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俺と娘。の夢物語~in 狩狩~3
- 1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
- すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m
- 333 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:34
-
「十……、ん? 十四品? 十三人のハズだけど」
「え? ですけどご注文では……」
「誰か二つ頼んだんじゃない?」
「マネージャーさんが間違えたんじゃないの?」
「いや、そこはちゃんとしたんだけど……まぁとりあえず置いていってください」
「あ、よろしいですか? では」
置いていかれた十四人目の料理。
メンバーの十人、マネージャーさんが二人、そして先生、みなが訝しげな顔をしながらも昼食を摂りだした。
わいわいといくつかのグループに分かれてそれぞれの時間を過ごし、そしてなごやかな休憩を終えようとしていた。
「あっ!?」
「なに?」
それに気がついたのは新垣さんだった。
新垣さんのその様子によっすぃーが声を掛けた。
「これ……」
- 334 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
新垣さんが指差した先、そこには件の浮いていた料理がある……ハズだった。
「皿だ」
よっすぃーの言葉は短い。
が、間違いではなく、まさにそれは皿、でしかあり得ない。
そこにあるはずの料理はなく、盛られていたパスタはキレイになくなっていた。
「誰か食った?」
よっすぃーの問いかけに答える者はいなかった。
どこか薄ら寒い表情で皆が空いてしまった皿を見ていた。
「そういえば聞いたことがある」
「なにをですか?」
そう呟いた先生にそばにいた愛佳ちゃんが問い返す。
問い返された先生は震えを抑えるように自身の肩を抱き、小さな声でこう話しだした。
- 335 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
「噂だと思ってたんだけど……“出る”って」
「出るって……?」
そう訊いたのは小春ちゃんだった。
続く言葉はきっと小春ちゃんにも解っているんだろう、表情がそう物語っていた。
「プロになれなかったダンサーでね……」
そう先生が切り出した話は、ダンスも生業の一つである僕らには身につまされる話だった。
プロとして華やかなライトの下で踊ることを夢見ていた彼女は、幾度もオーディションを受けては落ち、そのたびに自身に過度な練習を課していたそうだ。
バイトで得た収入のほとんどをレッスン料やスタジオのレンタル料に廻し、それでも足りず公園などでも練習に励んでいた。
それはどこかしら狂気にも似た思いだったのかもしれない。
いつからか金銭的にも、時間的にも踊ることが全てになっていった彼女は周囲に心配されるほどに痩せ細っていき、それでも踊ることをやめずにいたらしい。
そして限界は不意に訪れた。
彼女は一人、休憩時間にも踊っていた、その最中に倒れ、そのまま意識が戻ることはなかったそうだ。
- 336 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:37
-
「立て替えられはしたけれど、このスタジオがそうだったって。
そしてそれ以来、いつからか彼女がこのスタジオに現れて――」
「ヤだァー!!」
誰かが叫んだ。
途端にパニックは伝染し、次々と恐慌状態に陥るメンバーたち。
亀井さんと新垣さんは互いにすがるように抱き合い、田中さんは眼を閉じ耳を塞いでいた。
立ち上がり部屋から出ようとした道重さんは、ガチャガチャとノブを動かし、「開かない」と叫ぶ声は涙声になっている。
混乱のまっただ中にある部屋で気丈なリーダーがドアへ駆け寄った。
「どいて!」
ノブにすがりついていた道重さんを脇に押し退けてノブに手を掛けようとしたよっすぃーが弾けたように倒れた。
それを見た愛佳ちゃんが悲鳴を上げ、混乱は極みに達し、僕はそれらを目にしながら身動きもできずにいた。
恐慌を煽るように唐突に爆ぜたドア。
そこから姿を現したものは……
- 337 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:39
-
「なんでドア押さえてんだよっ!!」
十数分後。
ことの真相は、たまたま寄った辻ちゃんが、いつの間にかデリバリーの注文に紛れ込んでいて。
ちょっと飲み物を買いに行っている間に注文が届き、置いてあった自身の注文を平らげ、お手洗いに行っている間にこうなった。
そして戻ってきた辻ちゃんがドアに手を掛けたタイミングで、混乱した道重さんが引くべきドアを押そうとした。
それをイタズラだと思った辻ちゃんが、ドアに体当たりをしてよっすぃーが倒れ、跳ね返ったドアがまた閉じる。
それにキレたのは辻ちゃんが柄の悪い怒声と共に飛び込んできたと、そういうことだった。
それぞれがそれぞれでいたとはいえ……。
あまりに自然に紛れ込んだとはいえ……。
居ないハズの辻ちゃんに誰も気がつかないなんて……。
後に残ったのは、目を真っ赤にしたメンバーたちと鼻にティッシュを詰めたよっすぃーと。
そしていまだ半べそ状態の愛ちゃんと小春ちゃんにすがりつかれて動けずにいる僕だった。
- 338 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/12(月) 19:40
-
時期外れの怪談でした(違)
- 339 :ののじぃ ◆NONOJisxz2 :2007/03/12(月) 23:26
- 面白いなぁ
, ' ~ミ
, ''^⌒∞リ
── =≡ノノ人ヾヽ =
── =≡从 `ⅴ´) <なんでドア押さえてんだよっ!!゙ッ ノノハヽ
─ =≡○_ ⊂)_=_ \ 从/-=≡ ( ;゚∀゚)
── =≡ > __ ノ ))< > -= ── =≡ =≡ 彡〉 つ
─ =≡ ( / ≡ /VV\-=≡ ── =≡ =≡⊂ 、 ノ
── .=≡( ノ =≡ -= ── =≡ =≡ し
- 340 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:45
-
目の前には、5人の正座した女の子。
「はぁ~、愛ちゃんも加わっちゃったか」
「ごめんなさいやよ」
「さて、誰から暴露する?」
みんな、キョロキョロとお互いの顔を見合わせている。
「あのさ、最初の方が楽だと思うよ。ハードル今なら低いし」
この僕の言葉にみんなが反応して一斉に手が挙がる。
「じゃあ、最初は・・・さゆから!!」
「はい。 ・・・あの、その、この前ダンスレッスンの時先輩のTシャツ無断で借りたまま、
まだ返してません!! ごめんなさい!!」
「はぁ!? あれ、さゆだったの? ボク、てっきりミキティだと思ってた」
「ちょっと、勝手に美貴のせいにしないでよ」
「あぁ、ごめんごめん」
この前のダンスレッスンのとき、僕が一枚余分に持ってきていたTシャツが、
なくなるという事件が起きて、見つからないまま僕は諦めて帰宅したという事件があった。
「あの、私あの時着替えのシャツ忘れちゃって、その時目についたのが先輩のシャツで・・・
帰るときに言おうと思ったんですけど、言いだせなくて・・・」
「はぁ~・・・わかった。今度シャツ持ってきてね」
「はい!!」
「よし、さゆ合格!!」
僕は、道重さんを立ち上がらせる。
- 341 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:45
-
「さて、次は?」
残り4人・・・
「はいはいはいはい!!」
ミキティが、何回も「はい」を連呼する。
「じゃあ~・・・愛ちゃん」
ミキティが、その場に崩れた。ナイスリアクション!!
「あの・・・私、先輩に内緒にしてたことがあって・・・」
「なに?」
「この前、先輩の楽屋にお邪魔したんですけど、その時先輩お昼寝してて・・・
その・・・先輩可愛くて・・・先輩に無断で写メとりました!!」
「・・・マジでか!?」
「ごめんなさい!!」
「その写メ見せて」
愛ちゃんは、携帯を取り出すと僕に画面を向けた。そこには、僕が気持ちよさそうに
眠っている画像だった。
僕の顔の温度が上がるのがわかる。
「これさ、もしかして誰かに送ったとかないよね??」
「え!? あの、その・・・」
「誰に送ったのかな??」
「あの美貴ちゃんに・・・」
僕は、すぐにミキティの方を向く。
「ミキティは、それ誰かに送ったりした?」
「え? ま、まさか~そ、そんなわけないじゃん!!」
「(この反応は誰かに送ったな・・・)誰に送ったの!!」
「亜弥ちゃんに・・・」
「はぁ~・・・もう、駄目だ・・・これは、絶対全員に送られてる・・・」
僕が、この室内に居る全員を見渡すと全員が苦笑いしていた。
やっぱり・・・
「ん~・・・もう過ぎちゃったことは仕方ない・・・けど、今度から勝手に人の寝顔は撮らないこと
わかった??」
「はい。わかりました」
「よし、愛ちゃん合格!!」
- 342 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:46
-
残り三人・・・
「次はぁ~・・・」
「はいはいはいは~~い!!」
「はいはいはい!!」
目の前には、田中さんととミキティがものすごい勢いで手を上げている。
「じゃあ・・・絵里!!」
選ばれなかった二人が、前のめりに倒れた。これ、どっかで見たことある気がするなぁ・・・
「え~っと、この前先輩のシャツにキスマークついてたじゃないですかぁ?」
「ま、まさか・・・あれ、絵里だったのか!!」
この前のハロモニの収録が終わったあと、女の子用の楽屋に遊びに行くと
田中さんから、「先輩、シャツにキスマークついとー!!」と言われ、シャツを見てみると
はっきりと背中のところに唇の形で、キスマークがついていて皆から笑われた。あの時の、
恥ずかしさは今まで生きてきた中で、三本の指に入るぐらい。
「ハロプロちゃんねるの収録の時に、廊下で先輩に後ろから抱きついたじゃないですかぁ?」
あの時、僕が廊下を歩いていると、ものすごい勢いで、エリザベスキャメイの格好をした
亀井さんが後ろから抱きついてきたのを僕は覚えていた。
「あの時か~!!」
「はい。えへへ~ごめんなちゃい」
「ったく・・・あの時どんだけ恥ずかしい思いをしたと・・・絵里、当分後ろから抱き着いてくるの
禁止ね!!」
「えぇ~そんなぁ~絵里の楽しみがぁ~」
「わかった??」
「はぁ~い・・・」
アヒル口をしてつまらなそうな顔になった亀井さんを立たせた。
- 343 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:46
-
「さて、残るは二人か・・・」
「はいはいはぁ~い!!」「はいはいは~い!!」
もうミキティなんか、指されないのが面白いのか笑いすぎて少し涙目になっていた。
これは・・・僕のキー坊スイッチが入った。
「じゃあ、れいなぁ」
僕の言葉にミキティは、もう笑うしかないみたいだ。
「も~!! 美貴当ててよ~!!」
「いや、なんか当ててはいけないって天の声が聞こえた。じゃあ、れいなどうぞ」
文句を言っているミキティを無視して田中さんの方を向いた。
「あの・・・この前のハロプロのコンサートのとき・・・先輩のシャワーしとるところ
覗いちゃいました!!」
「・・・はぁぁぁあ!!??」
田中さんの突然のびっくり発言に全員が目を見開いた。さすがに、これは暴露しすぎだろ。
「あ、あの、ワザとじゃないとよ。コンサートが、終わって先輩の部屋に遊びに行ったら
ちょうど先輩ドア開けてシャワー浴びとって・・・」
「ま、まじですか・・・」
僕の問いかけに田中さんは、顔を真っ赤にして小さくうなづいた。
「最初は、声かけようと思っとったんやけど・・・先輩が、歌ってた曲『シャボン玉』やったけん…
その歌ずっと聴いときたかったと・・・」
「あのさ・・・もしかして、ばっちり全身見た?」
「・・・」
田中さんは、顔を今さっき以上に真っ赤にして僕に顔を合わせないようにして小さくうなづいた。
僕は、顔の温度が急上昇するのがわかった。まさか、田中さんに見られていると思って
いなかったし、こんな事ないって思ってたから。
「ふぅ~・・・そっか・・・」
「ごめんなさい・・・」
田中さんは、小さな小さな声で僕にそう呟いた。
「いや、れいなは悪くないよ。僕が、人が来るわけないって思ってドアを開けたままシャワー
してたのが悪いんだし。けど、今度からは人の部屋に入るときは、ノックなり声を
かけるなりしてから部屋に入るように・・・わかった??」
「・・・はい」
- 344 :-ひ・み・つ-:2007/03/13(火) 04:47
-
「よし。じゃあ、最後となりましたミキティ。れいな以上の暴露おねがいね」
「え~っと・・・う~んっと・・・ハロプロちゃんねるの衣装は美貴が・・・」
「いや、ミキティが選んでるのファンのみんな知ってるし・・・」
「え~っと、え~っと・・・」
必死に考え込んでいるミキティ。僕は、あることを思い出してミキティにニヤリと笑った。
「な、なに?」
「ミキティと僕の始めての出会い聞きたい人~」
「「「「「はぁ~い」」」」」
ミキティを除く5人が、手を上げて賛成した。
「ちょ、ちょっとそれはダメだって・・・」
「何か文句でも??」
僕は、無表情でミキティを睨みつける。
「い、いえ、文句なんてありません」
「ミキティね、最初僕と会ったとき緊張しすぎてさ・・・」
僕の話にみんなが耳を傾ける。顔を真っ赤にさせた一名を除いて。
ミキティと僕との出会いは、また別のお話しの時に・・・
- 345 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 04:48
-
まさか、こんなに長くなるとは・・・読む人大変だ・・・
- 346 :名無し娘。:2007/03/13(火) 08:50
- あのときは高橋さんいなかったけど、あれはいい番組だった
- 347 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:42
-
「せんぱいせんぱいせんぱぁーい!」
大きな声で駆け寄ってきたのは、なにやら大きめの紙袋を手にした亀井さん。
なんだかやけに嬉しそうにバタバタと近づいてくる。
「どーしたの? なんか嬉しそうだけど」
「はぁ。……んふふふ♪ せんぱい? ちょっとついてきてくださぁい」
妙なテンションのままで堪えきれないという風に笑う亀井さん。
僕は「時間が」ないと言いかけるけれど、「すぐに済みますよぅ」と笑う亀井さんに引っ張られていた。
連れ込まれたのは僕が元いた自身の楽屋で、後ろ手にドアを閉めた亀井さんが「見てください」と袋を置いた。
「な、なに?」
僕の問いかけなんて無視で、引っ張り出されたそれは体重計。
疑問符だらけの僕へ亀井さんの指先が体重計の表示部分を指差す。
「ちゃんとゼロになってるの、確認してくださいね。嘘なんかつかないんですから」
「……はい」
亀井さんの仰るとおり、確かにそれはゼロを示していて。
だからといってどうなのかという疑問の答えにはなっていないわけで。
- 348 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:43
-
「のりますよぉ、見ててくださぁい」
「あ、はあ」
慎重に右足から、そっとそっとのった体重計は……
「……キロだね」
「どうですか」
少し恥ずかしそうだけど勝ち誇った亀井さんの顔が“あれ?”って表情に変わる。
まあ僕があれ? って表情をしているからなんだろうけど。
「せんぱい?」
「え? はい?」
「どーですかっ?」
「っと、なにが、だろう?」
「せんぱいヒドイ! 覚えてないんですか?」
「え? ごめん、なんだっけ?」
「約束したのに……」
悲しそうに俯いてみせる亀井さん。
やばい、本気で思い出せないんだけど……約束? なんだっけ?
思い出そうと努力はするけれど、何一つそれらしい約束なんて浮かんでこない。
というよりも、約束なんてしただろうかってレベルだった。
「ごめん、ホントに。覚えてないんだ。教えてくれない?」
「約束したじゃないですか! デートしてくれるってえ」
「デート? 僕が?」
「他に誰がいるんですかっ」
- 349 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:44
-
すっかりむくれてしまった亀井さんの語気は荒い。
僕はといえば完全に弱腰になっていて、下手に出るしかない状況だった。
「……すいません」
「もうっ、せんぱいが忘れちゃうなんてえ」
「申し訳ないです。……で、約束ってのはなんでしたでしょう?」
「痩せたらデート」
「って言った? 僕が?」
「言いましたよお」
「い、いつ? 最近そんなこと言った覚えは……」
「そ、それはその……」
おや? 途端に亀井さんの怒気が集束していく。
声も尻すぼみに小さくなって、さっきまでの勢いは全くなくなっている。
「……いつ?」
「い、……」
「い?」
「一年くらい前、です」
「……もしかしたら、亀井さんも忘れてたってこと?」
「で、でもぉ、絵里はちゃんと思い出しましたよ?」
「うっ」
「だからデート♪」
「……う~ん」
「でーとでーと」
「え~?」
「で・え・と」
「わかりました。近いうちにね」
押し切られた。
まあ約束は約束だし、そんなに喜んでもらえるんなら、思い出せないほど前の約束でも構わないでしょ。
- 350 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/13(火) 19:54
-
今回はちょうど一年ほど前のMONIXさんのネタから。
さーっと見返してたら目に付いたもので。
MONIXさんお借りしましたー(事後承諾)。
>>339
わーい、ののじぃさんありがとーございます。
AAいただきましたー。
- 351 :-さくらチラリ-:2007/03/13(火) 22:24
-
今日は、娘。の仕事も休みだったので前から矢島さんから来てほしいと
頼まれていた。℃-uteのコンサートに来ていた。
コンサートが、始まる前にみんなに挨拶しておこうと廊下を歩く。
「あ、お兄ちゃんだぁ~」
僕が、その声に振り返るとライブの衣装を着たマイマイが、こちらに走ってきて
勢いよく抱きついてきた。僕は、そのままマイマイを抱っこする。
「やっほ~、マイマイ。調子はどう?」
「バッチシ~♪」
「そうか~、それはよかった」
「マイマイ、駄目でしょ。廊下を走ったりしたら」
萩原ちゃんの後ろからゆっくりと歩いてきた矢島さんは、ちょっと頬を膨らませて
怒ったような表情を作る。
「あ、●●さん、すいません。せっかくの休みなのに来てもらって」
「ううん、全然いいよ。僕も、マイマイや矢島さんたちのコンサート見てみたかったしさ」
「そうだよねぇ~●●♪」
「ねぇ~♪」
「こら、マイマイ。先輩を呼び捨てしちゃ駄目でしょ? すいません、●●さん」
「いいって。ってか、『●●さん』は止めようよ。つい最近まで、『お兄ちゃん』って
呼んでくれてたじゃん」
「え、あの・・・失礼かなって思って・・・」
「ねぇねぇ、●●」
「ん?」
マイマイから呼ばれた僕は耳打ちである提案をされた。
僕とマイマイの内緒話を不思議そうな顔で見る、矢島さん。
小さな会議も終わり僕たちは、ニヤッと笑うとそのまま矢島さんのほうを向く。
- 352 :-さくらチラリ-:2007/03/13(火) 22:25
-
「じゃあ、そっちが『●●さん』って呼ぶなら。僕は、『舞美』って呼ぶからね
そう呼ばれたくなかったら僕を『お兄ちゃん』と呼ぶ事」
「・・・えぇ~!!」
矢島さんの顔が、ものすごく赤くなったのがわかった。
「そ、それは…ちょ、ちょっと・・・」
「ん? 舞美、何?」
僕は、矢島さんに近づいて顔を近づける。
「!!?? わ、わかりました、わかりましたから」
「よし、僕たちの勝ち~イェ~イ♪」
「イェ~イ♪」
僕とマイマイは、ハイタッチをしてこの勝利を喜んだ。
「もう!! マイマイ、こら~!!」
「きゃぁ~~」
矢島さんが、マイマイを追いかける。逃げるマイマイ。
「じゃあね~お兄ちゃん!!」
マイマイは、そう言って僕に手を振り曲がり角を曲がった。
そのまま矢島さんも、マイマイを追いかけるように曲がろうとしていた。
「舞美~!! ライブ頑張れよ!!」
僕の声に振り返った矢島さんは、すごく笑顔で
「はい!! 頑張ります!! 『お兄ちゃん』!!」
と言って、頭を下げて曲がり角を曲がっていった。
矢島さんの『お兄ちゃん』の言葉になんだかうれしくなった。
あれ? ボク、ロリコンではないよね? ね??
- 353 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 22:26
-
なんか書きたくなったので書いてみましたw
いかがでしたでしょうか??
- 354 :名無し娘。:2007/03/13(火) 23:05
- よかったですよー。
- 355 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:22
- よろしいんじゃないでしょうか
- 356 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:28
- あーたっつぁんが遠くに旅立って行くのが見える…
- 357 :名無し娘。:2007/03/14(水) 15:15
- せっかくなのでホワイトデーネタをひとついかがでしょうか?
- 358 :名無し娘。:2007/03/14(水) 19:24
-
>>357
バレンタイン書きそびれたんでスルーしよっかと思ってたんですが…
のせてもらお。今から書きまーす。
- 359 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
三月十四日。今年もこの日がきてしまった。
両肩にかさばる鞄を抱え直し、気合いを入れ直した朝だった。
自分の楽屋に鞄を一つ置いて、もう一つを手に、まずは娘。たちの楽屋へ足を運んだ。
「おはよっ」
軽く手をあげて挨拶をすると、いつも通りにそれぞれから挨拶を返され、いつにないほどみんなから注視される。
さりげなく見渡せば、一人を除いたみんなの目が期待にキラキラと輝いているような気すらする。
「はい。じゃあ一番後輩からいこっか。愛佳ちゃんね」
「はぁい」
ほわほわとした返事だけれど、彼女だけは状況が飲み込めない風で。
それも最もだ。彼女は知らない。
一昨年、そして去年と繰り返してしまった僕の――というしかない?―― 過ちを。
- 360 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
それ以前はそうでもなかった……はずなのに。
特に藤本さんを除いた六期の三人が、だいぶ馴染んできた一昨年、そして去年はひどかった。
安易に考えた僕も悪かったけれど、それにしてもホワイトデーのお返しであんな荒んだ状況になるだなんて思いもしなかった。
一昨年は確か、道重さんがポツリと呟いたのがきっかけだった。
「絵里のヤツいいね」、と。
一人一人に用意したお返しとは別につけたマシュマロの味についてだったらしい。
「一個ちょうだい」
「やだ」
「一個だけ」
「やーだってば」
揉めてる二人をよそに誰かが伸ばした手が道重さんのマシュマロを掴んでしまった。
同じテーブルに全てを広げて渡したが故の悲劇だった。
六期、五期を巻き込んでの大騒動になるだなんて……
- 361 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:33
-
昨年はその轍を踏むまいと個別に渡し、マシュマロからクッキーに変わったけれど全て同じ味に統一させてもらった。
「じゃあ、はい。道重さんにはこれね」
「えー? なんでさゆからなん?」
「そーだよ。なんでさゆからぁ?」
「さゆみが一番可愛いからあ?」
まさか手渡した順番で揉めることになるだなんて。
不平の声を上げた田中さん、亀井さんという火に油を注いだ道重さんの言葉で悲劇は繰り返された。
ただ一番渡しやすい位置にいただけだったのに……
が、今年はそうはいかない。ましてや他にも山場を控えている身とあっては。
- 362 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:34
-
ともかく。
訳が解らないながらも手渡されたクッキー――マシュマロよりも受けがよかった――と、今となってはどちらがメインだか解らないちょっとしたプレゼントと。
笑顔で「ありがとぉございます」と、ごく普通に受け取ってくれた。
なによりもこの“普通”がありがたくも嬉しい言葉だったことは言うまでもない。
その後は小春ちゃんへ。
同期では年齢順に田中さん、道重さん、亀井さん。
そして新垣さん、愛ちゃん、サブリーダーの藤本さん。
最後にリーダーのよっすぃーへ手渡して、今年こそはと意気込んだイベントが無事に終了した。
みんなが嬉しそうに、なんの不平不満もなく終わるホワイトデー。
ここ二年の騒動があっただけに、目に映る光景に小さな幸せを感じた。
そしてこの後、僕は移動するたびに楽屋を抜け出して。
まるで季節ハズレのサンタのようにお返しを配るために走り回った……
- 363 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/14(水) 20:39
-
>>358 名前もsageも……orz
それはそれとして。
もうちょっと長くて書いた方がよかったかも?
ま、いいか。
- 364 :『足音二つ』:2007/03/15(木) 20:25
-
ツアーに向けてのダンスレッスン。
特別踊るのが好きじゃない……ってゆーか、どっちかっていうと嫌いに近いかも。
そんな自分としては、大勢でやるよりも、やれるところくらいは一人でやりたかったりする。
んなわけで、空いた時間に一人で踊っていたんだけど、ちょっと意外な邪魔が入った……入ってきた。
「あれ? 藤本さん。なにしてんの?」
「なにしてるように見えんの」
「ダンスレッスン、かな」
「じゃ聞くまでもないじゃん」
「そうだね。ご一緒してもよろしいですかね?」
「イヤだつっても混ざるんでしょ」
「うん。混ぜて」
やっぱりそんなことを言って笑う。
まったく……
「この続きでいい?」
「おまかせで」
さらりと言われた笑顔から目を逸らして、止めた音楽をアタマからスタートさせる。
流れてくるリズムに合わせて、習った振り付けをなぞっていく。
鏡に映る美貴の後ろにアイツの姿が映っている。
癪に障るけどなかなか覚えがよかったりするんだよね。
ダンスに関して独創的ではないけど基本に忠実で、習ったことを習ったとおりに踊るのがうまかったりする。
こうやって鏡で見比べていると、それがハッキリとわかる。
けど……
タンタンと刻むステップ、その足音が重なる瞬間。
それは結構キライじゃない。
フォーメーション通りに動いて、アイツと擦れ違う瞬間。
チラリと重なる視線が「楽しいね」って言ってるように笑ってる。
微妙に感情を抑えてる自分はどんな目をしてるんだろうって、それは気になったりもするけど。
こんな時間はキライじゃない。
- 365 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/15(木) 20:26
-
一レスで収まるのも気持ちよいですなあ。
- 366 :-マジですか・・・-:2007/03/16(金) 00:18
-
「この二人を、娘。の新メンバーとして迎え入れる事にした」
みんなが、驚きですごい顔になってる。僕も…
つんく♂さんの横には、可愛らしい長身の女の子と小さな女の子。
「(ってか、この子たちエッグの子だよな? ちょっと話した事があるような・・・)」
僕は、頭を抱えて必死に思い出そうとしている光景をみんなが不思議そうに見ていた。
「なんや、●●。頭でも痛いんか?」
「いや、その子たちコンサートで話した事あると思うんですけど…
なんか話せなかったような覚えが…」
「そうやろな。なんてったって二人は中国出身の子たちやからな。名前は、リンリンとジュンジュンや」
『・・・はぁ~!!!!????』
全員の声が、ハモった。
「ちょ…ちょっと待ってください。私たち、中国語なんて話せないですよ?」
ミキティから、的確な質問。みんながウンウンって頷いた。
「あぁ、この子たちならもう日本語は理解できるくらいやから大丈夫や。話せるしな。カタコトやけども」
この後、新メンバーとなる女の子とメンバーが続々と握手を交わす。なぜか、僕のときだけ
二人は焦っていた。
僕は、なるべく相手を緊張させないために笑顔で握手する。
その光景を凝視している人がいるのも知らずに・・・
- 367 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/16(金) 00:20
-
いや~、即効で作りましたw
なんか、マジでビビったんでここに作品作ることで俺の気持ちが表せればと
思ってます。
いや~、どうしよ・・・
- 368 :名無し娘。:2007/03/16(金) 20:45
- まだなんとも言えんけど
RuRuを前例だと思えば
……どーなるんだかね
とりあえずどう続くのか早くて続くを
- 369 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:28
-
「ねーねー、気づいてた?」
「ん? なにを?」
「美貴ね、入った当時はあんたのことキライだったんだよ」
「知ってたけど、それがどうかしたの?」
「なにそのリアクション」
「なにって……そっちこそ。なに急に」
「や、なんか急に思いだしたから。ほら、美貴六期だけどさ、一人だけ先に合流したじゃん?」
「ハロモニだっけ。そうだね」
「でさ、外から見てる分にはアンタのことも“へえ”くらいにしか思ってなかったんだけど」
「うん?」
「いざ中に入ってみたらさ、あんたそのまんまなヤツじゃん」
「っていうと?」
「えー? なんだろ、女の子ん中に男一人でさあ、普通に笑ってんじゃん」
「そーゆーお仕事でしょ、僕ら」
「そうだけどー。なんかイラっとしたわけよ」
「んなもんイラつかれても」
「だってさー、こう、なんかチヤホヤされてにやけてんじゃねーよ、とか思った」
「なんだそれ」
「誰にでも優しくしててさ。うわっ、コイツ絶対裏があんだろ、とか」
「ひどいなあ」
「やー、誰だって思うでしょ」
「そうかもしれないけどさ」
「だから美貴が本性暴いてやろっかなと」
「なんだよ本性って……。で、どうだったの?」
「……その微妙な笑顔うぜー」
「ほら、どうだったのさ」
「……さっき言ったじゃん。まんまだった」
「でしょ。嘘偽りのない自分だもん」
「ホンットそう」
- 370 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:29
-
「じゃあいつごろからキライじゃなくなった?」
「はぁっ? 今でもキライだから」
「うわ、言っちゃったよこの人」
「なに笑ってんだよー」
「怒るとこ?」
「あっ!」
「お?」
「今気がついた」
「なにに?」
「美貴アンタが怒ってるトコ見た覚えがない」
「そう、かな? そう? んー……そっか」
「なんかすっごい怒らせてみたいんだけど」
「そんな風に思われると意地でも怒ってやらない」
「ホラッ、その笑顔!」
「え? なに」
「うぜー」
「ヒドイ言われようだな、もう」
「いや正直な気持ちだから」
「少しはオブラートで包んだ方が――」
「そんなキャラじゃないし」
「……そりゃそうか」
「そう納得されるのもなんかムカつくんですけど」
「もうどーしろっての」
「……さあ」
「はぁ、……まぁわかったよ」
「なにが?」
「藤本さんが僕を嫌いだってこと、が、かな」
「ま、まーね」
「うん。藤本さんは僕を嫌い。嫌い嫌い、だーいっきらい、と」
「そっ……そこまで言ってないじゃん」
- 371 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/16(金) 21:32
-
てとさんが書かれた『二人ゴト』風味で。
読んでくれる方の想像力任せ。
- 372 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:54
-
どこかから聞こえてくるメロディ。
――あぁ、新曲だ
微睡みの中でそう思う。
思い、意識してしまえば、それは自分の携帯が着信を告げているんだと認識できる。
開かない目蓋にも構わずに、手探りで携帯を掴んだ。
「……はい」
『あ、寝てた?』
「んん……? 誰?」
『美貴だけどぉ』
ああ、うん。解ってたけどね。
知っているけれど訊いちゃうことってあるじゃない。
ちょっと甘えたな声はものすごく可愛らしいなぁ。
なんて考えながら、少しずつハッキリしてきた意識の中で呟く。
「うん。GAMの新曲が鳴ったから、藤本さんなのは知ってる」
『なんでさ。なら亜弥ちゃんだって可能性もあるじゃん』
「いや、松浦さんはこんな時間にかけてこないから」
『……。いい歳した男がそんな早寝すんなよっ』
逆ギレだ。
四時だよ? 多少イケイケでも朝から仕事なんだから寝るってば。
「はいはい」
『あっ、軽く流した!?』
「気にしないで。半分寝てるせいだから」
『起きろー。ちゃんと聞けー』
- 373 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:55
-
夜中――、早朝? どっちでもいいや。
こんな時間だってのに声デカイよ。
「お願いだからもうちょっとボリューム落としてくれる、みきたん」
『お前がみきたん言うなっ』
「はいはい」
『流すなってば』
「……めんどくさいなぁ、もう」
『あっ、今めんどくさいっていった?』
うぁ、こっそり呟いたつもりだったけど、寝ぼけてたのかちゃんと口にしちゃったらしい。
あぁ、でもホントめんどくさいから、藤本さん。
「言ってないから、気のせい」
『ウソだぁ。絶対言った』
「聞き間違いだから。で、なんだっけ、こんな時間に」
聞くだけ野暮な質問だけど、常套句みたいなもんだからね。
どうせ答えは解ってるんだ。
『や、なんか眠れなかったから』
やっぱりね。解ってたけどさ。
「そういうのは松浦さんトコにやってくれるとありがたいなあ」
『なにその面倒くさそうな……、あっ、やっぱさっき言ったでしょっ』
もう勘弁してください。
少し離した携帯から聞こえてくる藤本さんの声にそう願う。
- 374 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/22(木) 20:58
-
ageてたw
今日の『とくばん』から。
そして気がついてみれば藤本さん三連発。
気がついてなかった自分にビックリ。
- 375 :名無し娘。:2007/03/23(金) 03:54
- 素晴らしい
- 376 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:09
- お久しぶりです、相変わらずまとまり無いですが
いかせていただきま~す
- 377 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:10
- 自宅近くのコンビニで、これからうちに遊びに来る田中さんと買い物をしていた
適当な買い物を済ませてコンビニを出る、ここからうちまでは5分もかからない・・・けど
ふと隣に目を移すと田中さんがいない・・・
「あ・・・れ?」
「先輩、れーなはここ」
「ん?」
僕は声のする方向へ振り返る、田中さんは僕のちょっと後ろで座り込んでいた
「どしたの?」
「先輩、迷子みたい」
田中さんの傍らには小さなネコ・・・僕は一瞬、田中さんに似てるな~と思ってしまった
田中さんは「かわいい~」なんていいながら子ネコを撫でている、子ネコもまんざらではなさそうだ
「ふ~ん、どうすっかなぁ~」
僕はひとしきり思案する・・・・・・この子ネコ、どうしよう・・・このまま置いていくって言うのは
ちょっとなぁ・・・う~ん、面倒くさい!うちで考えるか・・・寒いしね
- 378 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「おーい、れーな」
「「はい?(ニャー)」」
1人と1匹が同時に返事をする、僕と田中さんは顔を見合わせながら笑った
「チビもれーなってって言うのか?よしよし」
僕がネコを抱き上げると、田中さんは僕に訪ねる
「先輩、どーすると?」
「とりあえず、うちに行って考えよう。寒いし、人間のれーなもネコのれーなも風邪ひいちゃうよ
うちペットOKだから長くいる事になっても平気だし」
「うん、さすが先輩、やさしいっちゃね~」
「そっかな~?」
僕と田中さんとレーナ(ネコ)は家路を急いだ、うちに帰った後も田中さんは帰るまで
ず~っとレーナ(ネコ)と遊んでいた。なんとなくそれを見ているとネコの親子が遊んでいるように見えるw
散々レーナ(ネコ)と遊んでから田中さんは帰っていった
「じゃあ先輩、レーナ(ネコ)をよろしく頼むっちゃ」
「あいよ♪」
「じゃあね、レーナ(ネコ)♪」
「ニャ~」
僕の腕に抱かれていたレーナ(ネコ)は少しだけ寂しそうな声で鳴いた
- 379 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
翌朝・・・僕が日課のランニングをしていると昨日子ネコを拾った場所に女の人が立っていた
その人は大人の猫を連れている、まさかとは思ったけど僕は声をかけてみた
-
--
---
----
-----
僕が楽屋に入ると田中さんは待ってましたとばかりに僕の所に飛んでくる
「先輩!レーナ(ネコ)は元気と?」
「ん・・・う~ん・・・」
「先輩?どうしたと?」
「実はね・・・」
僕は田中さんに朝方にあったことを全て話した、レーナ(ネコ)の飼い主がいてその人に
レーナ(ネコ)を返してあげたこと、いつでもレーナ(ネコ)に会いに行けば会えること
そして、拾った猫が本当にレーナ(ネコ)という名前だった事・・・全てをちゃんと伝えた
「そう」
一瞬田中さんは残念そうな顔を見せたが、すぐに笑顔になった
- 380 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「ちゃんとお母さんがいるなら、一緒にいるのが1番っちゃ、それに会おうと思えば会えるんでしょ?」
「うん、飼い主の人がいつでも会いに来て下さいって言ってたよ」
「じゃあ、今度レーナ(ネコ)に会いに行こう」
「うん」
僕と田中さんの会話にメンバー一同は首をかしげている・・・そりゃそうだ田中れいながレーナ(ネコ)に
会いに行こうって言ってるんだから無理も無い
「せんぱ~い、さっきから何の話をしてるんですかぁ~?」
亀井さんが横からいつもの調子で割り込んでくる
僕はテーブルの上にあった柿ピーのピーナッツを手に取るとそのまま亀井さんの鼻の穴に突っ込む
「フ・・・フフ・・・亀ちゃんには関係ないお話だよw」
「なにするんですかぁ~~~!」
僕は亀ちゃんがそういうと同時に楽屋を飛び出す・・・さぁ、いつもの賑やかな日常の始まりだ♪
- 381 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:19
- あとがき
( M _ O)<うわ~~~、ちゃんとまとまってない!
本当にご無沙汰しており申し訳ないです
>>374(匿名タソ)
ちょい前のネタで亀ちゃん体重ネタを
活かしていただきありがとうございます♪
今回、ピーナッツネタを使わせていただきやした~
次回はりかみき絡みの話か紺野さんあたりを
登場させる予定であります♪
- 382 :名無し娘。:2007/03/24(土) 17:31
- ニャー 誰かのツボをついてそうだw
- 383 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:05
-
「デート♪ デート♪ 」
「やめなさいっ。目立つから」
大きな帽子を目深に被ったその下で、えらく楽しそうに妙な歌を口ずさみながら、歩く僕の廻りをクルクルと回っている亀井さん。
約束を果たしたここまでの半日で、こうまで喜んでもらえるのは嬉しいけれど……
「そのはしゃぎっぷりはなんとかならないの?」
「えー? だって、楽しいじゃないですかあ」
「まーね。楽しいけど」
「でしょ? でしょぉ?」
まぁいいけどね。
でも、はしゃぎすぎだと思ったら……
「それにしても……あっつーい」
「やっぱり? ずいぶん着込んでるもんね」
「だって……寒くなるってテレビで言ってたんですよぉ」
情けない声でそう話す亀井さんはもこもこに着込んだ首もとをパタパタと扇いでる。
「日が出てきたらだいぶあったかくなったよね」
「あっついから上脱いじゃいたいんですけど……」
「ん? どうしたの?」
「これ脱ぐと寒いんです」
「微妙なのね」
「そーなんですよー」
そう笑いあった僕の目線が少し先の店で止まった。
僕の目線に気がついた亀井さんもその店へ目をやる。
なんとも言えない沈黙が生まれた。
- 384 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:06
-
「……良さそうなの、買う?」
「それはもしかしてぇ……」
「わかりましたってば。買ったげるから」
「わーい。せんぱいやっさしいんだ」
さも嬉しそうにフニャフニャした笑みをみせる亀井さんと店に入って。
あれやこれやと次々と手に取っては鏡の前に立ち、それから僕へと見せる。
女の子の買い物が長いのは解っているけれど、間に合わせの上着一枚選ぶのにかれこれ一時間以上。
「どっちが似合うと思います?」
結局最初の頃に手にした――と思う――二枚を両手に持って聞いてくる。
デザイン的にはどちらもそれほど差はなく、表を歩くのにもほど良さそうな感じに見える。
「どっちも似合ってると思うけど」
「そーじゃなくてぇ……、せんぱいはどっちの絵里が好きですか?」
ちょって照れくさそうに、両手に提げたジャケットとハーフコートと、そして僕へと視線を動かした。
なんとなく言わんとするところは解るけど……
「だったらこれ。それに、そーだなあ……」
右手に持ったコートは今の亀井さんのインナーに合わなくもない。
けれど、どうせだったらとすぐそばにあった淡いグリーンのシャツを手渡した。
「合わせるならこれの方がよくない?」
「え? でも――」
「どうせなら合わせちゃおう。着て見せてよ」
「あっ」
らしくもなく遠慮している亀井さんを試着室へと押し込んだ。
- 385 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:07
-
しばらくしてそっと開いたドアから亀井さんが顔だけ覗かせる。
「どしたの? サイズ、合わない?」
「そーじゃないんですけど……」
「じゃあ出てきてみてよ」
ちょっと躊躇って、おずおずと姿を現した亀井さんは十八歳の亀井さんよりも少しだけ大人びて見える。
「似合ってるんでしょーか?」
「似合ってるよ、そーとーね」
「え~、じゃあこれ」
少しシックで大人びた風情になった亀井さんと街を歩いて。
変わった服に合わせるように、隣で落ち着いて歩く亀井さんはなかなか……いや、かなり違った魅力を感じる。
色々な店を見て歩き、少しばかりのショッピングを楽しんだ後、お腹が減ったという亀井さんのチョイスで飛び込んだイタリアン。
「せんぱい?」
「……ん? あ、なに?」
「あの、なんか絵里ってば見られてません?」
「あ……いや」
「やーですよ、もう……照れるぅ」
食後にデザートを楽しんでいた亀井さんはせっかくの雰囲気を台無しにする“らしさ”をみせてくれる。
もっとも急に大人になられても、とは思うので、それはそれで愛らしくていいんだろう。
- 386 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:08
-
食事を終えて表へ出ると、すっかり日も落ちた夜の街は少しだけ肌寒いくらいだった。
となりの亀井さんへ目をやると、上着の前を合わせて少し寒そうにしている。
「ちょっと冷えてきたね。それ脱いでこっちにする?」
着替えた上着が入った紙袋を差し出してそう言った。
亀井さんは少し考えるようにそれを見ていて、そして小さく首を振る。
「いーです。せっかくせんぱいが選んでくれたんだもん、今日はこのままでいるっ」
「でもそれじゃ寒いでしょ」
「ヤですっ」
大人びた服を身にまとった亀井さんが横を向いて子供じみた意地を張る。
僕は喉をならすみたいに笑いながら、ならそれなりに振る舞うのもいいかもしれないと思った。
「わかった。ならこうすればいいでしょ」
- 387 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:09
-
肩に触れた感覚に振り向いた亀井さんが不思議そうに僕を見上げる。
そして手を離した僕にポンと叩かれて、我に返るようにハッとした亀井さんが口を開いた。
「あっ、でもせんぱい寒い――」
「ちょっとくらいかっこつけさせてよ」
そう笑ってみせると困ったような表情をしたけれど、合わせたハーフコートに顔を埋めるようにそっと頷いてくれた。
少しだけ先を歩きながら、後は送ってあげてデートもお終いかなと、そう思ってチラリと亀井さんへ目をやると、妙に嬉しそうに笑っていた。
「どしたの?」
「え? なんですかあ?」
「なんか笑ってるから」
「やっ、あははっ……。あのぉ……なんて言うか」
「なんて言うか?」
「えー、難しいなあ」
難しいってなにがだろう?
ただ笑ってる理由を聞いてるだけなのに。
そう考えながら亀井さんを見つめると、くすりと微笑んで悪戯な子供みたいに目を輝かせて。
「せんぱいの匂いだなあ……って」
コートで口元を隠しながら呟いた。
なんというか……妙に気恥ずかしくなった僕は「行くよ」とぶっきらぼうに歩き出し。
同じように恥ずかしそうな亀井さんは「待ってくださいよぅ」と腕を絡めてきた。
- 388 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/24(土) 22:14
-
長くなってもた。
どれくらいまで許されるだろうw
>>MONIXさん
GJでーす♪
まさかピーナッツとは!?
- 389 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/27(火) 00:12
- 今日は愚痴~
んが~、せっかくぼんさん絡みの物語書いてたのに
構成やり直しだ・・・・・・OTL
- 390 :名無し娘。:2007/03/27(火) 18:04
- 「これ可愛いと」
田中さんに誘われて買い物に来た。
「れいなこのブーツ買うの」
「このブーツ可愛いけん。欲しいっちゃ」
「れいな、絵里たちに内緒にしてたら買ってあげるよ」
「内緒にするけん、先輩買って」
ブーツを買い笑顔の田中さん
「先輩ありがと」
「でも絵里たちには内緒だよ」
「わかったけん」
- 391 :名無し娘。:2007/03/27(火) 23:25
- がんばれ
- 392 :TACCHI:2007/03/29(木) 18:38
- 4月中旬頃に、復活予定。
- 393 :名無し娘。:2007/03/29(木) 18:43
- 高まる期待
- 394 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:27
-
ではTACCHIさんが復帰するまでは埋めていきましょうか。
哀しいことは置いておくか、書いて処理するか決めかねてるから違う話を。
- 395 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28
-
誰もいないと知っていて、それでも入った僕が悪いのか。
それとも……
- 396 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28
-
レッスンの後、一人悠々と汗を流した僕は一足お先に楽屋で待っていようと扉を開いた。
何かがおかしい。
誰もいない楽屋の中で感じた違和感。
慎重に部屋の中を見渡していく視線がテーブルの上で止まった。
そっと伸ばした指先が“それ”に触れる。
小さく硬質なそれを一つ摘み上げる。
これがあること、そのものはおかしなことじゃあない。
けれど……
テーブルの上一杯に広がった袋は全て開封され、その透明な袋は全てが同じものであることを教えてくれていた。
- 397 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29
-
――ピーナッツ
- 398 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29
-
摘み上げたそれをどうするか、僅かに逡巡したあと、スッと放り投げるような仕草をして、そして止めた。
澄ましていた耳に聞こえた微かな音。
「出てこいっ」
振り向いた先にあるロッカーへ、強めの声を叩きつけた。
微かに揺れたスチールの扉から出てきたのは、僕の予想を裏切る娘だった。
「すいませ~ん」
「愛佳ちゃん……?」
僕にもだいぶ慣れてきて、へらりと笑うその姿は紛れもなく光井愛佳だった。
てっきり以前の仕返しでからかうつもりの亀井さんだろうと、そう思っていた僕はさぞ気の抜けた声を出したことだろう。
「なんで愛佳ちゃんが……?」
「やぁ、隠れて見てろって」
「誰が?」
「それはー、……内緒だって」
「……亀井さん?」
「違いますう。それよりもせんぱい」
- 399 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30
-
ふいに動いた愛佳ちゃんの手がピーナッツを宙に浮かせる。
半ば反射的に放られたそれを開いた口の中で受ける。
「わー、ホントにうまいんですね」
無邪気に喜ぶ愛佳ちゃんを見ながらピーナッツを噛んだ。
カリカリと咀嚼していると、立て続けに二つ。
「すごぉい」
なんだか知らないけど喜んでくれている。
そんなことを何度か繰り返し、あるとき投げられたピーナッツが突然二つに増えた。
しかも一つは直線的に僕へ向かって。
「っ!?」
緩やかに投げられたそれは僕の頬へ当たって膝の上に落ちる。
そして額を直撃したそれはテーブルの上へと跳ねた。
- 400 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30
-
「なんでのんのは食わないんだよっ。ピーナッツ、好きだって聞いたのにさっ!」
“投げつけられた”ピーナッツの方向で憤慨しているのは、僅かに先輩である妹のような存在。
突然キレられた辻ちゃんへ、無言で一瞥をくれて。
摘んだピーナッツを弾いてやった。親指で、強めに。
「あうっ」
狙いは違わず、額へクリティカルヒット。
満足気に笑った僕は、この瞬間確かに忘れていた。
あの悪夢を。
「――ぶっ!」
悪戯気質で気の強い辻ちゃんは、倍返しでピーナッツを叩きつけてくる。
しかも振りかぶってオーバースローだ。
油断した僕はまんまと直撃をくらい、この瞬間から昔に戻ってしまった。
悪戯を諫めては、のせられてやりすぎたあの頃に。
季節違いの豆まきは壮絶な打撃戦となり、いつしか参加者すら増えていた。
愛佳ちゃんはとても楽しそうな笑顔だ。
三人は小刻みに移動を繰り返してはそれぞれにピーナッツを投げつけ合う。
「あっ」
さんざん散らばったピーナッツに足を取られた僕は遮蔽物のない場所で姿を晒してしまう。
そしてその好機を逃す辻ちゃんではなかった。
- 401 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:31
-
「チャンス!」
力一杯振りかぶったそれは力みからか微妙にコースが逸れていると感じた。
そして四つん這いでいた僕の頭上を通過した剛速球はハデな悲鳴を生んだ。
悲鳴の主は怒りを隠そうともせずに辻ちゃんを睨み付け、鉄槌を下そうと動きだし……僕に気がつかずに足を取られ転んだ。
ハデに転がった藤本さんを見て大笑いした辻ちゃんは、火に油を注いでいると解っていても止められはしない。
身体を起こした藤本さんは、僕へ目線をくれると八つ当たり――ではないかもしれないが――のように一蹴り。
そして転がっているピーナッツを掴んで辻ちゃんへ、膝立ちのままで城島並みのスローイングを見せた。
ピーナッツは辻ちゃんへメガヒット。
そして悪夢が始まった。
楽屋の隅へ追いやられた僕が正気に戻った時には、狂気の宴の参加者は辛うじて一桁で済むところまで増えていた。
- 402 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:32
-
「また先輩が原因ですか?」
いつの間に戻ってきて、いつの間にこうなったのか、隣には体育座りで身を縮め、雑誌でピーナッツを避けている愛ちゃんが冷たい目で僕を見ていた。
面目なく謝ろうとした僕へ、雑誌で跳ね返ったピーナッツが当たる。
そして宴が終わり、一列に正座させられて説教を受けながら、なぜ人は同じ過ちを繰り返すのか、そんなことを本気で考えていた。
団体責任だと連座させられている隣の愛ちゃんへ申し訳なく思いながら。
- 403 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:34
-
ああ、MONIXさんのおかげで再びこんな事件が(違)
- 404 :名無し娘。:2007/04/03(火) 11:25
- な、なんだってー
- 405 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30
- 今回の作品は例の喫煙事件を取り上げています
見たくない方はスルーして頂いて結構です
- 406 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30
-
-----加護亜依、契約解除
ハワイですでに僕と吉澤さんだけは聞いていた話だが、日本に帰ってきて改めて
この話を聞かされると様々な感情がこみ上げてきて何とも言えない気分になる・・・
「先輩、どっか行きません???」
今日はこんな誘いを何件断っただろうか・・・明らかに意気消沈している僕と
吉澤さんを気遣ってくれているのは痛いほど解かるんだけど、やっぱりそんな気には
なれなくて、申し訳ないと思いつつも丁重に断っていた
荷物をかばんに詰め終えて、いそいそと楽屋を出ようとすると久住さんが声をかけてくる
「せんぱ~い!ご飯食べに行きませんか?なんなら小春がおごりますよ?」
こうやってみんなが気にしてくれるのは本当にありがたい、いつもなら断らないんだけど・・・
「ごめん、今日はダメなんだ・・・ちょっと1人で行きたいところがあるんだ」
「じゃあ、小春も一緒に・・・」
「小春!」
久住さんが言いかけたところで僕の心理状態を察してくれた藤本さんから静止がかかる
僕は久住さんに「ごめん」のポーズを取りながら楽屋を出た
- 407 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32
-
「さて・・・可愛い妹に説教かましますかね・・・」
僕は呟きながら車に乗り込む、携帯電話にハンズフリーで話せるようにヘッドセットを
装着して準備完了、僕は車を走らせた。信号で止まった隙に加護さんの電話番号をダイヤルする
ダイヤル音がしばらく鳴った後に留守番電話のメッセージが流れた
----- ピー -----
「あ、兄ちゃんだけど久しぶりに話さない?都合のいい時に電話くださ~い」
簡単なメッセージを残して電話を切る・・・・・・数十秒もしないうちに着信音が鳴った
「早いな、どうせ携帯握り締めながらメッセージ聞いてたんだろ?」
「うん・・・よくわかったね」
「そりゃ妹の考えてる事くらいわかるよ」
「そっか・・・」
こんな風に会話は始まって、色々な事を話した・・・車は東京を回り続けている
1時間くらい話していただろうか・・・僕はどうしても加護さんに伝えたかった事を話した
「ごめんな」
「えっ・・・?」
「兄ちゃん、ボンが辛い時になんもしてあげられなかったな・・・ごめん」
「なんで・・・兄ちゃんが・・・謝る事なんて・・・無いよ」
「・・・」
「悪いのはあたし・・・あたしが・・・弱いから・・・兄ちゃんが・・・悪い事なんて・・・無い」
僕は後悔していた・・・加護さんが抱えたいろいろなものを少しでも一緒に持ってあげられたら
また違った筋書きになったんじゃないか?・・・と
- 408 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32
-
その後・・・これからの事についても話をした・・・加護さんは諦めの言葉を話していたが、
僕は信じている事を伝えた・・・電話を切った後で、もっと早くこんな風に話せていたらと
新たな後悔を抱えながら家路についた
マンションのエレベーターを降りた瞬間、足元から聞きなれた声がした
「せんぱい、お帰りなさい」
次回に続く
- 409 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:37
- あとがき
( M _ O)<今回はこんな感じです、テーマがテーマだけに
重いです、次回も萌えられるか微妙です
>>403(匿名タソ)
おきてしまいましたかwww
ミキティ城島スローする所でめっさ笑いましたw
- 410 :名無し娘。:2007/04/10(火) 20:11
- きっとあいぼんは足りない何かを補いたかったんだと思う
- 411 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:07
-
次への移動まで、少し空いた時間を利用してコンビニへでも行こうかとフラッと楽屋を出た。
エレベーターまで歩いている途中、少し先のドアが開き見知った横顔に笑顔になる。
「いっしかっわさん」
「え?」
「やっ。気がつかなかったよ。美勇伝もここだったんだ?」
「そうなの。そっちも?」
「うん。もう少ししたら移動なんだけどね。
ちょっと時間が空いたからなにか買いに行こうかと思って」
「ぐうぜーん。わたしもなの」
「へえ……って一人?」
「ジャンケンして負けちゃった」
情けなさそうに眉尻を下げる石川さん。
二人もやるようになったもんだと軽く笑うと、すいと手を伸ばしてきた石川さんが拗ねたように僕の手を引いた。
「行くよっ」
「ほーい」
振り向きもせずに歩く石川さんに手を引かれながら、「なに買いに行くの?」なんて訊いてみる。
途端に笑顔で振り向いた石川さんが楽しそうに口を開いた、その瞬間だった。
「アイスク――」
「あっ!」
石川さんは、“足を止めて”振り返った。
身体ごと。
- 412 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:08
-
「きゃあ!?」
止まった石川さんの足先を踏まないように、着いた僕の足首はおかしな方向へ曲がりバランスを崩した。
「いったぁい……」
「ごめ、……ん!?」
開いた目の先に石川さんのあごが見える。
その目線を下へ向ければ……不思議なくらいやわらかなクッションは、ああ、なるほど。
「……って、うわっ! ご、ごめんっ」
慌てて飛び退いた僕。
石川さんは身体を起こしながら胸を隠すように左手で押さえている。
頬を染めて、潤んだ目でなにか言いたげな石川さんへ、気まずさをごまかすように手を差し伸べる。
遠慮がちに触れてきた小さな手を、しっかりと握って引き起こすと、嬉しそうな――だけど恥ずかしそうに――石川さんが呟いた。
「あのね、アイスクリーム、……買いに行くの」
「あ、……うん」
甘くとろけそうな“アイスクリーム”、ごちそうさまでした。
- 413 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/04/10(火) 23:11
-
MONIXさん、続き、待ってまーす。
TACCHIさんもぼちぼち戻られるかな。
新しい人にも期待。
- 414 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:20
-
「なんだろう、これ」
呟いたのはリーダーであるよっすぃーだった。
「あれじゃん、よっちゃんのでしょ」
返したのはサブリーダーの藤本さん。
「あたしの? なに? 知らねーけど」
ここは僕の楽屋で、僕個人の楽屋なはずで。
一体、彼女たちはなにをしているのか。
うたた寝してる間に、いつの間にか二人が楽屋の中にいて。
「知らねーって、マジで言ってんの?」
なにやら二人だけで話が弾んでるようだったから、どうにも起きたと言いだすタイミングを掴み損ねたままでいた。
僕の楽屋なのに。
「なにがよ。あたしのものなんてここにあるわけないじゃん」
「そーじゃなくてさあ。ホントに気がついてないの?」
「だから知らねーってば」
「これだからまったく……甲斐がないっていうか、逆に楽しみが増えるっていうか」
「なんの話?」
「プレゼントでしょ」
「は?」
「誕生日の」
- 415 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:21
-
え?
「……おー、あたし、誕生日、ね」
「本気で忘れてたのかよっ」
ん? ちょっと待てよ……
薄目を開けて様子を窺うと、二人の背中の向こう、テーブルの上にいかにもなラッピングをされた掌大のケース。
「なんだろうね、これ。開けてみれば?」
――な、なに言ってんの藤本さん
「えーっ? でもまだもらったワケじゃないからなあ」
――よしっ、さすがはリーダー
「どーせ後でくれるんだからさ。いいじゃん」
――待って待って、そうじゃないから
「そうかなあ?」
――いや、違うって。そんな誘惑に負けちゃダメだから
――普段アホはしてもそういう一線はちゃんとしてたじゃん
「開けちゃえよ」
――だからダメなんだって、藤本さん
――そんなよっすぃー(悪魔バージョン)風に言ったって、この場合は止めてくれる天使もいないんだから
- 416 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:22
-
「じゃあちょっとだけ」
――いやいやいや、ちょっともなにも開けたら同じじゃん
そしてガサガサとラッピングを開く音が聞こえる。
――ああ……
「お? きれいなビンだ」
「香水かな? 見たことないなあ」
――開けやがった……
その時だった。
ガチャリと扉の開く音が聞こえ、その瞬間に僕は約束を思い出していた。
「せんぱーい」
そうかけられた声と、飛び起きた僕の「ああっ!」という叫びが重なる。
視線の先で硬直する三人の姿。
思いだした約束は、試しに使ったオーダーメイドのトワレを気に入ったらしい愛ちゃんにプレゼントするというもので。
そして今のその瓶はよっすぃーの手の中にあって。
入ってきた愛ちゃんの視線がそこへ向くよりも先に、僕は大慌てで入り口に立つ彼女を連れて部屋を出た。
部屋からの出際、呆然としている二人から驚いた顔の愛ちゃんへ視線を移し考える。
さて、どう切り抜けたものかと。
そしてバッグの中にある“よっすぃーへのプレゼント”を。
- 417 :名無し娘。:2007/04/29(日) 18:28
- 「ねえねえ、絵里」
「何?さゆ」
楽屋で休憩してるとさゆが私に話しかけてきた。
「さゆみってかわいい?」
「私のほうが可愛いよ」
少しいじわるっぽく言ってみた。さゆが元気がなさそう。
「さゆ、どうしたの?」
「さゆみ太ってるの気にしてるの」
「そっか、絵里もぽっちゃりしてるけど
あんまり気にしないほうがいいんじゃない?」
「そっか、そうだよね」
さゆは元気になりました。
- 418 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50
-
「なんだこれ……」
- 419 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50
-
それはダンスレッスンでのこと。
先生が席を外し、各々でフォーメーションをお復習いしている中で起こった。
相応に進んでいたレッスンは、どこか慣れた空気を作り出していたのかもしれない。
年少組数人が戯れていることすらも、苦笑の対象でしかないことだった。
歌い慣れた歌を口ずさみながら、流すような動きで立ち位置を変える最中、些細な過ちで事故は起きた。
ふと交わした視線で相互の距離の近さを知り、危ういところで激突を回避したのは道重さんと愛佳ちゃんだった。
けれどその行動には余波が生じ、影響を受けた田中さんはバランスを崩し、僕の方へ寄りかかってきた。
支えようとして、支えきれるかと思った。
けれどフォーメーションの動きそのままの速度でぶつかった勢いを殺しきれず、二人一緒に倒れ込むことになった。
なんとか身体を捻り、田中さんの上に倒れ込むことだけは避けられたのは上出来だった、ハズだった。
「先輩!?」
「っつ~……」
「ご、ごめんなさいっ、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫……っ!?」
- 420 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51
-
笑顔で返そうとした言葉が止まり、作りかけた笑顔が崩れた。
「なんだこれ……」
身体を起こそうと着いた手に激痛が走り、痛みであげた腕は歪んだように曲がっていた。
数分後、心配そうに周囲を囲むメンバーの輪から、脂汗を滲ませながら病院へ運ばれ診察を受けることになった。
治療を受けた後、報告のために事務所へ向かったマネージャーさんに言い渡されて、僕は一人病院へ残ることになった。
押し込められた個室で感覚のない腕を固定され、ベッドに寝かされた僕はため息をつく。
「気にしてなきゃいいけどなあ」
そう呟いて、すっかり日の落ちた窓の外へ視線をやった。
気がつかないうちに雨が降り出していたらしい。
音もなくガラスを濡らす雨に誘われるように、重い腰を上げて窓辺へ歩み寄った。
空に月は見えず病院の敷地はどことなく薄暗い印象を与える。
点在する常夜灯すら寂しげに見えるくらいだった。
- 421 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51
-
「……?」
薄暗い駐車場に人影が見える。
雨だというのに傘もささず、この病棟を見上げているような……
目を凝らした僕は不自由な右手を庇いながら廊下へ走り出た。
いやに足音が響く廊下を走り、途中咎められた看護師さんへ詫び、速歩で駐車場へ出る通用口へ向かう。
誰もいない通用口の鍵を開け、外へ出てすぐに角を曲がる。
そこにはさっきまでと同じように、病棟を……僕がいた病室を見上げている人が立ちつくしていた。
「田中さん……?」
そう声をかけると僕に気がついたその人影は弾かれたように逃げ出した。
追いかける僕はぎこちない走りっぷりだったろうけれど、それでも田中さんよりは速かった。
なんとか病院を出る前に掴むことができた腕は、いつもにもまして細く感じられた。
立ち止まってくれたけれど田中さんは振り向かない。
掴んだ腕が震えているのは雨のせいじゃないと思った。
「田中さん……」
振り向かないままで、田中さんはただ「ごめんなさい」と繰り返していた。
- 422 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:52
-
ただ謝り続ける田中さんを、とりあえず病室まで連れて行き、一晩分の着替えと一緒に用意されていたタオルで濡れた髪を拭う。
それから自分も髪を拭いなんとか落ちつけたけれど、田中さんは一度も目を合わそうとしない。
「お見舞いに来てくれたの?」
少し表情が引きつったように見えた。
まだなにも言おうとはしない。
「大袈裟にされちゃったよね」
そう笑いかけてみせた。
目線だけが僕の……動かない腕を見た。
「もしかして気にしてるの?」
ふう。
心の中でため息をつく。
気にするなと言っても無理かもしれないけれど、気にされるのは僕の方がツライ。
「支えられなかった僕が悪い。気にすんな」
わざと変えた口調にようやく反応が返ってきた。
「せんぱいが悪いんじゃないっ。れなが一人で倒れてればよかった」
「怪我したのが自分ならよかった?」
田中さんは心底そう思ってるように、食いしばった口元で頷いた。
- 423 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:53
-
「せんぱいにかばってもらって、ケガまでさせて……」
うめくように吐き出された想い。
激しい自責に堪えきれなくなった瞳から涙がこぼれ落ちた。
「ケガさせた……れなが、せんぱいに会うの怖くって」
「それであんなところで?」
頷いた拍子に、膝の上で強く握られた手に雫がはねた。
まったく、見かけによらずヘンなところで生真面目なのは変わらないんだ。
「もう今度こそ愛想尽かされるって……」
「バカ」
自由のきく左手で、ぎこちなくれいなの頭を引き寄せた。
まだ乾ききらない髪をくしゃくしゃにしながら、からかうように「愛想で付き合ってるんじゃないぞ」と笑う。
「れなんこと……キライにならんと?」
見上げてくる目の真剣さが、掠れそうな声の弱さが、どれほどの気持ちでいたのかを知らしめていた。
「んなワケないっしょ。今までも、これからも、キライになんかなんないよ」
ポンと頭をたたいてそう口にしながら考えていた。
僕はいつか……そう遠くないうちに、自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。
- 424 :名無し娘。:2007/05/09(水) 21:20
- 「先輩」
「どうしたの、絵里」
「先輩の家に泊めてください」
「いいけど」
「やったー」
そんな訳で亀井さんを泊めることになった。
亀井さんと一緒にマンションに帰った。
部屋に入ると亀井さんが服を脱ぎだした。
「絵里何してるの」
「暑いから脱いだんです。大丈夫ですよ。水着着てますから」
そう言って亀井さんは笑った。やれやれ。
「先輩が見たいなら脱いでもいいですよ」
「先輩起きてください、時間ですよ」
「夢か」
「絵里の胸なんか見てどうしたんですか先輩」
「いや夢見ててね」
「じゃあ行きますよ、先輩」
夢の亀井さん大胆だったな
- 425 :名無し娘。:2007/05/09(水) 22:24
- イイヨー
- 426 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:51
-
それはいかにも彼女らしい、七年もの間そうであり続けた彼女らしい舞台だった。
笑顔で始まって、笑顔で歌い踊ってここまできた。
自身の最後の舞台などということは関係ないように、今までと変わることなく元気な姿だって、そう感じた。
そして今も。
同じ時間を過ごせるこの瞬間を惜しんで、涙を流しながらそれぞれの想いを伝える後輩たち。
その愛すべき後輩たちを少しだけ照れ臭そうに、けれどいつものように笑って見ている。
一人、また一人と言葉を交わし、抱き合っている姿を見ながら、僕は迷っていた。
勿論伝えるべき言葉はいくらでもあるし、考えていたけれど……
- 427 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:52
-
愛ちゃん、藤本さんと、どこか引き継ぎめいたやりとりが終わる。
残っているのは僕だけ。
どこか不思議な感覚だった。
これだけの観客に囲まれて、多くのメンバーやスタッフがいる空間で、どこか二人きりのような。
「よっ」
「おう」
切り出した言葉は用意していた言葉じゃなく。
自分の口から出た言葉も、返ってきた言葉も、あまりにいつもと変わらない。
笑い出してしまいそうなくらいに。
「卒業するんだ」
「卒業、するよ」
「うん。……、今までありがとう」
「そんだけかよ」
呆れたように笑うくせに、その表情はどこか満足そうに見えた。
どれほど本気でそう思っているのかが伝わっているからかもしれない。
僕は感謝している。心の底からだ。
何時、何をとか、そんなことですらなく、彼女の存在そのものに。
助けてくれた先輩が側からいなくなり、逃げ場を奪われて、ここにいる意味を曖昧にしていく僕に。
最後に残った絆が“僕”でいるための力になっていたから。
いてくれてありがとう
そして願わくば、前を歩いていく君に、追いかける僕がなんらかの力をあげられればいいと願う。
- 428 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:54
-
「いつだったかな」
「お?」
「僕がしていた腕時計、妙に気に入ってたよね」
「あー、アレね。かっけーなあって思ってさ」
「買った翌日だってのに取られそうになった」
「結局くんなかったじゃん。高いモンじゃないっていったくせにさあ」
そのときの彼女を思い出して笑うと、よっすぃーも思いだしたんだろう、悔しそうな顔を作ってそう返してくれた。
「あのときでもそうだったんだけどね。多分、もう手に入らないんだよ、アレ」
「……?」
「だから、あげるよ」
「はっ!? マジで?」
「卒業祝いに」
「……サンキュ」
離れていく君に、もしなにかの時には思いだしてほしいから。
一人で歩いていく君へ……
お守り代わりにそっと。
- 429 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/10(木) 22:56
-
……前のと順番が前後してると思ってくださいまし。
- 430 :名無し娘。:2007/05/11(金) 00:09
- >>429
前?
- 431 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/11(金) 08:22
-
>>430
あっ>>418-423 の前に>>426-428 が入る。
『お守り~』の方が先に書いてたんですけど、『優しい嘘』だったらセリフ差し込むだけでエントリーできそうだと衝動的に。
結果的ずれることに……辻褄合わせるシーンを描くと、長くなりそうだったので。
- 432 :名無し娘。:2007/05/11(金) 20:35
- >>431
なるほど
- 433 :名無し娘。:2007/05/12(土) 13:48
- 「すごい報道の嵐だね」
「えへへ、だってトップアイドルらもん♪」
「ふざけないの。メールくれた時、りかちゃんもよっすぃも居たけど固まってたぞ」
「あー・・・ぅん。それは反省してるよぉ・・・」
「会見、大丈夫だった?周りに助けてもらう気ってあんな事言っちゃファンから反感かうぞ?」
「だってだってさ、赤ちゃんだって周りに助けてもらって、楽しみにしてもらわなきゃ出てきたくなくなっちゃうよ!」
「…いつの間にか成長しやがって。んで、どうすんだよこれから?」
「これから?今日はこれから雑務が多いけどディナー時はちょーどフリーだよぉ?(上目遣い)」
「……はぁ。それじゃ、栄養あるものでも食べに行きますかお嬢様w」
「わーい♪領収書はお兄ちゃんが切ってね♪」
- 434 :名無し娘。:2007/05/12(土) 19:27
- なるほど
- 435 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36
-
「あ、……ごめん」
「ち、違っ、ちょ――」
病室のドアを開けて微妙な顔でそう言い残し、出て行こうとした辻ちゃんを引き留めた。
なにが違うのかは僕にだって解らない。
けれど、そう言うしかなかったから。
「すいません。れな帰ります」
「あ、田中さ――」
立ち止まった辻ちゃんをすり抜けて、田中さんが走っていった。
違う、はなかったかもしれない。そう思った。
「あの……、いいの?」
「あ、まあ……うん。とりあえず落ち着いたみたいだし」
部屋を出て行った背中を追うように、視線を行き来させて訊く辻ちゃんへ、特別隠すことなくそう話した。
「……そっか」
軽くくちびるを噛む様子は微妙に“らしく”ない。
考えてみれば、なぜ、この時間にここへ来たんだろう。
「で、なんかあった? まさかまた調子悪いんじゃないんだろ」
「――、なんでよ」
「ナメんなよ。伊達に何年も一緒にいたわけじゃないぞ」
- 436 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36
-
感心した風に笑う辻ちゃんが、言葉を選ぶように話しだし、その内容に僕は前言を撤回したい気持ちになった。
いつだって、女の子ってヤツは、男の想像よりも早く時を進めてしまうのかもしれない。
僕の知ってる辻ちゃんが……来春にはお母さんになるらしい。
「ビックリした?」
「……あ、うん。……そりゃあね」
「他には?」
「他……、おめでとう、かな」
「おめでとう、って……言ってくれんだ」
「なんでよ。そりゃあ急な話で驚いたし、早いんじゃないかって気はするけどさ。
だけど……悪いことじゃない。“おめでとう”だろ?」
辻ちゃんは少し嬉しそうに、だけど遠慮がちに笑った。
「でもみんなにメーワクかける」
「ああ、キャンセルするってこと?」
「そう。すぐに休みになるなんて……たくさん、迷惑かけるよ」
実際、新ユニットや舞台、テレビ出演や取材など、しばらくは続けられるものもあったろうし、受けている仕事で片づけられるものもあったろう。
だけど……
「そう決めたのは事務所だろ? なら仕方ない」
「そうだけど。よっすぃーだって大変じゃん」
「忙しいね。でもさ……」
- 437 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:37
-
一度言葉を切った僕に、少しだけくちびるをとがらせた辻ちゃんが、急かすような目で見てきた。
「大変だろうけどさ。きっとこう言うよ。『ったくしょーがねーなあ』ってさ。
しんどくなるのは違いないし、文句の一言も言うだろうけど、きっとその後に『良かったじゃん』ってね」
「そっかな?」
「僕より辻ちゃんの方が知ってるだろ?」
「……そーだね」
「それよりもさ」
「うん?」
「そっちのが大変だよ。新しい命を迎えなきゃなんない。幸せになるんだよ?」
「……ぅん。ありがと」
少しだけ言葉を詰まらせたけれど、しっかりした声でそう約束をした。
「なんかあったらいつでも連絡していいんだからね。
ウルトラマンだろうが仮面ライダーだろうが、辻ちゃんを泣かすんだったらぶっ飛ばしてやるからさ」
「出来もしないくせに」
少しだけ涙目で笑う辻ちゃんへ、僕からの約束をしよう。
自由になる手を持ち上げて、ヒョイと伸ばした小指。
「いつでも頼ってこい。僕でもよっすぃーたちでも」
伸ばした小指を見つめ、迷いながらも差し上げられた指を迎えるように絡めた。
「約束したからな」
「……うん」
幸せになれと、幸せであれと、願いを込めて約束の指切りを。
- 438 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/12(土) 23:41
-
…………うん。
幸せでいてくださいな。
- 439 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:54
- れなとの関係に萌えます今後に期待
- 440 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:58
- 結婚結構です
- 441 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/13(日) 19:24
-
読んでる人発見っ!
>>439
自分の中で先はあるんですけど、参考までに、どんな展開を期待してるんですか?(^^;)
>>440
結構……?
もう結構です、の結構かな?orz
- 442 :名無し娘。:2007/05/14(月) 11:03
- >>441
「結婚結構です」はハロモニでのさゆの一言
読んでいて頭に浮かんだものでそこはかとなく
お気になさらぬよう
- 443 :名無し娘。:2007/05/15(火) 02:29
- >>441
他の娘とちょっと仲良くなりかけて
嫉妬しちゃうとか見てみたい気が 月並みですけど
あーでもお任せしますよん よろしく萌えさせてくださいまし
- 444 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54
-
いつもと同じ楽屋。
いつもとほとんど同じ光景。
なのにこうまで違う気持ちになるのはなんでなんだろう。
みんなで精一杯“日常”でいようとしてるみたいなぎこちなさ。
乗り慣れた膝をなくした小春は先輩の膝に乗っている。
その先輩の手首には、お気に入りの腕時計がなくなっている。
そしてなによりも……
二人を見つめるれいなが。
- 445 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54
-
なんであんな目で二人を……ううん、先輩を、見てるんだろう。
すごく哀しそうな目をして、だけどそれだけじゃなくて。
その哀しそうな目の中に複雑な感情をのぞかせている。
見ているこっちまで胸が苦しくなる、そんな目をしていた。
ジッと、話しかけることも近づくこともなく、ただ先輩を見ていたれいながビクリと震えるみたいに視線を逸らせた。
チラリと動かした視界の中には少し不思議そうな表情の先輩がいる。
けれど先輩も、不思議そうな表情ではあるけれど、どこか困ったような迷っているような目でれいなから視線を外した。
よく解らない、けれど
- 446 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:55
-
れいなへ目を戻すと、一瞬だけ、話しかけるのかと思ったけれど、すぐに思い止まったように。
何か堪えるみたいに口元を引き結んで立ち上がったれいなが楽屋から出て行った。
閉められた扉の向こうに小さな背中を見ていたその視界の隅で、笑えない瞳をした先輩が申し訳なさそうに笑いながら小春を降ろして立ち上がる。
なんだろう、この感情は
音のない世界の中で、静かに歩き出した先輩が私の前を通り過ぎていった。
れいなと同じように扉を抜けていく背中が見えなくなる。
胸が締め付けられるみたいに苦しくなった。
これは……
- 447 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:57
-
ふと気がついてみればすぐ目の前、私の視界を遮るようにガキさんが立っていた。
その口がパクパクとなにか形作っている。
『あいちゃん』、かな。
ちょっと情けなく下がった眉や真剣な目が、なにか心配させてるんだって解った。
大丈夫だから。
別になんでもないし、ガキさんが心配するようなことはないから。
ただ……
- 448 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/15(火) 22:59
-
句点のつかない文末にはタイトルが入る……
ような感じで(苦笑)
>>442
そーでしたか。
先週のですか? よっすぃー卒業の?
見損ねたんですよねえ……くそう(^^;)
>>443
あー、アリですねえ。
ってゆーか、萌えないですね自分の、ここんとこ。
どんどん違う方に進んでいく気がする(^^;)
- 449 :名無し娘。:2007/05/15(火) 23:26
- お、更新
>>448
いや、だいぶ前です(汗)
- 450 :名無し娘。:2007/05/16(水) 02:04
- お、更新
>>448
いや、だいぶ前です(汗)
- 451 :名無し娘。:2007/05/16(水) 11:07
- >>448
あー、別に萌えじゃなくてもいいんですよ
今回の更新みたいな、ちょっと寂しげな感じもいいですね
がんばってください
- 452 :名無し娘。:2007/05/18(金) 06:39
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おまえらも|
∩ _∩ | |
( ´ー`)< |
( ) | |
| | | | なぁ |
(__)_) \_____/
- 453 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:01
-
すごくモヤモヤした、イヤな感情が心を一杯にしてくるのが解った。
あの先輩にケガをさせた日以来、自分が自分じゃないみたいに、気持ちのコントロールが効かなくなってる感じだった。
今もそうだ。
小春が甘えるのなんていつものことだし、先輩が拒むところだって見たことがない。
なのに……小春に対してこんな気持ちになるなんて。
ましてや先輩に……すごく自分がイヤになる。
これ以上あんな光景を見ていられなくて、なによりも自分の汚い感情を先輩に悟られた気がして。
いたたまれなくなって逃げるように楽屋を出てきてしまった。
数歩歩いて立ち止まって、少しでも気持ちを切り替えようとして大きく息をついて。
吐き出した息と一緒に零れたそれに気がついた。
「あれ? ちょ、なんで……」
自分でもなんでだろうって。
こんなことで泣くなんてバカみたいだって、それくらい解ってるのに。
- 454 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:02
-
「田中さん」
背中から聞こえた声。振り返らなくても誰だか解る。
だから……
「ちょっと、待って。田中さんっ」
逃げた。
泣いてるトコロなんて見られたくない。
だけどあっという間に掴まれた手は拭った涙で濡れているから。
「泣いてる……の?」
「泣いとらんけん、離してください」
「ヤダ」
駄々をこねる子供みたいな言い草で、しっかりと掴まれた手は離れることがなくて。
「僕が悪いのかな?」
違う。そんなわけない。
でもこれ以上泣いてしまわないように、引き結んだ口元は緩めないように、ブンブンと首だけを振る。
- 455 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03
-
「こないだのこと、まだ気にしてる?」
そうじゃない。首を振る。
「なんか避けられてる」
ブンブン首を振りながら思う。
そんな言い方はズルイって。
「僕は元気な田中さんがいいよ。僕に何がしてあげられる? 言ってよ」
やっぱりズルイ。
そんな意味じゃないって解っててもすがりつきたくなる。
強い誘惑に駆られてチラリと覗き見た先輩は、さっきの自分はこんなだったかもしれないって思う、どこか追いつめられたような顔をしていた。
先輩にこんな顔をさせたのは自分なんだって、そう気がついてしまうと、さっきまでの苦しさとは違う、チクリと針で刺されるみたいな痛みを伴う居た堪れなさと。
否定してしまいたくなるようなどこか優越感にも似た甘い疼きだった。
「やったら……」
「うん?」
僅かでも光が差したように表情が変化する。
ああ、やっぱりそれは自分と同じなんだ。
- 456 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03
-
「時々でいいけん」
「なに?」
「れなんことも、その……構ってもらっても」
「小春ちゃんみたいに膝にでも乗る?」
「やっ、あの……そういうのも、してみたいっちゃけど」
からかってるのかと思ったけれど、真顔で話す先輩にそんなつもりはないみたいだ。
だからなのか、それとも目を見ていないからか、照れ臭いほどの気持ちをポロリと口にしてしまえた。
「別にいいよ。他にも?」
「あー……、ホント、たまにでいいけん」
「うん」
「ギュってしてほしい……」
もう横目ですら先輩を見れないまま、でも口にしてしまった言葉は紛れもない真実。
やっぱり恥ずかしくてしょうがなくて、床へ落とした目線にすうっと自分のものじゃない腕が入り込んできた。
「誰もいないトコで、だけね」
困ってますって、声音ににじみ出ているけれど、確かにギュって背中から抱き締められて。
耳元で「もういい?」って遠慮がちなささやき。
「……あ」
「他にもある?」
「やっぱ“れいな”って、呼んでくれた方が……嬉しいんですけど」
「……なるべくそうする」
たっぷり迷った末にそう言ってくれた。
それでなにかが変わる訳じゃないだろうけど、それでも先輩の腕の中で少しずつモヤモヤしたものが溶けていく。
少し元気になれる、そんな気がしてきた。
- 457 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:04
-
………
数日後。
先輩はメンバー全員に名前で呼ぶことを迫られることになった。
- 458 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/18(金) 23:07
-
>>449
おぉ、さようでしたか(^^;)
ハロモニはほぼ押さえてるはずですが覚えてないものだなあ。
>>450
おぉ、さよ(ry
>>451
とりあえずこんな感じです。
なんか自分で読み返して、「あれ? なんか終了フラグっぽい…?」とか思ったんですが(笑)
さてどうなるやら。
>>452
もなぁ……
そろそろMONIXさんやTACCHIさんも更新くるかなあ?(催促w)
- 459 :名無し娘。:2007/05/19(土) 19:23
- このスレももう7年目、こんなん作ってみました。
作者 投稿ネタ行数 投稿ネタ数
1位 TACCHI 5499 115
2位 てと 4816 180
3位 とある夢見男1号 3957 147
4位 匿名 ◆TokDD0paCo 3528 65
5位 MONIX ◆XBvOzcZfYg 1994 17
6位 甘夏みかん 812 12
7位 ちんみ 772 24
8位 ヤスダンク 508 58
9位 chocolate 458 18
歴代の作者に敬意を表します。
- 460 :名無し娘。:2007/05/19(土) 19:26
- 見、見にくい。。。ごめん
- 461 :名無し娘。:2007/05/19(土) 20:02
- ついでに、メンバーの登場頻度もざっと調べたところ、
1位から順に、高橋、亀井、田中、藤本、石川、矢口、吉澤となりました。
高橋はこのスレでは別格ですが、
最近の作者様のおかげか6期の活躍が目立ちます。
娘。在籍年数を考慮すれば高橋を抜くかもしれません。
ご要望があればより詳細にお調べします。。。
- 462 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/19(土) 20:22
-
>>459-461
おー! すごーい♪
結構な労力そうで……ネタ数と行数とか、一参加者としては嬉しいですね。
これって狩狩のってことです…よね?
トップ3はともかく、MONIXさんのが意外な感じなのは私だけ?(^^;)
もっと多い気がしてましたが……へえ~。
詳細なのも良ければ見てみたいです。
こう、データマニアなもんで(笑)
- 463 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/19(土) 21:40
-
ちゃんと読んでないなあ…七年って書いてあるのに(^^;)
- 464 :名無し娘。:2007/05/20(日) 02:11
- お、更新。
この先輩の怪我ネタで気になってるのが、>>423
「愛想で付き合ってるんじゃないぞ」と、
「自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。 」
という先輩の言葉なんですよねー
「付き合ってる」設定でしたっけ?以前のネタ読み直しても
それらしき話は見あたらないのですが。。。
- 465 :名無し娘。:2007/05/20(日) 02:22
- 。。。それとも何か勘違いしてるのかな俺
「自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。 」
は、今後の話で出てくるのかなー超期待です
がんばってください
- 466 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:53
-
れいな、と。
今までの“田中さん”から、そう呼ぶように頼まれて。
いつものように笑って流せる状況でもなかったからか、それをよしとして“れいな”と呼ぶようになった。
最初はなかなか呼び慣れず、つい“田中さん”と呼んでしまってはジトリと睨まれたものだった。
田中さん……れいなも、周りを気にしていたのか、それを声に出して咎めはしなかった。
そして翌日、ようやく普通に“れいな”と呼んであげることができたのは二人だけで話をしていたとき。
それに慣れだした僕が、みんなでいるときに“れいな”と呼んだそのとき、一番に反応したのは呼ばれた本人ではなく道重さんだった。
「せんぱい、今れいなって呼んだ!」
- 467 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:53
-
そこから先は大騒ぎだった。
道重さんに亀井さんが加わり、なんで名前で呼ぶようになったのかを詰問された。
本当のことを話すのもどこか憚られ、なんとか言い繕ったけれど、聞き終えた二人はならば自分たちもと言いだした。
それに新リーダーがからかい混じりで便乗したから騒ぎが拡大することになった。
こういったことでは我が儘ではなかった新垣さんも。
それに名前で呼んでいた小春ちゃんや愛佳ちゃんも話の輪に飛び込んできた。
僕の存在なんてなくてもいいんじゃないかと思うくらい、それぞれが勝手にそれぞれの呼び方で盛り上がりだす。
しばらく放っておかれた僕とれいなが、さてどうしたものかと肩をすくめた頃になってようやくそれが収まりだした。
が、今度は僕へ向かって、こう呼んでくれと一斉に言いだした。
厩戸皇子聖徳太子じゃあるまいし……
- 468 :『何て呼んで欲しい?』:2007/05/20(日) 21:54
-
「ふぅ。で……、一人一人ご要望があるんだろうから。聞いてみようっか」
なんとか僕の声にみんなの意識を向けることができて、そう切り出した。
「なら絵里は――」
「さゆみんって――」
「きら――」
「ミッツィ――」
「ガキさん以外――」
やれやれだ……
頭を抱えたくなった僕の横に、いつの間にか輪から外れてきた藤本さんが立っていた。
僕の肩にアゴをのせて「ミキティでどうよ」、とニヤニヤと笑っていた。
……やれやれだ。
- 469 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/20(日) 21:58
-
>>464-465
あ、そうか。
ほら…仲間として、先輩として、友人としての“付き合い”だと解釈してくださいまし。
「長い付き合いじゃないか」とか、そんな言い回しの方で。
立てたフラグは片付けるつもりですが、いくつか取捨がある中で……さてどうしましょうかねえ(^^;)
- 470 :名無し娘。:2007/05/22(火) 19:20
- 次回からメンバーを何て呼ぶのか。。。ワクワク
- 471 :名無し娘。:2007/05/23(水) 23:34
- >>469
やはりそういう解釈でしたか。間違えてましたすみません。
- 472 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:20
-
この間の一件で解ったことがある。
人にはそれぞれに価値観があり、それは必ずしも一致するものではない。
……はずだと思っていたけれど。
それよりも大切にする部分が一致することはあるらしい。
それは“特別”であるということ。
例えば彼女たち。
ああでもないこうでもないと話をした後、結局それぞれの希望をメールで受け取り、その中から取捨を任された今。
「で、なんで君らは並んでるのさ」
- 473 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:21
-
おかしなことに僕の前で一列に並んでいるメンバーたち。
「はいっ! じゃんけんして一番になりましたよ」
元気良く手を挙げて、存在をアピールする新垣さんはえらく期待に満ちた眼差しを向けてくる。
そんな顔をされると……
「じゃあ。んんっ……呼べばいいんでしょ?」
「はいっ!」
「ガキさん」
「は、うえっぇ!?」
返事のような曖昧な、けれど大きな反応を見せる新垣さん。
ついついからかいたくなってしまうんだよなあ。
それでも情けなくハの字を描く眉を見て、軽くごめんと手を振って仕切り直し。
- 474 :『価値 Case-R』:2007/05/24(木) 23:21
-
「新垣さん」
「――はいっ」
笑顔に戻った新垣さんが、いつものように元気な返事をしてくれた。
前と変わらない、けれど彼女はこれがいいらしい。
後ろにいる亀井さんたちも意外そうな顔をして、返事をした新垣さんを覗き込んでいる。
「今まで通りだけど、これでいいの?」
「いいんです。すごい考えてみたんですけど……なんかこう、どれもしっくり? こない感じで。
それにほら、あれですよ、そう呼んでくれる先輩って先輩だけですから。いつも通りがいいんです」
「そっか。うん。じゃあ新垣さん」
「はいっ!」
彼女は自身が僕にとって『新垣さん』であることを選んだ。
変わらないことが特別なこともあるんだね。
- 475 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/24(木) 23:23
-
プチシリーズがスタート(^^;)
>>470
ワクワクいたたきましたっ!
こんな形で始り、少し続きますが……いかがなものかと自分では考え中。
でも始めちゃったから最後まで、多分。
>>471
や、そんな、謝らんでくださいな。
やっぱあれですよね。
誰かと……ってなると終了フラグですよねえ。
……どこぞでやったようにマルチエンディングしますか(笑)
- 476 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:48
- 俺と娘。の夢物語シリーズ 統計情報
初回投稿: 2000年12月18日
最新投稿: 2007年05月24日
継続日数: 2349日
ネタの総数: 1275個
ネタ総行数: 29846行
ネタ総字数: 648763字
- 477 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:50
- 作者氏名: 匿名 ◆TokDD0paCo
初登場日: 2006年08月08日
最新作品: 2007年05月24日
活動日数: 290日(6位)
ネタの総数: 71個(4位)
ネタ総行数: 3588行(4位)
ネタ総字数: 88242字(4位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:亀井(22.7%) 2位:田中(15.8%) 3位:高橋(15.1%) 4位:藤本(13.8%) 5位:光井(8.1%)
助演 1位:藤本(25.0%) 2位:吉澤(24.2%) 3位:田中(12.9%) 4位:亀井(11.5%) 5位:道重(11.2%)
- 478 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:51
-
作者氏名: 着ぐるみ
初登場日: 2006年04月03日
最新作品: 2006年07月28日
活動日数: 117日(10位)
ネタの総数: 16個(圏外)
ネタ総行数: 368行(圏外)
ネタ総字数: 8898字(9位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:新垣(28.5%) 2位:久住(11.7%) 3位:中澤(10.9%) 4位:小川(10.1%) 5位:紺野(9.8%)
助演 1位:紺野(28.2%) 2位:道重(23.5%) 3位:田中(22.3%) 4位:亀井(18.7%) 5位:新垣(13.7%)
- 479 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: MONIX ◆XBvOzcZfYg
初登場日: 2005年05月22日
最新作品: 2007年04月05日
活動日数: 684日(4位)
ネタの総数: 20個(8位)
ネタ総行数: 2011行(5位)
ネタ総字数: 47190字(5位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:藤本(23.3%) 2位:高橋(16.0%) 3位:道重(14.9%) 4位:久住(11.6%) 5位:石川(9.1%)
助演 1位:吉澤(41.9%) 2位:後藤(24.9%) 3位:藤本(20.8%) 4位:石川(18.8%) 5位:小川(14.8%)
- 480 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: TACCHI ◆wJKONNaqEI
初登場日: 2005年01月30日
最新作品: 2007年03月16日
活動日数: 776日(3位)
ネタの総数: 117個(3位)
ネタ総行数: 5501行(1位)
ネタ総字数: 112244字(1位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:田中(20.1%) 2位:亀井(16.6%) 3位:石川(13.6%) 4位:藤本(11.9%) 5位:紺野(10.8%)
助演 1位:道重(24.3%) 2位:藤本(22.8%) 3位:亀井(19.7%) 4位:吉澤(19.0%) 5位:高橋(16.0%)
- 481 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:52
-
作者氏名: てと
初登場日: 2004年04月20日
最新作品: 2005年07月19日
活動日数: 456日(5位)
ネタの総数: 187個(1位)
ネタ総行数: 4826行(2位)
ネタ総字数: 96413字(3位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:高橋(21.8%) 2位:亀井(15.1%) 3位:道重(13.1%) 4位:田中(12.6%) 5位:石川(8.7%)
助演 1位:藤本(22.3%) 2位:吉澤(18.6%) 3位:石川(18.2%) 4位:矢口(17.1%) 5位:飯田(16.4%)
- 482 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:53
-
作者氏名: chocolate
初登場日: 2004年01月22日
最新作品: 2004年04月23日
活動日数: 93日(14位)
ネタの総数: 20個(8位)
ネタ総行数: 458行(9位)
ネタ総字数: 11794字(8位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:紺野(20.5%) 2位:田中(17.2%) 3位:亀井(14.8%) 4位:加護(13.1%) 5位:新垣(12.2%)
助演 1位:道重(54.1%) 2位:矢口(39.5%) 3位:藤本(36.0%) 4位:亀井(34.4%) 5位:飯田(33.8%)
- 483 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:54
-
作者氏名: 甘夏みかん
初登場日: 2003年10月13日
最新作品: 2004年01月14日
活動日数: 94日(13位)
ネタの総数: 12個(圏外)
ネタ総行数: 818行(6位)
ネタ総字数: 21205字(6位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:亀井(70.0%) 2位:吉澤(10.1%) 3位:加護(8.9%) 4位:矢口(6.4%) 5位:安倍(4.5%)
助演 1位:田中(19.8%) 1位:道重(19.8%) 3位:安倍(19.6%) 4位:矢口(11.2%) 5位:吉澤(7.7%)
- 484 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:54
-
作者氏名: とある夢見男1号
初登場日: 2002年04月28日
最新作品: 2005年08月03日
活動日数: 1194日(1位)
ネタの総数: 150個(2位)
ネタ総行数: 4007行(3位)
ネタ総字数: 106130字(2位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:高橋(30.6%) 2位:矢口(10.2%) 3位:安倍(8.2%) 4位:石川(7.3%) 5位:飯田(6.7%)
助演 1位:飯田(31.2%) 2位:辻(27.4%) 3位:矢口(25.8%) 4位:加護(23.8%) 5位:安倍(21.2%)
- 485 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: ぷぅ~さん
初登場日: 2001年04月06日
最新作品: 2001年05月31日
活動日数: 56日(17位)
ネタの総数: 3個(圏外)
ネタ総行数: 429行(10位)
ネタ総字数: 8640字(10位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(71.3%) 2位:飯田(21.2%) 3位:加護(7.5%)
助演 1位:安倍(71.3%) 1位:飯田(71.3%) 1位:石川(71.3%) 1位:中澤(71.3%)
- 486 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: 歯
初登場日: 2001年03月16日
最新作品: 2001年03月19日
活動日数: 4日(34位)
ネタの総数: 19個(10位)
ネタ総行数: 114行(圏外)
ネタ総字数: 2604字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(39.5%) 2位:辻(21.1%) 3位:加護(19.3%) 4位:石川(12.3%) 5位:飯田(6.1%)
助演 1位:加護(25.4%) 1位:辻(25.4%) 3位:矢口(12.3%) 4位:中澤(11.4%) 5位:保田(5.3%)
- 487 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:55
-
作者氏名: ちんみ
初登場日: 2001年02月14日
最新作品: 2001年08月08日
活動日数: 176日(8位)
ネタの総数: 24個(7位)
ネタ総行数: 776行(7位)
ネタ総字数: 13543字(7位)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(41.6%) 2位:保田(17.8%) 3位:飯田(10.1%) 4位:中澤(9.4%) 5位:加護(8.4%)
助演 1位:中澤(13.8%) 2位:矢口(13.7%) 3位:加護(6.3%) 3位:辻(6.3%) 5位:後藤(4.0%)
- 488 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:56
-
作者氏名: 石熊
初登場日: 2001年01月27日
最新作品: 2001年05月17日
活動日数: 111日(11位)
ネタの総数: 35個(6位)
ネタ総行数: 309行(圏外)
ネタ総字数: 4809字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:中澤(25.9%) 2位:飯田(18.8%) 3位:石川(16.5%) 4位:吉澤(13.3%) 5位:加護(9.1%)
助演 1位:矢口(5.8%) 2位:後藤(3.6%)
- 489 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:57
-
作者氏名: 梨華準備室
初登場日: 2000年12月26日
最新作品: 2001年03月25日
活動日数: 90日(15位)
ネタの総数: 19個(10位)
ネタ総行数: 88行(圏外)
ネタ総字数: 1850字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:飯田(48.9%) 2位:後藤(11.4%) 3位:辻(9.1%) 3位:石川(9.1%) 5位:保田(8.0%)
助演 1位:加護(21.6%) 2位:辻(18.2%) 2位:中澤(18.2%) 4位:保田(13.6%) 5位:飯田(9.1%)
- 490 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:57
-
作者氏名: ヤスダンク
初登場日: 2000年12月18日
最新作品: 2001年04月07日
活動日数: 111日(11位)
ネタの総数: 59個(5位)
ネタ総行数: 508行(8位)
ネタ総字数: 8571字(圏外)
採用メンバーの傾向
主演 1位:矢口(31.1%) 2位:飯田(29.3%) 3位:保田(28.9%) 3位:中澤(23.4%) 5位:後藤(20.3%)
助演 1位:吉澤(13.8%) 2位:矢口(4.9%) 3位:後藤(3.7%) 4位:加護(3.1%) 5位:辻(2.8%)
- 491 :名無し娘。:2007/05/25(金) 10:59
-
以上、作者十傑でした。
- 492 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:01
- 中澤裕子
主演/助演ネタの総数: 60個(13位)/42個(14位)
主演/助演ネタ総行数: 962行(16位)/2142行(10位)
主演/助演ネタ総字数: 19148字(17位)/46168字(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 429個/38個/8.9%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 3979行/439行/11.0%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 73029字/8164字/11.2%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 429個/24個/5.6%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 3979行/373行/9.4%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 73029字/6564字/9.0%(14位)
- 493 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:02
-
飯田圭織
主演/助演ネタの総数: 90個(6位)/53個(9位)
主演/助演ネタ総行数: 1409行(13位)/3230行(4位)
主演/助演ネタ総字数: 28908字(13位)/76835字(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1010個/88個/8.7%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 17573行/1366行/7.8%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 375519字/27940字/7.4%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1010個/48個/4.8%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 17573行/2753行/15.7%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 375519字/66511字/17.8%(2位)
- 494 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:02
-
安倍なつみ
主演/助演ネタの総数: 81個(8位)/43個(13位)
主演/助演ネタ総行数: 1416行(12位)/2244行(8位)
主演/助演ネタ総字数: 32376字(11位)/53800字(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 791個/61個/7.7%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 11657行/722行/6.2%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 249525字/16095字/6.5%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 791個/34個/4.3%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 11657行/1607行/13.8%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 249525字/39634字/15.9%(5位)
- 495 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:03
-
保田圭
主演/助演ネタの総数: 70個(11位)/30個(18位)
主演/助演ネタ総行数: 1081行(15位)/1290行(18位)
主演/助演ネタ総字数: 21021字(16位)/32544字(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 684個/56個/8.2%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 8749行/759行/8.7%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 175358字/14032字/8.0%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 684個/23個/3.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 8749行/666行/7.6%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 175358字/15735字/9.0%(15位)
- 496 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:03
-
矢口真里
主演/助演ネタの総数: 128個(1位)/90個(1位)
主演/助演ネタ総行数: 2787行(4位)/2783行(6位)
主演/助演ネタ総字数: 57312字(4位)/64801字(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1053個/127個/12.1%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18759行/2762行/14.7%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 401621字/56851字/14.2%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1053個/89個/8.5%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18759行/2695行/14.4%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 401621字/62635字/15.6%(6位)
- 497 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:04
-
後藤真希
主演/助演ネタの総数: 77個(10位)/34個(17位)
主演/助演ネタ総行数: 1676行(8位)/1659行(16位)
主演/助演ネタ総字数: 34881字(9位)/36982字(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 625個/46個/7.4%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 7380行/652行/8.8%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 140299字/13334字/9.5%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 625個/20個/3.2%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 7380行/467行/6.3%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 140299字/10118字/7.2%(19位)
- 498 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:04
-
石川梨華
主演/助演ネタの総数: 126個(2位)/61個(7位)
主演/助演ネタ総行数: 2534行(5位)/2713行(7位)
主演/助演ネタ総字数: 52719字(5位)/60908字(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1058個/112個/10.6%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18902行/1634行/8.6%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 404548字/33472字/8.3%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1058個/55個/5.2%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18902行/2120行/11.2%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 404548字/46613字/11.5%(11位)
- 499 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
吉澤ひとみ
主演/助演ネタの総数: 110個(4位)/89個(2位)
主演/助演ネタ総行数: 1916行(7位)/4703行(2位)
主演/助演ネタ総字数: 38360字(7位)/108872字(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 1267個/110個/8.7%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 29556行/1916行/6.5%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 642038字/38360字/6.0%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 1267個/89個/7.0%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 29556行/4703行/15.9%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 642038字/108872字/17.0%(3位)
- 500 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
辻希美
主演/助演ネタの総数: 126個(2位)/69個(5位)
主演/助演ネタ総行数: 1576行(10位)/1953行(12位)
主演/助演ネタ総字数: 33664字(10位)/47878字(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 888個/114個/12.8%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 14339行/1236行/8.6%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 309522字/25008字/8.1%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 888個/59個/6.6%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 14339行/1544行/10.8%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 309522字/38489字/12.4%(8位)
- 501 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:05
-
加護亜依
主演/助演ネタの総数: 95個(5位)/66個(6位)
主演/助演ネタ総行数: 1207行(14位)/1650行(17位)
主演/助演ネタ総字数: 24349字(14位)/40364字(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 888個/90個/10.1%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 14339行/1093行/7.6%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 309522字/21868字/7.1%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 888個/64個/7.2%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 14339行/1551行/10.8%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 309522字/37938字/12.3%(9位)
- 502 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
高橋愛
主演/助演ネタの総数: 78個(9位)/44個(12位)
主演/助演ネタ総行数: 3910行(1位)/2005行(11位)
主演/助演ネタ総字数: 92565字(1位)/44014字(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 777個/78個/10.0%(8位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 24435行/3910行/16.0%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 550242字/92565字/16.8%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 777個/44個/5.7%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 24435行/2005行/8.2%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 550242字/44014字/8.0%(17位)
- 503 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
紺野あさ美
主演/助演ネタの総数: 60個(13位)/48個(11位)
主演/助演ネタ総行数: 1517行(11位)/1926行(13位)
主演/助演ネタ総字数: 30523字(12位)/44366字(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 652個/60個/9.2%(10位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 18440行/1517行/8.2%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 411462字/30523字/7.4%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 652個/47個/7.2%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 18440行/1812行/9.8%(13位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 411462字/41931字/10.2%(12位)
- 504 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:06
-
小川麻琴
主演/助演ネタの総数: 31個(18位)/38個(16位)
主演/助演ネタ総行数: 723行(18位)/1759行(15位)
主演/助演ネタ総字数: 15490字(19位)/40011字(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 665個/31個/4.7%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 19022行/723行/3.8%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 425238字/15490字/3.6%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 665個/37個/5.6%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 19022行/1645行/8.6%(15位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 425238字/37576字/8.8%(16位)
- 505 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:07
-
新垣里沙
主演/助演ネタの総数: 42個(16位)/40個(15位)
主演/助演ネタ総行数: 922行(17位)/1868行(14位)
主演/助演ネタ総字数: 22178字(15位)/42132字(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 777個/42個/5.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 24435行/922行/3.8%(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 550242字/22178字/4.0%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 777個/40個/5.1%(16位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 24435行/1868行/7.6%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 550242字/42132字/7.7%(18位)
- 506 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:07
-
藤本美貴
主演/助演ネタの総数: 58個(15位)/88個(3位)
主演/助演ネタ総行数: 2233行(6位)/4790行(1位)
主演/助演ネタ総字数: 49532字(6位)/110073字(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 623個/58個/9.3%(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21820行/2233行/10.2%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491755字/49532字/10.1%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 623個/88個/14.1%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21820行/4790行/22.0%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491755字/110073字/22.4%(1位)
- 507 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:08
-
亀井絵里
主演/助演ネタの総数: 84個(7位)/61個(7位)
主演/助演ネタ総行数: 3523行(2位)/2980行(5位)
主演/助演ネタ総字数: 78929字(2位)/66254字(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/84個/13.5%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/3523行/16.2%(1位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/78929字/16.1%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/61個/9.8%(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/2980行/13.7%(7位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/66254字/13.5%(7位)
- 508 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:08
-
道重さゆみ
主演/助演ネタの総数: 41個(17位)/79個(4位)
主演/助演ネタ総行数: 1675行(9位)/3574行(3位)
主演/助演ネタ総字数: 35567字(8位)/82052字(3位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/41個/6.6%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/1675行/7.7%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/35567字/7.2%(14位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/79個/12.7%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/3574行/16.4%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/82052字/16.7%(4位)
- 509 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:09
-
田中れいな
主演/助演ネタの総数: 64個(12位)/51個(10位)
主演/助演ネタ総行数: 2923行(3位)/2203行(9位)
主演/助演ネタ総字数: 64077字(3位)/48932字(9位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 622個/64個/10.3%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 21801行/2923行/13.4%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 491253字/64077字/13.0%(4位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 622個/51個/8.2%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 21801行/2203行/10.1%(12位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 491253字/48932字/10.0%(13位)
- 510 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:09
-
久住小春
主演/助演ネタの総数: 13個(19位)/14個(19位)
主演/助演ネタ総行数: 670行(19位)/706行(19位)
主演/助演ネタ総字数: 15578字(18位)/16430字(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 219個/13個/5.9%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 10991行/670行/6.1%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 245108字/15578字/6.4%(17位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 219個/14個/6.4%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 10991行/706行/6.4%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 245108字/16430字/6.7%(20位)
- 511 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:10
-
光井愛佳
主演/助演ネタの総数: 8個(20位)/5個(20位)
主演/助演ネタ総行数: 304行(20位)/289行(20位)
主演/助演ネタ総字数: 7849字(20位)/7720字(20位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 62個/8個/12.9%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 2730行/304行/11.1%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 63721字/7849字/12.3%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 62個/5個/8.1%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 2730行/289行/10.6%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 63721字/7720字/12.1%(10位)
- 512 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:11
-
以上、メンバーの人気度でした。
- 513 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:13
-
作者のみなさん、娘。のみなさん、たくさんの夢をありがとう。
- 514 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:14
-
匿名さん、ネタ分断しちゃって申し訳ない。
- 515 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/25(金) 15:18
-
すごーい♪
いや、すごいっすよ。
やっぱ六期、特にれなえりが期間の割に多いっぽいんですねえ。
書いてる側として意識はないんですが…(^^;)
後でゆっくり堪能させていただきます。
ここまでのデータとしてwikiに載せるといいんじゃ(ボソッ)
- 516 :名無し娘。:2007/05/25(金) 18:29
- これはWikiに載せて欲しいな
- 517 :名無し娘。:2007/05/26(土) 22:12
- >>472-474
「新垣さん」か。。。なんかイイな
プチシリーズ、今後も楽しみです がんばってください
>>476-512
おー
>>513
同じく。歴代作者に敬礼!
- 518 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:02
-
さて。
ともすれば些細なことだと思われそうな理由で、けれどとても嬉しそうな“新垣さん”が列から離れていった。
その後ろ、離れていく新垣さんを羨ましげに見ていた亀井さんが、クルリと僕へ向き直る。
黒目がちなアーモンドのような瞳が細められ、さっきまで新垣さんが座っていた席へ腰を下ろした。
「さっ、せんぱい。ガキさんのときみたいなのは要らないですからね」
「二度もしないよ」
読めてますよとでも言うように笑った亀井さんへ笑顔を返して。
そして彼女から知らされた要望を思い出す。
「えりりんなんかオススメなんですけどお」
「それは遠慮します」
「えー!? じゃあエリ――」
「却下っ」
ぶつぶつ言ってる亀井さんへ、決めた呼び名を口にする前に、ふと浮かんだ疑問を投げかけてみた。
- 519 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:03
-
「あのさ、いくつか書いてあったけど、これって選択肢は一つしかないようなもんじゃない?」
「んんー? ……そう、かもしんないですねぇ」
「これでいいの? 割と普通だけど」
「普通じゃない呼び方がいいならエリザ――」
「だから却下だってば」
「もおー……。じゃあ絵里からもいいですか?」
「なに?」
「せんぱいは、どうして私たちのこと…、どうして“さん”づけするのかって理由」
「あ、話したことあった?」
確かに僕は後輩でも年下の娘でも、みんな“さん”付けで呼ぶのが普通だった。
一緒にいるうちに変わっていくこともあるけれど、今でもそう呼び続けている娘もいるくらいだし。
けれど、その理由を亀井さん……六期のみんなやそれよりも下の娘たちに話した記憶はなかった。
「ガキさんたちが」
「ああ、そっか。それで?」
「メンバーではせんぱいだけじゃないですか。なんでだろうって、れいなやさゆと話してたら教えてくれて」
「うん」
「『後輩だし年下だけど、子供扱いしたくない。すぐに追いついてくれるって思ってるから』だって」
「そうだね。だいたいそんなようなこと、新垣さんや愛ちゃんたちに聞かれたときに話したかな」
「そんとき絵里は、あ~、せんぱいは少し違うんだって思って」
- 520 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:05
-
今ひとつ話が見えない。
亀井さんの話しぶりや表情は、そのことを嬉しく思っているように感じる。
それなら“さん”付けでいいんじゃないかとも思うけれど。
「だから、そんなせんぱいだから」
ああ、そうか。
それだからこそってことだったんだ。
「それで……?」
「はい。あっ、その……一人前になったとか、追いつけたとか、正直自信なんてないんですけどお
そういうんじゃなくって。ちょっと……羨ましかったかなあって」
「小春ちゃんが?」
「……はい」
敏感に聞きとめた小春ちゃんが列の後ろでヒョコリと頭を出した。
僕は苦笑しながらなんでもないよって、そう口を動かすと、小春ちゃんは口元で微笑んで浮かせた身体を列に沈めた。
「せんぱい?」
「あ、うん」
「で……そろそろ」
「絵里ちゃん」
どうも今さら気恥ずかしい感じすらする呼び方だけど、他の選択肢よりはるかに呼びやすい。
一方呼ばれた……呼ばせた、と言うべきか。
亀井さ…絵里ちゃんは緩む頬に両手を添えて、照れ臭そうに笑っていた。
「あの……」
「え? あ、もう一回。いいですか」
「はいはい。……絵里ちゃん」
「はあい」
なんだろう、これ。
くすぐったいような甘い感覚。
それなりに成長してるはずのかめ…絵里ちゃんは、控え目でいたあの頃にはできなかったものを求めているのかもしれない。
認められた今だからこそ、甘えられる場所。
- 521 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/27(日) 16:08
-
なにか表現が足りない気がする…う~む(^^;)
それはそうと、自分で書いてるメンバーの割合がああ出るとはなあ……気がつかないものですねえ、まったく。
>>517
なんかいいですか? なら描きたかったことが上手く伝わったんだ。
よかったよかった(^^)
>>476-514
とてもとてもお疲れさまで、ありがとうございます。
なにかお返しと思ったけどなにもできない。
ので、私なんぞでよければシチュエーションでもヒロインでも、希望を書いてくだされば最大限やらせてもらうのですが……
- 522 :名無し娘。:2007/05/27(日) 16:08
- 「あーあ、会長に怒られちゃった」
「タン、説教されちゃったんだ?」
「うん」
「本当の事言いたいけど口止めされてるし」
「少しは触れたほうが、騒ぎが落ち着くもんね。私の時はそう」
「事務所に従うしかないけど、ファンの人は美貴のこと
嫌いになるかな?」
「嫌いになるんじゃない。私に流れてくれるといいな」
「亜弥ちゃん、冗談はやめて」
「ごめん、ごめん、でもタンのファンは減ると思うよ、
多少の覚悟はないとだめだよ」
「土下座でもしないとだめ?」
「そういうことじゃなくて、クビになる覚悟。自分のやった事は
自分で責任を持つ。これ常識だよ?」
「せめてコンサートがんばらないとね」
「うん」
「事務所クビになったら亜弥ちゃんの家に居候していい?」
「その代わり私のメイドだよ?」
「わかりました、ご主人様」
- 523 :名無し娘。:2007/05/28(月) 04:02
- >>521
統計なんかとってないでネタ作れよ、という感じですよね多分。
でも自分にはネタは無理 And 最近ヒマ、っつうことで作ってみました。
wiki載せは検討します。つーかこんなん載せていいのか。。。
>>希望を書いてくだされば
ありがとうございます。お言葉に甘えてお願いしちゃいます。
えっとですね、凹んだ「僕」をメンバーが慰めたり励ましたり
してくるれる、とか言うのはどうですか?できましたら凹み度最大で。
かくいう私も最近凹みぎみでして、こういうの書いてくださると
癒されるかもしれません。
現在のプチシリーズもとても好きなんでがんばってください。
メンバーの心情がよく伝わってきます。今後も楽しみです。
お願い盛りだくさんですね、すみません。無視していただいても。
>>522
こう現実でいろいろあるとネタ作りも大変ですよね
。。。逆か?
- 524 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/28(月) 12:34
-
>>522
おぉ、触れにくいところを突っ込みましたね(^^;)
……私は様子見~。
>>523
癒しになるかはともかく、描けそうな気はします。
…誰推しですか?(笑)
プチシリーズ、後4回か5回です。多分。
バリエーションがアレですけどねえ(^^;)
- 525 :名無し娘。:2007/05/29(火) 00:16
- >>524
そうだなぁ。。。れいなかな
- 526 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:09
-
訪れた覚醒にゆっくりと目を開いた。
視界に映るのは平面的な白。
ゆっくりと瞬いた目が焦点を取り戻し、見えてはいたけれど見ていなかった白を認識した。
「あっ!」
「まだ起きたら駄目だって」
繋がりだした記憶に心臓は動悸を激しくし、慌てて起こした上体へ白く細い手が伸ばされた。
と同時に、僕のものではないやわらかな声が静かに響く。
耳に馴染んだその声は、気遣わしげな声色の中で「落ち着いて」と語りかけるような色彩を帯びていた。
「飯田さん……僕は――」
「倒れたんだよ」
「そう…ですか。ライブは……」
「ちゃんとやれてるから、心配しないで休みなさい」
優しく諭す声に幾分落ち着きを取り戻し、思い出せる限りに記憶を辿った。
- 527 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:10
-
その日、GAMのライブにサプライズゲストとして参加することになっていた。
朝起きた身体が少し重く感じた、けれどやれると、そう判断して家を出た。
通しのリハも無難にこなしたし、問題はなかった、ハズだった。
しかし本番が始まり出番が近づいていくにつれ、熱っぽさを感じ、朝よりもつらくなり、自分の身体が危険だとの信号を発していることを認識していた。
けれど……
「僕、どうなったんですか?」
その瞬間は覚えてすらいない。
たった二曲だけれど指が痛みを覚えるまで練習したそれはどうなったんだろう。
「一曲目、松浦と二人でやったでしょ」
「……ええ」
「その後、二曲目に入るとき、センターに置かれたもう一本。
あれと持ち替えるときにギターがぶつかったみたいに見えた。それで……」
「倒れたんですか」
「うん」
一度落とした照明の中、ステージの両端から出ていく二人にスポット。
少しずつ期待を煽るようなMCの後、センターにピンスポット。
そこにAとMがそれぞれにペイントされた二本のギター。
二人の声が出番を告げ、Aのギターで松浦さんと一曲、そして流れの中でMのギターに持ち替えて藤本さんと一曲。
それで僕の出番は終わる、ハズだった。
- 528 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11
-
「たった二曲だったのに……」
「あんまり気にしちゃ駄目だよ」
「でもあの娘たちには大事なライブだったのにっ!」
「落ち着いて!」
「けどっ――」
「いいから休んで。お医者さんにも無理はさせないように言われたんだから」
激昂しかけたところへ、細い腕がなだめるように伸ばされ、昂ぶる身体をそっとベッドへ横たえた。
深く、全てを吐き出すようなため息をつき、掠れた消え入りそうな声で呟いた。
「……情けないです」
「そんなこともあるって」
「調子は悪かったけど、できるって思ったんです」
「うん」
「たったの二曲、十分にも満たない時間だったんですよ」
「そうだね」
「っ……」
自責で壊れてしまいそうな表情をしているだろう僕へ、髪を梳くように慰めてくれる飯田さんが口を開いた。
「大丈夫だから。ね? なんか飲み物でも買ってきたげるから。
それに……カオリの他にも待ってる娘がいるんだから。そんな顔しないで」
「え……?」
- 529 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11
-
立ち上がり廊下へと消えていった飯田さんの背中が見えなくなった後、開かれたままの病室から小さな後輩が姿を現した。
まるで自分のことのように泣き出してしまいそうな……、もしかしたら実際に泣いていたのかもしれない。
「田中さん……」
「せんぱい、また“田中さん”って呼んどお」
泣き出しそうな顔のままで、それでも僕を元気づけようと出される軽口。
僕は田中さん…、れいなから一度顔を背けて、精一杯の努力でれいなの“せんぱい”である顔を取り戻そうと努めた。
「しっかり休まんといけんし、れなすぐに帰りますから」
顔を背けたことを誤解したのか、れいなは少しだけ声のトーンを落としてそう言った。
後輩にそんな気を遣わせる、情けない先輩ではいられない。
「あっ、大丈夫だよ。全然。そんなに、大したことじゃないんだ」
取り繕った言葉がどこまで通じるのかは解らないけど、それでも“普段”を装えたとは思っていた。
けれどれいなは、僕の言葉にも淋しそうな顔をして見返してくるだけだった。
- 530 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:12
-
「た…、ごめん。れいな?」
「せんぱい」
「うん?」
「せんぱいは、れなの先輩やけど……」
「あっ、うん」
言葉を止めたれいなは、小さな手を握りしめて……震えるほどに握りしめて、なにかを堪えているかのように見えた。
泣きそうな顔でなにか堪えているのなら、それは僕のせいなんだろう。
なんて情けない、駄目な先輩なんだろうって、ますます自分が矮小な存在であることを認めさせられてしまう。
「先輩やけど……そんなことせんでよかっ」
「……え?」
「そりゃせんぱいは、れななんかよりも強いけど、
でもそのせんぱいがさっきみたいな顔するほど辛いときにまで……」
「れい…な?」
「そんなに辛いときにまで強がらなきゃならんほどれなは頼りにならんとっ?」
泣き出しそうな顔で僕を怒鳴りつけるれいなは、きっと今の僕のように自分の無力さを、情けなさを悔しく思っているのかもしれない。
僕は……なにをしているんだろう。
- 531 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:13
-
「れいな……」
「せんぱい」
一つ息をついたれいなが僕を呼ぶ。
「れなじゃダメなのかもしれんちゃけど、でも……」
自分を無力であると――事実ではないけれど――認識をして、それでも僕を癒してくれるために精一杯なれいな。
「でも、辛いなら辛いって言ってほしい。いつもいつも強くなくってもいい。
れなの前で……、強がらんくてもいい。ホントのせんぱいもせんぱいやけん」
それはけっして洗練された言葉でもなく、上手な言い回しでもない。
けれどれいなが心からそう思って……僕のためにそう言ってくれていることが伝わってくる言葉だった。
僕を受け止めるんだと、そう伝えようとするみたいに差し伸べられた小さな手。
それが自然なことのように僕は手を伸ばす。
そっと包み込んでくれたそれは、小さな、けれどとてもあったかい手だった。
「せんぱいはせんぱいやけん。れなにとって他に代わりなんておらんせんぱいやけん」
静かに距離を埋めたれいながそうささやきながら、小さな身体で僕を包み込んでくれた。
れいなの体温を、れいなの匂いを感じながら、僕はただじっと時を過ごしていた。
ありがとうと、そう呟いて。
- 532 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/30(水) 00:15
-
飯田さんは触媒(ごめんなさい)。
努力はしたけれど、努力だけじゃダメなんだよう(^^;)
むう……
- 533 :名無し娘。:2007/05/30(水) 01:08
- お願いしてから1日もたっていないのに。。。すばらしい
無理難題をこなしてくださって、ありがとうございます
癒されました
シリーズ中断させてしまいましたね、すみません
- 534 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32
-
腰を上げたけれど動かずにいる絵里ちゃんへ、ポンと腰を叩いて促した。
「せんぱいのエッチぃ」、なんて言葉と裏腹な表情で絵里ちゃんが離れていく。
笑顔でそれを見送った視線を戻すと、道重さんが向かいに座ったところだった。
「道重さんだ」
「はい。さゆみです」
「うん」
「でももう“道重さん”はいいですからね」
「そうだね」
もう待ちきれないとでもいうように、拗ねた素振りでからかいの言葉。
そう、六期の三人の中で、絵里ちゃんよりも年下だけど、時折見せる“顔”が一番大人びているのはこの娘だったんだ。
「新垣さんも絵里も嬉しそう」
「そう、なのかな」
「せんぱいだからです」
そう言って見せる笑顔はやわらかで、けれどどこか責めるような響きを感じたのは僕に理由があるんだろうか。
僕のそんな迷いに気づいたのか、道重さんは胸の前で軽く手を組んで、小さく小首を傾げてこう言った。
- 535 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32
-
「さゆみのことはどう呼んでくれるんですか?」
「どうって……」
まさか忘れているわけではないということくらい僕にも解る。
だとすればこれは、……イジメられてるのかな。
道重さんから送られてきたメールの中に、選択肢は――比喩ではなく――たった一つだけしかなかったんだから。
「選ぶのはせんぱいでしょ?」
「そうなんだけどね。メール、あれでいいの?」
「なんでですか?」
「なんでって……」
本当にそう思って聞いているのか、それともからかわれているのか。
もしくはどちらでもない、彼女にしか解らない理解の仕方があるのか。
どうにも判断がつかない不思議な感覚。
「だって…希望はあるけど決めるのは、僕?」
「そう書きました。だってみんなも決めるのはせんぱいですよね?」
「そうだけど。なら“道重さん”でもいいってことじゃないの?」
「ん~、せんぱいがどうしてもそう呼びたいなら、しょうがないですけど」
「ん……、なら」
- 536 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:33
-
「さゆ」
彼女の希望はこれ一つだけだった。
これじゃないのなら、僕の好きな呼び方をしてほしいと、メールにはそう書かれていた。
けれどこの呼び方はなんら特別なものではない。
それが道重さんの希望ならそれでもいいかと、そう考えながら呼び掛けた彼女を見ると……
「み…、さゆ?」
「なんですか?」
「あ、いや。これで良かったの?」
「せんぱいにそう呼んでもらえるようになって良かったです」
「うん?」
「ちょっと近づけた気がするの」
「そう?」
「お兄ちゃんみたいな。けどそうじゃなくって。でも近くにいてくれると、え~っと……嬉しいです」
そう話すさゆは僕の目には100パーセントだった。
1パーセントの混じり気もない、純粋な笑顔。
僕自身、距離があるとは感じてはいなかったし、そう感じさせているとも思っていなかった。
けれどそう感じていたというさゆが、それを変えられるきっかけになるならば。
それは少しだけ特別な呼び名なのかもしれない。
さゆの嬉しそうな笑顔が僕にそう思わせてくれた。
- 537 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/02(土) 00:55
-
>>533
こちらこそ半分飯田さんでごめんなさい(苦笑)
さて、プチが半分くらい残って
ヘコんでるんじゃないんですが……参ったなあ、どうしたもんだろう
藤本さん先に使っておくべきだったorz
- 538 :名無し娘。:2007/06/02(土) 06:42
- 最後に呼んであげるとか
- 539 :-サヨナラのかわりに…-:2007/06/02(土) 12:08
-
「許さない」
「・・・うん」
「許さないけど…許すしかない」
「・・・ごめん」
「謝罪なんていらない」
「・・・だよね」
「なんで、男じゃないのさ」
「・・・女だもん」
「男だったら、殴れるのに」
「美貴も、殴ってほしいよ。殴るだけじゃすまされないし…」
「愛ちゃん、どうすんの?」
「泣いてたね…あのさ…お願いしていい?」
「…はぁ~、仕事増やすの好きなの? あのさ…ミキ…藤本さん」
「久しぶりだね、そう呼ぶの。あの頃に戻ったみたい」
「茶化すなって…。ふぅー…今まで、ありがとうございました」
「・・・うん」
「藤本さんと一緒に娘。をやれた事を僕は誇りに思っています」
「・・・」
「短いリーダーでしたけど、本当にお疲れ様でした。そして、ソロや
GAMとして、これから大変でしょうが頑張ってください」
「・・・はい」
「なんか困ったことがあったり、寂しくなったら…僕たちはここに居るから。
笑顔で待ってるから」
「・・・ありがとう」
「なに、泣いてんだよ。ほら、今から旅立ちなんだから笑えって」
「・・・●●、嫌だよぉ。ホントは、みんなと一緒に…●●と一緒に笑って歌って…
ごめん、ホントごめん!!」
「バカ…バカ美貴!! ほら、笑えって!! ここで、笑わないと今度笑えなく
なっちまうぞ!!」
「●●、大好きだよ…ホント今まで色々とありがとう…」
「頑張れ!! バカ美貴、頑張れ!!」
「・・・うん、●●も頑張って」
「ミキティ…ありがとう」
- 540 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/02(土) 21:13
- スレするの忘れてた。帰ってきました♪
これからも、よろしくです。いきなり、こんな作品ですいません(汗)
- 541 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:43
-
弾むような足取りで、同期のところへ歩いていったさゆ。
今までとは少し違った気配に向き直ると、そこには確かに今までとは違う状況が待っていた。
「……なんで?」
いつの間にか、すっかり馴染んだツーショット。
中華街で仲良くなれたのか、こんなところでまで一緒にくるとは思わなかった。
「待ってる間に二人で話してたんですけどお」
「なんか考えてたことが一緒っぽいから、じゃあって」
切り出した愛佳ちゃんに小春ちゃんが言葉を添えて。
そういえば二人からもらったメールは、伝え方が違うだけで内容そのものは同じ意味のものだったっけ。
「で、並んで座ってるわけね」
「はい」
「でもだったら、なんで並んでたの?」
「それはだって……」
「なんか勢いでえ」
どこか子供らしい笑いでそう話す二人は、少しだけ懐かしい二人を思い起こさせた。
白昼夢にも似た懐旧を小さなため息にして吐き出して、目の前で座る二人に気持ちを戻した。
- 542 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44
-
「でもさ、どうして二人がそう思ったのかって、聞いてもいい?」
「あ、小春はー、嬉しかったからです」
「へ?」
「初めて“久住さん”から“小春ちゃん”って変わったときに、
なんかわかんないんですけどものすごく嬉しかったんですよぉ」
「そりゃどーも」
「でえ」
「わたしも。あ、でもわたしの場合、気がついたらもう“愛佳ちゃん”だったけど。
でも、そのぉ……入る前からファンだったから、めっちゃ嬉しくて」
「あ、それは……ありがと」
「だからー……」
「うん」
困った僕がただお礼を言うと、二人は顔を見合わせて少し照れた風に笑う。
それが僕へ促しているサインだってことはすぐに解った。
だから。
「小春ちゃん」
「はーい」
「愛佳ちゃん」
「はぁい」
「これからもよろしくね」
せめて目一杯の気持ちを込めて呼んだ名前へ、それぞれの笑顔で声を返してくれる二人。
自惚れるつもりなんてないけれど、それが二人にとって特別なことならば、僕はそれにふさわしくありたいと思った。
二人がそう言ってくれるだけの価値がある自分になりたいと。
- 543 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44
-
そうして二人が離れていき、ようやく一人になった僕は少し離れたところで話している二人に気づいた。
新垣さんと…愛ちゃん。
愛ちゃんは一連の騒ぎに加わらず、一人でいたはずだった。
はっきりと形をもたずにいる懐疑のままに二人を見ていた目が、ふとしたはずみで愛ちゃんのそれとぶつかった。
僕を見るその目はどこか寂しげで、ぶつかったことに気がつくとすぐに逸らされてしまう。
そんな愛ちゃんの視線に気がついた新垣さんがこっちを指さし、無理矢理に立ち上がらせた愛ちゃんを僕の方へと押しやった。
「……やあ」
「ども。はい」
おかしなくらいぎこちない挨拶を交わし合った。
愛ちゃんの向こうに見える新垣さんが、お願いしますとでも言うように手を合わせ、申し訳なさげにペコリと頭を下げた。
どっちに対する気遣いなのかは判断が付かなかった。
けれどなんか新垣さんらしい気の使い方だなとおかしく思って小さく笑った。
「あの……?」
「あぁ、ごめん」
訝しげな愛ちゃんの見上げるような視線に目を戻す。
「元気ない?」
「…そんなことないですけど」
けど、か。
- 544 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45
-
それはカラ元気だって言ってるようなものだ。
言葉も、その表情も。
「愛ちゃんは“愛ちゃん”でいい?」
そう聞くと、愛ちゃんは一度俯いて考えるような仕草で。
それから顔を上げると、「はい」と、キッパリとした口調の一言。
けれどその表情はどこか途方に暮れたような感情が見え隠れしていた。
「あのさ」
「え? はい」
「なにかあるなら言ってくれていいんだからね」
「え?」
「愛ちゃんはヘンに真面目で頑ななことがあるからさ。言いたいけど言わないことってあるのかなと思って」
愛ちゃんは憑かれたように僕を見つめる。
じっと見つめられた僕が声を掛けるかと口を開きかけたとき、ふいに愛ちゃんは俯いた。
顔を上げない愛ちゃんに伸ばしかけた手の先で、小さな肩が震えていることに気がついた。
- 545 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45
-
「あ、愛ちゃん……?」
途惑い空を彷徨う手の向こうでなにかがキラリと光って落ちた。
「どうして、泣いてるの?」
「……ぇん」
「え?」
「ぃえな……」
言えない?
確かに愛ちゃんはそう口にした。
「ど、どうして。言ってくれていいんだよ」
「言えんで……、言った、ら…せんぱいのこと困らせて、嫌われる」
途切れ途切れの言葉に耳を疑った。
嫌うだって……? 僕が、愛ちゃんを?
「そんなこと――」
「あ~っ! せんぱいが愛ちゃんのこと泣かせたぁ!!」
あっという間に囲まれて、騒ぎの中でひとまず愛ちゃんをなだめることに腐心して。
そんな騒動に気を取られたとはいえ、僕は……気づかずに、気づけずにいた。
- 546 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 00:47
-
小春、ミッツィー、ごめんねえ。
愛ちゃんと一纏めで、しかも二人のシーンは短くなったよ。
というわけで、急遽三つを一つに纏めて、もう一つはカット。
>>538
そうする方向にスライドすることになりました(^^;)
>>539
やはりTACCHIさんでしたか。
おかえりなさい(笑)
明日こちらでも似たものをupすることになりそうです……。
- 547 :名無し娘。:2007/06/03(日) 03:47
- >>539
お帰りなさい
さみしーけど、仕方ないよね 諸行無常
>>541
せつない
- 548 :名無し娘。:2007/06/03(日) 17:06
- 今日はハロモニのロケの日
「ミキティは来ないのか」
僕はやっぱり寂しかった。
ロケが始まるとなぜかウサギの着ぐるみがいた。
「暑いのにスタッフさん大変だろな」
ロケは順調に終わり、なぜかスタッフさんに呼ばれ、
ウサギがいた。
頭を取ると藤本さんだった。
「ミキティなんで着ぐるみ着てるの?」
「もう美貴ハロモニ出れないから、スタッフさんにお願いしたの」
「そうだったんだ。それならイタズラすればよかった」
「手加減してね」
「それより暑くなかった?」
「暑かった。ちょっとやばいときあったけど、
みんなと一緒にいたかったから」
- 549 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:06
-
「なにやってんだよっ!」
「せんぱいっ、あかんて!」
抑えきれなかった感情が声になって溢れ出してしまった。
愛ちゃんが間に入ってくれなければ掴み掛かってしまったかもしれない。
それほどに、瞬間的に沸騰した気持ちに抑制が掛けられなかった。
「ごめん…」
「――っ」
「せんぱいっ――」
身体ごと僕を押し止める――それとも支えるために、かもしれない――愛ちゃんの瞳が。
新垣さんと三人で、事務所の“決定”を聞かされてから泣き腫らした瞳が。
壊れかけた僕をギリギリのところで引き留めてくれた。
「ごめん……」
僕の目を見ることもなく、ただ謝り続ける藤本さん。
二人だけで話がしたいと言った僕に、リーダーになるんだからと同席を強くせがんだ愛ちゃん。
愛ちゃんがいてくれて良かった。
暴れ続ける感情を、僅かでも鎮めようと吐き出した息の中でそう思った。
「美貴ちゃん…」
深い呼吸で気を静めてる僕から、藤本さんへ目をやった愛ちゃんの声。
その声が痛々しいのは見つめている相手故にか、それとも混乱した感情からか、今の僕には判断がつかない。
けれど、そのどちらもが……他のメンバーも含めて、みんなが傷ついていることぐらいは解っていた。
理性では解っていた。けれど……
- 550 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:07
-
「なんでだよ……」
僕の問い掛けから逃げるように藤本さんは俯いてしまう。
愛ちゃんが心配そうに見つめている。
僕は激昂しないように抑えた声で、もう一度問いかける。
「なんでなの…?」
絞り出された声は、我ながら情けない声だと思った。
コントロールできない感情は、抑えた激情と入れ替わりに哀しみを浮かび上がらせる。
顔を上げた藤本さんはハッとしたように表情を歪めて僕を見る。
「…ごめんなさい」
「それじゃあわからないよ。……なんで今なのさ」
「美貴はそんなに強くないんだよ…」
「なら僕に話してくれてもっ――」
「アンタだからっ!」
一瞬だけ。
その一言だけが藤本さんの真実であるように。
僕も愛ちゃんも、そして藤本さん自身も圧するほどの声だった。
「アンタだから言えないんだよ……」
「…どうしてさ。僕ならいつだっ――」
「そうやってすぐやさしくしてくれるんだ」
「え?」
「そんなアンタだから……」
泣き出しそうな表情で言葉を詰まらせた藤本さんを呆然と見つめる僕の横で、「美貴ちゃん…」と小さく呟く声が聞こえた。
視界の隅で愛ちゃんがなにかを諦めたような顔で藤本さんを見ていた。
- 551 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:09
-
「ごめんね」
愛ちゃんへ向けていた視線がその一声で藤本さんへ戻される。
今日何度目かの“ごめん”は、それまでのものとは違って聞こえた気がして。
そのくせ藤本さんは、まるで愛ちゃんを鏡に映したようになにか諦めた哀しげな表情をしていた。
「なん――」
「そんなアンタだから。大好きなアンタだから弱いトコなんて見せたくなかったんだ」
「――っ、な…」
「でも、ごめん。それが結局みんなを裏切ることになった」
「美貴ちゃん…」
「ホントにごめん」
そう締めくくるように話して、藤本さんは席を立つ。
僕はなにを、なんと言っていいのか解らず、止めることも追うこともできないでいた。
愛ちゃんがの小さな手が僕の手に重ねられて、見つめる目線が促していた。
「藤本さん!」
立ち止まった藤本さんは振り返らない。
その背中へ向けて、僕は語りかける。
「僕らは…、僕は……いつでもいるから」
後ろ姿が小さく頷いてくれた。
「だからがんばって……、美貴」
揺らいだ後ろ姿が振り向き掛けて止まる。
藤本さんは振り返らない。
「初めて――、ありがとう…」
最後に小さく感謝の言葉だけを残して、藤本さんは部屋を出た。
後に残された僕らは彼女になにもしてあげられないけれど。
彼女が哀しまないで済むように、そして残されたもののためにも。
頑張っていかなきゃならないんだと心に言いきかせた。
時の神様への願い事を押し隠して。
- 552 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 21:10
-
なんかこんなんばっかでごめんなさい(ToT)
>>547
書いてる自分も切ない…
こうやって処理させてくださいませ。
>>548
せつない…
- 553 :名無し娘。:2007/06/04(月) 13:07
- プチシリーズ、最後が短くなってちょっと残念 だがよかった
メンバーが先輩をどう見ているかがはっきりしてきた感じ
今後の布石かな
愛ちゃん諦めちゃうのか愛ちゃん
- 554 :-夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15
-
「●●、おはよ~♪」
「あ、ガキさん、おはよ~」
楽屋で、雑誌を読むことに集中していた僕の横に座るガキさん。
最近、ガキさんは僕に敬語を使うことがなくなった。ってか、僕から頼んだ事なんだけどね。
副リーダーなんだから、メンバーに敬語はおかしいでしょ?って、なんとか納得させて。
「夏服の雑誌?」
「うん。最近、もう暑いから新しい夏用の服買おうかなぁ~って思ってね。
そうだ、ガキさんどれが僕に似合いそうかなぁ?」
「え? 私が、選ぶの!?」
「うん、やっぱり女の子の意見が聞きたいからさ」
そう言うと、ガキさんは僕の持っている雑誌を真剣な顔で見始めた。
「う~ん…これなんかどう? ●●は、白が似合うからこの白い上着で
中は…このピンクとか? で、下は細身のこんなジーパン履いたらどうよ?」
「お、いいねぇ~♪ じゃあ、これ今度買ってこようかな?」
「そんなすぐに決めちゃっていいの?」
「うん、ガキさんが選んだんだから間違いないって。今度、コレ着てくるから
ご飯でも一緒に食べようか? 奢らせてもらうよ」
その言葉に、一瞬にしてガキさんの顔が強張る。
「え…でも…」
「そっか、最近僕ら狙われてるからなぁ~…」
- 555 :-夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15
-
二人で、同時にため息をつく。
「前は、●●と一緒にご飯食べに行ってたのにね…」
「そうそう。愛ちゃんとポンちゃんと麻琴の4人連れてね」
「あの時は、そんな事考えなくてもよかったのに」
ガキさんの顔が、悲しそうな顔になる。
「そうだ。じゃあ、あの時みたいに5人でご飯食べに行こうか?」
「そっか…そうだね♪ うん、そうしよ」
「じゃあさ、愛ちゃんには僕から言っておくから。ポンちゃんと麻琴はお願いしていい?」
「りょーかい♪ だけど、あの時みたいに●●が全部奢ってね?」
「え~、俺が奢るの~? もう、先輩じゃないんだしさぁ~」
「いいじゃん♪ あの時みたいに戻ろうよ」
「仕方ないなぁ~わかりましたよ。僕が、おごればいいんでしょ?」
「やったぁ~。じゃあ、あさ美ちゃんとまこっちゃんに連絡してきます」
そう言って、携帯を持って楽屋から出ていく笑顔のガキさんの背中は、
なんだか娘。に入った頃のガキさん…お豆ちゃんを思い出させる姿だった。
- 556 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/08(金) 21:25
-
写真集発売記念で、書かせてもらいましたがいかがでしたでしょうか?
副リーダーとなった、ガキさんの今後の活躍に期待してます。
>>546 (匿名さん)
ただいまです。いや~、これからもよろしくお願いします♪
今度、コラボ作品作りましょう♪
>>547
寂しいですね…ちょっと明るい話題書きたいんですが
今は、ちょっと難しいかな?って感じです。
何か書いてほしい人が居たら言ってください。
なんとか明るくして書いて見せますのでw
- 557 :名無し娘。:2007/06/09(土) 21:51
- 「亜弥ちゃん、ファンクラブツアー沢山来てくれるかな?」
「私のファンが来るから来るんじゃない?」
「そうだよね。私を応援してくれるファンの人少ないからね」
「ごめん、タン。冗談だよ」
「でも、本当にあんまり来ないかも」
「そうであっても一生懸命やらないとね」
「そうだね、亜弥ちゃん」
- 558 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/09(土) 22:42
-
レスだけですが。
>>553
あと三回、続けるのが厳しかったですorz
含みは持たせたものの……さて。
>>554
ちょっと切なく不思議な感覚になるお話でした。
自分ではまず出てこないだろう話。
( ・e・)<なっち
って言うくらいw
>>557
違う意味で切ない気がします(涙)
- 559 :名無し娘。:2007/06/13(水) 22:10
- >>554
新垣さんもお年頃か。。。
別に明るくなくてもいいんでは?
>>557
ホントにやるの?
- 560 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:07
-
どれほどの問題を抱えていても、日々は忙しく過ぎていく。
思い悩む間もないほどに疲れ果てて眠ってしまえるときはまだ幸せだった。
時折ぽっかりと空いてしまう時間に一人で考え込むことすらも許されない現状。
名実共に最も年長となった今では、一人楽屋にこもることも出来ず後輩たちが“頼れる笑顔”でいなければならない。
せんぱいっ
そう呼ばれることすらも苦痛になってしまいそうな恐怖感。
けれど笑顔は崩せない。
心の歯車に砂でも詰まっているように、ギシギシと変調をきたしていくようだった。
「せんぱい」
「うん?」
いつものような笑顔を作って顔を上げる。
ギシリ
笑顔までは歪みがでないようにするだけでも力を使う行為になりかけている。
愛ちゃんが気遣わしげに見ている。
マズイ、そう思ったとき、向こうから話を継いでくれた。
「せんぱい、今日一緒に帰りません?」
「え?」
「今日。一緒に帰りましょ。せんぱいもここで終わりですよね?」
「あ、そうだけど」
「なら一緒に」
「うん…いいけど」
「やった! したらまた後で」
短い会話を終えて離れていく愛ちゃん。
そういえば、外は強い雨が降っていたっけ。
とりとめのない思考をスタッフさんの声が遮る。
仕事をしている間の方がまだマシだった。
- 561 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08
-
帰り支度を終えて、さてどうしたものかと車のキーを遊ばせた頃、楽屋のドアがノックされ、返事をするよりも先にドアが開いた。
ヒョッコリ顔を出した愛ちゃんは「せんぱい、帰りましょ」と言った途端に姿を消した。
すぐに聞こえてきたのは新垣さんの声。
『バカ! もう、愛ちゃんダメでしょ。着替えとかの途中だったらどうすんの!』
『あ、そか』
『そっかじゃないよ、ちゃんとしないと。ねっ』
『もうわかったて、ガキさん』
今までに何度も繰り返されたやりとりが丸聞こえだった。
小さな苦笑をため息と一緒に吐き出して、二人が待つ廊下へ出る。
眉根を寄せて困ったように小言を言う新垣さんと、なんでそんなにムキになっているのかといった顔の愛ちゃん。
僕はごく当たり前の“日常”に少しだけ自然に笑いながら「帰ろっか」と、二人を促して歩き出した。
後ろから聞こえてくる「ガキさんいこっ」と言う愛ちゃんの口調と、そしてそれへ諦めたような返事をする新垣さんの疲れた声が僕の日常を加速させる。
- 562 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08
-
地下駐車場から表へ出て、暗い空から落ちてくる雨粒がフロントガラスを滲ませる。
あっという間に視界を奪う空が鬱々とした思考をぶり返させる。
「あ、ちょっと止めてもらえます」
まだ敷地からも出ていないうちに、後ろに座った愛ちゃんが言う。
地下から上がって一つ角を曲がったそこは、建物の死角に開けた半端なスペース。
言われたとおりに車を壁面へ寄せて停めた僕が振り向くよりも早く、後部座席のドアが開けられた。
「あっ!」
「え?」
大粒の雨の中、天を仰ぎながら腕を広げた愛ちゃん。
驚いて見つめる僕と新垣さんの前で、瞬く間にその身体を濡らしていく。
「愛ちゃんっ」
我に返った僕が新垣さんを制して外へ出ると、空から僕へ視線を移した愛ちゃんがニッと笑った。
「雨、すごいですね」
「風邪引くから戻ろう! 休んでなんかいられないんだから」
「今、私たちも雨ですよね」
「え…?」
「せんぱい、ひどく雨に打たれたって顔してる」
「愛ちゃん……」
僕は芝居が下手だ。
自覚がないとは言わない、けれどこうもあからさまに指摘されるとは思っていなかった。
- 563 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:10
-
「なにかの本で読んだんですけど、『雨は一人だけに降るわけじゃない』んですって」
「な…、なに?」
飛躍する話が僕を置き去りにしていく。
けれど彼女の中では結論へ進んでいるような、そんな表情をしていた。
「せんぱいが雨に打たれてるときは、私も…私たちも雨に打たれてる」
「あっ……」
「だから一人で抱え込まなくっていーんですよ?」
まったく僕は……、前にも言われたっけ『強くなくってもいい』んだと。
何度でも同じことを繰り返すんだ。
「…そうだね。僕たちは仲間なんだった」
「私、リーダーやし」
「うん」
ずぶ濡れで額に張りついた髪を雨がしたたり落ちていく。
けれど笑顔でそう話す愛ちゃんはキレイだった。
見縊られたと憤ることもなく、信頼されていないと嘆くこともない。
おかしなくらいに真っ直ぐな感情を……、僕にはない感情をぶつけられた。
- 564 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:11
-
「けどどんな雨だって、これだけ濡れちゃえばもう悪くないですよね」
「うん?」
「♪~ I'm singin' in the Rain」
決して大きな声ではないけれど、しっかりと僕まで届く歌声で、軽くステップを踏み出す。
よくそんな古い歌を知っているな、なんて場違いに思うけれど、その歌声は明るく僕を包むようだった。
「♪~ Just singin' in rain」
動きが止まり言葉が詰まる。
あぁ、そう気づいた僕が後を受けて、そして続きはこうだよと愛ちゃんを導き、愛ちゃんのステップが僕を導いてくれた。
「♪~ What a glorious feelin'」
二人で手を取って話し合うように歌い、暗い気分を振り払うように軽快に踊る。
こんなヒドイ雨に打たれながらだというのに、しばらく感じることがなかったほど心が弾む。
「♪~ I'm dancin' and singin' in the rain ~♪」
車から降りた新垣さんが傘の下で呆れたように笑っていた。
僕がそちらへ視線を投げると、まるでそれを知っているかのようなタイミングで新垣さんが動き出した。
劇中の警官のように軽く咳払いをして僕らを日常へ連れ戻してくれた新垣さん。
僕のマンションでシャワーを浴びた後、僕らは二人並んで正座をし、新垣さんにこってりお説教をされた。
二人顔を見合わせてクスクス笑い、お説教の時間が延びたけれど僕らは笑いあえた。
愛ちゃんも、新垣さんも、そして……僕も。
- 565 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/15(金) 23:17
-
こんなんで。
進んでるのか、進んでないのか、そもそも進むのか?(^^;)
- 566 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:37
- >>565
いい話しだなぁ~やっぱり匿名さんすごいです。
僕も、負けませんよ~w
というわけで、安倍さんの作品です。
- 567 :-夏雲-:2007/06/15(金) 23:37
-
「安倍さん♪」
事務所で、見かけた安倍さんの肩を叩くと笑顔の安倍さんが
僕の顔を見てさらに笑顔になった。
「お、●●~元気にしてたかい?」
「もちろん。安倍さんも元気そうですね。」
「そうだよぉ~なっちは、元気元気♪」
「あ、そういえばドラマ見ましたよ」
僕の言葉にすごい嬉しそうな反応。
「ホント!? どう? どうなの?」
「いや、どうなのって言われても…時代劇あんまり詳しくないんですけど
すげーよかったと思いますよ」
「やった♪ あの撮影大変なんだべさ。かつら結構重いのよ~忠臣蔵のとき
思い出しちゃった」
「あ、懐かしいですね~。僕も、あの時袴でアクション初挑戦しましたからね」
「あぁ~そうだったねぇ~。懐かしいなぁ~」
- 568 :-夏雲-:2007/06/15(金) 23:38
-
そんな昔話をしていると、ちょっと寂しそうな顔になる安倍さん。
「なんかあの頃って、毎日が楽しかったなぁ~…」
「今は、楽しくないんですか?」
「ううん、楽しいよ。でもね、やっぱり一人とみんなとでは違うんだべ…」
「・・・」
ちょっとしんみりした空気。
「あはは、ごめんごめん。安倍さん、しんみりさせちゃったね」
舌をペロッとだして、ごめんごめんと謝る安倍さんを見て、やっぱりこの人には
勝てないと思った。
「いえいえ、こっちこそすいません。いや~、やっぱり安倍さんはあの頃と変わらなく
可愛いです」
「もう、●●。そんな事言ってもなにも出ないよ? このこの~」
そう言いながら、僕の脇腹をつんつん突いてくる安倍さんに
「やめてくださいよ~」なんて言いながら、そんな事をしてくる安倍さんに
僕は感謝していた。
- 569 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:42
- 安倍さんは、やっぱり僕にとっては『ひまわり』みたいな存在ですね。
>>554 匿名さん
なっちの言葉で、この作品書きましたがよかったのかな?w
僕も、匿名さんの作品は絶対に浮かばないです。
毎回毎回、楽しくて次の展開が気になる作者さんの一人です。
これからも、お互いがんばっていきましょう♪
>>559
ガキさんのアロハロ見てみたいですねw
どうもです。ちょっとずつ回復していこうと思いますww
- 570 :名無し娘。:2007/06/16(土) 01:34
- 新リーダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
- 571 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27
-
テーブルの上に突っ伏して、目を閉じる。
はぁ
僕専用にあてがわれた少し小さな楽屋に響く音。
まただ。今日はこれで何回目だったっけ?
今日だけじゃない、昨日もおとといもその前も。
ここ最近、ため息の数がすっかり増えてしまった。
立て続けに2人の大切な仲間を見送って。
1人目、吉澤さんのときはまだよかった。
平気というわけではもちろんなかったけど、
いずれ訪れるであろうことだと分かっていた。
だから覚悟、というか心の準備みたいなものができた。
でも2人目は。
突然切れた藤本さんとの「娘。」という絆。
なんとも形容できない寂しさと喪失感は一向に治まらず、
逆に吉澤さんとの別れのときにも感じたそれらを刺激して増幅した。
年上2人を一挙に失う。それが僕にはキツいらしかった。
残ったメンバーは全員年下で後輩。僕のことを「せんぱい」と呼ぶ。
高橋さんはリーダーになったけど、この呼び名は変わってない。
後輩たちからいろいろと相談されたり頼りにされたりしたときは
良き先輩として精一杯頑張ったつもりだけど、それができたのは
自分にも先輩や年上がいて、無意識に頼っていたからだったんだと
今更ながら痛感していた。なくしてから気づくなんて、なんて馬鹿なんだろう。
これからもみんなの良き先輩でいる自信は、今の僕からは失われていた。
………頭が痛い。すっかり参ってしまったらしい。
思ってもいなかったことが、口からこぼれる。
「僕も辞めよっかな………娘。」
- 572 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27
-
「え…」
「えっ?」
突然の背後からの声に驚いて振り向く。高橋さんだった。
マズい…聞かれた?
「高橋さん…いつの間に?」
「何を…辞めるんですか?」
「え?」
「何を辞めるんですかっ!?」
僕の質問を無視して発せられた声は、ひっくり返っていた。
…すごく怒ってる。こんな高橋さん初めてかも。
質問からして僕の声は途中までしか聞こえなかったみたいだけど、
もう答えは分かってる、と言わんばかりの調子だった。
だからつい。
「あ、そうじゃないよ?」
「やっぱり!!!」
しまった………
- 573 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:28
-
「………」
どう取り繕おうか、そんなことを考えつつ高橋さんを見る。
その表情は一変していて、僕は戸惑った。
「………んで…」
「高橋さん…?」
「なんで…ですか…」
うつむき加減の高橋さん。その声は悲しみの色を帯びていた。
「わたし…ですか?」
「え?」
「わたしの、せいですか?」
「そんな」
「わたしだから。わたしなんかがリーダーだから」
「高橋さん」
「わたしせんぱいの後輩なのに。リーダーなんか」
「高橋さんってば」
「せんぱいをさしおいて、だから」
自嘲の言葉を次々に吐き出す高橋さん。
そんなの聞きたくない。僕は堪えかねて、
「高橋さんっ!!!」
「ひっ!?」
叫んだ。
びっくり顔になっている高橋さんの肩をつかみ、目を見つめ、
「違うから。そうじゃないから。」
まずしっかりと一言。そして誤解を解きにかかった。
- 574 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:29
-
「…じゃあ何で…あんなこと?」
話をして落ち着いた高橋さんから、改めて問われる。
少し迷ったけど、他のメンバーには内緒とお願いしつつ、
「お姉さんメンバーが急にバタバタいなくなって」
「最年長としてちゃんとできるか自信なくて」
「誰かいるとは思わなかったから」
今、ネガティブな状態だってことを正直に話した。
高橋さんは何か考えているみたいで、しばしの沈黙。
「………それ、わかります」
「え?」
「もしせんぱいがいなくなったら、私が最年長ですよね?」
「うん」
「わたしは、多分もたない」
「………」
「もし今せんぱいがいなくなったら。さっきみたいにちゃんと話してくれる人がいなくなったら」
「高橋さん…」
「リーダーなんか。ううん、娘。なんか放り出してしまうかもしれない」
高橋さんも僕と同じなんだ。そう思った。
僕は吉澤さんや藤本さんを。高橋さんは僕を。
- 575 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:30
-
「わたしにはまだ支えが必要。だから」
「うん」
「辞めるとか、もう言わんでください。お願いです」
「…うん」
「誰もいないとしても、言わんでください。さっきみたいに…その、聞いてまうかもしれんです」
「うん、ゴメン」
「それと…」
「うん?」
ちょっと恥ずかしそうにする高橋さん。頬が染まっている。
「いつもせんぱいが頼りです」
「………」
「今までこういうこときちんと言わんかったから、せんぱい不安になったんですよね。ごめんなさい」
「いやいや」
「信頼してますし。他のみんなもそう思ってるはずです」
今度は僕の番だ。頬が熱くなるのを感じる。
みんなが僕を頼ってくれているという。本当に?
「…そうかな?」
「そうです。だから」
「うん」
「自信もって、いいんですよ?」
「…はい」
「もし、それでもくじけちゃって、落ち込んだときは。私で良ければ…その、頼ってもらっても」
「うん、そうする」
僕の返事を聞いて微笑む高橋さん。
もうちょっと、時間はかかるかもしれないけど。
多分、もう、大丈夫だ。そう思う。うん。
ありがとう、高橋さん。
- 576 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:38
-
少し前に統計とった者です。
処女作、というか初ネタです。
ちょっと先輩が女々しいですかね。
お目汚し、失礼しました。
- 577 :名無し娘。:2007/06/17(日) 00:02
-
>>569
安倍さんは素敵ですね♪
いい刺激をいただけるので、またどんどんお願いします。
>>570
リーダー、ですが愛ちゃんは愛ちゃんなのです。
いい娘ですよ。どうしようもなくても(笑)
>>576
その節はありがとうございました。
そして処女作…そーとー好みでした。
まだまだいい話が書けそうな印象。
またぜひ♪
- 578 :名無し娘。:2007/06/17(日) 23:54
- うん
処女作いいですね。うまいとこ突いてる
- 579 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05
-
「明日楽屋にお邪魔してもいいですか?ちょっと相談が」
少し小さないつもの楽屋で、昨日受け取ったメールを見る。
相談のお願いは前にもあったけど、アポを取ってくるなんて。
何か大切なことなんだろうか。
コンコン
どうやら来たらしい。
………さて。
- 580 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05
-
「どうぞ」
「ありがとうございます」
目の前には新垣さん。まずはお茶をすすめる。
少しばかり雑談を交わして………そろそろかな?
「それで、相談って?」
「あ、はい」
少し姿勢を正した新垣さん。次の言葉を待つ。
「えーと」
「うん」
「…サブリーダーって、なんなんでしょうか?」
「…はい?」
前置きのない質問に戸惑う。
「いや、わたし。なったじゃないですか」
「あ、うん」
「何をすればいいのか、よく分からないんです」
「………」
「保田さんにも、聞いてみたんですけど」
「そうなんだ。何て言ってた?」
「『私は何もしなかった』って。」
「うーん」
「そんなことないと思うんですけど」
「僕もそう思うな」
保田さん、謙遜したんだろうな。
「保田さんの言うことが本当だとして」
「うん」
「保田さんのときは、それでよかったかもしれません。けど今は」
「………」
「何かしないといけない、そんな気がするんです」
「…そっか」
「せんぱい、どう思いますか?」
ちょっと途方に暮れた感じの新垣さん。
…サブリーダー、か。
正直いって、表向きだけの形式的なものだと思う。
僕たちが選んだわけでもないし。そんな表情に
なってしまうほど深刻にならなくてもいいのに。
でも今の新垣さんはそんな答え望んでないんだろうな。
ちょっと迷ったけど、思い切って言ってみることにした。
- 581 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06
-
「新垣さんは、娘。大好きだね」
「もちろんです」
「娘。じゃないと駄目だよね」
「はい」
「他のメンバーはどうだろう?」
「え?」
「娘。じゃなきゃ駄目だって、新垣さんほど強く思ってるかな?」
「………」
「新しい2人とかさ、特に」
「………」
「少しずつ、弱くなってると思う。そういうの」
「………」
「何かしなきゃいけないとしたら、そこかな」
批判…だよな、これ。やっぱり。
新垣さんの表情が変わるのを見ながら、思う。
怒ってしまうだろうか?できれば…
「どう思う?」
逆に尋ね、じっと反応を待った。
- 582 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06
-
「…そうかもしれません」
…よかった、受け入れてくれた。ならば。
「もしそうなら、解決できる」
「え?」
「良くすることはできると思う」
「ど、どうすればいいんですかっ?わたし何でもします!」
新垣さん…本当に娘。が大切なんだね。
もちろん、ずっと前から知っていることだけど。
気持ちのこもった強い言葉を聞いて、そんなの関係なく嬉しくなった。
「絆」
「きずな?」
「そう、絆。メンバー同士の関係を強くすればいい」
「…仲はいいと思いますけど」
「うん。でも他にも絆を強くするものがあるんだ」
「何ですか?」
「リーダーシップ」
「…えーっと?」
「この人なら信頼できる、尊敬できる。この人にならついていってもいい、って」
「…はい」
「そういう風にメンバーが思えるような、リーダーの振るまいのこと」
「それが、リーダーシップですか」
「そう。もし高橋さんや新垣さんが、リーダーシップを持てたなら」
「………」
「みんなは、より強い絆で結ばれる」
「はい」
「大事なのは」
「え?」
「新垣さんは娘。が大好きってことなんだ」
「………」
「そんな新垣さんについてくるメンバーたちは、娘。をもっと好きになるって」
「せんぱい…」
「そう信じてる」
新垣さんが僕を見つめる。ちょっと潤んだ瞳が美しかった。
- 583 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:07
-
…しばらくして。
「ごめん、ちょっと難しかった?」
「いえ。よかったです。せんぱいに相談して」
「…そう?」
「はい」
新垣さんは何か吹っ切れたような、さっぱりした表情だった。
…少しは役に立った、だろうか。
「それと、これは受け売りなんだけど」
「はい?」
「組織のカギは、副将が握ってるんだって」
「ふくしょう、ですか?」
「うん、サブリーダーのこと」
「わたし鍵なんて持ってないですよ」
…んなアホな。
「新垣さん、違う違う」
「え?」
「グループが良くなるかどうかはサブリーダーにかかってる、ってこと」
「………」
勘違いと本当の意味に気づいてちょっと恥ずかしそうな新垣さん。
「いつでも、どこでも、誰にでも当てはまる言葉とは思わないけど」
「はい」
「今の娘。にはぴったりだと思う。だから」
「………」
「娘。のために、頑張って欲しい」
「…はいっ!」
変にプレッシャーにならなければいいけど。
ちょっとだけ後悔しつつ、元気に返事をしてくれた新垣さんに微笑んだ。
- 584 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:15
-
堅苦しい話で…読みづらいな、多分。
>>577
いえいえ(^^)
初ネタお気に召していただけたようで。
今回もそうであればいいのですが。
>>578
ありがとうございます。
今回もうまいとこ突けてればいいのですが。
- 585 :名無し娘。:2007/06/20(水) 03:02
- >>584
微笑ましくて良かったですよ。
あぁ、ガキさんらしいなぁって感じで。
娘。の現状を思えば当然かとは思われますが、ちょっと重い話が続いてますねぇ。
そろそろなんにも考えずにハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話が読みたいなぁ…なんてw
こんこん電撃復帰なんて明るい話題も出てきた事ですしね。
- 586 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/20(水) 15:17
-
>>579-583 統計さん(仮称)
やべー……立て続けにものっ凄くツボを痛打されてますよ♪
もっともっとおかわりお願いします(笑)
さて、負けずになんか考えよっと。
- 587 :名無し娘。:2007/06/21(木) 12:59
- 僕はゲームに負け亀井さんの命令を1日聞かなければならない。
「先輩これに着替えてください」
「え、絵里。ちょっと」
僕にカバンを渡してきた。
僕は観念して着替える事にした。
カバンの中にはピンクのワンピースに黒のレギンス、
それにミュールが入っていた。
僕は着替え自分の着ていた服をカバンにしまおうとすると、
中に道重さんが好きそうなカバンが入っていた。
「このカバンを持って行けってことか、とほほ」
「着替えてきたよ」
「可愛いじゃないですか」
「僕の荷物はどうすればいいの?」
「スタッフさんに預かってもらようにお願いしてあります」
「じゃあ、遊びに行きましょう」
僕は1日亀井さんに付き合った。
すごく恥ずかしい思いをした日だった。
- 588 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:32
-
空いた時間にふと気が向いて顔を出したフットサルコート。
二週間ぶりに会う元リーダー、それに里田さんは、忙しいながらも元気そうに身体を動かしている。
他には℃-uteやエッグの子が数人と、何度か会ったことのあるコーチが一人。
メンバー的に不足しているだろうことは予想通りのことだった。
入り口の脇で壁に背を預け、しばらく練習の様子を見ていると、やはりまだまだ実力差は埋めきれるものではないらしい。
ゴールの少し前にフィクソとして立つコーチに一つフェイントを入れてのシュート練習。
初歩的な動作だからこそ“慣れ”ているかどうか明確に差が出ていた。
フェイントを入れ損なったはずみで転がってきたボールをダイレクトに蹴り返す。
そこで初めて僕に気がついたよっすぃーが意外そうな表情を見せた。
「ちょっとタイムね」
蹴り返されたボールを里田さんへはたきながらそう言うと、軽い足取りで歩み寄ってきた。
「やっ」
「久しぶりじゃね? どーしたの」
「たまたまこの時間空いたからさ」
「ふーん。なに、参加すんの?」
「僕でもいないよりはいいっしょ?」
「……ま、いないよりゃいいか」
ふんと鼻をならして笑うよっすぃーはそんな口ぶりだけど、長い付き合いから喜んでくれていることは解った。
軽く柔軟をしている間に今度はよっすぃーと里田さんがフィクソになり、梅田さん以外のメンバーでシュート練習が始まる。
違うのは二対二の形になったこと、そして今度のフィクソは止める気満々だということだろう。
身体を動かしながらその様子を見ていると、まったく容赦のない二人の存在にゴールを割るどころかシュートまで持ち込めるメンバーすらいない。
スポフェスで抜群の身体能力を見せた矢島さんも、躊躇しているうちに“間”を詰められ、コートの外へボールを蹴り出されていた。
これじゃあつまらないと一計を案じ、比較的ボールの扱いが上手いように見えた千聖ちゃんを手招きした。
- 589 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33
-
「あの小憎たらしい二人に一泡吹かせてやりたくない?」
クイと指し示した親指の先で、この子らから見れば大先輩の二人が大人げないディフェンスを続けていた。
どうしようって顔でそれを見ていた千聖ちゃんへ「お兄ちゃんに任せな」と笑いかけると、成功したときのことを想像したらしい嬉しげな表情で頷いてくれた。
同じ℃-uteから、パートナーに最適そうな矢島さんも呼び寄せて、よっすぃーたちから見えないように背中を向けて説明を始めた。
矢島さんにはやるべきことを説明し、タイミングにだけ気をつけるようにと言いきかせる。
千聖ちゃんには必要なことを繰り返し見せる間、矢島さんに壁になってもらう。
「おーいっ、なにしてんの?」
「ちょっとね。そっちはそっちでやってなよ」
「またなんか企んでんな」
「ギャフンと言わせてみせるよ」
挑発的に言い放った言葉へ立てた中指を返される。
おいおい、いくらなんでもそれはないだろって苦笑して、千聖ちゃんへ意識を戻す。
たった数分間のレクチャーだけど、運が良ければ二割くらいの確率でいけるんじゃないかと思えた。
「さ、行っといで」
「はいっ」
緊張した様子の二人へ伸ばした両手でポンポンと肩を叩いて送り出す。
「お、ずいぶん早く戻ってきたじゃん」
「二人に一泡吹かせるには充分な時間だよ」
「言ってろ」
- 590 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33
-
右サイドで軽くボールを蹴り出した矢島さんが一つ二つと控え目なタッチでドリブルをしていく。
正面にいる里田さんが急激に距離を詰める。
やっぱりまだ舐めてかかっているらしい。
左後方へはたいた矢島さんは里田さんの裏を取ろうとライン際から走り出す。
ボールを受けた千聖ちゃんのワンタッチで、もうよっすぃーも距離を詰めていた。
こっちは幾分警戒しているのか、必要以上に深く入ってはこない。
走り出した矢島さんへパスを合わせる左脚。
反応したよっすぃーがパスコースへステップ。
矢島さんはフルブレーキからバックステップ。
距離を離されずに付いてくる里田さんは誘い出されたことに気づかない。
千聖ちゃんの左脚はボールの上を通り、返す動きで左前方へ軽いタッチ。
それでもキチンと付いてきたよっすぃーはさすがだった。
けれど、シューズ一つ分ほどの差で体勢が良かった千聖ちゃんの勝ちだった。
ミドルレンジで振り抜かれたシュートに、くるはずがないと思っていた梅田さんは対応できない。
一発目で二割を引き出したのは二人のセンスだった。
「うぉ――、あっぶねー!」
ボールがポストに弾かれたことをのぞけば。
「あっ……」
「惜っしいー」
申し訳なさそうに僕を見る二人へ「大成功だったね」と微笑みかける。
「でも……」
「シュートまでもってければオッケーだよ。後はまた練習して。ね?」
「はいっ」
本当に誉められていると解った二人は嬉しそうにコートへ戻っていった。
- 591 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:34
-
入れ替わりに近づいてくるよっすぃーはしてやられたといいたげな表情で。
「あームカつく。あんなん成功するなんてさ」
「偶然にしてもいいセンスじゃん」
「かもね。さて、この悔しさをどうしてくれよっか」
「え?」
不敵なよっすぃーの笑顔に続く言葉が思い当たる。
良い流れのままで、先手を取って切り出すことにした。
「お相手しましょ」
「よっし、一対一な」
空いているゴール側で始められた一対一。
それと同時に休憩になったようで、他のメンバーが遠巻きに見ている。
後輩に恥をかかされたよっすぃーはガチモードらしい。
けれどこっちも無様なところは見せられない。
互いに本気の一対一は、最初の数本こそどちらもゴールを許さず互角以上にやれていた。
けれど絶対的な経験値で既に上回られている僕は、本数を重ねるたびに押されてだしていく。
「もらいっ!」
「うわ――、っ!」
半ば抜かれた体勢で、反応できた脚がボールに触れた、けれど。
浮いたボールが転々と転がりポストギリギリにゴールラインを割ってしまった。
「あたしの勝ちー」
「ハァ……現役には敵わないなあ。さすがだわ」
「同じだけ練習してたら負けてっだろーけどね」
「どうだか」
苦笑いで返した僕に控え目な拍手が注がれた。
流した視線の先、里田さんや他のメンバーが含みのある笑顔で僕を見ている。
違いますよと、そう言いたげに、皆が両手をヒラヒラと泳がせている。
- 592 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:36
-
なんだろうと眉をひそめながら、更に移した視線の先。
まるで魂でも抜かれてしまったかのように、僕は呼吸さえも忘れていた。
小さく手を叩くその姿は離れていったあの頃のまま。
結った髪も、ふんわりとした雰囲気も、あの頃の面影そのままだった。
ゆっくりと近づいてくるはにかんだような笑顔。
「せんぱい」
少しだけ掠れた小さな声で呼び掛けてくれる。
自分の声が届いているか心配しているようにもう一度。
「せんぱい? お久しぶりです」
「……ぁ」
「ビックリしたっしょ? この前から一緒にやってんのさ。限定復帰ってとこかね」
からかい気味によっすぃーが声を掛けてくれなかったら、僕は……
僕は、もしかしたら……後輩たちの前で涙を流してしまったかもしれないくらいに。
「……こん、の、さん」
「はい」
「こんこん…」
「はい」
くすくすとおかしそうに笑いながら、生真面目な返事をしてくれる。
深く、止めていた分だけ深く呼吸をして。
ようやく口にした意味のある言葉はたったこれだけだった。
「おかえり」
紺野さんはぷくぷくのほっぺでやわらかく微笑んで。
少しだけ照れ臭そうに、やっぱり小さな声で言った。
「ただいま」
耳に馴染んだその声は。
今はない、忘れかけていたピアニシモだった。
- 593 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/22(金) 00:39
-
明るい話題なのに最後はしっとりになってまいました。
限界、寝ます。
おやすみなさい(ρ.-)
- 594 :名無し娘。:2007/06/22(金) 02:42
- (・∀・)イイ!
- 595 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01
-
いつもの楽屋。
そして、すぐ隣にみんなの楽屋。
少し前までは、気軽に訪れることのできる場所だった。
話して、遊んで。そうやってみんなを感じていた。
…けど今は。
藤本さんの一件以来、思いを強くしたことがある。
「もう何をどう書かれるか、分かったもんじゃない」
僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
外から見れば、そうじゃないのかもしれなかった。
楽屋でみんなと一緒に過ごしている。
そんな光景を外の、悪い人間が見聞きしたら。
誤解や嘘や虚構で、歪められて伝わるかもしれない。
まして記事にでもなってしまったら…みんなを傷つける。
以来、こちらからみんなの楽屋に出向くことはしなくなった。
この前の新垣さんみたいに、むこうから来てくれるなら。
拒むつもりはなかった。拒むのは、さすがに不自然だ。
みんなの力になりたいという気持ちは変わってないわけだし。
けど…自分からは。
「考えすぎかな…」
臆病な自分を感じる。振り払うようにひとりごちて、目を閉じた。
- 596 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01
-
コンコン
…ん?
コンコンコン
来訪を告げる音に、まどろみから引き戻される。そして。
「せんぱーい?」
ドアが開くと同時に、聞き慣れた声が響く。
目をこすりながら、声の主へ顔を向けた。
「亀井さん」
「せんぱい、寝てました?」
「うん、そうみたい」
「ごめんなさい、起こしちゃって」
謝りながら、亀井さんが近づいてくる。
あんなことを考えていた矢先の、突然の来訪とはいえ。
「…何か用?」
僕の言葉は、ちょっと不用意だったらしかった。
- 597 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02
-
立ち止まって、わずかに俯いた亀井さん。
そのたたずまいが、悲しい、と僕に訴える。
小さくなってしまった声。かろうじてそれは僕に届いた。
「せんぱい…」
「あ、うん」
「何かないと…駄目ですか?」
「え?」
「ちゃんとした用がないと、来ちゃ駄目ですか?」
「そんなこと…」
あぁ、しまった。そうじゃないのに。どうやって宥めようか。
考えている僕に向けて、亀井さんが顔を上げる。
何か、意を決したような。そんな表情をしていた。
「せんぱい」
「うん?」
「最近…絵里のこと、避けてません?」
「………」
「………」
「…そんなこと、ないよ?うん」
「嘘」
「………」
「…やっぱり」
沈黙を肯定ととったようだった。亀井さんが呟く。
- 598 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02
-
「絵里…何かしました?」
「え?」
「せんぱいに嫌われるような、何か」
「そんな。とんでもないよ」
「じゃあ」
何故。
亀井さんの瞳が、真剣であることを伝えている。
さっき考えていたことを話そうかと、ちょっと思ったけど。
何となく憚られて、適当にごまかすことにした。
「少し、距離を置こうとは思ってる」
「え?」
「ほら。多分次だから」
「…何がですか?」
「卒業」
「………」
次は僕。
確証はないけど、多少の説得力はあるだろう。
「いつ、いなくなってもいいように」
「せんぱい…」
「準備っていうか。何かそんな感じ」
「………」
「だから、避けてるわけじゃ…ないよ?」
…なんだかな。
即席とはいえ、出来の悪い言い訳に歯がみする。
しかし、言ってしまったものは仕方がない、と諦めて。
亀井さんの反応を待った。
- 599 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:03
-
「せんぱい」
「うん?」
「絵里は、テキトーすぎるけど。せんぱいは」
「………」
「いろいろ、考えすぎてる」
「………」
「せんぱい」
「あ、はい」
「考えすぎです」
語気を強めた亀井さん。その言葉が、頭の中でこだまする。
隠している本当の理由を、見透かされたように感じた。
「すごい恥ずかしいけど…絵里言います」
「う、うん」
「…もっと、いつも、近くにいて欲しい」
「………」
「卒業は、いつか来る。けど」
「………」
「そんなこと考えるのは止めて、今は一緒にいて欲しい」
「………」
「せんぱいが遠くにいっちゃうなんて、嫌」
「………」
「嫌です」
「………」
「絵里、そんなとこまで…来ちゃいましたよ?」
- 600 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:04
-
「…亀井さん」
それ、どういう…?
意味を測りかねて、言いかける。
僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
みんな…亀井さんにとっては?
…まさか、そんなこと。
そう思い、首を小さく横に振った。
「だからせんぱい」
「…うん」
「少しだけ、絵里を見習って」
「………」
「テキトーに、なってください」
「………」
「駄目、ですか?」
頬を真っ赤に染めながら、尋ねてくる亀井さん。
そうまでして、そこまでして言ってくれるのなら。
考えすぎるのはもう止めにしよう。
そう心に誓いながら、亀井さんを見つめて。
「うん。分かった」
「…よかった」
…安堵、かな。
表情を見てそんなことを思いながら、「やだ」や「恥ずかしい」を
連発して右往左往する亀井さんを眺めていた。
- 601 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:05
-
ありえなさすぎるかなぁ、なんて。最後もちょっとくどいっぽい。
>>585
ありがとうございます。
ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話は…
今回のは無理ですよね。ごめんなさい。気長に、お待ち頂ければ。
>>586
そうですか、よかったです。
おかわりお持ちしましたが、味の保証はできません(^^;)
>>587
女装、しかもミュールっすか。亀井さん…
>>588-592
早速来ましたね。リクエストに即応できるスキルが素晴らしいです。
℃-uteとかエッグとかよく知らないのが申し訳ない。
- 602 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:15
-
あーもう、コピペ失敗した。
>>595
「…けど今は」
以前と、
「藤本さんの一件以来」
以降で別レスになっている、と思ってくださいまし。
…どーでもいいんですけどね。
- 603 :-おかえり-:2007/06/23(土) 01:52
-
「あれ? あの背中…」
事務所の廊下で、久しぶりにある人を見つけた。
どうやら、こっちには気づいていないらしい。ちょっと脅かしてみるかな?
「ポンちゃん♪」
「え? え?!」
僕は、後ろから静かに近づくと声を掛けると同時に、紺野さんの腰に抱きついて
持ち上げた。
「やっぱ、軽いなぁ~ちょっと痩せた?」
「ちょ、ちょっと降ろしてください!!」
紺野さんが、ちょっと暴れ始めたので仕方なく降ろす。
「おかえり。ポンちゃん」
「もう、先輩…。ただいまです」
頬を少し赤くしてちょっと怒った風になりながらも、やっぱり性格なのか
しっかりしてるところは、しっかりしている。
「なんか不思議だね」
「はい、そうですね。でも、帰ってこれて嬉しいです」
笑顔で、僕にそう答える紺野さん。
「そっか」
「やっぱり、先輩の近くに居たかったし…」
「え?」
「い~え、なんでもありません。じゃ、これから吉澤さんに会ってきます」
僕に笑顔で手を振って部屋に入っていく紺野さん。
聞こえてたんだけどなぁ~…
- 604 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/23(土) 01:58
- ホント、おかえりって感じですw
推しの人が、まさか戻ってくるとは思ってなかったんで、
すごいうれしかったです。
これからも、推していきたいとおもいますwww
>>587
短い作品ですけど、すごいインパクトに残る作品でした。
これからも、よろしくお願いします。
>>593 匿名さん
うまいなぁ~ホントうまいとしか言いようがないです。
今度、コラボ作品一緒に作りましょう♪
>>601
なんか、切ないような心が温まる作品でした。
最近、長いの書いてないから挑戦してみようかなぁ~・・・
と、思いました。これも、なんかコラボできないかな?www
- 605 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:38
-
それは唐突にやってきた。
なんの前触れもなしに爆ぜるように開いたドア。
驚いた僕が玄関へ出ると、そこには見慣れた顔が見慣れない表情で立っていた。
「さゆ」
呼び掛けた僕の声にも反応しないで、短く荒い呼吸をし真っ青な顔で僕を睨み付けている。
急に連絡をくれて、理由も告げずにそっちへ行くと言うさゆへ、なにかあるのかと気にしながらどうぞと返した。
そのさゆが……
「どうかした? 顔色が――」
「せんぱいっ!!」
「は、はい」
「……なんで」
僕の話を遮った日頃ほとんど耳にしたことがないほど強かった言葉が一転して。
まるで初めて会った頃みたいにささやくような弱さで口籠る。
まったく様子の違うさゆを、僕はただ立ち尽くしたまま見ていた。
- 606 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39
-
「なんで急に……」
「え?」
「せんぱい、ひどい。いつもそうやって一人で……」
唇を震わせながら、噛み締めた口元から絞り出すような言葉。
そこで初めて気がついた。
憤っている。
そして…哀しんでいる。
それも僕のせいで……?
「さゆ?」
「それはそうですよ? せんぱい自身のことだもん、誰に相談する必要もないですっ。
だけどせっかくせんぱいから“さゆ”って呼んでもらえるようになって! ……なのに」
「ち、ちょっと待っ――」
「せっかくせんぱいとの距離が縮まったって嬉しかったのにっ」
「それはそ――」
「なのに卒業しちゃうなんてっ」
ああ……話が繋がった。
あまりの剣幕に忘れていたけれど、直後に絵里ちゃんからも電話をもらったんだった。
さゆから電話とかなかったですか、と。
あったよと口にした途端に電話は切られてしまったけど、そういうことなんだろうと今になって解った。
この間の件で誤解されるような話をしたんだろう。
- 607 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39
-
「しないよ」
「は?」
至極簡単に告げた一言はさゆという風船を一突きしたみたいで。
音を立てて空気の抜けていく様を見たような気がした。
「せんぱい…、えっと?」
「しないよ。卒業なんて」
「ホントに?」
「本当に」
「さゆみたちを置いて行っちゃったりは……」
「しないよ」
それは僕の真実。
ただ事務所の真実が違ったときにどうなるのかは……口にはできないことだった。
けれど僕の気持ちは変わらないから。
だから……
「卒業する気なんてないよ。ずっと、いつまでも一緒にいたいんだ」
「よかったぁ……」
- 608 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:40
-
へなへなと脱力して玄関口でへたりこんださゆへ手を差し伸べる。
目の前にある僕の手を見たさゆが笑顔に変わって。
やわらかな手が僕の手に重ねられる。
引き寄せて立たせてあげたさゆが勢いのままで僕の腰へしがみついた。
「さゆっ――、こらっ」
「ホントに、よかった」
「さゆ……」
僕の胸元へ表情を隠すみたいに押し当てられた横顔からあたたかな振動が伝わる。
そのあたたかさが教えてくれた。
さゆがどれほど心を痛めてくれたのか、そして事実を知って心の底から安堵してくれたことを。
トクン
伝わった気持ちが僕の鼓動を揺さぶった。
けれど悪くない揺らぎだと思えた。
頭で考えるのではなく、心で思うのでもない。
最も根底から波及していく最も正直な……
- 609 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/23(土) 22:44
-
>>587
これは突飛な(笑)
けれどどこか夢物語らしい気もしますね。
>>594
アリガトウ!
>>595-600 統計さん(仮称)
ありえなさそうな気はしないですけど。
なんかちょっと、表現したい部分が近しいのかもと勝手に感じてたりします(笑)
今回のものもやはり好ましい味でした(^^)
故に勝手にオマージュとして書かせていただきました。
それと悔やんでらっしゃるレスの区切り、感覚的に納得。
実は私も℃-uteやエッグは(ry
ベリはまぁそれなりに知っていますが、℃-uteはなんとかって程度で、ましてやエッグは……(^^;)
>>603 TACCHIさん
復帰ネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ですね。
うまいとTACCHIさんが感じてくださったなら、それはこちらとしては喜ばしいです。
事実はさておき(笑)
>これも、なんかコラボできないかな?www
お先にしてもーた。
TACCHIさんの作品がどうなるのか期待してます♪
最後にチラッと宣伝(^^;)
ttp://tokdd0paco.blog108.fc2.com/
始めたってか、備忘緑みたいなもんを再開したので。
- 610 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:57
-
「もう、さゆ」
道重さんの誤解を解いてから、ほどなく。
亀井さんがやってきて、道重さんをたしなめた。
「ごめんなさい、せんぱい。さゆが早とちりで」
「いやいや」
「絵里あとで叱っておきますから」
「いやいやいや」
道重さんが悪いと決めつけるかのように、亀井さん。
案の定、道重さんが不満そうな表情で口を挟んだ。
「でもあれは誰が聞いたって──」
「違う、さゆが──」
…姉妹喧嘩、か。
久しぶりに見るそれは、ちょっと微笑ましくて。
心の中で謝りつつ、やり合う2人を眺めていた。
- 611 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:57
-
…しばらくして。
適当すぎた亀井さんの説明と道重さんの早合点。
2人の喧嘩は、両成敗ということでおさまった。
すっかり仲直りして、じゃれ合っている亀井さんと道重さん。
…もう少し、この空気を感じていたい。
そう思った僕は、このまま帰って行きそうな2人を
もう少し引き留めることにした。
「あ、そうだ」
「「はい?」」
「おいしいお菓子あるんだけど、食べない?」
「「食べたーい!」」
…双子みたい。
声をそろえる2人の様子に、また笑みがこぼれた。
「じゃあお茶入れよう」
「あ、さゆみ手伝います」
「絵里もお菓子あるんで。持ってきますね」
道重さんより少しだけ年上の亀井さんが、
そう言い残して自分の楽屋へ戻っていった。
- 612 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:58
-
「絵里うれしそう」
「うん」
「せんぱいのおかげですね」
「お菓子の、の間違いじゃない?」
「…違うの」
首を横に振る道重さん。何が違うんだろう。
「これから言うこと、絵里には内緒で」
「あ、うん」
「最近、ちょっと心配してたんです」
「…亀井さんのこと?」
「はい」
「様子がおかしかった?」
道重さんが頷く。
「話してるときは、いつもと変わらなかったんですけど」
「うん」
「1人のときとか。見てると、寂しそうにしてて」
「………」
「何かあったのかな、って」
「………」
「それとなく聞いてみたり、考えてみたりしてたんですけど」
「………」
「結局、分からなくて」
「…そっか」
…道重さん、お姉さんしてるな。
年上の妹を気遣う道重さんの言葉を聞きながら、思った。
- 613 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:59
-
「でも、さっき絵里の話をちゃんと聞いて。はっきりしました」
「………」
「せんぱいが、原因だったんですね」
「………」
…そういうことに、なるんだろうか。
「絵里のこと、避けてません?」
「近くにいて欲しい」
亀井さんの言葉が、思い出される。
「…うん、そうかも、しれない」
「そうなんです」
「は、はい。そうです」
断定を避けた僕に、ちょっと不服そうな道重さん。
慌てて表現を修正した。
「せんぱい」
「うん?」
「…あの」
「うん」
「ホントに、絵里には内緒で」
念を押してくる道重さん。
今度は何だろうと思いながら、黙って頷いた。
- 614 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:00
-
「絵里の辛そうなとこ見るの、さゆみも辛いから」
「………」
「絵里のこと、ちゃんと見てあげて欲しい、の」
「………」
「お願い、します」
…これも、僕のせいなんだ。
真剣な顔で訴える道重さんを見て、胸が痛んだ。
それと。
…なんか、ちょっと泣きそうかも。
道重さんが、亀井さんを思う気持ちの強さが伝わって。
僕は関係ないけど、でも、とても嬉しかった。
そして。
「分かった…辛くさせちゃって、ごめん」
返す言葉は、これしか思いつかなかった。
- 615 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:00
-
「…それと」
「…うん」
「近くにいて欲しいのは、さゆみも同じだってこと」
「………」
「忘れないでいてくれると…嬉しいです」
2つめのお願いをするその口調は、ちょっと控えめだったけど。
亀井さんと同じ気持ちだということ。それは強く伝わった。
さっきの、取り乱した道重さんの姿を頭に浮かべながら。
大丈夫、ちゃんと届いたから、との思いを込めて。
「もちろんだよ」
「…はい」
笑顔で返事をしてくれた道重さんに、僕も笑いかける。
ちょっと潤んだ瞳が、とても印象的だった。
- 616 :名無し娘。:2007/06/26(火) 21:01
-
>>605-608 の続き、ということで。
なんか…いまいちっぽい。精進します。
ネタの出来はともかく、いつまでも仲良くあって欲しいものです。
>>604 TACCHIさん
ネタに、推しだってことが現れてますよね(^^)
コラボ、可能であればよろしくお願いします。嬉しいので。
>>609 匿名さん
オマージュ頂戴いたしました。ありがとうございます。
折角なので、設定引き継がせていただきました。
表現が近い…そうですね。匿名さんのネタに
影響を受けてると思います。なんか、ちょっと申し訳m(_ _)m。
- 617 :名無し娘。:2007/06/27(水) 08:16
- なにこのナイスリターン
- 618 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:03
-
飛び抜けてインパクトのある声でもない。
言葉に説得力を持たせることもできない。
自分に足りないものが多いのは解ってる。
だから、今の僕にできるのは、その言葉に命を吹き込んであげることだけだった。
届けるべき相手へ、精一杯の心を込めて。
「ずっと…できるだけ一緒にいよう」
「せんぱいっ!」
- 619 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:03
-
――え?
「あれ……?」
「こ、小春ちゃん……?」
「いま……? あのー」
「はい?」
「せんぱい、お一人ですかあ?」
「他に誰もいないでしょ?」
僕は突然飛び込んできた小春ちゃんへ、広いとはいえない楽屋を指し示す。
小春ちゃんはキョトンとした顔で、僕の手を追いかけるように右へ左へと特徴のある大きな目をキョロキョロさせる。
「ですよね。アハッ、アハハ……」
笑い声が尻すぼみに小さく乾いたものへ変わっていった。
「大好きだ。って、聞こえた?」
「あ~……、そのお、……はい」
その目に動揺をありありと映しだして、どうするか迷った末にという風に認めた。
- 620 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:04
-
「なにか勘違いしたわけね。これだよ」
テーブルの上へポイと放りだした薄っぺらい冊子。
「らじお、どらま……」
「単発だけど、やらせてもらえるなら頑張ろうと思ったからね」
「本読み、してたんですか」
「してたんです」
「小春はー……お邪魔しちゃいました?」
「そんなことないけど。ちょっと集中してたとこだったからさ」
「あっ、なら小春がお手伝いします!」
「え?」
これは名案だと。
心からそう考えていると表情が教えてくれる。
「こう見えても小春、声優さんもやってますからっ」
「そ、そうだね」
「せんぱいはもうセリフ覚えちゃってるんですか?」
「一応」
「じゃあ、これは小春が」
放りだした台本を手にした小春ちゃんはやる気満々なようで。
キラキラと瞳を輝かせてページをめくっていく。
- 621 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:04
-
「はいっ、じゃあここからいきましょう」
ここから?
頭からやるんじゃないのって、そう尋ねようとした。
けれど。
「あっ」
「え?」
小春ちゃんの声に反応した僕の声。
なにか待ってる様子の小春ちゃんと目が合う。
「もう、せんぱい?」
「はい?」
「ここに、『男、女を抱き締める』って書いてありますけど」
「あぁ……。いや、ラジオだから、ね」
「ちぇっ。じゃあ、いいや。もう一回いきますよ」
残念そうにそう呟く小春ちゃんが、さっきと同じように「あっ」っと小さく声をあげる。
少しばかり心の中で『やれやれ』と零しながらも、なるようになれと覚えた台詞を口にする。
- 622 :『リピート』:2007/06/28(木) 23:05
-
「嫌なら振り解けばいい。そうじゃなけりゃ……」
「イヤじゃない。イヤじゃないよ」
「いいの? 私、好きでいいの?」
「ずっと、そうでいてくれればいいな」
「ごめんね。ありがとぉ。大好き」
拙いながらも互いに気持ちを乗せた台詞を交わし合う。
どこか悪戯めいたところを感じた小春ちゃんの台詞も真剣なそれに聞こえてきていた。
「俺も。一時メチャクチャなくらいに腹立ったけど……それって、それだけ好きってことだって。
意地にならないで認めちゃえば、こんな……泣かせなくてもよかったのにって」
どちらからともなく“間”を取って、最後の台詞へ気持ちを昂める。
「もしかしたら、喧嘩もするかもしれないけど……それでもずっとお前がいいな」
「…うん、あたしも」
「ずっと…できるだけ一緒にいよう」
「せんぱいっ!!」
――え?
「絵里とゆーものがありながら――、小春とそんな……、あれ?」
今夜の本番に間に合うんだろうか……。
- 623 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/28(木) 23:08
-
ちょっとした悪戯をしてみたりして。
まあ誰も気がつかないでしょうからいいでしょ(笑)
>>610-615
確かに含みを持たせて終わらせましたが、拾ってもらえたのは嬉しい限り。
今回もごちそうさまでした。
影響……悪影響かもしれませんが(^_^;)
- 624 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/28(木) 23:47
- 今日は、コメントのみで。
>>616
重さんになんか萌え~って感じでしたw
やさしさあふれる作品よかったです♪♪
>>623 匿名さん
一発で、気がつきましたよ(笑)
うまい使い方ですなぁ~w
あそこにも期待してます♪
- 625 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:03
-
「お菓子持ってきましたー」
楽屋の入り口から、亀井さんの声。
声のした方へ顔を向けると、そこにはもう1人。
「ついでに、れいなも持ってきましたー」
「ちょっ、絵里」
ついで扱いの上にもの扱いされて、頬をふくらませた田中さん。
けど、すぐに元の顔に戻って僕の方へと寄ってきた。
「せんぱい」
「田中さん」
「れいなも、お邪魔してよかですか?」
「もちろん」
笑顔で頷く。田中さんも笑ってくれた。
そして。
「お茶が入ってなーい!」
僕の怠慢を咎める亀井さんの声。
「あ…ごめん」
「もー、せんぱいとさゆ何してたんですかー」
「ちょっと、ね」
さっきのやりとりを思い出す。
と、道重さんと目が合う。お互いに笑みをこぼした。
「…なんか怪しい」
「な、なにが?」
「いいです」
機嫌が斜めになってしまった亀井さんをなだめつつ。
みんなで、お茶の準備を再開した。
- 626 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:04
-
「うわー、これおいしー」
「そう?よかった」
「ほら、れいなも食べなよー」
「う、うん」
僕の持ってきたお菓子は、予想以上に好評で。
おかげで、その後の話にも花が咲いた。
…しばらくして。
「また今度、お茶しましょーね」
「今度はさゆみがお菓子持ってきます」
「………」
3人は、自分たちの楽屋へ戻っていった。
一転して静かになった楽屋で、思い出す。
4人でああやって話したのは久しぶりで、楽しかった。
けど。
…ちょっと、引っかかるんだよな。
壁に寄りかかって天井を仰ぎ、目を閉じる。
話してたときちょっと上の空だったし、
お菓子にもそんなに手をつけてなかった。
それから…さっきの去り際の、何かを悔いたような表情。
「…田中さん」
気になっている人の名前を、呟いた。
- 627 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:04
-
「はい?」
「わ!」
予期せぬ声に驚いて、目を見開く。
すぐ目の前に、田中さん。全然気づかなかった。
「た、田中さん?」
「………」
「ど、どうしたの?」
「…絵里とさゆには、忘れ物したって、言いよってきました」
…答えに、なってないけど。
とりあえず、1人で戻ってきたということらしい。
「あの」
「う、うん」
「もう少し、時間よかですか?」
後悔しないために戻ってきてくれたんなら、渡りに船なんだけど。
「うん、大丈夫」
とりあえず頷いて、田中さんの言葉を待った。
- 628 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:05
-
「せんぱい」
「うん」
「…あの」
「………」
「最近、れいなたちの楽屋、来てくれんとですね」
「………」
「何か、あったとですか?」
…田中さんも、か。
亀井さんと道重さんの言葉が頭の中で蘇る。
「絵里のこと、避けてません?」
「近くにいて欲しいのは、さゆみも同じ」
聞き方は違うけど、意味はほとんど同じだった。
「…うん。ちょっと思うところがあって」
「…そうですか」
…あれ?
一言、そう呟いて俯く田中さんを見て、思う。
「思うところ」が何なのかを聞いてこない。亀井さんと違った。
けど、その表情やたたずまいは同じで。胸がまた痛くなった。
早く謝らないといけない。そう思って、口を動かし始める。
刹那。
- 629 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:05
-
「何となく、分かれてしまうんです」
「え?」
「せんぱいがいないと、分かれちゃうんです」
「…何が?」
「愛ちゃんと、ガキさん」
「え」
「絵里と、さゆ」
「ち、ちょっと」
「小春と、ミッツィー」
「た、田中さん?」
…なんてこと。
「か、考えすぎだよ」
「そうかもしれんです。いつもってわけじゃなかですし」
「…うん」
「でも、最近。せんぱいが来なくなってから」
「………」
「なんか、そんな感じになってること多くて」
「………」
「ちょっと…その、寂しいっていうか」
「………」
「…辛い」
…どっちが、なの?
娘。が細切れになってしまうということと、
自分が孤立してしまうということ。
田中さんの表情や言葉からは、分からない。
いずれにしても。
なんともいたたまれない気持ちにされられてしまう。
学校のクラスとかで、女の子が小さいグループに
分かれてしまうことがあるというのは…聞いたことがあるけど。
娘。も同じ、と。そういうことなんだろうか。
深い、深い思考に引きずり込まれそうになった。
- 630 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:06
-
「でも、せんぱいがいると」
「あ…うん」
「そういうの、なくなります」
「え?」
「せんぱいの周りに、みんな集まってきて」
「………」
「れいな、そっちの方が落ち着くんです」
「………」
「頼っちゃ駄目だって。そう思うけど、けど」
「………」
「できたら、その、助けて欲しい」
「…田中さん」
「せんぱい」
「………」
「前みたいに、一緒に、いてくれんですか?」
「辛い」と。そう告白したときの顔そのままで請うてくる田中さん。
さっき頭をよぎった理屈。今は、そんなの、もうどうでもよかった。
僕がいることで、みんながひとつになれるなら。
「いいよ」
喜んでその触媒になろうと。そう思った。
- 631 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:07
-
「………」
黙ったままの田中さん。
ゆっくりと…近づいてきて。僕の服の端をつかむ。
一瞬だけ僕の顔を見上げて。けど、すぐに俯いた。
「田中さん」
「………」
「ごめんね」
田中さんが首を横に振る。意味を、分かってくれた。
「僕にできることなら、するから」
「………」
「ね」
「…はい」
「うん」
「せんぱい」
「なに?」
「ありが…とぉ」
そう言って、俯くのを止めてくれた田中さん。
けど、僕の服をつかむのは、なかなか止めてくれなかった。
- 632 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/06/30(土) 23:13
- スレ的にどーなのよ、というネタですが。長いし。
そして問題は、次と次の次。
>>617
ありがとう、励みになります。
>>618-623
「悪戯」が消化不良気味…でも、美味しかったです。
>>624
お粗末様でした。おかわりいかが(^^;)
>>625
道重さんの姉御肌っぷりを表現したかったので。
伝わったなら、よかったです。
- 633 :名無し娘。:2007/07/01(日) 00:44
- 長くてもいい
- 634 :名無し娘。:2007/07/01(日) 13:04
- 腕白に育って欲しい
- 635 :名無し娘。:2007/07/01(日) 19:36
- トリプにワッラタ>◆StatPfTBPc
- 636 :名無し娘。:2007/07/01(日) 21:55
- そのトリップになんか意味あるの?
- 637 :名無し娘。:2007/07/01(日) 23:22
- stat=statistics
- 638 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/02(月) 22:38
- 色々煮詰まった…から、レスだけ。
>統計さん
あっ、なんか申し訳ないです(^_^;)
呼称を決めてしまったようで……トリップまで(笑)
ま、それはそれとして。
今回も美味でございました♪
滔々と流れるように話が展開されてますねえ。
で、次は次は?
こっちがしでかした悪戯は、後からブログで触れましたけど。
ホントなんてことないし、なくていいものなんで(^_^;)
- 639 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/03(火) 21:38
-
>>476-511 のデータ、再集計してwikiに載せました。
集計期間や順位の決定方法を少々変更しましたので
結果が違っておりますが、あしからず。
- 640 :名無し娘。:2007/07/03(火) 23:24
- >>639
乙!
- 641 :名無し娘。:2007/07/03(火) 23:39
- 10万文字超えてるってすごいね
- 642 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/07/04(水) 00:45
- >>639 統計さん
どうも、乙です。
自分が、こんなにネタ書いてると思ってなかったんで、びっくりしましたw
いつ僕の夢物語が終わるかわかりませんが、これからも
がんばって行きたいと思います。
目指せ、すべて一位(笑)
今回の田中さんの作品も、よかったです。なんかもっとおかわりほしいぐらい(笑)
次の作品期待してます♪
- 643 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:38
-
せっかくのオフだってのに。
そう思いつつも着替えを済ませてドアに手を掛けたところでその動きを止める。
防音が施された厚いドアの向こうに見慣れた先客の姿を見つけた。
気づかれぬようにそっと、小さく開いた隙間から身体を滑り込ませ、その先客の立ち居振る舞いを注視する。
抑えめに曲を流しながら、ただストレッチをしているだけだというのに……その所作から目を逸らすこともできずにいた。
小さな身体で座り込んで、四肢を伸ばしていくその動作があまりにしなやかで。
野を駆ける獣の美しさにも通ずるナチュラルな強靱。
惹きつけられるように一点を見つめる視線の先。
大きく開いた脚の間へ沈む上体は、なめらかな動きを損なうことなくペタリとフロアまで辿り着く。
立ち上がった鏡の前で伸ばした右手を軽くバーに添え、左の手を緩やかに広げながらスッと退いた右足がなにもない空間に線を描き、背中から、腰よりも上がった踵まで綺麗な曲線を浮き上がらせる。
「ほう」と、つい洩らした感嘆の吐息が一つの舞を終わらせてしまった。
- 644 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:39
-
「せんぱいっ!?」
「邪魔しちゃったね。ごめん」
「ほやなくてっ、いつからいたん――、ずっと見て……?」
「あぁ、うん? ついさっきだよ、愛ちゃん」
「あ"~っ」
その外見からは不釣り合いな、けれど聞き慣れた太い声で愛ちゃんが背を向けた。
別に見られることに慣れていないなんてことはないのに。
しかも同じグループにいる僕に見られたからって、なにを今更なんて思ってしまう。
「別に恥ずかしがらなくたって……」
「やっても……」
「見られるのなんて慣れてるじゃない」
「あ"? そっ、……せんぱいやし」
なにかごにょごにょ口籠ってる愛ちゃんを微笑ましく見ながら、今し方感じたことを伝えたいと思った。
こんなに近くにいた愛ちゃんなのに、改めて思い知らされた彼女の魅力を。
「ヘンだよ、愛ちゃん。まぁ僕もだけど」
そう苦笑いした僕を不思議そうに見てくる愛ちゃんへ言葉を続ける。
- 645 :『主観と客観』:2007/07/07(土) 22:39
-
「もう五年も一緒にいるのに、今更って笑うかもしれないけどさ。
その……見蕩れてたんだ。綺麗だなあって」
「あの…なにに?」
「愛ちゃんに」
「へっ!?」
「なんだろう、その…立ち居振る舞いがさ」
「そんなことないですって」
「や、自分じゃ気がつかないんだろうけど。バレエの動きなんだろうね。
つま先から頭まで、指先まで、ちゃんと“形”になってるなあって」
「そ、そう…ですか?」
「うん。そりゃあモデルさんたちみたいな整い方じゃないけど、身体のラインを綺麗に見せるみたいでさ」
「…なことないです」
どうやら喋りすぎたらしい。
愛ちゃんは照れたように俯いて、小さな声で僕を否定する。
それは愛ちゃんの理由だから構わないと言えば構わない。
けれど僕がそう思っていることは事実だから、それが伝わらないままなのは哀しいことだった。
「ある」
「ウソやぁ」
「そっか、愛ちゃんは僕を嘘つきだっていうんだ。そうなんだ」
どうしても。
本気で信じてもらえないことで意地になったのかもしれない。
ちょっとずるいやり方で、とりあえず認めてもらうところから始めよう。
「やっ、違います! そんな」
「でしょ? ホントだから」
「っ――、……はい」
「うん。愛ちゃんはキレイ」
「……ホント、ですか?」
「そんな嘘、ついたことある?」
「……ありがとおございます」
真っ赤な顔で、消え入りそうな声で、そう謝意を口にした愛ちゃん。
とりあえず、一歩進んだことに満足した僕は、笑いながら誘いかけた。
「さて。じゃあ練習しよっか」
「え? あ、はいっ」
こうして僕は、その気になった愛ちゃんの動きに付いていくのに苦心することになった。
- 646 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/07(土) 22:45
-
>>639 統計(仮称)さん
グ、グレードアップしてらっしゃる(^_^;)
大変お疲れ様でした。
ああいうの、見てるだけでも楽しいです。
ましてや自分も参加しているとなればなおのこと。
しかし上にいる方々はすごいですね。
作品の続きも期待してます。
- 647 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:10
-
コンコン
目の前の扉をノックする。
久しぶりのせいか、少し緊張していた。
「はーい」
中から声が返ってくる。久住さん…だな。
「あっ、せんぱい」
「うん」
「………」
「………」
「………」
「…ごめん、お邪魔だった?」
「あー、違います違います。そうじゃなくて」
「…じゃなくて?」
「えーっと」
「………」
「いや、あのっ。まー、どーぞ?」
…ホントに、いいのかな?
ちょっとだけ、不安になったけど。
とりあえず、中に入れてもらうことにした。
- 648 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:11
-
「あれ、ひとり?」
「はい。みんなは、まだです」
「そうなんだ」
「はい」
「それとさ」
「はい?」
「電気つけないで、どうしたの?」
「あー、ちょっと」
そう言って、窓の方へ歩いていく久住さん。
後に続いて久住さんの横に並び、様子をうかがう。
視線は、空の方へと向かっていた。
「…星?」
「はい。暗くした方が見えるかなー、なんて」
「そういえば七夕だったね、今日」
「はい。なので」
そう言って、暗い空に目を凝らす久住さん。
星、か。そういえば久しく見てなかったな。
にわかに興味が湧いてきて、久住さんに倣うことにした。
けど。
- 649 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:11
-
「…見えないですねー」
「ちょっと…曇ってない?」
「やっぱり?」
「…うん」
「あーあ」
残念そうに呟く久住さん。
でもその表情は、そんなことも楽しんでいるように見えた。
「せんぱい?」
「なに?」
「織姫って、あの辺にある星ですか?」
太陽が沈む方向の、低い空を指差す久住さん。
「…うーん、違う、かな」
「違うんですか?」
「うん」
「この前、晴れてるときに見たら」
「うん」
「あの辺にすごく明るい星があったから、そうかなって」
「そんなに、明るかった?」
「はい。夕方で、まだ結構明るかったのに」
「うん」
「はっきり見えました」
夕方の西の空に、とても明るい星。おそらくは。
- 650 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:12
-
「金星、じゃないかな」
「きんせい?」
「うん」
「なんですか?それ」
「えーっと」
「………」
「織姫星は太陽と一緒で、自分で光るんだけど」
「はい」
「金星は、地球の仲間なんだ。太陽の周りをぐるぐる回ってて」
「はい」
「太陽からの光を受けて、輝く」
「へー」
「『水金地火木土天海冥』って、聞いたことある?」
「あー、それあります」
「『金』は、金星のことね」
「…そうなんだ」
…おもしろくない、よな。
ちょっと、考え込む風の久住さんを見ながら、後悔する。
こういう蘊蓄って、どういう風に言えばうまいんだろうか。
同じく考え込む僕に、久住さんが口を開いた。
- 651 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:12
-
「ここのつ、あるんですか?」
「…え?」
「その、地球の仲間」
「うん」
「………」
「久住さん?」
「…小春たちと、一緒ですね」
「………」
…なるほど、そういうことか。
「…そうだね。9人だもんね」
「はい」
「………」
…確かにそうなんだけど、さ。
ニコニコしている久住さんとは対照的に、
僕の表情は曇ったに違いなかった。
- 652 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:13
-
「それでー」
「………」
「せんぱいは太陽」
「………」
「なんです」
「…は?」
…やられた。
会心の表情で、久住さんが僕を見つめる。
忘れてたわけじゃ、なかったんだ。
「…太陽?」
「はい」
「………」
「小春たちは」
「…うん」
「せんぱいの周りを回ってるんです」
「………」
「そうして、せんぱいから光をもらって、輝く」
「………」
言いながら、久住さんは僕の手を取って。
僕の周りをくるくると、公転しはじめた。
そんな久住さんにあわせて、僕も自転をはじめる。
- 653 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:13
-
「で、でもさ」
「はい?」
「太陽って、他にいなくない?」
「…誰ですか?」
「え、えっと」
「………」
「つ、つんくさん、とか」
「えー」
明らかに不満顔の久住さん。そ、そうなんだ…
「せんぱいが」
「…僕?」
「はい。せんぱいが、いいです」
「…でも、なんで?」
「うーん」
「………」
「………」
不意に、久住さんの公転が止まる。
飽きたのかと思い、手を離そうとしたけど。
久住さんの僕の手を握る力は、弱くならなかった。
うつむき加減の久住さん。真剣な表情に変わっている。
- 654 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/07(土) 23:14
-
「せんぱい」
「うん」
「その、さっき、ごめんなさい」
「え、何?」
「さっき、ドア開けたとき」
「………」
「せんぱいが来るの、久しぶりだったから慌てちゃって」
「………」
「ぜんぜん邪魔なんかじゃないのに」
「そんなの…気にしないで」
「…はい」
「…うん」
「それと」
「なに?」
「さっきの星の話。すごく、ためになりました」
「そんなに大したこと、話してないよ?」
「そんなことないです。ああいう話って」
「うん」
「せんぱいからしか、聞けないから」
「………」
「だから…せんぱい」
「…うん」
「これからも、いろいろ教えてください」
さっきの…久住さんのたとえ。
その意味が、少しだけ分かったような気がした。
ちょっと、買いかぶりすぎだと思ったけど。でも。
できる限りのことはしてあげようと、そう思い直して。
「僕で、いいのなら」
「…もちろんです」
久住さんは、いつもの笑顔に戻ってくれた。
そして、また僕の周りを回り始める。
「く、久住さん?」
「はい?」
「ち、ちょっと」
「これ、なんかよくありません?」
僕が目を回すまで、久住さんは止まってくれなかった。
- 655 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/08(日) 00:10
-
やっべーどんどん長くなってる。
しかも曇ってるかと思いきや晴れてやがった外。
>>635
トリップを嗤われるとは思いませんでした
>>637
>>640
どもです
>>642
そちらこそ乙です 完全制覇、頑張ってください
>>643-645
愛ちゃんイイですね 流石です 勉強になります
>>646
より厳密にしたつもりなんですけど…見にくくなっただけかも
続き書きましたが… ホント素人なんでそのうち期待を裏切ります(^^;
- 656 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:39
-
撮影の順番までまだ少し時間がある。そう教えてもらってすぐに楽屋を出た。
特にどうしようと思ったわけでもなく、時間潰しに外の空気を吸ってこようと思っただけだった。
ホールで下りてくるエレベーターを待っていると、すぐ後ろで感じた気配に振り返る。
「あぁん」
「なに、その手は」
可愛らしく悔しがるさゆの両手が僕の顔まで10cmのところで止まっていた。
黒目がちな瞳が挙動不審に泳ぐ。
「ったく……」
「えへ♪」
未遂に終わった悪戯なんて気にもしない笑顔。
「で、どこ行くの?」
「せんぱいはドコ行くんですか?」
「ちょっと散歩がてらコンビニでも行こうかなって」
「じゃあさゆみもそうします」
なんの惑いもなく、さもそれが当たり前のことであるかのように言われた。
言い切られた僕としては笑うしかない。
そしてあおれを当たり前として受け入れるしか。
- 657 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:40
-
エレベーターが止まり開いたドアの中に先客が一人。
笑いあっていた僕らは何故だか少しだけ表情を戻して静かになる。
一階下でエレベーターが止まり、唯一の先客が降りていった。
締まり掛けたドアの隙間から誰かが駆け寄ってくる姿に気がついた僕がドアを開けてあげる。
開いていくドア。なぜだか隣にいたさゆが僕の後ろへ隠れるように動いた。
「ありがとうございますう」
「……おやまあ」
「せんぱい、おはようございまぁす」
「おはよ。桃子ちゃん」
「? あっ、おはようございまぁす、道重さん」
「お、おはよ……」
僕の背中からさゆの声。
あまり聞いたことがない種類の声だった。
「さゆ?」
「“さゆ”? じゃあじゃあ、わたしも“もも”って呼んでほしいですう」
「なっ――、桃子ちゃんは桃子ちゃんでいいじゃん」
「やですよお」
「え~っ! そ、それより桃子ちゃん、なんでいるの?」
「私たちも撮影があるんですけどお。せんぱいたちもですか?」
短いけれど、どこか火花が散るようなやりとりだと感じたのは気のせいだろうか。
不意に振られてようやく居場所を得たような心地になる。
- 658 :『僕は知らない』:2007/07/10(火) 23:41
-
「え? …あ、うん。桃子ちゃんたちは僕らの後なのかな。一人でどっか行くの?」
「ちょっと、さゆみが訊いたのに――」
「お二人はどこに行くんですか?」
「うん。ちょっとすぐそこのコンビ――」
「あーっ! どこも行かないよ」
僕の言葉を遮るように、背中から身体をのりだしたさゆの声が大きくなる。
ビックリしたように――僕も驚いたけど――目を見開いた桃子ちゃんが、一呼吸置いてからその特徴のある目を細めた。
「わたしも連れてってくださーい」
「あっ、ほら。すぐ戻ってくるから。桃子ちゃんは。ね、せんぱい」
僕はなにをそんなにさゆがテンパってるのか理解できない。
というよりも、ついてきたいならいいんじゃないかなとも思うし。
「いいんじゃない」
短く言い放った僕の一言で、桃子ちゃんは満面の笑みを浮かべる。
そしてさゆはおかしなくらいに肩を落とした。
二人の対比を不思議に思いながら、エレベーターを出たところで思った。
この二人、いつこんな関係になったんだろうって。
- 659 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/10(火) 23:42
-
ラジオは聴いてないんですけど、各所の話題から想像して書いてみました。
>>647-654 統計(仮称)さん
私も気にしてましたけど、気にしない方がいいらしいです、長さ。
で、ちょっとうまく数字で絡めたいい話でした。
小春いい子だなあ……(ホロリ
統計さんの“僕”がどんどんと他の誰でもない“僕”になってきてる感じがしました♪
- 660 :-ストレッチ-:2007/07/11(水) 00:35
-
「よいしょっと」
一人、ダンスレッスンの準備のため、早めに来てストレッチをする。
開脚をして、ベターっと頭を床につけて深呼吸をする。
「ん~…やっぱり、股関節がちょっと硬くなってるかも…」
「おはようございま~す♪」
鏡を写して見えたのは、レッスン着の絵里が立っている。
僕は、開脚したまま顔を上げた。
「あぁ、絵里。おはよ~♪」
「あ、先輩おはよ…えぇ~!?」
絵里は、僕を見て驚いた表情をしている。
「どうしたの?」
「先輩って、そんなに体柔らかいんですか?!」
「うん、そうだけど…あれ? 知らなかった?」
「はい、先輩コンサートの時いつも自分の楽屋に居るから」
「そっか、みんなでストレッチとかしないもんなぁ~…あ、絵里。後ろから
押してくれないかな?」
「はぁ~い♪」
絵里が、僕に駆け寄ってきて背中を優しく押す。
「うわ~、やわらか~い♪」
「絵里も、柔らかいじゃん。それと、一緒だよ」
「でも、男の人もこんなに柔らかくなるんですね」
「まぁ、毎日努力してますから」
「さすが、先輩♪ えいっ!!」
僕の体に急に重みが加わった。
「ちょ、ちょっと絵里~お、重い…」
「むぅ~、重くないです~」
絵里が、さらに僕に体重を預けてくる。ってか、背中になんか当たってるから!!
- 661 :-ストレッチ-:2007/07/11(水) 00:35
-
「ギブ、ギブ!!」
「許しませ~ん!! 絵里は、重くないです~」
我慢できなくなって無我夢中で体を捻る。
「キャッ!!」
僕は、気づくと絵里の上に倒れこんでいた。
「あ、ご、ごめん!!」
慌てて離れようとすると、絵里は僕をがっちりと腕でロックして離そうとしない。
「絵里?」
「先輩…たまには、甘えていいですよね?」
絵里は、僕を見つめていた。そして、ゆっくりと目をつぶる。
「・・・」
僕も、そのまま絵里の唇に…
「おはようございま~す!!」
レッスン場に愛ちゃんが、元気に入ってきた。慌てて離れる二人。
「おぉ、●●と絵里。早いね~」
「う、うん。ちょっと早めに来て絵里にストレッチ手伝ってもらってたから」
「ほんまかぁ~。あ、絵里昨日話してた服屋行ってきたやよ♪」
「ほんとに♪」
絵里が、愛ちゃんの方へ向かおうとする時僕の耳元でこう囁いた。
『また、一緒にストレッチしましょうね♪』
僕は、その後なぜかレッスン場で筋トレを始めていた。
- 662 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/07/11(水) 00:40
-
今回は、亀井さんを中心に…
チョイエロでw
>>659 匿名さん
ラジオ聞いてないんですが、なんか作品見ただけで、修羅場みたいな
感じがしますねw
女の子って怖いなぁ~って、この作品見て改めて思いましたね…
今週中にもう一本書けたら書きます。三連休は、暇なので…(泣)
- 663 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:00
-
「おはようございまーす」
久住さんとの、ちょっとした遊びが終わってすぐ。
ドアが開く音と共に、聞き慣れた声が楽屋に響いた。
「あー、ミッツィーおはよー」
「おはよ。お邪魔してます」
「あ、せんぱいに久住さん。おはようございます」
ペコリとお辞儀しつつ、改めて挨拶してくれる光井さん。
そんな彼女を見てふと思い、久住さんに問いかける。
「光井さんは…どう?」
「はい?」
「さっきの、太陽は誰かって話」
「…なんでですか?」
「………」
「………」
「…いや」
「え?」
「ごめん。なんでもない」
…自分のアホ。
- 664 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
-
「ミッツィー」
「はーい」
言いながら、久住さんが手招きする。
光井さんは笑みを浮かべながら、トテトテと寄ってきた。
「おふたりで、なにしてたんですか?」
「えっとねー、地球とその仲間たちの話」
「…へ?」
光井さんが首をかしげる。
「光井さん、太陽系」
「…あー」
「七夕でしょ今日。織姫星のことから、話が飛んでさ」
「そういえば、七夕でしたね今日」
「そうそう。それで、せんぱいが太陽なの」
「…はい?」
光井さんが再び首をかしげる。
久住さん…もうちょっと説明してあげないと、ね。
「僕が太陽で、光井さんたちが惑星なんだってさ」
「………」
「ほら、数。ぴったりじゃない?」
「…なるほど」
指折りしながら、光井さんが答える。納得したようだった。
- 665 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:01
-
「…わたしは、冥王星かな」
「え?」
「………」
「…なんで、そう思うの?」
「うーん。いちばん年下、だから?」
「………」
「あ、いや。なんとなくです。なんとなく」
「………」
そう言って、ごまかす光井さんだったけど。
自らの謙譲と、他のメンバーへの尊敬を意識した言葉に思えた。
まだ14歳、中学生の光井さんだけど。
こういうところが妙にしっかりしてて、感心する。
「せんぱい」
「………」
「せんぱい?」
「あ、ごめん。なに?」
「太陽にいちばん近いのって、確か水星ですよね?」
「ああ…そうだね」
「…誰でしょうね?」
「え?」
「せんぱいが、太陽なら」
「…うん」
「水星は?」
「………」
- 666 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:02
-
質問の真意。分かったような、分からないような。
そして、答えられないというか、答えたくないというか。
僕を見つめる光井さんは、悪戯っぽい笑みを浮かべている。
どうやらからかわれているらしく、ちょっと憎らしく見えた。
…よーし。
- 667 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:03
-
「光井さん」
「…え?」
「光井さん、だよ」
「………」
顔を赤くする光井さん。
さっきから一転して、とても可愛らしく見えた。
「や、でもお」
「なに?」
「わたしはー。ほら、さっき」
「うん。光井さんはそう思ってるのかもしれないけど」
「………」
「僕は、そうじゃないから」
「………」
「…だめ?」
「え?」
「僕がそういう風に思ってるの、迷惑?」
「やっ、そんなこと。…でもぉ」
「でも?」
「………」
今度は、俯き加減でモジモジし始める光井さん。
ちょっと、やりすぎたかな。
- 668 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
-
「…ごめん」
「え?」
「冗談」
「………」
「光井さんの質問、ちょっと意地悪だったから。つい」
「…もう」
「うん。でも、ごめんね」
「いえ、わたしも。ごめんなさい」
一瞬、頬をふくらませた光井さん。
けど、すぐに笑顔に戻って、許してくれた。
「…でもさ」
「はい?」
「100パーセント、冗談ってわけじゃないよ」
「………」
「初めて会ってからまだ半年だし」
「………」
「仕事も、別々のこと多いじゃない?」
「…はい」
「だから光井さんのこと、まだよく分かってないと思う」
「………」
「だから…気になってる、っていうか」
「………」
「うまく、言えないんだけど」
「…わたしも」
「え?」
「おんなじこと、思ってました。たぶん」
「…そっか」
「はい」
「………」
「………」
そう2人で言いあい、2人で見つめあって。
そして、2人で笑いあった。
- 669 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:04
-
「…ちょっとー」
「「あ…」」
やばい。すっかり忘れてた。
「なに2人でいい雰囲気作っちゃってるんですかー」
「ごめんなさい」
「ごめん」
「だめです」
光井さんと違って、久住さんはなかなか許してくれなかった。
- 670 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/12(木) 21:05
-
>>647-654 の続きということで。
これで7人、順番に、ひと通り登場させ終わりました。
最後の方は、無理矢理です。こんなんでどうもすいません。
>>656-658
へぇー、こんな話が。知りませんでした。
>>660-661
こういう描写って難しいと思いますが、うまくこなされますね。
- 671 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:43
-
パーティを終えた帰り道、比較的近くに住むメンバーを送り終えた僕は車を停めミラー越しに後部座席へ目をやった。
綺麗にラッピングされた色とりどりの荷物に囲まれて、窓ガラスにもたれて静かな寝息。
一つだけ、膝の上にあるのは僕が送ったプレゼントだった。
「そんなに抱え込まなくても……」
両手で包むように大事そうに抱えられたそれは、さゆが本当に喜んでくれたという印のようでこっちまで嬉しくさせられる。
腕の中にあるそれを誰にも取られるもんかって、そんな風に主張しているみたいだった。
「誰も取ったりしないのにね」
喉を鳴らすように笑ったのが聞こえたんだろうか、さゆが「んっ」と吐息を洩らす。
ミラー越しのさゆが薄く目を開き、確かめるように瞳をさまよわせた。
「さゆ?」
後ろへ半身を乗り出して問いかけるように名前を呼ぶと、薄く開いていた瞳が僕へ向くのが解った。
- 672 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:43
-
「さゆ」
「……せんぱい?」
もう一度、抑えた声で呼びかけると、寝ていたためだろう僅かに掠れた声が返ってくる。
「さゆみ…、寝ちゃってたんですね」
「はしゃぎすぎたんじゃない?」
そうからかうと、少し身体を起こしたさゆが「そんなことないですぅ」と可愛らしい反論をしてくる。
その口振りがとても“らしくて”、僕は更に言葉を重ねる。
「いくら主賓だからってあんなにはしゃげば疲れるのも無理ないよ」
「イーッだ。……せんぱいイジワル」
拗ねる仕草も自分で言うだけあってなかなかに可愛らしいけど、本当に拗ねられると厄介なことも学んでいる。
引き時だと判断して話題を変えるために目に付いたものへ話を流した。
「にしてもさ、そんなに喜んでもらえた? それ」
「え? あぁ」
さゆは腕の中の包みに目を落とし、そのプレゼントを見つめたままで、ポツリと「嬉しいですよ」と呟いた。
- 673 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:44
-
「気に入ってくれたなら嬉しいけど。自分で言うのもヘンだけど、大した物じゃないのに」
「せんぱいがくれた物だから」
「そりゃどーも。結構悩んで決めたものではあるんだけどね。こないだのお詫びの意味――、あっと」
「おわ…なんのことですか?」
「…ほら、桃子ちゃん」
「ああ、あれ。あれは別に」
「解ってる。好きは好きなんだよね」
「そーですよ。ただあのときだけぇ……」
「うん。だから。あのときのお詫び」
そう改めて言った僕を何故だかさゆはじっと見つめている。
少し首をかしげてチラリと視線を逸らしたさゆは、少し表情を変えて話し出した。
「なら、一つお願いしていいですか?」
「…なにを?」
「オッケーしてくれなきゃ言いませんっ」
- 674 :『経験値』:2007/07/15(日) 23:45
-
妙な押しの強さにイヤな予感はしたけれど。
まあ誕生日祝いだと思って取り敢えず了承の言葉を返す。
「……いいよ」
「ホントに?」
「…ホントに」
「じゃあちょっとだけ目閉じててください」
「ヘンなことしない?」
「しません。ヘンなことってなんですか」
「……さあね。じゃあ、はい」
なかなか侮りがたい。
仕方なく目を閉じて、残った感覚に身を委ねる。
微かな衣擦れの音と揺らぐ気配。
半ば直感で身を退いて目を開くと、目を閉じたさゆがすぐそこにいた。
様子を窺うようにゆっくりと開いていく瞼が上がりきる前にヒョイと顔を寄せた。
「あっ」
頬へ手をやったさゆが小さな驚きを洩らし、それからなにをされたのか気がついたように呟いた。
「やっぱりせんぱいってばイジワルです」
自分の悪戯がうまくいかなかったことを残念そうに。
けれど少しだけ嬉しそうにはにかむさゆへのハッピーバースデイ。
- 675 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/15(日) 23:54
-
遅くなったけど道重さんおめ。
遅くなるけど明日は小春をなんとか…したいかな。
>>660-661 TACCHIさん
亀井さんで微エロいーですね。
明日辺りまた更新でしょうか。わくわく。
>>663-669 統計さん
ヤキモチ小春♪
いや、主役は光井さんですね。
そうか、もう書ききりましたか……で、次は?(笑)
まだまだ期待してますからねー。
- 676 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:24
-
連日の――正しくは一日空いてるけれど――誕生パーティだった。
一昨日のさゆのバースディは、翌日のスケジュールに余裕があったおかげでそれなりのものだったけれど、今日、小春ちゃんのそれは仕事終わりの控え室を借りた簡素なものになってしまった。
それは前から解っていたことだけど、たった二日違いで、しかも小春ちゃんの方が年下なのに、我慢を強いているようで可哀想だと感じていた。
もちろん小春ちゃんはそれに不平を言うわけではないし、表情に出すこともないけれど、きっと淋しく感じているに決まっている。
だから。
少しでも喜んでほしくて、ほんの些細なサプライズを用意した。
デリバリーのピザや買い込んだ飲み物、食べ物での簡単なパーティを終えて、愛佳ちゃんから順にプレゼントを渡していく。
そうして僕自身の番になり、目の前に小春ちゃんがやってくる。
「せんぱい?」
両手になにも持っていない僕へ訝るような愛ちゃんの声。
小春ちゃんは大きな瞳で真っ直ぐに僕を見ている。
「僕からのプレゼントはここにはないんだ」
「え?」
「おいで」
そう誘ってドアを開ける。
小春ちゃんの後についてこようとするメンバーへ「小春ちゃんだけだよ」って笑うと、一斉に不満を訴える声が上がる。
呆れた口調で「誰の誕生日?」と問い掛けたら瞬く間にその声が止んだ。
まあ何人かは言いたいことがありそうな顔だったけれど。
それは後でフォローするとして、今は小春ちゃんに意識を戻す。
- 677 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:25
-
廊下へ出たところでこっちを見て待っている小春ちゃんの背を押して、一つ隣の部屋の扉で立ち止まる。
「どうぞ、お嬢さま」
大仰な仕草で小春ちゃんに、開けた扉の奥を指し示す。
照明だけがつけられたテーブル一つしかない部屋へ小春ちゃんが入ったことを確かめて、後へ続いた僕は後ろ手に扉を閉める。
その音で振り向いた小春ちゃんが不思議そうな表情を見せたそのとき、なにも言わずに照明を落とした。
「きゃあ!?」
突然の暗闇に小春ちゃんの悲鳴が重なった。
僕は闇の中で感覚的に伸ばした手で小春ちゃんを捉える。
「やあっ、せんぱい!? 怖いよおっ」
「大丈夫だから。すぐそばにいるから。ね? 落ち着いて」
「っ……、せんぱい」
よほど怖かったのかしがみついて離れない小春ちゃんを片手に、空いた手でそっとスイッチを探った。
指先に触れた感触でそれがそうだと解り、スイッチを入れると僅かな光源となる。
まったく見えなかった小春ちゃんの顔が見えて、ちょっと申し訳ない気持ちになった。
その大きな瞳にうっすらと涙を浮かべ、僕の腕を掴んだ手が強ばっていることも解ったから。
「ごめん。ちょっとやりすぎた」
「…せんぱぁぃ」
顔を上げた小春ちゃんが僕を見つけ語尾が弱く震える。
驚かせたいとは思ったけれど怖がらせるつもりなんて無かった。
- 678 :『指定席』:2007/07/17(火) 02:26
-
「ごめんね。ちょっと驚かせようとした。ホント、ごめん」
「…せんぱい?」
「見て」
「え? ……うわぁ」
僕に釣られるように視線をあげた小春ちゃんが感嘆の声を上げる。
「星だぁ」
「うん。なにがいいかなって考えたとき、この前した話を思いだしたんだ」
「この前? あっ」
「小春ちゃん専用の星たち」
「嬉しいです。ありがとうございます」
僕の腕を掴んでいた手から力が抜けて、いつの間にか優しく絡めるように変わっていた。
その手が不意にクンと引かれる。
「せんぱい?」
「うん?」
「小春専用なんですよね?」
小春ちゃんが満天の星を見上げてそう確認してきた。
言うまでもなく、それは小春ちゃんのためのものだから。
「そうだよ」
「なら……こうやってる小春の横は、せんぱい専用です」
「…そっか。うん、嬉しいね」
「嬉しいですかあ?」
「うん。嬉しいよ」
「せんぱいが嬉しいと小春も嬉しいです」
そう笑う小春ちゃんはこの部屋を埋める星たちでは到底敵わない。
作られたそれではない自然な、素敵な笑顔を浮かべていた。
- 679 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/17(火) 02:27
-
小春おめ
- 680 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 22:59
-
「うーん」
いつもの楽屋。
大きな鏡を前に、前を向いたり横を向いたり。
いつも以上に、自分の身なりが気になっていた。
とある番組の収録。その都合で、スーツを着ることになった。
仕事でまともにスーツを着るのなんて、初めてかもしれない。
最初は、番組の方で用意してくれることになっていたけど。
丁度よい機会だと思って、自分で新調することにした。
仲の良いスタイリストさんに、いろいろアドバイスをもらって。
そうして完成した一着を今、身につけている。
注文したときには、それなりに納得したつもりだった。
しかし、ひとりでこうして着てみると、どうにも違和感がある。
普段、滅多に着ないこともあるんだろうと思う。でも。
「…着られてる、かな」
自嘲と諦めの混じった言葉を吐いて、鏡から離れた。
- 681 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:00
-
コンコン
みんなの楽屋への入り口。来訪を告げる。
「遊びに来ませんか?」
高橋さんからの誘いの電話。
今の自分の格好のことをすっかり忘れて、
いつもの調子で応じてしまったことを少し後悔していた。
「笑われちゃうかな」
さっき鏡の前で抱いた感情をそのままに、ぼやく。
と、目の前の扉が開いて高橋さんが現れた。
「せんぱい?」
「高橋さん」
「あ…」
「…来たよ」
「………」
「…高橋さん?」
「………」
言葉を発しない高橋さん。その視線が上下に動く。
- 682 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:01
-
「…変?」
「えっ?」
「いや、服」
「あ、やっ」
「高橋さん黙っちゃったから」
「………」
「やっぱり、おかしかったかなって」
「いや、あの。ほやなくてっ」
「ん?」
「ちょっと、びっ、びっくりしてしもうて」
「…そっか」
「はい…ごめんなさい」
「そんな。謝らないでよ」
「はい…ごめんなさい」
「いや、だから」
「あ…はい」
「うん」
「あ。とりあえず、どうぞ?」
「…うん。お邪魔します」
…びっくりした、か。
それはそれで、ちょっとショック…かも。
- 683 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:01
-
高橋さんに続いて、楽屋の中に入る。
「せんぱいのスーツ姿って、初めてかも」
「だよね」
「はい。なんか、新鮮ですね」
高橋さんが改めて、僕の方を眺めてくる。
「せんぱい?」
「なに?」
「クールビズ、ですか?」
「え?」
「だって」
高橋さんはそう言って、手を何かつまむような形に変える。
それを自分の首にあて、次いで胸元の方へと動かしていった。
「ああ、ネクタイ?」
「はい」
「まだ時間あるから、後でしようと思って」
「あ、そっか」
「うん」
「………」
少し考える風の高橋さん。次の言葉を待った。
- 684 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「…せんぱい?」
「なに?」
「その、よかったら」
「うん」
「わたしが…締めて、あげましょか?」
「え?」
「ネクタイ」
「………」
控えめな、そしてためらいがちな提案。
即答できずに黙っている僕に、高橋さんが続ける。
「…イヤ、ですか?」
「あ、いや」
「………」
「嫌ってことは、ないんだけど」
「したら」
「…じゃあ、お願いできる?」
「はい!」
「持って来るから、ちょっと待ってて」
「はい、待ってます」
…まあ、いっか。
結局押し切られた形になってしまったけど。
嬉しそうな高橋さんを見て、そう思った。
- 685 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「よろしくね」
「はい、せんぱい」
高橋さんは、僕が差し出したネクタイを受け取ると、
僕のすぐ目の前まで寄ってきて、シャツの襟に手を添えてきた。
とても慎重な、高橋さんの手つき。
慣れていないというのも、もちろんあるんだろうけど。
とても大切に扱われているように感じられて、すごく心地よかった。
それと。
…ドキドキする。
なんだろう、これ。よく分からない。困った。
と、とにかく。気づかれたら、すごく気まずい。きっと。
そう思って、動揺を表に出すまいとした。その矢先。
僕の首に手を回したまま、高橋さんの動きが止まる。
「せんぱい」
「な、なに?」
「わたし、さっき嘘つきました」
「さっき、って?」
「ドア開けたとき。せんぱい見て、びっくりしたって」
「ああ、あれ」
「はい。でも、びっくりしたんやなくて」
「うん」
「見惚れちゃってた。わたし」
「…え?」
「かっこいいです。せんぱい」
- 686 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:02
-
「………」
上目遣いの高橋さんから投げられる視線と、
ストレートど真ん中な褒め言葉。
さすがに照れくさくて、否定してしまいたくなる。
「また…冗談ばっかり」
「んなことないです。それとも」
「…え?」
「せんぱいは、わたしが嘘つきだって。そう思うてるんですか?」
「いや、そんなこと」
「はい。ホントですから」
「………」
「せんぱい?」
「…うん。ありがとう」
笑みを浮かべる高橋さん。再び手が動き始める。
そして。
「この前と、逆になりましたね」
「この前って?」
「ほら、レッスン場」
「…あっ」
「ね」
「…そうだね」
「はい。お返しです、せんぱい」
高橋さんの笑顔。
さっきのより何等級も、明るく輝いていた。
- 687 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/20(金) 23:04
-
…ベタなネタで、なんとも頂けないですが。
>>643-645 をご覧になってから戻ってきてくださると、なお良しです。
匿名さん、設定拝借しました(^^;
>>671-674
さゆが積極的ですね、最近(^^)
>>676-678
また使ってくださったようで。嬉しいですね、こういうの。
小春ちゃんも喜んでくれたようで、よかったよかった。
- 688 :名無し娘。:2007/07/21(土) 02:45
- ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!
- 689 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:10
-
「ちょっとお」
薄いピンクのルージュがひかれたくちびるがそう動いていた。
言葉としては伝わってくる。けれどそれが意味を成すには、僕はあまりに……驚いていた。
いや、見惚れていたという方が正しいかもしれない。
「どした? だいじょーぶかい? これ」
「や、どうなんでしょ」
「飯田さんみたいんなっちゃってますね」
近くにいた二人と話している声がする。
新垣さんと愛ちゃん、だったと思う。
「おーい。戻っといで」
ぶんぶんと小さな手が目の前で振られ、そのままぺちりと僕の頬を刺激した。
そのあまりにやわらかな感覚が僕を現実へと引き戻す。
- 690 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:11
-
「あっ……」
「あ、帰ってきた? カオリみたくなったかと思ったっしょ」
「や、あの…、はあ」
「久しぶりに遊びにきたのにさ。人の顔見ていきなりどっかいっちゃうんだもん。
なあんかもう、安倍さんちょっとショックだよ」
ふいに楽屋へ……、僕が遊びにきていた娘。の楽屋へ顔を出した安倍さんが、拗ねた演技で僕を責める。
芝居だと解っていながら、僕はその責める仕草にドキリとさせられてしまう。
「だ、だって安倍さん……。その……」
「なーに? 言ってごらん」
「その……、髪」
やっとそう口にした僕へ、安倍さんがクスクスと笑った。。
リズムでも取るように小さく身体を揺らし、「切っちゃった」と、ただ一言。
- 691 :『やっぱり好きで……』:2007/07/25(水) 00:14
-
「はあ…。ビックリ、しました」
「そんだけ?」
「っと、あ~……、可愛い、です」
「年上に向かって可愛いはないっしょ。でも……ほんと?」
「はい。ホントに。やっぱり僕の中の安倍さんはショートのイメージが強くて」
不満げだった口調が瞬く間に変わった。
雲間から光を差す太陽みたいにあったかい笑顔で。
「そっか。うん。ならよかった」
「え?」
良かった? なら?
その言葉に繋がる“元”が思い浮かばず困惑した僕へ、少しからかいを滲ませた安倍さんが笑う。
「ん。なんでもないよ」
「ちょ…、ええ?」
「はい。いいから。思い出さなくて」
少し慌てた安倍さんがそう言った。
思い出す……?
そしてさっき自分で口にした言葉が。
「あっ! でも…」
まさか、と。
一つだけ思い当たったシーンが僕の口を動かし、安倍さんは何とも言い難い表情になる。
「僕……、ですか?」
「……どうかなあ」
曖昧な、どうとでもどうにでもとれる呟きを残して視線を逸らせた。
その横顔が嬉しそうに見えたのは、それに短くなった髪からのぞく耳朶が赤く見えたのは、僕の気のせい……なのかな?
- 692 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/25(水) 00:14
-
時期的なことは脳内で補正してください(^_^;)
>>680-686 統計さん
スーツかあ、なるほど。
いいなあ…不馴れな愛ちゃんにネクタイ締めてもらう……はぅ
うまく使っていただいたので、こちらもまた虎視眈々と狙ってようと思います(笑)
- 693 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:32
-
「はいっ、できました!」
「うん、ありがとう」
首まわりにほどよく収まったネクタイを感じつつ、
高橋さんにお礼を伝えてから、ほどなく。
「おはようございまーす」
「あ、おはよ」
「おはよう、亀井さん」
「…あーっ!」
…参ったな。
この調子じゃ、他のみんなにも同じ反応をされそうだ。
「せんぱい、スーツじゃないですか」
「う、うん」
「へぇ…」
「………」
「うん。とっても素敵です、せんぱい」
「あ、ありがと」
笑みを浮かべ、軽い調子でそう話す亀井さん。
高橋さんとの違いに、少し戸惑いを覚える。
- 694 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:32
-
「…けど」
「え?」
「曲がってないですか?」
「なにが?」
「ネクタイ」
亀井さんが、僕の首元に顔を近づけてくる。
「そんなこと、ないと思うけど」
「…せんぱい?」
「うん?」
「ちょっと、そのままでいてください」
そう言いながら亀井さんは、僕の返事を待たずに。
高橋さんが締めてくれたばかりのネクタイを、
するすると、ほどき始めてしまった。
「あ…」
高橋さんの口から漏れた、弱々しい声。
その意味が痛いほどよく分かって、慌てる。
「ち、ちょっと」
「せんぱい、そのままです」
「いや、あの」
「………」
「あ、高橋さん!」
もはや聞く耳持たずの亀井さんと、
楽屋の出口へと駆けていく高橋さん。
結局僕は…2人とも、止めることができなかった。
- 695 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:33
-
「できましたー」
「あ、ありがと…」
狼狽えつつも、とりあえず、お礼の言葉を返す。
一方亀井さんは、とても満足げな表情。
けど、僕の前から離れようとはしない。
「…亀井さん?」
「えへへ」
「な、なに?」
「…えいっ」
「わ!」
かけ声とともに、僕の胸に飛びついてくる。
思いも寄らぬ展開に、その場で固まってしまった。
「か、亀井さん?」
「………」
「急に、ど、どうしたの?」
「…せんぱい」
「………」
「すっごく、ドキドキしてますよ?」
僕の胸に耳をあてている亀井さんが、ささやく。
鼓動は、意志に反して大きくなるばかりだった。
- 696 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:34
-
ようやく離れてくれた亀井さん。
さっきの行動の理由を、説明してくれた。
「前に、読んだことがあるんです」
「…なにを?」
「女の人にネクタイを締めてもらうとドキドキする、って」
「………」
「ちょっと、試したくなっちゃいました」
「それで、あんなこと?」
「はい。ごめんなさい、いきなりで」
「………」
「でも、よかった」
「え?」
「せんぱい、ちゃあんとドキドキしてくれました」
「………」
もはや隠しようのない事実と、
頬の染まった亀井さんから注がれる視線。
気まずさと恥ずかしさの大波が、僕に押し寄せる。
「で、でもさ」
「はい?」
「いきなり抱きつかれたら、普通ドキッとするでしょ?」
「あ、そっかあ」
「…うん」
「…でも」
「な、なに?」
「えへへへ」
そんなのどうでもいいんです、とでも言いたげに。
亀井さんの表情はさっきと全然変わらなくて。
理屈をこねることで試みた、わずかばかりの抵抗は
さざ波を起こすことすら、できなかった。
- 697 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:35
-
「…あ」
「はい?」
「だとしたら、さ」
「はい」
「ネクタイが曲がってた、っていうのは?」
「はい。ちょっと…嘘ついちゃいました」
「…やっぱり」
瞬間、僕の意識は切り替わる。
「あっ、せんぱい?」
「ごめん、ちょっと出てくる!」
- 698 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:36
-
楽屋を飛び出していった高橋さん。
幸い遠くには行ってなくて、すぐに見つけることができた。
「高橋さん…」
「…せんぱい」
「…うん」
「ごめんなさい。わたし、へたっぴで」
「高橋さん、違うんだ」
「え?」
「亀井さんも、ネクタイ締めてみたかったんだって」
「………」
「曲がってる、っていうのは口実だったみたい」
「…そうですか」
「うん。だから」
「………」
「ね」
「…はい」
予想に反して、高橋さんの表情は晴れきらない。
まだなにか、気にしていることがあるんだろうか。
- 699 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:36
-
「亀井さんのこと…許してあげて」
「許すもなんも…怒ってなんかいません」
「…ホントに?」
「はい。大切な仲間やし」
「…そうだね」
「はい。けど」
「え?」
「ライバルでもあるんやって、思いました」
「…ライバル?」
「…はい」
「………」
その言葉の意味、なんとなく、分かれていない気がする。
そう思って、真意を尋ねようとしたけど。
「せんぱい」
「う、うん」
「戻りましょ」
高橋さんは、その機会を与えてくれなかった。
- 700 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/07/26(木) 00:46
- >>680-686 の続きです。
>>688
萌えていただけたようで、なによりです。
>>689-691
なんか、待ちかまえていたかのようなお話ですね。
遂に髪キッタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! という感じでしょうか
- 701 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/07/26(木) 19:38
-
>>693-699 統計さん
続いてくれてありがとー。
そうですか、ライバルとして認識しましたか(^_^;)
読みながら自分の想像(妄想)したのとは違う流れになったのが素敵でした。
さて、なんか考えるぞー。
- 702 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:14
-
とある病院の、待合室。
何かを見ているようで、何も見ていない。
誰かを待っているようで、誰も待っていない。
備え付けの長椅子に座ったまま、呆けたように。
去来する記憶と感情に呑まれ、流されていた。
- 703 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:15
-
ハロモニの収録。
最後に、ちょっとだけ遅れてやってきた亀井さん。
挨拶をと思って顔を見た途端、不安になる。
前にも見たことのある、調子が悪いときの表情だった。
「亀井さん?」
「…おはようございます」
「大丈夫?」
「え?」
「調子、悪いでしょ?」
「………」
「無理しない方が、いいよ?」
「…せんぱい」
「ん?」
「ありがとう」
「…うん」
「でも大丈夫。平気です」
「………」
心配させまいとするその言葉、予想はしてたけど。
安心することなんて、できるわけなかった。
- 704 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:15
-
案の定、亀井さんの体調は悪くなる一方に見えて。
見るに見かねた僕は、番組のスタッフさんに
休ませてあげてほしい、とお願いした。
しかし。
スタッフさん達は、いい顔をしてくれない。
今後の予定とか、いろいろ都合があったんだろう。
当然だ。そんなの、分かっているはずだったのに。
そのときの僕は、我慢することができなくて。
ちょっとした言い争いにまで、発展させてしまった。
大丈夫だから、と口では僕を制する亀井さん。
けど、結局収録どころではなくなってしまって、
近くの病院で診てもらうことになった。
先に収録の終わった僕は、単身病院へと駆けつける。
亀井さんは眠っていて、覚醒するにはまだかかるから、
今日の面会は諦めた方が良いとのことだった。
看護師さんがたまに通るだけの、静かな待合室。
備え付けの長椅子に腰掛ける。と。
さっきまでの記憶や感情が、どっと吹き出してきた。
- 705 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
…しばらくして。
「せんぱい?」
「あ、新垣さん」
「…カメは?」
「落ち着いたみたい。今、眠ってるって」
「そうですか」
「収録、終わった?」
「はい。他のみんなは、別の仕事があって」
「…そっか」
「はい」
「………」
「あの。隣、いいですか?」
「あ、うん」
僕の隣に腰掛けてきた新垣さん。
少しの沈黙を挟んでから、言葉を継いできた。
「…びっくりしちゃいました。さっき」
「ん?」
「せんぱい、珍しく怒ったから」
「………」
「………」
「…だって、さ」
「はい?」
「ライブとかなら、多少無理するのも分かるけど」
「………」
「あの番組で。あの内容で」
「………」
「無理させる必要なんて、あるの?」
「…せんぱい」
「そう思ったら…抑え、きかなくなって」
- 706 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
思わず吐露してしまった今の気持ちと、
その毒にあてられて、明らかに困った風の新垣さん。
しまったと思い、慌てて取り繕いの言葉を探す。
「…ごめん」
「え?」
「こんなこと言っちゃ、いや、思っちゃ駄目だよね」
「………」
「それと、もうひとつ謝らないと」
「…なんですか?」
「やりづらくなっちゃったでしょ。収録」
「………」
「ホント…ごめん」
「せんぱい…」
「………」
「せんぱい?」
「ん?」
「なんで…震えてるんですか?」
「…あ」
全然、気がつかなかった。でもその理由は。
「…偉い人たちに、生意気言っちゃったし」
「………」
「どうやって責任とろう、なんて考えたら」
「………」
「ちょっと、ビビっちゃったかも」
「………」
戸惑いの表情を隠さずに、新垣さんが僕を見つめる。
弱ったところを見せてしまったことを、ひどく悔いた。
そして、今度はどう言い訳しようかと。考え始めた、その時。
- 707 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:16
-
「せんぱい」
「…うん」
「その、責任の取り方とか」
「………」
「そもそもせんぱいに責任があるのか、とか」
「………」
「そういうの、よく分からないですけど。でも」
言いながら、新垣さんは僕の両手を取って。
自分の両手で、そっと包み込んでくる。
「…新垣さん」
「その震えは、止めてあげます」
「………」
「わたしの、責任で」
「………」
手から伝わる、新垣さんの体温。
心の中の、チクチクとした何かが溶けていくような感覚。
不思議な、けど心地良いそれに、少しの間身を委ねていた。
- 708 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:17
-
「新垣さん、ありがとう」
「もう、大丈夫…ですか?」
「うん」
「…よかった」
「え?」
「せんぱい、いつもの顔に戻ってくれました」
そう言う新垣さんも、いつもの笑顔に戻っていて。
僕も胸をなで下ろしかけたんだけど。
「…それにしても」
「うん?」
「カメがちょっと、羨ましいかも」
「羨ましい?」
「…はい」
「………」
「せんぱい?」
「なに?」
「もし、わたしがカメみたいになったら。せんぱいは」
「………」
「………」
「…新垣さん?」
「…いえ」
「え?」
「なんでも、ないです。ごめんなさい」
そう言って、何故か謝る新垣さんの表情は、髪に隠れて。
窺い知ることは、できなかった。
- 709 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/07(火) 21:21
-
前々回のハロモニを見て、考えました。
完全に時機を逸してますが。
- 710 :名無し娘。:2007/08/07(火) 22:41
- ガキさぁぁーん・・・
- 711 :-笑顔の君-:2007/08/08(水) 23:48
-
亀井さんが、入院した次の日。お見舞いのフルーツを持って再び病院に行くと、
亀井さんに似た女性が僕に会釈した。僕も、不思議な感じで会釈する。
「どうも、亀井の母親です。いつも、お世話になってます」
「あ、こちらこそ、亀井さんにはいつもお世話になってます」
慌てて再び頭を下げる。亀井さんのお母さんは、亀井さんに似ていてお母さんには見えなかった。
「あの子今寝ちゃってね」
「あ、そうなんですか? じゃあ、これ亀井さんに…」
「●●くん、ありがとうね。そうだ、ちょっと時間いいかしら?」
「は、はい。今日はオフなんで…」
「じゃあ、そこの喫茶店でいいかしら?」
病院内にある喫茶店に入って、向き合って座る。なんだか、ちょっと恥ずかしかった。
- 712 :-笑顔の君-:2007/08/08(水) 23:49
-
「●●くん」
「はい」
亀井さんのお母さんが僕に深々と頭を下げる。
「あ、あの・・・」
「絵里のこと、本当にありがとうございます。●●くん、スタッフさんに言ってくれたんですって?」
「そ、そんな・・・でも、止めることできませんでした・・・」
「絵里ね、あなたのこと話すときすっごく笑顔なの。先輩から今日お菓子もらったぁ~だとか
先輩に丁寧にダンス教えてもらったとかね」
亀井さんのお母さんの話を聞くたびに、亀井さんの笑顔が想像できた。
「今日もね、私に『先輩が、娘。に居てよかった。絵里、先輩の後輩でよかった』って笑顔で・・・」
僕は、その言葉に涙がポロポロと頬を伝うのがわかった。お母さんから、ハンカチを渡される。
「グスッ…すいません。すっごく嬉しくて…。・・・あの絵里さんに伝えてくれませんか?
僕は、君が後輩で本当によかったと思ってるよ。早く笑顔で僕たちの…仲間の所に戻ってきてくれって」
「はい。伝えておきます」
「あ、すいません。ハンカチ・・・洗って返します」
「いいのよぉ~、気にしないで」
「じゃあ、僕そろそろ・・・」
「ありがとうね」
「こちらこそ、ありがとうございました」
亀井さんのお母さんに深々と頭を下げて病院を去る。
お見舞いに行ったはずなのに、なぜか僕が元気を貰ったそんな一日だった。
絵里、君の笑顔が大好きです。
- 713 :TACCHI:2007/08/08(水) 23:53
- すいません、パソコン壊れてしまい更新できませんでした・・・
亀井さんのお母さん、初登場ですw
>>709 統計さん
コラボさせていただきました。しかも、亀井さんも想像でしか登場しないという・・・(汗)
ガキさんの話も一瞬考えたんですが、こっちの話の方が話が先にできたんで、
こちらを載せましたが、いかがでしたでしょうか?
ハロモニ最近見てないなぁ~。見なきゃ・・・
- 714 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/09(木) 00:22
-
>>713
これはこれは、お久しぶりです。
で…こういうの、本当に嬉しいです。ありがとうございます
ガキさんバージョンも、是非(^^)
- 715 :名無し娘。:2007/08/09(木) 08:22
- おか絵里
- 716 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/08/10(金) 02:39
- ( M _ O)<恥ずかしながら帰ってまいりました・・・
リハビリ1発目、いかせて頂きます
(リハビリで大転倒する可能性ありですが・・・)
- 717 :-仲間外れ???-:2007/08/10(金) 02:40
-
秋のツアーに向けてリハーサルが始まった頃・・・
リハが終わって楽器を片付けて最後に楽屋に戻った僕を待っていたのは
何とも不思議な光景だった。まず、楽屋に入る扉の前にはジュンジュンが立っている、
そしてその足元には僕のバッグと大きなビニール袋がひとつ・・・
「ジュンジュ~ン、何してんの???」
僕はジュンジュンに尋ねる
「あ、●●センパイ、これ」
僕はジュンジュンが指差す楽屋の扉を見る、するとそこには貼り紙が1枚貼ってある
---●●先輩、入室禁止!!(着替えには隣の部屋を使って下さい)---
の一言、それからいたる所に普段みんなが書いているイラストが書いてあった・・・
「え~???なんだこれ???」
思わず僕はそう呟いてしまった。
ジュンジュンの方を見ると、どう説明していいのかわからないような顔をしている・・・
それは恐らく言葉の方の問題であって、楽屋の中で何が行われているのかは知っているのだろう
ジュンジュンをここで問い詰める意味はないし、よくよく考えれば年頃の女の子の集団である
モーニング娘。・・・・・・・・・その中で唯一の男である僕抜きで話したい事もあるのだろう・・・
そうなると・・・・・・・・・ジュンジュンは中にいなくていいのか・・・・・・う~ん???
考えれば考えるほど頭が痛くなってきた僕は半分諦めのような返事をジュンジュンに伝えた
- 718 :-仲間外れ???-:2007/08/10(金) 02:41
-
「OKOK♪I change clothes in room next to mine.」
(オッケー、僕は隣で着替えるよ)
僕がそういうとジュンジュンは安心したような表情になった・・・
なんだか釈然としないものが心には残っているが、別にこんな日があってもいいだろう
・・・・・・でも、実質仲間外れになって扉の前に立たされてるジュンジュンがかわいそうだ・・・
格好を見るともう着替え終わっているようだし、一緒に帰ろうかな・・・
「ジュンジュン、一緒に帰る???」
「うん♪」
「じゃあ、ちょっとここで待ってて」
僕が誘うと、ジュンジュンは嬉しそうな顔で答えてくれた
僕が着替えてくる間にジュンジュンも楽屋から荷物を取ってきたようで準備は万端
二人揃ってリハーサルスタジオから家路につく、途中でジュンジュンがお腹が減ったと
言うのでいつものラーメン屋さんに寄ってから帰宅した
初めてジュンジュンと2人でゆっくり話し込んだけど、本当に日本語上達したな~
まだまだ微妙なニュアンスとか難しい言葉はわからないけど、そこは僕の底の浅い英語で
なんとかなった・・・・・・のかな・・・(汗)
うん、今日は実りの多い良い日だったな~・・・なんて事を考えながら僕は眠りについた
---翌日---
今日も一番乗りで楽屋に入りみんなの到着を待つ・・・これはいつもの事なんだけど
いつもと違うのはみんな鬼のようにテンションが低い・・・
ジュンジュンと久住さんの2人を除いて・・・・・・・・・・・・
ジュンジュンはいつも通りなんだけど、久住さんはみんなと逆で朝から凄いテンション
昨日の事を聞いてもみんな一様に「ごめんなさい、秘密なんです」としか答えない・・・
いったい何があったんだろう???
このメンバー間コントラストの謎が解けるのには、およそ一週間を必要としたのだった・・・
続いていく・・・はず(汗)
- 719 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/08/10(金) 02:43
- あとがき
( M _ O)<う~ん、やっぱり頭の中を文字で表すのって
最高に難しいっす・・・でも、楽しい♪♪
- 720 :名無し娘。:2007/08/10(金) 03:14
- 続きに期待
- 721 :名無し娘。:2007/08/11(土) 17:28
- どんどん書いてほすぃ
- 722 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:28
-
亀井さんの一件から、1週間後。
ハロモニの収録に、僕は真っ先に駆けつける。
そして、番組のスタッフさんに、この前の非礼を詫びた。
謝る必要なんかないよ、とみんなに気遣われて。
感じていた負い目が、少しだけ拭われたような気がした。
しかし。
今度は、僕の番だった。体調が、芳しく…ない。
朝起きたときに嫌な予感はしていて。やっぱりだった。
夏風邪プラス夏バテ、そんなところだと思うけど。
タイミングが、最悪だった。よりによって、何故今日なのか。
とにかく…今日は、死んでも倒れるわけにはいかない。
明日はオフだから、今日さえなんとか切り抜けられれば。
そう思って。そう覚悟を決めて。収録に臨んだ。
- 723 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:29
-
その日の夜。
ベッドに横たわり、体温計を見ながら、ため息をひとつ。
熱、咳、のど。典型的とはいえ、激しい症状が辛かった。
けど、何とかごまかすことはできたはずだ、と。
誰にも気づかれなかったはずだ、と。
確認するように、今日の収録のことを思い出していた。
…ほどなくして。
着信音。
ベッドから這い出て携帯を取る。亀井さんからだ。
声を整えるための、何回かの咳。そして、ボタンを押す。
- 724 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:30
-
「…もしもし?」
「もしもし、せんぱい?」
「亀井さん、おつかれさま」
「おつかれさまです」
「うん」
「せんぱい、今、家ですよね?」
「え?」
「家にいますよね?」
「あ、うん」
「今から行きますから」
「えっ?」
「そのままで、いてください」
「ちょ、ちょっと」
「………」
「亀井さん?」
「………」
切れて…しまった。急に、どうしたんだろう?
- 725 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:31
-
あれから5分も経たずして、亀井さんはやってきた。
すぐ近くで電話してきたらしく、さすがに慌てたけど。
なんとか着替えだけを済ませ、玄関へと急いだ。
「亀井さん?」
「はぁ、はぁ…せんぱい」
ビニール袋を手にした亀井さん。
息を切らせていて、いよいよただ事ではない。
「そんなに急いで…どうしたの?」
「はぁ、はぁ…」
「………」
「お、お邪魔して、いい、ですか?」
「あ、うん。あがって」
「…はい」
- 726 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:32
-
リビングで、息を整える亀井さん。
その姿が、先週の弱った亀井さんとダブって見える。
「亀井さん、病み上がりなんだから」
「………」
「そんな無理しちゃ…駄目だよ」
「…絵里、もう平気ですから」
「………」
「そんなことより」
「………」
「せんぱい…着替えましたね?」
「え」
「そのままでいてください、って言ったのに」
「え?」
「早く着替えて、休んでください」
「え?え?」
「風邪」
「………」
「ひいてますよね。せんぱい」
「………」
…そんな。
- 727 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:33
-
張り巡らしていた防御線が、もろくも崩れ去って。
のどの辺りに溜め込んでいたものが、一気に吹き出す。
「せ、せんぱい?」
「…っ」
「だ、大丈夫ですか?」
「………」
「…せんぱい」
「………」
「と、とりあえず、横になって」
「…うん」
背中をさすられながら、寝室へと向かって。
だるい体をベッドに横たえながら、恐る恐る亀井さんに尋ねた。
「もしかして、さ」
「はい?」
「みんな…知ってる?」
「せんぱいの、ことですか?」
「うん」
「…わかりません。でも」
「………」
「スタッフさんは、知らないと思います」
「…そっか」
…よかった。
一番知られたくなかった人達には、隠し通せたみたいで。
けど、そう思って胸をなでおろしたのは、まずかったらしく。
再び、激しい発作に見舞われてしまった。
「せ、せんぱい?」
「…っ」
「せんぱい…しっかり」
背中をさすってくれる亀井さんからの、いたわりの言葉。
その声は、とても痛々しくて。なんだか申し訳なかった。
- 728 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:34
-
咳が収まるのを見計らって、亀井さんが続ける。
「…せんぱい」
「…うん?」
「絵里。今日、すごく辛くて」
「え?」
「せんぱいが調子悪そうだってことに、気がついて」
「………」
「それを隠そうとしてることにも、気づいて」
「………」
「その理由も、すぐに分かって」
「………」
「分かった、から…誰にも、何にも、言えなくて」
「………」
「先週のせんぱいみたいに、できなくって」
「………」
「早く収録が終わってほしいって」
「………」
「そう思うことしか、できなくて」
「………」
堰を切ったような亀井さんの告白と、その表情。
どれほど思いつめていたのかが、痛いほど分かって。
ますます、申し訳がなかった。
- 729 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:34
-
「だから…」
「…うん」
「謝りに、来たんです」
「…え?」
「ごめんなさい…せんぱい」
「…謝る必要なんか」
「あるんです。だから…受け取ってください」
「………」
「それと」
「…うん」
「先週のお礼。まだ。ちゃんと言ってませんでした」
「………」
「ありがとう…せんぱい」
感謝を伝える、シンプルな。けど心に響く、その言葉。
求めていたわけでは、もちろんなかったけど。
こうして実際に貰えると、この上なく嬉しくて。
今の僕には一番の特効薬だって。そう思えた。
そして。
- 730 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:35
-
「…本当に、申し訳ないな」
「え?」
「あ、いや」
「………」
「いろいろ、気遣わせちゃったね」
「そんなこと」
「いや、ホントに。ごめんね」
「………」
「………」
「…せんぱい」
「うん?」
「そうやって…気にかけてくれるの」
「………」
「すっごく、嬉しいですけど」
「………」
「そうしたいのは、絵里も同じだから」
「………」
「だから…せんぱいは、謝らないで」
「………」
「ね?」
「…うん」
「はい」
諭すように、亀井さん。その表情は、幾分和らいで。
背負っていた負い目を、また少し、取り除いてくれた。
- 731 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/17(金) 22:40
-
>>702-708 の続きです。
長くてすんません。辛抱強く読んでもらえれば…有難い
>>717-718
ジュンジュンキタコレ
続きに期待
- 732 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:38
-
帰り支度の最中、別の仕事で離れた楽屋にいたはずの先輩顔を出してくれた。
いつもの笑顔と右手に提げた魅惑的な箱と一緒に。
「差し入れもらったけど、食べる?」
そうかけられた声に何人かが目敏く反応した。
「アイスだ!」
「ケーキ?」
「どっちもハズレ」
小春とカメの勢いに先輩が笑う。
部屋の真ん中にあるテーブルで広げられたそれを真っ先にのぞき込んだのはさゆだった。
「やぁん、プリンだー」
「美味しいらしいよ」
キチンと人数分あったプリンはあっという間にそれぞれの手に渡り、みんなと同じようにプリンを手にした先輩が私と愛ちゃんの間に座る。
割とこういう形になることが多いのは私…私たちも先輩に認めてもらえてるのかって少し嬉しくなる。
たまたまかもしれないけど。
- 733 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39
-
プリンを手に考えていた自分の立ち位置みたいなものは、突然の大声でかき消されてしまった。
「あーーーっ!?」
耳元で聞こえた甲高い叫び声。
どっかのアニメ…まぁそれも間違いじゃないけど。
とにかくそんな声を出した当人へ視線を向けると、この世の終わりみたいな顔をした小春が足元を見つめていた。
「小春のプリ~ン……」
「……はぁ、あんた子供じゃないんだからあ」
そう口にしてから気がついたけれど、まだ充分に子供って言える歳だっけ。
ため息をついて落としたプリンを拾い上げて、もったいないけどダメだねって小春を見上げる。
小春は今にも泣き出してしまうんじゃないかって顔で私を、それともプリンをかもしれないけど、ともかくそんな顔で見てる。
- 734 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:39
-
「もおーっ」
目線を感じながらも床を拭き終えて、そう洩らして立ち上がる。
小春がビックリしたって目で追ってくる。
「ほらっ、あげるから」
差し出したのは未開封のプリン。
小春はどうしようか迷ってるみたいだった。
「ほらあっ。そんな顔しないの」
「……ありがとおございます」
もそもそと、だけど嬉しそうにプリンを口へ運ぶ小春を見てまた一つため息が洩れた。
自分の席に腰を下ろそうと振り向くと、何故だか嬉しそうに笑う先輩と目があった。
- 735 :『あーん』:2007/08/19(日) 22:40
-
「な、なんでしょう?」
「新垣さんの分、無くなっちゃったね」
「すいません。せっかくせんぱいが持ってきてくれたのに」
「じゃあさ、こうすればよくない?」
そう笑う先輩は小さなプラスティックのスプーンでプリンを掬って……あれ?
えっと……
「あーん」
「はい?」
私の目の前に一口のプリン。
でもそれを持ってるのは先輩の手で。
先輩のプリンで。
あーんって……
「ほらっ。あ~ん」
「でも……」
「新垣さんが食べないなら小春が――」
「ダメぇ! 食べるっ、いただきます」
言ってから気がついた。
先輩が……、先輩と小春が楽しそうに笑ってることに。
余計な知恵ばっかりつけた後輩を一睨みして、差し出されたプリンに目を戻す。
「あーん」
なにがそんなに嬉しいんだろうってくらい、先輩は嬉しそうに笑っている。
おずおずと開けた口にそっと放り込まれたプリンは。
なんか悔しい気もするけれど、特別美味しいかもしれないって思った。
- 736 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/19(日) 22:46
-
……リハビリリハビリ(^-^;
皆さんさくっと書かれてるんで、そろそろなんか書かないとと(笑)
- 737 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:11
-
…あれから、しばらくして。
「亀井さん」
「はい?」
「今日はありがとう」
「いいえ、そんな」
「ううん、ホントに。で」
「はい」
「そろそろ…帰った方が、よくない?」
「………」
「風邪、移しても悪いし」
「………」
「あんまり遅くなっても…さ」
追い返すような言い方になってしまったのを悔やんだけど。
その理由は本心だし、仕方がないと思い直す。
と、俯き加減だった亀井さんが僕へと視線を戻した。
「…はい。けど」
「………」
「もうひとつ、やりたいことがあるんです」
「え?」
「お詫びと、お礼を兼ねて」
「………」
「せんぱい」
「ん?」
「キッチン、借りていいですか?」
持ってきたビニール袋を手にしながら、亀井さんが尋ねる。
その中身と。目的と。止めても無駄なんだろうことを理解しつつ。
今にも走り出していきそうな亀井さんに、頷いた。
- 738 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:12
-
…しばらくして。
「せんぱい、できましたよ」
「うん」
「今、食べます?」
「何を、作ってくれたの?」
「おかゆです」
「おかゆ」
「………」
「…ありがたいな」
「ホントに?」
「うん、ホントに」
「…よかったあ」
「………」
「で…どうします?」
「うん…少し、頂こうかな」
「じゃあ、持ってきますね」
「ありがとう」
言いながら、キッチンへと駆け戻る亀井さん。
茶碗とれんげの乗ったお盆を持ちながら、ゆっくりと戻ってきた。
そして、それじゃあ、とばかりに手を伸ばした僕の手をパチリ。
笑みを浮かべるその表情に、少しの胸騒ぎを覚えた。
- 739 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15
-
「せんぱい?」
「う、うん」
「あーん」
「………」
「………」
「…亀井さん、勘弁してよ」
「いいじゃないですかー」
「いやいや」
「………」
「なんか恥ずかしいし」
「他に誰も、いませんよ?」
「そういう問題?」
「…もう」
口を尖らせる亀井さん。諦めてくれたかと、思ったんだけど。
「…じゃあ」
「え?」
「1回だけ」
「………」
「それでも…ダメですか?」
懇願するような口調と。一転して、切なげにさえ見える表情。
ずるいなあ、と思わせるそれに、結局僕は…負けてしまった。
「…1回、だけね」
「はい」
「………」
「じゃあ」
「…うん」
「あーん」
「…あーん」
「………」
「………」
「…どう、ですか?」
「…おいしい」
「ホントに?」
「うん。すごく、おいしい」
「…えへへ」
お世辞とか、亀井さんが食べさせてくれたからとか。
それは、そういうことじゃあ、全然なくて。
味覚と嗅覚が訴えるものの、限りなく純粋な表現だった。
- 740 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:15
-
「ごちそうさま」
「まだありますから、後で食べてください」
「うん」
とても病体とは思えない、あっという間の完食。
未だに残る食欲を抑えつつ、再びベッドに横たわった。
「味、塩だけじゃないんだね」
「はい。いろいろです」
「へぇ…」
「………」
「料理、結構やってるんだ」
「いえ、全然」
「…そうなの?」
「はい」
「そんな風には、思えないけど」
「………」
僕の疑問には答えず、お盆を手に立ち上がる亀井さん。
その歩みが、ドアの前でピタリと止まった。
- 741 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:16
-
「お母さんに、前から言われてたんです」
「…どんなこと?」
「料理できないのは、いろいろ忙しいし、仕方ない」
「うん」
「けど、おかゆの作り方。それだけは」
「………」
「しっかり覚えておきなさい、って」
「…そうなんだ」
「はい」
「………」
「なんで?って、聞いてみたんですけど」
「うん」
「教えてくれなかったんです」
「………」
「そのうち分かるから、って」
「………」
「…ようやく、分かりました」
「………」
「………」
「…なるほど」
「はい」
「いい、お母さんだね」
「はいっ」
振り返りながら、ちょっとだけ語気を強めた亀井さん。
心底嬉しそうで、ちょっと得意げな笑顔の亀井さん。
料理する前に着けたらしい、エプロンをまとったままの亀井さん。
その姿が、この前会った、亀井さんのお母さんと重なる。
そして。
「おやすみなさい。せんぱい」
スイッチを操る音と共に訪れた暗闇に、かき消されていった。
- 742 :統計(仮称) ◆StatPfTBPc :2007/08/21(火) 01:19
-
>>722-730 の続きです。
>>732-735
「あーん」、かぶってもた。面目ない。
- 743 :名無し娘。:2007/08/22(水) 00:12
- 舌の記憶
- 744 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:29
-
「おめでとう」
「え?」
そう呟いた僕へ、愛ちゃんが驚いた顔で振り返った。
「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「一日すぎちゃったけどね。なんでかな、昨日うちに帰ってから不意に思い出したんだ」
「嬉しいです。覚えててくれて」
それは本当に喜んでくれている、そんな表情で。
あまりに真っ直ぐに向けられた感情は、逆に僕を心苦しくさせた。
「なにもお祝いとかはないんだけどね」
自分の居た堪れなさから目を背けるように苦笑いを浮かべて逃げる言葉。
けれど愛ちゃんはブンブンと首を振って、何故僕がそんなことを言うのか信じられないって顔をする。
- 745 :『Anniversary』:2007/08/27(月) 22:30
-
「そんなん要らないですっ。あ、要らないってその…ヘンな意味やなくて」
「うん。判ってる」
「あの…、せんぱいがそうやって、……覚えててくれただけで充分って意味で」
「そう? そっか。愛ちゃんは覚えてたの?」
「当たり前ですっ」
何の気無しに問い掛けた言葉だったけれど、返ってきた言葉は思いも寄らない強さを持っていた。
目を丸くした僕へ愛ちゃんが申し訳なさそうに「すいません」と口早に言った。
「あ、なんでもないから。うん。ちょっとビックリしただけで」
「すいません」
もう一度謝る愛ちゃんは六年の月日を経ても変わらないヘンな生真面目さと。
そして六年の月日を経た女性らしさを見せる表情をない交ぜにする。
「……うん」
僕はその変わらない部分も、変わっていく部分も、どちらも愛らしく微笑ましくて笑顔にさせられて。
ただ多くを語る必要もなく頷いただけだった。
「忘れるわけないです。先輩と……」
俯いていく横顔と小さく掠れて消える言葉。
辛うじて耳に届いたその言葉は、僕を気恥ずかしい心持ちにさせた。
- 746 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:30
-
「おめでとう」
「え?」
「記念日、だよね」
「あっ……。覚えててくれたんですか?」
「うん。今日だよね」
「は? あの……」
「うん?」
「六周年…です」
「え?」
「あれ?」
「六周年?」
「そのことじゃなかったですか」
- 747 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31
-
「っていうと……」
「あ、じゃあ麻琴が卒業して一周年……」
「それってお祝いすることじゃない気がしない?」
「ですよね。えっとじゃあ……?」
「だって……」
「メロン記念日さんが八周年」
「……それ、気がつかなかった」
「せんぱいちょっとヒドイです」
「すいません……」
「ほしたらなんの…?」
「えっと、あれ? ……なんだったっけ」
「何周年なんですか?」
「四周年だって」
「それはハッキリ覚えてるんですね」
「……うん。そうみたい」
「なんやろ」
「なんだろうね」
「ほやったらとりあえず」
「とりあえず」
- 748 :『あにばーさりー』:2007/08/27(月) 22:31
-
「「四周年おめでとうございます」」
- 749 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/08/27(月) 22:33
-
えっと……同じ出だしで二本立てとか。
ああ、ごめんなさいごめんなさい。石とかは投げないようにお願いします(^-^;
とりあえず。
おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
ではまた。
- 750 :-うぉーあいにー-:2007/09/05(水) 00:05
-
センパイ。
少し片言の日本語で僕を呼ぶ声。振り返ると、そこにはジュンジュンが
立っていた。
お、どうしたの? ジュンジュン。
アノ、私とセップンしてクダサイ。
は?
セップンしてクダサイ。
あの、ジュンジュン言ってる意味わかってる?
え? コレ言ったらセンパイ喜ぶイってたから。
ジュンジュンの後ろの方を見ると、僕が見ていることに気づいていないのか
二人で笑っている、さゆと絵里。なるほど…
ジュンジュン。
は、ハイ?
あのね、日本語でセップンって言うのは、キスってことなの。わかる?
セップン・・・キス?
そう、チューのこと。
ジュンジュンは、その瞬間顔が真っ赤になった。
僕とセップンしたいの?
イ、イエ…
僕は、ジュンジュンとセップンしたいよ?
え?
ジュンジュンの肩を優しく抱きしめる。そして、ゆっくりとジュンジュンと顔が…
駄目~!!
すると、さゆと絵里が走ってやってくる。僕が見つめると、逃げようとする絵里と
さゆの首根っこを捕まえる。
こら!! ジュンジュンにうそ教えたら駄目だろ!!
ごめんなさ~い・・・
ジュンジュン、ごめんね。こいつら、今怒るから。
・・・
-チュッ-
両手が塞がった状態で、僕の頬になにか柔らかいものが触れる。
我想?・・・
え?
そう言って走り去っていったジュンジュンの背中を見つめながらも、悪ガキの首根っこは離さなかった。
- 751 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/05(水) 00:06
-
初の新メンのジュンジュンを登場させました。
いやぁ~、意外と片言っぽくするの大変だ…
勉強しなくては・・・
- 752 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:21
-
それは秋のツアーに向けてのダンスレッスン中だった。
流れていた曲が急に止まり先生の声が響いた。
「なにやってんのっ!」
「…すいません」
「謝らなくていい。なんで動きを止めたのかって訊いてんの」
厳しい視線と叱責の先で、自分の身体を抱くみたいな姿勢でいる先輩が俯いていた。
いつもよりもキツイレッスンのせいか、乱れた髪の先から汗がぽつぽつと零れて落ちる。
「すいません……。ちょっと顔洗ってきていいですか」
「…じゃちょっと休憩」
仕方なさそうにそう言った先生が出て行った。
声を掛けて近づく新垣さんに、大丈夫と手を挙げた先輩が深く息をついて出て行った。
その姿があのときの先輩とダブって見えて、胃がキリキリと締め付けられるみたいな不安感が記憶と一緒に蘇ってくる。
感情に…、その不安感に責め立てられるままに先輩の後を追ってしまった。
- 753 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22
-
飛び出した廊下の向こうにいつもよりも少し小さく見える背中が消えていった。
小さな違和感に囚われる。
廊下を歩きながらふと視界に入ったそれで気がつかされた。
給湯室。顔を洗うと言って出て行ったのならここでいいんじゃないんだろうか。
なら……?
先輩が向かった先は。
T字に分かれたその方向は。
「せんぱい…」
そう口にしてしまってから声に出したことに気がついて、解放されたように膨れあがる懸念が指先に伝わる。
その震えた手に無理矢理に力を込めて、握ったドアノブをそっと回した。
「――えっ?」
色を変えたシャツを脱いでいた先輩は、しなやかな身体に汗を光らせたままで……
上体だけでこっちを見ている先輩は、少し険しい顔つきで右手を左の肘の辺りへ添えていた。
- 754 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:22
-
「せんぱい……?」
「れ、れいな? どうかしたの? あ、っていうか、ほら、着替え中だけど」
れなを見止めて変わった表情は、ほんの少しだけぎこちない笑顔。
茶化すように出された言葉に残る微かな動揺がれなを踏み込ませる。
「せんぱい、もしかして……左腕」
「なんで? どうもしないよ」
「あのときの、ですよね」
「だからー。関係ないってば。ちょっと寝不足。昨日遅くまで――」
「なんでっ!」
なんでって。
本当にただそんな気持ちで一杯だった。
「れいな……?」
「なんで……」
「な、なにがさ」
驚いたって顔をしていたのは一瞬だけで、すぐに笑顔に戻った先輩がそう呟いた。
今ならそれがごまかしだって解る。
もちろんそれは悪い意味で、先輩が自分のためにするごまかしなんかじゃなくて。
メンバーみんなを、今はれいなのことを考えてのごまかしだってことも。
だけど……
- 755 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:23
-
「せんぱいはいつも……いつも、いっつもそうやって! そうしてるとき“せんぱい”はどこにおるとっ?」
「え……?」
「れなは前に言ったこと、忘れとらんけんっ。それともやっぱりせんぱいにとってれなは頼りにならんと?」
「僕も……」
激情に駆られて吐き出した言葉は後輩であるれいなが口にして良い言葉じゃなかったかもしれない。
けれど先輩は前の…あのときみたいに真剣で、それでいて優しさも感じる目でれなを見つめる。
「僕も忘れてなんかいないよ」
「ならっ――」
「本当のこと、話すから」
困らせてしまっているのは知っていた。
従順に甘えていれば先輩にこんな顔をさせることもないことも。
けれどそれじゃあいつまでも、いつまで経っても越えられない壁があることにも気がついたから。
「聞かせてください」
「うん。あの後、まあ多少無理したからだけど、体力が落ちてくると痺れるみたいな感じになるんだ」
「やっぱりれなの――」
「待ってって。ちゃんと先生…あ、お医者さんね? 先生とも話してるから。
ちゃんと体力つけて、定期的に通院すれば問題ないって。そう言ってもらってるんだ」
「でも……」
「怪我をしたのは自分。無理をしたのも僕の判断。つまらない詮索されて記事にでもなるのはゴメンだったから」
- 756 :『想い溢れて希う』:2007/09/05(水) 23:24
-
そうやって自分を嘲笑う先輩の表情に胸が締め付けられるような苦しさを覚えた。
違う。そうじゃないのに。
そう言おうとしたれいなを知っていたみたいに先輩が言葉を続けた。
「今の自分に折り合いをつけるだけだから。ちゃんとしてればしっかり治るんだしね。
だかられいなが気に病む必要なんてなにもないんだよ。僕がシャンとしてればいいだけの――」
「やっぱり……」
「え?」
ポツリとついて出た言葉。
けれど形にしてしまえば、それはそういうことなんだって気持ちを強くして。
明瞭な輪郭を作った気持ちは言葉になって溢れる。
「れなが言いたいのは…、れなが思ってるのはそんなことじゃなかっ!」
「ちょ、れい――」
「先輩だとか後輩だとかっ、……それは確かにそうっちゃけどっ。でも違くて。
せんぱいはいつもそうやってれなたちを離そうとする。なんで? なんでそんなにっ!」
「ま、待って、なにを――」
「れなたちはっ…、れいなは……、先輩後輩なんて関係ない! れなはただせんぱいが好きなだけなのにっ!」
「――っ、れ、いな……」
先輩の声が、表情が。
感情に流された言葉によってその色を変質させた。
そう気がついた、気がついてしまったれいなは……その世界から逃げた。
- 757 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/05(水) 23:27
-
前にたてたフラグの幾つかを片づけてみましたが。
さて……どうしましょうかね。
>>751 TACCHIさん
おかえりなさーい。
で、中国語キター。
続きもブログも期待してます。
- 758 :-スカイ・ブルー-:2007/09/12(水) 22:22
-
『じゃんけんぽん!!』
楽屋から出て行く僕とれいな。
「なんで、チョキだしたんやろ?」
「僕も、それ自分に言いたい…」
「これ、ちょっと多すぎん??」
みんなから頼まれたお買い物リストを覗き込むと、僕が居てよかったと思う量だった。
「ってか、これホントにみんな食べるのかな?」
「絶対食べん。これ、絵里やろ? なんね、絶対こんな量食べれんし…」
「ちょっと見せて」
『あっ…』
メモを取ろうとしてれいなの手と僕の手が触れる。メモが地面に落ちてそれを拾おうとしゃがむ。
-ゴンッ-
『ッ!!』
二人で、おでこを押さえる。そして、二人で向き合っているとなぜだか笑いがこみ上げてきた。
「あは…あはははは」
「にひ、ははははは」
「ご…あは…ごめん…はは」
「こっちこそ…にゃはは…すいま…あはは…すいません」
「あはは。行こうか?」
笑顔でれいなに手を差し伸べる。れいなも、笑顔で僕の手を掴み立ち上がる。
「ほら、先輩早くいかんと♪ 愛ちゃんたちが、怒るけんね」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
そう言って、僕の手を引いて走り出すれいな。その日の青空が、僕には本当に澄み渡って見えた。
- 759 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/09/12(水) 22:25
-
今回はれいなメインです♪
>>757 匿名さん
いや~、なんかさすがっすね。匿名さんのれいなに触発されてれいな書いちゃったw
中国語、間違えてた事に気づいたのは秘密w
ブログにも、書いてますがラジオよかったら聞いてやってくださいwww
- 760 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 小春はいつものように僕の膝の上に乗っている。
「いつも」って言うけれどこれってよく考えると凄いことだ。
たまには他の人の膝に乗ればいいのにな…ってそんな問題じゃないか。
「小春なぜそこにいるか?」
ジュンジュンが不思議そうな顔で小春に話しかけてくる。
小春に話しかけてるくせに目はじっと僕を見ているのはなぜだろう。
こっち見ないで。
ジュンジュンのの目はいつもよりも鋭いような気がする。
怒ってるのかな?この間リンリンと名前を間違えたから。
あのときからまだ機嫌がなおっていないのかもしれない。
- 761 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「だって気持ちいいんだもーん」
「気持ちいいのか。気持ちいいのか小春よ」
「うん!」
「あたしも乗るからあっちいけ小春」
ジュンジュンは怖い顔のまま怖いことをさらっと言う。
「だーめ!」
「ダメじゃないろ。あたしも乗るの」
ジュンジュンは怖いだけじゃなくてすごく強情なところがある。小春に似てるかも。
小春とジュンジュンは押し問答を続けていて今にも喧嘩になりそうだ。
どうしようかと困っていたららリンリンが入ってきた。
リンリンはいつもニコニコ笑ってる。
僕がジュンジュンと名前を間違えたときも笑って許してくれた。
他のメンバーとは違う優しさを持っている子だと僕は思っていた。
リンリンに目でサインを送る。
た、助けて……
- 762 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「ジュンジュン。なにやってるの?」
リンリンはあくまで優しく、そしてつたない日本語でジュンジュンに語りかける
「小春わがまま。人の言うこときかない」
まだまだへたっぴなジュンジュンの日本語だけど不思議と言いたいことだけはストレートに表現できる。
小春わがまま。人の言うこときかない。これ以上適切な表現があるだろうか?いや、ない。
「なーんで。小春わがままじゃないもん!ジュンジュンのがわがままだよー!」
「ジュンジュン、なにしたいの?」
「小春の座ってるところに座りたい。でも小春どかないの」
「あらー」
にっこり笑って僕の方に微笑みかけてくるリンリン。
ジュンジュンの頭をなでなでするリンリン。
本当にジュンジュンより年下なんだろうか?なーんて女の子には聞けませんけどね……
- 763 :特等席:2007/09/13(木) 03:57
- 「小春いっつもそこに座ってるよね」
「うん!」
「いつも気持ち良さそう」
「うん!」
うんって…確かにそうだけどさ。そうなんだけどさ。ジュンジュンが怖い目で見てるよ…
「じゃあ、たまにはジュンジュンにも譲ったら?」
「だーめ!ここは小春の特等席なの!」
「特等席?」
あれれれ。なぜかリンリンの表情が変わる。
いつものにっこりとは少し違うにやりとした笑顔で僕の方を見る。
まさかリンリンも僕の膝に乗りたいのかな?という僕ののんきな想像はリンリンのきつい一言に砕かれる。
「あはは。昨日はれいなちゃん乗ってたよ。その前の日はさゆみんも乗ってた。
そこは小春だけの特等席じゃないよ。あはは。」
僕の膝の上に乗っかってた36℃くらいの生き物の体温がすっと下がる。
そのあとのことはよく覚えていない
- 764 :名無し娘。:2007/09/13(木) 16:39
- ジュンジュンが乗ると膝が壊いやなんでもない
- 765 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:05
-
「誕生日おめでとう」
「ええ~。なにそれ~」
当たり前すぎる一言をかけた途端に彼女は不機嫌な顔をする。
僕は思わずカレンダーを見るが確かに今日は9月14日だった。
「どうしたんですか?」
「普通サプライズ的な企画があるもんやんか」
そんなものなのかな。
確かにテレビやラジオの番組ではスタッフがそういうことをするらしいけれど。
でもいつも一緒にいるのに誕生日を知らん振りすることなんてできないよ。
彼女はぷうと口をとがらせてそっぽを向く。
「あらら。プレゼントあげるのやめよっかな」
「どうせ時計やろ。知ってるもん。さゆに聞いてたのは」
「あー、確かに聞いたけどね。何が欲しそうかってことは」
「なんでもっと上手くできんのやろかね。気が利かんわー」
「気が利かないかもしれないけど」
僕はそう言いながら自分でラッピングを解いてプレゼントをあける。
- 766 :プレゼント:2007/09/15(土) 00:06
-
「なんや。ホンマに時計やんか」
「欲しかったんでしょ?」
「まあ・・・・・ね」
僕はその時計を彼女の細い手首に巻きつける。
「プレゼントは欲しいものが一番じゃないの?」
「じゃあ、あたしがさゆに一億円が欲しいって言ってたら?」
「一億円?何言ってるの。僕が欲しいくらいだよ」
「じゃあ100万円って言ったら?」
「だから僕も欲しい」
「じゃあ愛が欲しいって言ってたら?」
「だから僕も愛が欲し・・・・」
口を滑らしてから少し後悔する。
長い沈黙が二人の間を流れる。
二人の間で静かに時を刻む時計はいつの間にか14日の24時を過ぎていた。
- 767 :名無し娘。:2007/09/15(土) 14:24
- 愛ちゃん策士だなw
- 768 :名無し娘。:2007/09/16(日) 08:55
- 愛ちゃんの誕生日だったけど、メールしか送ってない。
まだプレゼントも買ってない。
「明日、謝ろう」
そんな事いいながら、マンションのドアを開けた。
部屋に入り一息つくと、前になかったものがあった。
それは絵だった、しかもハロモニのコントのように絵になっていたのは
愛ちゃんだった。
テーブルの上に可愛い便箋で書いた手紙があった。
「いつもお世話になっている先輩へ私からのプレゼントです」
愛ちゃんありがとう。
でも今日は愛ちゃんの誕生日だよ。
僕は絵になっている愛ちゃんを見ていた。
可愛いな、しかも動かないし。
「愛ちゃん、ありがとう」
愛ちゃんは少し微笑んでくれた。
- 769 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:02
-
九月十三日。時計の針は零時をまわり十四日になっていた。
収録が長びいて押した時間はメンバーに疲労と空腹をもたらし、年少組は一刻も早い帰宅を選び愛ちゃん僕は空腹を満たすことを選んだ。
新垣さんも一緒にきたがったけど、まだ未成年でもあるし、家でお母さんが待っているみたいだと渋々と帰って行った。
ゆっくりと食事を終えた僕らがそろそろと時計を気にしたときにはこんな時間になってしまっていた。
「日付、変わっちゃったね」
「そぉですね」
ここ数日、僕らのリーダーである愛ちゃんは、なにか心を煩わせているようにも見えたから。
だからあえてこうして誘ってみたのだけれど……どうもうまくいかない。
自分に余裕がないからだと心のどこかで謗る声から目を背けたツケなのかもしれない。
「あっ、そう言えばさ。今年はなにがほしい?」
「え?」
半分は心からの、半分は苦し紛れに話題を変えての言葉に、愛ちゃんは不思議そうな表情で応える。
まるで自分が誕生日だなんてことはまるで覚えていなかったように。
「誕生日、だよ」
「あっ…、そうだ。うん……」
「去年みたいになにかの舞台とかにすればよかったかな? 今からじゃさすがに間に合わないけどね」
「そうですね…」
- 770 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03
-
ぎこちなさが饒舌にさせる僕に、愛ちゃんは言葉少なでどこか逡巡してるようにも見える。
その理由が思い浮かばないままで、重ねる言葉を選んでいくのは今の僕には難しいことだった。
そんな迷いを見透かしたみたいに、愛ちゃんが僕の目を見つめてきた。
「物じゃなくてもいいですか?」
「え?」
なにかに踏ん切りをつけたように、不思議なほどサッパリした顔でそう聞かれた。
「あ、うん。なんだろう? どこか行きたいところとか、そんなことかなあ」
「違います。仲直りしてください。れいなと」
「……えっと、なにを、…なんの話だろ?」
突然放り込まれた爆弾が心拍数を跳ね上げる。
辛うじて返した言葉に力なんて無いのは自分でも解っていた。
- 771 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:03
-
「なんかあったのくらいわかります。せんぱいのことはよく見てるから……」
「そっ――」
「れいなと、仲直りしてほしいです」
「別に……、ケンカしてるわけじゃないよ」
「やけどギクシャクしてます」
「そう、だね」
「なんかあったんでしょ?」
「まあ、うん。ちょっとね。…でもほら、そんな心配するようなことじゃないからさ」
嘘だ。
自分でもそんなこと信じてなかった。
なにか行動を……しかもよほどよく考えて、場当たり的ではなくしっかりと決めて動かなければ前みたいにはいられないだろうと。
- 772 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:04
-
「ウソばっか」
「う、嘘じゃないよ」
「わかりますって。せんぱいすぐ一人で抱え込んじゃうから。言いたくないのか言えないのか知らないけど」
「……そんなつもりないけど」
「じゃあなにがあったか教えてくれますか?」
努めて明るく出された声に息苦しさを感じる。
それは愛ちゃんのせいじゃなく、そんな声を出させている自分のせい。
だけど……
「それは…、内緒。でもホントに、大丈夫だから。ね?」
全てをさらけ出してしまいかけ、危ういところで自制した。
愛ちゃんはほうと一つため息をついて、それから静かに笑った。
「れいなとなにがあったのか知らんです。けどれいなのこと真っ直ぐ見れんようなせんぱいはヤです。
……ほやからプレゼントくれるんならいつものせんぱいをください」
「愛ちゃん……」
きっと愛ちゃんはなにも知らない。
けれど感覚的に捉えたことからそうなっただけなんだと思う。
でも今の僕にそれを求められるのは……
- 773 :『ギリギリ』:2007/09/16(日) 21:05
-
「せんぱい…」
愛ちゃんが小さく呟いた。
決めきれない気持ちが表情に出てしまっていたのかもしれない。
心配げな愛ちゃんの目が僕へ動けと促した。
「愛ちゃん……」
「はい?」
「愛ちゃんがそうしてほしいって言うなら、僕はそうしたいと思う」
「……うん」
「ただ……」
一度言葉を切った僕を愛ちゃんは真っ直ぐに見つめてくれている。
この目は裏切れないし裏切りたくない。
そう思う気持ちは本当だったから。
「いや、うん。大丈夫。ちゃんと前みたいに話せるようにするから」
「…はい。高橋は信じてますから。せんぱいのこと」
そう笑う愛ちゃんが少しだけ寂しげに見えたのは僕の心が揺れているせいだろうか。
僕には片づけようのない気持ちばかりが積もっていく苦しい夜だった。
- 774 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/09/16(日) 21:15
-
ああ、どうしようどうしよう(^-^;
>>759 TACCHIさん
いやあ、明るいれいなでいいですねえ(笑)
来週ですね。正座して待ってようと思いますよ。
んで。
さしみ賞でここに書く方がいらっしゃるんですね。
いやはや、うまいうまい。
参っちゃいますよね(^-^;
- 775 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
- 突然の電話で唐突に呼び出されたのはとあるホテルの一室だった。
「なあなあ、こんなとこに呼び出してなんなのさ」
「や、悪いとは思ったんだけどさー。あんたしか思いつかなくって。
あたしもマネージャーさんもね」
そう指差した先でよっすぃーのマネージャーさんが僕を拝み倒していた。
たまたま僕だけがオフで、おまけに予定がなかったからいいものを。
ん?というよりも僕だけがオフだから呼び出されたと考えるべきなのか?
そんなことを考えているとホテルの従業員らしい男女が二人、僕らのところへ歩いてきた。
「なあ、仕事なのはわかったけど、一体何の仕事なんだよ」
「……すぐわかるから。あたしの口からは説明しづらいんだってば」
「なんなんだよ、ったく」
ぼやいた僕へ相対したのは女性の方。
「ではこちらへお願いします」などととても愛想よく見える営業スマイル。
今は娘。じゃない誰かさんにも見習って欲しいくらいの。
よっすぃーはマネージャーと男性従業員に連れられて別室でなにかあるらしい。
先を歩く女性の背中へ追いかけながら「あのー、僕はなにをすればいいんですかね?」、などと聞きかけて思い止まった。
事務所の不手際を晒すようで微妙に気がひけたからだ。今更とも言えるけど。
が、ある部屋へ通されて細々しくレクチャーを受けた僕は激しく後悔することになった。
「嘘でしょ……?」
思わず呟いたのも無理からんことってものだろう。
- 776 :☆ フォトグラフ ☆:2007/09/17(月) 18:33
- 様々な準備でかれこれ一時間以上は費やされただろう。
窮屈な衣装を着せられ、したことがないほど濃いメイクをほどこされた僕は撮影スタジオへ足を踏み入れた。
先に準備を済ませたよっすぃーの盛大な笑い声に深い嘆息を洩らし指し示された場所へ辿り着く。
隣にどこかで見たような気がしなくもないよっすぃーが笑いを堪える仕草。
「知ってたのか?」
そう訊いた声が一段低いトーンになるのは抑えきれなかった。
「……ぷっ、…いや、知らな……くもなかったけど。……っ」
返ってくる声が所々で途切れるのが癇に触って仕方がない。
「後でなんか奢ってもらうからな」
「ふはっ、……や、奢る。奢らせてもらいますとも。こんな面白いモン見せてもらったんだから」
「それとだ。娘。のメンバーには言うなよ。この仕事のことは」
「わかった。わかったってば」
それから数分かけて、なんとか不機嫌さを押し隠した僕と、なんとか笑いを堪えきったよっすぃーと。
二人並んで仲睦まじく写真に収まることになった。
何故だかウエディングドレスの僕とタキシードのよっすぃーで。
数日後。
何人かの娘。たちに大爆笑され、何人かの娘。たちに激しく責められた。
笑い袋な先輩から広まったんだとは後から聞かされた。
- 777 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
- 久しぶりに亀井さんと二人で食事をする
といっても高級なレストランなんかじゃなくてただのお弁当なんだけど
でも亀井さんが自分で作ってきてくれた手作り弁当だから
ありがたくいただかないとバチが当たるかもしれない
亀井さんは黙々と食べている
いつもの彼女からは考えられないくらい静かだ
彼女は「はい」と言ってゆで卵を僕に渡す。食べていいのかな?
「それは絵里が食べる分だからね」
亀井さんは眠そうな目を一瞬だけ鋭くさせて僕を見る
「どういうこと?」
亀井さんが食べる分をどうしてわざわざ僕に渡すんだろう?
「殻むいてください」
なんでも亀井さんは元気がなくなるとゆで卵の殻がむけなくなるらしい
ずっと一緒にいるけどそんなの初めて聞いたよ!
亀井さんは僕の前にずらっとゆで卵を並べる
これ全部僕がむくのか………ううむ。手ごわい。
でもこれを全部食べたら亀井さんも少しは元気が出るかもしれない
- 778 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:12
- 「元気がなくなるとね。もういいやってなっちゃうの」
くすくす笑いながら亀井さんが言う。ちょっとは元気出てきたかな?
「もういいや?」
殻をむくのが面倒だから食べなくてもいいやってなっちゃうのかな?
「殻ごといっちゃえ~って」
おいおいおいおいおい
僕は思わず手を滑らせてゆで卵を取りこぼす
いくらなんでも殻ごとはまずいですよ怪我しますよ
ていうか本当なのかな?からかわれているだけなのかな?殻だけに。なんちゃって
「もしかして亀井さん、僕のことからかってます?」
「えー、からかってないよー」
「殻だけに」
- 779 :ゆで卵:2007/09/18(火) 00:14
- 亀井さんはあああああああああああああああ~と言って後ろに反る
椅子から落ちそうになる亀井さんをすんでのところで椅子ごと抱きかかえる
目と目があって思わず僕は赤面してしまう
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「あは。椅子から落ちるかと思ったよ」
「そんなに反り返るからですよ」
「だって~、殻だけにって言ったもーん」
そう言いながらも亀井さんの目は優しく笑っていた
そしてそれ以上僕のことを責めることもなくじっと殻をむく僕のことを見つめていた
なぜ亀井さんが元気がないのか、僕はその理由はきかない
ただ黙って亀井さんのリクエスト通りにゆで卵の殻をむく
イガイガの殻をとるとつるんと丸いゆで卵が顔を出す
亀井さんの心からもこんな風にイガイガのものがとれたらいいのにな
そして明日からまた元気になってほしい。明日から。殻だけに。なんちゃって。
にやにやしながら殻をむく僕を亀井さんは不思議そうな顔で見つめる
もう一回言ってみようかな
そうしたらもう一回亀井さんは椅子ごと倒れるほどに反り返るかな?
そしたらまた亀井さんのことを抱きかかえて
そして今度は
そんな不埒な想像をしながら僕は6個目のゆで卵にとりかかる
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