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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3
- 663 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:00
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「おはようございまーす」
久住さんとの、ちょっとした遊びが終わってすぐ。
ドアが開く音と共に、聞き慣れた声が楽屋に響いた。
「あー、ミッツィーおはよー」
「おはよ。お邪魔してます」
「あ、せんぱいに久住さん。おはようございます」
ペコリとお辞儀しつつ、改めて挨拶してくれる光井さん。
そんな彼女を見てふと思い、久住さんに問いかける。
「光井さんは…どう?」
「はい?」
「さっきの、太陽は誰かって話」
「…なんでですか?」
「………」
「………」
「…いや」
「え?」
「ごめん。なんでもない」
…自分のアホ。
- 664 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
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「ミッツィー」
「はーい」
言いながら、久住さんが手招きする。
光井さんは笑みを浮かべながら、トテトテと寄ってきた。
「おふたりで、なにしてたんですか?」
「えっとねー、地球とその仲間たちの話」
「…へ?」
光井さんが首をかしげる。
「光井さん、太陽系」
「…あー」
「七夕でしょ今日。織姫星のことから、話が飛んでさ」
「そういえば、七夕でしたね今日」
「そうそう。それで、せんぱいが太陽なの」
「…はい?」
光井さんが再び首をかしげる。
久住さん…もうちょっと説明してあげないと、ね。
「僕が太陽で、光井さんたちが惑星なんだってさ」
「………」
「ほら、数。ぴったりじゃない?」
「…なるほど」
指折りしながら、光井さんが答える。納得したようだった。
- 665 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
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「…わたしは、冥王星かな」
「え?」
「………」
「…なんで、そう思うの?」
「うーん。いちばん年下、だから?」
「………」
「あ、いや。なんとなくです。なんとなく」
「………」
そう言って、ごまかす光井さんだったけど。
自らの謙譲と、他のメンバーへの尊敬を意識した言葉に思えた。
まだ14歳、中学生の光井さんだけど。
こういうところが妙にしっかりしてて、感心する。
「せんぱい」
「………」
「せんぱい?」
「あ、ごめん。なに?」
「太陽にいちばん近いのって、確か水星ですよね?」
「ああ…そうだね」
「…誰でしょうね?」
「え?」
「せんぱいが、太陽なら」
「…うん」
「水星は?」
「………」
- 666 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:02
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質問の真意。分かったような、分からないような。
そして、答えられないというか、答えたくないというか。
僕を見つめる光井さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべている。
どうやらからかわれているらしく、ちょっと憎らしく見えた。
…よーし。
- 667 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:03
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「光井さん」
「…え?」
「光井さん、だよ」
「………」
顔を赤くする光井さん。
さっきから一転して、とても可愛らしく見えた。
「や、でもお」
「なに?」
「わたしはー。ほら、さっき」
「うん。光井さんはそう思ってるのかもしれないけど」
「………」
「僕は、そうじゃないから」
「………」
「…だめ?」
「え?」
「僕がそういう風に思ってるの、迷惑?」
「やっ、そんなこと。…でもぉ」
「でも?」
「………」
今度は、俯き加減でモジモジし始める光井さん。
ちょっと、やりすぎたかな。
- 668 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
-
「…ごめん」
「え?」
「冗談」
「………」
「光井さんの質問、ちょっと意地悪だったから。つい」
「…もう」
「うん。でも、ごめんね」
「いえ、わたしも。ごめんなさい」
一瞬、頬をふくらませた光井さん。
けど、すぐに笑顔に戻って、許してくれた。
「…でもさ」
「はい?」
「100パーセント、冗談ってわけじゃないよ」
「………」
「初めて会ってからまだ半年だし」
「………」
「仕事も、別々のこと多いじゃない?」
「…はい」
「だから光井さんのこと、まだよく分かってないと思う」
「………」
「だから…気になってる、っていうか」
「………」
「うまく、言えないんだけど」
「…わたしも」
「え?」
「おんなじこと、思ってました。たぶん」
「…そっか」
「はい」
「………」
「………」
そう2人で言いあい、2人で見つめあって。
そして、2人で笑いあった。
- 669 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
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「…ちょっとー」
「「あ…」」
やばい。すっかり忘れてた。
「なに2人でいい雰囲気作っちゃってるんですかー」
「ごめんなさい」
「ごめん」
「だめです」
光井さんと違って、久住さんはなかなか許してくれなかった。
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