方は林となっており、2人は林の中へと落ちていき姿を消し、
ここからでは2人がどうなったかわからない。

藤本は地図を取り出す。この下の林に行くには、島の北東部の海岸方面からしか行けないようだ。
藤本は地図をしまうと、別荘方面へと急いだ。

─────────────────────────────────────────────────────

442 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:30
SALT TEAM'S PHASE──

学校にいた小川だったが、結局逃げるようにして学校から出てきてしまった。
とりあえず、行く先もなかったが、なんとなく別荘へと戻っていた。
戻る途中で、12時の放送を聞いた。10人もの死者が出てしまったこと、
特にSALTのメンバーが3人も死んでしまったことにショックを受け、ますます落ち込みながら歩いていく。

やがて別荘へと着く。石川に襲われた時に、松浦に拒絶されたことを思い出し憂鬱になる。
(一度裏切ったんだからしょうがないよね。でも残り2人だし、謝れば許してくれるかも。
 ダメだったら、その時に考えよう。)
玄関のノブを回し鍵がかかっていることを確認して、玄関のチャイムを鳴らす。

ピンポーン

しばらく待ってみたが反応がない。もう一度押してみる。

ピンポーン

443 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
やっぱり反応がない。小川は諦めてその場から離れようとしたときに、
玄関からガチャっと鍵が中から開けられる音がした。
小川は振り向くと、そこには意外な人物。里田がいた。里田は小川に呼びかける。
「入って。……とはいってもここはあなたたちの家だっけ。」

10分後、小川は別荘の1階の応接間にいた。
小川は椅子に座っており、丸テーブルを挟んで向こうには里田がいる。
尚、2階の客間用の寝室のベッドにはみうなが寝ているとの話だった。

444 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
小川と里田はお互いの情報を交換し合った。小川は前田が突然銃を乱射してきたことに驚き、
里田も石川が矢口を殺し、さらに加護と小川をおいかけてきたことに驚いているようだ。
里田はみうなの怪我が重傷なので、島の診療所に行っていろいろ取ってきたいが、
みうなをここに1人で置いておくわけにはいかず、困っていたと語る。
そこへ小川が近づいてきたので、かつて争っていたSALTのメンバーで少し迷ったが、
小川を信用し、玄関を開けたという経緯らしかった。

「じゃあ、わたしがここで待っていて、時々みうなさんの様子を見ていればいいわけですね。」
「そう。そんなに時間はかからないと思うんだけど…。」と里田は付け加えた。
その後、2人は2階へ上がり、みうなに今決まったことを話した。
「里田さん…、気をつけてください…。」
みうなの顔色は悪く、あまり大きな声が出せないようだった。
「な〜に、すぐに戻ってくるって。」と言うと里田は明るく微笑んだ。

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445 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:06
WATER TEAM'S PHASE──

10人もの死亡者、そのうち学校で待っているはずの吉澤の名前があったことで、
飯田達3人にも動揺が走った。やはり学校で何かあったと思い、足取りを速める。
ただ、1つの希望は、リストの中に辻の名前がなかったことである。
(せめてのんちゃんは無事でいてくれるといいんだけど…。)飯田は心配する。

3人はようやく丘と学校の中間地点のところまで来た。
ここは一面見晴らしのいい畑で、ところどころ道端には綺麗な花が咲いている。
飯田はふと、学校のほうから、誰かが歩いてくるのを見つけた。

その人物はWATERの上着を着ているので、始めは仲間だと思った。
だが良く見てみると着ているのは上着だけで下は全然違う衣装である。
そしてその見覚えのある顔は……。

446 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:07
「梨華ちゃん!」
友人である柴田は石川に声をかける。だが石川は反応しない。
柴田は、「どうしたの?」と言いつつ石川に近づく。
飯田は、ふと石川の雰囲気が異様なことに気付いた。
うまくはいえないが、正気の人間が持つものとは違う気がする。
飯田は言い知れない不安に駆られた。

「柴っちゃん! 近づいちゃダメ!」思わず叫ぶ。
「え?」柴田が振り向く。その柴田の頭がころっと胴体から離れ、
首から血しぶきを飛ばしながら、道沿いの畑へと落ちる。
主を無くした胴体はどさっと横へと倒れる。
胴体の向こうには、斬鉄剣を持った石川がいた。
「きゃーーーー」横のアヤカが悲鳴を上げた。

柴田あゆみ:死亡 【WATER 6人→5人】

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447 :名無し娘。:2004/06/27(日) 10:52
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

448 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/28(月) 00:27
SALT TEAM'S PHASE──

「ん、ん?」松浦は目覚めた。何か悪い夢を見ていた気がするが、全く覚えていない。
周りを見てみる。たくさん木が生い茂っている。どこかの森のようだ。
そういえば、体のあちこちが痛い。体を見てみるといろいろなところに切り傷がある。
松浦は徐々に記憶を思い出してきた。
(ごっちんと美貴ちゃんに置いてけぼりをくらってカッとなって、
 ごっちんを突き飛ばして……、ごっちんが落ちる間時にまつーらの腕を掴んで……、
 二人で転がっていって……、あ、一度木の上に私は落ちたんだっけ。
 そこから地面へと落ちた。木の枝がクッションとなって死にはしなかったってことかな?)
全身が痛いが、それでも生きているだけありがたいと思った。
(ところでごっちんは?)
松浦は立ち上がると後藤を探し始めた。

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449 :名無し娘。:2004/06/29(火) 01:59
(●´ー`)<メロン4人あっさり死に際で全滅、ごまっとう活躍雰囲気。
       作者さんの推し・アンチがわかるべなー

450 :名無し娘。:2004/06/29(火) 10:54
>>449
そうか?
斉藤さんは死んでないし、ごまっとうも少しも繋がるそぶりが見えないんだが、
むしろ黙っててください。

451 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道沿いの草むらをかきわけて歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

452 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
(居場所がバレた?)
里田は瞬間、正宗の柄に手をかける。
だが、藤本はまた走り出し、別荘のほうへと走っていく。
里田は草むらから顔をだし、藤本の足取りを目で追う。
藤本は別荘ではなく、海岸へと下る道を降りていった。
里田はホッとすると自分も草むらから飛び出し、引き続き診療所へと歩き始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

453 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
>>451の改訂

AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道の端をゆっくりと歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

454 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
草むら歩いていたら音がしてしょうがないっちゅうねん。

455 :名無し娘。:2004/06/29(火) 23:56
>>450
ドンマイ。精一杯生きてくれ

456 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:20
WATER TEAM'S PHASE──

「みんな、みんな、死んじゃえばいいのよ。」
アヤカの悲鳴に反応し、石川は呟きながらアヤカに斬りかかる。
アヤカは反応できずにいた。飯田はナップザックを放り投げ、自分の王者のつるぎを鞘から抜くと、
アヤカの前に立ち、石川の一撃を剣でうける。

キーン

金属同士がぶつかる音が響く。石川の細身の体から放たれたものとは信じられない程一撃は強く、
飯田は少し腕がしびれた。だが、そんな感想を持つ間もなく石川は次々と斬り込んでくる。
飯田は反応するのが精一杯で反撃する暇もない。
突然、石川は足払いをかけてくる。斬鉄剣で斬ってくると思っていた飯田は反応できずに、
足をなぎ払われ尻餅を突く。上を見上げると石川が斬鉄剣を逆手に持ち飯田にむけて、
振り下ろそうとしていた。飯田は死を覚悟した。

457 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

あたりに銃声が響き、石川の手がはじかれ斬鉄剣を落とす。斬鉄剣は飯田のすぐ前の地面に刺さった。
飯田はこの隙を見逃さず、立ち上がり石川と距離を取る。
石川を見てみると石川は苦痛に顔を歪めながら、右手で自分の左手首を押さえており
手の間からは血が流れているのが見えた。飯田は、銃声の方向をへ向く。
するとそこには、飯田のデリンジャーを持って石川に狙いを定めているアヤカの姿があった。

飯田は石川に声を掛けた。
「石川、争うのはやめようよ。私たちが争っていても喜ぶのはスタッフだからさ。
 みんなで協力してここから脱出しよう。ね?」
石川はしばらく何も言わなかった。飯田が、また話し掛けようと思った瞬間に石川の口が開いた。
「…もう、どうでもいい。だれが、死のうが、だれが、殺されようが、もう、わたしには関係ないの。
 わたしは、ただ、すべてを、滅ぼすだけ。」というと右の尻のポケットに右手を入れる。

458 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

さっきと同じ銃声が響いた。今度の銃弾は石川の上腹部やや右のあたりに命中した。
石川は苦悶の表情を浮かべると、口から血を吐きながら、ゆっくりと前に倒れた。
そしてその右手にはデザートイーグルが握られていた。

飯田は下唇を強く噛んだ。

石川梨華:死亡 【AIR 2人→1人】

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459 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:23
「ども、中居ですが、ここでみなさんに連絡があります。
 この時点を持ってAIRチームの残り人数が一人となりましたので、
 これ以降、AIRチームメンバーの所属変更は認められませんので宜しくお願いします。」

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460 :名無し娘。:2004/07/05(月) 02:53
アヤカ→石川(銃殺)

みたいな感じで途中結果おねがいします

461 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:58
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は後藤と松浦の落下地点辺りへと到着していた。
さっき、道の途中でAIRのメンバーと接近し、その人物の位置も把握していたが、
相手の姿が見えないし、こちらも急いでいたので無視して先を急いだ。

途中でレーダーを確認したが、この落下地点には光点は確認することができなかった。
ただ、全体図でSALTのメンバーのうち1人が南東の方向へと移動中であることを確認していた。
もう1つの点は変わらず別荘にあるので、移動中の点が松浦であろう。

歩いていると、藤本は遠くに太い木を発見する。
現在は、近くにある木の葉などから根元のところしか見ることはできず、上の様子はわからない。
ただ、他の木と比べるとひと目で気づくのは、木の幹が真っ黒であることだ。

462 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:59
歩いていくうちに、視界を妨げる葉が減ってきて黒い木がはっきりと見えてくる。
だんだんわかってきたのだが、どうやらこの木は枯れ木のようである。
途中から斜めに折れたようであり、みるみる枯れ木の先が細くなっている。
黒くなっているのは、おそらく落雷が原因だろう。
ある程度近づいてきて、藤本は枯れ木の上の方が鋭くなっているのに気付き、
そこに何か異様なものが刺さっているのに気付く。

(!?)
どうやら人間のようだ。デニムシャツを着てジーンズを履いているその人物の顔は、
藤本のよく知る人物だった。
「ごっちん……。」
それは落下して松浦とは逆に最悪の位置に落ちた後藤真希だった。

後藤真希:死亡 【FOOD 5人→4人】

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463 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 19:00
石橋→道重(首輪爆発)
前田→新垣(手榴弾のトラップで爆死)
大谷→安倍(銃殺)
松浦→大谷(精神的に追い詰め自殺させる)
ソニン→あさみ(暗殺)
ソニン→村田(銃殺)
稲葉→中澤(銃殺)
ユウキ→紺野(刺殺)
石川→矢口(斬殺)
ソニン→ミカ(銃殺)
ユウキ→稲葉(刺殺)
高橋→吉澤(斬殺)
石川→高橋(銃殺)
ソニン→前田(暗殺)
藤本→ユウキ(刺殺)
石川→加護(出血多量)
石川→柴田(斬殺)
アヤカ→石川(銃殺)
松浦→後藤(突き落とす)

464 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:44
SALT TEAM'S PHASE──

時は少し遡る。
松浦が後藤の遺体を発見したとき、松浦の頭の中で何かが崩れる音がして、
その場から逃げるように走り去った。だが、松浦の頭の中で、後藤の串刺しにされた体、
無念そうな顔、口から漏れた血、全てが松浦の意志とは反対に頭に焼き付けられてしまった。
そしてそれらは、消そうと思っても消せない。
「私は悪くない私は悪くない私は悪くない、あんなところに落ちた後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を無視した後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を道連れにした後藤が悪い。
 私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない
 後藤が勝手に死んだんだ……。」
その時、何かの段差につまづいてしまうが、そんなことには構っていられずにまた走り出す。

465 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:45
やがてまた夢中で走ると目の前に1人の人物が現われた。
──な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!
その人物とは大谷だった。
「あなたは後藤さんを殺したひとごろし。」
大谷は呟くように言う。だが、松浦の耳にははっきりと聞こえた。
──違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!
「あなたが突き飛ばさなければ後藤さんは死ぬことはなかった。」
大谷は両手を広げ、ゆっくりと松浦に近づいてくる。
松浦はナップザックからデザートイーグルを取り出すと震える手で大谷に銃口を向ける。
──そ、それは、後藤がまつーらを無視するから。
「その原因はあなた自身にあるってこと、自分が一番良く知っているはず。」
大谷はますます近づいてくる。
──うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ! 
松浦は目をつぶりデザートイーグルのトリガーを弾いた。何かがドサッと倒れる音がする。
松浦は目を開ける。
「う、嘘…。」
倒れていたのは、大谷ではなく斉藤瞳だった。

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466 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:24
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤と田中は、集会所を出ると港へと向っていた。
だが途中まで来たところで、道路わきの草むらがガサゴソと音を立てたかと思うと、
松浦が姿をあらわした。斉藤たちの進行上の道だったので、向こうはこっちにはまだ気付いていないようだ。
斉藤は「あたしがいってくる。田中ちゃんは待っていて。」というと自分のナップザックを持ち、
松浦に近づいていく。

斉藤はまず「松浦さん」と声をかけた。松浦は斉藤の出現に大変驚き、
「な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!」と叫んだ。
(死んだはず? どういうこと?)と思ったが、「松浦さん、大丈夫?」と心配する。
すると松浦は何かに怯えながら、「違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!」と叫んだ。
(混乱しているのかしら? とりあえず敵意がないことを示さなくちゃ。)
斉藤は「大丈夫、私は敵じゃないの。」と言いつつ、松浦に近づくが、
そのうち松浦は震えながら銃のようなものを出しそれを斉藤に向けた。
斉藤はナップザックをその場に置き、両手を広げて敵意のないことを示すと、
「ほら、武器なんて何も持っていないから。」と松浦に話しかける。

467 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
松浦は何かもごもごと呟いていたようだが、
「うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ!」とまた叫ぶと突然発砲した。
弾は斉藤の左胸に命中し、よろけて仰向けに倒れた。
痛みも感じたが、撃たれた理由がわからず現実感がなかった。
誰かが駆け足で近づいている音がする。おそらく田中だろう。
松浦は「う、嘘、いやぁーーーーー!!」と叫ぶと足音とともにまたどこかへ行ったようだ。

田中が声をかけてきた。
「斉藤さん、斉藤さん!!」
斉藤は薄目をあける。狭い視界に田中が映る。口も薄く開き呟く。田中は口元に耳を近づける。
「ごめんね。あたししくじっちゃった。」
「あれは仕方なかと。」かすかに田中の声が聞こえる。
「あのね、もし、柴田あゆみに会うことがあったら、あなただけは生きて帰ってって伝えて。」
と呟くと斉藤はゆっくりと目をつぶった。

468 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
ハロープロジェクトのユニットは、モーニング娘。に代表されるように、
加入・卒業を繰り返し歴史を積み重ねていくものであると言っても過言ではないだろう。
そんな中、結成して以来。加入も卒業もないという珍しいユニットがメロン記念日である。

「第2回モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」に1999年8月に合格した4人は、
そのまま、「メロン記念日」という名前を貰い、デビューすることになる。
2000年2月にデビューし、4人は苦しいことも嬉しかった時もいつも一緒だった。
よって、4人は団結力もハロプロメンバー随一であった。
だからこそ、斉藤は柴田にメロンのメンバーとして生き残ることを託したのだが、
実はその時、柴田は石川に斬られたあとだったのだ。
しかし、斉藤がそのことを知らず、実はメロン最後の生き残りが斉藤だったということを、
斉藤が知らないままで死んでいったことは、彼女にとってよかったのかもしれない。

斉藤瞳:死亡 【WATER 5人→4人】

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469 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:25
UTABAN'S PHASE──

うたばんの現地スタッフは、プロデューサーでありこのプログラムの最高責任者である清水と、
ディレクターであり、いろいろな手配を担当している石村、
首輪システムを管轄しているADの石田佳子、船舶関係の担当でありADの鈴木、
機材担当で、カメラアレンジャーも任されている熊井AD、
カメラマンの須藤に、アルバイトの菅谷の7名である。

ゲーム当初はもっと人数がいたのだが、本社のほうが忙しく現在はこの人数である。
ちなみに、ゲーム最初に登場した外人部隊は傭兵であり、昨日限定で雇ったため、彼らも今はいない。

今は、清水が石村をモニター室に連れてきたところである。
現在画面では、田中がナップザックからローラーブレードを取り出して足に装備し、
どこかへと走り去る様子が写っていた。

470 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
「清水さん、見て欲しいものってなんですか。」石村は聞く。
「おい、熊井、ちょっと南東・Gカメラの映像をちょっと巻き戻して見せてくれ。」
「わかりました。」
画面には、斉藤が松浦に撃たれた場面がうつっている。やがて、斉藤が倒れると、
「ここでストップ」といって清水は一時停止させた。
「これを見てくれ……。」
石村は覗き込む。「首輪が外れている!?」
「そうだ。今は田中が慌てて装着させていたので現在の斉藤には装着してはいるが。
 あれは普通は倒れた衝撃ぐらいじゃ外れることはない。
 …もともと外れるようになっていたというのが正しい見解かもしれない。」
「でも、あれは無理矢理外そうとすれば壊れるはず。」
「そうだ。だとするとだな、考えられるのは1つ。」と言って清水は自分の顎鬚を触りつつ、
PCから首輪管理システムを立ち上げる。

471 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
「死にかけているから、こいつでいいか。熊井、別荘Dカメラを表示してくれ。」
と言いつつ、FOODチームからみうなを選択する。
画面には、ベッドで寝ているみうなとそれを心配そうに見ている小川がうつった。
みうなのデータが画面に表示される。
その右下の「首輪爆破」の項目をクリックし、確認してくるので「実行」の項目をクリックする。
ところが画面のみうなの様子に変化はない。
「やっぱりそうか…」その言葉を受けて、石村は聞く。「どういうことですか?」清水は説明する。
「どうやら、首輪の爆破装置が全部不発になってしまったようだ。
 全部まとめてだから、おそらくはシステム上の問題だろう。おい、石村、行くぞ。」
と言って清水はどこかへ移動しようとする。
「どこへ行くんですか?」石村は尋ねる。
「石田んとこだよ。システムのことはあいつに聞かなくちゃわからん。」

472 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:27
2人が石田のところへいくと、石田も首輪の不発については知らなかったらしく驚いていた。
そして石田がいろいろと調べた結果、どうやらウイルスのようなものがばら撒かれて、
爆破の発動システムがダウンしたらしいのこと。離島でバックアップはとっていないので、
復旧は難しいと石田が説明した。

爆破ができないとなると、強制的に戦わせることができなくなってしまう。
清水は焦る。一度は東京に連絡しようとしたが、石村の
「ここで失敗しましたなんて報告したら、俺たちの首が飛ぶだけじゃすまされないでしょうね。」
の言葉に思いとどまる。かくなる上は……。
「あいつらを脱出させるわけにはいかない……。幸いまだ首輪が爆発しないことを知っているのは一部のようだ。
 だったら、結束する前に全員殺してしまえばいい。東京には『最後の1人が残ったんですが、
 最後に自殺しました。』とでも言っておけばいい。あとはカメラも故障したことにしとく必要があるな。
 よし、石村。武器の用意だ。石橋達にも協力してもらうように要請しろ。
 特に石橋は自分の手で1人殺しているはずだからな。協力を拒むわけがない。フフフフ。」

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473 :名無し娘。:2004/07/19(月) 14:23
新展開かな。ガンガッテ。

474 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:11
FOOD TEAM'S PHASE──

保田と亀井の目の前には学校があった。平常時であれば平日なら子供達がたくさんいていいはずの学校だが、
今は何の気配もしなかった。亀井は保田に話しかける。
「誰かいますかね?」
「人の気配がないね…。とりあえず入ってみよう。」と言って保田は歩いていく。
亀井も続いて歩いていくが、うっかり自分の右足で左の靴紐を踏んでしまい、靴紐がほどけてしまう。
亀井はしゃがみこみ紐を結びなおす。結びなおしたらすぐに走って合流するつもりだったので、
保田にはとくに何も言わなかった。保田を見るともうすぐ校門である。
亀井は靴紐を結ぶのに1回目は失敗してしまった。右の丸くなっている部分が左に比べて大きくなってしまったからだ。

475 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:12
もう1度結びなおす。今度こそうまくいったと思った瞬間、前から「保田さん」という声がしたと思ったら、
続いてぱらららという音がした。亀井は前を向く。校門から少し入ったところで、保田が崩れ落ちるところだった。
次に校門の影からイングラムを持ったソニンが姿を表した。
ソニンは動けないでいる亀井にむかってイングラムを構える。

と、うつ伏せに倒れていた保田が手を伸ばしソニンの右足をつかみ、おもいっきり引っ張ながら叫ぶ。
「亀井! 逃げろーーー!!」
ソニンはバランスを崩し倒れる。亀井は保田の声に我を取り戻すと、今きた道をダッシュで戻る。
懸命に走っている亀井の後方から、またぱらららとイングラムの銃声が響いてきた。

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476 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:18
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは放送でユウキが死んだことを知った時、特に何の感情もわかなかった。
もともとユウキは単独行動を取っていたし、近くにいても正直邪魔だったからだ。
ただ、戦力的にダウンしたことはいなめないので、
自分からは仕掛けずに、どこかで待ち伏せをすることにした。
場所はまだ生存者が多いWATERの本部の学校である。

ソニンは学校へ向かう途中、WATERのメンバーである青い点が単独行動をしているのを見つける。
だが、ソニンはそれには目もくれずに学校へと向った。
理由は、1人で行動している人物というのは警戒しており、そんな人物を襲って、
こちらも無事でいられるとは考えにくく、下手をすると逆にこちらが倒されてしまうからだ。

477 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:27
無人の学校につくと、誰かを待ち受ける。しばらくすると南からFOODのメンバーが2人近づいてきた。
ソニンは前田のものだったイングラムを取り出すと、2人を待った。
近づいたところで1人だけが分離して学校へ近づいてくる。様子見だろうか。
1人が校門から中へ入ったところで、その人物に向けてソニンはイングラムのトリガーを引いた。

保田はイングラムの弾をまともにうけ、崩れ落ちる。ソニンは門からでると、外にいる亀井に向かって、
イングラムを構える。だが、その時保田に右足を引っ張られ倒れてしまう。
「亀井! 逃げろーーー!!」
保田の叫び声が響いた。ソニンは横向きになると足をつかんでいる保田にむけてイングラムを撃つ。
同時に右足を激しく振って手を振り払う。
やがて、束縛されていた右足が自由になる。ソニンは足で立ち上がると、ぴくりともしない保田に近づくと、
とどめをさすように心臓をめがけてイングラムを放った。
保田の体に大量の銃弾が埋め込まれ、体は跳ねあがった。
そのうちイングラムの銃弾が切れる。前田は予備のマガジンを持っていなかったので、
銃弾はもうない。ソニンはイングラムを投げ捨てる。
そして、ソニンは保田の目を見て、保田の死を確認すると、レーダーを頼りに亀井をおいかけはじめた。

保田圭:死亡 【FOOD 4人→3人】

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478 :名無し娘。:2004/07/30(金) 01:56
お決まり通り一人も殺さずに逝ったか。・゚・(ノД`)・゚・。

479 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
UTABAN'S PHASE──

ゲームの行われている島の突入しようと準備をすすめている清水Pに、船舶を担当している鈴木が話しかける。
鈴木も石田と同じく、途中で入社した人物である。
「プロデューサー、お話が。」
「忙しいから手短に言え。」清水Pは武器を確認しながら答える。
「木梨さんと香取さんが、東京に帰りたいから船を出してくれっていうんです。」
「なんだと? 説得したのか?」
「説得したんですが…、自分達がわざわざ殺しに行く理由なんてないっていうんです。」
「そうか……、よし、俺が言ってみるか。」

清水Pは鈴木とともに木梨と香取と説得しにいったが、2人は自分の意志を崩すことはなかった。
清水Pは妥協案として、帰京するが番組側に人数に余裕がないので、船は出すから自分達で帰ってくれと、
提案した。木梨が船舶免許を持っていることを把握した上でのことである。
これで2人とも納得した。清水は鈴木にEE JUMPを連れてきたクルーザーの説明を2人にするよう命じる。

480 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
20分後、木梨と香取はクルーザーで港を離れた。清水Pは鈴木とともにクルーザーを見送る。
クルーザーが目視でタバコの箱ぐらいの大きさになる頃、清水は腕時計を見て、
「30秒前…、20秒前…」とカウントをはじめた。横の鈴木は不思議そうに清水Pの方を見る。
「10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1…」
と0になると同時に海のほうから爆発音とともに赤いものが見えた。海のほうを見るとクルーザーが赤い炎を上げて炎上している。
ただ、爆発音はそれほど大きくはなく、内陸で準備をしているスタッフには聞えないだろう。

「いやあ、鈴木君、海難事故っていうのは怖いねえ。」清水Pはニヤニヤしながら話し掛ける。
「でもまあ、東京で余計なことをベラベラ喋られると思えば、結果OKってところかな。」
鈴木はそれに対して何の反応も返すことができなかった。清水Pはそんな鈴木に構わず続ける。
「さて、準備の続きだ。もうすぐあっちの島へと出発できそうだ。」
と言うと清水Pは島の内部へと戻っていった。

木梨憲武・香取慎吾 死亡

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481 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は松浦の行方も気になっていたのだが、それよりも自分にわりと近い1人でいるWATERのメンバーが気になり、
レーダーを元にその人物へと近づいていく。場所は学校と別荘の間、やや別荘よりのところ。
藤本はその人物が見える場所まで近づいた。その人物は道沿いの木陰で座っていた。
ただし、その場所にいたのはそのWATERのメンバー一人だけではなかった。
もう1人、SALTの衣装をつけた少女が横に寝かされていた。

482 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
(あれ? 2人?)
藤本はもう一度手元のレーダーを確認するがそこにはやはり青い点が1つしかない。
近づくうちにSALTの衣装をつけた少女はさっきの放送で名前を呼ばれた少女だとわかった。
藤本は少女の近くに着くと、木陰で下を向いている少女の目の前にしゃがむ。
「のんちゃん?」藤本は目の前の少女をあだ名で呼ぶ。
辻は目線を上げて藤本の方を見る。その目は泣いていたのか充血している。
その目にまた涙があふれ、目尻から一筋こぼれ落ちた。
「うあああーーーーー!」
辻は藤本にしがみついて泣き叫ぶ。藤本は辻を抱きしめ、優しく彼女の後頭部を撫でる。
やがて、辻が落ち着く頃、藤本は辻に話し掛ける。
「みんなのところへ行こう。」

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483 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:09
FOOD TEAM'S PHASE──

島の北西部は海岸となっていて夏には泳ぐ人もいたりするが、南東部は海との境目が切り立った崖であり、
ここから飛び降りようとする人は自殺願望がある人ということになるだろう。
TVの2時間ドラマの犯人を指摘するシーンの撮影がされたという噂もある。

その崖の近くに粗末な小屋がある。以前は誰かが住んでいたのかもしれないが今は廃棄されたようで、
生活感がなく荒れ放題になっている。壁もあちこちで破れ外が見える。

亀井は保田の犠牲でなんとか逃げ切った後、この小屋に息を潜めて隠れていた。
現在はボロボロのテーブルの下にいる。

484 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:10
と、小屋の扉がぎぎぎと音を立てながら開いた。ギシギシと古い床板を踏む音が近づく。
(誰?)
亀井のいるところからでは顔は見えない。足元を見る。スニーカーにGパンだった。
これだけでは誰だかわからない。その人物はテーブルの方に近づいてくる。

亀井は自分の武器の飛燕(一対の剣)を両手に持って警戒する。
侵入者は亀井の隠れているテーブルの前に立つと、しゃがみ込みでその姿を亀井に晒した。
「アンニョンハセヨ」
その人物は成膳任ことソニンだった。右手にはブルーノを持っている。
突然話しかけてくるとは思ってなかった亀井は口をあんぐりあけたまま、
あとづさろうとするが後ろは壁であり背中をぶつけてしまう。
「ねえ、あなたに聞きたい……」

485 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:11
ソニンの言葉の途中で、またもや小屋の扉が開いた。今度もスニーカーにGパンだったが、
そのスニーカーには見覚えがあった。
「何しっとっと?」
新たに入ってきた人物の声が聞こえてきた。
「れいな!」
亀井は思わず叫ぶ。
「え? 絵里? どこにおると?」また田中の声が聞こえてくる。
「ちっ」とソニンは舌打ちすると、扉の方へと向かい、パンパンと2発発砲した。
どさっと人が倒れる音がした。亀井からは前へと倒れたれいなの頭が見えた。
「れ、れいなっ」亀井は小声で倒れた人物の名前を呼んだ。
「さて、邪魔者が入ったが…。」ソニンは再び亀井に銃を向けるが、
トリガーには指をかけずに亀井にさっきの質問を続ける。
「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
 こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」

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486 :名無し娘。 :2004/08/05(木) 13:40
もう1年経ったんですね。
ゼロさんガンバ!!

487 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/05(木) 23:42
昨日で1年か。早いもんだ。

488 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンはレーダーを持っていたので亀井を追いかけるのは他愛もないことだった。
また、ソニンは亀井を見たときから、亀井に聞きたいことがあった。
それはこんな目にあっても憧れのモーニング娘。に入ってよかったと思っているかということである。

ソニンもかつてはユウキとEE JUMPというユニットを組み、TVに出たり曲を出したりしていた。
だが、ユウキは最終的に、未成年なのにキャバクラにお酒を飲んでいたことが原因で芸能界を去ることになった。
それから、ソニンはソロとなっていろいろ苦労もした。だが、それでもEE JUMP時代の思い出などもあり、
芸能界に入って良かったと思っている。

だが、亀井たちはモーニング娘。として5月にデビューはしたものの、新曲発売前にこんなことに巻き込まれて、
命の危険に晒されていることをどう思っているかふと聞きたくなったのだ。
途中田中が乱入してきたが、さすがに2対1で抵抗されると厄介なので、田中には死んでもらった。
そうしてから亀井に質問をしてみた。

489 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
 こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」

仲間を殺されて亀井は答えてくれないかもとはじめは思ったのだが、
目の前の亀井は、「え? え? いや、みんなに会えたし後悔はしてません。」と
普通に答えた。

動揺した様子もなく真っ直ぐに答えた亀井に対し、ソニンは逆にびっくりして、
(後悔していないのか……。)
と亀井の言葉を頭の中で反芻していた。
その時、ソニンは気配を感じて咄嗟に亀井に向けていたブルーノを右へ向ける。
とそこには、銃殺したはずの田中が倚天の剣を振りかざすところだった。

「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
田中にむけたブルーノが右手ごと、ごとりと地面に落ちた。

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490 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:12
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井は、田中が放浪中に宝箱から、PCと防弾チョッキを見つけたことは知っていた。
だから田中が倒れた時は驚いて声をあげたが、ソニンに質問された時は、
横目で田中がゆっくりと起き上がるのを確認しつつ、普通に自分の正直な気持ちを答えることが出来た。
亀井の答えにソニンは驚いていたようだが、田中に気がつくとブルーノを田中に向ける。
だが、田中の方が先に倚天の剣を振りかざしており、ソニンの右手を切り落とす。

ソニンは「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
と言うとニヤリと笑い、残っている左手でオリハルコンを取り出すと田中に斬りかかる。
銃だけを弾き飛ばすつもりで、反応されて手元が狂い右手ごと切り落としてしまった田中は唖然としていたが、
ソニンが斬りかかっているのを見ると倚天の剣で受ける。
だが、体格に劣る田中は受けたもののバランスを少し崩す。
同じく唖然としていた亀井も我を取り戻し、飛燕を両手にそれぞれ持つと、
田中に加勢するために、ソニンへと斬りかかる。

491 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:14
こうして始まった田中・亀井VS右手のないソニンの戦いだが、
ソニンがオリハルコンだけではなく、蹴りも駆使して戦ったため、
最初はソニンが押し気味に戦いを進めていく。
田中は左の二の腕を切りつけられ、亀井は腹部に思いっきり蹴りを入れられた。
だが、右手損失による出血が徐々にソニンの体力を奪い、みるみる動きが鈍くなっていく。

逆に田中と亀井の攻撃が当たるようになり、ソニンの体のあちこちから傷が刻まれ血が流れ始める。
体力的にも限界なのか、肩で息をしている。
「もう、こんなことやめましょう。」亀井が声をかける。
「はぁ…、はぁ…、随分、優しい、のね…。」ソニンは笑顔を浮かべると、オリハルコンを亀井に投げてきた。
オリハルコンは、よけた亀井の顔の左横を通ると髪の毛を数本切り取り、後ろの壁にささった。
ソニンは投げると同時にしゃがみこみ、ブルーノを握っている自分の右手を拾うと、
それを近くの窓を投げ込む。窓のガラスは派手な音を立てて割れた。
ソニンは続けて窓から飛び出し外に出る。

亀井はまたも唖然としていたが、田中がソニンの後を追うために家の玄関から外に出たことに気付き、
慌てて後を追っていった。

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492 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
WATER TEAM'S PHASE──

飯田とアヤカは柴田と石川の死体をとりあえず埋葬しようと地面を掘れるものを探していたが、
学校のほうから銃声が聞こえると埋葬を諦め、急いで学校に戻る。

学校に戻った2人が校門のところで見つけたのは保田の死体であった。
どうやら、保田は体中に銃弾を浴びたようだ。
「圭ちゃん…。」
飯田は開いていた保田の目を閉じる。

「アヤカさん、とりあえず圭ちゃんを中に運びましょう。」
「わかりました。」というと、飯田は保田の上半身、アヤカは保田の下半身を持ち、
校舎の中に運び込む。運ぶ途中で飯田はあることに気がついた。

493 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
飯田達が保田を運びながら学校に入ると、中は校門よりさらに酷い状況になっていた。
「あれは…、高橋とよっすぃー?」
高橋と吉澤が重なり合うようにして倒れている。
そちらも気になったのだが、とりあえず保田の死体を教室に運び込み、
村田の死体の横に寝かせる。ふと、飯田は保田の首輪に手をかけると、
それをゆっくりと回していく。切れ目をみつけ、それを広げ、首から首輪を外す。

「え、それって…」隣のアヤカがびっくりして尋ねる。
それに対して飯田は、「うん」と頷いた。

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494 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:01
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井と田中は、ソニンが崖の上からじっと海を見ているのをみつけた。
上空にはカモメらしき鳥がとんでおり、しきりに鳴いている。
ソニンは、手には武器をもっておらず、リックサックも持っていなかったが、
亀井と田中は油断せずに近づいていく。
ソニンはそんな2人の様子に構うことなく、じっと海を見つづけていた。

「綺麗な海ね。」

ソニンは、突然話し始めた。

「は、はい。」

亀井は取りあえず答える。

495 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
「この海を見ていると、この島での出来事を忘れそうになるよ。」

というとソニンはまたしばらく無言になった。亀井はなんと答えたらいいのかわからずに黙っていた。
田中も喋らないところを見ると同じ考えなのだろう。

「あなたたちはきっと生きて東京に戻ることになると思う。
 でも、本当の敵はおそらくうたばんのスタッフではないね。
 あなたたちにとっては、東京に戻ってからが本当の戦いかもしれない。」

あいかわらずソニンは海を見ながらそう言う。
(本当の戦いは東京に帰ってから?)
亀井は意味が全くわからずに頭の中でソニンの言った言葉を心の中で繰り返していた。

496 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
突然ソニンはこちらを振り返る。
田中は突然のことで驚いたのか、倚天の剣を慌てて取り出す。
亀井も身構えるが、ソニンはそんな2人を見てにっこりと微笑むと
「アンニョンヒ カセヨ」と2人にはっきり聞こえる声で言うと、
そのまま後ろ向きにゆっくりと倒れこみ海へと落ちていった。

亀井と田中は急いで崖に近づき、海を見下ろす。
ちょうどソニンが海面に落ちるところでドッパーンと大きな音を立て、水しぶきがあがったところだった。
そこから大きな波紋が外側に向かって広がっていく。
その波紋がやがて小さくなり、やがて消えても、亀井も田中も黙ったまま水面をずっと見ていた。

ソニン:死亡 【EE JUMP 1人→0人】

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497 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:44
SALT TEAM'S PHASE──

診療所に道具を取りにいった里田は、約束どおりに30分ぐらいで道具を持って戻ってきた。
そしてみうなの手当てを始める。小川はそんな里田の様子を見守っていた。

ピンポーン

チャイムが鳴った。一瞬ドキリとした小川だったが、
「あ、小川が出ます。」と言って階段を下っていく。
(誰だろう? 松浦さんかな? だったら普通に入ってくるか…。)
玄関に着き、ドアスコープから外の様子を伺う。

498 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:45
ピンポーン

2回めのチャイムが鳴った。小川がドアスコープを覗くと、
ドアの前には辻と誰かを背負った藤本がいた。小川は少し迷ったが、鍵を外し、扉をあける。

「やっぱりまこっちゃんか。」
小川が扉を開けてすぐ、藤本が小川の顔を見てそういった。
「え? やっぱりって?」と小川は藤本の発言の意味がわからなかった。

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499 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
WATER TEAM'S PHASE──

保田の首輪が簡単に取り外せたこと、首輪に作為的な傷があちこちにみられたことから、
飯田とアヤカはそれを保田が自ら外したものと考え、
そこから「理由はわからないが、首輪が爆破することはない」という結論に達した。

とはいうものの、機械に弱い飯田とアヤカでは、
それをどのようにして証明したらいいかは考え付かなかった。

その時外から「誰かいますか〜?」という声が聞こえてきた。
その聞きなれた声に反応し、飯田は昇降口へと急ぐ。

「あ、飯田さん!」

昇降口から外に出ると、そこには亀井と田中が立っていた。

                  *            *

500 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
2人を校内に招きいれ、お互いの無事を喜び合った後、飯田は早速首輪のことについて2人に尋ねた。
2人は、最初顔を見合わせていて、田中が「ま、いっか。どうせバレることだし。」と言ったのをきっかけに、
保田がPCで首輪の爆破装置を起動させなくしたことを伝えた。
と同時に、本来は爆破装置を起動させなくしたことをうたばん側に知られなかったが、
斉藤が撃たれた時に首輪が外れてしまったため、
もしかしたらうたばん側はもう知っているかもしれないと付け加えた。

「じゃあ、今この事実を知っているのは、メンバーだと私たちだけってわけね。」
飯田は2人を見て言った。
「そうです。斉藤さんも保田さんも死んでしまったので…。」
(どちらにしてもうたばん側も爆破装置が起動しないことは把握するはず。となると……。)
その時、飯田の視界に、田中が以前もってきた安倍が使った拡声器が入った。

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501 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:15
AIR TEAM'S PHASE──

里田が2Fで斉藤の手当てをしていると、家のチャイムがなった。
里田は手が離せないので、小川に対応を任せた。

小川の階段を下る音が聞こえ、やがてドアを開ける音がする。
「藤本さん! それにのんつぁん!」
という小川の声が続けて聞こえてきた。
(ミキティに辻ちゃんか。WATERの2人ね。)

「ちょっと、加護ちゃんを寝かせてもらっていい?」これは藤本の声のようだ。
そのとき里田はさきほどの死亡者放送で加護の名前が呼ばれたことを思い出した。
(どうして、あの2人が加護ちゃんと?)
「えっと、それじゃあ、加護さんはとりあえずTVの前のソファにお願いします。」と小川。

502 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:15
とちょうどそこでみうなの手当てが終わった。あとは安静にしているしかない。
「みうな、ちょっと下行って来るね。」「はい。」
里田も下りていく。小川はちょうど里田とみうなの説明を二人にしているところだった。

それからお互いに情報の交換を行った。
石川が狂気にかられたことは小川から聞いていたからある程度予想はできていたものの、
後藤の死については、里田も小川もびっくりした。

503 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:16
「これからなんだけど、亜弥ちゃんを助けに行こうと思う。」
お互いの情報交換が終わり、藤本が話し出す。
「このレーダーがあれば位置がわかるし。」
とPDAのようなものを取り出す。
「ああ、これでさっき私の位置がわかったわけね。」
里田はさっき、診療所へ向う途中で藤本を目撃したことを話す。
「そうそう。最初ユウキが持っていたんだけどね。
 で、辻ちゃんをここに置いていくからよろしくね。」
辻はさっきから言葉数が少なく、小川とともに加護の遺体の側にいる。
「私も行く。何があるかわからないでしょ? 決して足手まといにはならないから。」
里田は立ち上がり、同行を志願する。
藤本はちょっと考えいたが、「それじゃあお願いします。」と快諾した。
「まこっちゃん! みうなと辻ちゃんよろしくね。」
里田は小川に声をかける。
「わかりました。」
里田はみうなに出かけることを伝えるのと、武器を取ってくるため2階へと向った。

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504 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/18(水) 23:14
UTABAN'S PHASE──

島の西部になる港に1隻のクルーザーが接岸した。船を固定させると中から8人の人物が次々と降りてくる。
うたばんスタッフである。彼らは残りのメンバーを殲滅させるために島へとついたところだ。
ただ、彼らが元いた島には熊井ADだけは残してある。東京から連絡があるかもしれないからだ。

その中で清水Pは全員を集めて話し始める。
「えー、現在。島のメンバーは10人が生存していて、別荘に3名。別荘から南方向へと移動している人物が2名。
 南部に1名。学校に4名いる。移動中の2名は南部にいる1名に合流する可能性がある。
 そこで我々も3チームに分割する。まずは、私と石村君が別荘へと向かう。学校へは石橋君と石田君と菅谷君。
 また、南部の1名は中居君と須藤君に行ってもらう。鈴木君はここでクルーザーの見張りをしていてくれ。
 君達の目的はメンバー全員を殺すことだ。遠慮はいらない。尚、我々が最初に灯台のジャマーを止めるので、
 20分後ぐらいには無線が使えるようになっているはず。以後連絡は無線で行う。それでは解散。」

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505 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/18(水) 23:16
SALT TEAM'S PHASE──

島の南部にあるこの島唯一の本屋のレジの下に松浦は隠れていた。
震えながら、体育座りをし、両手で耳を覆い、顔を膝と膝の間にうずめる。
だが、そうしても、さっき斉藤を撃ってしまったこと、後藤のこと、いろいろなことが頭から離れずにいた。
もはや、自分の手を汚さないとかそういう場合ではなくなっていた。

「もう、もういやだよ。……寒い、寒いよ。」

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506 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/20(金) 19:27
UTABAN TEAM'S PHASE──

清水Pと石村Dは灯台に着くと、まっすぐ屋上に行き、ジャマーの電源を落とした。
清水はすぐにトランシーバーで他の2チームに連絡をし、両チームが目標に近づいているという報告を受けた。

「順調なようですね。」石村は報告を受けてコメントする。「これだったらすぐに……あ、あれ!」
石村は驚愕の表情を浮かべる。「清水さん、海岸です。海岸。」石村は地面を指差している。
「どれどれ…」清水は石村が指差している方を見てみる。「何もないぞ。」
「もっとよくみてください。誰か倒れてます。」
清水は屋上から身を乗り出して地面を見るが、何も見えない。とその時、
「高い建物の屋上で足を滑らせることは、海難事故並にあるそうですね。」
という石村の言葉とともに清水は背中を突き飛ばされた。抵抗できず空中へと飛び出す。
「うわぁぁーーーーーーーー!!」
あとは重力に従い、地面へと落ちていった。

507 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/20(金) 19:28
                  *            *

石村は屋上から地上で息絶えている清水を見てほくそえむ。
「清水さん。ここまでお疲れ様でした。あなたの役目はここで終わりです。後は私に任せておいてください。」
石村は清水の荷物からレーダーを取り出すと灯台の屋上から下に降りる階段を下り始めた。

うたばんスタッフ 清水死亡

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508 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:39
WATER TEAM'S PHASE──

(亜弥ちゃん、今行くから待ってて。)
藤本と里田は手元のレーダーを確認しつつ、黄色い点の方向へ向いつつあった。

「ミキティ、伏せて!」
と後ろから声が聞こえてきたので、藤本はとっさに伏せる。藤本が元いた位置に銃弾が通り過ぎる。
銃声の聞こえてきた方向を向くと、カーブしている曲がり角の先に
中年の小太りの男性が拳銃を持っているのが見えた。
その男がもう一度、藤本に向けて銃を構えたので、藤本は急いで近くの民家のブロック塀に隠れる。
里田はシグ/ザウェルをその男に向けて撃つ。
その男も素早くカーブにある木の陰に隠れる。

509 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:39
「誰?」藤本は謎の人物について尋ねてみた。
「たしか、うたばんのカメラマンじゃないかしら? 須藤とかいう。」里田は答える。
「それが、なんでこんなところに?」藤本はさらに聞く。
「なにか緊急事態でも起こったのかしら?」と里田は須藤に応戦しながら予想する。
「とりあえず美貴があいつに近づくから、まいちゃん援護よろしく。」
「わかった。」里田は小川から預かったイングラムに持ちかえると須藤の方へと乱射する。
藤本は護身刀“竜穿”を抜き、家の塀・木の幹等の陰を渡り歩きながら須藤に近づく。
ある程度近づいたところで、突然何か機械を通したような声が響いた。

「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
(飯田さん?)その丘の方角からの聞きなれた声に少し戸惑ったが、
続いてもう一回、「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」の声、
そしてその次にパァーンという、その丘からの銃声にハッと我を取り戻す。
そして須藤が山の方角を見てオロオロしているのを見ると、素早く飛び出し、
後ろから須藤の首筋に護身刀“竜穿”を当てる。
「なんでスタッフがここにいるの?」

510 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:40
「え?え?」須藤はまだオロオロしている。
「もう一度だけ言うよ。なんであなたたちはここにいるの?」
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答える。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」
「そ、それは首輪が……」須藤が全てを答えることはなかった。
何故なら、前方から現われた人物に突然撃たれたからだった。
須藤は口から血を吐き、崩れ落ちる。
「余計なことは言わなくていいんだ。」今の銃声のした方からちょっとハスキーな声がした。
藤本は声の主を見る。

中居正広だった。
「さて、ミキティ。その危ないものを捨ててもらおうか。あと、近くに居る君の仲間も呼んでくれよ。」
中居は右手にデザートイーグルを持っていた。
「まあ、嫌だったらやんなくてもいいんだぜ。こいつが死んでもいいんならな。」
「チッ! 卑怯な!」藤本は吼える。
「ごめんね。たん。」
中居の前には銃を突きつけられた松浦が立っていた。
丘の方角からぱらららとマシンガンの銃声が聞こえてきた。

うたばんスタッフ 須藤死亡

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511 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:56
WATER TEAM'S PHASE──

飯田、アヤカ、亀井、田中の4人は丘に来ていた。
目的はここから飯田が拡声器で首輪が爆発しないことを他のメンバーに知らせるためだ。

飯田は拡声器のスイッチを入れ、一旦近くに入るアヤカ、亀井、田中の顔を見渡すし、声を絞り出す。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
一息置いてまた同じセリフで叫ぶ。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」

もう一息置いて、もう一度呼びかけようとした時に、パァーンと銃声があたりに響いた。
飯田は驚きしゃがみこみ、そしてゆっくりとあたりをうかがうが、自分が撃たれたわけではなかった。
他のメンバーを見渡したが、みんな驚いているものの無事であるようだ。
その時丘の南東方向から「石田! てめぇ、なにしやがる!」と男の興奮した声が聞こえてきた。

512 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:57
その声とともに1人の帽子を被った女性が飯田達のいる方へ走ってくる。
「みんな、港へ!」
叫びながら来るその顔は飯田には見覚えがあった。
「あれ、石井ちゃん、どうしてここに?」
それは、飯田が昨年「おどる11」で一緒だった石井リカだった。
「説明している暇はないです。とりあえず港へ!」
とその背後から2人の男性があらわれた。1人は10代後半だと思われるまだ体格の良い男性。
彼は青龍堰月刀を持っている。
もう1人は、……石橋貴明だった。イングラムを手に持っている。

「菅谷、左によけろ!」と石橋がいうとその体格の言い男性は左によける。
石橋は飯田達にむけてイングラムを乱射した。
2人は北の階段へ向けて走り始めた。亀井たち3人も先に北の出口へ向っている。
飯田達も北の階段へと急ぐ。その後ろでマシンガンの音が再び聞こえてきた。
階段の入り口に辿り着いたところで、飯田は足に激痛を感じて倒れる。

513 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:59
飯田は足を引きずるようにしてなんとか階段の下に隠れる。
そして痛みの元を見てみる。右足にいくつも銃創があり、そこから血が流れはじめていた。
階段の下に視線を向けるとそこには、亀井たち3人が飯田を心配そうに見ていた。
飯田は石井の方に振り返ると言う。
「石井さん、あの子ら連れて先に行って。」
「何言っているんです? 一緒に逃げましょう。」
石井が石橋と菅谷に向けてブルーノを牽制しながら答える。
「自分のことは自分がよくわかる。一緒について行っても足手まといになるだけ。
 だったらここであの二人を食い止める。どれだけもつかわからないけど。」
飯田ももともとは保田が持っていたブレーザーR93で石橋と菅谷を牽制しはじめる。
「くっ、……わかりました。」石井は答えると、階段を下っていく。
「そ、そんなあ、じゃあ、飯田さんを見捨てるんですか?」亀井の声が下から聞こえてくる。
「亀井! 未来のあるあなたたちまでここで死なすわけにはいかないの!」
飯田は、丘の2人を引き続き牽制しながら叫ぶ。牽制のかいもなく、2人は徐々に階段方向へと近づいてくる。
「時間がない早く! 石井ちゃん、アヤカさん。2人を頼んだわよ!」
「飯田さん! 港で会いましょう!」田中の声が聞こえてくる。泣きそうな声だった。
4人が走っていく足音が聞こえた。
(さあて、ここからね。)
飯田は唇を舐めた。

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514 :名無し娘。:2004/08/23(月) 00:25
更新おつです
飯田さんかっこよすぎです
石橋だけでもぶち殺せ!!!

515 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:55
UTABAN TEAM'S PHASE──

中居は、須藤に藤本達の対応を任せると、自分は松浦の隠れている本屋に近づく。
扉には鍵がかかっていたがデザートイーグルでガラスを割り鍵を開けて中に入る。

「おーい、あやや。SMAPの中居だけど、ゲームは終わりだから出てきていいよ!」
中居は声をかけたが反応はない。
中居は舌打ちをするとレーダーで相手の位置を確認する。
どうやらレジの下に隠れているようだ。

「アクシデントがあってもう終わりなんだ。向こうにミキティ達もいるから、
 早く出てきなよ。レジの下にいるんだろう?」

516 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:56
「あっちにいるよ。」中居は外を指す。
松浦はレジから出ると、小走りで本屋から出る。
中居はレーダーで藤本達の位置を確認しながら松浦を先に歩かせ、
自分は手で方向を指示しながら、藤本達のいる地点まで急ぐ。

藤本は須藤カメラマンの後ろで須藤の首筋にナイフを当てていた。
藤本の姿が見えた瞬間、松浦は「え?」という声を出した。
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答えていた。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」藤本は怖い顔をしながら質問する。
中居はデザートイーグルを取り出し、「そ、それは首輪が……」と答えようとしている須藤の腹に向けて、
数発銃弾を撃つ込む、もし藤本に貫通したとしてもそれはそれでかまわないと考えていた。
だが崩れ落ちたのは須藤だけだった。(運のいいやつめ……)思いとは逆に中居は満足そうな表情を浮かべた。

517 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:56
続いてデザートイーグルの銃口を呆然としている松浦のこめかみにあてる。
「さて、ミキティ。その危ないものを捨ててもらおうか。あと、近くにいる君の仲間も呼んでくれよ。
 まあ、嫌だったらやんなくてもいいんだぜ。こいつが死んでもいいんならな。」
「チッ! 卑怯な!」藤本は吼える。
「ごめんね。たん。」目の前の松浦が悲痛の表情で答える。
丘の方角からぱらららとマシンガンの銃声が聞こえてきた。

マシンガンの銃声になんら動じることはなく、中居は「お〜い、里田、出て来いよー」と呼びかける。
しばらくして奥の方から里田が現れた。その手にはイングラムを持っている。
「とりあえずその銃は捨ててもらおうか。そして2人とも荷物を地面におけ!」
2人とも渋々、地面に全てのものを置いた。その時、中居はある事を思いついた。

518 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:58
>516 改定

すると藤本の名前に反応したのか、レジの下から松浦が立ち上がった。
(いい子だ。まあ、嘘じゃないしな。)
「美貴たんがいるって本当ですか?」
「ああ、本当だ。」
「美貴たんはどこにいるんですか?」
「あっちにいるよ。」中居は外を指す。
松浦はレジから出ると、小走りで本屋から出る。
中居はレーダーで藤本達の位置を確認しながら松浦を先に歩かせ、
自分は手で方向を指示しながら、藤本達のいる地点まで急ぐ。

藤本は須藤カメラマンの後ろで須藤の首筋にナイフを当てていた。
藤本の姿が見えた瞬間、松浦は「え?」という声を出した。
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答えていた。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」藤本は怖い顔をしながら質問する。
中居はデザートイーグルを取り出し、「そ、それは首輪が……」と答えようとしている須藤の腹に向けて、
数発銃弾を撃つ込む、もし藤本に貫通したとしてもそれはそれでかまわないと考えていた。
だが崩れ落ちたのは須藤だけだった。(運のいいやつめ……)思いとは逆に中居は満足そうな表情を浮かべた。

519 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:59
「里田は普通の銃も持っていただろう。それを手に持て。」
里田は怪訝な顔をしたが、仕方なくシグ/ザウェルを手に持つ。
「見てのとおり俺は松浦から手が離せない。だから、里田、藤本を撃て。」
中居は松浦に銃口を向けたまま言う。
「な、なんでそんなことを!」里田は反発する。
「……もし、お前が藤本を撃ち、そして自殺したら松浦はなんとか助けてやろう。
 松浦のアイドルとしての価値はここで終るものではないからな。」
「そんなこと信じられないわね。」里田は信じてないようだ。
「別に信じてもらわなくてもいいんだぜ。こいつが先に死ぬだけだからな。」
中居は松浦に銃口を押しつける。松浦はガクガクと震えている。
「わかった。」口を挟んだのは藤本だった。「だけど自分の死ぬタイミングぐらい自分で決めさせてよ。」
というと里田から銃を奪うようにして取り、ロックを解除する。
「なーるほど。よしわかった。それでいいだろう。まず藤本が自殺して、そのあとは里田だな。
 じゃあ、時間もないからさっさとはじめてくれるかな?」中居は冷静に言う。

520 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:59
藤本は無表情で自分のこめかみに銃口を当てた。とその時。
「やめて…。」中居の近くから声が聞えてきた。
「まつーらのために二人とも死んじゃうなんて、そんなのまつーら全然嬉しくないよ。」
震えていたはずの松浦が今はしっかりとした声で言う。
「おまえ何……」松浦が突然右手を上にあげる。その手には手榴弾があった。
どうやら中居が藤本と里田に意識を集中していた間、ポケットから取り出したようだ。
松浦は驚く中居の前で手榴弾のピンを外す。

「うわぁ」中居は情けない声を出し、松浦を突き飛ばし逃げようとする。
だが、素早く体勢を戻した松浦に逆に後ろから抱きつかれ、バランスを崩し2人で地面に倒れる。
松浦の手から転げ落ちた手榴弾がちょうど中居の目の前に来る。
手で払いのけようと思うのだが、両手とも松浦につかまれてそれができない。
頭を必死にふり頭突きで飛ばそうとするが、手榴弾まで一歩届かない。
「は、離せ、俺はまだ死にたくない。やめろーーー!」

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521 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 00:00
WATER TEAM'S PHASE──

「は、離せ、俺はまだ死にたくない。やめろーーー!」
2人にかけよった藤本の前で、中居の絶叫とともに中居と松浦は爆発した。しばらく煙であたりは何も見えなくなる。
しばらく呆然としていたが、我に返り2人がもつれていた場所へと咳き込みながら移動し、
おそらくダメだとわかりつつも手探りで松浦を探す。

やがて4つの足を見つける。そのころには煙もだんだん晴れてきて、視界が少しはまともになった。
履いていた衣装でそれが中居か松浦かはわかったが、それ以上はわからなかった。
なぜなら、両足とも膝から下しかなかったからである。

中居正広:死亡
松浦亜弥:死亡 【SALT 2人→1人】

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522 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:05
UTABAN TEAM'S PHASE──

石橋と石田と菅谷は丘へと向っていた。学校にいたメンバーは丘へ移動していたからである。
丘まであとちょっとのところで拡声器越しの声が聞こえた。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
どうやら飯田のようだ。
「ジョンソンか…。余計なことを…。急ぐぞ…。」
3人は小走りで東南の坂道から丘へと入ったところで2回目の呼びかけがあった。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
3人はやがて飯田が見えるところまで来る。飯田は反対方向を向いており、
石橋達には気付いていないようだ。

「菅谷、やれ!」
石橋は命令する。「ういッス」と菅谷は答えると、ブルーノを取り出し飯田に狙いを定める。
トリガーをひこうとした瞬間、石橋の隣に居た石田が突然走り始め、菅谷の拳を手刀で思いっきり叩く。
菅谷はなんとか発砲するが、ブルーノを落としてしまう。

523 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:05
飯田はしゃがんで頭を隠すものの無事のようだ。
石田は地面に落ちたブルーノを拾うと飯田の方に走り、「みんな、港へ!」と叫んでいる。
菅谷は地面に置いてあった青龍堰月刀を持つと飯田達の方へと突撃する。
石田が裏切ったとわかった石橋はイングラムを構え、
「菅谷、左によけろ!」と叫ぶ。
菅谷がよけたのを確認して石橋は飯田達の方へと走りながら、イングラムを乱射する。
飯田と石田は北の階段へと逃げるようだ。その前には別の3人も階段へと向っているが、
こちらは追いつけないだろう。

石橋は目標を2人にしぼってイングラムを乱射する。
飯田が階段に近づいたところで突然転んだ。
(やったか!)石橋は思ったが、両手を使って階段の向こうへと逃げる。
先に階段に着いた石田はブルーノで石橋達を牽制する。
石橋達も牽制しつつ、じりじりと階段へと迫る。その時飯田の叫び声が聞えたが銃声にかき消され、
何と言ってるかはわからなかった。

524 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:06
やがて銃声がやんだ。
(逃げたのか?)その石橋の考えに呼応するかのように、
「追いかけますか?」菅谷が聞いてくる。
「よし! 頼んだ! 俺も援護する。」と答える。

菅谷は青龍堰月刀を構えると階段へと走る。石橋はゆっくりと階段へと歩く。
菅谷が階段まであと数歩というところまで来たところで、影が飛び出てくる。
菅谷は青龍堰月刀で斬ろうとするが、影がいち早く懐にもぐりこみ菅谷の右手を剣で斬りおとす。

「ぐわぁぁぁーーーーー!!」
菅谷の叫び声が聞こえてきた。

(さすがはジョンソン。だが、それは承知の上よ。)
レーダーはもともと石田が持っており、飯田達の位置はわからなかったのだが、
石橋は飯田が隠れている可能性を読み、菅谷を先に行かせたのであった。
石橋はその間に2人の横へと移動して2人に向けてイングラムを撃つ。
菅谷は左半身に銃弾を受けその場に崩れ落ちる。
飯田も右半身に銃弾を受けたはずだが、立ったままだった。

525 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:07
「おおおおぉぉぉぉーーーーーー!!」
飯田はケモノのような咆哮をあげると、王者の剣を持って石橋へと突進する。
血でべっとりと汚れている右足を引きずりながら、だが、引きずっているとは思えないスピードで。
石橋はその威嚇するような目に一瞬ひるんだが、気を取り直すとイングラムのトリガーを
飯田に向けてまた弾く。

無数の銃弾が飯田の体内に埋め込まれた。だが、飯田の歩みは止まらない。
「あいつはバケモノか…」
石橋は尚も撃ち続ける。やがてカチンカチンと弾が切れる。
見ると飯田はすぐそこまで迫ってきていた。飯田は王者の剣を振り上げる。
「ヒィッ…」石橋は飯田の迫力に動けず、情けない声を出してその場に尻餅をついた。
だが、飯田は振り上げたまま前にドサっと、石橋の横へと倒れ込んだ。
どうやら剣を振り上げたのが最後の力だったようだ。
「くそっ、驚かせやがって……。」
石橋は立ち上がると、動かなくなった飯田を一瞥し、タオルで汗を拭きながら、
南東への小道へと走っていった。

うたばんスタッフ 菅谷死亡
飯田圭織:死亡 【SALT 4人→3人】

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526 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:39
SALT TEAM'S PHASE──

別荘にて小川が落ち着いてきた辻と話をしていると、
「小川さ〜ん。」と外から男の声が聞こえてきた。
この島に男はいないはずと不思議に思っていると、
「小川さん、小川麻琴さん。ちょっと話があります。」と続けて声がかかった。
(な、なんでわたしがここにいることを知っているの?)と小川は不思議に思った。
「のんつぁんはここで待ってて。」と辻に言うと、一人で玄関へと移動する。
チェーンをかけたまま、「なんですか?」とドア越しに聞く。
「あ、わたくし、うたばんのディレクターで石村といいます。
 単刀直入に言いますと、ゲームはもう終わりです。あなたたちは戦わなくてもいいのです。」
「はぁ…。とりあえず仲間と相談します。ちょっと待っててください。」
小川は覚悟を決めると、一旦辻のところへ行く。
そして辻に、今の石村の話をして、辻と相談をする。
結局、安全かどうかわからないが、もし殺す気だったらわざわざ正面からこない、
どの道、このまま最後のチームが残るまで勝負させられるくらいなら、
ここで一か八か彼の話を聞くほうがいいという結論に達し、石村を中にいれることにした。

527 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:40
小川と辻は玄関に戻り、チェーンを外し鍵を開ける。外には眼鏡をかけた丸顔の30歳くらいの男性が立っていた。
「ありがとう。」彼は微笑む。
「まだ、私たちはあなたを信用したわけではありません。だから武器を預からせてもらいます。」
小川は強気に言う。
「ま、そりゃそーですね。」と石村は言うとジーンズの後ろのポケットからデザートイーグルを取ると、
それを小川に渡す。
「では、中へ。」小川は石村を中に通す。

3人はリビングのソファに座った。
「さっきの話、もうちょっと詳しく聞かせてもらいますか。」
「保田さんが貴方達の首輪の爆破装置を止めました。だから、君たちが無理矢理戦う必要なもうないのです。」
「おばちゃんが…」辻が驚く。「でもなんでそれをのぉ達に教えてくれるの?」
「スタッフの中にもあなたたちのような少女が戦うというのに反対しているメンバーがいるということです。
 わたしたちはこの計画を事前に知ってはいたものの、止めることはできませんでした。
 だけど、島のあちこちに宝箱を置くことを提案し、その中の1つにパソコンを入れておきました。
 それがうまく保田さんの手に渡って、彼女が首輪の爆破システムにウイルスをばら撒き、
 システムそのものを無効としたわけです。まあ、もし宝箱が見つけられなかったら、
 わたしの仲間が忍び込んでどこかのチームに渡す予定だったんですがね。
 で、今反対派がこの島にいる残りのメンバーをかき集めて、島から脱出しようとしているところです。」
石村は淡々と説明する。

528 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:41
「あなたの話はわかりました。でも、藤本さんたちが松浦さんをつれてここに戻ってくる予定なんです。
 だから、ここを離れられないんです。あと、ここには重傷の人もいるし。」
小川が現在の自分達の状況を説明する。
「藤本さんの件でしたら、」といって上着のポケットから藤本がもっていたものと同じレーダーを出す。
「これで居場所がわかります。これを使って合流すればいい。」
「これ、ちょっといいですか。」辻がレーダーを手に取る。
「どうぞ。」というと石村は辻にレーダーの使い方を簡単に説明する。

「スイッチオンっと。あ、ちょっと下に赤と緑の点ある。」 
「藤本さんと里田さんかなあ。」小川も隣から覗き込む。
「あややはどうしたんだろう?」辻は心配する。
「みうなさんの件ですが、傷の具合をみないとなんともいえませんね。」石村が言う。
とその時、「わたしなら、歩けますよ。」という声とともにみうなが階段から降りてきた。
顔色もよくなったように小川には思えた。
「大丈夫なの?」
「完全とはいえませんが、歩くぐらいなら。あんまり早くは歩けませんけど…。」
「まあ、いざとなればわたしが背負いますから、ご心配なく。」これは石村だ。
「じゃあ、とりあえず、藤本さん達が戻ってくるのを待ちましょう。」
「のぉはあいぼんとお別れしてくるね。」というと辻は2階へとあがっていった。
(さてと、私も準備しなくちゃ)小川も立ち上がった。

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529 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:20
WATER TEAM'S PHASE──

アヤカ達は石井の先導で島の西部へと到着した。AIRの本部である倉庫を抜け、
港へと走る。走りながら石井が「あのクルーザーが私たちのよ。」と一隻のクルーザーを指して言う。
やがて、クルーザーが止めてある桟橋へとたどり着く。

実は石井は手元のレーダーで飯田の点が消えていることに気付いていたのだが、言い出せずにいた。
石井は桟橋からクルーザーに向けて、「戸田さん。戸田さーん。」と呼びかける。
すると、クルーザーからひょこっと若い女性が顔を覗かせた。
アヤカはその顔には見覚えがあった。元カントリー娘。のりんねである。
りんねは顔に怯えの表情を浮かべていたが、突然、「逃げて! 早く逃げて!」と叫ぶ。

530 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:21
すると、横から人影が出てきて、持っていた銃の銃把のところでりんねの後頭部を殴った。
りんねは「グッ」とうめき声を出すと横へ倒れる。
「い、石橋!」前の石井が声を上げる。
「おいおい、先回りだよ。先回り。南のルートの方だと早く着くんだよ。
 ところで石田。お前どっかで見たと思ったら去年のシャッフルのメンバーか。
 まあ鈴木もそうだったようだけどな。どちらにしても俺たちを騙すなんていい度胸だ。
 礼だ。受け取れ。」
石橋はそういうと右手のイングラムで石井を撃つ。
石井はよけるものの右肩から右脇腹にかけて被弾してしまう。思わず膝をつく石井。
アヤカは素早くデリンジャーを抜くと、クルーザー上の石橋に向けて数発撃つ。
石橋は影に隠れる。アヤカは引き続き撃ちながら、「田中! 亀井! 石井さんを頼む!」と叫ぶ。
田中と亀井が石井の元へと寄り、2人で石井を支え歩く。
アヤカは石井からブルーノを借り、しんがりで歩きながらクルーザーに向けて打ち続ける。
石橋は手だけ出して、イングラムを撃ってくる。そのうちの1発がアヤカの左の二の腕を掠める。
熱感と痛感が同時にアヤカを襲う。だが、構っている暇はない。出ている手だけに向って撃ち続ける。
だが的が小さく石橋手には当たらず、周りの壁を削るのみだった。

531 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:22
石橋はそれでも撃ちつづけるが、そのうち弾切れを起こし、銃倉を入れ換える音がする。
「みんな、いまのうちに!」とクルーザーから少し離れた漁船の陰へと逃げ込む。
漁船の陰に隠れると、アヤカは石井の傷の様子を見る。
5・6発はまともに受けたようだ。決して軽くはない。

(手当てするにしてもここにはないもないし……。)
とアヤカが少し悩んだその時、前の亀井が「あ、あれ!」と叫んだ。
後ろを振り向くと、漁船の上で何かが爆発する。どうやら石橋が手榴弾を投げたらしい。
漁船のガラスが割れる音とともに爆風で4人はなぎ倒される。

「みんな、大丈夫?」
アヤカはふと顔をあげて他の3人の安否を気遣う。田中と石井は少し飛ばされたが無事なようで、
2人とも起き上がろうとしているところだった。ただ亀井が立ち上がらない。
(後頭部をうった?)アヤカは心配して声をかけようとしたその時──。

532 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:23
アヤカが後ろに人の気配がして振り返る。
石橋が影から現われたところだった。アヤカは地面に落ちたブルーノを拾おうと手を伸ばす。
石橋のそのブルーノに向けてイングラムを撃つ。

アヤカはブルーノをつかむが、右手に激痛が走りブルーノから手を離す。
右手の甲に2つほど穴が穿かれ、そこから血が流れていた。
アヤカが左手で右手を押さえてると、石橋はアヤカにむけてイングラムを構えた。
アヤカは目前に死が迫ってきてても実感がわかなかった。

アヤカこと、木村絢香はミカと同じく99年にココナッツ娘。としてハロプロ入りする。
彼女は他のココナッツメンバーとちがって純粋な日本人だった。
はじめのころこそシングルを出していたが、だんだんとメンバーがやめていき、
2001年8月の「情熱行き未来船」を最後にシングルが発売されなくなった。
そして02年にレフアがやめて、ココナッツ娘。はミカと二人きりになる。
ミニモニで活躍しているミカとは水をあけられた形となったアヤカだが、
02年にプッチへの加入というまたとないチャンスを与えられた。
だが、結局新プッチは1枚もシングルを出すことなく事実上活動停止となった。

533 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:26
(ああ、このまま死んじゃうんだ、私。せめて写真集くらい出したかったなあ……)
とアヤカが諦めかけたが──。
「たぁ〜かさん!」
石橋を呼ぶ声が石橋の後ろから聞こえてきた。
石橋が振り返ると同時に、石橋のいるところから黒煙が発生し、あたりを包む。
「ゲホッ、ゲホッ、くそっ、どうなってやがるんだ!」という石橋の声が聞えてきた。
アヤカも煙で包まれて視界がほとんどなく、煙の影響でむせる。もちろん向こうの様子は見えない。
その時、アヤカは誰かに肩を叩かれて耳元で囁かれた。
「今のうちに…」
「ミキティ!? どうしてここに?」声の主は意外にも藤本だった。

                  *            *

534 :名無し娘。:2004/08/31(火) 07:52
初めまして。いつも見させていただいたいます。
いきなり指摘します、すみません。
525のかおりはSALTではなく、WATERですよね。
あと、アヤカは写真集を出しています。

本当にすみません。
これからも頑張って下さい。

535 :名無し娘。:2004/08/31(火) 08:02
>>534
これってシャッフル時の話だから出してないんじゃない?

536 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:36
>>534
あ、そうでした。コピペ直してなかった。

アヤカの写真集は2003年8月20日発売です。
ですから、5月下旬ぐらいではまだ話を聞く前かなあと。

537 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:36
ということで525の訂正版

「おおおおぉぉぉぉーーーーーー!!」
飯田はケモノのような咆哮をあげると、王者の剣を持って石橋へと突進する。
血でべっとりと汚れている右足を引きずりながら、だが、引きずっているとは思えないスピードで。
石橋はその威嚇するような目に一瞬ひるんだが、気を取り直すとイングラムのトリガーを
飯田に向けてまた弾く。

無数の銃弾が飯田の体内に埋め込まれた。だが、飯田の歩みは止まらない。
「あいつはバケモノか…」
石橋は尚も撃ち続ける。やがてカチンカチンと弾が切れる。
見ると飯田はすぐそこまで迫ってきていた。飯田は王者の剣を振り上げる。
「ヒィッ…」石橋は飯田の迫力に動けず、情けない声を出してその場に尻餅をついた。
だが、飯田は振り上げたまま前にドサっと、石橋の横へと倒れ込んだ。
どうやら剣を振り上げたのが最後の力だったようだ。
「くそっ、驚かせやがって……。」
石橋は立ち上がると、動かなくなった飯田を一瞥し、タオルで汗を拭きながら、
南東への小道へと走っていった。

うたばんスタッフ 菅谷死亡
飯田圭織:死亡 【WATER 4人→3人】

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538 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:37
藤本と里田が別荘に戻ってくると、石村という男性が居て少し驚いたが、とりあえず説明を聞き、
完全には信用はしなかったが、とりあえず理解はした。
そこの全員に松浦の死を知らせると、別荘の空気が重いものとなったが、
藤本の「亜弥ちゃんのためにも東京へ帰るんだ!」の言葉に触発され、元気を取り戻す。

全員で港へと向うことになり、怪我をしているみうなの足取りに合わせてゆっくり行くことになったが、
既に港へ向っているWATER1人とFOOD2人(アヤカと亀井と田中)と連絡を取るために、
藤本が1人だけ先行することとなった。その時に藤本はあることを思いつき、
石村に首輪の外し方を教えてもらい、そのやり方で首輪を外し、それを辻に渡す。

「だって、レーダーってこの首輪で反応してるんでしょ? やっぱり石橋達に1人でいるのがバレると、
 ヤバいからさ。美貴は後でみんなと来ると思わせときたいわけ。」
そのほかいろいろ準備をして藤本は先に別荘を飛び出した。

別荘から港へは初めて通る道だったのだが、里田に教えてもらったとおりに進み、
さほど時間はかからなかった。港に着いたところで何かが爆発する音が聞こえ、足を速める。
やがて、視界が開ける場所まで来ると、石橋が誰かに銃を突きつけているところだった。

539 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:39
藤本は走りながら、別荘で里田に分けてもらった煙玉を2つほど火をつける。
「たぁ〜かさん!」
藤本は叫びつつ煙玉を石橋の方へと投げる。地面に落ちた煙玉はたちまち大量の煙を吐き出す。
石橋の周りは黒煙で覆われた。
「ゲホッ、ゲホッ、くそっ、どうなってやがるんだ!」という石橋の声が聞えてきた。

藤本はレーダーであたりをつけて、黒煙の中に入り、石橋の一番近くにいるWATERのメンバーの側へ行き、
その肩を叩いて、「今のうちに…」と呼びかける。
「ミキティ!? どうしてここに?」その人物――アヤカは突然現れた藤本に驚いていた。
「話は後。早くあっちの倉庫の裏へ!」藤本はそう促すと、今度は田中の近くへと移動する。
田中のところまでくると煙の影響はほとんどなかった。やはり驚いている田中にも同じく呼びかける。
「絵里が…。」亀井は仰向けに倒れたまま動いてなかった。
とりあえず亀井を田中とともに、倉庫の裏へと運ぶ。アヤカは石井とともに先に倉庫の裏にいた。
石橋の方を見ると、煙から脱出してクルーザーの方へと戻ったようだ。

藤本は全員の安否を確認する。アヤカは右手を負傷し、恐らく何も持てないだろう。
左手で持つことはできるだろうが、利き腕ではないので戦力としては期待できない。
石井は右肩から右の脇腹にかけて撃たれていて重傷であり、歩くのがやっと。
亀井は確認したところ、息があったので爆発で飛ばされて気絶しているだけのようだ。
田中は左の二の腕に切り傷がある。だがこれは手当て済みであるし、武器を持てないことはなさそうだ。
(このメンバーで石橋をどうにかしなくてはいけないのか。さて……。)

─────────────────────────────────────────────────────

540 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
UTABAN TEAM'S PHASE──

石橋は一旦船の方へと戻ったが、煙が晴れるとまた元の場所へと戻る。
だが、そこには誰もいなかった。
「くそっ、どこへ逃げやがった?」
石橋は辺りの様子を見る。近くには倉庫が3つあった。
そのうちのどれかだろうと考えた石橋はとりあえず倉庫のシャッターを調べる。
だがシャッターは開かなかった。他の2つの倉庫も調べたが同様に開かなかった。
(もしこの中に入っても袋のねずみだ。わざわざここには入ってないかもしれない。そうすると…。)
石橋はイングラムのトリガーに指をかけ、真ん中の倉庫から左の倉庫との倉庫の狭い路地をそっと見る。
だが、誰もいないようだ。今度は右の倉庫との路地をそっと覗く。やはり誰もいない。
しかし何か違和感を感じた石橋が下の向いた瞬間、下から何かが飛び出す。
「うわッ!」
どうやら藤本がしゃがんで隠れていたようだ。石橋は藤本にイングラムを向けるが、藤本の方が行動が早く、
右手の護身刀“竜穿”でイングラムを弾き飛ばす。
イングラムは弧を描くと、石橋の右後方に落ちた。石橋は振り返りイングラムを拾おうとするが、
いつの間にか現れていたアヤカが右足でイングラムを蹴る方が早かった。
「あっ」石橋は声をあげる。
アヤカは1歩進んでさらに強くイングラムを蹴る。
イングラムはクルクル周りやがてポチャンと海へと落ちた。

541 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
石橋は武器を失い四つんばいになり、がっくりうなだれる。
「貴さん、もう貴さんが戦う理由はないと思うよ。だから、もうやめようよ。」
藤本が石橋の前に来て話し掛ける。見ると武器は持っていないようだ。
「たしかに重さんを殺したのは許せないけど、だからと言ってここで貴さんを殺したらそれで終ってしまう。
 一緒に東京戻ろうよ。一緒に戻ってここでの出来事を皆に話して欲しいんだ。」
石橋は顔を上げる。藤本が右手を差し出す。
「…わかったよ。もう武器もないし降参だ。
 お前らの言うとおり、東京に戻ってこのことをみんなに話すよ。」

542 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
石橋は一旦右膝をつき、立てひざの体制になり、自分の左手で藤本の右手を握り立ち上がろうとする。
と同時に自分の右手をズボンの中に入れる。
そして立ち上がると同時に、右手で隠してあったジャックナイフを取り出し、
藤本の左胸目掛けてナイフを突き出す。いや、突き出そうとした。
だが、藤本は右手を前に出し、勢いをつける前の段階で、ナイフの刃の部分を握り勢いを殺す。

「妻子があるのに、わざわざ東京に戻って犯罪者になるわけにいかないだろう。バーカ!」
刃を握った藤本の右手から血が流れ出し、地面にポトリと落ちる。
アヤカが駆け寄ろうとするが、藤本は左手でそれを制す。
「そうか……。れいな!」藤本は田中を呼ぶ。
倉庫から田中が出てくる。手には既に倚天の剣を握って。
慌てた石橋はナイフを引いて対応しようとするが、藤本の力が案外強くて引き抜けない。
田中は黙って倚天の剣を石橋の背中へと振り下ろした。

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543 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:43
AIR TEAM'S PHASE──

里田は別荘組の後発隊として、辻・小川・みうなとスタッフの石村とともに港へと進んでいく。
みうなのスピードに合わせて普通の歩行だったので少し時間がかかった。
港につくと藤本と田中とアヤカがいた。足元には石橋が倒れており、
背中には袈裟切りにされた傷があった。
そして、藤本もアヤカも腕に怪我をしているようで右手が血で染まっていた。

声を出せないでいる里田たちにアヤカが優しく微笑む。
「全ては終わったのよ。東京に帰りましょう。」

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544 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:44
UTABAN TEAM'S PHASE──

2チームが合流し、藤本やアヤカの応急処置や島を脱出する準備をしているころ、
石村は、石橋が倒れている側に来ていた。
「石橋さん。ここまでお疲れ様でした。ゆっくりお休みください。
 私ね、彼女らを東京まで届けるとプロデューサーになれるんですよ。
 まあ、ゆくゆくは制作部長にでもなって石村時代を築くようにがんばらせてもらいますよ。」
その時、倒れている石橋の右手がかすかに動いた。
「あれ? 石橋さん、もしかしてまだ生きてらっしゃるんですか? これは失礼しました。」
と言って石村は石橋の頭を足で踏んづける。
「そういえば、東京にいる頃、私のことを散々馬鹿にしていただきましたよね?
 根暗とか、ヲタク野郎とか…。あの時、受けた御恩、私絶対忘れませんよ。」
石村は足を一旦上げ、勢いをつけて石橋の後頭部へ振り下ろす。ガツッという鈍い音がする。
「あははは、無様ですね。今のあなたを見たら奥さんや子供達はどう思うのでしょうね?」
とその時、石村は石橋を踏んでいる足に何かチクッとした痛みを感じた。

545 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:47
自分のズボンを上げて足を見てみる。足首のちょっと上のところの外側に赤い点があるのを見つけた。
「なんだこりゃ?」
続いて石橋を見てみる。石橋は右手に何か針のようなものを持っていていた。
「ぷくくく、最後の抵抗に針! それで私に抵抗したつもりですか?
 たしかにチクッとして嫌な感じがしましたよ。これで満足ですか?
 さて、そろそろ準備も終わる頃でしょう。では、石橋さん、さ・よ・う・な・ら。」
石村は歩き出し、クルーザーの方へと向うために、1歩2歩と進んでいく。
3歩目を踏んだところで、突然息が出来なくなった。思わず喉を押さえる。
だがまるで呼吸の仕方を忘れてしまったように息が出来ない。
「ぐぐぐぁぁ。」
みるみるうちに石村の顔がどす黒くなっていき、目はこれ以上ないほどに開き、口からは泡を吐き出す。
石村は立っていられなくなり四つん這いになる。よだれがボタっと地面に落ちる。
そして、右手の近くにあった草をつかむ。だがそれで楽になるはずもなく、草が抜けただけだった。
石村はそうしてしばらく最後のあがきをしていたが、やがて動かなくなった。

石村は最後まで知らなかった。石橋が最後の力を振り絞って石村の足元に刺した針はただの針ではなく、
先端には即効性の毒が仕込まれていた毒針であったことを。

石橋貴明:死亡
うたばんスタッフ 石村死亡

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546 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:20
クルーザーは一路東京へ向けて進路を取っていた。
乗っているメンバーは、アヤカ、辻、小川、里田、藤本、田中、亀井、石井リカ、熊井AD
そして運転者のりんねである。

石村Dは、アヤカが呼びに行ったときは既に事切れていた。
原因はおそらく石橋が持っていた毒針による中毒死だろうとりんねが見当をつけた。
それは、予備の支給武器の中に毒針があったのをりんねが記憶していたからである。
気の毒とは思ったのだが、だからといって遺体を東京に持って帰るわけにもいかず、
仕方なく倉庫の中に運び込んだ。

途中でスタッフがいた島へ立ち寄り、熊井ADを回収する。
熊井はみんなが無事に動いているのを知ると諦めたらしく、大人しくついてきた。
現在はクルーザーの一室で大人しくしている。

547 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:22
腕だけを怪我したアヤカと手だけを怪我した藤本に比べて石井の怪我は重傷だった。
最初はベッドに寝ていたが、熊井を連れてきて東京に向けて出発した後、みんなを呼ぶ。
「説明しなくちゃ……いけないわね。」
石井は声を振り絞って話し始める。まるでそれが自分の最後の仕事のように。

2003年のとある日、石井に懐かしい人からメールがあった。
そのメールには日時と場所の指定がされていた。どうしても直接話さなければならないという。
その日は開いていたのでOKの返事をした。

その日その場所へ行ってみた。そこはどうやら貸し会議室のようなものらしい。
そしてそこには同じくハロプロOBのりんねも来ていた。お互いに驚き近況を話し合う。
話している途中でメールの送り主である平家みちよが現われた。
平家は挨拶もそこそこに用件を切り出す。

どうやらTBSでモーニング娘。によるバトルロワイヤル計画が進行中であるとの情報を平家は聞いたらしい。
いつなのかはまだわからないが、あるのは確実なようだ。
だから、2人にTBS内部に入って詳しい情報を得て、阻止できるなら阻止してしてほしい。
自分が入ってもいいのだが、自分は外で動きたいので、2人にその仕事はお願いしたいと。

548 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:23
「バトルロワイヤルってあの小説から映画になった?」りんねが聞く。
「そう、武器で戦い合うというあれよ。」平家が答える。

最初は事務所に話したが信用されなかったという。まあ当然だろう。
TBSの内部に入るってそんな簡単にできることなのかと石井は質問した。
TBS内部にも協力者がいるからそれはOKであるという。

石井は考えていた。この現代日本でそんなことが可能なのかと、そしてそんなことをしてTBSは利益があるのかと。
すると、隣のりんねが、
「わかりました。協力します。私だったらあんまり顔が知られていないのでバレないでしょう。」
と平家の手を握った。
石井はそんなりんねの態度に面食らった。2人はじっと黙って石井の顔見る。
石井はそんな2人の視線を交わすように、壁の時計を見たり、扉を見たりしていたが、やがて耐え切れなくなり、
「……協力します。」と根を上げた。

半信半疑だった石井だが、石田佳子という名前でTBSで面接し、採用され、
うたばんのスタッフになることによって平家のことをだんだん信用する気になってきた。
一方、りんねも鈴木音羽という名前で採用されていた。
そして引き続き平家と連絡を取りつつ、非常事態に備える。
最初は保田圭の卒業の前に、太平洋上のとある島へ出張するスタッフがいるのを見つけ、
保田の卒業企画として開催されるのかと思ったが、保田圭の卒業は普通に撮影され、違うことがわかった。

549 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:25
やがて石井に太平洋上の島へと出張予定が入る。時期的にはシャッフルの時期だ。
(これか……。)石井は確信した。計画はかなり進行しており阻止は無理そうだ。
平家に相談し、はじまってから内側から壊すことになった。

石井が首輪システムを平家に教える。平家はそれをもとにウイルスを作った。
そして作戦通りに、隠し支給品のPCにウイルスで首輪システムを破壊する方法を記しておいた。
誰かに発見されやすい場所に少しカバンをはみ出させといて埋めておいた。
あとは誰かが見つけるのを待つまでだが、もし誰も見つけられないようであれば、
りんねが直接島に向かい、カバンごと手渡す予定だった。
ただ、これだとすぐに自分達が内通者だとわかってしまう可能性が高いのであまりやりたくはなかった。

だが、田中が見つけてくれて、しかもそれをPCに詳しい保田に届けてくれて石井はホッとした。
あとは順当に解除してくれて今に至るわけである。

「結果的に、あなたたちだけでも生きていてくれてよかったと思う。」
このときは既に石井の声はだいぶ小さくなっていた。
「でも、もしかしたら、誰も死なないで済むほうほうもあったかもしれない。」
「そんなことありません。みなさんがいなければ私たちも死んでいました。」亀井が泣きながら訴える。
「そう、そう言ってくれると私も助かるなあ。ありがとう。」
その言葉を最後に石井は再び喋り出すことはなかった。

石井リカ(石田佳子)死亡

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550 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/03(金) 23:24
神奈川県横須賀市のとある埠頭──

りんねの運転したクルーザーは横須賀市の埠頭へと停泊した。
熊井を連れ出したときにりんねが平家さんに連絡し、ここを指定されたからだ。
先頭の藤本が船を出る頃、丁度平家が走ってくる。だが、彼女は1人ではなかった。

「つんくさん!」つんく♂も一緒だった。
「お前ら、よく戻ってきてくれた。」
「実はね、私にこの計画があるって教えてくれたのはつんくさんだったんだ。」平家が言う。
「みんな、ごめんな。俺もプロデューサーという立場で迂闊に行動を起こせなかったんや。」
つんく♂は頭を下げる。
「そ、そんなつんくさんが謝ることはないですよ。」船から出てきた里田が慌てる。
「いや、みんな死んでもうた。俺のせいや。」つんく♂はその場で土下座をした。
「そ、そんな、つんくさん頭を上げてください。」アヤカが手を差し伸べる。
「もう起こってしまったのはしょうがいないよ。これからどうするか。それが肝心だ。」
藤本が腕組みをしながら言う。
「せやな。」つんく♂は立ち上がって涙を拭く。「みんなありがとうな。」
「とりあえず今日も遅いし、ホテル取ってあるんで、今日はゆっくり休んだほうがいいよ。」
横の平家がみんなを気遣う。

551 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/03(金) 23:26
「せや、もう夜中の12時や。とりあえずこれからのことは明日考えよ。な。」
というとつんく♂は携帯でとこかに電話をする。
「あ、もしもし俺やけど、車を回してくれるか? 右から2番目や。」
そしてみんなの方へ向く。
「今ワゴンがくるから、それに乗ってや。」
「船の中に、石井さんとうたばんのスタッフが…。」小川が心配そうに言う。
「わかってるわ。大丈夫よ。ワゴンは2台あるから。」平家が答える。
その時近くにワゴンが2台とまった。つんく♂を先頭にワゴン車へと乗る。
また、ワゴンからスタッフが出てきて、クルーザーへ向っていった。

ワゴンの扉がしまり、ワゴンは走り始めた。車内にホッとした雰囲気が広がる。
亀井が横を見ると、小川などは既に船を漕ぎ始めていた。
「これで、ようやく終わったんだ。」亀井は呟く。
「そうだね。」隣の田中が答える。
「よかった、ホントによかった。」車の揺れが心地よい。
「うん。」田中が頷く。
「これで、さゆもきっと天国で……。」
亀井は安心すると途端に眠気に襲われ、そのまま車の中で眠りについた。

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552 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 00:13
最終結果──

SALT5
安倍なつみ(説得しようとするが勘違いで大谷に射殺)
加護亜依(辻と学校を脱出するも、出血多量で死亡)
○小川麻琴(生き残る)
松浦亜弥(中居を道連れに爆死)
前田有紀(ソニンに射殺)
稲葉貴子(ユウキに刺殺)

7AIR
石川梨華(吉澤殺されて発狂、最後はアヤカに射殺)
高橋愛(勘違いで吉澤射殺後、狂った石川に射殺)
新垣里沙(別荘でナップザックを開けてしまい爆死)
ミカ(ソニンに射殺)
○里田まい(生き残る)
大谷雅恵(松浦に唆され、海に入って自殺)

11WATER
飯田圭織(石橋に射殺)
矢口真里(石川に斬殺)
吉澤ひとみ(高橋に斬殺)
○辻希美(生き残る)
紺野あさ美(ユウキに騙されて刺殺)
○藤本美貴(生き残る)
○アヤカ(生き残る)
あさみ(ソニンに斬殺)
村田めぐみ(ソニンに銃殺)
斉藤 瞳(松浦に射殺)
柴田あゆみ(狂った石川に斬殺)

FOOD6(石橋貴明)
中澤裕子(謀略の犠牲で稲葉に射殺)
後藤真希(松浦に突き飛ばされて死亡)
保田圭(ソニンに射殺)
○みうな(生き残る)
○亀井絵里(生き残る)
○田中れいな(生き残る)
道重さゆみ(石橋によって爆死)

553 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 00:13
EE
ユウキ(藤本に刺殺)
ソニン(海に飛び込んで自殺)

生存者
藤本、小川、里田、亀井、田中、アヤカ、辻、みうな

うたばん
石橋貴明(出血多量)
木梨憲武(帰京するところを船が爆発)
中居正広(松浦の自爆に巻き込まれる)
香取慎吾(帰京するところを船が爆発)

スタッフ
清水P (石村に突き落とされ墜落死)
石村D (石橋に毒針で刺され死亡)
石田佳子AD(石井リカ) (石橋に受けた傷が元で死亡)
○鈴木音羽AD(りんね) (生き残る)
○熊井AD (生き残る)
須藤カメラマン (中居に射殺)
菅谷 (飯田に刺殺)

○は生還者

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554 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 00:14
「……先ほどからお伝えしている卯久祢島テロについて再びお知らせします。
 ○×日正午頃、テロ組織のメンバーと見られる集団が卯久祢島を襲撃し、
 卯久祢島でTV番組の収録をしていた33名を殺害、5名に重軽傷を負わせました。
 島民は番組の収録のために全員避難していたため無事でした。尚、先ほど死亡者に亀井絵里さんとありましたが、
 これは道重さゆみさんの間違いでしたお詫びして訂正致します。このあと10時から記者会見が行われる模様です。
 現場となった卯久祢島に中継がつながっております……」

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555 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 00:15
モーニング娘。がLes filles de Phoenix(フェニックス娘。)となって復活!

つんく♂(34)がプロデュースするアイドル軍団、ハロー!プロジェクトのモーニング娘。が6月以降活動を停止
していたが、2ヶ月ぶりに名前を「Les filles de Phoenix(フェニックス娘。)」に変え復活することになった。

メンバーは、藤本美貴(18)、里田まい(19)、小川麻琴(15)、亀井絵里(14)、田中れいな(13)の
5人。ユニット名は、「Les filles de Phoenix」と書いて「フェニックス娘。」と読ませる。
9月6日発売の「We have returned!」が久々のシングルとなる。
リーダーの藤本美貴は「テロ事件で亡くなったみんなの分まで頑張る!!」と宣言した。

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556 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 20:39
ラスト五話

557 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 20:45
エピローグ 川=‘ゝ‘=||人μ ’ヮ ’μ

卯久祢島の事件の後、警察での事情聴取など、精神的に苦痛な日々が続いた。
そして1週間程の静養の後、Les filles de Phoenixの発表、ダンスレッスン、曲収録等の目まぐるしい日々が続く。
その合間に、5人はそれぞれの視点で卯久祢島の事件を書き、それを出版した。
これが大ヒットとなり、しばらく本の売上1位をキープした。
TV出演も増え、前にも増して忙しくなった。そんな中、全員に1日だけ休みをもらった。
そこで、里田はその1日で前から行こうと思っていた場所へと向かっているところである。

里田まいは伊東駅の改札口を出ると手元の地図を確認する。
8月下旬でまだまだ暑かったのだが、時折浜風が心地よく吹いてくる。
その場所へは、タクシーで行っても良かったのだが、なんとなく歩きたい気分なので、
歩いていくことにした。

20分程歩いたところでとある旅館に到着する。
看板を見ると銘禄園と書いてある。(ここだ)里田は安心をする。
入り口の自動ドアに近づき、中を見る。目的の人はまだいないようだ。

558 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/05(日) 20:47
(そりゃそうね。待ち合わせより15分早いもの。)
思い切って中に入る。
「いらっしゃいませ!」
フロントから従業員の人の大きな挨拶が聞こえてくる。
「ご予約の方でしょうか?」中年の男性従業員が聞いてくる。
「えっと、あのですね…。」里田が答えに困っていると……。
「里田さ〜ん。」久しぶりに聞いた声が里田の耳に入る。
里田は声を方を振り向く。「みうな!」里田は待ち合わせの人物の名を呼ぶ。
「あ、この人は私のお客さんです。」と男性従業員に説明する。

みうなは例の事件後、傷が重傷であったこと、親の反対などがあり、
芸能界を引退し、伊東温泉の旅館で働いていた。

みうなはもう少し用事があるというので、里田は旅館のお土産屋を覗き時間を潰す。
やがて、みうなが旅館の制服である着物姿から私服に着替えて出てきた。
2人はみうなのオススメで旅館の近所の蕎麦屋へと向った。

その蕎麦屋は近くで働いているみうなのオススメだけあってとてもおいしかった。
そこでお互いの近況を話しあう。なんだかんだいろいろ話し合っているうちに、
すぐ時間が過ぎてしまい、みうなが旅館に戻らなくてはならない時間になった。

「今度はみんなを連れてきてくださいよ。」
「ん〜、わかった。5人で来るよ。んじゃ、仕事頑張ってね。」
「は〜い。里田さんも頑張ってください。」
里田は駅に向って歩き出さす。後ろではみうなが旅館へと戻っていく。
(やっぱり気付いていないか…。まあ、そうだよなあ。)
外ではたくさんのセミがシンフォニーを奏でていた。

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559 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/06(月) 23:16
エピローグ ∬ ´◇`).。oO(………)    (´D` )

小川麻琴は、病院のエレベーターを3階で降りると、とある病室を探す。
とはいうものの以前にも何回か来たことがあるので、312号室はすぐにみつかった。
扉の窓から中を覗くが辻希美はそこにはいない。
(ん? お昼ごはんかな?)
小川は食堂の方へと歩いていく。すると向こうから辻が歩いてきた。
「お、まこっちゃん! 来てくれたん?」
「のんつぁん、ごめんね。なかなか来れなくて。」
「はぁ? うちはののとちゃうで、加護亜依という親から貰った立派な名前があるんや。」
「あ、ああ、ごめんごめん。」
2人は辻の病室へと歩いていく。辻が扉の横の「辻希美様」というプレートを指して言う。
「まだこのプレート変えてくれへん。早くうちの名前にしてくれ言うとんのに。
 っていうかはよ、退院したいわー。」
2人は病室に入る。

560 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/06(月) 23:16
辻希美は、小川たちがつんくに助けられて、警察の事情聴取がはじまるくらいから、
理由は分からないが、自分が加護亜依であると思い込み、おかしな大阪弁を使うようになってしまった。
周りがいくら辻希美であると説明しても、自分が加護亜依であることを譲らない。
事務所は、テロ事件のストレスによるものとして辻を精神病院に入院させた。

「あ、そういや、聞いたで、フェニ娘。のデビューシングル。
 ええなあ、あれ。なんか聞いていると元気がでてくるわ。
 あー、うちもはよ退院して歌うたいたいわー。
 ♪そうさ〜、いくぞ〜 かがやける〜あしたへ〜
 はあー、へこむ……。」
「大丈夫大丈夫、私たちは逃げないから。」
とその時、病室の扉が開いた。「加護さん、検査の時間ですよ。」看護士の人が顔を出す。
「じゃあ、私はこの辺で帰るね。」小川は看護士と入れ替わるようにして外に出る。
「うん、また来てや。」
後ろでは辻が小川の姿が見えなくなるまで手を振っていた。

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561 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/07(火) 23:33
エピローグ 川‘▽‘)|

えっと、あなたは…、村田彩さんって言うんですか? 新聞記者の人ですか?
え? フリーライターですか? へー、まだ若いのにすごいですねえ…。
あなた最近有名ですよ。いろんなところに行っていろいろ調べている別嬪さんがいるって。
え? 丘に出る幽霊のことを教えて欲しい? それ誰に聞いたんですか?
あーうちの弟からですか。わかりました。この卯久祢島ってテロ事件があったじゃないですか。
その後、俺たちが戻ってきてからですね。出始めたのは。

俺が叔父さん、あ、南部に住んでいるんですけど、そこから帰るときに、いつも丘を通るんですよ。
あれは、先々週の金曜日だったかなあ。いつもと同じく丘を歩いてたんですね。
時間ですか? んー、11時過ぎだったかなあ。歩いていると人の気配がするんですよ。
ふっとその方向を見ると、背が高くて長い髪をした目の大きな女性がいるんですよ。
その人はあきらかに島の人間じゃないんで、「こんなところで何をしているんですか?」
って聞いたんですけど何も答えないんですよ。

よく見てみると、その人普通の人間じゃないんですよ。瞬きしないし雰囲気が普通の人間じゃないっていうか…、
そしてなんか透き通ってるんですよ。んで俺、悲鳴上げて急いで走って家まで無我夢中で逃げたんです。
いやー、むちゃむちゃ怖かった。まあ、こんなところですかね。
あー、はい。お役に立てて嬉しいです。えー、ですねー、もしこの後用事がなければ、
一緒にこの島のおいしい魚とおいしいお酒でも……。あ、この後は学校? そうですか。

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562 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/08(水) 22:58
エピローグ 川V一V从

藤本が自分の記憶の異変に気付いたのは、警察の事情徴収から解放されてからである。
家で鏡をみてみると、うっすらと自分の右頬に傷跡がある。注意していないと気がつかないだろう。
テレビに出ても気付く人はいないだろう。
これはテロ事件の時にテロリストにつけられた傷なはずだ。
そのテロリストはそのあと反撃して倒している。
だが、何故かそのテロリストの顔がユウキなのである。
また、左手の傷をつけたテロリストの顔が何故か石橋なのである。
「まつーらのために二人とも死んじゃうなんて、そんなのまつーら全然嬉しくないよ。」
松浦の声が頭の中でエコーとなって響く。
それらを鍵としていろいろ考えてみるのだが、決まって激しい頭痛が藤本を襲う。

頭痛に耐え、記憶をたどるうちに自分が紺野の仇をとってユウキを殺すという記憶を思い出した。
それとリンクして、松浦が後藤を突き飛ばして崖から落としたという記憶も思い出す。
だがこれらは、テロリストに襲われた事実とははっきり違うものだった。
どちらが本当なのか、はっきりとさせるためにつんく♂のオフィスへ忍び込むことを思いついた。

563 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/08(水) 23:04
メンバー全員がオフの日、そしてそれは、つんく♂が山崎会長と某TV局の社長と3人で料亭へと行っていて
夜にオフィスにいない日でもあった。藤本はビルの同じフロアの女子トイレから換気口に入り、
つんく♂のオフィスに忍び込んだ。
PCを立ち上げ、自分のノートPCでつんく♂PCのパスワードをこじ開け立ち上げる。
すると、自動的にメディアプレイヤーが立ち上がり、画面中央につんく♂がうつった。そして喋り出す。

「これを見ているってことは、誰かが記憶を取り戻しつつあるってことだな。
 そして、異なる二つの記憶の秘密に解決するためにここに来たと。
 この映像は自分以外の人間が立ち上げた時に流れるようにしてある。
 まあいつかは来るだろうとは思っているよ。」

その声は機械によっていじられた声であった。また喋り方もいつもの関西弁ではなく、標準語である。

「お前が誰なんだか知らないが、ここまで来た褒美にとある話を教えてあげよう。」

藤本は懐に手を入れるとMDレコーダーの録音スイッチを入れる。
だが、画面のつんく♂はそれを見透かしたように言う。

「だが、録音しても無駄だ。そのために声を変えてあるし口調も変わっている。
 それに俺は自分の名前は言わない。だから証拠としては意味をなさない。
 あと、このファイルも一通り流れれば自動的に消されるようになっている。
 探しても無駄だ。」

藤本は(クソッ)と心の中で愚痴った。

564 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/08(水) 23:08
「さて、前置きが長くなったな。お前の知っての通り、モーニング娘。を代表とするハロープロジェクトは、
 CDの売上不振など限界に来ていた。プロデューサーとしてはなんとか打開しなければならなかった。
 それにはやはりニュースだろう。それも国民の涙を誘うような悲劇が必要だ。
 そこで「テロリストによってメンバーの大半が死亡」という筋書きを考えた。
 だが、そう簡単にテロリストは襲ってはくれない。だったらどうするか?
 本当にテロリストに殺される必要はない。世間的にテロリストに殺されたことにすればいい。
 メンバー通しで殺しあえば手っ取り早い。その後、記憶を操作する必要があるが。
 これについては山崎会長が海外から記憶を操作できる器具を持ってきてくれたよ。
 宗教がらみで使われているものらしい。
 これらの考えをTBSにこの筋書きを持っていった。TBSはOKしてくれたよ。
 テロリストに襲われたという事件をTBSが独占スクープさせるという条件付きでだ。
 まあもちろんお金も結構かかったがね。
 向こうは「とくばん上でサバイバルゲーム」という名目にしたようだ。
 それはこちらにも異論はない。こうしてお前らはシャッフルの企画としてサバイバルゲームをやると
 騙され、離島に連れて行かれた。あとはお前らの方がよく知っているだろう。
 結果として、藤本・アヤカ・里田・小川・亀井・田中・みうなが生き残った。
 お前らにはアヤカは病院で急死したと話してあるがあれは嘘だ。本当はアヤカは生きている。
 アヤカは洗脳直後に病院からどこかへと逃げ出したんだ。卯久祢島に現われたとの噂もある。
 記憶を取り戻したのかもしれないなー。これを公表するわけにはいかないので死んだことになっている。

565 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/08(水) 23:09
 あ、平家はこの計画には噛んでいない。あいつは本当にお前らのことを思って助けてくれたんだ。
 まあ、PCのウイルス等のアイデアは俺が出したんだけどな。
 平家とりんねとなんとかっていうADも記憶を消し、前の生活に戻っている。
 この洗脳システムなんだけどなー。完璧というわけでもなさそうなんだ。
 辻はなかなか洗脳させてくれなかったんだ、加護のことを忘れてくれなかった。
 だから、他の人より少し強めにかけたんだ。そしたら、本人が何故か加護であるということになってしまった。
 まあ、不幸な事故だなあ。仕方ないから残る五人でユニットを組ませた。
 「地獄から帰ってきた娘達」というキャッチでな。前評判は上々だ。
 時間が経つにつれ、何人かは少し記憶を取り戻すかもしれない。だけど、それを証明するのは不可能だ。
 しかも、その時はフェニ娘。は動き始めている。その忙しさで記憶もあやふやなものになるだろう。
 大事なのは過去じゃない。未来だ。お前も死んだもののために歌ってくれ。」

というと画面上のつんく♂は姿を消した。藤本はMDレコーダーのスイッチを落とす。
だが、これは本人の言うように証拠にはならないだろう。
藤本はPCを調べる。フォルダの1つ1つ、ファイルの1つ1つ。
だが、全く証拠になりそうなものを見つけられなかった。
藤本はため息をつくと、部屋の床に座り込んだ。

─────────────────────────────────────────────────────

566 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/08(水) 23:10
う〜ん、ラストは2話にわけたいので明後日で終わりです。

567 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:50
やっぱり今回の更新でラストにします。

568 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:50
エピローグ ノノ*^ー^)人从*・ 。.・从人(` ヮ´ 从

亀井は、オフを利用して田中と買い物に出かけていた。
帰りに田中がどうしても家に寄ってほしいというので、田中の家にお邪魔する。
田中の部屋に入り、母親が冷たい紅茶とお菓子を持ってくる。母親が去ると、田中は自分の机を
「どこだっけ?」となにやらごそごそと探し出し、「あった。」と声を上げると、
何かを持ってきて戻ってくる。田中は机の上にペンダントを置く。それは数字の「0」をあしらったものだった。
「これはさゆの。」と言って田中は今度は自分がつけていたペンダントを前に出したペンダントの横におく。
それは、先に出したのと同じものだ。「これはれいなの。絵里も着けてたよね?」

「うん。」と亀井は答えて首から外し、道重の隣、田中とは反対方向に置く。
それもやはり先に出たものと同じものだった。
「これ覚えとる? 3人がモーニングに入ったときに、一緒に渋谷で買ったんばい。」
「そうそう。懐かしいねー。それで、これを書いたんだよね。」
亀井は自分の財布から紙を取り出す。そこには「0+0+0=∞」と書いてある。
「ペンダントを買った頃はまだ本当に入りたてで、なんの実績もない「0」の状態なんだけど、
 その未来は∞という気持ちを込めて書いたんだよね。」
「そうそう、それ。そん時は最年長の絵里が持っとることになりよったんだっけ。
 ちゃんと持っていてくれたんやけん。」
「絵里はダンスレッスンとか辛いときに、これを見て初心に戻るためにいつも持っているんだ。」
「ところでさ、こんさゆのペンダントなんやけど、
 島でさゆば埋めたときに首から外してれいなが持っとったんやけん。」
「あれから3ヶ月かあ。」
「それでさ、さゆがさ、そん、誰に殺されたかって覚えとる?」
「え」亀井は一瞬答えに詰まる。「そ、それは、テロリスト達に……」記憶をたどって答える。
「う〜ん、たしかに、そういう記憶もあるんやけど……。」田中は頭をかきむしる。
「れいなはまた別の記憶もあるんよ。」
「別の記憶って?」亀井は聞く。
「殺されたのはテロリストにやなかってゆう……。」
「じゃあ、誰に?」亀井は尚も聞く。

569 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:51
「それに答えるのはちょこっと待って。やあ、絵里はさゆがどのようにして殺されたかって覚えとる?」
「それは、テロリスト達に銃で……あれ?」
その時、亀井は気がつく。道重がみせしめのために殺されたときに、テロリストに銃で殺されたという記憶がある。
だが、一方で別の記憶が突然浮上した。
「首輪が爆発して? 絵里がさゆの手を握っていたような……あれ?」
田中の目が大きく見開かれる。
「絵里が『いつまでも友達だよ。』って囁いて、さゆが『う、うん。』と答えてくれた……あれ?」
「そう! それ! それ、れいなんもそん記憶がある! 首輪ば爆発させたのが石橋!」田中が立ち上がって叫ぶ。
「それでれいなが怒って石橋に掴みかかった。よね?」亀井の言葉に田中は頷く。
「でも、なんで2通りの記憶があるんだろう?」亀井は少し氷がとけた紅茶を飲む。レモンティーだ。
「れいなね。どっちかは嘘なんやなかかと思うんやけん。」田中は座って話し始める。
「最初、世間的には、さゆはテロリストに殺されたことになっとるし、
 石橋に殺された方がなんかの記憶が混じっとるんやなかかと思っとったとよ。
 でもなんかちごうとる気がしとったと。他の人に話しても相手にしてくれなかと思っとったとよ。
 やけど、諦めきれんでん今日絵里に聞いてみたと。よかった〜、れいな一人やなかったんやけん。」
田中はポッキーに手を出す。
「今度さ、他のメンバーにも聞いてみない? もちろん笑われるかもしれないけど、
 きっと覚えている人もいると思うんだ。」
「そうだね…、とりあえずまこっちゃんに聞いてみようよ。」田中の提案に亀井は頷く。

                  *            *

570 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:54
結局程度の差こそあれみんなある程度思い出していたようだ。
そんな中、藤本が「全員に言うと混乱するから」と言って、亀井だけに録音していたつんく♂の声
──つんく♂と説明されなければ、どこの誰だかわからかった──
を聞き、亀井はびっくりする。その話が本当だとしたら、自分達の利益のために仲間が犠牲になったことになる。
だが、本人も言ったように、他人に話しても大ボラだと思われるだろう。
そして新しい生活も始まっている。亀井は自分達が歌い続けることによって死んでいった仲間達の手向けとしたい
という気持ちに変わりはなかった。おそらくみんなそうだろう。
だが、このまま真実を闇に葬り、次第に自分達の記憶からもなくしてしまう気はならなかった。
亀井はメンバーに真実を聞き、把握しきれない部分は自分の想像で、一つの小説にしようと決意した。
そのために1日の睡眠時間が2〜3時間になってしまったがそれでも亀井は書き続けた。

はじめ、亀井はそれを書いたままにしておこうと思ったが、やはり誰かに見てもらおうと思った。
そこで、事件前に新垣に教えてもらった「狩」という掲示板を思い出す。
そこを紹介されたときは、小説とかAAとかで楽しんだものだった。
「狩」でスレを立てて、小説を載せようと決意する。次にペンネームを考える。
そのとき、自分の机においてあった「0」のペンダントが目にはいる。
亀井はポンと手を叩き、ペンネームは「ゼロ」にすることにした。
あとはトリップを勉強し、ふさわしいトリップをみつけ、スレを立てる。
タイトルに「とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜」、
名前に「ゼロ#*****」と入れ、内容に挨拶を入れる。
「このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
 残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
 それでもいいという方がいれば──
 少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。 」

571 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:55


零ノ*^ー^)<これで私の小説は終わりです。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

572 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/09(木) 22:56


零ノ*^ー^)<最後にあげておきますね。

573 :名無し娘。:2004/09/09(木) 23:09
おお。
こんなラストになるとは。

574 :名無し娘。:2004/09/10(金) 00:39
1年以上もこつこつ更新お疲れ様でした。
まさかラストがこうなるとは思ってませんでした。
オリジナルバトルロワイヤルでもこういう終わり方はめずらしいかな?
毎回更新楽しみにさせてもらってました。ありがとう。

575 :名無し娘。:2004/09/10(金) 02:30
脱稿乙でした。
筆者さんのハロプロへの思いが感じ取れる文章で、それだけにバトロワ物という
テーマが、良い意味でミスマッチだったかと思います。

576 :名無し娘。:2004/09/10(金) 07:27
毎回見てました。
とても面白かったです。
お疲れ様でした。

577 :名無し募集中。。。:2004/09/10(金) 16:34
めっちゃ楽しませてもらいました
開始から1年ですか・・・
そんな時間が経ったと思えないくらい毎日楽しみでした
お疲れ様です

578 :名無し娘。:2004/09/10(金) 21:11
言うことなしです。ほんとにお疲れさん。

579 :ほんだし ◆21GHEvwtNw :2004/09/10(金) 23:53
ノ<面白かったです。お疲れ様でした

580 :名無し戯言:2004/09/12(日) 06:57
面白かったです。ありがとうございました。

581 :名無し娘。:2004/09/13(月) 15:46
ワラタ

582 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:29





        埋  め  立  て  企  画
        

583 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:31
────────────────────────────────────────────

2004年9月某日、品川──

( ‘д‘)<お、高輪プリンセスホテルちゅうんはここか。
       それで、運ちゃん、料金はいくらや? 4940円?
       んじゃ、5000円で、あ、釣りはええ。サービスや。

( ‘д‘)<いやあ、ええことをした後は気持ちがええなあ。
       で? 会場はっと。3階、どんぐりの間か。エレベーターに乗ればええんやな。
       あ、あのどっかで見た後姿は……、おーい、しげさん!

从*・ 。.・从<あ、加護さん、おはようございます。

( ‘д‘)<おはようさん。なんやモーニング娘。も呼び出されたんかいな。

从*・ 。.・从<そうです。絵里にも連絡がきてましたから。

( ‘д‘)<ということは、れいなも?

从*・ 。.・从<れいなは分かりません。

( ;‘д‘)<………。

( ‘д‘)<まあええわ。もう3階や。どんぐりの間は目の前やな。お、入り口に誰かおる。
       ん? うちの名前は加護亜依です。って見てわからんのかいな? ん? 一応お聞きしてます?
       なんや一応って。うちは実はルパンが変装しているとでも……

从*・ 。.・从<加護さん行きますよ。

( ‘д‘)<ここまでにしといたるわ。ん? これを持って行ってくれって? わかったわ。

584 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:31
        oノハヽ ワイワイ ノノハヽo∈
  ,〆〃ハハ§ ・ e・)     (・-・o川   ガヤガヤ
  ∬∬´▽`)( つ と ∋oノハヽo∈⊂)ノノノハヽ
  ( つ  つ (__ (__)  (´D` ) _ (__) (^▽^ )
   (_) __) ☆ノハヽ  (   )    ⊂  ⊂)
  oノ人ヽヽノノ*^ー^)  ノノノハヽ ノハヽo(__)
  (〜^◇^)( つ つ  (   )  c_,´ 从
  ( つ  つ (__)__)   (    )  (   )
   (___) __)  ガヤガヤ   (__ (___)   (__ (_)


ξξ “ З.“)(‐Δ‐ ) ル ’‐’リ 州*‘ o‘リ
μ ’ヮ ’μ 川‘▽‘)| 

从*・ 。.・从<みんな来ているみたいなの。

( ‘д‘)<どっかで見たAAやな。
       しかし、いきなりこんなところに呼び出して何がはじまるんや?
       そや、入り口でさっきもらったのなんやろ?
       5×5のマス目の中にハロプロのいろんな曲が書かれていて中央は「FREE」って書かれとる。
       もしかして、ビンゴ? 

    ┌────┬────┬────┬────┬────┐
    │ モー   .│ 恋の   │愛のバカ.│  乙女  │ チュッ  .|
    │ コー  .│ ピロリン |  やろう.  |  パスタ │ 夏パー |
    ├────┼────┼────┼────┼────┤
    │  恋の  │ めちゃ .│ スクラ  | 王子様  | BE ALL |
    │ ダンス │  ホリ .│ ンブル │ 雪の夜  | RIGHT .│
    ├────┼────┼────┼────┼────┤
    │  ここ  │ね〜え?.│ FREE  │ 青春時 │ SEXY .│
    │  いる  .│        │        │ 代123 .│ NIGHT .|
    ├────┼────┼────┼────┼────┤
    │シャボン .│ グッバイ.│ 抱いて .| ミニモニ | 赤いフリ .|
    │  玉    │  夏男  │  PGO  │テレフォン.|  ージア  |
    ├────┼────┼────┼────┼────┤
    │        │ 奇跡   | ロマン  │ラッキー │ ピリリと .│
    │  浪漫  │ ダンス。.│ 浮かれ │ チャチャ.│ 行こう .│
    └────┴────┴────┴────┴────┘

585 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:33
( ;‘д‘)<しかしズレズレやな。

从*・ 。.・从<作者はAAが作れなくて、コピペや改変しかできないので仕方がないの。

( ‘д‘)<ださっ!
  _, ,_
ノノ+^ー^)ピキピキ

( ;‘д‘)<なんで亀子が怒るんや?

(Ο^〜^)<お〜い、あいぼん!

( ‘д‘)<お、よっちゃんも来とったか。なんかみんな来とるみたいやな。

(Ο^〜^)<ん〜でも、ごっちんと安倍さんとあややとミキティがいないぜ。

( ‘д‘)<ソロ組とソロクビ組やないか。お、そろそろ時間やな。何がはじまるんやろ?

<ソロクビ言うな!

( ‘д‘)<ん? 今どこからか声が聞こえた気がするけど気のせいやろか?

キーンコーンカーンコーン

( ;‘д‘)<なんや、学校のチャイムやないか。

川VvV从<どもども、皆様おはようございます。

Σ(Ο^〜^)<ミキティ!

586 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:35
     ノノノハヽ
    川VvV从<いやあみなさん、わざわざお疲れ様です。
     (つ と)  
  ━┳━━━┳━
    ┃滝 川 ┃

从#~∀~#从<いや、それは別にええねんけど、うちらを集めてどないするん?

川VvV从<今日は、皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらいまーす

Σ( ^▽^)Σ∬ ´◇`)Σ从 ` ヮ´)Σ川σ_σ|| Σμ ’ヮ ’μ Σ州*‘ o‘リ

(; ‘д‘)<なんで……

<なんでバトロワやねん!

( ‘д‘)<つっこみはやっ! 誰や?

川 ´・`)<加護さん、はじめまして。美勇伝のつっこみ担当岡田唯いいます。
       ゆくゆくはハロプロのつっこみ担当を目指してるんや、加護さんには負けへんで。

(; ‘д‘)<そもそも、ハロプロにつっこみ担当とかないと思うんやけど。

川 ´・`)<加護さんも鈍くなったもんやなあ。昔はもっと鋭いつっこみをしとったと思うたんに…。
       体型のせいやろか?

( ` д´)<誰が3倍やねん! 

从; ・а・)<唯ちゃん。唯ちゃん。こんなところで喧嘩しちゃだめだよ。

川 `・´)( `д´)<つぼ八はだまっとれ!!!

从 TаT)

川 ´・`)<まあ、油断はせえへんほうがええで。

( ` д´)<くっそーお前だけには負けへんからな。

587 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:37
     ノノノハヽ
    川VvV从<まあ、要するに皆さんの中でアイドルとして才能があるのは誰かを決めるというわけです。
     (つ と)  
  ━┳━━━┳━
    ┃滝 川 ┃

( ‘д‘)<説明がつづいとるな。あのアホのせいでちょっと聞き逃したわ。

川VvV从<ここ東京をはじめとして最終ポイント沖縄までそれぞれ1つずつテーマが決まっており、
        それで争います。

从#~∀~#从<つまり、昔やったウルトラクイズみたいなもんやな。

川VvV从<そうですね。

( ´D`)<なんでミキティが司会なんれすか?

川VvV从<えー、シャフロワを見てもらえればわかるように作者は美貴ヲタです。
        美貴が出ると優勝してしまうので仕方なしに司会者に回ったというわけです。

ノノ*^ー^)<苦肉の策ですよ?

( ‘д‘)<なんで亀子がその辺の事情しっとるんや?

川‘〜‘)||<なっちとごっちんとあややは?

川VvV从<3人はシード選手として第3チェックポイントからです。

588 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:38
川VvV从<質問もこれまでのようですので、早速行きたいと思います。

川V∩V从<コホン

川V0V从<みんな沖縄に行きたいか〜!!

从#~∀~#从( `w´)<おー!!

川;VvV从<って2人だけかよっ、まあ、年齢的にしょうがないけどさ。
        ここはとりあえず「おー!!」って言っておけば間違いないから。

( ‘д‘)<なんやそうなんか。ようわからんけど。

(; ‘д‘)<そもそも、ミキティはいくつなんや?

ノノ*^ー^)<女性に年齢を聞くのは失礼ですよ。

川VvV从<ではあらためまして。

川V0V从<みんな沖縄に行きたいか〜!!

(Ο^〜^)||c| ・e・)|<おー!!

川V0V从<自分がハロプロ一のアイドルだと思っているか〜!!

( ^▽^)从*・ 。.・从<おー!!

川V0V从<罰ゲームは怖くないか!

( ‘д‘)<おー!!

( ;‘д‘)<ってなんや、罰ゲームってそんなんあるのか。

589 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 20:40
川VvV从<えー、お約束はこの辺にしといて。早速第一チェックポイント東京をはじめたいと思います。
        まずなんと言ってもアイドルに必要なものは運です。デビューシングルにサザンと被さってはもうどうにもなりません。
        まあ、芸能人になったみなさんはある程度、運はあるとは思いますが。
        そこでさっき渡したビンゴカードが役に立つわけです。
        普通のビンゴカードには数字が書かれていますが、
        みなさんお手持ちのカードにはハロプロの曲が書いてあると思います。
        今から、ランダムでハロプロの曲が流れます。流れた曲がカードに書いてあったらそこを穴を開けてください。

( ‘д‘)<なるほどなー、そういうわけか。

川VvV从<1列できた人が勝ち抜け。次のチェックポイント横浜へ辿り着けるのは、14名。

(Ο^〜^)<結構いけるもんだな。

川VvV从<では早速1番目の曲から行ってみましょう。

じゃんーじゃんじゃん、じゃんーじゃんじゃん、じゃんーじゃんじゃん、じゃんじゃんじゃんじゃん

( ‘д‘).。oO(このイントロはGo Girlか。文字だけじゃなんのことやらわからんけどな。)

じゃんーじゃんじゃん、じゃんーじゃんじゃん、じゃんーじゃんじゃん、じゃんじゃんじゃんじゃん

川VoV从<♪アッパレ、アッパレ、キスしてGATO!

( ‘д‘)つ<お前が歌うんかーい!
川 ´・`)つ<お前が歌うんかーい!

( ` д´).。oO(ほぼ同時やな…)
川 ` ・´)キッ
( ` д´).。oO(お前には負けへんで…)

(Ο^〜^)<???

从 ´ ヮ`)<あった、あった!
∬ ´▽`)<よし!

( ;‘д‘)<当たっとるメンバーもおるようやな。

(Ο^〜^)<でもまだ1曲目だぜ。

590 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:12
──────────── 2曲目 ────────────
川VoV从<♪素敵なひと 出会いますよ〜に!

川VoV从<L・O・V・E、ラブリーミキティ!
L   L

(Ο^〜^)<とりあえず1つめゲット!
( ;‘д‘)<またあらへん。

──────────── 2曲目 ────────────
川VoV从<♪あ、人ごみに揺られてる毎日に〜

(Ο^〜^)<今度はなかった。
( ‘д‘)<ようやく1つ目や。

──────────── 3曲目 ────────────
川VoV从<♪告白出来ないで凹んじゃって〜

川VvV从<あ、リーチかかった人は前に出てきてください。

シーン

( ‘д‘)<さすがにおらんようやな。

──────────── 6曲目 ────────────
川VoV从<♪メモは少し長いけど〜

从*・ 。.・从<リーチなの。

Σ( ;‘д‘)<もうか…、うちは2つしかあいてへんちゅうのに。

591 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:12
──────────── 8曲目 ────────────
川VoV从<♪もうすぐ夕方になる、メイクもくずれちゃう

( ‘д‘)つ<いくら自分の曲だからといって2番は歌いすぎやろ!

川 ´・`)<!

( ‘д‘)<よっしゃ! 勝った!

──────────── 11曲目 ────────────
川VoV从<♪恋する乙女 は チュッチュッチュ〜ルチュッ

( ‘д‘)<結構リーチしている人も増えたな。

从*・ 。.・从 ( ‐ Δ‐) μ ’ヮ ’μ 川‘〜‘)|| ||c| ・e・)| 从 ・а・)

( ‘д‘)<ガキさんは何がきたらええんや?

||c| ・e・)|<新垣はですねえ、「夏の夜はデインジャー」がくれば横がそろうんですよ。

( ‘д‘)<ほお、シゲさんはどうなんや?

从*・ 。.・从<「ハピネス〜幸福歓迎!〜」か、「王子様と雪の夜」がくればいいの。

( ‘д‘)<Wリーチか、ええなあ。

──────────── 14曲目 ────────────
川VoV从<♪王子様と雪の夜〜

从*・ 。.・从<そろったの!

川VvV从<シゲさんおめでとう!

( ‘д‘)<おお、よかったなあ。

( ‘д‘)<……、あ、うちリーチや! あと「浪漫」で斜めがそろう。
川 ´・`)<うちもやで! うちは「FIRST KISS」で縦や!

( `д´).。oO(絶対うちのほうが先や…)
川 `・´)キッ

592 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:13
──────────── その後 ────────────

川‘〜‘)||<そろった!
      :
从 ´ ヮ`)<やったー!!
( ‐ Δ‐)<頂きました。
      :
川o・-・)<完璧です。
      :
||c| ・e・)|<安倍さんの曲であがれるなんで最高です!
      :
μ ’ヮ ’μ<きました!
      :
(Ο^〜^)<おっしゃ!
      :
川σ_σ|| <ミュン!

( ‘д‘)<結構そろったなあ。今のところ9人。残りは5人か。
( ‘д‘)<今、リーチかかっとるんは……

( ‘д‘)从 ・а・)川 ´・`)( ^▽^)州*‘ o‘リ 川=‘ゝ‘=|

( ;‘д‘)<なんや、美勇伝そろいぶみか!

( ^▽^)<チャオ♪

( ‘д‘)<梨華ちゃんだけ落ちたりして。

( ;^▽^)

川VoV从<♪独りの日も良いんだよ、ありがたさに〜

从 ^а^)<そろいました! 縦1列そろいました!

( `д´)<空気嫁や、ジブン! 先進めるキャラ違うやろ!

川 `・´)( `▽´)州* ` o´リ 川=`ゝ´=|

从 TаT)ナンデワタシバカリ

593 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:14
────────────────────────

川VoV从<♪どうして恋人になれないの?

川 ^・^)<きたでー! 

川 ´・`)<加護さん、それではお先に…… 

( ;‘д‘)<くそっ、先越されてしもた。

────────────────────────
川VoV从<♪もったいぶらないDESTINY

( ^д^)<キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!

( ;‘д‘)<残り二人か、危ないところやったで。

────────────────────────
川VoV从<♪緊張感で汗ばむ女の見せ場じゃん

州*‘ o‘リ<きたもん。りしゃこ勝ち抜けたもん。

川VvV从<残り1人となりました。現在のリーチの人は…

( ^▽^) 川=‘ゝ‘=| ∬ ´▽`) ( `.∀´) (0゚v゚0) ( ´D`)

( ‘д‘)<いよいよ最後か……。誰が残るんやろ?

594 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:14
────────────────────────
川VoV从<♪逆転サヨナラ 満塁ホームラン 目指すっきゃない

∬ ´▽`)<きたよぉぉぉぉー!!

( ‘д‘)<お、最後はマコトか。ということは……。

( T▽T)<あいぼんのバカバカバカ。本当にわたしだけ落ちちゃったじゃない!
( TDT)<ひっく、ひっく、あいぼんのせいでおちてしまったのれす。

( ;‘д‘)<な、なんやうちのせいか?

川VvV从<それでは通過した14名のみなさん、おめでとうございます! 

从*・ 。.・从 川‘〜‘)|| 从 ´ ヮ`) ( ‐ Δ‐) 川o・-・)
||c| ・e・)| μ ’ヮ ’μ (Ο^〜^) 川σ_σ|| 从 ・а・)
川 ´・`) ( ‘д‘) 州*‘ o‘リ ∬ ´▽`)

( ‘д‘)<とりあえず次は横浜やな。

川o・-・)<横浜中華街にラーメン博物館。崎陽軒と楽しみです。

( ‘д‘)<食べ物ばかりやな。

595 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:14
────────────────────────

从#~∀~#从<あれ、あるんやろ?

川VvV从<お、中澤さん鋭い。敗者復活戦を行います!

从#~∀~#从<おっしゃ!
( ^▽^)<やったー!
( ´D`)<がんばるのです。

川VvV从<敗者復活戦は早押しクイズ。3問正解で復活です!

( ;´D`)<クイズは苦手れす。
(〜;^◇^)<おいらだって苦手だよ。

川VvV从<問題。「WHO」は世界保健機関、それでは「IAEA」は…

川‘▽‘)|∩ピンポーン

川VvV从<アヤカさん。

川‘▽‘)|<国際原子力機関

川VvV从<正解!

( ;´D`)<早いのれす。

────────────────────────

川‘▽‘)|<熊本県!

川*’ー’)<聖徳太子!

川‘▽‘)|<いまそがり!

川VvV从<アヤカさん、敗者復活!

川‘▽‘)|<クイズなら負けません! 普段目立たない分、ここで目だっておかないと!

( ;´D`)<容赦ないのれす。
( ;^▽^)<全然答えられなかった。

(〜^◇^)<高橋、もうちょっと空気よめよ! キャハハハ

596 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/20(月) 21:16
────────────────────────

第一チェックポイント通過 15名

道重さゆみ
飯田圭織
田中れいな
村田めぐみ
紺野あさ美
新垣里沙
みうな
吉澤ひとみ
柴田あゆみ
三好絵梨香
岡田唯
加護亜依
菅谷梨沙子
小川麻琴
アヤカ

→ 横浜行き決定!

597 :名無し娘。:2004/09/20(月) 22:05
乙。次回作に期待

598 :名無し娘。:2004/09/29(水) 19:58
hozen

599 :名無し娘。:2004/09/29(水) 22:47


600 :名無し娘。:2004/09/29(水) 22:47


601 :名無し娘。:2004/10/02(土) 15:26
魔人ガー

602 :名無し娘:2004/10/04(月) 13:16
ほんの1コマしか出てこなかった
哀さんに乾杯

603 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/10(日) 22:28
伊東・銘禄園(旅館)──

        ∬           ∬       
                ∬            ノハハヾ
                             从‘ 。‘*从
            。。。。ooOcっっcc∞c∞cっ。。 (つ,,,/ )∬ coo
       o(")o                   丿 ゙(..イ)   c゜っ:・
     o(")o           ノノノハヽヽ ( (( 〜〜〜〜 )) ) ゚゚o(")o ^""   ..,,..
      ("'')0  〃ノハヾヽ    (●´ー` )              O(~)o
""゙` (~~)ヽ   (´ Д ` ) ~^ ~^ ~^~ ~^ ~^     ∬       (´^ヽO    ,^゙゙'
  (⌒ヽ  ~ ~~ ~ ~~~ ~~       ∬              (⌒)(゙゙゙)~,,..
   /~゙゙ヾ⌒`ゝ-(~´`(⌒(⌒~)        (~゙゙ヾ⌒`)⌒)~´(⌒~ヽ~ ~~  、、
   ゝー ′ '"   `"    <⌒)⌒)⌒>-(⌒    ¨^^
      、i,,      ``′    ""  ,,,イiw;,,.  ""゙゙       vルイw,

(●´ー`)<ふう〜、極楽極楽だべ。

( ´ Д `)<なっち、おばあちゃんみたいだぽ。

(●´ー`)<ごっちん、あんまり変なこといわないでほしいべさ。

(* ´ Д `)<えへへ。

从‘ 。‘从<でも、やっぱり温泉っていいですよね。日頃の癒されるって感じ。

( ´ Д `)<んあ〜、東京にいるみんなに悪い気がするよ〜

从^ 。^从<でも、折角の機会なんで楽しみましょう。

(●´ー`)<♪いい湯だな〜、ハハン、いい湯だな〜、ハハン。

从‘ ー‘从<安倍さん、選曲が古いな〜

────────────────────────────────────────────────

604 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/10(日) 22:32
(●´ー`)<やっぱり温泉あがりは牛乳に限るべ。

从‘ 。‘从<コーヒー牛乳もおいしいですよ。

( ´ Д `)<この牛乳を飲むまでが温泉だね〜。

           │
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(●´ー`)<あ、卓球台があるべさ。やっぱり温泉といえば卓球だべ。

( ´ Д `)<まっつー、一勝負やらない?

从‘ 。‘从<いいでしょう。望むところです。

(●´ー`)<じゃあ、なっちは審判やるべ。

るぁー!!
  V
从 ` 。´从つ−□                │         ミ○ □−○(` Д ´ )
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
(●´ー`)<ん? ごっちんが前陣速攻型であややはカットマンタイプだべか。

                                      ハロプロの1等賞になるぽ!
                                             V
从 ` 。´从つ−□ ○ミ               │          □−○(` Д ´ )
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 

(;●´ー`)<スゴイラリーだべ。温泉卓球レベルじゃないべ。

(●´ー`)<この二人仲がいいんだか悪いんだかわからいべ。

────────────────────────────────────────────────

605 :名無し娘。:2004/10/13(水) 04:05
乙。次回作に期待

606 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:13
横浜中華街──

川‘〜‘)||<なんかいい匂いがする。さすがは横浜中華街。人も多いね。

       マチクタビレター マチクタビレター マチクタビレター マチクタビレター
     ☆ チン    マチクタビレター マチクタビレター マチクタビレター マチクタビレター
        ☆ チン  〃  ノノノハヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\川\・∀・)<  中華料理マダー?
             \_/⊂ ⊂_ )  \____________
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|   


||c|;・e・)|<あさ美ちゃんが限界に近づいているのだ。

州*‘ o‘リ<りしゃこ、餃子は水餃子派だもん。

(Ο;^〜^)<いや、そんなこと誰も聞いてないって。

川‘▽‘)|<たしかに1時ですから、みんなのおなかもすいているわけですよ。

キーンコーンカーンコーン。

( ‘д‘)<お、チャイムや。

     ノノノハヽ
    川VvV从<いやあ、どうもみなさん、こんにちは。 横浜へようこそ。
     (つ と)  第二チェックポイントはここ横浜。ここから美貴のアシスタントがつきます。
  ━┳━━━┳━
    ┃焼 売 ┃

ノノ*^ー^)<どうも〜、アシスタントのエリザベスキャメイです。

川VvV从<キャメイさんにはいろいろ手伝ってもらうのでよろしく。

ノノ*^ー^)<こちらこそよろしくお願いします。

607 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:13
川σ_σ|| <中華街=ラーメン=ラーメンマン=亀井ってこと?

从 ・а・)<あ、なるほど!

≡ノノ_,ハ,_ヽ  ノノハヽ
≡从*・ 。.・)⊃☆))аT)  バキッ
≡/つ  /  ⊂ ⊂/

从+・ 。.・从<絵里の悪口は許さないの。

从+`,_っ´)<死ね。氏ねじゃなくて死ね。

ヒリヒリ
从#TаT)ワルクチイッタワケジャナイノニ

ノノ*^ー^)<気にしてないからいいですよ。

从*・ 。.・从<絵里の優しさは五臓六腑に染み渡るの。

从 ´ ヮ`)<絵里の優しさは五大陸に響き渡るたい。

从#TаT)モウドウデモイイヤ

川VvV从<ここのチェックポイントで15名から12名に絞ります。
次のチェックポイントは伊東。伊東ではシードのソロ組が待っています。
ここのチェックポイントで問われるは「協調性」。
他人と協力できなければ芸能界を生き残るのは難しいでしょう。
ルールの説明をキャメイさんよろしく。

ノノ*^ー^)<は〜い。まずは抽選で3人×5チームに別れます。
箱の中に赤・青・黒・黄色・緑の5色のボールが3つずつ入っているので東京1抜けのさゆから
引いていってください。

608 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:14
―――――――――― チーム分けの結果 ――――――――――

レッドチーム 田中れいな・菅谷梨沙子・アヤカ

川‘▽‘)|.。oO(私だけ歳がちょっと離れていて微妙ね。)

从 ´ ヮ`)<みやびは元気?

州*‘ o‘リ<元気有り余っているもん。

――――――――――――――――――――――――――――――

ブルーチーム 飯田圭織・柴田あゆみ・紺野あさ美

川‘〜‘)|| 川σ_σ|| 川o・-・)<行くぜ! イレブンウォーター!

川‘〜‘)|| 川σ_σ|| 川o・-・)<恐竜音頭だぷりんぷりんぷりん!

――――――――――――――――――――――――――――――

ブラックチーム 新垣里沙・岡田唯・加護亜依

( `д´)<なんや、よりによってお前と一緒のチームとはついてへんわ!

川 `^´)<それはこっちのセリフや。今日は天中殺や!

(+`д´)<ジブンこそ、ちょっとみぬまにAA変わりよってからに。アゴも伸びたんちゃうか?

川+`^´)<余計なお世話や。ジブンこそますますデブルユーぶりに磨きがかかってますなあ。

(+`д´)<うちの悪口ならともかく相方の悪口まで言うなや。このアゴ女!

川+`^´)<誰もジブンの相方の話なんかしてへんわ。この3倍糞女!

||c|;・e・)|<ちょ、ちょっと、喧嘩はやめるのだ。今は同じチームなんだから仲良くするのだ。
ここは協力してこのゲームを切り抜けるのだ。

川 ´^`)<それもそうやな。とりあえずここは休戦や。

( ‘д‘)<フン、うちの足引っ張らんといてな。

||c| ・e・)|.。oO(大丈夫かなあ…。)

――――――――――――――――――――――――――――――

609 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:15
イエローチーム 道重さゆみ・村田めぐみ・小川麻琴

( ‐ Δ‐)<ふっふっふ。このゲーム、我に秘策あり!

Σ从*・ 。.・从 Σ∬ ´▽`)

∬ ´▽`)<え、なんかいい考えあるんですか!

( ‐ Δ‐)<いや、ちょっと言ってみたかっただけ。まだゲーム内容もわからんし。

从*・ 。.・从<………

――――――――――――――――――――――――――――――

グリーンチーム みうな・吉澤ひとみ・三好絵梨香

μ ’ヮ ’μ<吉澤さんお久しぶりです。

(Ο^〜^)<いやあ、みうなちゃんはいいね! ファンタジックっつーか、不思議ちゃんっていうか。

从 ・а・)<あのー。

μ* ’ヮ ’μ<それよく言われるんですけど、自分だとよくわからないんですよね。

(Ο^〜^)<まあそれはそうだろうねどさー。ホンワカした感じがいいんだよ。癒し系っていうの?

从;・а・)<あのぅ。

μ ’ヮ ’μ<里田さん言ってましたよ。ああ見えてよっちゃんは結構可愛いって。

Σ(Ο^〜^)<ええ! そんなこといってた? なんだよそれー。

从;・а・)<もしもーし。

アハハ μ ’ヮ ’μ(^〜^Ο) マジデ?

从 TаT)マタコウイウアツカイデスカ

――――――――――――――――――――――――――――――

610 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:16
ノノ*^ー^)<チーム分けも終ったところで、ゲームの説明をしますね。
ここは中華街、みなさんの前にA・Bの2種類の中華料理が登場します。
そのうちの自分の食べたいものの札を藤本さんの「ホールドアップ」の声とともに挙げてください。
この時、相談等は禁止です。少し離れてもらいますのでできないとは思いますが。
そして、自分のチームで3人とも同じのがそろえば1ポイント獲得。
3人全員が自分が食べたいものを食べられます。
2人しか合わなかった時はポイントは0です。料理は合った2人が一口分だけ食べられます。

川VvV从<サラダからデザート全部で6回戦あります。
ではさっそく最初の料理からどーぞ。

ノノ*^ー^)<はーい。こちらになります。

A:豚しゃぶサラダ B:大根サラダ

川VvV从<最初はやっぱりサラダからはじめようということで。あんまり中華と関係ないのは気のせい。
いくぞ! 1・2・3、ホールドアップ!

从 ´ ヮ`)つA 川‘▽‘)|つA 州*‘ o‘リつA

川‘〜‘)||つA 川σ_σ||つA 川o・-・)つB

川 ´^`)つA ( ‘д‘)つA ||c| ・e・)|つB

( ‐ Δ‐)つA 从*・ 。.・从つB ∬ ´▽`)つA

μ ’ヮ ’μつB (Ο^〜^)つB 从 ・а・)つA

川VvV从<レッドチーム1ポイント!

从 ^ ヮ^)<やった! もぐもぐもぐ
川‘▽‘)|<れいなちゃんに合わせてよかった。もぐもぐもぐ
州*‘ o‘リ<あばばばば。もぐもぐもぐ

川‘〜‘)||<本当に一口ね。
川σ_σ||<物足りないなあ。
川oT-T)<オナカヘッタ…。

从*・ 。.・从<ごめんなさい
∬ ´▽`)<気にすることないよ。
( ‐ Δ‐)<ふっふっふ、合う確立は1/4。6回中1・2回は合う計算だ。

1 レッド
0 ブルー ブラック イエロー グリーン

611 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:17
川VvV从<次は2回戦!

A:フカヒレスープ B:ツバメの巣スープ

ノノ*^ー^)<文字だけじゃ料理がわからないだろうとか言わない!

川VvV从<ようやく中華らしくなってきたかな。 1・2・3、ホールドアップ!

从 ´ ヮ`)つA 川‘▽‘)|つA 州*‘ o‘リつB

川‘〜‘)||つA 川σ_σ||つB 川o・-・)つA

川 ´^`)つA ( ‘д‘)つA ||c| ・e・)|つA

( ‐ Δ‐)つB 从*・ 。.・从つA ∬ ´▽`)つA

μ ’ヮ ’μつB (Ο^〜^)つB 从 ・а・)つB

||c| ^e^)|<キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
川 ´^`)<フカヒレスープや! はじめてやわー。ズーッ
( ‘д‘)<うちもや。これがフカヒレスープか。ズーッ

从 ・а・)<お二人とも、や、やりました! 
μ ’ヮ ’μ<吉澤さんありがとうございます。おいしー。
(Ο^〜^)<いやいやみうなちゃんがあわせてくれたおかげだよ。ツバメの巣ってこんなんなってるんだー。
从;・а・)<……まあいっか。食べられてるし。

川oT-T)<スープ一口だけって…、余計に空しい…。

1 レッド ブラック グリーン
0 ブルー イエロー

612 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:17
ノノ*^ー^)<以下はダイジェストでお送りします。

レッドチーム 田中れいな・菅谷梨沙子・アヤカ
ブルーチーム 飯田圭織・柴田あゆみ・紺野あさ美
ブラックチーム 新垣里沙・岡田唯・加護亜依
イエローチーム 道重さゆみ・村田めぐみ・小川麻琴
グリーンチーム みうな・吉澤ひとみ・三好絵梨香

3回戦 A:ホイコーロー B:マーボー豆腐

レッドチーム・ブルーチーム マーボー豆腐ゲット!

2 レッド 
1 ブラック グリーン ブルー 
0 イエロー

4回戦 A:担々麺 B:海鮮タンメン

レッドチーム 海鮮タンメンゲット!
ブラックチーム・グリーンチーム 担々麺ゲット!

3 レッド
2 ブラック グリーン
1 ブルー 
0 イエロー 

5回戦 A:五目チャーハン B:牛肉ガーリックチャーハン

ブラックチーム・ブルーチーム・イエローチーム 牛肉ガーリックチャーハンゲット!

3 レッド ブラック
2 グリーン ブルー
1 イエロー 

∬;´▽`)<ちょっとヤバイかも…。
从*・ 。.・从<ここで負けたくはないの。
( ‐ Δ‐)<いやいやこれからだよ。こういうクイズっぽいのは最後はアレと決まっておる。

613 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:19
川VvV从<さて、いよいよ最終ラウンド。今回はラストということで得点は倍の2点差し上げます。

( ‐ Δ‐)<ほら、来た。
∬ ´◇`)<でも、合わないと意味ないですよ。

A:杏仁豆腐 B:タピオカ入りココナッツミルク

ノノ*^ー^)<デザートでーす。

川VvV从<泣いても笑ってもこれで最後! 1・2・3、ホールドアップ!

从 ´ ヮ`)つB 川‘▽‘)|つB 州*‘ o‘リつB

川‘〜‘)||つB 川σ_σ||つB 川o・-・)つA

川 ´^`)つA ( ‘д‘)つB ||c| ・e・)|つB

( ‐ Δ‐)つA 从*・ 。.・从つA ∬ ´▽`)つA

μ ’ヮ ’μつA (Ο^〜^)つA 从 ・а・)つB

川VvV从<レッドチーム・イエローチーム2ポイント獲得!

∬ ´▽`)<やったー!!!
( ‐ Δ‐)<ふっふっふ。言っただろ、最後に正義は勝つと。
从*・ 。.・从<そんなこと言っていない気が…。でも落ちなかったからいいの。

从 ´ ヮ`)<タピオカのぷちぷち感がたまらんとです。
州*‘ o‘リ<プチプチ
川‘▽‘)|<最後でドラマがあったわね。

614 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:21
川VvV从<それでは最終ポイントの発表です。

5 レッド 
3 ブラック イエロー
2 グリーン ブルー

(Ο;^〜^)<最後の最後にかわされたか。

川σ_σ||<一気にいかれた…。

川VvV从<とりあえずレッド・ブラック・イエローチームの9人は勝ちぬけ! 伊東行き決定!

川 ´^`)<やったでー。
( ‘д‘)<伊東に行くならハ・ト・ヤやな。
||c| ・e・)|<ふるいCMなのだ。

川VvV从<最下位のチームが2チームあるので決勝を行います。決勝っていうのか微妙だけど。

ノノ*^ー^)<ルールは連想ゲームです。「赤い果物といえば何?」というような質問をします。
その答えが合った人数が多いほうが勝ち抜け。サドンデス方式なので合った人数が違ければその場で終了します。

从 ・а・)<石川さんの分まで頑張らないと…。

川o・-・)<ここで終わるわけにはいきません。

615 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:22
川VvV从<第1問 プッチモニの曲といえば? 

川‘〜‘)||つ「ちょこっとLOVE」
川σ_σ||つ「ちょこっとLOVE」
川o・-・)つ「ちょこっとLOVE」

μ ’ヮ ’μつ「ちょこっとLOVE」
(Ο^〜^)つ「ちょこっとLOVE」 
从;・а・)つ「♪恋という字を辞書で引いたぞーっていうやつ 一番最初のミリオン曲」

μ `ヮ´μ<えええええええーーーー!!
(Ο`〜´)<あの有名な歌の題名忘れるってどういうことだよ!?
从;・а・)<あの、ど忘れしました。

川VvV从<ブルーチームは3人。グリーンチームは……審議に入ります。

ノノ*^ー)ヒソヒソ(vV从

(Ο`〜´)μ `ヮ´μ
从;・а・)<ど、どうなるんでしょう? ダメダッタライキテカエレナイカモ

ソレデサユッタラネー
ノノ*^ー)  (vV从 シゲサンアイカワラズダネー

川;o・-・)<関係ないこと話しているような気が…。

マツウラサンモゲンキソウデ
ノノ*^ー)  (vV从 アヤチャンテバ…

川VvV从<決まりました。

川;σ_σ||<後半関係ないこと喋ってなかった?

川VvV从<いえいえそんな滅相も無い。判定は相手のブルーチームにゆだねたいと思います。

川‘〜‘)||<別に正解でいいんじゃない? 曲を正確に書かくクイズじゃないし。書いている曲は明快だし。
川o・-・)<そうですね。異議はありません。
川σ_σ||<でも次もそうだったら不正解にするよ。

从;・а・)<ホッ

川σ_σ||.。oO(といいつつ私もギリギリで曲名思い出したのは黙っておこう。)

616 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:23
川VvV从<第2問 山手線の駅といえば? 

川‘〜‘)||つ「上野」
川σ_σ||つ「新宿」
川o・-・)つ「原宿」

μ ’ヮ ’μつ「品川」
(Ο^〜^)つ「日暮里」 
从 ・а・)つ「渋谷」

川VvV从<これは合いませんでしたね。第3問 モーニング娘。4期メンバーといえば?

川‘〜‘)||つ「あいぼん」
川σ_σ||つ「梨華ちゃん」
川o・-・)つ「のんつぁん」

μ ’ヮ ’μつ「吉澤さん」
(Ο^〜^)つ「俺(吉澤ひとみ)」 
从 ・а・)つ「石川さん」

川VvV从<ブルーチーム1人、グリーンチーム2人ということで、グリーンチームが勝ち抜け!

(Ο^〜^)<よっしゃ!
μ ’ヮ ’μb
从;・а・)<よかった…。

川;‘〜‘)||<深読みしすぎた。素直に「のの」って書いておけばよかった。
川σ_σ||<あわせてくれると思ったのになあ。
川o・-・)<……。

川VvV从<これで第2チェックポイント通過の12名が決定しました。おめでとうございます。

ノノ*^ー^)<♪ちゃちゃちゃんらちゃらららら、とぅるるるる、どぅわー。

田中れいな
菅谷梨沙子
アヤカ
新垣里沙
岡田唯
加護亜依
道重さゆみ
村田めぐみ
小川麻琴
みうな
吉澤ひとみ
三好絵梨香

→ 伊東行き決定!

617 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/19(火) 21:24
     罰 ゲ ー ム

ノノ*^ー^)<♪でろれん、でろれん、どととと。

ノノ*^ー^)<ということで惜しくも負けてしまった飯田さん、紺野さん、柴田さんには罰ゲームをしてもらいます。

川‘〜‘)||<え! 本当に罰ゲームあるの?

ノノ*^ー^)<お約束ですから。

川σ_σ||<で、何をやればいいの?

ノノ*^ー^)<みなさんには、ここ横浜から東京まで帰ってもらいます。

川;o・-・)<ちょ、ちょっと待ってよ。収録前にお財布マネージャーさんに預けちゃったよ。

ノノ*^ー^)<ええ、ですから徒歩で帰ってください。

川;‘〜‘)||<道わかんないんだけど…。

ノノ*^ー^)<まあとりあえず地図は渡しておきますのでこれを頼りにしてください。
絵里は藤本さん達の後を追わなくちゃいけませんからこの辺で失礼します。
みなさん、頑張ってくださいねー。

川;σ_σ||<行っちゃうの? …………本当に行っちゃったよ。

川o・-・)<とりあえずこのままっていうわけにもいかないので、どうにかしなければいけませんね。

川‘〜‘)||<とりあえず16号まで出よっか。

川σ_σ||.。oO(正直めんどいなあ。)

川o・-・)<夕食までには帰れますかね?

川‘〜‘)||<帰れるといいね。

第2チェックポイント 飯田圭織・柴田あゆみ・紺野あさ美 失格 

         帰    京?

618 :名無し娘。:2004/10/19(火) 22:46
静岡といえばあの人か

619 :名無し娘。:2004/10/21(木) 14:44
次期待

620 :名無し娘。:2004/10/21(木) 14:48
唐突にネタスレになったみたいだけどおもろいですよ

621 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 22:58
第3ステージ・伊東・銘禄園(旅館)──

川VvV从<バスの長旅とりあえず初日お疲れ様でした。まあこれからもツアーは続きますが。
とりあえず初日お疲れ〜ということでみなさん夕食を召し上がって下さい。

( ‘д‘)<いただきまーす。ってこれ凄い夕食やな。刺身からあわびに天ぷらまで和食づくしや。

μ ’ヮ ’μ<ええ、ここは私も子供の頃何回か来たことがあるんですけど、いい旅館ですよ。
料理もそうですが、温泉もまた凄いんです。

( ‘д‘)<ホンマか? それはたのしみやな。

μ ’ヮ ’μ<露天風呂から見る星空はロマンティック浮かれモードです。藤本さんもびっくりです。

( ‘д‘)<それにしてもホンマ、ここの料理は最高やなー。また太ってしまいそうや。

川 ´^`)<加護はん、もう充分太ってるんで気にせんで大丈夫やでー。

(+^д^)<あははははは、ジブンこそ、あんまり食べ過ぎると、くりいむしちゅーの有田はんみたく、
顎が曲がるんで気いつけたほうがええでー。

川+´^`)<あははははは。わざわざいたみいりますわー。

              バチバチバチ
(+` д ´)- - - - - - - - -×- - - - - - - - -(` ^ ´+川

从;・а・).。oO(触らぬ神に祟りなし。黙っておこう。)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

622 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:00
( ´ Д `)<んあ、ミキティお疲れ。

川VvV从<いやあ、司会ってやったことなかったからちょっと緊張するねー。でも面白いけど。
そういえば、3人は美貴達がくるまで何をしていたの?

从‘ 。‘从<ごっちんと卓球してたんだ。

川‘▽‘)|<え? 卓球台があるんだ。

(Ο^〜^)<やっぱり温泉といえば卓球だね。

( ´ Д `)<……、よっすぃー、ミキティ、あやや、アヤカさんもあとでダブルスしない?

(Ο^〜^)<お、いいねー。

川VvV从<フッフッフ。それは滝川の福原愛と恐れられたこの私に対する挑戦状かい?

从;‘ 。‘从<美貴たん、年齢的に矛盾してるよ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

||c| ・e・)|<安倍さん、お久しぶりです。

(●´ー`)<おー、ガキさん。元気だった?

||c| ・e・)|<はい。相変らずです。安倍さんこそお元気そうで。

(●´ー`)<亀ちゃんもアシスタントお疲れ様〜。

ノノ*^ー^)<いえいえ、これくらいは大丈夫ですよ。

从*・ 。.・从<絵里〜、ここのチェックポイントはいつやるの?

ノノ*^ー^)<さゆ、ごめん。それはいえないんだ。

从 ´ ヮ`)<今やるのかと思ったけどやらなさそうっちゃ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

623 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:01
( ‐ Δ‐)<菅谷梨沙子さんですね。

州*‘ o‘リ<うん。

( ‐ Δ‐)<一つ温泉に入ったときにたしかめて欲しいことがあるんですよ。

州*‘ o‘リ<な〜に?

( ‐ Δ‐)<田中れいなさんの股間に毛は生えているのかを何気なく確かめて欲しいんです。

州*‘ o‘リ<いいよ〜。

( ‐ Δ‐)<報酬は弾みますよ。フフフフ。

∬ ´◇`)??

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

624 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:01
( ‘д‘)<温泉最高やったなー、あとは寝るだけやな。チェックポイントは明日かいな?

キーンコーンカーンコーン。

( ‘д‘)<お、ここでチャイムかいな。

     ノノノハヽ
    川VvV从<皆さん、今から寝るところだとは思いますが、ここで第3ステージを行います。
     (つ と)  
  ━┳━━━┳━
    ┃温 泉 ┃

(Ο^〜^)<え、何? 今からやるの?

川‘▽‘)|<っていうかステージになったんだ。

川VvV从<ここでは15人から1人落ちて14人になります。次のステージは三重。
みなさんはツアーとかでいろんなところにいくかと思いますが、
環境が変わったからといって眠れないようでは次の日のコンサートに影響します。
ということでここで問われるのは「すぐに眠れる能力」。
ルールのほうをキャメイさんから。

ノノ*^ー^)<は〜い。皆さんには頭に脳波を図る機械を装着してもらいます。
その状態で布団に入ってもらい、早く寝入った人から勝ち抜けです。
ちょっと寝ずらいかと思いますが頑張ってください。
尚、発表は明日の朝食時です。

川VvV从<そんな感じで準備よろしく。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

625 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:03
部屋割り紹介

玄武の間

d从*・ 。.・从b<耳につけた機械がなんか変な感じ。
d从 ´ ヮ`)b<ちょっと違和感があるっちゃ。
dμ ’ヮ ’μb<この部屋、子供の頃泊まったんですよ。懐かしいなあ〜。
d||c| ・e・)|b<菅谷ちゃん、そのフルーツ牛乳はどうしたの?
d州*‘ o‘リb<もらったんだもん。

青龍の間

d(●´ー`)b<なっち、修学旅行を思い出すなあ。……枕投げやらない?
d从;‘ 。‘从b<そんな暇はないんじゃないでしょうか。
d川‘▽‘)|b<この部屋はアダルティなメンバーがそろったお部屋ですね。
d( ´ Д `)b<んあ、よっすぃーと一緒の部屋だぽ。
d(Ο^〜^)b<この大人数で寝るのって珍しくない?

白虎の部屋

d( ‘д‘)b<たらふく食うて、温泉に入ったからすぐ眠れると思うねんけどな。って隣お前か!
d川+` ^ ´)b<それはこっちの台詞や。太った人はいびきがすごいらしいから気をつけてや!
d(+` д ´)b<いびきなんかかかへんわ!
d∬ ´◇`)b<喧嘩している場合じゃないような…。
d( ‘д‘)b<それもそうやな。うちはさっさと寝るからな。
d川 ´^`)b<うちの方が先に寝させてもらいます。
d( ‐ Δ‐)b<そうかやっぱりちょろちょろだったか。
d从 ・а・)b<???

朱雀の間

川VvV从<さあて、最後まで眠れないのは誰なんでしょうか。
ノノ*^ー^)<私たちはここでモニター越しに見守ってますよ。

………………………………………………………………………………………………………

626 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:03
d川 −^−)b.。oO(あ、なんかだんだん眠くなってきた……。)

<ののたんれす。だぶるゆーのりーだーれす。
ボソッ

d川 −^−)b.。oO(あのアホが何かつぶやいとるな。無視や無視。)

<にくまんうめーのれす。ふとるふとるいうんじゃねーのれす。
ボソッ

d川 −^−)b.。oO(……………………。)

<だってハンバーグしかわからなかったんだもん。
ボソッ

d川 −^−)b.。oO(誰がつっこむかいな)

<え? それは紺野さんでは?

d川 −^−)b.。oO(誰だつっこんだのは? この声は三好はんやな。めんどいから放置や。)

<何が?

<いやだからその台詞は辻さんじゃなくて紺野さんじゃないのかなって。

<だから?

<間違ってますよってことですよ。

<トロモニやから間違ってへんで。

<トロモニは関係ないじゃないですか。

d川+−^−)b.。oO(あー、何かイライラする。三好はんのせいで寝れんわ。)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

627 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:04
別室──

川VvV从<というわけで第3ステージがスタートしました。

ノノ*^ー^)<さてどうなることやら。

(5分経過)

ノノ*^ー^)<藤本さん、いきなり寝ちゃった人がいますよ。

            ZZZ
       __ ノハハヽ _____
     /( (0-〜-)(() /
    / ̄⌒⌒⌒⌒⌒ ̄,) 
  / ※※※※※ /
 (________,,ノ

            ZZZ
       __ ノハハヽ _____
     /(从 - 。- 从(() /
    / ̄⌒⌒⌒⌒⌒ ̄,) 
  / ※※※※※ /
 (________,,ノ

            ZZZ
       __ ノハハヽ _____
     /( 川 -▽-)|(() /
    / ̄⌒⌒⌒⌒⌒ ̄,) 
  / ※※※※※ /
 (________,,ノ

川VvV从<これは、よっちゃんさんとあやちゃんとアヤカさんだね。

ノノ*^ー^)<早いですねー。

川VvV从<あー、この3人は美貴達と卓球してたからね。ちょっと疲れていてちょうどよかったんじゃないかな。

628 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:04
(8分経過)
            ZZZ
       __ ノハハヽ _____
     /( ||c| -e-)|(() /
    / ̄⌒⌒⌒⌒⌒ ̄,) 
  / ※※※※※ /
 (________,,ノ

ノノ*^ー^)<新垣さんが寝たようですよ。

(9分経過)

            ZZZ
       __ ノハハヽ _____
     /( ( ‐ Δ‐) (() /
    / ̄⌒⌒⌒⌒⌒ ̄,) 
  / ※※※※※ /
 (________,,ノ

川VvV从<今度は村田さんか。AAもとから目をつむっているのでわかりにくいけど。

(その後──)

11分 ( ´ Д `)
13分 ( ‘д‘) 从 ・а・)
15分 从 ´ ヮ`)
16分 州*‘ o‘リ μ ’ヮ ’μ
18分 ∬ ´▽`)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

629 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:05
玄武の間

d从*・ 。.・从b.。oO(こんなことならバスで寝るんじゃなかったなあ。)

青龍の間

d(●;´ー`)b.。oO(さっき、ごっちん達が卓球していたときにちょっと居眠りしてたから、全然眠れないべさ。)


白虎の部屋

d川;´^`)b.。oO(なんで騒いでいた二人の方がうちよりも早く寝てるんやろ。焦ったら余計眠れへんわ。)

朱雀の間

ノノ*^ー^)<残るはあと3人ですね。

川VvV从<ここからはいかに平常心になるかだね。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

翌朝──

     ノノノハヽ
    川VvV从<皆さん、おはようございます。よく眠れましたでしょうか。
     (つ と)   発表は朝食を食べ終わってから発表します。
  ━┳━━━┳━
    ┃温 泉 ┃

( ‘д‘)<昨日はいつの間にやらねむっとったわ。マコはどうやった?

∬ ´▽`)<わたしもいつの間にか眠ってました。最後ではないような気もしますけどね。

( ‐ Δ‐)<そうは言ってもドキドキするもんだね。誰が落ちたんだろう?

川+`^´)<ガルルル

从;・а・).。oO(なんで、睨まれているの?)

………………………………………………………………………………………………………

630 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:06
川VvV从<朝食も終ったようなので発表したいと思います。キャメイさんよろしく。

ノノ*^ー^)<は〜い、それでは一気に12位まで発表しま〜す。

1 松浦亜弥
2 アヤカ
3 吉澤ひとみ
4 新垣里沙
5 村田めぐみ
6 後藤真希
7 加護亜依
8 三好絵梨香
9 田中れいな
10 菅谷梨沙子
11 みうな
12 小川麻琴

ノノ*^ー^)<ということでここまでの12人は第3ステージ進出決定です。

(Ο^〜^)<おっしゃ!

从 ^ 。^从<まつーらは一番だったんですね。

川‘▽‘)|<私たちの部屋の人はみんな寝るの早かったんだ。

( ´ Д `).。oO(あと3人は誰だろう?)

川VvV从<さてここまで名前を呼ばれていない3人は前に出てきて下さい。

(((从;・ 。.・从   ((((●;´ー`)   (((川;´^`)

从*・ 。.・从<ラスト3人かあ。
(●;´ー`)<なっちヤバイよー。
川;´^`)<あーもう、ホンマたのんますわー。

川VvV从<それでは第13位の発表です。第13位は……




从;・ 。.・从



(●;´ー`)



川;´^`)

631 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/10/31(日) 23:07
ノノ*^ー^)<はーい、今日の更新はここまで。

632 :名無し娘。:2004/11/01(月) 03:50
そんな殺生な

633 :名無し娘。:2004/11/02(火) 00:21
乙。次回作に期待

634 :名無し娘。:2004/11/02(火) 01:32
そんなぁぁぁぁぁぁぁ

635 :名無し娘。:2004/11/02(火) 08:06
ウワーン

636 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/03(水) 20:32
川VvV从<道重さゆみ!

从*・ 。.・从<やったー!!

从 ´ ヮ`)<さゆおめでとう!
||c| ・e・)|<おめでとうなのだ。

(●;´ー`)<なっち最後はちゃんと眠ったよー。
川;´^`)<アカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカンアカン……。
神様仏様ビリケン様〜。

川VvV从<さあ、いよいよやってきました、第14位!
これで名前を呼ばれなかった人がここで落ちます。
その第14位は……。




(●;;´ー`)



川;;´^`)




川;VvV从<……あれ、誰だっけ?

(●;;`ー´)<みいきてぃぃぃーーーーーーーーーー!!!

川;;´^`)<ホンマそういうのは勘弁してくださいよー。

川VvV从つ□<えっと、ああ、そうだそうだ。

川VvV从m6<岡田唯!

川 ´^`)<よし! あー心臓止まるかとおもうた。

(●;;´ー`)<エエエエエエエエエエ!! なっち? なっちなの?

ノノ*^ー^)<お二人はダントツで遅かったです。シゲさんが32分だったのに対して、
唯ちゃんが47分、安倍さんが50分でした。

637 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/03(水) 20:32
(●´ー`)<3分差かあ〜。

川 ´^`)<例えラス1でも抜けは抜けや! ホンマ良かったわ。

( ‘д‘)<まあ、おめでとうというておくわ。ふん。

川 ´^`)<ほんならうちもおおきにっていうとくわ。

川VvV从<これで第3ステージ通過の14名が決定しました。おめでとうございます。

ノノ*^ー^)<♪ちゃちゃちゃんらちゃらららら、とぅるるるる、どぅわー。

松浦亜弥
アヤカ
吉澤ひとみ
新垣里沙
村田めぐみ
後藤真希
加護亜依
三好絵梨香
田中れいな
菅谷梨沙子
みうな
小川麻琴
道重さゆみ
岡田唯

→ 三重行き決定!

||c| ・e・)|<このあとは罰ゲームですね。安倍さんがどうなっちゃうのか心配だなあ。

∬ ´▽`)<そういわれてみれば、横浜ん時はみんな先にいっちゃったから、罰ゲームってどういうのやるかわからないね。

638 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/03(水) 20:33
     罰 ゲ ー ム

ノノ*^ー^)<♪でろれん、でろれん、どととと。

ノノ*^ー^)<安倍さん、残念でした。それはそれとして罰ゲームをしてもらいます。

(●´ー`)<え? 罰ゲーム? そんなのなっち聞いてないよ?

( ‐ Δ‐)<あ、そうか。安倍さんここから参加だから聞いてないんだ。

ノノ*^ー^)<…………。まあ、いいじゃないですか。そんなに大変なことではないですよ。
安倍さんにはですね、ここの仲居さんを1日体験してもらいます。
ということでさっそくここの女将さんの茂那さんです。

( ´∀`)<あなたが今日うちの旅館を手伝ってくれるのね。
早速、着替えよろしくね。あと、一応変装用の伊達メガネも用意しておきましたよ。

(●´ー`)<あ、はい。着替えてきます。

ノノ*^ー^)<他のみなさんは部屋に帰って出発する準備してきてくだーい。

………………………………………………………………………………………………………

(● ΘーΘ)<さっそく着替えてきました。
(● ΘーΘ).。oO(これって微妙なAAだべさ。)

( ´∀`)<ではさっそく朝ごはんの片付けからお願い。

(● ΘーΘ)<わかりました。

………………………………………………………………………………………………………

639 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/03(水) 20:33
( ‘д‘)<さていよいよバスが出発やな。

川VvV从<えー、みなさま、あちらをごらんください。

( ‘д‘)<ん、なんや?

川VvV从<仲居さんたちが見送ってくれています。

从*・ 。.・从<あ、安倍さんもいる。

(● ΘーΘ)<みんなー、なっちの分まで元気でやるんだよー。

( ‘д‘)<眼鏡かけとったな。

μ ’ヮ ’μ<眼鏡かけていましたね。

………………………………………………………………………………………………………

 ノハヽヽ
(● ΘーΘ)
 (   )つ\
  | | |    \
 (_)__)    吊

(● ΘーΘ).。oO(このAAモップって浴場掃除しているようにはみえないべさ。)

(● ΘーΘ).。oO(この仕事って結構大変だべさ。これを毎日しているみんなはすごいわー。

(● ΘーΘ).。oO(ここで帰るのはちょっと悲しいけど、温泉宿に骨休めの1泊旅行だと思えばいいかなあ。)

(● ΘーΘ).。oO(昼ごはんは近くにおいしいそば屋があるっていうからそこで食べよおっと。)

このあと、安倍なつみが夕方泊まりに来たお客についうっかり正体をバラしてしまい、
大変な騒ぎになるのだが、それはまた別のお話。

第3ステージ 安倍なつみ 失格 

    帰    京

640 :名無し娘。:2004/11/03(水) 22:39
森本レオがいたね。乙

641 :名無し娘。:2004/11/04(木) 20:57


642 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:14
第4ステージ・三重県鈴鹿市・東鈴鹿カートコース──

     ノノノハヽ
    川VvV从<第4ステージの鈴鹿へようこそ!
     (つ と)   まあ、ここでなにやるかはもうバレバレだとは思いますが。
  ━┳━━━┳━
    ┃平 家 ┃

( ‐ Δ‐)<ふむ、これだけ同じものがいっぱい置いてあってはな。

     ノノノハヽ
    川VvV从<みなさんのお察しととおりここではカートグランプリを行います。
     (つ と)   ここで問われるは、根性とトップを狙うハングリー性。
  ━┳━━━┳━      いつも通りルール説明をキャメイさんから。
    ┃平 家 ┃

ノノ*^ー^)<はいは〜い。ルールは予選が短いことを除けば本番のF1のルールと同じです。
予選は、自分ひとりでコースを3周走行してそのうちのベストラップをとります。
それを全員分とって、成績の良い順に前から並べ、本番のスターティンググリッドがきまります。
本番は5周してもらいます。

川VvV从<それではさっそくコースの発表です。

ttp://www.sonicpark.co.jp/course/coursemap.gif

川;‘▽‘)|<こ、これは…。

( ´ Д `)<結構、テクニックが問われるコースだぽ。

(Ο^〜^)<カッケー!

     ノノノハヽ
    川VvV从<ここで落ちるのは1名。13名が次のステージ京都へと進めます。
     (つ と)   また、ここで1位になった人には、本場伊勢海老づくしの
  ━┳━━━┳━       夕食がプレゼントされます。
    ┃平 家 ┃

从 ´ ヮ`)<伊勢海老は、食べたことないっちゃ。

||c| ・e・)|<トップを狙え!なのだ。

ノノ*^ー^)<それではさっそくですね〜、カートの扱い方について説明しますので移動しまーす。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

643 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:14
ノノ*^ー^)<ということで一通り説明をしてもらいました。これから30分、カートに実際に乗って、
操作の仕方を確認してもらいます。

( ‘д‘)<あー、うちこういうの苦手や〜。機械とか苦手やねん。

从*・ 。.・从<大抵の女の子は苦手だと思うの。

( ‘д‘)<せやなー。とりあえずビリにならなければ次すすめるからがんばらんとあかんなー。

………………………………………………………………………………………………………

川VvV从<ここからは、このゲームの展望について解説にキャメイさんを迎えお送りします。

ノノ*^ー^)<はい、よろしくお願いします。

川VvV从<えー、ではまずですね。トップ争いをしそうなのは誰でしょうか?

ノノ*^ー^)<まずはですね。福岡時代に単車で慣らしたテクニックが光るか、田中れいな!

川VvV从<バイクに変な翼とかつけてそうだな。

ノノ*^ー^)<カッケーもの大好き、吉澤ひとみ!

川VvV从<よっちゃんさん、モータースポーツ好きそうだもんね。

ノノ*^ー^)<クールに決めるぜ、後藤真希!

川VvV从<なんだかよくわからないけど、ごっちんは物怖じしなさそうだよね。

ノノ*^ー^)<こんなところですね。逆にちょっとヤバそうなのが、
子供なので機械とかよくわかってない菅谷梨沙子ちゃんとか、
加護さんとか小川さんとかもちょっときついかもしれませんね。
あと、さゆも機械苦手なのでちょっと心配です。

川VvV从<ありがとうございました。さて、そうこう言っているうちに予選がはじまります。
前回の突破順と逆なので岡田ちゃんからですね。

644 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:16
なかなかスリルがあって楽しいやないか。
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 川 ´^`)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 

1週目 1分25秒57
2週目 1分19秒27
3週目 1分20秒94

川VvV从<1分20秒切ったね。

ノノ*^ー^)<次はさゆ、小川さん、みうなちゃんです。

645 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:17
           ………………
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 从 ;・ 。.・)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 

ベスト 3週目 1分29秒26

   スピードがあんまり出ないのは体重のせい?
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 ∬ ;´◇`)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分27秒92

     明日もチューチューメルヘンかいどぉ
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 μ ’ヮ ’)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分22秒78

ノノ*^ー^).。oO(やっぱりさゆ苦戦しているなあ。)

646 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:17
       わけわかんないもーん。
             V
            ☆ノハヽ         
       ヽ二二 州*‘ o‘リ       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分26秒23

  福岡で慣らしたドライブテクをみせつけるっちゃ!
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 从 ` ヮ´)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分11秒05

   さすがにスクールでは習わなかったなあ。
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 从 ・а・)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分23秒74

川VvV从<さすがはれいな、いいタイムだなあ。

647 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:17
        もうわけわからんわー。
             V
            @ノハ@         
       ヽ二二 ( ;‘д‘)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分28秒43

      ごとーはこういうの得意なんだなー。
             V
             〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 (  ´ Д `)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分14秒87

      藤原豆腐店っていうのが欲しいね。
             V
             〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 ( ‐ Δ‐)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分16秒48

ノノ*^ー^)<明暗わかれた2人と1人ってところですよ。

648 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:18
     テレフォンゴールのPVみたいだなあ。
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 ||c| ・e・)|       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分20秒02

     基本はアウトインアウトだぜ!!
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 (Ο^〜^)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 3週目 1分14秒09

      なんかたのしーですね。
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 川‘▽‘)|       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分19秒35

      まつーら、これは初体験です。
             V
            〃ノハヾヽ         
       ヽ二二 从 ‘ 。‘)       
         _||==-/ __O⌒\  ____  
 ε===(◎;;;)--(◎;;;)==二=));;;) 
         ̄      ̄      ̄ 
ベスト 2週目 1分27秒87

649 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/11(木) 22:18
川VvV从<以上で予選終了です。さて、スターティンググリッドが決まりましたね。

ノノ*^ー^)<はい。スターティンググリッドはこんな感じです。

1:从 ´ ヮ`)
          2:(Ο^〜^)
3:( ´ Д `)
          4:( ‐ Δ‐)
5:川 ´^`)
          6:川‘▽‘)|
7:||c| ・e・)|
          8:μ ’ヮ ’μ
9:从 ・а・)
          10:州*‘ o‘リ
11:从‘ 。‘从
          12:∬ ´▽`)
13:( ‘д‘)
          14:从*・ 。.・从

川VvV从<さて、ポールポジションに立ったれいながそのままトップでゴールするのか、
それとも、他のメンバーがそれを阻止するのか?

ノノ*^ー^)<そして、シューマッハに顎が似ているあの人はどうなのか!

川 ´^`)<え、ウチのこと、それ?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

650 :名無し娘。:2004/11/12(金) 08:09
おおカートか。
ショマクエを思い出す。

651 :名無し娘。:2004/11/13(土) 20:26
のこり2k

652 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/20(土) 23:04
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1097152871/14-

零*^ー^)<後編は上のスレにアップしましたよ。

653 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/21(日) 23:51
別れは突然にやってくる。
そして私たちはその人がいなくなってはじめてその人の大切さに気が付くんだ。

小説「Ghost Empress」 COMING SOON!!

654 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/11/23(火) 21:32

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