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ときめきモーニング

1 :サボテン:2003/09/10 15:13:57
季節を選択してください

1 春
2 夏
3 秋
4 冬

2 :名無し娘。:2003/09/10 15:23:22
2 秋

3 :名無し娘。:2003/09/10 15:54:20
3で

4 :名無し娘。:2003/09/10 16:36:57


5 :名無し娘。:2003/09/10 17:48:12
2で

6 :サボテン:2003/09/10 18:23:23
>>2
これはどっちということなんでしょう?

7 :名無し娘。:2003/09/10 18:25:18
>>6
秋ってことにしておけばいいのでは?

1の春で

8 :名無し娘。:2003/09/10 18:28:37
3の秋で。

9 :サボテン:2003/09/10 18:30:03
多数決で、秋にします

10 :サボテン:2003/09/10 18:41:11
同級生(高校2年生)
後藤、吉澤、石川、藤本、寺田くん(友)

下級生(高校1年生)
辻、加護、高橋、紺野、小川、新垣(妹)

上級生(高校3年生)
飯田、安倍、矢口

教師
中澤(担任)、保田(食堂のおばちゃん)

その他もでるかもしれません。教師、新垣、寺田くんは恋愛対象外です

11 :サボテン:2003/09/10 19:31:59
高校2年生の秋。親の仕事の都合で引っ越すことになった。
この街とももうお別れ。もちろん、今の学校からも転校する。
転校まであと1ヶ月。短い間だけど、モーニング高校での生活を有意義に過ごしたい。
明日から、今まで喋らなかった人なんかにも話し掛けてみようか。

トントン

部屋をノックする音が聞こえた。
「はい」
「よかった、起きてた」
入ってきたのは妹の里沙だった。
「どうした?」
「お兄ちゃんに頼みごとがあるの」
「なんだ?」
金なら貸さないぞ、と心の中で呟いた。
「転校のこと、まだ誰にも言わないでほしいの」
俺は少し拍子抜けした。
「そんなことか。でもなんで?」
「今言ってもあと1ヶ月あるし、みんなが気をつかうでしょ」
「…まぁそうだな。そうしようか」
俺が承知すると里沙はありがとう、といって自分の部屋に戻っていった。

明日からも今まで通り過ごそう。
転校まで思いっきり楽しむんだ。
俺は眠りについた。



12 :サボテン:2003/09/10 19:32:46
1日目

「お兄ちゃん、おはよう!」
寝坊した俺が階段を降りてくると里沙はもう既に家を出るところだった。
「お兄ちゃん、ちゃんと朝ごはん食べなきゃだめだよ。昨日食べなかったでしょ。倒れるよ」
いつも母親みたいなこといいやがって生意気だ。
「それと、昨日のこと、よろしくね」
「ああ、わかってる」
「そう。じゃあ行ってきます!」
里沙は元気よく飛び出していった。
あいついつも学校に行くのが本当に楽しそうだよな。
きっと、俺なんかよりずっと辛いんだろうな。
おっと、こんなこと考えてる場合じゃない。遅刻してしまう。
朝食を抜こうかとも思ったがなんとなく気が引けて、
俺はパンを口の中に放り込むと急いで家を出た。

引っ掛けてきた靴を履きなおしながら腕時計を見る。
ギリギリだけど、走っていけば間に合う時間だ。
よし、学校まで走るか。
「おーいっ!!!」
後ろから大声が聞こえて振り返った瞬間、鞄で思い切り顔を殴られた。
俺はしりもちをついて倒れた。
「いってぇ…」
「あははは!ごっめーん!」
頬を摩りながら目をあけると、女が手を差し出してきた。
俺の家の隣に住んでいる幼なじみ、吉澤ひとみだった。
「またお前かよ!いつもいつも殴ったり蹴っ飛ばしたりしやがって!」
「だからごめんって言ってるじゃん。ほら、早く掴まんな」
ひとみは片手で俺を軽々と起こした。
「お前はほんっとうに男みたいだよな!」
「うるさいな。あんたこそ女々しいんだよ。あれぐらいで倒れちゃって」
「お前の力が強すぎるんだよ!」
ひとみはケラケラと笑った。
生まれたときから俺の家とひとみの家は隣同士で、小さい頃よく遊んでいた。
普通の女の子よりも背も高く力も強かったひとみは、俺とケンカをしてもいつも勝った。
高校生になって背丈はこしたものの、
小学校のときからバレー部のひとみは今でも負けそうなくらい力が強い。
その上バカだから手加減を知らないので困る。
でも、ひとみとももうお別れか。ケンカもできなくなるな。


13 :サボテン:2003/09/10 19:33:14
「あれっ?」
気が付くと隣にいたはずのひとみがいない。
「あいつ、抜け駆けしたな!」
もう走っても遅刻しそうな時間になってしまっていた。
俺は一目散に駆け出した。

学校まであともう少しのところで、チャイムの音が聞こえた。
「くっそぉ…ひとみのせいで…」
校門をくぐりぬけ、2年の靴箱まで行くと見覚えのある人影が見えた。
同じクラスの後藤さんだ。
「おはよう、後藤さん」
「んぁ〜。おはよ」
後藤さんは美人で存在感があって、男子からすごく人気がある。女子からも憧れの存在だ。
しかし、遅刻の常習犯でもある。
いつも昼ちょっと前に教室にやってくる。今日はまだ早い方だ。
「後藤さん、一緒に教室まで行こうよ」
「ぁぁ。ごとー保健室で寝てから行くから先に行って」
「あ…うん」
後藤さんは教室と反対方向の保健室へのんびりと歩いていった。
昼頃来てるんじゃなくて、いつも保健室で寝ているのか。
って、そんなことはどうでもいい。はやくしないと中澤先生に怒られる!
俺は2年A組まで走った。


14 :サボテン:2003/09/10 19:34:05
「おはようございます!」
「おい、遅刻やで。あんた、今月で確か3回目やんなぁ。罰として今日の放課後は1人で教室掃除!」
「ええ!?」
「そんな顔しても無駄やで。はよ席着け。出席とるでー」
俺は仕方なくとぼとぼ席に着いた。
みんなが俺を見てくすくす笑う。中でも、後ろから聞こえてくるひとみの笑い声が一番大きかった。
くそ、ひとみめ。

今日の予定

休み時間→
昼休み→
放課後→第一校舎(確定)

第一校舎(1,2,3年普通教室、職員室、食堂)
第二校舎(保健室、音楽室、美術室、理科室、図書室、家庭科室)
校庭周辺(グラウンド、テニスコート、中庭)
その他(体育館、室内プール)

↑の4つからそれぞれ選んでください。()の中からどこへ行くかはランダムで決まります
(多数決で決めます)

15 :名無し娘。:2003/09/10 19:43:40
サボテンがんがれ。

休み時間→ 第二校舎(保健室希望)
昼休み→ 第一校舎

って感じのレスでいいのかな?


16 :名無し娘。:2003/09/10 20:08:58
サボテソ期待。

休み時間→その他
昼休み→校庭周辺

17 :名無し娘。:2003/09/10 20:29:02
ときメモよりも、トゥルーラブストーリーみたいな選択肢みたいでいいですね。
古い人間でスマソ。

休み時間→第二校舎
昼休み→第一校舎

でお願いします。

18 :名無し娘。:2003/09/10 20:56:16
新しいときもにスレだ!!
ときモニ。DISC7から誘導されてきたんだけど、
正直漏れも猿ニ匹は余計な事が多すぎるような気がした。
選択肢は

休み時間→第ニ校舎
昼休み→その他

で。

19 :前スレ427:2003/09/10 22:11:48
ここも面白くなくなったら覚悟しとけよ?

20 :名無し娘。:2003/09/10 22:14:41
>>19
偽物(´∀`)乙!
マターリいこうや。
同時進行すればいいじゃん。
読みたい方を読む。

21 :名無し娘。:2003/09/10 22:54:37
おいおい新旧争ってる間に本格的に狩がヤヴァイぞ。
狩狩移動しようや。
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/bbs/

22 :名無し娘。:2003/09/10 22:58:17
>>21
スレ違い

23 :サボテン:2003/09/11 00:36:59
すみません、よく見もせずこのスレタイで立ててしまいました。
もうひとつまったく同じスレがあったんですね。
すみませんでした。

24 :サボテン:2003/09/11 00:38:08
本当は参考にしているのはトゥルーラブストーリーですが
ときメモの方がわかりやすいかな?と思ったのでこのスレタイにしてしまいました。

25 :名無し娘。:2003/09/11 00:49:24
またまた〜
別に殺伐が悪いわけじゃないよ

26 :名無し娘。:2003/09/11 01:04:26
死にスレは奈落に落ちた
427はさしずめ英雄というところか

27 :名無し娘。:2003/09/11 01:04:59
427・・・死にな・・・そうか!死の宣告!

28 :名無し娘。:2003/09/11 01:17:15
かなりここイイですね
う〜む先が楽しみ
そういえばメンバー同士の恋愛スレあいのり娘。
は完全に放置状態・・・・
サボテンさん復活させてください
いいものになりそうな気がw

29 :名無し娘。:2003/09/11 03:42:10
鯖が変わりました。
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1062688195/62-64

30 :名無し娘。:2003/09/11 05:41:11
休み時間 第一
昼休み  校庭

でお願いします。

31 :サボテン:2003/09/11 14:58:48
休み時間は第二校舎で決定、
昼休みは校庭、第一校舎が2票ずつで同数ですが
勝手ながら第一校舎とさせていただきます。
次からはちゃんと多数決で決めます。

32 :サボテン:2003/09/11 15:04:20
俺は休み時間、なんとなく第二校舎へ足を運んでいた。
第二校舎には音楽室、理科室など各教科の教室が並んでいて、
普段は休み時間にわざわざ来るところでもないのだが、
まあもうすぐこの学校に来るのも最後になるし、いいか。なにか面白い事でもないかな。

廊下をぶらぶら歩いていると、どこからか歌声が聴こえてきた。
なんだ?誰が歌ってるんだ?
俺は気になって歌声がする方に向かった。
それは、廊下の突き当たりにある音楽室から聴こえてくる。
授業は終わっているはずなのに、おかしいな。
俺は無意識のうちに扉を開けてしまっていた。
声の主はすぐに俺に気付き、歌うのをやめた。
見たことのない少女が1人でいた。まっすぐなロングヘアーに黒くてまん丸な目がとても可愛い。
「ごめん、邪魔しちゃって」
「いえ、私こそ…。すぐに帰ります。次授業ですか」
彼女は散らばった楽譜を集めながら俺の顔を見もせずに言った。
「あ、違うんだ。綺麗な声が聴こえたから、つい…」
そう呟いた途端、少女はこちらを振り向き大きな目をより大きくさせた。
「キレイ?本当ですか!?」
「え…あ、うん」
少女の表情はみるみるうちに明るくなり、くしゃくしゃとした笑顔を見せた。
「あっし、いつも先生に注意されてばっかりなんすよ。
今度、合唱コンクールがあるんすけど、だから1人でももっと練習しなきゃなって」
嬉しくて興奮したのか、彼女は変なイントネーションで喋り始めた。その上早口で聞き取りにくい。
「あっし歌が大好きなんです!だから絶対にコンクールで優勝したいんです!」
「そっか。頑張ってね。君ならきっと大丈夫だよ」
「あっし、高橋愛っていいます!ちょっと元気出ました!ありがとうございました!」
高橋愛と名乗った少女はたくさんの楽譜を抱え、廊下を駆けていった。



33 :サボテン:2003/09/11 15:08:26
昼休み、第一校舎をぶらぶら散歩していると、
後ろから「あのーっ!」という声が聞こえた。俺を呼んでいるらしい。
朝のひとみのこともあって、嫌な予感がする。どうしようか。

1 振り返る
2 無視する
3 また殴られることを予想し、後ろにいる相手をすばやく蹴り飛ばす


34 :名無し娘。:2003/09/11 15:10:00
おお、リアル更新だ。毎日更新?
2で

35 :ラスティ:2003/09/11 17:26:59
2

36 :名無し娘。:2003/09/11 17:27:22
更新乙

1で。

37 :名無し娘。:2003/09/11 17:52:48
2de

38 :サボテン:2003/09/11 19:00:27
俺は罪悪感と好奇心を押さえ、その呼びかけを無視した。
少し早歩きで進み逃れようとする。
しかし相手はまだ諦めていないようで、「あの〜っ!」ともう一度言った。
俺はまた無視した。
「シカトするつもりやで」
「これはお仕置きが必要れすね」
お仕置き?しかも、二人いる?
少し戸惑って足を止めると、後ろから両腕をがっしりと掴まれてしまった。
「なんだっ!?」
「無視すんなや。里沙ちゃんの兄ちゃん」
「ののたちを無視したれす。もう許さないれす」
俺の両腕にはお団子頭の幼い少女が二人くっついていた。
「誰?何?」
「わいは里沙ちゃんと同じクラスの加護亜依。で、こっちが」
「辻希美れす」
里沙の友達?里沙も高校生にしては幼い方だと思ってたけど、
この子達は小学生にしか見えないぞ…。
「で、なんで俺の腕に掴まってる?」
「あ、そうやった。わいらなぁ、腹減ったんよォ」
「ぺこぺこなのれす」
二人はお腹をさすり、今にも死にそうな顔をした。下手な芝居だ。
「それなら、食堂でラーメンでも食べたら?」
「けどなぁ、お金がないんよォ」
「財布カラカラなのれす」
今度はキャラクターが描いてあるお揃いらしいピンクの財布を取り出し、裏返しにして振った。
「でな、里沙ちゃんに相談してん」
「そしたら、お兄ちゃんなら奢ってくれるかもって言ってたんれす」


39 :サボテン:2003/09/11 19:00:51
「ハァ!?」
あまりにも二人が馴れ馴れしいのと、里沙の無責任な発言に俺は思わず叫んでしまった。
「まぁな、今日はお金貸してもらうとしてな、返すつもりやってんけどな」
「無視されたから怒ったれす。奢るべきれす」
絶対に嘘だ。最初から奢ってもらう気満々だったくせに…
「断る。」
「はぁ!?何言うてんねん!」
ピンクのボンボンの少女が怒り出した。
関西弁だから、なんとなく怖い。中澤先生を思い出してしまう。
「わいらは腹へってんねん!助けてくれたってええやろ!」
「今お金がないんだよ!それに、なんで初めて会った奴に奢らなきゃいけないんだ!」
廊下のど真ん中で俺と関西弁娘は怒鳴りあっている。
寺田の笑い声が聞こえたが、今は気にしていられない。
お金を貯めて、平家みちよのベストアルバムを買う予定なんだ!
少しの無駄遣いも許されないんだ!
「とにかく、俺は奢らないからな!」
「このケチがぁ!それでも男か!女の子が困っとるゆうのに!」

「ふ…ふぇ…」
「ん?どうした、のの」
関西弁娘に気をとられて、もう1人を忘れていた。
なんだ?今にも泣きそうな顔をしている。
ちょっと言い過ぎたかな、と謝ろうとした俺は
その大きな声に驚いて再びしりもちをついてしまった。



「らってみんな弁当じまんすんらもーん!!!」

40 :名無し娘。:2003/09/11 19:13:18
毎日どころか半日とはやるね

41 :サボテン:2003/09/11 19:16:40
仕方なく食堂にやってきた。泣かれては困ってしまう。
加護ちゃんはさっきまで怒っていたのが嘘のようににこにこ笑っているし、
辻ちゃんもさっきまでびーびー泣いていたくせに今はすごくご機嫌だ。
今日の俺はついてない。泣きたい。
「あら、可愛い子二人も引き連れちゃって色男ねぇ」
食堂の保田さんが俺の肩を肘でつついた。
この人、まだかなり若いらしいのに何かおばさんくさい。
だからみんなにおばちゃんと呼ばれている。本人も何故か嬉しがっているようだ。
「あ、おばちゃん。この人わいらに奢ってくれんねんで」
「優しいのれす」
「あら、よかったねぇ。で、何にする?」

1 ラーメン二つ みっちゃんよサヨウナラ
2 パン二つ みっちゃんは買えるかも。でもこの二人、何を言い出すかわからない

42 :サボテン:2003/09/11 19:18:36
>>28
あいのり娘、さっき見てきました。
おもしろいですね。でも私はAAはちょっと無理なんで…

>>40
ペースは早くなったり遅くなったりすると思います。
あまり期待しないでおいてください

43 :名無し娘。:2003/09/11 20:53:54
期待しちゃうさー

44 :名無し娘。:2003/09/11 22:08:19
移転希望出てたけど、こっちで更新してんの?

45 :名無し娘。:2003/09/11 22:11:23
狩狩に移転してるぞ
ROMがでしゃばったか?

46 :名無し娘。:2003/09/11 22:53:41
>>42
顔文字だけで十分ですけどw
気が向いたらやってみてください

47 :名無し娘。:2003/09/11 23:16:44
二重の負担を強いるのは酷だろうが
お前がやれ

1で

48 :サボリン:2003/09/22(月) 13:22
「パン2つで」
「なんや、にーさんケチやなぁ、
 成長期の娘がパン2つで足りる思うとんのかぁ」
「金がないんだ、がまんしる」
「しかたねーのれす、ばぁちゃん、パン2つずつでおながいするのれす」
「あいよぉ、ってばぁちゃんはないだろ!」
「そうだよ辻ちゃん、ばぁちゃんは失礼だろ、って2つずつかよっ!
 ってもう食ってるし!!」
「ほな、にーさん、おおきに」
「またおながいするのれす。」
「この借りはいつか体で返すでぇ」
「返すでぇ」
辻・加護は去っていった。…もの凄い小学生だな。。

49 :サボリン:2003/09/22(月) 13:23

自分の分のパンを買った。どこで食べようか。
疲れたんで静かなところがいいやと思って体育館裏に行ったら
運悪くウチの裏番の藤本とその舎弟に出くわしてしまった。
藤本は同じクラスのはずなのにほとんど見たことがない。
二人とも時代遅れな長スカートをはいてる。
「おう、○○、久しぶりだなぁ、元気にやってるかぁ」
「おう、藤本、久しぶり。たまには教室こいよ」
「余計なお世話だよぅ」って馴れ馴れしくアイアンクローを決めてくる。
「あいたた」藤本の眼がすわってる。シンナーか?
「先輩誰ですか?この人」藤本の指の隙間から舎弟が見える。
まだ煙草に慣れてないのか、眼がウルウルしている。
「同じクラスの○○だ。こっちは紺野。」
「紺野です。よろしくお願いします。」
さすがは藤本の舎弟。教育が行き届いてる。
「藤本、オレそろそろ帰るわ」
「おうまたな」とやっと手をどけてくれた。

50 :サボリン:2003/09/22(月) 13:24

教室に戻るとみんなそれぞれにぎわっている。
もう食べてる人はあまりいない。
辻加護、藤本紺野につきあってて時間を食ったな。
と、教室のすみで石川さんが一人、まだ弁当を食べている。
石川さんとはそれほど親しくない。
そう言えばいつも一人でいるような気もする。
オレも一人で食うのもなんだし、声をかけてみようかな。。


1 声をかける。
2 自分の席でパンを食べる。

51 :名無し娘。:2003/09/22(月) 17:48
おお、こっちか
2で

52 :サボリン:2003/09/22(月) 21:50
勇気を出して声をかけてみよう。

「石川さん、一人?よかったら一緒に食べてもいいかな?」
「すっこんでろよっ、このっ、たぁこ!」
 ガッ!いきなり足蹴りをされた。
「っっ!…あ、あれ?石川さん?石川さん?だよね?」
「はっ!あっ、□□くん、ごめんなさい、ごめんなさい、大丈夫?」
「い、いや、あんまり大丈夫じゃないけど、
 ちょっとキャラ違うよね?どうしたの?」
…普段はおとなしい子なのに。…心なしか顔がむくんでるようだ。
「ごめんなさい、梨華、ちょっとネガティヴな考え事してたの。
 ホントにごめんなさい。魔王様がときどきひどいことをするのね。
 ぁあ〜梨華のばかばか」と言って頭をボコボコたたいている。
「石川さん、落ち着いて。頭たたくのはやめようね。リアルにヤヴァイから」
と言って石川さんの腕をつかんだ。と、目があうと石川さんの頬が赤くなる。
顔のむくみがとれてウルウルな瞳にドキッとしてしまう。
「さ、食べようよ」
「はい、ごめんなさい」
「そんなにあやまんないでよ、気にしてないから」
「梨華、ネガティヴな考え事してると我を忘れることがあるの…
 梨華ってホントにダメな子ね…」と言うと、また顔がむくんできたような、、
ヤヴァイ!「石川さん、石川さん、ポジティブに行こう!ね!」
「はっ、う、うん。」

53 :サボリン:2003/09/22(月) 21:51

「石川さんて面白いね」
「そ、そうですか?そんなこと言われたの初めてです。
 みんなには表裏が激しくてキショイって言われてるんです」
「それも一つの個性でしょ?気にすることないよ
石川さんは石川さんなんだから、あんまり気を回さずに
もっと普通にしてればいいんじゃないかな」
「…はい」とまた頬を赤くする。
「…□□くん、今日の放課後、教室掃除するんですよね?」
「あ、そうだ忘れてた」
「梨華、手伝います。さっきのお詫びに手伝わせて下さい」
「ホント?助かるよ。ありがとう。」
その後は他愛のない話で盛り上がった。
明るい石川さんに戻ってくれて良かった。


午後の授業が始まる頃、後藤さんがやってきた。
「んぁ〜おはよう」
後藤さんは授業中もずっと寝ていた。
保健室で十分寝てたはずなのに、なんちゅーやつだ。


さて、放課後だ。
掃除かぁ、かったるいなぁ。
「□□くん、約束通り手伝います」と石川さんが寄ってきた。
「う、うん、ありがとう」
と、そこへ携帯が鳴る。矢口先輩だ。
「○○くん、最近全然部活に出てないじゃん
 今日は大事な話があるからでなさいよ。」ブツッ。
・・・やばいな、もう1週間も出てない。矢口先輩怒らすと恐いし。。


1 石川さんと掃除
2 部活に行く
3 掃除も部活もやめて帰る

54 :名無し娘。:2003/09/22(月) 22:05
一度に大量更新乙
1で

55 :サボリン:2003/09/22(月) 23:29
やっぱり部活に行こう。

「石川さん、ごめんね、どうしても部活に出なきゃいけなくなっちゃった」
「え〜そんなぁ、中澤先生に言われたのにどうするんですか?」
「ゆゆたんも冗談で言ったんだと思うよ、大丈夫大丈夫」
「…梨華と一緒に掃除をするのが嫌なんだ」とだんだん顔がむくんできた。
ヤヴァイ!「石川さん、ホントごめん、この埋め合わせは明日するから」
「そうだ、明日の放課後、どっかに行こうよ、なんかおごるから」
「…わかりました。絶対ですよ!」
と石川さんは笑顔になって去っていった。
さてと、部活に行くか。…それにしてもなんでオレ、
女子柔道部のマネージャーなんてやってんだろ。。


体育館に着くともう準備は整っていて畳が敷かれていて
そこで安倍先輩と矢口先輩がじゃれあっていた。
「ほれ、だきわかれだべ」ドサッ!
「キャハハ!」
「ほれ、だきわかれだべ」ドサッ!
「キャハハ!」
「ほれ、だきわかれだべ」ドサッ!
「キャハハ!」
「ほれ、だきわかれだべ」ドサッ!
「キャハハ!って、おい!そこの丸くてイモくさい豚!
スポンジみたいに太ったりやせたりしやがってクソがぁ!
豚は豚らしく太ってろつーの!!わかったかゴルァ!」
と言いながら、矢口先輩は流れるように見事に
腕ひしぎ十字固めを安倍先輩に決めていた。二人とも仲がいいなぁ。

56 :サボリン:2003/09/22(月) 23:32
「オルァ!豚!まいったか豚!」
「うう、なっちは豚じゃないべ」
「まだ言うかこの豚!豚だと認めろ!」
「うぅ、この、ターナー症候群の染色体異常者!」
「もう頭キタァ!、腕折ったるど!
 言え!私は豚です!私は豚ですと言え!」
「うぅ、なっちは、なっちは、天使だべ」
「ポルァ!」
「っぁぁあ!、私は豚です。私は家畜です!
 私は矢口様の家畜です!どうぞ私の醜い贅肉をお食べ下さい!」
「ふっ、最初から素直に言えばいいものを」と技をはずす。
「なんて、なっち様が言うとでも思ったかぁ!!!」
と浮かせ気味に背負い投げを決める安倍先輩。
「ハウァ!」ガクッ!
着地際に体重をかけて肘をみぞおちに食らわせたみたいで
矢口先輩はリアルに落ちていた。

「ヤヴァイべ。ついつい落としてしまったべ。
 糞尿が出てこないうちにカムバックさせるべ。
 □□くん、念のため真里を体育館倉庫に運んで!
 なっちは水と雑巾を用意してくるべ」と安倍先輩は去っていった。
「あわわわ」
おいおい、マジかよ。手加減ていうのを知らない先輩だな。
ヨイショヨイショ、完全に落ちた人間ほど重いものはない。
軽い矢口先輩とは言え、へろへろになりながら倉庫に運んだ。
安倍先輩が来て「ああ、□□くん、ありがとう」
「ひどいですよ安倍先輩、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だべ、よくあることだべ、落ち着くべ。
 とりあえず脈はあるからいつかはカムバックするべ。」
と言いながら水を矢口先輩の頭にかけて頬をバシバシ叩く。
矢口先輩の頬がみるみるとスズメバチに刺されたように腫れ上がっていく。
「それよりも糞尿の始末だけはしたくないべ。
 取り敢えず今からケツの穴に雑巾詰めるべ。」
「マジですか?」
「マジだべ。早く詰めないと身が出てくるべ。」
 真里は便秘気味だからたっぷり出てくるべ。」
「あわわわわ」

57 :サボリン:2003/09/22(月) 23:36
「したっけ、□□くんは真里の上半身を浮かせて!
 頭にまたがって腰を持ってそう」
とオレがうつぶせの矢口先輩の腰をうかせると
安倍先輩は矢口先輩のジャージを脱がせ始めた。
「ヤヴァイですよ安倍先輩!」
「仕方ないべ、一刻を争う事態だべ。」
と言いながらパンツもおろしてホントにケツに雑巾を詰め始めた。
やっぱり女の子っていざっていうときは強いなぁ、と感心した。
「これで大丈夫だべ
 念のため下は全部脱がして跳び箱にかけとくべ。
 水の方は出てきてもふき取ればいいから。」
と言うので二人で矢口先輩を運んで跳び箱に引っかけた。
オレはもう汗だくになって座り込んでしまった。
ピンクのジャージを上だけ着て下半身全裸でケツの穴に雑巾を詰められて
跳び箱にうつぶせになって引っかかってる矢口先輩はとても情けなかった。

「人間、ああなっちゃおしまいだべ。」としみじみと言いながら
安倍先輩は缶コーヒーを差し出した。安倍先輩は気がきくなぁ。
なんて、二人でマットに座っていい感じになごんでいると
「ヤヴァイべ、ついにキタ!」・・うわっ、リアルに水が垂れ始めてる。
安倍先輩は必死になって汚水を雑巾で拭きながら
「真里、帰ってこい!女の子がはしたないべ、帰ってこい!」
と髪の毛をつかんで矢口先輩の頭を跳び箱にガンガンぶつけていた。
すると、「うぁぉぉぉぉ!」と叫んで矢口先輩が立ち上がった。
「ぉおぉお!帰ってきた!戦士達が帰ってきたべ!」
「っっ!バッキャロー!本気で宇宙と交信しちまったよ!
お前なんか森繁久彌と一緒に黄泉の國にいっちまえ!!
・・・っておい、」と顔を下に向ける矢口先輩。。
と、いつものように安倍先輩に殴りかかると思ったら
ヘナヘナと座り込んでシクシクと泣き出してしまった。

58 :サボリン:2003/09/22(月) 23:40

「ひどいよ、ひどいよ、なっち、○○くんの目の前で!」
「じ、事故だべ。身は出なかったし」
「ひどすぎる、、っあぁ!」と目を泳がす矢口先輩。。
・・やっとケツに詰まった雑巾に気づいたらしい。
「…本気で死ぬ。これから電車つっこむ。
 なっちのこと呪いながら電車つっこむ」
「やめるべ、呪うのだけはやめるべ」
「矢口先輩、落ち込まないで。オレは気にしてないから」
「こっちが気にするよっ!!
 …父さんにだって見られたことないのに!」
「これは3人だけの秘密だよ」
「そう言う問題じゃないよ!おいら、おいらはもう…」
と涙をボロボロ流してヒクヒク泣いてる。結構深刻な状態だ。
「矢口さん、死ぬなんて言わないで機嫌なおしてよ
 矢口さんの言うことならなんでもきくからさ」
「ヒック…じゃ、○○くん、…○○くん、
 責任もって、おいら、おいらのことお嫁にもらって!!」
「えぇえぇぇ!!」
「…嫌なの?」と顔をはらして目に涙をいっぱい溜めて言う。
「え、嫌じゃないけど、本気?
 そういうことはよく考えてから決めるべきだと…」

59 :サボリン:2003/09/22(月) 23:42
「いたいけな少女のケツの穴に雑巾つっこんだんだ。
 責任もって嫁にもらってやるべきだべ。」
(っておい、お前がつっこんだんだろ!!)
「…やっぱり死ぬ」
「待って待って、オレは結婚してもいいけど…
 矢口さんはそれでいいの?結婚って好きな相手とするべきじゃ?」
「おいらは○○のこと好きだよっ!
 ずっとずっと好きだったんだ!
 好きな相手にこんなとこ見られたらもう告るしかないだろ!!」
ウァァァアン!!と泣き出す。どうやら本気らしい。
「わかった、矢口さん、わかったよ。
 矢口さんが本気ならオレも本気で答えるよ。
 オレだって矢口さんのこと好きだよ。
 でもお嫁にもらうくらい好きかどうかはわかんない。
 義務感で仕方なくするような結婚なんて意味がない。
 オレが矢口さんのことをどれくらい好きなのか、
 矢口さんがオレのことをどれくらい好きなのか、
 それを確かめるためには時間が必要だよ。
 ね、これからゆっくり確かめていこうよ。
 矢口さんの気持ちは十分わかったから。」
「………
 わかった。約束だよ。」
やっと矢口先輩がおとなしくなった。

それから二人で矢口先輩に服を着せた。
安倍先輩もさすがに反省したようでしょんぼりしている。
「真里はあんたのこと頼りにしてるみたいだね、あとは頼んだべ」
と言って先に帰っていった。なんだか複雑な表情だった。

「おんぶ」と言って
すっかり幼児帰りし始めている矢口先輩を背負って家まで送り届けた。
背中でいつまでも鼻をすすっている矢口先輩の息がくすぐったかった。

60 :サボリン:2003/09/22(月) 23:47

家に帰るといつもように里沙がアヤカさんをいびって
「アヤカさーん、味が薄いですよ!」と眉を曇らせていた。
「でも、健康のために塩分は控えめにした方がよろしいかと」
「オマエなぁ、口答えするんじゃねーよ、ビザ切れがぁ!」
「里沙、言い過ぎだぞっ!」
「…ふん」と言って里沙は2階に上がっていった。
アヤカさんは親父が日本語学校で拾ってきた家政婦で
親父がいないのをいいことに里沙にこき使われていた。
里沙は親父がアヤカさんと再婚するのではないかと疑っているようだ。
「アヤカさん、あんまり里沙を甘やかさないで下さいね
 一応年上なんだからビシッとしかっちゃっていいんだから」
「はい、○○ぼっちゃん」
「…それといい加減その○○ぼっちゃんって言い方はやめてよ
 ○○くんでいいから」
「はい、…○○くん、あ、そう言えばお食事は?」
「うん、今日はいいや、もう寝るよ、おやすみ」

ホントに今日はいろいろあって疲れた。
ぐったりとベッドに崩れ落ちた。。。。


2日目

次の日の朝、なにげに早く目が覚めてしまった。
新聞を取りに玄関を出るとちょうど新聞屋が来たところだった。
まだ若い里沙と同じぐらいの子が自転車でまわっていた。
オレの家の前まで来て「新聞です」と笑顔で言って手渡してくれた。
「ありがと」と受け取ると、ゴホッゴボボッと嫌な咳をし始めた。
「だ、大丈夫ですか?」
「すみませんねぇ、気にしないで下さい。いつものことですから」
と言って手首を曲げておばさんくさい仕草をする。
少女はおもむろに醤油の小瓶を出してゴクゴク飲み始めた。
「こんな風邪、醤油でも飲んでれば直るんでございMAX!」
と笑顔で言ってふらつきながら去っていった。
…世の中、あの年代で苦労してるヤツもいるんだな。


さてと、
1 もう少し寝るかな
2 せっかく早く起きたんだ、ジョギングでもするか
3 腹減った、飯食おう

61 :名無し娘。:2003/09/22(月) 23:50
よく見たら違う人だ!全然気付かんかったけど面白いからいいや
2で

62 :サボテソ:2003/09/23(火) 01:10
せっかく早く起きたんだ、ジョギングでもするか。

さっそく冷蔵庫を開けてビールをジョッキになみなみとついで一杯やる。
いやぁ朝の一杯は格別だな。
ってそりゃジョッキングだろ!・・・・・朝から何やってるんだ俺は・・・
気分を入れ替えるためにもこんどこそジャージに着替えて朝日の昇り始め、
色のつき始めた街中を走り始める。
さすがにこの時間だと人はほとんどいない。
たまにさっきの少女が白目むいて路上で倒れているぐらいだ。やっぱだめだったか・・・
そんな爽やかな風景の朝の街中をとりあえずきのむくままに走っていく。
おや?向こうから走ってくるのは・・・


1 妹の理沙だ。そういえばあいつ毎朝ジョギングしてたな・・・
2 下級生の高橋だ。そういえばコンクールのために体鍛えてるって言ってたな・・・
3 先輩の飯田さんだ。そういえばエメラルド星人が地球を襲ってくるから私の命にかえてでも!っていってたな・・・

63 :サボリン:2003/09/23(火) 01:30
お、サボテン帰ってきたか。
2で。

64 :サボリン:2003/09/23(火) 01:34
ちくしょ、サボテソだったか。。。

65 :名無し娘。:2003/09/23(火) 01:39
3で

>>63
本物が白目むくなんて描写かかねーだろw

66 :サボリン:2003/09/23(火) 15:08
1 妹の理沙だ。そういえばあいつ毎朝ジョギングしてたな・・・
・・・機嫌が悪そうだな。無視、無視。
と、急に吐き気をもよおし、川岸へ行って吐いた。
ふう、朝からビール飲んでジョギングはさすがにつらかったな。
と、そこへ上流からプカプカと水死体が流れてきた。
綺麗な顔をした女の子だ。黒い髪が顔にまとわりついてる。
・・・吐き気がおさまらねぇ。無視、無視。
と、水死体の目がバチッと開いてこっちを見つめる。
「あれ?…確か紺野さん?どうしたの」
「…あ、○○さん、おはようございます」
「うん、おはよう、いい天気だね」
「はい、いい天気ですね」
「って、おい、大丈夫かよ」
「…あまり大丈夫じゃありません、できれば助けて頂きたいのですが」
しょうがねぇな。。適当な棒を見つけて紺野さんをたぐり寄せる。
全身びしょ濡れの紺野さんをやっとこさ岸に運び上げた。
「ありがとうございます…ぅう、おなかが苦しい、、」
水を飲んだらしいな。腹に両手をあてて押してやると
プレデターみたいに口からブクブクと泡を立てて水をはき出した。
「ふう、すっきりしました、ホントにありがとうございました」
「いったい、どうしたの?」
「いえ、ちょっとした抗争に巻き込まれまして、、」
「…深くは追及しないけど、あまり藤本とは関わらない方が、、」
「なんてことをおっしゃる!私にとって美貴様は神!……」
と、また気を失いかけてる。やばいな、どうしよう。
「紺野さん、おうちはどこ?」
「…お父様やお母様に心配をかけたくありません
 ひとまず、○○さんのうちにかくまってはいただけませんか?」
「かくまうって、、」
「おながい…」と言って紺野さんは眠ってしまった。
しょうがねえな。近くにあったリアカーに紺野さんをのせて
家まで運んでいった。眠っている紺野さんはホントに死んでるみたいだった。

67 :サボリン:2003/09/23(火) 15:08
紺野さんのことはひとまずアヤカさんに頼んで学校に行くことにした。
玄関を出ると矢口先輩が待っていた。
顔を伏せながら「おはよう○○」
「あ、おはようございます、矢口先輩」
「ぅもう!矢口先輩だなんて、よそよそしいな」
 真里って呼んでよ。」
「あ、はい、…真里、、」
「キャハハ!じゃ、行こっか」
「はい」と、歩き出すと矢口先輩はニコニコして腕を組んできた。
「…あの〜、や…真里さん?」
「ん?」
「これって、どういう」
「つきあってるんだからこれくらいいいじゃん!」
「あはは、そうですね」
って、あれ?もうそういうことになってるんだ!
・・・そうだったのかぁ!

68 :サボリン:2003/09/23(火) 15:09

と、後ろから「おーいっ、○○」といつもの声が聞こえる。
さりげなく頭をガードしていると、足を引っかけられ無様にこけた。
「っ痛、、ひとみぃ、いい加減に…」って、あれ?
「オラ、貴様、おいらのダーリンになにしくさってんだ、ゴルァ!」
と矢口先輩が得意の腕ひしぎ十字固めをひとみに決めていた。
「白熊みたいにブクブク太りやがってコラ!
 言え!私は白熊です!私は白熊ですと言え!」
「ぁぁああ!私は白熊です!私は白熊です!」
とひとみが言うと矢口先輩はやっと技をはずしてあげた。
矢口先輩はやっぱり頼りになるなぁ。
「かっけ〜!って、○○、なんだ、このチビは?」
「キサマァ!」と技をかけようとした矢口先輩の頭を
バレーボールみたいにひとみがはたいた。
矢口先輩は飛ばされてすっころんでズザザザザァーと
地面を引きずりながら電信柱にぶつかって三点倒立をしていた。
「さっきは油断したがなぁ、二度もかかると思ってんのか、このチビ!」
矢口先輩はピョンと立ち上がって、口からプッと血をはき出すと
「ふっ、いい度胸だ、やってやろうじゃんか!」
「ちょ、ちょっと二人ともやめろって、仲良くしようよ!」
「…そうだな、朝からケンカは疲れるし」とひとみ。
「…ダーリンが言うならやめるよ」
「…さっきからこのチビはダーリンダーリンうるさいがV6のファンか?」
「チビ言うな!おいらは○○の彼女なんだよ!」
「なにっ!○○の彼女ぉ!、、ホントか?○○?」
「う、うん、まあ、そんなとこだ」
昨日の今日だ、下手に否定すると矢口先輩がまた自殺するとか言い出す。
「う、そうなのか、○○の彼女ねぇ」
「そうだよ、バーカ!わかったらホクロ星人はあっち行け!」
「…そうだな、悪かったな、邪魔をして…」
と、ひとみは、らしくなくはにかみながら去っていった。

69 :サボリン:2003/09/23(火) 15:09
学校へ着くとやっと矢口先輩が腕を放してくれた。
「じゃ、また放課後ね」
「う、うん」
・・放課後もあるのか。何か対策を考えねば。

矢口先輩と別れると急にめまいがしてきた。
つーか、昨日からいろいろありすぎてマジ疲れたな。。
授業さぼってどっかで休むかなぁ。

1 保健室で寝る
2 体育館裏で一服
3 やっぱりまじめに授業に出る

70 :名無し娘。:2003/09/23(火) 15:40
もうなんでもありだなおい
2で

71 :名無し娘。:2003/09/23(火) 16:14
多数決関係ねぇ!
1で

72 :名無し娘。:2003/09/24(水) 12:15
もうこの路線で決定なの?

73 :名無し娘。:2003/09/24(水) 13:31
面白くなってきたのに水を差す気か?2で

74 :名無し娘。:2003/09/24(水) 16:54
2で川VvV从登場キボン。

75 :サボリン:2003/09/24(水) 17:37
保健室でちょっと寝ていくか。
ガラガラッ・・・あれ、誰もいないみたいだな。
ベッドは2台あるのだが、、両方空いてるみたいだ。
勝手に寝ちゃうか。。ま、大丈夫だろう。
ドサッ。うーん、気持ちいいなぁ。
シーツも洗い立てで、オレのベッドとは大違いだ。
疲れがたまっていたのだろう、、深い眠りに落ちていく。




・・

・・・・た、助けて。



ん、何だ、夢か?
目の前には、頬がリンゴのように赤らんでいる
かわいい女の子の姿が見える。まだ幼さを残した黒髪の少女。。



…君は誰?名前は?



・・助けて。

76 :サボリン:2003/09/24(水) 17:38
 
 
 
 
 
 
・・
・・・ふう、夢か。



「妙にリアルな夢だったなぁ」

「ふふ、どんな夢だったの?」
「ん?なんか女の子が助けてって言ってて…」
「ふーん、、いやらしい夢」
「しょうがないだろ、夢なんだから、
 って、あれ?、、後藤さん!こんなとこでなにやってんの!?」
「なにって、ちょっとお昼寝」
一緒のベッドでか!!しかも横向きになって腕をオレの胸に絡ませるか!
なんだ!?この情事を終えた男女のような慣れ親しんだシチュエーションは!!
「あわわ、ちょ、ちょっと後藤さん!まずいんじゃない?」
「なんで?いや?」
「嫌とかそういう問題じゃなくて…
 つーかもう一つベッドがあったじゃん!」
「んぁ、あっちは小川ちゃんのだから」
「ここのベッドには所有者がいるのか!?」
「小川ちゃん、すやすや眠ってるから起こしちゃかわいそう。
 静かにしにょ。なんか最近寒いしちょうどいいじゃん」
と小声で言って、後藤さんはそのまま目をつぶってしまう。
・・なんかヤヴァイような気もするが、…後藤さん、いい匂いだな。
寝息がくすぐったいよ。。って、おい、ひたるな、この状況に!!
とはいえ後藤さんの腕が胸に乗っかっててうまく起きれないし、
心なしか足も絡まってきたような、、うにゅう、、万事休す。
おいおい、こんなとこ人に見られたらどうすりゃ委員会?

77 :サボリン:2003/09/24(水) 17:39

なんて思っているうちに、保健室のドアの開く音が、ガラガラッ!
「ごとー、そろそろ起きた方がいいんじゃん?」と先生の声。
ヤヴァイ!!もーれつ(ア太郎なみ)にヤヴァイ!!
「おい、ごとー!」と、ベッドわきのカーテンが開かれる。
こんなとこ見つかったら停学とかくらうのかなぁ、、、
「ご、ごとー、、」顔面蒼白気味の先生。
カーテンが開けられ入ってきた光をまぶしそうに避けて体を起こす後藤さん。
「んぁ、市井ちゃん、おはよう」
「ご、ごとー、ど、どういうことだよっ、これは!?」
ヤヴァすぎる。市井先生相当怒ってる!
「あ、だって後藤のベッドにこいつが寝てるんだもん
 仕方ないじゃん」
「お前は猫かよ、魚づらのくせに!!
 …っ、、ホイホイ誰にでも抱きつくんだなっ!……あたしも、、
 …あたしなんか結局その場しのぎのお慰みってことかよ!」
「なに怒ってんの、市井ちゃん、らしくないじゃん」
と、後藤さんは立ち上がって市井先生の耳にかけた髪をいじり始める。
「あたしの市井ちゃんに対する気持ちは変わらないよ」
「うそつけ」と少し涙目な市井先生。。なんか状況が読めんが。。
「もう、市井ちゃんはかわいいなぁ、そんな市井ちゃんが好き」
と後藤さんは市井先生をぎゅっと抱きしめる。後藤さんの胸に抱かれながら
「…ごめん、最近ちょっと疲れてるんだ」と市井先生。
「疲れたときはしっかりと休憩をとって休まなきゃ、ね?
 そうだ、また今度、イタリアンライスボウルをつくってあげる」
と、後藤さんは体を離して、市井先生の頭をなでている。
その姿をぼーっと眺めていると市井先生と目があって、一瞬にらまれた。
「市井ちゃん、にらまないの、仲良くしよう、ね?」
「…うん、ごめん」
「さ、お弁当にしよっか、□□くんも一緒に食べよっか?」
「え、いいの?」・・昼飯代が浮くのはありがたい。
「うん、あたしいつもつくりすぎちゃうんだよね、食べてよ
 いいでしょ?市井ちゃん?」
「う、うん」
妙な空気が流れる中、3人で弁当を食べた。
おにぎりと卵焼きやウインナーなどのおかず。シンプルで落ち着いている。
後藤さんのつくったおにぎりはとても美味しかった。

「後藤さん、美味しいよ、特にこの卵焼きが最高!」
「ふふ、あんがと、またいつでも食べに来てね」
「うん」、って、また市井先生ににらまれたような。。

78 :サボリン:2003/09/24(水) 17:40

食べ終わると
「んぁ、そろそろ行くよ」
「う、うん」としおらしい市井先生。
「あ、そうだ、小川ちゃん起こさなきゃ」
と、後藤さんは霧吹きを持って隣のベッドに入っていった。
シュッシュッ、「小川ちゃ〜ん、起きようね」
シュゥピュー、「そろそろ起きないと欠席扱いになっちゃうよ〜」
「グフッ!ブクブクップハーッ、、
 …っと、すみませんねぇ後藤さん、いつも起こして頂いて」
とびしょ濡れの顔を出したのは、今朝オレんちの前で
醤油を飲んでいた新聞配達の女の子だった。
「あれ、□□さん、今日はご病気で?」
「い、いや、そうじゃないんだけど…
 君、新聞配達の?」
「そうです、毎度お世話になります小川麻琴といいます。
 よろしくお願いしMAX!」
「あ、うん、よろしく」
「あ、小川ちゃん、これいつものね」と市井先生がなんか薬を手渡している。
「毎度すみませんねぇ市井センセ」
「いいのよ、学校のなんだから
 それより小川ちゃん、体を壊さないように気をつけてね」
「お気遣いありがとうございます市井センセ」
「小川ちゃん、はいこれ、今日のお弁当、いっぱい食べて元気出してね」
「うぅ、ごとーしゃん、ありがとうございます」
・・・なんかここでは小川さんは大事にされてるみたいだ。
「じゃ、そろそろ行こっか」
「うん」「は〜い」
と言いながら3人は保健室を出た。

79 :サボリン:2003/09/24(水) 17:41

5時間目の初めに教室に着いたら、運悪く中澤先生の授業だった。
「コゥラァ!□□ッ!」と黒板消しが飛んできた。バコッ!!
いってぇ〜。。中澤先生はそのまま凄い形相で寄ってきて襟首をつかんで
「ワレ、なめとんのかぁ、ゴルァ!
 昨日の掃除はさぼる、今日は社長出勤ときたぁ!
 たるんだことしてっとキィン玉にぎりつぶすぞコラ!!」
「す、すみません、もうしません、ごめんなさい!」
「ワレ、放課後ぅ、進路指導室来ィ!」
「はい、わかりますた!」
やっと襟首を離してくれた。シャツが伸びてしまった。



……ふう、やっと授業が終わった。放課後だ。

あれ?向こうから石川さんがニコニコ寄ってくるぞ。
・・そうだ!今日何かおごる約束をしてたんだっけ!
進路指導室に来いって中澤先生に言われてるし、
部室も一応のぞいておかないと矢口先輩がうるさいだろうし
ああ、そう言えば水死体の紺野さんはどうなっただろう?



1 石川さんとデート
2 進路指導室へ行く
3 部室へ行く
4 紺野さんが心配だ、家へ帰る

80 :名無し娘。:2003/09/24(水) 17:43
なんか普通になっちゃったな
4で

81 :名無し娘。:2003/09/24(水) 17:46
ちょっと待て、選択肢なしでもいいんじゃないか?

82 :サボテソ:2003/09/24(水) 20:07
4 紺野さんが心配だ家へ帰る

 そうだ。うちに水死体をおきっぱなしだった。急いで家に帰らなくちゃ!
ポケットから竹とんぼを取り出し頭に取り付け窓へと走る。
「まってよ□ωくん!」石川さんが追っかけてくる。
「ごめん!今日は急用が!」
竹とんぼのスイッチを押して窓から飛び出す。そして墜落。そして複雑骨折。
やっぱり形だけ真似ても無理か・・・
とりあえずまだ足をやられただけなので逆立ちで家へと急ぐ。
町を行く人々の視線がちょっぴりエキゾチックなのはきのせいだろう。
買い物途中らしい親子連れに
「あ!グドンだ!」
「こら!ツインテールでしょ!」
とか言われてもいつもなら
「だれがえびやねん!」
と返すんだが今日は急いでいるので見逃してやることにする。命拾いしたなぼうや。

83 :サボテソ:2003/09/24(水) 20:18
・・・・・なんとか家にたどりついた。

ずっと逆立ちしてたおかげで腕がつかれた。
あとで新しい腕をアヤカさんに焼いてもらおう。
さて、朝アヤカさんに渡してほったらかしといた水死体はどうなったかな?
出かけるときはソファーにぽいっと放っておいたんだが・・・・

いたいた、まだソファーの上にまだあった。
水死体にはアヤカさんが気をきかして顔の上に白い布。
頭の上のところには線香もたいてある。
顔の上の白い布を取ってみる。
水死体は真っ白でふやけて静かに眠っているような顔だ・・・

きれいだろ?それで死んでるんだぜ・・・

「ズッピョラポッポッパー!!」

とおもったら寝息が聞こえてきた。まだ生きてたようだ。
せっかく今日はふぐ料(ry
とりあえずおきるまでコレはほっとくか・・・

さて俺は・・・

1>残りのドラゴンボールを集める
2>石川さんにさっきのことを電話でわびておくか
3>そういえば今日は天才塾にいく日だったな・・・

84 :名無し娘。:2003/09/24(水) 20:21
こどもスペシャルだな
1で

85 :名無し娘。:2003/09/24(水) 23:16
なんかめっちゃふぐりでてるっ!!

3で

86 :サボリン:2003/09/25(木) 14:39
3>そういえば今日は天才塾にいく日だったな・・・
・・・めんどくせぇな、やっぱ昼寝でもするか。

ふと目が覚めた。もう外は暗くなっている。
しばらくベッドでうつぶせになりウトウトしていると、
窓がガラガラと開く音がする。むにゃ、なんだぁと思っていたら
いきなり背後からキャメルクラッチ!
「だーれだっ」
「ぐげ、誰だじゃないよ、誰だよオメー、
 うぅ、か、勝手に人の部屋入ってくんな!」
「あんだと?オレ様の声を忘れたかコラ!」と力を強める。
「ちょっと待て!落ち着こうぜ涙ガール!」
「モーニング高校で一番強くてかわいいオレを忘れたか!」
「あ、藤本か?藤本様ですね?」
「おせーよ気づくのが!」と言って藤本はやっとどいてくれた。
「で?紺野はどこだ?」
「あれ、なんで紺野さんがオレんちにいること知ってんの?」
「紺野にはいざというときのために発信器がついてんだよ」
「紺野さんなら1階で寝てるよ」
二人で1階に様子を見に行く。
「これはまだ動けそうにないな、○○、迷惑かけてすまん」
「いや、別に、、」
「迷惑ついでにちょっとつきあえ、一人じゃ無理な仕事だ
 しかも今日じゃないとできないんだ」
「なんだよ、ヤバイ仕事なのか?」
「・・たいしたことないって、つきあえ」
と言って藤本はオレの手をひっぱって連れて行く。しょうがねぇなぁ。

87 :サボリン:2003/09/25(木) 14:40
案内された先には見事なバイクが一台。
青い色。スズキのヤツらしい。
「ホレ、メットはちゃんとかぶれよ
 紺野用だからオマエでも大丈夫だろ」
…渡されたメットをかぶる。
「あとな、これは護身用だ」と鉄パイプを手渡された。
「オレの護身用だからな、オマエは後ろに乗って
 いざというときは応戦してオレの身代わりとなれ」
…おーい、楽しそうな夜のピクニックだな。
「じゃ、行くぞ」とバイクにまたがってエンジンをかける藤本。
もの凄い音だ。藤本の後ろにまたがって腰をつかんだ。
「もっとちゃんとつかまれよ、落ちても知らねーゾッと!」
ブォーっといきなり発車したのでマジで落ちそうになり
必死になって藤本の腰に巻きついた。
轟音の中、「いったいどこへ行くんだよっ!」と大声で叫ぶと
「うるせぇ!!マイク付いてるから普通にしゃべれ!」
と、返された。ホントだ。轟音の中でも会話が出来る。すごいや。

とはいえ爆速バイクの後席に慣れるのが必死で会話どころじゃない。
いつの間にかあたりはコンクリートの壁に囲まれている。
首都高に入ったらしい。
と、「おいでなっすった」と藤本。
ガツッ!!いきなり背後から鉄パイプで頭を殴られた。
「殺れ!殺らなきゃオマエが殺られるぞ!」
おい、マジかよ。17にして犯罪者になりたくねぇ!!
引き続き2台目がやってきて今度は腰をガツッと殴られた。
バイクが揺れて危うく転倒しそうになった。
「殺れ!○○ッ!覚悟決めろや!
 前にまわすから突いて前席のヤツを落とせ!」
いきなりスピードが上がってさっきの2台をみるみる追い抜く。
1台の前に直線上に並んで、今度はスピードを落として近づいていく。
バックミラーからかすかに後ろのバイクが見える。
後ろのヤツは必死に進路を変えようとするが藤本が許さない。
「今だ!殺れぇ!」
ちくしょぅ!やけくそだ!ガゴッ!!
後ろを向いて鉄パイプを思いっきり後ろのヤツのシールドに刺した。
後ろのバイクはバランスを失って激しく転倒していた。
「次ィ!来るぞっ!」2台目が今度は横からやってくる。
敵の後席が藤本と重なる。藤本をねらってるみたいだ。
「危ない!」鉄パイプを振りかぶった敵の脇を思いっきり刺した。
後席のヤツは激しくもだえて落ちていった。
追っ手は攻撃手を失って諦めたようで減速して去っていった。

88 :サボリン:2003/09/25(木) 14:40
「よくやった、○○、感動した!!」
「感動したじゃねぇ!!
 前途あるオレの将来をどうしてくれるんだよぉ!」
「油断するな、○○、アレは子供だ。
 母親が前の方で待ってるはずだ、しっかりつかまってろ!」
とまたスピードを上げる。ブォォオーーァツ!!
…頼むから話を、オレの話を聞いてくれよぉ。。
と、前の方にでかい黒のバイクが見えてきた。
後ろ姿から判断するに女の子二人組。
しかもノーヘル!髪をバサバサ乱して走ってる!
「真打ち登場だぁ!先制するぞ○○!」
「って藤本!いくらなんでもノーヘルの女の子に
 鉄パイプ食らわすなんてオレにはできねぇぞ!」
「ほざいてろ、殺らなきゃ殺られる、世の中の掟だぜ」
なんて言ってるうちに前のバイクに近づく。
と、前のバイクが減速してきて横に並ぶ。
前席のサングラスをかけた長い茶髪の女の子がかすかに微笑む。
と、後席の黒髪が鉄パイプですばやく何回も突いてくる。
連続で脇腹に食らって吐きそうになる。いったん距離をとって、
「殺れ!ヤツはファティマだ!鉄パイプごときで死にゃしねぇ!」
「できない、オレにはできない!!」
なんて言い合っているうちにまた敵のバイクが右側から近づいてくる。
と、茶髪がおもむろに銃を出してきた。
あれ?マジですか?
茶髪は無表情のまま銃をかまえる。「ドンッ!」と音がした。
やられた!と思ったら弾が当たったのはバイクの方だった。
茶髪はニヤと微笑むとどんどんと先に行ってしまった。
「っちくしょぅ!燃料タンクをやられた!」
ガソリンがポタポタこぼれて足が濡れてくる。
「…美貴さまぁ!、もう帰りましょう!」
「もう少しだ、あと少しだ、辛抱しろ!!」とますますスピードを上げる。
「いったい何がやりたいんですか?美貴さまぁ!」
「この9号をまっすぐ南に下ってちょうど24時、
 最南端にオレンジの中央分離帯が見えてくるはず、
 それが首都高の9と4分の3線だ、それに時速88マイルでつっこむ!!
「はぁ?これって族の抗争じゃなかったんすか?」
「うるさい!だまってつかまってろ!」
バイクが爆発するんじゃないかという恐怖とスピードで頭がくらつく。

89 :サボリン:2003/09/25(木) 14:42



・・・意識が遠のく中、遠くに黒のバイクが見えてきた。
高速なのに、本当にオレンジの線が見えてくる。
と、思ったら前のバイクが突然消えた。バイクはさらにスピードを上げて
「キタァーーー!! 間、イッッ、パァァーーツ!!」




・・

 ドッ!


ッドガガガガッッーーーァァアア!!




激しい音でこけまくって草原の中を転がっていた。



っつってぇえええ!


何が起きたんだ!?

90 :サボリン:2003/09/25(木) 14:43

 
 
10メートルくらい先に藤本が、
さらに10メートル先にバイクが転がっている。。
体中が痛かったが、なんとか藤本の側までたどり着き、
「大丈夫か?」とたずねると
ドゥガァーーンとバイクが激しく爆発した。

「うぅうーん、いってぇ」と起きあがる藤本。

後ろから「あはは、ミキティ、何とか間に合ったみたいね」
と、どっかで聞いた声がする。サングラスの女の子だ。
「□□くん、こんばんは」とサングラスをはずす。
「ご、ごとーさん!!」
「今日はよく会うね」とニコッと笑う後藤さん。
オレは状況が飲み込めず言葉が出てこなかった。
「ミキティもひどいなぁ、紺ちゃんがいないからって
 □□くんを巻き込んじゃうなんて」
「…っこの腐乱魚がぁ!テメーがやったんじゃねーか!」
といきなり藤本が立ち上がって後藤さんに殴りかかった。
と、黒髪の女の子に軽く拳を握られ背中まで腕を曲げられる。
「いててててて」
「れいな、それくらいにしてあげな」
「はい」と黒髪が藤本の腕を放す。
「ちっくしょう!化け物手なずけやがって!」
「後藤さんに手を出したら、れいなが承知せんけんね」と黒髪。
「んぁ、ここまで来たんだから、もう仲良くしようよ、ね?」
「…フッ、そうだな、オマエも計算尽くでさっき見逃したんだろ」
「さてね」
「結局オマエだって雑魚さ、一人じゃ恐いんだろ!」
「さてね」
「いててててて」…また黒髪が藤本を痛めつけてる。
「れいな」
「はい」と藤本の腕を放す。
「んぁ、じゃそろそろ行こうか」



                                『つづく』

91 :名無し娘。:2003/09/25(木) 15:34
天才塾行けよ!一行目で妥協すんな!

92 :サボリン:2003/09/25(木) 16:14
スマソ、天才塾ってなに??

93 :名無し娘。:2003/09/25(木) 16:22
漫画でしょ

94 :名無し娘。:2003/09/26(金) 02:52
愚問かも知れないが、サボテンとサボリンとサボテソって全部別人なの?

95 :名無し娘。:2003/09/26(金) 10:50
別人だろ書き方が違う

96 :名無し娘。:2003/09/26(金) 17:51
>>95
いや、もしかしたら自演なのかな・・・と。マジレスThanks。

97 :サボリン:2003/09/26(金) 18:05
オレはサボテンでもサボテソでもないよ。
サボテン=サボテソかもしれないけどw
ついでに今日の更新はない。
って待ってるヤツなんていないだろうけど。。

98 :名無し娘。:2003/09/26(金) 18:31
>>97
待ってるよ〜。

99 :名無し娘。:2003/09/26(金) 23:04
俺はサボテソの雰囲気が一番好き

100 :名無し娘。:2003/09/26(金) 23:08
サボリンは矢口のケツの穴に雑巾つっこんだテンションを維持して欲しい
あれおもろかった

101 :サボリン:2003/09/26(金) 23:19
「行くってどこに?」
「あそこさ、あれがムネオハウスだ」
と藤本が指さした先には、趣味の悪いピンクのデカイ屋敷が建っていた。
「ム、ムネオハウス…」
「って、誰かつっこめよ!」
「んぁ、ミキティ、紺ちゃんがいないと調子悪いみたいね」
「ま、頭の回転が悪い魚にはつっこみは無理か」
と藤本は黒髪の女の子から離れてつぶやく。

「ていうか美貴さまぁ、ここわどこなんですか?」
よくよく見渡すと辺り一面草原しかない。空は紫色によどんでいる。
「うるさい、だまってついてこい!」と藤本は先に歩き出してしまう。
「ここは時空間が現実とずれた異世界、夢の世界みたいなものね」
と、後藤さんが歩きながら言う。オレも横に並んでついていく。
「あたしもミキティもあの城の中に眠るファティマをねらってるの」
「ファティマ?」
「ま、見た目は普通の女の子なんだけど特別な能力を持っているの
 この子を見て、田中れいなって言うの、彼女もファティマよ」
「田中れいな言います、よろしくです」と黒髪の女の子に挨拶された。
「あ、どうも」…より目気味だけど外見はまったく普通の女の子に見える。
「れいな、□□くんはあたしの友達だからちゃんと守ってあげてね」
「はい」
・・友達って言う割にはさっき二人してオレのこと殺そうとしてなかったか?

なんてやりとりをしているうちに屋敷の門の前まで来た。
「んぁ、詳しい話は後でするね」
藤本が待っていた。
「おせーよ、オメーラ!」
ハート形のピンクの柵門を開けて敷地内に入る。
御影石のひかれた道を藤本はガツガツ進んでいく。
「気をつけなよミキティ、焦ってもいいことないよ」
「るせー、仲間気取るな、行くぞ○○!」と玄関の扉を開ける。
入ってみると想像していたより広いホールが広がっている。
と、数メートル先の大階段の前に白のワンピース姿の女の子が立っていた。
「だ、だれだっ!」と藤本。・・反応がない。
黒い髪、綺麗な二重、長いまつげから見える瞳が下の方を見ている。
藤本がおそるおそる近づく。。女の子の目の前で手を振ってみせる。
「死んでんのか?……どっかの迷い幽霊かな?」
ふと女の子の薄い唇が微かに動いたと思うと、女の子の回りに閃光が走る。
「うっ…」 ドッ、カァァァア!!
いきなり藤本が宙を舞って後ろ向きにすっ飛ばされて来た。
オレの胸で受け取るかたちになり、ドッ、ズザザザザザーッ!
二人して床を引きずりながら壁にぶつかった。ドフッ!
また藤本の腰に巻き付いてるオレ。今日は抱きつきまくりだな。。
偶然だが左手が胸をさわっているような。。ん?、ていうか胸があまりないぞ?
「っていうか美貴さま、大丈夫っすか?」
「痛ッ〜!、ていうか、何からの『ていうか』やねん!?
 なんでウチ関西弁やねん、っていうか、ヤツは何者だぁ!?」

102 :サボリン:2003/09/26(金) 23:20

「…ファティマだ」と後藤さんがつぶやいてスッと銃を出す。
「ま、まさか!?」
後藤さんは躊躇なく銃を「ドンッ、ドンッ!」と撃った。
が、女の子の前で弾は失速し、宙に浮いた弾を女の子は手に取り、
おもむろに口に運ぶと、、ガリガリッ、…食べちゃった。
・・・ガッちゃんか!?
「…間違いない、ファティマだ」と後藤さん。
「けど、どうして!?ヤツは眠ってるはずじゃ?
 …2匹目のファティマなのかぁ?」
「2人のファティマを同時に持つことなんてできるはずない…」
「じゃ、じゃあ、ヤツが!?」
「わかんない、…とにかく主を探そう!」
 戦闘タイプのファティマじゃない。れいなで十分おさえられるはず!」
後藤さんが目で合図をすると、れいなが宙を飛んでガッちゃんに近づいた。
れいなとガッちゃんがお互いにバリアみたいな球を体の回りに張り合って、
バリバリッ、パリンッと双方の球が崩れた瞬間、ドッ!
れいなのアッパーキックがガッちゃんのアゴに当たって
ガッちゃんは真上にすっ飛んでって天井に頭から刺さって動かなくなった。
頭だけ天井にめり込んだまま、てるてる坊主みたいにプラプラ揺れてる。
あわわわわ。。パンツ丸見え。女の子同士のケンカとは思えない。
「今のうちよ、行きましょ!」と後藤さんが階段を登りだす。
「行くぞ、○○ッ!」と藤本が走り出す。
「美貴さまぁ!」とオレは必死になってついていく。



ハァハァ・・
後藤さんも藤本も足が速ええなぁ、、ついてけねぇよ。
ハァハァッ・・どこまで登るんだよぉ。
と、階段の踊り場に上品なグラスと水がたっぷり入ったピッチャーがあった。



1 ふう、ありがてぇ。いただきっ!
2 藤本においてかれちゃう、我慢して進もう!

103 :名無し娘。:2003/09/26(金) 23:25
3 とりあえず両方持っていって走りながら飲もう

104 :サボリン:2003/09/26(金) 23:27
少しだけ更新。
例によって、多数決で選択肢が決まらない場合があります。

>>98 ありがと。励みになります。
>>99 サボテソのネタはようわからん。。
    サボテソが出てくると物語が続かねぇ。オレ以上のぶっ壊し屋だなw
>>100 ありがと。なるべくね。重複の狩狩スレだったんで軽い気持ちで始めたんで
    正直、どこまで続くかわかんない。

105 :名無し娘。:2003/09/26(金) 23:32
金曜ロードショーみたいだな・・・ファティマってなんだっけ?
1で

106 :サボテソ:2003/09/26(金) 23:53
>>104
正直スマンカッタ
後はたのんだよw
あ、怒ったわけじゃないんで。

107 :サボリン:2003/09/29(月) 02:25

ふう、ありがてぇ。いただきっ、とピッチャーに手を伸ばすと、、
ガタッ、と踊り場に見事な穴が開き、
あれぇ〜とオレは闇の中へ落下していった。

・・ひゅゆぅぅぅ〜

ボフッ!
とトランポリンみたいな大きいクッションの上に落ちた。
と、その反動で横にいたらしい女の子がフワッと浮かび上がって、
クルッと半回転しながらオレの腹の上にまたがって着地した。
・・・だ、だれですか!?
「まつうら、あやで〜す。」とニコニコ顔の女の子。
「・・・」
「まつうら、あやで〜す。」とさっきと同じくニコニコ顔の女の子。
「…□□○○です」
「まつうらぁ、あやで〜す。」とさっきとまったく変わらずニコニコ顔の女の子。
「・・□□〜、○○で〜す。」とオレもニコニコ顔で返した。
「○○くん、こんばんわ、ん〜今日はどうしたのかなぁ?」
と、オレの腹の上にまたがったまま、まつうらさんが質問してくる。
よく見ると、人をバカにしたように派手なオレンジと黄色のドレスを着てる。
「いや、ちょっと野暮用で」
「そうですかぁ〜、タイヘン、ですねっ。」と口をすぼませる。
「いえ、まあ、で、あの、どいてくれませんか?」
「まつうら、ちょっと疲れちゃいました」
と、そのままオレに抱きつくかたちで体を倒してきた。
あわわわわ、人の話を聞いて下さい。と思ったら
「アハ、にゃんにゃんにゃんにゃん、わぁ、プールだプールだぁ」
とオレの体の上でクロールを始める。おい、大丈夫かこの子は?

108 :サボリン:2003/09/29(月) 02:25

「ハッ、あら、こんなことしてる場合ではございませんわ。」
と、今度はいきなりオレの腹の上に立ち膝で起きあがる。いててて。
「ほら、これをご覧なさい。」と言ってやっとどいてくれた。
まつうらさんの指さしたモニターの中では
れいなとガッちゃんが相変わらず人間離れしたケンカを続けていた。
「後藤さんのファティマが意外に強くて困ってしまいます。」
「…あの子達は何者なんですか?あんなにかわいい顔をして、、」
「…かわいい?」一瞬まつうらさんの眉が上がった。
「え?、かわいい顔してるのに強いなって、、」
「…かわいい?」・・あれ?まつうらさんの目の焦点があってないぞ。
こころなしか顔全体がピクピク痙攣している。オレの腕をつかんで
「…かわいい?」と、なおも言いながら顔を近づけてくるので恐くなって
「・・あ、でも、まつうらさんの方がかわいいですよねぇ、、」
と言うと、ピタッと動きが止まって
「…わたし、かわいい?」
「かわいいですよ、すごいかわいい、ちょーかあいい!
 世界一!! 信じられない、なんでそんなにかわいいんでしょう?」
「うふ、なんでやろか、なんでウチこんなかわええんやろか?
 なあ、なんでやろ?」といきなり復活してニコニコ顔で鏡を見ている。
・・・強い。この子は強い。藤本以上に強い何かを感じる。。

「そういえば、○○くん、喉がかわいていらっしったのでは?」
と今度は唐突に水を差しだしてきた。
・・なんかヤヴァイ雰囲気だったがニコニコ顔が恐くて
「…あ、そうだった、ありがとう」と差し出された水をゴクゴク飲んだ。
と、あれぇ〜、、手足がしびれて動かなくなってしまった。
「ふふ、まつうらの術中にかかりましたね、さすがはまつうら…」

・・なんだか意識も薄れてきた、、

109 :サボリン:2003/09/29(月) 02:26





・・う、気がつくと手首がしばられて、、いたたた、
体全体がつるされている!!
下を見ると、、かなり高いぞ。…落ちたら死ぬかも。
よく見るとそこは大きな円形のホールで
豪華なピンクの椅子にまつうらさんが座っていた。
と、そこに藤本と後藤さんがやってきた。
(美貴さまぁ!)と叫ぼうとしたが声が出ない。
オレのつるされている位置が高すぎて2人は気づいてくれない。。


「…たん、お久しぶりね」
「…まつうら、ずいぶんと羽振りがいいみたいじゃねぇか」と藤本。
「たんの方こそ、相変わらずお元気で」
「っ、人のこと痰、痰、呼ぶんじゃねェ!顔面溶解猿がぁ!」
「ミキティ、落ち着いて、話し合いで解決…」
「・・・たん、私を裏切った罰をお受けなさい」と立ち上がるまつうらさん。
「まつうらァ!!」と藤本は腰からナイフを出す。
「"さん"をおつけなさい、デコ助さん!」
ドゥガァァア!!
まつうらさんがバズーカ砲を出してぶっ放していた。
2人は寸前でよけたが吹っ飛ばされて転がっていた。
「痛ッ〜、…あの野郎、相変わらずぶっとんでんな」
「んぁ〜、後藤を無視するなぁ! だから話せば…」
ドゥガァ! ドゥガァ!!
まつうらさんは休むことなく容赦なくバズーカ砲を打ち続ける。
壁や床の石が崩壊してなだれこみ、煙であたりが見えなくなる。

110 :サボリン:2003/09/29(月) 02:27


やっとあたりの煙が消えたところ、
藤本がまつうらさんの背後に回ってナイフを首に押しつけている。
「墓穴を掘ったようだな、まつうらァ
 さぁ、話し合いとやらを始めよか」
「まっつー、だいたいあたしらがここにいる時点で…」
「さぁ、ファティマの契約を解除しろ!
 冗談抜きにコイツを突き刺すぞ!」
「たん、たん、たん、さわやか三組〜、たん、たん…」
ガツッ!と藤本がまつうらさんの頭を殴る。
「…最後のチャンスだ、契約を解除しろ!」
「んぁ〜、後藤を…」
「そ〜んなこと、言ってる場合じゃないと思うんだけどぉ」
「なにぃ!?」
「上をご覧なさい」
藤本と後藤さんがこっちを見た。やっと気づいてくれたみたいだ。
しびれも徐々におさまってきたようで、やっとの思いで声を出す。
「美貴さまぁ…」
「クッ、あのバカ!」
「…□□くん」
「一般人を巻き込むからこういうことになるのよ。
 ○○くんの周りには爆弾が仕掛けられてるわ、でこれがスイッチ」
とまつうらさんは手のひらのスイッチを藤本に見せる。
「訓練を受けてない人間がこっちで死んだら、あっちでも死ぬわよ」
「へっ、あんなバカが死んだって委託も家宅もねえぜ!」

111 :サボリン:2003/09/29(月) 02:28
「…ふーん、そう」カチッ
ドガァ!!
「ハゥア」 オレの横の方で爆弾が爆発して吹っ飛ばされた。
オレは振り子のようにブラブラ揺れることしかできない
「美貴さまぁ、だすけて!!」
「っちきしょう!」
「はやくそのナイフをどけなさい」
「…だから、あんなバカ、死んだって、、」
「…ミキティ」
「はやくどけなさい!」
ドガァ!! また爆弾が爆発して吹っ飛ばされる。
「っ!」
「次は真後ろの一番大きいの行きますよ、最後のチャンスです」

「っ…わかったよ」
と藤本はまつうらさんの喉からナイフをどかした。
「ナイフを捨てなさい」
チャリーン、藤本は言うとおりにナイフを捨てた。
すると、まつうらさんは意外な顔をして藤本から離れて
「…たん、ホントにあなたは変わってしまったのね、、
 …たんの、ミキたんの、ミキたんのバカァ!」
ドゥガァ!ドゥガドゥガァア!!
とまつうらさんは泣きながらバズーカ砲を藤本に撃ちまくる。
「わっ、バカ、少しは学習しろ猿!
 建物ごとぶっ壊れるぞっ」と藤本は逃げまくっている。

112 :サボリン:2003/09/29(月) 02:29

と、ドンッと音がしてオレの体が落下していく。
ひゅぅぅう〜、ウギャッ!壁が崩れた土砂の上に落ちた。
「大丈夫?□□くん」向こうで後藤さんが手を振っている。
どうやら後藤さんが銃で助けてくれたらしい。
それに気づいたまつうらさんが、
「ごっちん、余計なことを、、しないで下さい!!」
ドガァア!!
後藤さんに向けてバズーカ砲を撃った。
オレに気をとられていたのか、後藤さんはよけ損ない、
爆風で吹っ飛んでいって、壁に頭を打って動かなくなった。
「後藤さん!!」オレは慌てて駆け寄った。後藤さんは気を失っている。
「余計なことをするからです」
煙が晴れて見渡すと向こう側で藤本まで倒れていた。
「うぅ…」
「ミキたん、年貢の納め時です。また向こうで会いましょう」
とまつうらさんは動けない藤本にバズーカ砲を構える。
とっさにオレは後藤さんの銃を引き抜き、
「待て!!」とまつうらさんに銃を向けた。
「…あら?○○くん、意外に勇気があるのね」と松浦さん。
「よくわからないけど、まつうらさんやりすぎだよ、もうやめて」
「○○くんにまつうらみたいなかわいい女の子を撃てるのかしら」
「撃てェ、撃てェ、○○ッ!
 ヤツはこっちで死んでもホントに死ぬわけじゃない!」
「○○くん、いぢめられてるのはまつうらの方なのよ、わからない?」
とまつうらさんはウルウルした眼で言うが、
バズーカ砲は藤本に向けたままだ。
「撃てェ、○○ッ、考えるなァ!!」と藤本の声が響く。
「たん、うるさいですよ」とまつうらさんは引き金に指を置く。



1 藤本を助けるためだ、まつうらさんを撃つ!
2 あんなかわいいまつうらさんを撃つことなんてできない!
3 うぅ、この場の状況に耐えられない、逃げるべし!

113 :サボリン:2003/09/29(月) 02:32
>>106
いいえん。
最初はサボテソに書かれないうちに
早く書かねばという気持ちで書けて良かったよ。

114 :名無し娘。:2003/09/29(月) 06:11
>112
1で。

115 :名無し娘。:2003/09/29(月) 10:08
3だな

116 :名無し娘。:2003/09/29(月) 18:59
1

117 :サボリン:2003/10/01(水) 15:59

藤本はさっきオレを守ってくれたんだ。。
藤本を助けるためだ、まつうらさんを撃つ!
勇気を出して引き金を引いた。。

ドンッ

最後は眼をつぶってしまったかも。。

ダッ!


「痛っ」
まつうらさんが回転しながら吹っ飛んだ。
「はぁっ、はァ、…ほ、本当に撃ちましたねっ、
 …ったん、ず、ずいぶんと惚れられたみたいね」と心臓を押さえる。
「へっ、オマエと違って躾は行き届いてんだ、○○、よくやった!」
と言ってヘナヘナと藤本は立ち上がってまつうらさんのそばに行く。
まつうらさんは心臓に当てていた手を離して藤本に伸ばす。
「…たん」血だらけの右手を藤本がしっかりと握りしめる。
「…猿、なんだ?猿!?」
「・・さゅ、、む、こう、」
「猿がどうしたって!? え? 猿!?猿ッ!!」
「・・猿言うな」ガクッ。
まつうらさんは息絶えたと思うとサラサラッっと消えてしまった。
「猿…」と掌を見つめる藤本。
まつうらさんは本当に大丈夫だったんだろうか・・?

118 :サボリン:2003/10/01(水) 16:00
と、階段をれいなが登ってきた。ガッちゃんを抱えている。
ガッちゃんは気を失っているようだ。
「いいところに来たな、れいな、ご主人様が大変だぞ」
「後藤さん!」とれいなはガッちゃんを投げ出して後藤さんに駆け寄る。
ドサッと落ちたガッちゃんの前に藤本が寄っていく。
藤本はガッちゃんを抱きかかえて顔に付いた泥を丁寧にぬぐう。
「さぁて、お姫様のお目覚めだ」
と藤本はガッちゃんに、、キスをした!
ズキュゥゥン!と音がしそうなくらい濃厚なキスだった。
あ〜〜藤本、いかん、そっち系だったのか?
藤本、とにかく、いかん!
と、ガッちゃんが目覚めた。
「我が主、お名前は?」
「焼き肉大好き藤本美貴で〜す、いらっしゃ〜い」
「…焼き肉大好き藤本美貴さま、よろしくおながいします、えりです」
「だ〜、藤本美貴でいいの、美貴様とお呼びっ!」
「美貴様、よろしくおながいします、亀井絵里です」
「うんうん、よろしく、えりちゃん、っておい!!」
といきなり血相を変えてえりちゃんのえりをつかむ藤本。
「…えりりんと呼んで下さい」と怯えたように絵里ちゃんが薄ら笑いで言う。

「えりりん……本当にそれがお前の名前なのか!」と真剣な表情の藤本。
「…はい、えりりんですっ」と人差し指を伸ばす絵里ちゃん。
愕然として言葉が出ない様子の藤本。。一体どうしたんだ?
「…第二関節が曲がります、え?誰でも曲がるって?」
ガツッ!と絵里ちゃんを殴る藤本。

「それじゃ一体・・・さゆみんとは・・・?」

119 :サボリン:2003/10/01(水) 16:01
 
 

「んぁ〜、だからミキティ、話せばわかったのに」
と背後から後藤さん。どうやら目が覚めたみたいだ。
「…魚、生きてたか」
「本当のさゆみんが起きてたら、
 まっつーにだってコントロールできるかあやしいもん」
「…猿のファティマがさゆみんだという情報は間違ってたのか。。」
「とにかく話は後にしよ。もうすぐ朝だから早く帰ろ」
と後藤さんとれいなは奥の階段を登り始める。
「…っ、○○、行くぞっ」
「うん」
「ん?、あ、こいつ、どうしよう」と藤本。
絵里ちゃんがウルウルした目で藤本の裾をつかんでいた。
「ん〜、もうオレが飼い主だしな、しょうがねぇ、連れてくか、
 亀、来い!」
「はい、美貴様!」嬉しそうな顔をして絵里ちゃんもついてくる。

階段をどんどん登って最上階までついたらしい。
吹き抜けになっていて一番下の階が見える。
恐ろしく高い。手すりも何もなくて下手したら落ちそうだ。
よく見ると一番下の階には小さめのプールのようなものが見える。
「さ、行こうか」と後藤さん。
「…あ〜あ、また川の上に落下とか嫌だなぁ」と藤本。
「あ、絵里、座標指定できますよ」
「ほ、ホントか? 亀、オメー案外使えるな」
「えっへん、どこにしましょう?」
「紺野もいることだし○○の家にしよう」
「わかりました○○さんの家ですね。
 では先に行って計算しています。
 皆さんは私の後についてきて下さいね」
と言ってピョンとジャンプして真っ逆さまに落下していった。
ひょぇえ〜!!
と、絵里ちゃんはプールの中にスッと消えていった。
こ、こっわ〜、オレにはとてもできないな、と思っていたら
「次、オマエ行け」と藤本に蹴られて既に宙を飛んでいた。

120 :サボリン:2003/10/01(水) 16:02
 
 
 
 
 
 
「み、美貴さまぁ〜ァァア!!」



ひゅぅぅぅう〜






・・





ドダッ!





気がつくとそこはオレのベッドの上だった。




・・夢、だったのか?

121 :サボリン:2003/10/01(水) 16:04
 
 
 
 
 
今までのこと、全部が夢??




と、横を見ると絵里ちゃんが微笑んでいる。

あれ?



バフッ!

「うっ」
後藤さんが天井からふってきて抱きついてきた。

「えへ。ただいま」と後藤さんがオレの上で微笑む。
「ど、どうも…」とにやけていると
「あ、危ない」と後藤さんが素早くよけて

ドサッ!

「ううっ」
今度はれいなが後ろ向きに降ってきた。
またもや、れいなを抱きしめるかたちになってしまった。
れいなはとっさにどいて、真っ赤にした顔に手をやって
「あ、すみません、…恥ずかしいっちゃ〜」と後ろを向いてしまった。

…となると、次は藤本かぁ。なんか照れるなぁ。。
 
 

122 :サボリン:2003/10/01(水) 16:05
 
ドガァア!

「ハゥア!」
藤本はねらったように膝を立ててオレの腹の上に落ちてきた。
「とうちゃーっクッ!!」

バキッ!

やべっ、肋骨折れたか?

あ、ベッドの骨だったみたい。ふう、良かった。
「って、良かったじゃねー、おまえらオレんち壊す気か!」
オレは現実に戻ってきたのがわかって突然強気になった。
「あーん?○○っ、急に偉くなっちゃってどうしたんだぁ?」
と藤本が体重を乗せてアイアンクローを決めてきた。
「あ、いえ、な、何でもありません、美貴さま。。」
「っと、なんか腹減ったなぁ、紺野!紺野はどこだぁ!」
「はい、ここに。おかえりなさいませ美貴様」と紺野さんがドアを開けた。
「おう、紺野、ご苦労だったな」
「いえ、ご無事でなによりです」紺野さんもすっかり回復したようだ。
「ところで飯とかあるか?」
「はい、用意してございます」
「さすがは紺野、じゃみんな下で食べようぜ
 ここは狭くていけねぇや」
「んぁ〜、せっかくだから頂こうか」
とぞろぞろとみんなで降りていった。

と、廊下を女中らしい格好の人が必死で雑巾拭きをしていた。
「あ、里沙さん、もういいですよ、食事の用意をして下さい」と紺野さん。
「はい、ただ今」
「アヤカさんもお願いします」
「はい、紺野サン」
「○○さんのご家族は覚えが良いようですね」と紺野さんがニコッと笑う。
「あは、うん、そうだね、ありがとう」
たった一晩で里沙がきちんと教育されていた。
おまけにアヤカさんまで。。さすがは藤本の舎弟だけはあるな。

123 :サボリン:2003/10/01(水) 16:06
 
 
 
3日目。


一階のダイニングテーブルに
後藤さん、れいな、オレ、向き合って藤本、絵里ちゃん、紺野さんが座った。
横では里沙とアヤカさんが給仕に忙しい。
うーん、久しく人がいなかったテーブルに活気が戻ってきたな。
って人大杉。。
「んぁ〜、なんか手伝おっか?」
「いえ、後藤さん、お気持ちだけで。2人の仕事ですんで」と紺野さん。

そんな感じで昨晩の話をしたりしながら、ひととおり食事が終わって
「亀」と藤本が一言。
「タバコだよっバカヤロウ!」と紺野さんが怒鳴る。
「は、はい、えっと、どこに?」と絵里ちゃん。
「用意しとけよッ、ボケナスがぁ!」
「は、はい、えっと、銘柄は?」
「マルボロだよ、バカ!さっさと買って来い!」
こ、紺野さんも後輩の教育には厳しいんだなぁ。。
「は、はい」と出て行こうとする絵里ちゃん。
「あ〜、亀、亀、ホレ」と一万円札を渡す藤本。
「はい、どうも、行ってきます」と言って絵里ちゃんは出て行った。
「紺野、まだ慣れてないんだ、やさしくしてやれ」
「はい、すみません」
「亀は行く場所がないからとりあえずオレんちで預かる。
 紺野、すまんが、もう少しこのあばら屋で辛抱しろや」
「はい、大丈夫です」
 

124 :サボリン:2003/10/01(水) 16:07
 
 
 …絵里ちゃんも帰ってきて一服した頃、
「んぁ〜、そろそろ行くよ、着替えて学校行って寝る」と後藤さん。
「おう、後藤、またな、こっちには亀がいるんだ、変なこと考えんなよ」
「ふん、しばらく休戦だよ、情報がないもん。
 じゃ、れいな、いこっか」
「はい」と言って後藤さん達は玄関に向かう。
「…オレも帰るか。亀、帰るぞ」
「はい」
「じゃ、紺野、あとは頼んだぞ」
「はい、美貴様」
と、またぞろぞろと玄関に向かった。
オレも見送ろうと玄関に行ってみると外で待っている矢口先輩が見える。
矢口先輩は、オレんちからぞろぞろと出てくる
後藤さん、れいな、藤本、絵里ちゃんにぼーぜんとして言葉を失っていた。
ヤヴァイ!!隠れるべし!!
「それにしても、ハデな晩だったぜ、
 ん?、○○っ、なんかちっこい虫が家の前に立ってるぞ、
 紺野!フマキラー持ってこいよ」
わっ、バカ、藤本、余計なことを。。
隠れることもできなくなり、しぶしぶ顔を出す。
藤本に呼ばれて紺野さんまで出てくる。
「○○くん、これってどういうこと!?」
と矢口先輩が泣きそうな顔で訪ねてくる。
「え〜と、これは長いと話すことになり…」
「要するにオレと○○で熱〜い夜を過ごしたってことだな」
と藤本が腕を組んで頬にぶちゅぅっとキスをしてくる。
「あぁ〜、美貴さま」と思わず声が出てしまう。
そこでなぜか後藤さんが対抗心を燃やしたのか、
「□□くん、今日も保健室で待ってるから、お弁当一緒に食べようね」
と笑顔で言う。

125 :サボリン:2003/10/01(水) 16:08
 
 
あわわわわ。矢口先輩が震えながら、
「…本気で死ぬ。これから電車つっこむ。
 ○○のこと呪いながら電車つっこむ」
「ハハ、ちゃんと突っ込んで氏んでこいよ
 ちっこくて電車に気づいてもらえないかもしれないから気をつけろ」
「…っ、死んでやるっーーー!」
と叫んで矢口先輩は線路の方に走って行った。
「矢口センパーイ!!」とオレが追っかけようとしたとき、
「待て○○!」と藤本が腕をつかんでくる。
「なんだよ、矢口先輩、本気で死んじゃうかもしれないんだぞ!」
「人生にはな、いろんな選択肢があるが、一つしか選べない、
 それが人生だ。そして選択には責任と犠牲がつきまとう。
 確かに今ヤツを追わなければヤツは死ぬかもしれない。
 だが今ヤツを助けたらそれなりの責任がつきまとう。
 この際だ、今オマエがここに残ればオレはオマエとつきあってやる」
「はぁ!?なんか論理関係がわかんねぇよ!」
「よし、後藤も参加する、後藤も□□くんとつきあう」
「なんで魚が出てくるんだよ!」
「後藤だって□□くんが好きだもん、ミキティは?」
「オレはコイツの忠誠心を試してるだけだよ、バカ!
 まあ、いいや、勝手にやってろ、
 さぁ!○○!どぉすんだよぉ!」

「うぅ」



1 藤本とつきあう
2 後藤さんとつきあう
3 ていうかオレはれいなが好みなんだ
4 えりりんえりりんえりりんえりりんえりりん
5 えりりんが好きです、でもこんこんの方がもっと好きです
6 そ、そんなこと言ってる場合か、矢口先輩を追う!
 

126 :名無し娘。:2003/10/01(水) 16:16
人命救助が第一に決まってるじゃないか!


4で

127 :サボリン:2003/10/01(水) 16:23
あ、言い忘れた。
今度こそ、絶対多数決で決めます。

128 :名無し娘。:2003/10/01(水) 16:31
路線を無理やり戻したな
SFで行こうぜ4で

129 :名無し娘。:2003/10/01(水) 17:16
4以外ねーだろうが!

130 :名無し娘。:2003/10/01(水) 20:53


131 :名無し娘。:2003/10/01(水) 21:43
正統派で6

132 :名無し娘。:2003/10/01(水) 23:15
なんとなく5

133 :名無し娘。:2003/10/02(木) 00:07
れいな様で3

134 :サボリン:2003/10/02(木) 03:48
「えりりんえりりんえりりんえりりんえりりん」
オレは極度の緊張感に耐えられずひたすらそうつぶやいていた。
絵里ちゃんは正直タイプだ。この5人の中で一番タイプだ。
女の子らしくってかわいくっておしとやかで最高だ。
「えりりんえりりんえりりんえりりんえりりん」
「やだ、○○さん、そんなに見ないでください」
「・・なんだコイツ、ついに頭をやられたか」と藤本。
「えりりんえりりんえりりんえりりんえりりん」
オレは絵里ちゃんを見つめながら我を忘れてつぶやいていた。
「やだ、なんか恥ずかしい、起っちゃ..ぅよ」と絵里ちゃんは股間を押さえる。

ふとオレは我にかえった。あたりに妙な空気が流れてる。。

 オレのせいか??




「ちょっと待て、亀、オマエ今なんつった?」と藤本。
「え?○○さんが絵里のこと見つめるから恥ずかしいんです」
「で、その後?」
バシッ!
「もう、いやん美貴様ぁ〜」藤本が叩かれて軽く吹っ飛ぶ。
「いてててて、わかったから亀、落ち着こうぜ」
と藤本は絵里ちゃんの背後にまわって絵里ちゃんをそっと抱きしめる。
「亀、オマエはオレのファティマなんだぜ、浮気すんなよ」
と藤本が絵里ちゃんの耳元でキスをするようにささやく。
静かに絵里ちゃんの腰の方に手を伸ばし、
白のワンピースの上からやさしく体に触れはじめる。
「美貴様、すみません、わたし…」
「これからはオレがかわいがってやるからな」
「いや美貴様…こんなとこじゃ…」と絵里ちゃんは顔を紅潮させている。
と、藤本の手が徐々にえりちゃんの体をつたって下の方に伸びて、、
 
 
 

135 :サボリン:2003/10/02(木) 03:50
 
 
「ハゥァア!!!」
 
 
藤本がすっ飛んでオレに抱きついてきた。
体を震わせ口をガコガコ開きながら
「は、は、は、は、」
「なんだぁ、歯が痛いのか?」
「生えてる」
「生えてるって、そりゃ14にもなれば…」
「毛じゃねェ!アレが生えてんだよォ!」と泣きながら藤本が言う。

「…アレって、、、、おい!?、、、ウソだろ!」
「ウソじゃねェ!触ってみろォ!生えてんだよォ、アレがよォ!」
もはや藤本も我を忘れて慟哭している。

ま、まさか!? あんなかわいい絵里ちゃんに限って、、

「やっぱしね、女の子でれいなと互角なん、おかしいと思ったっちゃ」
とれいなが冷静に言う。
「んぁ〜、後藤アタマ痛くなってきた。帰る。」
と頭に手を当てながら後藤さんとれいなは帰っていった。


「○○ッ、た、確かめて来い」
「確かめるってどうやって?」
「股間をまさぐって確かめるんだよォ!」
「んなこと、あんなかわいい絵里ちゃんにできねぇよ」
 

136 :サボリン:2003/10/02(木) 03:51
 
「…っく、もういいや、オレも帰る
 亀はおいてくから頼んだぞ」
「え?美貴様、絵里をおいてかないで」と絵里ちゃんが藤本に近づく。
「うるせぇ、よるなっ!」
「うっ、うっ、美貴様ぁ〜」と絵里ちゃんが泣き出す。
「絵里ちゃんの主は藤本なんだろ、つれてってやれよ」
「るせー、オレの貞操がかかってんだ、
 あー見えてヤツは怪力のビンビンなんだぜェ!
 いくらオレだっていざとなったら、、っ、やられちまうよォ!」
「わ、わかったよ、藤本、今日は一旦帰れよ」
しょうがない、藤本が落ち着くまでは絵里ちゃんも預かるか。
「絵里ちゃん、なんか藤本が誤解してるみたいだね
 今日はオレんちに居ることにしようか」
「…はい」と絵里ちゃんはしぶしぶ了解する。
「…じゃあな、○○、
 オマエも掘られないようにせいぜい気をつけろよ」
捨てぜりふを吐いて藤本は去っていった。
 

137 :サボリン:2003/10/02(木) 03:52
 
藤本もおかしなやつだなぁ、疲れてるんだな。
こんなかわいい絵里ちゃんに限って
アレが生えてるなんてあり得ない。天命に誓ってあり得ない。

オレは泣いてる絵里ちゃんをなだめながら家の中に入れた。
と、玄関では紺野さんと里沙が制服姿で立っていた。
「あ、○○さん、すみません、絵里のこと頼みます。
 私、単位が足りないので学校に行きます、大丈夫ですか?」
「ああ、うん、大丈夫だよ、行っておいで」
「すみません、ご迷惑をおかけして」
「ううん、行ってらっしゃい」
「はい、行って参ります
 里沙さん、出して」
「はい」
紺野さんは里沙の自転車の後ろに揺られて遠のいていった。

元気だな〜。。
ハッ! なにオレ、30代の主婦が若い頃を思い出すような感傷に浸ってんだ!
オレも高校生じゃないか!オレも学校行かなきゃ!
ていうか、なんか忘れてるな。矢口先輩だ!
どうしよう、どうなったかな。今から捜して間に合うだろうか。



1 矢口先輩を捜す!
2 矢口先輩捜してたら遅刻だ。
  また中澤先生に怒られるのは嫌だ。今すぐ学校に行こう。
3 つーかオレ、寝てないじゃん。家で寝るよ、もう。

138 :名無し娘。:2003/10/02(木) 06:37
何かを期待して3。

139 :名無し娘。:2003/10/02(木) 11:55
むしろえりりんばっちこーい!
3で

140 :名無し娘。:2003/10/02(木) 19:59
亀井に掘られるんだな!?3で

141 :名無し娘。:2003/10/02(木) 23:01


142 :名無し娘。:2003/10/03(金) 05:30
3

143 :サボリン:2003/10/04(土) 08:43
つーかオレ、寝てないじゃん。家で寝るよ、もう。
「あ〜眠すぎっ、シャワーして寝る」
昨日動き回ったせいで体中が泥だらけだ。
ん、絵里ちゃんも随分と汚れてるな。
「あ、オレ2階で浴びるから絵里ちゃんは1階の使って、じゃ」
「…シャワー……」
オレはさっさと2階に上がってシャワーを浴びた。
ふう、気持ちいいぜ。ったく、学校なんて行ってられるかつーの。

浴び終わって、何か飲もうと1階に行くと
さっきと同じ場所に同じ格好で絵里ちゃんが立っていた。
「あれ?絵里ちゃん、シャワー浴びなかったの?
 あ、着替えがなかったか?ごめんね、なんか里沙の探してくるよ」
里沙の部屋に行って何かないか探し始める。
ゴジラの着ぐるみばかりでろくな服がない。
運良く袖も通してないようなパジャマが見つかった。
「はい、絵里ちゃん、シャワー浴びてきなよ」
「…シャワーって何ですか?」と絵里ちゃんが真顔でたずねてくる。
「え?」
「あ、すみません、私まだ目覚めたばかりなので
 一部の記憶が戻るのに時間がかかったりするんです
 特に前のご主人様との記憶は消されますので
 その周辺の記憶が消えているのだと思われ」
「あ、そうなんだ…って、シャワーの入り方がわかんないの??」
「すみません」
前の主人との記憶が消えたって、まつうらさんと何やってたんだ?
「いや、ごめん、まだ慣れてないんだからしょうがないよ
 そうだ、アヤカさーん、」
「はーい?」
と朝の6人分の食器洗いをしていたアヤカさんがやってきた。

144 :サボリン:2003/10/04(土) 08:44

「アヤカさん、悪いんだけど絵里ちゃんをお風呂に入れてくれる?
 ちょっとした記憶障害でできないことがあるんだ」
「…はい、わかりました、さぁ、絵里さん、こちらへどうぞ」
「ごめん、頼んだよ」
絵里ちゃんはアヤカさんに連れられてお風呂場に入っていった。
ハハ、とぼけた顔して、まるで赤ちゃんみたいだな。。。

「絵里ちゃん、さぁ脱いで」
「…やだっ」
「ふふ、恥ずかしがらないの、女の子どうしでしょ?」
…なんだか楽しそうだなぁ。。



「キャァアアアア!!」
突然アヤカさんの悲鳴が響いた。
どうしたぁ??オレは少しためらったが着替え場の引き戸を開けた。
アヤカさんが腰を抜かして柱にしがみついていた。
その先に裸の絵里ちゃんがしょんぼり立っていた。
真っ赤になった顔に手を当ててる。少し驚いた瞳と目があった。
…視線を下にずらすと、藤本の言ったとおり、立派な一物が。。

「うぎゃぁああ!!」
オレは両手を頭に当てて叫んだ。
目を見開いてひたすら天井を凝視していた。
はぁはぁ、…あり得ない、ウソだ、幻覚だ、夢だ。
何かの間違いだ、そうだ見間違いだ!!
…オレは確認のため恐る恐る視線をまた下の方へ、、

「うぎゃぁあああ!」
た、確かに生えてる。
アレが、アレが生えてるぞォ!!
しかも、結構デカイぞォ!!
愕然としてオレはその場に座り込んだ。

145 :サボリン:2003/10/04(土) 08:45

と、しくしくと絵里ちゃんが泣き出す。
「うぅ、ど、どうしてみんな絵里を見て怖がるの?」
「え、絵里ちゃん…」
「美貴様もアヤカさんも○○さんも絵里を怖がる、どうしてぇ!」
絵里ちゃんは座り込んで本気で泣き出していた。
「え、絵里ちゃん、違うよ、みんなビックリしてるだけだよ
 怖がってなんかいないよ」
「…ウソ」
「いやホント、絵里ちゃんがあんまりかわいいからさ
 意外で驚いてるだけだって…」
「……」
絵里ちゃんは裸のまま座り込んで黙ってしまった。
このままじゃ風邪を引いてしまう。
アヤカさんは既にリビングの方に退避していた。
…ここでオレまで逃げたら絵里ちゃんを本当に傷つけてしまう。
「絵里ちゃん、と、とにかくシャワー浴びようね
 風邪ひいちゃうよ」
「はなしてっ! うっ、うぅ、絵里は気持ち悪い!」
「そ、そんなことないよっ」
「絵里は人間じゃないから??」
「いや、そういう問題じゃなくて、、とにかく入ろう!」
と、オレは絵里ちゃんを立たせて風呂場に入れた。
泣いてる絵里ちゃんにお湯をかけながらなぐさめた。
「絵里ちゃん、おかしいな、泣いたらかわいこちゃんが台無しだぞ」
「うぅ、うっ」
髪を洗おうとシャンプーを手に取り頭に触れようとすると
「いやっ」と避けられた。
「うぅ、絵里は気持ち悪い。絵里は変だ!」
「バカッ!」パシッ!
オレは絵里ちゃんの頬をはたいた。
「絵里ちゃんは変じゃない!気持ち悪くない!
 オレは絵里ちゃんのこと好きだよ
 オレは絵里ちゃんのこと好きだから、二度とそんなこと言わないで」
絵里ちゃんの肩を抱きしめながらオレは思わず叫んでいた。
そう言うと絵里ちゃんは急におとなしくなり何も言わなくなった。

146 :サボリン:2003/10/04(土) 08:46

まだシクシク泣いてる絵里ちゃんの体を丁寧に洗ってあげた。
腕から肩へ、肩から背中、背中から胸へ、
…なんて綺麗な体なんだ。アレがついてる以外は完璧じゃないか。
絵里ちゃんも徐々に勝手を覚えてきたようで下半身は自分で洗っていた。
最後にお湯をたっぷりかけてあげて、風呂から出た。

バスタオルを体に巻いてパンパン軽くはたいた。
くすぐったいのか、体をくねらせてにやにや笑っている。
「…やっ」と言ってとうとう逃げてしまった。
「あ、こら、待て」
絵里ちゃんはリビングを裸で駆け回っていた。
オレも一緒になってグルグルとテーブルの周りを駆けて
「つかまえたっ」
「キャッ!」
なんとかバスタオルを巻きつけて体を拭きパジャマを着せた。
ふう、なんとか元気になったみたいだ。良かった。
…なんか久しぶりにはしゃいだなぁ。

147 :サボリン:2003/10/04(土) 08:46

「さてと、オレは寝るよ、絵里ちゃんは…」
「絵里も眠くなってきた」
「そか、じゃあ……親父のベッドで、我慢して」
一階の和室は紺野さんの部屋になってるし
残ってる部屋は親父の部屋しかなかった。
絵里ちゃんを親父の部屋に案内すると
ベッドの上でキャッキャ言ってジャンプしていた。
…オマエは子供か。ってホント、ある意味子供だよな。
「はい、ちゃんと寝ようね」
と寝かせつけて布団をかけてあげると
「○○も一緒に寝よ」と言う。
「しょうがないなぁ」とオレもベッドに入った。
…とても自然だった。裸見て体まで洗ってあげたんだ。
男女関係と言うよりも、年の離れた弟みたいな感じだ。
それに絵里ちゃんが女の子なら躊躇するけど
女の子じゃないもんな、と匂いにつられて横から抱きついた。
「いやん」
洗い立ての髪の匂いが気持ちいい。
ん?ちょっと待てよ、
女の子じゃないからってこんなこと気軽にしちゃってるけど
女の子じゃないなら余計問題じゃないか?むしろ変態では??
・・ま、いいや、絵里ちゃんかわいいし。
つーか、マジ眠い。そういやオレのベッドは壊れてるんだ。。
・・・このまま、、寝ちゃおう。。




・・

148 :サボリン:2003/10/04(土) 08:47
 
 
目が覚めると絵里ちゃんの方が抱きついていた。
「ん〜」
寝息をたててる。まだ寝ぼけてるんだな。
・・あれ?おなかに妙な違和感が。。
あ、絵里ちゃんのアレが当たってる。。デカイぞ。。
ひょっとして寝起きで元気になっちゃってるのか?
・・絵里ちゃんも大変だな。思春期なのに。
何も知らないからオナニーなんてしないんだろうな。
溜まってるのかな。。オレが楽にしてあげられるなら、、
っておい、それはやりすぎだろ、でも待てよ
絵里ちゃんのならできる。できる。できるぞ。むしろしゃぶれるぞ!
いや、いかん、オレは疲れてる。妄想に脈絡がない。

と、絵里ちゃんが抱きついてた腕に力をこめ始めた。
「ん〜、ん〜」…うなされてるみたいだ。
うぎゃ、やべ、力が強すぎるよ絵里ちゃん、、
「絵里ちゃん、絵里ちゃん!」
「ん〜、んー〜」
やべ、折れる、折れる!
エドモント本田なみのさば折りだぜこりゃ。しかも一物が腹に当たってる。
「はぐぁ!起きて!絵里ちゃ…」
「はっ…」
やっと目覚めてくれた。
「あ、ごめん、○○」と笑顔で言って照れてる。
「いや、大丈夫」・・ふう、死ぬかと思った。
絵里ちゃんがファティマだってこと、完全に忘れてた。。

時計を見るとまだ午後の2時だった。
絵里ちゃんと一緒に何食だかわからん食事をとった。

さて、どうするかな。
何をするにも微妙な時間だなあ。



1 そうだ、絵里ちゃんに街を案内するか。
2 あ、矢口先輩とかどうなったかな。学校行ってみるか。
3 面倒だな、このまま家でテレビでも見てるか。

149 :名無し娘。:2003/10/04(土) 08:51
エロ小説化やね 3で

150 :名無し娘。:2003/10/04(土) 10:36
2の学校

151 :名無し娘。:2003/10/04(土) 11:17
2で

152 :名無し娘。:2003/10/04(土) 23:22
3

153 :名無し娘。:2003/10/05(日) 01:00
2

154 :名無し娘。:2003/10/05(日) 20:07
2で

155 :名無し娘。:2003/10/06(月) 14:56
1にきまってるじゃないですか!
(;´Д`)ハァハァ!!!

156 :名無し娘。:2003/10/06(月) 15:43
馬鹿野郎、家で(*´д`*)ハァハァだろ 3で

157 :サボリン:2003/10/07(火) 02:42

あ、矢口先輩とかどうなったかな。学校行ってみるか。
「絵里ちゃん、オレちょっと学校行ってみるわ、留守番おねがいね」
「はい、わかりました」
アヤカさんもいるし、大丈夫だろう。オレは着替えて学校に向かった。

学校について部室を覗いてみるが、安倍先輩も矢口先輩も見あたらない。
どうしたのかなぁ。大丈夫だったかなぁ。
矢口先輩の携帯に電話してみるが通じない。
うーん、そうだ、安倍先輩に電話してみよう。
プルルルー、ガチャ、
「もしもし〜だべ」
「あ、安倍先輩ですか?矢口先輩知りませんか?」
「ん、真里なら今なっちの家にいるべ」
「え?、あ、そうだったんですか?えと、大丈夫ですか?」
「大丈夫ってなにがぁ?」
「元気ですか?」
「元気も元気、ピンピンしてるべさ」
「それならいいんですけど」
「あっ、『○○くん? 助け…』ガッ!」
「あれ?安倍先輩!どうしたんですか?」
「…なんもねえべ、だいじょぶだぁ」
「…そ、そうですか?」
「だいじょぶだぁ、□□くんは部室の掃除でもしてるべ
 忙しいから切るべ」ブツッ、
…また2人でじゃれあってるんだな。無事みたいで良かった。

158 :サボリン:2003/10/07(火) 02:43
 
オレはすることもなくなり、廊下をプラプラ歩いていた。
ふと歌い声が聞こえてきた。あ、愛ちゃんかな。
オレは音楽室を覗いてみた。やっぱり愛ちゃんが一人で練習していた。
「あ、先輩、こんにちわ」
「愛ちゃん、今日も練習?偉いね」
「なも〜あっし練習するくらいしか能がないんで」
「でも、合唱部なのに一人なの?」
「…実はうちの合唱部は2人しかえんです
 あっし友達がえんです」とうつむいてしまった。
「なんで?愛ちゃんの歌を聴けばみんな友達になりたいと思うよ」
「そう言ってくれるのは先輩ぐらいです
 …そうだ先輩知ってますか?この学校には女の子の幽霊がいて
 その子と友達になれば何でも願い事をかなえてくれるっていう噂です」
「…へぇ〜」
「…あっし願い事はいいからその子と友達になりたいなぁ」
「なに暗いこと言ってんの、オレが愛ちゃんの友達じゃん」
「…先輩」
今にも泣きそうな目でオレを見つめる愛ちゃん、ホントにかわいいな。
「さ、元気出して、何か聴かせてよ」
「…はい」
おもむろに愛ちゃんは歌い出した。


「めぐるめぐるかぜ〜 めぐる想いにーのってー
 なつかーしいあの日にー 会いにーゆーこう

 (中略)

 やさしい雨にうたれ〜
 緑がよみがえるーようにー
 涙のあとには いつも君がー

 (中略)

 いーま、いーまー、君といっーしょにー歌おう
 めぐる風 めぐる想いにのっーてー
 すばらしいあしーたに、会いに…」
「おにくすきすきっ、おなかすきすきっ イエイ!
 ステーキ から揚げ しょうが焼きっ
 ジャストミートでかっ飛ばそう!イエイ!
 チャーオー、みんな元気ィ?」
と愛ちゃんの歌にかぶせて石川さんがやってきた。

159 :サボリン:2003/10/07(火) 02:44

「…っ、なんか用っすかァ!ビーナス姉さん!」
「あら、妊娠10週目の細胞分裂失敗で笑顔が汚くなったタカシャイさん
 ごきげんよう、喉の調子はどうですか?」
「すこぶるイイっすよ んなことよりビーナス姉さん
 いい加減音痴は合唱部やめてくれませんかね?」
「ごめーん、梨華、モールス信号わかんなーい
 あ、あれ?□□くん!何やってんの、こんなとこで!
 今日はどうしたの?さぼり?」
「いや、ちょっと、いろいろあってね」
「ふーん、あ、そうだ、梨華になんかおごってくれる約束でしょ
 今からどっか行こうよ」
「あ、そうだったね、…しょうがないな」
「よし、じゃ、行こうよ」とオレの腕を引っ張って音楽室を出ようとする。
「ちょっと待ったァ!
 あっしは放置されんのが一番嫌いなんすよビーナス姉さん!」
「あら、笑顔が汚い病、略してエキ病タカシャイ、まだなんか用?」
「まあまあ、2人とも、仲良くしようよ」
「あら、エキちゃんと梨華は大の仲良しよ、ね、エキちゃん」
「…そうですね!、ビーナス姉さん!」
「…あ、じゃぁ、愛ちゃんも一緒に行こうか?」
「え?いいんですか?あっしが行っても」と愛ちゃんが嬉しそうな顔をする。
「うん、もちろん、綺麗な歌を聴かせてくれたお礼になんかおごるよ」
「ありがとうございます、じゃ部室片づけてきますんで待ってて下さい」
「エキちゃん、早くしてね」

3人で校門を出て歩き始めた。
「おごりかぁ、何がいい?石川さん?」
「う〜ん、梨華、ノートパソコンがホスィなぁ」
「あっしはバックとポーチでおながいします」
「え?ちょっと2人とも…」
「やだ、冗談だよ□□くん、サ店でいいよ、サ店で」
「ふう、良かった、う〜ん、どこ行こうか」
「あっし、いいお店知ってますよ
 『北風』っていうお店です。結構いいお店ですよ」
「そう、じゃ、そこでいいよ」
「…『北風』か〜、梨華、アイスにしよう!」

160 :サボリン:2003/10/07(火) 02:46

 
とりあえずその『北風』という店に行くことにした。
路地の奥、林に囲まれた古いレンガの建物が見えてきた。
入ってみると、店内は薄暗く、店員も出てこないので
3人で勝手に窓際の席に座った。
「大丈夫なの?勝手に座っちゃって、誰もいないじゃん」
「大丈夫ですよ、そのうち出てきますって」

ドタッ

ふと図体のデカイ女が上から降ってきた。
しばらくぶっ倒れたまま伸びていたが急に起きあがって
「えへ、かおり、着地しっぱい」と舌を出して笑う。
「あ、飯田先輩お久しぶりっす」
「あ、高橋に石川じゃん、ヒサブリ」
「お久しぶりです、こちらは梨華の同級生の□□くん」
「□□です、よろしくです」
「あ、うん、よろしく、飯田です。で、ご注文は?」
「相変わらずそっけないっすねぇ飯田先輩」と愛ちゃん。
ビシッ!
飯田先輩は無表情で愛ちゃんにデコピンを食らわせていた。
「…痛っ〜」
「えっと、ご注文は?」
「梨華はぁ〜、ハーゲンダッツ盛り合わせで」
「ハーゲンダッツ盛り合わせがお一つ」
おい、そんなメニューあんのか? って、あるわ・・・1280円。
「エキちゃんは?」
「…あっしはソースかつ丼でいいっすよ」
「ソースかつ丼をお一つ」
「□□くんは?」
「あ、オレは…コーラで」
「ごめん、コーラはないんだ」
「…そうですか、冷たい飲み物では他に何がありますかね?」
「う〜ん、ドクターペッパーとクエン酸ジュースね」
「……じゃ、クエン酸ジュースでおながいします」
「クエン酸ジュースをお一つ、以上でよろしいですか」
「……はい」
 

161 :サボリン:2003/10/07(火) 02:47

飯田先輩は注文をきくとすぐに裏の調理場に入っていった。
と、すぐに出てきて
「本日のお通し、鮭トバです」
おい、ここ何屋だよっ、つーかお通しトバかよっ、調理しろ!
って、横では普通に愛ちゃんと石川さんがトバ食って和んでる。。
「え?梨華が聞いたのは眠ってる女の子を起こすと
 好きな人と両思いにしてくれるっていう話だったけど?」
「そうなんすか?あっしの聞いたのとは違いますねぇ」
「2人とも何の話?」
「さっきの女の子の幽霊の話ですよ
 ビーナス姉さんも知ってたんですけどあっしの話とは違うみたいで」
「へぇ〜、いろんな噂があるんだね」
「女の子の幽霊かぁ、わくわくするね
 ね、エキちゃん、今度深夜に学校行ってみようよ」
「嫌っすよ、恐いっすよ」
「じゃ、□□くん、今度一緒に探検しない?」
「…あ、うん、いいけど」
「しょうがないっすね、あっしも行きますよ」
「エキちゃん、さっき行かないって言ったじゃん」
「あっしは2人が心配なんでついていくんです」
「ふふ、恐くなって一番に逃げ出すんじゃないの?」
「あんたたち、余計なことに首をつっこむんじゃないよ」
と飯田先輩が料理を持ってきた。
随分恐い顔をしている。ん?元からそうなのか?
「飯田さん、単なる噂ですよ、肝試しみたいなもんですよ」
「…単なる噂、か」と言って飯田先輩は去っていった。
「なに恐い顔してんだろ飯田先輩」
「さあねぇ」

なんて話をしながら時間を過ごして、3人は『北風』を出た。
もうあたりは暗くなり始めてる。

さてと、



1 石川さんは同じ方角だな。石川さんをおくっていこう。
2 愛ちゃんは年下だから心配だ。愛ちゃんをおくっていこう。
3 なんか照れくさいな。一人で帰ろう。

162 :名無し娘。:2003/10/07(火) 13:10
1で

163 :名無し娘。:2003/10/07(火) 20:32
1

164 :名無し娘。:2003/10/08(水) 00:09
2で

165 :名無し娘。:2003/10/08(水) 01:23
2でおながいします

166 :名無し娘。:2003/10/08(水) 01:38
愛ちゃんじゃないだろ!
哀ちゃんだろ!2で

167 :名無し娘。:2003/10/08(水) 07:09


168 :名無し娘。:2003/10/08(水) 15:37
2しかない

169 :名無し娘。:2003/10/08(水) 19:16
お願いだから2で
哀ちゃんをかまってやって

170 :名無し娘。:2003/10/08(水) 19:58
もちろん2で

171 :サボリン:2003/10/09(木) 13:26
 
「さてと、じゃ愛ちゃん、送ってくよ」
「ええ〜、梨華は〜?」と石川さんは袖をつかんでくる。
「一応愛ちゃん年下だし。石川さんは大丈夫でしょ?」
「う〜ん、梨華、悲しみ〜」なんか顔がむくんできた。ヤヴァイな。
「石川さんは、また今度ね
 あ、そうだ、今度おわびになんかおごるから、ね?」
「ホントに?絶対だよっ!」
「う、うん」
「やった〜、梨華、嬉しみ〜」

なんとか石川さんを振りきって愛ちゃんと2人きりになれた。ふう。
「なんか面白いお店だね『北風』って」
「そうですね、あの飯田先輩のお店ですから」
「…飯田先輩てどういう人なの?」
「ほえ、先輩知らないんですか?生徒会長じゃないですか?」
「へ?そうだったっけ?」
「ひどいですねぇ、自分の学校の生徒会長も知らないなんて」
「はは、そうだったのか〜」
「飯田先輩も合唱部だったんですけどね
 生徒会と家の手伝いが忙しくなって春にやめちゃったんですよ」
「ふ〜ん」

172 :サボリン:2003/10/09(木) 13:27
 
なんて話をしながら愛ちゃんの家についた。
「ありがとうございました」と愛ちゃんがピョコンと頭を下げた。
「ううん、歌、がんばってね」
「はい、…あの、先輩?」
「ん?」
「よかったらあがっていきませんか?」
「え?」
「両親もいませんし大丈夫ですよ」
「それって余計やばくない?」
「あは、先輩なに考えてるんですか?
 お茶ぐらいどうかなと思っただけですよ」
「そっか、じゃ頂こうかな」
愛ちゃんちは意外に遠くて疲れたかも。

2階の愛ちゃんの部屋に案内された。
「あっし、なんか持ってきますんで」とさっさと出て行ってしまった。
……女の子の部屋に一人取り残されるのは妙な気分だな。落ち着かない。
しばらくして愛ちゃんが紅茶とロールケーキを持ってきた。
「たいしたもんねぇんですけど〜」
「いや、お構いなく」…妙に緊張してしまった。
そんな空気が愛ちゃんにまで伝染したのか、しばらく沈黙が続いた。
 
 

173 :サボリン:2003/10/09(木) 13:28
 


・・

「あ、あれは宝塚のスター?」
とオレは壁に貼ってあるポスターを見つけた。
「そうです、あっし宝塚が好きでよく見に行くんです
 でも今の宝塚は痛々しいですよね、宙組なんて作っちゃって
 なんか必死ですよ、だいたいヴィジュアル重視の人選やってるから
 レベルが下がっていくんだと思います。って、植田ァ、調子こいてんじゃねェ!
 ヅカはやっぱ歌とダンス、そして存在感が全てだっつーの
 鳳蘭とか、あんくらいゴツくないとダメだっつーの、ハァ昔は良かったなァ
 …それがよォ、天海祐希が出てきた頃からおかしくなってきたんだよなぁ
 つーかトップのサイクルが速すぎて下が育たねぇつーの、全部植田のせいや
 ま、おかげであっしの好きな ふぶき がトップになれたのかもしれんけど〜
 ふぶきって山で遭難すると吹いてくる冷たいのちゃうで
 雪組の高嶺ふぶきやで。ちょっと小柄やけどダンスに切れがあっての
 一路真輝の下でよう頑張ってトップになったん
 でもまぁ今考えればトップの器でもなかったような気もするわ
 2番手としていい味出してたん、トップにするならするで3年もたせろ植田ァ!
 …ヅカの最後のトップと言えば花組の大浦みずきになるのかもしれんの〜
 歌とダンスと存在感、最高のスターやったわ、素顔はブサイクやけどな
 ちなみに大浦みずきの父は『サッチャンはね サチコっていうんだほんとはね』
 を作詞した阪田寛夫。ちなみにアホの坂田ではない、なんてね……」
「……」
「はうぅ! すんません、あっし宝塚のことになると
 見境なしにしゃべりたててもーて」
「…いや、だ、大丈夫だよ、、詳しいんだね」
「いんえ、んなこと……」
「……」
またもや沈黙が続いてしまった。
 

174 :サボリン:2003/10/09(木) 13:28
 
 


・・

「あ、いろいろCD持ってるんだね」
とオレは棚にあるたくさんのCDを見つけた。
「へぇ、あっしバレエやってたんでいろいろ聴くようになったんです
 でもバレエの音楽は長たらしくて聴いてると飽きちゃいますよね
 そう、あっしも若い頃はクライバーのブラームスがええとか
 ヴァントのブルックナーがええとかほざいて調子乗ってたんすよ
 しまいにはシェーンベルクとかヴェーベルンとかリゲティとか
 わけわかんない方向逝っちまいまして実際わけわかんなかったっすよ
 ま、最近はロックに戻りましたね
 でもテクスチャー全盛時代に違和感も感じてますし
 自意識過剰なワカッテ君の厨房ロックなんてうざくって聴けませんよ
 それ以上にうざいのがバンドの取り巻き連中っすよ
 マイブラ?レディヘ?ソニックユースは略さない??
 …レディヘは確かにすごいよ、でもお前らロッキング・オンの読み過ぎだよ
 にしても、ラリーズが伝説っつったって
 音質の悪いライブ音源聴かされても何が凄いのかわかんねーっすよ
 ちなみにDMBQは糞だから素直にゆら帝聴けよライヴ逝け
 え?ベルセバはネオアコじゃねーだろ、たぶん
 もういいから、スタジオ・ボイス読んで理論武装してねーで
 南野陽子でも聴いてみろっつーの、目から鱗の衝撃って……」
「……」
「はうっ! すんません、またもや空気読まずに
 早口で空回り気味にしゃべりたててもーて」
「…いや、だ、大丈夫だよ、、詳しいんだね」
「いんえ、んなこと……」
「……」
またもや沈黙が続いてしまった。
 

175 :サボリン:2003/10/09(木) 13:29
 
 


・・

「あ、結構本も読んでるみたいだね」
とオレは棚にあるたくさんの本を見つけた。
「へぇ、最近読んでるのは『Itと呼ばれた子』っつーギャグ小説で…」
「愛ちゃん?」とオレは愛ちゃんの肩に掌を乗せた。
沈黙に耐えられずにしゃべりまくる愛ちゃんが心配になった。
すると、突然愛ちゃんの目から涙が流れてきて
「すんません、あっしみたいに空気読めずに
 一人でテンパってる女の子なんて
 先輩は嫌いですよね」
「愛ちゃ…」
「あっしは、ビーナス姉さんが言ってたみたいに
 『沈黙なんて恐くない恋人』ってやつを…」

「…あっ」愛ちゃんの言葉にならない吐息が唇を伝ってくる。
オレは黙って愛ちゃんの唇にキスをしていた。。
しゃべり続ける愛ちゃんを止めるにはこれしか手がないような気がした。

愛ちゃんの震えを押さえるようにオレは愛ちゃんを抱きしめた。
触れる程度のキスから角度をずらして軽く愛ちゃんの唇を口に含んだ。
愛ちゃんは唇を開こうとせずにすぼませるようにしている。

176 :サボリン:2003/10/09(木) 13:30
「はぁっ」
急に愛ちゃんが唇を離してオレの肩に頭を乗せて深呼吸し始めた。
「はは、息止めてたの?」
愛ちゃんの肩から力が抜けていくのがよくわかる。
お互いの顔が見れるくらいに体を離して、2人でしばらく見つめ合った。
愛ちゃんは真っ赤な顔のまま見つめ返してくる。
キスの感触を確かめるように唇を噛んで恥じらっている。
ふと我にかえったのか、視線をずらして下を向く。
「……」
「どうしたの?愛ちゃん
 なんかしゃべんないの?」
「……先輩のいぢわるっ」
「はは、ごめんごめん」
「……」
「愛ちゃんはそこにいるだけでいいんだよ、そこにいるだけで」
「え〜、やだな〜なんかそれって置物みた〜い」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
「…先輩? もう一度、しませんか?」
「……」
今度はオレの方がしゃべりすぎたかな。
もう一度キスをしようと顔を近づけたその時、窓の外に人影が見えた!

177 :サボリン:2003/10/09(木) 13:31
 
「だれだっ!」
オレはカーテンを開けて外を確かめる。
と、ベランダに絵里ちゃんが指をくわえてうずくまっていた。
「え、絵里ちゃん!?…なんでこんなとこにいんだよォ!」
「だって紺野さんが迎えに行ってこいって言うから来たんだもん」
「…あ、そう、、ってよくここがわかったね」
「…帰ろ」とオレの袖を引っ張って窓から外へ出そうとする。
「絵里ちゃん、そこ出口じゃないから、ちょっと!」
と、反対側の袖を愛ちゃんにつかまれた。
「…先輩、放置せんで下さい。。この人誰ですか?」
「あ、ごめん、絵里ちゃんつって、うーんと、藤本っているじゃん、
 あいつの子分みたいなもんかな、ってだから絵里ちゃん、ちょっと待って」
なおも絵里ちゃんが袖を引っ張るのでオレは完全にベランダに出てしまった。
絵里ちゃんの力に引きずられて愛ちゃんまで窓際に来てしまっている。
「…先輩、一緒に住んでるんですか?この子と?」
「いや、そういうわけじゃ、なくもないんだけど…
 って絵里ちゃん!!落ちるだろ!」
絵里ちゃんはベランダの柵の上に登っていた。
「○○、おんぶしてあげるよ」と凄い力でオレの体を引っ張り上げる。
「うぎゃ、、絵里ちゃん、ひょっとして飛ぶ気?」
「早く〜」と絵里ちゃんはオレを強引に背中に乗っける。。本気だな。。
「あ、愛ちゃん、詳しい話はまた後で…」
「じゃ〜んぷ!」

スタッ、ドサッ!

ひょぇえええ〜 一挙に隣の電信柱の上までジャンプした!
オレは必死になって絵里ちゃんの首に抱きついた。
「ほ〜ぷ」ひゅぅぅう、ドサッ!
「すて〜ぷ」ひゅぅぅぅう、ドサッ!
「じゃ〜んぷ!」ひゅぅぅぅぅぅう、ドサッ!
と、絵里ちゃんは次々と電信柱を渡り飛んで行く。

178 :サボリン:2003/10/09(木) 13:32
「え、絵里ちゃん、普通に帰ろうよ!」
「ほ〜ぷ、すて〜ぷ、じゃ〜んぷ!」
うぇっ、絵里ちゃんの背中で酔ってしまいそうだ。
「え、絵里ちゃ〜ん!」
「ほ〜ぷ」
「絵里ちゃんてば!!」
スタッ、といきなり電信柱の上で止まった。
ひゅぅぅぅうと上空の風が肌に冷たい。
止まったら止まったで余計高さを感じる。
「い、いきなり止まるな!」
「ねぇ、○○、絵里にもして」
「するって何を?」
「さっき、あの人にしてたみたいに口をつけて…」
「絵里ちゃん、、どっから見てたんだ?」
「してよ」
「わかった、後でするから、早く下ろしてくれェ!」
「今してよ」とオレの体を下ろして電線の上に立たせる。
「うわぁぁあ! オレは中国雑伎団じゃねーんだぞッ!」
絵里ちゃんに両脇を支えられてかろうじて立ってる。情けない格好だ。
「今してよ」と絵里ちゃんはオレを見つめる。
「わぁーったっ、わぁったから」
しょうがないから絵里ちゃんにキスをする。恐怖で雰囲気も何もない。
「さ、したぞ、降りて普通に帰ろうよ!」
「……なんともないね」と指をくわえる。
「どぉってことないさぁ、なんくるないさぁ!」
絵里ちゃんは左手一本ででオレの右手を持って支えてる。
体が左右にふらつくがなんとか持ちこたえる。
・・お、オレって結構バランス感覚いいのかな。
「絵里は○○がご主人様だったら良かったな」
「ケェーッ、セラッ、セラッ、っと、っと」
「……帰ろ」
と、絵里ちゃんはすばやくオレをおんぶして、また飛び始めた。
ひゅぅぅぅう、スタッ、ドサッ、
「ケェーッ、ケケッ、ケェーーーッ!」
ひゅぅぅう、ひゅぅぅぅう!
「ケェーッ、ケーレ!転回!コペルニクスッ!」
ひゅぅう、ひゅぅぅう、ひゅぅぅぅう!
 
 

179 :サボリン:2003/10/09(木) 13:32
 
絵里ちゃんの背中に乗ってあっという間に家に着いた。
ふう。生きてることってすばらしい。
生きてるだけでまるもうけとまでは思わないけどな。

「お帰りなさい、○○さん、ご飯できてますよ」
と紺野さんが玄関で迎えてくれた。
「あ、うん、ただいま…」
「亀ェ〜、な〜に突っ立ってんだァォ〜
 さぁっさと向こう逝って手伝わんかヴォケがぁ!」
と紺野さんが絵里ちゃんを怒鳴りつける。
「…は〜い」と言って絵里ちゃんは台所に行ってしまった。


紺野さんと絵里ちゃんとオレと里沙とアヤカさんで夕食になった。
里沙はなんか随分無口になってしまった。大丈夫だろうか。
まあ、紺野さんに社会勉強させてもらってるんだから心配ない。


さて、とりあえず食事も無事に終わった。良かった。
久しぶりに落ち着いた夜が過ごせそうだ。
どうするかな。



1 ゆっくりと風呂にでも入るか
2 とりあえず部屋に行ってマターリするか
3 リビングでテレビでも見るかな
 

180 :名無し娘。:2003/10/09(木) 14:36
Itと呼ばれた子ってとんでもない小説だよ哀ちゃん・・・_| ̄|○
3でお願いします

181 :名無し娘。:2003/10/09(木) 16:20
1で

182 :名無し娘。:2003/10/09(木) 18:37
2で

183 :名無し娘。:2003/10/09(木) 21:04
1

184 :名無し娘。:2003/10/09(木) 21:12
哀さんの暴走加減ワロタ

2で

185 :名無し娘。:2003/10/09(木) 23:24
1で亀さんの亀をハァハァ

186 :名無し娘。:2003/10/10(金) 02:27
漏れは2で。

187 :名無し娘。:2003/10/13(月) 22:09
2でおながい

188 :サボリン:2003/10/14(火) 12:29

とりあえず部屋に行ってマターリするか
ふう、ベッドは壊れているが、やっぱり自分の部屋が一番落ち着くな。
なんか親族以外の方が多いみたいだからな、この家は。
…知らず知らずのうちに気を遣っていたのかもしれない。。
オレは壊れたベッドに潜り込んでしばらくボーっとしていた。

ふと「○○〜」という小さな声がする。
誰の声だろ。この家は人が多すぎてわかんないや。。眠い。
「○○〜」よく聞くとベッドの下の方で声がする。
「だっ、だれ?」と起きあがったが、部屋には誰もいない。
・・・疲れてるんだな。オレ。。寝るか。。
「○○ーッ!ここだよーっ、○○〜」
ふと枕元で目を開けてみると、ベッドの脇で矢口先輩が
必死になってベッドを登ろうとしている。
・・矢口先輩、いくら小さいからってベッドぐらい登れるだろ。。
・・・幻覚か。。最近いろんなことがありすぎて疲れてるんだ。
「○○ーッ!助けてよーっ」
…あれ?再び目を開けてみると、そこには確かに矢口先輩がいた。
「や、矢口さん!」
ベッドの端で小さな矢口先輩がウニウニもがいていた。
「○○〜、上げてよ」
オレは両手で矢口先輩を持ち上げて膝の上に乗っけた。
「ど、どうしたの?矢口先輩、こんな小さくなっちゃって!」

189 :サボリン:2003/10/14(火) 12:29

「ふぇぇえん、おいらにもわかんないよ〜
 あの後○○が追いかけてきてくれないから
 おいら本気で電車に突っ込んだんだ!!
 そして気づいたら、なっちの部屋にいて小さくなってたんだ!!」
と矢口先輩は泣きながら言う。
「そうかーなるほどー」
「なるほどじゃねー、おいらのこの体をどうしてくれるんだよっ!
 おかげでなっちにもてあそばれて
 野良猫と格闘させられるわ、お風呂でおぼれさせられるわ
 ビートマニアでウサギ跳びで恋レボひかされるわ、大変だったんだ!
 …首輪つけられて犬畜生の扱いを受けて、うっ、うぅ、
 隙を見て逃げて、、必死の思いでここまで来たんだぞーっ!」
よく見ると矢口先輩はボロボロになった幼稚園の青い制服を着ている。
黄色い名札には「あべあさみ」と書かれているようだ。
「…そうか、大変だったんだね、
 ここまで来たらもう安心だから落ち着きなよ」
「うぅ、○○〜」と矢口先輩は泣きながらオレの腹にしがみついてきた。
・・それにしても中途半端に小さくなったもんだなぁ。
身長50センチぐらいだろうか。幼稚園の制服がブカブカという程度。
こんな大きくちゃリカちゃんハウスにも入んないじゃないか。
胸ポケットに入れて学校につれて行くこともできないし、、
肩に乗っけて「こわくない」なんて言いつつ指を噛まれることもないな。

「う〜ん、困ったな〜。。
 いったい何でこんなことになったんだろ?」
「んなこと、おいらにだってさっぱりわかんないよ!
 これからおいらどうやって生きていけばいいんだよォ!」
「とりあえず安倍先輩がなんか知ってそうだな…」
「だめだっ!奴には近づくなっ!
 …たとえ知ってたとしてもおとなしく吐くタマじゃねー」
「うーん、じゃぁどうすればいいんだ?
 ご両親もそろそろ心配してるだろ?
 明日から学校はどうするんだ??」
「……今、親いないんだ旅行中で」
「そうか…こんなことになっちゃって、、
 オレにもどうしていいかわかんないよ…
 取り敢えず誰かに相談した方がいいと思う」



1 とりあえず医者に診せてみよう
2 担任・女子柔道部顧問の中澤先生に相談
3 あ、あの飯田先輩ならなんとかしてくれるかも!

190 :名無し娘。:2003/10/14(火) 16:50
3で

191 :名無し娘。:2003/10/14(火) 16:56
元ネタがわからないがお医者さんごっこで1

192 :名無し娘。:2003/10/14(火) 17:49
これはもしかして「南君の恋人」???
1で

193 :名無し娘。:2003/10/14(火) 19:03
3かな

194 :名無し娘。:2003/10/14(火) 21:45
3

195 :名無し娘。:2003/10/15(水) 08:49
2で

196 :サボリン:2003/10/15(水) 16:09

よし、担任・女子柔道部顧問の中澤先生に相談してみよう。
いざというときには頼りになる人だし。
「矢口さん、中澤先生に相談してみようよ
 頼りになるし、学校のこととか親のこととか相談できるし」
「…そうだね、その辺のヤブ医者行くよりはいいかもね」
…といっても電話で相談しても信じてもらえるわけないし、
とにかく矢口先輩を見せに行かないとな。。
って、こんなロリっぽい服着て
顔がちょっと老けた女子高生で体が赤ん坊サイズな
矢口先輩を公共の場にさらすわけにはいかない。
とりあえずボストンバッグかなんかで運ぶか。
「矢口さん、とりあえずこの中に入って」
「うん」
「狭いけどがまんしてね」
バッグにバスタオルをひいて矢口先輩を中に入れた。

197 :サボリン:2003/10/15(水) 16:11

オレは矢口先輩の入った重いバッグを持って廊下を降りていった。
すると、運悪く1階に藤本が来ていた。
「よう、○○、元気かァ!」
「ああ…はい、元気です」
「なんだぁ、そのカッコ、旅行にでも行くのかぁ?」
「いやちょっと友達にマンガを返しに行くだけだよ」
「はーん、随分とエロ本ため込んだじゃねーか」バコッバコッ!
藤本が近づいてきて矢口先輩の入ったバックをボコボコ膝蹴りする。
「うぅ…」
「ちょっとやめろよ、人のなんだから!」
「それよりも○○、亀のアソコ確かめたか?」
と肩を組んで耳うちする。
「…うん、…確かにはえてたよ」
「だろ?…ちくしょう、
 とんでもないもんひろっちまったぜ
 …ま、もうしばらく置いてやってくれな」
「でも藤本が主人なんだから…やられるなんてことはないだろ」
「ま、よく考えたらそうなんだけどな、
 …とにかく、このことは人に言うなよっ!
 ふっ、亀のアレはいざというときに使えそうだからなァ」
と藤本がブキミに不敵な笑みを浮かべている。
「…オマエぇ、なに考えてんだよぉ」
「まぁ、いいや、さっさと行ってこいやッ」バコッ!
と矢口先輩の入ったバックをかかとで蹴ってくる。
「わー、わー、わかりますた。じゃ行ってきます」
オレは慌てて玄関を出た。
玄関を出てからバックを開けて見てみると
矢口先輩は既に泡を吹いて気を失っていた。
・・ヤヴァイな、中澤先生よりも医者に診せるべきかもなぁ。
でも医者に診せてコレが直るのか?…人体実験とかさせられるかも。。
とりあえず中澤先生に相談してみて医者に診せるか決めよう!

198 :サボリン:2003/10/15(水) 16:13
 

オレはあれこれ考えながら自転車をこいで
中澤先生のマンションまでたどり着いた。
が、よく考えるとオレ、一昨日は掃除さぼって昨日は居残る約束破って
おまけに今日は学校までさぼって……ベルを鳴らすのが恐くなってきた。
・・が、矢口先輩が第一だ。オートロックのベルを恐る恐る鳴らした。
「なんじゃぁ!」
「あ、夜分すみません□□です」
「おお、□□かいな、あがれや」
と言って結構簡単にドアを開けてくれた。
エレベータに乗って11階に向かう。結構上の方に住んでんだなぁ。
先生の部屋のインターホンを押すと即座にドアが開いた。
「なんやぁ、□□ッ、おそいやないかぁ!」
「すみません、実は…」
「なんや、その荷物は?」
ん?中澤先生の目が泳いでるな。…酔ってんのか?
「それが、あの…」
「なんや、ワレ、泊まるつもりかいな、え?」
「いや、そうじゃなくて…」
「家出か、あかんなぁ、ってワレ、ワシのとこなら大丈夫思ったんか?
 30過ぎの独身女やから簡単に泊まらせてくれる思うたんか?
 そうかぁ、ワシも甘く見られたもんやわぁ、
 はぁん、あわよくばさびしい教師と一発やっちまうかって魂胆か?
 あん?□□ゥ…三十路の独身女をなめんなよォオ!
 ワシんだってプライドっつーもんがあるんじゃあ!ゴルァ!!」
 

199 :サボリン:2003/10/15(水) 16:14
 
・・やばいな。完全に酔ってるじゃん。
こんなんじゃ矢口先輩を見せても無駄だ。
「あ、ごめん、ゆゆたん、出直すよ、それじゃ」
と帰ろうとしたら、急に袖をつかまれて
「待ってぇや!
 …待ってぇ、お願いや
 ウチが悪かったわ、堪忍してぇや
 さみしいんやわぁ、体が夜泣きするんやぁ
 慰みもんで結構や、抱いてやってくれやぁ!」
「な、なに言ってんですか!
 だから、そんなつもりじゃないですって!!」
「なぁ、□□ぅ、後生やぁ、恥かかせんでぇ〜
 ウチを助ける思うて、なぁ、据え膳食わぬはなんたらやでぇ
 …はっ、それともなにかぁ、ひやかしに来ただけかいな、え!?
 そんなにウチには魅力ないかぁ、三十路三十路みんなしてバカにしてぇ…」
中澤先生は涙をボロボロ流してオレの袖で鼻をかんでいた。。きたねぇな。
「ちょっと、ゆゆた〜ん、酔いすぎだって」
「なぁ、帰らんといてぇ、あんたぁ、あんたぁ!」
だーっ、隣の人が出てきそうなくらい大きな泣き声だ。
「わーった、帰らないから、ね? 静かにしよ、ゆゆたん」
「ホンマかぁ…」
「とにかく、中に入ろうよ」
オレは重いバックと中澤先生を引きずって何とか部屋に入れた。
 

200 :サボリン:2003/10/15(水) 16:15
 
オレは自転車をこいで来た疲労と今のごたごたの疲労で
玄関に座り込んでしまった。すると中澤先生が
「□□ぅ、さっきはきつー言ってすまんかったなぁ」
と言って抱きついてくる。
「ちょっ…」
避ける間もなく中澤先生のキスを受けた。
即座に容赦なくれろれろと舌を入れてくる。
あ、あぁ、コレが、大人のキスかぁ。。
「って、ゆゆたん!!」
「照れることないでぇ
 今日は出来そうもないくらいなこと、おねだりしてくれてええねんで」
「…で、出来そうもないくらいなことって、
あんなことや、こんなことも〜?」
「そうやぁ、あんなことも、こ〜んなことも。
 今日はウチ□□の言いなりや、なんでもするでぇ〜」



1 「じゃぁ、ゆ、ゆゆたんの脇の下の匂いを嗅ぎたい」
2 「じゃぁ、ゆ、ゆ、ゆゆたんの爪を磨かせてほしい」
3 「じゃぁ、ゆゆたんの制服姿が見たいな、
   制服でオレとこれからデートすんだぞ〜できるかぁ!
   映画館に行って映画が始まったら下で……声を出したらダメだぞっ」
4 「じゃぁ、ゆゆたん、これからコンビニに、お、おでんを買いに行って。
   で、オレはその後をつ、つけるから、気づかないふりをして歩いてて。
   で、公園まで来たら襲うから、『痴漢!』と言ってはたいてほ、ほしい」
5 「じゃぁ、ゆゆたん、---(読者リクエスト)---してほしい!」
 

201 :名無し娘。:2003/10/15(水) 16:32
5で俺のニークロ並みのナックルボールを受けてほしい

202 :名無し娘。:2003/10/15(水) 23:13
5で一緒に裸になってベッドに上り下りしながらケツをバンバン叩く

203 :名無し娘。:2003/10/15(水) 23:26
5でバハラタへ通じる道を開いてほしい

204 :名無し娘。:2003/10/16(木) 00:04
5で矢口先輩をなんとかしてほしい

205 :名無し娘。:2003/10/16(木) 00:15
5でファイズのベルトで俺を倒して欲しい。

206 :名無し娘。:2003/10/16(木) 01:00
5でジャイアンをこらしめる道具を出して欲しい

207 :名無し娘。:2003/10/16(木) 02:34
5で一緒に大威震八連制覇に出場してほしい。

208 :名無し娘。:2003/10/16(木) 03:05
5で加護ちゃんを誘拐してきてほしい

209 :名無し娘。:2003/10/16(木) 12:23
選択人の中にたっくんがまじっとるな・・・

5でなっちゃんのCMにでてた子の苗字は星井

210 :名無し娘。:2003/10/16(木) 12:27
5で、ひょっこりひょうたん島の振り付けを教えて欲しい

211 :名無し娘。:2003/10/16(木) 13:16
5で魔人ブゥを倒すために俺とフュージョンしてほしい

212 :サボリン:2003/10/16(木) 22:08
 
「じゃぁ、ゆゆたん、か、加護ちゃんを誘拐してきてほしい!」
「…ぅ、なんじゃあ、ワレ、この期に及んで『加護ちゃん』かぁ!
 ちくしょう、お仕置きじゃぁ、お仕置きしちゃるでぇ、こっち来ィ!」
と中澤先生は急に態度を変えて、襟首をつかんでオレを引っ張る。
「いててて、ゆゆたん、冗談だよっ!」
「へっ、冗談は加護の激太りだけにしとけよゴルァ!」
と、「うぅ〜、○○〜」と矢口先輩の声がする。目が覚めたのか?
「…なんじゃぁ?」
「だからぁ、矢口先輩が大変なんだって!」
オレは慌ててバッグを開けて矢口先輩を取り出した。
「ほぇえ〜、ヤグチがどうしたって?」
「ほらっ!矢口先輩がこんなに小さくなっちゃったんだ!」
オレは矢口先輩を抱き上げて中澤先生に見せた。
「うぅ〜、ひどいよ○○ぅ、苦しくて死にそうだったんだぞっ
 あ、裕ちゃん、助けて〜、おいらこんな小さくなっちゃったんだよ〜」
と矢口先輩は中澤先生の足に抱きついていった。
ちょうど膝あたりに頭がきて先生を見上げていた。
中澤先生は信じられないといった目つきで
矢口先輩をマジマジと見ながらしゃがみ込んだ。
 

213 :サボリン:2003/10/16(木) 22:08
 
「…だから、ワレ、冗談は加護の激太りだけにしとけと、、
 ・・・はゎゃ・・ヤ、ヤグちぃ〜!!」
中澤先生は矢口先輩をギュゥゥっと胸に抱きしめた。
「キャハハ! 裕ちゃん、苦しいよっ」
矢口先輩は必死に首の角度を変えて呼吸している。
「ヤグちぃ〜、ヤグチやないかぁ」
と、矢口先輩を片手で抱いて胸や股間を指でいじくりまわす。
「キャハハ! 裕ちゃんくすぐったいよっ、あん、やめてよ」
矢口先輩は真っ赤な顔をして体をひねらせて抵抗していた。
中澤先生は今度は矢口先輩を持ち上げて
「ヤグちぃ〜、会いたかったわ〜ヤグちぃ〜」
といいながら矢口先輩にキスをし、しまいには頬をれろれろなめていた。
「キャハハ! っておい! この年増ッ!
 くせーだろ、やめろっ!やめろっつってんだろ!」バスッ、バスッ!
と矢口先輩は小さな手で中澤先生の頬を必死で殴っていた。
「あいた、あいた、…ウチも肌の張りがなくなってきたなぁ」
矢口先輩の顔は既に中澤先生の唾液でびちょびちょだった。
「ちくしょう、くせー唾液が酒に加齢臭プラスで3倍くせーぜ」
「…うぅ、ヤグチまでそんなこと言うんかぁ
 うぇぇん、ウチのヤグチが反抗期やぁ、悪い子になってもうたぁ!」
と言って中澤先生が泣き出す。
「ったく、裕ちゃんは酔うとしつっこいんだよなぁ」
「ヤグちぃ〜、ウチが悪かったでぇ、堪忍やぁ」
「んなことより、裕ちゃん、少しは驚けよっ、この状況にィ!」
「ん?」
 

214 :サボリン:2003/10/16(木) 22:09
 
「だからぁ、おいらがこんなに小さくなっちゃってんだよォ!」
「…なにか問題でも?」
「…くぁあ!裕ちゃんなんかに相談しようとしたおいらがバカだった!
 ○○、他を当たろうよ」
「う、うん」
矢口先輩は中澤先生の手をなんとか振り切ってプニプニ歩き出した。
「ヤグちぃ〜、どこ行くんやぁ
 ウチは酔ってても頭は冷めとるでぇ
 そおんな体して、他に誰に相談する言うねん」
「……」
「そやろ、行くあてないやろ
 これは神様の思し召しや、ヤグチ、ウチと一緒に暮らそうや」
「どこで暮らすとかじゃなくて
 おいらは、まずこの体を元に戻したいんだよ!」
「せやから、焦ってもしかたなかろ
 ウチとゆっくり考えていこうや、
 とりあえずその汚れた体、洗おうやないか」
と言ってまた矢口先輩をつかんで服をぬがし始める。
「ちょっと、裕ちゃん、○○が見てるじゃん、やめてよっ」
「ほぉれ、いい子だねぇ〜」
「裕ちゃん!やっぱり酔ってるでしょ!」
抵抗むなしく、矢口先輩は全裸にさせられて風呂場に運ばれていった。
「さぁ、真里ちゃ〜ん、お風呂入りまちょうね〜」
「なんちゅう、現実感のないオバハンやっ、
 コラッ胸をもむな、…あぁ!
 …っ、助けて〜○○〜!」
「…ゆゆたん、オレどうしようか?」
「あ、□□、まだいたんか
 ヤグチはウチに任しときぃ、さぁ帰った帰った」
「…だ、大丈夫?」
「大丈夫やっ、食ったりせーへんから、たぶん」
「……学校とかどうするつもり?」
「ウチにまかしとき、ウチがちゃんとヤグチを元通りにしてやるで!」
「……ん〜じゃ、、帰ろうかなぁ」
「まかしとき、ほな、明日な、遅刻すんなよ〜」
と言って中澤先生は風呂場に入っていってしまった。
「○○〜、帰るなぁ、○○〜」小さく矢口先輩の声が響いていた。
・・・ホントに大丈夫かな。。




1 矢口先輩が心配だ、風呂からあがるまで待っていよう。
2 なんか面倒になってきたな。中澤先生に任せて帰ろう。
 

215 :名無し娘。:2003/10/16(木) 22:38
結局無難なところに落ち着いちまったのかい2で

216 :名無し娘。:2003/10/16(木) 23:02
1だが2人に見えないよう隠れてて欲しい

217 :名無し娘。:2003/10/16(木) 23:46
1でお風呂の実況を、矢口先輩が心配です。

218 :名無し娘。:2003/10/17(金) 07:16
1で、待つのは風呂場のドアの前がベストでぇーすッ!
その間…、鍵穴に目をちかづけるのはいけないことしょおーーーか〜〜〜〜〜!?

219 :名無し娘。:2003/10/17(金) 18:00
>>218はなにを言ってるんでしょうか?

1で

220 :名無し娘。:2003/10/17(金) 19:54
1

221 :名無し娘。:2003/10/17(金) 22:16
>>219
ジョジョ第2部を読めばわかるさ。

222 :名無し娘。:2003/10/20(月) 17:16
<丶`∀´>2だ

223 :サボリン:2003/10/22(水) 14:29
 
・・疲れた。なんか面倒になってきた。マジ帰るか。。
オレは矢口先輩を中澤先生に任せて一人で部屋を出た。


家に着くとどうやら藤本はもう帰った後で
里沙とアヤカさんが後かたづけをしていた。
紺野さんも絵里ちゃんもそれぞれの部屋にいるらしい。
オレはさっさと風呂をすませて自分の部屋に入り、
ふと、さっき矢口先輩を運んだバックを片づけようとした。
と、ちゃら〜ん、とバッグの中から何かが落ちてきた。
「・・ん?なんだこれ?」
ブルーの綺麗な石がつるされたネックレスだ。
2センチくらいの大きさの石に「A」と刻まれていた。
・・安倍先輩のかな?? ま、明日あたり矢口先輩に聞いてみよう。
オレは久しぶりにゆっくりと睡眠をとることにした。
 

224 :サボリン:2003/10/22(水) 14:31

 
 
 
 
 
4日目。



う〜ん、久しぶりによく寝た。

・・今日も学校かぁ、面倒だな。
しかし家にいてもすることないし行くか。

準備をすませて玄関に向かうと絵里ちゃんが待っていた。
「これ、絵里が作ったの、よかったら食べて」
とお弁当を差し出された。
「あ、ありがと〜、助かるよ〜」
母が失踪してからというもの、弁当なんて初めてだ。
「初めて作ったから、うまくできてるかわかんないけど…」
「ううん、絵里ちゃんが作ったなら美味しいに決まってる!」
「…やだもう」と言って絵里ちゃんは体をクネクネさせる。
「ホントありがと、…じゃ、いってくるよ」
「うん、いってらっしゃい、早く帰ってきてねっ」
と絵里ちゃんが頬にキスをする。
「あは、急になんだよ、照れるじゃん、こいつう」
とオレは絵里ちゃんのオデコを軽くデコピン。
…ふと横を見ると、口をあんぐりと開けて
紺野さんと里沙がこっちを見ていた。
「・・・亀ェ…」
「いやん、えりりん、逃げるん!」
絵里ちゃんはすばやく5段飛びで階段を登っていった。
「すみません、○○さん、亀が調子乗ってるみたいで」
「いや、ふざけてるだけだから、
 徐々に慣れてきたみたいで良かったね」
 

225 :サボリン:2003/10/22(水) 14:31
 
なんて話をしながら玄関を出た。
・・今日はさすがに矢口先輩は待っていないようだ。
里沙の自転車の後ろに揺られる紺野さんを見送りながら
マターリと歩いていると、後ろからいつもの声がする。
「よ〜、○○ぅ〜」
背後から頭部に迫った鞄をバシッと受け止めた。
「おはよう、ひとみ」
最近藤本やその他に鍛えられて瞬発力が良くなったらしい。
ひとみは意外な顔をしてオレの横を歩き始めた。
「あっれ〜、○○ぅ、冴えてるなッ!」
とひとみは今度は足を引っかけようとしたが、
オレはそれもヒュンとすばやくかわした。
「ふん、そういつもいつも引っかかってたまるか」
オレはひとみを見下して笑った。
「…ちくしょう!」バコッ!
「くはッ!」…脇腹をグーで殴られ、オレはその場にうずくまった。
「…ぅオマエぇ・・やることがストレートすぎないか…」
「あははは!ごっめーん!」
そう言いながらひとみは走っていってしまった。
くそ、ひとみめ。
 

226 :サボリン:2003/10/22(水) 14:32
 
なんとか学校にたどり着いた。
久しぶりにホームルームの前、時間通りに到着した。

・・・中澤先生、あの後どうしたかな。。

ガラガラッ

「おっはよー、みんな元気かぁ!
 お、□□ぅ、めずらしくちゃんと来とるな」
「はぁ、おはようございます」
「うむ。
 さ、今日はみんなに転校生を紹介するで〜」
「えー!!」「でじまー!?」という声が教室中に響き渡る。
「矢口真里男くん、だ!」
と、中澤先生はおもむろにバッグから矢口先輩を出した。
「おお!」と教室中から感嘆の声。矢口先輩は紺の半袖半ズボンで、
私立小学校の制服みたいなきちんとした服装。
スッと教壇の上に立ち上がり
「矢口真理男です、みなさんよろしくお願いしますっ」
と言ってペコリと頭を下げた。 か、かわいぃ〜。。
って、中澤先生!! みんなにばらしてどーすんだよっ!!
「え〜、矢口真理男くんは家庭の事情で
 今、先生の家に預かっている。みんな仲良くするように。
 いじめたりしたら先生が承知せーへんでー」
そう言って中澤先生はオレにウィンクして来た。
「どうや」という感じで、なんか勝ち誇ってるようなウィンクだが、、
全然問題解決してねーぞ。むしろ事態は悪い方向に、、
って、あれ?…なにげに矢口先輩、みんなと和んでる。。
「真理男くーん、どこから来たの?」
と石川さんが話しかけて、みんなが矢口先輩のまわりに集まって
質問ぜめしている。・・このクラスのヤツらがバカで良かったな。
身長50センチの男装老け気味ロリ顔小学生が転校してきて
違和感なく対応してるぞ。むしろ人気者だ。
 

227 :サボリン:2003/10/22(水) 14:33
 
「真理男くんは、どこの席がええやろかぁ」
「ハイハイ!梨華の隣がいいで〜す」
「そやな〜、藤本はほとんど学校に来ないから
 しばらくはそこでええやろ」
「やったー、梨華、嬉しみ〜
 真理男くん、よろしくネッ!」
「うん、梨華ちゃん、ヨロシコ!」
と言って矢口先輩は藤本の席にちょこんと座った。
「あっれ〜、おいら、椅子に座ると机で前が見えないな〜」
「じゃ、梨華の膝の上に座りなよ」
「え〜、悪いねぇ、じゃ遠慮なく」
と言って靴を脱いで石川さんの腿の上に乗っかる矢口先輩。
「キャハハ、梨華ちゃん、くすぐったいよ〜」
石川さんは矢口先輩をだっこして嬉しそうにじゃれていた。。


…なんて感じで何事もなく授業は進み、昼休みになった。

矢口先輩もやっとクラスのみんなの質問ぜめから解放されて
オレのそばにやってきた。
「どう?○○、この格好」
「う、うん、似合ってるね」
「へへ、裕ちゃんが作ってくれたんだ。
 誰もおいらのこと気づいてないみたいだね」
「…そうだね」
・・単にみんな3年の矢口先輩のことを知らなかっただけだよな。。
 

228 :サボリン:2003/10/22(水) 14:34
 
「あれ〜、真理男くん、もう□□くんと友達になったの〜?」
と言って石川さんが寄ってくる。
「うん、そうなんだ、あ、石川さんも□□と一緒に飯にしよーぜ」
と、矢口先輩はオレの机の上に乗って弁当を広げ始める。
「いいわね、でも、□□くんは、お弁当じゃないでしょ?」
「あ、オレ、今日は弁当なんだ、妹が作ってくれて」
「そう、じゃ、ちょうどいいわね」
石川さんは俺の隣の席に座り、3人で弁当を食べることにした。
と、フタを開けてビックリ。
卵のそぼろごはんの真ん中に桜でんぶでハートマーク。
その上段にはタコ型揚げウィンナーと牛肉の八幡巻き、
輪切りの緑・黄・赤の3色ピーマンとハート形にんじんのバター炒め。
その横にレタス畑に囲まれたプチトマトが二つと黄色の星形つま楊枝。。
「はうぁ!」…目がチラチラしてテンカン起こしそうだ。。
「あっら〜、□□くんの妹さんって□□くんにぞっこんなのね」と石川さん。
「…う、うん、まあ」
「……」なんか矢口先輩がにらんでいる。ヤバイな。
「さ、ま、真理男、食べようぜ〜」
「いただきま〜す」
「……」
オレは牛肉の八幡巻きから一口、もぐもぐ、、ウマー!!、
…絵里ちゃん、シャワーの入り方も知らなかったくせに料理の腕前は凄いな。
なんてオレが顔を崩してにやけて食ってると、
なおも矢口先輩がにらんできてマズイ空気が流れた。
 

229 :サボリン:2003/10/22(水) 14:35
 
と、そこへ

ガラガラッ

「ちーす、このクラスにかわゆい男の子が転校してきたってねー!」
と安倍先輩が入ってきた。
「どこかな、どこかな、あれ、かわいい」
と矢口先輩を抱き上げた。矢口先輩は苦笑いをしたままおとなしくしている。
「ぼく〜、お名前なんていうの?」
「…矢口真理男って言うんだ、よろしくねっお姉ちゃん!」
「よろしく〜、かわいいお洋服でちゅね〜」
「キャハハ、お姉さんのほっぺもふっくらしててかわいい」
二人は不気味な笑顔を作ってにらみ合っていた。
「安倍先輩、なにしに来たんですか?」
「そんな言い方ないべ〜、
 なっちも□□くんと一緒にお弁当食べようと思っただけだべさ」
と言ってオレを見つめる安倍先輩はいつもと違った雰囲気だ。
あ、そうか、制服を着てるせいか。。
…今まで柔道着姿の安倍先輩しか見たことなかったかも。
「あ、安倍先輩、制服が結構似合うんだね」
「やだぁ、いきなり何をいいだすんだべ、□□くんは〜
 そんなこと言われたら、なっちは照れてしまって〜」
と、急に矢口先輩を両手で持ち上げて
「どーすればいいんだべかぁ!!」ヒュゥウ!
いきなり矢口先輩を空中に放り投げた。
「ほうれ、たかい、たかーい」ヒュゥ、ヒュゥウ!
と言いながら何回も矢口先輩を空中に放り投げていた。
「キャハハ、やめてよお姉さん!」
と言って笑いつつも矢口先輩は顔が引きつっていた。
 

230 :サボリン:2003/10/22(水) 14:36
 
「ちょっと安倍先輩、怖がってるじゃん!」
「ん?」
と安倍先輩は急にこっちに顔を向けて、目を離し、ドカッ!!
「うぎゃ!」と、矢口先輩が後ろで床に激突していた。
「はれぇ、□□くんのせいで真理男くんが落ちてしまったべ
 だいじょぶかぁ?」と矢口先輩のそばに駆け寄る。
「キャハハ、気にしないでよお姉ちゃん、大丈夫」
と矢口先輩は背中に手を伸ばし
「なわけねーだろっゴルァ!!」バリバリバリッ!
小型スタンガンで安倍先輩が感電していた。
「はうっ、はう、はう」
矢口先輩はうずくまる安倍先輩にボコボコ蹴りを入れつつ
制服の中に何かを入れて素早く離れた。
と、バチバチバチッ、パンパン、パパンッ!
と爆竹が安倍先輩の制服の中で鳴り始め、辺りが煙に包まれた。
「はうっ、はう、はう」
安倍先輩はひたすらもがいていたが、やがて起きあがって
「ま、真理男く〜ん、面白い遊びを知ってるんだねぇ〜!」
と言って破れた制服を脱ぎ捨て、矢口先輩に近寄ろうとする。
「あれェ?火薬が足りなかったかなぁ〜
 久しぶりに豚の丸焼きが食えると思ったのになァ!」
「…真理男くん、許さないべ」
「へっ、豚ァ、豚ァ、ここまで来れるもんなら来てみやがれ豚ァ!」
と言いながら矢口先輩はぴょんぴょんと巧みに机の上をジャンプして
ベランダの柵の上までたどり着き、
「あばよォ、豚、この続きはまた後でなぁ!」
と言ってベランダから飛び降りて行った。
おい、ここは4階だぞっ、矢口先輩!!
あわてて下を見てみると、
パラシュートで華麗に舞ってる矢口先輩が笑って手を振っていた。。
・・・小さくなってからの矢口先輩は
ますます人間離れしていくような気がする。
「ちくしょー、こしゃくな技を使いおって」
と言いながら安倍先輩は教室を出て行った。
「真理男くん、かっこいい〜」
石川さんはベランダに出て矢口先輩を見ながら目を輝かせていた。
 

231 :サボリン:2003/10/22(水) 14:37

 
 
 
 
午後の授業が始まる頃に矢口先輩は無事に帰ってきた。良かった。


で、午後の授業も終わり放課後だ。
さて、今日はどうするか。
矢口先輩があれじゃ、部活は事実上休部だしなぁ。
そう言えば今日は平家みちよのベストアルバム発売日なんだよなぁ。
・・買いに行こうかな。
ん、向こうから矢口先輩を抱いた石川さんが寄ってくるぞ。
「□□くん、一緒に帰ろ」




1 石川さん、矢口先輩と一緒に帰る
2 一人で隣町まで買い物に行く
3 そうだ、昨日のこと、愛ちゃんに謝らなきゃ
 

232 :名無し娘。:2003/10/22(水) 17:41
おもしれえ!他のときめき系とは違うな

で、2で

233 :名無し娘。:2003/10/22(水) 18:57
安倍矢口が絡むといい感じにノッてくるな3

234 :名無し娘。:2003/10/22(水) 20:20
1

235 :名無し娘。:2003/10/22(水) 21:28
2で

236 :名無し娘。:2003/10/22(水) 22:15
3で

237 :名無し娘。:2003/10/22(水) 22:50
3だな

238 :名無し娘。:2003/10/24(金) 00:31
う〜ん、面白い! 3で

239 :名無し娘。:2003/10/24(金) 01:20
1で

240 :サボリン:2003/10/25(土) 19:08
 
そうだ、昨日のこと、愛ちゃんに謝らなきゃ。
「ごめん、石川さん、今日ちょっと用事があって」
「え〜、そんなぁ、梨華、悲しみ〜」
「石川さん、せっかくだから真理男と二人でデートでもしてきなよ」
「……」何も言わずに矢口先輩がにらんでいる。。
「じゃ、そう言うことで、また明日!」
と言ってオレはすばやく教室を出て音楽室に向かった。
・・矢口先輩と一緒にいると、ときどき疲れるんだよなぁ。



音楽室に着き、ドアを開けてみたが、そこには誰もいない。
あれ?今日は合唱部休みかなぁ。。と、

ドカッ!!

突然、背後から強烈な膝カックンを食らってオレはその場に突っ伏した。
誰かが背中に乗って両手を後ろで押さえられ、頭を床に押しつけられる。
「だれれすか?」
「うぅ…」
「なんの騒ぎやぁ!」と、奥から誰かが出てきた。
「しんぬーしゃれす!」
「…侵入者て、のの、あんたが鍵し忘れたんやろ?」
「…あ、そうれした、ごめんれす」
「ホンマに使えんなぁ」
と言ってその子はオレの髪の毛をつかんで顔を上げさせる。
「なんやぁ、里沙ちゃんの兄ちゃんやないか!」
「か、加護ちゃん!」
「里沙ちゃんのお兄ちゃん!?」
「加護ちゃん、これはどういうことだよっ!」
「…のの、離してやりぃ」と言って頭を抱える。
辻ちゃんが背中をどいてくれてやっと自由になれた。
「…はぁ、痛かった。…二人とも何やってんのさ?」
「ひみつれす」
「のの、これ以上邪魔が入らんよう、さっさと鍵しめろや」
「あい」と言って辻ちゃんがドアの鍵を閉める。
 

241 :サボリン:2003/10/25(土) 19:09
 
「仕方ない、兄さんにも手伝ってもらおか
 兄さんには借りもあるし、分け前ははずむで」
「な、なんの話だよ」
「詳しい話はタカハシが帰って来てからや」
と、ドアをコンコンとノックする音。
「タカハシ!」と加護ちゃんが言うと
「え、笑顔汚い」という声がドアの向こうからする。
「加護亜依!」
「ハゲ、ハゲ…激しくかわいい!」
「…よし、入れや」と言って加護ちゃんが鍵を開ける。
と、ドアを開けて愛ちゃんが入ってきた。
「遅いやねーか、タカハシ!」
「すんません」
「首尾は?」
「へぇ、なんとか」
「ブツは?」
「へぇ、ここに」
と言って愛ちゃんはアタッシュケースを加護ちゃんに手渡した。
「ようやった」
と加護ちゃんがアタッシュケースを開けると
中には白い粉が入ったビニール袋がびっしりと。。
「のの、準備せえ!」
「…あい、…どんくらいで試すんれすか?」
「これや」と言って加護ちゃんは右手で5本指を立てる。
「…ご、五百れすか?…大丈夫れすか?」
「アホ、うちをなめんなよ、グラム打ったって死にゃせんわ!」
「……あい、わかりますた」
辻ちゃんは袋を一つとって窓際で試験管をいじりだした。
 

242 :サボリン:2003/10/25(土) 19:10
 
「か、加護ちゃん…これって」
「ヒロポンや、…うちの友達にミカってメリケン人がおっての
 そいつがダニエルっつー兄弟の腹切って、中に詰めて運んで来たんや
 …それが不幸な事故でのぅ、腹ん中の袋の一つが割れてしまっての
 あと少しってところでダニエルは血の涙を流して逝っちまったんや
 ミカはショックで稼業から足を洗う決心をしたんやが…
 上から認められそうもなくてのう、悩んでおったんや、
 そこでうちがブツを安う引き受けるかわりに、ミカを逃がしてやったんや」
「……」
「とゆうても、うちにだってこんな大量なブツ、
 さばききれるはずあらへん、んで、これから斉藤さんつー
 ここいらの元締めにまとめて引き取ってもらうところや
 でも相手が斉藤さんやからなぁ…下手なブツ納めたら首が飛ぶ
 つーことで今からうちが直々に純度の鑑定とくらぁ」
「あいぼん、準備できたのれす」と言って辻ちゃんが注射器を差し出す。
「ちょちょ、ちょっと加護ちゃん、高校生がいけないよ!」
「兄さんは黙っててもらおうかの!
 うちもここが勝負時や、
 コイツで儲けて父ちゃんをムショから出して
 ののと一緒に高飛びや!」
と言って右肩を出して紐を肩に巻き始めた。
脇の下の方には青い痣が見えた。
「くそぅ、しばらくやってなくて太っちまったからなァ
 血管が出てこねぇ、タカハシ!手伝えや!」
「へぇ」と言って愛ちゃんが加護ちゃんの肩を強く縛る。
「タカハシ、覚えとくとええで、
 夏も長袖着るような恥ずかしいマネしとうなかったら
 こうやって脇の下から入れるんや」
「へぇ」

「ほな、イクでぇ!」
 

243 :サボリン:2003/10/25(土) 19:11
 
 
 
ぷすぅぅ

勢いよく加護ちゃんが注射器を刺した。

・・

・・・

「…ぅくはッッ! ……うっ…コイツはぁ!」

ドクッドクッ!

と目を見開き痙攣しながら加護ちゃんはフラフラと立ち上がり、
「じょ、上物だぜぇ…」と言って白目をむきながら
グシャっとワカメみたいにその場に崩れ落ちた。。
「お、おい、大丈夫かよっ!」
辻ちゃんが加護ちゃんを抱きかかえてまぶたを開き
ペンライトで瞳孔を確認していた。
「…大丈夫れす」
と、スタッといきなり加護ちゃんが立ち上がり、
「ポルァ!タカハシ!
 うちのアイブチどこや、どこへやったんや!」
と愛ちゃんの襟首をつかんで頭をガコガコ前後に振りはじめた。
「知らんです、やめてください、加護さん!」
加護ちゃんは襟首をつかんだまま黒板まで愛ちゃんを引きずって
愛ちゃんの頭を黒板にドカドカッと何度も叩きつけていた。
「か、加護さん、や、やめれぇ」とうずくまる愛ちゃん、
「ポルァ、ポルァ!」バスッ、バスッ!
と加護ちゃんは今度は愛ちゃんの頭に手刀をあびせていた。
「ウソつくなや、タカハシ、ポルァ、ポルァ!」バスッバスッ!
「加護ちゃん!!」オレは背後から加護ちゃんを押さえつけた。
 

244 :サボリン:2003/10/25(土) 19:11
 
「はなせぇ、エロ親父!」
意外にに力は弱かったので両腕を背中にまわして押さえつけた。
「…ちきしょう、好きにしやがれっ!
 いつかぶっ殺してやるからなぁ!」
そう言いながら加護ちゃんは白目をむいて
よだれをだら〜っと愛ちゃんの頬に垂らしていた。と、
「ははっ、タカハシ!
 おまえ、ザーメンまみれやでっ!
 誰に姦られたんだぁ、ケケッ、この肉便器ィ!、ざまぁ見ろ!」
と言って今度はケタケタ笑い始めた。
「ちょっと、辻ちゃん、どうすンだよぉ!」
「仕方ないれすね、とりあえずコレで縛っちゃってくらはい」
と言ってガムテープを渡されたので、両手を背中の方で縛った。
「ふう、しばらくやってなかったんで強すぎたみたいれすね
 とりあえずヘロインで中和させますか」
と言ってまた試験管をいじりだした。
「のの〜! 助けてくれェ!
 ミミズや、ミミズだらけやぁ!
 なんなこの汚い部屋はミミズだらけやないかぁ!
 うわぁ! うちのヘソからミミズが出てくるでぇ!
 助けてェ! のの〜! 助けてェ!」
と縛られた加護ちゃんが涙を流して叫んでいる。
「もう、うるさいれすね、これでおとなしくさせてあげるのれす」
「ちょっと、辻さん、ヘロイン打つ気ですか?」
と愛ちゃんが起きあがって話しかけてきた。
「そうれす、アップ系はダウン系で中和させるのが基本れす」
「な、何言ってんですか!
 そんなことやったら死にますよ!」
「へ? のんはいつもこうしてあいぼんを直してきたれすよ?」
「アップ系とダウン系同時使用はマジ危険ですよ
 そんなことやってるから加護さんの耐性が強くなっちゃったんですよ!」
「そ、そうなのれすか?」
「こういうときはセルシンでも打っときゃいいんですよ、はい」
と言って愛ちゃんは薬の瓶を差し出した。
「く、くわしいんれすね、愛ちゃん
 …のんはあいぼんのあいぼー失格れす」
と言って辻ちゃんはまた試験管をいじりだした。
 

245 :サボリン:2003/10/25(土) 19:12
 
「ホントに効くんれしょうか?」
「大丈夫だと思いますよ、さぁ」
と言って愛ちゃんが加護ちゃんの腕をつかんで紐で縛り始めた。
「な、なにするんや!うちはハムちゃうで!
 うちは贅肉の塊や、うちを食ってもうまないで!」
「じゃ、いくのれす」
と言って辻ちゃんは注射器を加護ちゃんの腕に刺した。と、

「はうぅぅ〜」

と言って加護ちゃんは瞼を閉じて眠ってしまった。

「加護さんだったら4、5時間で回復するでしょう
 約束は何時なんですか?」
「たしか、22時れす」
「じゃ、大丈夫ですね、ちょっと休憩にしましょうか」
「そ、そうれすね、のんは腹がへったのれす」
「そうですね、ちょっと早いですけど腹ごしらえしときますか」
「あい」
「どうしましょうか、加護さんはここに置いて鍵かけとけば
 大丈夫だと思うんですけど〜、先輩なに食べたいですか?」




1 「じゃ、みんなでマックにでも行こうか」
2 「じゃ、みんなで吉野家にでも行こうか」
3 「加護ちゃんが心配だよ、オレがコンビニで弁当買ってくるよ」
 

246 :名無し娘。:2003/10/25(土) 22:23
1

247 :名無し娘。:2003/10/25(土) 22:42
おいおい1で

248 :名無し娘。:2003/10/25(土) 23:36
2で大盛りねぎだくギョク。

249 :名無し娘。:2003/10/26(日) 03:17
>>248
2で加護同

250 :名無し娘。:2003/10/26(日) 05:01
2で並51杯

251 :名無し娘。:2003/10/26(日) 05:40
3でこのまま加護ちゃんを。。。

252 :名無し娘。:2003/10/26(日) 13:41
2で馴れ合い禁止。

253 :サボリン:2003/10/27(月) 19:08

「じゃ、みんなで吉野家にでも行こうか」
「いいれすね、吉野家は安くてうまいのれす」
「そうですね、じゃ、吉野家にしましょうか」

音楽室に鍵をかけて3人で近くの吉野家に向かった。


ポチ、カラカラッ〜
「いらっしゃいませ〜、お好きなお席にどうぞ〜」
着いてみると、平日の午後4時過ぎで店内は殺伐としていた。
「よかったね、すいてて」
とオレはカウンターの奥の席に座った。
が、愛ちゃんは無言で席を一つ空けてオレの隣の隣の席に座った。
辻ちゃんもおもむろに愛ちゃんの隣の隣の席に無言で座る。
・・あ、せっかくすいてるんだから広く座れた方がいいのかな。。
「何にしようかなぁ、愛ちゃんは?」
と語りかけたが、愛ちゃんは下の方を向いたまま返事をしない。
辻ちゃんも無言でジャンプを読んでいる。…二人ともどうしたんだろう?
すると店員が水を持ってきて「ご注文はお決まりですか」と聞いてくる。
「じゃ、オレは牛鮭定食で」
「プッ」と愛ちゃんの笑い声。。ん?何がおかしいんだ?
「大盛り・ネギダク・ギョクで」と愛ちゃんが注文した。
「プッ」と今度は辻ちゃんの笑い声。。
「並、…二つ。」と辻ちゃんが二本指を立てて注文し、愛ちゃんを見返す。
「…くっ」と愛ちゃんは唇を噛んで悔しがっているようだ。
・・しばらくたっても二人ともまったくしゃべろうとはしない。
 

254 :サボリン:2003/10/27(月) 19:08
 
「並二つ、お待たせしましたぁ」と、
最後に頼んだのに、辻ちゃんの注文が先に来た。
「どうも〜、あ、すいません、お茶キボンヌ」「はいただ今」
辻ちゃんはまた無言で愛ちゃんを見返し、一人でガツガツ食べ始めた。
おいおい、せっかくみんなで来たのに一人で食べるなよ。。
と、愛ちゃんの大盛りが来て、これまた愛ちゃんも無言で食べ始めた。
・・うむぅ、二人にとって吉野家は神聖な場所なのかもしれない。
しばらくしてオレの牛鮭定食が来た。。オレも黙って食うことにするか。
と、一人でもぐもぐ食べながら店内を見ていると、
奥のカウンターにうちの制服を着た女の子が一人、黙々と食っていた。
後ろ姿で顔は見えないが、、最近は女子高生でも一人で吉野家にくるんだなぁ。
と、「おかんじょ〜」と言って女の子が立ち上がる。
どこかで聴いた声だなと思っていると、
ふと女の子が振り返り、目が合ってしまった。
「い、石川さん!」
「あっ、□□くん!」
と、急に石川さんは頬を赤くして下を向いてしまった。
「やだ、梨華、こんなとこ見られて…」
「いや、別に気にしないでよ、そうだ今日は悪かったね…」
「…梨華、梨華、恥ずかしい〜!」と石川さんは走り出して店を出て行った。
「あ、石川さ〜ん!」
「あ、コラ!食い逃げだ!!」
と言って店員がカウンターから出てきて石川さんを追っかけようとする。
「すいません、あの子僕の友達なんです、僕が払いますから!」
オレはとっさに店員の腕をつかんで言った。
「あ、そうだったんですかぁ、すみません、失礼しますた」
「…食い逃げはよくないれすなぁ」と辻ちゃん。
「…ですなぁ」と愛ちゃん。
 

255 :サボリン:2003/10/27(月) 19:09
 
しばらくしてみんな食べ終わった頃、
ドアの外にまたもや石川さんの姿が見える。。
こっちを見てもじもじ立っている。
お勘定を忘れたのを思い出して戻ってきたのかな。と、
「あ、食い逃げ梨華ちゃんれす!」と言って辻ちゃんが走り出し、
「ビーナス姉さん、食い逃げだちかんぞよっ!!」
と言って愛ちゃんまで走り出して店を出て行ってしまった。
外では石川さんが辻ちゃんに追われながら必死に横断歩道を渡っていた。
「おい、おまえら、待て!」
と止めようとしたが時は既に遅く、オレは店員に腕をつかまれていた。
「お友達、ですね?」
「…はい、そうです」
「えー、並二つ、大盛り二つ、牛鮭定食一つ、卵二つ、
 お会計2030円になりまーす」
「…あ、はい、じゃ、これで」
「2030円ちょうど頂きます。ありがとうございました〜またお越し下さ〜」

カラカラッ〜
「ちくしょう、、アイツら、つるんでンのかぁ!」
オレは辺りを走り回って探したが三人の姿はどこにも見えなかった。
・・学校に帰ったのかなぁ。。
学校に帰り音楽室に向かったが音楽室はまだ鍵がかかっていた。
「どこいったんだよぉ、みんなぁ」
オレは暗くなりはじめた廊下でドアに寄っかかって座った。
加護ちゃんがこのドアの向こうで泡拭いてぶっ倒れてるってのに、
気楽なもんだ。。と、プルルゥと携帯が鳴る。カチャ
「あ、□□くん、梨華です」
「あ、石川さん、今どこ?他の二人は?」
「今、駅前のドトールのそば、のんちゃんがいぢめるの、助けて〜」
「わかった、とりあえずそっち行くから待ってて」プツッ
オレは急いで走って駅前に向かった。
・・あれ?石川さん、オレの携帯、なんで知ってんだ?
ま、いいか。。ハァ、ハァ。
 

256 :サボリン:2003/10/27(月) 19:10
 
…ふう。
ドトールの前に着くが石川さんの姿はどこにも見えない。
「・・・ったく、なんだよ、もう疲れた!」
と、ドトールの中をガラス越しにのぞいてみる、、
おい、三人が楽しく談笑してコーヒー飲んでんじゃねーか!!
「おまえらッ!ふざけんなっ!」とオレは店の中に入っていった。
「プハーッ、やっぱし臭い牛飯の後はドトールに限るのれす」
「□□く〜ん、二人が梨華のこと黒い黒いっていぢめるのよ〜」
「黒いもんは黒いんですからしょうがないっすよねぇ、先輩」
「・・・おまいら、、なにやってンだよォ!
 加護ちゃんが倒れてるっつーのに緊張感ねーなッ!
 しかも、これからヤヴァイ取引があるんだろォ!」
「…のんは、のんは、き、キンチョールに耐えあれずに
 普段飲まないカフェモカなんて飲んじゃってるんれす!
 この苦しみが、この苦しみがおにーさんにはわかりれすまい!」
と辻ちゃんが唇をゆがませて顔を近づけてくる。
「うっ、わ、わかんねーよ、いいからさっきの金はらえよ」
「まぁ、おにーさん、コーシーでも飲んで落ち着くんれす
 あ、注文のついでにアイスロイヤーミルクテーとミラノサンドCィ、
 追加おながいするれす!」
「まだ食うのかよっ!…つーか、あとでちゃんと金払えよ」
「金、金、うるさい人れすね、今回のがうまくいけば、
 コーシーなんて胃に穴が開くほど飲めますれすよ
 それよりアイスロイヤーミルクテーとミラノサンドCィ、
 追加おながいするれすよっ!」
「……はいはい、わかりますたよー」とオレは注文に向かう。
 

257 :サボリン:2003/10/27(月) 19:11
 
俺が注文を終えてコーヒーとミルクティーを持って席に戻ると
三人がなにやらもめている。
「ねーねー、□□く〜ん、取引ってどういうこと〜」と石川さんがきいてきた。
「え、それは…」
「ったく、おにーさんのせいで梨華ちゃんにまで
 知られてしまったのれす、どーしてくれるんれすか!?」
・・・マズイ、さっき、うっかり口をすべらしちゃったなぁ。。
「…いや、なんでもないって、
 えっと、そう、辻ちゃんとさ市場の見学にでも行こうかなって話だよ」
「え、そうなの?シャブって市場で取引されてるんだ〜」
「うん、そうなんだ、最近は規制も緩くなってきてね〜
 って辻ちゃん!!オメーが全部話してんじゃねーかよっ!!」
「のんは詰問に弱いんれす…」
「アイスロイヤルミルクティーとご一緒に
 ミラノサンドCをご注文のお客様〜お待たせしました〜」
「あ、でけたみたいれす」と言って辻ちゃんはすばやく席を離れる。
「ね〜、梨華も一緒に連れてってよ〜」
「石川さーん…、どこまで聞いたのか知らないけど危険だって!」
「梨華だけのけものなんて、つまんな〜い」
「あ、それより、矢口セン…真理男はどうした?」
「真理男くんならちゃんと中澤先生の家に届けたわよ」
「…そう、良かった」

すぐに辻ちゃんが食いながら戻ってきた。
「ひょふかないからひかちゃんもひっちょにつれれりくのれす」
「だーっ! 食うかしゃべるか、どっちかにしる!
 ただでさえ舌足らずなのにわけわかんねーだろ!」
と言うと、辻ちゃんはおとなしくなって黙ってガツガツ食い始めた。
「ね〜、のんちゃんもああ言ってることだし、梨華も連れてってよ〜」
「…つーか、オレに言われても、、」と愛ちゃんに目線をずらす。
「あっしはどっちでもええんですけど、
 ビーナス姉さんが騒ぎ出してオオゴトになっても困りますよねぇ…」
「うにゅう…」




1 石川さんも一緒に連れて行く
2 危険な目に遭わすことはできない。説得して帰らせる。
 

258 :名無し娘。:2003/10/27(月) 19:13
1でさらに混乱させよう

259 :名無し娘。:2003/10/28(火) 10:19
1だな

260 :名無し娘。:2003/10/28(火) 22:57
1

261 :名無し娘。:2003/10/29(水) 21:22
1だろ

262 :名無し娘。:2003/10/30(木) 18:20
1だな

263 :名無し娘。:2003/10/31(金) 00:34
2?

264 :名無し娘。:2003/11/06(木) 18:45
1で

265 :サボリン:2003/11/06(木) 23:35
 
ここで騒がれても困るな。
「しょうがない、石川さんも連れて行くか」
「やったー」

その後、2、3時間ドトールでくっちゃべってから学校に向かった。
着いてみると、もう午後9時過ぎで学校は真っ暗だった。
裏口から校舎に入って音楽室に向かうと、突然ライトを照らされ
「君たち〜、何やってるんだ〜、こんな時間にィ!」
と警備員に見つかってしまった。すかさず辻ちゃんが
「てりゃぁ!」
と警備員に跳び蹴りを食らわせたのでその場は何とかやり過ごせた。


ほどなく音楽室に着き、ドアを開けたがそこには加護ちゃんの姿が見えない。

「加護ちゃん?どこいったの?」
4人は音楽室に入って恐る恐る辺りを探した。

すると、
「キャァア!」
愛ちゃんの叫び声。
「オラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラ!!」バスッバスッ!
と、加護ちゃんが愛ちゃんの背後から頭を抱えて手刀を浴びせていた。
「あいぼん、まだ戻ってないんれすか!?」
「なに言うてんのや、のの!うちはこの通り全快やで〜
 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」バスッバスッ!
「や、やめれぇ」と頭を抱えてしゃがみ込む愛ちゃん。
「なんかさっきとあんまりかわんねーようにみえるのれす」
「なに言うてんのや!うちのこの見事な手刀が見えんのかァ!
 ほれェ、オラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラァ!!」
「あぁ〜、わかったからやめるのれす!!
 愛ちゃんがリアルに逝っちゃうのれす!!」
と辻ちゃんが加護ちゃんの手をつかんだ。
 

266 :サボリン:2003/11/06(木) 23:36
 
「わかりますた、戻ってきたか確かめるために
 のんと一緒にいつものうしろゆびさされ組ごっこをやるのれす」
「ええで〜望むところや!」
と言って加護ちゃんと辻ちゃんが並んで立ち上がる。
「ほな、振り付きでいこか
 ラァ〜ラ、ラブミ〜 うっしィろゆぅびィ〜
 って、のの! うちはデブやからうしろ指は無理やってあれほど!!」
と加護ちゃんが辻ちゃんの襟首をつかむ。
「うぅ、よかったれす、戻ってきたみたいれすね」
「あたりまえや、さっさと準備せー、時間もせまっとるで〜」
「あい!」
「って、のの! なんやこの黒んぼはァ!」
「あ、おにーさんがペラペラしゃべってばれちゃったんで
 しょーがねーからつれてきたのれす」
「なんやてー、兄さん、偉いことしくさってくれたなァ」
「違うって、辻ちゃんがほとんどしゃべっちゃったんだよ!」
「えへ、あいぼん、梨華も一緒に連れてってね」
「…黒さを利用して闇に紛れるとはなかなかやるやないか
 仕方あらへん、一緒に来ィ、人身御供に使ってやるわ!
 そんかわり分け前は兄さんの分から引かせてもらうでェ」
「やったー、梨華、嬉しみ〜」
「ほな、行くで〜」
と加護ちゃんの号令で4人は音楽室を出た。
 

267 :サボリン:2003/11/06(木) 23:36
 
 
 
学校を出て駅に向かい、地下鉄を乗り継いで30分、
どうやら目的のビルについたらしい。
ビルの前にメガネをかけた細身の女が立っていた。
「ジャストですね、どうぞこちらに」
女に案内されてエレベーターに乗り、地下2階にたどり着いた。
と、女がなにやら操作をし、エレベーターはさらに下に向かって動き始めた。
しばらくしてエレベーターが止まり、ドアが開くと、
そこは地下とは思えないほど明るい、白い廊下が続いていた。
「どうぞ、こちらです」
と案内された部屋に入るとそこも真っ白な部屋で薄気味悪かった。
メガネの女は部屋のすみで立ったまま黙っている。
「ははっ、座り心地のええソファーや」
と言って加護ちゃんがソファに座って
「黒んぼ、オマエも突っ立ってると黒さが目立つから座れや」
「なによ〜、黒んぼ黒んぼ言わないでよ〜」
と言って石川さんも座ったのでオレと辻ちゃんもソファに座った。

と、ドアが開いて金髪のケバイ女とメッシュの短髪の女が現れた。
「村さん、ご苦労」と金髪。
「はっ」
「よォ!ハゲ、久しぶりだなァ」と金髪。
「おう、斉藤ゥ、変わりないかァ」
「まあな、ってハゲ、オマエなにぞろぞろ連れて来てんだよ」
「はは、悪いな、うちも食われちゃかなわんきに
 さすがのアンタも4人も食ったりせーへんやろ」
「ふっ、ま、ほざいてろ、で、ブツは?」
「これれす」と言って辻ちゃんが持っていたアタッシュケースを差し出す。
「ほう」と言って金髪がケースを開き、中身を確かめる。
「村さん、頼むわ」と言って袋を一つメガネに渡す。
「はっ」と言ってメガネが部屋を出て行く。
 

268 :サボリン:2003/11/06(木) 23:37
 
「ハゲ、随分と鼻息が荒ェじゃねーか
 あんまり気張ると禿げるぞハゲ!」
と金髪が対面のソファに座ってタバコをふかし始める。
「はは、斉藤ゥ、アンタもシャブシャブほどほどにせーへんと
 気ィつけーな、歯茎の色が悪いで〜」
「ふっ、余計なお世話じゃあ」プカーッ
なんて談笑をしてると、ドアを開けてメガネが入ってきた。
「村さん、どうだった?」
「かなりの上物です」
「…そうか、で、ハゲ、いくらいるんじゃ?」
「7キロはあるはずや…6000でどうや?」
「…ハゲ、オマエなぁ、今時シャブなんて流行らねェんだよ
 おまけに北からヨボ共がルール無視して自殺覚悟で特攻してきよる
 まぁ、3000がいいところじゃ」
「っ、ふざけンなぁ! 末端4億はいっとるハズやぁ
 買いたたくのもええ加減にせェ!」
「こんアフォがぁ! 悔しかったら
 どっか余所のシマ行って隠れてチビチビ足で売ってこんかい、ハゲ!」
「…うぅ、せやかてコイツはチョンの持ってくるカスとはちゃうで!
 5000や、斉藤ゥ!それ以上はまけられへん!!」
「…ハゲ、それ以上ゴネると頭剃って
 丸紅の加藤と一緒に東京湾沈めっぞゴルァ!
 3000っつったら3000じゃあ!」

なんて二人が言い合っていると
「なにをもめていらっしゃるの?」
と聞き覚えのある声が奥からする。
 

269 :サボリン:2003/11/06(木) 23:38
 
「はっ」と急に金髪の目つきが変わる。
と、奥の扉が開き、
「アッチ熱ッ パティ死ね 摂氏あぼ〜ん!
 プチプチ 狂わす俺 We!ジュテーム!
 あ、ビラビラこーまん垂れブッ!」
と言いながら見覚えのある女の子が車椅子にひかれてやってきた。
「あ…亜弥様!」
「ま、まつうらさん!!」
「あら、○○くん、ご機嫌よう」
「亜弥様、お知り合いで?」と金髪。
「ええ、まぁ、で、なにをもめてるの?」
「すんません、チンピラが丸紅よろしくゴネてるんでさ
 これから加藤と一緒に東京湾沈めてきますんで
 亜弥様にご足労頂かなくとも…」
「…面白いじゃないですか、加護さんとおっしゃいましたね
 おいくらご所望ですか?」
「ご、五千万や!」
「亜弥様、こんなチンピラお相手なさらずとも…」
「斉藤さん、こちらの方は、たんの手の者ですよ」
「えっ、たんとおっしゃいますと、あの、み、帝の!?」
「帝!?」とメッシュの短髪が目を丸くする。
「み、帝が?」とメガネ。
「…たんはもはや帝ではありません、私たちの敵です!」
「す、すみません、み…藤本が生きていたとは…」
「まあ、その話は後でしましょう
 加護さん、では5000万差し上げましょう」
「ほんまか?」
「ただ、よろしかったら
 私たちの仲間と腕相撲で勝負をしませんか?」
「な、なんやて?」
「そちらの4人とこちらの4人で勝ち抜き戦です
 買ったら7000万差し上げましょう、負けたら3000万で我慢してもらいます」
「うぅ」
「亜弥様、お戯れを…」
「面白いじゃないですか、ねぇ、みうな」
「はい、さすがは亜弥様」と車椅子を押していた女の子が答える。
「どうしますか、加護さん?」
「せやな〜、どうしよか…うぅ〜ん、
 …兄さん、どうしよか?」
「オレにきかれてもなぁ……」




1 女相手だろ、俺一人でも勝ち抜けるさ、勝負しる!!
2 5000万くれるんだからそれでいいじゃん、勝負しないで早く帰ろう!
 

270 :サボリン:2003/11/06(木) 23:47
↑を書いてる間に問題解決。
丸紅の加藤様ご迷惑をおかけしました。
東京湾に沈まなくてもいいです。
丸紅は神です。2万PCゲッツです。

271 :名無し娘。:2003/11/07(金) 02:46
本当に買えるのかねぇ2で

272 :名無し娘。:2003/11/07(金) 02:53
>>270
  お  ま  え  だ  っ  た  の  か

2で

273 :名無し娘。:2003/11/07(金) 03:03
作者は無職?学生?2で

274 :名無し娘。:2003/11/08(土) 00:56
1だろ

275 :名無し娘。:2003/11/09(日) 02:38
2

276 :サボリン:2003/11/09(日) 10:57
 
「引き際が大切だと思うよ、加護ちゃん」

「…うーん、そやな〜、…無理はあかんな
 …姉さん、5000万で頼むわ」
「そうですか、…残念ですが、賢明な選択でしょう
 人にはそれぞれ器というものがあります
 自分の器を知っているあなたは賢いですね」
「……」
「斉藤さん、用意してあげなさい」
「…はい」と言って金髪が電話をかける。
「シヴァ、5000万で話がついた、用意してくれ
 ああ…なに! …そうか、わかった、じゃ、頼む」ガチャ
「…亜弥様、丸紅の桑原が、動いたそうです」
「そうですか、やはり。。これで万事解決ですね
 加藤さんも命拾いしましたね、良きかな良きかな、
 では、加護さん、失礼〜」
と言うと、みうなという女の子が車椅子の向きを変え、扉から出て行こうとする。
「…あ、ああ、姉さん、おおきに」
「ふふ、斉藤さん、加護さん達を丁重にお送りしなさい」
「は、はい」パタン
「…ふん、ハゲ、亜弥様に気に入られたようだな」
「…斉藤、あの姉さんがアンタの飼い主かいな?」
「高貴なる亜弥様を気安く姉さんなんて呼ぶんじゃねぇ!
 あのお方が動いたら、オマエが地球の裏側逃げようと瞬殺じゃあ!」
「ふん、そーゆーんなら、やんごとなき亜弥様のご命令だ
 さっさと5000万用意して車だせや、斉藤ゥ」
「…チッ、今度会うときは死ぬときだと思えよ、ハゲ」
 

277 :サボリン:2003/11/09(日) 10:57
 
なんて二人がじゃれあってると、
ドアが開いてウサギ顔のかわいい女の子が札束をトレイに乗せて運んできた。
「うひゃあ!金や金や!
 のの、見てみィ!」と言って加護ちゃんが札束を数え出す。
「あいぼん、やったのれす!」と言って辻ちゃんも必死に数えてる。
「ちゃんと数えろや、のの、1枚たりともミスは許さんでぇ!」
「あい!」
「兄さんも黒んぼも手伝え!」
「う、うん」とオレも一緒になって札束を数え出す。と、
「柴ちゃん、…柴ちゃんじゃない?」と石川さんがウサギ顔に話しかける。
「リ、梨華ちゃん! な、なんでこんなところに!?」
「柴ちゃ〜ん! 会いたかったよぉ〜」
と言って石川さんがウサギ顔に抱きつく。
「梨華ちゃん、こんなところでやめてよ」
と柴ちゃんという女の子が顔を赤くする。
「なんじゃ、シヴァ、知り合いか?」と金髪。
「…はい、昔の知り合いで」
「もう、どこいってたのよ〜、心配したんだから!!」
と言いながら石川さんは柴ちゃんの胸に顔をうずめて泣いている。
「シヴァ…どうすればいいか、わかるな?」
「…はい」と言って柴ちゃんは石川さんの肩を持って体を離すと
「梨華ちゃん、僕はもう梨華ちゃんの知ってる僕じゃないんだ
 僕のことは忘れてくれ」と言って
バタン!と素早くドアを開けて出て行ってしまった。
「柴ちゃん!!」
と石川さんが追いかけようとするが、メガネが立ちふさがり
「お友達と一緒にお送りしましょう」と言う。
「柴ちゃん……」
 

278 :サボリン:2003/11/09(日) 10:58
 
しばらくして札束をキッチリと数え終わり、
「おう、黒んぼ、帰るで〜
 なに突っ立ってんだぁ、オマエほんと役立たねェなぁ!」
と加護ちゃんが石川さんのアゴをつかんで舌を出させる。
「うっ、ぇえ〜」
「役に立たねえ黒んぼは舌引っこ抜くで〜ハハハ」
と言って笑う。随分と機嫌がいいようだ。

「では、お送りいたしましょう」とメガネがドアを開く。
「ハゲ、またな」と金髪。
「おう、あの世で会おうや、斉藤ゥ!」
白い廊下を通ってエレベータに乗り、地下2階で下ろされた。
向こうから凄いスピードでキキキィィイ!と
シルバーのベンツがやってきてオレたちの前でピタッと止まった。
「マサオさん、お願いします」とメガネ。
「おう」とさっきのメッシュが運転席で言う。
「マサオさん、パレスホテルまで頼むわ」と加護ちゃん。
「おう」
 

279 :サボリン:2003/11/09(日) 10:58
 
マサオさんに送られて4人はパレスホテルについた。
とりあえず飯にすることにして9階のレストランに向かった。
注文を終えワインが運ばれてくると、
「乾杯の前に皇居に向かって敬礼や!」
と言って加護ちゃんは目つきを変え、手首を伸ばして妖しげな舞を始めた。
窓の外に見える皇居の暗い森をバックに加護ちゃんの舞は美しかった。
「…陛下ァ!」最後に最敬礼を終え、舞が終了したようだ。
「…さ、うちらの門出に…乾杯や!」
「カンパイれす!」辻ちゃんは心なしか目に涙を溜めているようだ。
「か、乾杯…」
「…乾杯」石川さんは少し元気がないようだ。
「ほれ、黒んぼ、どうした?
 今日はうちのおごりやぁ、死ぬほど食えや!」
と言って加護ちゃんは上機嫌にワインを飲んでいた。
「…柴ちゃん、…もう知らない!」
そう言って石川さんはワインを一気飲みしだした。
「おい、石川さん、大丈夫?ペース早いよ」
「プハーッ、こんくらい、たいしたことないよ〜」と顔を近づけてくる。
「石川さん、近いよ、近い!!」
するとさっき単品で注文しまくった料理が運ばれてきて
辻ちゃんが黙々とガツガツ食い始めた。
…せっかくのフランス料理なんだから、もうちょっと味わって食べろよなぁ。
「うりぃぃ!もう一杯!」
「その意気や、黒、ガンガン飲めや!」
と言って加護ちゃんが石川さんにワインをタプタプと注ぐ。
「うりぃぃ!」と言って石川さんはまた一気飲みを始めたが
全部飲み終わらないうちにグラスを置いて、「うゅ」と倒れて眠ってしまった。
「ハハハ、その意気や、黒んぼ!」
そう言ってケタケタ笑う加護ちゃんだったが、
5千万の入ったバックの取っ手だけは常にガッシリと握っていた。。
 

280 :サボリン:2003/11/09(日) 10:58
 
結局、酔いつぶれた石川さんをオレが背負って
フラフラの辻ちゃんと加護ちゃんを連れてなんとか部屋までたどり着いた。
……だいたいオレはなんでこのメンツと
パレスホテル泊まることになってるんだ??
石川さんをベッドに下ろしたが、まだ「うぅ〜」と言って苦しんでる。
「兄さん、ブラジャーはずしてやりぃ」
そう言って加護ちゃんは自分のベッドに潜り込み、
辻ちゃんと一緒にいびきをたてて眠ってしまった。
「うにゅう…」
仕方なく石川さんをいったん起きあがらせて上着のボタンをはずし
背中に手をまわしてフックをはずした。と、
「うぅ…柴ちゃん…」と石川さんに抱きつかれて仰向けに倒されてしまった。
…オレも酔いが回ってきたのか、上に乗った石川さんをどける気力がなくなり
そのまま、石川さんの匂いに包まれて眠りに落ちた。。
 
 

281 :サボリン:2003/11/09(日) 11:00
 




5日目。


ふと、人の気配がして目が覚めた。
起きあがって辺りを見回してみるが誰もいない。気のせいか。
カーテンの向こうが白み始めている。6時頃だろうか。
石川さんが隣ですやすや眠っている。かわいい寝顔だ。
再びベッドに潜りながら、はだけた布団を石川さんにかけてあげる。
石川さんと向き合って目を閉じると、後ろから
「先輩…」という声がする。
ビックリして振り返ると愛ちゃんが寝ていた。
「愛ちゃ…」
「シーッ!!」と指で唇を押さえられた。
愛ちゃんはなぜか、黒のタンクトップに黒の長い手袋をはめていていた。
かわいい・・って、そんなことより、
あれから愛ちゃんのことすっかり忘れていたことに気づいた。。
「先輩、ちょっと待ってて下さいね」 ニコッと笑うと
愛ちゃんは天井につるされた紐をよじ登って宙に浮いて移動し始めた。
巧みに紐を操って加護ちゃんの真上でピタッと止まった。
加護ちゃんは例のバッグを抱きしめたまま、布団をかけずに熟睡していた。
愛ちゃんは加護ちゃんの鼻の周りに白い布を置いてから
ツンツンと腕をつつき、ゆっくりとバッグに絡まった腕をはずし、
そっーとバッグを奪ってこっちに戻ってきた。
「先輩、成功です」と愛ちゃんがささやく。
「あわわ、愛ちゃん、ヤヴァイって、殺されるよ…」
「あっしはもう、加護さんにハブられたりこき使われたりするのは嫌なんです
 先輩、あっしと一緒に逃げましょうよ」
「に、逃げるってどこに?」
「うぅ〜ん」と石川さんがムズってる。
すかさず愛ちゃんが白い布を顔にかぶせるとおとなしくなった。
「どっか海外に二人だけで逃げましょう!
 こんな雲に隠れた小さな日本とオサラバして
 どこか南の島で二人だけで暮らしましょうよ!」
「…愛ちゃん」
「先輩、お願い…」




1 わかった、一緒に逃げよう!
2 恐いよ、それにオレには家族もいるし、今の生活も大切だ、ごめん。
 

282 :名無し娘。:2003/11/09(日) 13:03
色んな期待を込めて1

283 :名無し娘。:2003/11/09(日) 13:21


284 :名無し娘。:2003/11/09(日) 17:21
2

285 :名無し娘。:2003/11/09(日) 17:23

  ま  た   丸   紅   か 

2だ

286 :名無し娘。:2003/11/09(日) 20:23
1だ

287 :名無し娘。:2003/11/09(日) 22:20
1で。

288 :名無し娘。:2003/11/09(日) 23:04
1だな。

289 :名無し娘。:2003/11/10(月) 00:18


290 :名無し娘。:2003/11/10(月) 07:43
1しかありえない

291 :サボリン:2003/11/11(火) 17:56
 
「わかった、一緒に逃げよう!」
「…ありがとう、先輩」
愛ちゃんは目に涙を溜めて見つめてくる。
「…さ、行こうか」

オレと愛ちゃんは忍び足で部屋を出て、出口に向かって急いだ。
ホテルを出てからは手をつないで走って東京駅まで向かった。
ふと、思い出した。
「愛ちゃん、海外に逃げるって言ってもオレ、パスポート持ってないよ」
「大丈夫ですよ、先輩、まずは新潟に向かいましょう」
と愛ちゃんは笑って、自販機で切符を買っている。
「さ、先輩、急いで、もうすぐ出ますよ!」
愛ちゃんに引っ張られて新幹線のホームに向かった。
06時08分発 とき301号、…これがオレたちの愛の逃避列車か。。
愛ちゃんが走って先に列車に乗ったが、
絶滅したトキを思いだし、オレは急に恐くなって歩幅を緩めた。
少しだけ不安そうな顔を見せた愛ちゃんとオレとの間に沈黙が流れ、
発車を知らせるアナウンスだけが静かに響いていた。
「愛ちゃん、…大丈夫かな」
「…心配いらないよ、私がいるもん!
 私が全部守ってあげるよ、…守ってあげる!」
そう言って愛ちゃんは満面の笑みを浮かべた。
オレはにわかに暖かな気持ちになって、
列車に飛び乗って愛ちゃんを抱きしめた。
と、プシューッとドアが閉まってゆっくりと列車が走り出した。
愛ちゃんとオレは抱き合いながら朝焼けを浴びる東京の街を黙って眺めた。
あまり顔を近づけすぎたせいか、二人の息でガラスが曇って風景が乱れた。
目的を失った二人の視線が再びお互いの方向を向き、
瞳の中の自分を確かめるように、何度も何度も、キスを交わした。
 

292 :サボリン:2003/11/11(火) 17:57
 
 
君は覚えているかい?
あの時の僕たちは、
お互いの存在を支えあうようにして座っていたね。
僕が上着を肩にかけてあげると、
君はなにも言わず、穏やかに微笑んでくれたんだ。
でも僕は、僕に寄りかかって眠る君の横顔を見ながら、
とても罪深い考えを抱いていたんだ。
このまま君と二人で、永い眠りにつきたいと。

「は〜るっの〜こもれびの〜なかでぇ〜、ってか!
 よ、熱いね、ご両人!!」
いきなり声をかけられ、ビックリして目を開けた。
通路を挟んだ隣の席に小学生くらいのかわいい女の子が座っていた。
「愛の逃避行ってヤツかぁ、うらやまスィ〜」
顔が幼い割になんて口の利き方なんだ。。
二人はまじまじと女の子を見つめた。
「あ、あの〜、なんか用ですか?」
「なんか用ですか、やて、冷たいなぁ
 ウチは一人旅の流れもんや、旅は道連れ世は情け言うやろ
 これもなんかの縁やから仲良うしよやないか」
小学生で一人旅??話し方といい明らかにアヤシイぞこの子は。。
「…先輩、なんかこの子、中澤先生に似てませんか?」
「…そうだね」
ん?言われてみれば、顔つきといい、話し方といいそっくりだ。
20歳くらい若いのをのぞけば。。
「ゆゆたんにもこんくらいかわいいときがあったんだろうね」
「そうですね」
「…もっとも今はああなっちゃったけど」と言うと、
「な、なんやて〜□□ゥ!!
 ああなっちゃったってどうなっちゃった言うねん?あ?」
といきなり女の子が襟首をつかんできた。
「うぅ…ゆゆたん冗談だよ、許して!
 って、おい、アンタ、…ゆゆたんなのか?」
「ウチの顔を見忘れたんかぁ!
 この若くて美しい中澤裕子先生の顔を見忘れたんかぁ!」
と襟首をさらに絞めて頭を前後に振ってくる。
「ちょ、ちょっと待て!
 若いっつーかそれ、子供だぞ!
 どうしちゃったんだよ、ゆゆたん!」
「ウチの願いを神様がきいてくれたんや!
 □□ゥ、これでウチを年増言うヤツはおらへんで!」
「わかったから落ち着いて! 離してよ!」
やっと女の子は襟首を離してくれた。
 

293 :サボリン:2003/11/11(火) 17:58
 
「ハハハ、どうや□□、若いウチは最高やろ!」
・・・ホントに中澤先生なのか?
顔も話し方もそっくりだが、体格や顔つきが明らかに10歳前後だぞ。。
「ワレ、高橋そそのかして、平日からなにやってんねん?」
「ゆゆたん、ホントにゆゆたんなら…矢口先輩はどうした?」
「ヤグチか?ヤグチだったら…」モゾモソ
「ここにいるぜぇ!」
中澤先生のバッグから矢口先輩が出てきた。
「おっは〜、って○○〜、なにやってんのさこんなとこで!」
「うにゅう…どうやら本物みたいだな」
矢口先輩が人形みたいに小さくなったと思ったら
今度は中澤先生が激若返りか。。なんか最近おかしなことが起こりすぎだぞ。
「○○〜、誰この子? おいらのダーリンに手を出すと承知しないぞ!」
と言って矢口先輩は愛ちゃんの膝に乗って髪の毛を引っ張っていた。
「や、やめれぇ〜」
「ちょっと、やめてあげて矢口先輩!」
と言ってオレは矢口先輩を愛ちゃんから離して膝に乗っけた。すると、
「えへ、○○〜、○○も一緒に温泉行こ〜」と抱きついてきた。
「…ゆゆたん、どういうこと?」
「ウチ、今日起きたらこんな体になってるやんか
 こんなんじゃ学校行けへんからヤグチと温泉でも行こか〜思うてな」
・・相変わらず現実感ないな〜。こんな体になったら普通動揺するだろ。
「そうや!、大人が一人はいた方がええ思ってたところやねん
 今日は特別や、ウチが許すから□□も一緒について来ィ!」
「大人って…」
確かにこのメンツだとオレが一番年上に見えるな。。

と、愛ちゃんが立ち上がり、
「コホン、ちょっと失礼」と言ってトイレの方に歩いていった。
「……あ、ごめん、あの子調子悪いみたいなんだ、見てくるね」
そう言って矢口先輩を預けてオレは慌てて愛ちゃんを追いかけた。
案の定トイレの前で愛ちゃんは待っていた。
「先輩!、なんなんですかあの人達は!!」
「なんなんでしょう。。」
「…とにかく、知ってる人に見られちゃまずいですよ
 一刻も早く日本を離れないと、加護さんたちが追ってきます!
 ルートを変えましょう、次の大宮で降りて東北に行きましょう
 …ロシア経由で、、…お金はあるからなんとかなると思います」
「そんなこと言ったって、もうゆゆたんに思いっきり見られてるわけで
 変に逃げたりしたら余計怪しまれると思うけど…」
「…そうかな、、先輩、どうしましょう」



1 「よし、大宮で降りて乗り換えだ」
2 「ここはおとなしく、ゆゆたんたちと温泉に行こう」
 

294 :名無し娘。:2003/11/11(火) 22:34
1でヒョードルの故郷へ

295 :名無し娘。:2003/11/11(火) 23:16
2で

296 :名無し娘。:2003/11/12(水) 20:52
2

297 :名無し娘。:2003/11/12(水) 20:59
2だ<丶`∀´>

298 :名無し狼。:2003/11/12(水) 22:20


299 :名無し娘。:2003/11/13(木) 11:45
1

300 :名無し娘。:2003/11/13(木) 23:46
1

301 :名無し娘。:2003/11/15(土) 02:07
1de

302 :名無し娘。:2003/11/15(土) 11:15
1だす。

303 :名無し娘。:2003/11/15(土) 11:42
1でニキフォロフの故郷へ

304 :名無し娘。:2003/11/15(土) 19:54
1で。エクソダス〜。

305 :名無し娘。:2003/11/15(土) 20:18
2

306 :サボリン:2003/11/16(日) 10:59
 
「ここはおとなしく、ゆゆたんたちと温泉に行こう」
「…そうですね、わかりました
 それじゃ予定通り、新潟ルートでいきましょう
 温泉で気のゆるんだところで、隙を見て逃げましょう」
「…うん」
とりあえず中澤先生について4人で温泉に行くことになった。


さすがに新幹線は速く、雑談の間もなく1時間ちょっとで越後湯沢についた。
「うひゃひゃ〜、東京とは空気がちげーや!」と中澤先生。
「うほほーい、もう山が紅葉してるねえ!」と先生に抱かれた矢口先輩。
「およ?ありゃなんや?『ぽんしゅ館』やて、ヤグっさん、行きまひょか」
「おす、行きましょや、行きましょや」
と、二人はどんどん先に行ってしまった。
「待ってよ、ゆゆたん!」
「ふふ、しょうがない人たちですね」
…あれ?…愛ちゃんも意外に楽しんでるのかもしれないな。。

中澤先生たちの後を追って「ぽんしゅ館」に入ったが、、
うわっ、ヤバイ、名前の通り日本酒がバリバリ置いてある。
「プヒェャ! ええ酒や!」
試飲コーナーで幼児体の中澤先生が思いっきり日本酒を飲んでいた。
「お! 嬢ちゃん、粋だね!」
「おっさん、もうちっと辛口はないかぁ!」
「そんならコイツはどうや、八海醸造の八海山!」
「ん?どれどれ」ズビビビ
「かーっ、切れ味がええのう!」
「嬢ちゃん、通だね!」
「ちょっと、おじさん! 小学生にお酒飲ませないでよ!」
どんどん飲ませそうな勢いだったので慌てて止めに入った。
「お、兄さんもやるかい?」
「なに言ってんですか! 未成年ですから結構です!」
「残念じゃな、それにしてもこの子はええ利き酒師になりそうじゃ
 どうじゃ、わしのとこに預けてみんか?」
「…結構です! ゆゆたん!行くよ!」
オレは中澤先生の手を引っ張って外に出た。
 

307 :サボリン:2003/11/16(日) 11:00
 
「安心せえ、□□、ウチはこんなんじゃ酔わへんで」
「そーゆー問題じゃなくて、今の自分の姿を冷静に考えろよ!」
「ハハハ、大人は朝から酒飲んどったら怒られるけど
 子供は何やっても怒られへんで〜、ええなぁ子供は」
「…うにゅう」
「さ、□□、行くで〜」
「行くで〜」
「行くってどこに?
 よく考えたら温泉ってこんな早くからやってんのか?」
「黙ってついて来ィ!」
「ついて来ィ」
仕方なく中澤先生について行って温泉街をしばらく歩いた。
と、中澤先生が立ち止まる。どうやら目的地らしい。
「湯沢ホテル」か、、結構いい宿だな。
「ここや、□□、今朝『中澤』で予約したからな、
 ワレが先頭に立って行け!」
と言って中澤先生は矢口先輩をバッグにしまい始めた。
「う、うん」とオレは恐る恐る門をくぐった。

「いらっしゃいませ〜」と女将らしき人が出てきた。
「あ、あの今朝予約した、中澤ですけど…」
「お待ちしておりました、こちらへどうぞ」
「こんな朝早うから、すまんな女将、無理言うて」
「い、いいえ〜、お構いなく、平日ですから。。
 …よくできた妹さんですねぇ、ご兄弟でご旅行ですか?」
と女将が宿帳を差し出す。
「え、ええ、まぁ」
中澤○○、愛、裕子、と書く。矢口先輩は…書かなくていいか。
 

308 :サボリン:2003/11/16(日) 11:00
 
部屋に案内されて
「プハー、やっぱ畳はええのう」と中澤先生が横になってはしゃいだ。
「露天風呂の方の鍵はこちらになります。
 ご自由にお使い下さいませ、では失礼します。」
「おお、またな〜」 女将は部屋を出て行った。
「…ゆゆた〜ん、子供のくせに態度でかすぎ」
「かまへん、かまへん、ウチらはお客様やで!」プシュ「プハーッ!」
幼児体でタバコをふかす中澤先生はなんとも退廃的でエロチックだった。
「おいしょ、おいしょ、うん、なかなかいい部屋だね」
と矢口先輩がバッグから出てきた。
「うぃーす、ヤグチ、お疲れん、
 …あ、高橋、お茶頼むわ」
「あ、おいらも」
「…はい」
愛ちゃんが静かにコボコボお茶を入れていると
窓から落ち葉がひらひら舞って落ちてきた。
「…ええ季節やのう」
誰にともなしに中澤先生がつぶやいた。
 
 

309 :サボリン:2003/11/16(日) 11:01
 
しばらくマターリと紅葉を見ながらお茶を飲んだ。
「愛ちゃん、お茶おいしいよ」
「えへ、ありがとうございます」
「おーい、○○〜、この子とはどういう関係なわけ?」と矢口先輩。
「いや、別に…」
「別にってなに?」
「いや、だから…」
「二人とも、青春やのう、ウチの青春もこれからや!
 ん〜さてッ、風呂行こかァ!」と伸びをする。
「ちょっと裕ちゃん、おいらは今…」
「こんなとこまで来て面倒な話すんなや、風呂行こや」
「…う、うん、そうだね」
「高橋も□□も用意せぇ!」
「オレは後でいいよ」
「なんや、せっかくの貸し切り露天風呂やで、
 みんなで入らな面白うないやん」
「え?貸し切り? し、しかも混浴…?」
「なんや、□□が急に乗り気になったぞ、このスケベ!」
「キャハハ、スケベ、スケベ!」
「…なんだよ、そういうわけじゃないよっ、
 いいよ、オレは行かないから!」
「冗談やて、□□、一緒に来ィ!」
「オレは良くても…愛ちゃんとか、どうなわけ?」
「…あっしは別に、、構いませんけど」と、愛ちゃんが顔を赤くする。
「…ど、どうしようかなぁ」




1 「…じゃ、一緒に行くか」
2 「オレは、下でゲームでもやってるよ」
 

310 :名無し娘。:2003/11/16(日) 19:39
2

311 :名無し娘。:2003/11/16(日) 21:18
ONE!

312 :名無し娘。:2003/11/16(日) 21:23
1しかないだろ

313 :名無し娘。:2003/11/16(日) 21:45
2で

314 :名無し娘。:2003/11/16(日) 22:59
やっぱ1でしょう

315 :名無し娘。:2003/11/17(月) 01:51
1だ<丶`∀´>

316 :名無し娘。:2003/11/17(月) 02:36
1以外にありえないかと・・・

317 :名無し娘。:2003/11/17(月) 03:11
1で

318 :名無しさん:2003/11/17(月) 15:39


319 :サボリン:2003/11/18(火) 16:13
 
「…じゃ、一緒に行くか
 …うむ、湯につかっての語り合いも、た、たまにはよかろう」
…どうせみんなタオルで隠すんだろうしな。。
「ハハハ、よし、ほな準備せえ」
「うん…」 とはいえタオルはないから買うしかないし、
浴衣だけ持ってけばいいか。。
と、愛ちゃんが押入の方でなにやら作業をしている。
「…愛ちゃん?」
「先輩、これ…」
「ああ、…うん」
押入の奥の方に例のバッグを隠したようだ。
「なにやっとるんや、高橋、さっさと行くで〜」
「はい!」

風呂場に着いてみるとこぢんまりとした脱衣所があり
その奥が露天風呂で、木の丸い湯船がある。
周りを高い岩に囲まれて外から見えないようになっている。
うまいつくりだな〜と感心していると、
「ほれぇ〜一番やぁ!」
と幼児体の中澤先生が素っ裸で湯船に入っていった。ビシャーン!
「ゆゆたん、先に体洗えよ
 って違う、少しは隠せ!!」
うっわ〜、毛も生えそろわない…完全に、ょぅι゛ょじゃん。
「ずるい〜、おいらも行くぜ〜」と矢口先輩も素っ裸で走って行って
ピチャン!と湯船に飛び込んだ。
「キャ、ヤグチ! 顔にかかったで!
 仕返しや、ほれ」ピチャピチャ!
「キャハハ! って裕ちゃん、…おいらおぼれそう」
「…しょうがないな、ほれ、こっち来ィ」
お湯の中を泳いでなんとか中澤先生の胸までたどり着いたようだ。
・・中澤先生と矢口先輩、ホントに姉妹みたいだな。
・・・それにしても幼児体の中澤先生はかわいいな。10歳当時で比べたら、
もしかしたら愛ちゃんとか石川さんよりかわいかったのかも。。
 

320 :サボリン:2003/11/18(火) 16:13
 
「ほれ、そこのスケベ、覗いてばっかいないで入ってこんか」
「う、うん」準備しようと脱衣所に戻ると
愛ちゃんがバスタオルを巻いて立っていた。
「……」
愛ちゃんは顔を少し赤らめて微笑んだ。
髪の毛を上に上げてお団子をつくって縛っている。
結わえきれなかった後れ毛がセクシーだ。
うーん、やっぱ女の子はこうじゃなくちゃ。

オレも慌てて着替えて風呂場にに向かった。
体を洗って前を隠しながら湯船に入ろうとすると
「なんや、□□、水くさいのう、
 ウチらが裸のつきあいしよ思うてるんに」
「ゆゆたん、子供になったからってオープンすぎ!
 少しは女の子としての恥じらいを持てよ、愛ちゃんみたいに」
そう言ってオレは湯船につかったが、案外湯船が小さくて、
3人が足を伸ばしてつかるとちょうどくらいの大きさだった。
「高橋もなんや、バスタオルぐるぐる巻きにしおって、
 マナー違反やで!」
「だって、先輩の前だから…」
「ハハハ、青春やのう」
なんてしばらく雑談をしていると矢口先輩がのぼせたようで
中澤先生が仕方なく脱衣所に連れて行った。
「ウチももうあがるわ、二人で変なことすんなよ」
「するか!」
「……」
急に取り残されて、話すこともなく二人で並んで外の景色を見ていた。
 

321 :サボリン:2003/11/18(火) 16:14
 
と、岩の向こうから人の手が見える!!
「キャッ、先輩、なにあれ!?」
と愛ちゃんが抱きついてくる。
「な、なんだ?」
と、岩を登ってくる人影が見える。。
「か、加護ちゃん…」「加護さん…」

「おうおう、お熱いことでェ、
 驕るタカハシ、コンニチハ」
そう言って全身を現した加護ちゃんは右手に日本刀を持っていた。
「か、加護ちゃん、お落ち着けっ、話せば、話せばわかる!」
そういう間に愛ちゃんは湯船から出て身構えている。
「先輩、逃げて!!」
「愛ちゃ…」
「あいやァーーーッ!」
逃げる間もなく、加護ちゃんがジャンプして愛ちゃんを刀で斬りつけてきた。
愛ちゃんは素早く上方にジャンプして刀をかわし、ガッ!
と、加護ちゃんの顔面を蹴って、バク宙して華麗に着地した。
「ふぎゃぁあ!」 加護ちゃんが鼻血をブシューっと出して
顔を真っ赤にして倒れていた。
「…タカハシィ、ええ覚悟や」
「あっしはもう、加護さんの言いなりにはならない!」
「…タカハシィ、…死ねや!」と、加護ちゃんが刀で愛ちゃんを突く。
右、左、右、と繰り返される突きをかわしたが、
加護ちゃんが最後の突きから刀を返して下から切り上げてきたので
寸前でよけ損ない、刃先が胸の谷間を通って髪の毛を散らした。
パラッ、パラパラ、と髪の毛が落ちたと思ったら
バスタオルまでも、真ん中からスッと切れて落ちた。
…あ、愛ちゃん、マッパか?と一瞬目をつぶったが、
開けてみると愛ちゃんは黒のビキニの水着を着ていた。。
 

322 :サボリン:2003/11/18(火) 16:15
 
「…こ、こんなこともあろうかと」と顔を赤くする愛ちゃん。
って、恥ずかしがってる場合じゃねーぞ。
壁際に追いつめられてもう逃げ場がない!
「ハハハ、準備がええのう、
 …こっちも遺体処理の準備はできてるでェ、
 未来の夏目雅子のために臓器提供おながいしますッ!」
「加護さん、夏目雅子ひまわり基金はハゲに苦しむ患者に
 カツラを無償貸与してますよ〜」
「そうかぁ、そりゃ助かるわ、って誰がハゲやねん、必要ないわ!」
と言って加護ちゃんは刀をギュッと握って構える。
「タァーカァーハァースィィイ!
 …ハブられ続けて16年、ワレも人様の役に立つときが来たんや、
 ダニエルが待ってるでェエ…安心して逝って来い!!」
と再び斬りつけようとしたとき、
「なんや!なんの騒ぎや!」と浴衣を着て中澤先生(と矢口先輩)が出てきた。
「…っ、なんやこの糞ガキャァ、邪魔するとワレも殺るぞゴルァ!」
「な、なんやて、加護! 教師に向かってなんて口の利き方だ!」
「はぁ?キサン誰やねん、スッ込んでろタコがァ!」
「加護ォ! ウチの顔を見忘れたんかぁ!」
「…だから誰やねん?」
「加護ちゃん、あれ、中澤先生なんだよ…」
「ほう、年増が大手術でもやったんかぁ、
 現代医療も進んだものやのう、ってふざけんなやワレ!」
「な、なんやて! 加護、年増言うたら許さんで!」
と中澤先生が加護ちゃんに近づく。
と、加護ちゃんはスパッっと刀を振り回し、
中澤先生の横の竹の物干し竿を真っ二つに切った。
「ガキはスッ込んでろ言うてんのがわからんかァ」
「…はい、わかりますた。。」
さすがの中澤先生も事態を理解したらしい。
 

323 :サボリン:2003/11/18(火) 16:15
 
と、加護ちゃんに一瞬の隙が出来たので、オレは近づいて刀を取ろうとした。
が、ドサッと後ろから誰かに押さえられ、腕を後ろにまわされてしまった。
「おにーさん、余計なことはしない方がいいんれす」
「うぅ、辻ちゃん…」
「先輩、大丈夫ですか!?
 …加護さん、あっしを殺したら5000万は出てきませんよ、
 隠しましたから!」
「ほう、…そんなら体に聞くまでや」
と、追いつめられた愛ちゃんの喉元に刀の先端を当てる。
「やめろ! やめてくれ! 加護ちゃん!
 オレが場所を知ってる、今から持ってくるからやめてくれ!
 全部返すから、頼む!このとおりだ!」
とオレは必死になって頭を下げた。
「……ふっ、
 …実はうちも遺体処理はもうこりごりやねん、
 ちゃんと返すんなら、兄さんに免じて指一本で許したる」
「わかった、今持ってくるから、待ってて!」
辻ちゃんが放してくれたのでオレは急いで部屋に向かって
押入の奥にしまってあったバッグを持って風呂場に戻ってきた。
だが、待っていた辻ちゃんに渡そうと歩み寄ったその時、ステーン!
足を誰かに引っかけられてすっ転んでしまった。
バッグは手を離れて湯船の先の方に転がった。

324 :サボリン:2003/11/18(火) 16:16
 
「もらったァ!」
と、駆け寄ってバッグを拾ったのは幼児体の中澤先生。。
「加護ォ 高校生にこんな大金は必要あらへん、
 大きゅうなるまでウチが預かってやるさかいな!」
といいながら中澤先生はバッグと矢口先輩を背負って素早く岩を登り始めた。
「若さと金を手に入れたウチはまさに完璧やで!ほな!」
あっという間に中澤先生は岩の向こうに行って視界から消えてしまった。
「……のの、追え」
「…あ、あい!」と辻ちゃんが走り出す。
ブンブンブオーンというバイクの音の後に
「待て〜」という辻ちゃんの声が響く。
加護ちゃんはまだ愛ちゃんの喉元に刀を突きつけていたが、
「…タカハシ、この続きはまた後でな…」スススーッ
とゆっくりと刃先を胸元にずらし、トップの紐をブチッと切った。
「キャッ!」と慌てて胸元を隠す愛ちゃん。
「…後でゆっくり、殺したる!」ブン!
今度は愛ちゃんの頭上をスパァッと斬りつけて、
スタタタっと加護ちゃんも去っていった。
と、ボトッっとお団子が落ちて黒く広がった。



二人は血痕のように広がった髪の毛をしばらく呆然と見ていたが
ふと、愛ちゃんが目に涙を溜めて抱きついてきた。
「ごめんなさい、先輩、ごめんなさい」
「ううん、何いってんの、無事で良かった、ホント良かったよ」
オレは力いっぱい愛ちゃんを抱きしめた。
 

325 :サボリン:2003/11/18(火) 16:17
 
 
しばらくしてやっと愛ちゃんが落ち着いたので
とりあえず部屋に戻ることにして脱衣所で荷物を片づけていたが、
ふと、なにやらキラッと光るものを見つけた。
ブルーの石がつるされたネックレスだ。中澤先生の荷物のようだが。。
ん?どこかで見たような…
あ、矢口先輩が小さくなったときに見つけたヤツと同じだ。。
・・今度は石に「Y」と刻まれている。
オレは、なんとなく気になって持ち帰ることにした。


部屋に着くと、愛ちゃんが洗面所で髪を切り始めた。
「大丈夫? 自分でやっちゃって…」とのぞいてみる。
「大丈夫ですよ、いつもやってますから」
…意外に立ち直りが早いな。ま、元気になって良かった。
「あ、でも先輩、短くなったんで後ろが難しいです、
 先輩やってください」とハサミを渡された。
「やるってどうやって?」
と、愛ちゃんの後ろに立って鏡越しにたずねる。
「ハサミは斜めに入れて、サクサクとラフにやっちゃってください」
「ラフにね…」 オレは愛ちゃんのうなじに触れて髪をつまんだ。
「あぁ! あんまりいっぺんに切らないでくださいよ!
 少しずつ切って…たまにこれで見せてください」と手鏡を渡された。
「…わかりますた」
愛ちゃんの指示を受けながら、なんとか切り終わり
ちょっと変わったマッシュボブに仕上がった。
「どうですか?先輩?」と愛ちゃんが鏡越しにきいてくる。
「うん、似合ってるよ、かわいい」
とオレは思わず後ろから愛ちゃんを抱きしめた。
愛ちゃんは目を閉じて嬉しそうにオレの腕に頭をのせる。
オレは静かに愛ちゃんの頬にキスをした。と、パシッ!

326 :サボリン:2003/11/18(火) 16:17
「さ、先輩、新潟に向かいましょう!」と、いきなり腕を放された。
「な、なに言ってんの? もうお金もないし無理じゃん」
「お金なら、…ここにありますよ」
「ん?」
愛ちゃんは押入から枕を出してきてカバーを開いて札束を見せた。
「あ、愛ちゃん…」
「ま、こんなこともあろうかと…」
「だ、だましたの?」
「先輩って性格いいからホントのこと教えたら
 すぐしゃべっちゃうでしょ、ふふ」と笑った。
「…うにゅう」…愛ちゃん、すごい。
・・・今頃どっかで加護ちゃんと中澤先生が
生死を賭けた無駄な追いかけっこをしてると思うと恐くなるが。。


愛ちゃんに引っ張られて、早々に会計をすませホテルを出た。
「…先輩、おなか空きませんか?」と愛ちゃんが歩きながら言う。
「う〜ん、そうだね、もうすぐお昼か」
駅前のガイドブックで少し調べて、
「保よし」というお店に行くことになった…

「はぁ〜、うまか〜、あっしは幸せもんです!」
と舞茸の天ぷらを美味しそうに食べる愛ちゃん。
見てるだけでこっちも幸せな気分になってくる。
「加護さんとか、今頃どうしてますかね〜
 今度見つかったら確実に半殺しですね、ふふ」
「…愛ちゃん、恐いことを笑って言うなよ」
「すんません、でも生きてるうちに美味しいもん
 食べとかなきゃって、ふと思ったんですよ」
「まー、確かにね」
「先輩もどんどん食べてください、美味しいですよ」
「う、うん、うまいよ」モグモグ
 

327 :サボリン:2003/11/18(火) 16:18
「絵里のお弁当とどっちがおいしい?」
「え?そりゃ絵里ちゃんの方がおいしいよ」
「えへ、よかった」
「って、絵里ちゃん!…なんでこんなとこにいんだよォ!」
テーブルの脇に絵里ちゃんがちょこんと座っていた。
「迎えに来たんだもん」
「…っ、どうしてここっ…どうやってきたの?」
「飛んできた」
「……」
「昨日迎えに行ったら途中で電波が消えて見失って
 朝になってまた見つけたら高速移動しだしたから急いで来た」
・・・昨日の夜からオレを探してたのか。。
「…絵里ちゃん、オレはね、今忙しいんだから、帰りなさい!」
「○○も帰ろ、里沙ちゃんがキトクだよ」
「な、なに!? …キトクって死にそうってこと?」
「そう、さっき紺野さんが言ってた、40度の熱だって」
「ホントかよ!…うそだろ?」
「妹の死に際に会えないなんて不憫だから早く連れてこいって
 紺野さんが言ってた」
・・・ホントなのか。。昨日見たときは、
…精神的にはともかく肉体的には問題なかったはずだが。
「……先輩」と愛ちゃんが不安そうな目で見つめてくる。
「早く、早く帰ろ」と絵里ちゃんが腕を引っ張る。
・・・里沙が危篤…ホントなのか?
でも、ここで帰ったら加護ちゃんに見つかってしまうかもしれない。。




1 愛ちゃんを裏切れない、あくまで海外逃亡!
2 里沙が心配だ、愛ちゃんには悪いが引き返す!
 

328 :名無し娘。:2003/11/18(火) 16:47
加護恐いから

嘘は嘘として1で

329 :名無し娘。:2003/11/18(火) 22:38
1だ

330 :名無し娘。:2003/11/18(火) 22:41
2

331 :名無し娘。:2003/11/18(火) 23:52
1だもん

332 :名無し娘。:2003/11/19(水) 05:50
2で

333 :名無し娘。:2003/11/19(水) 12:56
1だよね

334 :名無し娘。:2003/11/19(水) 17:18
2

335 :名無し娘。:2003/11/19(水) 19:40
1で

336 :名無し娘。:2003/11/20(木) 11:07
1がいいれす

337 :名無し娘。:2003/11/20(木) 23:43
えりりんと一緒にかえる!
よって2!

338 :名無し娘。:2003/11/21(金) 01:35
1

339 :サボリン:2003/11/24(月) 02:44
 
「絵里ちゃん、オレはもう家には帰らない。
 愛ちゃんと一緒に遠くに行くんだ、だから…ここでお別れだ」
「え〜、そんなのいやん!」と袖を引っ張る絵里ちゃんを振りきって
「さ、愛ちゃん、早く出よう!」とオレは立ち上がった。が、
「……」愛ちゃんは下を向いて黙ったままだ。
「…先輩、やさしいんですね
 でも、無理しなくていいですよ
 …行ってあげてください。里沙ちゃんが待ってます。
 あっしはやさしい先輩が好きです、
 こんな時には真っ先に駆けつけるやさしい先輩が…」
「…愛ちゃん、…でも、愛ちゃんは?」
「あっし一人だったらしばらく潜伏していられます
 時期を見て連絡しますから、その時は一緒に来てくれますよね?」
「……うん、ごめん、…やっぱり里沙が心配かも、、
 いったん帰るよ、必ず連絡くれ、愛ちゃんは一人じゃないからね!」
「…ありがとう、先輩、さ、急いだ方がいいです、
 ちゃんと里沙ちゃんの最期を見取ってやって下さい!」
「…うん、愛ちゃん、ありがとう!」

オレと絵里ちゃんは急いで駅に向かって走った。
絵里ちゃんはオレをおぶって帰るとか言い出したが
なんとか説得して新幹線に乗らせた。

家についた頃はもう夕方だった。
里沙の部屋に入ってみると、
確かに里沙は尋常でない汗をかいて苦しんでいた。
「…うぅ…ん」
「里沙……里沙…」
「…医者にも診せたんですが原因がわからないみたいです」と紺野さん。
「…そう、…里沙、どうしてこんなことに…」
里沙の肌がなんだか青く変色している。痛々しい姿だ。
「紺野さん、ごめんね、迷惑かけて」
「いいえ」
「…いろいろ、ありがとね、紺野さん
 里沙も最期に紺野さんと友達になれて嬉しかったと思うよ…」
「はい…
 ○○さん、かわいそうですがもう外に出ましょう、
 新種のインフルエンザかもしれないので、うつったら大変です」
「…そうか、わかった」
オレと紺野さんは静かに里沙の部屋を出た。
 

340 :サボリン:2003/11/24(月) 02:45
 
 
「○○さん、こんな時になんですが
 少しお話があります、リビングまで来て下さい」
「え、…うん」
紺野さんに言われてリビングに行ってソファに座った。
「亀もそこに座れ」
「…はい」と絵里ちゃんも座る。
「○○さん、この石、どこで手に入れたんですか?」
と、紺野さんがネックレスをテーブルの上に出して見せる。
「あ、それ、どうしたの?」
「…すみません、勝手に部屋を掃除したこと、謝ります。
 ○○さんの机の上にありました。…これ、どうしたんですか?」
「どうしたって、それたぶん矢口先輩のだよ、
 それにほら、今日は中澤先生の荷物からコレを拾ったんだ」
オレは脱衣所で見つけたネックレスを差し出した。
「おぉ! こ、これは…」
同じようなネックレスが二つ、テーブルの上に並んだ。

「○○さん、これは、さゆみんの石です!」
「さゆみんの石?」…なんじゃそのフヌケた名前は。。
「アヤックスに乗り込んだ時のことを覚えていますか?
 …美貴様と私たちは、さゆみんを探しているんです
 そしてこれは、さゆみんへのゲートを開くさゆみんの石!」

・・・アヤックス?? ・・・さゆみん??
「さゆみんとは、亀と同じく特別な能力を持つファティマです。
 さゆみんの主となったものは世界を制する力を手にするそうです。
 ただ、その存在は伝説とも言われ、私たちも幾度も噂に騙されてきました。
 …しかし今回、やっと確かな情報を得て
 探していたのがこのさゆみんの石なのです!!」
「……あ、そう、じゃあげるよ」
「…○○さん、ふざけないでくださいよ!
 これは一刻を争う事態です、この石はどこで手に入れたんですか!?」
「だからぁ、これは矢口先輩の、これは中澤先生のだし、
 …たぶん、学校かどっかで拾ったんじゃないかな」
「…そうですか、やはり学校ですか…」
 

341 :サボリン:2003/11/24(月) 02:46
 
と、その時、ガタッという音が階段の方でした。
「誰だッ!」と、すかさず紺野さんが拳銃を構える。
「コンノー」 ドアの向こうで声がする。
「誰だっ、出てこい、出てこないと撃つぞ!!」と紺野さんが言うと

パリッ、ドゥガガガァア!!

と、ドアが爆発したように崩れ落ちた。

「ひゃぁあ、な、なんだぁ?」


すると、煙の中から
「コンノーッ」と、妙に小さなゴジラが現れた!
「あわわわわ、ゴ、ゴジラだ」
いつもの里沙の着ぐるみじゃなくて、すげーリアルなゴジラだ。

「コンノーッ、さゆみんてーのはどこにいるんだァ!」
とゴジラが紺野さんに語りかける。

「里沙…?」と紺野さん。
「な、…里沙ァ?」…言われてゴジラをよく見ると
目元が確かに里沙に似ている。しかし、里沙は2階で死にかけてたのに…
「さすがだなァ、紺野ォ、友達だもんなァ
 こんな姿になってもオレのことわかってくれるんだなァ」
 

342 :サボリン:2003/11/24(月) 02:47
 
「…里沙、ホントに里沙なのか?」
目元は似ていても、肌は青い鱗で覆われ、口からは牙が生えてる。。
「紺野ォ、オレも仲間に入れてくれよォ
 さゆみんてーのに会わせてくれよォ」
・・・オレの話は耳に入らないようだ。
「ホラ、オレもその石、持ってるんだぜェ
 コイツのおかげでなんだか体中から力が湧き出てくるようだゼ!」
と言って首にかけた石を指差す。たしかに似ている石だ。
「…石の魔力ですね。。」と紺野さん。
「紺野ォ、その石もくれよォ!
 オレ、さゆみんと友達になりてーんだァ」
「里沙、私たちに任せて寝ていなさい、
 さゆみんが起きればあなたの病気も治るでしょう」
「あー、紺野ォ、聞こえねェーなァ!
 なんだってぇ?オレは病気じゃねーヨ
 だからぁ、さっさとその石くれよォ!」
「だめだっ、オマエはさゆみんを知らない!」

「くれっつってんだろォオ!!」

ブォォオオオオ!!

いきなりゴジラが口から火を吹いた。
「キャッ」と石をつかんで紺野さんがよける。
「だー、家が燃えるだろォ! やめろ、こんなとこで!
 って、…オマエ、ホントに里沙なのか?
 里沙、オマエこんな姿になっちまってどおすんだよぉ、
 女の子なのに素っ裸で恥ずかしくないのか!
 これじゃ里沙じゃなくてゴリサじゃねーか!!」
「うっせーよ、アニキィ!
 寒いダジャレ吐いてんじゃねー!!」バチッ!!
と、里沙は後ろを向いて尻尾でビンタをしてきた。
「イテッ!」
オレは軽く吹っ飛ばされて尻餅をついた。と、

343 :サボリン:2003/11/24(月) 02:47
「紺野さん! 大丈夫ですか?」
と知らない女の子が二人、リビングに入ってきて紺野さんに近寄る。
「ああ、…気をつけろよ、二人とも」
「なんだぁ、ひとんちに勝手にあがってくんな!」
「…里沙、力を使いすぎると体がもたねーぞっ
 ちゃんと直してやる、助けてやるからその石を渡せ!」
「あんだとォ〜!」ドガァア!!バキッ、バキバキ
と、里沙が柱をグーで叩きつけて壊した。。

「…仕方ない……亀、殺れ!」
と紺野さんが目で絵里ちゃんに合図をする。
「はい」と言って絵里ちゃんが横から里沙に近づく。と、

「来るんじゃァ、ねェ!」

ブォォォオオオオ!! 

再び里沙が炎を勢いよく出して
「キャァア!」ドカッ
「うわっ!」ドカッ
爆風と共に絵里ちゃん、オレ、女の子二人、最後に紺野さん、
と次々に吹っ飛んで壁に叩きつけられた。
ドカッ、ドカ、ドガガガァア!!
…痛ッ〜、、絵里ちゃんまで吹っ飛ぶなんてなんて威力だ。
 

344 :サボリン:2003/11/24(月) 02:48
 
「はっはっ、オマエもそこに居たっけなァ」
「…うぅ…」紺野さんが頭を抱えながら起きあがる。
「いいんだよ、紺野、
 オレはもうオマエに助けてもらわなくってもいいんだよ、
 …これからはオレがオマエを助けてやる、
 そんときは言いなァ、こんこんよォ!!」
「里沙ァ、いい加減にしろォ!
 テメエ、誰に向かって口きいてンだァ!!」
「へっ、口のきき方が気に入らねェかァ…
 頭に来たかァ…、ならどうする、おい!紺野!
 どォすンだよォォーーオオッ!!!」

ブォォォォォオオオオオオ!!!

今度は縦に炎を吐いて、リビングの壁を焼き切りながら
炎は天井に向かい、あっという間に家を真っ二つに寸断してしまった。

バリッ、バリバリ、ドシャァア! ガコンガコン!!

と、食器や家具や、柱やら壁やらが降ってきて家が崩壊に向かっていく。
埃の間から絵里ちゃんや女の子二人が倒れているのが見える。
「…うぅ」
紺野さんも柱の下に倒れて挟まれて動けなくなっている。
里沙が静かに紺野さんに近づき、紺野さんの目の前に落ちた石を拾う。
里沙は紺野さんの顔を足で踏みつけて、ググッ!
「プニプニ、はずむ顔だなァ
 …紺野、さゆみんはどこだ」と痛めつける。
「…くっ!……オマエにさゆみんは起こせない」
「どこにィ、居るんだァ!」ググググッ!!
「…くはぁっ!、…や、山崎の像の下だ、そ、そこにゲートがある!」
「へっ、いい子だ、
 それじゃぁ、またなァ!」ドゥガァ!!
壁をぶち破ってあっという間に里沙は外に出て行った。。
 

345 :サボリン:2003/11/24(月) 02:48
 
「…紺野さん、大丈夫?」
柱をどかして、埃だらけの紺野さんをなんとか引き出した。
「…ありがとうございます、大丈夫です。
 それにしても、まさか、里沙が石を持っていたとは…」
「紺野さん、大丈夫ですか?」と女の子二人も寄ってくる。
「…まい、あさみ、災難だったなぁ
 で、美貴様は?見つかったか?」
「それがどこにも見あたらないんです」とやせた女の子。
「なにか事件にでも巻き込まれたんでしょうか」とぽっちゃりな女の子。
「こんな大事なときに美貴様はなにをしておられるのだ。。
 …しかし、おまえら、これはチャンスだ!!
 さゆみんの石は、S、A、Y、U、の全部で4つある。
 里沙は3つしか持っていない、
 ヤツはどうあがいてもさゆみんは起こせない。
 そして残りの1つのありかを私たちは知っている!」
「え?それはどこに?」とやせた女の子。
「Sの石は代々、モーニング高校の生徒会長が持っているらしい…」
「生徒会長ですか?」とぽっちゃりな女の子。
「ああ、今は飯田ってノッポがやってるはずだ、
 …目覚めの時は近い! 亀、用意しろ、出撃じゃあ!!」
「はい!」
「…とはいえ美貴様がおられなければ話は進まない。。
 二班に分けるぞっ!
 亀は○○さんと飯田のところに行って石を取ってこい、
 …と言って二人だけじゃ心配だ。。
 私かまいかあさみ、誰か一人が亀と○○さんにつきそい、
 残りの二人で美貴様を探す、いいな!!」
「はい!」「はい」「はい」
「…じゃ、○○さん、誰をつれていきますか?」
「…え?、、オレが決めるの??」




1 紺野
2 まい
3 あさみ
 

346 :名無し娘。:2003/11/24(月) 08:36
4 みうn(rじゃなくて 2で。

347 :名無し娘。:2003/11/24(月) 13:03
2で

348 :名無し娘。:2003/11/24(月) 16:20
1

349 :名無し娘。:2003/11/24(月) 17:27
1

350 :名無し娘。:2003/11/24(月) 18:06
2

351 :名無し娘。:2003/11/25(火) 02:28
1で

352 :サボリン:2003/11/26(水) 00:27
紺野とまい、両方連れてくことにします。

353 :サボリン:2003/11/27(木) 16:39
 
「う〜ん、…まいちゃんでおながいします」
「…そうですか、わかりました
 しかし、冷静に考えると、飯田のところで石を手に入れたとして、
 今の里沙から残りの3つを奪うのは難しいですね。。
 …私も一緒に行きましょう。美貴様はあさみにお願いします」
「はい」
「頼みましたよ、ここが正念場です、
 なんとしても美貴様を探し出してお連れするのです!
 私たちは先に行って必ずやさゆみんを確保しますから…」
と、紺野さんがあさみちゃんの手を握る。
「…はい」
「……あさみ、不憫な、
 私の影として随分とつらい目に遭わせてしまった…
 あなたにはもっとまともな学生生活を過ごさせてあげたかった…」
「そのような…
 紺野さんの悲しみに比べれば私の悲しみなど及びもしません」
「やさしい娘ですね…
 …行け!」バシッ!
と、いきなり紺野さんがあさみちゃんの手を振り切った。
「はっ」
あさみちゃんは忍者のように素早く家を出て行った。

「さ、○○さん、向かいましょう」
「う、うん」

ということで、オレと絵里ちゃんと紺野さんとまいちゃんで
瓦礫と化した我が家を抜け出し、飯田先輩の家に向かった。
紺野さんたちは飯田先輩の家を知らなかったのでオレが案内した。
 

354 :サボリン:2003/11/27(木) 16:40
 
 
薄暗くなった林にそびえる喫茶『北風』は以前よりも気味が悪かった。
店内に入ってみると、店の奥の方のソファに人影が見える。
全員が店内にはいると、ピカッと照明がついて、
いきなり店内が明るくなった。
ソファには飯田先輩と知らないお姉さんが座っていた。

「おお、これはこれはクリクリおめめのこんこんさん、
 お待ちしておりました、出会えて光栄です」
飯田先輩がワイングラスを片手に話しかけてきた。
「…?」
まるで俺たちが来るのを知っていたかのような話し方だ…
フリルのついた西洋貴族のような服を着た飯田先輩、、
長い髪を他人のもののように邪険に扱いながらワインを飲む。
この前のウェイトレス姿とはまるで別人だ。。
「あら、紹介がおくれましたね、
 こちらは前生徒会長の石黒さんです」と飯田先輩。
「…どうも」
飯田先輩の横にいたお姉さんが軽く会釈をする。
「初めまして、紺野です」
「…石が騒いでいましたのでね、
 そろそろおいでになるかと思っていました」と飯田先輩。
「…そうですか、随分と話が早いですね、
 では、その石を渡してもらいましょうか」と紺野さん。
よく見ると飯田先輩の首に例のネックレスがかかっている。
 

355 :サボリン:2003/11/27(木) 16:40
 
「ふふ、せっかちですね、
 しかし、あなたたちは何故この石を欲しがるのですか?」
「その理由はあなたが一番ご存じのはず」
「ははは、そうですね、さゆみんですか、
 しかし、さゆみんはその本質において手段であって目的ではありません。
 となると彼女を起こすのは他にしたいことがあるからですね、それは何か?」
「それは美貴様が知っています」
「ではあなたは、ここに来た理由を知らないのですね
 あなたは、行けと言われたから来ただけです
 ふっ、まるでロッタちゃんはじめてのおつかいのよう…」
「…何が言いたいんですか?」
「あらゆる物を支配する、紛れもない真理があります。
 因果関係です。作用、反作用、風が吹けば、桶屋が儲かる…」
「全ては選択から始まるのでは?」
「いいえ、違います、選択は幻想です、
 あるのはただ力を持つ者と、持たざる者です」
と、飯田先輩はワインを飲み干し、紺野さんから視線をずらして
オレの斜め後ろにいた絵里ちゃんを見つめる。
「…あなた、かわいい顔をして立派なモノをお持ちのようで」
そう言って飯田先輩は絵里ちゃんの方に軽く手を伸ばして指を動かし始めた。

ぷにゅぷにゅ。

「…ぁ…はっ…」

とつぜん絵里ちゃんが股間を押さえだした。

「どうした?絵里ちゃん?」とオレは絵里ちゃんの肩に触れる。
絵里ちゃんはわけもなく体を震わせている。ビクビクッ!

「…ぁぁ…絵里…っ…」
 

356 :サボリン:2003/11/27(木) 16:41
 
ぷにゅぷにゅ。

飯田さんは離れた場所で指を動かし続ける。
な、なにが起きてるんだ??超能力か??
「彼女には判らない、何故なのか?
 …そしてどうでもよくなる、
 すぐにわけや理由は消え去る、
 大事なのはその感覚だけになる…」

ぷにゅぷにゅ。

「…ぁぁ…っ…ぃ<…」

肩をビクン!と震わせて、絵里ちゃんはうずくまってしまった。。

「…トイレ…どこ…ですか?」真っ赤な顔をして絵里ちゃんがたずねる。
「向こうの奥ですよ」と飯田先輩が笑って指差す。
絵里ちゃんは股間を押さえながらトイレに走っていった。

「な、なにをしたんだ!?」と、オレは思わず飯田先輩に怒鳴った。
「ふっ、思春期の性欲にも理由はあります。
 …因果関係、そこからは逃れられない、私たちは永遠にその奴隷…
 私たちの唯一の安らぎはその理由を理解すること…
 理由こそ力の源、それを欠けば無力、そして私には!!
 …あなたたちにこの石を渡す理由は見当たらない、どこにも。
 …帰りなさい、出口はあっちです!」と飯田先輩は出口を指差す。

「…ヵぁァアア、このババア!!
 おとなしくしてりゃ、ゴタク並べやがって!
 テメエが石を渡す理由はあんだよ、死にたくねー!それが理由だァ!」
ついに紺野さんが切れて拳銃を飯田先輩に向ける。
 

357 :サボリン:2003/11/27(木) 16:42
 
「ほう、あなたの選択が正しいと思うなら撃ちなさい」
「へっ、あの世で禅問答でもしてろォ!」

バン!!

紺野さんは躊躇なく飯田先輩に向かって銃を撃った。

が、パキン!と弾が跳ね返って天井の照明に当たった。パリッパリン!
「うわっ!」「キャッ!」辺りにガラスが降ってきた。
…どうやらバリアみたいなのが飯田先輩の周りに張ってあるらしい。

「ふっ、次は自分の弾で死なないように注意しなさい」
「…テメエ、人間なのか?」
「ふふ、この石を使えばこのくらいは訳もない
 もっとも、使い方を誤って怪物に変身したバカも居るようですが…」
「それは…クリリンのことかーっ!!」
「……いいえ、違います
 …あなたのお友達の里沙さんが苦戦している様が見えます」
「な、なに?」
「人間とは浅ましいもの、
 理由を知らず目的を理解せず欲望の赴くままに今を争うだけ…」

と、バタンッと絵里ちゃんがトイレから出てきた。なぜか内股。。
「…はぁ…はぁ、
 うぅ…絵里…もうお嫁に行けない」
まだ目の焦点が定まっていないように見える。
「亀ェ、ちょうどいいところに出てきた!
 コイツを殺って、石を奪うんだ!!」と紺野さん。
 

358 :サボリン:2003/11/27(木) 16:43
 
「え…絵里、この人恐い」
「何いってんだ、命令だ!殺れ!」
「…っ…はい」
「変なバリアみたいの張ってるから気をつけろォ!」
絵里ちゃんが静かに飯田先輩に近づいて
「えい!」と掌を出して力を込める。

バリバリ、バリッバリッ!!

と電撃が走って飯田先輩の周りのバリアがピンク色に見えるようになった。

「ほう、なかなかやりますね、しかし…」
「…うぅ」
しばらく互角に電撃を張り合っていたようだが、
突然飯田先輩が目を見開いて、バリバリッ!

「パラディノメ!!」

ドゥガガァァアアア!! ドシャン! パリパリン!

絵里ちゃんが吹っ飛ばされて窓を破って外に飛んでいった。
「絵里ちゃ〜ん! 大丈夫?」オレは慌てて絵里ちゃんに駆け寄った。
「うぅ…絵里…もうくじけそう」と絵里ちゃんがしなだれる。

「撤退じゃー!!」 そう言って紺野さんとまいちゃんも店から出てきた。

「ふう、な、なんなんじゃ、あのババアは!
 亀も吹っ飛ばすなんて完全に人間離れしてるぞ」と紺野さん。
「…たぶん、石の使い方を知り尽くしてるんですね
 あの石を奪わないことには近づけませんよ」とまいちゃん。
「とは言え、石を奪ったらもうババアには用はないんだがな…」
 

359 :サボリン:2003/11/27(木) 16:44
 
 
家も壊れてしまって、4人は行くあてもなく
しばらく公園のベンチで缶コーヒーを飲んで休んでいた。
と、向こうから女の人が寄ってくる。あ、飯田先輩の隣にいた人だ。

「ふふ、あなたたち、さっきはさんざんだったわね」
「…まだなんか用か?鼻ピアス!」と紺野さんがにらむ。
「そんなに怒らなくたっていいじゃないの
 私はもう引退したんだから敵でも味方でもないわ」
「……」
「私はモーニング高校の第五代の生徒会長だった…
 代々私たちは石を引き継ぎ、さゆみんとさゆみんの石を守ってきた…
 カオリはあなたたちに石を渡す理由はないなんて言ってたわね、
 確かにそうだわ、でも逆に言えば、石を渡さない理由もないのよ」
「…というと?」
「…あんな偉そうなことを言ってても
 カオリも私もさゆみんに会ったことはないわ
 何故石を守ってきたか、私たちだって知らないのよ
 石の魔力を自分のものにする…独占欲で守ってるだけよ」
「…で?」
「4つの石が集まろうとしているのはこれが初めてだわ、
 …私はさゆみんが実在するのなら会ってみたいとも思う…
 …私が石を手配してもいいって言ってるのよ」
「ホントか!」と紺野さんが目を見開く。
「ええ、私が石を盗ってきてあげるわ
 カオリも私にならスキを見せるでしょうから」
「お、恩に着る!」
「ただし、条件があるわ!
 その娘、亀って呼ばれてたわね
 その娘を小一時間貸してくれない?」
そう言って石黒というお姉さんは怪しげな笑みを浮かべる。
「おやすいご用です、亀、行け!」

「え…絵里、いやん、○○助けて!」
なにかを敏感に察知したようで絵里ちゃんが脅えてオレに抱きついてくる。
「ふふ、若いっていいわね」とお姉さんが微笑む。




1 「絵里ちゃん、美貴さまのためだ、頑張れ!!」
2 「そんなオバハンに絵里ちゃんを預けるなんてできない!」
3 「心配だからオレも一緒についていく、それなら許す」
 

360 :名無し娘。:2003/11/27(木) 16:48
相変わらず元ネタがわかんねえ 1で

361 :名無し娘。:2003/11/27(木) 18:41
3

362 :名無し娘。:2003/11/27(木) 19:20
3

363 :名無し娘。:2003/11/28(金) 03:08
3

364 :名無し娘。:2003/11/29(土) 00:25
2

365 :名無し娘。:2003/11/29(土) 01:51
3でしょ!

366 :名無し娘。:2003/11/29(土) 14:02
3しかnえx!!(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!!

367 :サボリン:2003/11/30(日) 09:30
 
「心配だからオレも一緒についていく、それなら許す…
 絵里ちゃん、オレがついていくから心配ないよ、ね?」
「う、うん」
「ふふ、交渉成立ね、ついてきなさい」と石黒さんが歩き出す。
「亀、これも勤めじゃ、しっかりはげめよ」と紺野さん。
・・な、なんのことだ?? ・・絵里ちゃんはオレが守るぞ。。

オレと絵里ちゃんは黙って石黒さんについていった。
ビル街をしばらく歩いて、こぎれいなマンションに着き、部屋に案内された。
家具や小物が少なくて生活感のない部屋だ。隠れ家かなにかだろう。

「さ、座って」と石黒さんに言われて、
二人はおとなしくソファにちょこんと座った。
「ふふ、そんなに堅くならないでよ、とって食ったりしないわよ」
そう言って石黒さんは携帯で電話をする。
「あ、稲葉さん、用意できました、…はい」プチッ。
電話が終わって俺たちの方を向いて、
「…さて、私はこれからカオリの家に行って、なんとかして
 石を盗ってくるわ、二人はしばらくここで待っててね」と言う。
「え?それだけでいいの?」
「ふっ、まさか、
 今からここに、ちょっと変わったお姉さんが来るから
 二人ともその人の言うことをようくきくのよ。
 いい?これはビジネスなのよ、だからその人の言うとおりにしないと
 交渉決裂! …つまり石は手に入らない、わかるわね?」
「…はい」
「亀ちゃんは?わかった?」
「う、うん」
「いい子ね、それじゃ、待っててね」

そう言い残して石黒さんは部屋を出て行った。。


しばらくして、ビーッっとドアホンがなる。
「はい」と受話器を恐る恐るとる。
「助けてください、ひどい事故で
 友人が瀕死の重傷です、救急車を呼ばないと!」
「…あの〜、どなたですか?」
「石黒さんに案内されて来ました、ドアを開けて下さい!」
「あ、わかりました、ちょっと待って下さい」
オレは慌てて玄関に行ってドアを開けた。と、
アフロヘアのファンキーな格好をしたお姉さんが杖を持って立っていた。
 

368 :サボリン:2003/11/30(日) 09:31
 
「ハイハイハィ ゼェァ! 調子はドビー?」ガンガン!
と杖を床に叩きつける。
「…あの〜、どなたですか?」ビシッ!!
「痛ッ!」 いきなり杖で腕を叩かれて、
オレはその場にうずくまってしまった。
「マルチックいらないね!」と言いながらお姉さんは部屋の中に入ってくる。
「ほう、ユーがヘルマン君?ライティライッ?」
「え、絵里は絵里だよ…」
「ヘルマン君に出会えてミーはとってもラドシー!」
そう言ってお姉さんが絵里ちゃんの服を脱がせ始めた。
「な、なにするんだよっ!」
オレは慌てて止めに入ったが、ドスッ!
と腹にパンチを食らってまたもや倒れてしまった。
「…うぅ…」
「アム シーンィン ザ レイッ!」ドスッ!
「…くはっ!」
「ジャスッ シーーーィイン ザ レイッ!!」ドスッ!
「…うっく」
さらに腹に重い蹴りを2発食らってオレは動けなくなってしまった。
「○○!」と絵里ちゃんが駆け寄ろうとしたがお姉さんに止められる。
キッと絵里ちゃんがお姉さんをにらめつける。
「…なまいきなグラジーね、
 ミーの言うこときかない、バッディーワッツ!
 ユーは石が欲しいね、ライティライッ!?」
「……」 絵里ちゃんがおとなしくなった。
「絵里ちゃん、オレは大丈夫…」
「○○…」

「ミーはドラチングいやね、
 ルル!、邪魔なマルチック縛るよろし!」
「はい」
と、ドアの向こうからもう一人中国系のお姉さんがやってきて
オレは両手を後ろで縛られて目隠しをされ、口まで縛られてしまった。

「○○!」
「ヤーブルにトルチョックされたくなかったら、
 黙ってそこでスパチカねんねかましてな!」
「…ぅぅ…」
「さあさ、ヘルマン君、ミーとインアウト、ライティライッ?」
 

369 :サボリン:2003/11/30(日) 09:31
 
オレは朦朧とする意識の中、かすかに声だけを聞くことができた。

「さぁ、こっちに来るね、
 ユーのキーを見せるよろし」ガサゴソ。
「……ぁ…」
「ハラショー!!ボルシー!!
 でもヤーブルはマレンキーね、かわいいねェ!」スルスル。
「…ぅ」
「おお、ちゃんとデボチカで
 プーシュカかますこともできそうね、便利ねハラショー!」

「…ぁ」
「怖がらないでェ、コシュカちゃん、
 お姉さんが優しくしてあげる」
「……ひぃ…」
「ミーのロットは魔法のロット
 ミーのヤージックは吸い付いたら離れない!」ぺろぺろ。
「…ぁあ!」
「おお、もうパンハンドル!さらにグロムキー!!」
「…は、恥ずかしい…」
「さぁ、ミーのヤーマでインアウト、ライティライッ?」ガサゴソ。

「……っ、…ぁぁあ!」

「…そう、ゆっくりと、…おお、ドビードビー!!」
「…ぁ、…ぁ、絵里…」
「…ぅ、ぉぉお、ぉ!、ぉ…」ぎしぎし。
「…っ……だめっ…はっ…」
「…ぉお!…ガティワッツにビンビン来ます!」ぎしぎしぎし。
「…ぁて…ぃぅ…」
「…ふぅ…おぉ!、ガリバー痛も吹っ飛ぶぜこりゃ!」ぎしぎしぎしぎし。
「……ぁ……ぁ」
「…ぉ…ぉ、ユーのたっぷりモロコを頂くね!」ぎしぎしぎしぎしぎし。
「……ぁ……ぁ!……ぁあ!…」
「…ぉ!、ぉ!、…ホァ、ホラーショー!!」ガタッ!
 

370 :サボリン:2003/11/30(日) 09:32
 
 
 
・・・絵里ちゃん、絵里ちゃん

                ・・・絵里ちゃん、絵里ちゃん


「・・絵里ちゃん!!」ガバッ!!
オレは勢いよく起きあがった。

・・辺りを見渡すとさっきの部屋のままだ。
お姉さん二人は既にいない。夢?…のはずがない、体が痛む。
って、絵里ちゃんは!? 慌てて起きあがって辺りを探すと、
・・絵里ちゃんは隣の部屋のベッドで静かに寝ていた。

「絵里ちゃん…大丈夫?」静かに話しかける。
「…うん、大丈夫」 起きてたみたいだ。
「ホントに?怪我はない?…ごめんね」とオレは髪をなでる。
「…ううん、絵里、少し大人になっちゃった、えへっ」
心なしか満足げな笑みを浮かべて布団をかぶる絵里ちゃん、
顔色もいいようだ。・・・ホントに大丈夫そうだな。。
「○○、一緒に寝て、絵里の上に乗っかって」
「な、なに!?」 オレは少し恐くなって引いてしまった。
「…ちがうよ、絵里、押されてるのが好きなんだもん
 上に乗っかってもらうと落ち着くの、お願い」
「…うん、わかった」
そう言ってオレは絵里ちゃんの上に乗っかって体をくっつけた。
少し震えていた絵里ちゃんの体が徐々に静まった。

「…○○、今度は、○○とやりたいな」と耳元で絵里ちゃんが囁く。
「え? …絵里ちゃん、無理だよ!」
「え?どうして?絵里のこと嫌い?」
「いや、だから、男の子と男の子じゃ…」
「絵里は女の子もできるんだよ、今日わかった…」
「え?そうなの?…そうなんだ??」
「えへ、そうなの」
「そうか、それは良かった、
 そうか絵里ちゃんは女の子もできるのか!すごいな!」
「えっへん! …だから今度やろうね」
「…ああ、う、うん、今度ね」
「やくそくだよっ」
「…うん」
い、いかん、絵里ちゃん、なんか性の問題を軽く考えすぎだぞ。
ちゃんと教育しなければならない、断じていかん。
 

371 :サボリン:2003/11/30(日) 09:33
 
なんてしばらくベッドで横になっていると
「二人とも、いちゃいちゃしてる暇はないんでしょ?」
と、ドアの向こうから話しかけられた。…石黒さんが立っていた。
「あ、どうも」
「ふふ、若さって凄いわね、
 終わったばっかりなのにまたやってたの?」
「ち、ちがいますよ!」
「ふっ、私の目に狂いはなかったわ
 稲葉さんも随分満足していたみたいよ」
「……」絵里ちゃんが顔を赤くする。

「で、あの…例の石は?」
「ふふ、ほら、ちゃんと盗ってきたわよ」ヒュン、チャラン。
石黒さんが投げてきた石を受け取った。
確かに例の石だ。「S」と刻まれたブルーの石。
心なしか、「A」や「Y」よりも濃いブルーのようだ。
「気をつけなさい、心が弱くなると石に支配されるわよ」
「…はい、これ…絵里ちゃん、持っててよ
 オレは変身したりしたくないからさ…絵里ちゃんなら大丈夫だろ?」
「うん、わかった」 そう言って絵里ちゃんは首にネックレスをかけた。

「石黒さんは大丈夫だったんですか?あと、飯田先輩は…?」
「ふふ、大丈夫よ、カオリはグースカ寝てるわ、
 とはいえ起きたら恐いでしょうね、私、会うのが恐いから
 当分の間どっかのホテルで過ごそうかしら、子育ても疲れたし…
 って、ほら二人とも、人の心配してる暇があるの?」
「あ、そうだった」とオレはベッドを出る。
「早く行きなさい、紺野ちゃんが待ってるんでしょ?」
「はい、ありがとうございました、行こう絵里ちゃん」
「うん」
「またね、頑張ってね、亀ちゃん」
オレと絵里ちゃんは急いでマンションを出て公園へ向かった。
 

372 :サボリン:2003/11/30(日) 09:34
 
 
途中、結構大きなビルに囲まれた細い道を走っていった。
辺りはもう暗くなっていて、オフィスビルの明かりがまぶしかった。
と、前方の通りのビルの影から銃声が聞こえる。

トトトトトッ

機関銃のような細い音だ。…こんな街中で…銃声??

ド カ ン !

今度はと大砲のような音が上の方からする。…な、なんだ? と、

ヒューゥゥ、 ドッ、ドゥガガガァァアア!!

「うわっ!」
真上から青い物体が降ってきてコンクリートを壊して吸い込まれていった。
プシュゥーっと、煙と埃を舞い上げて道路に大きな穴が出来ていた。
穴をのぞいてみると、ゴジラっ…里沙だ!!

「里沙っ、大丈夫か!?」
「はぁ、はぁっ、ちきしょう…」
苦しそうに立ち上がる里沙。。
と、上から女の子が宙を飛んで降りてきた。
「観念しなさい!」
…あ、まつうらさんの所にいた、みうなって女の子だ。
「みうなっ、どこだっ!追いつめたか!」と、
今度は銃を持ったお姉さんとバズーカ砲を持ったお姉さんが走ってくる。
…斉藤さんとマサオさんだ。。まつうらさんの手下だな。。
「はい、斉藤さん、もうダメですよコイツ」とみうな。
「よぉし、よくやった、はやいとこ石を奪え!」と斉藤さん。
「はい」と言ってみうなが穴の中に入って行って首にかけられた石に手を伸ばす。
「触るなッ!」と里沙は手を払ったが、ガッ!
とみうなに殴られて気を失ってしまった。
みうなはゆっくりと里沙の首から石を取る。
「持ってこい!」と斉藤さん。
「はい!」ぴょんとジャンプしてみうなが穴から出てきて石を渡す。
「…おお、まさしくこれはさゆみんの石!
 3つもいっぺんに揃うとは神のお導きじゃ!」
そう言って、斉藤さんは大事そうに石を内ポケットにしまう。
「やりましたね、ボス!」とマサオさん。
「おう、マサオ、これで亜弥様も喜んで下さる……ん?」
と、斉藤さんがこっちを向いて目があった。
 

373 :サボリン:2003/11/30(日) 09:34
 
…気づかれたらしい。…くそっ、早く逃げるべきだった。。
「…あららァ?、昨日、加護と一緒に来てた兄さんじゃねーか!
 どうしたァ?、かわいこちゃん連れて、デぇエトの帰りかぁ!」
「…う、うん、そんなところです
 斉藤さんも随分ハデなことやってるんですね、
 体に気をつけて下さい、じゃオレたちはこの辺で」
と、絵里ちゃんの手をひっぱって歩き始めたが、
「待てェ!」と回り込まれて銃を突きつけられた。
「…そこのかわいこちゃん、お首に何かけてるの?
 はっ!…やはり、…そうか藤本の連中だったっけなァ!」
「あ、あれはSの石!?」とマサオさん。
「へっ、俺たちゃ、そぅとぅ運がいいようだぜ!
 どうもさゆみんは亜弥様を求めているようだな、
 …その石を渡せェ!!」斉藤さんがオレの喉元に銃を突きつける。
「…くっ!」
「○○!」と絵里ちゃんが肩に抱きついてくる。
「いちゃついてんじゃねーぞゴルァ!
 かわいこちゃんよォー、テメェから先に殺ったろかァ!」
「…絵里ちゃん」




1 「…絵里ちゃん、全速力で逃げて紺野さんのところに行け!」
2 「…絵里ちゃん、絵里ちゃんならできる、コイツら殺っちゃえ!」
 

374 :名無し娘。:2003/11/30(日) 16:43
1

375 :名無し娘。:2003/11/30(日) 18:41


376 :名無し娘。:2003/11/30(日) 22:00


377 :名無し娘。:2003/12/01(月) 23:26
2

378 :名無し娘。:2003/12/02(火) 02:16
2

379 :名無し娘。:2003/12/02(火) 16:09
2

380 :名無し娘。:2003/12/02(火) 20:41


381 :名無し娘。:2003/12/03(水) 02:51
2

382 :名無し娘。:2003/12/03(水) 18:43
1文字レスで1000を目指すスレはここですか?

383 :名無し娘。:2003/12/03(水) 18:46
2で!(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!!

384 :名無し娘。:2003/12/03(水) 23:41
2

385 :サボリン:2003/12/04(木) 06:06
 
「…絵里ちゃん、絵里ちゃんならできる、コイツら殺っちゃえ!」
オレは絵里ちゃんに耳打ちした。
「…うん」
「なんだとォー、殺れるもんなら…って……絵里??」と斉藤さんが驚く。
「絵里、オマエ、絵里か?生きてたのか!?
 …暗くてわかんなかったぜ…絵里…久し…」と斉藤さんが近寄る。と、

「えい!」ドカッ!
掌を押し出して絵里ちゃんが斉藤さんを吹っ飛ばす。

「うわっ!」ズザザザザァーッと斉藤さんが道路を擦って、
ガコン!とビルの壁にぶつかる。

「…痛ーーッ!…オマエ…」と頭を抱える斉藤さん。
「…ボス、コイツはもう藤本の手下ですよ、
 記憶がなくなってるんでさ、ワシらのことなんて覚えてないっすよ」
と、マサオさんが斉藤さんを抱き起こしながら言う。
「…そうか、…絵里……
 ……そーゆーことなら、・・悪く思うな…よっ!」

ズドドドドドドドドッ!!

「うわっ!」斉藤さんが機関銃を撃ち始めた。

ん? 平気だ。。絵里ちゃんがオレの前に立っている。
絵里ちゃんが全部ガードしてくれてるみたいだ。
「えい!」
と絵里ちゃんが力を込めると、バキバキン!!
と斉藤さんの機関銃が破裂してしまった。
 

386 :サボリン:2003/12/04(木) 06:06
 
「…ヵ、…ちきしょう、…マサオ!みうな!殺っちまえェ!」
「おう!」「はい!」

ドカン!ドカン!

と、マサオさんがバズーカ砲を撃ってきたが、

バリバリ、ヒューゥゥ、ドカッドカン!

絵里ちゃんのバリアに弾かれてタマが後ろのビルに突っ込んだ。
と、「えい!」と絵里ちゃんが力を込めて、ドカバキ、
…マサオさんのバズーカ砲も破裂してしまった。

「ちっ<...ぉぉぉぉお!」ガッ!

今度はみうなが上空から突っ込んできて、バリバリバリバリッ!!
しばらく二人がお互いのバリアで張り合っていた。
が、みうなのバリアがパリンッ、と割れて、次の瞬間、
「やっ!」 ドスッ!!
絵里ちゃんが飛んで、みうなの腹に蹴りを食らわせていた。

「……くはっ!」

ひゅ〜ぅぅう、ドサッ!とみうなが気を失って落ちてきた。

「えへ、○○、絵里、なんだか強くなったみたい」
「う、うん、すごいね」
 

387 :サボリン:2003/12/04(木) 06:07
 
「……くそっ」と斉藤さんが舌打ちをする。と、
「…ぅぅ、このやろう…」とみうなが起きあがって、
「おりゃぁあ!!」と絵里ちゃんに飛びかかり、

バシッバシッバスバスバスッ!
と、もの凄い早さでパンチや蹴りを浴びせ始めた。
が、絵里ちゃんは全て片手でガードして相手にしない様子。

「とう!」ドッ!

ひゅん、ドガガガガガガガァーーー!!

みうなが絵里ちゃんの蹴りで吹っ飛ばされてビルの壁を壊してめり込んでいた。

「…ぅく!…」と鼻血を流して下を向くみうな。

「もうやめろ、みうな!
 もともとオマエ一人でかなう相手じゃない!」 斉藤さんが叫ぶ。
「…しかも石と同調して強くなってるみたいっすね」とマサオさん。

と、絵里ちゃんが斉藤さんに近寄り、
「その石は美貴様のだよ、返して!」
と言って斉藤さんの襟首を持って体全体を持ち上げる。
「あわわわ、返します、絵里様ァお助けを!」
と斉藤さんは石を出して絵里ちゃんに渡す。。案外素直だな。。

「ありがと」と石を受け取って絵里ちゃんがこっちに戻ってきた。
「さ、○○、行こ!」
「うん」 オレと絵里ちゃんは走って公園に向かった。
…絵里ちゃん、いつになく頼りがいがあるなぁ。。
 

388 :サボリン:2003/12/04(木) 06:08
 
公園につくと紺野さんとまいちゃんがバイクを用意して待っていた。
紺野さんに嬉しそうに事の次第を話す絵里ちゃん。。
「亀ェ……よくやった、ごはん3杯じゃ!!」
「うん!」
「ようし!、後は山埼の像に行けば道は開けます、
 行くぞっ!おまいら!!」ブォン!と紺野さんがエンジンを吹かす。
「はい!」「はい!」

オレはまいちゃんの後ろに乗っけてもらうことになった。
「○○さん、しっかりつかまっていて下さいね」と言われ、
「はい、おながいします」
オレは藤本の時みたいな恐い思いをしないように
まいちゃんの腰にしっかりと手を回して背中に抱きついた。
「あん…○○さん、…しっかりすぎますよ…」
「あ、ごめん」と少し手を緩めた。
「…いえ、気にしないで下さい
 それじゃ、発車しますよ!」
「はい、おながいします!」

ブオンブオン!ブオォォーーーン!と爆音を吐きながら、
4人は猛スピードで学校に向かった。
まいちゃんの運転は意外にやさしくて乗り心地が良かった。
…抱き心地も良かった。。
 
学校について時計を見てみるともう夜の9時だった。
時計の下の山埼校長の像に向かって紺野さんが歩き出す。
「亀、コイツをぶっ壊してくれ!」
「はい」 絵里ちゃんが山埼校長の像に近づいて
「えい!」とパンチをするとバキバキグシャン、と粉々に山埼が吹っ飛んだ。

と、像の下に白くて四角い大きなプレートが見えてきた。
上下左右に十字に線が引かれ、その端にはそれぞれ小さな穴があった。
「ここに石を置けばさゆみんへのゲートが開かれるはずです…
 さゆみんへのゲートへは石を持った4人のみが入れます
 さ、おまいら、一つずつ石を持って板の周りに立ってください」
と紺野さんに言われて、オレも一つ石を渡された。
「おまいら、4人の内、誰がさゆみんを発見しても
 絶対に起こさずにそのまま持ち出すんです、
 いいですか、唇にキスをして唾液を交換しない限り
 さゆみんが本当に覚醒することはありません、
 なんとしても無傷で持ち出し、美貴様にお渡しするのです!」
「はい!」「はい」「…はい」
「では、この穴にそれぞれ石を置いて下さい」
と紺野さんが穴に石を置こうとしゃがんだその時、カチャ、

389 :サボリン:2003/12/04(木) 06:08
 
紺野さんの頭に銃が突きつけられる。
「こ〜んちゃん、お久しぶり」
銃をたどって持ち主を見てみると、、ご、後藤さんが立っていた。
「後藤さん!」
「あは、□□くんもおひさ〜」
「ご、後藤さん…」と紺野さんが銃口へ視線を向ける。
「後藤さん、相変わらず抜けてますね…」
と今度はまいちゃんが後藤さんに銃を向ける。と、
「ふっ、あんたもね、後ろを見なさい」
まいちゃんの後ろには、れいなが門の上に立っていて銃を両手に持ち、
銃口をまいちゃんと絵里ちゃんに向けていた。
「絵里、久しぶり」
「れいな!」

と、時計の上からまたもや人影が!!スタッ!と誰かが降りてきた。
「今の気分はなに気分?ズバリ!?」
と降りてきたメガネの女の人が後藤さんとまいちゃんに銃を向ける。
「んぁ〜、誰?あんた?」
躊躇なく後藤さんがもう一丁銃を出してメガネに銃口を向ける。
「誰ですか?」
まいちゃんも銃をもう一丁出してメガネに向ける。
「あ、あらら?、そういうことするの?
 …私のこと知りませんか??」
…まだいたのか、、まつうらさんとこの村さんだ。
「村ちゃん!、大丈夫?」
と後ろには柴ちゃんまで出てきて
銃を構えて後藤さんとまいちゃんを狙って銃を構える。
それに反応してれいなが柴ちゃんを狙い、
紺野さんも密かに銃を出して柴ちゃんに向ける。
もはや、誰が誰を狙ってるのか、さっぱりわけワカメ。。
 

390 :サボリン:2003/12/04(木) 06:09
 
「あわわわ、みんなぉおおちけつ!!
 だ誰かが一人でも発砲したらみんな死んじゃうぞっ!!」
オレは大声で叫んだ。

「ふっ、後藤さん、やれるもんならやってご覧なさいな、
 銃はおもちゃじゃないんですよっ、
 私たちは皆、美貴様の捨て石!
 とっくに供養は済んでるんでさァ、
 …ただしィ、やったらあなたも確実に死にますねェ、
 頭が死んだらどうするんですかァ?そうでしょォ!後藤さん!」と紺野さん。
「んぁ〜、それはどうかなぁ…ねぇ、れいな?」と後藤さん。
「紺野さん、れいなば甘く見たら後悔するけんね、
 れいなは、まいさんが後藤さんを撃つより早く
 ここにいる全員ば正確に撃つことができるけん!」とれいなが銃を揺らす。
「……ちっ!」

「だから、おまいら、おちけつ! みんな銃を下ろすんだ!!」
と、オレが必死になって叫んでいると、キキキキィーイ!
と車が止まって、斉藤さんとマサオさんとみうなが出てきた。

「かっ、オマエら、何やってんだよォ!
 シヴァ、さっさと殺っちまえよ、コイツら!」と斉藤さん。
「…そんなこと言ったって、ヤバイですよこの状況…
 後藤さんまでいたんですよ…」と柴ちゃん。
「…ちっ、仕方ねーなァ」と斉藤さんがれいなを見る。

「斉藤さん、さっきは絵里が情けをかけてやったそうじゃないですかァ
 礼儀を示して下さいよ、斉藤さァん!」と紺野さん。

391 :サボリン:2003/12/04(木) 06:10
 
「ふっ、そうだな、…じゃ、ここで提案だ、
 みうな、れいな、絵里、それぞれのファティマに入らせて
 先にさゆみんを取ってきたヤツの勝ちにしようじゃないか?」
「…なっ、…みうな?、そうか…やはり松浦さんの手元に…」
と紺野さんが驚いてみうなを見つめる。
「紺野、オマエだって人間だ、
 さゆみんを見つけたとして、起こさないままちゃんと運んでこれるかァ?
 欲が出て藤本を裏切り、自分が主になろうとは思わないかァ?」
「なにを! 私が美貴様を裏切るようなことは断じてない!!」
「へっ、どうだか、オレだって実際にさゆみんに会ったら
 亜弥様を裏切ってキスしちゃうかも知れないぜェ、
 …だからな、ファティマだったら安心だろ?」
「……」 紺野さんは黙って考えているようだ。
「後藤サンは?、どうですかァ?」と斉藤さんが聞く。
「…私は別に構わないけどね、れいなが勝つに決まってるもん」
「…ようし、紺野はァ、どうするよォ!」
「…残りの一人は誰が行くんですか?」

「オレが行く!!」
・・オレは気が付くとそう叫んでいた。
・・・考えるよりも先に口が出てしまった。。後には引けない。。
「…言っとくけどオレは藤本の手下になった覚えはない、
 オレは誰の味方でもない!、中立の立場だ、…ただ、
 オレはみんなが血を流してさゆみんを奪い合うのは見ていられない!
 オレがさゆみんを見つけたら、…オレが主になる!
 そしてこの闘いを終わらせる!
 よくわかんないけど、さゆみんを使って悪いことはしない、
 その代わり、さゆみんは誰にも渡さない!!」
「……ほう、なかなかいい提案じゃねーか、
 オレは構わねーぞ、どうだァ、紺野は?」と斉藤さん。
「……はい、それなら構わないでしょう」
「後藤サンはァ?」
「…別に、いいよ」
「ようし、話は決まったァ!
 みんな!銃を下ろすんだ、シヴァ、村さん、下ろせ!」
 

392 :サボリン:2003/12/04(木) 06:10
 
柴ちゃんと村さんが先に銃を下ろして、後藤さんとれいなも下ろし、
まいちゃんと紺野さんもおとなしく銃をしまった。

あらためて、みうな、れいな、絵里ちゃん、オレが石を持ち、
プレートの前に立った。
ホントにこの4人でゲートをくぐることになってしまった。。

「みうな、頼んだぞ」「はい!」と斉藤さんとみうな。
「れいな、頑張ってね」「まかしてください!」と後藤さんとれいな。
「亀ェ、死んでも取って来いよォ!」「…う、うん」と紺野さんと絵里ちゃん。


・・・オレには送ってくれる人がいないのか、ショボーン。。と、
「○○さんも、頑張って下さいね
 さゆみんを起こさずに取って来れたら
 美貴様も私も亀もまいもあさみも、
 ○○さんの言うこと、なぁんでもきいちゃうんだからぁ…」
なんて紺野さんが舌打ちする。
「な、なに言ってんだよ、お、オレがさゆみんの主になるんだ!」
「そこォ!、なにこそこそしてんだ!?
 いかさますんじゃねーぞォ!」と斉藤さんに怒られる。

・・・オレが、誰よりも早くさゆみんを見つけて主になる。
そしてこの闘いを終わらせるんだ!!
って、こんな人間離れした3人と闘って勝てるのか…
…早くも不安になってきた。。

「さぁ、オマエら、石を置け!」
斉藤さんの合図で4人が一斉にプレートの穴に石を置く。。
 

393 :サボリン:2003/12/04(木) 06:11
 
 
と、プレートがスゥーーッと光って消えて

光に溢れた穴がプレートの下にでき、



気づくともう光の道を、




まっさかさまに






落ちて、









落ち…











 

394 :サボリン:2003/12/04(木) 06:12
 
























・・











 

395 :サボリン:2003/12/04(木) 06:12
 









・・・









「…ぅぅ…」
















「…ぅぅ…さゆ…」






 

396 :サボリン:2003/12/04(木) 06:13
 




 
「…ちゃん、起きてよ!」



「…んん?」




「…ちゃんてば!!」



あれっ、ここはどこだ??

…ベッドの上だ。。
ん?誰かに起こされたみたいだ。

ベッドの横でオレの体を揺すって起こしているのは…




1 幼なじみのみうな
2 妹のれいな
3 妹の絵里
 

397 :名無し娘。:2003/12/04(木) 07:01
3

398 :名無し娘。:2003/12/04(木) 11:11
3!3!!(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!!

399 :名無し娘。:2003/12/04(木) 15:17
3しかない!!

400 :名無し娘。:2003/12/04(木) 15:50
3

401 :名無し娘。:2003/12/04(木) 22:17
3

402 :名無し娘。:2003/12/04(木) 23:40
3だよな!

403 :名無し娘。:2003/12/05(金) 04:36
3

404 :名無し娘。:2003/12/05(金) 23:16
3

405 :名無し娘。:2003/12/06(土) 01:25
3

406 :名無し娘。:2003/12/06(土) 14:54
3

407 :名無し娘。:2003/12/06(土) 20:24
    @ @
   ( ‘д‘)
  (( (  つ ヘ⌒ヽフ
    ),ィ⌒( ´D`)
  (_(__人__,つ 、つ

408 :名無し娘。:2003/12/06(土) 20:36
3

409 :名無し娘。:2003/12/06(土) 22:40
3

410 :名無し娘。:2003/12/07(日) 00:09
3

411 :名無し娘。:2003/12/07(日) 00:59


412 :名無し娘。:2003/12/07(日) 01:47
3

413 :名無し娘。:2003/12/07(日) 02:49
3

414 :名無し娘。:2003/12/07(日) 02:56
漏れも3

415 :名無し娘。:2003/12/07(日) 03:39
3

416 :名無し娘。:2003/12/07(日) 05:15
す、凄い団結力。。。漏れも33で

417 :サボリン:2003/12/07(日) 05:23
ちょっと待て!
レスが多すぎるが…、しかも全会一致って…
おまいらえりりん恋しさに自演してないよな??

ともあれ、たくさんのレスありがとうございます。
今からマターリと書きます。ご期待にそえるかどうか。。

418 :名無し娘。:2003/12/07(日) 11:44
全員一致キタ━━━━━━从*^ー^)━━━━━━!!!!

419 :名無し娘。:2003/12/07(日) 14:28
えりりんのωなら大丈夫だろー?>3投票のみんな




420 :名無し娘。:2003/12/07(日) 15:36
3

421 :名無し娘。:2003/12/07(日) 16:27
3

422 :名無し娘。:2003/12/07(日) 20:44
便乗3

423 :名無し娘。:2003/12/07(日) 20:55
3

424 :サボリン:2003/12/07(日) 21:13
 
 
 
「おにーちゃんてば!!
 もう起きてよ〜、今日は絵里と一緒に海に行く約束でしょ!?」

目を開けてみると絵里ちゃんがベッドの横に座っていた。
「…むにゃ、……、え、絵里ちゃん??」
「…な、なに寝ぼけてるの?
 んもう、おにーちゃん、気持ち悪い、
 …“絵里ちゃん”なんてやめてよ」
「…お、おにーちゃん?」
「…早く降りてきてね、ごはんできてるよ」
そう言って絵里ちゃんはぴょんとジャンプして立って伸びをする。
半袖シャツに半ズボン、なんだか夏のような格好だ。
「…う、うん」
絵里ちゃんはドアのところでニッっとかわいくにらんでから、
髪を揺らして階段を下りていった。


…あ、あれ?ここはどこなんだ?
カーテンを開けてみると、うわっ、
…まぶしい、カッと照りつける太陽だ。。
軽く風が吹いて、なんか鳥が鳴いている。
朝の気持ちいい空気が流れている。。

「…おにーちゃん!」

下から絵里ちゃんの声がする。

「今行く!」
 

425 :サボリン:2003/12/07(日) 21:14
 
慌てて階段を下りていくと
「おはよう、ねぼすけクン」
と、階段下で知らないお姉さんが話しかけてきた。
…あわあわ、あわわ、…平家さんだ、憧れの平家みっちゃんだ!!

「…みっちゃん、なにやってんのこんなとこで!?」
「…なにって、朝ご飯つくって…これから洗濯するところや?」
「あ、思い出した、ベストアルバム買おうとは思ってたんだけど
 忙しくてまだ買ってなかった、ごめんね…」
「はぁ? いつまで寝ぼけてるんね
 しゃんとしんさい! ○○クン!」ピン!
とみっちゃんにデコピンをくらった。
「…あいて」
「ふふ、早くご飯すませてーな、洗い物もせんならんで」
「…うん」


……あ、そうか、
みっちゃんはオレの叔母さんだったっけ……
そうだ、それで…、絵里はオレの妹だったよな……たしか。


ダイニングに着くと目玉焼きにウインナーにキャベツの千切り、
納豆におみそ汁、なんかとってもあったかい料理が並んでいた。
絵里は先にテーブルについてむしゃむしゃご飯を食べていた。
「おにぃちゃん、さっさと食べて準備してよね」もぐもぐ。
「うん、…あ、絵里、ご飯つぶ、ほっぺについてるぞ」
「え?どこどこ?」
「ここだよ」
オレは絵里のほっぺのご飯つぶを取って、パクッと食べた。
「…ありがと」 と絵里が舌を出して照れ笑いをする。
「はは、絵里はまだまだ子供だなぁ」
「子供じゃないもん!」
「だってお前、下見てみろよ」
「…あ」
絵里の食器の横にはキャベツの千切りがぼろぼろ落ちていた。
「まったく、箸もちゃんと使えないんだから、子供だよなぁ」
「…おにーちゃんのいぢわる!」 と絵里は頬をふくらませる。
…なんて、いつものように絵里をからかいながらオレも席に着いた。
 

426 :サボリン:2003/12/07(日) 21:14
 
と、「絵里〜、準備できと〜?」
勝手口から女の子が入ってきた。絵里の友達のれいなだ……たしか。
「れいな来るの早いよ〜」
「あは、そうかいな?
 あ、○に〜ちゃん、おはよう」
「…おはよう」

「あれ、れいなちゃん、おはよう、
 随分早いんね、朝ご飯は?ちゃんと食べた〜?」
と、みっちゃんが顔を出してれいなに話しかける。
「あは、実はまだねー」
「ほな、食べてかんとね、今準備するで」
「すみません」 れいながちょこんとおじぎをしてオレの隣に座る。

「れいな〜、いい加減うちで朝ご飯食べるのやめてよね」と絵里。
「なに言っとーと、絵里はけちんぼやね〜」
「…別にけちで言ってるんじゃないもん」
「やったら、なんでそんなに怒っとーよ?」
「はは、さっきオレがからかったから怒ってるだけだよ」
「あは、○に〜ちゃん、また絵里のこと子供やってからかったんね?」
「ま、まーね…」
「しょうがなか、ほんまのことやけんね、あはは」
「なにさ、れいななんか思いっきり幼児体型のくせに!」
「ふん、絵里のアヒル口!」
「れいなの…フック鼻!」
「だいこん!!」
「よりめ!!」
「…え〜ん、○に〜ちゃん、絵里がいぢめる〜」とれいなが抱きついてくる。

「…絵里、言い過ぎだぞっ、あやまんなさい!」
「そんな〜、れいなだって好き放題言ってたのに!
 それよりれいな〜、おにーちゃんから離れてよ!」
「べーっだ、絵里がいぢめるから隠れてるんばい!」
と言ってオレの背中に隠れるれいな。
「……」
「あは、絵里のブラコン! でも、だめばい、
 ○に〜ちゃんはれいなと結婚するんやけんね
 絵里はどう頑張っても結婚できなかからね、へへーんだ!」
そう言ってれいなが後ろから抱きついてくる。ぷにっ。
「なにを〜、キーッ!! お、お、おにーちゃんから離れて〜!!」
と絵里がれいなを追っかけるが、オレを盾にしてれいなが左右によける。
「へへーんだ、絵里ののろま〜!」
「むっき〜!!」
二人がオレを挟んで追いかけっこを始める。ドタガタ。

「ええい、二人とも、やめんか!!」
 

427 :サボリン:2003/12/07(日) 21:15
 
 
…ケンカする二人をなんとか収めて、ようやく出発となった。
「いってらっしゃ〜い、気をつけてね〜」
とみっちゃんが送ってくれた。


家から歩いて10分のところにいつも行くビーチがある。
ビーチにつくと、オレたち以外誰も人がいなくて独占状態だった。
今日は本当にいい天気だ。青い空に青い海。からっとした暑さが気持ちいい。
絵里もれいなもさっきのケンカは忘れて、
ビーチボールでキャッキャと遊んでいた。
オレはお守りみたいなもんだ、、パラソルの下で横になって休んでいた。
ザァーッ、ザァーッ、という波の音に誘われて
ついついウトウトしてしまう。。と、

「○○、はい、差し入れっ」
ひゃっ!!と頬に冷たい感触が!!
オレは慌てて起きあがった。。なんだ、…みうなか。
「なんだよっ、突然、ビックリするだろ!!」
「はは、ごめんごめん」 みうなが意地悪そうに笑ってオレの横に座る。
「オマエ、店はいいのかよ?」
みうなが持ってきたアイスティーを飲みながらたずねる。
「うん、ちょっと抜けてきたんだ…
 はは、絵里ちゃんもれいなも元気だね〜」
絵里とれいなは浮き輪で浮かびながら水をキャッキャとかけあっていた。
「…うん、そうだね」
薄く切ったオレンジがアイスティーに浮かんでいる。
こんないい天気の中でビーチで寝そべっていると、
生きる事も爽やかに視えてくるから不思議だ。
…自分が誰かも忘れてしまいそうだ。。

「なに?どうしたの?具合でも悪いの?」
目をつぶって動かないオレを心配してか、みうながたずねる。
「いいや、太陽がいっぱいで、最高の気分さ…」
 
 

428 :サボリン:2003/12/07(日) 21:15
 
と、そのとき、
「きゃあぁ!!」「きゃー!!」という二人の叫び声がする。

「どうしたァ!!」
オレは慌てて波打ち際の方へ走った。
二人の方へ駆け寄ると、、
女の子が一人、砂浜に倒れていた。
服がびっしょりと濡れている。おぼれたのだろうか。。

「お、おい、そ、その子どうしたんだ??」
「海からあがったらそこに倒れてたの…」と絵里が脅えて言う。
「全然気づかなかったとよ、いつからいたんやろ…」とれいな。
「そ、そんなことより、大丈夫なのかその子は??」
オレは慌てて駆け寄って女の子の上半身を抱き上げた。
「おい!、大丈夫か!おい!!」ペチペチ。
頬を叩いてみるものの、返事がない。ただの屍のようだ。
…いや、意識がないだけだろう。。
しかし、口元に耳を当ててみると、、呼吸してるのかどうか、あやしい。
……そのわりに頬の血色は良いようだが。。




1 と、とりあえず救急車を呼ぶ。
2 ベルトを緩め、濡れた服を脱がす。
3 いや、即座に人工呼吸だ。
 

429 :名無し娘。:2003/12/07(日) 22:37
3!!!!!

430 :名無し娘。:2003/12/07(日) 22:38
2と行きたいが3で

431 :名無し娘。:2003/12/07(日) 23:06
3

432 :名無し娘。:2003/12/07(日) 23:24


433 :名無し娘。:2003/12/07(日) 23:26
3

434 :名無し娘。:2003/12/08(月) 00:13
3で

435 :名無し娘。:2003/12/08(月) 00:30
3

436 :名無し娘。:2003/12/08(月) 01:50
3

437 :名無し娘。:2003/12/08(月) 02:54
3

438 :名無し娘。:2003/12/08(月) 10:33
3

439 :名無し娘。:2003/12/08(月) 22:32
3

440 :名無し娘。:2003/12/08(月) 23:09
3!(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア!!

441 :名無し娘。:2003/12/08(月) 23:42
3

442 :名無し娘。:2003/12/08(月) 23:54
おまいら3好きだな。だがそんな漏れも3。

443 :名無し娘。:2003/12/08(月) 23:56
3

444 :サボリン:2003/12/09(火) 00:11
うにゅう、、ここまで一致した選択がされてしまうのは
オレの出す選択肢が適当だからだなぁ。。ちと考えねばならん。

ストーリー重視だから仕方ないところもあるけど
せっかく選択してもらっても無理矢理戻すこともあったしな。。
でも、>>396とかは選択通りにちゃんと3パターン考えてたのに3ばっかだった。

ま、読んで下さった方は「読んだよ」という軽い気持ちで選択して下さい。
これからはもっと選べる選択肢を考えます。
でも、その分修正が必要になり、無視することもあるかも知れませんがご了承を。
・・・うーん、何が言いたいのかわかんなくなってきた。ま、マターリやります。

445 :名無し娘。:2003/12/10(水) 01:45


446 :名無し娘。:2003/12/10(水) 05:15
2

447 :サボリン:2003/12/12(金) 15:38
 
「あわわ、これはいかん、即座に人工呼吸だ!」
オレは女の子の頭を抱えて口をつけようとした。が、
「おにーちゃん、だめぇ〜!!」ドスッ!!
と、絵里に突き飛ばされた。
「な、なにすんだよお前、一刻を争う事態だぞっ!」
「だって…」 すると、
「…れいながやるけん」
そう言って、れいなが女の子の頭を抱えて鼻をつまんで口をつける。
フーーーッと思いっきり息を吹き込むれいな。
もの凄い勢いで女の子の肺が膨らんでいく。。
「おい、れいな、もうちっとやさしくやれよ…」
「大丈夫ばい」と言って鼻から手を放し、また口をつけて息を吹き込む。
と、「こほっ、こほっ!」
と女の子が咳をして呼吸を始めた。…良かった。
目をうっすらと開けたものの眉を寄せて苦しそうな表情だ。
「…水ば吐かせなかと」
そう言ってれいなは女の子を抱き起こし背中をバシバシ叩く。
「うぅ!、うぅ…」
「だめだなぁ…」と、れいなが女の子の口に指を突っ込むと、
「うぇ、うぇぇぇえ!!」げろげろ。
と、女の子が水をはき出した。
「よし、もう大丈夫ばい!」
と、れいなは女の子の顔をのぞき込む。
どこで習ったのか知らないが、見事な手腕だ。。
絵里とみうなも女の子の周りに立って様子を見る。
女の子は眠ってしまったようだ。
でも、さっきより楽そうな表情をしていてよかった。
…口元のほくろがかわいい。
なんかどっかで会ったことがあるような懐かしい顔をしている。。


おっと、そんな感傷に浸っている場合じゃない。
「絵里、あそこのタオル全部取ってこい」
「うん」
オレとみうなで体を支えながら濡れた上着とスカートを脱がせ、
絵里が取ってきたタオルで女の子の体を拭いてぐるぐる巻いた。
「と、とりあえず、おれんち運ぶか」
「…そうだね、もう峠は越したみたいだし」
みうなに手伝ってもらって女の子を背負い、おれんちまで運ぶことにした。
 

448 :サボリン:2003/12/12(金) 15:39
 
「おいしょ!」
オレは坂道を必死になって登っていく。結構重いな。。
「○に〜ちゃん、この子大丈夫やろか?」
後ろから心配そうな顔をして、れいながついてくる。
「ああ、大丈夫だよ、…たぶん」
・・・オレの体力の方が大丈夫じゃないよ、ハァ、ハァ。
海からおれんちまでの坂道は一人だってつらいときがあるというのに。。
「○に〜ちゃん、頑張って!」
とれいなが後ろから押してくれる。
「ああ、ありがとな」
「おにーちゃん、頑張って!」
「○○〜男でしょ〜、それくらいなんだ!」
絵里とみうなが前を歩きながら声をかけてくる。
「おまいらも手伝え…」

オレは必死の思いで女の子を背負い、なんとか家までたどり着いた。
みっちゃんは女の子を見て、「えらいこっちゃ」とあたふたと動き、
客間に布団を敷いて、女の子を着替えさせて寝かせてくれた。

みんなでしばらく女の子の周りに座って様子を見ていたが
「…よく眠ってる、大丈夫や
 ゆっくり寝かせたろ、みんな外にでよか」
みっちゃんに言われてオレたちは部屋を出た。
みうなは心配していたものの店の手伝いがあるので帰った。
れいなも絵里と遊びながらちょくちょく女の子の様子をのぞいていたが
夕方になって帰ることになった。
「絵里、またね、明日見に来るからね」
「うん」
「あん子が元気になりよったら一緒に遊ぼうね」
「うん」
「れいな、気をつけて帰れよ」
「うん、○に〜ちゃん、またね」
「おう、じゃーな」
れいなはサンダルをひっかけて、
オレンジになった砂利道をカラコロ音を立てて帰っていった。
 

449 :サボリン:2003/12/12(金) 15:39
 
れいなが帰ると絵里は急にしょんぼりとして、
縁側に座って足をプラプラさせながら犬をいじっていた。
「絵里、早く入ってこい、蚊に刺されるぞ」と声をかけた。
「うん」
「絵里?」ちっとも入ってこないので様子を見に行った。
「おにーちゃん、絵里、
 コイツのことカワイイと思えないんだよね、…微妙に」
「…はぁ?」
「絵里って悪い子かなぁ…」
「…いや別に、そいつはたしかにかわいくないからな…
 でも、愛嬌はあるぞ」
「ふふ、そうだね」そう言って絵里は犬をもみくちゃにいじる。
「ほら、もうご飯だぞ、入ってこい」
「うん」


夕食が終わって一風呂浴びて居間に戻ると
絵里が煎餅を片手にお茶をズズゥっとすすってテレビを見ていた。
「なんだ、お前、おばーちゃんみたいだな、
 それになんだ、寝る前に食うと太るぞ」
「なによ〜ほっといてよ」
「それに、お前、髪の毛ちゃんと拭いたのか?風引くぞ」
俺の前に風呂に入ったのにまだ髪が濡れていた。
「もう、子供扱いしないでよっ」
絵里は怒って居間を出て行こうと勢いよく立ち上がったが
ステーン!と畳に靴下を滑らせて転びかけ、本棚に足をガツンとぶつけた。
「おい、…大丈夫か?」
「……っ、、ふん!」
痛いのをやせ我慢しながら、絵里は黙って二階に上がって行った。
・・・まったく、近頃の絵里はころころ気分が変わって手に負えない。
 

450 :サボリン:2003/12/12(金) 15:40
 
しばらくマターリしたあと、
台所でみっちゃんの食器を洗う音がしたので手伝いに行った。
「あ、○○クン、おおきに」
「ううん」
みっちゃんの隣でみっちゃんが洗った食器を拭いて戸棚に入れるオレ。
「○○クン、うち、今日は居間で寝るわ
 夜中にあん子が目覚まして、怖がるといかんからね」
「…そう、ごめんね、結局一番みっちゃんに迷惑かけちゃったね
 やっぱ病院かどっかに連れてけばよかったかなぁ」
「んなことあらへん、
 病院なんかに入れたらかわいそうやないか、
 なんか事情があるのかもしれへんし…まぁ、明日には元気になるろーて」
「…うん」

洗い物を終え、オレは客間の襖を少し開けて女の子の様子をみた。
・・・ぐっすり寝ているみたいだ。。
静かに襖を閉じて、オレは自分の部屋に向かった。
途中、絵里の部屋をのぞいてみる。
枕元の豚の蚊取り線香入れから煙が出ている。
以前、絵里は蚊取り線香で小火を出したことがあるので
夏は時々気になってのぞくことがある。火の元は大丈夫のようだ。
絵里は布団でスヤスヤ眠っていた。はだけたタオルケットを
かけてやって部屋を出た。

オレは自分の部屋に入りベッドにもぐり、
何となく慣れない感覚を抱きながら眠りについた。
 
 

451 :サボリン:2003/12/12(金) 15:40
 
 
朝、

食事をすませてから、なんとなく縁側で爪を切っていると
「○に〜ちゃん、おはよう!」 と、れいながやってきて犬をいじりだす。
「おう、おはよう」
「あん子は目さましたと?」
「…いや、まだだよ」
「それや、あれからずっと寝てると?」
「…うん」
「大丈夫かね?」
「…う〜ん」
・・・実際、計算するともう20時間くらい寝てるのかも。大丈夫かな。。
と、背後の客間の襖がスススーッと開いて、振り向くと、
「…大丈夫です」と、女の子が出てきた。
「うわっ!」
「わっ、起きた!」
「……気分はどう?…起きても大丈夫?」
「…はい、大丈夫です」 はれぼったい瞼を落として静かに答える。
「…絵里、おばちゃん、あん子が起きたよ!」
「ホントに?」「ほんまか?」
と、れいなに呼ばれて、絵里とみっちゃんも居間に集まった。

「…みなさんが助けてくれたんですか?
 …ありがとうございます、私、道重さゆみと言います」
女の子は改めてオレたちに頭を下げた。

「さゆみ?…変わった名前だね」と絵里。
「あは、そうだね、…さゆ、って呼ぼうか?」とれいな。
「ふふ、なんだか白湯みたい
 …私は絵里、よろしくね」と絵里が女の子に握手を求める。
「…うん、…よろしく」と、女の子が絵里と握手をする。
「うちはれいなばい、
 絵里は頼りにならなかから、困ったらうちば頼るとよかよ」
そう言って、れいなも女の子の掌を握る。
「なにを〜!」と絵里が怒ってれいなをにらむ。
 

452 :サボリン:2003/12/12(金) 15:42
 
「ちょっと二人とも、さゆみちゃんは疲れてるんやからな、
 もめごとはあっちでやりぃ、さあ、さゆみちゃん?
 お腹空いたでしょ、向こうに座って、なんか用意するから」
そう言ってみっちゃんがダイニングに女の子を案内する。
オレもれいなも絵里もついて行って、女の子のまわりに座る。

「…いったい、昨日はどうしたん?
 突然浜で倒れてるから、びっくりしたんばい」とれいな。
「……」
「……どこから来たの?」と絵里。
「……」 困った顔をして女の子は下を向く。
「…覚えてないの?」
「絵里、まだ起きたばっかりなんだから、質問責めするなよ」
「…だって」
「昨日、○に〜ちゃんがここまで運んできたんばい
 それは覚えてる?」
「…あ、うん、昨日のことはなんとなく覚えてます、
 …ありがとうございました」と女の子がオレの方を向いて頭を下げる。
「い、いや、オレは運んだだけだから…その前にはれいなが口を…」
「○に〜ちゃん、言わなかで!」
「えっ、…ああ、うん、
 あ、そう、オレは○○、よろしくね、さゆみちゃん」
「…はい」そう言ってさゆみちゃんは微笑んだ。

「みんな〜、静かにしといてやりぃ、
 まずは食べて、体力回復せなね」
そう言ってみっちゃんがお粥を持ってきた。
「さぁ、お上がり」
「…ありがとうございます」
そう言ってさゆみちゃんはムシャムシャお粥を食べ始めた。
「やっぱりお腹が空いてたんだね」
と、絵里がマジマジとさゆみちゃんを見つめる。
「……」 さゆみちゃんが恥ずかしそうに下を向く。
「ほれほれ、見せもんちゃうで、
 3人とも、しばらくあっち行っとかんね!」
 

453 :サボリン:2003/12/12(金) 15:43
 
みっちゃんに言われてオレと絵里とれいなは居間に戻り、
心配しつつも、マンガを呼んでマターリしていた。
しばらくすると、向こうからシャワーの音がする。。
みっちゃんがさゆみちゃんをお風呂に入れているようだ。

ほどなく、みっちゃんに連れられて
さゆみちゃんが居間に戻ってきた。
「……」
「あれぇ、絵里ちゃんの服着せたらちょっと小さかったかね
 ちょっときつくても我慢してね、
 そのうち○○クンの古いの探してくるよって」
「…はい」
「あはは、絵里と違ってさゆはスタイルがよかんだね」とれいなが笑う。
「なにを〜」とまた絵里がふくれている。
・・・さゆみちゃん、確かにスタイルいいかも、幼い顔のわりには。。
絵里のTシャツは胸の辺りがきつそうだし
絵里が着ると膝下まであるパンツが膝上に来ている。
「とにかく、みんな、仲良うな」
そう言ってみっちゃんは台所に戻っていった。


「さゆ、元気になりよったと?」
「…うん、もう大丈夫」
「じゃ、どっか遊びに行こうよ」と絵里。
「そうだ、行こう行こう!」とれいながさゆみちゃんの手を引っ張る。
「おい、おまいら、さゆみちゃんはまだ疲れてるんだから
 あんまり連れ回すなよ」オレが慌てて止めに入った。
「…私は大丈夫ですよ」 さゆみちゃんが答える。
「さゆもこう言ってることだし大丈夫だよ」
「…ホントに大丈夫か?」
「そうだ、みうな姉ちゃんのお店まで散歩に行こうよ
 おにーちゃんも一緒に、それくらいならいいでしょ?」
「そうだ、それがよか」
・・・絵里もれいなも同世代の友達は初めてだからか、
随分とはしゃいでるみたいだ。…どうしようか。。




1 「さゆみちゃんはまだ本調子じゃない、大事を取って家にいなさい」
2 「そうだな、みうなの店までなら大丈夫かな」
 

454 :名無し娘。:2003/12/12(金) 19:56

それにしてもネタ目白押しだな。

455 :名無し娘。:2003/12/12(金) 21:54
2

456 :名無し娘。:2003/12/12(金) 23:14
2

457 :名無し娘。:2003/12/14(日) 23:23
2だな

458 :名無し娘。:2003/12/15(月) 01:48
2だニイ

459 :名無し娘。:2003/12/15(月) 12:17
1で

460 :名無し娘。:2003/12/15(月) 13:00


461 :名無し娘。:2003/12/15(月) 16:26
2

462 :名無し娘。:2003/12/15(月) 22:35
2

463 :名無し娘。:2003/12/18(木) 00:00
2

464 :名無し娘。:2003/12/18(木) 00:25
2

465 :名無し娘。:2003/12/18(木) 22:36


466 :サボリン:2003/12/20(土) 18:13
 
「そうだな、みうなの店までなら大丈夫かな」
「やった、さゆ、行こ!」
「行こ!」
「…うん!」
絵里とれいなはさゆみちゃんを引っ張ってすぐにも玄関を出ようとする。
「おい、おまいら、待て!」
走っていく3人の後を、オレは慌てて追いかけた。

しばらくして追いつくと、3人がゆったりと歩き出したので
オレは呼吸を整えながらマターリと少し後ろからついて行った。
なにを話しているのか、風に気を取られて聞こえてこない。
3人はキャッキャと声を立てては時折こちらを振り返って笑っていた。
日差しが強くなり始めた頃だったが、
みうなの店までの道のりは防風林が連なっていて
松の木が丁度良く影を落としてくれていた。

3人の姿が影に入ったり光に出たりするのを眺めているうちに
いつの間にか、オレは3人の声が聞こえる程度にまで近づいていた。
が、3人は話すこともなくなったのか、静かに歩くだけだった。
風に吹かれる木の音に4人の足音だけが静かにリズムを刻んだ。
と云って気まずい空気が流れていたのではなく、
穏やかな海風に話すことを忘れたといった感じで、
特にさゆみちゃんは、初めて世界を眺めるかのように
じーっと目を開いて木々を見つめながら歩いていた。
時折差す光に茶色の瞳が綺麗に透き通って光っていた。
 

467 :サボリン:2003/12/20(土) 18:13
 
みうなの店に着くと、今日はいつにも増して客が少なく…
いや、客は一人もいなかった。
「みうな姉ちゃん、あの子が起きたよ!」
絵里の声を聞いてみうなが出てきた。
「ホントに?良かったね〜」
と、さゆみちゃんの頭をなでる。
「……」
「さゆみって言うの」
「へぇ〜、昨日は大変だったんだよ〜、覚えてる?」
「…はい、ご迷惑をかけました」
「はは、カタくならないでよ、…もう動いても大丈夫なの?」
「…はい、大丈夫です」
「そうか、じゃ快気祝いになんか作るから食べてってね」
「…はい」
そう言って、みうなは調理場に入っていった。

絵里とれいなは冷蔵庫から勝手にジュースを持ち出して
テラスにさゆみちゃんを連れ出していった。
店長がいないらしく、みうなは一人で調理場でガタゴトやっているので
オレはみうなを手伝うことにした。
みうなに指示されながら食器を出したり鍋を片づけたりしているうちに
手際よくスパゲッティが出来あがり、オレがテラスに運んでいった。

3人はテーブルを囲んでジェンガをやりながら、にゃーにゃー騒いでいた。
「ほら、おまいら、できたぞっ! それどかせよ」
「は〜い」「は〜い」
絵里とれいなはしゃきしゃきとジェンガをかたして
小皿やフォークを持ち出してガツガツとスパゲッティを食い始めた。
みうなも奥から出てきて席について食べ始めた。と、
「…あれ?さゆみちゃん、食欲ないの?」 みうながたずねる。
「…あ、そうだ、さゆみちゃんはさっき食べたばっかりだった…」
「なぁに、○○、そんなこと先に言ってよね!」
「ごめん、忘れてた」
「…あまり食べれなくてごめんなさい、美味しいです」
「…ううん、気にしないで、そうだフルーツでも持ってくるね!」
と言って、みうながフルーツを持ってきたが、
結局、それも絵里とれいながガツガツ食ってるだけだった。
さゆみちゃんはパイナップルを少し、もそもそかじっていた。
 

468 :サボリン:2003/12/20(土) 18:14
 
 
食事が終わってしばらくマターリして、帰ることになった。
みうなが店長から花火をもらったというので
夕飯後にみんなでやることになった。
海のそばでやったらさゆみちゃんが怖がると絵里が心配したが
さゆみちゃんは大丈夫だと言うので、やることになった。
8時に海に集まることにして4人は店を出た。


家に戻って、絵里たちは部屋で静かに遊んでいるようだった。
オレはやっと3人から解放されて居間でウトウトしていたが、
しばらくして3人がダダダダッと階段を勢いよく下りてきて、
夕飯はれいなも一緒に食べることにする、
お好み焼きをやる、と言う。3人がガタゴト台所を荒らして
にゃーにゃーと騒ぎながら作るのを、オレとみっちゃんはあきれて見ていた。

絵里とれいながぎゃーすか言いながら焼くのを見て、
さゆみちゃんも負けじと、元気にお好み焼きを焼いていた。
「見てて、絵里、いくよっ、…やっ!」パシュッ!
「すご〜い、さゆ!」「やる〜」
「ふふ、すごいでしょ」
一発裏返しに成功したさゆみちゃんが得意げに笑う。
「絵里もやる!」
「ちょっと待て、お前…」
「やっ!」ぐちゃ。
…まだ、半焼けのものを無理矢理ひっくり返し
絵里のお好み焼きはゲロみたいに広がり、
生地がプレートの外にまで散らばっていた。
「こんばか! なんするの!」
「…ふえ〜ん」
「れいなの領域を侵犯するなっちゃ!」
れいなは必死に自分のお好み焼きが犯されないようにヘラでガードしていた。
絵里は泣き真似しながら突っ立ってるだけで片づけようとしない。
「だーっ、ちょっとどけ! …ばかだなぁ」
と、オレが雑巾で散らばった生地を拭いて
なんとか絵里のお好み焼きの形を整えてやった。
「……ありがと」
絵里は自分の不器用さに少し凹んでいるようだった。。

結局、何が入ってるのかわからん奇妙な味のお好み焼きを、
誰が作ったのが一番美味しいか、と何種類も食べさせられた。
オレの胃袋を使って競争するな!と。。
…とはいえ、すっかりさゆみちゃんも元気になったみたいで良かった。。
 

469 :サボリン:2003/12/20(土) 18:15
 
 
夕食後、少し休んでからバケツを持って海に向かった。
道路が切れるところで
みうながボストンバッグみたいなでっかい花火袋を持って立っていた。
「おーい、こっちこっち」と手を振るみうな。
「オマエ、…花火って、こんなに持って来ちゃったの?」
「え?なんで? どかーんとやろうよ、どかーんと!」
「…ああ」
…オレはなんだか嫌な予感がした。


始めは手持ち花火でチロチロ遊んでいたが
絵里が吹き出し花火を持って「すごいだろ〜」と大きな火花を自慢し、
それに対抗して、れいなが「うちの方がすごいよ!」と
手持回転に火をつけてグリグリと鎖ガマみたいに回して走り回り始めた。
「ねぇ! ○に〜ちゃん、すごい?れいなの方がすごい!?」
「はいはい、すごいすごい、わーったから、気をつけろ!」
「大丈夫ばい!」
「はは、絵里もれいなもまだまだだね!」
と、今度はみうなが打ち上げ花火を手に持って、
大砲のようにドシュドシュと水平に連続発射させていた。
「○○!みうなの方がすごいよね!」
「ばか!オマエが挑発にのってどーすんだよォ!」
「あ〜、みうな姉ちゃん、反則ばい!
 よーし、れいなだって…」
と、れいなが空き瓶を拾ってきてなにやら作業し始める。
のぞいてみるとロケット花火が束になって瓶に突っ込まれ
導火線が器用に一本にまとめられていた。れいなは瓶を横に向けて、
「いくばい!」
「ばか!やめっ…」ジジジジッ…
「逃げて!」とれいなが走り去るのをオレは慌てて追いかける。と、
ヒューン、キュン、キュキュン、ヒュヒュヒュン!!
パンパン、パンッ、パパパンッパパッ!!ババンッバンッッ!!
ロケット花火があちこちに飛んでいって連続で爆発していた。
と、空き瓶が発射の勢いで回転し、
最後の一発がオレとれいなめがけて飛んできた。キューン、パンッ!
「うわぁああ!!」「きゃぁあ!」と叫んだときには、
既にロケット花火は二人の間を通り過ぎ、後方で爆発していた。
れいなはオレに抱きついてへなへな座り込んでいた。
「ばか!危ないだろ!!」
「…恐かったっちゃ〜、不良品やねアレは」
「あのな、オマエの使い方が悪いんじゃ!」
 

470 :サボリン:2003/12/20(土) 18:16
 
と、騒いでる二人を余所に、絵里とみうなとさゆみちゃんが
輪を作ってしゃがみこんでなにやら見つめている。
また変なことを始めるのかと、慌てて見に行ったが
3人でヘビ花火を長くつなげて喜んでいた。ジジジジ。…ふう。
「みうな姉ちゃんとれいながバカみたいに使っちゃうから
 後はヘビと棒と線香花火しかないよ」と絵里が文句を言っていた。と、
「…私はこれが一番好き」
さゆみちゃんが立ち上がって、
手持ち花火に火をつけて静かにクルクル回し始めた。
「はは、さゆみちゃん、綺麗だね」
「…ふふっ」
と、気をよくしたのか、さゆみちゃんは花火をもったまま
体を動かして新体操のリボンみたいに踊り出した。シュッシューッ。
さゆみちゃんが花火を縦横に動かした軌跡が目の奥に線を作って、
目の前の花火と瞼の裏の花火、どちらを見ているのかわからなくなった。
「ははは、きれいきれい」
「絵里は?絵里は?」
と絵里も両手に花火を持って太極拳みたいな踊りを始めた。シュッシュッ!
「…ああ、きれいだね」
「れいなもやるばい!」
とれいなも両手に持って体をグルグル回転し始めた。シャァーーッ!!
「とりゃー、○に〜ちゃん、見て見て、見てる〜!?」ぐるぐるぐる。
「……ああ、見てるよ」
「綺麗?綺麗?」
「…はいはい、きれいだね」…なんだかヘリコプターみたいだ。。
「見てる〜、ホントに見てる〜、キャハハハハ!」
と笑って、れいなは目を回してぶっ倒れた。
「…ばかだなぁ」


なんて騒いだ後、最後に5人で線香花火をした。
れいなも絵里も騒ぎ疲れたのか、急におとなしくなって
じーっと線香花火の火を見つめていた。…成長したもんだな。
こうやって黙っていれば絵里もれいなも随分色っぽく見える。
…いや、花火のせいか。。

次々にタマが落ちていく中、
さゆみちゃんのだけが随分長持ちしていた。
みんなもさゆみちゃんも黙って最後のタマを見守っていた。
黙って線香花火を見つめるさゆみちゃんはとても大人びて見えた。
照らされた瞳が綺麗だなぁ、と思った瞬間、
フッと音もなくタマが落ちて瞳の色が消えた。

「……さ、帰ろっか」
「…うん」
 
 

471 :サボリン:2003/12/20(土) 18:17
 
後かたづけをして、みうなと別れて4人で家に帰った。
案の定、れいなが泊まっていくと言い出す。
まあ、絵里とさゆみちゃんから仲間はずれになるのはかわいそうだろう
と、みっちゃんの許可もおり、3人は風呂に入ったり
客間に3人分の布団をしいたりで、なおもドタバタしていた。元気だな…。

オレは先に寝ることにして、ベッドにもぐりこんだ。
疲れがたまっていたのだろう、、すぐに深い眠りに落ちていく。







・・

・・・・た、助けて。









…さゆみちゃん、どうしたの?



・・助けて。








・・
・・・ふう、夢か。


・・朝だ。・・・おかしな夢だった。
さゆみちゃんが「助けて、助けて」とつぶやいていた。
もう、さゆみちゃんは助かったというのに。。
一昨日のことを思い出して夢に見たのだろうか。。
 

472 :サボリン:2003/12/20(土) 18:19
 
下に行って、みっちゃんと一緒に朝食を頂いた。
静かな朝だなぁ、と思っている矢先に
れいなが目をしょぼらせて頭をぼーぼーにして起きてきた。
「おはよう、○に〜ちゃん」
「…おはよう、れいな、顔洗ってこい」
「…うん」
絵里もさゆみちゃんも次々に起きてきて洗面所でまた騒ぎ出した。
……静かな朝は当分迎えられそうにないな。。


朝食をすませた3人は、今日は裏山に行くというので
仕方なくオレもお守りについていった。
裏山に着くと、なにをして遊ぼうかと相談し始める。
「鬼ごっこしよう!」とれいな。
「だるまさんが転んだやろう!」と絵里。
「かくれんぼがいい」とさゆみちゃん。
「おにーちゃんは?なにやりたい?」
「あ?、オレはここで見てるから、おまいら勝手に遊んでろ」
「なんで?○に〜ちゃんも一緒に遊ぼう!鬼ごっこしよう!」
「あのな、オレはもう17なんだから、
 鬼ごっことかやってる年じゃねーの!」
「…○ちゃん、かくれんぼしようよ」とさゆみちゃん。
えっ、○ちゃん??
さゆみちゃんにいきなり「○ちゃん」なんて呼ばれてとまどった。
「そ、そうだなぁ、たまには童心に戻るのもよき哉かな。。」
「じゃ、おにーちゃん、なにやりたい?」

「じゃぁ…」





1 「鬼ごっこ」
2 「だるまさんが転んだ」
3 「かくれんぼ」
 

473 :名無し娘。:2003/12/20(土) 20:22
2ダニダ

474 :名無し娘。:2003/12/20(土) 21:07
3

475 :名無し娘。:2003/12/20(土) 22:02
3

476 :名無し娘。:2003/12/20(土) 23:22
1

477 :名無し娘。:2003/12/21(日) 00:29
1しかないさw

478 :名無し娘。:2003/12/21(日) 01:10


479 :名無し娘。:2003/12/21(日) 01:35
1で

480 :名無し娘。:2003/12/21(日) 11:04
@さゆしか追いかけない

481 :名無し娘。:2003/12/21(日) 12:25
3

482 :名無し娘。:2003/12/21(日) 21:04
3だ

483 :名無し娘。:2003/12/21(日) 21:55
1

484 :名無し娘。:2003/12/22(月) 01:06
3

485 :名無し娘。:2003/12/22(月) 01:39
1

486 :名無し娘。:2003/12/22(月) 12:52
1

487 :名無し娘。:2003/12/22(月) 17:35
3

488 :名無し娘。:2003/12/22(月) 22:08
1

489 :名無し娘。:2003/12/22(月) 22:42
3やよ〜

490 :名無し娘。:2003/12/22(月) 23:46
1

491 :名無し娘。:2003/12/23(火) 12:30
3

492 :名無し娘。:2003/12/23(火) 18:57
3

493 :名無し娘。:2003/12/23(火) 20:09
1

494 :名無し娘。:2003/12/26(金) 16:11
2

495 :名無し娘。:2003/12/26(金) 21:33
1

496 :名無し娘。:2003/12/29(月) 09:48
1

497 :名無し娘。:2003/12/30(火) 16:32
3

498 :名無し娘。:2004/01/01(木) 12:01
3

499 :名無し娘。:2004/01/01(木) 17:32
3

500 :名無し娘。:2004/01/02(金) 02:19
3

501 :名無し娘。:2004/01/02(金) 16:20
1

502 :名無し娘。:2004/01/02(金) 23:11
1

503 :サボリン:2004/01/03(土) 01:11
 
「じゃぁ…、かくれんぼ、すっか?」
「よーし、決まり!
 おにーちゃん、鬼ね、みんな、かくれてっ!」スタタタ。
「○に〜ちゃん、十数えるんよ、キャハ!」スタタタ。
「待って、絵里〜」タタタ。
「おまいらっ、鬼はジャンケンで……」

・・・・既に3人の影は見えなくなっていた。
にゃろ〜、ヤな役ばかりやらせやがって。。しょうがねぇな。
「いーち、にー、さーん、……
 ……なーな、はーち、くー、じゅう!」

よーし、探し出すか。
いっとくが、この山は絵里たちなんかよりオレの方がよっぽど詳しい。
おまけに、おバカな絵里とれいななんて隠れるとこもワンパターン。
すぐに見つかるさ。
絵里は…山の裏の沢の近くの小屋か、どっかの岩陰か、
れいなは…葉の濃い木に登って葉の裏あたりに隠れてたり…
なんて思いながら歩いていると、早速、ザザッと上の方から物音がする。
と、急に静かになった。あやしい。れいなだな。
でも、目をこらして見てみても人影は見あたらない。…気のせいか。
と、葉の隙間から黒い髪の毛が少し、チョンと見える。
は〜ん、やっぱりれいなだ。いつもの横に縛ったボーボーの髪の毛だ。
「れいなみっけ!」
「……」
「れいな、みっけたぞ、降りてこい!」
「……」
「そこだろ、髪の毛が見えてるぞっ」
「髪の毛だけや、うちかどうかわかんなかやん!」
「アホか!しゃべってどーすんだよ、
 思いっきりバレバレじゃねーか!」
「あっ、○に〜ちゃん、ずるいっちゃ〜!」
れいなが顔を出して、プンスカ言いながら降りてきた。
「はは、オマエが勝手にしゃべり出したんだろ
 それにそのボーボーの毛がいけないんだよ」
「えっ、……そうばい、れいなはボーボーたい!」
「…よし、じゃ残り二人を探そっか?」
「…うん」
と、ビュゥゥゥウウ!と、木々を揺らして強い風が吹いた。ザワザワ。
辺りは突然薄暗くなった。……おかしな天気だな。
「○に〜ちゃん、なんか恐い」
そう言ってれいなはオレの腕にまとわりついてきた。ぷにっ。
「…何いってんだ、さっさと探すぞ」
と、オレはれいなを連れて歩き始めた。
 

504 :サボリン:2004/01/03(土) 01:11
 
しばらくして、沢の近くの小屋まで来た。
中を探してみたが絵里は見つからない。
が、物音がしたので屋根に登ってみると、絵里はなんなく見つかった。
「も〜、だませたと思ったのに〜」
「はは、絵里にしては頑張ったな」
「さゆは?まだ?」
「うん、木の上とか岩の裏とか見てきたんだけどいなかった」
「そう、さゆ、がんばってんねー」


それから3人でさゆみちゃんを探し始めた。
「さゆ〜、どこ〜?」
「さゆ、出てこい!」
ホントに、初めてこの山に来た割には頑張ってるな。
・・・ん?…ていうか、頑張りすぎだぞ。
…かれこれ30分近くウロウロ探してるのに見つからない。
さすがに心配になってきた。
と、ポツポツと雨が降ってきた。ポツ、ポツポツ、ザーーァアア!!
「キャァア!、降ってきた、
 おにーちゃん、どうしよう!?」
「さゆ…」
急に雨が強くなってきて視界も悪くなってきた。ザァーーーーッ!
「おまいらっ、足手まといだから先帰れ!
 オレがちゃんとさゆみちゃん見つけて帰るから!」
「…でも」
「いいから、帰れ、俺に任せろ!!」
そう言って二人を残してオレは走り始めた。
 

505 :サボリン:2004/01/03(土) 01:12
 
沢の向こうはまだ探してなかった。まさかそんな遠くまで行くなんて。。
沢を越えたところに小さな神社がある。そこにいるのかもしれない。
オレは急いで神社にたどり着き、
高欄の下から鳥居の上まで、境内をくまなく探したが見つからない。
まさか拝殿の中か?と扉を開けてみたがそこにもいなかった。
「さゆみちゃ〜ん!!」
……どこにいるんだよ。。もうオレの体はびっしょりだった。

はっ、思い出した。
神社の裏側、傾斜のある岩陰に小さな洞窟があった。
昔はよく中に入って探検したものだったが、、そこかもしれない。
で、急いで行ってみると、いた!!

さゆみちゃんは、洞窟の中に体育座りでちょこんと座って、
待ちくたびれたのか、スヤスヤ眠っていた。…良かった。
起こすのもかわいそうだし、雨宿りにちょうどいいので、
オレはさゆみちゃんの前に座ってさゆみちゃんの寝顔を見ていた。
かわいい寝顔だな。。
まったく、こんなとこまで来て隠れるなんてすごい女の子だ。。。




・・

ふっと目を覚ました。
オレまで眠ってしまったらしい。
体を起こすとフワッと何かが落ちた。…さゆみちゃんが着てたシャツだ。
目の前にさゆみちゃんが心配そうな顔をして座っていた。
「あれ、寝ちゃった?」
「…寒くないですか?」
「ううん、大丈夫、さゆみちゃんこそ大丈夫?
 ごめんね、全然見つけられなくて…」
「…いいえ、私こそ……見つけてくれてありがとう」
二人が座ってちょうどくらいの小さな狭い洞窟だ。
薄暗くて辺りはよく見えないが、しゃべると声だけが変に響く。
「さゆみちゃんにはビックリだよ、
 こんなとこまで来ちゃうなんて」
「…すみません、ご迷惑かけて」
「いや、そういう意味じゃなくて……元気になってホント良かったよ」
「…ありがとうございます」
・・・急に大人らしくなってしまって、
さゆみちゃんはよくわからないな。朝は子供みたいだったのに。。
 

506 :サボリン:2004/01/03(土) 01:13
 
音から察するに外はまだ大降りらしい。
次第に二人の側まで水たまりが近づいてきていた。
「もうちょっと、奥に行こうか」
「…はい」
オレはさゆみちゃんの手を引っ張って洞窟の奥に入っていった。
・・・おかしい。奥に行くほど広くなっていく。
昔来たときはこんなに広くなかったはずだ。
しかも奥に行くほど少しずつ明るくなってくる。。
オレは躊躇して足を止めた。が、
「大丈夫ですよ、行きましょう」と言って、
さゆみちゃんが先頭に立ってオレの手を引っ張る。
「…うん」
「○○さん、私のことどう思います?」
歩きながら突然さゆみちゃんがきいてくる。
「え?どうって…」

「私は○○さんのような人が好き」
「え?それって…」

「私のこと守ってください」

「…うん、そりゃ…」



なんて、話してるうちに、

あわわわわわ、なんでか宙を浮いてるぞ。


サァーーーッっと光に包まれる。


光がどんどん強くなってる。なんじゃこりゃあ!!



 

507 :サボリン:2004/01/03(土) 01:13
 


光の道を二人がググーーゥッっと登っていく。




「さゆみちゃ〜ん!!」





オレは必死にさゆみちゃんの手を握りしめた。







「…○○さん」






















・・



 

508 :サボリン:2004/01/03(土) 01:14
 














・・・

















・・











 

509 :サボリン:2004/01/03(土) 01:15
 













「さゆみちゃん!!」ガバッ!!

意識が戻って慌てて飛び起きた。
・・・ベッドの上だ。

・・・横にはさゆみちゃんが寝ている。

ん?ここはどこだ?

ベッドの横のカーテンを開ける。
・・・保健室だ。学校の…保健室だ。。

・・・なんとなく、思い出してきた。
オレは絵里ちゃんやれいなやみうなとプレートの中に入って、
さゆみんを取り出そうとしていた。。
…それで、この横に寝ている女の子、この子がたぶん、さゆみんだ。

そうだ、ここが現実だ。

 

510 :サボリン:2004/01/03(土) 01:15
 
「さゆみちゃん、起きて…」
「……」さゆみちゃんの体を揺すってみるが起きる気配はない。
とはいえ、早くここを出た方がいいような気がする。
って、今何時だ?…時計を見ると6時半だった。
って、何月何日の6時半だ??
窓の外は薄暗い。…朝なのか夕方なのかもわからない。
あれからどれくらいの時間が経ったのかもわからない。

「さゆみちゃん!起きて!!」
強く体を揺すってみたが一向に反応がない。
…はっ、そうだ、思い出した。
キスをしなきゃ、唾液の交換をしないとさゆみんは起きないんだ。
キス……無抵抗の寝ている女の子にキス、…しかもディープキス。。
さゆみちゃんの肩を握りしめる手が震えた。
綺麗な寝顔、子供とも大人ともつかない、神聖な美しさを持っていた。
…でも、しなきゃ。
そうだ、紺野さんや斉藤さんや後藤さんの争いを止めるためにも
オレが主になるって決めたんだ!!

オレはゆっくりと顔を近づけた。と、
「□□さん!、なにやってるんですか!?」
と、隣のベッドに人影が。。たしか…新聞配達の小川さんだ。。
「キスしようとしてましたね?
 寝ている女の子に勝手に、なんて破廉恥な!!
 私は□□さんが、そんな人だとは思いませんでした!!」
「あわわわ、これには訳が…」
「これだから男の人は嫌いですよ…」と、小川さんが涙ぐむ。
「それより、小川ちゃん、今日って何月何日?」
「…はぁ? え〜と、○月×日ですよ」
「2003年の○月×日だよね?」
「…どうしたんですか?からかわないで下さいよ、まったくぅ」
と、小川さんは手首を曲げる。
「…いや、マジできいてんの、2003年だよね?今は…朝?」
「…はぁ、そうですけど?」
「…そうか」
・・・そうか、今はあの夜が明けた朝だ。。
随分向こうで過ごした気がしたが、
あれから、、9時間も経ってないんだ。
てことはもしかして、外でまだ例の連中が待ってるのか?
「小川ちゃん、外に恐いお姉ちゃんがいなかった?」
「あ、はい、いっぱいいましたよ、
 なんか金髪のお姉さんとかいました
 大きなバイクと車がいっぱい止まってましたよ
 …土曜の朝から何やってんでしょうね?」

511 :サボリン:2004/01/03(土) 01:16
 

6日目。


あわわわ、ヤヴァイ。
さゆみんが出てきたとなれば、今まで以上に執拗な攻撃があるはず。。
はやくさゆみんを起こさなきゃ!
とはいえ小川さんの前でディープキスはできないし
俺自身、さゆみちゃんの顔が綺麗すぎて決心がつかない。
「よし、小川ちゃん、悪いけど手伝って!
 この子をどっか安全なところに運ばなきゃいけないんだ
 あの人達に気づかれないように裏門から出るから
 小川ちゃんは先頭に立って見張りながら誘導して欲しいんだ…」
「…しょうがないっすねぇ、
 配達終わりはいつもここで仮眠するんですが、
 お得意さんの頼みを断るわけにもいきますめぇ!」
「ありがとう、助かるよ」

オレはさゆみちゃんを背負って、小川さんの誘導に従って、
体育館裏を通り、人目のつかない裏門からなんとか出ることができた。
「□□さん、どっちに行くんですか?」裏門を出て小川さんがきいてくる。
「えーと…」
…あ、安全なところって、どこに運べばいいんだ?
家に帰ったら紺野さんに見つかるし、つーか、そもそも壊れてるし、
さゆみちゃんのことを知らない部外者で頼れる人、、ひとみか!
そうだ、ひとみしかいない!
「ひとみの家まで行く、小川ちゃん、悪いけどもう少しつきあって」
「え?吉澤さんの家ですか?」
「うん、知ってる?」
「もちろん知ってますよ〜」
何故か嬉しそうに小川さんは先に走っていった。
「…ちゃんと見張れよ」
「誰もいないっすよ〜フゥンフゥン!」
「…ったく」
……さゆみちゃんの息が耳元にかかる。…ちゃんと生きてるみたいだ。
…さゆみちゃん、落ち着いたらちゃんとした場所で起こすから待っててね。

512 :サボリン:2004/01/03(土) 01:16
 
と語りかけながら歩いていると、
前の通りに髪を振り乱した背の高い女がフラフラ歩いてるのが見える。

「飯田先輩!どうしたんですか?ひどい格好ですね…」
わっ、バカ、話しかけるな!そいつも関係者なんだ!!
「…石、私の石…あやっぺ…ゆるさない…」
「飯田先輩…大丈夫ですか?変ですよ? あ、いつもか…フフン!」
飯田先輩はボーっとしたままだ。
小川さんが話しているうちに、さりげなく向きを変えて逃げようとしたが、

「待ちなさいっ!」ビクッ!
後ろから話しかけられた。・・・気づかれたか!?
「あなた、□□くんね、昨日、私の家に紺野と一緒に来たわよね?
 まさかとは思うけど、私の石、どこにあるか知らない?」
「…知らないですよ、昨日は成り行きでつきあっただけですし、
 紺野さんとは全然関係ありませんから」
「…そう、困ったわね」
「…それじゃ、また」
と言って走り出そうとしたが、
「ちょっと待って!」スタタタ。
と飯田先輩にまわりこまれてしまった。

目をこらす飯田先輩。。
次第に目が見開いて驚きの表情に変わっていく。。

「…さ、さ、さ、さ、さささ…」
「……」
「フフ、どうしたんすか?飯田先輩?
 まるで裸の大将みたいっすよ」ドガッ!
「はうぁあ!」ベコッ!
不用意に近づいた小川さんが殴られて吹っ飛んだ。


「さ・・ゆ・・み・・ん・・・」


 

513 :サボリン:2004/01/03(土) 01:17
 
ワナワナと体を震わせる飯田先輩。。
「キサマァ・・・バカめ、本当に起こしたのか!!」
「……」
オレは黙って逃げる隙をうかがっている。
「いや!起きたといっても覚醒はまだのようだな!
 ・・・殺すっ!!」
飯田先輩はコートの中から長い槍を出してきた。…どこに入ってたんだ。。

「ソエッ!」
「うわっ!」
かろうじて槍をかわした。
が、よけたはずみにバランスを崩して尻餅をついてしまった。ドスン!
さゆみちゃんが体を離れた。笑って近づく飯田先輩・・・本当に殺す気だ。
「やめろっ、まだ年端もいかない女の子じゃないか!
 なんでそこまでする必要があるんだ!!」
オレは慌ててさゆみんの前に出てかばった。
「お前はさゆみんの本当の怖さを知らない、
 世界でもっともデンジャラスな女の怖さを!
 …悪いことは言わない、そこをどけ、
 そうすればお前の命だけは助けてやる」
「いやだっ!」
「ふっ、そうか、ならばお前もさゆみんと共に死ぬがいい、
 …私も石に頼りすぎて体がなまっていたようだ。
 やはり、本当の強さを手に入れるためには命のやりとりもやむを得まい、
 …最期の情けだ、お前もこれで戦うがよい!」
そう言って飯田先輩はオレに刀を投げつけて、また槍を構える。
「…飯田先輩…なんで…」
オレの足下には刀が一本。そして横には小川さんが倒れている。。




1 勝負して命のやりとりをする。
2 隙を見て抱きしめて説得。
3 小川さんを投げつけて逃げる。
 

514 :名無し娘。:2004/01/03(土) 07:46
3

515 :名無し娘。:2004/01/03(土) 10:23


516 :名無し娘。:2004/01/03(土) 14:09
3de

517 :名無し娘。:2004/01/03(土) 17:20
1やよ〜、不良債権電波は息の根止めくがし

518 :名無し娘。:2004/01/03(土) 22:04
3

519 :名無し娘。:2004/01/03(土) 23:02
3で


520 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:05


521 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:13
2

522 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:16
A

523 :名無し娘。:2004/01/04(日) 00:24
1で

524 :名無し募集中。。。:2004/01/04(日) 01:38
3やよ

525 :名無し娘。:2004/01/04(日) 13:10


526 :名無し娘。:2004/01/04(日) 16:32
1なのら〜

527 :名無し娘。:2004/01/05(月) 12:24
1

528 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:37
3

529 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:47


530 :名無し娘。:2004/01/05(月) 22:57
3で

531 :名無し娘。:2004/01/06(火) 12:18
3でお願いします

532 :名無し:2004/01/06(火) 13:25
3

533 :名無し:2004/01/06(火) 17:27
3で

534 :名無し娘。:2004/01/06(火) 22:46


535 :名無し娘。:2004/01/07(水) 00:35


536 :名無し読者:2004/01/07(水) 01:41
3です

537 :名無し娘。:2004/01/07(水) 02:30
そういえば小川は>>62でダウンしてたような・・・

3で

538 :サボリン:2004/01/10(土) 17:58
 
オレの横には小川さんが曙みたいに突っ伏して倒れていた。
・・・ちょうどいい大きさだ。。
「ふんぬっ、…きしょう、ふがぁーァアア!!」
…これが火事場のクソ力というヤツだろうか、
巨体の小川さんをなんとか持ち上げることが、、できそうだっ。
とはいえ、この巨体、かなり重い。。
昔米屋でバイトしていた経験からすると54kgはある。
「ふぉぉぉオオッ!」
…上がった!!…ついに巨体を持ち上げた!!
両手を伸ばして立ち上がったオレは、
まるで重量あげに成功したような気分だった。
「はァ、はァッ」
「…な、なにっ」と驚いて身を引く飯田先輩。
「これでも、…食らえッ!」ひゅん。

ドガァアァツ!!

「うおっ!」

飯田先輩は小川さんをまともに受け止めて気を失っていた。

「さゆみちゃんはオレが守る!」

オレは落ちていた刀をベルトに差して、
さゆみちゃんを背負い、ひとみの家に向かった。
 

539 :サボリン:2004/01/10(土) 17:59
 
 
ピンポンピンポン!!、ピンポンピンポン!!
「ひとみ〜!!、早く開けろ〜!!」
「な、なんだよっ、○○、土曜の朝から、近所迷惑だろっ」
と、甚平を着たひとみがドアを開けて出てきた。
「いいから、ちょっと上がるぜっ!」
オレは挨拶もしないでリビングに乗り込み、さゆみちゃんをソファに寝かせた。

「ひとみ、喉かわいた、水くれ…」
「○○ッ、いきなりひとんちに来て、土足で上がり込むンじゃァねェッ!」
「…あ、ごめんごめん、急いでたから、それより水くれ」
靴を脱ぎながらひとみを見ると、口では怒ってるようだが顔は少し笑っていた。
「…なんだよ」
「…いや、○○がアタシんち来るなんて久しぶりだな」
そう言って、ひとみは台所に向かっていった。
…そう言えば、小学校の頃はよくここで遊んだもんだったが、
中学に入った頃からは全然遊んでなかったし、来ることもなかったな。
「…ほらよ、水」
「ありがと」ゴクゴク。
オレは一気に飲み干した。
「…ったく、どうしたんだよ、それにこの子はなんなんだよ?」
「お前まで巻き込みたくない、いいからしばらく休ませてくれ」
「…うん、いいけど、…あは、なんか今日の○○って男らしいな」
「そうか?…あ、なんか腹の足しになるモンない?」
「昨日の夕飯の残りならあるけど?」
「頼むわ」
「しゃーねーなぁ」

ひとみが持ってきた飯をオレはガツガツ食った。
テーブルの前にひとみが座ってジッと見つめる。
「…なんだよ」
「…あは、なんか照れるな」
「…なに言ってんだか」ムシャムシャ。
「そうだ、実は相談したいことがあったんだ」
「なに?」モグモグ。
「最近さ、変なことがよくあるんだ…
 …新聞と一緒に安っちぃブレスレットが入ってて
 『おそろいの持ってるんでつけて下さい』って手紙が入ってたり、
 夜中に『ピーマコ!ピーマコ!』って言ってるだけの電話があったり、
 あと時々、下着がなくなってたり……」
「…へぇ、ストーカーかな、っと、ごちそうさま」
オレはさゆみちゃんの様子を見てから、床にねっころがった。
「…なんだよ〜、ちゃんと聞いてくれよ」
「ごめん、疲れてるんだ、ちょっと寝かせて」ぐぅ…ぐぅ。
「いきなりひとんち来て飯食って寝るな、この!
 起きろ、○○、このバカ、起きろ」バシバシ。
「むにゃ」…ぐぅ…ぐぅ。
 

540 :サボリン:2004/01/10(土) 18:00
 
と、プルルルルー、プルルルー、携帯がなる。
「もしもし?」ひとみが電話を持ってリビングを出て行く。
やっと静かになった。と思ったが話し声がかすかに聞こえてくる。
「…あ、久しぶり、元気……え?…うん…
 え?…うん…うん、なんでそんな…うん…
 ……うん、わかった……うん…バイバイ…」プッチ。

・・うるさいなぁ。
・・・ぐぅ…ぐぅ。

と、ふわっと何かが上に乗っかる。…ん?なんだ?
あ、ひとみが毛布をかけてくれたんだ。。
「ありがと」…気が利くな。。
「ううん、ゆっくり寝てていいよ」
そう言ってひとみはやさしく笑った。…女の子みたいだ。
「…うん」

・・・ぐぅ…ぐぅ。
「っておい!…なんか変だぞっ、
 …なんかたくらんでるだろ!」
突然ひとみが女の子らしくなったんで、不安になって起きあがった。
「な、なに言っての、な、なにもたくらんでないよ」
「うそつけ、さっきの電話、誰からだよっ!」
「昔の友達だよ…」
「…あのな、オレは今、本気でヤヴァイ状況なんだ!
 うそだと思うんなら、これを見ろっ!」ビシッ!
オレはリビングのカーテンを開けて、
窓から見えるオレんちの残骸を指差した。

「…な、どうしたのコレ…
 家がボコボコじゃん…」
「そーだよォ〜、壊れてんだよォ〜、おウチがよォ〜!」
「…さすが新日本ハウス…派手なリフォームだな」
「ンなわけねーだろ、既にフォームねえだろ!
 借金まみれの演歌歌手崩れと一緒にすんな!
 これはな、里沙がゴジラに変身してぶっ壊しちまったんだよォ!」
「…うそつけぇ」
「うそじゃねー、とにかくオレはヤヴァイんだ、
 オレのことを少しでも大事に思うんなら、本当のことを言え!」
「……うん、…実は、さっき、真希ちゃんから電話があって…
 ○○が家にいるかどうか聞いてきて、
 いるって言ったら、しばらく引き留めといてって言われて…」
「…真希ちゃんて、後藤さんか!?」
「…うん」
「あわわわ、ヤヴァイ、もう尻尾を捕まれたか!」
「なにがあったんだよ?」
「生きてたらいつか話すよ、とにかくオレはここを出る、世話になったな」
そう言ってオレは慌ててさゆみちゃんを背負って玄関を出た。
 

541 :サボリン:2004/01/10(土) 18:00
 
と、都合良く小川さんがカブに乗って現れた。トトトトト。
「あ、○○さん、ひどいっすよ、おいてけぼりなんて」カチャ。
「そのバイク、もらったァ!!」ドガッ!
「はうぁあ!」ベコッ!
オレは勢いよく小川さんに体当たりをして吹っ飛ばした。
「ごめん、小川ちゃん、ちょっとこのバイク借りるよ、
 この借りはいつか返すから、たぶん!」
残りの新聞を蹴散らして、さゆみちゃんを荷台に座らせ、
紐で縛ってオレの腰にくくりつけた。
「あぁ、そのカブはなけなしの貯金をはたいて店長から譲ってもらっ…」
「じゃ!」ヴォー、ツトトト、ヴォーツトトトトト。

「…純正グリップヒーター付きなんですぅ〜…大事に乗っ〜……」

小川さんの声が後ろから響いた。ごめん、小川さん。
さてと、、で、どこに逃げればいいんだ?
…とりあえず遠くへ行くしかない!オレは環七に出て南に突っ走った。

…さすがは小川さんのバイクだ。
リミッターが切ってあって使いやすいや。ツトトトトト。


と、後方から爆音が!!

ド ド ドドド ! ド ド ドドド !!

バックミラーに映る黒いバイク。…ブラックバード。…後藤さんだ。。
なんて思っているうちに一瞬で追いつかれた。
右横に車体を並べる後藤さん。。相変わらずグラサンにノーヘル。

「□□くん!止まりなさい!!」ッドドドッ。
「……っ」 はいそうですか、って止まれるか! ツトトトト。
 

542 :サボリン:2004/01/10(土) 18:01
 
「□□くん!よく聞いて!
 私はさゆみんの主にはならないわ!だから止まって!
 私は、ミキティやまっつーに渡る前に
 さゆみんを処分するつもりよ!!」ツドドッドドドドッ。
「な、なんだってー!!
 処分ってなんだよっ!殺すってことか!?」ツトトトトトト。
バイクを運転しながら怒鳴るように話す後藤さんとオレ。
ふと見ると、後藤さんの後ろには、、れいなが乗っていた。
「……○に〜ちゃ…」
そう言ってれいなが少し悲しそうな顔をする。
オレと同じように、向こうの世界での記憶がまだ少しあるらしい。。

うわっ、赤信号だ!…が、当然無視!!
ドドドドッ。 ツトトトトト。
キィィィイイっと止まる車が後ろに流れる。

「それが一番の解決法なのよ!世界平和のためよっ!
 …止まりなさい!止まらないと、撃つわよっ!!」ドドドドドッ。
そう言って後藤さんが銃を出す。
「いやだっ!さゆみちゃんはオレが守る!!」ツトトトト。
そう言うと、観念したのか後藤さんは黙って銃口をオレに向けた。
と思ったら、銃口は後席のさゆみちゃんの頭へ向けられていた!
「やめろっ!やめてくれぇェッ!」ツトトトトト。
とはいえ、オレは慣れないバイクの運転に精一杯で何の抵抗もできない。
 

543 :サボリン:2004/01/10(土) 18:01
 
と、後ろからもの凄い勢いでデカイBMWのワゴンがやってきた。
あっという間に二台を追い抜く。ドドゥゥゥォォオオオ!!
と、後藤さんの前に出てきて急にスピードを落とす。
「ちっ!」
ドン! ドンドンッ !!

後藤さんがBMに向けて躊躇なく銃を撃ったが、なぜか弾が失速する。
なおもBMが前方から迫ってきて、
後藤さんのバイクを押し倒そうとする。ギュルルル。
「くっ、れいなっ!」
「はい!」
れいなが後席で立ち上がって「とりゃ!」と力を込める。

バリバリッ、ドカン!

BMワゴンのバックドアが壊れて上に吹っ飛んでいった。ヒュン!

そしてBMの荷台から姿を現したのは、、絵里ちゃんと紺野さん!!
…絵里ちゃんとれいなが向かい合うかたちになった。

と、後方で爆発音がする。ドガッ、ドガァァア!
さっき飛ばされたバックドアが後ろに走っていた一般車にぶつかったらしい。
急ブレーキをかけた車両に2、3台の車が次々と玉突き衝突していた。。
 

544 :サボリン:2004/01/10(土) 18:02
 
 
「…絵里」ドドドドドッ。
「…れいな」ドドゥゥゥォオ。
走るバイクと車の上で髪を振り乱しながら見つめあう二人。

バサッバサバサッ。

「…絵里、いくよっ」
「…うん」

「ハァァアアアアッ!」バリバリバリバリッ。
「トヤァァァアアッ!」バリバリバリバリッ。
二人は気合いを入れて、頭上に大きな球体をつくっている。。

「とりゃ!」「えいっ!」

ドドッ、ババンッッ!!

「うわっ!」
「きゃっ!」
二人の放った球がはじけあってオレと後藤さんの目の前で爆発する。
BMとバイクの距離が爆風で離れあう。ドゥオン!
「後藤さん!大丈夫ですか!?」
「うん、でも場が悪い、出直そう、れいな」
「…はい」
再び前方からBMが迫り、後藤さんをつぶそうとする。ギュルルン。
「□□くん、さゆみんをミキティに渡してはダメよ!」ドドド。
そう言って後藤さんはスピードを落として後ろに下がって行った。
ツドドドド ドド・・・…
 

545 :サボリン:2004/01/10(土) 18:02
 
と、BMが今度は俺の前につける。ギュルン!
「○○さん、ご苦労様でした!こっちに飛んで下さい!!」ドドドゥゥゥゥォ。
…紺野さん、相変わらずだな、無茶言うなよ。ツトトトトト。
ていうかオレはさゆみちゃんを紺野さんたちに渡すつもりはない!
オレは左右に動いたりスピードを落としたりしてBMから離れようとしたが、
BMはオレの動きにあわせるようにぴったりとついてくる。

「亀ェ!なんとかして二人を引き寄せろォ!」
「え?どうやって?」
「ひっぱってもいいから連れて来いッ!」
「う〜ん、…やってみる」
なにやら二人が荷台でもめている。

と、絵里ちゃんが掌をさしだして力を込める。
「えい!」
「うわわわわ」ひゅぅぅう。
・・・絵里ちゃんの超能力だろうか、
オレとさゆみちゃんが宙を浮いてる。。

「おお!、亀、そのイキだっ!
 フォースを信じろ、そのままこっちに持ってこいッ!」
オレは必死にハンドルにしがみついたが、
既に体全体が宙を浮いていてバイクはバランスを失っていた。

「くそっ」
絵里ちゃんの力に負けてついにハンドルを放してしまった。
ツトトトトト…ドガッ、ギュルギュル、ドカッバキンッ!
乗り手を失ったカブが失速して転倒し、
後ろのトラックとぶつかって大破していた。。…小川さん、ごめん。

ひゅぅぅぅうう。

オレとさゆみちゃんは、浮いたまま宙を移動して、ガゴン!
とBMの荷台に着地した。。
 

546 :サボリン:2004/01/10(土) 18:03
 
「ようし!亀、よくやった!」
「…うぅ、ちくしょう」「……ぅ」
「○○さん、ご苦労様でした、ごはん3杯ですっ!」
そう言いながら紺野さんはさゆみちゃんを抱きかかえ、
すばやくガムテープで口の周りをグルグル巻いていた。
「……ぅ」
「な、なにすんだよォ!かわいそうだろッ!」
「もしもの時に備えてです!」
そう言って紺野さんはさゆみんを後席に乗せてシートベルトを締める。
「よし、いいぞォ!、行け!まい!死ぬ気で飛ばせぇッ!」
「はい!」ドゥゥゥゥゥォォォオオオオ!!
「うわっ!」ガコッ。「危ない!」パシッ。
いきなりスピードを上げられて危うく落ちそうになったが、
絵里ちゃんにつかまえられてなんとか持ちこたえた。
「○○さん、ちょうどよく環七に出てくれましたね、あさみの情報によると
 美貴様はデスニーランドで松浦さんと密会中とのこと!」
「人の話を少しは聞け!さゆみちゃんが苦しそうじゃんか!」
「平気ですよこんなの、…っと、…こいつがさゆみんですか…」
そう言って紺野さんは後席に移動してさゆみちゃんを観察する。
「…さゆを起こしたのはやっぱりおにーちゃ……○○だったんだ…」
「絵里…ちゃん、さっきはありがと」
「…ううん」

絵里ちゃんの顔を見て急に肩の力が抜けてしまった。
抵抗むなしく紺野さんに捕まってしまい、少し諦めかけて荷台に座った。

と、後ろからあやしいベンツがやってくる。。ヴゥォォォォオオ。
またか。。運転席に村さんらしき人影が見える。
「・・紺野さん、斉藤さんたちが来たよ」
「あ、そうですか、どうも」
そう言って紺野さんが銃を持って荷台にやってきた。

と、ベンツのサンルーフがガコン!と開いて
斉藤さんが機関銃を持って出てきた。
「紺野ォ!食らえェッ!」ズドドドドドドドドドッ!
斉藤さんが撃ってきたが、・・・弾は全て絵里ちゃんがガードしていた。
「ふっ、無駄なことを」
そう言って紺野さんは銃を構え、ドンドンッ!
と、ベンツの運転席に向けて撃った。パリンッ!
フロントガラスにひびが入り、次の瞬間、パリパリンッ!!
と勢いよくガラスが粉々に吹っ飛んで、全部消えてしまった。

「な、なにっ!」撃った紺野さんの方が驚いていた。
 

547 :サボリン:2004/01/10(土) 18:04
 
と、助手席にみうながいてニヤッと笑ったと思うと、
「てやっ!」ひゅん、と飛び上がって
一瞬のうちにこっちの荷台まで飛び移ってきた。ガゴン!!
「うわっ!」
「……」
すかさず絵里ちゃんが構える。
「○○、どいてて!」

「せやぁぁあ!」バシッバシッ、バシパシバシバシッ!
もの凄い勢いでみうなが蹴りやパンチで攻撃してきたが、
「やっ!、やっ!」と全てきっちりガードする絵里ちゃん。
「みうな…さん、…無駄よ、やめて!」ギシギシ。
「…<っ…それは…どうかなっ!」ガシッ。
一瞬の隙をついて、みうなが絵里ちゃんの体に抱きつく。
「な、何する気!?」
「こうするのよっ!」バン!
「あっ!」…ぴょ〜ん!
みうなは絵里ちゃんを抱きかかえたままジャンプして消えた。
二人ははるか後方に着地したようで、そこでまたやり合っていた。

「しまった!」
「…絵里ちゃん」

後ろのベンツを見ると、待ちかまえていたかのように、
サンルーフから身を出して斉藤さんが機関銃を構え、
助手席にはマサオさんがバズーカ砲を構えている。ヴゥォォォォオオ!

「まい!、左右によけながら全速で行け!」
「はい!」 ドゥゥゥゥォォオオ!
「○○さんも後席に隠れて!」
「ちょっ…」

ズドッ、ズドドドドドドドドドドッ!! ッキュルルゥゥゥゥン!!

「うわわわわっ!」ガコッ!
間髪入れずに斉藤さんが撃ってきたが、
車体ごとよけたのでなんとか助かった。
まいちゃんが必死に車を操り、ギュルルゥ!キュン!!
と車線変更しながら、一般車を挟んでベンツをなんとか引き離す。
 

548 :サボリン:2004/01/10(土) 18:05
 
と、そこへパトカーが……。
パァーホー、ァーホー、アーホーアーフォー!!

「K察です!止まりなさい!そこのBMW止まりなさい!」
「ぅるせッ!」ドン! パキン!
キュン、キュルキュルキュルキュル、ドシャン!

紺野さんがすばやくパトカーのタイヤを撃ち、
パトカーはスピンしてクラッシュして煙を吐いていた。。
 
「…紺野さん、K察まで出てきちゃって、どうすンだよォ!」
「さゆみんを美貴様にお届けする、
 それが絶対最優先課題ですッ!」
「……」

後ろからは一般車をかいくぐって、
またベンツが迫ってきていた。ヴゥォォオオ!!

「…くそォ!…まい!アレを使えッ!」
「はい!」

まいちゃんがシフト横のタンクに手を伸ばす。
「NOS」…亜酸化窒素ガス??
「いきます!」ポチットナ。

ドガドガッ! ドドッ、ドハァァアァァッッッァァァアアッ!

エンジンがもの凄い音を出してスピードがあがっていく。クォォォーク!!
あわわわ、一般車が止まってるみたいだ。何キロでてるんだ!?
…目の前が溶けていくようだ。ボンネットがゆれる、蒸気、
きしむボディー、ドアー、ミラー。。

「くっ、4人も乗ってるとさすがに重いなっ」ドハァァッァァァアアッ!
 

549 :サボリン:2004/01/10(土) 18:07
 
と、次々と他の一般車を追い抜く中、
なぜか後ろから平気でついてくるバイクが見える。

ド ド ドドドドッ!

…後藤さんだ。。

ヒュゥゥゥーーーッ!

後藤さんがオレたちを追い抜き、ななめ前につける。

と、ガゴンッ!

れいながボンネットに飛び降りてきた。
後藤さんは一挙に失速して後ろに見えなくなっていった。

「とりゃ!」パリパリン!

れいなのパンチで一挙にフロントガラスが吹っ飛ぶ。ビュゥゥゥウ!!
「うわっ!」「きゃっ!」

「…<っ…しつこいやつらだ…ぜッ!」ドンッ!

紺野さんがれいなに向けて銃を撃ったが、
れいなは人差し指と中指をのばし、スチャッと弾を挟んで止めた。

「…っ、にゃろォ!」ドンドンッ! スチャスチャッ。
「やっ!」ドン! スチャッ。
紺野さんとまいちゃんが銃を撃つが、ことごとくれいなに止められる。

れいなは日本舞踊の構えみたいに指を綺麗に伸ばして
全ての弾を指と指の間に挟んで止めていた。。

「いくっちゃよ〜、ん〜…ちゃ!」 ひゅん!ズドッ!
れいなはダーツを投げるように弾を投げ返してきた。
「くはっ!」
弾がまいちゃんの太腿に突き刺さった。
「ん〜ッ、ちゃ!」 ひゅん!ズドッ!
「…痛ッ!!」
今度は紺野さんの肩に突き刺さる。
「…大丈夫か!?」オレは紺野さんを抱きかかえる。
「……○に〜ちゃん」
「…れいな」
 

550 :サボリン:2004/01/10(土) 18:08
 
太腿をやられたまいちゃんが必死にハンドルを握るものの、
手が震えているらしく、猛スピードの中、車体が左右にぶれる。
おまけに前後のガラスがなくて、風がビュゥビュー吹きすさぶ。

「…やっぱりさゆは危険とよ、処分するしかなかとよっ!」
「そんなことはない! …れいな!
 オマエ…向こうで仲良く遊んでたじゃないか!
 友達だろォ!友達を殺すのか!」
「…れいなは…夢ば見とっただけよ」
「ウソだ!さゆみちゃんとオマエは友達だッ!」

…運転席のまいちゃんは既に気を失っている。
ボンネットの上、指を伸ばして構えるれいな。。

「…いくっちゃ」
「やめろっ!」
オレはとっさに手を伸ばしてハンドルを切る。
「きゃっ!」キュルルルルルルゥ! ドッッドドガ!

シュルルルルルゥ


ドガガガガァーーーーーーーーン!







・・

・・・車が止まった。・・・横転している。・・・ガソリン臭い。
・・あたりは煙に包まれている。・・ガードレールがめちゃめちゃだ。

…れいなはバランスを崩して落ちたみたいだな。。

「…さゆみちゃん?」
「……ぅ」
…良かった。ちゃんと息をしている。
……紺野さんとまいちゃんは気を失っていた。
 

551 :サボリン:2004/01/10(土) 18:09
 
「はぁっ!はぁっ!」
オレはなんとか車の外に出て、
さゆみちゃんを引きずり出し、背負って歩き始めた。
…紺野さんとまいちゃんが心配だったが、、
もうあの人達にはついていけない。
…絵里ちゃんが発見して手当てしてくれるだろう。
…遠くでパトカーの音がしていた。。


オレはさゆみちゃんを背負って歩き、古ぼけたお寺の裏地に出た。
さゆみちゃんを下ろし、口に巻かれたガムテープをはずす。ビリビリ。
「…ひどいことするなぁ」
「……ぅ」

さゆみちゃんの綺麗な唇が現れた…。
オレはもう、迷わない!

オレは静かに唇をよせ、さゆみちゃんにキスをした。
深い、深いキスをした。



・・

「……ぁぅ」
「…ん?」

・・・・さゆみちゃんが、瞼を開けた!

「さゆみちゃん!」
「……ぁぅ」
「大丈夫?痛いところはない?」
「……ぁ?」
「もうこれで安心だ、オレが主になった、闘いは終わる!」
「……ぁぅ」
「はは、どうしたの、さゆみちゃん、
 オレのこと覚えてる?○○だよ?」
「……ぁぁ!」
さゆみちゃんはオレを見て穏やかに笑った。

…言葉を忘れてしまったのだろうか。
無理もない、ずーっと眠っていたんだもんな。。
でも、オレを見返すこの瞳は確かなものだ。さゆみちゃんは起きたんだ!
 

552 :サボリン:2004/01/10(土) 18:10
 
っと、このままゆっくり座っていたいけど、そうも行かない。
…斉藤さんや後藤さんはどうなっただろうか。
さゆみちゃんが起きたとなれば、もう攻撃はしてこないかも。。
でも、念のためとりあえず移動しよう。

「さゆみちゃん、歩ける?」
そう言ってオレはさゆみちゃんの体を持ち上げた。
スクッとさゆみちゃんは軽く立ち上がった。
「……ぁぁ!」
「よしよし、いい子いい子、じゃ少し歩こうか」
オレはさゆみちゃんの手を引っ張って歩く。
ヨロヨロとさゆみちゃんもついてくる。

とはいえ…どこに行けばいいんだ?
少し休みたいけど、お金はあまり無い。
…ていうか、いったいここはどこなんだ?ちゃんと帰れるかな。。

オレは携帯のGPSを見ながらトポトポ歩く。
目の前にビジネスホテルが見える。
と、ボタンを間違えたのか、携帯のアドレス帳が開いていた。
ア行…「安倍先輩」と「石川さん」が表示される。
…この二人なら頼っても大丈夫かもな。。
……どうしよう。




1 ビジネスホテルに入る。
2 安倍先輩に電話する。
3 石川さんに電話する。
 

553 :名無し娘。:2004/01/10(土) 18:38
1で

554 :名無し娘。:2004/01/11(日) 14:06
3

555 :名無し娘。:2004/01/11(日) 18:37
1

556 :名無し娘。:2004/01/11(日) 18:49
3 なのら〜

557 :名無し娘。:2004/01/11(日) 22:06
1で

558 :名無し娘。:2004/01/12(月) 11:24


559 :名無し娘。:2004/01/12(月) 15:53
1

560 :サボリン:2004/01/13(火) 21:36
>>539
∬∬´▽`)<ttp://www.rika-mako.com/cgi-bin/rm/img/rm090.mp3

561 :サボリン:2004/01/16(金) 17:37
 
少し休みたい。
ビジネスホテルで休憩するくらいのお金はありそうだ。
…それに、さゆみちゃんもTシャツで少し寒そうだ。
…今ごろ気づいたが、オレは向こうの世界に行く前の格好なんだけど
さゆみちゃんはあの洞窟に入ったときのまま、真夏の格好だったんだな。。

オレはさゆみちゃんを引っ張ってビジネスホテルに足を向けた。と、

「……ぁぁ」
さゆみちゃんが足を止めた。
「ん?どうしたの?」
団子屋の前に突っ立って、団子をじーっと見ながら
グーにした手を口元に当てるさゆみちゃん。
「……食べたいの?」
「……ぁぁ!」 オレを見つめるさゆみちゃん。。
「…しょうがないな、どれ?」
「……ぁぅ」 さゆみちゃんがみたらし団子を指差す。
「…ったく、わかってんのかなぁ、、
 あ、おばさん、みたらし団子二つおながいします」
「あいよ〜!!」
「……ぁぅ!…ぁぅ!」 なおもさゆみちゃんが指示する。。
「…あと、草餡と…海苔巻きも二つずつおながい」
「あいよ〜!!」


「ありがとうございました〜」

「ったく、食いしん坊だなぁ、さゆみちゃんは。。…さ、行くよ」
オレは団子の入った袋を持って歩き出すが
「…ぁぅ …ぁぅ!」
と、さゆみちゃんが袋に手を伸ばす。
「後でね、ホテルに着いたら食べようね」
オレは袋を持ち替えてさゆみちゃんから離した。
「……ぁぅ〜」
 

562 :サボリン:2004/01/16(金) 17:38
 
っと、団子食うならお茶でも買うか。
ホテルの前のコンビニに入ることにした。
オレはさゆみちゃんを入り口の近くに待たせて買い物を始めた。
…なんか腹減ってきたな。菓子パンも買うか。
と、適当にいくつかカゴに入れてレジに向かうと、
さゆみちゃんがおもちゃの風車を持っていじっている。
「さゆみちゃん、どうしたの?それ?」
「……ぁ?」
「あの〜お連れ様ですか?」
「…はい」
どうやら商品に勝手に手を出して開けてしまったらしい。
……結局それも買うことになった。


・・

ホテルのカウンターでは多少あやしまれたものの
不況のせいだろうか、、普通に入れてくれた。

コンビニからずっと、さゆみちゃんは風車をいじっている。。
「……ぁぅー」
3階のエレベータを下りてちょっと長い廊下に出た。
…ここならちょうどいい。
「さゆみちゃん、ちょっとかして、
 それはこうやって遊ぶんだよ、ほら」スタタタ、ひゅるるる。
オレは軽く走って風車を回して見せた。
「…ぁぁ!」
さゆみちゃんがジャンプして喜ぶ。
「ほら、やってごらん」
「……ぁぅぁ…ぁぁぁ!」
スタタ、スタタタ。ひゅる、ひゅるるる。
さゆみちゃんは風車を持って廊下の端まで嬉しそうに走っていった。
と、折り返して
「…ぁぁ…ぁ…ぁぁ!」スタタタ。ひゅるる。
風車を持ったまま走って戻って来て、ボフッっと抱きついてきた。
「…ぁぁ!!」
嬉しそうな顔をして笑ってオレを見るさゆみちゃん。
「はは、うん、良くできた、きれいだったね
 …さ、部屋に入ろっか」ガチャ。
 

563 :サボリン:2004/01/16(金) 17:38
 
部屋に入ってテーブルに団子の袋を置くと
「…ぁぁ!…ぁぁ!」と騒ぎ出したので
とりあえず開けて食うことにした。袋を開けてやると
「…ぁぁ」
と言って団子を手で鷲づかみにする。
「ダメだろっ!」ペチッ!
「……っ!」ビクッ。
オレは思わずさゆみちゃんの手をはたいた。
その勢いでさゆみちゃんの持っていた団子が床に落ちた。ボトッ。

「……ぅぅ」
床の団子を見てさゆみちゃんが今にも泣きそうな顔をする。
「…あ、ごめんね、ごめんごめん」
オレは慌ててさゆみちゃんの背中をさする。
「…ほら、ここの串を持って、こうやって食べるんだよ」
オレは団子を手にして食べてみる。
「…ほら、やってごらん」もぐもぐ。
さゆみちゃんの手を取って串を握らせる。
「………ぁぁ」
案外覚えが早くてオレのやった通りにムシャムシャと食べ始めた。
「そうそう、はは、そう、…おいしい?」
「……ぃぁ!」
さゆみちゃんは椅子に座って夢中で団子を食べ始めた。もぶもぶ。

……ふう。床に落ちた団子を片づけてオレも椅子に座る。
一息ついてお茶を飲みながら、ふとさゆみちゃんを見てみると、
口の周りが餡やらタレやらでビチョビチョだった。
おい!…としかろうとしたが、また泣かれても困るのでやめた。
「…しょうがないな」とハンカチで口の周りを拭いてやった。
「……ぁぅぅ」ごしごし。ムグムグ。
「…さ、お茶でも飲みなよ」とコップを差し出すと
「…ぁぅ!」と言ってゴクゴク飲み始めた、が、
「…ぅぇ……ぇぁぁ!」ビチャビチャ。…いきなりお茶をはき出し始めた。
おまけにコップから手を離し、
倒れたコップからボタボタとお茶がたれていた。。
 

564 :サボリン:2004/01/16(金) 17:39
 
「ばか!なにしてンだよォ!」
慌てて洗面所からタオルを取ってきたが、
Tシャツが既にビチョビチョだった。…お茶が苦かったのか??
「ああ、もう! どうすんだよぉ!」
タオルでパンパンと胸の周りを拭いてやった、が、
…だめだこりゃ。腹の辺りまでビチョビチョだ。
「…ちくしょう、脱げ!」
「……ぁ?」
「…風邪ひくから脱げ!」
オレはTシャツを持って引っ張り上げて脱がし始める。
「……ぅぁ」
「…ったく」
なんとか腕を上げさせて脱がせてみると、
あらわになったさゆみちゃんのおっぱいが!! …ぷるん。
「おわ!」
「…ぁぅ〜」
「…ブラしてなかったのかよ」
「……ぁ?」
腕を伸ばしたまま、脱ぎかけのTシャツの首の所から半分顔を出し、
マヌケな顔でオレを見る。
「…うにゅう、しょうがない、これ着てろ!」
Tシャツをはずして、慌ててオレの上着を着せた。
「…ぁぅ〜ぁぅぁぅ!」
と喜んで手を広げるさゆみちゃん。…結局ムネが見えてる。ぷるぷるん。
「…あわわ、ちょっと待て、…ちゃんと前止めようね」
と、一つずつボタンを止めてやる。
「…ぁぅぁーぁ!…ぁゎ〜ぁ!」
「っこら、おとなしくしろ!
 …こりゃ…っと……ふう、これでよしと」

まったく、…全然落ち着けない。…それにしてもヤバかった。
行動からしてほとんど白痴状態なのに、体は大人だった。。
……このままだと理性を失って、いけないことをしてしまいそうだ。。

なんてモンモンと考えていると、
さゆみちゃんがコクリコクリと眠たそうに首を傾ける。
「ベッドあるんだからベッドで寝な、ほら」よいしょ。
「……ぁぅ〜」
オレはさゆみちゃんを連れてってベッドに寝かせた。
「…はは、幸せそうな顔で眠ってら、
 …全然普通の子じゃないか、こんな女の子にみんな必死になって…」
そう言ってさゆみちゃんの頭をなでてやった。
 
 

565 :サボリン:2004/01/16(金) 17:40
 
さゆみちゃんがぐっすりと眠り始めたので、
オレはさゆみちゃんの着替えを買うことにして外に出た。
…Tシャツだけじゃかわいそうだからシャツも買ってやろう。

ホテルを出てコンビニで地図を見て、
歩いていけるところにユニクロがあったので行ってみた。


店に入り、適当にふらつきながら選んで、
女用のTシャツとシャツをカゴに入れる。
と、横に下着売り場が見える。。
…さゆみちゃんも年頃だしな。ブラぐらいするべきだよな。
そう思って、なんとなくブラを手に取る。。
……はっ、オレってハタから見たら変態かも。。

…と、横にいた女の子と目があう。

「先輩!!」
「…愛ちゃん!!」
…サングラスをした愛ちゃんが隣にいた。。

「先輩、なにやってんですか!こんなとこで!!」
「…なにって」
と、愛ちゃんがオレの手にしたブラジャーを見る。
「…先輩ってそういう人だったんですかぁ!?」
「…あわわ、いや、これには訳が…」

よりによって、こんな所でこんな状況で愛ちゃんに会うなんて。。
…つーか愛ちゃんは潜伏中じゃなかったのか??
……とりあえず、どうしよう、なんて言おうか。




1 「実は……」(事情を正直に話す。)
2 「…ところで、愛ちゃんのムネのサイズっていくつ?」
3 「…男がブラしたっていいだろ!うわー!」(と言い放って逃げる。)
 

566 :名無し読者:2004/01/16(金) 22:43
3だね

567 :名無し娘。:2004/01/16(金) 22:45
3がよさげ

568 :名無し娘。:2004/01/17(土) 01:00
2で

569 :名無し娘。:2004/01/17(土) 01:19


570 :名無し娘。:2004/01/17(土) 10:35
まじめに1で

571 :名無し娘。:2004/01/17(土) 13:36
2

572 :名無し娘。:2004/01/17(土) 17:03

高橋は味方だろ、愛の逃避行してたし

573 :名無し娘。:2004/01/17(土) 18:00
2で

574 :名無し娘。:2004/01/17(土) 18:07
空気読んで2

575 :名無し娘。:2004/01/17(土) 18:53
2しかないっしょ

576 :名無し娘。:2004/01/17(土) 22:27
2

577 :名無し読者:2004/01/17(土) 22:45
3de

578 :名無し娘。:2004/01/17(土) 22:51
3Day

579 :名無し娘。:2004/01/18(日) 00:25
1がいい!

580 :名無し娘。:2004/01/18(日) 00:26
ここは1で

581 :名無し娘。:2004/01/18(日) 00:26
1よ

582 :名無し娘。:2004/01/18(日) 01:04
2で

583 :名無し娘。:2004/01/18(日) 02:14
2

584 :名無し娘。:2004/01/18(日) 12:34


585 :名無し娘。:2004/01/18(日) 16:00
3で

586 :名無し娘。:2004/01/18(日) 16:42
2
で、また愛の逃避行か?
さゆは放置で。

587 :名無し娘。:2004/01/18(日) 16:52


588 :名無し娘。:2004/01/18(日) 18:59
1に

589 :名無し娘。:2004/01/18(日) 18:59


590 :名無し娘。:2004/01/18(日) 20:52
1 7
2 13
3 5

591 :名無し娘。:2004/01/19(月) 04:53
2

592 :名無し娘。:2004/01/21(水) 03:03
2

593 :名無し娘。:2004/01/21(水) 10:24
1

594 :名無し娘。:2004/01/21(水) 17:05
1

595 :名無し娘。:2004/01/21(水) 22:49


596 :名無し娘。:2004/01/22(木) 01:09
2

597 :名無し娘。:2004/01/22(木) 17:20
2

598 :サボリン:2004/01/25(日) 09:25
 
「…ところで、愛ちゃんのムネのサイズっていくつ?」
「ハぁァ??」
愛ちゃんが目ん玉を飛び出させて驚いた表情をする。
「…いや、実は愛ちゃんにプレゼントしようかなって」
「…そんな、からかわないで下さいよ
 ……恥ずかしいじゃないですかぁ!!」バシッ!
「いてててて、…いや、マジで」
「…えーっ、…マジですか?
 …先輩だったら教えても…いいかな、
 …あっしは……こんくらい…だと思います…」
と、愛ちゃんが顔を赤くして、ブラを一つ差し出した。
C70…アンダー70のトップ85か。……理想的なサイズだな。
…さゆみちゃんもナイスバディだけど愛ちゃんも結構なモノだ。ちらっ。
…うむ、…よし、胸部だけなら同じサイズで大丈夫だと思われ。
「…先輩、やらしい、そんなにムネ見ないでくださいよ」
「…はは、ごめんごめん、…じゃ、何色がいい?」
「やだぁ、ホントにマジなんですか?
 …じゃ大人の女を目指して…ブラックで…お願いします」
「わかった、じゃ、買ってくるから待ってて」
「…はい」
真っ赤な顔をして、上目遣いにオレを見つめる愛ちゃん。
…悪いことしたかな。。
…コレはちゃんと愛ちゃんにプレゼントすることにして
さゆみちゃん用に同じサイズのベージュをもう一つ買おう。
オレはさりげなくもう一つブラを入れてレジに向かった。
 

599 :サボリン:2004/01/25(日) 09:26
 
会計をすませて入り口に向かうと愛ちゃんが待っていた。
「もう、先輩ひどいですよ、いきなり、
 恥ずかしくって外に出てきちゃいましたよ!」
「はは、ごめん」
歩きながら愛ちゃんと話し始める。
「で、先輩はなんでこんなとこにいるんですか?」
「愛ちゃんこそ、なんでこんなとこに?
 そういや、加護ちゃんとかは追ってこない?無事だった?」
「はい、全然大丈夫です、まだ中澤先生を追っかけてるんじゃないですかね」
「…そうか、ホント、無事で良かった」
「今は、念のためホテルに泊まってるんですよ
 目立たないように安いビジネスホテルで、ほら、ここです」
「……」 …愛ちゃんが同じホテルに居たとは。。

「どうしたんですか?先輩?」
「…うん、実は…オレもここに泊まってるんだ」
「ほえ?」
「…話すと長いことになるんだけど、、
 …とりあえず、オレの部屋来てよ」
オレは愛ちゃんの手を引っ張ってホテルに入る。
「…え?…そんな、…今日の先輩おかしいですよ
 …うれしいけど、…ちゃう、嫌いとか、ほんなんやなくて
 ……心の準備ができてないって言うかぁ、
 …その、あっし、こんな安いホテルじゃ嫌なんすぅ、
 …いや、庶民的な暮らしも悪くはないと思うんすけどね、
 …やっぱり女の子はムードってもんを大切にするんですよぉ〜、
 …お金はあるんやから、落ち着いたら…ちゃんとしたところでぇ…」
愛ちゃんはブツブツ言いながらついてくる。
「先輩、聞いてるんですか?」
「うん、ここだよ」ガチャ。「さ、入って」
「いやっ」
 

600 :サボリン:2004/01/25(日) 09:26
 
「…ぁぁ!…ぁぅぁーぁ!!」ぼふっ。
いきなりさゆみちゃんが抱きついてきた。
「はは、いい子で待ってた?さゆみちゃん?」
「…ぁぅぁ…ぃぁーぁ!」
一人でさみしかったのだろうか、
ちょっと泣き声でうなりながら、ギュッと抱きついてくる。
「はは、ごめんね、一人でさみしかったねー、
 もう大丈夫、ほら、こっち来て、洋服買ってきてあげたよ」ガサゴソ。
「…ぃぁーぁ!…ぁぅ〜!」
袋から出したTシャツやシャツを伸ばして喜ぶさゆみちゃん。
よっぽど嬉しかったのか、
シャツを持ったままベッドに行って、横になってグルグル回っている。
「…はは」
と、ガコン!! …と音がしてさゆみちゃんが見えなくなった。
「…あ、ばか!」
「……ぃぁ〜ぁ〜!…ぃぁ〜ぁ!」
…サイドチェストに頭をぶつけたようだ。
床に落ちて寝っ転がったまま、顔をくちゃくちゃにして泣いている。
「まったく、ばかだな〜
 ほーら、痛いの痛いの飛んでけ〜」なでなで。
オレはさゆみちゃんを抱き起こして頭をなでてあげる。
「…ぃぁ〜ぁ!…ぃぁ〜ぁ!」
「ほーら、もう痛くない、ね?、痛くないでしょ?」なでなで。
「………ぃ…ぁ?」
さゆみちゃんは急に、きょとんとして泣きやんだ。
「はは、ほらね、痛くない、いい子だね〜、さゆみちゃん」
「……ぁぁ!」ぴとっ。
ギュッと抱きついたままオレを見上げて笑うさゆみちゃん。…かわいいなぁ。
「…はは、偉いぞ、さゆみちゃん」むにゅ。
 

601 :サボリン:2004/01/25(日) 09:27
 
って、…あ、…ヤヴァイ……ドアの前で愛ちゃんが硬直している。
「……セ…ンパイ、誰なんですかァ、…この子はァ!?」
「…あ、だから、長いと話すことに…」
「…先輩と誰かが仲良くしている姿なんて・・・見たくない」
愛ちゃんは下を向いたまま握り拳をつくってブルブル震えていた。
「だから違うんだって、落ち着けって」
オレは立ち上がって愛ちゃんに近づこうとしたがさゆみちゃんが離さない。
「……ぃぁ?」ぴとっ。
「さゆみちゃん、ちょっと離して、いい子だから」なでなで。
「……ぁぁ!」ぎゅっ。
「なにが違うんですかァ!」
「…あわわ」
「さっきのブラジャーもこの子のために買ったんですか!?」
「違うって!、ほら、黒は愛ちゃんに、ベージュはさゆみちゃんにと
 ちゃんと二つ買ってあったのだ!」じゃ〜ん。
「…あっしはついでですか、
 …先輩には失望しました、…あっし、帰ります」
「待って、オレ、今なら行けるから、
 愛ちゃん、これから逃げよう、海外に!」
「……ホントですか?…一緒に来てくれるんですか?」
「もちろんだよ、3人で逃げよう!」
「・・・3人って…」
「…いや、この子はアフォの子なんだ、
 身よりのない、かわいそうな子なんだ、
 だから一緒につれてってあげよう、他意はない!」
「…ホントですか?」
「うん、…とにかく落ち着いて、座って話そう」
「…はい」
 

602 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
 
オレは愛ちゃんを椅子に座らせて
やんわりとごまかしながら、今までのことを話し、
愛ちゃんもオレもさゆみちゃんも追われる身なのだから
3人で逃げようと話し、愛ちゃんを納得させた。

「…わかりました、それじゃ善は急げです、今から行きましょう」
「うん、ありがとう、愛ちゃん!
 っと、じゃ、さゆみちゃんを着替えさせなきゃだ
 ほら、さゆみちゃん、それオレのだから脱いで」
「……ぃぁ?」
さゆみちゃんの来てた上着のボタンに手を伸ばすと、パシッ!
「いてっ」
「なにしてんですかぁ、先輩、あっしがやりますよ、
 …先輩はそこにいてください!!」
愛ちゃんはさゆみちゃんを連れてバスルームに入っていく。
「…はい」


・・

「……ぁぁ!」
愛ちゃんに着替えさせてもらって、さゆみちゃんが出てきた。
「良かったねぇ、さゆみちゃん、かわいいよ、すごく似合ってる」
「……ぁぁ!」ぴとっ。
さゆみちゃんがまた抱きついて来た。
「…さてと、…愛ちゃん、行こうか」
「……はい」

ホテルを出てタクシーを拾って3人で乗り込む。
さゆみちゃんを先に乗せて、オレが真ん中に座り、
最後に愛ちゃんが乗ってきた。
「あ、おじさん、
 ××区のモーニング高校までお願いします」と愛ちゃん。
「あい、どうも〜」ブォーンと車が走り出す。

「…愛ちゃん、学校に行くの?」
「そうです、例のアレ、学校に隠してあるんです」
「あ、そうなんだ、…でも、なんで学校なんかに?」
「あっししか知らない秘密の場所があるんです、
 そこが一番安全かなと思って」
「…そうか」
と、コクリコクリとさゆみちゃんが眠り始めて
オレの肩に寄りかかってきた。ぴとっ。
「……」じろっ。
「…あわわ」
「ふん!」
愛ちゃんはぴょんと髪をなびかせて窓の方を向いてしまった。
 

603 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
 
学校に着いてみると午後2時だった。
土曜日でも部活に来ていた人が結構いたみたいで
玄関で帰り際の何人かとすれ違った。
1階の廊下では保田のおばちゃんが店の後かたづけをしていた。
「あら、□□くん、今頃学校に何の用だね?」
「こんにちわ、いや、ちょっと忘れ物をとりに」
「そうかい、そうだ、焼きそばパンでも買わないかい?
 半額にしておくよ、あとサンドウィッチも残ってるよ?」
「あ、いや、今お腹一杯なんで、じゃまた」
売れ残りを処分しようと必死な保田のおばちゃんを残して
3人で音楽室に向かった。

音楽室に着くと、愛ちゃんがドライバーを持って
アップライトピアノに向かって、ガコンガコン言わせながら作業を始めた。
「……っと、…よっしゃ!」ゴトン!
ピアノの板をはずし、下部の奥の方に顔を突っ込んで、
愛ちゃんが次々と札束を出してくる。
ドサッ、バサッ。
「先輩、なにぼーっとしてるんですか、
 あっしのあのバッグにどんどん入れてください!」
「…はい」よいしょっと。
「……ぁぅ?」パサッ。
さゆみちゃんが札束に興味を示して遊び始めたので
取り上げて、急いで他の札束も拾ってバッグに詰め込んだ。
 

604 :サボリン:2004/01/25(日) 09:29
 
と、その時、

パリパリンッ!! ドサッ!

いきなり窓ガラスが割れて誰かが入ってきた。

「ハァッ、ハァッ」 ……中澤先生(と矢口先輩)だ。。
…二人とも、まだ幼児体と小人のままだ。。
「なっ、□□やないか!、何やってるンやこんなとこでェ!」
「…ゆゆたん、それはこっちのセリ…」
「…おい!豚ァ!こっちだよイモ豚ァ!早く来い!
 トントントロトロやってんじゃねェよ豚ァ!」と矢口先輩が叫ぶと
「はぁ、はぁ、豚豚うるさいべ、このフンコロガシめ!
 なっちはあんたらと違ってちゃんとした人間なんだべ」
と言いながら安倍先輩が入ってきた。どすどす。
「あれぇ、□□くん、こんなとこで何やってるんだべさ?」
「いや、だから…」

ガコンガコン! ドサッ、バサッ。

「先輩?なにやってるんですかぁ?どんどん入れてくださいよ!」
…愛ちゃんが札束をどんどん放り投げてくる。ドサッ、バサッ。
…ピアノに頭を突っ込んでいて中澤先生たちに気づかないみたいだ。
「……ぁぅ〜」パサッ。
「なんや?、このガキ、
 ・・・・ていうか、この札束は…なんなんや?」
…中澤先生が愛ちゃんの投げてきた札束を手にする。

「いや、あの〜」
「……あそこでピアノに頭突っ込んでるアホは誰や?」
「いや、その〜」
「先輩、これで終わりです」ドサッ、バサッ。
「…もう、なにやってるんすかぁ、先輩!?」
ついに愛ちゃんがピアノから頭を出してきた。
「あっ!」
「…高橋?」
「……」
 

605 :サボリン:2004/01/25(日) 09:30
 
「・・・なぁ、ヤグチぃ、
 ウチ、今、なんかえらいイヤーな考えが浮かんだんやけど?」
「・・・おいらも」
そう言って二人は持っていたバッグを見つめる。
あのとき温泉で中澤先生が奪っていったバッグだ。。
「二人とも、なにやってるべ、早く隠れるべ!」
「豚は黙ってろォ!」
そう言って、矢口先輩がバッグに手を伸ばしチャックを開ける。ジジジジ。
「な、なんじゃこりゃあ!」バサッ、ドサッ。
「……キ、キモイ宝塚のブロマイドだらけやないかァ!
 ……高橋、ウチを騙したなァ!!」
「ふん、騙したもなにもないですよ、
 中澤先生が勝手にバッグとって勝手に逃げただけじゃないですか!
 さ、そのお金返してください」と言って愛ちゃんが中澤先生に近づく。

「やかましかァ!!」バシッ、と中澤先生が愛ちゃんの手を振り払う。
「ワレ!、ウチらがこの一日、どんな目にあったか知っとるんかァ?
 死ぬ思いで逃げ続けたこの一日は一体なんだったんじゃァ?
 …よこせェっ、それはウチの金やっ!」
「何言い出すんですかね、このオバハンはぁ〜
 なんですかぁ、やる気ですかぁ、そんな体であっしと勝負しますかァ!」
「ちょっと待て二人とも! 落ち着いて話し合おう!」
「話し合いもなにもないですよ、先輩!
 どう考えても中澤先生は部外者ですから!」
「…いや、そうなんだけど」
「……ぁぅ〜ぁ」パサパサッ。
「あれぇ、このかわいい子は誰だべ?」
安倍先輩がさゆみちゃんをなでなでしている。。
「……ぁぅ〜」ぴとっ。さゆみちゃんが安倍先輩に抱きつく。
「かわいいなぁ、ねぇ、□□くん、なんて言うのこの子?」なでなで。
「あ、安倍先輩、この状況で混乱するからやめてよ」

「…わかりました、確かにこの一日は加護さんから目をそらしてもらって
 あっしも助かりました。その100万はあげますから、それでいいですか?」
「っざけんなァ! 100万やてぇ?
 ウチらの生死を賭けた逃亡劇が100万やて?
 へっ、安く見られたモンや!」
「じゃ、いくら欲しいんですかぁ?」
「せやからな、高橋、ワレはまだコーコーセーやろぉ?
 ウチに全額預けとき」
「ふざけないでくださいよォ、
 あっしはあくまでも平和的に解決させようとしてるのに!」
「…そうだよ、裕ちゃん、ここは折半で折れたら?」と矢口先輩。
「せやな、じゃ、半額で我慢してやろ、2500万や、どや?」
「だからァ、なんでそんな理屈になるんですかァ!?
 このお金はもともとあっしのお金なんですよォ?」
 

606 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
 
と、その時、窓の外に人影が。。
「はっはっはっ、タカハスィイッ!
 そん金がワレの金やてェえ!?…随分な言い分やないかァ〜!」

「か、か、か加護ちゃん!」「…加護さん」

「くそォ…」ゴソッ、ダダダッ!
中澤先生が落ちていた札束を持てるだけつかんで走り出す。
「無駄れす!」ガラガラッ。
前のドアから辻ちゃんが出てきた。
「ちくしょう!」ダダダッ!
中澤先生は、今度は後ろのドアに向かって走り出す。
「無駄よっ!」ガラガラッ。
石川さんが後ろのドアから出てきた。
…石川さんがすっかり加護ちゃん側についているとは。。

「くそォ…」と立ちすくむ中澤先生。

と、加護ちゃんがゆっくりと音楽室に入ってきて、
日本刀を片手にキリリとリリしく立ちはだかった。。

「ふう、…さぁてと、この茶番もこれにて終劇やァ!
 タカハシもようやった、年増も虫も豚もようやった、
 …みんな仲良う死んでくれやァ」カチャ。
日本刀を構えてギラッと細い目を光らせる加護ちゃん。。

「ままま、待ってくれ加護ちゃん!
 学校の音楽室を血の海にするつもりかよっ!?
 落ち着いて、落ち着いて話し合おう!」オレは必死に止めに入った。
「話し合いもなにもあらへん、
 兄さんも知っとろーがぁ、それはもともとうちの金や、
 うちが計画し、うちが斉藤さんと交渉してもらった金や!」
「なに言ってるんですか!!
 火葬場に乗り込んで焼かれる寸前のダニエルさんの遺体を運び去り、
 ハラワタ切ってシャブ取り出したのは全部あっしとミカさんじゃないすか!」
「うちの命令でなァ!」
「あっしはここで加護さんに手刀食らって放置された時に決心したんです!
 もう加護さんには従いません!」
「へっ、従うもなにも、ワレはもうすぐ死ぬんや!」
「待って!…エキちゃん、今ならまだ間に合うわ!
 加護ちゃんに土下座して謝りなさい、そしたら許してもらえるわよ!」
と石川さんが割ってはいる。
「…ビーナス姉さんこそ、加護さんの怖さを知らないんです、
 ボロボロにされて東南アジアに売られても知りませんよっ!
 その黒さじゃぁ現地人と見分けがつきませんからねェ!」
そう言って愛ちゃんはドライバーを持つ手に力を入れる。
 

607 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
 
「ちょっと待てやっ、□□の言うとおり、ここは学校や!
 人もまだ外におる、ここで殺りあうのは無理や、ひとまず落ち着こうや」
中澤先生も事態を重く見たのか、止めに入った。
「へっ、どうしたんや年増、怖じ気づいたんかァ?」
「…いや、そうやないんやが、
 …そもそも、このガキはなんなんや?
 それと、□□は一体どっちの味方なんや?
 そこをまずはっきりさせようやなかぁ?」
「…そうやな、兄さん、兄さんは元はと言えば
 うちらの仲間やったんやないか、兄さんはどう思う?
 こん金は誰のもんやと思うかぁ?」
「…そんなこと言われても」

「□□くん、梨華たちの味方でしょ?
 もともと梨華たちと一緒にそのお金を手に入れたんじゃん
 エキちゃんなんかほっといて、梨華たちと一緒に行こうよ!」
…石川さんがまた口を出す。
「…え、…あ、うん」
……行くってどこへ??

「□□くん、部長命令だべ、なっちと一緒に派手に行くべ!」なでなで。
「……ぁぅぁーぁ!」ぴとっ。
…ん?…安倍先輩はさゆみちゃんをすっかり手なずけていた。。
「そうだよ○○、おいらと○○はつきあってるんだぞ、忘れたのか?」
…矢口先輩まで出てきた。
「…ぁああ、そ、そうだったっけ?」

「……先輩」
そして愛ちゃんが不安そうな顔でオレを見つめる。。

……どうしようか。




1 あの金はもともとは加護ちゃんのだから、加護ちゃんたちの味方をする。
2 大人に任せた方がいい、中澤先生たちの味方をする。
3 愛ちゃんを裏切れない、愛ちゃんの味方をする。
4 誰の味方もできない。
 

608 :名無し娘。:2004/01/25(日) 12:49
3

609 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:21
4

610 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:30
3

611 :名無し娘。:2004/01/25(日) 21:21
4

612 :MONIX ◆h6RjqrC4Ko :2004/01/26(月) 01:26
3

613 :名無し娘。:2004/01/27(火) 01:12
4

614 :名無し娘。 :2004/01/27(火) 07:47
3

615 :名無し娘。 :2004/01/28(水) 17:55
3

616 :名無し娘。:2004/01/28(水) 18:13
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です

617 :名無し娘。:2004/01/28(水) 19:28
4

618 :名無し娘。:2004/01/29(木) 00:01
3

619 :名無し娘。:2004/01/29(木) 01:01
4

620 :名無し娘。:2004/01/29(木) 03:52
3

621 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:40


622 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:44
4

623 :名無し娘。:2004/01/30(金) 12:17
3

624 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:05
3

625 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:06
3-9
4-6

626 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:42


627 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
 
「オレは……愛ちゃんの味方だ!」
「…そうかぁ、それは残念やなァ
 …兄さんもアホやなぁ、うちらの味方をしとれば
 死なずにすんだのになァ!」
と、加護ちゃんが近づいてきて刀を構える。カチャ。
「…あわわ、いや、オレは、愛ちゃんの味方だけど
 何も加護ちゃんの邪魔をするつもりは、サラサラなく…」
「やかましかァ!…おんなじことや!
 見せしめに兄さんから殺ったるわい!」
と、加護ちゃんが日本刀を振りかぶる。ブワッ。

「やめれぇェ!!」ひゅん、ズドッ!!
・・・加護ちゃんの右脇にドライバーが突き刺さった。

「くはっ!」・・・・ボトッ。

青黒い血をトロリと引きずってドライバーはすぐに落ちた。

「うわぁああっ!!」

加護ちゃんが右肩を押さえて転げ回る。
「うぉぉおおおっ!!」
「あいう゛ぉーん!!」
辻ちゃんが慌てて駆け寄って抱き起こす。
「うぉおお!」
「…卑怯れすっ、針痕を狙うなんて!」
よく見ると、脇の下、注射針の痕が青く残ってるところから血が出ていた。

「先輩ッ!、今のうちです、逃げましょう!」
「…うん」
 

628 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
 
と、横では、中澤先生が札束を持ったまま呆然と見ていたが、
「…ぉぉぉお、りゃッ!!」ドッ!
「はうあ!」・・・ドドッ、ゴロゴロ、ゴロッ、ドガッ!!
愛ちゃんの蹴りが頭部に見事に決まり、
中澤先生は宙を浮いて床に落ち、
トイレットペーパーみたいにゴロゴロ転がって
壁にぶつかって動かなくなっていた。
よく見ると、ついでに矢口先輩まで吹っ飛んでいて気絶していた。

「先輩、早く!、残りは捨て置きましょう!」
愛ちゃんはバッグを持って窓を出て校庭の方に走り出した。

「…待って、さゆみちゃんが!」

さゆみちゃんを連れて行こうとして後ろを振り返ると
安倍先輩と石川さんが争って、残りの札束を奪い合っている。
「なっちにわたすべ!」
「いやっ、梨華の〜!」
・・・司令塔を失ってどちらのチームも壊滅状態だ。


オレはさゆみちゃんの手をひいて校庭に向かった。

「はぁっ、はぁっ、さゆみちゃん、急いで」
「……ぁぅ〜」


裏門の前の木の影に隠れて愛ちゃんが待っているのが見える。
(先輩!こっちです!)と愛ちゃんが手招きをする。
「…うん」
後ろを振り返ると、
辻ちゃんが、その後ろから加護ちゃんが追いかけてくるのが見える。
・・・もう回復したのか。。はぁっ、はぁっ。
 

629 :サボリン:2004/01/31(土) 22:48
 
と、どこからともなく、…ヘリの音がする。

バダバダバダバダバダバダバダバダ。

・・・随分大きい音だ。近いぞ。・・おかしいな、こんな街中で、、
どこにいるんだ?? きょろきょろ。はぁっ、はぁっ。

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

「うわぁっ!!」

・・・ヘリは真上にいた。・・・しかも軍用だぞこりゃ。
…オレは思わず立ち止まってしまった。と、

「先輩っ、大丈夫ですかっ!?」
愛ちゃんが心配して近づいてくる。あっ、ダメだっ、出てきちゃ!!

「…ってりゃっ!」ドガッ!!
「くっ!」ベチャ。

追いついた辻ちゃんの跳び蹴りを食らって愛ちゃんが倒れた。

「愛ちゃんっ!!」

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

愛ちゃんは辻ちゃんの下敷きになって頭を押さえられていた。
「ようやったァ、ののォオ!!」
左手に日本刀を持って加護ちゃんが愛ちゃんに近づいていく。

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

ヒュウウウウウウゥゥゥ!

・・・ヘリが、どんどん近づいてくる。・・・なんなんだっ??
辺りはヘリの突風で砂嵐が起きていてよく見えない。
かろうじて加護ちゃんの後ろ姿が見える。

「ちょっと待て、加護ちゃん!
 …この、このヘリはなンなんだよォ!!」バダバダバダバダ。
「ンなこと知ったこっちャねェ!
 タカハシッ、今度こそ死ねやッ」カチャ。バダバダバダバダ。
「やめろォオ!」ドシッ。バダバダバダバダ。
オレは加護ちゃんに背後からしがみついて左手をつかんだ。バダバダバダバダ。
 

630 :サボリン:2004/01/31(土) 22:49
 
と、ヘリからひゅるんっとヒモが下ろされ、人が3人振ってくる。
ひゅるるぅ。ひゅるる〜。ひゅるるるぅ。バダバダバダバダ。

「離せェ!コイツだけは殺らんと気がすまんのじゃァ!」バダバダバダ。
「頼む、よしてくれ」バダバダバダバダ。
「……ぁぅ〜!」


と、後ろから声がする。

「腹這いになり、手足を広げろ!」

気がつくと、オレたちは機関銃を持った3人に囲まれていた。
誰なんだ?ゴーグルをしていて顔がよく見えない。

「なんやァ、あんたらはァ!」と加護ちゃん。

「腹這いになり、手足を広げろ!」ズドドドドドッ!

「うわぁ!」
「……ぁぅ!」
威嚇射撃だろうか、足下に向かって銃を撃ってきた。
「…わたたたた、なんなんやァ!」

「…ん?…ハゲ?
 ハゲじゃねーか、なにやってンだよォ、こんなとこでェ!」
と、一人が金髪の髪を振り払ってゴーグルをはずす。…斉藤さんだ。。

「…斉藤?、斉藤ゥやないかァ!?
 てめェこそ、ンなとこでなにやってンじゃァ!!」
「ハゲ、オマエに用はない、おとなしく去れ!!」
「こっちも手前なんかにゃ用はねーんだよォ!
 これは内輪の争いや、口出しせんでもらいてーわァ!」
「ハゲ、相変わらすオマエは度量が狭いのう、
 まだそんなチンカスみたいな金で奔走してんのかぁ?」
「やかましかァ!ほっとけやッ!」
 

631 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
 
「……仕方あるまい…マサオ、シヴァ、…やれ」
「はっ」スタタタ。 「はっ」スタタタ。

 ガッ! ガッッ!

「うっ」ドサッ。 「くはっ」ドサッ。

銃の台尻を腹や頭に食らって辻ちゃんと加護ちゃんが倒れる。
すかさずマサオさんと柴ちゃんが二人の背後にまわり、
腕を後ろにまわさせて手錠を絞める。ガチャ。ガチャ。

「いてーのれす!のんの腕はそっちにはまわらねーのれす!」
「なんやァ、ひでーやないかァ、なんもしてへんにィ!」

なんて、ボーっと見ていたら、ガッ!
「くっ!」
斉藤さんの一撃がオレの腹に。。・・・バタン。
オレも腕を背後にまわされ、手錠をかけられてしまった。ガチャ。うぅ…。
「ったく、世話を焼かせるぜェ」
そう言って斉藤さんがさゆみちゃんに近づき髪をつかんで顔をあげさせる。
「……ぁぅ!」
「やめろォ!さゆみちゃんに傷ひとつでもつけて見ろォ!
 ぶっ殺してやるからなァ!」…オレは倒れたまま叫んだ。
「…良く理解してないようだな…
 オマエは今、亜弥様のお情けで生きていられるんだぞ」バダバダバダバダ。

ダバダバダバダッ…ヒュンヒュンヒュンヒュン、ヒュゥゥウウウ。

気づくとヘリが校庭に着地しているところだった。
と、ヘリの中からみうなが出てくる。スタタタ。
「みうな、さゆみんを頼んだ、慎重に扱えよ」
「はい」
みうなはさゆみちゃんをガシッとつかんで逃げないようにする。
「……ぁぅ〜ぁ!」
「さゆみちゃん、大丈夫!?」
オレが立ち上がってさゆみちゃんに近づこうとすると、ドガッ!
「くはっ!」 …またもや斉藤さんの台尻がオレの腹に。。
「□□とか言ったなぁ、おとなしくしてねェと殺すぞォ!」
「くぅ…」
そう言い放って斉藤さんはヘリの方に近づく。
 

632 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
 
と、ヘリの中から着ぐるみを着た人物が2人現れる。

「ぴょぴょぴょんぴょ〜んのあやぴょんなのだ!」
「めめめのめぇ〜の みきう〜るナリ!」

・・・ピンクのうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんと
ブルーの羊の着ぐるみを着た、、藤本だ。。
・・・なんて場違いな格好なんだ。てうか藤本の様子が変だ。

「藤本!オイ!藤本ォ!どうしたんだァ!」

「あやぴょ〜ん、あそこで叫んでる人、怖いメェ〜」
「みきう〜る、ここで待ってるぴょん、
 あやぴょん、すぐに用事すませて帰ってくるぴょん」
そう言ってうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんがこっちに近づいてくる。

ぴょん、ぴょん。

「…あわわ」…なんだか怖い。。


と、裏門から爆音をあげてバイクが2台、やってくる。

ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!
            ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!

シィィィイイイ ズザザザザザザァァア!!
               ズザザザザザザァア  ドフン!!

バイクが2台向き合って、真一文字に横になり急制動して止まった。

「美貴様ッ!」スタタタッ。
後席から下りてきたのは、紺野さんだった。
絵里ちゃんが運転席から下りてきて、
あさみちゃんとまいちゃんも下りてきた。ジャリ。スタッ。
…紺野さんとまいちゃんは包帯をしている。
…ケガは大丈夫だったんだろうか??
 

633 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
 
「紺野ォ!下手なマネすると、
 コイツがどうなっても知らねェぜッ!」カチャ。
そう言って斉藤さんが藤本の頭をつかんで銃を突きつける。
「メェ〜、怖いメェ〜」
「美貴様ァ!どうなされたんですかァ!美貴様ァ!」と叫ぶ紺野さん。
「へっ、コイツはもう赤子同然よ
 デスニーランドで亜弥様の術中に落ちたんじゃ!」
「メェ〜、メェ〜」
「…な、なんということを、、
 帝王にあるまじき情けないお姿、…おいたわしい、、
 …美貴様、そのようなお姿をこの紺野、見たくはございません!
 美貴様ァ!お目覚めをォ!美貴様ァア!!」
そう言って紺野さんは涙を流して見守っている。
「ぅるせェ!オマエラはそこでおとなしくしてろよォ!」
斉藤さんの合図で柴ちゃんとマサオさんが銃を構えて見張りにつく。
紺野さんも絵里ちゃんも、あさみちゃんもまいちゃんも動けないでいる。
「……美貴様」

と、音楽室の方から、さっきの残りの札束を持って
中澤先生(と矢口先輩)と安倍先輩と石川さんが出てきた。
「なんのさわぎや?」「……」「なんだべ?」「…柴ちゃん?」
「みんな、こっちに来るなァ!危険だぞォ!」
とオレは心配して叫んだが、
中澤先生たちもヘリや銃を見て足がすくんでいるようで
周りから見守るだけで近づこうとはしない。
ふと見ると、愛ちゃんが気を失っているみたいだ。
辻ちゃんと加護ちゃんも手錠をかけられておとなしくしている。
 

634 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
 
と、まつうらさんがオレの背後にまわってオレを押さえる。
「な、何する気だよ」
「さゆみんともう一度キスをしてください、
 そうすれば再びさゆみんは眠りにつきます。
 ○○くん、あなたを殺せば早い話なのだけれど
 せっかく知り合った○○くんを殺したくはなかったの」
「……さゆみちゃんは、眠ったらどうなるんだ?」
「それは〜、あやぴょんが起こしてあげるんだぴょん!」
いきなり話し方を変えて笑顔を見せるまつうらさん。。
「…そういうことか」
「これが一番平和的な方法なのだぴょん
 早いとこ、お願いするんだぴょん!」

「□□ッ、亜弥様の言うことを聞くんだァ
 そうすればコイツも元に戻してやるとおっしゃっておられる!」
そう言って斉藤さんが藤本をガツン!と殴る。
「メェ〜!」
「…ちくしょう」
「美貴様ァ!」ザッ。
「紺野!動くンじゃァねェ!」スドドドドドドッ!
「…くっ」
「おとなしくしてろォ!、おとなしくしてれば
 コイツだけは助けてやる」
「…美貴様、…○○」…絵里ちゃんも心配して見守っている。

「さあ、さゆみんとキスをするんだぴょん!」
そう言ってまつうらさんがオレの腕をつかむ。
後ろで手錠をつけられたオレは抵抗できない。。
「…くぅっ」
「みうな、お願いするぴょん」
「はい」
そう言って、みうながさゆみちゃんを後ろからつかんでオレに近づける。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
 

635 :サボリン:2004/01/31(土) 22:52
 
だんだんとさゆみちゃんの頭がオレに近づいてくる。
「……ぁぁ!」
さゆみちゃんはオレの顔を見て安心したのか無邪気に笑っている。
買ってやったおもちゃの風車を髪にさしている。
さゆみちゃんにキスするとまた眠ってしまうのか。
そして、まつうらさんのものになってしまうのか。。
「さぁ!」
既に唇が触れ合うくらいまで顔が近づいてきていた。
オレはもう、さゆみちゃんの瞳を見ることしかできなかった。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
…仕方ない、キスするか。…藤本のためだ。
…それにもう、抵抗することもできない。。

…さよなら、オレのさゆみちゃん。





ダン!





ん?

鈍い音と衝動で目を閉じてしまった。

…再び目を開けてみると、、

さゆみちゃんを押さえていたみうなの頭から赤い線が縦に走っている。

…血だ。


「あそこだ!撃てェ!」
斉藤さんの合図で校舎の陰を柴ちゃんとマサオさんが撃つ。

ズダダダダダダダッ!

と、れいなが出てきて弾をバリアでガードする。ピンピンピンピン!
…後ろから後藤さんが出てきた。
「…しくった、すっかりしくった!」
…後藤さんが悔しがっていた。。
 

636 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
 
 
と、みうなが、声もなく血を頭からふきながら崩れ落ちる。

「・・・・・・」

みうなの目から涙が流れて宙に飛んだ。


ドクン!


「!」

「!」

「!」


急に絵里ちゃんとれいなが頭を抱えて苦しみ出す。

…さゆみちゃんも唇を噛んで眉を寄せて苦しそうだ。


「み・・・みうなさん!!!!」


「ぐっ!ううっ!!」


「・・・・・・ぁぅっ!」


ドクン!



「さゆみん!!」

裏門からゴジラ化した里沙が見守っていた。。



「おぉお! いっ、いかん!」

体育館の裏から飯田先輩が出てきて叫んでいた。。
 
 

637 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
 

















      「 に ゃ ァ ア ァ お ッ !!」

















 

638 :サボリン:2004/01/31(土) 22:54
 



・・・・さ、さゆみちゃんが叫んだ。。



さゆみちゃんは頭を押さえて空を見る。

苦しそうだ。頭から風車がポトンと落ちた。

みんなボーゼンとして見守っている。

と、さゆみちゃんが両手を胸の前に据え、

手のひらの間になんか力を込めている。

鈍い光が真ん中に見える。


「や・・・・やめなさい・・・・

 さゆ・・・・そ・・・それは!」






      サァァー───────-──-─-ッ






「なっ、何だ!?」


「ひっ、光が・・・・集まってる!?」


「まさか、そんな!!」


「さゆみんが!!」

 

639 :サボリン:2004/01/31(土) 22:55
 







     キィィー────────-──-─-ッ







「!」







                         カッ







さゆみちゃんのまわりに白い球体が見える。


さゆみちゃんは肩の力が抜けたのだろうか、


丸めていた体を起こして、満足そうな表情だ。


と、辺りは光に包まれて何も見えなくなる。。。

 

640 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
 
 
「・・・・れいな!
 ・・・・みんなを助けるのよ・・・・
 一人でも多く・・・・」


「ど・・・・どこへ・・・・・・
 急がなかと、れいなたちも出られなくなるとよ!」


「・・・・どこでもいいから・・・・
 二人で力を合わせてみんなを飛ばすのよ・・・・」


「・・・・うん!」





気がつくと俺たちのまわりに大きな透明の球体ができている。


球の外では、上空に暗雲が立ちこめ、辺りがもの凄い嵐に包まれている。








     ドドドドォォオオオオオオオァァァアアアア!!!!









 

641 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
 
 
「れいな!」
「絵里!」


「今よ!」
「うん!」


「やっ!」
「ちゃっ!」



         ・


                       キュン!


         ・




・・・・うわぁ!!



いきなり学校全体が宙を浮いている。


しかも、かなりの上空だ。東京の街が一望できる。

 

642 :サボリン:2004/01/31(土) 22:57
 
 
って、おい!


・・・・ハルマゲドンが起きちゃったんですかぁ??


 ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド


ビルを次々となぎ倒しながら黒い球体がどんどん大きくなっている。


・・・・おいおいおいおい、ヤヴァすぎだぞコリャ!!!


東京全体を包み込む勢いでどんどん球体が大きくなっている。


それと共にオレたちもどんどん上空にいっているようだ。


東京湾の形が見渡せるほど上空だ。


もうビルとか道路とか見えない。


あたりを見渡すと、みんなが宙を浮いている。


って、オレも宙を浮いていた。地に足がつかない。


校舎や校庭が真横に傾いたままオレたちと一緒に宙を浮いているんだ。


どうりで下の方が見えるはずだ。。

 

643 :サボリン:2004/01/31(土) 22:59
 


あれ?体育館の方にひとみと小川さんが見える。


オロオロしている。あいつらまで巻き込まれたのか。。


他のみんなも不安そうな顔をしている。


オレも宙に浮いていると不安定で怖い。誰かにつかまりたい。


いつの間にか手錠ははずれていた。


誰につかまろうか。。





【以下の中から、一人選んでください(愛称略)】

 高橋 藤本 紺野 亀井 里田 後藤 田中

 加護 辻 石川 安倍 矢口 中澤 松浦 吉澤 小川

(ここでは親密度が0以下の人物は選択肢に表示されていません)
 

644 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:01
吉澤


理由:安定感があるから

645 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:29
捕まったら一緒に飛ぶのかな?
そこんとこ見てみたいから矢口

646 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:38
紺野

647 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:55
後藤

648 :名無し娘。:2004/02/01(日) 02:57
藤本

649 :名無し娘。:2004/02/01(日) 04:57
中澤

650 :名無し娘。:2004/02/01(日) 07:05
紺野

651 :名無し娘。:2004/02/01(日) 11:51
高橋

652 :名無し娘。:2004/02/01(日) 13:47
石川

653 :名無し娘。:2004/02/01(日) 17:20
紺野

654 :名無し娘。:2004/02/02(月) 12:53
矢口

655 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:07
高橋

656 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:13
高橋

657 :名無し娘。:2004/02/02(月) 21:06


658 :名無し娘。:2004/02/02(月) 22:30
紺野

659 :名無し娘。:2004/02/04(水) 17:01
道重

660 :名無し娘。:2004/02/04(水) 22:59
高橋

661 :サボリン:2004/02/04(水) 23:08
紺野でいきますか。

662 :名無し娘。:2004/02/06(金) 00:22
川 TーT)<票数は負けていないやよー

663 :サボリン:2004/02/07(土) 16:18
 


 ・・・・紺野さん。


オレは必死になって紺野さんの方に近づいた。


紺野さんに手を伸ばすと、紺野さんの方も手を伸ばしてくる。


 ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド


下を見ると、球体はさらに大きくなって、東京全体を覆っていく。


こちらに近づいてくるようも見える。


と、辺りが光で包まれ出す。


    ー-──--───────────────-──-─-ッ!


「紺野さん!」


「○○さん!」


パシッ。やっとの思いで紺野さんの手を握りしめた。と、


                                         カッ


辺りが真っ白になって何も見えなくなる。



 

664 :サボリン:2004/02/07(土) 16:19
 


だんだんと・・・




意識が・・





遠・・































 

665 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
 

















・・


















 

666 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
 






・・・








・・・おっと、ついつい眠ってしまったな。


…小春日和の陽気に誘われて眠ってしまったらしい。

…どうもおかしな夢を見た気がするが、、

…こんな事をしている暇はない。
今日は愛さんの家庭教師の日なのだから。
そろそろ出立せねばなるまい。

辞書と筆記用具を鞄に詰め、着物の帯を締め直していると
「□□さ〜ん、高橋様のお使いが来なすったえ〜!」
と、けたたましい真里さんの声がする。
真里さんは下宿屋の娘で、身の回りの世話を焼いてくれる人だ。

…誰だろうか、なにがあったのだろう。。
慌てて一階に下りていくと、あさ美が玄関先で待っていた。
あさ美は愛さんの所の女中だ。苦労して両親に仕送りをしている身だ。
 

667 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
 
「おや、あさ美じゃないか、どうしたんだい?」
「あ、□□先生、まだいらっしゃったのですね、良かったです、
 実は、今日はお嬢様が学校のお友達と予定が出来てしまって
 授業を一時間ほど遅れて始めて下さるよう、お言付けに参りました」
あさ美は、早口に一気に言うと、はぁはぁと深呼吸を始めた。
「そうかい、ご苦労だったね、
 二階へお上がりよ、お茶でも飲んでいくといい」
「そういうわけにはいきません、仕事がありますので」
「かまやしないさ、どうせお圭さんの小言を聞く仕事だろう
 それにお屋敷から走ってきたのだから休まない法があるかね
 休むのも仕事のうちさ、お圭さんには言っておくから、さあお上がりよ」
「すみません、じゃあ…」
私はあさ美を部屋に案内し、真里さんにお茶を頼んだ。

部屋へ上がったあさ美は落ち着かない素振りで
座布団の端をいじくっては大きな目をきょろきょろさせていた。
あさ美も女らしくなったものだ。少し前までは煙草盆だったのに
今では、うなじの部分で髪を二つにまとめて淡紅色のリボンをつけている。
色褪せた黄八丈にリボンが映えて綺麗だった。

ふと見ると手になにやら本を抱えている。。
あさ美は最近、愛さんの勧めで字を学び始めた。
仕事の合間を見ては教本を開いていたので女中頭のお圭さんに見つかり、
お前のような者には読み書きなど必要ないと教本を取り上げられたが、
あさ美は時折頑固なところがあり、仕事は確かにやるので返してくれと言い張った。、
お圭さんは根負けし、愛さんの手前もあって教本を返してやったという。
初めのうちは愛さんがままごと宜しくあさ美に教えていたのだが
存外に覚えが良くて愛さんでは追いつかないようになってしまった。
それで、愛さんの授業が終わると帰り際に私に読み方を聞くことがあり、
今日も素直に上がってきたところを見ると字を教わりに来たのが本当らしい。
 

668 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
 
案の定、お茶を飲み終わらないうちに質問をしてきた。
「先生、…これは?」
「ハヘン」あさ美の後ろから本を覗いて答える。
「…これは?」
「ボヒョウ」
「…そうして…天から落ちて来る…星の…破片を…墓標に置いて下さい…」
あさ美は首を傾けながら字を追って、唇を金魚のようにすぼませながら
たどたどしく音読した。
「…漱石かい、随分難しいのに挑戦しているのだね」
「はい、奥様に勧められて」
「うん、それは短編だから読みやすいが、…逆に難しいかも知れないよ」
「……、…」
私の話が耳に入らないようで、あさ美は必死に目を上下に動かしていた。
「日が出るでしょう…それから日が…沈むでしょう…
 …それから…また出るでしょう、そうしてまた…沈むでしょう…」
あさ美がまた音読を始めたので、私は格子越しに通りを眺めていた。
「…赤い日が…東から…西へ…東から西へと…落ちて…行くうちに、
 …あなた……待っていられますか……先生?……□□先生?」
「…ん?」
「…これは?」
「どれどれ…ウナズいた」
「…あと、これ」
「チョウシ」
「……自分は…黙って…首肯いた…
 …女は…静かな…調子を一段…張り上げて、
 百年…待っていて下さい…と…思い切った…声で…云った……」

「……」
 

669 :サボリン:2004/02/07(土) 16:22
 
「…百年かぁ、あと百年経ったら…え〜と、二千十四年ね、
 世の中は随分変わるでしょうね」
「そうかねえ」
「だって、先生、私が生まれてからで言ったって
 自動車が走るようになったり、電器が付くようになったり
 凄い変化じゃないですか?
 百年後にはもっといろいろなものが出来ているはずだわ」
あさ美は何を想像しているのか、目を輝かせていた。
「百年やそこらじゃ人間は変わらないさ
 僕たちの孫の世代はまだ生きているだろう?
 そんなものだよ百年だなんて」
「あら、先生は案外夢のないことをおっしゃるのね」
「僕ならもっと先、そうだな千年後の未来を考えるね」
「…千年後?…二千九百十四年?…だめっ、私想像つかないわ」
「ハハハ、そりゃそうだろう」
「先生には想像がつくの?」
「いや、わからないね、
 でも社会のシィステムは大きく変わっているだろうねえ
 もしかしたら人間なんて滅びているかも知れないよ」
「やだ、怖いことをおっしゃるのね」
「なあに、あさ美のようにようく食べる女が
 たくさん子を産み続ければ問題はないさ」
「…ひどいわ先生ったら」
「ハハハ、…おっと、そろそろ時間だね」
私は懐中時計を取り出して時間を見た。
「あら、もう? 何時ですか?」
「3時だよ、少し早いがそろそろ出ようか
 いつもゆったりと散歩をしながら行くのだよ
 今日はあさ美も付き合ってくれ給え」
「…はい」

二人そろって根津の下宿を出た。
小石川の愛さんのお屋敷までは言問通りをまっすぐに行くのが早いのだが
不忍通りの木々を見ながら行くのも悪くない。それに不忍の先の無縁坂には
お美貴という女が家を構えていた。お美貴は某の高利貸しの妾であるという噂だが
私が無縁坂を通る折には決まって挨拶をしてくれる、気立ての良い女であった。
少し気になっているのだが、今日はあさ美もいるのだから言問通りから行くべき
だろうか。それに言問通りには「ごとう」という団子屋があるので
途中あさ美に団子を買ってやって食べる様を観察するのも面白いかもしれない。

さて、




1 不忍通りから行く。
2 言問通りから行く。
 

670 :名無し娘。:2004/02/07(土) 17:18
1で

671 :名無し娘。:2004/02/08(日) 08:33
おぉいきなり文学的になったな
1で

672 :名無し娘。:2004/02/08(日) 15:15
1で

673 :名無し娘。:2004/02/09(月) 14:02
2

674 :名無し娘。:2004/02/09(月) 20:42
2

675 :名無し娘。:2004/02/09(月) 21:23
1

676 :名無し娘。:2004/02/10(火) 21:22
1

677 :名無し娘。:2004/02/10(火) 23:02
2で

678 :名無し娘。:2004/02/11(水) 03:55
2

679 :名無し娘。:2004/02/11(水) 04:00


680 :名無し娘。:2004/02/11(水) 15:40
2

681 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
 
「あさ美、少し遠回りになるが不忍通りから行くとするかね」
「はい」
あさ美は何も言わずに雪駄をからころ鳴らしながらついてくる。
不忍通りを南にゆくと左手の池から清らかな水草の匂いがした。

「好い天気だねえ」
「ええ、本当に」
そう言ってあさ美は午後の日差しを避けながら私を見上げた。
しばらくすると無縁坂に差掛かり私はいつもの癖で右に寄れた。
あさ美は進路を外されてきょとんとした顔でついてくる。
「こちらの通りの方が静かで好いのだよ」
「そうですか」

そう言って二人は無縁坂を上り始めた。坂を上ってすぐ二三軒目の右手に
御影石を塗り込んだ上がり口に、格子戸を綺麗に拭き入れた家が見えてくる。
お美貴の家だ。と、門の前を見て驚くにお美貴が立ってこちらを向いている。
普段は肘掛窓からひょいと顔を出して挨拶をするだけのお美貴が
今日に限って門先に立っていてやや深めに頭を下げてくる。
私も慌てて帽を取って礼をしたが、蝉の羽のように薄い銀杏返しの鬢に
尋常ならざる美しさを感じて思わず歩みを止めた。
お美貴はちらりとあさ美を見てから深い眼を私に寄せた。

「…なにか?」
緊張をほぐすような巧い言葉が浮かばずに
私はつい咎めるような口調になってしまった。
「…あ、…いえ、…好いお天気ですね」
「…そうですね、…好い天気です」
「……本当に」
そう言ってお美貴は鼻の高い、細長い顔にやや寂しい笑みを浮かべた。

「では、また」
「…御機嫌よう」
お美貴の声を残しながら私は歩みを早めて坂を上った。
 

682 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
 
後ろから慌ててあさ美がついてくる。坂を上りきって左に折れたところで
ようやく速度を落とし、あさ美がやっと追いついてきた。

「はア、はア、…□□先生、急に早足になってどうしたの?」
「いや、すまん、少し考え事をしていてな」
「…嘘だわ、先生、あの人に会って急に態度が変わったわ」
「うむ、…正直に言えばそうかもしれない
 …あの女の態度がいつもと違ってびっくりしたのだよ」
そう言いながら再びゆっくりと歩き始めた。
「先生、あの人とどういう関係なの?」
「関係もなにもあるものか、時折挨拶をする程度で、
 一度、通り掛りに蛇の退治をしてやったことがあるのだが、
 縁と言えばそれくらいで、あのように深々と頭を下げられる覚えはない」
「…なんだか思い詰めた表情だったわ、大丈夫かしら」
「何が大丈夫じゃないと言うんだね」
「私、あの人に睨まれたわ、怖い眼で、
 …あの人は先生のことが好きで、
 私を恋人か何かと思ったのではないかしら?」
「ハハハ、あさ美の少女趣味もそれくらいにし給え、さあ行こう」
そう言って私は再び歩みを早めた。…あさ美の言うことに
思い当たる節が無くもなかったが今は考えないようにした。

 

683 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
 
 
あさ美と一緒に愛さんのお屋敷に辿り着くと、
ちょうど道の向こうから愛さんが帰ってくるところだった。

「□□先生!」
大きな声を出して自転車を止める愛さん。
編み上げブーツが袴の裾からチラリと見える。
頭の後ろでまとめていた束髪の一部が慣性で前に出て
藤色の矢絣の肩へとはらりと掛かった。

「やア、お帰り、愛さん」
学校へは十分に歩いていける距離だのに、愛さんは新しいもの好きで
自転車を買ってもらい、クラスで一人自転車で通っている。
おまけに、上方のお祖父さんの家に行った折に宝塚という
少女歌劇団を観賞し、めっぽう気に入ったらしく劇団のスタアの
真似をして緑の袴をはいているので、クラスでも目立つ存在らしい。

「良かった、ちょうどお着きになったところね
 今日はごめんなさい、私の都合で遅らせてしまって」
「いいのだよ、僕なんぞは時間を惜しまない質なのだ
 あさ美とゆったりと散歩が出来て良かったくらいだ」
「あら、あさ美ちゃん、すぐに帰らなかったの?
 先生に迷惑をおかけしたら駄目じゃないの」
「すみません、お嬢様」
「いやいや、僕の方が散歩に誘ったのだから
 あまり叱らないでくれ給え」
「…私、仕事がありますので失礼します」
「うん、また気軽に来ると良い」
あさ美は背中を丸めて逃げるように裏にまわっていった。

愛さんはしばらくあさ美の後ろ姿を追っていたが
「さ、先生、授業をお願いしますわ」
と言って自転車を立てかけた。
 
 

684 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
 
 
今日は英語の構文をやり、過去完了だとか未来完了だとかを教えたのだが
自分では理解していても人に教えるのは甚だ難しい分野だ。
数学の授業の様になってしまい愛さんも私も顔をしかめて苦労した。
私は教え方というのをもう少し勉強しなくてはならないと反省した。


「それでは今日はこの辺にしておこうか」
区切りの良いところで終わりにすることにした。
「ふう、今日は大変だったわ」
と言って愛さんは眉毛を上げて溜め息をつき、辞書の頁をふわっと浮かせた。
「ハハハ、若いのに溜め息だなんて情けないな」
と言う私も眼の疲れを癒そうと目頭を押さえた。
「あら、そう言う先生こそお疲れのようよ、
 肩が凝ったのね、お揉みして差し上げましょうか?」
「いやいや結構、僕だってこれでも若いのだからね」
「じゃ、下でチョコレートでも飲んでいくといいわ、
 目が覚めますわよ、言い付けてきますので先生も直にいらっしって」
そう言って愛さんは私を残して階段を下りていった。
私は女子の部屋に一人取り残されて落ち着かずにすぐ下に降りていった。

と、廊下で割烹着を着た梨華さんと鉢合わせた。
「あら、□□先生、ご苦労様でした、
 ……いやだわ、こんな姿を見られてしまって、
 すぐにお茶の用意をしますのでリビングで待っていて下さいな」
「いえ、お構いなく」
私の言葉も聞かずに梨華さんは台所に入っていった。
普段見せない割烹着姿を見られて恥ずかしかったようだ。
梨華さんは愛さんの兄嫁で、今ではこの家の全般を任されているのだが
愛さんとの歳も近く二人は本当の姉妹のように仲が良かった。
 

685 :サボリン:2004/02/13(金) 15:26
 
リビングにお邪魔してソファに座り愛さんと話していると
あさ美ががチョコレートやら菓子やらを持って出てきた。
「ああ、すまんね、あさ美」
「奥様に倣って入れてみました、お口に合うかどうか」
「あさ美ちゃん、ご苦労様」
そう言って愛さんは早速カップを手にとってチョコレートを口にした。
あさ美が下がるのと入れ替わりに梨華さんが見えた。
授業が終わると三人でテーブルを囲んでお茶をするのが常だった。

「先程は失礼しました」と軽く頭を下げる梨華さん。
「いえ、チョコレート、美味しく戴いております」
梨華さんは割烹着を既に脱いで、亀甲絣の藤と桜の染め分け御召を着て、
やや濃い藤の半衿、藍の帯に薄い黄緑の帯揚げがのぞき、
白の帯締めが全体を引き立たせていた。頭は古風につぶし島田に結っている。
梨華さんは今時に珍しい日本女性なので姿を見るといつも心が落ち着いた。

「そう言えば、先生、
 私、先日ようやっと『人形の家』を見ましたのよ」
チョコレートを飲みながら愛さんが話題を見出した。
「おお、そうかい、どうだったかね?」
「感動しましたわ、女性の独立を描いた素晴らしい作品でしたわ」
「そうかい、…しかし僕はああいう説教臭い芝居は嫌いだね」
「あら先生、婦人解放運動に反対なさるの?」
「そういうわけじゃないが、
 芝居というのはもっとスペクタクルでなければいかん
 ああもごちゃごちゃと台詞を吐かれては幻滅してしまうよ」
「そうかしら、お義姉さんは?お義姉さんの感想を聞かせてよ」
「…私は、よく分かりませんでしたわ」と梨華さん。
「駄目ね、私たち女性の独立について語っているお芝居なのに
 お義姉さんのような古風な方はうんともすんとも言わないのだから」
「まあまあ、愛さん」
「……」
困った顔をして梨華さんが私を見て笑う。
 

686 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
 
「はア、でも憧れてしまうわ、
 松井須磨子さん、素敵でしたわ、
 私も独立した女性としてああ言う風になりたいわ」
「ハハハ、愛さん、宝塚の次は新劇かね、
 …でもねえ愛さん、あんまり独立独立と言い張るのもどうかと思うがね」
「…どういうことですか?」
「独立というのは一個の個人として生きることだから孤独だよ、
 愛さんが本当に独立してしまったら、
 愛さんは結婚できないかも知れないよ、それでもいいのかい?」
「あら、独立したら結婚できないなんて始めて聞きましたわ」
「だって、経済的にも精神的にも独立してしまったら
 結婚する必要がなくなってしまうではないか」

「…うーん、…先生のは屁理屈だわ」
「ハハ、困らせるつもりじゃないんだ、
 ただ僕は最近の日本の情勢について憂慮しているので言うのだが、
 昔の日本には身分によって差別があった、性による差別もあった、
 しかしそれは区別と言った方がいい、一人一人が自分の役割を果たしていた。
 地主には地主の小作には小作の、嫁には嫁の役割があって、
 みんなその役割の義務と責任を果たしてきた、まさに芝居だよ。
 しかし今日の日本は西洋の個人主義を間違った形で受け入れて
 自分勝手主義とでも言うべき主義がはびこっている。
 西洋のようにキリスト教や強い市民意識といった共通の土台を持った上での
 個人主義ならば結構なのだが日本の個人主義は何の土台もないバラバラ主義だ。
 極論すれば隣が火事になろうが自分さえ無事だったら良い。そういう主義だ。
 個人主義の間違った形は通時的にも現れている。
 個人主義を突き詰めれば、自分の先祖や子孫も関係なくなる。
 今さえ良ければいいんだという考えでやりたい放題になる。
 個人主義で行くのなら五十年先に売れる桧を今植える馬鹿がいるものか、
 それどころか先祖の植えた桧を全部切り倒す勢いじゃないかね…」
私は思わず熱くなってしまった自分を押さえようと一息ついた。
 

687 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
 
「……そんなに自分勝手な人ばかりではなくってよ
 皆さん、富国強兵とお国のために働いてきたのではなくって?」
愛さんがしばらく考えて言い返してくる。
「うん、でもそれは裏を返せばそういったスローガンを掲げなければ
 国民がバラバラになってしまうということさ。
 まあ、今のように国が貧しいうちはそれなりに国全体としての
 目的があるから良いものの、それがなくなったらどうなるんだい?
 共同体というのは共通の目的や夢や敵を失ったら機能しない。
 国としてのシィステムだけが残って、地主が小作を支配するといった
 分かりやすい構造ではなく、個人が個人の集団に縛られる、
 誰が誰に縛られているのかわからない、そんな社会になるだろう。
 そうやって個人に対して世界が全体として敵になってしまうんだ」

「…何をおっしゃりたいのかよく分からないわ」
「…ハハハ、僕も自分で分からなくなってきたよ、
 つまるところ、土台のない個人主義は危険だということさ、
 そして、愛さんは結婚できるかできないか、それが問題だね」
「嫌ね、そんなにご心配なら先生がもらって下さっても結構よ」
「おや、これは困ったな」
「そのかわり、私はお金のない方のところへは参れませんから
 先生は早く大学を卒業なさって、ご出世なさらなければ駄目よ」
「うーん、厳しいなア」
「愛ちゃん、あんまり先生を困らせては駄目じゃないの」
そう言って梨華さんが助け船を出してくれた。
「だって先生が難しいことをおっしゃるから…」
「いや、すまんすまん」
「さア、チョコレートは口に残りますから焙じ茶でも入れましょう」
そう言って梨華さんがチリリンと呼鈴を鳴らすと
お圭さんがもそっと顔を出してご用を聞き素早く台所に向かっていった。
「良かったわ、私もちょうど焙じ茶が飲みたかったところ、
 チョコレートで舌がダコンダコンになってしまってよ」
「ハハハ、愛さんは時折面白い表現を使うのだね」
「あら、そうかしら」
「そうよ、ふふ」
「ハハ、そうですよねえ」
そう言って梨華さんと私が揃って笑うので
愛さんはプンと向こうを向いてしまった。
 
 

688 :サボリン:2004/02/13(金) 15:28
 
その後もしばらく話をしながらお茶を戴いたが
六時半にお暇をし、下宿に帰って飯を食って眠った。
その日は真里さんが作ったという鯖の味噌煮がどうも胃に残った。


翌日は胃の調子が悪くて終日部屋でぐうたらしていた。
翌々日、散歩に出て無縁坂を通ると、
お美貴の家が引き払われていてひどく驚いた…。





それから数日が過ぎ、また愛さんの家庭教師の日が来た。


出立しようとした矢先に幾分強めの雨がザアザアと降り始めた。
私は傘を持ってコオトを羽織って外へ出た。
早速出来た水溜まりを避けながら言問通りを歩いていると
通りの向こう側に雨宿りをしていると思われるあさ美の姿を発見した。
買い物の途中であろうか。荷を背負って庇の下からぼんやりと空を見ていた。
と、あさ美は風呂敷を頭にかぶってトコトコと走り出した。
お屋敷とは反対方向に向かって行くのでまだ買い物の残りがあるのだろう。
傘も持たずに大丈夫だろうか。この雨は当分やみそうにない。
追っていって傘をさして送ってやるべきだろうか。
しかし今日は準備に手間取ったので、
そうしていては愛さんの授業に遅れてしまうだろう。

さて、




1 あさ美を追って傘をさしてやる。
2 愛さんの授業を優先してお屋敷に向かう。
 

689 :名無し娘。:2004/02/13(金) 19:18
1

690 :名無し娘。:2004/02/13(金) 20:44


ダコンダコン(;´Д`)ハァハァ

691 :名無し娘。:2004/02/13(金) 21:18
1

692 :名無し娘。:2004/02/13(金) 23:26
1で
・・・「人形の家」のくだりは「待てど暮せど来ぬ人を」?

693 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:17
無論1

694 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:43
1

695 :名無し娘。:2004/02/14(土) 12:31


696 :名無し娘。:2004/02/14(土) 21:33
1

697 :名無し娘。:2004/02/17(火) 23:29
2

698 :名無し娘。:2004/02/18(水) 00:45
1

699 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:43
2

700 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:44
ノノ*^ー^)<700です。

701 :名無し娘。:2004/02/19(木) 22:35
梨華さんの服装描写とか、ディテールも手抜きなしですね。
1で

702 :サボリン:2004/02/22(日) 00:30
 
雨の中を傘もなく走ってゆくあさ美を放っておくわけにはいくまい。
私は急いであさ美を追いかけた。

「おーい、あさ美、あさ美や!」
雨の音で縮んだ私の声をようやく聞き分け、
あさ美が立ち止まってこちらを振り返った。
目を凝らして私を確認すると強ばっていた唇を途端に緩ませた。

「無茶をするものではないよ、こんなに強い雨なのに」
私はようやく追いついてあさ美の頭に傘をさしてやった。
「□□先生……」
雨に濡れた前髪から水滴がしたたり落ちている。
その下からあさ美の眼が私を見上げる。
あさ美は濡れた顔を拭こうともせず、
ふう、はあ、と口から白い息を吐いている。

「…ひどく濡れて…かわいそうに」
私はハンカチーフを出してあさ美の頬を拭いてやった。と、
「はっ、先生、今日はお嬢様の授業の日では?」
あさ美が夢から覚めたように突然大きな声で言った。
「…そうだよ」
「いけません、もうお時間でしょう?
 遅れてしまうじゃないですか、早く行って下さい」
「こんな雨の中を駆けていくあさ美を見たら、置いては行けないじゃないか」
「それじゃ、見なかったことにして下さい、とにかく早く!」
そう言ってあさ美は私の肩を押し、自分の体を傘から出す。
「おいおい、せっかく拭いてやったのにまた濡れてしまうじゃないか!
 ともかくも買い物先まで送るから、案内し給え」
そう言って私は前に出て再びあさ美に傘をさす。
「私はいいですから、先生は…」

などと言い合ってるうちにますます雨は強くなり、
声が聞き取れないほどになった。風も強まり雨が横殴りになる。
もはや、傘をさすささない、授業に行く行かないの問題ではなくなってきた。
「…あさ美、とにかく、…私の下宿へ向かおう!」
「……はい」
雨が嵐となり、私は愛さんのお屋敷までは到底たどり着けそうになく、
あさ美にしても買い物の続行は不可能と悟ったようだ。
私はあさ美の肩を抱きながら傘をさし、来た道を戻って下宿に向かった。
 

703 :サボリン:2004/02/22(日) 00:30
 
下宿が見えてきた頃には雨も風もさらに強くなり、
ついには風に傘をさらわれて飛ばされてしまった。
二人は風に倒れないようにお互いを支え合いながら進み、
ようやく下宿の戸を開いた。

「アチャー!、アチャアチャー!」
玄関に入ると、真里さんが金槌やら釘やら板やらを持って走り回っていた。
「真里さん、この時期に台風でもあるまいし、すぐに治まるだろう?」
「器用貧乏、真里は走ります!」
真里さんは興奮して人の話も聞かずに雨戸をドンカチならしていた。
と、ピカッ!!  …バリバリバリバリッと雷が鳴った。

…この時期に雷とは。。
……真里さんの行動も大げさではないのかも知れない。
真っ白な光に、家屋がゆれるほどの大きな音だった。

「あさ美や、とりあえず居間に来なさい」
「…はい」
二階は危険に思い、私はあさ美を居間に案内し、
浴布を取ってきて渡してやった。手あぶりに火を入れて暖を取る。
あさ美もようやく落ち着いて羽織を脱ぎ、座って髪を拭いていた。と、

ピカッ!! バリバリバリバリッン!!

再び大きな雷が落ち、一瞬辺りが真っ白になった。
あさ美は何も言わずに這って私に近寄り、腕に抱きついてきた。

「……先生」
「…うむ、これはいかんな」

ピカッ!バリバリバリッン!!

「うわっ!」「きゃっ!」

「……○○さん」
「…ど、どんどん近づいて来てるな、、これはヤバイぞ…」
オレも怖くなって紺野さんの肩を抱きしめた。


 ド カ ン ッ !!


予告無く、光と同時に衝撃が走る。


光が強くて辺りが真っ白で見えない。
 

704 :サボリン:2004/02/22(日) 00:31
 
 


 ド ガ ッ !!



「うわぁぁあ!」「きゃぁああ!」



再び衝撃が走る



体が宙を浮いてる




…みたいだ








・・・紺野さん。。










・・・







 

705 :サボリン:2004/02/22(日) 00:32
 











・・




































 

706 :サボリン:2004/02/22(日) 00:32
 


・・














…ん?


ここは……どこだ?


目を開けるとボロボロになった校舎が見える。

気づくと紺野さんを抱いてオレは横たわっていた。

意識がはっきりしてきた。

またもや夢の世界に行っていたようだ。。

「…紺野さん、…紺野さん、起きれる?」
オレは紺野さんの体を起こして軽く揺すった。

「…うぅ、…あ、○○さん!」

「よかった、平気みたいだね」
「…はい、…ここはどこですか?」
「…さぁ」

まわりを見渡すと、みんなも校庭に横たわっていた。
校庭の端には校舎がある。…でも校舎の向こうは何もなかった。
…本当になにもない。。砂漠のような土が見えるだけだ。。
…風景がさっきと全然違う。…あの爆発が起きる前、
絵里ちゃんとれいなの声がした。みんなを飛ばすとか言ってたから、、
ここは……とにかく、学校ごと、どっか別の場所に移動したみたいだ。。
 

707 :サボリン:2004/02/22(日) 00:33
 
「はっ、美貴様ッ!」スタッ!
「いてっ」ガコッ!
紺野さんがいきなり立ち上がり、オレの腕を払って走り始めた。

「美貴様、ご無事ですか!?、美貴様ァ!!」
紺野さんが藤本を抱き起こして体を揺らす。
「……うぃ〜、……ん?……紺野?……どうした?」
「…あぁ、美貴様、戻られたのですね、良かったです!」
「…ん〜、なんか変な夢を見た気がするなぁ、、
 ああっ!…思い出した!! オレ…猿に操られてただろ!?
 …ちくしょう、オレとしたことが!!」
そう言って藤本が立ち上がった。青の羊のコスプレのままだった。。

「美貴様、ご無事でなによりです、
 …しかし、申し訳ありません、
 さゆみんの捕獲に失敗し、このような事態に…」
「…いや、紺野、オメーはよくやった、
 …って、ここはどこなんだ?…学校?」
「…学校なんですけど…外の風景が全く違いますね
 …美貴様がお眠りになっている間にいろいろなことがありました、
 後藤さんがさゆみんを殺そうとして誤ってみうなを撃ち、
 その衝動でさゆみんが……力を使い、、
 私たちは亀に助けられて別の場所に移動したのかと」
「うむ、少し覚えている、…とてつもない力だった」
「…はい、私たちはさゆみんに対する認識が甘かったようです」
と、

「美貴様〜、紺野さーん、○○ぅ〜」
と叫びながら絵里ちゃんが裏門から走ってきた。
後ろかられいなも走ってきて後藤さんの方に向かっていった。
「亀!」「亀ェ、生きてたか!」「絵里ちゃん!」
「良かった、みんな無事ですね?」
「ああ、ところでよォ、亀、ここはどこなんだよォ?」
「…わかんない、みんなを助けるのに必死で…、
 とにかく遠くへ…遠くへ飛ばそうとしただけだから…
 でも、ここが現実の世界だということは確かだと思う、
 ほら、あそこにちゃんと…みうなさんの……死体があるから」
そう言うと絵里ちゃんはヘナヘナと座り込んでしまった。
「大丈夫?」 オレは駆け寄って絵里ちゃんを支えた。
「うん、○○、ありがと、…無事で良かったね」
「うん、絵里ちゃんが助けてくれたんだね、ありがとう」
学校全体を瞬間移動させたのだから随分と力を使ったのだろう、
絵里ちゃんはぐったりとしていた。
「ううん、でも、さゆが…」
「そうだ、さゆみちゃんはどうなったの?」
「…わかんない」
「…そう」
 

708 :サボリン:2004/02/22(日) 00:33
 
「……みうなが死んで、さゆみんはゆくえ知らずか」
「……はい」
藤本と紺野さんは頭から血を流して横たわっているみうなを見つめていた。
「…はっ、今のうちだ紺野、猿を捕らえろ!
 これ以上好き勝手やられたらたまらんぜ!」
「はっ」
紺野さんが気を失っているまつうらさんを縛る。
「ついでに目隠しもしておけ、妙な術を使うからな」
「はっ」 紺野さんがまつうらさんの頭を布でグルグル巻きにする。
「…うぅ、…なんですか?…っ…ほどいて下さい!」
まつうらさんが気づいたようで体を動かす。
「はっはっはっ、お似合いだぜェ、まつうらァ
 猿は猿らしく檻にでも入ってろや!」
「…たん!、その声はたんね、どうしてこんなひどいことするの!?」
「ぅるせェッ、ンなこと言えた義理か!猿はしゃべんじゃねェ!」
そう言って藤本がまつうらさんに近づいて口まで縛ってしまった。
「…うぅぅ」


と、横で倒れていたまいちゃんとあさみちゃんも目を覚ました。
「…うぅ」「…ん〜」
「おお、まい、あさみ、目覚めたか!」
「美貴様!」「美貴様、ご無事でしたか!」
「おお、さっそく仕事だぜェ、ほら、そこでくたばってる
 金髪ゴリラと二色マロンと寸胴ラットの銃を奪っておけ」
「はいっ!」「はっ!」
まいちゃんとあさみちゃんが素早く動いて
気を失っている斉藤さんやマサオさんや柴ちゃんの銃を奪う。
と、斉藤さんが目覚めて
「なにしやがる!」と起きあがった。
 

709 :サボリン:2004/02/22(日) 00:34
 
「はっはっ、斉藤、久しぶりだなァ!」
「…帝……いや、藤本ォ!」
「へっ、呼び捨てかァ、随分馴れ馴れしいじゃねーか、
 オレぁ、斉藤ちゃんとお友達になれたみたいで嬉しいぜェ!」
「藤本ォ!テメエなんか亜弥様の……はっ!」
斉藤さんが藤本の足下でもごもご動いているまつうらさんを発見した。
「…亜弥様がどうしたってェ? あん?斉藤ゥ!」
「……亜弥様」
「このイモムシみたいな肉塊がオメーの言う亜弥様かァ!」ドカッ!
藤本がまつうらさんに蹴りを入れる。
「……ぅ!」
「やめろォ!」 斉藤さんが叫ぶ。
「へっ、まだ自分の置かれてる状況が分かってないようだなァ、
 猿は捕らえられ、みうなは死に、銃も奪われて、何をする?あ?」
「……<っ」
と、マサオさんと柴ちゃんも気づいて起きあがり、
ヘリからは紺野さんに連れられて村さんが出てきた。

「無理はしなくていいんだぜェ、斉藤、
 もう、かわいくもないヤツをかわいいと思いこまされる、
 そんな恐怖政治は終わったんだ、
 …言っておくがオレはオメーラに敵意はない、
 猿と共に死ぬも良し、猿を見捨てて逃げるも良し、
 それともオレの下で働くかァ? 選ぶのはオメーだぜェ、
 え?斉藤ちゃァン!どうすンだよォオ!?」
「…ちくしょう」
そう言って斉藤さんはマサオさんたちを見る。
「……オマエら、ここはいったん退くぞっ!!」
斉藤さんは振り返って裏門に向かって歩き始めた。
「…ボス!」「…うん」「待って〜」
とマサオさんと柴ちゃんと村さんが斉藤さんを追う。

「賢い選択だな、斉藤」
「あばよォ、藤本」
そう言い残して斉藤さんたち4人は裏門を出て行った。
…どこに行くつもりなんだろう。…大丈夫だろうか。
外は砂漠のような大地が続いているというのに。。
 

710 :サボリン:2004/02/22(日) 00:36
 
なんてもめていた間に、加護ちゃんたちや矢口先輩たち、
ひとみや小川さんや愛ちゃん、れいなに抱きかかえられた後藤さん、
飯田先輩など、どうやらみんな無事に目覚めたようだ。
みんな今の状況にとまどっているらしく
話しもせずに自然と藤本のまわりに集まっていた。
もっとも後藤さんや飯田先輩は遠くから見守る感じだったが。。

「さぁてと、とりあえずどうすればいいかなぁ、紺野?」
「…はい、まずはここがどこなのか調べなければなりません。
 ただ、少し見渡した限りでは街も見えず、辺りは砂漠、
 全員で移動するのは危険です。ですから先遣隊を派遣して
 他はしばらくの間ここで待機するべきです。長期になる場合、
 学校その他で食料や水を見つけて食いつなぐ必要があります。
 学校の備品をくまなく探して使えるものを集め、
 マット等で寝床を用意する必要もあるでしょう…」
「うむ…ようし、4班に分けるぞっ!」藤本がみんなに向かって声をかける。

「街を見つけるための探検隊、リーダーは紺野、ヘリは使えるな」「はっ」
「次ィ、学校内の食料調査隊、リーダーはあさみ」「はい!」
「学校内の備品調査兼寝床整備隊、リーダーはまい」「はい!」
「みうなの死体片づけ・猿の監禁監視等雑用部隊、リーダーは亀」「…はい」
「いいかァ!オメーラよく聴けェ!
 従う従わないはオメーラの自由だ、
 ただし、従わない者はオレらの邪魔をしないこと、
 オレらの確保した食糧・備品に手を出さないこと、
 オレらに敵対した場合は殺す、以上、質問あるヤツはいるかァ!?」
…加護ちゃんも中澤先生もみんな黙っている。
ここはみんな、おとなしく藤本に従うつもりなのだろう。
「…ようし、文句はないようだなァ」
「しかし、美貴様をお一人にして大丈夫ですか」と紺野さん。
「安心しろォ、銃もあるし、自分の身ぐらいは自分で守れる、
 魚は茫然自失でおとなしくしてるようだし、
 いざとなったら亀を呼ぶ、紺野、安心して行ってこい!」
「はっ、かしこまりました!」
「ようしオメーラッ、それぞれ隊員を集めて任務を遂行しろォ!」
「はっ」「はっ」「はい」「はいっ」
4人が散ってそれぞれ隊員を募集し始めた。
一部には非協力的な人もいるが隊員が集まり始めている。。

・・・オレはどうしようか。どの部隊に志願しよう。。




1 紺野さんの探検隊
2 あさみちゃんの食料調査隊
3 まいちゃんの備品調査隊
4 絵里ちゃんの雑用部隊
 

711 :サボリン:2004/02/22(日) 00:44
>>692
「待てど暮せど来ぬ人を」とは何の引用ですか?
大正時代を書きたかっただけで、あんまり考えてません。
ちなみにお美貴のくだりは森鴎外の「雁」です。
あまりに時代が遠いので作者自ら元ネタばらし。。

>>701
ありがとう。実は着物フェチです。
資料見ながら書いてたんだけど、
よく考えたら資料ない人にはワケワカメな描写だったかも。
まぁ、雰囲気だけでも味わって下さい。。

712 :名無し娘。:2004/02/22(日) 01:12
4

713 :名無し娘。:2004/02/22(日) 01:16


714 :名無し娘。:2004/02/22(日) 09:59
ときめきが・・・・

715 :名無し娘。:2004/02/22(日) 19:47
4

716 :名無し娘。:2004/02/22(日) 19:56
4

717 :名無し娘。:2004/02/22(日) 22:30
1

718 :名無し娘。:2004/02/22(日) 22:48
2

719 :名無し娘。:2004/02/26(木) 05:52
4

720 :名無し娘。:2004/02/27(金) 06:25
2

721 :名無し娘。:2004/03/04(木) 15:03
1

722 :名無し娘。:2004/03/04(木) 17:52
4

723 :sage:2004/03/04(木) 22:08
4

724 :名無し娘。:2004/03/11(木) 13:25
1

725 :名無し娘。:2004/03/11(木) 23:29
4

726 :サボリン:2004/03/12(金) 17:33
 
よし、絵里ちゃんの雑用部隊に志願しよう!
オレは絵里ちゃんのそばに行って声をかけた。
「絵里ちゃん、オレ、ここに入ってもいいかな?」
「○○! 良かった、○○が来てくれて…」
絵里ちゃんは部隊長を任されて不安だったようだ。

「おう、兄さん、よろしく頼むわ」シーハー。
「あ、加護ちゃん、…うん、よろしく」
「死体処理はうちに任しとき」シーハー。
加護ちゃんも同じ部隊のようだ。ウンコ座りで煙草を吸っていた。
…愛ちゃんとの争いもひとまず中断といったところか。

「○○!、おいらもここで働くぞっ!」ピョコン。
矢口先輩もいた。相変わらず小人のままだ。
「ああ、…矢口先輩、よろしくね」
「はい、これヨロシコ」ガサゴソ。
矢口先輩がおもむろにおんぶ用のリュックサックをオレに渡す。
…中澤先生は別の部隊のようだ。オレが矢口先輩を背負うことになるのか。。
しぶしぶオレはリュックを背負った。と、
「○○〜、ホントここってどこなんだろうね?、ケータイも通じないんだよ」
そう言いながら矢口先輩はテケテケとオレの体を登ってきて
リュックに入っていった。もそもそ。
「……そうなんだ」

「□□さん、私もよろしくお願いしますぅ〜」ペコペコ。
小川さんもいた。…体力的には頼りになりそうだな。
「あ、小川ちゃん、よろしく。
 そう言えば、あのカブ全壊させちゃった、ごめん」
「いいんですよぉ〜、そのかわり後で弁償して下さいね、
 定価で、、むふっ」
「う、うん」


他の部隊を見てみると、
紺野さんの探検隊には、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩がいた。
飯田先輩もとりあえず従うようだ。

あさみちゃんの食料調査隊には、石川さん、ひとみ、れいながいた。
れいながいるということは…後藤さんも藤本に従うようだ。

まいちゃんの備品調査隊には、愛ちゃん、中澤先生、後藤さんがいた。

結局、全員がそれぞれの部隊に入り、藤本に従うことになったようだ。
しかしグループのそれぞれが別の隊に入ってるところからして
どうもみんな藤本の出方を探っているという感じだ。
…ま、紺野さんがすぐに助けを呼んでくるだろう。
それまでの間のつかの間の平和といったところか。
…みんなが争わないでいられるなら今のままでもいい、
オレはふとそんなことを思ってしまった。

727 :サボリン:2004/03/12(金) 17:34
 
なんてボーっとしてたら、バダダダバン!
ヒュルンヒュルン、タンタンタン……とヘリのエンジンが動き始めた。
紺野さんが運転席に座り、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩が乗り込んで行く。
「それでは美貴様、行って参りますッ!」スチャ。
「おう!」ちゃっ。
紺野さんの叫ぶ声が微かに聞き取れた。

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

轟音と旋風を残してヘリは飛び立っていった…。

バダバダバダバダバダ、タンタンタンタタタタ・・・・……

ボーっとヘリの行方を見ていたが、ふと気づくと
他の部隊は既に任務に取りかかったようで、
オレたちの部隊だけが校庭に突っ立っていた。


「じゃ、絵里ちゃん、オレたちも始めようか?」
「…うん」
「ほら、絵里ちゃんが隊長なんだから、しっかりしなきゃ!」
「うん、じゃ…まずみうなさんの…死体を片づけなきゃだね…」
「…うん」

矢口先輩にまつうらさんの監視を任せ、
他の4人はみうなの死体のまわりに集まった。

…静かな死に顔だ。。

 

728 :サボリン:2004/03/12(金) 17:34
 
「ほな、亀吉、始めよか」スチャ。
そう言って加護ちゃんがナイフを出してみうなの腕をつかむ。
「ちょ、ちょっと待て!…加護ちゃん、何する気だよっ!」
「いややわ〜、兄さん、臓器売ろうなんて考えてまへんで、
 うちかてそこまでせこかないわ〜
 第一こんな所じゃ保存もきかんやろしなぁ…」
「…じゃ、ナイフで何しようとしてたの?」
「何ってそら、学校の焼却炉じゃ丸ごと入らんやろ?
 五体不満足にしてバラバラに焼くしかあらへんよ?」
「あわわ…何言ってんだよォ、
 ンなことまでして焼く必要ないだろ、どっかに埋めようよ」
「そうですよ〜、燃やしたら学校の灯油がもったいないですよ〜」と小川さん。
「いや、そういう問題じゃないんだけど…
 と、とにかく土葬でいこう、ちゃんと葬ってあげようよ」
「…そうかぁ、仕方あらへん、…うちの出番がのうなってしもうたなぁ」
「…じゃ、…どこに埋めようか?」
「あそこにしよう、あそこの木の下に埋めよう」
そう言って絵里ちゃんが裏門の近くの木を指差した。
…桜の木だ。春になると門のまわりを淡く染める。。大きな木だ。
「墓石の代わりに木が目印になっていいですねぇ〜」と小川さん。

桜の木の下に埋めることに決まって
オレと小川さんで必死に木のそばに穴を掘り始めた。
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。
絵里ちゃんは体調が悪いみたいではじっこで休んでいた。
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。…疲れた。
「あれぇ〜、加護ちゃんはぁ?
 ちょっと加護ちゃん、手伝ってよ、そこの土をどけてよ」
「やかましかぁ!
 死後硬直が始まる前に体伸ばして腕をあわせて、
 死化粧してぇ…、いろいろやることがあるんや!
 兄さんは黙って墓穴をさっさと掘らんかい!
 はよう掘らんと汚物が出てくるでェ!」
「…あ、そうなんだ、ごめん急ぐよ」
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。
「これやから土葬はいやなんや、そもそも土葬は不衛生なんや…
 …ったく、さっさと焼いてしまえばよかったものを…」
加護ちゃんはなにやらブツブツ文句を言っている。
 

729 :サボリン:2004/03/12(金) 17:35
 
穴を掘り終わり加護ちゃんの方に行ってみると、みうなが綺麗になっていた。
なんだかんだ言って加護ちゃんは丁寧にみうなの死化粧をやってくれたようだ。
頭を貫かれて、さっきは血が大量に出ていて髪の毛まで染まっていたが
丁寧に銃痕にティッシュが詰められ、髪は綺麗にとかされて
泥だらけで真っ青だった顔も、ほお紅が塗られて綺麗になっていた。

「ほな、亀吉に小川、最期に紅をさしてやろな」と加護ちゃん。
「…うん」「はい」
絵里ちゃんと小川さんと加護ちゃんで口紅を指でさす。
「オメーラぁ、オレにもやらせろやァ」
後ろから藤本が歩いてきた。。

…藤本が最後に紅をさす。
「……みうな、すまなかった、許せ」
藤本はあまり話さないけど、みうなは元々は藤本達の仲間だったようだ。。

別れを終え、みんなでみうなを持って穴に運んで入れる。
「棺はないが、我慢しろ、ほら、手向けだ」カラン。
そう言って藤本がカミソリを穴に入れる。
「なんでカミソリを?」
「…ヤツは生前、ワキが濃くて…悩んでいたんだ、
 これで安心して眠れるだろう…うぅ」そう言って藤本が涙をこらえる。
「…そうか」
みうなとは夢の世界では幼なじみだった。
オレもなんだか悲しくなってきた。。

加護ちゃんの合図で土をかけ始める。みんなで少しずつ、無言で。
穴を掘るのは苦労したけど、埋めるのは案外早かった。
みうなの体の分だけ土が余ったので、最後に盛り土をした。
その上に加護ちゃんと藤本が煙草に火をつけて、線香代わりに添えた。
みんなしばらく無言で煙の行方を見守っていた。


……桜の樹の下には屍体が埋まっている。
みうなの体液を吸って、春には美しい花を咲かせるだろう。。

「さ、終わりだ終わりィ!
 オメーラ、さっさと次の仕事にかかれやァ」
そう言って藤本は背中を見せてトボトボと校舎の方へ向かっていった。
背中に吊る下げた機関銃が寂しそうにプラプラ揺れていた。。
 

730 :サボリン:2004/03/12(金) 17:36
 
そのあと、オレたち雑用部隊はまつうらさんの監禁に適当な場所を探した。
職員室に鍵がかけられる大きめのロッカーを見つけたので
まつうらさんを運んでロッカーに閉じこめて鍵をした。
「姐さん、しばらくの辛抱やで」
「ごめんね、まつうらさん…」ガチャ。
「うぅ…」

その後は他にすることもないので、
みんなで先生達の机に座ってウトウトしていた。
先生達が誰もいない職員室で生徒が昼寝をしている光景は違和感があった。
ひとり加護ちゃんは先生達の机を荒して煙草やら酒やらを発見して喜んでいた。

しばらくして目を覚ますと、窓の外がオレンジに染まっている。
もう夕方なのか。…何時だろう?
…時計はさっきと変わらず3時を指していた。

と、遠くからヘリの音がする。……タタタタタンタンタン。
紺野さんたちが帰ってきたんだ!

オレたちは職員室を出て校庭に向かった。
ヘリが近づいてきて気づくに、なにやら大きな物体を吊している。
プープープーという警告音の後、ひもが外されて物体が落ちてきた。

ひゅるるぅ〜、ドシン!

…豚だ。。

「なっち!」
矢口先輩が叫んで走り寄る。オレも慌ててついて行く。
「なっち、どうして!どうしてこんなことに!」
豚は首から血を流して死んでいた。
「ていうか矢口先輩、それどう見ても本物の豚だろ?」
「いや、おいらにはわかる、これはなっちだよ!
 おいらみたいに何かの魔法で本来の姿に戻っちゃったんだ!
 なっち、ごめんよ〜なっち、おいらに巻き込まれてこんなことに…」
そう言って矢口先輩は豚に抱きついて泣いていた。
 

731 :サボリン:2004/03/12(金) 17:37
 
「なっちィ…なっちィ! どうして死んじゃったンだよォ〜」
「ダーレが死んじゃったって〜?」
ヘリから降りてきた安倍先輩が後ろに立っていた。
「なっち!生きてたんだなっち!良かった!
 おいらてっきり豚になって死んじゃったのかと〜!」ピョコン。
そう言って矢口先輩が安倍先輩に抱きついていた。
「どうやったら、こんな汚い豚とめんこいなっちを間違えるんだべぇ?」
「キャハハ、そっくりじゃん豚、生きてて良かったなァこの豚ァ」ペチペチ。
「フフフ、真里は相変わらずかわいいなぁ〜」ムギュゥゥ。
「うぐぅ…」ガクッ。
安倍先輩が矢口先輩を抱き締めつけて落としてしまった。。

「そこォ!何をもめてるんですかァ?
 亀ェ、雑用部隊は豚をおろしとけェ!」
紺野さんがヘリから出てきて絵里ちゃんに指示をする。
「はい!」
「よしゃ、今度こそ、うちの出番やな!
 メタメタに切り刻んでやるで〜」
そう言って加護ちゃんが嬉々としてナイフを豚に刺して解体していた。

紺野さんの指示で、明るいうちに夕飯の準備をすることになった。
各部隊も任務を終了して集まり、教室から机や椅子を出して校庭に運び、
家庭科室などから包丁やらガスコンロやらを持ってきて料理が始まった。
米もあったみたいで炊飯も始まった。
日が暮れ始めたので、カーテンをちぎって灯油を浸し、
棒きれに巻きつけて松明をつくって四方に配置した。


豚を焼いて醤油をかけてご飯を食べる。。
それだけの夕食だったが、豚が旨くて満足できた。
みんなもお腹が減っていたようで話しもせずにガツガツ食っていた。
 

732 :サボリン:2004/03/12(金) 17:37
 
夕食が終わってしばらくすると
「ようし、オメーラぁ、集まれやァ!
 飯も終わったし、各部隊の報告頼むぜェ!」
と、藤本の号令でみんながまわりに集まった。

「じゃ、紺野の探検隊からいくか?」
「…はい、…あの〜美貴様、…私は後にしてもらえませんか?」
「…ん?…まあいい、じゃ、あさみの食料調査隊からいくぞォ!」
「はい!」
あさみちゃんのまわりに、石川さん、ひとみ、れいなが集まった。
「えーと、私たちはまず家庭科室に行きお米を発見しました。
 みなさんが今食べたお米がそうです。
 全部で30kgあったので、この人数で食べても1週間は持つでしょう。
 それと水もなんとかあります。校舎の水道は一度タンクに溜めてから
 分水される仕組みでしたので、タンクにはまだ水が残っています。
 水も飲用食用以外に使わなければ、…この人数で1週間は持つでしょう」
「…ふむ、ひとまずは安心だな」
「それと、食堂で保田というおばさんを発見しました。
 抵抗しましたので軽くボコって縛ってあります。
 サンドイッチや焼きそばパンなど、
 売れ残りのパンを10食分ほど確保しました、以上です」

「うむ、ご苦労、次、まいの備品調査隊!」
「はい!」
まいちゃんのまわりに、愛ちゃん、中澤先生、後藤さんが集まった。
「えー、備品についてもそれなりに整っていました。
 倉庫には灯油がありました。18リットル缶で20缶です。
 職員用駐車場にはガスが結構入った車が4台止まってましたので、
 移動もそれなりにできそうです。ただ、電気はストップしています。
 電話も携帯も通じません。ラジオもテレビも駄目なようです」
「…そうか」
「あと、工芸室にはいろいろ工具があって使えそうです。
 それと、保健室にはそれなりの薬が残ってます。…で、保健室では
 市井という教職員を発見しまして、抵抗はしませんでしたが
 一応縛って保健室で寝かせてあります、体調が悪いようです」
「ふむ、で、寝床はどうする?」
「はい、それについても大丈夫です。
 合宿所に十分な布団がありましたし、運動部の長屋を片づければ
 3、4人が寝るのによい部屋がいくつかできます、
 畳も敷かれているので丁度いいと思います、以上です」

733 :サボリン:2004/03/12(金) 17:38
 
「うむ、ご苦労、次、亀の雑用部隊!」
「はい!」
絵里ちゃんのまわりに、オレ(と矢口先輩)、小川さん、加護ちゃんが集まった。
「えっと、みうなさんは裏門のそばの木の下に埋めました。
 あの辺りは荒らさないで下さい。
 あと、松浦さんは職員室のロッカーに閉じこめました、
 ちゃんと鍵もしました、これが鍵です」チャラ。
「うむ、ご苦労、まつうらは絶対に外に出すなよ」
「はい」

「それと〜、各部隊、他に生存者は発見しなかったか?」
「はい」「はい」「…はい」
「そうか、オレもブラブラと見歩いてたんだが、誰もいなかった、
 ここにいるヤツらで全部ってことか、…まぁ、面倒がなくて丁度いいか。
 …よし、次、紺野、報告頼むわ」
「……はい」
紺野さんのまわりに、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩が集まった。
「…えーと、何から話していいのか…
 …まず、学校の周りは砂漠ではありませんでした。
 学校の周囲2、3kmだけは赤土の地面が続いていますが
 その周りは草原と、そして広大な森が続いていました。
 森の入り口で豚を発見し、撃ってしとめて喜んでいたんですが…
 …ヘリを進め続けても森だらけで変化がなく不安になってきました。
 おまけにGPSが壊れているようで使えずに…
 テレビ・ラジオもですが、航空無線でさえ全ての周波数帯が入りません、
 で、とりあえず南に飛んで肉眼で確認しながら行きましたが、
 人工的な建造物は全く見あたらず、見覚えのある地形は全くなく…
 往復の燃料ギリギリまで飛んでみましたがダメで…結論としては、
 街は発見できず、ここがどこなのかさえ、まったくわかりませんでした。
 …すみません、美貴様…」

「…いや、ご苦労、
 ……うむぅ、一体ここはどこなんだ?」
「ふん、ここがどこだってもう関係ないよ…
 日本はとっくに沈没してるよ、あたし達の帰るところはもうないんだよ…」
後藤さんが膝で口を隠しながら独り言のようにつぶやいた。
「オメーなぁ、あの程度の爆発で浮沈空母日本が沈んでたまるかって?」
「んぁ〜、だからミキティは甘いんだよ!
 あたしたちは爆発のまだ初期の段階で飛んだんだよ、
 さゆみんの本当の力はあんなもんじゃない!」
「……<っ、
 オメーがそもそもの原因のくせに偉そうなこと言ってんじゃねェ!」
「んぁ〜!私はこうならないように頑張っただけだもん!」

734 :サボリン:2004/03/12(金) 17:39
 
「…二人とも静かに! みんな、上をご覧なさい!」と飯田先輩。
すっかり暗くなった空に綺麗な月が二つ見える。
空が澄み切って本当に綺麗だ。。
…って、おい!…月が二つ!?
「月が!」「月が二つ…」「…どういうこと?」「……」
みんなもざわざわして驚いている。
いつもの見慣れた月と、少し小さめのゆがんだ形の月が一つ。。
…確かに月が二つあった。。
「あれはおそらく、先の爆発で出来た新しい月ね、
 隕石がぶつかったようにして地球の表面がはがれて月になったんだわ」
「なっ…いい加減なこと言ってんじゃねェ!
 そんな大爆発があったら、地球全体が嵐になったり地震になったり、
 どこもかしこもボコボコになってるはずじゃねーか!」
「…そうね、だから問題は、ここがどこかじゃなくて、
 今がいつなのか、それが問題なのよ、藤本さん、北斗七星をご覧なさい!」
飯田先輩が空を指差す。
「なんだとぉ〜、オレには死兆星はまだ見えねーぞォ!」
「違うわ、ほら、理科で習ったでしょう?
 北斗七星の上の二つの星の延長線上5倍の所に北極星があるはず、
 …ほら、北極星の位置がずれてるわ」
…ん?なんだって?…そう言われればそう見えるかも。。
「…な、何が言いたい?」と藤本。
「ここはおそらく、あの爆発後、1000年から2000年後の未来!」

「な、なんだってー!!」「うぎゃー」「そんなバカナ!」
「電話はともかくラジオさえ一局も入らない、衛星も使えない、
 平穏な気候と見たこともない壮大な森、そして二つの月、
 さらに北極星のずれ、…間違いなくここは未来だわ、
 そして同じように間違いなく、人類は絶滅しているわ…」

「まさか!」「ンなことが…」「ぬはは!」「バビョーン!」
「…仮にここが未来だとして、人類が絶滅したという根拠は?」と紺野さん。
「根拠は…ないわ、でも新たな月を作るほどの爆発だったのよ、
 爆風や津波や地震でほとんどが死んだはず、生き残った人も
 灰が大気を覆い日光が届かない状態が何年も続いて、
 食料もなく、零下の中で凍えながら死んでいったでしょう…
 もし、今生き残ってる人類がいたとしても、
 文明は滅んで動物と同じような生活をしているんじゃないかしら…」

「………」「………」「……」
              「……」「……」「…」

 

735 :サボリン:2004/03/12(金) 17:40
 
「…ちょ、ちょっと待てや、この際、ここがどことか、いつとか、
 人類が滅んだかとかはどーでもええねん、
 さっきの話やと食料や水は1週間分しかないんやろ?
 救助が期待できんのやったら、この先うちらどうやって生きてくねん?」
加護ちゃんが紺野さんにたずねる。
「それは心配ないでしょう、
 広大な森があるのですから水は十分にあるはず、
 さっきの豚のように小動物もいるはずです、木の実などもあるでしょう」
「…んなモーレツ原始人みたいな生活をこれからずっとせぇ言うんか?」
「仕方ないじゃないですか」
「ほな、このまま一生お前らと仲良くママゴト続けて、
 なんもせんと中澤みたいに干からびてけってーのかえェ!?」
「な、なんやてー、加護ォ!
 ウチはこんなにピチピチな小学生やないかぁ!」
中澤先生が加護ちゃんに食ってかかる。
「加護さん! 嫌なら出て行ってもいいんですよ、
 森で勝手にのたれ死にして下さい!」
「うるせーババァ!、それより…煙草は?薬は?切れたらどうするんや?」
「ふっ、森から葉っぱでも草でも刈ってきて
 栽培すればいいんじゃないですかァ?」
「なんやてー!紺野とやら、ナメてんのかぁ!」
「…せっかく若さと金を手に入れて、新しい人生が始まるところやったのに
 なんでガキと一緒にこんな世界に来なきゃいかんねん!」
「せやからあの金はうちの…」
「いや〜、梨華おうちに帰りたい〜!
 帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい〜!」
「ぅるさいっすよ、ビーナス姉さんッ!!」
「明日からはもう新聞配達もしなくていい、
 住むところやお金の心配もしなくていい、
 なんて素晴らしい世界なんでしょう、ねぇ吉澤さぁん?」
「アホ、喜んでんのはお前だけじゃ」
「みんなでキャンプファイヤーみたいで面白いべさ」
「そもそもウチはワレのせいで巻き込まれたんやないかァ!
 加護ォ!うちのバラ色の未来をどうしてくれんねん!」
「キャハハ、豚はいいよなァ、自然が似合ってら!」
「のんはもう眠くなったのれす…むにゃ」
「やかましかァ! ババァはすっこんでろ!」


 ス ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ !!


藤本が空に機関銃を撃ちはなった。

「オメーラァ!静かにせんかァ!」

「……」「……」「……」「…」「…」「…」
 

736 :サボリン:2004/03/12(金) 17:41
 
「…とりあえず今日は夜も更けた、
 松明だっていつまでも燃やしてるわけにはいかねーだろー、
 空気も冷えかけているしィ、まずは寝床を準備して寝るんだッ!
 …電気は使えねーんだからなァ、夜は寝るしかねーんだよォ!」
「はい、美貴様のおっしゃるとおりです!」
「明朝、情報を整理してまた指示を出す、
 オメーラ適当に別れて就寝しろ、ヘタな真似すんじゃねーぞォ
 分かってるとは思うが、銃器は全てオレらが管理してるかなァ!」


藤本の号令でみんなおとなしく就寝の準備に取りかかった。
長屋を片づけて、合宿所から布団を運んだ。
紺野さんの指示でそれぞれに部屋が割り振られた。
1号室が藤本と紺野さんと絵里ちゃん、
2号室に後藤さんとれいなと、…市井先生も連れてきたみたいだ。
3号室には中澤先生と矢口先輩と安倍先輩、
4号室には愛ちゃんとひとみと小川さんと飯田先輩、
5号室には加護ちゃんと辻ちゃんと石川さん、
6号室はオレ一人、男だからといって隔離されてしまった。。
7号室にはまいちゃんとあさみちゃん、といった部屋割りだった。

布団をしいてすぐ寝るようにと言われたものの、
臭い長屋に一人、しかも慣れない布団で寝付かれない。
1時間ほど布団でもぞもぞしていたが、我慢できずに外に出た。

空には月が二つ、綺麗に輝いている。
月夜のせいか、目が慣れたのか、夜でも結構周りが見えた。
オレと同じように眠れない人がいたのだろう、何人かの人影が見える。

鉄棒の下の砂場にはれいならしき人影が見える。
体育館前の階段には愛ちゃんらしき人が座っている。
昇降口には紺野さんだろうか、銃を持って立っている。見張りだろう。
体育館裏のトイレの方には絵里ちゃんも見える。これも見張りかな。
裏門では藤本らしき人物が銃を持って外を見ている。

一人で眠れないよりは、誰かのそばに行って話でもしてみよう。

誰の方に行ってみようか?




1 れいなの方へ行く
2 愛ちゃんの方へ行く
3 紺野さんの方へ行く
4 絵里ちゃんの方へ行く
5 藤本の方へ行く
 

737 :名無し娘。:2004/03/12(金) 18:44


738 :名無し娘。:2004/03/12(金) 20:48
5

739 :名無し娘。:2004/03/12(金) 21:15
5

740 :名無し娘。:2004/03/12(金) 22:10
5

741 :名無し娘。:2004/03/13(土) 01:32
2

742 :名無し娘。:2004/03/13(土) 03:27
激しく1

743 :名無し娘。:2004/03/13(土) 10:30


744 :名無し娘。:2004/03/13(土) 19:21
4

745 :名無し娘。:2004/03/13(土) 23:53
3だあ

746 :名無し娘。:2004/03/14(日) 23:53
3ですね

747 :fushianasan:2004/03/21(日) 01:28


748 :名無し娘。:2004/03/21(日) 08:21
4

749 :名無し娘。:2004/03/21(日) 22:32
5で。

750 :名無し娘。:2004/03/21(日) 23:42
4で

751 :名無し娘。:2004/03/21(日) 23:43
5

752 :サボリン:2004/03/24(水) 12:23
 
オレは藤本の方へ向かった。
寂しそうな後ろ姿がなんとなく気になった。
藤本は羊の着ぐるみを着たまま突っ立って外を見ていた。
銃を持っているから念のため後ろから声をかけた。
「藤本…?」
「あ゛?」藤本が振り返る。
「……なんだ○○か」
「…ちょっと、眠れなくてさ」
「寝れなくても寝るんだよォー」
「寝れねーもんは寝れねーんだからしょーがねーだろー」
そう言いながらオレは藤本のそばに行って少し笑った。
「ったく…他のヤツらに示しがつかねーんだよォ」
そう言いながらも藤本も少し嬉しそうに笑った。

しばらく二人で外の大地を見ていた。
月の光で青く光った砂が綺麗だった。。

「…ホント、すごい遠くに来ちゃったみたいだな」
「……ああ、…ごめんな、○○まで巻き込んじゃって…」
「いや別に、…オレは藤本と一緒で楽しいよ」
「えっ?」 藤本が振り向く。
「……っ、○○ゥ、お気楽なこと言ってンじゃねェぞ!」ドスッ!
「いててて、あ、すみません美貴さま!」
藤本が脇腹を殴ってきたので慌てて下手に出た。
「…ちくしょう!
 なんでオレがこんな目にあわなきゃいけねーんだよォ!
 ○○ゥ、全部オメーのせーだ、このバカ」バシッ、バシッ!
今度は足でケツを蹴ってくる。
「いててて、なんで?、お、おやめ下さい美貴さま!!」バシッ、バシッ!

「………」ピタッ。
ゼンマイが止まったようにいきなり藤本がおとなしくなった。
「…ん?…どうした?」
「…ハハ、そういやオレ、夢の世界で、なんか知らねーけど
 江戸時代だか大正時代だかのどっかの妾になってて
 ……オメーのことが好きだった、…そんな夢を見てたのを思い出した」
「あ、それならオレも見たぞ、
 和服姿の藤本は綺麗だったなぁ…」
「なっ…オメーも見てたのかよっ!」
「うん、…ホント、あの藤本は綺麗だったよなぁ〜」
「………」
「…ちょっとデコが広かったけど」
「一言余計なんだよォ!」バシッ、
「あ、すみません美貴さま!」ドカッ、バキッ!

753 :サボリン:2004/03/24(水) 12:24
 
「………」ピタッ。
「…なぁ、○○、…オレたち、これからどうなっちゃうのかな?」
「…さぁ、…みんながいるんだから、…なんとかなるだろ?」

「……オレ…」 ヒュウウ〜。。ぶるぶるっ。
夜風に吹かれて藤本が肩をすぼめて震えた。
「…オレ、…怖いよ、…こんなとこに来ちまって…」
ふわっ、と藤本がオレの胸に寄りかかってきた。
「……藤本…」 オレは思わず藤本の肩を抱き締めた。
「………」
藤本は抵抗せずにおとなしくオレの胸に顔を埋め、体重を乗せてきた。
風格の割に藤本の体は小さい。藤本はオレの腕の中にすっぽり入って
小刻みに震えていた。…泣いてるみたいだ。。
「…つらかったんだな、藤本、こんなとこに来ちゃって…、
 おまけに藤本はリーダーだからしゃんとしてなくちゃいけなくて…」
「……ぅぅ…」
「オレの前では楽にしてていいんだぞ、オレは藤本の味方だからな」
そう言ってオレは藤本を強く抱き締めた。
「……ぅン…」
藤本は小さな声でうなずいた。
藤本の頭に頬を寄せると、髪の毛のいい匂いがした。
藤本の体温が伝わってきてオレもあったかくなってきた。。


そうやって二人はしばらくの間、抱き合っていた。が、

「…○○ゥ、…いつまで抱きついてンだよォ?」
胸の中で藤本がつぶやいた。
「…え?」
藤本が胸から離れてオレを見上げてギロッっと睨んでくる。
「バッカヤロー、オレに抱きつくなんて10年早ぇンだよォ!」ドガッ!
「いててて、ちょっ、自分から…」
「さァっさと自分の部屋行って寝ろや、このタコ!」ドガッ、バキッ!
「わたたっ、やめっ…」
オレは藤本の蹴りを避けようとして慌てて逃げた。

「いててて、…シドイ…美貴さま…」てくてく。
「○○ゥ!」ビクッ。
後ろから藤本に呼び止められた。
「…今日のことは誰にも言うなよ」
「…はい」
「…ヨゥシ、帰って寝ろォ!」
「はい!」すたたた。

自分の部屋に戻って布団に入った。
藤本のいい匂いを思い出しながら眠りについた。
ふと胸の辺りを触ってみると藤本の鼻水がついていた。。

・・・・うわっ、きったね。ゴシゴシ。

754 :サボリン:2004/03/24(水) 12:25
 




7日目…




朝、太陽の光で目を覚ます。

運動部の長屋だ。…やっぱり夢じゃないんだな。。

ん? 起きあがって足元を見ると手紙が置いてある。

なんだ? がさごそ。


『 □□くんへ

  昨日はみんなを驚かせてごめんなさい。
  でも私の考えは間違っていないと思います。

  みんなの前では言いませんでしたが、
  さゆみんは恐らく生きています。感じるのです。
  その証拠に石はまだ少し力を持っています。
  私はあの爆発の前、校門のすみで石を発見しました。
  この石さえあれば私一人くらいなんとかなるでしょう。
  私は旅に出てさゆみんを探します。南へ向かいます。
  私は生徒会長としてさゆみんの行方を確かめる責務があるのです。

  □□くん、あなたはさゆみんの主です。
  いずれあなたを必要とする日が来るでしょう。
  それまでみんなをまとめて必ず生き残るのです。

  残りの石は置いておきます。あなたに預けます。
  混乱の元になるといけないので隠しておいて下さい。

  また会えることを祈ってます。

                                       飯田圭織 』


・・・飯田先輩。。

布団の横にはさゆみんの石が3つ置いてあった。
オレは黙って部屋のすみの棚に隠した。。
 

755 :サボリン:2004/03/24(水) 12:26
 
・・・さゆみちゃんが生きてるって?
あれから千年以上経ったかも知れないのに?
・・・そりゃ、無事だといいけど。。

でも、今は正直言ってさゆみちゃんどころじゃない!
食料が1週間分しかないんだ。…紺野さんは森があるからなんとかなるって
言ってたけど、都会で育ったオレたちが森に入って何ができるっていうんだ?
飯田先輩は超能力が使えるからって一人で勝手に出ていっちゃって、
そのくせ、オレにみんなをまとめて生き残れとか言い残す。無責任だ。
…オレなんかに、あんなキャラの濃いヤツらをまとめられるはずがない。
…起きた早々、いろんなことが心配になってきた。。

と、

 ドルゥゥン! ドンドンドッドッドドッドドド…

バイクのエンジンがかかる音がする。
外に出ると紺野さんがバイクに乗っている。
後席ににまいちゃんを乗っけて、

 ドルンドルン! ドドドーーォン ボーーン…ッボーン……

轟音を残して裏門から消えていった。

「…どうしたの?」
オレは隣にやってきた絵里ちゃんにきいた。
「紺野さんが昨日、川を見たって言って、確かめに行くって」
「…ふーん」
そうか、食料よりはまず水を確保しなきゃだよな。。


校庭に行くとあさみちゃんたちが朝食の準備をしていた。
朝食は昨日の豚の骨のスープと白米だけだったが美味しかった。

食後、飯田先輩が出て行ったことを藤本に伝えたが藤本は既に知っていた。
オレは藤本の前で昨日のことを少し意識してしまったが
藤本はまったく態度に表さず、いつもの厳しい藤本だった。。

その後、藤本の指示があり、学校内をもっと探すように言われ、
使えそうなものを見つけて整理した。結構いろいろな物があった。
 

756 :サボリン:2004/03/24(水) 12:27
 
 
しばらくして紺野さんが帰ってきてみんなが集められた。

「ヨゥシ、オメーラ、紺野の話を聞けェ!」
「…えー、みなさんに吉報があります、
 ここから北東5キロ上方、森の中に小さい川が流れてました!」
「おお」「やったー」「…微妙な距離やな〜」「水があるだけいいじゃん」

「とはいえ毎回往復10キロを歩いて水を飲みに行くわけにも行きません、
 と言って川の近くに住むのも危険だと思います。ということで、
 備品隊と雑用隊のみなさん、協力して川を作りましょう!」
「は?」「な、なんやて?」
「…紺野さん、川を作るって、、
 5キロ先からここまで水を引っぱってくるってことじゃ?」
「もちろん、そうです」
「んな…突拍子もないことを軽ぅ言うなや、こん出目金がぁ!」
「…加護さん、あなたはもっと立場をわきまえて下さい、殺しますよ」
「……<っ…」
「…大丈夫です、みなさん、安心して下さい、
 昨日捕まえた保田さんと市井さんにも働いてもらいます、
 一人一日100メートル掘りましょう、10人でやれば5日で終わります、
 まいの指揮に従って速やかに行動して下さい、頑張って下さいね」
「……」「……」「……」「……」

「他に質問は?」
「あーい!、他の部隊は何をやるんれすか?」と辻ちゃん。
「えー、探検隊・食料隊は狩猟、漁労、および採集です、
 時間のある者は貯水池を掘るのを手伝ってもらいます」
「狩れすか!狩狩れすか!楽しみなのれす!」
「よーし、森はなっちにまかせるべ、
 たぶん果物とかいっぱいなってるっしょ」と安倍先輩。
「アタシは釣りでもするかな」とひとみ。
「それと、昨日は安易に豚を殺してしまいましたが、
 今日からは小動物はなるべく生け捕りにして下さい、
 なるべく長く生かし、可能なら家畜にしますので、心得てください」
「あい」「…はい」「……」「……」

「それでは各部隊、散って作業を始めて下さい!」

 

757 :サボリン:2004/03/24(水) 12:27
 
まいちゃんの指示で備品隊と雑用隊が集められた。
備品隊から、愛ちゃん、中澤先生、後藤さん、
雑用隊から、絵里ちゃん、オレ、加護ちゃん、矢口先輩、小川さん、
それに市井先生と保田のおばちゃん、といったメンツだった。

まいちゃんがみんなに話し始める。
「えー、みなさん、お話を聞いて下さい、
 よ〜く考えよ〜、お水は大事だよ〜、と歌にもあるように
 水は生命の生命線です、みなさん、頑張りましょう!」
「……」「……」「……」
「えー、自身の仕事に自信を持って、埃を払って誇りを磨く、
 目配り、気配り、思いやり、できる職場に事故はなし!」
「……」「……」「……」
「…えー、では、これから私が石灰を持って線を引いていきますので
 皆さんはシャベルを持ってついてきて下さい、
 紺野さんが言ったように一人一日100メートルをノルマにします、
 中澤さんは体が小さいので70メートル、
 □□さんは男なんで130メートルで、お願いします」
・・・げ。オレだけ130メートルかよっ。

「川を作ると言うと大げさですが、要は用水路です、
 幅50センチ、深さ50センチを目安に掘って下さい、
 それと矢口さんは小さいので、各パートを見回って
 ずれがないかを確認・修正する仕事です、
 重要な仕事です、しっかりやって下さい」
「はーい」ピョコン。
「…なにか質問ある人はいますか?」
「……」「……」「……」
「ないようですね、では作業に取りかかりましょう、
 ちなみにノルマを達成しないと美貴様の鞭打ちが待ってます」
「……」「……」「…にゃろぉ」


まいちゃんの引いた線で一人100メートルの区間が割り振られ、
作業が始まった。砂漠のように見えたのは土の表面だけで
下にはちゃんとした土があった。これならなんとか水を引けそうだ。。

ざくっ、ざっ、ざざっ。

ざくっ、ざっ、ざざっ。

とはいえつらい作業だ。

でも、みんな黙々と掘っている。

ノルマを達成しないと鞭打ちだからな。。

まいちゃんや絵里ちゃんだって頑張っているのだから休めない。。
 

758 :サボリン:2004/03/24(水) 12:28
 
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ふぅ、はあ。

ざくっ、ざっ、ざざっ。 ふぅ、はあ、


ざくっ、ざっ、ざざっ…… …

ざくっ、ざっ、ざざっ… …

ざくっ、ざっ、ざざっ…








11日目…






ざくっ、ざっ、ざざっ…

ざくっ、ざっ、ざざっ……


ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、

ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、ゴホッ、ゴボゴホッ。


…用水路を掘り始めてもう5日経つ。
オレの担当の場所が遠いのか、川は一向に見えてこない。
とはいえ森はすぐそばに見える。もう少しのはずだ。
川上の方の担当では既に森の中で作業をしている隊員もいるが、
森に近づくほど土が硬くなり、木の根が邪魔することもあって、
作業は難航していた。

みんな、5日間風呂にも入らずひたすら作業を続けていた。
それぞれの担当区間が100メートルあって
お互いに離れているため、会話も出来ない孤独な作業が続いた。
空から矢口先輩の励ます声だけが聞こえていた。
パラシュートを改造して飛び回っているようだ。。
…あと2日以内に完成させないと学校の水が切れる。作業は大詰めを迎えていた。
 

759 :サボリン:2004/03/24(水) 12:29
 
この5日間、体力的に非常につらかったが、
探検隊と食料隊が車を出して効率よく食料を集めてきたので
食事には苦労しなかった。イモやキノコや木の実などが食べれた。
一昨日はひとみが釣ってきた魚も食べれた。
豚やガチョウも捕まえたが、家畜として飼うことになり
あさみちゃんが体育倉庫を家畜小屋に改造していた。。

学校では、オレたちの用水路の完成を信じて
辻ちゃんや石川さんやれいなが貯水池を掘っていた。
…なんとしても完成させなければ。。

ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、

ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー …ぅ<ッ、

ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー …ッスーッ…、


「…ホップ、ステップ、玉砕!
 ……ホップ、ステップ、玉砕!」

ん?隣の担当の加護ちゃんの姿が見える。
加護ちゃんもなんだかんだ言ってまじめに働いていた。
労苦の美しさを体感したのだろうか。
いつものかけ声で頑張っているみたいだ。

「…ホップ、ステップ、玉砕!
 ……ホップ、ステップ……
 ………ホップ、ステッ…」

ん?かけ声がとぎれたので隣を見てみると
加護ちゃんがシャベルを放り投げ、森の方に向かってフラフラと歩き始めた。
・・・トイレかな。。ま、そのうち帰ってくるだろう。

オレは森の方を気にしながら作業を進めていたが
小一時間経っても加護ちゃんは戻ってこない。
担当箇所に見に行ってみたが、やはりシャベルが放置されたままだ。

・・・・どうしたんだろう。・・・・まさか脱走かな?

なんだか心配になってきた。。どうしようか。。




1 加護ちゃんを捜しに森に入る。
2 とりあえず、まいちゃんに報告しに行く。
3 作業を優先させて自分の作業を続ける。
 

760 :名無し娘。:2004/03/24(水) 14:32
3

761 :名無し娘。:2004/03/24(水) 17:00
1

762 :名無し娘。:2004/03/24(水) 22:28
2

763 :名無し娘。:2004/03/25(木) 00:57
1

764 :名無し娘。:2004/03/26(金) 00:14
2

765 :名無し娘。:2004/03/26(金) 02:18
2

766 :名無し娘。:2004/03/26(金) 15:51
5

767 :名無し娘。:2004/03/27(土) 01:02
1

768 :名無し娘。:2004/03/27(土) 13:44
2

769 :名無し娘。:2004/03/27(土) 16:05
1

770 :名無し娘。:2004/03/27(土) 17:03
1

771 :名無し娘。:2004/03/31(水) 01:02


772 :サボリン:2004/04/02(金) 01:49
 
う〜ん、加護ちゃんが心配だ。
組織の一員としての行動を優先しないといけないのに、、
こんな解答では公務員試験だったら落ちてしまうだろう。。
でも、加護ちゃんが心配だ。森に入って捜してみよう!

オレは恐る恐る森に入った。
食料隊や探険隊は毎日のように入っているようだが
オレが森に入るのは初めてだった。
木や草の濃い匂いがプンプンしてくる。…しばらく歩くと川が見えてきた。
・・・歩くとこんなに近くにあったのか。ホントにもうすぐだな。

と、川岸にキラッと光るものを見つけた。
・・・加護ちゃんのライターだ。。

手を伸ばして拾おうとすると、

ドカッ!

「…痛ッ!」 …ドサッ。

オレはいきなり後頭部を殴られて突っ伏した。


「へっへっへっ、久しぶりだなァ…、□□とやら!」
「…斉藤さん!」
倒れた俺を踏んづける斉藤さん。・・・随分痩せたように見える。
「…ここはオレたちの領土!、不法入国者は強制送還じゃ!
 ……と言いたいところだが、…オマエには藤本へ伝言を頼むぜ」
「…伝言?」
「そうだ、…加護は預かった、
 …返して欲しけりゃ食料をあるだけ持ってこい、とな!」
「な、なんだって!、加護ちゃんがいるのかっ、どこだっ!」
「うちはここやで〜」声のする方を見てみると、
加護ちゃんが柴ちゃんとマサオさんに腕をつかまれている。

「兄さ〜ん、助けて〜」 加護ちゃんが緊張感のない顔で言う。
「…ちょっと待って!、斉藤さん、そんなこと藤本に言っても、
 たぶん藤本は…フツーにサラッと加護ちゃんを見捨てるぞっ」
「…な、なにっ、……確かに、そう言われればそうかもな…」
「…いややわ〜、藤本さんに限ってそんなことあらへんわ〜
 兄さ〜ん、うちを助けてって藤本さんに伝えてくれや〜」
・・・しかし、どうも加護ちゃんの言い方が芝居臭いな。。
 

773 :サボリン:2004/04/02(金) 01:50
 
「…ようし、役割変更じゃ!
 コイツを人質にして、…ハゲを伝令に使うぞっ」ググッ。
「…ううっ」
斉藤さんがオレの脇腹に体重を乗せてくる。
「シヴァ、マサオ、ハゲを離せェ」
「…はい」「…はっ」
斉藤さんに言われて加護ちゃんが離された。パサッ。
「ようし、ハゲ、…わかったな、藤本に伝えてこい、
 □□の命が惜しかったら、…食料をあるだけ持ってこい、とな!」
「……ったく、兄さんはタイミングが悪いのう、
 仕事サボる口実に、もう少し遊んでやろ思ぅてたのに」コキコキ。
「…か、加護ちゃん?」
「…ハゲ、…どうした?、言ってることがわかったか?」

「はぁ〜?なんですってェ?、斉藤さァん、わかりませんよォ〜!」
「…だから藤本に、」ふらっ。
・・・斉藤さんがふらつく。
・・・やっぱり、あの痩せ方は尋常じゃない。
・・・5日間、ほとんど何も食べてなかったんだろう。
・・・ろくな道具も武器もなく、野宿を続けて森をさまよっていたんだ。。

「あンれれェ〜、どォしたンでちゅかァ?、斉藤ちゃァん!?
 あんよが国民年金みたいにフラフラでちゅよォオ!?」
「……はぁ、はぁ、…ハゲ?」ぐっ。

と、マサオさんが加護ちゃんの襟首をつかむ、
「…加護ォ、ボスに向かってなんて口のきき…」

ボフッ!

「くはっ!」
マサオさんの腹に加護ちゃんのパンチが入る。
そのままマサオさんの体が加護ちゃんに倒れかかる。
「なんでちゅかァ〜、マサオくゥゥン!?
 なんて言おうとしたんでちゅかァア?、ねぇ、ねェッ!」ボコッ、ドガッ!
加護ちゃんが倒れかかったマサオさんの腹になおも膝蹴りを食らわす。

「…ぅ<っ」 …バタン!

「マサオ!」と、柴ちゃんが駆け寄ろうとするが、
その髪の毛を加護ちゃんがグイッとつかむ。

774 :サボリン:2004/04/02(金) 01:51
 
「…いたっ!…なにするの!」
「オラオラッ!、オラオラオラオラオラオラァア!!」

バコッ、バコッ!ドガッ!ボコッ!!

「…はう!、はぅ!はぅ!はぅう!!」ぶしゅぅぅう〜!
髪の毛をつかんだまま加護ちゃんが柴ちゃんの頬を連続で殴った。
柴ちゃんの頭がゴムマリみたいに吹っ飛んでは戻ってきた。。

「・・・みゅぅぅ…」 …バタン!

柴ちゃんは顔を真っ青に腫らし鼻血を出し、泡を吹いて倒れてしまった。
と、柴ちゃんの抜けた髪の毛を持って加護ちゃんが立ちつくす。

「…ふう、ええ運動や。」
パシッ、パシッ、と血で汚れた手を払う。
「……ハゲ、…キサマァ!」ダダッ!
斉藤さんが加護ちゃんに殴りかかる。
が、パスッ、っと斉藤さんのパンチを片手で止める加護ちゃん。
「目の焦点があってないようだぜェ、斉藤ちァんよォ!」
「……っ…ハゲ…」
「…ハゲ言うなやッ!」ボコッ!
「…痛ッ!」
「…斉藤ゥ、どうせなんも食わんと薬でごまかしてたんやろォ!
 …こちとら煙草も薬も絶って肉体労働、今や立派な健康優良不良少女やねん、
 ヨタヨタのジャンキーババァがなめんなやポルァ!」ボコッ!
「…くはっ!」
「向こうでは随分と世話になったからなァ…斉藤ゥ、
 ハゲハゲ、見下しやがってからに…、たっぷり礼をせんとあかんなァ!」
「…はぁ、はぁ、…ざけんなよォ、
 …このォオ…ハァゲェがぁァアッ!」ダダダッ!

ひょい、〜すかっ。  …どさっ、びちょ。

パンチを軽くかわされ、ぬめった土に頭から倒れ込む斉藤さん。。

「あははは、こりゃいいや、
 ……悔しいかァ、斉藤ゥ、
 悔しいってーのがどんな気持ちか判ったかよォ!」

775 :サボリン:2004/04/02(金) 01:51
 
と、その時、

がさごそ。

「ん?」

なんか茂みの向こうで物音がする。

「誰やっ!?、
 …はぁ〜ん、メガネやろォ!、死にたくなったら出てこいや!」

がさごそ。


・・・・・熊だ。

「…加護ちゃん、…熊だよ」
「なんやて〜兄さん、熊がこんなとこに…」くるっ。。。

がさごそ。


…ホントに熊だ。茂みから出てきてこっちをにらんでいる。。



「…ク、クマ──!!」ダダダダッ!
「クマーーーっ!!!」ダダダダッ!


オレと加護ちゃんは一目散に学校の方に逃げだした。スタタタタ。
ドサッドサッ、と足音を立てて熊がオレたちを追ってくる。
「…あ、か、加護ちゃん、熊とあったら、
 逃げない方がいいんじゃなかったっけ?」スタコラ。
「アホー!、今頃言うても遅いねん、
 今はとにかく死ぬ気で走れやゴルァ!」スタコラ。
 

776 :サボリン:2004/04/02(金) 01:52
 
と、森を抜けたところの正面にまいちゃんの姿が見える。
「おーい、まいちゃーーん!!、、」
「……?」

「…ク、クマ──!!」スタタタタ。
「クマーーーっ!!!」スタタタタタ。

「なんですとー!」と銃を構えるまいちゃん。
オレたちの後をなおも熊が追いかけてくる。

スタタタタタ、とまいちゃんとすれ違ったその時、

ダン!

   ドサッ! ズザザザザザァァア!!

…熊がオレたちに倒れ込んできた。…重い。。
「…うぐぅ、死ぬ死ぬ、熊に食われて死ぬ!」じたばた。
「…いやや〜、こんな死に方だけはいやや〜!!」じたばた。

「…二人とも、…もう大丈夫ですよ!」とまいちゃんの声。。

「はぁっ、はぁっ、…ん?」
熊はオレたちの上で頭から血を流して死んでいた。。

「はぁっ、はぁっ、…ありがと、まいちゃん」ズルズル。
「…兄さん、引っ張ってくれや…あぁ、ゆっくり頼むで」パシッ。
「…ったく」ズルズル。
二人はやっとの思いで熊の下からはい上がった。

「…はぁ、はぁ、熊の分際でうちを襲うなんて生意気や!」
バコッ、ドカッ、加護ちゃんが死んだ熊の頭を蹴っていた。

「…二人とも、持ち場を離れて何やってんでスカ!」
「…ごめん、まいちゃん、
 あ、それより、森の中で斉藤さんたちとあって、
 弱ってる斉藤さんたちを加護ちゃんがボコボコにしちゃって
 まだ森の中で倒れてると思うけど、、どうしよう?」
「んもう、今は斉藤さんたちなんてどうでもいいんですよ、
 早く用水路を完成させないと、
 みんなで毎日10キロマラソンすることになるんですよ?」
「いや、でも凄い痩せちゃって、マジで死にそうだったよ?」
「いいから作業を続けて下さい、二人とも!」
「…うん」「…だりーよぉ」
 

777 :サボリン:2004/04/02(金) 01:52
 
と、騒ぎに気づいた後藤さんが近づいてくる。
「まい、どうしたの?」
「後藤さん、…いや、これこれこういうわけで…」
「…んぁ、そうか、…でも、見捨てるのもどうかと思うよ、
 今私たちにとって本当に必要なのは水よりもむしろ人材だからね、
 助けた方がいいんじゃない?、助けて回復したら働かせればいいよ」
「…う〜ん、そうですかねぇ〜」
「たぶん斉藤達はここが未来だってこと知らないんだよ、
 それを知らせれば、まっつーが捕えられた今の状況で
 これ以上ミキティに刃向かったりはしないでしょ?」
「…美貴様に聞いてきます、みなさんは作業を進めて下さい!」スタタタ。
まいちゃんは学校の方に向かって走っていった。


・・

しばらくしてまいちゃんが軽トラで戻ってきた。ツトトトトト。
荷台には安倍先輩とひとみと石川さんと辻ちゃんが乗っていた。
「おーい、○○〜、頑張ってるかぁ〜」とひとみ。
「…おーっ!」 ……食料隊は仕事が楽そうでいいな。。

キキキキィィ! パタン!

と、まいちゃんが軽トラから降りてきて指示を出す。
「え〜、例の連中は助けることになりましたが、、まずは熊です!
 みなさん気合いで軽トラに乗せてください!」

…7人がかりで苦労して、なんとか熊を軽トラに乗せた。
安倍先輩と辻ちゃんが軽トラで帰った後、指示があって
まいちゃんと、オレと加護ちゃんとひとみと石川さんで
斉藤さんたちを助けに行くことになった。

ほどなく斉藤さんたち3人、近くで村さんも無事発見し、
4人を背負って学校に運ぶことになった。
オレは一番重そうなマサオさんを背負うことになった。
・・・どうせなら柴ちゃんがよかったな。。
…で、その柴ちゃんは石川さんが背負っていた。
石川さんは柴ちゃんのことを本当に心配している様子だった。
 

778 :サボリン:2004/04/02(金) 01:53
 
そうして4人でそれぞれを背負いながら歩いていると、
森をぬけた辺りで、ポツ、ポツポツッ、と雨が降ってきた。

「…雨だ」「…雨やぁ〜!」「……」「やったー!」

こっちに来てから初めての雨だった。。
「…雨は嬉しいですけど、タイミングが悪いですね、
 みなさん、急いで運んで下さい、
 この人たち衰弱してますから雨に濡れると危険です!」
「…うん」「……」「…うん」「……柴ちゃん」

なんて言ってるうちに雨はどんどん強くなり、ドシャ降りになってきた。


      ザァァーーーーーーーーァアアアッ!!


「ちくしょう、もういやや〜!
 なんでうちがメガネを背負って雨に濡れなあかんねん!」ザァァアアア。
「…加護ちゃん、もう少しだから頑張ろう!」ザァァアアア。

…とはいえ凄い雨だ。はぁ、はぁ。
作業中の絵里ちゃんや後藤さんや愛ちゃんは大丈夫だろうか。ザァァアアア。

と、用水路の上方から愛ちゃんが走ってくる。

「センパーイ!、水が、水が来ますよ〜!」スタタタタ。
「え?もうできたの?」「なんですとー!」
「はぁ、はぁ、…川が増水して、最後の部分がつながったんです!」
「ホントか!」「やったー」

みんなで用水路を見守っていると、
しばらくしてザザザーーッっと勢いよく水が流れてきた。
水はそのまま学校の方へ一直線に進んでいった。ササーーッ。

「やったー」「完成や!」「かっけー!」

みんなで手を上げて喜んだ。
加護ちゃんは村さんを地面に放置してピョンピョン跳ねて喜んでいた。
用水路の向こうからは絵里ちゃんたちが笑って帰ってきた。。


その後、みんなで学校に戻って体育館で熊鍋になった。
食料隊がネギやら白菜を調達してきたので上等な鍋になった。
(余った肉は薫製にすると言ってあさみちゃんが持っていった。。)

用水路も完成し、腹もいっぱいになって、
その日は久しぶりに満足した気分になって、深い眠りについた。。
 

779 :サボリン:2004/04/02(金) 01:54
 




12日目。





…朝、やっと雨があがったようだ。
起きて外に出て貯水池を見てみると、水がたくさん溜っていた。
…良かった。これでしばらくは水の心配はしなくてすみそうだ。
と、絵里ちゃんが「お風呂だー」と言って飛び込もうとしたので
慌てて止めた。・・・大事な水なんだから汚しちゃだめだよ。。


しばらくして朝礼が始まった。
斉藤さんたちもいる。
斉藤さんたちも昨日食事と布団を与えられ、なんとか回復したようだ。

「ヨゥシ、オメーラ、紺野の話を聞けェ!」
「えー、みなさん、おはようございます、紺野です。
 昨日も言いましたが、そこにいるのが、今日から仲間になった、
 斉藤さん、マサオさん、村田さん、柴田さんです。
 みなさん、仲良くしてあげて下さいね」
「あい!」「クソがァ」「うぃーす」「ヨロシコ」「よろしくだべさ」
「早速ですが、斉藤さんたちにも仕事を与えます、
 汚物下水処理班、斉藤組ということでお願いします」
「な、なんだってぇ?」「…汚物ゥ?」「……」「……」
「…文句ありますか?、あなたたちは初めは協力を拒み、
 自ら外に出て行って死にそうになり、それを私たちが助けたのですよ?」
「……<っ」
「…ないようですね、では仕事を与えます、
 まず、下水というか用水路の延長をお願いします、
 予想以上に水の勢いが強くて貯水池が溢れてます、
 水の鮮度を保つためにも下方の川に流して循環させるべきです、
 ということで、ここから南東に下って4キロに川がありますから、
 そこまで用水路の延長をお願いします、わかりましたか?」
「……」「……」「…」「…」
「わかりましたかァ、斉藤さんッ!?」
「…はい、わかりました」

780 :サボリン:2004/04/02(金) 01:54
 
「それと、あさみが既に畑を始めていますが土が悪いようです、
 そこで、毎日のみなさんの汚物は畑のために有効利用させていただきます、
 専用のトイレと肥だめをつくって管理して下さい、わかりましたか?」
「……」「……」「…」「…」
「…あなたたちはどうも覚えが悪いようですね、
 柴田さん、わかりましたか!?」
「…はい、わかりま…た」
「声が小さいですねぇ〜、
 汚物担当柴田あゆみ、美貴様のために頑張ります!
 …と、元気を出して大きな声で言いましょう、はい?」
「…お、汚物…」
「聞こえませんねぇ〜、
 役に立たない4人組は今すぐ処分してもいいんですよォ!?」

「…お、汚物担当、柴田あゆみ!
 美貴様のために一生懸命頑張りますッ!!」

柴ちゃんは顔を真っ赤にして大きな声で言った。…立派だ。。
「あの〜、紺野さん、柴ちゃんはまだ体の調子が悪いんです、
 時間があるときは梨華が柴ちゃんを助けてもいいですか?」と石川さん。
「ふっ、物好きですね、好きにしなさい」
「はい、ありがとうございます」
 

781 :サボリン:2004/04/02(金) 01:55
 
「えー、では次の指示に移ります。
 備品隊、雑用隊のみなさん、昨日までご苦労さまでした。
 みなさんの働きで水が確保でき、大変助かりました。
 今日からは食料隊、探険隊に混ざって森に入り、
 一緒に食料調達および探険をしてもらいます」
「おお」「やっと土方から解放や」「ふう」

「私たちも昨日まで精一杯歩いたのですが、
 まだ半径5キロ前後を探索したにすぎません。
 もっと遠くまで、もっと丁寧に探せば、
 もっと多くの食料や役立つものが発見できると思います!
 …えー、では二人一組になり森を探険してもらいます、
 銃器以外の刃物等は護身用に携帯可とします、
 工芸室から持っていって下さい、
 それと、今まで探険した箇所は地図に書いて体育館に貼ってあります、
 参考にして未開拓の地域に行くようにして下さい、…えー何か質問は?」
「あのー紺野さん、組む人はどうやって決めるの?」
「ま〜、適当に組んでいいですよ、
 食料隊や探険隊には既に他の仕事がある人もいますが。…他に質問は?」
「……」「……」
「…いいですね、、それではみなさん、頑張って下さい!」


…それぞれが散って組む人を捜し始めた。

「○○ぅ〜、一緒に北の山の方を探険しようよ?」
と、絵里ちゃんが誘ってくる。

「兄さん、うちと組まんか?、ののは薪担当で忙しいんやて〜、
 西の方に行ってみようやないか?」と加護ちゃんも誘ってくる。

「先輩、一緒に南の方に行きましょうよ?
 もしかしたら落ち着ける場所があるかも…」
愛ちゃんも誘ってくる。

「○に〜ちゃん、後藤さんは市井先生と組むんだって、
 れいな、組む人おらんと、一緒に行ってくれなか?」
れいなも誘ってくる。。

う〜ん、どうしようかなぁ。。




1 絵里ちゃんと組む。
2 加護ちゃんと組む。
3 愛ちゃんと組む。
4 れいなと組む。
 

782 :名無し娘。:2004/04/02(金) 02:03


783 :名無し娘。:2004/04/02(金) 09:09
2

784 :名無し娘。:2004/04/02(金) 09:23
4

785 :名無し娘。:2004/04/02(金) 15:47
3

786 :名無し娘。:2004/04/02(金) 15:56
激しく4

787 :名無し娘。:2004/04/02(金) 18:14
加護しく2

788 :名無し娘。:2004/04/02(金) 23:56
3

789 :名無し娘。:2004/04/03(土) 00:03
4

790 :名無し娘。:2004/04/03(土) 12:07
3

791 :名無し娘。:2004/04/03(土) 23:41
4

792 :名無し娘。:2004/04/03(土) 23:59
2

793 :名無し娘。:2004/04/04(日) 20:20
3やよ〜

794 :名無し娘。:2004/04/05(月) 01:51
ここで3だ!

795 :名無し娘。:2004/04/07(水) 23:36
3

796 :名無し娘。:2004/04/08(木) 04:43


797 :名無し娘。:2004/04/08(木) 04:45


798 :名無し娘。:2004/04/08(木) 17:03
2

799 :名無し娘。:2004/04/11(日) 00:33
3de

800 :名無し娘。:2004/04/11(日) 15:19
キリ番ゲッツで3やよ〜

801 :サボリン:2004/04/11(日) 19:04
 
よし、れいなと組むことにしよう。
「絵里ちゃん、愛ちゃん、加護ちゃん、ごめん。
 オレ、れいなと組むよ、れいな、まだ慣れてないみたいで…」
「えー、だったら絵里がれいなと組むよ!」
「いや、ファティマ同士が組んでも効率が悪いだろ、
 絵里ちゃんは愛ちゃんと組んで愛ちゃんを守ってあげてよ」
「…ふんだ、…もういいよ○○なんか、行こう、高橋さん!」
「あ、うん」スタスタ。
絵里ちゃんは愛ちゃんの手を引っ張ってそそくさと歩いていく。
愛ちゃんも複雑な表情をしながらも従っている。
…絵里ちゃんと愛ちゃん、仲良くなってくれればいいな。。

「…へっ、気楽なもんや、遠足やねーんやで〜、
 ほな兄さん、うちは…保田でも連れてくわ、またな〜」
そう言って加護ちゃんも去っていった。

絵里ちゃんと愛ちゃんはどうも南の方に向かったようだ。
加護ちゃんは西の方に行くって言ってたし、、
よし、それじゃ、絵里ちゃんが行こうとしていた北の山の方に行ってみるか。


「よし、れいな、行こうか」
「…うん」スタスタ。
れいなは下を向いてとぼとぼとついてくる。
しばらく歩いて森の中に入ったが、
れいなは髪の毛で顔を隠して黙ったままだ。。
「どうした?、れいな、元気ないな?」
「…だって絵里が怒っちゃったから」
「あんなの、拗ねてるだけだよ」
「でも絵里は……」
「…ん?」
「…○に〜ちゃんと絵里はこっちでも仲がいいんやね、
 うち、こっちで知ってる人は後藤さんだけやったから…」
「なんだぁ、こっちに来てもう六日も経つんだから
 みんなと仲良くなれたんじゃねーのかよ?
 辻ちゃんとか石川さんと一緒に貯水池を掘ってただろ?」
「…みんな、うちがファティマやって知っとるから…避けてるんばい」
「…そんなこと」
・・・あるかもしれないな。
斉藤さんたちが撃った弾をバリアしてるのをみんな見てたしなぁ。。
「れいな、自分がファティマだって自分で壁を作ってるんじゃないのか?
 れいなもみんなも普通の女の子だよ、ちょっと能力が違うだけで」
「…うちはみんなとおんなじがよか」
「だーっ、もう、れいならしくないなぁ!
 元気出すんだ、れいな!、ん〜よしっ、走るぞっ!」パシッ。
オレはれいなの手を取って走り始めた。スタタタタ。
「あっ…あははは、待って〜、○に〜ちゃん!」スタタタタ。
突然オレが引っ張ったので少しビックリしたようだったが、
すぐにれいなも笑って走り始めた。やっとれいなの笑顔が見れた。。

802 :サボリン:2004/04/11(日) 19:04
 

調子に乗って二人で走って行くうちに随分と山の中に入ってきた。。
傾斜はきつくないのだが、左手は見上げるような崖が視界を塞いでいる。
オレたちは徐々にスピードを落とし、
崖に手を添えるようにして山を登っていった。

「○に〜ちゃん、気をつけて」
「…ああ」…と、

ガコッ。

上から妙な音が聞こえてくる。
シャラシャラ…と小石が降ってきた。。ん?…顔を上げて上を見る、、

・・・と、巨大な石がオレに向かって降ってくる!!ひゅぅう〜!!

「うわぁあ!」
「危なか!!」 バリバリバリバリッ!!

 ドガッ、ドシャッ!


・・・・頭にやった腕を恐る恐る上げて見てみると、
俺たちのまわりで石が粉々になっていた。…れいなが助けてくれたんだ。。

「れいな…ありが…」
「……<っ!」ググググ。

と、れいなが体を丸めていきなり苦しみ出す。

「……っぁぁああ!!」
「れいな!、どうした?れいなァ!?」
オレはれいなの体を抱き寄せた。…プルプルと震えている。

「○に〜ちゃ…れいなはもう……っ!」
「れいな!、しっかりしろォ!!」
「……ぁっ…」
と、目の錯覚か、、れいなの体が一瞬サッと光り、
れいなはそのままガクッと気を失った。。

「…れいな…れいな…どうしちゃったんだよォ…」
 

803 :サボリン:2004/04/11(日) 19:05
 

オレはれいなを背負って安全なところに移動し、草むらに横に寝かせた。。
…とりあえず息はしている。…顔色を見てみるが穏やかだ。
……う〜ん、単に眠っているようにしか見えないなぁ。。
なんだったんだろう、さっきの苦しみ方は。
…死んじゃうのかと思った。。

と、おもむろにれいなは目を覚ました。

「…あ、○に〜ちゃん、どうしたん?」ぱちくり。
「…ど、どうしたんじゃねーよォ、いきなり気を失って…心配したんだぞっ!」
「…あれ?、うち、どうしたん?」
「覚えてないのか?、降ってきた石を壊してオレを助けてくれたんだろ?
 …そしたら、いきなり苦しみだして、体が光って…」
「そうやったっけ?…もう大丈夫ばい」スタッ。
何事もなかったかのようにれいなは立ち上がった。

「大丈夫かよ?」
「大丈夫ば…ぁっ!?」ビクッ!

「…どうした?」
「…体が重いっちゃ」
「そりゃ、さっきまで倒れてたんだからな…無理するな」
「なんか変だっちゃ…こんなの初めてばい…
 ……、…はっ!!」スタタタ。

れいなはいきなり走り出し、崖に向かって手のひらを向け
「やっ!、ちゃっ!」と声を出して力を込めはじめた。
「…どうしたんだよ?」
「……っ!」
「おい??」
 

804 :サボリン:2004/04/11(日) 19:05
 
「……はぁ〜、…ダメばい、
 …○に〜ちゃん、れいな、
 力ば…使えなくなっちゃった……」パタッ。
そう言ってれいなは手の力を抜いてうなだれる。。
「な、なんだって、、それってどういう…」
「…こっちに来るとき、絵里と一緒にすごい力を使ったんやけど…、
 …そいからなんや体に力が入らなくて、おかしいと思ってたっちゃ…」
「…そうだったのか」
「○に〜ちゃん、どうしよう?
 力が使えないうちなんて、必要なかん!?
 …れいな、なんの取り柄もなくなっちゃうよ!うわ〜ん!!」
そう言ってれいなはオレに体を寄せて胸をボカスカ殴ってくる。
「いててて、なに言ってんだよ、落ち着けよ!
 力を使えても使えなくても、れいなはれいなだろッ!」
オレが肩を持って揺すると、れいなは急におとなしくなり、
「そうかな…後藤さんに嫌われたり…しなか?」
と言って、目に涙を溜めてオレを見上げてきた。。
「大丈夫だよ、後藤さんはそんな人じゃない!」

「…○に〜ちゃんは?」
「オレはいつもれいなの味方だ、
 かっこいいれいなもダメなれいなも、みんな好きだぞっ」
「…えっ……○に〜ちゃん、れいなのこと…好いとぉの?」
「…あ、…ああ、好きだぞ」
…好きの意味がちょっと違う気もするが、
泣かれると困るから否定しないでおこう。。
「あは、そうか〜、よかったと〜」
れいなは急に明るい声を出して
涙と赤くなった頬を隠すように顔に手を寄せてくしゃっと笑った。

・・・しかし、力が使えなくなっちゃうなんて。。
確かにれいなは最近元気がないような気がしてたけど、、
あ、そういえば絵里ちゃんも最近おとなしいというか、
用水路を掘るときも普通にやってて力を使ってなかった。
…もしかしたら絵里ちゃんも力が使えなくなってるのかもしれないな。。


「さっ、○に〜ちゃん、行こ!」ちゃっ。
「行こって、大丈夫なのかよお前?」
「うん、もう大丈夫ばい!
 …なんだか、初めて自分の体が自分のものになった気分、
 嬉しくて…なんかどんどん歩きたい感じ、さっ、行こ!」ステテコ。
そう言ってれいなは山の奥の方にずんずんと歩いていく。
「おいこら、ちょっと待て!」スタタ。
オレも慌ててついていった。
・・・よく考えたら力が使えないれいななんて、
そこら辺の中学生…いや、ほとんど子供と一緒じゃねーか。
…今度は逆にオレがれいなを守らなきゃなんだな。。
 

805 :サボリン:2004/04/11(日) 19:06
 
と、どんどん歩いていくれいなの後をついて行くと、
急にれいなが立ち止まる。ぴたっ。

「○に〜ちゃん、あれ、なんやろ?」
「…ん?」
れいなの指差す方向を見ると、
少し下ったところに小さな池が見える。…ん?湯気が出てる。
「あ、温泉かも知れないな」
「…温泉って?」
「お風呂のでっかいやつ」
「お風呂!?、やったーっ!お風呂〜!」スタタタタ。
「ちょっ…」
れいなは一目散に温泉に向かって走っていって木の陰に見えなくなった。
「おーい、れいなー、離れるなよー!」スタスタ。
・・・どうするつもりだ?、まさか入るつもりじゃ、、

「おーい、○に〜ちゃ〜ん、じっくりコトコトいい湯だよ〜」

・・・あわわわ。

れいなは既に温泉に入っていた。
素っ裸で突っ立ってこっちを向いて手を振っている。。
日の光の中に白い肌を晒して、爪先きで背一ぱいに伸び上がっていた。。
下半身は湯気で見えないものの、ムネがプルプル揺れてるのははっきり見えた。

「お前、恥じらいってものを…」
「○に〜ちゃんも早く入りなよ、気持ちいいよ〜」
そう言ってれいなは体を湯に沈めた。ちゃぽん。
「あ、熱くないか?」
「大丈夫ばい」
「気をつけろよ、天然の温泉なんだから
 どっかムチャクチャ熱いところがあるかも知れないから」
「大丈夫ばい!」
「いや、大丈夫じゃない!
 右の奥の方に、白くなってるところがあるぞ、気をつけろ!」
「わかったっちゃ、もう、○に〜ちゃんも早く入らんと?」
そう言って濡らした髪をよせながらオレを見上げるれいな。
白い肩がツルツル光っている。
目を細めて顔を火照らせて、…ホントに気持ちよさそうだ。。
「…ぅぅ、…ま、まぁ、せ、せっかくだから入ることにするか。。」


オレは木の陰に隠れて裸になった。
近くにはれいなの下着やTシャツが転がっていた。
・・・ったく、絵里ちゃんもれいなも、、常識がなさすぎる。。
あ、そうだ、この6日間着替えなんてしなかったから服も汚いな。
…日差しが強いから温泉で洗ってから干せば乾くだろう。ついでに洗うか。
オレはれいなの服も持って温泉に入った。ぽちゃ。
れいなからなるべく離れて。。

806 :サボリン:2004/04/11(日) 19:07
 
「おそいよ〜、○に〜ちゃん、れいな、のぼせちゃうよ」ちゃぽ。
「だーっ!、立つなっ、いいからそこでつかってろ!」
オレは慌てて目をそらす。
「なんで〜?、話もできんと」
「お前、普通の女の子になりたいとか言ってたろ、
 だったらもう少し恥じらいを持て、恥じらいを!」
「なんや、つまらん」ぽちゃ。

「ほら、これ、お前の服、持ってきたから、
 お湯の中で適当にゴシゴシして洗っとけ」ふよふよ。
「はーい」ちゃぽちゃぽ。

「ふーっ。。」
・・・確かにいい湯だなぁ。。
・・・6日ぶりということもあるかも知れないけどホントに気持ちよかった。
昨日までの激務で溜った疲れが吹っ飛んでいくようだった。

「ひぃ〜、極楽、極楽ゥ〜」

「…なんや、○に〜ちゃん、オヤジくさっ!」
「・・・・、…へっ、子供は黙ってなさい、子供は!」
「なっ…、れいなは、」ぽちゃぽちゃ。
「…ん?」
「…れいなは子供じゃなかーっ!!」 ばさぁ!
れいなが来ていきなりオレの目の前に立ち上がる。。

「うわぁぁあ!」
「ほらっ、毛だって生えてるもん!
 毛が生えたら大の大人だって石川さんが言ってたもん!」ぷるん。
「だぁーーっ!、わぁーったから、見せるのはやめなさい!見せるのは!」
「それや、れいなは子供じゃなかと?」
「子供じゃないです、子供じゃないです、だからやめなさい!!」
「…ふむ、わかればよし!」ちゃぽ、と再び湯につかるれいな。

ふーっ。。

「…でもね、ほんまは生えてきたのはこん前なんよ、
 力がなくなりはじめてから、…なんか体がおかしいとよ
 石川さんに相談したら、、大人になってる証拠だって…」
「…そ、そうか、良かったな」

・・・どういうことだ?
いくられいなでも最近生えてきたってーのはおかしいだろう。
もしかしたら力を失って普通の人間になったのかもしれないな。。
 

807 :サボリン:2004/04/11(日) 19:07
 

・・


その後、洗った服を干し、乾くのを待つ間に昼寝をすることになった。
「れいな、お前はあっちで寝ろ!、こっち来んなよ!」
「なんで〜、○に〜ちゃんのそばがよか、
 好いとぉもん同士は裸で一緒に寝るんやって石川さんも言ってたよ」
「なっ…、…とにかく、お前はあっちで寝るんだっ!、じゃーなっ!」ピュゥ。
・・・ったく、石川さんも、、
かわいい顔をして裏では何を言ってるかわかったもんじゃないな。。


…ふう。

適当な草むらを見つけて横になる。
素っ裸で寝るのはちょっと落ち着かなかったけど
風呂上がりだし、気温も穏やかだ。……気持ちよく寝れそうだ。。

…うとうと。…と、

「キャーーッ、ライオンだよーっ!!
 ○に〜ちゃーん、助けて〜!!」 突然れいなの叫び声が!!
「な、なにっ!」スタタタ!!
オレは一目散に声のする方に走った。
・・・が、れいなは何事もなかったように笑って突っ立っていた。

「あははは、○に〜ちゃん、ひっかかったぁ〜」
「……っ、お、お前なぁ〜、、」
「あは、○に〜ちゃんのハダカば見ちゃったっ!
 うちのも見たんやけん、おあいこばい」
「あっ!」オレは慌てて股間を隠した。。

「くそォ、…お前は今井か!、自作自演は犯罪だぞっ、
 …ホントにライオンに食われても知らねーからな」スタスタ。
「あははは、ホントにライオンが来よったら
 うちはライオンと友達になるとよ〜」
「…勝手にやってろ、…オレは寝る!」スタスタ。

・・・ったく。
オレは元の場所に戻って横になった。
もう何を叫ぼうが起きないからな。むにゃむにゃ。

ようやく落ち着いて眠りにつくことができそうだ。。

ん〜、むにゃむにゃ、

今井は劣化ウラン弾ケツに突っ込んで氏ね・・・
 

808 :サボリン:2004/04/11(日) 19:08
 



・・ん?

・・・れいながライオンの子供になって、じゃれている。

・・・・夢だ。。

がーっ、夢の中にまで出てくるなっ!

「れいなっ、いい加減にしろっ!」バサッ。

「・・・・?」
起きると、横にれいなが座っていた。
れいなはもう服を着ていて、オレの上には乾いたシャツがかかっていた。

「○に〜ちゃん、……どうしたん?」
「いや、…れいなの夢でうなされた」
「あは、ひどいっちゃ〜、
 …あ、そうだほら、もう服乾いてたよ」
パサッ、とれいながオレのパンツを投げてきた。

「ああ、サンキュ、
 って、お前・・・・、…やっぱいいや」
いろいろ言うのが面倒になって、オレはそそくさと服を着た。

「さっ、帰るぞ」スタスタ。
「えっ、もう?、まだ明るいのに?」
「暗くなったら帰れないだろ」スタスタ。
「なんで〜、まだ大丈夫ばい
 もっと遠くまで探険しようよ、
 なんか他に発見できるかも知れなかよ、
 そしたらみんなも喜ぶとよ?」スタタタ。

「う〜ん、そう言われるとそうかもな…」ピタッ。
・・・今日は結局、温泉入ってただけだしな。
太陽を見ると…まだ2時頃だから先に行けないこともない。
でも、もっと先に行って帰れなくなったら困るぞ。
れいなは力を使えなくて頼りにならないし、、

どうするか。。




1 みんなのためにも、もう少し先まで探険してみる。
2 れいなを危険な目にはあわせられない、心配だからすぐに帰る。
 

809 :名無し娘。:2004/04/11(日) 22:46
1

810 :名無し娘。:2004/04/11(日) 22:49
ヾ从 ;` ヮ´;)ノ<れいなはボーボーたい!

1で

811 :名無し娘。:2004/04/12(月) 22:33
2

812 :名無し娘。:2004/04/14(水) 00:22
1

813 :名無し娘。:2004/04/14(水) 00:42
2で

814 :名無し娘。:2004/04/14(水) 22:16
2

815 :名無し娘。:2004/04/15(木) 18:36
1

816 :名無し娘。:2004/04/16(金) 12:37
1

817 :名無し娘。:2004/04/16(金) 18:48
1

818 :サボリン:2004/04/17(土) 03:43
 
「ん〜、よし、もう少しだけ先の方まで探険してみるか」

「やったっ、早く行こ!」ぷにっ。
れいなはオレの腕をつかんで頭を肩に寄せてくる。。
「・・・お前、なんか勘違いしてねーか?、デートじゃねーんだぞォ!」
「離れたら危険ばい、
 だって、れいなはもう力が使えなかよ、か弱い女の子なんよ、
 ○に〜ちゃんのせいでこうなっちゃったんよ?」
「・・・・ぐっ、…日が暮れるから早く行くぞ」スタスタ。
「あ、そぎゃん速う歩いたら歩きにくか…」
「腕を組んで山を歩くな、山をあなどるな!」スタスタ。
「あ〜ん待って、○に〜ちゃんのいぢわる、けち…」ステテテ…

「あっ!」

 ズテッ!グギャ!

れいなが足を滑らせてズッこける。
オレがスピードを上げたのに、
れいなは強引にオレの腕にしがみついたままだったから。。

「だ、大丈夫か?」
「……ぅ、…ぅ、大丈夫…ばい…」
れいなは目に涙を溜めて痛みを我慢している。膝からは血が出ていた。
「ほ、ホントか?
 …ちょっと見せてみろ、血が出てるじゃねーか」
「えっ!、…あっ、……ぅぅ、
 …○に〜ちゃんがいぢわるするけん、
 こけちゃったんやなかかぁーぁあーっ!、…うぇ〜ん!!」
「わたたた、ごめん、れいな、ごめんよー、
 ほら痛いの飛んでけーってな、ほら痛くないだろ?」スリスリ。
オレは必死に膝のまわりをさすってやったが、れいなは一向に泣きやまない。
「うぁ〜ん!、うぇ〜ん」ヒック、ヒック。
・・・うっわー、よく見たら実際痛そうだこりゃ。
擦り傷じゃなくて、膝がパックリと割れている。ピロッ。
傷口は3センチくらいだけど血がどんどん出てくる。ヤヴァイぞこりゃ。。
ったく半ズボンなんてはいてるから。って違う、オレのせいだ。
それはともかく、縫わなきゃかも。。とはいえ麻酔なんてないし、
ランボーよろしく強行突破か!?…って、針も糸もねーよ。。
 

819 :サボリン:2004/04/17(土) 03:43
 
「あわわ、とりあえず応急措置をして…
 とにかく、学校に戻ろう!」
オレはれいなの膝を抱えてハンカチで傷口を縛る。ササッ、クイッ。
「あぁ!」
「我慢しろ!」グルグル、グッ。
命に関わるほどの出血じゃないけど、
念のため太腿にベルトを絞めて止血した。
「痛い!」
「さっ、おんぶしてやるから、つかまれ!」
「…ぅぅ」
「よし、行くぞっ!」
オレはれいなを背中に乗っけて走り始めた。。


はぁ、はぁっ。

いくら軽いれいなとは言え、
山道を背負って下るのはつらかった。
れいなは痛みを我慢しながらうなっていたが、
泣き疲れたのか、しばらくすると眠ってしまった。。

はぁ、はぁっ。


と、来るときに崖崩れのあった場所に近づいた。
崩れた石の残骸があちこちに転がっていて歩きにくい。

石を避けながらもぞもぞとゆっくり歩いていると、

「困っているみたいね?」

・・・どこからともなく声がする。

「だ、誰?」 辺りを見渡す。

と、木の陰から一人の少女が姿を現した。。
 

820 :サボリン:2004/04/17(土) 03:44
 
「…君は、誰?、この時代の人?」
「あなたが○○さんですか、出会えて光栄です」 フッと微笑する少女。
れいなよりも小さな女の子だ。その割に話し方は大人びている。。
「な、なんでオレの名前を知ってるの?」
「…れいな、あの程度の負荷でヒトに堕ちてしまうとは情けない…」
そう言って近づき、れいなの口元に指先を添える少女。。
「…れいなも知ってるのか?、質問に答えろよっ!」

「私の名前は鈴木愛理、
 今はそれしか言えません、…お助けしましょう」

そう言うと少女はれいなの膝に手を添える。
と、フワッっと一瞬光が差す。

「…もう大丈夫です、ハンカチを取ってみて」

「えっ、マジで?」
スルスルッ、・・・傷が跡形もなく消えている。。
「すごい、、あ、ありがとう、、君は…」
「近いうちにまたお会いできるでしょう、では」 フッ

・・・・お、女の子は消えてしまった。。

…いったい何だったんだ?あの子は誰なんだ?、未来人?
なんでオレやれいなのことを知ってるんだ?
なにがなんだかわからない、けど、
れいなの傷が治ったことだけは確かだ。。


・・

しばらくしてれいなが目を覚ました。
事の顛末を話し、女の子のことを知っているかときいたが知らないと言う。

「でも、傷を一瞬で治しちゃうなんて…」
「そうやね、すごいね、…ファティマかもね」
「かもねってお前…」
「さ、○に〜ちゃん、早く帰ろ、れいなお腹空いちゃった」スタタタ。
「あ、こら待て、気をつけろ」スタタ。
「大丈夫ばーい」スタタタタ。

れいなはすっかり元気になり、二人で走って山を下った。。

 

821 :サボリン:2004/04/17(土) 03:45
 


・・



暗くなり始めた頃になんとか学校にたどり着いた。


それぞれが探険から帰ってくるのを待ち、みんなが集められた。

オレは温泉があったことをみんなに報告した。
みんな喜んで明日から交代で順番に行くことになった。
(ただ、山で会った愛理という女の子については話さなかった。)

愛ちゃんと絵里ちゃんは南の方で米がなってるのを発見したらしい。
明日以降、あさみちゃんが調査に行くようだ。
それにしても稲が自生してるとは運がいい。
既に実のついたものが沢山あったいう話で、みんな喜んでいた。

加護ちゃんは西の方でコカの木を発見して葉を持って帰ってきた。
みんなにコカの葉の茶を振る舞って喜んでいた。
みんなも久しぶりに明るさを取り戻して夕飯は盛り上がった。
ラジカセで音楽を鳴らして、みんなヒューヒュー踊っていた。
加護ちゃんは一人、石灰を包んでコカの葉をシカシカと噛みながら
明日からは栽培の研究をするんやと言って張り切っていた。


そんな感じで愉快な晩は過ぎていった。。


 

822 :サボリン:2004/04/17(土) 03:46
 






・・






25日目。。









あれから約2週間。

稲は思っていたよりたくさん実っていて
みんなで収穫したり脱穀したりで忙しかった。
麦やそばなども発見した。家畜の数も増えてきた。
どうやらこの冬は越せそうで、
余裕が出来てみんなの顔にも笑顔が見えはじめた。
来期に供えて畑や田んぼの耕作も徐々に始まった。

2日に一度、温泉に入りに行くようになった。
労働の後の温泉とコカ茶は最高だった。
洗濯もするようになり、一応清潔な生活が出来るようになった。
とはいえ着替えがなかったので、
みんな洗濯中は野球やサッカーのユニフォームとか柔道着を着ていて、
はたから見るとすごい間抜けな集まりだった。。

トイレも斉藤さんたちがちゃんと作ってくれて不自由が無くなった。
用水路の下りも完成して綺麗な水が循環するようになった。。
 

823 :サボリン:2004/04/17(土) 03:47
 

そんなある晩。

みんなが寝静まった後、
オレは少し寝付かれずに長屋の外に出て月を眺めていた。。

・・・・さゆみちゃんはどうしてるだろうか。
ふと気になった、そのとき、

 カラン。

と、オレの部屋から物音がする。。…ん?誰だろう?
まえに一度、辻ちゃんがかくれんぼをしていて潜り込んできたことがあるが、
まさかこんな深夜にやってんじゃねーだろーな。。

「誰?、辻ちゃん?」コト。部屋の中をゆっくりとのぞく。

…暗くてよく見えないが、布団の上に誰かいるみたいだ。。

「誰だよ?、返事しろ?」

「ふ、ふ、ふふふ、久しぶりね、○○くん」
「だっ、誰だよっ!」
「ふ、ふ、私を忘れたの?、この私を?、この世界一かわいい私を!」
カーテンが風に吹かれて窓から少し月明かりが差し込む。。

「ま、まつうらさん!」
…監禁されているはずのまつうらさんが布団の上に座っている。
随分痩せてしまって、目玉が浮き出るように頬がこけている。

「だ、だいじょう…」

 ガッ!!

「うわっ!」ドサッ!
まつうらさんが飛んできてオレの体をねじ伏せる。…な、なんて力だ。。

824 :サボリン:2004/04/17(土) 03:47
 
「あなたに心配される覚えはないわ!」ゴン!
「…痛ッ!」
オレの体の上にまたがり、オレの頭を手で地面に押しつけながらつぶやく。
「皆さん、よくも私をこんな目にあわせてくれましたわね、
 生まれて初めてのナイガシロですわよ私、怒りましたよ、ハァ、ハァ」
「いや、みんな藤本に命令され…」ゴン!
「黙りなさい!!
 そもそも私がさゆみんの主になっていれば
 こんなコトにはならなかったのよッ!」ゴンッ!
「……ッ!」
「…今度こそあなたを殺したいところだけど、
 ふっ、まぁいいわ、もっと面白いことを思いついたから…」
「な、何する気?」
はっ、まつうらさんの首にさゆみんの石がかかっている!
この凄い力は石のせいか。。石を盗るためにオレの部屋にいたのか?
「…ふ、ふ、ふふ、楽しみにしてなさい、
 せいぜい皆さんと仲良くやってね、デハ、ごきげんよう!」サッ!

「あっ、まつうらさん!」

…まつうらさんは凄い早さで走って裏門を出て行った。
・・・大丈夫だろうか、あんな痩せた体で。。
・・・・面白いことって、何をするつもりだろう。。
はっ、それより早く藤本に知らせなきゃ!
 

825 :サボリン:2004/04/17(土) 03:48
 
オレは急いで1号室に向かった。
と、ちょうど辻ちゃんと小川さんも来ていて
藤本や紺野さんと何やら話をしていた。
今日は辻ちゃんが夜の見張り当番だったが、
まつうらさんに騙されて鍵を開けて逃げられたという。
殴られて気を失っているところを交代で来た小川さんに発見されたらしい。

「…すまんれす」
「もういい、辻、過ぎたことだ…、
 猿とて生身の猿、あの衰弱した体でできることは高が知れている」
「…それが、藤本、違うんだ、
 まつうらさんは…さゆみんの石を持っているんだ…しかも3つ…」
「なっ、なんだとォ!、確かな話かァ!?」
「…うん、実はオレ、飯田さんから石を預かっていて、
 それを盗られて、…さっきもすごい力でねじ伏せられた、…眼が怖かった」
「オメー、石を持ってて今まで黙ってたのかァ?」グイッ!
「…ぅぅ、…ごめん」
「……っ、くそォ」
「…石を持ってるとなると話が変わってきますね、
 松浦さんはそれなりに知識を持っていますし、使い方も知ってるようです」
「野放しにしたら何をやらかすかわからねーなァ、、
 で?、ヤツはどこに行った?」
「オレを殺すより面白いことを思いついたって言って、
 裏門を出て南の方に走ってった…」
「…ちくしょう、何をしでかす気だァ・・・?
 森に逃げられたらココで暴れられるよりタチが悪いじゃねーか、
 これじゃぁ、明日から安心して森を歩けねぞォ!」
「…藤本、どうしよう?」
「美貴様…」
 

826 :サボリン:2004/04/17(土) 03:49
 
「……焦ったら負けだ、
 今日はとりあえずみんな寝ろ、明日の朝、まつうら討伐隊を結成する、
 隊員はオレと○○、他数名、森に入ってまつうらを撃つ!」
「……そんな、まつうらさんを撃つって…」
「○○、オメーが石を盗られてこんなことになったんじゃねーか、
 とにかく、猿は危険なんだ、文句は言わせねーぞォ!」
「……、…わかったよ」
「よし、他の人選はオメーに任せる、明朝までによく考えておけ」
「…うん」
「ヨゥシ、オメーラ解散だァ、騒ぐんじゃねー、ほら散れ散れ!」
「……」



オレは自分の布団にもぐって考え始めた。
まつうらさん、あんな怖い顔をして何をする気だろうか。

…それにしても、さゆみんの石を盗られたのはまずかった。
・・・・さゆみちゃん、生きてるのかな。

いや、それよりまず、明日の人選を考えなくちゃ。
藤本とオレと、、あと数名を選べって言ってたな。
・・・なんで藤本はオレなんかに人選を任せたんだ?

…なんだか身震いがする。。…よく考えて選ぼう。。





【以下の中から、2人選んでください】
 (多数決で3名が討伐隊に加わります)


  紺野さん 絵里ちゃん れいな 愛ちゃん 加護ちゃん


(ここでは親密度が2以下の人物は選択肢に表示されていません)

 

827 :名無し娘。:2004/04/17(土) 12:18
紺野さん 絵里ちゃん

戦闘力重視で

828 :名無し募集中。。。:2004/04/17(土) 14:09
紺野さん 愛ちゃん

好み重視で

829 :名無し娘。:2004/04/17(土) 14:44
れいな 加護ちゃん

830 :名無し娘。:2004/04/17(土) 16:02
愛ちゃん 絵里ちゃん

831 :sage:2004/04/18(日) 03:27
れいなとえりりん

好みでw

832 :名無し娘。:2004/04/19(月) 08:15
紺野さん 愛ちゃん

展開たのしみにしてます

833 :名無し娘。:2004/04/19(月) 22:12
愛ちゃん 加護ちゃん
あいちゃんずで

834 :名無し娘。:2004/04/20(火) 05:10
絵里ちゃん 加護ちゃん

835 :名無し娘。:2004/04/22(木) 08:04
紺野さん、絵里ちゃん

836 :サボリン:2004/04/27(火) 01:23
 
よし、紺野さんと絵里ちゃんと愛ちゃんを連れて行こう。

石を盗られたのはオレの責任だ。
あの状態のまつうらさんは確かに危険だと思う。
できるならみんなを危険な目にはあわせたくないけど、
オレ一人で解決できる問題じゃない、
藤本やみんなにも協力してもらうしかないのか。。

オレはモンモンとしながら眠りについた。




26日目。




朝、起きて校庭に出てみると
紺野さんたちが銃を用意して待っていた。

「○○、隊員は決まったかァ?」と、藤本。
「うん、・・・紺野さん、絵里ちゃん、愛ちゃんに頼もうと思う、
 みんな、一緒に行ってくれるかな?」
「もちろんです」「やったー○○と一緒!」「先輩について行きます」
「ありがと、みんな、まつうらさんのことはオレに責任が…」
「ヨゥシ、隊員は決まったァ、
 各自朝食を済ませ、8時に裏門に集合だ、わかったかァ!」
「はいっ」「はい!」「やよー」「…うん」


8時に裏門に集合してみると
機関銃とリュックが各自に用意されて手渡された。
「それぞれ装備の確認を怠るな、
 銃の使用法はあらかじめ紺野やまいに習っておけェ!」
銃の使い方を教わって、装備をつけてみると、
なんだかみんな物々しい格好になっていた。。
 

837 :サボリン:2004/04/27(火) 01:24
 
 
「まい、あさみ、後は頼んだ」
「はい!」「はっ」
「まつうらのことが片づくまで森には入るな」
「はい!」「はっ」
「では、行って参る」
「お気をつけて!」「ご武運をッ!」
「ヨゥシ、オメーラァ!、行くぞォ!!」スタタタ。
「おお!」「はい!」「はい」「…おお!」スタタタタ。
オレたちは藤本の後について裏門を出て南に走った。


森の入り口まで来ると藤本が止まって話し出す。カチャ。
「紺野、亀、タカハシ、○○、よく聞け!
 これからお互いに30メートル間隔で距離を保って南下する、
 常に隣のヤツの動きを見て、安全を確認しながら歩け。
 それと、まつうらはさゆみんの石を持っているから
 気をつけろ、いいか普通の人間だと思うな!
 まつうらを発見した場合はまず警笛で知らせる、
 ただ、状況が切迫している場合、なるべくなら、
 …なるべくなら殺りたくはないが、自衛的に発砲を許可する、
 だが、もしもそのときは一発で殺せ!
 まつうらに二度目は無いぞっ!、いいな!」
「はい!」「はい」「…うん」「……」


藤本の指示通り、お互いに30メートル離れながら森に入った。

銃を構え、辺りを見回しながらゆっくりと歩く。カチャ、ザザッ。
…昨日まで稲の収穫で通っていた森が突然戦場になったみたいだった。


・・

2時間ほど無言の時が流れた。。
足が草に引っかかる。…疲れてきた、が、
隣の紺野さんと絵里ちゃんも頑張って歩いてる。
泣き言は言えない。。と、

ぴゅゅゅぅぅう!、

笛の音が聞こえる。

警告音だ!、左の方からだ。
…愛ちゃんがいる方向。。大丈夫だろうか。。

オレたちはお互いを見ながら静かに笛の音の方へ近づいた。スタスタ。
 

838 :サボリン:2004/04/27(火) 01:24
 
と、愛ちゃんが座って誰かを抱えている。…飯田先輩だ。

「飯田先輩、大丈夫っすか?」ペチペチ。
「…ぅぅ、……ぁ?」
「飯田先輩!」ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペ…
「…ぅぁあ!、、……高橋、、…□□くん」むにゃ。
「…飯田先輩、どうしたんですか?」
飯田先輩…、久しぶりに会った。。
2週間以上森をさまよっていた割にはちゃんとした格好だ。
とはいえ様子がおかしい。目の焦点が定まらないようだ。。
「どうしたァ?」スタタ。藤本もやってきた。
「…なんだデンパババァか、どういうことだ高橋?」カチャ。
「ここで倒れてたんすよ、あっしはただ発見しただけやで…」
「…はっ、松浦、松浦さんが……ぅ<っ!、はあっ、はぁっ!」
いきなり飯田先輩がムネをつかんで苦しみ出す。
「なにっ?、まつうらがどうしたってェ?」グイッ。

「…松浦さんを行かせてはダメよ、
 彼女はさゆみんを殺す気だわ!」
「なんだってェ、さゆみんが生きて…??」
「さゆみんを殺したら今度こそ地球はッ…っ」
「飯田先輩、さゆみちゃんに会えたんですか?生きてたんですか!?」
「…会えなかった、でも、神殿のような建物を発見したわ、
 この先の川に沿って…南に50キロほど行ったところに…小さな湖がある、
 そこに神殿のような建物があって、、恐ろしい気を感じたの、
 私は□□くんを呼んでこようと思って……っ、
 …学校に戻る途中で松浦さんにッ、…ゴホゴホッ!」
「まつうらにやられたのか!、飯田ァ!?」
「…ゴホゴボッ、……っ、…そうよ」
「美貴様、飯田さんはさゆみんの石のかなりの使い手で、
 あのときは弱点を突かれたとは言え、亀を吹っ飛ばすほどでした、
 その飯田さんがここまでやられたとなると…」と紺野さん。
「うにゅぅ、猿め!」ピキ。
「松浦さんはもう…っ、ほどんど狂っていたわ、気をつけなさい、
 ……っ、とにかく、さゆみんを頼んだわ、□□くん…」ちゃら。
そう言って飯田先輩がさゆみんの石をオレに差し出す。
「飯田先輩!」がしっ。
「…南へ、神殿へ行きなさい…」ガクッ。

・・・そう言って飯田先輩は気を失ってしまった。
「飯田先輩っ!!」

 

839 :サボリン:2004/04/27(火) 01:25
 

「…飯田……」
「……さゆ…」
「神殿ってなんやろ、人がいるってことやろか?」
「美貴様…」
「…ヨシっ、先を急ぐぞッ、飯田を信じて神殿に向かう!」スタスタ。
「ちょっと待てよ、藤本、
 飯田先輩はどうすンだよォ?」
「…捨て置け。じきに回復して自力で学校まで行けるだろう」
「そんな…こんなヘロヘロになってんだから無理だろォ!?
 飯田先輩を学校まで連れて行ってからにしようよ?」
「今はそんなことをしている暇はない、猿の目的がわかっただろォ!
 …ヤツはどうにかして…さゆみんにまたあの力を使わせる気だ、、
 そうなったら今度こそオレら仲良くソロってあの世逝きだぜ○○ゥ、
 ンなことになってもいいのかよォ?、…一刻を争う事態だ、早く行くぞ!」
「藤本ォ…」
「飯田さんなら大丈夫ですよ、さ、○○さん、行きましょう」スタスタ。
「紺野さん…」


そんな・・・、
気を失った飯田先輩をこんなとこに置いたまま行くなんて…

藤本はいったん言い出したら曲げないし、、どうすればいいんだ?

誰か一人が残って飯田先輩の面倒をみるっていうのはどうだ?

…オレが残りたいところだけど、さゆみちゃんが生きてるなら
オレが行ってなんとかしなきゃだし。。





1 紺野さんに残って飯田先輩をみてもらう。
2 絵里ちゃんに残って飯田先輩をみてもらう。
3 愛ちゃんに残って飯田先輩をみてもらう。
4 戦力の低下は避けるべきだ、…飯田先輩は見捨てる。
 

840 :名無し娘。:2004/04/27(火) 01:31
4

841 :名無し娘。:2004/04/27(火) 18:14
1

842 :名無し娘。:2004/04/27(火) 21:00
2

843 :名無し娘。:2004/04/27(火) 21:10
1de

844 :名無し娘。:2004/04/28(水) 14:52
4

845 :名無し娘。:2004/04/29(木) 08:37
3

846 :名無し娘。:2004/04/29(木) 18:11
4

847 :名無し娘。:2004/04/29(木) 23:01
4

848 :名無し娘。:2004/05/02(日) 00:02
4

849 :サボリン:2004/05/03(月) 03:48
 
「…わかった」…飯田先輩はここに置いて行こう。。

「…ヨゥシ○○、行くぞっ、
 ……さっさと歩けよタコ!」スタスタ。
「…うん」

・・・飯田先輩のことだから大丈夫だろう、、たぶん。。
オレは飯田先輩から渡されたさゆみんの石を握りしめて歩き始めた。
倒れたままの飯田先輩を見るのが怖くて後ろを振り返れなかった。。


・・

しばらくして川を見つけ、川が見える距離を保って森の中を南下した。

辺りを警戒しながらゆっくりと歩く。

既に未開拓地域に入っていた。

深い森に時折差し込む太陽の光、、

もう正午近くだとわかる。。


5人はさっきよりも近づいてかたまって歩いていたのに

警戒心からか、森の静けさにのまれたのか、

お互いに話すこともなく、ひたすら草を切って歩いていた。。


・・


27日目。



そして次の日になっても、、

オレたちは、ほぼ一日中歩いていた。

しかし、風景は変わらなかった。。

しだいに日が傾き始め、

今日も昨日と同じように野営の準備をすることになった。
 

850 :サボリン:2004/05/03(月) 03:49
 

たき火を囲み、米を炊きながら熊肉の燻製をかじる5人。

それぞれの顔がオレンジに照らされ、

火の加減で表情が変化して見える。。パチパチ。


「…飯田さんは50キロ南下すれば湖があるって言ってたのに、
 2日歩いても着かないなんて……どういうこと?」パチパチ。
おもむろに絵里ちゃんが口を開く。

「森ん中をゆっくり歩いてるんやから、
 こんなもんなんじゃないすか?」と愛ちゃん。
「高橋さんは…飯田さんを信じるんですか?」
「…飯田先輩は悪い人やないよ、あっしは信じるよ」
「絵里は…あの人、なんか信じられない、
 松浦さんの味方だったらどうするの?
 絵里たちがこうしてる間に学校が攻撃されてるかも…」
「…亀、
 私たちの役目は信じるかどうかではない、行うかどうかだ」
紺野さんが諭すように絵里ちゃんに言う。
「……はい」

「どっちにしても明日には結論が出るだろう…」と藤本。
「…藤本、もし明日、湖に着いたとして、
 …まつうらさんを発見したら、どうするつもり?」オレがたずねる。
「…殺すしか、ないんじゃねーかな」
「どうして?、なんでオマエとまつうらさんが
 殺し合わなきゃならねーんだ?
 二人の間に何があるって言うんだよォ?」
「フッ…さぁな、
 …お互い、しょってる荷物が重くなっちまったからなァ…」
「美貴様…」
「ずぅっと一緒だったんだ…、
 養護施設にいた頃から。…アイツの事ならなんでも知ってる」
「……」 
「アイツには世界が自分を否定したら
 肯定するようにその世界を変える力があった…、
 でも次第にヤツは、世界にあわせて自分を変えるようになっちまって…」
「……」
「皮肉にもそれが原因でヤツは今、世界に否定されようとしている、
 …それで、今度は自分から世界を否定してやろうと必死なのさ……」
「…よくわかんねーよ、…だから殺すってーのか?」
「裸の王様に裸だって真実を教えるよりも
 裸のまま葬ってやった方が、信義を守ることになるのさ…」カチャ。
「……」「……」「……」「……」
 

851 :サボリン:2004/05/03(月) 03:49
 

「…しゃべりすぎたようだな、…明日も早い、もう寝よう」
「…ああ」「…はい」「…うん」「…うん」


5人はそれぞれ自分のリュックを枕にして横になった。

静かすぎて寝付かれない夜だった。

川の音だけが静かに流れていた。



・・




28日目。




今日も朝から歩きっぱなしだった。ザッ、ザザッ。

…銃を持つ腕が重い。…みんなの表情にも疲れの色が見える。

木々の間から見える川だけはキラキラと光って涼しげに流れていた。

「…ねぇ、ホ、ホントに湖なんてあるの?
 どこまで行ってもおんなじ景色じゃない!?」ハァ、ハァ。
「黙れ亀」ザッ、ザザッ。
「やっぱり飯田さんに騙され…」
「黙れっつってんだろォオ!」
「…ぅぅ」
紺野さんが切れて怒鳴ったので
絵里ちゃんはとうとう泣き出してしまった。
「…ったく、ねんねじゃあるめーし、
 力を使えないファティマほど使えねーもんはねぇぜ!」
「…えっ、……どうして…?」
「最近のオマエの様子を見ればわかるさ、
 第一、オマエがまだ力を使えるんなら
 こんくらい歩いたくらいでへたばるはずがねーじゃねぇか」
「……紺野さん、知ってたの…?」
・・・そうか、やっぱり絵里ちゃんも力が使えなくなってたのか。。
「亀ェ、見捨てられたくなかったらァ、
 おとなしく黙ってついて来いッ!わかったかァ!?」
「……っ、…はい!」スタスタ。
 

852 :サボリン:2004/05/03(月) 03:50
 

「紺野…」ピタッ。
「はっ、どうなされましたか美貴様?」スタタ。
「…霧だ」
「え?」

・・・本当だ。
気がつくといつのまにか前の方が霧に覆われている。
「オメーラ気をつけろ、
 なるべくかたまって行くぞ、
 それと、霧が晴れるまで銃は使うな」
「はい」「…はい」「…うん」「うん」

オレたちは声を出してお互いを確認しながら
真っ白な霧の中をゆっくりと歩いていった。。
が、霧はどんどん濃くなり、2メートル先も見えないようになってきた。

「ちくしょう…、
 オメーラ、適当に誰かと手をつなくんだ、
 ゆっくり、気をつけて行け!」 もわもわ。

「はい」「はい」「うん」 もわもわ。


・・・誰かと手をつなげって、その誰かが見つからねーよ。。
・・・もう声を頼りに歩くしかないな。

オレは必死に耳をそばだててみんなの声を聞いた。
紺野さんと絵里ちゃんと愛ちゃんはそばにいるみたいだ。

誰の方に向かおうか。。





1 紺野さんの方に向かう。
2 絵里ちゃんの方に向かう。
3 愛ちゃんの方に向かう。
 

853 :各無し墓集中。。。:2004/05/04(火) 09:26
3

854 :名無し娘。:2004/05/05(水) 03:07


855 :名無し娘。:2004/05/05(水) 14:13
3

856 :名無し娘。:2004/05/05(水) 19:51
2

857 :名無し娘。:2004/05/06(木) 01:21
2

858 :名無し娘。:2004/05/07(金) 18:37
3

859 :サボリン:2004/05/08(土) 06:23
 
「愛ちゃん!、愛ちゃんどこ?」 もわもわ。

「あ、先輩、ここですよ、ここ!」 もわもわ。

「ちょっと待…」 ドシン!

「あいた!」

「…っ、、ごめん愛ちゃん、大丈夫?」

「……っ、…大丈夫です、
 よかったー、先輩と会えて、
 もう二度と会えなくなるような気がしちゃいましたよ」

そう言う愛ちゃんの笑顔が微かに見えた。
「ハハハ、大げさだなー、…じゃ行こうか」
「はい」

オレは愛ちゃんの手を握って歩き始めた。

視界はさらに悪くなり、
手を握っている愛ちゃんの顔すら見えないくらいだった。
愛ちゃんの手は緊張で少し汗ばんでいた。。と、


「…ぅっ!」 …ドサッ!


…突然愛ちゃんが小さな声をあげて転んでしまった。

「愛ちゃん、どうしたの!?」ゆさゆさ。
「…」
オレは手探りで愛ちゃんの体を抱きしめたが反応がない。
「ちょっ、大丈夫かよオイ!」ゆさゆさ!

・・・打ち所が悪かったのだろうか。…気を失ってるみたいだ。

「お、おーい藤本ォ!、愛ちゃんがコケちゃって意識不明だよォ!!」
「ァんだとォ!、…オメーが背負って連れてこいよ!」
「……わかった!」

オレは愛ちゃんをなんとか背負って歩き始めた。
視界がほとんどない霧の中で愛ちゃんを背負って歩くのはつらかった。
目隠しをされた馬になった気分だった。
 

860 :サボリン:2004/05/08(土) 06:24
 
 
ひたすら歯を食いしばって歩いていくと、ようやく霧が晴れてきた。
5分くらいしか歩いてないはずなのに随分長く感じた。


と、突然目の前に湖が、、そして神殿が、見えてきた。。

…飯田先輩の言ったとおりだ。湖の上に神殿が建っている。

パルテノン神殿みたいな造りで、大きな柱が何本も見える。

「……ついたようだな」
「…はい」「はい」「…ああ」
「ヨシ、ここは視界が悪くて危険だ、
 …とりあえず神殿の中に入るぞ!」スタスタ。

と言って藤本は歩き出す。紺野さんと絵里ちゃんも歩き出す。
・・・オイオイ、こんなアヤシイ神殿にいきなり入っちゃって大丈夫かよ。
とはいえ、湖の周りは霧だらけで、神殿の辺りだけ霧が晴れていた。
まるで神殿がオレたちを呼んでいるようだった。

藤本の後について神殿への橋を渡る。
下に見える湖の水が恐ろしく澄んでいた。
近づくにつれ、柱の一つ一つがなまめかしく光っているのが見える。

6本の大きな柱の間を通って中に入ってみると、
大きな空間に2列の柱列があってさらに奥へと続いていた。
藤本はその奥へと足を進めていく。スタスタ。
「オイ、藤本、そんな奥に入っちゃって大丈夫かよ?」スタスタ。
「なるべく死角の少ないところへ行くんだ」スタスタ。

「ここなら大丈夫だろう」ピタッ。
柱列の奥に大きな壁があり、玉座のような立派な石の椅子があった。
オレたちはその壁を背中にしてやっと歩みを止めた。

「なんか気持ち悪いね」と絵里ちゃん。
「…うん」
床も柱も硬くツルツルしていて気持ち悪い。
いやな汗が出てくる。。
 

861 :サボリン:2004/05/08(土) 06:24
 
と、はじめて背中が重いことを思い出す。

「……はっ、愛ちゃん大丈夫かな?」
オレは背中の愛ちゃんを地面に下ろした。 ズルズル。
「愛ちゃん?、愛ちゃん?」 ペチペチ。
「…」
「どうですか、高橋さんは?
 …人騒がせなヒトですねぇ、まったく」
そう言って紺野さんが様子を見に来る。

「鼻血が出てますね…」 ピトッ。
そう言って愛ちゃんの首筋を触る紺野さん。
が、紺野さんはいきなりフリーズしたように顔が固まってしまった。

「ちょっ……これは…?」 ブルブル。
「なに?…どうしたの紺野さん?」
「高橋さん、大丈夫ぅ?」絵里ちゃんも心配そうに愛ちゃんの顔をのぞく。
「…亀、…コイツ…」
「え、なになに?…どうしたの?」

「…死んでる」
「なっ、なにっ!」「ぬァんだとォ?」
「やっだー、紺野さん、こんな時に冗談…」 ピトッ。。

「ぅわぁああ!、死ンでるぅう!!」

絵里ちゃんが叫び出す。

「嘘だろォオイ!」
オレは慌てて愛ちゃんの口元に耳を寄せる。
…息をしてない。。…体も冷たい。。
ホ、ホントに死んでる、、みたいだ。。。


「○○、どういうことだ?」
「し、知るかよ、愛ちゃんはただ転んだだけで…」
「転んだだけで死んでたまりますか!」
「打ち所が悪かったンじゃねェか?」
「なんで、なんでこんなことに!?」

と、4人で騒いでいると背後から笑い声がする。。
 

862 :サボリン:2004/05/08(土) 06:25
 


「へっ、へっへっ、…カッパがオカで死んでるってェ?」


「なっ!…」カチャ。

「…まつうらさん!、いつの間にっ!」
振り向くと、まつうらさんが背後の玉座に座ってこっちをにらんでいた。

「くっ、くっ、くっ」ニヤッ。

「……っ、…松浦さん、あなたが、、殺ったんですか…」

「…ぅるせェ、金魚はすっこんでろ!!」

ヒュン!  …ドガッ!!

「くはっ!」

・・紺野さんが吹っ飛ばされて柱にぶつかった。
・・・まつうらさんは手も触れてないのに。。

「紺野さん!、大丈夫ですか!?」絵里ちゃんが駆け寄る。

・・・まつうらさん、様子が変だ。話し方も表情も別人みたいだ。。
 

863 :サボリン:2004/05/08(土) 06:26
 

「へっ、へっ、藤本ォ!、…元気にしてたかよ?」 スタッ。
「…ふっ、まぁな、オメーこそ、ずいぶんと顔色が悪いぜ」
「ちょっと頭痛がな・・・・」
「そりゃイケねーなァ、カワイイお顔がゆがんでるぜ!
 楽にしてやろうかァ、なァまつうらよォ!」 カチャ。

「へっ、そう力むなよ藤本、お前はオレの友達だろォ?
 オレはお前が土下座して謝るなら生かしてやろうと思ってんだ、
 ケツ拭きの女中として使ってやるよォ!」
「ははっ、猿の糞掃除は勘弁だぜェ!
 ……まつうらよォ、…オメーが目障りだったんだよ、
 ガキの頃から何をするのもオメーが指図しやがる、
 どこにでも出てきてボス面しやがる!!」

「へっ、お前もボスになったんだろォ、
 …あのガキ共のはき溜めでよォ!!」

「まつうらァア!!」

「"さん"をつけろよ、デコ助野郎ォ!!」

「死ィねェエエ!!!」


 ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ ! !


           ピンピンピンピンピンッ!


「なっ…」

「ハハハ、そんなオモチャでなにが"死ね"だ」 ジャリ。

「……ちくしょう」 ズズッ。
 

864 :サボリン:2004/05/08(土) 06:26
 
「そんなんでオレが殺せると思ったのかよォ、藤本ォ」
そう言って静かに人差し指を唇に添えるまつうらさん。。
「それじゃぁ、オレもママゴトに付き合ってやろうかなァ、
 オレは指鉄砲で勝負してやるよォ…、行くぞォ…」

「バンッ!」

 ドッ!!

「…痛ッ!!」 …ブシュッ!!

・・・あわわ、藤本の左腕が割れて、勢いよく血が出ている。
「…ふ、藤本ォ!」
・・・と、叫んだもののオレは足がびくついて動けなかった。。

「あっれれれれれれェ??
 このォ指鉄砲は本物みたいに効いちゃうんでちゅねェ、
 …じゃぁ、今度は右足を狙ってみようかなァ、当たるかなァ…」

「バンッ!」

「……っ…ぁっ!」 …ブシュゥゥ、ドクッ、ドクドクッ!

・・・もう藤本の体は全身が血だらけだった。見ていられない。

「ちくしょぉおお!!」スタタタタ。

オレは意を決し、体当たりをしようとまつうらさんめがけて走り出した。

「邪魔者はァ、すっこんでろ!!」 クン!

ヒュン …ドカッ!

「うわぁあっ!」
…軽くまつうらさんに吹っ飛ばされて柱に叩きつけられるオレ。。
・・・何も出来ない自分が情けない。。
 

865 :サボリン:2004/05/08(土) 06:27
 

「さァってと、次はどこを狙おうかなァ?
 へっ、安心しろォ藤本、お前だけは簡単に死なせやしねーから」

と、

「……美貴…様…」 ズズッ…

紺野さんが藤本をかばって前に立つ。

「紺…野、オメーはあっちに…」
「あーら、紺野ちゃん、まーだ生きてたの〜?
 どいてくれるかなァ?、それとも先に死にたいの?」
「……」
大きな目を見開いてまつうらさんをジッと見つめる紺野さん。
「ねぇ、紺野ちゃん、どいてよ?」
「……」
黙って唇を噛む紺野さん。

「ねぇ、どいてくれたら私の部下にしてあげるよ?」

 プッ!

「……っ!」
紺野さんがまつうらさんの顔に唾を吐きかけた。

「紺野…」
「美貴様…」
 

866 :サボリン:2004/05/08(土) 06:28
 

「・・っ・・・!」

「・・・どけっつってんだろ、こん出目金がァ!」


    バ カ ッ !!


 …頭から血を四方に吹いて紺野さんが後ろに倒れ込む。

それを抱え込む藤本。

「紺野ォオ!ォオ!」 ・・・グチャ。

「うわぁああ!!」…ガクガクブルブル。

・・・紺野さんの頭が割れてる。。・・・震えが止まらない。。
紺野さんの頭を抱く藤本のまわりはもう、二人の血でぐちゃぐちゃだった。

「はァ、はァッ、…まつうらァ、貴様ァ…」

「…藤本、手前も逝っちまえ!」

そう言って人差し指を藤本に向けるまつうらさん。


 ドンッ!


 

867 :サボリン:2004/05/08(土) 06:29
 
「…?、・・・くはっ!」

まつうらさんの背後に見える人影。。絵里ちゃん!!

絵里ちゃんが背後からナイフをまつうらさんの背中に刺していた。

「はぁっ、はあっ!」

「よくやったァ、亀ェエッ!」
「え、死んだ?死んだ?」

「…ハハ、これくらいで死ぬわけがないだろゥ、亀ちゃんよォ」 グググッ。
後ろに手を伸ばして絵里ちゃんの腕をつかんでナイフを引き抜くまつうらさん。

「…ぁっ!」 ググッ、、スポッ。

まつうらさんが絵里ちゃんのナイフを奪い取る。

「わっからねーのかなァ…」 クルッ…

と、振り返って絵里ちゃんの肩をつかむ。 ググッ。


「雑魚はァ…、、おとなしく死んでろってェ!!」

 ズ ド ッ !!

「ああっ!!」

絵里ちゃんのみぞおちから心臓の方へ一気にナイフが突き刺さる。

「……痛い、痛いよ○○っ…」 グリグリッ。

「絵里ちゃん!!」スタタ。

「○○、手前もこうなりたくなかったらおとなしくしてろォ、
 ・・・・ほらよっ!」

 ズ バ ッ ト !!

まつうらさんが勢いよくナイフを引き抜き、
絵里ちゃんが背中から倒れるのをオレは急いで受け止めた。ドサッ。
 

868 :サボリン:2004/05/08(土) 06:29
 
「・・・ああぁ、絵里ちゃん、絵里ちゃん・・・」
「○○、絵里…がんばった?…え、偉い?」 ドクドク。
「がんばった、わかったからもうしゃべるな!」
絵里ちゃんの腹からどんどん血が流れてくる。 ドクドクッ。
オレは血を止めようと腹を押さえるが、指の間からなおも血が出てくる。

「止まらねェ、止まらねェよォ、絵里ちゃ…」
「○○、最後に…絵里にキス…して…
 絵里は○○のこと、…ホントに好きだったんだよ…」
「うん、オレだって…」

そう言ってオレはやさしく絵里ちゃんにキスをした。。


 …頭を上げてみると、絵里ちゃんは目を閉じて動かなくなっていた。

「……っ、絵里ちゃァん!!、
 ……ぅぅ、…絵里ちゃ……絵里ちゃ…ん…」

オレは冷たくなり始めた絵里ちゃんを抱きしめたまま崩れ落ちた。

「へっ、メロドラマじゃねーんだよォ!」 クルッ…

「さぁてと、どうする?、藤本?
 残ったのはお前だけだぜェ!」 ザザッ。
そう言って藤本の方に歩いていくまつうらさん。
 

869 :サボリン:2004/05/08(土) 06:30
 
「はァ、…はァッ、
 …殺るなら、…早く殺らねーかこの猿!」

「ふふ、まだ元気が残ってるようね」 ぐいっ。
と、藤本のアゴを持って顔を上げさせる。
ギラッと、もの凄い形相でにらみつける藤本。

「…その眼だよォ、
 オレはその眼が気に入らなかったんだよ藤本ォ、
 そのナイフで切ったような眼、人を刺すような眼、
 その鋭さだけはお前の勝ちだよなァ藤本」 チャカ。

「はあッ、…はぁッ、
 …ふっ、…勝ちとか…負けとか、
 …オメーは全然…成長してねーな猿」

「…へっ、テメェもちったァ頭下げることを覚えたら…」 ススッ…

「…どォなンだよォオ!!」


  ス ラ ー ッ シ ュ !!


「うわぁあああっ!!」 ブシュッ!


藤本が眼を押さえて体をよじらせる。

・・・眼をナイフでやられたらしい。
 

870 :サボリン:2004/05/08(土) 06:31
 

「あぁ!、…たん、…美貴たん!
 …どうしたの?、…かわいそうに、、
 …私、…なんてことをしてしまったの」ガクガク。

「・・・・なァ、藤本よォ、お前だけなんだよ、
 オレを対等に見てくれたのは、頭を下げなかったのは…」 シクシク。

「・・・・オレぁ、嬉しかったんだぜェ、
 お前と友達になれて、、だからよォ、藤本、
 お前さえ居ればいい、もう一度二人でやりなおさないかァ?」

「ねぇ?、…美貴たん?」


「…あ、亜弥ちゃん…」

スッと、まつうらさんに手を伸ばす藤本。

「…?、……たん!?」 スス…

「…亜弥ちゃ…」

「…たん!」


「…、……ィねッ」 ブン!!


 ズ バ ッ ! !


「…痛ッ!!」 ビッ!

藤本のナイフがまつうらさんの頬を切った。

「…ちくしょう、はずれたのか!?」
 

871 :サボリン:2004/05/08(土) 06:32
 


 「うぅるるるうぅぁぁああぁっ!!」


「…藤本ォオッ、今度こそ死ねェエ!」

 ブ ス ッ !

「……ッ!!」

「死ィねェッ、死ね死ねェエッ!」

 ブ ス ッ、、ブ ス ブ ス ッ !!

「…ッ、…っ、…ぉぁぁああぁっ!」

藤本の腹にナイフを刺しまくるまつうらさん。。

「やめろォオ!、まつうらさんやめてくれッ!
 なぜここまでしなきゃいけないんだよォオ!
 友達…友達だったんだろォ、藤本とはッ!!」


「…まァだ懲りねーのか○○、ならテメエから先に潰してやるぜ!」

頬を押さえたまままつうらさんがゆっくりと歩いて近づいてくる。

スタッ、スタッ、

はあっ、はぁっ、はぁっ、

ちくしょう、死んでやる、派手に死んでやるさ、

オレは絵里ちゃんを抱いたまま銃に手を伸ばした。

ドクン、ドクン、ドクン、

ドクッ、ドクンドクン、ドクドクン、、

 

872 :サボリン:2004/05/08(土) 06:32
 




「…ぁぅ〜」





「ん?」


「誰だっ!?」




「…ぃぁ〜?」





「さ、さゆみちゃん!」


まつうらさんの後ろの柱からさゆみちゃんが見える。

生きてた!…やっぱり生きてたんだっ!!

白いドレスに腰まで伸びた髪。。…まるで天使みたいだった。。
 

873 :サボリン:2004/05/08(土) 06:33
 

「…へっ、ついに出てきやがったなァ、化け物め!」


「…ぁぅ〜!」
嬉しそうな顔をしてオレに近づいてくるさゆみちゃん。

「あ、ダメだ、こっちに来ちゃ!!」

「死ねェっ!」

 ヒュン、ドガッ!!

「…ぁぅ!」 ガラガラガラッ……。

柱に叩きつけられるさゆみちゃん。

「さゆみちゃん、大丈夫!?」
オレは動こうとしたが絵里ちゃんを抱えてるせいか、
腰が抜けたのか、起きあがることができない。

「みんなで派手に逝こうじゃねーかァ?
 あ?、さゆみんよ、もう一度アレを頼むぜ!」 カチャ。
そう言って機関銃を構えるまつうらさん。

「逃げろっ、さゆみちゃん、逃げろォ!!」

「…ぃぁ?」

「試しに死んでみろっ!」

  ズ ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ッ !

「…ぁぅ!…ぁぅ!…ぁ!…ぅ!…ぅぁ!…ぁぅぉぅ!」

さゆみちゃんの胸に何発も銃弾が撃ち込まれる。

…ああ、、さゆみちゃん、さゆみちゃんまで死んじゃうのかよぉぉ・・・
 

874 :サボリン:2004/05/08(土) 06:34
 


「…ぁぅー!!!」


・・・あ、あれ?

さゆみちゃんは柱の前に元気に立っていた。
撃たれたはずの傷はたちまちのうちに癒えていた。

「……<っ、このォ、化け物がァ、
 …死ねェ、死ねェ、死ね死ねェ!」

 ド ン! ド ン!  ド ン! ド ン!

が、銃弾はさゆみちゃんの体を避けるように緩やかにそれていった。

「…ぁぅ〜」

頬を膨らませてまつうらさんをにらむさゆみちゃん。

「へっ、なんだよその眼はァ、オレとやろうってぇの…」


   フッ


                 ・ ・ ・ ・ ・ ド サ ッ。


な、なんだ?

まつうらさんがいきなり倒れたぞ。。
・・・さゆみちゃんは遠くからフッと息を吹きかけただけなのに。。
 

875 :サボリン:2004/05/08(土) 06:35
 
「…ぁぅ〜!!」 スタタタ。
何事もなかったかのように笑顔でさゆみちゃんが抱きついてくる。

「わっ、ちょっと待て、さゆみちゃん
 今、それどころじゃないんだっ!」
オレはなんとか立ち上がって藤本の方に向かった。

藤本のそばに行って頬を叩く。ペチペチ。
「藤本ォ!、大丈夫か藤……」

  ガ ッ ク シ … 。

藤本は既に息絶えていた。。

な、なんてことだ。
愛ちゃんも紺野さんも絵里ちゃんも藤本も死んじまって、
オレだけがおめおめと生きながらえているなんて。
なんで助けられなかったんだ。せめて誰か一人でも。。

オレは自分の情けなさに悲しくなって、声も出さずに泣き崩れた。

「…ぁぅ〜」 ピトッ。
なぐさめるようにオレの背中に抱きついてくるさゆみちゃん。
「・・・さゆみちゃん、、」

 

876 :サボリン:2004/05/08(土) 06:36
 
と、

「さゆみィ、どうしたァ、さゆみィ!」
・・・聞き覚えのない声がする。
と、背の高い女の子が一人、柱の向こうから現れた。。

「あっ、良かったさゆみ、居たか、…ってオイ!
 ……なんだよこの惨状はァ、ひでーじゃねーかよォ」
「…ぃぁ〜」

「おーい、えりかァ、さゆみは見つかったかァ?」
と、反対側からもう一人、スラッとした女の子が現れる。
「…ぃぁ〜」

「おー矢島、ここだここだ、いたことはいたんだが…」
「……オイオイ、えりかァ、どうしたよォ、もめ事かァ?」
「…さぁな、…って、あれ?
 …矢島ァ、…コイツらひょっとして、
 メグミ様が言ってた例の母体候補のヤツらじゃねーかァ?」
「…あ、ホントだ、さゆみの主もいるし、間違いねー」
「…矢島、ヤヴァすぎだぞコリャ、
 オレらの担当期間に母体がそろって全滅しちゃったらよォ!」
「…えりか、こりゃメグミ様に半殺しにされかねねーぞォ」
「…矢島、まだ間に合う、証拠隠滅だっ!
 なんとかして生き返らすんだッ、事態は急を要する!」
「わかった、やってみよう、って、どいつをやるんだ?」
「…それは、、主にきいてみるしかねーだろ、
 結局最後に選ぶのは主なんだからよォ!」
「そうだな、えりか、…じゃぁ○○だっけ、
 とりあえず二人選んでくれよ、
 オレらで一人ずつ、頑張って生き返らすからよ」

と、最後にいきなりオレにふってきた。
 

877 :サボリン:2004/05/08(土) 06:37
 
「ちょっと待て、オマエラなにもんだよ?
 話が見えねーよっ!」

「いいからはやく二人選べよっ!」
「早くしないとホントに死んじゃうぞっ!」

「二人だけ選べなんて無理だよっ、
 ていうか、ホントに生き返るのかよ!」

「生き返らせてやるから!」
「早く選べ!」


そんな、、ホントに生き返るなら、、

二人だけ選ぶなんてつらすぎるけど、でも、

せめて二人だけでも生き返って欲しいってのが正直な気持ちかも。。

だ、誰を生き返らせてもらおうか。。





【以下の中から、2人選んでください】


  愛ちゃん  紺野さん  絵里ちゃん  藤本


 

878 :名無し娘。:2004/05/08(土) 10:47
藤本 絵里ちゃん

879 :名無し娘。:2004/05/09(日) 01:15
AKIRA懐かしいなAKIRA

絵里ちゃん、藤本…かな。

880 :名無し娘。:2004/05/09(日) 01:18
紺野さん、絵里ちゃん

881 :名無し娘。:2004/05/09(日) 06:49
紺野さん  藤本

882 :名無し娘。:2004/05/09(日) 13:05
絵里ちゃん 愛ちゃん

883 :名無し娘。:2004/05/09(日) 22:33
絵里ちゃん  藤本

884 :サボリン:2004/05/10(月) 15:21
容量的につらいんで新スレ立てました。

ときめきモーニング Act.2
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1084169254/

でも更新は先です。
今回までの投票はこっちでやって下さい。ではまた。

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0ch BBS 2006-02-27