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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3

1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m

157 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:45

さっきよりもはるかに近い距離に……っていうよりも、先輩の腕の中にいる自分。
思わず飛び込んでしまったらしい先輩の腕の中でコクンと頷くと、そっと腕が離れていった。
ほんのちょっと。少しだけ名残惜しいなって思ったら、離れたはずの腕に肩を抱かれた。

「廊下じゃアレだし、とりあえず入ろっか」

そう言われて戻った部屋で、弱めにかけた暖房で暖められていく空気の中、なんとか気を紛らわせようとして先輩が色々な話をしてくれた。
先輩が入ったばかりの頃の失敗談や、それに対して言われた中澤さん等のお説教。
どんどん話に惹き込まれて、あれだけ怖がっていた雷のことも忘れていた。
ずいぶん色々な話をして、されて、時間と共にポカポカと暖まる身体と心は、先輩と二人でいるドキドキよりも安心感みたいなものを強くした。

158 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:46

いつの間にか記憶が飛んで、気がつけば先輩の肩に頭を預ける格好になってて。
眠くてシパシパする視界の中で先輩が笑ってた。
先輩がなにか話してる。聞かなきゃって思うけれどよく聞き取れない。
ふわっと身体が浮かび上がったような気がする。
ゆっくりと背中がなにかに沈み込んでいくみたいで。
半ば眠っているような状態のままで、頭に浮かんだことをそのまま口に出してみた。

「かみなり……せんぱい……」

ゆっくりと目を開くけど、また同じくらいゆっくりと目蓋が落ちてくる。
そんな中でれいなの手があったかい感覚に包まれて。

「いるよ」

そう聞こえた気がした。
どんどんと、どこまでも際限なく沈み込んでいく意識の中で、最後に覚えているのは「十七歳おめでとう」って言葉だった。
今年の誕生日はいい日になるなって、夢の中までもそう思った。

159 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/11(土) 20:59

れーな忘れてましたよれーなオタオメですね記念。
気がついたもののネタに困ってるトコロへ昨晩ヒントをいただきましたw
ttp://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs0/1163181565/66
で公約通り書いてみましたー。おへそを隠す云々まで交ぜてw

>>136-137>>141-143 TACCHIさん
めーぐるはとてもとても残念ですね。
なにが真実かとか解りませんし、言いたいこともあるけれど、一人の女の子として幸せであればいいなと思います。
で、美勇伝。
なんといいますか、話は素敵で萌え萌えなのです。
相変わらずうまく書かれるなーとか思います。
ただ一つおもうのは……彼女たちはどこへいってしまうんでしょうか(^^;;;

>>139 名無し娘。さん
おー、なんかいいです。
私が参加するよりだいぶ前の夢物語のような空気感。
短くうまくまとめてあってすごいなーと。

>>146-147 MONIXさん
懐かしい名前が出てきましたね(^^)
彼女も、そして娘。たちも、前へと歩いていけることを願ってやまなかったりする自分を再認識させてくれる作品でした。

160 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:37

理由なんてない。
ただなんとなく。それだけのことだった。
それがあんな事態を引き起こすきっかけになるだなんて……。

ある日僕は誰もいない楽屋に戻ってきた。
おや? そう思ったけれど、そのときはただそれだけのことだった。
ふとテーブルに目をやると、そこには誰かがつまんでいたらしいお菓子が乱雑に広げられていた。

別に特別食べたかったわけじゃない。
ついと手を伸ばしてポテチを一枚つまみ上げた。
まだ湿気ってない。

「ふむ、まだそれほどの時間は経っていないようだね」

なんて推理小説めいた独白を、芝居がかった口調で呟いて、パリパリと咀嚼する。
楽屋を見回しながらも、もう一枚、伸ばした指先がその奥にある袋に触れた。

161 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:37

親指と人差し指でつまみ上げたそれを口に入れようとして、ふと考えた。
掌を上にして、伸ばした指の先にはピーナツが乗っている。
左手で右手の根本を叩く。
勢いよく跳ねたピーナッツは僕の口の中へ消えた。
カリカリと咀嚼しながらなかなか香ばしいピーナツに、そして一発で成功してる自分に満足げに笑う。

ピーナツをもう一つ。
今度は高く上へと放り投げてみる。きれいな放物線を描いて戻ってくるピーナッツが口の中へ収まる。
立て続けにもう一個。
上へ放り投げた瞬間に、部屋の中で物音が聞こえた。
一瞬それに気を取られた僕の口元へ落ちてきたピーナッツ。
微妙にずれたポジション、くちびるの上に当たったそれは、なんのミラクルなのか跳ね返って鼻の中へナイスイン。
慌てて下を向いたと同時にこぼれ落ちるピーナッツ。

ヒドイ目にあった。
そして僕は楽屋の隅にある硬質なロッカーへ恨みがましい視線を向けた。
何気ない素振りでゆっくりと近づく。
端から横目で眺めながらロッカーの前を歩いていく。

162 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:38

「ここだっ!」

えいと開いたロッカーの中で、亀井さんが笑顔のままで硬直していた。

「見てたね?」

亀井さんが表情を変えずにコクンと頷く。

「笑ったでしょ?」

急に挙動不審な表情になった亀井さんが、迷った末にコクンと頷く。

「ちょっとおいで」

ロッカーから亀井さんを連れ出し、テーブルの側へと歩く。

「これなーんだ?」
「せ、せんぱい? なんか絵里、すごいイヤーな予感がするんですけどぉ」

僕の指先にはピーナツ。
きっと彼女の予感は当たっている。
二人の視線が絡み合う。

「こうしてやるっ!」
「きゃーー!!」

163 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:38

しばらくもつれ合った後、部屋に入ってきた道重さんが見た物は、鼻からピーナッツを落とした瞬間の亀井さんの姿だった。
僕には今、亀井さんがなにを考えているのかがとてもよく解った。

わけの解らないままに亀井さんに襲われた道重さんも、やはり同じ運命を辿った。
まるで映画で観たゾンビや吸血鬼のように、この事象は恐るべき伝染性を持っていたんだ。
次々と楽屋へ戻ってくるメンバーが襲われていく。
理性を取り戻していた僕は、その修羅場を目にしながらこれはマズイことになったと考えていた。

その流れが断ち切られたのはよっすぃーのときだった。
おかしな精神状態にあった愛ちゃんが、襲いかかったはずのよっすぃーに逆襲されたんだ。
その手から飛んだピーナッツが、最後に戻ってきた藤本さんを直撃し、事態はより凄惨なものへと変化した。
感染者も非感染者もなく、敵も味方もない。
いつまで続くのかすら解らない、ピーナッツを中心にして混沌とした状態へ突入した。

そしてどれほどの時間が過ぎたのだろう。
開いたドアにマネージャーの怒声。
事態は急激に集束し、僕と……申し訳ないことにメンバー全員が正座で一時間あまりもお説教をいただいた。
けれど昔みたいに、少し子供だったあの頃のように、楽しかったと感じてしまったのはまぎれもない事実だった。

164 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/12(日) 22:39

上のと同じくラジオスレから。
拒絶したハズの“ピーナッツ”ですが、なにか降りてきたので書いてみました。
このくらいが限界ですorz

165 :名無し娘。:2006/11/12(日) 23:12
なにかが降りてきたのか

166 :名無し娘。:2006/11/12(日) 23:30
ゾンビや吸血鬼みたいってw

167 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:51

十一月十一日、0時。
今日も…いや、もう昨日か…無事にコンサートも終り今日の反省も書き終わって時計を
見ると、0時を指していた。

「田中さんのの誕生日か、メールでも送ろうかな?」

メールの内容を考えて色々と打ってみるがいいのが思いつかない…。

「どうしようかな…なかなかいいのが思いつかない…」

そんな事を考えていると、ある事が思いついた。

「田中さんのところに行けばいいんじゃん。直接『オメデトウ』を言ってあげよ」

思い立ったが吉日。田中さんの部屋番号をマネージャーから聞いて
部屋に向かい始めた、その時!!何かが光った。

168 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:52

「うぉっ!?」

いきなりの轟音に少し驚いてしまい、ちょっと体が震えた。
そんな自分に、ちょっと格好悪いと思ってしまったり、仕方がないと
自分に言い聞かせたりしていた。

窓の外を見ると雨は、とても強いものになっていた。

「こりゃ、すごいな…って、こんな事してる場合じゃないか」

部屋着で、田中さんに会うのもちょっと気が引けたので、ジャージから
ジーパンとTシャツに着替えて田中さんの部屋に向かった。

その途中で、二回目の雷も鳴ったが雷が来るとわかれば、もう怖くなかった。
しかし、雨は強くなっている。雨が、嫌いな僕は少しこの雨が怖くなった。

169 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:52

「早く、田中さんの所へいこう…」

足早にれいなの部屋の前に行くとといきなり扉がひらいた。
開いたドアの向こうから、僕より頭一つ以上下の低い影。
田中さんだと、わかった時田中さんが叫びそうなのを見て反射的に口を
押さえてしまった。

「ち、ちょっと田中さん。僕。僕だってば」

田中さんは驚いた顔からちょっと落ち着いた顔になっていた。
僕は、今の状況に困っていますけど…

「んーんー」
「あ、ごめん」

何を言ったかわからなかったが、僕を呼んだらしい事はわかった。

170 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:53

「えっと。ちょっと入れてもらっていいかな?」
「は? あ、どうぞどうぞ」

このままここに居るのもヤバイと思ったので、部屋に入れてもらう提案を出した。
断られるかも…とか思ったが、田中さんはすんなりと承諾してくれた。
いいのか? まぁ、男として見られてないって事か…なんて考えていると
廊下が少し光る。数秒後、外から雷鳴が鳴り響いた。

「ひっ!?」
「っと!?」

少し驚いてしまった。けれど、僕よりもっと驚いてしまった子がここに…

「田中さん、雷ダメなんだっけ」

固まっていた田中さんが顔を上げる。

171 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:54
僕の体にギュッとしがみついて、うなづくのがわかった。
一旦、離れると少し震えている田中さんの肩を優しく抱く。

「廊下じゃアレだし、とりあえず入ろっか」

そう言って、部屋の中に入って暖房を点ける。暖まっていく部屋の中で、
僕は、なんとか田中さんの気を紛らわせようと自分が4.5期として入ってすぐの
失敗談や、その時の中澤さんのお説教の話をちょっと大げさにして話した。

172 :−麗奈、おめでとう−:2006/11/17(金) 02:55
そんな色々な話をしていると、横に座って今まで楽しそうに話を聞いていた
田中さんは、いつの間にか僕の方に頭を預けていた。眠たそうに目を
トロンとさせている姿がなんだか猫みたいで微笑ましかった。

「さてと、ベットに運ぶからね子猫さん」

僕は、田中さんをお姫様抱っこで抱え上げるとベットに優しく寝かせた。
田中さんは、小さな声で…

「かみなり……せんぱい……」

目蓋が少し開いたかと思うと、そのまま目蓋がゆっくりと閉じていく。
田中さんの手を優しく包み込み、安心させてあげたいと思った。

「いるよ。僕はここにいるから」

僕が、そう言うと田中さんは安心したかのような顔で眠りに落ちていくようだった。

「そういえば言ってなかったね…十七歳おめでとう…」

僕は、目の前で幸せそうに寝ている子猫さんの頭を優しく撫でた。

173 :TACCHI:2006/11/17(金) 03:02
>>153-158 (匿名さん)
コラボさせていただきました♪
かなり遅くなりましたがいかがでしょうか?(汗)
いやー、コラボするのって楽しいですねw
>>160-163
かなり笑わせてもらいましたwピーナッツいいですね。
こんな事件が、ホントに起きてそうで実際に見てみたいですもんwww
表現の仕方も、ホントうまくて感心させられるばかりです。

いま、亀井さんの頭を撫でる作品を必死で考えていますw
もうしばらくお待ちください♪♪

174 :名無し娘。:2006/11/19(日) 05:32
うんこだだもれ
http://d.hatena.ne.jp/INUman/

175 :名無し娘。:2006/11/19(日) 05:33
すいません誤爆しました

176 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:33

気持ちの整理がつかない。
自身の感情すら制御できずにいる。
そんな僕に、彼女にかけてあげる言葉があるんだろうか。

この数年で幾度もこみ上げてきた感情。
極めて単純な怒りでもあり、透きとおるほど無雑な哀しみでもあり。
様々なものが混じりあい、出口を求めるように身体の中から膨らんでくる激情。

激情。
その言葉通り、激しい感情ですらも、今、僕が目の前にしている光景が飲み込んでしまっていた。
今までにもそうだったんだろう。
今回だけが特別なんじゃないはずだった。
けど……

けれど、きっと。
今まで堪えてきたからこそ、そうして溜めてしまった哀しみは彼女の背に余るものになってしまったのかもしれない。
そう感じさせるほどに、今、僕が見ている背中は、目を離してしまえば消えてしまうんじゃないかと思うほどに小さく弱々しかった。

今のメンバーの中で、もう知っているのは僕だけしか残っていないけれど。
彼女はけして簡単に“強い”と言ってしまえる娘じゃあなかったから。
そんな彼女が作って……作り上げてきたアイデンティティを保ちえなくなるほどのダメージだった。

177 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:33

「なあ」

どんな表情で紡がれた言葉なのか、僕には解らない。
けど、知る必要を感じないほど掠れきった声だった。

「うん?」

僕は短く返事をする。
余計な言葉は余計な刺激にしかならないかもしれないから。

「人の願いってさ、叶わないもんなのかね」

自嘲するかのような言葉、その中にどれだけの真実が含まれてるんだろう。
悔しくも情けないことに、僕はその言葉に返してあげられる何ものをも知らなかった。
下手な慰めやその場しのぎなんて求めてはいないだろうし、僕もそんな言葉は持っていない。

「ごめん」

なにも言えずにいる僕に――こんなときにまで――気を遣ったんだろう、彼女が言葉を重ねた。

178 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:34

「わりーね、情けないリーダーでさ」
「そんなことない」

それだけは言える。
一度だってそんなことを思ったことはない。

「そっかな? そう?」
「うん。他の誰にだってそんなこと言わせない」

乾いた笑いが返ってくる。
微かな湿度を残したカラカラの笑い声。

「他に、誰もこないよね」
「うん」
「なんも言わないで、しばらくいてくんない?」
「……うん」
「サンキュ」

僕は黙ったままで、ただ彼女の背中を見つめていた。
自分がそうするであろうように、例え無理矢理にだったとしても、彼女も自分の気持ちをまとめるはずだから。
少しでもその手助けになればいいと、僕は彼女の側にいる。

179 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/11/26(日) 01:41

湿っぽくてごめんなさい。
そんな気分だったので。

>>165
今日はヘンなものが降りてきちゃいました。

>>166
そういうの好きなんですよ。

>>173 TACCHIさん
子猫さん……や、くすぐったい(^^;)
いつもありがとうございます。
亀井さんの話、期待しています。

180 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:58

「今帰り?」

一人遅れて出た楽屋の前で、久しぶりに聞く声が耳に響いた。
意外な声に振り向いてみれば、数ヶ月ぶりに顔を合わす厳しくも優しい先輩の笑顔。

「や、保田さん!? ご無沙汰してます」

条件反射のように頭を下げると、厳しく躾けられた当時の思い出がよみがえってくる。

「ちょっと! なんで逃げるのよっ」
「え? 逃げるなんてそんな……ほら、もう帰るところでしたから」
「人の顔見て逃げるなんていい根性してるわね。ちょっと付き合いなさいよ」
「えぇー!?」
「いいから。いくわよ」

半ば無理矢理に連れてこられた隠れ家的な居酒屋。
差し向かいで日本酒を酌み交わし、あまり口にしないような――主に保田さん好みの――肴をつまみながら、ごく普通の世間話に終始していた。
四合瓶を二本空け、まだ飲むんだろうなとメニューに目をやり次の酒を選んでいたとき、今までの流れそのままの声で保田さんが爆弾を落とした。

「アンタさ、誰か好きな娘いないの?」

181 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59

「……はっ!?」
「なに思いっきり動揺してんのよ。そんなおかしなこと聞いてないでしょ」
「い、いや、そうですけど。なに、なんで急にンなことを……」

保田さんは真顔で、手にした箸をふるふると振ってみせる。

「好きなメンバーとかいないわけ?」
「メンバーって……えぇ? 娘。に、ですか?」
「でもいいし、もっと枠を広げてもいいわよ」
「……い、いませんよ。だって…仲間なんですよ?」
「よっすぃーとか藤本とか、高橋だっていい年頃なんじゃない。石川とか、ごっちん……」

人の言葉なんて聞いてもいないかのように、保田さんはあり得ない話を続ける。
押し黙った僕を見た保田さんが言葉を止めて、唐突にニヤリと笑った。

「なにかおかしいですか?」
「さあね。まぁ、本心はさておき、アタシにそういう風に言えるのは成長よね」
「もしかして、試しました?」
「うん」

カラカラと笑いながらこともなげに頷かれた。
話を止めるタイミングも、僕の表情を見ての反応も、こうまで見透かされると悔しくもならない。

「意地の悪い先輩ですね」
「言えるようになったじゃない」

やり返すこともできずにまた笑われる。
まぁ不快じゃない。爽快ではないにしろ。

182 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59

「よっすぃーの面倒見たらしいじゃない」

不意に変わった話は少し前の愉快ではない話に直結した。
それが表情にも出ていたのかもしれない。

「んな顔しない」
「……はい」
「で、どう?」
「なにがですか」
「色々よ」
「よっすぃーにはなにもしてませんよ。僕なんかじゃなにもできない」

フン、と、鼻で笑われた。

「アンタはいるだけでもいいのよ」
「……役に立たなくてもですか?」
「役に立つか立たないかは、周りが決めるわよ」
「はあ」
「もうちょっと自身持ちなさい。いい男になってきてるから」
「……ありがとーございます」

めずらしい誉められ方に気恥ずかしくなり、投げやりなお礼を返した。
楽しそうに笑う保田さんから逃げるように逸らした視線の先で、時計の針が日付を変わったことを教えてくれていた。
やり返すチャンスだと、そう思った。

「誉めてくれたお礼に、今日は僕が奢らせてもらいます」
「なにヘンな気使ってんの、いいわよ」

保田さんの空いたグラスに酒を注ぎ、自分のグラスも空け、同じように注ぎながら今度は逆にニヤリと笑って見せた。

「誕生日おめでとうございます」

グラスを掲げ言ってみせた。
驚いた保田さんが照れくさそうに視線を逸らせながらグラスを手にした。
硬質なグラスが、お祝いの音を鳴らし、僕は今日ぐらいは保田さんを背負って帰るのもいいかなと思った。

183 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/06(水) 00:59

圭ちゃんおめ。

184 :名無し娘。 :2006/12/07(木) 05:29
だいぶ遅れたがヤススおめ

185 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/09(土) 17:04

局の廊下を歩いていると、ハロモニのスタッフさんに呼び止められた。

「ごめん、●●くん。あのさ、美勇伝のみんなを歌収録があと十分後にあるから
 スタジオに呼んできてくれないかな?」
「へ? いいですよ。でも、なんで僕…?」
「おねがいね〜♪♪」

スタッフさんは、そのまま逃げるように走っていった。

「ま、いいか」

何も考えなくて、そのまま楽屋に向かった。
僕の辿りついた場所には、入り口の横に『美勇伝 様』と書かれた紙が
張ってあった。

−ゴンゴン−

「「「はぁ〜い」」」

ドアをノックすると中からは、三人の女の子の声。

「●●だけど、入っていい〜??」
「いいよ〜」

中から梨華ちゃんの声が聞こえて、僕はドアの中に入った。

186 :−バニー−:2006/12/09(土) 17:04

「今から、歌しゅ…!!??」

−バタン!!−

慌ててドアを勢いよく閉めて廊下に出た。
僕が見たもの…それは、バニーガールの格好をした女の子三人が、椅子に座って
こっちを見ている光景だった。

「え? あれが、歌衣装?? ジャケットだけじゃ、なかったの?」

一人で、自問自答を繰り返していると後ろのドアが開いて中から梨華ちゃんが、
ひょっこりと顔を出した。

「●●、何してんの??」
「いや、あのさ、あと10分後歌収録だって。スタッフさんに、伝えてって言われたからさ」
「ふ〜ん…●●。どう? 私たち」
「ど、どうって?」
「もう、…私たちの衣装似合ってる?って聞いてんの」
「あ、あぁ、なるほどね。う、うん、似合ってるんじゃないかな?」

僕は、梨華ちゃんを真っ直ぐに見れなくて視線をそらしながら答えた。

「●●、見てない。もう!!」
「うぉ!!」

そう言って、梨華ちゃんは僕の腕を引っ張って楽屋の中に無理やり入れた。

187 :−バニー−:2006/12/09(土) 17:05

「あ…お、おはようございます」
「あ〜●●先輩、おはようございます〜」
「●●君、おはよ〜」

僕の方を、見て笑顔でそう答える岡田さんと三好さん。け、けど、まともに見れない…。

「二人とも〜●●がね、衣装とっても似合ってるだって」
「ホンマですか〜!! 唯、めっちゃ恥ずかしいんですけど、先輩にそう言って
 もらえてめっちゃ嬉しいです♪」

一気に僕との距離を詰めた岡田さん。ってか、近い、近いから!!
目線をどこにやっていいのかわからずに、オロオロとしていると

「●●君、座りなって」

三好さんから、椅子に座るように促された。僕は、居心地が悪くも椅子に座ると
岡田さんが、僕の前にしゃがみこんで、僕の顔を覗き込んでいる。

「な、なに??」
「いや、かわいい顔やなぁ〜って思って」
「そ、そうかな?」

そうすると、後ろから梨華ちゃんが僕を抱きしめてきた。

「唯、●●はあたしのものなんだから、ダメだよ」
「えぇ〜、ずるいですってぇ〜。唯も、先輩抱きしめたいです〜」
「じゃあ、私も参加しよ〜」

前と後ろ、そして横からも抱きしめられている僕はもう頭の中がパニックになっていた。
美勇伝デルタアタックを、喰らった僕は自分でもわかるぐらい顔が熱くなっていくのが
わかった。
逃げなくてはと思った、僕はちょっと荒々しい行動に出る事にした。

188 :−バニー−:2006/12/09(土) 17:05

「岡田さん、ごめん!!」
「え? きゃっ」

僕は、岡田さんの胸に向かって手を差し伸べると軽く押して体を離し
体を反転させて梨華ちゃんの方を向いた。

「梨華ちゃん、許せ!!」
「ん? んふ」

僕は、梨華ちゃんの耳に息を吹き込むと梨華ちゃんは力なく床に座り込んだ。

「三好さん、すいません!!」
「あ…」

三好さんのおでこにキスをすると僕は逃げるようにドアへ走った。
ドアを出る前にみんなの方を見ると。

「早くスタジオに行ってね。もう時間だよ」
「「「・・・」」」

そう言って、楽屋を出た僕は急いで自分の楽屋へ戻った。楽屋に戻ると、
田中さんたちから『顔が赤い』と指摘されたがなんとかごまかした。
その後のハロモニの歌収録は、なぜかPVより妖艶に撮れたとスタッフさんも
一喜一憂していた。
僕は、三人の顔がそれからまともに見れないです…。

189 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/09(土) 17:07
すいません、遅くなりまして(汗)
ちょっと、遅い感じもしますが美勇伝ネタ書かせていただきました。
続きのコメントは、また後ほど書かせていただきます…
今から出かけてきますので(汗)

190 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/10(日) 09:20
>>179 (匿名さん)
すいません、亀井さんの話ではなくて(汗)w
ラジオで話していた通り美勇伝のネタを書かせていただきました。
匿名さんの、今回の作品もいいですね〜。
よっすぃーと保田さんの話、どちらともよかったです♪♪

えりりんの話は、また後日書かせていただきますので、お楽しみに〜。

191 :名無し娘。:2006/12/10(日) 18:24
「先輩。」
誰かと思って振り向くと、松浦さんだった。
「あややどうしたの。」
「先輩に相談があって松浦に付き合ってもらえないですか?」
「いいよ。」
「それじゃあ松浦の楽屋に来てください。」
松浦さんの楽屋に一緒に行った。

「先輩どうぞ。」
「お邪魔します。」
楽屋のイスに座ると松浦さんが話し始めた。

「松浦ってわがままで態度でかいと思いますか?」
「え?」
突然の質問で僕は驚いた。
「人の性格って人によってどう思うか違うと思うけど、
あややの性格、わがままで態度でかいって思う人もいると思うよ。」
「先輩はどう思います?」
「俺もあややがわがままで態度でかいと思うときあるよ。」
「やっぱりそうですか。でもそれが松浦らしさですよね。」
「俺もそう思う。」
正直に言っても松浦さんは笑顔でいてくれたので安心した。

192 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:18

それは久しぶりの雰囲気を覚える場だった。
メンバー全員での新聞紙面を飾る撮影と、にぎやかしい話題での取材。

が、それよりも。
別件で遅れて入った控え室で、僕は軽くショックな出来事があった。

 …………

「遅くなりましたー」

軽くノックをし、「どうぞー」と、よっすぃーの返事を受けて開いた室内へ向けての第一声だった。
それが挨拶の言葉だというみたいに数人から遅いと言われながら、僕はそれらの全てを聞き流していた。

「で、もういるの?」

きょろきょろと見回した控え室の中で、年長組数人をのぞいた数人の輪ができている。
ちらりと見える二つ結びにした見慣れない黒髪。

「もーアンタだけだよ。挨拶してないの」

藤本さんが「遅いからだよ」なんてブツブツ言いながら教えてくれた。
どうやら小春ちゃんをはじめ、年少組はさっそく交流を持っているみたいだった。

193 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:19

「僕も挨拶ぐらいさせてよ」

騒々しいくらいの輪に近づいて、後ろからそう声をかけた。
フッと会話が止まり、振り向いた亀井さんと小春ちゃんが少しばかり左右に分かれてやっと視界が開ける。
ああ、そうそう、こんな子だったな。そう思った。
ハロモニ収録の場で対面しているとはいえ、僕自身は何一つ絡んだわけではなかった。

「えっと、光井愛佳さん。だったよね。改めて、よろしくお願いします」
「…………」

僕がそう挨拶をした途端――正しくはその前からかもしれないけど――、控え室が静寂に包まれた。
小春ちゃんたちは黙って僕と、光井さんの間で視線をさまよわせ、後ろの年長組も興味津々という体で見つめているようだった。
そして……光井さんもなにも喋らない。
笑顔から真顔の間で半ば硬直したように表情を凍らせ、薄く開いた口元も微動だにしない。

「あれ……?」

気まずい静けさに、意味をなさず場つなぎ的に口を開いてみたけれど、状況は何一つ変わらなかった。
妙に静かで、とても気まずい。

「名前……間違ってないよね?」
「…………」
「ん?」
「……ぅ」
「み、光井さん、だよね?」
「は、はい」

えらく小さな声で、一応肯定の言葉が返ってきた。
前回の印象とはだいぶ違う……?
気がつかないうちになにか嫌われるようなことでもしたんだろうか。
が、そんな印象を与えるほどの時間でもなかったと気がついたとき、ドアがノックされ僕らは呼び出された。

194 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:19

 …………

そして取材を終え今に至る。
控え室の中で、荷物をまとめる間も、どうにも気になって仕方がなかった。
ふと振り向いた先で、田中さんと小春ちゃん、そして光井さんが楽しげに喋りあっている。
なにかの弾みでこちらを向き、僕と目があった田中さんが笑った。
僕に向かって。擬態語をつけるならば“ニヒッ”。そんな笑い方だと思った。
つと立ち上がった田中さんが口を開いた。

「先輩! 愛佳ちゃんが先輩のことずっと好き――」

部屋の外まで聞こえそうな声で話しだした口を、何故だか亀井さんが大慌てで塞いだ。
なにか二人でコソコソ話しているが、それは僕には聞こえなかった。
一方の光井……愛佳ちゃんはといえば。
やはり硬直していた。
笑顔と……泣き顔の真ん中のような表情で。顔中を真っ赤にして。
一つ違うことに気がついた。
口が、僅かに動いていた。

『あう』

そんな感じだろうか。
ともあれ、嫌われているんじゃないようだと解ったから、それでよしとしておこう。

 ――これからよろしくね

心の中で愛佳ちゃんへそう呟いて、田中さんへの反撃を考えることにした。

195 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/12(火) 22:28

八期メン加入祝い。
……ほとんど喋ってないですけどw
しかもレス区切るトコ間違えたしorz

>>185-188 TACCHIさん
乳……あ、違う。そうじゃなく。
TACCHIさんの描く“先輩”は、セクハラ……いや違うw
こういう明るさはいいですよね♪
カメちゃんも楽しみにしてます。

>>191
わがままで態度でかい(^^;)
まぁそうか……そうかも?
こっちの先輩はストレートに言うなぁw

196 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/18(月) 00:49

最近元気なくない?
なんて訊かれて困ったりすることがある。
特に元気ないなんてわけがないじゃん。
そう返事もしてるのに、メンバーからはそう見えてないらしい。

仕事だって頑張ってるし、スタッフさんには一度だってそんなこと言われないのに。
いつも一緒にいるメンバーにはなにか解るっていうのかな?
絵里自身も気がつかないような違い。ある?

「どうだろう……?」
「なにブツブツ言ってるっちゃ」

おっと、知らない間に言葉に出してたみたいで。
隣に座っていたれいなにツッコミを入れられた。
その表情が少し「ん?」って顔になって。
こっちも「ん?」って返したら、人の顔をまじまじと見て、遠慮がちに訊いてきた。

「やっぱ元気ない?」
「えー? そんなことないのに〜。おっかしいなぁ」
「ふうん」
「うん」

二人でおかしな納得の仕方をしたとき、楽屋のドアがノックされて静かにドアが開いた。
ドアの隙間からのぞいた顔を見たとき、自分の中で何かが繋がった。
ちょうど色々考えていたからこそだろうと思う。

急にすっくと立ち上がった絵里に、れいながなにか話しかけてきたけれど、とりあえずそれどころじゃない。
ドアへ向かって真っ直ぐ歩いていき、先輩の腕に自分の腕を絡ませてみた。

「な、な……?」

突然の行動に驚いている先輩だけど、それでも迷惑でなければ突き進むのみ。
そう、この甘えられる腕が足りなかったんだ!
困っていた先輩がいつの間にか笑顔に変わっていて、そして絵里の頭をポンポンと撫でるみたいに叩いてくれた。

足りなかったもの。
これが絵里のエネルギー♥

197 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/18(月) 00:50

書き終えてから気がついた。
ちょっとパクリしたような気がする(汗)
ごめんなさいごめんなさい。

198 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:45

零時を過ぎた。
一番最初に届いたメールはれいなからのものだった。
明日渡すプレゼントに期待しててって書いてあった。
素直に嬉しい。
けど、今ちょっと微妙に淋しい。
メンバーみんな……光井ちゃんからまでメールをもらったっていうのに。

199 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:46

そんな翌朝。
期待しててと言われたれいなからのプレゼントは、少し前に雑誌で見て「これいいよね」って話をしたブーツだった。
れいなの好みでもあり、色違いでお揃いになってるらしい。
安倍さんからも電話をもらった。
嬉しかった。
でも淋しい。

今日は個人の仕事だとかで会う機会すらないっていうのに。
メールもこない、電話もかけてくれない。
なら勿論プレゼントももらえない。

別にプレゼントが欲しいわけじゃない。
ただ祝って……ううん。
ただ声が聴きたい。会いたい。
それだけでもよかった。

200 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:46

なのに。
せっかくの誕生日も残り一時間もない。
淋しくて、悲しくて、ちょっと悔しくて、思い切ってメールを送った。
一言だけ、起きてますかー、って。
にらむみたいにケータイを見つめながら五分。

「おそい……」

そんな呟きが届くわけもないのに、バッチリなタイミングで着信がきた。
先輩からのもの。『起きてるよ。亀井さんはまだ寝ないの』ってそれだけ。
まさか忘れてるんだろうかって考えがちらつく。

今、家ですか?
ちょっと自分から言いだすのは癪だったから、遠回しに話をする。

201 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47

今度はすぐに返信が届いた。
『ううん。今、歩いてる(笑)』だって。
つまんないよー、先輩。

絵里の誕生日が終わろうとしてるのに、どこをほっつき歩いてるんだ!
なんて言えるわけもない。
どう話そうか考えてる間に、もう一通メールが届いた。
『亀井さんは家にいるの?』

いますよ。そう返した。
またすぐに返信。
『よかった』って、それだけ。
なにが? よかった?
頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

202 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47

着信。
電話だった。

「はい」
『今、家の前にいるんだ。ちょっと出てこれる?』
「へっ?」
『寒いからさ、出てきてくれると嬉しいな』
「い、いきます。すぐいきます」

慌てて一枚上着を羽織って玄関へ向かう。
覗き窓も確かめずに開いたドアの向こうで先輩が笑ってた。

「ギリギリ間に合った。十八歳おめでとう。それと、ちょっとフライングだけどメリークリスマス」

両手に二つのラッピングされた荷物を抱えたサンタさん。
ちょっと泣いちゃいそうな誕生日だった。

203 :匿名 ◆TokDD0paCo :2006/12/23(土) 01:47

亀井さん、おめでと。

204 :名無し娘。:2006/12/23(土) 11:11
今日は亀井さんの誕生日。
一応メールを送ったけど、
仕事でプレゼントあげれなかった。
と思いつつ自分のマンションに帰った。
部屋に入るとリボンをつけてラッピングした
亀井さんがいた。
「先輩、プレゼントに絵里を貰ってください」
「でも今日は絵里の誕生日でしょ」
「そうですけど、絵里いつも先輩に優しくしてもらってるから」
「ありがとう、絵里」
僕はそういって亀井さんの頬にキスした。

205 :−Birthday−:2006/12/23(土) 15:30

今日は、亀井さんの誕生日。
みんなで、誕生日プレゼントを持ち寄ってハロモニの楽屋で
誕生日会が始まった。

「絵里、誕生日おめでと〜」
『おめでと〜』
「ありがとうございますぅ〜♪♪」
「じゃあ、みんな誕生日プレゼント渡して〜」

よっすぃーからの合図で続々と誕生日プレゼントを渡していく
僕ら娘。のメンバー達。

「開けていいですかぁ?」
「うん。どんどん開けちゃって」
「じゃあ、これ」
「あ、れいなの」
「れいなか〜…なんだろ?」

紫色の包装紙で包まれた箱をガサゴソと開ける亀井さん。

「あ、これ…ネックレス?」
「うん、れいなとさゆと美貴ねぇも一緒のしとると。6期の
 証って感じのが欲しかったけん…」
「れいな、ありがと。大切にするね。うへへ〜」
「うん」

照れたようにちょっと顔を赤くして、ぶっきらぼうに田中さんはそう答えた。

206 :−Birthday−:2006/12/23(土) 15:31

「次はぁ〜…これ♪」

そう言ってどんどんと開けていく亀井さんは、もらった人に笑顔で
お礼を言っていた。

「最後は…先輩?」
「そうみたいだね」
「あの、これ薄くないですか?」
「そうかな? まぁ。開けてみてよ」

亀井さんは、不思議そうに四角くて薄い包装紙をあけた。

「CD??」
「ジャケットは、だれ?」
「せんぱい…? 先輩!?」
『えぇ〜!?』

一斉に亀井さんに駆け寄る僕以外のメンバー達。

207 :−Birthday−:2006/12/23(土) 15:31

「せ、先輩、ソ、ソロデビューしたんですか??」

亀井さんが、僕の顔を驚いた顔で見つめる。

「うん。今日限定でね」
「え? 今日限定?」
「事務所に手伝ってもらってね。世界で一枚しかないんだよ」
「ホントですか? これ絵里のために?」
「もちろん。 だって、今日は亀井さんの誕生日でしょ。曲名は、『Birthday』
そのまんまで、ごめんね…って、絵里?」

亀井さんは、顔を下に向けて僕に顔を見られたくないようだった。
僕が、亀井さんに近づくと亀井さんの顔から水滴がCDに落ちていた。

「あ〜あ、●●が、亀井ちゃん泣かしちゃった〜」
「す…すいません、グスッ、とても嬉しくって」
「ごめんね、泣かせちゃって」

僕は、亀井さんの頭を撫でながら抱き寄せた。
周りから『絵里、ずる〜い』なんて声が聞こえたけど、今日ぐらい僕からいいよね?
誕生日おめでとう、絵里。

あれ? 僕の誕生日…誰か覚えてるかな??

208 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/23(土) 15:37

亀井さんの誕生日記念ネタいかがでしたでしょうか?
頭も撫でるのもちゃんと入れましたw
次のネタは、明後日かな??w

>>203 (匿名さん)
誕生日ネタめっちゃよかったです♪
その前のネタで先に頭を撫でるネタやられちゃいましたがwww
まぁ、気にせず…これからもよろしくです♪♪w

>>204さん
短いけれど、めっちゃいいですねw
萌えましたwww
これからも、どんどん書いてください。

209 :名無し娘。:2006/12/24(日) 09:28
「クリスマスかー」
ディナーショー慣れてきたけどがんばらないと。
私は23日の夜そう思っていた。
デイナーショーの当日になり、昼の回は無事に終わった。
夜の回になり歌おうと思ってステージに上がると、
先輩が座ってる。
「あ、先輩だ。名古屋まで来てくれたんだ。がんばらないと」
一生懸命ステージをやり、先輩と目が合うときはアイコンタクトした。
夜の回も終わり楽屋に戻ってくると、先輩が待っていた。
「あややお疲れ様。そしてメリークリスマス」
そう言ってプレゼントをくれた。
「先輩、名古屋まで来てくれたんですね。ありがとうございます」
「あややのディナーショーが見たくてね。
 スタッフさんにチケット取ってもらったんだよ」
「お礼に松浦が今夜お酒飲みにつれってあげますよ」

210 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/25(月) 15:47
今日、ネタをアップする予定だったんですが、急にバイトが
入ったんで、ちょっと夜中になるかもしれませんが、それまで
お待ちいただければ幸いです。
今日、ラジオしながらネタ書こうかな・・・www

211 :−聖夜の夜に−:2006/12/29(金) 06:00

今日は、12月25日。外にいる僕の周りのカップル達にとっては
とても重要な日らしい。でも、僕にとっても重要な日のはずだった…

「やっぱ、みんな忘れてんのかな?? はぁ〜…」

そんな独り言もでてきて、近くにいたカップルに聞かれていたらしく
ちょっと気味悪がれて、じろじろと見られたので足早になる。

−♪電話だよ〜♪−

その時、携帯からみんなの声が聞こえてくる。僕の携帯の着信音だった。
携帯を開いてディスプレイを見ると事務所からだった。

「事務所? なんで?? もしもし?」
『●●?』
「マネージャー? どうしたんですか?」
『大変なの! 娘。のみんなが…」
「へ? 今日は、僕以外のメンバーは取材でしょ?」
『そうなんだけど、みんなが乗った車が事故起こしたらしくて・・・」
「う、うそでしょ…」
『●●、急いで事務所に来て!!」
「は、はい!! すぐにいきます!!」

真っ白になった頭の中。僕は、何も考える事ができず力の限り走り出した。

212 :−聖夜の夜に−:2006/12/29(金) 06:01

「うそだろ…はぁはぁ…絶対うそだって!!」

何度も何度も嘘を信じて走って走って走りまくった。
事務所のビルに着いて、エレベーターに乗ろうとしたけど
なかなか来ないエレベーターを待つ事ができず、階段を駆け上がった。
そして、勢いよく事務所の扉を開けると真っ暗だった。

「はぁはぁはぁ、マネージャー!? どこ…うわっ!!」
−パン、パパンー

いきなり鳴り響いた破裂音に僕は驚いてしまった。
その破裂音の後に、目の前を灯しだすロウソク。

『♪ハッピバースデイトゥーユー、ハッピバースデイトゥーユー♪』

ロウソクが、全部灯ったのと同時に娘。のみんなが出てきて
歌いだす。

『♪ハッピバースデイディア、●●〜…ハッピバースデイトゥーユー♪』
『おめでとー!!』

そう言って、拍手をしてくれるメンバーの笑顔を見た瞬間座り込んでしまった。
顔を塞ぎこんでしまう。

213 :−聖夜の夜に−:2006/12/29(金) 06:01

「せんぱい? どげんしたと?」
「だいじょうぶですかぁ?」
「●●?」

僕を、不思議そうに覗き込むメンバーたち。

「…かった」
「え??」
「よかった…みんな無事でよかった…」

僕の顔からポタポタと落ちる水滴。それに気づいたミキティが僕を優しく
抱きしめる。

「●●、ごめんね…大丈夫、大丈夫だから」
「せんぱい、大丈夫やけん…ごめんなさい」
「絵里は、ここにいますから」
「さゆも、元気ですよ」

そう言って抱きしめてくれる娘。のみんな。
暖かくて優しい気持ちになれる・・・涙がさらに溢れた。

「…ったく、誰だよ…グスッ、こんな悪い冗談思いついたの…グスッ」
「あぁ〜、ごめん。あたしだわ」
「おまえか、よしこ…絶対許さん…」
「でも、みんな即決で賛成してくれたよ」

僕が、みんなの顔を見るとみんな苦笑いになっていた。光井さんまで…

214 :−聖夜の夜に−:2006/12/29(金) 06:02

「このやろ〜…はぁ〜、仕方ないなぁ…もう今日だけにしてよね」
「せんぱい、早くロウソクの火消してくださいよぉ」

亀井さんに、背中を押されてケーキの前にやってきた。

「せんぱい、消す前に願い事してくださいね」

僕は、ケーキの前で目を瞑り手を組んで願い事をかけた。
そして、ロウソクに向かって一気に息を吹きかけた。
ロウソクを吹き消すと、みんなから手に持てないぐらいプレゼントを
渡された。

「れいな〜」
「はい?」
「れいなのプレゼントは??」
「え? なんで、れなからなんですか?」
「去年、プレゼントくれなかったのは誰でしょうか??」
「黄色の箱の奴です。あ、でも…」
「え? また中身入ってないとか??」

そんな田中さんの言葉を聞かず、黄色の包装紙に包まれた
箱を開けると、そこには水着のれいなの写真があった。

「これは? れいなの写真集?」
「は、はい。あの来年発売の奴なんですけど、お願いして一冊先輩のために…」
「ありがとう。これ、後でゆっくり見させてもらうね」
「はい。あ、あと、先輩あとで時間あります??」
「うん、姉さん達に捕まらなかったらね」
「ありがとうございます」

その後も、みんなからのプレゼントを続々と開けていき、みんなからお祝いの言葉を
言ってもらった。光井さんは、顔が真っ赤になりながらも言葉少なめに、僕に
誕生日プレゼントを渡してもらった。

最後に、みんなと笑顔で誕生日記念の写真を撮った。
ケーキを囲んで笑顔で真ん中で写っている目を真っ赤にした僕。

恥ずかしい記念日になったけど、とっても嬉しい記念日になった。

僕の願い…みんなが、ずっと笑顔で…。

215 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2006/12/29(金) 06:03
遅くなって申し訳ないです。クリスマスネタですw
次のネタはすぐに・・・www

216 :名無し娘。:2006/12/29(金) 13:33
気になるひょう

217 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/03(水) 04:18

へらへらとした笑顔で爆弾を落とされたのは三人だけでの席だった。

「卒業、決まったわ」

藤本さんも僕も、よっすぃーがそんな表情をするしかないんだということは解っていた。
けれど僕はそれに対して何も言えず、藤本さんは憤りを露わにした。
今にも掴み掛からんばかりに詰め寄る藤本さんをいなすように肩に腕を回しなにかを呟いたよっすぃー。
仕方ないな、そんな笑いを浮かべたよっすぃーの隣で、藤本さんは憮然として黙り込んでしまった。
僕へ視線を流してチョイチョイと指が動く。
ため息をついて距離を詰めた僕に、毅然とした声でよっすぃーがこう言った。

「もうアンタが一番先輩になるんだからさ。頼んだよ」

今ここで、そんなセリフを口にする彼女に、「反則だよ」と嘆息しながら空いた手に巻かれた僕はやるせなさを飲み込んだ。
今日は酔ってしまってもいいかもしれないと、ほんの少しだけ、そう思っていた。

218 :名無し娘。:2007/01/03(水) 20:31
>もうアンタが一番先輩になるんだからさ

そうか、このスレ的にはそうなるんだよね・・・

219 :−旅立ち−:2007/01/04(木) 14:05

今僕の横には無表情のミキティ。
別室では、高橋さんとよっすぃーが1対1で話している。
たぶん、今後の事を話しているんだと思う。

「・・・」
「なぁ、無言は寂しくない?」
「・・・」

無言のミキティ。表情は、無表情のようで少し悲しそうだった。

「あのさ…泣きたかったら、今泣いとけば?」
「・・・」
「明日からは、泣けないよ。みんなの前で、泣きたくないでしょ」
「・・・あんたは?」
「僕は、今は泣けない」
「なんで?」
「ミキティが、泣くからさ…」

そう言うと、ミキティは立ち上がり僕を後ろから抱きしめた。

「前じゃなくていいの?」
「見られたくない…」
「そっか・・・」

背中から少し震えているのが伝わってくる。
後ろから抱きしめられている手を僕は優しく優しく包み込んだ。
明日から、笑顔でね…

220 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/04(木) 14:09
えっと、何を書いたらいいのやら・・・今回はマジでビックリしまして・・・
ネタも、よっすぃーは何か出せなくてミキティにしたんですが、やっぱ寂しいですね。
でも、最後まで突っ走っていってほしいです。

221 :名無し娘。:2007/01/06(土) 13:36
吉卒…年少メンはどういった感じで受け止めたんだろうな

222 :−翌日・・・−:2007/01/07(日) 02:40

みんなが集められた室内には重い空気が流れている。

「・・・という事で、吉澤が卒業する事になった」

事務所のお偉い方からの説明のあとによっすぃーが話す事になった。

「あたしは、今年の5月のコンサートで卒業することになりました。
 これは、娘。のためでもあるしあたしのためでもある。だから、
 最後までみんなと突っ走っていきたいと思います」

僕の横に珍しく居た久住さん。今日は、よっすぃーやミキティが
近づけないほどピリピリしてたからだと思う。
僕の手をぎゅっと握る久住さん。そして、久住さんは今にも泣きそうな
目で僕を見つめていた。

「小春…」
「せんぱい…先輩は、知ってたんですか…」
「うん…昨日ね…」
「なんで…な…んで」

目から大粒の涙を流し始めた久住さんの頭を空いている片方の手で
撫でてあげる。

「なんで…え、笑顔…なんですか?」
「・・・だって、僕が泣いちゃ小春たち泣けないでしょ?」

周りを見ると昨日知らされていた僕とミキティ、そして高橋さんの
3人以外は、突然の事に放心状態になっている人もいれば、
涙を流している人も居た。

「小春…今からいっぱい思い出作ろ…いっぱい…いっぱいさ」
「はい…はい!!」

そう答えた久住さんの顔は完璧とまではいかないけれど、
精一杯の笑顔だった。
久住さんの頭を優しく優しく何度も撫でてあげた。

よっすぃー、卒業するなんてずるいよ…こんな後輩が居てくれるんだからさ。
卒業まで、この子たちもう泣かせちゃダメだよ。僕もね…

223 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/07(日) 02:46
まぁ、これはね本当はにある方にあげようと思ってたんですけどね…
ある方から『載せたほうがいいよ』って、言われたんで載せさせていただきました。
いかがでしたでしょうか??ホント年少組は、ショックでしょうね〜
今日のハロモニ見なくては・・・

224 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:14

卒業なんて言葉は聞きたくなかった。
僅か数ヶ月前に、大事な同期を二人も立て続けに見送って、空いてしまった心の穴をやっと塞いでいるところだっていうのに。

吉澤さんに呼び出されたこの部屋に入って、先に座っている顔ぶれを見たとき、「あぁ」と、そう感じた。
次はこの中の誰かなんだって、漠然とそう思った。
それが吉澤さんだと聞かされて、大きな驚きとより大きな不安と、そして少しだけ、ホッとしている自分がイヤだった。

そうしてしばらく話をして、話が後に残される側に移ったとき。
不機嫌そうに黙っていた美貴ちゃんが口を開いた。

「そのまんまスライドしてミキがリーダーんなるらしいから」
「あ、うん」
「で、愛ちゃんがサブリーダーだから」
「あ、うん……へえっ!?」
「そういうことだから」

そう吉澤さんが付け足すように話した。
けれど……

「あの……ガキさんとかの方が――」
「ダメ。決まったことだから。んなこと言いだしたらミキだって」
「先輩とか……」
「愛ちゃん?」
「は、はい?」

先輩が今までで一番かもしれないほどに真剣な表情で名前を呼んだ。
その真剣さに押されるように返事をしたけれど、少し怖いくらいだった。

225 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:14

「本気でそう言ってるの?」
「え……?」
「うまく話せないからとか、向いてないからとか、そう思ってるからだよね?」
「……はい」
「モーニング娘。なんだよ? 僕はその光の中にある影でしかないんだ」
「そ、そんなこと――」
「ある。僕はそれでいいと思ってるし、それが正しいことなんだから。
 でもだからこそ強い光であってほしいって思うし、そのために頑張ろうって思うんだ」

先輩は淡々とした声でそう言った。
それは自分の存在を嘲るでもなく、たった一人、違う性別で異分子扱いされることですら誇っているような。
そんな強さを持った表情だった。

「愛ちゃんにもそうあってほしいって思っちゃいけないかなあ?」
「せんぱい……?」
「より強く光るために、愛ちゃんも自分で作った殻を壊して頑張ってほしいって。
 そう期待して……そう願っちゃダメかなあ?」
「…………」

テーブルへ目を落として考える。
自分にできるんだろうかって。
期待に応えられるんだろうかって。
自分の意志と同じように上げた目線が先輩の目と交わった。
先輩は黙って私を見つめていた。
そこには求めてるんじゃなく信じてるって言葉がにじんでいる。

「……がんばります」
「そう言ってくれるって信じてたから」

先輩はそう優しく笑いかけてくれて。
強い目で見つめていたミキちゃんも表情をほころばせて。
そして吉澤さんが手を差し出して、ヒョイとあごをしゃくって見せた。
なんのことだろうと思っていると、ミキちゃんと先輩が同時に手を動かして吉澤さんの上で交わりあう。
ああ、そういうことかと思うのと同時に、先輩が私の手を取って重なった三つの手の上に導いてくれた。
それぞれ少しずつ感じる三様の手のぬくもりが、それぞれに同じ感情でいることを教えてくれる。
できるか、じゃあなく、やらなきゃいけないんだって思う。

がんばっていこう……。

226 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/01/07(日) 06:15

すいません、放送中にこんなん書いてました。
AA消えた流れで黙々と。ごめんなさいm(_ _)m

227 :−二十歳だから…−:2007/01/24(水) 10:15

今日は、局での撮影のため廊下を歩いていると。

「●●〜」

僕を呼ぶ声がして後ろを振り返ると、そこには水色の衣装を着たごっちんが居た。

「おはよ、ごっちん」
「おはよ〜、何、今からスタジオ??」
「うん。ごっちんは?」
「私は、今終わったところ〜」
「あぁ、そっか10年記念隊だよね」
「そうそう」

その場で、くるっと一回転して僕に衣装を見せてくれるごっちん。

「うん。可愛いよ、似合ってる」
「へへぇ。あ、そういえば何で●●選ばれなかったの??」
「え? 何に?」
「10年記念隊。だって、奇数の期に入ったメンバーで選ばれてるんでしょ??」
「そうらしいけど…僕は4.5期って微妙だからなぁ〜中澤さんも愛ちゃんも選ばれ
 なかったんだし」
「むぅ〜…」

ごっちんは、納得いってないらしく口びるをアヒルみたいにとがらせてる。

「僕は、いいんだよ。みんなの活躍を見れればそれだけで嬉しいんだから」
「私は、よくないのぉ〜」

そういって、僕の腕をブンブンと振ってるごっちん。

228 :−二十歳だから…−:2007/01/24(水) 10:15

「わかった、わかったから。今日僕のおごりで飲みに行こう」
「ホントに??」

その瞬間に目が輝くごっちん。

「うん。けど、僕お店とかあまり知らないから…」
「じゃあ、あたしのおすすめのお店で飲もう」
「あまり飲ませないでよ。僕二十歳になったばかりなんだから…」
「大丈夫、大丈夫♪♪」
「じゃあ、待ち合わせどうする?」
「私楽屋で待ってるよ」
「いいの? ちょっと、時間かかるかもだよ?」
「いいのぉ〜待つのも楽しみなんだから」
「はぁ〜…わかったよ。じゃあ、終わったらすぐに楽屋に行くね」
「はぁい。待ってるね〜」

そう言ってごっちんと廊下で別れた。この時はまだ、隠れていた二人の存在に
気がつかなかった。

229 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/01/24(水) 10:17

久しぶりのネタですが…続きは、明日までに書きますのでお楽しみに。
さて、後二人誰にしようかなぁ〜・・・(汗)

230 :名無し娘。:2007/01/25(木) 04:28
梨華ちゃんで〜

231 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/02/04(日) 03:30
皆さんお久しぶりです!
板が移転してて物凄い焦りました・・・
年末から最近にかけては忙しくもなかったのですが・・・、大スランプ到来・・・OTL
全然ネタが書けん・・・。しかし、なんとかネタを作り始めてはいるので
復帰までもうちっと時間ください

232 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/04(日) 03:46

やばい、僕もネタ書かないと…続きがなかなか思い浮かばないんですよね…(汗
梨華ちゃんと、あと一人誰にしようかなぁ〜・・・

233 :名無し娘。:2007/02/05(月) 04:06
匿名さんは移転できたのかなあ??

234 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:29

スケジュールの合間を縫って、一人でレッスンに励んでいる愛佳ちゃんの元へ、お土産持参で陣中見舞いにきたときのことだった。
微かに漏れ聞こえてくるリズムに、レッスン場をドア越しにのぞいてみる。
そこは番組で紹介されたような和やかな……ともすれば生ぬるいとも言える雰囲気なんて欠片もなかった。
額や頬、首筋、そしてシャツの色が変わるほどの汗が、どれほど必死で彼女が追いつこうとしているかを教えてくれる。
迂闊に顔を出していい空間じゃないかなと、誰かにお土産だけ預けて帰ろうかと思ったとき、廻らせた視線がとある人とぶつかった。

 ――夏先生!?

正直、いたのか、とイヤな汗が背中に浮かぶのを感じた。
自分がダンスを仕込まれた時間を思い出す。
まるで思考を読まれたかのように先生が笑った。
ニヤリと、ヤバイ予感がする笑みだった。
チョイチョイ手招きされる。
予感的中。

「ちょうどいいトコにきた。ちょっと手伝っていきなよ」
「いや、ですけど、ウェアも持ってきてませんし……」
「今日はそんなに汗かかせないから、ほら光井も頑張ってるんだからさ」
「はぁ……」

愛佳ちゃんを手伝うのがイヤなわけではないけれど、夏先生の前で人に教えたりするのはなかなかに気恥ずかしいからイヤだったのに。

235 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:31

結局、まんまと手伝わされる羽目になり、ライブで参加予定の曲目リストからここまでのレッスンがどれほど進んでいるかを説明された。
もっとも遅れていそうな一曲を選んで、「じゃあ任せる」と言われ、教師交代。
どうやら今まで教えていた先生は休憩にはいるらしい。

「愛佳ちゃんは休まなくて大丈夫なんですか?」
「若いんだから平気でしょ。あんたの頃もそうだったしね」

言われてみればそうなんだけど……、僕の目に映る愛佳ちゃんは相当バテているように見えたから。
少し眉根を寄せたところを見られたのか、遠慮がちな声が割り込んできた。

「やります。……よろしくお願いします」
「だそうだから。しっかり頼んだからね」

それからみっちり二時間。
そもそも経験のない彼女にとってリズムに合わせて身体を動かすという行為自体が難しいことだった。
自分と照らし合わせてそう感じた僕は、途中で夏先生も席を外し二人っきりになった時間に少しやり方を変えてみることにした。
とにかく規則的に手を叩くリズムに合わせて、四肢を大きく動かしていく。
指先にまで見せるという意志を込めて。
しばらく単調で簡素な振りを続けていくうちに、少しずつリズムに馴染んでいく愛佳ちゃんの様子を見ているのは楽しことだった。
小さな充足感で見つめていたステップが不意にもつれた。
とっさに腕を掴もうと伸ばした手が空を切る。
バランスを取ろうとしたんだろう、バタつく腕をすり抜けて、間一髪で腰まで届いた手が愛佳ちゃんを支えることに成功した。

236 :『いつかその背中に……』:2007/02/26(月) 19:32

「っ……」

安心したような、ため息のような、そんな息をついた愛佳ちゃんがビックリするほど近くて。
妙な気恥ずかしさから一つ咳払いなんてして距離をとった。
それは愛佳ちゃんも同じだったようで、顔を真っ赤にして口にした『ありがとうございます』のイントネーションが独特のものに戻っていた。
そういえばハロモニのワンコーナーで見たときは関西弁だったなあと思い出す。僕に対して一つ壁があるってことなんだろう。

「あのさ、無理に標準語で喋ろうとしなくてもいいんだからね?」
「え?」
「関西弁でも全然。そりゃあすぐにって無理かもしれないけど、もう仲間なんだから。ね?」
「あ、はい。がんばります」
「……うん」

がんばります、か。
まだまだ先は長いかな。
微笑ましくも苦笑い、そんな一時だった。

237 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/26(月) 19:40

>>233
なんとか来られました

で、心機一転タイトルつけて
……ageましたか?(^^;)

携帯からなのでご容赦を

238 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:34

しまった……。
ちょっと厳しかったスケジュールのせいで、完全に忘れていた今日、この日。
仕事終わりの楽屋はプレゼントの受け渡し会場になっている。
そして僕は一人、背中に冷や汗をかいていた。
一人一人プレゼントを受け取っている藤本さんは照れくさそうだけれど浮かれモード。

 ――やばい、ものすごく切り出しづらい。

なんて一人で困り果てても、もうプレゼントを渡していないのは僕以外には残っていないわけで。
とりあえず……廊下にでも連れ出して謝って、そして明日にでもなんとかプレゼントを用意しよう。
そう決めて行動に移った。

「藤本さん、ちょっといい?」
「ん? いいけど、なに」

廊下へ引っ張っていく僕を訝しげに、でもどこか期待に満ちた眼差しで見遣る藤本さん。
出て行き際に「なによ、おまえがプレゼントかよ」なんていう上品とは言い難い、リーダーの茶化す声がとてもウザい。

「あのさ……」
「なに、まさかホントにアンタとか言わないよね?」
「ち、違うって。その……ごめんっ!」
「……あっ、まさか美貴の誕生日を忘れてたとか、そういうことなわけ?」
「っ――、そ、その……」
「あ〜あっ、それなりに付き合い長いのにこれかあ」

239 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:35

うっ……ワザとらしい拗ねっぷりだけど、反論の余地もなくて、僕はひたすら頭を下げるしかなかった。

「ごめんって。ホント、忙しくって……いや、わかってます。はい、言い訳です。ごめん」
「んー……」

重ねて頭を下げる僕を、幾分やわらいだ表情で見つめる藤本さん。

「じゃあさ、やっぱアンタでいいよ」
「へ?」
「あっ、違うから。そういう意味じゃなくて。この後付き合ってもらうから。空いてるよね?」
「あ……」

この後のスケジュールを脳内で思い描き、出てきたのは友達と約束が……

「あっ、ないです。空ける」

僕は見つめてくる目線の強さには瞬く間もなく屈した。
こうして二人で街を歩き、プレゼントを買わされた挙げ句、彼女の荷物持ちになった僕は食事も奢らされる羽目になった。
割とよく使う個室がある和食屋で、食事をしながら軽くアルコールにも付き合わされた。

「さて、そろそろ帰ろっか」
「機嫌を直してもらえた?」
「……まぁ、それなり?」

これだけしてもそれなりなんだ。
そう苦笑い。
勿論、本心じゃないのは解っててのやりとりだけれど。

240 :『わざとだよ?』:2007/02/26(月) 20:36

「脚痺れちゃった。ちょっと立たせてくれる?」
「はいはい。今日は従者でも下僕でもなんでもいいや」

笑いながら立ち上がって藤本さんの横で手を伸ばす。
掴まれた手に力を込めてヒョイと引っ張ったそのとき、「痛っ」という藤本さんの声。
立ち上がりかけた藤本さんはペタンと座り込み、僕はそれに引きずられるように彼女の上に倒れ込んだ。
下は畳で靴下は思ったよりも滑るもので。
想像しない事態は重なるものだと思い知らされのは、焦点が合わないほど至近にある藤本さんの顔。
そして触れあったくちびる。

「……わっ!? ご、ごめん」

慌てて姿勢を調える僕と、ゆっくりと座り直した藤本さん。
微妙な間を作った空間は遠くからの喧騒しか聞こえない。

「……いーよ」

顔も見ず、いとも簡単に言ってのけられた。
気まずい空間を壊した藤本さんの声はどこか楽しげにすら聞こえた。

「いっこ余計にプレゼントもらったことだしね」

動揺し通しだった僕がその言葉の意味に気がついたのは藤本さんを送り届けた後のことだった。

241 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/26(月) 20:41

ここを見て思い出すとか、美貴さまごめんなさいw

大慌てで書いてみました。
間に合ったけど、短時間だし……こんなトコで。

242 :名無し娘。:2007/02/27(火) 13:29
藤本さんをメンバーでお祝いした後
僕はマンションに帰った。
くつろいでいるとインターホンが鳴った。
遅いので誰かと思ったら藤本さんだった。
「ミキティどうしたの」
「お祝いしてくれたお礼に来たポッポー」
なぜか藤本さんはコントで着ていたハトの着ぐるみを着ていた。
「スタッフにお願いして借りたポッポー」
とりあえずハトの藤本さんを部屋に入れた。
「ミキティ暑くない?大丈夫?」
「暑いけど大丈夫ポッポー」
「普通にしゃべっていいよ」
「●●いろいろありがとう。美貴すごいうれしかったんだ。
●●がハトの着ぐるみのキャラ好きだって思い出して、
着ぐるみ借りたんだ」
「でもどうやって着たの。ひとりじゃ着れないでしょ?」
「美貴もどうしようか困って、仕方ないから着ぐるみに着替えて
マネジャーに送ってもらったの」

243 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/27(火) 18:21

遅くなりましたが、ミキティバースデイ記念??ネタ書かせて
いただきます♪

244 :−誕生日…よりも。−:2007/02/27(火) 18:22

目の前には、顔をほんのり赤く染めた女の子が二人。

「は〜い、亜弥ちゃん♪ あ〜ん♪♪」
「あ〜ん…モグモグ…ん〜、おいし〜♪ じゃ、お返しのあ〜ん」
「あ〜ん…んふふふふ。おいしいねぇ〜♪」
「ねぇ〜♪」

「・・・先輩、あのバカップルやばいやよ」
「あぁ、僕もそう思う」

僕の隣に居た高橋さんと目の前の二人を観賞する。

「何が、バカップルよ〜!! ラブラブカップルですぅ〜」
「そうですぅ〜」

イチャイチャしだす目の前のバカップル。
今日は、ミキティの誕生日。僕らは、ハロメンの大人の人たちは知っているとある
お店に来ていた。今居るメンバーは、主役のミキティ、松浦さん、僕、高橋さんの
4人。

「ってかさぁ〜、なんで今日は他の娘。メンバー来てないの?」

あややが、急にイチャイチャするのを止めて僕に問いかけた。

「よっすぃ〜は、体調悪いから一次会でパス。後は、未成年メンバーなので連れてこられません」
「なるほど…最近私達狙われてるからねぇ」
「先輩も、この間撮られてましたよね??」
「・・・その話は止めて・・・」
「まぁ、いいじゃん? 無実だってわかったんだし。美貴もあれは驚いたけどね〜」

あややに抱きつきながらそう答えるミキティ。
何が、あったかって?? その話は、また後日…

245 :−誕生日…よりも。−:2007/02/27(火) 18:22

「ってかさ、愛ちゃん? なんで、私には敬語なんて使わないのに●●には敬語なの??」

松浦さんが、素朴な質問をする。

「え、先輩は先輩やし…」
「いやいや、私達同い年だし」

確かに…僕と高橋さん、そして松浦さんは86年組なのだ。
けれど、入った当時から高橋さんは僕に対して敬語だった。

「う〜ん…なんででしょう?」

高橋さんは、苦笑いで飲みかけのカシスオレンジを口につける。

「…もう、愛ちゃん!! 美貴が、言っちゃうね」

今まで、松浦さんを抱きしめていたミキティが座りなおして僕を真っ直ぐ見つめる。

「美貴ちゃん!! それは、内緒…」
「な、なに? 僕が、何か悪い事したの??」
「違うの、●●わかんない? 愛ちゃんは、●●に憧れてたの!!」

その言葉を聴いた瞬間に驚きのあまり固まってしまった。
愛ちゃんが、僕に憧れてた?? はい?? どういうこと??

「愛ちゃんが、娘。に入った時に●●、5期メンに言った言葉あるでしょ?」
「僕が言った言葉?」
「…『僕の事は、先輩なんて呼ばなくていいよ。その方が、早く仲良くなれるでしょ?
 僕は、君たちの先輩なんかじゃない。仲間だからさ』」

高橋さんからのその言葉を、聴いて僕は思い出した。僕に、初めて出来た後輩。
けれど、僕なんかまだまだ先輩なんて言われる程じゃなかったから、せめて目の前に居る
女の子4人に少しでも楽になってほしいと思い言った言葉。

246 :−誕生日…よりも。−:2007/02/27(火) 18:22

「そっか、けどなんでそれが僕の憧れに繋がるの?」
「もう、わかんないかなぁ!! 愛ちゃん、このわからずやに言ってあげて」

もう完璧に酔っているミキティに苦笑いでうなずく高橋さん。

「先輩のその時の笑顔と、その言葉に娘。に入って何もわからなくて不安でいっぱいだった
 5期の私達は、救われたんです。だから、私達は先輩のこと『先輩』って呼ぼうってって
 決めたんです。先輩のような先輩になりたいって思いを込めて」

僕を、真っ直ぐ見つめてそう言ってくれた高橋さん。
その言葉に、僕は恥ずかしくて嬉しくてそれがバレたくなくてお酒の勢いに任せて
高橋さんを優しく抱きしめる。

「!!??」
「あぁ〜、亜弥ちゃん。バカップルだよバカップル。美貴も〜」
「はいはい」

今日は、ミキティよりも暖かくて優しい気持ちになれる大切な日になった。

ってか、目の前のバカップルがイケない方向に・・・

247 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/02/27(火) 18:24

お久しぶりです。やっと、ネタが書ける環境になったんで書かせてもらいました。
ごっちんのあの話の続きは、僕のブログの方で完成しだい載せたいと思います。

次の話は、今日のネタの中に入っている話題の中から書かせてもらいます。

248 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:14
>>244
イイ!
けど誰が主役なんだかw

249 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:17
ポッポーもいいな
ハトミキティカワゆい

250 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:35

「あー! なにしてんですかぁ?」

開口一番問いかけられて、僕は返答に困りながらも口を開く。

「や、やぁ亀井さん。……なにしてるんだろーね」

笑顔でそう返しはしたけれど、亀井さんは少しプリプリした顔で、さも不満げに僕の言葉をスルーした。

「絵里もぉ!」

“も”と言われても……なんとかしてあげたいけれど、すでに僕にはそんな“余裕”はないように思えた。
膝から胸元、そして背中に、やわらかな重みを感じながら、僕は心の中で嘆息していた。
『さて、どうしたもんだろ』と。

251 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:36

ことの発端はあのレッスンの後。
軽く汗を流して一息ついて、置いてあったギターを手持ち無沙汰の慰みにしていた。
そんなところへ、同じくシャワー上がりの愛佳ちゃんが入ってきたんだっけ。

「お疲れさま」
「あ、今日はありがとうございました」

ギターを脇に置いてそう言うと、いると思っていなかったのか、少し驚いたように愛佳ちゃんがぺこりとお辞儀をした。

「どう? 間に合いそう?」
「んー……あ、いやぁ、はいっ」
「あははっ、ちょっと正直だったね」
「えーっと……はい」

笑った僕にどう返していいのか、少し困りながらも愛佳ちゃんも笑って。
さほど長い時間ではなかったけれど、今日のレッスンは僕にとってもいい方向に進めた気がした。

「疲れたでしょ」
「あっ……少し」
「ホントに少し?」
「……えー」
「ん?」

笑いながら促す。
正直に言ってもいいんだよって。

252 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:37

「ホントは結構疲れました」
「うん。お疲れ」

遠慮がちに笑う愛佳ちゃんへ、よくできましたって意味を込めて笑い返す。

「この後は? なにかあるの?」
「ちょっとしたらボイスレッスン、行ってきます」
「そっか。じゃあそれまでゆっくり休むといいよ。ここ、おいで」

自分の隣をポンポンと叩く。
少し困ったような、迷うような素振りでいる愛佳ちゃんに、もう一度、先輩らしく偉ぶってみせながら、ポンポンと繰り返す。

「はあい」

少し照れくさそうだけど、それでも隣に座った愛佳ちゃんは、きっと自分で思っている以上に疲れていたんだろう。
ほう、と大きく息をつき、背もたれに深く身体を預けてしまう。
揃えて膝に置かれた手だけが、僅かに緊張していることを教えてくれていた。
そっと横目で窺うと、頑なに目を合わせようとしない愛佳ちゃんがいて。
僕もあまりジッと見るのは控えたままでいて。
どちらも口を開かずに、離れた場所から聞こえる微かな物音と互いの呼吸だけが部屋を満たしていた。

253 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39

別になにかを意図したわけじゃなく、ただ静かすぎる“間”が厭わしくて、置いたギターに手を伸ばした。
一音一音を意識しながら爪弾いていく。
『I WISH』、とても印象深くて大切な曲。
そっと口ずさむと控えめな声が重なる。
こんなのも悪くない、そう思った。

二曲、三曲とゆっくりとしたリズムを刻んでいく。
右の肩に微かな重みを感じ、控えめだった声が静かな寝息に変わっていることに気がついて、そっとギターを置いた。
「お疲れさま」、もう一度、口の中だけで呟いた。
少しでも休むといい、そう思いながら、愛佳ちゃんの姿勢が楽になるように、ほんの少し身体を傾けて。

どれくらいの時間が過ぎたろう。
軽快なノックと軽やかな音を立ててドアが開かれた。
入ってきたその娘は室内の様子に気がつくや、すっと息を吸い込んだ。
間一髪、口元にあてた指先に気がついたその娘が、やや不満げに頬を膨らませる。

「小春ちゃんもレッスン?」
「……はいー」
「そっか。お疲れさま」

肩を揺らさないように、抑えた声でそう返す。
相変わらず小春ちゃんは不満げな顔をしてる。

「寝てるんですかー?」
「うん。たくさん踊ったからね。少し前の小春ちゃんみたいにさ」
「……じゃあしょーがないですよねー」

昔の自分を思い出したのか、少し表情がやわらかに変わった。
そう思ったとたん、ニッコリと笑って、「じゃあ小春はこっちでいいですー」と、ギターと僕の間に自分の身体をすべり込ませてきた。
そんな納得の仕方……、そう思ったけれど、子犬みたいな目で見上げられ、なにも言えなくなってしまった。
つくづく自分の甘さを感じながらも、小春ちゃんには敵わないなあ、なんて諦念めいた思いもあったりもする。

254 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39

そして更に時間が過ぎて、今に至る、と。

「二人ばっかりズルイですよぅ。絵里もー」
「って言われてもさ。もうこっちには座れないし。ほら、先輩でしょ?」
「むー……」

あひる口で拗ねられる。
亀井さんも可愛い後輩なわけで、そうしたいと言われればそうさせてあげたいんだけど……

「じゃあ、絵里はここでいいですっ」
「えっ?」

とてもいいことを思いついたかのように、満面の笑顔を浮かべた亀井さんが……

「しつれーしまーす♪」

僕の膝の上に座り込んだ。
僕の胸に背中を預けて、揺れる髪が鼻先をくすぐる。
嬉しそうに鼻歌なんか歌っている亀井さんの髪が、視界を一杯に埋める中、完全に身動きできなくなった僕は思う。
もしここに道重さんでもきたらどうなっちゃうんだろうって。

255 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/27(火) 22:42

>>234 の続き。

256 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:15

なんでそうなったのかは覚えていない。
ただ誰もが妙なテンションだったことだけが記憶の片隅に残っているだけ。
それはそれほど長くもない人生の中で、もっとも生きるということを考えさせられた出来事だった。

最初はたまたま近くにいた愛佳ちゃんと新曲について話していただけだったハズだ。
多少は互いの距離が縮まることもあったかもしれない。
その光景になにを見たのか久住さんが近寄ってきて、座ったままでいる僕に腕を絡めてなにかしてほしいとせがまれた。
今となってはそれがなんだったのかすら覚えていない。
それへ妙な対抗心を燃やしたのは亀井さんだった。
ツカツカと歩み寄ってくると、僕の後ろへ回り込んで、おんぶでもせがむように甘えてきた。

こうやって記憶を辿って思いだした。
その始まりはこの亀井さんだったかもしれない。

257 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:16

話を元に戻そう。
べったりと背中へ寄りかかる亀井さんを支えながら、僕の目には近寄ってくる田中さんが映っていた。
先程の亀井さんと同じように僕の後ろへ回り込んで、なにやらバタバタと暴れ出した。
多分、亀井さんを引き剥がそうとでもしていたんだと思う。
そして亀井さんは意地になってそれを拒むためだろう、よりいっそう強くしがみついてきた。
当然のごとく僕の身体も前後に揺すられてガクガクと揺れた。
その負荷が突然軽くなり、後ろで何かが――きっと田中さんだろうけれど――壁にぶつかる音が聞こえて。
同時に僕は胡座のままで前に倒れ込むような姿勢になり、背中には亀井さんが倒れかかってきていた。

ひどく窮屈な姿勢になったのを覚えて……、あぁ、また思いだした。
たまたま遊びに来ていた辻ちゃんが、昔のノリで飛びついてきたんだった。
その行動が、窮屈な姿勢からキツイ姿勢に変わる契機になって。
亀井さん、辻ちゃんに続いて重なってきたのは、それはそれは楽しそうに笑う小春ちゃんだった。
キツイ姿勢のままで全身の筋力を振り絞って身体を支え、なんとか脚だけは抜いて腰をやられるのは防いだ。
けれどそれが幸いだったのか、そうでなかったのかは解らない。
直後に力尽きた僕は、痛みを堪えながらもこの状況を脱しようと苦闘していただけだったのだから。
彼女たちに――誰を、なのかはもう解らなかった――どいてもらおうと声を出そうとしたけれど、三人……以上に圧迫された身体がいうことをきかなかった。
何人かは止めようとしていた、かもしれないけれど、朦朧とした意識の中での幻聴だったかもしれない。

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