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小説?『娘。戦記』

1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。

管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。

201 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
「なあ、田中。お前達には先に謝っとくわ」
「は?」
「いやね、正直ここまでの実力とは解らんかった。
 過去の戦闘データを見る限りではそれ程でもなかったからな」
「はぁ・・・でも、私達も正直驚いています。こんなに楽に動ける戦闘は
 過去に無かったと記憶しています」
「そうなん?そんな事ないやろ、自分謙遜し過ぎやわ」
「そんな事はありません、私達3人の連携がここまで出来たのは
 訓練の時以来です」
「教官は?」
「ムーンベースの福田中尉です」
「福田?・・・・ああ、明日香か・・」
「はい、お知り合いですか?」
「まあな・・・そうか、それで解ったわ。明日香に訓練されたんなら
 うちの動きに合わせられるのも納得や」
「良く解らないですが、そう言われると中澤指令と福田中尉は
 戦闘スタイルが似てますね」
「当たり前や、それよりその大佐とか指令とか言うの止めえや。
 そう言うの苦手なんよ・・・・おっとお喋りはここまでやな」

202 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
話をしている間に、二機は敵艦の目前に迫っていた。
田中に攻撃の指示を出すと中澤もミサイルを放った。

「よっしゃ!命中や。田中、次行くで!」
「了解!」

一隻の敵艦を黙らせた中澤と田中はそのまま
もう一隻の敵艦に襲い掛かった。

「ターゲットロック!ファイア!!」

残りの敵艦にミサイルを放つ田中、だがそのミサイルは
敵艦載機の捨て身の防御で不発に終った。

「身を捨てて母艦を守るとは敵ながら見事やな。
 けどそれも無駄に終る!」

中澤の指示により今度は亀井と道重の機体からミサイルが放たれる。
同時に中澤も残りのミサイルを放った。

「敵艦沈黙!石井ちゃん、今がチャンスだよ!」

203 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
中澤達の二次攻撃は成功だった。
艦橋を破壊された敵艦二隻に対しフリージアとピーチーが総攻撃を行う。
流石にマルスタイプの主砲の様に一撃で、とは行かないが
敵艦の撃破に成功した。

「よっしゃ!みんな良くやった。作戦終了や!」

ピーチーがいち早く駆けつけた為、キーダムの被害はそれ程でもなかった。
それを確認したピーチ−、フリージアの両戦闘艇は現場を後にした。

「いやー、久々にパイロットやったから疲れたわ」

アレスに戻った中澤がそう言うと

「お疲れさまでした。何か飲みますか?」

新垣は出撃メンバーの注文を聞き始めた。
そんな中

「中澤指令、先程のお話ですが、どう言う意味ですか?」

204 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
紅茶をすする中澤に田中が質問をする。

「なんやったっけ?」
「指令とか大佐とか言うなって・・・・」
「ああ、その事か、それがここのルールや、勿論外から来たお偉いさんには
 必要やけど、このアレスの仲間うちでは階級とか必要ない」
「しかし・・・・」
「田中は今日ここに来たばっかりやから解らんかもしれんけど
 みんなそんな呼び方しとらんやろ、なあ新垣」
「はい、田中ちゃん、ここではみんな名前とかニックネームで
 呼び合う事になってるんだよ。みんなそうしてるでしょ」
「・・・・確かに、そう言われれば・・・」
「それでええんや、だからうちの事は裕ちゃんでええよ」
「いや・・・それはちょっと・・・・では中澤さんで」
「なんや、裕ちゃんて呼んでくれんの?寂しいなあ」

田中の引きつった笑いを見てその場のメンバーが笑い出した時であった。

「ガスプラよりアレスへ、現場に到着しました。
 しかしながら敵艦どころかピーチーやキーダムも発見出来ません」

205 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:52
ピーチーのすぐ後に出撃したガスプラから連絡が入って来た。

「・・・・・・おい、斉藤、どうなっとるんや?」
「・・・・・・しまった・・・・ついうっかり・・・・」

重い空気が司令室を支配する。

「アレス、応答して下さい。こちらガスプラ、指示を願います」
「・・・・・アレスよりガスプラへ、斉藤です。作戦は終了しました」
「はぁ?」
「とにかく帰って来てください・・・・・ごめんなさーい!」

斉藤の声が司令室に響き渡る。マルス隊に気を取られていた斉藤は
ガスプラの存在をすっかり忘れていたのだ。
この後当然斉藤に中澤のカミナリが落ちるのである。

訳の解らぬまま初日を終えた田中、道重、亀井の3人は
先行きに不安を感じずにはいられなかった。

206 :名無し娘。:2003/10/12(日) 01:12
ごめんじゃ済まないんじゃないかボス

207 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
普段は穏やかな空気が流れているアレスに、今日は緊張感があった。
それはもうすぐ到着する大船団が原因である。
連邦軍太陽系艦隊の「和田中将」が率いる「第三艦隊」がやってくるのだ。
出迎えの為にアレスの主要メンバーはメインポートに集合していた。

「オイラなんだか緊張してきたよ」
「私も・・・でもなんで突然第三艦隊が来る事になったの?」

普段からこう言う事に慣れていない、矢口や飯田は
不思議そうな表情を浮かべる。

「それがよう解らんねん。昨日突然連絡があって
 寄港するから準備しとけって」

アレス司令官の中澤も第三艦隊の寄港理由が解っていない様であった。
第三艦隊は連邦軍の中核を成す大艦隊である。
演習やその他の作戦でこう言った大艦隊がアレス近くの空域を
通過する事は、たまにはある。だがアレスに寄港した事など一度もないのだ。

208 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
「こちら第三艦隊旗艦アポロン。アレス入港の許可を申請します」
「アレス了解しました。貴艦及び第三艦隊の入港を歓迎します。
 誘導ビームに乗って進入して下さい」
「アポロン了解」

第三艦隊旗艦アポロンのオペレーターと斉藤のやり取りが聞こえる。
メインポートの緊張感が一気に高まった瞬間であった。

「今思ったんだけどさ、あんな大艦隊どうやって入港するのさ?」

安倍が思いついた様に言う。確かにアレスのメインポートのキャパでは
第三艦隊全ての艦艇が入港するのは無理である。

「それなら心配はいらん、実際に入港するのはアポロンだけや」
「そうなの?オイラてっきり補給かなんかかと思ったよ」
「そんな訳ないじゃん、あんな大艦隊に補給したら
 私達のぶんがなくなっちゃうよ」

メンバーがそんな話をしている中、艦隊旗艦アポロンが港に入って来る。
アポロンが完全に停止するとその場にいたメンバーは桟橋に立った。

209 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
「うわー、オイラもう駄目だ・・・」
「矢口、うるさいぞ!」

アポロンのハッチが開くと中から数人の男性が降りてきた。

「総員、敬礼!」

中澤の声がメインポートに響く。その場にいた全員が下りてくる男性に
敬礼をして見せた。

「将軍、お久しぶりです!」

敬礼をしながら中澤は言う。相手は艦隊を率いる和田中将である。

「はははは、そんなに固くなるなよ。昔みたいに和田さんでいいぞ」

緊張した空気を感じ取った和田は笑いながら中澤にそう言った。

「あ、いや、しかし・・・今と昔とでは立場が違いすぎますから・・・」
「気にするな、それがアレスのルールじゃなかったのか?
 階級は関係なく最低限のマナーが出来ていればそれでOKなんだろう?」
「まあ、確かにそうですが・・・・まいったな・・・・」

210 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
どこかで見た様なやり取りに中澤は苦笑いを浮かべている。
その様子を遠くから眺めていた田中や新垣は笑いを堪えるのに必死であった。

「まあいい、あまり時間が無いんだ。どこか落ちついて
 話が出来る場所はあるか?」
「はい、準備してあります。どうぞ!」

中澤はそう言うと和田とその連れの将校を準備した部屋に案内した。

「それじゃ、解散ね!」

中澤と和田が部屋に向かうと飯田がメンバーに解散の指示をだした。
和田はどんな用件でここを訪れたのか?
アレスメンバーの話題はそれで持ちきりであった。

211 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:42
「うわぁ〜、凄い、綺麗だね〜」

アレスの食堂から外を眺めていた辻が言う。
外には第三艦隊の大艦隊が並んでいた。
色とりどりの光を放つ艦隊はかつて地球にあった夜景にも似ている。
こんな数の艦隊など見たこともないメンバーはしばしその光景に見とれていた。

「あっ、アポロンだ!」

艦隊に向かう一隻の船を紺野が見つける。
第三艦隊が到着してから既に二時間が経過していた。
中澤との話も終ったのであろう、和田乗艦のアポロンが
艦隊に戻るのが見えた。

「本当に何しにきたのかな?」

石川がそう言った時、第三艦隊の艦船が動き出すのが見えた。
エンジンが一斉に火を吹く。空気中であれば物凄い轟音がしたに違いない。
だがここは宇宙空間である。第三艦隊の放つエンジンの光は
まるで沢山のキャンドルの様であった。

212 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
第三艦隊がアレスを後にした数時間後、大谷と村田が中澤に呼ばれた。
メカニックの2人が中澤に呼び出される事など滅多にないので
メンバーは2人をからかう。

「何やらかしたの?」 「減俸か?謹慎か?」
「知らないよ、それに何もやってないって・・・でも、なんだろう?」

2人は顔を見合わせながら中澤の部屋に向かった。

「なんだか今日はおかしな事が続くね」

椅子の背もたれに両腕と顔を乗せながら座る矢口が言う。

「2人の呼び出しも和田中将が来た事と関係あるんですかね」

矢口の言葉に答える様に新垣が言った。

「う〜ん・・・何とも言えないけどそんな気がするなぁ」

矢口がそう言うと中澤に呼ばれた2人が戻って来た。

213 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
「裕ちゃん何だって?」
「それが・・・・よく解らないんだけど、急に三ヶ月ムーンベースに
 行く事になったんだって。村田と2人で・・・」

矢口の質問に大谷は何が何だか解らないと言った表情で答える。
そんな言葉にその場のメンバーも「何で?」と言った表情を浮かべた。

それから二日後、大谷と村田を乗せたフリージアが
ムーンベースに向けて出発した。
ムーンベースとは連邦軍の重要拠点であり、軍の参謀本部もここにある。
結局2人の出張理由について中澤の口から説明は無かった。
と言うより、中澤本人もその理由を知らないとの事であった。
だが、中澤と古くから付き合いのある数人のメンバーは知っている。
中澤が隠し事をしているとそれが態度に出るのだ。
中澤に2人の出張理由や、和田がここに来た理由などを聞いた時
中澤の態度にそれが出ていたのである、何か隠しているのは確かであった

214 :名無し娘。:2003/10/15(水) 01:13
更新乙です
最近「アレス」って単語が「ホワイトベース」とかと同じくらいしっくり馴染んでるw

215 :名無し娘。:2003/10/16(木) 00:24
>>214
 何かそれ判る気がするね。ともあれ乙。

216 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
「裕子め、いったい何を隠していやがるんだ?」

いくら聞いても「知らない」の一点張りの中澤に矢口は少々ムッとしている。

「軍機かな?でも裕ちゃんだけが知ってるなんて今までなかったよね?」

飯田も中澤の態度に気がついた1人である。
矢口、飯田、安倍、保田など前から中澤の下について来たメンバーは
何とか秘密を聞き出そうと必死であった。

「こうなったらバナナで責めてやる!」

矢口がそう言うと

「いや、それはやめておいたほうが・・・」

217 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
安倍がそれを止めた。バナナは中澤の苦手な物の一つである。
矢口はそれを使って攻め込もうと画策したのだが
後が怖いと言う事でその作戦は却下された。
そして何も解らないまま二ヶ月が経ったある日
久々にフリージアがアレスに戻って来た。
だが乗っていたのは村田1人である。村田はムーンベースからの
指令書を中澤に渡すと、小川と前田を連れて、ムーンベースに戻って行った。

「いよいよ怪しいぞ!村さんの顔見た?元気そうだったけど
 だいぶやつれてたよね。何やってるのか聞いたんだけど
 教えてくれなかった。陰謀の匂いがプンプンするぞ」

矢口がそんな事を言っていると、後ろから中澤がやって来て
持っていたファイルで頭を殴った。

「痛った〜・・・何すんだよ!」
「まったく、くだらん妄想ばっかしやがって・・・そんな暇あったら
 セクビムの手入れでもしてろ!大谷も村田も、おらんのやから
 メカスタッフだって忙しいやろ」
「だったら何があったのか教えてよ!オイラ達何も聞いてないぞ!」
「・・・・・だから・・・何も知らんて・・・」
「嘘だ!裕ちゃんの態度で解るもん。何年一緒に仕事してると思ってるの?」
「・・・・はぁ・・・・解ったよ・・・だけどな他のメンバーには絶対言うなよ」
「うん・・・」

218 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:13
矢口のしつこい位の質問攻めにとうとう中澤は折れた。
中澤は仕方なく、矢口、飯田、安倍、保田、
そして偶然その場にいた斉藤の5人にだけ話を始める。

「実は大谷と村田は建造中の新型艦の調整に行ってもらってるんや。
 そんで小川と前田はその新型のテストパイロットや」
「どう言う事?」
「解らん。和田中将も、ただその新型はお前達にきっと関わって来るとしか
 言わんかった。だから今後うちらがその新型にどう関わるのか
 皆目検討もつかん」

この中澤の言葉に嘘は無かった。例の態度が出ていないのだ。
中澤も知らないプロジェクトが進んでいる。
しかもそれが自分達に直接関わってくるかも知れない。
これから先何があるのか、矢口達はただ考えるしかなかった。 

219 :みゅん八先生:2003/10/16(木) 23:48
( `_´)<ういんどうずのあっぷでーとしてたら急に眠くなりますた。
       本日はこのまま眠ってしまおうと企んでおります。

( `_´)<と言う訳でお休みいたしますがついでにレスなど・・・
       「アレス」にもだいぶ馴染んでいただいた様で、
       後はメンバー個人の機体名もガンダムとかザクみたく
       馴染んでいただける様になればと思っております。
       もっとも機体名はあれですからすぐに解るか・・・ 

220 :名無し狩人:2003/10/16(木) 23:51
やべ!ハンドルまちげーた(w
やっぱ寝ぼけてるぞ!

221 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:28
そ、そうだったのか…

222 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:43
いろんな意味でガンガレw

223 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
小川達がムーンベースに行ってから更に一ヶ月が経った。
この間、大した出動も無く、4人のメンバーがいなくても
何とかアレス基地は機能していた。そんなある日

「ん?あれ?おかしいなぁ・・・」
「どうしたの?何か問題発生?」

ノートを手に悩む新垣に柴田が聞く。

「いや、この前の第三艦隊なんですけど・・・ポイント通過記録が
 残ってないんですよ」
「じゃあ、戻ったって事じゃないの?」
「でもこのノートにはそれがないんですよね」

火星衛星基地アレスの仕事は戦闘だけではない。
宇宙定期航路の管制業務も仕事の内である。
そして、その管制空域を通過した船はアレスのコンピュータに記録され
その船が帰りにこの管制空域を通過する事により
その記録はコンピュータの画面上から消える様になっている。
もしこの記録が画面上に残ったままであればそれはその船に
何かがあって戻って来ていない事を意味するのである。
だがその作業は基本的に管制を担当した人間の手動で行われる為
時には間違いもある。その間違いを防止する為に新垣が個人的に
記録を始めたのが、今新垣が手にする「お豆ノート」である。
最初は新垣が自分で担当した物だけを書き込んでいたが
今では全ての担当者が自然に書き込む様になり、
記録の入力ミスも激減した。
そして今日、新垣がそのノートと画面上の記録をチェックしてると
第三艦隊の記録がおかしい事に気がついたのだ

224 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
「書き忘れかなぁ・・・でも私は記憶にないし、柴田さんは?」
「私も知らないよ、だいいちあんだけの艦隊が
 このポイント通過するなら担当じゃなくても気がつくと思うけど・・・」
「うーん、やっぱりおかしいぞ。チェックします」

新垣はそう言うと管制記録のチェックを始めた。すると

「あっ、一週間前に通過した事になってますね・・・担当は・・・
 ん?中澤さんになってます。何でだ?」

通過記録を入力する時には必ず担当者のIDを入力する事になっているが
第三艦隊の復路の通過記録には、普通ならあり得ない
中澤のIDが記録されていたのである。

「私、ちょっと聞いてきます」

新垣はそう言うと中澤の部屋に向かった。

「失礼します!中澤さん、第三艦隊の通過記録なんですけど・・・」

中澤の部屋に到着した新垣がそう言いかけると、中澤が慌てて立ち上がった。

225 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
「新垣!それ他の奴に喋ったか?」
「えっ?・・・何の事ですか?」
「だから、第三艦隊の話や!」
「ああ、柴田さんにさっき・・・」
「そうか、ちょっと柴田も呼んで来い!」

中澤のただならぬ慌てぶりに新垣は、訳も解らず柴田を呼びに行く。
そして柴田と部屋に戻った新垣に中澤は言った。

「お前らそれ、良く気がついたな」
「いや、それが仕事ですから・・・」
「まあ、そうなんやけど・・・・まあええ、バレたもんは仕方ないな・・・
 実はな、第三艦隊は今、極秘任務についてるんや。
 一週間くらい前に連絡があったんやけどその・・・・」

中澤はそこで言葉を切ると決心した様な表情を浮かべた。

「・・・・いや、もうみんなに話しても、ええ頃やろ。柴田みんなを集めてくれ!」

中澤にそう言われ柴田はマルス隊のメンバーを始めとする
アレスの戦闘部隊に召集をかけた。
突然の召集に皆、何事かと話をしながらミーティングルームに集まる。
メンバーが集まると中澤は普段あまり見せない様な表情で話を始めた。

「これから話す事は正直言って断りたかった・・・そやけど軍人として
 上からの命令は絶対や、そやから断れんかった・・・・
 今から出される指令は、みんなの・・・いや地球の運命を
 決める戦いになるかも解らん事や」

226 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
中澤のあやふやな言葉にメンバーはきょとんとしている。

「どう言う事?地球の運命なんて訳わかんないよ」

矢口がそう言うと中澤は微笑みと言ったら良いのか
何とも言いようのない表情で話を続けた。

「今、第三艦隊は天王星軌道上に展開している筈や。
 これからやって来るはずの敵を迎え撃つ為にな」
「敵?天王星って・・・・宇宙人でも来るって言うの?バカバカしい。
 だいいちこの地球圏に来られる様な星に生命のしかも
 知的生命体なんて見つかってないんでしょ」
「確かにそうやな、でも、もしそれがいたとしたら?」
「・・・・・うそでしょ?・・・そんな事信じられないよ」

中澤の思わぬ発言にメンバーは驚きの表情を浮かべた。

「うそやない・・・ただ正確には異星人と言うよりは地球人と言うべきかな・・・
 だが敵は人間ではない」
「・・・・・?・・・どう言う事?解る様に説明してよ」

地球まで簡単にやってこられる様な天体に知的生命体などいない事は
既に古くから解っている事である。そんな中、敵は太陽系の外から
やってくると中澤は語った。異星人ではなく、ある意味地球人
しかし人間ではない・・・メンバーは話の意味が解らなかった。

227 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
「もうだいぶ昔・・・22世紀の頃の話や・・・
 宇宙移住計画が始まってその後に、他の計画もあったらしいんや。
 それは、宇宙殖民計画、つまり他の星への移住やな。
 そしてその候補となる星を捜す為に、一隻の宇宙船が太陽系から
 旅立って行ったんやけどその時の宇宙船のパイロットがその・・・
 人間やなくてロボットと言うか、そんな奴やったんや・・・」

中澤がここまで話した所で紺野が言った。

「まさか、それって・・・・ユリシーズ計画・・・・・」
「そうや、紺野、お前よう知ってたな。そのユリシーズ計画で
 宇宙船のパイロットを務めたのが当時の技術を結集した
 アンドロイド、ユリシーズシリーズ、やった。
 完璧なプログラムと完璧な機能を備えた筈のその
 ユリシーズ型アンドロイドにただ一つ問題点があった。
 それは自己学習プログラムや。そのプログラムによって
 学習したユリシーズは宇宙船と共に消息を絶った。
 政府はその時事故によって消息を絶ったと判断したんやけど
 ユリシーズは健在やった・・・・そして今地球を目指して戻ってくる」
「それの何処が問題なのさ?どっか良い星を見つけて
 戻ってくるんじゃないの?だったら問題無いじゃん」

話を聞いた安倍がそう言うと中澤は頷きながら言った。

228 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:04
「確かにそれやったら何の問題もない。しかし事態は
 予想をはるかに越えていたんや。
 自己学習の結果ユリシーズは人類の移住は不可能と判断した。
 ではどうやって与えられた任務を果すのか・・・・・
 ユリシーズが考えた事は・・・このまま地球に戻れば自分達は処分される。
 あまりに完璧な自己学習機能は自然に自己防衛本能を目覚めさせた訳や。
 つまり「殺られるな殺れ」そう判断したユリシーズは仲間を増やし
 人類と戦う為に準備しとったんや。そして偵察の為に先発隊が出された。
 それとたまたま出くわしたのが第三輸送船団やった」
「ちょっと待ってよ・・・・って事はあの時私達が戦った相手って・・・」
「そうや、あの戦いの後、調査隊が残った敵のデータを分析して解った事や。
 奴らの本隊はもうすぐこの太陽系にやって来る。
 慌てた参謀本部は第三艦隊の派遣を決定し、更に今建造中だった
 新型艦に急遽改良を加える事になった。その為に大谷と村田が呼ばれた。
 そして小川と前田も・・・・これ以上は話さんでも解るよな?」

中澤の言葉にメンバー全員言葉を失う。当然であろう。

「つまり、その新造艦はオイラ達の為に改良されたって事だよね?
 そしてその目的は、オイラ達がそれに乗って・・・・」
「そう言う事や、大谷達ももうすぐ戻って来る筈や。
 その新造艦に乗ってな」

アレスに衝撃が走ったのは言うまでも無い。
自分達に与えられた任務はその実態も解らない未知の相手である。
これからどうなるのか?中澤はそれ以上何も言わなかった。

229 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:48
中澤の話があった二日後、アレスに新造艦と共に大谷達が戻って来た。
前田が舵を取り、静かに入港したその新造艦はマルス級と比べると
明らかに巨大である。更に戦闘機搭載能力も増えているらしく
カタパルトが四つある。もちろん武装も強化されており
第三艦隊旗艦「アポロン」と同クラスの戦闘艦と言う印象を与えていた。

「ただ今戻りました」

大谷、村田、小川、前田の4名は、ドックに出迎えに出てきた中澤に
帰還の報告を入れる。

「お疲れさん、それにしてもまた凄い船やなぁ・・・プロメテウス級か?」

中澤はあまりの船の大きさに驚いていた。
因みに「プロメテウス級戦闘艦」とは、アポロンを始めとする
艦隊の旗艦クラスに位置する連邦軍でも最強の戦闘艦である。

230 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:50
「気に入りましたか?でもこの子はプロメテウス級なんかじゃないですよ。
 なんってったって、私達アレスのメンバーが搭乗するんですから」

大谷は嬉しそうに語る。そしてこの新造艦の名前を発表した。

「この子はこう見えてもマルス級の戦闘艦です。
 マルス級強襲戦闘艦「スペース・マルス」
 スペースは私達のマルスが更に広い宇宙に
 羽ばたくと言う意味を込めてみました」

大谷がそう説明するがアレスメンバーの反応はイマイチであった。

「スペース・マルスか・・・・何か冴えない名前やなぁ・・・」
「そんな事無いですよ。元々開発時はスペース・ウルフって
 名前だったらしいんですけど、それじゃあ私達には
 似合わないですから、ウルフをやめてマルスにしたんです」
「なんや、そのまんまかいな。まあええけど・・・」

大谷の言葉に半分諦めた様な感のあるアレスメンバーであったが
決まってしまった物は仕方がない。全員で新しい船を歓迎するのであった。

231 :名無し娘。:2003/10/20(月) 15:56
更新Z

艦名、いっそダイ○ロスにw

232 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:37
「中澤さん、いや、中澤司令。これ預かって来ました」

大谷はそう言うと一枚のメモリーカードを中澤に手渡した。

「遂に来たか・・・みんな、ミーティングルームに集合や!
 それから大谷、村田、お前達はもう準備を始めてくれ。
 恐らくそれ程時間もないやろ」
「了解!」「了解!」

中澤はそう言うと大谷、村田を残し、その他のメンバーと共に
ミーティングルームに向かった。

「さてと・・・それじゃ見てみましょうか」

中澤は大谷から受け取ったカードをコンピュータに入れる。
カードはアレスメンバーに対する指令であった。

「やっぱりな・・・みんな、とうとう来よったで。
 新しい辞令や。覚悟は出来とるか?」

中澤の言葉にその場のメンバーは黙って頷く。
新しい船、「スペース・マルス」の配属辞令が中澤から発表された

233 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
「まず、艦長は・・・えっ?私?・・・・うそやろ・・・」
「裕ちゃん・・・?まさか・・・・」

中澤の態度に思わず保田が突っ込みを入れる。
中澤が自分はスペースマルスのメンバーに入っていないと
思っていたのだと考えたからだ。

「いやいや、そう言う意味やなくてやな・・・ほら・・・艦長は
 圭織かなっちか・・どっちかやと思っとったから・・・・
 私はどっちかと言うとそんな器やないし・・・戦闘機乗っとる方が
 合ってるからなぁ」
「なに言ってんの。ここの司令官は誰なのよ?
 艦長は裕ちゃんしかいないでしょ」

安倍が呆れた様に言う。すると中澤も「そうだよな」と
言った表情を浮かべていた。

「それから・・・・」

中澤の口から次々に配属が読み上げられる。
スペースマルスの人事は次の様になっていた。

234 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
艦長              中澤裕子
副長              安倍なつみ
航海班             前田有紀  その他
レーダー班          北上アミ 大木衣吹
オペレーター         斉藤瞳 柴田あゆみ
艦艇搭載武装担当     末永真己 荒井沙紀  その他
メカニック           大谷雅恵 村田めぐみ その他

戦闘機隊
レッド隊
隊長 保田圭(ケメンダヤス) 二番機 後藤真希(マックゴルド)
三番機 市井紗耶香(テレパシー) 四番機 吉澤ひとみ(ケッカ−)
五番機 木村絢香(スコロンダ) 六番機 小川麻琴(ゴロMAX)

イエロー隊
隊長 矢口真里(セクビム) 二番機 加護亜依(ザシチェッキ)
三番機 辻希美(レスラッテ+) 四番機 ミカ・トッド(タレンザ)
五番機 高橋愛(ヤヨオーラ) 六番機 新垣里沙(マユビム)

グリーン隊
隊長 戸田鈴音(クレージーホース) 二番機 木村あさみ(フリーダムドック)
三番機 里田まい(ノンクラクション) 四番機 斎藤美海(ホカノドーガ)
五番機 藤本美貴(ブギ−03) 六番機 紺野あさ美(オジャマール)

ホワイト隊
隊長 飯田圭織(デイオウル) 二番機 石川梨華(チャ−ミーV)
三番機 田中れいな(ノギ−メタンア) 四番機 道重さゆみ(サーユナルシス)
五番機 亀井絵里(キースギテック) 六番機???

235 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:39
「以上、本日付での配属となるそうや」

中澤の発表を皆黙って聞いている。
遂に指令は下されたのだ。新たなそして未知なる敵との戦いが
新しい船「スペースマルス」と共に始まろうとしていた。

「おらー!モタモタすんな!とろい奴は一時間鏡の部屋に
 道重と一緒に閉じ込めるぞ!」

大谷の声がアレス戦闘艦ドックに響き渡る。
今まさに、スペースマルスの出港準備が進められていた。
艦載機の積み替え、物資の搬入、メカスタッフに休みはなかった。

「ところでさ、オイラ達がここ出てっちゃたら、ここの仕事はどうなるの?」

矢口が中澤に聞く。まあ確かに当然の疑問ではあろう。
マルス隊の人間がいなくなってしまうのだ。

「その心配は無用だ!」

矢口の質問に答えたのは中澤ではなかった。
メンバーは一斉に部屋の入り口を見る。
そこには奇妙な格好をした男が立っていた。

236 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:40
「ダスマン提督・・・・」

そこに立っていたのは連邦軍特殊部隊司令の「ダスマン中将」であった。
さらによく見るとダスマンの後ろにも人影があった。

「彩っぺ・・・明日香・・・・」

ダスマンと一緒に現れたのは「石黒彩」「福田明日香」
石黒はダスマンの指揮する特務艦「ミラーボール」戦闘機隊のリーダーであり
福田は「ムーンベース」の戦闘機中隊の隊長である。

「提督、いつこちらに・・・?」

突然のダスマンの登場に中澤は驚いている様だ。

「さっき着いたばかりだ。それより中澤、ここの警備は大丈夫か?
 「ミラーボール」の接近にまったく気がついていなかったぞ」

ダスマンはそう言って中澤を見る、すると

「提督、あたりまえですよ。どうせまた訓練とか言って
 こっそり近づいたんでしょ?それだったら逆に見つかる方が
 ヤバイんじゃないですか?」

藤本が突っ込みを入れる。藤本は航路監視隊時代に
ダスマンによくこんな事をされていたのだ。

237 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:37
「あれ?藤本・・・お前ここだったか?」
「移動になったんです!」

藤本がいる事に少々驚いた感じのダスマンであったが
すぐに何事もなかったかの様に話を始めた。

「とにかくだ、今、矢口が言った事は問題はない。
 ここの任務は私が引き継ぐ事になった」

ダスマンの言葉に皆驚きの表情を浮かべる。

「提督が・・・ですか?」
「そうだ、このアレスの指揮は私が取る。それからマルス1・2は
 石黒のブラック中隊と福田のシルバー中隊が引き継ぐ。
 どうだ?思い入れのある基地も船も、知らない奴らに任せるよりいいだろう?
 石黒も福田も、お前達の新しい任務の話を聞いて名乗り出たんだぞ」

ダスマンがそう言うと中澤は不思議そうに聞いた。

238 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:38
「そうなんですか・・・?でも、私達の任務って軍機なのでは?
 なのに明日香も彩っぺも、なんでその事知ってるの?」

中澤がそう言うと石黒は笑いながら言う。

「確かに私達は、ここの後任の志願はしたよ。
 でもね、その事を教えてくれたのはダスマン中将なの。
 だからここの後任の事は全てダスマン中将が仕組んだ事なんだよ。
 私と明日香にこの話をすれば、絶対こうなるって思ったんでしょ」

石黒彩、福田明日香の両名は元々飯田や安倍達と一緒に
中澤の下について仕事をしていたのである。
なので、その後に配属になった矢口や保田達とも知り合いであり
藤本や松浦よりもマルス隊のメンバーの事は良く知っているのだ。
また、ダスマンは昔から中澤のよき相談相手であり
石黒や福田ともつながりのある不思議な立場の人間であった。

「提督・・・ありがとうございます。これで私達も安心して
 ここを後にできます」

中澤だけでなくスペースマルスに配属になったメンバー全員が
一斉に頭を下げる。信頼できる仲間に後を任せられるのだから
これ以上嬉しい事はないのであろう。 

239 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
「明日には出発かぁ・・・」

新しい船に自分の荷物を運び込む矢口が呟く。

「それほど深く考える事でもないんじゃない?」
「そうだけどさあ・・・」

一緒にいた保田はそれ程深くは考えていない様子である。
これから自分達が向かおうとする所は間違いなく「フロントライン」
つまり最前線になるのである。
どれだけの力を持ち、どんな戦い方をするのか?
一度先発隊と戦った事はあるがそんなものは参考にならないであろう。
矢口に限らず一抹の不安を覚えるメンバーはいるのだ。

「あれっ?意外に中は広くないんだね」
「本当だ、マルス1・2とそんなに変わらないみたい」

スペースマルスに乗り込んだ保田はそんな感想を持った。
一緒にいた矢口もそれは感じた様である。
通路の広さや天井の高さなど中に入ればもっと広い物だと2人は思っていたのだ。
実際過去に2人が乗艦経験のある、プロメテウス級戦闘艦「ダイダロス」は
通路も天井も広く、流石旗艦を務めるタイプだけあって快適であった。
だがこのスペースマルスは、マルス級だからなのか見た目は同じ大きさでも
中が非常に狭い構造になっている様である。

240 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
「なーんだ、ガタイが大きいからもっと快適な船だと思ってたのに
 これじゃあ、マルス1と変わんないじゃん」
「まあまあ、所詮戦艦なんだから快適性を求める方がおかしいよ」

がっかりする矢口に保田は笑いながら言った。
だがそんな矢口の考えは次の瞬間一気に吹き飛んだ。

「あっ!矢口さん、保田さん。居住ブロック見ました?」
「流石新造艦!ビックリしましたよ!」

先に乗艦を終えていた紺野と小川が興奮してやって来た。

「えっ?まだだけど・・・」
「何かあったの?」

2人のハシャギぶりに保田も矢口もポカンとしている。

241 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
「凄いですよ、ほら、早く来てください!」

紺野と小川は、保田と矢口の手を引くと居住ブロックに連れて行った。
いったい何があったのか?手を引かれるままに居住ブロックにやって来た
保田と矢口は言葉を失った。

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

「どうですか?凄いでしょ?」
「みんな個室なんですよ。シャワールームもあるし、ほら食堂も」

今まで二段ベットの仮眠室しかなかったマルス1・2と比べて
この変わり様は誰しも言葉を失う。
後からやって来た後藤と市井も反応は同じであった。

「どう?凄いでしょ?」

242 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
驚きのあまり呆然とするメンバーに声をかけたのは村田だった。
村田はまるでアレスの居住ブロックを思わせるこの空間を誇らしげに見渡す。
本来居住ブロックは艦長やその他幹部メンバーと一般の兵士とでは
まったく待遇が違う。当然立場の違う上の人間の方が待遇は良いのだ。
まだ軍隊が陸、海、空と分けられていた地球時代の名残で
今までの連邦軍の宇宙艦は階級に合わせて部屋が用意されていて
艦長や幹部などはより快適に過ごせる様になっているのである。
だがこのスペースマルスは違っていた。
艦長の中澤から、新人の田中や道重達までまったく同じ広さの個室が
与えられ誰もが同じ様に快適に過ごせる様になっているのである。
ではなぜそうなっているのか、それは村田と大谷の仕業であった。

「実はね、私達がムーンベース行った時にはまだこの居住ブロックは
 出来ていなかったの。まあこのブロックはどんな船でも最後に作るからね。
 それでね、設計図を見たらいらないスペースがいっぱいあったから
 それならみんな居住スペースにしちゃえって勝手に設計変えちゃったの。
 だってさ、乗りもしない参謀用のスペースなんていらないでしょ。
 あと応接部屋とか、訳の解んない幹部用作戦室とか
 無駄な空間を一切排除してみんなの為に・・・怒られてきました!」

当然勝手な設計変更はすぐにバレた。だが大谷がそこでどうせ自分達が
使う船なのだから好きにやらせてくれと抗議したのである。
元々実験要素が多いこのアレスのメンバーである。
大谷と村田の頑張りもあり、渋々だが許可が下りたのであった。

243 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
「へぇー、なかなかやるやないか」

村田が話を終えると中澤がやって来て言う。
この空間を中澤も気に入った様である。

「あっ、中澤さん・・・・これで大丈夫ですか?」
「何がよ?ええやん、じゅうぶんよ。広い艦長室なんていらんで。
 ましてや艦長専用のベットルームなんてお笑いや。
 艦長なんて指示だけ出してりゃええんやから一番楽やんか。
 そんな奴が一番快適な部屋を使うなんてアホらしいで」

心配そうな表情を浮かべていた村田に中澤は笑いながらこう言った。
それを聞いた村田も安心した様に笑顔を浮かべるのであった。

「そうや、矢口。お守り忘れとるで。艦橋に貼っといてや」

中澤はそう言うと村田と2人で居住ブロックを後にする。

「いけね、忘れてた」

矢口はそう言うと、今ロッカーにしまったばかりのバックから
一枚のお札の様な物を取り出した。

244 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
「何ですかそれ?」

紺野が興味を示し聞いて来る。

「あ、これ?一応お守り。マルス1にも2にも貼ってあったでしょ。
 このお札はね、代々矢口家に伝わる太陽のお札なんだって。
 その昔、私のご先祖様がこのお札で仲間の命を救ったらしいの
 それで私もそのご利益にあずかろうとマルス1・2に貼った訳よ。
 そのご利益か解らないけど、我がマルス隊は今まで殉職者なし!
 だからこの船にも貼っとけって裕ちゃんに言われてたんだよ」

矢口はそう言うと、そのお札を持って艦橋に向かう。
お札によほど興味があったのか紺野がついて行った。

「本当にご利益なんてあるんですか?」
「何?小川は信じないの?」
「そう言う訳じゃないんですけど、あのお札、昨日矢口さんが
 自分で書いてたやつですよね?」
「そうだよ、良く知らないけど矢口が書かないと意味がないんだって。
 でもきっとご利益はあるよ。私なんかあれ見てると安心するもん」

矢口のお札をイマイチ信用していない小川に保田は笑いながらこう言った。

245 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
場所は変わってこちらは船の外、村田と中澤は甲板にいた。

「やっぱみんなを代表して礼を言っとくな。ありがとう」
「いや、それなら大谷に言って下さい。あの居住ブロックにこだわったのは
 大谷なんです。いくらピースドライブがあるからって戦闘が長引けば
 艦内生活だって長くなる訳だからって、あの時の勢いは
 OKが出なかったらきっとムーンベースメカニックの総責任者の
 タイーゼ少将の所まで行ってたと思いますよ」

村田がそう言うと中澤は何も言わずに下でスタッフに指示を出す
大谷を見つめている。

「ほら、モタモタすんな!ドン臭い奴は一時間圭織のダジャレに
 つきあわせるからな!」

そう叫びながら走りまわる大谷を見て村田は続けた。

246 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
「大谷は普段あんなだから、みんなあまり気がつかないけど
 パイロットのコンディションとか状態を見てるんです。
 調子が悪かったり疲れている子がいれば必ず声をかけてますから。
 戦闘機を壊して欲しくないって事もあるとは思いますけど
 それ以上に普段現場に出ないから、みんなが無事に戻って来るのを
 願ってる筈です。口には出さないけど・・・」

村田の言葉に中澤は黙って頷く。すると

「おい村田!暇なら手伝えよ!まだまだやる事いっぱいあるんだぞ!」

甲板にいた村田を見つけた大谷が叫んだ。
村田は返事をすると下に下りて行く。

「・・・・言わんでもみんな解ってるやろ・・・」

中澤は1人呟くとまた船の中に戻って行った。

247 :名無し娘。:2003/10/25(土) 02:44
手書きのお守りってもしや・・・考えすぎですか?w

248 :名無し狩人:2003/10/26(日) 00:43
「メカニカル最終チェック!」

スペースマルスブリッジのチーフエンジニアシートに座る
大谷が通信機に向かって言った。

「コンディションオールグリーン!」

エンジンルームにいる村田から返事が戻って来る。
それを聞いた大谷は前田に向かって合図を送った。

「補助エンジンスタート!」

前田がレバーを倒すとマルスの補助エンジンが静かに始動する。

「メインリフトOFF!微速前進!」

船体を固定していたリフトが外されマルスの船体が揺れる。
そのままゆっくりと前進を始めたマルスはドックを出て行った。

「ハローエンジン始動!」

前田の声と共にマルスのメインエンジンが動き始める。

249 :名無し狩人:2003/10/26(日) 00:45
「スペースマルス 発 進 !」

中澤の声と共にメインエンジンが火を吹いた!

「アレスより入電!ダスマン中将です」

斉藤はそう言うとブリッジのメインモニターを開いた。
ブリッジの正面にあるモニターにはダスマンが映し出された。

「出発にあたって君達に言っておきたい事がある。
 今回の任務は君達がかつて経験をした事のない物になるだろう。
 だが私は信じている。君達が誰一人欠けることなく無事
 このアレスに戻ってくる事を。では諸君の検討を祈る!」

ダスマンはそう言うと敬礼をして見せた。
すると艦橋にいたメンバー全員立ち上がりそれに応える。

「提督、私達は全員ここに戻って来ることをお約束します。
 ですからアレスをよろしくお願いします」

中澤がそう言うとメンバー全員がモニターに向かって敬礼をした。
それを見たダスマンは満足そうに頷く。

「目標。MJ−09、ピースドライブスタート!」

中澤の指示でピースドライブがスタートする。
最初の目標であるMJ−09に向かってマルスは超空間に飛び込んだ。
遂にスぺースマルスは未知の敵を迎え撃つべく発進したのである。

250 :名無し狩人:2003/10/26(日) 01:12
>>247
( `_´)<どうなんでしょうね、まったく関係はないのかも知れないし
       ひょっとしたら真里は真里の子孫なのかも知れません。
       その辺はご想像にお任せしますよ。

251 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:12
「ハローエンジン出力良好!もうすぐ目的地です」

天王星軌道上までは火星から木星までのざっと五倍くらいであろうか。
新型ハローエンジンでも約五日の航程だ。

「ポイントMJ−09に接近、エンジン出力ダウン」

前田はエンジンの出力を下げる。するとスペースマルスは超空間を出た。
ピースドライブの終了である。

「マルスよりMJ−09へ、こちらスペースマルス。予定通り到着しました」

柴田がMJ−09と交信を始めた。

「こちらMJ−09、お疲れ様でした。こちちらの準備は終っています。
 もうすぐそちらに到着すると思います」
「マルス了解!」

柴田は答えると今度はカタパルトに向かった大谷に指示を出した。

252 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
「もうすぐ来るって、受け入れ準備はOK?」
「こちらカタパルトデッキ、準備はOK。第三カタパルトに誘導して」
「了解!」

ここで訳の解らなくなった矢口が聞いた。

「まだ誰か来るの?」
「ああ、もう一人パイロットが来る。ホワイト隊の人数が1人足りんやろ」
「ああ、そうか、5人だもんね。で?誰が来るの?」

矢口の問いに中澤は薄笑いを浮かべる。

「本艦に近づく機影を捕らえました。識別・・・ピンキーモンキー!」
「やっと来たか・・・」

大木の声に中澤は静かに呟く。

「ピンキーモンキーよりマルスへ。松浦です。着艦許可願います」
「こちらマルス、識別信号確認。第三カタパルトに着艦して下さい」
「ピンキーモンキー了解!」

着艦の許可が出たピンキーモンキーはマルスのかすめると
旋回を始める。そして次の瞬間一回転して見せた。

253 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
「こら、松浦!さっさと着艦せんかい!」
「すいませーん!」

中澤に怒られた松浦は素直に着艦の体制に入る。
マルスの第三カタパルトが静かに開く。

「おじゃましまーす!」

松浦はそう言うと第三カタパルトに着艦する。
着艦したピンキーモンキーはメカスタッフに誘導され格納庫に入った。

「松浦亜弥、ただ今参上!」

キャノピーが開くと元気良く飛び出して来た松浦。
ピンキーモンキーはすぐさま大谷達によって整備が始まった。

「松浦、荷物は?」

何も持たずに現れた松浦に大谷は聞く。

「それならもうみきすけに頼んであります」
「そうなの?準備いいね」
「はい、これからよろしくお願いしますね」

254 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
松浦はそう言うとスペースマルスメカスタッフにお辞儀をして
ブリッジへと上がって行った。
階段を駆け上がり、エレベーターに乗った松浦。
ブリッジに到着するとこれでもかと言わんばかりの声で言った。

「松浦亜弥、ただ今到着しました。本日付でマルスに配属になります。
 よろしくお願いしまーす!」
「やたら元気やなぁ。まあええけど、とりあえず松浦は
 圭織の指揮下に入ってくれ。ホワイト隊六番機、ホワイト6や」

中澤の指示に大きく頷く松浦、飯田と硬い握手を交わすと
藤本が待つ居住ブロックに走って行った。

「あの子はいつも元気だねぇ」

何気ない保田の言葉にみんなが笑った。

「なんだよ−、なにがおかしいんだよ」
「あのさー、そう言う台詞圭ちゃんが言うと、なんかおばちゃんくさいんだよね」
「なんだとー!」

矢口の言葉に怒り出した保田。松浦の到着によりスペースマルスの
乗員は全て揃った。

255 :名無し娘。:2003/10/27(月) 20:06
更新乙です。ついにクルーが勢ぞろいしたわけですね。

256 :名無し狩人:2003/10/27(月) 23:52
( `_´)<下書きが終ったらPCがフリーズ・・・・
       せっかく書いたのにィィィィ!!なので今日はお休みです。
もし待っていた人がいたらごめんなさい。
       代わりと言ってはなんですが、みゅん八は更新されてますので
       よろしかったらどうぞ・・・・  
        

257 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
松浦を拾いMJ−09を後にしたスペースマルス
出来ればこのまますぐにでもピースドライブに入りたい所であるが
それを行う訳にはいかなかった。
ピースドライブは本来人間が存在しない空間に突入する
極めて危険な航法である為、連続での超空間突入は人体に
どんな影響を与えるのか解らないのである。
マルス1・2出動時の様に短い距離での移動であれば
2、3時間のインターバルで次のピースドライブに備える事が出来る。
だが今回の様に長距離の移動となると一度ピースドライブを行うと
次のピースドライブを行うのに最低半日の通常航法を余儀なくされるのである。

「ごはん、ごはん」

食事の時間となり最初に食堂に姿を現したのは辻と紺野。
食べる事に生きがいを見出している2人である。

「おおっ、すっげー!スペースレーヨンじゃないよ!」

258 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
辻の顔に喜びの表情が浮かんでいた。
スペースレーヨンとは宇宙食の事である。
通常、民間の宇宙食はスペースフードなどと呼ばれている事が多いが
軍では宇宙食をこう呼んでいる。
まだ地球上に各国の軍隊と言う物が存在していた頃には
戦場での食事をコンバットレーション、あるいは種類によって
Aレーション、Bレーション、Cレーションなどと呼んでいたらしい。
その名残であろう現在の軍用食料はスペースレーションまたは
スペースレーヨンと呼ばれている。
で今回のマルスの食事であるが、辻達の目の前に並べられているのは
普通の食事である。
いやアレスの食堂に並んでいる、いつものAランチより豪華かも知れない。

「いやいや、驚いたね。どうなってんのよ?」

あとからやって来た矢口や市井達も大喜びである。
生きる上での楽しみにの一つに食事は欠かせないであろう。
そんな観点からスペースマルスには調理用の厨房も完備されていた。
そしてそれを使って料理を作ったのが後藤である。

「先に言うとくけど食事作るのは当番制やで」

中澤がそう言うと

「えっ?マジで?」

飯田が咄嗟に聞き返す。

259 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
「当たり前やないの、みんな条件は一緒や」
「って事はだよ・・・今回これを作ったのはごっちんでしょ。
 まあ、それはいいよ。でもさ裕ちゃんとか圭ちゃんとか・・・・」
「ふふふふ・・・・美味いもん食いたかったら自分で作ってもええよ
 なあ圭ちゃん・・・・」

中澤と保田はなにやら企んでいる笑いを浮かべていた。

「裕ちゃんずるいべ!」
「いやだから、作らんとは言ってないやんか・・・・」
「そりゃそうだけど・・・オイラ裕ちゃんが料理してるの見たことない」
「失礼な!私かて魚くらい焼けるで」
「そんなもん誰だって焼けるじゃん!」
「野菜も煮るよ」
「・・・・・もういいよ・・・・仕方ない・・・得意な奴で交代でやろう」

中澤の企みにまんまとはまってしまったマルスのメンバー
余計な仕事が一つ増えた様である。

260 :名無し狩人:2003/10/31(金) 22:35
ポイントJS−06付近を航行中、レーダーが敵影を捉えた。

「所属不明艦二隻、本艦に接近!映像をメインスクリーンに出します」

北上の報告で敵の映像がスクリーンに映し出される。

「あれは・・・・ナンバカーズやな。こんなとこにまでおるとは・・・
 まったくご苦労なこっちゃ・・・まあいい腕試しには持って来いやな」

中澤はそう言うと迎撃の指示を出す。

「ホワイト隊出撃準備!グリーン隊は待機、レッド隊は準待機や」

中澤の指示で飯田以下ホワイト隊のメンバーが出撃の準備を整える。
メカスタッフの手によって既に出撃の準備が終っていた
ホワイト隊の機体は次々に飛び出して行った。

「ホワイトリーダより各機へ、ホワイト隊の初陣だ、気合入れて行くよ」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」
「ホワイト4了解!」 「ホワイト5了解!」
「松浦了解!」
「こらー!あんた達ね、コールサインくらい統一しなさいよ!」

261 :名無し狩人:2003/10/31(金) 22:35
バラバラの名前で返答するメンバーに飯田が怒る。
因みにコールサインとは無線交信などで使う名前の事である。

「だってTACネームなんか無いじゃないですか!」

飯田の言葉に石川が反論した。
因みにTACネームとは・・・・・・まあコールサインと同じ様な物だと
思っていただければ良いと思います。

「そうか・・・それじゃ機体名に統一!」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」
「サーユナルシス了解!」 「キースギテック了解!」
「ピンキーモンキー了解!」

やっと揃ったホワイト隊は敵艦に向かって行く。

「・・・・おい、あいつら大丈夫なんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・多分・・・・」

ホワイト隊のやり取りを聞いた中澤が傍にいた安倍に聞く。
安倍はなぜが自信なさそうに答える。

「・・・・うーん・・・・・・・・・・・レッド隊、バックアップ準備や!」

少しの間考えた中澤は保田達レッド隊にいつでも出られる様に
指示を出すのであった。

262 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:36
「ホワイトリーダーより各機へ、三機ずつ左右に分かれるよ。
 ピンキーモンキー、サーユナルシス、キースギテックは左に
 松浦任せたよ。チャ−ミーV、ノギ−メタンアは私に続いて!」

飯田の指示で松浦、道重、亀井に三機が左に展開する。

「ピンキーモンキー了解!道重ちゃん、亀井ちゃん行くよ!」
「サーユナルシス了解!」 「キースギテック了解!」

そして

「石川、田中、ついて来な!」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」

飯田、石川、田中は右に進路を変えた。

「ホワイト隊、敵艦射程圏内侵入!」
「マルスよりホワイトリーダーへ、敵の攻撃が来るよ!先手必勝!」

大木の報告に斉藤が飯田に注意を促す。

「ホワイトリーダー了解!攻撃を開始します!」

ホワイト隊は攻撃を開始した。だが・・・・
敵艦は艦載機を出すどころか攻撃もしてこない。

263 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:37
「圭織!攻撃やめ!」

異変を察知した中澤がホワイト隊の攻撃を止めさせる。

「斉藤!奴らと交信できるか?」
「やってみます・・・・・こちらは連邦軍です。貴艦の船名と
 所属を答えてください!」
「・・・・・・・・・・」
「敵艦、応答なし!」

柴田が言う。

「もう一度や!」
「こちらは連邦軍です。貴艦の・・・・」

斉藤がそう言いかけた時、反応があった。

「・・・・・こちら、貿易船ナンダカンダ・・・・・いや・・・・
 元ナンバカーズ戦闘艦ナンダカンダであります・・・・・
 我々には既に戦う力は残っていません・・・・」

やはり相手はナンバカーズであった。

264 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:37
「元・・・?元ってどう言う意味や?私は連邦軍の中澤や。
 いったいあんたらに何があったん?」
「中澤さん・・・・・ああ、アレスの中澤さんですね。
 私はナンダカンダ艦長、マシューミナミです。ナンバカーズは壊滅しました。
 先日土星軌道上の我々の本拠地が攻撃を受けました。
 突然の事で敵の接近にもまったく気がつきませんでした。
 なのでろくに迎撃も出来ずに・・・・
 相手の正体は不明。我々はやっと逃げ出したのですが、他の奴らは
 どうなったかまったく解りません」

相手の返答にメンバーは驚きを隠せなかった。
いくら捜しても解らなかったナンバカーズの本拠地が土星軌道上に
あったのにも驚いたが、それ以上に相当の戦力を持つ
ナンバカーズが壊滅させられた事に驚いていたのである。

「壊滅て・・・・相手は何もんや・・・・」

中澤がそう言ったとほぼ同時であった。

「ポイントB−36隕石の動きがおかしい!沙紀、砲撃して!」

レーダを見つめていた北上が砲塔担当の荒井に砲撃の指示をだす。

265 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:38
『パシュー!!』

指示を受けた荒井がレーザーカノンを放つ、次の瞬間、
標的の隕石が爆発を起こした。

「レーダーに反応!所属不明艦五隻!・・・・急速接近!」
「北上!お手柄やで!なるほどダミーで偽装してか・・・・
 総員第一級戦闘配備!レッド隊、グリーン隊出動!
 イエロー隊出撃準備!」

思わぬ敵の出現に中澤は総力戦の指示を出した。

「マルスより、ホワイトリーダーへ、ホワイト隊はそのままその二隻の
 護衛にあたって下さい。本艦もすぐに合流します!」

柴田がホワイト隊に指示を送る。

「前田、急速反転!ナンダカンダと合流や!」

マルスが艦首を反転させ動き出す。

266 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:38
「マルスよりレッドリーダーへ、敵艦載機の離艦を確認、迎撃せよ!」
「レッドリーダー了解!」

指示を受けたレッド隊が敵艦載機の迎撃に向かう。

「グリーンリーダーよりマルスへ、グリーン隊配置完了!」
「マルス了解!」

出撃したグリーン隊はマルスの周りで待機した。

「イエロー隊出ます!」
「マルスよりイエローリーダーへ、敵艦載機迎撃中のレッド隊に
 合流した後、敵艦攻撃を始めてください!」
「イエローリーダー了解!」

幾多の戦闘を潜り抜けてきたスペースマルスのメンバーは
中澤を始めとして突如現れた敵がナンバカーズを壊滅させた
奴らと同じであると直感で感じとっていたのである。

267 :名無し狩人:2003/11/04(火) 23:13
「レッド隊、敵艦載機隊に接近!」

マルスブリッジにはレーダー班とオペレーターの声が飛び交っている。

「敵さんのお出ましだよ!ショットガン!」

間近に迫った敵艦載機隊を見た保田がレッド隊メンバーに指示をだす。
するとレッド隊は市井、吉澤、アヤカ、小川、4人機体が前に
保田、後藤の機体が後ろにとフォーメーションを取った。

「攻撃開始!」

保田の声がレッド隊メンバーに響き渡る。
指示を受けた先行する四機のミサイルポットが開く。

「消えろ邪魔者!」

市井はそう言うと発射ボタンを押した。
続いて吉澤、アヤカ、小川もミサイルを放つ!

268 :名無し狩人:2003/11/04(火) 23:14
まさにミサイルの雨霰、その弾幕に敵機は回避できず、
次々に爆発していった。

「一丁あがり!」
「ほら、よっすぃー、油断すんじゃないよ!」
「OK牧場!」

敵艦載機の第一陣を打ち破ったレッド隊に第二陣が迫る!

「あー!みっけ!」

迫り来る敵機を前に小川の声が聞こえる。

「何?」
「ほら、一機だけ違うカラーリング!きっと指揮官ですよ」

小川の言う通り敵機第二陣の中に一機だけカラーリングの違う機体が見える。

「アホだね、狙って下さいって言ってる様なもんじゃん!
 Tフォーメーション!」

保田はそう言うとその機体に狙いを定める。
今度のレッド隊の陣形は保田を先頭に一列に並ぶ物であった。

269 :名無し狩人:2003/11/10(月) 02:03
(;`_´)<ただ今お話をまとめております。
       もしお待ちの方いらっしゃいましたらもう少々お待ちください。

( `.∀´)<誰かいるのかしら・・・?

(;`_´)<・・・いなかったらいないで、それもありの気がしますが
        それはそれで寂しいかな・・・・(w
      

270 :名無し娘。:2003/11/10(月) 12:57

|D`) …またーり、まってるのれす

271 :名無し娘。:2003/11/10(月) 17:57


272 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:07
突っ込んでくるレッド隊に対し、敵も黙ってはいない。
一列に並ぶレッド隊に敵機の集中攻撃が襲い掛かった。

「甘い!」

敵の攻撃を紙一重でかわしながら市井が先頭に飛び出す。
すると敵の攻撃が市井に集中した。

「今だ!行けー!」

すかさず保田の指示がレッド隊全機に飛ぶと
メンバーが市井に集中する敵機に襲い掛かった。
ミサイルを放つ後藤のマックゴルド、そのミサイルをかわした敵を
バルカン砲で叩く吉澤のケッカー。
アヤカのスコロンダと小川のゴロMAXはその合間を飛び回り
敵機の霍乱を行っている。

「よっしゃ!貰った!」

メンバーがそんな戦いをするさなか、保田のケメンダヤスが
指揮官と思われるカラーリングの違う敵機の後ろを取る。

273 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:07
「ロックンロール!」

保田はそう言うとミサイルを放ちその機体を破壊した。

「・・・・あれ?おかしいな・・・」

指揮官がやられたにも関わらず敵の攻撃パターンは
まったく変わる様子がなかった。
保田はここで始めて敵の様子がおかしい事に気がつく。

「レッドリーダーよりマルスへ、こいつらひょっとしたら・・・・」
「こちらマルス、圭ちゃん多分そうみたいだよ。
 敵の動きはまるで何かに制御されてるみたいに正確なの。
 無駄な動きがまったく無い。それに何て言ったらいいのかな・・・
 動きに何の迷いもない・・・まるで機械だよ」

そう言ったのは安倍であった。副長の安倍は戦闘が始まってからの
敵の動きのデータを取っていた。
そこでレッド隊の戦いのデータに本来なら考えられない異変を見つけたのだ。

274 :名無し娘。:2003/11/11(火) 23:16
リアルでは芸能人的立場として死んだ市井がいるって・・・なんか違和感

275 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:36
( `_´)<プッチモニはずっと3人なのだよ・・・
       と言ってみたもののそこはそこ、どうなる事やら

             川o・ー・)

276 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:37
「奴らなのか・・・・しかしこの先には第三艦隊がいる筈や、どうやって・・・」

中澤は敵が本来戦うべき相手の一部であると確信していた。
しかしながらどうやってこいつらはここまでやってきたのであろうか・・・?

「ナンダカンダよりマルスへ、こいつらは調査隊やと思います。
 何回かうちの連中が遭遇してます。ですから・・・」
「マルス了解や。マシュー、あんたんとこの仲間が遭遇したんは
 こいつらだけなん?」
「恐らくそうやと思います。本拠地に現れたのもこいつらやし
 それを見た仲間もそう言ってました」

ナンバカーズのマシューミナミの情報ではここにいる敵も調査隊らしい。
それを聞いた中澤はある決心をする。

「大谷!聞こえるか?これよりナンダカンダに補給を開始する!」

中澤の突然の言葉にブリッジのメンバーは驚きの声を上げた。

「裕ちゃん!なに言ってるべ!」
「中澤さん本気ですか?」

安倍と柴田がほぼ同時に叫ぶ。

277 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:37
「本気や、二度もこいつらに出会った言う事は他にもおるかも解らん。
 そやからマシュー達にアレスに行って貰ってこの事を伝えて貰うんや」
「でもそれだったら航路監視隊に言えば・・・・」
「今のところ、うちらの任務は公に出来んのや。
 それは航路監視隊にも言えん。そやからあいつ等に頼むんや」
「無茶だよ、それに相手はナンバカーズでしょ?敵だよ」

安倍の説得は無駄であった中澤は通信機に向かって言う。

「マシュー!聞こえるか?これから自分らに補給を行う!
 それが終わったらアレスのダスマン中将に今の事を伝えて欲しいんや」

中澤の提案にマシューミナミは答える。

「・・・・・いいんですか・・・?裏切るかも知れませんよ・・・・?」
「そんならそれで構わん!そやけど普通助けて貰った恩くらいは返すよなぁ。
 それにあんたも男やったら、いい女の頼みは聞いとくもんやで!」
「・・・・突っ込むところですか・・・?」
「違う!」
「解りました・・・・お引き受けします。でもアレスは我々を
 受け入れてくれるでしょうか?」
「今からうちのメッセージと特別進入コードをそっちに送る」
「了解です」

こうしてスペースマルスからナンダカンダともう一隻の船に補給が始まった。
マシューミナミは信用できるのか?ブリッジには不安の空気が流れていたが
中澤の命令に従うしかなかった。

278 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
一方その頃レッド隊は・・・

「レッドリーダーより各機へ、敵がなんであろうと関係ない。
 叩きのめすだけだ!」
「レッド2了解!」「レッド4了解!」「レッド5了解!」「レッド6了解!」
「おい、紗耶香返事は?」
「・・・・敵に囲まれちゃったよ、何とかして〜!!」

レッド隊一瞬の隙に敵機に市井が囲まれていた。
何とか逃げ回ってはいたが危険な状態であった。

「しまった!」

 一瞬の隙を突かれた保田はすぐに救出に向かおうとするが
それを他の敵機が邪魔をする。

「こらー!邪魔するな!」

保田は目の前に立ちはだかる敵機を次々に破壊するが間に合わなかった。
市井を囲む敵機の集中砲火がテレパシーを襲う!

「紗耶香!」

次の瞬間テレパシーから火の手があがった。
トドメを刺そうとテレパシーに迫る敵機。
保田以下レッド隊はそれを救う事は出来ない。だが

279 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
「おいらにお任せ!」

レッド隊の横を矢口以下イエロー隊が通り過ぎて行く!
後発のイエロー隊が追いついて来たのである。

「イエローリーダーより各機へ、イエロー6は紗耶香の救出!
 その他は・・・・好きなように暴れろー!!」
「イエッサー!!」

到着したばかりのイエロー隊メンバーは元気いっぱいである。
市井の周りを囲む敵機を次々に叩くと新垣のマユビムが
市井の機体に接近を開始した。

「イエローリーダーより、イエロー6へ、時間がない急げ!」
「イエロー6了解!」

矢口に指示された新垣は自分の機体に装備されている
小さなアームの操作を開始する。アームは市井の機体の
機首に向かってのびて行った。

280 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
「セーフティーロック解除!切り離します」

新垣がそう言うとテレパシーは機首と機体が切り離され
二つに分割する。そして機首を自機のアームでしっかり固定した
新垣は素早くテレパーから離れた。

「イエロー6よりイエローリーダーへ、私はこのままマルスに戻ります」
「イエローリーダー了解!頼んだよ!」
「了解!」

負傷し気を失っている市井を連れ新垣はマルスに戻って行く。
それを見届けた保田は安堵の表情を浮かべていた。

281 :名無し狩人:2003/11/16(日) 01:58
「レッドリーダーよりイエローリーダーへ、ここは私達が引き受ける」
「イエローリーダー了解。無理しないでね!」
「その言葉そっくりお返しするよ!」

保田はそう言うとレッド隊メンバーに指示を出した。

「レッドリーダ−よりレッド隊各機へ、こっちも好きに暴れろ!
 ここにいる敵は一機も残さずに叩きのめせ!」
「了 解 !!」

市井を欠いたレッド隊であったが、イエロー隊の援護もあり息を吹き返すと
残った敵機を殲滅すべく動き出した。

282 :名無し狩人:2003/11/16(日) 01:59
「こちら大谷、二隻の補給終わりました!」

大谷から補給終了の連絡がブリッジに届いた。

「了解や!マルスよりナンダカンダへ、そんじゃよろしく頼むで」
「了解しました。・・・・中澤さん・・・ありがとうございます。
 必ずメッセ−ジは届けます」
「おう、がんばりや」
「はい」

そうして交信が終わるとナンバカーズの二隻は発進する。
中澤のメッセージを携え、アレスへ向かって行った。

「よし、そんじゃ・・・こっちも行きますか」

中澤はそう言うと敵に向かっての指示を出した。

283 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:43
「対艦戦準備!レッド、イエロー両隊を援護する!」
「了解!両舷全速目標的艦隊!」

マルスが敵艦隊に向かって行く。

「レッドリーダーよりマルスへ、こちらは片付いた。
 これより先行するイエロー隊に合流する」
「マルス了解!」

保田から敵機殲滅の報告が入る。斉藤はホワイト隊に指示を送った。

「マルスよりホワイトリーダーへ、先行するイエロー、レッド両隊に合流せよ」
「ホワイトリーダー了解!先行する両隊に合流します」

飯田はそう言うと一気にスロットルを倒した。

「ホワイトリーダーより各機へ遅れるな!」
「了解!」

飯田に続きホワイト隊のメンバーもスロットルを引く。
するとあっという間にホワイト隊はマルスの前から飛び去っていった。

284 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:44
「イエロー隊、敵艦射程圏内に侵入!」
「マルスよりイエローリーダーへ、中澤や、うちらもすぐに追いつく無茶すんなや」
「イエローリーダー了解!!」

中澤の言葉を皮切りに、矢口達イエロー隊は、敵艦隊に攻撃を開始する。
その様子はマルスからも確認出来た。

「・・・・敵艦また艦載機を出しました」
「まだ残っとったか・・・・」
「レッド隊敵艦隊に接近!」
「追いついたか・・・」

イエロー隊が攻撃を開始すると同時に敵艦は艦載機を出してきた。
一瞬イエロー隊の心配をする中澤であったがレッド隊の合流を聞き
特に指示を出そうとはしなかった。

「レッドリーダーよりイエローリーダーへ、細かいのが出てきたよ」
「解ってるよ、雑魚はお願いね」
「了解!」

敵艦載機が出てきたのを無視して矢口は艦艇攻撃をメンバーに指示する。
イエロー隊のメンバーはそれに従うと攻撃を続けた。

285 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:44
「ホワイトリーダーよりレッド・イエロー両リーダーへ
 援護に来たよ」
「レッドリーダー了解!それじゃあ圭織達は右舷に回って!」
「ホワイトリーダー了解!」

飯田達ホワイト隊も駆けつけると本格的な攻撃が開始された。
イエロー隊は正面から敵艦隊を、レッド隊は左舷から
ホワイト隊は右舷からそれぞれ艦載機を攻撃をしかけるのであった。

「敵艦隊本艦の射程圏内に入りました!」
「対艦ミサイル用意」
「ターゲットスコープロック!」
「撃て!」

マルスが敵艦に向かってミサイルを放つ。
その延長線上に位置していたイエロー隊が一気に散開した。

「イエローリーダーよりマルスへ!こら!一声かけろ!」
「ドン臭いやつは一緒に打ち抜くで!」
「・・・・マジかよ・・・」

いつもであれば石川なり紺野なりから攻撃の連絡があるが
2人とも一緒にこの場にいる、そう現在のオペレーターは斉藤なのだ
そして艦長は中澤である。今言った中澤の言葉は一歩間違えれば
現実の物になりかねなかった。

286 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:57
「イエローリーダーより各艦載機へ、マルスの攻撃にも注意されたし」
「おいおい、勘弁してよ・・・」
「しょうがないじゃん。裕ちゃんがそう言ってんだもん」
「なんだかなぁ・・・」

イエロー、レッド、ホワイト各艦載機隊はそう言いながらも
敵艦から離れる事はなかった。

「いい根性や、そうでないとイカンわな。フォンメザー砲準備!」

中澤がそう言うとマルス船体の両脇から二門の砲身が現れる。

「水平射撃!三連速射!」

中澤の指示にフォンメザー砲が唸る!

「撃て!!」

二門の砲身から三回、計六発のエネルギー弾が放たれた。

「反転!散開!」

マルスからの攻撃を察知した矢口はイエロー隊に指示を出す。
今回もマルスの射程圏内にいたのはイエロー隊である。
各メンバーがすぐさま退避を終えた直後。
エネルギー弾が二隻の敵艦にヒットした。

287 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:58
「対艦ミサイル用意!よっすいー、小川ついて来な!」

保田はそう言うとたった今、マルスの攻撃の直撃を受けた
敵艦一隻に接近する。

「こっちも対艦ミサイル用意!田中、道重、行くよ!」

保田達とほぼ同時に飯田が田中、道重を従えもう一隻の
被弾した敵艦に接近を開始した。

「アタァァァァック!!」

保田の掛け声でケメンダヤス、ケッカ−、ゴロMAXからミサイルが放たれた。

「てぇぇぇぇ!!」

同時に飯田も攻撃の指示をだす。
そしてデイオウル、ノギ−メタンア、サーユナルシスの三機からも
ミサイルが放たれた。

戦場に閃光が走る。と同時に激しい爆発が起こった。

288 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:58
「敵艦二隻撃沈!!」

大木の声がブリッジに響く。

「敵機接近!」

続いて北上の声が響いた。

「マルスよりグリーンリーダーへ、出番だよ!」
「グリーンリーダー了解!」

味方機の攻撃を掻い潜り十数機の敵機がマルスに迫る。

「グリーンリーダーより各機、迎撃せよ!」
「グリーン2了解!」「グリーン3了解!」
「グリーン4了解!」「グリーン5了解!」
「グリーン6了解!」

りんねの指示で待機していたグリーン隊のメンバーが動き出す。
藤本のブギー03が先頭を切って飛び出して行った。

「ミキティ、無茶しないでよ!」

りんねがそう言うと

「了解!大丈夫です!」

藤本はそう言ったが早いか次の瞬間には一機敵機を叩いていた。

289 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:48
「弾幕を張れ!これ以上の敵機の接近を許すな!」
「了解!!対空パルス砲準備!」

斉藤が機関室に叫ぶ

「準備完了!いつでも良いですよ!」

末永の返事が戻って来た。

「マルスよりグリーンリーダーへ、対空攻撃を開始する!!」
「了解!グリーンリーダーより各機、味方にやられないでよ!」
「了解!」

迫り来る敵機に対してマルスの攻撃が開始される。
その弾幕をぬうように飛び回るグリーン隊。
弾幕の餌食になるモノ、はたまたグリーン隊の攻撃に倒れるモノ
敵艦載機はマルスに近づくことすら出来なかった。

290 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:48
「それにしても単調な攻撃しかして来ないね」

データを見ていた安倍が呟く。

「そう言えばそうやね。ナンバカーズはこんな奴らにやられたんか・・・?」

中澤は納得行かない様な表情を浮かべていた。

「敵艦隊後方、エネルギー反応!」

突然大木が叫んだ。

「何や・・・・?」
「・・・・所属不明艦出現!!」
「アホな・・・・ピースドライブやないか」

突然この場に三隻の戦艦が姿を現す。
その形状から今戦っている敵の援軍に間違い無かった。
敵もピースドライブを使っていたのである。

291 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:49
「更にエネルギー反応確認・・・・・第三艦隊エウロパとガニメデです」

その敵を追ってきたのか、続いて第三艦隊の戦艦が姿を現した。

「何がどうなっとるんや?柴田!エウロパに連絡!」
「りょ、了解!スペースマルスよりエウロパへ・・・・
 こちらは連邦軍特務艦スペースマルスです。
 ただ今本艦は目的と思われる敵と交戦中です。
 貴艦の現状を知らせて下さい」
「エウロパよりマルスへ、こちらはまずい事になっている・・・
 信じられんがユリシーズ達はピースドライブを使っている様だ・・・・
 早くこの事を参謀本部に知らせないと・・・・
 我が第三艦隊は現在本艦同様散開している敵艦を追跡している。
 とにかく今は協力してこいつらを叩くんだ!」

第三艦隊から告げられた情報は予想もしていなかった事であった。
敵もピースドライブを使う・・・・これは敵の進行が予想より
早いことを意味していた。

292 :名無し狩人:2003/11/20(木) 22:24
「くそ!最悪や・・・・とにかくこの事を知らせんと・・・・大谷、聞こえるか?」
「はい、なんでしょう?」
「悪いが、アレスに行ってくれ!」
「は?」
「ええから・・・・フリージアの準備や!!」
「りょ、了解!!」

スペースマルスの艦底部には巨大な格納庫がある。
そしてそこには・・・アレスから持って来た改良されたフリージアが
搭載されているのである。
大谷と村田は、ムーンベースに行っていた時、時間を見つけて
フリージアの改良を行っていたのである。

「マユビム戻ります!」

市井を連れて戻って来ていた新垣が再び出撃しようとしていた。だが

293 :名無し狩人:2003/11/20(木) 22:25
「新垣、ちょっと待て!」

新垣の出撃を中澤が止める。そして傍らにいた安倍にも声をかけた。

「なっち、大谷、柴田、新垣とアレスに行ってくれ。
 現状をダスマン提督に伝えるんや!」
「え?でもそれはマシューさんが・・・」
「状況が変わった。そやから頼む」
「了解!柴ちゃん、すぐに準備して!」
「はい、解りました」

こうして安倍と柴田はブリッジを出て行く。
出撃を止められた新垣もフリージア出動の準備に取り掛かった。

「マユビム、ドローゼの積み込み終わりました!」

メカスタッフが大谷に報告を入れる。
マユビムは勿論新垣の愛機である。
一方のドローゼとはマルス副長である安倍の愛機なのだ。

294 :名無し狩人:2003/11/20(木) 23:19
「メカニカルチェック・・・・異常なし!」
「通信回路・・・正常!」

大谷と柴田は発進前のチェックをしている。

「じゃあ裕ちゃん、こっちは頼んだよ。行って来るね!」

安倍がそう言うとフリージアはマルスから切り離された。

「目標、火星基地アレス!フリージア発進!」

安倍の声と共にフリージアのエンジンが唸った。
そして次の瞬間には眩い光に包まれ超空間に消えて行った。

「なっち、頼んだで・・・」

中澤はそう言うと戦闘の指揮に戻った。

「まずは当初の敵を叩くんや、ここにおる敵は全て沈める!」

その言葉にマルスメンバーの士気は一気に高まる。
そしてマルスも敵に対し総攻撃を開始するのであった。

295 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:17
「くっ、これが限界です!!」

フリージアのハローエンジンが悲鳴をあげていた。
大谷がエンジンの限界を告げる。

「ピースドライブ終了します!!」

柴田の声と共にフリージアは超空間を飛び出した。

「現在地・・・MJ−08付近・・・」
「駄目だよ・・・ここからじゃまだまだ時間が・・・何とかならないの?」
「そんな事言われても無理です!それとも連続ピースドライブにチャレンジしますか?」

ピースドライブを終えたフリージアの現在地は
火星と木星の間でも木星よりのMJ−08付近であった。
その事を知った安倍は早くアレスに行かなければいけないと言う焦りから
大谷に何とかする様に言うのだが、それを言われた大谷は
無謀だとされる連続ピースドライブをやるしかないと言い放ったのだ。

「大谷、無茶言わないでよ!」

その言葉に柴田が席を立ち反論をする。

「じゃあ他に方法があるのかよ?」
「・・・やろうよ。他のみんなだって命をかけてるんだから・・・」
「・・・えっ?」
「だって・・・他に方法がないんでしょ?」

予想外の安倍の言葉に大谷は何も言えなかった

296 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:17
「安倍さん、無茶です!今まで誰もやった事がないんですよ。
 それに私達の使命は確実にアレスに情報を持ち帰る事です」
「そんなの解ってるべ!・・・でもね、やらないと・・・今は時間がないんだよ。
 ここで最大船速で行っても一日は掛かるでしょ?
 その間にあいつらが何処まで迫るのか解らないんだよ。
 だから今日中にこの事を伝えないといけないの。
 万が一失敗しても結果は大して変わらないなら私はやる!」

安倍の言葉に柴田はまだ何か言いたそうな表情を浮かべる。

「いやなら無理に付き合う事はないよ。なっちのドローゼ使っていいから」

柴田に安倍が言う。すると

「・・・私は安倍さんと一緒に行く・・・」

新垣が言った。

「よし、私も付き合うよ」

大谷も同意する。

「・・・・・もう、どうなっても知らないからね」

柴田はそう言うと席に座り再びピースドライブの準備に入った。

「ありがとう、みんな。うん、きっと上手く行くよ・・・」

安倍はそう言うと再び掛け声をかける。

297 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:20
「目標、アレス!ピースドライブスタート!」

そして・・・フリージアは再び超空間に突入する。
禁じ手とされる連続ピースドライブ。
4人は命懸けであった。

298 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:50
「敵艦載機発艦確認!新手の敵艦からです」
「あっちは、エウロパとガニメデに任せるんや!」

新手の敵艦から艦載機が出てくるもマルスは最初の目標と
戦う様に指示が出される。

「レッドリーダーよりマルスへ、残弾が少ない。補給に戻ります!」
「マルス了解!」

先頭を切って戦っていたレッド隊が補給の為に帰艦する。

「市井は?」
「大丈夫です。命に別状はありません」
「そう・・・」

その事を聞いた保田は補給が終わると再び出撃して行った。

「敵艦動き出しました!」

目標と定めていた敵艦三隻がマルスに向かって動き始めた。
敵艦載機隊もだいぶ消耗し作戦を変えて来たようである。

299 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:51
「上等!斉藤、圭織、圭ちゃん、矢口に連絡!
 集中攻撃でとにかく一隻叩くように伝えろ!」
「了解!マルスよりレッド、イエロー、ホワイト各リーダーへ。
 ピンポイント攻撃に切り替えよ。とにかく一隻叩け!」
「レッドリーダー了解!」
「イエローリーダー了解!」
「ホワイトリーダー了解!」

指示を出された各隊はフォーメーションを組んだ。

「ホワイトリーダーよりホワイト、レッド、イエロー隊各機へ。
 目標は右舷に位置する敵艦とする。
 モニターに出てるでしょ?マークしたこいつ。こいつを叩く!」
「了 解 ! !」

飯田の指示により艦載機隊が叩く目標は決まった。
各隊各機共にその目標目掛けて集中攻撃を開始した。

「始めたな。よっしゃこっちも行くで!主砲発射準備!
 目標左舷敵艦!撃て!」

スペースマルスからエネルギー弾が飛び出す。
そのエネルギーは目標の戦艦を消し去った。

300 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:51
「残るはあいつだけやな・・・・」
「敵艦、マイティチャフを更に放出!」
「まずいな、ここで主砲を使ったら、圭織達にも被害が出るかも解らん。
 ならば・・・そうか!斉藤このスペースマルスにもアレはあるんか?」
「え?・・・ああ、あれですか?どうだろう・・・・?」

そう言うと斉藤は村田に連絡した。

「村田!このマルスにもダイモランスってあるの?」
「勿論!ありますよ。やるの?」
「うん」
「了解!すぐに準備するよ!」

斉藤は話を終えると中澤に言った。

「あるそうです」
「そうか・・・総員衝撃に備えろ!ダイモスアタック準備!」

中澤の言葉にブリッジの人間だけでなくマルスの乗員全てが
シートに座るとベルトで身体を固定する。

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