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ときめきモーニング
- 1 :サボテン:2003/09/10 15:13:57
- 季節を選択してください
1 春
2 夏
3 秋
4 冬
- 463 :名無し娘。:2003/12/18(木) 00:00
- 2
- 464 :名無し娘。:2003/12/18(木) 00:25
- 2
- 465 :名無し娘。:2003/12/18(木) 22:36
- 2
- 466 :サボリン:2003/12/20(土) 18:13
-
「そうだな、みうなの店までなら大丈夫かな」
「やった、さゆ、行こ!」
「行こ!」
「…うん!」
絵里とれいなはさゆみちゃんを引っ張ってすぐにも玄関を出ようとする。
「おい、おまいら、待て!」
走っていく3人の後を、オレは慌てて追いかけた。
しばらくして追いつくと、3人がゆったりと歩き出したので
オレは呼吸を整えながらマターリと少し後ろからついて行った。
なにを話しているのか、風に気を取られて聞こえてこない。
3人はキャッキャと声を立てては時折こちらを振り返って笑っていた。
日差しが強くなり始めた頃だったが、
みうなの店までの道のりは防風林が連なっていて
松の木が丁度良く影を落としてくれていた。
3人の姿が影に入ったり光に出たりするのを眺めているうちに
いつの間にか、オレは3人の声が聞こえる程度にまで近づいていた。
が、3人は話すこともなくなったのか、静かに歩くだけだった。
風に吹かれる木の音に4人の足音だけが静かにリズムを刻んだ。
と云って気まずい空気が流れていたのではなく、
穏やかな海風に話すことを忘れたといった感じで、
特にさゆみちゃんは、初めて世界を眺めるかのように
じーっと目を開いて木々を見つめながら歩いていた。
時折差す光に茶色の瞳が綺麗に透き通って光っていた。
- 467 :サボリン:2003/12/20(土) 18:13
-
みうなの店に着くと、今日はいつにも増して客が少なく…
いや、客は一人もいなかった。
「みうな姉ちゃん、あの子が起きたよ!」
絵里の声を聞いてみうなが出てきた。
「ホントに?良かったね〜」
と、さゆみちゃんの頭をなでる。
「……」
「さゆみって言うの」
「へぇ〜、昨日は大変だったんだよ〜、覚えてる?」
「…はい、ご迷惑をかけました」
「はは、カタくならないでよ、…もう動いても大丈夫なの?」
「…はい、大丈夫です」
「そうか、じゃ快気祝いになんか作るから食べてってね」
「…はい」
そう言って、みうなは調理場に入っていった。
絵里とれいなは冷蔵庫から勝手にジュースを持ち出して
テラスにさゆみちゃんを連れ出していった。
店長がいないらしく、みうなは一人で調理場でガタゴトやっているので
オレはみうなを手伝うことにした。
みうなに指示されながら食器を出したり鍋を片づけたりしているうちに
手際よくスパゲッティが出来あがり、オレがテラスに運んでいった。
3人はテーブルを囲んでジェンガをやりながら、にゃーにゃー騒いでいた。
「ほら、おまいら、できたぞっ! それどかせよ」
「は〜い」「は〜い」
絵里とれいなはしゃきしゃきとジェンガをかたして
小皿やフォークを持ち出してガツガツとスパゲッティを食い始めた。
みうなも奥から出てきて席について食べ始めた。と、
「…あれ?さゆみちゃん、食欲ないの?」 みうながたずねる。
「…あ、そうだ、さゆみちゃんはさっき食べたばっかりだった…」
「なぁに、○○、そんなこと先に言ってよね!」
「ごめん、忘れてた」
「…あまり食べれなくてごめんなさい、美味しいです」
「…ううん、気にしないで、そうだフルーツでも持ってくるね!」
と言って、みうながフルーツを持ってきたが、
結局、それも絵里とれいながガツガツ食ってるだけだった。
さゆみちゃんはパイナップルを少し、もそもそかじっていた。
- 468 :サボリン:2003/12/20(土) 18:14
-
食事が終わってしばらくマターリして、帰ることになった。
みうなが店長から花火をもらったというので
夕飯後にみんなでやることになった。
海のそばでやったらさゆみちゃんが怖がると絵里が心配したが
さゆみちゃんは大丈夫だと言うので、やることになった。
8時に海に集まることにして4人は店を出た。
家に戻って、絵里たちは部屋で静かに遊んでいるようだった。
オレはやっと3人から解放されて居間でウトウトしていたが、
しばらくして3人がダダダダッと階段を勢いよく下りてきて、
夕飯はれいなも一緒に食べることにする、
お好み焼きをやる、と言う。3人がガタゴト台所を荒らして
にゃーにゃーと騒ぎながら作るのを、オレとみっちゃんはあきれて見ていた。
絵里とれいながぎゃーすか言いながら焼くのを見て、
さゆみちゃんも負けじと、元気にお好み焼きを焼いていた。
「見てて、絵里、いくよっ、…やっ!」パシュッ!
「すご〜い、さゆ!」「やる〜」
「ふふ、すごいでしょ」
一発裏返しに成功したさゆみちゃんが得意げに笑う。
「絵里もやる!」
「ちょっと待て、お前…」
「やっ!」ぐちゃ。
…まだ、半焼けのものを無理矢理ひっくり返し
絵里のお好み焼きはゲロみたいに広がり、
生地がプレートの外にまで散らばっていた。
「こんばか! なんするの!」
「…ふえ〜ん」
「れいなの領域を侵犯するなっちゃ!」
れいなは必死に自分のお好み焼きが犯されないようにヘラでガードしていた。
絵里は泣き真似しながら突っ立ってるだけで片づけようとしない。
「だーっ、ちょっとどけ! …ばかだなぁ」
と、オレが雑巾で散らばった生地を拭いて
なんとか絵里のお好み焼きの形を整えてやった。
「……ありがと」
絵里は自分の不器用さに少し凹んでいるようだった。。
結局、何が入ってるのかわからん奇妙な味のお好み焼きを、
誰が作ったのが一番美味しいか、と何種類も食べさせられた。
オレの胃袋を使って競争するな!と。。
…とはいえ、すっかりさゆみちゃんも元気になったみたいで良かった。。
- 469 :サボリン:2003/12/20(土) 18:15
-
夕食後、少し休んでからバケツを持って海に向かった。
道路が切れるところで
みうながボストンバッグみたいなでっかい花火袋を持って立っていた。
「おーい、こっちこっち」と手を振るみうな。
「オマエ、…花火って、こんなに持って来ちゃったの?」
「え?なんで? どかーんとやろうよ、どかーんと!」
「…ああ」
…オレはなんだか嫌な予感がした。
始めは手持ち花火でチロチロ遊んでいたが
絵里が吹き出し花火を持って「すごいだろ〜」と大きな火花を自慢し、
それに対抗して、れいなが「うちの方がすごいよ!」と
手持回転に火をつけてグリグリと鎖ガマみたいに回して走り回り始めた。
「ねぇ! ○に〜ちゃん、すごい?れいなの方がすごい!?」
「はいはい、すごいすごい、わーったから、気をつけろ!」
「大丈夫ばい!」
「はは、絵里もれいなもまだまだだね!」
と、今度はみうなが打ち上げ花火を手に持って、
大砲のようにドシュドシュと水平に連続発射させていた。
「○○!みうなの方がすごいよね!」
「ばか!オマエが挑発にのってどーすんだよォ!」
「あ〜、みうな姉ちゃん、反則ばい!
よーし、れいなだって…」
と、れいなが空き瓶を拾ってきてなにやら作業し始める。
のぞいてみるとロケット花火が束になって瓶に突っ込まれ
導火線が器用に一本にまとめられていた。れいなは瓶を横に向けて、
「いくばい!」
「ばか!やめっ…」ジジジジッ…
「逃げて!」とれいなが走り去るのをオレは慌てて追いかける。と、
ヒューン、キュン、キュキュン、ヒュヒュヒュン!!
パンパン、パンッ、パパパンッパパッ!!ババンッバンッッ!!
ロケット花火があちこちに飛んでいって連続で爆発していた。
と、空き瓶が発射の勢いで回転し、
最後の一発がオレとれいなめがけて飛んできた。キューン、パンッ!
「うわぁああ!!」「きゃぁあ!」と叫んだときには、
既にロケット花火は二人の間を通り過ぎ、後方で爆発していた。
れいなはオレに抱きついてへなへな座り込んでいた。
「ばか!危ないだろ!!」
「…恐かったっちゃ〜、不良品やねアレは」
「あのな、オマエの使い方が悪いんじゃ!」
- 470 :サボリン:2003/12/20(土) 18:16
-
と、騒いでる二人を余所に、絵里とみうなとさゆみちゃんが
輪を作ってしゃがみこんでなにやら見つめている。
また変なことを始めるのかと、慌てて見に行ったが
3人でヘビ花火を長くつなげて喜んでいた。ジジジジ。…ふう。
「みうな姉ちゃんとれいながバカみたいに使っちゃうから
後はヘビと棒と線香花火しかないよ」と絵里が文句を言っていた。と、
「…私はこれが一番好き」
さゆみちゃんが立ち上がって、
手持ち花火に火をつけて静かにクルクル回し始めた。
「はは、さゆみちゃん、綺麗だね」
「…ふふっ」
と、気をよくしたのか、さゆみちゃんは花火をもったまま
体を動かして新体操のリボンみたいに踊り出した。シュッシューッ。
さゆみちゃんが花火を縦横に動かした軌跡が目の奥に線を作って、
目の前の花火と瞼の裏の花火、どちらを見ているのかわからなくなった。
「ははは、きれいきれい」
「絵里は?絵里は?」
と絵里も両手に花火を持って太極拳みたいな踊りを始めた。シュッシュッ!
「…ああ、きれいだね」
「れいなもやるばい!」
とれいなも両手に持って体をグルグル回転し始めた。シャァーーッ!!
「とりゃー、○に〜ちゃん、見て見て、見てる〜!?」ぐるぐるぐる。
「……ああ、見てるよ」
「綺麗?綺麗?」
「…はいはい、きれいだね」…なんだかヘリコプターみたいだ。。
「見てる〜、ホントに見てる〜、キャハハハハ!」
と笑って、れいなは目を回してぶっ倒れた。
「…ばかだなぁ」
なんて騒いだ後、最後に5人で線香花火をした。
れいなも絵里も騒ぎ疲れたのか、急におとなしくなって
じーっと線香花火の火を見つめていた。…成長したもんだな。
こうやって黙っていれば絵里もれいなも随分色っぽく見える。
…いや、花火のせいか。。
次々にタマが落ちていく中、
さゆみちゃんのだけが随分長持ちしていた。
みんなもさゆみちゃんも黙って最後のタマを見守っていた。
黙って線香花火を見つめるさゆみちゃんはとても大人びて見えた。
照らされた瞳が綺麗だなぁ、と思った瞬間、
フッと音もなくタマが落ちて瞳の色が消えた。
「……さ、帰ろっか」
「…うん」
- 471 :サボリン:2003/12/20(土) 18:17
-
後かたづけをして、みうなと別れて4人で家に帰った。
案の定、れいなが泊まっていくと言い出す。
まあ、絵里とさゆみちゃんから仲間はずれになるのはかわいそうだろう
と、みっちゃんの許可もおり、3人は風呂に入ったり
客間に3人分の布団をしいたりで、なおもドタバタしていた。元気だな…。
オレは先に寝ることにして、ベッドにもぐりこんだ。
疲れがたまっていたのだろう、、すぐに深い眠りに落ちていく。
・
・・
・・・・た、助けて。
…さゆみちゃん、どうしたの?
・・助けて。
・・
・・・ふう、夢か。
・・朝だ。・・・おかしな夢だった。
さゆみちゃんが「助けて、助けて」とつぶやいていた。
もう、さゆみちゃんは助かったというのに。。
一昨日のことを思い出して夢に見たのだろうか。。
- 472 :サボリン:2003/12/20(土) 18:19
-
下に行って、みっちゃんと一緒に朝食を頂いた。
静かな朝だなぁ、と思っている矢先に
れいなが目をしょぼらせて頭をぼーぼーにして起きてきた。
「おはよう、○に〜ちゃん」
「…おはよう、れいな、顔洗ってこい」
「…うん」
絵里もさゆみちゃんも次々に起きてきて洗面所でまた騒ぎ出した。
……静かな朝は当分迎えられそうにないな。。
朝食をすませた3人は、今日は裏山に行くというので
仕方なくオレもお守りについていった。
裏山に着くと、なにをして遊ぼうかと相談し始める。
「鬼ごっこしよう!」とれいな。
「だるまさんが転んだやろう!」と絵里。
「かくれんぼがいい」とさゆみちゃん。
「おにーちゃんは?なにやりたい?」
「あ?、オレはここで見てるから、おまいら勝手に遊んでろ」
「なんで?○に〜ちゃんも一緒に遊ぼう!鬼ごっこしよう!」
「あのな、オレはもう17なんだから、
鬼ごっことかやってる年じゃねーの!」
「…○ちゃん、かくれんぼしようよ」とさゆみちゃん。
えっ、○ちゃん??
さゆみちゃんにいきなり「○ちゃん」なんて呼ばれてとまどった。
「そ、そうだなぁ、たまには童心に戻るのもよき哉かな。。」
「じゃ、おにーちゃん、なにやりたい?」
「じゃぁ…」
1 「鬼ごっこ」
2 「だるまさんが転んだ」
3 「かくれんぼ」
- 473 :名無し娘。:2003/12/20(土) 20:22
- 2ダニダ
- 474 :名無し娘。:2003/12/20(土) 21:07
- 3
- 475 :名無し娘。:2003/12/20(土) 22:02
- 3
- 476 :名無し娘。:2003/12/20(土) 23:22
- 1
- 477 :名無し娘。:2003/12/21(日) 00:29
- 1しかないさw
- 478 :名無し娘。:2003/12/21(日) 01:10
- 3
- 479 :名無し娘。:2003/12/21(日) 01:35
- 1で
- 480 :名無し娘。:2003/12/21(日) 11:04
- @さゆしか追いかけない
- 481 :名無し娘。:2003/12/21(日) 12:25
- 3
- 482 :名無し娘。:2003/12/21(日) 21:04
- 3だ
- 483 :名無し娘。:2003/12/21(日) 21:55
- 1
- 484 :名無し娘。:2003/12/22(月) 01:06
- 3
- 485 :名無し娘。:2003/12/22(月) 01:39
- 1
- 486 :名無し娘。:2003/12/22(月) 12:52
- 1
- 487 :名無し娘。:2003/12/22(月) 17:35
- 3
- 488 :名無し娘。:2003/12/22(月) 22:08
- 1
- 489 :名無し娘。:2003/12/22(月) 22:42
- 3やよ〜
- 490 :名無し娘。:2003/12/22(月) 23:46
- 1
- 491 :名無し娘。:2003/12/23(火) 12:30
- 3
- 492 :名無し娘。:2003/12/23(火) 18:57
- 3
- 493 :名無し娘。:2003/12/23(火) 20:09
- 1
- 494 :名無し娘。:2003/12/26(金) 16:11
- 2
- 495 :名無し娘。:2003/12/26(金) 21:33
- 1
- 496 :名無し娘。:2003/12/29(月) 09:48
- 1
- 497 :名無し娘。:2003/12/30(火) 16:32
- 3
- 498 :名無し娘。:2004/01/01(木) 12:01
- 3
- 499 :名無し娘。:2004/01/01(木) 17:32
- 3
- 500 :名無し娘。:2004/01/02(金) 02:19
- 3
- 501 :名無し娘。:2004/01/02(金) 16:20
- 1
- 502 :名無し娘。:2004/01/02(金) 23:11
- 1
- 503 :サボリン:2004/01/03(土) 01:11
-
「じゃぁ…、かくれんぼ、すっか?」
「よーし、決まり!
おにーちゃん、鬼ね、みんな、かくれてっ!」スタタタ。
「○に〜ちゃん、十数えるんよ、キャハ!」スタタタ。
「待って、絵里〜」タタタ。
「おまいらっ、鬼はジャンケンで……」
・・・・既に3人の影は見えなくなっていた。
にゃろ〜、ヤな役ばかりやらせやがって。。しょうがねぇな。
「いーち、にー、さーん、……
……なーな、はーち、くー、じゅう!」
よーし、探し出すか。
いっとくが、この山は絵里たちなんかよりオレの方がよっぽど詳しい。
おまけに、おバカな絵里とれいななんて隠れるとこもワンパターン。
すぐに見つかるさ。
絵里は…山の裏の沢の近くの小屋か、どっかの岩陰か、
れいなは…葉の濃い木に登って葉の裏あたりに隠れてたり…
なんて思いながら歩いていると、早速、ザザッと上の方から物音がする。
と、急に静かになった。あやしい。れいなだな。
でも、目をこらして見てみても人影は見あたらない。…気のせいか。
と、葉の隙間から黒い髪の毛が少し、チョンと見える。
は〜ん、やっぱりれいなだ。いつもの横に縛ったボーボーの髪の毛だ。
「れいなみっけ!」
「……」
「れいな、みっけたぞ、降りてこい!」
「……」
「そこだろ、髪の毛が見えてるぞっ」
「髪の毛だけや、うちかどうかわかんなかやん!」
「アホか!しゃべってどーすんだよ、
思いっきりバレバレじゃねーか!」
「あっ、○に〜ちゃん、ずるいっちゃ〜!」
れいなが顔を出して、プンスカ言いながら降りてきた。
「はは、オマエが勝手にしゃべり出したんだろ
それにそのボーボーの毛がいけないんだよ」
「えっ、……そうばい、れいなはボーボーたい!」
「…よし、じゃ残り二人を探そっか?」
「…うん」
と、ビュゥゥゥウウ!と、木々を揺らして強い風が吹いた。ザワザワ。
辺りは突然薄暗くなった。……おかしな天気だな。
「○に〜ちゃん、なんか恐い」
そう言ってれいなはオレの腕にまとわりついてきた。ぷにっ。
「…何いってんだ、さっさと探すぞ」
と、オレはれいなを連れて歩き始めた。
- 504 :サボリン:2004/01/03(土) 01:11
-
しばらくして、沢の近くの小屋まで来た。
中を探してみたが絵里は見つからない。
が、物音がしたので屋根に登ってみると、絵里はなんなく見つかった。
「も〜、だませたと思ったのに〜」
「はは、絵里にしては頑張ったな」
「さゆは?まだ?」
「うん、木の上とか岩の裏とか見てきたんだけどいなかった」
「そう、さゆ、がんばってんねー」
それから3人でさゆみちゃんを探し始めた。
「さゆ〜、どこ〜?」
「さゆ、出てこい!」
ホントに、初めてこの山に来た割には頑張ってるな。
・・・ん?…ていうか、頑張りすぎだぞ。
…かれこれ30分近くウロウロ探してるのに見つからない。
さすがに心配になってきた。
と、ポツポツと雨が降ってきた。ポツ、ポツポツ、ザーーァアア!!
「キャァア!、降ってきた、
おにーちゃん、どうしよう!?」
「さゆ…」
急に雨が強くなってきて視界も悪くなってきた。ザァーーーーッ!
「おまいらっ、足手まといだから先帰れ!
オレがちゃんとさゆみちゃん見つけて帰るから!」
「…でも」
「いいから、帰れ、俺に任せろ!!」
そう言って二人を残してオレは走り始めた。
- 505 :サボリン:2004/01/03(土) 01:12
-
沢の向こうはまだ探してなかった。まさかそんな遠くまで行くなんて。。
沢を越えたところに小さな神社がある。そこにいるのかもしれない。
オレは急いで神社にたどり着き、
高欄の下から鳥居の上まで、境内をくまなく探したが見つからない。
まさか拝殿の中か?と扉を開けてみたがそこにもいなかった。
「さゆみちゃ〜ん!!」
……どこにいるんだよ。。もうオレの体はびっしょりだった。
はっ、思い出した。
神社の裏側、傾斜のある岩陰に小さな洞窟があった。
昔はよく中に入って探検したものだったが、、そこかもしれない。
で、急いで行ってみると、いた!!
さゆみちゃんは、洞窟の中に体育座りでちょこんと座って、
待ちくたびれたのか、スヤスヤ眠っていた。…良かった。
起こすのもかわいそうだし、雨宿りにちょうどいいので、
オレはさゆみちゃんの前に座ってさゆみちゃんの寝顔を見ていた。
かわいい寝顔だな。。
まったく、こんなとこまで来て隠れるなんてすごい女の子だ。。。
・
・・
ふっと目を覚ました。
オレまで眠ってしまったらしい。
体を起こすとフワッと何かが落ちた。…さゆみちゃんが着てたシャツだ。
目の前にさゆみちゃんが心配そうな顔をして座っていた。
「あれ、寝ちゃった?」
「…寒くないですか?」
「ううん、大丈夫、さゆみちゃんこそ大丈夫?
ごめんね、全然見つけられなくて…」
「…いいえ、私こそ……見つけてくれてありがとう」
二人が座ってちょうどくらいの小さな狭い洞窟だ。
薄暗くて辺りはよく見えないが、しゃべると声だけが変に響く。
「さゆみちゃんにはビックリだよ、
こんなとこまで来ちゃうなんて」
「…すみません、ご迷惑かけて」
「いや、そういう意味じゃなくて……元気になってホント良かったよ」
「…ありがとうございます」
・・・急に大人らしくなってしまって、
さゆみちゃんはよくわからないな。朝は子供みたいだったのに。。
- 506 :サボリン:2004/01/03(土) 01:13
-
音から察するに外はまだ大降りらしい。
次第に二人の側まで水たまりが近づいてきていた。
「もうちょっと、奥に行こうか」
「…はい」
オレはさゆみちゃんの手を引っ張って洞窟の奥に入っていった。
・・・おかしい。奥に行くほど広くなっていく。
昔来たときはこんなに広くなかったはずだ。
しかも奥に行くほど少しずつ明るくなってくる。。
オレは躊躇して足を止めた。が、
「大丈夫ですよ、行きましょう」と言って、
さゆみちゃんが先頭に立ってオレの手を引っ張る。
「…うん」
「○○さん、私のことどう思います?」
歩きながら突然さゆみちゃんがきいてくる。
「え?どうって…」
「私は○○さんのような人が好き」
「え?それって…」
「私のこと守ってください」
「…うん、そりゃ…」
なんて、話してるうちに、
あわわわわわ、なんでか宙を浮いてるぞ。
サァーーーッっと光に包まれる。
光がどんどん強くなってる。なんじゃこりゃあ!!
- 507 :サボリン:2004/01/03(土) 01:13
-
光の道を二人がググーーゥッっと登っていく。
「さゆみちゃ〜ん!!」
オレは必死にさゆみちゃんの手を握りしめた。
「…○○さん」
・
・・
- 508 :サボリン:2004/01/03(土) 01:14
-
・・・
・・
- 509 :サボリン:2004/01/03(土) 01:15
-
・
「さゆみちゃん!!」ガバッ!!
意識が戻って慌てて飛び起きた。
・・・ベッドの上だ。
・・・横にはさゆみちゃんが寝ている。
ん?ここはどこだ?
ベッドの横のカーテンを開ける。
・・・保健室だ。学校の…保健室だ。。
・・・なんとなく、思い出してきた。
オレは絵里ちゃんやれいなやみうなとプレートの中に入って、
さゆみんを取り出そうとしていた。。
…それで、この横に寝ている女の子、この子がたぶん、さゆみんだ。
そうだ、ここが現実だ。
- 510 :サボリン:2004/01/03(土) 01:15
-
「さゆみちゃん、起きて…」
「……」さゆみちゃんの体を揺すってみるが起きる気配はない。
とはいえ、早くここを出た方がいいような気がする。
って、今何時だ?…時計を見ると6時半だった。
って、何月何日の6時半だ??
窓の外は薄暗い。…朝なのか夕方なのかもわからない。
あれからどれくらいの時間が経ったのかもわからない。
「さゆみちゃん!起きて!!」
強く体を揺すってみたが一向に反応がない。
…はっ、そうだ、思い出した。
キスをしなきゃ、唾液の交換をしないとさゆみんは起きないんだ。
キス……無抵抗の寝ている女の子にキス、…しかもディープキス。。
さゆみちゃんの肩を握りしめる手が震えた。
綺麗な寝顔、子供とも大人ともつかない、神聖な美しさを持っていた。
…でも、しなきゃ。
そうだ、紺野さんや斉藤さんや後藤さんの争いを止めるためにも
オレが主になるって決めたんだ!!
オレはゆっくりと顔を近づけた。と、
「□□さん!、なにやってるんですか!?」
と、隣のベッドに人影が。。たしか…新聞配達の小川さんだ。。
「キスしようとしてましたね?
寝ている女の子に勝手に、なんて破廉恥な!!
私は□□さんが、そんな人だとは思いませんでした!!」
「あわわわ、これには訳が…」
「これだから男の人は嫌いですよ…」と、小川さんが涙ぐむ。
「それより、小川ちゃん、今日って何月何日?」
「…はぁ? え〜と、○月×日ですよ」
「2003年の○月×日だよね?」
「…どうしたんですか?からかわないで下さいよ、まったくぅ」
と、小川さんは手首を曲げる。
「…いや、マジできいてんの、2003年だよね?今は…朝?」
「…はぁ、そうですけど?」
「…そうか」
・・・そうか、今はあの夜が明けた朝だ。。
随分向こうで過ごした気がしたが、
あれから、、9時間も経ってないんだ。
てことはもしかして、外でまだ例の連中が待ってるのか?
「小川ちゃん、外に恐いお姉ちゃんがいなかった?」
「あ、はい、いっぱいいましたよ、
なんか金髪のお姉さんとかいました
大きなバイクと車がいっぱい止まってましたよ
…土曜の朝から何やってんでしょうね?」
- 511 :サボリン:2004/01/03(土) 01:16
-
6日目。
あわわわ、ヤヴァイ。
さゆみんが出てきたとなれば、今まで以上に執拗な攻撃があるはず。。
はやくさゆみんを起こさなきゃ!
とはいえ小川さんの前でディープキスはできないし
俺自身、さゆみちゃんの顔が綺麗すぎて決心がつかない。
「よし、小川ちゃん、悪いけど手伝って!
この子をどっか安全なところに運ばなきゃいけないんだ
あの人達に気づかれないように裏門から出るから
小川ちゃんは先頭に立って見張りながら誘導して欲しいんだ…」
「…しょうがないっすねぇ、
配達終わりはいつもここで仮眠するんですが、
お得意さんの頼みを断るわけにもいきますめぇ!」
「ありがとう、助かるよ」
オレはさゆみちゃんを背負って、小川さんの誘導に従って、
体育館裏を通り、人目のつかない裏門からなんとか出ることができた。
「□□さん、どっちに行くんですか?」裏門を出て小川さんがきいてくる。
「えーと…」
…あ、安全なところって、どこに運べばいいんだ?
家に帰ったら紺野さんに見つかるし、つーか、そもそも壊れてるし、
さゆみちゃんのことを知らない部外者で頼れる人、、ひとみか!
そうだ、ひとみしかいない!
「ひとみの家まで行く、小川ちゃん、悪いけどもう少しつきあって」
「え?吉澤さんの家ですか?」
「うん、知ってる?」
「もちろん知ってますよ〜」
何故か嬉しそうに小川さんは先に走っていった。
「…ちゃんと見張れよ」
「誰もいないっすよ〜フゥンフゥン!」
「…ったく」
……さゆみちゃんの息が耳元にかかる。…ちゃんと生きてるみたいだ。
…さゆみちゃん、落ち着いたらちゃんとした場所で起こすから待っててね。
- 512 :サボリン:2004/01/03(土) 01:16
-
と語りかけながら歩いていると、
前の通りに髪を振り乱した背の高い女がフラフラ歩いてるのが見える。
「飯田先輩!どうしたんですか?ひどい格好ですね…」
わっ、バカ、話しかけるな!そいつも関係者なんだ!!
「…石、私の石…あやっぺ…ゆるさない…」
「飯田先輩…大丈夫ですか?変ですよ? あ、いつもか…フフン!」
飯田先輩はボーっとしたままだ。
小川さんが話しているうちに、さりげなく向きを変えて逃げようとしたが、
「待ちなさいっ!」ビクッ!
後ろから話しかけられた。・・・気づかれたか!?
「あなた、□□くんね、昨日、私の家に紺野と一緒に来たわよね?
まさかとは思うけど、私の石、どこにあるか知らない?」
「…知らないですよ、昨日は成り行きでつきあっただけですし、
紺野さんとは全然関係ありませんから」
「…そう、困ったわね」
「…それじゃ、また」
と言って走り出そうとしたが、
「ちょっと待って!」スタタタ。
と飯田先輩にまわりこまれてしまった。
目をこらす飯田先輩。。
次第に目が見開いて驚きの表情に変わっていく。。
「…さ、さ、さ、さ、さささ…」
「……」
「フフ、どうしたんすか?飯田先輩?
まるで裸の大将みたいっすよ」ドガッ!
「はうぁあ!」ベコッ!
不用意に近づいた小川さんが殴られて吹っ飛んだ。
「さ・・ゆ・・み・・ん・・・」
- 513 :サボリン:2004/01/03(土) 01:17
-
ワナワナと体を震わせる飯田先輩。。
「キサマァ・・・バカめ、本当に起こしたのか!!」
「……」
オレは黙って逃げる隙をうかがっている。
「いや!起きたといっても覚醒はまだのようだな!
・・・殺すっ!!」
飯田先輩はコートの中から長い槍を出してきた。…どこに入ってたんだ。。
「ソエッ!」
「うわっ!」
かろうじて槍をかわした。
が、よけたはずみにバランスを崩して尻餅をついてしまった。ドスン!
さゆみちゃんが体を離れた。笑って近づく飯田先輩・・・本当に殺す気だ。
「やめろっ、まだ年端もいかない女の子じゃないか!
なんでそこまでする必要があるんだ!!」
オレは慌ててさゆみんの前に出てかばった。
「お前はさゆみんの本当の怖さを知らない、
世界でもっともデンジャラスな女の怖さを!
…悪いことは言わない、そこをどけ、
そうすればお前の命だけは助けてやる」
「いやだっ!」
「ふっ、そうか、ならばお前もさゆみんと共に死ぬがいい、
…私も石に頼りすぎて体がなまっていたようだ。
やはり、本当の強さを手に入れるためには命のやりとりもやむを得まい、
…最期の情けだ、お前もこれで戦うがよい!」
そう言って飯田先輩はオレに刀を投げつけて、また槍を構える。
「…飯田先輩…なんで…」
オレの足下には刀が一本。そして横には小川さんが倒れている。。
1 勝負して命のやりとりをする。
2 隙を見て抱きしめて説得。
3 小川さんを投げつけて逃げる。
- 514 :名無し娘。:2004/01/03(土) 07:46
- 3
- 515 :名無し娘。:2004/01/03(土) 10:23
- 1
- 516 :名無し娘。:2004/01/03(土) 14:09
- 3de
- 517 :名無し娘。:2004/01/03(土) 17:20
- 1やよ〜、不良債権電波は息の根止めくがし
- 518 :名無し娘。:2004/01/03(土) 22:04
- 3
- 519 :名無し娘。:2004/01/03(土) 23:02
- 3で
。
- 520 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:05
- 3
- 521 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:13
- 2
- 522 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:16
- A
- 523 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:24
- 1で
- 524 :名無し募集中。。。:2004/01/04(日) 01:38
- 3やよ
- 525 :名無し娘。:2004/01/04(日) 13:10
- 1
- 526 :名無し娘。:2004/01/04(日) 16:32
- 1なのら〜
- 527 :名無し娘。:2004/01/05(月) 12:24
- 1
- 528 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:37
- 3
- 529 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:47
- 1
- 530 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:57
- 3で
- 531 :名無し娘。:2004/01/06(火) 12:18
- 3でお願いします
- 532 :名無し:2004/01/06(火) 13:25
- 3
- 533 :名無し:2004/01/06(火) 17:27
- 3で
- 534 :名無し娘。:2004/01/06(火) 22:46
- 1
- 535 :名無し娘。:2004/01/07(水) 00:35
- 3
- 536 :名無し読者:2004/01/07(水) 01:41
- 3です
- 537 :名無し娘。:2004/01/07(水) 02:30
- そういえば小川は>>62でダウンしてたような・・・
3で
- 538 :サボリン:2004/01/10(土) 17:58
-
オレの横には小川さんが曙みたいに突っ伏して倒れていた。
・・・ちょうどいい大きさだ。。
「ふんぬっ、…きしょう、ふがぁーァアア!!」
…これが火事場のクソ力というヤツだろうか、
巨体の小川さんをなんとか持ち上げることが、、できそうだっ。
とはいえ、この巨体、かなり重い。。
昔米屋でバイトしていた経験からすると54kgはある。
「ふぉぉぉオオッ!」
…上がった!!…ついに巨体を持ち上げた!!
両手を伸ばして立ち上がったオレは、
まるで重量あげに成功したような気分だった。
「はァ、はァッ」
「…な、なにっ」と驚いて身を引く飯田先輩。
「これでも、…食らえッ!」ひゅん。
ドガァアァツ!!
「うおっ!」
飯田先輩は小川さんをまともに受け止めて気を失っていた。
「さゆみちゃんはオレが守る!」
オレは落ちていた刀をベルトに差して、
さゆみちゃんを背負い、ひとみの家に向かった。
- 539 :サボリン:2004/01/10(土) 17:59
-
ピンポンピンポン!!、ピンポンピンポン!!
「ひとみ〜!!、早く開けろ〜!!」
「な、なんだよっ、○○、土曜の朝から、近所迷惑だろっ」
と、甚平を着たひとみがドアを開けて出てきた。
「いいから、ちょっと上がるぜっ!」
オレは挨拶もしないでリビングに乗り込み、さゆみちゃんをソファに寝かせた。
「ひとみ、喉かわいた、水くれ…」
「○○ッ、いきなりひとんちに来て、土足で上がり込むンじゃァねェッ!」
「…あ、ごめんごめん、急いでたから、それより水くれ」
靴を脱ぎながらひとみを見ると、口では怒ってるようだが顔は少し笑っていた。
「…なんだよ」
「…いや、○○がアタシんち来るなんて久しぶりだな」
そう言って、ひとみは台所に向かっていった。
…そう言えば、小学校の頃はよくここで遊んだもんだったが、
中学に入った頃からは全然遊んでなかったし、来ることもなかったな。
「…ほらよ、水」
「ありがと」ゴクゴク。
オレは一気に飲み干した。
「…ったく、どうしたんだよ、それにこの子はなんなんだよ?」
「お前まで巻き込みたくない、いいからしばらく休ませてくれ」
「…うん、いいけど、…あは、なんか今日の○○って男らしいな」
「そうか?…あ、なんか腹の足しになるモンない?」
「昨日の夕飯の残りならあるけど?」
「頼むわ」
「しゃーねーなぁ」
ひとみが持ってきた飯をオレはガツガツ食った。
テーブルの前にひとみが座ってジッと見つめる。
「…なんだよ」
「…あは、なんか照れるな」
「…なに言ってんだか」ムシャムシャ。
「そうだ、実は相談したいことがあったんだ」
「なに?」モグモグ。
「最近さ、変なことがよくあるんだ…
…新聞と一緒に安っちぃブレスレットが入ってて
『おそろいの持ってるんでつけて下さい』って手紙が入ってたり、
夜中に『ピーマコ!ピーマコ!』って言ってるだけの電話があったり、
あと時々、下着がなくなってたり……」
「…へぇ、ストーカーかな、っと、ごちそうさま」
オレはさゆみちゃんの様子を見てから、床にねっころがった。
「…なんだよ〜、ちゃんと聞いてくれよ」
「ごめん、疲れてるんだ、ちょっと寝かせて」ぐぅ…ぐぅ。
「いきなりひとんち来て飯食って寝るな、この!
起きろ、○○、このバカ、起きろ」バシバシ。
「むにゃ」…ぐぅ…ぐぅ。
- 540 :サボリン:2004/01/10(土) 18:00
-
と、プルルルルー、プルルルー、携帯がなる。
「もしもし?」ひとみが電話を持ってリビングを出て行く。
やっと静かになった。と思ったが話し声がかすかに聞こえてくる。
「…あ、久しぶり、元気……え?…うん…
え?…うん…うん、なんでそんな…うん…
……うん、わかった……うん…バイバイ…」プッチ。
・・うるさいなぁ。
・・・ぐぅ…ぐぅ。
と、ふわっと何かが上に乗っかる。…ん?なんだ?
あ、ひとみが毛布をかけてくれたんだ。。
「ありがと」…気が利くな。。
「ううん、ゆっくり寝てていいよ」
そう言ってひとみはやさしく笑った。…女の子みたいだ。
「…うん」
・・・ぐぅ…ぐぅ。
「っておい!…なんか変だぞっ、
…なんかたくらんでるだろ!」
突然ひとみが女の子らしくなったんで、不安になって起きあがった。
「な、なに言っての、な、なにもたくらんでないよ」
「うそつけ、さっきの電話、誰からだよっ!」
「昔の友達だよ…」
「…あのな、オレは今、本気でヤヴァイ状況なんだ!
うそだと思うんなら、これを見ろっ!」ビシッ!
オレはリビングのカーテンを開けて、
窓から見えるオレんちの残骸を指差した。
「…な、どうしたのコレ…
家がボコボコじゃん…」
「そーだよォ〜、壊れてんだよォ〜、おウチがよォ〜!」
「…さすが新日本ハウス…派手なリフォームだな」
「ンなわけねーだろ、既にフォームねえだろ!
借金まみれの演歌歌手崩れと一緒にすんな!
これはな、里沙がゴジラに変身してぶっ壊しちまったんだよォ!」
「…うそつけぇ」
「うそじゃねー、とにかくオレはヤヴァイんだ、
オレのことを少しでも大事に思うんなら、本当のことを言え!」
「……うん、…実は、さっき、真希ちゃんから電話があって…
○○が家にいるかどうか聞いてきて、
いるって言ったら、しばらく引き留めといてって言われて…」
「…真希ちゃんて、後藤さんか!?」
「…うん」
「あわわわ、ヤヴァイ、もう尻尾を捕まれたか!」
「なにがあったんだよ?」
「生きてたらいつか話すよ、とにかくオレはここを出る、世話になったな」
そう言ってオレは慌ててさゆみちゃんを背負って玄関を出た。
- 541 :サボリン:2004/01/10(土) 18:00
-
と、都合良く小川さんがカブに乗って現れた。トトトトト。
「あ、○○さん、ひどいっすよ、おいてけぼりなんて」カチャ。
「そのバイク、もらったァ!!」ドガッ!
「はうぁあ!」ベコッ!
オレは勢いよく小川さんに体当たりをして吹っ飛ばした。
「ごめん、小川ちゃん、ちょっとこのバイク借りるよ、
この借りはいつか返すから、たぶん!」
残りの新聞を蹴散らして、さゆみちゃんを荷台に座らせ、
紐で縛ってオレの腰にくくりつけた。
「あぁ、そのカブはなけなしの貯金をはたいて店長から譲ってもらっ…」
「じゃ!」ヴォー、ツトトト、ヴォーツトトトトト。
「…純正グリップヒーター付きなんですぅ〜…大事に乗っ〜……」
小川さんの声が後ろから響いた。ごめん、小川さん。
さてと、、で、どこに逃げればいいんだ?
…とりあえず遠くへ行くしかない!オレは環七に出て南に突っ走った。
…さすがは小川さんのバイクだ。
リミッターが切ってあって使いやすいや。ツトトトトト。
と、後方から爆音が!!
ド ド ドドド ! ド ド ドドド !!
バックミラーに映る黒いバイク。…ブラックバード。…後藤さんだ。。
なんて思っているうちに一瞬で追いつかれた。
右横に車体を並べる後藤さん。。相変わらずグラサンにノーヘル。
「□□くん!止まりなさい!!」ッドドドッ。
「……っ」 はいそうですか、って止まれるか! ツトトトト。
- 542 :サボリン:2004/01/10(土) 18:01
-
「□□くん!よく聞いて!
私はさゆみんの主にはならないわ!だから止まって!
私は、ミキティやまっつーに渡る前に
さゆみんを処分するつもりよ!!」ツドドッドドドドッ。
「な、なんだってー!!
処分ってなんだよっ!殺すってことか!?」ツトトトトトト。
バイクを運転しながら怒鳴るように話す後藤さんとオレ。
ふと見ると、後藤さんの後ろには、、れいなが乗っていた。
「……○に〜ちゃ…」
そう言ってれいなが少し悲しそうな顔をする。
オレと同じように、向こうの世界での記憶がまだ少しあるらしい。。
うわっ、赤信号だ!…が、当然無視!!
ドドドドッ。 ツトトトトト。
キィィィイイっと止まる車が後ろに流れる。
「それが一番の解決法なのよ!世界平和のためよっ!
…止まりなさい!止まらないと、撃つわよっ!!」ドドドドドッ。
そう言って後藤さんが銃を出す。
「いやだっ!さゆみちゃんはオレが守る!!」ツトトトト。
そう言うと、観念したのか後藤さんは黙って銃口をオレに向けた。
と思ったら、銃口は後席のさゆみちゃんの頭へ向けられていた!
「やめろっ!やめてくれぇェッ!」ツトトトトト。
とはいえ、オレは慣れないバイクの運転に精一杯で何の抵抗もできない。
- 543 :サボリン:2004/01/10(土) 18:01
-
と、後ろからもの凄い勢いでデカイBMWのワゴンがやってきた。
あっという間に二台を追い抜く。ドドゥゥゥォォオオオ!!
と、後藤さんの前に出てきて急にスピードを落とす。
「ちっ!」
ドン! ドンドンッ !!
後藤さんがBMに向けて躊躇なく銃を撃ったが、なぜか弾が失速する。
なおもBMが前方から迫ってきて、
後藤さんのバイクを押し倒そうとする。ギュルルル。
「くっ、れいなっ!」
「はい!」
れいなが後席で立ち上がって「とりゃ!」と力を込める。
バリバリッ、ドカン!
BMワゴンのバックドアが壊れて上に吹っ飛んでいった。ヒュン!
そしてBMの荷台から姿を現したのは、、絵里ちゃんと紺野さん!!
…絵里ちゃんとれいなが向かい合うかたちになった。
と、後方で爆発音がする。ドガッ、ドガァァア!
さっき飛ばされたバックドアが後ろに走っていた一般車にぶつかったらしい。
急ブレーキをかけた車両に2、3台の車が次々と玉突き衝突していた。。
- 544 :サボリン:2004/01/10(土) 18:02
-
「…絵里」ドドドドドッ。
「…れいな」ドドゥゥゥォオ。
走るバイクと車の上で髪を振り乱しながら見つめあう二人。
バサッバサバサッ。
「…絵里、いくよっ」
「…うん」
「ハァァアアアアッ!」バリバリバリバリッ。
「トヤァァァアアッ!」バリバリバリバリッ。
二人は気合いを入れて、頭上に大きな球体をつくっている。。
「とりゃ!」「えいっ!」
ドドッ、ババンッッ!!
「うわっ!」
「きゃっ!」
二人の放った球がはじけあってオレと後藤さんの目の前で爆発する。
BMとバイクの距離が爆風で離れあう。ドゥオン!
「後藤さん!大丈夫ですか!?」
「うん、でも場が悪い、出直そう、れいな」
「…はい」
再び前方からBMが迫り、後藤さんをつぶそうとする。ギュルルン。
「□□くん、さゆみんをミキティに渡してはダメよ!」ドドド。
そう言って後藤さんはスピードを落として後ろに下がって行った。
ツドドドド ドド・・・…
- 545 :サボリン:2004/01/10(土) 18:02
-
と、BMが今度は俺の前につける。ギュルン!
「○○さん、ご苦労様でした!こっちに飛んで下さい!!」ドドドゥゥゥゥォ。
…紺野さん、相変わらずだな、無茶言うなよ。ツトトトトト。
ていうかオレはさゆみちゃんを紺野さんたちに渡すつもりはない!
オレは左右に動いたりスピードを落としたりしてBMから離れようとしたが、
BMはオレの動きにあわせるようにぴったりとついてくる。
「亀ェ!なんとかして二人を引き寄せろォ!」
「え?どうやって?」
「ひっぱってもいいから連れて来いッ!」
「う〜ん、…やってみる」
なにやら二人が荷台でもめている。
と、絵里ちゃんが掌をさしだして力を込める。
「えい!」
「うわわわわ」ひゅぅぅう。
・・・絵里ちゃんの超能力だろうか、
オレとさゆみちゃんが宙を浮いてる。。
「おお!、亀、そのイキだっ!
フォースを信じろ、そのままこっちに持ってこいッ!」
オレは必死にハンドルにしがみついたが、
既に体全体が宙を浮いていてバイクはバランスを失っていた。
「くそっ」
絵里ちゃんの力に負けてついにハンドルを放してしまった。
ツトトトトト…ドガッ、ギュルギュル、ドカッバキンッ!
乗り手を失ったカブが失速して転倒し、
後ろのトラックとぶつかって大破していた。。…小川さん、ごめん。
ひゅぅぅぅうう。
オレとさゆみちゃんは、浮いたまま宙を移動して、ガゴン!
とBMの荷台に着地した。。
- 546 :サボリン:2004/01/10(土) 18:03
-
「ようし!亀、よくやった!」
「…うぅ、ちくしょう」「……ぅ」
「○○さん、ご苦労様でした、ごはん3杯ですっ!」
そう言いながら紺野さんはさゆみちゃんを抱きかかえ、
すばやくガムテープで口の周りをグルグル巻いていた。
「……ぅ」
「な、なにすんだよォ!かわいそうだろッ!」
「もしもの時に備えてです!」
そう言って紺野さんはさゆみんを後席に乗せてシートベルトを締める。
「よし、いいぞォ!、行け!まい!死ぬ気で飛ばせぇッ!」
「はい!」ドゥゥゥゥゥォォォオオオオ!!
「うわっ!」ガコッ。「危ない!」パシッ。
いきなりスピードを上げられて危うく落ちそうになったが、
絵里ちゃんにつかまえられてなんとか持ちこたえた。
「○○さん、ちょうどよく環七に出てくれましたね、あさみの情報によると
美貴様はデスニーランドで松浦さんと密会中とのこと!」
「人の話を少しは聞け!さゆみちゃんが苦しそうじゃんか!」
「平気ですよこんなの、…っと、…こいつがさゆみんですか…」
そう言って紺野さんは後席に移動してさゆみちゃんを観察する。
「…さゆを起こしたのはやっぱりおにーちゃ……○○だったんだ…」
「絵里…ちゃん、さっきはありがと」
「…ううん」
絵里ちゃんの顔を見て急に肩の力が抜けてしまった。
抵抗むなしく紺野さんに捕まってしまい、少し諦めかけて荷台に座った。
と、後ろからあやしいベンツがやってくる。。ヴゥォォォォオオ。
またか。。運転席に村さんらしき人影が見える。
「・・紺野さん、斉藤さんたちが来たよ」
「あ、そうですか、どうも」
そう言って紺野さんが銃を持って荷台にやってきた。
と、ベンツのサンルーフがガコン!と開いて
斉藤さんが機関銃を持って出てきた。
「紺野ォ!食らえェッ!」ズドドドドドドドドドッ!
斉藤さんが撃ってきたが、・・・弾は全て絵里ちゃんがガードしていた。
「ふっ、無駄なことを」
そう言って紺野さんは銃を構え、ドンドンッ!
と、ベンツの運転席に向けて撃った。パリンッ!
フロントガラスにひびが入り、次の瞬間、パリパリンッ!!
と勢いよくガラスが粉々に吹っ飛んで、全部消えてしまった。
「な、なにっ!」撃った紺野さんの方が驚いていた。
- 547 :サボリン:2004/01/10(土) 18:04
-
と、助手席にみうながいてニヤッと笑ったと思うと、
「てやっ!」ひゅん、と飛び上がって
一瞬のうちにこっちの荷台まで飛び移ってきた。ガゴン!!
「うわっ!」
「……」
すかさず絵里ちゃんが構える。
「○○、どいてて!」
「せやぁぁあ!」バシッバシッ、バシパシバシバシッ!
もの凄い勢いでみうなが蹴りやパンチで攻撃してきたが、
「やっ!、やっ!」と全てきっちりガードする絵里ちゃん。
「みうな…さん、…無駄よ、やめて!」ギシギシ。
「…<っ…それは…どうかなっ!」ガシッ。
一瞬の隙をついて、みうなが絵里ちゃんの体に抱きつく。
「な、何する気!?」
「こうするのよっ!」バン!
「あっ!」…ぴょ〜ん!
みうなは絵里ちゃんを抱きかかえたままジャンプして消えた。
二人ははるか後方に着地したようで、そこでまたやり合っていた。
「しまった!」
「…絵里ちゃん」
後ろのベンツを見ると、待ちかまえていたかのように、
サンルーフから身を出して斉藤さんが機関銃を構え、
助手席にはマサオさんがバズーカ砲を構えている。ヴゥォォォォオオ!
「まい!、左右によけながら全速で行け!」
「はい!」 ドゥゥゥゥォォオオ!
「○○さんも後席に隠れて!」
「ちょっ…」
ズドッ、ズドドドドドドドドドドッ!! ッキュルルゥゥゥゥン!!
「うわわわわっ!」ガコッ!
間髪入れずに斉藤さんが撃ってきたが、
車体ごとよけたのでなんとか助かった。
まいちゃんが必死に車を操り、ギュルルゥ!キュン!!
と車線変更しながら、一般車を挟んでベンツをなんとか引き離す。
- 548 :サボリン:2004/01/10(土) 18:05
-
と、そこへパトカーが……。
パァーホー、ァーホー、アーホーアーフォー!!
「K察です!止まりなさい!そこのBMW止まりなさい!」
「ぅるせッ!」ドン! パキン!
キュン、キュルキュルキュルキュル、ドシャン!
紺野さんがすばやくパトカーのタイヤを撃ち、
パトカーはスピンしてクラッシュして煙を吐いていた。。
「…紺野さん、K察まで出てきちゃって、どうすンだよォ!」
「さゆみんを美貴様にお届けする、
それが絶対最優先課題ですッ!」
「……」
後ろからは一般車をかいくぐって、
またベンツが迫ってきていた。ヴゥォォオオ!!
「…くそォ!…まい!アレを使えッ!」
「はい!」
まいちゃんがシフト横のタンクに手を伸ばす。
「NOS」…亜酸化窒素ガス??
「いきます!」ポチットナ。
ドガドガッ! ドドッ、ドハァァアァァッッッァァァアアッ!
エンジンがもの凄い音を出してスピードがあがっていく。クォォォーク!!
あわわわ、一般車が止まってるみたいだ。何キロでてるんだ!?
…目の前が溶けていくようだ。ボンネットがゆれる、蒸気、
きしむボディー、ドアー、ミラー。。
「くっ、4人も乗ってるとさすがに重いなっ」ドハァァッァァァアアッ!
- 549 :サボリン:2004/01/10(土) 18:07
-
と、次々と他の一般車を追い抜く中、
なぜか後ろから平気でついてくるバイクが見える。
ド ド ドドドドッ!
…後藤さんだ。。
ヒュゥゥゥーーーッ!
後藤さんがオレたちを追い抜き、ななめ前につける。
と、ガゴンッ!
れいながボンネットに飛び降りてきた。
後藤さんは一挙に失速して後ろに見えなくなっていった。
「とりゃ!」パリパリン!
れいなのパンチで一挙にフロントガラスが吹っ飛ぶ。ビュゥゥゥウ!!
「うわっ!」「きゃっ!」
「…<っ…しつこいやつらだ…ぜッ!」ドンッ!
紺野さんがれいなに向けて銃を撃ったが、
れいなは人差し指と中指をのばし、スチャッと弾を挟んで止めた。
「…っ、にゃろォ!」ドンドンッ! スチャスチャッ。
「やっ!」ドン! スチャッ。
紺野さんとまいちゃんが銃を撃つが、ことごとくれいなに止められる。
れいなは日本舞踊の構えみたいに指を綺麗に伸ばして
全ての弾を指と指の間に挟んで止めていた。。
「いくっちゃよ〜、ん〜…ちゃ!」 ひゅん!ズドッ!
れいなはダーツを投げるように弾を投げ返してきた。
「くはっ!」
弾がまいちゃんの太腿に突き刺さった。
「ん〜ッ、ちゃ!」 ひゅん!ズドッ!
「…痛ッ!!」
今度は紺野さんの肩に突き刺さる。
「…大丈夫か!?」オレは紺野さんを抱きかかえる。
「……○に〜ちゃん」
「…れいな」
- 550 :サボリン:2004/01/10(土) 18:08
-
太腿をやられたまいちゃんが必死にハンドルを握るものの、
手が震えているらしく、猛スピードの中、車体が左右にぶれる。
おまけに前後のガラスがなくて、風がビュゥビュー吹きすさぶ。
「…やっぱりさゆは危険とよ、処分するしかなかとよっ!」
「そんなことはない! …れいな!
オマエ…向こうで仲良く遊んでたじゃないか!
友達だろォ!友達を殺すのか!」
「…れいなは…夢ば見とっただけよ」
「ウソだ!さゆみちゃんとオマエは友達だッ!」
…運転席のまいちゃんは既に気を失っている。
ボンネットの上、指を伸ばして構えるれいな。。
「…いくっちゃ」
「やめろっ!」
オレはとっさに手を伸ばしてハンドルを切る。
「きゃっ!」キュルルルルルルゥ! ドッッドドガ!
シュルルルルルゥ
ドガガガガァーーーーーーーーン!
・
・・
・・・車が止まった。・・・横転している。・・・ガソリン臭い。
・・あたりは煙に包まれている。・・ガードレールがめちゃめちゃだ。
…れいなはバランスを崩して落ちたみたいだな。。
「…さゆみちゃん?」
「……ぅ」
…良かった。ちゃんと息をしている。
……紺野さんとまいちゃんは気を失っていた。
- 551 :サボリン:2004/01/10(土) 18:09
-
「はぁっ!はぁっ!」
オレはなんとか車の外に出て、
さゆみちゃんを引きずり出し、背負って歩き始めた。
…紺野さんとまいちゃんが心配だったが、、
もうあの人達にはついていけない。
…絵里ちゃんが発見して手当てしてくれるだろう。
…遠くでパトカーの音がしていた。。
オレはさゆみちゃんを背負って歩き、古ぼけたお寺の裏地に出た。
さゆみちゃんを下ろし、口に巻かれたガムテープをはずす。ビリビリ。
「…ひどいことするなぁ」
「……ぅ」
さゆみちゃんの綺麗な唇が現れた…。
オレはもう、迷わない!
オレは静かに唇をよせ、さゆみちゃんにキスをした。
深い、深いキスをした。
・
・・
「……ぁぅ」
「…ん?」
・・・・さゆみちゃんが、瞼を開けた!
「さゆみちゃん!」
「……ぁぅ」
「大丈夫?痛いところはない?」
「……ぁ?」
「もうこれで安心だ、オレが主になった、闘いは終わる!」
「……ぁぅ」
「はは、どうしたの、さゆみちゃん、
オレのこと覚えてる?○○だよ?」
「……ぁぁ!」
さゆみちゃんはオレを見て穏やかに笑った。
…言葉を忘れてしまったのだろうか。
無理もない、ずーっと眠っていたんだもんな。。
でも、オレを見返すこの瞳は確かなものだ。さゆみちゃんは起きたんだ!
- 552 :サボリン:2004/01/10(土) 18:10
-
っと、このままゆっくり座っていたいけど、そうも行かない。
…斉藤さんや後藤さんはどうなっただろうか。
さゆみちゃんが起きたとなれば、もう攻撃はしてこないかも。。
でも、念のためとりあえず移動しよう。
「さゆみちゃん、歩ける?」
そう言ってオレはさゆみちゃんの体を持ち上げた。
スクッとさゆみちゃんは軽く立ち上がった。
「……ぁぁ!」
「よしよし、いい子いい子、じゃ少し歩こうか」
オレはさゆみちゃんの手を引っ張って歩く。
ヨロヨロとさゆみちゃんもついてくる。
とはいえ…どこに行けばいいんだ?
少し休みたいけど、お金はあまり無い。
…ていうか、いったいここはどこなんだ?ちゃんと帰れるかな。。
オレは携帯のGPSを見ながらトポトポ歩く。
目の前にビジネスホテルが見える。
と、ボタンを間違えたのか、携帯のアドレス帳が開いていた。
ア行…「安倍先輩」と「石川さん」が表示される。
…この二人なら頼っても大丈夫かもな。。
……どうしよう。
1 ビジネスホテルに入る。
2 安倍先輩に電話する。
3 石川さんに電話する。
- 553 :名無し娘。:2004/01/10(土) 18:38
- 1で
- 554 :名無し娘。:2004/01/11(日) 14:06
- 3
- 555 :名無し娘。:2004/01/11(日) 18:37
- 1
- 556 :名無し娘。:2004/01/11(日) 18:49
- 3 なのら〜
- 557 :名無し娘。:2004/01/11(日) 22:06
- 1で
- 558 :名無し娘。:2004/01/12(月) 11:24
- 1
- 559 :名無し娘。:2004/01/12(月) 15:53
- 1
- 560 :サボリン:2004/01/13(火) 21:36
- >>539
∬∬´▽`)<ttp://www.rika-mako.com/cgi-bin/rm/img/rm090.mp3
- 561 :サボリン:2004/01/16(金) 17:37
-
少し休みたい。
ビジネスホテルで休憩するくらいのお金はありそうだ。
…それに、さゆみちゃんもTシャツで少し寒そうだ。
…今ごろ気づいたが、オレは向こうの世界に行く前の格好なんだけど
さゆみちゃんはあの洞窟に入ったときのまま、真夏の格好だったんだな。。
オレはさゆみちゃんを引っ張ってビジネスホテルに足を向けた。と、
「……ぁぁ」
さゆみちゃんが足を止めた。
「ん?どうしたの?」
団子屋の前に突っ立って、団子をじーっと見ながら
グーにした手を口元に当てるさゆみちゃん。
「……食べたいの?」
「……ぁぁ!」 オレを見つめるさゆみちゃん。。
「…しょうがないな、どれ?」
「……ぁぅ」 さゆみちゃんがみたらし団子を指差す。
「…ったく、わかってんのかなぁ、、
あ、おばさん、みたらし団子二つおながいします」
「あいよ〜!!」
「……ぁぅ!…ぁぅ!」 なおもさゆみちゃんが指示する。。
「…あと、草餡と…海苔巻きも二つずつおながい」
「あいよ〜!!」
「ありがとうございました〜」
「ったく、食いしん坊だなぁ、さゆみちゃんは。。…さ、行くよ」
オレは団子の入った袋を持って歩き出すが
「…ぁぅ …ぁぅ!」
と、さゆみちゃんが袋に手を伸ばす。
「後でね、ホテルに着いたら食べようね」
オレは袋を持ち替えてさゆみちゃんから離した。
「……ぁぅ〜」
- 562 :サボリン:2004/01/16(金) 17:38
-
っと、団子食うならお茶でも買うか。
ホテルの前のコンビニに入ることにした。
オレはさゆみちゃんを入り口の近くに待たせて買い物を始めた。
…なんか腹減ってきたな。菓子パンも買うか。
と、適当にいくつかカゴに入れてレジに向かうと、
さゆみちゃんがおもちゃの風車を持っていじっている。
「さゆみちゃん、どうしたの?それ?」
「……ぁ?」
「あの〜お連れ様ですか?」
「…はい」
どうやら商品に勝手に手を出して開けてしまったらしい。
……結局それも買うことになった。
・・
ホテルのカウンターでは多少あやしまれたものの
不況のせいだろうか、、普通に入れてくれた。
コンビニからずっと、さゆみちゃんは風車をいじっている。。
「……ぁぅー」
3階のエレベータを下りてちょっと長い廊下に出た。
…ここならちょうどいい。
「さゆみちゃん、ちょっとかして、
それはこうやって遊ぶんだよ、ほら」スタタタ、ひゅるるる。
オレは軽く走って風車を回して見せた。
「…ぁぁ!」
さゆみちゃんがジャンプして喜ぶ。
「ほら、やってごらん」
「……ぁぅぁ…ぁぁぁ!」
スタタ、スタタタ。ひゅる、ひゅるるる。
さゆみちゃんは風車を持って廊下の端まで嬉しそうに走っていった。
と、折り返して
「…ぁぁ…ぁ…ぁぁ!」スタタタ。ひゅるる。
風車を持ったまま走って戻って来て、ボフッっと抱きついてきた。
「…ぁぁ!!」
嬉しそうな顔をして笑ってオレを見るさゆみちゃん。
「はは、うん、良くできた、きれいだったね
…さ、部屋に入ろっか」ガチャ。
- 563 :サボリン:2004/01/16(金) 17:38
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部屋に入ってテーブルに団子の袋を置くと
「…ぁぁ!…ぁぁ!」と騒ぎ出したので
とりあえず開けて食うことにした。袋を開けてやると
「…ぁぁ」
と言って団子を手で鷲づかみにする。
「ダメだろっ!」ペチッ!
「……っ!」ビクッ。
オレは思わずさゆみちゃんの手をはたいた。
その勢いでさゆみちゃんの持っていた団子が床に落ちた。ボトッ。
「……ぅぅ」
床の団子を見てさゆみちゃんが今にも泣きそうな顔をする。
「…あ、ごめんね、ごめんごめん」
オレは慌ててさゆみちゃんの背中をさする。
「…ほら、ここの串を持って、こうやって食べるんだよ」
オレは団子を手にして食べてみる。
「…ほら、やってごらん」もぐもぐ。
さゆみちゃんの手を取って串を握らせる。
「………ぁぁ」
案外覚えが早くてオレのやった通りにムシャムシャと食べ始めた。
「そうそう、はは、そう、…おいしい?」
「……ぃぁ!」
さゆみちゃんは椅子に座って夢中で団子を食べ始めた。もぶもぶ。
……ふう。床に落ちた団子を片づけてオレも椅子に座る。
一息ついてお茶を飲みながら、ふとさゆみちゃんを見てみると、
口の周りが餡やらタレやらでビチョビチョだった。
おい!…としかろうとしたが、また泣かれても困るのでやめた。
「…しょうがないな」とハンカチで口の周りを拭いてやった。
「……ぁぅぅ」ごしごし。ムグムグ。
「…さ、お茶でも飲みなよ」とコップを差し出すと
「…ぁぅ!」と言ってゴクゴク飲み始めた、が、
「…ぅぇ……ぇぁぁ!」ビチャビチャ。…いきなりお茶をはき出し始めた。
おまけにコップから手を離し、
倒れたコップからボタボタとお茶がたれていた。。
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