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ときめきモーニング
- 1 :サボテン:2003/09/10 15:13:57
- 季節を選択してください
1 春
2 夏
3 秋
4 冬
- 600 :サボリン:2004/01/25(日) 09:26
-
「…ぁぁ!…ぁぅぁーぁ!!」ぼふっ。
いきなりさゆみちゃんが抱きついてきた。
「はは、いい子で待ってた?さゆみちゃん?」
「…ぁぅぁ…ぃぁーぁ!」
一人でさみしかったのだろうか、
ちょっと泣き声でうなりながら、ギュッと抱きついてくる。
「はは、ごめんね、一人でさみしかったねー、
もう大丈夫、ほら、こっち来て、洋服買ってきてあげたよ」ガサゴソ。
「…ぃぁーぁ!…ぁぅ〜!」
袋から出したTシャツやシャツを伸ばして喜ぶさゆみちゃん。
よっぽど嬉しかったのか、
シャツを持ったままベッドに行って、横になってグルグル回っている。
「…はは」
と、ガコン!! …と音がしてさゆみちゃんが見えなくなった。
「…あ、ばか!」
「……ぃぁ〜ぁ〜!…ぃぁ〜ぁ!」
…サイドチェストに頭をぶつけたようだ。
床に落ちて寝っ転がったまま、顔をくちゃくちゃにして泣いている。
「まったく、ばかだな〜
ほーら、痛いの痛いの飛んでけ〜」なでなで。
オレはさゆみちゃんを抱き起こして頭をなでてあげる。
「…ぃぁ〜ぁ!…ぃぁ〜ぁ!」
「ほーら、もう痛くない、ね?、痛くないでしょ?」なでなで。
「………ぃ…ぁ?」
さゆみちゃんは急に、きょとんとして泣きやんだ。
「はは、ほらね、痛くない、いい子だね〜、さゆみちゃん」
「……ぁぁ!」ぴとっ。
ギュッと抱きついたままオレを見上げて笑うさゆみちゃん。…かわいいなぁ。
「…はは、偉いぞ、さゆみちゃん」むにゅ。
- 601 :サボリン:2004/01/25(日) 09:27
-
って、…あ、…ヤヴァイ……ドアの前で愛ちゃんが硬直している。
「……セ…ンパイ、誰なんですかァ、…この子はァ!?」
「…あ、だから、長いと話すことに…」
「…先輩と誰かが仲良くしている姿なんて・・・見たくない」
愛ちゃんは下を向いたまま握り拳をつくってブルブル震えていた。
「だから違うんだって、落ち着けって」
オレは立ち上がって愛ちゃんに近づこうとしたがさゆみちゃんが離さない。
「……ぃぁ?」ぴとっ。
「さゆみちゃん、ちょっと離して、いい子だから」なでなで。
「……ぁぁ!」ぎゅっ。
「なにが違うんですかァ!」
「…あわわ」
「さっきのブラジャーもこの子のために買ったんですか!?」
「違うって!、ほら、黒は愛ちゃんに、ベージュはさゆみちゃんにと
ちゃんと二つ買ってあったのだ!」じゃ〜ん。
「…あっしはついでですか、
…先輩には失望しました、…あっし、帰ります」
「待って、オレ、今なら行けるから、
愛ちゃん、これから逃げよう、海外に!」
「……ホントですか?…一緒に来てくれるんですか?」
「もちろんだよ、3人で逃げよう!」
「・・・3人って…」
「…いや、この子はアフォの子なんだ、
身よりのない、かわいそうな子なんだ、
だから一緒につれてってあげよう、他意はない!」
「…ホントですか?」
「うん、…とにかく落ち着いて、座って話そう」
「…はい」
- 602 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
-
オレは愛ちゃんを椅子に座らせて
やんわりとごまかしながら、今までのことを話し、
愛ちゃんもオレもさゆみちゃんも追われる身なのだから
3人で逃げようと話し、愛ちゃんを納得させた。
「…わかりました、それじゃ善は急げです、今から行きましょう」
「うん、ありがとう、愛ちゃん!
っと、じゃ、さゆみちゃんを着替えさせなきゃだ
ほら、さゆみちゃん、それオレのだから脱いで」
「……ぃぁ?」
さゆみちゃんの来てた上着のボタンに手を伸ばすと、パシッ!
「いてっ」
「なにしてんですかぁ、先輩、あっしがやりますよ、
…先輩はそこにいてください!!」
愛ちゃんはさゆみちゃんを連れてバスルームに入っていく。
「…はい」
・・
「……ぁぁ!」
愛ちゃんに着替えさせてもらって、さゆみちゃんが出てきた。
「良かったねぇ、さゆみちゃん、かわいいよ、すごく似合ってる」
「……ぁぁ!」ぴとっ。
さゆみちゃんがまた抱きついて来た。
「…さてと、…愛ちゃん、行こうか」
「……はい」
ホテルを出てタクシーを拾って3人で乗り込む。
さゆみちゃんを先に乗せて、オレが真ん中に座り、
最後に愛ちゃんが乗ってきた。
「あ、おじさん、
××区のモーニング高校までお願いします」と愛ちゃん。
「あい、どうも〜」ブォーンと車が走り出す。
「…愛ちゃん、学校に行くの?」
「そうです、例のアレ、学校に隠してあるんです」
「あ、そうなんだ、…でも、なんで学校なんかに?」
「あっししか知らない秘密の場所があるんです、
そこが一番安全かなと思って」
「…そうか」
と、コクリコクリとさゆみちゃんが眠り始めて
オレの肩に寄りかかってきた。ぴとっ。
「……」じろっ。
「…あわわ」
「ふん!」
愛ちゃんはぴょんと髪をなびかせて窓の方を向いてしまった。
- 603 :サボリン:2004/01/25(日) 09:28
-
学校に着いてみると午後2時だった。
土曜日でも部活に来ていた人が結構いたみたいで
玄関で帰り際の何人かとすれ違った。
1階の廊下では保田のおばちゃんが店の後かたづけをしていた。
「あら、□□くん、今頃学校に何の用だね?」
「こんにちわ、いや、ちょっと忘れ物をとりに」
「そうかい、そうだ、焼きそばパンでも買わないかい?
半額にしておくよ、あとサンドウィッチも残ってるよ?」
「あ、いや、今お腹一杯なんで、じゃまた」
売れ残りを処分しようと必死な保田のおばちゃんを残して
3人で音楽室に向かった。
音楽室に着くと、愛ちゃんがドライバーを持って
アップライトピアノに向かって、ガコンガコン言わせながら作業を始めた。
「……っと、…よっしゃ!」ゴトン!
ピアノの板をはずし、下部の奥の方に顔を突っ込んで、
愛ちゃんが次々と札束を出してくる。
ドサッ、バサッ。
「先輩、なにぼーっとしてるんですか、
あっしのあのバッグにどんどん入れてください!」
「…はい」よいしょっと。
「……ぁぅ?」パサッ。
さゆみちゃんが札束に興味を示して遊び始めたので
取り上げて、急いで他の札束も拾ってバッグに詰め込んだ。
- 604 :サボリン:2004/01/25(日) 09:29
-
と、その時、
パリパリンッ!! ドサッ!
いきなり窓ガラスが割れて誰かが入ってきた。
「ハァッ、ハァッ」 ……中澤先生(と矢口先輩)だ。。
…二人とも、まだ幼児体と小人のままだ。。
「なっ、□□やないか!、何やってるンやこんなとこでェ!」
「…ゆゆたん、それはこっちのセリ…」
「…おい!豚ァ!こっちだよイモ豚ァ!早く来い!
トントントロトロやってんじゃねェよ豚ァ!」と矢口先輩が叫ぶと
「はぁ、はぁ、豚豚うるさいべ、このフンコロガシめ!
なっちはあんたらと違ってちゃんとした人間なんだべ」
と言いながら安倍先輩が入ってきた。どすどす。
「あれぇ、□□くん、こんなとこで何やってるんだべさ?」
「いや、だから…」
ガコンガコン! ドサッ、バサッ。
「先輩?なにやってるんですかぁ?どんどん入れてくださいよ!」
…愛ちゃんが札束をどんどん放り投げてくる。ドサッ、バサッ。
…ピアノに頭を突っ込んでいて中澤先生たちに気づかないみたいだ。
「……ぁぅ〜」パサッ。
「なんや?、このガキ、
・・・・ていうか、この札束は…なんなんや?」
…中澤先生が愛ちゃんの投げてきた札束を手にする。
「いや、あの〜」
「……あそこでピアノに頭突っ込んでるアホは誰や?」
「いや、その〜」
「先輩、これで終わりです」ドサッ、バサッ。
「…もう、なにやってるんすかぁ、先輩!?」
ついに愛ちゃんがピアノから頭を出してきた。
「あっ!」
「…高橋?」
「……」
- 605 :サボリン:2004/01/25(日) 09:30
-
「・・・なぁ、ヤグチぃ、
ウチ、今、なんかえらいイヤーな考えが浮かんだんやけど?」
「・・・おいらも」
そう言って二人は持っていたバッグを見つめる。
あのとき温泉で中澤先生が奪っていったバッグだ。。
「二人とも、なにやってるべ、早く隠れるべ!」
「豚は黙ってろォ!」
そう言って、矢口先輩がバッグに手を伸ばしチャックを開ける。ジジジジ。
「な、なんじゃこりゃあ!」バサッ、ドサッ。
「……キ、キモイ宝塚のブロマイドだらけやないかァ!
……高橋、ウチを騙したなァ!!」
「ふん、騙したもなにもないですよ、
中澤先生が勝手にバッグとって勝手に逃げただけじゃないですか!
さ、そのお金返してください」と言って愛ちゃんが中澤先生に近づく。
「やかましかァ!!」バシッ、と中澤先生が愛ちゃんの手を振り払う。
「ワレ!、ウチらがこの一日、どんな目にあったか知っとるんかァ?
死ぬ思いで逃げ続けたこの一日は一体なんだったんじゃァ?
…よこせェっ、それはウチの金やっ!」
「何言い出すんですかね、このオバハンはぁ〜
なんですかぁ、やる気ですかぁ、そんな体であっしと勝負しますかァ!」
「ちょっと待て二人とも! 落ち着いて話し合おう!」
「話し合いもなにもないですよ、先輩!
どう考えても中澤先生は部外者ですから!」
「…いや、そうなんだけど」
「……ぁぅ〜ぁ」パサパサッ。
「あれぇ、このかわいい子は誰だべ?」
安倍先輩がさゆみちゃんをなでなでしている。。
「……ぁぅ〜」ぴとっ。さゆみちゃんが安倍先輩に抱きつく。
「かわいいなぁ、ねぇ、□□くん、なんて言うのこの子?」なでなで。
「あ、安倍先輩、この状況で混乱するからやめてよ」
「…わかりました、確かにこの一日は加護さんから目をそらしてもらって
あっしも助かりました。その100万はあげますから、それでいいですか?」
「っざけんなァ! 100万やてぇ?
ウチらの生死を賭けた逃亡劇が100万やて?
へっ、安く見られたモンや!」
「じゃ、いくら欲しいんですかぁ?」
「せやからな、高橋、ワレはまだコーコーセーやろぉ?
ウチに全額預けとき」
「ふざけないでくださいよォ、
あっしはあくまでも平和的に解決させようとしてるのに!」
「…そうだよ、裕ちゃん、ここは折半で折れたら?」と矢口先輩。
「せやな、じゃ、半額で我慢してやろ、2500万や、どや?」
「だからァ、なんでそんな理屈になるんですかァ!?
このお金はもともとあっしのお金なんですよォ?」
- 606 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
-
と、その時、窓の外に人影が。。
「はっはっはっ、タカハスィイッ!
そん金がワレの金やてェえ!?…随分な言い分やないかァ〜!」
「か、か、か加護ちゃん!」「…加護さん」
「くそォ…」ゴソッ、ダダダッ!
中澤先生が落ちていた札束を持てるだけつかんで走り出す。
「無駄れす!」ガラガラッ。
前のドアから辻ちゃんが出てきた。
「ちくしょう!」ダダダッ!
中澤先生は、今度は後ろのドアに向かって走り出す。
「無駄よっ!」ガラガラッ。
石川さんが後ろのドアから出てきた。
…石川さんがすっかり加護ちゃん側についているとは。。
「くそォ…」と立ちすくむ中澤先生。
と、加護ちゃんがゆっくりと音楽室に入ってきて、
日本刀を片手にキリリとリリしく立ちはだかった。。
「ふう、…さぁてと、この茶番もこれにて終劇やァ!
タカハシもようやった、年増も虫も豚もようやった、
…みんな仲良う死んでくれやァ」カチャ。
日本刀を構えてギラッと細い目を光らせる加護ちゃん。。
「ままま、待ってくれ加護ちゃん!
学校の音楽室を血の海にするつもりかよっ!?
落ち着いて、落ち着いて話し合おう!」オレは必死に止めに入った。
「話し合いもなにもあらへん、
兄さんも知っとろーがぁ、それはもともとうちの金や、
うちが計画し、うちが斉藤さんと交渉してもらった金や!」
「なに言ってるんですか!!
火葬場に乗り込んで焼かれる寸前のダニエルさんの遺体を運び去り、
ハラワタ切ってシャブ取り出したのは全部あっしとミカさんじゃないすか!」
「うちの命令でなァ!」
「あっしはここで加護さんに手刀食らって放置された時に決心したんです!
もう加護さんには従いません!」
「へっ、従うもなにも、ワレはもうすぐ死ぬんや!」
「待って!…エキちゃん、今ならまだ間に合うわ!
加護ちゃんに土下座して謝りなさい、そしたら許してもらえるわよ!」
と石川さんが割ってはいる。
「…ビーナス姉さんこそ、加護さんの怖さを知らないんです、
ボロボロにされて東南アジアに売られても知りませんよっ!
その黒さじゃぁ現地人と見分けがつきませんからねェ!」
そう言って愛ちゃんはドライバーを持つ手に力を入れる。
- 607 :サボリン:2004/01/25(日) 09:31
-
「ちょっと待てやっ、□□の言うとおり、ここは学校や!
人もまだ外におる、ここで殺りあうのは無理や、ひとまず落ち着こうや」
中澤先生も事態を重く見たのか、止めに入った。
「へっ、どうしたんや年増、怖じ気づいたんかァ?」
「…いや、そうやないんやが、
…そもそも、このガキはなんなんや?
それと、□□は一体どっちの味方なんや?
そこをまずはっきりさせようやなかぁ?」
「…そうやな、兄さん、兄さんは元はと言えば
うちらの仲間やったんやないか、兄さんはどう思う?
こん金は誰のもんやと思うかぁ?」
「…そんなこと言われても」
「□□くん、梨華たちの味方でしょ?
もともと梨華たちと一緒にそのお金を手に入れたんじゃん
エキちゃんなんかほっといて、梨華たちと一緒に行こうよ!」
…石川さんがまた口を出す。
「…え、…あ、うん」
……行くってどこへ??
「□□くん、部長命令だべ、なっちと一緒に派手に行くべ!」なでなで。
「……ぁぅぁーぁ!」ぴとっ。
…ん?…安倍先輩はさゆみちゃんをすっかり手なずけていた。。
「そうだよ○○、おいらと○○はつきあってるんだぞ、忘れたのか?」
…矢口先輩まで出てきた。
「…ぁああ、そ、そうだったっけ?」
「……先輩」
そして愛ちゃんが不安そうな顔でオレを見つめる。。
……どうしようか。
1 あの金はもともとは加護ちゃんのだから、加護ちゃんたちの味方をする。
2 大人に任せた方がいい、中澤先生たちの味方をする。
3 愛ちゃんを裏切れない、愛ちゃんの味方をする。
4 誰の味方もできない。
- 608 :名無し娘。:2004/01/25(日) 12:49
- 3
- 609 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:21
- 4
- 610 :名無し娘。:2004/01/25(日) 17:30
- 3
- 611 :名無し娘。:2004/01/25(日) 21:21
- 4
- 612 :MONIX ◆h6RjqrC4Ko :2004/01/26(月) 01:26
- 3
- 613 :名無し娘。:2004/01/27(火) 01:12
- 4
- 614 :名無し娘。 :2004/01/27(火) 07:47
- 3
- 615 :名無し娘。 :2004/01/28(水) 17:55
- 3
- 616 :名無し娘。:2004/01/28(水) 18:13
- 【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
- 617 :名無し娘。:2004/01/28(水) 19:28
- 4
- 618 :名無し娘。:2004/01/29(木) 00:01
- 3
- 619 :名無し娘。:2004/01/29(木) 01:01
- 4
- 620 :名無し娘。:2004/01/29(木) 03:52
- 3
- 621 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:40
- 1
- 622 :名無し娘。:2004/01/29(木) 21:44
- 4
- 623 :名無し娘。:2004/01/30(金) 12:17
- 3
- 624 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:05
- 3
- 625 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:06
- 3-9
4-6
- 626 :名無し娘。:2004/01/31(土) 12:42
- 3
- 627 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
-
「オレは……愛ちゃんの味方だ!」
「…そうかぁ、それは残念やなァ
…兄さんもアホやなぁ、うちらの味方をしとれば
死なずにすんだのになァ!」
と、加護ちゃんが近づいてきて刀を構える。カチャ。
「…あわわ、いや、オレは、愛ちゃんの味方だけど
何も加護ちゃんの邪魔をするつもりは、サラサラなく…」
「やかましかァ!…おんなじことや!
見せしめに兄さんから殺ったるわい!」
と、加護ちゃんが日本刀を振りかぶる。ブワッ。
「やめれぇェ!!」ひゅん、ズドッ!!
・・・加護ちゃんの右脇にドライバーが突き刺さった。
「くはっ!」・・・・ボトッ。
青黒い血をトロリと引きずってドライバーはすぐに落ちた。
「うわぁああっ!!」
加護ちゃんが右肩を押さえて転げ回る。
「うぉぉおおおっ!!」
「あいう゛ぉーん!!」
辻ちゃんが慌てて駆け寄って抱き起こす。
「うぉおお!」
「…卑怯れすっ、針痕を狙うなんて!」
よく見ると、脇の下、注射針の痕が青く残ってるところから血が出ていた。
「先輩ッ!、今のうちです、逃げましょう!」
「…うん」
- 628 :サボリン:2004/01/31(土) 22:47
-
と、横では、中澤先生が札束を持ったまま呆然と見ていたが、
「…ぉぉぉお、りゃッ!!」ドッ!
「はうあ!」・・・ドドッ、ゴロゴロ、ゴロッ、ドガッ!!
愛ちゃんの蹴りが頭部に見事に決まり、
中澤先生は宙を浮いて床に落ち、
トイレットペーパーみたいにゴロゴロ転がって
壁にぶつかって動かなくなっていた。
よく見ると、ついでに矢口先輩まで吹っ飛んでいて気絶していた。
「先輩、早く!、残りは捨て置きましょう!」
愛ちゃんはバッグを持って窓を出て校庭の方に走り出した。
「…待って、さゆみちゃんが!」
さゆみちゃんを連れて行こうとして後ろを振り返ると
安倍先輩と石川さんが争って、残りの札束を奪い合っている。
「なっちにわたすべ!」
「いやっ、梨華の〜!」
・・・司令塔を失ってどちらのチームも壊滅状態だ。
オレはさゆみちゃんの手をひいて校庭に向かった。
「はぁっ、はぁっ、さゆみちゃん、急いで」
「……ぁぅ〜」
裏門の前の木の影に隠れて愛ちゃんが待っているのが見える。
(先輩!こっちです!)と愛ちゃんが手招きをする。
「…うん」
後ろを振り返ると、
辻ちゃんが、その後ろから加護ちゃんが追いかけてくるのが見える。
・・・もう回復したのか。。はぁっ、はぁっ。
- 629 :サボリン:2004/01/31(土) 22:48
-
と、どこからともなく、…ヘリの音がする。
バダバダバダバダバダバダバダバダ。
・・・随分大きい音だ。近いぞ。・・おかしいな、こんな街中で、、
どこにいるんだ?? きょろきょろ。はぁっ、はぁっ。
バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!
「うわぁっ!!」
・・・ヘリは真上にいた。・・・しかも軍用だぞこりゃ。
…オレは思わず立ち止まってしまった。と、
「先輩っ、大丈夫ですかっ!?」
愛ちゃんが心配して近づいてくる。あっ、ダメだっ、出てきちゃ!!
「…ってりゃっ!」ドガッ!!
「くっ!」ベチャ。
追いついた辻ちゃんの跳び蹴りを食らって愛ちゃんが倒れた。
「愛ちゃんっ!!」
バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!
愛ちゃんは辻ちゃんの下敷きになって頭を押さえられていた。
「ようやったァ、ののォオ!!」
左手に日本刀を持って加護ちゃんが愛ちゃんに近づいていく。
バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!
ヒュウウウウウウゥゥゥ!
・・・ヘリが、どんどん近づいてくる。・・・なんなんだっ??
辺りはヘリの突風で砂嵐が起きていてよく見えない。
かろうじて加護ちゃんの後ろ姿が見える。
「ちょっと待て、加護ちゃん!
…この、このヘリはなンなんだよォ!!」バダバダバダバダ。
「ンなこと知ったこっちャねェ!
タカハシッ、今度こそ死ねやッ」カチャ。バダバダバダバダ。
「やめろォオ!」ドシッ。バダバダバダバダ。
オレは加護ちゃんに背後からしがみついて左手をつかんだ。バダバダバダバダ。
- 630 :サボリン:2004/01/31(土) 22:49
-
と、ヘリからひゅるんっとヒモが下ろされ、人が3人振ってくる。
ひゅるるぅ。ひゅるる〜。ひゅるるるぅ。バダバダバダバダ。
「離せェ!コイツだけは殺らんと気がすまんのじゃァ!」バダバダバダ。
「頼む、よしてくれ」バダバダバダバダ。
「……ぁぅ〜!」
と、後ろから声がする。
「腹這いになり、手足を広げろ!」
気がつくと、オレたちは機関銃を持った3人に囲まれていた。
誰なんだ?ゴーグルをしていて顔がよく見えない。
「なんやァ、あんたらはァ!」と加護ちゃん。
「腹這いになり、手足を広げろ!」ズドドドドドッ!
「うわぁ!」
「……ぁぅ!」
威嚇射撃だろうか、足下に向かって銃を撃ってきた。
「…わたたたた、なんなんやァ!」
「…ん?…ハゲ?
ハゲじゃねーか、なにやってンだよォ、こんなとこでェ!」
と、一人が金髪の髪を振り払ってゴーグルをはずす。…斉藤さんだ。。
「…斉藤?、斉藤ゥやないかァ!?
てめェこそ、ンなとこでなにやってンじゃァ!!」
「ハゲ、オマエに用はない、おとなしく去れ!!」
「こっちも手前なんかにゃ用はねーんだよォ!
これは内輪の争いや、口出しせんでもらいてーわァ!」
「ハゲ、相変わらすオマエは度量が狭いのう、
まだそんなチンカスみたいな金で奔走してんのかぁ?」
「やかましかァ!ほっとけやッ!」
- 631 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
-
「……仕方あるまい…マサオ、シヴァ、…やれ」
「はっ」スタタタ。 「はっ」スタタタ。
ガッ! ガッッ!
「うっ」ドサッ。 「くはっ」ドサッ。
銃の台尻を腹や頭に食らって辻ちゃんと加護ちゃんが倒れる。
すかさずマサオさんと柴ちゃんが二人の背後にまわり、
腕を後ろにまわさせて手錠を絞める。ガチャ。ガチャ。
「いてーのれす!のんの腕はそっちにはまわらねーのれす!」
「なんやァ、ひでーやないかァ、なんもしてへんにィ!」
なんて、ボーっと見ていたら、ガッ!
「くっ!」
斉藤さんの一撃がオレの腹に。。・・・バタン。
オレも腕を背後にまわされ、手錠をかけられてしまった。ガチャ。うぅ…。
「ったく、世話を焼かせるぜェ」
そう言って斉藤さんがさゆみちゃんに近づき髪をつかんで顔をあげさせる。
「……ぁぅ!」
「やめろォ!さゆみちゃんに傷ひとつでもつけて見ろォ!
ぶっ殺してやるからなァ!」…オレは倒れたまま叫んだ。
「…良く理解してないようだな…
オマエは今、亜弥様のお情けで生きていられるんだぞ」バダバダバダバダ。
ダバダバダバダッ…ヒュンヒュンヒュンヒュン、ヒュゥゥウウウ。
気づくとヘリが校庭に着地しているところだった。
と、ヘリの中からみうなが出てくる。スタタタ。
「みうな、さゆみんを頼んだ、慎重に扱えよ」
「はい」
みうなはさゆみちゃんをガシッとつかんで逃げないようにする。
「……ぁぅ〜ぁ!」
「さゆみちゃん、大丈夫!?」
オレが立ち上がってさゆみちゃんに近づこうとすると、ドガッ!
「くはっ!」 …またもや斉藤さんの台尻がオレの腹に。。
「□□とか言ったなぁ、おとなしくしてねェと殺すぞォ!」
「くぅ…」
そう言い放って斉藤さんはヘリの方に近づく。
- 632 :サボリン:2004/01/31(土) 22:50
-
と、ヘリの中から着ぐるみを着た人物が2人現れる。
「ぴょぴょぴょんぴょ〜んのあやぴょんなのだ!」
「めめめのめぇ〜の みきう〜るナリ!」
・・・ピンクのうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんと
ブルーの羊の着ぐるみを着た、、藤本だ。。
・・・なんて場違いな格好なんだ。てうか藤本の様子が変だ。
「藤本!オイ!藤本ォ!どうしたんだァ!」
「あやぴょ〜ん、あそこで叫んでる人、怖いメェ〜」
「みきう〜る、ここで待ってるぴょん、
あやぴょん、すぐに用事すませて帰ってくるぴょん」
そう言ってうさぎの着ぐるみを着たまつうらさんがこっちに近づいてくる。
ぴょん、ぴょん。
「…あわわ」…なんだか怖い。。
と、裏門から爆音をあげてバイクが2台、やってくる。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド !!
シィィィイイイ ズザザザザザザァァア!!
ズザザザザザザァア ドフン!!
バイクが2台向き合って、真一文字に横になり急制動して止まった。
「美貴様ッ!」スタタタッ。
後席から下りてきたのは、紺野さんだった。
絵里ちゃんが運転席から下りてきて、
あさみちゃんとまいちゃんも下りてきた。ジャリ。スタッ。
…紺野さんとまいちゃんは包帯をしている。
…ケガは大丈夫だったんだろうか??
- 633 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
-
「紺野ォ!下手なマネすると、
コイツがどうなっても知らねェぜッ!」カチャ。
そう言って斉藤さんが藤本の頭をつかんで銃を突きつける。
「メェ〜、怖いメェ〜」
「美貴様ァ!どうなされたんですかァ!美貴様ァ!」と叫ぶ紺野さん。
「へっ、コイツはもう赤子同然よ
デスニーランドで亜弥様の術中に落ちたんじゃ!」
「メェ〜、メェ〜」
「…な、なんということを、、
帝王にあるまじき情けないお姿、…おいたわしい、、
…美貴様、そのようなお姿をこの紺野、見たくはございません!
美貴様ァ!お目覚めをォ!美貴様ァア!!」
そう言って紺野さんは涙を流して見守っている。
「ぅるせェ!オマエラはそこでおとなしくしてろよォ!」
斉藤さんの合図で柴ちゃんとマサオさんが銃を構えて見張りにつく。
紺野さんも絵里ちゃんも、あさみちゃんもまいちゃんも動けないでいる。
「……美貴様」
と、音楽室の方から、さっきの残りの札束を持って
中澤先生(と矢口先輩)と安倍先輩と石川さんが出てきた。
「なんのさわぎや?」「……」「なんだべ?」「…柴ちゃん?」
「みんな、こっちに来るなァ!危険だぞォ!」
とオレは心配して叫んだが、
中澤先生たちもヘリや銃を見て足がすくんでいるようで
周りから見守るだけで近づこうとはしない。
ふと見ると、愛ちゃんが気を失っているみたいだ。
辻ちゃんと加護ちゃんも手錠をかけられておとなしくしている。
- 634 :サボリン:2004/01/31(土) 22:51
-
と、まつうらさんがオレの背後にまわってオレを押さえる。
「な、何する気だよ」
「さゆみんともう一度キスをしてください、
そうすれば再びさゆみんは眠りにつきます。
○○くん、あなたを殺せば早い話なのだけれど
せっかく知り合った○○くんを殺したくはなかったの」
「……さゆみちゃんは、眠ったらどうなるんだ?」
「それは〜、あやぴょんが起こしてあげるんだぴょん!」
いきなり話し方を変えて笑顔を見せるまつうらさん。。
「…そういうことか」
「これが一番平和的な方法なのだぴょん
早いとこ、お願いするんだぴょん!」
「□□ッ、亜弥様の言うことを聞くんだァ
そうすればコイツも元に戻してやるとおっしゃっておられる!」
そう言って斉藤さんが藤本をガツン!と殴る。
「メェ〜!」
「…ちくしょう」
「美貴様ァ!」ザッ。
「紺野!動くンじゃァねェ!」スドドドドドドッ!
「…くっ」
「おとなしくしてろォ!、おとなしくしてれば
コイツだけは助けてやる」
「…美貴様、…○○」…絵里ちゃんも心配して見守っている。
「さあ、さゆみんとキスをするんだぴょん!」
そう言ってまつうらさんがオレの腕をつかむ。
後ろで手錠をつけられたオレは抵抗できない。。
「…くぅっ」
「みうな、お願いするぴょん」
「はい」
そう言って、みうながさゆみちゃんを後ろからつかんでオレに近づける。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
- 635 :サボリン:2004/01/31(土) 22:52
-
だんだんとさゆみちゃんの頭がオレに近づいてくる。
「……ぁぁ!」
さゆみちゃんはオレの顔を見て安心したのか無邪気に笑っている。
買ってやったおもちゃの風車を髪にさしている。
さゆみちゃんにキスするとまた眠ってしまうのか。
そして、まつうらさんのものになってしまうのか。。
「さぁ!」
既に唇が触れ合うくらいまで顔が近づいてきていた。
オレはもう、さゆみちゃんの瞳を見ることしかできなかった。
「……ぁぅ〜」
「…さゆみちゃん」
…仕方ない、キスするか。…藤本のためだ。
…それにもう、抵抗することもできない。。
…さよなら、オレのさゆみちゃん。
ダン!
ん?
鈍い音と衝動で目を閉じてしまった。
…再び目を開けてみると、、
さゆみちゃんを押さえていたみうなの頭から赤い線が縦に走っている。
…血だ。
「あそこだ!撃てェ!」
斉藤さんの合図で校舎の陰を柴ちゃんとマサオさんが撃つ。
ズダダダダダダダッ!
と、れいなが出てきて弾をバリアでガードする。ピンピンピンピン!
…後ろから後藤さんが出てきた。
「…しくった、すっかりしくった!」
…後藤さんが悔しがっていた。。
- 636 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
-
と、みうなが、声もなく血を頭からふきながら崩れ落ちる。
「・・・・・・」
みうなの目から涙が流れて宙に飛んだ。
ドクン!
「!」
「!」
「!」
急に絵里ちゃんとれいなが頭を抱えて苦しみ出す。
…さゆみちゃんも唇を噛んで眉を寄せて苦しそうだ。
「み・・・みうなさん!!!!」
「ぐっ!ううっ!!」
「・・・・・・ぁぅっ!」
ドクン!
「さゆみん!!」
裏門からゴジラ化した里沙が見守っていた。。
「おぉお! いっ、いかん!」
体育館の裏から飯田先輩が出てきて叫んでいた。。
- 637 :サボリン:2004/01/31(土) 22:53
-
「 に ゃ ァ ア ァ お ッ !!」
- 638 :サボリン:2004/01/31(土) 22:54
-
・・・・さ、さゆみちゃんが叫んだ。。
さゆみちゃんは頭を押さえて空を見る。
苦しそうだ。頭から風車がポトンと落ちた。
みんなボーゼンとして見守っている。
と、さゆみちゃんが両手を胸の前に据え、
手のひらの間になんか力を込めている。
鈍い光が真ん中に見える。
「や・・・・やめなさい・・・・
さゆ・・・・そ・・・それは!」
サァァー───────-──-─-ッ
「なっ、何だ!?」
「ひっ、光が・・・・集まってる!?」
「まさか、そんな!!」
「さゆみんが!!」
- 639 :サボリン:2004/01/31(土) 22:55
-
キィィー────────-──-─-ッ
「!」
カッ
さゆみちゃんのまわりに白い球体が見える。
さゆみちゃんは肩の力が抜けたのだろうか、
丸めていた体を起こして、満足そうな表情だ。
と、辺りは光に包まれて何も見えなくなる。。。
- 640 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
-
「・・・・れいな!
・・・・みんなを助けるのよ・・・・
一人でも多く・・・・」
「ど・・・・どこへ・・・・・・
急がなかと、れいなたちも出られなくなるとよ!」
「・・・・どこでもいいから・・・・
二人で力を合わせてみんなを飛ばすのよ・・・・」
「・・・・うん!」
気がつくと俺たちのまわりに大きな透明の球体ができている。
球の外では、上空に暗雲が立ちこめ、辺りがもの凄い嵐に包まれている。
ドドドドォォオオオオオオオァァァアアアア!!!!
- 641 :サボリン:2004/01/31(土) 22:56
-
「れいな!」
「絵里!」
「今よ!」
「うん!」
「やっ!」
「ちゃっ!」
・
キュン!
・
・・・・うわぁ!!
いきなり学校全体が宙を浮いている。
しかも、かなりの上空だ。東京の街が一望できる。
- 642 :サボリン:2004/01/31(土) 22:57
-
って、おい!
・・・・ハルマゲドンが起きちゃったんですかぁ??
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
ビルを次々となぎ倒しながら黒い球体がどんどん大きくなっている。
・・・・おいおいおいおい、ヤヴァすぎだぞコリャ!!!
東京全体を包み込む勢いでどんどん球体が大きくなっている。
それと共にオレたちもどんどん上空にいっているようだ。
東京湾の形が見渡せるほど上空だ。
もうビルとか道路とか見えない。
あたりを見渡すと、みんなが宙を浮いている。
って、オレも宙を浮いていた。地に足がつかない。
校舎や校庭が真横に傾いたままオレたちと一緒に宙を浮いているんだ。
どうりで下の方が見えるはずだ。。
- 643 :サボリン:2004/01/31(土) 22:59
-
あれ?体育館の方にひとみと小川さんが見える。
オロオロしている。あいつらまで巻き込まれたのか。。
他のみんなも不安そうな顔をしている。
オレも宙に浮いていると不安定で怖い。誰かにつかまりたい。
いつの間にか手錠ははずれていた。
誰につかまろうか。。
【以下の中から、一人選んでください(愛称略)】
高橋 藤本 紺野 亀井 里田 後藤 田中
加護 辻 石川 安倍 矢口 中澤 松浦 吉澤 小川
(ここでは親密度が0以下の人物は選択肢に表示されていません)
- 644 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:01
- 吉澤
理由:安定感があるから
- 645 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:29
- 捕まったら一緒に飛ぶのかな?
そこんとこ見てみたいから矢口
- 646 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:38
- 紺野
- 647 :名無し娘。:2004/01/31(土) 23:55
- 後藤
- 648 :名無し娘。:2004/02/01(日) 02:57
- 藤本
- 649 :名無し娘。:2004/02/01(日) 04:57
- 中澤
- 650 :名無し娘。:2004/02/01(日) 07:05
- 紺野
- 651 :名無し娘。:2004/02/01(日) 11:51
- 高橋
- 652 :名無し娘。:2004/02/01(日) 13:47
- 石川
- 653 :名無し娘。:2004/02/01(日) 17:20
- 紺野
- 654 :名無し娘。:2004/02/02(月) 12:53
- 矢口
- 655 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:07
- 高橋
- 656 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:13
- 高橋
- 657 :名無し娘。:2004/02/02(月) 21:06
- 知
- 658 :名無し娘。:2004/02/02(月) 22:30
- 紺野
- 659 :名無し娘。:2004/02/04(水) 17:01
- 道重
- 660 :名無し娘。:2004/02/04(水) 22:59
- 高橋
- 661 :サボリン:2004/02/04(水) 23:08
- 紺野でいきますか。
- 662 :名無し娘。:2004/02/06(金) 00:22
- 川 TーT)<票数は負けていないやよー
- 663 :サボリン:2004/02/07(土) 16:18
-
・・・・紺野さん。
オレは必死になって紺野さんの方に近づいた。
紺野さんに手を伸ばすと、紺野さんの方も手を伸ばしてくる。
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
下を見ると、球体はさらに大きくなって、東京全体を覆っていく。
こちらに近づいてくるようも見える。
と、辺りが光で包まれ出す。
ー-──--───────────────-──-─-ッ!
「紺野さん!」
「○○さん!」
パシッ。やっとの思いで紺野さんの手を握りしめた。と、
カッ
辺りが真っ白になって何も見えなくなる。
- 664 :サボリン:2004/02/07(土) 16:19
-
だんだんと・・・
意識が・・
遠・・
・
- 665 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
-
・・
- 666 :サボリン:2004/02/07(土) 16:20
-
・・・
・・・おっと、ついつい眠ってしまったな。
…小春日和の陽気に誘われて眠ってしまったらしい。
…どうもおかしな夢を見た気がするが、、
…こんな事をしている暇はない。
今日は愛さんの家庭教師の日なのだから。
そろそろ出立せねばなるまい。
辞書と筆記用具を鞄に詰め、着物の帯を締め直していると
「□□さ〜ん、高橋様のお使いが来なすったえ〜!」
と、けたたましい真里さんの声がする。
真里さんは下宿屋の娘で、身の回りの世話を焼いてくれる人だ。
…誰だろうか、なにがあったのだろう。。
慌てて一階に下りていくと、あさ美が玄関先で待っていた。
あさ美は愛さんの所の女中だ。苦労して両親に仕送りをしている身だ。
- 667 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
-
「おや、あさ美じゃないか、どうしたんだい?」
「あ、□□先生、まだいらっしゃったのですね、良かったです、
実は、今日はお嬢様が学校のお友達と予定が出来てしまって
授業を一時間ほど遅れて始めて下さるよう、お言付けに参りました」
あさ美は、早口に一気に言うと、はぁはぁと深呼吸を始めた。
「そうかい、ご苦労だったね、
二階へお上がりよ、お茶でも飲んでいくといい」
「そういうわけにはいきません、仕事がありますので」
「かまやしないさ、どうせお圭さんの小言を聞く仕事だろう
それにお屋敷から走ってきたのだから休まない法があるかね
休むのも仕事のうちさ、お圭さんには言っておくから、さあお上がりよ」
「すみません、じゃあ…」
私はあさ美を部屋に案内し、真里さんにお茶を頼んだ。
部屋へ上がったあさ美は落ち着かない素振りで
座布団の端をいじくっては大きな目をきょろきょろさせていた。
あさ美も女らしくなったものだ。少し前までは煙草盆だったのに
今では、うなじの部分で髪を二つにまとめて淡紅色のリボンをつけている。
色褪せた黄八丈にリボンが映えて綺麗だった。
ふと見ると手になにやら本を抱えている。。
あさ美は最近、愛さんの勧めで字を学び始めた。
仕事の合間を見ては教本を開いていたので女中頭のお圭さんに見つかり、
お前のような者には読み書きなど必要ないと教本を取り上げられたが、
あさ美は時折頑固なところがあり、仕事は確かにやるので返してくれと言い張った。、
お圭さんは根負けし、愛さんの手前もあって教本を返してやったという。
初めのうちは愛さんがままごと宜しくあさ美に教えていたのだが
存外に覚えが良くて愛さんでは追いつかないようになってしまった。
それで、愛さんの授業が終わると帰り際に私に読み方を聞くことがあり、
今日も素直に上がってきたところを見ると字を教わりに来たのが本当らしい。
- 668 :サボリン:2004/02/07(土) 16:21
-
案の定、お茶を飲み終わらないうちに質問をしてきた。
「先生、…これは?」
「ハヘン」あさ美の後ろから本を覗いて答える。
「…これは?」
「ボヒョウ」
「…そうして…天から落ちて来る…星の…破片を…墓標に置いて下さい…」
あさ美は首を傾けながら字を追って、唇を金魚のようにすぼませながら
たどたどしく音読した。
「…漱石かい、随分難しいのに挑戦しているのだね」
「はい、奥様に勧められて」
「うん、それは短編だから読みやすいが、…逆に難しいかも知れないよ」
「……、…」
私の話が耳に入らないようで、あさ美は必死に目を上下に動かしていた。
「日が出るでしょう…それから日が…沈むでしょう…
…それから…また出るでしょう、そうしてまた…沈むでしょう…」
あさ美がまた音読を始めたので、私は格子越しに通りを眺めていた。
「…赤い日が…東から…西へ…東から西へと…落ちて…行くうちに、
…あなた……待っていられますか……先生?……□□先生?」
「…ん?」
「…これは?」
「どれどれ…ウナズいた」
「…あと、これ」
「チョウシ」
「……自分は…黙って…首肯いた…
…女は…静かな…調子を一段…張り上げて、
百年…待っていて下さい…と…思い切った…声で…云った……」
「……」
- 669 :サボリン:2004/02/07(土) 16:22
-
「…百年かぁ、あと百年経ったら…え〜と、二千十四年ね、
世の中は随分変わるでしょうね」
「そうかねえ」
「だって、先生、私が生まれてからで言ったって
自動車が走るようになったり、電器が付くようになったり
凄い変化じゃないですか?
百年後にはもっといろいろなものが出来ているはずだわ」
あさ美は何を想像しているのか、目を輝かせていた。
「百年やそこらじゃ人間は変わらないさ
僕たちの孫の世代はまだ生きているだろう?
そんなものだよ百年だなんて」
「あら、先生は案外夢のないことをおっしゃるのね」
「僕ならもっと先、そうだな千年後の未来を考えるね」
「…千年後?…二千九百十四年?…だめっ、私想像つかないわ」
「ハハハ、そりゃそうだろう」
「先生には想像がつくの?」
「いや、わからないね、
でも社会のシィステムは大きく変わっているだろうねえ
もしかしたら人間なんて滅びているかも知れないよ」
「やだ、怖いことをおっしゃるのね」
「なあに、あさ美のようにようく食べる女が
たくさん子を産み続ければ問題はないさ」
「…ひどいわ先生ったら」
「ハハハ、…おっと、そろそろ時間だね」
私は懐中時計を取り出して時間を見た。
「あら、もう? 何時ですか?」
「3時だよ、少し早いがそろそろ出ようか
いつもゆったりと散歩をしながら行くのだよ
今日はあさ美も付き合ってくれ給え」
「…はい」
二人そろって根津の下宿を出た。
小石川の愛さんのお屋敷までは言問通りをまっすぐに行くのが早いのだが
不忍通りの木々を見ながら行くのも悪くない。それに不忍の先の無縁坂には
お美貴という女が家を構えていた。お美貴は某の高利貸しの妾であるという噂だが
私が無縁坂を通る折には決まって挨拶をしてくれる、気立ての良い女であった。
少し気になっているのだが、今日はあさ美もいるのだから言問通りから行くべき
だろうか。それに言問通りには「ごとう」という団子屋があるので
途中あさ美に団子を買ってやって食べる様を観察するのも面白いかもしれない。
さて、
1 不忍通りから行く。
2 言問通りから行く。
- 670 :名無し娘。:2004/02/07(土) 17:18
- 1で
- 671 :名無し娘。:2004/02/08(日) 08:33
- おぉいきなり文学的になったな
1で
- 672 :名無し娘。:2004/02/08(日) 15:15
- 1で
- 673 :名無し娘。:2004/02/09(月) 14:02
- 2
- 674 :名無し娘。:2004/02/09(月) 20:42
- 2
- 675 :名無し娘。:2004/02/09(月) 21:23
- 1
- 676 :名無し娘。:2004/02/10(火) 21:22
- 1
- 677 :名無し娘。:2004/02/10(火) 23:02
- 2で
- 678 :名無し娘。:2004/02/11(水) 03:55
- 2
- 679 :名無し娘。:2004/02/11(水) 04:00
- 1
- 680 :名無し娘。:2004/02/11(水) 15:40
- 2
- 681 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
-
「あさ美、少し遠回りになるが不忍通りから行くとするかね」
「はい」
あさ美は何も言わずに雪駄をからころ鳴らしながらついてくる。
不忍通りを南にゆくと左手の池から清らかな水草の匂いがした。
「好い天気だねえ」
「ええ、本当に」
そう言ってあさ美は午後の日差しを避けながら私を見上げた。
しばらくすると無縁坂に差掛かり私はいつもの癖で右に寄れた。
あさ美は進路を外されてきょとんとした顔でついてくる。
「こちらの通りの方が静かで好いのだよ」
「そうですか」
そう言って二人は無縁坂を上り始めた。坂を上ってすぐ二三軒目の右手に
御影石を塗り込んだ上がり口に、格子戸を綺麗に拭き入れた家が見えてくる。
お美貴の家だ。と、門の前を見て驚くにお美貴が立ってこちらを向いている。
普段は肘掛窓からひょいと顔を出して挨拶をするだけのお美貴が
今日に限って門先に立っていてやや深めに頭を下げてくる。
私も慌てて帽を取って礼をしたが、蝉の羽のように薄い銀杏返しの鬢に
尋常ならざる美しさを感じて思わず歩みを止めた。
お美貴はちらりとあさ美を見てから深い眼を私に寄せた。
「…なにか?」
緊張をほぐすような巧い言葉が浮かばずに
私はつい咎めるような口調になってしまった。
「…あ、…いえ、…好いお天気ですね」
「…そうですね、…好い天気です」
「……本当に」
そう言ってお美貴は鼻の高い、細長い顔にやや寂しい笑みを浮かべた。
「では、また」
「…御機嫌よう」
お美貴の声を残しながら私は歩みを早めて坂を上った。
- 682 :サボリン:2004/02/13(金) 15:24
-
後ろから慌ててあさ美がついてくる。坂を上りきって左に折れたところで
ようやく速度を落とし、あさ美がやっと追いついてきた。
「はア、はア、…□□先生、急に早足になってどうしたの?」
「いや、すまん、少し考え事をしていてな」
「…嘘だわ、先生、あの人に会って急に態度が変わったわ」
「うむ、…正直に言えばそうかもしれない
…あの女の態度がいつもと違ってびっくりしたのだよ」
そう言いながら再びゆっくりと歩き始めた。
「先生、あの人とどういう関係なの?」
「関係もなにもあるものか、時折挨拶をする程度で、
一度、通り掛りに蛇の退治をしてやったことがあるのだが、
縁と言えばそれくらいで、あのように深々と頭を下げられる覚えはない」
「…なんだか思い詰めた表情だったわ、大丈夫かしら」
「何が大丈夫じゃないと言うんだね」
「私、あの人に睨まれたわ、怖い眼で、
…あの人は先生のことが好きで、
私を恋人か何かと思ったのではないかしら?」
「ハハハ、あさ美の少女趣味もそれくらいにし給え、さあ行こう」
そう言って私は再び歩みを早めた。…あさ美の言うことに
思い当たる節が無くもなかったが今は考えないようにした。
- 683 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
-
あさ美と一緒に愛さんのお屋敷に辿り着くと、
ちょうど道の向こうから愛さんが帰ってくるところだった。
「□□先生!」
大きな声を出して自転車を止める愛さん。
編み上げブーツが袴の裾からチラリと見える。
頭の後ろでまとめていた束髪の一部が慣性で前に出て
藤色の矢絣の肩へとはらりと掛かった。
「やア、お帰り、愛さん」
学校へは十分に歩いていける距離だのに、愛さんは新しいもの好きで
自転車を買ってもらい、クラスで一人自転車で通っている。
おまけに、上方のお祖父さんの家に行った折に宝塚という
少女歌劇団を観賞し、めっぽう気に入ったらしく劇団のスタアの
真似をして緑の袴をはいているので、クラスでも目立つ存在らしい。
「良かった、ちょうどお着きになったところね
今日はごめんなさい、私の都合で遅らせてしまって」
「いいのだよ、僕なんぞは時間を惜しまない質なのだ
あさ美とゆったりと散歩が出来て良かったくらいだ」
「あら、あさ美ちゃん、すぐに帰らなかったの?
先生に迷惑をおかけしたら駄目じゃないの」
「すみません、お嬢様」
「いやいや、僕の方が散歩に誘ったのだから
あまり叱らないでくれ給え」
「…私、仕事がありますので失礼します」
「うん、また気軽に来ると良い」
あさ美は背中を丸めて逃げるように裏にまわっていった。
愛さんはしばらくあさ美の後ろ姿を追っていたが
「さ、先生、授業をお願いしますわ」
と言って自転車を立てかけた。
- 684 :サボリン:2004/02/13(金) 15:25
-
今日は英語の構文をやり、過去完了だとか未来完了だとかを教えたのだが
自分では理解していても人に教えるのは甚だ難しい分野だ。
数学の授業の様になってしまい愛さんも私も顔をしかめて苦労した。
私は教え方というのをもう少し勉強しなくてはならないと反省した。
「それでは今日はこの辺にしておこうか」
区切りの良いところで終わりにすることにした。
「ふう、今日は大変だったわ」
と言って愛さんは眉毛を上げて溜め息をつき、辞書の頁をふわっと浮かせた。
「ハハハ、若いのに溜め息だなんて情けないな」
と言う私も眼の疲れを癒そうと目頭を押さえた。
「あら、そう言う先生こそお疲れのようよ、
肩が凝ったのね、お揉みして差し上げましょうか?」
「いやいや結構、僕だってこれでも若いのだからね」
「じゃ、下でチョコレートでも飲んでいくといいわ、
目が覚めますわよ、言い付けてきますので先生も直にいらっしって」
そう言って愛さんは私を残して階段を下りていった。
私は女子の部屋に一人取り残されて落ち着かずにすぐ下に降りていった。
と、廊下で割烹着を着た梨華さんと鉢合わせた。
「あら、□□先生、ご苦労様でした、
……いやだわ、こんな姿を見られてしまって、
すぐにお茶の用意をしますのでリビングで待っていて下さいな」
「いえ、お構いなく」
私の言葉も聞かずに梨華さんは台所に入っていった。
普段見せない割烹着姿を見られて恥ずかしかったようだ。
梨華さんは愛さんの兄嫁で、今ではこの家の全般を任されているのだが
愛さんとの歳も近く二人は本当の姉妹のように仲が良かった。
- 685 :サボリン:2004/02/13(金) 15:26
-
リビングにお邪魔してソファに座り愛さんと話していると
あさ美ががチョコレートやら菓子やらを持って出てきた。
「ああ、すまんね、あさ美」
「奥様に倣って入れてみました、お口に合うかどうか」
「あさ美ちゃん、ご苦労様」
そう言って愛さんは早速カップを手にとってチョコレートを口にした。
あさ美が下がるのと入れ替わりに梨華さんが見えた。
授業が終わると三人でテーブルを囲んでお茶をするのが常だった。
「先程は失礼しました」と軽く頭を下げる梨華さん。
「いえ、チョコレート、美味しく戴いております」
梨華さんは割烹着を既に脱いで、亀甲絣の藤と桜の染め分け御召を着て、
やや濃い藤の半衿、藍の帯に薄い黄緑の帯揚げがのぞき、
白の帯締めが全体を引き立たせていた。頭は古風につぶし島田に結っている。
梨華さんは今時に珍しい日本女性なので姿を見るといつも心が落ち着いた。
「そう言えば、先生、
私、先日ようやっと『人形の家』を見ましたのよ」
チョコレートを飲みながら愛さんが話題を見出した。
「おお、そうかい、どうだったかね?」
「感動しましたわ、女性の独立を描いた素晴らしい作品でしたわ」
「そうかい、…しかし僕はああいう説教臭い芝居は嫌いだね」
「あら先生、婦人解放運動に反対なさるの?」
「そういうわけじゃないが、
芝居というのはもっとスペクタクルでなければいかん
ああもごちゃごちゃと台詞を吐かれては幻滅してしまうよ」
「そうかしら、お義姉さんは?お義姉さんの感想を聞かせてよ」
「…私は、よく分かりませんでしたわ」と梨華さん。
「駄目ね、私たち女性の独立について語っているお芝居なのに
お義姉さんのような古風な方はうんともすんとも言わないのだから」
「まあまあ、愛さん」
「……」
困った顔をして梨華さんが私を見て笑う。
- 686 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
-
「はア、でも憧れてしまうわ、
松井須磨子さん、素敵でしたわ、
私も独立した女性としてああ言う風になりたいわ」
「ハハハ、愛さん、宝塚の次は新劇かね、
…でもねえ愛さん、あんまり独立独立と言い張るのもどうかと思うがね」
「…どういうことですか?」
「独立というのは一個の個人として生きることだから孤独だよ、
愛さんが本当に独立してしまったら、
愛さんは結婚できないかも知れないよ、それでもいいのかい?」
「あら、独立したら結婚できないなんて始めて聞きましたわ」
「だって、経済的にも精神的にも独立してしまったら
結婚する必要がなくなってしまうではないか」
「…うーん、…先生のは屁理屈だわ」
「ハハ、困らせるつもりじゃないんだ、
ただ僕は最近の日本の情勢について憂慮しているので言うのだが、
昔の日本には身分によって差別があった、性による差別もあった、
しかしそれは区別と言った方がいい、一人一人が自分の役割を果たしていた。
地主には地主の小作には小作の、嫁には嫁の役割があって、
みんなその役割の義務と責任を果たしてきた、まさに芝居だよ。
しかし今日の日本は西洋の個人主義を間違った形で受け入れて
自分勝手主義とでも言うべき主義がはびこっている。
西洋のようにキリスト教や強い市民意識といった共通の土台を持った上での
個人主義ならば結構なのだが日本の個人主義は何の土台もないバラバラ主義だ。
極論すれば隣が火事になろうが自分さえ無事だったら良い。そういう主義だ。
個人主義の間違った形は通時的にも現れている。
個人主義を突き詰めれば、自分の先祖や子孫も関係なくなる。
今さえ良ければいいんだという考えでやりたい放題になる。
個人主義で行くのなら五十年先に売れる桧を今植える馬鹿がいるものか、
それどころか先祖の植えた桧を全部切り倒す勢いじゃないかね…」
私は思わず熱くなってしまった自分を押さえようと一息ついた。
- 687 :サボリン:2004/02/13(金) 15:27
-
「……そんなに自分勝手な人ばかりではなくってよ
皆さん、富国強兵とお国のために働いてきたのではなくって?」
愛さんがしばらく考えて言い返してくる。
「うん、でもそれは裏を返せばそういったスローガンを掲げなければ
国民がバラバラになってしまうということさ。
まあ、今のように国が貧しいうちはそれなりに国全体としての
目的があるから良いものの、それがなくなったらどうなるんだい?
共同体というのは共通の目的や夢や敵を失ったら機能しない。
国としてのシィステムだけが残って、地主が小作を支配するといった
分かりやすい構造ではなく、個人が個人の集団に縛られる、
誰が誰に縛られているのかわからない、そんな社会になるだろう。
そうやって個人に対して世界が全体として敵になってしまうんだ」
「…何をおっしゃりたいのかよく分からないわ」
「…ハハハ、僕も自分で分からなくなってきたよ、
つまるところ、土台のない個人主義は危険だということさ、
そして、愛さんは結婚できるかできないか、それが問題だね」
「嫌ね、そんなにご心配なら先生がもらって下さっても結構よ」
「おや、これは困ったな」
「そのかわり、私はお金のない方のところへは参れませんから
先生は早く大学を卒業なさって、ご出世なさらなければ駄目よ」
「うーん、厳しいなア」
「愛ちゃん、あんまり先生を困らせては駄目じゃないの」
そう言って梨華さんが助け船を出してくれた。
「だって先生が難しいことをおっしゃるから…」
「いや、すまんすまん」
「さア、チョコレートは口に残りますから焙じ茶でも入れましょう」
そう言って梨華さんがチリリンと呼鈴を鳴らすと
お圭さんがもそっと顔を出してご用を聞き素早く台所に向かっていった。
「良かったわ、私もちょうど焙じ茶が飲みたかったところ、
チョコレートで舌がダコンダコンになってしまってよ」
「ハハハ、愛さんは時折面白い表現を使うのだね」
「あら、そうかしら」
「そうよ、ふふ」
「ハハ、そうですよねえ」
そう言って梨華さんと私が揃って笑うので
愛さんはプンと向こうを向いてしまった。
- 688 :サボリン:2004/02/13(金) 15:28
-
その後もしばらく話をしながらお茶を戴いたが
六時半にお暇をし、下宿に帰って飯を食って眠った。
その日は真里さんが作ったという鯖の味噌煮がどうも胃に残った。
翌日は胃の調子が悪くて終日部屋でぐうたらしていた。
翌々日、散歩に出て無縁坂を通ると、
お美貴の家が引き払われていてひどく驚いた…。
・
それから数日が過ぎ、また愛さんの家庭教師の日が来た。
出立しようとした矢先に幾分強めの雨がザアザアと降り始めた。
私は傘を持ってコオトを羽織って外へ出た。
早速出来た水溜まりを避けながら言問通りを歩いていると
通りの向こう側に雨宿りをしていると思われるあさ美の姿を発見した。
買い物の途中であろうか。荷を背負って庇の下からぼんやりと空を見ていた。
と、あさ美は風呂敷を頭にかぶってトコトコと走り出した。
お屋敷とは反対方向に向かって行くのでまだ買い物の残りがあるのだろう。
傘も持たずに大丈夫だろうか。この雨は当分やみそうにない。
追っていって傘をさして送ってやるべきだろうか。
しかし今日は準備に手間取ったので、
そうしていては愛さんの授業に遅れてしまうだろう。
さて、
1 あさ美を追って傘をさしてやる。
2 愛さんの授業を優先してお屋敷に向かう。
- 689 :名無し娘。:2004/02/13(金) 19:18
- 1
- 690 :名無し娘。:2004/02/13(金) 20:44
- 1
ダコンダコン(;´Д`)ハァハァ
- 691 :名無し娘。:2004/02/13(金) 21:18
- 1
- 692 :名無し娘。:2004/02/13(金) 23:26
- 1で
・・・「人形の家」のくだりは「待てど暮せど来ぬ人を」?
- 693 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:17
- 無論1
- 694 :名無し娘。:2004/02/14(土) 03:43
- 1
- 695 :名無し娘。:2004/02/14(土) 12:31
- 市
- 696 :名無し娘。:2004/02/14(土) 21:33
- 1
- 697 :名無し娘。:2004/02/17(火) 23:29
- 2
- 698 :名無し娘。:2004/02/18(水) 00:45
- 1
- 699 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:43
- 2
- 700 :名無し娘。:2004/02/19(木) 00:44
- ノノ*^ー^)<700です。
- 701 :名無し娘。:2004/02/19(木) 22:35
- 梨華さんの服装描写とか、ディテールも手抜きなしですね。
1で
- 702 :サボリン:2004/02/22(日) 00:30
-
雨の中を傘もなく走ってゆくあさ美を放っておくわけにはいくまい。
私は急いであさ美を追いかけた。
「おーい、あさ美、あさ美や!」
雨の音で縮んだ私の声をようやく聞き分け、
あさ美が立ち止まってこちらを振り返った。
目を凝らして私を確認すると強ばっていた唇を途端に緩ませた。
「無茶をするものではないよ、こんなに強い雨なのに」
私はようやく追いついてあさ美の頭に傘をさしてやった。
「□□先生……」
雨に濡れた前髪から水滴がしたたり落ちている。
その下からあさ美の眼が私を見上げる。
あさ美は濡れた顔を拭こうともせず、
ふう、はあ、と口から白い息を吐いている。
「…ひどく濡れて…かわいそうに」
私はハンカチーフを出してあさ美の頬を拭いてやった。と、
「はっ、先生、今日はお嬢様の授業の日では?」
あさ美が夢から覚めたように突然大きな声で言った。
「…そうだよ」
「いけません、もうお時間でしょう?
遅れてしまうじゃないですか、早く行って下さい」
「こんな雨の中を駆けていくあさ美を見たら、置いては行けないじゃないか」
「それじゃ、見なかったことにして下さい、とにかく早く!」
そう言ってあさ美は私の肩を押し、自分の体を傘から出す。
「おいおい、せっかく拭いてやったのにまた濡れてしまうじゃないか!
ともかくも買い物先まで送るから、案内し給え」
そう言って私は前に出て再びあさ美に傘をさす。
「私はいいですから、先生は…」
などと言い合ってるうちにますます雨は強くなり、
声が聞き取れないほどになった。風も強まり雨が横殴りになる。
もはや、傘をさすささない、授業に行く行かないの問題ではなくなってきた。
「…あさ美、とにかく、…私の下宿へ向かおう!」
「……はい」
雨が嵐となり、私は愛さんのお屋敷までは到底たどり着けそうになく、
あさ美にしても買い物の続行は不可能と悟ったようだ。
私はあさ美の肩を抱きながら傘をさし、来た道を戻って下宿に向かった。
- 703 :サボリン:2004/02/22(日) 00:30
-
下宿が見えてきた頃には雨も風もさらに強くなり、
ついには風に傘をさらわれて飛ばされてしまった。
二人は風に倒れないようにお互いを支え合いながら進み、
ようやく下宿の戸を開いた。
「アチャー!、アチャアチャー!」
玄関に入ると、真里さんが金槌やら釘やら板やらを持って走り回っていた。
「真里さん、この時期に台風でもあるまいし、すぐに治まるだろう?」
「器用貧乏、真里は走ります!」
真里さんは興奮して人の話も聞かずに雨戸をドンカチならしていた。
と、ピカッ!! …バリバリバリバリッと雷が鳴った。
…この時期に雷とは。。
……真里さんの行動も大げさではないのかも知れない。
真っ白な光に、家屋がゆれるほどの大きな音だった。
「あさ美や、とりあえず居間に来なさい」
「…はい」
二階は危険に思い、私はあさ美を居間に案内し、
浴布を取ってきて渡してやった。手あぶりに火を入れて暖を取る。
あさ美もようやく落ち着いて羽織を脱ぎ、座って髪を拭いていた。と、
ピカッ!! バリバリバリバリッン!!
再び大きな雷が落ち、一瞬辺りが真っ白になった。
あさ美は何も言わずに這って私に近寄り、腕に抱きついてきた。
「……先生」
「…うむ、これはいかんな」
ピカッ!バリバリバリッン!!
「うわっ!」「きゃっ!」
「……○○さん」
「…ど、どんどん近づいて来てるな、、これはヤバイぞ…」
オレも怖くなって紺野さんの肩を抱きしめた。
ド カ ン ッ !!
予告無く、光と同時に衝撃が走る。
光が強くて辺りが真っ白で見えない。
- 704 :サボリン:2004/02/22(日) 00:31
-
ド ガ ッ !!
「うわぁぁあ!」「きゃぁああ!」
再び衝撃が走る
体が宙を浮いてる
…みたいだ
・・・紺野さん。。
・・・
- 705 :サボリン:2004/02/22(日) 00:32
-
・・
・
- 706 :サボリン:2004/02/22(日) 00:32
-
・・
…ん?
ここは……どこだ?
目を開けるとボロボロになった校舎が見える。
気づくと紺野さんを抱いてオレは横たわっていた。
意識がはっきりしてきた。
またもや夢の世界に行っていたようだ。。
「…紺野さん、…紺野さん、起きれる?」
オレは紺野さんの体を起こして軽く揺すった。
「…うぅ、…あ、○○さん!」
「よかった、平気みたいだね」
「…はい、…ここはどこですか?」
「…さぁ」
まわりを見渡すと、みんなも校庭に横たわっていた。
校庭の端には校舎がある。…でも校舎の向こうは何もなかった。
…本当になにもない。。砂漠のような土が見えるだけだ。。
…風景がさっきと全然違う。…あの爆発が起きる前、
絵里ちゃんとれいなの声がした。みんなを飛ばすとか言ってたから、、
ここは……とにかく、学校ごと、どっか別の場所に移動したみたいだ。。
- 707 :サボリン:2004/02/22(日) 00:33
-
「はっ、美貴様ッ!」スタッ!
「いてっ」ガコッ!
紺野さんがいきなり立ち上がり、オレの腕を払って走り始めた。
「美貴様、ご無事ですか!?、美貴様ァ!!」
紺野さんが藤本を抱き起こして体を揺らす。
「……うぃ〜、……ん?……紺野?……どうした?」
「…あぁ、美貴様、戻られたのですね、良かったです!」
「…ん〜、なんか変な夢を見た気がするなぁ、、
ああっ!…思い出した!! オレ…猿に操られてただろ!?
…ちくしょう、オレとしたことが!!」
そう言って藤本が立ち上がった。青の羊のコスプレのままだった。。
「美貴様、ご無事でなによりです、
…しかし、申し訳ありません、
さゆみんの捕獲に失敗し、このような事態に…」
「…いや、紺野、オメーはよくやった、
…って、ここはどこなんだ?…学校?」
「…学校なんですけど…外の風景が全く違いますね
…美貴様がお眠りになっている間にいろいろなことがありました、
後藤さんがさゆみんを殺そうとして誤ってみうなを撃ち、
その衝動でさゆみんが……力を使い、、
私たちは亀に助けられて別の場所に移動したのかと」
「うむ、少し覚えている、…とてつもない力だった」
「…はい、私たちはさゆみんに対する認識が甘かったようです」
と、
「美貴様〜、紺野さーん、○○ぅ〜」
と叫びながら絵里ちゃんが裏門から走ってきた。
後ろかられいなも走ってきて後藤さんの方に向かっていった。
「亀!」「亀ェ、生きてたか!」「絵里ちゃん!」
「良かった、みんな無事ですね?」
「ああ、ところでよォ、亀、ここはどこなんだよォ?」
「…わかんない、みんなを助けるのに必死で…、
とにかく遠くへ…遠くへ飛ばそうとしただけだから…
でも、ここが現実の世界だということは確かだと思う、
ほら、あそこにちゃんと…みうなさんの……死体があるから」
そう言うと絵里ちゃんはヘナヘナと座り込んでしまった。
「大丈夫?」 オレは駆け寄って絵里ちゃんを支えた。
「うん、○○、ありがと、…無事で良かったね」
「うん、絵里ちゃんが助けてくれたんだね、ありがとう」
学校全体を瞬間移動させたのだから随分と力を使ったのだろう、
絵里ちゃんはぐったりとしていた。
「ううん、でも、さゆが…」
「そうだ、さゆみちゃんはどうなったの?」
「…わかんない」
「…そう」
- 708 :サボリン:2004/02/22(日) 00:33
-
「……みうなが死んで、さゆみんはゆくえ知らずか」
「……はい」
藤本と紺野さんは頭から血を流して横たわっているみうなを見つめていた。
「…はっ、今のうちだ紺野、猿を捕らえろ!
これ以上好き勝手やられたらたまらんぜ!」
「はっ」
紺野さんが気を失っているまつうらさんを縛る。
「ついでに目隠しもしておけ、妙な術を使うからな」
「はっ」 紺野さんがまつうらさんの頭を布でグルグル巻きにする。
「…うぅ、…なんですか?…っ…ほどいて下さい!」
まつうらさんが気づいたようで体を動かす。
「はっはっはっ、お似合いだぜェ、まつうらァ
猿は猿らしく檻にでも入ってろや!」
「…たん!、その声はたんね、どうしてこんなひどいことするの!?」
「ぅるせェッ、ンなこと言えた義理か!猿はしゃべんじゃねェ!」
そう言って藤本がまつうらさんに近づいて口まで縛ってしまった。
「…うぅぅ」
と、横で倒れていたまいちゃんとあさみちゃんも目を覚ました。
「…うぅ」「…ん〜」
「おお、まい、あさみ、目覚めたか!」
「美貴様!」「美貴様、ご無事でしたか!」
「おお、さっそく仕事だぜェ、ほら、そこでくたばってる
金髪ゴリラと二色マロンと寸胴ラットの銃を奪っておけ」
「はいっ!」「はっ!」
まいちゃんとあさみちゃんが素早く動いて
気を失っている斉藤さんやマサオさんや柴ちゃんの銃を奪う。
と、斉藤さんが目覚めて
「なにしやがる!」と起きあがった。
- 709 :サボリン:2004/02/22(日) 00:34
-
「はっはっ、斉藤、久しぶりだなァ!」
「…帝……いや、藤本ォ!」
「へっ、呼び捨てかァ、随分馴れ馴れしいじゃねーか、
オレぁ、斉藤ちゃんとお友達になれたみたいで嬉しいぜェ!」
「藤本ォ!テメエなんか亜弥様の……はっ!」
斉藤さんが藤本の足下でもごもご動いているまつうらさんを発見した。
「…亜弥様がどうしたってェ? あん?斉藤ゥ!」
「……亜弥様」
「このイモムシみたいな肉塊がオメーの言う亜弥様かァ!」ドカッ!
藤本がまつうらさんに蹴りを入れる。
「……ぅ!」
「やめろォ!」 斉藤さんが叫ぶ。
「へっ、まだ自分の置かれてる状況が分かってないようだなァ、
猿は捕らえられ、みうなは死に、銃も奪われて、何をする?あ?」
「……<っ」
と、マサオさんと柴ちゃんも気づいて起きあがり、
ヘリからは紺野さんに連れられて村さんが出てきた。
「無理はしなくていいんだぜェ、斉藤、
もう、かわいくもないヤツをかわいいと思いこまされる、
そんな恐怖政治は終わったんだ、
…言っておくがオレはオメーラに敵意はない、
猿と共に死ぬも良し、猿を見捨てて逃げるも良し、
それともオレの下で働くかァ? 選ぶのはオメーだぜェ、
え?斉藤ちゃァン!どうすンだよォオ!?」
「…ちくしょう」
そう言って斉藤さんはマサオさんたちを見る。
「……オマエら、ここはいったん退くぞっ!!」
斉藤さんは振り返って裏門に向かって歩き始めた。
「…ボス!」「…うん」「待って〜」
とマサオさんと柴ちゃんと村さんが斉藤さんを追う。
「賢い選択だな、斉藤」
「あばよォ、藤本」
そう言い残して斉藤さんたち4人は裏門を出て行った。
…どこに行くつもりなんだろう。…大丈夫だろうか。
外は砂漠のような大地が続いているというのに。。
- 710 :サボリン:2004/02/22(日) 00:36
-
なんてもめていた間に、加護ちゃんたちや矢口先輩たち、
ひとみや小川さんや愛ちゃん、れいなに抱きかかえられた後藤さん、
飯田先輩など、どうやらみんな無事に目覚めたようだ。
みんな今の状況にとまどっているらしく
話しもせずに自然と藤本のまわりに集まっていた。
もっとも後藤さんや飯田先輩は遠くから見守る感じだったが。。
「さぁてと、とりあえずどうすればいいかなぁ、紺野?」
「…はい、まずはここがどこなのか調べなければなりません。
ただ、少し見渡した限りでは街も見えず、辺りは砂漠、
全員で移動するのは危険です。ですから先遣隊を派遣して
他はしばらくの間ここで待機するべきです。長期になる場合、
学校その他で食料や水を見つけて食いつなぐ必要があります。
学校の備品をくまなく探して使えるものを集め、
マット等で寝床を用意する必要もあるでしょう…」
「うむ…ようし、4班に分けるぞっ!」藤本がみんなに向かって声をかける。
「街を見つけるための探検隊、リーダーは紺野、ヘリは使えるな」「はっ」
「次ィ、学校内の食料調査隊、リーダーはあさみ」「はい!」
「学校内の備品調査兼寝床整備隊、リーダーはまい」「はい!」
「みうなの死体片づけ・猿の監禁監視等雑用部隊、リーダーは亀」「…はい」
「いいかァ!オメーラよく聴けェ!
従う従わないはオメーラの自由だ、
ただし、従わない者はオレらの邪魔をしないこと、
オレらの確保した食糧・備品に手を出さないこと、
オレらに敵対した場合は殺す、以上、質問あるヤツはいるかァ!?」
…加護ちゃんも中澤先生もみんな黙っている。
ここはみんな、おとなしく藤本に従うつもりなのだろう。
「…ようし、文句はないようだなァ」
「しかし、美貴様をお一人にして大丈夫ですか」と紺野さん。
「安心しろォ、銃もあるし、自分の身ぐらいは自分で守れる、
魚は茫然自失でおとなしくしてるようだし、
いざとなったら亀を呼ぶ、紺野、安心して行ってこい!」
「はっ、かしこまりました!」
「ようしオメーラッ、それぞれ隊員を集めて任務を遂行しろォ!」
「はっ」「はっ」「はい」「はいっ」
4人が散ってそれぞれ隊員を募集し始めた。
一部には非協力的な人もいるが隊員が集まり始めている。。
・・・オレはどうしようか。どの部隊に志願しよう。。
1 紺野さんの探検隊
2 あさみちゃんの食料調査隊
3 まいちゃんの備品調査隊
4 絵里ちゃんの雑用部隊
- 711 :サボリン:2004/02/22(日) 00:44
- >>692
「待てど暮せど来ぬ人を」とは何の引用ですか?
大正時代を書きたかっただけで、あんまり考えてません。
ちなみにお美貴のくだりは森鴎外の「雁」です。
あまりに時代が遠いので作者自ら元ネタばらし。。
>>701
ありがとう。実は着物フェチです。
資料見ながら書いてたんだけど、
よく考えたら資料ない人にはワケワカメな描写だったかも。
まぁ、雰囲気だけでも味わって下さい。。
- 712 :名無し娘。:2004/02/22(日) 01:12
- 4
- 713 :名無し娘。:2004/02/22(日) 01:16
- 1
- 714 :名無し娘。:2004/02/22(日) 09:59
- ときめきが・・・・
- 715 :名無し娘。:2004/02/22(日) 19:47
- 4
- 716 :名無し娘。:2004/02/22(日) 19:56
- 4
- 717 :名無し娘。:2004/02/22(日) 22:30
- 1
- 718 :名無し娘。:2004/02/22(日) 22:48
- 2
- 719 :名無し娘。:2004/02/26(木) 05:52
- 4
- 720 :名無し娘。:2004/02/27(金) 06:25
- 2
- 721 :名無し娘。:2004/03/04(木) 15:03
- 1
- 722 :名無し娘。:2004/03/04(木) 17:52
- 4
- 723 :sage:2004/03/04(木) 22:08
- 4
- 724 :名無し娘。:2004/03/11(木) 13:25
- 1
- 725 :名無し娘。:2004/03/11(木) 23:29
- 4
- 726 :サボリン:2004/03/12(金) 17:33
-
よし、絵里ちゃんの雑用部隊に志願しよう!
オレは絵里ちゃんのそばに行って声をかけた。
「絵里ちゃん、オレ、ここに入ってもいいかな?」
「○○! 良かった、○○が来てくれて…」
絵里ちゃんは部隊長を任されて不安だったようだ。
「おう、兄さん、よろしく頼むわ」シーハー。
「あ、加護ちゃん、…うん、よろしく」
「死体処理はうちに任しとき」シーハー。
加護ちゃんも同じ部隊のようだ。ウンコ座りで煙草を吸っていた。
…愛ちゃんとの争いもひとまず中断といったところか。
「○○!、おいらもここで働くぞっ!」ピョコン。
矢口先輩もいた。相変わらず小人のままだ。
「ああ、…矢口先輩、よろしくね」
「はい、これヨロシコ」ガサゴソ。
矢口先輩がおもむろにおんぶ用のリュックサックをオレに渡す。
…中澤先生は別の部隊のようだ。オレが矢口先輩を背負うことになるのか。。
しぶしぶオレはリュックを背負った。と、
「○○〜、ホントここってどこなんだろうね?、ケータイも通じないんだよ」
そう言いながら矢口先輩はテケテケとオレの体を登ってきて
リュックに入っていった。もそもそ。
「……そうなんだ」
「□□さん、私もよろしくお願いしますぅ〜」ペコペコ。
小川さんもいた。…体力的には頼りになりそうだな。
「あ、小川ちゃん、よろしく。
そう言えば、あのカブ全壊させちゃった、ごめん」
「いいんですよぉ〜、そのかわり後で弁償して下さいね、
定価で、、むふっ」
「う、うん」
他の部隊を見てみると、
紺野さんの探検隊には、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩がいた。
飯田先輩もとりあえず従うようだ。
あさみちゃんの食料調査隊には、石川さん、ひとみ、れいながいた。
れいながいるということは…後藤さんも藤本に従うようだ。
まいちゃんの備品調査隊には、愛ちゃん、中澤先生、後藤さんがいた。
結局、全員がそれぞれの部隊に入り、藤本に従うことになったようだ。
しかしグループのそれぞれが別の隊に入ってるところからして
どうもみんな藤本の出方を探っているという感じだ。
…ま、紺野さんがすぐに助けを呼んでくるだろう。
それまでの間のつかの間の平和といったところか。
…みんなが争わないでいられるなら今のままでもいい、
オレはふとそんなことを思ってしまった。
- 727 :サボリン:2004/03/12(金) 17:34
-
なんてボーっとしてたら、バダダダバン!
ヒュルンヒュルン、タンタンタン……とヘリのエンジンが動き始めた。
紺野さんが運転席に座り、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩が乗り込んで行く。
「それでは美貴様、行って参りますッ!」スチャ。
「おう!」ちゃっ。
紺野さんの叫ぶ声が微かに聞き取れた。
バダバダバダバダッバダバダバダバダッバダバダバダバダッ!
轟音と旋風を残してヘリは飛び立っていった…。
バダバダバダバダバダ、タンタンタンタタタタ・・・・……
ボーっとヘリの行方を見ていたが、ふと気づくと
他の部隊は既に任務に取りかかったようで、
オレたちの部隊だけが校庭に突っ立っていた。
「じゃ、絵里ちゃん、オレたちも始めようか?」
「…うん」
「ほら、絵里ちゃんが隊長なんだから、しっかりしなきゃ!」
「うん、じゃ…まずみうなさんの…死体を片づけなきゃだね…」
「…うん」
矢口先輩にまつうらさんの監視を任せ、
他の4人はみうなの死体のまわりに集まった。
…静かな死に顔だ。。
- 728 :サボリン:2004/03/12(金) 17:34
-
「ほな、亀吉、始めよか」スチャ。
そう言って加護ちゃんがナイフを出してみうなの腕をつかむ。
「ちょ、ちょっと待て!…加護ちゃん、何する気だよっ!」
「いややわ〜、兄さん、臓器売ろうなんて考えてまへんで、
うちかてそこまでせこかないわ〜
第一こんな所じゃ保存もきかんやろしなぁ…」
「…じゃ、ナイフで何しようとしてたの?」
「何ってそら、学校の焼却炉じゃ丸ごと入らんやろ?
五体不満足にしてバラバラに焼くしかあらへんよ?」
「あわわ…何言ってんだよォ、
ンなことまでして焼く必要ないだろ、どっかに埋めようよ」
「そうですよ〜、燃やしたら学校の灯油がもったいないですよ〜」と小川さん。
「いや、そういう問題じゃないんだけど…
と、とにかく土葬でいこう、ちゃんと葬ってあげようよ」
「…そうかぁ、仕方あらへん、…うちの出番がのうなってしもうたなぁ」
「…じゃ、…どこに埋めようか?」
「あそこにしよう、あそこの木の下に埋めよう」
そう言って絵里ちゃんが裏門の近くの木を指差した。
…桜の木だ。春になると門のまわりを淡く染める。。大きな木だ。
「墓石の代わりに木が目印になっていいですねぇ〜」と小川さん。
桜の木の下に埋めることに決まって
オレと小川さんで必死に木のそばに穴を掘り始めた。
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。
絵里ちゃんは体調が悪いみたいではじっこで休んでいた。
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。…疲れた。
「あれぇ〜、加護ちゃんはぁ?
ちょっと加護ちゃん、手伝ってよ、そこの土をどけてよ」
「やかましかぁ!
死後硬直が始まる前に体伸ばして腕をあわせて、
死化粧してぇ…、いろいろやることがあるんや!
兄さんは黙って墓穴をさっさと掘らんかい!
はよう掘らんと汚物が出てくるでェ!」
「…あ、そうなんだ、ごめん急ぐよ」
ざくっ、ざくっ。ふぅ、はぁ。
「これやから土葬はいやなんや、そもそも土葬は不衛生なんや…
…ったく、さっさと焼いてしまえばよかったものを…」
加護ちゃんはなにやらブツブツ文句を言っている。
- 729 :サボリン:2004/03/12(金) 17:35
-
穴を掘り終わり加護ちゃんの方に行ってみると、みうなが綺麗になっていた。
なんだかんだ言って加護ちゃんは丁寧にみうなの死化粧をやってくれたようだ。
頭を貫かれて、さっきは血が大量に出ていて髪の毛まで染まっていたが
丁寧に銃痕にティッシュが詰められ、髪は綺麗にとかされて
泥だらけで真っ青だった顔も、ほお紅が塗られて綺麗になっていた。
「ほな、亀吉に小川、最期に紅をさしてやろな」と加護ちゃん。
「…うん」「はい」
絵里ちゃんと小川さんと加護ちゃんで口紅を指でさす。
「オメーラぁ、オレにもやらせろやァ」
後ろから藤本が歩いてきた。。
…藤本が最後に紅をさす。
「……みうな、すまなかった、許せ」
藤本はあまり話さないけど、みうなは元々は藤本達の仲間だったようだ。。
別れを終え、みんなでみうなを持って穴に運んで入れる。
「棺はないが、我慢しろ、ほら、手向けだ」カラン。
そう言って藤本がカミソリを穴に入れる。
「なんでカミソリを?」
「…ヤツは生前、ワキが濃くて…悩んでいたんだ、
これで安心して眠れるだろう…うぅ」そう言って藤本が涙をこらえる。
「…そうか」
みうなとは夢の世界では幼なじみだった。
オレもなんだか悲しくなってきた。。
加護ちゃんの合図で土をかけ始める。みんなで少しずつ、無言で。
穴を掘るのは苦労したけど、埋めるのは案外早かった。
みうなの体の分だけ土が余ったので、最後に盛り土をした。
その上に加護ちゃんと藤本が煙草に火をつけて、線香代わりに添えた。
みんなしばらく無言で煙の行方を見守っていた。
……桜の樹の下には屍体が埋まっている。
みうなの体液を吸って、春には美しい花を咲かせるだろう。。
「さ、終わりだ終わりィ!
オメーラ、さっさと次の仕事にかかれやァ」
そう言って藤本は背中を見せてトボトボと校舎の方へ向かっていった。
背中に吊る下げた機関銃が寂しそうにプラプラ揺れていた。。
- 730 :サボリン:2004/03/12(金) 17:36
-
そのあと、オレたち雑用部隊はまつうらさんの監禁に適当な場所を探した。
職員室に鍵がかけられる大きめのロッカーを見つけたので
まつうらさんを運んでロッカーに閉じこめて鍵をした。
「姐さん、しばらくの辛抱やで」
「ごめんね、まつうらさん…」ガチャ。
「うぅ…」
その後は他にすることもないので、
みんなで先生達の机に座ってウトウトしていた。
先生達が誰もいない職員室で生徒が昼寝をしている光景は違和感があった。
ひとり加護ちゃんは先生達の机を荒して煙草やら酒やらを発見して喜んでいた。
しばらくして目を覚ますと、窓の外がオレンジに染まっている。
もう夕方なのか。…何時だろう?
…時計はさっきと変わらず3時を指していた。
と、遠くからヘリの音がする。……タタタタタンタンタン。
紺野さんたちが帰ってきたんだ!
オレたちは職員室を出て校庭に向かった。
ヘリが近づいてきて気づくに、なにやら大きな物体を吊している。
プープープーという警告音の後、ひもが外されて物体が落ちてきた。
ひゅるるぅ〜、ドシン!
…豚だ。。
「なっち!」
矢口先輩が叫んで走り寄る。オレも慌ててついて行く。
「なっち、どうして!どうしてこんなことに!」
豚は首から血を流して死んでいた。
「ていうか矢口先輩、それどう見ても本物の豚だろ?」
「いや、おいらにはわかる、これはなっちだよ!
おいらみたいに何かの魔法で本来の姿に戻っちゃったんだ!
なっち、ごめんよ〜なっち、おいらに巻き込まれてこんなことに…」
そう言って矢口先輩は豚に抱きついて泣いていた。
- 731 :サボリン:2004/03/12(金) 17:37
-
「なっちィ…なっちィ! どうして死んじゃったンだよォ〜」
「ダーレが死んじゃったって〜?」
ヘリから降りてきた安倍先輩が後ろに立っていた。
「なっち!生きてたんだなっち!良かった!
おいらてっきり豚になって死んじゃったのかと〜!」ピョコン。
そう言って矢口先輩が安倍先輩に抱きついていた。
「どうやったら、こんな汚い豚とめんこいなっちを間違えるんだべぇ?」
「キャハハ、そっくりじゃん豚、生きてて良かったなァこの豚ァ」ペチペチ。
「フフフ、真里は相変わらずかわいいなぁ〜」ムギュゥゥ。
「うぐぅ…」ガクッ。
安倍先輩が矢口先輩を抱き締めつけて落としてしまった。。
「そこォ!何をもめてるんですかァ?
亀ェ、雑用部隊は豚をおろしとけェ!」
紺野さんがヘリから出てきて絵里ちゃんに指示をする。
「はい!」
「よしゃ、今度こそ、うちの出番やな!
メタメタに切り刻んでやるで〜」
そう言って加護ちゃんが嬉々としてナイフを豚に刺して解体していた。
紺野さんの指示で、明るいうちに夕飯の準備をすることになった。
各部隊も任務を終了して集まり、教室から机や椅子を出して校庭に運び、
家庭科室などから包丁やらガスコンロやらを持ってきて料理が始まった。
米もあったみたいで炊飯も始まった。
日が暮れ始めたので、カーテンをちぎって灯油を浸し、
棒きれに巻きつけて松明をつくって四方に配置した。
豚を焼いて醤油をかけてご飯を食べる。。
それだけの夕食だったが、豚が旨くて満足できた。
みんなもお腹が減っていたようで話しもせずにガツガツ食っていた。
- 732 :サボリン:2004/03/12(金) 17:37
-
夕食が終わってしばらくすると
「ようし、オメーラぁ、集まれやァ!
飯も終わったし、各部隊の報告頼むぜェ!」
と、藤本の号令でみんながまわりに集まった。
「じゃ、紺野の探検隊からいくか?」
「…はい、…あの〜美貴様、…私は後にしてもらえませんか?」
「…ん?…まあいい、じゃ、あさみの食料調査隊からいくぞォ!」
「はい!」
あさみちゃんのまわりに、石川さん、ひとみ、れいなが集まった。
「えーと、私たちはまず家庭科室に行きお米を発見しました。
みなさんが今食べたお米がそうです。
全部で30kgあったので、この人数で食べても1週間は持つでしょう。
それと水もなんとかあります。校舎の水道は一度タンクに溜めてから
分水される仕組みでしたので、タンクにはまだ水が残っています。
水も飲用食用以外に使わなければ、…この人数で1週間は持つでしょう」
「…ふむ、ひとまずは安心だな」
「それと、食堂で保田というおばさんを発見しました。
抵抗しましたので軽くボコって縛ってあります。
サンドイッチや焼きそばパンなど、
売れ残りのパンを10食分ほど確保しました、以上です」
「うむ、ご苦労、次、まいの備品調査隊!」
「はい!」
まいちゃんのまわりに、愛ちゃん、中澤先生、後藤さんが集まった。
「えー、備品についてもそれなりに整っていました。
倉庫には灯油がありました。18リットル缶で20缶です。
職員用駐車場にはガスが結構入った車が4台止まってましたので、
移動もそれなりにできそうです。ただ、電気はストップしています。
電話も携帯も通じません。ラジオもテレビも駄目なようです」
「…そうか」
「あと、工芸室にはいろいろ工具があって使えそうです。
それと、保健室にはそれなりの薬が残ってます。…で、保健室では
市井という教職員を発見しまして、抵抗はしませんでしたが
一応縛って保健室で寝かせてあります、体調が悪いようです」
「ふむ、で、寝床はどうする?」
「はい、それについても大丈夫です。
合宿所に十分な布団がありましたし、運動部の長屋を片づければ
3、4人が寝るのによい部屋がいくつかできます、
畳も敷かれているので丁度いいと思います、以上です」
- 733 :サボリン:2004/03/12(金) 17:38
-
「うむ、ご苦労、次、亀の雑用部隊!」
「はい!」
絵里ちゃんのまわりに、オレ(と矢口先輩)、小川さん、加護ちゃんが集まった。
「えっと、みうなさんは裏門のそばの木の下に埋めました。
あの辺りは荒らさないで下さい。
あと、松浦さんは職員室のロッカーに閉じこめました、
ちゃんと鍵もしました、これが鍵です」チャラ。
「うむ、ご苦労、まつうらは絶対に外に出すなよ」
「はい」
「それと〜、各部隊、他に生存者は発見しなかったか?」
「はい」「はい」「…はい」
「そうか、オレもブラブラと見歩いてたんだが、誰もいなかった、
ここにいるヤツらで全部ってことか、…まぁ、面倒がなくて丁度いいか。
…よし、次、紺野、報告頼むわ」
「……はい」
紺野さんのまわりに、辻ちゃん、安倍先輩、飯田先輩が集まった。
「…えーと、何から話していいのか…
…まず、学校の周りは砂漠ではありませんでした。
学校の周囲2、3kmだけは赤土の地面が続いていますが
その周りは草原と、そして広大な森が続いていました。
森の入り口で豚を発見し、撃ってしとめて喜んでいたんですが…
…ヘリを進め続けても森だらけで変化がなく不安になってきました。
おまけにGPSが壊れているようで使えずに…
テレビ・ラジオもですが、航空無線でさえ全ての周波数帯が入りません、
で、とりあえず南に飛んで肉眼で確認しながら行きましたが、
人工的な建造物は全く見あたらず、見覚えのある地形は全くなく…
往復の燃料ギリギリまで飛んでみましたがダメで…結論としては、
街は発見できず、ここがどこなのかさえ、まったくわかりませんでした。
…すみません、美貴様…」
「…いや、ご苦労、
……うむぅ、一体ここはどこなんだ?」
「ふん、ここがどこだってもう関係ないよ…
日本はとっくに沈没してるよ、あたし達の帰るところはもうないんだよ…」
後藤さんが膝で口を隠しながら独り言のようにつぶやいた。
「オメーなぁ、あの程度の爆発で浮沈空母日本が沈んでたまるかって?」
「んぁ〜、だからミキティは甘いんだよ!
あたしたちは爆発のまだ初期の段階で飛んだんだよ、
さゆみんの本当の力はあんなもんじゃない!」
「……<っ、
オメーがそもそもの原因のくせに偉そうなこと言ってんじゃねェ!」
「んぁ〜!私はこうならないように頑張っただけだもん!」
- 734 :サボリン:2004/03/12(金) 17:39
-
「…二人とも静かに! みんな、上をご覧なさい!」と飯田先輩。
すっかり暗くなった空に綺麗な月が二つ見える。
空が澄み切って本当に綺麗だ。。
…って、おい!…月が二つ!?
「月が!」「月が二つ…」「…どういうこと?」「……」
みんなもざわざわして驚いている。
いつもの見慣れた月と、少し小さめのゆがんだ形の月が一つ。。
…確かに月が二つあった。。
「あれはおそらく、先の爆発で出来た新しい月ね、
隕石がぶつかったようにして地球の表面がはがれて月になったんだわ」
「なっ…いい加減なこと言ってんじゃねェ!
そんな大爆発があったら、地球全体が嵐になったり地震になったり、
どこもかしこもボコボコになってるはずじゃねーか!」
「…そうね、だから問題は、ここがどこかじゃなくて、
今がいつなのか、それが問題なのよ、藤本さん、北斗七星をご覧なさい!」
飯田先輩が空を指差す。
「なんだとぉ〜、オレには死兆星はまだ見えねーぞォ!」
「違うわ、ほら、理科で習ったでしょう?
北斗七星の上の二つの星の延長線上5倍の所に北極星があるはず、
…ほら、北極星の位置がずれてるわ」
…ん?なんだって?…そう言われればそう見えるかも。。
「…な、何が言いたい?」と藤本。
「ここはおそらく、あの爆発後、1000年から2000年後の未来!」
「な、なんだってー!!」「うぎゃー」「そんなバカナ!」
「電話はともかくラジオさえ一局も入らない、衛星も使えない、
平穏な気候と見たこともない壮大な森、そして二つの月、
さらに北極星のずれ、…間違いなくここは未来だわ、
そして同じように間違いなく、人類は絶滅しているわ…」
「まさか!」「ンなことが…」「ぬはは!」「バビョーン!」
「…仮にここが未来だとして、人類が絶滅したという根拠は?」と紺野さん。
「根拠は…ないわ、でも新たな月を作るほどの爆発だったのよ、
爆風や津波や地震でほとんどが死んだはず、生き残った人も
灰が大気を覆い日光が届かない状態が何年も続いて、
食料もなく、零下の中で凍えながら死んでいったでしょう…
もし、今生き残ってる人類がいたとしても、
文明は滅んで動物と同じような生活をしているんじゃないかしら…」
「………」「………」「……」
「……」「……」「…」
- 735 :サボリン:2004/03/12(金) 17:40
-
「…ちょ、ちょっと待てや、この際、ここがどことか、いつとか、
人類が滅んだかとかはどーでもええねん、
さっきの話やと食料や水は1週間分しかないんやろ?
救助が期待できんのやったら、この先うちらどうやって生きてくねん?」
加護ちゃんが紺野さんにたずねる。
「それは心配ないでしょう、
広大な森があるのですから水は十分にあるはず、
さっきの豚のように小動物もいるはずです、木の実などもあるでしょう」
「…んなモーレツ原始人みたいな生活をこれからずっとせぇ言うんか?」
「仕方ないじゃないですか」
「ほな、このまま一生お前らと仲良くママゴト続けて、
なんもせんと中澤みたいに干からびてけってーのかえェ!?」
「な、なんやてー、加護ォ!
ウチはこんなにピチピチな小学生やないかぁ!」
中澤先生が加護ちゃんに食ってかかる。
「加護さん! 嫌なら出て行ってもいいんですよ、
森で勝手にのたれ死にして下さい!」
「うるせーババァ!、それより…煙草は?薬は?切れたらどうするんや?」
「ふっ、森から葉っぱでも草でも刈ってきて
栽培すればいいんじゃないですかァ?」
「なんやてー!紺野とやら、ナメてんのかぁ!」
「…せっかく若さと金を手に入れて、新しい人生が始まるところやったのに
なんでガキと一緒にこんな世界に来なきゃいかんねん!」
「せやからあの金はうちの…」
「いや〜、梨華おうちに帰りたい〜!
帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい〜!」
「ぅるさいっすよ、ビーナス姉さんッ!!」
「明日からはもう新聞配達もしなくていい、
住むところやお金の心配もしなくていい、
なんて素晴らしい世界なんでしょう、ねぇ吉澤さぁん?」
「アホ、喜んでんのはお前だけじゃ」
「みんなでキャンプファイヤーみたいで面白いべさ」
「そもそもウチはワレのせいで巻き込まれたんやないかァ!
加護ォ!うちのバラ色の未来をどうしてくれんねん!」
「キャハハ、豚はいいよなァ、自然が似合ってら!」
「のんはもう眠くなったのれす…むにゃ」
「やかましかァ! ババァはすっこんでろ!」
ス ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ !!
藤本が空に機関銃を撃ちはなった。
「オメーラァ!静かにせんかァ!」
「……」「……」「……」「…」「…」「…」
- 736 :サボリン:2004/03/12(金) 17:41
-
「…とりあえず今日は夜も更けた、
松明だっていつまでも燃やしてるわけにはいかねーだろー、
空気も冷えかけているしィ、まずは寝床を準備して寝るんだッ!
…電気は使えねーんだからなァ、夜は寝るしかねーんだよォ!」
「はい、美貴様のおっしゃるとおりです!」
「明朝、情報を整理してまた指示を出す、
オメーラ適当に別れて就寝しろ、ヘタな真似すんじゃねーぞォ
分かってるとは思うが、銃器は全てオレらが管理してるかなァ!」
藤本の号令でみんなおとなしく就寝の準備に取りかかった。
長屋を片づけて、合宿所から布団を運んだ。
紺野さんの指示でそれぞれに部屋が割り振られた。
1号室が藤本と紺野さんと絵里ちゃん、
2号室に後藤さんとれいなと、…市井先生も連れてきたみたいだ。
3号室には中澤先生と矢口先輩と安倍先輩、
4号室には愛ちゃんとひとみと小川さんと飯田先輩、
5号室には加護ちゃんと辻ちゃんと石川さん、
6号室はオレ一人、男だからといって隔離されてしまった。。
7号室にはまいちゃんとあさみちゃん、といった部屋割りだった。
布団をしいてすぐ寝るようにと言われたものの、
臭い長屋に一人、しかも慣れない布団で寝付かれない。
1時間ほど布団でもぞもぞしていたが、我慢できずに外に出た。
空には月が二つ、綺麗に輝いている。
月夜のせいか、目が慣れたのか、夜でも結構周りが見えた。
オレと同じように眠れない人がいたのだろう、何人かの人影が見える。
鉄棒の下の砂場にはれいならしき人影が見える。
体育館前の階段には愛ちゃんらしき人が座っている。
昇降口には紺野さんだろうか、銃を持って立っている。見張りだろう。
体育館裏のトイレの方には絵里ちゃんも見える。これも見張りかな。
裏門では藤本らしき人物が銃を持って外を見ている。
一人で眠れないよりは、誰かのそばに行って話でもしてみよう。
誰の方に行ってみようか?
1 れいなの方へ行く
2 愛ちゃんの方へ行く
3 紺野さんの方へ行く
4 絵里ちゃんの方へ行く
5 藤本の方へ行く
- 737 :名無し娘。:2004/03/12(金) 18:44
- 4
- 738 :名無し娘。:2004/03/12(金) 20:48
- 5
- 739 :名無し娘。:2004/03/12(金) 21:15
- 5
- 740 :名無し娘。:2004/03/12(金) 22:10
- 5
- 741 :名無し娘。:2004/03/13(土) 01:32
- 2
- 742 :名無し娘。:2004/03/13(土) 03:27
- 激しく1
- 743 :名無し娘。:2004/03/13(土) 10:30
- 3
- 744 :名無し娘。:2004/03/13(土) 19:21
- 4
- 745 :名無し娘。:2004/03/13(土) 23:53
- 3だあ
- 746 :名無し娘。:2004/03/14(日) 23:53
- 3ですね
- 747 :fushianasan:2004/03/21(日) 01:28
- 5
- 748 :名無し娘。:2004/03/21(日) 08:21
- 4
- 749 :名無し娘。:2004/03/21(日) 22:32
- 5で。
- 750 :名無し娘。:2004/03/21(日) 23:42
- 4で
- 751 :名無し娘。:2004/03/21(日) 23:43
- 5
- 752 :サボリン:2004/03/24(水) 12:23
-
オレは藤本の方へ向かった。
寂しそうな後ろ姿がなんとなく気になった。
藤本は羊の着ぐるみを着たまま突っ立って外を見ていた。
銃を持っているから念のため後ろから声をかけた。
「藤本…?」
「あ゛?」藤本が振り返る。
「……なんだ○○か」
「…ちょっと、眠れなくてさ」
「寝れなくても寝るんだよォー」
「寝れねーもんは寝れねーんだからしょーがねーだろー」
そう言いながらオレは藤本のそばに行って少し笑った。
「ったく…他のヤツらに示しがつかねーんだよォ」
そう言いながらも藤本も少し嬉しそうに笑った。
しばらく二人で外の大地を見ていた。
月の光で青く光った砂が綺麗だった。。
「…ホント、すごい遠くに来ちゃったみたいだな」
「……ああ、…ごめんな、○○まで巻き込んじゃって…」
「いや別に、…オレは藤本と一緒で楽しいよ」
「えっ?」 藤本が振り向く。
「……っ、○○ゥ、お気楽なこと言ってンじゃねェぞ!」ドスッ!
「いててて、あ、すみません美貴さま!」
藤本が脇腹を殴ってきたので慌てて下手に出た。
「…ちくしょう!
なんでオレがこんな目にあわなきゃいけねーんだよォ!
○○ゥ、全部オメーのせーだ、このバカ」バシッ、バシッ!
今度は足でケツを蹴ってくる。
「いててて、なんで?、お、おやめ下さい美貴さま!!」バシッ、バシッ!
「………」ピタッ。
ゼンマイが止まったようにいきなり藤本がおとなしくなった。
「…ん?…どうした?」
「…ハハ、そういやオレ、夢の世界で、なんか知らねーけど
江戸時代だか大正時代だかのどっかの妾になってて
……オメーのことが好きだった、…そんな夢を見てたのを思い出した」
「あ、それならオレも見たぞ、
和服姿の藤本は綺麗だったなぁ…」
「なっ…オメーも見てたのかよっ!」
「うん、…ホント、あの藤本は綺麗だったよなぁ〜」
「………」
「…ちょっとデコが広かったけど」
「一言余計なんだよォ!」バシッ、
「あ、すみません美貴さま!」ドカッ、バキッ!
- 753 :サボリン:2004/03/24(水) 12:24
-
「………」ピタッ。
「…なぁ、○○、…オレたち、これからどうなっちゃうのかな?」
「…さぁ、…みんながいるんだから、…なんとかなるだろ?」
「……オレ…」 ヒュウウ〜。。ぶるぶるっ。
夜風に吹かれて藤本が肩をすぼめて震えた。
「…オレ、…怖いよ、…こんなとこに来ちまって…」
ふわっ、と藤本がオレの胸に寄りかかってきた。
「……藤本…」 オレは思わず藤本の肩を抱き締めた。
「………」
藤本は抵抗せずにおとなしくオレの胸に顔を埋め、体重を乗せてきた。
風格の割に藤本の体は小さい。藤本はオレの腕の中にすっぽり入って
小刻みに震えていた。…泣いてるみたいだ。。
「…つらかったんだな、藤本、こんなとこに来ちゃって…、
おまけに藤本はリーダーだからしゃんとしてなくちゃいけなくて…」
「……ぅぅ…」
「オレの前では楽にしてていいんだぞ、オレは藤本の味方だからな」
そう言ってオレは藤本を強く抱き締めた。
「……ぅン…」
藤本は小さな声でうなずいた。
藤本の頭に頬を寄せると、髪の毛のいい匂いがした。
藤本の体温が伝わってきてオレもあったかくなってきた。。
そうやって二人はしばらくの間、抱き合っていた。が、
「…○○ゥ、…いつまで抱きついてンだよォ?」
胸の中で藤本がつぶやいた。
「…え?」
藤本が胸から離れてオレを見上げてギロッっと睨んでくる。
「バッカヤロー、オレに抱きつくなんて10年早ぇンだよォ!」ドガッ!
「いててて、ちょっ、自分から…」
「さァっさと自分の部屋行って寝ろや、このタコ!」ドガッ、バキッ!
「わたたっ、やめっ…」
オレは藤本の蹴りを避けようとして慌てて逃げた。
「いててて、…シドイ…美貴さま…」てくてく。
「○○ゥ!」ビクッ。
後ろから藤本に呼び止められた。
「…今日のことは誰にも言うなよ」
「…はい」
「…ヨゥシ、帰って寝ろォ!」
「はい!」すたたた。
自分の部屋に戻って布団に入った。
藤本のいい匂いを思い出しながら眠りについた。
ふと胸の辺りを触ってみると藤本の鼻水がついていた。。
・・・・うわっ、きったね。ゴシゴシ。
- 754 :サボリン:2004/03/24(水) 12:25
-
7日目…
朝、太陽の光で目を覚ます。
運動部の長屋だ。…やっぱり夢じゃないんだな。。
ん? 起きあがって足元を見ると手紙が置いてある。
なんだ? がさごそ。
『 □□くんへ
昨日はみんなを驚かせてごめんなさい。
でも私の考えは間違っていないと思います。
みんなの前では言いませんでしたが、
さゆみんは恐らく生きています。感じるのです。
その証拠に石はまだ少し力を持っています。
私はあの爆発の前、校門のすみで石を発見しました。
この石さえあれば私一人くらいなんとかなるでしょう。
私は旅に出てさゆみんを探します。南へ向かいます。
私は生徒会長としてさゆみんの行方を確かめる責務があるのです。
□□くん、あなたはさゆみんの主です。
いずれあなたを必要とする日が来るでしょう。
それまでみんなをまとめて必ず生き残るのです。
残りの石は置いておきます。あなたに預けます。
混乱の元になるといけないので隠しておいて下さい。
また会えることを祈ってます。
飯田圭織 』
・・・飯田先輩。。
布団の横にはさゆみんの石が3つ置いてあった。
オレは黙って部屋のすみの棚に隠した。。
- 755 :サボリン:2004/03/24(水) 12:26
-
・・・さゆみちゃんが生きてるって?
あれから千年以上経ったかも知れないのに?
・・・そりゃ、無事だといいけど。。
でも、今は正直言ってさゆみちゃんどころじゃない!
食料が1週間分しかないんだ。…紺野さんは森があるからなんとかなるって
言ってたけど、都会で育ったオレたちが森に入って何ができるっていうんだ?
飯田先輩は超能力が使えるからって一人で勝手に出ていっちゃって、
そのくせ、オレにみんなをまとめて生き残れとか言い残す。無責任だ。
…オレなんかに、あんなキャラの濃いヤツらをまとめられるはずがない。
…起きた早々、いろんなことが心配になってきた。。
と、
ドルゥゥン! ドンドンドッドッドドッドドド…
バイクのエンジンがかかる音がする。
外に出ると紺野さんがバイクに乗っている。
後席ににまいちゃんを乗っけて、
ドルンドルン! ドドドーーォン ボーーン…ッボーン……
轟音を残して裏門から消えていった。
「…どうしたの?」
オレは隣にやってきた絵里ちゃんにきいた。
「紺野さんが昨日、川を見たって言って、確かめに行くって」
「…ふーん」
そうか、食料よりはまず水を確保しなきゃだよな。。
校庭に行くとあさみちゃんたちが朝食の準備をしていた。
朝食は昨日の豚の骨のスープと白米だけだったが美味しかった。
食後、飯田先輩が出て行ったことを藤本に伝えたが藤本は既に知っていた。
オレは藤本の前で昨日のことを少し意識してしまったが
藤本はまったく態度に表さず、いつもの厳しい藤本だった。。
その後、藤本の指示があり、学校内をもっと探すように言われ、
使えそうなものを見つけて整理した。結構いろいろな物があった。
- 756 :サボリン:2004/03/24(水) 12:27
-
しばらくして紺野さんが帰ってきてみんなが集められた。
「ヨゥシ、オメーラ、紺野の話を聞けェ!」
「…えー、みなさんに吉報があります、
ここから北東5キロ上方、森の中に小さい川が流れてました!」
「おお」「やったー」「…微妙な距離やな〜」「水があるだけいいじゃん」
「とはいえ毎回往復10キロを歩いて水を飲みに行くわけにも行きません、
と言って川の近くに住むのも危険だと思います。ということで、
備品隊と雑用隊のみなさん、協力して川を作りましょう!」
「は?」「な、なんやて?」
「…紺野さん、川を作るって、、
5キロ先からここまで水を引っぱってくるってことじゃ?」
「もちろん、そうです」
「んな…突拍子もないことを軽ぅ言うなや、こん出目金がぁ!」
「…加護さん、あなたはもっと立場をわきまえて下さい、殺しますよ」
「……<っ…」
「…大丈夫です、みなさん、安心して下さい、
昨日捕まえた保田さんと市井さんにも働いてもらいます、
一人一日100メートル掘りましょう、10人でやれば5日で終わります、
まいの指揮に従って速やかに行動して下さい、頑張って下さいね」
「……」「……」「……」「……」
「他に質問は?」
「あーい!、他の部隊は何をやるんれすか?」と辻ちゃん。
「えー、探検隊・食料隊は狩猟、漁労、および採集です、
時間のある者は貯水池を掘るのを手伝ってもらいます」
「狩れすか!狩狩れすか!楽しみなのれす!」
「よーし、森はなっちにまかせるべ、
たぶん果物とかいっぱいなってるっしょ」と安倍先輩。
「アタシは釣りでもするかな」とひとみ。
「それと、昨日は安易に豚を殺してしまいましたが、
今日からは小動物はなるべく生け捕りにして下さい、
なるべく長く生かし、可能なら家畜にしますので、心得てください」
「あい」「…はい」「……」「……」
「それでは各部隊、散って作業を始めて下さい!」
- 757 :サボリン:2004/03/24(水) 12:27
-
まいちゃんの指示で備品隊と雑用隊が集められた。
備品隊から、愛ちゃん、中澤先生、後藤さん、
雑用隊から、絵里ちゃん、オレ、加護ちゃん、矢口先輩、小川さん、
それに市井先生と保田のおばちゃん、といったメンツだった。
まいちゃんがみんなに話し始める。
「えー、みなさん、お話を聞いて下さい、
よ〜く考えよ〜、お水は大事だよ〜、と歌にもあるように
水は生命の生命線です、みなさん、頑張りましょう!」
「……」「……」「……」
「えー、自身の仕事に自信を持って、埃を払って誇りを磨く、
目配り、気配り、思いやり、できる職場に事故はなし!」
「……」「……」「……」
「…えー、では、これから私が石灰を持って線を引いていきますので
皆さんはシャベルを持ってついてきて下さい、
紺野さんが言ったように一人一日100メートルをノルマにします、
中澤さんは体が小さいので70メートル、
□□さんは男なんで130メートルで、お願いします」
・・・げ。オレだけ130メートルかよっ。
「川を作ると言うと大げさですが、要は用水路です、
幅50センチ、深さ50センチを目安に掘って下さい、
それと矢口さんは小さいので、各パートを見回って
ずれがないかを確認・修正する仕事です、
重要な仕事です、しっかりやって下さい」
「はーい」ピョコン。
「…なにか質問ある人はいますか?」
「……」「……」「……」
「ないようですね、では作業に取りかかりましょう、
ちなみにノルマを達成しないと美貴様の鞭打ちが待ってます」
「……」「……」「…にゃろぉ」
まいちゃんの引いた線で一人100メートルの区間が割り振られ、
作業が始まった。砂漠のように見えたのは土の表面だけで
下にはちゃんとした土があった。これならなんとか水を引けそうだ。。
ざくっ、ざっ、ざざっ。
ざくっ、ざっ、ざざっ。
とはいえつらい作業だ。
でも、みんな黙々と掘っている。
ノルマを達成しないと鞭打ちだからな。。
まいちゃんや絵里ちゃんだって頑張っているのだから休めない。。
- 758 :サボリン:2004/03/24(水) 12:28
-
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ふぅ、はあ。
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ふぅ、はあ、
ざくっ、ざっ、ざざっ…… …
ざくっ、ざっ、ざざっ… …
ざくっ、ざっ、ざざっ…
11日目…
ざくっ、ざっ、ざざっ…
ざくっ、ざっ、ざざっ……
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、ゴホッ、ゴボゴホッ。
…用水路を掘り始めてもう5日経つ。
オレの担当の場所が遠いのか、川は一向に見えてこない。
とはいえ森はすぐそばに見える。もう少しのはずだ。
川上の方の担当では既に森の中で作業をしている隊員もいるが、
森に近づくほど土が硬くなり、木の根が邪魔することもあって、
作業は難航していた。
みんな、5日間風呂にも入らずひたすら作業を続けていた。
それぞれの担当区間が100メートルあって
お互いに離れているため、会話も出来ない孤独な作業が続いた。
空から矢口先輩の励ます声だけが聞こえていた。
パラシュートを改造して飛び回っているようだ。。
…あと2日以内に完成させないと学校の水が切れる。作業は大詰めを迎えていた。
- 759 :サボリン:2004/03/24(水) 12:29
-
この5日間、体力的に非常につらかったが、
探検隊と食料隊が車を出して効率よく食料を集めてきたので
食事には苦労しなかった。イモやキノコや木の実などが食べれた。
一昨日はひとみが釣ってきた魚も食べれた。
豚やガチョウも捕まえたが、家畜として飼うことになり
あさみちゃんが体育倉庫を家畜小屋に改造していた。。
学校では、オレたちの用水路の完成を信じて
辻ちゃんや石川さんやれいなが貯水池を掘っていた。
…なんとしても完成させなければ。。
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー、
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー …ぅ<ッ、
ざくっ、ざっ、ざざっ。 ひぃーはぁー …ッスーッ…、
「…ホップ、ステップ、玉砕!
……ホップ、ステップ、玉砕!」
ん?隣の担当の加護ちゃんの姿が見える。
加護ちゃんもなんだかんだ言ってまじめに働いていた。
労苦の美しさを体感したのだろうか。
いつものかけ声で頑張っているみたいだ。
「…ホップ、ステップ、玉砕!
……ホップ、ステップ……
………ホップ、ステッ…」
ん?かけ声がとぎれたので隣を見てみると
加護ちゃんがシャベルを放り投げ、森の方に向かってフラフラと歩き始めた。
・・・トイレかな。。ま、そのうち帰ってくるだろう。
オレは森の方を気にしながら作業を進めていたが
小一時間経っても加護ちゃんは戻ってこない。
担当箇所に見に行ってみたが、やはりシャベルが放置されたままだ。
・・・・どうしたんだろう。・・・・まさか脱走かな?
なんだか心配になってきた。。どうしようか。。
1 加護ちゃんを捜しに森に入る。
2 とりあえず、まいちゃんに報告しに行く。
3 作業を優先させて自分の作業を続ける。
- 760 :名無し娘。:2004/03/24(水) 14:32
- 3
- 761 :名無し娘。:2004/03/24(水) 17:00
- 1
- 762 :名無し娘。:2004/03/24(水) 22:28
- 2
- 763 :名無し娘。:2004/03/25(木) 00:57
- 1
- 764 :名無し娘。:2004/03/26(金) 00:14
- 2
- 765 :名無し娘。:2004/03/26(金) 02:18
- 2
- 766 :名無し娘。:2004/03/26(金) 15:51
- 5
- 767 :名無し娘。:2004/03/27(土) 01:02
- 1
- 768 :名無し娘。:2004/03/27(土) 13:44
- 2
- 769 :名無し娘。:2004/03/27(土) 16:05
- 1
- 770 :名無し娘。:2004/03/27(土) 17:03
- 1
- 771 :名無し娘。:2004/03/31(水) 01:02
- 1
- 772 :サボリン:2004/04/02(金) 01:49
-
う〜ん、加護ちゃんが心配だ。
組織の一員としての行動を優先しないといけないのに、、
こんな解答では公務員試験だったら落ちてしまうだろう。。
でも、加護ちゃんが心配だ。森に入って捜してみよう!
オレは恐る恐る森に入った。
食料隊や探険隊は毎日のように入っているようだが
オレが森に入るのは初めてだった。
木や草の濃い匂いがプンプンしてくる。…しばらく歩くと川が見えてきた。
・・・歩くとこんなに近くにあったのか。ホントにもうすぐだな。
と、川岸にキラッと光るものを見つけた。
・・・加護ちゃんのライターだ。。
手を伸ばして拾おうとすると、
ドカッ!
「…痛ッ!」 …ドサッ。
オレはいきなり後頭部を殴られて突っ伏した。
「へっへっへっ、久しぶりだなァ…、□□とやら!」
「…斉藤さん!」
倒れた俺を踏んづける斉藤さん。・・・随分痩せたように見える。
「…ここはオレたちの領土!、不法入国者は強制送還じゃ!
……と言いたいところだが、…オマエには藤本へ伝言を頼むぜ」
「…伝言?」
「そうだ、…加護は預かった、
…返して欲しけりゃ食料をあるだけ持ってこい、とな!」
「な、なんだって!、加護ちゃんがいるのかっ、どこだっ!」
「うちはここやで〜」声のする方を見てみると、
加護ちゃんが柴ちゃんとマサオさんに腕をつかまれている。
「兄さ〜ん、助けて〜」 加護ちゃんが緊張感のない顔で言う。
「…ちょっと待って!、斉藤さん、そんなこと藤本に言っても、
たぶん藤本は…フツーにサラッと加護ちゃんを見捨てるぞっ」
「…な、なにっ、……確かに、そう言われればそうかもな…」
「…いややわ〜、藤本さんに限ってそんなことあらへんわ〜
兄さ〜ん、うちを助けてって藤本さんに伝えてくれや〜」
・・・しかし、どうも加護ちゃんの言い方が芝居臭いな。。
- 773 :サボリン:2004/04/02(金) 01:50
-
「…ようし、役割変更じゃ!
コイツを人質にして、…ハゲを伝令に使うぞっ」ググッ。
「…ううっ」
斉藤さんがオレの脇腹に体重を乗せてくる。
「シヴァ、マサオ、ハゲを離せェ」
「…はい」「…はっ」
斉藤さんに言われて加護ちゃんが離された。パサッ。
「ようし、ハゲ、…わかったな、藤本に伝えてこい、
□□の命が惜しかったら、…食料をあるだけ持ってこい、とな!」
「……ったく、兄さんはタイミングが悪いのう、
仕事サボる口実に、もう少し遊んでやろ思ぅてたのに」コキコキ。
「…か、加護ちゃん?」
「…ハゲ、…どうした?、言ってることがわかったか?」
「はぁ〜?なんですってェ?、斉藤さァん、わかりませんよォ〜!」
「…だから藤本に、」ふらっ。
・・・斉藤さんがふらつく。
・・・やっぱり、あの痩せ方は尋常じゃない。
・・・5日間、ほとんど何も食べてなかったんだろう。
・・・ろくな道具も武器もなく、野宿を続けて森をさまよっていたんだ。。
「あンれれェ〜、どォしたンでちゅかァ?、斉藤ちゃァん!?
あんよが国民年金みたいにフラフラでちゅよォオ!?」
「……はぁ、はぁ、…ハゲ?」ぐっ。
と、マサオさんが加護ちゃんの襟首をつかむ、
「…加護ォ、ボスに向かってなんて口のきき…」
ボフッ!
「くはっ!」
マサオさんの腹に加護ちゃんのパンチが入る。
そのままマサオさんの体が加護ちゃんに倒れかかる。
「なんでちゅかァ〜、マサオくゥゥン!?
なんて言おうとしたんでちゅかァア?、ねぇ、ねェッ!」ボコッ、ドガッ!
加護ちゃんが倒れかかったマサオさんの腹になおも膝蹴りを食らわす。
「…ぅ<っ」 …バタン!
「マサオ!」と、柴ちゃんが駆け寄ろうとするが、
その髪の毛を加護ちゃんがグイッとつかむ。
- 774 :サボリン:2004/04/02(金) 01:51
-
「…いたっ!…なにするの!」
「オラオラッ!、オラオラオラオラオラオラァア!!」
バコッ、バコッ!ドガッ!ボコッ!!
「…はう!、はぅ!はぅ!はぅう!!」ぶしゅぅぅう〜!
髪の毛をつかんだまま加護ちゃんが柴ちゃんの頬を連続で殴った。
柴ちゃんの頭がゴムマリみたいに吹っ飛んでは戻ってきた。。
「・・・みゅぅぅ…」 …バタン!
柴ちゃんは顔を真っ青に腫らし鼻血を出し、泡を吹いて倒れてしまった。
と、柴ちゃんの抜けた髪の毛を持って加護ちゃんが立ちつくす。
「…ふう、ええ運動や。」
パシッ、パシッ、と血で汚れた手を払う。
「……ハゲ、…キサマァ!」ダダッ!
斉藤さんが加護ちゃんに殴りかかる。
が、パスッ、っと斉藤さんのパンチを片手で止める加護ちゃん。
「目の焦点があってないようだぜェ、斉藤ちァんよォ!」
「……っ…ハゲ…」
「…ハゲ言うなやッ!」ボコッ!
「…痛ッ!」
「…斉藤ゥ、どうせなんも食わんと薬でごまかしてたんやろォ!
…こちとら煙草も薬も絶って肉体労働、今や立派な健康優良不良少女やねん、
ヨタヨタのジャンキーババァがなめんなやポルァ!」ボコッ!
「…くはっ!」
「向こうでは随分と世話になったからなァ…斉藤ゥ、
ハゲハゲ、見下しやがってからに…、たっぷり礼をせんとあかんなァ!」
「…はぁ、はぁ、…ざけんなよォ、
…このォオ…ハァゲェがぁァアッ!」ダダダッ!
ひょい、〜すかっ。 …どさっ、びちょ。
パンチを軽くかわされ、ぬめった土に頭から倒れ込む斉藤さん。。
「あははは、こりゃいいや、
……悔しいかァ、斉藤ゥ、
悔しいってーのがどんな気持ちか判ったかよォ!」
- 775 :サボリン:2004/04/02(金) 01:51
-
と、その時、
がさごそ。
「ん?」
なんか茂みの向こうで物音がする。
「誰やっ!?、
…はぁ〜ん、メガネやろォ!、死にたくなったら出てこいや!」
がさごそ。
・・・・・熊だ。
「…加護ちゃん、…熊だよ」
「なんやて〜兄さん、熊がこんなとこに…」くるっ。。。
がさごそ。
…ホントに熊だ。茂みから出てきてこっちをにらんでいる。。
「…ク、クマ──!!」ダダダダッ!
「クマーーーっ!!!」ダダダダッ!
オレと加護ちゃんは一目散に学校の方に逃げだした。スタタタタ。
ドサッドサッ、と足音を立てて熊がオレたちを追ってくる。
「…あ、か、加護ちゃん、熊とあったら、
逃げない方がいいんじゃなかったっけ?」スタコラ。
「アホー!、今頃言うても遅いねん、
今はとにかく死ぬ気で走れやゴルァ!」スタコラ。
- 776 :サボリン:2004/04/02(金) 01:52
-
と、森を抜けたところの正面にまいちゃんの姿が見える。
「おーい、まいちゃーーん!!、、」
「……?」
「…ク、クマ──!!」スタタタタ。
「クマーーーっ!!!」スタタタタタ。
「なんですとー!」と銃を構えるまいちゃん。
オレたちの後をなおも熊が追いかけてくる。
スタタタタタ、とまいちゃんとすれ違ったその時、
ダン!
ドサッ! ズザザザザザァァア!!
…熊がオレたちに倒れ込んできた。…重い。。
「…うぐぅ、死ぬ死ぬ、熊に食われて死ぬ!」じたばた。
「…いやや〜、こんな死に方だけはいやや〜!!」じたばた。
「…二人とも、…もう大丈夫ですよ!」とまいちゃんの声。。
「はぁっ、はぁっ、…ん?」
熊はオレたちの上で頭から血を流して死んでいた。。
「はぁっ、はぁっ、…ありがと、まいちゃん」ズルズル。
「…兄さん、引っ張ってくれや…あぁ、ゆっくり頼むで」パシッ。
「…ったく」ズルズル。
二人はやっとの思いで熊の下からはい上がった。
「…はぁ、はぁ、熊の分際でうちを襲うなんて生意気や!」
バコッ、ドカッ、加護ちゃんが死んだ熊の頭を蹴っていた。
「…二人とも、持ち場を離れて何やってんでスカ!」
「…ごめん、まいちゃん、
あ、それより、森の中で斉藤さんたちとあって、
弱ってる斉藤さんたちを加護ちゃんがボコボコにしちゃって
まだ森の中で倒れてると思うけど、、どうしよう?」
「んもう、今は斉藤さんたちなんてどうでもいいんですよ、
早く用水路を完成させないと、
みんなで毎日10キロマラソンすることになるんですよ?」
「いや、でも凄い痩せちゃって、マジで死にそうだったよ?」
「いいから作業を続けて下さい、二人とも!」
「…うん」「…だりーよぉ」
- 777 :サボリン:2004/04/02(金) 01:52
-
と、騒ぎに気づいた後藤さんが近づいてくる。
「まい、どうしたの?」
「後藤さん、…いや、これこれこういうわけで…」
「…んぁ、そうか、…でも、見捨てるのもどうかと思うよ、
今私たちにとって本当に必要なのは水よりもむしろ人材だからね、
助けた方がいいんじゃない?、助けて回復したら働かせればいいよ」
「…う〜ん、そうですかねぇ〜」
「たぶん斉藤達はここが未来だってこと知らないんだよ、
それを知らせれば、まっつーが捕えられた今の状況で
これ以上ミキティに刃向かったりはしないでしょ?」
「…美貴様に聞いてきます、みなさんは作業を進めて下さい!」スタタタ。
まいちゃんは学校の方に向かって走っていった。
・・
しばらくしてまいちゃんが軽トラで戻ってきた。ツトトトトト。
荷台には安倍先輩とひとみと石川さんと辻ちゃんが乗っていた。
「おーい、○○〜、頑張ってるかぁ〜」とひとみ。
「…おーっ!」 ……食料隊は仕事が楽そうでいいな。。
キキキキィィ! パタン!
と、まいちゃんが軽トラから降りてきて指示を出す。
「え〜、例の連中は助けることになりましたが、、まずは熊です!
みなさん気合いで軽トラに乗せてください!」
…7人がかりで苦労して、なんとか熊を軽トラに乗せた。
安倍先輩と辻ちゃんが軽トラで帰った後、指示があって
まいちゃんと、オレと加護ちゃんとひとみと石川さんで
斉藤さんたちを助けに行くことになった。
ほどなく斉藤さんたち3人、近くで村さんも無事発見し、
4人を背負って学校に運ぶことになった。
オレは一番重そうなマサオさんを背負うことになった。
・・・どうせなら柴ちゃんがよかったな。。
…で、その柴ちゃんは石川さんが背負っていた。
石川さんは柴ちゃんのことを本当に心配している様子だった。
- 778 :サボリン:2004/04/02(金) 01:53
-
そうして4人でそれぞれを背負いながら歩いていると、
森をぬけた辺りで、ポツ、ポツポツッ、と雨が降ってきた。
「…雨だ」「…雨やぁ〜!」「……」「やったー!」
こっちに来てから初めての雨だった。。
「…雨は嬉しいですけど、タイミングが悪いですね、
みなさん、急いで運んで下さい、
この人たち衰弱してますから雨に濡れると危険です!」
「…うん」「……」「…うん」「……柴ちゃん」
なんて言ってるうちに雨はどんどん強くなり、ドシャ降りになってきた。
ザァァーーーーーーーーァアアアッ!!
「ちくしょう、もういやや〜!
なんでうちがメガネを背負って雨に濡れなあかんねん!」ザァァアアア。
「…加護ちゃん、もう少しだから頑張ろう!」ザァァアアア。
…とはいえ凄い雨だ。はぁ、はぁ。
作業中の絵里ちゃんや後藤さんや愛ちゃんは大丈夫だろうか。ザァァアアア。
と、用水路の上方から愛ちゃんが走ってくる。
「センパーイ!、水が、水が来ますよ〜!」スタタタタ。
「え?もうできたの?」「なんですとー!」
「はぁ、はぁ、…川が増水して、最後の部分がつながったんです!」
「ホントか!」「やったー」
みんなで用水路を見守っていると、
しばらくしてザザザーーッっと勢いよく水が流れてきた。
水はそのまま学校の方へ一直線に進んでいった。ササーーッ。
「やったー」「完成や!」「かっけー!」
みんなで手を上げて喜んだ。
加護ちゃんは村さんを地面に放置してピョンピョン跳ねて喜んでいた。
用水路の向こうからは絵里ちゃんたちが笑って帰ってきた。。
その後、みんなで学校に戻って体育館で熊鍋になった。
食料隊がネギやら白菜を調達してきたので上等な鍋になった。
(余った肉は薫製にすると言ってあさみちゃんが持っていった。。)
用水路も完成し、腹もいっぱいになって、
その日は久しぶりに満足した気分になって、深い眠りについた。。
- 779 :サボリン:2004/04/02(金) 01:54
-
12日目。
…朝、やっと雨があがったようだ。
起きて外に出て貯水池を見てみると、水がたくさん溜っていた。
…良かった。これでしばらくは水の心配はしなくてすみそうだ。
と、絵里ちゃんが「お風呂だー」と言って飛び込もうとしたので
慌てて止めた。・・・大事な水なんだから汚しちゃだめだよ。。
しばらくして朝礼が始まった。
斉藤さんたちもいる。
斉藤さんたちも昨日食事と布団を与えられ、なんとか回復したようだ。
「ヨゥシ、オメーラ、紺野の話を聞けェ!」
「えー、みなさん、おはようございます、紺野です。
昨日も言いましたが、そこにいるのが、今日から仲間になった、
斉藤さん、マサオさん、村田さん、柴田さんです。
みなさん、仲良くしてあげて下さいね」
「あい!」「クソがァ」「うぃーす」「ヨロシコ」「よろしくだべさ」
「早速ですが、斉藤さんたちにも仕事を与えます、
汚物下水処理班、斉藤組ということでお願いします」
「な、なんだってぇ?」「…汚物ゥ?」「……」「……」
「…文句ありますか?、あなたたちは初めは協力を拒み、
自ら外に出て行って死にそうになり、それを私たちが助けたのですよ?」
「……<っ」
「…ないようですね、では仕事を与えます、
まず、下水というか用水路の延長をお願いします、
予想以上に水の勢いが強くて貯水池が溢れてます、
水の鮮度を保つためにも下方の川に流して循環させるべきです、
ということで、ここから南東に下って4キロに川がありますから、
そこまで用水路の延長をお願いします、わかりましたか?」
「……」「……」「…」「…」
「わかりましたかァ、斉藤さんッ!?」
「…はい、わかりました」
- 780 :サボリン:2004/04/02(金) 01:54
-
「それと、あさみが既に畑を始めていますが土が悪いようです、
そこで、毎日のみなさんの汚物は畑のために有効利用させていただきます、
専用のトイレと肥だめをつくって管理して下さい、わかりましたか?」
「……」「……」「…」「…」
「…あなたたちはどうも覚えが悪いようですね、
柴田さん、わかりましたか!?」
「…はい、わかりま…た」
「声が小さいですねぇ〜、
汚物担当柴田あゆみ、美貴様のために頑張ります!
…と、元気を出して大きな声で言いましょう、はい?」
「…お、汚物…」
「聞こえませんねぇ〜、
役に立たない4人組は今すぐ処分してもいいんですよォ!?」
「…お、汚物担当、柴田あゆみ!
美貴様のために一生懸命頑張りますッ!!」
柴ちゃんは顔を真っ赤にして大きな声で言った。…立派だ。。
「あの〜、紺野さん、柴ちゃんはまだ体の調子が悪いんです、
時間があるときは梨華が柴ちゃんを助けてもいいですか?」と石川さん。
「ふっ、物好きですね、好きにしなさい」
「はい、ありがとうございます」
- 781 :サボリン:2004/04/02(金) 01:55
-
「えー、では次の指示に移ります。
備品隊、雑用隊のみなさん、昨日までご苦労さまでした。
みなさんの働きで水が確保でき、大変助かりました。
今日からは食料隊、探険隊に混ざって森に入り、
一緒に食料調達および探険をしてもらいます」
「おお」「やっと土方から解放や」「ふう」
「私たちも昨日まで精一杯歩いたのですが、
まだ半径5キロ前後を探索したにすぎません。
もっと遠くまで、もっと丁寧に探せば、
もっと多くの食料や役立つものが発見できると思います!
…えー、では二人一組になり森を探険してもらいます、
銃器以外の刃物等は護身用に携帯可とします、
工芸室から持っていって下さい、
それと、今まで探険した箇所は地図に書いて体育館に貼ってあります、
参考にして未開拓の地域に行くようにして下さい、…えー何か質問は?」
「あのー紺野さん、組む人はどうやって決めるの?」
「ま〜、適当に組んでいいですよ、
食料隊や探険隊には既に他の仕事がある人もいますが。…他に質問は?」
「……」「……」
「…いいですね、、それではみなさん、頑張って下さい!」
…それぞれが散って組む人を捜し始めた。
「○○ぅ〜、一緒に北の山の方を探険しようよ?」
と、絵里ちゃんが誘ってくる。
「兄さん、うちと組まんか?、ののは薪担当で忙しいんやて〜、
西の方に行ってみようやないか?」と加護ちゃんも誘ってくる。
「先輩、一緒に南の方に行きましょうよ?
もしかしたら落ち着ける場所があるかも…」
愛ちゃんも誘ってくる。
「○に〜ちゃん、後藤さんは市井先生と組むんだって、
れいな、組む人おらんと、一緒に行ってくれなか?」
れいなも誘ってくる。。
う〜ん、どうしようかなぁ。。
1 絵里ちゃんと組む。
2 加護ちゃんと組む。
3 愛ちゃんと組む。
4 れいなと組む。
- 782 :名無し娘。:2004/04/02(金) 02:03
- 1
- 783 :名無し娘。:2004/04/02(金) 09:09
- 2
- 784 :名無し娘。:2004/04/02(金) 09:23
- 4
- 785 :名無し娘。:2004/04/02(金) 15:47
- 3
- 786 :名無し娘。:2004/04/02(金) 15:56
- 激しく4
- 787 :名無し娘。:2004/04/02(金) 18:14
- 加護しく2
- 788 :名無し娘。:2004/04/02(金) 23:56
- 3
- 789 :名無し娘。:2004/04/03(土) 00:03
- 4
- 790 :名無し娘。:2004/04/03(土) 12:07
- 3
- 791 :名無し娘。:2004/04/03(土) 23:41
- 4
- 792 :名無し娘。:2004/04/03(土) 23:59
- 2
- 793 :名無し娘。:2004/04/04(日) 20:20
- 3やよ〜
- 794 :名無し娘。:2004/04/05(月) 01:51
- ここで3だ!
- 795 :名無し娘。:2004/04/07(水) 23:36
- 3
- 796 :名無し娘。:2004/04/08(木) 04:43
- 2
- 797 :名無し娘。:2004/04/08(木) 04:45
- 2
- 798 :名無し娘。:2004/04/08(木) 17:03
- 2
- 799 :名無し娘。:2004/04/11(日) 00:33
- 3de
- 800 :名無し娘。:2004/04/11(日) 15:19
- キリ番ゲッツで3やよ〜
- 801 :サボリン:2004/04/11(日) 19:04
-
よし、れいなと組むことにしよう。
「絵里ちゃん、愛ちゃん、加護ちゃん、ごめん。
オレ、れいなと組むよ、れいな、まだ慣れてないみたいで…」
「えー、だったら絵里がれいなと組むよ!」
「いや、ファティマ同士が組んでも効率が悪いだろ、
絵里ちゃんは愛ちゃんと組んで愛ちゃんを守ってあげてよ」
「…ふんだ、…もういいよ○○なんか、行こう、高橋さん!」
「あ、うん」スタスタ。
絵里ちゃんは愛ちゃんの手を引っ張ってそそくさと歩いていく。
愛ちゃんも複雑な表情をしながらも従っている。
…絵里ちゃんと愛ちゃん、仲良くなってくれればいいな。。
「…へっ、気楽なもんや、遠足やねーんやで〜、
ほな兄さん、うちは…保田でも連れてくわ、またな〜」
そう言って加護ちゃんも去っていった。
絵里ちゃんと愛ちゃんはどうも南の方に向かったようだ。
加護ちゃんは西の方に行くって言ってたし、、
よし、それじゃ、絵里ちゃんが行こうとしていた北の山の方に行ってみるか。
「よし、れいな、行こうか」
「…うん」スタスタ。
れいなは下を向いてとぼとぼとついてくる。
しばらく歩いて森の中に入ったが、
れいなは髪の毛で顔を隠して黙ったままだ。。
「どうした?、れいな、元気ないな?」
「…だって絵里が怒っちゃったから」
「あんなの、拗ねてるだけだよ」
「でも絵里は……」
「…ん?」
「…○に〜ちゃんと絵里はこっちでも仲がいいんやね、
うち、こっちで知ってる人は後藤さんだけやったから…」
「なんだぁ、こっちに来てもう六日も経つんだから
みんなと仲良くなれたんじゃねーのかよ?
辻ちゃんとか石川さんと一緒に貯水池を掘ってただろ?」
「…みんな、うちがファティマやって知っとるから…避けてるんばい」
「…そんなこと」
・・・あるかもしれないな。
斉藤さんたちが撃った弾をバリアしてるのをみんな見てたしなぁ。。
「れいな、自分がファティマだって自分で壁を作ってるんじゃないのか?
れいなもみんなも普通の女の子だよ、ちょっと能力が違うだけで」
「…うちはみんなとおんなじがよか」
「だーっ、もう、れいならしくないなぁ!
元気出すんだ、れいな!、ん〜よしっ、走るぞっ!」パシッ。
オレはれいなの手を取って走り始めた。スタタタタ。
「あっ…あははは、待って〜、○に〜ちゃん!」スタタタタ。
突然オレが引っ張ったので少しビックリしたようだったが、
すぐにれいなも笑って走り始めた。やっとれいなの笑顔が見れた。。
- 802 :サボリン:2004/04/11(日) 19:04
-
調子に乗って二人で走って行くうちに随分と山の中に入ってきた。。
傾斜はきつくないのだが、左手は見上げるような崖が視界を塞いでいる。
オレたちは徐々にスピードを落とし、
崖に手を添えるようにして山を登っていった。
「○に〜ちゃん、気をつけて」
「…ああ」…と、
ガコッ。
上から妙な音が聞こえてくる。
シャラシャラ…と小石が降ってきた。。ん?…顔を上げて上を見る、、
・・・と、巨大な石がオレに向かって降ってくる!!ひゅぅう〜!!
「うわぁあ!」
「危なか!!」 バリバリバリバリッ!!
ドガッ、ドシャッ!
・・・・頭にやった腕を恐る恐る上げて見てみると、
俺たちのまわりで石が粉々になっていた。…れいなが助けてくれたんだ。。
「れいな…ありが…」
「……<っ!」ググググ。
と、れいなが体を丸めていきなり苦しみ出す。
「……っぁぁああ!!」
「れいな!、どうした?れいなァ!?」
オレはれいなの体を抱き寄せた。…プルプルと震えている。
「○に〜ちゃ…れいなはもう……っ!」
「れいな!、しっかりしろォ!!」
「……ぁっ…」
と、目の錯覚か、、れいなの体が一瞬サッと光り、
れいなはそのままガクッと気を失った。。
「…れいな…れいな…どうしちゃったんだよォ…」
- 803 :サボリン:2004/04/11(日) 19:05
-
オレはれいなを背負って安全なところに移動し、草むらに横に寝かせた。。
…とりあえず息はしている。…顔色を見てみるが穏やかだ。
……う〜ん、単に眠っているようにしか見えないなぁ。。
なんだったんだろう、さっきの苦しみ方は。
…死んじゃうのかと思った。。
と、おもむろにれいなは目を覚ました。
「…あ、○に〜ちゃん、どうしたん?」ぱちくり。
「…ど、どうしたんじゃねーよォ、いきなり気を失って…心配したんだぞっ!」
「…あれ?、うち、どうしたん?」
「覚えてないのか?、降ってきた石を壊してオレを助けてくれたんだろ?
…そしたら、いきなり苦しみだして、体が光って…」
「そうやったっけ?…もう大丈夫ばい」スタッ。
何事もなかったかのようにれいなは立ち上がった。
「大丈夫かよ?」
「大丈夫ば…ぁっ!?」ビクッ!
「…どうした?」
「…体が重いっちゃ」
「そりゃ、さっきまで倒れてたんだからな…無理するな」
「なんか変だっちゃ…こんなの初めてばい…
……、…はっ!!」スタタタ。
れいなはいきなり走り出し、崖に向かって手のひらを向け
「やっ!、ちゃっ!」と声を出して力を込めはじめた。
「…どうしたんだよ?」
「……っ!」
「おい??」
- 804 :サボリン:2004/04/11(日) 19:05
-
「……はぁ〜、…ダメばい、
…○に〜ちゃん、れいな、
力ば…使えなくなっちゃった……」パタッ。
そう言ってれいなは手の力を抜いてうなだれる。。
「な、なんだって、、それってどういう…」
「…こっちに来るとき、絵里と一緒にすごい力を使ったんやけど…、
…そいからなんや体に力が入らなくて、おかしいと思ってたっちゃ…」
「…そうだったのか」
「○に〜ちゃん、どうしよう?
力が使えないうちなんて、必要なかん!?
…れいな、なんの取り柄もなくなっちゃうよ!うわ〜ん!!」
そう言ってれいなはオレに体を寄せて胸をボカスカ殴ってくる。
「いててて、なに言ってんだよ、落ち着けよ!
力を使えても使えなくても、れいなはれいなだろッ!」
オレが肩を持って揺すると、れいなは急におとなしくなり、
「そうかな…後藤さんに嫌われたり…しなか?」
と言って、目に涙を溜めてオレを見上げてきた。。
「大丈夫だよ、後藤さんはそんな人じゃない!」
「…○に〜ちゃんは?」
「オレはいつもれいなの味方だ、
かっこいいれいなもダメなれいなも、みんな好きだぞっ」
「…えっ……○に〜ちゃん、れいなのこと…好いとぉの?」
「…あ、…ああ、好きだぞ」
…好きの意味がちょっと違う気もするが、
泣かれると困るから否定しないでおこう。。
「あは、そうか〜、よかったと〜」
れいなは急に明るい声を出して
涙と赤くなった頬を隠すように顔に手を寄せてくしゃっと笑った。
・・・しかし、力が使えなくなっちゃうなんて。。
確かにれいなは最近元気がないような気がしてたけど、、
あ、そういえば絵里ちゃんも最近おとなしいというか、
用水路を掘るときも普通にやってて力を使ってなかった。
…もしかしたら絵里ちゃんも力が使えなくなってるのかもしれないな。。
「さっ、○に〜ちゃん、行こ!」ちゃっ。
「行こって、大丈夫なのかよお前?」
「うん、もう大丈夫ばい!
…なんだか、初めて自分の体が自分のものになった気分、
嬉しくて…なんかどんどん歩きたい感じ、さっ、行こ!」ステテコ。
そう言ってれいなは山の奥の方にずんずんと歩いていく。
「おいこら、ちょっと待て!」スタタ。
オレも慌ててついていった。
・・・よく考えたら力が使えないれいななんて、
そこら辺の中学生…いや、ほとんど子供と一緒じゃねーか。
…今度は逆にオレがれいなを守らなきゃなんだな。。
- 805 :サボリン:2004/04/11(日) 19:06
-
と、どんどん歩いていくれいなの後をついて行くと、
急にれいなが立ち止まる。ぴたっ。
「○に〜ちゃん、あれ、なんやろ?」
「…ん?」
れいなの指差す方向を見ると、
少し下ったところに小さな池が見える。…ん?湯気が出てる。
「あ、温泉かも知れないな」
「…温泉って?」
「お風呂のでっかいやつ」
「お風呂!?、やったーっ!お風呂〜!」スタタタタ。
「ちょっ…」
れいなは一目散に温泉に向かって走っていって木の陰に見えなくなった。
「おーい、れいなー、離れるなよー!」スタスタ。
・・・どうするつもりだ?、まさか入るつもりじゃ、、
「おーい、○に〜ちゃ〜ん、じっくりコトコトいい湯だよ〜」
・・・あわわわ。
れいなは既に温泉に入っていた。
素っ裸で突っ立ってこっちを向いて手を振っている。。
日の光の中に白い肌を晒して、爪先きで背一ぱいに伸び上がっていた。。
下半身は湯気で見えないものの、ムネがプルプル揺れてるのははっきり見えた。
「お前、恥じらいってものを…」
「○に〜ちゃんも早く入りなよ、気持ちいいよ〜」
そう言ってれいなは体を湯に沈めた。ちゃぽん。
「あ、熱くないか?」
「大丈夫ばい」
「気をつけろよ、天然の温泉なんだから
どっかムチャクチャ熱いところがあるかも知れないから」
「大丈夫ばい!」
「いや、大丈夫じゃない!
右の奥の方に、白くなってるところがあるぞ、気をつけろ!」
「わかったっちゃ、もう、○に〜ちゃんも早く入らんと?」
そう言って濡らした髪をよせながらオレを見上げるれいな。
白い肩がツルツル光っている。
目を細めて顔を火照らせて、…ホントに気持ちよさそうだ。。
「…ぅぅ、…ま、まぁ、せ、せっかくだから入ることにするか。。」
オレは木の陰に隠れて裸になった。
近くにはれいなの下着やTシャツが転がっていた。
・・・ったく、絵里ちゃんもれいなも、、常識がなさすぎる。。
あ、そうだ、この6日間着替えなんてしなかったから服も汚いな。
…日差しが強いから温泉で洗ってから干せば乾くだろう。ついでに洗うか。
オレはれいなの服も持って温泉に入った。ぽちゃ。
れいなからなるべく離れて。。
- 806 :サボリン:2004/04/11(日) 19:07
-
「おそいよ〜、○に〜ちゃん、れいな、のぼせちゃうよ」ちゃぽ。
「だーっ!、立つなっ、いいからそこでつかってろ!」
オレは慌てて目をそらす。
「なんで〜?、話もできんと」
「お前、普通の女の子になりたいとか言ってたろ、
だったらもう少し恥じらいを持て、恥じらいを!」
「なんや、つまらん」ぽちゃ。
「ほら、これ、お前の服、持ってきたから、
お湯の中で適当にゴシゴシして洗っとけ」ふよふよ。
「はーい」ちゃぽちゃぽ。
「ふーっ。。」
・・・確かにいい湯だなぁ。。
・・・6日ぶりということもあるかも知れないけどホントに気持ちよかった。
昨日までの激務で溜った疲れが吹っ飛んでいくようだった。
「ひぃ〜、極楽、極楽ゥ〜」
「…なんや、○に〜ちゃん、オヤジくさっ!」
「・・・・、…へっ、子供は黙ってなさい、子供は!」
「なっ…、れいなは、」ぽちゃぽちゃ。
「…ん?」
「…れいなは子供じゃなかーっ!!」 ばさぁ!
れいなが来ていきなりオレの目の前に立ち上がる。。
「うわぁぁあ!」
「ほらっ、毛だって生えてるもん!
毛が生えたら大の大人だって石川さんが言ってたもん!」ぷるん。
「だぁーーっ!、わぁーったから、見せるのはやめなさい!見せるのは!」
「それや、れいなは子供じゃなかと?」
「子供じゃないです、子供じゃないです、だからやめなさい!!」
「…ふむ、わかればよし!」ちゃぽ、と再び湯につかるれいな。
ふーっ。。
「…でもね、ほんまは生えてきたのはこん前なんよ、
力がなくなりはじめてから、…なんか体がおかしいとよ
石川さんに相談したら、、大人になってる証拠だって…」
「…そ、そうか、良かったな」
・・・どういうことだ?
いくられいなでも最近生えてきたってーのはおかしいだろう。
もしかしたら力を失って普通の人間になったのかもしれないな。。
- 807 :サボリン:2004/04/11(日) 19:07
-
・・
その後、洗った服を干し、乾くのを待つ間に昼寝をすることになった。
「れいな、お前はあっちで寝ろ!、こっち来んなよ!」
「なんで〜、○に〜ちゃんのそばがよか、
好いとぉもん同士は裸で一緒に寝るんやって石川さんも言ってたよ」
「なっ…、…とにかく、お前はあっちで寝るんだっ!、じゃーなっ!」ピュゥ。
・・・ったく、石川さんも、、
かわいい顔をして裏では何を言ってるかわかったもんじゃないな。。
…ふう。
適当な草むらを見つけて横になる。
素っ裸で寝るのはちょっと落ち着かなかったけど
風呂上がりだし、気温も穏やかだ。……気持ちよく寝れそうだ。。
…うとうと。…と、
「キャーーッ、ライオンだよーっ!!
○に〜ちゃーん、助けて〜!!」 突然れいなの叫び声が!!
「な、なにっ!」スタタタ!!
オレは一目散に声のする方に走った。
・・・が、れいなは何事もなかったように笑って突っ立っていた。
「あははは、○に〜ちゃん、ひっかかったぁ〜」
「……っ、お、お前なぁ〜、、」
「あは、○に〜ちゃんのハダカば見ちゃったっ!
うちのも見たんやけん、おあいこばい」
「あっ!」オレは慌てて股間を隠した。。
「くそォ、…お前は今井か!、自作自演は犯罪だぞっ、
…ホントにライオンに食われても知らねーからな」スタスタ。
「あははは、ホントにライオンが来よったら
うちはライオンと友達になるとよ〜」
「…勝手にやってろ、…オレは寝る!」スタスタ。
・・・ったく。
オレは元の場所に戻って横になった。
もう何を叫ぼうが起きないからな。むにゃむにゃ。
ようやく落ち着いて眠りにつくことができそうだ。。
ん〜、むにゃむにゃ、
今井は劣化ウラン弾ケツに突っ込んで氏ね・・・
- 808 :サボリン:2004/04/11(日) 19:08
-
・
・・ん?
・・・れいながライオンの子供になって、じゃれている。
・・・・夢だ。。
がーっ、夢の中にまで出てくるなっ!
「れいなっ、いい加減にしろっ!」バサッ。
「・・・・?」
起きると、横にれいなが座っていた。
れいなはもう服を着ていて、オレの上には乾いたシャツがかかっていた。
「○に〜ちゃん、……どうしたん?」
「いや、…れいなの夢でうなされた」
「あは、ひどいっちゃ〜、
…あ、そうだほら、もう服乾いてたよ」
パサッ、とれいながオレのパンツを投げてきた。
「ああ、サンキュ、
って、お前・・・・、…やっぱいいや」
いろいろ言うのが面倒になって、オレはそそくさと服を着た。
「さっ、帰るぞ」スタスタ。
「えっ、もう?、まだ明るいのに?」
「暗くなったら帰れないだろ」スタスタ。
「なんで〜、まだ大丈夫ばい
もっと遠くまで探険しようよ、
なんか他に発見できるかも知れなかよ、
そしたらみんなも喜ぶとよ?」スタタタ。
「う〜ん、そう言われるとそうかもな…」ピタッ。
・・・今日は結局、温泉入ってただけだしな。
太陽を見ると…まだ2時頃だから先に行けないこともない。
でも、もっと先に行って帰れなくなったら困るぞ。
れいなは力を使えなくて頼りにならないし、、
どうするか。。
1 みんなのためにも、もう少し先まで探険してみる。
2 れいなを危険な目にはあわせられない、心配だからすぐに帰る。
- 809 :名無し娘。:2004/04/11(日) 22:46
- 1
- 810 :名無し娘。:2004/04/11(日) 22:49
- ヾ从 ;` ヮ´;)ノ<れいなはボーボーたい!
1で
- 811 :名無し娘。:2004/04/12(月) 22:33
- 2
- 812 :名無し娘。:2004/04/14(水) 00:22
- 1
- 813 :名無し娘。:2004/04/14(水) 00:42
- 2で
- 814 :名無し娘。:2004/04/14(水) 22:16
- 2
- 815 :名無し娘。:2004/04/15(木) 18:36
- 1
- 816 :名無し娘。:2004/04/16(金) 12:37
- 1
- 817 :名無し娘。:2004/04/16(金) 18:48
- 1
- 818 :サボリン:2004/04/17(土) 03:43
-
「ん〜、よし、もう少しだけ先の方まで探険してみるか」
「やったっ、早く行こ!」ぷにっ。
れいなはオレの腕をつかんで頭を肩に寄せてくる。。
「・・・お前、なんか勘違いしてねーか?、デートじゃねーんだぞォ!」
「離れたら危険ばい、
だって、れいなはもう力が使えなかよ、か弱い女の子なんよ、
○に〜ちゃんのせいでこうなっちゃったんよ?」
「・・・・ぐっ、…日が暮れるから早く行くぞ」スタスタ。
「あ、そぎゃん速う歩いたら歩きにくか…」
「腕を組んで山を歩くな、山をあなどるな!」スタスタ。
「あ〜ん待って、○に〜ちゃんのいぢわる、けち…」ステテテ…
「あっ!」
ズテッ!グギャ!
れいなが足を滑らせてズッこける。
オレがスピードを上げたのに、
れいなは強引にオレの腕にしがみついたままだったから。。
「だ、大丈夫か?」
「……ぅ、…ぅ、大丈夫…ばい…」
れいなは目に涙を溜めて痛みを我慢している。膝からは血が出ていた。
「ほ、ホントか?
…ちょっと見せてみろ、血が出てるじゃねーか」
「えっ!、…あっ、……ぅぅ、
…○に〜ちゃんがいぢわるするけん、
こけちゃったんやなかかぁーぁあーっ!、…うぇ〜ん!!」
「わたたた、ごめん、れいな、ごめんよー、
ほら痛いの飛んでけーってな、ほら痛くないだろ?」スリスリ。
オレは必死に膝のまわりをさすってやったが、れいなは一向に泣きやまない。
「うぁ〜ん!、うぇ〜ん」ヒック、ヒック。
・・・うっわー、よく見たら実際痛そうだこりゃ。
擦り傷じゃなくて、膝がパックリと割れている。ピロッ。
傷口は3センチくらいだけど血がどんどん出てくる。ヤヴァイぞこりゃ。。
ったく半ズボンなんてはいてるから。って違う、オレのせいだ。
それはともかく、縫わなきゃかも。。とはいえ麻酔なんてないし、
ランボーよろしく強行突破か!?…って、針も糸もねーよ。。
- 819 :サボリン:2004/04/17(土) 03:43
-
「あわわ、とりあえず応急措置をして…
とにかく、学校に戻ろう!」
オレはれいなの膝を抱えてハンカチで傷口を縛る。ササッ、クイッ。
「あぁ!」
「我慢しろ!」グルグル、グッ。
命に関わるほどの出血じゃないけど、
念のため太腿にベルトを絞めて止血した。
「痛い!」
「さっ、おんぶしてやるから、つかまれ!」
「…ぅぅ」
「よし、行くぞっ!」
オレはれいなを背中に乗っけて走り始めた。。
はぁ、はぁっ。
いくら軽いれいなとは言え、
山道を背負って下るのはつらかった。
れいなは痛みを我慢しながらうなっていたが、
泣き疲れたのか、しばらくすると眠ってしまった。。
はぁ、はぁっ。
と、来るときに崖崩れのあった場所に近づいた。
崩れた石の残骸があちこちに転がっていて歩きにくい。
石を避けながらもぞもぞとゆっくり歩いていると、
「困っているみたいね?」
・・・どこからともなく声がする。
「だ、誰?」 辺りを見渡す。
と、木の陰から一人の少女が姿を現した。。
- 820 :サボリン:2004/04/17(土) 03:44
-
「…君は、誰?、この時代の人?」
「あなたが○○さんですか、出会えて光栄です」 フッと微笑する少女。
れいなよりも小さな女の子だ。その割に話し方は大人びている。。
「な、なんでオレの名前を知ってるの?」
「…れいな、あの程度の負荷でヒトに堕ちてしまうとは情けない…」
そう言って近づき、れいなの口元に指先を添える少女。。
「…れいなも知ってるのか?、質問に答えろよっ!」
「私の名前は鈴木愛理、
今はそれしか言えません、…お助けしましょう」
そう言うと少女はれいなの膝に手を添える。
と、フワッっと一瞬光が差す。
「…もう大丈夫です、ハンカチを取ってみて」
「えっ、マジで?」
スルスルッ、・・・傷が跡形もなく消えている。。
「すごい、、あ、ありがとう、、君は…」
「近いうちにまたお会いできるでしょう、では」 フッ
・・・・お、女の子は消えてしまった。。
…いったい何だったんだ?あの子は誰なんだ?、未来人?
なんでオレやれいなのことを知ってるんだ?
なにがなんだかわからない、けど、
れいなの傷が治ったことだけは確かだ。。
・・
しばらくしてれいなが目を覚ました。
事の顛末を話し、女の子のことを知っているかときいたが知らないと言う。
「でも、傷を一瞬で治しちゃうなんて…」
「そうやね、すごいね、…ファティマかもね」
「かもねってお前…」
「さ、○に〜ちゃん、早く帰ろ、れいなお腹空いちゃった」スタタタ。
「あ、こら待て、気をつけろ」スタタ。
「大丈夫ばーい」スタタタタ。
れいなはすっかり元気になり、二人で走って山を下った。。
- 821 :サボリン:2004/04/17(土) 03:45
-
・・
暗くなり始めた頃になんとか学校にたどり着いた。
それぞれが探険から帰ってくるのを待ち、みんなが集められた。
オレは温泉があったことをみんなに報告した。
みんな喜んで明日から交代で順番に行くことになった。
(ただ、山で会った愛理という女の子については話さなかった。)
愛ちゃんと絵里ちゃんは南の方で米がなってるのを発見したらしい。
明日以降、あさみちゃんが調査に行くようだ。
それにしても稲が自生してるとは運がいい。
既に実のついたものが沢山あったいう話で、みんな喜んでいた。
加護ちゃんは西の方でコカの木を発見して葉を持って帰ってきた。
みんなにコカの葉の茶を振る舞って喜んでいた。
みんなも久しぶりに明るさを取り戻して夕飯は盛り上がった。
ラジカセで音楽を鳴らして、みんなヒューヒュー踊っていた。
加護ちゃんは一人、石灰を包んでコカの葉をシカシカと噛みながら
明日からは栽培の研究をするんやと言って張り切っていた。
そんな感じで愉快な晩は過ぎていった。。
- 822 :サボリン:2004/04/17(土) 03:46
-
・
・・
25日目。。
あれから約2週間。
稲は思っていたよりたくさん実っていて
みんなで収穫したり脱穀したりで忙しかった。
麦やそばなども発見した。家畜の数も増えてきた。
どうやらこの冬は越せそうで、
余裕が出来てみんなの顔にも笑顔が見えはじめた。
来期に供えて畑や田んぼの耕作も徐々に始まった。
2日に一度、温泉に入りに行くようになった。
労働の後の温泉とコカ茶は最高だった。
洗濯もするようになり、一応清潔な生活が出来るようになった。
とはいえ着替えがなかったので、
みんな洗濯中は野球やサッカーのユニフォームとか柔道着を着ていて、
はたから見るとすごい間抜けな集まりだった。。
トイレも斉藤さんたちがちゃんと作ってくれて不自由が無くなった。
用水路の下りも完成して綺麗な水が循環するようになった。。
- 823 :サボリン:2004/04/17(土) 03:47
-
そんなある晩。
みんなが寝静まった後、
オレは少し寝付かれずに長屋の外に出て月を眺めていた。。
・・・・さゆみちゃんはどうしてるだろうか。
ふと気になった、そのとき、
カラン。
と、オレの部屋から物音がする。。…ん?誰だろう?
まえに一度、辻ちゃんがかくれんぼをしていて潜り込んできたことがあるが、
まさかこんな深夜にやってんじゃねーだろーな。。
「誰?、辻ちゃん?」コト。部屋の中をゆっくりとのぞく。
…暗くてよく見えないが、布団の上に誰かいるみたいだ。。
「誰だよ?、返事しろ?」
「ふ、ふ、ふふふ、久しぶりね、○○くん」
「だっ、誰だよっ!」
「ふ、ふ、私を忘れたの?、この私を?、この世界一かわいい私を!」
カーテンが風に吹かれて窓から少し月明かりが差し込む。。
「ま、まつうらさん!」
…監禁されているはずのまつうらさんが布団の上に座っている。
随分痩せてしまって、目玉が浮き出るように頬がこけている。
「だ、だいじょう…」
ガッ!!
「うわっ!」ドサッ!
まつうらさんが飛んできてオレの体をねじ伏せる。…な、なんて力だ。。
- 824 :サボリン:2004/04/17(土) 03:47
-
「あなたに心配される覚えはないわ!」ゴン!
「…痛ッ!」
オレの体の上にまたがり、オレの頭を手で地面に押しつけながらつぶやく。
「皆さん、よくも私をこんな目にあわせてくれましたわね、
生まれて初めてのナイガシロですわよ私、怒りましたよ、ハァ、ハァ」
「いや、みんな藤本に命令され…」ゴン!
「黙りなさい!!
そもそも私がさゆみんの主になっていれば
こんなコトにはならなかったのよッ!」ゴンッ!
「……ッ!」
「…今度こそあなたを殺したいところだけど、
ふっ、まぁいいわ、もっと面白いことを思いついたから…」
「な、何する気?」
はっ、まつうらさんの首にさゆみんの石がかかっている!
この凄い力は石のせいか。。石を盗るためにオレの部屋にいたのか?
「…ふ、ふ、ふふ、楽しみにしてなさい、
せいぜい皆さんと仲良くやってね、デハ、ごきげんよう!」サッ!
「あっ、まつうらさん!」
…まつうらさんは凄い早さで走って裏門を出て行った。
・・・大丈夫だろうか、あんな痩せた体で。。
・・・・面白いことって、何をするつもりだろう。。
はっ、それより早く藤本に知らせなきゃ!
- 825 :サボリン:2004/04/17(土) 03:48
-
オレは急いで1号室に向かった。
と、ちょうど辻ちゃんと小川さんも来ていて
藤本や紺野さんと何やら話をしていた。
今日は辻ちゃんが夜の見張り当番だったが、
まつうらさんに騙されて鍵を開けて逃げられたという。
殴られて気を失っているところを交代で来た小川さんに発見されたらしい。
「…すまんれす」
「もういい、辻、過ぎたことだ…、
猿とて生身の猿、あの衰弱した体でできることは高が知れている」
「…それが、藤本、違うんだ、
まつうらさんは…さゆみんの石を持っているんだ…しかも3つ…」
「なっ、なんだとォ!、確かな話かァ!?」
「…うん、実はオレ、飯田さんから石を預かっていて、
それを盗られて、…さっきもすごい力でねじ伏せられた、…眼が怖かった」
「オメー、石を持ってて今まで黙ってたのかァ?」グイッ!
「…ぅぅ、…ごめん」
「……っ、くそォ」
「…石を持ってるとなると話が変わってきますね、
松浦さんはそれなりに知識を持っていますし、使い方も知ってるようです」
「野放しにしたら何をやらかすかわからねーなァ、、
で?、ヤツはどこに行った?」
「オレを殺すより面白いことを思いついたって言って、
裏門を出て南の方に走ってった…」
「…ちくしょう、何をしでかす気だァ・・・?
森に逃げられたらココで暴れられるよりタチが悪いじゃねーか、
これじゃぁ、明日から安心して森を歩けねぞォ!」
「…藤本、どうしよう?」
「美貴様…」
- 826 :サボリン:2004/04/17(土) 03:49
-
「……焦ったら負けだ、
今日はとりあえずみんな寝ろ、明日の朝、まつうら討伐隊を結成する、
隊員はオレと○○、他数名、森に入ってまつうらを撃つ!」
「……そんな、まつうらさんを撃つって…」
「○○、オメーが石を盗られてこんなことになったんじゃねーか、
とにかく、猿は危険なんだ、文句は言わせねーぞォ!」
「……、…わかったよ」
「よし、他の人選はオメーに任せる、明朝までによく考えておけ」
「…うん」
「ヨゥシ、オメーラ解散だァ、騒ぐんじゃねー、ほら散れ散れ!」
「……」
オレは自分の布団にもぐって考え始めた。
まつうらさん、あんな怖い顔をして何をする気だろうか。
…それにしても、さゆみんの石を盗られたのはまずかった。
・・・・さゆみちゃん、生きてるのかな。
いや、それよりまず、明日の人選を考えなくちゃ。
藤本とオレと、、あと数名を選べって言ってたな。
・・・なんで藤本はオレなんかに人選を任せたんだ?
…なんだか身震いがする。。…よく考えて選ぼう。。
【以下の中から、2人選んでください】
(多数決で3名が討伐隊に加わります)
紺野さん 絵里ちゃん れいな 愛ちゃん 加護ちゃん
(ここでは親密度が2以下の人物は選択肢に表示されていません)
- 827 :名無し娘。:2004/04/17(土) 12:18
- 紺野さん 絵里ちゃん
戦闘力重視で
- 828 :名無し募集中。。。:2004/04/17(土) 14:09
- 紺野さん 愛ちゃん
好み重視で
- 829 :名無し娘。:2004/04/17(土) 14:44
- れいな 加護ちゃん
- 830 :名無し娘。:2004/04/17(土) 16:02
- 愛ちゃん 絵里ちゃん
- 831 :sage:2004/04/18(日) 03:27
- れいなとえりりん
好みでw
- 832 :名無し娘。:2004/04/19(月) 08:15
- 紺野さん 愛ちゃん
展開たのしみにしてます
- 833 :名無し娘。:2004/04/19(月) 22:12
- 愛ちゃん 加護ちゃん
あいちゃんずで
- 834 :名無し娘。:2004/04/20(火) 05:10
- 絵里ちゃん 加護ちゃん
- 835 :名無し娘。:2004/04/22(木) 08:04
- 紺野さん、絵里ちゃん
- 836 :サボリン:2004/04/27(火) 01:23
-
よし、紺野さんと絵里ちゃんと愛ちゃんを連れて行こう。
石を盗られたのはオレの責任だ。
あの状態のまつうらさんは確かに危険だと思う。
できるならみんなを危険な目にはあわせたくないけど、
オレ一人で解決できる問題じゃない、
藤本やみんなにも協力してもらうしかないのか。。
オレはモンモンとしながら眠りについた。
26日目。
朝、起きて校庭に出てみると
紺野さんたちが銃を用意して待っていた。
「○○、隊員は決まったかァ?」と、藤本。
「うん、・・・紺野さん、絵里ちゃん、愛ちゃんに頼もうと思う、
みんな、一緒に行ってくれるかな?」
「もちろんです」「やったー○○と一緒!」「先輩について行きます」
「ありがと、みんな、まつうらさんのことはオレに責任が…」
「ヨゥシ、隊員は決まったァ、
各自朝食を済ませ、8時に裏門に集合だ、わかったかァ!」
「はいっ」「はい!」「やよー」「…うん」
8時に裏門に集合してみると
機関銃とリュックが各自に用意されて手渡された。
「それぞれ装備の確認を怠るな、
銃の使用法はあらかじめ紺野やまいに習っておけェ!」
銃の使い方を教わって、装備をつけてみると、
なんだかみんな物々しい格好になっていた。。
- 837 :サボリン:2004/04/27(火) 01:24
-
「まい、あさみ、後は頼んだ」
「はい!」「はっ」
「まつうらのことが片づくまで森には入るな」
「はい!」「はっ」
「では、行って参る」
「お気をつけて!」「ご武運をッ!」
「ヨゥシ、オメーラァ!、行くぞォ!!」スタタタ。
「おお!」「はい!」「はい」「…おお!」スタタタタ。
オレたちは藤本の後について裏門を出て南に走った。
森の入り口まで来ると藤本が止まって話し出す。カチャ。
「紺野、亀、タカハシ、○○、よく聞け!
これからお互いに30メートル間隔で距離を保って南下する、
常に隣のヤツの動きを見て、安全を確認しながら歩け。
それと、まつうらはさゆみんの石を持っているから
気をつけろ、いいか普通の人間だと思うな!
まつうらを発見した場合はまず警笛で知らせる、
ただ、状況が切迫している場合、なるべくなら、
…なるべくなら殺りたくはないが、自衛的に発砲を許可する、
だが、もしもそのときは一発で殺せ!
まつうらに二度目は無いぞっ!、いいな!」
「はい!」「はい」「…うん」「……」
藤本の指示通り、お互いに30メートル離れながら森に入った。
銃を構え、辺りを見回しながらゆっくりと歩く。カチャ、ザザッ。
…昨日まで稲の収穫で通っていた森が突然戦場になったみたいだった。
・・
2時間ほど無言の時が流れた。。
足が草に引っかかる。…疲れてきた、が、
隣の紺野さんと絵里ちゃんも頑張って歩いてる。
泣き言は言えない。。と、
ぴゅゅゅぅぅう!、
笛の音が聞こえる。
警告音だ!、左の方からだ。
…愛ちゃんがいる方向。。大丈夫だろうか。。
オレたちはお互いを見ながら静かに笛の音の方へ近づいた。スタスタ。
- 838 :サボリン:2004/04/27(火) 01:24
-
と、愛ちゃんが座って誰かを抱えている。…飯田先輩だ。
「飯田先輩、大丈夫っすか?」ペチペチ。
「…ぅぅ、……ぁ?」
「飯田先輩!」ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペ…
「…ぅぁあ!、、……高橋、、…□□くん」むにゃ。
「…飯田先輩、どうしたんですか?」
飯田先輩…、久しぶりに会った。。
2週間以上森をさまよっていた割にはちゃんとした格好だ。
とはいえ様子がおかしい。目の焦点が定まらないようだ。。
「どうしたァ?」スタタ。藤本もやってきた。
「…なんだデンパババァか、どういうことだ高橋?」カチャ。
「ここで倒れてたんすよ、あっしはただ発見しただけやで…」
「…はっ、松浦、松浦さんが……ぅ<っ!、はあっ、はぁっ!」
いきなり飯田先輩がムネをつかんで苦しみ出す。
「なにっ?、まつうらがどうしたってェ?」グイッ。
「…松浦さんを行かせてはダメよ、
彼女はさゆみんを殺す気だわ!」
「なんだってェ、さゆみんが生きて…??」
「さゆみんを殺したら今度こそ地球はッ…っ」
「飯田先輩、さゆみちゃんに会えたんですか?生きてたんですか!?」
「…会えなかった、でも、神殿のような建物を発見したわ、
この先の川に沿って…南に50キロほど行ったところに…小さな湖がある、
そこに神殿のような建物があって、、恐ろしい気を感じたの、
私は□□くんを呼んでこようと思って……っ、
…学校に戻る途中で松浦さんにッ、…ゴホゴホッ!」
「まつうらにやられたのか!、飯田ァ!?」
「…ゴホゴボッ、……っ、…そうよ」
「美貴様、飯田さんはさゆみんの石のかなりの使い手で、
あのときは弱点を突かれたとは言え、亀を吹っ飛ばすほどでした、
その飯田さんがここまでやられたとなると…」と紺野さん。
「うにゅぅ、猿め!」ピキ。
「松浦さんはもう…っ、ほどんど狂っていたわ、気をつけなさい、
……っ、とにかく、さゆみんを頼んだわ、□□くん…」ちゃら。
そう言って飯田先輩がさゆみんの石をオレに差し出す。
「飯田先輩!」がしっ。
「…南へ、神殿へ行きなさい…」ガクッ。
・・・そう言って飯田先輩は気を失ってしまった。
「飯田先輩っ!!」
- 839 :サボリン:2004/04/27(火) 01:25
-
「…飯田……」
「……さゆ…」
「神殿ってなんやろ、人がいるってことやろか?」
「美貴様…」
「…ヨシっ、先を急ぐぞッ、飯田を信じて神殿に向かう!」スタスタ。
「ちょっと待てよ、藤本、
飯田先輩はどうすンだよォ?」
「…捨て置け。じきに回復して自力で学校まで行けるだろう」
「そんな…こんなヘロヘロになってんだから無理だろォ!?
飯田先輩を学校まで連れて行ってからにしようよ?」
「今はそんなことをしている暇はない、猿の目的がわかっただろォ!
…ヤツはどうにかして…さゆみんにまたあの力を使わせる気だ、、
そうなったら今度こそオレら仲良くソロってあの世逝きだぜ○○ゥ、
ンなことになってもいいのかよォ?、…一刻を争う事態だ、早く行くぞ!」
「藤本ォ…」
「飯田さんなら大丈夫ですよ、さ、○○さん、行きましょう」スタスタ。
「紺野さん…」
そんな・・・、
気を失った飯田先輩をこんなとこに置いたまま行くなんて…
藤本はいったん言い出したら曲げないし、、どうすればいいんだ?
誰か一人が残って飯田先輩の面倒をみるっていうのはどうだ?
…オレが残りたいところだけど、さゆみちゃんが生きてるなら
オレが行ってなんとかしなきゃだし。。
1 紺野さんに残って飯田先輩をみてもらう。
2 絵里ちゃんに残って飯田先輩をみてもらう。
3 愛ちゃんに残って飯田先輩をみてもらう。
4 戦力の低下は避けるべきだ、…飯田先輩は見捨てる。
- 840 :名無し娘。:2004/04/27(火) 01:31
- 4
- 841 :名無し娘。:2004/04/27(火) 18:14
- 1
- 842 :名無し娘。:2004/04/27(火) 21:00
- 2
- 843 :名無し娘。:2004/04/27(火) 21:10
- 1de
- 844 :名無し娘。:2004/04/28(水) 14:52
- 4
- 845 :名無し娘。:2004/04/29(木) 08:37
- 3
- 846 :名無し娘。:2004/04/29(木) 18:11
- 4
- 847 :名無し娘。:2004/04/29(木) 23:01
- 4
- 848 :名無し娘。:2004/05/02(日) 00:02
- 4
- 849 :サボリン:2004/05/03(月) 03:48
-
「…わかった」…飯田先輩はここに置いて行こう。。
「…ヨゥシ○○、行くぞっ、
……さっさと歩けよタコ!」スタスタ。
「…うん」
・・・飯田先輩のことだから大丈夫だろう、、たぶん。。
オレは飯田先輩から渡されたさゆみんの石を握りしめて歩き始めた。
倒れたままの飯田先輩を見るのが怖くて後ろを振り返れなかった。。
・・
しばらくして川を見つけ、川が見える距離を保って森の中を南下した。
辺りを警戒しながらゆっくりと歩く。
既に未開拓地域に入っていた。
深い森に時折差し込む太陽の光、、
もう正午近くだとわかる。。
5人はさっきよりも近づいてかたまって歩いていたのに
警戒心からか、森の静けさにのまれたのか、
お互いに話すこともなく、ひたすら草を切って歩いていた。。
・・
27日目。
そして次の日になっても、、
オレたちは、ほぼ一日中歩いていた。
しかし、風景は変わらなかった。。
しだいに日が傾き始め、
今日も昨日と同じように野営の準備をすることになった。
- 850 :サボリン:2004/05/03(月) 03:49
-
たき火を囲み、米を炊きながら熊肉の燻製をかじる5人。
それぞれの顔がオレンジに照らされ、
火の加減で表情が変化して見える。。パチパチ。
「…飯田さんは50キロ南下すれば湖があるって言ってたのに、
2日歩いても着かないなんて……どういうこと?」パチパチ。
おもむろに絵里ちゃんが口を開く。
「森ん中をゆっくり歩いてるんやから、
こんなもんなんじゃないすか?」と愛ちゃん。
「高橋さんは…飯田さんを信じるんですか?」
「…飯田先輩は悪い人やないよ、あっしは信じるよ」
「絵里は…あの人、なんか信じられない、
松浦さんの味方だったらどうするの?
絵里たちがこうしてる間に学校が攻撃されてるかも…」
「…亀、
私たちの役目は信じるかどうかではない、行うかどうかだ」
紺野さんが諭すように絵里ちゃんに言う。
「……はい」
「どっちにしても明日には結論が出るだろう…」と藤本。
「…藤本、もし明日、湖に着いたとして、
…まつうらさんを発見したら、どうするつもり?」オレがたずねる。
「…殺すしか、ないんじゃねーかな」
「どうして?、なんでオマエとまつうらさんが
殺し合わなきゃならねーんだ?
二人の間に何があるって言うんだよォ?」
「フッ…さぁな、
…お互い、しょってる荷物が重くなっちまったからなァ…」
「美貴様…」
「ずぅっと一緒だったんだ…、
養護施設にいた頃から。…アイツの事ならなんでも知ってる」
「……」
「アイツには世界が自分を否定したら
肯定するようにその世界を変える力があった…、
でも次第にヤツは、世界にあわせて自分を変えるようになっちまって…」
「……」
「皮肉にもそれが原因でヤツは今、世界に否定されようとしている、
…それで、今度は自分から世界を否定してやろうと必死なのさ……」
「…よくわかんねーよ、…だから殺すってーのか?」
「裸の王様に裸だって真実を教えるよりも
裸のまま葬ってやった方が、信義を守ることになるのさ…」カチャ。
「……」「……」「……」「……」
- 851 :サボリン:2004/05/03(月) 03:49
-
「…しゃべりすぎたようだな、…明日も早い、もう寝よう」
「…ああ」「…はい」「…うん」「…うん」
5人はそれぞれ自分のリュックを枕にして横になった。
静かすぎて寝付かれない夜だった。
川の音だけが静かに流れていた。
・・
28日目。
今日も朝から歩きっぱなしだった。ザッ、ザザッ。
…銃を持つ腕が重い。…みんなの表情にも疲れの色が見える。
木々の間から見える川だけはキラキラと光って涼しげに流れていた。
「…ねぇ、ホ、ホントに湖なんてあるの?
どこまで行ってもおんなじ景色じゃない!?」ハァ、ハァ。
「黙れ亀」ザッ、ザザッ。
「やっぱり飯田さんに騙され…」
「黙れっつってんだろォオ!」
「…ぅぅ」
紺野さんが切れて怒鳴ったので
絵里ちゃんはとうとう泣き出してしまった。
「…ったく、ねんねじゃあるめーし、
力を使えないファティマほど使えねーもんはねぇぜ!」
「…えっ、……どうして…?」
「最近のオマエの様子を見ればわかるさ、
第一、オマエがまだ力を使えるんなら
こんくらい歩いたくらいでへたばるはずがねーじゃねぇか」
「……紺野さん、知ってたの…?」
・・・そうか、やっぱり絵里ちゃんも力が使えなくなってたのか。。
「亀ェ、見捨てられたくなかったらァ、
おとなしく黙ってついて来いッ!わかったかァ!?」
「……っ、…はい!」スタスタ。
- 852 :サボリン:2004/05/03(月) 03:50
-
「紺野…」ピタッ。
「はっ、どうなされましたか美貴様?」スタタ。
「…霧だ」
「え?」
・・・本当だ。
気がつくといつのまにか前の方が霧に覆われている。
「オメーラ気をつけろ、
なるべくかたまって行くぞ、
それと、霧が晴れるまで銃は使うな」
「はい」「…はい」「…うん」「うん」
オレたちは声を出してお互いを確認しながら
真っ白な霧の中をゆっくりと歩いていった。。
が、霧はどんどん濃くなり、2メートル先も見えないようになってきた。
「ちくしょう…、
オメーラ、適当に誰かと手をつなくんだ、
ゆっくり、気をつけて行け!」 もわもわ。
「はい」「はい」「うん」 もわもわ。
・・・誰かと手をつなげって、その誰かが見つからねーよ。。
・・・もう声を頼りに歩くしかないな。
オレは必死に耳をそばだててみんなの声を聞いた。
紺野さんと絵里ちゃんと愛ちゃんはそばにいるみたいだ。
誰の方に向かおうか。。
1 紺野さんの方に向かう。
2 絵里ちゃんの方に向かう。
3 愛ちゃんの方に向かう。
- 853 :各無し墓集中。。。:2004/05/04(火) 09:26
- 3
- 854 :名無し娘。:2004/05/05(水) 03:07
- 1
- 855 :名無し娘。:2004/05/05(水) 14:13
- 3
- 856 :名無し娘。:2004/05/05(水) 19:51
- 2
- 857 :名無し娘。:2004/05/06(木) 01:21
- 2
- 858 :名無し娘。:2004/05/07(金) 18:37
- 3
- 859 :サボリン:2004/05/08(土) 06:23
-
「愛ちゃん!、愛ちゃんどこ?」 もわもわ。
「あ、先輩、ここですよ、ここ!」 もわもわ。
「ちょっと待…」 ドシン!
「あいた!」
「…っ、、ごめん愛ちゃん、大丈夫?」
「……っ、…大丈夫です、
よかったー、先輩と会えて、
もう二度と会えなくなるような気がしちゃいましたよ」
そう言う愛ちゃんの笑顔が微かに見えた。
「ハハハ、大げさだなー、…じゃ行こうか」
「はい」
オレは愛ちゃんの手を握って歩き始めた。
視界はさらに悪くなり、
手を握っている愛ちゃんの顔すら見えないくらいだった。
愛ちゃんの手は緊張で少し汗ばんでいた。。と、
「…ぅっ!」 …ドサッ!
…突然愛ちゃんが小さな声をあげて転んでしまった。
「愛ちゃん、どうしたの!?」ゆさゆさ。
「…」
オレは手探りで愛ちゃんの体を抱きしめたが反応がない。
「ちょっ、大丈夫かよオイ!」ゆさゆさ!
・・・打ち所が悪かったのだろうか。…気を失ってるみたいだ。
「お、おーい藤本ォ!、愛ちゃんがコケちゃって意識不明だよォ!!」
「ァんだとォ!、…オメーが背負って連れてこいよ!」
「……わかった!」
オレは愛ちゃんをなんとか背負って歩き始めた。
視界がほとんどない霧の中で愛ちゃんを背負って歩くのはつらかった。
目隠しをされた馬になった気分だった。
- 860 :サボリン:2004/05/08(土) 06:24
-
ひたすら歯を食いしばって歩いていくと、ようやく霧が晴れてきた。
5分くらいしか歩いてないはずなのに随分長く感じた。
と、突然目の前に湖が、、そして神殿が、見えてきた。。
…飯田先輩の言ったとおりだ。湖の上に神殿が建っている。
パルテノン神殿みたいな造りで、大きな柱が何本も見える。
「……ついたようだな」
「…はい」「はい」「…ああ」
「ヨシ、ここは視界が悪くて危険だ、
…とりあえず神殿の中に入るぞ!」スタスタ。
と言って藤本は歩き出す。紺野さんと絵里ちゃんも歩き出す。
・・・オイオイ、こんなアヤシイ神殿にいきなり入っちゃって大丈夫かよ。
とはいえ、湖の周りは霧だらけで、神殿の辺りだけ霧が晴れていた。
まるで神殿がオレたちを呼んでいるようだった。
藤本の後について神殿への橋を渡る。
下に見える湖の水が恐ろしく澄んでいた。
近づくにつれ、柱の一つ一つがなまめかしく光っているのが見える。
6本の大きな柱の間を通って中に入ってみると、
大きな空間に2列の柱列があってさらに奥へと続いていた。
藤本はその奥へと足を進めていく。スタスタ。
「オイ、藤本、そんな奥に入っちゃって大丈夫かよ?」スタスタ。
「なるべく死角の少ないところへ行くんだ」スタスタ。
「ここなら大丈夫だろう」ピタッ。
柱列の奥に大きな壁があり、玉座のような立派な石の椅子があった。
オレたちはその壁を背中にしてやっと歩みを止めた。
「なんか気持ち悪いね」と絵里ちゃん。
「…うん」
床も柱も硬くツルツルしていて気持ち悪い。
いやな汗が出てくる。。
- 861 :サボリン:2004/05/08(土) 06:24
-
と、はじめて背中が重いことを思い出す。
「……はっ、愛ちゃん大丈夫かな?」
オレは背中の愛ちゃんを地面に下ろした。 ズルズル。
「愛ちゃん?、愛ちゃん?」 ペチペチ。
「…」
「どうですか、高橋さんは?
…人騒がせなヒトですねぇ、まったく」
そう言って紺野さんが様子を見に来る。
「鼻血が出てますね…」 ピトッ。
そう言って愛ちゃんの首筋を触る紺野さん。
が、紺野さんはいきなりフリーズしたように顔が固まってしまった。
「ちょっ……これは…?」 ブルブル。
「なに?…どうしたの紺野さん?」
「高橋さん、大丈夫ぅ?」絵里ちゃんも心配そうに愛ちゃんの顔をのぞく。
「…亀、…コイツ…」
「え、なになに?…どうしたの?」
「…死んでる」
「なっ、なにっ!」「ぬァんだとォ?」
「やっだー、紺野さん、こんな時に冗談…」 ピトッ。。
「ぅわぁああ!、死ンでるぅう!!」
絵里ちゃんが叫び出す。
「嘘だろォオイ!」
オレは慌てて愛ちゃんの口元に耳を寄せる。
…息をしてない。。…体も冷たい。。
ホ、ホントに死んでる、、みたいだ。。。
「○○、どういうことだ?」
「し、知るかよ、愛ちゃんはただ転んだだけで…」
「転んだだけで死んでたまりますか!」
「打ち所が悪かったンじゃねェか?」
「なんで、なんでこんなことに!?」
と、4人で騒いでいると背後から笑い声がする。。
- 862 :サボリン:2004/05/08(土) 06:25
-
「へっ、へっへっ、…カッパがオカで死んでるってェ?」
「なっ!…」カチャ。
「…まつうらさん!、いつの間にっ!」
振り向くと、まつうらさんが背後の玉座に座ってこっちをにらんでいた。
「くっ、くっ、くっ」ニヤッ。
「……っ、…松浦さん、あなたが、、殺ったんですか…」
「…ぅるせェ、金魚はすっこんでろ!!」
ヒュン! …ドガッ!!
「くはっ!」
・・紺野さんが吹っ飛ばされて柱にぶつかった。
・・・まつうらさんは手も触れてないのに。。
「紺野さん!、大丈夫ですか!?」絵里ちゃんが駆け寄る。
・・・まつうらさん、様子が変だ。話し方も表情も別人みたいだ。。
- 863 :サボリン:2004/05/08(土) 06:26
-
「へっ、へっ、藤本ォ!、…元気にしてたかよ?」 スタッ。
「…ふっ、まぁな、オメーこそ、ずいぶんと顔色が悪いぜ」
「ちょっと頭痛がな・・・・」
「そりゃイケねーなァ、カワイイお顔がゆがんでるぜ!
楽にしてやろうかァ、なァまつうらよォ!」 カチャ。
「へっ、そう力むなよ藤本、お前はオレの友達だろォ?
オレはお前が土下座して謝るなら生かしてやろうと思ってんだ、
ケツ拭きの女中として使ってやるよォ!」
「ははっ、猿の糞掃除は勘弁だぜェ!
……まつうらよォ、…オメーが目障りだったんだよ、
ガキの頃から何をするのもオメーが指図しやがる、
どこにでも出てきてボス面しやがる!!」
「へっ、お前もボスになったんだろォ、
…あのガキ共のはき溜めでよォ!!」
「まつうらァア!!」
「"さん"をつけろよ、デコ助野郎ォ!!」
「死ィねェエエ!!!」
ズ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ッ ! !
ピンピンピンピンピンッ!
「なっ…」
「ハハハ、そんなオモチャでなにが"死ね"だ」 ジャリ。
「……ちくしょう」 ズズッ。
- 864 :サボリン:2004/05/08(土) 06:26
-
「そんなんでオレが殺せると思ったのかよォ、藤本ォ」
そう言って静かに人差し指を唇に添えるまつうらさん。。
「それじゃぁ、オレもママゴトに付き合ってやろうかなァ、
オレは指鉄砲で勝負してやるよォ…、行くぞォ…」
「バンッ!」
ドッ!!
「…痛ッ!!」 …ブシュッ!!
・・・あわわ、藤本の左腕が割れて、勢いよく血が出ている。
「…ふ、藤本ォ!」
・・・と、叫んだもののオレは足がびくついて動けなかった。。
「あっれれれれれれェ??
このォ指鉄砲は本物みたいに効いちゃうんでちゅねェ、
…じゃぁ、今度は右足を狙ってみようかなァ、当たるかなァ…」
「バンッ!」
「……っ…ぁっ!」 …ブシュゥゥ、ドクッ、ドクドクッ!
・・・もう藤本の体は全身が血だらけだった。見ていられない。
「ちくしょぉおお!!」スタタタタ。
オレは意を決し、体当たりをしようとまつうらさんめがけて走り出した。
「邪魔者はァ、すっこんでろ!!」 クン!
ヒュン …ドカッ!
「うわぁあっ!」
…軽くまつうらさんに吹っ飛ばされて柱に叩きつけられるオレ。。
・・・何も出来ない自分が情けない。。
- 865 :サボリン:2004/05/08(土) 06:27
-
「さァってと、次はどこを狙おうかなァ?
へっ、安心しろォ藤本、お前だけは簡単に死なせやしねーから」
と、
「……美貴…様…」 ズズッ…
紺野さんが藤本をかばって前に立つ。
「紺…野、オメーはあっちに…」
「あーら、紺野ちゃん、まーだ生きてたの〜?
どいてくれるかなァ?、それとも先に死にたいの?」
「……」
大きな目を見開いてまつうらさんをジッと見つめる紺野さん。
「ねぇ、紺野ちゃん、どいてよ?」
「……」
黙って唇を噛む紺野さん。
「ねぇ、どいてくれたら私の部下にしてあげるよ?」
プッ!
「……っ!」
紺野さんがまつうらさんの顔に唾を吐きかけた。
「紺野…」
「美貴様…」
- 866 :サボリン:2004/05/08(土) 06:28
-
「・・っ・・・!」
「・・・どけっつってんだろ、こん出目金がァ!」
バ カ ッ !!
…頭から血を四方に吹いて紺野さんが後ろに倒れ込む。
それを抱え込む藤本。
「紺野ォオ!ォオ!」 ・・・グチャ。
「うわぁああ!!」…ガクガクブルブル。
・・・紺野さんの頭が割れてる。。・・・震えが止まらない。。
紺野さんの頭を抱く藤本のまわりはもう、二人の血でぐちゃぐちゃだった。
「はァ、はァッ、…まつうらァ、貴様ァ…」
「…藤本、手前も逝っちまえ!」
そう言って人差し指を藤本に向けるまつうらさん。
ドンッ!
- 867 :サボリン:2004/05/08(土) 06:29
-
「…?、・・・くはっ!」
まつうらさんの背後に見える人影。。絵里ちゃん!!
絵里ちゃんが背後からナイフをまつうらさんの背中に刺していた。
「はぁっ、はあっ!」
「よくやったァ、亀ェエッ!」
「え、死んだ?死んだ?」
「…ハハ、これくらいで死ぬわけがないだろゥ、亀ちゃんよォ」 グググッ。
後ろに手を伸ばして絵里ちゃんの腕をつかんでナイフを引き抜くまつうらさん。
「…ぁっ!」 ググッ、、スポッ。
まつうらさんが絵里ちゃんのナイフを奪い取る。
「わっからねーのかなァ…」 クルッ…
と、振り返って絵里ちゃんの肩をつかむ。 ググッ。
「雑魚はァ…、、おとなしく死んでろってェ!!」
ズ ド ッ !!
「ああっ!!」
絵里ちゃんのみぞおちから心臓の方へ一気にナイフが突き刺さる。
「……痛い、痛いよ○○っ…」 グリグリッ。
「絵里ちゃん!!」スタタ。
「○○、手前もこうなりたくなかったらおとなしくしてろォ、
・・・・ほらよっ!」
ズ バ ッ ト !!
まつうらさんが勢いよくナイフを引き抜き、
絵里ちゃんが背中から倒れるのをオレは急いで受け止めた。ドサッ。
- 868 :サボリン:2004/05/08(土) 06:29
-
「・・・ああぁ、絵里ちゃん、絵里ちゃん・・・」
「○○、絵里…がんばった?…え、偉い?」 ドクドク。
「がんばった、わかったからもうしゃべるな!」
絵里ちゃんの腹からどんどん血が流れてくる。 ドクドクッ。
オレは血を止めようと腹を押さえるが、指の間からなおも血が出てくる。
「止まらねェ、止まらねェよォ、絵里ちゃ…」
「○○、最後に…絵里にキス…して…
絵里は○○のこと、…ホントに好きだったんだよ…」
「うん、オレだって…」
そう言ってオレはやさしく絵里ちゃんにキスをした。。
…頭を上げてみると、絵里ちゃんは目を閉じて動かなくなっていた。
「……っ、絵里ちゃァん!!、
……ぅぅ、…絵里ちゃ……絵里ちゃ…ん…」
オレは冷たくなり始めた絵里ちゃんを抱きしめたまま崩れ落ちた。
「へっ、メロドラマじゃねーんだよォ!」 クルッ…
「さぁてと、どうする?、藤本?
残ったのはお前だけだぜェ!」 ザザッ。
そう言って藤本の方に歩いていくまつうらさん。
- 869 :サボリン:2004/05/08(土) 06:30
-
「はァ、…はァッ、
…殺るなら、…早く殺らねーかこの猿!」
「ふふ、まだ元気が残ってるようね」 ぐいっ。
と、藤本のアゴを持って顔を上げさせる。
ギラッと、もの凄い形相でにらみつける藤本。
「…その眼だよォ、
オレはその眼が気に入らなかったんだよ藤本ォ、
そのナイフで切ったような眼、人を刺すような眼、
その鋭さだけはお前の勝ちだよなァ藤本」 チャカ。
「はあッ、…はぁッ、
…ふっ、…勝ちとか…負けとか、
…オメーは全然…成長してねーな猿」
「…へっ、テメェもちったァ頭下げることを覚えたら…」 ススッ…
「…どォなンだよォオ!!」
ス ラ ー ッ シ ュ !!
「うわぁあああっ!!」 ブシュッ!
藤本が眼を押さえて体をよじらせる。
・・・眼をナイフでやられたらしい。
- 870 :サボリン:2004/05/08(土) 06:31
-
「あぁ!、…たん、…美貴たん!
…どうしたの?、…かわいそうに、、
…私、…なんてことをしてしまったの」ガクガク。
「・・・・なァ、藤本よォ、お前だけなんだよ、
オレを対等に見てくれたのは、頭を下げなかったのは…」 シクシク。
「・・・・オレぁ、嬉しかったんだぜェ、
お前と友達になれて、、だからよォ、藤本、
お前さえ居ればいい、もう一度二人でやりなおさないかァ?」
「ねぇ?、…美貴たん?」
「…あ、亜弥ちゃん…」
スッと、まつうらさんに手を伸ばす藤本。
「…?、……たん!?」 スス…
「…亜弥ちゃ…」
「…たん!」
「…、……ィねッ」 ブン!!
ズ バ ッ ! !
「…痛ッ!!」 ビッ!
藤本のナイフがまつうらさんの頬を切った。
「…ちくしょう、はずれたのか!?」
- 871 :サボリン:2004/05/08(土) 06:32
-
「うぅるるるうぅぁぁああぁっ!!」
「…藤本ォオッ、今度こそ死ねェエ!」
ブ ス ッ !
「……ッ!!」
「死ィねェッ、死ね死ねェエッ!」
ブ ス ッ、、ブ ス ブ ス ッ !!
「…ッ、…っ、…ぉぁぁああぁっ!」
藤本の腹にナイフを刺しまくるまつうらさん。。
「やめろォオ!、まつうらさんやめてくれッ!
なぜここまでしなきゃいけないんだよォオ!
友達…友達だったんだろォ、藤本とはッ!!」
「…まァだ懲りねーのか○○、ならテメエから先に潰してやるぜ!」
頬を押さえたまままつうらさんがゆっくりと歩いて近づいてくる。
スタッ、スタッ、
はあっ、はぁっ、はぁっ、
ちくしょう、死んでやる、派手に死んでやるさ、
オレは絵里ちゃんを抱いたまま銃に手を伸ばした。
ドクン、ドクン、ドクン、
ドクッ、ドクンドクン、ドクドクン、、
- 872 :サボリン:2004/05/08(土) 06:32
-
「…ぁぅ〜」
「ん?」
「誰だっ!?」
「…ぃぁ〜?」
「さ、さゆみちゃん!」
まつうらさんの後ろの柱からさゆみちゃんが見える。
生きてた!…やっぱり生きてたんだっ!!
白いドレスに腰まで伸びた髪。。…まるで天使みたいだった。。
- 873 :サボリン:2004/05/08(土) 06:33
-
「…へっ、ついに出てきやがったなァ、化け物め!」
「…ぁぅ〜!」
嬉しそうな顔をしてオレに近づいてくるさゆみちゃん。
「あ、ダメだ、こっちに来ちゃ!!」
「死ねェっ!」
ヒュン、ドガッ!!
「…ぁぅ!」 ガラガラガラッ……。
柱に叩きつけられるさゆみちゃん。
「さゆみちゃん、大丈夫!?」
オレは動こうとしたが絵里ちゃんを抱えてるせいか、
腰が抜けたのか、起きあがることができない。
「みんなで派手に逝こうじゃねーかァ?
あ?、さゆみんよ、もう一度アレを頼むぜ!」 カチャ。
そう言って機関銃を構えるまつうらさん。
「逃げろっ、さゆみちゃん、逃げろォ!!」
「…ぃぁ?」
「試しに死んでみろっ!」
ズ ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ッ !
「…ぁぅ!…ぁぅ!…ぁ!…ぅ!…ぅぁ!…ぁぅぉぅ!」
さゆみちゃんの胸に何発も銃弾が撃ち込まれる。
…ああ、、さゆみちゃん、さゆみちゃんまで死んじゃうのかよぉぉ・・・
- 874 :サボリン:2004/05/08(土) 06:34
-
「…ぁぅー!!!」
・・・あ、あれ?
さゆみちゃんは柱の前に元気に立っていた。
撃たれたはずの傷はたちまちのうちに癒えていた。
「……<っ、このォ、化け物がァ、
…死ねェ、死ねェ、死ね死ねェ!」
ド ン! ド ン! ド ン! ド ン!
が、銃弾はさゆみちゃんの体を避けるように緩やかにそれていった。
「…ぁぅ〜」
頬を膨らませてまつうらさんをにらむさゆみちゃん。
「へっ、なんだよその眼はァ、オレとやろうってぇの…」
フッ
・ ・ ・ ・ ・ ド サ ッ。
な、なんだ?
まつうらさんがいきなり倒れたぞ。。
・・・さゆみちゃんは遠くからフッと息を吹きかけただけなのに。。
- 875 :サボリン:2004/05/08(土) 06:35
-
「…ぁぅ〜!!」 スタタタ。
何事もなかったかのように笑顔でさゆみちゃんが抱きついてくる。
「わっ、ちょっと待て、さゆみちゃん
今、それどころじゃないんだっ!」
オレはなんとか立ち上がって藤本の方に向かった。
藤本のそばに行って頬を叩く。ペチペチ。
「藤本ォ!、大丈夫か藤……」
ガ ッ ク シ … 。
藤本は既に息絶えていた。。
な、なんてことだ。
愛ちゃんも紺野さんも絵里ちゃんも藤本も死んじまって、
オレだけがおめおめと生きながらえているなんて。
なんで助けられなかったんだ。せめて誰か一人でも。。
オレは自分の情けなさに悲しくなって、声も出さずに泣き崩れた。
「…ぁぅ〜」 ピトッ。
なぐさめるようにオレの背中に抱きついてくるさゆみちゃん。
「・・・さゆみちゃん、、」
- 876 :サボリン:2004/05/08(土) 06:36
-
と、
「さゆみィ、どうしたァ、さゆみィ!」
・・・聞き覚えのない声がする。
と、背の高い女の子が一人、柱の向こうから現れた。。
「あっ、良かったさゆみ、居たか、…ってオイ!
……なんだよこの惨状はァ、ひでーじゃねーかよォ」
「…ぃぁ〜」
「おーい、えりかァ、さゆみは見つかったかァ?」
と、反対側からもう一人、スラッとした女の子が現れる。
「…ぃぁ〜」
「おー矢島、ここだここだ、いたことはいたんだが…」
「……オイオイ、えりかァ、どうしたよォ、もめ事かァ?」
「…さぁな、…って、あれ?
…矢島ァ、…コイツらひょっとして、
メグミ様が言ってた例の母体候補のヤツらじゃねーかァ?」
「…あ、ホントだ、さゆみの主もいるし、間違いねー」
「…矢島、ヤヴァすぎだぞコリャ、
オレらの担当期間に母体がそろって全滅しちゃったらよォ!」
「…えりか、こりゃメグミ様に半殺しにされかねねーぞォ」
「…矢島、まだ間に合う、証拠隠滅だっ!
なんとかして生き返らすんだッ、事態は急を要する!」
「わかった、やってみよう、って、どいつをやるんだ?」
「…それは、、主にきいてみるしかねーだろ、
結局最後に選ぶのは主なんだからよォ!」
「そうだな、えりか、…じゃぁ○○だっけ、
とりあえず二人選んでくれよ、
オレらで一人ずつ、頑張って生き返らすからよ」
と、最後にいきなりオレにふってきた。
- 877 :サボリン:2004/05/08(土) 06:37
-
「ちょっと待て、オマエラなにもんだよ?
話が見えねーよっ!」
「いいからはやく二人選べよっ!」
「早くしないとホントに死んじゃうぞっ!」
「二人だけ選べなんて無理だよっ、
ていうか、ホントに生き返るのかよ!」
「生き返らせてやるから!」
「早く選べ!」
そんな、、ホントに生き返るなら、、
二人だけ選ぶなんてつらすぎるけど、でも、
せめて二人だけでも生き返って欲しいってのが正直な気持ちかも。。
だ、誰を生き返らせてもらおうか。。
【以下の中から、2人選んでください】
愛ちゃん 紺野さん 絵里ちゃん 藤本
- 878 :名無し娘。:2004/05/08(土) 10:47
- 藤本 絵里ちゃん
- 879 :名無し娘。:2004/05/09(日) 01:15
- AKIRA懐かしいなAKIRA
絵里ちゃん、藤本…かな。
- 880 :名無し娘。:2004/05/09(日) 01:18
- 紺野さん、絵里ちゃん
- 881 :名無し娘。:2004/05/09(日) 06:49
- 紺野さん 藤本
- 882 :名無し娘。:2004/05/09(日) 13:05
- 絵里ちゃん 愛ちゃん
- 883 :名無し娘。:2004/05/09(日) 22:33
- 絵里ちゃん 藤本
- 884 :サボリン:2004/05/10(月) 15:21
- 容量的につらいんで新スレ立てました。
ときめきモーニング Act.2
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1084169254/
でも更新は先です。
今回までの投票はこっちでやって下さい。ではまた。
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