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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜
- 62 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:14:46
- 東屋の前にいる安倍は、石川達を見つけると一瞬驚いた表情になったが、すぐ笑顔に戻った。
「あ、梨華ちゃーん。よく来てくれたよー。」拡声器を通した声があたりに響く。
「安倍さん。他の人たちは?」石川は普通に聞いたが、
「ごめーん、遠くてよく聞こえないんだ。近づいて貰っていいかなー。」安倍には声が届かないようだ。
石川は手でメガホンを作り、大声を張り上げる。
「安倍さんが近づいてくださーい。」
「わかったー。」安倍は拡声器を持って、石川のいる北側に近づいてくる。
やがて2人の距離は10m弱ぐらいに縮まったところで安倍は拡声器を地面に置いた。
「本当によくきてくれたよ。なっち、うれしい。」
- 63 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:21:09
- 新垣を埋葬した後、AIRは別荘を離れ丘に向っていた。その理由は島を見渡すことと、SALT5の探索だった。
ある程度近づくと安倍の呼びかける声が響いてきた。
新垣の死はAIRに深い悲しみとSALT5に対する疑念を生んだ。
手榴弾の罠は、SALTが意図的に置いておいたのではないのかということだ。
それで正直、石川は安倍の呼びかけは本当の呼びかけか、それとも罠か判断がつかなかった。
とりあえず、ミカに銃を空に向けて撃つよう頼んだ。
これは、もし安倍の呼びかけが本物だったら銃声にもめげずに呼びかけを続けるだろう。
しかし、もし誰かを誘い込むための罠だったら、作戦がバレていると思い、
SALT5が丘から立ち去るのではないかと思った。
結果は……呼びかけは続けられた。とりあえずは3人で安倍に話してみようということになった。
丘に来たとき、そこにいたのは安倍1人だった。
一応、大谷と稲葉は、安倍には向けていないものの利き手にシグ/ザウェルを握っている。
(他の4人はどこ? もしかして近づいた瞬間に攻撃するの?)
だから安倍にこっちに来てもらうよう要請した。もし罠なら何か理由をつけてこないはず。
しかし、安倍はいつもの調子で来て、拡声器を地面に置いた。ということは……いや判断するのはまだはやい。
彼女には聞きたいことがある。それは──
- 64 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:22:17
- 「安倍さん、新垣里沙が死にました。」石川は新垣のことをわざとフルネームで話した。
「ええっ、り、里沙ちゃんが? な、なして?」安倍は目を大きくして驚く。
その表情は演技とは思えなかった。しかし──
(単にその被害者が新垣で驚いているのかもしれない。)
「誰かしらの手榴弾の罠に嵌りました。」石川の中で疑惑は薄まることない。
「わ、罠? 誰の?」
「安倍さんはご存知ないですか?」
「いや、今はじめて聞いたよ。酷い人がいるなあ。なっち信じられない。」
(その酷い人はSALTの誰かなのよ。)
「やっぱり、一刻も早くここを脱出するべさ。」
「安倍さんは何か案があるんですか?」
「それは、まだだけど、みんなが集まればきっといい案が思いつくよー。」
(大したポジティブシンキングね。とりあえず他の4人を確認しないと。)
「まあ、いいでしょう。ところで、他の4人はどこですか?」
「……えっと、近くにいるよ。」
「呼んで下さい。」
「う、うん、いいけど、そっちの他の3人は?」
「そっちがでてきたらこっちも呼びます。」
「……わかった。」
といいつつ、やおら自分の背負っているナップザックを開け、中から何か取り出そうとした。
(あれ? 拡声器で呼べばいいのに……)と思ったその瞬間──
- 65 :ゼロ ◆RO/PNu7I :2003/09/07 22:23:47
- パーン
破裂音があたりの空気を刺激する。
左胸に穴が穿った安倍が──刑事ドラマのように──スローモーに後ろに倒れる。
それは、ほんの数秒のことかもしれない。しかし、石川には30秒にも1分にも感じられた。
倒れた安倍の右手には──トランシーバーが握られていた。
石川は驚き、銃声が聞こえてきた方向を振り返る。
そこには──シグ/ザウェルを持って立ちすくむ大谷がいた。
「ち、違う違うの。」
大谷は首を激しく振っていた。
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