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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜

1 :名無し娘。:2003/09/09(火) 18:55
前スレ

俺と娘。の夢物語
http://teri.2ch.net/mor2/kako/977/977128657.html
俺と娘。の夢物語〜第2章〜
http://teri.2ch.net/mor2/kako/986/986831774.html
俺と娘。の夢物語〜第3章〜
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1004618557/

このスレを狩と共に終わらせてしまうのは、
余りにも惜しい。

707 :てと:2004/08/05(木) 16:00


 今日は一人の仕事。ドラマのロケで僕は台本を読んでいた。
 現場はやけに静かに感じた。どうしてもいつもと比べてしまうせいかもしれない。
 一通り台本を通した所でポケットに震えを感じる。加護ちゃんからだ。
 携帯を開くといきなり飛び込んできた文字は
 「左を向け」
 僕はとりあえず言われるがままに左を向くと、すぐにメールが届く。今度は
 辻ちゃんからだった。
 「後ろ」
 今度は180度回転。何がしたいんだ?そして今度は2件同時にメールが届いた。
 「右」「。」
 
 「あ。」
 「よう。」
 「どうれすか?調子は。」

 僕が振り向くと、二人は笑顔でポーズを取ってみせる。僕も思わず笑った。
 

 「どうしたの?」
 「ちょっと寄ってみただけや。このあとはNKホール。」
 「頑張ってくらはい。」
 「うん、二人も頑張って。」

 二人は手を振りながら道を歩き出した。僕も手を振ると、ますます強く手を
 振った二人の鞄からポテチの袋が零れ落ちた。

708 :名無し娘。:2004/08/05(木) 21:40
零れ落ちたぁー!!

709 :てと:2004/08/06(金) 20:58

 バンッ!!

 「イエ〜イみんな調子はどぅだーい?」
 「・・・・キショッ。」
 「バカ?」

 突然物凄く勘違いな格好で入ってきた石川さん。そしてそれに対するいつもの
 二人の罵声。石川さんの格好があまりに奇天烈な事以外は、何もかもいつも
 と同じ情景だった。石川さんの格好は、例えるなら・・・。

 「これからはパンクの時代なのよ!」

 そう、パンク。ピンクなのはいつも通りだけどどうも格好がパンクバンドの
 メンバーみたいな感じ。

 「まあ存在時代がパンクしてるしね。」
 「・・・・ポジティブパンクよ!」

 藤本さんの口撃ももろともせず、石川さんの暴走は続く。今度は練習の
 ため持ってきていたエレキギターを僕の手から奪うと、
 ヘッドホンのコードを抜いてしまった。石川さんは今にも暴れだしそうな
 雰囲気。
 
 「ギブソンだから高いよ。」
 「・・・・・い、行くぜ〜!!」

 今の間は一体なんだったのだろう。石川さんは完全にコードを無視した
 位置に指を置くと、ストロークを開始した。

 ガッ

 「あ、弦太めにしてるから。」
 「・・・・・・。」
 「ショボッ。」
 「・・・・・・。」
 「所詮梨華ちゃん如きにパンクなんか無理だったって事だよ。」
 「・・・・・・。」

 石川さんは矢口さんと藤本さんを泣きそうな顔をして少しだけ睨むと、
 ギターを僕に渡して部屋の奥、ロッカーと壁の間に入ろうとした。

 「石川さん、ここはえりのスペースです。他当たってください。」
 「・・・・・・・・・。」

 石川さんは無言のまま駆け出して楽屋の外へ去っていったけど、
 吉澤さんが追いかけたから大丈夫、多分。

710 :てと:2004/08/07(土) 21:13

 「さゆ機種変したっちゃか。」
 「うん。カメラすごいんだよ〜。」

 楽屋を賑す携帯談義。道重さんの周りをたくさんの人が囲んで盛り上がっている。
 あとで見せてもらおうかななんて思っていると、メールが届いた。
 僕がポケットから携帯を取り出して開くと、

 「あ、先輩さゆと同じだ〜。」
 「色違いじゃん。」
 
 え?同じ?色違い?

 よく見てみると道重さんは確かに僕同じ機種の携帯をいじっていた。
 メールを見てみると、道重さんからの空メール。

 「おそろいじゃん。」
 「それで二人ゴト出れば?」

 藤本さんと吉澤さんに肩をポンポン叩かれる。
 
 や、やられた・・・。

 一方道重さんはいつも鏡に向けているような満面の笑みだった。 

711 :名無し娘。:2004/08/08(日) 05:51
>「石川さん、ここはえりのスペースです。他当たってください。」
えりりんキャワ

712 :てと:2004/08/08(日) 15:20


 昼ごはんを食べ、ハロモニのコントを1本とり終えたあと、小腹が空いた。
 時計を見てみると・・・2時。時間的に微妙だったけど、とりあえず
 コンビニで何か買おうと思い、僕はフラフラとテレビ局を出た。

 「お・・・夏メシ。」

 別に安倍さんの宣伝ってわけではないけど、たまたま飲んだ事がなかったから
 僕はカロリーメイトゼリーを買う事にした。
 僕がこれを外で飲みながらテレビ局へと帰ったら、宣伝になるのだろうか?

 「あ。どうも。」
 「がんばってるべか〜?」

 テレビ局への帰り、安倍さんとすれ違う。安倍さんも何かゼリー系を飲んでいる。
 ・・・・・・・・・ん?

 「だめですよ木村さんに負けちゃ!!」
 「え?」

 よく分かってない安倍さん。僕の手元を見るとその意味を理解したらしく、
 
 「あ・・・・。」
 「あ、って・・・。この間たくさんもらったって言ってたじゃないですか。」
 「でもこっちの方が好きべさぁ。」

 語尾にハートマークがついてしまいそうなほどの甘い声。
 
 「負けました。」

 

713 :名無し娘。:2004/08/08(日) 19:52
なっち大塚製薬さんに見られちゃだめだよなっち

714 :名無し娘。:2004/08/08(日) 22:30
>>709
「・・・・ポジティブパンクよ!」

白塗りで目の周りを真っ黒に塗るわけですね。

715 :てと:2004/08/09(月) 21:25

 
 お昼時、僕は鞄から持って来た弁当箱を取り出すと、それを見た小川さんが
 
 「あ!先輩それ誰が作ったんですかぁ?」

 大声で叫んだもんだから楽屋は大騒ぎ。皆あっと言う間に僕を取り囲んで
 じーっと弁当を見た。中には弁当箱を恨めしそうに睨みつける娘まで。
 
 「彼女じゃん?」
 「えーーーー?!」
 
 藤本さんの言葉に過敏に反応するのは高橋さん。僕の肩を力いっぱい掴んで
 違いますよね、違いますよね、とブンブン前後に振りまくってきた。
 
 「えー絶対そうだって、こいつがいくつだと思ってるんだよ。」
 「絶対それはないやよ!!ね?ね?先輩!」

 目が回ってきたし収拾がつかないから僕は正直に言う事にした。

 「自分で作りました!」
 {・・・・・えーーーーー?!}
 「何そのリアクション・・・。」

716 :てと:2004/08/09(月) 21:25


 みんなありえない、って顔をして驚いている。高橋さんだけ若干ほっとした
 顔をしてるけど。正直、みんなより作れますと私、はい・・・。
 
 「んあ〜、でもこれ美味しい。」
 「ごっちんいつの間に?!」
 
 いつの間にやら現れたごっちんを口火に、全員一気に僕の弁当に群がる。
 まるで水中で獲物を見つけたピラニアみたいに。
 ・・・というと文句を言われそうな例えかもしれない。

 「料理できる男の人っていいよね〜。」
 「俺より女らしいじゃん。」

 弁当は瞬く間にただの箱と化し、みんな色んなコメントを残しながら
 ぞろぞろと退散していく。
 弁当どうしよう・・・途方に暮れていると、

 「食べます?」
 「うん。」

 親切な人が芋を恵んでくれたので一緒に食べました。


 「あ、これ美味しい。」
 「・・・(もそもそ)」

717 :名無し募集中。。。:2004/08/10(火) 02:40
なんか読んでて和むね〜

718 :てと:2004/08/10(火) 17:35

 たまたま一緒になった小川さんとケータリングに行くと、やはり予想していた
 通りの展開になった。トレイにポンポンいろんなものを置いていく小川さん。
 早くも僕が今日取ろうとしていた量を超えられたところで、僕は一応先輩として
 言った方がいいのかな?と思い忠告した。

 「小川さん、取りすぎじゃあ・・・・。」
 「そんなことないですよぉ〜。」
 
 いやあるよ・・・。これ以上の小川さんの成長を防ぐためには、やっぱり
 ここで退くわけにはいかない。僕は続けた。

 「食べすぎは体によくないって。」
 「だって御飯美味しいんですもん。それにいっぱい食べると毎日いっぱい
  楽しくて、幸せですよ?」

 満面の笑みでそう語る小川さん。その表情は確かに幸せそうで、トレイに
 食品を置く手も速まる。
 
 「・・・じゃ、いっか。」
 「やったー!」

 僕が結局折れると、また料理を取っていく小川さん。そして遂には、

 「あ、それ俺の!」
 「エヘヘ。」

 小川さんの笑顔を見てたら、なんだか取られた料理のことはどうでもよくなった。

719 :てと:2004/08/11(水) 18:01

 
 ファンクラブ主催のハワイ旅行。仕事とはいえ海外にいけるのだから
 楽しみじゃないはずがない。僕は少しだけ心躍らせながら集合場所である
 空港に到着した。でも、みんなを見てすぐに冷めた。
 
 「なんで・・・すかそれ?」
 「え、おそろい。あそこで売ってるから買ってきたら?」
 「いや、遠慮しておきます・・・。」

 たくさんの女の子と一人だけ男の子。バレないはずがないこの状況。
 でもみんな全然バレてないつもりなのか、

 「バレないねぇ。」
 「これでさゆの可愛さが隠れるの。」

 なんて言っていた。
 

 いや、バレてます、バレてますよみなさん・・・。
 タモモニ♪サングラス♪

 嗚呼懐かしや。

 
 

720 :てと:2004/08/12(木) 17:15

 青い空、青い海、白い雲、白い砂浜。誰が言い出した言葉だか分からないけど
 単純かつ絶妙な形容をしたもんだと思う。ハワイはまさにそんな場所だ。
 
 空いた時間に砂浜で空を見上げていた。ファンの方とたまに会って話したり
 しながら、特に何を考えるわけでもなく、ただなんとなく。
 砂に半分だけ埋もれた丸太の上に座って。

 「先輩。」

 そんな僕の横に、いつしか新垣さんが現れて丸太に腰をかけた。
 新垣さんも空を見上げて、吹く海風を気持ちが良さそうに浴びている。
 新垣さんは突然、言った。
 
 「子供の頃、いつかあの雲を食べてやる〜なんて思ってたんですよ。」
 「俺もそんな事考えたっけな〜。」
 「ですよね!あのおっきい雲を鷲づかみしてバクバク食べちゃうんですよ。」
 「でも大きくなってって・・・。一つずつ夢を消されてって・・・。」

 なんとなく、浸ってみてしまった。でも新垣さんは違ったみたいだ。

 「私はまだ諦めてませんよ。」
 「え?」
 「だっていくら学校で教えられてもやってみないと分からないじゃないですか!」
 「・・・・そうだね。」
 「そうですよ!スカイダイビングしてあ〜んなんていいんじゃないですかぁ!」

 とてもとても楽しそうに話す新垣さんの髪は、海風を浴びて相変わらず
 気持ちが良さそうに靡いていた。



  
 

721 :てと:2004/08/13(金) 19:04
 
 「あれ?」

 南国、ハワイ。
 アメリカ合衆国の州の一つで、当たり前だけど海外。
 ホテルも外国人の従業員が働いて、チップとか払ってみたり、朝はバイキングで
 オムレツは具の一つ一つ全部細かく指定してその場で作ってもらったり・・・
 と、そこまではよかった。
 でも僕らが止まったホテルには、そのハワイあるまじき物体が存在した。

 「見間違い・・・やあらへんよね?」
 「なんで関西弁なんですか。」

 愛ちゃんに笑われながら、”それ”にゆっくりと近づいていく。
 やっぱり見間違いではないらしい。

 「やるやよ。」

 愛ちゃんはフロントに行くと、借りるものを借りて帰って来た。
 
 「やりません?」
 「やろうか。」

 僕は高橋さんがやっていた組立作業を手伝い始めた。

 台を組み立て、網をピンと張る。お互いに端と端に分かれ、構える。

722 :てと:2004/08/13(金) 19:04
 
 「卓球温泉〜!」
 「愛ちゃんそれなんか違う気が。」
 「あ、混ぜて混ぜて〜!」
 「楽しそうじゃん。」 
 
 いつの間にかみんな集まってきた。でもセットをしたのは僕らということで、
 まず最初の対戦は僕VS愛ちゃん。サーブは彼女から。

 「むぅ〜・・・・。」

 難しい顔をしてラケットとボールを見つめる愛ちゃん。前かがみになって
 ずっと悩んでいる。
 ハワイ、夏、すなわち暑い。暑さというのは人間を解放的な気持ちに
 させる、というか薄着にさせる。愛ちゃんも当然薄着。
 前かがみになった事でシャツの中がチラリと見えた。
 気づいたら最後。それが気になってしょうがない。そして、

 「そりゃっ!」

 カコンッ。
  
 「あ!」

 気づいたらもうサーブを打たれていた。

 「ボーっとしてるなら変われよ〜!!」

 愚痴が飛ぶ中、僕は地面へと落ちたピンポン玉を探すふりをして、
 顔から赤みが取れるまでずっと待っていた。 

723 :てと:2004/08/14(土) 17:47


 本を読んでいると、横に座っていた亀井さんが目を細める。
 何かと思って見てみたら大分眠たそうに、でも寝ないように必死に
 色々と試行錯誤していた。

 「眠ったら?」
 「・・・・・え?あ、なんですか?」

 完全に寝ぼけている亀井さん。今にも眠ってしまいそうな顔を覗かせる。

 「起こしてあげるから寝てていいよ。」
 「・・・・・よろしくお願いします。」

 その一言を最後に亀井さんは目を閉じ、椅子に座ったまま前かがみ気味の
 状態を取って眠り出した。最近急がしくて疲れているのかもしれない。


 読書を続けていると、突然左肩に重みを感じた。
 横を向くと亀井さんの頭が視界に入る。そして間もなくしていい匂いがした。
 すーすーと寝息を立てる亀井さんを起こすわけにもいかず、僕はなるべく
 動かないように注意しながら本を読み続ける。
 でも本の内容なんて全然頭に入らなかった。

724 :名無し募集中。。。:2004/08/14(土) 23:31
ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!

725 :名無し募集中。。。:2004/08/16(月) 08:29
やっぱりえりりんはいい匂いがするんだね・・・(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

726 :てと:2004/08/20(金) 18:53

 機会があって中澤さんと二人で飲みに行く事になった。
 少し洒落た感じのバーにて、中澤さんはカクテルを注文した。
 流石に中澤さんと飲む時はお酒は飲めない。
 僕はジュースをちびちびと飲みながら、中澤さんのお酒に付き合う形になった。

 「入ったときはどうなるかと思ったけど、立派になったなぁ〜。」

 中澤さんはしみじみとした顔で僕を見る。
 年を感じているように、僕には見えた。
 見えると同時に、僕は思わず言ってしまった。

 「何おばあさんみたいにしみじみしてるんですか。」
 「お、おばあさん?!」
 
 中澤さんは脊髄反射の反応速度で絶叫する。周りの人がこっちをじろじろと見る。
 中澤さんは回りを見ながら恥ずかしそうにすると、少しだけ小さな声で、

 「ちょっとでっかくなって誉められたからってええ気になってるんやないわ!」
 「え〜さっきどこら辺誉めましたぁ?」
 「口だけは達者やなぁ全く・・・。」
 
 中澤さんは呆れた表情を浮かべてカクテルを口にすると、言った。

 「これから大変やと思うけど、頑張りや。」
 「・・・・はい。」

 その言葉はすごく心に響いた。

727 :名無し娘。:2004/08/21(土) 00:45
また旅行いくの?

728 :てと:2004/08/21(土) 00:54
メル欄直してない事に気づき焦。旅行は当分行きませぬ。

729 :てと:2004/08/21(土) 22:32

 
 「久しぶりですね。モデルになるの。」

 椅子の上に座り、表情を造る。
 僕の先にはイーゼルにキャンバス、そして難しい顔をした飯田さんがいる。
 たくさんの鉛筆を入念に選び、流れるようにそれを走らす。
 卒業するにあたってそれまでにメンバー全員の絵を描くという計画らしい。

 「時間はあると思っていたら、すぐになくなっちゃうから。」

 なんだかちょっとだけ悲しげな表情を浮かべるリーダーに、僕はただ頷いた。
 
 いくらか時間が過ぎたところで、飯田さんの指先が止まる。

 「出来た。」

 満足そうな笑みを浮かべると、僕は久しぶりに立ち上がってその画を
 見ようと回り込んだ。でも飯田さんはそれを阻止して隠す。
 
 「見せてくださいよ。」
 
 飯田さんは何故かすごい頬が緩く、目も少し泳いでいた。
 
 「はい。」
 「・・・・な、なんですか・・・これ。」
 「なにって・・・・あんた。」
 「・・・嫌な事思い出させないでくださいよ・・・。」

 キャンバスの上では、猫耳が頭にくっついた僕が済ました表情で佇んでいた。

 
  

730 :名無し娘。:2004/08/22(日) 12:53
いいねえ。ガンガレ

731 :てと:2004/08/22(日) 17:44

 安倍さんと昼ご飯を食べに行く事になり、僕達は「北海道ラーメン」と
 書かれた店に入ってみた。
 塩と味噌をそれぞれ頼んでちょっとずつ分け合う、ということになる。
 ラーメンをすすりながら、僕はなんとなく言った。

 「安倍さんこれ食べてなんとも思わないんですか?」
 「え?美味しいけど・・・。」
 「そうじゃなくて・・・。こんなの北海道じゃないべさぁ!って思ったり」
 
 僕が最後まで言い終わる前に、安倍さんはくすっと笑って僕を遮る。

 「そんな頃もあったなぁ・・・。」

 その目はなんだか少し遠くを見つめているようだった。
 
 「安倍さん?」
 「自分ではそうでないつもりでも、東京に染められてきた、ってことかな・・・。」
 「そんなこと・・・・。」

 その先が、どうしても出てこなかった。
 帰り道、公園を突っ切る。お昼時の公園には、一人寂しく食事をするサラリーマン、
 どこかの野良猫くらいしかそこにはいなくて静かだった。東京ではないみたいに。
 僕はここで、安倍さんに自分の意見をぶつけてみる事にした。

 「染められる事は、別に悪い事じゃありませんよ。」
 「え・・・?」
 「いろんな経験をして、東京に慣れたとして、だからといって北海道に
  いた安倍さんは嘘じゃないはずだし、染められてもその中に北海道が
  少しでも残っている限り、安倍さんは安倍さんですから。」
 「全部染まっちゃったら・・・どうするんだべ?・・あ。」

 言った途端に北海道で取れたてのトマトみたいに顔を真っ赤にして口を抑えた。
 
 「いまだに訛りが取れないから大丈夫ですよ。それになんていうか、その・・・
  なんていえばいいんだろ。」
 
 安倍さんは僕を見て思い切り笑うと、
 
 「もういいべさ。ありがとう。」

 安倍さんはちょっとだけ僕の近くに立ち、ほっぺをつっついてきた。
 そして後ろに回りこみ僕の両肩に手を乗せると、

 「今度は本場のラーメンを食べに行くべ。」

 その笑顔は迷いとは無関係に見えるくらいに無垢だった。

 

732 :てと:2004/08/23(月) 18:56

 楽屋に今いるのは僕と矢口さんの二人だけ。矢口さんはさっきからトッポを
 ずっと食べている。僕は本を読みながら缶コーヒーを口にして、リラックス中。
 そんな時、矢口さんが話しかけてきた。
 
 「ねぇ、勝負しない?」
 「勝負?」
 「トッポを1本か2本袋から交互に抜いて最後の1本を引いたら負け。
  負けたら相手の言う事をなんでも聞く。どう?」
 「面白そうですね。」
 「そう来なくっちゃ!」
 
 矢口さんはノリノリで僕の横に腰掛けると、僕に向かって袋を差し出した。
 僕が先行らしい。
 
 「1本。」
 「・・・じゃあ2本。」
 「・・・あれ?」

 袋を受け取り、気がつく。もう既にあと1本しかない。
 

733 :てと:2004/08/23(月) 18:56
 「・・・矢口さん謀りましたね!」
 「キャハハッ、勝ちは勝ちだ!さあどうしてもらおうか・・・。
  じゃあお前、目つぶれ。」
 「?目ですか?」

 ビンタでもされるんじゃないかと思い、目を瞑る。しばらく待っても何も
 されず、不思議に思い目を開くと、矢口さんの顔がすぐ側にあった。
 
 「おい開けるなよ!!」

 大慌てで3歩くらい退く矢口さん。

 「いや退きすぎですよ。」
 
 僕はもう一度目を閉じると、静かに何かをされるのを待った。
 
 ガチャッ。

 「うわ!!」

 ドアが開いた音の後、またも大慌てする矢口さんの声。気になり目を開けると、
 石川さんが立っていた。何故かドロが沢山服についている。

 「そんなに驚かないでよぉ〜!もう本当に大変だったんだから〜!
  矢口さん聞いてください!!」
 「・・・・れ。」
 「え?」
 「帰れ。」
 「はい?」
 「お前もう帰れ!!」

 何故か突如マジギレした矢口さんを止めるのにそれから30分かかり、
 罰ゲームの事を聞くと矢口さんは疲れた顔をして「もういい」
 とだけうわ言のように繰り返した。

  

734 :名無し娘。:2004/08/23(月) 21:45
届かなかったのね

735 :てと:2004/08/24(火) 18:52

ガチャッ

 「うわ!!」
 
 朝楽屋に入った瞬間、目の前に飛び込んできたものに僕は絶叫してしまった。
 絶叫されたその”もの”はそんな僕にすぐに突っかかってくる。

 「だからあんたたちなんなのよ!私が楽屋にいるとそんなにおかしい?!」
 「いやだって、ドア開けたらいきなり保田さんがいるんですよ?!
  至近距離に!椅子に座って!!
  おかしいっていうか怖いです。」
 「な?!」
 「そのくらいにしてあげなよ、保田さんこれで5人斬り達成なんだから。」
 「数えるんじゃないわよ!大体一人目は石川!あんたでしょ!!」
 「えへっ。」

 キショッ、という声が何処からともなく聞こえる。

 「もうここまできたら13人斬りしちゃってくださいよ〜。」
 
 ガチャッ

 「うわぁぁぁ!!!」

 6人斬り達成、と思われた瞬間

 「うわぁぁぁ!!!」

 保田さんに驚いた小川さんのリアクションで保田さんが驚き椅子ごと後ろ
 に吹き飛んだ。保田さんが吹き飛んだ先は既に斬られ済みの6期3人。
 
 『きゃーー!!!』

 三方向に散る、というよりも転ぶように飛ぶ3人。
 楽屋中が悲鳴に包まれた。

 

736 :名無し募集中。。。:2004/08/25(水) 18:39
がんがれ!

737 :てと:2004/08/25(水) 21:12

 スタジオ入りをするために楽屋を出た。
 本を読むのに夢中になってしまったから、楽屋を出るのは僕で最後。
 もう時間もあまりなかったから急ごうとしたら、隣の楽屋が開いた。
 中からはごっちんが出てきたけど・・・。

 「・・・どうしたの?」
 「んあ?どうもしないよ?」
 「頭。」
 「?」

 僕は道重さんに誕生日の時もらった手鏡をごっちんに手渡した。
 反射してごっちんの瞳に映るのは、頭が大爆発を起こしているごっちん。

 「直さなきゃ!!!」

 大慌てするごっちん。楽屋に入るのかと思いきや、あろうことか、

 「み、水!!」
 「水?!ワックス貸すから!!」

 
 二人で全速力でスタジオに入ると、厳しい視線を受けて直したばかりの頭を
 縦に下げた。

738 :てと:2004/08/26(木) 17:47

 自販機の横の椅子に座ってジュースを飲んでいると、横で同じくジュースを
 飲んでいた石川さんが前触れも無く唐突に言った。

 「付き合ってる人いないの?」
 ブッ
 「ゴホゴホッ・・なんで?」
 「この世界入って長いし。」
 「・・・そう言う意味か。」
 「え?どういう意味だと思ったの?」

 突然石川さんは顔を近づけて、下から見上げるように上目遣い。
 少しだけドキドキしてしまう自分がいた。


 「別に・・・。」
 「ねぇどういう意味?」

 更に顔を近づけられ、それに比例して鼓動が高まる。

739 :てと:2004/08/26(木) 17:48

 「じょ〜だん!」

 石川さんはぴょんっと椅子に座りなおすと、笑ってみせた。
 石川さんは前を向き直すと、
 
 「当分はなさそうだね、その様子だと。」
 「うるさいな〜。」

 僕はなんだか恥ずかしくて思わず頭を軽くかいた。古いリアクションだ。

 「でも相談があるならいつでも乗るよ。一応私の方がお姉さんだから。」
 
 ウィンクをしてみせる石川さん。それを見て僕は顔を近づけた。

 「聞いてくれる?」
 「・・え?」
 「俺・・・石川さんが・・・。」

 手を握る。石川さんは顔を赤くして僕から逸らした。
 更に顔を近づけると、石川さんは僕の方を見た。少しだけ固い表情。

740 :てと:2004/08/26(木) 17:48

 「俺のこと、嫌い?」
 「・・・・・・・。」
 
 石川さんの顔がこれ以上ないくらいに赤くなったところで、僕は耳元で言った。


 「じょ〜だん。」
 「え?!」
 「引っかかった〜。」
 「もう・・・。」

 今度は逆に引っ掛けられた石川さんの顔の色はまだ赤い。

 「でもその時が来たらよろしくね、お姉さん。」
 

741 :名無し娘。:2004/08/27(金) 13:48
いい!がんがれ!!

742 :てと:2004/08/27(金) 18:52

 吉澤さんに悩みの相談をされた。楽屋で二人きりのときに。
 4期自分ひとりになってしまうと言う事を。

 「なんだかんだ、やっぱ寂しいよね。最初ほとんど4人で行動してたわけだし。」
 「らしくないよ。」

 僕が軽い気持ちで言うと、それは吉澤さんにはよくなかったらしい。
 吉澤さんは少し語調を強めて、

 「なくもなるよ、あんたこの気持ち分かるの?!」
 「・・・分からないよ。4.5期だから。最初から一人だから。」
 「・・・・。」

 僕は吉澤さんの座る椅子の横までゆっくりと歩いて座り、目を見て続けた。

 「みんな先輩で動機は当然いなくて。でも俺は寂しく感じた事ないよ。
  みんないるし、吉澤さんもいるし。」
 「・・・え?」
 「俺にとって4期の4人は同期当然だから。だからさ、1人だなんて言わないでよ。」
 「・・・・・・・。」
 
 吉澤さんは難しい顔をして少し俯いたけど、
 
 「そうだね。でもあたしを同期だって言うなら、その吉澤さんってのは
  いい加減やめてよ。」
 「え?」
 「余所余所しい。」
 「う〜ん、よっすぃ〜、よっちゃん、よっちゃんさん、よしこ、」
 「その調子!」
 「頑固一徹!」 
 「それはやめい!」
  
 吉澤さんがばしっと僕の胸を手の甲で叩くと、僕らは一緒に大笑いした。

743 : :2004/08/28(土) 01:00
まあ、それに近いものはあるんだろうな。

744 :てと:2004/08/28(土) 23:53

 そういえばうちなんであんたに加護ちゃんって呼ばれとるんやろ?
 最近よっすぃ〜があだ名になったみたいやけど他はごっちんと愛ちゃん以外
 みんな”さん”付けやん、後輩まで。でもうちとののは”ちゃん”

 え〜っとなんでだっけ

 覚えてへんのかい!あれは入ったばっかの時や・・・。

 覚えてるじゃん。

 細かい事はええねん。素人時代の名残や、確か。

 【〜回想〜】

 「加護ちゃん辻ちゃんアイス食べ」
 「加護ちゃん?」「辻ちゃん?」
 「あ・・・・。」
 「いや、顔真っ赤にされてもこっちが困るで。」
 「ごめん。テレビに向かって言ってた呼び名がそのまま出た。」
 「別にのんはいいれすよ、辻ちゃんで。」
 「うちもええで。」

745 :てと:2004/08/28(土) 23:53

 そんなことあったなぁ。

 まあこれからもよろしくな。
 
 変なの。

 ええねん、変でも別に。

 それが売りってか

 ほっとけ!

 

746 :てと:2004/08/29(日) 18:31

 コンビニで買ったアイスを食べながら、その外の駐車場で辻ちゃんと駄弁ってた。
 卒業しても同じ仕事、ハロモニみたいなものがあると
 結局けっこう一緒に仕事をしたりして。
 違う事をしているんだなと感じられるのはWの仕事の話を聞いているときくらいだ。

 「あ、当たった。」

 当たりつきだという事すら知らずに食べたから、なんとなく嬉しい。
 でも横を見ると物欲しそうな顔をして見ている女の子が一人。

 「あげる。」
 「本当れすか!!ありがとうなのれす!」

 棒を僕の手から強引に引っ張って、折れそうになる。
 そんな事も気にせず辻ちゃんはお店へと走っていく。

 ・・・いくつになっても変わらないけど、それが“らしい”よな。
 
 「はい。」

 満面の笑みで店から出てきた辻ちゃんの手にはもう一本、アイスが握られていた。

747 :名無し募集中。。。:2004/08/29(日) 23:25
ののたん!
今年はハワイにいけなくて残念だね。

748 :てと:2004/08/30(月) 22:32

 「あ!」

 お昼時、そんな悲鳴が聞こえてふと振り向くと、愛ちゃんがとんでもなく
 大きく目と口を開けてあんぐりとしていた。その視線の先には・・・・・
 
 「落としたんだ・・・。」
 「・・・・はい・・・。」
 
 誤まって弁当を落としてしまったらしい。愛ちゃんは悲しそうな顔をしながら
 落ちた弁当の処理をしている。その表情はちょっとだけ紺野さんを彷彿とさせた。
 片付け終わって、溜息をついている愛ちゃんに、僕は提案した。

 「あげるよ。」
 「え、いいですよ!!」 
 
 慌てて断る愛ちゃん。そりゃ無理も無いけど、

 「でも食べないと仕事ちゃんとできないでしょ。
  ・・・じゃあ半分こしよっか。」
 「え?!」
 「はい、あ〜ん。」
 「えぇ?!せ、先輩・・。」
 「冗談。」

 箸を一気に引っ込めると、愛ちゃんの表情はいきなり歪んで、プイッと
 あっちを向いてしまった。

 「あれ?」
 「もういいです!」
 「ごめんごめん!!」

 なんとか愛ちゃんの機嫌を直した後、二人で仲良く?弁当を食べた。
  
 

749 :てと:2004/08/31(火) 23:52

 ペラペラペラ・・・・。

 乾いた紙を開く音が楽屋をよく響く。4つ折になったパンフレットを広げ、
 僕ははぁ〜、と溜息をついた。

 「何見てるんですか?」
 「USJのパンフ。友達が休みで行って御土産くれたんだけど、
  これが袋に入っててさ。」

 話しかけてきた紺野さんに説明する。
 カラフルに描かれたアトラクション。これを見ていたら、

 「HEY×3思い出しますねぇ。」
 「でしょ?ジュラシックパークライドとか思い出すよね。
  ごっちんの顔がすごくてさ!」
 
 二人で暫くUSJスペシャルの時の思い出話で盛り上がった。
 ある程度会話がひと段落着いたところで、
 
 「また行きたいですね。」

 紺野さんがそう天井の方をぼーっと見上げる。僕はからかおうと思って、

 「今度二人で行く?」
 「はい?!」
 「冗談」
 「なんだ・・・残念です。」
 「え?」 
 「冗談です。」

 紺野さんは笑うと、パンフレットをマジマジと見つめ始める。

 ・・・愛ちゃんとは違うな。

750 :名無し娘。:2004/09/01(水) 21:04
んまい

751 :てと:2004/09/01(水) 22:40

 朝、楽屋に入るとまず最初に小川さんが目に入った。
 来たばっかりらしく、ドアの付近で顔だけこっちを振り向いていた。
 僕は小川さんを見た瞬間、

 「元気ですかー!」
 「チッチッチ。」
 「?」

 小川さんはなんだかベテランな顔で言った。

 「まだまだ甘いですよ先輩。もっとこうっ、『元気ですかー!!!』」
 「元気ですかー!」
 「元気ですかー!」
 「元気ですかー!」 
 「げんうっ!!」
 「う?」

 突然蹲る小川さん。

 「はほははふへはひは」
 「?」

 小川さんは手帳を取り出すと、走り書きで
 『顎が外れました』

 「・・・・・!!」

 僕は事の重大さに気づくと、急いで小川さんを引っ張って楽屋の外へと出た。

752 :てと:2004/09/02(木) 18:01

 フットサル練習日の休憩時間、僕はピッチの外で腰を下ろした。
 ふー、と一息ついて上を見上げると、そこには鳥の巣があった。
 どうやら雀の巣らしく、親鳥が飛んできて子どもに餌を上げている。
 たまたま横にいた新垣さんもそれを見て、見上げながら言った。

 「雀って生まれた時はお母さんにご飯をもらって周りに兄弟がいますよね。」
 「・・・うん。」
 「でも時はいつだって待ってくれない。いつかはみんな大人になって、
  それぞれの道へ飛び立っていく。」
 「・・・・・・。」

 新垣さんは見上げる事をやめた。顔を下ろし、地面と平行になると、
 膝に手をついて、続けた。

 「私達も、同じです。でもそれは長いたびの始まりでしかないから、
  だから悲しむ事はやめて飛び立つ兄弟達を暖かく送り出さなければいけない。」
 「・・・・・・。」
 「なんて、カッコつけすぎですかね?」

 こっちを向いた新垣さんの眉毛はハの字に切なく曲がっていて、
 表情もどこか哀愁漂っていた。

 「・・・どうだろう。でも泣いてくれる人もいてくれた方がいいこともあるんじゃないかな。」
 「・・・・そうかもしれません。でも私は無理して背伸びしちゃいそうです。」

 微笑んだ新垣さんの顔は、初めて見るような表情だった。


 
 
 

753 :てと:2004/09/03(金) 21:26

 アウトロが流れ終わると、僕の拍手に満足そうな表情を浮かべる藤本さん。
 ジュースを飲み干すと椅子に座り、

 「男に生まれたかったかな〜、って思う事あるんだ。」
 「なんで?」
 「歌いたい曲沢山あるし〜。歌いにくいじゃん?まあたまになんだけどね。」

 僕は少し笑いながらジュースを飲むと、体を少し伸ばした。

 「でも男になると娘。になんか・・・・いるか。」

 僕の表情を見た藤本さんはバカウケして背中をバンバン叩いてくる。
 好きなだけ笑い終わると、藤本さんは呟いた。

 「あ・・・でもよくよく考えたら女に生まれてよかったかな・・・。」

 ピッピッ、と既に記憶された番号を直接打ち込む藤本さん。
 マイクを持つと立ち位置に戻った。再開の合図だ。

 「え、どういう意味?」
 「そう言う意味!」
 「え〜?」
 『ねえ結局はボーイフレンド♪』

 藤本美貴擬似ソロコンサート、後半戦開始。
 
 

754 :名無し娘。:2004/09/03(金) 21:47
創意あり。意欲的でよい。残り3人だがんばれ。

755 :名無し娘。:2004/09/04(土) 03:28

スタッフさんの差し入れで、楽屋に夏みかんが置いてあった。

「夏みかんって最近食べてないよね〜」
矢口さんは一つ手にすると、軽くお手玉のようにポーンポーンと遊んでいる。
「カオリも久しぶりだなぁ〜」飯田さんもちょっと笑顔になって取って行く。

僕も一つ手に取り、ガシガシと皮を剥いていると、
うらやましそうに亀井さんがこっちを見ていた。

「夏みかん、食べないの?」僕がそういうと、
亀井さんは少しうつむき加減に、「食べたいんですけど・・・」と歯切れが悪い。
遠慮しているのかと思い、新しい夏みかんを一つ、亀井さんに手渡す。

「ヤグチィ〜、カオリの剥いてよ〜、自慢の爪が〜」と甘えた声でおねだりしている。
「カオリ?かわいくないよ!」と矢口さんが振り向きもせずに言う。
そんなやり取りを、僕は剥き終えた夏みかんを食べながら、いつものように微笑んで見ていた。

すると、服の裾をチョンチョンと、引かれる感触。
「センパイ?・・・」
亀井さんに呼びかけられ、僕が振り向くと、
「・・・剥いてもらって・・・いいですか?・・・」
うっすら頬を赤く染め、遠慮がちに夏みかんを両手で差し出していた。
僕は、それを受け取り、剥いてある自分のを半分にし手渡す。
ちょっとビックリして、耳まで赤くし、うれしそうに亀井さんが受け取り食べ始める。

僕のあげた夏みかんを、一つ一つ大事そうに食べている亀井さんを見ていると、
僕の夏みかんは、さっき食べていたのより、なぜか甘くなっているように感じられた。

756 :名無し娘。:2004/09/04(土) 06:57

僕が楽屋へ入っていくと、矢口さんと石川さんが何やら騒いでいる。

「やっぱり私のようになりたかったのね、まりっぺは。」
「違うって言ってるだろ、これは昔に撮ったウケ狙いだから!」
余裕の表情の石川さんに、必死で抵抗している矢口さん。

いつもとは立場が逆の言い合いに、僕は「どうしたの?」と聞いてみる。

すると石川さんは、待ってましたかの勢いで、僕に矢口さんの携帯画面を向ける。
「見てやって。まりっぺの携帯!」
「コラ、見せるな!・・・お前も見るな!!」
矢口さんは、バタバタと両手で石川さんの持っている自分の携帯画面を覆い隠そうとする。

「拝見しま〜す。」と言って、僕は石川さんから携帯を受け取り、携帯画面を見る。
そこには、いまどきガングロメイクをして、得意のギャルポーズをしている矢口さんの姿。
僕は、笑いそうになるのを必死でこらえて、あえて真顔でからかうように聞いてみる。

「矢口さんのマイブームですか?」
「さっきから違うって言ってるだろ、バカ!もう!!」
泣きそうな顔で、矢口さんは言う。

「でも、かわいいですよね。結構、僕好きですよ。ほんと。」
僕の言葉に、矢口さんは驚いたような顔をして、
「マジで?ほんとに?」と、うれしそうに何回も僕に聞いてくる。

「な〜んだ、つまんな〜い。」
興味がなくなった石川さんは、そう言うと席を立ち、楽屋から出て行ってしまった。

矢口さんは僕から取り戻した自分の携帯をマジマジ見ながら、ひとり言のようにつぶやいている。
「やっぱり、おいら、カワイイからなぁ。ガングロメイクはギャルのカワイさが・・・。」
僕は、顔が引きつらないよう笑顔をつくりながら、調子を合わせて
「・・・そっ、そうですよねぇ・・・」と、言って顔を上げ、楽屋内を見渡す。

ほとんどのメンバーは、それぞれ自分の事をやっている中、少し離れた所で、
このやり取りをじっと見つめて、うなずいている道重ちゃんを見つけた。
(道重ちゃん、なんか怖いよ・・・。)


次の日のオフ、僕は買い物に出かけ、とある衝撃的な光景を目撃してしまった。
道重ちゃんが、化粧品売り場の女性店員に、激しく訴えかけている姿を・・・。

「・・・だから、もっと黒いファンデーションはないんですか?・・・
          ガングロメイクはギャルのカワイさが引き立つんです!!」

(・・・道重ちゃん、違うよ...。)

757 :名無し娘。:2004/09/04(土) 12:52
>>755-756
イイヨー。どんどん書いてくれ。
矢口の「お前も見るな!!」とかよかった。

758 :てと:2004/09/04(土) 21:37

 「先輩泣いてください。」
 「え?」

 突然、本当に突然亀井さんに言われた一言に、僕は呆然としてしまった。
 意味が良く分からないけど、亀井さんは笑っている。

 「絵里小悪魔になったんです、泣いてください。」

 そう言うと亀井さんはその場でターン。黒髪がふわりときれいに揺れて、
 一瞬遅れていい香りがした。

 「ああ、あのCMの奴か。」
 「はい!あれに変えたんですよ!だから絵里は今日から小悪魔です。」

 笑顔で小悪魔、って言われても・・・。
 
 「じゃあ男の人もてあそぶの?」
 「え?そんな事しませんよぉ!悪戯とかするんです。」

 すごい笑顔だけど、すごい意味取り違えてるなこの子。
 ニコニコ笑っているから笑い返すと、亀井さんはまた突然口を開いた。

 「というわけで先輩の鞄の中のポテチを塩味からチーズ味に変えてみました。」
 「嘘ぉ?!」

 僕は言われたとおり慌てて鞄を漁ったけれど、中に入っているのは変わらない
 美味しさだった。

 「ひっかかった〜。」

 満足そうに笑う亀井さんに、僕は怒るにも怒れなかった。

759 :てと:2004/09/05(日) 18:02

 「絵里がドラマ出たじゃないですか。」
 「出たね。」
 「さゆも出たいです。」

 どうしてこうみんないきなり言うんだろう。
 どう返していいか分からない僕に対して、道重さんは続ける。
 
 「だから演技の練習相手付き合ってください。」
 「え、あ、いいよ。」

 そういうことか。少し挙動不審になってしまったけど、僕は立ち上がった。

 「じゃあさゆとせんぱいは恋人です。」
 「え」
 「ラブシーンまで3・2・1・」
 「ちょっ、待った!具体的になにするの?」
 「キス」
 「え?!」
 「さゆとキスするの・・・嫌ですか?」
 
 亀井さんよりよっぽど小悪魔だ・・・。僕はどうにかしてこの暴走を
 止めようと、

 「安倍さんのドラマも影とか猫とかでごまかしてるから寸止めで。」
 「え〜じゃあ抱きしめてくれる所まではやってくれるんですね。」

760 :てと:2004/09/05(日) 18:03
 
 やられた。
 仕方無しに抱きしめ、見つめあう。胸の下辺りに柔らかいものを感じた。
 道重さんは上目遣いで、目が少しだけ潤んでいる。
 演技だって分かっているのに、少しドキドキした。
 僕は意を決したように、顔を近づけていった。

 ガチャッ

 「あ・・・。」

 この場で一番来てはいけない人が入ってきてしまった。
 愛ちゃんは僕達二人を見ると、そのまま走り去ってしまった。
 バタンというドアが閉まる音が聞こえると、僕は道重さんの体から
 離れて走り出そうとした。でも、

 「さゆの事、嫌いですか?」

 もはや演技かどうか判別不能。僕は頭を掻き毟った。

 「あ〜もうどうしろっちゅーねん!!」

 僕は少し悩むと、決めた。
 

761 :てと:2004/09/06(月) 22:17

 たまたま見ていた雑誌に福岡の店が載っていた。
 それに気づき、覗き込むようにしてきたのは田中さん。

 「ここ行った事あります。」
 「マジで?」
 
 田中さんは少し懐かしそうに微笑むと雑誌をペラペラとめくり始めた。
 その表情を見て僕は思ったまま口にした。

 「寂しくない?」 
 「寂しくないことはないですけど・・・もう慣れました。それに。」
 「それに?」
 「夢を追ってここに来たのも本当ですから。」

 笑っているような、そうでないような。どっちともつかない表情を浮かべて
 田中さんは少しだけ遠くを見るような目をした。

 「・・・そろそろ時間か。がんばろっか!」
 「はい!」

 いつも以上に気合の入った田中さんの背中は、いつもよりちょっぴり大きく見えた。
 小さな体を大きく動かしていて、でもちょっとだけ背伸びしているような気もする。
 だから思わず僕は、

 つん、

 「にゃっ?! な、なにするとですか先輩!!」
 
 そうそう、自然体がいちばん。

762 :名無し娘。:2004/09/06(月) 23:28
先輩してるなあ

これで全員切りかな てと乙カレ
いろんなシチュエーションを楽しませてもらいました
やっぱりこのスレの設定って絶妙だね

763 :名無し娘。:2004/09/07(火) 00:01
全員切り乙〜
個人的には梨華ちゃんとミキティのがよかった

764 :てと:2004/09/07(火) 20:48

 松浦さんとたまたま時間があってご飯を食べる事になった。
 こんな風に娘。以外の人と、しかも二人っきりで行ったりすると
 雑誌が意味もなく盛り立ててくる事もたまにあるけど、実際は当然仕事仲間。
 辺りをキョロキョロと見る僕に気づいたのか、松浦さんも
 
 「会社の同僚とご飯食べるのと何も違わないんですけどね〜。」


 楽しく食べた後はお会計。
 
 「ゴチになりま〜す♪」
 「割り勘だろ〜。」
 「先輩〜。」
 「年あんま変わんないけどな〜。」

 そう言いながらも財布からお金を取り出す僕を見て、松浦さんは満足そうな
 笑みを見せた。

 「次も楽しみにしてますよ、先輩♪」

765 :名無し娘。:2004/09/08(水) 06:59
こんなやつとは一緒に飯食いたくないな

766 :てと:2004/09/08(水) 18:17

 ね、眠い・・・。
 早朝、楽屋に着いた後すぐに僕は睡魔に襲われた。
 あんまり寝てないからな・・・。まだ時間あるし、いいか。
 僕はそのまま畳の上で眠りについた。

767 :てと:2004/09/08(水) 18:17

 意識が戻った瞬間、固かったはずの畳がやけに柔らかく感じられた。
 耳の辺りによく分からない感覚を覚えながら、目を開けると、何故か
 ドアが見えた。でもドアノブは見えない。あれ、逆方向に寝てたよな。
 寝返りかな・・・。

 「この間肩借りちゃったんで。」
 
 いきなり誰かの声が上から聞こえた。寝ぼけているから誰だか分からない。
 声の方角へと見上げると、優しく微笑んでいる亀井さんの姿があった。
 ・・・・ということは

 「大丈夫、今誰もいませんから。」
 
 慌てて動こうとした僕を亀井さんが制す。
 
 「え、でももういいよ。」
 「遠慮しないで下さいよ。絵里は今離すとどこか逃げちゃうかもしれませんよ?」

 逃げちゃうって・・・。小悪魔されてる気がした。
 
 この状態は新垣さんが部屋にノックをした所まで続いたけど、
 すごく長い時間に感じた。

768 :てと:2004/09/09(木) 21:29

 暑い。9月に入っても暑い。
 そしてその被害は直接的よりも間接的なものの方が、僕らには多い。
 
 ピチョッ

 「うわ!」
 
 首筋に水気を感じて思い切り叫ぶ。犯人はライブ中汗をはじきまくることで
 一世を風靡した(?)、保田さんだ。

 「飛ばさないでくださいよ〜。」
 「しょうがないじゃない!怒るなら暑さに怒ってよね!」
 「飛ばさなくてもいいじゃないですか!」

 暑さもあってイライラも募る。色々もめていると、横で『ケメコの歌』の
 4番を拍子抜けな音程で口ずさむ一人の娘。
 外れた音にも気づかず、石川さんは

 「ケメコってひどい女だよね〜。」
 「ホントホント。自分ブサイクなのに。」
 「みんななんなのよ!なんで毎回こんな役回りなのよ!
  現存メンバーで私のキャラ作らないと尺取り戻せないわよ!
  エースを!トークのエースを!」
 『はっ!!』

 僕たちは気づいてしまった。
 今回のオーディションのテーマは、『エース』
 
 つ、つんくさん・・・まさか・・・。

769 :てと:2004/09/09(木) 21:30
『ケメ子の歌』4番

私の名前はミス・ケメ子   
あなたはかがみをもってるの   
はきけをもよおすその顔で   
私を好きになるなんて   
キライ (しょぼん) キライ (しょぼん)  
私はあなたがキライです

770 :てと:2004/09/10(金) 19:15

 小麦色に焼けた肌は、僕だけの特権かもしれない。
 石川さんは僕を見て言った。

 「好き放題焼いても怒られないの君だけだよ〜。」
 「石川さんは地で充分黒いからバレないって。」
 「ひどぉい。」

 そう拗ねながらも口元はしっかりとカーブを描いている。
 話はいつの間にかハワイへと。

 「あれはないでしょー。」
 「しょうがないじゃん!だって英語分かる?」
 
 僕らが話したのは石川さんの買い物中のエピソード。
 よっすぃ〜と一緒に買い物をしていた石川さんはレジで
 英語が分からず、財布を出して、

 「え、え〜っとぉ、likeなだけ、take?」
 「??」

 財布ごと取られて本気で焦る石川さん。
 そしていつの間にかいなくなっているよっすぃ〜。
 結局倍額ほどぼったくられた石川さんはスタッフさんに指摘されるまで
 それに気づかなかった。
 
 今年も楽しかったな。来年も楽しみ。
 来年は石川さんの分まで楽しまないと・・・・ね。

771 :名無し娘。:2004/09/11(土) 10:08
・゚・(ノД`)・゚・

772 :てと:2004/09/11(土) 21:32


 「お願いしますよせんぱ〜い!」
 「ちょっこすだけ!ちょっこすだけです!」
 「せんぱいの縦列テクに惚れちゃうかも〜。」
 「あ〜もうっ、分かったから!行こう!行こうどこにでも!!」

773 :てと:2004/09/11(土) 21:32

 6期の3人に頼まれ、僕達4人は適当にどこかをドライブする事になった。
 免許取立てだからあんまり多くの人を乗せたくない・・・というのが本音。
 でもこんなに頼まれては嫌とは言えない。僕は後輩には弱いタチなのかもしれない。

 適当、と言っても僕はなんとなく行く所を決めていた。
 そこまで車を順調に走らせる。
 段々とそこまで近づいてくると、僕は窓を軽く開けた。そしてすぐに、
 潮風の香りが車内に行き渡る。
 僕達はそれで少し溜息をつくと、海辺に車を止めた。

 気がつくと3人とも車から降りていた。
 夏休みも終わったし、人はそんなにいない場所にたまたま着いたせいか、
 3人は平気で砂浜まで走っていた。間もなくして田中さんが豪快に転ぶ。
 2人はそれを見て笑い、田中さんも砂を落としながら笑う。

 「よ〜し」

 僕は車から降りると、3人を追って走り出す。
 でも3人の近くまで走ると、田中さんがこけた時に出来た穴に引っかかって
 転んでしまった。笑う3人。
 僕はさっきの田中さんと同じ様に、笑顔を見せた。

774 :名無し娘。:2004/09/11(土) 22:25
ネゴシックスがいるな

775 :てと:2004/09/12(日) 17:29

 うとうとしていてあと一歩で眠りに落ちそうだった時、
 突然ドタバタと言う音で目を覚まされた。
 
 「・・・・・ん?」
 
 なんとか目をこじ開けて、音の主を探る。
 視界があまりはっきりとしないけど、なんとか主の姿だけ確認できた。
 紺野さんと小川さんがじゃれあっている。
 寝そうになりながらも少しだけそのじゃれあいを眺めていると、

 
 小川さんバックをとった。1ポイント
 ローリング       2ポイント
 更にローリング     2ポイント
 紺野さん投げ技     3ポイント
 小川さんアンクルホールド2ポイント

 これは悪夢だ、うん、そうに違いない。
 僕は再び目を瞑った。

776 :名無し娘。:2004/09/12(日) 21:30
どう考えても悪夢とは思えない・・・

777 :てと:2004/09/13(月) 18:43

 パクパクと弁当を食べていく。
 スタッフさんから配られたものだけど、いかんせん量が少ない。
 だからこれだけでは足りない人も当然出てきて、そのときは
 もう1つ弁当を配ったりしていた。
 でも今日はたまたま人数分しかなくて・・・。

 ガチャッ

 「突撃隣の昼弁当〜!ちょっとそこのお兄さん見せてくらは〜い!!」
 「え?!」

 ターゲット、僕。
 辻ちゃんは僕の弁当を自分の持って来た箸でどんどんおかずを平らげていく。

 「あ!!卵は止めて!ちょっと!!あ〜!!」
 「ご馳走様れした。それではまた来週〜!」

 バタンッ!

 ・・・嵐が去った。
 また来週って、来週の収録の事だろうか・・・。
 

778 :てと:2004/09/14(火) 21:40

 ガタンゴトン・・・・ガタンゴトン・・・・。

 僅かだけど連続的に続く小さな揺れが心地よい眠りへといざなう。
 僕は電車の方向が同じだった高橋さんと一緒に帰っていた。
 高橋さんは終点で降りるから、結構長旅だ。
 仕事の疲れもあって、かなり眠い。うとうととしてきた所、
 肩に何か重みを感じた。

 「・・・・・・・。」

 いつぞやの亀井さんを思い出す、いい香りが僕の顔を包む。
 寝顔が斜めの角度から見えた。
 なんだかドキドキしていると、もう僕の降りる駅だ。

 「・・・・・・・・。」

  

779 :てと:2004/09/14(火) 21:41

 『終点〜』
 「愛ちゃん、起きて。」
 「・・・・はい?」

 これでいいんだよ、多分。

780 :名無し娘。:2004/09/15(水) 01:44
さゆえり愛ちゃん…

悩みは尽きませんね。

781 :てと:2004/09/15(水) 18:49

 パンダのぬいぐるみが楽屋に落ちていた。
 見覚えは全くない。

 「誰の?」
 
 返事はなかった。みんなも僕と全く同じで、見覚えがなかった。
 大きさはいたって普通のぬいぐるみ。
 UFOキャッチャーでとれるくらいの大きさだろうか。
 
 「爆弾だったりして。」

 冗談半分に石川さんが言う。でもその一言で、楽屋は完全に静まり返った。
 時期が悪い。空気の読めなさ過ぎる石川さんの発言で、みんなの目の色が
 変わった。

 僕は無言でぬいぐるみを石川さんに渡した。

 「うわ!」

 石川さんは慌てて藤本さんに投げる。

782 :てと:2004/09/15(水) 18:49

 僕→石川さん→藤本さん→石川さん→矢口さん→石川さん
 結局帰ってくるぬいぐるみ。ここに来て石川さんは既に泣きそうな状態。
 みんなは楽屋の反対側に避難して、石川さんをじーっと見ていた。
 
 「ちょ、ちょっとみんな!」
 「来るな!来るな梨華ちゃん!!」
 「ひどいよぉぉぉ!!!」
 
 ガチャッ

 騒ぎの中、入ってきたのはキッズの子。

 「あ、あった。」

 石川さんの所まで行くとぬいぐるみをふんだくり、そのまま去っていった。

 『・・・・・・・・。』

783 :てと:2004/09/16(木) 22:50

 午前中の仕事が終わった後、僕は矢口さんの異変に気がついた。
 顔色が悪い。
 いつもより余計にテンションが高い気がする。
 僕はたまらず聞いてみようと近づいた。すると、

 「なんか気持ち悪い・・・。」
 「大丈夫ですか?」

 矢口さんは目を細めて頬を手で撫でている。
 目も少しくっきりとしていて、体調が悪そうな感じがする。

 「乗ってください。」
 「え?うわぁ」

 僕はお姫様抱っこをするとそのまま医務室まで歩き出した。

 「ちょっ・・・降ろせぇ!!」
 「軽いですね。」
 「え?」
 「意外に。」
 「てめぇ!」

784 :てと:2004/09/16(木) 22:54

 少し経った後、ジュースを一杯飲みながら医務室に様子を見に行った。
 矢口さんはベッドの中にはいるものの退屈そうに転がっている。
 でも表情は穏やかではなかった。

 「大丈夫すか?」
 「なんか飲んだら元気になれそうな気がする。」
 「飲みます?」
 「サンキュ・・・って、買ってきて!」
 「え、なん」
 「いいから!」
 「?はーい。」

 改めてジュースを買ってきて矢口さんに渡すと、矢口さんはそれを一気に飲み干した。
 
 「ありがとー。」
 「無理しちゃダメですよ。気負いしないで。」
 「わかってるって。」
 「じゃあ深呼吸ー。」
 「すぅー、はぁーー。」
 「では、ごゆっくりお休み下さい。」

 お辞儀してそう言うと、僕らは思わず笑ってしまった。

785 :てと:2004/09/17(金) 21:59

 飯田さんと並んで歩いていると、飯田さんは手を平行にして僕と身長差を
 比べ出した。

 「でかくなりすぎたら卒業なんて言ってた時代が懐かしいね〜。」
 「あの時は毎晩背が伸びないように祈ってましたよ。」
 「あんたマジで信じてたの?」

 うそー、と言った顔をする飯田さん。ちょっとだけカチンと来た。

 「信じてましたよ!女の子の中に一人混じってるからでかくなったらやっぱり
  まずいのかなとか!あんないたいけな男の子を騙すなんて」
 「どこがだ。」
 「すんません。」

 笑うと、突然頭を撫でられた。飯田さんは軽く微笑むと、

 「昔は手をこんなに上に持ち上げることもなかったのに、
  大きくなったんだね。」
 「・・・・・・。」

 自分がどんな表情をしているかは分からないけど、飯田さんは優しく
 微笑んでいた。

786 :てと:2004/09/18(土) 21:51

 ちょっとした賭けに負けて藤本さんに焼肉を奢る事になった。
 それに肉好きの皆さんが何人も連なって、何故か全員奢る雰囲気。
 あの〜、ちょっと〜

 「食べすぎじゃないでしょうか?」
 『・・・・・・・・・・。』
 「あの〜・・・。」
 『・・・・・・・・・・・。』
 
 全員無言のまま肉にがっついていく。
 
 上カルビー
 ロースー
 ビビンバー
 キムチー
 ビールー

 「ほどほどにしないと事務所に怒られるんじゃ」
 「関係ねーよ!!!」

 ウマイムマイムかよ・・・。
 藤本さんが叫ぶとみんな爆笑。

 お酒、ほとほどにしてください。


 

787 :名無し娘。:2004/09/18(土) 22:44
ふ、藤本さんお酒はまずいんじゃぁ、、。

788 :てと:2004/09/19(日) 18:41

 仕事終わりの家路への途中、ある違和感をポケットの中に感じた。
 軽い振動。僕は携帯を取り出したけど、それを開けなかった。
 見覚えのないストラップ。同機種ながら色違い。
 これってもしかして・・・。
 携帯を開き、メールを見ずにメモリから”自分”を探す。
 そして”自分”に電話をかけた。

 「は〜い、せんぱいですか?」

 やっぱり出てきたのは道重さん。何かの間違いで携帯が入れ替わったらしい。
 でも同じ機種とはいえ色違いを間違えるとは・・・。(>>710

 「今から届けに行くよ。」
 「え、いいですよもう遅いし、明日でいいです。」
 
 意外な反応。僕も携帯を半日使えないと不便だし、すぐに切り返す。

 「いや、不便でしょ。」 
 「でもそれじゃ入れ替えた意味が」
 「え?」

 小さくてよく聞こえなかったけど、なんか妙な言葉が聞こえたような・・・。

 「いえ、なんでもないです!じゃあいまからきてください!」

 妙に慌てる道重さんに、深くは追求できなかった。

789 :てと:2004/09/20(月) 21:17

 パチン、パチン、パチン・・・

 僕はよっすぃ〜と今度のオフの話をしていた。

 「暇?」
 「うん俺は暇。よっすぃ〜も暇なん?」
 「暇暇暇すぎ。へこむくらいに暇。」
 「アハハ、じゃあどっか行く?」
 「サッカー見に行こうぜ〜。」
 「おおいつ以来だろ。」
 パチンッ
 「痛!!」
 『へ?』

 横に目をやると愛ちゃんが痛そうに手を抑えていた。
 どうやら深爪したようだ。

 「愛ちゃん大丈夫?」 
 「は、はい・・・・。」


 楽屋の端から亀井さんが「むぅ・・テクニシャンだ。」という声が聞こえたけど、
 よく意味が分からなかった。

790 :名無し娘。:2004/09/21(火) 05:32
裏山氏杉!!!

791 :てと:2004/09/21(火) 22:49

 固い筋肉を揉み解し、柔らかくする。
 時には強く、時には優しく叩き、時には全体を揉む。

 「あ〜・・・・。気持ちええわ。」

 僕は中澤さんの肩回りをマッサージしていた。
 自分と比べて硬いのは多分気のせいじゃないんだろう。

 「中澤さん。」
 「なんや?」
 「こうやってると。」
 「ん?」
 「おばあさんと孫みたい。」
 「なんやと!!」

 突然立ち上がった中澤さんはその弾みで腰を痛そうに抑えた。

792 :名無し娘。:2004/09/22(水) 12:04
いつもおもしろいよ

793 :てと:2004/09/22(水) 20:54

 「ねぇみんな!」
 「嘘!やっちゃった〜!」
 「お〜い。」
 「うん・・・、マジで?!」
 「ね〜え〜。」
 「キャハハ!ないってそれはないって!!」
 「・・・・・。」
 「あ、この店美味しいの。」
 「聞いてよ!!」
 『・・・・いたの?』
 「・・・グスン。」
 「いやだって梨華ちゃんそうやって呼び止めたときって
  大体たいしたことないんだよね。」
 「ひどぉい!ひどいよよっすぃ〜!ていうかみんな!だから聞いて。」

 ここまでやったのだからよほど大切なことなのだろう。
 全員黙って石川さんの言葉を待つ。
 少しためて、石川さんは口を開いた。

 「美勇で」
 「でさぁ〜。」
 「ちょっとぉ!!!」

 石川さんが本題に入るまでこの後3回ほど同じ様な事が反復される。

794 :てと:2004/09/22(水) 20:54

 ようやく石川さんが最後まで言う事が出来た。その一言は、

 「美勇伝買ってくれた?」
 「・・・でぇ、さっきの話の続きだけどオレオレ詐欺が」
 「ちょっとミキティ!さっきそんな話してなかったよ!!」
 「え〜?梨華ちゃんキショい。んで〜。」
 
 藤本さんはいつもに増して言動に破壊力があるのは多分気のせいじゃない。
 それでも石川さんは無神経に質問を続ける。
 しょうがないから僕はごまかしに入った。

 「ねぇってばぁ!!」
 「まあよかったよね、曲がまともで。」
 「ありがと!」

 極端だなぁ。すぐに嬉しそうな顔をする石川さん。

 「つんくさんもたまにはやるね。」

795 :てと:2004/09/22(水) 20:55
 ピクッ

 「え?」
 「(このばか!!!)」
 
 ここで僕は耳打ちで衝撃の事実を知らされた。
 あぁ、そうなんだ・・・。聞いたような気がするけど忘れてた。
 
 時既に遅し。
 石川さんは泣きそうな顔で僕の肩をぽかぽかと叩きだした。

 「ごめん、ごめん。」
 「心がこもってないよぉ〜!!」

 石川さんの機嫌を直すのに半日かかった。

796 :名無し娘。:2004/09/23(木) 10:23
おもしろい !! 気楽に頑張ってね。

797 :名無し娘。:2004/09/23(木) 12:22
まあカップリングはそうだし

798 :てと:2004/09/24(金) 19:13

 僕はスタジオをうろついていた。ある人を探して。
 その人物を見つけると僕は早速話しかけた。

 「ごっち〜ん。」
 「なに〜?」
 
 何か期待するような眼でこっちを向く。そりゃそうかもね。

 「いやいやこのたびは。」
 「どうも〜。」
 「B’zの稲葉さんが40歳の誕生日を迎えまして。」
 「そうですね〜ってそっち?!」

 予想外の不意打ちに飛び跳ねて驚くごっちん。
 僕は思わずそれを見て笑うと、

 「嘘嘘冗談。はいプレゼント。」
 「ありがと〜。」

 僕に渡されたシルバーアクセを早速首にかけたごっちんはふにゃっと笑うと
 次なるプレゼントを求めて歩き出した。

799 :てと:2004/09/25(土) 21:27

 どうしても答えに迷って、躓いて、困って・・・。
 ある事に悩んで一人、フジテレビ控室付近のビニール椅子に座っていると、
 僕の前に立ち止まった人がいた。
 顔をあげる。そこには優しい笑顔をした、安倍さんが立っていた。

 「安倍さん・・・・。」
 「どうしたべ?そんな顔して。なんかあるなら言ってみなさい。」

 その声を聞いてなんだかほっとした僕は、その悩みを安倍さんに、小声で囁いた。
 それを聞いた時の安倍さんの顔は、僕にとって生涯忘れられないものとなった。
 一瞬ハッとして、でも慌ててやさしい表情を「造って」。

 「う〜ん難しい問題だべ〜。安倍さん困っちゃいました!」
 「本当に本気で悩んでるんですよ。」
 「分かってます、なっちも悩んだもん。」
 「・・・・本当ですか?」

 その一言はあまりにも僕にとって意外で、思わず安倍さんの顔を見た。
 でもその表情は相変わらず優しく造られたままで、真意を覗くことは許されない。
 
 「悩んで悩んで悩みぬいた結果、答えは出るもんっしょ。」

 誰にでも言えそうだけど、すごく暖かい一言。
 今の僕に一番必要な答えだった。

 「・・・そうですね、時間を考えて自分で考えてみます。」

800 :名無し娘。:2004/09/26(日) 02:57
まさか…



801 :てと:2004/09/26(日) 21:28

 「二人ゴトならぬ二人乗りだな。」
 「くだらないのれす。」
 「くだらなくて結構れす。」

 コンビニに向けて自転車を走らせた途中、辻ちゃんに捕まった。
 どうやら辻さんもコンビニに行きたかったらしく、二人乗りで
 コンビニまで行く事になった。因みに自転車は局の駐車場の
 隅の方に頼んで置かせてもらっているもの。

 コンビニに到着して色々買い込み、そのためにつけているカゴに
 どんどん入れていく。カゴいっぱいに詰め込まれた袋の中から
 辻ちゃんはスナック菓子の袋を取り出すと、後ろに座った。

 「交代しない?」
 「こーいうのは男の人の仕事なのれす。」
 「・・・はーい。」


 自転車をゆっくりと走らせて駐車場につき、辻ちゃんに袋を渡して
 自転車を降りると、パラパラと音がした。下を向くと、
 スナック菓子の食べかすがたくさん落ちていた。
 思わず辻ちゃんの顔を見る。
 見られた辻ちゃんはてへっと笑うと、走っていってしまった。
 

802 :てと:2004/09/27(月) 21:27

 「二人ノリ再び・・・。」
 「え?なんやそれ。」
 「いやなんでもないよ。」

 コンビニに向けて自転車を走らせた途中、今日は加護ちゃんに捕まった。
 二人でコンビニに行くのは別にいい。ただ、一点だけきつい事があった。

 「いつの間に逆転したんだろうな〜。」
 「え?なんか言うた?」
 「いやなんでもないよ。」

 まあ辻ちゃんもピーク過ぎたら縮小したから、そのうち、多分きっと。

803 :てと:2004/09/28(火) 21:45
 お昼休みに入り、外に食べに行きたい人は外へと繰り出す時間。

 バン!!!
 
 けたたましい音を立て、楽屋のドアが開かれた。
 中にいた全員、びっくりしてそっちに視線をやる。
 田中さんがかなり焦った表情で、そこに立っていた。田中さんはキョロキョロ
 辺りを見回した後、

 ぐいっ

 「一番近いっちゃ」というだけで僕を引っ張って楽屋の外を出た。
 されるがままの僕。

 「ちょ、どうしたの?」
 「絵里とさゆが喧嘩しとるとです!」
 「え?!」
 「理由は全然分からないんですけど、とにかく来て下さい!」

804 :てと:2004/09/28(火) 21:45

 僕達が現場に到着すると、すぐによく分からない”気”を感じた。
 亀井さんと道重さんがすごく怖い顔でお互いを見やっている。

 「絶対にひけないの。」
 「こっちだって。」

 二人の間にメラメラ燃える火が見えた気がした。
 とりあえず事情を聞こうと近づくと、

 「今日は味噌!!」
 「しょうゆなの!」
 「・・・・は?」

 拍子抜けしてしまった。なんだそんなことか。安心してその場を去ろうとすると、
 さっきとは別の場所に新しい”気”を感じる。恐る恐るそれを見ると、

 「とんこつに決まってるっちゃーー!!!」
 
 お昼休み中口論はやまず、結局この日は3人ともロケ弁を分けてもらっていた。
 

805 :てと:2004/09/29(水) 23:36

 「今度は何ですか。」
 「漢検。」

 結構前に英検の問題集を持ってきてみんなで玉砕した後、
 今度は漢検を取得したと自慢され再び問題集を買ってみた。

 「・・・知らない方がいい世界ですね。」

 小川さんはそう言って少しだけだらしなく笑う。
 ここで本に気づいた愛ちゃんが近づいてくる。
 それに気づいた5期の残り二人もすぐに集まった。
 どうやらゴングは鳴ったらしい。

806 :てと:2004/09/29(水) 23:36

 コロコロコロコロ・・・・

 鉛筆が転がる音が聞こえる。この前は1つだったけど、今度は4つ。
 全員最初っから諦めてるでしょ?

 「やったー!!」
 「あ〜惜しい〜!」
 「おおまことすごーい!」
 「2連続正解!」
 「あのさ。」

 対照的なリアクションをする4人に僕は冷めた口調で言った。

 「選択肢以外もやろうよ?」
 

 コロコロコロコロコロ・・・

 僕の意見は見事に流され、しばらく数字の書かれた鉛筆がそこらじゅうを転がっていた。

807 :名無し娘。:2004/09/30(木) 01:00
確か5期には漢検2級の人がいたような

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