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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜

1 :名無し娘。:2003/09/09(火) 18:55
前スレ

俺と娘。の夢物語
http://teri.2ch.net/mor2/kako/977/977128657.html
俺と娘。の夢物語〜第2章〜
http://teri.2ch.net/mor2/kako/986/986831774.html
俺と娘。の夢物語〜第3章〜
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1004618557/

このスレを狩と共に終わらせてしまうのは、
余りにも惜しい。

801 :てと:2004/09/26(日) 21:28

 「二人ゴトならぬ二人乗りだな。」
 「くだらないのれす。」
 「くだらなくて結構れす。」

 コンビニに向けて自転車を走らせた途中、辻ちゃんに捕まった。
 どうやら辻さんもコンビニに行きたかったらしく、二人乗りで
 コンビニまで行く事になった。因みに自転車は局の駐車場の
 隅の方に頼んで置かせてもらっているもの。

 コンビニに到着して色々買い込み、そのためにつけているカゴに
 どんどん入れていく。カゴいっぱいに詰め込まれた袋の中から
 辻ちゃんはスナック菓子の袋を取り出すと、後ろに座った。

 「交代しない?」
 「こーいうのは男の人の仕事なのれす。」
 「・・・はーい。」


 自転車をゆっくりと走らせて駐車場につき、辻ちゃんに袋を渡して
 自転車を降りると、パラパラと音がした。下を向くと、
 スナック菓子の食べかすがたくさん落ちていた。
 思わず辻ちゃんの顔を見る。
 見られた辻ちゃんはてへっと笑うと、走っていってしまった。
 

802 :てと:2004/09/27(月) 21:27

 「二人ノリ再び・・・。」
 「え?なんやそれ。」
 「いやなんでもないよ。」

 コンビニに向けて自転車を走らせた途中、今日は加護ちゃんに捕まった。
 二人でコンビニに行くのは別にいい。ただ、一点だけきつい事があった。

 「いつの間に逆転したんだろうな〜。」
 「え?なんか言うた?」
 「いやなんでもないよ。」

 まあ辻ちゃんもピーク過ぎたら縮小したから、そのうち、多分きっと。

803 :てと:2004/09/28(火) 21:45
 お昼休みに入り、外に食べに行きたい人は外へと繰り出す時間。

 バン!!!
 
 けたたましい音を立て、楽屋のドアが開かれた。
 中にいた全員、びっくりしてそっちに視線をやる。
 田中さんがかなり焦った表情で、そこに立っていた。田中さんはキョロキョロ
 辺りを見回した後、

 ぐいっ

 「一番近いっちゃ」というだけで僕を引っ張って楽屋の外を出た。
 されるがままの僕。

 「ちょ、どうしたの?」
 「絵里とさゆが喧嘩しとるとです!」
 「え?!」
 「理由は全然分からないんですけど、とにかく来て下さい!」

804 :てと:2004/09/28(火) 21:45

 僕達が現場に到着すると、すぐによく分からない”気”を感じた。
 亀井さんと道重さんがすごく怖い顔でお互いを見やっている。

 「絶対にひけないの。」
 「こっちだって。」

 二人の間にメラメラ燃える火が見えた気がした。
 とりあえず事情を聞こうと近づくと、

 「今日は味噌!!」
 「しょうゆなの!」
 「・・・・は?」

 拍子抜けしてしまった。なんだそんなことか。安心してその場を去ろうとすると、
 さっきとは別の場所に新しい”気”を感じる。恐る恐るそれを見ると、

 「とんこつに決まってるっちゃーー!!!」
 
 お昼休み中口論はやまず、結局この日は3人ともロケ弁を分けてもらっていた。
 

805 :てと:2004/09/29(水) 23:36

 「今度は何ですか。」
 「漢検。」

 結構前に英検の問題集を持ってきてみんなで玉砕した後、
 今度は漢検を取得したと自慢され再び問題集を買ってみた。

 「・・・知らない方がいい世界ですね。」

 小川さんはそう言って少しだけだらしなく笑う。
 ここで本に気づいた愛ちゃんが近づいてくる。
 それに気づいた5期の残り二人もすぐに集まった。
 どうやらゴングは鳴ったらしい。

806 :てと:2004/09/29(水) 23:36

 コロコロコロコロ・・・・

 鉛筆が転がる音が聞こえる。この前は1つだったけど、今度は4つ。
 全員最初っから諦めてるでしょ?

 「やったー!!」
 「あ〜惜しい〜!」
 「おおまことすごーい!」
 「2連続正解!」
 「あのさ。」

 対照的なリアクションをする4人に僕は冷めた口調で言った。

 「選択肢以外もやろうよ?」
 

 コロコロコロコロコロ・・・

 僕の意見は見事に流され、しばらく数字の書かれた鉛筆がそこらじゅうを転がっていた。

807 :名無し娘。:2004/09/30(木) 01:00
確か5期には漢検2級の人がいたような

808 :名無し娘。:2004/09/30(木) 01:35
川o・-・)<…3級です……

809 :名無し娘。:2004/09/30(木) 08:33
>>807
オレオレ

810 :てと:2004/09/30(木) 21:32

 今日の仕事が始まるまでの、ほんのささやかな談笑の時間。
 僕はよっすぃ〜と石川さんと3人でバカな事を色々話していた。
 
 「あはは!お前バカだろ!」
 バシッ
 「いてー!よっすぃ〜叩きすぎだから!」 
 「やっちゃえー!」

 思えば加入当初、この円の中には後二人いたような気がする。
 別に常にじゃないけど、固まって一緒に話すことがあった。

 「マジで?!」
 「梨華ちゃん無理するな。」
 「嘘じゃないもん!」

 最近じゃこの組み合わせも少し珍しくなってきて。
 よっすぃ〜はしょっちゅう他の楽屋に遊びに行くし、
 石川さんも昔ほどよっすぃ〜にべったりじゃなくなった。
 でも最近少しだけ、前のような仲の良さが戻った気がする。

 「ほらやったうそじゃん!」 
 「なんで〜?!」
 「梨華ちゃん寒い。」

 まるでそれは何かのカウントダウンのように。
 
 永遠にそのときを保ったまま時を止めてしまうのは不可能だ。
 こうなるのは自然な事なのかもしれない。
 だからこの時間を、僕達は大切に胸に刻み付けていく。

 「そろそろ行くよー。」
 『はーい。』
 
 大切に、大切に。
 

811 :名無し娘。:2004/10/01(金) 01:03
・゚・(ノД`)・゚・

812 :名無し娘。:2004/10/01(金) 06:22
てとに初めて泣かされたんで不貞寝します      ・゜・(ノД`)・゜・

813 :てと:2004/10/01(金) 23:32

 ガチャッ。

 「ちーす。」

 暇だったからごっちんの楽屋にお邪魔してみた。
 中に入るとごっちんはちょうどここからは反対方向を向いていて、
 椅子に座っていた。
 近づいていくとどうやらその手には本が握られているようだ。

 「おお、読書の秋?」

 反応はない。よほど本に集中してるのかな?
 更に近づいて、横の床に腰を下ろす。
 なんの本を読んでいるのか覗き込むと、

 「・・・。」

 立ち上がると、ドアの方向へと歩き出す。
 どうやらお邪魔をしてはいけないらしい。

 「昼寝の秋・・・か。らしいな。」

 

814 :てと:2004/10/03(日) 22:26

 「お・・・・・重い。」
 「あ、これもお願いします♪」

 亀井さんと一緒に買い物、基、荷物運び。
 男という理由でよく色んなメンバーから誘われ、その度に荷物を持たされている。
 飯田さんが言うにはメンバーと親交を深めるいい機会らしい。
 加入当初、まだか細い僕をよく連れ回したのはもう忘れた。

 「あ、これ可愛くないですか?」
 「え?ああ、可愛いじゃん。」
 「あ、でもこれもいいな〜・・・。」

 亀井さんはバックを二つ、持ち上げてあれこれ考え出した。
 どっちを買うのか決めかねているらしい。

 「じゃあ〜・・・先輩決めてくださいっ!」
 「え?!」
 「どっちの方が可愛いですか?」

 これもよくあるパターンで、こうなった時は必ずお決まりの台詞がある。

 「どっちを選んでも、持つ本人が可愛いから大丈夫だよ。」
 「それ・・・本気にしますよ?」
 「え」
 「嘘です♪じゃあこっちで。」

 ・・・また遊ばれた。威厳ないなぁ、僕。
 亀井さんはニコニコしながらレジの方へと消えていき、帰って来たときには
 袋を何故か3つも持ってきた。

815 :てと:2004/10/04(月) 18:39

 『よっすぃと××』
 
 吉澤:やけにうれしそうじゃない?
 ××:だってさ〜ずっと出してもらえなかったんだよ?
 吉澤:ああそうだね。一人でしか出てなかったよね確か。
 ××:なんでもあんまし仲いいと誤解されるからってストップかかっちゃってさ。
 吉澤:え〜それはない!誤解とか絶対しないから!
 ××:だよね?でもみんな出てるのに俺だけ出ないなんて凹むし。
 吉澤:あはは、凹む凹む。
 ××:もう誰でもいいから出させてください!って頼みまくったら
    『じゃあ吉澤ならボーイッシュで売っているから大丈夫だ。』
    ってなって
 吉澤:え、あたしの理由ってそんなんなの?
 ××:・・・・・いやいやいやいや!
 吉澤:うわ〜、なんだよそれ〜。
 ××:まあさっきのは冗談だから。
 吉澤:それっぽく聞こえないし。
 ××:見逃して。
 吉澤:あとでジュースね
 ××:はーい。

816 :名無し娘。:2004/10/04(月) 21:35
いいねこれ。うまいね

817 :てと:2004/10/05(火) 17:26

 吉澤:でもさぁ
 ××:うん?
 吉澤:初め入ってこられた時は意味わかんなかったよ。
 ××:あはは。そうだろうな〜。いきなり男だもんな〜。
 吉澤:うちら娘。っすよ?なんで息子だよ!いきなり連れて来たし
 ××:あはは、オーディションなかったもんね。
 吉澤:ね!妹のバックでコーラスとかやっちゃってさあんた。
    『あ、妹よりこっちのが可愛いやん』なんて言ったんだよつんくさん!
 ××:ちょっと!見てるからそれ言っちゃだめ!
 吉澤:でもいくら可愛いからって男は入れないだろ〜!みんな戸惑ったんだよ?
 ××:ごめん。
 吉澤:いや、顔が笑ってるから。
 ××:うっ。
 吉澤:最初男の子入ってくるからってみんな見栄張っちゃってさ。
    掃除し出したりして。
 ××:そういえば初日だけ楽屋きれいだったような。
 吉澤:だけは要らないから。
 ××:ごめん。
 吉澤:また笑ってる。
 ××:ぶっ。

818 :てと:2004/10/06(水) 20:41

 ××:でもこっちだって大変だったんだよ?
 吉澤:うん。
 ××:好きだったモーニング娘。っていうグループの一員になってさ
 吉澤:うん。
 ××:男なのに。
 吉澤:うん。
 ××:楽屋入ったら憧れてた人とかが普通な顔しているんだよ?
 吉澤:まあ、そうだねー。
 ××:よっすぃ〜なんかかなり顔作ってたけど。
 吉澤:えぇ?!そんなことないって!
 ××:いやあるって!すげーすましてたもん!
 吉澤:まあそりゃ男の子が入ってくるからすましたりするよ。
 ××:そうなのかな?でさ、どこ見てもどこ見ても誰かしらいるし、
    なんか緊張しちゃうし。こっちが意味分かんない!みたいな。
 吉澤:じゃあなんで入ったんだよ。
 ××:それ言われちゃおしまいでっせダンナ。

819 :てと:2004/10/07(木) 20:57

 吉澤:最初大変だったよね。
 ××:うん。みんなにも沢山迷惑かけた。
 吉澤:ソロパートとか最初ゼロだっけ?
 ××:だってファンの人と一緒に叫ぶわけにもいかないし。
 吉澤:あはは、そりゃそうだ。
 ××:じゃんけんぴょーん!
 吉澤:キモいから。
 ××:ごめん。

 吉澤:ダンスもひどかったよね、マジこいつ才能ねぇって思った。
 ××:まあ今もひどいけどね。
 吉澤:自分で言わない。
 ××:はい。
 吉澤:歌ももっぱらコーラスだったよね。
 ××:うん、それで入ったよーなもんだし。
    でも無理やり俺のソロを入れるのもどうなのかな、って悩んだ時もあったよ。
 吉澤:悩んだといえば身長!
 ××:お互い様。
 吉澤:まあね。あんたちっちゃかったな〜。可愛かった。
 ××:でっかくなったら卒業だとか言われて毎晩眠れぬ夜を過ごしましたよ。
 吉澤:あはは、かわいいー。
 ××:うるさいな〜。

820 :てと:2004/10/08(金) 17:18

 吉澤:これから大変だよね。
 ××:よっすぃ〜サブリーダーだもんな。
 吉澤:ないようなもんだし。
 ××:副キャプテン。
 吉澤:部活みたい。
 ××:俺達ある意味部活みたいなもんだからな
 吉澤:だよね〜。
    さくらおとめがクラス、新メンバーが新入生、
    美貴ちゃんは転校生、あんたは忍び込んできた他校の生徒
 ××:なんか俺だけひどいな。でもうまい。
 吉澤:あたしと矢口さんは留年生(笑
 ××:すみませんここまずそうなんでカットを
スタッフ:(笑)

 吉澤:こんなに二人で話したのはじめてかもね。
 ××:そうだね。こんな長時間は二人で話さない。
 吉澤:二人きりでどっか行くのだって稀だもん。
 ××:てかあったっけ?
 吉澤:・・・・・ないかも。
 ××:あはは、まあ今度またどっか食べに行こうよ。
 吉澤:ここ来る?
 ××:ここかい!

 二人ゴト。『よっすぃと××』終わり

821 :名無し娘。:2004/10/09(土) 12:08
二人ゴト面白かったよ
メンバー情報のリークとか、いくらでも話を続けられそう

822 :てと:2004/10/09(土) 18:28

 楽屋の前で二人ほど騒いでいる人がいた。
 矢口さんと保田さんが色々話している。とりあえず、そのせいで通りにくい。

 「う〜ん、それもなんか違うよ〜。」
 「そうかな〜。じゃあ矢口もなんか意見出してよ。」
 
 なんの話をしているのだろう。耳を傾けると、矢口さんが手を叩いて、

 「スポーツの秋!」
 「よし!」
 
 二人がそんな意見で合致するとは思わなかった。
 なんだか二人とも笑いながら楽屋に入った。多分ボールを取りに入ったのだろう。
 なんとなく入りにくかったから、二人が出てくるまで待った。

 でも暫く待っても出てこないから、しょうがなく僕はドアを開けた。

 ガチャッ

 『わ!!』
 「うわ!!!」

 いきなり驚かされて僕は後ろにこけてしまった。それを見てゲラゲラ笑う二人。
 
 「ドッキリの秋〜♪」
 「そ・・・。」
 『そ?』
 「そんな秋あるかー!!!」
 「マジギレの秋〜♪」

 そのあとの追いかけっこで、次の日保田さんだけ筋肉痛になったという。

823 :てと:2004/10/10(日) 20:50

 「あ〜〜!!このために生きてるっちゅうか〜♪」
 「もっと飲むべぇぇ〜!」
 「わらしらってりーらーたいへんらったのよ〜!」
 「あの〜・・・皆さん。」

 なんていうか、置いていかないでください。
 
 中澤さんと安倍さんと飯田さんのいわゆるオリメンの人達と帰り道
 たまたま会って無理やり引っ張られて2時間。
 まさかこんなに豹変されるとは思いもしなかった。
 しかも僕は一応まだ未成年だから公共の場でお酒を飲むわけにもいかない。
 トランスした3人に酒を飲まされかけては止め、飲まされかけては止め、
 その繰り返しのループ。

 「ほらほら〜たまにははめを外すもんだべ〜♪」
 「いや、まずいです。」
 「ええねんええねん心配せんで。」
 「え?」
 
 中澤さんの言う事がいまいち分からず、聞き返す。
 でもすぐに聞き返した事を後悔した。

 「どーせお前の年齢がいくつとか、知っとる一般人なんかおらんもん。」

 その日の夜、分かっていながら枕を少し塗らしそうになった。
  _| ̄|○

824 :てと:2004/10/11(月) 18:57

 「あれ?ない!」

 いきなり大声を上げたのは紺野さん。すごい形相で楽屋内をうろついている。
 その体から発せられる殺気で誰も近寄れない。
 まずいな、と感じた僕は勇気をもって話しかけた。

 「ど・・どうしたの?」
 「ケーキが無いんです!机の置いておいたのに!」

 そりゃ、この部室でケーキなんか置きっぱなしにしてたら・・ねぇ?

 紺野さんは少し黙り込んだ後、思いついたような表情で辺りを見回し、

 「まこっちゃん、口にクリームついてる。」
 「え?!そんなはずは」
 「犯人!」
 「あ!!」

 紺野さん上手いな・・・。
 でも小川さんも簡単に引っかかりすぎ。

825 :てと:2004/10/12(火) 21:17

 「ホットマンいいよね〜。」
 「ああ面白いですよね〜。」

 矢口さんとドラマ談義。
 各クール最初になるとみんなでこれがどーだとか色々話したりしている。
 メンバーやハロプロの誰かが出たりすればとりあえず1話から見て色々話す。
 
 「主題歌またEXILEですよね。」
 「そーそー。Together良かった〜。」
 「あれはいい曲ですよね。」
 「よーし、おいらもEXILEみたいなユニットを新しく作るかー!」
 「え?!」
 「ダンスと歌の融合ってーかな?今ユニットないしー。」 
 「え、でもZY」
 「何か言った?」
 「いえ、何も言ってません。すみませんでした。」

826 :てと:2004/10/13(水) 18:30

 ぴたっ。

 さっきまで勢いよく走っていた鉛筆の音が消える。
 そして間もなくして唸るような声が楽屋中を駆け巡る。

 「どうしたの?」
 
 たまらずに聞くと、道重さんは首をかしげて、

 「ここなんですけど〜、分かりますか?」
 「えっと・・・。」
 
 道重さんが指差したのは数学の問題集の1ページ。
 少し寒気がした。どうやら二次方程式のようで、記憶を必死に手繰り寄せる。

 「えーーー、・・・ごめんわかんない。」
 「えーーー!」
 「どうしたんれすか?」

 遊びに来てた辻ちゃんが覗き込んでくる。あの、無駄だと思うんだけど・・・。

 「ああこれはここをこーして・・・・こうなのれす。」
 『・・・・合ってる』 
 「じゃあね〜。」

 帰っていく辻ちゃんの背中には「奇跡」の二文字が浮かんで見えた。

827 :名無し娘。:2004/10/14(木) 17:14
さすがののさん。数学は得意なんだよな

828 :てと:2004/10/14(木) 21:13

 今日のスタジオ入りはかなり早朝で、そのせいで外も結構寒かった。
 僕はそれなりに厚着をして家を出た。

 電車を降りてスタジオまで歩く。その途中で愛ちゃんと会った。

 「愛ちゃんおはよう・・・どうしたの?」
 「極寒ですわ〜・・・。」

 体をぶるぶると震わせて、でもこれと言った厚着をしていないためかなり寒そう。
 でもそのリアクションは少しオーバーに感じられた。

 「大袈裟だよ。」
 「軽く暖房つけて寝たつもりが冷房で切りタイマー押し忘れました・・・。」

 もう暖房って・・・。なんてことはどうでもよかった。
 あまりに寒そうな顔をしている愛ちゃんを見殺しにするほど僕はひどい先輩じゃない。
 着ていたコートを脱ぐと、愛ちゃんの肩にかけた。

 「え、いや、いいですよ!!」
 「俺そんな寒くな・・ハクシュンッ。」
 「あはは、ほら〜。」
 「ははは。」

 なんだか笑っているうちに体がぽかぽかと暖まって、なんとかスタジオにたどり着けた。

829 :てと:2004/10/15(金) 22:58

 疲れたとき、僕はいつも深呼吸をするようにしている。
 深く息を吸って吐くと、なんとなくストレスが抜けていくような感覚がして気持ちがいい。
 しかしこの日は、

 「な〜にため息ついてんだべ?」
 「え?」
 「この曲聴いたらそんな気はなくなりますっ!」
 「え?え?」 
 「まあとりあえず聞いてよ。」

 後浦なつみの襲撃。その片手にはヘッドフォン。
 無理やり僕の頭に押し付け、流す。
 
 「ちょっ、やめ、別にため息じゃなく・・・・て。」

 やっぱり改めて聞くとインパクトがある。3人の表情を見て、

 「あ、そのなんかすみませんでした。」

 

830 :てと:2004/10/16(土) 20:17

 すー、すー、と鉛筆で何かを描いているような音が聞こえてきた。
 滑らかなその音の主を探ると、一人の画伯が目に入った。

 「亀井さん。」
 「はい。」
 「絵描いてるの?」
 「はい!」

 話しながら、こっちと度々目を合わせつつも大体は紙を見ていた。
 何を描いているのだろう。気になって覗き込もうとしたけど、

 「・・・何?」
 「これは絵里にだけ分かればいいんです!」

 何故か笑顔で答える亀井さん。そのまま作業に戻った。
 
 やっぱりちらちらと視線を感じたけど、気のせいかもしれない。

831 :てと:2004/10/17(日) 21:33

 夕ご飯、小川さんと紺野さんは今日もガツガツと食べていく。
 その量は他のみんなと比べて明らかに多くて、
 僕よりも多いくらいだ。

 「食べるねぇ。」
 「源ですから!」
 
 紺野さんはそう答えた。

 「動力源です!」

 小川さんはそう答えた。

 「ガソリン入れすぎで膨張。」
 「藤本さんそのツッコミえぐい!」

832 :てと:2004/10/18(月) 21:13

 寒い風が道を吹き抜けてゆく。体の震えを感じた。
 
 「寒ぅ〜・・・。」

 手を擦り合わせてどうにか暖めようとするも、全然暖かくなる気配がない。
 風は止まない。
 身を震わせながらも手を擦り続ける僕を見て、安倍さんはしょうがないな、と笑顔を浮かべると、

 「ちょっとあげるべ。」

 安倍さんは僕に飲みかけのコーヒーを差し出した。

 「え、いいんですか?」
 「そんな寒がってる後輩を放っておけないっしょ。」
 「じゃあありがたくいただきまーす。」

 缶コーヒーを手に持つとそれだけで充分暖かかった。
 安倍さんの優しさとぬくもりも詰まっている気がして嬉しかったけど、

 「あ、でも間接キ」

 サッ。

 「あ!!」
 「はいもう時間は終わりだべー。」
 「まだ飲んでません!」
 「ゴクゴクゴクゴク・・・・・ぷはー。」
 「あー!!!」

 一気飲みした安倍さんは少しだけむせると、少しだけ赤みの帯びた頬を隠すように
 マフラーを巻き直した。

833 :てと:2004/10/19(火) 18:50

 「(『CAROLS』だよきっと)」

 よっすぃ〜が聞こえないくらいの声で囁く。
 僕は首を傾げると答えた。

 「(え〜、『Swallowtail butterfly』っぽいっすよ。)」
 「(なんだっけそれ)」
 「(愛の唄。YEN TOWN BUND。charaさんが歌ってた)」
 「(あーあれか。)」

 僕らが議論しているのは、石川さんが今MDを聴きながら歌ってる鼻歌。
 普通に考えて最近の『CAROLS』が有力だけど、どうだろう。音が安定してなくて、
 どっちとも近いし遠い。

 「(あれ、転調した)」
 「(こんな展開じゃないよね?)」
 
 混乱してると、石川さんがいきなりこっちを向いた。
 
 「浪漫!!」
 『え?!』

 ありえねぇ、僕もよっすぃ〜も固まったまましばらく動けなかった。 

834 :てと:2004/10/20(水) 21:36

 久しぶりのこの味、この感触。でも今は味わっている暇がない。
 ただひたすら掻き込む、それだけ。
 横のチャンピオンは圧倒的なスピードの持ち主だ。想像を絶する速さで、
 あっと言う間に体の中へと消していく。
 彼女の胃袋は宇宙なんだろうか。
 考える暇があったら食べろ、脳が体に命令して、僕はまたスピードを上げた。

 でもチャンピオンは強かった。
 僕が残りあとわずかのというところで箸をおくと、爪楊枝を器用に使って
 歯を掃除していた。

 「はい、390円。さっさと出すのれす。」
 「はい・・・。」

 僕は辻ちゃんに指定された額のお金を渡すと、二人で松屋をあとにした。
 

835 :名無し娘。:2004/10/20(水) 22:20
辻ちゃんの口調があれだが……ワロタ

836 :てと:2004/10/21(木) 21:51

 保田さんが鏡の前で色んな表情を造っている。

 「お化け屋敷でも始めたんですか?」
 「違うわよ!失礼ね!演技力向上のためにいろんな顔してんの。」
 「へぇ〜。」

 色々やってんだなぁ、と感心していると、

 「やってみる?」
 「じゃあせっかくなんで。」

 メイク室、たくさん並ぶ鏡の前に座る。喜怒哀楽を順に表現するように、
 色々な顔を・・。
 
 「ぷっ。」
 「笑わないでくださいよ。」

 意外と難しいもんだ、特に喜と楽なんかあまり瞬間的には作りにくい。
 台本があって、その流れに沿って感情移入はできてもこういうのはきついかもしれない。
 
 メイク室にメンバーの一人が入ってきた。僕の横に座ると、鏡に映る僕を見た。
 少し考えるようなそぶりを見せると、横で思い切り顔を潰した。

 「ぶっ!」
 「勝ったー!ってあれ?」
 「石川!あんたなんなのよ!」
 「なによなんなのよ!、ってじゃなくって、福笑いじゃないんですかぁ?」
 『違うから!』

 僕らは思わず石川さんを『怒』のトレーニング材料にした。

 不覚にも石川さんに笑わされたからでは決してない。

837 :てと:2004/10/22(金) 21:39

 仕事が終わりいざ帰ろう、という時に愛ちゃんに声をかけられた。
 帰りの電車も途中まで同じだから一緒に帰ろうということなのだろう。
 でも愛ちゃんの様子はいつもと違っていた。

 「あの、その〜・・・。」
 「?」

 何か言おうとしているんだけど、言えない。そんな感じがすごく伝わってきた。
 電車の中でもいつまでもそんな様子で、もじもじしていたから、

 「どうかしたの?」
 「え?!あの〜、ちょっと〜、・・・・すごく言いにくいんですけど。」
 「何?言ってみてよ。」
 「う〜んと・・・・これ見て何か気づきません?」

 高橋さんは足の間に置いてあった鞄をドンと膝の上に乗せた。かなり大きい。
 僕の勘が悪いのか、それが意味するものが分からなかった。

838 :てと:2004/10/22(金) 21:39
 「先日の、台風23号で・・・上の部屋の人が窓開けっ放しでどっか旅行行ってたみたいで
  部屋に水が大量に入り込んでうちの部屋の天上から水がいっぱい垂れてきて
  復旧作業中で住めないんで泊めてください!                   」
 
 一度口が動き出すと早い。僕は高橋さんの言葉を全て理解するのに少しだけ時間がかかった。

 「・・・・うちに?」
 「はい。だって一人暮らしなのに部屋多いじゃないですか。」
 「まあ・・そうだけどさ。」

 他のメンバーと比べて僕の部屋は大きい。人一人寝るための場所は充分すぎるほどあるけど・・・。

 「ホテルは?」
 「お父さんとお母さんはホテルです。ただし福井の」
 「いやそうじゃなくて・・・」
 「長くなるとお金たくさんかかるやないですか。」
 「・・・分かった。いいよ。おいで」
 「やったー!」

 なんか何言っても無駄そうな気がした。色々と問題があると思うけど・・・。
 まあ数日間だけだし、ね?
 

839 :名無し娘。:2004/10/22(金) 23:38
友達のとこに泊まりなさい

840 :名無し娘。:2004/10/22(金) 23:46
つづけ!

841 :てと:2004/10/23(土) 18:39

 「か、帰ろうか。」
 「はいっ!」

 慣れない。当たり前だけど慣れない。
 昨晩はベッドを明け渡して僕は隣の部屋に布団を敷いて寝たけどどうも落ち着かなかった。
 普段寝ない所で、ってのもあるし、久しぶりに・・・ってのもある。
 仕事に行きやすい距離、充分なスペース、僕の家は確かに止まるにはもってこいなんだろうけど、
 色々問題があるような気がする。

 帰り道、すぐに背後に気配を感じた。後ろを振り返るとそこにいたのは他の5期メン。
 
 「なんでいるの?」
 「愛ちゃんが広いって言ったから。」
 「あ・・・そう。」

 それは否定しない。確かに広めだ。

842 :てと:2004/10/23(土) 18:39

 「一人暮らしなのに部屋多いですよね〜。」
 
 口を開けてぽかんとする小川さん。キョロキョロ部屋中を舐める様に見ては
 移動を繰り返している。

 「2LDK・・・確かに多いですね。」
 「愛ちゃんは先輩の部屋使ってるんですか〜。」
 「片方の部屋はギターとか置いてあるんだよ。」

 僕の説明に3人は興奮して、今の僕の寝どこへ。
 
 『おお!』

 自分で買ったもの、頂き物など、たくさんのギターを前に3人は目を丸くした。
 
 「これが初めて買ったやつ、これが始めての給料で買ったやつ、
  これがつんくさんにもらったやつ・・・・・。」
 「なんか弾いてくださいよ!」
 「え?」

843 :てと:2004/10/23(土) 18:39

 新垣さんにいきなり不意打ちを食らった。

 「何を?」
 「えっと〜・・・君はぁ〜もう♪忘れたかしら〜♪」
 「やだよ。」
 『うわ!』

 突然の地震で全員バランスを崩す。愛ちゃんはボーっとしてたのか転んでしまったみたいで、
 僕は近寄ると手を差し伸べた。

 「すみません・・・。」
 「帰れって言ってるみたいだよ、地球が。」
 『えー!』
 「危ないから帰れません!」
 「帰っちゃだめって言ってるんですよ!」
 「ていうかいっそ泊めて下さい!」
 『え?!』

 結局負けてこの日は泊めることになった。愛ちゃんの服を借りたりで無理やりやりくり。

 ・・・俺の寝場所は?

844 :てと:2004/10/24(日) 17:54

 オフの日の晩御飯。基本的に作ったりコンビニで済ませたり、だけど流石に
 コンビニで済ますのもまずそうだ。

 「何作ろうかな。」

 冷蔵庫を漁っていると、部屋から出てきた愛ちゃんと目が合う。

 「あ、あたしが作ります!」
 「大丈夫?」
 「最近練習してるんで!」
 「じゃあお願いしちゃおうかな。何がどこに入ってるか分からなかったら言ってね」
 「はい!」

 愛ちゃんはいそいそとキッチンへと向かっていき、僕は入れ違いで外へと出る。
 ついでにその時エプロンを渡す。
 これぞ愛のエプ・・・寒いな。

 「熱っ!」

 お湯が少し触れたのか、指をくわえている。大丈夫かな・・・。

845 :てと:2004/10/24(日) 17:54

 出された料理はこの季節に嬉しいクリームシチュー。
 それにサラダが横に顔を並べていた。見た目は大丈夫。さてお味は・・・。

 パクッ。

 「どうですか?」
 
 愛ちゃんは大きな目でじーっと僕の顔を見つめている。
 僕はスプーンで使えない右手の代わりに左手でOKサインを作った。

 「・・よかった〜。」
 「意外と美味しい。」
 「意外は余計ですよ。」

 口の中が空になった所でコメントをすると、愛ちゃんは不満そうに顔を膨らませた。

846 :てと:2004/10/25(月) 20:30

 「お風呂どうぞ。」
 「はいっ!」

 愛ちゃんに先に風呂に入ってもらい、僕は食器を片付けた。
 今日まで3日、同居してるけどどうやら感づかれてはいないらしい。
 小川さんと紺野さんに突っ込まれた時は焦ったけど・・・。
 
 「♪」

 風呂場のほうから気持ちのいい鼻唄が聞こえてくる。
 ・・・言う必要もないか。

 3日目だけどまだ布団に慣れきらない。色々慣れない事が重なってあんまり
 しっかりと睡眠が取れている気がしなかった。今日も寝付けそうにない。

 ごそごそと布団を這い出ると、1本のアコギを拾い上げる。
 眠れない夜は眠らない夢を。僕は静かに旋律を奏でた。すると、

 ―――ひとりぼっちで少し退屈な夜♪
 
 壁越しに聴こえる、小さな歌声。少し驚いたけど、僕はそのまま弾き続けた。

 ―――私だけが淋しいの?Ah Ah♪

 二人きりの静かなセッションは、夜の間ずっと響いた。

847 :てと:2004/10/26(火) 18:36

 「あ〜美味かった。」
 「ホント。」

 よっすぃ〜と晩御飯をいっしょに食べた。二人ゴトでのちょっとした会話が、
 まさか本当に実現するとは思わなかった。僕達はこの間収録のあったお店で
 おなかいっぱい食べると、帰り道も楽しく話しながら歩いた。

 「で、今度さくらの曲が」
 「あ!!!」
 「どしたの急に。」

 さくら、と言われて僕はとんでもない事を思い出した。まずい。
 
 「え、もしかして。」
 「そのもしかして!!」

848 :てと:2004/10/26(火) 18:36
 慌てて駆け出す。全速力で家まで。

 家の前に着くと、そこには誰もいなかった。

 「・・・あれ?」

 鍵穴に鍵を差し込んで開ける。しかし扉は開かなかった。
 
 「?」
 
 もう1回。ガチャッ。確かに鍵が開く音がした。でもドアノブに手をかけた瞬間、
 ガチャッ、という音が聞こえた。・・・・・。

 ピンポーン♪

 『はい。』
 「ごめんなさい、申し訳ございませんでした。』
 『・・・今開けます。』

 どうやら管理人さんに妹だと偽って開けてもらったらしい。
 でも何も知らずに帰ってきて誰もいなかったから愛ちゃんはかなりご立腹。
 結局この日はひたすら誤り倒した。
 
 

849 :名無し娘。:2004/10/27(水) 01:25
誤り倒してますな。

850 :てと:2004/10/27(水) 18:05

 愛ちゃんの家のマンションが復旧した。
 報告が入ったの時にはもう夕食を作っている最中だったから、とりあえず今日までは
 うちに泊まるということで話がまとまった。明日のオフに、愛ちゃんは家に帰る。

 『いただきます』

 家で誰かとご飯を食べるのは久しぶりだったけど、今日で終わり。
 なんかまた寂しくなるな、なんて思いながら僕はカレーを口に運んでいた。
 ふと愛ちゃんを見ると美味しそうにカレーを食べていてくれて、なんだか嬉しかった。

 食事が終わったあと食器を洗い、一段落着いた所で僕達はソファの上でくつろいだ。
 どうでもいい話なんてしながら、リラックスして。そしてある時会話が一瞬、途切れる。
 愛ちゃんはまるでその沈黙を待っていたみたいに僕を見た。

 「あの。」
 「何?」
 「先輩のベッド、どう考えても1人用やないと思うんでけども。」

 遂に気づかれた。いや、遂にではないと思う。きっとずっと気になっていたけど、
 敢えて言わなかったんだろう。
 僕は思わず溜息を着きそうになって、なんとか飲み込んだ。冷静に、話そう。全部。

851 :てと:2004/10/27(水) 18:06

 「昔ね。・・・住んでたんだよ、彼女と。」
 「え・・。」
 「今はもう別れたけどね。あのベッドはずっと、捨てられなくて。」

 あのベッドだけじゃない。捨てても忘れられないのは分かっているから、元カノの
 匂いがするものを僕は捨てる事ができずにいた。未だに、僕の家の中で眠っている。
 愛ちゃんは少しだけ震えながら、ゆっくりとした口調で言った。

 「それって・・・メンバーの誰かですか?」
 「ううん、違うよ。それはない。」

 その言葉を弾みに、ふと頭の中に過去の出来事がよぎる。僕はなんて弱い人間なんだろう。
 回想は僕の涙腺を刺激するには、充分過ぎるものだった。
 僕は顔を落すと、左手の掌で顔を覆った。 

 「・・・・先輩失格だな・・・・後輩の前で・・・涙なんか流しちゃって・・・。」
 「そんなことないですよ。」 

 突然右手にぬくもりを感じた。びっくりして歪んだ視界の中右手に視線を移すと、
 愛ちゃんの両手に優しく包み込まれた右手がそこにはあった。
 少しの間、忘れていた感触。愛ちゃんはもう1度僕を見た。

 「ごめんなさい・・・あたしは思いださせた。だから・・せめて・・・・
  でも・・あたしに出来るのはこれが精一杯です。          」
 「・・・・ありがとう。」


 次の日早朝、朝ご飯を食べた後愛ちゃんは笑顔で出て行った。
 僕は少し腫れて一重になった目を撫でながら、ゆっくりと手を振った。

852 :名無し娘。:2004/10/28(木) 12:00
僕のキャラが立ってきていい感じ

853 :名無し娘。:2004/10/28(木) 19:40
んで、結局高橋とは、やったの?やらなかったの?

854 :てと:2004/10/28(木) 21:37

 「よかったぁ〜・・・。」

 小川さんがそっと胸を撫で下ろすと、少しの雑談の後電話を切った。
 一息つき、少しするとまた電話をかける。その繰り返し。
 一通り電話を終えたのか、小川さんは携帯をしまうとぽかんと口を開けて畳の上に転がった。

 「あ・・・・。」
 「?なんですか?」
 「いや、なんでもない。」
 「?変なの。」

 言おうと思った言葉を飲み込んだ。
 何を言わなくてもみんな想っている。小川さんもそれを知っていると思ったから。
 僕の顔を見て小川さんは少しボーっと考えると、口元が緩んだ。
 
 「ありがとうございまーす。」

 ほら、メンバー同士は見えないけど暖かい何かで繋がっている。

855 :てと:2004/10/29(金) 21:52

 『続いては――』

 ゲストの紹介が行われ、テンションの大して上がらないトークが繰り広げられる中、
 フレームを外れた場所で僕は矢口さんと雑談をしていた。

 「紺野さん頑張りましたね。」
 「緊張してたけどな。よくやったよー。」
 『それでは曲のほうに――』
  
 パチパチパチ・・・・。

 拍手が聞こえて、慌てて拍手をする。

 「あとはファンのみんなの前で」
 『矢口はどうなの?』 
 「え、あ、はい!」
 「ぶっ。」

 急に振られた矢口さんは慌ててマイクを取って、横の僕は思わず笑ってしまった。

 「笑わないでよー。」
 
 矢口さんはそう言って笑いながら、タモリさんに精一杯応対をした。

856 :てと:2004/10/30(土) 18:16

 「こんなのどうですかぁー?」
 「いやいや、先輩はこっちが似合うっちゃ。」
 「こっちの方が絶対可愛いの。」

 3人はそんな事を言いながら、そこら中の商品を持ってきては僕の体に重ね合わせてくる。
 ホント、なんでこんなもん売ってんのかな〜?

 「いやいいから、自分で選ぶよ。」
 「えー、絵里が選ぶんです!」
 「れいなが!」
 「やっぱりこれが一番可愛いの。」

 3人とも「私が私が」と競うように明日のための“ブツ”を選び続ける。
 どれもこれも奇天烈なものばかりでいやになるけど、変なら変なほどウケるのも事実。
 あとはいかに年甲斐性もなく変なものを選べるか、だけど・・・。

 「これにする。」
 『えーー!』

 明日、みんなの反応はいかに。

857 :名無し娘。:2004/10/31(日) 12:09
ハロウィンか。
娘たちの仮装パーティー見たいなあ。

858 :てと:2004/10/31(日) 19:03

 「よし行きましょうか。」

 くじ引きでハロウィン部長となった小川さんを先頭に、怪しい服に身を包んだ軍団は
 静かに楽屋を出た。ただ単に色んな格好をして仮装パーティーをするのもよかったけど、
 今回は楽屋に押しかけてアメリカと同じ様なスタイルで決行することになった。
 『中澤裕子様』と書かれた楽屋の前に立つ。
 
 「行きますよ。」

 小川さんの声を合図にドアを開けると、突入した。

 『trick or treat!!』

 部屋に飛び込むも、誰もいない。みんな呆気にとられて楽屋中を見回した。

 「作戦変更!中に隠れて戻ってくるのを待ちます!」

 その声を聞くと同時に、一人場違いにピンクのフリフリを着た石川さんが(本人曰くシンデレラ)
 衣装ダンスを開けると、

859 :てと:2004/10/31(日) 19:03

 「おらぁぁ!!!」
 『キャーーー!!!』
 
 飛び出してきたノーメイクで骸骨衣装の中澤さんと、吸血鬼の保田さん。
 逆にドッキリをされた僕らは思わず大声を開けて逃げ出した。
 一番ドアに近かった猫耳肉球の田中さんが真っ先にドアを開ける。しかし、

 「わっ!!」
 「あ!後藤さんそれすごく可愛いです!」
 「え?!」
 
 予想外のリアクションに戸惑う声。
 真っ黒い悪魔の格好をしたごっちんがそこには立っていた。
 横にいるのは顔が隠れて誰だかよく分からないけどスクリームの仮面をつけている。
 そして一人遅れて現れた。

 『ジェイソン!!』

 一人姿が見られなかったと思ったらこんなところに。長身のジェイソン。
 迫力のあまり何人か僕にしがみ付き、でもすぐにびっくりして左右に散る。

 『ボブサップ!!』

 もう誰が誰だか分からない。大騒ぎになった楽屋。
 全員ワケも分からず喚き散していると、

 ガチャッ

 「あんたたち、何やってるの!!!!」
 「うわぁぁぁ!!!!」

 顔面にパックをつけて真っ白になっていたマネージャーが、
 『第一回ハロウィン仮装大賞』となった。

860 :てと:2004/11/01(月) 20:49

 「たな・・・か!!」
 「よっ!亀井!!」
 「ほっ!」

 繰り広げられる激しい戦い。でも負ける気はない。よっすぃ〜は確かに強敵だけど、
 負けられない。

 「いい・・・だ!!」
 「おっと!ダニエル!!」

 決まった、そう確信した瞬間、

 「ルル!!」
 「ル〜?!えっと・・・えっと・・・・・あ。」

 つま先の本当に先と激突したボールはよっすぃ〜の方へと飛んだ。
 よっすぃ〜はそれを華麗にインサイドでさばくと、キャッチした。

 「おごりね。」
 「負けたー!!よーし、次のお題はサッカー選手だ!!」
 「これ以上やったらおごりの本数越えるよ?」
 「・・・すみません。」

861 :てと:2004/11/02(火) 18:38

 楽屋でギターの練習をしていると、飯田さんが近づいてきた。
 今楽屋は二人だけ。飯田さんは優しげな笑顔で僕に手を伸ばした。

 「貸して。」
 「どうぞ。」

 慎重にギターを渡すと、飯田さんは肩にかけてゆっくりと弦を弾き始めた。
 しばらくして口ずさみ始めたのは聞き覚えのある曲。でも英語だった。

 「・・・カーペンターズですか。」
 「うん、最近覚えたんだ。」
 「I'm on the top of the world looking♪でしたっけ。」
 「ん、そんなところ。」

 軽やかかつ爽やかなストロークの飯田さんのギターは、聴いていてなんだか癒された。

862 :てと:2004/11/03(水) 17:38

 難しい顔をした大人のあなたは、とても深刻な表情で。
 まるで、人生において重大な局面を迎えているかのように、悩んで。
 それでも誰にも話さずに抱え込んで。
 僕は話しかける以外に選択肢はなかった。

 あなたは僕が差し伸べた手に対しても難しそうな顔をしましたね。
 その顔は本当に辛そうで、見ている僕も辛くて。
 でも遂に、あなたは口を開いた。
 とても言いにくそうに、でもはっきりと。

 「今晩赤ワインと白ワインどっちがええかな?」
 バタンッ!!
 「あ!なんで行くん!待って!待って!!」
 
 姐さん、僕はもう疲れました。

863 :名無しちゃんいい子なのにね:2004/11/04(木) 02:10
>>861

|◇´)つ<「卒業」のほうやろ?

864 :てと:2004/11/04(木) 18:32

 「う〜ん・・・。」

 不意に聞こえてきた声の方向を騒がしい楽屋の中必死に探す。
 声の正体は紺野さんだった。肩を片手で抑え、首を回したりして少しだけ
 辛そうな顔をしている。

 「どうしたの?」
 「なんか肩が凝っちゃって・・・。」
 
 紺野さんの手をどけて肩をもんでみる。
 かなりガチガチに硬くなっていてびっくりした。
 
 「あ、いいですよ先輩!そんなわざわざ。」
 「センターで色々大変だろ。陰で踊ってる先輩に任せなさい。」
 「もう。」
 
 観念して抵抗をやめた紺野さん。
 こんなカチンコチンになってるのを知ったのに見過ごすなんてできない。
 僕はゆっくりとマッサージを開始した。
 肩をゆっくりと揉み解し、首へと移行していく。

 「ホント、すみません。」

 紺野さんは終止謝りっ放しだった。

 マッサージ中ずっと、
 後ろで何故か亀井さんが腕立て伏せをしまくっていたけど、その意図はよく分からなかった。

865 :名無し娘。:2004/11/04(木) 23:34
腕立て伏せワラタ

866 :名無し娘。:2004/11/05(金) 12:46
亀ワラタ

867 :てと:2004/11/05(金) 20:38

 すー、すー。

 静かな寝息が静かな楽屋を流れるように渡っていく。
 年末に向けて少しずつ忙しさが増す中、みんな疲れが溜まっているみたいだ。
 寝息の根源を探そうと一人一人を見ていくと、すぐに誰のものだか分かった。
 
 僕は彼女にゆっくりと近づくと、壁にもたれ掛かって僅かな休み時間の浅い眠りを
 楽しんでいるその姿を見て、少しだけ悪戯をしたくなった。
 
 「(いくつになってもこれだから・・・。)」
 
 自分の事ながらちょっとだけおかしくなる。僕はちょいちょいっと悪戯をすると、
 何食わぬ顔で元いた場所に戻った。

 新垣さんが前髪の変化にものすごくテンパっていたのはその数分後の事だ。

868 :名無し娘。:2004/11/06(土) 12:19
イイネー    

869 :てと:2004/11/06(土) 22:41

 本番前。いつものように手鏡を持って、道重さんが自分の顔を見ていた。
 いつもならこの後「うんっ!今日もかわいい!」って言って石川さんが対抗して・・・
 でも今日はいつもと様子が違った。

 「うん?」

 ガクッ、とその場で道重さんの声を聞いた全員がこけそうになる。

 「どうしたーしげさん、今日は可愛くないのか?」

 矢口さんが問いかける。道重さんはすごい悩んだ顔をして、

 「いや可愛いのは確かなんですけど、ちょっと今日目が2ミリほど腫れてるみたいで・・・。」
 『2ミリ?!』
 「いや分かんないから。」

 呆れながらもツッコミをしっかり入れる藤本さんも藤本さんだ。

870 :名無し娘。:2004/11/07(日) 01:45
顔の2mmは結構影響出るよー

871 :てと:2004/11/07(日) 21:34

 楽屋でメールを打っていたら楽屋に残っているのはいつの間にか僕一人になっていた。
 携帯をしまってバックを取り、いざ帰ろうとしたとき、

 ガシッ

 壁から姿を現した手に足をつかまれた。

 「うわ?!」

 よく見るとそれは幽霊とかじゃなくて、

 「どーもーエリザベスきゃめいでーす。」
 「・・・亀井さん、どうしたの、道重さんと帰ったのかと思った。」
 「ちょっとこっちに来てみる気はありませんか?」

 隙間から紙を一枚、亀井さんは取り出した。そこには何故か『入部届』
 
 「・・・・何部?」
 「隙間部。」
 「・・・・お疲れ様ー。」
 「あ!!先輩待ってください!!隙間部員部員番号3番になってください!」
 「2番いるの?!」

 じゃれ合っているうちに気がつくと時計は7時を告げていた。
 

872 :MONIX ◆h6RjqrC4Ko :2004/11/08(月) 03:00
久しぶりにこのスレ覗いたけど、てとさん
相変わらず高クオリティでがんばってますなぁ〜
これからもこの調子でがんがってください!

873 :てと:2004/11/08(月) 21:28

 ルーレットが当たりを告げると、ジュースがもう一本、出口から顔を出した。

 「お、・・・でもそんな飲みたくないなぁ。」

 2本のジュースを手にスタジオに入ると、ばったりごっちんに会った。

 「あ、ごっちん。おはよー。」
 「おはよー。どうしたのそのジュース。」
 「ああ、これ。当たりだって。・・・そうだ、あげるよこれ。」
 「え、いいの?サンキュー。」

 ごっちんの手に渡すと、ごっちんはニコニコ顔で微笑んだ。すぐに開けて飲もうとすると、

 「あれ、開かない。」
 「貸してみ。」

874 :てと:2004/11/08(月) 21:29
 
 プシュッ。

 気持ちのいい音とともに、少しだけジュースの香りが鼻にかかった。
 
 「ありがとー。あ、そうだ。お金借りてたよね・・・。」

 ごっちんは財布から1000円取り出すと、渡してくれた。

 「じゃ、またね。」
 「うんまたね。」

 お互いに手を振るとそれぞれレッスン場へと歩き出す。でもその時、
 不意にこそこそと内緒話をしている6期3人が視線に飛び込んできた。
 ちょうど進行方向の先だからそのまま歩いていくと、妙な単語が聞こえてきた。

 「絶対ヒモ!!」
 「いいやパシリだっちゃ!」
 「だって缶わざわざ開けてたの。」

 あの〜、みなさん?

875 :てと:2004/11/09(火) 21:05

 「あなたは誰と見ますか?・・・って美貴達だもんね。」
 「あたしはたんと先輩で満足なの!」
 「どうだか。」

 アレグリア2を松浦さんと藤本さんのコンビに誘われて3人で観にいく事になった。
 それにしてもサーカスって、何度見ても人間業とは思えない。
 ただただ舌を巻くばかりだ。

 「しょうがないじゃないですか。観に来たら面白おかしく書かれるに決まってますもん。」
 
 松浦さんはそう言って藤本さんにギュッとくっつく。藤本さんも別にいつものこと、
 といった表情で普通にしていた。

 「でもさ。」
 「なんですか?」
 「俺要らなくない?」
 「いいじゃん、余ったんだから。おお!!」
 『え?・・おお!』

 藤本さんが歓声を上げると、僕と松浦さんは1テンポ遅れて驚いた。

876 :名無し娘。:2004/11/10(水) 11:09
楽しそうだなあ

877 :てと:2004/11/10(水) 23:16

 夜、仕事も終わりベッドの上で特に何をするわけでもなくごろごろと時間を過ごしていると、
 段々と眠くなってきた。目を閉じて寝入りそうになった所で携帯の着信音が僕を
 現実へと連れ戻す。
 メール着信。石川さんからだった。

 「・・・・?」

 明らかにおかしい。メール内容は僕に送ったとは考えづらいものだった。

 『あの、今度もしよかったら一緒にお食事に行きませんか?』

 ありえない。敬語だし・・・でも、
 
 「あ。」

 今度は電話。また石川さんからだった。

 『ごめん今のメール削除して永久に忘れて』
 「誰に送るつもりだったのかな〜?」
 『消して!!』
 「リライトしてー♪」
 『ちょっとぉ!お願いだからぁ!』
 「分かってます。・・・がんばってね。」
 『はーい、って余計なお世話よ!』
 
 ピッ。
 

878 :名無し娘。:2004/11/11(木) 15:50
誰に送ったんだぁあああ

879 :てと:2004/11/11(木) 21:07

 楽屋の畳の部分で仰向けで寝転がっている田中さんの横を、細い糸が通った。
 田中さんはじーーっとそれを睨むような目で見た。少しずつ進んでいく糸。

 田中さんは何を思ったか、手を出してそれに触れてみた。
 まだ姿勢は寝たまま。一度手に触れると手を離し、今度はじゃれるように手を動かす。
 一気に遠くへと跳ねる糸。
 その時田中さんの目が光る。
 体を返し、すごい勢いで糸に飛びついて転がって見せた。
 糸を捕まえた田中さんはすごく満足そうな顔。

 糸から手を離した亀井さんは、満面の笑みで言った。

 「れいな可愛い〜。」
 「はっ!絵里!遊んだっちゃね!」

 立ち上がる田中さん。亀井さんはさっと逃げると、田中さんは獲物を追うような目で
 走り出した。

880 :てと:2004/11/12(金) 21:03

 保田さんがノートパソコンをカタカタといじっている。
 耳にはヘッドフォンが装着されていて、指を動かしながらあーでもないこーでもないと
 試行錯誤していた。

 「何やってるんですか?」
 「作曲。」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 「何よ。その長い沈黙。」
 「・・・遂に自給自足かぁ。」
 「違うわよ!!!」

 保田さんはいきなりキレると僕の頭を画面の前まで引っ張る。
 画面上にはよく分からないけど長さの様々な黒い棒と赤い棒、青い棒が階段状に並んでいる。
 よく分からないけどどうやら音符を表しているらしい。

 「趣味。遊びみたいなもんよ。あんたもやったら?」
 「・・・作曲か〜。」
 「ギターも弾けるんだからやったら楽しいと思うけど。」
 「う〜ん、考えておきます。あとつんくさんに頼みますよ。」
 「何を?」
 「保田さんに曲を」
 「余計なお世話よ!」
 
 その日の保田さんのツッコミは藤本さんより疾かった。

881 :てと:2004/11/13(土) 18:45

 朝、家を出るとその寒さに少しだけびっくりした。
 いきなりこんなに冷え込むとは夢にも思わなかった。あんまり厚着で来なかったから、
 少し苦痛だった。
 電車の中は暖かくてよかったけど、降りると再びその寒さに身体が縮こまった。
 でもそんな僕とは対照的に平気そうな顔をして歩いてる娘がいた。
  
 「藤本さん、丈夫だね。」
 「北海道はこんなもんじゃないし。寒いの?」
 「・・・情けないけど。」
 「それでも男かよ。」
 「『娘。』ですから。」
 「娘でも男だから!」

 ビシッと突っ込まれたり、ボケたり。笑っているうちに身体が大分暖まって、
 楽屋に着いた頃にはもうぽかぽかだった。

882 :名無し娘。:2004/11/14(日) 00:07
美貴帝最強伝説

883 :てと:2004/11/14(日) 22:41

 矢口さんがさっきからバタバタと楽屋中を走り回っている。
 その顔には余裕の色が全くない。走るたびにパーカーのフードが大きく揺れる。

 「ない!ない!携帯どこ?!」

 誰かに電話してもらえばいいのに、みんな多分同じ事を考えてるけど誰も言わない。
 その慌てっぷりがなんだか可愛いからか、それとも見ていて面白いからか。
 特にそれをニヤニヤと見ていたのは遊びに来ていた辻ちゃんと加護ちゃんだった。
 
 「お前らか!」

 焦った矢口さんはすぐに二人を疑う。

 『違うよー!』

 見事なユニゾン。矢口さんは諦めて走り出す。

 大きなフードの中ではブツが左右に揺れていた。

884 :名無し娘。:2004/11/15(月) 12:27
イイヨイイヨー       

885 :てと:2004/11/15(月) 20:51

 「あ、安倍さんおはようございます。」
 「おはようございます!」

 テレビ局の廊下で安倍さんとバッタリ会った。相変わらず元気そうな顔で、
 この人も寒いのは平気なんだろうか、なんて考えた。
 折角会ったしお互い時間に余裕があったから廊下の端の椅子に腰掛けて色々話した。
 会うなら収録でいくらでも会えるし、この後一緒に収録だけど、なんとなくそう言う時間も欲しかったし。

 「最近寒いですね。」
 「体調管理しっかりしないとダメだよ。」
 「はい、身体が資本、ですよね?」

 僕がそう言うと安倍さんは満足そうに笑顔を見せる。
 
 キッズの子が横を通りかかる。

 「はっくしゅん!」
 「あ・・・。」
 「あはは。」

 思わず二人で笑ってしまった。なんていうか、微笑ましい。
 適当に話した後お互いに背を向けて歩き出す。
 その時後ろから咳をする声が聞こえたけど、聞かなかったことにした。

886 :てと:2004/11/16(火) 23:34

 スポーツフェスティバルの翌日、吉澤さんが楽屋で蹲っていた。

 「あ゛〜・・・誰か助けて〜・・・。」
 
 はしゃぎ過ぎて筋肉痛。グッタリしていてもう動けない、って感じだった。
 吉澤さんは鞄の中からごそごそとブツを取り出すと、足をひょいとズボンから出して
 塗り始めた。
 すぐに匂いが楽屋内を漂う。
 道重さんがそれに耐えかねてか、言い放った。

 「バンテリンは親父くさいですよ。」
 「なぬ?!」

 うろたえる吉澤さん。


 ・・・ごめんなさい、僕も昨日塗りだくりました。

887 :てと:2004/11/17(水) 21:23

 紺野さんとPK対決。ハンデで僕は3m後ろからシュート。
 勝負は接戦。2対2で僕の最後のターン。
 僕は後攻だからこれを決めれば勝ちとなる。

 「決めるよ。」
 「防ぎます。」

 緊張の一瞬。周りの音が何も聞こえなくなったかのような錯覚を覚える。
 外したら延長か・・・。絶対に決めなきゃ。
 僕は軽い助走をつけるとボールへと足を導いた。

 「こらぁぁ!!!スタジオで何やってんの!!」
 『うわぁ!!!』

 いきなりの不意打ちに僕らは二人で逃げ出した。

 「引き分けですね。」
 
 しっかりボールを持ったまま走っている紺野さんは嬉しそうに笑った。

888 :名無し娘。:2004/11/17(水) 23:08
o・∀・)←この口で笑ってそうだな。

889 :てと:2004/11/18(木) 20:45

 ある日の仕事終わり、僕はみんなと一緒に帰らずに一人事務所へと向かった。
 建物に入ったはいいものの、足取りは重い。
 久々の呼び出しだけどその理由はもう分かっている。だからこそ精神的にきつかった。

 「(そりゃいつかは来るけどさ・・・。)」

 決断に迫られてから2ヶ月弱。一日たりともそれについて忘れた事はなかった。
 
 ゆっくりと歩いたのにすぐに部屋の前に着いてしまった。
 僕は息を吐いて気合を入れると、ノックした。

 コンコン
 
 「失礼します。」

 ガチャッ。

890 :てと:2004/11/18(木) 20:45

 ゆっくりとドアを開けると、そこには予想通りつんくさんの姿があった。
 足と手を組んで、くるりと回転する椅子を僕の正面へと回した。

 「ここに呼ばれたっちゅうことは・・・分かっとるわな?」
 「・・・・はい。」
 「どや?決まったか?」
 「・・・・まだ。」
 「ん〜・・・。」

 つんくさんは眉を上に上げて首を傾げると、椅子を1回転、意味もなく回した。
 僕はなんだかその顔を見ていると自分の優柔不断さに腹が立ってしまった。

 「ま、ええわ。」

 すっと、右手の人差し指を立たせる。
 
 「1ヶ月。これ以上は待てん。」
 「・・・はい。」

 ゆっくりと部屋を出る。
 ・・・・もう時間がないらしい。

891 :名無し娘。:2004/11/19(金) 00:29
卒業?

892 :てと:2004/11/19(金) 18:14

 珍しく今度オフをまとめて2日もらえることになった。久しぶりの休みにみんなおおはしゃぎ。
 僕は特に予定もないから家でゆっくりしてようかな、そう考えていたら、
 亀井さんに話しかけられた。

 「先輩。今度のオフ暇ですか?」
 「うん暇だよ。」
 「じゃあ、旅行行きませんか?」
 「うん・・・・ってえ゛?!」
 
 声が上ずる。でも亀井さんはそんな事気づきもせずに話を続ける。

 「さゆとれいなと行くんで、修学旅行の引率の先生みたいな感じに♪」
 「あ、なんだ。」

 思い切り慌てた自分がバカみたいだ。
 ゆっくりしようと思ってたけど、なんだか楽しそうだったから、

 「いいよ。」
 「やった!いいって!」
 「先輩大好きです!」
 「大袈裟だな〜。」
 「実はまだ決まっちょらんのです。」
 「何が?」
 『全部』
 「・・・・・。」
 「せんぱい」
 『よろしくお願いしまーす』

 なんだ、この当たり屋にでもあったような感覚は。
 僕はその日の帰り、旅行代理店に立ち寄って適当にパンフを何枚か拝借して帰った。

893 :てと:2004/11/20(土) 20:53

 マイナス1日目。
 僕は事前に行く準備をしてくるように3人に伝えた。
 楽屋に着くと3人とも旅行用の鞄を持っていて楽屋で話題になっている。
 当然のように僕も聞かれた。

 「あれ、どっか旅行行くの?」
 「え、う」
 「せんぱいはさゆ達と一緒です!」
 『え?!』

 過剰な反応を見せたみなさん。
 僕は速攻で飯田さんに掴まれると、楽屋の反対側まで引きずられた。

 「あんた、何考えてんの。」
 「いや、あの引率を頼まれたんで付き添いを・・・。」
 「何もしない?」
 「当たり前じゃないすか!!」

 何を言い出すのかと思えば。一体飯田さんは僕を何だと・・・。

894 :てと:2004/11/20(土) 20:53

 「後輩っすよ?!手出すなんて」
 「先輩後輩とか、週刊誌はそんな事どうでもいいのよ。」
 「っ。」
 「あんた浮いた話全然出ないでしょ?この間高橋が家いたってばれなかったのは
  マークが少なかったから。でも旅行になってしかも3人いたら違う。
  どうする?他の芸能人に相手にされないから後輩の誰かの気を引こうとしてる、
  なんて書かれたら。」
 「ムカつきますね。」
 「でしょ?」

 飯田さんは真剣な顔つきで、強い目で僕を見た。

 「だから、気をつけていってらっしゃい。」
 「・・・・え?」

 意外だった。てっきり行くな、とかそう言うことを言われるのと思っていたから、
 飯田さんのこの一言の意図を読み取れなかった。

 「今更中止にしても3人が可愛そうでしょ。」
 「・・・飯田さん。」
 「ホントはあたしがいってあげてもよかったけどさ、忙しいのよね。」

 飯田さんは顔をみんなのほうに向けながら、そんな事を小言で言った。

895 :名無し娘。:2004/11/20(土) 23:00
飯田さーん!!(涙)

896 :名無し募集中。。。:2004/11/21(日) 18:55
いい!けど飯田はこういうことはいわないだろうなあ・・・

897 :てと:2004/11/21(日) 20:46

 オフの2日間を最大限に利用したい。
 僕はそう思って前日の新幹線を取って向こうに着いてまず一晩泊まることにした。
 チケットを3人に渡して乗り込む。

 「用意万端だなぁ。」

 引きずるバックがゴロゴロ音を立てて歩く。
 3人は笑顔を隠すように帽子を深く被っている。鞄のほかにもショルダーバックを
 持っていたりして、準備万端なのが伺えた。

 新幹線に乗り込む。
 3席と1席を取ったから3人をまとめて座らせて僕はゆっくりしようと思ってたら、

 「せんぱい、グッパー!」
 「え、3人で座りなよ。」
 「こういう事があったほうが面白いんです!」

 亀井さんに引きずられて参加させられる。そして結果、

 「亀井さん、やっぱ代わる?」
 「・・・いいです。」

 言いだしっぺはハブられる、典型の展開。
 不機嫌そうな亀井さんを見ていると、なんか色々波乱があるかも、
 そんな気がした。

898 :てと:2004/11/21(日) 20:51

 僕は真ん中に座っていた。
 行き先は大阪。
 1時間半くらいの移動だけど、疲れていたのか、僕の端の二人はうとうとし始めた。
 嫌な予感がする。
 予感は的中し、両サイドから頭が僕の肩を襲う。
 ずっしりとした重量感と、良い香り。なんともリアクションしずらい状況だった。

 「亀井さん。」
 「はい?」
 「助けて。」
 「・・・ごゆっくり〜。」

 後ろの亀井さんは拗ねているのか助けてくれない。
 この体勢は大阪到着まで続いた。
 
 道重さんと田中さんはすっきりした顔をして修学旅行の夜のようなテンション。
 それとは対照的な僕に、亀井さんは笑顔で言った。

 「先輩大丈夫ですか?疲れてますけど。」
 「・・・まあね。」

899 :名無し募集中。。。:2004/11/22(月) 11:51
どきどき
これ終わったらソロなのかな?

900 :てと:2004/11/22(月) 19:00

 マイナス1日目の夜。梅田駅内のホテルに僕達4人は素早くチェックインを済ませた。
 もうそれなりに遅い。今日はもう寝るだけだ。
 部屋は当たり前だけど3人と1人分け。でも3人からはブーイングの嵐。

 「しょうがないでしょうが。先生を困らせないように。」
 『はーい。』

 部屋は隣になったから寝る前までは遊ぶことになった。
 適当に遊ぶと、日付がいつの間にか変わっていた。

 「明日それなりに早く出るからそろそろ寝ようか。」
 「よーし、誰が夜這いに行くかじゃんけんだ!」
 「やめい。」
 「あー、今亀井とやめいかけましたよね絶対!石川さんですよ〜!」
 「亀井さん、テンションおかしくない?」

 なんとか宥めて部屋で寝ると、この日は夜這いが来る事はなくてホッとした。

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