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俺と娘。の夢物語~in 狩狩~3
- 1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
- すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m
- 16 :名無し娘。:2006/09/24(日) 00:15
- 皆さんはじめまして。
よろしくお願いします。
少し遅くなりましたが後藤さんお誕生日おめでとうございいます。
- 17 :名無し娘。:2006/09/24(日) 00:45
- 入りは間に合ってるからOKでしょ
ごまきペンギンイイヨー
- 18 :名無し娘。:2006/09/24(日) 07:59
- 「ごっちん、これから食事にでも行かない?」
「ん~いいよ。」
「ごめん、暑いから着ぐるみ脱いでいいかな?」
ごっちんが申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、気付かなくて。」
着ぐるみを脱ぐのを手伝って、着ぐるみとマットを片付けた。
「着替えてくるね。ちょっと待っててね。」
プレゼントのブーツを持って着替えに行った。
- 19 :名無し娘。:2006/09/24(日) 08:42
- 「おまたせ。」
ごっちんは私服に着替えてきた。
「ごっちん、ブーツに似合ってるよ。」
「ありがと。このブーツかわいいし、それに履きやすいよ。」
そう言って、ごっちんは喜んでくれた。
「ピアスかわいいのだね。」
「この前、梨華ちゃんがくれたんだ。誕生日プレゼントに。」
「そうなんだ。梨華ちゃんどうしてるのかな?」
「どうだろうねー。」
そのあと僕はごっちんと駐車場に向かいました。
- 20 :名無し娘。:2006/09/25(月) 00:51
- 「先輩!!」
僕は廊下を歩いていると田中さんに声をかけられた。
田中さんは上目づかいで
「今日のれいなはどう?」
「かわいいよ。」
「ほんと、じゃあキスしてください。」
「ごめん、それは無理。」
「じゃあ、れいなのブーツなめて下さい。」
「ちょっと、れいなどうしたの?」
「先輩にキスしてほしいっちゃー。」
「しょうがないな。ほっぺでいい。」
「本当はくちびるがいいけど、ほっぺでいいっちゃ。」
キスをすると田中さんは元気に走っていった。
ふりむくと亀井さんと道重さんも上目づかいで僕を見ていた。
- 21 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/09/25(月) 01:50
- 2日遅くなりましたが後藤さん誕生祝いのスタートです
遅れた理由は後書きで・・・
- 22 :-Rosario-:2006/09/25(月) 01:51
-
ドンドンドン!ドンドンドン!
夜、リハーサルから帰ってDVDを見ているとドアをノックする音・・・
「誰だ?こんな時間に・・・」
オートロックを超えて直接入ってこれる人は限られている・・・
「ミキティか???」
同じマンションに住んでる藤本さんあたりだろうと思って覗き窓をのぞくと
「あれ?誰もいない」
ところが覗き窓から覗いた玄関前に人影はない
気味が悪いとは思ったが、もし藤本さんが何かあって僕の家に来ているとしたら・・・
僕は思い切ってチェーンをはずしてドアノブに手をかけた
「おぁ!!」
ドアノブをひねって開けようとした刹那、向こう側から強い力で引っ張られて
ドアは勝手に開けられた
「プレゼントおくれ♪」
「へ???」
なんと玄関前にいたのはごっちんこと後藤真希さんだった・・・
- 23 :-Rosario-:2006/09/25(月) 01:52
-
「ごっちんかよ~~!!超びっくりした~」
「あはは~♪」
「オートロックのとこはどうやって入ったの???」
「前に来たとき、●●が押したオートロックの番号覚えた」
お酒でも飲んだのか超ご機嫌なごっちんは僕の驚きようにケタケタと笑っている
「とりあえず、ここじゃなんだからあがんなよ」
「うん♪おじゃますんね」
玄関前にこの酔っ払いをそのまま放置しておくのはまずいと思って
僕はごっちんを家の中へと招き入れた
「ほ~、相変わらず●●の家は綺麗だね~」
「ごっちんの家が汚いだけだよ」
「む~~~、そういう事言うな~」
「ごめんごめん、嘘ですって・・・」
「わかればよろしい、わかれば」
「フゥ・・・」
ごっちんは僕の首を絞めていた腕をほどく、おそらくあと1センチ上に捻られていたら
僕は落ちていたんじゃないかと思う・・・コワッ!
「ところでこんな時間にどうしたんさ?」
「だ~か~ら~、プレゼントおくれ♪♪」
ごっちんはこれ以上ないくらいフニャフニャの笑顔で僕におねだりをする
そう、あと数時間で訪れる9月23日はごっちん21歳の誕生日・・・・・・しかし僕は・・・
- 24 :-Rosario-:2006/09/25(月) 01:53
-
「ごめん、ごっちんのプレゼントまだ用意してないんだよ・・・」
「え~~~~・・・( ´・ω・`)」
「いや、あの、、、、その、、、コンサートのリハとか忙しくて買いに行けなかった」
「忙しいねぇ・・・高橋さんには白いバラを上げたくせにですか・・・ハァ・・・」
「え!!??」
「んふふ、ごとーさんは何でも知っているのですよ」
「ごめん、ホントごめん!!」
「うーん、どうしよっかな~~」
ごっちんはまるで探偵にでもなったかのようにあごに手を当てて考えている
しばらくのそうしたあと、僕の方を見た・・・んだけど無表情だよ!!
ごっちんの無表情はコエーんだよなぁ・・・。
「よし決めた♪」
ごっちんは僕を見ながら何かを決めたようだ
「プレゼント貰うね~♪」
ごっちんはそういうと僕に近づいて来て、僕の首に手を回す・・・
「ちょ、ちょっと・・・」
「あ~、動かないでよ~」
キスでもされるのかと思って思わず身構えたらごっちんはすっと離れた、
そしてその手には僕がいつもつけているネックレス
- 25 :-Rosario-:2006/09/25(月) 01:53
-
「びっくりしたじゃんかよ」
「プレゼントはこれを貰うね、あは♪キスでもすると思った?」
「思ってないとはいえないけどね・・・、でもそんなもんで良いの?」
「うん、良いの良いの」
ごっちんは僕のネックレスを早速自分の首につけるとご機嫌でそれを眺めている
「あと今日はとことん付き合うこと!いいね?」
「あ、ああ」
それから数時間、僕とごっちんはお酒を飲みながらひたすら話した
久々にごっちんと真面目に深い話もできたし、僕にとっても物凄く有意義な時間となった
9月22日23時58分・・・ごっちんの誕生日まであと2分
ごっちんは僕の膝枕で気持ち良さそうに眠っている・・・何でこうなったかって言うと
まぁ、姫のわがままってやつです・・・
「ックシュン」
膝の上のごっちんが小さなくしゃみをする、
半分くらい開けた窓から入ってくる風はだいぶ涼しく、寒いくらいの時もある
僕はごっちんの上掛けを取ってこようと思ってごっちんを起こさないよう静かに
その場を離れようとしたとき・・・僕の右手をつかむ華奢な手
- 26 :-Rosario-:2006/09/25(月) 01:54
-
「やだ、行っちゃやだ・・・あともうちょっとここにいて」
「いや、寒そうだったからさ」
「いいの・・・あと1分くらいだからここにいて、ね♪」
そういってごっちんは僕に時計を見るように促す
9月22日23時59分・・・ごっちんの誕生日まであと1分
ごっちんは体を起こして僕に寄りかかって肩に頭を預けて時計を見ている
9月23日00時00分・・・ごっちんの誕生日
時計が12時を指して日付が9月23日へと変わった
「ごっちん、誕生日おめでと」
「ありがと・・・」
「・・・。」
ごっちんは僕の頬にやさしくキスをした
「こら」
「あは、これじゃどっちが誕生日なのかわからないね♪」
そう言ってフニャフニャと笑うごっちんの胸元にはさっきまで僕の胸元にあったロザリオのネックレス・・・
僕はロザリオに静かに、でも強く願った・・・ごっちんをしっかりと守ってあげてくださいと・・・
- 27 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/09/25(月) 02:06
- あとがき
( M _ O)<後藤さん遅れて申し訳ない!!
遅れたのは何でかって言うと実はこれ途中から
すべて作り直しました。最初はカクテルの話とか出てくる
設定で書いていったんですけど、大風呂敷広げすぎて
話がうまく落とせなかったんで作り直しました
カクテルの話はまたどこかで書くと思うんで楽しみに
していてください。
>>3(TACCHIさん)
コラボ&スレ立てサンキューです!実は前スレが500KBいってるのに
少しの間気づいてなくて、これTACCHIさん書きかけだよなぁ・・・
とか思っておりましたw
>>12(匿名さん)
相変わらず快調なペースですな♪今回のスレでも
よろしくお願いいたします!!!
>>16(新人さん)
はじめまして!MONIXと申します♪
ゴマキペンギンいいっすね~~
これからよろしくお願いいたしやす!
- 28 :名無し娘。:2006/09/25(月) 23:26
- 「おーい。」
藤本さんが声をかけてきた。
「何、ミキティ?」
「どう、これ?」
藤本さんが僕に履いていたブーツを見せた。
「お母さんと買い物行った時に買ったんだ。」
「かわいいよ。」
「本当かなー。」
「ラジオでファンの人から、
「藤本さんがもし足が臭くても
僕は大丈夫です。安心してください。」
ってメールが来たんだ。」
「ミキティは何て答えたの?」
「本当に臭くてもいいの、やだ美貴が恥ずかしいよ。」
って答えた。」
藤本さんは、僕の目を見て、
「あんたなら美貴のブーツの匂い特別にかがしてあげよう。」
「どうして?」
「本当の事言うと足のこと気にしてたんだ。
インターネットとかでミキティは足が臭いって書かれてるし。」
「美貴は大丈夫と思っても、他の人がどう思ってるか、
わかんないし。」
「だからお願い。●●なら恥ずかしくないから、
美貴のブーツの匂いかいで。」
「わかったよ。でもいいの?」
「うん。」
藤本さんはブーツを脱いだ。
僕はブーツの匂いをかぐ。
「どう?」
「少し蒸れた感じがするけど大丈夫だよ。」
「本当ー。うれしい。」
藤本さんはブーツを履いて、僕にこう言った。
「美貴のお願い聞いてくれたから、
ご飯おごるよ。」
「ミキティが、珍しいね。何おごってくれるの?」
「焼肉。」
僕と藤本さんは笑顔で焼肉屋さんに向かいました。
- 29 :名無し娘。:2006/09/26(火) 01:36
- なんかこのスレ最近良い調子ですね
みなさんそれぞれ良い感じで楽しく読ませてもらってますよ
- 30 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/09/26(火) 01:52
-
そっと伸ばした指先を近づけていく。
ゆっくりと、息をひそめて、そぉーっとそぉーっと。
爪の先で傷つけちゃったりしないように気をつけて。
ぷにゅって感じで触れてみた。
「ん? ムフフ♪」
意外とスベスベな感触が指先に伝わってきて、ついついにやけちゃった。
きゅっと眉を寄せて「うんん」と少し掠れた声がして、ビクッと手を引っ込める。
「だいじょーぶかな?」
そっと口の中で呟いて、ジッと様子をうかがうけれど、起きちゃったんじゃないみたいだ。
「んふふ、かーわいー♪」
もう一度伸ばした指先で予想以上にイイ感じだった頬をプニプニしてみたりする。
調子にのって続けていたら、間一髪、すっと持ち上げられた手に掴まれるところだった。
今プニプニしてたトコをさすってみて、それでも疲れてるのか目蓋は閉じられたままだ。
- 31 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/09/26(火) 01:53
-
「おや。けっこーマツゲ長いんですねぇ。……お疲れですかー?」
聞いてないってわかってるけど抑えた声で訊いてみた。
もちろん返事なんかなくって。あ、急に思いついた。
……たぶん、すっごいニヤニヤしてるんだろうなぁって思いながら、そっと呟いてみたりして。
「いい夢が見られますよーに、絵里がチューしてあげますね♥」
静かに顔を近づけて、だんだん先輩の顔がアップになっていって。
あと一息のところで眼を閉じて。
くちびるが触れようかって瞬間に、すっと空気が逃げていった気がして目を開けた。
「な、な、なに……してるの?」
横になったままで身体を反らせた先輩がビックリした顔でまばたきしてる。
「えっと……? 絵里はなにをしようとしてたんでしょー?」
「僕に解るわけがないでしょ……」
「……そーですよねぇ。じゃあ、失礼しましたー」
そそくさと先輩の楽屋を出ながら、心の中で舌打ちをした。
もうちょっとだったのにー!!
- 32 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/09/26(火) 02:03
- 亀井さん視点で短めに。
たまには逆から書くのも新鮮で面白いです。
が、読んでくださる側にどうなのかって話ですね(^^;;;
>>13-16
>>18-19
初めまして。
着ぐるみごっちんいいですね。ゴマキペンギン好きだったなあ。
>>20
上の人とは違う人かな? 初めまして。
ブーツ舐めてくださいって……w
>>22-26 MONIXさん
これもいいですけど、書き直す前のも気になりますねー。
なんとか書き上げてみてはどーでしょう?
>>28
ブーツの匂いを嗅がせる仲……フェティッシュですねー。
- 33 :名無し娘。:2006/09/26(火) 17:04
- 僕はマンションのリビングでくつろいでいると、
チャイムが鳴った。
玄関に行き確認すると藤本さんだった。
「ミキティどうしたの?」
「会わせたい人がいるんだ。」
藤本さんが不思議な笑みを浮かべた。
「みんな入って。」
そうすると、亀井さんと道重さんと田中さんが入ってきた。
「みんなどうしたの?しかも水着で。」
亀井さん達3人は全員ビキニを着ていた。
「疲れている先輩を癒してあげるんですよ。」
亀井さんがニコニコしながら言った。
「美貴は帰る。じゃあね。」
「ちょっと、ミキティ。」
藤本さんは行ってしまった。
「先輩はベットに横になってください。」
「みんなにバレたら何言われるかわかんないよ。」
「水着姿の絵里達を追い出すんですか?」
「さゆ、いちばーんかわいい水着着てきたのに。」
「ごめんごめん。でもそれじゃ目のやりばに困るから俺のTシャツ着て。」
僕はTシャツを取りに行く。
「新品のTシャツだから安心して。」
「先輩が着たやつがいい。」
「絵里も。」
「さゆも。」
「わがまま言わないの。」
「はーい。」
亀井さん達3人はTシャツを着た。
- 34 :名無し娘。:2006/09/26(火) 17:14
- 「じゃ、マッサージしますから着替えてください。」
「覗いちゃだめだよ。」
僕はTシャツと短パンに着替えた。
「先輩ベット寝てください。」
僕は仰向けで横になった。マッサージしてもらっているうちに僕は寝てしまった。
僕は目が覚めると、手が後ろ手て縛られてる。
しかも、亀井さん達全員Tシャツを脱いでいる。
「せんぱーい、目が覚めましたか?」
「えり、縄ほどいてよ。」
「どうしよっかな。先輩がおりこうさんにしていたら考えて、あ、げ、る。。」
「さゆ、れいな。助けてよ。」
「先輩がおりこーさんしたら助けてあげようかな。」
「れいなを怒らせたら怖いよー。」
「じゃあ俺はどうすればいいの?」
「みんなの願いをかなえればいいの。簡単でしょ。」
「れいなはリハーサルの時おそろいのジャージを着てほしい。」
「さゆはドレスでお姫様抱っこしてほしい。」
「えりはキスしてほしい。」
「わかった。言う通りにするから縄ほどいて。」
「やったー。」
ようやく僕は縄を解いてもらった。
「先輩、電話貸してくださいね。」
「藤本さん、絵里です。よろしくです。」
すると大きい荷物を持った藤本さんが来た。
「よいしょっと、はい3人のかばん。」
「ありがとうございまーす。」
「先輩隣の部屋貸してくださいね。
今からさゆはお姫様になってきます。
先輩も着替えてださいね。」
道重さんは荷物を持って隣の部屋に行った。
僕もスーツに着替える。
「お待たせしました。」
赤いドレスに王冠をつけたお姫様になっていた。
「おねがいしまーす。」
お姫様のようにかわいい道重さんを抱っこした。
「重さん写真撮ってあげるよ。」
藤本さんはデジカメで撮った。
「ありがとうございます。」
- 35 :名無し娘。:2006/09/26(火) 17:18
- 「次は絵里にキスしてください。」
「じゃあ行くよ。」
「チュッ」
「ありがとうございまーす。」
「れいなは今度先輩にジャージプレゼントしますね。」
「私達は着替えてきますね。」
亀井さん達は隣の部屋に着替えに行った。
着替え終わると帰る支度をしていた。
「お邪魔しました。」
ミキティと亀井さん達は帰って行った。
「藤本さん、ありがとうございました。」
「何かあったら美貴に相談して。」
僕は藤本さんに抗議のメールをしました。
- 36 :-男=苦手-:2006/10/01(日) 23:53
-
ハロモニの撮影も終わったので、司会進行役の石川さんと一緒に
ワイワイと話していた。
「今日の梨華ちゃんって、なんかいつもと違ったねぇ~」
「そうかなぁ~、私的にはいつもと変わらなかったけど…」
「テンションがさ、いつもの1.5倍?みたいな」
「なに、それ。あははは」
「はははは」
「先輩たちって、仲がよかですね…」
僕たちが、声の方へ顔を向けるとそこにはちょっと怒った表情の
田中さんが…
「れいな、どうしたの?」
「いや、先輩たちの仲のよさがうらやましいなぁ~って」
「へぇ~、そうかな? でもさ、僕たち最初仲めっちゃ悪かったよね」
「あぁ~、確かに言われてみればそうかも…」
「えぇ!! 嘘やろ?」
田中さんが、あり得ないといった表情で僕ら二人を見る。
「だって、僕なんて梨華ちゃんに嫌われてたんだよ」
「嫌ってないって…男の人苦手だったんだもん…」
そうあれは、僕が娘。に入った当初のこと・・・
- 37 :-男=苦手-:2006/10/01(日) 23:55
-
「ねぇ、●●。今日ひとみちゃんと梨華ちゃんで遊びに行くんだけど、
●●も来る?」
後藤さんからの急な誘い。しかも、入ったばっかしなのにまだ話した
こともない吉澤さんと石川さんもいるしなぁ~。
「僕? 行っていいのかな?」
「私はOKだよ」
「あたしも」
「・・・」
困った顔をして一人無言な石川さん。吉澤さんが、肩を叩いて目で
合図してるみたいだけど、僕思いっきり見えてるんですが・・・
「あ、ごめん。僕ダンスで不安なとこあったからさ、今日残るつもり
だったんだよね」
「…そうか。んぁ~、わかった~。ひとみちゃん梨華ちゃん行くよ~」
「う、うん」
そう言って三人は部屋を出て行った。
僕は、後藤さんにあんなことを言ってしまったため、僕はダンスレッスン場に
向かって自分が気になっている振りの部分を何度も練習し始めた。
「はぁ、はぁ…なにしてんだろ、俺」
一人、ダンスレッスン場に寝転んで休憩をする。一人のときの癖『俺』も
出てきてしまう。
「俺、やっぱ一人なのかなぁ~…娘。の中でも」
「●●くん…?」
「?!」
僕は、ガバッと起き上がるとそこには僕の反応にビクッとした石川さんが
立っていた。
- 38 :-男=苦手-:2006/10/01(日) 23:55
-
「ど、どうしたんですか?石川さん」
「あ、あの…その…」
モジモジして僕になにか話しかけようと顔を真っ赤にしてる石川さん。
今日のことかな? けど、石川さんと僕の距離遠いなぁ~…
「あの、石川さんここ座りません?」
「え?」
僕は、自分の隣をポンポンと叩いた。石川さんは、意図がわかったらしく
少し離れて僕の横に座った。
「あ、あの!! 石川さん、僕の事嫌いですか?」
直球な質問をしてしまった。自分で言って後悔する。
「ううん、嫌いじゃないの。私、男の人と話すの苦手なの…だから、●●くんが、娘。に
入った時から話せなくて。ひとみちゃんや真希ちゃんにも今日言われちゃった
『梨華ちゃん、あの態度絶対●●くん嫌われたと思ってるよ。今から謝ってきな』って」
「そうなんですか…」
「●●くん、ごめんね。せっかく、今日後藤さんに誘われたのに…私のせいで」
「気にしなくていいですよ。僕も、ダンスレッスンできたし。ほら、やっぱり僕って
男じゃないですか、だから石川さんの気持ちもわかりますよ」
目の前にいる石川さんは、暗い顔をしたままだ。女の子のこんな顔見たくないな。
「あ、じゃあ、僕が石川さんの初めての男になりますよ」
「え??」
「つまり、初めての男友達になりましょう♪」
僕は、立ち上がって座っている石川さんに手を差し出す。
- 39 :-男=苦手-:2006/10/01(日) 23:57
-
「うん♪」
そう言って、僕の手を取って立ち上がった。
ちょっと、僕より背の高い石川さん。くやしいなぁ~。
「ふふ」
いきなり、笑い出した石川さん。
「え? どうしたんですか?」
「●●くんって、可愛いなぁ~って。可愛い~!!」
「ちょ、ちょっと、石川さん!!」
急に僕に抱きついてきた石川さん。胸が…胸が~…
石川さんって、ホントに男の人って苦手なの?
- 40 :-男=苦手-:2006/10/01(日) 23:58
-
「・・・とまぁ。こんな感じで梨華ちゃんも最初は僕が苦手だったんだよ」
「だねぇ~。今じゃ、●●も私より背が高くなっちゃったもんね~」
「石川先輩が、うらやましか」
「うん?」
「●●先輩の背が低いころなんてれいな知らんたい」
「そうだよねぇ~、れいな。●●、私より背が低かったんだから。この子に、
上目遣いされてごらん? ホントに何でも願い叶えちゃいたくなるから」
「へぇ~、れいなも体験したか」
「何言ってんだよ。そんな事僕できないから」
「れいな、●●の前に立ってごらん」
石川さんに促されて椅子に座っている僕の前に立つ。
「はい!! ●●は、そのままれいなを見上げる!!」
「え?」
僕は、そのまま田中さんを見上げた。
「!? か、かわいか!!」
そのまま、田中さんが僕をギュッと抱きしめる。
「先輩、その可愛さ反則たい!! れなより可愛い先輩許せんと~!!」
「ちょ、ちょっと、梨華ちゃん!! どうにかしてよ~」
「●●、背が高くなっても可愛い~!!」
そう言って石川さんも僕に抱きついてくる。
「く、苦しいって!!」
「いいの~、●●は静かに抱かれてて」
「そうたい。れいなたちに抱きしめられるなんて先輩幸せと~」
苦しかったけれど、二人の暖かさが感じれて嬉しかった。
でも、こんなのファンの人に見られたら僕殺されちゃうよ…怖ッ!!
- 41 :TACCHI:2006/10/02(月) 00:02
- 皆さん、お久しぶりですw
帰ってまいりました~。そして、帰ってきての第一弾がいきなりこんなに
長くてすいません(汗)
まぁ、読み応えあるかな?っと、載せてみましたが載せたら載せたで
長くて自分でもびっくりですw
MONIXサソ、匿名サソ、そして名無し娘。サソの作品読みましたが、やっぱ
クオリティ高いっすねぇ~コラボどんどんしたくなりますよw
今度は、誰とコラボしようかなぁ~w
- 42 :名無し娘。:2006/10/02(月) 00:06
- ●●ってなに?
- 43 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/10/02(月) 00:10
- ちょっと寄ったら更新直後だったのでレスだけ
>>41
おぉ!更新直後にこのスレに来ました!
お久しぶりです!あいかわらず良いですなぁ~♪
またコラボしやしょう!
>>42
1. このスレを通常のブラウザで開く(IE推奨)
2. 「JavaScript:document.body.innerHTML=document.body.innerHTML.split('●●').join('好きな名前');focus();」
'好きな名前'の部分を呼ばれたい書き換えて上の行の「」内の部分ををアドレス欄にコピー。
3. Enterを押す
これで、●●の部分が好きな名前に変わります。
- 44 :名無し娘。:2006/10/02(月) 00:10
- どの作者さんもイイネ
>>42
人名
Javascript使ってブラウザで開けば●●んトコ名前変えたりできる
- 45 :名無し娘。:2006/10/02(月) 00:13
- すげえ!
- 46 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/04(水) 03:12
-
「はぁ~、疲れたね~愛ちゃん」
「そーやねー。新曲のときはやっぱね」
前を歩く愛ちゃんと、そんな会話のシャワー後。
まったくねぇ、毎度のことだけど新曲のダンスレッスンはキツイのよ。
だっくだくにかいた汗を流してくれたシャワーに感謝だよ、ホント。
控え室に戻って鏡の前でドライヤー準備!
スイッチオンで温風が……あれ? なんで出ないんだろ?
試しにブンブン振ってみる。動かない。
「おーいっ」
試しにパシパシ叩いてみる。動かない。
さて困ったなぁ。
部屋の中を見回してみても、ここにいるメンバーは愛ちゃんを含め皆使用中。
はてさて……。
「おっ閃いた」
ポンと手を打って部屋を出て、隣の控え室の扉をノック。
「どうぞ?」と聞こえてきた声にそっと開いた扉から部屋をのぞき込む。
- 47 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/04(水) 03:13
-
「ちょっといいですか?」
「新垣さん? おや? ……なにかお困りかな。とりあえず入りなよ」
「はーい、失礼します。って、な、えぇっ! なんでわかったんですかっ!?」
ビックリしてノリツッコミみたいになってるわたしに、先輩が自分の眉間を指差して言った。
「眉。なんかそんな感じだったからね」
うーんと唸りながら眉を手で押さえてると、先輩が「で、どうしたの?」と笑ってる。
「あの、ドライヤー貸してもらえたらなあ、なんて思いまして」
「おやすいご用だよ。ちょっと待ってね」
すぐに自分のバッグを広げてドライヤーを探してくれる先輩に近づいていく。
先輩もシャワー上がりだからかTシャツ一枚で、その広い背中にうっすらと筋肉が盛り上がってみえる。
……ちょっと照れ臭いなあ。
「はい、あったよ」
「あ、どうもすいませ――えぇ?」
差し出されたドライヤーに手を伸ばすと、ヒョイと逃げていった。
先輩が自分の目の前をポンポンと叩いてニッコリ笑った。
- 48 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/04(水) 03:13
-
「僕がやってあげる」
「なるほど……え?」
「僕がやりたいから座って」
「あ、そういうことですか……はぁっ? ちょ、えぇっ!? ムリムリ、絶対ムリです。そんなハズカシイ」
「先輩の頼みを聞いてくれないなんて……新垣さん、変わったね」
「うええぇえっ! だってそんな……」
少し伏し目がちで哀しそうにそんなこと言われちゃって……。
どうしようどうしよう……困るけど、でも。
「もぉ~っ、わかりましたっ。お願いします!」
覚悟を決めて、先輩の前にドスンと座り込んだ。
顔を上げた先輩は楽しそうに笑って、スッと立ち上がって私の後へ回り込んだ。
「はい、いくよー? 動かないでね」
ドライヤーの音にかき消されそうな先輩の声に耳を澄ませて。
騒々しい音に注意を払わないように、優しく話しかけてくれる声だけに集中。
- 49 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/04(水) 03:14
-
「痛くない? 大丈夫だよね」
「へ、平気ですけど」
「けど?」
「えっと…あっ、なんでもないですから」
「そう?」
「……はい」
なんだかボーっとする。
まるでプロの美容師の人にされてるみたいに気持ちよくって。
「新垣さん……」
「…はい?」
「あっ、いや。髪、キレイだねぇ」
「へぇっ!? い、いえ、別にそんなこと」
「そう? キレイだけどなぁ」
そんな言葉と同時にスーっと通るブラシの感覚に眼を閉じる。
と、そのとき突然感じた違和感に手を動かすと、原因がハッキリした。
「おぉぉぉぉ!!」
「な、なにっ!?」
「は、はな、血ぃ……」
「ええっ!!」
一騒動の後、鼻にティッシュを詰めて著しくみっともない姿になってるけど。
先輩の膝の上に頭をのせていられる私はなんとなく幸せだった。
- 50 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/04(水) 03:22
- ガキさんメイン。
予行演習……かな。
>>33-35 名無し娘。さん
いーですね。振り回されまくりw
>>36-40 TACCHIさん
昔の梨華ちゃんにはそんなイメージもありました。
今ではすっかり……
>> MONIXさん
次は更新を期待してろってことですね?
- 51 :名無し娘。:2006/10/04(水) 04:14
- 読んでるこっちもハナヂがでそう(*´Д`)
- 52 :TACCHI:2006/10/04(水) 17:00
- 匿名さん、更新乙です♪
いい話ですねぇ~俺も思わず鼻血が…w
なんの予行練習なんでしょう?気になりますw
今度は、男目線で書くのかな?とか予想してます。
- 53 :名無し娘。:2006/10/04(水) 21:34
- イイ!!
- 54 :名無し娘。:2006/10/04(水) 23:31
- みんなすげえな
- 55 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:11
-
「……で、カーリー役の轟悠さんが――あっ…」
プレゼントに渡した宝塚の公演を見終えた後、手近で静かそうだったから入った喫茶店。
向かいあって座った僕らは、紅茶とケーキで舞台の余韻を楽しんでいた。
そんな中、急に話を止めた愛ちゃんが、口元へ手を添えて気まずそうな表情になった。
「あれ? どうしたの?」
「あの、だって先輩……。すいません、私ばっかり喋っちゃって」
どうやら僕はそんな表情をしているように見えていたらしい。
ただ僕にこれだけ話してくれる愛ちゃんが新鮮だっただけなんだけれど。
「そんなつもりじゃなかったんだけど……ごめんね。ただ少し驚いただけなんだ」
「すいません」
「謝らないでよ。イヤだったり困ってたりするんじゃないんだから」
「ホントですか?」
「ホントに。楽しいよ? 愛ちゃんが喜んでくれたのも解ったし、それなら僕も嬉しいし」
「ホントに?」
- 56 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:12
-
そうだった。この娘はこういう娘だったんだ。
最近の頑張りを見ていて忘れかけていたけれど、なかなか根幹は変わらないらしい。
妙なところで自信を持てずにいて、自分の価値を低く設定するような。
「ふぅ。……ホントに、だよ」
改めてそう思っているということが伝わるように、しっかりと心を込めた言葉でそう話した。
愛ちゃんはその僕の言葉を咀嚼するみたいに視線をさまよわせた後、子供みたいにニッコリと笑って頷いた。
「この後はどうしよっか?」
「まだ…つきあってもらえるんです、よね?」
「ん? もちろん。約束したでしょ」
断られやしないかと、どこか遠慮がちに聞いてくる愛ちゃんが微笑ましくて、クスッと笑いながらそう答えた。
笑ったことに対してだろう、少しだけ拗ねたような表情をした愛ちゃんは、すぐに笑顔に戻って嬉しそうに話しだした。
「じゃあ買い物がしたいです。先輩に見立ててもらって。それからなにか食べて……」
おかしなくらいはしゃいでる愛ちゃんの話に、時折相づちをうちながら自然に笑顔になって聞いていた。
目立ちすぎじゃないかと心配になるくらい、身振り手振りを交えてこの後の予定を話している。
- 57 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:12
-
お茶を終えた僕らは、番組でお世話になったスタイリストさんから聞いたショップへ足を運んだ。
幸いにもというべきか他にお客がいない店内で次々と服を手に取っては上下で合わせてみて、それが気に入った時にはクルリと廻ったりもする。
結局、秋に合わせたカーディガン、キャミ、膝下までのふんわりした2WAYのスカートまで一揃えを買うことになった。
チケットの分にと、半分僕持ちで買ったそれを手にしながら、はにかむような笑顔の愛ちゃんが聞いてきた。
「着て帰ってもいいですか?」
「そりゃ……構わないけど。いいですよね?」
一応店員さんに話を通して、頷いてくれたのを見た愛ちゃんが試着室へ姿を消した。
しばらくすると少しだけ開いたカーテンから愛ちゃんがヒョコっと顔をのぞかせる。
「終わった?」
「はい……」
「どうかした? 合わなかったりする?」
「や、そうじゃないんですけど」
「じゃ出てきて見せてよ」
「……似合うのかな。どうですか?」
試着室から出てきた愛ちゃんが、真新しい服を気にしながら気恥ずかしげに聞いてきた。
- 58 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:14
-
「先輩……?」
「あっ、よ、よく似合ってる、と思うよ」
焦りと動揺は滑らかに口が廻ることの邪魔をして、どもった言葉は愛ちゃんへ真実を伝えなかった。
「なんか嘘っぽいです」
「ごめん。そうじゃなくて……似合ってるから。あんまり素敵なんでビックリした」
「…………」
真意の伝わった瞬間に立場が逆転した。
ビックリしたのは愛ちゃんの方で、照れくさそうに目をそらして。
聞き取るのがやっとなくらいに小さな声で「ありがとうございます」と口にした。
その後いくつかの店を廻った僕らは小さな和食屋で夕食を摂り、二人で色々なことを話したりした。
飲み過ぎない程度に軽くお酒を飲み、うっすらとピンクの頬で話す愛ちゃんが、僕の目にはとても新鮮で印象的だった。
帰りのタクシーの中、残り少ない一日を惜しむように口数が少なくなる愛ちゃん。
微かに酒気を感じる熱っぽい吐息を意識しないように、ポツポツと話しかけながらも窓の外で流れる景色を見ていた。
- 59 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:14
-
「先輩……。今日はありがとうございました。すごく楽しかったです」
マンションの前でタクシーを降りた愛ちゃんが、名残惜しく感じてくれてるように少し寂しげに笑う。
僕が笑顔を返すと、「これも」とスカートをヒョイと摘んで、今度は嬉しそうに笑ってくれた。
「なら良かった。僕も楽しかったから。また機会があったら遊びに行こっか」
「…………」
愛ちゃんの表情を見てさらりと口にした言葉だったけれど、返ってきたのはぎこちない笑顔だけだった。
「どうしたの?」
「また、機会があったら……かぁ」
「……うん」
「先輩っ、あがっていきませんか?」
「え? ……でも」
「あっ、冗談です、ごめんなさい。……また明日っ」
早口にそう言って背中を向けた愛ちゃん。
振り返る瞬間に垣間見えたその表情に、ごく僅かな哀しみを感じたのは僕のせいなんだろうか。
少し胸が痛んだ帰り道、一通のメールが届く。
また遊びましょーねっ♪
あい
たった一行の短いメールだった。
けれどそれはとても愛ちゃんらしく、胸の痛みを軽くしてくれるものだった。
- 60 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/06(金) 21:18
- 愛ちゃんBDシリーズ完結。
もうちょっと短くするつもりだったのに……
>>51>>53>>54
レスありがとうございまーす。
>>52
いや、予行演習なのは、もうじきガキさんが歳を重ねるので。
ガキさん軸に一本書いておこうかなぁと。
なに書くか、どう書くか決まってないんですけどね。
- 61 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 62 :名無し娘。:2006/10/08(日) 01:11
- BD?
- 63 :名無し娘。:2006/10/08(日) 01:18
- BirthDayじゃない?
- 64 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/09(月) 23:51
-
れいなとケンカした。
きっかけが何だったかなんて思い出せないくらい、きっと些細な理由だったんだと思う。
けど気がついたられいなはすごく怒ってて、こっちも退けなくなってた。
いつの間にか周りにメンバーも集まってきて、ぐじゃぐじゃになって勢いでその場から逃げだしてしまった。
楽屋を出て走り出した瞬間に一つ先の扉が開いた。
危なくぶつかる寸前で、ひょいと開いた隙間に引き込まれた。
なにがなんだか解らないでいる絵里の前に、どうしてだか先輩が立っていた。
「……あれ?」
ああ、そうか。一つ隣は先輩の楽屋なんだから、いて当たり前なんだった。
だけど……おや? なんでこうなってるんだろう?
「ハデにやったみたいだね」
「はい? な、なんのことでしょー?」
「丸聞こえだったから、ごまかされてもね」
あー……この先輩のふんわりした優しい話し方には弱くって、あれだけ昂ぶってた心がすっと静まってくのが解る。
- 65 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/09(月) 23:52
-
「で、飛び出してきちゃったのね?」
「そんなんじゃないんですけどー……あー、そうかも」
「またどうしてそんなんなっちゃたんだろうね」
「どうして? でしょう? んー……?」
責めるわけでも急かすわけでもない。
ただ不思議がってるみたいに話す先輩が見つめてくる。
そうやって真っ直ぐに見つめられているうちに、すっかり普段に戻った頭で考えた。
実際、考えてはみてもハッキリとは思い出せないんだけど、でも……
先にれいなを怒らせるようなことを言ったのは、やっぱり絵里だったような気がする。
「なんか思いだしたみたいだね」
絵里の表情を見てそう言ったんだろう、先輩がクスクス笑ってた。
笑われてるのはどうかと思うけど、先輩のこういう表情は結構……かなり好きだったから、全然悪い気持ちにはならなかった。
「そのぉ、えへへ……」
ちょっと素直に話すのが恥ずかしくて、ごまかすみたいに笑ってみた。
けど、先輩はもうちゃあんと解ってるって感じで苦笑して、演技だって解るようなため息をついて口を開いた。
- 66 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/09(月) 23:54
-
「じゃあさ、謝りいこっか。一緒に行ったげるからさ」
そう言って手を差し伸べてくれる先輩は、優しさ8、心配2って感じの笑顔をしていた。
ちょっとイヤだけど伸ばしてくれた手は振り払えない。
それどころか喜んで飛びついちゃいたいくらいなんだから。
渋々と手を重ねると、少し大きなあったかい手できゅっと包んでくれた。
ニッコリ笑うその表情に静まっていたキモチがむくむくと起き出してきて、あっという間に一杯に膨れあがってしまった。
「うー」
小さく唸って、歩き出そうとした先輩の腰にすがりついた。
――やっちゃった
多分、先輩は困った顔してるんだろうなって思う。
でも……だけど。
「少しだけ、時間もらっていいですか?」
じっとしてた先輩が、ちょっと身体をひねったと思ったら、ポンポンと頭を撫でてくれた。
どうしようもないくらい優しいキモチになってくる、不思議な、魔法みたいな手だった。
- 67 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/09(月) 23:55
- いつもさらしてから思う。
もうちょっと練ってからの方が良かったなって。
>>62>>63
ごめんなさいごめんなさい。
おっしゃるとおりバースディです。
- 68 :名無し娘。:2006/10/10(火) 01:36
- えりりん視点イイヨー
- 69 :-もしもし、亀よ-:2006/10/10(火) 03:01
-
楽屋でのんびりしてると隣から誰かと誰かの喧嘩する声。
耳を澄ませて聞いてると、田中さんと亀井さんだということがわかった。
田中さんが、本気で怒ってる。あの仲間思いの田中さんが、あんだけ怒ってる
って事は亀井さんが、それだけ怒らせたことを言っちゃったのかな?とか
考え事してると・・・
「もう、れいななんか大っ嫌い!!」
そう聞こえて、勢いよく開けられたドアの音。
僕は、ドアを開けるとこっちに向かって走り出そうとしていた亀井さんの
腕を掴んで自分の部屋へひょいっと引っ張った。
「……あれ?」
何がなにやらわからないって顔をしてる。
まぁ、いきなり自分の部屋に入れちゃったらそうなるか。
なんとか仲直りさせてみるかな? よっすぃーもミキティも、今はれいなのフォローで
忙しいだろうし。
「ハデにやったみたいだね」
「はい? な、なんのことでしょー?」
「丸聞こえだったから、ごまかされてもね」
ちょっと怒った表情が緩んだ。そして、今起こった事を話してもらった。
二人の喧嘩は、たぶんちょっとした事だと思う。
僕は、優しく笑顔で尋ねてみる。
- 70 :-もしもし、亀よ-:2006/10/10(火) 03:02
-
「で、飛び出してきちゃったのね?」
「そんなんじゃないんですけどー……あー、そうかも」
「またどうしてそんなんなっちゃたんだろうね」
「どうして? でしょう? んー……?」
腕を組んで考えているようで、僕はやさしく見つめる。
そして、亀井さんは何かを思い出したようだ。
僕は、苦笑いの顔が面白くてちょっと笑ってしまう。
「なんか思いだしたみたいだね」
亀井さんは、少し顔を赤くして苦笑いになった。
「そのぉ、えへへ……」
恥ずかしそうに、ごまかしている亀井さん。
仕方ないなぁ~…僕は、わざとらしくため息をついてある提案をだした。
- 71 :-もしもし、亀よ-:2006/10/10(火) 03:03
-
「じゃあさ、謝りいこっか。一緒に行ったげるからさ」
僕は、笑顔で手を差し伸べる。やっぱ、後輩は心配だしね。
亀井さんは、渋々といった感じで僕の手に自分の手を重ねた。
僕は、優しく亀井さんの手を包み込むと隣の部屋に向かって歩き出そうとする。
「うー」
後ろから、小さな唸り声が聞こえたかと思うと亀井さんが僕の腰に
抱きついてきたのがわかった。
――ったく、この亀さんは…
亀井さん、この角度からは顔が見えないけど、やっぱ不安なのかな?
「少しだけ、時間もらっていいですか?」
僕は、少し体をひねると抱きついている可愛い後輩の頭をやさしく撫でた。
謝るって、難しいよね。僕もわかるよ、やさしい亀さん。
- 72 :TACCHI:2006/10/10(火) 03:07
- 匿名さんとのコラボいかがでしたでしょうか?
ちょっと、いそいで書いたんでちょっとイマイチでしたかね?(苦笑
>>匿名さん
すいません、いきなりコラボなんてしてしまって(汗)
でも、匿名さんの作品見てたら先輩目線が頭の中にパッと浮かんだんで
書かせていただきましたが、どうだったでしょうか?
ハッキリと言ってくれたほうが、僕には今後のためにもなるんで
意見お願いします。あ、でもなるべく長い目で…(笑
他の娘。メンバー目線のも書けたら書きたいと思います(汗
- 73 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/10(火) 14:23
- 出かける前にのぞいてみれば。
>>68
よかったですか? レスどもです。
>>69-72 TACCHIさん
おー! うまく使われてる♪
読ませていただきました。が、はて。私になにを言えと。
これほど書ける方に私なんぞから言えることはないですよ。
自分で書いても、これより良くなる気はしません(^^;;;
使えるものがあったら、これからもドンドンどうぞ。
- 74 :名無し娘。:2006/10/10(火) 20:27
- 翼くんと岬くんのコンビプレーだw
- 75 :名無し娘。:2006/10/10(火) 21:29
- コラボいいね
- 76 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/11(水) 19:58
-
亀井さんの手をひいて入った楽屋の中は、聞こえるはずの喧騒も聞こえず、いるはずの人たちもいなかった。
がらんとした部屋の中、その真ん中にポツンと座ってる小春ちゃん。
それ以外に誰もいなくなっていた。
「あれ……? 他のみんなはどうしたの?」
「ええっとですねー……」
珍しく言葉を濁した小春ちゃんに、「言ってみて」と促すと、少し迷った風だけど、ボソボソと話しだした。
要約すれば、亀井さんを僕が捕まえてる間に、田中さんの方も出て行ってしまったらしい。
どうやら建物からは出ていないってことだけは確認できたらしいので、他のみんなは探して廻っている。
そして小春ちゃんは連絡係を兼ねた留守番なんだそうだ。
「絵里も行ってきますっ」
「待って! 僕が行くから、亀井さんはここにいて」
慌てて飛び出していきそうになった亀井さんを制してそう言って。
亀井さんに反論させる暇を与えずに部屋を出て、歩きながら携帯でみんなへ確認を取った。
- 77 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/11(水) 19:59
-
広い建物だとはいえ、個人が入り込める場所はそう多くない。
ある程度絞り込まれる中で、どうやら確認を終えた頃にはあらかた探し終えた後だったらしい。
でも、だからこそ僕は脚を止めずに歩き続けるんだ。
静かな階段を一つ飛ばしで駆け上がって、踊り場で一息ついて息を整える。
ノブを握った手にゆっくりと力を込めると、意外なほどに抵抗のない扉が軋みもせずに開く。
思ったよりも外光が差し込んでこない。微かに湿った匂いに気がついた。
どうやら知らないうちに雨が降ってきていたらしい。
扉の隙間から表へすべり出るけれど、見渡せる範囲に人影はない。
屋上のコンクリートはすっかり黒に染まり、雨が降り出したのは結構前なんだなと教えてくれた。
完全に身体を屋上へさらしたそのときになって気がついた。
扉の陰で小さくなってしゃがんでいる姿に。
- 78 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/11(水) 19:59
-
「田中さん?」
見上げてくる田中さんは、額に雨に濡れた髪がかかっていて、怒ってるようだけれどどこか淋しそうだった。
僕は隣にしゃがみ込んでコンクリートを叩く雨を見つめる。
「風邪ひくから戻らない?」
「いいです」
「でもみんな心配してるよ?」
「なら先輩が戻って、平気だって言いよってください」
「それもなあ……亀井さんも待ってるよ? 謝りたいってさ」
「知らん。絵里なんてもう知らんちゃ」
まったくとりつく島もないとはこのことだと思う。
- 79 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/11(水) 20:00
-
仕方がないから普通のやり方は諦めて、少しは有効だろうと解っている説得の仕方を選んだ。
「困ったなあ。置いてなんていけないって。解ってるでしょ? 僕の性格」
「…………」
「田中さんが戻らないんじゃ意味がないからね。僕も付き合ってここでこうしてることにするよ」
「……ルイ」
「うん?」
「先輩はズルイ」
「そうだね。僕はすごくずるいんだよ」
そう笑いながら田中さんの肩へ腕を伸ばした。
少し震えながらされるがままでいる田中さんがクスリと笑った気がした。
「戻ろっか」
「はい」
楽屋に戻った僕らは熱いシャワーを浴びた後、亀井さんと三人でみんなから大目玉をくらった。
煽りをくって僕も叱られたけど、亀井さんも田中さんも笑っていたから、ならばそれでいいやと思った。
- 80 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/11(水) 20:03
-
TACCHIさんにうまく使ってもらったので、なんとなくその後を。
ちなみにハッキリ書かなかったですが、屋上って設定は前スレの最初の方。
TACCHIさんの設定。想い出の場所ですね。
やられたからやり返してみました♪
- 81 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/12(木) 20:54
-
きっかけは些細なことだった。
なんとなく、パッと閃いただけで、ろくに考えもしないで実行に移して今に至る。
先輩、今暇ですか?
絵里
こう送ったメール。
暇だけど? どうかした?
電話にしようか?
返ってきた返信にメールでいいんですと送り返して始まった。
もう二時間くらい、黙々とメールを送って、そして返事をもらっては送り返す。
そんなことを続けていた。
そもそも自分では気がつかなかったことだったけれど、楽屋で聞いた話を思い返してなるほどと思ったこと。
それは、先輩は何度かメールしてるうちに、相手に合わせた感じになってくるってこと。
最初は軽い相談事から始まって、だんだん世間話にもっていって。
そして少しずつ、絵文字なんかも使ってったりして。
これだけの時間をかけて、今、ようやく単語単語で送受信中。
欲しい単語へ繋げるために、話題を絞って、でも微妙に違う言葉が返ってきて。
音楽の話題ではその言葉を引き出せず失敗して、テレビ番組の話題では『あまり観ないかな』って言われて失敗した。
そのたびに怪しまれないように話題を変えていって、映画の話題で今度こそってメールを送った。
ほとんど待たずに返ってくるメールを祈るようなキモチで開いた。
大好きだよ♥
もう深夜だっていうのに大きな喜びの声を上げてしまった。
うへへ……『大好きだよ♥』って、このメールは絶対に消せない、永久保存のメールなんです。
- 82 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/12(木) 20:57
-
初めて一レスだけで収まった(笑)
もっと短く書いてみたりしたいな……難しいけど。
ちょっとネタ不足な気がしてきましたよ。
だもんで、誰とかこんなシチュとか、書いてくれたらそれで考えるので。
募集中でーす。
- 83 :名無し娘。:2006/10/12(木) 21:04
- 高層ビルの屋上で休憩していたら、自殺を図っていると勘違いされて
めちゃめちゃ止められるんだけど、なんのことを言われているかわからずに
話がちぐはぐするんだけど最後は誤解がとけてめでたしめでたし。
っていうシチュエーション希望。
- 84 :夢花李:2006/10/12(木) 21:12
- ハロモニ収録前の楽屋にて。
台本から目を上げると、鏡の前で会話するよっすぃーとミキティが目に入った。
そこからちょっと離れたところでガキさんと愛ちゃんが雑誌を見ながらなにやら話してる。
あ、亀ちゃんもそこに加わった。「えりもガキさんともんじゃ行きたいー!」
どうやらタウン誌のようです。愛ちゃんが困った笑顔を見せている。
重さんは小春ちゃんとはしゃいでる。
さっきまで亀ちゃんにからんでたと思ったが、今はれいなにからんでる。
あ、れいながこっちきた。手になんか持ってる。
顔を伏せてこっちに来る。後ろで重さんと小春ちゃんがにやにやしてる。
れいなが手に持った紙を僕に差し出す。なぜか顔は真っ赤だ。
その紙を受け取って、見る。
―――――――――『しょうが焼き弁当』
……どうしろというのだ?
僕に背を向けて小走りのれいなの行く先では爆笑した重さんと小春ちゃんが
よっすぃーとミキティの見事なハモによる怒号でおとなしくなっていた。
- 85 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/12(木) 22:13
-
ボイトレ終わりの空き時間。
吹き抜けていく秋の風が、うっすら汗をかいた身体に心地好い。
丈夫な柵へ思いっきり身体をあずけて、遠くに沈んでいく夕日を見ていたり。
ちょっと高くできてる屋上の柵へ、半ばぶら下がるようにして脚を遊ばせてみたり。
軽い虚脱感に包まれて気を抜いた時間をすごしていた。
だから気がつかずにいた。
屋上の扉が開いたことに。
あわてん坊の後輩が入ってきたことに。
「うわあぁぁぁぁぁっ!!」
まったりとした時間を壊すように聞こえてきた大声に、驚いて振り向こうとしたとき、すでに声の主はすぐ側まできていて。
僕の両脇へ腕を通し、羽交い締めにするみたいに後へ引きずられた。
突然の出来事に動転して振り払おうとすると、相手もなにかを叫びながらすごい力で僕を放すまいとしてきた。
そうしているうちにバランスを崩し、倒れ込んだ僕と誰か。
倒れ込んだはずみで緩んだ腕から転がるように逃げて、相手に向き直った僕の表情は、きっと間が抜けていたことだろう。
「に、新垣…さん?」
「せ、せ、せん……ダメ」
荒い呼吸の間になにかを呟く新垣さんは、訳が解らないことに半べそ状態だった。
「新垣さん、な、なんで? なんで、その……」
「先輩が死んじゃったら私たちどうすればいいんですかっ!」
「え?」
「なにがあったのかなんて知らないですけど、そんな……飛び降りようとするなんてっ。絶対ダメです!」
- 86 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/12(木) 22:13
-
――はい?
涙目で僕を叱りつける新垣さんは、どうにもならないほどにテンパって見える。
言ってることが解らない。いや、解るけれど……えっと?
「そりゃあ私なんかじゃ頼りにならないかもしれませんけど話してくれなきゃ解らないじゃないですか!」
「うん?」
「もしあれだった吉澤さんだってもっさんだっているし!」
「うーんと、新垣さん?」
「それでもダメだったら保田さんや中澤さんだっているじゃないですかっ!」
「新垣さんってば」
「あっ、つんくさんに相談すればなんとかなるかもしれませんよっ?
そうしましょうよ! だって死んじゃったら、死んじゃったら……っ」
「新垣さんっ!!」
「ふぇ?」
一人で興奮して聞く耳を持たず話し続ける新垣さんの肩を揺すって、やっとのことで注意をひくことができた。
「新垣さんはなにかな、僕を助けてくれようとしたの?」
「あ、当たり前じゃないですか! だって先輩は…大切な、その、えー……」
語尾が小さく掠れて聞き取れなかった。
けれど、ともかくそういう誤解でこうなったんだろうことは解った。
「あのね、新垣さん。その気持ちは嬉しいんだけどさ。僕はただリラックスしてただけなんだけど?」
「……はぁ?」
言葉尻が大きく跳ね上がった。
だってとか、でもとか、ぶつぶつ呟いてる新垣さん。
勘違いに気がついたらしく顔が赤くなってきてる。
「で? 新垣さんにとって僕は、なに? なんか大切がどうしたとか?」
僕はニヤニヤと笑いを作りながら意地の悪い質問をする。
「えぇ? や、あの……もうっ、先輩のバカぁー!」
耳まで赤くした新垣さんは、一声そう叫んで屋上を飛び出していった。
僕はその後ろ姿を見送りながら、先輩思いの可愛い後輩だなと思った。
- 87 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/12(木) 22:16
-
>>83
書いてみましたがどんなもんでしょう?
一晩ぐらい考えてやった方が良かったかな(^^;;;
>>84 夢花李さん
『しょうが焼き弁当』(笑)
素敵です。
またお願いします♪
- 88 :83:2006/10/12(木) 22:45
- >>87 おお仕事が早くて素晴しい。どうもありがとうございます。
- 89 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/18(水) 22:33
-
「♪ ふふふふふふん ふふふふふふん……」
「亀井ちゃんさー、さっきからなにやってんの?」
気分よく鼻歌交じりで作業を続けていた絵里のことを、藤本さんが邪魔をする。
「ナーイショです」
「……ふうん。まーいいけどさ」
休めていた手を動かしながら、あと少し先にある光景を思い浮かべてみる。
自然と頬が緩んじゃうのが解って、でもそれを止められなくて。
「亀井ちゃん」
「……はい?」
「どっかイっちゃってる? キモイんだけど」
「絵里はキモくなんかないですよぅ」
「じゃあさ、百歩譲ってキモくないとして、その鼻歌はどーにかなんないの? ってゆーか何の歌?」
「藤本さん、知らないんですかぁ? これは……あれですよ」
「なに?」
「え~っと……」
- 90 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/18(水) 22:34
-
あれ? 曲名が出てこない。
一番大事なところしか思い浮かばないよ。
「知らないんじゃん」
「ち、違いますってば」
「さっきの鼻歌、も一回やってみて」
「え? ♪ ふふふふふふん ふふふふふふん」
「だよね」
絵里の手元を見ながら、なんか一人で納得してる藤本さん。
こちとらなんだか解らなくてクエスチョンマークですってば。
「もう一回歌ってみてくれる?」
「いいですけど……。♪ ふふふふふふん ふふふふふふん」
歌い出した絵里の鼻歌に藤本さんの声が重なった。
その歌声は「上野発の夜行列車」……って、あれ?
なんかおかしいぞ?
- 91 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/18(水) 22:35
-
「で、亀井ちゃんはなにしてんの?」
「それは……編み物ですけど」
「だよね? 違うじゃん」
「上野発の……着てはもらえぬ……あれ?」
「あなたかわりはないですか」
「……し、知ってましたよ?」
絵里を見る藤本さんの目が、ものすごく細められてて冷たい。
ヘンな汗が出ちゃいそうになった。
「でさ」
呆れたように腰を上げた藤本さんが見下ろしてくる。
「セーターでしょ?」
「はい」
「ちゃんと、よく見た方がいいと思うよ」
言われて編みあがりそうなセーターを持ち上げて、しげしげと眺めてみる。
我ながら初挑戦にしてはよく……うん?
「あっ……」
どこでどう間違ったんだろう、そのセーターには袖にも首元にも、あるはずのものがなかった。
これじゃあ手も出なければ頭も出ない。
やれやれってポーズでドアに手をかけた藤本さんが、ポツリと一言呟いた。
「だめだこりゃ」
先輩の喜ぶ顔が効果音付きで消えていった。
- 92 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/18(水) 22:37
-
コホン……いや、違うんですよ、そんなつもりじゃ(汗)
どこでどう間違ったやら。
ぽつぽつと浮かんできたのを組み合わせたらこんなんなりましたorz
>>88
書けばいいってもんじゃないという見本を作り続ける匿名です。
- 93 :名無し娘。:2006/10/19(木) 15:00
- ダメダコリャァ━━━━━━ *´Д`*━━━━━━ン!!!!!!
- 94 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/20(金) 03:00
-
「お疲れさまでしたー!」
リーダーの明るい声と共に終わりを告げた一日。
みんな揃った楽屋の中は照明が落とされていて、ロウソクの灯火だけがみんなの顔を浮かび上がらせている。
十八本を数えるロウソクが一息……二息で吹き消され、姦しいほどのハッピーバースディが響き渡った。
「はーい、ガキさーん! 十八歳おめでとーっ!」
ハデにクラッカーを鳴らしながらよっすぃーが叫ぶと、後を追うように立て続けにクラッカーが鳴らされる。
少し火薬臭くなった楽屋の中、蛍光灯の光の下で、大量のクラッカーが吐き出した紙テープに埋もれた新垣さんが笑っていた。
どこかくすぐったそうな笑顔の新垣さんに、切り分けたケーキを道重さんが手渡した。
みんなから急かされて、パクッと一口頬張った新垣さんは、「ん~~」と唸りながら大きく首を廻した。
誰かが「見事なヨネスケローリングだね」と笑い、あちらこちらで唸る声が続いた。
ひとしきりケーキやお菓子などに手を付け、あらかた食い散らかされてしまった頃。
口の端にチョコを付けたリーダーが新垣さんにプレゼントを渡した。
アクセ、ブーツ、帽子、次々と渡されては開かれていくプレゼントに幸せそうな笑顔の新垣さん。
最後になった僕も、バッグの中に用意してあったプレゼントを差し出すと、最後だということもあってか妙に期待に満ちた眼差し。
喜んでもらえればいいなと、そう思いながらラッピングを解いていく新垣さんを見つめていた。
- 95 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/20(金) 03:01
-
「オルゴール……?」
「そ。オルゴール。開けてみて」
箱に書かれた英字を読んで、少し確認するように呟いた新垣さんにそう勧めた。
やけに丁寧に箱に手をかけた新垣さんが息を呑むのが解った。
「先輩、これ……」
「どうかな?」
そっと箱から、大切そうに持ち上げられたガラスのオルゴール。
形はありふれたデザインだけど、その中身の部分は特別製だった。
「私と、愛ちゃん、それに……」
「こんこんに麻琴もおるんやね」
ヒョイのぞき込んでいた愛ちゃんの声が重なる。
「ネジ、巻いてみてよ」
そう話しかけると、ハッとしたように新垣さんがカチカチとネジを廻した。
静かに流れ出す『好きな先輩』のメロディー。
- 96 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/20(金) 03:01
-
「いくつか迷ったんだけどさ。これがいいかなって」
新垣さんの手の中でメロディーに合わせて、ライブでの四人がエッチングされたガラスがクルクルと踊っている。
それをジッと見つめていた新垣さんが、大きく一つ息をついて僕を見つめてきた。
「ありがとうございます。すっごく嬉しいです。でも……」
「うん?」
「誕生日のプレゼントなんだけど、愛ちゃんにも持っててほしいなって思っちゃいました」
そう言われて困ったように笑う愛ちゃんを見る新垣さんへ、僕はもう一つのプレゼントをバッグから引き出した。
「じゃあ、そんな新垣さんへもう一個、プレゼントをあげようかな」
「へ?」
呆けた顔で受け取った新垣さんが開いた包みの中には、ガラスのオルゴールで踊っていたガラスの四人がいた。
「それを愛ちゃんにあげればいいよ」
「先輩……」
そう呟いたっきり、言葉が出せずにいる新垣さんの手を取って愛ちゃんの手へ導くと、二人が泣き出しそうに笑ってくれた。
これほど喜んでくれるならさんざん考えた甲斐もあるって、そう思えた。
後で渡そうと思っている、バッグの中に仕舞ってある残り二枚のガラスのプレートを思い浮かべながらそう感じていた。
- 97 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/20(金) 03:05
-
ガキさん18歳おめでと記念。
誕生日ものはパターンが厳しいなあ、なんて思いはじめた今日この頃。
ホントに渡すわけでもないのにプレゼントに頭を捻るって……(^^;;;
次はどうしようorz
>>93
自分で書いてて「だめだこりゃ」的な気分になってきてるのはどうなのか。
- 98 :名無し娘。:2006/10/21(土) 06:07
- メールが届いた。
先輩からだ。
新垣さん僕の楽屋に来てね。
私は先輩の楽屋に行った。
そうするとピンクのうさぎの着ぐるみがいた。
新垣さん誕生日おめでとう。
ってスケッチブックに書いてある。
「ありがとう先輩。」
スケッチブックをめくると
今度もんじゃ食べにいこうよ。
って書いてある。
「新垣家風もんじゃ食べさせてあげますよ。」
スケッチブックをめくると
楽しみにしてるよ。
なんかうれしくて先輩に抱きついた。
「先輩暑いでしょう。着ぐるみの頭取ってください。」
先輩は着ぐるみの頭を取ると、
「暑かった。でも新垣さんに喜んでもらえてうれしいよ。」
- 99 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/21(土) 22:13
-
楽屋からスタジオまでの通路を歩く
みんなのシリを叩くように最後尾を歩く
右隣にはミキティがいて、そして反対側に……
コイツはいつもこうだった
私……私たちよりも少し遅れて同じ道を歩くことになったコイツ
その時間を表すように少し後ろについて歩く
もう六年にもなるのか。そう改めて思う
六年もの時間をこうして歩いてきた
その間、少し後ろを。時にはこっちが後ろにいることもあったかもしれない
でも、だけど……コイツは今も、こうして少し後ろを歩いてる
いつもその距離は、一人か二人分の間隔を保って
間を埋める仲間がいなくなっても、それは変わることがなくて
決してその距離を踏み越えないようにしている
時間
距離
時々、ホントにふとした時に考える
この時間を超えてみたい
この距離を埋めてみたい
小さな、でも過大な欲望
ささやかなジレンマ
- 100 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/21(土) 22:16
-
なんとなく、思いつくままにつらつらと書いてみました。
たまには短いのもいいな。
>>98
おー、なんかいいですね。
優しい画が見えてきそうな。
期待。
- 101 :-金色の髪の乙女-:2006/10/22(日) 00:45
-
「おはよ…」
「あ、固まったやよ」
「ど、どうすっと?」
僕は、楽屋に入るなり目の前の状況に固まってしまった。
その原因は、娘。の一人…ではなく、目の前の外人さんみたいな女の子。
「あの、ハロプロの誰かだよね?」
「え? あのあたしだけど…」
「梨華ちゃん!?」
「お~い、●●~大丈夫か~?」
ミキティが、僕の体を揺らすけどちょっとの間動くことが出来なかった。
「あの、この髪似合ってる?」
「う、うん…に、似合ってると思うよ…」
僕の自信のない言葉。自分でもわかってしまうぐらい弱々しかった。
そんな言葉に梨華ちゃんは、ちょっと悲しそうだった。
「●●…ちょっといい?」
梨華ちゃんに、腕を引っ張られて廊下へ連れてこられた。
「●●、ホントの事言って」
「え? な、何が?」
「あたしの髪のこと…今さっき、●●の言葉嘘が入ってた」
嘘は入ってはいないけど、やっぱ僕の動揺は梨華ちゃんに伝わっていたようだ。
ここは、ホントのこと言わないとね。
- 102 :-金色の髪の乙女-:2006/10/22(日) 00:45
-
「ごめんね、梨華ちゃん。嫌な気持ちにさせちゃって…けどね、僕ホントに
似合ってると思うよ。最初、見たときに梨華ちゃんが、まさか金髪にすると
思ってなかったからさ驚いちゃって…ごめんね」
「ううん、あたしこそ●●に最初に言っておけばよかったんだよね」
僕は、梨華ちゃんの髪を優しく撫でる。梨華ちゃんは、くすぐったそうで
でも、嬉しそうだった。
「梨華ちゃん、好きだよ」
「!?」
梨華ちゃんの、顔が一気に赤くなる。
「『髪』がだよ梨華ちゃん、顔真っ赤。驚かされたお返しね」
僕は、笑いながら梨華ちゃんから逃げ出した。
「あー、もう!! 待てー!!」
後ろから追いかけてくる梨華ちゃん。
走るたびに揺れる梨華ちゃんの金色の髪が太陽に照らされてとてもきれいだった。
- 103 :TACCHI:2006/10/22(日) 00:49
- 更新です♪♪
匿名さんのネタが、かなり更新されてたんで僕も作品を
書いては消し書いては消ししてたら、一週間以上空いてしまいまして
申し訳ないです(汗)
>>98さん
初めまして?ですかね。
なんか、すごい作品に入り込みやすかったです。
これからも、どんどん書き込んでください。
>>99 (匿名さん)
いいですね~♪ホントいいです♪
これの、男側かこうかな?とか思ってますw
- 104 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/22(日) 01:25
-
>>101-102 TACCHIさん
金髪さん♪ 出だしで笑ったw
スフィア見たときにはフリーズしました。
なんか書いていただけるなら、どうぞ使って下さいませ。
- 105 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/22(日) 04:40
-
「よっ」
撤収されていくスタジオの片隅で、いつになく弱々しい後ろ姿に声をかけた。
振り向きもせずに「なんでもないから」と返ってくる声に、いつもの快活さはなかった。
「なに? 元気ないね」
話ながら引き寄せたパイプ椅子で隣に座ろうとすると、ギシリと音を立てて椅子ごと視線をそらされた。
言って後悔するくらいなら、とは思うけれど、それも彼女の性格だから。
それにそれ自体が悪いことではないと、みんなは解っているのだから。
「どうせ知ってんでしょ」
「まぁ、それなりに」
不機嫌そうな声に短く返す。
フンと鼻をならされたようだった。
それを少しだけおかしく思いながらも、椅子を諦めて藤本さんの後ろに立ち位置を変えた。
- 106 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/22(日) 04:41
-
「別に間違ってないんでしょ?」
「……多分」
「多分、なんだ」
声には出さず喉の奥で笑うけど、聞き咎められてしまったらしい。
「しょーがないじゃん。多分は多分なんだからっ」
「いや、ごめん。そういう意味じゃなくってさ」
「じゃあなに?」
「らしいよねってだけ」
「どういうこと?」
「どういう? そのままの意味だけど」
微かに揺らいだ髪に首を傾げたと理解して言葉を継ぐ。
「間違ってないならいいじゃん? ってことですよ」
「……そう、なのかな?」
それには言葉を返さずに、ポンポンとあやすように髪を撫でた。
少しくすぐったそうに身じろぎされたけれど、拒まれる様子もない。
ならそれでいいじゃん。そんな気持ちで。
- 107 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/22(日) 04:42
-
眠り損なったので更新してみたり。
まぁ、なんとなく。
- 108 :-歩く…ただ、それだけ-:2006/10/22(日) 13:09
- 楽屋からのスタジオまでの通路を歩く
みんなを急がせるために最後尾を歩く
右隣には・・・がいて、その奥にミキティ
僕はいつものようにして歩く
いつも、そうしていることだ 入った当時から
ちょっとだけ君の後ろを歩く
もう六年間か…長いな。改めてそう思う
六年間ずっとこうやって歩いてきた。
ずっと後ろを…いや、たまに後ろを歩かれていたこともあった
でも、やっぱり…僕は今も、こうして君の少し後ろを歩く
距離は、一人分ぐらいの間を空けて
僕との間を埋める仲間がいなくなっても、それは変わることがなくて
決してその距離を踏み越えないようにする
時間
距離
僕はいつもこの事を考える
この距離は埋まらない
この時間は超えれない
大きな、でも小さな葛藤
- 109 :TACCHI:2006/10/22(日) 13:13
- 匿名さんとのコラボできました!!
いかがでしたでしょうか? 僕も女の子目線からの書いて
みようかなとか思ってます。
>>104 (匿名さん)
僕も、あの髪を見たときの第一声は「はぁ!?」でしたw
仕事の関係で染めたらしいですけど、なんの仕事だ?とか
思ってますw
- 110 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/27(金) 21:03
-
特に思い浮かばないので感想だけ。
というわけで、相変わらず人に頼ってお題・ヒロイン募集中です(^^;)
>>108 TACCHIさん
いじってくださってありがとうございます♪
相変わらず、文句はつけようもございません。
でも、もしかして気を遣ってくれてるのかな? とか。
もっと自由に解釈してくださっても構わないですよ?
- 111 :名無し娘。:2006/10/29(日) 21:15
- 小川さんの誕生日か。
マンションのリビングでくつろいでいる時ふと思った。
するとインターホンがなった。
玄関に行き確認すると藤本さんだった。
「どうしたの、ミキティ。」
「美貴ヒマだったから●●の部屋に遊びに来たの。」
「じゃあ、あがって。」
「お邪魔しまーす。」
藤本さんも夕食は済ましていたので、
僕はビールとつまみを用意した。
リビングで藤本さんと飲んでると
藤本さんがほろ酔い加減になってきた。
「ミキティ大丈夫?」
「大丈夫だよ、それより●●今日まこっちゃんの誕生日じゃない?」
「そうだよ。ミキティが来る前俺もマコトのこと思っていたんだよ。」
- 112 :名無し娘。:2006/10/29(日) 21:31
- 「マコトどうしてるかな?」
「まこっちゃんのことだから元気にしてそう。」
「そうだよね。」
僕と藤本さんは笑顔になった。
「●●そっち座っていい?」
「いいけど。」
「やったー。」
藤本さんは僕に寄りかかるように座った
「●●朝まで美貴に付き合って。」
「仕方がないな。ミキティ今日は特別だよ。」
僕達はマコトの思い出で朝まで話が盛り上がった。
- 113 :TACCHI:2006/10/29(日) 23:06
- >>110 匿名さん
結構自分的には、いじってるんですよw匿名さんのよさを
壊したくないので…(汗)なので今度は、もっと壊してみようかなとか
思ってますwww
>>111-112さん
いいですね~まこっちゃん誕生日作品?wめっちゃいい感じですね♪
ミキティの感じもめっちゃ伝わってきます。
次も期待してます♪♪
- 114 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/10/30(月) 01:04
- 久しぶりです~
だいぶ前に作ったやついきます
- 115 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/10/30(月) 01:05
-
ハロモニ収録が終わって僕は廊下を一人で歩いてた
---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---
なんだろう?後ろから誰かにつけられている感じがする・・・
---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---
どうやら確実に僕は誰かに後ろをつけられているようだ
後ろからつけられると言うのはやはりあまり気分が良いものではない・・・
僕はやり過ごす為にすぐ近くの角を曲がり、ちょうどあったダンボール箱の陰に隠れた
---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---
足音がだんだんと近づいてくる・・・そしてその足音は僕がダンボールの陰に
隠れているとも知れずにまっすぐと通り過ぎていく
---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---ヒタヒタヒタ---
『はは~ん、、、つけてた正体はあいつか・・・。まったく人の事ストーキングするなんて
いい趣味じゃないなぁ・・・。いいや、ちょっとおどかしてやろ』
僕はそう心の中で呟くと、僕を見失って立ち止まっている人影に近づいていく
「Don't move」
「!!」
僕は静かに呟きながらピストルの形にした指を犯人のこめかみにピタリとつける
- 116 :あ・や・や:2006/10/30(月) 01:05
-
「ダメな尾行だなぁ~、バレバレだよ」
「・・・。」
「これが本当の現場なら死んでるよ、、、麻宮さんw」
「ちっ・・・バレたか・・・」
そう、ストーカーの正体は麻宮サキこと松浦亜弥さんだった、今日のハロモニのゲストだった人である
くるっとターンをするとすかさずあややスマイル、さすが天下の松浦亜弥である・・・
「どしたの?人の事ストーキングなんかして」
「先輩♪松浦とご飯食べに行きません???」
「は?そんな事面と向かって言えばよかったのに・・・」
「ダメなんです!みんなの前で言うと誰かついてきちゃうじゃないですか
たとえば・・・タンとか・・・。松浦は先輩と2人で行きたいんです♪」
「あ、そ、そうなのね」
「なんか先輩嬉しそうじゃない~!松浦と会うのだって久しぶりなのに
ずいぶん素っ気無いなぁ」
「いや、そんな事はないんだけどさ、うん、あやや、後ろ」
「え???」
「なに~、あやちゃん●●とどっか行くの?ミキも行く~♪」
僕と松浦さんが話してたところに割って入ってきたのはあやや大好き藤本さんだった
「さぁ、どうする?あやや、僕はどっちでもいいよ」
「う~ん、先輩、ちょっと待っててくださいね♪」
- 117 :あ・や・や:2006/10/30(月) 01:06
-
松浦さんはそう言うと藤本さんの方を見る・・・、すると
「わかった、んじゃミキは先帰るね~、●●、あやちゃんをよろしくね~」
「うん、じゃあねタン♪さ、先輩行きましょ♪」
「う・・・うん」
気のせいか?さっきのアイコンタクトのとき、藤本さんの顔に物凄い恐怖が浮かんだような・・・
あんまり考えないようにしよ・・・怖いから・・・。
「先輩?」
「ん!?な、なんでもないよ・・・あはは」
「変なの~、早くご飯食べに行きましょうよ~、松浦はおなかペコペコですよ~」
「ごめんごめん、荷物取ってくるから駐車場の屋根の無い黄色い車のところで待ってて」
「わかりました、早くしてくださいね♪」
「うん、すぐ行くよ」
僕はそう言って松浦さんを先に駐車場に行かせると急いで荷物を取りに行き、
松浦さんの後を追った
「先輩おそ~い」
「ごめんごめん6期メンバー振りきるのに時間かかっちゃった」
「しょうがないですね~」
「さ、行こうか」
「先輩、この車ハンドルが無いんですけど・・・どうやって運転するんですか!?」
「あはははは、ミキティーと同じ反応だね、さすがGAM」
「え~、タンといっしょなの~」
「うん」
- 118 :あ・や・や:2006/10/30(月) 01:06
-
僕は自分のバッグからハンドルを取り出し、ハンドルを車に取り付ける
「あ、すごーい」
「どう?これで運転できるでしょ?んじゃ、行こっか」
「はい♪」
僕のLotus Elise 111Rは首都高を快調に走っていく、ちょうど日が落ちる時間を迎えていて
車の向こうには綺麗な夕焼けが見えている
「気持ちいい~~♪」
「寒くない?」
「大丈夫ですよ、先輩、オープンカーって気持ちいいですね~」
「うん、今が一番いい季節だね、空も綺麗だし」
「今日は助手席も美人だし」
「そいつはどうかなww」
「先輩ひど~い」
「はいはい、綺麗綺麗」
「心こもってないしw」
なんだか漫才みたいなやり取りをしているうちに車はあっという間に都内の中心部に差し掛かる
「さ~て、どこにいこっか???」
「お酒が飲めるところがいいですねぇ~、先輩、今日は松浦にとことん付き合ってもらいますからね♪」
「えぇ~~~、マジで~~~w」
「マジです♪先輩に会うのも久しぶりなんだから良いじゃないですか~」
「はいはい、じゃあ、あやや好みのお店に行きますかね」
この後、僕はあややパワーの恐ろしさを知る事になった・・・。
まさか・・・朝までとはなぁ・・・松浦亜弥、恐るべしである
- 119 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/10/30(月) 01:19
- あとがき
( M _ O)<すいません、更新がまばらすぎて・・・
またスランプだ~~~。中々ネタが書けなくって
やばいっす・・・、とりあえずこれからもがんばりやす♪
- 120 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/30(月) 02:38
-
「せんぱい、ちょっと聞いてもらってもよかですか?」
空き時間にコソッと抜け出してきたらしい田中さんが、話の合間を縫ってそう切り出してきた。
少し緊張してるような顔をした田中さんへ、なるべくやわらかく聞こえるように「どうぞ?」と言ってみた。
「あの…お、男の人って、やっぱ可愛い子の方が好きなんですよね?」
「はい? えっと……」
突然なにを言いだすのか、少し赤らめた頬を目にしながらそんなことを思う。
「そのっ……さゆみたく可愛い仕草したりとか」
「あ~、っと。どうなんだろうね?」
「例えば、その……せんぱいは?」
「うん? そうだなあ。まぁ、その娘に合ってればいいと思うよ」
田中さんの顔色をみて決めた言葉だったけれど、そのことには気づかれなかったようだった。
少し考えるような仕草の田中さんは、どこか思い切ったような表情で改めて口を開いた。
- 121 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/30(月) 02:39
-
「じゃあっ……。なんちゃろ、その……せんぱいもやっぱ大きな方が好きです?」
「大きい? 身長?」
「やっ、そうじゃなくて。む……」
「む?」
「むね、とか」
「むね?」
一瞬遅れた理解が言葉になって零れて、それに反応した田中さんが、掠れそうなほど小さな声で「お、おっぱいとか」と表現を変えた。
むね、胸、おっぱ……はぁ!?
- 122 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/30(月) 02:40
-
「…………」
「ほら、れなはその……ないじゃないですか」
「い、いや、別にそんな……、あっ、別に大きければいいとかってもんじゃないと思うし」
「でもっ――」
「それにだよ。田中さんは可愛らしいと思うよ?」
「全然可愛くなんかないっちゃ」
「可愛いってば。田中さんが可愛くないって言うんだったら、僕が間違ってるって、そう言われてるってことなんだけどな」
「えっ、そんなこと言ってないです」
「そう? なら田中さんは可愛いんだってば」
「……せんぱいはそう思ってくれるんですか?」
「うん。間違いなく」
「ならその……む、胸は?」
うっ……そこに戻るんだ。
- 123 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/30(月) 02:40
-
「だから、その……あっ。ほら、この前の写真集、『R』の水着とかだって可愛らしくて素敵だったよ?」
「ホ、ホントですかっ?」
「ホントホント」
「そっか……」
「田中さん?」
なにか反芻してるっぽい田中さんが嬉しそうに顔を綻ばせて出て行った。
なかなか手のかかる……いや、かからない、のかな。
ともかく可愛い後輩だった。
- 124 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/10/30(月) 02:47
- ラジオでいい話を聞いたので使ってみました。
が、やはり明日にすれば良かったかな。眠くてどうなんだろうと思うorz
>>111-112 名無しさん
なるほど、こういう使い方があったですね。
自分でできなかったのをうまい形で見せていただけたようです♪
>>115-118 MONIXさん
さすがMONIXさん、さすがあやや。
いったい藤本さんはなにをささやかれたのかw
- 125 :名無し娘。:2006/10/30(月) 06:53
- れいにゃああああああああああああああああああああああああああああああ
- 126 :名無し娘。:2006/10/30(月) 08:11
- モー娘。酒場 Ⅴ
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1137786549/308-
狼のヤススレに引っかからない方法教えてください><
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1152935043/298-
俺と娘。の夢物語~in 狩狩~3
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1158518527/111-
たとえば君が田中編
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1142095787/138-
二枚舌足らず
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1155045331/409-
【小説】チープなドラマ感覚で【みたいな】
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1158490676/356-
スケバン刑事 コードネーム=松浦亜弥
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1160174287/62-
- 127 :名無し娘。:2006/10/30(月) 08:11
- 誤爆しましたすいません
- 128 :-ご…ご?-:2006/10/30(月) 15:16
-
「さ、さむい…」
僕が、自宅の部屋の布団から起き上がるとなぜか上半身裸だった。
「あれ? 僕、いつのまに上脱いだ…!!??」
布団から僕は飛びのいてしまった。その理由は、僕の横に寝ている女の子。
「ご、ごっちん?」
女の子の顔を覗き込むとぐっすりと寝ているごっちんの寝顔がそこにはあった。
「なんで、ごっちんが?って、下着かよ!!」
ごっちんの寝ている姿は、下は見えないが上は白の…って、実況してる場合じゃない。
「お、起こしたほうがいいのかな? 僕昨日何したっけ?」
そんなこんなで、混乱しているとごっちんが起き上がった。
「ん~、●●? おはよ」
「あ、あぁ、おはよ…ごっちん、見えてる見えてる!!」
ごっちんが、起き上がったので胸がばっちりと見えてしまう。
- 129 :-ご…ご?-:2006/10/30(月) 15:16
-
「そんなの、気にしない気にしない。昨日この中いっぱい見たでしょ?」
「?! ま、まじで…」
「えぇ~、昨日のこと覚えてないの?」
「う、うん。 全然」
「仕方ないなぁ~。思い出させてあげるかぁ~」
そういって、下着姿でにじり寄ってくるごっちん。
「え? え? ごっちん? ごっちん? えぇ~!!」
- 130 :-ご…ご?-:2006/10/30(月) 15:16
-
『●●~、お~い』
「!!??」
-ガバッ-
僕は、勢いよく飛び起きた。楽屋のいつもの雰囲気…??
「はぁはぁ、ゆ…夢か…夢でよかったぁ~」
「おはよ~、うなされてたけど大丈夫? あたしの名前呼んでたけど」
「ごっちん!? う、ううん、なんでもないよ。って、近い!! ごっちん近いから!!」
僕の目の前には、いつのまにかごっちんが居た。居たのは、いいんだけどめっちゃ
僕との距離が近い。さらに、今日は曲の衣装らしく僕の角度からは、ばっちりと…見えました。
「●●…目線がエロい」
「えぇ!? ち、違うって。だって、そりゃ誰だってこんなに近かったら…」
声が小さくなってしまう。
「顔赤くなってるよ。可愛いなぁ~…うん、可愛いにゃん!!」
「え、え? ご、ごっちん!! うわっ!!」
急に抱きつかれた僕は、そのまま倒れこんでしまう。
- 131 :-ご…ご?-:2006/10/30(月) 15:17
-
-ピッ-
その時、聞こえたのは軽快な電子音と瞬間的に光ったフラッシュだった。
「トップアイドル同士の恋愛かぁ、これは高いぞ~」
「ミキティ!?」
そこには、カメラを片手に笑っているミキティが居た。
「さ~て、これを誰に見せようかなぁ~。れいなか、亀井ちゃんか、さゆかな?」
「そ、それだけは勘弁…」
「じゃあねぇ~」
そういって、颯爽と消えていったミキティ。
僕は、ごっちんに上から押さえ込まれて動けなかった。ってか、ごっちん力強すぎ!!
「さて…今からどうしようかね…」
「え? ちょ、ちょ、ごっちん!! マジで!? う、うわー!!」
僕お嫁にいけない体に…
冗談はいいとして、ミキティのデジカメどうしよう…
- 132 :TACCHI:2006/10/30(月) 15:25
- ごっちんメインにしてみましたがいかがでしたでしょうか?
>>115-118 MONIXさん
あややいいですね~♪ うまいなぁ~と感心させられまくりでした。
今度は、MONIXさんとコラボしなくては…w
>>120-123 匿名さん
れいな~~~!!と思わず叫びましたwww
最近ヘッドセット買ったんで、僕もラジオに練乳してみたいなとw
今度、ラジオ聞かせていただきます♪♪
あと、僕のブログを最近立てたんですが、一応そこにボツネタとかも置いて
あります。
http://tacchi0507.blog80.fc2.com/
よかったら、見に来てください♪♪
- 133 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/01(水) 23:07
-
なんでこうなったんだっけな?
ふと目の前で楽しげに話している二人を見ながらそう思った。
ツアーでMCをしているからか、近頃この二人で一緒にいるところをやたらと目にしている気がしていたんだ。
きっかけは良く覚えていないけれど、確か藤本さんからご飯にと誘われたところへ田中さんが通りかかった。
……んだったと思う。
が、なんだろう、この疎外感は。
ツアーの話題で盛り上がるならまだ入りようもあるけれど、僕のいないロケの話じゃあ頷くくらいしかできない。
まぁ、別に構わないんだけどさ。
「れいな」
ふいにトーンが変わった藤本さんの声。
同時にヒョイと上がった腕が田中さんの口元へ伸びた。
僅かに身体を反らした田中さんに構うことなく伸ばされた指先にお米が一粒。
「れいな、あーん」
「え? あーん」
半ば条件反射で開いた口へすっぽり差し入れられた藤本さんの人差し指。
勢いでご飯粒ごと藤本さんの指をくわえ込んでしまっている田中さん。
その何とも言えない画、そして田中さんの表情に笑いを堪えていたら、本人と目があってしまいお互いに苦笑いを浮かべた。
- 134 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/01(水) 23:07
-
その瞬間、「ストップ!」とかけられた藤本さんの声に僕らは身を固くする。
まるでデジャブのように藤本さんの腕が差し上げられて、今度は僕の方へ伸びてきた。
触れるか触れないかのところで離れていった指先には、やはりお米が一粒ついていた。
からかいを隠そうともしない笑顔でニッコリとしてみせる藤本さん。
どうしようもない失敗を見咎められたような居心地の悪さ。
「あーん」
やっぱり。
数秒躊躇して口を開きかけたとき、「なーんてね」と藤本さんが指先を自分の口にくわえた。
「れいなと間接キス、惜しかったねー」
顔を赤くしてる田中さんと、してやったりの藤本さん。
間接キス……ね。
教訓。
食事中とはいえ気を抜く事なかれ。
- 135 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/01(水) 23:15
-
ttp://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1159268171/169
ネタ元はこちら。
どなたか知りませんが、勝手にいただいてしまいました。ごめんなさい。
>>125
大きなリアクションどもですw
>>アンテナの中の人
いつもお疲れさまです。
とても役に立ちますし、嬉しくも思ってます。
>>128-131 TACCHIさん
ご、ごっちん(;´Д`)ハァハァ
ヤバイ、ヤバイですよTACCHIさん。そんなごっちんを書かれると……
ラジオ期待してます♪
自分は受動的なので、時と場合が許す場合のみで、たまたま顔を出しただけなので(^^;)
ブログの方も行ってきますね。
- 136 :-愛のために、星に願いを-:2006/11/01(水) 23:59
-
「村上ちゃん、脱退だって…」
「あぁ、知ってる。今事務所の人から聞いた」
今、事務所に居るメンバー。よっすぃー、ミキティ、僕の三人は事務所から
℃-uteの村上 愛ちゃんが、昨日付けで脱退したことをきいた。
三人で、事務所を出てちょっと肌寒くなった夜の下を歩く。
「どうする? ホントの脱退理由知ってるの僕らだけだけど…」
「下の子たちには言わないでおこう。小春やれいな達にはさ」
「そうだね。美貴もそうしたほうがいいと思う」
「はぁ…やっぱ、あの事務所も変わらない…ファンの心を無視か…」
僕は、あの苛立ちを思い出した。あの忌まわしい苛立ちを。
右手に少し残った傷跡をさすりながら、上着のポケットの中に手を入れた。
「私たち、みんなに夢を与えてるけどさ、私たちの夢は与えられないのかな?」
「夢?」
「みんなの前で歌を歌っていきたいのは、当たり前の夢だよ。
けど、普通の恋愛とかさ…結婚とか…無理か…」
「無理かなぁ…」
「・・・。僕は、そんな自分が夢を見れない仕事嫌だな…」
「あたしも…」
「美貴も…」
「「「はぁ…」」」
「僕は辞めたいなんて思わないけど、キツイね」
「うん…」
「℃-uteの子たち、大丈夫かな?」
「僕みたいにならなきゃいいけどね…」
苦笑いになる僕。よっすぃーもミキティもあの事思い出したようだ。
- 137 :-愛のために、星に願いを-:2006/11/01(水) 23:59
-
「あぁ、あの時はマジビビった。あんた椅子蹴り上げるんだもん」
「美貴もあの時はマジびっくりしたね。●●が、キレると思ってなかったしさ。
でも、嬉しかったなぁ。美貴たちのこと、めっちゃ考えてくれるって伝わった」
ミキティの言葉に少し恥ずかしく思いながらも、やっぱり胸のつっかえは取れなかった。
「村上ちゃん、幸せになってほしいね」
「うん」
「ってか、幸せになれなかったら、事務所潰す!!」
「ミキティ、マジでやりそうで怖いから。でも、そのときは私も加わるよ」
「僕も加担しようかな」
「三人で同盟ね」
「「おう♪」」
「今は僕らが、舞美ちゃんをサポートしてあげよ。今、ホント辛いだろうから」
「そうだね。うん」
「よっしゃ、明日から頑張るか!!」
「うん」
「よっし」
「じゃあ、また明日」
「気をつけて」
「●●、襲われんなよ?」
「誰に?」
「男のファンに」
「マジでありそうで怖いんですが」
三人で、笑いあう。ミキティとよっすぃーの二人は、一緒に帰るみたいだ。
「じゃあね」
「じゃあ」
「あ、ちょっと待った!!」
よっすぃーが、右手を前に差し出す。ここで、あれやんの…? バレないかな?
「●●、早く!!」
すぐに自分の右手をよっすぃーの右手に乗せていたミキティが、僕をせかす。
僕は、右手をミキティの上に置いた。
「しゃあ、明日からめっちゃ頑張るからね~。いい?
頑張っていきまっ「「しょーい!!」」」
「よし!! じゃあね、●●」
「うん」
僕は、二人の背中を見送りながら、幸せを探す旅に出た一人の小さな女の子が幸せに
なることを夜空の星に願った。
- 138 :TACCHI:2006/11/02(木) 00:06
- すいません、急いで作ったものなので間違えがあるかもしれません。
村上 愛ちゃんの脱退は、自分には衝撃的でした。
村上ちゃんは、推している一人だったので…
ネタ的には、前スレを見ないとわからないかもです(汗)
>>133-134 匿名さん
コメントありがとうございました♪
よかったら、ラジオで共演しましょう☆
今回も、萌え萌えなネタありがとうございますm(_ _)m www
- 139 :名無し娘。:2006/11/03(金) 21:10
- 楽屋に戻るとなぜかバニーガールがいる。
でも人形のように身動きしない。
僕はわざと何もなかったように過ごす。
すると藤本さんが入ってきた。
「なんでバニーガールがいるの?」
「わからない。」
するとバニーガールが喋りだした。
「なんで私をいじってくれないの。2人とも。」
「梨華ちゃんなんでそんな格好してるの?」
「ジャケットの衣装なんだ。●●こういう衣装好きでしょう?」
「そんな事はないよ。」
「●●顔が赤いぞー。」
僕はすごく動揺した。
- 140 :TACCHI:2006/11/07(火) 17:17
- ちょっと、>>139さんとカブってますがどうぞw
- 141 :-愛すくりぃむ-:2006/11/07(火) 17:18
-
「はい、●●。これ、新曲のCDね」
梨華ちゃんから渡された美勇伝の新曲CD。
「ありがと…うわぁ~…」
「うわぁ~ってなによ」
そういって、睨んでくる梨華ちゃん。
「い、いや、今回はレベルがいつもより高いと思って」
「レベル?」
「衣装のレベルがね…」
僕が、CDを指差すと。一気に梨華ちゃんの顔が赤くなる。
「バニーガールか…」
「男の子ってこういうの好きなんでしょ?」
「まぁね…」
こんな時は、正直に答えないと後で何を言われるかわからないからなぁ。
「今度、●●の為だけにしてあげようか?」
「へぇ~それはありがた…はぁ!?」
あまりの提案に立ち上がってしまった。
- 142 :-愛すくりぃむ-:2006/11/07(火) 17:19
-
「ふふふ、冗談だよ。私だって恥ずかしいもん」
梨華ちゃんは、クスクスと笑っている。やられた…こうなったら…。
「あぁ~あ、ちょっと残念だな。梨華ちゃんのバニーガール姿見たかったのに」
「え?」
「でも、いいか。こうやって、梨華ちゃんが、目の前に居るだけでも…」
梨華ちゃんに近づく。梨華ちゃんの目の前に来ると梨華ちゃんをやさしく抱きしめた。
「ちょっと、●●。ダメだよ」
「嫌だ、離さない」
「●●…」
梨華ちゃんの力が抜ける、ちょっと体を離すと梨華ちゃんを見つめた。
「いいよね?」
「・・・。うん」
顔と顔の距離が縮まる。梨華ちゃんは、目をつむった。
「梨華ちゃん…」
「●●…」
- 143 :-愛すくりぃむ-:2006/11/07(火) 17:19
-
「えいっ」
「イタッ」
キスをすると思わせておいて、僕は梨華ちゃんのおでこにデコピンを喰らわせた。
「仕返し~大成功!!」
「え?」
「僕をからかった仕返しだよ」
「むぅ~、もう●●なんて嫌い」
さすがに、姫はたいそうご立腹のようだ。
「ごめん、ごめん。どこが痛いの? 見せて」
僕は、梨華ちゃんのおでこを見るとちょっと赤くなっていた。
「痛いの痛いのとんでけ~」
-チュッ-
梨華ちゃんのおでこの赤くなった部分にやさしくキスをした。
「!?」
「お詫びのしるしね」
「もう…そんな事しても許してあげないんだから」
そんな事をいいながら、梨華ちゃんは顔を真っ赤にさせてとても嬉しそうだった。
- 144 :TACCHI:2006/11/07(火) 17:22
- 今回は、美勇伝のCDジャケットを見て書いてみましたが、あれは
ハレンチ極まりないですね。嬉しいですが…wあれが、歌衣装だったら
歌番組出れないですよwww
>>139さん
すいません、ネタがかぶってしまいまして(汗)
いや、それにしてもいい作品でした♪思わず、パソコンの前で
ちょっとニヤけてましたからwwwこれからも、よろしくです♪
- 145 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/11/08(水) 20:30
- 新曲ネタ行きます!
- 146 :歩いてる:2006/11/08(水) 20:31
-
カツ・・・カツ・・・カツ・・・カツ・・・
日本武道館でのライブリハ前の空き時間、僕は会場の近くを散歩していた
楽屋の賑やかな雰囲気も好きなんだけど、たまにはこうして一人でいるのも良い
少しずつ空気が引き締まって冬の気配が忍び寄りつつある東京の朝の空気を僕は満喫していた
「はぁ~、来週は仙台か・・・」
そんな独り言を呟きながら僕は歩いてる
♪~~♪~~♪~~♪
静寂を打ち破るようにズボンの右ポケットに入っている携帯電話が鳴った
「ん?メールか・・・」
携帯の発するイルミネーションカラーからメールが届いた事に気づく
携帯を開き、ディスプレイを確認するとそこには懐かしい人の名前があった
「おぉ!」
早速メールを読んでみる
『久しぶり~♪●●は元気にしてる~?こないだ新曲のPV見たよ~、あんたもちっとは成長したじゃん!
ボーイッシュ担当をあたしから受け継いだんだから、まだまだ頑張ってね~~(⌒^⌒)b』
相変わらず厳しい先輩だよ、この人は・・・
僕は歩きながら当時の事を思い出してみる・・・、僕のライブデビューはここだった
4期メンバーよりも少し早く娘。に入っていたんだけど、初ステージは同じ場所・・・
何もかもが初めてづくしで・・・前の晩も全然眠れなくってごっちんにずっと話を聞いてもらってたけ・・・
今思えば微笑ましい思い出だけど、付き合わされているごっちんは大変だったろうなぁ~
- 147 :-歩いてる-:2006/11/08(水) 20:32
-
僕はもうしばらく歩いた後、リハの時間が迫っているために武道館の方へ戻ってきた
「せんぱ~い!どこ行ってたんですかぁ~♪」
控え室へ続く廊下で久住さんは僕を見つけると、物凄い勢いで近づいてきて僕にしがみつく
「散歩に行ってたんだよ。一緒に行きたかった???」
僕は久住さんの頭を撫でながら聞く
「はい♪今度は一緒に行きましょう♪あ、先輩、もうすぐリハ始まりますよ~」
「そっか、急いで準備なきゃね」
「はい♪」
僕と久住さんは手を繋いで楽屋まで歩いた、楽屋の前に行くと既にみんなはスタンバイOKの状態で
久住さんと僕を迎えてくれた・・・少々手荒い歓迎だったけどね・・・
「さぁ、小春と隠れてデートしてた●●はほっといてみんなリハ行くよ~」
「「「「お~!」」」」
吉澤さんの声にみんなが呼応する
リハに向かう廊下を皆で歩く、僕はいつもと変わらず最後尾を歩く・・・
後ろから見るいつもと変わらないこの景色、やっぱり僕は娘。が好きなんだなぁと思う
いつまでこうやって歩いていられるかはわからないけど、ずっとこうやって歩き続けられたら
いいなぁと思った・・・
リハが終わったあと、僕はメールの返信を送った
『親愛なる市井・・・いや吉澤紗耶香先輩♪
先輩は元気っすか???相変わらずの手厳しいメールっすね~(>_<)
娘。になってずっと突っ走ってばっかでしたけど、最近ようやく
周りの景色(みんな)を見ながら歩く事ができるようになりました(*^。^*)
まだまだ娘。でがんばります!先輩もがんばってください(*^_^*)』
- 148 :-歩いてる-:2006/11/08(水) 20:35
- あとがき
( M _ O)<とりあえず短めに新曲ネタをやってみました
今からフットサルの練習に出かけてきやす!
次回作もあと少しで出来上がりそうです♪
- 149 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2006/11/08(水) 20:35
- >>148
焦ってハンドル間違った
- 150 :TACCHI:2006/11/08(水) 22:54
- >>146-147 (MONIXさん)
この作品めっちゃ良すぎです♪♪ちょうど、新曲聞きながらこれ見てたんで
この作品めっちゃ好きになりましたw
フットサルいいですねぇ~、怪我しないように頑張ってください♪♪
- 151 :名無し娘。:2006/11/09(木) 17:31
- 悪くない
- 152 :名無し娘。:2006/11/11(土) 12:22
- えりりんの頭なでたい
- 153 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:43
-
十一月十一日。
前のことがあったからかもしれないけど、今年も零時になると同時にメールが届いた。
絵里かさゆだと思いながらメールを開いてみれば、驚いたことに藤本さんからだ。
17歳オメデト
明日もガンバロー
内容こそは“らしい”文面だったけど、なによりも一番に祝ってもらえたってことがすごく嬉しい。
明日の……もう今日のだ。コンサートに備えて大阪にきているこの場で、こうして気にしてもらえるのが嬉しかった。
藤本さんのメールを読んでいる間にも、他のメンバーからもメールが届いていた。
次々と送られてくるメールを読みながらそれぞれの顔を思い浮かべて……少し切なくなってる自分がおかしかった。
メンバーからも、地元の仲が良かった友達からも、何通もメールがきたけどなにか足りない。
- 154 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:44
-
優しく笑いかけてくれる人の表情が思い浮かんだ瞬間、形になったその笑顔をかき消すみたいに窓の外でなにかが光った。
ホテルの高層階なのに、なんだろうって窓際へ歩き出したそのとき、地鳴りのような音を体中で感じた。
「ひゃあぁっ!?」
なにが起こったのか、理解よりもまず身体が反応した。してしまった。
耳を押さえて小さな悲鳴を上げ、突然の轟音にへたりこんでしまった。
それは唐突にきて、あっという間に去っていったみたいだ。
静かになった部屋で、おそるおそる耳から手を離して、今度こそ窓の向こうへ目を向けてみる。
いつの間にか雨になっていたらしい。それも結構強く。
そこでやっとさっきの音が雷の音だってことを理解した。
正直得意ではない。
というよりも、泣きたくなるくらい苦手だった。
また外が光った。
ビクリと身体を縮こまらせながら耳を強く押さえる。
押し当てた手を通して、雷がゴロゴロいってるのが解る。
怖い、怖い、怖い……ただそれだけが身体を埋め尽くしていくみたいだった。
- 155 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:44
-
まさかそんな迷信を信じてるわけでもないのに、お腹に手を当てて無意識におへそをかばうような格好になる。
「どうしよう……絵里かさゆんとこ……あぁ~、でもバカにされるけん」
口の中で呟きながらドアの手前で迷ってると、三度目の雷がやってきた。
フラッシュみたいな光りに必死で耳を押さえる。
もうバカにされてもいいやとノブに手をかけてグイと開いた。
周りを気にしてる余裕すらなかったから、そこに誰かがいるなんて思いもしなかった。
開けたドアの向こうにれいなよりも頭一つ以上高い人影。
反射的に声を上げそうになった口が大きな手で塞がれて、なにか声が聞こえてくる。
「ち、ちょっと田中さん。僕。僕だってば」
上げた視線の先に、雷にかき消されたその顔があった。
思い浮かんだ顔とは違って、その表情は焦って困ってるみたいだったけど。
「んーんー」
「あ、ごめん」
先輩、と言ってみたけれど言葉にならず、先輩は笑いながら手を離してくれた。
- 156 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:45
-
「えっと。ちょっと入れてもらってもいいかな?」
「は? あ、どうぞどうぞ」
こういうのをと渡り船かいうんだっけ。
ん? まぁ、なんかそんな感じの。
ともかく思わぬ形で現れた救いの手に安心していたのがいけなかった。
後ろの窓から見えたハズの雷光にも気がつかないまま、ふいに鳴り響いた雷鳴に身体が反応してしまった。
「ひっ!?」
「っと!?」
瞬間、自分のものじゃないみたいな自分の声に、先輩の小さな声が重なって。
我に返ったのもやっぱり先輩の声だった。
「田中さん、雷ダメなんだっけ」
声に“困ってます”って感覚が混ざってる気がして顔を上げる。
- 157 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:45
-
さっきよりもはるかに近い距離に……っていうよりも、先輩の腕の中にいる自分。
思わず飛び込んでしまったらしい先輩の腕の中でコクンと頷くと、そっと腕が離れていった。
ほんのちょっと。少しだけ名残惜しいなって思ったら、離れたはずの腕に肩を抱かれた。
「廊下じゃアレだし、とりあえず入ろっか」
そう言われて戻った部屋で、弱めにかけた暖房で暖められていく空気の中、なんとか気を紛らわせようとして先輩が色々な話をしてくれた。
先輩が入ったばかりの頃の失敗談や、それに対して言われた中澤さん等のお説教。
どんどん話に惹き込まれて、あれだけ怖がっていた雷のことも忘れていた。
ずいぶん色々な話をして、されて、時間と共にポカポカと暖まる身体と心は、先輩と二人でいるドキドキよりも安心感みたいなものを強くした。
- 158 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:46
-
いつの間にか記憶が飛んで、気がつけば先輩の肩に頭を預ける格好になってて。
眠くてシパシパする視界の中で先輩が笑ってた。
先輩がなにか話してる。聞かなきゃって思うけれどよく聞き取れない。
ふわっと身体が浮かび上がったような気がする。
ゆっくりと背中がなにかに沈み込んでいくみたいで。
半ば眠っているような状態のままで、頭に浮かんだことをそのまま口に出してみた。
「かみなり……せんぱい……」
ゆっくりと目を開くけど、また同じくらいゆっくりと目蓋が落ちてくる。
そんな中でれいなの手があったかい感覚に包まれて。
「いるよ」
そう聞こえた気がした。
どんどんと、どこまでも際限なく沈み込んでいく意識の中で、最後に覚えているのは「十七歳おめでとう」って言葉だった。
今年の誕生日はいい日になるなって、夢の中までもそう思った。
- 159 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:59
-
れーな忘れてましたよれーなオタオメですね記念。
気がついたもののネタに困ってるトコロへ昨晩ヒントをいただきましたw
ttp://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs0/1163181565/66
で公約通り書いてみましたー。おへそを隠す云々まで交ぜてw
>>136-137>>141-143 TACCHIさん
めーぐるはとてもとても残念ですね。
なにが真実かとか解りませんし、言いたいこともあるけれど、一人の女の子として幸せであればいいなと思います。
で、美勇伝。
なんといいますか、話は素敵で萌え萌えなのです。
相変わらずうまく書かれるなーとか思います。
ただ一つおもうのは……彼女たちはどこへいってしまうんでしょうか(^^;;;
>>139 名無し娘。さん
おー、なんかいいです。
私が参加するよりだいぶ前の夢物語のような空気感。
短くうまくまとめてあってすごいなーと。
>>146-147 MONIXさん
懐かしい名前が出てきましたね(^^)
彼女も、そして娘。たちも、前へと歩いていけることを願ってやまなかったりする自分を再認識させてくれる作品でした。
- 160 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:37
-
理由なんてない。
ただなんとなく。それだけのことだった。
それがあんな事態を引き起こすきっかけになるだなんて……。
ある日僕は誰もいない楽屋に戻ってきた。
おや? そう思ったけれど、そのときはただそれだけのことだった。
ふとテーブルに目をやると、そこには誰かがつまんでいたらしいお菓子が乱雑に広げられていた。
別に特別食べたかったわけじゃない。
ついと手を伸ばしてポテチを一枚つまみ上げた。
まだ湿気ってない。
「ふむ、まだそれほどの時間は経っていないようだね」
なんて推理小説めいた独白を、芝居がかった口調で呟いて、パリパリと咀嚼する。
楽屋を見回しながらも、もう一枚、伸ばした指先がその奥にある袋に触れた。
- 161 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:37
-
親指と人差し指でつまみ上げたそれを口に入れようとして、ふと考えた。
掌を上にして、伸ばした指の先にはピーナツが乗っている。
左手で右手の根本を叩く。
勢いよく跳ねたピーナッツは僕の口の中へ消えた。
カリカリと咀嚼しながらなかなか香ばしいピーナツに、そして一発で成功してる自分に満足げに笑う。
ピーナツをもう一つ。
今度は高く上へと放り投げてみる。きれいな放物線を描いて戻ってくるピーナッツが口の中へ収まる。
立て続けにもう一個。
上へ放り投げた瞬間に、部屋の中で物音が聞こえた。
一瞬それに気を取られた僕の口元へ落ちてきたピーナッツ。
微妙にずれたポジション、くちびるの上に当たったそれは、なんのミラクルなのか跳ね返って鼻の中へナイスイン。
慌てて下を向いたと同時にこぼれ落ちるピーナッツ。
ヒドイ目にあった。
そして僕は楽屋の隅にある硬質なロッカーへ恨みがましい視線を向けた。
何気ない素振りでゆっくりと近づく。
端から横目で眺めながらロッカーの前を歩いていく。
- 162 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:38
-
「ここだっ!」
えいと開いたロッカーの中で、亀井さんが笑顔のままで硬直していた。
「見てたね?」
亀井さんが表情を変えずにコクンと頷く。
「笑ったでしょ?」
急に挙動不審な表情になった亀井さんが、迷った末にコクンと頷く。
「ちょっとおいで」
ロッカーから亀井さんを連れ出し、テーブルの側へと歩く。
「これなーんだ?」
「せ、せんぱい? なんか絵里、すごいイヤーな予感がするんですけどぉ」
僕の指先にはピーナツ。
きっと彼女の予感は当たっている。
二人の視線が絡み合う。
「こうしてやるっ!」
「きゃーー!!」
- 163 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:38
-
しばらくもつれ合った後、部屋に入ってきた道重さんが見た物は、鼻からピーナッツを落とした瞬間の亀井さんの姿だった。
僕には今、亀井さんがなにを考えているのかがとてもよく解った。
わけの解らないままに亀井さんに襲われた道重さんも、やはり同じ運命を辿った。
まるで映画で観たゾンビや吸血鬼のように、この事象は恐るべき伝染性を持っていたんだ。
次々と楽屋へ戻ってくるメンバーが襲われていく。
理性を取り戻していた僕は、その修羅場を目にしながらこれはマズイことになったと考えていた。
その流れが断ち切られたのはよっすぃーのときだった。
おかしな精神状態にあった愛ちゃんが、襲いかかったはずのよっすぃーに逆襲されたんだ。
その手から飛んだピーナッツが、最後に戻ってきた藤本さんを直撃し、事態はより凄惨なものへと変化した。
感染者も非感染者もなく、敵も味方もない。
いつまで続くのかすら解らない、ピーナッツを中心にして混沌とした状態へ突入した。
そしてどれほどの時間が過ぎたのだろう。
開いたドアにマネージャーの怒声。
事態は急激に集束し、僕と……申し訳ないことにメンバー全員が正座で一時間あまりもお説教をいただいた。
けれど昔みたいに、少し子供だったあの頃のように、楽しかったと感じてしまったのはまぎれもない事実だった。
- 164 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:39
-
上のと同じくラジオスレから。
拒絶したハズの“ピーナッツ”ですが、なにか降りてきたので書いてみました。
このくらいが限界ですorz
- 165 :名無し娘。:2006/11/12(日) 23:12
- なにかが降りてきたのか
- 166 :名無し娘。:2006/11/12(日) 23:30
- ゾンビや吸血鬼みたいってw
- 167 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:51
-
十一月十一日、0時。
今日も…いや、もう昨日か…無事にコンサートも終り今日の反省も書き終わって時計を
見ると、0時を指していた。
「田中さんのの誕生日か、メールでも送ろうかな?」
メールの内容を考えて色々と打ってみるがいいのが思いつかない…。
「どうしようかな…なかなかいいのが思いつかない…」
そんな事を考えていると、ある事が思いついた。
「田中さんのところに行けばいいんじゃん。直接『オメデトウ』を言ってあげよ」
思い立ったが吉日。田中さんの部屋番号をマネージャーから聞いて
部屋に向かい始めた、その時!!何かが光った。
- 168 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:52
-
「うぉっ!?」
いきなりの轟音に少し驚いてしまい、ちょっと体が震えた。
そんな自分に、ちょっと格好悪いと思ってしまったり、仕方がないと
自分に言い聞かせたりしていた。
窓の外を見ると雨は、とても強いものになっていた。
「こりゃ、すごいな…って、こんな事してる場合じゃないか」
部屋着で、田中さんに会うのもちょっと気が引けたので、ジャージから
ジーパンとTシャツに着替えて田中さんの部屋に向かった。
その途中で、二回目の雷も鳴ったが雷が来るとわかれば、もう怖くなかった。
しかし、雨は強くなっている。雨が、嫌いな僕は少しこの雨が怖くなった。
- 169 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:52
-
「早く、田中さんの所へいこう…」
足早にれいなの部屋の前に行くとといきなり扉がひらいた。
開いたドアの向こうから、僕より頭一つ以上下の低い影。
田中さんだと、わかった時田中さんが叫びそうなのを見て反射的に口を
押さえてしまった。
「ち、ちょっと田中さん。僕。僕だってば」
田中さんは驚いた顔からちょっと落ち着いた顔になっていた。
僕は、今の状況に困っていますけど…
「んーんー」
「あ、ごめん」
何を言ったかわからなかったが、僕を呼んだらしい事はわかった。
- 170 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:53
-
「えっと。ちょっと入れてもらっていいかな?」
「は? あ、どうぞどうぞ」
このままここに居るのもヤバイと思ったので、部屋に入れてもらう提案を出した。
断られるかも…とか思ったが、田中さんはすんなりと承諾してくれた。
いいのか? まぁ、男として見られてないって事か…なんて考えていると
廊下が少し光る。数秒後、外から雷鳴が鳴り響いた。
「ひっ!?」
「っと!?」
少し驚いてしまった。けれど、僕よりもっと驚いてしまった子がここに…
「田中さん、雷ダメなんだっけ」
固まっていた田中さんが顔を上げる。
- 171 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:54
- 僕の体にギュッとしがみついて、うなづくのがわかった。
一旦、離れると少し震えている田中さんの肩を優しく抱く。
「廊下じゃアレだし、とりあえず入ろっか」
そう言って、部屋の中に入って暖房を点ける。暖まっていく部屋の中で、
僕は、なんとか田中さんの気を紛らわせようと自分が4.5期として入ってすぐの
失敗談や、その時の中澤さんのお説教の話をちょっと大げさにして話した。
- 172 :-麗奈、おめでとう-:2006/11/17(金) 02:55
- そんな色々な話をしていると、横に座って今まで楽しそうに話を聞いていた
田中さんは、いつの間にか僕の方に頭を預けていた。眠たそうに目を
トロンとさせている姿がなんだか猫みたいで微笑ましかった。
「さてと、ベットに運ぶからね子猫さん」
僕は、田中さんをお姫様抱っこで抱え上げるとベットに優しく寝かせた。
田中さんは、小さな声で…
「かみなり……せんぱい……」
目蓋が少し開いたかと思うと、そのまま目蓋がゆっくりと閉じていく。
田中さんの手を優しく包み込み、安心させてあげたいと思った。
「いるよ。僕はここにいるから」
僕が、そう言うと田中さんは安心したかのような顔で眠りに落ちていくようだった。
「そういえば言ってなかったね…十七歳おめでとう…」
僕は、目の前で幸せそうに寝ている子猫さんの頭を優しく撫でた。
- 173 :TACCHI:2006/11/17(金) 03:02
- >>153-158 (匿名さん)
コラボさせていただきました♪
かなり遅くなりましたがいかがでしょうか?(汗)
いやー、コラボするのって楽しいですねw
>>160-163
かなり笑わせてもらいましたwピーナッツいいですね。
こんな事件が、ホントに起きてそうで実際に見てみたいですもんwww
表現の仕方も、ホントうまくて感心させられるばかりです。
いま、亀井さんの頭を撫でる作品を必死で考えていますw
もうしばらくお待ちください♪♪
- 174 :名無し娘。:2006/11/19(日) 05:32
- うんこだだもれ
http://d.hatena.ne.jp/INUman/
- 175 :名無し娘。:2006/11/19(日) 05:33
- すいません誤爆しました
- 176 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:33
-
気持ちの整理がつかない。
自身の感情すら制御できずにいる。
そんな僕に、彼女にかけてあげる言葉があるんだろうか。
この数年で幾度もこみ上げてきた感情。
極めて単純な怒りでもあり、透きとおるほど無雑な哀しみでもあり。
様々なものが混じりあい、出口を求めるように身体の中から膨らんでくる激情。
激情。
その言葉通り、激しい感情ですらも、今、僕が目の前にしている光景が飲み込んでしまっていた。
今までにもそうだったんだろう。
今回だけが特別なんじゃないはずだった。
けど……
けれど、きっと。
今まで堪えてきたからこそ、そうして溜めてしまった哀しみは彼女の背に余るものになってしまったのかもしれない。
そう感じさせるほどに、今、僕が見ている背中は、目を離してしまえば消えてしまうんじゃないかと思うほどに小さく弱々しかった。
今のメンバーの中で、もう知っているのは僕だけしか残っていないけれど。
彼女はけして簡単に“強い”と言ってしまえる娘じゃあなかったから。
そんな彼女が作って……作り上げてきたアイデンティティを保ちえなくなるほどのダメージだった。
- 177 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:33
-
「なあ」
どんな表情で紡がれた言葉なのか、僕には解らない。
けど、知る必要を感じないほど掠れきった声だった。
「うん?」
僕は短く返事をする。
余計な言葉は余計な刺激にしかならないかもしれないから。
「人の願いってさ、叶わないもんなのかね」
自嘲するかのような言葉、その中にどれだけの真実が含まれてるんだろう。
悔しくも情けないことに、僕はその言葉に返してあげられる何ものをも知らなかった。
下手な慰めやその場しのぎなんて求めてはいないだろうし、僕もそんな言葉は持っていない。
「ごめん」
なにも言えずにいる僕に――こんなときにまで――気を遣ったんだろう、彼女が言葉を重ねた。
- 178 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:34
-
「わりーね、情けないリーダーでさ」
「そんなことない」
それだけは言える。
一度だってそんなことを思ったことはない。
「そっかな? そう?」
「うん。他の誰にだってそんなこと言わせない」
乾いた笑いが返ってくる。
微かな湿度を残したカラカラの笑い声。
「他に、誰もこないよね」
「うん」
「なんも言わないで、しばらくいてくんない?」
「……うん」
「サンキュ」
僕は黙ったままで、ただ彼女の背中を見つめていた。
自分がそうするであろうように、例え無理矢理にだったとしても、彼女も自分の気持ちをまとめるはずだから。
少しでもその手助けになればいいと、僕は彼女の側にいる。
- 179 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:41
-
湿っぽくてごめんなさい。
そんな気分だったので。
>>165
今日はヘンなものが降りてきちゃいました。
>>166
そういうの好きなんですよ。
>>173 TACCHIさん
子猫さん……や、くすぐったい(^^;)
いつもありがとうございます。
亀井さんの話、期待しています。
- 180 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:58
-
「今帰り?」
一人遅れて出た楽屋の前で、久しぶりに聞く声が耳に響いた。
意外な声に振り向いてみれば、数ヶ月ぶりに顔を合わす厳しくも優しい先輩の笑顔。
「や、保田さん!? ご無沙汰してます」
条件反射のように頭を下げると、厳しく躾けられた当時の思い出がよみがえってくる。
「ちょっと! なんで逃げるのよっ」
「え? 逃げるなんてそんな……ほら、もう帰るところでしたから」
「人の顔見て逃げるなんていい根性してるわね。ちょっと付き合いなさいよ」
「えぇー!?」
「いいから。いくわよ」
半ば無理矢理に連れてこられた隠れ家的な居酒屋。
差し向かいで日本酒を酌み交わし、あまり口にしないような――主に保田さん好みの――肴をつまみながら、ごく普通の世間話に終始していた。
四合瓶を二本空け、まだ飲むんだろうなとメニューに目をやり次の酒を選んでいたとき、今までの流れそのままの声で保田さんが爆弾を落とした。
「アンタさ、誰か好きな娘いないの?」
- 181 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59
-
「……はっ!?」
「なに思いっきり動揺してんのよ。そんなおかしなこと聞いてないでしょ」
「い、いや、そうですけど。なに、なんで急にンなことを……」
保田さんは真顔で、手にした箸をふるふると振ってみせる。
「好きなメンバーとかいないわけ?」
「メンバーって……えぇ? 娘。に、ですか?」
「でもいいし、もっと枠を広げてもいいわよ」
「……い、いませんよ。だって…仲間なんですよ?」
「よっすぃーとか藤本とか、高橋だっていい年頃なんじゃない。石川とか、ごっちん……」
人の言葉なんて聞いてもいないかのように、保田さんはあり得ない話を続ける。
押し黙った僕を見た保田さんが言葉を止めて、唐突にニヤリと笑った。
「なにかおかしいですか?」
「さあね。まぁ、本心はさておき、アタシにそういう風に言えるのは成長よね」
「もしかして、試しました?」
「うん」
カラカラと笑いながらこともなげに頷かれた。
話を止めるタイミングも、僕の表情を見ての反応も、こうまで見透かされると悔しくもならない。
「意地の悪い先輩ですね」
「言えるようになったじゃない」
やり返すこともできずにまた笑われる。
まぁ不快じゃない。爽快ではないにしろ。
- 182 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59
-
「よっすぃーの面倒見たらしいじゃない」
不意に変わった話は少し前の愉快ではない話に直結した。
それが表情にも出ていたのかもしれない。
「んな顔しない」
「……はい」
「で、どう?」
「なにがですか」
「色々よ」
「よっすぃーにはなにもしてませんよ。僕なんかじゃなにもできない」
フン、と、鼻で笑われた。
「アンタはいるだけでもいいのよ」
「……役に立たなくてもですか?」
「役に立つか立たないかは、周りが決めるわよ」
「はあ」
「もうちょっと自身持ちなさい。いい男になってきてるから」
「……ありがとーございます」
めずらしい誉められ方に気恥ずかしくなり、投げやりなお礼を返した。
楽しそうに笑う保田さんから逃げるように逸らした視線の先で、時計の針が日付を変わったことを教えてくれていた。
やり返すチャンスだと、そう思った。
「誉めてくれたお礼に、今日は僕が奢らせてもらいます」
「なにヘンな気使ってんの、いいわよ」
保田さんの空いたグラスに酒を注ぎ、自分のグラスも空け、同じように注ぎながら今度は逆にニヤリと笑って見せた。
「誕生日おめでとうございます」
グラスを掲げ言ってみせた。
驚いた保田さんが照れくさそうに視線を逸らせながらグラスを手にした。
硬質なグラスが、お祝いの音を鳴らし、僕は今日ぐらいは保田さんを背負って帰るのもいいかなと思った。
- 183 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59
-
圭ちゃんおめ。
- 184 :名無し娘。 :2006/12/07(木) 05:29
- だいぶ遅れたがヤススおめ
- 185 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/09(土) 17:04
-
局の廊下を歩いていると、ハロモニのスタッフさんに呼び止められた。
「ごめん、●●くん。あのさ、美勇伝のみんなを歌収録があと十分後にあるから
スタジオに呼んできてくれないかな?」
「へ? いいですよ。でも、なんで僕…?」
「おねがいね~♪♪」
スタッフさんは、そのまま逃げるように走っていった。
「ま、いいか」
何も考えなくて、そのまま楽屋に向かった。
僕の辿りついた場所には、入り口の横に『美勇伝 様』と書かれた紙が
張ってあった。
-ゴンゴン-
「「「はぁ~い」」」
ドアをノックすると中からは、三人の女の子の声。
「●●だけど、入っていい~??」
「いいよ~」
中から梨華ちゃんの声が聞こえて、僕はドアの中に入った。
- 186 :-バニー-:2006/12/09(土) 17:04
-
「今から、歌しゅ…!!??」
-バタン!!-
慌ててドアを勢いよく閉めて廊下に出た。
僕が見たもの…それは、バニーガールの格好をした女の子三人が、椅子に座って
こっちを見ている光景だった。
「え? あれが、歌衣装?? ジャケットだけじゃ、なかったの?」
一人で、自問自答を繰り返していると後ろのドアが開いて中から梨華ちゃんが、
ひょっこりと顔を出した。
「●●、何してんの??」
「いや、あのさ、あと10分後歌収録だって。スタッフさんに、伝えてって言われたからさ」
「ふ~ん…●●。どう? 私たち」
「ど、どうって?」
「もう、…私たちの衣装似合ってる?って聞いてんの」
「あ、あぁ、なるほどね。う、うん、似合ってるんじゃないかな?」
僕は、梨華ちゃんを真っ直ぐに見れなくて視線をそらしながら答えた。
「●●、見てない。もう!!」
「うぉ!!」
そう言って、梨華ちゃんは僕の腕を引っ張って楽屋の中に無理やり入れた。
- 187 :-バニー-:2006/12/09(土) 17:05
-
「あ…お、おはようございます」
「あ~●●先輩、おはようございます~」
「●●君、おはよ~」
僕の方を、見て笑顔でそう答える岡田さんと三好さん。け、けど、まともに見れない…。
「二人とも~●●がね、衣装とっても似合ってるだって」
「ホンマですか~!! 唯、めっちゃ恥ずかしいんですけど、先輩にそう言って
もらえてめっちゃ嬉しいです♪」
一気に僕との距離を詰めた岡田さん。ってか、近い、近いから!!
目線をどこにやっていいのかわからずに、オロオロとしていると
「●●君、座りなって」
三好さんから、椅子に座るように促された。僕は、居心地が悪くも椅子に座ると
岡田さんが、僕の前にしゃがみこんで、僕の顔を覗き込んでいる。
「な、なに??」
「いや、かわいい顔やなぁ~って思って」
「そ、そうかな?」
そうすると、後ろから梨華ちゃんが僕を抱きしめてきた。
「唯、●●はあたしのものなんだから、ダメだよ」
「えぇ~、ずるいですってぇ~。唯も、先輩抱きしめたいです~」
「じゃあ、私も参加しよ~」
前と後ろ、そして横からも抱きしめられている僕はもう頭の中がパニックになっていた。
美勇伝デルタアタックを、喰らった僕は自分でもわかるぐらい顔が熱くなっていくのが
わかった。
逃げなくてはと思った、僕はちょっと荒々しい行動に出る事にした。
- 188 :-バニー-:2006/12/09(土) 17:05
-
「岡田さん、ごめん!!」
「え? きゃっ」
僕は、岡田さんの胸に向かって手を差し伸べると軽く押して体を離し
体を反転させて梨華ちゃんの方を向いた。
「梨華ちゃん、許せ!!」
「ん? んふ」
僕は、梨華ちゃんの耳に息を吹き込むと梨華ちゃんは力なく床に座り込んだ。
「三好さん、すいません!!」
「あ…」
三好さんのおでこにキスをすると僕は逃げるようにドアへ走った。
ドアを出る前にみんなの方を見ると。
「早くスタジオに行ってね。もう時間だよ」
「「「・・・」」」
そう言って、楽屋を出た僕は急いで自分の楽屋へ戻った。楽屋に戻ると、
田中さんたちから『顔が赤い』と指摘されたがなんとかごまかした。
その後のハロモニの歌収録は、なぜかPVより妖艶に撮れたとスタッフさんも
一喜一憂していた。
僕は、三人の顔がそれからまともに見れないです…。
- 189 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/09(土) 17:07
- すいません、遅くなりまして(汗)
ちょっと、遅い感じもしますが美勇伝ネタ書かせていただきました。
続きのコメントは、また後ほど書かせていただきます…
今から出かけてきますので(汗)
- 190 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/10(日) 09:20
- >>179 (匿名さん)
すいません、亀井さんの話ではなくて(汗)w
ラジオで話していた通り美勇伝のネタを書かせていただきました。
匿名さんの、今回の作品もいいですね~。
よっすぃーと保田さんの話、どちらともよかったです♪♪
えりりんの話は、また後日書かせていただきますので、お楽しみに~。
- 191 :名無し娘。:2006/12/10(日) 18:24
- 「先輩。」
誰かと思って振り向くと、松浦さんだった。
「あややどうしたの。」
「先輩に相談があって松浦に付き合ってもらえないですか?」
「いいよ。」
「それじゃあ松浦の楽屋に来てください。」
松浦さんの楽屋に一緒に行った。
「先輩どうぞ。」
「お邪魔します。」
楽屋のイスに座ると松浦さんが話し始めた。
「松浦ってわがままで態度でかいと思いますか?」
「え?」
突然の質問で僕は驚いた。
「人の性格って人によってどう思うか違うと思うけど、
あややの性格、わがままで態度でかいって思う人もいると思うよ。」
「先輩はどう思います?」
「俺もあややがわがままで態度でかいと思うときあるよ。」
「やっぱりそうですか。でもそれが松浦らしさですよね。」
「俺もそう思う。」
正直に言っても松浦さんは笑顔でいてくれたので安心した。
- 192 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:18
-
それは久しぶりの雰囲気を覚える場だった。
メンバー全員での新聞紙面を飾る撮影と、にぎやかしい話題での取材。
が、それよりも。
別件で遅れて入った控え室で、僕は軽くショックな出来事があった。
…………
「遅くなりましたー」
軽くノックをし、「どうぞー」と、よっすぃーの返事を受けて開いた室内へ向けての第一声だった。
それが挨拶の言葉だというみたいに数人から遅いと言われながら、僕はそれらの全てを聞き流していた。
「で、もういるの?」
きょろきょろと見回した控え室の中で、年長組数人をのぞいた数人の輪ができている。
ちらりと見える二つ結びにした見慣れない黒髪。
「もーアンタだけだよ。挨拶してないの」
藤本さんが「遅いからだよ」なんてブツブツ言いながら教えてくれた。
どうやら小春ちゃんをはじめ、年少組はさっそく交流を持っているみたいだった。
- 193 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:19
-
「僕も挨拶ぐらいさせてよ」
騒々しいくらいの輪に近づいて、後ろからそう声をかけた。
フッと会話が止まり、振り向いた亀井さんと小春ちゃんが少しばかり左右に分かれてやっと視界が開ける。
ああ、そうそう、こんな子だったな。そう思った。
ハロモニ収録の場で対面しているとはいえ、僕自身は何一つ絡んだわけではなかった。
「えっと、光井愛佳さん。だったよね。改めて、よろしくお願いします」
「…………」
僕がそう挨拶をした途端――正しくはその前からかもしれないけど――、控え室が静寂に包まれた。
小春ちゃんたちは黙って僕と、光井さんの間で視線をさまよわせ、後ろの年長組も興味津々という体で見つめているようだった。
そして……光井さんもなにも喋らない。
笑顔から真顔の間で半ば硬直したように表情を凍らせ、薄く開いた口元も微動だにしない。
「あれ……?」
気まずい静けさに、意味をなさず場つなぎ的に口を開いてみたけれど、状況は何一つ変わらなかった。
妙に静かで、とても気まずい。
「名前……間違ってないよね?」
「…………」
「ん?」
「……ぅ」
「み、光井さん、だよね?」
「は、はい」
えらく小さな声で、一応肯定の言葉が返ってきた。
前回の印象とはだいぶ違う……?
気がつかないうちになにか嫌われるようなことでもしたんだろうか。
が、そんな印象を与えるほどの時間でもなかったと気がついたとき、ドアがノックされ僕らは呼び出された。
- 194 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:19
-
…………
そして取材を終え今に至る。
控え室の中で、荷物をまとめる間も、どうにも気になって仕方がなかった。
ふと振り向いた先で、田中さんと小春ちゃん、そして光井さんが楽しげに喋りあっている。
なにかの弾みでこちらを向き、僕と目があった田中さんが笑った。
僕に向かって。擬態語をつけるならば“ニヒッ”。そんな笑い方だと思った。
つと立ち上がった田中さんが口を開いた。
「先輩! 愛佳ちゃんが先輩のことずっと好き――」
部屋の外まで聞こえそうな声で話しだした口を、何故だか亀井さんが大慌てで塞いだ。
なにか二人でコソコソ話しているが、それは僕には聞こえなかった。
一方の光井……愛佳ちゃんはといえば。
やはり硬直していた。
笑顔と……泣き顔の真ん中のような表情で。顔中を真っ赤にして。
一つ違うことに気がついた。
口が、僅かに動いていた。
『あう』
そんな感じだろうか。
ともあれ、嫌われているんじゃないようだと解ったから、それでよしとしておこう。
――これからよろしくね
心の中で愛佳ちゃんへそう呟いて、田中さんへの反撃を考えることにした。
- 195 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:28
-
八期メン加入祝い。
……ほとんど喋ってないですけどw
しかもレス区切るトコ間違えたしorz
>>185-188 TACCHIさん
乳……あ、違う。そうじゃなく。
TACCHIさんの描く“先輩”は、セクハラ……いや違うw
こういう明るさはいいですよね♪
カメちゃんも楽しみにしてます。
>>191
わがままで態度でかい(^^;)
まぁそうか……そうかも?
こっちの先輩はストレートに言うなぁw
- 196 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/18(月) 00:49
-
最近元気なくない?
なんて訊かれて困ったりすることがある。
特に元気ないなんてわけがないじゃん。
そう返事もしてるのに、メンバーからはそう見えてないらしい。
仕事だって頑張ってるし、スタッフさんには一度だってそんなこと言われないのに。
いつも一緒にいるメンバーにはなにか解るっていうのかな?
絵里自身も気がつかないような違い。ある?
「どうだろう……?」
「なにブツブツ言ってるっちゃ」
おっと、知らない間に言葉に出してたみたいで。
隣に座っていたれいなにツッコミを入れられた。
その表情が少し「ん?」って顔になって。
こっちも「ん?」って返したら、人の顔をまじまじと見て、遠慮がちに訊いてきた。
「やっぱ元気ない?」
「えー? そんなことないのに~。おっかしいなぁ」
「ふうん」
「うん」
二人でおかしな納得の仕方をしたとき、楽屋のドアがノックされて静かにドアが開いた。
ドアの隙間からのぞいた顔を見たとき、自分の中で何かが繋がった。
ちょうど色々考えていたからこそだろうと思う。
急にすっくと立ち上がった絵里に、れいながなにか話しかけてきたけれど、とりあえずそれどころじゃない。
ドアへ向かって真っ直ぐ歩いていき、先輩の腕に自分の腕を絡ませてみた。
「な、な……?」
突然の行動に驚いている先輩だけど、それでも迷惑でなければ突き進むのみ。
そう、この甘えられる腕が足りなかったんだ!
困っていた先輩がいつの間にか笑顔に変わっていて、そして絵里の頭をポンポンと撫でるみたいに叩いてくれた。
足りなかったもの。
これが絵里のエネルギー♥
- 197 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/18(月) 00:50
-
書き終えてから気がついた。
ちょっとパクリしたような気がする(汗)
ごめんなさいごめんなさい。
- 198 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:45
-
零時を過ぎた。
一番最初に届いたメールはれいなからのものだった。
明日渡すプレゼントに期待しててって書いてあった。
素直に嬉しい。
けど、今ちょっと微妙に淋しい。
メンバーみんな……光井ちゃんからまでメールをもらったっていうのに。
- 199 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:46
-
そんな翌朝。
期待しててと言われたれいなからのプレゼントは、少し前に雑誌で見て「これいいよね」って話をしたブーツだった。
れいなの好みでもあり、色違いでお揃いになってるらしい。
安倍さんからも電話をもらった。
嬉しかった。
でも淋しい。
今日は個人の仕事だとかで会う機会すらないっていうのに。
メールもこない、電話もかけてくれない。
なら勿論プレゼントももらえない。
別にプレゼントが欲しいわけじゃない。
ただ祝って……ううん。
ただ声が聴きたい。会いたい。
それだけでもよかった。
- 200 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:46
-
なのに。
せっかくの誕生日も残り一時間もない。
淋しくて、悲しくて、ちょっと悔しくて、思い切ってメールを送った。
一言だけ、起きてますかー、って。
にらむみたいにケータイを見つめながら五分。
「おそい……」
そんな呟きが届くわけもないのに、バッチリなタイミングで着信がきた。
先輩からのもの。『起きてるよ。亀井さんはまだ寝ないの』ってそれだけ。
まさか忘れてるんだろうかって考えがちらつく。
今、家ですか?
ちょっと自分から言いだすのは癪だったから、遠回しに話をする。
- 201 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47
-
今度はすぐに返信が届いた。
『ううん。今、歩いてる(笑)』だって。
つまんないよー、先輩。
絵里の誕生日が終わろうとしてるのに、どこをほっつき歩いてるんだ!
なんて言えるわけもない。
どう話そうか考えてる間に、もう一通メールが届いた。
『亀井さんは家にいるの?』
いますよ。そう返した。
またすぐに返信。
『よかった』って、それだけ。
なにが? よかった?
頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
- 202 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47
-
着信。
電話だった。
「はい」
『今、家の前にいるんだ。ちょっと出てこれる?』
「へっ?」
『寒いからさ、出てきてくれると嬉しいな』
「い、いきます。すぐいきます」
慌てて一枚上着を羽織って玄関へ向かう。
覗き窓も確かめずに開いたドアの向こうで先輩が笑ってた。
「ギリギリ間に合った。十八歳おめでとう。それと、ちょっとフライングだけどメリークリスマス」
両手に二つのラッピングされた荷物を抱えたサンタさん。
ちょっと泣いちゃいそうな誕生日だった。
- 203 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47
-
亀井さん、おめでと。
- 204 :名無し娘。:2006/12/23(土) 11:11
- 今日は亀井さんの誕生日。
一応メールを送ったけど、
仕事でプレゼントあげれなかった。
と思いつつ自分のマンションに帰った。
部屋に入るとリボンをつけてラッピングした
亀井さんがいた。
「先輩、プレゼントに絵里を貰ってください」
「でも今日は絵里の誕生日でしょ」
「そうですけど、絵里いつも先輩に優しくしてもらってるから」
「ありがとう、絵里」
僕はそういって亀井さんの頬にキスした。
- 205 :-Birthday-:2006/12/23(土) 15:30
-
今日は、亀井さんの誕生日。
みんなで、誕生日プレゼントを持ち寄ってハロモニの楽屋で
誕生日会が始まった。
「絵里、誕生日おめでと~」
『おめでと~』
「ありがとうございますぅ~♪♪」
「じゃあ、みんな誕生日プレゼント渡して~」
よっすぃーからの合図で続々と誕生日プレゼントを渡していく
僕ら娘。のメンバー達。
「開けていいですかぁ?」
「うん。どんどん開けちゃって」
「じゃあ、これ」
「あ、れいなの」
「れいなか~…なんだろ?」
紫色の包装紙で包まれた箱をガサゴソと開ける亀井さん。
「あ、これ…ネックレス?」
「うん、れいなとさゆと美貴ねぇも一緒のしとると。6期の
証って感じのが欲しかったけん…」
「れいな、ありがと。大切にするね。うへへ~」
「うん」
照れたようにちょっと顔を赤くして、ぶっきらぼうに田中さんはそう答えた。
- 206 :-Birthday-:2006/12/23(土) 15:31
-
「次はぁ~…これ♪」
そう言ってどんどんと開けていく亀井さんは、もらった人に笑顔で
お礼を言っていた。
「最後は…先輩?」
「そうみたいだね」
「あの、これ薄くないですか?」
「そうかな? まぁ。開けてみてよ」
亀井さんは、不思議そうに四角くて薄い包装紙をあけた。
「CD??」
「ジャケットは、だれ?」
「せんぱい…? 先輩!?」
『えぇ~!?』
一斉に亀井さんに駆け寄る僕以外のメンバー達。
- 207 :-Birthday-:2006/12/23(土) 15:31
-
「せ、先輩、ソ、ソロデビューしたんですか??」
亀井さんが、僕の顔を驚いた顔で見つめる。
「うん。今日限定でね」
「え? 今日限定?」
「事務所に手伝ってもらってね。世界で一枚しかないんだよ」
「ホントですか? これ絵里のために?」
「もちろん。 だって、今日は亀井さんの誕生日でしょ。曲名は、『Birthday』
そのまんまで、ごめんね…って、絵里?」
亀井さんは、顔を下に向けて僕に顔を見られたくないようだった。
僕が、亀井さんに近づくと亀井さんの顔から水滴がCDに落ちていた。
「あ~あ、●●が、亀井ちゃん泣かしちゃった~」
「す…すいません、グスッ、とても嬉しくって」
「ごめんね、泣かせちゃって」
僕は、亀井さんの頭を撫でながら抱き寄せた。
周りから『絵里、ずる~い』なんて声が聞こえたけど、今日ぐらい僕からいいよね?
誕生日おめでとう、絵里。
あれ? 僕の誕生日…誰か覚えてるかな??
- 208 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/23(土) 15:37
-
亀井さんの誕生日記念ネタいかがでしたでしょうか?
頭も撫でるのもちゃんと入れましたw
次のネタは、明後日かな??w
>>203 (匿名さん)
誕生日ネタめっちゃよかったです♪
その前のネタで先に頭を撫でるネタやられちゃいましたがwww
まぁ、気にせず…これからもよろしくです♪♪w
>>204さん
短いけれど、めっちゃいいですねw
萌えましたwww
これからも、どんどん書いてください。
- 209 :名無し娘。:2006/12/24(日) 09:28
- 「クリスマスかー」
ディナーショー慣れてきたけどがんばらないと。
私は23日の夜そう思っていた。
デイナーショーの当日になり、昼の回は無事に終わった。
夜の回になり歌おうと思ってステージに上がると、
先輩が座ってる。
「あ、先輩だ。名古屋まで来てくれたんだ。がんばらないと」
一生懸命ステージをやり、先輩と目が合うときはアイコンタクトした。
夜の回も終わり楽屋に戻ってくると、先輩が待っていた。
「あややお疲れ様。そしてメリークリスマス」
そう言ってプレゼントをくれた。
「先輩、名古屋まで来てくれたんですね。ありがとうございます」
「あややのディナーショーが見たくてね。
スタッフさんにチケット取ってもらったんだよ」
「お礼に松浦が今夜お酒飲みにつれってあげますよ」
- 210 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/25(月) 15:47
- 今日、ネタをアップする予定だったんですが、急にバイトが
入ったんで、ちょっと夜中になるかもしれませんが、それまで
お待ちいただければ幸いです。
今日、ラジオしながらネタ書こうかな・・・www
- 211 :-聖夜の夜に-:2006/12/29(金) 06:00
-
今日は、12月25日。外にいる僕の周りのカップル達にとっては
とても重要な日らしい。でも、僕にとっても重要な日のはずだった…
「やっぱ、みんな忘れてんのかな?? はぁ~…」
そんな独り言もでてきて、近くにいたカップルに聞かれていたらしく
ちょっと気味悪がれて、じろじろと見られたので足早になる。
-♪電話だよ~♪-
その時、携帯からみんなの声が聞こえてくる。僕の携帯の着信音だった。
携帯を開いてディスプレイを見ると事務所からだった。
「事務所? なんで?? もしもし?」
『●●?』
「マネージャー? どうしたんですか?」
『大変なの! 娘。のみんなが…」
「へ? 今日は、僕以外のメンバーは取材でしょ?」
『そうなんだけど、みんなが乗った車が事故起こしたらしくて・・・」
「う、うそでしょ…」
『●●、急いで事務所に来て!!」
「は、はい!! すぐにいきます!!」
真っ白になった頭の中。僕は、何も考える事ができず力の限り走り出した。
- 212 :-聖夜の夜に-:2006/12/29(金) 06:01
-
「うそだろ…はぁはぁ…絶対うそだって!!」
何度も何度も嘘を信じて走って走って走りまくった。
事務所のビルに着いて、エレベーターに乗ろうとしたけど
なかなか来ないエレベーターを待つ事ができず、階段を駆け上がった。
そして、勢いよく事務所の扉を開けると真っ暗だった。
「はぁはぁはぁ、マネージャー!? どこ…うわっ!!」
-パン、パパンー
いきなり鳴り響いた破裂音に僕は驚いてしまった。
その破裂音の後に、目の前を灯しだすロウソク。
『♪ハッピバースデイトゥーユー、ハッピバースデイトゥーユー♪』
ロウソクが、全部灯ったのと同時に娘。のみんなが出てきて
歌いだす。
『♪ハッピバースデイディア、●●~…ハッピバースデイトゥーユー♪』
『おめでとー!!』
そう言って、拍手をしてくれるメンバーの笑顔を見た瞬間座り込んでしまった。
顔を塞ぎこんでしまう。
- 213 :-聖夜の夜に-:2006/12/29(金) 06:01
-
「せんぱい? どげんしたと?」
「だいじょうぶですかぁ?」
「●●?」
僕を、不思議そうに覗き込むメンバーたち。
「…かった」
「え??」
「よかった…みんな無事でよかった…」
僕の顔からポタポタと落ちる水滴。それに気づいたミキティが僕を優しく
抱きしめる。
「●●、ごめんね…大丈夫、大丈夫だから」
「せんぱい、大丈夫やけん…ごめんなさい」
「絵里は、ここにいますから」
「さゆも、元気ですよ」
そう言って抱きしめてくれる娘。のみんな。
暖かくて優しい気持ちになれる・・・涙がさらに溢れた。
「…ったく、誰だよ…グスッ、こんな悪い冗談思いついたの…グスッ」
「あぁ~、ごめん。あたしだわ」
「おまえか、よしこ…絶対許さん…」
「でも、みんな即決で賛成してくれたよ」
僕が、みんなの顔を見るとみんな苦笑いになっていた。光井さんまで…
- 214 :-聖夜の夜に-:2006/12/29(金) 06:02
-
「このやろ~…はぁ~、仕方ないなぁ…もう今日だけにしてよね」
「せんぱい、早くロウソクの火消してくださいよぉ」
亀井さんに、背中を押されてケーキの前にやってきた。
「せんぱい、消す前に願い事してくださいね」
僕は、ケーキの前で目を瞑り手を組んで願い事をかけた。
そして、ロウソクに向かって一気に息を吹きかけた。
ロウソクを吹き消すと、みんなから手に持てないぐらいプレゼントを
渡された。
「れいな~」
「はい?」
「れいなのプレゼントは??」
「え? なんで、れなからなんですか?」
「去年、プレゼントくれなかったのは誰でしょうか??」
「黄色の箱の奴です。あ、でも…」
「え? また中身入ってないとか??」
そんな田中さんの言葉を聞かず、黄色の包装紙に包まれた
箱を開けると、そこには水着のれいなの写真があった。
「これは? れいなの写真集?」
「は、はい。あの来年発売の奴なんですけど、お願いして一冊先輩のために…」
「ありがとう。これ、後でゆっくり見させてもらうね」
「はい。あ、あと、先輩あとで時間あります??」
「うん、姉さん達に捕まらなかったらね」
「ありがとうございます」
その後も、みんなからのプレゼントを続々と開けていき、みんなからお祝いの言葉を
言ってもらった。光井さんは、顔が真っ赤になりながらも言葉少なめに、僕に
誕生日プレゼントを渡してもらった。
最後に、みんなと笑顔で誕生日記念の写真を撮った。
ケーキを囲んで笑顔で真ん中で写っている目を真っ赤にした僕。
恥ずかしい記念日になったけど、とっても嬉しい記念日になった。
僕の願い…みんなが、ずっと笑顔で…。
- 215 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/29(金) 06:03
- 遅くなって申し訳ないです。クリスマスネタですw
次のネタはすぐに・・・www
- 216 :名無し娘。:2006/12/29(金) 13:33
- 気になるひょう
- 217 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/03(水) 04:18
-
へらへらとした笑顔で爆弾を落とされたのは三人だけでの席だった。
「卒業、決まったわ」
藤本さんも僕も、よっすぃーがそんな表情をするしかないんだということは解っていた。
けれど僕はそれに対して何も言えず、藤本さんは憤りを露わにした。
今にも掴み掛からんばかりに詰め寄る藤本さんをいなすように肩に腕を回しなにかを呟いたよっすぃー。
仕方ないな、そんな笑いを浮かべたよっすぃーの隣で、藤本さんは憮然として黙り込んでしまった。
僕へ視線を流してチョイチョイと指が動く。
ため息をついて距離を詰めた僕に、毅然とした声でよっすぃーがこう言った。
「もうアンタが一番先輩になるんだからさ。頼んだよ」
今ここで、そんなセリフを口にする彼女に、「反則だよ」と嘆息しながら空いた手に巻かれた僕はやるせなさを飲み込んだ。
今日は酔ってしまってもいいかもしれないと、ほんの少しだけ、そう思っていた。
- 218 :名無し娘。:2007/01/03(水) 20:31
- >もうアンタが一番先輩になるんだからさ
そうか、このスレ的にはそうなるんだよね・・・
- 219 :-旅立ち-:2007/01/04(木) 14:05
-
今僕の横には無表情のミキティ。
別室では、高橋さんとよっすぃーが1対1で話している。
たぶん、今後の事を話しているんだと思う。
「・・・」
「なぁ、無言は寂しくない?」
「・・・」
無言のミキティ。表情は、無表情のようで少し悲しそうだった。
「あのさ…泣きたかったら、今泣いとけば?」
「・・・」
「明日からは、泣けないよ。みんなの前で、泣きたくないでしょ」
「・・・あんたは?」
「僕は、今は泣けない」
「なんで?」
「ミキティが、泣くからさ…」
そう言うと、ミキティは立ち上がり僕を後ろから抱きしめた。
「前じゃなくていいの?」
「見られたくない…」
「そっか・・・」
背中から少し震えているのが伝わってくる。
後ろから抱きしめられている手を僕は優しく優しく包み込んだ。
明日から、笑顔でね…
- 220 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/04(木) 14:09
- えっと、何を書いたらいいのやら・・・今回はマジでビックリしまして・・・
ネタも、よっすぃーは何か出せなくてミキティにしたんですが、やっぱ寂しいですね。
でも、最後まで突っ走っていってほしいです。
- 221 :名無し娘。:2007/01/06(土) 13:36
- 吉卒…年少メンはどういった感じで受け止めたんだろうな
- 222 :-翌日・・・-:2007/01/07(日) 02:40
-
みんなが集められた室内には重い空気が流れている。
「・・・という事で、吉澤が卒業する事になった」
事務所のお偉い方からの説明のあとによっすぃーが話す事になった。
「あたしは、今年の5月のコンサートで卒業することになりました。
これは、娘。のためでもあるしあたしのためでもある。だから、
最後までみんなと突っ走っていきたいと思います」
僕の横に珍しく居た久住さん。今日は、よっすぃーやミキティが
近づけないほどピリピリしてたからだと思う。
僕の手をぎゅっと握る久住さん。そして、久住さんは今にも泣きそうな
目で僕を見つめていた。
「小春…」
「せんぱい…先輩は、知ってたんですか…」
「うん…昨日ね…」
「なんで…な…んで」
目から大粒の涙を流し始めた久住さんの頭を空いている片方の手で
撫でてあげる。
「なんで…え、笑顔…なんですか?」
「・・・だって、僕が泣いちゃ小春たち泣けないでしょ?」
周りを見ると昨日知らされていた僕とミキティ、そして高橋さんの
3人以外は、突然の事に放心状態になっている人もいれば、
涙を流している人も居た。
「小春…今からいっぱい思い出作ろ…いっぱい…いっぱいさ」
「はい…はい!!」
そう答えた久住さんの顔は完璧とまではいかないけれど、
精一杯の笑顔だった。
久住さんの頭を優しく優しく何度も撫でてあげた。
よっすぃー、卒業するなんてずるいよ…こんな後輩が居てくれるんだからさ。
卒業まで、この子たちもう泣かせちゃダメだよ。僕もね…
- 223 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/07(日) 02:46
- まぁ、これはね本当はにある方にあげようと思ってたんですけどね…
ある方から『載せたほうがいいよ』って、言われたんで載せさせていただきました。
いかがでしたでしょうか??ホント年少組は、ショックでしょうね~
今日のハロモニ見なくては・・・
- 224 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:14
-
卒業なんて言葉は聞きたくなかった。
僅か数ヶ月前に、大事な同期を二人も立て続けに見送って、空いてしまった心の穴をやっと塞いでいるところだっていうのに。
吉澤さんに呼び出されたこの部屋に入って、先に座っている顔ぶれを見たとき、「あぁ」と、そう感じた。
次はこの中の誰かなんだって、漠然とそう思った。
それが吉澤さんだと聞かされて、大きな驚きとより大きな不安と、そして少しだけ、ホッとしている自分がイヤだった。
そうしてしばらく話をして、話が後に残される側に移ったとき。
不機嫌そうに黙っていた美貴ちゃんが口を開いた。
「そのまんまスライドしてミキがリーダーんなるらしいから」
「あ、うん」
「で、愛ちゃんがサブリーダーだから」
「あ、うん……へえっ!?」
「そういうことだから」
そう吉澤さんが付け足すように話した。
けれど……
「あの……ガキさんとかの方が――」
「ダメ。決まったことだから。んなこと言いだしたらミキだって」
「先輩とか……」
「愛ちゃん?」
「は、はい?」
先輩が今までで一番かもしれないほどに真剣な表情で名前を呼んだ。
その真剣さに押されるように返事をしたけれど、少し怖いくらいだった。
- 225 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:14
-
「本気でそう言ってるの?」
「え……?」
「うまく話せないからとか、向いてないからとか、そう思ってるからだよね?」
「……はい」
「モーニング娘。なんだよ? 僕はその光の中にある影でしかないんだ」
「そ、そんなこと――」
「ある。僕はそれでいいと思ってるし、それが正しいことなんだから。
でもだからこそ強い光であってほしいって思うし、そのために頑張ろうって思うんだ」
先輩は淡々とした声でそう言った。
それは自分の存在を嘲るでもなく、たった一人、違う性別で異分子扱いされることですら誇っているような。
そんな強さを持った表情だった。
「愛ちゃんにもそうあってほしいって思っちゃいけないかなあ?」
「せんぱい……?」
「より強く光るために、愛ちゃんも自分で作った殻を壊して頑張ってほしいって。
そう期待して……そう願っちゃダメかなあ?」
「…………」
テーブルへ目を落として考える。
自分にできるんだろうかって。
期待に応えられるんだろうかって。
自分の意志と同じように上げた目線が先輩の目と交わった。
先輩は黙って私を見つめていた。
そこには求めてるんじゃなく信じてるって言葉がにじんでいる。
「……がんばります」
「そう言ってくれるって信じてたから」
先輩はそう優しく笑いかけてくれて。
強い目で見つめていたミキちゃんも表情をほころばせて。
そして吉澤さんが手を差し出して、ヒョイとあごをしゃくって見せた。
なんのことだろうと思っていると、ミキちゃんと先輩が同時に手を動かして吉澤さんの上で交わりあう。
ああ、そういうことかと思うのと同時に、先輩が私の手を取って重なった三つの手の上に導いてくれた。
それぞれ少しずつ感じる三様の手のぬくもりが、それぞれに同じ感情でいることを教えてくれる。
できるか、じゃあなく、やらなきゃいけないんだって思う。
がんばっていこう……。
- 226 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:15
-
すいません、放送中にこんなん書いてました。
AA消えた流れで黙々と。ごめんなさいm(_ _)m
- 227 :-二十歳だから…-:2007/01/24(水) 10:15
-
今日は、局での撮影のため廊下を歩いていると。
「●●~」
僕を呼ぶ声がして後ろを振り返ると、そこには水色の衣装を着たごっちんが居た。
「おはよ、ごっちん」
「おはよ~、何、今からスタジオ??」
「うん。ごっちんは?」
「私は、今終わったところ~」
「あぁ、そっか10年記念隊だよね」
「そうそう」
その場で、くるっと一回転して僕に衣装を見せてくれるごっちん。
「うん。可愛いよ、似合ってる」
「へへぇ。あ、そういえば何で●●選ばれなかったの??」
「え? 何に?」
「10年記念隊。だって、奇数の期に入ったメンバーで選ばれてるんでしょ??」
「そうらしいけど…僕は4.5期って微妙だからなぁ~中澤さんも愛ちゃんも選ばれ
なかったんだし」
「むぅ~…」
ごっちんは、納得いってないらしく口びるをアヒルみたいにとがらせてる。
「僕は、いいんだよ。みんなの活躍を見れればそれだけで嬉しいんだから」
「私は、よくないのぉ~」
そういって、僕の腕をブンブンと振ってるごっちん。
- 228 :-二十歳だから…-:2007/01/24(水) 10:15
-
「わかった、わかったから。今日僕のおごりで飲みに行こう」
「ホントに??」
その瞬間に目が輝くごっちん。
「うん。けど、僕お店とかあまり知らないから…」
「じゃあ、あたしのおすすめのお店で飲もう」
「あまり飲ませないでよ。僕二十歳になったばかりなんだから…」
「大丈夫、大丈夫♪♪」
「じゃあ、待ち合わせどうする?」
「私楽屋で待ってるよ」
「いいの? ちょっと、時間かかるかもだよ?」
「いいのぉ~待つのも楽しみなんだから」
「はぁ~…わかったよ。じゃあ、終わったらすぐに楽屋に行くね」
「はぁい。待ってるね~」
そう言ってごっちんと廊下で別れた。この時はまだ、隠れていた二人の存在に
気がつかなかった。
- 229 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/24(水) 10:17
-
久しぶりのネタですが…続きは、明日までに書きますのでお楽しみに。
さて、後二人誰にしようかなぁ~・・・(汗)
- 230 :名無し娘。:2007/01/25(木) 04:28
- 梨華ちゃんで~
- 231 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/02/04(日) 03:30
- 皆さんお久しぶりです!
板が移転してて物凄い焦りました・・・
年末から最近にかけては忙しくもなかったのですが・・・、大スランプ到来・・・OTL
全然ネタが書けん・・・。しかし、なんとかネタを作り始めてはいるので
復帰までもうちっと時間ください
- 232 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/04(日) 03:46
-
やばい、僕もネタ書かないと…続きがなかなか思い浮かばないんですよね…(汗
梨華ちゃんと、あと一人誰にしようかなぁ~・・・
- 233 :名無し娘。:2007/02/05(月) 04:06
- 匿名さんは移転できたのかなあ??
- 234 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:29
-
スケジュールの合間を縫って、一人でレッスンに励んでいる愛佳ちゃんの元へ、お土産持参で陣中見舞いにきたときのことだった。
微かに漏れ聞こえてくるリズムに、レッスン場をドア越しにのぞいてみる。
そこは番組で紹介されたような和やかな……ともすれば生ぬるいとも言える雰囲気なんて欠片もなかった。
額や頬、首筋、そしてシャツの色が変わるほどの汗が、どれほど必死で彼女が追いつこうとしているかを教えてくれる。
迂闊に顔を出していい空間じゃないかなと、誰かにお土産だけ預けて帰ろうかと思ったとき、廻らせた視線がとある人とぶつかった。
――夏先生!?
正直、いたのか、とイヤな汗が背中に浮かぶのを感じた。
自分がダンスを仕込まれた時間を思い出す。
まるで思考を読まれたかのように先生が笑った。
ニヤリと、ヤバイ予感がする笑みだった。
チョイチョイ手招きされる。
予感的中。
「ちょうどいいトコにきた。ちょっと手伝っていきなよ」
「いや、ですけど、ウェアも持ってきてませんし……」
「今日はそんなに汗かかせないから、ほら光井も頑張ってるんだからさ」
「はぁ……」
愛佳ちゃんを手伝うのがイヤなわけではないけれど、夏先生の前で人に教えたりするのはなかなかに気恥ずかしいからイヤだったのに。
- 235 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:31
-
結局、まんまと手伝わされる羽目になり、ライブで参加予定の曲目リストからここまでのレッスンがどれほど進んでいるかを説明された。
もっとも遅れていそうな一曲を選んで、「じゃあ任せる」と言われ、教師交代。
どうやら今まで教えていた先生は休憩にはいるらしい。
「愛佳ちゃんは休まなくて大丈夫なんですか?」
「若いんだから平気でしょ。あんたの頃もそうだったしね」
言われてみればそうなんだけど……、僕の目に映る愛佳ちゃんは相当バテているように見えたから。
少し眉根を寄せたところを見られたのか、遠慮がちな声が割り込んできた。
「やります。……よろしくお願いします」
「だそうだから。しっかり頼んだからね」
それからみっちり二時間。
そもそも経験のない彼女にとってリズムに合わせて身体を動かすという行為自体が難しいことだった。
自分と照らし合わせてそう感じた僕は、途中で夏先生も席を外し二人っきりになった時間に少しやり方を変えてみることにした。
とにかく規則的に手を叩くリズムに合わせて、四肢を大きく動かしていく。
指先にまで見せるという意志を込めて。
しばらく単調で簡素な振りを続けていくうちに、少しずつリズムに馴染んでいく愛佳ちゃんの様子を見ているのは楽しことだった。
小さな充足感で見つめていたステップが不意にもつれた。
とっさに腕を掴もうと伸ばした手が空を切る。
バランスを取ろうとしたんだろう、バタつく腕をすり抜けて、間一髪で腰まで届いた手が愛佳ちゃんを支えることに成功した。
- 236 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:32
-
「っ……」
安心したような、ため息のような、そんな息をついた愛佳ちゃんがビックリするほど近くて。
妙な気恥ずかしさから一つ咳払いなんてして距離をとった。
それは愛佳ちゃんも同じだったようで、顔を真っ赤にして口にした『ありがとうございます』のイントネーションが独特のものに戻っていた。
そういえばハロモニのワンコーナーで見たときは関西弁だったなあと思い出す。僕に対して一つ壁があるってことなんだろう。
「あのさ、無理に標準語で喋ろうとしなくてもいいんだからね?」
「え?」
「関西弁でも全然。そりゃあすぐにって無理かもしれないけど、もう仲間なんだから。ね?」
「あ、はい。がんばります」
「……うん」
がんばります、か。
まだまだ先は長いかな。
微笑ましくも苦笑い、そんな一時だった。
- 237 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/26(月) 19:40
-
>>233
なんとか来られました
で、心機一転タイトルつけて
……ageましたか?(^^;)
携帯からなのでご容赦を
- 238 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:34
-
しまった……。
ちょっと厳しかったスケジュールのせいで、完全に忘れていた今日、この日。
仕事終わりの楽屋はプレゼントの受け渡し会場になっている。
そして僕は一人、背中に冷や汗をかいていた。
一人一人プレゼントを受け取っている藤本さんは照れくさそうだけれど浮かれモード。
――やばい、ものすごく切り出しづらい。
なんて一人で困り果てても、もうプレゼントを渡していないのは僕以外には残っていないわけで。
とりあえず……廊下にでも連れ出して謝って、そして明日にでもなんとかプレゼントを用意しよう。
そう決めて行動に移った。
「藤本さん、ちょっといい?」
「ん? いいけど、なに」
廊下へ引っ張っていく僕を訝しげに、でもどこか期待に満ちた眼差しで見遣る藤本さん。
出て行き際に「なによ、おまえがプレゼントかよ」なんていう上品とは言い難い、リーダーの茶化す声がとてもウザい。
「あのさ……」
「なに、まさかホントにアンタとか言わないよね?」
「ち、違うって。その……ごめんっ!」
「……あっ、まさか美貴の誕生日を忘れてたとか、そういうことなわけ?」
「っ――、そ、その……」
「あ~あっ、それなりに付き合い長いのにこれかあ」
- 239 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:35
-
うっ……ワザとらしい拗ねっぷりだけど、反論の余地もなくて、僕はひたすら頭を下げるしかなかった。
「ごめんって。ホント、忙しくって……いや、わかってます。はい、言い訳です。ごめん」
「んー……」
重ねて頭を下げる僕を、幾分やわらいだ表情で見つめる藤本さん。
「じゃあさ、やっぱアンタでいいよ」
「へ?」
「あっ、違うから。そういう意味じゃなくて。この後付き合ってもらうから。空いてるよね?」
「あ……」
この後のスケジュールを脳内で思い描き、出てきたのは友達と約束が……
「あっ、ないです。空ける」
僕は見つめてくる目線の強さには瞬く間もなく屈した。
こうして二人で街を歩き、プレゼントを買わされた挙げ句、彼女の荷物持ちになった僕は食事も奢らされる羽目になった。
割とよく使う個室がある和食屋で、食事をしながら軽くアルコールにも付き合わされた。
「さて、そろそろ帰ろっか」
「機嫌を直してもらえた?」
「……まぁ、それなり?」
これだけしてもそれなりなんだ。
そう苦笑い。
勿論、本心じゃないのは解っててのやりとりだけれど。
- 240 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:36
-
「脚痺れちゃった。ちょっと立たせてくれる?」
「はいはい。今日は従者でも下僕でもなんでもいいや」
笑いながら立ち上がって藤本さんの横で手を伸ばす。
掴まれた手に力を込めてヒョイと引っ張ったそのとき、「痛っ」という藤本さんの声。
立ち上がりかけた藤本さんはペタンと座り込み、僕はそれに引きずられるように彼女の上に倒れ込んだ。
下は畳で靴下は思ったよりも滑るもので。
想像しない事態は重なるものだと思い知らされのは、焦点が合わないほど至近にある藤本さんの顔。
そして触れあったくちびる。
「……わっ!? ご、ごめん」
慌てて姿勢を調える僕と、ゆっくりと座り直した藤本さん。
微妙な間を作った空間は遠くからの喧騒しか聞こえない。
「……いーよ」
顔も見ず、いとも簡単に言ってのけられた。
気まずい空間を壊した藤本さんの声はどこか楽しげにすら聞こえた。
「いっこ余計にプレゼントもらったことだしね」
動揺し通しだった僕がその言葉の意味に気がついたのは藤本さんを送り届けた後のことだった。
- 241 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/26(月) 20:41
-
ここを見て思い出すとか、美貴さまごめんなさいw
大慌てで書いてみました。
間に合ったけど、短時間だし……こんなトコで。
- 242 :名無し娘。:2007/02/27(火) 13:29
- 藤本さんをメンバーでお祝いした後
僕はマンションに帰った。
くつろいでいるとインターホンが鳴った。
遅いので誰かと思ったら藤本さんだった。
「ミキティどうしたの」
「お祝いしてくれたお礼に来たポッポー」
なぜか藤本さんはコントで着ていたハトの着ぐるみを着ていた。
「スタッフにお願いして借りたポッポー」
とりあえずハトの藤本さんを部屋に入れた。
「ミキティ暑くない?大丈夫?」
「暑いけど大丈夫ポッポー」
「普通にしゃべっていいよ」
「●●いろいろありがとう。美貴すごいうれしかったんだ。
●●がハトの着ぐるみのキャラ好きだって思い出して、
着ぐるみ借りたんだ」
「でもどうやって着たの。ひとりじゃ着れないでしょ?」
「美貴もどうしようか困って、仕方ないから着ぐるみに着替えて
マネジャーに送ってもらったの」
- 243 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/27(火) 18:21
-
遅くなりましたが、ミキティバースデイ記念??ネタ書かせて
いただきます♪
- 244 :-誕生日…よりも。-:2007/02/27(火) 18:22
-
目の前には、顔をほんのり赤く染めた女の子が二人。
「は~い、亜弥ちゃん♪ あ~ん♪♪」
「あ~ん…モグモグ…ん~、おいし~♪ じゃ、お返しのあ~ん」
「あ~ん…んふふふふ。おいしいねぇ~♪」
「ねぇ~♪」
「・・・先輩、あのバカップルやばいやよ」
「あぁ、僕もそう思う」
僕の隣に居た高橋さんと目の前の二人を観賞する。
「何が、バカップルよ~!! ラブラブカップルですぅ~」
「そうですぅ~」
イチャイチャしだす目の前のバカップル。
今日は、ミキティの誕生日。僕らは、ハロメンの大人の人たちは知っているとある
お店に来ていた。今居るメンバーは、主役のミキティ、松浦さん、僕、高橋さんの
4人。
「ってかさぁ~、なんで今日は他の娘。メンバー来てないの?」
あややが、急にイチャイチャするのを止めて僕に問いかけた。
「よっすぃ~は、体調悪いから一次会でパス。後は、未成年メンバーなので連れてこられません」
「なるほど…最近私達狙われてるからねぇ」
「先輩も、この間撮られてましたよね??」
「・・・その話は止めて・・・」
「まぁ、いいじゃん? 無実だってわかったんだし。美貴もあれは驚いたけどね~」
あややに抱きつきながらそう答えるミキティ。
何が、あったかって?? その話は、また後日…
- 245 :-誕生日…よりも。-:2007/02/27(火) 18:22
-
「ってかさ、愛ちゃん? なんで、私には敬語なんて使わないのに●●には敬語なの??」
松浦さんが、素朴な質問をする。
「え、先輩は先輩やし…」
「いやいや、私達同い年だし」
確かに…僕と高橋さん、そして松浦さんは86年組なのだ。
けれど、入った当時から高橋さんは僕に対して敬語だった。
「う~ん…なんででしょう?」
高橋さんは、苦笑いで飲みかけのカシスオレンジを口につける。
「…もう、愛ちゃん!! 美貴が、言っちゃうね」
今まで、松浦さんを抱きしめていたミキティが座りなおして僕を真っ直ぐ見つめる。
「美貴ちゃん!! それは、内緒…」
「な、なに? 僕が、何か悪い事したの??」
「違うの、●●わかんない? 愛ちゃんは、●●に憧れてたの!!」
その言葉を聴いた瞬間に驚きのあまり固まってしまった。
愛ちゃんが、僕に憧れてた?? はい?? どういうこと??
「愛ちゃんが、娘。に入った時に●●、5期メンに言った言葉あるでしょ?」
「僕が言った言葉?」
「…『僕の事は、先輩なんて呼ばなくていいよ。その方が、早く仲良くなれるでしょ?
僕は、君たちの先輩なんかじゃない。仲間だからさ』」
高橋さんからのその言葉を、聴いて僕は思い出した。僕に、初めて出来た後輩。
けれど、僕なんかまだまだ先輩なんて言われる程じゃなかったから、せめて目の前に居る
女の子4人に少しでも楽になってほしいと思い言った言葉。
- 246 :-誕生日…よりも。-:2007/02/27(火) 18:22
-
「そっか、けどなんでそれが僕の憧れに繋がるの?」
「もう、わかんないかなぁ!! 愛ちゃん、このわからずやに言ってあげて」
もう完璧に酔っているミキティに苦笑いでうなずく高橋さん。
「先輩のその時の笑顔と、その言葉に娘。に入って何もわからなくて不安でいっぱいだった
5期の私達は、救われたんです。だから、私達は先輩のこと『先輩』って呼ぼうってって
決めたんです。先輩のような先輩になりたいって思いを込めて」
僕を、真っ直ぐ見つめてそう言ってくれた高橋さん。
その言葉に、僕は恥ずかしくて嬉しくてそれがバレたくなくてお酒の勢いに任せて
高橋さんを優しく抱きしめる。
「!!??」
「あぁ~、亜弥ちゃん。バカップルだよバカップル。美貴も~」
「はいはい」
今日は、ミキティよりも暖かくて優しい気持ちになれる大切な日になった。
ってか、目の前のバカップルがイケない方向に・・・
- 247 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/27(火) 18:24
-
お久しぶりです。やっと、ネタが書ける環境になったんで書かせてもらいました。
ごっちんのあの話の続きは、僕のブログの方で完成しだい載せたいと思います。
次の話は、今日のネタの中に入っている話題の中から書かせてもらいます。
- 248 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:14
- >>244
イイ!
けど誰が主役なんだかw
- 249 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:17
- ポッポーもいいな
ハトミキティカワゆい
- 250 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:35
-
「あー! なにしてんですかぁ?」
開口一番問いかけられて、僕は返答に困りながらも口を開く。
「や、やぁ亀井さん。……なにしてるんだろーね」
笑顔でそう返しはしたけれど、亀井さんは少しプリプリした顔で、さも不満げに僕の言葉をスルーした。
「絵里もぉ!」
“も”と言われても……なんとかしてあげたいけれど、すでに僕にはそんな“余裕”はないように思えた。
膝から胸元、そして背中に、やわらかな重みを感じながら、僕は心の中で嘆息していた。
『さて、どうしたもんだろ』と。
- 251 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:36
-
ことの発端はあのレッスンの後。
軽く汗を流して一息ついて、置いてあったギターを手持ち無沙汰の慰みにしていた。
そんなところへ、同じくシャワー上がりの愛佳ちゃんが入ってきたんだっけ。
「お疲れさま」
「あ、今日はありがとうございました」
ギターを脇に置いてそう言うと、いると思っていなかったのか、少し驚いたように愛佳ちゃんがぺこりとお辞儀をした。
「どう? 間に合いそう?」
「んー……あ、いやぁ、はいっ」
「あははっ、ちょっと正直だったね」
「えーっと……はい」
笑った僕にどう返していいのか、少し困りながらも愛佳ちゃんも笑って。
さほど長い時間ではなかったけれど、今日のレッスンは僕にとってもいい方向に進めた気がした。
「疲れたでしょ」
「あっ……少し」
「ホントに少し?」
「……えー」
「ん?」
笑いながら促す。
正直に言ってもいいんだよって。
- 252 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:37
-
「ホントは結構疲れました」
「うん。お疲れ」
遠慮がちに笑う愛佳ちゃんへ、よくできましたって意味を込めて笑い返す。
「この後は? なにかあるの?」
「ちょっとしたらボイスレッスン、行ってきます」
「そっか。じゃあそれまでゆっくり休むといいよ。ここ、おいで」
自分の隣をポンポンと叩く。
少し困ったような、迷うような素振りでいる愛佳ちゃんに、もう一度、先輩らしく偉ぶってみせながら、ポンポンと繰り返す。
「はあい」
少し照れくさそうだけど、それでも隣に座った愛佳ちゃんは、きっと自分で思っている以上に疲れていたんだろう。
ほう、と大きく息をつき、背もたれに深く身体を預けてしまう。
揃えて膝に置かれた手だけが、僅かに緊張していることを教えてくれていた。
そっと横目で窺うと、頑なに目を合わせようとしない愛佳ちゃんがいて。
僕もあまりジッと見るのは控えたままでいて。
どちらも口を開かずに、離れた場所から聞こえる微かな物音と互いの呼吸だけが部屋を満たしていた。
- 253 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39
-
別になにかを意図したわけじゃなく、ただ静かすぎる“間”が厭わしくて、置いたギターに手を伸ばした。
一音一音を意識しながら爪弾いていく。
『I WISH』、とても印象深くて大切な曲。
そっと口ずさむと控えめな声が重なる。
こんなのも悪くない、そう思った。
二曲、三曲とゆっくりとしたリズムを刻んでいく。
右の肩に微かな重みを感じ、控えめだった声が静かな寝息に変わっていることに気がついて、そっとギターを置いた。
「お疲れさま」、もう一度、口の中だけで呟いた。
少しでも休むといい、そう思いながら、愛佳ちゃんの姿勢が楽になるように、ほんの少し身体を傾けて。
どれくらいの時間が過ぎたろう。
軽快なノックと軽やかな音を立ててドアが開かれた。
入ってきたその娘は室内の様子に気がつくや、すっと息を吸い込んだ。
間一髪、口元にあてた指先に気がついたその娘が、やや不満げに頬を膨らませる。
「小春ちゃんもレッスン?」
「……はいー」
「そっか。お疲れさま」
肩を揺らさないように、抑えた声でそう返す。
相変わらず小春ちゃんは不満げな顔をしてる。
「寝てるんですかー?」
「うん。たくさん踊ったからね。少し前の小春ちゃんみたいにさ」
「……じゃあしょーがないですよねー」
昔の自分を思い出したのか、少し表情がやわらかに変わった。
そう思ったとたん、ニッコリと笑って、「じゃあ小春はこっちでいいですー」と、ギターと僕の間に自分の身体をすべり込ませてきた。
そんな納得の仕方……、そう思ったけれど、子犬みたいな目で見上げられ、なにも言えなくなってしまった。
つくづく自分の甘さを感じながらも、小春ちゃんには敵わないなあ、なんて諦念めいた思いもあったりもする。
- 254 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39
-
そして更に時間が過ぎて、今に至る、と。
「二人ばっかりズルイですよぅ。絵里もー」
「って言われてもさ。もうこっちには座れないし。ほら、先輩でしょ?」
「むー……」
あひる口で拗ねられる。
亀井さんも可愛い後輩なわけで、そうしたいと言われればそうさせてあげたいんだけど……
「じゃあ、絵里はここでいいですっ」
「えっ?」
とてもいいことを思いついたかのように、満面の笑顔を浮かべた亀井さんが……
「しつれーしまーす♪」
僕の膝の上に座り込んだ。
僕の胸に背中を預けて、揺れる髪が鼻先をくすぐる。
嬉しそうに鼻歌なんか歌っている亀井さんの髪が、視界を一杯に埋める中、完全に身動きできなくなった僕は思う。
もしここに道重さんでもきたらどうなっちゃうんだろうって。
- 255 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/27(火) 22:42
-
>>234 の続き。
- 256 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:15
-
なんでそうなったのかは覚えていない。
ただ誰もが妙なテンションだったことだけが記憶の片隅に残っているだけ。
それはそれほど長くもない人生の中で、もっとも生きるということを考えさせられた出来事だった。
最初はたまたま近くにいた愛佳ちゃんと新曲について話していただけだったハズだ。
多少は互いの距離が縮まることもあったかもしれない。
その光景になにを見たのか久住さんが近寄ってきて、座ったままでいる僕に腕を絡めてなにかしてほしいとせがまれた。
今となってはそれがなんだったのかすら覚えていない。
それへ妙な対抗心を燃やしたのは亀井さんだった。
ツカツカと歩み寄ってくると、僕の後ろへ回り込んで、おんぶでもせがむように甘えてきた。
こうやって記憶を辿って思いだした。
その始まりはこの亀井さんだったかもしれない。
- 257 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:16
-
話を元に戻そう。
べったりと背中へ寄りかかる亀井さんを支えながら、僕の目には近寄ってくる田中さんが映っていた。
先程の亀井さんと同じように僕の後ろへ回り込んで、なにやらバタバタと暴れ出した。
多分、亀井さんを引き剥がそうとでもしていたんだと思う。
そして亀井さんは意地になってそれを拒むためだろう、よりいっそう強くしがみついてきた。
当然のごとく僕の身体も前後に揺すられてガクガクと揺れた。
その負荷が突然軽くなり、後ろで何かが――きっと田中さんだろうけれど――壁にぶつかる音が聞こえて。
同時に僕は胡座のままで前に倒れ込むような姿勢になり、背中には亀井さんが倒れかかってきていた。
ひどく窮屈な姿勢になったのを覚えて……、あぁ、また思いだした。
たまたま遊びに来ていた辻ちゃんが、昔のノリで飛びついてきたんだった。
その行動が、窮屈な姿勢からキツイ姿勢に変わる契機になって。
亀井さん、辻ちゃんに続いて重なってきたのは、それはそれは楽しそうに笑う小春ちゃんだった。
キツイ姿勢のままで全身の筋力を振り絞って身体を支え、なんとか脚だけは抜いて腰をやられるのは防いだ。
けれどそれが幸いだったのか、そうでなかったのかは解らない。
直後に力尽きた僕は、痛みを堪えながらもこの状況を脱しようと苦闘していただけだったのだから。
彼女たちに――誰を、なのかはもう解らなかった――どいてもらおうと声を出そうとしたけれど、三人……以上に圧迫された身体がいうことをきかなかった。
何人かは止めようとしていた、かもしれないけれど、朦朧とした意識の中での幻聴だったかもしれない。
- 258 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:17
-
ともかく。
こうして僕は“娘。たち”に包まれて海の底へ沈むように意識を飲まれていったんだ。
うっすらと聞こえてくる誰かの声で、あぁ、まだ生きてるんだと、そう思った。
徐々に覚醒していく意識と共に僅かに開いた視界の中で、見覚えのあるスーツの背中と、その向こうで一列に正座をさせられている娘。たちの姿。
半ば霧に包まれたようにあやふやな意識の中で、彼女たちと“生きている“幸せを感じていた。
- 259 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:18
-
「まだ辻ちゃんはこんなことやってんねやなぁ」
「そうですよねえ。……って、そうじゃなく、人の日記を音読しないでくださいっ」
取り上げられた日記を奪い返そうとする中澤さんへ心の中で思う。
アナタも時々辻ちゃんたちと変わらなく感じますよ、と。
- 260 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/28(水) 21:22
-
『生きてる?』
でした。
なんとなく、タイトルは英語にした方がよかったかな、とか思ったり思わなかったり。
どっちでも変わらんか。
- 261 :『にゃー』:2007/03/01(木) 20:36
-
コンサのためのリハ、その休憩中のことだった。
壁に背もたれて座り汗を拭っている田中さん。
「疲れたねえ」
汗をかいたミネラルウォーターを差し出しながら同意を求めると、ニカッと笑いながら「ありがとーございます」とペットボトルを受け取った。
封を開けて一口口にしてからハッと気がついたみたいに「疲れましたー」と笑い返してきた。
「隣、いい?」
「あっ、どーぞどーぞ」
「なに見てたの?」
「や、あれ、のんつぁん」
指差された先では辻ちゃんがキッズの娘たちを掴まえてじゃれついていた。
「おー、元気だねぇ」
「れなより年上には思えんちゃけど」
「ホントにね。でも楽しそうでいいね。田中さんも交じってくれば?」
「やー、疲れたし。ここにいる方がいいです」
「そっか」
二人の視線の先では相変わらず楽しげな辻ちゃんが、キッズの娘たちになにかギャグを教えているようで。
その中の一つの動作がなにを教えているのか気がつかせてくれた。
- 262 :『にゃー』:2007/03/01(木) 20:37
-
「うわっ、猫、最近やらなくなったと思ったら……」
「辻ちゃん飽きっぽいからね」
二人して、子供にあんなことばっかり教え込んでると苦笑いをして。
ふと思い浮かんだことをそのまま口にしてみる。
「猫と言えば田中さんなのにね」
「もぉー、いーです。ホント恥ずかしいっちゃけん」
「そう? いいじゃん、猫。可愛いし。好きなのになぁ……」
「好き……ですか?」
「うん、好き。気まぐれだけどさ、急にニャーなんて甘えてすり寄られたりするとさ、可愛いくて撫でたりしちゃうよね」
「そ、うですか……」
「……うん? どうかした?」
なんだか突然大人しくなってしまった田中さんへ目をやると、それがきっかけのようにもそもそと動き出した。
すっと距離を埋めるとTシャツの袖を軽くつまんで、どこか躊躇いながら僕を見上げてきた。
「っ、……にゃあ」
意を決したとでもように開かれた口から出たのは言葉ではない言葉。
僅かな時間二人の時を止めた言葉をようやく飲み込めた僕は、言ってしまってから恥ずかしそうにしている田中さんへ笑いかける。
「可愛いなぁ」
裾を掴まれた手を取って、空いた手でふわふわな髪を撫でる。
くすぐったそうな田中さんはそれでも嬉しそうにしてくれた。
少し気まぐれで気の強いところがある、けれど甘えたさんな可愛い猫だった。
- 263 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/01(木) 20:39
-
……ニャー!
そんな感じで。
- 264 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:36
-
浮き輪に身体を任せて海に浮かんでいるような感覚。
そして耳に馴染んだ声がすぐ側で聞こえた気がした。
そこで初めて「ああ、寝てたんや」って認識ができた。
とろとろとしたまどろみから引き戻されたけれど重いまぶたはいうことをきかんくて。
耳元で聞こえてきた吉澤さんの声が離れてく。
「寝てるみたいだけど。でもこれだけ揺すったんだから起きたっしょ」
「でも動かないし、寝てるんじゃない? 気持ちよさそうだよね、愛ちゃん」
「ったって、もうすぐ行かなきゃなんないし、寝かせとくわけにもいかないじゃんか」
あっ、先輩も……って、すぐに気がついたけど、その後にすぐ吉澤さんの声が被さって。
「そうだけどさ。ぎりぎりまでいいじゃん。もう少し」
「んー……ま、いっか」
目を閉じたままで、なんとなく起きてますよー、ってタイミングを逃した気がする。
「またなにかの本読んでたんだろうね。起きてたトコまでかな、指がかかってる」
そう話して先輩がクスクス笑ってる。
そういえばそうだったかも。
確かに指先になんか挟まってる感覚があるし。
- 265 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:37
-
「好きだねー」
「いいじゃん。なんでも、本読むのはいいことだと思うよ? まあヘンに影響されなきゃだけど」
「そーだけど。じゃあ本、そのまんまなんか挟んどいてやれば?」
「おー、めずらしく優しいじゃん」
「バッカ、あたしはいつも優しいっつーの」
「はいはい」
茶化して笑う先輩の声が近づいた気がする。
そりゃそっか。本を取りにくるんなら……って、考える間もなく、まぶた越しに感じた蛍光灯の灯りを感じなくなった。
すぐ側に人が……先輩がいるってことなんかな。
「そぉーっと、ね」
起こさないようにって気遣い、小さな声でそうささやく先輩の声が異常に近い。
っていうか近すぎやで。多分。
体温まで感じそうなほど近くに先輩がいて、ちょっとドキドキする。
ステージでの距離ならともかく、こんな状況で……
「やらしーことすんなよ?」
吉澤さんが笑いながらからかってる。
「するかっ」
先輩も笑いながら返す。
多分、わたしに覆い被さるような形になってるのかな? そのままで交わされてるやりとり。
近すぎですってば……でも、そんなやりとりがちょっとうらやましいって場違いなこと考えたり。
- 266 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:38
-
「そうだ」
「ん?」
「そのままチューしちゃってみ」
「はあっ!?」
「チューすれば起きんじゃね。まぁする直前に起きんかもしんねーけど」
吉澤さんには起きてるってバレてる。
先輩は寝てるって思ってるのかな。
キス、する……?
「愛ちゃん?」
問いかけてくる声。
はーい、って普通なら返事をするんだけども。
閉じた目が開けられない。完全にタイミングが悪い、と思う。
「寝てる、よね? ……起きてるの?」
起きてます……ごめんなさい。
心の中で返事をして、心の中で謝って。
「起きてるなら……起きてくれないとキスしちゃうぞ」
「しちゃえよ」
確かめるみたいな調子で先輩の声。
すぐに悪魔の声で吉澤さんが唆す。
先輩の声はさっきまでよりも近い気がする。
ホントに?
ものすごくドキドキしてきた。
「愛ちゃ~ん。しちゃうぞ?」
- 267 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:39
-
ドキドキしたままで、少しだけ身体が硬くなるのを意識した。
でも目は開けられない。
もう自分でもハッキリした理由がわからないくらいにドキドキしてる。
頬に吐息がかかる。
キス……されてもた。
「愛ちゃん。起きて、るよね?」
少し困ったような、呆れの混じった先輩の笑い声。
そっと目を開いて頬に手をあてた。
「気づいてたんですか?」
「顔、覗き込んでから気づいたよ。朱くなってるんだもん」
「だから……ですか」
身体を起こして呟くみたいに聞き返す。
なにが“だから”なんだか自分でも微妙だけど。
「あっ……」
わたしの声が届かなかった先輩が指差す先で……読みかけの小説が綺麗に閉じられていた。
あー、もう。
なんもかんも……。
- 268 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/02(金) 21:41
-
愛ちゃん愛ちゃん♪
もっと愛してあげてくださいw
- 269 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 22:57
-
匿名さんのすごい作品ラッシュにびっくりしてますw
今日のうちに一本ネタ載せるつもりなんでお楽しみに~
- 270 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:31
-
何気ない平日。楽屋で、雑誌を呼んでいると勢いよく楽屋の扉が開いた。
「先輩!! ちょっと来てください」
「絵里? どうしたのさ」
「いいから!!」
なにがなにやらわからず、娘。の女の子用の楽屋に連れてこられた。
楽屋には、田中さん、道重さん、ミキティが怒った表情で僕を見た。
「な、なに? 何で、怒ってんの?」
「先輩、身に覚えがないんですか?」
亀井さんも、怒った表情で三人に加わる。
「はい? だから、なんの事?」
「そこに正座!!」
ミキティからの怒りの命令口調で、納得いかないながらも正座する。
「あのさ…僕何か悪い事…」
「「「「しました」」」」
四人のそろった声。只事では、ないと思い必死に思い返す。
「あ!! わかった、みんなのソロ写真集見てないから怒ってるとか?」
「違います!! ってか、先輩見てなかったと!?」
田中さんから、すごい勢いで迫られる。
「いや、だってさ何か恥ずかしいんだよ…じゃあ、何だ?・・・
あ、嫌、これは言わないほうがいいかも…」
「正直に言ってください!!」
「あのさ、ミキティ…僕はあの事言ってないからね」
「あのこと?? ・・・っ!!??」
その瞬間ミキティの顔がすごい勢いで真っ赤になった。
- 271 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:32
-
「なんなんですか? さゆ、すごい聞きたいです!!」
「シゲさん、いいから…はぁ~…●●、ホントにわかってないんだね」
「いや、マジでわかりません」
「先輩、これどういうことなんですか!!」
道重さんから、差し出されたのは『写真週刊誌』だった。
そして、開かれたページには大きな文字で『モー娘。●●。モデルの○○とお忍びデート!?』と
書かれていて、写真には僕と女性が手を繋いで歩いている場面が写っていた。
「!!??」
「先輩、この女性なんなんですか!!」
「先輩の彼女なんやろ? 先輩、いつから彼女おったと!!」
「さゆより綺麗な女性連れて歩いてるなんて、さゆ許せない~!!」
「●●、はっきり答えなさい!!」
「あ、あの…その…」
その時、よっすぃーが楽屋に入ってきた。
「な、なに? どうしたの?」
「吉澤さん、聞いてくださいよ。●●さん、彼女が居たんですよ!!」
道重さんは、よっすぃーにもその週刊誌を差し出す。
「・・・あははは!! 撮られてやんの!!」
「吉澤さん、笑い事じゃないの~」
「ごめんごめん、ふふ、●●も大変だ。お姉ちゃんと一緒のところ撮られちゃうなんて」
「そうそう、お姉ちゃ…「「「お姉ちゃん!!??」」」」
全員が、一斉に僕の方を振り向いた。
- 272 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:32
-
「もう、よっすぃー言っちゃダメだって」
「あぁ、ごめんごめん。ってか、言ったほうがよかったんじゃないの??」
「だって、姉貴の事知られたくなかったんだって」
今さっきまで勢いのよかった4人が真っ赤な顔になってモジモジしている。
「さてと、その4人どうする?」
「まぁ、僕を正座させて色々と問い詰めた代償は大きいよね」
「だ、だって、●●『お姉ちゃん』だなんて…」
「ってか、その雑誌の内容に思いっきり『モーニング娘。の●●君にもようやく春が…
というのは、冗談で実は…この二人姉弟なのだ』ってちゃんと書いてあるじゃん」
よっすぃーの指差した先には、小さな白い文字でそう書かれていた。
「やけど、そげん事れな達知らんかったんですよ。●●先輩のお姉ちゃんが○○さんやなんて。
吉澤さんは、知っとったと?」
「うん、あたしも何回か会ったことあるし。ってか、娘。のライブに何回か来てくれてるよ」
「「「「ええ~!?」」」」
4人が、テレビのときよりもすごくいいリアクションをする。このリアクションを
テレビでもやってくれたらなぁ~…
「ということで、全員正座~!!」
4人は、ものすごい勢いで正座をしてシュンとなる。
「ってかさ、週刊誌の中身をちゃんと最後まで見て確認しようよ」
「「「「はい」」」」
「僕が、姉貴の事を秘密にしてたのも悪かったけど、人には知られたくない秘密の
一つや二つ絶対にあるの!! ということで、今から4人には今まで言ってこなかった
秘密を暴露してもらいましょ~」
「いぇ~い♪♪」
「「「「えぇ~!!」」」」
僕の提案によっすぃーは、手を叩いて喜んでいる。対照的に4人は、ものすごく焦っていた。
「何か文句あんの?」
「「「「い、いえ」」」」
僕の少しキレた言い方に4人は、見事にハモった。少し笑ってしまいそうになったが、
ここで、笑ってはこの面白い事がなくなりそうだったので、必死に顔を真面目な顔に戻した。
- 273 :-『金曜日』-:2007/03/02(金) 23:33
-
「さて…最初は、誰から??」
皆さん、今から面白い事が起きそうです。
「先輩、どういうことやよ~!!」
「愛ちゃん、みんなと一緒におちょきんしねま!!」
5人に増えました・・・。
- 274 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:36
-
タイトル入れ忘れた・・・orz
今日は、ここまでですw 『秘密暴露』編は、明日までのお楽しみってことで・・・
>>248
た、確かに…誰が主役なんなんでしょう?w
僕も、書いている途中にわけがわからなくなっていましたw
- 275 :名無し娘。:2007/03/02(金) 23:39
- 新キャラ使っていいね
- 276 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:14
-
『……誰?』
「誰って……、自分で呼んでおいてそりゃないでしょ」
『遅いじゃん』
「これでも急いで来たんですけどねえ」
『開けるから、早く上がってきてよ』
「はいはい」
こんな夜中に急に呼び出してこれだもんなあ。
半分呆れながら部屋の前、インターフォンを鳴らして数秒でドアが開けられた。
「よかった」
「なに?」
「さ、上がって。早く。で、見て」
「なに? なにを? え?」
訳の解らないままに通された部屋の中は電気が消されているらしく、閉ざされたドアのそばでは真っ暗といってもいい状態だった。
闇に慣れていない目を凝らしながら藤本さんの気配へ声を掛ける。
「電気、つけないの? 全然見えないんだけど」
「だから呼んだんだよ」
妙に意味深にとれるセリフ。
新手のドッキリかと疑いたくなる、ささやくような声音。
なんとなく話を逸らしたくて話題を探した。
- 277 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:15
-
「暖房もいれてない? あんなに寒がりなのに」
「あの……ね」
からかいを滲ませても返ってくる声は弱く細い。
いつもにもまして鼻にかかった声が甘く聞こえるのは気のせいだろうか。
「……ほしいの」
「え?」
「つけて」
「えっと……ごめん、よく聞こえなかったんだけど」
いつもの強さの十分の一にも満たない声。
いつもの藤本さんからは聞いたことのない種類の声。
「だからぁ……してほしいの」
やはりよく聞き取れない。
けれど妙に胸をざわつかせる求めるような声にドキッとさせられてしまう。
「ね? お願いだから、さ」
乞うようにささやく声は驚くほど近く耳元で響き、同時になにか恐れるみたいにそっと僕の手を包み込むやわらかな感覚。
手を握られたんだと気がついたとき、もう一度耳元で声が誘う。
「早く……」
「ふ、ふじもと、さん……?」
「美貴だって、怖いんだよ?」
そんなこと……言われても、仲間だし……普通の環境じゃあないし。
自覚できるほどに早くなっている鼓動に逆らって、僕はなんとか思考を取り纏めようと努めた。
- 278 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:16
-
「早くつけてって言ってんじゃん!!」
堪えきれなくなったのか急にキレた藤本さんがいつもの声音を取り戻した。
よくよく聞いてみればエアコンをつけ、電源を入れたパソコンを放置したままでシャワーを浴びて。
ドライヤーを使いながらコタツでDVDを観ていたら急に真っ暗になったそうだ。
しばらく自分で四苦八苦した挙げ句、比較的近くに住む僕を呼びつけたらしい。
「ブレーカー落ちたんでしょ」
「どこだかワカンナイし」
お互いに気まずさを隠したやりとりの後、ブレーカーを探しに動き出した僕は、互いの顔もハッキリ見えない暗闇に感謝した。
きっと僕は灯りの下では隠しようもないほど顔を赤くしているだろうから。
しばらくして取り戻した灯りの下で藤本さんは消え去った暗闇を惜しんだ。
「笑うなっ!」
「だって――、プッ、その格好はいくらなんでも……」
「うるさいっ! もう……」
そそくさと服を脱ぎだした藤本さんは、よほど寒かったのかありったけの服を着込んでいたようで。
日頃のほっそりした面影も感じさせないほど着ぶくれして、まるで出来の悪い雪だるまのようになっていたから。
- 279 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/03(土) 18:18
-
藤本さんの声はたまらんものがあるのです。
- 280 :名無し娘。:2007/03/04(日) 17:40
- 私は考えた。
「私だと可愛すぎるから、先輩が照れちゃうんだ」
私はウサギの着ぐるみを買った。
これを着れば普通のウサギさんだから先輩も可愛がってくれるだろう。
私はウサギの着ぐるみを着て先輩を待った。
先輩が来ると飛びついた。
「だれ?」
私は可愛いウサギだよ。遊んでね。
と書いてある紙を見せた。
「じゃあ、遊ぼうか」
ニコニコしている先輩と遊んだ。
「さゆか絵里でしょ」
「なんで分かったんですか」
「こんなの事やるの他にそういないからね」
「さゆ、なんで着ぐるみ着てるの」
「先輩が可愛がってくれると思って」
「そんな事しなくてもしてあげるよ」
「先輩」
先輩は優しく抱いてくれた。
- 281 :名無し娘。:2007/03/04(日) 19:59
- キグルミよりカワイイよさゆ
- 282 :『充電』:2007/03/04(日) 20:20
-
スケジュールの確認も兼ねて事務所に顔を出した。
たまたま通りかかった部屋の前、ふと聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
軽くノックをして耳を澄ますけれど返事はない。
しばらく考えて、そっと扉を開いて室内へ身体をすべり込ませた。
「やっぱり。いるんなら返事くらいしろー」
「せんぱい」
おや? って、違和感。
声に張りがない。らしくない。
「元気ないね、田中さん」
「せんぱいが“れいな”って呼んでくれたら元気んなります」
「またそーゆーこと言う」
「愛ちゃんや小春ちゃんたちは名前じゃないですか。やけんれいなも」
時々するやりとり。
でもいつもの元気はない。
どうやら本当にお疲れのようだ。
「なんとなく、馴染んじゃってるんだよね」
そういっていつものように笑ってみせる。
田中さんはよほど疲れているのか、両足を投げ出してソファーに座ったままで、それでも不満げな顔をしてみせる。
- 283 :『充電』:2007/03/04(日) 20:22
-
「なら別のお願いきいてくれたら元気になります」
「なんだろ? 言ってみて」
あまりに力のない声にほだされてしまう自分に苦笑い。
田中さんがヒョイと腕を上げてぼそりとなにか呟いて、聞き取れなかった僕はその手に呼ばれたように近づく。
「ごめん、聞こえなかった」
「ぎゅってしてください」
「え?」
子供みたいに両手を差し出して「ぎゅっ」って短い言葉を繰り返す。
困った僕が黙っていると、田中さんがもう一度。
「ぎゅぅ~、してくれよらんですか?」
見上げてくる目が僕の中の抗おうとする心を打ち負かしていく。
「ああ、もう……はい」
「ん……」
子供みたいに甘えてくる田中さんを“ぎゅっ”てしながら、背中に廻された手の強さに気がつく。
これ、ぎゅってされてるのは僕の方なんじゃないだろうか、って考えたけど。
日向で眠る猫みたいに満足げな田中さんの吐息が耳に入り込んできて……まあどっちでもいいやと笑った。
- 284 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/04(日) 20:24
-
先輩は充電器。
- 285 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:29
-
こんな天気に。
- 286 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:30
-
「きゃっ!」
二月とは思えないような生ぬるい風が雨粒を踊らせている。
そんな中で聞こえた悲鳴にどこか聞き覚えがあるなあ、なんて場にそぐわない感想を抱いた。
少し前を歩く人が風で煽られてのものらしい。
確かに時折勢いを増して吹きつける風は相当な強さで。
ともすればふらつきかねないほどのものだった。
どうやら前を歩く子は折りたたみの傘らしく、風の強さに辟易しているようだった。
そんなとき、正面から強い風が来る。
傘を傾けて風を避けた僕の耳に同じ声が聞こえた。
さっきよりも切羽詰まった声に少しだけ傘を上げて覗き込むと、さっきまでとは形を変えた折りたたみ傘が転がってくる。
ギリギリで拾い上げた薄いピンクのそれは華奢な作りでデザイン重視のものらしい。
- 287 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:31
-
「これじゃあダメだよね」
呟いてあげた視線の先に見覚えある姿。
僅かな間をおいて二人の声が重なった。
「せんぱい!?」
「道重さん?」
先に我に返ったのは僕で、小走りに近づいて自分の傘を道重さんの上にもかざした。
拾い上げた傘を手渡すと嬉しそうな顔で受け取った道重さんが悲しげに言った。
「ありがとうございます。あ~ぁ……お気に入りだったのにキズついちゃった」
「この風じゃ仕方な――っ、仕方ないよね」
言ってるそばから吹きつける風に会話すら邪魔される。
道重さんも乱れた髪を抑えつけながら眉根を寄せていた。
「仕方ないですよね」
「うん、……? 傘、しまっちゃうの?」
「仕方ないんですよ」
要領を得ない。
僕の傘の下で自分の傘を折りたたんでいる道重さんは悲しそうに言いながら嬉しそうに笑う。
- 288 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:32
- その様子を見ている僕を、そしてその上で風と雨を避けてくれている傘を見上げて言った。
「仕方ないですよね。傘、入れてください♪」
ああ、なるほど。
確かに僕の手にしている傘は実用性に富んでいて、これくらいの風でも雨風をしのげるくらいの大きさと丈夫さがある。
と、まぁもとよりそう誘おうかと思ってもいたことだし、笑って道重さんに同意することにした。
自分の傘を手に、ほんわかと笑う道重さんはするりと腕を絡ませてくる。
「ち、ちょっと……それはどうなのかな」
「へーきですよぉ、こんな天気だし。それにピッタリ寄らないとさゆみ濡れちゃいますよ?」
「……はいはい」
えらくまっとうな理由で言い含められた僕は納得せざるを得ない。
……まぁ仕方ないか。そんな感じだった。
右手で傘を持ち、左手を道重さんに奪われて歩く僕は、右肩を黒く染めていく雨を恨めしげに見つめて。
それでも並んで歩く道重さんが濡れずに済んで、そしてなにより楽しそうにしているから。
「まぁいっか」
黒い瞳で問いかけるように見上げる道重さんに笑いかけ、僕はそう口にしたとおりの気分だった。
- 289 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:37
-
風が強くてどーもこーも……。
あ、シチュエーションとか誰がいいとか、なにかキーワードとか。
ありましたらくださーい。
今週末までで手持ちが尽きる予定なので(^^;)
- 290 :名無し娘。:2007/03/06(火) 00:09
- >>289
いつも乙です
参考になるかどうか分かりませんがせっかくなので一つ書かせて頂きます
なっちで、キーワードは「髪型」
切るかどうか悩んでいるらしく、この間のラジオの公開収録で集まったファンに票決取ったらしいですw
僕も含めなちヲタはショート派が圧倒的多数のようですがw
- 291 :名無し娘。:2007/03/06(火) 01:57
- なちヲタイタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
- 292 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 19:52
-
>>290
ありがとーございます。
うけたまわり♪
ちょうどあげようとしてたネタで安倍さんのがあるのです。
その続きとして考えさせていたたきますー。
まずはそっちを。
- 293 :『限定』:2007/03/06(火) 19:54
-
「んん……」
吐息のような声に窓の外へ向けていた視線を戻した。
少し苦しそうに見える寝顔は額に玉のような汗が浮かんでいた。
僕はいつの間にかずれ落ちてしまっていたタオルを拾い、水にひたしてしっかりと絞る。
乱れている前髪を梳き分けて、そっと濡れタオルをのせた。
ピクンと眉が寄せられ長い睫毛が微かに揺らいだ。
一度、二度と瞬いた目がゆっくりと開かれて、しっとりと潤んだ瞳が僕を捉えた。
「あれ……?」
熱のせいか、それとも汗をかいたからか、少しだけ掠れている声が痛々しい。
「起こしちゃいましたね。すいません」
「……えっと」
「あっ、お母さんにここへ通されて……、どうしようかとも思ったんですけど、うろつくわけにもいかなくて」
多少言い訳がましかったけれど事実だから仕方がない。
けれど安倍さんはそんな言葉なんて聞こえてないようで、とろんとした眼差しで僕を見ている。
「安倍さん? 大丈夫ですか?」
「……そっかぁ」
「え?」
- 294 :『限定』:2007/03/06(火) 19:55
-
問い返す僕を見たままで、安倍さんがくすりと弱々しく微笑んだ。
「なぁんでもない。なんで? わざわざ来てくれたんだ」
笑みの理由は明かされず、少し普段の安倍さんに近い笑顔で話を逸らされた。
「ええ、たまたま帰りに事務所に寄ったら熱出して休んでるって聞いたんで」
「ごめんねえ、心配かけちゃったかあ」
「来たいから来ただけですから、それより具合はどうですか?」
「久しぶりに顔が見れたんでちょっと元気になったかな」
「冗談でも嬉しいです。熱はどうですか?」
「ん~……計ってない」
「ダメですよ。ちゃんと計ってみないと。ちゃんとここに用意されてるじゃないですか」
「だってえ……」
「計りなさいっ」
「はぁーい」
言い聞かすように僕が言葉を強めると、安倍さんはワガママを叱られた子供みたいに眉尻を下げた。
少しだけくちびるがとがっていたのはご愛敬だと思っておこう。
- 295 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「食欲はないですか? お粥くらいでよければ作りますけど」
「あれ、うちのお母さん……」
「薬とか、買い物に出かけたらしいんですよ」
「そっか」
「だから僕でよければ」
「嬉しいけど……。ごめん、あんま食欲ないかな」
「そうですか。少しでも食べた方がいいんですけどね……。じゃあなにか飲み物持ってきますか?」
「あ、うん。お願いします」
妙にかしこまった言い様の安倍さんへ笑いかけてから部屋を出た。
冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターをグラスに注ぎ、目についたレモンを数滴だけ落として安倍さんの部屋へ戻る。
手渡されたグラスを、落とさないように両手で持って飲む安倍さんは、僕よりも年上だなんて思えない感じがする。
こ……いや、妹を看病するならこんな感じかなって、そんな気さえするくらいだった。
「……はぁ。ありがと」
「いえいえ。他になにかないですか?」
「ん、へーき」
そう言った安倍さんはまたくすりと微笑んだ。
「いっつもそうだったけどさあ……今日は特別優しいねえ」
「今日だけですよ」
「えー?」
照れくささをからかいでごまかした僕へ不平を訴える声が返される。
「今日だけ。安倍さんにだけ。限定の優しさなんです」
「……ありがと」
ささやくようなお礼を言った安倍さんの顔が朱いのは熱のせいにしておこう。
- 296 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「やっぱり少しだけ食べたいかな」
話題を変えるように安倍さんがささやく。
「すぐにお持ちします」と仰々しく立ち上がった僕の背中へ安倍さんの声が届く。
「さっき目が覚めたときね」
振り返ろうとしかけた僕は、その声のトーンからそうしない方がいいと感じた。
「一瞬昔に戻ったのかって思っちゃった」
安倍さんも振り返ることを望んではいないみたいに言葉を続ける。
少しだけセンチメンタルなのも熱のせいなのかな。
そんなことを考えながらも別のことを口にした。
「今も、昔も、僕にとって安倍さんという存在の大切さは変わりませんから」
振り返っていたら口にできそうにもない台詞。
こんなことを言えるのも今日限定……ということにしておこう。
- 297 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 20:00
-
>>291
わたしもわたしもw
さて、考えるぞー。
日付が変わるまでにいけるかな…?
- 298 :名無し娘。:2007/03/06(火) 20:02
- 新メンバーの光井さんとなかなか話せない
手なづけようとイワシをちらつかせてみた
・・・なぜか泣かれてしまった
まったく女の子というのはわからない
- 299 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:29
- イワシw
ちょっと懐かしい感じがいいね
- 300 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:54
- イワシが生魚だったのがいけなかったようだ
さすがに光井さんをアシカ扱いしては泣かれるのも当然だ
というわけで、焼いてみた。
光井さんは魚を綺麗に食べることがわかった。
だが、距離が縮まった気がしないのはどういうわけだ?
- 301 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:07
-
久々のオフにも関わらず、早い時間に鳴り響く目覚まし。
被った布団から腕だけ出して、アラームを止めたところで思いだした。
大急ぎで、それでもそうと悟られないだけの身支度はして家を出た。
目的のマンションの前で車を停めて、時計へ目を落とすと、まさにちょうどいい頃合い。
途中で買った缶コーヒーをあけながら、ハンドルへ身体を預けてマンションのエントランスを見つめていた。
待つこと十数分、待ち人来たる。
助手席側の窓を開け、エントランスから姿を現した人影に声を掛ける。
芝居がかった声を作って。
「そこのおねーさん、乗ってかない?」
声をかけられた人影は、さっと周囲を見回して、それが自分にかけられた声だと確認してから僕へ視線を向けた。
深く被った帽子越しでも、その表情が胡乱な人間に向けられるものであるだろうと解る。
クスリと笑って身体を乗り出すと、驚いた仕草をみせて安倍さんが近づいてきた。
僕は車を降り、助手席のドアを開いて仰々しく口を開く。
「お迎えに参りました」
「なっ……え~? なんでさ」
「僕、今日休みなんですよ。だから病み上がりの安倍さんの運転手です」
「なぁんで……そんなの悪いよぉ」
「言うと思いました。だから言わないで来ちゃいました」
そう笑ってみせる僕へ、安倍さんはお姉さんのように「しょーがない子だねえ」とため息をつく。
少し身体をずらせ助手席へ手招くと、安倍さんは困ったように笑いながら口を開いた。
「今度のお休みは自分のために使うんだよ?」
まるで弟に言い聞かすように話すけれどその表情は優しい。
僕は安倍さんがちゃんと座ったのを見届けて、そっとドアを閉めると運転席へと戻った。
- 302 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:08
-
「自分の気持ちに正直に休みを使おうとしたらこうなったんですけどね」
車を走らせながらそう話す。
前へ固定した視界の隅で、“やれやれ”って仕草をする安倍さんは、それでもどこか嬉しそうだった。
順調に車を走らせて、ふと通りかかったラジオ局の前で、思いだしたように安倍さんが話し出す。
「この前さ、公開収録やったのね」
「あぁ、ラジオのですね。知ってますよ」
「知っててくれたんだ? 嬉しいな。あ、それでね、ファンのみんなに色々訊いたの」
「っていうと?」
「ほらこれ」
その言葉で視線を向けると、自分の髪の一房をヒョイと持ち上げた安倍さんがいた。
「髪? 伸びましたよね、結構」
「そうなのっ。髪、せっかく伸ばしたんだけどさ、もう春だし、切ってみようかな……なんてね」
「それを、訊いたんですか?」
「そう。みんなショートがいいって言うの。なぁんか安倍さんビックリしちゃったよぉ」
少しはしゃぐように話す安倍さんの声。
どこか懐かしく思いだす。
「なにー? なんかおかしい?」
どうやら自然と笑顔になっていたらしい。
少し拗ねたような可愛らしい安倍さん声が僕を現実へ引き戻す。
「いえ、すいません。思いだしてました」
「うん?」
「初めて安倍さんと会ったときのこと。あのときはまだショートだったんですよね」
「あぁー、まだゆーちゃんも娘。だった頃だもんねえ。あの頃のキミは可愛かったなぁ」
「なんかヤな言い様ですね」
「ふふっ、今は可愛くないっしょ? だってカッコイイから」
からかうように笑う安倍さんへ憮然とした顔を作ってみせる。
- 303 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:12
-
「好きに言っててください」
「やーん、ホントだよ?」
「なら僕も言わせてもらいますけど」
「な、なにをさ」
少し低めに出た僕の声に、驚いたような、焦ったような安倍さんの声が返ってくる。
一拍ためて、元の、努めて平静を装ったトーンで「すごく好きだったんです」、と呟いた。
「え?」
「娘。に入る前から、年上だけど可愛い人だなって」
「えー? またぁ。お姉さんをからかったら怒るよ」
「本当ですよ? こっちまで幸せにしてくれるような笑顔も、今みたいに長くなかった髪も」
「そ、……そう?」
「嘘じゃないですよ」
「そっかぁ……」
どこかビックリしたように聞き返す安倍さんへ、心からの言葉でそう言った。
それっきり安倍さんは静かになってしまい、僕も運転に集中していた。
そうこうしているうちに取材があるという現場へ到着して、安倍さんを降ろして運転席へ戻って。
車の横で立っている安倍さんに一声かけようと窓を開けた。
「安倍さん。じゃあ――」
「あのね……」
「え?」
僕が言い切るよりも早く重なった安倍さんの声。
「髪、切ろっかな」
そう呟くように言い残して安倍さんの背中が建物へ消えていく。
その去り際の言葉が、そしてはにかむような笑みが、とても印象強く心に焼きついていた。
- 304 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 22:17
-
こんなんなりました。
……いまひとつかなあ。
そして気がついた。
お題いただいても、ストックも載せてりゃ変わらないよママンw
ってことで、引き続きお題募集中でーす(^^;)
- 305 :名無し娘。:2007/03/07(水) 01:22
- 早速の採用&なっちネタ二連発ごちそうさまでした。
引き続きお題募集中ということで、ベタですがミキティで胸ネタなんてどうでしょう?
昨日のドキみきで胸イジりネタを読んでたのでw
- 306 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
-
出番がなく空いた時間、目の前で行われている収録を見ながら笑いを堪えきれずにいた。
まるで差し込まれる効果音みたいな笑い声をあげている間に、スタッフさん数人でセットの半分が移動していく。
「はい、オッケーです」
収録の終わりを告げる声と同時に、移動したセットから駆け下りてくる亀井さん。
フリフリのお嬢さまコスでロングのスカートをなびかせて、なんの躊躇いも遠慮もなく勢いそのままに飛びつかれた。
「せんぱぁい、絵里よかったです? よかったですかぁ?」
強く胸から抱きついてきた亀井さんが甘えた声で訊いてくる。
けれど僕はそれどころじゃなくて。
意識してのことではなく押し当てられる形になっているふくらみのやわらかさにドキリとさせられていた。
「あぁっ……う、うん、よかった。とても。だからちょっとだけ離れない?」
「やーですよぅ」
「やーじゃなく、ホント、ちょっとだけ、ね?」
「もおー、しょーがないなぁ。せんぱいにお願いされちゃ」
ぶつぶつと、だけど満面の笑みで少しだけ――本当に少しだけ――離れてくれた亀井さん。
なんとか体裁を繕って先輩らしく収録の出来を誉めてあげた。
- 307 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
- 締まりがないけど愛らしい笑顔で、照れながらも嬉しそうな亀井さんを黒い影が突き飛ばした。
「ドーンッ」
楽しげな声で発せられた擬態語と共に目の前へ。
押し退けられた亀井さんへ目をやったその間に、ゴスロリな藤本さんに抱きつかれていた。
「美貴は? 美貴は?」
収録そのままうえうえなテンションで、なかなか見られない末っ子甘えたな藤本さん。
上目遣いで見つめられながら鼻にかかった声で甘えられるとどうにも弱かった。
「やっ、もちろん藤本さんもよかったと思う……よ」
亀井さんのように抱きついていた藤本さん、だけど……なんだろう、ちょっとした違和感。
微妙に口籠った言葉と曖昧な思考が表情に出たんだろうか、藤本さんが“ん?”って顔で見つめてくる。
「なんだろ、抱きつかれたときに……」
つい。
ついポロリと零れてしまった言葉。
返ってきたのは過剰な反応だった。
「くっ、比べんなよっ! どーせ亀ちゃんよりないよ!」
「あっ、いや、そうじゃ――」
「藤本さんヒドイですー」
- 308 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:53
-
言いかけた釈明を立ち直った亀井さんの言葉が遮る。
僕がなにかを言うよりも先にキャンキャンとやりあう二人。
お互いが一方的に捲し立てあう言葉の中に「ちょっと大きいからって」などとい言葉が紛れていた。
あっという間に外野へ廻された僕は、ほうと一つため息をついて仲裁へ入る覚悟を決めた。
まずは亀井さんへ「後でゆっくり話そうね」と、そうささやきかけると少しふにゃりとした笑顔になってくれて。
その間に藤本さんを引っ張ってスタジオの隅へ。
「なんだよっ、亀ちゃんと行けばいーじゃん」
「そうじゃなくってさ。さっき抱きつかれたときね」
「だからどーせ――」
「いや、その……」
さすがに大きな声では言いづらくて、耳元へ口を寄せてささやく。
「ちょっと大きくなった?」
「バッ――バカッ」
僕を突き飛ばしてスタジオを出て行ってしまった藤本さん。
その去り際の表情が少しだけ嬉しそうだったのは気のせい、かな?
- 309 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/07(水) 22:00
-
>>305
書いてみました……けど、なんかダメな気がしますorz
ラジオ聴いて書けばもうちょっと……いや、言い訳です(^^;
また何かありましたらぜひ。
- 310 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:22
- なんか凄いなこれw
- 311 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:40
- ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!
ベタな感想ですけど、いいなぁ「僕」w
>また何かありましたらぜひ。
う~ん、じゃあ梨華ちゃんでどうでしょう?
セクシーな姿満載のライブDVDとアロハロ!が発売されたのでそのあたりを絡めて。
僕ばっかりリク?するのもなんなんで、他の住人の皆さんもお題提供してあげてください。
- 312 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:31
-
ハロモニの収録も一段落し、一度戻ってきた僕個人の楽屋。
なんだけど……
「誰か入った……んだろうねえ」
思わず独り言のように口に出していた。
ここを出たときにはなかったものがテーブルの上に。
「DVDプレイヤー……だよね」
また呟く。
テーブルの上には見慣れないポータブルDVDプレイヤーが置かれている。
その横にパッケージが二つ。
「なるほど、そういえば発売したんだっけね」
どちらのパッケージも、素敵な笑顔を浮かべた石川さんがいる。
まぁ時間もあることだし、そう思ってなんとなく再生ボタンを押してみた。
ステージの上で三好さんや岡田さんと肩を並べて歌い踊る石川さん。
なんとなくだけど少し歌が上手くなったような気さえする。
「なんだろ、この曲いいなあ。石川さんの声にも合ってるし……、――?」
画面に注いでいた視線を彷徨わせる。
- 313 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:32
-
「気のせい、だよね」
誰にともなくこぼした言葉が虚しく響く。
ヒョイと肩をすくめて画面へ目を戻した。
画面の中では美勇伝の三好さんと岡田さん、そして石川さんが艶めかしくすらある衣装でパフォーマンスを続けている。
三人の中でも、やっぱり付き合いも長く仲もいい石川さんへ目がいってしまうのは仕方がないことだろう。
「石川さんか……やっぱり綺麗だよなあ」
追いかけるカメラの先で、しなやかな身体を躍動させている姿は誰が見てもそう思わされるんじゃないかと思える。
つい呟いてしまったそのとき、さっき感じたのと同じ違和感を感じた。
反射的に振り返って、そしてまた部屋を見回してみるけれど、誰がいるわけでもない楽屋の中。
「アロハロ、観てみよっかな」
そう口にしてDVDを入れ替える。
南の島の明るい日差しの中を、健康的な姿態で様々なスポットへ足を運ぶ石川さん。
こちらもやはり魅力的で、見入って……魅入ってかもしれないくらいに惹きつけられるものではある、けれど。
「やっぱ石川さんってばセクシーだよね」
声に出して呟く。
間違いない。確信できた。
- 314 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:33
-
「こんな可愛くて素敵な娘とあれだけ身近にいられたなんて……」
自分でもよくこんなことが口にできるなと首を捻るような台詞。
「あっ、ビキニじゃん……これすっごいエロいなあ」
意図的に声を大きくして、まるでアダルトビデオでも観ているかのような感想。
そろそろいい加減にしてもらえないかと思いはじめる。
「……今度デートにでも誘ってみようかな」
背中でガタンとロッカーが揺れた。
「ね。石川さん?」
振り向いて話しかけたロッカーが小さく揺れて、そしてDVDがBGMになるおかしな空気。
バタンと音を立てて開いたロッカーから、高々と響く声。
「ハッピー……ぃ?」
広げた腕がゆっくりと下りていくのと同時に尻つぼみに小さくなっていく声。
隠れていたことがバレた気まずさを、彼女なりに精一杯誤魔化そうとしたんだろうことは解る。
- 315 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:34
-
「わかるけどね。それはないなぁ」
「っ……、でもっ、……DVD、観たじゃん」
落ち込んで、立ち直って、気を取り直して強気に出て。
やけになったように口にした言葉は、めずらしく痛いところをついていた。
「み、観た、けどさ」
「その……さっきの、ホント?」
少し俯いて上目遣いで、ささやくように問いかける石川さん。
改めてそう聞き返されると、口にした言葉がリアルに感じられる。
「ホント、だったら?」
「あの……もしそうだったら、ちょっと嬉しい、かな」
「あっ――」
そう言って恥ずかしそうに頬を染めた石川さんは楽屋を出て行ってしまった。
一人取り残された楽屋で考える。
さて、“ホント”だったのは“どれ”なんだろう?
- 316 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/08(木) 21:43
-
さて、書いてはみました。
デキが怪しいのは気にしちゃダメです。
もうすぐ二週間、いつまで続くかなぁ…。
>>310
どう凄いのかが自分では解らないという
>>311
詳しい内容に触れていないのはそういうことですw
でも思い出して注文しちゃったりして
- 317 :名無し娘。:2007/03/08(木) 21:47
- 風船をたくさんもらってきて空を飛ぼうとする話を書いてくださいなのれす
- 318 :名無し娘。:2007/03/09(金) 01:24
- またまた採用ありがとうございます。
すみません、お題もう思いつきませんw
- 319 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:48
-
収録終わりのスタジオで、なにやら見慣れない物体を目にした。
いや、正しくは何度か目にしたことはあるけれど、それがそんな状態にあるのはなかなか見たことがない、という意味で。
ジッとその様子を見ていると、そこから出ている足が見たことのあるジャージ姿であることに気がついた。
「つっじちゃん」
大きな物体がくるりと回った。
色とりどりの色彩を押し退けて、ひょっこりと顔を見せた辻ちゃんがニッと笑った。
「おー、お疲れさまー」
「お疲れさま。どうしたの? それ」
「あっ――、もうっ! ……スタッフさんが要らないっていうから。もらってきちゃった」
話しだしたところで、押し退けたハズのものがふわふわと顔を隠して。
視界を塞がれた辻ちゃんは、もう一度それを押し退けてから話を続けた。
ふわーりふわりと舞うそれは辻ちゃんの顔よりも大きく膨らんだ風船たち。
パッと見ていくつとは数えきれないくらいにたくさんの。
「そんなにもらってどうすんの」
- 320 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:49
-
辻ちゃんの上半身を丸々隠してしまえるくらいの風船を手にした姿に苦笑い。
そんな僕から風船たちへ、視線を移した辻ちゃんが見せた笑顔はどこか懐かしいものだった。
少しずつ大人びた表情を見せるようになってきた辻ちゃんとは違う、娘。で一緒だった頃の辻ちゃんのような。
「飛べないかな」
「え?」
「こんだけあったら飛べないかな」
いくらなんでもそれは無理ってもんだよ。
そう言ってしまおうかと口を開きかけたけれど、辻ちゃんの表情が僕の言葉を止める。
無垢な子供のような笑顔。
そんなに無邪気な顔で笑われちゃ、僕の口から出せる言葉なんて決まってしまったようなものだった。
「飛べるかもね」
僕がそんなことを言うだなんて思っていなかったと、辻ちゃんの表情がそう教えてくれた。
風船を見つめて、それから僕へと視線を戻した表情からは、さっき感じた懐かしさが消えていて。
今の辻ちゃんらしい少女から大人の女性へ移り変わる、そんな不確かで曖昧な笑顔。
- 321 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:50
-
「飛べねーよ」
吐き出された言葉はからかうように挑発的な口の悪さで。
それが解る僕は同じ色で塗り込めた言葉を返す。
「解んないよ? それ、腰にでも結んで思いっきりジャンプしてみれば」
「なんだよそれー」
そう笑う辻ちゃんは、そんなわけないと解っていながら僕の言葉を実行している。
たくさんの風船で包まれた辻ちゃんがグッとしゃがみ込んで、そして跳んだ。
「これ飛んでるなんて言わないじゃん」
数秒後、そう洩らした辻ちゃんは僕に腰を抱えられて笑っていた。
僕も笑顔になって「ならこれならどう?」、と一度降ろした辻ちゃんを肩車して、セットをバラしてるスタッフさんたちの間を走り回った。
昔よりも肩に乗った感じ方は違うけれど、それでも少し懐かしく、とても楽しく、子供みたいにはしゃぎまわった時間だった。
- 322 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/09(金) 21:56
-
>>317
ののたんにささげる319から321
こんなん出ましたけど
>>318
ご協力感謝なのれす
またのご利用お待ち致しております。
……このペースで書いててもいいものだろうか?
邪魔っぼくない?
- 323 :名無し娘。:2007/03/09(金) 22:03
- 新メンバーの光井さんとの距離が縮まらない
今日楽屋でポッキーを開けたらメンバーに少しずつ持っていかれた。
光井さんは、と思って見てみるとどうやら小春が気を利かせたらしい。
光井さんはポッキーを食べるときに
まずチョコレート部分だけ削ぎとるように食べることがわかった。
親近感が沸いたが光井さんとの距離は相変わらずのままだ。
- 324 :317:2007/03/10(土) 00:03
- >>322
どうもありがとうございました。
なんだか楽しい気持ちになりました。
- 325 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:26
-
卒業までの時間も少なくなってきたある日、ちょっとした偶然から二人は食事の席を共にすることになった。
少し先輩であることを意識しない彼女と、少し後輩なことを自覚している彼は、どちらも微妙に寄り添い同期にも近い関係を築いてきた。
そんな二人が二人きりでいる場にあれば、それは必然そんな話題で盛り上がる。
同じグループ内では、以前として未成年者の多い現状も手伝って、限られたメンバー同士ではアルコールが入ることもあった。
話が弾めば杯も重ねられていき、どちらも酔いに任せた言動が少しずつ増え始めた頃。
「やっばいね……そろそろやめとく?」
「あっ? まだまだいけるっしょ。もう一杯いこ」
「んー……でも、正体無くすほど酔って帰るのは――」
「わかったよ! ならあんたんちで飲もう」
「はっ? あ~……、まぁ、それなら」
- 326 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:27
-
こうして二人は食事の場を後にし、後輩の家で飲み直すことにした。
コンビニで買い込んだビールやチューハイも半ばまで飲み干し、つまみもあらかた食べ散らかした頃、先に落ちていったのは先輩の方だった。
うとうとと船をこぎ出した先輩に気がついた後輩は、やれやれと身を乗り出して揺れる肩へ手を伸ばす。
「よっすぃー。おーい、リーダー。んなとこで寝なさんなよ」
「……んー」
「風邪ひくって。おーい?」
「んんー……」
「ダメだなこりゃ。……ったく、僕より強いハズなのに、めずらしいな」
後輩は呟きながら立ち上がり、ふらつく先輩と自身の身体を支えながらベッドまで運ぶことにした。
苦労して辿り着いたベッドルームで脚を踏ん張りながら、そっと先輩を寝かせようと傾けた上体が引きずられた。
「うぁっ!?」
バランスを崩した身体はベッドへ倒れ込み、折り重なった身体は稀にみる至近距離に。
後輩を引きずり倒した腕は彼の首に廻されて、ガッチリと二人の距離を固めていた。
- 327 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:28
-
「よ、よっすぃ……」
「んー……」
息がかかるほどの距離で呼びかけるけれど、返ってくるのは甘い吐息だけ。
恋人たちが睦言を交わすようなその距離と、過剰に身体を満たした酒気は、常の二人にあらざる空気を作り出していた。
艶のある薄いくちびるが微かに動き、低く掠れた声で後輩の名を呼んだ。
「よっす、ぃ……?」
それは甘美な呼びかけで、酒気を帯びた理性を崩すのには充分な魅力を秘めていた。
呼びかけられた後輩が僅かに身体を寄せて二人の距離が限りなくゼロに近づいていく。
静寂
ギシリとなるベッドへ後輩がささやく。
「おやすみ」
閉ざされたドアへ先輩がささやく。
「臆病モン」
残された闇が静寂で唄う。
酒気に包まれて起こした行動と、酒気に包まれてなお壊せなかった一線。
どちらがより臆病なのかと。
- 328 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/10(土) 19:35
-
今までとちょっと違って、『僕』でも『わたし』でもなく書いてみたんですが。
あんま向いてないですかねえ。
>>324
そんな気持ちになってもらいたなら、こちらも喜ばしいことです
- 329 :名無し娘。:2007/03/10(土) 19:39
- 面白いですー>>328
- 330 :『無防備にも程がある』:2007/03/11(日) 09:46
-
「イタッ」
小さな悲鳴めいた声に振り返ると、ステージ衣装で豪快に転んでいる姿が目に入る。
フレアスカートの衣装で俯せに倒れ込んで、その……スカートの中が丸見えになっていた。
転んだショックから立ち直り、慌てて周囲を見遣りながら身体を起こして、乱れたスカートを整えながら動いた視線が僕を捉えた。
黙って見つめ合う時間が何とも気まずい。
「だ、大丈夫、かな?」
「み、見えました?」
なにを、なんて問い返すのはうまくない気がした。
「ハデに転んだよね」
顔を朱らめた亀井さんが諦めたように息をつく。
「せんぱいなら見られても……いっかな、なぁんて」
「いやいやいや、よくないでしょ」
「やっぱ見たんだ! あ~ん、見られたぁ」
どうみても真似だとはっきり解る泣き真似をして亀井さんが言う。
しまった……。
ツッコんだつもりが、まさか亀井さん相手に墓穴を掘る羽目になるなんて。
小さな動揺を押し殺して、平静をよそおいながら手を差し出す。
「はい、そんなトコで座ってないで」
「えへへ、ありがとぉございます」
嬉しそうに僕の手に掴まった亀井さんを立たせてあげると、ポンポンとスカートに付いた埃を払う仕草。
「あんま転ばないように気をつけてね」
そう言った僕の言葉をどう受け取ったのか、亀井さんは「だいじょーぶですよぅ」と笑って。
くるりと一つ、きれいなターンをしてみせた。
「ちゃんと見えても平気なやつですもん」
回る身体に合わせてフワリと舞うスカートの裾。
やれやれ。
だからって見せるのはどうかと思わない?
- 331 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/11(日) 09:52
-
ハロモニ前に一更新。
久しぶりに一レスにまとめてみた。
短くてもなんとかなりそうな…いや解りませんが。
>>329
悪くはないようですか。
なんとなく、幅が広がりました、自分の中の。
- 332 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:33
-
娘。揃ってダンスレッスンのある日。散々踊らされてへたっていた僕らに与えられた昼食の時間。
なんでもマネージャーさんの話では出前を取ってくれるらしい。
いくつか渡されたメニューの中から各々が選んだ品をマネージャーさんが書きとめていく。
用意されたお弁当なんかとは違って、やはり温かいものが温かいままで食べられるというのは幸せなことで、疲れていたはずのメンバーたちの声も弾んでいた。
待つこと数十分、「お待たせしました」という声と共に運ばれてきた昼食は、メンバーやマネージャーさん、レッスンの先生たちの分まで含めたあるようで相当な大荷物だった。
店員さんとマネージャーさんの手で、運び込まれた品々がそれぞれの元へ手渡されていく。
「あれ? これはどちらです?」
店員さんが掲げた皿に皆の視線が集まる。
けれど誰も名乗りを上げる人はいなくて。
「誰か頼んだ?」
「や、肉が入ってないから違うし」
「同じく」
「知らないですぅ」
「おかしいなぁ……十四品でしたよね」
弱った様子で不思議そうに首を傾げる店員さん。
- 333 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:34
-
「十……、ん? 十四品? 十三人のハズだけど」
「え? ですけどご注文では……」
「誰か二つ頼んだんじゃない?」
「マネージャーさんが間違えたんじゃないの?」
「いや、そこはちゃんとしたんだけど……まぁとりあえず置いていってください」
「あ、よろしいですか? では」
置いていかれた十四人目の料理。
メンバーの十人、マネージャーさんが二人、そして先生、みなが訝しげな顔をしながらも昼食を摂りだした。
わいわいといくつかのグループに分かれてそれぞれの時間を過ごし、そしてなごやかな休憩を終えようとしていた。
「あっ!?」
「なに?」
それに気がついたのは新垣さんだった。
新垣さんのその様子によっすぃーが声を掛けた。
「これ……」
- 334 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
新垣さんが指差した先、そこには件の浮いていた料理がある……ハズだった。
「皿だ」
よっすぃーの言葉は短い。
が、間違いではなく、まさにそれは皿、でしかあり得ない。
そこにあるはずの料理はなく、盛られていたパスタはキレイになくなっていた。
「誰か食った?」
よっすぃーの問いかけに答える者はいなかった。
どこか薄ら寒い表情で皆が空いてしまった皿を見ていた。
「そういえば聞いたことがある」
「なにをですか?」
そう呟いた先生にそばにいた愛佳ちゃんが問い返す。
問い返された先生は震えを抑えるように自身の肩を抱き、小さな声でこう話しだした。
- 335 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
「噂だと思ってたんだけど……“出る”って」
「出るって……?」
そう訊いたのは小春ちゃんだった。
続く言葉はきっと小春ちゃんにも解っているんだろう、表情がそう物語っていた。
「プロになれなかったダンサーでね……」
そう先生が切り出した話は、ダンスも生業の一つである僕らには身につまされる話だった。
プロとして華やかなライトの下で踊ることを夢見ていた彼女は、幾度もオーディションを受けては落ち、そのたびに自身に過度な練習を課していたそうだ。
バイトで得た収入のほとんどをレッスン料やスタジオのレンタル料に廻し、それでも足りず公園などでも練習に励んでいた。
それはどこかしら狂気にも似た思いだったのかもしれない。
いつからか金銭的にも、時間的にも踊ることが全てになっていった彼女は周囲に心配されるほどに痩せ細っていき、それでも踊ることをやめずにいたらしい。
そして限界は不意に訪れた。
彼女は一人、休憩時間にも踊っていた、その最中に倒れ、そのまま意識が戻ることはなかったそうだ。
- 336 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:37
-
「立て替えられはしたけれど、このスタジオがそうだったって。
そしてそれ以来、いつからか彼女がこのスタジオに現れて――」
「ヤだァー!!」
誰かが叫んだ。
途端にパニックは伝染し、次々と恐慌状態に陥るメンバーたち。
亀井さんと新垣さんは互いにすがるように抱き合い、田中さんは眼を閉じ耳を塞いでいた。
立ち上がり部屋から出ようとした道重さんは、ガチャガチャとノブを動かし、「開かない」と叫ぶ声は涙声になっている。
混乱のまっただ中にある部屋で気丈なリーダーがドアへ駆け寄った。
「どいて!」
ノブにすがりついていた道重さんを脇に押し退けてノブに手を掛けようとしたよっすぃーが弾けたように倒れた。
それを見た愛佳ちゃんが悲鳴を上げ、混乱は極みに達し、僕はそれらを目にしながら身動きもできずにいた。
恐慌を煽るように唐突に爆ぜたドア。
そこから姿を現したものは……
- 337 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:39
-
「なんでドア押さえてんだよっ!!」
十数分後。
ことの真相は、たまたま寄った辻ちゃんが、いつの間にかデリバリーの注文に紛れ込んでいて。
ちょっと飲み物を買いに行っている間に注文が届き、置いてあった自身の注文を平らげ、お手洗いに行っている間にこうなった。
そして戻ってきた辻ちゃんがドアに手を掛けたタイミングで、混乱した道重さんが引くべきドアを押そうとした。
それをイタズラだと思った辻ちゃんが、ドアに体当たりをしてよっすぃーが倒れ、跳ね返ったドアがまた閉じる。
それにキレたのは辻ちゃんが柄の悪い怒声と共に飛び込んできたと、そういうことだった。
それぞれがそれぞれでいたとはいえ……。
あまりに自然に紛れ込んだとはいえ……。
居ないハズの辻ちゃんに誰も気がつかないなんて……。
後に残ったのは、目を真っ赤にしたメンバーたちと鼻にティッシュを詰めたよっすぃーと。
そしていまだ半べそ状態の愛ちゃんと小春ちゃんにすがりつかれて動けずにいる僕だった。
- 338 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/12(月) 19:40
-
時期外れの怪談でした(違)
- 339 :ののじぃ ◆NONOJisxz2 :2007/03/12(月) 23:26
- 面白いなぁ
, ' ~ミ
, ''^⌒∞リ
── =≡ノノ人ヾヽ =
── =≡从 `ⅴ´) <なんでドア押さえてんだよっ!!゙ッ ノノハヽ
─ =≡○_ ⊂)_=_ \ 从/-=≡ ( ;゚∀゚)
── =≡ > __ ノ ))< > -= ── =≡ =≡ 彡〉 つ
─ =≡ ( / ≡ /VV\-=≡ ── =≡ =≡⊂ 、 ノ
── .=≡( ノ =≡ -= ── =≡ =≡ し
- 340 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:45
-
目の前には、5人の正座した女の子。
「はぁ~、愛ちゃんも加わっちゃったか」
「ごめんなさいやよ」
「さて、誰から暴露する?」
みんな、キョロキョロとお互いの顔を見合わせている。
「あのさ、最初の方が楽だと思うよ。ハードル今なら低いし」
この僕の言葉にみんなが反応して一斉に手が挙がる。
「じゃあ、最初は・・・さゆから!!」
「はい。 ・・・あの、その、この前ダンスレッスンの時先輩のTシャツ無断で借りたまま、
まだ返してません!! ごめんなさい!!」
「はぁ!? あれ、さゆだったの? ボク、てっきりミキティだと思ってた」
「ちょっと、勝手に美貴のせいにしないでよ」
「あぁ、ごめんごめん」
この前のダンスレッスンのとき、僕が一枚余分に持ってきていたTシャツが、
なくなるという事件が起きて、見つからないまま僕は諦めて帰宅したという事件があった。
「あの、私あの時着替えのシャツ忘れちゃって、その時目についたのが先輩のシャツで・・・
帰るときに言おうと思ったんですけど、言いだせなくて・・・」
「はぁ~・・・わかった。今度シャツ持ってきてね」
「はい!!」
「よし、さゆ合格!!」
僕は、道重さんを立ち上がらせる。
- 341 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:45
-
「さて、次は?」
残り4人・・・
「はいはいはいはい!!」
ミキティが、何回も「はい」を連呼する。
「じゃあ~・・・愛ちゃん」
ミキティが、その場に崩れた。ナイスリアクション!!
「あの・・・私、先輩に内緒にしてたことがあって・・・」
「なに?」
「この前、先輩の楽屋にお邪魔したんですけど、その時先輩お昼寝してて・・・
その・・・先輩可愛くて・・・先輩に無断で写メとりました!!」
「・・・マジでか!?」
「ごめんなさい!!」
「その写メ見せて」
愛ちゃんは、携帯を取り出すと僕に画面を向けた。そこには、僕が気持ちよさそうに
眠っている画像だった。
僕の顔の温度が上がるのがわかる。
「これさ、もしかして誰かに送ったとかないよね??」
「え!? あの、その・・・」
「誰に送ったのかな??」
「あの美貴ちゃんに・・・」
僕は、すぐにミキティの方を向く。
「ミキティは、それ誰かに送ったりした?」
「え? ま、まさか~そ、そんなわけないじゃん!!」
「(この反応は誰かに送ったな・・・)誰に送ったの!!」
「亜弥ちゃんに・・・」
「はぁ~・・・もう、駄目だ・・・これは、絶対全員に送られてる・・・」
僕が、この室内に居る全員を見渡すと全員が苦笑いしていた。
やっぱり・・・
「ん~・・・もう過ぎちゃったことは仕方ない・・・けど、今度から勝手に人の寝顔は撮らないこと
わかった??」
「はい。わかりました」
「よし、愛ちゃん合格!!」
- 342 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:46
-
残り三人・・・
「次はぁ~・・・」
「はいはいはいは~~い!!」
「はいはいはい!!」
目の前には、田中さんととミキティがものすごい勢いで手を上げている。
「じゃあ・・・絵里!!」
選ばれなかった二人が、前のめりに倒れた。これ、どっかで見たことある気がするなぁ・・・
「え~っと、この前先輩のシャツにキスマークついてたじゃないですかぁ?」
「ま、まさか・・・あれ、絵里だったのか!!」
この前のハロモニの収録が終わったあと、女の子用の楽屋に遊びに行くと
田中さんから、「先輩、シャツにキスマークついとー!!」と言われ、シャツを見てみると
はっきりと背中のところに唇の形で、キスマークがついていて皆から笑われた。あの時の、
恥ずかしさは今まで生きてきた中で、三本の指に入るぐらい。
「ハロプロちゃんねるの収録の時に、廊下で先輩に後ろから抱きついたじゃないですかぁ?」
あの時、僕が廊下を歩いていると、ものすごい勢いで、エリザベスキャメイの格好をした
亀井さんが後ろから抱きついてきたのを僕は覚えていた。
「あの時か~!!」
「はい。えへへ~ごめんなちゃい」
「ったく・・・あの時どんだけ恥ずかしい思いをしたと・・・絵里、当分後ろから抱き着いてくるの
禁止ね!!」
「えぇ~そんなぁ~絵里の楽しみがぁ~」
「わかった??」
「はぁ~い・・・」
アヒル口をしてつまらなそうな顔になった亀井さんを立たせた。
- 343 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:46
-
「さて、残るは二人か・・・」
「はいはいはぁ~い!!」「はいはいは~い!!」
もうミキティなんか、指されないのが面白いのか笑いすぎて少し涙目になっていた。
これは・・・僕のキー坊スイッチが入った。
「じゃあ、れいなぁ」
僕の言葉にミキティは、もう笑うしかないみたいだ。
「も~!! 美貴当ててよ~!!」
「いや、なんか当ててはいけないって天の声が聞こえた。じゃあ、れいなどうぞ」
文句を言っているミキティを無視して田中さんの方を向いた。
「あの・・・この前のハロプロのコンサートのとき・・・先輩のシャワーしとるところ
覗いちゃいました!!」
「・・・はぁぁぁあ!!??」
田中さんの突然のびっくり発言に全員が目を見開いた。さすがに、これは暴露しすぎだろ。
「あ、あの、ワザとじゃないとよ。コンサートが、終わって先輩の部屋に遊びに行ったら
ちょうど先輩ドア開けてシャワー浴びとって・・・」
「ま、まじですか・・・」
僕の問いかけに田中さんは、顔を真っ赤にして小さくうなづいた。
「最初は、声かけようと思っとったんやけど・・・先輩が、歌ってた曲『シャボン玉』やったけん…
その歌ずっと聴いときたかったと・・・」
「あのさ・・・もしかして、ばっちり全身見た?」
「・・・」
田中さんは、顔を今さっき以上に真っ赤にして僕に顔を合わせないようにして小さくうなづいた。
僕は、顔の温度が急上昇するのがわかった。まさか、田中さんに見られていると思って
いなかったし、こんな事ないって思ってたから。
「ふぅ~・・・そっか・・・」
「ごめんなさい・・・」
田中さんは、小さな小さな声で僕にそう呟いた。
「いや、れいなは悪くないよ。僕が、人が来るわけないって思ってドアを開けたままシャワー
してたのが悪いんだし。けど、今度からは人の部屋に入るときは、ノックなり声を
かけるなりしてから部屋に入るように・・・わかった??」
「・・・はい」
- 344 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:47
-
「よし。じゃあ、最後となりましたミキティ。れいな以上の暴露おねがいね」
「え~っと・・・う~んっと・・・ハロプロちゃんねるの衣装は美貴が・・・」
「いや、ミキティが選んでるのファンのみんな知ってるし・・・」
「え~っと、え~っと・・・」
必死に考え込んでいるミキティ。僕は、あることを思い出してミキティにニヤリと笑った。
「な、なに?」
「ミキティと僕の始めての出会い聞きたい人~」
「「「「「はぁ~い」」」」」
ミキティを除く5人が、手を上げて賛成した。
「ちょ、ちょっとそれはダメだって・・・」
「何か文句でも??」
僕は、無表情でミキティを睨みつける。
「い、いえ、文句なんてありません」
「ミキティね、最初僕と会ったとき緊張しすぎてさ・・・」
僕の話にみんなが耳を傾ける。顔を真っ赤にさせた一名を除いて。
ミキティと僕との出会いは、また別のお話しの時に・・・
- 345 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 04:48
-
まさか、こんなに長くなるとは・・・読む人大変だ・・・
- 346 :名無し娘。:2007/03/13(火) 08:50
- あのときは高橋さんいなかったけど、あれはいい番組だった
- 347 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:42
-
「せんぱいせんぱいせんぱぁーい!」
大きな声で駆け寄ってきたのは、なにやら大きめの紙袋を手にした亀井さん。
なんだかやけに嬉しそうにバタバタと近づいてくる。
「どーしたの? なんか嬉しそうだけど」
「はぁ。……んふふふ♪ せんぱい? ちょっとついてきてくださぁい」
妙なテンションのままで堪えきれないという風に笑う亀井さん。
僕は「時間が」ないと言いかけるけれど、「すぐに済みますよぅ」と笑う亀井さんに引っ張られていた。
連れ込まれたのは僕が元いた自身の楽屋で、後ろ手にドアを閉めた亀井さんが「見てください」と袋を置いた。
「な、なに?」
僕の問いかけなんて無視で、引っ張り出されたそれは体重計。
疑問符だらけの僕へ亀井さんの指先が体重計の表示部分を指差す。
「ちゃんとゼロになってるの、確認してくださいね。嘘なんかつかないんですから」
「……はい」
亀井さんの仰るとおり、確かにそれはゼロを示していて。
だからといってどうなのかという疑問の答えにはなっていないわけで。
- 348 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:43
-
「のりますよぉ、見ててくださぁい」
「あ、はあ」
慎重に右足から、そっとそっとのった体重計は……
「……キロだね」
「どうですか」
少し恥ずかしそうだけど勝ち誇った亀井さんの顔が“あれ?”って表情に変わる。
まあ僕があれ? って表情をしているからなんだろうけど。
「せんぱい?」
「え? はい?」
「どーですかっ?」
「っと、なにが、だろう?」
「せんぱいヒドイ! 覚えてないんですか?」
「え? ごめん、なんだっけ?」
「約束したのに……」
悲しそうに俯いてみせる亀井さん。
やばい、本気で思い出せないんだけど……約束? なんだっけ?
思い出そうと努力はするけれど、何一つそれらしい約束なんて浮かんでこない。
というよりも、約束なんてしただろうかってレベルだった。
「ごめん、ホントに。覚えてないんだ。教えてくれない?」
「約束したじゃないですか! デートしてくれるってえ」
「デート? 僕が?」
「他に誰がいるんですかっ」
- 349 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:44
-
すっかりむくれてしまった亀井さんの語気は荒い。
僕はといえば完全に弱腰になっていて、下手に出るしかない状況だった。
「……すいません」
「もうっ、せんぱいが忘れちゃうなんてえ」
「申し訳ないです。……で、約束ってのはなんでしたでしょう?」
「痩せたらデート」
「って言った? 僕が?」
「言いましたよお」
「い、いつ? 最近そんなこと言った覚えは……」
「そ、それはその……」
おや? 途端に亀井さんの怒気が集束していく。
声も尻すぼみに小さくなって、さっきまでの勢いは全くなくなっている。
「……いつ?」
「い、……」
「い?」
「一年くらい前、です」
「……もしかしたら、亀井さんも忘れてたってこと?」
「で、でもぉ、絵里はちゃんと思い出しましたよ?」
「うっ」
「だからデート♪」
「……う~ん」
「でーとでーと」
「え~?」
「で・え・と」
「わかりました。近いうちにね」
押し切られた。
まあ約束は約束だし、そんなに喜んでもらえるんなら、思い出せないほど前の約束でも構わないでしょ。
- 350 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/13(火) 19:54
-
今回はちょうど一年ほど前のMONIXさんのネタから。
さーっと見返してたら目に付いたもので。
MONIXさんお借りしましたー(事後承諾)。
>>339
わーい、ののじぃさんありがとーございます。
AAいただきましたー。
- 351 :-さくらチラリ-:2007/03/13(火) 22:24
-
今日は、娘。の仕事も休みだったので前から矢島さんから来てほしいと
頼まれていた。℃-uteのコンサートに来ていた。
コンサートが、始まる前にみんなに挨拶しておこうと廊下を歩く。
「あ、お兄ちゃんだぁ~」
僕が、その声に振り返るとライブの衣装を着たマイマイが、こちらに走ってきて
勢いよく抱きついてきた。僕は、そのままマイマイを抱っこする。
「やっほ~、マイマイ。調子はどう?」
「バッチシ~♪」
「そうか~、それはよかった」
「マイマイ、駄目でしょ。廊下を走ったりしたら」
萩原ちゃんの後ろからゆっくりと歩いてきた矢島さんは、ちょっと頬を膨らませて
怒ったような表情を作る。
「あ、●●さん、すいません。せっかくの休みなのに来てもらって」
「ううん、全然いいよ。僕も、マイマイや矢島さんたちのコンサート見てみたかったしさ」
「そうだよねぇ~●●♪」
「ねぇ~♪」
「こら、マイマイ。先輩を呼び捨てしちゃ駄目でしょ? すいません、●●さん」
「いいって。ってか、『●●さん』は止めようよ。つい最近まで、『お兄ちゃん』って
呼んでくれてたじゃん」
「え、あの・・・失礼かなって思って・・・」
「ねぇねぇ、●●」
「ん?」
マイマイから呼ばれた僕は耳打ちである提案をされた。
僕とマイマイの内緒話を不思議そうな顔で見る、矢島さん。
小さな会議も終わり僕たちは、ニヤッと笑うとそのまま矢島さんのほうを向く。
- 352 :-さくらチラリ-:2007/03/13(火) 22:25
-
「じゃあ、そっちが『●●さん』って呼ぶなら。僕は、『舞美』って呼ぶからね
そう呼ばれたくなかったら僕を『お兄ちゃん』と呼ぶ事」
「・・・えぇ~!!」
矢島さんの顔が、ものすごく赤くなったのがわかった。
「そ、それは…ちょ、ちょっと・・・」
「ん? 舞美、何?」
僕は、矢島さんに近づいて顔を近づける。
「!!?? わ、わかりました、わかりましたから」
「よし、僕たちの勝ち~イェ~イ♪」
「イェ~イ♪」
僕とマイマイは、ハイタッチをしてこの勝利を喜んだ。
「もう!! マイマイ、こら~!!」
「きゃぁ~~」
矢島さんが、マイマイを追いかける。逃げるマイマイ。
「じゃあね~お兄ちゃん!!」
マイマイは、そう言って僕に手を振り曲がり角を曲がった。
そのまま矢島さんも、マイマイを追いかけるように曲がろうとしていた。
「舞美~!! ライブ頑張れよ!!」
僕の声に振り返った矢島さんは、すごく笑顔で
「はい!! 頑張ります!! 『お兄ちゃん』!!」
と言って、頭を下げて曲がり角を曲がっていった。
矢島さんの『お兄ちゃん』の言葉になんだかうれしくなった。
あれ? ボク、ロリコンではないよね? ね??
- 353 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 22:26
-
なんか書きたくなったので書いてみましたw
いかがでしたでしょうか??
- 354 :名無し娘。:2007/03/13(火) 23:05
- よかったですよー。
- 355 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:22
- よろしいんじゃないでしょうか
- 356 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:28
- あーたっつぁんが遠くに旅立って行くのが見える…
- 357 :名無し娘。:2007/03/14(水) 15:15
- せっかくなのでホワイトデーネタをひとついかがでしょうか?
- 358 :名無し娘。:2007/03/14(水) 19:24
-
>>357
バレンタイン書きそびれたんでスルーしよっかと思ってたんですが…
のせてもらお。今から書きまーす。
- 359 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
三月十四日。今年もこの日がきてしまった。
両肩にかさばる鞄を抱え直し、気合いを入れ直した朝だった。
自分の楽屋に鞄を一つ置いて、もう一つを手に、まずは娘。たちの楽屋へ足を運んだ。
「おはよっ」
軽く手をあげて挨拶をすると、いつも通りにそれぞれから挨拶を返され、いつにないほどみんなから注視される。
さりげなく見渡せば、一人を除いたみんなの目が期待にキラキラと輝いているような気すらする。
「はい。じゃあ一番後輩からいこっか。愛佳ちゃんね」
「はぁい」
ほわほわとした返事だけれど、彼女だけは状況が飲み込めない風で。
それも最もだ。彼女は知らない。
一昨年、そして去年と繰り返してしまった僕の――というしかない?―― 過ちを。
- 360 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
それ以前はそうでもなかった……はずなのに。
特に藤本さんを除いた六期の三人が、だいぶ馴染んできた一昨年、そして去年はひどかった。
安易に考えた僕も悪かったけれど、それにしてもホワイトデーのお返しであんな荒んだ状況になるだなんて思いもしなかった。
一昨年は確か、道重さんがポツリと呟いたのがきっかけだった。
「絵里のヤツいいね」、と。
一人一人に用意したお返しとは別につけたマシュマロの味についてだったらしい。
「一個ちょうだい」
「やだ」
「一個だけ」
「やーだってば」
揉めてる二人をよそに誰かが伸ばした手が道重さんのマシュマロを掴んでしまった。
同じテーブルに全てを広げて渡したが故の悲劇だった。
六期、五期を巻き込んでの大騒動になるだなんて……
- 361 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:33
-
昨年はその轍を踏むまいと個別に渡し、マシュマロからクッキーに変わったけれど全て同じ味に統一させてもらった。
「じゃあ、はい。道重さんにはこれね」
「えー? なんでさゆからなん?」
「そーだよ。なんでさゆからぁ?」
「さゆみが一番可愛いからあ?」
まさか手渡した順番で揉めることになるだなんて。
不平の声を上げた田中さん、亀井さんという火に油を注いだ道重さんの言葉で悲劇は繰り返された。
ただ一番渡しやすい位置にいただけだったのに……
が、今年はそうはいかない。ましてや他にも山場を控えている身とあっては。
- 362 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:34
-
ともかく。
訳が解らないながらも手渡されたクッキー――マシュマロよりも受けがよかった――と、今となってはどちらがメインだか解らないちょっとしたプレゼントと。
笑顔で「ありがとぉございます」と、ごく普通に受け取ってくれた。
なによりもこの“普通”がありがたくも嬉しい言葉だったことは言うまでもない。
その後は小春ちゃんへ。
同期では年齢順に田中さん、道重さん、亀井さん。
そして新垣さん、愛ちゃん、サブリーダーの藤本さん。
最後にリーダーのよっすぃーへ手渡して、今年こそはと意気込んだイベントが無事に終了した。
みんなが嬉しそうに、なんの不平不満もなく終わるホワイトデー。
ここ二年の騒動があっただけに、目に映る光景に小さな幸せを感じた。
そしてこの後、僕は移動するたびに楽屋を抜け出して。
まるで季節ハズレのサンタのようにお返しを配るために走り回った……
- 363 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/14(水) 20:39
-
>>358 名前もsageも……orz
それはそれとして。
もうちょっと長くて書いた方がよかったかも?
ま、いいか。
- 364 :『足音二つ』:2007/03/15(木) 20:25
-
ツアーに向けてのダンスレッスン。
特別踊るのが好きじゃない……ってゆーか、どっちかっていうと嫌いに近いかも。
そんな自分としては、大勢でやるよりも、やれるところくらいは一人でやりたかったりする。
んなわけで、空いた時間に一人で踊っていたんだけど、ちょっと意外な邪魔が入った……入ってきた。
「あれ? 藤本さん。なにしてんの?」
「なにしてるように見えんの」
「ダンスレッスン、かな」
「じゃ聞くまでもないじゃん」
「そうだね。ご一緒してもよろしいですかね?」
「イヤだつっても混ざるんでしょ」
「うん。混ぜて」
やっぱりそんなことを言って笑う。
まったく……
「この続きでいい?」
「おまかせで」
さらりと言われた笑顔から目を逸らして、止めた音楽をアタマからスタートさせる。
流れてくるリズムに合わせて、習った振り付けをなぞっていく。
鏡に映る美貴の後ろにアイツの姿が映っている。
癪に障るけどなかなか覚えがよかったりするんだよね。
ダンスに関して独創的ではないけど基本に忠実で、習ったことを習ったとおりに踊るのがうまかったりする。
こうやって鏡で見比べていると、それがハッキリとわかる。
けど……
タンタンと刻むステップ、その足音が重なる瞬間。
それは結構キライじゃない。
フォーメーション通りに動いて、アイツと擦れ違う瞬間。
チラリと重なる視線が「楽しいね」って言ってるように笑ってる。
微妙に感情を抑えてる自分はどんな目をしてるんだろうって、それは気になったりもするけど。
こんな時間はキライじゃない。
- 365 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/15(木) 20:26
-
一レスで収まるのも気持ちよいですなあ。
- 366 :-マジですか・・・-:2007/03/16(金) 00:18
-
「この二人を、娘。の新メンバーとして迎え入れる事にした」
みんなが、驚きですごい顔になってる。僕も…
つんく♂さんの横には、可愛らしい長身の女の子と小さな女の子。
「(ってか、この子たちエッグの子だよな? ちょっと話した事があるような・・・)」
僕は、頭を抱えて必死に思い出そうとしている光景をみんなが不思議そうに見ていた。
「なんや、●●。頭でも痛いんか?」
「いや、その子たちコンサートで話した事あると思うんですけど…
なんか話せなかったような覚えが…」
「そうやろな。なんてったって二人は中国出身の子たちやからな。名前は、リンリンとジュンジュンや」
『・・・はぁ~!!!!????』
全員の声が、ハモった。
「ちょ…ちょっと待ってください。私たち、中国語なんて話せないですよ?」
ミキティから、的確な質問。みんながウンウンって頷いた。
「あぁ、この子たちならもう日本語は理解できるくらいやから大丈夫や。話せるしな。カタコトやけども」
この後、新メンバーとなる女の子とメンバーが続々と握手を交わす。なぜか、僕のときだけ
二人は焦っていた。
僕は、なるべく相手を緊張させないために笑顔で握手する。
その光景を凝視している人がいるのも知らずに・・・
- 367 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/16(金) 00:20
-
いや~、即効で作りましたw
なんか、マジでビビったんでここに作品作ることで俺の気持ちが表せればと
思ってます。
いや~、どうしよ・・・
- 368 :名無し娘。:2007/03/16(金) 20:45
- まだなんとも言えんけど
RuRuを前例だと思えば
……どーなるんだかね
とりあえずどう続くのか早くて続くを
- 369 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:28
-
「ねーねー、気づいてた?」
「ん? なにを?」
「美貴ね、入った当時はあんたのことキライだったんだよ」
「知ってたけど、それがどうかしたの?」
「なにそのリアクション」
「なにって……そっちこそ。なに急に」
「や、なんか急に思いだしたから。ほら、美貴六期だけどさ、一人だけ先に合流したじゃん?」
「ハロモニだっけ。そうだね」
「でさ、外から見てる分にはアンタのことも“へえ”くらいにしか思ってなかったんだけど」
「うん?」
「いざ中に入ってみたらさ、あんたそのまんまなヤツじゃん」
「っていうと?」
「えー? なんだろ、女の子ん中に男一人でさあ、普通に笑ってんじゃん」
「そーゆーお仕事でしょ、僕ら」
「そうだけどー。なんかイラっとしたわけよ」
「んなもんイラつかれても」
「だってさー、こう、なんかチヤホヤされてにやけてんじゃねーよ、とか思った」
「なんだそれ」
「誰にでも優しくしててさ。うわっ、コイツ絶対裏があんだろ、とか」
「ひどいなあ」
「やー、誰だって思うでしょ」
「そうかもしれないけどさ」
「だから美貴が本性暴いてやろっかなと」
「なんだよ本性って……。で、どうだったの?」
「……その微妙な笑顔うぜー」
「ほら、どうだったのさ」
「……さっき言ったじゃん。まんまだった」
「でしょ。嘘偽りのない自分だもん」
「ホンットそう」
- 370 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:29
-
「じゃあいつごろからキライじゃなくなった?」
「はぁっ? 今でもキライだから」
「うわ、言っちゃったよこの人」
「なに笑ってんだよー」
「怒るとこ?」
「あっ!」
「お?」
「今気がついた」
「なにに?」
「美貴アンタが怒ってるトコ見た覚えがない」
「そう、かな? そう? んー……そっか」
「なんかすっごい怒らせてみたいんだけど」
「そんな風に思われると意地でも怒ってやらない」
「ホラッ、その笑顔!」
「え? なに」
「うぜー」
「ヒドイ言われようだな、もう」
「いや正直な気持ちだから」
「少しはオブラートで包んだ方が――」
「そんなキャラじゃないし」
「……そりゃそうか」
「そう納得されるのもなんかムカつくんですけど」
「もうどーしろっての」
「……さあ」
「はぁ、……まぁわかったよ」
「なにが?」
「藤本さんが僕を嫌いだってこと、が、かな」
「ま、まーね」
「うん。藤本さんは僕を嫌い。嫌い嫌い、だーいっきらい、と」
「そっ……そこまで言ってないじゃん」
- 371 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/16(金) 21:32
-
てとさんが書かれた『二人ゴト』風味で。
読んでくれる方の想像力任せ。
- 372 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:54
-
どこかから聞こえてくるメロディ。
――あぁ、新曲だ
微睡みの中でそう思う。
思い、意識してしまえば、それは自分の携帯が着信を告げているんだと認識できる。
開かない目蓋にも構わずに、手探りで携帯を掴んだ。
「……はい」
『あ、寝てた?』
「んん……? 誰?」
『美貴だけどぉ』
ああ、うん。解ってたけどね。
知っているけれど訊いちゃうことってあるじゃない。
ちょっと甘えたな声はものすごく可愛らしいなぁ。
なんて考えながら、少しずつハッキリしてきた意識の中で呟く。
「うん。GAMの新曲が鳴ったから、藤本さんなのは知ってる」
『なんでさ。なら亜弥ちゃんだって可能性もあるじゃん』
「いや、松浦さんはこんな時間にかけてこないから」
『……。いい歳した男がそんな早寝すんなよっ』
逆ギレだ。
四時だよ? 多少イケイケでも朝から仕事なんだから寝るってば。
「はいはい」
『あっ、軽く流した!?』
「気にしないで。半分寝てるせいだから」
『起きろー。ちゃんと聞けー』
- 373 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:55
-
夜中――、早朝? どっちでもいいや。
こんな時間だってのに声デカイよ。
「お願いだからもうちょっとボリューム落としてくれる、みきたん」
『お前がみきたん言うなっ』
「はいはい」
『流すなってば』
「……めんどくさいなぁ、もう」
『あっ、今めんどくさいっていった?』
うぁ、こっそり呟いたつもりだったけど、寝ぼけてたのかちゃんと口にしちゃったらしい。
あぁ、でもホントめんどくさいから、藤本さん。
「言ってないから、気のせい」
『ウソだぁ。絶対言った』
「聞き間違いだから。で、なんだっけ、こんな時間に」
聞くだけ野暮な質問だけど、常套句みたいなもんだからね。
どうせ答えは解ってるんだ。
『や、なんか眠れなかったから』
やっぱりね。解ってたけどさ。
「そういうのは松浦さんトコにやってくれるとありがたいなあ」
『なにその面倒くさそうな……、あっ、やっぱさっき言ったでしょっ』
もう勘弁してください。
少し離した携帯から聞こえてくる藤本さんの声にそう願う。
- 374 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/22(木) 20:58
-
ageてたw
今日の『とくばん』から。
そして気がついてみれば藤本さん三連発。
気がついてなかった自分にビックリ。
- 375 :名無し娘。:2007/03/23(金) 03:54
- 素晴らしい
- 376 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:09
- お久しぶりです、相変わらずまとまり無いですが
いかせていただきま~す
- 377 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:10
- 自宅近くのコンビニで、これからうちに遊びに来る田中さんと買い物をしていた
適当な買い物を済ませてコンビニを出る、ここからうちまでは5分もかからない・・・けど
ふと隣に目を移すと田中さんがいない・・・
「あ・・・れ?」
「先輩、れーなはここ」
「ん?」
僕は声のする方向へ振り返る、田中さんは僕のちょっと後ろで座り込んでいた
「どしたの?」
「先輩、迷子みたい」
田中さんの傍らには小さなネコ・・・僕は一瞬、田中さんに似てるな~と思ってしまった
田中さんは「かわいい~」なんていいながら子ネコを撫でている、子ネコもまんざらではなさそうだ
「ふ~ん、どうすっかなぁ~」
僕はひとしきり思案する・・・・・・この子ネコ、どうしよう・・・このまま置いていくって言うのは
ちょっとなぁ・・・う~ん、面倒くさい!うちで考えるか・・・寒いしね
- 378 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「おーい、れーな」
「「はい?(ニャー)」」
1人と1匹が同時に返事をする、僕と田中さんは顔を見合わせながら笑った
「チビもれーなってって言うのか?よしよし」
僕がネコを抱き上げると、田中さんは僕に訪ねる
「先輩、どーすると?」
「とりあえず、うちに行って考えよう。寒いし、人間のれーなもネコのれーなも風邪ひいちゃうよ
うちペットOKだから長くいる事になっても平気だし」
「うん、さすが先輩、やさしいっちゃね~」
「そっかな~?」
僕と田中さんとレーナ(ネコ)は家路を急いだ、うちに帰った後も田中さんは帰るまで
ず~っとレーナ(ネコ)と遊んでいた。なんとなくそれを見ているとネコの親子が遊んでいるように見えるw
散々レーナ(ネコ)と遊んでから田中さんは帰っていった
「じゃあ先輩、レーナ(ネコ)をよろしく頼むっちゃ」
「あいよ♪」
「じゃあね、レーナ(ネコ)♪」
「ニャ~」
僕の腕に抱かれていたレーナ(ネコ)は少しだけ寂しそうな声で鳴いた
- 379 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
翌朝・・・僕が日課のランニングをしていると昨日子ネコを拾った場所に女の人が立っていた
その人は大人の猫を連れている、まさかとは思ったけど僕は声をかけてみた
-
--
---
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僕が楽屋に入ると田中さんは待ってましたとばかりに僕の所に飛んでくる
「先輩!レーナ(ネコ)は元気と?」
「ん・・・う~ん・・・」
「先輩?どうしたと?」
「実はね・・・」
僕は田中さんに朝方にあったことを全て話した、レーナ(ネコ)の飼い主がいてその人に
レーナ(ネコ)を返してあげたこと、いつでもレーナ(ネコ)に会いに行けば会えること
そして、拾った猫が本当にレーナ(ネコ)という名前だった事・・・全てをちゃんと伝えた
「そう」
一瞬田中さんは残念そうな顔を見せたが、すぐに笑顔になった
- 380 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「ちゃんとお母さんがいるなら、一緒にいるのが1番っちゃ、それに会おうと思えば会えるんでしょ?」
「うん、飼い主の人がいつでも会いに来て下さいって言ってたよ」
「じゃあ、今度レーナ(ネコ)に会いに行こう」
「うん」
僕と田中さんの会話にメンバー一同は首をかしげている・・・そりゃそうだ田中れいながレーナ(ネコ)に
会いに行こうって言ってるんだから無理も無い
「せんぱ~い、さっきから何の話をしてるんですかぁ~?」
亀井さんが横からいつもの調子で割り込んでくる
僕はテーブルの上にあった柿ピーのピーナッツを手に取るとそのまま亀井さんの鼻の穴に突っ込む
「フ・・・フフ・・・亀ちゃんには関係ないお話だよw」
「なにするんですかぁ~~~!」
僕は亀ちゃんがそういうと同時に楽屋を飛び出す・・・さぁ、いつもの賑やかな日常の始まりだ♪
- 381 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:19
- あとがき
( M _ O)<うわ~~~、ちゃんとまとまってない!
本当にご無沙汰しており申し訳ないです
>>374(匿名タソ)
ちょい前のネタで亀ちゃん体重ネタを
活かしていただきありがとうございます♪
今回、ピーナッツネタを使わせていただきやした~
次回はりかみき絡みの話か紺野さんあたりを
登場させる予定であります♪
- 382 :名無し娘。:2007/03/24(土) 17:31
- ニャー 誰かのツボをついてそうだw
- 383 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:05
-
「デート♪ デート♪ 」
「やめなさいっ。目立つから」
大きな帽子を目深に被ったその下で、えらく楽しそうに妙な歌を口ずさみながら、歩く僕の廻りをクルクルと回っている亀井さん。
約束を果たしたここまでの半日で、こうまで喜んでもらえるのは嬉しいけれど……
「そのはしゃぎっぷりはなんとかならないの?」
「えー? だって、楽しいじゃないですかあ」
「まーね。楽しいけど」
「でしょ? でしょぉ?」
まぁいいけどね。
でも、はしゃぎすぎだと思ったら……
「それにしても……あっつーい」
「やっぱり? ずいぶん着込んでるもんね」
「だって……寒くなるってテレビで言ってたんですよぉ」
情けない声でそう話す亀井さんはもこもこに着込んだ首もとをパタパタと扇いでる。
「日が出てきたらだいぶあったかくなったよね」
「あっついから上脱いじゃいたいんですけど……」
「ん? どうしたの?」
「これ脱ぐと寒いんです」
「微妙なのね」
「そーなんですよー」
そう笑いあった僕の目線が少し先の店で止まった。
僕の目線に気がついた亀井さんもその店へ目をやる。
なんとも言えない沈黙が生まれた。
- 384 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:06
-
「……良さそうなの、買う?」
「それはもしかしてぇ……」
「わかりましたってば。買ったげるから」
「わーい。せんぱいやっさしいんだ」
さも嬉しそうにフニャフニャした笑みをみせる亀井さんと店に入って。
あれやこれやと次々と手に取っては鏡の前に立ち、それから僕へと見せる。
女の子の買い物が長いのは解っているけれど、間に合わせの上着一枚選ぶのにかれこれ一時間以上。
「どっちが似合うと思います?」
結局最初の頃に手にした――と思う――二枚を両手に持って聞いてくる。
デザイン的にはどちらもそれほど差はなく、表を歩くのにもほど良さそうな感じに見える。
「どっちも似合ってると思うけど」
「そーじゃなくてぇ……、せんぱいはどっちの絵里が好きですか?」
ちょって照れくさそうに、両手に提げたジャケットとハーフコートと、そして僕へと視線を動かした。
なんとなく言わんとするところは解るけど……
「だったらこれ。それに、そーだなあ……」
右手に持ったコートは今の亀井さんのインナーに合わなくもない。
けれど、どうせだったらとすぐそばにあった淡いグリーンのシャツを手渡した。
「合わせるならこれの方がよくない?」
「え? でも――」
「どうせなら合わせちゃおう。着て見せてよ」
「あっ」
らしくもなく遠慮している亀井さんを試着室へと押し込んだ。
- 385 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:07
-
しばらくしてそっと開いたドアから亀井さんが顔だけ覗かせる。
「どしたの? サイズ、合わない?」
「そーじゃないんですけど……」
「じゃあ出てきてみてよ」
ちょっと躊躇って、おずおずと姿を現した亀井さんは十八歳の亀井さんよりも少しだけ大人びて見える。
「似合ってるんでしょーか?」
「似合ってるよ、そーとーね」
「え~、じゃあこれ」
少しシックで大人びた風情になった亀井さんと街を歩いて。
変わった服に合わせるように、隣で落ち着いて歩く亀井さんはなかなか……いや、かなり違った魅力を感じる。
色々な店を見て歩き、少しばかりのショッピングを楽しんだ後、お腹が減ったという亀井さんのチョイスで飛び込んだイタリアン。
「せんぱい?」
「……ん? あ、なに?」
「あの、なんか絵里ってば見られてません?」
「あ……いや」
「やーですよ、もう……照れるぅ」
食後にデザートを楽しんでいた亀井さんはせっかくの雰囲気を台無しにする“らしさ”をみせてくれる。
もっとも急に大人になられても、とは思うので、それはそれで愛らしくていいんだろう。
- 386 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:08
-
食事を終えて表へ出ると、すっかり日も落ちた夜の街は少しだけ肌寒いくらいだった。
となりの亀井さんへ目をやると、上着の前を合わせて少し寒そうにしている。
「ちょっと冷えてきたね。それ脱いでこっちにする?」
着替えた上着が入った紙袋を差し出してそう言った。
亀井さんは少し考えるようにそれを見ていて、そして小さく首を振る。
「いーです。せっかくせんぱいが選んでくれたんだもん、今日はこのままでいるっ」
「でもそれじゃ寒いでしょ」
「ヤですっ」
大人びた服を身にまとった亀井さんが横を向いて子供じみた意地を張る。
僕は喉をならすみたいに笑いながら、ならそれなりに振る舞うのもいいかもしれないと思った。
「わかった。ならこうすればいいでしょ」
- 387 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:09
-
肩に触れた感覚に振り向いた亀井さんが不思議そうに僕を見上げる。
そして手を離した僕にポンと叩かれて、我に返るようにハッとした亀井さんが口を開いた。
「あっ、でもせんぱい寒い――」
「ちょっとくらいかっこつけさせてよ」
そう笑ってみせると困ったような表情をしたけれど、合わせたハーフコートに顔を埋めるようにそっと頷いてくれた。
少しだけ先を歩きながら、後は送ってあげてデートもお終いかなと、そう思ってチラリと亀井さんへ目をやると、妙に嬉しそうに笑っていた。
「どしたの?」
「え? なんですかあ?」
「なんか笑ってるから」
「やっ、あははっ……。あのぉ……なんて言うか」
「なんて言うか?」
「えー、難しいなあ」
難しいってなにがだろう?
ただ笑ってる理由を聞いてるだけなのに。
そう考えながら亀井さんを見つめると、くすりと微笑んで悪戯な子供みたいに目を輝かせて。
「せんぱいの匂いだなあ……って」
コートで口元を隠しながら呟いた。
なんというか……妙に気恥ずかしくなった僕は「行くよ」とぶっきらぼうに歩き出し。
同じように恥ずかしそうな亀井さんは「待ってくださいよぅ」と腕を絡めてきた。
- 388 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/24(土) 22:14
-
長くなってもた。
どれくらいまで許されるだろうw
>>MONIXさん
GJでーす♪
まさかピーナッツとは!?
- 389 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/27(火) 00:12
- 今日は愚痴~
んが~、せっかくぼんさん絡みの物語書いてたのに
構成やり直しだ・・・・・・OTL
- 390 :名無し娘。:2007/03/27(火) 18:04
- 「これ可愛いと」
田中さんに誘われて買い物に来た。
「れいなこのブーツ買うの」
「このブーツ可愛いけん。欲しいっちゃ」
「れいな、絵里たちに内緒にしてたら買ってあげるよ」
「内緒にするけん、先輩買って」
ブーツを買い笑顔の田中さん
「先輩ありがと」
「でも絵里たちには内緒だよ」
「わかったけん」
- 391 :名無し娘。:2007/03/27(火) 23:25
- がんばれ
- 392 :TACCHI:2007/03/29(木) 18:38
- 4月中旬頃に、復活予定。
- 393 :名無し娘。:2007/03/29(木) 18:43
- 高まる期待
- 394 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:27
-
ではTACCHIさんが復帰するまでは埋めていきましょうか。
哀しいことは置いておくか、書いて処理するか決めかねてるから違う話を。
- 395 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28
-
誰もいないと知っていて、それでも入った僕が悪いのか。
それとも……
- 396 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28
-
レッスンの後、一人悠々と汗を流した僕は一足お先に楽屋で待っていようと扉を開いた。
何かがおかしい。
誰もいない楽屋の中で感じた違和感。
慎重に部屋の中を見渡していく視線がテーブルの上で止まった。
そっと伸ばした指先が“それ”に触れる。
小さく硬質なそれを一つ摘み上げる。
これがあること、そのものはおかしなことじゃあない。
けれど……
テーブルの上一杯に広がった袋は全て開封され、その透明な袋は全てが同じものであることを教えてくれていた。
- 397 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29
-
――ピーナッツ
- 398 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29
-
摘み上げたそれをどうするか、僅かに逡巡したあと、スッと放り投げるような仕草をして、そして止めた。
澄ましていた耳に聞こえた微かな音。
「出てこいっ」
振り向いた先にあるロッカーへ、強めの声を叩きつけた。
微かに揺れたスチールの扉から出てきたのは、僕の予想を裏切る娘だった。
「すいませ~ん」
「愛佳ちゃん……?」
僕にもだいぶ慣れてきて、へらりと笑うその姿は紛れもなく光井愛佳だった。
てっきり以前の仕返しでからかうつもりの亀井さんだろうと、そう思っていた僕はさぞ気の抜けた声を出したことだろう。
「なんで愛佳ちゃんが……?」
「やぁ、隠れて見てろって」
「誰が?」
「それはー、……内緒だって」
「……亀井さん?」
「違いますう。それよりもせんぱい」
- 399 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30
-
ふいに動いた愛佳ちゃんの手がピーナッツを宙に浮かせる。
半ば反射的に放られたそれを開いた口の中で受ける。
「わー、ホントにうまいんですね」
無邪気に喜ぶ愛佳ちゃんを見ながらピーナッツを噛んだ。
カリカリと咀嚼していると、立て続けに二つ。
「すごぉい」
なんだか知らないけど喜んでくれている。
そんなことを何度か繰り返し、あるとき投げられたピーナッツが突然二つに増えた。
しかも一つは直線的に僕へ向かって。
「っ!?」
緩やかに投げられたそれは僕の頬へ当たって膝の上に落ちる。
そして額を直撃したそれはテーブルの上へと跳ねた。
- 400 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30
-
「なんでのんのは食わないんだよっ。ピーナッツ、好きだって聞いたのにさっ!」
“投げつけられた”ピーナッツの方向で憤慨しているのは、僅かに先輩である妹のような存在。
突然キレられた辻ちゃんへ、無言で一瞥をくれて。
摘んだピーナッツを弾いてやった。親指で、強めに。
「あうっ」
狙いは違わず、額へクリティカルヒット。
満足気に笑った僕は、この瞬間確かに忘れていた。
あの悪夢を。
「――ぶっ!」
悪戯気質で気の強い辻ちゃんは、倍返しでピーナッツを叩きつけてくる。
しかも振りかぶってオーバースローだ。
油断した僕はまんまと直撃をくらい、この瞬間から昔に戻ってしまった。
悪戯を諫めては、のせられてやりすぎたあの頃に。
季節違いの豆まきは壮絶な打撃戦となり、いつしか参加者すら増えていた。
愛佳ちゃんはとても楽しそうな笑顔だ。
三人は小刻みに移動を繰り返してはそれぞれにピーナッツを投げつけ合う。
「あっ」
さんざん散らばったピーナッツに足を取られた僕は遮蔽物のない場所で姿を晒してしまう。
そしてその好機を逃す辻ちゃんではなかった。
- 401 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:31
-
「チャンス!」
力一杯振りかぶったそれは力みからか微妙にコースが逸れていると感じた。
そして四つん這いでいた僕の頭上を通過した剛速球はハデな悲鳴を生んだ。
悲鳴の主は怒りを隠そうともせずに辻ちゃんを睨み付け、鉄槌を下そうと動きだし……僕に気がつかずに足を取られ転んだ。
ハデに転がった藤本さんを見て大笑いした辻ちゃんは、火に油を注いでいると解っていても止められはしない。
身体を起こした藤本さんは、僕へ目線をくれると八つ当たり――ではないかもしれないが――のように一蹴り。
そして転がっているピーナッツを掴んで辻ちゃんへ、膝立ちのままで城島並みのスローイングを見せた。
ピーナッツは辻ちゃんへメガヒット。
そして悪夢が始まった。
楽屋の隅へ追いやられた僕が正気に戻った時には、狂気の宴の参加者は辛うじて一桁で済むところまで増えていた。
- 402 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:32
-
「また先輩が原因ですか?」
いつの間に戻ってきて、いつの間にこうなったのか、隣には体育座りで身を縮め、雑誌でピーナッツを避けている愛ちゃんが冷たい目で僕を見ていた。
面目なく謝ろうとした僕へ、雑誌で跳ね返ったピーナッツが当たる。
そして宴が終わり、一列に正座させられて説教を受けながら、なぜ人は同じ過ちを繰り返すのか、そんなことを本気で考えていた。
団体責任だと連座させられている隣の愛ちゃんへ申し訳なく思いながら。
- 403 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:34
-
ああ、MONIXさんのおかげで再びこんな事件が(違)
- 404 :名無し娘。:2007/04/03(火) 11:25
- な、なんだってー
- 405 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30
- 今回の作品は例の喫煙事件を取り上げています
見たくない方はスルーして頂いて結構です
- 406 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30
-
-----加護亜依、契約解除
ハワイですでに僕と吉澤さんだけは聞いていた話だが、日本に帰ってきて改めて
この話を聞かされると様々な感情がこみ上げてきて何とも言えない気分になる・・・
「先輩、どっか行きません???」
今日はこんな誘いを何件断っただろうか・・・明らかに意気消沈している僕と
吉澤さんを気遣ってくれているのは痛いほど解かるんだけど、やっぱりそんな気には
なれなくて、申し訳ないと思いつつも丁重に断っていた
荷物をかばんに詰め終えて、いそいそと楽屋を出ようとすると久住さんが声をかけてくる
「せんぱ~い!ご飯食べに行きませんか?なんなら小春がおごりますよ?」
こうやってみんなが気にしてくれるのは本当にありがたい、いつもなら断らないんだけど・・・
「ごめん、今日はダメなんだ・・・ちょっと1人で行きたいところがあるんだ」
「じゃあ、小春も一緒に・・・」
「小春!」
久住さんが言いかけたところで僕の心理状態を察してくれた藤本さんから静止がかかる
僕は久住さんに「ごめん」のポーズを取りながら楽屋を出た
- 407 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32
-
「さて・・・可愛い妹に説教かましますかね・・・」
僕は呟きながら車に乗り込む、携帯電話にハンズフリーで話せるようにヘッドセットを
装着して準備完了、僕は車を走らせた。信号で止まった隙に加護さんの電話番号をダイヤルする
ダイヤル音がしばらく鳴った後に留守番電話のメッセージが流れた
----- ピー -----
「あ、兄ちゃんだけど久しぶりに話さない?都合のいい時に電話くださ~い」
簡単なメッセージを残して電話を切る・・・・・・数十秒もしないうちに着信音が鳴った
「早いな、どうせ携帯握り締めながらメッセージ聞いてたんだろ?」
「うん・・・よくわかったね」
「そりゃ妹の考えてる事くらいわかるよ」
「そっか・・・」
こんな風に会話は始まって、色々な事を話した・・・車は東京を回り続けている
1時間くらい話していただろうか・・・僕はどうしても加護さんに伝えたかった事を話した
「ごめんな」
「えっ・・・?」
「兄ちゃん、ボンが辛い時になんもしてあげられなかったな・・・ごめん」
「なんで・・・兄ちゃんが・・・謝る事なんて・・・無いよ」
「・・・」
「悪いのはあたし・・・あたしが・・・弱いから・・・兄ちゃんが・・・悪い事なんて・・・無い」
僕は後悔していた・・・加護さんが抱えたいろいろなものを少しでも一緒に持ってあげられたら
また違った筋書きになったんじゃないか?・・・と
- 408 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32
-
その後・・・これからの事についても話をした・・・加護さんは諦めの言葉を話していたが、
僕は信じている事を伝えた・・・電話を切った後で、もっと早くこんな風に話せていたらと
新たな後悔を抱えながら家路についた
マンションのエレベーターを降りた瞬間、足元から聞きなれた声がした
「せんぱい、お帰りなさい」
次回に続く
- 409 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:37
- あとがき
( M _ O)<今回はこんな感じです、テーマがテーマだけに
重いです、次回も萌えられるか微妙です
>>403(匿名タソ)
おきてしまいましたかwww
ミキティ城島スローする所でめっさ笑いましたw
- 410 :名無し娘。:2007/04/10(火) 20:11
- きっとあいぼんは足りない何かを補いたかったんだと思う
- 411 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:07
-
次への移動まで、少し空いた時間を利用してコンビニへでも行こうかとフラッと楽屋を出た。
エレベーターまで歩いている途中、少し先のドアが開き見知った横顔に笑顔になる。
「いっしかっわさん」
「え?」
「やっ。気がつかなかったよ。美勇伝もここだったんだ?」
「そうなの。そっちも?」
「うん。もう少ししたら移動なんだけどね。
ちょっと時間が空いたからなにか買いに行こうかと思って」
「ぐうぜーん。わたしもなの」
「へえ……って一人?」
「ジャンケンして負けちゃった」
情けなさそうに眉尻を下げる石川さん。
二人もやるようになったもんだと軽く笑うと、すいと手を伸ばしてきた石川さんが拗ねたように僕の手を引いた。
「行くよっ」
「ほーい」
振り向きもせずに歩く石川さんに手を引かれながら、「なに買いに行くの?」なんて訊いてみる。
途端に笑顔で振り向いた石川さんが楽しそうに口を開いた、その瞬間だった。
「アイスク――」
「あっ!」
石川さんは、“足を止めて”振り返った。
身体ごと。
- 412 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:08
-
「きゃあ!?」
止まった石川さんの足先を踏まないように、着いた僕の足首はおかしな方向へ曲がりバランスを崩した。
「いったぁい……」
「ごめ、……ん!?」
開いた目の先に石川さんのあごが見える。
その目線を下へ向ければ……不思議なくらいやわらかなクッションは、ああ、なるほど。
「……って、うわっ! ご、ごめんっ」
慌てて飛び退いた僕。
石川さんは身体を起こしながら胸を隠すように左手で押さえている。
頬を染めて、潤んだ目でなにか言いたげな石川さんへ、気まずさをごまかすように手を差し伸べる。
遠慮がちに触れてきた小さな手を、しっかりと握って引き起こすと、嬉しそうな――だけど恥ずかしそうに――石川さんが呟いた。
「あのね、アイスクリーム、……買いに行くの」
「あ、……うん」
甘くとろけそうな“アイスクリーム”、ごちそうさまでした。
- 413 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/04/10(火) 23:11
-
MONIXさん、続き、待ってまーす。
TACCHIさんもぼちぼち戻られるかな。
新しい人にも期待。
- 414 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:20
-
「なんだろう、これ」
呟いたのはリーダーであるよっすぃーだった。
「あれじゃん、よっちゃんのでしょ」
返したのはサブリーダーの藤本さん。
「あたしの? なに? 知らねーけど」
ここは僕の楽屋で、僕個人の楽屋なはずで。
一体、彼女たちはなにをしているのか。
うたた寝してる間に、いつの間にか二人が楽屋の中にいて。
「知らねーって、マジで言ってんの?」
なにやら二人だけで話が弾んでるようだったから、どうにも起きたと言いだすタイミングを掴み損ねたままでいた。
僕の楽屋なのに。
「なにがよ。あたしのものなんてここにあるわけないじゃん」
「そーじゃなくてさあ。ホントに気がついてないの?」
「だから知らねーってば」
「これだからまったく……甲斐がないっていうか、逆に楽しみが増えるっていうか」
「なんの話?」
「プレゼントでしょ」
「は?」
「誕生日の」
- 415 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:21
-
え?
「……おー、あたし、誕生日、ね」
「本気で忘れてたのかよっ」
ん? ちょっと待てよ……
薄目を開けて様子を窺うと、二人の背中の向こう、テーブルの上にいかにもなラッピングをされた掌大のケース。
「なんだろうね、これ。開けてみれば?」
――な、なに言ってんの藤本さん
「えーっ? でもまだもらったワケじゃないからなあ」
――よしっ、さすがはリーダー
「どーせ後でくれるんだからさ。いいじゃん」
――待って待って、そうじゃないから
「そうかなあ?」
――いや、違うって。そんな誘惑に負けちゃダメだから
――普段アホはしてもそういう一線はちゃんとしてたじゃん
「開けちゃえよ」
――だからダメなんだって、藤本さん
――そんなよっすぃー(悪魔バージョン)風に言ったって、この場合は止めてくれる天使もいないんだから
- 416 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:22
-
「じゃあちょっとだけ」
――いやいやいや、ちょっともなにも開けたら同じじゃん
そしてガサガサとラッピングを開く音が聞こえる。
――ああ……
「お? きれいなビンだ」
「香水かな? 見たことないなあ」
――開けやがった……
その時だった。
ガチャリと扉の開く音が聞こえ、その瞬間に僕は約束を思い出していた。
「せんぱーい」
そうかけられた声と、飛び起きた僕の「ああっ!」という叫びが重なる。
視線の先で硬直する三人の姿。
思いだした約束は、試しに使ったオーダーメイドのトワレを気に入ったらしい愛ちゃんにプレゼントするというもので。
そして今のその瓶はよっすぃーの手の中にあって。
入ってきた愛ちゃんの視線がそこへ向くよりも先に、僕は大慌てで入り口に立つ彼女を連れて部屋を出た。
部屋からの出際、呆然としている二人から驚いた顔の愛ちゃんへ視線を移し考える。
さて、どう切り抜けたものかと。
そしてバッグの中にある“よっすぃーへのプレゼント”を。
- 417 :名無し娘。:2007/04/29(日) 18:28
- 「ねえねえ、絵里」
「何?さゆ」
楽屋で休憩してるとさゆが私に話しかけてきた。
「さゆみってかわいい?」
「私のほうが可愛いよ」
少しいじわるっぽく言ってみた。さゆが元気がなさそう。
「さゆ、どうしたの?」
「さゆみ太ってるの気にしてるの」
「そっか、絵里もぽっちゃりしてるけど
あんまり気にしないほうがいいんじゃない?」
「そっか、そうだよね」
さゆは元気になりました。
- 418 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50
-
「なんだこれ……」
- 419 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50
-
それはダンスレッスンでのこと。
先生が席を外し、各々でフォーメーションをお復習いしている中で起こった。
相応に進んでいたレッスンは、どこか慣れた空気を作り出していたのかもしれない。
年少組数人が戯れていることすらも、苦笑の対象でしかないことだった。
歌い慣れた歌を口ずさみながら、流すような動きで立ち位置を変える最中、些細な過ちで事故は起きた。
ふと交わした視線で相互の距離の近さを知り、危ういところで激突を回避したのは道重さんと愛佳ちゃんだった。
けれどその行動には余波が生じ、影響を受けた田中さんはバランスを崩し、僕の方へ寄りかかってきた。
支えようとして、支えきれるかと思った。
けれどフォーメーションの動きそのままの速度でぶつかった勢いを殺しきれず、二人一緒に倒れ込むことになった。
なんとか身体を捻り、田中さんの上に倒れ込むことだけは避けられたのは上出来だった、ハズだった。
「先輩!?」
「っつ~……」
「ご、ごめんなさいっ、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫……っ!?」
- 420 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51
-
笑顔で返そうとした言葉が止まり、作りかけた笑顔が崩れた。
「なんだこれ……」
身体を起こそうと着いた手に激痛が走り、痛みであげた腕は歪んだように曲がっていた。
数分後、心配そうに周囲を囲むメンバーの輪から、脂汗を滲ませながら病院へ運ばれ診察を受けることになった。
治療を受けた後、報告のために事務所へ向かったマネージャーさんに言い渡されて、僕は一人病院へ残ることになった。
押し込められた個室で感覚のない腕を固定され、ベッドに寝かされた僕はため息をつく。
「気にしてなきゃいいけどなあ」
そう呟いて、すっかり日の落ちた窓の外へ視線をやった。
気がつかないうちに雨が降り出していたらしい。
音もなくガラスを濡らす雨に誘われるように、重い腰を上げて窓辺へ歩み寄った。
空に月は見えず病院の敷地はどことなく薄暗い印象を与える。
点在する常夜灯すら寂しげに見えるくらいだった。
- 421 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51
-
「……?」
薄暗い駐車場に人影が見える。
雨だというのに傘もささず、この病棟を見上げているような……
目を凝らした僕は不自由な右手を庇いながら廊下へ走り出た。
いやに足音が響く廊下を走り、途中咎められた看護師さんへ詫び、速歩で駐車場へ出る通用口へ向かう。
誰もいない通用口の鍵を開け、外へ出てすぐに角を曲がる。
そこにはさっきまでと同じように、病棟を……僕がいた病室を見上げている人が立ちつくしていた。
「田中さん……?」
そう声をかけると僕に気がついたその人影は弾かれたように逃げ出した。
追いかける僕はぎこちない走りっぷりだったろうけれど、それでも田中さんよりは速かった。
なんとか病院を出る前に掴むことができた腕は、いつもにもまして細く感じられた。
立ち止まってくれたけれど田中さんは振り向かない。
掴んだ腕が震えているのは雨のせいじゃないと思った。
「田中さん……」
振り向かないままで、田中さんはただ「ごめんなさい」と繰り返していた。
- 422 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:52
-
ただ謝り続ける田中さんを、とりあえず病室まで連れて行き、一晩分の着替えと一緒に用意されていたタオルで濡れた髪を拭う。
それから自分も髪を拭いなんとか落ちつけたけれど、田中さんは一度も目を合わそうとしない。
「お見舞いに来てくれたの?」
少し表情が引きつったように見えた。
まだなにも言おうとはしない。
「大袈裟にされちゃったよね」
そう笑いかけてみせた。
目線だけが僕の……動かない腕を見た。
「もしかして気にしてるの?」
ふう。
心の中でため息をつく。
気にするなと言っても無理かもしれないけれど、気にされるのは僕の方がツライ。
「支えられなかった僕が悪い。気にすんな」
わざと変えた口調にようやく反応が返ってきた。
「せんぱいが悪いんじゃないっ。れなが一人で倒れてればよかった」
「怪我したのが自分ならよかった?」
田中さんは心底そう思ってるように、食いしばった口元で頷いた。
- 423 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:53
-
「せんぱいにかばってもらって、ケガまでさせて……」
うめくように吐き出された想い。
激しい自責に堪えきれなくなった瞳から涙がこぼれ落ちた。
「ケガさせた……れなが、せんぱいに会うの怖くって」
「それであんなところで?」
頷いた拍子に、膝の上で強く握られた手に雫がはねた。
まったく、見かけによらずヘンなところで生真面目なのは変わらないんだ。
「もう今度こそ愛想尽かされるって……」
「バカ」
自由のきく左手で、ぎこちなくれいなの頭を引き寄せた。
まだ乾ききらない髪をくしゃくしゃにしながら、からかうように「愛想で付き合ってるんじゃないぞ」と笑う。
「れなんこと……キライにならんと?」
見上げてくる目の真剣さが、掠れそうな声の弱さが、どれほどの気持ちでいたのかを知らしめていた。
「んなワケないっしょ。今までも、これからも、キライになんかなんないよ」
ポンと頭をたたいてそう口にしながら考えていた。
僕はいつか……そう遠くないうちに、自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。
- 424 :名無し娘。:2007/05/09(水) 21:20
- 「先輩」
「どうしたの、絵里」
「先輩の家に泊めてください」
「いいけど」
「やったー」
そんな訳で亀井さんを泊めることになった。
亀井さんと一緒にマンションに帰った。
部屋に入ると亀井さんが服を脱ぎだした。
「絵里何してるの」
「暑いから脱いだんです。大丈夫ですよ。水着着てますから」
そう言って亀井さんは笑った。やれやれ。
「先輩が見たいなら脱いでもいいですよ」
「先輩起きてください、時間ですよ」
「夢か」
「絵里の胸なんか見てどうしたんですか先輩」
「いや夢見ててね」
「じゃあ行きますよ、先輩」
夢の亀井さん大胆だったな
- 425 :名無し娘。:2007/05/09(水) 22:24
- イイヨー
- 426 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:51
-
それはいかにも彼女らしい、七年もの間そうであり続けた彼女らしい舞台だった。
笑顔で始まって、笑顔で歌い踊ってここまできた。
自身の最後の舞台などということは関係ないように、今までと変わることなく元気な姿だって、そう感じた。
そして今も。
同じ時間を過ごせるこの瞬間を惜しんで、涙を流しながらそれぞれの想いを伝える後輩たち。
その愛すべき後輩たちを少しだけ照れ臭そうに、けれどいつものように笑って見ている。
一人、また一人と言葉を交わし、抱き合っている姿を見ながら、僕は迷っていた。
勿論伝えるべき言葉はいくらでもあるし、考えていたけれど……
- 427 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:52
-
愛ちゃん、藤本さんと、どこか引き継ぎめいたやりとりが終わる。
残っているのは僕だけ。
どこか不思議な感覚だった。
これだけの観客に囲まれて、多くのメンバーやスタッフがいる空間で、どこか二人きりのような。
「よっ」
「おう」
切り出した言葉は用意していた言葉じゃなく。
自分の口から出た言葉も、返ってきた言葉も、あまりにいつもと変わらない。
笑い出してしまいそうなくらいに。
「卒業するんだ」
「卒業、するよ」
「うん。……、今までありがとう」
「そんだけかよ」
呆れたように笑うくせに、その表情はどこか満足そうに見えた。
どれほど本気でそう思っているのかが伝わっているからかもしれない。
僕は感謝している。心の底からだ。
何時、何をとか、そんなことですらなく、彼女の存在そのものに。
助けてくれた先輩が側からいなくなり、逃げ場を奪われて、ここにいる意味を曖昧にしていく僕に。
最後に残った絆が“僕”でいるための力になっていたから。
いてくれてありがとう
そして願わくば、前を歩いていく君に、追いかける僕がなんらかの力をあげられればいいと願う。
- 428 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:54
-
「いつだったかな」
「お?」
「僕がしていた腕時計、妙に気に入ってたよね」
「あー、アレね。かっけーなあって思ってさ」
「買った翌日だってのに取られそうになった」
「結局くんなかったじゃん。高いモンじゃないっていったくせにさあ」
そのときの彼女を思い出して笑うと、よっすぃーも思いだしたんだろう、悔しそうな顔を作ってそう返してくれた。
「あのときでもそうだったんだけどね。多分、もう手に入らないんだよ、アレ」
「……?」
「だから、あげるよ」
「はっ!? マジで?」
「卒業祝いに」
「……サンキュ」
離れていく君に、もしなにかの時には思いだしてほしいから。
一人で歩いていく君へ……
お守り代わりにそっと。
- 429 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/10(木) 22:56
-
……前のと順番が前後してると思ってくださいまし。
- 430 :名無し娘。:2007/05/11(金) 00:09
- >>429
前?
- 431 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/11(金) 08:22
-
>>430
あっ>>418-423 の前に>>426-428 が入る。
『お守り~』の方が先に書いてたんですけど、『優しい嘘』だったらセリフ差し込むだけでエントリーできそうだと衝動的に。
結果的ずれることに……辻褄合わせるシーンを描くと、長くなりそうだったので。
- 432 :名無し娘。:2007/05/11(金) 20:35
- >>431
なるほど
- 433 :名無し娘。:2007/05/12(土) 13:48
- 「すごい報道の嵐だね」
「えへへ、だってトップアイドルらもん♪」
「ふざけないの。メールくれた時、りかちゃんもよっすぃも居たけど固まってたぞ」
「あー・・・ぅん。それは反省してるよぉ・・・」
「会見、大丈夫だった?周りに助けてもらう気ってあんな事言っちゃファンから反感かうぞ?」
「だってだってさ、赤ちゃんだって周りに助けてもらって、楽しみにしてもらわなきゃ出てきたくなくなっちゃうよ!」
「…いつの間にか成長しやがって。んで、どうすんだよこれから?」
「これから?今日はこれから雑務が多いけどディナー時はちょーどフリーだよぉ?(上目遣い)」
「……はぁ。それじゃ、栄養あるものでも食べに行きますかお嬢様w」
「わーい♪領収書はお兄ちゃんが切ってね♪」
- 434 :名無し娘。:2007/05/12(土) 19:27
- なるほど
- 435 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36
-
「あ、……ごめん」
「ち、違っ、ちょ――」
病室のドアを開けて微妙な顔でそう言い残し、出て行こうとした辻ちゃんを引き留めた。
なにが違うのかは僕にだって解らない。
けれど、そう言うしかなかったから。
「すいません。れな帰ります」
「あ、田中さ――」
立ち止まった辻ちゃんをすり抜けて、田中さんが走っていった。
違う、はなかったかもしれない。そう思った。
「あの……、いいの?」
「あ、まあ……うん。とりあえず落ち着いたみたいだし」
部屋を出て行った背中を追うように、視線を行き来させて訊く辻ちゃんへ、特別隠すことなくそう話した。
「……そっか」
軽くくちびるを噛む様子は微妙に“らしく”ない。
考えてみれば、なぜ、この時間にここへ来たんだろう。
「で、なんかあった? まさかまた調子悪いんじゃないんだろ」
「――、なんでよ」
「ナメんなよ。伊達に何年も一緒にいたわけじゃないぞ」
- 436 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36
-
感心した風に笑う辻ちゃんが、言葉を選ぶように話しだし、その内容に僕は前言を撤回したい気持ちになった。
いつだって、女の子ってヤツは、男の想像よりも早く時を進めてしまうのかもしれない。
僕の知ってる辻ちゃんが……来春にはお母さんになるらしい。
「ビックリした?」
「……あ、うん。……そりゃあね」
「他には?」
「他……、おめでとう、かな」
「おめでとう、って……言ってくれんだ」
「なんでよ。そりゃあ急な話で驚いたし、早いんじゃないかって気はするけどさ。
だけど……悪いことじゃない。“おめでとう”だろ?」
辻ちゃんは少し嬉しそうに、だけど遠慮がちに笑った。
「でもみんなにメーワクかける」
「ああ、キャンセルするってこと?」
「そう。すぐに休みになるなんて……たくさん、迷惑かけるよ」
実際、新ユニットや舞台、テレビ出演や取材など、しばらくは続けられるものもあったろうし、受けている仕事で片づけられるものもあったろう。
だけど……
「そう決めたのは事務所だろ? なら仕方ない」
「そうだけど。よっすぃーだって大変じゃん」
「忙しいね。でもさ……」
- 437 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:37
-
一度言葉を切った僕に、少しだけくちびるをとがらせた辻ちゃんが、急かすような目で見てきた。
「大変だろうけどさ。きっとこう言うよ。『ったくしょーがねーなあ』ってさ。
しんどくなるのは違いないし、文句の一言も言うだろうけど、きっとその後に『良かったじゃん』ってね」
「そっかな?」
「僕より辻ちゃんの方が知ってるだろ?」
「……そーだね」
「それよりもさ」
「うん?」
「そっちのが大変だよ。新しい命を迎えなきゃなんない。幸せになるんだよ?」
「……ぅん。ありがと」
少しだけ言葉を詰まらせたけれど、しっかりした声でそう約束をした。
「なんかあったらいつでも連絡していいんだからね。
ウルトラマンだろうが仮面ライダーだろうが、辻ちゃんを泣かすんだったらぶっ飛ばしてやるからさ」
「出来もしないくせに」
少しだけ涙目で笑う辻ちゃんへ、僕からの約束をしよう。
自由になる手を持ち上げて、ヒョイと伸ばした小指。
「いつでも頼ってこい。僕でもよっすぃーたちでも」
伸ばした小指を見つめ、迷いながらも差し上げられた指を迎えるように絡めた。
「約束したからな」
「……うん」
幸せになれと、幸せであれと、願いを込めて約束の指切りを。
- 438 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/12(土) 23:41
-
…………うん。
幸せでいてくださいな。
- 439 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:54
- れなとの関係に萌えます今後に期待
- 440 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:58
- 結婚結構です
- 441 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/13(日) 19:24
-
読んでる人発見っ!
>>439
自分の中で先はあるんですけど、参考までに、どんな展開を期待してるんですか?(^^;)
>>440
結構……?
もう結構です、の結構かな?orz
- 442 :名無し娘。:2007/05/14(月) 11:03
- >>441
「結婚結構です」はハロモニでのさゆの一言
読んでいて頭に浮かんだものでそこはかとなく
お気になさらぬよう
- 443 :名無し娘。:2007/05/15(火) 02:29
- >>441
他の娘とちょっと仲良くなりかけて
嫉妬しちゃうとか見てみたい気が 月並みですけど
あーでもお任せしますよん よろしく萌えさせてくださいまし
- 444 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54
-
いつもと同じ楽屋。
いつもとほとんど同じ光景。
なのにこうまで違う気持ちになるのはなんでなんだろう。
みんなで精一杯“日常”でいようとしてるみたいなぎこちなさ。
乗り慣れた膝をなくした小春は先輩の膝に乗っている。
その先輩の手首には、お気に入りの腕時計がなくなっている。
そしてなによりも……
二人を見つめるれいなが。
- 445 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54
-
なんであんな目で二人を……ううん、先輩を、見てるんだろう。
すごく哀しそうな目をして、だけどそれだけじゃなくて。
その哀しそうな目の中に複雑な感情をのぞかせている。
見ているこっちまで胸が苦しくなる、そんな目をしていた。
ジッと、話しかけることも近づくこともなく、ただ先輩を見ていたれいながビクリと震えるみたいに視線を逸らせた。
チラリと動かした視界の中には少し不思議そうな表情の先輩がいる。
けれど先輩も、不思議そうな表情ではあるけれど、どこか困ったような迷っているような目でれいなから視線を外した。
よく解らない、けれど
- 446 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:55
-
れいなへ目を戻すと、一瞬だけ、話しかけるのかと思ったけれど、すぐに思い止まったように。
何か堪えるみたいに口元を引き結んで立ち上がったれいなが楽屋から出て行った。
閉められた扉の向こうに小さな背中を見ていたその視界の隅で、笑えない瞳をした先輩が申し訳なさそうに笑いながら小春を降ろして立ち上がる。
なんだろう、この感情は
音のない世界の中で、静かに歩き出した先輩が私の前を通り過ぎていった。
れいなと同じように扉を抜けていく背中が見えなくなる。
胸が締め付けられるみたいに苦しくなった。
これは……
- 447 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:57
-
ふと気がついてみればすぐ目の前、私の視界を遮るようにガキさんが立っていた。
その口がパクパクとなにか形作っている。
『あいちゃん』、かな。
ちょっと情けなく下がった眉や真剣な目が、なにか心配させてるんだって解った。
大丈夫だから。
別になんでもないし、ガキさんが心配するようなことはないから。
ただ……
- 448 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/15(火) 22:59
-
句点のつかない文末にはタイトルが入る……
ような感じで(苦笑)
>>442
そーでしたか。
先週のですか? よっすぃー卒業の?
見損ねたんですよねえ……くそう(^^;)
>>443
あー、アリですねえ。
ってゆーか、萌えないですね自分の、ここんとこ。
どんどん違う方に進んでいく気がする(^^;)
- 449 :名無し娘。:2007/05/15(火) 23:26
- お、更新
>>448
いや、だいぶ前です(汗)
- 450 :名無し娘。:2007/05/16(水) 02:04
- お、更新
>>448
いや、だいぶ前です(汗)
- 451 :名無し娘。:2007/05/16(水) 11:07
- >>448
あー、別に萌えじゃなくてもいいんですよ
今回の更新みたいな、ちょっと寂しげな感じもいいですね
がんばってください
- 452 :名無し娘。:2007/05/18(金) 06:39
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おまえらも|
∩ _∩ | |
( ´ー`)< |
( ) | |
| | | | なぁ |
(__)_) \_____/
- 453 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:01
-
すごくモヤモヤした、イヤな感情が心を一杯にしてくるのが解った。
あの先輩にケガをさせた日以来、自分が自分じゃないみたいに、気持ちのコントロールが効かなくなってる感じだった。
今もそうだ。
小春が甘えるのなんていつものことだし、先輩が拒むところだって見たことがない。
なのに……小春に対してこんな気持ちになるなんて。
ましてや先輩に……すごく自分がイヤになる。
これ以上あんな光景を見ていられなくて、なによりも自分の汚い感情を先輩に悟られた気がして。
いたたまれなくなって逃げるように楽屋を出てきてしまった。
数歩歩いて立ち止まって、少しでも気持ちを切り替えようとして大きく息をついて。
吐き出した息と一緒に零れたそれに気がついた。
「あれ? ちょ、なんで……」
自分でもなんでだろうって。
こんなことで泣くなんてバカみたいだって、それくらい解ってるのに。
- 454 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:02
-
「田中さん」
背中から聞こえた声。振り返らなくても誰だか解る。
だから……
「ちょっと、待って。田中さんっ」
逃げた。
泣いてるトコロなんて見られたくない。
だけどあっという間に掴まれた手は拭った涙で濡れているから。
「泣いてる……の?」
「泣いとらんけん、離してください」
「ヤダ」
駄々をこねる子供みたいな言い草で、しっかりと掴まれた手は離れることがなくて。
「僕が悪いのかな?」
違う。そんなわけない。
でもこれ以上泣いてしまわないように、引き結んだ口元は緩めないように、ブンブンと首だけを振る。
- 455 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03
-
「こないだのこと、まだ気にしてる?」
そうじゃない。首を振る。
「なんか避けられてる」
ブンブン首を振りながら思う。
そんな言い方はズルイって。
「僕は元気な田中さんがいいよ。僕に何がしてあげられる? 言ってよ」
やっぱりズルイ。
そんな意味じゃないって解っててもすがりつきたくなる。
強い誘惑に駆られてチラリと覗き見た先輩は、さっきの自分はこんなだったかもしれないって思う、どこか追いつめられたような顔をしていた。
先輩にこんな顔をさせたのは自分なんだって、そう気がついてしまうと、さっきまでの苦しさとは違う、チクリと針で刺されるみたいな痛みを伴う居た堪れなさと。
否定してしまいたくなるようなどこか優越感にも似た甘い疼きだった。
「やったら……」
「うん?」
僅かでも光が差したように表情が変化する。
ああ、やっぱりそれは自分と同じなんだ。
- 456 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03
-
「時々でいいけん」
「なに?」
「れなんことも、その……構ってもらっても」
「小春ちゃんみたいに膝にでも乗る?」
「やっ、あの……そういうのも、してみたいっちゃけど」
からかってるのかと思ったけれど、真顔で話す先輩にそんなつもりはないみたいだ。
だからなのか、それとも目を見ていないからか、照れ臭いほどの気持ちをポロリと口にしてしまえた。
「別にいいよ。他にも?」
「あー……、ホント、たまにでいいけん」
「うん」
「ギュってしてほしい……」
もう横目ですら先輩を見れないまま、でも口にしてしまった言葉は紛れもない真実。
やっぱり恥ずかしくてしょうがなくて、床へ落とした目線にすうっと自分のものじゃない腕が入り込んできた。
「誰もいないトコで、だけね」
困ってますって、声音ににじみ出ているけれど、確かにギュって背中から抱き締められて。
耳元で「もういい?」って遠慮がちなささやき。
「……あ」
「他にもある?」
「やっぱ“れいな”って、呼んでくれた方が……嬉しいんですけど」
「……なるべくそうする」
たっぷり迷った末にそう言ってくれた。
それでなにかが変わる訳じゃないだろうけど、それでも先輩の腕の中で少しずつモヤモヤしたものが溶けていく。
少し元気になれる、そんな気がしてきた。
- 457 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:04
-
………
数日後。
先輩はメンバー全員に名前で呼ぶことを迫られることになった。
- 458 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/18(金) 23:07
-
>>449
おぉ、さようでしたか(^^;)
ハロモニはほぼ押さえてるはずですが覚えてないものだなあ。
>>450
おぉ、さよ(ry
>>451
とりあえずこんな感じです。
なんか自分で読み返して、「あれ? なんか終了フラグっぽい…?」とか思ったんですが(笑)
さてどうなるやら。
>>452
もなぁ……
そろそろMONIXさんやTACCHIさんも更新くるかなあ?(催促w)
- 459 :名無し娘。:2007/05/19(土) 19:23
- このスレももう7年目、こんなん作ってみました。
作者 投稿ネタ行数 投稿ネタ数
1位 TACCHI 5499 115
2位 てと 4816 180
3位 とある夢見男1号 3957 147
4位 匿名 ◆TokDD0paCo 3528 65
5位 MONIX ◆XBvOzcZfYg 1994 17
6位 甘夏みかん 812 12
7位 ちんみ 772 24
8位 ヤスダンク 508 58
9位 chocolate 458 18
歴代の作者に敬意を表します。
- 460 :名無し娘。:2007/05/19(土) 19:26
- 見、見にくい。。。ごめん
- 461 :名無し娘。:2007/05/19(土) 20:02
- ついでに、メンバーの登場頻度もざっと調べたところ、
1位から順に、高橋、亀井、田中、藤本、石川、矢口、吉澤となりました。
高橋はこのスレでは別格ですが、
最近の作者様のおかげか6期の活躍が目立ちます。
娘。在籍年数を考慮すれば高橋を抜くかもしれません。
ご要望があればより詳細にお調べします。。。
- 462 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/19(土) 20:22
-
>>459-461
おー! すごーい♪
結構な労力そうで……ネタ数と行数とか、一参加者としては嬉しいですね。
これって狩狩のってことです…よね?
トップ3はともかく、MONIXさんのが意外な感じなのは私だけ?(^^;)
もっと多い気がしてましたが……へえ~。
詳細なのも良ければ見てみたいです。
こう、データマニアなもんで(笑)
- 463 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/19(土) 21:40
-
ちゃんと読んでないなあ…七年って書いてあるのに(^^;)
- 464 :名無し娘。:2007/05/20(日) 02:11
- お、更新。
この先輩の怪我ネタで気になってるのが、>>423
「愛想で付き合ってるんじゃないぞ」と、
「自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。 」
という先輩の言葉なんですよねー
「付き合ってる」設定でしたっけ?以前のネタ読み直しても
それらしき話は見あたらないのですが。。。
- 465 :名無し娘。:2007/05/20(日) 02:22
- 。。。それとも何か勘違いしてるのかな俺
「自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。 」
は、今後の話で出てくるのかなー超期待です
がんばってください
- 466 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:53
-
れいな、と。
今までの“田中さん”から、そう呼ぶように頼まれて。
いつものように笑って流せる状況でもなかったからか、それをよしとして“れいな”と呼ぶようになった。
最初はなかなか呼び慣れず、つい“田中さん”と呼んでしまってはジトリと睨まれたものだった。
田中さん……れいなも、周りを気にしていたのか、それを声に出して咎めはしなかった。
そして翌日、ようやく普通に“れいな”と呼んであげることができたのは二人だけで話をしていたとき。
それに慣れだした僕が、みんなでいるときに“れいな”と呼んだそのとき、一番に反応したのは呼ばれた本人ではなく道重さんだった。
「せんぱい、今れいなって呼んだ!」
- 467 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:53
-
そこから先は大騒ぎだった。
道重さんに亀井さんが加わり、なんで名前で呼ぶようになったのかを詰問された。
本当のことを話すのもどこか憚られ、なんとか言い繕ったけれど、聞き終えた二人はならば自分たちもと言いだした。
それに新リーダーがからかい混じりで便乗したから騒ぎが拡大することになった。
こういったことでは我が儘ではなかった新垣さんも。
それに名前で呼んでいた小春ちゃんや愛佳ちゃんも話の輪に飛び込んできた。
僕の存在なんてなくてもいいんじゃないかと思うくらい、それぞれが勝手にそれぞれの呼び方で盛り上がりだす。
しばらく放っておかれた僕とれいなが、さてどうしたものかと肩をすくめた頃になってようやくそれが収まりだした。
が、今度は僕へ向かって、こう呼んでくれと一斉に言いだした。
厩戸皇子聖徳太子じゃあるまいし……
- 468 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:54
-
「ふぅ。で……、一人一人ご要望があるんだろうから。聞いてみようっか」
なんとか僕の声にみんなの意識を向けることができて、そう切り出した。
「なら絵里は――」
「さゆみんって――」
「きら――」
「ミッツィ――」
「ガキさん以外――」
やれやれだ……
頭を抱えたくなった僕の横に、いつの間にか輪から外れてきた藤本さんが立っていた。
僕の肩にアゴをのせて「ミキティでどうよ」、とニヤニヤと笑っていた。
……やれやれだ。
- 469 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/20(日) 21:58
-
>>464-465
あ、そうか。
ほら…仲間として、先輩として、友人としての“付き合い”だと解釈してくださいまし。
「長い付き合いじゃないか」とか、そんな言い回しの方で。
立てたフラグは片付けるつもりですが、いくつか取捨がある中で……さてどうしましょうかねえ(^^;)
- 470 :名無し娘。:2007/05/22(火) 19:20
- 次回からメンバーを何て呼ぶのか。。。ワクワク
- 471 :名無し娘。:2007/05/23(水) 23:34
- >>469
やはりそういう解釈でしたか。間違えてましたすみません。
- 472 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:20
-
この間の一件で解ったことがある。
人にはそれぞれに価値観があり、それは必ずしも一致するものではない。
……はずだと思っていたけれど。
それよりも大切にする部分が一致することはあるらしい。
それは“特別”であるということ。
例えば彼女たち。
ああでもないこうでもないと話をした後、結局それぞれの希望をメールで受け取り、その中から取捨を任された今。
「で、なんで君らは並んでるのさ」
- 473 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:21
-
おかしなことに僕の前で一列に並んでいるメンバーたち。
「はいっ! じゃんけんして一番になりましたよ」
元気良く手を挙げて、存在をアピールする新垣さんはえらく期待に満ちた眼差しを向けてくる。
そんな顔をされると……
「じゃあ。んんっ……呼べばいいんでしょ?」
「はいっ!」
「ガキさん」
「は、うえっぇ!?」
返事のような曖昧な、けれど大きな反応を見せる新垣さん。
ついついからかいたくなってしまうんだよなあ。
それでも情けなくハの字を描く眉を見て、軽くごめんと手を振って仕切り直し。
- 474 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:21
-
「新垣さん」
「――はいっ」
笑顔に戻った新垣さんが、いつものように元気な返事をしてくれた。
前と変わらない、けれど彼女はこれがいいらしい。
後ろにいる亀井さんたちも意外そうな顔をして、返事をした新垣さんを覗き込んでいる。
「今まで通りだけど、これでいいの?」
「いいんです。すごい考えてみたんですけど……なんかこう、どれもしっくり? こない感じで。
それにほら、あれですよ、そう呼んでくれる先輩って先輩だけですから。いつも通りがいいんです」
「そっか。うん。じゃあ新垣さん」
「はいっ!」
彼女は自身が僕にとって『新垣さん』であることを選んだ。
変わらないことが特別なこともあるんだね。
- 475 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/24(木) 23:23
-
プチシリーズがスタート(^^;)
>>470
ワクワクいたたきましたっ!
こんな形で始り、少し続きますが……いかがなものかと自分では考え中。
でも始めちゃったから最後まで、多分。
>>471
や、そんな、謝らんでくださいな。
やっぱあれですよね。
誰かと……ってなると終了フラグですよねえ。
……どこぞでやったようにマルチエンディングしますか(笑)
- 476 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:48
- 俺と娘。の夢物語シリーズ 統計情報
初回投稿: 2000年12月18日
最新投稿: 2007年05月24日
継続日数: 2349日
ネタの総数: 1275個
ネタ総行数: 29846行
ネタ総字数: 648763字
- 477 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:50
- 作者氏名: 匿名 ◆TokDD0paCo
初登場日: 2006年08月08日
最新作品: 2007年05月24日
活動日数: 290日(6位)
ネタの総数: 71個(4位)
ネタ総行数: 3588行(4位)
ネタ総字数: 88242字(4位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:亀井(22.7%) 2位:田中(15.8%) 3位:高橋(15.1%) 4位:藤本(13.8%) 5位:光井(8.1%)
助演 1位:藤本(25.0%) 2位:吉澤(24.2%) 3位:田中(12.9%) 4位:亀井(11.5%) 5位:道重(11.2%)
- 478 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:51
-
作者氏名: 着ぐるみ
初登場日: 2006年04月03日
最新作品: 2006年07月28日
活動日数: 117日(10位)
ネタの総数: 16個(圏外)
ネタ総行数: 368行(圏外)
ネタ総字数: 8898字(9位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:新垣(28.5%) 2位:久住(11.7%) 3位:中澤(10.9%) 4位:小川(10.1%) 5位:紺野(9.8%)
助演 1位:紺野(28.2%) 2位:道重(23.5%) 3位:田中(22.3%) 4位:亀井(18.7%) 5位:新垣(13.7%)
- 479 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: MONIX ◆XBvOzcZfYg
初登場日: 2005年05月22日
最新作品: 2007年04月05日
活動日数: 684日(4位)
ネタの総数: 20個(8位)
ネタ総行数: 2011行(5位)
ネタ総字数: 47190字(5位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:藤本(23.3%) 2位:高橋(16.0%) 3位:道重(14.9%) 4位:久住(11.6%) 5位:石川(9.1%)
助演 1位:吉澤(41.9%) 2位:後藤(24.9%) 3位:藤本(20.8%) 4位:石川(18.8%) 5位:小川(14.8%)
- 480 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: TACCHI ◆wJKONNaqEI
初登場日: 2005年01月30日
最新作品: 2007年03月16日
活動日数: 776日(3位)
ネタの総数: 117個(3位)
ネタ総行数: 5501行(1位)
ネタ総字数: 112244字(1位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:田中(20.1%) 2位:亀井(16.6%) 3位:石川(13.6%) 4位:藤本(11.9%) 5位:紺野(10.8%)
助演 1位:道重(24.3%) 2位:藤本(22.8%) 3位:亀井(19.7%) 4位:吉澤(19.0%) 5位:高橋(16.0%)
- 481 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: てと
初登場日: 2004年04月20日
最新作品: 2005年07月19日
活動日数: 456日(5位)
ネタの総数: 187個(1位)
ネタ総行数: 4826行(2位)
ネタ総字数: 96413字(3位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:高橋(21.8%) 2位:亀井(15.1%) 3位:道重(13.1%) 4位:田中(12.6%) 5位:石川(8.7%)
助演 1位:藤本(22.3%) 2位:吉澤(18.6%) 3位:石川(18.2%) 4位:矢口(17.1%) 5位:飯田(16.4%)
- 482 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:53
-
作者氏名: chocolate
初登場日: 2004年01月22日
最新作品: 2004年04月23日
活動日数: 93日(14位)
ネタの総数: 20個(8位)
ネタ総行数: 458行(9位)
ネタ総字数: 11794字(8位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:紺野(20.5%) 2位:田中(17.2%) 3位:亀井(14.8%) 4位:加護(13.1%) 5位:新垣(12.2%)
助演 1位:道重(54.1%) 2位:矢口(39.5%) 3位:藤本(36.0%) 4位:亀井(34.4%) 5位:飯田(33.8%)
- 483 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:54
-
作者氏名: 甘夏みかん
初登場日: 2003年10月13日
最新作品: 2004年01月14日
活動日数: 94日(13位)
ネタの総数: 12個(圏外)
ネタ総行数: 818行(6位)
ネタ総字数: 21205字(6位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:亀井(70.0%) 2位:吉澤(10.1%) 3位:加護(8.9%) 4位:矢口(6.4%) 5位:安倍(4.5%)
助演 1位:田中(19.8%) 1位:道重(19.8%) 3位:安倍(19.6%) 4位:矢口(11.2%) 5位:吉澤(7.7%)
- 484 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:54
-
作者氏名: とある夢見男1号
初登場日: 2002年04月28日
最新作品: 2005年08月03日
活動日数: 1194日(1位)
ネタの総数: 150個(2位)
ネタ総行数: 4007行(3位)
ネタ総字数: 106130字(2位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:高橋(30.6%) 2位:矢口(10.2%) 3位:安倍(8.2%) 4位:石川(7.3%) 5位:飯田(6.7%)
助演 1位:飯田(31.2%) 2位:辻(27.4%) 3位:矢口(25.8%) 4位:加護(23.8%) 5位:安倍(21.2%)
- 485 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: ぷぅ~さん
初登場日: 2001年04月06日
最新作品: 2001年05月31日
活動日数: 56日(17位)
ネタの総数: 3個(圏外)
ネタ総行数: 429行(10位)
ネタ総字数: 8640字(10位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(71.3%) 2位:飯田(21.2%) 3位:加護(7.5%)
助演 1位:安倍(71.3%) 1位:飯田(71.3%) 1位:石川(71.3%) 1位:中澤(71.3%)
- 486 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: 歯
初登場日: 2001年03月16日
最新作品: 2001年03月19日
活動日数: 4日(34位)
ネタの総数: 19個(10位)
ネタ総行数: 114行(圏外)
ネタ総字数: 2604字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(39.5%) 2位:辻(21.1%) 3位:加護(19.3%) 4位:石川(12.3%) 5位:飯田(6.1%)
助演 1位:加護(25.4%) 1位:辻(25.4%) 3位:矢口(12.3%) 4位:中澤(11.4%) 5位:保田(5.3%)
- 487 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: ちんみ
初登場日: 2001年02月14日
最新作品: 2001年08月08日
活動日数: 176日(8位)
ネタの総数: 24個(7位)
ネタ総行数: 776行(7位)
ネタ総字数: 13543字(7位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(41.6%) 2位:保田(17.8%) 3位:飯田(10.1%) 4位:中澤(9.4%) 5位:加護(8.4%)
助演 1位:中澤(13.8%) 2位:矢口(13.7%) 3位:加護(6.3%) 3位:辻(6.3%) 5位:後藤(4.0%)
- 488 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:56
-
作者氏名: 石熊
初登場日: 2001年01月27日
最新作品: 2001年05月17日
活動日数: 111日(11位)
ネタの総数: 35個(6位)
ネタ総行数: 309行(圏外)
ネタ総字数: 4809字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:中澤(25.9%) 2位:飯田(18.8%) 3位:石川(16.5%) 4位:吉澤(13.3%) 5位:加護(9.1%)
助演 1位:矢口(5.8%) 2位:後藤(3.6%)
- 489 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:57
-
作者氏名: 梨華準備室
初登場日: 2000年12月26日
最新作品: 2001年03月25日
活動日数: 90日(15位)
ネタの総数: 19個(10位)
ネタ総行数: 88行(圏外)
ネタ総字数: 1850字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:飯田(48.9%) 2位:後藤(11.4%) 3位:辻(9.1%) 3位:石川(9.1%) 5位:保田(8.0%)
助演 1位:加護(21.6%) 2位:辻(18.2%) 2位:中澤(18.2%) 4位:保田(13.6%) 5位:飯田(9.1%)
- 490 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:57
-
作者氏名: ヤスダンク
初登場日: 2000年12月18日
最新作品: 2001年04月07日
活動日数: 111日(11位)
ネタの総数: 59個(5位)
ネタ総行数: 508行(8位)
ネタ総字数: 8571字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(31.1%) 2位:飯田(29.3%) 3位:保田(28.9%) 3位:中澤(23.4%) 5位:後藤(20.3%)
助演 1位:吉澤(13.8%) 2位:矢口(4.9%) 3位:後藤(3.7%) 4位:加護(3.1%) 5位:辻(2.8%)
- 491 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:59
-
以上、作者十傑でした。
- 492 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:01
- 中澤裕子
主演/助演ネタの総数: 60個(13位)/42個(14位)
主演/助演ネタ総行数: 962行(16位)/2142行(10位)
主演/助演ネタ総字数: 19148字(17位)/46168字(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 429個/38個/8.9%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 3979行/439行/11.0%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 73029字/8164字/11.2%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 429個/24個/5.6%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 3979行/373行/9.4%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 73029字/6564字/9.0%(14位)
- 493 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:02
-
飯田圭織
主演/助演ネタの総数: 90個(6位)/53個(9位)
主演/助演ネタ総行数: 1409行(13位)/3230行(4位)
主演/助演ネタ総字数: 28908字(13位)/76835字(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1010個/88個/8.7%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 17573行/1366行/7.8%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 375519字/27940字/7.4%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1010個/48個/4.8%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 17573行/2753行/15.7%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 375519字/66511字/17.8%(2位)
- 494 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:02
-
安倍なつみ
主演/助演ネタの総数: 81個(8位)/43個(13位)
主演/助演ネタ総行数: 1416行(12位)/2244行(8位)
主演/助演ネタ総字数: 32376字(11位)/53800字(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 791個/61個/7.7%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 11657行/722行/6.2%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 249525字/16095字/6.5%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 791個/34個/4.3%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 11657行/1607行/13.8%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 249525字/39634字/15.9%(5位)
- 495 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:03
-
保田圭
主演/助演ネタの総数: 70個(11位)/30個(18位)
主演/助演ネタ総行数: 1081行(15位)/1290行(18位)
主演/助演ネタ総字数: 21021字(16位)/32544字(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 684個/56個/8.2%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 8749行/759行/8.7%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 175358字/14032字/8.0%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 684個/23個/3.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 8749行/666行/7.6%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 175358字/15735字/9.0%(15位)
- 496 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:03
-
矢口真里
主演/助演ネタの総数: 128個(1位)/90個(1位)
主演/助演ネタ総行数: 2787行(4位)/2783行(6位)
主演/助演ネタ総字数: 57312字(4位)/64801字(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1053個/127個/12.1%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18759行/2762行/14.7%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 401621字/56851字/14.2%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1053個/89個/8.5%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18759行/2695行/14.4%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 401621字/62635字/15.6%(6位)
- 497 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:04
-
後藤真希
主演/助演ネタの総数: 77個(10位)/34個(17位)
主演/助演ネタ総行数: 1676行(8位)/1659行(16位)
主演/助演ネタ総字数: 34881字(9位)/36982字(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 625個/46個/7.4%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 7380行/652行/8.8%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 140299字/13334字/9.5%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 625個/20個/3.2%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 7380行/467行/6.3%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 140299字/10118字/7.2%(19位)
- 498 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:04
-
石川梨華
主演/助演ネタの総数: 126個(2位)/61個(7位)
主演/助演ネタ総行数: 2534行(5位)/2713行(7位)
主演/助演ネタ総字数: 52719字(5位)/60908字(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1058個/112個/10.6%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18902行/1634行/8.6%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 404548字/33472字/8.3%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1058個/55個/5.2%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18902行/2120行/11.2%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 404548字/46613字/11.5%(11位)
- 499 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
吉澤ひとみ
主演/助演ネタの総数: 110個(4位)/89個(2位)
主演/助演ネタ総行数: 1916行(7位)/4703行(2位)
主演/助演ネタ総字数: 38360字(7位)/108872字(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1267個/110個/8.7%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 29556行/1916行/6.5%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 642038字/38360字/6.0%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1267個/89個/7.0%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 29556行/4703行/15.9%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 642038字/108872字/17.0%(3位)
- 500 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
辻希美
主演/助演ネタの総数: 126個(2位)/69個(5位)
主演/助演ネタ総行数: 1576行(10位)/1953行(12位)
主演/助演ネタ総字数: 33664字(10位)/47878字(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 888個/114個/12.8%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 14339行/1236行/8.6%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 309522字/25008字/8.1%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 888個/59個/6.6%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 14339行/1544行/10.8%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 309522字/38489字/12.4%(8位)
- 501 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
加護亜依
主演/助演ネタの総数: 95個(5位)/66個(6位)
主演/助演ネタ総行数: 1207行(14位)/1650行(17位)
主演/助演ネタ総字数: 24349字(14位)/40364字(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 888個/90個/10.1%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 14339行/1093行/7.6%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 309522字/21868字/7.1%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 888個/64個/7.2%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 14339行/1551行/10.8%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 309522字/37938字/12.3%(9位)
- 502 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
高橋愛
主演/助演ネタの総数: 78個(9位)/44個(12位)
主演/助演ネタ総行数: 3910行(1位)/2005行(11位)
主演/助演ネタ総字数: 92565字(1位)/44014字(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 777個/78個/10.0%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 24435行/3910行/16.0%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 550242字/92565字/16.8%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 777個/44個/5.7%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 24435行/2005行/8.2%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 550242字/44014字/8.0%(17位)
- 503 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
紺野あさ美
主演/助演ネタの総数: 60個(13位)/48個(11位)
主演/助演ネタ総行数: 1517行(11位)/1926行(13位)
主演/助演ネタ総字数: 30523字(12位)/44366字(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 652個/60個/9.2%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18440行/1517行/8.2%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 411462字/30523字/7.4%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 652個/47個/7.2%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18440行/1812行/9.8%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 411462字/41931字/10.2%(12位)
- 504 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
小川麻琴
主演/助演ネタの総数: 31個(18位)/38個(16位)
主演/助演ネタ総行数: 723行(18位)/1759行(15位)
主演/助演ネタ総字数: 15490字(19位)/40011字(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 665個/31個/4.7%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 19022行/723行/3.8%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 425238字/15490字/3.6%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 665個/37個/5.6%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 19022行/1645行/8.6%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 425238字/37576字/8.8%(16位)
- 505 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:07
-
新垣里沙
主演/助演ネタの総数: 42個(16位)/40個(15位)
主演/助演ネタ総行数: 922行(17位)/1868行(14位)
主演/助演ネタ総字数: 22178字(15位)/42132字(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 777個/42個/5.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 24435行/922行/3.8%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 550242字/22178字/4.0%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 777個/40個/5.1%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 24435行/1868行/7.6%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 550242字/42132字/7.7%(18位)
- 506 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:07
-
藤本美貴
主演/助演ネタの総数: 58個(15位)/88個(3位)
主演/助演ネタ総行数: 2233行(6位)/4790行(1位)
主演/助演ネタ総字数: 49532字(6位)/110073字(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 623個/58個/9.3%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21820行/2233行/10.2%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491755字/49532字/10.1%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 623個/88個/14.1%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21820行/4790行/22.0%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491755字/110073字/22.4%(1位)
- 507 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:08
-
亀井絵里
主演/助演ネタの総数: 84個(7位)/61個(7位)
主演/助演ネタ総行数: 3523行(2位)/2980行(5位)
主演/助演ネタ総字数: 78929字(2位)/66254字(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/84個/13.5%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/3523行/16.2%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/78929字/16.1%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/61個/9.8%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/2980行/13.7%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/66254字/13.5%(7位)
- 508 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:08
-
道重さゆみ
主演/助演ネタの総数: 41個(17位)/79個(4位)
主演/助演ネタ総行数: 1675行(9位)/3574行(3位)
主演/助演ネタ総字数: 35567字(8位)/82052字(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/41個/6.6%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/1675行/7.7%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/35567字/7.2%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/79個/12.7%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/3574行/16.4%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/82052字/16.7%(4位)
- 509 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:09
-
田中れいな
主演/助演ネタの総数: 64個(12位)/51個(10位)
主演/助演ネタ総行数: 2923行(3位)/2203行(9位)
主演/助演ネタ総字数: 64077字(3位)/48932字(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/64個/10.3%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/2923行/13.4%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/64077字/13.0%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/51個/8.2%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/2203行/10.1%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/48932字/10.0%(13位)
- 510 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:09
-
久住小春
主演/助演ネタの総数: 13個(19位)/14個(19位)
主演/助演ネタ総行数: 670行(19位)/706行(19位)
主演/助演ネタ総字数: 15578字(18位)/16430字(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 219個/13個/5.9%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 10991行/670行/6.1%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 245108字/15578字/6.4%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 219個/14個/6.4%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 10991行/706行/6.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 245108字/16430字/6.7%(20位)
- 511 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:10
-
光井愛佳
主演/助演ネタの総数: 8個(20位)/5個(20位)
主演/助演ネタ総行数: 304行(20位)/289行(20位)
主演/助演ネタ総字数: 7849字(20位)/7720字(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 62個/8個/12.9%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 2730行/304行/11.1%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 63721字/7849字/12.3%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 62個/5個/8.1%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 2730行/289行/10.6%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 63721字/7720字/12.1%(10位)
- 512 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:11
-
以上、メンバーの人気度でした。
- 513 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:13
-
作者のみなさん、娘。のみなさん、たくさんの夢をありがとう。
- 514 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:14
-
匿名さん、ネタ分断しちゃって申し訳ない。
- 515 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/25(金) 15:18
-
すごーい♪
いや、すごいっすよ。
やっぱ六期、特にれなえりが期間の割に多いっぽいんですねえ。
書いてる側として意識はないんですが…(^^;)
後でゆっくり堪能させていただきます。
ここまでのデータとしてwikiに載せるといいんじゃ(ボソッ)
- 516 :名無し娘。:2007/05/25(金) 18:29
- これはWikiに載せて欲しいな
- 517 :名無し娘。:2007/05/26(土) 22:12
- >>472-474
「新垣さん」か。。。なんかイイな
プチシリーズ、今後も楽しみです がんばってください
>>476-512
おー
>>513
同じく。歴代作者に敬礼!
- 518 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:02
-
さて。
ともすれば些細なことだと思われそうな理由で、けれどとても嬉しそうな“新垣さん”が列から離れていった。
その後ろ、離れていく新垣さんを羨ましげに見ていた亀井さんが、クルリと僕へ向き直る。
黒目がちなアーモンドのような瞳が細められ、さっきまで新垣さんが座っていた席へ腰を下ろした。
「さっ、せんぱい。ガキさんのときみたいなのは要らないですからね」
「二度もしないよ」
読めてますよとでも言うように笑った亀井さんへ笑顔を返して。
そして彼女から知らされた要望を思い出す。
「えりりんなんかオススメなんですけどお」
「それは遠慮します」
「えー!? じゃあエリ――」
「却下っ」
ぶつぶつ言ってる亀井さんへ、決めた呼び名を口にする前に、ふと浮かんだ疑問を投げかけてみた。
- 519 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:03
-
「あのさ、いくつか書いてあったけど、これって選択肢は一つしかないようなもんじゃない?」
「んんー? ……そう、かもしんないですねぇ」
「これでいいの? 割と普通だけど」
「普通じゃない呼び方がいいならエリザ――」
「だから却下だってば」
「もおー……。じゃあ絵里からもいいですか?」
「なに?」
「せんぱいは、どうして私たちのこと…、どうして“さん”づけするのかって理由」
「あ、話したことあった?」
確かに僕は後輩でも年下の娘でも、みんな“さん”付けで呼ぶのが普通だった。
一緒にいるうちに変わっていくこともあるけれど、今でもそう呼び続けている娘もいるくらいだし。
けれど、その理由を亀井さん……六期のみんなやそれよりも下の娘たちに話した記憶はなかった。
「ガキさんたちが」
「ああ、そっか。それで?」
「メンバーではせんぱいだけじゃないですか。なんでだろうって、れいなやさゆと話してたら教えてくれて」
「うん」
「『後輩だし年下だけど、子供扱いしたくない。すぐに追いついてくれるって思ってるから』だって」
「そうだね。だいたいそんなようなこと、新垣さんや愛ちゃんたちに聞かれたときに話したかな」
「そんとき絵里は、あ~、せんぱいは少し違うんだって思って」
- 520 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:05
-
今ひとつ話が見えない。
亀井さんの話しぶりや表情は、そのことを嬉しく思っているように感じる。
それなら“さん”付けでいいんじゃないかとも思うけれど。
「だから、そんなせんぱいだから」
ああ、そうか。
それだからこそってことだったんだ。
「それで……?」
「はい。あっ、その……一人前になったとか、追いつけたとか、正直自信なんてないんですけどお
そういうんじゃなくって。ちょっと……羨ましかったかなあって」
「小春ちゃんが?」
「……はい」
敏感に聞きとめた小春ちゃんが列の後ろでヒョコリと頭を出した。
僕は苦笑しながらなんでもないよって、そう口を動かすと、小春ちゃんは口元で微笑んで浮かせた身体を列に沈めた。
「せんぱい?」
「あ、うん」
「で……そろそろ」
「絵里ちゃん」
どうも今さら気恥ずかしい感じすらする呼び方だけど、他の選択肢よりはるかに呼びやすい。
一方呼ばれた……呼ばせた、と言うべきか。
亀井さ…絵里ちゃんは緩む頬に両手を添えて、照れ臭そうに笑っていた。
「あの……」
「え? あ、もう一回。いいですか」
「はいはい。……絵里ちゃん」
「はあい」
なんだろう、これ。
くすぐったいような甘い感覚。
それなりに成長してるはずのかめ…絵里ちゃんは、控え目でいたあの頃にはできなかったものを求めているのかもしれない。
認められた今だからこそ、甘えられる場所。
- 521 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/27(日) 16:08
-
なにか表現が足りない気がする…う~む(^^;)
それはそうと、自分で書いてるメンバーの割合がああ出るとはなあ……気がつかないものですねえ、まったく。
>>517
なんかいいですか? なら描きたかったことが上手く伝わったんだ。
よかったよかった(^^)
>>476-514
とてもとてもお疲れさまで、ありがとうございます。
なにかお返しと思ったけどなにもできない。
ので、私なんぞでよければシチュエーションでもヒロインでも、希望を書いてくだされば最大限やらせてもらうのですが……
- 522 :名無し娘。:2007/05/27(日) 16:08
- 「あーあ、会長に怒られちゃった」
「タン、説教されちゃったんだ?」
「うん」
「本当の事言いたいけど口止めされてるし」
「少しは触れたほうが、騒ぎが落ち着くもんね。私の時はそう」
「事務所に従うしかないけど、ファンの人は美貴のこと
嫌いになるかな?」
「嫌いになるんじゃない。私に流れてくれるといいな」
「亜弥ちゃん、冗談はやめて」
「ごめん、ごめん、でもタンのファンは減ると思うよ、
多少の覚悟はないとだめだよ」
「土下座でもしないとだめ?」
「そういうことじゃなくて、クビになる覚悟。自分のやった事は
自分で責任を持つ。これ常識だよ?」
「せめてコンサートがんばらないとね」
「うん」
「事務所クビになったら亜弥ちゃんの家に居候していい?」
「その代わり私のメイドだよ?」
「わかりました、ご主人様」
- 523 :名無し娘。:2007/05/28(月) 04:02
- >>521
統計なんかとってないでネタ作れよ、という感じですよね多分。
でも自分にはネタは無理 And 最近ヒマ、っつうことで作ってみました。
wiki載せは検討します。つーかこんなん載せていいのか。。。
>>希望を書いてくだされば
ありがとうございます。お言葉に甘えてお願いしちゃいます。
えっとですね、凹んだ「僕」をメンバーが慰めたり励ましたり
してくるれる、とか言うのはどうですか?できましたら凹み度最大で。
かくいう私も最近凹みぎみでして、こういうの書いてくださると
癒されるかもしれません。
現在のプチシリーズもとても好きなんでがんばってください。
メンバーの心情がよく伝わってきます。今後も楽しみです。
お願い盛りだくさんですね、すみません。無視していただいても。
>>522
こう現実でいろいろあるとネタ作りも大変ですよね
。。。逆か?
- 524 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/28(月) 12:34
-
>>522
おぉ、触れにくいところを突っ込みましたね(^^;)
……私は様子見~。
>>523
癒しになるかはともかく、描けそうな気はします。
…誰推しですか?(笑)
プチシリーズ、後4回か5回です。多分。
バリエーションがアレですけどねえ(^^;)
- 525 :名無し娘。:2007/05/29(火) 00:16
- >>524
そうだなぁ。。。れいなかな
- 526 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:09
-
訪れた覚醒にゆっくりと目を開いた。
視界に映るのは平面的な白。
ゆっくりと瞬いた目が焦点を取り戻し、見えてはいたけれど見ていなかった白を認識した。
「あっ!」
「まだ起きたら駄目だって」
繋がりだした記憶に心臓は動悸を激しくし、慌てて起こした上体へ白く細い手が伸ばされた。
と同時に、僕のものではないやわらかな声が静かに響く。
耳に馴染んだその声は、気遣わしげな声色の中で「落ち着いて」と語りかけるような色彩を帯びていた。
「飯田さん……僕は――」
「倒れたんだよ」
「そう…ですか。ライブは……」
「ちゃんとやれてるから、心配しないで休みなさい」
優しく諭す声に幾分落ち着きを取り戻し、思い出せる限りに記憶を辿った。
- 527 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:10
-
その日、GAMのライブにサプライズゲストとして参加することになっていた。
朝起きた身体が少し重く感じた、けれどやれると、そう判断して家を出た。
通しのリハも無難にこなしたし、問題はなかった、ハズだった。
しかし本番が始まり出番が近づいていくにつれ、熱っぽさを感じ、朝よりもつらくなり、自分の身体が危険だとの信号を発していることを認識していた。
けれど……
「僕、どうなったんですか?」
その瞬間は覚えてすらいない。
たった二曲だけれど指が痛みを覚えるまで練習したそれはどうなったんだろう。
「一曲目、松浦と二人でやったでしょ」
「……ええ」
「その後、二曲目に入るとき、センターに置かれたもう一本。
あれと持ち替えるときにギターがぶつかったみたいに見えた。それで……」
「倒れたんですか」
「うん」
一度落とした照明の中、ステージの両端から出ていく二人にスポット。
少しずつ期待を煽るようなMCの後、センターにピンスポット。
そこにAとMがそれぞれにペイントされた二本のギター。
二人の声が出番を告げ、Aのギターで松浦さんと一曲、そして流れの中でMのギターに持ち替えて藤本さんと一曲。
それで僕の出番は終わる、ハズだった。
- 528 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11
-
「たった二曲だったのに……」
「あんまり気にしちゃ駄目だよ」
「でもあの娘たちには大事なライブだったのにっ!」
「落ち着いて!」
「けどっ――」
「いいから休んで。お医者さんにも無理はさせないように言われたんだから」
激昂しかけたところへ、細い腕がなだめるように伸ばされ、昂ぶる身体をそっとベッドへ横たえた。
深く、全てを吐き出すようなため息をつき、掠れた消え入りそうな声で呟いた。
「……情けないです」
「そんなこともあるって」
「調子は悪かったけど、できるって思ったんです」
「うん」
「たったの二曲、十分にも満たない時間だったんですよ」
「そうだね」
「っ……」
自責で壊れてしまいそうな表情をしているだろう僕へ、髪を梳くように慰めてくれる飯田さんが口を開いた。
「大丈夫だから。ね? なんか飲み物でも買ってきたげるから。
それに……カオリの他にも待ってる娘がいるんだから。そんな顔しないで」
「え……?」
- 529 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11
-
立ち上がり廊下へと消えていった飯田さんの背中が見えなくなった後、開かれたままの病室から小さな後輩が姿を現した。
まるで自分のことのように泣き出してしまいそうな……、もしかしたら実際に泣いていたのかもしれない。
「田中さん……」
「せんぱい、また“田中さん”って呼んどお」
泣き出しそうな顔のままで、それでも僕を元気づけようと出される軽口。
僕は田中さん…、れいなから一度顔を背けて、精一杯の努力でれいなの“せんぱい”である顔を取り戻そうと努めた。
「しっかり休まんといけんし、れなすぐに帰りますから」
顔を背けたことを誤解したのか、れいなは少しだけ声のトーンを落としてそう言った。
後輩にそんな気を遣わせる、情けない先輩ではいられない。
「あっ、大丈夫だよ。全然。そんなに、大したことじゃないんだ」
取り繕った言葉がどこまで通じるのかは解らないけど、それでも“普段”を装えたとは思っていた。
けれどれいなは、僕の言葉にも淋しそうな顔をして見返してくるだけだった。
- 530 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:12
-
「た…、ごめん。れいな?」
「せんぱい」
「うん?」
「せんぱいは、れなの先輩やけど……」
「あっ、うん」
言葉を止めたれいなは、小さな手を握りしめて……震えるほどに握りしめて、なにかを堪えているかのように見えた。
泣きそうな顔でなにか堪えているのなら、それは僕のせいなんだろう。
なんて情けない、駄目な先輩なんだろうって、ますます自分が矮小な存在であることを認めさせられてしまう。
「先輩やけど……そんなことせんでよかっ」
「……え?」
「そりゃせんぱいは、れななんかよりも強いけど、
でもそのせんぱいがさっきみたいな顔するほど辛いときにまで……」
「れい…な?」
「そんなに辛いときにまで強がらなきゃならんほどれなは頼りにならんとっ?」
泣き出しそうな顔で僕を怒鳴りつけるれいなは、きっと今の僕のように自分の無力さを、情けなさを悔しく思っているのかもしれない。
僕は……なにをしているんだろう。
- 531 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:13
-
「れいな……」
「せんぱい」
一つ息をついたれいなが僕を呼ぶ。
「れなじゃダメなのかもしれんちゃけど、でも……」
自分を無力であると――事実ではないけれど――認識をして、それでも僕を癒してくれるために精一杯なれいな。
「でも、辛いなら辛いって言ってほしい。いつもいつも強くなくってもいい。
れなの前で……、強がらんくてもいい。ホントのせんぱいもせんぱいやけん」
それはけっして洗練された言葉でもなく、上手な言い回しでもない。
けれどれいなが心からそう思って……僕のためにそう言ってくれていることが伝わってくる言葉だった。
僕を受け止めるんだと、そう伝えようとするみたいに差し伸べられた小さな手。
それが自然なことのように僕は手を伸ばす。
そっと包み込んでくれたそれは、小さな、けれどとてもあったかい手だった。
「せんぱいはせんぱいやけん。れなにとって他に代わりなんておらんせんぱいやけん」
静かに距離を埋めたれいながそうささやきながら、小さな身体で僕を包み込んでくれた。
れいなの体温を、れいなの匂いを感じながら、僕はただじっと時を過ごしていた。
ありがとうと、そう呟いて。
- 532 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/30(水) 00:15
-
飯田さんは触媒(ごめんなさい)。
努力はしたけれど、努力だけじゃダメなんだよう(^^;)
むう……
- 533 :名無し娘。:2007/05/30(水) 01:08
- お願いしてから1日もたっていないのに。。。すばらしい
無理難題をこなしてくださって、ありがとうございます
癒されました
シリーズ中断させてしまいましたね、すみません
- 534 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32
-
腰を上げたけれど動かずにいる絵里ちゃんへ、ポンと腰を叩いて促した。
「せんぱいのエッチぃ」、なんて言葉と裏腹な表情で絵里ちゃんが離れていく。
笑顔でそれを見送った視線を戻すと、道重さんが向かいに座ったところだった。
「道重さんだ」
「はい。さゆみです」
「うん」
「でももう“道重さん”はいいですからね」
「そうだね」
もう待ちきれないとでもいうように、拗ねた素振りでからかいの言葉。
そう、六期の三人の中で、絵里ちゃんよりも年下だけど、時折見せる“顔”が一番大人びているのはこの娘だったんだ。
「新垣さんも絵里も嬉しそう」
「そう、なのかな」
「せんぱいだからです」
そう言って見せる笑顔はやわらかで、けれどどこか責めるような響きを感じたのは僕に理由があるんだろうか。
僕のそんな迷いに気づいたのか、道重さんは胸の前で軽く手を組んで、小さく小首を傾げてこう言った。
- 535 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32
-
「さゆみのことはどう呼んでくれるんですか?」
「どうって……」
まさか忘れているわけではないということくらい僕にも解る。
だとすればこれは、……イジメられてるのかな。
道重さんから送られてきたメールの中に、選択肢は――比喩ではなく――たった一つだけしかなかったんだから。
「選ぶのはせんぱいでしょ?」
「そうなんだけどね。メール、あれでいいの?」
「なんでですか?」
「なんでって……」
本当にそう思って聞いているのか、それともからかわれているのか。
もしくはどちらでもない、彼女にしか解らない理解の仕方があるのか。
どうにも判断がつかない不思議な感覚。
「だって…希望はあるけど決めるのは、僕?」
「そう書きました。だってみんなも決めるのはせんぱいですよね?」
「そうだけど。なら“道重さん”でもいいってことじゃないの?」
「ん~、せんぱいがどうしてもそう呼びたいなら、しょうがないですけど」
「ん……、なら」
- 536 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:33
-
「さゆ」
彼女の希望はこれ一つだけだった。
これじゃないのなら、僕の好きな呼び方をしてほしいと、メールにはそう書かれていた。
けれどこの呼び方はなんら特別なものではない。
それが道重さんの希望ならそれでもいいかと、そう考えながら呼び掛けた彼女を見ると……
「み…、さゆ?」
「なんですか?」
「あ、いや。これで良かったの?」
「せんぱいにそう呼んでもらえるようになって良かったです」
「うん?」
「ちょっと近づけた気がするの」
「そう?」
「お兄ちゃんみたいな。けどそうじゃなくって。でも近くにいてくれると、え~っと……嬉しいです」
そう話すさゆは僕の目には100パーセントだった。
1パーセントの混じり気もない、純粋な笑顔。
僕自身、距離があるとは感じてはいなかったし、そう感じさせているとも思っていなかった。
けれどそう感じていたというさゆが、それを変えられるきっかけになるならば。
それは少しだけ特別な呼び名なのかもしれない。
さゆの嬉しそうな笑顔が僕にそう思わせてくれた。
- 537 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/02(土) 00:55
-
>>533
こちらこそ半分飯田さんでごめんなさい(苦笑)
さて、プチが半分くらい残って
ヘコんでるんじゃないんですが……参ったなあ、どうしたもんだろう
藤本さん先に使っておくべきだったorz
- 538 :名無し娘。:2007/06/02(土) 06:42
- 最後に呼んであげるとか
- 539 :-サヨナラのかわりに…-:2007/06/02(土) 12:08
-
「許さない」
「・・・うん」
「許さないけど…許すしかない」
「・・・ごめん」
「謝罪なんていらない」
「・・・だよね」
「なんで、男じゃないのさ」
「・・・女だもん」
「男だったら、殴れるのに」
「美貴も、殴ってほしいよ。殴るだけじゃすまされないし…」
「愛ちゃん、どうすんの?」
「泣いてたね…あのさ…お願いしていい?」
「…はぁ~、仕事増やすの好きなの? あのさ…ミキ…藤本さん」
「久しぶりだね、そう呼ぶの。あの頃に戻ったみたい」
「茶化すなって…。ふぅー…今まで、ありがとうございました」
「・・・うん」
「藤本さんと一緒に娘。をやれた事を僕は誇りに思っています」
「・・・」
「短いリーダーでしたけど、本当にお疲れ様でした。そして、ソロや
GAMとして、これから大変でしょうが頑張ってください」
「・・・はい」
「なんか困ったことがあったり、寂しくなったら…僕たちはここに居るから。
笑顔で待ってるから」
「・・・ありがとう」
「なに、泣いてんだよ。ほら、今から旅立ちなんだから笑えって」
「・・・●●、嫌だよぉ。ホントは、みんなと一緒に…●●と一緒に笑って歌って…
ごめん、ホントごめん!!」
「バカ…バカ美貴!! ほら、笑えって!! ここで、笑わないと今度笑えなく
なっちまうぞ!!」
「●●、大好きだよ…ホント今まで色々とありがとう…」
「頑張れ!! バカ美貴、頑張れ!!」
「・・・うん、●●も頑張って」
「ミキティ…ありがとう」
- 540 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/02(土) 21:13
- スレするの忘れてた。帰ってきました♪
これからも、よろしくです。いきなり、こんな作品ですいません(汗)
- 541 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:43
-
弾むような足取りで、同期のところへ歩いていったさゆ。
今までとは少し違った気配に向き直ると、そこには確かに今までとは違う状況が待っていた。
「……なんで?」
いつの間にか、すっかり馴染んだツーショット。
中華街で仲良くなれたのか、こんなところでまで一緒にくるとは思わなかった。
「待ってる間に二人で話してたんですけどお」
「なんか考えてたことが一緒っぽいから、じゃあって」
切り出した愛佳ちゃんに小春ちゃんが言葉を添えて。
そういえば二人からもらったメールは、伝え方が違うだけで内容そのものは同じ意味のものだったっけ。
「で、並んで座ってるわけね」
「はい」
「でもだったら、なんで並んでたの?」
「それはだって……」
「なんか勢いでえ」
どこか子供らしい笑いでそう話す二人は、少しだけ懐かしい二人を思い起こさせた。
白昼夢にも似た懐旧を小さなため息にして吐き出して、目の前で座る二人に気持ちを戻した。
- 542 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44
-
「でもさ、どうして二人がそう思ったのかって、聞いてもいい?」
「あ、小春はー、嬉しかったからです」
「へ?」
「初めて“久住さん”から“小春ちゃん”って変わったときに、
なんかわかんないんですけどものすごく嬉しかったんですよぉ」
「そりゃどーも」
「でえ」
「わたしも。あ、でもわたしの場合、気がついたらもう“愛佳ちゃん”だったけど。
でも、そのぉ……入る前からファンだったから、めっちゃ嬉しくて」
「あ、それは……ありがと」
「だからー……」
「うん」
困った僕がただお礼を言うと、二人は顔を見合わせて少し照れた風に笑う。
それが僕へ促しているサインだってことはすぐに解った。
だから。
「小春ちゃん」
「はーい」
「愛佳ちゃん」
「はぁい」
「これからもよろしくね」
せめて目一杯の気持ちを込めて呼んだ名前へ、それぞれの笑顔で声を返してくれる二人。
自惚れるつもりなんてないけれど、それが二人にとって特別なことならば、僕はそれにふさわしくありたいと思った。
二人がそう言ってくれるだけの価値がある自分になりたいと。
- 543 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44
-
そうして二人が離れていき、ようやく一人になった僕は少し離れたところで話している二人に気づいた。
新垣さんと…愛ちゃん。
愛ちゃんは一連の騒ぎに加わらず、一人でいたはずだった。
はっきりと形をもたずにいる懐疑のままに二人を見ていた目が、ふとしたはずみで愛ちゃんのそれとぶつかった。
僕を見るその目はどこか寂しげで、ぶつかったことに気がつくとすぐに逸らされてしまう。
そんな愛ちゃんの視線に気がついた新垣さんがこっちを指さし、無理矢理に立ち上がらせた愛ちゃんを僕の方へと押しやった。
「……やあ」
「ども。はい」
おかしなくらいぎこちない挨拶を交わし合った。
愛ちゃんの向こうに見える新垣さんが、お願いしますとでも言うように手を合わせ、申し訳なさげにペコリと頭を下げた。
どっちに対する気遣いなのかは判断が付かなかった。
けれどなんか新垣さんらしい気の使い方だなとおかしく思って小さく笑った。
「あの……?」
「あぁ、ごめん」
訝しげな愛ちゃんの見上げるような視線に目を戻す。
「元気ない?」
「…そんなことないですけど」
けど、か。
- 544 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45
-
それはカラ元気だって言ってるようなものだ。
言葉も、その表情も。
「愛ちゃんは“愛ちゃん”でいい?」
そう聞くと、愛ちゃんは一度俯いて考えるような仕草で。
それから顔を上げると、「はい」と、キッパリとした口調の一言。
けれどその表情はどこか途方に暮れたような感情が見え隠れしていた。
「あのさ」
「え? はい」
「なにかあるなら言ってくれていいんだからね」
「え?」
「愛ちゃんはヘンに真面目で頑ななことがあるからさ。言いたいけど言わないことってあるのかなと思って」
愛ちゃんは憑かれたように僕を見つめる。
じっと見つめられた僕が声を掛けるかと口を開きかけたとき、ふいに愛ちゃんは俯いた。
顔を上げない愛ちゃんに伸ばしかけた手の先で、小さな肩が震えていることに気がついた。
- 545 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45
-
「あ、愛ちゃん……?」
途惑い空を彷徨う手の向こうでなにかがキラリと光って落ちた。
「どうして、泣いてるの?」
「……ぇん」
「え?」
「ぃえな……」
言えない?
確かに愛ちゃんはそう口にした。
「ど、どうして。言ってくれていいんだよ」
「言えんで……、言った、ら…せんぱいのこと困らせて、嫌われる」
途切れ途切れの言葉に耳を疑った。
嫌うだって……? 僕が、愛ちゃんを?
「そんなこと――」
「あ~っ! せんぱいが愛ちゃんのこと泣かせたぁ!!」
あっという間に囲まれて、騒ぎの中でひとまず愛ちゃんをなだめることに腐心して。
そんな騒動に気を取られたとはいえ、僕は……気づかずに、気づけずにいた。
- 546 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 00:47
-
小春、ミッツィー、ごめんねえ。
愛ちゃんと一纏めで、しかも二人のシーンは短くなったよ。
というわけで、急遽三つを一つに纏めて、もう一つはカット。
>>538
そうする方向にスライドすることになりました(^^;)
>>539
やはりTACCHIさんでしたか。
おかえりなさい(笑)
明日こちらでも似たものをupすることになりそうです……。
- 547 :名無し娘。:2007/06/03(日) 03:47
- >>539
お帰りなさい
さみしーけど、仕方ないよね 諸行無常
>>541
せつない
- 548 :名無し娘。:2007/06/03(日) 17:06
- 今日はハロモニのロケの日
「ミキティは来ないのか」
僕はやっぱり寂しかった。
ロケが始まるとなぜかウサギの着ぐるみがいた。
「暑いのにスタッフさん大変だろな」
ロケは順調に終わり、なぜかスタッフさんに呼ばれ、
ウサギがいた。
頭を取ると藤本さんだった。
「ミキティなんで着ぐるみ着てるの?」
「もう美貴ハロモニ出れないから、スタッフさんにお願いしたの」
「そうだったんだ。それならイタズラすればよかった」
「手加減してね」
「それより暑くなかった?」
「暑かった。ちょっとやばいときあったけど、
みんなと一緒にいたかったから」
- 549 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:06
-
「なにやってんだよっ!」
「せんぱいっ、あかんて!」
抑えきれなかった感情が声になって溢れ出してしまった。
愛ちゃんが間に入ってくれなければ掴み掛かってしまったかもしれない。
それほどに、瞬間的に沸騰した気持ちに抑制が掛けられなかった。
「ごめん…」
「――っ」
「せんぱいっ――」
身体ごと僕を押し止める――それとも支えるために、かもしれない――愛ちゃんの瞳が。
新垣さんと三人で、事務所の“決定”を聞かされてから泣き腫らした瞳が。
壊れかけた僕をギリギリのところで引き留めてくれた。
「ごめん……」
僕の目を見ることもなく、ただ謝り続ける藤本さん。
二人だけで話がしたいと言った僕に、リーダーになるんだからと同席を強くせがんだ愛ちゃん。
愛ちゃんがいてくれて良かった。
暴れ続ける感情を、僅かでも鎮めようと吐き出した息の中でそう思った。
「美貴ちゃん…」
深い呼吸で気を静めてる僕から、藤本さんへ目をやった愛ちゃんの声。
その声が痛々しいのは見つめている相手故にか、それとも混乱した感情からか、今の僕には判断がつかない。
けれど、そのどちらもが……他のメンバーも含めて、みんなが傷ついていることぐらいは解っていた。
理性では解っていた。けれど……
- 550 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:07
-
「なんでだよ……」
僕の問い掛けから逃げるように藤本さんは俯いてしまう。
愛ちゃんが心配そうに見つめている。
僕は激昂しないように抑えた声で、もう一度問いかける。
「なんでなの…?」
絞り出された声は、我ながら情けない声だと思った。
コントロールできない感情は、抑えた激情と入れ替わりに哀しみを浮かび上がらせる。
顔を上げた藤本さんはハッとしたように表情を歪めて僕を見る。
「…ごめんなさい」
「それじゃあわからないよ。……なんで今なのさ」
「美貴はそんなに強くないんだよ…」
「なら僕に話してくれてもっ――」
「アンタだからっ!」
一瞬だけ。
その一言だけが藤本さんの真実であるように。
僕も愛ちゃんも、そして藤本さん自身も圧するほどの声だった。
「アンタだから言えないんだよ……」
「…どうしてさ。僕ならいつだっ――」
「そうやってすぐやさしくしてくれるんだ」
「え?」
「そんなアンタだから……」
泣き出しそうな表情で言葉を詰まらせた藤本さんを呆然と見つめる僕の横で、「美貴ちゃん…」と小さく呟く声が聞こえた。
視界の隅で愛ちゃんがなにかを諦めたような顔で藤本さんを見ていた。
- 551 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:09
-
「ごめんね」
愛ちゃんへ向けていた視線がその一声で藤本さんへ戻される。
今日何度目かの“ごめん”は、それまでのものとは違って聞こえた気がして。
そのくせ藤本さんは、まるで愛ちゃんを鏡に映したようになにか諦めた哀しげな表情をしていた。
「なん――」
「そんなアンタだから。大好きなアンタだから弱いトコなんて見せたくなかったんだ」
「――っ、な…」
「でも、ごめん。それが結局みんなを裏切ることになった」
「美貴ちゃん…」
「ホントにごめん」
そう締めくくるように話して、藤本さんは席を立つ。
僕はなにを、なんと言っていいのか解らず、止めることも追うこともできないでいた。
愛ちゃんがの小さな手が僕の手に重ねられて、見つめる目線が促していた。
「藤本さん!」
立ち止まった藤本さんは振り返らない。
その背中へ向けて、僕は語りかける。
「僕らは…、僕は……いつでもいるから」
後ろ姿が小さく頷いてくれた。
「だからがんばって……、美貴」
揺らいだ後ろ姿が振り向き掛けて止まる。
藤本さんは振り返らない。
「初めて――、ありがとう…」
最後に小さく感謝の言葉だけを残して、藤本さんは部屋を出た。
後に残された僕らは彼女になにもしてあげられないけれど。
彼女が哀しまないで済むように、そして残されたもののためにも。
頑張っていかなきゃならないんだと心に言いきかせた。
時の神様への願い事を押し隠して。
- 552 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 21:10
-
なんかこんなんばっかでごめんなさい(ToT)
>>547
書いてる自分も切ない…
こうやって処理させてくださいませ。
>>548
せつない…
- 553 :名無し娘。:2007/06/04(月) 13:07
- プチシリーズ、最後が短くなってちょっと残念 だがよかった
メンバーが先輩をどう見ているかがはっきりしてきた感じ
今後の布石かな
愛ちゃん諦めちゃうのか愛ちゃん
- 554 :-夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15
-
「●●、おはよ~♪」
「あ、ガキさん、おはよ~」
楽屋で、雑誌を読むことに集中していた僕の横に座るガキさん。
最近、ガキさんは僕に敬語を使うことがなくなった。ってか、僕から頼んだ事なんだけどね。
副リーダーなんだから、メンバーに敬語はおかしいでしょ?って、なんとか納得させて。
「夏服の雑誌?」
「うん。最近、もう暑いから新しい夏用の服買おうかなぁ~って思ってね。
そうだ、ガキさんどれが僕に似合いそうかなぁ?」
「え? 私が、選ぶの!?」
「うん、やっぱり女の子の意見が聞きたいからさ」
そう言うと、ガキさんは僕の持っている雑誌を真剣な顔で見始めた。
「う~ん…これなんかどう? ●●は、白が似合うからこの白い上着で
中は…このピンクとか? で、下は細身のこんなジーパン履いたらどうよ?」
「お、いいねぇ~♪ じゃあ、これ今度買ってこようかな?」
「そんなすぐに決めちゃっていいの?」
「うん、ガキさんが選んだんだから間違いないって。今度、コレ着てくるから
ご飯でも一緒に食べようか? 奢らせてもらうよ」
その言葉に、一瞬にしてガキさんの顔が強張る。
「え…でも…」
「そっか、最近僕ら狙われてるからなぁ~…」
- 555 :-夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15
-
二人で、同時にため息をつく。
「前は、●●と一緒にご飯食べに行ってたのにね…」
「そうそう。愛ちゃんとポンちゃんと麻琴の4人連れてね」
「あの時は、そんな事考えなくてもよかったのに」
ガキさんの顔が、悲しそうな顔になる。
「そうだ。じゃあ、あの時みたいに5人でご飯食べに行こうか?」
「そっか…そうだね♪ うん、そうしよ」
「じゃあさ、愛ちゃんには僕から言っておくから。ポンちゃんと麻琴はお願いしていい?」
「りょーかい♪ だけど、あの時みたいに●●が全部奢ってね?」
「え~、俺が奢るの~? もう、先輩じゃないんだしさぁ~」
「いいじゃん♪ あの時みたいに戻ろうよ」
「仕方ないなぁ~わかりましたよ。僕が、おごればいいんでしょ?」
「やったぁ~。じゃあ、あさ美ちゃんとまこっちゃんに連絡してきます」
そう言って、携帯を持って楽屋から出ていく笑顔のガキさんの背中は、
なんだか娘。に入った頃のガキさん…お豆ちゃんを思い出させる姿だった。
- 556 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/08(金) 21:25
-
写真集発売記念で、書かせてもらいましたがいかがでしたでしょうか?
副リーダーとなった、ガキさんの今後の活躍に期待してます。
>>546 (匿名さん)
ただいまです。いや~、これからもよろしくお願いします♪
今度、コラボ作品作りましょう♪
>>547
寂しいですね…ちょっと明るい話題書きたいんですが
今は、ちょっと難しいかな?って感じです。
何か書いてほしい人が居たら言ってください。
なんとか明るくして書いて見せますのでw
- 557 :名無し娘。:2007/06/09(土) 21:51
- 「亜弥ちゃん、ファンクラブツアー沢山来てくれるかな?」
「私のファンが来るから来るんじゃない?」
「そうだよね。私を応援してくれるファンの人少ないからね」
「ごめん、タン。冗談だよ」
「でも、本当にあんまり来ないかも」
「そうであっても一生懸命やらないとね」
「そうだね、亜弥ちゃん」
- 558 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/09(土) 22:42
-
レスだけですが。
>>553
あと三回、続けるのが厳しかったですorz
含みは持たせたものの……さて。
>>554
ちょっと切なく不思議な感覚になるお話でした。
自分ではまず出てこないだろう話。
( ・e・)<なっち
って言うくらいw
>>557
違う意味で切ない気がします(涙)
- 559 :名無し娘。:2007/06/13(水) 22:10
- >>554
新垣さんもお年頃か。。。
別に明るくなくてもいいんでは?
>>557
ホントにやるの?
- 560 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:07
-
どれほどの問題を抱えていても、日々は忙しく過ぎていく。
思い悩む間もないほどに疲れ果てて眠ってしまえるときはまだ幸せだった。
時折ぽっかりと空いてしまう時間に一人で考え込むことすらも許されない現状。
名実共に最も年長となった今では、一人楽屋にこもることも出来ず後輩たちが“頼れる笑顔”でいなければならない。
せんぱいっ
そう呼ばれることすらも苦痛になってしまいそうな恐怖感。
けれど笑顔は崩せない。
心の歯車に砂でも詰まっているように、ギシギシと変調をきたしていくようだった。
「せんぱい」
「うん?」
いつものような笑顔を作って顔を上げる。
ギシリ
笑顔までは歪みがでないようにするだけでも力を使う行為になりかけている。
愛ちゃんが気遣わしげに見ている。
マズイ、そう思ったとき、向こうから話を継いでくれた。
「せんぱい、今日一緒に帰りません?」
「え?」
「今日。一緒に帰りましょ。せんぱいもここで終わりですよね?」
「あ、そうだけど」
「なら一緒に」
「うん…いいけど」
「やった! したらまた後で」
短い会話を終えて離れていく愛ちゃん。
そういえば、外は強い雨が降っていたっけ。
とりとめのない思考をスタッフさんの声が遮る。
仕事をしている間の方がまだマシだった。
- 561 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08
-
帰り支度を終えて、さてどうしたものかと車のキーを遊ばせた頃、楽屋のドアがノックされ、返事をするよりも先にドアが開いた。
ヒョッコリ顔を出した愛ちゃんは「せんぱい、帰りましょ」と言った途端に姿を消した。
すぐに聞こえてきたのは新垣さんの声。
『バカ! もう、愛ちゃんダメでしょ。着替えとかの途中だったらどうすんの!』
『あ、そか』
『そっかじゃないよ、ちゃんとしないと。ねっ』
『もうわかったて、ガキさん』
今までに何度も繰り返されたやりとりが丸聞こえだった。
小さな苦笑をため息と一緒に吐き出して、二人が待つ廊下へ出る。
眉根を寄せて困ったように小言を言う新垣さんと、なんでそんなにムキになっているのかといった顔の愛ちゃん。
僕はごく当たり前の“日常”に少しだけ自然に笑いながら「帰ろっか」と、二人を促して歩き出した。
後ろから聞こえてくる「ガキさんいこっ」と言う愛ちゃんの口調と、そしてそれへ諦めたような返事をする新垣さんの疲れた声が僕の日常を加速させる。
- 562 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08
-
地下駐車場から表へ出て、暗い空から落ちてくる雨粒がフロントガラスを滲ませる。
あっという間に視界を奪う空が鬱々とした思考をぶり返させる。
「あ、ちょっと止めてもらえます」
まだ敷地からも出ていないうちに、後ろに座った愛ちゃんが言う。
地下から上がって一つ角を曲がったそこは、建物の死角に開けた半端なスペース。
言われたとおりに車を壁面へ寄せて停めた僕が振り向くよりも早く、後部座席のドアが開けられた。
「あっ!」
「え?」
大粒の雨の中、天を仰ぎながら腕を広げた愛ちゃん。
驚いて見つめる僕と新垣さんの前で、瞬く間にその身体を濡らしていく。
「愛ちゃんっ」
我に返った僕が新垣さんを制して外へ出ると、空から僕へ視線を移した愛ちゃんがニッと笑った。
「雨、すごいですね」
「風邪引くから戻ろう! 休んでなんかいられないんだから」
「今、私たちも雨ですよね」
「え…?」
「せんぱい、ひどく雨に打たれたって顔してる」
「愛ちゃん……」
僕は芝居が下手だ。
自覚がないとは言わない、けれどこうもあからさまに指摘されるとは思っていなかった。
- 563 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:10
-
「なにかの本で読んだんですけど、『雨は一人だけに降るわけじゃない』んですって」
「な…、なに?」
飛躍する話が僕を置き去りにしていく。
けれど彼女の中では結論へ進んでいるような、そんな表情をしていた。
「せんぱいが雨に打たれてるときは、私も…私たちも雨に打たれてる」
「あっ……」
「だから一人で抱え込まなくっていーんですよ?」
まったく僕は……、前にも言われたっけ『強くなくってもいい』んだと。
何度でも同じことを繰り返すんだ。
「…そうだね。僕たちは仲間なんだった」
「私、リーダーやし」
「うん」
ずぶ濡れで額に張りついた髪を雨がしたたり落ちていく。
けれど笑顔でそう話す愛ちゃんはキレイだった。
見縊られたと憤ることもなく、信頼されていないと嘆くこともない。
おかしなくらいに真っ直ぐな感情を……、僕にはない感情をぶつけられた。
- 564 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:11
-
「けどどんな雨だって、これだけ濡れちゃえばもう悪くないですよね」
「うん?」
「♪~ I'm singin' in the Rain」
決して大きな声ではないけれど、しっかりと僕まで届く歌声で、軽くステップを踏み出す。
よくそんな古い歌を知っているな、なんて場違いに思うけれど、その歌声は明るく僕を包むようだった。
「♪~ Just singin' in rain」
動きが止まり言葉が詰まる。
あぁ、そう気づいた僕が後を受けて、そして続きはこうだよと愛ちゃんを導き、愛ちゃんのステップが僕を導いてくれた。
「♪~ What a glorious feelin'」
二人で手を取って話し合うように歌い、暗い気分を振り払うように軽快に踊る。
こんなヒドイ雨に打たれながらだというのに、しばらく感じることがなかったほど心が弾む。
「♪~ I'm dancin' and singin' in the rain ~♪」
車から降りた新垣さんが傘の下で呆れたように笑っていた。
僕がそちらへ視線を投げると、まるでそれを知っているかのようなタイミングで新垣さんが動き出した。
劇中の警官のように軽く咳払いをして僕らを日常へ連れ戻してくれた新垣さん。
僕のマンションでシャワーを浴びた後、僕らは二人並んで正座をし、新垣さんにこってりお説教をされた。
二人顔を見合わせてクスクス笑い、お説教の時間が延びたけれど僕らは笑いあえた。
愛ちゃんも、新垣さんも、そして……僕も。
- 565 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/15(金) 23:17
-
こんなんで。
進んでるのか、進んでないのか、そもそも進むのか?(^^;)
- 566 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:37
- >>565
いい話しだなぁ~やっぱり匿名さんすごいです。
僕も、負けませんよ~w
というわけで、安倍さんの作品です。
- 567 :-夏雲-:2007/06/15(金) 23:37
-
「安倍さん♪」
事務所で、見かけた安倍さんの肩を叩くと笑顔の安倍さんが
僕の顔を見てさらに笑顔になった。
「お、●●~元気にしてたかい?」
「もちろん。安倍さんも元気そうですね。」
「そうだよぉ~なっちは、元気元気♪」
「あ、そういえばドラマ見ましたよ」
僕の言葉にすごい嬉しそうな反応。
「ホント!? どう? どうなの?」
「いや、どうなのって言われても…時代劇あんまり詳しくないんですけど
すげーよかったと思いますよ」
「やった♪ あの撮影大変なんだべさ。かつら結構重いのよ~忠臣蔵のとき
思い出しちゃった」
「あ、懐かしいですね~。僕も、あの時袴でアクション初挑戦しましたからね」
「あぁ~そうだったねぇ~。懐かしいなぁ~」
- 568 :-夏雲-:2007/06/15(金) 23:38
-
そんな昔話をしていると、ちょっと寂しそうな顔になる安倍さん。
「なんかあの頃って、毎日が楽しかったなぁ~…」
「今は、楽しくないんですか?」
「ううん、楽しいよ。でもね、やっぱり一人とみんなとでは違うんだべ…」
「・・・」
ちょっとしんみりした空気。
「あはは、ごめんごめん。安倍さん、しんみりさせちゃったね」
舌をペロッとだして、ごめんごめんと謝る安倍さんを見て、やっぱりこの人には
勝てないと思った。
「いえいえ、こっちこそすいません。いや~、やっぱり安倍さんはあの頃と変わらなく
可愛いです」
「もう、●●。そんな事言ってもなにも出ないよ? このこの~」
そう言いながら、僕の脇腹をつんつん突いてくる安倍さんに
「やめてくださいよ~」なんて言いながら、そんな事をしてくる安倍さんに
僕は感謝していた。
- 569 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:42
- 安倍さんは、やっぱり僕にとっては『ひまわり』みたいな存在ですね。
>>554 匿名さん
なっちの言葉で、この作品書きましたがよかったのかな?w
僕も、匿名さんの作品は絶対に浮かばないです。
毎回毎回、楽しくて次の展開が気になる作者さんの一人です。
これからも、お互いがんばっていきましょう♪
>>559
ガキさんのアロハロ見てみたいですねw
どうもです。ちょっとずつ回復していこうと思いますww
- 570 :名無し娘。:2007/06/16(土) 01:34
- 新リーダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
- 571 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27
-
テーブルの上に突っ伏して、目を閉じる。
はぁ
僕専用にあてがわれた少し小さな楽屋に響く音。
まただ。今日はこれで何回目だったっけ?
今日だけじゃない、昨日もおとといもその前も。
ここ最近、ため息の数がすっかり増えてしまった。
立て続けに2人の大切な仲間を見送って。
1人目、吉澤さんのときはまだよかった。
平気というわけではもちろんなかったけど、
いずれ訪れるであろうことだと分かっていた。
だから覚悟、というか心の準備みたいなものができた。
でも2人目は。
突然切れた藤本さんとの「娘。」という絆。
なんとも形容できない寂しさと喪失感は一向に治まらず、
逆に吉澤さんとの別れのときにも感じたそれらを刺激して増幅した。
年上2人を一挙に失う。それが僕にはキツいらしかった。
残ったメンバーは全員年下で後輩。僕のことを「せんぱい」と呼ぶ。
高橋さんはリーダーになったけど、この呼び名は変わってない。
後輩たちからいろいろと相談されたり頼りにされたりしたときは
良き先輩として精一杯頑張ったつもりだけど、それができたのは
自分にも先輩や年上がいて、無意識に頼っていたからだったんだと
今更ながら痛感していた。なくしてから気づくなんて、なんて馬鹿なんだろう。
これからもみんなの良き先輩でいる自信は、今の僕からは失われていた。
………頭が痛い。すっかり参ってしまったらしい。
思ってもいなかったことが、口からこぼれる。
「僕も辞めよっかな………娘。」
- 572 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27
-
「え…」
「えっ?」
突然の背後からの声に驚いて振り向く。高橋さんだった。
マズい…聞かれた?
「高橋さん…いつの間に?」
「何を…辞めるんですか?」
「え?」
「何を辞めるんですかっ!?」
僕の質問を無視して発せられた声は、ひっくり返っていた。
…すごく怒ってる。こんな高橋さん初めてかも。
質問からして僕の声は途中までしか聞こえなかったみたいだけど、
もう答えは分かってる、と言わんばかりの調子だった。
だからつい。
「あ、そうじゃないよ?」
「やっぱり!!!」
しまった………
- 573 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:28
-
「………」
どう取り繕おうか、そんなことを考えつつ高橋さんを見る。
その表情は一変していて、僕は戸惑った。
「………んで…」
「高橋さん…?」
「なんで…ですか…」
うつむき加減の高橋さん。その声は悲しみの色を帯びていた。
「わたし…ですか?」
「え?」
「わたしの、せいですか?」
「そんな」
「わたしだから。わたしなんかがリーダーだから」
「高橋さん」
「わたしせんぱいの後輩なのに。リーダーなんか」
「高橋さんってば」
「せんぱいをさしおいて、だから」
自嘲の言葉を次々に吐き出す高橋さん。
そんなの聞きたくない。僕は堪えかねて、
「高橋さんっ!!!」
「ひっ!?」
叫んだ。
びっくり顔になっている高橋さんの肩をつかみ、目を見つめ、
「違うから。そうじゃないから。」
まずしっかりと一言。そして誤解を解きにかかった。
- 574 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:29
-
「…じゃあ何で…あんなこと?」
話をして落ち着いた高橋さんから、改めて問われる。
少し迷ったけど、他のメンバーには内緒とお願いしつつ、
「お姉さんメンバーが急にバタバタいなくなって」
「最年長としてちゃんとできるか自信なくて」
「誰かいるとは思わなかったから」
今、ネガティブな状態だってことを正直に話した。
高橋さんは何か考えているみたいで、しばしの沈黙。
「………それ、わかります」
「え?」
「もしせんぱいがいなくなったら、私が最年長ですよね?」
「うん」
「わたしは、多分もたない」
「………」
「もし今せんぱいがいなくなったら。さっきみたいにちゃんと話してくれる人がいなくなったら」
「高橋さん…」
「リーダーなんか。ううん、娘。なんか放り出してしまうかもしれない」
高橋さんも僕と同じなんだ。そう思った。
僕は吉澤さんや藤本さんを。高橋さんは僕を。
- 575 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:30
-
「わたしにはまだ支えが必要。だから」
「うん」
「辞めるとか、もう言わんでください。お願いです」
「…うん」
「誰もいないとしても、言わんでください。さっきみたいに…その、聞いてまうかもしれんです」
「うん、ゴメン」
「それと…」
「うん?」
ちょっと恥ずかしそうにする高橋さん。頬が染まっている。
「いつもせんぱいが頼りです」
「………」
「今までこういうこときちんと言わんかったから、せんぱい不安になったんですよね。ごめんなさい」
「いやいや」
「信頼してますし。他のみんなもそう思ってるはずです」
今度は僕の番だ。頬が熱くなるのを感じる。
みんなが僕を頼ってくれているという。本当に?
「…そうかな?」
「そうです。だから」
「うん」
「自信もって、いいんですよ?」
「…はい」
「もし、それでもくじけちゃって、落ち込んだときは。私で良ければ…その、頼ってもらっても」
「うん、そうする」
僕の返事を聞いて微笑む高橋さん。
もうちょっと、時間はかかるかもしれないけど。
多分、もう、大丈夫だ。そう思う。うん。
ありがとう、高橋さん。
- 576 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:38
-
少し前に統計とった者です。
処女作、というか初ネタです。
ちょっと先輩が女々しいですかね。
お目汚し、失礼しました。
- 577 :名無し娘。:2007/06/17(日) 00:02
-
>>569
安倍さんは素敵ですね♪
いい刺激をいただけるので、またどんどんお願いします。
>>570
リーダー、ですが愛ちゃんは愛ちゃんなのです。
いい娘ですよ。どうしようもなくても(笑)
>>576
その節はありがとうございました。
そして処女作…そーとー好みでした。
まだまだいい話が書けそうな印象。
またぜひ♪
- 578 :名無し娘。:2007/06/17(日) 23:54
- うん
処女作いいですね。うまいとこ突いてる
- 579 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05
-
「明日楽屋にお邪魔してもいいですか?ちょっと相談が」
少し小さないつもの楽屋で、昨日受け取ったメールを見る。
相談のお願いは前にもあったけど、アポを取ってくるなんて。
何か大切なことなんだろうか。
コンコン
どうやら来たらしい。
………さて。
- 580 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05
-
「どうぞ」
「ありがとうございます」
目の前には新垣さん。まずはお茶をすすめる。
少しばかり雑談を交わして………そろそろかな?
「それで、相談って?」
「あ、はい」
少し姿勢を正した新垣さん。次の言葉を待つ。
「えーと」
「うん」
「…サブリーダーって、なんなんでしょうか?」
「…はい?」
前置きのない質問に戸惑う。
「いや、わたし。なったじゃないですか」
「あ、うん」
「何をすればいいのか、よく分からないんです」
「………」
「保田さんにも、聞いてみたんですけど」
「そうなんだ。何て言ってた?」
「『私は何もしなかった』って。」
「うーん」
「そんなことないと思うんですけど」
「僕もそう思うな」
保田さん、謙遜したんだろうな。
「保田さんの言うことが本当だとして」
「うん」
「保田さんのときは、それでよかったかもしれません。けど今は」
「………」
「何かしないといけない、そんな気がするんです」
「…そっか」
「せんぱい、どう思いますか?」
ちょっと途方に暮れた感じの新垣さん。
…サブリーダー、か。
正直いって、表向きだけの形式的なものだと思う。
僕たちが選んだわけでもないし。そんな表情に
なってしまうほど深刻にならなくてもいいのに。
でも今の新垣さんはそんな答え望んでないんだろうな。
ちょっと迷ったけど、思い切って言ってみることにした。
- 581 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06
-
「新垣さんは、娘。大好きだね」
「もちろんです」
「娘。じゃないと駄目だよね」
「はい」
「他のメンバーはどうだろう?」
「え?」
「娘。じゃなきゃ駄目だって、新垣さんほど強く思ってるかな?」
「………」
「新しい2人とかさ、特に」
「………」
「少しずつ、弱くなってると思う。そういうの」
「………」
「何かしなきゃいけないとしたら、そこかな」
批判…だよな、これ。やっぱり。
新垣さんの表情が変わるのを見ながら、思う。
怒ってしまうだろうか?できれば…
「どう思う?」
逆に尋ね、じっと反応を待った。
- 582 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06
-
「…そうかもしれません」
…よかった、受け入れてくれた。ならば。
「もしそうなら、解決できる」
「え?」
「良くすることはできると思う」
「ど、どうすればいいんですかっ?わたし何でもします!」
新垣さん…本当に娘。が大切なんだね。
もちろん、ずっと前から知っていることだけど。
気持ちのこもった強い言葉を聞いて、そんなの関係なく嬉しくなった。
「絆」
「きずな?」
「そう、絆。メンバー同士の関係を強くすればいい」
「…仲はいいと思いますけど」
「うん。でも他にも絆を強くするものがあるんだ」
「何ですか?」
「リーダーシップ」
「…えーっと?」
「この人なら信頼できる、尊敬できる。この人にならついていってもいい、って」
「…はい」
「そういう風にメンバーが思えるような、リーダーの振るまいのこと」
「それが、リーダーシップですか」
「そう。もし高橋さんや新垣さんが、リーダーシップを持てたなら」
「………」
「みんなは、より強い絆で結ばれる」
「はい」
「大事なのは」
「え?」
「新垣さんは娘。が大好きってことなんだ」
「………」
「そんな新垣さんについてくるメンバーたちは、娘。をもっと好きになるって」
「せんぱい…」
「そう信じてる」
新垣さんが僕を見つめる。ちょっと潤んだ瞳が美しかった。
- 583 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:07
-
…しばらくして。
「ごめん、ちょっと難しかった?」
「いえ。よかったです。せんぱいに相談して」
「…そう?」
「はい」
新垣さんは何か吹っ切れたような、さっぱりした表情だった。
…少しは役に立った、だろうか。
「それと、これは受け売りなんだけど」
「はい?」
「組織のカギは、副将が握ってるんだって」
「ふくしょう、ですか?」
「うん、サブリーダーのこと」
「わたし鍵なんて持ってないですよ」
…んなアホな。
「新垣さん、違う違う」
「え?」
「グループが良くなるかどうかはサブリーダーにかかってる、ってこと」
「………」
勘違いと本当の意味に気づいてちょっと恥ずかしそうな新垣さん。
「いつでも、どこでも、誰にでも当てはまる言葉とは思わないけど」
「はい」
「今の娘。にはぴったりだと思う。だから」
「………」
「娘。のために、頑張って欲しい」
「…はいっ!」
変にプレッシャーにならなければいいけど。
ちょっとだけ後悔しつつ、元気に返事をしてくれた新垣さんに微笑んだ。
- 584 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:15
-
堅苦しい話で…読みづらいな、多分。
>>577
いえいえ(^^)
初ネタお気に召していただけたようで。
今回もそうであればいいのですが。
>>578
ありがとうございます。
今回もうまいとこ突けてればいいのですが。
- 585 :名無し娘。:2007/06/20(水) 03:02
- >>584
微笑ましくて良かったですよ。
あぁ、ガキさんらしいなぁって感じで。
娘。の現状を思えば当然かとは思われますが、ちょっと重い話が続いてますねぇ。
そろそろなんにも考えずにハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話が読みたいなぁ…なんてw
こんこん電撃復帰なんて明るい話題も出てきた事ですしね。
- 586 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/20(水) 15:17
-
>>579-583 統計さん(仮称)
やべー……立て続けにものっ凄くツボを痛打されてますよ♪
もっともっとおかわりお願いします(笑)
さて、負けずになんか考えよっと。
- 587 :名無し娘。:2007/06/21(木) 12:59
- 僕はゲームに負け亀井さんの命令を1日聞かなければならない。
「先輩これに着替えてください」
「え、絵里。ちょっと」
僕にカバンを渡してきた。
僕は観念して着替える事にした。
カバンの中にはピンクのワンピースに黒のレギンス、
それにミュールが入っていた。
僕は着替え自分の着ていた服をカバンにしまおうとすると、
中に道重さんが好きそうなカバンが入っていた。
「このカバンを持って行けってことか、とほほ」
「着替えてきたよ」
「可愛いじゃないですか」
「僕の荷物はどうすればいいの?」
「スタッフさんに預かってもらようにお願いしてあります」
「じゃあ、遊びに行きましょう」
僕は1日亀井さんに付き合った。
すごく恥ずかしい思いをした日だった。
- 588 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:32
-
空いた時間にふと気が向いて顔を出したフットサルコート。
二週間ぶりに会う元リーダー、それに里田さんは、忙しいながらも元気そうに身体を動かしている。
他には℃-uteやエッグの子が数人と、何度か会ったことのあるコーチが一人。
メンバー的に不足しているだろうことは予想通りのことだった。
入り口の脇で壁に背を預け、しばらく練習の様子を見ていると、やはりまだまだ実力差は埋めきれるものではないらしい。
ゴールの少し前にフィクソとして立つコーチに一つフェイントを入れてのシュート練習。
初歩的な動作だからこそ“慣れ”ているかどうか明確に差が出ていた。
フェイントを入れ損なったはずみで転がってきたボールをダイレクトに蹴り返す。
そこで初めて僕に気がついたよっすぃーが意外そうな表情を見せた。
「ちょっとタイムね」
蹴り返されたボールを里田さんへはたきながらそう言うと、軽い足取りで歩み寄ってきた。
「やっ」
「久しぶりじゃね? どーしたの」
「たまたまこの時間空いたからさ」
「ふーん。なに、参加すんの?」
「僕でもいないよりはいいっしょ?」
「……ま、いないよりゃいいか」
ふんと鼻をならして笑うよっすぃーはそんな口ぶりだけど、長い付き合いから喜んでくれていることは解った。
軽く柔軟をしている間に今度はよっすぃーと里田さんがフィクソになり、梅田さん以外のメンバーでシュート練習が始まる。
違うのは二対二の形になったこと、そして今度のフィクソは止める気満々だということだろう。
身体を動かしながらその様子を見ていると、まったく容赦のない二人の存在にゴールを割るどころかシュートまで持ち込めるメンバーすらいない。
スポフェスで抜群の身体能力を見せた矢島さんも、躊躇しているうちに“間”を詰められ、コートの外へボールを蹴り出されていた。
これじゃあつまらないと一計を案じ、比較的ボールの扱いが上手いように見えた千聖ちゃんを手招きした。
- 589 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33
-
「あの小憎たらしい二人に一泡吹かせてやりたくない?」
クイと指し示した親指の先で、この子らから見れば大先輩の二人が大人げないディフェンスを続けていた。
どうしようって顔でそれを見ていた千聖ちゃんへ「お兄ちゃんに任せな」と笑いかけると、成功したときのことを想像したらしい嬉しげな表情で頷いてくれた。
同じ℃-uteから、パートナーに最適そうな矢島さんも呼び寄せて、よっすぃーたちから見えないように背中を向けて説明を始めた。
矢島さんにはやるべきことを説明し、タイミングにだけ気をつけるようにと言いきかせる。
千聖ちゃんには必要なことを繰り返し見せる間、矢島さんに壁になってもらう。
「おーいっ、なにしてんの?」
「ちょっとね。そっちはそっちでやってなよ」
「またなんか企んでんな」
「ギャフンと言わせてみせるよ」
挑発的に言い放った言葉へ立てた中指を返される。
おいおい、いくらなんでもそれはないだろって苦笑して、千聖ちゃんへ意識を戻す。
たった数分間のレクチャーだけど、運が良ければ二割くらいの確率でいけるんじゃないかと思えた。
「さ、行っといで」
「はいっ」
緊張した様子の二人へ伸ばした両手でポンポンと肩を叩いて送り出す。
「お、ずいぶん早く戻ってきたじゃん」
「二人に一泡吹かせるには充分な時間だよ」
「言ってろ」
- 590 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33
-
右サイドで軽くボールを蹴り出した矢島さんが一つ二つと控え目なタッチでドリブルをしていく。
正面にいる里田さんが急激に距離を詰める。
やっぱりまだ舐めてかかっているらしい。
左後方へはたいた矢島さんは里田さんの裏を取ろうとライン際から走り出す。
ボールを受けた千聖ちゃんのワンタッチで、もうよっすぃーも距離を詰めていた。
こっちは幾分警戒しているのか、必要以上に深く入ってはこない。
走り出した矢島さんへパスを合わせる左脚。
反応したよっすぃーがパスコースへステップ。
矢島さんはフルブレーキからバックステップ。
距離を離されずに付いてくる里田さんは誘い出されたことに気づかない。
千聖ちゃんの左脚はボールの上を通り、返す動きで左前方へ軽いタッチ。
それでもキチンと付いてきたよっすぃーはさすがだった。
けれど、シューズ一つ分ほどの差で体勢が良かった千聖ちゃんの勝ちだった。
ミドルレンジで振り抜かれたシュートに、くるはずがないと思っていた梅田さんは対応できない。
一発目で二割を引き出したのは二人のセンスだった。
「うぉ――、あっぶねー!」
ボールがポストに弾かれたことをのぞけば。
「あっ……」
「惜っしいー」
申し訳なさそうに僕を見る二人へ「大成功だったね」と微笑みかける。
「でも……」
「シュートまでもってければオッケーだよ。後はまた練習して。ね?」
「はいっ」
本当に誉められていると解った二人は嬉しそうにコートへ戻っていった。
- 591 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:34
-
入れ替わりに近づいてくるよっすぃーはしてやられたといいたげな表情で。
「あームカつく。あんなん成功するなんてさ」
「偶然にしてもいいセンスじゃん」
「かもね。さて、この悔しさをどうしてくれよっか」
「え?」
不敵なよっすぃーの笑顔に続く言葉が思い当たる。
良い流れのままで、先手を取って切り出すことにした。
「お相手しましょ」
「よっし、一対一な」
空いているゴール側で始められた一対一。
それと同時に休憩になったようで、他のメンバーが遠巻きに見ている。
後輩に恥をかかされたよっすぃーはガチモードらしい。
けれどこっちも無様なところは見せられない。
互いに本気の一対一は、最初の数本こそどちらもゴールを許さず互角以上にやれていた。
けれど絶対的な経験値で既に上回られている僕は、本数を重ねるたびに押されてだしていく。
「もらいっ!」
「うわ――、っ!」
半ば抜かれた体勢で、反応できた脚がボールに触れた、けれど。
浮いたボールが転々と転がりポストギリギリにゴールラインを割ってしまった。
「あたしの勝ちー」
「ハァ……現役には敵わないなあ。さすがだわ」
「同じだけ練習してたら負けてっだろーけどね」
「どうだか」
苦笑いで返した僕に控え目な拍手が注がれた。
流した視線の先、里田さんや他のメンバーが含みのある笑顔で僕を見ている。
違いますよと、そう言いたげに、皆が両手をヒラヒラと泳がせている。
- 592 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:36
-
なんだろうと眉をひそめながら、更に移した視線の先。
まるで魂でも抜かれてしまったかのように、僕は呼吸さえも忘れていた。
小さく手を叩くその姿は離れていったあの頃のまま。
結った髪も、ふんわりとした雰囲気も、あの頃の面影そのままだった。
ゆっくりと近づいてくるはにかんだような笑顔。
「せんぱい」
少しだけ掠れた小さな声で呼び掛けてくれる。
自分の声が届いているか心配しているようにもう一度。
「せんぱい? お久しぶりです」
「……ぁ」
「ビックリしたっしょ? この前から一緒にやってんのさ。限定復帰ってとこかね」
からかい気味によっすぃーが声を掛けてくれなかったら、僕は……
僕は、もしかしたら……後輩たちの前で涙を流してしまったかもしれないくらいに。
「……こん、の、さん」
「はい」
「こんこん…」
「はい」
くすくすとおかしそうに笑いながら、生真面目な返事をしてくれる。
深く、止めていた分だけ深く呼吸をして。
ようやく口にした意味のある言葉はたったこれだけだった。
「おかえり」
紺野さんはぷくぷくのほっぺでやわらかく微笑んで。
少しだけ照れ臭そうに、やっぱり小さな声で言った。
「ただいま」
耳に馴染んだその声は。
今はない、忘れかけていたピアニシモだった。
- 593 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/22(金) 00:39
-
明るい話題なのに最後はしっとりになってまいました。
限界、寝ます。
おやすみなさい(ρ.-)
- 594 :名無し娘。:2007/06/22(金) 02:42
- (・∀・)イイ!
- 595 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01
-
いつもの楽屋。
そして、すぐ隣にみんなの楽屋。
少し前までは、気軽に訪れることのできる場所だった。
話して、遊んで。そうやってみんなを感じていた。
…けど今は。
藤本さんの一件以来、思いを強くしたことがある。
「もう何をどう書かれるか、分かったもんじゃない」
僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
外から見れば、そうじゃないのかもしれなかった。
楽屋でみんなと一緒に過ごしている。
そんな光景を外の、悪い人間が見聞きしたら。
誤解や嘘や虚構で、歪められて伝わるかもしれない。
まして記事にでもなってしまったら…みんなを傷つける。
以来、こちらからみんなの楽屋に出向くことはしなくなった。
この前の新垣さんみたいに、むこうから来てくれるなら。
拒むつもりはなかった。拒むのは、さすがに不自然だ。
みんなの力になりたいという気持ちは変わってないわけだし。
けど…自分からは。
「考えすぎかな…」
臆病な自分を感じる。振り払うようにひとりごちて、目を閉じた。
- 596 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01
-
コンコン
…ん?
コンコンコン
来訪を告げる音に、まどろみから引き戻される。そして。
「せんぱーい?」
ドアが開くと同時に、聞き慣れた声が響く。
目をこすりながら、声の主へ顔を向けた。
「亀井さん」
「せんぱい、寝てました?」
「うん、そうみたい」
「ごめんなさい、起こしちゃって」
謝りながら、亀井さんが近づいてくる。
あんなことを考えていた矢先の、突然の来訪とはいえ。
「…何か用?」
僕の言葉は、ちょっと不用意だったらしかった。
- 597 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02
-
立ち止まって、わずかに俯いた亀井さん。
そのたたずまいが、悲しい、と僕に訴える。
小さくなってしまった声。かろうじてそれは僕に届いた。
「せんぱい…」
「あ、うん」
「何かないと…駄目ですか?」
「え?」
「ちゃんとした用がないと、来ちゃ駄目ですか?」
「そんなこと…」
あぁ、しまった。そうじゃないのに。どうやって宥めようか。
考えている僕に向けて、亀井さんが顔を上げる。
何か、意を決したような。そんな表情をしていた。
「せんぱい」
「うん?」
「最近…絵里のこと、避けてません?」
「………」
「………」
「…そんなこと、ないよ?うん」
「嘘」
「………」
「…やっぱり」
沈黙を肯定ととったようだった。亀井さんが呟く。
- 598 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02
-
「絵里…何かしました?」
「え?」
「せんぱいに嫌われるような、何か」
「そんな。とんでもないよ」
「じゃあ」
何故。
亀井さんの瞳が、真剣であることを伝えている。
さっき考えていたことを話そうかと、ちょっと思ったけど。
何となく憚られて、適当にごまかすことにした。
「少し、距離を置こうとは思ってる」
「え?」
「ほら。多分次だから」
「…何がですか?」
「卒業」
「………」
次は僕。
確証はないけど、多少の説得力はあるだろう。
「いつ、いなくなってもいいように」
「せんぱい…」
「準備っていうか。何かそんな感じ」
「………」
「だから、避けてるわけじゃ…ないよ?」
…なんだかな。
即席とはいえ、出来の悪い言い訳に歯がみする。
しかし、言ってしまったものは仕方がない、と諦めて。
亀井さんの反応を待った。
- 599 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:03
-
「せんぱい」
「うん?」
「絵里は、テキトーすぎるけど。せんぱいは」
「………」
「いろいろ、考えすぎてる」
「………」
「せんぱい」
「あ、はい」
「考えすぎです」
語気を強めた亀井さん。その言葉が、頭の中でこだまする。
隠している本当の理由を、見透かされたように感じた。
「すごい恥ずかしいけど…絵里言います」
「う、うん」
「…もっと、いつも、近くにいて欲しい」
「………」
「卒業は、いつか来る。けど」
「………」
「そんなこと考えるのは止めて、今は一緒にいて欲しい」
「………」
「せんぱいが遠くにいっちゃうなんて、嫌」
「………」
「嫌です」
「………」
「絵里、そんなとこまで…来ちゃいましたよ?」
- 600 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:04
-
「…亀井さん」
それ、どういう…?
意味を測りかねて、言いかける。
僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
みんな…亀井さんにとっては?
…まさか、そんなこと。
そう思い、首を小さく横に振った。
「だからせんぱい」
「…うん」
「少しだけ、絵里を見習って」
「………」
「テキトーに、なってください」
「………」
「駄目、ですか?」
頬を真っ赤に染めながら、尋ねてくる亀井さん。
そうまでして、そこまでして言ってくれるのなら。
考えすぎるのはもう止めにしよう。
そう心に誓いながら、亀井さんを見つめて。
「うん。分かった」
「…よかった」
…安堵、かな。
表情を見てそんなことを思いながら、「やだ」や「恥ずかしい」を
連発して右往左往する亀井さんを眺めていた。
- 601 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:05
-
ありえなさすぎるかなぁ、なんて。最後もちょっとくどいっぽい。
>>585
ありがとうございます。
ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話は…
今回のは無理ですよね。ごめんなさい。気長に、お待ち頂ければ。
>>586
そうですか、よかったです。
おかわりお持ちしましたが、味の保証はできません(^^;)
>>587
女装、しかもミュールっすか。亀井さん…
>>588-592
早速来ましたね。リクエストに即応できるスキルが素晴らしいです。
℃-uteとかエッグとかよく知らないのが申し訳ない。
- 602 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:15
-
あーもう、コピペ失敗した。
>>595
「…けど今は」
以前と、
「藤本さんの一件以来」
以降で別レスになっている、と思ってくださいまし。
…どーでもいいんですけどね。
- 603 :-おかえり-:2007/06/23(土) 01:52
-
「あれ? あの背中…」
事務所の廊下で、久しぶりにある人を見つけた。
どうやら、こっちには気づいていないらしい。ちょっと脅かしてみるかな?
「ポンちゃん♪」
「え? え?!」
僕は、後ろから静かに近づくと声を掛けると同時に、紺野さんの腰に抱きついて
持ち上げた。
「やっぱ、軽いなぁ~ちょっと痩せた?」
「ちょ、ちょっと降ろしてください!!」
紺野さんが、ちょっと暴れ始めたので仕方なく降ろす。
「おかえり。ポンちゃん」
「もう、先輩…。ただいまです」
頬を少し赤くしてちょっと怒った風になりながらも、やっぱり性格なのか
しっかりしてるところは、しっかりしている。
「なんか不思議だね」
「はい、そうですね。でも、帰ってこれて嬉しいです」
笑顔で、僕にそう答える紺野さん。
「そっか」
「やっぱり、先輩の近くに居たかったし…」
「え?」
「い~え、なんでもありません。じゃ、これから吉澤さんに会ってきます」
僕に笑顔で手を振って部屋に入っていく紺野さん。
聞こえてたんだけどなぁ~…
- 604 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/23(土) 01:58
- ホント、おかえりって感じですw
推しの人が、まさか戻ってくるとは思ってなかったんで、
すごいうれしかったです。
これからも、推していきたいとおもいますwww
>>587
短い作品ですけど、すごいインパクトに残る作品でした。
これからも、よろしくお願いします。
>>593 匿名さん
うまいなぁ~ホントうまいとしか言いようがないです。
今度、コラボ作品一緒に作りましょう♪
>>601
なんか、切ないような心が温まる作品でした。
最近、長いの書いてないから挑戦してみようかなぁ~・・・
と、思いました。これも、なんかコラボできないかな?www
- 605 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:38
-
それは唐突にやってきた。
なんの前触れもなしに爆ぜるように開いたドア。
驚いた僕が玄関へ出ると、そこには見慣れた顔が見慣れない表情で立っていた。
「さゆ」
呼び掛けた僕の声にも反応しないで、短く荒い呼吸をし真っ青な顔で僕を睨み付けている。
急に連絡をくれて、理由も告げずにそっちへ行くと言うさゆへ、なにかあるのかと気にしながらどうぞと返した。
そのさゆが……
「どうかした? 顔色が――」
「せんぱいっ!!」
「は、はい」
「……なんで」
僕の話を遮った日頃ほとんど耳にしたことがないほど強かった言葉が一転して。
まるで初めて会った頃みたいにささやくような弱さで口籠る。
まったく様子の違うさゆを、僕はただ立ち尽くしたまま見ていた。
- 606 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39
-
「なんで急に……」
「え?」
「せんぱい、ひどい。いつもそうやって一人で……」
唇を震わせながら、噛み締めた口元から絞り出すような言葉。
そこで初めて気がついた。
憤っている。
そして…哀しんでいる。
それも僕のせいで……?
「さゆ?」
「それはそうですよ? せんぱい自身のことだもん、誰に相談する必要もないですっ。
だけどせっかくせんぱいから“さゆ”って呼んでもらえるようになって! ……なのに」
「ち、ちょっと待っ――」
「せっかくせんぱいとの距離が縮まったって嬉しかったのにっ」
「それはそ――」
「なのに卒業しちゃうなんてっ」
ああ……話が繋がった。
あまりの剣幕に忘れていたけれど、直後に絵里ちゃんからも電話をもらったんだった。
さゆから電話とかなかったですか、と。
あったよと口にした途端に電話は切られてしまったけど、そういうことなんだろうと今になって解った。
この間の件で誤解されるような話をしたんだろう。
- 607 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39
-
「しないよ」
「は?」
至極簡単に告げた一言はさゆという風船を一突きしたみたいで。
音を立てて空気の抜けていく様を見たような気がした。
「せんぱい…、えっと?」
「しないよ。卒業なんて」
「ホントに?」
「本当に」
「さゆみたちを置いて行っちゃったりは……」
「しないよ」
それは僕の真実。
ただ事務所の真実が違ったときにどうなるのかは……口にはできないことだった。
けれど僕の気持ちは変わらないから。
だから……
「卒業する気なんてないよ。ずっと、いつまでも一緒にいたいんだ」
「よかったぁ……」
- 608 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:40
-
へなへなと脱力して玄関口でへたりこんださゆへ手を差し伸べる。
目の前にある僕の手を見たさゆが笑顔に変わって。
やわらかな手が僕の手に重ねられる。
引き寄せて立たせてあげたさゆが勢いのままで僕の腰へしがみついた。
「さゆっ――、こらっ」
「ホントに、よかった」
「さゆ……」
僕の胸元へ表情を隠すみたいに押し当てられた横顔からあたたかな振動が伝わる。
そのあたたかさが教えてくれた。
さゆがどれほど心を痛めてくれたのか、そして事実を知って心の底から安堵してくれたことを。
トクン
伝わった気持ちが僕の鼓動を揺さぶった。
けれど悪くない揺らぎだと思えた。
頭で考えるのではなく、心で思うのでもない。
最も根底から波及していく最も正直な……
- 609 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/23(土) 22:44
-
>>587
これは突飛な(笑)
けれどどこか夢物語らしい気もしますね。
>>594
アリガトウ!
>>595-600 統計さん(仮称)
ありえなさそうな気はしないですけど。
なんかちょっと、表現したい部分が近しいのかもと勝手に感じてたりします(笑)
今回のものもやはり好ましい味でした(^^)
故に勝手にオマージュとして書かせていただきました。
それと悔やんでらっしゃるレスの区切り、感覚的に納得。
実は私も℃-uteやエッグは(ry
ベリはまぁそれなりに知っていますが、℃-uteはなんとかって程度で、ましてやエッグは……(^^;)
>>603 TACCHIさん
復帰ネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ですね。
うまいとTACCHIさんが感じてくださったなら、それはこちらとしては喜ばしいです。
事実はさておき(笑)
>これも、なんかコラボできないかな?www
お先にしてもーた。
TACCHIさんの作品がどうなるのか期待してます♪
最後にチラッと宣伝(^^;)
ttp://tokdd0paco.blog108.fc2.com/
始めたってか、備忘緑みたいなもんを再開したので。
- 610 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:57
-
「もう、さゆ」
道重さんの誤解を解いてから、ほどなく。
亀井さんがやってきて、道重さんをたしなめた。
「ごめんなさい、せんぱい。さゆが早とちりで」
「いやいや」
「絵里あとで叱っておきますから」
「いやいやいや」
道重さんが悪いと決めつけるかのように、亀井さん。
案の定、道重さんが不満そうな表情で口を挟んだ。
「でもあれは誰が聞いたって──」
「違う、さゆが──」
…姉妹喧嘩、か。
久しぶりに見るそれは、ちょっと微笑ましくて。
心の中で謝りつつ、やり合う2人を眺めていた。
- 611 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:57
-
…しばらくして。
適当すぎた亀井さんの説明と道重さんの早合点。
2人の喧嘩は、両成敗ということでおさまった。
すっかり仲直りして、じゃれ合っている亀井さんと道重さん。
…もう少し、この空気を感じていたい。
そう思った僕は、このまま帰って行きそうな2人を
もう少し引き留めることにした。
「あ、そうだ」
「「はい?」」
「おいしいお菓子あるんだけど、食べない?」
「「食べたーい!」」
…双子みたい。
声をそろえる2人の様子に、また笑みがこぼれた。
「じゃあお茶入れよう」
「あ、さゆみ手伝います」
「絵里もお菓子あるんで。持ってきますね」
道重さんより少しだけ年上の亀井さんが、
そう言い残して自分の楽屋へ戻っていった。
- 612 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:58
-
「絵里うれしそう」
「うん」
「せんぱいのおかげですね」
「お菓子の、の間違いじゃない?」
「…違うの」
首を横に振る道重さん。何が違うんだろう。
「これから言うこと、絵里には内緒で」
「あ、うん」
「最近、ちょっと心配してたんです」
「…亀井さんのこと?」
「はい」
「様子がおかしかった?」
道重さんが頷く。
「話してるときは、いつもと変わらなかったんですけど」
「うん」
「1人のときとか。見てると、寂しそうにしてて」
「………」
「何かあったのかな、って」
「………」
「それとなく聞いてみたり、考えてみたりしてたんですけど」
「………」
「結局、分からなくて」
「…そっか」
…道重さん、お姉さんしてるな。
年上の妹を気遣う道重さんの言葉を聞きながら、思った。
- 613 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:59
-
「でも、さっき絵里の話をちゃんと聞いて。はっきりしました」
「………」
「せんぱいが、原因だったんですね」
「………」
…そういうことに、なるんだろうか。
「絵里のこと、避けてません?」
「近くにいて欲しい」
亀井さんの言葉が、思い出される。
「…うん、そうかも、しれない」
「そうなんです」
「は、はい。そうです」
断定を避けた僕に、ちょっと不服そうな道重さん。
慌てて表現を修正した。
「せんぱい」
「うん?」
「…あの」
「うん」
「ホントに、絵里には内緒で」
念を押してくる道重さん。
今度は何だろうと思いながら、黙って頷いた。
- 614 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:00
-
「絵里の辛そうなとこ見るの、さゆみも辛いから」
「………」
「絵里のこと、ちゃんと見てあげて欲しい、の」
「………」
「お願い、します」
…これも、僕のせいなんだ。
真剣な顔で訴える道重さんを見て、胸が痛んだ。
それと。
…なんか、ちょっと泣きそうかも。
道重さんが、亀井さんを思う気持ちの強さが伝わって。
僕は関係ないけど、でも、とても嬉しかった。
そして。
「分かった…辛くさせちゃって、ごめん」
返す言葉は、これしか思いつかなかった。
- 615 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:00
-
「…それと」
「…うん」
「近くにいて欲しいのは、さゆみも同じだってこと」
「………」
「忘れないでいてくれると…嬉しいです」
2つめのお願いをするその口調は、ちょっと控えめだったけど。
亀井さんと同じ気持ちだということ。それは強く伝わった。
さっきの、取り乱した道重さんの姿を頭に浮かべながら。
大丈夫、ちゃんと届いたから、との思いを込めて。
「もちろんだよ」
「…はい」
笑顔で返事をしてくれた道重さんに、僕も笑いかける。
ちょっと潤んだ瞳が、とても印象的だった。
- 616 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:01
-
>>605-608 の続き、ということで。
なんか…いまいちっぽい。精進します。
ネタの出来はともかく、いつまでも仲良くあって欲しいものです。
>>604 TACCHIさん
ネタに、推しだってことが現れてますよね(^^)
コラボ、可能であればよろしくお願いします。嬉しいので。
>>609 匿名さん
オマージュ頂戴いたしました。ありがとうございます。
折角なので、設定引き継がせていただきました。
表現が近い…そうですね。匿名さんのネタに
影響を受けてると思います。なんか、ちょっと申し訳m(_ _)m。
- 617 :名無し娘。:2007/06/27(水) 08:16
- なにこのナイスリターン
- 618 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:03
-
飛び抜けてインパクトのある声でもない。
言葉に説得力を持たせることもできない。
自分に足りないものが多いのは解ってる。
だから、今の僕にできるのは、その言葉に命を吹き込んであげることだけだった。
届けるべき相手へ、精一杯の心を込めて。
「ずっと…できるだけ一緒にいよう」
「せんぱいっ!」
- 619 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:03
-
――え?
「あれ……?」
「こ、小春ちゃん……?」
「いま……? あのー」
「はい?」
「せんぱい、お一人ですかあ?」
「他に誰もいないでしょ?」
僕は突然飛び込んできた小春ちゃんへ、広いとはいえない楽屋を指し示す。
小春ちゃんはキョトンとした顔で、僕の手を追いかけるように右へ左へと特徴のある大きな目をキョロキョロさせる。
「ですよね。アハッ、アハハ……」
笑い声が尻すぼみに小さく乾いたものへ変わっていった。
「大好きだ。って、聞こえた?」
「あ~……、そのお、……はい」
その目に動揺をありありと映しだして、どうするか迷った末にという風に認めた。
- 620 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:04
-
「なにか勘違いしたわけね。これだよ」
テーブルの上へポイと放りだした薄っぺらい冊子。
「らじお、どらま……」
「単発だけど、やらせてもらえるなら頑張ろうと思ったからね」
「本読み、してたんですか」
「してたんです」
「小春はー……お邪魔しちゃいました?」
「そんなことないけど。ちょっと集中してたとこだったからさ」
「あっ、なら小春がお手伝いします!」
「え?」
これは名案だと。
心からそう考えていると表情が教えてくれる。
「こう見えても小春、声優さんもやってますからっ」
「そ、そうだね」
「せんぱいはもうセリフ覚えちゃってるんですか?」
「一応」
「じゃあ、これは小春が」
放りだした台本を手にした小春ちゃんはやる気満々なようで。
キラキラと瞳を輝かせてページをめくっていく。
- 621 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:04
-
「はいっ、じゃあここからいきましょう」
ここから?
頭からやるんじゃないのって、そう尋ねようとした。
けれど。
「あっ」
「え?」
小春ちゃんの声に反応した僕の声。
なにか待ってる様子の小春ちゃんと目が合う。
「もう、せんぱい?」
「はい?」
「ここに、『男、女を抱き締める』って書いてありますけど」
「あぁ……。いや、ラジオだから、ね」
「ちぇっ。じゃあ、いいや。もう一回いきますよ」
残念そうにそう呟く小春ちゃんが、さっきと同じように「あっ」っと小さく声をあげる。
少しばかり心の中で『やれやれ』と零しながらも、なるようになれと覚えた台詞を口にする。
- 622 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:05
-
「嫌なら振り解けばいい。そうじゃなけりゃ……」
「イヤじゃない。イヤじゃないよ」
「いいの? 私、好きでいいの?」
「ずっと、そうでいてくれればいいな」
「ごめんね。ありがとぉ。大好き」
拙いながらも互いに気持ちを乗せた台詞を交わし合う。
どこか悪戯めいたところを感じた小春ちゃんの台詞も真剣なそれに聞こえてきていた。
「俺も。一時メチャクチャなくらいに腹立ったけど……それって、それだけ好きってことだって。
意地にならないで認めちゃえば、こんな……泣かせなくてもよかったのにって」
どちらからともなく“間”を取って、最後の台詞へ気持ちを昂める。
「もしかしたら、喧嘩もするかもしれないけど……それでもずっとお前がいいな」
「…うん、あたしも」
「ずっと…できるだけ一緒にいよう」
「せんぱいっ!!」
――え?
「絵里とゆーものがありながら――、小春とそんな……、あれ?」
今夜の本番に間に合うんだろうか……。
- 623 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/28(木) 23:08
-
ちょっとした悪戯をしてみたりして。
まあ誰も気がつかないでしょうからいいでしょ(笑)
>>610-615
確かに含みを持たせて終わらせましたが、拾ってもらえたのは嬉しい限り。
今回もごちそうさまでした。
影響……悪影響かもしれませんが(^_^;)
- 624 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/28(木) 23:47
- 今日は、コメントのみで。
>>616
重さんになんか萌え~って感じでしたw
やさしさあふれる作品よかったです♪♪
>>623 匿名さん
一発で、気がつきましたよ(笑)
うまい使い方ですなぁ~w
あそこにも期待してます♪
- 625 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:03
-
「お菓子持ってきましたー」
楽屋の入り口から、亀井さんの声。
声のした方へ顔を向けると、そこにはもう1人。
「ついでに、れいなも持ってきましたー」
「ちょっ、絵里」
ついで扱いの上にもの扱いされて、頬をふくらませた田中さん。
けど、すぐに元の顔に戻って僕の方へと寄ってきた。
「せんぱい」
「田中さん」
「れいなも、お邪魔してよかですか?」
「もちろん」
笑顔で頷く。田中さんも笑ってくれた。
そして。
「お茶が入ってなーい!」
僕の怠慢を咎める亀井さんの声。
「あ…ごめん」
「もー、せんぱいとさゆ何してたんですかー」
「ちょっと、ね」
さっきのやりとりを思い出す。
と、道重さんと目が合う。お互いに笑みをこぼした。
「…なんか怪しい」
「な、なにが?」
「いいです」
機嫌が斜めになってしまった亀井さんをなだめつつ。
みんなで、お茶の準備を再開した。
- 626 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:04
-
「うわー、これおいしー」
「そう?よかった」
「ほら、れいなも食べなよー」
「う、うん」
僕の持ってきたお菓子は、予想以上に好評で。
おかげで、その後の話にも花が咲いた。
…しばらくして。
「また今度、お茶しましょーね」
「今度はさゆみがお菓子持ってきます」
「………」
3人は、自分たちの楽屋へ戻っていった。
一転して静かになった楽屋で、思い出す。
4人でああやって話したのは久しぶりで、楽しかった。
けど。
…ちょっと、引っかかるんだよな。
壁に寄りかかって天井を仰ぎ、目を閉じる。
話してたときちょっと上の空だったし、
お菓子にもそんなに手をつけてなかった。
それから…さっきの去り際の、何かを悔いたような表情。
「…田中さん」
気になっている人の名前を、呟いた。
- 627 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:04
-
「はい?」
「わ!」
予期せぬ声に驚いて、目を見開く。
すぐ目の前に、田中さん。全然気づかなかった。
「た、田中さん?」
「………」
「ど、どうしたの?」
「…絵里とさゆには、忘れ物したって、言いよってきました」
…答えに、なってないけど。
とりあえず、1人で戻ってきたということらしい。
「あの」
「う、うん」
「もう少し、時間よかですか?」
後悔しないために戻ってきてくれたんなら、渡りに船なんだけど。
「うん、大丈夫」
とりあえず頷いて、田中さんの言葉を待った。
- 628 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:05
-
「せんぱい」
「うん」
「…あの」
「………」
「最近、れいなたちの楽屋、来てくれんとですね」
「………」
「何か、あったとですか?」
…田中さんも、か。
亀井さんと道重さんの言葉が頭の中で蘇る。
「絵里のこと、避けてません?」
「近くにいて欲しいのは、さゆみも同じ」
聞き方は違うけど、意味はほとんど同じだった。
「…うん。ちょっと思うところがあって」
「…そうですか」
…あれ?
一言、そう呟いて俯く田中さんを見て、思う。
「思うところ」が何なのかを聞いてこない。亀井さんと違った。
けど、その表情やたたずまいは同じで。胸がまた痛くなった。
早く謝らないといけない。そう思って、口を動かし始める。
刹那。
- 629 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:05
-
「何となく、分かれてしまうんです」
「え?」
「せんぱいがいないと、分かれちゃうんです」
「…何が?」
「愛ちゃんと、ガキさん」
「え」
「絵里と、さゆ」
「ち、ちょっと」
「小春と、ミッツィー」
「た、田中さん?」
…なんてこと。
「か、考えすぎだよ」
「そうかもしれんです。いつもってわけじゃなかですし」
「…うん」
「でも、最近。せんぱいが来なくなってから」
「………」
「なんか、そんな感じになってること多くて」
「………」
「ちょっと…その、寂しいっていうか」
「………」
「…辛い」
…どっちが、なの?
娘。が細切れになってしまうということと、
自分が孤立してしまうということ。
田中さんの表情や言葉からは、分からない。
いずれにしても。
なんともいたたまれない気持ちにされられてしまう。
学校のクラスとかで、女の子が小さいグループに
分かれてしまうことがあるというのは…聞いたことがあるけど。
娘。も同じ、と。そういうことなんだろうか。
深い、深い思考に引きずり込まれそうになった。
- 630 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:06
-
「でも、せんぱいがいると」
「あ…うん」
「そういうの、なくなります」
「え?」
「せんぱいの周りに、みんな集まってきて」
「………」
「れいな、そっちの方が落ち着くんです」
「………」
「頼っちゃ駄目だって。そう思うけど、けど」
「………」
「できたら、その、助けて欲しい」
「…田中さん」
「せんぱい」
「………」
「前みたいに、一緒に、いてくれんですか?」
「辛い」と。そう告白したときの顔そのままで請うてくる田中さん。
さっき頭をよぎった理屈。今は、そんなの、もうどうでもよかった。
僕がいることで、みんながひとつになれるなら。
「いいよ」
喜んでその触媒になろうと。そう思った。
- 631 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:07
-
「………」
黙ったままの田中さん。
ゆっくりと…近づいてきて。僕の服の端をつかむ。
一瞬だけ僕の顔を見上げて。けど、すぐに俯いた。
「田中さん」
「………」
「ごめんね」
田中さんが首を横に振る。意味を、分かってくれた。
「僕にできることなら、するから」
「………」
「ね」
「…はい」
「うん」
「せんぱい」
「なに?」
「ありが…とぉ」
そう言って、俯くのを止めてくれた田中さん。
けど、僕の服をつかむのは、なかなか止めてくれなかった。
- 632 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:13
- スレ的にどーなのよ、というネタですが。長いし。
そして問題は、次と次の次。
>>617
ありがとう、励みになります。
>>618-623
「悪戯」が消化不良気味…でも、美味しかったです。
>>624
お粗末様でした。おかわりいかが(^^;)
>>625
道重さんの姉御肌っぷりを表現したかったので。
伝わったなら、よかったです。
- 633 :名無し娘。:2007/07/01(日) 00:44
- 長くてもいい
- 634 :名無し娘。:2007/07/01(日) 13:04
- 腕白に育って欲しい
- 635 :名無し娘。:2007/07/01(日) 19:36
- トリプにワッラタ>◆StatPfTBPc
- 636 :名無し娘。:2007/07/01(日) 21:55
- そのトリップになんか意味あるの?
- 637 :名無し娘。:2007/07/01(日) 23:22
- stat=statistics
- 638 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/02(月) 22:38
- 色々煮詰まった…から、レスだけ。
>統計さん
あっ、なんか申し訳ないです(^_^;)
呼称を決めてしまったようで……トリップまで(笑)
ま、それはそれとして。
今回も美味でございました♪
滔々と流れるように話が展開されてますねえ。
で、次は次は?
こっちがしでかした悪戯は、後からブログで触れましたけど。
ホントなんてことないし、なくていいものなんで(^_^;)
- 639 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/03(火) 21:38
-
>>476-511 のデータ、再集計してwikiに載せました。
集計期間や順位の決定方法を少々変更しましたので
結果が違っておりますが、あしからず。
- 640 :名無し娘。:2007/07/03(火) 23:24
- >>639
乙!
- 641 :名無し娘。:2007/07/03(火) 23:39
- 10万文字超えてるってすごいね
- 642 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/07/04(水) 00:45
- >>639 統計さん
どうも、乙です。
自分が、こんなにネタ書いてると思ってなかったんで、びっくりしましたw
いつ僕の夢物語が終わるかわかりませんが、これからも
がんばって行きたいと思います。
目指せ、すべて一位(笑)
今回の田中さんの作品も、よかったです。なんかもっとおかわりほしいぐらい(笑)
次の作品期待してます♪
- 643 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:38
-
せっかくのオフだってのに。
そう思いつつも着替えを済ませてドアに手を掛けたところでその動きを止める。
防音が施された厚いドアの向こうに見慣れた先客の姿を見つけた。
気づかれぬようにそっと、小さく開いた隙間から身体を滑り込ませ、その先客の立ち居振る舞いを注視する。
抑えめに曲を流しながら、ただストレッチをしているだけだというのに……その所作から目を逸らすこともできずにいた。
小さな身体で座り込んで、四肢を伸ばしていくその動作があまりにしなやかで。
野を駆ける獣の美しさにも通ずるナチュラルな強靱。
惹きつけられるように一点を見つめる視線の先。
大きく開いた脚の間へ沈む上体は、なめらかな動きを損なうことなくペタリとフロアまで辿り着く。
立ち上がった鏡の前で伸ばした右手を軽くバーに添え、左の手を緩やかに広げながらスッと退いた右足がなにもない空間に線を描き、背中から、腰よりも上がった踵まで綺麗な曲線を浮き上がらせる。
「ほう」と、つい洩らした感嘆の吐息が一つの舞を終わらせてしまった。
- 644 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:39
-
「せんぱいっ!?」
「邪魔しちゃったね。ごめん」
「ほやなくてっ、いつからいたん――、ずっと見て……?」
「あぁ、うん? ついさっきだよ、愛ちゃん」
「あ"~っ」
その外見からは不釣り合いな、けれど聞き慣れた太い声で愛ちゃんが背を向けた。
別に見られることに慣れていないなんてことはないのに。
しかも同じグループにいる僕に見られたからって、なにを今更なんて思ってしまう。
「別に恥ずかしがらなくたって……」
「やっても……」
「見られるのなんて慣れてるじゃない」
「あ"? そっ、……せんぱいやし」
なにかごにょごにょ口籠ってる愛ちゃんを微笑ましく見ながら、今し方感じたことを伝えたいと思った。
こんなに近くにいた愛ちゃんなのに、改めて思い知らされた彼女の魅力を。
「ヘンだよ、愛ちゃん。まぁ僕もだけど」
そう苦笑いした僕を不思議そうに見てくる愛ちゃんへ言葉を続ける。
- 645 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:39
-
「もう五年も一緒にいるのに、今更って笑うかもしれないけどさ。
その……見蕩れてたんだ。綺麗だなあって」
「あの…なにに?」
「愛ちゃんに」
「へっ!?」
「なんだろう、その…立ち居振る舞いがさ」
「そんなことないですって」
「や、自分じゃ気がつかないんだろうけど。バレエの動きなんだろうね。
つま先から頭まで、指先まで、ちゃんと“形”になってるなあって」
「そ、そう…ですか?」
「うん。そりゃあモデルさんたちみたいな整い方じゃないけど、身体のラインを綺麗に見せるみたいでさ」
「…なことないです」
どうやら喋りすぎたらしい。
愛ちゃんは照れたように俯いて、小さな声で僕を否定する。
それは愛ちゃんの理由だから構わないと言えば構わない。
けれど僕がそう思っていることは事実だから、それが伝わらないままなのは哀しいことだった。
「ある」
「ウソやぁ」
「そっか、愛ちゃんは僕を嘘つきだっていうんだ。そうなんだ」
どうしても。
本気で信じてもらえないことで意地になったのかもしれない。
ちょっとずるいやり方で、とりあえず認めてもらうところから始めよう。
「やっ、違います! そんな」
「でしょ? ホントだから」
「っ――、……はい」
「うん。愛ちゃんはキレイ」
「……ホント、ですか?」
「そんな嘘、ついたことある?」
「……ありがとおございます」
真っ赤な顔で、消え入りそうな声で、そう謝意を口にした愛ちゃん。
とりあえず、一歩進んだことに満足した僕は、笑いながら誘いかけた。
「さて。じゃあ練習しよっか」
「え? あ、はいっ」
こうして僕は、その気になった愛ちゃんの動きに付いていくのに苦心することになった。
- 646 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/07(土) 22:45
-
>>639 統計(仮称)さん
グ、グレードアップしてらっしゃる(^_^;)
大変お疲れ様でした。
ああいうの、見てるだけでも楽しいです。
ましてや自分も参加しているとなればなおのこと。
しかし上にいる方々はすごいですね。
作品の続きも期待してます。
- 647 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:10
-
コンコン
目の前の扉をノックする。
久しぶりのせいか、少し緊張していた。
「はーい」
中から声が返ってくる。久住さん…だな。
「あっ、せんぱい」
「うん」
「………」
「………」
「………」
「…ごめん、お邪魔だった?」
「あー、違います違います。そうじゃなくて」
「…じゃなくて?」
「えーっと」
「………」
「いや、あのっ。まー、どーぞ?」
…ホントに、いいのかな?
ちょっとだけ、不安になったけど。
とりあえず、中に入れてもらうことにした。
- 648 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:11
-
「あれ、ひとり?」
「はい。みんなは、まだです」
「そうなんだ」
「はい」
「それとさ」
「はい?」
「電気つけないで、どうしたの?」
「あー、ちょっと」
そう言って、窓の方へ歩いていく久住さん。
後に続いて久住さんの横に並び、様子をうかがう。
視線は、空の方へと向かっていた。
「…星?」
「はい。暗くした方が見えるかなー、なんて」
「そういえば七夕だったね、今日」
「はい。なので」
そう言って、暗い空に目を凝らす久住さん。
星、か。そういえば久しく見てなかったな。
にわかに興味が湧いてきて、久住さんに倣うことにした。
けど。
- 649 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:11
-
「…見えないですねー」
「ちょっと…曇ってない?」
「やっぱり?」
「…うん」
「あーあ」
残念そうに呟く久住さん。
でもその表情は、そんなことも楽しんでいるように見えた。
「せんぱい?」
「なに?」
「織姫って、あの辺にある星ですか?」
太陽が沈む方向の、低い空を指差す久住さん。
「…うーん、違う、かな」
「違うんですか?」
「うん」
「この前、晴れてるときに見たら」
「うん」
「あの辺にすごく明るい星があったから、そうかなって」
「そんなに、明るかった?」
「はい。夕方で、まだ結構明るかったのに」
「うん」
「はっきり見えました」
夕方の西の空に、とても明るい星。おそらくは。
- 650 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:12
-
「金星、じゃないかな」
「きんせい?」
「うん」
「なんですか?それ」
「えーっと」
「………」
「織姫星は太陽と一緒で、自分で光るんだけど」
「はい」
「金星は、地球の仲間なんだ。太陽の周りをぐるぐる回ってて」
「はい」
「太陽からの光を受けて、輝く」
「へー」
「『水金地火木土天海冥』って、聞いたことある?」
「あー、それあります」
「『金』は、金星のことね」
「…そうなんだ」
…おもしろくない、よな。
ちょっと、考え込む風の久住さんを見ながら、後悔する。
こういう蘊蓄って、どういう風に言えばうまいんだろうか。
同じく考え込む僕に、久住さんが口を開いた。
- 651 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:12
-
「ここのつ、あるんですか?」
「…え?」
「その、地球の仲間」
「うん」
「………」
「久住さん?」
「…小春たちと、一緒ですね」
「………」
…なるほど、そういうことか。
「…そうだね。9人だもんね」
「はい」
「………」
…確かにそうなんだけど、さ。
ニコニコしている久住さんとは対照的に、
僕の表情は曇ったに違いなかった。
- 652 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:13
-
「それでー」
「………」
「せんぱいは太陽」
「………」
「なんです」
「…は?」
…やられた。
会心の表情で、久住さんが僕を見つめる。
忘れてたわけじゃ、なかったんだ。
「…太陽?」
「はい」
「………」
「小春たちは」
「…うん」
「せんぱいの周りを回ってるんです」
「………」
「そうして、せんぱいから光をもらって、輝く」
「………」
言いながら、久住さんは僕の手を取って。
僕の周りをくるくると、公転しはじめた。
そんな久住さんにあわせて、僕も自転をはじめる。
- 653 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:13
-
「で、でもさ」
「はい?」
「太陽って、他にいなくない?」
「…誰ですか?」
「え、えっと」
「………」
「つ、つんくさん、とか」
「えー」
明らかに不満顔の久住さん。そ、そうなんだ…
「せんぱいが」
「…僕?」
「はい。せんぱいが、いいです」
「…でも、なんで?」
「うーん」
「………」
「………」
不意に、久住さんの公転が止まる。
飽きたのかと思い、手を離そうとしたけど。
久住さんの僕の手を握る力は、弱くならなかった。
うつむき加減の久住さん。真剣な表情に変わっている。
- 654 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:14
-
「せんぱい」
「うん」
「その、さっき、ごめんなさい」
「え、何?」
「さっき、ドア開けたとき」
「………」
「せんぱいが来るの、久しぶりだったから慌てちゃって」
「………」
「ぜんぜん邪魔なんかじゃないのに」
「そんなの…気にしないで」
「…はい」
「…うん」
「それと」
「なに?」
「さっきの星の話。すごく、ためになりました」
「そんなに大したこと、話してないよ?」
「そんなことないです。ああいう話って」
「うん」
「せんぱいからしか、聞けないから」
「………」
「だから…せんぱい」
「…うん」
「これからも、いろいろ教えてください」
さっきの…久住さんのたとえ。
その意味が、少しだけ分かったような気がした。
ちょっと、買いかぶりすぎだと思ったけど。でも。
できる限りのことはしてあげようと、そう思い直して。
「僕で、いいのなら」
「…もちろんです」
久住さんは、いつもの笑顔に戻ってくれた。
そして、また僕の周りを回り始める。
「く、久住さん?」
「はい?」
「ち、ちょっと」
「これ、なんかよくありません?」
僕が目を回すまで、久住さんは止まってくれなかった。
- 655 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/08(日) 00:10
-
やっべーどんどん長くなってる。
しかも曇ってるかと思いきや晴れてやがった外。
>>635
トリップを嗤われるとは思いませんでした
>>637
>>640
どもです
>>642
そちらこそ乙です 完全制覇、頑張ってください
>>643-645
愛ちゃんイイですね 流石です 勉強になります
>>646
より厳密にしたつもりなんですけど…見にくくなっただけかも
続き書きましたが… ホント素人なんでそのうち期待を裏切ります(^^;
- 656 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:39
-
撮影の順番までまだ少し時間がある。そう教えてもらってすぐに楽屋を出た。
特にどうしようと思ったわけでもなく、時間潰しに外の空気を吸ってこようと思っただけだった。
ホールで下りてくるエレベーターを待っていると、すぐ後ろで感じた気配に振り返る。
「あぁん」
「なに、その手は」
可愛らしく悔しがるさゆの両手が僕の顔まで10cmのところで止まっていた。
黒目がちな瞳が挙動不審に泳ぐ。
「ったく……」
「えへ♪」
未遂に終わった悪戯なんて気にもしない笑顔。
「で、どこ行くの?」
「せんぱいはドコ行くんですか?」
「ちょっと散歩がてらコンビニでも行こうかなって」
「じゃあさゆみもそうします」
なんの惑いもなく、さもそれが当たり前のことであるかのように言われた。
言い切られた僕としては笑うしかない。
そしてあおれを当たり前として受け入れるしか。
- 657 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:40
-
エレベーターが止まり開いたドアの中に先客が一人。
笑いあっていた僕らは何故だか少しだけ表情を戻して静かになる。
一階下でエレベーターが止まり、唯一の先客が降りていった。
締まり掛けたドアの隙間から誰かが駆け寄ってくる姿に気がついた僕がドアを開けてあげる。
開いていくドア。なぜだか隣にいたさゆが僕の後ろへ隠れるように動いた。
「ありがとうございますう」
「……おやまあ」
「せんぱい、おはようございまぁす」
「おはよ。桃子ちゃん」
「? あっ、おはようございまぁす、道重さん」
「お、おはよ……」
僕の背中からさゆの声。
あまり聞いたことがない種類の声だった。
「さゆ?」
「“さゆ”? じゃあじゃあ、わたしも“もも”って呼んでほしいですう」
「なっ――、桃子ちゃんは桃子ちゃんでいいじゃん」
「やですよお」
「え~っ! そ、それより桃子ちゃん、なんでいるの?」
「私たちも撮影があるんですけどお。せんぱいたちもですか?」
短いけれど、どこか火花が散るようなやりとりだと感じたのは気のせいだろうか。
不意に振られてようやく居場所を得たような心地になる。
- 658 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:41
-
「え? …あ、うん。桃子ちゃんたちは僕らの後なのかな。一人でどっか行くの?」
「ちょっと、さゆみが訊いたのに――」
「お二人はどこに行くんですか?」
「うん。ちょっとすぐそこのコンビ――」
「あーっ! どこも行かないよ」
僕の言葉を遮るように、背中から身体をのりだしたさゆの声が大きくなる。
ビックリしたように――僕も驚いたけど――目を見開いた桃子ちゃんが、一呼吸置いてからその特徴のある目を細めた。
「わたしも連れてってくださーい」
「あっ、ほら。すぐ戻ってくるから。桃子ちゃんは。ね、せんぱい」
僕はなにをそんなにさゆがテンパってるのか理解できない。
というよりも、ついてきたいならいいんじゃないかなとも思うし。
「いいんじゃない」
短く言い放った僕の一言で、桃子ちゃんは満面の笑みを浮かべる。
そしてさゆはおかしなくらいに肩を落とした。
二人の対比を不思議に思いながら、エレベーターを出たところで思った。
この二人、いつこんな関係になったんだろうって。
- 659 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/10(火) 23:42
-
ラジオは聴いてないんですけど、各所の話題から想像して書いてみました。
>>647-654 統計(仮称)さん
私も気にしてましたけど、気にしない方がいいらしいです、長さ。
で、ちょっとうまく数字で絡めたいい話でした。
小春いい子だなあ……(ホロリ
統計さんの“僕”がどんどんと他の誰でもない“僕”になってきてる感じがしました♪
- 660 :-ストレッチ-:2007/07/11(水) 00:35
-
「よいしょっと」
一人、ダンスレッスンの準備のため、早めに来てストレッチをする。
開脚をして、ベターっと頭を床につけて深呼吸をする。
「ん~…やっぱり、股関節がちょっと硬くなってるかも…」
「おはようございま~す♪」
鏡を写して見えたのは、レッスン着の絵里が立っている。
僕は、開脚したまま顔を上げた。
「あぁ、絵里。おはよ~♪」
「あ、先輩おはよ…えぇ~!?」
絵里は、僕を見て驚いた表情をしている。
「どうしたの?」
「先輩って、そんなに体柔らかいんですか?!」
「うん、そうだけど…あれ? 知らなかった?」
「はい、先輩コンサートの時いつも自分の楽屋に居るから」
「そっか、みんなでストレッチとかしないもんなぁ~…あ、絵里。後ろから
押してくれないかな?」
「はぁ~い♪」
絵里が、僕に駆け寄ってきて背中を優しく押す。
「うわ~、やわらか~い♪」
「絵里も、柔らかいじゃん。それと、一緒だよ」
「でも、男の人もこんなに柔らかくなるんですね」
「まぁ、毎日努力してますから」
「さすが、先輩♪ えいっ!!」
僕の体に急に重みが加わった。
「ちょ、ちょっと絵里~お、重い…」
「むぅ~、重くないです~」
絵里が、さらに僕に体重を預けてくる。ってか、背中になんか当たってるから!!
- 661 :-ストレッチ-:2007/07/11(水) 00:35
-
「ギブ、ギブ!!」
「許しませ~ん!! 絵里は、重くないです~」
我慢できなくなって無我夢中で体を捻る。
「キャッ!!」
僕は、気づくと絵里の上に倒れこんでいた。
「あ、ご、ごめん!!」
慌てて離れようとすると、絵里は僕をがっちりと腕でロックして離そうとしない。
「絵里?」
「先輩…たまには、甘えていいですよね?」
絵里は、僕を見つめていた。そして、ゆっくりと目をつぶる。
「・・・」
僕も、そのまま絵里の唇に…
「おはようございま~す!!」
レッスン場に愛ちゃんが、元気に入ってきた。慌てて離れる二人。
「おぉ、●●と絵里。早いね~」
「う、うん。ちょっと早めに来て絵里にストレッチ手伝ってもらってたから」
「ほんまかぁ~。あ、絵里昨日話してた服屋行ってきたやよ♪」
「ほんとに♪」
絵里が、愛ちゃんの方へ向かおうとする時僕の耳元でこう囁いた。
『また、一緒にストレッチしましょうね♪』
僕は、その後なぜかレッスン場で筋トレを始めていた。
- 662 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/07/11(水) 00:40
-
今回は、亀井さんを中心に…
チョイエロでw
>>659 匿名さん
ラジオ聞いてないんですが、なんか作品見ただけで、修羅場みたいな
感じがしますねw
女の子って怖いなぁ~って、この作品見て改めて思いましたね…
今週中にもう一本書けたら書きます。三連休は、暇なので…(泣)
- 663 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:00
-
「おはようございまーす」
久住さんとの、ちょっとした遊びが終わってすぐ。
ドアが開く音と共に、聞き慣れた声が楽屋に響いた。
「あー、ミッツィーおはよー」
「おはよ。お邪魔してます」
「あ、せんぱいに久住さん。おはようございます」
ペコリとお辞儀しつつ、改めて挨拶してくれる光井さん。
そんな彼女を見てふと思い、久住さんに問いかける。
「光井さんは…どう?」
「はい?」
「さっきの、太陽は誰かって話」
「…なんでですか?」
「………」
「………」
「…いや」
「え?」
「ごめん。なんでもない」
…自分のアホ。
- 664 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
-
「ミッツィー」
「はーい」
言いながら、久住さんが手招きする。
光井さんは笑みを浮かべながら、トテトテと寄ってきた。
「おふたりで、なにしてたんですか?」
「えっとねー、地球とその仲間たちの話」
「…へ?」
光井さんが首をかしげる。
「光井さん、太陽系」
「…あー」
「七夕でしょ今日。織姫星のことから、話が飛んでさ」
「そういえば、七夕でしたね今日」
「そうそう。それで、せんぱいが太陽なの」
「…はい?」
光井さんが再び首をかしげる。
久住さん…もうちょっと説明してあげないと、ね。
「僕が太陽で、光井さんたちが惑星なんだってさ」
「………」
「ほら、数。ぴったりじゃない?」
「…なるほど」
指折りしながら、光井さんが答える。納得したようだった。
- 665 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
-
「…わたしは、冥王星かな」
「え?」
「………」
「…なんで、そう思うの?」
「うーん。いちばん年下、だから?」
「………」
「あ、いや。なんとなくです。なんとなく」
「………」
そう言って、ごまかす光井さんだったけど。
自らの謙譲と、他のメンバーへの尊敬を意識した言葉に思えた。
まだ14歳、中学生の光井さんだけど。
こういうところが妙にしっかりしてて、感心する。
「せんぱい」
「………」
「せんぱい?」
「あ、ごめん。なに?」
「太陽にいちばん近いのって、確か水星ですよね?」
「ああ…そうだね」
「…誰でしょうね?」
「え?」
「せんぱいが、太陽なら」
「…うん」
「水星は?」
「………」
- 666 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:02
-
質問の真意。分かったような、分からないような。
そして、答えられないというか、答えたくないというか。
僕を見つめる光井さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべている。
どうやらからかわれているらしく、ちょっと憎らしく見えた。
…よーし。
- 667 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:03
-
「光井さん」
「…え?」
「光井さん、だよ」
「………」
顔を赤くする光井さん。
さっきから一転して、とても可愛らしく見えた。
「や、でもお」
「なに?」
「わたしはー。ほら、さっき」
「うん。光井さんはそう思ってるのかもしれないけど」
「………」
「僕は、そうじゃないから」
「………」
「…だめ?」
「え?」
「僕がそういう風に思ってるの、迷惑?」
「やっ、そんなこと。…でもぉ」
「でも?」
「………」
今度は、俯き加減でモジモジし始める光井さん。
ちょっと、やりすぎたかな。
- 668 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
-
「…ごめん」
「え?」
「冗談」
「………」
「光井さんの質問、ちょっと意地悪だったから。つい」
「…もう」
「うん。でも、ごめんね」
「いえ、わたしも。ごめんなさい」
一瞬、頬をふくらませた光井さん。
けど、すぐに笑顔に戻って、許してくれた。
「…でもさ」
「はい?」
「100パーセント、冗談ってわけじゃないよ」
「………」
「初めて会ってからまだ半年だし」
「………」
「仕事も、別々のこと多いじゃない?」
「…はい」
「だから光井さんのこと、まだよく分かってないと思う」
「………」
「だから…気になってる、っていうか」
「………」
「うまく、言えないんだけど」
「…わたしも」
「え?」
「おんなじこと、思ってました。たぶん」
「…そっか」
「はい」
「………」
「………」
そう2人で言いあい、2人で見つめあって。
そして、2人で笑いあった。
- 669 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
-
「…ちょっとー」
「「あ…」」
やばい。すっかり忘れてた。
「なに2人でいい雰囲気作っちゃってるんですかー」
「ごめんなさい」
「ごめん」
「だめです」
光井さんと違って、久住さんはなかなか許してくれなかった。
- 670 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:05
-
>>647-654 の続きということで。
これで7人、順番に、ひと通り登場させ終わりました。
最後の方は、無理矢理です。こんなんでどうもすいません。
>>656-658
へぇー、こんな話が。知りませんでした。
>>660-661
こういう描写って難しいと思いますが、うまくこなされますね。
- 671 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:43
-
パーティを終えた帰り道、比較的近くに住むメンバーを送り終えた僕は車を停めミラー越しに後部座席へ目をやった。
綺麗にラッピングされた色とりどりの荷物に囲まれて、窓ガラスにもたれて静かな寝息。
一つだけ、膝の上にあるのは僕が送ったプレゼントだった。
「そんなに抱え込まなくても……」
両手で包むように大事そうに抱えられたそれは、さゆが本当に喜んでくれたという印のようでこっちまで嬉しくさせられる。
腕の中にあるそれを誰にも取られるもんかって、そんな風に主張しているみたいだった。
「誰も取ったりしないのにね」
喉を鳴らすように笑ったのが聞こえたんだろうか、さゆが「んっ」と吐息を洩らす。
ミラー越しのさゆが薄く目を開き、確かめるように瞳をさまよわせた。
「さゆ?」
後ろへ半身を乗り出して問いかけるように名前を呼ぶと、薄く開いていた瞳が僕へ向くのが解った。
- 672 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:43
-
「さゆ」
「……せんぱい?」
もう一度、抑えた声で呼びかけると、寝ていたためだろう僅かに掠れた声が返ってくる。
「さゆみ…、寝ちゃってたんですね」
「はしゃぎすぎたんじゃない?」
そうからかうと、少し身体を起こしたさゆが「そんなことないですぅ」と可愛らしい反論をしてくる。
その口振りがとても“らしくて”、僕は更に言葉を重ねる。
「いくら主賓だからってあんなにはしゃげば疲れるのも無理ないよ」
「イーッだ。……せんぱいイジワル」
拗ねる仕草も自分で言うだけあってなかなかに可愛らしいけど、本当に拗ねられると厄介なことも学んでいる。
引き時だと判断して話題を変えるために目に付いたものへ話を流した。
「にしてもさ、そんなに喜んでもらえた? それ」
「え? あぁ」
さゆは腕の中の包みに目を落とし、そのプレゼントを見つめたままで、ポツリと「嬉しいですよ」と呟いた。
- 673 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:44
-
「気に入ってくれたなら嬉しいけど。自分で言うのもヘンだけど、大した物じゃないのに」
「せんぱいがくれた物だから」
「そりゃどーも。結構悩んで決めたものではあるんだけどね。こないだのお詫びの意味――、あっと」
「おわ…なんのことですか?」
「…ほら、桃子ちゃん」
「ああ、あれ。あれは別に」
「解ってる。好きは好きなんだよね」
「そーですよ。ただあのときだけぇ……」
「うん。だから。あのときのお詫び」
そう改めて言った僕を何故だかさゆはじっと見つめている。
少し首をかしげてチラリと視線を逸らしたさゆは、少し表情を変えて話し出した。
「なら、一つお願いしていいですか?」
「…なにを?」
「オッケーしてくれなきゃ言いませんっ」
- 674 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:45
-
妙な押しの強さにイヤな予感はしたけれど。
まあ誕生日祝いだと思って取り敢えず了承の言葉を返す。
「……いいよ」
「ホントに?」
「…ホントに」
「じゃあちょっとだけ目閉じててください」
「ヘンなことしない?」
「しません。ヘンなことってなんですか」
「……さあね。じゃあ、はい」
なかなか侮りがたい。
仕方なく目を閉じて、残った感覚に身を委ねる。
微かな衣擦れの音と揺らぐ気配。
半ば直感で身を退いて目を開くと、目を閉じたさゆがすぐそこにいた。
様子を窺うようにゆっくりと開いていく瞼が上がりきる前にヒョイと顔を寄せた。
「あっ」
頬へ手をやったさゆが小さな驚きを洩らし、それからなにをされたのか気がついたように呟いた。
「やっぱりせんぱいってばイジワルです」
自分の悪戯がうまくいかなかったことを残念そうに。
けれど少しだけ嬉しそうにはにかむさゆへのハッピーバースデイ。
- 675 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/15(日) 23:54
-
遅くなったけど道重さんおめ。
遅くなるけど明日は小春をなんとか…したいかな。
>>660-661 TACCHIさん
亀井さんで微エロいーですね。
明日辺りまた更新でしょうか。わくわく。
>>663-669 統計さん
ヤキモチ小春♪
いや、主役は光井さんですね。
そうか、もう書ききりましたか……で、次は?(笑)
まだまだ期待してますからねー。
- 676 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:24
-
連日の――正しくは一日空いてるけれど――誕生パーティだった。
一昨日のさゆのバースディは、翌日のスケジュールに余裕があったおかげでそれなりのものだったけれど、今日、小春ちゃんのそれは仕事終わりの控え室を借りた簡素なものになってしまった。
それは前から解っていたことだけど、たった二日違いで、しかも小春ちゃんの方が年下なのに、我慢を強いているようで可哀想だと感じていた。
もちろん小春ちゃんはそれに不平を言うわけではないし、表情に出すこともないけれど、きっと淋しく感じているに決まっている。
だから。
少しでも喜んでほしくて、ほんの些細なサプライズを用意した。
デリバリーのピザや買い込んだ飲み物、食べ物での簡単なパーティを終えて、愛佳ちゃんから順にプレゼントを渡していく。
そうして僕自身の番になり、目の前に小春ちゃんがやってくる。
「せんぱい?」
両手になにも持っていない僕へ訝るような愛ちゃんの声。
小春ちゃんは大きな瞳で真っ直ぐに僕を見ている。
「僕からのプレゼントはここにはないんだ」
「え?」
「おいで」
そう誘ってドアを開ける。
小春ちゃんの後についてこようとするメンバーへ「小春ちゃんだけだよ」って笑うと、一斉に不満を訴える声が上がる。
呆れた口調で「誰の誕生日?」と問い掛けたら瞬く間にその声が止んだ。
まあ何人かは言いたいことがありそうな顔だったけれど。
それは後でフォローするとして、今は小春ちゃんに意識を戻す。
- 677 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:25
-
廊下へ出たところでこっちを見て待っている小春ちゃんの背を押して、一つ隣の部屋の扉で立ち止まる。
「どうぞ、お嬢さま」
大仰な仕草で小春ちゃんに、開けた扉の奥を指し示す。
照明だけがつけられたテーブル一つしかない部屋へ小春ちゃんが入ったことを確かめて、後へ続いた僕は後ろ手に扉を閉める。
その音で振り向いた小春ちゃんが不思議そうな表情を見せたそのとき、なにも言わずに照明を落とした。
「きゃあ!?」
突然の暗闇に小春ちゃんの悲鳴が重なった。
僕は闇の中で感覚的に伸ばした手で小春ちゃんを捉える。
「やあっ、せんぱい!? 怖いよおっ」
「大丈夫だから。すぐそばにいるから。ね? 落ち着いて」
「っ……、せんぱい」
よほど怖かったのかしがみついて離れない小春ちゃんを片手に、空いた手でそっとスイッチを探った。
指先に触れた感触でそれがそうだと解り、スイッチを入れると僅かな光源となる。
まったく見えなかった小春ちゃんの顔が見えて、ちょっと申し訳ない気持ちになった。
その大きな瞳にうっすらと涙を浮かべ、僕の腕を掴んだ手が強ばっていることも解ったから。
「ごめん。ちょっとやりすぎた」
「…せんぱぁぃ」
顔を上げた小春ちゃんが僕を見つけ語尾が弱く震える。
驚かせたいとは思ったけれど怖がらせるつもりなんて無かった。
- 678 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:26
-
「ごめんね。ちょっと驚かせようとした。ホント、ごめん」
「…せんぱい?」
「見て」
「え? ……うわぁ」
僕に釣られるように視線をあげた小春ちゃんが感嘆の声を上げる。
「星だぁ」
「うん。なにがいいかなって考えたとき、この前した話を思いだしたんだ」
「この前? あっ」
「小春ちゃん専用の星たち」
「嬉しいです。ありがとうございます」
僕の腕を掴んでいた手から力が抜けて、いつの間にか優しく絡めるように変わっていた。
その手が不意にクンと引かれる。
「せんぱい?」
「うん?」
「小春専用なんですよね?」
小春ちゃんが満天の星を見上げてそう確認してきた。
言うまでもなく、それは小春ちゃんのためのものだから。
「そうだよ」
「なら……こうやってる小春の横は、せんぱい専用です」
「…そっか。うん、嬉しいね」
「嬉しいですかあ?」
「うん。嬉しいよ」
「せんぱいが嬉しいと小春も嬉しいです」
そう笑う小春ちゃんはこの部屋を埋める星たちでは到底敵わない。
作られたそれではない自然な、素敵な笑顔を浮かべていた。
- 679 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/17(火) 02:27
-
小春おめ
- 680 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 22:59
-
「うーん」
いつもの楽屋。
大きな鏡を前に、前を向いたり横を向いたり。
いつも以上に、自分の身なりが気になっていた。
とある番組の収録。その都合で、スーツを着ることになった。
仕事でまともにスーツを着るのなんて、初めてかもしれない。
最初は、番組の方で用意してくれることになっていたけど。
丁度よい機会だと思って、自分で新調することにした。
仲の良いスタイリストさんに、いろいろアドバイスをもらって。
そうして完成した一着を今、身につけている。
注文したときには、それなりに納得したつもりだった。
しかし、ひとりでこうして着てみると、どうにも違和感がある。
普段、滅多に着ないこともあるんだろうと思う。でも。
「…着られてる、かな」
自嘲と諦めの混じった言葉を吐いて、鏡から離れた。
- 681 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:00
-
コンコン
みんなの楽屋への入り口。来訪を告げる。
「遊びに来ませんか?」
高橋さんからの誘いの電話。
今の自分の格好のことをすっかり忘れて、
いつもの調子で応じてしまったことを少し後悔していた。
「笑われちゃうかな」
さっき鏡の前で抱いた感情をそのままに、ぼやく。
と、目の前の扉が開いて高橋さんが現れた。
「せんぱい?」
「高橋さん」
「あ…」
「…来たよ」
「………」
「…高橋さん?」
「………」
言葉を発しない高橋さん。その視線が上下に動く。
- 682 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:01
-
「…変?」
「えっ?」
「いや、服」
「あ、やっ」
「高橋さん黙っちゃったから」
「………」
「やっぱり、おかしかったかなって」
「いや、あの。ほやなくてっ」
「ん?」
「ちょっと、びっ、びっくりしてしもうて」
「…そっか」
「はい…ごめんなさい」
「そんな。謝らないでよ」
「はい…ごめんなさい」
「いや、だから」
「あ…はい」
「うん」
「あ。とりあえず、どうぞ?」
「…うん。お邪魔します」
…びっくりした、か。
それはそれで、ちょっとショック…かも。
- 683 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:01
-
高橋さんに続いて、楽屋の中に入る。
「せんぱいのスーツ姿って、初めてかも」
「だよね」
「はい。なんか、新鮮ですね」
高橋さんが改めて、僕の方を眺めてくる。
「せんぱい?」
「なに?」
「クールビズ、ですか?」
「え?」
「だって」
高橋さんはそう言って、手を何かつまむような形に変える。
それを自分の首にあて、次いで胸元の方へと動かしていった。
「ああ、ネクタイ?」
「はい」
「まだ時間あるから、後でしようと思って」
「あ、そっか」
「うん」
「………」
少し考える風の高橋さん。次の言葉を待った。
- 684 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「…せんぱい?」
「なに?」
「その、よかったら」
「うん」
「わたしが…締めて、あげましょか?」
「え?」
「ネクタイ」
「………」
控えめな、そしてためらいがちな提案。
即答できずに黙っている僕に、高橋さんが続ける。
「…イヤ、ですか?」
「あ、いや」
「………」
「嫌ってことは、ないんだけど」
「したら」
「…じゃあ、お願いできる?」
「はい!」
「持って来るから、ちょっと待ってて」
「はい、待ってます」
…まあ、いっか。
結局押し切られた形になってしまったけど。
嬉しそうな高橋さんを見て、そう思った。
- 685 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「よろしくね」
「はい、せんぱい」
高橋さんは、僕が差し出したネクタイを受け取ると、
僕のすぐ目の前まで寄ってきて、シャツの襟に手を添えてきた。
とても慎重な、高橋さんの手つき。
慣れていないというのも、もちろんあるんだろうけど。
とても大切に扱われているように感じられて、すごく心地よかった。
それと。
…ドキドキする。
なんだろう、これ。よく分からない。困った。
と、とにかく。気づかれたら、すごく気まずい。きっと。
そう思って、動揺を表に出すまいとした。その矢先。
僕の首に手を回したまま、高橋さんの動きが止まる。
「せんぱい」
「な、なに?」
「わたし、さっき嘘つきました」
「さっき、って?」
「ドア開けたとき。せんぱい見て、びっくりしたって」
「ああ、あれ」
「はい。でも、びっくりしたんやなくて」
「うん」
「見惚れちゃってた。わたし」
「…え?」
「かっこいいです。せんぱい」
- 686 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「………」
上目遣いの高橋さんから投げられる視線と、
ストレートど真ん中な褒め言葉。
さすがに照れくさくて、否定してしまいたくなる。
「また…冗談ばっかり」
「んなことないです。それとも」
「…え?」
「せんぱいは、わたしが嘘つきだって。そう思うてるんですか?」
「いや、そんなこと」
「はい。ホントですから」
「………」
「せんぱい?」
「…うん。ありがとう」
笑みを浮かべる高橋さん。再び手が動き始める。
そして。
「この前と、逆になりましたね」
「この前って?」
「ほら、レッスン場」
「…あっ」
「ね」
「…そうだね」
「はい。お返しです、せんぱい」
高橋さんの笑顔。
さっきのより何等級も、明るく輝いていた。
- 687 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:04
-
…ベタなネタで、なんとも頂けないですが。
>>643-645 をご覧になってから戻ってきてくださると、なお良しです。
匿名さん、設定拝借しました(^^;
>>671-674
さゆが積極的ですね、最近(^^)
>>676-678
また使ってくださったようで。嬉しいですね、こういうの。
小春ちゃんも喜んでくれたようで、よかったよかった。
- 688 :名無し娘。:2007/07/21(土) 02:45
- ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!
- 689 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:10
-
「ちょっとお」
薄いピンクのルージュがひかれたくちびるがそう動いていた。
言葉としては伝わってくる。けれどそれが意味を成すには、僕はあまりに……驚いていた。
いや、見惚れていたという方が正しいかもしれない。
「どした? だいじょーぶかい? これ」
「や、どうなんでしょ」
「飯田さんみたいんなっちゃってますね」
近くにいた二人と話している声がする。
新垣さんと愛ちゃん、だったと思う。
「おーい。戻っといで」
ぶんぶんと小さな手が目の前で振られ、そのままぺちりと僕の頬を刺激した。
そのあまりにやわらかな感覚が僕を現実へと引き戻す。
- 690 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:11
-
「あっ……」
「あ、帰ってきた? カオリみたくなったかと思ったっしょ」
「や、あの…、はあ」
「久しぶりに遊びにきたのにさ。人の顔見ていきなりどっかいっちゃうんだもん。
なあんかもう、安倍さんちょっとショックだよ」
ふいに楽屋へ……、僕が遊びにきていた娘。の楽屋へ顔を出した安倍さんが、拗ねた演技で僕を責める。
芝居だと解っていながら、僕はその責める仕草にドキリとさせられてしまう。
「だ、だって安倍さん……。その……」
「なーに? 言ってごらん」
「その……、髪」
やっとそう口にした僕へ、安倍さんがクスクスと笑った。。
リズムでも取るように小さく身体を揺らし、「切っちゃった」と、ただ一言。
- 691 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:14
-
「はあ…。ビックリ、しました」
「そんだけ?」
「っと、あ~……、可愛い、です」
「年上に向かって可愛いはないっしょ。でも……ほんと?」
「はい。ホントに。やっぱり僕の中の安倍さんはショートのイメージが強くて」
不満げだった口調が瞬く間に変わった。
雲間から光を差す太陽みたいにあったかい笑顔で。
「そっか。うん。ならよかった」
「え?」
良かった? なら?
その言葉に繋がる“元”が思い浮かばず困惑した僕へ、少しからかいを滲ませた安倍さんが笑う。
「ん。なんでもないよ」
「ちょ…、ええ?」
「はい。いいから。思い出さなくて」
少し慌てた安倍さんがそう言った。
思い出す……?
そしてさっき自分で口にした言葉が。
「あっ! でも…」
まさか、と。
一つだけ思い当たったシーンが僕の口を動かし、安倍さんは何とも言い難い表情になる。
「僕……、ですか?」
「……どうかなあ」
曖昧な、どうとでもどうにでもとれる呟きを残して視線を逸らせた。
その横顔が嬉しそうに見えたのは、それに短くなった髪からのぞく耳朶が赤く見えたのは、僕の気のせい……なのかな?
- 692 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/25(水) 00:14
-
時期的なことは脳内で補正してください(^_^;)
>>680-686 統計さん
スーツかあ、なるほど。
いいなあ…不馴れな愛ちゃんにネクタイ締めてもらう……はぅ
うまく使っていただいたので、こちらもまた虎視眈々と狙ってようと思います(笑)
- 693 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:32
-
「はいっ、できました!」
「うん、ありがとう」
首まわりにほどよく収まったネクタイを感じつつ、
高橋さんにお礼を伝えてから、ほどなく。
「おはようございまーす」
「あ、おはよ」
「おはよう、亀井さん」
「…あーっ!」
…参ったな。
この調子じゃ、他のみんなにも同じ反応をされそうだ。
「せんぱい、スーツじゃないですか」
「う、うん」
「へぇ…」
「………」
「うん。とっても素敵です、せんぱい」
「あ、ありがと」
笑みを浮かべ、軽い調子でそう話す亀井さん。
高橋さんとの違いに、少し戸惑いを覚える。
- 694 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:32
-
「…けど」
「え?」
「曲がってないですか?」
「なにが?」
「ネクタイ」
亀井さんが、僕の首元に顔を近づけてくる。
「そんなこと、ないと思うけど」
「…せんぱい?」
「うん?」
「ちょっと、そのままでいてください」
そう言いながら亀井さんは、僕の返事を待たずに。
高橋さんが締めてくれたばかりのネクタイを、
するすると、ほどき始めてしまった。
「あ…」
高橋さんの口から漏れた、弱々しい声。
その意味が痛いほどよく分かって、慌てる。
「ち、ちょっと」
「せんぱい、そのままです」
「いや、あの」
「………」
「あ、高橋さん!」
もはや聞く耳持たずの亀井さんと、
楽屋の出口へと駆けていく高橋さん。
結局僕は…2人とも、止めることができなかった。
- 695 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:33
-
「できましたー」
「あ、ありがと…」
狼狽えつつも、とりあえず、お礼の言葉を返す。
一方亀井さんは、とても満足げな表情。
けど、僕の前から離れようとはしない。
「…亀井さん?」
「えへへ」
「な、なに?」
「…えいっ」
「わ!」
かけ声とともに、僕の胸に飛びついてくる。
思いも寄らぬ展開に、その場で固まってしまった。
「か、亀井さん?」
「………」
「急に、ど、どうしたの?」
「…せんぱい」
「………」
「すっごく、ドキドキしてますよ?」
僕の胸に耳をあてている亀井さんが、ささやく。
鼓動は、意志に反して大きくなるばかりだった。
- 696 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:34
-
ようやく離れてくれた亀井さん。
さっきの行動の理由を、説明してくれた。
「前に、読んだことがあるんです」
「…なにを?」
「女の人にネクタイを締めてもらうとドキドキする、って」
「………」
「ちょっと、試したくなっちゃいました」
「それで、あんなこと?」
「はい。ごめんなさい、いきなりで」
「………」
「でも、よかった」
「え?」
「せんぱい、ちゃあんとドキドキしてくれました」
「………」
もはや隠しようのない事実と、
頬の染まった亀井さんから注がれる視線。
気まずさと恥ずかしさの大波が、僕に押し寄せる。
「で、でもさ」
「はい?」
「いきなり抱きつかれたら、普通ドキッとするでしょ?」
「あ、そっかあ」
「…うん」
「…でも」
「な、なに?」
「えへへへ」
そんなのどうでもいいんです、とでも言いたげに。
亀井さんの表情はさっきと全然変わらなくて。
理屈をこねることで試みた、わずかばかりの抵抗は
さざ波を起こすことすら、できなかった。
- 697 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:35
-
「…あ」
「はい?」
「だとしたら、さ」
「はい」
「ネクタイが曲がってた、っていうのは?」
「はい。ちょっと…嘘ついちゃいました」
「…やっぱり」
瞬間、僕の意識は切り替わる。
「あっ、せんぱい?」
「ごめん、ちょっと出てくる!」
- 698 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:36
-
楽屋を飛び出していった高橋さん。
幸い遠くには行ってなくて、すぐに見つけることができた。
「高橋さん…」
「…せんぱい」
「…うん」
「ごめんなさい。わたし、へたっぴで」
「高橋さん、違うんだ」
「え?」
「亀井さんも、ネクタイ締めてみたかったんだって」
「………」
「曲がってる、っていうのは口実だったみたい」
「…そうですか」
「うん。だから」
「………」
「ね」
「…はい」
予想に反して、高橋さんの表情は晴れきらない。
まだなにか、気にしていることがあるんだろうか。
- 699 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:36
-
「亀井さんのこと…許してあげて」
「許すもなんも…怒ってなんかいません」
「…ホントに?」
「はい。大切な仲間やし」
「…そうだね」
「はい。けど」
「え?」
「ライバルでもあるんやって、思いました」
「…ライバル?」
「…はい」
「………」
その言葉の意味、なんとなく、分かれていない気がする。
そう思って、真意を尋ねようとしたけど。
「せんぱい」
「う、うん」
「戻りましょ」
高橋さんは、その機会を与えてくれなかった。
- 700 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:46
- >>680-686 の続きです。
>>688
萌えていただけたようで、なによりです。
>>689-691
なんか、待ちかまえていたかのようなお話ですね。
遂に髪キッタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! という感じでしょうか
- 701 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/26(木) 19:38
-
>>693-699 統計さん
続いてくれてありがとー。
そうですか、ライバルとして認識しましたか(^_^;)
読みながら自分の想像(妄想)したのとは違う流れになったのが素敵でした。
さて、なんか考えるぞー。
- 702 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:14
-
とある病院の、待合室。
何かを見ているようで、何も見ていない。
誰かを待っているようで、誰も待っていない。
備え付けの長椅子に座ったまま、呆けたように。
去来する記憶と感情に呑まれ、流されていた。
- 703 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:15
-
ハロモニの収録。
最後に、ちょっとだけ遅れてやってきた亀井さん。
挨拶をと思って顔を見た途端、不安になる。
前にも見たことのある、調子が悪いときの表情だった。
「亀井さん?」
「…おはようございます」
「大丈夫?」
「え?」
「調子、悪いでしょ?」
「………」
「無理しない方が、いいよ?」
「…せんぱい」
「ん?」
「ありがとう」
「…うん」
「でも大丈夫。平気です」
「………」
心配させまいとするその言葉、予想はしてたけど。
安心することなんて、できるわけなかった。
- 704 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:15
-
案の定、亀井さんの体調は悪くなる一方に見えて。
見るに見かねた僕は、番組のスタッフさんに
休ませてあげてほしい、とお願いした。
しかし。
スタッフさん達は、いい顔をしてくれない。
今後の予定とか、いろいろ都合があったんだろう。
当然だ。そんなの、分かっているはずだったのに。
そのときの僕は、我慢することができなくて。
ちょっとした言い争いにまで、発展させてしまった。
大丈夫だから、と口では僕を制する亀井さん。
けど、結局収録どころではなくなってしまって、
近くの病院で診てもらうことになった。
先に収録の終わった僕は、単身病院へと駆けつける。
亀井さんは眠っていて、覚醒するにはまだかかるから、
今日の面会は諦めた方が良いとのことだった。
看護師さんがたまに通るだけの、静かな待合室。
備え付けの長椅子に腰掛ける。と。
さっきまでの記憶や感情が、どっと吹き出してきた。
- 705 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
…しばらくして。
「せんぱい?」
「あ、新垣さん」
「…カメは?」
「落ち着いたみたい。今、眠ってるって」
「そうですか」
「収録、終わった?」
「はい。他のみんなは、別の仕事があって」
「…そっか」
「はい」
「………」
「あの。隣、いいですか?」
「あ、うん」
僕の隣に腰掛けてきた新垣さん。
少しの沈黙を挟んでから、言葉を継いできた。
「…びっくりしちゃいました。さっき」
「ん?」
「せんぱい、珍しく怒ったから」
「………」
「………」
「…だって、さ」
「はい?」
「ライブとかなら、多少無理するのも分かるけど」
「………」
「あの番組で。あの内容で」
「………」
「無理させる必要なんて、あるの?」
「…せんぱい」
「そう思ったら…抑え、きかなくなって」
- 706 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
思わず吐露してしまった今の気持ちと、
その毒にあてられて、明らかに困った風の新垣さん。
しまったと思い、慌てて取り繕いの言葉を探す。
「…ごめん」
「え?」
「こんなこと言っちゃ、いや、思っちゃ駄目だよね」
「………」
「それと、もうひとつ謝らないと」
「…なんですか?」
「やりづらくなっちゃったでしょ。収録」
「………」
「ホント…ごめん」
「せんぱい…」
「………」
「せんぱい?」
「ん?」
「なんで…震えてるんですか?」
「…あ」
全然、気がつかなかった。でもその理由は。
「…偉い人たちに、生意気言っちゃったし」
「………」
「どうやって責任とろう、なんて考えたら」
「………」
「ちょっと、ビビっちゃったかも」
「………」
戸惑いの表情を隠さずに、新垣さんが僕を見つめる。
弱ったところを見せてしまったことを、ひどく悔いた。
そして、今度はどう言い訳しようかと。考え始めた、その時。
- 707 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
「せんぱい」
「…うん」
「その、責任の取り方とか」
「………」
「そもそもせんぱいに責任があるのか、とか」
「………」
「そういうの、よく分からないですけど。でも」
言いながら、新垣さんは僕の両手を取って。
自分の両手で、そっと包み込んでくる。
「…新垣さん」
「その震えは、止めてあげます」
「………」
「わたしの、責任で」
「………」
手から伝わる、新垣さんの体温。
心の中の、チクチクとした何かが溶けていくような感覚。
不思議な、けど心地良いそれに、少しの間身を委ねていた。
- 708 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:17
-
「新垣さん、ありがとう」
「もう、大丈夫…ですか?」
「うん」
「…よかった」
「え?」
「せんぱい、いつもの顔に戻ってくれました」
そう言う新垣さんも、いつもの笑顔に戻っていて。
僕も胸をなで下ろしかけたんだけど。
「…それにしても」
「うん?」
「カメがちょっと、羨ましいかも」
「羨ましい?」
「…はい」
「………」
「せんぱい?」
「なに?」
「もし、わたしがカメみたいになったら。せんぱいは」
「………」
「………」
「…新垣さん?」
「…いえ」
「え?」
「なんでも、ないです。ごめんなさい」
そう言って、何故か謝る新垣さんの表情は、髪に隠れて。
窺い知ることは、できなかった。
- 709 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:21
-
前々回のハロモニを見て、考えました。
完全に時機を逸してますが。
- 710 :名無し娘。:2007/08/07(火) 22:41
- ガキさぁぁーん・・・
- 711 :-笑顔の君-:2007/08/08(水) 23:48
-
亀井さんが、入院した次の日。お見舞いのフルーツを持って再び病院に行くと、
亀井さんに似た女性が僕に会釈した。僕も、不思議な感じで会釈する。
「どうも、亀井の母親です。いつも、お世話になってます」
「あ、こちらこそ、亀井さんにはいつもお世話になってます」
慌てて再び頭を下げる。亀井さんのお母さんは、亀井さんに似ていてお母さんには見えなかった。
「あの子今寝ちゃってね」
「あ、そうなんですか? じゃあ、これ亀井さんに…」
「●●くん、ありがとうね。そうだ、ちょっと時間いいかしら?」
「は、はい。今日はオフなんで…」
「じゃあ、そこの喫茶店でいいかしら?」
病院内にある喫茶店に入って、向き合って座る。なんだか、ちょっと恥ずかしかった。
- 712 :-笑顔の君-:2007/08/08(水) 23:49
-
「●●くん」
「はい」
亀井さんのお母さんが僕に深々と頭を下げる。
「あ、あの・・・」
「絵里のこと、本当にありがとうございます。●●くん、スタッフさんに言ってくれたんですって?」
「そ、そんな・・・でも、止めることできませんでした・・・」
「絵里ね、あなたのこと話すときすっごく笑顔なの。先輩から今日お菓子もらったぁ~だとか
先輩に丁寧にダンス教えてもらったとかね」
亀井さんのお母さんの話を聞くたびに、亀井さんの笑顔が想像できた。
「今日もね、私に『先輩が、娘。に居てよかった。絵里、先輩の後輩でよかった』って笑顔で・・・」
僕は、その言葉に涙がポロポロと頬を伝うのがわかった。お母さんから、ハンカチを渡される。
「グスッ…すいません。すっごく嬉しくて…。・・・あの絵里さんに伝えてくれませんか?
僕は、君が後輩で本当によかったと思ってるよ。早く笑顔で僕たちの…仲間の所に戻ってきてくれって」
「はい。伝えておきます」
「あ、すいません。ハンカチ・・・洗って返します」
「いいのよぉ~、気にしないで」
「じゃあ、僕そろそろ・・・」
「ありがとうね」
「こちらこそ、ありがとうございました」
亀井さんのお母さんに深々と頭を下げて病院を去る。
お見舞いに行ったはずなのに、なぜか僕が元気を貰ったそんな一日だった。
絵里、君の笑顔が大好きです。
- 713 :TACCHI:2007/08/08(水) 23:53
- すいません、パソコン壊れてしまい更新できませんでした・・・
亀井さんのお母さん、初登場ですw
>>709 統計さん
コラボさせていただきました。しかも、亀井さんも想像でしか登場しないという・・・(汗)
ガキさんの話も一瞬考えたんですが、こっちの話の方が話が先にできたんで、
こちらを載せましたが、いかがでしたでしょうか?
ハロモニ最近見てないなぁ~。見なきゃ・・・
- 714 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/09(木) 00:22
-
>>713
これはこれは、お久しぶりです。
で…こういうの、本当に嬉しいです。ありがとうございます
ガキさんバージョンも、是非(^^)
- 715 :名無し娘。:2007/08/09(木) 08:22
- おか絵里
- 716 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/08/10(金) 02:39
- ( M _ O)<恥ずかしながら帰ってまいりました・・・
リハビリ1発目、いかせて頂きます
(リハビリで大転倒する可能性ありですが・・・)
- 717 :-仲間外れ???-:2007/08/10(金) 02:40
-
秋のツアーに向けてリハーサルが始まった頃・・・
リハが終わって楽器を片付けて最後に楽屋に戻った僕を待っていたのは
何とも不思議な光景だった。まず、楽屋に入る扉の前にはジュンジュンが立っている、
そしてその足元には僕のバッグと大きなビニール袋がひとつ・・・
「ジュンジュ~ン、何してんの???」
僕はジュンジュンに尋ねる
「あ、●●センパイ、これ」
僕はジュンジュンが指差す楽屋の扉を見る、するとそこには貼り紙が1枚貼ってある
---●●先輩、入室禁止!!(着替えには隣の部屋を使って下さい)---
の一言、それからいたる所に普段みんなが書いているイラストが書いてあった・・・
「え~???なんだこれ???」
思わず僕はそう呟いてしまった。
ジュンジュンの方を見ると、どう説明していいのかわからないような顔をしている・・・
それは恐らく言葉の方の問題であって、楽屋の中で何が行われているのかは知っているのだろう
ジュンジュンをここで問い詰める意味はないし、よくよく考えれば年頃の女の子の集団である
モーニング娘。・・・・・・・・・その中で唯一の男である僕抜きで話したい事もあるのだろう・・・
そうなると・・・・・・・・・ジュンジュンは中にいなくていいのか・・・・・・う~ん???
考えれば考えるほど頭が痛くなってきた僕は半分諦めのような返事をジュンジュンに伝えた
- 718 :-仲間外れ???-:2007/08/10(金) 02:41
-
「OKOK♪I change clothes in room next to mine.」
(オッケー、僕は隣で着替えるよ)
僕がそういうとジュンジュンは安心したような表情になった・・・
なんだか釈然としないものが心には残っているが、別にこんな日があってもいいだろう
・・・・・・でも、実質仲間外れになって扉の前に立たされてるジュンジュンがかわいそうだ・・・
格好を見るともう着替え終わっているようだし、一緒に帰ろうかな・・・
「ジュンジュン、一緒に帰る???」
「うん♪」
「じゃあ、ちょっとここで待ってて」
僕が誘うと、ジュンジュンは嬉しそうな顔で答えてくれた
僕が着替えてくる間にジュンジュンも楽屋から荷物を取ってきたようで準備は万端
二人揃ってリハーサルスタジオから家路につく、途中でジュンジュンがお腹が減ったと
言うのでいつものラーメン屋さんに寄ってから帰宅した
初めてジュンジュンと2人でゆっくり話し込んだけど、本当に日本語上達したな~
まだまだ微妙なニュアンスとか難しい言葉はわからないけど、そこは僕の底の浅い英語で
なんとかなった・・・・・・のかな・・・(汗)
うん、今日は実りの多い良い日だったな~・・・なんて事を考えながら僕は眠りについた
---翌日---
今日も一番乗りで楽屋に入りみんなの到着を待つ・・・これはいつもの事なんだけど
いつもと違うのはみんな鬼のようにテンションが低い・・・
ジュンジュンと久住さんの2人を除いて・・・・・・・・・・・・
ジュンジュンはいつも通りなんだけど、久住さんはみんなと逆で朝から凄いテンション
昨日の事を聞いてもみんな一様に「ごめんなさい、秘密なんです」としか答えない・・・
いったい何があったんだろう???
このメンバー間コントラストの謎が解けるのには、およそ一週間を必要としたのだった・・・
続いていく・・・はず(汗)
- 719 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/08/10(金) 02:43
- あとがき
( M _ O)<う~ん、やっぱり頭の中を文字で表すのって
最高に難しいっす・・・でも、楽しい♪♪
- 720 :名無し娘。:2007/08/10(金) 03:14
- 続きに期待
- 721 :名無し娘。:2007/08/11(土) 17:28
- どんどん書いてほすぃ
- 722 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:28
-
亀井さんの一件から、1週間後。
ハロモニの収録に、僕は真っ先に駆けつける。
そして、番組のスタッフさんに、この前の非礼を詫びた。
謝る必要なんかないよ、とみんなに気遣われて。
感じていた負い目が、少しだけ拭われたような気がした。
しかし。
今度は、僕の番だった。体調が、芳しく…ない。
朝起きたときに嫌な予感はしていて。やっぱりだった。
夏風邪プラス夏バテ、そんなところだと思うけど。
タイミングが、最悪だった。よりによって、何故今日なのか。
とにかく…今日は、死んでも倒れるわけにはいかない。
明日はオフだから、今日さえなんとか切り抜けられれば。
そう思って。そう覚悟を決めて。収録に臨んだ。
- 723 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:29
-
その日の夜。
ベッドに横たわり、体温計を見ながら、ため息をひとつ。
熱、咳、のど。典型的とはいえ、激しい症状が辛かった。
けど、何とかごまかすことはできたはずだ、と。
誰にも気づかれなかったはずだ、と。
確認するように、今日の収録のことを思い出していた。
…ほどなくして。
着信音。
ベッドから這い出て携帯を取る。亀井さんからだ。
声を整えるための、何回かの咳。そして、ボタンを押す。
- 724 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:30
-
「…もしもし?」
「もしもし、せんぱい?」
「亀井さん、おつかれさま」
「おつかれさまです」
「うん」
「せんぱい、今、家ですよね?」
「え?」
「家にいますよね?」
「あ、うん」
「今から行きますから」
「えっ?」
「そのままで、いてください」
「ちょ、ちょっと」
「………」
「亀井さん?」
「………」
切れて…しまった。急に、どうしたんだろう?
- 725 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:31
-
あれから5分も経たずして、亀井さんはやってきた。
すぐ近くで電話してきたらしく、さすがに慌てたけど。
なんとか着替えだけを済ませ、玄関へと急いだ。
「亀井さん?」
「はぁ、はぁ…せんぱい」
ビニール袋を手にした亀井さん。
息を切らせていて、いよいよただ事ではない。
「そんなに急いで…どうしたの?」
「はぁ、はぁ…」
「………」
「お、お邪魔して、いい、ですか?」
「あ、うん。あがって」
「…はい」
- 726 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:32
-
リビングで、息を整える亀井さん。
その姿が、先週の弱った亀井さんとダブって見える。
「亀井さん、病み上がりなんだから」
「………」
「そんな無理しちゃ…駄目だよ」
「…絵里、もう平気ですから」
「………」
「そんなことより」
「………」
「せんぱい…着替えましたね?」
「え」
「そのままでいてください、って言ったのに」
「え?」
「早く着替えて、休んでください」
「え?え?」
「風邪」
「………」
「ひいてますよね。せんぱい」
「………」
…そんな。
- 727 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:33
-
張り巡らしていた防御線が、もろくも崩れ去って。
のどの辺りに溜め込んでいたものが、一気に吹き出す。
「せ、せんぱい?」
「…っ」
「だ、大丈夫ですか?」
「………」
「…せんぱい」
「………」
「と、とりあえず、横になって」
「…うん」
背中をさすられながら、寝室へと向かって。
だるい体をベッドに横たえながら、恐る恐る亀井さんに尋ねた。
「もしかして、さ」
「はい?」
「みんな…知ってる?」
「せんぱいの、ことですか?」
「うん」
「…わかりません。でも」
「………」
「スタッフさんは、知らないと思います」
「…そっか」
…よかった。
一番知られたくなかった人達には、隠し通せたみたいで。
けど、そう思って胸をなでおろしたのは、まずかったらしく。
再び、激しい発作に見舞われてしまった。
「せ、せんぱい?」
「…っ」
「せんぱい…しっかり」
背中をさすってくれる亀井さんからの、いたわりの言葉。
その声は、とても痛々しくて。なんだか申し訳なかった。
- 728 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:34
-
咳が収まるのを見計らって、亀井さんが続ける。
「…せんぱい」
「…うん?」
「絵里。今日、すごく辛くて」
「え?」
「せんぱいが調子悪そうだってことに、気がついて」
「………」
「それを隠そうとしてることにも、気づいて」
「………」
「その理由も、すぐに分かって」
「………」
「分かった、から…誰にも、何にも、言えなくて」
「………」
「先週のせんぱいみたいに、できなくって」
「………」
「早く収録が終わってほしいって」
「………」
「そう思うことしか、できなくて」
「………」
堰を切ったような亀井さんの告白と、その表情。
どれほど思いつめていたのかが、痛いほど分かって。
ますます、申し訳がなかった。
- 729 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:34
-
「だから…」
「…うん」
「謝りに、来たんです」
「…え?」
「ごめんなさい…せんぱい」
「…謝る必要なんか」
「あるんです。だから…受け取ってください」
「………」
「それと」
「…うん」
「先週のお礼。まだ。ちゃんと言ってませんでした」
「………」
「ありがとう…せんぱい」
感謝を伝える、シンプルな。けど心に響く、その言葉。
求めていたわけでは、もちろんなかったけど。
こうして実際に貰えると、この上なく嬉しくて。
今の僕には一番の特効薬だって。そう思えた。
そして。
- 730 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:35
-
「…本当に、申し訳ないな」
「え?」
「あ、いや」
「………」
「いろいろ、気遣わせちゃったね」
「そんなこと」
「いや、ホントに。ごめんね」
「………」
「………」
「…せんぱい」
「うん?」
「そうやって…気にかけてくれるの」
「………」
「すっごく、嬉しいですけど」
「………」
「そうしたいのは、絵里も同じだから」
「………」
「だから…せんぱいは、謝らないで」
「………」
「ね?」
「…うん」
「はい」
諭すように、亀井さん。その表情は、幾分和らいで。
背負っていた負い目を、また少し、取り除いてくれた。
- 731 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:40
-
>>702-708 の続きです。
長くてすんません。辛抱強く読んでもらえれば…有難い
>>717-718
ジュンジュンキタコレ
続きに期待
- 732 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:38
-
帰り支度の最中、別の仕事で離れた楽屋にいたはずの先輩顔を出してくれた。
いつもの笑顔と右手に提げた魅惑的な箱と一緒に。
「差し入れもらったけど、食べる?」
そうかけられた声に何人かが目敏く反応した。
「アイスだ!」
「ケーキ?」
「どっちもハズレ」
小春とカメの勢いに先輩が笑う。
部屋の真ん中にあるテーブルで広げられたそれを真っ先にのぞき込んだのはさゆだった。
「やぁん、プリンだー」
「美味しいらしいよ」
キチンと人数分あったプリンはあっという間にそれぞれの手に渡り、みんなと同じようにプリンを手にした先輩が私と愛ちゃんの間に座る。
割とこういう形になることが多いのは私…私たちも先輩に認めてもらえてるのかって少し嬉しくなる。
たまたまかもしれないけど。
- 733 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39
-
プリンを手に考えていた自分の立ち位置みたいなものは、突然の大声でかき消されてしまった。
「あーーーっ!?」
耳元で聞こえた甲高い叫び声。
どっかのアニメ…まぁそれも間違いじゃないけど。
とにかくそんな声を出した当人へ視線を向けると、この世の終わりみたいな顔をした小春が足元を見つめていた。
「小春のプリ~ン……」
「……はぁ、あんた子供じゃないんだからあ」
そう口にしてから気がついたけれど、まだ充分に子供って言える歳だっけ。
ため息をついて落としたプリンを拾い上げて、もったいないけどダメだねって小春を見上げる。
小春は今にも泣き出してしまうんじゃないかって顔で私を、それともプリンをかもしれないけど、ともかくそんな顔で見てる。
- 734 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39
-
「もおーっ」
目線を感じながらも床を拭き終えて、そう洩らして立ち上がる。
小春がビックリしたって目で追ってくる。
「ほらっ、あげるから」
差し出したのは未開封のプリン。
小春はどうしようか迷ってるみたいだった。
「ほらあっ。そんな顔しないの」
「……ありがとおございます」
もそもそと、だけど嬉しそうにプリンを口へ運ぶ小春を見てまた一つため息が洩れた。
自分の席に腰を下ろそうと振り向くと、何故だか嬉しそうに笑う先輩と目があった。
- 735 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:40
-
「な、なんでしょう?」
「新垣さんの分、無くなっちゃったね」
「すいません。せっかくせんぱいが持ってきてくれたのに」
「じゃあさ、こうすればよくない?」
そう笑う先輩は小さなプラスティックのスプーンでプリンを掬って……あれ?
えっと……
「あーん」
「はい?」
私の目の前に一口のプリン。
でもそれを持ってるのは先輩の手で。
先輩のプリンで。
あーんって……
「ほらっ。あ~ん」
「でも……」
「新垣さんが食べないなら小春が――」
「ダメぇ! 食べるっ、いただきます」
言ってから気がついた。
先輩が……、先輩と小春が楽しそうに笑ってることに。
余計な知恵ばっかりつけた後輩を一睨みして、差し出されたプリンに目を戻す。
「あーん」
なにがそんなに嬉しいんだろうってくらい、先輩は嬉しそうに笑っている。
おずおずと開けた口にそっと放り込まれたプリンは。
なんか悔しい気もするけれど、特別美味しいかもしれないって思った。
- 736 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/19(日) 22:46
-
……リハビリリハビリ(^-^;
皆さんさくっと書かれてるんで、そろそろなんか書かないとと(笑)
- 737 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:11
-
…あれから、しばらくして。
「亀井さん」
「はい?」
「今日はありがとう」
「いいえ、そんな」
「ううん、ホントに。で」
「はい」
「そろそろ…帰った方が、よくない?」
「………」
「風邪、移しても悪いし」
「………」
「あんまり遅くなっても…さ」
追い返すような言い方になってしまったのを悔やんだけど。
その理由は本心だし、仕方がないと思い直す。
と、俯き加減だった亀井さんが僕へと視線を戻した。
「…はい。けど」
「………」
「もうひとつ、やりたいことがあるんです」
「え?」
「お詫びと、お礼を兼ねて」
「………」
「せんぱい」
「ん?」
「キッチン、借りていいですか?」
持ってきたビニール袋を手にしながら、亀井さんが尋ねる。
その中身と。目的と。止めても無駄なんだろうことを理解しつつ。
今にも走り出していきそうな亀井さんに、頷いた。
- 738 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:12
-
…しばらくして。
「せんぱい、できましたよ」
「うん」
「今、食べます?」
「何を、作ってくれたの?」
「おかゆです」
「おかゆ」
「………」
「…ありがたいな」
「ホントに?」
「うん、ホントに」
「…よかったあ」
「………」
「で…どうします?」
「うん…少し、頂こうかな」
「じゃあ、持ってきますね」
「ありがとう」
言いながら、キッチンへと駆け戻る亀井さん。
茶碗とれんげの乗ったお盆を持ちながら、ゆっくりと戻ってきた。
そして、それじゃあ、とばかりに手を伸ばした僕の手をパチリ。
笑みを浮かべるその表情に、少しの胸騒ぎを覚えた。
- 739 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15
-
「せんぱい?」
「う、うん」
「あーん」
「………」
「………」
「…亀井さん、勘弁してよ」
「いいじゃないですかー」
「いやいや」
「………」
「なんか恥ずかしいし」
「他に誰も、いませんよ?」
「そういう問題?」
「…もう」
口を尖らせる亀井さん。諦めてくれたかと、思ったんだけど。
「…じゃあ」
「え?」
「1回だけ」
「………」
「それでも…ダメですか?」
懇願するような口調と。一転して、切なげにさえ見える表情。
ずるいなあ、と思わせるそれに、結局僕は…負けてしまった。
「…1回、だけね」
「はい」
「………」
「じゃあ」
「…うん」
「あーん」
「…あーん」
「………」
「………」
「…どう、ですか?」
「…おいしい」
「ホントに?」
「うん。すごく、おいしい」
「…えへへ」
お世辞とか、亀井さんが食べさせてくれたからとか。
それは、そういうことじゃあ、全然なくて。
味覚と嗅覚が訴えるものの、限りなく純粋な表現だった。
- 740 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15
-
「ごちそうさま」
「まだありますから、後で食べてください」
「うん」
とても病体とは思えない、あっという間の完食。
未だに残る食欲を抑えつつ、再びベッドに横たわった。
「味、塩だけじゃないんだね」
「はい。いろいろです」
「へぇ…」
「………」
「料理、結構やってるんだ」
「いえ、全然」
「…そうなの?」
「はい」
「そんな風には、思えないけど」
「………」
僕の疑問には答えず、お盆を手に立ち上がる亀井さん。
その歩みが、ドアの前でピタリと止まった。
- 741 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:16
-
「お母さんに、前から言われてたんです」
「…どんなこと?」
「料理できないのは、いろいろ忙しいし、仕方ない」
「うん」
「けど、おかゆの作り方。それだけは」
「………」
「しっかり覚えておきなさい、って」
「…そうなんだ」
「はい」
「………」
「なんで?って、聞いてみたんですけど」
「うん」
「教えてくれなかったんです」
「………」
「そのうち分かるから、って」
「………」
「…ようやく、分かりました」
「………」
「………」
「…なるほど」
「はい」
「いい、お母さんだね」
「はいっ」
振り返りながら、ちょっとだけ語気を強めた亀井さん。
心底嬉しそうで、ちょっと得意げな笑顔の亀井さん。
料理する前に着けたらしい、エプロンをまとったままの亀井さん。
その姿が、この前会った、亀井さんのお母さんと重なる。
そして。
「おやすみなさい。せんぱい」
スイッチを操る音と共に訪れた暗闇に、かき消されていった。
- 742 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:19
-
>>722-730 の続きです。
>>732-735
「あーん」、かぶってもた。面目ない。
- 743 :名無し娘。:2007/08/22(水) 00:12
- 舌の記憶
- 744 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:29
-
「おめでとう」
「え?」
そう呟いた僕へ、愛ちゃんが驚いた顔で振り返った。
「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「一日すぎちゃったけどね。なんでかな、昨日うちに帰ってから不意に思い出したんだ」
「嬉しいです。覚えててくれて」
それは本当に喜んでくれている、そんな表情で。
あまりに真っ直ぐに向けられた感情は、逆に僕を心苦しくさせた。
「なにもお祝いとかはないんだけどね」
自分の居た堪れなさから目を背けるように苦笑いを浮かべて逃げる言葉。
けれど愛ちゃんはブンブンと首を振って、何故僕がそんなことを言うのか信じられないって顔をする。
- 745 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:30
-
「そんなん要らないですっ。あ、要らないってその…ヘンな意味やなくて」
「うん。判ってる」
「あの…、せんぱいがそうやって、……覚えててくれただけで充分って意味で」
「そう? そっか。愛ちゃんは覚えてたの?」
「当たり前ですっ」
何の気無しに問い掛けた言葉だったけれど、返ってきた言葉は思いも寄らない強さを持っていた。
目を丸くした僕へ愛ちゃんが申し訳なさそうに「すいません」と口早に言った。
「あ、なんでもないから。うん。ちょっとビックリしただけで」
「すいません」
もう一度謝る愛ちゃんは六年の月日を経ても変わらないヘンな生真面目さと。
そして六年の月日を経た女性らしさを見せる表情をない交ぜにする。
「……うん」
僕はその変わらない部分も、変わっていく部分も、どちらも愛らしく微笑ましくて笑顔にさせられて。
ただ多くを語る必要もなく頷いただけだった。
「忘れるわけないです。先輩と……」
俯いていく横顔と小さく掠れて消える言葉。
辛うじて耳に届いたその言葉は、僕を気恥ずかしい心持ちにさせた。
- 746 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:30
-
「おめでとう」
「え?」
「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「うん。今日だよね」
「は? あの……」
「うん?」
「六周年…です」
「え?」
「あれ?」
「六周年?」
「そのことじゃなかったですか」
- 747 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31
-
「っていうと……」
「あ、じゃあ麻琴が卒業して一周年……」
「それってお祝いすることじゃない気がしない?」
「ですよね。えっとじゃあ……?」
「だって……」
「メロン記念日さんが八周年」
「……それ、気がつかなかった」
「せんぱいちょっとヒドイです」
「すいません……」
「ほしたらなんの…?」
「えっと、あれ? ……なんだったっけ」
「何周年なんですか?」
「四周年だって」
「それはハッキリ覚えてるんですね」
「……うん。そうみたい」
「なんやろ」
「なんだろうね」
「ほやったらとりあえず」
「とりあえず」
- 748 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31
-
「「四周年おめでとうございます」」
- 749 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/27(月) 22:33
-
えっと……同じ出だしで二本立てとか。
ああ、ごめんなさいごめんなさい。石とかは投げないようにお願いします(^-^;
とりあえず。
おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
ではまた。
- 750 :-うぉーあいにー-:2007/09/05(水) 00:05
-
センパイ。
少し片言の日本語で僕を呼ぶ声。振り返ると、そこにはジュンジュンが
立っていた。
お、どうしたの? ジュンジュン。
アノ、私とセップンしてクダサイ。
は?
セップンしてクダサイ。
あの、ジュンジュン言ってる意味わかってる?
え? コレ言ったらセンパイ喜ぶイってたから。
ジュンジュンの後ろの方を見ると、僕が見ていることに気づいていないのか
二人で笑っている、さゆと絵里。なるほど…
ジュンジュン。
は、ハイ?
あのね、日本語でセップンって言うのは、キスってことなの。わかる?
セップン・・・キス?
そう、チューのこと。
ジュンジュンは、その瞬間顔が真っ赤になった。
僕とセップンしたいの?
イ、イエ…
僕は、ジュンジュンとセップンしたいよ?
え?
ジュンジュンの肩を優しく抱きしめる。そして、ゆっくりとジュンジュンと顔が…
駄目~!!
すると、さゆと絵里が走ってやってくる。僕が見つめると、逃げようとする絵里と
さゆの首根っこを捕まえる。
こら!! ジュンジュンにうそ教えたら駄目だろ!!
ごめんなさ~い・・・
ジュンジュン、ごめんね。こいつら、今怒るから。
・・・
-チュッ-
両手が塞がった状態で、僕の頬になにか柔らかいものが触れる。
我想?・・・
え?
そう言って走り去っていったジュンジュンの背中を見つめながらも、悪ガキの首根っこは離さなかった。
- 751 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/05(水) 00:06
-
初の新メンのジュンジュンを登場させました。
いやぁ~、意外と片言っぽくするの大変だ…
勉強しなくては・・・
- 752 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:21
-
それは秋のツアーに向けてのダンスレッスン中だった。
流れていた曲が急に止まり先生の声が響いた。
「なにやってんのっ!」
「…すいません」
「謝らなくていい。なんで動きを止めたのかって訊いてんの」
厳しい視線と叱責の先で、自分の身体を抱くみたいな姿勢でいる先輩が俯いていた。
いつもよりもキツイレッスンのせいか、乱れた髪の先から汗がぽつぽつと零れて落ちる。
「すいません……。ちょっと顔洗ってきていいですか」
「…じゃちょっと休憩」
仕方なさそうにそう言った先生が出て行った。
声を掛けて近づく新垣さんに、大丈夫と手を挙げた先輩が深く息をついて出て行った。
その姿があのときの先輩とダブって見えて、胃がキリキリと締め付けられるみたいな不安感が記憶と一緒に蘇ってくる。
感情に…、その不安感に責め立てられるままに先輩の後を追ってしまった。
- 753 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22
-
飛び出した廊下の向こうにいつもよりも少し小さく見える背中が消えていった。
小さな違和感に囚われる。
廊下を歩きながらふと視界に入ったそれで気がつかされた。
給湯室。顔を洗うと言って出て行ったのならここでいいんじゃないんだろうか。
なら……?
先輩が向かった先は。
T字に分かれたその方向は。
「せんぱい…」
そう口にしてしまってから声に出したことに気がついて、解放されたように膨れあがる懸念が指先に伝わる。
その震えた手に無理矢理に力を込めて、握ったドアノブをそっと回した。
「――えっ?」
色を変えたシャツを脱いでいた先輩は、しなやかな身体に汗を光らせたままで……
上体だけでこっちを見ている先輩は、少し険しい顔つきで右手を左の肘の辺りへ添えていた。
- 754 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22
-
「せんぱい……?」
「れ、れいな? どうかしたの? あ、っていうか、ほら、着替え中だけど」
れなを見止めて変わった表情は、ほんの少しだけぎこちない笑顔。
茶化すように出された言葉に残る微かな動揺がれなを踏み込ませる。
「せんぱい、もしかして……左腕」
「なんで? どうもしないよ」
「あのときの、ですよね」
「だからー。関係ないってば。ちょっと寝不足。昨日遅くまで――」
「なんでっ!」
なんでって。
本当にただそんな気持ちで一杯だった。
「れいな……?」
「なんで……」
「な、なにがさ」
驚いたって顔をしていたのは一瞬だけで、すぐに笑顔に戻った先輩がそう呟いた。
今ならそれがごまかしだって解る。
もちろんそれは悪い意味で、先輩が自分のためにするごまかしなんかじゃなくて。
メンバーみんなを、今はれいなのことを考えてのごまかしだってことも。
だけど……
- 755 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:23
-
「せんぱいはいつも……いつも、いっつもそうやって! そうしてるとき“せんぱい”はどこにおるとっ?」
「え……?」
「れなは前に言ったこと、忘れとらんけんっ。それともやっぱりせんぱいにとってれなは頼りにならんと?」
「僕も……」
激情に駆られて吐き出した言葉は後輩であるれいなが口にして良い言葉じゃなかったかもしれない。
けれど先輩は前の…あのときみたいに真剣で、それでいて優しさも感じる目でれなを見つめる。
「僕も忘れてなんかいないよ」
「ならっ――」
「本当のこと、話すから」
困らせてしまっているのは知っていた。
従順に甘えていれば先輩にこんな顔をさせることもないことも。
けれどそれじゃあいつまでも、いつまで経っても越えられない壁があることにも気がついたから。
「聞かせてください」
「うん。あの後、まあ多少無理したからだけど、体力が落ちてくると痺れるみたいな感じになるんだ」
「やっぱりれなの――」
「待ってって。ちゃんと先生…あ、お医者さんね? 先生とも話してるから。
ちゃんと体力つけて、定期的に通院すれば問題ないって。そう言ってもらってるんだ」
「でも……」
「怪我をしたのは自分。無理をしたのも僕の判断。つまらない詮索されて記事にでもなるのはゴメンだったから」
- 756 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:24
-
そうやって自分を嘲笑う先輩の表情に胸が締め付けられるような苦しさを覚えた。
違う。そうじゃないのに。
そう言おうとしたれいなを知っていたみたいに先輩が言葉を続けた。
「今の自分に折り合いをつけるだけだから。ちゃんとしてればしっかり治るんだしね。
だかられいなが気に病む必要なんてなにもないんだよ。僕がシャンとしてればいいだけの――」
「やっぱり……」
「え?」
ポツリとついて出た言葉。
けれど形にしてしまえば、それはそういうことなんだって気持ちを強くして。
明瞭な輪郭を作った気持ちは言葉になって溢れる。
「れなが言いたいのは…、れなが思ってるのはそんなことじゃなかっ!」
「ちょ、れい――」
「先輩だとか後輩だとかっ、……それは確かにそうっちゃけどっ。でも違くて。
せんぱいはいつもそうやってれなたちを離そうとする。なんで? なんでそんなにっ!」
「ま、待って、なにを――」
「れなたちはっ…、れいなは……、先輩後輩なんて関係ない! れなはただせんぱいが好きなだけなのにっ!」
「――っ、れ、いな……」
先輩の声が、表情が。
感情に流された言葉によってその色を変質させた。
そう気がついた、気がついてしまったれいなは……その世界から逃げた。
- 757 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/05(水) 23:27
-
前にたてたフラグの幾つかを片づけてみましたが。
さて……どうしましょうかね。
>>751 TACCHIさん
おかえりなさーい。
で、中国語キター。
続きもブログも期待してます。
- 758 :-スカイ・ブルー-:2007/09/12(水) 22:22
-
『じゃんけんぽん!!』
楽屋から出て行く僕とれいな。
「なんで、チョキだしたんやろ?」
「僕も、それ自分に言いたい…」
「これ、ちょっと多すぎん??」
みんなから頼まれたお買い物リストを覗き込むと、僕が居てよかったと思う量だった。
「ってか、これホントにみんな食べるのかな?」
「絶対食べん。これ、絵里やろ? なんね、絶対こんな量食べれんし…」
「ちょっと見せて」
『あっ…』
メモを取ろうとしてれいなの手と僕の手が触れる。メモが地面に落ちてそれを拾おうとしゃがむ。
-ゴンッ-
『ッ!!』
二人で、おでこを押さえる。そして、二人で向き合っているとなぜだか笑いがこみ上げてきた。
「あは…あはははは」
「にひ、ははははは」
「ご…あは…ごめん…はは」
「こっちこそ…にゃはは…すいま…あはは…すいません」
「あはは。行こうか?」
笑顔でれいなに手を差し伸べる。れいなも、笑顔で僕の手を掴み立ち上がる。
「ほら、先輩早くいかんと♪ 愛ちゃんたちが、怒るけんね」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
そう言って、僕の手を引いて走り出すれいな。その日の青空が、僕には本当に澄み渡って見えた。
- 759 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/12(水) 22:25
-
今回はれいなメインです♪
>>757 匿名さん
いや~、なんかさすがっすね。匿名さんのれいなに触発されてれいな書いちゃったw
中国語、間違えてた事に気づいたのは秘密w
ブログにも、書いてますがラジオよかったら聞いてやってくださいwww
- 760 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 小春はいつものように僕の膝の上に乗っている。
「いつも」って言うけれどこれってよく考えると凄いことだ。
たまには他の人の膝に乗ればいいのにな…ってそんな問題じゃないか。
「小春なぜそこにいるか?」
ジュンジュンが不思議そうな顔で小春に話しかけてくる。
小春に話しかけてるくせに目はじっと僕を見ているのはなぜだろう。
こっち見ないで。
ジュンジュンのの目はいつもよりも鋭いような気がする。
怒ってるのかな?この間リンリンと名前を間違えたから。
あのときからまだ機嫌がなおっていないのかもしれない。
- 761 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「だって気持ちいいんだもーん」
「気持ちいいのか。気持ちいいのか小春よ」
「うん!」
「あたしも乗るからあっちいけ小春」
ジュンジュンは怖い顔のまま怖いことをさらっと言う。
「だーめ!」
「ダメじゃないろ。あたしも乗るの」
ジュンジュンは怖いだけじゃなくてすごく強情なところがある。小春に似てるかも。
小春とジュンジュンは押し問答を続けていて今にも喧嘩になりそうだ。
どうしようかと困っていたららリンリンが入ってきた。
リンリンはいつもニコニコ笑ってる。
僕がジュンジュンと名前を間違えたときも笑って許してくれた。
他のメンバーとは違う優しさを持っている子だと僕は思っていた。
リンリンに目でサインを送る。
た、助けて……
- 762 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「ジュンジュン。なにやってるの?」
リンリンはあくまで優しく、そしてつたない日本語でジュンジュンに語りかける
「小春わがまま。人の言うこときかない」
まだまだへたっぴなジュンジュンの日本語だけど不思議と言いたいことだけはストレートに表現できる。
小春わがまま。人の言うこときかない。これ以上適切な表現があるだろうか?いや、ない。
「なーんで。小春わがままじゃないもん!ジュンジュンのがわがままだよー!」
「ジュンジュン、なにしたいの?」
「小春の座ってるところに座りたい。でも小春どかないの」
「あらー」
にっこり笑って僕の方に微笑みかけてくるリンリン。
ジュンジュンの頭をなでなでするリンリン。
本当にジュンジュンより年下なんだろうか?なーんて女の子には聞けませんけどね……
- 763 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「小春いっつもそこに座ってるよね」
「うん!」
「いつも気持ち良さそう」
「うん!」
うんって…確かにそうだけどさ。そうなんだけどさ。ジュンジュンが怖い目で見てるよ…
「じゃあ、たまにはジュンジュンにも譲ったら?」
「だーめ!ここは小春の特等席なの!」
「特等席?」
あれれれ。なぜかリンリンの表情が変わる。
いつものにっこりとは少し違うにやりとした笑顔で僕の方を見る。
まさかリンリンも僕の膝に乗りたいのかな?という僕ののんきな想像はリンリンのきつい一言に砕かれる。
「あはは。昨日はれいなちゃん乗ってたよ。その前の日はさゆみんも乗ってた。
そこは小春だけの特等席じゃないよ。あはは。」
僕の膝の上に乗っかってた36℃くらいの生き物の体温がすっと下がる。
そのあとのことはよく覚えていない
- 764 :名無し娘。:2007/09/13(木) 16:39
- ジュンジュンが乗ると膝が壊いやなんでもない
- 765 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:05
-
「誕生日おめでとう」
「ええ~。なにそれ~」
当たり前すぎる一言をかけた途端に彼女は不機嫌な顔をする。
僕は思わずカレンダーを見るが確かに今日は9月14日だった。
「どうしたんですか?」
「普通サプライズ的な企画があるもんやんか」
そんなものなのかな。
確かにテレビやラジオの番組ではスタッフがそういうことをするらしいけれど。
でもいつも一緒にいるのに誕生日を知らん振りすることなんてできないよ。
彼女はぷうと口をとがらせてそっぽを向く。
「あらら。プレゼントあげるのやめよっかな」
「どうせ時計やろ。知ってるもん。さゆに聞いてたのは」
「あー、確かに聞いたけどね。何が欲しそうかってことは」
「なんでもっと上手くできんのやろかね。気が利かんわー」
「気が利かないかもしれないけど」
僕はそう言いながら自分でラッピングを解いてプレゼントをあける。
- 766 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:06
-
「なんや。ホンマに時計やんか」
「欲しかったんでしょ?」
「まあ・・・・・ね」
僕はその時計を彼女の細い手首に巻きつける。
「プレゼントは欲しいものが一番じゃないの?」
「じゃあ、あたしがさゆに一億円が欲しいって言ってたら?」
「一億円?何言ってるの。僕が欲しいくらいだよ」
「じゃあ100万円って言ったら?」
「だから僕も欲しい」
「じゃあ愛が欲しいって言ってたら?」
「だから僕も愛が欲し・・・・」
口を滑らしてから少し後悔する。
長い沈黙が二人の間を流れる。
二人の間で静かに時を刻む時計はいつの間にか14日の24時を過ぎていた。
- 767 :名無し娘。:2007/09/15(土) 14:24
- 愛ちゃん策士だなw
- 768 :名無し娘。:2007/09/16(日) 08:55
- 愛ちゃんの誕生日だったけど、メールしか送ってない。
まだプレゼントも買ってない。
「明日、謝ろう」
そんな事いいながら、マンションのドアを開けた。
部屋に入り一息つくと、前になかったものがあった。
それは絵だった、しかもハロモニのコントのように絵になっていたのは
愛ちゃんだった。
テーブルの上に可愛い便箋で書いた手紙があった。
「いつもお世話になっている先輩へ私からのプレゼントです」
愛ちゃんありがとう。
でも今日は愛ちゃんの誕生日だよ。
僕は絵になっている愛ちゃんを見ていた。
可愛いな、しかも動かないし。
「愛ちゃん、ありがとう」
愛ちゃんは少し微笑んでくれた。
- 769 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:02
-
九月十三日。時計の針は零時をまわり十四日になっていた。
収録が長びいて押した時間はメンバーに疲労と空腹をもたらし、年少組は一刻も早い帰宅を選び愛ちゃん僕は空腹を満たすことを選んだ。
新垣さんも一緒にきたがったけど、まだ未成年でもあるし、家でお母さんが待っているみたいだと渋々と帰って行った。
ゆっくりと食事を終えた僕らがそろそろと時計を気にしたときにはこんな時間になってしまっていた。
「日付、変わっちゃったね」
「そぉですね」
ここ数日、僕らのリーダーである愛ちゃんは、なにか心を煩わせているようにも見えたから。
だからあえてこうして誘ってみたのだけれど……どうもうまくいかない。
自分に余裕がないからだと心のどこかで謗る声から目を背けたツケなのかもしれない。
「あっ、そう言えばさ。今年はなにがほしい?」
「え?」
半分は心からの、半分は苦し紛れに話題を変えての言葉に、愛ちゃんは不思議そうな表情で応える。
まるで自分が誕生日だなんてことはまるで覚えていなかったように。
「誕生日、だよ」
「あっ…、そうだ。うん……」
「去年みたいになにかの舞台とかにすればよかったかな? 今からじゃさすがに間に合わないけどね」
「そうですね…」
- 770 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03
-
ぎこちなさが饒舌にさせる僕に、愛ちゃんは言葉少なでどこか逡巡してるようにも見える。
その理由が思い浮かばないままで、重ねる言葉を選んでいくのは今の僕には難しいことだった。
そんな迷いを見透かしたみたいに、愛ちゃんが僕の目を見つめてきた。
「物じゃなくてもいいですか?」
「え?」
なにかに踏ん切りをつけたように、不思議なほどサッパリした顔でそう聞かれた。
「あ、うん。なんだろう? どこか行きたいところとか、そんなことかなあ」
「違います。仲直りしてください。れいなと」
「……えっと、なにを、…なんの話だろ?」
突然放り込まれた爆弾が心拍数を跳ね上げる。
辛うじて返した言葉に力なんて無いのは自分でも解っていた。
- 771 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03
-
「なんかあったのくらいわかります。せんぱいのことはよく見てるから……」
「そっ――」
「れいなと、仲直りしてほしいです」
「別に……、ケンカしてるわけじゃないよ」
「やけどギクシャクしてます」
「そう、だね」
「なんかあったんでしょ?」
「まあ、うん。ちょっとね。…でもほら、そんな心配するようなことじゃないからさ」
嘘だ。
自分でもそんなこと信じてなかった。
なにか行動を……しかもよほどよく考えて、場当たり的ではなくしっかりと決めて動かなければ前みたいにはいられないだろうと。
- 772 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:04
-
「ウソばっか」
「う、嘘じゃないよ」
「わかりますって。せんぱいすぐ一人で抱え込んじゃうから。言いたくないのか言えないのか知らないけど」
「……そんなつもりないけど」
「じゃあなにがあったか教えてくれますか?」
努めて明るく出された声に息苦しさを感じる。
それは愛ちゃんのせいじゃなく、そんな声を出させている自分のせい。
だけど……
「それは…、内緒。でもホントに、大丈夫だから。ね?」
全てをさらけ出してしまいかけ、危ういところで自制した。
愛ちゃんはほうと一つため息をついて、それから静かに笑った。
「れいなとなにがあったのか知らんです。けどれいなのこと真っ直ぐ見れんようなせんぱいはヤです。
……ほやからプレゼントくれるんならいつものせんぱいをください」
「愛ちゃん……」
きっと愛ちゃんはなにも知らない。
けれど感覚的に捉えたことからそうなっただけなんだと思う。
でも今の僕にそれを求められるのは……
- 773 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:05
-
「せんぱい…」
愛ちゃんが小さく呟いた。
決めきれない気持ちが表情に出てしまっていたのかもしれない。
心配げな愛ちゃんの目が僕へ動けと促した。
「愛ちゃん……」
「はい?」
「愛ちゃんがそうしてほしいって言うなら、僕はそうしたいと思う」
「……うん」
「ただ……」
一度言葉を切った僕を愛ちゃんは真っ直ぐに見つめてくれている。
この目は裏切れないし裏切りたくない。
そう思う気持ちは本当だったから。
「いや、うん。大丈夫。ちゃんと前みたいに話せるようにするから」
「…はい。高橋は信じてますから。せんぱいのこと」
そう笑う愛ちゃんが少しだけ寂しげに見えたのは僕の心が揺れているせいだろうか。
僕には片づけようのない気持ちばかりが積もっていく苦しい夜だった。
- 774 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/16(日) 21:15
-
ああ、どうしようどうしよう(^-^;
>>759 TACCHIさん
いやあ、明るいれいなでいいですねえ(笑)
来週ですね。正座して待ってようと思いますよ。
んで。
さしみ賞でここに書く方がいらっしゃるんですね。
いやはや、うまいうまい。
参っちゃいますよね(^-^;
- 775 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
- 突然の電話で唐突に呼び出されたのはとあるホテルの一室だった。
「なあなあ、こんなとこに呼び出してなんなのさ」
「や、悪いとは思ったんだけどさー。あんたしか思いつかなくって。
あたしもマネージャーさんもね」
そう指差した先でよっすぃーのマネージャーさんが僕を拝み倒していた。
たまたま僕だけがオフで、おまけに予定がなかったからいいものを。
ん?というよりも僕だけがオフだから呼び出されたと考えるべきなのか?
そんなことを考えているとホテルの従業員らしい男女が二人、僕らのところへ歩いてきた。
「なあ、仕事なのはわかったけど、一体何の仕事なんだよ」
「……すぐわかるから。あたしの口からは説明しづらいんだってば」
「なんなんだよ、ったく」
ぼやいた僕へ相対したのは女性の方。
「ではこちらへお願いします」などととても愛想よく見える営業スマイル。
今は娘。じゃない誰かさんにも見習って欲しいくらいの。
よっすぃーはマネージャーと男性従業員に連れられて別室でなにかあるらしい。
先を歩く女性の背中へ追いかけながら「あのー、僕はなにをすればいいんですかね?」、などと聞きかけて思い止まった。
事務所の不手際を晒すようで微妙に気がひけたからだ。今更とも言えるけど。
が、ある部屋へ通されて細々しくレクチャーを受けた僕は激しく後悔することになった。
「嘘でしょ……?」
思わず呟いたのも無理からんことってものだろう。
- 776 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
- 様々な準備でかれこれ一時間以上は費やされただろう。
窮屈な衣装を着せられ、したことがないほど濃いメイクをほどこされた僕は撮影スタジオへ足を踏み入れた。
先に準備を済ませたよっすぃーの盛大な笑い声に深い嘆息を洩らし指し示された場所へ辿り着く。
隣にどこかで見たような気がしなくもないよっすぃーが笑いを堪える仕草。
「知ってたのか?」
そう訊いた声が一段低いトーンになるのは抑えきれなかった。
「……ぷっ、…いや、知らな……くもなかったけど。……っ」
返ってくる声が所々で途切れるのが癇に触って仕方がない。
「後でなんか奢ってもらうからな」
「ふはっ、……や、奢る。奢らせてもらいますとも。こんな面白いモン見せてもらったんだから」
「それとだ。娘。のメンバーには言うなよ。この仕事のことは」
「わかった。わかったってば」
それから数分かけて、なんとか不機嫌さを押し隠した僕と、なんとか笑いを堪えきったよっすぃーと。
二人並んで仲睦まじく写真に収まることになった。
何故だかウエディングドレスの僕とタキシードのよっすぃーで。
数日後。
何人かの娘。たちに大爆笑され、何人かの娘。たちに激しく責められた。
笑い袋な先輩から広まったんだとは後から聞かされた。
- 777 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
- 久しぶりに亀井さんと二人で食事をする
といっても高級なレストランなんかじゃなくてただのお弁当なんだけど
でも亀井さんが自分で作ってきてくれた手作り弁当だから
ありがたくいただかないとバチが当たるかもしれない
亀井さんは黙々と食べている
いつもの彼女からは考えられないくらい静かだ
彼女は「はい」と言ってゆで卵を僕に渡す。食べていいのかな?
「それは絵里が食べる分だからね」
亀井さんは眠そうな目を一瞬だけ鋭くさせて僕を見る
「どういうこと?」
亀井さんが食べる分をどうしてわざわざ僕に渡すんだろう?
「殻むいてください」
なんでも亀井さんは元気がなくなるとゆで卵の殻がむけなくなるらしい
ずっと一緒にいるけどそんなの初めて聞いたよ!
亀井さんは僕の前にずらっとゆで卵を並べる
これ全部僕がむくのか………ううむ。手ごわい。
でもこれを全部食べたら亀井さんも少しは元気が出るかもしれない
- 778 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
- 「元気がなくなるとね。もういいやってなっちゃうの」
くすくす笑いながら亀井さんが言う。ちょっとは元気出てきたかな?
「もういいや?」
殻をむくのが面倒だから食べなくてもいいやってなっちゃうのかな?
「殻ごといっちゃえ~って」
おいおいおいおいおい
僕は思わず手を滑らせてゆで卵を取りこぼす
いくらなんでも殻ごとはまずいですよ怪我しますよ
ていうか本当なのかな?からかわれているだけなのかな?殻だけに。なんちゃって
「もしかして亀井さん、僕のことからかってます?」
「えー、からかってないよー」
「殻だけに」
- 779 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:14
- 亀井さんはあああああああああああああああ~と言って後ろに反る
椅子から落ちそうになる亀井さんをすんでのところで椅子ごと抱きかかえる
目と目があって思わず僕は赤面してしまう
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「あは。椅子から落ちるかと思ったよ」
「そんなに反り返るからですよ」
「だって~、殻だけにって言ったもーん」
そう言いながらも亀井さんの目は優しく笑っていた
そしてそれ以上僕のことを責めることもなくじっと殻をむく僕のことを見つめていた
なぜ亀井さんが元気がないのか、僕はその理由はきかない
ただ黙って亀井さんのリクエスト通りにゆで卵の殻をむく
イガイガの殻をとるとつるんと丸いゆで卵が顔を出す
亀井さんの心からもこんな風にイガイガのものがとれたらいいのにな
そして明日からまた元気になってほしい。明日から。殻だけに。なんちゃって。
にやにやしながら殻をむく僕を亀井さんは不思議そうな顔で見つめる
もう一回言ってみようかな
そうしたらもう一回亀井さんは椅子ごと倒れるほどに反り返るかな?
そしたらまた亀井さんのことを抱きかかえて
そして今度は
そんな不埒な想像をしながら僕は6個目のゆで卵にとりかかる
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