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小説?『娘。戦記』
- 1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
- 【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。
管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。
- 453 :名無し狩人:2004/04/19(月) 22:55
- 「稲葉さん・・・?冗談ですよね?」
「いんや本気やで」
「だって・・せっかくの休暇なのに・・・」
「そんなんええやん、それとも田中は市井が仲間やない言うんか?」
「は?何の事ですか?」
「えっ・・・・?ああ、悪い悪い。まだ説明しとらんかったな・・・」
そう言うと稲葉は田中達3人に事情を説明する。
CBCでの事件の事。そして自分達の任務とクルーが足りない事など・・・
「うそ・・・ですよね。そんな事じゃ騙されませんよ」
「アホ!嘘でこんな事言えるか!」
「じゃあ・・・」
田中は平家を見た。すると平家は黙って頷く。
「そんな・・・私約束したのに!今度会ったらとっておきの技教えてくれるって・・・」
話を黙って聞いていた亀井が叫ぶ。道重はただ呆然としていた。
田中は平家の頷きをみるとその場に座り込むそして・・・・
- 454 :名無し狩人:2004/04/19(月) 22:56
- 「みんな・・・・そう言う訳なんだ。力を貸してくれないかな?」
平家が3人に言った瞬間
「勿論です。こちらからお願いしますよ」
「私もやります。平家さんよろしくお願いします」
「私も・・・・あっでも一ヵ月後はどうしよう・・・?」
士気が上がる3人の中で道重は一ヵ月後の任務を気にしている。
勿論この作戦には参加するつもりではいるが自分の任務に穴をあけるのが嫌らしい。
「大丈夫それは私から少将にお願いしとくよ。じゃあ決まりって事で良いね」
平家の言葉に3人は大きく頷いた。
田中達は早速予定を変更するとプロポーズの乗艦準備を始めた。
「さて、オペレーターとかはもうすぐ柴田と斉藤が来てくれるけど
パイロットが辻を入れても4人か・・・・せめてもう一人ほしいね」
「そうやねぇ。かと言って他にあてがある訳でも無し・・・こうなると・・・」
「うん」
「あいつしかおらんか・・・けど引き受けてくれるん?」
「大丈夫でしょ。あの子は元々紗耶香の同期だし」
「だな」
こんな会話があった翌日直前に到着した柴田と斉藤を乗せ
プロポーズは一路土星軌道を目指し出航した。
目的地は勿論CBC。そしてもう一つ・・・
- 455 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:30
- 「こちら特務艦プロポーズ、オペレーター斉藤です。CBC応答願います」
「CBCです。任務お疲れ様です」
「その後変わったことはありませんか?」
「はい、我々が任務についてからは特に無いです」
「了解しました」
CBCに到着したプロポーズは連絡を取っただけでCBCに入港せず進路を変えた。
「目標、タイタンコロニー」
「了解!」
犯人の追跡は亜空間レーダーからおおよその進路は特定できている。
そして何処に向かったのかも大体の見当はついていた。
本来であればそちらに直行するのであるがプロポーズにはまだやる事があった。
そう、人員の確保である。
- 456 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:31
- 土星衛星タイタン・・・・この衛星にはコロニーが存在する。
その名もタイタンコロニー。ここは地球圏を離れ
自由気ままに暮らす人々が集まった場所である。
老後をゆっくりと過ごす人。更には金持ちで悠悠自適な人。
はたまたヒトヤマ当てて気ままに暮らす人など地球人の憧れの場所でもある。
そんな人々の中に平家達が探す人物はいるのである。
「こちらタイタンコロニー管理局です。貴艦の所属と航行目的を知らせて下さい。
貴艦は当コロニーの防衛ラインに侵入しています」
タイタンコロニーにやって来たプロポーズに予想もしない通信が飛び込んで来た。
「何これ?失礼なやつらだなぁ」
通信を受けた柴田がムッとした表情を見せる。
「本当になんだろうね。今までこんな事無かったのに。
でもまあ柴田とりあえず喧嘩してもしょうがないし
答えられる範囲で返信して」
「了解!」
平家の指示に柴田は怒りながらも返信をした。
- 457 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:31
- 「こちらは連邦軍訓練艦プロポーズです。これより識別コードを送信します。
航行目的は軍機によりお応えできませんが入港の許可をお願いします」
柴田はそう言うと識別コードを送信した。それからすぐに返事が返ってくる。
「コード確認。失礼致しました入港を許可します。誘導ビームに乗ってください」
コロニー側からそう連絡があると港のゲートが開き、誘導ビームが現れる。
ルルが誘導ビームにしたがって艦を操り、プロポーズはコロニーに入港した。
「タイタンコロニー駐留軍責任者のケンコバー大尉であります。
先程は大変失礼いたしました。実はCBCの方で何かあったらしいとの
連絡を受けまして警戒をしている所でして・・・・平家少佐でいらっしゃいますね?
CBCの事は何かご存知でいらっしゃいますか?」
平家達が艦から降りるとコロニー警備担当のケンコバー大尉が出迎えた。
ケンコバーの質問に平家は首を横に振るだけである。
- 458 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「大尉、私からは何も答えらる事はありません。しかしこの態勢は続けて下さい。
じきに軍の方からも正式に連絡があるでしょう」
「はっ。やはり何かあった様ですね。解りました、それでは連絡を待ちます」
「お願いします」
平家はそう言うと稲葉、辻、柴田を連れてコロニーの中の街に繰り出した。
この街は緑豊かな別荘地をイメージして作られた為かなりのんびりしている。
そんな街をしばらく車で走ると現れるのが巨大なショッピングモール。
ここには食料、衣料、日用雑貨から美容、医療施設など生活に必要な
施設がほとんど揃っているのである。
そんなモールの横にそびえる一軒のホテル。平家達はそのホテルの駐車場に
車を止めるとフロントに向かった。
「いらっしゃいませ。ようこそ!フロントまでご案内します」
入り口でべルボーイが丁寧に4人を迎えてくれた。
フロントに着くと稲葉が開口一番こう言った。
「オーナーおる?」
「は?お客様本日はどういったご用件で・・・?」
宿泊客だと思って対応に出たフロントの担当者は驚いた様に言う。
- 459 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「そやからオーナーに会いに来たんや。おるの?おらんの?」
「申し訳ございません。オーナーはただ今外出しておりまして・・・」
「そうなん。じゃあ待たせて貰うわ」
そう言うと稲葉はロビーの椅子に座る。
あっけに取られていた3人もそれに従った。
そんな4人の所に少しすると一人近づいて来る。そして・・・・
「お客様、失礼ですがオーナーは外出しておりますので
よろしければ支配人の私がご用件をお伺いいたします」
そう言う声に4人は聞き覚えがあった。
そしてその人物を見た瞬間、4人は笑い出した。
「わはははは・・・・なんやその格好・・・」
「あははは・・・・ホントどうしちゃったの?」
「はははは・・・・全然にあってないよ・・・・圭ちゃん」
支配人と名乗って現れた女性は保田圭、彼女も元スペースマルスクルーである。
- 460 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「あれ!みんなどしたの?休暇?」
久しぶりの再会に保田は驚いているが当の4人は笑い続けている。
「何だよ〜。そんなに笑う事ないだろう!」
先程までの態度とはコロッと変わり素が出てきた様な保田に
「ほらほら・・・支配人がそんな言葉づかいじゃアカンて・・・それにしても・・・」
「ごめんごめん、圭ちゃんがいるなんて思ってもいなかったから」
「圭ちゃん・・・どうしてここにいるの?」
保田はユリシーズとの戦いが終わって少しすると軍を辞めていた。
普通の女の子になる。そう言って軍を去っていったのである。
「ホテルの支配人だって普通の女の子の仕事だよ!
女の子はおしとやかにして・・・・戦闘機なんて乗らないの!」
そう保田が言うとやっと4人の笑いが収まった。
保田は呆れた様な表情を浮かべながら4人を事務所に案内した。
- 461 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:33
- 「で?今日は何しに来たの?」
「何しにて、言うたやろ?親分に用があって来たんや」
「そうなの?でも・・・ごめんね今出かけてていないないんだよ。
二時間位前に電話があっていきなり飛び出して行っちゃったらしんだけど・・・」
「なんや圭ちゃんはそん時おらんかったんか?」
「うん」
そんな話をしていると事務所の電話が鳴った。
「はい、保田です。・・・ああ丁度良かった今平家さん達が来てるんだけど・・・えっ?」
話をしている保田の顔色が急に蒼ざめて行くのが4人には解った。
電話の相手は・・・・恐らく探している人物である。
「うん・・・・うん・・・解った。待ってる様に行っとく・・・じゃあ・・・」
受話器を置いた保田は振り返ると4人をじっと見つめた。
「本当なの・・・?」
「紗耶香?」
「うん」
「私達が第一発見者だよ。残念だけど本当なんだよ。
紗耶香笑ってたよ。笑いながら眠ってた・・・・」
「そう・・・・」
保田はそう言うと椅子に座り込み4人にここにいるように告げた。
- 462 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:24
- 「紗耶香は確かCBCだったよね?何があったの?・・・って言っても答えられないか」
「ごめんね。いくら圭ちゃんでも今はまだ・・・・」
「だよね。それにしても・・・信じられないよ・・・・」
市井の事を知った保田は落ち込んでいるが比較的冷静な表情を浮かべている。
「で?親分は何処行ってるの?」
「良く解んないけど・・・話の感じからすると紗耶香の家族と連絡取ってるみたい」
「家族・・・?何や?どうして家族から・・・・」
「解んないけど、この前紗耶香が家族連れて来たんだ。
そん時元同僚だって話したから・・・それで連絡があったのかも」
「そうか・・・いくら軍機とは言え、家族には連絡するからなぁ」
そんな話をしているとまたしても事務所の電話がなった。
「はい保田・・・・ああ・・・今何処にいるの?・・・・タイタン?
タイタンのスペースポートだね。・・・・うん・・・お葬式?・・・うん・・・」
保田はしばらく話をすると再び受話器を置いて言った。
- 463 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:24
- 「あのね。今紗耶香の家族がタイタンにいるんだって・・・
いろいろ話があるから今日は戻れないって・・・・」
「マジか?参ったな・・・・」
「そうか・・・・どうしよう・・・?」
保田の言葉に稲葉と平家が困惑していると
「あの・・・保田さんじゃ駄目なんですか?」
柴田が2人に言った。
「へ?圭ちゃん・・・・?」
「そうか!そうだよね!」
平家が思い出した様に言う。
「何・・・?一体何なの?」
「ごめん・・・実は矢口に頼みごとしようと思ったんだけど・・・
うん圭ちゃんでも良いんだよ。あのね・・・・」
平家はそう言うと事件の経緯、そして任務に当たってのパイロットが
足りない事を保田に話した。
- 464 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「・・・・そうか・・・・紗耶香はそれで・・・・って事はこれは敵討ちだね。
パイロットか・・・・うん解った。引き受けるよ。
でも大丈夫なの?私はもう軍の人間じゃないんだよ」
「それは問題なし!マコード司令に許可は貰ってあるの。
民間人の一時的な起用を申請してあるから・・・・」
「そんな制度あったっけ?」
「今回の特例。元軍人で身元はしっかりしてるし、本当は矢口で申請したんだけど
圭ちゃんでも立場は同じだし問題無いでしょ」
平家がそう言うと保田は早速親分・・・つまりこのホテルのオーナーであり
雇い主の矢口に連絡を入れた。
矢口とは・・・そう、これまた元スペースマルス隊の一員である矢口真里の事である。
矢口はユリシーズとの戦いが終わってしばらくすると、突然大金持ちになっていた。
これはまだ人類が地球で暮らしていた頃に「月の土地の権利」と言う物が
シャレで販売されていたのだ。その時に矢口の数代前の先祖がその権利を
シャレで買っていたのだが、なんとその権利が現在実際に認められていて
そんな事など知らない矢口の元に「月開発公社」より突然連絡があり
土地を買い取りたいと言われ、その土地を売ったお金でこのホテルを
始めていたのだが、その時に矢口は軍を辞めており
現在は保田と同じ民間人なのである。
- 465 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「矢口驚いてたよ。でも出張扱いにしてくれるって・・・・
本当なら自分が行きたいって言ってた。でも今は・・・・」
「解っとるよ。矢口の仕事は敵討ち以上に大切な仕事や。
家族直々の頼みじゃしゃーないやん」
元スペースマルス艦載機隊レッドのリーダー保田圭が新たにクルーとして
プロポーズに加わった。
これ以上の時間は無駄に出来ない為、保田が乗り込むとプロポーズは
すぐに出航した。
「目標、天王星!ピースドライブ準備!」
亜空間レーダーの痕跡から敵は土星よりも外宇宙に移動した事が解っていた。
そして、このところ太陽系を騒がせている反連邦組織の拠点も
この辺りにあるのでないかとも予測されていた為、平家の出した答えが
天王星だったのである。
「それで?向こうに着いたらどうするの?」
「どうって?」
「ただ闇雲に探す訳じゃないでしょ?」
「目星はついてるの。実はね今回の訓練もそれを探るって言う
意味もあったんだよね」
「ホンマか?聞いとらんでそんなん!」
ブリッジで話をする保田と平家の会話に稲葉が入って来た。
- 466 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「みっちゃん、そう言うんはうちにも言っといてもらわんとなぁ」
「いや、これはあくまで私と和田中将の推測だから・・・・
だから正式なミッションじゃなかったんだ」
「けどやなぁ・・・」
「ごめん。これからは言うよ」
そんな話が終わりかけると
「ピースドライブ終了・・・・現在地、天王星まで6万ミニモ」
柴田の声が聞こえて来た。
ミニモとは宇宙単位で、宇宙を航行する船舶などが使用する距離を表す単位である。
「さて、ここからが本番だよ」
「作戦は?」
遂にプロポーズは作戦空域に入った。ここからは決して気を抜けないのである。
- 467 :名無し狩人:2004/04/27(火) 00:58
- 平家はルルに天王星に向かう様に指示を出す。
作戦はとにかく敵をおびき出すと言う無謀とも言える物であった。
「天王星に敵の根拠地があるの?」
辻の問いにメンバーは笑い出した。
「ははは・・・辻さん。天王星は主成分が水素とヘリュウムの
ガスで覆われた惑星ですよ」
「え?」
「お前、良くそんなんで軍の入隊試験に通ったね」
田中と保田の言葉に辻はまだ不思議そうな顔をしていた。
「こらこら、笑っとる場合やないで。可能性としてはあるかも解らんのやから」
「そうなの?」
「そりゃそうやろ。全部がガスな訳やないんやし・・・なぁ、みっちゃん」
稲葉の言葉に平家は首を横に振る。
- 468 :名無し狩人:2004/04/27(火) 00:59
- 「可能性はゼロじゃないけど・・・・」
「目星はついとるんか?」
「ミランダ・・・・」
平家は言う。ミランダとは天王星の衛星の一つで
地表に大きな溝を持ち、ゲリラの隠れ家に丁度良い場所でもあるのだ。
「そこまで解っててなんで今まで何もしなかったの?」
保田の問いに
「今の連邦軍は荒廃しきってるからね」
平家は寂しそうに答える。
反連邦組織は別に今プロポーズが追っている組織だけはない。
ただどれも大きな組織ではない為、軍はあまり重視していないのである。
その為、何か事件があってもその場しのぎの対応しかせず
今回の様に調査隊が出ることは稀であった。
- 469 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:06
- 「ミランダまで5000ミニモ。エネルギー反応キャッチ!」
柴田の声に平家が動いた。
「総員戦闘配備!ミネルバシステム作動!」
艦内に警報が鳴り響く。保田達艦載機チームは素早くカタパルトに行くと
戦闘機に乗り込んだ。
柴田と斉藤はミネルバシステムを作動させる。
「ミネルバシステム」とは自動迎撃システムの事で
ユリシーズとの戦いがあった頃に、スペースマルス隊のメカニックであった
大谷雅恵が開発した「オートコンバットシステム」を原型とし
それを発展させシステムである。
因みに名前の由来はギリシャ神話に登場する英雄「ペルセウス」に
盾を送った女神「アテナ」のローマ名から来ているのだが
これは数世紀昔にあった「イージスシステム」のからの名残であるとも言われている。
- 470 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:07
- 「前方より艦艇3隻接近!セレス級戦闘艦です!」
「識別は?」
「識別コード・・・あれ?」
「どうした?」
「イダとマチルダ・・・それにガスプラになってます」
「アホな・・・」
プロポーズに接近する戦闘艦の識別コードは、火星衛星基地「アレス」に
籍を置く戦闘艦のコードであった。
しかしながらこの場所にその三隻が存在する筈など無い事は
プロポーズのメンバーなら誰でも知っている事である。
なぜならクルーのほとんどがかつてアレスにいた者ばかりだからである。
「斉藤・・・・」
平家が斉藤を見る。
「間違いなく偽物です。あの三隻は今改修中です」
斉藤は言った。オペレーターの斉藤瞳は今でもアレスに籍を置いている。
その斉藤はこのプロポーズに乗り込む為、アレスからやって来た。
そして出発前に、今目の前にいる三隻の改修を行っていた大谷に
声をかけて来たのだ。
- 471 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:07
- 「柴田、コンタクト取れる?」
「やってみます・・・・ガスプラ応答願います・・・・」
柴田が現れた戦闘艦に通信を試みた。
「・・・ガスプラです」
「こちらは連邦軍訓練艦のプロポーズです。貴艦隊の航行目的を知らせて下さい」
「申し訳ありませんが軍機によりお答えできません」
「了解しました。私はプロポーズ艦長の平家です。貴艦の艦長をお願いします」
「は?」
平家はガスプラの艦長と話がしたいと申し出た。
ガスプラの艦長・・・もしガスプラが本物であれば
アレスのカドー大尉が指揮を取っている筈である。
「・・・・艦長はただ今休憩中です・・・」
「休憩中?ほう・・・いい根性やな!上官の呼び出しをシカトかい!」
平家がそう言うと相手の通信が途絶えた。
「作戦開始!」
平家の声が艦内に響き渡った。
と同時に保田達艦載機チームが飛び出してゆく。
- 472 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:08
- 「レーザーカノン三連速射!右舷対艦ミサイル開け!」
プロポーズは先制攻撃を仕掛けた。
思わぬ攻撃に敵艦隊は混乱しているようだ。
「レッドリーダーより各機へ!私達は偽マチルダを叩くよ!」
「圭ちゃん・・・」
「何?」
攻撃を仕掛けようとした保田に辻が言う。
「私、レッド隊じゃないよ」
「あっ・・・・しまった。ブリーフィングしとけば良かったね・・・基本だったのに・・・
ごめん、じゃあ昔のコールサインで行くよ。みんな良い?」
「レスラッテ+了解!」 「ノギーメタンア了解!」
「キースギテック了解!」 「サーユナルシス了解!」
「いいねえ、その調子!んじゃ改めて・・・ケメンダヤスより各機へ・・・
指示は・・・さっきの通り!行くよ!」
保田は軍を離れてかなり経つ。
今回は久々の戦闘であった為、つい昔の癖が出てしまったのだ。
保田はかつてのスペースマルスレッド隊のリーダーであるが
辻はイエロー隊であり、他の3人はホワイト隊である。
それに今の辻達には現在の所属の部隊があり
それぞれのコールサインを持っている。
なので混乱を避けるため保田は昔のコールサインで指示を出したのである。
- 473 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:08
- 「敵艦、艦載機を出してきました」
「とうとう化けの皮をはいだか・・・・」
攻撃を始めた敵艦から艦載機が発艦してプロポーズに襲い掛かってくる。
するとミネルバシステムが自動的に応戦を開始した。
「戦闘も楽になったな。まったく大谷はエライもん作ったもんやで」
ミネルバシステムの働きに稲葉は感心をしていた。
それ程このシステムは画期的だったのである。
「亜空間レーダーに反応あり!」
斉藤の声がするとプロポーズの後方に艦隊が現れた。
「・・・・・所属不明艦多数・・・・・識別にありません・・・」
「えっ?・・・・・・・」
柴田の声に平家は絶句する。すると
「敵艦隊沈黙!軽い軽い!」
保田の声が通信機から聞こえて来た。
しかしそれに答える者は誰もいない。
- 474 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「ケメンダヤスよりプロポーズへ。どうしたの?」
「圭ちゃん・・・まずいよ・・・」
異変に気がついた辻はプロポーズの後方に展開する艦隊に気がついた。
「なんだあいつ等・・・」
「うそ・・・保田さんあいつ等ウィラポーンです!」
田中はそう言ったが保田はそれが何なのか知らなかった。
反連邦組織「ウィラポーン」田中は過去に戦った経験があった。
「田中。ウィラポーンってどんな連中なの?」
「かなり戦いには慣れていると思います。まえに一度戦った事があります」
「その時の状況は・・・?」
「決着は付かなかったですが・・・・正直あのままだったら負けてたかも・・・」
田中は現在物資輸送船団の護衛部隊にいる。
そしてその船団の護衛中に突然現れたのがウィラーポーンであった。
田中は出撃する間もなく一隻の僚艦が目の前で撃沈された。
そして田中が出撃した時には既に消えていたのだ。
- 475 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「あいつら・・・・あの時には解らなかった・・・でもその後犯行声明が出て・・・」
「ニュースには無かったね・・・」
「上は大した問題じゃないって・・・・」
田中の言葉からその時の悔しさが伝わってきた。
保田はすぐに機首を反転させた。
「みんな行くよ!」
そうして艦載機隊が攻撃に出ようとすると
「やめなさい!圭ちゃん・・・勝てないよ」
平家が止めた。
「逃げるの!」
「あたりまえでしょ。早く戻って」
「でも・・・・紗耶香の仇だよ」
「自分がやられたら意味無いでしょ!」
平家の指示に保田は従うしかなかった。
普通に考えれば今は勝てる状況ではない。
敵艦隊は五隻。それも先程叩いた旧式の戦闘艦とは訳が違うのである。
- 476 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「敵艦隊が攻撃開始しました」
「艦載機隊収容急げ!」
敵の攻撃を何とか迎撃しながらプロポーズは保田達を収容する。
「全速転進!離脱急げ!」
敵の攻撃を掻い潜り何とか逃げようとするプロポーズ。
「駄目です。逃げ切れません」
柴田の叫び声が響く。
「諦めるな!爆雷散布!」
何とかして離脱を図るプロポーズだったが敵の追撃も厳しい。
「第二ブースター被弾!速度低下・・・」
逃げるプロポーズにこの被弾は致命的であった。
- 477 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:10
- 「ピースドライブ準備!」
「無茶です!こんな状態で!」
「他に方法はない!」
敵の追撃をかわすにはもうピースドライブしか方法は無かった。
しかしながら高速移動中のピースドライブはあまりにも危険なのである。
そんな中、平家は決断をした。無茶でもやるしかない・・・だが
「ハローエンジン出力低下・・・どこか被弾した様です」
最後の策であるピースドライブもハローエンジン被弾により出来なくなった。
「くそ!こうなったら・・・攻撃だ!」
逃げ切れないと判断した平家は戦いを挑む覚悟を決めた。
メンバーもまたその覚悟が固まっている様だ。
「みんな・・・やれるだけやるよ」
「了解!」
保田達は再び出撃して行った。その後に稲葉と村田が続く。
- 478 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:10
- 「戦闘機は多いほうがええやろ。指揮は・・・圭ちゃん任せたで!」
「了解!ケメンダヤスより各機、敵機を一機もプロポーズに近づけるな!」
「了解!」
艦載機7機はプロポーズの正面に陣取った。
迫り来る敵艦載機を迎え撃つ為である。
「対艦ミサイル多数接近!」
「打ち落とせ!」
プロポーズの艦橋も既に修羅場と化していた。
死をも覚悟したメンバーが必死になっていたのである。
「第一、第二カタパルト被弾!」
「ミネルバシステム使用不能」
被害状況が続々と報告される。
「ほらほら・・・どんどんきやがれ!」
迎え撃つ保田は次々に敵機を叩いて行った。
しかし
- 479 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「主砲使用不能・・・・レーザーカノン・・・消滅・・・」
「これ以上応戦は不能です!」
斉藤は平家を見た。
「総員退艦急げ!」
「えっ?」
「早くしろ!」
「平家さんは?」
「私は・・・・残るよ・・・」
プロポーズは既に撃沈寸前であった。
クルーに退艦を指示した平家は艦長席に座ったままである。
「みんな早く!」
柴田が指示を出し脱出用の小型艇にクルーは乗り込んで行く。
「馬鹿な事言ってないで行くよ!艦と運命を共にする艦長なんて
時代遅れもいいとこだよ!」
斉藤はそう言うと平家の右手を引っ張った。
- 480 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「・・・・・」
動こうとしない平家、すると
「ほら!みちよ!行くぞ」
柴田が平家の背中を叩いた。
「痛いな〜・・・何すんだよ!」
思わず立ち上がる平家。
その瞬間ここぞとばかりに斉藤が平家を引っ張った。
「こら!放しなさい!」
斉藤と柴田の2人がかりで引きずられる平家が叫んでいる。
- 481 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「はいはい、脱出艇に着いたら離しますからね。
それまではおとなしくしてましょうね」
まるで子供をあやすかのような口調で言う斉藤。
それでも平家はもがいていた。
「お待たせ!ルル良いよ!」
やっとの思いで脱出艇に平家を引きずり込んだ斉藤が
操縦席に座るルルに叫んだ。
「出ます!」
既にあちこちが火を吹いているプロポーズから
何とか脱出艇は飛び出して行った。
- 482 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:08
- 平家達が脱出してから少しすると遂にプロポーズが大爆発を起こした。
「ああっ・・・」
消え行くプロポーズをメンバーが呆然と見ていると
「ちくしょー!これで終わりだと思うなよ!」
柴田はそう言うとルルの隣のシートに滑り込んだ。
すると斉藤もそれに従い動きだす。
「フリージア2よりケメンダヤスへ。作戦続行!」
柴田はそう言うとボーっとしているメカニックメンバーに叫んだ。
「何やってんの?後ろにバトルポッドがあるからさっさと行って来い!」
この脱出艇は見かけの割には中が狭かった。
みると後ろの方に扉が見える。
- 483 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:09
- 「ちょっと柴田。解る様に説明してよ」
訳の解らない平家は柴田に聞く。
元々この脱出艇は柴田と斉藤がアレスから持って来た物である。
そして名前がフリージア2。そうこの機体はアレスにある訓練艇フリージアの
後継機なのである。小型ながらその戦闘能力は航路監視隊の警備艇に匹敵し
後部の格納庫にはバトルポッドも搭載している。
「諦めないで行きましょう。まだ終わってませんよ」
柴田の説明が終わると平家は頷く。
「バトルポッド隊出撃!簡単にやられるな!」
その言葉にフリージア2のバトルポッド隊6機が飛び出して行く。
保田達に合流すると戦闘を開始した。
「こっちも負けてられないよ。攻撃開始!」
斉藤はそう言うとミサイル攻撃を開始する。
更にはフリージア2の機体内部に収納されていたレーザーカノンが姿を現す。
- 484 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:09
- 「目標補足・・・・発射!」
レーザーカノンが敵艦に向かって放たれる。
「・・・駄目か・・・・あまり効果はないみたいだね」
残念ながらフリージア2のレーザーでは敵艦に致命的なダメージを
与える事が出来なかった。
「レスラッテ+よりフリージア、補給は・・・無理・・・?」
「辻ちゃんごめん。余裕はないよ」
辻の連絡に斉藤が悔しそうに答える。
「解った。まだ何とかなるけど・・・うん頑張ってみるよ」
「お願い」
辻の言葉はそのまま戦闘機に乗っているメンバーの言葉でもあった。
敵の艦載機こそかなり叩いてはいるが肝心の戦闘艦の方には
まったくと言ってほど攻撃ができていない。
こちらは消耗するばかりである。
言葉には出さないでいたが攻撃手段がなくなるのは時間の問題である。
- 485 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:10
- 「・・・・・逃げると言ってもこれじゃあね・・・・・」
平家は考えた。この状況を打破できる策はないのか・・・・
こちらは消耗するばかりだ。フリージア2も被弾こそしていないが
いつやられるか解らない状況である。
みんなで無事に生きて帰る方法悩む平家・・・そんな時である。
フリージア2のレーダに反応があった。
「レーダに反応・・・・ピースドライブを終えた艦艇が現れたようです」
「新手か・・・」
「・・・いえ・・・・平家さん!マルス2とガスプラです!」
そこに現れたのは連邦軍戦闘艦マルス2。
そして本物の戦闘艦ガスプラであった。
- 486 :名無し狩人:2004/04/28(水) 23:08
- 「ピースドライブテスト終了。現在地天王星付近」
マルス2オペレーター石川梨華がテストの終了を告げる。
「コンディションオールグリーン。航海に問題なし!」
航海班の前田有紀は船体に問題が無い事を告げた。
「これでテストは終了だね。連続でのピースドライブも問題無いみたいね」
マルス2艦長の安倍なつみは安心した様に呟いた。すると
「レーダーに反応。三時の方向・・・・戦闘中の艦艇があります」
「総員戦闘準備!梨華ちゃん。情報収集急いで!」
「了解!」
火星衛星基地アレスの戦闘艦マルス2とガスプラは
新しく搭載されたハローエンジンの性能を確かめる為
連続でのピースドライブテストを行っていた。
そしてテスト終了と共に平家達が戦っている空域に姿を現したのである。
これは偶然の一致なのであろうか?
「戦闘中の艦艇の識別が確認出来ました。一方はまったくの所属不明ですが
もう一方は・・・・大変!フリージア2ですよ!」
石川の報告に安倍は慌てて指示を出した。
- 487 :名無し狩人:2004/04/28(水) 23:09
- 「砲門開け!目標所属不明艦隊!当艦はこれよりフリージア2の援護を開始する」
安倍の声にブリッジに緊張が走った。
「レッド隊順次発艦して下さい。攻撃目標は所属不明艦隊です」
「レッドリーダー了解!」
石川の指示に答えたのは後藤真希。後藤は保田がいなくなってから
レッド隊のリーダーを任されているのである。
「レッドリーダーより各機へ。味方機を攻撃するなよ!」
「ケッカー了解!」 「スコロンダ了解!」 「ゴロMAX了解!」
後藤率いるレッド隊は素早く戦闘空域に斬り込んで行く。
「フリージア2より、マルス2へ。ありがとう、助けに来てくれたんだね」
マルス2に平家から通信が入った。
「マルス2よりフリージア2へ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない。プロポーズやられちゃったよ」
平家の言葉に石川の表情が曇った。プロポーズと言えば戦力は
マルス2とさほど変わらない。むしろマルス2より性能は上の筈である。
「安倍です。平家さん敵の戦力は?」
「解らないよ。1対5であっという間にやられちゃったから」
敵の戦力はまったくの未知数。しかも数はこちらより多い。
テスト航海でいきなり戦闘に巻き込まれた安倍の脳裏に不安がよぎっていた。
- 488 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:48
- 「シルバーリーダーよりマルス2、フリージアの艦載機隊は何機?」
ガスプラ艦載機隊リーダーの福田から通信が入る。
「すいません。えーと・・・フリージアのバトルポットは6機です・・・
それから・・・プロポーズの艦載機が・・・・現在7機・・・計13機です。
リーダーは・・・・え?ケメンダヤス・・・・何これ?」
石川は現場に保田がいることなど当然知らない。
更には田中、道重、亀井、村田、予想もしていないメンバーの
識別コードが飛び交い混乱している。
「ちょっと梨華ちゃんしっかりしてよ!プロポーズ隊のリーダーは?」
シルバー隊リーダー福田明日香は混乱している石川に喝を入れた。
「ごめんなさい・・・・えーと・・はい大丈夫です。
プロポーズ艦載機隊はよく解んないですけど保田さんが指揮してる様です」
「シルバーリーダー了解!」
情報が交錯する中なんとか石川は全てを把握し始めた。
現在の状況その他諸々・・・・
- 489 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:49
- 「マルス2よりケメンダヤスへ、保田さんですよね?ここにいる理由は後で聞きます。
今はレッド隊と合流して敵艦に攻撃をお願いします」
「ケメンダヤス了解!石川・・・成長したね」
「ありがとうございます。えーと・・・稲葉さん聞こえますか?」
「あいよ」
「石川です。稲葉さんはプロポーズ隊の指揮をお願いします。
これからガスプラのシルバー隊がそちらに向かいます。
到着次第レッド、シルバー両隊のバックアップをお願いします」
「了解や!」
マルス2の参戦により艦載機隊は陣形を組みなおすと
新たな攻撃隊形を作り始めた。
「敵艦載機フリージアに接近!」
マルス2の大木がフリージアへの敵機の接近を知らせる。
「グリーン隊、フリージアのバックアップをお願いします」
「グリーン3了解!」 「グリーン4了解!」
マルス隊の自艦防衛部隊グリーン隊。
里田まい搭乗のノンクラクション、そして斎藤美海搭乗ホカノドーガ。
二機の戦闘機はフリージアを護衛すべく出撃する。
- 490 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:49
- 「マックゴルドよりケメンダヤスへ。攻撃の指示を願います」
「・・・・自分で考えなさい」
「えっ?」
レッド隊と合流した保田に、レッドリーダー後藤は昔の様に指示を仰ぐ。
しかし保田の答えは「自分で考えろ」であった。
「後藤、もう私はあなたの上官じゃないんだよ。今のレッドリーダーは後藤でしょ。
だったら私が従うよ。レッドリーダー、指示をお願いします」
「・・・・・レッドリーダーよりレッド隊各機へ、Wフォーメーション!」
保田の言葉に後藤が出した指示は、「Wフォーメーション」
この陣形はリーダー保田時代からレッド隊が得意とする
必殺のフォーメーションである。
- 491 :名無し娘。:2004/05/02(日) 01:11
- 更新お疲れ様です。前のもそうだったけど艦隊戦は特に好き。
- 492 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:17
- 「レッドリーダーよりシルバーリーダーへ、援護をお願いします」
「シルバーリーダー了解!」
既に敵艦隊を射程圏内に捕らえていたレッド隊は
攻撃の為、更に敵に接近する。
「レッドリーダーより前衛三機へ、攻撃開始!」
後藤の指示で吉澤のケッカー、アヤカのスコロンダ、小川のゴロMAXが
突破口を開く為、敵艦隊の護衛機に襲い掛かる。
「レッドリーダーよりケメンダヤスへ、突っ込むよ」
「了解!」
吉澤達が作った突破口から後藤と保田が敵艦隊に襲いかかった。
「ロックンロール!」
後藤と保田はほぼ同時にこう叫ぶと、対艦ミサイルを放つ。
ミサイルは敵艦隊で一番前に出ていた戦闘艦の艦橋を破壊した。
- 493 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:17
- 「各機、全速反転離脱する!」
後藤の声にレッド隊のメンバーは機首を反転させると敵艦隊の前から
一気に飛び去って行った。
「シルバーリーダーより各機、攻撃開始!」
レッド隊からすぐに、間髪を入れず福田のシルバー隊が攻撃を開始する。
「うちらはバックアップやで。ええか?」
稲葉を先頭にプロポーズ艦載機隊が敵艦載機隊に襲い掛かる。
田中、道重、亀井、村田は敵艦隊の弾幕をぬって次々に敵機を叩いて行った。
「レッドリーダーよりマルス2へ、これより補給の為帰艦する」
「マルス2了解!」
敵艦隊に最初に攻撃を仕掛けたレッド隊はかなりの消耗をしていた。
残弾も残り少ない為マルス2に補給の為、戻るのである。
「至急補給お願いします。すぐに出ます!」
マルス2に帰艦した後藤はカタパルトデッキにいたメカニック
大谷雅恵に声をかけた。
- 494 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:18
- 「OK、すぐにやるから・・・」
大谷はそう言うとメカスタッフに指示を送る。そこに保田がやってきた。
「大谷ちゃん、元気だった?」
「保田さん!どうしたんですか?」
予想もしていなかった保田の登場に大谷は驚きを隠せない。
一瞬固まっていたが保田の簡単な説明で現状を理解した様である。
「事情は解りましたけど・・・保田さん大丈夫なんですか?」
「何が?」
「だって、しばらく戦闘はやってないでしょ?ブランクもあるだろうし」
大谷はしばらく軍から離れていた保田を心配している。
- 495 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:18
- 「大丈夫だよ。戦闘はしてなかったけど、腕は鈍ってないよ」
「そうですか。なら良いですけど」
「それより大谷さあ、このSF−22って乗りにくくない?」
「そんなこと無いですよ。SF−22は軍の主力戦闘機ですよ」
「でもしっくり来ないんだよね」
「うーん・・・機体との相性なのかなぁ・・・・あっ!そうだ!」
大谷は何かを思い出した様に1人のメカスタッフに声をかける。
「7号リフト下ろせ!」
大谷がそう言うとデッキの奥にあるリフトが動き出した。
ゆっくりと動くリフト。見ると戦闘機が一機乗っている。
連邦軍型式SF−14S。SF−14戦闘機の強化タイプである。
そしてその機体の機首にはローマ字の「K」を象ったエンブレムが
「大谷!」
今度は保田が驚きの声をあげる番である。
「K」のエンブレムが描かれたSF−14Sと言えば連邦軍ではたった一機しかない。
旧レッドリーダー「レッドワン」
そうこの機体こそ正真正銘の保田の愛機「ケメンダヤス」なのである。
- 496 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:46
- 「またこいつに乗れるなんて思ってもみなかったよ」
懐かしい愛機のコクピットに座る保田は笑った。
「何もかも昔のままですよ。それじゃあ行ってらっしゃい!」
補給が終わり再び出撃するレッド隊。
保田は愛機の操縦桿を握ると言った。
「ケメンダヤス出ます!」
マルス2より飛び出したレッド隊。
「攻撃目標セットアップ完了・・・」
機体を乗り換えた保田は全てのデータの入力を終える。
そして
「レッドリーダーより各機、まずは近くにいる敵機を叩く。
それが終わり次第シルバー隊のバックアップに入る」
保田の突然の指示に本来のリーダーである後藤は一瞬躊躇ったが
何も言わずに指示に従う。
- 497 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:47
- それは他のメンバー同じであった。保田が先程後藤に言った事に
あえて突っ込みを入れる事もなく指示通り動き始めた。
一方こちらは敵艦隊の旗艦の中・・・・
「連邦軍もなかなかやるな・・・どこの部隊だ?」
そう言ったのは「キオナ・ザワーショ」・・ウィラポーンの総帥である。
「あれはマルス2とガスプラ・・・・アレスの戦闘艦の様です」
「ガスプラ・・・?なんとも良いタイミングで現れたな。
それにマルス2か・・・すると連中は例のアンドロイドの・・・」
「はい、ユリシーズを叩いた連中です」
「そうか・・・そうなると面倒だな」
キオナは表情を変えず淡々と話をしている。
しかしその言葉からはマルス隊が簡単な相手では無いと言う
認識を持っている事がうかがい知れた。
「今の戦力なら奴等を叩く事は出来るか・・・しかしこちらもただでは済むまい」
「撤退しますか?」
「そうだな・・・・」
キナオはそう言うと全艦に撤退命令を下す。
同時にあれだけいた艦載機隊が一気に引き上げて行く。
- 498 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:47
- 「なんだ?どうしたんだ?」
目の前の敵が急に引き返して行き保田は驚いている。
福田は突然の事に警戒しシルバー隊及びプロポーズ隊を敵艦隊から離脱させた。
そしてシルバー隊とプロポーズ隊が引き返した時である
ウィラポーン艦隊が保田達が叩いた一隻を残しピースドライブを開始した。
「敵艦隊ピースドライブに入ります!」
「えっ?急にどうしたんだろう・・・?」
突然の敵艦隊の撤退にマルス2のクルーは驚きの表情を浮かべる。
「一隻残ってますね・・・」
石川は敵艦が一隻残っている事に疑問を抱く。
だが安倍は躊躇いも無く主砲発射の指示を出した。
「発射!」
合図と共に放たれた主砲のエネルギー弾は残っていた敵艦を消し去る。
これによって特に問題が発生する事は無かった。
「急にどうしたんだろう・・・?」
「さあ・・・・」
明らかに劣勢の状況であったが敵艦隊は撤退をして行った。
いったい何故敵は撤退したのか・・・・
彼女達がその理由を解る筈も無かった。
- 499 :名無し娘。:2004/05/08(土) 18:02
- 良い感じだね
- 500 :名無し娘。:2004/05/09(日) 17:07
- 500
- 501 :名無し狩人:2004/05/10(月) 22:55
- 申し訳。ここで一旦切ります。
再開は・・・なんとも・・・はい・・・。
スマソ。
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