■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 最新50
とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。


301 :名無し娘。:2004/03/10(水) 00:17
更新乙

最後の
>ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【WATER 8人→7人】
ミカは AIR だ

302 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
>>301
あ、ほんとだ。っつーことで訂正。

303 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
弾に当たらないように身を伏せていたソニンはそれを待っていたかのように、
立ち上がり、ミカの方に早歩きで近づいてくる。
立ち上がれないミカはずるずると這うように大木の方へ動いていく。
這ったいるミカが、五体満足なソニンから逃げられるわけがないのはよく考えればわかるのだが、
今のミカを動かしているのは、
(アイの……ところに……行かなくちゃ……)
という思考であった。
それでもなんとか最初の目的地の大木の根元まで来たところで、ブルーノの発砲する音が響いた。
それがミカが人生で最後に耳にした音だった。

ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【AIR 4人→3人】

─────────────────────────────────────────────────────

304 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ブルーノによって事切れたミカをみるとひといき息をつき、ユウキのいる方に走って戻っていく。
戻ると、ユウキは鼻を押さえながら、立ち上がりかけているところだった。
その顔は、ミカによる殴打で腫れ上がり、その男前が(性格はともかくとして)台無しだった。
「くっそー、あのガイジン、遠慮なく殴りやがって…。」
ソニンは、そんなユウキに自分のティッシュを渡す。
ユウキは「フン」と鼻を鳴らすと、1枚を鼻血が出ている自分の鼻に詰めた。

「なんで勝手な行動してるの? 『見張ってろ』っていわなかったけ?」ソニンは問い詰める。
「たしかに『見張ってろ』とはいったけど、『獲物を見つけても構うな』とは言われた覚えはないが?」
ユウキも負けていない。
「何小学生みたいなこと言ってんの? 私がいなかったら今ごろ、死んでいたかもしれないのよ?」
「はあ? 誰が助けろって言った? 余計なことすんなよ。あそこから反撃しようとしてたんだけど。」
「へぇー。あそこから反撃ねえ。あのマウントポジションからどうやって反撃するのか、
 今後の参考にするから、聞かせてくれない?」ソニンは、皮肉まじりで笑みを浮かべた。
「そ、それは…。」ユウキはつまる。「お前になんか話せるかよ。」ソニンから目線をそらす。
「はぁー。」ソニンはゆっくり首を振ると大きなため息を付いた。

305 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
「とにかく、お前の力を借りなくても、俺はもう1人でやっていける。」
というと、自分の服についた砂を手で払い落とすと、一人で歩き出す。
「おい。」「止めるなよ。」「止めないけどさー、せめて武器くらい持っていきなよ。」
というとソニンは、ミカから取り返したワルサーと、自分のナップザックから手榴弾を3つ渡す。
「どーも。」ユウキは不貞腐れた礼をすると、内陸側に向けて歩いて行った。

                   *            *

306 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/12(金) 23:06
(あったあった。次はエクスカリバーか。)
ユウキはミカともみ合っているうちに、落としてしまった自分のぶんのナップザックを拾い上げる。
(フン。俺は1人でもやっていけるさ。だいたいEEの時だって俺一人で十分だったんだ。)
この時のユウキの自信は、実は紺野を仕留めることができた、ただそれだけなのだが。
(たしかここに…。みっけっと。)
隠してあったエクスカリバーも見つけて、鞘から剣を抜いてみる。
(ん? …くそっ、あのガイジン遠慮なく殴りやがって。)
刀身に写った自分の、いろんなところが腫れ上がった顔を見て毒づく。
(まあいい、それならいきなり攻撃するまでさ。)
ユウキはレーダーのスイッチを入れ、次なる得物を探し始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

307 :名無し娘。:2004/03/13(土) 00:36
(♂´ Д `)ノ<HEY YO!作者さん!がんばってくれYO!

308 :名無し娘。:2004/03/13(土) 09:20

                                 (T◇T〜)[TдT]

川o・-・)<歴代ミニモニリーダー全滅ですね。

从#~д~#从<とりあえず石川シメるか。

309 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:39
SALT TEAM'S PHASE──

加護と小川は、矢口と合流しようと松浦に教わった地点へと急ぐ。
やがて茂みの向こうから、何やらドサッと地面に落ちる音がした。
小川は、茂みから顔を出し、そっと音のした方を見る。
すると、石川が仰向けに寝ていて、矢口が何かを遠くへ投げているところだった。
(どうしたんだろう? いやな雰囲気だなあ。)
「あれ? やぐ…」「しっ」隣に来た加護に向けて小川は右手の人差し指を口に持って行き、
静かにというメッセージを送った。

やがて石川は立ち上がると、腰から斬鉄剣を抜き、矢口に斬りかかる。
振り向いた矢口は咄嗟に手元のナップザックからデザートイーグルを取り出し、それで斬鉄剣を受けた。

カキーン

310 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
金属音と共に、矢口のデザートイーグルは斬鉄剣の勢いを消せずにはね飛ばされた。
「ちょ……って!……」
石川は今度は矢口の喉元を狙って突きを入れる。今度は矢口は防ぎきれずに刃は喉の下部に突き刺さった。
石川が斬鉄剣を引き抜くと、矢口の喉から血が飛び散りはじめた。石川の上半身が矢口の地で赤く染まっていく。
矢口は口から血を吐き出し、ゆっくりと後ろに倒れた。
「うわああああああっ」加護は目の前で行われた悲劇に対し、悲鳴を上げ尻餅をついて座り込んでしまった。
石川がゆっくりと2人のほうを向く。上半身は返り血で真っ赤に染まり、その目は何も見ていなかった。
(こ、この目は危ない。正気な人の目じゃない。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかける。

311 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
加護は、松浦のいる別荘に戻ると玄関のドアを開けようとする。だが開かないようだ。
小川は、玄関のインターホンを連打する。「松浦さーん、松浦さーん!!!!」
すると中から、「今更、中に入れるとでも思ってるの?」という声がした。
加護は「なんでやねん…。」というと、どこかへ向けて走り始める。
「どこへ行くんですかあ?」小川もついていきながら尋ねる。
「学校や。学校にいくんや。!!」その時、パンパンパンと何発か発砲する音が当たりに響いた。
加護が何かに弾かれたように倒れる。「ぐっ…。」左の脇腹を押さえている。
「どうしたんですか?」小川は加護の脇腹を見た。脇腹からは血が流れ始めている。
どうやら撃たれたらしい。
小川が後ろを振り向くと、50mほど先に石川がデザートイーグルを構えて立っていた。

─────────────────────────────────────────────────────

312 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:48
AIR TEAM'S PHASE──

石川が振り向くと、尻餅を付いた加護とそんな加護を見て慌てている小川の姿があった。
(あの衣装は、SALT。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかけていく。
(…SALTと稲葉が私を嵌めなければ、私は矢口さんを殺さずに済んだ…。
 いってみれば、SALTが矢口さんを殺したようなものだ。私はSALTを許さない…。)
石川は自分が人殺しを、しかも一昨日まで一緒に芸能活動をしていた先輩を殺してしまったことを受け止められずに、
他人に転嫁しはじめていた。逃げる2人は石川にとっては、同期や後輩ではなく自分の敵だった。
足元に落ちている矢口の(もともとは松浦の)デザートイーグルを拾うと2人を追いかける。

313 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:49
どうやら2人は別荘に戻ろうとしているようだ。
2人は玄関の扉を開けようとするが鍵が掛かっているのか開ける事ができず、諦めて逃げ出す。
その間に石川は2人との差をつめていた。
(矢口さんの敵、やぐちさんのかたき、ヤグチサンノカタキ…)
逃げようとする2人に向かって石川はデザートイーグルを構えると、トリガーを4回弾いた。
そのうちの1発が加護の脇腹に命中し、加護が崩れ落ちる。
石川はそれを確認すると、デザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜き、2人に近づいていく。
「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
加護はこっちを向くと、小川に支えられて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
だが、2人の逃げるスピードは以前よりも落ちていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
石川は斬鉄剣を抜いたまま、2人を追いかける。

2人はしばらく逃げていたが、やがて二手に分かれる。
(なるほどねー。どっちかは逃げ残るというわけね。さて、どっちを追いかけ…ん?)
「石川さんっ。」
見ると、一方に逃げたはずの小川が立ち止まって石川の方に呼びかけている。
「なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

─────────────────────────────────────────────────────

314 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
SALT TEAM'S PHASE──

「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
(梨華ちゃん言っていること無茶苦茶やな…)
加護はデザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜いて近づいてくる石川を見ると、
小川に肩を借りて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
ところが怪我を負った加護は脇腹に力が入らなく、早く走れなくなっていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
後ろから石川の声が聞こえた。

315 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
(このままじゃ、すぐに追いつかれてしまうな…。今の梨華ちゃんに話は通じへんやろし、……そや。)
「まこっちゃん」加護は小川に呼びかける。「なんですか?」「二手に分かれよう。」「へ?」
「このままだったら追いつかれちゃう。二手に分かれれば、相手は一人だからどっちかしか追いかけられないよ。
 梨華ちゃんがどっちを追いかけるかわからないけれど、2分の1の確率だよ。」
「…わかりました。じゃあ小川は丘のほうから逃げます。…学校で会いましょう。」
「そうそう。絶対生き延びてWATERに入れてもらおうね。約束だよ。」
「はい、わかりました。ぜったい2人でWATERに入れてもらいましょう。」
というと小川は加護から離れていった。

(まこっちゃん、ごめんな。うちは多分約束守れそうにない。
 おそらく梨華ちゃんは怪我している足の遅いうちの方にくるやろ。
 怪我しているうちができる抵抗と言ったら大した抵抗もできへん。
 でもこれでええんや。まこっちゃんが無事に学校にたどり着いてののやこんちゃんと合流できればええんや。
 まこっちゃん、WATERのみんなによろしくな。)

                   *            *

316 :名無し娘。:2004/03/20(土) 04:53
あいぼんの覚悟が泣けるねぇ

317 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:17
小川は、加護から離れると一旦は丘方面へと走ったが、やがて戻り石川に話し掛ける。
「石川さんっ。なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

(加護さんは自分が犠牲になることにより、わたしを逃がしてくれようとしたのかもしれない。
 でも、加護さんばっかり辛い目にはあわせない。石川さんだったら後輩には遠慮してくれる……はず……たぶん。)

「わたしが矢口さんを殺した? 何言ってるの、小川? 
 まあ、たしかに最終的にはわたしがとどめをさす形にはなったけど、
 もともとは、あなたたちSALTが石川達を罠にはめたからそうなったのよ。」
「罠にはめたって…どういうことですか?」
小川と加護は、中澤が死んだのが石川が暴走したせいだと信じている。
「やっぱりとぼけるんだ。」石川は呆れたように言った。
「とぼけるって…。罠にはまったかどうかはともかく命を奪ったのは事実じゃないですか。」
「ええ、命は奪ったわよ。でも私にそうさせたのはあなたたちだって言っているの!」
(え、開き直った…。)小川は石川の意味不明な責任転嫁に呆れて声が出なかった。
「ふん、もう言いたいことはないようね。」というと石川は腰から斬鉄剣を引き抜いた。
「さて、あの世で新垣に謝ることね。」小川にゆっくりと近づいてくる。

318 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:51
この言葉に小川はすぐさま反応した。
(もうこの人は小川の知っている石川さんじゃない。)
あらかじめズボンの後ろのポケットに入れてあったデザートイーグルを取り出すと銃口を石川に向ける。
「!!」石川は驚愕の表情を浮かべるが、すぐさま呆れた表情になった。
「あらあら、小川がそんなことするなんて…。はぁ。」「…撃ちますよ。」
「わたし、ショックだなあ。小川が先輩を撃とうとするなんて。そんなふうに育てた覚えはないんだけどな。」
と言いつつ近づいてくる。
「くっ」(今更先輩気取りされても…)
「わたし、小川にいろいろ教えたよね? 歌はあんまり上手じゃなかったけど、ダンスとか精神的なこととか。」
石川は更に近づいてくる。
「……」(この人は石川さんじゃない。この人は石川さんじゃない…。)
石川に向けた銃身が細かく震えていた。
小川はこのとき思い出してしまっていた。加入からの石川との思い出を。
(撃てるわけ、撃てるわけない…。)小川は石川に向けていた銃口を下に下ろした。
「そうそう。それでいいのよ。」石川は満足気に頷くと斬鉄剣を横に構える。
(お母さん、お父さんごめんなさい。)死を目の前にして自然と小川の目から涙が出てきた。
ぼやけた視界の中で石川が動き、腹部に衝撃を受けて小川の意識はそこで途切れた。
途切れる少し前、「殺しはしないわよ。」という石川の声を聞いたような気がした。

                   *            *

319 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/24(水) 22:17
AIR TEAM'S PHASE──

石川は倒れかかる小川の体を手で支え、ゆっくり地面に寝かすと、斬鉄剣を鞘にしまう。
「みねうち…ってやつね。うまくいってよかった。」
そして意識のない小川に微笑む。
「ま、運がよければ誰かが起こしてくれるでしょう。
 自らの身を挺してあいぼんを逃がしたんだもんね。先輩思いのいい後輩だよ。
 さてと、そんな後輩を見捨てて一人逃げ出したあいぼんにお仕置きしなくちゃね。」
とつぶやくと加護の後を追いかけはじめた。
 
─────────────────────────────────────────────────────

320 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤が合流後、保田は筆記で斉藤さんに首輪システムのコンピュータに侵入することを教えていた。
それで保田自身がしばらくPCにかかりっきりになってしまい、見張りなどできなく、
亀井と田中だけでは心もとないので、斉藤にしばらく集会所に留まるよう要請した。
斉藤はそれを見て頷き、とりあえずは集会所にいる人数は4人となった。

やがて、SALTの前田と稲葉が中澤の遺品を届にきた。
斉藤が顔を見せるとややこしくなりそうなので、保田・亀井・田中の3人で対応。
中澤の持っていたコルト・ガバメントと天狼剣と身に付けていたアクセサリー類を受け取った。
その時に、2人は石川の暴走により中澤が死んでしまったことをさっきよりも詳しく報告した。
最後に2人は立ち去る時に「くれぐれもAIRには気をつけて。」と念を押していった。

321 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
SALTの2人を見送った後、3人は斉藤のいる2階へと上がり、先程のSALTの2人の話を斉藤にもした。
ただ最後に保田が「でも、これはあくまでSALTの2人主張であって、石川のせいと断定するのは危険。」と付け加えた。
そのことについては斉藤も賛同したし、亀井と田中も同じ意見であった。
「石川さんがここに来てくれるといいんですけど。」亀井は言った、
「ま、それが一番なんだけどね。」と言いながら保田は筆記で何か書き始めた。
『これからいよいよ首輪のシステムに侵入』亀井は小さく頷く。隣では田中が息を呑むのがわかった。
『時間との勝負だね。あまり時間をかけすぎると向こうにばれる可能性が高くなるから。』
「じゃあ、私はとりあえず下に戻るから。見張りよろしくね。」
「わかりました。」『頑張ってください』田中が書いた。
保田は頷くと下に戻っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

322 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:17
IR TEAM'S PHASE──

ミカと分かれ一人SALTの本部である別荘へ急ぐ高橋愛は、砂浜を抜けるあたりで前方に誰か倒れているのを見つける。
(誰やろか?)
近寄ってみるとそれは、血だまりの中で息絶えた矢口の死体だった。
(!!!!)
高橋はあまりのことに、声の出し方を忘れてしまったかのように、口をあんぐりと開けたままだった。
そのまま後ずさりしたところで、
「いやあああああああああああ。」
ようやく声が出せた。逃げるようにその場を離れ別荘の方へ向かう。
別荘の近くに近づいたところで息を整える。
(矢口さん…。石川さんはどこに?)
高橋は見渡したが、石川はいないようだ。
(SALTの本部に入ったんやろか?)
と疑問に思っていると、その別荘の玄関のドアが開いた。中から出てきたのは松浦亜弥。
石川が仇にしていたチームのメンバーのいきなりの登場にびっくりし、高橋は身構える。だが、
「石川さんを探しているんでしょ?」と松浦から話し掛けてきた。

323 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
高橋は「罠に嵌められた」石川や、「SALTの企みに気づいた」ミカほどSALTに警戒心を持っていなかった。
しかも、ドアから出てきた人物が自分と同じ年齢の松浦なら尚更である。
そしてこのときは、石川の行方を知りたい気持ちがSALTへの警戒心を上回った。
「う、うん。石川さんはどこへ行ったの?」
「それがね…」というと松浦は話し始めた。

松浦によると、石川はおそらく別荘に向かってくる途中で石川を待っていた矢口と遭遇し口論になった。
おそらくというのは、外で誰かの叫び声が聞えてきたので別荘に2階に上がってみてはじめて、
2人が言い争っているのを見つけたからだ。
口論の結果、石川が矢口を殺傷した。
また、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川がその現場を見つけてしまったようで、
加護と小川はどこかへ逃げ出し、石川は2人を追いかけていったとのこと。

324 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
「愛ちゃんが来てくれて助かった。松浦、加護ちゃんとまこっちゃんが心配で追いかけたかったんだけど、
 さすがに1人じゃ不安だったんだ。一緒に行こうよ。」
高橋にとって同期であり宝塚仲間である小川と、ミニモニ仲間である加護が石川に追いかけられているという。
もちろん、追いかけている石川も心配だ。
「うん、わかった。それで、どこにいったのわかる?」
「えっとね…。方角的には南東の方向かな。ちょっと準備してくるから待っててね。」
というと松浦は別荘に戻る。

「まさか石川さんが矢口さんを…。」高橋は石川の錯乱ぶりと加護・小川のピンチで動揺していた。
だから、仲間に連絡するのをすっかり忘れていた。といってもその時ミカは既にこの世から去っていたのだが。

数分後松浦がナップザックを持って出てきた。
「追いかけましょう。」
2人は石川達の後を追うのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

325 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:29
SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口さんを? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

326 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:30
横向きに倒れた前田は、転がってきた手榴弾が弾け、煙を吐き出し、稲葉が数メートル飛ばされるのを目の当たりにした。
稲葉は仰向けに倒れる。前田からは足しか見えず稲葉の生死はわからない。
「稲葉さん?」前田は呼びかける。足がぴくりと動く。どうやら生きているようだ。

前田は安心し、立ち上がろうとする。とそこへ手榴弾の煙の中から一人の人物が両手で剣を構えて走って近づいてきた。
その横顔は誰かに殴られたのかあちこちが腫れ上がっていたが、見覚えがあった。
(あれは、たしか…EEジャンプの…ユウキとか言ったっけ?)
ユウキは、起き上がろうとした前田を見て少し驚いたようではあるが、そのまま稲葉の方へ近づく。
稲葉のそばに来て、仰向けの稲葉の上で剣を下向きに構える。「や、やめろ!」下の稲葉はわめく。
そんな稲葉の声が聞こえないかのように、ユウキはそのまま剣を稲葉の体に下ろした。
「ぐっ」稲葉の声が聞こえる。
ユウキは剣を稲葉の体から抜くとまた再び突き刺す。抜いて刺す抜いて刺す抜いて刺す…。
突き刺すユウキの表情には喜びすら浮かんでいた。

327 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:31
前田はハッと我に返り、デザートイーグルを探すが見つからない。
周りを見るとちょっと離れた所に落ちている。どうやら突き飛ばされた時に落としたらしい。
前田は銃に飛びつくと、ユウキに向けて銃を1発撃つ。
「くそっ、こいつ!!!」
銃は命中せず、周りの空気を切り裂くのみだった。
ユウキは前田の方を見て、面倒くさそうな顔をすると血塗れたエクスカリバーを抜き身で持ったまま、
「あばよ。ハハハハハ!」と前田に高笑いをし、走って北方向に立ち去った。

「くそったれ!!」と罵りつつ前田は稲葉の元へと駆け寄る。
稲葉の体は…無残なものだった。手榴弾自体の傷は距離が少しあったせいか、たいしたことはなかったらしく、
それでも普通の社会生活に支障はきたすだろうが、
ズボンは破けて、その下の足は傷だらけでところどころ血が流れている程度だった。
しかし、ユウキによる傷は深く、体にはいくつもの剣による穴がうがかれ、
そこからいまだ血が流れ、回りの土をどす黒く染めている。
目はこれ以上ないほど見開いており、口からは一筋の血が流れている。
もちろん、息がないことは子供にだってわかる。
前田はがっくりと膝を付く。
「私が甘かった、とでもいうのかい、稲葉さん?」答えるわけはないとわかっているが、稲葉に呟いた。

稲葉貴子:死亡 【SALT 5人→4人】

─────────────────────────────────────────────────────

328 :名無し娘。:2004/04/04(日) 23:32
稲葉が矢口さんとさん付けするのはちょっとおかしいような・・・

329 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/06(火) 21:08
>>328
稲葉の方が年上だから呼び捨てですね。

330 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/07(水) 23:23
>>325の訂正版

SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口を? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

331 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:29
EE JUMP TEAM'S PHASE──

(やっぱり人の命を奪うっていうのは最高だ。剣を突き立てる時のあの感触、たまらないぜ。
 その点、銃はダメだな。人を殺す感触がない。やっぱり剣だ。)
ユウキは精神的に高揚していた。
(本当なら2人ともあそこで殺すはずだったんだが…、まあいい。俺は楽しみは後に取っておく方だからな。
 さて、次の獲物はっと…。)
ユウキはレーダースイッチをオンにする。
(さすがに単独行動はあんまりいないか、うん? こいつは…。)
ユウキは診療所近くにWATERのメンバーであることを示す1つの青い点を発見した。
(この期に及んで一人で行動するなんて馬鹿なヤツだ。よし次はこいつだな。)

                  *            *

332 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
一方ソニンは、ミカの遺体を海の家と思われるあばら家に入れると灯台に戻り、
倉庫にあったとある機械を屋上に運んでいるところであった。
これは結構重量があり、女一人で運ぶのはかなり大変だった。
屋上に持ってきた時にはソニンは既に息が上がっていた。
息を整えて、付属していた説明書を改めて読む。

ソニンが屋上に持ってきたのは、無線用ジャマーである。これを起動させれば無線は役に立たなくなる。
もとは外国の軍隊で使われていたものらしく、小さい割には高性能で、島のほとんどで無線による通話を不可能にする。
無線の有効地域は島の東部の学校から南東部を通り、南部の集会所にかけての一部地域のみとなる。
ユウキには既に連絡済である。これからはレーダーでお互いの位置を把握することとなる。

333 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
延長コードで電源をつなぎ、ジャマーを起動させる。何か音がしはじめるかと思ったが、
特にソニンの聴覚に変化はなかった。
(これで、襲撃しても応援を呼ばれる心配はなくなったか。)

その後、レーダーと双眼鏡を使って回りの様子を観察する。今は3人の人物を観察しているところである。
港の方向から来た3人は別荘の方向である北に向っている。
(後藤、里田にみうなだっけ? FOOD2人にAIR1人という組み合わせは妙ね。2チームは組んでいるんだろうか?
 さすがに武装は優れていても3対1では分が悪い。しかも向うは警戒しているようだし。
 あいつがいればまだ…、って姉をあいつが殺せるわけがないか。どちらにしてもここは様子見ね。)

─────────────────────────────────────────────────────

334 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
SALT TEAM'S PHASE──

加護は小川と分かれると、脇腹の痛みを我慢してひたすら走っていた。
とはいうものの元から足が速いほうではない加護が怪我を我慢しながらだから、
石川が追いつくのは時間の問題だと加護は思っていた。
ところがなかなか追いつく気配がない。

(もしや梨華ちゃん、まこっちゃんの方に行ってしもうたんやろか?
 それならうちの読み違いや。…だったらいち早く学校に着いてWATERの人に助けてもらうだけや。)

左の脇腹に添えたハンカチが血で真っ赤になり、はっきりと血の感覚が手にも伝わってくる。

(ほんとなら、動いたらあかんやろうけど、仕方あれへん)

やがて、加護は学校に到着する。校門のところに誰かいるかと思ったが、
誰もいないようだ。加護は仕方なしに校門から中に入る。
昇降口から中に加護は呼びかける。

335 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
「誰か、誰か、いませんかー?」
依然として学校はシーンとしたままだった。
「誰か、誰か、いませんかー!!」
加護はもっと声を張り上げて叫ぶ。

「ここにいるわよ。」声は加護の後ろから聞こえてきた。
「えっ」予想外の方向から聞こえてきた声に驚きながら加護は振り返る。
「梨華ちゃん!!」
石川梨華が息を切らしながら校門のところに立っていた。
「ねえ、あいぼん。いい後輩持ったわね。」たじろぐ加護に石川は近づきながら言う。
「え?」「小川のことよ。あなたと別れてから、小川は逃げずに私のところへ来たのよ。」
「!!」加護は驚く。
「それでまあいろいろ話し合ったんだけどね。結局話が通じなくてね。
 それで、あの小川が銃を私に向けたのよ。信じられる?」
実際は最初に石川が斬鉄剣を抜いたからなのだが加護はそれを知らない。

336 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
「……。」「でもね、私はここにいるの。これ、どういう意味だかわかる?」
石川は微笑む。それを見て加護の顔色が変わる。
「まさか、まこっちゃんを?」石川はそれには答えず微笑み続けるのみであった。
「…よくもまこっちゃんを…」「わが身を呈して先輩の為に立ち向かった小川に比べてあいぼんはさっさと逃げたと。」
(たしかに結果的にそうなってもうたけど、まこっちゃんの命を奪ったお前に言われとうない!)
「……しばくぞ。」加護はデザートイーグルを取り出す。
「あらあら、そんな物騒なものまで取り出しちゃって。おーこわ。」
というと石川は蹴りを繰り出し、それが加護のデザートイーグルを持っている右手に命中し、
加護はデザートイーグルを落とす。続けざまに蹴りが腹部を直撃し、加護は後ろに引っくり返った。

倒れた加護に対しても石川は容赦なく蹴りを入れる。
「あいぼん達がさ、私をはめる真似なんてしなかったら、こんなことにはならなかったんだよ?
 ね? ね? ね?」
蹴りの一発が偶然、さっき撃たれた脇腹に入り加護に激痛が走る。「ぐっ」加護は思わず顔をしかめる。
「ここが痛いの? ね? ここが痛いの? ね?」
石川は傷口を広げるかのように脇腹に蹴りを加える。続けざまに来る激痛に加護は目を開けることが出来ない。その時、
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
誰かが叫びながら飛んできて石川にぶつかり、石川は跳ね飛ばされた。
目を閉じていた加護は自分の良く知った声に反応し目を開ける。
するとそこには、加護を庇うように辻が跳ね飛ばされた石川の前に立っていた。

─────────────────────────────────────────────────────

337 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
ところで、保田→斉藤瞳の呼び方って「斉藤さん」でいいですか?
「ひとみん」じゃおかしいしなあ。

338 :名無し娘。:2004/04/14(水) 20:41
一応ヤスヲタですが、よく分かりません。
たぶん「斉藤さん」で宜しいかと・・・。

339 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/14(水) 21:04
>>338
ありがとう

340 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
WATER TEAM'S PHASE──

紺野の死のショックで保健室のベッドで休んでいた辻は、
「誰か、誰か、いませんかー?」
という声にハッとして起き上がる。
(あれは、あいぼん?)
いてもたってもいられずベッドから立ち上がると声のした方向へと急ぐ。
昇降口をぬけた辻がみたものは、倒れた加護に蹴りを入れている石川の姿だった。

341 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
辻は叫んでダッシュし、石川に体当たりをする。体当たりをもろにうけた石川は吹き飛んだ。
「のの?」「あいぼん、大丈夫?」辻は倒れていた加護の背中を支えて上半身を起こさせる。
「ちょっと、何するのよ!」立ち上がった石川は辻に怒鳴る。
「それはこっちのセリフ! なんであいぼんを蹴るの?」辻も負けてはいない。
「何って、教育よ。だってあいぼんったら小川を見捨ててさっさと一人で逃げちゃったのよ。」
「せやからと言って…、矢口さんやまこっちゃんを殺してええわけはないやろ…。」
痛みに耐えながら加護がボソッと、だがしかしはっきりと呟く。
「梨華ちゃん、その話本当なの?」辻は突然の話に唖然として聞く。
「結果的にはそうよ。それというのもあいぼん達のせいでね。しかも麻琴は殺してはない。
 そもそも、その話は今していないじゃない。今はあいぼんが私を罠にはめたり、小川を見捨てたりしたのかに対しての教育をしてたの。」
「梨華ちゃん、言ってることがわけわかんないよ…。」辻はあきれる。
「…ののまでそんなこと言うんだ。」石川は腰から斬鉄剣を抜く。「2人とも教育しなきゃね。」
「あいぼんはののが守る。」辻は両手を広げて加護を守るように立ちはだかった。と、その時──
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」この緊迫した場面を打ち破るかのようにのんびりとした声がした。
「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が昇降口から出てきた人物の名前を呼んだ。

─────────────────────────────────────────────────────

342 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
UTABAN'S PHASE──

娘。達が激戦を続けている島から北東に離れること約20km程にあるスタッフ達がいる島──

「さあてと、今現在状況はどうなっていますかっと。」
木梨憲武はスタッフがいる事務所のPCのIEのショートカットをダブルクリックする。
IEが立ち上がると「お気に入り」から「バトロワ−現在の状況」を選ぶ。
ログインコードとパスワードを求めてくるので木梨はスタッフから与えられた英数字をそれぞれに入力する。
すると、画面が切り替わる。木梨はまず画面右上の各チームの現在の人数に注目した。

SALT    前田・松浦・小川・加護             4人
AIR      石川・里田・高橋                3人
WATER.   飯田・斉藤・アヤカ・柴田・藤本・吉澤・辻  7人
FOOD    保田・後藤・みうな・亀井・田中        5人
EE JUMP  ソニン・ユウキ                  2人

343 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
(ちっ、AIR残り3人しかいないのか。やべーな。ま、5万しか賭けてないからいいけど。
 でもまあ、俺の本命の個人戦があるか。)
実はこのシャッフルバトロワはTBSが胴元で非公式な賭けとなっている。
といっても対外的には普通のサバイバルゲームということになっているが。

賭けの対象は3つ。
まずはどのチームが最後まで残るかの単勝。
人気は上位から、WATER・FOOD・EE JUMP・SALT・AIR。木梨はAIRに5万円賭けていた。

2つ目が最後に残ったチームと2番目に残ったチームを順不同で当てる連勝式である。
木梨はこれには賭けていない。

344 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:38
木梨は現在の人数の下にある「ジェノサイド」という文字をクリックする。すると画面が切り替わる。

ソニン      3人(ミカ・あさみ・村田)
ユウキ     2人(稲葉・紺野)
大谷(死亡)  1人(安倍)
前田       1人(新垣)
稲葉(死亡)  1人(中澤)
石川       1人(矢口)

(よし! とりあえずトップだ。こっちは40万張ってるからな。来てくれないと困る。)
3つ目はゲーム終了時に誰が一番他人を倒したか(実際には殺したか)を賭けるジェノサイド式がある。
木梨はこれにはソニンに40万、前田に10万賭けている。
ちなみに一番人気はソニン、二番人気はユウキ、三番人気は後藤であった。
ちなみに、道重は石橋が殺したせいで払い戻しとなっていたが、もともと賭けている人がほとんどいなかったのもあり、
あまり影響はないようだ。
(カミさんには内緒で賭けたからなあ。ここで儲けとかないと…。)

                  *            *

345 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
「石田、状況はどうなっている?」
うたばんのプロデューサーは、首輪による監視システムの責任者である石田佳子に尋ねた。
「ええ、学校に3チームのメンバーが集まっている他は大きな変化はありません。」
「そうか。俺は仮眠をとるから後は頼んだぞ。」
「はい。わかりました。」
と言うとプロデューサーは、部屋から出て行った。

石田佳子は、4月から中途でTBSに入った新人であるが、監視システムの責任者を任されている。
なぜなら、東京でも通常の撮影があることから、うたばんのスタッフ全員を離島に連れてくるわけにもいかないので、
アルバイトを募集したりして人数を補った。
そんなわけで離島に連れてきた正社員は石田を含めて5人しかいなく、
他の人は他の人で船舶担当などの責任者になっている。

346 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
プロデューサーが部屋を出て行くと部屋の中は石田とアルバイトの、合計2人だけになった。
しばらくすると、アルバイトがモニタを見て、
「あれ? 現在、システムに侵入している人がいますが、石田さんですか?」と尋ねてきた。
「ええ、私よ。ちょっと気になることがあってね。」とマウスとキーボードを適当に動かしながら答える。
と言っても本当に石田が現在システムに入っているわけではない。
(ついに来たわね。保田さん。ここからが本当の勝負よ。ま、本来は私がやるべきなんでしょうけど、
 私が首輪の効力を解除してもそれを伝える方法がないし、自分でやってもらった方が実感が湧くしね。)

─────────────────────────────────────────────────────

347 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/27(火) 22:33
FOOD TEAM'S PHASE──

別荘へと進む後藤・里田・みうなの3人。浜辺がもうすぐ終わる頃、里田はレシーバーでミカと高橋に連絡が入れてみた。
ところが反応はない様子。これは実は、先程のソニンが起動したジャマーのせいなのだが、3人はそれを知らない。

「どうやら、2人は少し離れちゃったみたい。とりあえず、約束の別荘のほうへ行きましょう。」
この中での唯一のAIRのメンバーである里田が指示する。
「でも、別荘の前にいるならレシーバーで通話できそうなんですけどね。」みうなが不思議に思う。
「んー、なんでだろう? 2人ともレシーバー落としちゃったとか…。
 それとも何らかの事情で別荘から離れて遠いところへ行ってしまったとか。……後藤さん?」
その時、後藤は何かに気がついた。浜辺から別荘に続く道。
何かが、何かが倒れている? あれは……。
後藤は近寄る。「やぐ…ち…さん?」それはさっき高橋も見つけた矢口の死体だった。
喉が切り裂かれ、そこから大量の血が流れていていたようだが、現在は固まりつつある。
「後藤さん、どうしたんで……!?」後藤のところに来た里田とみうなも、矢口の死体をみつけて唖然としていた。

─────────────────────────────────────────────────────

348 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は加護が呼びかけた時は、調理室で捜索隊の3人のための食事をつくっていた。
加護の呼びかけは聞こえなかったが、その後の誰かの足音に気がついた。

最初は気のせいだと思ったがとりあえず確認のため、保健室の中を覗くがベッドに辻はいなかった。
「辻さん? 辻希美さん?」
その時、学校の外から何やら騒がしかったので、自分の武器であるデーモンスピアとデリンジャーを持ち、校門へと向う。
外に出た吉澤が見たものは、斬鉄剣を抜いた石川と、怪我でもしたのか脇腹のあたりを押さえて蹲っている加護と、
その加護の前で両手を広げて加護を庇っている辻の姿だった。

349 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
雰囲気はやばそうだというのは吉澤にはわかったが、ここはわざと呑気に、
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」と声をかけた。
すると「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が吉澤の名前を呼んだ。
吉澤はゆっくりと3人に近づく。
「とりあえず梨華ちゃん、そんな危ないものはしまって、辻も両手を下ろして、
 ん? あいぼん、どうした? 怪我してるじゃないか。」
「うん。」と石川はとりあえず斬鉄剣をしまい、辻は両手を下ろした。
「ちょっと、よっすぃ〜聞いてよ。あいぼんとののったらね〜。」
「梨華ちゃんおかしいんだよ。あいぼんをさー。」辻と石川は2人いっぺんに話しかけてくる。
「ちょ、ちょっと2人同時に話しかけられても、理解できないって。とりあえず順番に話してよ。」

それから順を追って吉澤は3人から話を聞いた。石川の言っていることは支離滅裂で責任転嫁だということは
吉澤にはわかった。だが、石川をここで悪者にしてしまうと、
加護のように誰であろうと傷つけてしまう可能性がある。そこで…。

350 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
「そりゃ、あいぼんが悪いなあ。逃げちゃだめだよ。うん。」と言うと、辻と加護が不満の表情を浮かべた。
「そうでしょ? でしょ? 私わるくないよね?」
「そうだね。でも暴力は良くないよ、梨華ちゃん。」
「よっすぃ〜。おかしいよ!!」辻は不満を口にした。
「まあまあ。梨華ちゃん、ちょっと2人を説得してくるから待ってて。」というと吉澤は辻を連れ、加護をおぶって学校の方へ歩いていく。

石川へ声が届かないところまでくると、吉澤は加護を下ろし、小声で2人に話し掛ける。
「吉澤にだって、梨華ちゃんが悪いことぐらいはわかるよ。でも、ここで吉澤まで梨華ちゃんの敵になったら、
 梨華ちゃん、何をしでかすかわからないからさ。とりあえずはああいう態度を取ったんだよ。」
吉澤は先ほどの態度を2人に説明した。辻と加護は頷く。
「それでさ、とりあえず2人は反省したことにしといて、吉澤が梨華ちゃんは引き止めるから、
 辻は加護を連れて保健室にいって手当てをした後、学校を離れて飯田さん達と合流するんだ。
 トランシーバー使えば連絡とりあえるだろう?」
「うん」
「とりあえず、辻は吉澤と一度梨華ちゃんのところに戻って、『ごめんなさい。加護も反省しています。』って言って、
 …本当はイヤだろうけどさ、なんとか我慢してよ…、それで加護を保健室に連れて行こう。」
「わかった。よっすぃ〜は?」
「そうだな。とりあえず梨華ちゃんが大人しくなったら、トランシーバーで連絡するよ。
 よし、じゃあ行くよ。」というと加護を残し2人で石川の元へと戻る。

351 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
辻がまず石川の前に出ると、
「梨華ちゃんの気持ちもわからず、歯向かったりしてごめんなさい。あいぼん達が悪かったです。
 あいぼんも自分が悪かったと言ってます。」と頭を下げた。
石川は頷くと、「わかってくれればいいのよ。私をはめる真似をしたSALTが全て悪いんだから。」と言う。
辻は下唇を噛みながら、吉澤の顔をじっとみつめた。吉澤は「我慢して」と念じながら見つめ返した。
「じゃあ、のん達は学校に戻ります。」と言うと辻は加護を連れて校舎へと戻っていく。
「あれ? どこへ行くの?」石川は尋ねる。
「さすがにあのままにはしておけないよ。生きて償う罪もあるっていうことだよ。」答えたのは吉澤だった。
「…それもそうね。」少し考えて石川はとりあえず納得したようだ。
「ところで、お腹すかない? 朝メシには遅いし、昼メシには早いけど。おにぎりつくってるところなんだ。」
吉澤は提案した。
「そういえば、朝から何も食べていなかったっけ。じゃあ、よっすぃ〜の手作りをもらおうかな。」
「料理なんて作ったことないから、味に自信はないけどね。ま、男の手料理ということで。」
「んもぅ、よっすぃ〜女の子でしょ?」
「ん? そうだっけ? ま、とりあえずついて来てよ。」吉澤はとぼける。
2人も学校の中へと入っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

352 :名無し娘。:2004/04/30(金) 00:45
これからの展開が気になる・・・

353 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:11
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井と田中が斉藤と入れ替わって2階で見張りをしていると、
保田が斉藤を連れて2階にあがってきた。

「ふー、さっぱりどうしたらいいかわからないわね。」といいつつ紙に文字を書く。
『首輪の効果は解除できた。』
「そうですか…。」亀井も同じくあたりさわりのない会話をしながら筆談を続ける。
『随分早かったですね。』
『私たちにPCを預けた人物が手伝ってくれたのか、簡単に侵入できたし、首輪のコードを無効にできた。』
田中も用意していたメモ帳で筆談に加わる。
『じゃあ、帰れるんですね』
保田はゆっくり首を振った。
『足がないからすぐには無理。船か飛行機がないと。』

354 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:12
「そっかあ…!?」思わず喋ってしまい、田中は慌てて自分で口を押さえる。
『それぐらい聞かれても問題ないって』斉藤も筆談に加わる。
『とりあえずこれからみんなに首輪の効力がなくなったことを知らせなければならないんだけど、
 普通に説得しても信じてもらえないかもしれないでしょ?』保田は話題を戻した。
田中と亀井は揃って頷く。
『首輪の効力を解除してから首輪を外す方法のデータがもらったPCに入っていた。
 これが結構複雑でとても1人じゃできないから斉藤さんに手伝ってもらうことにした。
 マニュアルを見ながら斉藤さんに私の首輪を外してもらう。
 これが成功して首輪がない状態でみんなを説得すれば信じてもらえると思う。
 私と斉藤さんは下に戻って首輪の外す作業をするから見張りを引き続きよろしく。』
亀井と田中は手でOKのサインを出した。
保田と斉藤は再び1階へと戻っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

355 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

「ごちそうさまでした。」石川は手に持っていた皿を机に置いた。
「どうだった? ひとみ特製おにぎりのお味は?」吉澤が得意気に聞いてくる。
「おいしかったよ。でも特製っていっても普通のおかかじゃん。」石川は笑いながら答える。
「そのおかかが特製なんだよ。わかってないなー。かつおぶしの本場だぜ、ここは。」
「もう、よっすぃ〜ったら。」2人は声を揃えて笑った。
「とりあえず、梨華ちゃんの状況はわかった。稲葉さんもグルだったんだよ。
 でも、あいぼんと麻琴は知らなかったんじゃないのかなあ。」吉澤はそれとなく誘導する。
「そんなわけないでしょ。知っていなかったらあんなにタイミングよく2人が登場しないよ。」
石川は真っ向から否定する。

「さてと。」というと石川は立ち上がり、調理室の扉から出ようとする。
「あれ? どこへいくの?」気のせいか吉澤の声が焦りを帯びている。
「保健室。こっち?」石川は扉を開けて学校の反対側へと向う。
「う、うん。そこの奥に行ったところだけど、なんで?」吉澤もついてくる。
「さっきはののには謝ってもらったけどあいぼんはまだ謝ってもらってないから、謝ってもらうの。」
「そ、そう…。」

356 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
石川は引き続き歩き、保健室を探す。吉澤もあとからついてくる。やがて、
「ん? たぶんここね。あいぼんー、いる?」と保健室の扉を開ける。
中に入り、ベッドを覗くが誰もいない。ベッドの下も一応覗いてみるがやっぱりいない。
部屋中を捜してみたがやっぱりいないようだ。
「2人はいないよ。」後から入ってきた吉澤が石川にそう告げる。
「どういうこと?」石川は驚く。
「2人は飯田さん達と合流するためにここを出て行ったよ。」
石川は保健室を出ると昇降口のほうへと向かう。
「どこいくの?」吉澤がついて来ながら尋ねる。
「2人を追いかけるのよ。あいぼんには謝ってもらわなくちゃ。」石川は答える。

357 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:41
吉澤はダッシュすると石川の前に回りこむ。
「それはあとでしてもらうからさ。飯田さん達にはあいぼんの看病をしてもらうんだよ。
 のの一人ではつらいだろうし。とりあえず戻ろうよ。」
「謝るのにそんな時間かかるわけじゃないし、別にいいじゃん。」
石川は吉澤の横を通り抜けて昇降口の方に向かおうとする。
「1人で外出ると危ないし、ここにいた方がいいって。」
吉澤は通り抜けようとする石川の肩を掴んだ。
とその時、石川は別荘のそばで矢口に肩を押さえられたのを思い出した。
反射的に吉澤の手を払いのける。吉澤は突然の態度に驚く。
「よっすぃーだけは私の味方だと思ったのに…。」
「いや別に敵じゃないって。」
「味方だったら、私に黙って2人を行かせたりしないよね? 
 私の進路を邪魔したりしないよね?」
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」吉澤も呆れ始めた。
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。」というと石川はシグ/ザウェルを取り出した。
「どいて。脅しじゃないよ。」
吉澤は首を横に振ると廊下の端により進路を開ける。
石川は銃を下ろし横を通り抜ける。ところが吉澤の真横を通った瞬間みぞおちに強烈な衝撃を受け、
石川は気を失った。

─────────────────────────────────────────────────────

358 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:29
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は通り過ぎる石川のみぞおちに拳を入れると、石川は気を失った。
倒れ掛かる石川の体を吉澤は両手で受け止め、そばに寝かせた。
「乱暴してゴメンな。」
意識のない石川の耳元で吉澤は囁く。
とりあえず、石川が気を失った時に落としたシグ/ザウェルを拾う。
(うおっ、本物じゃん。)吉澤はびっくりする。
(さて、これからどうするかなあ? とりあえず大人しくなるまでどこかの部屋に入れておかないと。ん?)
吉澤は石川の右の腰に一振りの日本刀が鞘に収まっているのに気がついた。
(これも取り上げておくか…。)鞘を腰から外すと、斬鉄剣を鞘から抜いて目の前に掲げ、刀身を見てみる。
刀身の先のほうは血塗られているが、そこ以外は汚れもなく綺麗である。
(これ、本物のポン刀だよ。かっこいいなあ。)

359 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:30
支給武器がどちらかというと西洋武器ばかりだったので、吉澤にとって日本刀は珍しく、
思わず見とれてしまった。だから、背後から近づいてくる人物の気配に全く気づかなかった。
後ろからいきなり、「いやあああぁぁ!!」という叫び声がした。
吉澤は右側から振り返ろうとすると、空気を切り裂く音と共に、いきなり右脇に鋭い痛みが走った。
何かと思っていると、自分の右脇に何かが刺さっているのに気が付いた。
(これは…、日本刀?)
そして、菊一文字の柄は高橋が握っていることに気づいた。高橋は菊一文字を引き抜く。
吉澤は、(た、高橋…、どうして?)と言いたかったのだが、
肺を傷つけられたのか、思うように言葉を発することができない。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。

─────────────────────────────────────────────────────

360 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
AIR TEAM'S PHASE──

松浦と合流した高橋は、「おそらく学校に向かったんだと思う。」という松浦の言葉を信じ、
学校へと向かっていた。ここでも、高橋の中では松浦への不信感より、加護と小川の心配が勝ったのである。

学校への行き方は、以前に行った事があるという松浦の案内で問題なかった。
やがて、学校の前の道へと到着する。そこで2人は、どす黒い血痕を発見する。
「これ、血だよね?」松浦が聞く。「う、うん。」高橋は少し怯えながら答える。
「2人が心配だ。」と言うと松浦は学校の中に入ってく、高橋も後を追う。

361 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
学校の中に入ってから、誰かと誰かが言い争う声が聞こえてきた。
(この声は…、石川さんと吉澤さん?)
2人は昇降口から廊下に入り、校内の廊下とクロスするところまで来た。
松浦は高橋の耳元で「まつーらが様子見てみる。」といい、
柱のところから慎重に声がする方向を覗く。
なおも言い争いは続く。
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。どいて。脅しじゃないよ。」
緊迫した展開に高橋は心配になる。
そしてしばらく経ったところで、松浦が振り返る。その顔には驚愕の表情が浮かんでいる。
「い、石川さんが…、殺された…。」
「え!?」
高橋は松浦を押しのけ、通路に出る。と、そこには仰向けに倒れている石川と立っている吉澤がいる。
吉澤は血まみれの日本刀を持っていた。
実際は剣先だけが血まみれだったのだが、角度的に吉澤自身の陰となって見えなかった。
「最初は口論だったんだけど、そのうち吉澤さんが石川さんを日本刀で…。」松浦が囁く。
「石川さんは無抵抗だったんだよ。それを吉澤さんが…。」

362 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:14
高橋はすっかり吉澤が日本刀で石川を刺したのだと誤解した。しかも相手は無抵抗だったという。
頭に血が上った。高橋は石川の仇とばかりに自分の菊一文字を鞘から抜き吉澤に斬りかかる。
「いやあああぁぁ!!」
刃は振り向こうとした吉澤の右脇に刺さった。高橋はすぐに刀を引き抜く。
吉澤は高橋の顔を見ると驚き、口を開けたり閉じたりと、パクパクさせる。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。
吉澤は何故か抵抗せず、今度は刃は肩から左胸に刺さる。
吉澤は口から血を吐くと、ゆっくりと後ろへと倒れた。
ドスン。
吉澤は後ろ向きに倒れた先には石川がいた。
「ん、ん?」
その衝撃で死んでいたと思っていた石川が目をあける。
高橋は石川の側へと生き、「石川さん、石川さん!」と声をかけた。

吉澤ひとみ(モーニング娘。):死亡 【WATER 7人→6人】

─────────────────────────────────────────────────────

363 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:53
AIR TEAM'S PHASE──

気絶していた石川だが、何かが足元にドスンと乗っかった衝撃で意識を取り戻す。
「ん、ん?」と目を開けるが、視界がはっきりせず、もやっとしている。
近くで「石川さん、石川さん!」と自分を呼ぶ声がした。
だんだん、視界がはっきりしてくるとそれが高橋だということがわかる。
「あっ、高橋。どうしてここに?」
その言葉を受け、高橋は自分がここにいるわけを話し始める。
同時に自分の足に何かが乗っかっているのに石川は気がついた。
足元を見る。とそこには誰かの上半身があった。顔を見てみるとそれは仰向けに倒れた吉澤だった。
目はかっと見開かれ、上半身はいくつかの致命傷とわかる切り傷がある。
「よっすぃ〜?」石川は起き上がり吉澤の側に行き、体をゆする。予想はしていたのだが反応はない。

364 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:55
「いや、あのー、石川さんがてっきり吉澤さんを殺したと思ったんですよ。」高橋は焦りながら説明する。
「何をいってるの、高橋。なんでよっすぃ〜が私を殺そうとするのよ? そんなわけないでしょ?」
石川はものすごい形相で高橋に迫る。
「いや、でも、松浦さんが…。」
「まあいいわ、で、高橋がよっすぃ〜を殺したの?」
「それはですね、あの、松浦さんがですね。」高橋はしどろもどろだ。
石川は近くに落ちていたシグ/ザウェルを拾うと、銃口を高橋の額に当て、トリガーに指をかける。
「松浦は今は関係ないでしょ? 私はあなたが殺したのかってきいているの!」
これに対し高橋は怯えたように答える。
「はい、はい、殺しました。すみませんすみま…」
石川は高橋の言葉の途中で、シグ/ザウェルのトリガーを引いた。
銃声が学校内に響き渡った。

高橋愛(モーニング娘。):死亡 【AIR 3人→2人】

─────────────────────────────────────────────────────

365 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:17
SALT TEAM'S PHASE──

松浦にとってこの島は人生を終える地には絶対にしたくなかった。
東京に生きて帰ってあややとして、アイドルを続けるのが絶対条件であった。
だから、どんな手を使ってでも生き残りたかった。

同時に、自分の手を汚したくもなかった。
(人を殺したアイドルなんてまっぴらね)
だから大谷を言葉で攻める事を言って自殺にしむけたし、前田をけしかけてSALTとAIRの争いを起こし、
今もまた、高橋を騙し吉澤を攻撃させた。松浦の予定としてはとりあえず吉澤か高橋かどちらかが争って
死んでくれればいいと思っていたのだが、意外にも息を吹き返した石川が錯乱し高橋を射殺した。
(よし、一気に2人も減った。)
その後も注意深く石川を観察する。

366 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:18
高橋を射殺した石川は吉澤の死体の元でひとしきり泣くと立ち上がり、
吉澤のWATERの衣装の上着を脱がせると、それを自分で着た。
AIRの露出の高めの衣装の上にWATERの赤いちょっとフォーマルな衣装はミスマッチしていて、
(あ、逆にこれはこれでありかもしれない。)
と松浦はのん気に思っていたのだが、やがて石川は歩いてこちらに来る。
目はうつろでその瞳には何もうつっていないだろう。
(ヤバイ)
松浦は下駄箱と下駄箱の狭い空間に隠れ石川をやりすごす。
やりすごす時に、石川が何かつぶやきがながら歩いていくのを耳にした。
幸い石川は松浦に気づかず、昇降口から学校の外へと出て行った。

367 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:19
石川が出て行くのを確認すると、松浦は吉澤と高橋の死体に近づく。
あたりには皮膚の焦げた臭さと、血の匂いと、高橋が撃たれた時に飛び散った
脳漿の匂いが混在しており、耐え難いものだった。
松浦は鼻をハンカチで押さえながら、何か使えるものは余ってないか調べる。
特に直接武器がアーミーナイフしかなかった松浦にとって、
もう少し広い攻撃範囲をもっている武器がほしいところであった。

吉澤のズボンのポケットを調べると、リボルバー式の銃が出てきた。
何かの役に立つかもしれないと思い松浦は銃を自分のナップザックにしまう。
続いて高橋を調べると、吉澤を斬った菊一文字が落ちていた。
人を斬った武器に松浦は少しためらったが決心すると、刃についた血を高橋の衣装で拭き、
鞘を自分の腰につけ刀をしまって、松浦は学校を離れるのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

368 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/17(月) 23:43
WATER TEAM'S PHASE──

辻は加護を保健室に運ぶと自分なりの止血をしてみるが、加護の血はとまらない。
飯田と連絡を取るために、トランシーバー飯田に呼びかけた。
ところが、辻自身は灯台のジャマーの範囲からは外れていたが、飯田がジャマーの効果範囲内であったために、
連絡をとることができなかった。ジャマーの存在を知らない辻は不安になり、
ここにいるべきか、それとも飯田を探しに行こうかと悩んだが、
まだ学校には石川がいることを思い出し、加護を連れて保健室を出て飯田を探しに行く。

と言っても飯田がどこにいるか全くわからない辻は、
トランシーバーで必死に飯田を呼びかけつつ、とりあえず北部へと向かった。

                  *            *

一方、飯田達は、最初にAIRの本部である倉庫へ行って見たものの誰もいなかったので、
次に集会所へと向かう。だが、途中で学校から連絡が一向にないと気づいた飯田は自分から吉澤に連絡をとろうと、
トランシーバーで呼びかけたがこちらも連絡がつかない。
何か異変があったと考え、3人は一旦学校へ戻ることにした。

                  *            *

369 :名無し娘。:2004/05/20(木) 01:54
作者さん作者さん。
途中経過みたいなまとめをつくってくほしいです

370 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
斉藤と保田は亀井と田中には説明しなかったことがあった。
「本当に首輪の効果が解除されたのか」の確認方法である。
いくら首輪の効果が解除されたといっても、それを証明できなければ他のメンバーを説得できない。
PCの中の文書には、首輪システムの侵入方法の他に、首輪の外し方も書いてあった。
といっても力ずくの部分が多く、もし本当に効果が解除されていなければ首輪は爆発してしまうだろう。

保田は、文書通りに首輪システムを解除したつもりだが、それ自体が罠だという可能性もあると考えていた。
だが、斉藤は「それならば、首輪システムに侵入した時点で保田さんの首輪が爆発してしまっているだろうし、
今は、この『味方』を信じるしかない。」と説得した。

それに、他に生命の危険を冒さずに解除されたと証明する方法がないのである。
進入禁止区域にわざと入るという方法もあるが、
元のバトロワでは時間ごとに進入禁止区域が増えていったものの、
このゲームではそれがないので、最初に定められた海に飛び込むくらいしかない。
だが、集会所の近辺は海辺は高い崖となっており、ここから飛び降りたら、首輪と関係無く死んでしまうだろう。
海に直に接するには反対側であるAIRの本部のある西から北西への海岸へ行かなくてはならず、
途中で襲撃者に襲われるかもしれず、これもリスクがある。

371 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
という経緯で、2人は文書に書かれている方法で首輪を外すことにした。
本当は解除されていなかったら、保田の首は飛ぶだろうし、側にいる斉藤も無事ではすまないだろう。
このことは斉藤にも筆談で告げてあるし、斉藤もOKを出しそのリスクを負っている。

現在、保田が椅子に座り、後ろの斉藤がマイナスドライバーを持っている。
斉藤はドライバーで保田の首輪をこじ開けようとしているところである。
こじ開けてから、金属の薄い部分を集会所の倉庫にあった金属用のハサミでぶち切るのである。
外は5月のうららかな陽気にもかかわらず、斉藤の手は汗でひっしょりだった。
(これだけ緊張するのも、デビュー以来かもね。)
ふと斉藤はそんなことを思った。保田は目を閉じてじっとしている。

斉藤は深呼吸をし、息を整えると、左手で首輪を固定し、
思い切って右手でドライバーを首輪の切れ目に突っ込む。

372 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
ガツッ、ガツッ

1、2回目と失敗したが3回目で挿入に成功した。保田の首輪の警告音が鳴り出す気配はない。

ふぅ

2人から同時にため息が漏れた。
(とりあえずは第一段階はクリアってところね。)
差し込んだドライバーを上下に動かす。中がだんだんと見えてくる。
ある程度開いたところで、金属用ハサミを持ち、薄くなった部分を挟みパチンと切る。
あとは、力任せに開き、首輪が外れるところまで広げる。
残るは保田の首を傷つけないように外す。
やがて、保田の首は約1日ぶりに自由となった。保田と斉藤は声を立てずに喜び合った。
斉藤は、田中と亀井を呼びに2階へと上がって行った。

─────────────────────────────────────────────────────

373 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 22:07
>>369
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
11:05 ルール説明 >>4-12
11:20 石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
11:25 ルール説明・続き >>23-24
12:00 ゲーム開始 >>25

こんな感じでしょうか?

374 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 23:01
それともこんなの?

SALT5(中居正広)
×安倍なつみ(説得しようとするが勘違いで大谷に射殺)
_加護亜依(辻と学校を脱出中)
_小川麻琴(そろそろ気絶から回復?)
_松浦亜弥(これからどうしようか考えながらうろうろ)
_前田有紀(稲葉が殺されたことにショック受けながら別荘へ)
×稲葉貴子(ユウキに刺殺)

375 :名無し:2004/05/23(日) 00:40
言った奴が言わないので代わりに。
>>373
>>374
両方の方がわかりやすいと思います。いつも読んでるので頑張ってください。

376 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:49
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
ルール説明 >>4-12
石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
ルール説明・続き >>23
紺野が兵士に撃たれる >>24

377 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:50
じゃ、とりあえず両方のっけます。
ただ、時間は決められないので省略します。

12:00 ゲーム開始 >>25
FOOD 道重を埋葬
FOOD 田中 一人で出て行く
SALT 武器配布、安倍が呼びかけ決意 >>26-28
AIR 武器配布、SALTと交渉のため別荘へ >>29
WATER 矢口・吉澤・辻 紺野の治療用具を得るために、診療所へ >>31-32
WATER 斉藤・村田・柴田 大谷に会うため、倉庫へ 
FOOD 保田・亀井 パソコン探しに出発 >>33-38
SALT 村役場に到着 >>38-40
AIR 別荘へ到着 >>43-44
AIR 新垣 手榴弾入りのナップザックを開け死亡 >>45-47
WATER 斉藤・村田・柴田 田中を目撃 >>51-54
FOOD 保田・亀井 商店に到着、食糧を発見 >>55-57
SALT 安倍 島の中央部の丘より呼びかけ開始 >>58-61
AIR 石川・稲葉・大谷 安倍に新垣が死んだことを伝える >>62-65
AIR 大谷 安倍を射つ >>75-76
SALTとAIRで銃撃戦 >>67-71 >>78-80

378 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:51
WATER 矢口・吉澤・辻 SALTと合流 >>82-84
FOOD 保田 石川と会う >>93-95
FOOD 田中 安倍の最後を看取る >>97-98
FOOD 保田・亀井 役場でPCを見つけるも回線につなげられず >>103-104
吉澤・辻・加護 安倍の遺体を回収 >>88-89
AIR 倉庫で待っていた斉藤・村田・柴田と会う >>99-101
FOOD 後藤・中澤・みうな 商店に食べ物を取りに来る >>116-117
AIR 稲葉、石川に愛想をつかす >>110-111
WATER 矢口・吉澤・辻 飯田に安倍が殺されたと報告
SALT 前田 松浦に手榴弾でトラップを作ったことを告白 >>105-107
WATER 斉藤・村田・柴田 飯田にAIR側からの言い分を報告 >>114-115
SALT 学校へ到着 加護・小川は紺野の看病 前田・松浦は飯田と話し合い >>118-122
WATER 飯田 田中から安倍の遺言を聞く >>123-126
AIR 石川・高橋 冷凍庫に魚発見 >>128-130
FOOD 保田・亀井 集会所に帰還 >>131

18:00 1回目の放送 >>132

379 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:01
7AIR(木梨憲武)
_石川梨華((・∀・)アヒャ!!)
×高橋愛(勘違いで吉澤射殺、怒った石川に射殺)
×新垣里沙(別荘でナップザックを開けてしまい爆死)
×ミカ(ソニンに射殺)
_里田まい(矢口埋葬作業)
×大谷雅恵(海に入って自殺)

380 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:04
11WATER(香取慎吾)
_飯田圭織(学校に戻るところ)
×矢口真里(石川に刺殺)
×吉澤ひとみ(高橋に刺殺)
_辻希美(加護と逃走中)
×紺野あさ美(ユウキに騙されて刺殺)
_藤本美貴(自分を囮にして敵をおびきよせようとしている)
_アヤカ(学校に戻るところ)
×あさみ(ワイヤーでソニンに首斬り)
×村田めぐみ(転ばされてソニンに銃殺)
_斉藤 瞳(首輪の解除中)
_柴田あゆみ(学校に戻るところ)

381 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:06
FOOD6(石橋貴明)
×中澤裕子(稲葉に銃殺)
_後藤真希(矢口埋葬作業)
_保田圭(首輪の解除中)
_みうな(矢口埋葬作業)
_亀井絵里(首輪の解除中)
_田中れいな(首輪の解除中)

EE
ユウキ(獲物発見)
ソニン(???)

382 :名無し娘。:2004/05/23(日) 01:47
>>379に松浦がいないかな?

383 :名無し:2004/05/23(日) 04:43
>>382
松浦はSOLTだよ。スレ汚しスマン。

384 :名無し娘。:2004/05/23(日) 07:55

AIRがやべーな

385 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 15:22
UTABAN TEAM'S PHASE──

「ガツッ、ガツッ、ガツッ。」
保田の首輪についているマイクが、妙な音を拾う。金属と金属がぶつかり合う音がする。
首輪システムが効果をなくしたといっても、それは首輪が爆発しなくなっただけで、
首輪ないの集音マイクは生きているし、生存判定装置もそのままなのである。

アルバイトの男が「これ? なんの音ですかね?」と後ろの石田佳子に聞く。
「トンカチで釘を打っている音ね。何か作ろうとしているんじゃないの?」と彼女は答える。
「へぇー、そうなんですか。」アルバイトは感心する。

(どうやら今度は首輪を外そうとしているわね。こっちも順調っと。彼女に連絡しなくちゃ。)

─────────────────────────────────────────────────────

386 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 16:11
石橋・中居 EE JUMPにルール説明 >>133-134
AIR 里田・石川・ミカ FOODと同盟を結ぶために集会所へ >>135
SALT 夕食しながら今後のことを相談 >>136-137
WATER 夕食しながらゲームからの脱出の方法を相談 >>138-140
集会所で、AIRとFOODが話し合い >>141
里田・石川・ミカと中澤・保田が一緒に倉庫へと戻る
EE JUMP ゲーム開始。武器のある灯台へ >>143-144
SALT 港に到着、高橋と加護と小川の邂逅 >>147-148
SALT 松浦 大谷をおいつめ、自殺させる >>149-150
SALT前田とAIR稲葉 話し合い→異変に気付き桟橋へ >>152-153
SALT とりあえず倉庫から引き上げる
FOOD 田中帰還。PCを持ってくる。「味方」からのメッセージに気付く >>154-156
AIR 稲葉 前田に借りたSALT用のトランシーバーで松浦と連絡をとる >>158

24:00 2回めの放送

387 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:10
AIR TEAM'S PHASE──

矢口を埋葬しようと思ったが、道具がなかったため、
矢口の遺体をとりあえず草むらに隠し、
先にSALTの本部へと着いた里田達だがやはりそこにはミカも高橋もいなかった。
別荘の庭先にスコップなどがないか探したが何もみつからず、
ミカ達が捜索しようにもどこにいるか全くわからないため仕方なく3人は別荘の外で待っていた。
別荘は、道のちょうどT字路の道が分かれている所に立ってあり、
どこから誰が戻ってきてもいいように3人とも別の道を見ていた。

すると、正面の中央の丘へと通じる道を見張っているからみうなが、
「誰か来ますよ。」
と声がかかった。他の道を見張っていた里田と後藤が真ん中に集まる。
こちらへ来る人物はSALTの服装をしていた。
「前田さんだ。」横の里田が呟いた。

388 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
前田は覇気がなくとぼとぼと歩いていたが、正面にいた3人を見ると驚き、目を見開いた。
そして後藤と目があった瞬間、顔つきが険しくなる。
ナップザックに手を入れ、イングラムを取り出すと、
「おまえのせいでー!!!」
と叫び、いきなり乱射してきた。

ぱらららららら

里田が家の門の陰に隠れ、後藤はすかさず横へ転がったが、一番前に立っていたみうなが反応しきれず
腹部に銃弾をくらう。だがなんとか里田のいる門の陰に飛び込む。
「みうなちゃん!」
「うっ」
苦悶の表情を浮かべるみうなの腹の傷からは血が流れ始めているようで、衣装のTシャツを赤く染めていた。

389 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
里田は後藤のほうをみる。後藤は態勢を立て直すと、今、里田達がきた海岸方向へ駆け出すところだった。
途中でコルト・ガバメントを取り出すと、前田を挑発するように2発放つ。
どっちを仕留めようか迷っていた前田はその挑発にのせられ、
「お前の弟のせいで全部台無しだよ!!!」
と叫び、イングラムを乱射しながら後藤を追いかける。
里田は心で後藤に対する感謝と無事を願いつつ、みうなの様子を見る。
「里田さん…、逃げてください…、私はもうだめです…。」
みうなは弱気な発言をする。
「何バカなこと言ってるの! こんなことぐらいで人は死んだりしないわよ!」
里田はそんなみうなに喝を入れる。
とはいうもののお腹の傷は重傷のようでTシャツの血の染みは広がりつつある。
里田は自分の衣装の上着を脱ぎ、みうなの傷よりやや上部に巻きつける。
(止血にすらならないかもしれないけど…。)
「すぐ戻るからちょっと待ってて。」

390 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
というと里田は別荘へと走り、門から中に入り裏側へとまわる。
そこには庭に面したサッシに手にかけ開けようとするが鍵が掛かっていて開かない。
(それならば…)
里田は腰から正宗を鞘ごと抜くと、サッシのガラスに向けてそれを思いっきり叩きつける。
ガラスは派手な音を立てて割れた。割れたところから手を入れて中から鍵を開ける。
里田はそのまま中に入ると、玄関の鍵を解除し扉を開け、玄関を飛び出してみうなのところへ駆け寄る。

「みうなちゃん、立てる?」「は、はい。」
里田はみうなを支えて立ち上がらせて別荘の中へと入っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

391 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:09
EE JUMP 学校を夜襲、あさみ斬殺 >>159-161 >>164-166
EE JUMP 村田銃殺 >>173-177 >>187-190
WATER 被害の確認 >>193-196
FOOD保田・AIR里田 集会所に到着、保田「味方」からのメッセージを見せる >>199-201
WATER 飯田・アヤカ・柴田 捜索隊として出発 >>208-209

3回目の放送 >>211

392 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は海岸沿いを前田から逃げていた。時折コルト・ガバメントで応戦をするが、
目的は、前田を里田達から引き離すことだったので、本格的に狙っていたわけではない。
実際、前田は後藤の後についてきた。AIRの倉庫へ続く海岸沿いの道まで来たところで、
ここまで来ればとりあえずは別荘の2人は大丈夫と思い、
民家の塀に隠れて、前田に声をかける。
「なんで、後藤たちに攻撃をするの? 何もしていないじゃない。」

393 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
「しらばっくれやがって、お前の仲間が稲葉を殺したんだよ!!」
前田の怒りの声が銃声とともに響く。
後藤は思い浮かべる。他の仲間のことを。
(圭ちゃんは自分から殺したりはしないだろうし、PCをいじってるんじゃなかったっけ?
 あとは…、新しい子はよくわからないけれど…。)
「仲間って誰のこと?」
「それはお前が一番知っていることだろう? お前に良く似た弟だよっ。」
(ユウキ!?)
とその時、後藤の側で何かが爆発する音が聞こえた。
これは前田が手榴弾を投げたためであったが、後藤はそれを知らない。
壁にしていた塀が崩れ落ちてくる。
後藤は咄嗟に頭を庇う。塀がそんなに高くはなかったためダメージ自体は少なかったが、
ブロックに下半身が挟まれてしまった。抜け出そうとするが、いつの間にか前田が目の前に来ていた。

394 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
「ユウキがこの島に来ているっていうの?」後藤は自分のピンチにもかかわらず弟のことを聞く。
「それはあんたが知ってるはずだろうが。」前田はイングラムの銃口を後藤に向ける。

その時、前田の後ろに誰かが立った。その人物は左手で前田の口を抑え、
少し大きめのナイフを持った右手で前田の喉を掻ききった。
前田の喉から血がスプリンクラーのように勢い良く飛び散った。
後ろの人物は左手を放す。前田はくぐもった声を出しながら、支えを失って後ろに倒れた。
倒れた後でも、前田の体は首から勢いよく血を飛び散らせながら痙攣を続けている。
前田の後ろから現われた人物は、……ソニンだった。

395 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
ソニンは、後藤の方を一瞥すると無視して前田の装備を物色し始めている。
後藤は、ブロックから抜け出すとソニンに声をかける。
「ソニン……さん? ありがとう…。」
ソニンは、前田のナップザックから手榴弾を取り出して自分のナップザックに入れながら答える。
「…ああいう狂気にかられた手合いは早めに潰さないとやっかいだからであって、
 別に助けたわけじゃない。」
「(まあいいや)で、どうしてここに?」
「この場所にという意味なら君達の後をつけていた。この島にという意味なら連れてこられた。」
「あなたも!? …あなたがいるってことはもしかして?」
ソニンは前田の持っていたイングラムを自分のナップザックに入れる。
他の荷物には興味ないらしく、手をつけずに崩れ落ちたブロックの下に隠す。
「ユウキ? 来てるよ。」
「今、どこにいるの?」後藤はソニンに迫る。
「島のまんなからへんにいるんじゃない?」とソニンはあいまいに言いつつ立ち上がる。
「生きていたらまた会うかもね。」といいつつソニンは西方向へと去っていった。

前田有紀:死亡 【SALT 4人→3人】

─────────────────────────────────────────────────────

396 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、学校を出てから一度紺野がいた民家に立ち寄り、飯田達が紺野を埋めた場所に、
途中で摘んだ花を供えると、決意を新たにし、南に離れた民家を拠点と決めて、
準備をすると襲撃者を待つ。だが、なかなか登場しない。
家の中にいても相手がみつけてくれないかと思った藤本は屋外で待つ。

ちょうど待ちくたびれた頃、何かが横から飛んでくる気配がしたので横を振り向く。
そして偶然に飛んできた黒いボールのようなものをキャッチし、それを反射的に投げ返した。
それは、轟音とともに空中で弾けた。弾けたものから生まれた煙があたりを覆う。
藤本は咄嗟に近くの木の陰に隠れた。

397 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
その煙の中から銃声が聞こえ、藤本の隠れている木に銃弾が当たる。
その後、煙の中から右手に剣を、左手に銃を構えた一人の少年が飛び込んでくる。
(あれは…ユウキ? あいつがあさみさんと村田さんを殺した…
 もしかしたらあいつが紺ちゃんも…。)
藤本は足元にある小石を拾うと、遠くに投げる。小石は地面に当たり「カッ」という音を立てる。
ユウキはその音の方向に銃を撃つ。
銃声に紛れて藤本は拠点のある民家へと逃げる。ユウキも気がついたのか藤本に向けて銃を撃った。
銃弾の内の一発が藤本の左上腕部をかすり、衣装を焦がす。
藤本は熱さを伴う鋭い痛みを感じたが、かまってはいられない。民家に入る。
ユウキも藤本の後を追いかけ始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

398 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:56
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ユウキは、さっきの稲葉にやったように手榴弾で相手を弱らせてから、
エクスカリバーで止めを刺すつもりだった。だが、相手は手榴弾をキャッチし、
しかも投げ返してきた。手榴弾は途中で爆発したが、相手の状態はよく分からない。
とりあえずエクスカリバーを茂みに置き、ワルサーを取り出して相手の方にせまる。
煙が徐々に晴れ、辺りが確認できるようにはなったが、相手の姿は見えない。
(ちっ、逃げたか?)

その時、右後方でカツッと物音がした。足音と思い振り向きざまワルサーを撃つ。
ところが姿は見えない。また右後方から今度ははっきりとわかる足音が聞こえてきた。
またも振り向き姿を確認すると、逃げていくWATERの姿に向けてワルサーを放つ。
(あの衣装と髪型と身長からすると、藤本か?)
1発かすっただけで命中することはなかった。藤本は近くの民家に逃げ込む。

399 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
「逃がしはしねえよ。」
そう呟くとユウキは民家へと追いかける。玄関から入ったところでユウキは藤本が正面の部屋に入ったのを見た。
ユウキも続けて追いかける。正面の部屋に入ろうとしたところで足に何かが引っかかった感触があった。
それが何かを確かめる前に、上から何か粉のようなものが大量に落ちてきた。
その粉末がユウキの視界を遮る。そして…。
(何だこれは? ん?)
そのとき、ユウキはとある衝動に駆られた。
「ふ、ふわっくしょい! ふわっくしょい! こしょうか、くそっ!!」
ユウキはこらえきれず何回も何回もくしゃみをした。たまらず廊下へと戻る。
「ふわっくしょい!」
それでも視界が晴れくしゃみが収まるまで、2分程度かかった。
「時間稼ぎかよ!!」
ユウキは急いで部屋に戻る。

400 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
視界が晴れてよく分かったのだが、部屋はどうやら洗面所のようで洗濯機などがおいてある。
奥には外へ出る裏口があり、ユウキはそこから外に出る。
そこは家の庭だった。物干し竿や物置がおいてある。
「どこ行った! 隠れてないで出て来い!」ユウキはワルサーを構え叫ぶが、反応はない。
(家の横に回って逃げたか?)
とその時、庭の植え込みに赤いものがあるのに気付いた。
(なんだ?)
良く見てみるとそれは赤い布が植え込みから少し出ている。
(こんなところに隠れているのか。っていうか隠れたつもりだったのか。)
ユウキはニヤリとした。
「くそっ、逃げやがったな。」
と言いつつ、わざと足音を立てて追いかけたふりをする。
それから逆に足音を消し、赤い布の方へとゆっくりと歩いていく。
そしておもむろに、隠れていると思われる場所に向ってトリガーを引いた。
周囲に銃声が轟く。
「やったか!?」
とその時、背後から衝撃を受け、うつ伏せに倒れた。

─────────────────────────────────────────────────────

499KB
続きを読む

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail(省略可)

0ch BBS 2006-02-27