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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

290 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:38
AIR TEAM'S PHASE──

ミカと高橋は石川の後を追っていた。といっても砂浜を歩くとついていっていることが石川にバレるため、
幾分、内陸よりの防風林のあたりを歩く。途中まで歩いたところで、つんつんと高橋に背中をつつかれる。
「ん?」「誰かが近づいてきます。」と高橋が指差した方には、1人の少年がいた。
その少年は、敵意がないことを示すかのように両手をあげてスタスタと歩いてくる。

(あれは…、ユウキ? なんでこんなところに。)ミカは不思議に思った。
「あ〜、良かったやっと人に会えた。」ユウキはホッとした顔をしている。
「あれ、ユウキさん、何でこんなところに?」横の高橋がミカと同じ疑問を持っていたようだ。
それからユウキは自分の境遇を話し始める。「うたばんのやつら許せないっすよね〜。」
ユウキが2人に話したことは実は、さっきユウキが紺野に話したのと同じような内容なのだが、
ミカと高橋はそれを知る由もない。

291 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:39
ユウキと同年代の高橋の反応は、「この人もあっし達と同じなんだ。」という、さっきの紺野と同じであった。
ところがミカは気付いていた。ほんのわずかだが、それは簡単には取れはしない、血の匂いを。
匂いは目の前の少年から感じられた。
(何かにぶつけて傷を負ったという可能性もあるけど、警戒するに越したことはないか。)
そこでミカは尋ねた。
「それで、どうしたいの?」(一緒に行きたいなんて言い出したら厄介ね。)
「そうですね…。いえ、そんなに難しいことではないですよ。」
ユウキはズボンの後ろからワルサーを取り出し、ミカへ向けて銃口を向けようとした。「黙って死んで…」

ミカはユウキに銃口を向けられて、いや向けられる前からユウキに向ってダッシュで移動し、
ユウキが銃口を向けた時は、ユウキの右手に強烈なパンチを見舞っていた。
思わずユウキは地面にワルサーを落としてしまう。ワルサーは2人から2mぐらいの位置に転がった。
同時にワルサーを取ろうとする2人。ワルサーを手に取るタイミングは同じで2人はもつれ、転がりながら
ワルサーを奪い合う。

「アイ!! 早く行って!! 石川サンのところに!! 早く!!」
もつれながらミカが唖然としている高橋に叫ぶ。
「え、でも…。」高橋は決断がつかない。
「いいから早く!! ワタシも後で必ず向うから。」ミカが更に声を張り上げる。
「わ、わかりました。必ず来てくださいね!!」
高橋はダッシュでその場を走り去り、SALTの本部である別荘へ向った。

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292 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:51
EE JUMP TEAM'S PHASE──

人は「やってはいけない」と言われるとそれをしたくなるものである。
特にハイティーンの年代はそれが顕著で、だから喫煙や飲酒をしたり、学校の校則を守らなかったりする。
『ここで人を殺しても、罪には問われならないぜ。』
という石橋の説明の時の、社会的に何の効力も無い言葉は、ユウキの理性を打ち崩した。

「くくくく、クククク。」
紺野の命を絶ったユウキは、罪の意識どころか、
殺人という究極のタブーを破ったという精神的な高揚を感じていた。
「何だ、人なんて簡単に死ぬんじゃないか。」
人の命を奪うことに関して悦びすら感じていた。
「こんな楽しいことを、あいつ(ソニン)はやっていたのか。ずるい女だよなあ。あははは。」
そんなことさえ思った程だ。

293 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:52
紺野を殺害した民家を出ると灯台へ歩きながら、ユウキは手元のレーダーのスイッチを入れた。
「次は、誰にしようかな?」
まずは目に付いたのが1人でいる緑の点(石川)。だが、この点はユウキから離れて北に向っており、
1つの青い点に近づきつつある。ユウキが自分の近くにいそうな人を探す。
近くに1人だけの人物はいないようだ。
(まあ、1人速攻で殺せば2人相手も大丈夫かな。)
とそこに、さっきのAIRの1人を追いかけるようにAIRの2人がユウキのいるところへ近づいてきた。
ユウキはレーダーを頼りに、その2人に気付かれないが、誰だかわかるところまで近づいた。
それはテンガロンハットをかぶった人と、水着みたいな衣装を着ている人であった。
そして2人とも衣装は青と白であった。ユウキは参加者一覧をめくる。

(あれは…、ミカと高橋愛か…。外人は腕っ節が強そうだが、
 高橋は足は速そうだけど力は弱そうだし根性もなさそうだな。
 あの外人さえ殺せば、高橋は余裕だな。ま、逃げられる恐れはあるだろうけどな。
 さっきの紺野と同じ手で行こう。さすがに血で汚れているこの剣を持って行くとヤバげなので置いていくか。
 ワルサーと紺野が持っていた鉄の爪さえあれば、とりあえずは何とかなるか。)
ユウキはエクスカリバーを草むらに隠すと、ほっとした顔を作り2人に近づいていった。

                   *            *

294 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/26(木) 15:23
油断したミカを撃ち、その後高橋も殺すはずだった。だが、いち早く反応されたミカに阻止され、
しかも高橋に逃げられてしまった。
砂浜にでも入り込んだのか、2人で転がるうちに服の中に砂が入り始め不快感をもよおす。
だが、そんなことを気にする暇はなかった。ワルサーをミカに奪われるかもしれない。
ユウキがワルサーに気を取られているうちに、ミカがユウキをマウントポジションに取った。
ユウキはワルサー右手で掴んでいたが、その右手もミカに押さえられて持つことが出来ない。
ミカは空いている右手でユウキの顔面を強打する。ユウキも左手でガードしようとするが、
相手は女性とはいえ、欧米人とのハーフであり、力はユウキ以上である。
ミカはガードの上から遠慮なく強打してくる。そのうち左手のガードも外され、顔に何発も拳を食らった。
そのうち、激痛と共に鼻の穴から生暖かい血が出てくるのがわかる。
「やめろよ。わるかったよ。俺がわるかったよ。」ユウキは思わずわめく。

とその時銃声がターンターンと数発、あたりに響き、ユウキの顔面への強打が止む。
鼻から下を血だらけになったユウキがミカの方を見ると、
ミカは自分の左肩を押さえていて、指の間から血が滲み出してきた。
その苦痛に歪んだ顔はユウキではなく2人の左のほうを向いている。
ユウキはミカの視線を追う。…そこにはうつ伏せに寝転がり、ブルーノを構えたソニンの姿があった。

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295 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/02(火) 02:01
EE JUMP TEAM'S PHASE──

仮眠をとっていたソニンは、ふと目覚めるとユウキがいなくなっていることに気づく。
トイレにでも行っているのだろうと思い、しばらく待ってみたが一向に戻ってくる様子はない。
ソニンは、武器庫になっている灯台の階段の途中にある物置へ行くと、もう1つのレーダーを手に取る。
(学校を襲撃したときは、破損するといけないので置いていった。)

スイッチを入れ、ユウキを探すとわりと近くでAIRの2人(ミカと高橋)に近づきつつあるところだった。
(何やってるんだ? ナンパ? そんなわけないか…。)
ソニンは双眼鏡を物置から取り出し、自分の武器を確認すると階段を下りて行く。
そして灯台から出て、レーダーを頼りにユウキ達のいる方向に近づいていく。
途中で、レーダーからAIRの1人(高橋)が北方向へ向けて速いスピードで離れていったことがわかった。

海岸の岩場の影に隠れ顔を出し、残る2人の様子を見る。
すると、ちょうどユウキとミカがもつれながら砂浜へと転がってくるところだった。
(これだけもつれていると、ミカだけを狙うのは無理か。)
ソニンがそう思っていると、やがてミカがマウントポジションを取り、ユウキを素手で殴り始める。
ソニンはミカにわからないようにゆっくり近づき、伏せてブルーノを構える。
これは、自分が下から撃つ事によって、ミカの下にいるユウキに当たらないようにするためである。
ソニンは、おもむろにトリガーを引いた、1発・2発・3発と発砲したところでミカが顔をしかめ、左肩を押さえた。
どうやら、3発のうちどれかがミカの左肩に命中したようだ。そしてミカが苦悶の表情を浮かべたままこちらを見た。

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296 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

ミカ・タレサ・トッド──父親がオーストラリア人のハーフの少女がココナッツ娘。のメンバーとして、
ハロプロに入ったのは、99年の夏のことだった。しばらくココナッツ娘。として地味に活動していたミカだったが、
2001年の初め、ミカにとって転機が訪れる。ミニモニ。加入である。

矢口をリーダーとし、加護と辻とミカで構成されたミニモニ。の中でミカは明らかに「異質」な存在だった。
人間は「異質」なものに対し、反発する性質がある。当初はミカにとっては、かなりの「向かい風」だった。
「刺身のツマ」のように邪魔扱いされたり、はじめっから無かったことにされたり、
時にはネット上でバッシングも受けたりしていた。

だが同時に人間は「慣れる」生き物である。そのうちミカのいるミニモニ。が当たり前になった。
(これはミニモニ。がTVに出ても決してでしゃばらないなどの、ミカの周りの空気を読める性格によるところも
 あったのだが。)
現在は、ミニモニ。のリーダーとして活躍している。

297 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
もし、ミカがユウキをマウントポジションに取ったときに、腰の脇差で一気に彼の命を奪っていれば、
ソニンは間に合わなかっただろう。だが、ミカはユウキの命を望んだわけではなく、
ただ武装解除し、戦いの意志を奪い、無力化して、自分は高橋の後を追いかけるのが目的だった。
(ミカのシグ/ザウェルの入ったザップザックは2人で転がっている途中でどこかへ行ってしまった。)

ミカが自分の左腕を撃たれ、撃った相手がソニンだと分かったとき、
ソニンも仲間だったというユウキの話を思い出した。ミカは咄嗟に左手で脇差を抜き、刀をユウキの首に添える。
(ホントはこんなことしたくはないが…。)
もちろん本当にユウキを殺すつもりはなく、自分の逃走するための人質であった。
だが、ソニンはなんら動じることはなく、続けてミカに向けて発砲してきた。

298 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:40
銃弾は、ミカとユウキ数メートル後方に着弾する。
(殺すつもりはないってこと、お見通しってわけね。)
ミカはユウキの右手からワルサーを奪い取ると、立ち上がりソニンに1発撃ち込む。
撃たれた左腕に力が入れられないので、銃身がぶれて狙いが外れる。
もう1発撃ってみるもやはり当たらない。
(shit!!)
ミカは応戦するのを諦め、立ち上がると脇差を捨て走り始める。
目標は50m程先の大木。とりあえずここの影に隠れ、それから逃げるつもりである。
もっと近くに障害物があれば安全なのだが、現在地は砂浜でなにもない。

299 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/09(火) 23:00
ミカは一心不乱に走る。だが、なかなか大木は近づいてこない。
後ろから、銃声が何発か聞えてくる。
(God bless me...)
足元が砂で走りずらい。普段は長いとは思わない50mでも今は100mにも1kmにも感じられる。
後ろからは続いて、ソニンがブルーノを撃っているようだ。
やがて、大木があと10mくらいまで近づいてきた。
「ウォオオオオオオオオオオオオオ!!」
ミカは叫び、更にスピードを上げた。だが、突然右の足に突如、火の杭が打ち込まれたような痛みが走った。
前のめりに倒れ、口の中に砂が入る。

(W What?)
ミカは自分の身に何が起こったかわからなかった。
立ち上がってまた走りだそうとするが右の足に力が入らず立ち上がるのが精一杯。
右足の銃創を見てはじめて、自分の足が撃たれたのに気がついた。
後ろを振り向くと、ソニンが歩いてくる。手持ちのワルサーをソニンに向けて撃つ。
だが、手に力が入らずしかも座ったままの姿勢だったので、弾が命中することはなかった。
それでもミカは撃ち続けたが、何発か撃ったところで「カチンカチン」と弾が出なくなった。
(くっ、弾切れ?)
ユウキから奪ったワルサーの予備弾を持っているはずはない。

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