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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。


366 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:18
高橋を射殺した石川は吉澤の死体の元でひとしきり泣くと立ち上がり、
吉澤のWATERの衣装の上着を脱がせると、それを自分で着た。
AIRの露出の高めの衣装の上にWATERの赤いちょっとフォーマルな衣装はミスマッチしていて、
(あ、逆にこれはこれでありかもしれない。)
と松浦はのん気に思っていたのだが、やがて石川は歩いてこちらに来る。
目はうつろでその瞳には何もうつっていないだろう。
(ヤバイ)
松浦は下駄箱と下駄箱の狭い空間に隠れ石川をやりすごす。
やりすごす時に、石川が何かつぶやきがながら歩いていくのを耳にした。
幸い石川は松浦に気づかず、昇降口から学校の外へと出て行った。

367 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/16(日) 19:19
石川が出て行くのを確認すると、松浦は吉澤と高橋の死体に近づく。
あたりには皮膚の焦げた臭さと、血の匂いと、高橋が撃たれた時に飛び散った
脳漿の匂いが混在しており、耐え難いものだった。
松浦は鼻をハンカチで押さえながら、何か使えるものは余ってないか調べる。
特に直接武器がアーミーナイフしかなかった松浦にとって、
もう少し広い攻撃範囲をもっている武器がほしいところであった。

吉澤のズボンのポケットを調べると、リボルバー式の銃が出てきた。
何かの役に立つかもしれないと思い松浦は銃を自分のナップザックにしまう。
続いて高橋を調べると、吉澤を斬った菊一文字が落ちていた。
人を斬った武器に松浦は少しためらったが決心すると、刃についた血を高橋の衣装で拭き、
鞘を自分の腰につけ刀をしまって、松浦は学校を離れるのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

368 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/17(月) 23:43
WATER TEAM'S PHASE──

辻は加護を保健室に運ぶと自分なりの止血をしてみるが、加護の血はとまらない。
飯田と連絡を取るために、トランシーバー飯田に呼びかけた。
ところが、辻自身は灯台のジャマーの範囲からは外れていたが、飯田がジャマーの効果範囲内であったために、
連絡をとることができなかった。ジャマーの存在を知らない辻は不安になり、
ここにいるべきか、それとも飯田を探しに行こうかと悩んだが、
まだ学校には石川がいることを思い出し、加護を連れて保健室を出て飯田を探しに行く。

と言っても飯田がどこにいるか全くわからない辻は、
トランシーバーで必死に飯田を呼びかけつつ、とりあえず北部へと向かった。

                  *            *

一方、飯田達は、最初にAIRの本部である倉庫へ行って見たものの誰もいなかったので、
次に集会所へと向かう。だが、途中で学校から連絡が一向にないと気づいた飯田は自分から吉澤に連絡をとろうと、
トランシーバーで呼びかけたがこちらも連絡がつかない。
何か異変があったと考え、3人は一旦学校へ戻ることにした。

                  *            *

369 :名無し娘。:2004/05/20(木) 01:54
作者さん作者さん。
途中経過みたいなまとめをつくってくほしいです

370 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
斉藤と保田は亀井と田中には説明しなかったことがあった。
「本当に首輪の効果が解除されたのか」の確認方法である。
いくら首輪の効果が解除されたといっても、それを証明できなければ他のメンバーを説得できない。
PCの中の文書には、首輪システムの侵入方法の他に、首輪の外し方も書いてあった。
といっても力ずくの部分が多く、もし本当に効果が解除されていなければ首輪は爆発してしまうだろう。

保田は、文書通りに首輪システムを解除したつもりだが、それ自体が罠だという可能性もあると考えていた。
だが、斉藤は「それならば、首輪システムに侵入した時点で保田さんの首輪が爆発してしまっているだろうし、
今は、この『味方』を信じるしかない。」と説得した。

それに、他に生命の危険を冒さずに解除されたと証明する方法がないのである。
進入禁止区域にわざと入るという方法もあるが、
元のバトロワでは時間ごとに進入禁止区域が増えていったものの、
このゲームではそれがないので、最初に定められた海に飛び込むくらいしかない。
だが、集会所の近辺は海辺は高い崖となっており、ここから飛び降りたら、首輪と関係無く死んでしまうだろう。
海に直に接するには反対側であるAIRの本部のある西から北西への海岸へ行かなくてはならず、
途中で襲撃者に襲われるかもしれず、これもリスクがある。

371 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
という経緯で、2人は文書に書かれている方法で首輪を外すことにした。
本当は解除されていなかったら、保田の首は飛ぶだろうし、側にいる斉藤も無事ではすまないだろう。
このことは斉藤にも筆談で告げてあるし、斉藤もOKを出しそのリスクを負っている。

現在、保田が椅子に座り、後ろの斉藤がマイナスドライバーを持っている。
斉藤はドライバーで保田の首輪をこじ開けようとしているところである。
こじ開けてから、金属の薄い部分を集会所の倉庫にあった金属用のハサミでぶち切るのである。
外は5月のうららかな陽気にもかかわらず、斉藤の手は汗でひっしょりだった。
(これだけ緊張するのも、デビュー以来かもね。)
ふと斉藤はそんなことを思った。保田は目を閉じてじっとしている。

斉藤は深呼吸をし、息を整えると、左手で首輪を固定し、
思い切って右手でドライバーを首輪の切れ目に突っ込む。

372 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 21:57
ガツッ、ガツッ

1、2回目と失敗したが3回目で挿入に成功した。保田の首輪の警告音が鳴り出す気配はない。

ふぅ

2人から同時にため息が漏れた。
(とりあえずは第一段階はクリアってところね。)
差し込んだドライバーを上下に動かす。中がだんだんと見えてくる。
ある程度開いたところで、金属用ハサミを持ち、薄くなった部分を挟みパチンと切る。
あとは、力任せに開き、首輪が外れるところまで広げる。
残るは保田の首を傷つけないように外す。
やがて、保田の首は約1日ぶりに自由となった。保田と斉藤は声を立てずに喜び合った。
斉藤は、田中と亀井を呼びに2階へと上がって行った。

─────────────────────────────────────────────────────

373 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 22:07
>>369
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
11:05 ルール説明 >>4-12
11:20 石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
11:25 ルール説明・続き >>23-24
12:00 ゲーム開始 >>25

こんな感じでしょうか?

374 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/20(木) 23:01
それともこんなの?

SALT5(中居正広)
×安倍なつみ(説得しようとするが勘違いで大谷に射殺)
_加護亜依(辻と学校を脱出中)
_小川麻琴(そろそろ気絶から回復?)
_松浦亜弥(これからどうしようか考えながらうろうろ)
_前田有紀(稲葉が殺されたことにショック受けながら別荘へ)
×稲葉貴子(ユウキに刺殺)

375 :名無し:2004/05/23(日) 00:40
言った奴が言わないので代わりに。
>>373
>>374
両方の方がわかりやすいと思います。いつも読んでるので頑張ってください。

376 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:49
1日目
11:00 うたばんの音楽でメンバーが起こされる。>>2-3
ルール説明 >>4-12
石橋、見せしめのために道重を爆殺 >>13-20
ルール説明・続き >>23
紺野が兵士に撃たれる >>24

377 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:50
じゃ、とりあえず両方のっけます。
ただ、時間は決められないので省略します。

12:00 ゲーム開始 >>25
FOOD 道重を埋葬
FOOD 田中 一人で出て行く
SALT 武器配布、安倍が呼びかけ決意 >>26-28
AIR 武器配布、SALTと交渉のため別荘へ >>29
WATER 矢口・吉澤・辻 紺野の治療用具を得るために、診療所へ >>31-32
WATER 斉藤・村田・柴田 大谷に会うため、倉庫へ 
FOOD 保田・亀井 パソコン探しに出発 >>33-38
SALT 村役場に到着 >>38-40
AIR 別荘へ到着 >>43-44
AIR 新垣 手榴弾入りのナップザックを開け死亡 >>45-47
WATER 斉藤・村田・柴田 田中を目撃 >>51-54
FOOD 保田・亀井 商店に到着、食糧を発見 >>55-57
SALT 安倍 島の中央部の丘より呼びかけ開始 >>58-61
AIR 石川・稲葉・大谷 安倍に新垣が死んだことを伝える >>62-65
AIR 大谷 安倍を射つ >>75-76
SALTとAIRで銃撃戦 >>67-71 >>78-80

378 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 00:51
WATER 矢口・吉澤・辻 SALTと合流 >>82-84
FOOD 保田 石川と会う >>93-95
FOOD 田中 安倍の最後を看取る >>97-98
FOOD 保田・亀井 役場でPCを見つけるも回線につなげられず >>103-104
吉澤・辻・加護 安倍の遺体を回収 >>88-89
AIR 倉庫で待っていた斉藤・村田・柴田と会う >>99-101
FOOD 後藤・中澤・みうな 商店に食べ物を取りに来る >>116-117
AIR 稲葉、石川に愛想をつかす >>110-111
WATER 矢口・吉澤・辻 飯田に安倍が殺されたと報告
SALT 前田 松浦に手榴弾でトラップを作ったことを告白 >>105-107
WATER 斉藤・村田・柴田 飯田にAIR側からの言い分を報告 >>114-115
SALT 学校へ到着 加護・小川は紺野の看病 前田・松浦は飯田と話し合い >>118-122
WATER 飯田 田中から安倍の遺言を聞く >>123-126
AIR 石川・高橋 冷凍庫に魚発見 >>128-130
FOOD 保田・亀井 集会所に帰還 >>131

18:00 1回目の放送 >>132

379 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:01
7AIR(木梨憲武)
_石川梨華((・∀・)アヒャ!!)
×高橋愛(勘違いで吉澤射殺、怒った石川に射殺)
×新垣里沙(別荘でナップザックを開けてしまい爆死)
×ミカ(ソニンに射殺)
_里田まい(矢口埋葬作業)
×大谷雅恵(海に入って自殺)

380 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:04
11WATER(香取慎吾)
_飯田圭織(学校に戻るところ)
×矢口真里(石川に刺殺)
×吉澤ひとみ(高橋に刺殺)
_辻希美(加護と逃走中)
×紺野あさ美(ユウキに騙されて刺殺)
_藤本美貴(自分を囮にして敵をおびきよせようとしている)
_アヤカ(学校に戻るところ)
×あさみ(ワイヤーでソニンに首斬り)
×村田めぐみ(転ばされてソニンに銃殺)
_斉藤 瞳(首輪の解除中)
_柴田あゆみ(学校に戻るところ)

381 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 01:06
FOOD6(石橋貴明)
×中澤裕子(稲葉に銃殺)
_後藤真希(矢口埋葬作業)
_保田圭(首輪の解除中)
_みうな(矢口埋葬作業)
_亀井絵里(首輪の解除中)
_田中れいな(首輪の解除中)

EE
ユウキ(獲物発見)
ソニン(???)

382 :名無し娘。:2004/05/23(日) 01:47
>>379に松浦がいないかな?

383 :名無し:2004/05/23(日) 04:43
>>382
松浦はSOLTだよ。スレ汚しスマン。

384 :名無し娘。:2004/05/23(日) 07:55

AIRがやべーな

385 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 15:22
UTABAN TEAM'S PHASE──

「ガツッ、ガツッ、ガツッ。」
保田の首輪についているマイクが、妙な音を拾う。金属と金属がぶつかり合う音がする。
首輪システムが効果をなくしたといっても、それは首輪が爆発しなくなっただけで、
首輪ないの集音マイクは生きているし、生存判定装置もそのままなのである。

アルバイトの男が「これ? なんの音ですかね?」と後ろの石田佳子に聞く。
「トンカチで釘を打っている音ね。何か作ろうとしているんじゃないの?」と彼女は答える。
「へぇー、そうなんですか。」アルバイトは感心する。

(どうやら今度は首輪を外そうとしているわね。こっちも順調っと。彼女に連絡しなくちゃ。)

─────────────────────────────────────────────────────

386 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/23(日) 16:11
石橋・中居 EE JUMPにルール説明 >>133-134
AIR 里田・石川・ミカ FOODと同盟を結ぶために集会所へ >>135
SALT 夕食しながら今後のことを相談 >>136-137
WATER 夕食しながらゲームからの脱出の方法を相談 >>138-140
集会所で、AIRとFOODが話し合い >>141
里田・石川・ミカと中澤・保田が一緒に倉庫へと戻る
EE JUMP ゲーム開始。武器のある灯台へ >>143-144
SALT 港に到着、高橋と加護と小川の邂逅 >>147-148
SALT 松浦 大谷をおいつめ、自殺させる >>149-150
SALT前田とAIR稲葉 話し合い→異変に気付き桟橋へ >>152-153
SALT とりあえず倉庫から引き上げる
FOOD 田中帰還。PCを持ってくる。「味方」からのメッセージに気付く >>154-156
AIR 稲葉 前田に借りたSALT用のトランシーバーで松浦と連絡をとる >>158

24:00 2回めの放送

387 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:10
AIR TEAM'S PHASE──

矢口を埋葬しようと思ったが、道具がなかったため、
矢口の遺体をとりあえず草むらに隠し、
先にSALTの本部へと着いた里田達だがやはりそこにはミカも高橋もいなかった。
別荘の庭先にスコップなどがないか探したが何もみつからず、
ミカ達が捜索しようにもどこにいるか全くわからないため仕方なく3人は別荘の外で待っていた。
別荘は、道のちょうどT字路の道が分かれている所に立ってあり、
どこから誰が戻ってきてもいいように3人とも別の道を見ていた。

すると、正面の中央の丘へと通じる道を見張っているからみうなが、
「誰か来ますよ。」
と声がかかった。他の道を見張っていた里田と後藤が真ん中に集まる。
こちらへ来る人物はSALTの服装をしていた。
「前田さんだ。」横の里田が呟いた。

388 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
前田は覇気がなくとぼとぼと歩いていたが、正面にいた3人を見ると驚き、目を見開いた。
そして後藤と目があった瞬間、顔つきが険しくなる。
ナップザックに手を入れ、イングラムを取り出すと、
「おまえのせいでー!!!」
と叫び、いきなり乱射してきた。

ぱらららららら

里田が家の門の陰に隠れ、後藤はすかさず横へ転がったが、一番前に立っていたみうなが反応しきれず
腹部に銃弾をくらう。だがなんとか里田のいる門の陰に飛び込む。
「みうなちゃん!」
「うっ」
苦悶の表情を浮かべるみうなの腹の傷からは血が流れ始めているようで、衣装のTシャツを赤く染めていた。

389 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
里田は後藤のほうをみる。後藤は態勢を立て直すと、今、里田達がきた海岸方向へ駆け出すところだった。
途中でコルト・ガバメントを取り出すと、前田を挑発するように2発放つ。
どっちを仕留めようか迷っていた前田はその挑発にのせられ、
「お前の弟のせいで全部台無しだよ!!!」
と叫び、イングラムを乱射しながら後藤を追いかける。
里田は心で後藤に対する感謝と無事を願いつつ、みうなの様子を見る。
「里田さん…、逃げてください…、私はもうだめです…。」
みうなは弱気な発言をする。
「何バカなこと言ってるの! こんなことぐらいで人は死んだりしないわよ!」
里田はそんなみうなに喝を入れる。
とはいうもののお腹の傷は重傷のようでTシャツの血の染みは広がりつつある。
里田は自分の衣装の上着を脱ぎ、みうなの傷よりやや上部に巻きつける。
(止血にすらならないかもしれないけど…。)
「すぐ戻るからちょっと待ってて。」

390 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/24(月) 23:11
というと里田は別荘へと走り、門から中に入り裏側へとまわる。
そこには庭に面したサッシに手にかけ開けようとするが鍵が掛かっていて開かない。
(それならば…)
里田は腰から正宗を鞘ごと抜くと、サッシのガラスに向けてそれを思いっきり叩きつける。
ガラスは派手な音を立てて割れた。割れたところから手を入れて中から鍵を開ける。
里田はそのまま中に入ると、玄関の鍵を解除し扉を開け、玄関を飛び出してみうなのところへ駆け寄る。

「みうなちゃん、立てる?」「は、はい。」
里田はみうなを支えて立ち上がらせて別荘の中へと入っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

391 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:09
EE JUMP 学校を夜襲、あさみ斬殺 >>159-161 >>164-166
EE JUMP 村田銃殺 >>173-177 >>187-190
WATER 被害の確認 >>193-196
FOOD保田・AIR里田 集会所に到着、保田「味方」からのメッセージを見せる >>199-201
WATER 飯田・アヤカ・柴田 捜索隊として出発 >>208-209

3回目の放送 >>211

392 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は海岸沿いを前田から逃げていた。時折コルト・ガバメントで応戦をするが、
目的は、前田を里田達から引き離すことだったので、本格的に狙っていたわけではない。
実際、前田は後藤の後についてきた。AIRの倉庫へ続く海岸沿いの道まで来たところで、
ここまで来ればとりあえずは別荘の2人は大丈夫と思い、
民家の塀に隠れて、前田に声をかける。
「なんで、後藤たちに攻撃をするの? 何もしていないじゃない。」

393 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:35
「しらばっくれやがって、お前の仲間が稲葉を殺したんだよ!!」
前田の怒りの声が銃声とともに響く。
後藤は思い浮かべる。他の仲間のことを。
(圭ちゃんは自分から殺したりはしないだろうし、PCをいじってるんじゃなかったっけ?
 あとは…、新しい子はよくわからないけれど…。)
「仲間って誰のこと?」
「それはお前が一番知っていることだろう? お前に良く似た弟だよっ。」
(ユウキ!?)
とその時、後藤の側で何かが爆発する音が聞こえた。
これは前田が手榴弾を投げたためであったが、後藤はそれを知らない。
壁にしていた塀が崩れ落ちてくる。
後藤は咄嗟に頭を庇う。塀がそんなに高くはなかったためダメージ自体は少なかったが、
ブロックに下半身が挟まれてしまった。抜け出そうとするが、いつの間にか前田が目の前に来ていた。

394 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
「ユウキがこの島に来ているっていうの?」後藤は自分のピンチにもかかわらず弟のことを聞く。
「それはあんたが知ってるはずだろうが。」前田はイングラムの銃口を後藤に向ける。

その時、前田の後ろに誰かが立った。その人物は左手で前田の口を抑え、
少し大きめのナイフを持った右手で前田の喉を掻ききった。
前田の喉から血がスプリンクラーのように勢い良く飛び散った。
後ろの人物は左手を放す。前田はくぐもった声を出しながら、支えを失って後ろに倒れた。
倒れた後でも、前田の体は首から勢いよく血を飛び散らせながら痙攣を続けている。
前田の後ろから現われた人物は、……ソニンだった。

395 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/25(火) 23:36
ソニンは、後藤の方を一瞥すると無視して前田の装備を物色し始めている。
後藤は、ブロックから抜け出すとソニンに声をかける。
「ソニン……さん? ありがとう…。」
ソニンは、前田のナップザックから手榴弾を取り出して自分のナップザックに入れながら答える。
「…ああいう狂気にかられた手合いは早めに潰さないとやっかいだからであって、
 別に助けたわけじゃない。」
「(まあいいや)で、どうしてここに?」
「この場所にという意味なら君達の後をつけていた。この島にという意味なら連れてこられた。」
「あなたも!? …あなたがいるってことはもしかして?」
ソニンは前田の持っていたイングラムを自分のナップザックに入れる。
他の荷物には興味ないらしく、手をつけずに崩れ落ちたブロックの下に隠す。
「ユウキ? 来てるよ。」
「今、どこにいるの?」後藤はソニンに迫る。
「島のまんなからへんにいるんじゃない?」とソニンはあいまいに言いつつ立ち上がる。
「生きていたらまた会うかもね。」といいつつソニンは西方向へと去っていった。

前田有紀:死亡 【SALT 4人→3人】

─────────────────────────────────────────────────────

396 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、学校を出てから一度紺野がいた民家に立ち寄り、飯田達が紺野を埋めた場所に、
途中で摘んだ花を供えると、決意を新たにし、南に離れた民家を拠点と決めて、
準備をすると襲撃者を待つ。だが、なかなか登場しない。
家の中にいても相手がみつけてくれないかと思った藤本は屋外で待つ。

ちょうど待ちくたびれた頃、何かが横から飛んでくる気配がしたので横を振り向く。
そして偶然に飛んできた黒いボールのようなものをキャッチし、それを反射的に投げ返した。
それは、轟音とともに空中で弾けた。弾けたものから生まれた煙があたりを覆う。
藤本は咄嗟に近くの木の陰に隠れた。

397 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/27(木) 23:47
その煙の中から銃声が聞こえ、藤本の隠れている木に銃弾が当たる。
その後、煙の中から右手に剣を、左手に銃を構えた一人の少年が飛び込んでくる。
(あれは…ユウキ? あいつがあさみさんと村田さんを殺した…
 もしかしたらあいつが紺ちゃんも…。)
藤本は足元にある小石を拾うと、遠くに投げる。小石は地面に当たり「カッ」という音を立てる。
ユウキはその音の方向に銃を撃つ。
銃声に紛れて藤本は拠点のある民家へと逃げる。ユウキも気がついたのか藤本に向けて銃を撃った。
銃弾の内の一発が藤本の左上腕部をかすり、衣装を焦がす。
藤本は熱さを伴う鋭い痛みを感じたが、かまってはいられない。民家に入る。
ユウキも藤本の後を追いかけ始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

398 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:56
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ユウキは、さっきの稲葉にやったように手榴弾で相手を弱らせてから、
エクスカリバーで止めを刺すつもりだった。だが、相手は手榴弾をキャッチし、
しかも投げ返してきた。手榴弾は途中で爆発したが、相手の状態はよく分からない。
とりあえずエクスカリバーを茂みに置き、ワルサーを取り出して相手の方にせまる。
煙が徐々に晴れ、辺りが確認できるようにはなったが、相手の姿は見えない。
(ちっ、逃げたか?)

その時、右後方でカツッと物音がした。足音と思い振り向きざまワルサーを撃つ。
ところが姿は見えない。また右後方から今度ははっきりとわかる足音が聞こえてきた。
またも振り向き姿を確認すると、逃げていくWATERの姿に向けてワルサーを放つ。
(あの衣装と髪型と身長からすると、藤本か?)
1発かすっただけで命中することはなかった。藤本は近くの民家に逃げ込む。

399 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
「逃がしはしねえよ。」
そう呟くとユウキは民家へと追いかける。玄関から入ったところでユウキは藤本が正面の部屋に入ったのを見た。
ユウキも続けて追いかける。正面の部屋に入ろうとしたところで足に何かが引っかかった感触があった。
それが何かを確かめる前に、上から何か粉のようなものが大量に落ちてきた。
その粉末がユウキの視界を遮る。そして…。
(何だこれは? ん?)
そのとき、ユウキはとある衝動に駆られた。
「ふ、ふわっくしょい! ふわっくしょい! こしょうか、くそっ!!」
ユウキはこらえきれず何回も何回もくしゃみをした。たまらず廊下へと戻る。
「ふわっくしょい!」
それでも視界が晴れくしゃみが収まるまで、2分程度かかった。
「時間稼ぎかよ!!」
ユウキは急いで部屋に戻る。

400 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/28(金) 22:58
視界が晴れてよく分かったのだが、部屋はどうやら洗面所のようで洗濯機などがおいてある。
奥には外へ出る裏口があり、ユウキはそこから外に出る。
そこは家の庭だった。物干し竿や物置がおいてある。
「どこ行った! 隠れてないで出て来い!」ユウキはワルサーを構え叫ぶが、反応はない。
(家の横に回って逃げたか?)
とその時、庭の植え込みに赤いものがあるのに気付いた。
(なんだ?)
良く見てみるとそれは赤い布が植え込みから少し出ている。
(こんなところに隠れているのか。っていうか隠れたつもりだったのか。)
ユウキはニヤリとした。
「くそっ、逃げやがったな。」
と言いつつ、わざと足音を立てて追いかけたふりをする。
それから逆に足音を消し、赤い布の方へとゆっくりと歩いていく。
そしておもむろに、隠れていると思われる場所に向ってトリガーを引いた。
周囲に銃声が轟く。
「やったか!?」
とその時、背後から衝撃を受け、うつ伏せに倒れた。

─────────────────────────────────────────────────────

401 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/29(土) 23:59
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、自分の衣装の上着をわざと端だけ見えるように植え込みに隠し、
自分は物置の影へと隠れた。ユウキは裏口から出てきて、一旦は横へ行くふりをし、
足音を消して上着を置いてある場所の近くまで戻ってくる。
そして、ワルサーを上着に向って撃った。

銃声と同時に物置の横から出てユウキの背中へとショルダーチャージをする。
ユウキはそのまま受け、うつ伏せに倒れた。藤本はすかさず上に乗る。
ユウキは起き上がろうとするが、藤本が背中に乗っかっているせいで起き上がれない。
藤本はまずは、ユウキが落としたワルサーを取り、自分には扱えないものなので、
庭の池へとワルサーを投げる。ドポンという音とともにワルサーは池へと沈んだ。
腰から護身刀“竜穿”(小剣)を取り出し、ユウキの首筋に当てる。
「ちょ、ちょっと待って。殺さないでくれ。頼む。」
ユウキは懇願する。

402 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:00
「は? 何言ってるの? あんたあさみさんや村田さんばかりでなく、美貴を殺そうとしたんだよ?」
「ち、ちがう。俺はソニンに無理矢理やらされたんだ。今だってソニンが先に攻撃しろって…。」
(じゃあ、今、近くにソニンがいるっていうこと?)
藤本は咄嗟に後ろを振り向いた。ユウキはその隙を見逃さず右足を折り曲げかかとのキックを藤本に見舞う。
虚をつかれた藤本は脇腹にキックを受けバランスを崩す。
ユウキは横に回転し、藤本の下から抜け出と、近くの自分のナップザックを掴み、藤本と距離を取った。
藤本もすぐに体勢を立て直し、護身刀“竜穿”をつかみ立ち上がる。
ユウキはナップザックから鉄の爪を取り出し、手に装備する。

403 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/30(日) 00:01
「お、お前それをどこで?」見覚えのある武器に藤本はユウキを問いただす。
「これか? 戦利品だよ。あいつ…紺野とか言ったっけ?
 こっちが『無理矢理連れてこられた』っていったら簡単に気を許しちゃってさ。」
「じゃあ、お前が殺したんだな?」藤本はユウキを睨みつける。
「ああ、剣で腹をグサリとな。なかなかいい声で泣いてやがったぜ。
 それにしてもあいつ泣くとブッサイクだよなあ。」ユウキは挑発する。
「…かかってこい。包茎野郎。」藤本も中指を立てて挑発し返す。
「お前も直ぐに会えるよ。あの世でなっ!!」
と叫ぶとユウキが右手で藤本の顔面めがけて切りかかってくる。
 
                  *            *

404 :名無し娘。:2004/05/30(日) 10:12
美貴様美貴様(ユウキに)オシオキキボンヌ

405 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:40
藤本がモーニング娘。に加入すると発表になった後の
2003年の正月のハロコンの待ち時間の時、紺野と他愛もない話をしていた。

「…そういえばさ、紺ちゃんって空手やってたんだよね?」
趣味の話からの派生だった。
「うん。ちょっとだけだったけどね。」
「いいなあ。そういうのって。やっぱり今日び自分の身は自分で守らなくちゃね。」
「美貴ちゃんは、空手とか合気道とか、護身系のものってやってないの?」
最初は紺野は藤本のことを「藤本さん」と呼んでいたのだが、
堅苦しいので「美貴ちゃんでいい」と藤本の方からお願いしたのだった。
「ま、そういうちゃんとしたものはね。そうすっとさ、やっぱり正拳突きとかってちゃんとできるの?」
「ちゃんとっていうか、形はあるよ。」
「それ教えてよ。…いつなんどき変態に襲われるかわからないからさ。」
紺野はにっこり笑みを浮かべると、「うん。わかった。」と頷き、藤本に説明し始めた。

                  *            *

406 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 01:41
藤本は護身刀“竜穿”を左手に持ちかえると、ユウキが右手の爪で切りかかるのを体をひねって交わす。
爪の切っ先が藤本の頬をかすめる。
(腰で体のしなりを作り、十分にスピードを乗せて突く。)
よけた時に体をひねっておいて、ガラ空きとなったユウキの右ボディに向けて
4ヶ月前に教えてもらった通りに正拳突きを放つ。
(当たる瞬間に拳をより強く握り締め、脇も固め、引き手を十分に引く。)
ユウキは今日2発目の正拳突きをくらい吹き飛んだ。
藤本は護身刀“竜穿”を右手に戻しながら、横向きに倒れたユウキに取り付き、
正面を向かせるとためらうこともなく、その左胸に護身刀“竜穿”を突き刺した。

ユウキ:死亡 【EE JUMP 2人→1人】

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407 :名無し娘。:2004/05/31(月) 06:37
鳥肌立った   ミキティありがとうミキティ・゜・(ノД`)・゜・

408 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:43
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤は、別荘の前に戻ってきて里田とみうなを探す。ところが2人ともみつからない。
もちろんトランシーバーで呼びかけてみたのだが答えはなかった。
実は2人は別荘の中にいるのだが、後藤はまさかガラスを破ってまで侵入をしているとは思っていなかった。
どこかへみうなを治療できる場所に移動したと思い地図を探る。
(診療所!? ここかな?)
後藤は1人診療所へと向った。

─────────────────────────────────────────────────────

409 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
WATER TEAM'S PHASE──

藤本はユウキを倒し一息つくと、ユウキの胸から護身刀“竜穿”を引き抜き、
それを庭の池で洗うとユウキのナップザックを持ち、家の中へと入る。
洗面所に鏡があったので藤本は気になることを確かめるために鏡を覗く。
左頬のところに一筋の傷跡を発見した。
チッと藤本は舌打ちをする。さっきのユウキが鉄の爪で切りかかって来たときに出来た傷だ。
(ま、そんなこと気にしている場合じゃないね。人殺してるんだし。)
藤本は自虐的な笑いを浮かべるとユウキのナップザックを探る。
出てきたのは、手榴弾2発と、PDAのようなものだった。
(なんだこれ?)

410 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 21:44
藤本は不思議に思っていろいろいじくっているうちに電源のようなものを見つけ、
それをONにする。すると、モニターの中心に青い点が1つ写し出された。
(どういうこと?)
別のスイッチを押すとやがて右に黄色い点が1つ。
右上の方に黄色い点と青い点が1つづつならんでいてどちらもすこしずつ動いている。
さらに同じスイッチを2回押すと、今度が画面のあちこちに4色の点が現われた。
そこで藤本はピンと来た。
(これってもしかしてレーダー?)
とりあえず一番近くにある右の黄色い点に向って歩き始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

411 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/31(月) 22:52
現在の状況
SALT
∬´◇`)<加護さん、どこ行ったんだろう…。
从‘ 。‘从<そろそろ別荘にもどろっかな〜。
( ‘д‘)<………。

AIR
川=‘ゝ‘=||<みうなちゃん、大丈夫?
( ゚▽゚)<あひゃひゃひゃひゃ!!

WATER
( ´D`)<あいぼん、にげるのれす。
川VvV从<レーダーゲトしますた。
川σ .σ|||川‘▽‘)|川‘〜‘)||<学校で何があったのかしら?
ξξ “ З.“)<解除中……

FOOD
( `.∀´)<解除中……
从 ` ヮ´)ノノ*^ー^)<どうなるのかなあ?
( ´ Д `)<里田さんとみうなちゃんどこいったの?
μ TヮT μ<痛い……。

EE JUMP
从0‘ ∀‘ 0从<次はどうしようニダ?

412 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:56
SALT TEAM'S PHASE──

いまや生きている者は誰もいない学校。ここにまた一人の人物がおそるおそる入ろうとしていた。
小川麻琴である。石川に気絶させられ、誰にも見つかることなく、普通に気絶から回復した小川は、
加護のことを思い出すと急いで学校へと向かった。高橋達と同じく校門前の血痕を発見し、
加護と同じく「誰かいませんか〜?」と呼びかけるも反応がなかったので、
ゆっくりと昇降口から学校へと入る。やがて廊下とクロスするところへ出た小川は、
左側に2人の人物が倒れているのを見つけた。

小川はまずは手前の人物かけよる。
「愛ちゃん?」
それは小川の同期で、一番エースに近く事務所の後押しもあり、小川が羨ましかった人物だった。
その整った顔立ちは今や恐怖で固まり、額のほぼ中央にはコイン大の穴があいて、
その周りの皮膚は焦げていた。また穴から出た粘っこい血はどろりとこめかみの方へと垂れていた。
時間がちょっと経ったのか血は固まっているように思えた。
また頭の後ろの床には脳漿と思われる液体が飛び散っており、それの匂いがまだ残っている。

413 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/01(火) 22:57
小川は思わず顔をそむける。そむけた方にはもう1人の人物がいた。
「吉澤さん?」
それは小川の1期前の先輩で、いつもかっこいいし、楽屋ではちょっとクールな憧れの先輩だった。
吉澤の体は鋭利なもので何回か傷つけられている。そのうちの1つが右胸を抉っており、
これが致命傷だろう。

「!!」
小川は突然吐き気を催し、以前学校に来たときに使ったトイレの位置を思い出し、
2人の死体から逃げるように走り始める。
2人をもう“気持ち悪いもの”としてしか認識していない自分に呆れながら…。

                  *            *

414 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:35
一方、歩くのにも限界が来た加護は辻に背負ってもらっていた。
「重くてごめんな。」
「…東京に戻ったら、一緒にダイエット………バナナって結構……いいらしいよ。」
辻の声がところどころで聞こえなくなってきた。おそらく出血多量によるものだろう。
「そうだね。」
自分の声も自分の頭の内部で響いていて、本当に自分が声に出したのかがわからなくなっていた。
(そろそろ限界やな。)
加護は自分の生命が尽きようとしていることを自覚していた。
(あれだけは言うとかんと。)
「なあ、のん。」
「何?」
「あんなー、前にのんがアイスがなくなったって騒いでた時があったじゃない。」
「うん、あった……誰かの……」
「あれなー、食べたの加護なんだ。なんか1つぽつんってあったから、余ってたのかなって思っちゃって食べちゃったんだ。
 のんが騒いだ時も言い出せなくて……。ごめんな。」
「……あいぼんだった……、びっくり……良く言ってくれたね。」
「言わなくちゃいけないと思って。本当にごめん。……ちょっと眠くなったから眠る。」
「わかった。」
加護は辻の背中で揺られながら考えていた。
(それにしても頼もしい背中や。いつのまにこんなに大きくなったんやろ?)

415 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/03(木) 21:36
加護にとって辻は相方だった。はじめのころこそ、唯一の同年代の友達として仲良くしていたが、
加護がたんぽぽに入り、忙しくなるにつれあんまりプライベートで遊ばなくなった。
加護は加護で後藤たちと仲良くなり、辻は辻で飯田や安倍たちと仲良くやっていたようだ。
ミニモニにともに入り、写真集を「辻加護」として入るにつれ、
加護は辻のこと「相方」と思うようになっていた。

加護の意識がだんだん遠のいていく。目の前にあるのが背中という感触はすでになく、
何か暖かいものであった。
(でもこうして、相方の背中に背負われて終わる人生も悪くはない人生や。
 のの、最後まで生き残るんやで……。)
その瞬間、辻の肩に置いてあった手から力が抜け、振動につられ、
すうっと、加護の手が辻の肩からずり落ちたのだった。

加護亜依:死亡 【SALT 3人→2人】

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416 :名無し娘。:2004/06/03(木) 23:32
あいぼぉぉぉぉぉぉぉぉん。・゚・(ノД`)・゚・。

417 :名無し娘。:2004/06/04(金) 21:31
殺伐としたなかにも「ええ話」が・・・(泣)。

418 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ジャマーを一度切ってユウキと連絡を取ろうと、レーダーであたりの注意を払いながら、
灯台へと戻っているところであった。
後藤達3人をつけていたことで後藤を偶然救う形となっていたソニン。
だが、何故あそこで後藤を助けたかは自分でもわからない。放っておいてもよかったはずだ。
(やはり、あいつの姉だからか? まさか?)
それを考えるのはとりあえずやめて、ユウキの位置を確認するためレーダーの範囲を広げる。
どんどん拡大していくが、自分以外のEE JUMPのメンバーであることを示す紫の点はみつからず、
ついに島全体をカバーするまで範囲を広げるが、やはり紫の点は存在しなかった。
「どういうこと?」思わず口にする。
そのとき辺りに「うたばん」のテーマが流れ始めた。
(もう昼か……。)

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419 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:53
「石橋貴明が、お昼の12時をお知らせします。ぷっぷっぷっぷー。
 どーもぉ、みなさんお元気でしょうか? あ、死んでるヤツもいるんだっけ。
 まいっか、死亡者の発表をするぞ〜。
 SALT、稲葉貴子・前田有紀・加護亜依、それとAIRのミカ・高橋愛、WATERの紺野あさ美・矢口真里・吉澤ひとみ、
 FOODの中澤裕子、最後にスペシャルチーム ユウキ。以上の10人だ。
 ここへ来てハイペースになっているじゃないかあ。その調子でどんどん殺しあってくれ。」

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420 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/04(金) 23:54
FOOD TEAM'S PHASE──

「10人…」亀井は思わずつぶやいていた。
「10人…」隣の田中もつられるように同じことをつぶやく。
ふと保田をみる。保田は窓の外のきっと睨みつけていた。
同期であった矢口の他、娘。だけで5人も死んでいるのだ。
メンバーになって1ヶ月強の亀井でさえ、なんだかやりきれない気持ちになっている。
5年間モーニング娘。として裏を支えてきた保田の気持ちは推して知るべきだろう。
現在は、亀井の首輪を外してもらっているところである。
このあとは田中の首輪を外す予定である。

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421 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
SALT TEAM'S PHASE──

松浦は別荘へと戻る途中だった、なぜなら本来はそこで待っているはずだったからだ。
現在は島の中央の丘からやや北へと進んだところだ。もう少し進めば右に道が別れ、
そっちは診療所へと続いているはずだ。下は砂利道で細く、車は通れないようだ。

松浦も放送を聴いて驚いていた。
(前田さんと稲葉さんと加護ちゃんが死んだ? そしてSALTはあと2人?
 どうしよう? まつーらとまこっちゃんだけ、しかも2人ともばらばらじゃ、生き残れない…。
 そうだ! まだ人数の多いWATERかFOODに入れてもらえればいいんだ。
 ……FOODにあんまり仲良い人いないんだよね。やっぱりWATERか。美貴ちゃんがいてくれれば話は早いんだけどな。)

422 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:12
と、その時、後ろから「亜弥ちゃん?」と聞きなれた声が松浦にかかった。
後ろを振り向くと、そこには今心に思い浮かべた人物がいた。
「美貴ちゃん!!」
(ラッキー! まつーらツイてる! ありがとう、神様仏様イエスキリスト様アッラー様…)
松浦は心に浮かんだありとあらゆる神様に感謝した。
「ふ〜ん、黄色はSALTなんだ〜。」といって藤本は近づいてくる。
手にはPDAのようなものを持っている。
「よかった! まつーら一人で寂しくしていたんだよ。みんなとはぐれちゃって、
 今の放送で前田さんとか稲葉さんとか加護ちゃんが死んじゃっててすごく悲しかった。」
「美貴のいるWATERも、紺ちゃん・矢口さん・よっすぃ〜といなくなっちゃった。」
30秒ぐらい静寂が続いた。松浦は死んだ人間のことを考えていたし、藤本もきっと同じだろう。
松浦は、気を取り直すとさっきから気になっていることを藤本に質問した。
「その傷どうしたの?」近づいて来てわかったのだが、藤本の左頬に横一文字に傷がついていた。
「ん、ちょっと転んでね。」藤本は左頬に触れながら答える。
松浦は傷に関してもう少しつっこみたかったのだが、藤本はあまり話したがらさそうだったので別の話題にうつることにした。

423 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 01:13
「…ところで、右手に持っているそれ、何?」
「これ? レーダーっていえばいいのかな…。みんなの居場所がわかるんだ。
 この青い点が美貴。んで黄色い点が亜弥ちゃん。」
松浦は覗き込む。そこには黄色い点と青い点が中心付近に並んでいた。
「ここを押すと」と言って藤本は画面の下部についているスイッチを押す。「範囲が広がるっと。」
すると、黄色い点と青い点の位置は変わらないが、赤い点が2つと緑の点が1つ上部に現われた。
赤い点のうちの1つは2人に近づいているようだ。
「へぇ〜、すごいね。」
「美貴は、これで仲間を探すんだ。みんなバラバラになっちゃったでしょ。」
「ねえ、まつーらも一緒に行動していい? やっぱり1人よりも2人の方が心強いし。」
(美貴ちゃんが仲間を集めて、タイミングを見計らってWATERに入れてもらおっと。)
すると、藤本は少し考えて口を開ける。と、その時、
「あれ? ミキティにあややじゃん。」という声が松浦が今から向おうとしている方から聞こえてきた。
2人とも声のした方向を振り返る。

後藤真希だった。

そして、松浦は藤本の顔色が少し沈んだのに気がついた。

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424 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:21
SALTとAIR 和睦しようとするもSALTの計画により中澤銃殺、その責任を石川に >>210-212
WATER 探索隊 別荘へ >>214
AIR ミカ・高橋 丘へかけつけるも、SALT逆ギレで石川つれて退散 >>215-216
SALT 加護・小川 丘へ出てくる→稲葉SALTにチーム変更 >>223-227
WATER 矢口 SALTに遭遇、中澤の死を知る >>228-230
FOOD 保田 PCと格闘&中澤の死をSALT側とAIR側から報告をうける
後藤・里田・みうなは倉庫へ >>234-238
SALT 稲葉がSALTに移るまでの経緯 >>241-245
SALT 加護・小川 WATERに亡命決意 >>246
AIR 石川 SALTの目的に気付きブチギレて、別荘へ >>247-250
WATER 藤本 学校へ帰還 >>251-252
WATER 紺野 隠れていたところを発見され、騙されてユウキに殺される >>253-263
FOOD 後藤・里田・みうな 直接別荘へ >>268
WATER 斉藤 集会所へ >>269-270
矢口・石川遭遇。石川が矢口を斬殺 >>271-273 >>278-279
SALT 加護・小川 別荘を出ようとするところを松浦に見つかるが通してもらう >>274-277

425 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
誰かから誰かへのメール >>281
WATER 斉藤 集会所へ到着 >>282-283
WATER 吉澤・辻・藤本 紺野の死を知る >>284-285
WATER 藤本 仇を討つために出て行く >>287-289
AIR ミカ EE JUMPの2人に殺される >>290-299
EE JUMP ユウキが単独行動をとる >>304-306
AIR 石川 加護・小川を追いかける >>309-315
SALT 小川 石川と話し合うが決裂。気絶させられる >>317-319
SALT 前田・稲葉 中澤の遺品を集会所に届けにくる >>320-321
高橋・松浦 石川達を追う >>322-324
EE JUMP ユウキが稲葉を突き殺す >>325-327
EE JUMP ソニンがジャマーを起動 >>331-333
AIR 石川が加護においつく >>334-336
WATER 辻 加護を守る >>340-341

426 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
木梨 現在の状況を確認する >>342-344
石田AD 保田の侵入を確認する >>345-346
後藤・里田・みうなが矢口の死体発見 >>347
WATER 吉澤 石川達の仲裁 >>348-351
FOOD 保田 首輪の爆発装置の解除 >>353-354
WATER 吉澤 加護たちをおいかけようとする石川を気絶 >>355-357
AIR 高橋 吉澤が石川を殺したと勘違いし斬殺 >>358-362
AIR 石川 吉澤が殺されたことに怒り高橋を射殺 >>363-364
SALT 松浦 学校で使えそうなものを自分のものにする >>365-367
WATER 辻 加護とともに北へ >>368
保田と斉藤 首輪を外す >>370-373

427 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/07(月) 20:22
石田AD 首輪を外す行為を確認 >>385
SALT 前田 後藤・里田・みうなに発砲 みうな怪我 >>387-390
EE JUMP ソニン 前田の喉をナイフでかき切る >>392-395
藤本VSユウキ >>396-406
FOOD 後藤 診療所へ >>408
WATER 藤本 レーダーを発見 >>409-410
SALT 小川 学校で高橋と吉澤の遺体発見 >>412-413
SALT 加護 辻に背負われながら出血多量で死亡 >>414-415
EE JUMP ソニン 灯台へ >>418

3回目の放送 >>419

428 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/08(火) 00:11
容量オーバーの前に物語を終わらせたいが・・・・

429 :名無し娘。:2004/06/08(火) 13:34
>>428
思うようにやってください。楽しませてもらいます。

430 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
FOOD TEAM'S PHASE──

里田とみうなを探す後藤は、別荘を離れ診療所に向ったがそこには誰もいなかった。
診療所で放送を聴いたが、里田もみうなも死んではいなかった。
とはいえ、吉澤や加護、自分の実弟であるユウキの死にはかなりのショックをうけたのだが。
しかし実際に死体を見たわけでもないので、彼女らの死については実感がなく、悲しかったが涙は出なかった。

里田とみうなは集会所に帰ったのかと思い、一旦集会所に戻ることにした後藤は、
途中で藤本と松浦をみつけた。そのまま避けて行こうかと一瞬迷ったのだが、
2人とも一応同じユニットに配属された縁もあり、声をかけた。

「あれ? ミキティにあややじゃん。」

431 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:47
2人は後藤の進行方向、南を向いていたのだが、2人そろって振り向く。
「ごっちん…。」松浦は驚く。
藤本は黙って振り向く。その左頬には横一文字の傷があるのに後藤は気がついた。
「どうしたの、こんなところで?」と後藤は尋ねる。
「偶然、美貴ちゃんと会ってね。といっても美貴ちゃん、レーダー持っているから美貴ちゃんからすれば、
 偶然でもないんだろうけど、ね。」と隣の藤本に賛同を求める。
ところが隣の藤本は下を向いて黙っていた。
「どうしたの、美貴ちゃん?」松浦は心配して尋ねた。
藤本はそんな松浦の質問にはこたえず、真剣な表情をすると、
「ごめん、亜弥ちゃん、ちょっとここで待っていて。」と言って後藤の方へすたすた歩いてくる。
(どうしたんだろう?)と考える後藤に近づき、「ちょっと話がある。」と言って、
後藤のデニムシャツの袖を引っ張りつつ、後藤が来た方向へ歩いていく。
30mぐらいは歩いただろうか。松浦には姿は見えるけど、声が聞こえないところまでは来たようだ。
藤本は立ち止まると「聞いて欲しいことがある。」と話をはじめる。
「何?」「ごっちんの……弟のこと。」藤本は表情を変えずに答える。
後藤は生唾を飲み込んだ。

432 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
それから藤本は語り始めた。ユウキとソニンが今朝、夜明け前にWATERの本部である学校を夜襲し、
あさみと村田を殺したこと。その後、藤本が単独で行動していたところユウキが襲っていたこと。
それでユウキと争い、ユウキが死んだ紺野の武器を持っていたこと。
そして……ユウキを殺したこと。

後藤は話の途中で、藤本がユウキを殺したということはなんとなく予測はしていたが、
実際本人の口から聞くとショックだった。
藤本が話を終え、後藤も喋らなかったので、沈黙が1分程続いた。
後藤は何気なしに、松浦の方を見る。松浦はつまらなさそうに地面を蹴っていた。
「よく言う気になったね。」とここではじめて後藤は藤本に言った。
「人の弟殺しといて、よくも堂々と。」と後藤は右手で銃を作り人差し指を藤本の額につけ、
「バァーンって殺されるかもしれないのに。」と撃つ真似をした。
「言っておいた方がいいと思って。」藤本は後藤を見たままそういう。
「てかさ、ミキティはそれをあたしに言ってスッキリしたかもしれないけどさ、
 あたしにとっては、『はぁ? 何、それ?』って感じ。
 ミキティから見れば自分の仲間を殺したやつだけど、あたしにとっては可愛い弟なんだよ。
 『正当防衛であなたの弟を殺しました。仕方ないですよね?』
 みたいに開き直っている感じがするんだよ。」後藤も藤本を真直ぐ見ながら言う。

433 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:48
「別にそんなつもりは……。」と藤本。
「……うん、わかってるよ。…そんなつもりじゃないのはわかってる。」
後藤は下を向いて首を横に振りながら続ける。
「ごめん。ミキティにこんなこと言ってもしょうがいないよ。全部、あいつら、うたばんのやつらが悪い。」
「弟が死んだってわかって、すぐ言った私もタイミング悪かったね。」藤本は詫びた。
「んで、あいつと争ったのってどこ? この島に来てわたしはあいつとは会っていないから、
 せめて死体のあいつでも会おうと思って。」
「……美貴が案内するよ。ちょっと目印になるものもないし。」と藤本が自分も同行することを提案した。
「そうしてくれると助かるよ。」
「じゃあ、亜弥ちゃん呼んでくる。」といって藤本は松浦の方へと歩いていこうとする。
「あ、ちょっと待って。」と言って後藤は呼び止める。
「何?」藤本は振り返る。
「まっつーは一緒に来てほしくないんだ。」
「え、なんで?」

434 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/09(水) 23:49
今度は後藤が藤本に語る番だった。SALTが中澤を殺した責任を一方的に石川に被せたこと、
その後タイミング良く、稲葉がSALTに加わったこと。
このことからおそらくもともと稲葉がグルではないかという推測。
そしてさっき、前田がいきなり後藤達に襲い掛かってきたこと。

「ま、松浦がどこまでかんでいたかはわからないけどね。
 後藤はSALTを信用してないんだ。だから一緒に行動したくない。」
藤本は面食らって、少し考えているようだったが、
「わかった。2人で行こう。」
「ごめんね。わがまま言って。」

─────────────────────────────────────────────────────

435 :名無し娘。:2004/06/10(木) 01:33
ミキティかっこいいよミキティ

436 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/10(木) 23:32
FOOD TEAM'S PHASE──

『さて、いよいよ急がなくちゃね。』保田は筆談で会話する。
斉藤が保田の首輪を外した後、亀井達はお互いの首輪を外して4人とも外せるようにはした。
だが完全にはずしてしまうと、カメラに写ったら即バレてしまうので、
一応首には装備しておいて、いつでも外せるようにしてあった。
そして今から4人で手分けして、みんなに首輪の効果がなくなったことを知らせて回るのである。
組み合わせは保田と亀井、斉藤と田中の2手に別れる。
保田達は、東の学校方面へ、斉藤達は西の港方面へと向かう。
「それじゃあ、みんな行くわよ。」
こうして4人は集会所を出発した。

─────────────────────────────────────────────────────

437 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
SALT TEAM'S PHASE──

待ちくたびれた松浦は座り込んでいたが、後藤と藤本が近づいてくるのを見ると、
立ち上がりお尻をパンパンとはたく。
「話長かったね。んで、たん、どこに行くの?」
「ん、ごっちんとちょっと行かなくちゃいけないところがあるんだ。」藤本の顔色は冴えない。
「え、まつーらは?」
「ごめん、一緒にいけない…。」
松浦は藤本が当然自分と行動してくれるものとばかり思っていたので、
藤本の突然の翻意に驚愕し、声が出せないでいた。
「…なんで?」10秒後、松浦は少し怒りを込めた声で理由を尋ねた。

438 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
「後藤が2人だけで行動したいって言ったからなんだ。」と隣の後藤がかわりに答えた。
「なんでまつーらはだめなの?」松浦は、そんな後藤を睨みながら尋ねる。
「ふう…」後藤は松浦からいったん目を逸らし、遠くを見つめるとまた松浦と視線を合わせる。
「まっつーのいるSALTがさ、裕ちゃんを殺したっていう話が耳に入ってきているんだよね。
 しかもその罪を梨華ちゃんに被せたっていう話も。」
「そんなのAIRが流しているデタラメに決まっているじゃない。」松浦は声を荒らげる。
「その話が本当かデタラメかっていうのは判断できないんだけど、
 要は後藤はSALTも梨華ちゃんも信用しないってこと。
 だから信用しない人と一緒に行動しない、とそういうこと。ミキティ行こう。」
「う、うん。」藤本は名残惜しそうに松浦をちらちらと振り返りながら、
後藤とともに丘方向へと歩いていく。その道は右側が角度のきつい斜面になっている。
2人はわりと右側を歩き、左に藤本、右に後藤という隊列である。

439 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/15(火) 21:03
松浦は左の親指の爪を噛みながら、2人を恨めしそうに睨んでいた。
自分だけが仲間はずれにされた事、親友の藤本に後藤が余計なことを吹き込んだ事。
(後藤が余計なことを言わなければ……。あの魚女め!)
松浦は体が勝手に走り出していた。
後藤と藤本は熱心に何か話し合っているらしく、こちらには気付かないようだ。
松浦はスピードを上げる。ある程度近づいたところで2人は気付いたらしく、2人とも振り返る。
松浦は両手を前に出し勢いをつけて、振り返った後藤を斜面側に突き飛した。

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440 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は、通常ならば後藤よりも松浦を優先するところであったし、
どっちを信じるかって言われれば、松浦の方を信じただろう。
実際この時も、中澤さんの件に関しても松浦は軽くしかかんでいないだろうと思ってはいた。
だが後藤の言うとおり松浦の同行を断ったのは、ひとえに「後藤の弟を殺した」という負い目からだった。
とはいえ、殺した行為自体は正当防衛だとは思っていることには変わりはない。

松浦を置いて2人で、藤本とユウキが戦ったところへと向う。右側が急斜面になっており、
自然と後藤が右側になった。
「その顔の傷…」と後藤は自分の左頬を指で一文字になぞる。「もしかして…」
藤本は黙って頷く。それで後藤も全てがわかったようで、「そう。」というと、
「ところで、その家までここからどれくらいあるの?」と話題を変えた。

441 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/18(金) 00:15
その時である。後ろから誰かが砂利道を駆けて来る音がする。
2人は振り返るとそこには、怖い顔をした松浦が走ってきていた。
松浦は振り向いた後藤の胸を、ドンと斜面のほうへと突き飛ばす。
突然の事に後藤は対応しきれず、体勢を崩しながらも咄嗟に松浦の手を掴む。
後藤の後ろには一応、転落防止用らしき木の横板があったものの長年の風雨で腐っていたらしく、
倒れてきた後藤を支えられずあっけなく破れる。

後藤と松浦は2人で斜面上に投げ出される。
藤本は慌てて、道路の端へ行き斜面を見る。2人は悲鳴をあげながら斜面を転がっていく。
途中まで2人は同じ軌道で動いていたが、途中からは別々の軌道を描きながら落ちていく。
斜面の下の方は林となっており、2人は林の中へと落ちていき姿を消し、
ここからでは2人がどうなったかわからない。

藤本は地図を取り出す。この下の林に行くには、島の北東部の海岸方面からしか行けないようだ。
藤本は地図をしまうと、別荘方面へと急いだ。

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442 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:30
SALT TEAM'S PHASE──

学校にいた小川だったが、結局逃げるようにして学校から出てきてしまった。
とりあえず、行く先もなかったが、なんとなく別荘へと戻っていた。
戻る途中で、12時の放送を聞いた。10人もの死者が出てしまったこと、
特にSALTのメンバーが3人も死んでしまったことにショックを受け、ますます落ち込みながら歩いていく。

やがて別荘へと着く。石川に襲われた時に、松浦に拒絶されたことを思い出し憂鬱になる。
(一度裏切ったんだからしょうがないよね。でも残り2人だし、謝れば許してくれるかも。
 ダメだったら、その時に考えよう。)
玄関のノブを回し鍵がかかっていることを確認して、玄関のチャイムを鳴らす。

ピンポーン

しばらく待ってみたが反応がない。もう一度押してみる。

ピンポーン

443 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
やっぱり反応がない。小川は諦めてその場から離れようとしたときに、
玄関からガチャっと鍵が中から開けられる音がした。
小川は振り向くと、そこには意外な人物。里田がいた。里田は小川に呼びかける。
「入って。……とはいってもここはあなたたちの家だっけ。」

10分後、小川は別荘の1階の応接間にいた。
小川は椅子に座っており、丸テーブルを挟んで向こうには里田がいる。
尚、2階の客間用の寝室のベッドにはみうなが寝ているとの話だった。

444 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/20(日) 21:31
小川と里田はお互いの情報を交換し合った。小川は前田が突然銃を乱射してきたことに驚き、
里田も石川が矢口を殺し、さらに加護と小川をおいかけてきたことに驚いているようだ。
里田はみうなの怪我が重傷なので、島の診療所に行っていろいろ取ってきたいが、
みうなをここに1人で置いておくわけにはいかず、困っていたと語る。
そこへ小川が近づいてきたので、かつて争っていたSALTのメンバーで少し迷ったが、
小川を信用し、玄関を開けたという経緯らしかった。

「じゃあ、わたしがここで待っていて、時々みうなさんの様子を見ていればいいわけですね。」
「そう。そんなに時間はかからないと思うんだけど…。」と里田は付け加えた。
その後、2人は2階へ上がり、みうなに今決まったことを話した。
「里田さん…、気をつけてください…。」
みうなの顔色は悪く、あまり大きな声が出せないようだった。
「な〜に、すぐに戻ってくるって。」と言うと里田は明るく微笑んだ。

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445 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:06
WATER TEAM'S PHASE──

10人もの死亡者、そのうち学校で待っているはずの吉澤の名前があったことで、
飯田達3人にも動揺が走った。やはり学校で何かあったと思い、足取りを速める。
ただ、1つの希望は、リストの中に辻の名前がなかったことである。
(せめてのんちゃんは無事でいてくれるといいんだけど…。)飯田は心配する。

3人はようやく丘と学校の中間地点のところまで来た。
ここは一面見晴らしのいい畑で、ところどころ道端には綺麗な花が咲いている。
飯田はふと、学校のほうから、誰かが歩いてくるのを見つけた。

その人物はWATERの上着を着ているので、始めは仲間だと思った。
だが良く見てみると着ているのは上着だけで下は全然違う衣装である。
そしてその見覚えのある顔は……。

446 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/27(日) 01:07
「梨華ちゃん!」
友人である柴田は石川に声をかける。だが石川は反応しない。
柴田は、「どうしたの?」と言いつつ石川に近づく。
飯田は、ふと石川の雰囲気が異様なことに気付いた。
うまくはいえないが、正気の人間が持つものとは違う気がする。
飯田は言い知れない不安に駆られた。

「柴っちゃん! 近づいちゃダメ!」思わず叫ぶ。
「え?」柴田が振り向く。その柴田の頭がころっと胴体から離れ、
首から血しぶきを飛ばしながら、道沿いの畑へと落ちる。
主を無くした胴体はどさっと横へと倒れる。
胴体の向こうには、斬鉄剣を持った石川がいた。
「きゃーーーー」横のアヤカが悲鳴を上げた。

柴田あゆみ:死亡 【WATER 6人→5人】

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447 :名無し娘。:2004/06/27(日) 10:52
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

448 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/28(月) 00:27
SALT TEAM'S PHASE──

「ん、ん?」松浦は目覚めた。何か悪い夢を見ていた気がするが、全く覚えていない。
周りを見てみる。たくさん木が生い茂っている。どこかの森のようだ。
そういえば、体のあちこちが痛い。体を見てみるといろいろなところに切り傷がある。
松浦は徐々に記憶を思い出してきた。
(ごっちんと美貴ちゃんに置いてけぼりをくらってカッとなって、
 ごっちんを突き飛ばして……、ごっちんが落ちる間時にまつーらの腕を掴んで……、
 二人で転がっていって……、あ、一度木の上に私は落ちたんだっけ。
 そこから地面へと落ちた。木の枝がクッションとなって死にはしなかったってことかな?)
全身が痛いが、それでも生きているだけありがたいと思った。
(ところでごっちんは?)
松浦は立ち上がると後藤を探し始めた。

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449 :名無し娘。:2004/06/29(火) 01:59
(●´ー`)<メロン4人あっさり死に際で全滅、ごまっとう活躍雰囲気。
       作者さんの推し・アンチがわかるべなー

450 :名無し娘。:2004/06/29(火) 10:54
>>449
そうか?
斉藤さんは死んでないし、ごまっとうも少しも繋がるそぶりが見えないんだが、
むしろ黙っててください。

451 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道沿いの草むらをかきわけて歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

452 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
(居場所がバレた?)
里田は瞬間、正宗の柄に手をかける。
だが、藤本はまた走り出し、別荘のほうへと走っていく。
里田は草むらから顔をだし、藤本の足取りを目で追う。
藤本は別荘ではなく、海岸へと下る道を降りていった。
里田はホッとすると自分も草むらから飛び出し、引き続き診療所へと歩き始めた。

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453 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
>>451の改訂

AIR TEAM'S PHASE──

みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道の端をゆっくりと歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。

454 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
草むら歩いていたら音がしてしょうがないっちゅうねん。

455 :名無し娘。:2004/06/29(火) 23:56
>>450
ドンマイ。精一杯生きてくれ

456 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:20
WATER TEAM'S PHASE──

「みんな、みんな、死んじゃえばいいのよ。」
アヤカの悲鳴に反応し、石川は呟きながらアヤカに斬りかかる。
アヤカは反応できずにいた。飯田はナップザックを放り投げ、自分の王者のつるぎを鞘から抜くと、
アヤカの前に立ち、石川の一撃を剣でうける。

キーン

金属同士がぶつかる音が響く。石川の細身の体から放たれたものとは信じられない程一撃は強く、
飯田は少し腕がしびれた。だが、そんな感想を持つ間もなく石川は次々と斬り込んでくる。
飯田は反応するのが精一杯で反撃する暇もない。
突然、石川は足払いをかけてくる。斬鉄剣で斬ってくると思っていた飯田は反応できずに、
足をなぎ払われ尻餅を突く。上を見上げると石川が斬鉄剣を逆手に持ち飯田にむけて、
振り下ろそうとしていた。飯田は死を覚悟した。

457 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

あたりに銃声が響き、石川の手がはじかれ斬鉄剣を落とす。斬鉄剣は飯田のすぐ前の地面に刺さった。
飯田はこの隙を見逃さず、立ち上がり石川と距離を取る。
石川を見てみると石川は苦痛に顔を歪めながら、右手で自分の左手首を押さえており
手の間からは血が流れているのが見えた。飯田は、銃声の方向をへ向く。
するとそこには、飯田のデリンジャーを持って石川に狙いを定めているアヤカの姿があった。

飯田は石川に声を掛けた。
「石川、争うのはやめようよ。私たちが争っていても喜ぶのはスタッフだからさ。
 みんなで協力してここから脱出しよう。ね?」
石川はしばらく何も言わなかった。飯田が、また話し掛けようと思った瞬間に石川の口が開いた。
「…もう、どうでもいい。だれが、死のうが、だれが、殺されようが、もう、わたしには関係ないの。
 わたしは、ただ、すべてを、滅ぼすだけ。」というと右の尻のポケットに右手を入れる。

458 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
バーン

さっきと同じ銃声が響いた。今度の銃弾は石川の上腹部やや右のあたりに命中した。
石川は苦悶の表情を浮かべると、口から血を吐きながら、ゆっくりと前に倒れた。
そしてその右手にはデザートイーグルが握られていた。

飯田は下唇を強く噛んだ。

石川梨華:死亡 【AIR 2人→1人】

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459 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:23
「ども、中居ですが、ここでみなさんに連絡があります。
 この時点を持ってAIRチームの残り人数が一人となりましたので、
 これ以降、AIRチームメンバーの所属変更は認められませんので宜しくお願いします。」

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460 :名無し娘。:2004/07/05(月) 02:53
アヤカ→石川(銃殺)

みたいな感じで途中結果おねがいします

461 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:58
WATER TEAM'S PHASE──

藤本は後藤と松浦の落下地点辺りへと到着していた。
さっき、道の途中でAIRのメンバーと接近し、その人物の位置も把握していたが、
相手の姿が見えないし、こちらも急いでいたので無視して先を急いだ。

途中でレーダーを確認したが、この落下地点には光点は確認することができなかった。
ただ、全体図でSALTのメンバーのうち1人が南東の方向へと移動中であることを確認していた。
もう1つの点は変わらず別荘にあるので、移動中の点が松浦であろう。

歩いていると、藤本は遠くに太い木を発見する。
現在は、近くにある木の葉などから根元のところしか見ることはできず、上の様子はわからない。
ただ、他の木と比べるとひと目で気づくのは、木の幹が真っ黒であることだ。

462 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:59
歩いていくうちに、視界を妨げる葉が減ってきて黒い木がはっきりと見えてくる。
だんだんわかってきたのだが、どうやらこの木は枯れ木のようである。
途中から斜めに折れたようであり、みるみる枯れ木の先が細くなっている。
黒くなっているのは、おそらく落雷が原因だろう。
ある程度近づいてきて、藤本は枯れ木の上の方が鋭くなっているのに気付き、
そこに何か異様なものが刺さっているのに気付く。

(!?)
どうやら人間のようだ。デニムシャツを着てジーンズを履いているその人物の顔は、
藤本のよく知る人物だった。
「ごっちん……。」
それは落下して松浦とは逆に最悪の位置に落ちた後藤真希だった。

後藤真希:死亡 【FOOD 5人→4人】

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463 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 19:00
石橋→道重(首輪爆発)
前田→新垣(手榴弾のトラップで爆死)
大谷→安倍(銃殺)
松浦→大谷(精神的に追い詰め自殺させる)
ソニン→あさみ(暗殺)
ソニン→村田(銃殺)
稲葉→中澤(銃殺)
ユウキ→紺野(刺殺)
石川→矢口(斬殺)
ソニン→ミカ(銃殺)
ユウキ→稲葉(刺殺)
高橋→吉澤(斬殺)
石川→高橋(銃殺)
ソニン→前田(暗殺)
藤本→ユウキ(刺殺)
石川→加護(出血多量)
石川→柴田(斬殺)
アヤカ→石川(銃殺)
松浦→後藤(突き落とす)

464 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:44
SALT TEAM'S PHASE──

時は少し遡る。
松浦が後藤の遺体を発見したとき、松浦の頭の中で何かが崩れる音がして、
その場から逃げるように走り去った。だが、松浦の頭の中で、後藤の串刺しにされた体、
無念そうな顔、口から漏れた血、全てが松浦の意志とは反対に頭に焼き付けられてしまった。
そしてそれらは、消そうと思っても消せない。
「私は悪くない私は悪くない私は悪くない、あんなところに落ちた後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を無視した後藤が悪い。
 私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を道連れにした後藤が悪い。
 私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない
 後藤が勝手に死んだんだ……。」
その時、何かの段差につまづいてしまうが、そんなことには構っていられずにまた走り出す。

465 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:45
やがてまた夢中で走ると目の前に1人の人物が現われた。
──な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!
その人物とは大谷だった。
「あなたは後藤さんを殺したひとごろし。」
大谷は呟くように言う。だが、松浦の耳にははっきりと聞こえた。
──違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!
「あなたが突き飛ばさなければ後藤さんは死ぬことはなかった。」
大谷は両手を広げ、ゆっくりと松浦に近づいてくる。
松浦はナップザックからデザートイーグルを取り出すと震える手で大谷に銃口を向ける。
──そ、それは、後藤がまつーらを無視するから。
「その原因はあなた自身にあるってこと、自分が一番良く知っているはず。」
大谷はますます近づいてくる。
──うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ! 
松浦は目をつぶりデザートイーグルのトリガーを弾いた。何かがドサッと倒れる音がする。
松浦は目を開ける。
「う、嘘…。」
倒れていたのは、大谷ではなく斉藤瞳だった。

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466 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:24
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤と田中は、集会所を出ると港へと向っていた。
だが途中まで来たところで、道路わきの草むらがガサゴソと音を立てたかと思うと、
松浦が姿をあらわした。斉藤たちの進行上の道だったので、向こうはこっちにはまだ気付いていないようだ。
斉藤は「あたしがいってくる。田中ちゃんは待っていて。」というと自分のナップザックを持ち、
松浦に近づいていく。

斉藤はまず「松浦さん」と声をかけた。松浦は斉藤の出現に大変驚き、
「な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!」と叫んだ。
(死んだはず? どういうこと?)と思ったが、「松浦さん、大丈夫?」と心配する。
すると松浦は何かに怯えながら、「違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!」と叫んだ。
(混乱しているのかしら? とりあえず敵意がないことを示さなくちゃ。)
斉藤は「大丈夫、私は敵じゃないの。」と言いつつ、松浦に近づくが、
そのうち松浦は震えながら銃のようなものを出しそれを斉藤に向けた。
斉藤はナップザックをその場に置き、両手を広げて敵意のないことを示すと、
「ほら、武器なんて何も持っていないから。」と松浦に話しかける。

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