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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3

1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m

356 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:28
あーたっつぁんが遠くに旅立って行くのが見える…

357 :名無し娘。:2007/03/14(水) 15:15
せっかくなのでホワイトデーネタをひとついかがでしょうか?

358 :名無し娘。:2007/03/14(水) 19:24

>>357
バレンタイン書きそびれたんでスルーしよっかと思ってたんですが…
のせてもらお。今から書きまーす。

359 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32

三月十四日。今年もこの日がきてしまった。
両肩にかさばる鞄を抱え直し、気合いを入れ直した朝だった。
自分の楽屋に鞄を一つ置いて、もう一つを手に、まずは娘。たちの楽屋へ足を運んだ。

「おはよっ」

軽く手をあげて挨拶をすると、いつも通りにそれぞれから挨拶を返され、いつにないほどみんなから注視される。
さりげなく見渡せば、一人を除いたみんなの目が期待にキラキラと輝いているような気すらする。

「はい。じゃあ一番後輩からいこっか。愛佳ちゃんね」
「はぁい」

ほわほわとした返事だけれど、彼女だけは状況が飲み込めない風で。
それも最もだ。彼女は知らない。

一昨年、そして去年と繰り返してしまった僕の――というしかない?―― 過ちを。

360 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32

それ以前はそうでもなかった……はずなのに。
特に藤本さんを除いた六期の三人が、だいぶ馴染んできた一昨年、そして去年はひどかった。
安易に考えた僕も悪かったけれど、それにしてもホワイトデーのお返しであんな荒んだ状況になるだなんて思いもしなかった。
一昨年は確か、道重さんがポツリと呟いたのがきっかけだった。
「絵里のヤツいいね」、と。
一人一人に用意したお返しとは別につけたマシュマロの味についてだったらしい。

「一個ちょうだい」
「やだ」
「一個だけ」
「やーだってば」

揉めてる二人をよそに誰かが伸ばした手が道重さんのマシュマロを掴んでしまった。
同じテーブルに全てを広げて渡したが故の悲劇だった。
六期、五期を巻き込んでの大騒動になるだなんて……

361 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:33

昨年はその轍を踏むまいと個別に渡し、マシュマロからクッキーに変わったけれど全て同じ味に統一させてもらった。

「じゃあ、はい。道重さんにはこれね」
「えー? なんでさゆからなん?」
「そーだよ。なんでさゆからぁ?」
「さゆみが一番可愛いからあ?」

まさか手渡した順番で揉めることになるだなんて。
不平の声を上げた田中さん、亀井さんという火に油を注いだ道重さんの言葉で悲劇は繰り返された。

ただ一番渡しやすい位置にいただけだったのに……
が、今年はそうはいかない。ましてや他にも山場を控えている身とあっては。

362 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:34

ともかく。
訳が解らないながらも手渡されたクッキー――マシュマロよりも受けがよかった――と、今となってはどちらがメインだか解らないちょっとしたプレゼントと。
笑顔で「ありがとぉございます」と、ごく普通に受け取ってくれた。
なによりもこの“普通”がありがたくも嬉しい言葉だったことは言うまでもない。
その後は小春ちゃんへ。
同期では年齢順に田中さん、道重さん、亀井さん。
そして新垣さん、愛ちゃん、サブリーダーの藤本さん。
最後にリーダーのよっすぃーへ手渡して、今年こそはと意気込んだイベントが無事に終了した。
みんなが嬉しそうに、なんの不平不満もなく終わるホワイトデー。
ここ二年の騒動があっただけに、目に映る光景に小さな幸せを感じた。

そしてこの後、僕は移動するたびに楽屋を抜け出して。
まるで季節ハズレのサンタのようにお返しを配るために走り回った……

363 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/14(水) 20:39

>>358 名前もsageも……orz

それはそれとして。
もうちょっと長くて書いた方がよかったかも?
ま、いいか。

364 :『足音二つ』:2007/03/15(木) 20:25

ツアーに向けてのダンスレッスン。
特別踊るのが好きじゃない……ってゆーか、どっちかっていうと嫌いに近いかも。
そんな自分としては、大勢でやるよりも、やれるところくらいは一人でやりたかったりする。
んなわけで、空いた時間に一人で踊っていたんだけど、ちょっと意外な邪魔が入った……入ってきた。

「あれ? 藤本さん。なにしてんの?」
「なにしてるように見えんの」
「ダンスレッスン、かな」
「じゃ聞くまでもないじゃん」
「そうだね。ご一緒してもよろしいですかね?」
「イヤだつっても混ざるんでしょ」
「うん。混ぜて」

やっぱりそんなことを言って笑う。
まったく……

「この続きでいい?」
「おまかせで」

さらりと言われた笑顔から目を逸らして、止めた音楽をアタマからスタートさせる。
流れてくるリズムに合わせて、習った振り付けをなぞっていく。
鏡に映る美貴の後ろにアイツの姿が映っている。
癪に障るけどなかなか覚えがよかったりするんだよね。
ダンスに関して独創的ではないけど基本に忠実で、習ったことを習ったとおりに踊るのがうまかったりする。
こうやって鏡で見比べていると、それがハッキリとわかる。

けど……

タンタンと刻むステップ、その足音が重なる瞬間。
それは結構キライじゃない。
フォーメーション通りに動いて、アイツと擦れ違う瞬間。
チラリと重なる視線が「楽しいね」って言ってるように笑ってる。
微妙に感情を抑えてる自分はどんな目をしてるんだろうって、それは気になったりもするけど。

こんな時間はキライじゃない。

365 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/15(木) 20:26

一レスで収まるのも気持ちよいですなあ。

366 :−マジですか・・・−:2007/03/16(金) 00:18

「この二人を、娘。の新メンバーとして迎え入れる事にした」

みんなが、驚きですごい顔になってる。僕も…
つんく♂さんの横には、可愛らしい長身の女の子と小さな女の子。

「(ってか、この子たちエッグの子だよな? ちょっと話した事があるような・・・)」

僕は、頭を抱えて必死に思い出そうとしている光景をみんなが不思議そうに見ていた。

「なんや、●●。頭でも痛いんか?」
「いや、その子たちコンサートで話した事あると思うんですけど…
 なんか話せなかったような覚えが…」
「そうやろな。なんてったって二人は中国出身の子たちやからな。名前は、リンリンとジュンジュンや」
『・・・はぁ〜!!!!????』

全員の声が、ハモった。

「ちょ…ちょっと待ってください。私たち、中国語なんて話せないですよ?」

ミキティから、的確な質問。みんながウンウンって頷いた。

「あぁ、この子たちならもう日本語は理解できるくらいやから大丈夫や。話せるしな。カタコトやけども」

この後、新メンバーとなる女の子とメンバーが続々と握手を交わす。なぜか、僕のときだけ
二人は焦っていた。
僕は、なるべく相手を緊張させないために笑顔で握手する。


その光景を凝視している人がいるのも知らずに・・・

367 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/16(金) 00:20

いや〜、即効で作りましたw
なんか、マジでビビったんでここに作品作ることで俺の気持ちが表せればと
思ってます。
いや〜、どうしよ・・・

368 :名無し娘。:2007/03/16(金) 20:45
まだなんとも言えんけど
RuRuを前例だと思えば

……どーなるんだかね

とりあえずどう続くのか早くて続くを

369 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:28

「ねーねー、気づいてた?」
「ん? なにを?」
「美貴ね、入った当時はあんたのことキライだったんだよ」
「知ってたけど、それがどうかしたの?」
「なにそのリアクション」
「なにって……そっちこそ。なに急に」
「や、なんか急に思いだしたから。ほら、美貴六期だけどさ、一人だけ先に合流したじゃん?」
「ハロモニだっけ。そうだね」
「でさ、外から見てる分にはアンタのことも“へえ”くらいにしか思ってなかったんだけど」
「うん?」
「いざ中に入ってみたらさ、あんたそのまんまなヤツじゃん」
「っていうと?」
「えー? なんだろ、女の子ん中に男一人でさあ、普通に笑ってんじゃん」
「そーゆーお仕事でしょ、僕ら」
「そうだけどー。なんかイラっとしたわけよ」
「んなもんイラつかれても」
「だってさー、こう、なんかチヤホヤされてにやけてんじゃねーよ、とか思った」
「なんだそれ」
「誰にでも優しくしててさ。うわっ、コイツ絶対裏があんだろ、とか」
「ひどいなあ」
「やー、誰だって思うでしょ」
「そうかもしれないけどさ」
「だから美貴が本性暴いてやろっかなと」
「なんだよ本性って……。で、どうだったの?」
「……その微妙な笑顔うぜー」
「ほら、どうだったのさ」
「……さっき言ったじゃん。まんまだった」
「でしょ。嘘偽りのない自分だもん」
「ホンットそう」

370 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:29

「じゃあいつごろからキライじゃなくなった?」
「はぁっ? 今でもキライだから」
「うわ、言っちゃったよこの人」
「なに笑ってんだよー」
「怒るとこ?」
「あっ!」
「お?」
「今気がついた」
「なにに?」
「美貴アンタが怒ってるトコ見た覚えがない」
「そう、かな? そう? んー……そっか」
「なんかすっごい怒らせてみたいんだけど」
「そんな風に思われると意地でも怒ってやらない」
「ホラッ、その笑顔!」
「え? なに」
「うぜー」
「ヒドイ言われようだな、もう」
「いや正直な気持ちだから」
「少しはオブラートで包んだ方が――」
「そんなキャラじゃないし」
「……そりゃそうか」
「そう納得されるのもなんかムカつくんですけど」
「もうどーしろっての」
「……さあ」
「はぁ、……まぁわかったよ」
「なにが?」
「藤本さんが僕を嫌いだってこと、が、かな」
「ま、まーね」
「うん。藤本さんは僕を嫌い。嫌い嫌い、だーいっきらい、と」
「そっ……そこまで言ってないじゃん」

371 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/16(金) 21:32

てとさんが書かれた『二人ゴト』風味で。
読んでくれる方の想像力任せ。

372 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:54

どこかから聞こえてくるメロディ。

 ――あぁ、新曲だ

微睡みの中でそう思う。
思い、意識してしまえば、それは自分の携帯が着信を告げているんだと認識できる。
開かない目蓋にも構わずに、手探りで携帯を掴んだ。

「……はい」
『あ、寝てた?』
「んん……? 誰?」
『美貴だけどぉ』

ああ、うん。解ってたけどね。
知っているけれど訊いちゃうことってあるじゃない。
ちょっと甘えたな声はものすごく可愛らしいなぁ。
なんて考えながら、少しずつハッキリしてきた意識の中で呟く。

「うん。GAMの新曲が鳴ったから、藤本さんなのは知ってる」
『なんでさ。なら亜弥ちゃんだって可能性もあるじゃん』
「いや、松浦さんはこんな時間にかけてこないから」
『……。いい歳した男がそんな早寝すんなよっ』

逆ギレだ。
四時だよ? 多少イケイケでも朝から仕事なんだから寝るってば。

「はいはい」
『あっ、軽く流した!?』
「気にしないで。半分寝てるせいだから」
『起きろー。ちゃんと聞けー』

373 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:55

夜中――、早朝? どっちでもいいや。
こんな時間だってのに声デカイよ。

「お願いだからもうちょっとボリューム落としてくれる、みきたん」
『お前がみきたん言うなっ』
「はいはい」
『流すなってば』
「……めんどくさいなぁ、もう」
『あっ、今めんどくさいっていった?』

うぁ、こっそり呟いたつもりだったけど、寝ぼけてたのかちゃんと口にしちゃったらしい。
あぁ、でもホントめんどくさいから、藤本さん。

「言ってないから、気のせい」
『ウソだぁ。絶対言った』
「聞き間違いだから。で、なんだっけ、こんな時間に」

聞くだけ野暮な質問だけど、常套句みたいなもんだからね。
どうせ答えは解ってるんだ。

『や、なんか眠れなかったから』

やっぱりね。解ってたけどさ。

「そういうのは松浦さんトコにやってくれるとありがたいなあ」
『なにその面倒くさそうな……、あっ、やっぱさっき言ったでしょっ』

もう勘弁してください。
少し離した携帯から聞こえてくる藤本さんの声にそう願う。

374 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/22(木) 20:58

ageてたw
今日の『とくばん』から。
そして気がついてみれば藤本さん三連発。
気がついてなかった自分にビックリ。

375 :名無し娘。:2007/03/23(金) 03:54
素晴らしい

376 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:09
お久しぶりです、相変わらずまとまり無いですが
いかせていただきま〜す

377 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:10
自宅近くのコンビニで、これからうちに遊びに来る田中さんと買い物をしていた
適当な買い物を済ませてコンビニを出る、ここからうちまでは5分もかからない・・・けど

ふと隣に目を移すと田中さんがいない・・・

 「あ・・・れ?」
 「先輩、れーなはここ」
 「ん?」

僕は声のする方向へ振り返る、田中さんは僕のちょっと後ろで座り込んでいた

 「どしたの?」
 「先輩、迷子みたい」

田中さんの傍らには小さなネコ・・・僕は一瞬、田中さんに似てるな〜と思ってしまった
田中さんは「かわいい〜」なんていいながら子ネコを撫でている、子ネコもまんざらではなさそうだ

 「ふ〜ん、どうすっかなぁ〜」

僕はひとしきり思案する・・・・・・この子ネコ、どうしよう・・・このまま置いていくって言うのは
ちょっとなぁ・・・う〜ん、面倒くさい!うちで考えるか・・・寒いしね

378 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11

 「おーい、れーな」
 「「はい?(ニャー)」」

1人と1匹が同時に返事をする、僕と田中さんは顔を見合わせながら笑った

 「チビもれーなってって言うのか?よしよし」

僕がネコを抱き上げると、田中さんは僕に訪ねる

 「先輩、どーすると?」
 「とりあえず、うちに行って考えよう。寒いし、人間のれーなもネコのれーなも風邪ひいちゃうよ
  うちペットOKだから長くいる事になっても平気だし」
 「うん、さすが先輩、やさしいっちゃね〜」
 「そっかな〜?」

僕と田中さんとレーナ(ネコ)は家路を急いだ、うちに帰った後も田中さんは帰るまで
ず〜っとレーナ(ネコ)と遊んでいた。なんとなくそれを見ているとネコの親子が遊んでいるように見えるw
散々レーナ(ネコ)と遊んでから田中さんは帰っていった

 「じゃあ先輩、レーナ(ネコ)をよろしく頼むっちゃ」
 「あいよ♪」
 「じゃあね、レーナ(ネコ)♪」
 「ニャ〜」

僕の腕に抱かれていたレーナ(ネコ)は少しだけ寂しそうな声で鳴いた

379 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11

翌朝・・・僕が日課のランニングをしていると昨日子ネコを拾った場所に女の人が立っていた
その人は大人の猫を連れている、まさかとは思ったけど僕は声をかけてみた

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僕が楽屋に入ると田中さんは待ってましたとばかりに僕の所に飛んでくる

 「先輩!レーナ(ネコ)は元気と?」
 「ん・・・う〜ん・・・」
 「先輩?どうしたと?」
 「実はね・・・」

僕は田中さんに朝方にあったことを全て話した、レーナ(ネコ)の飼い主がいてその人に
レーナ(ネコ)を返してあげたこと、いつでもレーナ(ネコ)に会いに行けば会えること
そして、拾った猫が本当にレーナ(ネコ)という名前だった事・・・全てをちゃんと伝えた

 「そう」

一瞬田中さんは残念そうな顔を見せたが、すぐに笑顔になった

380 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11

 「ちゃんとお母さんがいるなら、一緒にいるのが1番っちゃ、それに会おうと思えば会えるんでしょ?」
 「うん、飼い主の人がいつでも会いに来て下さいって言ってたよ」
 「じゃあ、今度レーナ(ネコ)に会いに行こう」
 「うん」

僕と田中さんの会話にメンバー一同は首をかしげている・・・そりゃそうだ田中れいながレーナ(ネコ)に
会いに行こうって言ってるんだから無理も無い

 「せんぱ〜い、さっきから何の話をしてるんですかぁ〜?」

亀井さんが横からいつもの調子で割り込んでくる

僕はテーブルの上にあった柿ピーのピーナッツを手に取るとそのまま亀井さんの鼻の穴に突っ込む

 「フ・・・フフ・・・亀ちゃんには関係ないお話だよw」
 「なにするんですかぁ〜〜〜!」

僕は亀ちゃんがそういうと同時に楽屋を飛び出す・・・さぁ、いつもの賑やかな日常の始まりだ♪

381 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:19
あとがき

( M _ O)<うわ〜〜〜、ちゃんとまとまってない!
       本当にご無沙汰しており申し訳ないです

       >>374(匿名タソ)
       ちょい前のネタで亀ちゃん体重ネタを
       活かしていただきありがとうございます♪
       今回、ピーナッツネタを使わせていただきやした〜

       次回はりかみき絡みの話か紺野さんあたりを
       登場させる予定であります♪      

382 :名無し娘。:2007/03/24(土) 17:31
ニャー 誰かのツボをついてそうだw

383 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:05

「デート♪ デート♪ 」
「やめなさいっ。目立つから」

大きな帽子を目深に被ったその下で、えらく楽しそうに妙な歌を口ずさみながら、歩く僕の廻りをクルクルと回っている亀井さん。
約束を果たしたここまでの半日で、こうまで喜んでもらえるのは嬉しいけれど……

「そのはしゃぎっぷりはなんとかならないの?」
「えー? だって、楽しいじゃないですかあ」
「まーね。楽しいけど」
「でしょ? でしょぉ?」

まぁいいけどね。
でも、はしゃぎすぎだと思ったら……

「それにしても……あっつーい」
「やっぱり? ずいぶん着込んでるもんね」
「だって……寒くなるってテレビで言ってたんですよぉ」

情けない声でそう話す亀井さんはもこもこに着込んだ首もとをパタパタと扇いでる。

「日が出てきたらだいぶあったかくなったよね」
「あっついから上脱いじゃいたいんですけど……」
「ん? どうしたの?」
「これ脱ぐと寒いんです」
「微妙なのね」
「そーなんですよー」

そう笑いあった僕の目線が少し先の店で止まった。
僕の目線に気がついた亀井さんもその店へ目をやる。
なんとも言えない沈黙が生まれた。

384 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:06

「……良さそうなの、買う?」
「それはもしかしてぇ……」
「わかりましたってば。買ったげるから」
「わーい。せんぱいやっさしいんだ」

さも嬉しそうにフニャフニャした笑みをみせる亀井さんと店に入って。
あれやこれやと次々と手に取っては鏡の前に立ち、それから僕へと見せる。
女の子の買い物が長いのは解っているけれど、間に合わせの上着一枚選ぶのにかれこれ一時間以上。

「どっちが似合うと思います?」

結局最初の頃に手にした――と思う――二枚を両手に持って聞いてくる。
デザイン的にはどちらもそれほど差はなく、表を歩くのにもほど良さそうな感じに見える。

「どっちも似合ってると思うけど」
「そーじゃなくてぇ……、せんぱいはどっちの絵里が好きですか?」

ちょって照れくさそうに、両手に提げたジャケットとハーフコートと、そして僕へと視線を動かした。
なんとなく言わんとするところは解るけど……

「だったらこれ。それに、そーだなあ……」

右手に持ったコートは今の亀井さんのインナーに合わなくもない。
けれど、どうせだったらとすぐそばにあった淡いグリーンのシャツを手渡した。

「合わせるならこれの方がよくない?」
「え? でも――」
「どうせなら合わせちゃおう。着て見せてよ」
「あっ」

らしくもなく遠慮している亀井さんを試着室へと押し込んだ。

385 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:07

しばらくしてそっと開いたドアから亀井さんが顔だけ覗かせる。

「どしたの? サイズ、合わない?」
「そーじゃないんですけど……」
「じゃあ出てきてみてよ」

ちょっと躊躇って、おずおずと姿を現した亀井さんは十八歳の亀井さんよりも少しだけ大人びて見える。

「似合ってるんでしょーか?」
「似合ってるよ、そーとーね」
「え〜、じゃあこれ」

少しシックで大人びた風情になった亀井さんと街を歩いて。
変わった服に合わせるように、隣で落ち着いて歩く亀井さんはなかなか……いや、かなり違った魅力を感じる。
色々な店を見て歩き、少しばかりのショッピングを楽しんだ後、お腹が減ったという亀井さんのチョイスで飛び込んだイタリアン。

「せんぱい?」
「……ん? あ、なに?」
「あの、なんか絵里ってば見られてません?」
「あ……いや」
「やーですよ、もう……照れるぅ」

食後にデザートを楽しんでいた亀井さんはせっかくの雰囲気を台無しにする“らしさ”をみせてくれる。
もっとも急に大人になられても、とは思うので、それはそれで愛らしくていいんだろう。

386 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:08

食事を終えて表へ出ると、すっかり日も落ちた夜の街は少しだけ肌寒いくらいだった。
となりの亀井さんへ目をやると、上着の前を合わせて少し寒そうにしている。

「ちょっと冷えてきたね。それ脱いでこっちにする?」

着替えた上着が入った紙袋を差し出してそう言った。
亀井さんは少し考えるようにそれを見ていて、そして小さく首を振る。

「いーです。せっかくせんぱいが選んでくれたんだもん、今日はこのままでいるっ」
「でもそれじゃ寒いでしょ」
「ヤですっ」

大人びた服を身にまとった亀井さんが横を向いて子供じみた意地を張る。
僕は喉をならすみたいに笑いながら、ならそれなりに振る舞うのもいいかもしれないと思った。

「わかった。ならこうすればいいでしょ」

387 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:09

肩に触れた感覚に振り向いた亀井さんが不思議そうに僕を見上げる。
そして手を離した僕にポンと叩かれて、我に返るようにハッとした亀井さんが口を開いた。

「あっ、でもせんぱい寒い――」
「ちょっとくらいかっこつけさせてよ」

そう笑ってみせると困ったような表情をしたけれど、合わせたハーフコートに顔を埋めるようにそっと頷いてくれた。
少しだけ先を歩きながら、後は送ってあげてデートもお終いかなと、そう思ってチラリと亀井さんへ目をやると、妙に嬉しそうに笑っていた。

「どしたの?」
「え? なんですかあ?」
「なんか笑ってるから」
「やっ、あははっ……。あのぉ……なんて言うか」
「なんて言うか?」
「えー、難しいなあ」

難しいってなにがだろう?
ただ笑ってる理由を聞いてるだけなのに。
そう考えながら亀井さんを見つめると、くすりと微笑んで悪戯な子供みたいに目を輝かせて。

「せんぱいの匂いだなあ……って」

コートで口元を隠しながら呟いた。
なんというか……妙に気恥ずかしくなった僕は「行くよ」とぶっきらぼうに歩き出し。
同じように恥ずかしそうな亀井さんは「待ってくださいよぅ」と腕を絡めてきた。

388 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/24(土) 22:14

長くなってもた。
どれくらいまで許されるだろうw

>>MONIXさん
GJでーす♪
まさかピーナッツとは!?

389 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/27(火) 00:12
今日は愚痴〜

んが〜、せっかくぼんさん絡みの物語書いてたのに
構成やり直しだ・・・・・・OTL

390 :名無し娘。:2007/03/27(火) 18:04
「これ可愛いと」
田中さんに誘われて買い物に来た。
「れいなこのブーツ買うの」
「このブーツ可愛いけん。欲しいっちゃ」
「れいな、絵里たちに内緒にしてたら買ってあげるよ」
「内緒にするけん、先輩買って」
ブーツを買い笑顔の田中さん
「先輩ありがと」
「でも絵里たちには内緒だよ」
「わかったけん」

391 :名無し娘。:2007/03/27(火) 23:25
がんばれ

392 :TACCHI:2007/03/29(木) 18:38
4月中旬頃に、復活予定。

393 :名無し娘。:2007/03/29(木) 18:43
高まる期待

394 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:27

ではTACCHIさんが復帰するまでは埋めていきましょうか。

哀しいことは置いておくか、書いて処理するか決めかねてるから違う話を。

395 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28

誰もいないと知っていて、それでも入った僕が悪いのか。
それとも……

396 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:28

レッスンの後、一人悠々と汗を流した僕は一足お先に楽屋で待っていようと扉を開いた。

何かがおかしい。

誰もいない楽屋の中で感じた違和感。
慎重に部屋の中を見渡していく視線がテーブルの上で止まった。
そっと伸ばした指先が“それ”に触れる。
小さく硬質なそれを一つ摘み上げる。
これがあること、そのものはおかしなことじゃあない。
けれど……

テーブルの上一杯に広がった袋は全て開封され、その透明な袋は全てが同じものであることを教えてくれていた。

397 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29

 ――ピーナッツ

398 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:29

摘み上げたそれをどうするか、僅かに逡巡したあと、スッと放り投げるような仕草をして、そして止めた。
澄ましていた耳に聞こえた微かな音。

「出てこいっ」

振り向いた先にあるロッカーへ、強めの声を叩きつけた。
微かに揺れたスチールの扉から出てきたのは、僕の予想を裏切る娘だった。

「すいませ〜ん」
「愛佳ちゃん……?」

僕にもだいぶ慣れてきて、へらりと笑うその姿は紛れもなく光井愛佳だった。
てっきり以前の仕返しでからかうつもりの亀井さんだろうと、そう思っていた僕はさぞ気の抜けた声を出したことだろう。

「なんで愛佳ちゃんが……?」
「やぁ、隠れて見てろって」
「誰が?」
「それはー、……内緒だって」
「……亀井さん?」
「違いますう。それよりもせんぱい」

399 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30

ふいに動いた愛佳ちゃんの手がピーナッツを宙に浮かせる。
半ば反射的に放られたそれを開いた口の中で受ける。

「わー、ホントにうまいんですね」

無邪気に喜ぶ愛佳ちゃんを見ながらピーナッツを噛んだ。
カリカリと咀嚼していると、立て続けに二つ。

「すごぉい」

なんだか知らないけど喜んでくれている。
そんなことを何度か繰り返し、あるとき投げられたピーナッツが突然二つに増えた。
しかも一つは直線的に僕へ向かって。

「っ!?」

緩やかに投げられたそれは僕の頬へ当たって膝の上に落ちる。
そして額を直撃したそれはテーブルの上へと跳ねた。

400 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:30

「なんでのんのは食わないんだよっ。ピーナッツ、好きだって聞いたのにさっ!」

“投げつけられた”ピーナッツの方向で憤慨しているのは、僅かに先輩である妹のような存在。
突然キレられた辻ちゃんへ、無言で一瞥をくれて。
摘んだピーナッツを弾いてやった。親指で、強めに。

「あうっ」

狙いは違わず、額へクリティカルヒット。
満足気に笑った僕は、この瞬間確かに忘れていた。
あの悪夢を。

「――ぶっ!」

悪戯気質で気の強い辻ちゃんは、倍返しでピーナッツを叩きつけてくる。
しかも振りかぶってオーバースローだ。
油断した僕はまんまと直撃をくらい、この瞬間から昔に戻ってしまった。
悪戯を諫めては、のせられてやりすぎたあの頃に。

季節違いの豆まきは壮絶な打撃戦となり、いつしか参加者すら増えていた。
愛佳ちゃんはとても楽しそうな笑顔だ。
三人は小刻みに移動を繰り返してはそれぞれにピーナッツを投げつけ合う。

「あっ」

さんざん散らばったピーナッツに足を取られた僕は遮蔽物のない場所で姿を晒してしまう。
そしてその好機を逃す辻ちゃんではなかった。

401 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:31

「チャンス!」

力一杯振りかぶったそれは力みからか微妙にコースが逸れていると感じた。
そして四つん這いでいた僕の頭上を通過した剛速球はハデな悲鳴を生んだ。
悲鳴の主は怒りを隠そうともせずに辻ちゃんを睨み付け、鉄槌を下そうと動きだし……僕に気がつかずに足を取られ転んだ。
ハデに転がった藤本さんを見て大笑いした辻ちゃんは、火に油を注いでいると解っていても止められはしない。
身体を起こした藤本さんは、僕へ目線をくれると八つ当たり――ではないかもしれないが――のように一蹴り。
そして転がっているピーナッツを掴んで辻ちゃんへ、膝立ちのままで城島並みのスローイングを見せた。
ピーナッツは辻ちゃんへメガヒット。

そして悪夢が始まった。
楽屋の隅へ追いやられた僕が正気に戻った時には、狂気の宴の参加者は辛うじて一桁で済むところまで増えていた。

402 :『悪夢、再び』:2007/03/30(金) 19:32

「また先輩が原因ですか?」

いつの間に戻ってきて、いつの間にこうなったのか、隣には体育座りで身を縮め、雑誌でピーナッツを避けている愛ちゃんが冷たい目で僕を見ていた。
面目なく謝ろうとした僕へ、雑誌で跳ね返ったピーナッツが当たる。

そして宴が終わり、一列に正座させられて説教を受けながら、なぜ人は同じ過ちを繰り返すのか、そんなことを本気で考えていた。
団体責任だと連座させられている隣の愛ちゃんへ申し訳なく思いながら。

403 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/30(金) 19:34

ああ、MONIXさんのおかげで再びこんな事件が(違)

404 :名無し娘。:2007/04/03(火) 11:25
な、なんだってー

405 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30
今回の作品は例の喫煙事件を取り上げています
見たくない方はスルーして頂いて結構です

406 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:30

-----加護亜依、契約解除

ハワイですでに僕と吉澤さんだけは聞いていた話だが、日本に帰ってきて改めて
この話を聞かされると様々な感情がこみ上げてきて何とも言えない気分になる・・・

 「先輩、どっか行きません???」

今日はこんな誘いを何件断っただろうか・・・明らかに意気消沈している僕と
吉澤さんを気遣ってくれているのは痛いほど解かるんだけど、やっぱりそんな気には
なれなくて、申し訳ないと思いつつも丁重に断っていた

荷物をかばんに詰め終えて、いそいそと楽屋を出ようとすると久住さんが声をかけてくる

 「せんぱ〜い!ご飯食べに行きませんか?なんなら小春がおごりますよ?」

こうやってみんなが気にしてくれるのは本当にありがたい、いつもなら断らないんだけど・・・

 「ごめん、今日はダメなんだ・・・ちょっと1人で行きたいところがあるんだ」
 「じゃあ、小春も一緒に・・・」
 「小春!」

久住さんが言いかけたところで僕の心理状態を察してくれた藤本さんから静止がかかる
僕は久住さんに「ごめん」のポーズを取りながら楽屋を出た

407 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32

 「さて・・・可愛い妹に説教かましますかね・・・」

僕は呟きながら車に乗り込む、携帯電話にハンズフリーで話せるようにヘッドセットを
装着して準備完了、僕は車を走らせた。信号で止まった隙に加護さんの電話番号をダイヤルする
ダイヤル音がしばらく鳴った後に留守番電話のメッセージが流れた

----- ピー -----

 「あ、兄ちゃんだけど久しぶりに話さない?都合のいい時に電話くださ〜い」

簡単なメッセージを残して電話を切る・・・・・・数十秒もしないうちに着信音が鳴った

 「早いな、どうせ携帯握り締めながらメッセージ聞いてたんだろ?」
 「うん・・・よくわかったね」
 「そりゃ妹の考えてる事くらいわかるよ」
 「そっか・・・」

こんな風に会話は始まって、色々な事を話した・・・車は東京を回り続けている
1時間くらい話していただろうか・・・僕はどうしても加護さんに伝えたかった事を話した

 「ごめんな」
 「えっ・・・?」
 「兄ちゃん、ボンが辛い時になんもしてあげられなかったな・・・ごめん」
 「なんで・・・兄ちゃんが・・・謝る事なんて・・・無いよ」
 「・・・」
 「悪いのはあたし・・・あたしが・・・弱いから・・・兄ちゃんが・・・悪い事なんて・・・無い」

僕は後悔していた・・・加護さんが抱えたいろいろなものを少しでも一緒に持ってあげられたら
また違った筋書きになったんじゃないか?・・・と

408 :-MESSAGE-:2007/04/05(木) 02:32

その後・・・これからの事についても話をした・・・加護さんは諦めの言葉を話していたが、
僕は信じている事を伝えた・・・電話を切った後で、もっと早くこんな風に話せていたらと
新たな後悔を抱えながら家路についた

マンションのエレベーターを降りた瞬間、足元から聞きなれた声がした

 「せんぱい、お帰りなさい」

次回に続く

409 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/04/05(木) 02:37
あとがき

( M _ O)<今回はこんな感じです、テーマがテーマだけに
       重いです、次回も萌えられるか微妙です

       >>403(匿名タソ)
       おきてしまいましたかwww
       ミキティ城島スローする所でめっさ笑いましたw

410 :名無し娘。:2007/04/10(火) 20:11
きっとあいぼんは足りない何かを補いたかったんだと思う

411 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:07

次への移動まで、少し空いた時間を利用してコンビニへでも行こうかとフラッと楽屋を出た。
エレベーターまで歩いている途中、少し先のドアが開き見知った横顔に笑顔になる。

「いっしかっわさん」
「え?」
「やっ。気がつかなかったよ。美勇伝もここだったんだ?」
「そうなの。そっちも?」
「うん。もう少ししたら移動なんだけどね。
 ちょっと時間が空いたからなにか買いに行こうかと思って」
「ぐうぜーん。わたしもなの」
「へえ……って一人?」
「ジャンケンして負けちゃった」

情けなさそうに眉尻を下げる石川さん。
二人もやるようになったもんだと軽く笑うと、すいと手を伸ばしてきた石川さんが拗ねたように僕の手を引いた。

「行くよっ」
「ほーい」

振り向きもせずに歩く石川さんに手を引かれながら、「なに買いに行くの?」なんて訊いてみる。
途端に笑顔で振り向いた石川さんが楽しそうに口を開いた、その瞬間だった。

「アイスク――」
「あっ!」

石川さんは、“足を止めて”振り返った。
身体ごと。

412 :『アイスクリームにはまだ早い』:2007/04/10(火) 23:08

「きゃあ!?」

止まった石川さんの足先を踏まないように、着いた僕の足首はおかしな方向へ曲がりバランスを崩した。

「いったぁい……」
「ごめ、……ん!?」

開いた目の先に石川さんのあごが見える。
その目線を下へ向ければ……不思議なくらいやわらかなクッションは、ああ、なるほど。

「……って、うわっ! ご、ごめんっ」

慌てて飛び退いた僕。
石川さんは身体を起こしながら胸を隠すように左手で押さえている。
頬を染めて、潤んだ目でなにか言いたげな石川さんへ、気まずさをごまかすように手を差し伸べる。
遠慮がちに触れてきた小さな手を、しっかりと握って引き起こすと、嬉しそうな――だけど恥ずかしそうに――石川さんが呟いた。

「あのね、アイスクリーム、……買いに行くの」
「あ、……うん」

甘くとろけそうな“アイスクリーム”、ごちそうさまでした。

413 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/04/10(火) 23:11

MONIXさん、続き、待ってまーす。
TACCHIさんもぼちぼち戻られるかな。

新しい人にも期待。

414 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:20

「なんだろう、これ」

呟いたのはリーダーであるよっすぃーだった。

「あれじゃん、よっちゃんのでしょ」

返したのはサブリーダーの藤本さん。

「あたしの? なに? 知らねーけど」

ここは僕の楽屋で、僕個人の楽屋なはずで。
一体、彼女たちはなにをしているのか。
うたた寝してる間に、いつの間にか二人が楽屋の中にいて。

「知らねーって、マジで言ってんの?」

なにやら二人だけで話が弾んでるようだったから、どうにも起きたと言いだすタイミングを掴み損ねたままでいた。
僕の楽屋なのに。

「なにがよ。あたしのものなんてここにあるわけないじゃん」
「そーじゃなくてさあ。ホントに気がついてないの?」
「だから知らねーってば」
「これだからまったく……甲斐がないっていうか、逆に楽しみが増えるっていうか」
「なんの話?」
「プレゼントでしょ」
「は?」
「誕生日の」

415 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:21

え?

「……おー、あたし、誕生日、ね」
「本気で忘れてたのかよっ」

ん? ちょっと待てよ……
薄目を開けて様子を窺うと、二人の背中の向こう、テーブルの上にいかにもなラッピングをされた掌大のケース。

「なんだろうね、これ。開けてみれば?」

 ――な、なに言ってんの藤本さん

「えーっ? でもまだもらったワケじゃないからなあ」

 ――よしっ、さすがはリーダー

「どーせ後でくれるんだからさ。いいじゃん」

 ――待って待って、そうじゃないから

「そうかなあ?」

 ――いや、違うって。そんな誘惑に負けちゃダメだから
 ――普段アホはしてもそういう一線はちゃんとしてたじゃん

「開けちゃえよ」

 ――だからダメなんだって、藤本さん
 ――そんなよっすぃー(悪魔バージョン)風に言ったって、この場合は止めてくれる天使もいないんだから

416 :『醒めない夢』:2007/04/14(土) 01:22

「じゃあちょっとだけ」

 ――いやいやいや、ちょっともなにも開けたら同じじゃん

そしてガサガサとラッピングを開く音が聞こえる。

 ――ああ……

「お? きれいなビンだ」
「香水かな? 見たことないなあ」

 ――開けやがった……

その時だった。
ガチャリと扉の開く音が聞こえ、その瞬間に僕は約束を思い出していた。

「せんぱーい」

そうかけられた声と、飛び起きた僕の「ああっ!」という叫びが重なる。
視線の先で硬直する三人の姿。

思いだした約束は、試しに使ったオーダーメイドのトワレを気に入ったらしい愛ちゃんにプレゼントするというもので。
そして今のその瓶はよっすぃーの手の中にあって。
入ってきた愛ちゃんの視線がそこへ向くよりも先に、僕は大慌てで入り口に立つ彼女を連れて部屋を出た。
部屋からの出際、呆然としている二人から驚いた顔の愛ちゃんへ視線を移し考える。
さて、どう切り抜けたものかと。
そしてバッグの中にある“よっすぃーへのプレゼント”を。

417 :名無し娘。:2007/04/29(日) 18:28
「ねえねえ、絵里」
「何?さゆ」
楽屋で休憩してるとさゆが私に話しかけてきた。
「さゆみってかわいい?」
「私のほうが可愛いよ」
少しいじわるっぽく言ってみた。さゆが元気がなさそう。
「さゆ、どうしたの?」
「さゆみ太ってるの気にしてるの」
「そっか、絵里もぽっちゃりしてるけど
あんまり気にしないほうがいいんじゃない?」
「そっか、そうだよね」
さゆは元気になりました。

418 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50

「なんだこれ……」

419 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:50

それはダンスレッスンでのこと。
先生が席を外し、各々でフォーメーションをお復習いしている中で起こった。
相応に進んでいたレッスンは、どこか慣れた空気を作り出していたのかもしれない。
年少組数人が戯れていることすらも、苦笑の対象でしかないことだった。
歌い慣れた歌を口ずさみながら、流すような動きで立ち位置を変える最中、些細な過ちで事故は起きた。
ふと交わした視線で相互の距離の近さを知り、危ういところで激突を回避したのは道重さんと愛佳ちゃんだった。
けれどその行動には余波が生じ、影響を受けた田中さんはバランスを崩し、僕の方へ寄りかかってきた。
支えようとして、支えきれるかと思った。
けれどフォーメーションの動きそのままの速度でぶつかった勢いを殺しきれず、二人一緒に倒れ込むことになった。
なんとか身体を捻り、田中さんの上に倒れ込むことだけは避けられたのは上出来だった、ハズだった。

「先輩!?」
「っつ〜……」
「ご、ごめんなさいっ、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫……っ!?」

420 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51

笑顔で返そうとした言葉が止まり、作りかけた笑顔が崩れた。

「なんだこれ……」

身体を起こそうと着いた手に激痛が走り、痛みであげた腕は歪んだように曲がっていた。
数分後、心配そうに周囲を囲むメンバーの輪から、脂汗を滲ませながら病院へ運ばれ診察を受けることになった。
治療を受けた後、報告のために事務所へ向かったマネージャーさんに言い渡されて、僕は一人病院へ残ることになった。
押し込められた個室で感覚のない腕を固定され、ベッドに寝かされた僕はため息をつく。

「気にしてなきゃいいけどなあ」

そう呟いて、すっかり日の落ちた窓の外へ視線をやった。
気がつかないうちに雨が降り出していたらしい。
音もなくガラスを濡らす雨に誘われるように、重い腰を上げて窓辺へ歩み寄った。
空に月は見えず病院の敷地はどことなく薄暗い印象を与える。
点在する常夜灯すら寂しげに見えるくらいだった。

421 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:51

「……?」

薄暗い駐車場に人影が見える。
雨だというのに傘もささず、この病棟を見上げているような……
目を凝らした僕は不自由な右手を庇いながら廊下へ走り出た。
いやに足音が響く廊下を走り、途中咎められた看護師さんへ詫び、速歩で駐車場へ出る通用口へ向かう。
誰もいない通用口の鍵を開け、外へ出てすぐに角を曲がる。
そこにはさっきまでと同じように、病棟を……僕がいた病室を見上げている人が立ちつくしていた。

「田中さん……?」

そう声をかけると僕に気がついたその人影は弾かれたように逃げ出した。
追いかける僕はぎこちない走りっぷりだったろうけれど、それでも田中さんよりは速かった。
なんとか病院を出る前に掴むことができた腕は、いつもにもまして細く感じられた。
立ち止まってくれたけれど田中さんは振り向かない。
掴んだ腕が震えているのは雨のせいじゃないと思った。

「田中さん……」

振り向かないままで、田中さんはただ「ごめんなさい」と繰り返していた。

422 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:52

ただ謝り続ける田中さんを、とりあえず病室まで連れて行き、一晩分の着替えと一緒に用意されていたタオルで濡れた髪を拭う。
それから自分も髪を拭いなんとか落ちつけたけれど、田中さんは一度も目を合わそうとしない。

「お見舞いに来てくれたの?」

少し表情が引きつったように見えた。
まだなにも言おうとはしない。

「大袈裟にされちゃったよね」

そう笑いかけてみせた。
目線だけが僕の……動かない腕を見た。

「もしかして気にしてるの?」

ふう。
心の中でため息をつく。
気にするなと言っても無理かもしれないけれど、気にされるのは僕の方がツライ。

「支えられなかった僕が悪い。気にすんな」

わざと変えた口調にようやく反応が返ってきた。

「せんぱいが悪いんじゃないっ。れなが一人で倒れてればよかった」
「怪我したのが自分ならよかった?」

田中さんは心底そう思ってるように、食いしばった口元で頷いた。

423 :『優しい嘘』:2007/05/05(土) 23:53

「せんぱいにかばってもらって、ケガまでさせて……」

うめくように吐き出された想い。
激しい自責に堪えきれなくなった瞳から涙がこぼれ落ちた。

「ケガさせた……れなが、せんぱいに会うの怖くって」
「それであんなところで?」

頷いた拍子に、膝の上で強く握られた手に雫がはねた。
まったく、見かけによらずヘンなところで生真面目なのは変わらないんだ。

「もう今度こそ愛想尽かされるって……」
「バカ」

自由のきく左手で、ぎこちなくれいなの頭を引き寄せた。
まだ乾ききらない髪をくしゃくしゃにしながら、からかうように「愛想で付き合ってるんじゃないぞ」と笑う。

「れなんこと……キライにならんと?」

見上げてくる目の真剣さが、掠れそうな声の弱さが、どれほどの気持ちでいたのかを知らしめていた。

「んなワケないっしょ。今までも、これからも、キライになんかなんないよ」

ポンと頭をたたいてそう口にしながら考えていた。
僕はいつか……そう遠くないうちに、自分の気持ちと向き合わなければならない時がくるのかもしれないと。

424 :名無し娘。:2007/05/09(水) 21:20
「先輩」
「どうしたの、絵里」
「先輩の家に泊めてください」
「いいけど」
「やったー」
そんな訳で亀井さんを泊めることになった。

亀井さんと一緒にマンションに帰った。
部屋に入ると亀井さんが服を脱ぎだした。
「絵里何してるの」
「暑いから脱いだんです。大丈夫ですよ。水着着てますから」
そう言って亀井さんは笑った。やれやれ。
「先輩が見たいなら脱いでもいいですよ」

「先輩起きてください、時間ですよ」
「夢か」
「絵里の胸なんか見てどうしたんですか先輩」
「いや夢見ててね」
「じゃあ行きますよ、先輩」

夢の亀井さん大胆だったな

425 :名無し娘。:2007/05/09(水) 22:24
イイヨー

426 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:51

それはいかにも彼女らしい、七年もの間そうであり続けた彼女らしい舞台だった。
笑顔で始まって、笑顔で歌い踊ってここまできた。
自身の最後の舞台などということは関係ないように、今までと変わることなく元気な姿だって、そう感じた。

そして今も。
同じ時間を過ごせるこの瞬間を惜しんで、涙を流しながらそれぞれの想いを伝える後輩たち。
その愛すべき後輩たちを少しだけ照れ臭そうに、けれどいつものように笑って見ている。
一人、また一人と言葉を交わし、抱き合っている姿を見ながら、僕は迷っていた。
勿論伝えるべき言葉はいくらでもあるし、考えていたけれど……

427 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:52

愛ちゃん、藤本さんと、どこか引き継ぎめいたやりとりが終わる。
残っているのは僕だけ。
どこか不思議な感覚だった。
これだけの観客に囲まれて、多くのメンバーやスタッフがいる空間で、どこか二人きりのような。

「よっ」
「おう」

切り出した言葉は用意していた言葉じゃなく。
自分の口から出た言葉も、返ってきた言葉も、あまりにいつもと変わらない。
笑い出してしまいそうなくらいに。

「卒業するんだ」
「卒業、するよ」
「うん。……、今までありがとう」
「そんだけかよ」

呆れたように笑うくせに、その表情はどこか満足そうに見えた。
どれほど本気でそう思っているのかが伝わっているからかもしれない。
僕は感謝している。心の底からだ。
何時、何をとか、そんなことですらなく、彼女の存在そのものに。
助けてくれた先輩が側からいなくなり、逃げ場を奪われて、ここにいる意味を曖昧にしていく僕に。
最後に残った絆が“僕”でいるための力になっていたから。

 いてくれてありがとう

そして願わくば、前を歩いていく君に、追いかける僕がなんらかの力をあげられればいいと願う。

428 :『お守り代わりにそっと』:2007/05/10(木) 22:54

「いつだったかな」
「お?」
「僕がしていた腕時計、妙に気に入ってたよね」
「あー、アレね。かっけーなあって思ってさ」
「買った翌日だってのに取られそうになった」
「結局くんなかったじゃん。高いモンじゃないっていったくせにさあ」

そのときの彼女を思い出して笑うと、よっすぃーも思いだしたんだろう、悔しそうな顔を作ってそう返してくれた。

「あのときでもそうだったんだけどね。多分、もう手に入らないんだよ、アレ」
「……?」
「だから、あげるよ」
「はっ!? マジで?」
「卒業祝いに」
「……サンキュ」

離れていく君に、もしなにかの時には思いだしてほしいから。
一人で歩いていく君へ……
お守り代わりにそっと。

429 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/10(木) 22:56

……前のと順番が前後してると思ってくださいまし。

430 :名無し娘。:2007/05/11(金) 00:09
>>429
前?

431 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/11(金) 08:22

>>430
あっ>>418-423 の前に>>426-428 が入る。
『お守り〜』の方が先に書いてたんですけど、『優しい嘘』だったらセリフ差し込むだけでエントリーできそうだと衝動的に。

結果的ずれることに……辻褄合わせるシーンを描くと、長くなりそうだったので。

432 :名無し娘。:2007/05/11(金) 20:35
>>431
なるほど

433 :名無し娘。:2007/05/12(土) 13:48
「すごい報道の嵐だね」

「えへへ、だってトップアイドルらもん♪」

「ふざけないの。メールくれた時、りかちゃんもよっすぃも居たけど固まってたぞ」

「あー・・・ぅん。それは反省してるよぉ・・・」

「会見、大丈夫だった?周りに助けてもらう気ってあんな事言っちゃファンから反感かうぞ?」

「だってだってさ、赤ちゃんだって周りに助けてもらって、楽しみにしてもらわなきゃ出てきたくなくなっちゃうよ!」

「…いつの間にか成長しやがって。んで、どうすんだよこれから?」

「これから?今日はこれから雑務が多いけどディナー時はちょーどフリーだよぉ?(上目遣い)」

「……はぁ。それじゃ、栄養あるものでも食べに行きますかお嬢様w」

「わーい♪領収書はお兄ちゃんが切ってね♪」

434 :名無し娘。:2007/05/12(土) 19:27
なるほど

435 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36

「あ、……ごめん」
「ち、違っ、ちょ――」

病室のドアを開けて微妙な顔でそう言い残し、出て行こうとした辻ちゃんを引き留めた。
なにが違うのかは僕にだって解らない。
けれど、そう言うしかなかったから。

「すいません。れな帰ります」
「あ、田中さ――」

立ち止まった辻ちゃんをすり抜けて、田中さんが走っていった。
違う、はなかったかもしれない。そう思った。

「あの……、いいの?」
「あ、まあ……うん。とりあえず落ち着いたみたいだし」

部屋を出て行った背中を追うように、視線を行き来させて訊く辻ちゃんへ、特別隠すことなくそう話した。

「……そっか」

軽くくちびるを噛む様子は微妙に“らしく”ない。
考えてみれば、なぜ、この時間にここへ来たんだろう。

「で、なんかあった? まさかまた調子悪いんじゃないんだろ」
「――、なんでよ」
「ナメんなよ。伊達に何年も一緒にいたわけじゃないぞ」

436 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:36

感心した風に笑う辻ちゃんが、言葉を選ぶように話しだし、その内容に僕は前言を撤回したい気持ちになった。
いつだって、女の子ってヤツは、男の想像よりも早く時を進めてしまうのかもしれない。
僕の知ってる辻ちゃんが……来春にはお母さんになるらしい。

「ビックリした?」
「……あ、うん。……そりゃあね」
「他には?」
「他……、おめでとう、かな」
「おめでとう、って……言ってくれんだ」
「なんでよ。そりゃあ急な話で驚いたし、早いんじゃないかって気はするけどさ。
 だけど……悪いことじゃない。“おめでとう”だろ?」

辻ちゃんは少し嬉しそうに、だけど遠慮がちに笑った。

「でもみんなにメーワクかける」
「ああ、キャンセルするってこと?」
「そう。すぐに休みになるなんて……たくさん、迷惑かけるよ」

実際、新ユニットや舞台、テレビ出演や取材など、しばらくは続けられるものもあったろうし、受けている仕事で片づけられるものもあったろう。
だけど……

「そう決めたのは事務所だろ? なら仕方ない」
「そうだけど。よっすぃーだって大変じゃん」
「忙しいね。でもさ……」

437 :『ゆびきり』:2007/05/12(土) 23:37

一度言葉を切った僕に、少しだけくちびるをとがらせた辻ちゃんが、急かすような目で見てきた。

「大変だろうけどさ。きっとこう言うよ。『ったくしょーがねーなあ』ってさ。
 しんどくなるのは違いないし、文句の一言も言うだろうけど、きっとその後に『良かったじゃん』ってね」
「そっかな?」
「僕より辻ちゃんの方が知ってるだろ?」
「……そーだね」
「それよりもさ」
「うん?」
「そっちのが大変だよ。新しい命を迎えなきゃなんない。幸せになるんだよ?」
「……ぅん。ありがと」

少しだけ言葉を詰まらせたけれど、しっかりした声でそう約束をした。

「なんかあったらいつでも連絡していいんだからね。
 ウルトラマンだろうが仮面ライダーだろうが、辻ちゃんを泣かすんだったらぶっ飛ばしてやるからさ」
「出来もしないくせに」

少しだけ涙目で笑う辻ちゃんへ、僕からの約束をしよう。
自由になる手を持ち上げて、ヒョイと伸ばした小指。

「いつでも頼ってこい。僕でもよっすぃーたちでも」

伸ばした小指を見つめ、迷いながらも差し上げられた指を迎えるように絡めた。

「約束したからな」
「……うん」

幸せになれと、幸せであれと、願いを込めて約束の指切りを。

438 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/12(土) 23:41

…………うん。
幸せでいてくださいな。

439 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:54
れなとの関係に萌えます今後に期待

440 :名無し娘。:2007/05/13(日) 03:58
結婚結構です

441 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/13(日) 19:24

読んでる人発見っ!

>>439
自分の中で先はあるんですけど、参考までに、どんな展開を期待してるんですか?(^^;)

>>440
結構……?
もう結構です、の結構かな?orz

442 :名無し娘。:2007/05/14(月) 11:03
>>441

「結婚結構です」はハロモニでのさゆの一言
読んでいて頭に浮かんだものでそこはかとなく
お気になさらぬよう

443 :名無し娘。:2007/05/15(火) 02:29
>>441
他の娘とちょっと仲良くなりかけて
嫉妬しちゃうとか見てみたい気が 月並みですけど

あーでもお任せしますよん よろしく萌えさせてくださいまし

444 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54

いつもと同じ楽屋。
いつもとほとんど同じ光景。
なのにこうまで違う気持ちになるのはなんでなんだろう。
みんなで精一杯“日常”でいようとしてるみたいなぎこちなさ。

乗り慣れた膝をなくした小春は先輩の膝に乗っている。
その先輩の手首には、お気に入りの腕時計がなくなっている。
そしてなによりも……
二人を見つめるれいなが。

445 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:54

なんであんな目で二人を……ううん、先輩を、見てるんだろう。
すごく哀しそうな目をして、だけどそれだけじゃなくて。
その哀しそうな目の中に複雑な感情をのぞかせている。
見ているこっちまで胸が苦しくなる、そんな目をしていた。

ジッと、話しかけることも近づくこともなく、ただ先輩を見ていたれいながビクリと震えるみたいに視線を逸らせた。
チラリと動かした視界の中には少し不思議そうな表情の先輩がいる。
けれど先輩も、不思議そうな表情ではあるけれど、どこか困ったような迷っているような目でれいなから視線を外した。

 よく解らない、けれど

446 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:55

れいなへ目を戻すと、一瞬だけ、話しかけるのかと思ったけれど、すぐに思い止まったように。
何か堪えるみたいに口元を引き結んで立ち上がったれいなが楽屋から出て行った。
閉められた扉の向こうに小さな背中を見ていたその視界の隅で、笑えない瞳をした先輩が申し訳なさそうに笑いながら小春を降ろして立ち上がる。

 なんだろう、この感情は

音のない世界の中で、静かに歩き出した先輩が私の前を通り過ぎていった。
れいなと同じように扉を抜けていく背中が見えなくなる。
胸が締め付けられるみたいに苦しくなった。
これは……

447 :『せつない』:2007/05/15(火) 22:57

ふと気がついてみればすぐ目の前、私の視界を遮るようにガキさんが立っていた。
その口がパクパクとなにか形作っている。
『あいちゃん』、かな。
ちょっと情けなく下がった眉や真剣な目が、なにか心配させてるんだって解った。

大丈夫だから。
別になんでもないし、ガキさんが心配するようなことはないから。
ただ……

448 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/05/15(火) 22:59

句点のつかない文末にはタイトルが入る……
ような感じで(苦笑)

>>442
そーでしたか。
先週のですか? よっすぃー卒業の?
見損ねたんですよねえ……くそう(^^;)

>>443
あー、アリですねえ。
ってゆーか、萌えないですね自分の、ここんとこ。
どんどん違う方に進んでいく気がする(^^;)

449 :名無し娘。:2007/05/15(火) 23:26
お、更新

>>448
いや、だいぶ前です(汗)

450 :名無し娘。:2007/05/16(水) 02:04
お、更新

>>448
いや、だいぶ前です(汗)

451 :名無し娘。:2007/05/16(水) 11:07
>>448
あー、別に萌えじゃなくてもいいんですよ
今回の更新みたいな、ちょっと寂しげな感じもいいですね

がんばってください

452 :名無し娘。:2007/05/18(金) 06:39
        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
        | おまえらも|
  ∩ _∩  |      |
 ( ´ー`)<       |
 (    ) |      |
  | | | |   なぁ |
 (__)_) \_____/

453 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:01

すごくモヤモヤした、イヤな感情が心を一杯にしてくるのが解った。
あの先輩にケガをさせた日以来、自分が自分じゃないみたいに、気持ちのコントロールが効かなくなってる感じだった。
今もそうだ。
小春が甘えるのなんていつものことだし、先輩が拒むところだって見たことがない。
なのに……小春に対してこんな気持ちになるなんて。
ましてや先輩に……すごく自分がイヤになる。

これ以上あんな光景を見ていられなくて、なによりも自分の汚い感情を先輩に悟られた気がして。
いたたまれなくなって逃げるように楽屋を出てきてしまった。
数歩歩いて立ち止まって、少しでも気持ちを切り替えようとして大きく息をついて。
吐き出した息と一緒に零れたそれに気がついた。

「あれ? ちょ、なんで……」

自分でもなんでだろうって。
こんなことで泣くなんてバカみたいだって、それくらい解ってるのに。

454 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:02

「田中さん」

背中から聞こえた声。振り返らなくても誰だか解る。
だから……

「ちょっと、待って。田中さんっ」

逃げた。
泣いてるトコロなんて見られたくない。
だけどあっという間に掴まれた手は拭った涙で濡れているから。

「泣いてる……の?」
「泣いとらんけん、離してください」
「ヤダ」

駄々をこねる子供みたいな言い草で、しっかりと掴まれた手は離れることがなくて。

「僕が悪いのかな?」

違う。そんなわけない。
でもこれ以上泣いてしまわないように、引き結んだ口元は緩めないように、ブンブンと首だけを振る。

455 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03

「こないだのこと、まだ気にしてる?」

そうじゃない。首を振る。

「なんか避けられてる」

ブンブン首を振りながら思う。
そんな言い方はズルイって。

「僕は元気な田中さんがいいよ。僕に何がしてあげられる? 言ってよ」

やっぱりズルイ。
そんな意味じゃないって解っててもすがりつきたくなる。
強い誘惑に駆られてチラリと覗き見た先輩は、さっきの自分はこんなだったかもしれないって思う、どこか追いつめられたような顔をしていた。
先輩にこんな顔をさせたのは自分なんだって、そう気がついてしまうと、さっきまでの苦しさとは違う、チクリと針で刺されるみたいな痛みを伴う居た堪れなさと。
否定してしまいたくなるようなどこか優越感にも似た甘い疼きだった。

「やったら……」
「うん?」

僅かでも光が差したように表情が変化する。
ああ、やっぱりそれは自分と同じなんだ。

456 :『ワガママ』:2007/05/18(金) 23:03

「時々でいいけん」
「なに?」
「れなんことも、その……構ってもらっても」
「小春ちゃんみたいに膝にでも乗る?」
「やっ、あの……そういうのも、してみたいっちゃけど」

からかってるのかと思ったけれど、真顔で話す先輩にそんなつもりはないみたいだ。
だからなのか、それとも目を見ていないからか、照れ臭いほどの気持ちをポロリと口にしてしまえた。

「別にいいよ。他にも?」
「あー……、ホント、たまにでいいけん」
「うん」
「ギュってしてほしい……」

もう横目ですら先輩を見れないまま、でも口にしてしまった言葉は紛れもない真実。
やっぱり恥ずかしくてしょうがなくて、床へ落とした目線にすうっと自分のものじゃない腕が入り込んできた。

「誰もいないトコで、だけね」

困ってますって、声音ににじみ出ているけれど、確かにギュって背中から抱き締められて。
耳元で「もういい?」って遠慮がちなささやき。

「……あ」
「他にもある?」
「やっぱ“れいな”って、呼んでくれた方が……嬉しいんですけど」
「……なるべくそうする」

たっぷり迷った末にそう言ってくれた。
それでなにかが変わる訳じゃないだろうけど、それでも先輩の腕の中で少しずつモヤモヤしたものが溶けていく。
少し元気になれる、そんな気がしてきた。

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