■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 最新50
俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3

663 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:00

「おはようございまーす」

久住さんとの、ちょっとした遊びが終わってすぐ。
ドアが開く音と共に、聞き慣れた声が楽屋に響いた。

「あー、ミッツィーおはよー」
「おはよ。お邪魔してます」
「あ、せんぱいに久住さん。おはようございます」

ペコリとお辞儀しつつ、改めて挨拶してくれる光井さん。
そんな彼女を見てふと思い、久住さんに問いかける。

「光井さんは…どう?」
「はい?」
「さっきの、太陽は誰かって話」
「…なんでですか?」
「………」
「………」
「…いや」
「え?」
「ごめん。なんでもない」

…自分のアホ。

664 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01

「ミッツィー」
「はーい」

言いながら、久住さんが手招きする。
光井さんは笑みを浮かべながら、トテトテと寄ってきた。

「おふたりで、なにしてたんですか?」
「えっとねー、地球とその仲間たちの話」
「…へ?」

光井さんが首をかしげる。

「光井さん、太陽系」
「…あー」
「七夕でしょ今日。織姫星のことから、話が飛んでさ」
「そういえば、七夕でしたね今日」
「そうそう。それで、せんぱいが太陽なの」
「…はい?」

光井さんが再び首をかしげる。
久住さん…もうちょっと説明してあげないと、ね。

「僕が太陽で、光井さんたちが惑星なんだってさ」
「………」
「ほら、数。ぴったりじゃない?」
「…なるほど」

指折りしながら、光井さんが答える。納得したようだった。

665 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01

「…わたしは、冥王星かな」
「え?」
「………」
「…なんで、そう思うの?」
「うーん。いちばん年下、だから?」
「………」
「あ、いや。なんとなくです。なんとなく」
「………」

そう言って、ごまかす光井さんだったけど。
自らの謙譲と、他のメンバーへの尊敬を意識した言葉に思えた。
まだ14歳、中学生の光井さんだけど。
こういうところが妙にしっかりしてて、感心する。

「せんぱい」
「………」
「せんぱい?」
「あ、ごめん。なに?」
「太陽にいちばん近いのって、確か水星ですよね?」
「ああ…そうだね」
「…誰でしょうね?」
「え?」
「せんぱいが、太陽なら」
「…うん」
「水星は?」
「………」

666 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:02

質問の真意。分かったような、分からないような。
そして、答えられないというか、答えたくないというか。
僕を見つめる光井さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべている。
どうやらからかわれているらしく、ちょっと憎らしく見えた。

…よーし。

667 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:03

「光井さん」
「…え?」
「光井さん、だよ」
「………」

顔を赤くする光井さん。
さっきから一転して、とても可愛らしく見えた。

「や、でもお」
「なに?」
「わたしはー。ほら、さっき」
「うん。光井さんはそう思ってるのかもしれないけど」
「………」
「僕は、そうじゃないから」
「………」
「…だめ?」
「え?」
「僕がそういう風に思ってるの、迷惑?」
「やっ、そんなこと。…でもぉ」
「でも?」
「………」

今度は、俯き加減でモジモジし始める光井さん。
ちょっと、やりすぎたかな。

668 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04

「…ごめん」
「え?」
「冗談」
「………」
「光井さんの質問、ちょっと意地悪だったから。つい」
「…もう」
「うん。でも、ごめんね」
「いえ、わたしも。ごめんなさい」

一瞬、頬をふくらませた光井さん。
けど、すぐに笑顔に戻って、許してくれた。

「…でもさ」
「はい?」
「100パーセント、冗談ってわけじゃないよ」
「………」
「初めて会ってからまだ半年だし」
「………」
「仕事も、別々のこと多いじゃない?」
「…はい」
「だから光井さんのこと、まだよく分かってないと思う」
「………」
「だから…気になってる、っていうか」
「………」
「うまく、言えないんだけど」
「…わたしも」
「え?」
「おんなじこと、思ってました。たぶん」
「…そっか」
「はい」
「………」
「………」

そう2人で言いあい、2人で見つめあって。
そして、2人で笑いあった。

669 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04

「…ちょっとー」
「「あ…」」

やばい。すっかり忘れてた。

「なに2人でいい雰囲気作っちゃってるんですかー」
「ごめんなさい」
「ごめん」
「だめです」

光井さんと違って、久住さんはなかなか許してくれなかった。

500KB
続きを読む

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail(省略可)

0ch BBS 2006-02-27