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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

223 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:48
SALT TEAM'S PHASE──

小川と加護は、ミカ達とは反対側の入り口の下で待機していた。
前田の「何があっても、こっちからトランシーバーで呼びかけるまで出てきちゃダメだよ。」の言葉に従い、
2発の銃声、松浦のと思われる悲鳴、そして石川と前田と誰か(稲葉なのだが、小川にはわからなかった。)の
怒鳴り声が聞こえてきたが動かずじっとしていた。「プープー」トランシーバーが鳴った。
「はい、加護です。」「前田です。出てきてもいいよ。」前田だった。

2人が緊張しながら丘に上ると、そこには前田と松浦と稲葉の2人が居た。
気のせいか松浦が今まで泣いていたかのようにズズッと鼻をすすっていた。
「あれ? 梨華ちゃんは?」加護が尋ねる。
「ちょっとね。」答えたのは前田だった。

224 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:49
その時小川に肩を叩かれる。「加護さん、あれ…。」と小川の指差した先には…。
お腹のあたりと左胸を打ち抜かれた中澤が仰向けになって倒れていた。中澤は微動だにしない。
「なかざわさん?」加護と小川はかけよる。「嘘…」
「最初は、石川は松浦を撃とうとしたの。」後ろから前田の声がかけられる。
「それに気付いた稲葉さんが、銃に取り付いて取り上げようとしたんだけど、
 2人が揉み合っているうちにトリガーが引かれちゃって、ちょうど中澤さんのいた方向に…。」
「ごめんね。加護ちゃんに小川ちゃん。私がもっと早く気付いていれば…。」稲葉が声を掛けた。

中澤裕子は加護が娘。に入った時のリーダーであった。
最初は、怖い人だと思っていて、ちょっとおっかなびっくりしていた。
教育係の後藤や、同期の3人と話すことはあっても、中澤と直接話すことはなかった。
しかし、加護が娘。として活動していくうちに、自然と中澤に対するイメージが変わった。
怖そうに見えるけど、平気で二日酔いで現場にくるし、結構涙もろい。
それからの加護の中澤に対する態度は、辻と2人で中澤を「おばちゃん」と呼んでいたところに表されるだろう。
「みそじ、みそじ〜」とからかう事もしばしばあった。

225 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 12:49
そんなことを思い出していたら、加護の目から涙が落ちた。
(なんでや、なんでみんな血ィ流して死んでしまうんや? こんな下らないことで、
 昨日まで仲間だったうちらがなんで争わなあかんのや? なんでや? 教えてや、中澤さん。)
その最初の一粒がきっかけとなって、加護は中澤の手を握って再び泣き始めた。
小川は自分のポケットからハンカチを取り出し、そっと加護に渡した。

                   *            *

226 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 21:26
加護が落ち着くのを見計らって、稲葉は話を切り出した。
「私、正直石川さんには正直、これ以上ついていけない。だから、AIRからSALTにチーム変更したいと思う。
 そこでね、SALTのみんなの協力が必要なの。」
「協力?」小川と加護が声を合わせて聞き返す。
稲葉はナップザックを開けると、バトロワのルールが書かれたプリントを出し、2、3枚めくると、
プリントを小川と加護に見えるように差し出した。「ちょっとここ読んでみて。」稲葉はプリントのある場所を指し示す。
小川が代表してその文章を読む。

「えっと、第13条、所属チームの変更について。所属チームの変更は、変更先の過半数以上のメンバーの承認があれば、
 これを認める。ただし、以下の場合は認められない。
 1 変更先のチームの人数がゲーム開始より多くなる場合(SALT 5人、AIR 7人、WATER 11人、FOOD 7人)
 2 チーム変更により変更元のチームの人数が0人になる場合   」
(こんなルールがあるの知らなかったなあ。ざっとしか読んでなかったからなあ。)
小川は読み終わると、プリントを稲葉に返した。
「つまり、加護ちゃん達が私のチーム変更を認めてくれればOKなわけ。」
稲葉はプリントを再びナップザックにしまいながら言う。

227 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/12/23(火) 21:27
「とりあえず、松浦からいきます。」松浦は少し落ち着いたようで、手を上げて話し始めた。
「私、松浦亜弥は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」
「前田有紀は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」次は前田だ。
「この時点で、過半数は超えているけど、私は全員の許可を得たいと思ってね。」
「えっと、加護亜依は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。でいいのかな?」加護も賛成したようだ。
「ありがとう。」稲葉が手でサインを出す。
(う〜ん、石川さんが松浦さんを撃とうとしたというのはちょっと信じられないけど、
 とりあえず稲葉さんの加入に反対する理由はないなあ。)小川は思った。
「小川麻琴は、稲葉貴子のSALTへのチーム変更を認めます。」
「ありがとう。これからよろしくね。」差し出された稲葉の手を加護は握り、小川も同様に握手をした。
その時、小川の心の中にあるアイデアを思いついた。
(これって大丈夫だよね? …うん、多分いけるはず。あとで加護さんに相談してみよう。)

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