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【小説】チープなドラマ感覚で【みたいな】

1 :名無し娘。:2006/09/17(日) 19:57
ハロプロ全般、上から下まで。
予定は未定で確定ではないけれど、書いていこうと思います。
『ヒロインx男』の形が多くなると思うので、好まない方はスルーでお願いします。
下の方でコソコソいきます。
レスしてもらえるなら喜んで受けます。
類似したものを書いてくださる方はどんどん書いてください。

708 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:09

「……お〜い」

あたしがなんとなく満足したとき、呆れたような、困ったような声音が割り込んできた。

「ヒロちゃん……」

驚いたように梨華ちゃんが呟いた。

「……やっと見つけた。んなとこでなんしてんだよ」

公園の入り口から、どう話し出したらいいのか迷ってるみたいなヒロの声。
あたしは降りていく動作の間に、梨華ちゃんの耳元に口を寄せてささやく。
ビックリした風な梨華ちゃんに、目で念をおして先に立ってジャングルジムを降りた。

「なにしにきたんだよ」
「なにって……あれだ、どうしてっかなってさ」
「どうもしないっつーの。女同士のナイショ話だよ」
「……そっか」

どうも“らしくない”ヒロに、どうしたもんかと考えていると、梨華ちゃんがやっと降りてきたところだった。
振り向いて、梨華ちゃんに唇の動きでもう一度念を押した。
梨華ちゃんは困っているようだったけれど、きっと大丈夫。
そう思ってあたしは動き出した。

「なにが“そっか”、だよ」
「あ〜……あぁ」

言葉を探すようにモゴモゴと動く口に自分の唇を押し当ててやった。

709 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:09

 数秒。

710 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:10

硬直したままのヒロから離れて、その固まったままの身体を梨華ちゃんの方へ押しやった。

「わわっ!?」

転びそうになったヒロを支えて、なお迷っている梨華ちゃんへ、“やれっ!”と手で催促すると、梨華ちゃんは意を決したように頷いた。
梨華ちゃんとヒロのキスシーン。
腹をくくったせいか、不思議と心は傷を受けることもなく、おかしな満足感すら感じている気がした。

数秒後、耳まで赤くした梨華ちゃんが、逃げるみたいに小走りにあたしの隣にきて。
硬直していたヒロが口元に手をあてた姿勢でゆっくりとこっちへ向き直った。

「な、な……ぁ?」

なにか言おうとしてるけど、言葉になりきらずにパクパク動くだけの口。
思わず笑顔になって隣の梨華ちゃんを見ると、梨華ちゃんも笑いをこらえながらあたしを見ていた。

711 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:10

「あははっ」
「ふふふっ」

二人で見つめ合って笑いあう。
すっげー楽しい気分だった。
なんともいえない高揚感に、頭の中に浮かんだ感覚を、なんの飾り立てもしないままに口にしてみた。

「ね?」
「うん♪」

ただ一言だけ。
意味なんて持たない言葉は梨華ちゃんにも伝わったらしい。
それだけであたし達は、バカみたいに笑いあった。笑いあえた。

「な、なんなんだよ……」

あたし達へ釈然としない目を向けながら、憮然とした表情でボヤいてるヒロ。
それを見て、また笑いあうあたし達に、呆れたような苦笑いを浮かべたヒロは、しまいにはヤケになったみたいに「勝手に笑ってろ」なんて呟く。

712 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:12

先のコトなんてワカンない。
でも、あたしはこのままでいたいって思った。
二人も良いけど……三人でいたい。

変わるなら変わってもいい。
けど、無理に変化を求める必要なんてないんだ。
こんなちっぽけな悩みなんて、きっと時間が解決してくれる。

流れていく雲みたいに、少しずつ形を変えながら、時間っていう風に任せて進んでいこう。
そしていくつかの夏を経て、あのときこんなことを考えたんだって、そう話して三人で笑いあうんだ。

どんな風にか形を変えてるかもしれないけれど。
三人で。
三人で笑いあう。
そう決めた。

713 :『また、夏だね』:2007/04/07(土) 23:13



end.

714 :名無し娘。:2007/04/07(土) 23:16

梅雨もこないうちから夏を先取り

嘘ですごめんなさい
今書いたらこんなイメージでは書かないだろうし

さて次で終り…くらいかな

715 :名無し娘。:2007/05/06(日) 12:42
マジすか

716 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:24

それは暮れのとある日、とある路上でのこと。
宗教に無関心な者にでも……もとい、無関心な者にこそと言うべきだろうか。
本来の意味から遠く離れてしまった――だからこそ大きな――イベントを間近に控えたその時期は、街中が煌びやかなイルミネーションで彩られている。
街を歩く人々もそれぞれのセンスを競うように華やかに、なにに遠慮することもなく着飾った姿で時を過ごす数日間。

しかしそんな時期でもそぐわない人間というのはいるもので。
駅の改札を出て歩く一人の少女を挟むようについて歩く二人組の男。
見るからに柄の悪そうな二人が、いかにも大人しげな少女にまとわりつく光景。
よくある光景だと言ってしまえばそれまでのこと。
けれど少々違うのは、挟まれている少女の方。
その少女はなかなかに特別な存在とも言える女の子だった。

派手ではないけれど背格好に似合った可愛らしい服装。
大きめの帽子を深めにかぶった眼鏡の奥の素顔。
それはいくつものメディアの向こう側にいる存在。
数百人、数千人、それ以上の人間を惹きつけることができる魅力を持った少女だった。

717 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:25

それこそ文字通り“キュート”なルックスを隠した帽子、眼鏡のおかげか、覗き込むように話しかけている男たちは気がつかない。
そもそも彼らにとっては、そこそこの外見でさえあれば誰でもよかったのだから。
が、そんな彼らだからこそ、少女が明らかに嫌がる姿勢を見せても引く気などあるわけもなく。
人目を引きたくない少女の控えめな拒絶が余計に男たちを調子づかせ、よりしつこくさせるという悪循環が続いていた。
世間というのは冷たいもので、迷惑がっているのが明瞭に解るその状況でも、誰一人として助けに入る人間などいもしない。
業を煮やしたのか次第に強引になっていく誘いに、少女もさすがに困り切ったようで、俯きがちな眼鏡越しの表情でもそれと解るほどに困惑を顕わにしていた。
少女がどれだけ脚を速めても、男たちはしつこくまとわりついて離れず、ついには少女の腕を掴んで引き留めようという手段へ移った。
握手程度の接触には慣れてはいるものの、腕を掴まれ引き留められるなどということは未経験な少女。
大いに動揺し、わたわたと慌て、さてどうするのが正しいのか感情と理性の狭間で揺れ、ハッキリとした言動には移れずにいた。
目立つことは避けたかったその少女が、ついには思い余ってなんとか走って逃げようかと考えたそのとき、思いもかけない救いの手が差し伸べられた。

「メリークリスマース♪」

718 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:25

赤地に白が彩られたその腕は、少女と男たちに向かって時期に見合うビラを差し出していた。
呆気にとられながらも目をやったビラには、少女――だけとも限らないが――の大好きなケーキがいくつもいくつもプリントされている。
が、それも食欲以外の欲求に囚われた男たちには関係のないことで、ケーキのチラシだろうがサンタクロースだろうが、今の彼らにとっては邪魔以外のなにものでもありはしなかった。

「んだよっ、ケーキなんかいらねえんだよコラッ! 消え――」
「メリークリスマースッ」

男の一人が気色ばみ定型ともとれる台詞を言い捨てようとするその途中、サンタクロースの明るい声が割り込んだ。
クリスマスケーキのビラを握った腕と一緒に。
明るい祝詞の中に憤りをちらつかせながら。

「あっ……」

719 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:26

突然のことに少女が上げた小さな声。
と同時に男の一人が苦悶の声を残しアスファルトに膝をつき崩れ落ちる。
空いた空間にはサンタの腕と、その拳の先で挟まれてしわくちゃになってしまったビラが一枚。
残された男が現実に気づいたとき、もう一度、サンタの明るい祝詞が響いた。
繰り返されるのは同じ光景。
その場に立っているのは少女とサンタのみ。
深めにかぶった赤い帽子と鼻から下がすっかり隠れる白い髭。
どこからどうみてもサンタクロースではあったけれど、相対する二組にとっては正反対の存在だった。
その夢が詰まった白い袋から少女にとっては救いを。
男たちにとっては戒めをプレゼントしたサンタクロース。

機先を制され半ば這いずるように逃げていく男たちに一瞥くれ、サンタがもう一度、今度は正真正銘言葉通りの口調で。
改めて差し出されたケーキのビラを勢いで受け取ってしまった少女を置いて、サンタは看板を手に立ち去っていった。
少女は逃げていった男たちの情けない背をチラリと見て、そして反対方向へ視線を廻らせ去っていったサンタの姿を見つけようとして数秒。
どこか角を曲がりでもしたのか街並みにサンタの姿はなく、手渡されたチラシへ目を落とし、もう一度顔を上げてはたと気がついた少女。

「サンタさん……だ」

クリスマスイブを翌日に控えたその日。
ぽかんと立ちつくす街の中で、その少女、鈴木愛理はポツリと呟きました。

720 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:27

 …………

721 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:27

「もぉ、だからそーじゃないんだってばあ」
「はいはい、わかったから。よかったね、いい夢見れて」
「だからぁ……あー、もういいよぅ」

愛理は自分の話をすげなく聞き流す少女に、拗ねたように頬を膨らませて背を向ける。
背を向けられた少女は年長らしい寛容さをみせようと、ご機嫌をうかがうような笑顔で愛理の肩を抱き覗き込んだ。

「ごめんってば。信じるから。ね?」
「ウソ。舞美ちゃんぜったい信じてないー」
「信じたってば。ってゆーかビラ配り、ケーキ屋さんの宣伝でしょ」

プイと背けられた顔へ、二度までは続かない寛容さは舞美と呼ばれた少女の性格故か、それとも二人の関係からなのか。
ともかく、まさしく正論を突きつけられた愛理は、そんなことは承知している、けれど感情論としてそうではないのだと、そう話したいのに語彙がついてこず、言葉にもならない言葉で異議を唱えてみる。

「ふんだっ。舞美ちゃんはいーよね。なんか幸せらしいし」
「っ――、な、なんの話?」
「えりかちゃんと話してるの聞いちゃった」
「あっ、あれは別に、そんなんじゃない……んだよ?」
「うーそだあ」

722 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:28

「ウソじゃ……あれ? って、愛理……そーなの?」
「えぇ?」
「そっか、そーなんだ……」

言外に洩れていた心情に気づいた舞美は、ニコニコと笑いながら愛理を覗き込むように見つめてくる。
そんな風に見られた愛理は自身でも気づいていなかった心情を覗かれたようで、驚くほどの気恥ずかしさを感じ頬を朱らめてしまう。
それは舞美にとって核心をついたとの笑みをもたらせて、更に言葉を重ねさせる結果に繋がるのだった。

「それはズバリ、初恋ですねっ!?」
「知らないってばぁ」
「きゃー、かわいいっ」

そっぽを向いてしまった愛理にも構うことなく一人で盛り上がる舞美へ、気恥ずかしさと呆れがないまぜになったような口調で愛理が言う。

「舞美ちゃんしつこいっ」
「あっ、愛理ぃ。愛理ちゃんってばぁ」

ばっさりと言い捨てられながら、それでも嬉しそうについてくる舞美を構うこともなく、愛理は帰り支度をはじめるのだった。

723 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:34

 …………

724 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:35

用意するからという車を迎えがくるからと断って出た事務所。
少しばかり大回りをした後で駅へと向かうその道すがら、先日と同じ通りに同じ姿を見かけた愛理はハッとして歩みを速めた。
件の赤い衣装は白を基調とされた今の街にとても印象的で、それでいて不思議なほどの融和を感じさせるものだった。
その背中へ後数歩まできた愛理が緊張した面持ちで、少し高鳴る胸へ手をやりながら控えめな声をかけた。

「あのっ……」
「はい?」

それは期待していた言葉でも、期待していた声音でもなく、振り返ったその帽子の下の顔つきは愛理が肩を落とすのに充分なもの。
声をかけられたサンタはそれが誰であるかなど気づきもせず、途惑ったように、それでいて仕事に忠実らしく手にしたビラを差し出した。
失望しながらも儀礼的に、昨日とは違うそれを受け取った愛理に、笑顔を浮かべたサンタが離れていった。
しばらくその背中を見ていた愛理が、受け取ったビラへ目を落として呟く。

「そんなうまく会えるわけないのかな」

昨日のビラに書いてあった店へ連絡すれば早いことくらいは愛理にも解っていた。
実際に電話で問い合わせもしたけれど、今のご時世電話一本で個人の詳細など教えてくれるわけもない。
実際に店を覗いてもみたけれど、さして大きくもないその店にサンタの姿は見えなかった。
やはり外を廻っているのだろうと、しかたなく昨日と同じ道を歩いていた愛理が見つけたのは違う店のサンタだった。

725 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:36

「クリスマスだからって……もう」

そう呟いて同じ色彩の違う背中を追った愛理の視線があるものを捉えた。
それに気がついた愛理は一瞬身体を強ばらせ、それでもすぐに手近な路地へ入り込んで。
そっと顔を出した先では先程のサンタが足を止め、数人の男に囲まれているところだった。
声こそは聞こえないけれどその状況、そこに昨日絡まれた二人の男たちが含まれていることで、なぜサンタが掴まったのか愛理はすぐに気がついた。
囲まれたサンタは手にしたビラを投げ捨てられ、違うと解ってなお腹立ちまぎれに小突かれ逃げ去っていく。
愛理は入り込んだ路地から今歩いてきた方向へ目を戻し、万が一にもあのサンタがいはしないかと確認し、そして路地を奥へと抜けて歩いた。
小走りに進みながらも周囲を見回し、やがて見つけた赤い衣装へ駆け寄って、その前へ回り込んだ愛理が「あ〜ん違う」と、下げた眉尻で焦りと共に洩らす。
訝しげなサンタへ構うことなく、愛理は立ち去ろうとし、思いとどまったように振り返りこう言った。

「サンタさん、おうち? お店? に帰った方がいいですよ」

愛理は残されたサンタの反応など気にもとめず走り出した。

726 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:36

そうして間違えること二人、いったいこの街に何人のサンタがいるのかと嘆息した愛理が歩みを止めたとき、視界の端にまたも赤い影が入り込んでくる。
今度こそと、そう感じ横断歩道を渡った愛理は、車道の向こう、愛理が通ってきたのとは違う道から件の男たちが姿を現すところを目にした。
脚を速める愛理、男たちはサンタの姿にも愛理にも気がついていないようで。
小走りに追いかけサンタの前に回り込んだ愛理は、帽子の下の顔を覗き込み「見つけた!」と小さく、けれど嬉々とした声を上げた。

「……?」

不思議そうに見つめるサンタへ、「昨日はありがとーございました」、などと場違いにもペコリと頭を下げる愛理。
それをへしかめた白眉で胡乱そう見たサンタは、たっぷり二呼吸分してからやっと表情を緩める。

「あー……絡まれてた娘」
「はい」
「わざわざそれを言いに?」
「えっとそうじゃなくって……あっ、きてください」

サンタの赤い衣装を引っ張って、小走りに歩を進める愛理。
引かれたサンタはわけも解らないままについて行くだけ。

727 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:37

人混みを押し退けるように縫って進む二人は多少の注目を浴びながら、その間にも愛理が状況を伝えようと口を開いた。

「昨日の人たちが探してるんです」
「昨日の……。ああ、別にあんな奴ら、構わないんだけど」
「五人も六人もいるんですよ?」
「それくらい……、いや、ちょっと微妙かも」
「ほらあ」
「だからってあんたがいてくれてもどうにもならんだろ」
「そこはちゃんと考えてますぅ。こっちです。一緒にきてっ」

強引に手を取って歩く愛理と、手にした看板を掲げもせずに大股で歩くサンタ。
そんなおかしな取り合わせはその速めた脚故にか、目的とした地までものの数分で辿り着く。
その頃になって遠くから怒鳴り声が追いかけてきたようでしたが、人混みに紛れて入り込んだビルの中、少しだけ弾ませた息を整えながら愛理がニッコリと笑った。

「もー平気ですよ」
「ここ……どこ?」

サンタの問いかけには答えず……というよりも、そもそも聞いてすらいなかった愛理はなにやら受付めいた幾分厳めしい窓口で会話を交わしている。

728 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:38

しばらくして振り返った愛理がニッコリと笑顔で、ひょいと挙げた両手で小さくVサインをし、「いこっ」とエレベーターホールへ歩き出した。
サンタはそれを見送り受付へと目をやって、視線を合わせようともしない相手に肩をすくめ、仕方なさげに後を追うだけだった。

エレベーターで何階かへ上がり、押し込まれた部屋の中、しばらく待っていてと座らされた椅子の上で、落ちつきなく部屋を見回す白い髯も赤い帽子もないサンタは落ち着かなさそうで。
帽子を指先で遊ばせながら見回した限り、なんのための部屋かも解らない部屋の中でどうしたものかと考えてた。
やがて壁に立てかけた看板を思いだし、店に戻ろうかと腰を上げかけたとき静かに扉が開く。

「どこ行ってたの? それよりここどこ?」
「ここ? えっとですね、このフロアは倉庫みたいな? とこなんですけど」
「倉庫? あ、そうじゃなくて。あー、ここ……」
「あ、そういう意味ですか。うちの会社のですけど」
「うちの? きみ、社会人なの?」
「しゃかいじ……? 一応、学校も行ってます」

要領を得ない会話に、バイトみたいなもんかと口の中で呟いて、サンタは一人で納得した素振り。
一方の愛理はそんなことは気にもせず、ニコニコと微笑みながらサンタの肘の辺りを軽く掴み関心をひいた。

729 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:47

「じゃん!」

着込んでいたコートをパッと開いたその中には、純粋な白と鮮やかな赤と、そして白にも近い肌色でした。
振り向いたサンタはその姿勢のままで表情ごと凍ったように硬直し、クスクスと微笑む愛理はどこまでも楽しそうに。

「お揃いでーす。着替えてみちゃいました」

脱いだコートを片手に持って、くるりと一つターンを決めた愛理を見つめるサンタクロース。
瞬きもせず、言葉も発しないサンタを不思議そうに見た愛理は、眉尻を下げ不安そうに口を開く。

「あれ……、似合ってませんか?」

覗き込むように傾げられた顔は肩に寄せられていて、その肩はきめ細かそうな肌が顕わになっている。
華奢な肩と愛らしいおへそと、そして細いけれど若々しく健康的な魅力がある太ももが露出されたサンタクロース。
キュートなサンタは困ったような、泣き出しそうな、やるせなくなるような表情で、大きなサンタの言葉を待っている。
その落ち着かない時間も長くは続かずに。
突然持ち上げられたサンタの腕がほっそりとした愛理の肩を掴む。
目を見開いた愛理がなにかを言おうとするよりも早く、その小さな身体は力強い腕に引かれ大きな胸に包まれた。

「ひゃっ!?」

730 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:48

情けない声をあげて抱きすくめられた愛理は訳が解らないままで、それでもずれた髭越しに見える表情には嫌悪は湧かず。
それどころか真剣なその表情が凛々しくすら見えて、二度しか会ったことがない人間に抱きしめられながらもそんなことを思える自分に驚く愛理。
が、抱きしめたサンタの側はそれだけでは終わらず。
薄くリップの塗られた愛らしいくちびるが塞がれ、嬌声からはほど遠いうめくような息が洩れ出す。

「んんぅー」

急き立てられるように身体を寄せるサンタから、話せるだけの間をおこうと身体を反らせたる愛理でしたが、退いた距離は瞬く間に埋められ、限界を超えたバランスに二人はもろとも倒れ込んでしまう。
頭こそ打たずに済んだものの小さなお尻と、そして背中から倒れ込んだ愛理が「うぅん」と息をつくような声を洩らし、瞬きしながら開いた目の前に、帽子をなくしたサンタの前髪が揺れていた。

731 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:48

「あっ……」

前髪の奥に見えた瞳の真剣さに、流されるように受け入れたくちびる。
最前までされていた、押しつけるだけのそれとは違う、様子を窺うようなくちびるは少しだけカサついていた。
冬だからかな、などとずれたことを考えながら、初めての“キス”を受け入れていた。
心にわき上がる不思議な気持ちと、深いキスを続ける息苦しさ。
寄せた眉根と酸素を求めるような吐息。
離れていったくちびるに、代わるように入ってくる酸素に喘ぎながら、胸元へ伸ばされたサンタの手に愛理はビクリと反応を返した。

「ち、ちょ――、んんっ……」

押し止めようとした言葉は言葉になりきらず。
ちょっとした悪戯心が引き起こした事態は、くすぐったいような、電気でも走るような刺激を愛理へもたらしその身体が小さく跳ねた。
自分の意思とは違うところで反応する身体を不思議に思いながら、震えるような甘い刺激に流されていく。
強引に押し上げられた衣装の下に淡いピンクのブラが垣間見え、その上を擦るように動く指が育ちきらない胸を刺激する。
ブラ越しの小さな胸を包み込む掌から伝わる熱が、そのまま流れ込んでいるように愛理の身体を熱くしていた。

732 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:49

「ぁ、……はぁ、んっ」

自分の口から出た声は、本人ですら初めて聞く艶をまとっていた。
鼻にかかった甘さを火照りと一緒に吐き出す、その吐息までも熱っぽさを帯びてきていた。
脇から腰へ、そして少女らしい幼さを残しつつも柔らかなラインを描くヒップへ。
胸元へ舌を這わせながら滑っていくサンタの指先は、愛理から理性という羽衣を一枚ずつ剥いでいくようだった。

「やぁ、……だ」
「やだ?」

意識の外で口にした声に、問い返したサンタの目が真っ直ぐに愛理を見つめていた。
霞がかった理性の中で、問われた言葉を考える。
内股を撫でる手の感覚が、泡になって浮かび上がる気持ちを愛理に教えていた。

「や……、じゃ、なぁ、……い」

733 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:49

答えを待つまでもなく、サンタの指先がミニの中へと這い上がっていて。
熱のこもるスカートの中、しっとりと濡れた部分をサンタの指が探り当てる。

「はあっ、ん」

下着の上から、その“形”が解ってしまうほどに擦りつけられる指から伝わる刺激。
その甘く強すぎる刺激がよりいっそう、可愛らしいヒップを包み込む薄い布地を濡らしていく。
乱れた息で喘ぐ愛理が気づいたとき、その一枚すらも手早く引き下ろされてしまった。
そんな状態で外気に触れた慣れない感覚が、愛理に僅かな理性を呼び戻させる。

「あっ――」

けれどその僅かに戻った理性も、産毛のように薄い恥毛のその下、きれいなピンク色の秘所をなぞる指先に吹き飛ばされる。
指先の動きに合わせて聞こえる湿り気のある音が、初めて感じる種類のとてつもない羞恥と、そんなわけがないと否定したくなる喜びを愛理に感じさせていた。
五感で恍惚を感じているその間にも休むことなく続けられる行為は、いつしか指先から舌先へ変わり、それまでよりも強い昂ぶりを与える。
ピチャピチャと淫靡な音をたてる舌先が小さな突起へ触れる。

734 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:50

「あっ、んんぅっ!」

目の前でフラッシュたかれたように視界が白く弾け、痺れるほどの快感が背筋から身体中へと広がった。
焦点の合わない視界の中で、サンタの“それ”が目にとまった愛理は「あぁ」と心の中で息をついた。
初めてがこんなところなのかなと、浮かんできた感情が、跳びかけた理性を繋ぎ止めた。
半ば無意識に差し上げられた細い腕が二つの身体へ割ってはいる。

「なんで? いいだろ?」

ここまできて、そう言いたげなサンタの声に、幼い中芽生えだしてる本能めいたものが刺激される。
その瞬間は年の差などなくなり、子供に甘くなる親のように、イヤとは言いきれない愛理がいた。

「あの……、やじゃないけど」

ほっそりした腕を交差させ胸を隠しながら、複雑な感情に揺れる愛理が口を開いた。
半ばまで身体を起こしたサンタが先を促すために言葉を返す。

「けど?」

735 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:51

「まだ卒業もしてないのに……」
「中学生でするのなんて、そんなめずらしいことじゃないだろ」

言葉と同時に身体を重ねようとしたサンタへ、慌てた愛理が早口で「違うの」と言った。
動きを止めたサンタへ、少し躊躇しながら、どこか恥ずかしげに愛理が言葉を重ねる。

「小学校……」
「え?」
「卒業してないの」
「……そう」
「うん」
「えっと……はっ!?」
「やっぱりまだ早いかなあ、なんて」
「……あぁ、そう、かもね」

ゆっくりと身体を離したサンタが、困り顔で頭をかきながら同意する。
愛理も同じように身体を起こして困り顔で、続く沈黙の中サンタがどうするかを待っていた。

736 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:51

「今さ」
「え?」
「小六?」
「そうだけど」
「来年中学生?」
「うん」
「そっか」

再びの沈黙。
小首を傾げる愛理へ、サンタが独り言のように呟いた。

「とりあえず、今度どっかデート行く?」

考えて、ようやく口にされた言葉は愛理を笑顔にするのに充分なものだった。
パァっと華が開くような笑顔になった愛理は、「うん」と元気な声を返し、それから口々に行きたい場所を並べ立てた。
疲れたように「どこでもいいよ」と呟くサンタへ、素敵な悪戯でも思いついたように言いました。

「まだちゃんと成長するんだから、待っててね」

737 :『はっぴーくりすます』:2007/05/06(日) 23:52



end.

738 :名無し娘。:2007/05/06(日) 23:58

もう時期外れもなにもあったもんじゃねーって感じですが。
まあ今更気にしてもしゃーない。
さしみ賞の裏でひっそりと幕を下ろす。
つもりで、キッズに始まりキッズに終わる。
けど、なんか微妙な数字で残りがあるなあ……終りますか。

>>715
レスありがとーございます。
そんな感じで。

ではでは。

739 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:12

二人で観ていたテレビ。
そのブラウン管の向こうでの出来事。
なごやかだったはずの空間に微妙な空気を持ってきた一幕。
初めて一緒に観るその番組は……ちょっとばかり笑えない内容になっていた。

「まいさぁ……」
「な、なによぉ」
「いくらなんでもこりゃあないんじゃないかい?」
「ど、どれのことかなー」
「どれって……どれもだけどさあ。ヒドイにもほどがあるでしょ」
「でもビリじゃなかったし」
「でも三点は十二分にヒドイじゃん?」
「こないだのは難しかったんだってば」
「前にもさ、なんだ。あれか県庁所在地だよ? 神奈川って……」
「……そ、ち、違うよ? あれはさ、ホラ、あれよ、テレビ的な。
 ま、まぁしろーとにはワカンないでしょうけどね」
「まぁわかりませんけどね」

そう曰う彼女、里田まいは、えらく挙動不審で焦りの色を濃くしていることがありありと解る。
まぁ彼女にも彼女なりの心情があるんだろう。
いや、そんなところも可愛いとか思ってるんだけど。
そんな流れでふといつもの流れへ持っていくためのイタズラ。

740 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:12

「じゃあさ、例えばだけどね。ちょっと問題出してもいいかな?」
「い、いいよ。なんでもきなさい!」

そんなに力まなくてもいいんだけどさ。
あえて解んないだろう問題をだすことにする。
いやいや、別に意地悪じゃなくてね。
素直になるまいが見たいからなんだよ。
……ごめん、嘘です。
少しいじめてみたいってのもあります。ええ。
ちゃちゃっと自分の好きなとこからチョイスしてみよう。

「では歴史からの問題です」
「ヘキサゴンッ」

いや、別にそんな、番組とかじゃないから。

「大政奉還ってなーんだ?」
「たいせーほーかん……」

考えてる考えてる。
もしかして、惜しい答えくらいは出てきたりするのかな。

「キーボード……に関係ある?」
「ブー。キーボードって? パソコン? 楽器? ま、どっちも関係ありまっせーん」

なんの話だろうって苦笑い。
なにを連想したのかも、僕には解りませんよ。

「次いこうか」
「えーっ! 違うの? 違うんだ……」

いや、それなりに自信があったの? 今の答えって。
まぁ、あったのか。なんかぶつぶつ言ってるしねえ。

741 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:13

「問題」
「はーい……あっ、ヘキサゴン!」

ちょっと拗ねてるし。
後、ヘキサゴン言われても効果音とか出ないから。

「“誠”の一字が描かれた旗印と言えば?」
「……まこと?」
「そう」
「……ドラムを――」
「ブー。違います」

最後まで聞くまでもないと思い途中で遮らせてもらう。
なんだよドラムって……なんで楽器づいてるのかなあ。
ん? あ、でもちょっと解ったかも。
となると……?

「さ、じゃあ最後の問題です」
「ヘキサゴン」

……はいはい。
この際この反応はもう気にしないでいこう。

「寺田屋騒動。さてなんのこと?」
「なんかつんくさんの結婚のとき! とか、かな?」
「……ふはははっ、やっぱりそうくるんだ」
「な、なにがおかしいのよぉー。うちら大騒ぎだったんだよ、ホントに。全然知らなかったんだから」

テレビ上でならばともかく、僕が笑ったことには不満があるらしい彼女はその整った顔一杯に気恥ずかしさと不平を表した。
文句を言いながらも一生懸命に話してくれて、それでも恥ずかしがっているトコロなんかはやっぱり可愛らしい。

742 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:13

「いや、ごめん。まいはそれでいいと思うよ。僕は好きだから」
「そ、そう? なんかやだなぁ、もう」
「さ、それはともかく」

仕切り直した僕の言葉に、まいがピクリと反応をする。
ふむ、鋭いな。
ごそごそと取りだしたスケッチブックを目にしたまいは渋面を見せる。

「やっぱりだ。また描くの〜?」
「いいじゃん」
「できあがったの見たことないじゃんっ」
「……。さっ、準備して」
「え〜っ!」

ぶつぶつ文句を言いながらも彼女は身支度を始める。
かれこれ半年以上、付き合っているうちにいつの間にか生じた二人の強弱、というか上下関係というか。
意外と好きなんじゃないのかなんて考えまで浮かんでくるほどに、まいが強く拒んだ記憶が僕にはない。
などと黙考してる間に、まいは身支度を終えた。
まぁ身支度といっても……要は脱ぐだけの話だ。
フローリングの一部に敷いてある毛足の長い絨毯の上、用意した真っ白なシーツ一枚で身体を隠したまいが口を開いた。

「はぁ、もう。こっち向いてていいんでしょ?」
「うんうん、オッケー」

743 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:14

背中を向けたままでこちらへ視線を流したまいの言葉へ、満足感ありありの言葉を返す。
その身を半ばまで晒した彼女の身体は、ごくありきたりな蛍光灯の光ですら眩しく見せるようだった。
健康的な褐色の肌はなめらかに光を受けて、どれほど精妙な彫刻ですら表現し得ない生の艶めかしさを感じさせる。
身じろぎした肩から腰の美しい曲線とそれへかかる薄茶の髪。
意識なければ口元が緩むほどに創作意欲をそそられる。

「髪、前へ持ってってくれる?」
「ん……、こう?」

胸元でシーツを押さえた手に気をつけながら、空いた手を首筋へ伸ばし髪を梳きながら肩越しに胸元へ流していく。
その仕草も、梳かれる髪も、そして項の後れ毛までも、作り込まれた精緻さではないと主張するように婀娜っぽい。

「いーねー、その首筋。そそられるわあ」
「うるさいっ、もぅ……バカッ」

どっちがだよ、とはさすがに言わない。
別に僕だって威張れたもんじゃないし、ましてやつまらないことで彼女を傷つけるつもりもない。

「ホント、綺麗なんだよね〜」
「またそんなこと……」

いやホントに。
……黙ってると相当なもんなんだけどね。
これも前に言ってえらく拗ねられたことがあるから言わないけど。

744 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:14

「綺麗綺麗」
「全然心がこもってない」

マジメに言えば照れるくせに。
実際、その均整の取れたスタイルは非の打ち所がないだろうと思う。
勿論個人的な好みはあるだろうにしろだ。
身長だって低くはなく、締まった身体にマッチョではない柔軟な筋肉がバランスを良く見せている。
くびれたウエストの上下には女性らしい、やさしいふくらみが魅力的なカーブを描いている。
これは……色々なものをそそるワケだ。
鉛筆を置き、開けたばかりの真新しい絵筆に変えた。
筆先を指の腹で摘んで弾くと、サラサラと軽い感触が流れていく。

 ――これは使える

すいと上げた筆を払うように動かした。

「ひゃあっ!?」

奇声と共に反り返った背中がくるりと向きを変え、強い瞳が僕を睨み付けた。

「な、なにしたのっ、今ぁ」

なにをしたと、そう宣った口元で、彼女の背を撫でた絵筆をヒラヒラと揺らして見せた。
揺れる筆先を追って、半ば条件反射で目を左右に連動させたまいが、僕の手をパンと叩き絵筆を遠ざける。

745 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:15

「そうじゃないっ。なにをしたの、って訊いたのっ!」
「えっと……撫でましたけど」
「なんでっ」
「……」
「な・ん・でっ!」

拗ねた素振りで口をとがらせた僕へ、そんなもので騙されるもんかと、一語一語を強く問い糾してくる。
仕方がないと、ニヤリと笑った僕は「欲望に負けて」と正直に答えた。
ヒクリと頬を引きつらせたまいは、イヤな予感でもしたんだろう。
……いや、まぁ勘が鋭くなってきたね。
っていうか、もう何度目かの事なんだけど。

ジリジリとにじり寄る僕から逃れようと背を向けたまい。
逃がすまいと掴んだシーツを引き合う。
細い身体のどこにそんな力が、とは思うけれど、所詮は女の子。
引き寄せたシーツと、おまけ――いや、シーツの方が要らないんだけど――にまいが付いてきた。

「やっ、バカ、ちょっと……」
「有無は言わせない。ってか聞かない」

引き寄せた細い身体を掴まえて強引な体勢のままでキスをした。
これなら否も応も言えまい。
抗うまいが諦めるまで、離さないくちびるは段々と深く繋がっていく。
口内で暴れる舌に観念したのか、力が抜けてきたところでようやくまいのくちびるを解放してやった。
互いに酸素を求めて深い呼吸をしあった後、「最後まで描かないじゃん」と些細な抵抗をされた。

746 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:15

「……描くよ」

イヤらしく笑って見せて、まだ離さずにいた絵筆を掲げる。
またまたイヤな予感がしたんだろう、まいはえらく焦った表情で口を開く。

「な、……なにする気?」
「ひひっ♪」
「ウソでしょ?」
「そう思う?」
「……思わない」
「そういうこと」

逃げだそうとしたまいの腰にすかさず伸ばした腕を絡めて、俯せになった脚の上に身体を寄せる。

「待って! やだってば。絶対くすぐったぃ――ひゃっ!?」

首筋へ這わせた筆先にまいの言葉が途切れる。
やっぱくすぐったいだけなんだろうか?
そっと降ろしていく絵筆のタッチを微妙に変えて、肩胛骨から脇腹へのラインをトレースしていく。

747 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:16

「っ――」

ピクンと身じろぎして逃げたけれど、僅かに反応が違った気がする。
脇腹から方向転換して脇へ這い上がらせた筆の動きに合わせて、まいの身体が小刻みに揺れる。
くちびるから洩れ出す声が若干甘さを帯びている。
明確な理由は特定できないけれど、抗おうとする力――もしくは気持ち――が無くなったらしく、絨毯へ仰向けになって胸を手で覆い隠しているまい。
視線を落としてみれば、そっちは巻き付いたシーツが辛うじて隠して。

「ちょ――」
「隠さないで。こんなに素敵なんだから」

いわゆる甘いささやきとかいう感じ。
キャラではないけれど、この状況では通用することも経験則で知っていた。
ジッと見つめていれば、おずおずと力を抜いていくように腕が解かれていく。

「キレイだよね」
「そんなことないよぉ」

748 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:17

計らせてもらったわけじゃないから知らないけれど、一応Dカップらしい胸は口にしたとおり綺麗な――少し離れ気味だと本人談――形をしている。
やわらかな丘陵へそっと筆先を這わせる。
歯を食いしばっているのはくすぐったさを堪えてるのか、それとも羞恥なのか。どう見ても後者っぽいけど。
一度刺激に対して解き放たれてしまった“感覚”は押さえられないようで、丘の頂上のそれはさっきまでよりも自身の存在を誇示している。

「ふあっ、つっ……」

敏感なポッチを刺激され、意識とは別のところで洩れた声を飲み込んでいる。
しなやかな毛先はなめらかなお腹を滑り降り、シーツの隙間をくぐっていく。
絵筆と一緒に僕がもぐり込んでも、手にしたシーツを手放す気はないらしい。
薄暗闇の中で筆先がなめらかな肌とは違う感触を伝えてくる。
微かに熱のこもったシーツの中で深く息を吸い込むと、馴染んだ香りの中に夜の匂いがする。
遠回しに“そこ”をなぞっていくたびに、ビクンと反応を返すまいが愛らしい。
無色な色彩を拾っていた筆先が、赤みがかったピンクの小さく可愛らしい突起を撫でる。
ひときわ高くなる嬌声が、ただでさえ消えかけていた僕の理性を吹き飛ばしてしまった。

 ――もう我慢できない

749 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:17

………

……



750 :『Dessin』:2007/06/04(月) 22:18

「あれ?」

気怠い微睡みの中、まいの声が耳に舞い込む。
少し前まで隣でシーツにくるまっていたはずなのに、なにをしているんだろうと半睡のままで思う。

「これ……」

どれ?
これ?
あれ……ちょっと寒いなあ。
しぶしぶ開いた目を瞬くと、その先にすらりとした脚とシーツに覆われた魅惑的なヒップと。
そして八号のキャンバスに描かれた自分をしげしげと眺めてる嬉しげな顔だった。



end.

751 :名無し娘。:2007/06/04(月) 22:21

最後の最後で容量使いきりの書下し。
ピッタリで満足です(笑)

では、ありがとうございました♪

752 :名無し娘。:2007/06/05(火) 07:31
まだ残ってるよ!

753 :名無し娘。:2007/06/09(土) 16:58
この残量じゃもう書けないようっ

754 :名無し娘。:2007/07/01(日) 00:36


755 :名無し娘。:2007/07/01(日) 13:17
続編どこー

756 :名無し娘。:2007/07/02(月) 00:36
続編? どの?

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