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とくばん〜HPシャッフルサバイバルSP〜

1 :ゼロ ◆5eqMCHlE :2003/08/04 22:42:31
このスレは、2003年のシャッフルユニット+αでのバトロワ風サバイバルゲーム小説のスレです。
残酷なシーンとか出てきますので、そういうの嫌いな方は見ないほうがいいです。
それでもいいという方がいれば──
少しの間、私の拙い小説にお付き合いください。


264 :名無し娘。:2004/01/19(月) 23:51
川o・-・)のネタスレで誇張されているキャラじゃなくて新鮮な感じがしました。
ここでお亡くなりになったけど

265 :名無し娘。:2004/01/20(火) 00:27
こんこ〜ん。・゚・(ノД`)・゚・。

266 :名無し娘。:2004/01/20(火) 23:04
ミキティがこんこんの敵を・・・

267 :名無し娘。:2004/01/20(火) 23:32
川oT-T)<人を信じたわたしが悪かったのでしょうか?

从;#~∀~#从<そ、そんなことないで。あれはユウキが悪いんや。
(●;´ー`)<そ、そうだべさ。
( `_´)<人を信じるのは悪いことではないです。


从*・ 。.・从<鏡に写らなくてもさゆはかわいいの。
( ;・e・)<それはよかったな。


( ;- Δ-) <お酒見つけたけど運べない…。
(;o゚v゚o)<手ぶらでは帰れないし…。

268 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/21(水) 21:45
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤とみうなは、里田をAIRのメンバーのいる倉庫へと送る途中だった。
集会所と倉庫の道筋のもうすぐ半分になろうかというところで、
「プープー」とトランシーバーの呼び出し音が鳴った。
里田がトランシーバーを取り出し呼び出し音に応える。

「はい、こちら里田です。………はい。え? 本当ですか? それで……、はい。わかりました。
 とりあえずSALTの本部に向かえばいいわけですね。……はい。そっちも気をつけて下さい。では。」
「どうしたんですか?」みうながすかさず里田に尋ねる。
「うーん。梨華ちゃんがね、自分がSALTにはめられたって、SALTに怒鳴り込みに行ったらしいの。
 梨華ちゃん自身は、『ついてこないで』って言ったらしいんだけど、やっぱり放っておけなくて、
 ミカさんと愛ちゃんが梨華ちゃんにバレないように後をついていくことにしたんだって。
 そこで、SALTの本部に集合ということになったの。そこでなんだけどね…。」
里田が言葉を続ける前に、後藤が答えた。
「一緒に行くよ。梨華ちゃんが心配だし。みうなちゃんもいいよね。」「もちろんです。」
みうなも頷いた。
「じゃあ、とりあえず圭ちゃんに報告するね。」後藤はナップザックからトランシーバーを取り出した。

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269 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/25(日) 01:54
WATER TEAM'S PHASE──

紺野がレーダーで発見したWATERメンバー、学校の3人とは待機隊の吉澤・辻・藤本であり、
別荘と学校の間の診療所のあたりの3つの点は捜索隊の飯田・柴田・アヤカであり、
また、島の中央よりちょっと南の点が矢口である。

さて、集会所との中間あたりの島の淵の1つの点。
ここあたりは島の淵といっても海岸ではなく、切り立った崖であり海面まではゆうに10mはあるだろう。
(ここから落ちたらまず間違いなく死ぬだろうね。)
とおっかなびっくりと顔だけ出して海を見ている金髪のパーマの女性が一人。
もちろん、ボスこと斉藤瞳である。

270 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/25(日) 01:55
学校から慌てて逃げ、島の南東部の畑の農作業道具などを入れる倉庫に恐怖に震えながら隠れていたが、
明るくなり、放送で村田の死亡を知ると落ち込み、やがて殺されたらそれはそれでいいやと少し自棄になり、
外に出てフラフラしていた。そしてなんとなく島の南東部の崖に辿り着いたのである。

こっちの状況など知るよしもなく、気ままに飛んでいる鳥を見て少し落ち着くと、とりあえず仲間を探すことを決意する。
(まあ、WATERと合流するのが最善だけど、学校は危険かもしれないから、とりあえずFOODのいる集会所に向ってみよう。
 ま、いきなり撃ってくることもあるまい。こっちは手ぶらだし。)
斉藤は腹をくくって歩き始めた。

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271 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/26(月) 21:14
AIR TEAM'S PHASE──

紺野が最後に確認した緑の点、それは島の北西部の海岸沿いをSALTの本部のある北部に向けて歩いている
石川を示していた。その時、この時間に流れるはずのない音楽が流れる。

「どもー。中居正広です。まだ前回の放送から1時間半しか経ってませんが、
 ここで臨時の放送です。えー、チームの変更ですね。AIRチームだった稲葉貴子が、
 SALTチームのメンバーになりました。そんな感じですね。以上です。」

(やっぱり、あれはわたしを悪者にする罠だったんだわ。)石川は確信する。
(ますます、稲葉貴子に問い詰めなくちゃ気がすまないわね。)

海岸が終わり、やがてもうすぐ別荘というところで石川は声をかけられた。
「石川」
声のほうを見るとそこには真剣な顔をした矢口がいた。

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272 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/29(木) 23:43
WATER TEAM'S PHASE──

「あれ矢口さん、どうしてこんなところに?」石川は矢口の突然の登場に少し驚いたようだ。
「ま、いろいろあってね。」矢口はつれない。「…ところで石川はこれからどこに?」
「いや、ちょっとSALTの本部へと。」矢口の真剣な態度に少し戸惑う様子を見せる石川。
「チーム変更した稲葉さんを問い詰めるために?」
「それは、そうですよ。……って何で矢口さんが知っているんですか?」石川は驚いた。
「前田さんに聞いたんだ。石川が最初に松浦を撃とうとして稲葉さんが取り付いたんだけど、
 もみ合いの中、発砲されちゃってそれが裕ちゃんに当たって…。」
「それ、間違ってますよ。稲葉が一人で中澤さんを撃ったんです。
 始めっから、稲葉はSALTと組んでいたんです。私を悪者にするために中澤さんを撃ったんです。」
「え?」今度は矢口が驚いた。(話がよくわからないなあ。)
「でも、石川を悪者にするために裕ちゃんを殺したりはしないだろう。」
「それをしたんです。あいつらは!!」石川が語気を荒げる。
「で、稲葉さんに会って問い詰めるの? 『もしかして稲葉さんははじめっからSALTと組んでいたんですか?』って?」
「そりゃ、そうですよ。」
「ま、おそらく稲葉さんは否定するだろうね。『は? 何言ってるの?』って。そしたらどうするの?」
「そ、それは…」石川はもともと勢いでここまで来たので後のことはあまり考えてなかったようだ。

273 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/01/29(木) 23:43

「とりあえず、落ち着けって。」
「私は冷静です!! 矢口さんこそ、こんなところでブラブラしてないで帰ったらどうですか?
 じゃあ、私は行きますので。」石川は行こうとするが、矢口はそんな石川の肩を抑えて行かせないようにする。
「待ちなって。今あそこ行ってもしょうがないよ。とりあえずAIRの本部にでも帰って朝飯でも食べなって。」
石川は、自分の手で矢口の手を払いのけて別荘のほうへ向おうとするが、
矢口が素早く石川の前に回りこみ進路を妨害する。
「とりあえず、そこどいてください。話をするだけですから。」石川は明らかに苛立っていた。
「そういうわけにはいかないよ。今の石川は何をしでかすかわからないもん。」
矢口は、真面目だがその分キレたら手がつけられない石川の性格をわかっていた。
「フン。どうしてもどいてくれませんか?」「ああ、石川が帰るまでね。」2人とも譲らない。
「これでも、どいてくれませんか?」石川はナップザックからシグ/ザウェルを取り出すと、
銃口を矢口のほうへ向けた。

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274 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/01(日) 00:56
SALT TEAM'S PHASE──

SALTチームは、加護と小川が握ったおにぎりを食べ、
その後、前田・稲葉は中澤の遺品を届けに集会所へ行き、松浦は2階で休憩している中、
加護と小川は1階で書き置きの手紙を書いていた。

「よし、終了っと。」小川はボールペンを置いた。
「じゃあ、とりあえず加護が読んでみておかしかったところは言うね。」加護が読み上げる。
「えっと、
『前田さん・亜弥ちゃん・稲葉さんへ
 私たち、加護亜依と小川麻琴がみなさんに黙ってここから出て行くことをお許しください。
 みなさんは私たちに良くしてくれました。そのことには感謝していますが、
 私たちは友達と一緒になるためにここを出て行きます。わがままを言ってごめんなさい。
                                加護亜依・小川麻琴』
 う〜ん、大丈夫なんじゃないかなあ。加護はあんまり文章書くのが苦手なんで参考にならないと思うけど。」
「じゃあ、とりあえずこれで行きましょう。」小川はテーブルの上に手紙と自分と加護のトランシーバーを置き、
2人は外に出るために玄関に行き、靴を履き始めた。

275 :名無し娘。:2004/02/02(月) 20:55
ドキドキ

276 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/03(火) 01:01
と、そこへ…。「あれ、2人ともどこへいくの?」2階からちょうど松浦が降りてきた。
2人は気まずい顔をし、お互いを見るが、加護が決意し松浦に話し始める。
「……というわけで、加護たちは学校へ行こうと思ってます。裏切りだと言われても仕方ないと思ってます。
 でも、加護たちはそれでもののや紺ちゃんと同じチームになりたいんです。
 だから、加護たちがここから出るのを許してください。」加護は手と手を合わせて祈るポーズを取った。
「お願いします。」小川も同調する。

それまで黙って聞いていた松浦を口を開く。
「いや、許すも何も、松浦はそういうのいいと思うなあ。友情かあ。いいなあ。」うんうんと大きく頷く。
「そういうのいいよね。おそらく、WATERのみんな賛成してくれるだろうし、問題ないんじゃないかなあ。」
「行かせくれるの?」「許してくれるんですか?」加護と小川の顔が輝く。
「許すも何も、どっちにしてももうWATERに行くって決めているんでしょ?
 なら、行ってらっしゃい。でも、びっくりした〜。2人にそんな行動力があったなんて〜。」
松浦は感心をしたようだ。
「「ありがとうございます。」」2人は声を揃えてお礼を言う。
「ここからちょっと海岸沿いに行ったところに矢口さんがいるから、矢口さんと合流するといいんじゃないかな〜。
 あ、向こうに着いたら、ミキスケによろしくね〜。」
「わかりました。」加護と小川は松浦に手を振ると扉を開け、WATERの仲間となるために外へと飛び出した。

277 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/03(火) 01:02
                   *            *

松浦は加護と小川を見送ると、再び2階に上がりベランダに出て双眼鏡で外を見はじめた。
加護と小川が、待ちきれないとばかりに走っていく。
(あの2人の離脱はちょっと早かったなあ。まさか、2人だけで離脱の計画を立てるとはね。
 本来は松浦が2人に話を持ちかけるはずだったんだけど、ま、いいか。)
松浦は双眼鏡を2人が向っていく方向に向ける。
するとそこには……、銃らしき物を矢口に向けた石川の姿が映った。
(こっちは……、まあ順調かな。まだ油断はできないけどね。さて、どうなるかな?)

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278 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/06(金) 23:21
AIR TEAM'S PHASE──

石川が矢口に銃口を向けたのはもちろん本気などではなく、倉庫でミカにしたように脅しの意味を持っていた。
ミカがそうしたように矢口はどいてくれる、石川はてっきりそう思った。
だがしかし、ミカと矢口は石川とのつきあいの深さの度合いが違った。
石川の目の前で矢口はため息を付くと首を振り始めた。
(???)
しばらくあっけに取られていた石川の視界からふと矢口が消えると、お腹の当たりに衝撃を受け後ろに倒れる。
どうやら、矢口にタックルさせられたようだ。頭を地面に打ち付けられ、数秒の間行動が取られなかったが、
ハッと覚醒し、「いたた」と言いながら立ち上がった石川が見たのものは、
倒れた時に思わず手放してしまったシグ/ザウェルを遠くへと放り投げた矢口の姿であった。

頭を打ったこと、そして自分の思い通りにならなかったことにカッとした石川は、思わず斬鉄剣を鞘から抜く。
再び振り返った矢口が殺気に気付き、咄嗟にナップザックに手を入れ、デザートイーグルを取り出した。
(結局、みんな、みんな、私をっ、はめようとしてっ!!!)
石川は完全に理性を失い、自分の取り出したものに唖然としている矢口に斬りかかった。
矢口は偶然、手に持っていたデザートイーグルで斬鉄剣を受けることができた。

279 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/06(金) 23:21
カキーン

金属音が当たりに響いた。
矢口の運もそれまでだったようで、デザートイーグルは斬鉄剣の勢いを消せずにはね飛ばされた。
「ちょっ、ちょっと待っ……」
そんな矢口の声を無視し、石川は今度は矢口の喉元を狙って突きを入れる。
斬鉄剣の刃は、咄嗟に出された矢口の右手を貫通し、矢口の喉の下部に突き刺さった。
石川が斬鉄剣を引き抜くと、矢口の喉から血が飛び散りはじめた。石川の上半身が矢口の血で赤く染まっていく。
「ぐぼっ」矢口は口から血を吐き出し絶命し、ゆっくりと後ろに倒れた。
そんな矢口を見て、石川はふと我に返る。(あれ? 矢口さん、なんで? わたし…いま、何かした?)

「うわああああああっ」1人の人物の悲鳴が石川の右横の茂みから聞こえてきた。
石川はその茂みの方を向く。そこには尻餅をついた加護と、そんな加護を見て慌てている小川の姿があった。

矢口真里(モーニング娘。):死亡 【WATER 9人→8人】

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280 :名無し娘。:2004/02/09(月) 01:03
おぉ・・・バトロワものではほぼ最後に残るのがセオリーの矢口が・・・
今までに無い感じ。期待だすん

281 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/09(月) 12:54
from ******@jp-t.ne.jp
to *****@docomo.ne.jp
subject PCについて

例のPCセットは田中れいなちゃんを通じて、FOODの保田さんに渡ったようです。
現在は、カメラの死角でいろいろ試しているようです。
知っているかとは思いますが、保田さんはPCには詳しいようでとりあえずは一安心です。
首輪システムについてもワード文書にいろいろ書いておきました。
保田さんがもしシステムに侵入してきたら、こちらも同時にアクセスしてカモフラージュする予定です。

                   *            *

from *****@docomo.ne.jp
to ******@jp-t.ne.jp
subject Re:PCについて

報告ありがとう。そっかあ、圭ちゃんに渡ったのかあ。ならばとりあえず安心。
わたしはここで祈ることしかできないけど、みんなをよろしくね。
わたしにできることがあったら、何でも言ってね。

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282 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/11(水) 23:28
FOOD TEAM'S PHASE──

後藤・みうなが里田のつきそいで倉庫に向った後、亀井は田中とともに2階で見張りをしていた。
「……、というわけで宝箱はたくさんあると思うと。れいなが見つけたのは2つやけど。」
「2つ目がパソコンで、1つ目がこれだったのね。
 ふ〜ん、これってこんなふうになってたんだ。でも、それってサイズ的には合ってるの?」
「サイズは…、れいなんぴったりの大きさばい。やけんSサイズってことやろか?
 表示がなかからわからなかよ。」
「まあ、これはれいなが着ていて大丈夫なんじゃないかな? あとみんな体小さくないし。」
「やったらそうさせてもらおっと。あ、あれ? 誰かおる。」
れいなが指差した方向には、赤い服を着た女性が地図を見ながら近づいてくるところだった。
「あれは、WATERばいね?」「そう、だと思う。誰だろう?」亀井は答えた。
「あ、そうだ。」と田中は声をあげるとブレーザーR93(弾はぬいてある)のスコープを覗く。
「あ、ボスさんだ。メロンの斉藤さんばい。」
「保田さんにとりあえず知らせよう。」亀井は階段を下りる。「れいなも行く〜。」田中もついて来る。

283 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/11(水) 23:29
保田は2人の話を聞くと。「斉藤さん、どしたんだろう?」と言いながら立ち上がり、
集会所の出口のほうへ向う。2人はその後に続く。
入り口まで来て、保田は「あ、2人はここで待ってて。ま、大丈夫だろうけど。」
と言うと一人で外へ出て行った。
2人は再び2階に上がり、2階から保田と斉藤の様子を眺め始めた。

「斉藤さ〜ん」と斉藤に呼びかけながら保田が近づいていく。
「大丈夫かなあ。」斉藤をよく知らない亀井はちょっと心配だった。
地図を見ていた斉藤はハッとして顔を上げ、保田を確認したのか笑顔を浮かべ、保田に向けて手を振り返した。
そして保田と斉藤は仲良さそうに話しはじめ、やがて2人で集会所の方に戻ってきた。
「大丈夫……みたいね。」田中がそれを見て安心したように言った。

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284 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/14(土) 13:54
WATER TEAM'S PHASE──

飯田さんから「紺野と合流したよ。」って連絡がなかったからおかしいと思ったんだ。
吉澤達がいる学校でもみんなそのことには何となく気付いていたけど、誰も口にだしてなかったよ。
ミキティはちょっと落ち着きがなかった。吉澤もちょっと普通に喋っていても、
(何で連絡ないんだろう。)と心の中では思っていた。
まあ、ののは飯田さんたちが戻ってきた時に「あれ? こんちゃんは?」と聞いていたから、
本当に気付いてなかったかも知れないけど。

飯田さんはそんなののの質問に、いったん悲しい顔をしたがすぐに気を取り直し、息を整えて、
「紺野は、このよにはもういないの。」と発言した。
吉澤は最初、「このよにはもういないの」の意味がわからなくて、(まあ、理解したくなかったんだけど)
唖然としていた。残る2人も何も喋らずあたりはシーンと静まり返っていたんだけど、そんな時、
「いないって、どういうこと?」
と静寂を破ったのはミキティだった。その言葉を受けて飯田さんは説明をしたんだ。
ミキティの言われた家にたどり着き、入り口で歌を歌ったが反応なく、裏に回ってみたところ、
庭に通じるサッシのガラスが割られており、そのサッシの近くに既に事切れていた血まみれの紺野がうつぶせで倒れていた。
そしてその紺野の左胸には、するどいもので刺された跡があった。
飯田さん達は、そんな紺野をその家の庭に埋葬してきたと語った。

285 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/14(土) 13:55
話の途中から、ののの目からは涙がこぼれていて、話が終わった途端、「うわーん」と声を出して泣きはじめ、
吉澤の体にしがみついてきたんだ。
ミキティは、「う、嘘でしょ? 本当は元気なんでしょ? 美貴達を驚かそうとしているんでしょ?」
と飯田さんの腕を強く握っていた。そんなミキティに飯田さんは首をゆっくりと横に振った。
するとミキティは「嘘、嘘、うそ…」とその場に崩れ落ちてしまったんだ。

飯田さん達はのの達が心配だったけどこれ以上被害が広がらないようにとまた捜索に出かけていった。
出かける間際、吉澤に「吉澤、2人をよろしく…」と言い残していった。
ののは、心労から保健室で寝込んでしまった。
昨日まで仲良くしていたメンバーが死んでしまったのだ、無理もない。
ミキティは「一人になりたい。」と端の教室に篭ってしまった。
紺ちゃんが死んじゃったのは一人にした自分のせいだと思っている節がある。こっちも心配だ。
吉澤はとりあえず二人に何か食べてもらおうと、食べ物を探し始めた。

                   *            *

286 :名無し娘。:2004/02/16(月) 21:01
むう。

287 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:21
紺ちゃんが死んじゃったのは、わたしのせいと思っていた。
自分1人だけでなく、紺ちゃんも連れて行けば死なずにすんだ。
始めは自分を責めて涙を流したけど、そんなことをしていてもなにもならないと思った。
何よりも自分の気がすまない。とりあえず紺ちゃんの仇を討つと心に決めた。
そう決めると心が落ち着いてきた。
ま、昔から、立ち直りは早いほうだったのよね。
それから冷静に分析をしはじめた。
学校の勉強とかは苦手だったけど、考えること自体は好きなのよ。わたし。

自分達が民家に一度隠れ、その後、学校に様子を見に行くときに、
様子を見に行くのは隠れているよりも、危険とわたしは考えていた。
移動しているときに襲われるかもしれないし、学校に襲撃者が居座っている可能性もある。
だから紺ちゃんを置いていった。だが、それは違った。紺ちゃんは殺された。隠れていた民家で。
何らかの理由で外に出てそれで殺されたのなら外で紺ちゃんがみつかったはずである。
外で殺されて犯人が家の中に入れたという可能性はあるが、わざわざそんなことをする理由がない。
中で見つかったということは…。紺ちゃんが気を許し、相手を中に入れたということ?
いや、それは違う。だったら、サッシのガラスが割れているわけがない。
まあそれすら偽装とも考えられるけど、あのあまり自ら前に出て行こうとしない分、人に恨みを買いにくい
紺ちゃんを偽装して他人のせいにしてまで殺したいと思う人がいるとは思えない。

288 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:22
ということは、やはりサッシのガラスを割って無理矢理侵入したと考えるのが普通だろう。
…でも、隠れている紺ちゃんをどうして? 中から紺ちゃんがゴキブリかなにかみつけて大声をだした可能性はあるけど。
でも、人物を探せる装置みたいなものがあると考えるのがスジかな。
うたばんのスタッフは、首輪で生存確認しているってことは、もちろんコンピュータで管理しているってことだよね。
だからそのシステムを利用して、レーダーみたいのが作ることができてもおかしくはない。
原作だって、杉村がそういうの持っていたっけ。
殺された相手は……、純粋に殺しを楽しんでいる連中かな。
すると…、あさみさん達を殺したあの2人って見るのがスジね。
チームの人数と装備の豪華さが比例するとなると、レーダーがあるとかなり有利だから、持っているとすればあとはSALT。
だけど、同じ娘。メンバーの加護ちゃんやまこっちゃんが紺ちゃんを殺すわけないし、
亜弥ちゃんだってそう。まあ、前田さんは話したことないからよくわからないけど。
やっぱりあの2人か…。

そして、仇を撃つ方法をなんだけど…。
相手は隠れている人物を狙う卑怯者である。ならば自分が囮になればいい。のこのこ登場したところを…。
ま、正直言って武装的には不利なのはしょうがない。あとはいかにしてうまくやるか…。
そう考えると、教室にあったノートにボールペンで、自分は紺野の仇を取るとメッセージを書いた。
普通に言っても止められるだけだしね。

289 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/17(火) 00:23
そして、わたしは自分の装備を確認すると、教室から校庭に出てそこから学校の外に出た。
校門を通って外へ出ようとするが、そこにはよっちゃんが待っていた。
「行くの?」よっちゃんはそう聞いた。「もちろん。止めるつもり?」
「いや」よっちゃんは首を振った。「止めても聞かないだろうし。それよりも…、朝食まだだったよね。」
そう言うとよっちゃんは手にもっていた2つのアルミホイルで包まれたものをわたしに渡した。
「これは?」
「おにぎり。昨日のご飯の残りだけど急いで作った。
 オレ、料理とか作らないから形がガタガタだけどさ。何も食べないよりましだと思って。」
と照れて鼻をかきながら言った。
「ありがとう。」わたしは笑顔で答えた。「じゃあ、行って来る。」
「藤本」よっちゃんは呼びかけた。「何?」「生きて帰って来いよ。」
「あったりまえよ。」わたしはよっちゃんに背中をむけたままそう答えるといささか早足で歩き始めた。

                   *            *

だが2人は知らなかった。このときが2人の今生の別れであることを。

─────────────────────────────────────────────────────

290 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:38
AIR TEAM'S PHASE──

ミカと高橋は石川の後を追っていた。といっても砂浜を歩くとついていっていることが石川にバレるため、
幾分、内陸よりの防風林のあたりを歩く。途中まで歩いたところで、つんつんと高橋に背中をつつかれる。
「ん?」「誰かが近づいてきます。」と高橋が指差した方には、1人の少年がいた。
その少年は、敵意がないことを示すかのように両手をあげてスタスタと歩いてくる。

(あれは…、ユウキ? なんでこんなところに。)ミカは不思議に思った。
「あ〜、良かったやっと人に会えた。」ユウキはホッとした顔をしている。
「あれ、ユウキさん、何でこんなところに?」横の高橋がミカと同じ疑問を持っていたようだ。
それからユウキは自分の境遇を話し始める。「うたばんのやつら許せないっすよね〜。」
ユウキが2人に話したことは実は、さっきユウキが紺野に話したのと同じような内容なのだが、
ミカと高橋はそれを知る由もない。

291 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/21(土) 10:39
ユウキと同年代の高橋の反応は、「この人もあっし達と同じなんだ。」という、さっきの紺野と同じであった。
ところがミカは気付いていた。ほんのわずかだが、それは簡単には取れはしない、血の匂いを。
匂いは目の前の少年から感じられた。
(何かにぶつけて傷を負ったという可能性もあるけど、警戒するに越したことはないか。)
そこでミカは尋ねた。
「それで、どうしたいの?」(一緒に行きたいなんて言い出したら厄介ね。)
「そうですね…。いえ、そんなに難しいことではないですよ。」
ユウキはズボンの後ろからワルサーを取り出し、ミカへ向けて銃口を向けようとした。「黙って死んで…」

ミカはユウキに銃口を向けられて、いや向けられる前からユウキに向ってダッシュで移動し、
ユウキが銃口を向けた時は、ユウキの右手に強烈なパンチを見舞っていた。
思わずユウキは地面にワルサーを落としてしまう。ワルサーは2人から2mぐらいの位置に転がった。
同時にワルサーを取ろうとする2人。ワルサーを手に取るタイミングは同じで2人はもつれ、転がりながら
ワルサーを奪い合う。

「アイ!! 早く行って!! 石川サンのところに!! 早く!!」
もつれながらミカが唖然としている高橋に叫ぶ。
「え、でも…。」高橋は決断がつかない。
「いいから早く!! ワタシも後で必ず向うから。」ミカが更に声を張り上げる。
「わ、わかりました。必ず来てくださいね!!」
高橋はダッシュでその場を走り去り、SALTの本部である別荘へ向った。

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292 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:51
EE JUMP TEAM'S PHASE──

人は「やってはいけない」と言われるとそれをしたくなるものである。
特にハイティーンの年代はそれが顕著で、だから喫煙や飲酒をしたり、学校の校則を守らなかったりする。
『ここで人を殺しても、罪には問われならないぜ。』
という石橋の説明の時の、社会的に何の効力も無い言葉は、ユウキの理性を打ち崩した。

「くくくく、クククク。」
紺野の命を絶ったユウキは、罪の意識どころか、
殺人という究極のタブーを破ったという精神的な高揚を感じていた。
「何だ、人なんて簡単に死ぬんじゃないか。」
人の命を奪うことに関して悦びすら感じていた。
「こんな楽しいことを、あいつ(ソニン)はやっていたのか。ずるい女だよなあ。あははは。」
そんなことさえ思った程だ。

293 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/23(月) 22:52
紺野を殺害した民家を出ると灯台へ歩きながら、ユウキは手元のレーダーのスイッチを入れた。
「次は、誰にしようかな?」
まずは目に付いたのが1人でいる緑の点(石川)。だが、この点はユウキから離れて北に向っており、
1つの青い点に近づきつつある。ユウキが自分の近くにいそうな人を探す。
近くに1人だけの人物はいないようだ。
(まあ、1人速攻で殺せば2人相手も大丈夫かな。)
とそこに、さっきのAIRの1人を追いかけるようにAIRの2人がユウキのいるところへ近づいてきた。
ユウキはレーダーを頼りに、その2人に気付かれないが、誰だかわかるところまで近づいた。
それはテンガロンハットをかぶった人と、水着みたいな衣装を着ている人であった。
そして2人とも衣装は青と白であった。ユウキは参加者一覧をめくる。

(あれは…、ミカと高橋愛か…。外人は腕っ節が強そうだが、
 高橋は足は速そうだけど力は弱そうだし根性もなさそうだな。
 あの外人さえ殺せば、高橋は余裕だな。ま、逃げられる恐れはあるだろうけどな。
 さっきの紺野と同じ手で行こう。さすがに血で汚れているこの剣を持って行くとヤバげなので置いていくか。
 ワルサーと紺野が持っていた鉄の爪さえあれば、とりあえずは何とかなるか。)
ユウキはエクスカリバーを草むらに隠すと、ほっとした顔を作り2人に近づいていった。

                   *            *

294 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/02/26(木) 15:23
油断したミカを撃ち、その後高橋も殺すはずだった。だが、いち早く反応されたミカに阻止され、
しかも高橋に逃げられてしまった。
砂浜にでも入り込んだのか、2人で転がるうちに服の中に砂が入り始め不快感をもよおす。
だが、そんなことを気にする暇はなかった。ワルサーをミカに奪われるかもしれない。
ユウキがワルサーに気を取られているうちに、ミカがユウキをマウントポジションに取った。
ユウキはワルサー右手で掴んでいたが、その右手もミカに押さえられて持つことが出来ない。
ミカは空いている右手でユウキの顔面を強打する。ユウキも左手でガードしようとするが、
相手は女性とはいえ、欧米人とのハーフであり、力はユウキ以上である。
ミカはガードの上から遠慮なく強打してくる。そのうち左手のガードも外され、顔に何発も拳を食らった。
そのうち、激痛と共に鼻の穴から生暖かい血が出てくるのがわかる。
「やめろよ。わるかったよ。俺がわるかったよ。」ユウキは思わずわめく。

とその時銃声がターンターンと数発、あたりに響き、ユウキの顔面への強打が止む。
鼻から下を血だらけになったユウキがミカの方を見ると、
ミカは自分の左肩を押さえていて、指の間から血が滲み出してきた。
その苦痛に歪んだ顔はユウキではなく2人の左のほうを向いている。
ユウキはミカの視線を追う。…そこにはうつ伏せに寝転がり、ブルーノを構えたソニンの姿があった。

─────────────────────────────────────────────────────

295 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/02(火) 02:01
EE JUMP TEAM'S PHASE──

仮眠をとっていたソニンは、ふと目覚めるとユウキがいなくなっていることに気づく。
トイレにでも行っているのだろうと思い、しばらく待ってみたが一向に戻ってくる様子はない。
ソニンは、武器庫になっている灯台の階段の途中にある物置へ行くと、もう1つのレーダーを手に取る。
(学校を襲撃したときは、破損するといけないので置いていった。)

スイッチを入れ、ユウキを探すとわりと近くでAIRの2人(ミカと高橋)に近づきつつあるところだった。
(何やってるんだ? ナンパ? そんなわけないか…。)
ソニンは双眼鏡を物置から取り出し、自分の武器を確認すると階段を下りて行く。
そして灯台から出て、レーダーを頼りにユウキ達のいる方向に近づいていく。
途中で、レーダーからAIRの1人(高橋)が北方向へ向けて速いスピードで離れていったことがわかった。

海岸の岩場の影に隠れ顔を出し、残る2人の様子を見る。
すると、ちょうどユウキとミカがもつれながら砂浜へと転がってくるところだった。
(これだけもつれていると、ミカだけを狙うのは無理か。)
ソニンがそう思っていると、やがてミカがマウントポジションを取り、ユウキを素手で殴り始める。
ソニンはミカにわからないようにゆっくり近づき、伏せてブルーノを構える。
これは、自分が下から撃つ事によって、ミカの下にいるユウキに当たらないようにするためである。
ソニンは、おもむろにトリガーを引いた、1発・2発・3発と発砲したところでミカが顔をしかめ、左肩を押さえた。
どうやら、3発のうちどれかがミカの左肩に命中したようだ。そしてミカが苦悶の表情を浮かべたままこちらを見た。

─────────────────────────────────────────────────────

296 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

ミカ・タレサ・トッド──父親がオーストラリア人のハーフの少女がココナッツ娘。のメンバーとして、
ハロプロに入ったのは、99年の夏のことだった。しばらくココナッツ娘。として地味に活動していたミカだったが、
2001年の初め、ミカにとって転機が訪れる。ミニモニ。加入である。

矢口をリーダーとし、加護と辻とミカで構成されたミニモニ。の中でミカは明らかに「異質」な存在だった。
人間は「異質」なものに対し、反発する性質がある。当初はミカにとっては、かなりの「向かい風」だった。
「刺身のツマ」のように邪魔扱いされたり、はじめっから無かったことにされたり、
時にはネット上でバッシングも受けたりしていた。

だが同時に人間は「慣れる」生き物である。そのうちミカのいるミニモニ。が当たり前になった。
(これはミニモニ。がTVに出ても決してでしゃばらないなどの、ミカの周りの空気を読める性格によるところも
 あったのだが。)
現在は、ミニモニ。のリーダーとして活躍している。

297 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:39
もし、ミカがユウキをマウントポジションに取ったときに、腰の脇差で一気に彼の命を奪っていれば、
ソニンは間に合わなかっただろう。だが、ミカはユウキの命を望んだわけではなく、
ただ武装解除し、戦いの意志を奪い、無力化して、自分は高橋の後を追いかけるのが目的だった。
(ミカのシグ/ザウェルの入ったザップザックは2人で転がっている途中でどこかへ行ってしまった。)

ミカが自分の左腕を撃たれ、撃った相手がソニンだと分かったとき、
ソニンも仲間だったというユウキの話を思い出した。ミカは咄嗟に左手で脇差を抜き、刀をユウキの首に添える。
(ホントはこんなことしたくはないが…。)
もちろん本当にユウキを殺すつもりはなく、自分の逃走するための人質であった。
だが、ソニンはなんら動じることはなく、続けてミカに向けて発砲してきた。

298 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/05(金) 23:40
銃弾は、ミカとユウキ数メートル後方に着弾する。
(殺すつもりはないってこと、お見通しってわけね。)
ミカはユウキの右手からワルサーを奪い取ると、立ち上がりソニンに1発撃ち込む。
撃たれた左腕に力が入れられないので、銃身がぶれて狙いが外れる。
もう1発撃ってみるもやはり当たらない。
(shit!!)
ミカは応戦するのを諦め、立ち上がると脇差を捨て走り始める。
目標は50m程先の大木。とりあえずここの影に隠れ、それから逃げるつもりである。
もっと近くに障害物があれば安全なのだが、現在地は砂浜でなにもない。

299 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/09(火) 23:00
ミカは一心不乱に走る。だが、なかなか大木は近づいてこない。
後ろから、銃声が何発か聞えてくる。
(God bless me...)
足元が砂で走りずらい。普段は長いとは思わない50mでも今は100mにも1kmにも感じられる。
後ろからは続いて、ソニンがブルーノを撃っているようだ。
やがて、大木があと10mくらいまで近づいてきた。
「ウォオオオオオオオオオオオオオ!!」
ミカは叫び、更にスピードを上げた。だが、突然右の足に突如、火の杭が打ち込まれたような痛みが走った。
前のめりに倒れ、口の中に砂が入る。

(W What?)
ミカは自分の身に何が起こったかわからなかった。
立ち上がってまた走りだそうとするが右の足に力が入らず立ち上がるのが精一杯。
右足の銃創を見てはじめて、自分の足が撃たれたのに気がついた。
後ろを振り向くと、ソニンが歩いてくる。手持ちのワルサーをソニンに向けて撃つ。
だが、手に力が入らずしかも座ったままの姿勢だったので、弾が命中することはなかった。
それでもミカは撃ち続けたが、何発か撃ったところで「カチンカチン」と弾が出なくなった。
(くっ、弾切れ?)
ユウキから奪ったワルサーの予備弾を持っているはずはない。

300 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/09(火) 23:00
弾に当たらないように身を伏せていたソニンはそれを待っていたかのように、
立ち上がり、ミカの方に早歩きで近づいてくる。
立ち上がれないミカはずるずると這うように大木の方へ動いていく。
這ったいるミカが、五体満足なソニンから逃げられるわけがないのはよく考えればわかるのだが、
今のミカを動かしているのは、
(アイの……ところに……行かなくちゃ……)
という思考であった。
それでもなんとか最初の目的地の大木の根元まで来たところで、ブルーノの発砲する音が響いた。
それがミカが人生で最後に耳にした音だった。

ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【WATER 8人→7人】

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301 :名無し娘。:2004/03/10(水) 00:17
更新乙

最後の
>ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【WATER 8人→7人】
ミカは AIR だ

302 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
>>301
あ、ほんとだ。っつーことで訂正。

303 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 21:44
弾に当たらないように身を伏せていたソニンはそれを待っていたかのように、
立ち上がり、ミカの方に早歩きで近づいてくる。
立ち上がれないミカはずるずると這うように大木の方へ動いていく。
這ったいるミカが、五体満足なソニンから逃げられるわけがないのはよく考えればわかるのだが、
今のミカを動かしているのは、
(アイの……ところに……行かなくちゃ……)
という思考であった。
それでもなんとか最初の目的地の大木の根元まで来たところで、ブルーノの発砲する音が響いた。
それがミカが人生で最後に耳にした音だった。

ミカ(ココナッツ娘。・ミニモニ。):死亡 【AIR 4人→3人】

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304 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
EE JUMP TEAM'S PHASE──

ソニンは、ブルーノによって事切れたミカをみるとひといき息をつき、ユウキのいる方に走って戻っていく。
戻ると、ユウキは鼻を押さえながら、立ち上がりかけているところだった。
その顔は、ミカによる殴打で腫れ上がり、その男前が(性格はともかくとして)台無しだった。
「くっそー、あのガイジン、遠慮なく殴りやがって…。」
ソニンは、そんなユウキに自分のティッシュを渡す。
ユウキは「フン」と鼻を鳴らすと、1枚を鼻血が出ている自分の鼻に詰めた。

「なんで勝手な行動してるの? 『見張ってろ』っていわなかったけ?」ソニンは問い詰める。
「たしかに『見張ってろ』とはいったけど、『獲物を見つけても構うな』とは言われた覚えはないが?」
ユウキも負けていない。
「何小学生みたいなこと言ってんの? 私がいなかったら今ごろ、死んでいたかもしれないのよ?」
「はあ? 誰が助けろって言った? 余計なことすんなよ。あそこから反撃しようとしてたんだけど。」
「へぇー。あそこから反撃ねえ。あのマウントポジションからどうやって反撃するのか、
 今後の参考にするから、聞かせてくれない?」ソニンは、皮肉まじりで笑みを浮かべた。
「そ、それは…。」ユウキはつまる。「お前になんか話せるかよ。」ソニンから目線をそらす。
「はぁー。」ソニンはゆっくり首を振ると大きなため息を付いた。

305 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/11(木) 22:53
「とにかく、お前の力を借りなくても、俺はもう1人でやっていける。」
というと、自分の服についた砂を手で払い落とすと、一人で歩き出す。
「おい。」「止めるなよ。」「止めないけどさー、せめて武器くらい持っていきなよ。」
というとソニンは、ミカから取り返したワルサーと、自分のナップザックから手榴弾を3つ渡す。
「どーも。」ユウキは不貞腐れた礼をすると、内陸側に向けて歩いて行った。

                   *            *

306 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/12(金) 23:06
(あったあった。次はエクスカリバーか。)
ユウキはミカともみ合っているうちに、落としてしまった自分のぶんのナップザックを拾い上げる。
(フン。俺は1人でもやっていけるさ。だいたいEEの時だって俺一人で十分だったんだ。)
この時のユウキの自信は、実は紺野を仕留めることができた、ただそれだけなのだが。
(たしかここに…。みっけっと。)
隠してあったエクスカリバーも見つけて、鞘から剣を抜いてみる。
(ん? …くそっ、あのガイジン遠慮なく殴りやがって。)
刀身に写った自分の、いろんなところが腫れ上がった顔を見て毒づく。
(まあいい、それならいきなり攻撃するまでさ。)
ユウキはレーダーのスイッチを入れ、次なる得物を探し始めた。

─────────────────────────────────────────────────────

307 :名無し娘。:2004/03/13(土) 00:36
(♂´ Д `)ノ<HEY YO!作者さん!がんばってくれYO!

308 :名無し娘。:2004/03/13(土) 09:20

                                 (T◇T〜)[TдT]

川o・-・)<歴代ミニモニリーダー全滅ですね。

从#~д~#从<とりあえず石川シメるか。

309 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:39
SALT TEAM'S PHASE──

加護と小川は、矢口と合流しようと松浦に教わった地点へと急ぐ。
やがて茂みの向こうから、何やらドサッと地面に落ちる音がした。
小川は、茂みから顔を出し、そっと音のした方を見る。
すると、石川が仰向けに寝ていて、矢口が何かを遠くへ投げているところだった。
(どうしたんだろう? いやな雰囲気だなあ。)
「あれ? やぐ…」「しっ」隣に来た加護に向けて小川は右手の人差し指を口に持って行き、
静かにというメッセージを送った。

やがて石川は立ち上がると、腰から斬鉄剣を抜き、矢口に斬りかかる。
振り向いた矢口は咄嗟に手元のナップザックからデザートイーグルを取り出し、それで斬鉄剣を受けた。

カキーン

310 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
金属音と共に、矢口のデザートイーグルは斬鉄剣の勢いを消せずにはね飛ばされた。
「ちょ……って!……」
石川は今度は矢口の喉元を狙って突きを入れる。今度は矢口は防ぎきれずに刃は喉の下部に突き刺さった。
石川が斬鉄剣を引き抜くと、矢口の喉から血が飛び散りはじめた。石川の上半身が矢口の地で赤く染まっていく。
矢口は口から血を吐き出し、ゆっくりと後ろに倒れた。
「うわああああああっ」加護は目の前で行われた悲劇に対し、悲鳴を上げ尻餅をついて座り込んでしまった。
石川がゆっくりと2人のほうを向く。上半身は返り血で真っ赤に染まり、その目は何も見ていなかった。
(こ、この目は危ない。正気な人の目じゃない。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかける。

311 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/15(月) 23:40
加護は、松浦のいる別荘に戻ると玄関のドアを開けようとする。だが開かないようだ。
小川は、玄関のインターホンを連打する。「松浦さーん、松浦さーん!!!!」
すると中から、「今更、中に入れるとでも思ってるの?」という声がした。
加護は「なんでやねん…。」というと、どこかへ向けて走り始める。
「どこへ行くんですかあ?」小川もついていきながら尋ねる。
「学校や。学校にいくんや。!!」その時、パンパンパンと何発か発砲する音が当たりに響いた。
加護が何かに弾かれたように倒れる。「ぐっ…。」左の脇腹を押さえている。
「どうしたんですか?」小川は加護の脇腹を見た。脇腹からは血が流れ始めている。
どうやら撃たれたらしい。
小川が後ろを振り向くと、50mほど先に石川がデザートイーグルを構えて立っていた。

─────────────────────────────────────────────────────

312 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:48
AIR TEAM'S PHASE──

石川が振り向くと、尻餅を付いた加護とそんな加護を見て慌てている小川の姿があった。
(あの衣装は、SALT。)
「ああああああああああ!!!」
加護は尻餅をついたまま後ずさりし、立ち上がると一目散に逃げ始めた。
「加護さん、加護さんっ!!」小川も後を追いかけていく。
(…SALTと稲葉が私を嵌めなければ、私は矢口さんを殺さずに済んだ…。
 いってみれば、SALTが矢口さんを殺したようなものだ。私はSALTを許さない…。)
石川は自分が人殺しを、しかも一昨日まで一緒に芸能活動をしていた先輩を殺してしまったことを受け止められずに、
他人に転嫁しはじめていた。逃げる2人は石川にとっては、同期や後輩ではなく自分の敵だった。
足元に落ちている矢口の(もともとは松浦の)デザートイーグルを拾うと2人を追いかける。

313 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/17(水) 23:49
どうやら2人は別荘に戻ろうとしているようだ。
2人は玄関の扉を開けようとするが鍵が掛かっているのか開ける事ができず、諦めて逃げ出す。
その間に石川は2人との差をつめていた。
(矢口さんの敵、やぐちさんのかたき、ヤグチサンノカタキ…)
逃げようとする2人に向かって石川はデザートイーグルを構えると、トリガーを4回弾いた。
そのうちの1発が加護の脇腹に命中し、加護が崩れ落ちる。
石川はそれを確認すると、デザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜き、2人に近づいていく。
「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
加護はこっちを向くと、小川に支えられて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
だが、2人の逃げるスピードは以前よりも落ちていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
石川は斬鉄剣を抜いたまま、2人を追いかける。

2人はしばらく逃げていたが、やがて二手に分かれる。
(なるほどねー。どっちかは逃げ残るというわけね。さて、どっちを追いかけ…ん?)
「石川さんっ。」
見ると、一方に逃げたはずの小川が立ち止まって石川の方に呼びかけている。
「なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

─────────────────────────────────────────────────────

314 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
SALT TEAM'S PHASE──

「待ってよー、2人ともー、なんで逃げるの? やましいからでしょう。
 間違ったことしていなかったら逃げるはずないもんねー。」
(梨華ちゃん言っていること無茶苦茶やな…)
加護はデザートイーグルをしまい斬鉄剣を抜いて近づいてくる石川を見ると、
小川に肩を借りて立ち上がり、2人でまた逃げ出す。
ところが怪我を負った加護は脇腹に力が入らなく、早く走れなくなっていた。
「どうしたの? ずいぶんゆっくりねー。まー、もともとあいぼんは足遅いもんねー。」
後ろから石川の声が聞こえた。

315 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/19(金) 20:38
(このままじゃ、すぐに追いつかれてしまうな…。今の梨華ちゃんに話は通じへんやろし、……そや。)
「まこっちゃん」加護は小川に呼びかける。「なんですか?」「二手に分かれよう。」「へ?」
「このままだったら追いつかれちゃう。二手に分かれれば、相手は一人だからどっちかしか追いかけられないよ。
 梨華ちゃんがどっちを追いかけるかわからないけれど、2分の1の確率だよ。」
「…わかりました。じゃあ小川は丘のほうから逃げます。…学校で会いましょう。」
「そうそう。絶対生き延びてWATERに入れてもらおうね。約束だよ。」
「はい、わかりました。ぜったい2人でWATERに入れてもらいましょう。」
というと小川は加護から離れていった。

(まこっちゃん、ごめんな。うちは多分約束守れそうにない。
 おそらく梨華ちゃんは怪我している足の遅いうちの方にくるやろ。
 怪我しているうちができる抵抗と言ったら大した抵抗もできへん。
 でもこれでええんや。まこっちゃんが無事に学校にたどり着いてののやこんちゃんと合流できればええんや。
 まこっちゃん、WATERのみんなによろしくな。)

                   *            *

316 :名無し娘。:2004/03/20(土) 04:53
あいぼんの覚悟が泣けるねぇ

317 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:17
小川は、加護から離れると一旦は丘方面へと走ったが、やがて戻り石川に話し掛ける。
「石川さんっ。なんで、なんで、矢口さんを殺したんですか?」

(加護さんは自分が犠牲になることにより、わたしを逃がしてくれようとしたのかもしれない。
 でも、加護さんばっかり辛い目にはあわせない。石川さんだったら後輩には遠慮してくれる……はず……たぶん。)

「わたしが矢口さんを殺した? 何言ってるの、小川? 
 まあ、たしかに最終的にはわたしがとどめをさす形にはなったけど、
 もともとは、あなたたちSALTが石川達を罠にはめたからそうなったのよ。」
「罠にはめたって…どういうことですか?」
小川と加護は、中澤が死んだのが石川が暴走したせいだと信じている。
「やっぱりとぼけるんだ。」石川は呆れたように言った。
「とぼけるって…。罠にはまったかどうかはともかく命を奪ったのは事実じゃないですか。」
「ええ、命は奪ったわよ。でも私にそうさせたのはあなたたちだって言っているの!」
(え、開き直った…。)小川は石川の意味不明な責任転嫁に呆れて声が出なかった。
「ふん、もう言いたいことはないようね。」というと石川は腰から斬鉄剣を引き抜いた。
「さて、あの世で新垣に謝ることね。」小川にゆっくりと近づいてくる。

318 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/22(月) 21:51
この言葉に小川はすぐさま反応した。
(もうこの人は小川の知っている石川さんじゃない。)
あらかじめズボンの後ろのポケットに入れてあったデザートイーグルを取り出すと銃口を石川に向ける。
「!!」石川は驚愕の表情を浮かべるが、すぐさま呆れた表情になった。
「あらあら、小川がそんなことするなんて…。はぁ。」「…撃ちますよ。」
「わたし、ショックだなあ。小川が先輩を撃とうとするなんて。そんなふうに育てた覚えはないんだけどな。」
と言いつつ近づいてくる。
「くっ」(今更先輩気取りされても…)
「わたし、小川にいろいろ教えたよね? 歌はあんまり上手じゃなかったけど、ダンスとか精神的なこととか。」
石川は更に近づいてくる。
「……」(この人は石川さんじゃない。この人は石川さんじゃない…。)
石川に向けた銃身が細かく震えていた。
小川はこのとき思い出してしまっていた。加入からの石川との思い出を。
(撃てるわけ、撃てるわけない…。)小川は石川に向けていた銃口を下に下ろした。
「そうそう。それでいいのよ。」石川は満足気に頷くと斬鉄剣を横に構える。
(お母さん、お父さんごめんなさい。)死を目の前にして自然と小川の目から涙が出てきた。
ぼやけた視界の中で石川が動き、腹部に衝撃を受けて小川の意識はそこで途切れた。
途切れる少し前、「殺しはしないわよ。」という石川の声を聞いたような気がした。

                   *            *

319 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/24(水) 22:17
AIR TEAM'S PHASE──

石川は倒れかかる小川の体を手で支え、ゆっくり地面に寝かすと、斬鉄剣を鞘にしまう。
「みねうち…ってやつね。うまくいってよかった。」
そして意識のない小川に微笑む。
「ま、運がよければ誰かが起こしてくれるでしょう。
 自らの身を挺してあいぼんを逃がしたんだもんね。先輩思いのいい後輩だよ。
 さてと、そんな後輩を見捨てて一人逃げ出したあいぼんにお仕置きしなくちゃね。」
とつぶやくと加護の後を追いかけはじめた。
 
─────────────────────────────────────────────────────

320 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
FOOD TEAM'S PHASE──

斉藤が合流後、保田は筆記で斉藤さんに首輪システムのコンピュータに侵入することを教えていた。
それで保田自身がしばらくPCにかかりっきりになってしまい、見張りなどできなく、
亀井と田中だけでは心もとないので、斉藤にしばらく集会所に留まるよう要請した。
斉藤はそれを見て頷き、とりあえずは集会所にいる人数は4人となった。

やがて、SALTの前田と稲葉が中澤の遺品を届にきた。
斉藤が顔を見せるとややこしくなりそうなので、保田・亀井・田中の3人で対応。
中澤の持っていたコルト・ガバメントと天狼剣と身に付けていたアクセサリー類を受け取った。
その時に、2人は石川の暴走により中澤が死んでしまったことをさっきよりも詳しく報告した。
最後に2人は立ち去る時に「くれぐれもAIRには気をつけて。」と念を押していった。

321 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/03/28(日) 12:10
SALTの2人を見送った後、3人は斉藤のいる2階へと上がり、先程のSALTの2人の話を斉藤にもした。
ただ最後に保田が「でも、これはあくまでSALTの2人主張であって、石川のせいと断定するのは危険。」と付け加えた。
そのことについては斉藤も賛同したし、亀井と田中も同じ意見であった。
「石川さんがここに来てくれるといいんですけど。」亀井は言った、
「ま、それが一番なんだけどね。」と言いながら保田は筆記で何か書き始めた。
『これからいよいよ首輪のシステムに侵入』亀井は小さく頷く。隣では田中が息を呑むのがわかった。
『時間との勝負だね。あまり時間をかけすぎると向こうにばれる可能性が高くなるから。』
「じゃあ、私はとりあえず下に戻るから。見張りよろしくね。」
「わかりました。」『頑張ってください』田中が書いた。
保田は頷くと下に戻っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

322 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:17
IR TEAM'S PHASE──

ミカと分かれ一人SALTの本部である別荘へ急ぐ高橋愛は、砂浜を抜けるあたりで前方に誰か倒れているのを見つける。
(誰やろか?)
近寄ってみるとそれは、血だまりの中で息絶えた矢口の死体だった。
(!!!!)
高橋はあまりのことに、声の出し方を忘れてしまったかのように、口をあんぐりと開けたままだった。
そのまま後ずさりしたところで、
「いやあああああああああああ。」
ようやく声が出せた。逃げるようにその場を離れ別荘の方へ向かう。
別荘の近くに近づいたところで息を整える。
(矢口さん…。石川さんはどこに?)
高橋は見渡したが、石川はいないようだ。
(SALTの本部に入ったんやろか?)
と疑問に思っていると、その別荘の玄関のドアが開いた。中から出てきたのは松浦亜弥。
石川が仇にしていたチームのメンバーのいきなりの登場にびっくりし、高橋は身構える。だが、
「石川さんを探しているんでしょ?」と松浦から話し掛けてきた。

323 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
高橋は「罠に嵌められた」石川や、「SALTの企みに気づいた」ミカほどSALTに警戒心を持っていなかった。
しかも、ドアから出てきた人物が自分と同じ年齢の松浦なら尚更である。
そしてこのときは、石川の行方を知りたい気持ちがSALTへの警戒心を上回った。
「う、うん。石川さんはどこへ行ったの?」
「それがね…」というと松浦は話し始めた。

松浦によると、石川はおそらく別荘に向かってくる途中で石川を待っていた矢口と遭遇し口論になった。
おそらくというのは、外で誰かの叫び声が聞えてきたので別荘に2階に上がってみてはじめて、
2人が言い争っているのを見つけたからだ。
口論の結果、石川が矢口を殺傷した。
また、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川がその現場を見つけてしまったようで、
加護と小川はどこかへ逃げ出し、石川は2人を追いかけていったとのこと。

324 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/01(木) 01:18
「愛ちゃんが来てくれて助かった。松浦、加護ちゃんとまこっちゃんが心配で追いかけたかったんだけど、
 さすがに1人じゃ不安だったんだ。一緒に行こうよ。」
高橋にとって同期であり宝塚仲間である小川と、ミニモニ仲間である加護が石川に追いかけられているという。
もちろん、追いかけている石川も心配だ。
「うん、わかった。それで、どこにいったのわかる?」
「えっとね…。方角的には南東の方向かな。ちょっと準備してくるから待っててね。」
というと松浦は別荘に戻る。

「まさか石川さんが矢口さんを…。」高橋は石川の錯乱ぶりと加護・小川のピンチで動揺していた。
だから、仲間に連絡するのをすっかり忘れていた。といってもその時ミカは既にこの世から去っていたのだが。

数分後松浦がナップザックを持って出てきた。
「追いかけましょう。」
2人は石川達の後を追うのだった。

─────────────────────────────────────────────────────

325 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:29
SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口さんを? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

326 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:30
横向きに倒れた前田は、転がってきた手榴弾が弾け、煙を吐き出し、稲葉が数メートル飛ばされるのを目の当たりにした。
稲葉は仰向けに倒れる。前田からは足しか見えず稲葉の生死はわからない。
「稲葉さん?」前田は呼びかける。足がぴくりと動く。どうやら生きているようだ。

前田は安心し、立ち上がろうとする。とそこへ手榴弾の煙の中から一人の人物が両手で剣を構えて走って近づいてきた。
その横顔は誰かに殴られたのかあちこちが腫れ上がっていたが、見覚えがあった。
(あれは、たしか…EEジャンプの…ユウキとか言ったっけ?)
ユウキは、起き上がろうとした前田を見て少し驚いたようではあるが、そのまま稲葉の方へ近づく。
稲葉のそばに来て、仰向けの稲葉の上で剣を下向きに構える。「や、やめろ!」下の稲葉はわめく。
そんな稲葉の声が聞こえないかのように、ユウキはそのまま剣を稲葉の体に下ろした。
「ぐっ」稲葉の声が聞こえる。
ユウキは剣を稲葉の体から抜くとまた再び突き刺す。抜いて刺す抜いて刺す抜いて刺す…。
突き刺すユウキの表情には喜びすら浮かんでいた。

327 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/03(土) 23:31
前田はハッと我に返り、デザートイーグルを探すが見つからない。
周りを見るとちょっと離れた所に落ちている。どうやら突き飛ばされた時に落としたらしい。
前田は銃に飛びつくと、ユウキに向けて銃を1発撃つ。
「くそっ、こいつ!!!」
銃は命中せず、周りの空気を切り裂くのみだった。
ユウキは前田の方を見て、面倒くさそうな顔をすると血塗れたエクスカリバーを抜き身で持ったまま、
「あばよ。ハハハハハ!」と前田に高笑いをし、走って北方向に立ち去った。

「くそったれ!!」と罵りつつ前田は稲葉の元へと駆け寄る。
稲葉の体は…無残なものだった。手榴弾自体の傷は距離が少しあったせいか、たいしたことはなかったらしく、
それでも普通の社会生活に支障はきたすだろうが、
ズボンは破けて、その下の足は傷だらけでところどころ血が流れている程度だった。
しかし、ユウキによる傷は深く、体にはいくつもの剣による穴がうがかれ、
そこからいまだ血が流れ、回りの土をどす黒く染めている。
目はこれ以上ないほど見開いており、口からは一筋の血が流れている。
もちろん、息がないことは子供にだってわかる。
前田はがっくりと膝を付く。
「私が甘かった、とでもいうのかい、稲葉さん?」答えるわけはないとわかっているが、稲葉に呟いた。

稲葉貴子:死亡 【SALT 5人→4人】

─────────────────────────────────────────────────────

328 :名無し娘。:2004/04/04(日) 23:32
稲葉が矢口さんとさん付けするのはちょっとおかしいような・・・

329 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/06(火) 21:08
>>328
稲葉の方が年上だから呼び捨てですね。

330 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/07(水) 23:23
>>325の訂正版

SALT TEAM'S PHASE──

「うん。うん。わかった。じゃあ2人を助けるよ。それじゃあ。」
と言って前田は通信を切った。「何だって?」稲葉が聞いてくる。
「松浦からでした。石川が本部に向かって来たんですが、途中で矢口さんと遭遇しもめて、
 結果矢口さんを刺し殺し、矢口のところへ行こうとしていた加護と小川を見つけて2人を追いかけて行ったそうです。
 3人は学校方向へ向ったようで、2人を助けてくださいと。」前田は今聞いた内容を稲葉に伝えた。
「石川が、矢口を? ついにいくとこまでいっちまったか…。よし急ごう。」

それから2人は学校の方へと道を急ぐ。その途中で2人の前方に、横の方から何かボールのようなものがコロコロ飛び出してきた。
それが目に入る。あれ? これ、どこかで見たことがある。あれはたしかゲームが始まってすぐ私がナップザックに…。
思い出した瞬間、前田は「危ない!」と叫び、自分からわざと横向きに飛んだ。

331 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:29
EE JUMP TEAM'S PHASE──

(やっぱり人の命を奪うっていうのは最高だ。剣を突き立てる時のあの感触、たまらないぜ。
 その点、銃はダメだな。人を殺す感触がない。やっぱり剣だ。)
ユウキは精神的に高揚していた。
(本当なら2人ともあそこで殺すはずだったんだが…、まあいい。俺は楽しみは後に取っておく方だからな。
 さて、次の獲物はっと…。)
ユウキはレーダースイッチをオンにする。
(さすがに単独行動はあんまりいないか、うん? こいつは…。)
ユウキは診療所近くにWATERのメンバーであることを示す1つの青い点を発見した。
(この期に及んで一人で行動するなんて馬鹿なヤツだ。よし次はこいつだな。)

                  *            *

332 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
一方ソニンは、ミカの遺体を海の家と思われるあばら家に入れると灯台に戻り、
倉庫にあったとある機械を屋上に運んでいるところであった。
これは結構重量があり、女一人で運ぶのはかなり大変だった。
屋上に持ってきた時にはソニンは既に息が上がっていた。
息を整えて、付属していた説明書を改めて読む。

ソニンが屋上に持ってきたのは、無線用ジャマーである。これを起動させれば無線は役に立たなくなる。
もとは外国の軍隊で使われていたものらしく、小さい割には高性能で、島のほとんどで無線による通話を不可能にする。
無線の有効地域は島の東部の学校から南東部を通り、南部の集会所にかけての一部地域のみとなる。
ユウキには既に連絡済である。これからはレーダーでお互いの位置を把握することとなる。

333 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/08(木) 00:30
延長コードで電源をつなぎ、ジャマーを起動させる。何か音がしはじめるかと思ったが、
特にソニンの聴覚に変化はなかった。
(これで、襲撃しても応援を呼ばれる心配はなくなったか。)

その後、レーダーと双眼鏡を使って回りの様子を観察する。今は3人の人物を観察しているところである。
港の方向から来た3人は別荘の方向である北に向っている。
(後藤、里田にみうなだっけ? FOOD2人にAIR1人という組み合わせは妙ね。2チームは組んでいるんだろうか?
 さすがに武装は優れていても3対1では分が悪い。しかも向うは警戒しているようだし。
 あいつがいればまだ…、って姉をあいつが殺せるわけがないか。どちらにしてもここは様子見ね。)

─────────────────────────────────────────────────────

334 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
SALT TEAM'S PHASE──

加護は小川と分かれると、脇腹の痛みを我慢してひたすら走っていた。
とはいうものの元から足が速いほうではない加護が怪我を我慢しながらだから、
石川が追いつくのは時間の問題だと加護は思っていた。
ところがなかなか追いつく気配がない。

(もしや梨華ちゃん、まこっちゃんの方に行ってしもうたんやろか?
 それならうちの読み違いや。…だったらいち早く学校に着いてWATERの人に助けてもらうだけや。)

左の脇腹に添えたハンカチが血で真っ赤になり、はっきりと血の感覚が手にも伝わってくる。

(ほんとなら、動いたらあかんやろうけど、仕方あれへん)

やがて、加護は学校に到着する。校門のところに誰かいるかと思ったが、
誰もいないようだ。加護は仕方なしに校門から中に入る。
昇降口から中に加護は呼びかける。

335 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:32
「誰か、誰か、いませんかー?」
依然として学校はシーンとしたままだった。
「誰か、誰か、いませんかー!!」
加護はもっと声を張り上げて叫ぶ。

「ここにいるわよ。」声は加護の後ろから聞こえてきた。
「えっ」予想外の方向から聞こえてきた声に驚きながら加護は振り返る。
「梨華ちゃん!!」
石川梨華が息を切らしながら校門のところに立っていた。
「ねえ、あいぼん。いい後輩持ったわね。」たじろぐ加護に石川は近づきながら言う。
「え?」「小川のことよ。あなたと別れてから、小川は逃げずに私のところへ来たのよ。」
「!!」加護は驚く。
「それでまあいろいろ話し合ったんだけどね。結局話が通じなくてね。
 それで、あの小川が銃を私に向けたのよ。信じられる?」
実際は最初に石川が斬鉄剣を抜いたからなのだが加護はそれを知らない。

336 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
「……。」「でもね、私はここにいるの。これ、どういう意味だかわかる?」
石川は微笑む。それを見て加護の顔色が変わる。
「まさか、まこっちゃんを?」石川はそれには答えず微笑み続けるのみであった。
「…よくもまこっちゃんを…」「わが身を呈して先輩の為に立ち向かった小川に比べてあいぼんはさっさと逃げたと。」
(たしかに結果的にそうなってもうたけど、まこっちゃんの命を奪ったお前に言われとうない!)
「……しばくぞ。」加護はデザートイーグルを取り出す。
「あらあら、そんな物騒なものまで取り出しちゃって。おーこわ。」
というと石川は蹴りを繰り出し、それが加護のデザートイーグルを持っている右手に命中し、
加護はデザートイーグルを落とす。続けざまに蹴りが腹部を直撃し、加護は後ろに引っくり返った。

倒れた加護に対しても石川は容赦なく蹴りを入れる。
「あいぼん達がさ、私をはめる真似なんてしなかったら、こんなことにはならなかったんだよ?
 ね? ね? ね?」
蹴りの一発が偶然、さっき撃たれた脇腹に入り加護に激痛が走る。「ぐっ」加護は思わず顔をしかめる。
「ここが痛いの? ね? ここが痛いの? ね?」
石川は傷口を広げるかのように脇腹に蹴りを加える。続けざまに来る激痛に加護は目を開けることが出来ない。その時、
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
誰かが叫びながら飛んできて石川にぶつかり、石川は跳ね飛ばされた。
目を閉じていた加護は自分の良く知った声に反応し目を開ける。
するとそこには、加護を庇うように辻が跳ね飛ばされた石川の前に立っていた。

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337 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/11(日) 11:33
ところで、保田→斉藤瞳の呼び方って「斉藤さん」でいいですか?
「ひとみん」じゃおかしいしなあ。

338 :名無し娘。:2004/04/14(水) 20:41
一応ヤスヲタですが、よく分かりません。
たぶん「斉藤さん」で宜しいかと・・・。

339 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/14(水) 21:04
>>338
ありがとう

340 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
WATER TEAM'S PHASE──

紺野の死のショックで保健室のベッドで休んでいた辻は、
「誰か、誰か、いませんかー?」
という声にハッとして起き上がる。
(あれは、あいぼん?)
いてもたってもいられずベッドから立ち上がると声のした方向へと急ぐ。
昇降口をぬけた辻がみたものは、倒れた加護に蹴りを入れている石川の姿だった。

341 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/15(木) 23:11
「やめろーーーーーーーーーーー!!!」
辻は叫んでダッシュし、石川に体当たりをする。体当たりをもろにうけた石川は吹き飛んだ。
「のの?」「あいぼん、大丈夫?」辻は倒れていた加護の背中を支えて上半身を起こさせる。
「ちょっと、何するのよ!」立ち上がった石川は辻に怒鳴る。
「それはこっちのセリフ! なんであいぼんを蹴るの?」辻も負けてはいない。
「何って、教育よ。だってあいぼんったら小川を見捨ててさっさと一人で逃げちゃったのよ。」
「せやからと言って…、矢口さんやまこっちゃんを殺してええわけはないやろ…。」
痛みに耐えながら加護がボソッと、だがしかしはっきりと呟く。
「梨華ちゃん、その話本当なの?」辻は突然の話に唖然として聞く。
「結果的にはそうよ。それというのもあいぼん達のせいでね。しかも麻琴は殺してはない。
 そもそも、その話は今していないじゃない。今はあいぼんが私を罠にはめたり、小川を見捨てたりしたのかに対しての教育をしてたの。」
「梨華ちゃん、言ってることがわけわかんないよ…。」辻はあきれる。
「…ののまでそんなこと言うんだ。」石川は腰から斬鉄剣を抜く。「2人とも教育しなきゃね。」
「あいぼんはののが守る。」辻は両手を広げて加護を守るように立ちはだかった。と、その時──
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」この緊迫した場面を打ち破るかのようにのんびりとした声がした。
「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が昇降口から出てきた人物の名前を呼んだ。

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342 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
UTABAN'S PHASE──

娘。達が激戦を続けている島から北東に離れること約20km程にあるスタッフ達がいる島──

「さあてと、今現在状況はどうなっていますかっと。」
木梨憲武はスタッフがいる事務所のPCのIEのショートカットをダブルクリックする。
IEが立ち上がると「お気に入り」から「バトロワ−現在の状況」を選ぶ。
ログインコードとパスワードを求めてくるので木梨はスタッフから与えられた英数字をそれぞれに入力する。
すると、画面が切り替わる。木梨はまず画面右上の各チームの現在の人数に注目した。

SALT    前田・松浦・小川・加護             4人
AIR      石川・里田・高橋                3人
WATER.   飯田・斉藤・アヤカ・柴田・藤本・吉澤・辻  7人
FOOD    保田・後藤・みうな・亀井・田中        5人
EE JUMP  ソニン・ユウキ                  2人

343 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:37
(ちっ、AIR残り3人しかいないのか。やべーな。ま、5万しか賭けてないからいいけど。
 でもまあ、俺の本命の個人戦があるか。)
実はこのシャッフルバトロワはTBSが胴元で非公式な賭けとなっている。
といっても対外的には普通のサバイバルゲームということになっているが。

賭けの対象は3つ。
まずはどのチームが最後まで残るかの単勝。
人気は上位から、WATER・FOOD・EE JUMP・SALT・AIR。木梨はAIRに5万円賭けていた。

2つ目が最後に残ったチームと2番目に残ったチームを順不同で当てる連勝式である。
木梨はこれには賭けていない。

344 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/18(日) 23:38
木梨は現在の人数の下にある「ジェノサイド」という文字をクリックする。すると画面が切り替わる。

ソニン      3人(ミカ・あさみ・村田)
ユウキ     2人(稲葉・紺野)
大谷(死亡)  1人(安倍)
前田       1人(新垣)
稲葉(死亡)  1人(中澤)
石川       1人(矢口)

(よし! とりあえずトップだ。こっちは40万張ってるからな。来てくれないと困る。)
3つ目はゲーム終了時に誰が一番他人を倒したか(実際には殺したか)を賭けるジェノサイド式がある。
木梨はこれにはソニンに40万、前田に10万賭けている。
ちなみに一番人気はソニン、二番人気はユウキ、三番人気は後藤であった。
ちなみに、道重は石橋が殺したせいで払い戻しとなっていたが、もともと賭けている人がほとんどいなかったのもあり、
あまり影響はないようだ。
(カミさんには内緒で賭けたからなあ。ここで儲けとかないと…。)

                  *            *

345 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
「石田、状況はどうなっている?」
うたばんのプロデューサーは、首輪による監視システムの責任者である石田佳子に尋ねた。
「ええ、学校に3チームのメンバーが集まっている他は大きな変化はありません。」
「そうか。俺は仮眠をとるから後は頼んだぞ。」
「はい。わかりました。」
と言うとプロデューサーは、部屋から出て行った。

石田佳子は、4月から中途でTBSに入った新人であるが、監視システムの責任者を任されている。
なぜなら、東京でも通常の撮影があることから、うたばんのスタッフ全員を離島に連れてくるわけにもいかないので、
アルバイトを募集したりして人数を補った。
そんなわけで離島に連れてきた正社員は石田を含めて5人しかいなく、
他の人は他の人で船舶担当などの責任者になっている。

346 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/25(日) 20:47
プロデューサーが部屋を出て行くと部屋の中は石田とアルバイトの、合計2人だけになった。
しばらくすると、アルバイトがモニタを見て、
「あれ? 現在、システムに侵入している人がいますが、石田さんですか?」と尋ねてきた。
「ええ、私よ。ちょっと気になることがあってね。」とマウスとキーボードを適当に動かしながら答える。
と言っても本当に石田が現在システムに入っているわけではない。
(ついに来たわね。保田さん。ここからが本当の勝負よ。ま、本来は私がやるべきなんでしょうけど、
 私が首輪の効力を解除してもそれを伝える方法がないし、自分でやってもらった方が実感が湧くしね。)

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347 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/27(火) 22:33
FOOD TEAM'S PHASE──

別荘へと進む後藤・里田・みうなの3人。浜辺がもうすぐ終わる頃、里田はレシーバーでミカと高橋に連絡が入れてみた。
ところが反応はない様子。これは実は、先程のソニンが起動したジャマーのせいなのだが、3人はそれを知らない。

「どうやら、2人は少し離れちゃったみたい。とりあえず、約束の別荘のほうへ行きましょう。」
この中での唯一のAIRのメンバーである里田が指示する。
「でも、別荘の前にいるならレシーバーで通話できそうなんですけどね。」みうなが不思議に思う。
「んー、なんでだろう? 2人ともレシーバー落としちゃったとか…。
 それとも何らかの事情で別荘から離れて遠いところへ行ってしまったとか。……後藤さん?」
その時、後藤は何かに気がついた。浜辺から別荘に続く道。
何かが、何かが倒れている? あれは……。
後藤は近寄る。「やぐ…ち…さん?」それはさっき高橋も見つけた矢口の死体だった。
喉が切り裂かれ、そこから大量の血が流れていていたようだが、現在は固まりつつある。
「後藤さん、どうしたんで……!?」後藤のところに来た里田とみうなも、矢口の死体をみつけて唖然としていた。

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348 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は加護が呼びかけた時は、調理室で捜索隊の3人のための食事をつくっていた。
加護の呼びかけは聞こえなかったが、その後の誰かの足音に気がついた。

最初は気のせいだと思ったがとりあえず確認のため、保健室の中を覗くがベッドに辻はいなかった。
「辻さん? 辻希美さん?」
その時、学校の外から何やら騒がしかったので、自分の武器であるデーモンスピアとデリンジャーを持ち、校門へと向う。
外に出た吉澤が見たものは、斬鉄剣を抜いた石川と、怪我でもしたのか脇腹のあたりを押さえて蹲っている加護と、
その加護の前で両手を広げて加護を庇っている辻の姿だった。

349 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:23
雰囲気はやばそうだというのは吉澤にはわかったが、ここはわざと呑気に、
「おーい。みんな揃って何してるんだ?」と声をかけた。
すると「「「よっすぃ〜!!」」」その場にいる3人が吉澤の名前を呼んだ。
吉澤はゆっくりと3人に近づく。
「とりあえず梨華ちゃん、そんな危ないものはしまって、辻も両手を下ろして、
 ん? あいぼん、どうした? 怪我してるじゃないか。」
「うん。」と石川はとりあえず斬鉄剣をしまい、辻は両手を下ろした。
「ちょっと、よっすぃ〜聞いてよ。あいぼんとののったらね〜。」
「梨華ちゃんおかしいんだよ。あいぼんをさー。」辻と石川は2人いっぺんに話しかけてくる。
「ちょ、ちょっと2人同時に話しかけられても、理解できないって。とりあえず順番に話してよ。」

それから順を追って吉澤は3人から話を聞いた。石川の言っていることは支離滅裂で責任転嫁だということは
吉澤にはわかった。だが、石川をここで悪者にしてしまうと、
加護のように誰であろうと傷つけてしまう可能性がある。そこで…。

350 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
「そりゃ、あいぼんが悪いなあ。逃げちゃだめだよ。うん。」と言うと、辻と加護が不満の表情を浮かべた。
「そうでしょ? でしょ? 私わるくないよね?」
「そうだね。でも暴力は良くないよ、梨華ちゃん。」
「よっすぃ〜。おかしいよ!!」辻は不満を口にした。
「まあまあ。梨華ちゃん、ちょっと2人を説得してくるから待ってて。」というと吉澤は辻を連れ、加護をおぶって学校の方へ歩いていく。

石川へ声が届かないところまでくると、吉澤は加護を下ろし、小声で2人に話し掛ける。
「吉澤にだって、梨華ちゃんが悪いことぐらいはわかるよ。でも、ここで吉澤まで梨華ちゃんの敵になったら、
 梨華ちゃん、何をしでかすかわからないからさ。とりあえずはああいう態度を取ったんだよ。」
吉澤は先ほどの態度を2人に説明した。辻と加護は頷く。
「それでさ、とりあえず2人は反省したことにしといて、吉澤が梨華ちゃんは引き止めるから、
 辻は加護を連れて保健室にいって手当てをした後、学校を離れて飯田さん達と合流するんだ。
 トランシーバー使えば連絡とりあえるだろう?」
「うん」
「とりあえず、辻は吉澤と一度梨華ちゃんのところに戻って、『ごめんなさい。加護も反省しています。』って言って、
 …本当はイヤだろうけどさ、なんとか我慢してよ…、それで加護を保健室に連れて行こう。」
「わかった。よっすぃ〜は?」
「そうだな。とりあえず梨華ちゃんが大人しくなったら、トランシーバーで連絡するよ。
 よし、じゃあ行くよ。」というと加護を残し2人で石川の元へと戻る。

351 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/04/29(木) 23:24
辻がまず石川の前に出ると、
「梨華ちゃんの気持ちもわからず、歯向かったりしてごめんなさい。あいぼん達が悪かったです。
 あいぼんも自分が悪かったと言ってます。」と頭を下げた。
石川は頷くと、「わかってくれればいいのよ。私をはめる真似をしたSALTが全て悪いんだから。」と言う。
辻は下唇を噛みながら、吉澤の顔をじっとみつめた。吉澤は「我慢して」と念じながら見つめ返した。
「じゃあ、のん達は学校に戻ります。」と言うと辻は加護を連れて校舎へと戻っていく。
「あれ? どこへ行くの?」石川は尋ねる。
「さすがにあのままにはしておけないよ。生きて償う罪もあるっていうことだよ。」答えたのは吉澤だった。
「…それもそうね。」少し考えて石川はとりあえず納得したようだ。
「ところで、お腹すかない? 朝メシには遅いし、昼メシには早いけど。おにぎりつくってるところなんだ。」
吉澤は提案した。
「そういえば、朝から何も食べていなかったっけ。じゃあ、よっすぃ〜の手作りをもらおうかな。」
「料理なんて作ったことないから、味に自信はないけどね。ま、男の手料理ということで。」
「んもぅ、よっすぃ〜女の子でしょ?」
「ん? そうだっけ? ま、とりあえずついて来てよ。」吉澤はとぼける。
2人も学校の中へと入っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

352 :名無し娘。:2004/04/30(金) 00:45
これからの展開が気になる・・・

353 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:11
FOOD TEAM'S PHASE──

亀井と田中が斉藤と入れ替わって2階で見張りをしていると、
保田が斉藤を連れて2階にあがってきた。

「ふー、さっぱりどうしたらいいかわからないわね。」といいつつ紙に文字を書く。
『首輪の効果は解除できた。』
「そうですか…。」亀井も同じくあたりさわりのない会話をしながら筆談を続ける。
『随分早かったですね。』
『私たちにPCを預けた人物が手伝ってくれたのか、簡単に侵入できたし、首輪のコードを無効にできた。』
田中も用意していたメモ帳で筆談に加わる。
『じゃあ、帰れるんですね』
保田はゆっくり首を振った。
『足がないからすぐには無理。船か飛行機がないと。』

354 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/04(火) 23:12
「そっかあ…!?」思わず喋ってしまい、田中は慌てて自分で口を押さえる。
『それぐらい聞かれても問題ないって』斉藤も筆談に加わる。
『とりあえずこれからみんなに首輪の効力がなくなったことを知らせなければならないんだけど、
 普通に説得しても信じてもらえないかもしれないでしょ?』保田は話題を戻した。
田中と亀井は揃って頷く。
『首輪の効力を解除してから首輪を外す方法のデータがもらったPCに入っていた。
 これが結構複雑でとても1人じゃできないから斉藤さんに手伝ってもらうことにした。
 マニュアルを見ながら斉藤さんに私の首輪を外してもらう。
 これが成功して首輪がない状態でみんなを説得すれば信じてもらえると思う。
 私と斉藤さんは下に戻って首輪の外す作業をするから見張りを引き続きよろしく。』
亀井と田中は手でOKのサインを出した。
保田と斉藤は再び1階へと戻っていった。

─────────────────────────────────────────────────────

355 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
AIR TEAM'S PHASE──

「ごちそうさまでした。」石川は手に持っていた皿を机に置いた。
「どうだった? ひとみ特製おにぎりのお味は?」吉澤が得意気に聞いてくる。
「おいしかったよ。でも特製っていっても普通のおかかじゃん。」石川は笑いながら答える。
「そのおかかが特製なんだよ。わかってないなー。かつおぶしの本場だぜ、ここは。」
「もう、よっすぃ〜ったら。」2人は声を揃えて笑った。
「とりあえず、梨華ちゃんの状況はわかった。稲葉さんもグルだったんだよ。
 でも、あいぼんと麻琴は知らなかったんじゃないのかなあ。」吉澤はそれとなく誘導する。
「そんなわけないでしょ。知っていなかったらあんなにタイミングよく2人が登場しないよ。」
石川は真っ向から否定する。

「さてと。」というと石川は立ち上がり、調理室の扉から出ようとする。
「あれ? どこへいくの?」気のせいか吉澤の声が焦りを帯びている。
「保健室。こっち?」石川は扉を開けて学校の反対側へと向う。
「う、うん。そこの奥に行ったところだけど、なんで?」吉澤もついてくる。
「さっきはののには謝ってもらったけどあいぼんはまだ謝ってもらってないから、謝ってもらうの。」
「そ、そう…。」

356 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:39
石川は引き続き歩き、保健室を探す。吉澤もあとからついてくる。やがて、
「ん? たぶんここね。あいぼんー、いる?」と保健室の扉を開ける。
中に入り、ベッドを覗くが誰もいない。ベッドの下も一応覗いてみるがやっぱりいない。
部屋中を捜してみたがやっぱりいないようだ。
「2人はいないよ。」後から入ってきた吉澤が石川にそう告げる。
「どういうこと?」石川は驚く。
「2人は飯田さん達と合流するためにここを出て行ったよ。」
石川は保健室を出ると昇降口のほうへと向かう。
「どこいくの?」吉澤がついて来ながら尋ねる。
「2人を追いかけるのよ。あいぼんには謝ってもらわなくちゃ。」石川は答える。

357 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/07(金) 23:41
吉澤はダッシュすると石川の前に回りこむ。
「それはあとでしてもらうからさ。飯田さん達にはあいぼんの看病をしてもらうんだよ。
 のの一人ではつらいだろうし。とりあえず戻ろうよ。」
「謝るのにそんな時間かかるわけじゃないし、別にいいじゃん。」
石川は吉澤の横を通り抜けて昇降口の方に向かおうとする。
「1人で外出ると危ないし、ここにいた方がいいって。」
吉澤は通り抜けようとする石川の肩を掴んだ。
とその時、石川は別荘のそばで矢口に肩を押さえられたのを思い出した。
反射的に吉澤の手を払いのける。吉澤は突然の態度に驚く。
「よっすぃーだけは私の味方だと思ったのに…。」
「いや別に敵じゃないって。」
「味方だったら、私に黙って2人を行かせたりしないよね? 
 私の進路を邪魔したりしないよね?」
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」吉澤も呆れ始めた。
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。」というと石川はシグ/ザウェルを取り出した。
「どいて。脅しじゃないよ。」
吉澤は首を横に振ると廊下の端により進路を開ける。
石川は銃を下ろし横を通り抜ける。ところが吉澤の真横を通った瞬間みぞおちに強烈な衝撃を受け、
石川は気を失った。

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358 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:29
WATER TEAM'S PHASE──

吉澤は通り過ぎる石川のみぞおちに拳を入れると、石川は気を失った。
倒れ掛かる石川の体を吉澤は両手で受け止め、そばに寝かせた。
「乱暴してゴメンな。」
意識のない石川の耳元で吉澤は囁く。
とりあえず、石川が気を失った時に落としたシグ/ザウェルを拾う。
(うおっ、本物じゃん。)吉澤はびっくりする。
(さて、これからどうするかなあ? とりあえず大人しくなるまでどこかの部屋に入れておかないと。ん?)
吉澤は石川の右の腰に一振りの日本刀が鞘に収まっているのに気がついた。
(これも取り上げておくか…。)鞘を腰から外すと、斬鉄剣を鞘から抜いて目の前に掲げ、刀身を見てみる。
刀身の先のほうは血塗られているが、そこ以外は汚れもなく綺麗である。
(これ、本物のポン刀だよ。かっこいいなあ。)

359 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/10(月) 00:30
支給武器がどちらかというと西洋武器ばかりだったので、吉澤にとって日本刀は珍しく、
思わず見とれてしまった。だから、背後から近づいてくる人物の気配に全く気づかなかった。
後ろからいきなり、「いやあああぁぁ!!」という叫び声がした。
吉澤は右側から振り返ろうとすると、空気を切り裂く音と共に、いきなり右脇に鋭い痛みが走った。
何かと思っていると、自分の右脇に何かが刺さっているのに気が付いた。
(これは…、日本刀?)
そして、菊一文字の柄は高橋が握っていることに気づいた。高橋は菊一文字を引き抜く。
吉澤は、(た、高橋…、どうして?)と言いたかったのだが、
肺を傷つけられたのか、思うように言葉を発することができない。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。

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360 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
AIR TEAM'S PHASE──

松浦と合流した高橋は、「おそらく学校に向かったんだと思う。」という松浦の言葉を信じ、
学校へと向かっていた。ここでも、高橋の中では松浦への不信感より、加護と小川の心配が勝ったのである。

学校への行き方は、以前に行った事があるという松浦の案内で問題なかった。
やがて、学校の前の道へと到着する。そこで2人は、どす黒い血痕を発見する。
「これ、血だよね?」松浦が聞く。「う、うん。」高橋は少し怯えながら答える。
「2人が心配だ。」と言うと松浦は学校の中に入ってく、高橋も後を追う。

361 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:12
学校の中に入ってから、誰かと誰かが言い争う声が聞こえてきた。
(この声は…、石川さんと吉澤さん?)
2人は昇降口から廊下に入り、校内の廊下とクロスするところまで来た。
松浦は高橋の耳元で「まつーらが様子見てみる。」といい、
柱のところから慎重に声がする方向を覗く。
なおも言い争いは続く。
「っていうかなんで敵とか味方とかでしか判断できないの?」
「まあ、別に敵でも味方でもいいや。どいて。脅しじゃないよ。」
緊迫した展開に高橋は心配になる。
そしてしばらく経ったところで、松浦が振り返る。その顔には驚愕の表情が浮かんでいる。
「い、石川さんが…、殺された…。」
「え!?」
高橋は松浦を押しのけ、通路に出る。と、そこには仰向けに倒れている石川と立っている吉澤がいる。
吉澤は血まみれの日本刀を持っていた。
実際は剣先だけが血まみれだったのだが、角度的に吉澤自身の陰となって見えなかった。
「最初は口論だったんだけど、そのうち吉澤さんが石川さんを日本刀で…。」松浦が囁く。
「石川さんは無抵抗だったんだよ。それを吉澤さんが…。」

362 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/11(火) 23:14
高橋はすっかり吉澤が日本刀で石川を刺したのだと誤解した。しかも相手は無抵抗だったという。
頭に血が上った。高橋は石川の仇とばかりに自分の菊一文字を鞘から抜き吉澤に斬りかかる。
「いやあああぁぁ!!」
刃は振り向こうとした吉澤の右脇に刺さった。高橋はすぐに刀を引き抜く。
吉澤は高橋の顔を見ると驚き、口を開けたり閉じたりと、パクパクさせる。
高橋は「石川さんのかたきぃ!」と叫びつつ、再び吉澤に斬りかかった。
吉澤は何故か抵抗せず、今度は刃は肩から左胸に刺さる。
吉澤は口から血を吐くと、ゆっくりと後ろへと倒れた。
ドスン。
吉澤は後ろ向きに倒れた先には石川がいた。
「ん、ん?」
その衝撃で死んでいたと思っていた石川が目をあける。
高橋は石川の側へと生き、「石川さん、石川さん!」と声をかけた。

吉澤ひとみ(モーニング娘。):死亡 【WATER 7人→6人】

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363 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:53
AIR TEAM'S PHASE──

気絶していた石川だが、何かが足元にドスンと乗っかった衝撃で意識を取り戻す。
「ん、ん?」と目を開けるが、視界がはっきりせず、もやっとしている。
近くで「石川さん、石川さん!」と自分を呼ぶ声がした。
だんだん、視界がはっきりしてくるとそれが高橋だということがわかる。
「あっ、高橋。どうしてここに?」
その言葉を受け、高橋は自分がここにいるわけを話し始める。
同時に自分の足に何かが乗っかっているのに石川は気がついた。
足元を見る。とそこには誰かの上半身があった。顔を見てみるとそれは仰向けに倒れた吉澤だった。
目はかっと見開かれ、上半身はいくつかの致命傷とわかる切り傷がある。
「よっすぃ〜?」石川は起き上がり吉澤の側に行き、体をゆする。予想はしていたのだが反応はない。

364 :ゼロ ◆ZERO/PNu7I :2004/05/14(金) 23:55
「いや、あのー、石川さんがてっきり吉澤さんを殺したと思ったんですよ。」高橋は焦りながら説明する。
「何をいってるの、高橋。なんでよっすぃ〜が私を殺そうとするのよ? そんなわけないでしょ?」
石川はものすごい形相で高橋に迫る。
「いや、でも、松浦さんが…。」
「まあいいわ、で、高橋がよっすぃ〜を殺したの?」
「それはですね、あの、松浦さんがですね。」高橋はしどろもどろだ。
石川は近くに落ちていたシグ/ザウェルを拾うと、銃口を高橋の額に当て、トリガーに指をかける。
「松浦は今は関係ないでしょ? 私はあなたが殺したのかってきいているの!」
これに対し高橋は怯えたように答える。
「はい、はい、殺しました。すみませんすみま…」
石川は高橋の言葉の途中で、シグ/ザウェルのトリガーを引いた。
銃声が学校内に響き渡った。

高橋愛(モーニング娘。):死亡 【AIR 3人→2人】

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