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ときめきモーニング

1 :サボテン:2003/09/10 15:13:57
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1 春
2 夏
3 秋
4 冬

601 :サボリン:2004/01/25(日) 09:27
 
って、…あ、…ヤヴァイ……ドアの前で愛ちゃんが硬直している。
「……セ…ンパイ、誰なんですかァ、…この子はァ!?」
「…あ、だから、長いと話すことに…」
「…先輩と誰かが仲良くしている姿なんて・・・見たくない」
愛ちゃんは下を向いたまま握り拳をつくってブルブル震えていた。
「だから違うんだって、落ち着けって」
オレは立ち上がって愛ちゃんに近づこうとしたがさゆみちゃんが離さない。
「……ぃぁ?」ぴとっ。
「さゆみちゃん、ちょっと離して、いい子だから」なでなで。
「……ぁぁ!」ぎゅっ。
「なにが違うんですかァ!」
「…あわわ」
「さっきのブラジャーもこの子のために買ったんですか!?」
「違うって!、ほら、黒は愛ちゃんに、ベージュはさゆみちゃんにと
 ちゃんと二つ買ってあったのだ!」じゃ〜ん。
「…あっしはついでですか、
 …先輩には失望しました、…あっし、帰ります」
「待って、オレ、今なら行けるから、
 愛ちゃん、これから逃げよう、海外に!」
「……ホントですか?…一緒に来てくれるんですか?」
「もちろんだよ、3人で逃げよう!」
「・・・3人って…」
「…いや、この子はアフォの子なんだ、
 身よりのない、かわいそうな子なんだ、
 だから一緒につれてってあげよう、他意はない!」
「…ホントですか?」
「うん、…とにかく落ち着いて、座って話そう」
「…はい」
 

602 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
 
オレは愛ちゃんを椅子に座らせて
やんわりとごまかしながら、今までのことを話し、
愛ちゃんもオレもさゆみちゃんも追われる身なのだから
3人で逃げようと話し、愛ちゃんを納得させた。

「…わかりました、それじゃ善は急げです、今から行きましょう」
「うん、ありがとう、愛ちゃん!
 っと、じゃ、さゆみちゃんを着替えさせなきゃだ
 ほら、さゆみちゃん、それオレのだから脱いで」
「……ぃぁ?」
さゆみちゃんの来てた上着のボタンに手を伸ばすと、パシッ!
「いてっ」
「なにしてんですかぁ、先輩、あっしがやりますよ、
 …先輩はそこにいてください!!」
愛ちゃんはさゆみちゃんを連れてバスルームに入っていく。
「…はい」


・・

「……ぁぁ!」
愛ちゃんに着替えさせてもらって、さゆみちゃんが出てきた。
「良かったねぇ、さゆみちゃん、かわいいよ、すごく似合ってる」
「……ぁぁ!」ぴとっ。
さゆみちゃんがまた抱きついて来た。
「…さてと、…愛ちゃん、行こうか」
「……はい」

ホテルを出てタクシーを拾って3人で乗り込む。
さゆみちゃんを先に乗せて、オレが真ん中に座り、
最後に愛ちゃんが乗ってきた。
「あ、おじさん、
 ××区のモーニング高校までお願いします」と愛ちゃん。
「あい、どうも〜」ブォーンと車が走り出す。

「…愛ちゃん、学校に行くの?」
「そうです、例のアレ、学校に隠してあるんです」
「あ、そうなんだ、…でも、なんで学校なんかに?」
「あっししか知らない秘密の場所があるんです、
 そこが一番安全かなと思って」
「…そうか」
と、コクリコクリとさゆみちゃんが眠り始めて
オレの肩に寄りかかってきた。ぴとっ。
「……」じろっ。
「…あわわ」
「ふん!」
愛ちゃんはぴょんと髪をなびかせて窓の方を向いてしまった。
 

603 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
 
学校に着いてみると午後2時だった。
土曜日でも部活に来ていた人が結構いたみたいで
玄関で帰り際の何人かとすれ違った。
1階の廊下では保田のおばちゃんが店の後かたづけをしていた。
「あら、□□くん、今頃学校に何の用だね?」
「こんにちわ、いや、ちょっと忘れ物をとりに」
「そうかい、そうだ、焼きそばパンでも買わないかい?
 半額にしておくよ、あとサンドウィッチも残ってるよ?」
「あ、いや、今お腹一杯なんで、じゃまた」
売れ残りを処分しようと必死な保田のおばちゃんを残して
3人で音楽室に向かった。

音楽室に着くと、愛ちゃんがドライバーを持って
アップライトピアノに向かって、ガコンガコン言わせながら作業を始めた。
「……っと、…よっしゃ!」ゴトン!
ピアノの板をはずし、下部の奥の方に顔を突っ込んで、
愛ちゃんが次々と札束を出してくる。
ドサッ、バサッ。
「先輩、なにぼーっとしてるんですか、
 あっしのあのバッグにどんどん入れてください!」
「…はい」よいしょっと。
「……ぁぅ?」パサッ。
さゆみちゃんが札束に興味を示して遊び始めたので
取り上げて、急いで他の札束も拾ってバッグに詰め込んだ。
 

604 :サボリン:2004/01/25(日) 09:29
 
と、その時、

パリパリンッ!! ドサッ!

いきなり窓ガラスが割れて誰かが入ってきた。

「ハァッ、ハァッ」 ……中澤先生(と矢口先輩)だ。。
…二人とも、まだ幼児体と小人のままだ。。
「なっ、□□やないか!、何やってるンやこんなとこでェ!」
「…ゆゆたん、それはこっちのセリ…」
「…おい!豚ァ!こっちだよイモ豚ァ!早く来い!
 トントントロトロやってんじゃねェよ豚ァ!」と矢口先輩が叫ぶと
「はぁ、はぁ、豚豚うるさいべ、このフンコロガシめ!
 なっちはあんたらと違ってちゃんとした人間なんだべ」
と言いながら安倍先輩が入ってきた。どすどす。
「あれぇ、□□くん、こんなとこで何やってるんだべさ?」
「いや、だから…」

ガコンガコン! ドサッ、バサッ。

「先輩?なにやってるんですかぁ?どんどん入れてくださいよ!」
…愛ちゃんが札束をどんどん放り投げてくる。ドサッ、バサッ。
…ピアノに頭を突っ込んでいて中澤先生たちに気づかないみたいだ。
「……ぁぅ〜」パサッ。
「なんや?、このガキ、
 ・・・・ていうか、この札束は…なんなんや?」
…中澤先生が愛ちゃんの投げてきた札束を手にする。

「いや、あの〜」
「……あそこでピアノに頭突っ込んでるアホは誰や?」
「いや、その〜」
「先輩、これで終わりです」ドサッ、バサッ。
「…もう、なにやってるんすかぁ、先輩!?」
ついに愛ちゃんがピアノから頭を出してきた。
「あっ!」
「…高橋?」
「……」
 

605 :サボリン:2004/01/25(日) 09:30
 
「・・・なぁ、ヤグチぃ、
 ウチ、今、なんかえらいイヤーな考えが浮かんだんやけど?」
「・・・おいらも」
そう言って二人は持っていたバッグを見つめる。
あのとき温泉で中澤先生が奪っていったバッグだ。。
「二人とも、なにやってるべ、早く隠れるべ!」
「豚は黙ってろォ!」
そう言って、矢口先輩がバッグに手を伸ばしチャックを開ける。ジジジジ。
「な、なんじゃこりゃあ!」バサッ、ドサッ。
「……キ、キモイ宝塚のブロマイドだらけやないかァ!
 ……高橋、ウチを騙したなァ!!」
「ふん、騙したもなにもないですよ、
 中澤先生が勝手にバッグとって勝手に逃げただけじゃないですか!
 さ、そのお金返してください」と言って愛ちゃんが中澤先生に近づく。

「やかましかァ!!」バシッ、と中澤先生が愛ちゃんの手を振り払う。
「ワレ!、ウチらがこの一日、どんな目にあったか知っとるんかァ?
 死ぬ思いで逃げ続けたこの一日は一体なんだったんじゃァ?
 …よこせェっ、それはウチの金やっ!」
「何言い出すんですかね、このオバハンはぁ〜
 なんですかぁ、やる気ですかぁ、そんな体であっしと勝負しますかァ!」
「ちょっと待て二人とも! 落ち着いて話し合おう!」
「話し合いもなにもないですよ、先輩!
 どう考えても中澤先生は部外者ですから!」
「…いや、そうなんだけど」
「……ぁぅ〜ぁ」パサパサッ。
「あれぇ、このかわいい子は誰だべ?」
安倍先輩がさゆみちゃんをなでなでしている。。
「……ぁぅ〜」ぴとっ。さゆみちゃんが安倍先輩に抱きつく。
「かわいいなぁ、ねぇ、□□くん、なんて言うのこの子?」なでなで。
「あ、安倍先輩、この状況で混乱するからやめてよ」

「…わかりました、確かにこの一日は加護さんから目をそらしてもらって
 あっしも助かりました。その100万はあげますから、それでいいですか?」
「っざけんなァ! 100万やてぇ?
 ウチらの生死を賭けた逃亡劇が100万やて?
 へっ、安く見られたモンや!」
「じゃ、いくら欲しいんですかぁ?」
「せやからな、高橋、ワレはまだコーコーセーやろぉ?
 ウチに全額預けとき」
「ふざけないでくださいよォ、
 あっしはあくまでも平和的に解決させようとしてるのに!」
「…そうだよ、裕ちゃん、ここは折半で折れたら?」と矢口先輩。
「せやな、じゃ、半額で我慢してやろ、2500万や、どや?」
「だからァ、なんでそんな理屈になるんですかァ!?
 このお金はもともとあっしのお金なんですよォ?」
 

606 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
 
と、その時、窓の外に人影が。。
「はっはっはっ、タカハスィイッ!
 そん金がワレの金やてェえ!?…随分な言い分やないかァ〜!」

「か、か、か加護ちゃん!」「…加護さん」

「くそォ…」ゴソッ、ダダダッ!
中澤先生が落ちていた札束を持てるだけつかんで走り出す。
「無駄れす!」ガラガラッ。
前のドアから辻ちゃんが出てきた。
「ちくしょう!」ダダダッ!
中澤先生は、今度は後ろのドアに向かって走り出す。
「無駄よっ!」ガラガラッ。
石川さんが後ろのドアから出てきた。
…石川さんがすっかり加護ちゃん側についているとは。。

「くそォ…」と立ちすくむ中澤先生。

と、加護ちゃんがゆっくりと音楽室に入ってきて、
日本刀を片手にキリリとリリしく立ちはだかった。。

「ふう、…さぁてと、この茶番もこれにて終劇やァ!
 タカハシもようやった、年増も虫も豚もようやった、
 …みんな仲良う死んでくれやァ」カチャ。
日本刀を構えてギラッと細い目を光らせる加護ちゃん。。

「ままま、待ってくれ加護ちゃん!
 学校の音楽室を血の海にするつもりかよっ!?
 落ち着いて、落ち着いて話し合おう!」オレは必死に止めに入った。
「話し合いもなにもあらへん、
 兄さんも知っとろーがぁ、それはもともとうちの金や、
 うちが計画し、うちが斉藤さんと交渉してもらった金や!」
「なに言ってるんですか!!
 火葬場に乗り込んで焼かれる寸前のダニエルさんの遺体を運び去り、
 ハラワタ切ってシャブ取り出したのは全部あっしとミカさんじゃないすか!」
「うちの命令でなァ!」
「あっしはここで加護さんに手刀食らって放置された時に決心したんです!
 もう加護さんには従いません!」
「へっ、従うもなにも、ワレはもうすぐ死ぬんや!」
「待って!…エキちゃん、今ならまだ間に合うわ!
 加護ちゃんに土下座して謝りなさい、そしたら許してもらえるわよ!」
と石川さんが割ってはいる。
「…ビーナス姉さんこそ、加護さんの怖さを知らないんです、
 ボロボロにされて東南アジアに売られても知りませんよっ!
 その黒さじゃぁ現地人と見分けがつきませんからねェ!」
そう言って愛ちゃんはドライバーを持つ手に力を入れる。
 

607 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
 
「ちょっと待てやっ、□□の言うとおり、ここは学校や!
 人もまだ外におる、ここで殺りあうのは無理や、ひとまず落ち着こうや」
中澤先生も事態を重く見たのか、止めに入った。
「へっ、どうしたんや年増、怖じ気づいたんかァ?」
「…いや、そうやないんやが、
 …そもそも、このガキはなんなんや?
 それと、□□は一体どっちの味方なんや?
 そこをまずはっきりさせようやなかぁ?」
「…そうやな、兄さん、兄さんは元はと言えば
 うちらの仲間やったんやないか、兄さんはどう思う?
 こん金は誰のもんやと思うかぁ?」
「…そんなこと言われても」

「□□くん、梨華たちの味方でしょ?
 もともと梨華たちと一緒にそのお金を手に入れたんじゃん
 エキちゃんなんかほっといて、梨華たちと一緒に行こうよ!」
…石川さんがまた口を出す。
「…え、…あ、うん」
……行くってどこへ??

「□□くん、部長命令だべ、なっちと一緒に派手に行くべ!」なでなで。
「……ぁぅぁーぁ!」ぴとっ。
…ん?…安倍先輩はさゆみちゃんをすっかり手なずけていた。。
「そうだよ○○、おいらと○○はつきあってるんだぞ、忘れたのか?」
…矢口先輩まで出てきた。
「…ぁああ、そ、そうだったっけ?」

「……先輩」
そして愛ちゃんが不安そうな顔でオレを見つめる。。

……どうしようか。




1 あの金はもともとは加護ちゃんのだから、加護ちゃんたちの味方をする。
2 大人に任せた方がいい、中澤先生たちの味方をする。
3 愛ちゃんを裏切れない、愛ちゃんの味方をする。
4 誰の味方もできない。
 

608 :名無し娘。:2004/01/25(日) 12:49
3

609 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:21
4

610 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:30
3

611 :名無し娘。:2004/01/25(日) 21:21
4

612 :MONIX ◆h6RjqrC4Ko :2004/01/26(月) 01:26
3

613 :名無し娘。:2004/01/27(火) 01:12
4

614 :名無し娘。 :2004/01/27(火) 07:47
3

615 :名無し娘。 :2004/01/28(水) 17:55
3

616 :名無し娘。:2004/01/28(水) 18:13
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です

617 :名無し娘。:2004/01/28(水) 19:28
4

618 :名無し娘。:2004/01/29(木) 00:01
3

619 :名無し娘。:2004/01/29(木) 01:01
4

620 :名無し娘。:2004/01/29(木) 03:52
3

621 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:40


622 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:44
4

623 :名無し娘。:2004/01/30(金) 12:17
3

624 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:05
3

625 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:06
3-9
4-6

626 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:42


627 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
 
「オレは……愛ちゃんの味方だ!」
「…そうかぁ、それは残念やなァ
 …兄さんもアホやなぁ、うちらの味方をしとれば
 死なずにすんだのになァ!」
と、加護ちゃんが近づいてきて刀を構える。カチャ。
「…あわわ、いや、オレは、愛ちゃんの味方だけど
 何も加護ちゃんの邪魔をするつもりは、サラサラなく…」
「やかましかァ!…おんなじことや!
 見せしめに兄さんから殺ったるわい!」
と、加護ちゃんが日本刀を振りかぶる。ブワッ。

「やめれぇェ!!」ひゅん、ズドッ!!
・・・加護ちゃんの右脇にドライバーが突き刺さった。

「くはっ!」・・・・ボトッ。

青黒い血をトロリと引きずってドライバーはすぐに落ちた。

「うわぁああっ!!」

加護ちゃんが右肩を押さえて転げ回る。
「うぉぉおおおっ!!」
「あいう゛ぉーん!!」
辻ちゃんが慌てて駆け寄って抱き起こす。
「うぉおお!」
「…卑怯れすっ、針痕を狙うなんて!」
よく見ると、脇の下、注射針の痕が青く残ってるところから血が出ていた。

「先輩ッ!、今のうちです、逃げましょう!」
「…うん」
 

628 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
 
と、横では、中澤先生が札束を持ったまま呆然と見ていたが、
「…ぉぉぉお、りゃッ!!」ドッ!
「はうあ!」・・・ドドッ、ゴロゴロ、ゴロッ、ドガッ!!
愛ちゃんの蹴りが頭部に見事に決まり、
中澤先生は宙を浮いて床に落ち、
トイレットペーパーみたいにゴロゴロ転がって
壁にぶつかって動かなくなっていた。
よく見ると、ついでに矢口先輩まで吹っ飛んでいて気絶していた。

「先輩、早く!、残りは捨て置きましょう!」
愛ちゃんはバッグを持って窓を出て校庭の方に走り出した。

「…待って、さゆみちゃんが!」

さゆみちゃんを連れて行こうとして後ろを振り返ると
安倍先輩と石川さんが争って、残りの札束を奪い合っている。
「なっちにわたすべ!」
「いやっ、梨華の〜!」
・・・司令塔を失ってどちらのチームも壊滅状態だ。


オレはさゆみちゃんの手をひいて校庭に向かった。

「はぁっ、はぁっ、さゆみちゃん、急いで」
「……ぁぅ〜」


裏門の前の木の影に隠れて愛ちゃんが待っているのが見える。
(先輩!こっちです!)と愛ちゃんが手招きをする。
「…うん」
後ろを振り返ると、
辻ちゃんが、その後ろから加護ちゃんが追いかけてくるのが見える。
・・・もう回復したのか。。はぁっ、はぁっ。
 

629 :サボリン:2004/01/31(土) 22:48
 
と、どこからともなく、…ヘリの音がする。

バダバダバダバダバダバダバダバダ。

・・・随分大きい音だ。近いぞ。・・おかしいな、こんな街中で、、
どこにいるんだ?? きょろきょろ。はぁっ、はぁっ。

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

「うわぁっ!!」

・・・ヘリは真上にいた。・・・しかも軍用だぞこりゃ。
…オレは思わず立ち止まってしまった。と、

「先輩っ、大丈夫ですかっ!?」
愛ちゃんが心配して近づいてくる。あっ、ダメだっ、出てきちゃ!!

「…ってりゃっ!」ドガッ!!
「くっ!」ベチャ。

追いついた辻ちゃんの跳び蹴りを食らって愛ちゃんが倒れた。

「愛ちゃんっ!!」

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

愛ちゃんは辻ちゃんの下敷きになって頭を押さえられていた。
「ようやったァ、ののォオ!!」
左手に日本刀を持って加護ちゃんが愛ちゃんに近づいていく。

バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!

ヒュウウウウウウゥゥゥ!

・・・ヘリが、どんどん近づいてくる。・・・なんなんだっ??
辺りはヘリの突風で砂嵐が起きていてよく見えない。
かろうじて加護ちゃんの後ろ姿が見える。

「ちょっと待て、加護ちゃん!
 …この、このヘリはなンなんだよォ!!」バダバダバダバダ。
「ンなこと知ったこっちャねェ!
 タカハシッ、今度こそ死ねやッ」カチャ。バダバダバダバダ。
「やめろォオ!」ドシッ。バダバダバダバダ。
オレは加護ちゃんに背後からしがみついて左手をつかんだ。バダバダバダバダ。
 

630 :サボリン:2004/01/31(土) 22:49
 
と、ヘリからひゅるんっとヒモが下ろされ、人が3人振ってくる。
ひゅるるぅ。ひゅるる〜。ひゅるるるぅ。バダバダバダバダ。

「離せェ!コイツだけは殺らんと気がすまんのじゃァ!」バダバダバダ。
「頼む、よしてくれ」バダバダバダバダ。
「……ぁぅ〜!」


と、後ろから声がする。

「腹這いになり、手足を広げろ!」

気がつくと、オレたちは機関銃を持った3人に囲まれていた。
誰なんだ?ゴーグルをしていて顔がよく見えない。

「なんやァ、あんたらはァ!」と加護ちゃん。

「腹這いになり、手足を広げろ!」ズドドドドドッ!

「うわぁ!」
「……ぁぅ!」
威嚇射撃だろうか、足下に向かって銃を撃ってきた。
「…わたたたた、なんなんやァ!」

「…ん?…ハゲ?
 ハゲじゃねーか、なにやってンだよォ、こんなとこでェ!」
と、一人が金髪の髪を振り払ってゴーグルをはずす。…斉藤さんだ。。

「…斉藤?、斉藤ゥやないかァ!?
 てめェこそ、ンなとこでなにやってンじゃァ!!」
「ハゲ、オマエに用はない、おとなしく去れ!!」
「こっちも手前なんかにゃ用はねーんだよォ!
 これは内輪の争いや、口出しせんでもらいてーわァ!」
「ハゲ、相変わらすオマエは度量が狭いのう、
 まだそんなチンカスみたいな金で奔走してんのかぁ?」
「やかましかァ!ほっとけやッ!」
 

631 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
 
「……仕方あるまい…マサオ、シヴァ、…やれ」
「はっ」スタタタ。 「はっ」スタタタ。

 ガッ! ガッッ!

「うっ」ドサッ。 「くはっ」ドサッ。

銃の台尻を腹や頭に食らって辻ちゃんと加護ちゃんが倒れる。
すかさずマサオさんと柴ちゃんが二人の背後にまわり、
腕を後ろにまわさせて手錠を絞める。ガチャ。ガチャ。

「いてーのれす!のんの腕はそっちにはまわらねーのれす!」
「なんやァ、ひでーやないかァ、なんもしてへんにィ!」

なんて、ボーっと見ていたら、ガッ!
「くっ!」
斉藤さんの一撃がオレの腹に。。・・・バタン。
オレも腕を背後にまわされ、手錠をかけられてしまった。ガチャ。うぅ…。
「ったく、世話を焼かせるぜェ」
そう言って斉藤さんがさゆみちゃんに近づき髪をつかんで顔をあげさせる。
「……ぁぅ!」
「やめろォ!さゆみちゃんに傷ひとつでもつけて見ろォ!
 ぶっ殺してやるからなァ!」…オレは倒れたまま叫んだ。
「…良く理解してないようだな…
 オマエは今、亜弥様のお情けで生きていられるんだぞ」バダバダバダバダ。

ダバダバダバダッ…ヒュンヒュンヒュンヒュン、ヒュゥゥウウウ。

気づくとヘリが校庭に着地しているところだった。
と、ヘリの中からみうなが出てくる。スタタタ。
「みうな、さゆみんを頼んだ、慎重に扱えよ」
「はい」
みうなはさゆみちゃんをガシッとつかんで逃げないようにする。
「……ぁぅ〜ぁ!」
「さゆみちゃん、大丈夫!?」
オレが立ち上がってさゆみちゃんに近づこうとすると、ドガッ!
「くはっ!」 …またもや斉藤さんの台尻がオレの腹に。。
「□□とか言ったなぁ、おとなしくしてねェと殺すぞォ!」
「くぅ…」
そう言い放って斉藤さんはヘリの方に近づく。
 

632 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
 
と、ヘリの中から着ぐるみを着た人物が2人現れる。

「ぴょぴょぴょんぴょ〜んのあやぴょんなのだ!」
「めめめのめぇ〜の みきう〜るナリ!」

・・・ピンクのうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんと
ブルーの羊の着ぐるみを着た、、藤本だ。。
・・・なんて場違いな格好なんだ。てうか藤本の様子が変だ。

「藤本!オイ!藤本ォ!どうしたんだァ!」

「あやぴょ〜ん、あそこで叫んでる人、怖いメェ〜」
「みきう〜る、ここで待ってるぴょん、
 あやぴょん、すぐに用事すませて帰ってくるぴょん」
そう言ってうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんがこっちに近づいてくる。

ぴょん、ぴょん。

「…あわわ」…なんだか怖い。。


と、裏門から爆音をあげてバイクが2台、やってくる。

ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!
            ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!

シィィィイイイ ズザザザザザザァァア!!
               ズザザザザザザァア  ドフン!!

バイクが2台向き合って、真一文字に横になり急制動して止まった。

「美貴様ッ!」スタタタッ。
後席から下りてきたのは、紺野さんだった。
絵里ちゃんが運転席から下りてきて、
あさみちゃんとまいちゃんも下りてきた。ジャリ。スタッ。
…紺野さんとまいちゃんは包帯をしている。
…ケガは大丈夫だったんだろうか??
 

633 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
 
「紺野ォ!下手なマネすると、
 コイツがどうなっても知らねェぜッ!」カチャ。
そう言って斉藤さんが藤本の頭をつかんで銃を突きつける。
「メェ〜、怖いメェ〜」
「美貴様ァ!どうなされたんですかァ!美貴様ァ!」と叫ぶ紺野さん。
「へっ、コイツはもう赤子同然よ
 デスニーランドで亜弥様の術中に落ちたんじゃ!」
「メェ〜、メェ〜」
「…な、なんということを、、
 帝王にあるまじき情けないお姿、…おいたわしい、、
 …美貴様、そのようなお姿をこの紺野、見たくはございません!
 美貴様ァ!お目覚めをォ!美貴様ァア!!」
そう言って紺野さんは涙を流して見守っている。
「ぅるせェ!オマエラはそこでおとなしくしてろよォ!」
斉藤さんの合図で柴ちゃんとマサオさんが銃を構えて見張りにつく。
紺野さんも絵里ちゃんも、あさみちゃんもまいちゃんも動けないでいる。
「……美貴様」

と、音楽室の方から、さっきの残りの札束を持って
中澤先生(と矢口先輩)と安倍先輩と石川さんが出てきた。
「なんのさわぎや?」「……」「なんだべ?」「…柴ちゃん?」
「みんな、こっちに来るなァ!危険だぞォ!」
とオレは心配して叫んだが、
中澤先生たちもヘリや銃を見て足がすくんでいるようで
周りから見守るだけで近づこうとはしない。
ふと見ると、愛ちゃんが気を失っているみたいだ。
辻ちゃんと加護ちゃんも手錠をかけられておとなしくしている。
 

634 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
 
と、まつうらさんがオレの背後にまわってオレを押さえる。
「な、何する気だよ」
「さゆみんともう一度キスをしてください、
 そうすれば再びさゆみんは眠りにつきます。
 ○○くん、あなたを殺せば早い話なのだけれど
 せっかく知り合った○○くんを殺したくはなかったの」
「……さゆみちゃんは、眠ったらどうなるんだ?」
「それは〜、あやぴょんが起こしてあげるんだぴょん!」
いきなり話し方を変えて笑顔を見せるまつうらさん。。
「…そういうことか」
「これが一番平和的な方法なのだぴょん
 早いとこ、お願いするんだぴょん!」

「□□ッ、亜弥様の言うことを聞くんだァ
 そうすればコイツも元に戻してやるとおっしゃっておられる!」
そう言って斉藤さんが藤本をガツン!と殴る。
「メェ〜!」
「…ちくしょう」
「美貴様ァ!」ザッ。
「紺野!動くンじゃァねェ!」スドドドドドドッ!
「…くっ」
「おとなしくしてろォ!、おとなしくしてれば
 コイツだけは助けてやる」
「…美貴様、…○○」…絵里ちゃんも心配して見守っている。

「さあ、さゆみんとキスをするんだぴょん!」
そう言ってまつうらさんがオレの腕をつかむ。
後ろで手錠をつけられたオレは抵抗できない。。
「…くぅっ」
「みうな、お願いするぴょん」
「はい」
そう言って、みうながさゆみちゃんを後ろからつかんでオレに近づける。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
 

635 :サボリン:2004/01/31(土) 22:52
 
だんだんとさゆみちゃんの頭がオレに近づいてくる。
「……ぁぁ!」
さゆみちゃんはオレの顔を見て安心したのか無邪気に笑っている。
買ってやったおもちゃの風車を髪にさしている。
さゆみちゃんにキスするとまた眠ってしまうのか。
そして、まつうらさんのものになってしまうのか。。
「さぁ!」
既に唇が触れ合うくらいまで顔が近づいてきていた。
オレはもう、さゆみちゃんの瞳を見ることしかできなかった。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
…仕方ない、キスするか。…藤本のためだ。
…それにもう、抵抗することもできない。。

…さよなら、オレのさゆみちゃん。





ダン!





ん?

鈍い音と衝動で目を閉じてしまった。

…再び目を開けてみると、、

さゆみちゃんを押さえていたみうなの頭から赤い線が縦に走っている。

…血だ。


「あそこだ!撃てェ!」
斉藤さんの合図で校舎の陰を柴ちゃんとマサオさんが撃つ。

ズダダダダダダダッ!

と、れいなが出てきて弾をバリアでガードする。ピンピンピンピン!
…後ろから後藤さんが出てきた。
「…しくった、すっかりしくった!」
…後藤さんが悔しがっていた。。
 

636 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
 
 
と、みうなが、声もなく血を頭からふきながら崩れ落ちる。

「・・・・・・」

みうなの目から涙が流れて宙に飛んだ。


ドクン!


「!」

「!」

「!」


急に絵里ちゃんとれいなが頭を抱えて苦しみ出す。

…さゆみちゃんも唇を噛んで眉を寄せて苦しそうだ。


「み・・・みうなさん!!!!」


「ぐっ!ううっ!!」


「・・・・・・ぁぅっ!」


ドクン!



「さゆみん!!」

裏門からゴジラ化した里沙が見守っていた。。



「おぉお! いっ、いかん!」

体育館の裏から飯田先輩が出てきて叫んでいた。。
 
 

637 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
 

















      「 に ゃ ァ ア ァ お ッ !!」

















 

638 :サボリン:2004/01/31(土) 22:54
 



・・・・さ、さゆみちゃんが叫んだ。。



さゆみちゃんは頭を押さえて空を見る。

苦しそうだ。頭から風車がポトンと落ちた。

みんなボーゼンとして見守っている。

と、さゆみちゃんが両手を胸の前に据え、

手のひらの間になんか力を込めている。

鈍い光が真ん中に見える。


「や・・・・やめなさい・・・・

 さゆ・・・・そ・・・それは!」






      サァァー───────-──-─-ッ






「なっ、何だ!?」


「ひっ、光が・・・・集まってる!?」


「まさか、そんな!!」


「さゆみんが!!」

 

639 :サボリン:2004/01/31(土) 22:55
 







     キィィー────────-──-─-ッ







「!」







                         カッ







さゆみちゃんのまわりに白い球体が見える。


さゆみちゃんは肩の力が抜けたのだろうか、


丸めていた体を起こして、満足そうな表情だ。


と、辺りは光に包まれて何も見えなくなる。。。

 

640 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
 
 
「・・・・れいな!
 ・・・・みんなを助けるのよ・・・・
 一人でも多く・・・・」


「ど・・・・どこへ・・・・・・
 急がなかと、れいなたちも出られなくなるとよ!」


「・・・・どこでもいいから・・・・
 二人で力を合わせてみんなを飛ばすのよ・・・・」


「・・・・うん!」





気がつくと俺たちのまわりに大きな透明の球体ができている。


球の外では、上空に暗雲が立ちこめ、辺りがもの凄い嵐に包まれている。








     ドドドドォォオオオオオオオァァァアアアア!!!!









 

641 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
 
 
「れいな!」
「絵里!」


「今よ!」
「うん!」


「やっ!」
「ちゃっ!」



         ・


                       キュン!


         ・




・・・・うわぁ!!



いきなり学校全体が宙を浮いている。


しかも、かなりの上空だ。東京の街が一望できる。

 

642 :サボリン:2004/01/31(土) 22:57
 
 
って、おい!


・・・・ハルマゲドンが起きちゃったんですかぁ??


 ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド


ビルを次々となぎ倒しながら黒い球体がどんどん大きくなっている。


・・・・おいおいおいおい、ヤヴァすぎだぞコリャ!!!


東京全体を包み込む勢いでどんどん球体が大きくなっている。


それと共にオレたちもどんどん上空にいっているようだ。


東京湾の形が見渡せるほど上空だ。


もうビルとか道路とか見えない。


あたりを見渡すと、みんなが宙を浮いている。


って、オレも宙を浮いていた。地に足がつかない。


校舎や校庭が真横に傾いたままオレたちと一緒に宙を浮いているんだ。


どうりで下の方が見えるはずだ。。

 

643 :サボリン:2004/01/31(土) 22:59
 


あれ?体育館の方にひとみと小川さんが見える。


オロオロしている。あいつらまで巻き込まれたのか。。


他のみんなも不安そうな顔をしている。


オレも宙に浮いていると不安定で怖い。誰かにつかまりたい。


いつの間にか手錠ははずれていた。


誰につかまろうか。。





【以下の中から、一人選んでください(愛称略)】

 高橋 藤本 紺野 亀井 里田 後藤 田中

 加護 辻 石川 安倍 矢口 中澤 松浦 吉澤 小川

(ここでは親密度が0以下の人物は選択肢に表示されていません)
 

644 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:01
吉澤


理由:安定感があるから

645 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:29
捕まったら一緒に飛ぶのかな?
そこんとこ見てみたいから矢口

646 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:38
紺野

647 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:55
後藤

648 :名無し娘。:2004/02/01(日) 02:57
藤本

649 :名無し娘。:2004/02/01(日) 04:57
中澤

650 :名無し娘。:2004/02/01(日) 07:05
紺野

651 :名無し娘。:2004/02/01(日) 11:51
高橋

652 :名無し娘。:2004/02/01(日) 13:47
石川

653 :名無し娘。:2004/02/01(日) 17:20
紺野

654 :名無し娘。:2004/02/02(月) 12:53
矢口

655 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:07
高橋

656 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:13
高橋

657 :名無し娘。:2004/02/02(月) 21:06


658 :名無し娘。:2004/02/02(月) 22:30
紺野

659 :名無し娘。:2004/02/04(水) 17:01
道重

660 :名無し娘。:2004/02/04(水) 22:59
高橋

661 :サボリン:2004/02/04(水) 23:08
紺野でいきますか。

662 :名無し娘。:2004/02/06(金) 00:22
川 TーT)<票数は負けていないやよー

663 :サボリン:2004/02/07(土) 16:18
 


 ・・・・紺野さん。


オレは必死になって紺野さんの方に近づいた。


紺野さんに手を伸ばすと、紺野さんの方も手を伸ばしてくる。


 ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド  ド


下を見ると、球体はさらに大きくなって、東京全体を覆っていく。


こちらに近づいてくるようも見える。


と、辺りが光で包まれ出す。


    ー-──--───────────────-──-─-ッ!


「紺野さん!」


「○○さん!」


パシッ。やっとの思いで紺野さんの手を握りしめた。と、


                                         カッ


辺りが真っ白になって何も見えなくなる。



 

664 :サボリン:2004/02/07(土) 16:19
 


だんだんと・・・




意識が・・





遠・・































 

665 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
 

















・・


















 

666 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
 






・・・








・・・おっと、ついつい眠ってしまったな。


…小春日和の陽気に誘われて眠ってしまったらしい。

…どうもおかしな夢を見た気がするが、、

…こんな事をしている暇はない。
今日は愛さんの家庭教師の日なのだから。
そろそろ出立せねばなるまい。

辞書と筆記用具を鞄に詰め、着物の帯を締め直していると
「□□さ〜ん、高橋様のお使いが来なすったえ〜!」
と、けたたましい真里さんの声がする。
真里さんは下宿屋の娘で、身の回りの世話を焼いてくれる人だ。

…誰だろうか、なにがあったのだろう。。
慌てて一階に下りていくと、あさ美が玄関先で待っていた。
あさ美は愛さんの所の女中だ。苦労して両親に仕送りをしている身だ。
 

667 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
 
「おや、あさ美じゃないか、どうしたんだい?」
「あ、□□先生、まだいらっしゃったのですね、良かったです、
 実は、今日はお嬢様が学校のお友達と予定が出来てしまって
 授業を一時間ほど遅れて始めて下さるよう、お言付けに参りました」
あさ美は、早口に一気に言うと、はぁはぁと深呼吸を始めた。
「そうかい、ご苦労だったね、
 二階へお上がりよ、お茶でも飲んでいくといい」
「そういうわけにはいきません、仕事がありますので」
「かまやしないさ、どうせお圭さんの小言を聞く仕事だろう
 それにお屋敷から走ってきたのだから休まない法があるかね
 休むのも仕事のうちさ、お圭さんには言っておくから、さあお上がりよ」
「すみません、じゃあ…」
私はあさ美を部屋に案内し、真里さんにお茶を頼んだ。

部屋へ上がったあさ美は落ち着かない素振りで
座布団の端をいじくっては大きな目をきょろきょろさせていた。
あさ美も女らしくなったものだ。少し前までは煙草盆だったのに
今では、うなじの部分で髪を二つにまとめて淡紅色のリボンをつけている。
色褪せた黄八丈にリボンが映えて綺麗だった。

ふと見ると手になにやら本を抱えている。。
あさ美は最近、愛さんの勧めで字を学び始めた。
仕事の合間を見ては教本を開いていたので女中頭のお圭さんに見つかり、
お前のような者には読み書きなど必要ないと教本を取り上げられたが、
あさ美は時折頑固なところがあり、仕事は確かにやるので返してくれと言い張った。、
お圭さんは根負けし、愛さんの手前もあって教本を返してやったという。
初めのうちは愛さんがままごと宜しくあさ美に教えていたのだが
存外に覚えが良くて愛さんでは追いつかないようになってしまった。
それで、愛さんの授業が終わると帰り際に私に読み方を聞くことがあり、
今日も素直に上がってきたところを見ると字を教わりに来たのが本当らしい。
 

668 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
 
案の定、お茶を飲み終わらないうちに質問をしてきた。
「先生、…これは?」
「ハヘン」あさ美の後ろから本を覗いて答える。
「…これは?」
「ボヒョウ」
「…そうして…天から落ちて来る…星の…破片を…墓標に置いて下さい…」
あさ美は首を傾けながら字を追って、唇を金魚のようにすぼませながら
たどたどしく音読した。
「…漱石かい、随分難しいのに挑戦しているのだね」
「はい、奥様に勧められて」
「うん、それは短編だから読みやすいが、…逆に難しいかも知れないよ」
「……、…」
私の話が耳に入らないようで、あさ美は必死に目を上下に動かしていた。
「日が出るでしょう…それから日が…沈むでしょう…
 …それから…また出るでしょう、そうしてまた…沈むでしょう…」
あさ美がまた音読を始めたので、私は格子越しに通りを眺めていた。
「…赤い日が…東から…西へ…東から西へと…落ちて…行くうちに、
 …あなた……待っていられますか……先生?……□□先生?」
「…ん?」
「…これは?」
「どれどれ…ウナズいた」
「…あと、これ」
「チョウシ」
「……自分は…黙って…首肯いた…
 …女は…静かな…調子を一段…張り上げて、
 百年…待っていて下さい…と…思い切った…声で…云った……」

「……」
 

669 :サボリン:2004/02/07(土) 16:22
 
「…百年かぁ、あと百年経ったら…え〜と、二千十四年ね、
 世の中は随分変わるでしょうね」
「そうかねえ」
「だって、先生、私が生まれてからで言ったって
 自動車が走るようになったり、電器が付くようになったり
 凄い変化じゃないですか?
 百年後にはもっといろいろなものが出来ているはずだわ」
あさ美は何を想像しているのか、目を輝かせていた。
「百年やそこらじゃ人間は変わらないさ
 僕たちの孫の世代はまだ生きているだろう?
 そんなものだよ百年だなんて」
「あら、先生は案外夢のないことをおっしゃるのね」
「僕ならもっと先、そうだな千年後の未来を考えるね」
「…千年後?…二千九百十四年?…だめっ、私想像つかないわ」
「ハハハ、そりゃそうだろう」
「先生には想像がつくの?」
「いや、わからないね、
 でも社会のシィステムは大きく変わっているだろうねえ
 もしかしたら人間なんて滅びているかも知れないよ」
「やだ、怖いことをおっしゃるのね」
「なあに、あさ美のようにようく食べる女が
 たくさん子を産み続ければ問題はないさ」
「…ひどいわ先生ったら」
「ハハハ、…おっと、そろそろ時間だね」
私は懐中時計を取り出して時間を見た。
「あら、もう? 何時ですか?」
「3時だよ、少し早いがそろそろ出ようか
 いつもゆったりと散歩をしながら行くのだよ
 今日はあさ美も付き合ってくれ給え」
「…はい」

二人そろって根津の下宿を出た。
小石川の愛さんのお屋敷までは言問通りをまっすぐに行くのが早いのだが
不忍通りの木々を見ながら行くのも悪くない。それに不忍の先の無縁坂には
お美貴という女が家を構えていた。お美貴は某の高利貸しの妾であるという噂だが
私が無縁坂を通る折には決まって挨拶をしてくれる、気立ての良い女であった。
少し気になっているのだが、今日はあさ美もいるのだから言問通りから行くべき
だろうか。それに言問通りには「ごとう」という団子屋があるので
途中あさ美に団子を買ってやって食べる様を観察するのも面白いかもしれない。

さて、




1 不忍通りから行く。
2 言問通りから行く。
 

670 :名無し娘。:2004/02/07(土) 17:18
1で

671 :名無し娘。:2004/02/08(日) 08:33
おぉいきなり文学的になったな
1で

672 :名無し娘。:2004/02/08(日) 15:15
1で

673 :名無し娘。:2004/02/09(月) 14:02
2

674 :名無し娘。:2004/02/09(月) 20:42
2

675 :名無し娘。:2004/02/09(月) 21:23
1

676 :名無し娘。:2004/02/10(火) 21:22
1

677 :名無し娘。:2004/02/10(火) 23:02
2で

678 :名無し娘。:2004/02/11(水) 03:55
2

679 :名無し娘。:2004/02/11(水) 04:00


680 :名無し娘。:2004/02/11(水) 15:40
2

681 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
 
「あさ美、少し遠回りになるが不忍通りから行くとするかね」
「はい」
あさ美は何も言わずに雪駄をからころ鳴らしながらついてくる。
不忍通りを南にゆくと左手の池から清らかな水草の匂いがした。

「好い天気だねえ」
「ええ、本当に」
そう言ってあさ美は午後の日差しを避けながら私を見上げた。
しばらくすると無縁坂に差掛かり私はいつもの癖で右に寄れた。
あさ美は進路を外されてきょとんとした顔でついてくる。
「こちらの通りの方が静かで好いのだよ」
「そうですか」

そう言って二人は無縁坂を上り始めた。坂を上ってすぐ二三軒目の右手に
御影石を塗り込んだ上がり口に、格子戸を綺麗に拭き入れた家が見えてくる。
お美貴の家だ。と、門の前を見て驚くにお美貴が立ってこちらを向いている。
普段は肘掛窓からひょいと顔を出して挨拶をするだけのお美貴が
今日に限って門先に立っていてやや深めに頭を下げてくる。
私も慌てて帽を取って礼をしたが、蝉の羽のように薄い銀杏返しの鬢に
尋常ならざる美しさを感じて思わず歩みを止めた。
お美貴はちらりとあさ美を見てから深い眼を私に寄せた。

「…なにか?」
緊張をほぐすような巧い言葉が浮かばずに
私はつい咎めるような口調になってしまった。
「…あ、…いえ、…好いお天気ですね」
「…そうですね、…好い天気です」
「……本当に」
そう言ってお美貴は鼻の高い、細長い顔にやや寂しい笑みを浮かべた。

「では、また」
「…御機嫌よう」
お美貴の声を残しながら私は歩みを早めて坂を上った。
 

682 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
 
後ろから慌ててあさ美がついてくる。坂を上りきって左に折れたところで
ようやく速度を落とし、あさ美がやっと追いついてきた。

「はア、はア、…□□先生、急に早足になってどうしたの?」
「いや、すまん、少し考え事をしていてな」
「…嘘だわ、先生、あの人に会って急に態度が変わったわ」
「うむ、…正直に言えばそうかもしれない
 …あの女の態度がいつもと違ってびっくりしたのだよ」
そう言いながら再びゆっくりと歩き始めた。
「先生、あの人とどういう関係なの?」
「関係もなにもあるものか、時折挨拶をする程度で、
 一度、通り掛りに蛇の退治をしてやったことがあるのだが、
 縁と言えばそれくらいで、あのように深々と頭を下げられる覚えはない」
「…なんだか思い詰めた表情だったわ、大丈夫かしら」
「何が大丈夫じゃないと言うんだね」
「私、あの人に睨まれたわ、怖い眼で、
 …あの人は先生のことが好きで、
 私を恋人か何かと思ったのではないかしら?」
「ハハハ、あさ美の少女趣味もそれくらいにし給え、さあ行こう」
そう言って私は再び歩みを早めた。…あさ美の言うことに
思い当たる節が無くもなかったが今は考えないようにした。

 

683 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
 
 
あさ美と一緒に愛さんのお屋敷に辿り着くと、
ちょうど道の向こうから愛さんが帰ってくるところだった。

「□□先生!」
大きな声を出して自転車を止める愛さん。
編み上げブーツが袴の裾からチラリと見える。
頭の後ろでまとめていた束髪の一部が慣性で前に出て
藤色の矢絣の肩へとはらりと掛かった。

「やア、お帰り、愛さん」
学校へは十分に歩いていける距離だのに、愛さんは新しいもの好きで
自転車を買ってもらい、クラスで一人自転車で通っている。
おまけに、上方のお祖父さんの家に行った折に宝塚という
少女歌劇団を観賞し、めっぽう気に入ったらしく劇団のスタアの
真似をして緑の袴をはいているので、クラスでも目立つ存在らしい。

「良かった、ちょうどお着きになったところね
 今日はごめんなさい、私の都合で遅らせてしまって」
「いいのだよ、僕なんぞは時間を惜しまない質なのだ
 あさ美とゆったりと散歩が出来て良かったくらいだ」
「あら、あさ美ちゃん、すぐに帰らなかったの?
 先生に迷惑をおかけしたら駄目じゃないの」
「すみません、お嬢様」
「いやいや、僕の方が散歩に誘ったのだから
 あまり叱らないでくれ給え」
「…私、仕事がありますので失礼します」
「うん、また気軽に来ると良い」
あさ美は背中を丸めて逃げるように裏にまわっていった。

愛さんはしばらくあさ美の後ろ姿を追っていたが
「さ、先生、授業をお願いしますわ」
と言って自転車を立てかけた。
 
 

684 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
 
 
今日は英語の構文をやり、過去完了だとか未来完了だとかを教えたのだが
自分では理解していても人に教えるのは甚だ難しい分野だ。
数学の授業の様になってしまい愛さんも私も顔をしかめて苦労した。
私は教え方というのをもう少し勉強しなくてはならないと反省した。


「それでは今日はこの辺にしておこうか」
区切りの良いところで終わりにすることにした。
「ふう、今日は大変だったわ」
と言って愛さんは眉毛を上げて溜め息をつき、辞書の頁をふわっと浮かせた。
「ハハハ、若いのに溜め息だなんて情けないな」
と言う私も眼の疲れを癒そうと目頭を押さえた。
「あら、そう言う先生こそお疲れのようよ、
 肩が凝ったのね、お揉みして差し上げましょうか?」
「いやいや結構、僕だってこれでも若いのだからね」
「じゃ、下でチョコレートでも飲んでいくといいわ、
 目が覚めますわよ、言い付けてきますので先生も直にいらっしって」
そう言って愛さんは私を残して階段を下りていった。
私は女子の部屋に一人取り残されて落ち着かずにすぐ下に降りていった。

と、廊下で割烹着を着た梨華さんと鉢合わせた。
「あら、□□先生、ご苦労様でした、
 ……いやだわ、こんな姿を見られてしまって、
 すぐにお茶の用意をしますのでリビングで待っていて下さいな」
「いえ、お構いなく」
私の言葉も聞かずに梨華さんは台所に入っていった。
普段見せない割烹着姿を見られて恥ずかしかったようだ。
梨華さんは愛さんの兄嫁で、今ではこの家の全般を任されているのだが
愛さんとの歳も近く二人は本当の姉妹のように仲が良かった。
 

685 :サボリン:2004/02/13(金) 15:26
 
リビングにお邪魔してソファに座り愛さんと話していると
あさ美ががチョコレートやら菓子やらを持って出てきた。
「ああ、すまんね、あさ美」
「奥様に倣って入れてみました、お口に合うかどうか」
「あさ美ちゃん、ご苦労様」
そう言って愛さんは早速カップを手にとってチョコレートを口にした。
あさ美が下がるのと入れ替わりに梨華さんが見えた。
授業が終わると三人でテーブルを囲んでお茶をするのが常だった。

「先程は失礼しました」と軽く頭を下げる梨華さん。
「いえ、チョコレート、美味しく戴いております」
梨華さんは割烹着を既に脱いで、亀甲絣の藤と桜の染め分け御召を着て、
やや濃い藤の半衿、藍の帯に薄い黄緑の帯揚げがのぞき、
白の帯締めが全体を引き立たせていた。頭は古風につぶし島田に結っている。
梨華さんは今時に珍しい日本女性なので姿を見るといつも心が落ち着いた。

「そう言えば、先生、
 私、先日ようやっと『人形の家』を見ましたのよ」
チョコレートを飲みながら愛さんが話題を見出した。
「おお、そうかい、どうだったかね?」
「感動しましたわ、女性の独立を描いた素晴らしい作品でしたわ」
「そうかい、…しかし僕はああいう説教臭い芝居は嫌いだね」
「あら先生、婦人解放運動に反対なさるの?」
「そういうわけじゃないが、
 芝居というのはもっとスペクタクルでなければいかん
 ああもごちゃごちゃと台詞を吐かれては幻滅してしまうよ」
「そうかしら、お義姉さんは?お義姉さんの感想を聞かせてよ」
「…私は、よく分かりませんでしたわ」と梨華さん。
「駄目ね、私たち女性の独立について語っているお芝居なのに
 お義姉さんのような古風な方はうんともすんとも言わないのだから」
「まあまあ、愛さん」
「……」
困った顔をして梨華さんが私を見て笑う。
 

686 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
 
「はア、でも憧れてしまうわ、
 松井須磨子さん、素敵でしたわ、
 私も独立した女性としてああ言う風になりたいわ」
「ハハハ、愛さん、宝塚の次は新劇かね、
 …でもねえ愛さん、あんまり独立独立と言い張るのもどうかと思うがね」
「…どういうことですか?」
「独立というのは一個の個人として生きることだから孤独だよ、
 愛さんが本当に独立してしまったら、
 愛さんは結婚できないかも知れないよ、それでもいいのかい?」
「あら、独立したら結婚できないなんて始めて聞きましたわ」
「だって、経済的にも精神的にも独立してしまったら
 結婚する必要がなくなってしまうではないか」

「…うーん、…先生のは屁理屈だわ」
「ハハ、困らせるつもりじゃないんだ、
 ただ僕は最近の日本の情勢について憂慮しているので言うのだが、
 昔の日本には身分によって差別があった、性による差別もあった、
 しかしそれは区別と言った方がいい、一人一人が自分の役割を果たしていた。
 地主には地主の小作には小作の、嫁には嫁の役割があって、
 みんなその役割の義務と責任を果たしてきた、まさに芝居だよ。
 しかし今日の日本は西洋の個人主義を間違った形で受け入れて
 自分勝手主義とでも言うべき主義がはびこっている。
 西洋のようにキリスト教や強い市民意識といった共通の土台を持った上での
 個人主義ならば結構なのだが日本の個人主義は何の土台もないバラバラ主義だ。
 極論すれば隣が火事になろうが自分さえ無事だったら良い。そういう主義だ。
 個人主義の間違った形は通時的にも現れている。
 個人主義を突き詰めれば、自分の先祖や子孫も関係なくなる。
 今さえ良ければいいんだという考えでやりたい放題になる。
 個人主義で行くのなら五十年先に売れる桧を今植える馬鹿がいるものか、
 それどころか先祖の植えた桧を全部切り倒す勢いじゃないかね…」
私は思わず熱くなってしまった自分を押さえようと一息ついた。
 

687 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
 
「……そんなに自分勝手な人ばかりではなくってよ
 皆さん、富国強兵とお国のために働いてきたのではなくって?」
愛さんがしばらく考えて言い返してくる。
「うん、でもそれは裏を返せばそういったスローガンを掲げなければ
 国民がバラバラになってしまうということさ。
 まあ、今のように国が貧しいうちはそれなりに国全体としての
 目的があるから良いものの、それがなくなったらどうなるんだい?
 共同体というのは共通の目的や夢や敵を失ったら機能しない。
 国としてのシィステムだけが残って、地主が小作を支配するといった
 分かりやすい構造ではなく、個人が個人の集団に縛られる、
 誰が誰に縛られているのかわからない、そんな社会になるだろう。
 そうやって個人に対して世界が全体として敵になってしまうんだ」

「…何をおっしゃりたいのかよく分からないわ」
「…ハハハ、僕も自分で分からなくなってきたよ、
 つまるところ、土台のない個人主義は危険だということさ、
 そして、愛さんは結婚できるかできないか、それが問題だね」
「嫌ね、そんなにご心配なら先生がもらって下さっても結構よ」
「おや、これは困ったな」
「そのかわり、私はお金のない方のところへは参れませんから
 先生は早く大学を卒業なさって、ご出世なさらなければ駄目よ」
「うーん、厳しいなア」
「愛ちゃん、あんまり先生を困らせては駄目じゃないの」
そう言って梨華さんが助け船を出してくれた。
「だって先生が難しいことをおっしゃるから…」
「いや、すまんすまん」
「さア、チョコレートは口に残りますから焙じ茶でも入れましょう」
そう言って梨華さんがチリリンと呼鈴を鳴らすと
お圭さんがもそっと顔を出してご用を聞き素早く台所に向かっていった。
「良かったわ、私もちょうど焙じ茶が飲みたかったところ、
 チョコレートで舌がダコンダコンになってしまってよ」
「ハハハ、愛さんは時折面白い表現を使うのだね」
「あら、そうかしら」
「そうよ、ふふ」
「ハハ、そうですよねえ」
そう言って梨華さんと私が揃って笑うので
愛さんはプンと向こうを向いてしまった。
 
 

688 :サボリン:2004/02/13(金) 15:28
 
その後もしばらく話をしながらお茶を戴いたが
六時半にお暇をし、下宿に帰って飯を食って眠った。
その日は真里さんが作ったという鯖の味噌煮がどうも胃に残った。


翌日は胃の調子が悪くて終日部屋でぐうたらしていた。
翌々日、散歩に出て無縁坂を通ると、
お美貴の家が引き払われていてひどく驚いた…。





それから数日が過ぎ、また愛さんの家庭教師の日が来た。


出立しようとした矢先に幾分強めの雨がザアザアと降り始めた。
私は傘を持ってコオトを羽織って外へ出た。
早速出来た水溜まりを避けながら言問通りを歩いていると
通りの向こう側に雨宿りをしていると思われるあさ美の姿を発見した。
買い物の途中であろうか。荷を背負って庇の下からぼんやりと空を見ていた。
と、あさ美は風呂敷を頭にかぶってトコトコと走り出した。
お屋敷とは反対方向に向かって行くのでまだ買い物の残りがあるのだろう。
傘も持たずに大丈夫だろうか。この雨は当分やみそうにない。
追っていって傘をさして送ってやるべきだろうか。
しかし今日は準備に手間取ったので、
そうしていては愛さんの授業に遅れてしまうだろう。

さて、




1 あさ美を追って傘をさしてやる。
2 愛さんの授業を優先してお屋敷に向かう。
 

689 :名無し娘。:2004/02/13(金) 19:18
1

690 :名無し娘。:2004/02/13(金) 20:44


ダコンダコン(;´Д`)ハァハァ

691 :名無し娘。:2004/02/13(金) 21:18
1

692 :名無し娘。:2004/02/13(金) 23:26
1で
・・・「人形の家」のくだりは「待てど暮せど来ぬ人を」?

693 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:17
無論1

694 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:43
1

695 :名無し娘。:2004/02/14(土) 12:31


696 :名無し娘。:2004/02/14(土) 21:33
1

697 :名無し娘。:2004/02/17(火) 23:29
2

698 :名無し娘。:2004/02/18(水) 00:45
1

699 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:43
2

700 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:44
ノノ*^ー^)<700です。

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0ch BBS 2006-02-27