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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3

1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m

510 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:09

久住小春

主演/助演ネタの総数: 13個(19位)/14個(19位)
主演/助演ネタ総行数: 670行(19位)/706行(19位)
主演/助演ネタ総字数: 15578字(18位)/16430字(19位)

娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 219個/13個/5.9%(19位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 10991行/670行/6.1%(18位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 245108字/15578字/6.4%(17位)

娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 219個/14個/6.4%(11位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 10991行/706行/6.4%(19位) 
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 245108字/16430字/6.7%(20位)

511 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:10

光井愛佳

主演/助演ネタの総数: 8個(20位)/5個(20位)
主演/助演ネタ総行数: 304行(20位)/289行(20位)
主演/助演ネタ総字数: 7849字(20位)/7720字(20位)

娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち主演/割合: 62個/8個/12.9%(2位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち主演/割合: 2730行/304行/11.1%(5位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち主演/割合: 63721字/7849字/12.3%(5位)

娘。在籍期間中に投稿されたネタの総数/うち助演/割合: 62個/5個/8.1%(6位)
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総行数/うち助演/割合: 2730行/289行/10.6%(11位) 
娘。在籍期間中に投稿されたネタ総字数/うち助演/割合: 63721字/7720字/12.1%(10位)

512 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:11

以上、メンバーの人気度でした。

513 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:13

作者のみなさん、娘。のみなさん、たくさんの夢をありがとう。

514 :名無し娘。:2007/05/25(金) 11:14

匿名さん、ネタ分断しちゃって申し訳ない。

515 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/25(金) 15:18

すごーい♪
いや、すごいっすよ。
やっぱ六期、特にれなえりが期間の割に多いっぽいんですねえ。
書いてる側として意識はないんですが…(^^;)
後でゆっくり堪能させていただきます。

ここまでのデータとしてwikiに載せるといいんじゃ(ボソッ)

516 :名無し娘。:2007/05/25(金) 18:29
これはWikiに載せて欲しいな

517 :名無し娘。:2007/05/26(土) 22:12
>>472-474
「新垣さん」か。。。なんかイイな
プチシリーズ、今後も楽しみです がんばってください

>>476-512
おー

>>513
同じく。歴代作者に敬礼!

518 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:02

さて。
ともすれば些細なことだと思われそうな理由で、けれどとても嬉しそうな“新垣さん”が列から離れていった。
その後ろ、離れていく新垣さんを羨ましげに見ていた亀井さんが、クルリと僕へ向き直る。
黒目がちなアーモンドのような瞳が細められ、さっきまで新垣さんが座っていた席へ腰を下ろした。

「さっ、せんぱい。ガキさんのときみたいなのは要らないですからね」
「二度もしないよ」

読めてますよとでも言うように笑った亀井さんへ笑顔を返して。
そして彼女から知らされた要望を思い出す。

「えりりんなんかオススメなんですけどお」
「それは遠慮します」
「えー!? じゃあエリ――」
「却下っ」

ぶつぶつ言ってる亀井さんへ、決めた呼び名を口にする前に、ふと浮かんだ疑問を投げかけてみた。

519 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:03

「あのさ、いくつか書いてあったけど、これって選択肢は一つしかないようなもんじゃない?」
「んんー? ……そう、かもしんないですねぇ」
「これでいいの? 割と普通だけど」
「普通じゃない呼び方がいいならエリザ――」
「だから却下だってば」
「もおー……。じゃあ絵里からもいいですか?」
「なに?」
「せんぱいは、どうして私たちのこと…、どうして“さん”づけするのかって理由」
「あ、話したことあった?」

確かに僕は後輩でも年下の娘でも、みんな“さん”付けで呼ぶのが普通だった。
一緒にいるうちに変わっていくこともあるけれど、今でもそう呼び続けている娘もいるくらいだし。
けれど、その理由を亀井さん……六期のみんなやそれよりも下の娘たちに話した記憶はなかった。

「ガキさんたちが」
「ああ、そっか。それで?」
「メンバーではせんぱいだけじゃないですか。なんでだろうって、れいなやさゆと話してたら教えてくれて」
「うん」
「『後輩だし年下だけど、子供扱いしたくない。すぐに追いついてくれるって思ってるから』だって」
「そうだね。だいたいそんなようなこと、新垣さんや愛ちゃんたちに聞かれたときに話したかな」
「そんとき絵里は、あ〜、せんぱいは少し違うんだって思って」

520 :『価値 Case-E』:2007/05/27(日) 16:05

今ひとつ話が見えない。
亀井さんの話しぶりや表情は、そのことを嬉しく思っているように感じる。
それなら“さん”付けでいいんじゃないかとも思うけれど。

「だから、そんなせんぱいだから」

ああ、そうか。
それだからこそってことだったんだ。

「それで……?」
「はい。あっ、その……一人前になったとか、追いつけたとか、正直自信なんてないんですけどお
 そういうんじゃなくって。ちょっと……羨ましかったかなあって」
「小春ちゃんが?」
「……はい」

敏感に聞きとめた小春ちゃんが列の後ろでヒョコリと頭を出した。
僕は苦笑しながらなんでもないよって、そう口を動かすと、小春ちゃんは口元で微笑んで浮かせた身体を列に沈めた。

「せんぱい?」
「あ、うん」
「で……そろそろ」
「絵里ちゃん」

どうも今さら気恥ずかしい感じすらする呼び方だけど、他の選択肢よりはるかに呼びやすい。
一方呼ばれた……呼ばせた、と言うべきか。
亀井さ…絵里ちゃんは緩む頬に両手を添えて、照れ臭そうに笑っていた。

「あの……」
「え? あ、もう一回。いいですか」
「はいはい。……絵里ちゃん」
「はあい」

なんだろう、これ。
くすぐったいような甘い感覚。
それなりに成長してるはずのかめ…絵里ちゃんは、控え目でいたあの頃にはできなかったものを求めているのかもしれない。
認められた今だからこそ、甘えられる場所。

521 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/27(日) 16:08

なにか表現が足りない気がする…う〜む(^^;)
それはそうと、自分で書いてるメンバーの割合がああ出るとはなあ……気がつかないものですねえ、まったく。

>>517
なんかいいですか? なら描きたかったことが上手く伝わったんだ。
よかったよかった(^^)

>>476-514
とてもとてもお疲れさまで、ありがとうございます。
なにかお返しと思ったけどなにもできない。
ので、私なんぞでよければシチュエーションでもヒロインでも、希望を書いてくだされば最大限やらせてもらうのですが……

522 :名無し娘。:2007/05/27(日) 16:08
「あーあ、会長に怒られちゃった」
「タン、説教されちゃったんだ?」
「うん」
「本当の事言いたいけど口止めされてるし」
「少しは触れたほうが、騒ぎが落ち着くもんね。私の時はそう」
「事務所に従うしかないけど、ファンの人は美貴のこと
嫌いになるかな?」
「嫌いになるんじゃない。私に流れてくれるといいな」
「亜弥ちゃん、冗談はやめて」
「ごめん、ごめん、でもタンのファンは減ると思うよ、
多少の覚悟はないとだめだよ」
「土下座でもしないとだめ?」
「そういうことじゃなくて、クビになる覚悟。自分のやった事は
自分で責任を持つ。これ常識だよ?」
「せめてコンサートがんばらないとね」
「うん」
「事務所クビになったら亜弥ちゃんの家に居候していい?」
「その代わり私のメイドだよ?」
「わかりました、ご主人様」

523 :名無し娘。:2007/05/28(月) 04:02
>>521
統計なんかとってないでネタ作れよ、という感じですよね多分。
でも自分にはネタは無理 And 最近ヒマ、っつうことで作ってみました。
wiki載せは検討します。つーかこんなん載せていいのか。。。

>>希望を書いてくだされば
ありがとうございます。お言葉に甘えてお願いしちゃいます。
えっとですね、凹んだ「僕」をメンバーが慰めたり励ましたり
してくるれる、とか言うのはどうですか?できましたら凹み度最大で。
かくいう私も最近凹みぎみでして、こういうの書いてくださると
癒されるかもしれません。
現在のプチシリーズもとても好きなんでがんばってください。
メンバーの心情がよく伝わってきます。今後も楽しみです。
お願い盛りだくさんですね、すみません。無視していただいても。

>>522
こう現実でいろいろあるとネタ作りも大変ですよね
。。。逆か?

524 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/28(月) 12:34

>>522
おぉ、触れにくいところを突っ込みましたね(^^;)
……私は様子見〜。

>>523
癒しになるかはともかく、描けそうな気はします。
…誰推しですか?(笑)

プチシリーズ、後4回か5回です。多分。
バリエーションがアレですけどねえ(^^;)

525 :名無し娘。:2007/05/29(火) 00:16
>>524
そうだなぁ。。。れいなかな

526 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:09

訪れた覚醒にゆっくりと目を開いた。
視界に映るのは平面的な白。
ゆっくりと瞬いた目が焦点を取り戻し、見えてはいたけれど見ていなかった白を認識した。

「あっ!」
「まだ起きたら駄目だって」

繋がりだした記憶に心臓は動悸を激しくし、慌てて起こした上体へ白く細い手が伸ばされた。
と同時に、僕のものではないやわらかな声が静かに響く。
耳に馴染んだその声は、気遣わしげな声色の中で「落ち着いて」と語りかけるような色彩を帯びていた。

「飯田さん……僕は――」
「倒れたんだよ」
「そう…ですか。ライブは……」
「ちゃんとやれてるから、心配しないで休みなさい」

優しく諭す声に幾分落ち着きを取り戻し、思い出せる限りに記憶を辿った。

527 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:10

その日、GAMのライブにサプライズゲストとして参加することになっていた。
朝起きた身体が少し重く感じた、けれどやれると、そう判断して家を出た。
通しのリハも無難にこなしたし、問題はなかった、ハズだった。
しかし本番が始まり出番が近づいていくにつれ、熱っぽさを感じ、朝よりもつらくなり、自分の身体が危険だとの信号を発していることを認識していた。
けれど……

「僕、どうなったんですか?」

その瞬間は覚えてすらいない。
たった二曲だけれど指が痛みを覚えるまで練習したそれはどうなったんだろう。

「一曲目、松浦と二人でやったでしょ」
「……ええ」
「その後、二曲目に入るとき、センターに置かれたもう一本。
 あれと持ち替えるときにギターがぶつかったみたいに見えた。それで……」
「倒れたんですか」
「うん」

一度落とした照明の中、ステージの両端から出ていく二人にスポット。
少しずつ期待を煽るようなMCの後、センターにピンスポット。
そこにAとMがそれぞれにペイントされた二本のギター。
二人の声が出番を告げ、Aのギターで松浦さんと一曲、そして流れの中でMのギターに持ち替えて藤本さんと一曲。
それで僕の出番は終わる、ハズだった。

528 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11

「たった二曲だったのに……」
「あんまり気にしちゃ駄目だよ」
「でもあの娘たちには大事なライブだったのにっ!」
「落ち着いて!」
「けどっ――」
「いいから休んで。お医者さんにも無理はさせないように言われたんだから」

激昂しかけたところへ、細い腕がなだめるように伸ばされ、昂ぶる身体をそっとベッドへ横たえた。
深く、全てを吐き出すようなため息をつき、掠れた消え入りそうな声で呟いた。

「……情けないです」
「そんなこともあるって」
「調子は悪かったけど、できるって思ったんです」
「うん」
「たったの二曲、十分にも満たない時間だったんですよ」
「そうだね」
「っ……」

自責で壊れてしまいそうな表情をしているだろう僕へ、髪を梳くように慰めてくれる飯田さんが口を開いた。

「大丈夫だから。ね? なんか飲み物でも買ってきたげるから。
 それに……カオリの他にも待ってる娘がいるんだから。そんな顔しないで」
「え……?」

529 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:11

立ち上がり廊下へと消えていった飯田さんの背中が見えなくなった後、開かれたままの病室から小さな後輩が姿を現した。
まるで自分のことのように泣き出してしまいそうな……、もしかしたら実際に泣いていたのかもしれない。

「田中さん……」
「せんぱい、また“田中さん”って呼んどお」

泣き出しそうな顔のままで、それでも僕を元気づけようと出される軽口。
僕は田中さん…、れいなから一度顔を背けて、精一杯の努力でれいなの“せんぱい”である顔を取り戻そうと努めた。

「しっかり休まんといけんし、れなすぐに帰りますから」

顔を背けたことを誤解したのか、れいなは少しだけ声のトーンを落としてそう言った。
後輩にそんな気を遣わせる、情けない先輩ではいられない。

「あっ、大丈夫だよ。全然。そんなに、大したことじゃないんだ」

取り繕った言葉がどこまで通じるのかは解らないけど、それでも“普段”を装えたとは思っていた。
けれどれいなは、僕の言葉にも淋しそうな顔をして見返してくるだけだった。

530 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:12

「た…、ごめん。れいな?」
「せんぱい」
「うん?」
「せんぱいは、れなの先輩やけど……」
「あっ、うん」

言葉を止めたれいなは、小さな手を握りしめて……震えるほどに握りしめて、なにかを堪えているかのように見えた。
泣きそうな顔でなにか堪えているのなら、それは僕のせいなんだろう。
なんて情けない、駄目な先輩なんだろうって、ますます自分が矮小な存在であることを認めさせられてしまう。

「先輩やけど……そんなことせんでよかっ」
「……え?」
「そりゃせんぱいは、れななんかよりも強いけど、
 でもそのせんぱいがさっきみたいな顔するほど辛いときにまで……」
「れい…な?」
「そんなに辛いときにまで強がらなきゃならんほどれなは頼りにならんとっ?」

泣き出しそうな顔で僕を怒鳴りつけるれいなは、きっと今の僕のように自分の無力さを、情けなさを悔しく思っているのかもしれない。
僕は……なにをしているんだろう。

531 :『強いふり』:2007/05/30(水) 00:13

「れいな……」
「せんぱい」

一つ息をついたれいなが僕を呼ぶ。

「れなじゃダメなのかもしれんちゃけど、でも……」

自分を無力であると――事実ではないけれど――認識をして、それでも僕を癒してくれるために精一杯なれいな。

「でも、辛いなら辛いって言ってほしい。いつもいつも強くなくってもいい。
 れなの前で……、強がらんくてもいい。ホントのせんぱいもせんぱいやけん」

それはけっして洗練された言葉でもなく、上手な言い回しでもない。
けれどれいなが心からそう思って……僕のためにそう言ってくれていることが伝わってくる言葉だった。
僕を受け止めるんだと、そう伝えようとするみたいに差し伸べられた小さな手。

それが自然なことのように僕は手を伸ばす。
そっと包み込んでくれたそれは、小さな、けれどとてもあったかい手だった。

「せんぱいはせんぱいやけん。れなにとって他に代わりなんておらんせんぱいやけん」

静かに距離を埋めたれいながそうささやきながら、小さな身体で僕を包み込んでくれた。
れいなの体温を、れいなの匂いを感じながら、僕はただじっと時を過ごしていた。
ありがとうと、そう呟いて。

532 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/30(水) 00:15

飯田さんは触媒(ごめんなさい)。

努力はしたけれど、努力だけじゃダメなんだよう(^^;)
むう……

533 :名無し娘。:2007/05/30(水) 01:08
お願いしてから1日もたっていないのに。。。すばらしい
無理難題をこなしてくださって、ありがとうございます
癒されました

シリーズ中断させてしまいましたね、すみません

534 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32

腰を上げたけれど動かずにいる絵里ちゃんへ、ポンと腰を叩いて促した。
「せんぱいのエッチぃ」、なんて言葉と裏腹な表情で絵里ちゃんが離れていく。
笑顔でそれを見送った視線を戻すと、道重さんが向かいに座ったところだった。

「道重さんだ」
「はい。さゆみです」
「うん」
「でももう“道重さん”はいいですからね」
「そうだね」

もう待ちきれないとでもいうように、拗ねた素振りでからかいの言葉。
そう、六期の三人の中で、絵里ちゃんよりも年下だけど、時折見せる“顔”が一番大人びているのはこの娘だったんだ。

「新垣さんも絵里も嬉しそう」
「そう、なのかな」
「せんぱいだからです」

そう言って見せる笑顔はやわらかで、けれどどこか責めるような響きを感じたのは僕に理由があるんだろうか。
僕のそんな迷いに気づいたのか、道重さんは胸の前で軽く手を組んで、小さく小首を傾げてこう言った。

535 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:32

「さゆみのことはどう呼んでくれるんですか?」
「どうって……」

まさか忘れているわけではないということくらい僕にも解る。
だとすればこれは、……イジメられてるのかな。
道重さんから送られてきたメールの中に、選択肢は――比喩ではなく――たった一つだけしかなかったんだから。

「選ぶのはせんぱいでしょ?」
「そうなんだけどね。メール、あれでいいの?」
「なんでですか?」
「なんでって……」

本当にそう思って聞いているのか、それともからかわれているのか。
もしくはどちらでもない、彼女にしか解らない理解の仕方があるのか。
どうにも判断がつかない不思議な感覚。

「だって…希望はあるけど決めるのは、僕?」
「そう書きました。だってみんなも決めるのはせんぱいですよね?」
「そうだけど。なら“道重さん”でもいいってことじゃないの?」
「ん〜、せんぱいがどうしてもそう呼びたいなら、しょうがないですけど」
「ん……、なら」

536 :『価値 Case-S』:2007/06/02(土) 00:33

「さゆ」

彼女の希望はこれ一つだけだった。
これじゃないのなら、僕の好きな呼び方をしてほしいと、メールにはそう書かれていた。
けれどこの呼び方はなんら特別なものではない。
それが道重さんの希望ならそれでもいいかと、そう考えながら呼び掛けた彼女を見ると……

「み…、さゆ?」
「なんですか?」
「あ、いや。これで良かったの?」
「せんぱいにそう呼んでもらえるようになって良かったです」
「うん?」
「ちょっと近づけた気がするの」
「そう?」
「お兄ちゃんみたいな。けどそうじゃなくって。でも近くにいてくれると、え〜っと……嬉しいです」

そう話すさゆは僕の目には100パーセントだった。
1パーセントの混じり気もない、純粋な笑顔。
僕自身、距離があるとは感じてはいなかったし、そう感じさせているとも思っていなかった。
けれどそう感じていたというさゆが、それを変えられるきっかけになるならば。
それは少しだけ特別な呼び名なのかもしれない。
さゆの嬉しそうな笑顔が僕にそう思わせてくれた。

537 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/02(土) 00:55

>>533
こちらこそ半分飯田さんでごめんなさい(苦笑)

さて、プチが半分くらい残って
ヘコんでるんじゃないんですが……参ったなあ、どうしたもんだろう
藤本さん先に使っておくべきだったorz

538 :名無し娘。:2007/06/02(土) 06:42
最後に呼んであげるとか

539 :−サヨナラのかわりに…−:2007/06/02(土) 12:08

「許さない」
「・・・うん」
「許さないけど…許すしかない」
「・・・ごめん」
「謝罪なんていらない」
「・・・だよね」
「なんで、男じゃないのさ」
「・・・女だもん」
「男だったら、殴れるのに」
「美貴も、殴ってほしいよ。殴るだけじゃすまされないし…」
「愛ちゃん、どうすんの?」
「泣いてたね…あのさ…お願いしていい?」
「…はぁ〜、仕事増やすの好きなの? あのさ…ミキ…藤本さん」
「久しぶりだね、そう呼ぶの。あの頃に戻ったみたい」
「茶化すなって…。ふぅー…今まで、ありがとうございました」
「・・・うん」
「藤本さんと一緒に娘。をやれた事を僕は誇りに思っています」
「・・・」
「短いリーダーでしたけど、本当にお疲れ様でした。そして、ソロや
 GAMとして、これから大変でしょうが頑張ってください」
「・・・はい」
「なんか困ったことがあったり、寂しくなったら…僕たちはここに居るから。
 笑顔で待ってるから」
「・・・ありがとう」
「なに、泣いてんだよ。ほら、今から旅立ちなんだから笑えって」
「・・・●●、嫌だよぉ。ホントは、みんなと一緒に…●●と一緒に笑って歌って…
 ごめん、ホントごめん!!」
「バカ…バカ美貴!! ほら、笑えって!! ここで、笑わないと今度笑えなく
 なっちまうぞ!!」
「●●、大好きだよ…ホント今まで色々とありがとう…」
「頑張れ!! バカ美貴、頑張れ!!」
「・・・うん、●●も頑張って」



「ミキティ…ありがとう」

540 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/02(土) 21:13
スレするの忘れてた。帰ってきました♪
これからも、よろしくです。いきなり、こんな作品ですいません(汗)

541 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:43

弾むような足取りで、同期のところへ歩いていったさゆ。
今までとは少し違った気配に向き直ると、そこには確かに今までとは違う状況が待っていた。

「……なんで?」

いつの間にか、すっかり馴染んだツーショット。
中華街で仲良くなれたのか、こんなところでまで一緒にくるとは思わなかった。

「待ってる間に二人で話してたんですけどお」
「なんか考えてたことが一緒っぽいから、じゃあって」

切り出した愛佳ちゃんに小春ちゃんが言葉を添えて。
そういえば二人からもらったメールは、伝え方が違うだけで内容そのものは同じ意味のものだったっけ。

「で、並んで座ってるわけね」
「はい」
「でもだったら、なんで並んでたの?」
「それはだって……」
「なんか勢いでえ」

どこか子供らしい笑いでそう話す二人は、少しだけ懐かしい二人を思い起こさせた。
白昼夢にも似た懐旧を小さなため息にして吐き出して、目の前で座る二人に気持ちを戻した。

542 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44

「でもさ、どうして二人がそう思ったのかって、聞いてもいい?」
「あ、小春はー、嬉しかったからです」
「へ?」
「初めて“久住さん”から“小春ちゃん”って変わったときに、
 なんかわかんないんですけどものすごく嬉しかったんですよぉ」
「そりゃどーも」
「でえ」
「わたしも。あ、でもわたしの場合、気がついたらもう“愛佳ちゃん”だったけど。
 でも、そのぉ……入る前からファンだったから、めっちゃ嬉しくて」
「あ、それは……ありがと」
「だからー……」
「うん」

困った僕がただお礼を言うと、二人は顔を見合わせて少し照れた風に笑う。
それが僕へ促しているサインだってことはすぐに解った。
だから。

「小春ちゃん」
「はーい」
「愛佳ちゃん」
「はぁい」
「これからもよろしくね」

せめて目一杯の気持ちを込めて呼んだ名前へ、それぞれの笑顔で声を返してくれる二人。
自惚れるつもりなんてないけれど、それが二人にとって特別なことならば、僕はそれにふさわしくありたいと思った。
二人がそう言ってくれるだけの価値がある自分になりたいと。

543 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:44

そうして二人が離れていき、ようやく一人になった僕は少し離れたところで話している二人に気づいた。
新垣さんと…愛ちゃん。
愛ちゃんは一連の騒ぎに加わらず、一人でいたはずだった。
はっきりと形をもたずにいる懐疑のままに二人を見ていた目が、ふとしたはずみで愛ちゃんのそれとぶつかった。
僕を見るその目はどこか寂しげで、ぶつかったことに気がつくとすぐに逸らされてしまう。
そんな愛ちゃんの視線に気がついた新垣さんがこっちを指さし、無理矢理に立ち上がらせた愛ちゃんを僕の方へと押しやった。

「……やあ」
「ども。はい」

おかしなくらいぎこちない挨拶を交わし合った。
愛ちゃんの向こうに見える新垣さんが、お願いしますとでも言うように手を合わせ、申し訳なさげにペコリと頭を下げた。
どっちに対する気遣いなのかは判断が付かなかった。
けれどなんか新垣さんらしい気の使い方だなとおかしく思って小さく笑った。

「あの……?」
「あぁ、ごめん」

訝しげな愛ちゃんの見上げるような視線に目を戻す。

「元気ない?」
「…そんなことないですけど」

けど、か。

544 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45

それはカラ元気だって言ってるようなものだ。
言葉も、その表情も。

「愛ちゃんは“愛ちゃん”でいい?」

そう聞くと、愛ちゃんは一度俯いて考えるような仕草で。
それから顔を上げると、「はい」と、キッパリとした口調の一言。
けれどその表情はどこか途方に暮れたような感情が見え隠れしていた。

「あのさ」
「え? はい」
「なにかあるなら言ってくれていいんだからね」
「え?」
「愛ちゃんはヘンに真面目で頑ななことがあるからさ。言いたいけど言わないことってあるのかなと思って」

愛ちゃんは憑かれたように僕を見つめる。
じっと見つめられた僕が声を掛けるかと口を開きかけたとき、ふいに愛ちゃんは俯いた。
顔を上げない愛ちゃんに伸ばしかけた手の先で、小さな肩が震えていることに気がついた。

545 :『価値 LastCase』:2007/06/03(日) 00:45

「あ、愛ちゃん……?」

途惑い空を彷徨う手の向こうでなにかがキラリと光って落ちた。

「どうして、泣いてるの?」
「……ぇん」
「え?」
「ぃえな……」

言えない?
確かに愛ちゃんはそう口にした。

「ど、どうして。言ってくれていいんだよ」
「言えんで……、言った、ら…せんぱいのこと困らせて、嫌われる」

途切れ途切れの言葉に耳を疑った。
嫌うだって……? 僕が、愛ちゃんを?

「そんなこと――」
「あ〜っ! せんぱいが愛ちゃんのこと泣かせたぁ!!」

あっという間に囲まれて、騒ぎの中でひとまず愛ちゃんをなだめることに腐心して。
そんな騒動に気を取られたとはいえ、僕は……気づかずに、気づけずにいた。

546 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 00:47

小春、ミッツィー、ごめんねえ。
愛ちゃんと一纏めで、しかも二人のシーンは短くなったよ。
というわけで、急遽三つを一つに纏めて、もう一つはカット。

>>538
そうする方向にスライドすることになりました(^^;)

>>539
やはりTACCHIさんでしたか。
おかえりなさい(笑)
明日こちらでも似たものをupすることになりそうです……。

547 :名無し娘。:2007/06/03(日) 03:47
>>539
お帰りなさい
さみしーけど、仕方ないよね 諸行無常

>>541
せつない

548 :名無し娘。:2007/06/03(日) 17:06
今日はハロモニのロケの日
「ミキティは来ないのか」
僕はやっぱり寂しかった。
ロケが始まるとなぜかウサギの着ぐるみがいた。
「暑いのにスタッフさん大変だろな」
ロケは順調に終わり、なぜかスタッフさんに呼ばれ、
ウサギがいた。
頭を取ると藤本さんだった。
「ミキティなんで着ぐるみ着てるの?」
「もう美貴ハロモニ出れないから、スタッフさんにお願いしたの」
「そうだったんだ。それならイタズラすればよかった」
「手加減してね」
「それより暑くなかった?」
「暑かった。ちょっとやばいときあったけど、
みんなと一緒にいたかったから」

549 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:06

「なにやってんだよっ!」
「せんぱいっ、あかんて!」

抑えきれなかった感情が声になって溢れ出してしまった。
愛ちゃんが間に入ってくれなければ掴み掛かってしまったかもしれない。
それほどに、瞬間的に沸騰した気持ちに抑制が掛けられなかった。

「ごめん…」
「――っ」
「せんぱいっ――」

身体ごと僕を押し止める――それとも支えるために、かもしれない――愛ちゃんの瞳が。
新垣さんと三人で、事務所の“決定”を聞かされてから泣き腫らした瞳が。
壊れかけた僕をギリギリのところで引き留めてくれた。

「ごめん……」

僕の目を見ることもなく、ただ謝り続ける藤本さん。
二人だけで話がしたいと言った僕に、リーダーになるんだからと同席を強くせがんだ愛ちゃん。
愛ちゃんがいてくれて良かった。
暴れ続ける感情を、僅かでも鎮めようと吐き出した息の中でそう思った。

「美貴ちゃん…」

深い呼吸で気を静めてる僕から、藤本さんへ目をやった愛ちゃんの声。
その声が痛々しいのは見つめている相手故にか、それとも混乱した感情からか、今の僕には判断がつかない。
けれど、そのどちらもが……他のメンバーも含めて、みんなが傷ついていることぐらいは解っていた。
理性では解っていた。けれど……

550 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:07

「なんでだよ……」

僕の問い掛けから逃げるように藤本さんは俯いてしまう。
愛ちゃんが心配そうに見つめている。
僕は激昂しないように抑えた声で、もう一度問いかける。

「なんでなの…?」

絞り出された声は、我ながら情けない声だと思った。
コントロールできない感情は、抑えた激情と入れ替わりに哀しみを浮かび上がらせる。
顔を上げた藤本さんはハッとしたように表情を歪めて僕を見る。

「…ごめんなさい」
「それじゃあわからないよ。……なんで今なのさ」
「美貴はそんなに強くないんだよ…」
「なら僕に話してくれてもっ――」
「アンタだからっ!」

一瞬だけ。
その一言だけが藤本さんの真実であるように。
僕も愛ちゃんも、そして藤本さん自身も圧するほどの声だった。

「アンタだから言えないんだよ……」
「…どうしてさ。僕ならいつだっ――」
「そうやってすぐやさしくしてくれるんだ」
「え?」
「そんなアンタだから……」

泣き出しそうな表情で言葉を詰まらせた藤本さんを呆然と見つめる僕の横で、「美貴ちゃん…」と小さく呟く声が聞こえた。
視界の隅で愛ちゃんがなにかを諦めたような顔で藤本さんを見ていた。

551 :『願いが叶うのなら』:2007/06/03(日) 21:09

「ごめんね」

愛ちゃんへ向けていた視線がその一声で藤本さんへ戻される。
今日何度目かの“ごめん”は、それまでのものとは違って聞こえた気がして。
そのくせ藤本さんは、まるで愛ちゃんを鏡に映したようになにか諦めた哀しげな表情をしていた。

「なん――」
「そんなアンタだから。大好きなアンタだから弱いトコなんて見せたくなかったんだ」
「――っ、な…」
「でも、ごめん。それが結局みんなを裏切ることになった」
「美貴ちゃん…」
「ホントにごめん」

そう締めくくるように話して、藤本さんは席を立つ。
僕はなにを、なんと言っていいのか解らず、止めることも追うこともできないでいた。
愛ちゃんがの小さな手が僕の手に重ねられて、見つめる目線が促していた。

「藤本さん!」

立ち止まった藤本さんは振り返らない。
その背中へ向けて、僕は語りかける。

「僕らは…、僕は……いつでもいるから」

後ろ姿が小さく頷いてくれた。

「だからがんばって……、美貴」

揺らいだ後ろ姿が振り向き掛けて止まる。
藤本さんは振り返らない。

「初めて――、ありがとう…」

最後に小さく感謝の言葉だけを残して、藤本さんは部屋を出た。
後に残された僕らは彼女になにもしてあげられないけれど。
彼女が哀しまないで済むように、そして残されたもののためにも。
頑張っていかなきゃならないんだと心に言いきかせた。
時の神様への願い事を押し隠して。

552 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/03(日) 21:10

なんかこんなんばっかでごめんなさい(ToT)

>>547
書いてる自分も切ない…
こうやって処理させてくださいませ。

>>548
せつない…

553 :名無し娘。:2007/06/04(月) 13:07
プチシリーズ、最後が短くなってちょっと残念 だがよかった
メンバーが先輩をどう見ているかがはっきりしてきた感じ
今後の布石かな

愛ちゃん諦めちゃうのか愛ちゃん

554 :−夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15

「●●、おはよ〜♪」
「あ、ガキさん、おはよ〜」

楽屋で、雑誌を読むことに集中していた僕の横に座るガキさん。
最近、ガキさんは僕に敬語を使うことがなくなった。ってか、僕から頼んだ事なんだけどね。
副リーダーなんだから、メンバーに敬語はおかしいでしょ?って、なんとか納得させて。

「夏服の雑誌?」
「うん。最近、もう暑いから新しい夏用の服買おうかなぁ〜って思ってね。
 そうだ、ガキさんどれが僕に似合いそうかなぁ?」
「え? 私が、選ぶの!?」
「うん、やっぱり女の子の意見が聞きたいからさ」

そう言うと、ガキさんは僕の持っている雑誌を真剣な顔で見始めた。

「う〜ん…これなんかどう? ●●は、白が似合うからこの白い上着で
 中は…このピンクとか? で、下は細身のこんなジーパン履いたらどうよ?」
「お、いいねぇ〜♪ じゃあ、これ今度買ってこようかな?」
「そんなすぐに決めちゃっていいの?」
「うん、ガキさんが選んだんだから間違いないって。今度、コレ着てくるから
 ご飯でも一緒に食べようか? 奢らせてもらうよ」

その言葉に、一瞬にしてガキさんの顔が強張る。

「え…でも…」
「そっか、最近僕ら狙われてるからなぁ〜…」

555 :−夏…思い出-:2007/06/08(金) 21:15

二人で、同時にため息をつく。

「前は、●●と一緒にご飯食べに行ってたのにね…」
「そうそう。愛ちゃんとポンちゃんと麻琴の4人連れてね」
「あの時は、そんな事考えなくてもよかったのに」

ガキさんの顔が、悲しそうな顔になる。

「そうだ。じゃあ、あの時みたいに5人でご飯食べに行こうか?」
「そっか…そうだね♪ うん、そうしよ」
「じゃあさ、愛ちゃんには僕から言っておくから。ポンちゃんと麻琴はお願いしていい?」
「りょーかい♪ だけど、あの時みたいに●●が全部奢ってね?」
「え〜、俺が奢るの〜? もう、先輩じゃないんだしさぁ〜」
「いいじゃん♪ あの時みたいに戻ろうよ」
「仕方ないなぁ〜わかりましたよ。僕が、おごればいいんでしょ?」
「やったぁ〜。じゃあ、あさ美ちゃんとまこっちゃんに連絡してきます」

そう言って、携帯を持って楽屋から出ていく笑顔のガキさんの背中は、
なんだか娘。に入った頃のガキさん…お豆ちゃんを思い出させる姿だった。

556 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/08(金) 21:25

写真集発売記念で、書かせてもらいましたがいかがでしたでしょうか?
副リーダーとなった、ガキさんの今後の活躍に期待してます。

>>546 (匿名さん)
ただいまです。いや〜、これからもよろしくお願いします♪
今度、コラボ作品作りましょう♪

>>547
寂しいですね…ちょっと明るい話題書きたいんですが
今は、ちょっと難しいかな?って感じです。



何か書いてほしい人が居たら言ってください。
なんとか明るくして書いて見せますのでw

557 :名無し娘。:2007/06/09(土) 21:51
「亜弥ちゃん、ファンクラブツアー沢山来てくれるかな?」
「私のファンが来るから来るんじゃない?」
「そうだよね。私を応援してくれるファンの人少ないからね」
「ごめん、タン。冗談だよ」
「でも、本当にあんまり来ないかも」
「そうであっても一生懸命やらないとね」
「そうだね、亜弥ちゃん」

558 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/09(土) 22:42

レスだけですが。

>>553
あと三回、続けるのが厳しかったですorz
含みは持たせたものの……さて。

>>554
ちょっと切なく不思議な感覚になるお話でした。
自分ではまず出てこないだろう話。
( ・e・)<なっち
って言うくらいw

>>557
違う意味で切ない気がします(涙)

559 :名無し娘。:2007/06/13(水) 22:10
>>554
新垣さんもお年頃か。。。

別に明るくなくてもいいんでは?

>>557
ホントにやるの?

560 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:07

どれほどの問題を抱えていても、日々は忙しく過ぎていく。
思い悩む間もないほどに疲れ果てて眠ってしまえるときはまだ幸せだった。
時折ぽっかりと空いてしまう時間に一人で考え込むことすらも許されない現状。
名実共に最も年長となった今では、一人楽屋にこもることも出来ず後輩たちが“頼れる笑顔”でいなければならない。

 せんぱいっ

そう呼ばれることすらも苦痛になってしまいそうな恐怖感。
けれど笑顔は崩せない。
心の歯車に砂でも詰まっているように、ギシギシと変調をきたしていくようだった。

「せんぱい」
「うん?」

いつものような笑顔を作って顔を上げる。

 ギシリ

笑顔までは歪みがでないようにするだけでも力を使う行為になりかけている。
愛ちゃんが気遣わしげに見ている。
マズイ、そう思ったとき、向こうから話を継いでくれた。

「せんぱい、今日一緒に帰りません?」
「え?」
「今日。一緒に帰りましょ。せんぱいもここで終わりですよね?」
「あ、そうだけど」
「なら一緒に」
「うん…いいけど」
「やった! したらまた後で」

短い会話を終えて離れていく愛ちゃん。
そういえば、外は強い雨が降っていたっけ。
とりとめのない思考をスタッフさんの声が遮る。
仕事をしている間の方がまだマシだった。

561 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08

帰り支度を終えて、さてどうしたものかと車のキーを遊ばせた頃、楽屋のドアがノックされ、返事をするよりも先にドアが開いた。
ヒョッコリ顔を出した愛ちゃんは「せんぱい、帰りましょ」と言った途端に姿を消した。
すぐに聞こえてきたのは新垣さんの声。

『バカ! もう、愛ちゃんダメでしょ。着替えとかの途中だったらどうすんの!』
『あ、そか』
『そっかじゃないよ、ちゃんとしないと。ねっ』
『もうわかったて、ガキさん』

今までに何度も繰り返されたやりとりが丸聞こえだった。
小さな苦笑をため息と一緒に吐き出して、二人が待つ廊下へ出る。
眉根を寄せて困ったように小言を言う新垣さんと、なんでそんなにムキになっているのかといった顔の愛ちゃん。
僕はごく当たり前の“日常”に少しだけ自然に笑いながら「帰ろっか」と、二人を促して歩き出した。
後ろから聞こえてくる「ガキさんいこっ」と言う愛ちゃんの口調と、そしてそれへ諦めたような返事をする新垣さんの疲れた声が僕の日常を加速させる。

562 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:08

地下駐車場から表へ出て、暗い空から落ちてくる雨粒がフロントガラスを滲ませる。
あっという間に視界を奪う空が鬱々とした思考をぶり返させる。

「あ、ちょっと止めてもらえます」

まだ敷地からも出ていないうちに、後ろに座った愛ちゃんが言う。
地下から上がって一つ角を曲がったそこは、建物の死角に開けた半端なスペース。
言われたとおりに車を壁面へ寄せて停めた僕が振り向くよりも早く、後部座席のドアが開けられた。

「あっ!」
「え?」

大粒の雨の中、天を仰ぎながら腕を広げた愛ちゃん。
驚いて見つめる僕と新垣さんの前で、瞬く間にその身体を濡らしていく。

「愛ちゃんっ」

我に返った僕が新垣さんを制して外へ出ると、空から僕へ視線を移した愛ちゃんがニッと笑った。

「雨、すごいですね」
「風邪引くから戻ろう! 休んでなんかいられないんだから」
「今、私たちも雨ですよね」
「え…?」
「せんぱい、ひどく雨に打たれたって顔してる」
「愛ちゃん……」

僕は芝居が下手だ。
自覚がないとは言わない、けれどこうもあからさまに指摘されるとは思っていなかった。

563 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:10

「なにかの本で読んだんですけど、『雨は一人だけに降るわけじゃない』んですって」
「な…、なに?」

飛躍する話が僕を置き去りにしていく。
けれど彼女の中では結論へ進んでいるような、そんな表情をしていた。

「せんぱいが雨に打たれてるときは、私も…私たちも雨に打たれてる」
「あっ……」
「だから一人で抱え込まなくっていーんですよ?」

まったく僕は……、前にも言われたっけ『強くなくってもいい』んだと。
何度でも同じことを繰り返すんだ。

「…そうだね。僕たちは仲間なんだった」
「私、リーダーやし」
「うん」

ずぶ濡れで額に張りついた髪を雨がしたたり落ちていく。
けれど笑顔でそう話す愛ちゃんはキレイだった。
見縊られたと憤ることもなく、信頼されていないと嘆くこともない。
おかしなくらいに真っ直ぐな感情を……、僕にはない感情をぶつけられた。

564 :『雨は一人だけに』:2007/06/15(金) 23:11

「けどどんな雨だって、これだけ濡れちゃえばもう悪くないですよね」
「うん?」
「♪〜 I'm singin' in the Rain」

決して大きな声ではないけれど、しっかりと僕まで届く歌声で、軽くステップを踏み出す。
よくそんな古い歌を知っているな、なんて場違いに思うけれど、その歌声は明るく僕を包むようだった。

「♪〜 Just singin' in rain」

動きが止まり言葉が詰まる。
あぁ、そう気づいた僕が後を受けて、そして続きはこうだよと愛ちゃんを導き、愛ちゃんのステップが僕を導いてくれた。

「♪〜 What a glorious feelin'」

二人で手を取って話し合うように歌い、暗い気分を振り払うように軽快に踊る。
こんなヒドイ雨に打たれながらだというのに、しばらく感じることがなかったほど心が弾む。

「♪〜 I'm dancin' and singin' in the rain 〜♪」

車から降りた新垣さんが傘の下で呆れたように笑っていた。
僕がそちらへ視線を投げると、まるでそれを知っているかのようなタイミングで新垣さんが動き出した。
劇中の警官のように軽く咳払いをして僕らを日常へ連れ戻してくれた新垣さん。
僕のマンションでシャワーを浴びた後、僕らは二人並んで正座をし、新垣さんにこってりお説教をされた。
二人顔を見合わせてクスクス笑い、お説教の時間が延びたけれど僕らは笑いあえた。
愛ちゃんも、新垣さんも、そして……僕も。

565 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/15(金) 23:17

こんなんで。
進んでるのか、進んでないのか、そもそも進むのか?(^^;)

566 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:37
>>565
いい話しだなぁ〜やっぱり匿名さんすごいです。
僕も、負けませんよ〜w

というわけで、安倍さんの作品です。

567 :−夏雲−:2007/06/15(金) 23:37

「安倍さん♪」

事務所で、見かけた安倍さんの肩を叩くと笑顔の安倍さんが
僕の顔を見てさらに笑顔になった。

「お、●●〜元気にしてたかい?」
「もちろん。安倍さんも元気そうですね。」
「そうだよぉ〜なっちは、元気元気♪」
「あ、そういえばドラマ見ましたよ」

僕の言葉にすごい嬉しそうな反応。

「ホント!? どう? どうなの?」
「いや、どうなのって言われても…時代劇あんまり詳しくないんですけど
 すげーよかったと思いますよ」
「やった♪ あの撮影大変なんだべさ。かつら結構重いのよ〜忠臣蔵のとき
 思い出しちゃった」
「あ、懐かしいですね〜。僕も、あの時袴でアクション初挑戦しましたからね」
「あぁ〜そうだったねぇ〜。懐かしいなぁ〜」

568 :−夏雲−:2007/06/15(金) 23:38

そんな昔話をしていると、ちょっと寂しそうな顔になる安倍さん。

「なんかあの頃って、毎日が楽しかったなぁ〜…」
「今は、楽しくないんですか?」
「ううん、楽しいよ。でもね、やっぱり一人とみんなとでは違うんだべ…」
「・・・」

ちょっとしんみりした空気。

「あはは、ごめんごめん。安倍さん、しんみりさせちゃったね」

舌をペロッとだして、ごめんごめんと謝る安倍さんを見て、やっぱりこの人には
勝てないと思った。

「いえいえ、こっちこそすいません。いや〜、やっぱり安倍さんはあの頃と変わらなく
 可愛いです」
「もう、●●。そんな事言ってもなにも出ないよ? このこの〜」

そう言いながら、僕の脇腹をつんつん突いてくる安倍さんに
「やめてくださいよ〜」なんて言いながら、そんな事をしてくる安倍さんに
僕は感謝していた。

569 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/15(金) 23:42
安倍さんは、やっぱり僕にとっては『ひまわり』みたいな存在ですね。

>>554 匿名さん
なっちの言葉で、この作品書きましたがよかったのかな?w
僕も、匿名さんの作品は絶対に浮かばないです。
毎回毎回、楽しくて次の展開が気になる作者さんの一人です。
これからも、お互いがんばっていきましょう♪

>>559
ガキさんのアロハロ見てみたいですねw
どうもです。ちょっとずつ回復していこうと思いますww

570 :名無し娘。:2007/06/16(土) 01:34
新リーダーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!

571 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27

テーブルの上に突っ伏して、目を閉じる。

はぁ

僕専用にあてがわれた少し小さな楽屋に響く音。
まただ。今日はこれで何回目だったっけ?
今日だけじゃない、昨日もおとといもその前も。
ここ最近、ため息の数がすっかり増えてしまった。

立て続けに2人の大切な仲間を見送って。
1人目、吉澤さんのときはまだよかった。
平気というわけではもちろんなかったけど、
いずれ訪れるであろうことだと分かっていた。
だから覚悟、というか心の準備みたいなものができた。
でも2人目は。

突然切れた藤本さんとの「娘。」という絆。
なんとも形容できない寂しさと喪失感は一向に治まらず、
逆に吉澤さんとの別れのときにも感じたそれらを刺激して増幅した。
年上2人を一挙に失う。それが僕にはキツいらしかった。
残ったメンバーは全員年下で後輩。僕のことを「せんぱい」と呼ぶ。
高橋さんはリーダーになったけど、この呼び名は変わってない。
後輩たちからいろいろと相談されたり頼りにされたりしたときは
良き先輩として精一杯頑張ったつもりだけど、それができたのは
自分にも先輩や年上がいて、無意識に頼っていたからだったんだと
今更ながら痛感していた。なくしてから気づくなんて、なんて馬鹿なんだろう。
これからもみんなの良き先輩でいる自信は、今の僕からは失われていた。

………頭が痛い。すっかり参ってしまったらしい。
思ってもいなかったことが、口からこぼれる。


「僕も辞めよっかな………娘。」

572 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:27

「え…」
「えっ?」

突然の背後からの声に驚いて振り向く。高橋さんだった。
マズい…聞かれた?

「高橋さん…いつの間に?」
「何を…辞めるんですか?」
「え?」
「何を辞めるんですかっ!?」

僕の質問を無視して発せられた声は、ひっくり返っていた。
…すごく怒ってる。こんな高橋さん初めてかも。
質問からして僕の声は途中までしか聞こえなかったみたいだけど、
もう答えは分かってる、と言わんばかりの調子だった。
だからつい。

「あ、そうじゃないよ?」
「やっぱり!!!」

しまった………

573 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:28

「………」

どう取り繕おうか、そんなことを考えつつ高橋さんを見る。
その表情は一変していて、僕は戸惑った。

「………んで…」
「高橋さん…?」
「なんで…ですか…」

うつむき加減の高橋さん。その声は悲しみの色を帯びていた。

「わたし…ですか?」
「え?」
「わたしの、せいですか?」
「そんな」
「わたしだから。わたしなんかがリーダーだから」
「高橋さん」
「わたしせんぱいの後輩なのに。リーダーなんか」
「高橋さんってば」
「せんぱいをさしおいて、だから」

自嘲の言葉を次々に吐き出す高橋さん。
そんなの聞きたくない。僕は堪えかねて、

「高橋さんっ!!!」
「ひっ!?」

叫んだ。
びっくり顔になっている高橋さんの肩をつかみ、目を見つめ、

「違うから。そうじゃないから。」

まずしっかりと一言。そして誤解を解きにかかった。

574 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:29

「…じゃあ何で…あんなこと?」

話をして落ち着いた高橋さんから、改めて問われる。
少し迷ったけど、他のメンバーには内緒とお願いしつつ、

「お姉さんメンバーが急にバタバタいなくなって」
「最年長としてちゃんとできるか自信なくて」
「誰かいるとは思わなかったから」

今、ネガティブな状態だってことを正直に話した。
高橋さんは何か考えているみたいで、しばしの沈黙。

「………それ、わかります」
「え?」
「もしせんぱいがいなくなったら、私が最年長ですよね?」
「うん」
「わたしは、多分もたない」
「………」
「もし今せんぱいがいなくなったら。さっきみたいにちゃんと話してくれる人がいなくなったら」
「高橋さん…」
「リーダーなんか。ううん、娘。なんか放り出してしまうかもしれない」

高橋さんも僕と同じなんだ。そう思った。
僕は吉澤さんや藤本さんを。高橋さんは僕を。

575 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:30

「わたしにはまだ支えが必要。だから」
「うん」
「辞めるとか、もう言わんでください。お願いです」
「…うん」
「誰もいないとしても、言わんでください。さっきみたいに…その、聞いてまうかもしれんです」
「うん、ゴメン」
「それと…」
「うん?」

ちょっと恥ずかしそうにする高橋さん。頬が染まっている。

「いつもせんぱいが頼りです」
「………」
「今までこういうこときちんと言わんかったから、せんぱい不安になったんですよね。ごめんなさい」
「いやいや」
「信頼してますし。他のみんなもそう思ってるはずです」

今度は僕の番だ。頬が熱くなるのを感じる。
みんなが僕を頼ってくれているという。本当に?

「…そうかな?」
「そうです。だから」
「うん」
「自信もって、いいんですよ?」
「…はい」
「もし、それでもくじけちゃって、落ち込んだときは。私で良ければ…その、頼ってもらっても」
「うん、そうする」

僕の返事を聞いて微笑む高橋さん。
もうちょっと、時間はかかるかもしれないけど。
多分、もう、大丈夫だ。そう思う。うん。

ありがとう、高橋さん。

576 :名無し娘。:2007/06/16(土) 22:38

少し前に統計とった者です。

処女作、というか初ネタです。
ちょっと先輩が女々しいですかね。

お目汚し、失礼しました。

577 :名無し娘。:2007/06/17(日) 00:02

>>569
安倍さんは素敵ですね♪
いい刺激をいただけるので、またどんどんお願いします。

>>570
リーダー、ですが愛ちゃんは愛ちゃんなのです。
いい娘ですよ。どうしようもなくても(笑)

>>576
その節はありがとうございました。
そして処女作…そーとー好みでした。
まだまだいい話が書けそうな印象。
またぜひ♪

578 :名無し娘。:2007/06/17(日) 23:54
うん
処女作いいですね。うまいとこ突いてる

579 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05

「明日楽屋にお邪魔してもいいですか?ちょっと相談が」

少し小さないつもの楽屋で、昨日受け取ったメールを見る。
相談のお願いは前にもあったけど、アポを取ってくるなんて。
何か大切なことなんだろうか。

コンコン

どうやら来たらしい。
………さて。

580 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:05

「どうぞ」
「ありがとうございます」

目の前には新垣さん。まずはお茶をすすめる。
少しばかり雑談を交わして………そろそろかな?

「それで、相談って?」
「あ、はい」

少し姿勢を正した新垣さん。次の言葉を待つ。

「えーと」
「うん」
「…サブリーダーって、なんなんでしょうか?」
「…はい?」

前置きのない質問に戸惑う。

「いや、わたし。なったじゃないですか」
「あ、うん」
「何をすればいいのか、よく分からないんです」
「………」
「保田さんにも、聞いてみたんですけど」
「そうなんだ。何て言ってた?」
「『私は何もしなかった』って。」
「うーん」
「そんなことないと思うんですけど」
「僕もそう思うな」

保田さん、謙遜したんだろうな。

「保田さんの言うことが本当だとして」
「うん」
「保田さんのときは、それでよかったかもしれません。けど今は」
「………」
「何かしないといけない、そんな気がするんです」
「…そっか」
「せんぱい、どう思いますか?」

ちょっと途方に暮れた感じの新垣さん。
…サブリーダー、か。

正直いって、表向きだけの形式的なものだと思う。
僕たちが選んだわけでもないし。そんな表情に
なってしまうほど深刻にならなくてもいいのに。
でも今の新垣さんはそんな答え望んでないんだろうな。

ちょっと迷ったけど、思い切って言ってみることにした。

581 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06

「新垣さんは、娘。大好きだね」
「もちろんです」
「娘。じゃないと駄目だよね」
「はい」
「他のメンバーはどうだろう?」
「え?」
「娘。じゃなきゃ駄目だって、新垣さんほど強く思ってるかな?」
「………」
「新しい2人とかさ、特に」
「………」
「少しずつ、弱くなってると思う。そういうの」
「………」
「何かしなきゃいけないとしたら、そこかな」

批判…だよな、これ。やっぱり。
新垣さんの表情が変わるのを見ながら、思う。
怒ってしまうだろうか?できれば…

「どう思う?」

逆に尋ね、じっと反応を待った。

582 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:06

「…そうかもしれません」

…よかった、受け入れてくれた。ならば。

「もしそうなら、解決できる」
「え?」
「良くすることはできると思う」
「ど、どうすればいいんですかっ?わたし何でもします!」

新垣さん…本当に娘。が大切なんだね。
もちろん、ずっと前から知っていることだけど。
気持ちのこもった強い言葉を聞いて、そんなの関係なく嬉しくなった。

「絆」
「きずな?」
「そう、絆。メンバー同士の関係を強くすればいい」
「…仲はいいと思いますけど」
「うん。でも他にも絆を強くするものがあるんだ」
「何ですか?」
「リーダーシップ」
「…えーっと?」
「この人なら信頼できる、尊敬できる。この人にならついていってもいい、って」
「…はい」
「そういう風にメンバーが思えるような、リーダーの振るまいのこと」
「それが、リーダーシップですか」
「そう。もし高橋さんや新垣さんが、リーダーシップを持てたなら」
「………」
「みんなは、より強い絆で結ばれる」
「はい」
「大事なのは」
「え?」
「新垣さんは娘。が大好きってことなんだ」
「………」
「そんな新垣さんについてくるメンバーたちは、娘。をもっと好きになるって」
「せんぱい…」
「そう信じてる」

新垣さんが僕を見つめる。ちょっと潤んだ瞳が美しかった。

583 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:07

…しばらくして。

「ごめん、ちょっと難しかった?」
「いえ。よかったです。せんぱいに相談して」
「…そう?」
「はい」

新垣さんは何か吹っ切れたような、さっぱりした表情だった。
…少しは役に立った、だろうか。

「それと、これは受け売りなんだけど」
「はい?」
「組織のカギは、副将が握ってるんだって」
「ふくしょう、ですか?」
「うん、サブリーダーのこと」
「わたし鍵なんて持ってないですよ」

…んなアホな。

「新垣さん、違う違う」
「え?」
「グループが良くなるかどうかはサブリーダーにかかってる、ってこと」
「………」

勘違いと本当の意味に気づいてちょっと恥ずかしそうな新垣さん。

「いつでも、どこでも、誰にでも当てはまる言葉とは思わないけど」
「はい」
「今の娘。にはぴったりだと思う。だから」
「………」
「娘。のために、頑張って欲しい」
「…はいっ!」

変にプレッシャーにならなければいいけど。
ちょっとだけ後悔しつつ、元気に返事をしてくれた新垣さんに微笑んだ。

584 :名無し娘。:2007/06/19(火) 20:15

堅苦しい話で…読みづらいな、多分。

>>577
いえいえ(^^)
初ネタお気に召していただけたようで。
今回もそうであればいいのですが。

>>578
ありがとうございます。
今回もうまいとこ突けてればいいのですが。

585 :名無し娘。:2007/06/20(水) 03:02
>>584
微笑ましくて良かったですよ。
あぁ、ガキさんらしいなぁって感じで。

娘。の現状を思えば当然かとは思われますが、ちょっと重い話が続いてますねぇ。
そろそろなんにも考えずにハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話が読みたいなぁ…なんてw
こんこん電撃復帰なんて明るい話題も出てきた事ですしね。

586 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/20(水) 15:17

>>579-583 統計さん(仮称)
やべー……立て続けにものっ凄くツボを痛打されてますよ♪
もっともっとおかわりお願いします(笑)

さて、負けずになんか考えよっと。

587 :名無し娘。:2007/06/21(木) 12:59
僕はゲームに負け亀井さんの命令を1日聞かなければならない。
「先輩これに着替えてください」
「え、絵里。ちょっと」
僕にカバンを渡してきた。
僕は観念して着替える事にした。
カバンの中にはピンクのワンピースに黒のレギンス、
それにミュールが入っていた。
僕は着替え自分の着ていた服をカバンにしまおうとすると、
中に道重さんが好きそうなカバンが入っていた。
「このカバンを持って行けってことか、とほほ」
「着替えてきたよ」
「可愛いじゃないですか」
「僕の荷物はどうすればいいの?」
「スタッフさんに預かってもらようにお願いしてあります」
「じゃあ、遊びに行きましょう」
僕は1日亀井さんに付き合った。
すごく恥ずかしい思いをした日だった。

588 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:32

空いた時間にふと気が向いて顔を出したフットサルコート。
二週間ぶりに会う元リーダー、それに里田さんは、忙しいながらも元気そうに身体を動かしている。
他には℃-uteやエッグの子が数人と、何度か会ったことのあるコーチが一人。
メンバー的に不足しているだろうことは予想通りのことだった。
入り口の脇で壁に背を預け、しばらく練習の様子を見ていると、やはりまだまだ実力差は埋めきれるものではないらしい。
ゴールの少し前にフィクソとして立つコーチに一つフェイントを入れてのシュート練習。
初歩的な動作だからこそ“慣れ”ているかどうか明確に差が出ていた。
フェイントを入れ損なったはずみで転がってきたボールをダイレクトに蹴り返す。
そこで初めて僕に気がついたよっすぃーが意外そうな表情を見せた。

「ちょっとタイムね」

蹴り返されたボールを里田さんへはたきながらそう言うと、軽い足取りで歩み寄ってきた。

「やっ」
「久しぶりじゃね? どーしたの」
「たまたまこの時間空いたからさ」
「ふーん。なに、参加すんの?」
「僕でもいないよりはいいっしょ?」
「……ま、いないよりゃいいか」

ふんと鼻をならして笑うよっすぃーはそんな口ぶりだけど、長い付き合いから喜んでくれていることは解った。
軽く柔軟をしている間に今度はよっすぃーと里田さんがフィクソになり、梅田さん以外のメンバーでシュート練習が始まる。
違うのは二対二の形になったこと、そして今度のフィクソは止める気満々だということだろう。
身体を動かしながらその様子を見ていると、まったく容赦のない二人の存在にゴールを割るどころかシュートまで持ち込めるメンバーすらいない。
スポフェスで抜群の身体能力を見せた矢島さんも、躊躇しているうちに“間”を詰められ、コートの外へボールを蹴り出されていた。
これじゃあつまらないと一計を案じ、比較的ボールの扱いが上手いように見えた千聖ちゃんを手招きした。

589 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33

「あの小憎たらしい二人に一泡吹かせてやりたくない?」

クイと指し示した親指の先で、この子らから見れば大先輩の二人が大人げないディフェンスを続けていた。
どうしようって顔でそれを見ていた千聖ちゃんへ「お兄ちゃんに任せな」と笑いかけると、成功したときのことを想像したらしい嬉しげな表情で頷いてくれた。
同じ℃-uteから、パートナーに最適そうな矢島さんも呼び寄せて、よっすぃーたちから見えないように背中を向けて説明を始めた。
矢島さんにはやるべきことを説明し、タイミングにだけ気をつけるようにと言いきかせる。
千聖ちゃんには必要なことを繰り返し見せる間、矢島さんに壁になってもらう。

「おーいっ、なにしてんの?」
「ちょっとね。そっちはそっちでやってなよ」
「またなんか企んでんな」
「ギャフンと言わせてみせるよ」

挑発的に言い放った言葉へ立てた中指を返される。
おいおい、いくらなんでもそれはないだろって苦笑して、千聖ちゃんへ意識を戻す。
たった数分間のレクチャーだけど、運が良ければ二割くらいの確率でいけるんじゃないかと思えた。

「さ、行っといで」
「はいっ」

緊張した様子の二人へ伸ばした両手でポンポンと肩を叩いて送り出す。

「お、ずいぶん早く戻ってきたじゃん」
「二人に一泡吹かせるには充分な時間だよ」
「言ってろ」

590 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:33

右サイドで軽くボールを蹴り出した矢島さんが一つ二つと控え目なタッチでドリブルをしていく。
正面にいる里田さんが急激に距離を詰める。
やっぱりまだ舐めてかかっているらしい。
左後方へはたいた矢島さんは里田さんの裏を取ろうとライン際から走り出す。
ボールを受けた千聖ちゃんのワンタッチで、もうよっすぃーも距離を詰めていた。
こっちは幾分警戒しているのか、必要以上に深く入ってはこない。
走り出した矢島さんへパスを合わせる左脚。
反応したよっすぃーがパスコースへステップ。
矢島さんはフルブレーキからバックステップ。
距離を離されずに付いてくる里田さんは誘い出されたことに気づかない。
千聖ちゃんの左脚はボールの上を通り、返す動きで左前方へ軽いタッチ。
それでもキチンと付いてきたよっすぃーはさすがだった。
けれど、シューズ一つ分ほどの差で体勢が良かった千聖ちゃんの勝ちだった。
ミドルレンジで振り抜かれたシュートに、くるはずがないと思っていた梅田さんは対応できない。
一発目で二割を引き出したのは二人のセンスだった。

「うぉ――、あっぶねー!」

ボールがポストに弾かれたことをのぞけば。

「あっ……」
「惜っしいー」

申し訳なさそうに僕を見る二人へ「大成功だったね」と微笑みかける。

「でも……」
「シュートまでもってければオッケーだよ。後はまた練習して。ね?」
「はいっ」

本当に誉められていると解った二人は嬉しそうにコートへ戻っていった。

591 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:34

入れ替わりに近づいてくるよっすぃーはしてやられたといいたげな表情で。

「あームカつく。あんなん成功するなんてさ」
「偶然にしてもいいセンスじゃん」
「かもね。さて、この悔しさをどうしてくれよっか」
「え?」

不敵なよっすぃーの笑顔に続く言葉が思い当たる。
良い流れのままで、先手を取って切り出すことにした。

「お相手しましょ」
「よっし、一対一な」

空いているゴール側で始められた一対一。
それと同時に休憩になったようで、他のメンバーが遠巻きに見ている。
後輩に恥をかかされたよっすぃーはガチモードらしい。
けれどこっちも無様なところは見せられない。
互いに本気の一対一は、最初の数本こそどちらもゴールを許さず互角以上にやれていた。
けれど絶対的な経験値で既に上回られている僕は、本数を重ねるたびに押されてだしていく。

「もらいっ!」
「うわ――、っ!」

半ば抜かれた体勢で、反応できた脚がボールに触れた、けれど。
浮いたボールが転々と転がりポストギリギリにゴールラインを割ってしまった。

「あたしの勝ちー」
「ハァ……現役には敵わないなあ。さすがだわ」
「同じだけ練習してたら負けてっだろーけどね」
「どうだか」

苦笑いで返した僕に控え目な拍手が注がれた。
流した視線の先、里田さんや他のメンバーが含みのある笑顔で僕を見ている。
違いますよと、そう言いたげに、皆が両手をヒラヒラと泳がせている。

592 :『ピアニシモ』:2007/06/22(金) 00:36

なんだろうと眉をひそめながら、更に移した視線の先。
まるで魂でも抜かれてしまったかのように、僕は呼吸さえも忘れていた。
小さく手を叩くその姿は離れていったあの頃のまま。
結った髪も、ふんわりとした雰囲気も、あの頃の面影そのままだった。
ゆっくりと近づいてくるはにかんだような笑顔。

「せんぱい」

少しだけ掠れた小さな声で呼び掛けてくれる。
自分の声が届いているか心配しているようにもう一度。

「せんぱい? お久しぶりです」
「……ぁ」
「ビックリしたっしょ? この前から一緒にやってんのさ。限定復帰ってとこかね」

からかい気味によっすぃーが声を掛けてくれなかったら、僕は……
僕は、もしかしたら……後輩たちの前で涙を流してしまったかもしれないくらいに。

「……こん、の、さん」
「はい」
「こんこん…」
「はい」

くすくすとおかしそうに笑いながら、生真面目な返事をしてくれる。
深く、止めていた分だけ深く呼吸をして。
ようやく口にした意味のある言葉はたったこれだけだった。

「おかえり」

紺野さんはぷくぷくのほっぺでやわらかく微笑んで。
少しだけ照れ臭そうに、やっぱり小さな声で言った。

「ただいま」

耳に馴染んだその声は。
今はない、忘れかけていたピアニシモだった。

593 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/22(金) 00:39

明るい話題なのに最後はしっとりになってまいました。
限界、寝ます。
おやすみなさい(ρ.-)

594 :名無し娘。:2007/06/22(金) 02:42
(・∀・)イイ!

595 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01

いつもの楽屋。

そして、すぐ隣にみんなの楽屋。
少し前までは、気軽に訪れることのできる場所だった。
話して、遊んで。そうやってみんなを感じていた。

…けど今は。


藤本さんの一件以来、思いを強くしたことがある。

「もう何をどう書かれるか、分かったもんじゃない」

僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
外から見れば、そうじゃないのかもしれなかった。
楽屋でみんなと一緒に過ごしている。
そんな光景を外の、悪い人間が見聞きしたら。
誤解や嘘や虚構で、歪められて伝わるかもしれない。
まして記事にでもなってしまったら…みんなを傷つける。
以来、こちらからみんなの楽屋に出向くことはしなくなった。

この前の新垣さんみたいに、むこうから来てくれるなら。
拒むつもりはなかった。拒むのは、さすがに不自然だ。
みんなの力になりたいという気持ちは変わってないわけだし。
けど…自分からは。

「考えすぎかな…」

臆病な自分を感じる。振り払うようにひとりごちて、目を閉じた。

596 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:01

コンコン

…ん?

コンコンコン

来訪を告げる音に、まどろみから引き戻される。そして。

「せんぱーい?」

ドアが開くと同時に、聞き慣れた声が響く。
目をこすりながら、声の主へ顔を向けた。

「亀井さん」
「せんぱい、寝てました?」
「うん、そうみたい」
「ごめんなさい、起こしちゃって」

謝りながら、亀井さんが近づいてくる。
あんなことを考えていた矢先の、突然の来訪とはいえ。

「…何か用?」

僕の言葉は、ちょっと不用意だったらしかった。

597 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02

立ち止まって、わずかに俯いた亀井さん。
そのたたずまいが、悲しい、と僕に訴える。
小さくなってしまった声。かろうじてそれは僕に届いた。

「せんぱい…」
「あ、うん」
「何かないと…駄目ですか?」
「え?」
「ちゃんとした用がないと、来ちゃ駄目ですか?」
「そんなこと…」

あぁ、しまった。そうじゃないのに。どうやって宥めようか。
考えている僕に向けて、亀井さんが顔を上げる。
何か、意を決したような。そんな表情をしていた。

「せんぱい」
「うん?」
「最近…絵里のこと、避けてません?」
「………」
「………」
「…そんなこと、ないよ?うん」
「嘘」
「………」
「…やっぱり」

沈黙を肯定ととったようだった。亀井さんが呟く。

598 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:02

「絵里…何かしました?」
「え?」
「せんぱいに嫌われるような、何か」
「そんな。とんでもないよ」
「じゃあ」

何故。
亀井さんの瞳が、真剣であることを伝えている。
さっき考えていたことを話そうかと、ちょっと思ったけど。
何となく憚られて、適当にごまかすことにした。

「少し、距離を置こうとは思ってる」
「え?」
「ほら。多分次だから」
「…何がですか?」
「卒業」
「………」

次は僕。
確証はないけど、多少の説得力はあるだろう。

「いつ、いなくなってもいいように」
「せんぱい…」
「準備っていうか。何かそんな感じ」
「………」
「だから、避けてるわけじゃ…ないよ?」

…なんだかな。
即席とはいえ、出来の悪い言い訳に歯がみする。
しかし、言ってしまったものは仕方がない、と諦めて。
亀井さんの反応を待った。

599 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:03

「せんぱい」
「うん?」
「絵里は、テキトーすぎるけど。せんぱいは」
「………」
「いろいろ、考えすぎてる」
「………」
「せんぱい」
「あ、はい」
「考えすぎです」

語気を強めた亀井さん。その言葉が、頭の中でこだまする。
隠している本当の理由を、見透かされたように感じた。

「すごい恥ずかしいけど…絵里言います」
「う、うん」
「…もっと、いつも、近くにいて欲しい」
「………」
「卒業は、いつか来る。けど」
「………」
「そんなこと考えるのは止めて、今は一緒にいて欲しい」
「………」
「せんぱいが遠くにいっちゃうなんて、嫌」
「………」
「嫌です」
「………」
「絵里、そんなとこまで…来ちゃいましたよ?」

600 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:04

「…亀井さん」

それ、どういう…?
意味を測りかねて、言いかける。

僕は男で、みんなは女。
もちろん、僕にとってはそんなの関係ないけど。
みんな…亀井さんにとっては?

…まさか、そんなこと。
そう思い、首を小さく横に振った。

「だからせんぱい」
「…うん」
「少しだけ、絵里を見習って」
「………」
「テキトーに、なってください」
「………」
「駄目、ですか?」

頬を真っ赤に染めながら、尋ねてくる亀井さん。
そうまでして、そこまでして言ってくれるのなら。
考えすぎるのはもう止めにしよう。
そう心に誓いながら、亀井さんを見つめて。

「うん。分かった」
「…よかった」

…安堵、かな。
表情を見てそんなことを思いながら、「やだ」や「恥ずかしい」を
連発して右往左往する亀井さんを眺めていた。

601 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:05

ありえなさすぎるかなぁ、なんて。最後もちょっとくどいっぽい。

>>585
ありがとうございます。
ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!できるような話は…
今回のは無理ですよね。ごめんなさい。気長に、お待ち頂ければ。

>>586
そうですか、よかったです。
おかわりお持ちしましたが、味の保証はできません(^^;)

>>587
女装、しかもミュールっすか。亀井さん…

>>588-592
早速来ましたね。リクエストに即応できるスキルが素晴らしいです。
℃-uteとかエッグとかよく知らないのが申し訳ない。

602 :名無し娘。:2007/06/22(金) 23:15

あーもう、コピペ失敗した。

>>595

「…けど今は」

以前と、

「藤本さんの一件以来」

以降で別レスになっている、と思ってくださいまし。
…どーでもいいんですけどね。

603 :−おかえり−:2007/06/23(土) 01:52

「あれ? あの背中…」

事務所の廊下で、久しぶりにある人を見つけた。
どうやら、こっちには気づいていないらしい。ちょっと脅かしてみるかな?

「ポンちゃん♪」
「え? え?!」

僕は、後ろから静かに近づくと声を掛けると同時に、紺野さんの腰に抱きついて
持ち上げた。

「やっぱ、軽いなぁ〜ちょっと痩せた?」
「ちょ、ちょっと降ろしてください!!」

紺野さんが、ちょっと暴れ始めたので仕方なく降ろす。

「おかえり。ポンちゃん」
「もう、先輩…。ただいまです」

頬を少し赤くしてちょっと怒った風になりながらも、やっぱり性格なのか
しっかりしてるところは、しっかりしている。

「なんか不思議だね」
「はい、そうですね。でも、帰ってこれて嬉しいです」

笑顔で、僕にそう答える紺野さん。

「そっか」
「やっぱり、先輩の近くに居たかったし…」
「え?」
「い〜え、なんでもありません。じゃ、これから吉澤さんに会ってきます」

僕に笑顔で手を振って部屋に入っていく紺野さん。
聞こえてたんだけどなぁ〜…

604 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/06/23(土) 01:58
ホント、おかえりって感じですw
推しの人が、まさか戻ってくるとは思ってなかったんで、
すごいうれしかったです。
これからも、推していきたいとおもいますwww

>>587
短い作品ですけど、すごいインパクトに残る作品でした。
これからも、よろしくお願いします。

>>593 匿名さん
うまいなぁ〜ホントうまいとしか言いようがないです。
今度、コラボ作品一緒に作りましょう♪

>>601
なんか、切ないような心が温まる作品でした。
最近、長いの書いてないから挑戦してみようかなぁ〜・・・
と、思いました。これも、なんかコラボできないかな?www

605 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:38

それは唐突にやってきた。
なんの前触れもなしに爆ぜるように開いたドア。
驚いた僕が玄関へ出ると、そこには見慣れた顔が見慣れない表情で立っていた。

「さゆ」

呼び掛けた僕の声にも反応しないで、短く荒い呼吸をし真っ青な顔で僕を睨み付けている。
急に連絡をくれて、理由も告げずにそっちへ行くと言うさゆへ、なにかあるのかと気にしながらどうぞと返した。
そのさゆが……

「どうかした? 顔色が――」
「せんぱいっ!!」
「は、はい」
「……なんで」

僕の話を遮った日頃ほとんど耳にしたことがないほど強かった言葉が一転して。
まるで初めて会った頃みたいにささやくような弱さで口籠る。
まったく様子の違うさゆを、僕はただ立ち尽くしたまま見ていた。

606 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39

「なんで急に……」
「え?」
「せんぱい、ひどい。いつもそうやって一人で……」

唇を震わせながら、噛み締めた口元から絞り出すような言葉。
そこで初めて気がついた。
憤っている。
そして…哀しんでいる。
それも僕のせいで……?

「さゆ?」
「それはそうですよ? せんぱい自身のことだもん、誰に相談する必要もないですっ。
 だけどせっかくせんぱいから“さゆ”って呼んでもらえるようになって! ……なのに」
「ち、ちょっと待っ――」
「せっかくせんぱいとの距離が縮まったって嬉しかったのにっ」
「それはそ――」
「なのに卒業しちゃうなんてっ」

ああ……話が繋がった。
あまりの剣幕に忘れていたけれど、直後に絵里ちゃんからも電話をもらったんだった。
さゆから電話とかなかったですか、と。
あったよと口にした途端に電話は切られてしまったけど、そういうことなんだろうと今になって解った。
この間の件で誤解されるような話をしたんだろう。

607 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:39

「しないよ」
「は?」

至極簡単に告げた一言はさゆという風船を一突きしたみたいで。
音を立てて空気の抜けていく様を見たような気がした。

「せんぱい…、えっと?」
「しないよ。卒業なんて」
「ホントに?」
「本当に」
「さゆみたちを置いて行っちゃったりは……」
「しないよ」

それは僕の真実。
ただ事務所の真実が違ったときにどうなるのかは……口にはできないことだった。
けれど僕の気持ちは変わらないから。
だから……

「卒業する気なんてないよ。ずっと、いつまでも一緒にいたいんだ」
「よかったぁ……」

608 :『正直な鼓動』:2007/06/23(土) 22:40

へなへなと脱力して玄関口でへたりこんださゆへ手を差し伸べる。
目の前にある僕の手を見たさゆが笑顔に変わって。
やわらかな手が僕の手に重ねられる。
引き寄せて立たせてあげたさゆが勢いのままで僕の腰へしがみついた。

「さゆっ――、こらっ」
「ホントに、よかった」
「さゆ……」

僕の胸元へ表情を隠すみたいに押し当てられた横顔からあたたかな振動が伝わる。
そのあたたかさが教えてくれた。
さゆがどれほど心を痛めてくれたのか、そして事実を知って心の底から安堵してくれたことを。

 トクン

伝わった気持ちが僕の鼓動を揺さぶった。
けれど悪くない揺らぎだと思えた。
頭で考えるのではなく、心で思うのでもない。
最も根底から波及していく最も正直な……

609 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/06/23(土) 22:44

>>587
これは突飛な(笑)
けれどどこか夢物語らしい気もしますね。

>>594
アリガトウ!

>>595-600 統計さん(仮称)
ありえなさそうな気はしないですけど。
なんかちょっと、表現したい部分が近しいのかもと勝手に感じてたりします(笑)
今回のものもやはり好ましい味でした(^^)
故に勝手にオマージュとして書かせていただきました。
それと悔やんでらっしゃるレスの区切り、感覚的に納得。

実は私も℃-uteやエッグは(ry
ベリはまぁそれなりに知っていますが、℃-uteはなんとかって程度で、ましてやエッグは……(^^;)

>>603 TACCHIさん
復帰ネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ですね。
うまいとTACCHIさんが感じてくださったなら、それはこちらとしては喜ばしいです。
事実はさておき(笑)

>これも、なんかコラボできないかな?www
お先にしてもーた。
TACCHIさんの作品がどうなるのか期待してます♪


最後にチラッと宣伝(^^;)
ttp://tokdd0paco.blog108.fc2.com/
始めたってか、備忘緑みたいなもんを再開したので。

610 :名無し娘。:2007/06/26(火) 20:57

「もう、さゆ」

道重さんの誤解を解いてから、ほどなく。
亀井さんがやってきて、道重さんをたしなめた。

「ごめんなさい、せんぱい。さゆが早とちりで」
「いやいや」
「絵里あとで叱っておきますから」
「いやいやいや」

道重さんが悪いと決めつけるかのように、亀井さん。
案の定、道重さんが不満そうな表情で口を挟んだ。

「でもあれは誰が聞いたって──」
「違う、さゆが──」

…姉妹喧嘩、か。
久しぶりに見るそれは、ちょっと微笑ましくて。
心の中で謝りつつ、やり合う2人を眺めていた。

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0ch BBS 2006-02-27