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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3

1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m

731 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:40

>>702-708 の続きです。
長くてすんません。辛抱強く読んでもらえれば…有難い

>>717-718
ジュンジュンキタコレ
続きに期待

732 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:38

帰り支度の最中、別の仕事で離れた楽屋にいたはずの先輩顔を出してくれた。
いつもの笑顔と右手に提げた魅惑的な箱と一緒に。

「差し入れもらったけど、食べる?」

そうかけられた声に何人かが目敏く反応した。

「アイスだ!」
「ケーキ?」
「どっちもハズレ」

小春とカメの勢いに先輩が笑う。
部屋の真ん中にあるテーブルで広げられたそれを真っ先にのぞき込んだのはさゆだった。

「やぁん、プリンだー」
「美味しいらしいよ」

キチンと人数分あったプリンはあっという間にそれぞれの手に渡り、みんなと同じようにプリンを手にした先輩が私と愛ちゃんの間に座る。
割とこういう形になることが多いのは私…私たちも先輩に認めてもらえてるのかって少し嬉しくなる。
たまたまかもしれないけど。

733 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39

プリンを手に考えていた自分の立ち位置みたいなものは、突然の大声でかき消されてしまった。

「あーーーっ!?」

耳元で聞こえた甲高い叫び声。
どっかのアニメ…まぁそれも間違いじゃないけど。
とにかくそんな声を出した当人へ視線を向けると、この世の終わりみたいな顔をした小春が足元を見つめていた。

「小春のプリ〜ン……」
「……はぁ、あんた子供じゃないんだからあ」

そう口にしてから気がついたけれど、まだ充分に子供って言える歳だっけ。
ため息をついて落としたプリンを拾い上げて、もったいないけどダメだねって小春を見上げる。
小春は今にも泣き出してしまうんじゃないかって顔で私を、それともプリンをかもしれないけど、ともかくそんな顔で見てる。

734 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39

「もおーっ」

目線を感じながらも床を拭き終えて、そう洩らして立ち上がる。
小春がビックリしたって目で追ってくる。

「ほらっ、あげるから」

差し出したのは未開封のプリン。
小春はどうしようか迷ってるみたいだった。

「ほらあっ。そんな顔しないの」
「……ありがとおございます」

もそもそと、だけど嬉しそうにプリンを口へ運ぶ小春を見てまた一つため息が洩れた。
自分の席に腰を下ろそうと振り向くと、何故だか嬉しそうに笑う先輩と目があった。

735 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:40

「な、なんでしょう?」
「新垣さんの分、無くなっちゃったね」
「すいません。せっかくせんぱいが持ってきてくれたのに」
「じゃあさ、こうすればよくない?」

そう笑う先輩は小さなプラスティックのスプーンでプリンを掬って……あれ?
えっと……

「あーん」
「はい?」

私の目の前に一口のプリン。
でもそれを持ってるのは先輩の手で。
先輩のプリンで。
あーんって……

「ほらっ。あ〜ん」
「でも……」
「新垣さんが食べないなら小春が――」
「ダメぇ! 食べるっ、いただきます」

言ってから気がついた。
先輩が……、先輩と小春が楽しそうに笑ってることに。
余計な知恵ばっかりつけた後輩を一睨みして、差し出されたプリンに目を戻す。

「あーん」

なにがそんなに嬉しいんだろうってくらい、先輩は嬉しそうに笑っている。
おずおずと開けた口にそっと放り込まれたプリンは。
なんか悔しい気もするけれど、特別美味しいかもしれないって思った。

736 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/19(日) 22:46

……リハビリリハビリ(^-^;
皆さんさくっと書かれてるんで、そろそろなんか書かないとと(笑)

737 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:11

…あれから、しばらくして。

「亀井さん」
「はい?」
「今日はありがとう」
「いいえ、そんな」
「ううん、ホントに。で」
「はい」
「そろそろ…帰った方が、よくない?」
「………」
「風邪、移しても悪いし」
「………」
「あんまり遅くなっても…さ」

追い返すような言い方になってしまったのを悔やんだけど。
その理由は本心だし、仕方がないと思い直す。
と、俯き加減だった亀井さんが僕へと視線を戻した。

「…はい。けど」
「………」
「もうひとつ、やりたいことがあるんです」
「え?」
「お詫びと、お礼を兼ねて」
「………」
「せんぱい」
「ん?」
「キッチン、借りていいですか?」

持ってきたビニール袋を手にしながら、亀井さんが尋ねる。
その中身と。目的と。止めても無駄なんだろうことを理解しつつ。
今にも走り出していきそうな亀井さんに、頷いた。

738 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:12

…しばらくして。

「せんぱい、できましたよ」
「うん」
「今、食べます?」
「何を、作ってくれたの?」
「おかゆです」
「おかゆ」
「………」
「…ありがたいな」
「ホントに?」
「うん、ホントに」
「…よかったあ」
「………」
「で…どうします?」
「うん…少し、頂こうかな」
「じゃあ、持ってきますね」
「ありがとう」

言いながら、キッチンへと駆け戻る亀井さん。
茶碗とれんげの乗ったお盆を持ちながら、ゆっくりと戻ってきた。
そして、それじゃあ、とばかりに手を伸ばした僕の手をパチリ。
笑みを浮かべるその表情に、少しの胸騒ぎを覚えた。

739 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15

「せんぱい?」
「う、うん」
「あーん」
「………」
「………」
「…亀井さん、勘弁してよ」
「いいじゃないですかー」
「いやいや」
「………」
「なんか恥ずかしいし」
「他に誰も、いませんよ?」
「そういう問題?」
「…もう」

口を尖らせる亀井さん。諦めてくれたかと、思ったんだけど。

「…じゃあ」
「え?」
「1回だけ」
「………」
「それでも…ダメですか?」

懇願するような口調と。一転して、切なげにさえ見える表情。
ずるいなあ、と思わせるそれに、結局僕は…負けてしまった。

「…1回、だけね」
「はい」
「………」
「じゃあ」
「…うん」
「あーん」
「…あーん」
「………」
「………」
「…どう、ですか?」
「…おいしい」
「ホントに?」
「うん。すごく、おいしい」
「…えへへ」

お世辞とか、亀井さんが食べさせてくれたからとか。
それは、そういうことじゃあ、全然なくて。
味覚と嗅覚が訴えるものの、限りなく純粋な表現だった。

740 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15

「ごちそうさま」
「まだありますから、後で食べてください」
「うん」

とても病体とは思えない、あっという間の完食。
未だに残る食欲を抑えつつ、再びベッドに横たわった。

「味、塩だけじゃないんだね」
「はい。いろいろです」
「へぇ…」
「………」
「料理、結構やってるんだ」
「いえ、全然」
「…そうなの?」
「はい」
「そんな風には、思えないけど」
「………」

僕の疑問には答えず、お盆を手に立ち上がる亀井さん。
その歩みが、ドアの前でピタリと止まった。

741 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:16

「お母さんに、前から言われてたんです」
「…どんなこと?」
「料理できないのは、いろいろ忙しいし、仕方ない」
「うん」
「けど、おかゆの作り方。それだけは」
「………」
「しっかり覚えておきなさい、って」
「…そうなんだ」
「はい」
「………」
「なんで?って、聞いてみたんですけど」
「うん」
「教えてくれなかったんです」
「………」
「そのうち分かるから、って」
「………」
「…ようやく、分かりました」
「………」
「………」
「…なるほど」
「はい」
「いい、お母さんだね」
「はいっ」

振り返りながら、ちょっとだけ語気を強めた亀井さん。
心底嬉しそうで、ちょっと得意げな笑顔の亀井さん。
料理する前に着けたらしい、エプロンをまとったままの亀井さん。
その姿が、この前会った、亀井さんのお母さんと重なる。
そして。

「おやすみなさい。せんぱい」

スイッチを操る音と共に訪れた暗闇に、かき消されていった。

742 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:19

>>722-730 の続きです。

>>732-735
「あーん」、かぶってもた。面目ない。

743 :名無し娘。:2007/08/22(水) 00:12
舌の記憶

744 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:29

「おめでとう」
「え?」

そう呟いた僕へ、愛ちゃんが驚いた顔で振り返った。

「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「一日すぎちゃったけどね。なんでかな、昨日うちに帰ってから不意に思い出したんだ」
「嬉しいです。覚えててくれて」

それは本当に喜んでくれている、そんな表情で。
あまりに真っ直ぐに向けられた感情は、逆に僕を心苦しくさせた。

「なにもお祝いとかはないんだけどね」

自分の居た堪れなさから目を背けるように苦笑いを浮かべて逃げる言葉。
けれど愛ちゃんはブンブンと首を振って、何故僕がそんなことを言うのか信じられないって顔をする。

745 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:30

「そんなん要らないですっ。あ、要らないってその…ヘンな意味やなくて」
「うん。判ってる」
「あの…、せんぱいがそうやって、……覚えててくれただけで充分って意味で」
「そう? そっか。愛ちゃんは覚えてたの?」
「当たり前ですっ」

何の気無しに問い掛けた言葉だったけれど、返ってきた言葉は思いも寄らない強さを持っていた。
目を丸くした僕へ愛ちゃんが申し訳なさそうに「すいません」と口早に言った。

「あ、なんでもないから。うん。ちょっとビックリしただけで」
「すいません」

もう一度謝る愛ちゃんは六年の月日を経ても変わらないヘンな生真面目さと。
そして六年の月日を経た女性らしさを見せる表情をない交ぜにする。

「……うん」

僕はその変わらない部分も、変わっていく部分も、どちらも愛らしく微笑ましくて笑顔にさせられて。
ただ多くを語る必要もなく頷いただけだった。

「忘れるわけないです。先輩と……」

俯いていく横顔と小さく掠れて消える言葉。
辛うじて耳に届いたその言葉は、僕を気恥ずかしい心持ちにさせた。

746 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:30

「おめでとう」
「え?」
「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「うん。今日だよね」
「は? あの……」
「うん?」
「六周年…です」
「え?」
「あれ?」
「六周年?」
「そのことじゃなかったですか」

747 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31

「っていうと……」
「あ、じゃあ麻琴が卒業して一周年……」
「それってお祝いすることじゃない気がしない?」
「ですよね。えっとじゃあ……?」
「だって……」
「メロン記念日さんが八周年」
「……それ、気がつかなかった」
「せんぱいちょっとヒドイです」
「すいません……」
「ほしたらなんの…?」
「えっと、あれ? ……なんだったっけ」
「何周年なんですか?」
「四周年だって」
「それはハッキリ覚えてるんですね」
「……うん。そうみたい」
「なんやろ」
「なんだろうね」
「ほやったらとりあえず」
「とりあえず」

748 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31

「「四周年おめでとうございます」」

749 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/27(月) 22:33

えっと……同じ出だしで二本立てとか。
ああ、ごめんなさいごめんなさい。石とかは投げないようにお願いします(^-^;

とりあえず。
おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

ではまた。

750 :−うぉーあいにー-:2007/09/05(水) 00:05

センパイ。

少し片言の日本語で僕を呼ぶ声。振り返ると、そこにはジュンジュンが
立っていた。

お、どうしたの? ジュンジュン。
アノ、私とセップンしてクダサイ。
は?
セップンしてクダサイ。
あの、ジュンジュン言ってる意味わかってる?
え? コレ言ったらセンパイ喜ぶイってたから。

ジュンジュンの後ろの方を見ると、僕が見ていることに気づいていないのか
二人で笑っている、さゆと絵里。なるほど…

ジュンジュン。
は、ハイ?
あのね、日本語でセップンって言うのは、キスってことなの。わかる?
セップン・・・キス?
そう、チューのこと。

ジュンジュンは、その瞬間顔が真っ赤になった。

僕とセップンしたいの?
イ、イエ…
僕は、ジュンジュンとセップンしたいよ?
え?

ジュンジュンの肩を優しく抱きしめる。そして、ゆっくりとジュンジュンと顔が…

駄目〜!!

すると、さゆと絵里が走ってやってくる。僕が見つめると、逃げようとする絵里と
さゆの首根っこを捕まえる。

こら!! ジュンジュンにうそ教えたら駄目だろ!!
ごめんなさ〜い・・・
ジュンジュン、ごめんね。こいつら、今怒るから。
・・・
−チュッ−

両手が塞がった状態で、僕の頬になにか柔らかいものが触れる。

我想?・・・
え?

そう言って走り去っていったジュンジュンの背中を見つめながらも、悪ガキの首根っこは離さなかった。

751 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/05(水) 00:06

初の新メンのジュンジュンを登場させました。
いやぁ〜、意外と片言っぽくするの大変だ…
勉強しなくては・・・

752 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:21

それは秋のツアーに向けてのダンスレッスン中だった。
流れていた曲が急に止まり先生の声が響いた。

「なにやってんのっ!」
「…すいません」
「謝らなくていい。なんで動きを止めたのかって訊いてんの」

厳しい視線と叱責の先で、自分の身体を抱くみたいな姿勢でいる先輩が俯いていた。
いつもよりもキツイレッスンのせいか、乱れた髪の先から汗がぽつぽつと零れて落ちる。

「すいません……。ちょっと顔洗ってきていいですか」
「…じゃちょっと休憩」

仕方なさそうにそう言った先生が出て行った。
声を掛けて近づく新垣さんに、大丈夫と手を挙げた先輩が深く息をついて出て行った。
その姿があのときの先輩とダブって見えて、胃がキリキリと締め付けられるみたいな不安感が記憶と一緒に蘇ってくる。
感情に…、その不安感に責め立てられるままに先輩の後を追ってしまった。

753 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22

飛び出した廊下の向こうにいつもよりも少し小さく見える背中が消えていった。
小さな違和感に囚われる。
廊下を歩きながらふと視界に入ったそれで気がつかされた。
給湯室。顔を洗うと言って出て行ったのならここでいいんじゃないんだろうか。
なら……?
先輩が向かった先は。
T字に分かれたその方向は。

「せんぱい…」

そう口にしてしまってから声に出したことに気がついて、解放されたように膨れあがる懸念が指先に伝わる。
その震えた手に無理矢理に力を込めて、握ったドアノブをそっと回した。

「――えっ?」

色を変えたシャツを脱いでいた先輩は、しなやかな身体に汗を光らせたままで……
上体だけでこっちを見ている先輩は、少し険しい顔つきで右手を左の肘の辺りへ添えていた。

754 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22

「せんぱい……?」
「れ、れいな? どうかしたの? あ、っていうか、ほら、着替え中だけど」

れなを見止めて変わった表情は、ほんの少しだけぎこちない笑顔。
茶化すように出された言葉に残る微かな動揺がれなを踏み込ませる。

「せんぱい、もしかして……左腕」
「なんで? どうもしないよ」
「あのときの、ですよね」
「だからー。関係ないってば。ちょっと寝不足。昨日遅くまで――」
「なんでっ!」

なんでって。
本当にただそんな気持ちで一杯だった。

「れいな……?」
「なんで……」
「な、なにがさ」

驚いたって顔をしていたのは一瞬だけで、すぐに笑顔に戻った先輩がそう呟いた。
今ならそれがごまかしだって解る。
もちろんそれは悪い意味で、先輩が自分のためにするごまかしなんかじゃなくて。
メンバーみんなを、今はれいなのことを考えてのごまかしだってことも。
だけど……

755 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:23

「せんぱいはいつも……いつも、いっつもそうやって! そうしてるとき“せんぱい”はどこにおるとっ?」
「え……?」
「れなは前に言ったこと、忘れとらんけんっ。それともやっぱりせんぱいにとってれなは頼りにならんと?」
「僕も……」

激情に駆られて吐き出した言葉は後輩であるれいなが口にして良い言葉じゃなかったかもしれない。
けれど先輩は前の…あのときみたいに真剣で、それでいて優しさも感じる目でれなを見つめる。

「僕も忘れてなんかいないよ」
「ならっ――」
「本当のこと、話すから」

困らせてしまっているのは知っていた。
従順に甘えていれば先輩にこんな顔をさせることもないことも。
けれどそれじゃあいつまでも、いつまで経っても越えられない壁があることにも気がついたから。

「聞かせてください」
「うん。あの後、まあ多少無理したからだけど、体力が落ちてくると痺れるみたいな感じになるんだ」
「やっぱりれなの――」
「待ってって。ちゃんと先生…あ、お医者さんね? 先生とも話してるから。
 ちゃんと体力つけて、定期的に通院すれば問題ないって。そう言ってもらってるんだ」
「でも……」
「怪我をしたのは自分。無理をしたのも僕の判断。つまらない詮索されて記事にでもなるのはゴメンだったから」

756 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:24

そうやって自分を嘲笑う先輩の表情に胸が締め付けられるような苦しさを覚えた。
違う。そうじゃないのに。
そう言おうとしたれいなを知っていたみたいに先輩が言葉を続けた。

「今の自分に折り合いをつけるだけだから。ちゃんとしてればしっかり治るんだしね。
 だかられいなが気に病む必要なんてなにもないんだよ。僕がシャンとしてればいいだけの――」
「やっぱり……」
「え?」

ポツリとついて出た言葉。
けれど形にしてしまえば、それはそういうことなんだって気持ちを強くして。
明瞭な輪郭を作った気持ちは言葉になって溢れる。

「れなが言いたいのは…、れなが思ってるのはそんなことじゃなかっ!」
「ちょ、れい――」
「先輩だとか後輩だとかっ、……それは確かにそうっちゃけどっ。でも違くて。
 せんぱいはいつもそうやってれなたちを離そうとする。なんで? なんでそんなにっ!」
「ま、待って、なにを――」
「れなたちはっ…、れいなは……、先輩後輩なんて関係ない! れなはただせんぱいが好きなだけなのにっ!」
「――っ、れ、いな……」

先輩の声が、表情が。
感情に流された言葉によってその色を変質させた。
そう気がついた、気がついてしまったれいなは……その世界から逃げた。

757 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/05(水) 23:27

前にたてたフラグの幾つかを片づけてみましたが。
さて……どうしましょうかね。

>>751 TACCHIさん
おかえりなさーい。
で、中国語キター。
続きもブログも期待してます。

758 :−スカイ・ブルー−:2007/09/12(水) 22:22

『じゃんけんぽん!!』

楽屋から出て行く僕とれいな。

「なんで、チョキだしたんやろ?」
「僕も、それ自分に言いたい…」
「これ、ちょっと多すぎん??」

みんなから頼まれたお買い物リストを覗き込むと、僕が居てよかったと思う量だった。

「ってか、これホントにみんな食べるのかな?」
「絶対食べん。これ、絵里やろ? なんね、絶対こんな量食べれんし…」
「ちょっと見せて」
『あっ…』

メモを取ろうとしてれいなの手と僕の手が触れる。メモが地面に落ちてそれを拾おうとしゃがむ。

−ゴンッ−
『ッ!!』

二人で、おでこを押さえる。そして、二人で向き合っているとなぜだか笑いがこみ上げてきた。

「あは…あはははは」
「にひ、ははははは」
「ご…あは…ごめん…はは」
「こっちこそ…にゃはは…すいま…あはは…すいません」
「あはは。行こうか?」

笑顔でれいなに手を差し伸べる。れいなも、笑顔で僕の手を掴み立ち上がる。

「ほら、先輩早くいかんと♪ 愛ちゃんたちが、怒るけんね」
「ちょ、ちょっと待ってよ」

そう言って、僕の手を引いて走り出すれいな。その日の青空が、僕には本当に澄み渡って見えた。

759 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/12(水) 22:25

今回はれいなメインです♪

>>757 匿名さん
いや〜、なんかさすがっすね。匿名さんのれいなに触発されてれいな書いちゃったw
中国語、間違えてた事に気づいたのは秘密w
ブログにも、書いてますがラジオよかったら聞いてやってくださいwww

760 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
小春はいつものように僕の膝の上に乗っている。
「いつも」って言うけれどこれってよく考えると凄いことだ。
たまには他の人の膝に乗ればいいのにな…ってそんな問題じゃないか。

「小春なぜそこにいるか?」
ジュンジュンが不思議そうな顔で小春に話しかけてくる。
小春に話しかけてるくせに目はじっと僕を見ているのはなぜだろう。
こっち見ないで。
ジュンジュンのの目はいつもよりも鋭いような気がする。
怒ってるのかな?この間リンリンと名前を間違えたから。
あのときからまだ機嫌がなおっていないのかもしれない。

761 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
「だって気持ちいいんだもーん」
「気持ちいいのか。気持ちいいのか小春よ」
「うん!」
「あたしも乗るからあっちいけ小春」
ジュンジュンは怖い顔のまま怖いことをさらっと言う。
「だーめ!」
「ダメじゃないろ。あたしも乗るの」
ジュンジュンは怖いだけじゃなくてすごく強情なところがある。小春に似てるかも。

小春とジュンジュンは押し問答を続けていて今にも喧嘩になりそうだ。
どうしようかと困っていたららリンリンが入ってきた。
リンリンはいつもニコニコ笑ってる。
僕がジュンジュンと名前を間違えたときも笑って許してくれた。
他のメンバーとは違う優しさを持っている子だと僕は思っていた。
リンリンに目でサインを送る。
た、助けて……

762 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
「ジュンジュン。なにやってるの?」

リンリンはあくまで優しく、そしてつたない日本語でジュンジュンに語りかける

「小春わがまま。人の言うこときかない」

まだまだへたっぴなジュンジュンの日本語だけど不思議と言いたいことだけはストレートに表現できる。
小春わがまま。人の言うこときかない。これ以上適切な表現があるだろうか?いや、ない。

「なーんで。小春わがままじゃないもん!ジュンジュンのがわがままだよー!」

「ジュンジュン、なにしたいの?」

「小春の座ってるところに座りたい。でも小春どかないの」

「あらー」

にっこり笑って僕の方に微笑みかけてくるリンリン。
ジュンジュンの頭をなでなでするリンリン。
本当にジュンジュンより年下なんだろうか?なーんて女の子には聞けませんけどね……

763 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
「小春いっつもそこに座ってるよね」

「うん!」

「いつも気持ち良さそう」

「うん!」

うんって…確かにそうだけどさ。そうなんだけどさ。ジュンジュンが怖い目で見てるよ…

「じゃあ、たまにはジュンジュンにも譲ったら?」

「だーめ!ここは小春の特等席なの!」

「特等席?」

あれれれ。なぜかリンリンの表情が変わる。
いつものにっこりとは少し違うにやりとした笑顔で僕の方を見る。
まさかリンリンも僕の膝に乗りたいのかな?という僕ののんきな想像はリンリンのきつい一言に砕かれる。

「あはは。昨日はれいなちゃん乗ってたよ。その前の日はさゆみんも乗ってた。
 そこは小春だけの特等席じゃないよ。あはは。」

僕の膝の上に乗っかってた36℃くらいの生き物の体温がすっと下がる。
そのあとのことはよく覚えていない

764 :名無し娘。:2007/09/13(木) 16:39
ジュンジュンが乗ると膝が壊いやなんでもない

765 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:05

「誕生日おめでとう」

「ええ〜。なにそれ〜」

当たり前すぎる一言をかけた途端に彼女は不機嫌な顔をする。
僕は思わずカレンダーを見るが確かに今日は9月14日だった。

「どうしたんですか?」

「普通サプライズ的な企画があるもんやんか」

そんなものなのかな。
確かにテレビやラジオの番組ではスタッフがそういうことをするらしいけれど。
でもいつも一緒にいるのに誕生日を知らん振りすることなんてできないよ。
彼女はぷうと口をとがらせてそっぽを向く。

「あらら。プレゼントあげるのやめよっかな」

「どうせ時計やろ。知ってるもん。さゆに聞いてたのは」

「あー、確かに聞いたけどね。何が欲しそうかってことは」

「なんでもっと上手くできんのやろかね。気が利かんわー」

「気が利かないかもしれないけど」

僕はそう言いながら自分でラッピングを解いてプレゼントをあける。

766 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:06

「なんや。ホンマに時計やんか」

「欲しかったんでしょ?」

「まあ・・・・・ね」

僕はその時計を彼女の細い手首に巻きつける。

「プレゼントは欲しいものが一番じゃないの?」

「じゃあ、あたしがさゆに一億円が欲しいって言ってたら?」

「一億円?何言ってるの。僕が欲しいくらいだよ」

「じゃあ100万円って言ったら?」

「だから僕も欲しい」

「じゃあ愛が欲しいって言ってたら?」

「だから僕も愛が欲し・・・・」

口を滑らしてから少し後悔する。

長い沈黙が二人の間を流れる。

二人の間で静かに時を刻む時計はいつの間にか14日の24時を過ぎていた。

767 :名無し娘。:2007/09/15(土) 14:24
愛ちゃん策士だなw

768 :名無し娘。:2007/09/16(日) 08:55
愛ちゃんの誕生日だったけど、メールしか送ってない。
まだプレゼントも買ってない。
「明日、謝ろう」
そんな事いいながら、マンションのドアを開けた。
部屋に入り一息つくと、前になかったものがあった。
それは絵だった、しかもハロモニのコントのように絵になっていたのは
愛ちゃんだった。
テーブルの上に可愛い便箋で書いた手紙があった。

「いつもお世話になっている先輩へ私からのプレゼントです」

愛ちゃんありがとう。
でも今日は愛ちゃんの誕生日だよ。
僕は絵になっている愛ちゃんを見ていた。
可愛いな、しかも動かないし。
「愛ちゃん、ありがとう」
愛ちゃんは少し微笑んでくれた。

769 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:02

九月十三日。時計の針は零時をまわり十四日になっていた。
収録が長びいて押した時間はメンバーに疲労と空腹をもたらし、年少組は一刻も早い帰宅を選び愛ちゃん僕は空腹を満たすことを選んだ。
新垣さんも一緒にきたがったけど、まだ未成年でもあるし、家でお母さんが待っているみたいだと渋々と帰って行った。
ゆっくりと食事を終えた僕らがそろそろと時計を気にしたときにはこんな時間になってしまっていた。

「日付、変わっちゃったね」
「そぉですね」

ここ数日、僕らのリーダーである愛ちゃんは、なにか心を煩わせているようにも見えたから。
だからあえてこうして誘ってみたのだけれど……どうもうまくいかない。
自分に余裕がないからだと心のどこかで謗る声から目を背けたツケなのかもしれない。

「あっ、そう言えばさ。今年はなにがほしい?」
「え?」

半分は心からの、半分は苦し紛れに話題を変えての言葉に、愛ちゃんは不思議そうな表情で応える。
まるで自分が誕生日だなんてことはまるで覚えていなかったように。

「誕生日、だよ」
「あっ…、そうだ。うん……」
「去年みたいになにかの舞台とかにすればよかったかな? 今からじゃさすがに間に合わないけどね」
「そうですね…」

770 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03

ぎこちなさが饒舌にさせる僕に、愛ちゃんは言葉少なでどこか逡巡してるようにも見える。
その理由が思い浮かばないままで、重ねる言葉を選んでいくのは今の僕には難しいことだった。
そんな迷いを見透かしたみたいに、愛ちゃんが僕の目を見つめてきた。

「物じゃなくてもいいですか?」
「え?」

なにかに踏ん切りをつけたように、不思議なほどサッパリした顔でそう聞かれた。

「あ、うん。なんだろう? どこか行きたいところとか、そんなことかなあ」
「違います。仲直りしてください。れいなと」
「……えっと、なにを、…なんの話だろ?」

突然放り込まれた爆弾が心拍数を跳ね上げる。
辛うじて返した言葉に力なんて無いのは自分でも解っていた。

771 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03

「なんかあったのくらいわかります。せんぱいのことはよく見てるから……」
「そっ――」
「れいなと、仲直りしてほしいです」
「別に……、ケンカしてるわけじゃないよ」
「やけどギクシャクしてます」
「そう、だね」
「なんかあったんでしょ?」
「まあ、うん。ちょっとね。…でもほら、そんな心配するようなことじゃないからさ」

嘘だ。
自分でもそんなこと信じてなかった。
なにか行動を……しかもよほどよく考えて、場当たり的ではなくしっかりと決めて動かなければ前みたいにはいられないだろうと。

772 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:04

「ウソばっか」
「う、嘘じゃないよ」
「わかりますって。せんぱいすぐ一人で抱え込んじゃうから。言いたくないのか言えないのか知らないけど」
「……そんなつもりないけど」
「じゃあなにがあったか教えてくれますか?」

努めて明るく出された声に息苦しさを感じる。
それは愛ちゃんのせいじゃなく、そんな声を出させている自分のせい。
だけど……

「それは…、内緒。でもホントに、大丈夫だから。ね?」

全てをさらけ出してしまいかけ、危ういところで自制した。
愛ちゃんはほうと一つため息をついて、それから静かに笑った。

「れいなとなにがあったのか知らんです。けどれいなのこと真っ直ぐ見れんようなせんぱいはヤです。
 ……ほやからプレゼントくれるんならいつものせんぱいをください」
「愛ちゃん……」

きっと愛ちゃんはなにも知らない。
けれど感覚的に捉えたことからそうなっただけなんだと思う。
でも今の僕にそれを求められるのは……

773 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:05

「せんぱい…」

愛ちゃんが小さく呟いた。
決めきれない気持ちが表情に出てしまっていたのかもしれない。
心配げな愛ちゃんの目が僕へ動けと促した。

「愛ちゃん……」
「はい?」
「愛ちゃんがそうしてほしいって言うなら、僕はそうしたいと思う」
「……うん」
「ただ……」

一度言葉を切った僕を愛ちゃんは真っ直ぐに見つめてくれている。
この目は裏切れないし裏切りたくない。
そう思う気持ちは本当だったから。

「いや、うん。大丈夫。ちゃんと前みたいに話せるようにするから」
「…はい。高橋は信じてますから。せんぱいのこと」

そう笑う愛ちゃんが少しだけ寂しげに見えたのは僕の心が揺れているせいだろうか。
僕には片づけようのない気持ちばかりが積もっていく苦しい夜だった。

774 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/16(日) 21:15

ああ、どうしようどうしよう(^-^;

>>759 TACCHIさん
いやあ、明るいれいなでいいですねえ(笑)
来週ですね。正座して待ってようと思いますよ。

んで。
さしみ賞でここに書く方がいらっしゃるんですね。
いやはや、うまいうまい。
参っちゃいますよね(^-^;

775 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
突然の電話で唐突に呼び出されたのはとあるホテルの一室だった。

「なあなあ、こんなとこに呼び出してなんなのさ」
「や、悪いとは思ったんだけどさー。あんたしか思いつかなくって。
 あたしもマネージャーさんもね」

そう指差した先でよっすぃーのマネージャーさんが僕を拝み倒していた。
たまたま僕だけがオフで、おまけに予定がなかったからいいものを。
ん?というよりも僕だけがオフだから呼び出されたと考えるべきなのか?
そんなことを考えているとホテルの従業員らしい男女が二人、僕らのところへ歩いてきた。

「なあ、仕事なのはわかったけど、一体何の仕事なんだよ」
「……すぐわかるから。あたしの口からは説明しづらいんだってば」
「なんなんだよ、ったく」

ぼやいた僕へ相対したのは女性の方。
「ではこちらへお願いします」などととても愛想よく見える営業スマイル。
今は娘。じゃない誰かさんにも見習って欲しいくらいの。
よっすぃーはマネージャーと男性従業員に連れられて別室でなにかあるらしい。

先を歩く女性の背中へ追いかけながら「あのー、僕はなにをすればいいんですかね?」、などと聞きかけて思い止まった。
事務所の不手際を晒すようで微妙に気がひけたからだ。今更とも言えるけど。
が、ある部屋へ通されて細々しくレクチャーを受けた僕は激しく後悔することになった。

「嘘でしょ……?」

思わず呟いたのも無理からんことってものだろう。

776 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
様々な準備でかれこれ一時間以上は費やされただろう。
窮屈な衣装を着せられ、したことがないほど濃いメイクをほどこされた僕は撮影スタジオへ足を踏み入れた。
先に準備を済ませたよっすぃーの盛大な笑い声に深い嘆息を洩らし指し示された場所へ辿り着く。
隣にどこかで見たような気がしなくもないよっすぃーが笑いを堪える仕草。

「知ってたのか?」

そう訊いた声が一段低いトーンになるのは抑えきれなかった。

「……ぷっ、…いや、知らな……くもなかったけど。……っ」

返ってくる声が所々で途切れるのが癇に触って仕方がない。

「後でなんか奢ってもらうからな」
「ふはっ、……や、奢る。奢らせてもらいますとも。こんな面白いモン見せてもらったんだから」
「それとだ。娘。のメンバーには言うなよ。この仕事のことは」
「わかった。わかったってば」

それから数分かけて、なんとか不機嫌さを押し隠した僕と、なんとか笑いを堪えきったよっすぃーと。
二人並んで仲睦まじく写真に収まることになった。
何故だかウエディングドレスの僕とタキシードのよっすぃーで。

数日後。
何人かの娘。たちに大爆笑され、何人かの娘。たちに激しく責められた。
笑い袋な先輩から広まったんだとは後から聞かされた。

777 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
久しぶりに亀井さんと二人で食事をする
といっても高級なレストランなんかじゃなくてただのお弁当なんだけど
でも亀井さんが自分で作ってきてくれた手作り弁当だから
ありがたくいただかないとバチが当たるかもしれない

亀井さんは黙々と食べている
いつもの彼女からは考えられないくらい静かだ
彼女は「はい」と言ってゆで卵を僕に渡す。食べていいのかな?

「それは絵里が食べる分だからね」

亀井さんは眠そうな目を一瞬だけ鋭くさせて僕を見る

「どういうこと?」

亀井さんが食べる分をどうしてわざわざ僕に渡すんだろう?

「殻むいてください」

なんでも亀井さんは元気がなくなるとゆで卵の殻がむけなくなるらしい
ずっと一緒にいるけどそんなの初めて聞いたよ!
亀井さんは僕の前にずらっとゆで卵を並べる
これ全部僕がむくのか………ううむ。手ごわい。
でもこれを全部食べたら亀井さんも少しは元気が出るかもしれない

778 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
「元気がなくなるとね。もういいやってなっちゃうの」

くすくす笑いながら亀井さんが言う。ちょっとは元気出てきたかな?

「もういいや?」

殻をむくのが面倒だから食べなくてもいいやってなっちゃうのかな?

「殻ごといっちゃえ〜って」

おいおいおいおいおい
僕は思わず手を滑らせてゆで卵を取りこぼす
いくらなんでも殻ごとはまずいですよ怪我しますよ
ていうか本当なのかな?からかわれているだけなのかな?殻だけに。なんちゃって

「もしかして亀井さん、僕のことからかってます?」

「えー、からかってないよー」

「殻だけに」

779 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:14
亀井さんはあああああああああああああああ〜と言って後ろに反る
椅子から落ちそうになる亀井さんをすんでのところで椅子ごと抱きかかえる
目と目があって思わず僕は赤面してしまう
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

「あは。椅子から落ちるかと思ったよ」

「そんなに反り返るからですよ」

「だって〜、殻だけにって言ったもーん」

そう言いながらも亀井さんの目は優しく笑っていた
そしてそれ以上僕のことを責めることもなくじっと殻をむく僕のことを見つめていた

なぜ亀井さんが元気がないのか、僕はその理由はきかない
ただ黙って亀井さんのリクエスト通りにゆで卵の殻をむく
イガイガの殻をとるとつるんと丸いゆで卵が顔を出す
亀井さんの心からもこんな風にイガイガのものがとれたらいいのにな
そして明日からまた元気になってほしい。明日から。殻だけに。なんちゃって。

にやにやしながら殻をむく僕を亀井さんは不思議そうな顔で見つめる
もう一回言ってみようかな
そうしたらもう一回亀井さんは椅子ごと倒れるほどに反り返るかな?

そしたらまた亀井さんのことを抱きかかえて
そして今度は

そんな不埒な想像をしながら僕は6個目のゆで卵にとりかかる

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