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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

97 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:02
時はまたしても少し戻る──

里田の投げた煙玉で、丘から退却したSALTとAIR。丘には、1人の人物が残されたのみだった。
もしそこに誰かが残っていたら、顔の辺りが少し動いているのがわかっただろう。

そう、大谷に撃たれた安倍なつみだったが、実は即死ではなかったのだ。
とはいうものの、彼女の命の灯火は残りわずかだった。
そして安倍は泣いていた。

それは、大谷に撃たれたから? SALTが自分の安否を確認せずさっさと退却してしまったから?
それとも、確実に迫りつつある死の影に怯えて?
たしかに迫りつつある死に恐怖がなかったといえば嘘だろう。
しかし彼女が泣いていた1番の理由は、自分の力不足で、SALTとAIRが争うことになってしまったからだ。
(やぱりはじめから5人で呼びかければよかったのかな?)
その時、近くに人の気配を感じた。
「だ、誰かいる、の?」安倍は搾り出すように声を出した。人が近づいてくる気配がある。
その人物は安倍の目の前に来た。らしい。残念ながら安倍の視界は出血多量のため、ほとんどないに等しかった。

98 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2003/09/23(火) 17:03
「…………………」目の前の人物が何か喋ったようだ。だが、
「……ごめん、ね。もう、ほとんど、何も、聞こえ、ないし、何も、見え、ないの。」
安倍の手が、誰かの手に握られるのを感じた。(よかった。まだ触覚はあるみたいべさ。)
「圭織に、伝えて、欲しい、ことが、あるの。頼まれて、もらえる、かな? よかったら、手を、握って。」
再び手を強く握られる感触があった。
「あのね、…………」安倍は最後の力を振り絞って目の前の人物に自分の伝えたいことを伝えた。

数分後、安倍の最期を看取った人物は、心にしっかりとメッセージを刻み込み、安倍の手を組ませると、
安倍の形見にと、帽子と拡声器を持ち、ローラーシューズを再び履き、北側から丘を出て行った。

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0ch BBS 2006-02-27