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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜
- 1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
- このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。
- 447 :名無し娘。:2004/06/27(日) 10:52
- ((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
- 448 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/28(月) 00:27
- SALT TEAM'S PHASE──
「ん、ん?」松浦は目覚めた。何か悪い夢を見ていた気がするが、全く覚えていない。
周りを見てみる。たくさん木が生い茂っている。どこかの森のようだ。
そういえば、体のあちこちが痛い。体を見てみるといろいろなところに切り傷がある。
松浦は徐々に記憶を思い出してきた。
(ごっちんと美貴ちゃんに置いてけぼりをくらってカッとなって、
ごっちんを突き飛ばして……、ごっちんが落ちる間時にまつーらの腕を掴んで……、
二人で転がっていって……、あ、一度木の上に私は落ちたんだっけ。
そこから地面へと落ちた。木の枝がクッションとなって死にはしなかったってことかな?)
全身が痛いが、それでも生きているだけありがたいと思った。
(ところでごっちんは?)
松浦は立ち上がると後藤を探し始めた。
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- 449 :名無し娘。:2004/06/29(火) 01:59
- (●´ー`)<メロン4人あっさり死に際で全滅、ごまっとう活躍雰囲気。
作者さんの推し・アンチがわかるべなー
- 450 :名無し娘。:2004/06/29(火) 10:54
- >>449
そうか?
斉藤さんは死んでないし、ごまっとうも少しも繋がるそぶりが見えないんだが、
むしろ黙っててください。
- 451 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
- AIR TEAM'S PHASE──
みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道沿いの草むらをかきわけて歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。
- 452 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 20:23
- (居場所がバレた?)
里田は瞬間、正宗の柄に手をかける。
だが、藤本はまた走り出し、別荘のほうへと走っていく。
里田は草むらから顔をだし、藤本の足取りを目で追う。
藤本は別荘ではなく、海岸へと下る道を降りていった。
里田はホッとすると自分も草むらから飛び出し、引き続き診療所へと歩き始めた。
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- 453 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
- >>451の改訂
AIR TEAM'S PHASE──
みうなの看病を小川に任せた里田はひとり、診療所へと向かっていた。
本当は走っていきたいところだったが、
目立つのを控えるためわざと道の端をゆっくりと歩いていた。
前方から誰かが走ってくる気配がし、草むらに身を潜め様子を見る。
赤と黒を基調とした衣装、WATERの藤本だった。
敵か味方が判断がつかない里田はそのまま草むらで待機を続ける。
藤本は、手にPDAのようなものを持ち、それを見ながら走っている。
と、里田の潜んでいる近くまで来たところで立ち止まり、
手元のPDAをちらちらと確認しながら、里田のいる方向を見ている。
- 454 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/06/29(火) 21:56
- 草むら歩いていたら音がしてしょうがないっちゅうねん。
- 455 :名無し娘。:2004/06/29(火) 23:56
- >>450
ドンマイ。精一杯生きてくれ
- 456 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:20
- WATER TEAM'S PHASE──
「みんな、みんな、死んじゃえばいいのよ。」
アヤカの悲鳴に反応し、石川は呟きながらアヤカに斬りかかる。
アヤカは反応できずにいた。飯田はナップザックを放り投げ、自分の王者のつるぎを鞘から抜くと、
アヤカの前に立ち、石川の一撃を剣でうける。
キーン
金属同士がぶつかる音が響く。石川の細身の体から放たれたものとは信じられない程一撃は強く、
飯田は少し腕がしびれた。だが、そんな感想を持つ間もなく石川は次々と斬り込んでくる。
飯田は反応するのが精一杯で反撃する暇もない。
突然、石川は足払いをかけてくる。斬鉄剣で斬ってくると思っていた飯田は反応できずに、
足をなぎ払われ尻餅を突く。上を見上げると石川が斬鉄剣を逆手に持ち飯田にむけて、
振り下ろそうとしていた。飯田は死を覚悟した。
- 457 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
- バーン
あたりに銃声が響き、石川の手がはじかれ斬鉄剣を落とす。斬鉄剣は飯田のすぐ前の地面に刺さった。
飯田はこの隙を見逃さず、立ち上がり石川と距離を取る。
石川を見てみると石川は苦痛に顔を歪めながら、右手で自分の左手首を押さえており
手の間からは血が流れているのが見えた。飯田は、銃声の方向をへ向く。
するとそこには、飯田のデリンジャーを持って石川に狙いを定めているアヤカの姿があった。
飯田は石川に声を掛けた。
「石川、争うのはやめようよ。私たちが争っていても喜ぶのはスタッフだからさ。
みんなで協力してここから脱出しよう。ね?」
石川はしばらく何も言わなかった。飯田が、また話し掛けようと思った瞬間に石川の口が開いた。
「…もう、どうでもいい。だれが、死のうが、だれが、殺されようが、もう、わたしには関係ないの。
わたしは、ただ、すべてを、滅ぼすだけ。」というと右の尻のポケットに右手を入れる。
- 458 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:22
- バーン
さっきと同じ銃声が響いた。今度の銃弾は石川の上腹部やや右のあたりに命中した。
石川は苦悶の表情を浮かべると、口から血を吐きながら、ゆっくりと前に倒れた。
そしてその右手にはデザートイーグルが握られていた。
飯田は下唇を強く噛んだ。
石川梨華:死亡 【AIR 2人→1人】
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- 459 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/03(土) 00:23
- 「ども、中居ですが、ここでみなさんに連絡があります。
この時点を持ってAIRチームの残り人数が一人となりましたので、
これ以降、AIRチームメンバーの所属変更は認められませんので宜しくお願いします。」
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- 460 :名無し娘。:2004/07/05(月) 02:53
- アヤカ→石川(銃殺)
みたいな感じで途中結果おねがいします
- 461 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:58
- WATER TEAM'S PHASE──
藤本は後藤と松浦の落下地点辺りへと到着していた。
さっき、道の途中でAIRのメンバーと接近し、その人物の位置も把握していたが、
相手の姿が見えないし、こちらも急いでいたので無視して先を急いだ。
途中でレーダーを確認したが、この落下地点には光点は確認することができなかった。
ただ、全体図でSALTのメンバーのうち1人が南東の方向へと移動中であることを確認していた。
もう1つの点は変わらず別荘にあるので、移動中の点が松浦であろう。
歩いていると、藤本は遠くに太い木を発見する。
現在は、近くにある木の葉などから根元のところしか見ることはできず、上の様子はわからない。
ただ、他の木と比べるとひと目で気づくのは、木の幹が真っ黒であることだ。
- 462 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 18:59
- 歩いていくうちに、視界を妨げる葉が減ってきて黒い木がはっきりと見えてくる。
だんだんわかってきたのだが、どうやらこの木は枯れ木のようである。
途中から斜めに折れたようであり、みるみる枯れ木の先が細くなっている。
黒くなっているのは、おそらく落雷が原因だろう。
ある程度近づいてきて、藤本は枯れ木の上の方が鋭くなっているのに気付き、
そこに何か異様なものが刺さっているのに気付く。
(!?)
どうやら人間のようだ。デニムシャツを着てジーンズを履いているその人物の顔は、
藤本のよく知る人物だった。
「ごっちん……。」
それは落下して松浦とは逆に最悪の位置に落ちた後藤真希だった。
後藤真希:死亡 【FOOD 5人→4人】
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- 463 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/06(火) 19:00
- 石橋→道重(首輪爆発)
前田→新垣(手榴弾のトラップで爆死)
大谷→安倍(銃殺)
松浦→大谷(精神的に追い詰め自殺させる)
ソニン→あさみ(暗殺)
ソニン→村田(銃殺)
稲葉→中澤(銃殺)
ユウキ→紺野(刺殺)
石川→矢口(斬殺)
ソニン→ミカ(銃殺)
ユウキ→稲葉(刺殺)
高橋→吉澤(斬殺)
石川→高橋(銃殺)
ソニン→前田(暗殺)
藤本→ユウキ(刺殺)
石川→加護(出血多量)
石川→柴田(斬殺)
アヤカ→石川(銃殺)
松浦→後藤(突き落とす)
- 464 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:44
- SALT TEAM'S PHASE──
時は少し遡る。
松浦が後藤の遺体を発見したとき、松浦の頭の中で何かが崩れる音がして、
その場から逃げるように走り去った。だが、松浦の頭の中で、後藤の串刺しにされた体、
無念そうな顔、口から漏れた血、全てが松浦の意志とは反対に頭に焼き付けられてしまった。
そしてそれらは、消そうと思っても消せない。
「私は悪くない私は悪くない私は悪くない、あんなところに落ちた後藤が悪い。
私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を無視した後藤が悪い。
私は悪くない私は悪くない私は悪くない、私を道連れにした後藤が悪い。
私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない私が殺したわけじゃない
後藤が勝手に死んだんだ……。」
その時、何かの段差につまづいてしまうが、そんなことには構っていられずにまた走り出す。
- 465 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/09(金) 23:45
- やがてまた夢中で走ると目の前に1人の人物が現われた。
──な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!
その人物とは大谷だった。
「あなたは後藤さんを殺したひとごろし。」
大谷は呟くように言う。だが、松浦の耳にははっきりと聞こえた。
──違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!
「あなたが突き飛ばさなければ後藤さんは死ぬことはなかった。」
大谷は両手を広げ、ゆっくりと松浦に近づいてくる。
松浦はナップザックからデザートイーグルを取り出すと震える手で大谷に銃口を向ける。
──そ、それは、後藤がまつーらを無視するから。
「その原因はあなた自身にあるってこと、自分が一番良く知っているはず。」
大谷はますます近づいてくる。
──うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ!
松浦は目をつぶりデザートイーグルのトリガーを弾いた。何かがドサッと倒れる音がする。
松浦は目を開ける。
「う、嘘…。」
倒れていたのは、大谷ではなく斉藤瞳だった。
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- 466 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:24
- FOOD TEAM'S PHASE──
斉藤と田中は、集会所を出ると港へと向っていた。
だが途中まで来たところで、道路わきの草むらがガサゴソと音を立てたかと思うと、
松浦が姿をあらわした。斉藤たちの進行上の道だったので、向こうはこっちにはまだ気付いていないようだ。
斉藤は「あたしがいってくる。田中ちゃんは待っていて。」というと自分のナップザックを持ち、
松浦に近づいていく。
斉藤はまず「松浦さん」と声をかけた。松浦は斉藤の出現に大変驚き、
「な、なんでこんなところに!! あなたは死んだはずよ!!」と叫んだ。
(死んだはず? どういうこと?)と思ったが、「松浦さん、大丈夫?」と心配する。
すると松浦は何かに怯えながら、「違う! 違うよ。松浦のせいじゃない!」と叫んだ。
(混乱しているのかしら? とりあえず敵意がないことを示さなくちゃ。)
斉藤は「大丈夫、私は敵じゃないの。」と言いつつ、松浦に近づくが、
そのうち松浦は震えながら銃のようなものを出しそれを斉藤に向けた。
斉藤はナップザックをその場に置き、両手を広げて敵意のないことを示すと、
「ほら、武器なんて何も持っていないから。」と松浦に話しかける。
- 467 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
- 松浦は何かもごもごと呟いていたようだが、
「うるさい! 私は松浦亜弥! 天下のあややよ!」とまた叫ぶと突然発砲した。
弾は斉藤の左胸に命中し、よろけて仰向けに倒れた。
痛みも感じたが、撃たれた理由がわからず現実感がなかった。
誰かが駆け足で近づいている音がする。おそらく田中だろう。
松浦は「う、嘘、いやぁーーーーー!!」と叫ぶと足音とともにまたどこかへ行ったようだ。
田中が声をかけてきた。
「斉藤さん、斉藤さん!!」
斉藤は薄目をあける。狭い視界に田中が映る。口も薄く開き呟く。田中は口元に耳を近づける。
「ごめんね。あたししくじっちゃった。」
「あれは仕方なかと。」かすかに田中の声が聞こえる。
「あのね、もし、柴田あゆみに会うことがあったら、あなただけは生きて帰ってって伝えて。」
と呟くと斉藤はゆっくりと目をつぶった。
- 468 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/14(水) 00:25
- ハロープロジェクトのユニットは、モーニング娘。に代表されるように、
加入・卒業を繰り返し歴史を積み重ねていくものであると言っても過言ではないだろう。
そんな中、結成して以来。加入も卒業もないという珍しいユニットがメロン記念日である。
「第2回モーニング娘。&平家みちよ妹分オーディション」に1999年8月に合格した4人は、
そのまま、「メロン記念日」という名前を貰い、デビューすることになる。
2000年2月にデビューし、4人は苦しいことも嬉しかった時もいつも一緒だった。
よって、4人は団結力もハロプロメンバー随一であった。
だからこそ、斉藤は柴田にメロンのメンバーとして生き残ることを託したのだが、
実はその時、柴田は石川に斬られたあとだったのだ。
しかし、斉藤がそのことを知らず、実はメロン最後の生き残りが斉藤だったということを、
斉藤が知らないままで死んでいったことは、彼女にとってよかったのかもしれない。
斉藤瞳:死亡 【WATER 5人→4人】
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- 469 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:25
- UTABAN'S PHASE──
うたばんの現地スタッフは、プロデューサーでありこのプログラムの最高責任者である清水と、
ディレクターであり、いろいろな手配を担当している石村、
首輪システムを管轄しているADの石田佳子、船舶関係の担当でありADの鈴木、
機材担当で、カメラアレンジャーも任されている熊井AD、
カメラマンの須藤に、アルバイトの菅谷の7名である。
ゲーム当初はもっと人数がいたのだが、本社のほうが忙しく現在はこの人数である。
ちなみに、ゲーム最初に登場した外人部隊は傭兵であり、昨日限定で雇ったため、彼らも今はいない。
今は、清水が石村をモニター室に連れてきたところである。
現在画面では、田中がナップザックからローラーブレードを取り出して足に装備し、
どこかへと走り去る様子が写っていた。
- 470 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
- 「清水さん、見て欲しいものってなんですか。」石村は聞く。
「おい、熊井、ちょっと南東・Gカメラの映像をちょっと巻き戻して見せてくれ。」
「わかりました。」
画面には、斉藤が松浦に撃たれた場面がうつっている。やがて、斉藤が倒れると、
「ここでストップ」といって清水は一時停止させた。
「これを見てくれ……。」
石村は覗き込む。「首輪が外れている!?」
「そうだ。今は田中が慌てて装着させていたので現在の斉藤には装着してはいるが。
あれは普通は倒れた衝撃ぐらいじゃ外れることはない。
…もともと外れるようになっていたというのが正しい見解かもしれない。」
「でも、あれは無理矢理外そうとすれば壊れるはず。」
「そうだ。だとするとだな、考えられるのは1つ。」と言って清水は自分の顎鬚を触りつつ、
PCから首輪管理システムを立ち上げる。
- 471 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:26
- 「死にかけているから、こいつでいいか。熊井、別荘Dカメラを表示してくれ。」
と言いつつ、FOODチームからみうなを選択する。
画面には、ベッドで寝ているみうなとそれを心配そうに見ている小川がうつった。
みうなのデータが画面に表示される。
その右下の「首輪爆破」の項目をクリックし、確認してくるので「実行」の項目をクリックする。
ところが画面のみうなの様子に変化はない。
「やっぱりそうか…」その言葉を受けて、石村は聞く。「どういうことですか?」清水は説明する。
「どうやら、首輪の爆破装置が全部不発になってしまったようだ。
全部まとめてだから、おそらくはシステム上の問題だろう。おい、石村、行くぞ。」
と言って清水はどこかへ移動しようとする。
「どこへ行くんですか?」石村は尋ねる。
「石田んとこだよ。システムのことはあいつに聞かなくちゃわからん。」
- 472 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/18(日) 01:27
- 2人が石田のところへいくと、石田も首輪の不発については知らなかったらしく驚いていた。
そして石田がいろいろと調べた結果、どうやらウイルスのようなものがばら撒かれて、
爆破の発動システムがダウンしたらしいのこと。離島でバックアップはとっていないので、
復旧は難しいと石田が説明した。
爆破ができないとなると、強制的に戦わせることができなくなってしまう。
清水は焦る。一度は東京に連絡しようとしたが、石村の
「ここで失敗しましたなんて報告したら、俺たちの首が飛ぶだけじゃすまされないでしょうね。」
の言葉に思いとどまる。かくなる上は……。
「あいつらを脱出させるわけにはいかない……。幸いまだ首輪が爆発しないことを知っているのは一部のようだ。
だったら、結束する前に全員殺してしまえばいい。東京には『最後の1人が残ったんですが、
最後に自殺しました。』とでも言っておけばいい。あとはカメラも故障したことにしとく必要があるな。
よし、石村。武器の用意だ。石橋達にも協力してもらうように要請しろ。
特に石橋は自分の手で1人殺しているはずだからな。協力を拒むわけがない。フフフフ。」
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- 473 :名無し娘。:2004/07/19(月) 14:23
- 新展開かな。ガンガッテ。
- 474 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:11
- FOOD TEAM'S PHASE──
保田と亀井の目の前には学校があった。平常時であれば平日なら子供達がたくさんいていいはずの学校だが、
今は何の気配もしなかった。亀井は保田に話しかける。
「誰かいますかね?」
「人の気配がないね…。とりあえず入ってみよう。」と言って保田は歩いていく。
亀井も続いて歩いていくが、うっかり自分の右足で左の靴紐を踏んでしまい、靴紐がほどけてしまう。
亀井はしゃがみこみ紐を結びなおす。結びなおしたらすぐに走って合流するつもりだったので、
保田にはとくに何も言わなかった。保田を見るともうすぐ校門である。
亀井は靴紐を結ぶのに1回目は失敗してしまった。右の丸くなっている部分が左に比べて大きくなってしまったからだ。
- 475 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/25(日) 01:12
- もう1度結びなおす。今度こそうまくいったと思った瞬間、前から「保田さん」という声がしたと思ったら、
続いてぱらららという音がした。亀井は前を向く。校門から少し入ったところで、保田が崩れ落ちるところだった。
次に校門の影からイングラムを持ったソニンが姿を表した。
ソニンは動けないでいる亀井にむかってイングラムを構える。
と、うつ伏せに倒れていた保田が手を伸ばしソニンの右足をつかみ、おもいっきり引っ張ながら叫ぶ。
「亀井! 逃げろーーー!!」
ソニンはバランスを崩し倒れる。亀井は保田の声に我を取り戻すと、今きた道をダッシュで戻る。
懸命に走っている亀井の後方から、またぱらららとイングラムの銃声が響いてきた。
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- 476 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:18
- EE JUMP TEAM'S PHASE──
ソニンは放送でユウキが死んだことを知った時、特に何の感情もわかなかった。
もともとユウキは単独行動を取っていたし、近くにいても正直邪魔だったからだ。
ただ、戦力的にダウンしたことはいなめないので、
自分からは仕掛けずに、どこかで待ち伏せをすることにした。
場所はまだ生存者が多いWATERの本部の学校である。
ソニンは学校へ向かう途中、WATERのメンバーである青い点が単独行動をしているのを見つける。
だが、ソニンはそれには目もくれずに学校へと向った。
理由は、1人で行動している人物というのは警戒しており、そんな人物を襲って、
こちらも無事でいられるとは考えにくく、下手をすると逆にこちらが倒されてしまうからだ。
- 477 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/07/29(木) 20:27
- 無人の学校につくと、誰かを待ち受ける。しばらくすると南からFOODのメンバーが2人近づいてきた。
ソニンは前田のものだったイングラムを取り出すと、2人を待った。
近づいたところで1人だけが分離して学校へ近づいてくる。様子見だろうか。
1人が校門から中へ入ったところで、その人物に向けてソニンはイングラムのトリガーを引いた。
保田はイングラムの弾をまともにうけ、崩れ落ちる。ソニンは門からでると、外にいる亀井に向かって、
イングラムを構える。だが、その時保田に右足を引っ張られ倒れてしまう。
「亀井! 逃げろーーー!!」
保田の叫び声が響いた。ソニンは横向きになると足をつかんでいる保田にむけてイングラムを撃つ。
同時に右足を激しく振って手を振り払う。
やがて、束縛されていた右足が自由になる。ソニンは足で立ち上がると、ぴくりともしない保田に近づくと、
とどめをさすように心臓をめがけてイングラムを放った。
保田の体に大量の銃弾が埋め込まれ、体は跳ねあがった。
そのうちイングラムの銃弾が切れる。前田は予備のマガジンを持っていなかったので、
銃弾はもうない。ソニンはイングラムを投げ捨てる。
そして、ソニンは保田の目を見て、保田の死を確認すると、レーダーを頼りに亀井をおいかけはじめた。
保田圭:死亡 【FOOD 4人→3人】
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- 478 :名無し娘。:2004/07/30(金) 01:56
- お決まり通り一人も殺さずに逝ったか。・゚・(ノД`)・゚・。
- 479 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
- UTABAN'S PHASE──
ゲームの行われている島の突入しようと準備をすすめている清水Pに、船舶を担当している鈴木が話しかける。
鈴木も石田と同じく、途中で入社した人物である。
「プロデューサー、お話が。」
「忙しいから手短に言え。」清水Pは武器を確認しながら答える。
「木梨さんと香取さんが、東京に帰りたいから船を出してくれっていうんです。」
「なんだと? 説得したのか?」
「説得したんですが…、自分達がわざわざ殺しに行く理由なんてないっていうんです。」
「そうか……、よし、俺が言ってみるか。」
清水Pは鈴木とともに木梨と香取と説得しにいったが、2人は自分の意志を崩すことはなかった。
清水Pは妥協案として、帰京するが番組側に人数に余裕がないので、船は出すから自分達で帰ってくれと、
提案した。木梨が船舶免許を持っていることを把握した上でのことである。
これで2人とも納得した。清水は鈴木にEE JUMPを連れてきたクルーザーの説明を2人にするよう命じる。
- 480 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/01(日) 11:56
- 20分後、木梨と香取はクルーザーで港を離れた。清水Pは鈴木とともにクルーザーを見送る。
クルーザーが目視でタバコの箱ぐらいの大きさになる頃、清水は腕時計を見て、
「30秒前…、20秒前…」とカウントをはじめた。横の鈴木は不思議そうに清水Pの方を見る。
「10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1…」
と0になると同時に海のほうから爆発音とともに赤いものが見えた。海のほうを見るとクルーザーが赤い炎を上げて炎上している。
ただ、爆発音はそれほど大きくはなく、内陸で準備をしているスタッフには聞えないだろう。
「いやあ、鈴木君、海難事故っていうのは怖いねえ。」清水Pはニヤニヤしながら話し掛ける。
「でもまあ、東京で余計なことをベラベラ喋られると思えば、結果OKってところかな。」
鈴木はそれに対して何の反応も返すことができなかった。清水Pはそんな鈴木に構わず続ける。
「さて、準備の続きだ。もうすぐあっちの島へと出発できそうだ。」
と言うと清水Pは島の内部へと戻っていった。
木梨憲武・香取慎吾 死亡
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- 481 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
- WATER TEAM'S PHASE──
藤本は松浦の行方も気になっていたのだが、それよりも自分にわりと近い1人でいるWATERのメンバーが気になり、
レーダーを元にその人物へと近づいていく。場所は学校と別荘の間、やや別荘よりのところ。
藤本はその人物が見える場所まで近づいた。その人物は道沿いの木陰で座っていた。
ただし、その場所にいたのはそのWATERのメンバー一人だけではなかった。
もう1人、SALTの衣装をつけた少女が横に寝かされていた。
- 482 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/03(火) 22:07
- (あれ? 2人?)
藤本はもう一度手元のレーダーを確認するがそこにはやはり青い点が1つしかない。
近づくうちにSALTの衣装をつけた少女はさっきの放送で名前を呼ばれた少女だとわかった。
藤本は少女の近くに着くと、木陰で下を向いている少女の目の前にしゃがむ。
「のんちゃん?」藤本は目の前の少女をあだ名で呼ぶ。
辻は目線を上げて藤本の方を見る。その目は泣いていたのか充血している。
その目にまた涙があふれ、目尻から一筋こぼれ落ちた。
「うあああーーーーー!」
辻は藤本にしがみついて泣き叫ぶ。藤本は辻を抱きしめ、優しく彼女の後頭部を撫でる。
やがて、辻が落ち着く頃、藤本は辻に話し掛ける。
「みんなのところへ行こう。」
─────────────────────────────────────────────────────
- 483 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:09
- FOOD TEAM'S PHASE──
島の北西部は海岸となっていて夏には泳ぐ人もいたりするが、南東部は海との境目が切り立った崖であり、
ここから飛び降りようとする人は自殺願望がある人ということになるだろう。
TVの2時間ドラマの犯人を指摘するシーンの撮影がされたという噂もある。
その崖の近くに粗末な小屋がある。以前は誰かが住んでいたのかもしれないが今は廃棄されたようで、
生活感がなく荒れ放題になっている。壁もあちこちで破れ外が見える。
亀井は保田の犠牲でなんとか逃げ切った後、この小屋に息を潜めて隠れていた。
現在はボロボロのテーブルの下にいる。
- 484 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:10
- と、小屋の扉がぎぎぎと音を立てながら開いた。ギシギシと古い床板を踏む音が近づく。
(誰?)
亀井のいるところからでは顔は見えない。足元を見る。スニーカーにGパンだった。
これだけでは誰だかわからない。その人物はテーブルの方に近づいてくる。
亀井は自分の武器の飛燕(一対の剣)を両手に持って警戒する。
侵入者は亀井の隠れているテーブルの前に立つと、しゃがみ込みでその姿を亀井に晒した。
「アンニョンハセヨ」
その人物は成膳任ことソニンだった。右手にはブルーノを持っている。
突然話しかけてくるとは思ってなかった亀井は口をあんぐりあけたまま、
あとづさろうとするが後ろは壁であり背中をぶつけてしまう。
「ねえ、あなたに聞きたい……」
- 485 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/04(水) 23:11
- ソニンの言葉の途中で、またもや小屋の扉が開いた。今度もスニーカーにGパンだったが、
そのスニーカーには見覚えがあった。
「何しっとっと?」
新たに入ってきた人物の声が聞こえてきた。
「れいな!」
亀井は思わず叫ぶ。
「え? 絵里? どこにおると?」また田中の声が聞こえてくる。
「ちっ」とソニンは舌打ちすると、扉の方へと向かい、パンパンと2発発砲した。
どさっと人が倒れる音がした。亀井からは前へと倒れたれいなの頭が見えた。
「れ、れいなっ」亀井は小声で倒れた人物の名前を呼んだ。
「さて、邪魔者が入ったが…。」ソニンは再び亀井に銃を向けるが、
トリガーには指をかけずに亀井にさっきの質問を続ける。
「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」
─────────────────────────────────────────────────────
- 486 :名無し娘。 :2004/08/05(木) 13:40
- もう1年経ったんですね。
ゼロさんガンバ!!
- 487 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/05(木) 23:42
- 昨日で1年か。早いもんだ。
- 488 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
- EE JUMP TEAM'S PHASE──
ソニンはレーダーを持っていたので亀井を追いかけるのは他愛もないことだった。
また、ソニンは亀井を見たときから、亀井に聞きたいことがあった。
それはこんな目にあっても憧れのモーニング娘。に入ってよかったと思っているかということである。
ソニンもかつてはユウキとEE JUMPというユニットを組み、TVに出たり曲を出したりしていた。
だが、ユウキは最終的に、未成年なのにキャバクラにお酒を飲んでいたことが原因で芸能界を去ることになった。
それから、ソニンはソロとなっていろいろ苦労もした。だが、それでもEE JUMP時代の思い出などもあり、
芸能界に入って良かったと思っている。
だが、亀井たちはモーニング娘。として5月にデビューはしたものの、新曲発売前にこんなことに巻き込まれて、
命の危険に晒されていることをどう思っているかふと聞きたくなったのだ。
途中田中が乱入してきたが、さすがに2対1で抵抗されると厄介なので、田中には死んでもらった。
そうしてから亀井に質問をしてみた。
- 489 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/06(金) 23:57
- 「あなたに聞きたいんだけど、まだ、曲も出さないうちに、
こんなことに巻き込まれたわけなんだけど、モーニング娘。に入って後悔している?」
仲間を殺されて亀井は答えてくれないかもとはじめは思ったのだが、
目の前の亀井は、「え? え? いや、みんなに会えたし後悔はしてません。」と
普通に答えた。
動揺した様子もなく真っ直ぐに答えた亀井に対し、ソニンは逆にびっくりして、
(後悔していないのか……。)
と亀井の言葉を頭の中で反芻していた。
その時、ソニンは気配を感じて咄嗟に亀井に向けていたブルーノを右へ向ける。
とそこには、銃殺したはずの田中が倚天の剣を振りかざすところだった。
「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
田中にむけたブルーノが右手ごと、ごとりと地面に落ちた。
─────────────────────────────────────────────────────
- 490 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:12
- FOOD TEAM'S PHASE──
亀井は、田中が放浪中に宝箱から、PCと防弾チョッキを見つけたことは知っていた。
だから田中が倒れた時は驚いて声をあげたが、ソニンに質問された時は、
横目で田中がゆっくりと起き上がるのを確認しつつ、普通に自分の正直な気持ちを答えることが出来た。
亀井の答えにソニンは驚いていたようだが、田中に気がつくとブルーノを田中に向ける。
だが、田中の方が先に倚天の剣を振りかざしており、ソニンの右手を切り落とす。
ソニンは「………そうか、防弾チョッキか。どうりで着膨れしているはずだ。」
と言うとニヤリと笑い、残っている左手でオリハルコンを取り出すと田中に斬りかかる。
銃だけを弾き飛ばすつもりで、反応されて手元が狂い右手ごと切り落としてしまった田中は唖然としていたが、
ソニンが斬りかかっているのを見ると倚天の剣で受ける。
だが、体格に劣る田中は受けたもののバランスを少し崩す。
同じく唖然としていた亀井も我を取り戻し、飛燕を両手にそれぞれ持つと、
田中に加勢するために、ソニンへと斬りかかる。
- 491 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/08(日) 22:14
- こうして始まった田中・亀井VS右手のないソニンの戦いだが、
ソニンがオリハルコンだけではなく、蹴りも駆使して戦ったため、
最初はソニンが押し気味に戦いを進めていく。
田中は左の二の腕を切りつけられ、亀井は腹部に思いっきり蹴りを入れられた。
だが、右手損失による出血が徐々にソニンの体力を奪い、みるみる動きが鈍くなっていく。
逆に田中と亀井の攻撃が当たるようになり、ソニンの体のあちこちから傷が刻まれ血が流れ始める。
体力的にも限界なのか、肩で息をしている。
「もう、こんなことやめましょう。」亀井が声をかける。
「はぁ…、はぁ…、随分、優しい、のね…。」ソニンは笑顔を浮かべると、オリハルコンを亀井に投げてきた。
オリハルコンは、よけた亀井の顔の左横を通ると髪の毛を数本切り取り、後ろの壁にささった。
ソニンは投げると同時にしゃがみこみ、ブルーノを握っている自分の右手を拾うと、
それを近くの窓を投げ込む。窓のガラスは派手な音を立てて割れた。
ソニンは続けて窓から飛び出し外に出る。
亀井はまたも唖然としていたが、田中がソニンの後を追うために家の玄関から外に出たことに気付き、
慌てて後を追っていった。
────────────────────────────────────────────────────
─
- 492 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
- WATER TEAM'S PHASE──
飯田とアヤカは柴田と石川の死体をとりあえず埋葬しようと地面を掘れるものを探していたが、
学校のほうから銃声が聞こえると埋葬を諦め、急いで学校に戻る。
学校に戻った2人が校門のところで見つけたのは保田の死体であった。
どうやら、保田は体中に銃弾を浴びたようだ。
「圭ちゃん…。」
飯田は開いていた保田の目を閉じる。
「アヤカさん、とりあえず圭ちゃんを中に運びましょう。」
「わかりました。」というと、飯田は保田の上半身、アヤカは保田の下半身を持ち、
校舎の中に運び込む。運ぶ途中で飯田はあることに気がついた。
- 493 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/10(火) 20:47
- 飯田達が保田を運びながら学校に入ると、中は校門よりさらに酷い状況になっていた。
「あれは…、高橋とよっすぃー?」
高橋と吉澤が重なり合うようにして倒れている。
そちらも気になったのだが、とりあえず保田の死体を教室に運び込み、
村田の死体の横に寝かせる。ふと、飯田は保田の首輪に手をかけると、
それをゆっくりと回していく。切れ目をみつけ、それを広げ、首から首輪を外す。
「え、それって…」隣のアヤカがびっくりして尋ねる。
それに対して飯田は、「うん」と頷いた。
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- 494 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:01
- FOOD TEAM'S PHASE──
亀井と田中は、ソニンが崖の上からじっと海を見ているのをみつけた。
上空にはカモメらしき鳥がとんでおり、しきりに鳴いている。
ソニンは、手には武器をもっておらず、リックサックも持っていなかったが、
亀井と田中は油断せずに近づいていく。
ソニンはそんな2人の様子に構うことなく、じっと海を見つづけていた。
「綺麗な海ね。」
ソニンは、突然話し始めた。
「は、はい。」
亀井は取りあえず答える。
- 495 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
- 「この海を見ていると、この島での出来事を忘れそうになるよ。」
というとソニンはまたしばらく無言になった。亀井はなんと答えたらいいのかわからずに黙っていた。
田中も喋らないところを見ると同じ考えなのだろう。
「あなたたちはきっと生きて東京に戻ることになると思う。
でも、本当の敵はおそらくうたばんのスタッフではないね。
あなたたちにとっては、東京に戻ってからが本当の戦いかもしれない。」
あいかわらずソニンは海を見ながらそう言う。
(本当の戦いは東京に帰ってから?)
亀井は意味が全くわからずに頭の中でソニンの言った言葉を心の中で繰り返していた。
- 496 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/13(金) 00:02
- 突然ソニンはこちらを振り返る。
田中は突然のことで驚いたのか、倚天の剣を慌てて取り出す。
亀井も身構えるが、ソニンはそんな2人を見てにっこりと微笑むと
「アンニョンヒ カセヨ」と2人にはっきり聞こえる声で言うと、
そのまま後ろ向きにゆっくりと倒れこみ海へと落ちていった。
亀井と田中は急いで崖に近づき、海を見下ろす。
ちょうどソニンが海面に落ちるところでドッパーンと大きな音を立て、水しぶきがあがったところだった。
そこから大きな波紋が外側に向かって広がっていく。
その波紋がやがて小さくなり、やがて消えても、亀井も田中も黙ったまま水面をずっと見ていた。
ソニン:死亡 【EE JUMP 1人→0人】
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- 497 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:44
- SALT TEAM'S PHASE──
診療所に道具を取りにいった里田は、約束どおりに30分ぐらいで道具を持って戻ってきた。
そしてみうなの手当てを始める。小川はそんな里田の様子を見守っていた。
ピンポーン
チャイムが鳴った。一瞬ドキリとした小川だったが、
「あ、小川が出ます。」と言って階段を下っていく。
(誰だろう? 松浦さんかな? だったら普通に入ってくるか…。)
玄関に着き、ドアスコープから外の様子を伺う。
- 498 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/15(日) 10:45
- ピンポーン
2回めのチャイムが鳴った。小川がドアスコープを覗くと、
ドアの前には辻と誰かを背負った藤本がいた。小川は少し迷ったが、鍵を外し、扉をあける。
「やっぱりまこっちゃんか。」
小川が扉を開けてすぐ、藤本が小川の顔を見てそういった。
「え? やっぱりって?」と小川は藤本の発言の意味がわからなかった。
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- 499 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
- WATER TEAM'S PHASE──
保田の首輪が簡単に取り外せたこと、首輪に作為的な傷があちこちにみられたことから、
飯田とアヤカはそれを保田が自ら外したものと考え、
そこから「理由はわからないが、首輪が爆破することはない」という結論に達した。
とはいうものの、機械に弱い飯田とアヤカでは、
それをどのようにして証明したらいいかは考え付かなかった。
その時外から「誰かいますか〜?」という声が聞こえてきた。
その聞きなれた声に反応し、飯田は昇降口へと急ぐ。
「あ、飯田さん!」
昇降口から外に出ると、そこには亀井と田中が立っていた。
* *
- 500 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/16(月) 20:42
- 2人を校内に招きいれ、お互いの無事を喜び合った後、飯田は早速首輪のことについて2人に尋ねた。
2人は、最初顔を見合わせていて、田中が「ま、いっか。どうせバレることだし。」と言ったのをきっかけに、
保田がPCで首輪の爆破装置を起動させなくしたことを伝えた。
と同時に、本来は爆破装置を起動させなくしたことをうたばん側に知られなかったが、
斉藤が撃たれた時に首輪が外れてしまったため、
もしかしたらうたばん側はもう知っているかもしれないと付け加えた。
「じゃあ、今この事実を知っているのは、メンバーだと私たちだけってわけね。」
飯田は2人を見て言った。
「そうです。斉藤さんも保田さんも死んでしまったので…。」
(どちらにしてもうたばん側も爆破装置が起動しないことは把握するはず。となると……。)
その時、飯田の視界に、田中が以前もってきた安倍が使った拡声器が入った。
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- 501 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:15
- AIR TEAM'S PHASE──
里田が2Fで斉藤の手当てをしていると、家のチャイムがなった。
里田は手が離せないので、小川に対応を任せた。
小川の階段を下る音が聞こえ、やがてドアを開ける音がする。
「藤本さん! それにのんつぁん!」
という小川の声が続けて聞こえてきた。
(ミキティに辻ちゃんか。WATERの2人ね。)
「ちょっと、加護ちゃんを寝かせてもらっていい?」これは藤本の声のようだ。
そのとき里田はさきほどの死亡者放送で加護の名前が呼ばれたことを思い出した。
(どうして、あの2人が加護ちゃんと?)
「えっと、それじゃあ、加護さんはとりあえずTVの前のソファにお願いします。」と小川。
- 502 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:15
- とちょうどそこでみうなの手当てが終わった。あとは安静にしているしかない。
「みうな、ちょっと下行って来るね。」「はい。」
里田も下りていく。小川はちょうど里田とみうなの説明を二人にしているところだった。
それからお互いに情報の交換を行った。
石川が狂気にかられたことは小川から聞いていたからある程度予想はできていたものの、
後藤の死については、里田も小川もびっくりした。
- 503 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/17(火) 22:16
- 「これからなんだけど、亜弥ちゃんを助けに行こうと思う。」
お互いの情報交換が終わり、藤本が話し出す。
「このレーダーがあれば位置がわかるし。」
とPDAのようなものを取り出す。
「ああ、これでさっき私の位置がわかったわけね。」
里田はさっき、診療所へ向う途中で藤本を目撃したことを話す。
「そうそう。最初ユウキが持っていたんだけどね。
で、辻ちゃんをここに置いていくからよろしくね。」
辻はさっきから言葉数が少なく、小川とともに加護の遺体の側にいる。
「私も行く。何があるかわからないでしょ? 決して足手まといにはならないから。」
里田は立ち上がり、同行を志願する。
藤本はちょっと考えいたが、「それじゃあお願いします。」と快諾した。
「まこっちゃん! みうなと辻ちゃんよろしくね。」
里田は小川に声をかける。
「わかりました。」
里田はみうなに出かけることを伝えるのと、武器を取ってくるため2階へと向った。
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- 504 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/18(水) 23:14
- UTABAN'S PHASE──
島の西部になる港に1隻のクルーザーが接岸した。船を固定させると中から8人の人物が次々と降りてくる。
うたばんスタッフである。彼らは残りのメンバーを殲滅させるために島へとついたところだ。
ただ、彼らが元いた島には熊井ADだけは残してある。東京から連絡があるかもしれないからだ。
その中で清水Pは全員を集めて話し始める。
「えー、現在。島のメンバーは10人が生存していて、別荘に3名。別荘から南方向へと移動している人物が2名。
南部に1名。学校に4名いる。移動中の2名は南部にいる1名に合流する可能性がある。
そこで我々も3チームに分割する。まずは、私と石村君が別荘へと向かう。学校へは石橋君と石田君と菅谷君。
また、南部の1名は中居君と須藤君に行ってもらう。鈴木君はここでクルーザーの見張りをしていてくれ。
君達の目的はメンバー全員を殺すことだ。遠慮はいらない。尚、我々が最初に灯台のジャマーを止めるので、
20分後ぐらいには無線が使えるようになっているはず。以後連絡は無線で行う。それでは解散。」
─────────────────────────────────────────────────────
- 505 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/18(水) 23:16
- SALT TEAM'S PHASE──
島の南部にあるこの島唯一の本屋のレジの下に松浦は隠れていた。
震えながら、体育座りをし、両手で耳を覆い、顔を膝と膝の間にうずめる。
だが、そうしても、さっき斉藤を撃ってしまったこと、後藤のこと、いろいろなことが頭から離れずにいた。
もはや、自分の手を汚さないとかそういう場合ではなくなっていた。
「もう、もういやだよ。……寒い、寒いよ。」
─────────────────────────────────────────────────────
- 506 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/20(金) 19:27
- UTABAN TEAM'S PHASE──
清水Pと石村Dは灯台に着くと、まっすぐ屋上に行き、ジャマーの電源を落とした。
清水はすぐにトランシーバーで他の2チームに連絡をし、両チームが目標に近づいているという報告を受けた。
「順調なようですね。」石村は報告を受けてコメントする。「これだったらすぐに……あ、あれ!」
石村は驚愕の表情を浮かべる。「清水さん、海岸です。海岸。」石村は地面を指差している。
「どれどれ…」清水は石村が指差している方を見てみる。「何もないぞ。」
「もっとよくみてください。誰か倒れてます。」
清水は屋上から身を乗り出して地面を見るが、何も見えない。とその時、
「高い建物の屋上で足を滑らせることは、海難事故並にあるそうですね。」
という石村の言葉とともに清水は背中を突き飛ばされた。抵抗できず空中へと飛び出す。
「うわぁぁーーーーーーーー!!」
あとは重力に従い、地面へと落ちていった。
- 507 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/20(金) 19:28
- * *
石村は屋上から地上で息絶えている清水を見てほくそえむ。
「清水さん。ここまでお疲れ様でした。あなたの役目はここで終わりです。後は私に任せておいてください。」
石村は清水の荷物からレーダーを取り出すと灯台の屋上から下に降りる階段を下り始めた。
うたばんスタッフ 清水死亡
─────────────────────────────────────────────────────
- 508 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:39
- WATER TEAM'S PHASE──
(亜弥ちゃん、今行くから待ってて。)
藤本と里田は手元のレーダーを確認しつつ、黄色い点の方向へ向いつつあった。
「ミキティ、伏せて!」
と後ろから声が聞こえてきたので、藤本はとっさに伏せる。藤本が元いた位置に銃弾が通り過ぎる。
銃声の聞こえてきた方向を向くと、カーブしている曲がり角の先に
中年の小太りの男性が拳銃を持っているのが見えた。
その男がもう一度、藤本に向けて銃を構えたので、藤本は急いで近くの民家のブロック塀に隠れる。
里田はシグ/ザウェルをその男に向けて撃つ。
その男も素早くカーブにある木の陰に隠れる。
- 509 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:39
- 「誰?」藤本は謎の人物について尋ねてみた。
「たしか、うたばんのカメラマンじゃないかしら? 須藤とかいう。」里田は答える。
「それが、なんでこんなところに?」藤本はさらに聞く。
「なにか緊急事態でも起こったのかしら?」と里田は須藤に応戦しながら予想する。
「とりあえず美貴があいつに近づくから、まいちゃん援護よろしく。」
「わかった。」里田は小川から預かったイングラムに持ちかえると須藤の方へと乱射する。
藤本は護身刀“竜穿”を抜き、家の塀・木の幹等の陰を渡り歩きながら須藤に近づく。
ある程度近づいたところで、突然何か機械を通したような声が響いた。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
(飯田さん?)その丘の方角からの聞きなれた声に少し戸惑ったが、
続いてもう一回、「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」の声、
そしてその次にパァーンという、その丘からの銃声にハッと我を取り戻す。
そして須藤が山の方角を見てオロオロしているのを見ると、素早く飛び出し、
後ろから須藤の首筋に護身刀“竜穿”を当てる。
「なんでスタッフがここにいるの?」
- 510 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 00:40
- 「え?え?」須藤はまだオロオロしている。
「もう一度だけ言うよ。なんであなたたちはここにいるの?」
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答える。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」
「そ、それは首輪が……」須藤が全てを答えることはなかった。
何故なら、前方から現われた人物に突然撃たれたからだった。
須藤は口から血を吐き、崩れ落ちる。
「余計なことは言わなくていいんだ。」今の銃声のした方からちょっとハスキーな声がした。
藤本は声の主を見る。
中居正広だった。
「さて、ミキティ。その危ないものを捨ててもらおうか。あと、近くに居る君の仲間も呼んでくれよ。」
中居は右手にデザートイーグルを持っていた。
「まあ、嫌だったらやんなくてもいいんだぜ。こいつが死んでもいいんならな。」
「チッ! 卑怯な!」藤本は吼える。
「ごめんね。たん。」
中居の前には銃を突きつけられた松浦が立っていた。
丘の方角からぱらららとマシンガンの銃声が聞こえてきた。
うたばんスタッフ 須藤死亡
─────────────────────────────────────────────────────
- 511 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:56
- WATER TEAM'S PHASE──
飯田、アヤカ、亀井、田中の4人は丘に来ていた。
目的はここから飯田が拡声器で首輪が爆発しないことを他のメンバーに知らせるためだ。
飯田は拡声器のスイッチを入れ、一旦近くに入るアヤカ、亀井、田中の顔を見渡すし、声を絞り出す。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
一息置いてまた同じセリフで叫ぶ。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
もう一息置いて、もう一度呼びかけようとした時に、パァーンと銃声があたりに響いた。
飯田は驚きしゃがみこみ、そしてゆっくりとあたりをうかがうが、自分が撃たれたわけではなかった。
他のメンバーを見渡したが、みんな驚いているものの無事であるようだ。
その時丘の南東方向から「石田! てめぇ、なにしやがる!」と男の興奮した声が聞こえてきた。
- 512 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:57
- その声とともに1人の帽子を被った女性が飯田達のいる方へ走ってくる。
「みんな、港へ!」
叫びながら来るその顔は飯田には見覚えがあった。
「あれ、石井ちゃん、どうしてここに?」
それは、飯田が昨年「おどる11」で一緒だった石井リカだった。
「説明している暇はないです。とりあえず港へ!」
とその背後から2人の男性があらわれた。1人は10代後半だと思われるまだ体格の良い男性。
彼は青龍堰月刀を持っている。
もう1人は、……石橋貴明だった。イングラムを手に持っている。
「菅谷、左によけろ!」と石橋がいうとその体格の言い男性は左によける。
石橋は飯田達にむけてイングラムを乱射した。
2人は北の階段へ向けて走り始めた。亀井たち3人も先に北の出口へ向っている。
飯田達も北の階段へと急ぐ。その後ろでマシンガンの音が再び聞こえてきた。
階段の入り口に辿り着いたところで、飯田は足に激痛を感じて倒れる。
- 513 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/22(日) 23:59
- 飯田は足を引きずるようにしてなんとか階段の下に隠れる。
そして痛みの元を見てみる。右足にいくつも銃創があり、そこから血が流れはじめていた。
階段の下に視線を向けるとそこには、亀井たち3人が飯田を心配そうに見ていた。
飯田は石井の方に振り返ると言う。
「石井さん、あの子ら連れて先に行って。」
「何言っているんです? 一緒に逃げましょう。」
石井が石橋と菅谷に向けてブルーノを牽制しながら答える。
「自分のことは自分がよくわかる。一緒について行っても足手まといになるだけ。
だったらここであの二人を食い止める。どれだけもつかわからないけど。」
飯田ももともとは保田が持っていたブレーザーR93で石橋と菅谷を牽制しはじめる。
「くっ、……わかりました。」石井は答えると、階段を下っていく。
「そ、そんなあ、じゃあ、飯田さんを見捨てるんですか?」亀井の声が下から聞こえてくる。
「亀井! 未来のあるあなたたちまでここで死なすわけにはいかないの!」
飯田は、丘の2人を引き続き牽制しながら叫ぶ。牽制のかいもなく、2人は徐々に階段方向へと近づいてくる。
「時間がない早く! 石井ちゃん、アヤカさん。2人を頼んだわよ!」
「飯田さん! 港で会いましょう!」田中の声が聞こえてくる。泣きそうな声だった。
4人が走っていく足音が聞こえた。
(さあて、ここからね。)
飯田は唇を舐めた。
─────────────────────────────────────────────────────
- 514 :名無し娘。:2004/08/23(月) 00:25
- 更新おつです
飯田さんかっこよすぎです
石橋だけでもぶち殺せ!!!
- 515 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:55
- UTABAN TEAM'S PHASE──
中居は、須藤に藤本達の対応を任せると、自分は松浦の隠れている本屋に近づく。
扉には鍵がかかっていたがデザートイーグルでガラスを割り鍵を開けて中に入る。
「おーい、あやや。SMAPの中居だけど、ゲームは終わりだから出てきていいよ!」
中居は声をかけたが反応はない。
中居は舌打ちをするとレーダーで相手の位置を確認する。
どうやらレジの下に隠れているようだ。
「アクシデントがあってもう終わりなんだ。向こうにミキティ達もいるから、
早く出てきなよ。レジの下にいるんだろう?」
- 516 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:56
- 「あっちにいるよ。」中居は外を指す。
松浦はレジから出ると、小走りで本屋から出る。
中居はレーダーで藤本達の位置を確認しながら松浦を先に歩かせ、
自分は手で方向を指示しながら、藤本達のいる地点まで急ぐ。
藤本は須藤カメラマンの後ろで須藤の首筋にナイフを当てていた。
藤本の姿が見えた瞬間、松浦は「え?」という声を出した。
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答えていた。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」藤本は怖い顔をしながら質問する。
中居はデザートイーグルを取り出し、「そ、それは首輪が……」と答えようとしている須藤の腹に向けて、
数発銃弾を撃つ込む、もし藤本に貫通したとしてもそれはそれでかまわないと考えていた。
だが崩れ落ちたのは須藤だけだった。(運のいいやつめ……)思いとは逆に中居は満足そうな表情を浮かべた。
- 517 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:56
- 続いてデザートイーグルの銃口を呆然としている松浦のこめかみにあてる。
「さて、ミキティ。その危ないものを捨ててもらおうか。あと、近くにいる君の仲間も呼んでくれよ。
まあ、嫌だったらやんなくてもいいんだぜ。こいつが死んでもいいんならな。」
「チッ! 卑怯な!」藤本は吼える。
「ごめんね。たん。」目の前の松浦が悲痛の表情で答える。
丘の方角からぱらららとマシンガンの銃声が聞こえてきた。
マシンガンの銃声になんら動じることはなく、中居は「お〜い、里田、出て来いよー」と呼びかける。
しばらくして奥の方から里田が現れた。その手にはイングラムを持っている。
「とりあえずその銃は捨ててもらおうか。そして2人とも荷物を地面におけ!」
2人とも渋々、地面に全てのものを置いた。その時、中居はある事を思いついた。
- 518 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:58
- >516 改定
すると藤本の名前に反応したのか、レジの下から松浦が立ち上がった。
(いい子だ。まあ、嘘じゃないしな。)
「美貴たんがいるって本当ですか?」
「ああ、本当だ。」
「美貴たんはどこにいるんですか?」
「あっちにいるよ。」中居は外を指す。
松浦はレジから出ると、小走りで本屋から出る。
中居はレーダーで藤本達の位置を確認しながら松浦を先に歩かせ、
自分は手で方向を指示しながら、藤本達のいる地点まで急ぐ。
藤本は須藤カメラマンの後ろで須藤の首筋にナイフを当てていた。
藤本の姿が見えた瞬間、松浦は「え?」という声を出した。
「も、もうゲームは無効になったって清水さんが言ってたから。」須藤はビクビクしながら答えていた。
「ゲームは無効? なんでいきなり?」藤本は怖い顔をしながら質問する。
中居はデザートイーグルを取り出し、「そ、それは首輪が……」と答えようとしている須藤の腹に向けて、
数発銃弾を撃つ込む、もし藤本に貫通したとしてもそれはそれでかまわないと考えていた。
だが崩れ落ちたのは須藤だけだった。(運のいいやつめ……)思いとは逆に中居は満足そうな表情を浮かべた。
- 519 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:59
- 「里田は普通の銃も持っていただろう。それを手に持て。」
里田は怪訝な顔をしたが、仕方なくシグ/ザウェルを手に持つ。
「見てのとおり俺は松浦から手が離せない。だから、里田、藤本を撃て。」
中居は松浦に銃口を向けたまま言う。
「な、なんでそんなことを!」里田は反発する。
「……もし、お前が藤本を撃ち、そして自殺したら松浦はなんとか助けてやろう。
松浦のアイドルとしての価値はここで終るものではないからな。」
「そんなこと信じられないわね。」里田は信じてないようだ。
「別に信じてもらわなくてもいいんだぜ。こいつが先に死ぬだけだからな。」
中居は松浦に銃口を押しつける。松浦はガクガクと震えている。
「わかった。」口を挟んだのは藤本だった。「だけど自分の死ぬタイミングぐらい自分で決めさせてよ。」
というと里田から銃を奪うようにして取り、ロックを解除する。
「なーるほど。よしわかった。それでいいだろう。まず藤本が自殺して、そのあとは里田だな。
じゃあ、時間もないからさっさとはじめてくれるかな?」中居は冷静に言う。
- 520 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/24(火) 23:59
- 藤本は無表情で自分のこめかみに銃口を当てた。とその時。
「やめて…。」中居の近くから声が聞えてきた。
「まつーらのために二人とも死んじゃうなんて、そんなのまつーら全然嬉しくないよ。」
震えていたはずの松浦が今はしっかりとした声で言う。
「おまえ何……」松浦が突然右手を上にあげる。その手には手榴弾があった。
どうやら中居が藤本と里田に意識を集中していた間、ポケットから取り出したようだ。
松浦は驚く中居の前で手榴弾のピンを外す。
「うわぁ」中居は情けない声を出し、松浦を突き飛ばし逃げようとする。
だが、素早く体勢を戻した松浦に逆に後ろから抱きつかれ、バランスを崩し2人で地面に倒れる。
松浦の手から転げ落ちた手榴弾がちょうど中居の目の前に来る。
手で払いのけようと思うのだが、両手とも松浦につかまれてそれができない。
頭を必死にふり頭突きで飛ばそうとするが、手榴弾まで一歩届かない。
「は、離せ、俺はまだ死にたくない。やめろーーー!」
─────────────────────────────────────────────────────
- 521 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 00:00
- WATER TEAM'S PHASE──
「は、離せ、俺はまだ死にたくない。やめろーーー!」
2人にかけよった藤本の前で、中居の絶叫とともに中居と松浦は爆発した。しばらく煙であたりは何も見えなくなる。
しばらく呆然としていたが、我に返り2人がもつれていた場所へと咳き込みながら移動し、
おそらくダメだとわかりつつも手探りで松浦を探す。
やがて4つの足を見つける。そのころには煙もだんだん晴れてきて、視界が少しはまともになった。
履いていた衣装でそれが中居か松浦かはわかったが、それ以上はわからなかった。
なぜなら、両足とも膝から下しかなかったからである。
中居正広:死亡
松浦亜弥:死亡 【SALT 2人→1人】
─────────────────────────────────────────────────────
- 522 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:05
- UTABAN TEAM'S PHASE──
石橋と石田と菅谷は丘へと向っていた。学校にいたメンバーは丘へ移動していたからである。
丘まであとちょっとのところで拡声器越しの声が聞こえた。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
どうやら飯田のようだ。
「ジョンソンか…。余計なことを…。急ぐぞ…。」
3人は小走りで東南の坂道から丘へと入ったところで2回目の呼びかけがあった。
「みんな、聞いて! もう首輪は爆発しないの! だから争わなくてもいいの!」
3人はやがて飯田が見えるところまで来る。飯田は反対方向を向いており、
石橋達には気付いていないようだ。
「菅谷、やれ!」
石橋は命令する。「ういッス」と菅谷は答えると、ブルーノを取り出し飯田に狙いを定める。
トリガーをひこうとした瞬間、石橋の隣に居た石田が突然走り始め、菅谷の拳を手刀で思いっきり叩く。
菅谷はなんとか発砲するが、ブルーノを落としてしまう。
- 523 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:05
- 飯田はしゃがんで頭を隠すものの無事のようだ。
石田は地面に落ちたブルーノを拾うと飯田の方に走り、「みんな、港へ!」と叫んでいる。
菅谷は地面に置いてあった青龍堰月刀を持つと飯田達の方へと突撃する。
石田が裏切ったとわかった石橋はイングラムを構え、
「菅谷、左によけろ!」と叫ぶ。
菅谷がよけたのを確認して石橋は飯田達の方へと走りながら、イングラムを乱射する。
飯田と石田は北の階段へと逃げるようだ。その前には別の3人も階段へと向っているが、
こちらは追いつけないだろう。
石橋は目標を2人にしぼってイングラムを乱射する。
飯田が階段に近づいたところで突然転んだ。
(やったか!)石橋は思ったが、両手を使って階段の向こうへと逃げる。
先に階段に着いた石田はブルーノで石橋達を牽制する。
石橋達も牽制しつつ、じりじりと階段へと迫る。その時飯田の叫び声が聞えたが銃声にかき消され、
何と言ってるかはわからなかった。
- 524 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:06
- やがて銃声がやんだ。
(逃げたのか?)その石橋の考えに呼応するかのように、
「追いかけますか?」菅谷が聞いてくる。
「よし! 頼んだ! 俺も援護する。」と答える。
菅谷は青龍堰月刀を構えると階段へと走る。石橋はゆっくりと階段へと歩く。
菅谷が階段まであと数歩というところまで来たところで、影が飛び出てくる。
菅谷は青龍堰月刀で斬ろうとするが、影がいち早く懐にもぐりこみ菅谷の右手を剣で斬りおとす。
「ぐわぁぁぁーーーーー!!」
菅谷の叫び声が聞こえてきた。
(さすがはジョンソン。だが、それは承知の上よ。)
レーダーはもともと石田が持っており、飯田達の位置はわからなかったのだが、
石橋は飯田が隠れている可能性を読み、菅谷を先に行かせたのであった。
石橋はその間に2人の横へと移動して2人に向けてイングラムを撃つ。
菅谷は左半身に銃弾を受けその場に崩れ落ちる。
飯田も右半身に銃弾を受けたはずだが、立ったままだった。
- 525 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/25(水) 23:07
- 「おおおおぉぉぉぉーーーーーー!!」
飯田はケモノのような咆哮をあげると、王者の剣を持って石橋へと突進する。
血でべっとりと汚れている右足を引きずりながら、だが、引きずっているとは思えないスピードで。
石橋はその威嚇するような目に一瞬ひるんだが、気を取り直すとイングラムのトリガーを
飯田に向けてまた弾く。
無数の銃弾が飯田の体内に埋め込まれた。だが、飯田の歩みは止まらない。
「あいつはバケモノか…」
石橋は尚も撃ち続ける。やがてカチンカチンと弾が切れる。
見ると飯田はすぐそこまで迫ってきていた。飯田は王者の剣を振り上げる。
「ヒィッ…」石橋は飯田の迫力に動けず、情けない声を出してその場に尻餅をついた。
だが、飯田は振り上げたまま前にドサっと、石橋の横へと倒れ込んだ。
どうやら剣を振り上げたのが最後の力だったようだ。
「くそっ、驚かせやがって……。」
石橋は立ち上がると、動かなくなった飯田を一瞥し、タオルで汗を拭きながら、
南東への小道へと走っていった。
うたばんスタッフ 菅谷死亡
飯田圭織:死亡 【SALT 4人→3人】
─────────────────────────────────────────────────────
- 526 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:39
- SALT TEAM'S PHASE──
別荘にて小川が落ち着いてきた辻と話をしていると、
「小川さ〜ん。」と外から男の声が聞こえてきた。
この島に男はいないはずと不思議に思っていると、
「小川さん、小川麻琴さん。ちょっと話があります。」と続けて声がかかった。
(な、なんでわたしがここにいることを知っているの?)と小川は不思議に思った。
「のんつぁんはここで待ってて。」と辻に言うと、一人で玄関へと移動する。
チェーンをかけたまま、「なんですか?」とドア越しに聞く。
「あ、わたくし、うたばんのディレクターで石村といいます。
単刀直入に言いますと、ゲームはもう終わりです。あなたたちは戦わなくてもいいのです。」
「はぁ…。とりあえず仲間と相談します。ちょっと待っててください。」
小川は覚悟を決めると、一旦辻のところへ行く。
そして辻に、今の石村の話をして、辻と相談をする。
結局、安全かどうかわからないが、もし殺す気だったらわざわざ正面からこない、
どの道、このまま最後のチームが残るまで勝負させられるくらいなら、
ここで一か八か彼の話を聞くほうがいいという結論に達し、石村を中にいれることにした。
- 527 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:40
- 小川と辻は玄関に戻り、チェーンを外し鍵を開ける。外には眼鏡をかけた丸顔の30歳くらいの男性が立っていた。
「ありがとう。」彼は微笑む。
「まだ、私たちはあなたを信用したわけではありません。だから武器を預からせてもらいます。」
小川は強気に言う。
「ま、そりゃそーですね。」と石村は言うとジーンズの後ろのポケットからデザートイーグルを取ると、
それを小川に渡す。
「では、中へ。」小川は石村を中に通す。
3人はリビングのソファに座った。
「さっきの話、もうちょっと詳しく聞かせてもらいますか。」
「保田さんが貴方達の首輪の爆破装置を止めました。だから、君たちが無理矢理戦う必要なもうないのです。」
「おばちゃんが…」辻が驚く。「でもなんでそれをのぉ達に教えてくれるの?」
「スタッフの中にもあなたたちのような少女が戦うというのに反対しているメンバーがいるということです。
わたしたちはこの計画を事前に知ってはいたものの、止めることはできませんでした。
だけど、島のあちこちに宝箱を置くことを提案し、その中の1つにパソコンを入れておきました。
それがうまく保田さんの手に渡って、彼女が首輪の爆破システムにウイルスをばら撒き、
システムそのものを無効としたわけです。まあ、もし宝箱が見つけられなかったら、
わたしの仲間が忍び込んでどこかのチームに渡す予定だったんですがね。
で、今反対派がこの島にいる残りのメンバーをかき集めて、島から脱出しようとしているところです。」
石村は淡々と説明する。
- 528 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/30(月) 00:41
- 「あなたの話はわかりました。でも、藤本さんたちが松浦さんをつれてここに戻ってくる予定なんです。
だから、ここを離れられないんです。あと、ここには重傷の人もいるし。」
小川が現在の自分達の状況を説明する。
「藤本さんの件でしたら、」といって上着のポケットから藤本がもっていたものと同じレーダーを出す。
「これで居場所がわかります。これを使って合流すればいい。」
「これ、ちょっといいですか。」辻がレーダーを手に取る。
「どうぞ。」というと石村は辻にレーダーの使い方を簡単に説明する。
「スイッチオンっと。あ、ちょっと下に赤と緑の点ある。」
「藤本さんと里田さんかなあ。」小川も隣から覗き込む。
「あややはどうしたんだろう?」辻は心配する。
「みうなさんの件ですが、傷の具合をみないとなんともいえませんね。」石村が言う。
とその時、「わたしなら、歩けますよ。」という声とともにみうなが階段から降りてきた。
顔色もよくなったように小川には思えた。
「大丈夫なの?」
「完全とはいえませんが、歩くぐらいなら。あんまり早くは歩けませんけど…。」
「まあ、いざとなればわたしが背負いますから、ご心配なく。」これは石村だ。
「じゃあ、とりあえず、藤本さん達が戻ってくるのを待ちましょう。」
「のぉはあいぼんとお別れしてくるね。」というと辻は2階へとあがっていった。
(さてと、私も準備しなくちゃ)小川も立ち上がった。
─────────────────────────────────────────────────────
- 529 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:20
- WATER TEAM'S PHASE──
アヤカ達は石井の先導で島の西部へと到着した。AIRの本部である倉庫を抜け、
港へと走る。走りながら石井が「あのクルーザーが私たちのよ。」と一隻のクルーザーを指して言う。
やがて、クルーザーが止めてある桟橋へとたどり着く。
実は石井は手元のレーダーで飯田の点が消えていることに気付いていたのだが、言い出せずにいた。
石井は桟橋からクルーザーに向けて、「戸田さん。戸田さーん。」と呼びかける。
すると、クルーザーからひょこっと若い女性が顔を覗かせた。
アヤカはその顔には見覚えがあった。元カントリー娘。のりんねである。
りんねは顔に怯えの表情を浮かべていたが、突然、「逃げて! 早く逃げて!」と叫ぶ。
- 530 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:21
- すると、横から人影が出てきて、持っていた銃の銃把のところでりんねの後頭部を殴った。
りんねは「グッ」とうめき声を出すと横へ倒れる。
「い、石橋!」前の石井が声を上げる。
「おいおい、先回りだよ。先回り。南のルートの方だと早く着くんだよ。
ところで石田。お前どっかで見たと思ったら去年のシャッフルのメンバーか。
まあ鈴木もそうだったようだけどな。どちらにしても俺たちを騙すなんていい度胸だ。
礼だ。受け取れ。」
石橋はそういうと右手のイングラムで石井を撃つ。
石井はよけるものの右肩から右脇腹にかけて被弾してしまう。思わず膝をつく石井。
アヤカは素早くデリンジャーを抜くと、クルーザー上の石橋に向けて数発撃つ。
石橋は影に隠れる。アヤカは引き続き撃ちながら、「田中! 亀井! 石井さんを頼む!」と叫ぶ。
田中と亀井が石井の元へと寄り、2人で石井を支え歩く。
アヤカは石井からブルーノを借り、しんがりで歩きながらクルーザーに向けて打ち続ける。
石橋は手だけ出して、イングラムを撃ってくる。そのうちの1発がアヤカの左の二の腕を掠める。
熱感と痛感が同時にアヤカを襲う。だが、構っている暇はない。出ている手だけに向って撃ち続ける。
だが的が小さく石橋手には当たらず、周りの壁を削るのみだった。
- 531 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:22
- 石橋はそれでも撃ちつづけるが、そのうち弾切れを起こし、銃倉を入れ換える音がする。
「みんな、いまのうちに!」とクルーザーから少し離れた漁船の陰へと逃げ込む。
漁船の陰に隠れると、アヤカは石井の傷の様子を見る。
5・6発はまともに受けたようだ。決して軽くはない。
(手当てするにしてもここにはないもないし……。)
とアヤカが少し悩んだその時、前の亀井が「あ、あれ!」と叫んだ。
後ろを振り向くと、漁船の上で何かが爆発する。どうやら石橋が手榴弾を投げたらしい。
漁船のガラスが割れる音とともに爆風で4人はなぎ倒される。
「みんな、大丈夫?」
アヤカはふと顔をあげて他の3人の安否を気遣う。田中と石井は少し飛ばされたが無事なようで、
2人とも起き上がろうとしているところだった。ただ亀井が立ち上がらない。
(後頭部をうった?)アヤカは心配して声をかけようとしたその時──。
- 532 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:23
- アヤカが後ろに人の気配がして振り返る。
石橋が影から現われたところだった。アヤカは地面に落ちたブルーノを拾おうと手を伸ばす。
石橋のそのブルーノに向けてイングラムを撃つ。
アヤカはブルーノをつかむが、右手に激痛が走りブルーノから手を離す。
右手の甲に2つほど穴が穿かれ、そこから血が流れていた。
アヤカが左手で右手を押さえてると、石橋はアヤカにむけてイングラムを構えた。
アヤカは目前に死が迫ってきてても実感がわかなかった。
アヤカこと、木村絢香はミカと同じく99年にココナッツ娘。としてハロプロ入りする。
彼女は他のココナッツメンバーとちがって純粋な日本人だった。
はじめのころこそシングルを出していたが、だんだんとメンバーがやめていき、
2001年8月の「情熱行き未来船」を最後にシングルが発売されなくなった。
そして02年にレフアがやめて、ココナッツ娘。はミカと二人きりになる。
ミニモニで活躍しているミカとは水をあけられた形となったアヤカだが、
02年にプッチへの加入というまたとないチャンスを与えられた。
だが、結局新プッチは1枚もシングルを出すことなく事実上活動停止となった。
- 533 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 00:26
- (ああ、このまま死んじゃうんだ、私。せめて写真集くらい出したかったなあ……)
とアヤカが諦めかけたが──。
「たぁ〜かさん!」
石橋を呼ぶ声が石橋の後ろから聞こえてきた。
石橋が振り返ると同時に、石橋のいるところから黒煙が発生し、あたりを包む。
「ゲホッ、ゲホッ、くそっ、どうなってやがるんだ!」という石橋の声が聞えてきた。
アヤカも煙で包まれて視界がほとんどなく、煙の影響でむせる。もちろん向こうの様子は見えない。
その時、アヤカは誰かに肩を叩かれて耳元で囁かれた。
「今のうちに…」
「ミキティ!? どうしてここに?」声の主は意外にも藤本だった。
* *
- 534 :名無し娘。:2004/08/31(火) 07:52
- 初めまして。いつも見させていただいたいます。
いきなり指摘します、すみません。
525のかおりはSALTではなく、WATERですよね。
あと、アヤカは写真集を出しています。
本当にすみません。
これからも頑張って下さい。
- 535 :名無し娘。:2004/08/31(火) 08:02
- >>534
これってシャッフル時の話だから出してないんじゃない?
- 536 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:36
- >>534
あ、そうでした。コピペ直してなかった。
アヤカの写真集は2003年8月20日発売です。
ですから、5月下旬ぐらいではまだ話を聞く前かなあと。
- 537 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:36
- ということで525の訂正版
「おおおおぉぉぉぉーーーーーー!!」
飯田はケモノのような咆哮をあげると、王者の剣を持って石橋へと突進する。
血でべっとりと汚れている右足を引きずりながら、だが、引きずっているとは思えないスピードで。
石橋はその威嚇するような目に一瞬ひるんだが、気を取り直すとイングラムのトリガーを
飯田に向けてまた弾く。
無数の銃弾が飯田の体内に埋め込まれた。だが、飯田の歩みは止まらない。
「あいつはバケモノか…」
石橋は尚も撃ち続ける。やがてカチンカチンと弾が切れる。
見ると飯田はすぐそこまで迫ってきていた。飯田は王者の剣を振り上げる。
「ヒィッ…」石橋は飯田の迫力に動けず、情けない声を出してその場に尻餅をついた。
だが、飯田は振り上げたまま前にドサっと、石橋の横へと倒れ込んだ。
どうやら剣を振り上げたのが最後の力だったようだ。
「くそっ、驚かせやがって……。」
石橋は立ち上がると、動かなくなった飯田を一瞥し、タオルで汗を拭きながら、
南東への小道へと走っていった。
うたばんスタッフ 菅谷死亡
飯田圭織:死亡 【WATER 4人→3人】
─────────────────────────────────────────────────────
- 538 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:37
- 藤本と里田が別荘に戻ってくると、石村という男性が居て少し驚いたが、とりあえず説明を聞き、
完全には信用はしなかったが、とりあえず理解はした。
そこの全員に松浦の死を知らせると、別荘の空気が重いものとなったが、
藤本の「亜弥ちゃんのためにも東京へ帰るんだ!」の言葉に触発され、元気を取り戻す。
全員で港へと向うことになり、怪我をしているみうなの足取りに合わせてゆっくり行くことになったが、
既に港へ向っているWATER1人とFOOD2人(アヤカと亀井と田中)と連絡を取るために、
藤本が1人だけ先行することとなった。その時に藤本はあることを思いつき、
石村に首輪の外し方を教えてもらい、そのやり方で首輪を外し、それを辻に渡す。
「だって、レーダーってこの首輪で反応してるんでしょ? やっぱり石橋達に1人でいるのがバレると、
ヤバいからさ。美貴は後でみんなと来ると思わせときたいわけ。」
そのほかいろいろ準備をして藤本は先に別荘を飛び出した。
別荘から港へは初めて通る道だったのだが、里田に教えてもらったとおりに進み、
さほど時間はかからなかった。港に着いたところで何かが爆発する音が聞こえ、足を速める。
やがて、視界が開ける場所まで来ると、石橋が誰かに銃を突きつけているところだった。
- 539 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/08/31(火) 11:39
- 藤本は走りながら、別荘で里田に分けてもらった煙玉を2つほど火をつける。
「たぁ〜かさん!」
藤本は叫びつつ煙玉を石橋の方へと投げる。地面に落ちた煙玉はたちまち大量の煙を吐き出す。
石橋の周りは黒煙で覆われた。
「ゲホッ、ゲホッ、くそっ、どうなってやがるんだ!」という石橋の声が聞えてきた。
藤本はレーダーであたりをつけて、黒煙の中に入り、石橋の一番近くにいるWATERのメンバーの側へ行き、
その肩を叩いて、「今のうちに…」と呼びかける。
「ミキティ!? どうしてここに?」その人物――アヤカは突然現れた藤本に驚いていた。
「話は後。早くあっちの倉庫の裏へ!」藤本はそう促すと、今度は田中の近くへと移動する。
田中のところまでくると煙の影響はほとんどなかった。やはり驚いている田中にも同じく呼びかける。
「絵里が…。」亀井は仰向けに倒れたまま動いてなかった。
とりあえず亀井を田中とともに、倉庫の裏へと運ぶ。アヤカは石井とともに先に倉庫の裏にいた。
石橋の方を見ると、煙から脱出してクルーザーの方へと戻ったようだ。
藤本は全員の安否を確認する。アヤカは右手を負傷し、恐らく何も持てないだろう。
左手で持つことはできるだろうが、利き腕ではないので戦力としては期待できない。
石井は右肩から右の脇腹にかけて撃たれていて重傷であり、歩くのがやっと。
亀井は確認したところ、息があったので爆発で飛ばされて気絶しているだけのようだ。
田中は左の二の腕に切り傷がある。だがこれは手当て済みであるし、武器を持てないことはなさそうだ。
(このメンバーで石橋をどうにかしなくてはいけないのか。さて……。)
─────────────────────────────────────────────────────
- 540 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
- UTABAN TEAM'S PHASE──
石橋は一旦船の方へと戻ったが、煙が晴れるとまた元の場所へと戻る。
だが、そこには誰もいなかった。
「くそっ、どこへ逃げやがった?」
石橋は辺りの様子を見る。近くには倉庫が3つあった。
そのうちのどれかだろうと考えた石橋はとりあえず倉庫のシャッターを調べる。
だがシャッターは開かなかった。他の2つの倉庫も調べたが同様に開かなかった。
(もしこの中に入っても袋のねずみだ。わざわざここには入ってないかもしれない。そうすると…。)
石橋はイングラムのトリガーに指をかけ、真ん中の倉庫から左の倉庫との倉庫の狭い路地をそっと見る。
だが、誰もいないようだ。今度は右の倉庫との路地をそっと覗く。やはり誰もいない。
しかし何か違和感を感じた石橋が下の向いた瞬間、下から何かが飛び出す。
「うわッ!」
どうやら藤本がしゃがんで隠れていたようだ。石橋は藤本にイングラムを向けるが、藤本の方が行動が早く、
右手の護身刀“竜穿”でイングラムを弾き飛ばす。
イングラムは弧を描くと、石橋の右後方に落ちた。石橋は振り返りイングラムを拾おうとするが、
いつの間にか現れていたアヤカが右足でイングラムを蹴る方が早かった。
「あっ」石橋は声をあげる。
アヤカは1歩進んでさらに強くイングラムを蹴る。
イングラムはクルクル周りやがてポチャンと海へと落ちた。
- 541 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
- 石橋は武器を失い四つんばいになり、がっくりうなだれる。
「貴さん、もう貴さんが戦う理由はないと思うよ。だから、もうやめようよ。」
藤本が石橋の前に来て話し掛ける。見ると武器は持っていないようだ。
「たしかに重さんを殺したのは許せないけど、だからと言ってここで貴さんを殺したらそれで終ってしまう。
一緒に東京戻ろうよ。一緒に戻ってここでの出来事を皆に話して欲しいんだ。」
石橋は顔を上げる。藤本が右手を差し出す。
「…わかったよ。もう武器もないし降参だ。
お前らの言うとおり、東京に戻ってこのことをみんなに話すよ。」
- 542 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 00:19
- 石橋は一旦右膝をつき、立てひざの体制になり、自分の左手で藤本の右手を握り立ち上がろうとする。
と同時に自分の右手をズボンの中に入れる。
そして立ち上がると同時に、右手で隠してあったジャックナイフを取り出し、
藤本の左胸目掛けてナイフを突き出す。いや、突き出そうとした。
だが、藤本は右手を前に出し、勢いをつける前の段階で、ナイフの刃の部分を握り勢いを殺す。
「妻子があるのに、わざわざ東京に戻って犯罪者になるわけにいかないだろう。バーカ!」
刃を握った藤本の右手から血が流れ出し、地面にポトリと落ちる。
アヤカが駆け寄ろうとするが、藤本は左手でそれを制す。
「そうか……。れいな!」藤本は田中を呼ぶ。
倉庫から田中が出てくる。手には既に倚天の剣を握って。
慌てた石橋はナイフを引いて対応しようとするが、藤本の力が案外強くて引き抜けない。
田中は黙って倚天の剣を石橋の背中へと振り下ろした。
─────────────────────────────────────────────────────
- 543 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:43
- AIR TEAM'S PHASE──
里田は別荘組の後発隊として、辻・小川・みうなとスタッフの石村とともに港へと進んでいく。
みうなのスピードに合わせて普通の歩行だったので少し時間がかかった。
港につくと藤本と田中とアヤカがいた。足元には石橋が倒れており、
背中には袈裟切りにされた傷があった。
そして、藤本もアヤカも腕に怪我をしているようで右手が血で染まっていた。
声を出せないでいる里田たちにアヤカが優しく微笑む。
「全ては終わったのよ。東京に帰りましょう。」
─────────────────────────────────────────────────────
- 544 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:44
- UTABAN TEAM'S PHASE──
2チームが合流し、藤本やアヤカの応急処置や島を脱出する準備をしているころ、
石村は、石橋が倒れている側に来ていた。
「石橋さん。ここまでお疲れ様でした。ゆっくりお休みください。
私ね、彼女らを東京まで届けるとプロデューサーになれるんですよ。
まあ、ゆくゆくは制作部長にでもなって石村時代を築くようにがんばらせてもらいますよ。」
その時、倒れている石橋の右手がかすかに動いた。
「あれ? 石橋さん、もしかしてまだ生きてらっしゃるんですか? これは失礼しました。」
と言って石村は石橋の頭を足で踏んづける。
「そういえば、東京にいる頃、私のことを散々馬鹿にしていただきましたよね?
根暗とか、ヲタク野郎とか…。あの時、受けた御恩、私絶対忘れませんよ。」
石村は足を一旦上げ、勢いをつけて石橋の後頭部へ振り下ろす。ガツッという鈍い音がする。
「あははは、無様ですね。今のあなたを見たら奥さんや子供達はどう思うのでしょうね?」
とその時、石村は石橋を踏んでいる足に何かチクッとした痛みを感じた。
- 545 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/01(水) 22:47
- 自分のズボンを上げて足を見てみる。足首のちょっと上のところの外側に赤い点があるのを見つけた。
「なんだこりゃ?」
続いて石橋を見てみる。石橋は右手に何か針のようなものを持っていていた。
「ぷくくく、最後の抵抗に針! それで私に抵抗したつもりですか?
たしかにチクッとして嫌な感じがしましたよ。これで満足ですか?
さて、そろそろ準備も終わる頃でしょう。では、石橋さん、さ・よ・う・な・ら。」
石村は歩き出し、クルーザーの方へと向うために、1歩2歩と進んでいく。
3歩目を踏んだところで、突然息が出来なくなった。思わず喉を押さえる。
だがまるで呼吸の仕方を忘れてしまったように息が出来ない。
「ぐぐぐぁぁ。」
みるみるうちに石村の顔がどす黒くなっていき、目はこれ以上ないほどに開き、口からは泡を吐き出す。
石村は立っていられなくなり四つん這いになる。よだれがボタっと地面に落ちる。
そして、右手の近くにあった草をつかむ。だがそれで楽になるはずもなく、草が抜けただけだった。
石村はそうしてしばらく最後のあがきをしていたが、やがて動かなくなった。
石村は最後まで知らなかった。石橋が最後の力を振り絞って石村の足元に刺した針はただの針ではなく、
先端には即効性の毒が仕込まれていた毒針であったことを。
石橋貴明:死亡
うたばんスタッフ 石村死亡
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- 546 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:20
- クルーザーは一路東京へ向けて進路を取っていた。
乗っているメンバーは、アヤカ、辻、小川、里田、藤本、田中、亀井、石井リカ、熊井AD
そして運転者のりんねである。
石村Dは、アヤカが呼びに行ったときは既に事切れていた。
原因はおそらく石橋が持っていた毒針による中毒死だろうとりんねが見当をつけた。
それは、予備の支給武器の中に毒針があったのをりんねが記憶していたからである。
気の毒とは思ったのだが、だからといって遺体を東京に持って帰るわけにもいかず、
仕方なく倉庫の中に運び込んだ。
途中でスタッフがいた島へ立ち寄り、熊井ADを回収する。
熊井はみんなが無事に動いているのを知ると諦めたらしく、大人しくついてきた。
現在はクルーザーの一室で大人しくしている。
- 547 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/09/02(木) 21:22
- 腕だけを怪我したアヤカと手だけを怪我した藤本に比べて石井の怪我は重傷だった。
最初はベッドに寝ていたが、熊井を連れてきて東京に向けて出発した後、みんなを呼ぶ。
「説明しなくちゃ……いけないわね。」
石井は声を振り絞って話し始める。まるでそれが自分の最後の仕事のように。
2003年のとある日、石井に懐かしい人からメールがあった。
そのメールには日時と場所の指定がされていた。どうしても直接話さなければならないという。
その日は開いていたのでOKの返事をした。
その日その場所へ行ってみた。そこはどうやら貸し会議室のようなものらしい。
そしてそこには同じくハロプロOBのりんねも来ていた。お互いに驚き近況を話し合う。
話している途中でメールの送り主である平家みちよが現われた。
平家は挨拶もそこそこに用件を切り出す。
どうやらTBSでモーニング娘。によるバトルロワイヤル計画が進行中であるとの情報を平家は聞いたらしい。
いつなのかはまだわからないが、あるのは確実なようだ。
だから、2人にTBS内部に入って詳しい情報を得て、阻止できるなら阻止してしてほしい。
自分が入ってもいいのだが、自分は外で動きたいので、2人にその仕事はお願いしたいと。
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