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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。


401 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/29(土) 23:59
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、自分の衣装の上着をわざと端だけ見えるように植え込みに隠し、
自分は物置の影へと隠れた。ユウキは裏口から出てきて、一旦は横へ行くふりをし、
足音を消して上着を置いてある場所の近くまで戻ってくる。
そして、ワルサーを上着に向って撃った。

銃声と同時に物置の横から出てユウキの背中へとショルダーチャージをする。
ユウキはそのまま受け、うつ伏せに倒れた。藤本はすかさず上に乗る。
ユウキは起き上がろうとするが、藤本が背中に乗っかっているせいで起き上がれない。
藤本はまずは、ユウキが落としたワルサーを取り、自分には扱えないものなので、
庭の池へとワルサーを投げる。ドポンという音とともにワルサーは池へと沈んだ。
腰から護身刀“竜穿”(小剣)を取り出し、ユウキの首筋に当てる。
「ちょ、ちょっと待って。殺さないでくれ。頼む。」
ユウキは懇願する。

402 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:00
「は? 何言ってるの? あんたあさみさんや村田さんばかりでなく、美貴を殺そうとしたんだよ?」
「ち、ちがう。俺はソニンに無理矢理やらされたんだ。今だってソニンが先に攻撃しろって…。」
(じゃあ、今、近くにソニンがいるっていうこと?)
藤本は咄嗟に後ろを振り向いた。ユウキはその隙を見逃さず右足を折り曲げかかとのキックを藤本に見舞う。
虚をつかれた藤本は脇腹にキックを受けバランスを崩す。
ユウキは横に回転し、藤本の下から抜け出と、近くの自分のナップザックを掴み、藤本と距離を取った。
藤本もすぐに体勢を立て直し、護身刀“竜穿”をつかみ立ち上がる。
ユウキはナップザックから鉄の爪を取り出し、手に装備する。

403 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:01
「お、お前それをどこで?」見覚えのある武器に藤本はユウキを問いただす。
「これか? 戦利品だよ。あいつ…紺野とか言ったっけ?
 こっちが『無理矢理連れてこられた』っていったら簡単に気を許しちゃってさ。」
「じゃあ、お前が殺したんだな?」藤本はユウキを睨みつける。
「ああ、剣で腹をグサリとな。なかなかいい声で泣いてやがったぜ。
 それにしてもあいつ泣くとブッサイクだよなあ。」ユウキは挑発する。
「…かかってこい。包茎野郎。」藤本も中指を立てて挑発し返す。
「お前も直ぐに会えるよ。あの世でなっ!!」
と叫ぶとユウキが右手で藤本の顔面めがけて切りかかってくる。
 
                  *            *

404 :名無し娘。:2004/05/30(日) 10:12
美貴様美貴様(ユウキに)オシオキキボンヌ

405 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:40
藤本がモーニング娘。に加入すると発表になった後の
2003年の正月のハロコンの待ち時間の時、紺野と他愛もない話をしていた。

「…そういえばさ、紺ちゃんって空手やってたんだよね?」
趣味の話からの派生だった。
「うん。ちょっとだけだったけどね。」
「いいなあ。そういうのって。やっぱり今日び自分の身は自分で守らなくちゃね。」
「美貴ちゃんは、空手とか合気道とか、護身系のものってやってないの?」
最初は紺野は藤本のことを「藤本さん」と呼んでいたのだが、
堅苦しいので「美貴ちゃんでいい」と藤本の方からお願いしたのだった。
「ま、そういうちゃんとしたものはね。そうすっとさ、やっぱり正拳突きとかってちゃんとできるの?」
「ちゃんとっていうか、形はあるよ。」
「それ教えてよ。…いつなんどき変態に襲われるかわからないからさ。」
紺野はにっこり笑みを浮かべると、「うん。わかった。」と頷き、藤本に説明し始めた。

                  *            *

406 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:41
藤本は護身刀“竜穿”を左手に持ちかえると、ユウキが右手の爪で切りかかるのを体をひねって交わす。
爪の切っ先が藤本の頬をかすめる。
(腰で体のしなりを作り、十分にスピードを乗せて突く。)
よけた時に体をひねっておいて、ガラ空きとなったユウキの右ボディに向けて
4ヶ月前に教えてもらった通りに正拳突きを放つ。
(当たる瞬間に拳をより強く握り締め、脇も固め、引き手を十分に引く。)
ユウキは今日2発目の正拳突きをくらい吹き飛んだ。
藤本は護身刀“竜穿”を右手に戻しながら、横向きに倒れたユウキに取り付き、
正面を向かせるとためらうこともなく、その左胸に護身刀“竜穿”を突き刺した。

ユウキ:死亡 【EE JUMP 2人→1人】

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407 :名無し娘。:2004/05/31(月) 06:37
鳥肌立った   ミキティありがとうミキティ・゜・(ノД`)・゜・

408 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:43
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は、別荘の前に戻ってきて里田とみうなを探す。ところが2人ともみつからない。
もちろんトランシーバーで呼びかけてみたのだが答えはなかった。
実は2人は別荘の中にいるのだが、後藤はまさかガラスを破ってまで侵入をしているとは思っていなかった。
どこかへみうなを治療できる場所に移動したと思い地図を探る。
(診療所!? ここかな?)
後藤は1人診療所へと向った。

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409 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
WATER TEAM'S PHASE──

藤本はユウキを倒し一息つくと、ユウキの胸から護身刀“竜穿”を引き抜き、
それを庭の池で洗うとユウキのナップザックを持ち、家の中へと入る。
洗面所に鏡があったので藤本は気になることを確かめるために鏡を覗く。
左頬のところに一筋の傷跡を発見した。
チッと藤本は舌打ちをする。さっきのユウキが鉄の爪で切りかかって来たときに出来た傷だ。
(ま、そんなこと気にしている場合じゃないね。人殺してるんだし。)
藤本は自虐的な笑いを浮かべるとユウキのナップザックを探る。
出てきたのは、手榴弾2発と、PDAのようなものだった。
(なんだこれ?)

410 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
藤本は不思議に思っていろいろいじくっているうちに電源のようなものを見つけ、
それをONにする。すると、モニターの中心に青い点が1つ写し出された。
(どういうこと?)
別のスイッチを押すとやがて右に黄色い点が1つ。
右上の方に黄色い点と青い点が1つづつならんでいてどちらもすこしずつ動いている。
さらに同じスイッチを2回押すと、今度が画面のあちこちに4色の点が現われた。
そこで藤本はピンと来た。
(これってもしかしてレーダー?)
とりあえず一番近くにある右の黄色い点に向って歩き始めた。

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411 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 22:52
現在の状況
SALT
∬´◇`)<加護さん、どこ行ったんだろう…。
从‘ 。‘从<そろそろ別荘にもどろっかな〜。
( ‘д‘)<………。

AIR
川=‘ゝ‘=||<みうなちゃん、大丈夫?
( ゚▽゚)<あひゃひゃひゃひゃ!!

WATER
( ´D`)<あいぼん、にげるのれす。
川VvV从<レーダーゲトしますた。
川σ .σ|||川‘▽‘)|川‘〜‘)||<学校で何があったのかしら?
ξξ “ З.“)<解除中……

FOOD
( `.∀´)<解除中……
从 ` ヮ´)ノノ*^ー^)<どうなるのかなあ?
( ´ Д `)<里田さんとみうなちゃんどこいったの?
μ TヮT μ<痛い……。

EE JUMP
从0‘ ∀‘ 0从<次はどうしようニダ?

412 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:56
SALT TEAM'S PHASE──

いまや生きている者は誰もいない学校。ここにまた一人の人物がおそるおそる入ろうとしていた。
小川麻琴である。石川に気絶させられ、誰にも見つかることなく、普通に気絶から回復した小川は、
加護のことを思い出すと急いで学校へと向かった。高橋達と同じく校門前の血痕を発見し、
加護と同じく「誰かいませんか〜?」と呼びかけるも反応がなかったので、
ゆっくりと昇降口から学校へと入る。やがて廊下とクロスするところへ出た小川は、
左側に2人の人物が倒れているのを見つけた。

小川はまずは手前の人物かけよる。
「愛ちゃん?」
それは小川の同期で、一番エースに近く事務所の後押しもあり、小川が羨ましかった人物だった。
その整った顔立ちは今や恐怖で固まり、額のほぼ中央にはコイン大の穴があいて、
その周りの皮膚は焦げていた。また穴から出た粘っこい血はどろりとこめかみの方へと垂れていた。
時間がちょっと経ったのか血は固まっているように思えた。
また頭の後ろの床には脳漿と思われる液体が飛び散っており、それの匂いがまだ残っている。

413 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:57
小川は思わず顔をそむける。そむけた方にはもう1人の人物がいた。
「吉澤さん?」
それは小川の1期前の先輩で、いつもかっこいいし、楽屋ではちょっとクールな憧れの先輩だった。
吉澤の体は鋭利なもので何回か傷つけられている。そのうちの1つが右胸を抉っており、
これが致命傷だろう。

「!!」
小川は突然吐き気を催し、以前学校に来たときに使ったトイレの位置を思い出し、
2人の死体から逃げるように走り始める。
2人をもう“気持ち悪いもの”としてしか認識していない自分に呆れながら…。

                  *            *

414 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:35
一方、歩くのにも限界が来た加護は辻に背負ってもらっていた。
「重くてごめんな。」
「…東京に戻ったら、一緒にダイエット………バナナって結構……いいらしいよ。」
辻の声がところどころで聞こえなくなってきた。おそらく出血多量によるものだろう。
「そうだね。」
自分の声も自分の頭の内部で響いていて、本当に自分が声に出したのかがわからなくなっていた。
(そろそろ限界やな。)
加護は自分の生命が尽きようとしていることを自覚していた。
(あれだけは言うとかんと。)
「なあ、のん。」
「何?」
「あんなー、前にのんがアイスがなくなったって騒いでた時があったじゃない。」
「うん、あった……誰かの……」
「あれなー、食べたの加護なんだ。なんか1つぽつんってあったから、余ってたのかなって思っちゃって食べちゃったんだ。
 のんが騒いだ時も言い出せなくて……。ごめんな。」
「……あいぼんだった……、びっくり……良く言ってくれたね。」
「言わなくちゃいけないと思って。本当にごめん。……ちょっと眠くなったから眠る。」
「わかった。」
加護は辻の背中で揺られながら考えていた。
(それにしても頼もしい背中や。いつのまにこんなに大きくなったんやろ?)

415 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:36
加護にとって辻は相方だった。はじめのころこそ、唯一の同年代の友達として仲良くしていたが、
加護がたんぽぽに入り、忙しくなるにつれあんまりプライベートで遊ばなくなった。
加護は加護で後藤たちと仲良くなり、辻は辻で飯田や安倍たちと仲良くやっていたようだ。
ミニモニにともに入り、写真集を「辻加護」として入るにつれ、
加護は辻のこと「相方」と思うようになっていた。

加護の意識がだんだん遠のいていく。目の前にあるのが背中という感触はすでになく、
何か暖かいものであった。
(でもこうして、相方の背中に背負われて終わる人生も悪くはない人生や。
 のの、最後まで生き残るんやで……。)
その瞬間、辻の肩に置いてあった手から力が抜け、振動につられ、
すうっと、加護の手が辻の肩からずり落ちたのだった。

加護亜依:死亡 【SALT 3人→2人】

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416 :名無し娘。:2004/06/03(木) 23:32
あいぼぉぉぉぉぉぉぉぉん。・゚・(ノД`)・゚・。

417 :名無し娘。:2004/06/04(金) 21:31
殺伐としたなかにも「ええ話」が・・・(泣)。

418 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ジャマーを一度切ってユウキと連絡を取ろうと、レーダーであたりの注意を払いながら、
灯台へと戻っているところであった。
後藤達3人をつけていたことで後藤を偶然救う形となっていたソニン。
だが、何故あそこで後藤を助けたかは自分でもわからない。放っておいてもよかったはずだ。
(やはり、あいつの姉だからか? まさか?)
それを考えるのはとりあえずやめて、ユウキの位置を確認するためレーダーの範囲を広げる。
どんどん拡大していくが、自分以外のEE JUMPのメンバーであることを示す紫の点はみつからず、
ついに島全体をカバーするまで範囲を広げるが、やはり紫の点は存在しなかった。
「どういうこと?」思わず口にする。
そのとき辺りに「うたばん」のテーマが流れ始めた。
(もう昼か……。)

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419 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
「石橋貴明が、お昼の12時をお知らせします。ぷっぷっぷっぷー。
 どーもぉ、みなさんお元気でしょうか? あ、死んでるヤツもいるんだっけ。
 まいっか、死亡者の発表をするぞ〜。
 SALT、稲葉貴子・前田有紀・加護亜依、それとAIRのミカ・高橋愛、WATERの紺野あさ美・矢口真里・吉澤ひとみ、
 FOODの中澤裕子、最後にスペシャルチーム ユウキ。以上の10人だ。
 ここへ来てハイペースになっているじゃないかあ。その調子でどんどん殺しあってくれ。」

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420 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:54
FOOD TEAM'S PHASE──

「10人…」亀井は思わずつぶやいていた。
「10人…」隣の田中もつられるように同じことをつぶやく。
ふと保田をみる。保田は窓の外のきっと睨みつけていた。
同期であった矢口の他、娘。だけで5人も死んでいるのだ。
メンバーになって1ヶ月強の亀井でさえ、なんだかやりきれない気持ちになっている。
5年間モーニング娘。として裏を支えてきた保田の気持ちは推して知るべきだろう。
現在は、亀井の首輪を外してもらっているところである。
このあとは田中の首輪を外す予定である。

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421 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
SALT TEAM'S PHASE──

松浦は別荘へと戻る途中だった、なぜなら本来はそこで待っているはずだったからだ。
現在は島の中央の丘からやや北へと進んだところだ。もう少し進めば右に道が別れ、
そっちは診療所へと続いているはずだ。下は砂利道で細く、車は通れないようだ。

松浦も放送を聴いて驚いていた。
(前田さんと稲葉さんと加護ちゃんが死んだ? そしてSALTはあと2人?
 どうしよう? まつーらとまこっちゃんだけ、しかも2人ともばらばらじゃ、生き残れない…。
 そうだ! まだ人数の多いWATERかFOODに入れてもらえればいいんだ。
 ……FOODにあんまり仲良い人いないんだよね。やっぱりWATERか。美貴ちゃんがいてくれれば話は早いんだけどな。)

422 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
と、その時、後ろから「亜弥ちゃん?」と聞きなれた声が松浦にかかった。
後ろを振り向くと、そこには今心に思い浮かべた人物がいた。
「美貴ちゃん!!」
(ラッキー! まつーらツイてる! ありがとう、神様仏様イエスキリスト様アッラー様…)
松浦は心に浮かんだありとあらゆる神様に感謝した。
「ふ〜ん、黄色はSALTなんだ〜。」といって藤本は近づいてくる。
手にはPDAのようなものを持っている。
「よかった! まつーら一人で寂しくしていたんだよ。みんなとはぐれちゃって、
 今の放送で前田さんとか稲葉さんとか加護ちゃんが死んじゃっててすごく悲しかった。」
「美貴のいるWATERも、紺ちゃん・矢口さん・よっすぃ〜といなくなっちゃった。」
30秒ぐらい静寂が続いた。松浦は死んだ人間のことを考えていたし、藤本もきっと同じだろう。
松浦は、気を取り直すとさっきから気になっていることを藤本に質問した。
「その傷どうしたの?」近づいて来てわかったのだが、藤本の左頬に横一文字に傷がついていた。
「ん、ちょっと転んでね。」藤本は左頬に触れながら答える。
松浦は傷に関してもう少しつっこみたかったのだが、藤本はあまり話したがらさそうだったので別の話題にうつることにした。

423 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:13
「…ところで、右手に持っているそれ、何?」
「これ? レーダーっていえばいいのかな…。みんなの居場所がわかるんだ。
 この青い点が美貴。んで黄色い点が亜弥ちゃん。」
松浦は覗き込む。そこには黄色い点と青い点が中心付近に並んでいた。
「ここを押すと」と言って藤本は画面の下部についているスイッチを押す。「範囲が広がるっと。」
すると、黄色い点と青い点の位置は変わらないが、赤い点が2つと緑の点が1つ上部に現われた。
赤い点のうちの1つは2人に近づいているようだ。
「へぇ〜、すごいね。」
「美貴は、これで仲間を探すんだ。みんなバラバラになっちゃったでしょ。」
「ねえ、まつーらも一緒に行動していい? やっぱり1人よりも2人の方が心強いし。」
(美貴ちゃんが仲間を集めて、タイミングを見計らってWATERに入れてもらおっと。)
すると、藤本は少し考えて口を開ける。と、その時、
「あれ? ミキティにあややじゃん。」という声が松浦が今から向おうとしている方から聞こえてきた。
2人とも声のした方向を振り返る。

後藤真希だった。

そして、松浦は藤本の顔色が少し沈んだのに気がついた。

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424 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:21
SALTとAIR 和睦しようとするもSALTの計画により中澤銃殺、その責任を石川に >>210-212
WATER 探索隊 別荘へ >>214
AIR ミカ・高橋 丘へかけつけるも、SALT逆ギレで石川つれて退散 >>215-216
SALT 加護・小川 丘へ出てくる→稲葉SALTにチーム変更 >>223-227
WATER 矢口 SALTに遭遇、中澤の死を知る >>228-230
FOOD 保田 PCと格闘&中澤の死をSALT側とAIR側から報告をうける
後藤・里田・みうなは倉庫へ >>234-238
SALT 稲葉がSALTに移るまでの経緯 >>241-245
SALT 加護・小川 WATERに亡命決意 >>246
AIR 石川 SALTの目的に気付きブチギレて、別荘へ >>247-250
WATER 藤本 学校へ帰還 >>251-252
WATER 紺野 隠れていたところを発見され、騙されてユウキに殺される >>253-263
FOOD 後藤・里田・みうな 直接別荘へ >>268
WATER 斉藤 集会所へ >>269-270
矢口・石川遭遇。石川が矢口を斬殺 >>271-273 >>278-279
SALT 加護・小川 別荘を出ようとするところを松浦に見つかるが通してもらう >>274-277

425 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
誰かから誰かへのメール >>281
WATER 斉藤 集会所へ到着 >>282-283
WATER 吉澤・辻・藤本 紺野の死を知る >>284-285
WATER 藤本 仇を討つために出て行く >>287-289
AIR ミカ EE JUMPの2人に殺される >>290-299
EE JUMP ユウキが単独行動をとる >>304-306
AIR 石川 加護・小川を追いかける >>309-315
SALT 小川 石川と話し合うが決裂。気絶させられる >>317-319
SALT 前田・稲葉 中澤の遺品を集会所に届けにくる >>320-321
高橋・松浦 石川達を追う >>322-324
EE JUMP ユウキが稲葉を突き殺す >>325-327
EE JUMP ソニンがジャマーを起動 >>331-333
AIR 石川が加護においつく >>334-336
WATER 辻 加護を守る >>340-341

426 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
木梨 現在の状況を確認する >>342-344
石田AD 保田の侵入を確認する >>345-346
後藤・里田・みうなが矢口の死体発見 >>347
WATER 吉澤 石川達の仲裁 >>348-351
FOOD 保田 首輪の爆発装置の解除 >>353-354
WATER 吉澤 加護たちをおいかけようとする石川を気絶 >>355-357
AIR 高橋 吉澤が石川を殺したと勘違いし斬殺 >>358-362
AIR 石川 吉澤が殺されたことに怒り高橋を射殺 >>363-364
SALT 松浦 学校で使えそうなものを自分のものにする >>365-367
WATER 辻 加護とともに北へ >>368
保田と斉藤 首輪を外す >>370-373

427 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
石田AD 首輪を外す行為を確認 >>385
SALT 前田 後藤・里田・みうなに発砲 みうな怪我 >>387-390
EE JUMP ソニン 前田の喉をナイフでかき切る >>392-395
藤本VSユウキ >>396-406
FOOD 後藤 診療所へ >>408
WATER 藤本 レーダーを発見 >>409-410
SALT 小川 学校で高橋と吉澤の遺体発見 >>412-413
SALT 加護 辻に背負われながら出血多量で死亡 >>414-415
EE JUMP ソニン 灯台へ >>418

3回目の放送 >>419

428 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/08(火) 00:11
容量オーバーの前に物語を終わらせたいが・・・・

429 :名無し娘。:2004/06/08(火) 13:34
>>428
思うようにやってください。楽しませてもらいます。

430 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
FOOD TEAM'S PHASE──

里田とみうなを探す後藤は、別荘を離れ診療所に向ったがそこには誰もいなかった。
診療所で放送を聴いたが、里田もみうなも死んではいなかった。
とはいえ、吉澤や加護、自分の実弟であるユウキの死にはかなりのショックをうけたのだが。
しかし実際に死体を見たわけでもないので、彼女らの死については実感がなく、悲しかったが涙は出なかった。

里田とみうなは集会所に帰ったのかと思い、一旦集会所に戻ることにした後藤は、
途中で藤本と松浦をみつけた。そのまま避けて行こうかと一瞬迷ったのだが、
2人とも一応同じユニットに配属された縁もあり、声をかけた。

「あれ? ミキティにあややじゃん。」

431 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
2人は後藤の進行方向、南を向いていたのだが、2人そろって振り向く。
「ごっちん…。」松浦は驚く。
藤本は黙って振り向く。その左頬には横一文字の傷があるのに後藤は気がついた。
「どうしたの、こんなところで?」と後藤は尋ねる。
「偶然、美貴ちゃんと会ってね。といっても美貴ちゃん、レーダー持っているから美貴ちゃんからすれば、
 偶然でもないんだろうけど、ね。」と隣の藤本に賛同を求める。
ところが隣の藤本は下を向いて黙っていた。
「どうしたの、美貴ちゃん?」松浦は心配して尋ねた。
藤本はそんな松浦の質問にはこたえず、真剣な表情をすると、
「ごめん、亜弥ちゃん、ちょっとここで待っていて。」と言って後藤の方へすたすた歩いてくる。
(どうしたんだろう?)と考える後藤に近づき、「ちょっと話がある。」と言って、
後藤のデニムシャツの袖を引っ張りつつ、後藤が来た方向へ歩いていく。
30mぐらいは歩いただろうか。松浦には姿は見えるけど、声が聞こえないところまでは来たようだ。
藤本は立ち止まると「聞いて欲しいことがある。」と話をはじめる。
「何?」「ごっちんの……弟のこと。」藤本は表情を変えずに答える。
後藤は生唾を飲み込んだ。

432 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
それから藤本は語り始めた。ユウキとソニンが今朝、夜明け前にWATERの本部である学校を夜襲し、
あさみと村田を殺したこと。その後、藤本が単独で行動していたところユウキが襲っていたこと。
それでユウキと争い、ユウキが死んだ紺野の武器を持っていたこと。
そして……ユウキを殺したこと。

後藤は話の途中で、藤本がユウキを殺したということはなんとなく予測はしていたが、
実際本人の口から聞くとショックだった。
藤本が話を終え、後藤も喋らなかったので、沈黙が1分程続いた。
後藤は何気なしに、松浦の方を見る。松浦はつまらなさそうに地面を蹴っていた。
「よく言う気になったね。」とここではじめて後藤は藤本に言った。
「人の弟殺しといて、よくも堂々と。」と後藤は右手で銃を作り人差し指を藤本の額につけ、
「バァーンって殺されるかもしれないのに。」と撃つ真似をした。
「言っておいた方がいいと思って。」藤本は後藤を見たままそういう。
「てかさ、ミキティはそれをあたしに言ってスッキリしたかもしれないけどさ、
 あたしにとっては、『はぁ? 何、それ?』って感じ。
 ミキティから見れば自分の仲間を殺したやつだけど、あたしにとっては可愛い弟なんだよ。
 『正当防衛であなたの弟を殺しました。仕方ないですよね?』
 みたいに開き直っている感じがするんだよ。」後藤も藤本を真直ぐ見ながら言う。

433 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
「別にそんなつもりは……。」と藤本。
「……うん、わかってるよ。…そんなつもりじゃないのはわかってる。」
後藤は下を向いて首を横に振りながら続ける。
「ごめん。ミキティにこんなこと言ってもしょうがいないよ。全部、あいつら、うたばんのやつらが悪い。」
「弟が死んだってわかって、すぐ言った私もタイミング悪かったね。」藤本は詫びた。
「んで、あいつと争ったのってどこ? この島に来てわたしはあいつとは会っていないから、
 せめて死体のあいつでも会おうと思って。」
「……美貴が案内するよ。ちょっと目印になるものもないし。」と藤本が自分も同行することを提案した。
「そうしてくれると助かるよ。」
「じゃあ、亜弥ちゃん呼んでくる。」といって藤本は松浦の方へと歩いていこうとする。
「あ、ちょっと待って。」と言って後藤は呼び止める。
「何?」藤本は振り返る。
「まっつーは一緒に来てほしくないんだ。」
「え、なんで?」

434 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:49
今度は後藤が藤本に語る番だった。SALTが中澤を殺した責任を一方的に石川に被せたこと、
その後タイミング良く、稲葉がSALTに加わったこと。
このことからおそらくもともと稲葉がグルではないかという推測。
そしてさっき、前田がいきなり後藤達に襲い掛かってきたこと。

「ま、松浦がどこまでかんでいたかはわからないけどね。
 後藤はSALTを信用してないんだ。だから一緒に行動したくない。」
藤本は面食らって、少し考えているようだったが、
「わかった。2人で行こう。」
「ごめんね。わがまま言って。」

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435 :名無し娘。:2004/06/10(木) 01:33
ミキティかっこいいよミキティ

436 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/10(木) 23:32
FOOD TEAM'S PHASE──

『さて、いよいよ急がなくちゃね。』保田は筆談で会話する。
斉藤が保田の首輪を外した後、亀井達はお互いの首輪を外して4人とも外せるようにはした。
だが完全にはずしてしまうと、カメラに写ったら即バレてしまうので、
一応首には装備しておいて、いつでも外せるようにしてあった。
そして今から4人で手分けして、みんなに首輪の効果がなくなったことを知らせて回るのである。
組み合わせは保田と亀井、斉藤と田中の2手に別れる。
保田達は、東の学校方面へ、斉藤達は西の港方面へと向かう。
「それじゃあ、みんな行くわよ。」
こうして4人は集会所を出発した。

─────────────────────────────────────────────────────

437 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
SALT TEAM'S PHASE──

待ちくたびれた松浦は座り込んでいたが、後藤と藤本が近づいてくるのを見ると、
立ち上がりお尻をパンパンとはたく。
「話長かったね。んで、たん、どこに行くの?」
「ん、ごっちんとちょっと行かなくちゃいけないところがあるんだ。」藤本の顔色は冴えない。
「え、まつーらは?」
「ごめん、一緒にいけない…。」
松浦は藤本が当然自分と行動してくれるものとばかり思っていたので、
藤本の突然の翻意に驚愕し、声が出せないでいた。
「…なんで?」10秒後、松浦は少し怒りを込めた声で理由を尋ねた。

438 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
「後藤が2人だけで行動したいって言ったからなんだ。」と隣の後藤がかわりに答えた。
「なんでまつーらはだめなの?」松浦は、そんな後藤を睨みながら尋ねる。
「ふう…」後藤は松浦からいったん目を逸らし、遠くを見つめるとまた松浦と視線を合わせる。
「まっつーのいるSALTがさ、裕ちゃんを殺したっていう話が耳に入ってきているんだよね。
 しかもその罪を梨華ちゃんに被せたっていう話も。」
「そんなのAIRが流しているデタラメに決まっているじゃない。」松浦は声を荒らげる。
「その話が本当かデタラメかっていうのは判断できないんだけど、
 要は後藤はSALTも梨華ちゃんも信用しないってこと。
 だから信用しない人と一緒に行動しない、とそういうこと。ミキティ行こう。」
「う、うん。」藤本は名残惜しそうに松浦をちらちらと振り返りながら、
後藤とともに丘方向へと歩いていく。その道は右側が角度のきつい斜面になっている。
2人はわりと右側を歩き、左に藤本、右に後藤という隊列である。

439 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
松浦は左の親指の爪を噛みながら、2人を恨めしそうに睨んでいた。
自分だけが仲間はずれにされた事、親友の藤本に後藤が余計なことを吹き込んだ事。
(後藤が余計なことを言わなければ……。あの魚女め!)
松浦は体が勝手に走り出していた。
後藤と藤本は熱心に何か話し合っているらしく、こちらには気付かないようだ。
松浦はスピードを上げる。ある程度近づいたところで2人は気付いたらしく、2人とも振り返る。
松浦は両手を前に出し勢いをつけて、振り返った後藤を斜面側に突き飛した。

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440 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、通常ならば後藤よりも松浦を優先するところであったし、
どっちを信じるかって言われれば、松浦の方を信じただろう。
実際この時も、中澤さんの件に関しても松浦は軽くしかかんでいないだろうと思ってはいた。
だが後藤の言うとおり松浦の同行を断ったのは、ひとえに「後藤の弟を殺した」という負い目からだった。
とはいえ、殺した行為自体は正当防衛だとは思っていることには変わりはない。

松浦を置いて2人で、藤本とユウキが戦ったところへと向う。右側が急斜面になっており、
自然と後藤が右側になった。
「その顔の傷…」と後藤は自分の左頬を指で一文字になぞる。「もしかして…」
藤本は黙って頷く。それで後藤も全てがわかったようで、「そう。」というと、
「ところで、その家までここからどれくらいあるの?」と話題を変えた。

441 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
その時である。後ろから誰かが砂利道を駆けて来る音がする。
2人は振り返るとそこには、怖い顔をした松浦が走ってきていた。
松浦は振り向いた後藤の胸を、ドンと斜面のほうへと突き飛ばす。
突然の事に後藤は対応しきれず、体勢を崩しながらも咄嗟に松浦の手を掴む。
後藤の後ろには一応、転落防止用らしき木の横板があったものの長年の風雨で腐っていたらしく、
倒れてきた後藤を支えられずあっけなく破れる。

後藤と松浦は2人で斜面上に投げ出される。
藤本は慌てて、道路の端へ行き斜面を見る。2人は悲鳴をあげながら斜面を転がっていく。
途中まで2人は同じ軌道で動いていたが、途中からは別々の軌道を描きながら落ちていく。
斜面の下の方は林となっており、2人は林の中へと落ちていき姿を消し、
ここからでは2人がどうなったかわからない。

藤本は地図を取り出す。この下の林に行くには、島の北東部の海岸方面からしか行けないようだ。
藤本は地図をしまうと、別荘方面へと急いだ。

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442 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:30
SALT TEAM'S PHASE──

学校にいた小川だったが、結局逃げるようにして学校から出てきてしまった。
とりあえず、行く先もなかったが、なんとなく別荘へと戻っていた。
戻る途中で、12時の放送を聞いた。10人もの死者が出てしまったこと、
特にSALTのメンバーが3人も死んでしまったことにショックを受け、ますます落ち込みながら歩いていく。

やがて別荘へと着く。石川に襲われた時に、松浦に拒絶されたことを思い出し憂鬱になる。
(一度裏切ったんだからしょうがないよね。でも残り2人だし、謝れば許してくれるかも。
 ダメだったら、その時に考えよう。)
玄関のノブを回し鍵がかかっていることを確認して、玄関のチャイムを鳴らす。

ピンポーン

しばらく待ってみたが反応がない。もう一度押してみる。

ピンポーン

443 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
やっぱり反応がない。小川は諦めてその場から離れようとしたときに、
玄関からガチャっと鍵が中から開けられる音がした。
小川は振り向くと、そこには意外な人物。里田がいた。里田は小川に呼びかける。
「入って。……とはいってもここはあなたたちの家だっけ。」

10分後、小川は別荘の1階の応接間にいた。
小川は椅子に座っており、丸テーブルを挟んで向こうには里田がいる。
尚、2階の客間用の寝室のベッドにはみうなが寝ているとの話だった。

444 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
小川と里田はお互いの情報を交換し合った。小川は前田が突然銃を乱射してきたことに驚き、
里田も石川が矢口を殺し、さらに加護と小川をおいかけてきたことに驚いているようだ。
里田はみうなの怪我が重傷なので、島の診療所に行っていろいろ取ってきたいが、
みうなをここに1人で置いておくわけにはいかず、困っていたと語る。
そこへ小川が近づいてきたので、かつて争っていたSALTのメンバーで少し迷ったが、
小川を信用し、玄関を開けたという経緯らしかった。

「じゃあ、わたしがここで待っていて、時々みうなさんの様子を見ていればいいわけですね。」
「そう。そんなに時間はかからないと思うんだけど…。」と里田は付け加えた。
その後、2人は2階へ上がり、みうなに今決まったことを話した。
「里田さん…、気をつけてください…。」
みうなの顔色は悪く、あまり大きな声が出せないようだった。
「な〜に、すぐに戻ってくるって。」と言うと里田は明るく微笑んだ。

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445 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:06
WATER TEAM'S PHASE──

10人もの死亡者、そのうち学校で待っているはずの吉澤の名前があったことで、
飯田達3人にも動揺が走った。やはり学校で何かあったと思い、足取りを速める。
ただ、1つの希望は、リストの中に辻の名前がなかったことである。
(せめてのんちゃんは無事でいてくれるといいんだけど…。)飯田は心配する。

3人はようやく丘と学校の中間地点のところまで来た。
ここは一面見晴らしのいい畑で、ところどころ道端には綺麗な花が咲いている。
飯田はふと、学校のほうから、誰かが歩いてくるのを見つけた。

その人物はWATERの上着を着ているので、始めは仲間だと思った。
だが良く見てみると着ているのは上着だけで下は全然違う衣装である。
そしてその見覚えのある顔は……。

446 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:07
「梨華ちゃん!」
友人である柴田は石川に声をかける。だが石川は反応しない。
柴田は、「どうしたの?」と言いつつ石川に近づく。
飯田は、ふと石川の雰囲気が異様なことに気付いた。
うまくはいえないが、正気の人間が持つものとは違う気がする。
飯田は言い知れない不安に駆られた。

「柴っちゃん! 近づいちゃダメ!」思わず叫ぶ。
「え?」柴田が振り向く。その柴田の頭がころっと胴体から離れ、
首から血しぶきを飛ばしながら、道沿いの畑へと落ちる。
主を無くした胴体はどさっと横へと倒れる。
胴体の向こうには、斬鉄剣を持った石川がいた。
「きゃーーーー」横のアヤカが悲鳴を上げた。

柴田あゆみ:死亡 【WATER 6人→5人】

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447 :名無し娘。:2004/06/27(日) 10:52
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

448 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/28(月) 00:27
SALT TEAM'S PHASE──

「ん、ん?」松浦は目覚めた。何か悪い夢を見ていた気がするが、全く覚えていない。
周りを見てみる。たくさん木が生い茂っている。どこかの森のようだ。
そういえば、体のあちこちが痛い。体を見てみるといろいろなところに切り傷がある。
松浦は徐々に記憶を思い出してきた。
(ごっちんと美貴ちゃんに置いてけぼりをくらってカッとなって、
 ごっちんを突き飛ばして……、ごっちんが落ちる間時にまつーらの腕を掴んで……、
 二人で転がっていって……、あ、一度木の上に私は落ちたんだっけ。
 そこから地面へと落ちた。木の枝がクッションとなって死にはしなかったってことかな?)
全身が痛いが、それでも生きているだけありがたいと思った。
(ところでごっちんは?)
松浦は立ち上がると後藤を探し始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

449 :名無し娘。:2004/06/29(火) 01:59
(●´ー`)<メロン4人あっさり死に際で全滅、ごまっとう活躍雰囲気。
       作者さんの推し・アンチがわかるべなー

450 :名無し娘。:2004/06/29(火) 10:54
>>449
そうか?
斉藤さんは死んでないし、ごまっとうも少しも繋がるそぶりが見えないんだが、
むしろ黙っててください。

451 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道沿いの草むらをかきわけて歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

452 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
(居場所がバレた?)
里田は瞬間、正宗の柄に手をかける。
だが、藤本はまた走り出し、別荘のほうへと走っていく。
里田は草むらから顔をだし、藤本の足取りを目で追う。
藤本は別荘ではなく、海岸へと下る道を降りていった。
里田はホッとすると自分も草むらから飛び出し、引き続き診療所へと歩き始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

453 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
>>451の改訂

AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道の端をゆっくりと歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

454 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
草むら歩いていたら音がしてしょうがないっちゅうねん。

455 :名無し娘。:2004/06/29(火) 23:56
>>450
ドンマイ。精一杯生きてくれ

456 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:20
WATER TEAM'S PHASE──

「みんな、みんな、死んじゃえばいいのよ。」
アヤカの悲鳴に反応し、石川は呟きながらアヤカに斬りかかる。
アヤカは反応できずにいた。飯田はナップザックを放り投げ、自分の王者のつるぎを鞘から抜くと、
アヤカの前に立ち、石川の一撃を剣でうける。

キーン

金属同士がぶつかる音が響く。石川の細身の体から放たれたものとは信じられない程一撃は強く、
飯田は少し腕がしびれた。だが、そんな感想を持つ間もなく石川は次々と斬り込んでくる。
飯田は反応するのが精一杯で反撃する暇もない。
突然、石川は足払いをかけてくる。斬鉄剣で斬ってくると思っていた飯田は反応できずに、
足をなぎ払われ尻餅を突く。上を見上げると石川が斬鉄剣を逆手に持ち飯田にむけて、
振り下ろそうとしていた。飯田は死を覚悟した。

457 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

あたりに銃声が響き、石川の手がはじかれ斬鉄剣を落とす。斬鉄剣は飯田のすぐ前の地面に刺さった。
飯田はこの隙を見逃さず、立ち上がり石川と距離を取る。
石川を見てみると石川は苦痛に顔を歪めながら、右手で自分の左手首を押さえており
手の間からは血が流れているのが見えた。飯田は、銃声の方向をへ向く。
するとそこには、飯田のデリンジャーを持って石川に狙いを定めているアヤカの姿があった。

飯田は石川に声を掛けた。
「石川、争うのはやめようよ。私たちが争っていても喜ぶのはスタッフだからさ。
 みんなで協力してここから脱出しよう。ね?」
石川はしばらく何も言わなかった。飯田が、また話し掛けようと思った瞬間に石川の口が開いた。
「…もう、どうでもいい。だれが、死のうが、だれが、殺されようが、もう、わたしには関係ないの。
 わたしは、ただ、すべてを、滅ぼすだけ。」というと右の尻のポケットに右手を入れる。

458 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

さっきと同じ銃声が響いた。今度の銃弾は石川の上腹部やや右のあたりに命中した。
石川は苦悶の表情を浮かべると、口から血を吐きながら、ゆっくりと前に倒れた。
そしてその右手にはデザートイーグルが握られていた。

飯田は下唇を強く噛んだ。

石川梨華:死亡 【AIR 2人→1人】

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459 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:23
「ども、中居ですが、ここでみなさんに連絡があります。
 この時点を持ってAIRチームの残り人数が一人となりましたので、
 これ以降、AIRチームメンバーの所属変更は認められませんので宜しくお願いします。」

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460 :名無し娘。:2004/07/05(月) 02:53
アヤカ→石川(銃殺)

みたいな感じで途中結果おねがいします

461 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:58
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は後藤と松浦の落下地点辺りへと到着していた。
さっき、道の途中でAIRのメンバーと接近し、その人物の位置も把握していたが、
相手の姿が見えないし、こちらも急いでいたので無視して先を急いだ。

途中でレーダーを確認したが、この落下地点には光点は確認することができなかった。
ただ、全体図でSALTのメンバーのうち1人が南東の方向へと移動中であることを確認していた。
もう1つの点は変わらず別荘にあるので、移動中の点が松浦であろう。

歩いていると、藤本は遠くに太い木を発見する。
現在は、近くにある木の葉などから根元のところしか見ることはできず、上の様子はわからない。
ただ、他の木と比べるとひと目で気づくのは、木の幹が真っ黒であることだ。

462 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:59
歩いていくうちに、視界を妨げる葉が減ってきて黒い木がはっきりと見えてくる。
だんだんわかってきたのだが、どうやらこの木は枯れ木のようである。
途中から斜めに折れたようであり、みるみる枯れ木の先が細くなっている。
黒くなっているのは、おそらく落雷が原因だろう。
ある程度近づいてきて、藤本は枯れ木の上の方が鋭くなっているのに気付き、
そこに何か異様なものが刺さっているのに気付く。

(!?)
どうやら人間のようだ。デニムシャツを着てジーンズを履いているその人物の顔は、
藤本のよく知る人物だった。
「ごっちん……。」
それは落下して松浦とは逆に最悪の位置に落ちた後藤真希だった。

後藤真希:死亡 【FOOD 5人→4人】

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463 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 19:00
石橋→道重(首輪爆発)
前田→新垣(手榴弾のトラップで爆死)
大谷→安倍(銃殺)
松浦→大谷(精神的に追い詰め自殺させる)
ソニン→あさみ(暗殺)
ソニン→村田(銃殺)
稲葉→中澤(銃殺)
ユウキ→紺野(刺殺)
石川→矢口(斬殺)
ソニン→ミカ(銃殺)
ユウキ→稲葉(刺殺)
高橋→吉澤(斬殺)
石川→高橋(銃殺)
ソニン→前田(暗殺)
藤本→ユウキ(刺殺)
石川→加護(出血多量)
石川→柴田(斬殺)
アヤカ→石川(銃殺)
松浦→後藤(突き落とす)

464 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:44
SALT TEAM'S PHASE──

時は少し遡る。
松浦が後藤の遺体を発見したとき、松浦の頭の中で何かが崩れる音がして、
その場から逃げるように走り去った。だが、松浦の頭の中で、後藤の串刺しにされた体、
無念そうな顔、口から漏れた血、全てが松浦の意志とは反対に頭に焼き付けられてしまった。
そしてそれらは、消そうと思っても消せない。
「私は悪くない私は悪くない私は悪くない、あんなところに落ちた後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を無視した後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を道連れにした後藤が悪い。
 私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない
 後藤が勝手に死んだんだ……。」
その時、何かの段差につまづいてしまうが、そんなことには構っていられずにまた走り出す。

465 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:45
やがてまた夢中で走ると目の前に1人の人物が現われた。
──な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!
その人物とは大谷だった。
「あなたは後藤さんを殺したひとごろし。」
大谷は呟くように言う。だが、松浦の耳にははっきりと聞こえた。
──違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!
「あなたが突き飛ばさなければ後藤さんは死ぬことはなかった。」
大谷は両手を広げ、ゆっくりと松浦に近づいてくる。
松浦はナップザックからデザートイーグルを取り出すと震える手で大谷に銃口を向ける。
──そ、それは、後藤がまつーらを無視するから。
「その原因はあなた自身にあるってこと、自分が一番良く知っているはず。」
大谷はますます近づいてくる。
──うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ! 
松浦は目をつぶりデザートイーグルのトリガーを弾いた。何かがドサッと倒れる音がする。
松浦は目を開ける。
「う、嘘…。」
倒れていたのは、大谷ではなく斉藤瞳だった。

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466 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:24
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤と田中は、集会所を出ると港へと向っていた。
だが途中まで来たところで、道路わきの草むらがガサゴソと音を立てたかと思うと、
松浦が姿をあらわした。斉藤たちの進行上の道だったので、向こうはこっちにはまだ気付いていないようだ。
斉藤は「あたしがいってくる。田中ちゃんは待っていて。」というと自分のナップザックを持ち、
松浦に近づいていく。

斉藤はまず「松浦さん」と声をかけた。松浦は斉藤の出現に大変驚き、
「な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!」と叫んだ。
(死んだはず? どういうこと?)と思ったが、「松浦さん、大丈夫?」と心配する。
すると松浦は何かに怯えながら、「違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!」と叫んだ。
(混乱しているのかしら? とりあえず敵意がないことを示さなくちゃ。)
斉藤は「大丈夫、私は敵じゃないの。」と言いつつ、松浦に近づくが、
そのうち松浦は震えながら銃のようなものを出しそれを斉藤に向けた。
斉藤はナップザックをその場に置き、両手を広げて敵意のないことを示すと、
「ほら、武器なんて何も持っていないから。」と松浦に話しかける。

467 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
松浦は何かもごもごと呟いていたようだが、
「うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ!」とまた叫ぶと突然発砲した。
弾は斉藤の左胸に命中し、よろけて仰向けに倒れた。
痛みも感じたが、撃たれた理由がわからず現実感がなかった。
誰かが駆け足で近づいている音がする。おそらく田中だろう。
松浦は「う、嘘、いやぁーーーーー!!」と叫ぶと足音とともにまたどこかへ行ったようだ。

田中が声をかけてきた。
「斉藤さん、斉藤さん!!」
斉藤は薄目をあける。狭い視界に田中が映る。口も薄く開き呟く。田中は口元に耳を近づける。
「ごめんね。あたししくじっちゃった。」
「あれは仕方なかと。」かすかに田中の声が聞こえる。
「あのね、もし、柴田あゆみに会うことがあったら、あなただけは生きて帰ってって伝えて。」
と呟くと斉藤はゆっくりと目をつぶった。

468 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
ハロープロジェクトのユニットは、モーニング娘。に代表されるように、
加入・卒業を繰り返し歴史を積み重ねていくものであると言っても過言ではないだろう。
そんな中、結成して以来。加入も卒業もないという珍しいユニットがメロン記念日である。

「第2回モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」に1999年8月に合格した4人は、
そのまま、「メロン記念日」という名前を貰い、デビューすることになる。
2000年2月にデビューし、4人は苦しいことも嬉しかった時もいつも一緒だった。
よって、4人は団結力もハロプロメンバー随一であった。
だからこそ、斉藤は柴田にメロンのメンバーとして生き残ることを託したのだが、
実はその時、柴田は石川に斬られたあとだったのだ。
しかし、斉藤がそのことを知らず、実はメロン最後の生き残りが斉藤だったということを、
斉藤が知らないままで死んでいったことは、彼女にとってよかったのかもしれない。

斉藤瞳:死亡 【WATER 5人→4人】

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469 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:25
UTABAN'S PHASE──

うたばんの現地スタッフは、プロデューサーでありこのプログラムの最高責任者である清水と、
ディレクターであり、いろいろな手配を担当している石村、
首輪システムを管轄しているADの石田佳子、船舶関係の担当でありADの鈴木、
機材担当で、カメラアレンジャーも任されている熊井AD、
カメラマンの須藤に、アルバイトの菅谷の7名である。

ゲーム当初はもっと人数がいたのだが、本社のほうが忙しく現在はこの人数である。
ちなみに、ゲーム最初に登場した外人部隊は傭兵であり、昨日限定で雇ったため、彼らも今はいない。

今は、清水が石村をモニター室に連れてきたところである。
現在画面では、田中がナップザックからローラーブレードを取り出して足に装備し、
どこかへと走り去る様子が写っていた。

470 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
「清水さん、見て欲しいものってなんですか。」石村は聞く。
「おい、熊井、ちょっと南東・Gカメラの映像をちょっと巻き戻して見せてくれ。」
「わかりました。」
画面には、斉藤が松浦に撃たれた場面がうつっている。やがて、斉藤が倒れると、
「ここでストップ」といって清水は一時停止させた。
「これを見てくれ……。」
石村は覗き込む。「首輪が外れている!?」
「そうだ。今は田中が慌てて装着させていたので現在の斉藤には装着してはいるが。
 あれは普通は倒れた衝撃ぐらいじゃ外れることはない。
 …もともと外れるようになっていたというのが正しい見解かもしれない。」
「でも、あれは無理矢理外そうとすれば壊れるはず。」
「そうだ。だとするとだな、考えられるのは1つ。」と言って清水は自分の顎鬚を触りつつ、
PCから首輪管理システムを立ち上げる。

471 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
「死にかけているから、こいつでいいか。熊井、別荘Dカメラを表示してくれ。」
と言いつつ、FOODチームからみうなを選択する。
画面には、ベッドで寝ているみうなとそれを心配そうに見ている小川がうつった。
みうなのデータが画面に表示される。
その右下の「首輪爆破」の項目をクリックし、確認してくるので「実行」の項目をクリックする。
ところが画面のみうなの様子に変化はない。
「やっぱりそうか…」その言葉を受けて、石村は聞く。「どういうことですか?」清水は説明する。
「どうやら、首輪の爆破装置が全部不発になってしまったようだ。
 全部まとめてだから、おそらくはシステム上の問題だろう。おい、石村、行くぞ。」
と言って清水はどこかへ移動しようとする。
「どこへ行くんですか?」石村は尋ねる。
「石田んとこだよ。システムのことはあいつに聞かなくちゃわからん。」

472 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:27
2人が石田のところへいくと、石田も首輪の不発については知らなかったらしく驚いていた。
そして石田がいろいろと調べた結果、どうやらウイルスのようなものがばら撒かれて、
爆破の発動システムがダウンしたらしいのこと。離島でバックアップはとっていないので、
復旧は難しいと石田が説明した。

爆破ができないとなると、強制的に戦わせることができなくなってしまう。
清水は焦る。一度は東京に連絡しようとしたが、石村の
「ここで失敗しましたなんて報告したら、俺たちの首が飛ぶだけじゃすまされないでしょうね。」
の言葉に思いとどまる。かくなる上は……。
「あいつらを脱出させるわけにはいかない……。幸いまだ首輪が爆発しないことを知っているのは一部のようだ。
 だったら、結束する前に全員殺してしまえばいい。東京には『最後の1人が残ったんですが、
 最後に自殺しました。』とでも言っておけばいい。あとはカメラも故障したことにしとく必要があるな。
 よし、石村。武器の用意だ。石橋達にも協力してもらうように要請しろ。
 特に石橋は自分の手で1人殺しているはずだからな。協力を拒むわけがない。フフフフ。」

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473 :名無し娘。:2004/07/19(月) 14:23
新展開かな。ガンガッテ。

474 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:11
FOOD TEAM'S PHASE──

保田と亀井の目の前には学校があった。平常時であれば平日なら子供達がたくさんいていいはずの学校だが、
今は何の気配もしなかった。亀井は保田に話しかける。
「誰かいますかね?」
「人の気配がないね…。とりあえず入ってみよう。」と言って保田は歩いていく。
亀井も続いて歩いていくが、うっかり自分の右足で左の靴紐を踏んでしまい、靴紐がほどけてしまう。
亀井はしゃがみこみ紐を結びなおす。結びなおしたらすぐに走って合流するつもりだったので、
保田にはとくに何も言わなかった。保田を見るともうすぐ校門である。
亀井は靴紐を結ぶのに1回目は失敗してしまった。右の丸くなっている部分が左に比べて大きくなってしまったからだ。

475 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:12
もう1度結びなおす。今度こそうまくいったと思った瞬間、前から「保田さん」という声がしたと思ったら、
続いてぱらららという音がした。亀井は前を向く。校門から少し入ったところで、保田が崩れ落ちるところだった。
次に校門の影からイングラムを持ったソニンが姿を表した。
ソニンは動けないでいる亀井にむかってイングラムを構える。

と、うつ伏せに倒れていた保田が手を伸ばしソニンの右足をつかみ、おもいっきり引っ張ながら叫ぶ。
「亀井! 逃げろーーー!!」
ソニンはバランスを崩し倒れる。亀井は保田の声に我を取り戻すと、今きた道をダッシュで戻る。
懸命に走っている亀井の後方から、またぱらららとイングラムの銃声が響いてきた。

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476 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:18
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは放送でユウキが死んだことを知った時、特に何の感情もわかなかった。
もともとユウキは単独行動を取っていたし、近くにいても正直邪魔だったからだ。
ただ、戦力的にダウンしたことはいなめないので、
自分からは仕掛けずに、どこかで待ち伏せをすることにした。
場所はまだ生存者が多いWATERの本部の学校である。

ソニンは学校へ向かう途中、WATERのメンバーである青い点が単独行動をしているのを見つける。
だが、ソニンはそれには目もくれずに学校へと向った。
理由は、1人で行動している人物というのは警戒しており、そんな人物を襲って、
こちらも無事でいられるとは考えにくく、下手をすると逆にこちらが倒されてしまうからだ。

477 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:27
無人の学校につくと、誰かを待ち受ける。しばらくすると南からFOODのメンバーが2人近づいてきた。
ソニンは前田のものだったイングラムを取り出すと、2人を待った。
近づいたところで1人だけが分離して学校へ近づいてくる。様子見だろうか。
1人が校門から中へ入ったところで、その人物に向けてソニンはイングラムのトリガーを引いた。

保田はイングラムの弾をまともにうけ、崩れ落ちる。ソニンは門からでると、外にいる亀井に向かって、
イングラムを構える。だが、その時保田に右足を引っ張られ倒れてしまう。
「亀井! 逃げろーーー!!」
保田の叫び声が響いた。ソニンは横向きになると足をつかんでいる保田にむけてイングラムを撃つ。
同時に右足を激しく振って手を振り払う。
やがて、束縛されていた右足が自由になる。ソニンは足で立ち上がると、ぴくりともしない保田に近づくと、
とどめをさすように心臓をめがけてイングラムを放った。
保田の体に大量の銃弾が埋め込まれ、体は跳ねあがった。
そのうちイングラムの銃弾が切れる。前田は予備のマガジンを持っていなかったので、
銃弾はもうない。ソニンはイングラムを投げ捨てる。
そして、ソニンは保田の目を見て、保田の死を確認すると、レーダーを頼りに亀井をおいかけはじめた。

保田圭:死亡 【FOOD 4人→3人】

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478 :名無し娘。:2004/07/30(金) 01:56
お決まり通り一人も殺さずに逝ったか。・゚・(ノД`)・゚・。

479 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
UTABAN'S PHASE──

ゲームの行われている島の突入しようと準備をすすめている清水Pに、船舶を担当している鈴木が話しかける。
鈴木も石田と同じく、途中で入社した人物である。
「プロデューサー、お話が。」
「忙しいから手短に言え。」清水Pは武器を確認しながら答える。
「木梨さんと香取さんが、東京に帰りたいから船を出してくれっていうんです。」
「なんだと? 説得したのか?」
「説得したんですが…、自分達がわざわざ殺しに行く理由なんてないっていうんです。」
「そうか……、よし、俺が言ってみるか。」

清水Pは鈴木とともに木梨と香取と説得しにいったが、2人は自分の意志を崩すことはなかった。
清水Pは妥協案として、帰京するが番組側に人数に余裕がないので、船は出すから自分達で帰ってくれと、
提案した。木梨が船舶免許を持っていることを把握した上でのことである。
これで2人とも納得した。清水は鈴木にEE JUMPを連れてきたクルーザーの説明を2人にするよう命じる。

480 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
20分後、木梨と香取はクルーザーで港を離れた。清水Pは鈴木とともにクルーザーを見送る。
クルーザーが目視でタバコの箱ぐらいの大きさになる頃、清水は腕時計を見て、
「30秒前…、20秒前…」とカウントをはじめた。横の鈴木は不思議そうに清水Pの方を見る。
「10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1…」
と0になると同時に海のほうから爆発音とともに赤いものが見えた。海のほうを見るとクルーザーが赤い炎を上げて炎上している。
ただ、爆発音はそれほど大きくはなく、内陸で準備をしているスタッフには聞えないだろう。

「いやあ、鈴木君、海難事故っていうのは怖いねえ。」清水Pはニヤニヤしながら話し掛ける。
「でもまあ、東京で余計なことをベラベラ喋られると思えば、結果OKってところかな。」
鈴木はそれに対して何の反応も返すことができなかった。清水Pはそんな鈴木に構わず続ける。
「さて、準備の続きだ。もうすぐあっちの島へと出発できそうだ。」
と言うと清水Pは島の内部へと戻っていった。

木梨憲武・香取慎吾 死亡

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481 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は松浦の行方も気になっていたのだが、それよりも自分にわりと近い1人でいるWATERのメンバーが気になり、
レーダーを元にその人物へと近づいていく。場所は学校と別荘の間、やや別荘よりのところ。
藤本はその人物が見える場所まで近づいた。その人物は道沿いの木陰で座っていた。
ただし、その場所にいたのはそのWATERのメンバー一人だけではなかった。
もう1人、SALTの衣装をつけた少女が横に寝かされていた。

482 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
(あれ? 2人?)
藤本はもう一度手元のレーダーを確認するがそこにはやはり青い点が1つしかない。
近づくうちにSALTの衣装をつけた少女はさっきの放送で名前を呼ばれた少女だとわかった。
藤本は少女の近くに着くと、木陰で下を向いている少女の目の前にしゃがむ。
「のんちゃん?」藤本は目の前の少女をあだ名で呼ぶ。
辻は目線を上げて藤本の方を見る。その目は泣いていたのか充血している。
その目にまた涙があふれ、目尻から一筋こぼれ落ちた。
「うあああーーーーー!」
辻は藤本にしがみついて泣き叫ぶ。藤本は辻を抱きしめ、優しく彼女の後頭部を撫でる。
やがて、辻が落ち着く頃、藤本は辻に話し掛ける。
「みんなのところへ行こう。」

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483 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:09
FOOD TEAM'S PHASE──

島の北西部は海岸となっていて夏には泳ぐ人もいたりするが、南東部は海との境目が切り立った崖であり、
ここから飛び降りようとする人は自殺願望がある人ということになるだろう。
TVの2時間ドラマの犯人を指摘するシーンの撮影がされたという噂もある。

その崖の近くに粗末な小屋がある。以前は誰かが住んでいたのかもしれないが今は廃棄されたようで、
生活感がなく荒れ放題になっている。壁もあちこちで破れ外が見える。

亀井は保田の犠牲でなんとか逃げ切った後、この小屋に息を潜めて隠れていた。
現在はボロボロのテーブルの下にいる。

484 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:10
と、小屋の扉がぎぎぎと音を立てながら開いた。ギシギシと古い床板を踏む音が近づく。
(誰?)
亀井のいるところからでは顔は見えない。足元を見る。スニーカーにGパンだった。
これだけでは誰だかわからない。その人物はテーブルの方に近づいてくる。

亀井は自分の武器の飛燕(一対の剣)を両手に持って警戒する。
侵入者は亀井の隠れているテーブルの前に立つと、しゃがみ込みでその姿を亀井に晒した。
「アンニョンハセヨ」
その人物は成膳任ことソニンだった。右手にはブルーノを持っている。
突然話しかけてくるとは思ってなかった亀井は口をあんぐりあけたまま、
あとづさろうとするが後ろは壁であり背中をぶつけてしまう。
「ねえ、あなたに聞きたい……」

485 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:11
ソニンの言葉の途中で、またもや小屋の扉が開いた。今度もスニーカーにGパンだったが、
そのスニーカーには見覚えがあった。
「何しっとっと?」
新たに入ってきた人物の声が聞こえてきた。
「れいな!」
亀井は思わず叫ぶ。
「え? 絵里? どこにおると?」また田中の声が聞こえてくる。
「ちっ」とソニンは舌打ちすると、扉の方へと向かい、パンパンと2発発砲した。
どさっと人が倒れる音がした。亀井からは前へと倒れたれいなの頭が見えた。
「れ、れいなっ」亀井は小声で倒れた人物の名前を呼んだ。
「さて、邪魔者が入ったが…。」ソニンは再び亀井に銃を向けるが、
トリガーには指をかけずに亀井にさっきの質問を続ける。
「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
 こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」

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486 :名無し娘。 :2004/08/05(木) 13:40
もう1年経ったんですね。
ゼロさんガンバ!!

487 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/05(木) 23:42
昨日で1年か。早いもんだ。

488 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンはレーダーを持っていたので亀井を追いかけるのは他愛もないことだった。
また、ソニンは亀井を見たときから、亀井に聞きたいことがあった。
それはこんな目にあっても憧れのモーニング娘。に入ってよかったと思っているかということである。

ソニンもかつてはユウキとEE JUMPというユニットを組み、TVに出たり曲を出したりしていた。
だが、ユウキは最終的に、未成年なのにキャバクラにお酒を飲んでいたことが原因で芸能界を去ることになった。
それから、ソニンはソロとなっていろいろ苦労もした。だが、それでもEE JUMP時代の思い出などもあり、
芸能界に入って良かったと思っている。

だが、亀井たちはモーニング娘。として5月にデビューはしたものの、新曲発売前にこんなことに巻き込まれて、
命の危険に晒されていることをどう思っているかふと聞きたくなったのだ。
途中田中が乱入してきたが、さすがに2対1で抵抗されると厄介なので、田中には死んでもらった。
そうしてから亀井に質問をしてみた。

489 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
 こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」

仲間を殺されて亀井は答えてくれないかもとはじめは思ったのだが、
目の前の亀井は、「え? え? いや、みんなに会えたし後悔はしてません。」と
普通に答えた。

動揺した様子もなく真っ直ぐに答えた亀井に対し、ソニンは逆にびっくりして、
(後悔していないのか……。)
と亀井の言葉を頭の中で反芻していた。
その時、ソニンは気配を感じて咄嗟に亀井に向けていたブルーノを右へ向ける。
とそこには、銃殺したはずの田中が倚天の剣を振りかざすところだった。

「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
田中にむけたブルーノが右手ごと、ごとりと地面に落ちた。

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490 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:12
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井は、田中が放浪中に宝箱から、PCと防弾チョッキを見つけたことは知っていた。
だから田中が倒れた時は驚いて声をあげたが、ソニンに質問された時は、
横目で田中がゆっくりと起き上がるのを確認しつつ、普通に自分の正直な気持ちを答えることが出来た。
亀井の答えにソニンは驚いていたようだが、田中に気がつくとブルーノを田中に向ける。
だが、田中の方が先に倚天の剣を振りかざしており、ソニンの右手を切り落とす。

ソニンは「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
と言うとニヤリと笑い、残っている左手でオリハルコンを取り出すと田中に斬りかかる。
銃だけを弾き飛ばすつもりで、反応されて手元が狂い右手ごと切り落としてしまった田中は唖然としていたが、
ソニンが斬りかかっているのを見ると倚天の剣で受ける。
だが、体格に劣る田中は受けたもののバランスを少し崩す。
同じく唖然としていた亀井も我を取り戻し、飛燕を両手にそれぞれ持つと、
田中に加勢するために、ソニンへと斬りかかる。

491 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:14
こうして始まった田中・亀井VS右手のないソニンの戦いだが、
ソニンがオリハルコンだけではなく、蹴りも駆使して戦ったため、
最初はソニンが押し気味に戦いを進めていく。
田中は左の二の腕を切りつけられ、亀井は腹部に思いっきり蹴りを入れられた。
だが、右手損失による出血が徐々にソニンの体力を奪い、みるみる動きが鈍くなっていく。

逆に田中と亀井の攻撃が当たるようになり、ソニンの体のあちこちから傷が刻まれ血が流れ始める。
体力的にも限界なのか、肩で息をしている。
「もう、こんなことやめましょう。」亀井が声をかける。
「はぁ…、はぁ…、随分、優しい、のね…。」ソニンは笑顔を浮かべると、オリハルコンを亀井に投げてきた。
オリハルコンは、よけた亀井の顔の左横を通ると髪の毛を数本切り取り、後ろの壁にささった。
ソニンは投げると同時にしゃがみこみ、ブルーノを握っている自分の右手を拾うと、
それを近くの窓を投げ込む。窓のガラスは派手な音を立てて割れた。
ソニンは続けて窓から飛び出し外に出る。

亀井はまたも唖然としていたが、田中がソニンの後を追うために家の玄関から外に出たことに気付き、
慌てて後を追っていった。

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492 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
WATER TEAM'S PHASE──

飯田とアヤカは柴田と石川の死体をとりあえず埋葬しようと地面を掘れるものを探していたが、
学校のほうから銃声が聞こえると埋葬を諦め、急いで学校に戻る。

学校に戻った2人が校門のところで見つけたのは保田の死体であった。
どうやら、保田は体中に銃弾を浴びたようだ。
「圭ちゃん…。」
飯田は開いていた保田の目を閉じる。

「アヤカさん、とりあえず圭ちゃんを中に運びましょう。」
「わかりました。」というと、飯田は保田の上半身、アヤカは保田の下半身を持ち、
校舎の中に運び込む。運ぶ途中で飯田はあることに気がついた。

493 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
飯田達が保田を運びながら学校に入ると、中は校門よりさらに酷い状況になっていた。
「あれは…、高橋とよっすぃー?」
高橋と吉澤が重なり合うようにして倒れている。
そちらも気になったのだが、とりあえず保田の死体を教室に運び込み、
村田の死体の横に寝かせる。ふと、飯田は保田の首輪に手をかけると、
それをゆっくりと回していく。切れ目をみつけ、それを広げ、首から首輪を外す。

「え、それって…」隣のアヤカがびっくりして尋ねる。
それに対して飯田は、「うん」と頷いた。

─────────────────────────────────────────────────────

494 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:01
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井と田中は、ソニンが崖の上からじっと海を見ているのをみつけた。
上空にはカモメらしき鳥がとんでおり、しきりに鳴いている。
ソニンは、手には武器をもっておらず、リックサックも持っていなかったが、
亀井と田中は油断せずに近づいていく。
ソニンはそんな2人の様子に構うことなく、じっと海を見つづけていた。

「綺麗な海ね。」

ソニンは、突然話し始めた。

「は、はい。」

亀井は取りあえず答える。

495 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
「この海を見ていると、この島での出来事を忘れそうになるよ。」

というとソニンはまたしばらく無言になった。亀井はなんと答えたらいいのかわからずに黙っていた。
田中も喋らないところを見ると同じ考えなのだろう。

「あなたたちはきっと生きて東京に戻ることになると思う。
 でも、本当の敵はおそらくうたばんのスタッフではないね。
 あなたたちにとっては、東京に戻ってからが本当の戦いかもしれない。」

あいかわらずソニンは海を見ながらそう言う。
(本当の戦いは東京に帰ってから?)
亀井は意味が全くわからずに頭の中でソニンの言った言葉を心の中で繰り返していた。

496 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
突然ソニンはこちらを振り返る。
田中は突然のことで驚いたのか、倚天の剣を慌てて取り出す。
亀井も身構えるが、ソニンはそんな2人を見てにっこりと微笑むと
「アンニョンヒ カセヨ」と2人にはっきり聞こえる声で言うと、
そのまま後ろ向きにゆっくりと倒れこみ海へと落ちていった。

亀井と田中は急いで崖に近づき、海を見下ろす。
ちょうどソニンが海面に落ちるところでドッパーンと大きな音を立て、水しぶきがあがったところだった。
そこから大きな波紋が外側に向かって広がっていく。
その波紋がやがて小さくなり、やがて消えても、亀井も田中も黙ったまま水面をずっと見ていた。

ソニン:死亡 【EE JUMP 1人→0人】

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497 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:44
SALT TEAM'S PHASE──

診療所に道具を取りにいった里田は、約束どおりに30分ぐらいで道具を持って戻ってきた。
そしてみうなの手当てを始める。小川はそんな里田の様子を見守っていた。

ピンポーン

チャイムが鳴った。一瞬ドキリとした小川だったが、
「あ、小川が出ます。」と言って階段を下っていく。
(誰だろう? 松浦さんかな? だったら普通に入ってくるか…。)
玄関に着き、ドアスコープから外の様子を伺う。

498 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:45
ピンポーン

2回めのチャイムが鳴った。小川がドアスコープを覗くと、
ドアの前には辻と誰かを背負った藤本がいた。小川は少し迷ったが、鍵を外し、扉をあける。

「やっぱりまこっちゃんか。」
小川が扉を開けてすぐ、藤本が小川の顔を見てそういった。
「え? やっぱりって?」と小川は藤本の発言の意味がわからなかった。

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499 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
WATER TEAM'S PHASE──

保田の首輪が簡単に取り外せたこと、首輪に作為的な傷があちこちにみられたことから、
飯田とアヤカはそれを保田が自ら外したものと考え、
そこから「理由はわからないが、首輪が爆破することはない」という結論に達した。

とはいうものの、機械に弱い飯田とアヤカでは、
それをどのようにして証明したらいいかは考え付かなかった。

その時外から「誰かいますか〜?」という声が聞こえてきた。
その聞きなれた声に反応し、飯田は昇降口へと急ぐ。

「あ、飯田さん!」

昇降口から外に出ると、そこには亀井と田中が立っていた。

                  *            *

500 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
2人を校内に招きいれ、お互いの無事を喜び合った後、飯田は早速首輪のことについて2人に尋ねた。
2人は、最初顔を見合わせていて、田中が「ま、いっか。どうせバレることだし。」と言ったのをきっかけに、
保田がPCで首輪の爆破装置を起動させなくしたことを伝えた。
と同時に、本来は爆破装置を起動させなくしたことをうたばん側に知られなかったが、
斉藤が撃たれた時に首輪が外れてしまったため、
もしかしたらうたばん側はもう知っているかもしれないと付け加えた。

「じゃあ、今この事実を知っているのは、メンバーだと私たちだけってわけね。」
飯田は2人を見て言った。
「そうです。斉藤さんも保田さんも死んでしまったので…。」
(どちらにしてもうたばん側も爆破装置が起動しないことは把握するはず。となると……。)
その時、飯田の視界に、田中が以前もってきた安倍が使った拡声器が入った。

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