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小説?『娘。戦記』

1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。

管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。

301 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:52
「ダイモランス準備完了!」

村田の声が聞こえて来る。
その声と同時にスペースマルス艦首に巨大な槍の様な物が現れた。

「目標正面敵艦!」

中澤の声と共にマルスのエンジンが唸りを上げ敵艦に向かって
突進を始めた。

「5・4・3・2・1・ダイモスアタック!!」

斉藤の声が艦橋に響く・・・と次の瞬間、物凄い衝撃が
スペースマルス全体を襲った。

302 :名無し娘。:2003/11/23(日) 14:52
リー○ホー○jrキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

303 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:38
衝撃・・・そして轟音・・・次の瞬間マルスの後方で大爆発が起こる!
ダイモスアタック・・・それは戦艦の常識を破った攻撃・・・
艦首に装備した大きな槍の様な物で敵艦に体当たりを食らわすのである。

「敵艦隊撃沈!」
「マルスよりイエロー、ホワイト両隊へ、今のうちに補給をせよ」
「イエローリーダー了解!」
「ホワイトリーダー了解!」

指示を受けたイエロー、ホワイト両艦載機隊が帰艦する。
残りの新手三隻を叩く為マルスは準備に入った。

「スペースマルスよりエウロパへ、こっちは片付いたので応援に入ります」
「エウロパ了解!」

斉藤が僚艦に対し連絡を行った後の事である。

304 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:38
「・・・・巨大エネルギー反応確認・・・・測定不能・・・・」

北上が蒼ざめた表情を浮かべ呟いた。

「北上どうした?何があったんや?」
「・・・・十時の方向、敵艦隊が現れました・・・・数5・・・
 しかし・・・一隻巨大艦がいます・・・・」
「敵の指揮艦か・・・・?」

中澤がそれを確認すると同時にその巨大艦の攻撃で僚艦ガニメデが消えた。

305 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:39
「ピースドライブ終了、超空間を出ます!」

アレスに向かっていたフリージアはタブーとされる連続ピースドライブを
終わろうとしたいた。

「エンジン出力ダウン・・・・現在地・・・アレス付近です!」
「やった!成功だよ!みんな、成功したんだよ!」

安倍が喜びの声をあげた次の瞬間である。

「レーダーに反応・・・ん?マルス1だよ何で?」

柴田が見つめるレーダーにマルス1の反応が現れる。そして更に

「違う、それだけじゃない、マルス2、ピーチ−、ガスプラ・・・・
 アレスの戦闘部隊が・・・・みんな出撃してます!!」
「どう言う事?」
「所属不明の敵多数・・・交戦中です!」
「まさか・・・・柴ちゃんアレスと連絡とって!」

306 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:39
安倍の喜びもつかの間、フリージアは戦闘状態にあるアレスに
到着した事に気付く。

「フリージアよりアレスへ、こちらフリージアの柴田です。
 いったい何が起こっているんですか?」
「こちらアレスのダスマンだ・・・柴田、お前なんでここにいる?」
「緊急連絡で戻ってきました。スペースマルスはJSー06付近で
 目的の敵と交戦状態になっています。そこで敵が・・・ユリシーズ達は
 ピースドライブを使っていたんです。だから早くその事を伝えないと・・・」
「そうか・・・だがそれは既にこちらも解っている。見れば解るだろう。
 こちらも交戦中だ!」

安倍の予感は的中した様だ、今アレスが戦っている相手は
ピースドライブでやってきたユリシーズの艦隊なのである。

307 :名無し狩人:2003/11/24(月) 17:05
飛び交う閃光、と同時に起こる爆発・・・
双方にかなりの被害が出ていることは事は明白であった。
その様子を到着したアレスのモニターで見ていた安倍は言った。

「みんな行くよ!」

既にダスマンには全ての報告を終えていた。
安倍達に課せられた任務は終了してしたのである。

「どうするつもりだ?」
「私達もあそこに行きます!」

安倍はモニターを指差した。

「向こうには戻らないのか?」
「向こうは大丈夫です。私はそう信じて言います」

安倍はそう言うと大谷、柴田、新垣と共に司令室を後にする。

308 :名無し狩人:2003/11/24(月) 17:06
「お前達!ここは頼んだぞ!」

アレスメカスタッフに大谷は通信機から叫んだ。

「お任せください!フリージアのミサイルも積めるだけ積みました」

部下からの返事に大谷はフリージアの窓から右手を挙げて答える。

「そんじゃ行きますか!」
「暴れるぞぉ!」

大谷と柴田の気合に安倍と新垣も頷く。

「フリージア発進!!」

アレスを飛び立ったフリージアはそのまま戦闘空域に突っ込んで行った。

309 :名無し狩人:2003/11/24(月) 22:23
「戦闘空域突入!ハンガーオープン!」

柴田の合図で格納庫が開く。
新垣と安倍は既に愛機で待機をしている。

「マユビム出ます!」「ドローゼ出ます!」

二機の戦闘機は勢い良く飛び出して行くと
傍にいた敵機を次々叩く。

「さーてこっちも始めるよ」
「了解!多弾頭ミサイル準備・・・」
「発射!!」

フリージアはミサイルを放つと近くの敵艦に向かって行った。

310 :名無し狩人:2003/11/25(火) 23:02
一方・・・・

「ガニメデ消滅!!」
「・・・・アカン!マイティチャフ放出!!」

目の前で僚艦が撃沈されるのを見た中澤に・・・いや中澤だけではない
スペースマルスの乗員全てに衝撃が走る。
強力な戦力を持つ新たな敵艦に恐怖さえ感じていたのだ。

「中澤さんエウロパから連絡です。転進せよとの事です」
「逃げるやと?アホな・・・今ここで逃げたって・・・」

中澤がそう言いかけた時ブリッジに飯田がやって来た。

「逃げるのも立派な戦闘手段だよ。逃げたい奴は行かせれば良いんだ」
「・・・?圭織?何言ってんの?」
「だから、エウロパが逃げるんだったら勝手にやらせとけばって事だよ」

飯田はそう言うとブリッジを後にした。

「あいつ、何しに来たんや・・・?」
「たぶん、私達は逃げないで戦おうって言いたかったんじゃ・・・」

311 :名無し狩人:2003/11/25(火) 23:02
近くで飯田の話を聞いていた斉藤が中澤に言う。
それを聞いた中澤は薄笑いを浮かべながら言った。

「やっぱそうか・・・で?斉藤はどうなん?逃げる?戦う?」
「私は軍人ですよ。命令に従うだけです」

そう言うと斉藤は笑った。どうやら彼女にも逃げる意志は無いようだ。

「・・・他のみんなはどうや?このまま退くか?戦うか?」

中澤の言葉にブリッジのメンバーは何も言わずに笑顔で頷いた。

「そうか・・・ついて来てくれるんやな。そうと決まれば・・・
 斉藤、ガニメデに返信や!「馬鹿め」って言ってやれ」
「はい?」
「「馬鹿め」だ!」
「了解〜!」

中澤にそう言われた斉藤は本当に「馬鹿め」と返した。
スペースマルスは最後まで戦う意思を見せたのである。

312 :名無し娘。:2003/11/26(水) 06:31
どうでるのか楽しみ

313 :名無し娘。:2003/11/26(水) 19:19
「馬鹿め」か・・・何もかも懐かしい・・・

314 :名無し狩人:2003/11/26(水) 22:56
( `_´)<間違いハケーン!!
      「斉藤、ガニメデに返信や」は「斉藤、エウロパに返信や」です。

( `_´)<ついでにレス
>>302
・・・・?ごめんなさい。何だか解りません!
一応ダイモスアタックの元ネタはアルカディア号の衝角戦です。
>>312
こんな感じで出てみますた・・・えっ?違う?
>>313
本当に懐かしい・・・って歳がバレますよ(w   

315 :名無し狩人:2003/11/27(木) 00:11
「エウロパよりマルスへ・・・「馬鹿め」か・・・中澤らしいな。
 転進・・いや、逃げるのも立派な戦術の一つだと思って欲しい・・
 我々にもやらねばならない事があるからな・・・・
 今は貴艦の健闘と祈る・・・・死ぬなよ・・・・」

そう通信してきたのはエウロパの艦長、マコード准将であった。
マコードは和田やダスマンと同じく、中澤達を良く知る人物で
逃げないと言う中澤達の言葉に反対をする事は無かったのだ。

「ありがとうございます。准将もご無事で・・・・」

中澤がそう言って通信を終えるとエウロパは方向転換をして
動き始め、次の瞬間、超空間に消えて行った。

「たいしたインターバルも無くピースドライブが使えるのか・・・
 流石は第三艦隊の戦艦やな・・・」

中澤が感心した様にそう言った時、敵艦三隻が超空間に消えて行った。

「敵艦三隻、ピースドライブに入った模様です」
「エウロパを追って行ったか・・・まあそう簡単にはやられはしないやろ」

こちらに残ったのは大型艦ともう一隻の二隻の敵艦である。
スペースマルスは再び艦載機隊を出した。

316 :名無し狩人:2003/11/27(木) 00:11
「マルスより各艦載機へ・・・・これと言った指示はもはやない。
 各リーダーの指示に従って行動せよ!」

艦載機隊に対する中澤の指示はこれだけある。
一撃で僚艦を消し去った敵に対してはもはや小細工など
何も必要ないと考えていたのであろう。

「対艦ミサイルをありったけ打ち込め!敵に攻撃する隙を与えるな!」

一瞬の睨みあいで先に動いたのはスペースマルスであった。
巨大艦目掛けて一気にミサイル攻撃を始めたのである。

「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、マルスのミサイル攻撃に乗って
 できるだけ敵艦に接近する・・・・くれぐれも味方の攻撃にやられるなよ!」

保田の指示でレッド隊が最初に動いた。

「ホワイトリーダーより各機へ、私達はもう一隻を攻撃するよ」

ホワイト隊はデイオウルを戦闘にマルスが攻撃を行っているのとは違う
敵艦に向かって行った。

「イエローリーダーより各機へ、おいら達はレッド隊に続く、
 手持ちのミサイルを全部おみまいしてやれ!」

「グリーンリーダーより各機、ホワイト隊の援護だよ。
 ミサイルポッドは出来るだけ敵艦に近づいたら使用する様に!」

イエロー、グリーン両隊も動き出す。
敵の激しい攻撃の中を各艦載機隊は決死の覚悟で飛び込んで行った。

317 :名無し娘。:2003/11/27(木) 18:16
>>314
>>302はVガンネタ
艦首にビームラム(衝角)装備した戦艦

318 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:26
「敵艦ミサイルを発射しました」
「弾幕をはれ!全て撃ち落とすんや!」

迫り来る敵艦のミサイルに対しマルスは機関砲で応戦する。

「レッドリーダーよりマルスへ、敵艦を射程圏内に捕らえた。
 これより攻撃を開始します!」
「マルス了解!気をつけて!」

普段「気をつけて」などと口にしない斉藤が保田に対してこう言った。
何気なく出た言葉であろうが、それだけ事態は緊迫していたのである。

「ホワイト隊、敵艦に攻撃を開始しました」
「あっちは圭織とりんねに任せよう。うちらはあの旗艦を叩く!」
「了解!」

マルスは攻撃を敵を、旗艦と思われる巨大艦に絞った。
隣にいる巡洋艦クラスの敵戦艦はホワイト隊とグリーン隊に任せたのだ。

「敵のミサイル多数接近!!」
「弾幕薄いぞ!」

敵艦から放たれた多数のミサイルがマルスを襲う。
ほとんどが弾幕により打ち落とされたが、数発撃ち損じてしまった。

319 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
次の瞬間、激しいショックと振動がスペースをマルスを襲った。

「第一、第二カタパルト被弾!!」
「メカ班大丈夫か?」

二発の敵ミサイルがマルスの第一、第二カタパルトを襲った。
破壊されたカタパルトには数名のメカスタッフがいた筈である。

「おい!返事しろ!・・・村田!聞こえるか?」
「・・・・・・こちら村田、第一、第二カタパルト使用不能・・・
 三名が重傷です!」
「了解や!みんな第三、第四カタパルトに移動しろ!」
「了解!」

被弾したカタパルトでは死者こそ出なかったが三名が負傷していた。
これを受けて中澤はある決断を行った。

「これからどうなるか解らんからな、動きにくいかも知れんけど・・・
 斉藤、全員にコスモスーツの着用を指示や」
「了解!・・・総員に告ぐコスモスーツを着用せよ」

320 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
中澤の指示は乗員の宇宙服の着用であった。
そもそも負傷したメカスタッフが重傷で助かったのも
宇宙服を着用していたからなのだ。

「こっちもお返しや!ミサイル攻撃を続けろ!」

スペースマルスも負けじとミサイルを連続で放つ。
敵の艦載機は途中でイエロー隊が相手をしていたので
攻撃される事は無かったが敵艦の放つミサイルは時々
マルスの船体を破壊してたのである。

「くっ・・・・このままじゃまずいな・・・・」

戦況は不利な状態にあった。
こちらの攻撃が敵にあまり当たっていないのである。
敵旗艦に対する有効的な攻撃はレッド隊の対艦ミサイル攻撃だけで
しかしそれも敵艦の弾幕でまともに攻撃出来ない状態であった。

321 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
「あれ?・・・・・本艦後方より小型艦が接近中です」

北上がそう言うと

「また新手か・・・・」

中澤の表情が曇った。

「いえ・・・・地球の船ですね・・・・小型戦闘艇です」
「識別は・・・?」
「・・・該当なしです・・・」

そう北上が言いかけると、大木が言う。

「この識別コード旧コードじゃない?」

連邦軍の識別コードは数年前に新しくなっている。
大木のその言葉を聞いた北上はキーボードを叩いた。

「えっ・・・・?すぐに照会します・・・・出ました。
 えーっ・・・ムーンベースの突撃艇ムラサキシキブになってます」
「・・・うそやろ・・・?マジかいな・・・」

ムラサキシキブと聞いた中澤の表情は一瞬にして変わっていた。

322 :名無し娘。:2003/11/30(日) 23:02
連邦軍の突撃艇はムーンベース防衛用に開発されたミサイル艇である。
四発の大型ミサイルを船体に抱え、そのミサイルを敵に打ち込んで
攻撃をする機体なのだが、出来るだけ敵に近づいてから攻撃を
しかけないといけない為、かなりの危険性が伴う機体でもあった。
さらにその航行距離は短く、本来であればここまでやってくるなど
到底無理な事なのである。

「ムラサキシキブやて・・・しかもこんなとこまで・・・」
「でも、識別コードはそうなってます」

中澤の言葉に北上が答える。

「斉藤、連絡や・・・多分パイロットはあいつや・・・」

中澤がそう言うと斉藤は通信を試みた。

「スペースマルスよりムラサキシキブへ、応答してください」
「はーい、こちらムラサキシキブ。お待たせしましたぁ」

中澤にとって懐かしい声である。

323 :名無し娘。:2003/11/30(日) 23:02
「アホ!誰も呼んでなんかおらん」
「なんだよー、じゃあ帰る!」
「あー、うそ、うそ。それにしても・・みっちゃんどうやってここまで?」

ムラサキシキブのパイロットは中澤の親友、平家であった。
今は連邦軍から放れている平家がなぜ、しかも軍の機体で
どうやってここまでやってきたのか中澤は聞いた。

「へ?どうやってって・・・あれ・・・・?」

平家がそう言った時大木が叫ぶ。

「フリージアが戻ってきましたぁ」

見るとレーダーにフリージアの機影が映っている。

「あいつら・・・・何考えとるんや・・・たいして時間もおかないで
 ピースドライブ使いやがって・・・・」

中澤は知らなかった、これがフリージア本日三回目の
ピースドライブであった事を。

324 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
「中澤さん、平家さん連れてきましたよ」

柴田の声が聞こえて来る。

「ご苦労・・・と言いたい所やけど、もうみっちゃんは民間人やで。
 それにピースドライブ・・・大した時間も空けんと二回目なんて・・・」
「・・・いえ・・三回目です・・・ってか四回かな?こっちに戻る時は
 本当に連続だったから・・・それに平家さんは自分で来るって・・・」
「・・・・まあええ、なっちに戻る様に言ってくれ」
「あ、安倍さんとお豆はあっちに残りました。アレスも・・・って言うか
 太陽系全体で戦闘が始まってるみたいで・・・」
「・・・・マジでか?最悪や・・・・」

柴田の報告は中澤の予想を上回っていた。
ここで敵を食い止めていればなんとかなるそう考えていたからだ。

「とにかく今は目の前の敵に集中しましょう」

斉藤の声に中澤は我に返ると平家に言う。

325 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
「みっちゃん、何考えてんねん」
「スペースマルスの事は明日香から聞いてたから・・・だから
 ムーンベースでタイ−ゼ中将に無理言ってこれ借りてきたんだよ。
 それでアレス付近まで送ってもらってたら戦闘が始まって、
 途中で切り離されちゃってさ・・・どうしようか考えてたら
 なっちの声が聞こえて来たから話をしたら、じゃあフリージアを使えって」
「あー、もうええ、とにかくや。フリージアは圭織達の援護。
 さっさと行ってあのちっさい方を沈めて来ぃや。
 みっちゃんは指示があるまでここで待機!ええな!」
「フリージア了解!」
「ムラサキシキブ了解!」

中澤の指示が出るとフリージアは敵巡洋艦タイプ目掛けて突進する。
既にホワイト、グリーン両隊の攻撃で目的の敵艦も消耗していた。

「よっしゃ!フリージアよりホワイト・グリーン両隊へ・・・どけ!」

大谷はそう言うとミサイルを一気に放つ。そして

「キャノン砲準備・・・・いっけー!!」

すぐさまキャノン砲も放たれた。

326 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
「敵艦一隻沈黙・・・・」

斉藤の言葉に

「みっちゃん、出番やで。グリーン隊!ムラサキシキブの援護や」

敵巡洋艦タイプを叩いたホワイト隊はすぐさま敵旗艦に向かって行った。
グリーン隊は中澤の指示でムラサキシキブの援護につく。

「敵艦を射程圏内に捕らえた!」

平家の声が聞こえるとムラサキシキブから信号弾が上がった。
それを見た中澤が叫ぶ

「斉藤・・・・」
「全艦対閃光防御!」

中澤の指示が出る前に斉藤は叫ぶ。更に

「各員対閃光シールド降ろせ!」

各艦載機リーダーが指示を出すのが聞こえて来た。

327 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:17
「発射!」

平家の声が聞こえるとムラサキシキブから二発のミサイルが
敵旗艦に向かって放たれる。
しかしそのミサイルも敵の弾幕によって破壊された。だが次の瞬間
強烈な閃光が戦場に走る。
平家が放ったのは閃光弾で破壊されると同時に
強烈な閃光を放つ物であった。最初に放った信号弾は
それを味方に知らせる為の物で中澤はその信号を見て慌てて
指示を出したのだがなぜか主要メンバーはその事を知っていた様だ。
そして

「今や!総攻撃!!」

中澤の声をきっかけに各艦載機隊、フリージアそしてムラサキシキブが
一気に残っていたミサイルを放つ。
視界を奪われてた敵旗艦はマルス隊の接近を簡単にゆるした。
その為ミサイル攻撃をまともに喰らっていた。

攻撃機が一斉に敵艦から離れるそして・・・・
大爆発が起こった。

328 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:17
「・・・・・やった・・・・やったで!!」

沈む敵旗艦の姿を確認した中澤が叫ぶ!

「ワー!!」「っしゃあ!!」「キャー!!」

あちこちから歓声が上がる。
スペースマルスは目の前の敵艦を全て倒す事に成功したのである。


それと同じ頃・・・・アレスでは・・・・

「敵艦隊の様子がおかしいな・・・・・」

戦闘の様子を見ていたダスマンが呟く。

「統制が・・・・取れなくなった・・・・?みたいですね」

傍にいた副官が言う。

「とにかく絶好の機会だ・・・・全艦隊総攻撃!!」

329 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
突然様子の変わった敵艦隊の隙をダスマンは見逃さなかった。
一気に総攻撃に出たアレス艦隊は簡単に敵艦隊を殲滅させる。
そしてそれは他の戦場でも同じであった。
ほぼ同時期に敵艦隊の指揮系統の乱れが確認され
同じ様に連邦軍の勝利に終わったのだ。

「さてと・・・・ここはこれで終わりやね・・・でも・・・
 先に進むにも戻るにもこれじゃピースドライブも使えんし・・・」

先の戦闘でかなり破壊されたスペースマルスは
通常航法は行えるものの、ピースドライブを使える状態ではなかった。

「各艦載機隊は戻って下さい。お疲れ様でした」

斉藤の声が伝わると艦載機隊は次々に着艦を開始する。

「村田です、すいません、格納庫がいっぱいで・・・」

第一、第二カタパルトを破壊された為全艦載機の収容が
スペースマルスには出来なかった。

330 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
「ちょっと、どうしたらいいんだよ!」

矢口の声が聞こえて来る。

「参ったなぁどうしよう・・・?」

そんな事をしているうちに大きなエネルギー反応をレーダーが捕らえた。

「エネルギー反応確認・・・・・」
「何や?また敵か?」
「・・・いえ・・・あっ、アポロンです」

現れたのは第三艦隊旗艦アポロンである。
その後アポロンから現在の状況を聞いた中澤は
戦いが終わった事を知る。

「おそらくお前達が叩いたのがユリシーズの旗艦だったのだろう」

マルスのモニターにはアポロン艦長の和田が映し出されている。

331 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
「そんな筈は・・・だって護衛は一隻だけですよ」
「甘くみたんだろ。だからやられた」
「そうですか・・・・とにかくお疲れ様でした」

自分達が敵の総指揮艦を倒したと言う実感が中澤には無かった。
いやそれはスペースマルス隊全員の思いでもある。

「とにかく帰りましょう」
「そうやね、もうどうでもええわ」

収容しきれなった艦載機はアポロンに任せスペースマルスは帰路につく。
これからまたアレスまで長い旅が始まるのである・・・・・・


                 娘。戦記
              【スペースマルス】
                 終了!

332 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:40
          【大谷さんのメカニック講座】最終回!

(;`_´)<最終回て・・・・まだ二回目だぞ!

( `_´)<どうも、大谷です。【スペースマルス】は
       楽しんでいただけたでしょうか?
       今回は皆さんの想像にお任せしていたメカニックのモデルを
       紹介したいと思います。

( `_´)<書き人の頭の中にあったのは次の通りです。

「スペースマルス」・・・・ドゴスギア(Zガンダム)
「マルス1・2」・・・・ラーディッシュ(Zガンダム)
「フリージア」・・・・Gフォートレス(ZZガンダム)
「アポロン」・・・・アンドロメダ(宇宙戦艦ヤマト)
「エウロパ」・・・・スペースアーク(ガンダムF91)
「ガスプラ」・・・・マゼラン(ガンダム)
「ピーチ−」・・・・チベ(ガンダム)
「ムラサキシキブ」・・・・パブリク(ガンダム)

333 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:50
( `_´)<艦載機は実在の戦闘機です。
       イーグル・トムキャット・ホーネット
       ファイティングファルコンなど・・・・
( `_´)<詳しく書いてるメンバーとそうでないメンバーがいますが・・・
       そこまでは考えていません。
       因みに敵艦はまったくモデルなし。
       唯一マシューの船がムサイ(ガンダム)くらいでしょうか

( `_´)<ナノニイーコ号は「ヤマトよ永遠に」で古代が最初の方で
       乗っていた連絡艇みたいなやつですが・・・
       マイナーすぎてわかならいかもですね。

( `_´)<以上で終わりですが・・・・・

( `_´)<えー、読んでいただいた皆さん。ありがとうございます。
        【スペースマルス】は終了ですが
        娘。戦記は続きます。次回もよろしくです。

334 :名無し娘。:2003/12/01(月) 16:25
パブリクかよ!

335 :名無し狩人:2003/12/01(月) 22:24
( `_´)<>>334ジッコよりはいいでしょ?

(;`_´)<では「娘。戦記」新編です。前にやっていたお話の続編ですが
        知らない人にも解る様に努力いたします。
        訳の解らない事があれがドンドン質問してください。

( `_´)ノ<それではどうぞ!! 

336 :名無し狩人:2003/12/01(月) 22:25
妖怪・化け物・魑魅魍魎・・・・・恨み・つらみ・妬み・・・・・
この世に蔓延る邪悪と戦う者達・・・・その名を「M刑事」といふ・・・

警察省特務部には「妖魔対策室」と呼ばれる部署がある。
妖魔と呼ばれるモノ達が引き起こす事件を担当する専門のチームである。
「M刑事」と呼ばれるそのチームは特殊な能力を持つ人間が集められていた。

              娘。戦記
         【邪悪狩人M刑事・頃の章】

初めまして、そしてお久しぶりです。さてあなたはどちらですか?
M刑事捜査課の「紺野あさ美」です。
「主天童子」との戦いも終わりM刑事は変わりました。
今回はその後のお話をしたいと思います。

まずはその前に「主天童子とM刑事の戦い」を知らない人達に説明をしましょう。
私達M刑事は警察省特務部の妖魔対策室と呼ばれる所で働いています。
簡単に言うと怪物と戦う事が仕事です。
少し前の事ですがある時期から怪物達が引き起こす事件が多発しました。
それを追っていた私達がたどりつたのが主天童子と呼ばれる鬼だったのです。
その頃のM刑事は「退魔師・能力者」と呼ばれる昔から妖魔と戦っている
人達が作る「連合」と呼ばれる組織に邪魔をされ活動を休止されていたのです。
ですがその時に出会った連合に属さない退魔師集団「虚空山」の
協力を得て、私達は自分達の能力を向上させる事に成功していました。
それと同じ頃、京都で主天童子と戦った連合が敗北し
私達は、虚空山、そして連合を離れた少数の能力者と共に
主天童子との決戦に挑んだのです。結果は私達の勝利!!
その後連合はなくなりM刑事は活動拠点を増やし、現在に至ります。
説明が長くなりましたね、ごめんなさい。

まあ、そんな事があり、今回はその後に配属となった
私の後輩達の活躍をお話したいと思います。

337 :名無し:2003/12/02(火) 10:18
作者さん
前にやってた話って、どこかで読めますか?
是非、読んでみたいんですが

338 :名無し狩人:2003/12/02(火) 21:26
>>337
(;`_´)<さて、どうしたものか・・・うPできるほどの知識も無く・・・
ttp://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1033/10334/1033425565.html
途中までならここで読めますが続きは羊の倉庫の奥深く・・・・
htmlなど期待出来ないですからねぇ。
●をお持ちなら「邪悪狩人M刑事」で続きは読めますが・・・・
(;`_´)<ごめんなさい。

339 :名無し娘。:2003/12/02(火) 22:45
>>338
「邪悪狩人M刑事」うpスマスタ
ttp://f22.aaacafe.ne.jp/~honeypie/pakapaka/img/ahya0022.lzh

1047550726.dat:2ちゃん形式DAT(かちゅのログからコンバート)
1047550726.html:HTML形式(↑からコンバート)
かちゅ\1047550726.dat:かちゅのログ
かちゅ\1047550726.idx:同

その他の2ちゃんねるビューアの場合は、適当にコンバートしてください

注)
aaacafeなので、上記URLでは落とせないかもしれません。
その場合は、
ttp://f22.aaacafe.ne.jp/~honeypie/pakapaka/img/ahya0022
を落としてから.lzhにリネームしてください。

340 :名無し娘。:2003/12/03(水) 00:04
一応
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047550726/

html化はされてないですね

341 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:08
>>339-340
( `_´)<どうもです。一応自分では保存はしていますが
       いかんせん知識が無い物で助かります。
       それでは続きです。 


M刑事の新人は大体半年から一年の見習い期間があります。
その期間は先輩のM刑事と一緒に行動して仕事を覚える訳ですが
その日は私が後輩と組んで行動する事になったのです。

「紺野さん、今回の捜査はどんな内容ですか?」
「なんかこの辺で狐に憑かれたとか言う話があるらしいんだけど・・・」

私と行動を共にしていたのは新人の「田中れいな」
他にも捜査課の新人は2人いて私の同期が同じ様に行動を共にしていました。

「狐・・・ですか?昔話みたいですね」
「こらこら、そう言う事を言わないの!些細な事が
 大事件になる事だってあるんだから・・・」
「すいません」

田中ちゃんは、3人の新人の中では結構活発な方だと私は思います。
普段から訓練も怠らないし、これは他の2人にも言える事ですが
なんと言ったら良いか・・・私が新人の頃に比べると・・・・
これ以上は・・・言うまでもないかな。

342 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:09
私達2人は情報があった地域を自転車で回っていました。
先輩達は車やバイクで行動する人もいますが私達は運転免許を持っていません。
そんな訳で自転車なのですが、これがまた・・・LOOK?チネリ?
何でも有名なメーカーの自転車らしく無駄にカッコ良いので結構目立ちます。

「レーダー反応しませんね」
「そうだね。でもそうそう反応されても正直困るよ」

私達M刑事は妖魔をみつける為常に妖魔専用のレーダーを持ち歩いています。
基本的にはそのレーダーを頼りに目標を捜す訳です。
私達は手掛かりもないまま近くの公園で休憩する事にしました。

「私、何か飲み物買ってきます。紺野さん何が良いですか?」
「スポーツドリンク」
「はい」

田中ちゃんがコンビニに行った後、私は近くを捜査している
同期のメンバーに連絡を取ってみました。
他の子達は何か手掛かりを掴んでいるかも知れないと思ったからです。

「はぁ〜い、紺野です。がきさんそっちは何か掴めた?」
「いやぁ、特に何もないねぇ。そっちはどうなの?」
「まったく反応ナシ!どうしようか?」
「さっきまこっちゃんから連絡があって向こうも手掛かりナシだって
 こうなったら愛ちゃんの情報が頼りだなぁ」

私が話をしている相手は「新垣里沙」通称「がきさん」私と同期のM刑事で
彼女は田中ちゃんの同期の「亀井絵里」ちゃんと行動しています。
更にがきさんの言った「まっこちゃん」とは同じく私の同期の「小川麻琴」
彼女は田中ちゃんの同期「道重さゆみ」ちゃんと行動を共にしていました

343 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:10
「あとは愛ちゃん達が頼りか・・・・」

私ががきさんとの通信を終え独り言を言っていると

「こっちも手掛かりナシやよ」

そう言って話し掛ける声が聞こえて来ました。
振り返るとそこには愛ちゃんこと「高橋愛」が立っています。
私達4人の同期の最後の1人で彼女は私達とは別行動を取っていたのです。

「MMKの情報網にも引っかからないの?ガセかな?」
「どうやろ?なんとも言えんね。今他の3人の連絡待ちやからね」

そう言って愛ちゃんが私の隣に座った時、田中ちゃんが戻って来ました。

「あれ?高橋さんも一緒だったんですか?良かったぁ」

田中ちゃんはそう言うとなぜかペットボトルを3本持っていました。
彼女がM刑事に選ばれた理由の一つにはこの勘の鋭さがあります。
話によるとコンビニでなぜか3本買って行こうと思ったらしいのです。

「さすが田中ちゃんやね。ありがとう」

愛ちゃんはそう言うと嬉しそうにペットボトルを受け取ると
そうとう喉が渇いていた様でキャップをあけると一気に飲んでいました。

344 :名無し娘。:2003/12/03(水) 00:20
念のため。
2ちゃんねるのex系鯖は、隔離鯖のため、一生HTML化されません。

345 :名無し狩人:2003/12/04(木) 22:50
「さて、じゃあ私はもう一回り行ってくるよ」

愛ちゃんはそう言うと立ち上がります。

「他のMMKのみんなからの連絡を待ってるんじゃないの?」
「そうも言ってられんわ。だいいち、中澤さんがこれだけの人数で
 捜査させてる訳なんやから、それなりに考えんといかんよ。
 うちらMMKだけやなく、あさ美ちゃん、まこっちゃん、里沙ちゃん
 それに田中、道重、亀井、全部で十人やよ」
「そうだけど、手掛かりも見つかんない訳だし・・・」
「あさ美ちゃん・・・まさかガセなんて考えておらんよね?」
「もちろん、そんな事はないけど・・・」
「だったら頑張ろう。とにかく行動せんといかんわ」
「うん」

そう言って愛ちゃんは町に消えて行きます。
私と田中ちゃんも休憩を終えると行動を開始しました。

346 :名無し狩人:2003/12/04(木) 22:50
本来M刑事の捜査は個人行動が基本なのですが
今回の様にチームで捜査にあたる事もあります。
特に愛ちゃんが所属する「MMK」は常にチームで行動しているのです。
MMKとは「ミニM刑事」を意味します。
簡単に言うと子供からの情報を集め捜査にあたるチームで人数は4人。
大人と子供の感覚は違い、大人が感じ取れないモノを子供の観点から
見つけ出そうと結成されたM刑事でも特殊なチームなのです。

「高橋さんて、不思議な人ですね」
「どうして?」
「なんて言うか・・・・こう・・・・」
「気合が空回りしてるって言いたいんでしょ?」
「解ります?」
「愛ちゃんはそれでいいの、って言うかMMKはみんなあんな感じだよ」

私の言葉に田中ちゃんは不思議そうな顔をしています。
私はただ笑っていると通信機に連絡が入りました。

「紺野、聞こえる?大谷だよ。今どこ?」
「荒川の・・・例の公園です」
「そう、じゃあ今からさそこに行くからちょっと待ってって・・五分で着く!」
「解りました」

連絡は車輌課の大谷さんからです。車輌課とはM刑事の使用する
車輌は勿論、通信機、レーダー、その他・・・M刑事で使用する
機械全般を担当する課で、メンバーは大谷さんの他3名程いるのです。

347 :337:2003/12/05(金) 00:04
>>339
ありがとうございました


作者さん、これから前作から読ませていただきます
頑張って下さい

348 :名無し狩人:2003/12/08(月) 21:45
>>347
( `_´)<どうもです。よろしくです。
        それでは続きなど・・・


連絡があってから約五分後、大谷さんが姿を現しました。

「お待たせ。ほい、これ!」

そう言って大谷さんから手渡されたのは「Mアナライザー」
これは温度や湿度、地磁気、電波と言った現場の色々なデータを集める機械です。

「あの、これで何をしたら良いんですか?」
「ん?ああ、聞き込みとか、色々やってるんでしょ?だったらついでに
 その場所のデータも欲しいんだよ。後で資料課と一緒に分析するからさ」

大谷さんはそう言うと他のメンバーにもMアナライザーを渡すからと
さっさと行ってしまいました。

「データ取って分析か・・・・私もやるんだろうなぁ・・・」

私は今、資料課の手伝いもやっています。
M刑事の資料課とは妖魔の資料は勿論、現場の地図やその他諸々
M刑事が行動するにあたって必要な資料を集める課なのです。
因みに人数は3人、それに捜査課のメンバーが時々手伝いにはいります。

349 :名無し狩人:2003/12/08(月) 21:45
私と田中ちゃんはその日一日あちこち回って夕方に本部に戻りました。

「ただ今戻りました〜!」
「はい、お疲れさんね。収穫はあったん?」

私達が戻った時には部屋には中澤さんしかいませんでした。
中澤さんは、この「妖魔対策室」の寺田室長に次ぐNO・2で
実質M刑事の全てを取りまとめている人物なのです。

「ごめんなさい、これと言って収穫はありませんでした」
「そうかぁ、まあしゃあないな。もっとも田中の指導も兼ねてるから
 無駄ではないんやし、また頑張りぃ」
「はい!」

中澤さんはそう言うと、私達に休む様に言ってくれます。
私と田中ちゃんは休憩室に行くとみんなの帰りを待つことにしました。

350 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
しばらくすると他のみんなも帰って来たので
お互いの情報交換をすることにしました。すると

「おっ、みんな戻ってきたね。じゃあこれ持ってくよ」

大谷さんがやってきてみんなが持っていたMアナライザーを
持って部屋を出て行きます。

「収穫はなかったけど良かったのかなぁ?」

大谷さんが出て行った後、まこっちゃんが呟くと

「あっちには何か考えがあるんだよ。それより情報交換しよ」

がきさんがそう言ったので私達は情報交換を始めました。
それから少し時間が経つと

「毎度!山王軒です。チャーハン2つに味噌ラーメンと中華丼お持ちしました」

M刑事本部ご用達のラーメン屋さん「山王軒」の三夫さんが出前にやってきました。

「誰か頼んだ?」

私がそう聞くとみんな首を横に振ります。

351 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
「三夫さん、私達じゃないですよ」
「あれ・・・?ああ、すいません斉藤さんの注文だ。
 てことは、下に持って行った方がいいかなぁ・・・」

三夫さんがそう言うと

「待ってください、今確認しますから・・・」

亀井ちゃんが内線電話で車輌課に確認を入れます。

「もしもし、亀井です。今、山王軒さんがみえられて・・・・はい・・・・はい・・・
 解りました。そう伝えます」

亀井ちゃんは電話を切ると斉藤さんがこっちにくる事を伝えます。
三夫さんは頷くと道重ちゃんが用意した椅子に座り話を始めました。

「そう言えばみんなオカルトとか好きだったよな」
「はい」
「実は最近、近所の人が狐に憑かれたなんて噂があってさ・・・」
「本当ですか!!」

思わず身を乗り出す私達に三夫さんは驚きながら話を続けてくれました。
もっとも三夫さんが驚くのは無理もありません。
彼は私達が単なる警察の事務の仕事をしていると思っているからです。
この妖魔対策室の表の看板には経理課と書いてあります。
つまりM刑事はその存在を世間には公表していないのです。

352 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
「・・・そんなに興味あるのか・・・?まあいいけどね。
 でさ、 誰とは言えないんだけど最近その人の様子が変だって話でな
 狐に憑かれたなんて言い出す人がいたりして、
 ちょっとした騒ぎになってるって話だぜ」
「場所は・・・・その場所って何処ですか?」
「うちの近所だよ。でも何処の誰だかは言えないぞ」
「近所って山王軒の?」
「違う違う、俺のアパート」
「ああ、そっちか」

三夫さんのアパートはここから少し離れた場所にあり
ちょうど今日、私と田中ちゃんで回っていた範囲の中にあります。
どうして私がそんな事を知っているのか?
それは私達の寮がすぐ近くにあるからです。
しかし寮の近くとは盲点でした。私達はそんな噂を聞いた事も無かったからです。

353 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:03
「どうする?」
「どうするって・・・調べるしかないでしょう」
「だね・・・」

私達は三夫さんの話を聞いた後に相談して、寮の周りを調べる事にしました。
正直言ってあまりアテにならない情報だとは思いましたが、他にアテもなく・・・
とりあえず今日は私と、まこっちゃん、田中ちゃん、道重ちゃん、亀井ちゃんの
5人で調査する事になり、夕食を済ませると早速行動を開始しました。

「センサーは感度を最大に、周りにも充分注意してね」

まこっちゃんがリーダーになり、指揮を取ります。
私達は、マルチカムを装備すると5人バラバラに散って行きました。
因みにマルチカムとはM刑事自慢の通信システムです。

捜査を開始して30分、

「こちら小川、異常なし」 「こちら田中、異常なし」
「こちら亀井、異常ありません」 「道重です、こっちも問題なしです」

四人が連絡を入れて来ました。

354 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:03
「こちら紺野、こっちも異常なし」

私が通信を終えると

「・・・・道重です、センサーに反応がありました!」

道重ちゃんか連絡が入ります。

「こちら小川、道重、気を付けな!すぐそっちに行くから」

道重ちゃんの一番近くにいたのはまこっちゃんでした。
まこっちゃんに続き、私もすぐに駆けつけます。

「こっちです!」

私が現場に行くと既にみんな集まっていて、そこは公園の入り口でした。

「センサーの反応がどんどん強くなってるよ。しかも一体だけじゃない」

センサーの反応を見ていたまこっちゃんが呟きます。
そう言われると確かに、私が手にしているセンサーも強く反応していました。

355 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
「行くよ!」

センサーの反応は明らかに何かが、その公園にいる事を示しています。
まこっちゃんの合図で私達5人は公園の中に突入しました。
公園に入ると常夜灯の下に数人の男の人が集まっているのがみえました。

「えっ?人間?」

田中ちゃんの声に

「見かけで判断しちゃ駄目!センサーが反応してるのは
 間違いなくあの人達だよ」

私は諭すように言ったのです。

「しかし困ったぞ!こう言った場合はどうしたら良いんだ?
 どう見てもあの人達は人間だし、でも・・・・」

まこっちゃんがそう言った時、目の前の男の人達が私達に気がつきました。
しかし、その人達は私達など眼中に無い様です。

356 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
「あれ・・・・なんですか?」

その男の人達を見つめている亀井ちゃんが聞きます。
見るとその男の人達は、意味不明の言葉を発したり
不思議な行動をとっているのです。

「確かにあれじゃ、狐憑きですね」

田中ちゃんがそう言った時

「正体を見極めないと・・・・」

私はその人達に憑いているモノが何なのか考えていました。

357 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
「どうしようか・・・・」

まこっちゃんも困っている様でした。
とにかく何が憑いているにしても、あの人達からそれを
切り離す事が先決です。しかしそれには敵の正体を見極めなければなりません。

「あの・・・・私、やってみます・・・・」

そう道重ちゃんが言います。

「やってみるって・・・どうやって?」
「この鏡で・・・・この鏡は化け物を映し出す事が出来る鏡だと言われています。
 だからきっと、この鏡にあの人達を映せば・・・・」

そう言って道重ちゃんは古い鏡を取り出しました。

358 :名無し娘。:2003/12/21(日) 08:43
やはり鏡使いがここにもいたか

359 :名無し娘。:2003/12/22(月) 19:50
>>344
うそだといってくれ

360 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:32
「ミネルバの鏡よ!悪しきモノを映し出せ!」

道重ちゃんはそう言うと鏡を男の人達に向けました。
「ミネルバ」とは、ギリシャ神話の女神「アテナ」から来ています。
アテナの別名がミネルバであり、その「ミネルバの鏡」とは
メデゥーサ退治の時にアテナがペルセウスに送った鏡なのです。
道重ちゃんの持つ鏡はその鏡の能力を受け継ぐ物と言った感じなのでしょう。

「やった、映りました・・・・これは・・・・」

みんなで鏡を覗き込むと、そこには数体の怪物が映し出されています。

「こいつは・・・飯綱・・・それに犬神、おさき狐、おとら狐・・・・」

飯綱(いづな)、犬神(いぬがみ)、おさき狐(おさききつね)、おとら狐(おとらきつね)
この四体の怪物は、いずれも人にとり憑く妖怪の様なモノで
いずれもとり憑かれた人は、訳の解らない言葉を発したり
奇妙な行動を取ったりと、俗に言う「狐憑き」と呼ばれる状態になるのです。

361 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:33
「相手は解ったけど・・・でも、どうしてこいつらが
 しかも四体も同時に現れるなんて、考えなれないよ」

がきさんはそう言うと考え込んだ表情を浮かべていました。
確かにがきさんの言う通り、地方によっては同じモノとされている
怪物達ですが、実際には違うモノであり、今回の様に
同時に現れた記録は、私の知る限りではありませんでした。

「考えられなくても現実に起こってる事でしょ。
 それより今はあの人達からどうやって妖魔を引き離すかだよ」
「そうか、そうだよね。御祓いみたいな・・・・ん?」

私の言葉にがきさんが同調した時、私達はある事に気がついたのです。

「ちょっと待って・・・・御祓いったってどうするの?」

まこっちゃんいいます。
私達が気がついた事・・・・それは、M刑事で今回の様な事件に
対応できる人がいないと言う事です。
実際はまあ、何とか今回の様な事件の場合、上手く引き離していたのですが
少なくとも今いるメンバーの中でそう言った能力のある人間がいないのです。
いや、私がいないと思っていました。

362 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:33
「どうしよう?誰か応援呼ぶ?」

まこっちゃんの言葉に

「誰かって誰?こう言う場合の適任って誰?」

がきさんがこたえ、それに

「誰だろう・・・?矢口さん?加護ちゃん?」

私がこたえましたが矢口さんも、加護ちゃんも、ちょっと違う気がしました。

「あの・・・要するに、この飯綱とか言う妖魔を、あの人達から
 引き離せば良いわけですよね?だったら私できるかもしれません」

そう言って名乗り出たのは亀井ちゃんでした。

363 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:46
「大空に輝きし六連星よ、その大いなる力を我に貸し与えよ。昴、来来降臨!
 六字結界展開!」

亀井ちゃんの言葉と共に男の人達の頭上に六角形の光が現れ
その光が彼らを包みこみます。

「悪しきモノよその姿を現せ!」

亀井ちゃんが叫ぶと光は輝きを増しそこから四体の妖魔が姿を現したのです。

「よし!成功だ!こうなればこっちのもんだ、亀井、道重はあの人達を介抱して
 あさみちゃん、がきさん、田中、行くよ!」

まこっちゃんはそう言うと、妖魔に向かって走り出しました。

「お前たち!聞こえるか?我らはM刑事。この場所はお前達のいる場所ではない。
 素直に消えるか、それとも封印されるか、もしくは・・・我らと戦うか・・・」

私がそう言い終わらない内に、飯綱が襲い掛かってきます。

364 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:47
「上等!ならば清めるだけ!」

がきさんはそう言うと構えます。

「鷹爪針!」

がきさんの武器「鷹爪針」は書いて字の如く細身の針の様な武器で
それを敵に投げつけます。

「チェーンカッター!」

続いてまっこちゃんが攻撃をしかけます。
まこっちゃんの武器は特殊なチェーンでそれをカッターの様にして
相手を切り裂くのです。

「百手刀殺!」

私の武器は鉤爪。それを装備した拳で無数の突きを繰り出し
敵にダメージをあたえます。
そして田中ちゃんは・・・・・

「光よ!刃となれ!」

私は田中ちゃんが戦う姿を初めて見ました。
と言うより、この新人の能力を今日始めて目にしたのです

365 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:47
「光刃衝破!」

「光刃衝破」(こうじんしょうは)。田中ちゃんが見せた技は光の刃でした。
この刃がいくつかに別れ、敵を切り裂きます。

「凄い!田中ちゃん凄いよ!」

攻撃を見たがきさんがそう言うと、田中ちゃんは照れくさそうに笑いました。そこに

「ほら!よそ見しない!」

一瞬の隙をついた犬神に田中ちゃんがやられそうになると
それをまこっちゃんがフォローしました。

「ごめんなさい。ありがとうございます」
「いいから!ほら、来るよ!」

まこっちゃん、田中ちゃんが構える所に犬神と飯綱が突っ込みます
しかし2人がそれをかわすと、その二体は空中に逃げました。

「あー、こら逃げるな卑怯だぞ!」

いつの間にか他の二体も空に逃げています。
それは私達の攻撃が届かない高さでした。

366 :名無し狩人:2004/01/02(金) 00:38
人◎∀◎)つ<あけオメ&ことヨロ〜!!ついでに辻さん加護さん世界記録オメ!
       それでは新年一発目でございます。


攻撃が出来ない高さに逃げた敵・・・しかし奴らは知らなかったのです。
M刑事は空でも戦える事を・・・・

「ガルーダ飛行呪!」

敵が空に逃げた事を確認するとすぐにがきさんがそう叫びます。
虚空山の迦楼羅さん直伝「ガルーダ飛行呪」
これはがきさんの得意技の一つで独特の印を結ぶ事により
身体を空に浮かび上がらせる事ができるのです。

「がきさん、頼んだよ!」
「了解!任せなさい!」

まこっちゃんの声にがきさんは応えると、敵に向かって行きます。

「うわー・・・新垣さんは凄いですね」

傍にいた新人の3人は感心したように見上げています。
確かにこの飛行術はM刑事だとがきさんの他は、
資料課の里田さんしか使えません。3人が感心するのも解る様な気がしました。
なぜなら私だって使える様になりたいですからね。

367 :名無し狩人:2004/01/02(金) 00:38
「鷹嘴破!」

空中でがきさんが叫ぶと身体から気の塊が飛び出します。
その攻撃は飯綱に襲い掛かりましたが飯綱は素早くかわします。
しかしがきさんも負けてはいません。

「転!」

そう一言言うと、気の塊は反転してまたしても飯綱に襲い掛かりました。
その時です。

「光槍飛天衝!」

田中ちゃんの声が聞こえました。
見ると田中ちゃんの右腕から光の槍の様な物が空に向かって飛び出します。
それはがきさんの背後から襲い掛かる「おとら狐」に向かって行きました。

ドーン!!   バシュ!!

2人の攻撃は、ほぼ同時にそれぞれの妖魔を捕らえます。
飯綱は消え去り、おとら狐は地上に落ちてきました。

368 :名無しkariudo:2004/01/06(火) 02:11
「トドメだ」

私はそう言うと手にした武器で、おとら狐にとどめを刺します。
その直後、またしても上から声が聞こえてきました。

「鷹爪針乱れ撃ち!」

がきさんが手にした武器・鷹爪針を素早く敵に向かって投げつけ
投げつけた鷹爪針はおさき狐を見事に捕らえました。

「喰らえ!チェーンランス!」

がきさんに打ち落とされたおさき狐を、まこっちゃんのチェーンが襲います。
まこっちゃんの腕に装着されたチェーンは槍の様になり
おさき狐を貫きました。

369 :名無し狩人:2004/01/06(火) 02:13
人◎∀◎)つ<名前変換ミス!スマソ!

370 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:39
人;◎∀◎)つ<しまった・・・読み返したらここにはがきさんが
        いないことになってるぞ!とりあえず途中で合流した事に・・・


「残るは・・・・犬神か」

私は空を見上げました。空中ではがきさんと犬神が睨みあっています。

「まこっちゃん、こいつ実体がない!」

既に一度攻撃を仕掛けていたのでしょう。がきさんが言いました。
私とまこっちゃんは顔を見合わせ、辺りを見回します。
飯綱、おとら狐、おさき狐、そして犬神。
いずれも人にとり憑き奇怪な行動をさせる妖魔。そして実体の無い犬神。
どうやらこの事件には黒幕がいるようです。それも私達のすぐ近くに・・・・

「あはははは・・・・・あはははは・・・・」

何処からか笑い声が聞こえてきました。
すると

371 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:39
「そこだ!」

まこっちゃんが私達の後ろにある木に向かって、ナイフを投げつけます。

「あははははは・・・・M刑事・・・やっと気がついた様だね・・・」

見ると木の陰から不気味な女の人が姿を現しました。

「お前は・・・・妖術師か・・・・?」

私はその女に向かって言います。すると

「M刑事、これは警告だよ!あんた達は気がついていない様だからねぇ。
 もうすぐ新たな敵がやって来るんだ・・・・いやもう既に来てるかも知れない。
 我らが犬神一族は鼻が利くんだよ。奴らは強敵だ・・・・」

訳の解らない言葉に亀井ちゃんが言いました。

「奴ら・・・・?どう言う事?何が来るの?あなたはいったい・・・・?」

亀井ちゃんの質問に女は答えます

372 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:40
「奴らは、海の向こうからやって来る。そう・・・外敵だ・・・・
 我々日本の妖魔ですら太刀打ちできるかどうか・・・・・
 お前達が倒した主天童子が奴らの防波堤だった・・・・・
 だがそれが無くなり奴らは動き出した・・・・もうすぐやって来るぞ
 お前達にそれが止められるか?今日のはお前達の腕試しさ。
 だがその程度腕では奴らに勝てはしない・・・・M刑事どうする?」

女はそう言うとまたしても笑います。

「・・・・何がおかしい!だいたいお前は何者だ?
 それに・・・・敵が来るって、いったい何のつもりだ?」

まこっちゃんはそう言うと攻撃をするべく構えました。

「気が短い子だね・・・まったく・・・私は、犬神凶子。誇り高き犬神一族。
 そして奴らとは、海外の妖魔の事さ。奴らがこの日本にやって来る。
 私を信じるかどうかはお前達の自由。私の役目はそれだけだ。
 それでは、またお会いしましょう。ごきげんよう・・・・」
「あっ、待てぇぇぇ!」

がきさんが叫んだ時には犬神を名乗る女は消えていました。
いったい何が何やら、訳の解らない内に事件は終わったのです。

373 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:42
事件も終わり帰ろうとした時の事でした。

「こら、あんたたち!こんな所で何してるん?」

何処からか声が聞こえます。

「い・・稲葉さん・・・」

道重ちゃんが驚いた顔をして見つめる視線の先には・・・
M刑事本部司令室の稲葉さんが立っていました。

「あんたら寮に帰ったんちゃうの?」

稲葉さんは明らかに怒っています。
それもその筈、私達は本当なら今は寮で寝ている筈だったからです。

「まったく勝手しよってからに・・・しかも6人も・・・
 小川!紺野!新垣!あんたらは今後輩の指導してるんやろ?
 そやったら、ルールーは守ってもらわんと・・・」

そうなのです。私達は上司の許可を取らないで動いていたのです。
三夫さんの話を聞いた後勤務の交代があり、私達は非番になりました。
本来ならこの捜査は引継ぎするべき事だったのです。

374 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:42
「ごめんなさい・・・まさかこんな事になるとは思ってもいなかったから・・・」

私がそう言うと

「どうであろうと本来なら怒る所やな・・・・せやけど、うん今回は見逃したる。
 ずっと見てたで、なかなかやるやないか」

稲葉さんはそう言うと笑い出しました。

「稲葉さん、笑ってる場合じゃないですよ。大変なんです!」

笑っている稲葉さんにまこっちゃんが慌てた様に言いました。

「どないしたんや?」
「実はさっき、犬神って人が外国の妖魔が攻めてくるって・・・・」
「あはははは、その事か、それやったら聞いてたわ。ずっと見てた言うたやろ?
 犬神凶子か・・・・相変わらず訳の解らんやっちゃで・・・」

稲葉さんはまるで先程の犬神さんを知っている様な口調で言います。

375 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:43
「知ってるんですか?」
「まあね、けどあいつの言ってる事もあながち嘘じゃないみたいやね」
「どう言う事ですか?」
「これ見てみい!」

稲葉さんはそう言うと数枚の写真を取り出しました。

「これは・・・・?」

見ると見たこともない様な、妖魔が写っています。

「一枚目は今日圭織が仕留めた奴や、二枚目は石川が、
 それから他のは虚空山から送られて来たもんや!」
「こいつらは何ですか?見た事ないのばっかりですけど」

がきさんは不思議そうに写真を見つめていました。
写真に写っている妖魔は確かに今までに見たり戦ったり
もしくは資料で見た事あったりするモノとはまったく違っています。

「それが恐らく犬神の言った外敵言うやつやろ。もう既に来とるみたいやね」

稲葉さんの言葉に私は驚いていました。

376 :名無し娘。:2004/01/15(木) 21:02
「これからどうなるんですか?」

道重ちゃんは不安そうな顔で稲葉さんを見つめます。
そんな道重ちゃんに稲葉さんは言いました。

「そら悪さすれば戦うしかないやろな。現に今日も圭織と石川が戦った訳やし」
「でも犬神さんは私達じゃ勝てないって・・・」
「はははは・・・道重あんたおもろいな、こう言っちゃ失礼かも解らんけど
 小川・紺野・新垣と本気で戦ったってうちは負けるつもりは無いで」

流石にこの言葉にはカチンと来ましたが、確かに3人が束になった所で
稲葉さんに勝てるかどうか・・・自信はありませんでした。

「まあ、そう言う事だ。道重ちゃん、M刑事は負けないよ」

まこっちゃんは先程の稲葉さんの言葉を気にしていない様で笑っています。
道重ちゃんも頷くと笑顔に戻りました。

「さてと、うちはあんたらを迎えに来たんや。スマンけど本部に戻るで」

稲葉さんはそう言うとさっさと行ってしまいます。
理由の説明もないまま私達は本部に戻りました。

377 :名無し娘。:2004/01/15(木) 21:02
「やっと来たか・・・まったく携帯の電源位入れとけや!」

本部に戻るなり、中澤さんのお説教が始まります。
今回は私達の勝手な行動だったので何も言えませんでした。

「お説教はこのくらいにしてやな、本題に入るで。もうみんな知っとるとは
 思うけど、何や訳の解らん連中が我国に侵入しつつある。
 これが人間やったらええんやけど、どうもうちらが取り締まらな
 アカン連中みたいやねん。外国の妖魔が日本を攻めるて・・・
 まったく鬼太郎やないんやから勘弁して欲しい所やけどそうもイカン。
 よってこれより特別体制でこれに当たる事になった。
 M刑事各分室及び、虚空山との連携になるとは思うけど
 みんなには頑張って欲しい。以上や!」

これからまた新たな戦いがはじまりそうです。
その事についてはまた今度お話したいと思います。 



              娘。戦記
         【邪悪狩人M刑事・頃の章】   終了!

378 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:06
人◎∀◎)つ<娘。戦記 新章です  

http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1062147283/344-354

人◎∀◎)つ<まずは上記のプロローグをご覧下さい。

379 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:06
            娘。戦記
             「矢口真里の戦場レポート」

私の名は矢口真里。孤高のフリージャーナリストである・・・
と言えば格好は良いが、平たく言えば貧乏カメラマンなのだ。
今、私は中東の国アスガラフタン、通称アスガンにいる。
半年前の豪華客船「プレジデントワトソン」爆破事件の報復として
軍事大国カメリアがこの国に戦争を仕掛け、その取材に来ているのだ。

正直言って戦争の取材は、今回が初めてである。
こんな素人にも近い私は、無謀にも単身でこの取材に挑もうとしていた。
そしてこの考えはあまりにも無謀であった事は、充分身に染みて解った。
もしあのまま1人でいたら今頃私は、良くて無一文、悪くて砂漠の砂に消えていたであろう。
そんな私がなぜ今まで無事でいられたのか、それは約二週間前の出会いがあったからだ。

この国に潜入する前に、私はお隣の国タジギリスンのドンシャリバンにいた。
このドンシャリバンにあるアスガン大使館の前で、偶然にも過去の戦友である
アニバーサル通信の大谷マサオ記者に出会ったのだ。
大谷記者の名はTVなどで、見たり聞いたりした事がある人もいるかもしれない。
アニバーサル通信と言えば、世界各国に支局を置く日本でも有数の通信社である。
その大谷記者に、今回の私の計画がいかに無謀であったかを思い知らされた。
しかし、それ位で諦める私ではない。大谷記者を持っていたタバコで買収し
見事に助手の座に納まったのである。・・・・しかしこれは後に後悔にもなった・・・
そしてスッタモンダの挙句にやっとアスガンに潜入した私と大谷記者は
アスガンの北の町、フェイサンバハダに来ていた。

380 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:07
「ここからは陸路で首都タベミールを目指す」

大谷記者はそう言うと車とガイドを捜し始めた。

「タベミールまでどれ位なんですか?」
「アホ!それ位調べてから来い!どれ位かかるかなんて解るか!」

大谷記者はそう言うと地図を投げてよこした。
私は渡された地図を広げると絶句した。
大谷記者がつけたのであろうルートの記しをたどると
途中で等高線がやたら込み合っている。その標高ざっと4000M。
富士山より高い所を進もうと言うのか・・・・
私は地図を返すと黙って大谷記者の後について行った。

「車はやっぱり日本製が良いな・・・おっ!」

大谷記者はそう呟くと一台の車に走って行く。
そこにはTOYOTAのハイラックスが止まっている。
大谷記者は傍にいた運ちゃんらしき人物と交渉を始めていた。
少しすると大谷記者が手招きをする。私が走って行くと

「駄目だ、いまいち話が通じない。矢口、どっかで通訳見つけて来い!」

大谷記者の命令は絶対である。なにせ助手と言う名のしもべなのだから・・・

381 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:07
通訳と言われてもどうしたら良いのか・・・
優秀な通訳など、トウの昔に売り切れである。
後に残っているのは中学生程度の英語が出来る奴らだけである。
そのくせ奴らは一日100ドルよこせなどと戯けた事をぬかし
イライラが募るばかりであった。そんな時である・・・

「お姉しゃん、通訳探すれすか?」

なんと片言ではあるが、日本語で話し掛ける奴が現れた。
見た目は中学生位であろうか?しかも女の子である。

「あなた日本語解るの?」
「少し解るれす」
「英語は?」
「OKれす」

話を聞くとガイド料を含め、料金は300ドルで良いとの事。
しかも一日ではなく、別れるまでの料金だと言う。
話は決まった。私はこの少女を連れ、大谷記者の所に戻った。

382 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:08
「大谷さん、ガイド見つかったよ!」
「お、早かったな・・・ってなんだそのガキは?」
「なんだって・・・ガイドですよ。見た目は子供だけど日本語も解るって・・・」

大谷さんは疑いの視線を投げかけながらも、その少女に交渉を任せた。

「何処行くれすか?」
「!?・・・・ジャボシラ・・・・」

少女の日本語に大谷さんは驚きながらも目的地を伝える。
ジャボシラはここから山脈を越えて最初の大きな町である。
少女はその言葉を聞くと運ちゃんと話を始めた。

「・・・・ジャボシラ、1500ドルれす!」
「もっと安くならない?」
「安く・・・・?」
「プライスダウン」

少女は頷くとまた話をしている。しかし運ちゃんは首を横に振った。
その意味は世界各国何処でもほぼ同じであろう。
私は安くはならないと思った。

383 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:08
「・・・ダウン駄目れす。オール1500ドルれす」

どうやら運ちゃん達の間で談合でも行われているのであろう。
誰を雇っても1500ドルは変わらないとの事であった。

「仕方ないな・・・矢口お前500ドル出せよ」

大谷記者の言葉に私は素直に頷く。1000ドルは大谷記者持ちである。

「でもそれだけじゃ悪いですから、おいらこの子のガイド代も出しますよ」
「当たり前だろ、お前が雇ったんだから・・・」
「えっ・・・・?」

大谷記者はそう言って笑った。どうやらこいつは最初からガイド代を
私に出させるつもりでいたらしい・・・・

「んじゃ、荷物積み込んで・・・・そうだ!あなた名前は?」
「ノノンれす」

384 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
少女はノノンと名乗った。この国ではこの位の女の子でも
働かないといけないらしい。しかもこれから何日かかるか解らない行程を
私達と一緒に行くのである。それを考えると少し寂しかった。
荷物を積み終え、いざ出発と思っていたら、運ちゃんがまだ必要な物があると
出かけて行った。少し空き時間の出来た私はノノンと買い物に出かける。
マーケットで帽子とスカーフを買う。
いくらかでも砂埃の対策になればと思っての事だ。
ノノンは防寒服とやはり帽子を買っていた。
ガイド料の一部を先に渡していたので、それで買ったらしい。
私は大谷記者に止められていたが、スカーフを彼女に買ってあげた。

「大谷さんには内緒だぞ!」
「どうもれす」

ノノンは嬉しそうにスカーフを首に巻く。
マーケットの帰り道、ノノンに色々聞いた。

385 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
「あなた何処で日本語覚えたの?」
「前、来たお姉しゃん・・・レクチャーれす」
「・・・?ああ、前に来た誰かに習ったのね。名前覚えてる?」
「・・・アヤカしゃん」
「!?・・・アヤカ・・・女の人?カメラマンの・・」
「YESれす。また来る、ノノン待ってた。アヤカしゃん来ない。
 来ないから矢口しゃん手伝う」

なんと、ノノンは木村さんから日本語を習っていた様である。
前回何が目的で来たのかは解らないが、滞在時間は長くなかった筈である。
その間にノノンはこれだけの言葉を覚えたのだ。凄い・・・・

運ちゃんが戻って来た。いよいよ出発である。
ノノンは助手席に乗り込み。私と大谷記者は後ろに座る。
しかし今回は運が良いと言えるだろう。車はハイラックスサーフ。
荷物も車内に収まる車である。
本当ならランクル辺りが一番良いがこの際もんくは言わないでおく。
なぜなら一緒に出発した他の国のジャーナリスト達がチャーターした車は
良くてハイラックスのピックアップ、酷いのになると何処製かも解らない
怪しげな4WDなのである。
私達のサーフは快調に走り出した。
まだそれ程古くないのか、調子は良さそうだ。
しかしよく見ると走行距離は15万キロ、インパネにオートバックスのシールが・・・
明らかに出所の良くない車に思えた。しかしこうして今私達の役に立っている。
日本の被害者も自分の車がこうして日本人の役に立っているのなら
まだ諦めが・・・つかないか・・・・

386 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
「矢口、お前高い山とか大丈夫か?」

大谷記者が聞いて来た。

「へ・・?富士山には登った事ありますけどそれ程酷くはならなかったです」
「そうか・・・でもこれから行く所はそれ以上の標高だぞ。
 恐らく酸素も薄くなる。頑張れよ」

頑張れよと言われても、何を頑張ったら良いのやら・・・・
とにかく私は頷いて見せた。

暫く車で走ると大きな湖が見えて来た。
何とものどかな光景である。車内から景色を眺め、しばしの気休めだ。
湖が見えなくなるとそこからは頂上まで上りである。
車は道では無い様な場所を進む。
車内で荷物があばれ、大谷記者は天井に頭をぶつけていた。
幸い、私とノノンは背が低いのでゆれてもそこまではいかない。
大谷記者の恨めしそうな視線が面白かった。

387 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:58
人◎∀◎)つ<石川さんオメ〜!!

車内の皆がほぼ無言で車は進む。喋ったら間違いなく舌をかむ。
車道・・とはとても呼べた代物ではない道である。
更にすぐ脇は断崖絶壁とでも言ったら良いのか・・・深い谷が続く・・・

砂埃が車のラジエータを襲う。ほぼローギアで進む車はたちまち水温が上がった。
オーバーヒートを防ぐ為に、車を定期的に休ませる。なのでちとっも進まない。
止まるたびに運ちゃんは黙々とラジエータに水を足し、コアを掃除する。
更に時々エアクリーナを開けると物凄い誇りが舞った。
マーケットでスカーフを買ってきて正解であった。
砂避けのマスクとして大いに役に立ったのである。

「矢口しゃん、何処で寝るれすか?」
「そうだなぁ・・・大谷さんどうします?」
「ホテルなんて・・・・ないよなぁ・・・ノノン何処か休める所はあるのか?」

既に大分日も落ちて来ていた。
ノノンが今日の宿はどうするのか聞いてくる。
しかしこんな所にホテルなんてある訳が無い。
大谷記者が聞くとノノンは運ちゃんと話を始めた。

388 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:58
「この先、村があるれす」
「あとどの位?」

ノノンが運ちゃんを見る。運ちゃんは指を4本立てた。

「四時間れす」
「マジで・・?参ったなぁ・・・」
「仕方ないさ、矢口ここまで来たら運ちゃんに任せよう。
 運ちゃんを信じるしかないからな」

大谷記者がそう言うと運ちゃんが合図をした。
整備が終わった様だ。大谷記者はノノンに後ろに乗るように言った。
助手席に乗り込んだ大谷記者は、シートベルトをするとシートを倒し横になった。

「これで頭もぶつけないだろう。あまり無茶したらはげるからな・・・」

大谷記者は頭を撫でながらこう言った。
道無き道を進む。既に車は悲鳴を上げているに違いない。
さっきの場所から少し走った所でまたしても車は止まった。

389 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:59
「今度はなに?」

車から降りると私は聞いた。運ちゃんは黙ってボンネットを開ける。
何やらゴムの焼けた匂いが漂ってきた。
見るとファンベルトがズタズタになっている。更に右前タイヤがパンクをしていた。

「あちゃー・・・こりゃ大変だなぁ・・・・」

さてどうしたものか・・・ファンベルトが切れてしまっては
どうにもならないではないか・・・・私が焦っていると

「おい、矢口邪魔だ!」

大谷記者がジャッキとレンチを持って立っていた。

「タイヤ交換するから手伝え!」

大谷記者はそう言うと荷台を指差す。
見ると運ちゃんがファンベルトとスペアタイヤを降ろしている所であった。

390 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:59
「随分用意が良いんだなぁ・・・」
「感心してないでタイヤ持って来い!」
「了解!」

こうして運ちゃんはベルト交換、私達はタイヤ交換・・・・
こんな所に整備工場などあるはずも無い。
整備は全て自分達の手でやらなければならないのである。

「適当な石をリヤタイヤの後ろに置いて輪留めだ!・・・
 クソッ・・・このボルト・・・緩まねーじゃねーか!」

大谷記者の指示で私とノノンは手頃な大きさの石で輪留めをした。
大谷記者がエンジンルームで作業している運ちゃんに何やら言っている。

「おいノノン、運ちゃんにジャッキUPするって言ってくれ!」

ノノンが運ちゃんの所に行って話をすると運ちゃんが頷く。

「・・・・場所が悪いな・・・・慎重に・・・・」

運ちゃんは比較的平らな場所に車を止めていたのだが多少の傾斜があった。
ジャッキUPは慎重にやらなくては車体のバランスが崩れる。
そんな中でも大谷記者は手際良くタイヤを交換していた。
更に暫くすると運ちゃんの方の作業も終わった様だ。
これでやっと出発できる。辺りは既に暗くなっていた

391 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:51
標高もだいぶ高くなって来た様である。多少息苦しい。
日が落ちた途端に気温が一気に下がる。車のヒーターが壊れているのか
車内もそれ程暖かくはない。

「ノノン、まだ着かないの?」
「あと少しれす」

ノノンがそう言ってから暫くすると、ヘッドライトの光が数台の車を映し出した。

「やっと着いたか、今日はここで一泊だね」

村に着くと数件の小屋の様な物が並んでいた。
どうやらここの住人の家の様だ。
車を停め外に出ると寒さが一気に体温を奪う。

「うわ、寒っ!」

外気は氷点下に近いのであろう。問題はどうやって眠るかである

392 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:52
「どっか泊めてくれるとこないですかね」
「ある訳ないだろ。今夜はお前達は車の中で寝るんだ。俺は外に寝る」

大谷記者はそう言うと荷物の中から簡易テントを取り出した。
よく周りを見渡せばいくつかテントらしき物が見えた。
ここまでたどり着いた同業者達が設営した物であろう。

「食事、どうします?」
「何か食う物持ってないのか?」
「缶詰でいいですか?」
「ああ・・・」

大谷記者はそう言うとテント設営のを始めた。
私は荷物の中から缶詰と、乾パンを取り出すと食事の準備をする。

「ノノンは・・・食べる物なんか持ってないよね?」

その言葉にノノンは頷く。仕方がない、私は自分と大谷記者の分の他に
ノノンと運ちゃんの分の食事も準備した。

393 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:52
「ごめんなさい、ノノン何も持ってない。矢口しゃん大丈夫?」

缶詰と乾パンを手渡すとノノンがすまなそうな顔で言う。

「大丈夫だよ。それにノノンが元気じゃないとこっちが困るからね」

そう言って私は笑う。その後運ちゃんにも食べ物を渡したのだが
運ちゃんは何も言わずに受け取ると黙ってそれを口に運んだ。
それにしてもこのおっさんは、まったく無愛想である。
必要以外の事は一言も口をきかないのである。

食事が終わると一気に疲れが出てきた。
私は寝袋を出すとリヤシートに広げる。背が低いとこんな所で便利なのだ。
大谷記者は寝袋を持ってさっさとテントに歩いて行った。
流石の大谷記者も疲れている様子である。
ノノンと運ちゃんも前の席でシートを倒すと横になった。
運ちゃんとノノンに持っていたブランケットを渡す。
2人ともそれを身体にかけると眠りに就いた。
私も疲れきっていた様だ。それ以降の事は覚えていなかった。

394 :名無し狩人:2004/01/22(木) 22:46
人の話し声で目が覚めた。寝袋から出ると寒さが身に凍みる。
車のドアを開け外に出ると寒いが非常に気持ちが良かった。
昨日はあった目眩の様な物が今日はない。高さにも身体が慣れた様だ。

「さて、今日も一日頑張りますか」

気合を入れて大谷記者を起こしに行った。

「おはようございますぅ」

テントの中に呼びかけると、眠そうな声で答えが返って来た。
昨日ここに泊まった他の連中も動き始めている。
既に出発の仕度を整えているチームもあった。
ここでふと疑問が生じた。皆起きるとさっさと身支度をして
出発しようとしているのだ。近くには小さな小川が流れている。
誰か1人くらい顔を洗うなりの行動を取っても良さそうな物である。
そう思いながら私は小川の水に手を突っ込んだ。
次の瞬間、身体に衝撃が走る。冷たいなんて物ではない。
冷たいを通り越して痛いのである。

「お前、何してんの?」

後ろから大谷記者が声をかけて来た。

395 :名無し狩人:2004/01/22(木) 22:47
「顔でも洗おうかと思って・・・・」
「ここの水で・・・?お前は修行僧か?」

あまりにも冷たい水は顔を洗う気力を無くさせる。
なるほど、誰も水を使わないわけだ。

「なんか食べます?」
「んー・・・今はいいだろう。それより出発の準備だ。
 ノノンも運ちゃんも起きたぞ。お前も仕度しろ」

大谷記者はそう言うとテントの撤収を始めた。
私も寝袋とブランケットをしまうと大谷記者を手伝った。

「さて、それじゃ行きますか」

出発の準備も終わり、私達のチームも出発する。
既に他のチームは出発していて、私達のチームが一番最後であった。

再び山道をひた走る。頂上までまだまだかかりそうだ。
私はバックからチョコレートを取り出すと口に入れる。
大谷記者、ノノン、そして運ちゃんにも配る。朝食はこの程度であった。
ところでこの山道は時々牛車の様な物とすれ違う事がある。
何処かのどかな風景でもあるが、一体彼らは何を運んでいるのだろうか?
そして何よりどうやってこの山中で夜を過ごしているのか?
昨日の夜はかなり寒かった。そんな中どうやって・・・・
考えればこの国は戦争中である。住人が何故これほど平和に見えるのか?
確かにこの辺りはアスガンでも穏健な民族が住んでいる場所である。
過激派ガルーダの人間が首都に近い場所にいるとはいえ、
これほどのどかなのは何だか不思議であった。

396 :名無し娘。:2004/01/23(金) 00:34
おお新しい話が始まってる!
どういう話になるか分かんないんで楽しみ

397 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:34
頂上に近づくにつれて道の傾斜も厳しくなる。車もとうとう限界を迎えた。

「矢口、降りて押すぞ!ノノン、お前も手伝えるか?」

大谷記者がそう言うと私とノノンは頷き、3人で車を降りる。
唸りを上げる車の後ろを3人で押すが、あまり前に進まない。
それでも必死になって車を押す。すぐに息が上がってきた。
慣れたとは言えやはり空気が薄いのだ、少しでも身体を動かすと辛いのである。

「頑張れ!もう少しだ!」

大谷記者の声に前を見ると道の傾斜が緩くなっている。
運ちゃんの話によれば、あそこまで行けばなんとかなるらしい。

「矢口しゃん、頑張る!」

ノノンは小さい身体ながらも結構力がある様だ。
更に地元なので高地にも強い。本当に頼りになるやつだ。
やっとの思いで車を押し上げる。私はその瞬間地べたに座り込んでしまった。

398 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:35
「お疲れ!大丈夫か?」

大谷記者も肩で息をしている。相当辛いのだろう。
それに比べてノノンは元気だった。水筒を持って水を汲みに行ってくれたのだ。

「矢口しゃん、水!」

ノノンに差し出された水を一気に飲み干す。
冷たい雪解け水が身体に染み渡る。本物のミネラルウォーターだ。

「ありがとう。だいぶ楽になったよ」

私はノノンそう言うと立ち上がった。

「ここらで何か食べるか・・・」

既に時間は昼を過ぎている。大谷記者がバックから食べ物を出してきた。

399 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:35
「おい、ノノン、運ちゃん呼んで来い。一緒に食べよう」

大谷記者がそう言うとノノンが運ちゃんを連れて来た。
そこで私は運ちゃんの様子がおかしい事に気が付く。
元々厳しい表情が余計に厳しくなっている。

「ねえ、ノノン、運ちゃんどうかしたの?」

私の横でビスケットを頬張っていたノノンは運ちゃんを見た。

「運ちゃん変?解らない。聞く」

少し離れた所で食事をしていた運ちゃんにノノンが駆け寄る。
2人は何かを話していた。そして暫くするとノノンは運ちゃんと
こちらにやって来た。

「矢口しゃん、大丈夫運ちゃんに説明する」

ノノンはそう言うと説明を始めた。どうやら運ちゃんは私や大谷記者の
行動を疑っていた様なのだ。前に同じ様にジャーナリストを乗せ
この道を進んだ時に、彼は今回と同じ様に食べ物を雇い主から
分けて貰っていた。しかし、現場に着くと約束の金額が貰えず
問いただすと、途中で渡した食料分を引いたと言われたらしい。
まったくクズは何処にでもいるの物だ。
私は運ちゃんにちゃんと約束のお金を払う事を伝えた。
今渡した食べ物はサービスであるとも言ったのだ。
ノノンがその事を伝えると運ちゃんは黙って頷き
今度は近くに腰を下ろして食事の続きを口に運んでいた。

400 :名無し娘。:2004/01/27(火) 17:18
( ´ Д `)<400・・・がんばってねぇ

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