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小説?『娘。戦記』
- 1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
- 【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。
管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。
- 53 :名無し娘。:2003/09/13(土) 01:10
- 乙です。
毎日がんばるなぁ、根詰めすぎないでくれい。
- 54 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:31
- ( ●´ー`)<続きだべ!
「今日はアカンかったな。あちこち回ったけど大した収穫もあらへんかった」
「そうだね、これじゃあ赤字だよ・・・・ん?」
「どうしたん?」
「見てあれ!」
そんな会話をしていた2人の視界に何やら飛び込んで来た。
「あれは・・・・戦闘機のシートか?やりぃ、バーニアがついとるやん」
2人の乗る船の前に浮かんでいたのは戦闘機のシートであった。
バーニアとは移動用のジェット推進器の事であり、
緊急脱出を図ったパイロットがその後シートに座ったまま移動出来る用に
取り付けられている物でこの装置がついているシートは高く売れるのだ。
「お宝、お宝・・・早速回収や!」
2人はそう言うと船体に取り付けられたアームを操作しシートを回収する。
「やったね、今日はツイテルぞ」
大喜びで2人は現場を後にした。
- 55 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:31
- 「えっ?もう一度おねがいします」
「ですから、もうこの空域は捜し尽くしました」
辻遭難から丸一日が経とうとしていた。
捜索隊による懸命の捜索にも関わらず辻の消息は不明であった。
つい先程アレスに捜索打ち切りの連絡が入って来たのである。
「中澤さん・・・・」
連絡を受けた斉藤が中澤を見る。
「アレスの中澤です・・・了解しました。皆さんのお力添えに感謝します」
中澤はそう言うと捜索隊との通信を終える。
「裕ちゃん・・・・ののは・・・ののは見つかったの?」
既に休息を終えた飯田が中澤にしがみついた。
- 56 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:32
- 「圭織・・・・残念やけど・・・・・」
「そんな・・・・私やだよぅ・・・・そんなのやだよぅ・・・」
「仕方ない・・・・辻かて軍人や、それ位の覚悟は出来とった筈や」
「わあぁぁぁぁぁ!!!」
辻の生存が絶望視された今、飯田はその場に崩れ落ちた。
「嘘だ・・・・辻が・・・・」
「のの・・・・嘘やろ・・・・」
その場にいたマルス1のメンバーは信じられないと言った表情を浮かべる。
マルス1のマスコット的存在であった辻がいなくなってしまった。
特に飯田は辻を実の妹の様に可愛がっていたので
そのショックは計り知れない。
「とにかくみんな落ち着くんや・・・といっても無理やな・・・・
柴田、圭織を部屋に連れて行ってや」
「了解!」
中澤の指示に柴田は席を立つと飯田と一緒に司令室を出て行った。
- 57 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:32
- 「圭織にはショックが大きすぎるな。しばらくは・・なっち頼んだで!」
中澤がそう言って指名したのは「安倍なつみ」
このアレスに配備されているマルス級戦闘艦の二番艦
「マルス2」の艦長で階級は飯田と同じ少佐である。
安倍もまた辻の事ではショックを受けていた。
だが飯田よりは落ち着きを保っていたのである。
「了解しました。みんな大丈夫?」
安倍はそう言うと後ろを振り返る。
後ろにはマルス2のメンバーが控えている。
メンバーはショックを受けながらも、安倍の言葉に大きく頷くのであった。
- 58 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:38
- >>53
何と言ったら良いか。このペースが染み付いている様です。
毎日の気晴らしにもなるので無理はないですよ。
- 59 :名無し娘。:2003/09/14(日) 13:13
- 頼もしいねぇ。更新乙。
- 60 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:29
- 「保田さん、どうですか?」
「うん、良いよ。反応速度が上がったって言うのかな?
自分の思う様に動いてくれるね」
辻の訃報を受けた翌日の事である、アレスのまわりを
一機の戦闘機が飛んでいた。
乗り込んでいるのはマルス2艦載機隊「レッド」のリーダー
保田圭大尉である。
保田は前から整備班に自分の愛機「ケメンダヤス」の
反応速度が速くならないか相談していた。
反応速度とは・・・操縦桿を操作してから実際に機体が
アクションを起こすまでのタイムラグの事である。
「良かった。ダイレクトコントロールが、上手く働いてくれてるみたいですね」
「えっ?テストはしたんでしょ?」
「いいえ、今の飛行が始めてですよ」
- 61 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:30
- 保田と会話をしているのはアレス戦闘艦ドックのメカニック、大谷雅恵中尉。
大谷は昨日新しく導入されたユニット「ダイレクトコントロール」を
保田の機体に取り付けそれをテストしているのである。
「なんだよ、私は実験台かよ」
「だって、早く試したいって言ったのは保田さんですよ。だから一番に・・・」
「そりゃそうだけど・・・」
「大丈夫、私よりはるかに優秀なエンジニアが開発した物ですよ。
それに保田さんの腕を信頼しているからこそお願いしたんですから」
「ダイレクトコントロール」・・・このユニットは連邦軍の兵器開発部門で
開発された物で、戦闘機の反応速度を向上させる新機能である。
- 62 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:30
- 「成果は上々、充分使えるよ」
「それじゃあそれで前からの課題はクリアって事で良いですか?」
「OK、期待以上の仕上がりだよ」
「そうですか・・・・」
「ん?どうした大谷?」
「いえ・・・・これがせめてあと二日早く届いていれば・・・・」
「大谷!どんな事でもタラレバは無い!私達の仕事は今できる事を
精一杯やる!そうでしょ?」
「はい、スイマセン!」
大谷が何を考えていたのか保田はすぐに理解した。
あと二日早くこのユニットが届いていれば・・・・
そんな大谷の悔しい思いが保田には痛いほど解った。
なぜならそれは保田も同じだからである。
- 63 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:34
- 川’ー’川 オメ!
川o・o・)<ハッピバースデー!
- 64 :名無し狩人:2003/09/14(日) 23:36
- また名前間違えました・・・・・ 川o・д・)<ダァァァァァ!!
- 65 :名無し狩人:2003/09/15(月) 23:59
- 「もう戻るよ、データは取れた?」
「はい、充分です」
アレスに戻った保田、機体から降りると大谷の肩に手を置いた。
「最高の技術で最高の状態に・・・ね!」
「はい、今私に出来る事はみんなの機体をそしてマルスを
最高の状態で送り出す事ですね」
大谷の言葉に小さく頷いた保田はエレベーターの方へ歩き出す。
「ありがとうございました!」
後姿の保田に大谷はこう言ってお辞儀をする。
保田はそれに応える様に軽く右手を上げた。
司令室に戻った保田は自分の席に座る飯田を見つけた。
- 66 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:00
- 「圭織、少しは落ち着いた?」
「・・・ごめん、心配かけて・・・・でも・・・もう大丈夫だよ。
ののは生きてる、絶対・・・・」
「当たり前じゃない。辻が見つからないって事は何処かで
生きてるって事だよ。そのうち連絡もあるでしょ」
この慰めにも似た保田の言葉。
だがあながちテキトーに出た言葉でもない。
それは保田が心の隅で思っている事でもあるのだ。
「そうだよね、うん。辻はきっと帰ってくる」
保田の言葉に元気付けられた飯田はやっと笑顔を見せた。
2人の祈り・・・いや、マルス隊、そして辻に関わった全ての人間の祈り。
その祈りは神に通じたのあろうか・・・・
- 67 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:00
- 話は二週間後に飛ぶ。
「こんにちはー!」
「まいどー!」
「お腹すいたー!」
地球と火星の間に浮かぶ民間ドック「ハーモニー」
ここはその中にある一軒の小さな喫茶店「E−ジャン」
そこの女主人は3人の来店客を笑顔で出迎えた。
「お久しぶりですね、平家さん、稲葉さん。
そちらの方は?新しいお仲間ですか?」
女主人の名は「ソン・ソニン」。ソニンは今しがた店にやってきた
客とは馴染みの様である。
- 68 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:01
- 「いや・・・仲間って言うか、拾い物って言うか・・・」
「実は最近ゲットしたお宝にくっ付いとってな・・・捨てる訳にもいかんし
なんや記憶喪失みたいやし、仕方ないから一緒におんねん」
そう言ったのは「平家みちよ」と「稲葉貴子」
この2人は勿論小型貨物船「ナノニイーコ号」の乗員である。
その2人が最近ゲットしたお宝と言えば・・・
マルス1の戦いがあった現場で手に入れたバーニア付きのシート。
そのシートは戦闘機の物であった。
そしてそのシートに付いて来たおまけ・・・・
話はまた二週間前に戻る・・・・(あーややこしい)
- 69 :名無し娘。:2003/09/16(火) 00:19
- 毎日更新乙です。
- 70 :名無し狩人:2003/09/16(火) 23:42
- 川σ_σ||今日はお休みです。
- 71 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:16
- お宝を回収した平家と稲葉。2人の乗るナノニイーコ号は
地球圏を目指し発進する。
「さてと、後は途中でどれくらいお宝を見つけられるかやな」
「そうだね。あのシートとここまで集めた物を足しても
必要経費くらいにしかならないかな」
赤字は免れたが儲けを出す為にはまだ足りない様である。
2人はこれからの航程で他にも売れる物を見つける為
休む事にした。
「オートパイロット作動」
平家は操縦をオートパイロットに切り替えると稲葉と2人眠りに就く。
どれくらい時間が経ったであろうか?稲葉は物音で目を覚ました。
- 72 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:17
- (ドン!ドンドン!開けろー!ドン!)
「何や!・・みっちゃん、起きてや!オバケや、オバケがおる!」
「何?どうしたの?」
稲葉に叩き起こされた平家はそこでやっと船内に響く音に気がついた。
(ドン!開けろー。ドンドン!)
「オバケや、オバケが貨物室におるんや!」
「うそ!・・・でも・・・声も聞こえるし、夢じゃないね」
「そうやろ。この船にはうちらしかおらんのやで、オバケや!」
「オバケって・・・・でも誰かいる事は確かみたい。開けてみようか」
「いやや、怖い!」
「そんなこと言ったて仕方ないでしょ」
- 73 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:17
- いつの間に入り込んだのか、ナノニイーコ号の貨物室に
人が入り込んでいる様である。
「あっちゃん、銃は?私が貨物室の扉を開けるから
もしおかしな奴ならお願いね」
「ああ、解った。でもすぐに閉められる様にしといてや」
覚悟を決めた2人、平家は貨物室の開閉ボタン押した。
「うわぁ!」
扉の開いた貨物室から1人の女の子が飛び出してくる。
稲葉は銃を構えると叫んだ。
- 74 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:18
- 「動くな!いや、そのままゆっくりと顔を上げろ!」
出てきた女の子はその場に転んでいたが稲葉の言葉を聞くと
ゆっくりと顔を上げながら言った。
「・・・・ここ何処?あんた誰?」
「はぁ?何言ってるの?こっちが聞きたいよ。
貴女こそ誰?この船にいつ忍び込んだの?」
女の子の言葉に平家は少しキレ気味に言った。
「・・・・わかんない。思い出せないよ。
気がついたらあの椅子に座ってた・・・・ねえ、ここ何処なの?」
女の子はそう言って今まで自分が座っていたと言う椅子を指差した。
その椅子とは、あの戦場で拾ったシートである。
どうやら女の子はそのシートが装着されていた戦闘機のパイロットの様だ。
平家と稲葉はこの小柄な女の子が座っている事に気がつかずに
シートを回収したのである。
- 75 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:12
- 「まいったなぁ。パイロットがおったとは気がつかんかった。
みっちゃんどうする?」
「どうするって・・・ここに置いてく訳にもいかないでしょ。貴女名前は?」
平家は女の子に聞いた。
「だから、解んないの」
「へっ?どう言うこっちゃ」
「貴女ひょっとして・・・・記憶がないの?」
「うん」
どうやらこの女の子は記憶喪失の様である。
自分が何者なのか思い出せないでいた。
- 76 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:12
- 「困ったなぁ・・・。それじゃあ、送っていくって訳にもいかないし
このパイロットスーツは、連邦軍かな?でも見たことないなぁ」
平家は女の子の着ていたパイロットスーツを見たが
それだけでは女の子が何処の所属なのか解らなかった。
なぜなら、もう既にお気付きだろうとは思うがこの女の子こそ
行方不明になっている、イエロー3こと辻希美である。
辻は一般の連邦軍人が着ているパイロットスーツとは
違うデザインのスーツを着用していた。
これはマルス隊のパイロット全てがそうなのだが
試験的に好きなデザインのスーツの着用が許されているのである。
「何か手がかりになる物があれば良いんだけど・・・・
何もないか・・・ん?これは・・・」
- 77 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:13
- そう言って平家が見つけた物は辻の胸のワッペンに記されていた
「NON」の文字。
本来「NONO]と入っていたのだがそれは階級章や
所属の記されたワッペンと一緒に脱出時の爆発で
何処かに飛ばされてしまったのだ。
「ノン・・・か。でもこれはたぶん名前だなぁ。
これだけじゃ貴女の所属は解らないわね」
「そうなの?どうしよう?」
「お前、記憶が無い割にはのんきやな」
「わかんない物はしょうがないじゃん。悩んだって意味無いでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・・」
辻のあっけらかんとして態度に2人は思わず笑い出した。
- 78 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:14
- 「仕方ない、思い出すまで一緒に連れて行こう」
「それしかないな。そんじゃ、何て呼んだらええかな?」
「ノンで良いよ。ここに書いてあるし」
辻はそう言うと自分の胸を指差した。
こうして辻は平家、稲葉と行動を共にする事になったのだが
かなりの我がままぶりを発揮した。
しかしそこは元々アレスでもマスコット的存在であった辻の事
2人はたいしたモンクも言わないでいた。
はたして辻の記憶は戻るのか?
話はまたまた二週間後に戻る (あー本当にややこしい)
- 79 :名無し娘。:2003/09/19(金) 00:28
- 定期乙。
特殊なデザインなら、逆に一発でマルスだってわかったりして・・・
- 80 :名無し娘。:2003/09/19(金) 05:04
- 更新乙です
辻のん気杉w
>>79
敵(って言っていいのかな?)も同じ事してたらどうなんだろう
とかそのレス見て思った
勢力図が分かんないとどうとも言えないけど
- 81 :名無し娘。:2003/09/19(金) 15:46
- 某公国軍なんか改造軍服だらけだぞw
- 82 :名無し娘。:2003/09/19(金) 16:24
- 敵は軍隊じゃないんだよね?
- 83 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:47
- 「とまあ、そう言う訳や」
稲葉は、辻が一緒にいる理由をソニンに説明した。
「そうだったんですか。ノンちゃんね。私はソニン、よろしくね」
ソニンはそう言うと3人にコーヒーを出した。
「ごはん、まだ?」
「おっと、そうやったな。ソニン、カレーライス三つや。
まったくこいつには参ったで。スペースレーヨンには飽きたから
なんか違うもん食わせろって・・・困った居候やな」
そう言いながらも笑顔の稲葉を見てソニンは言う。
- 84 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:48
- 「確かに毎日スペースレーヨンじゃ飽きるかも知れないですね。
ノンちゃん待っててね。すぐ作るから」
「うん、稲葉さんは太陽系一美味しいカレーだって言ってたよ」
「一番美味しいかは解らないけど、自信はあるよ。
天然栽培の材料を使った本物だからね。
オマケに太陽野菜のサラダもつけてあげるね」
「本当?やったー!!」
辻はソニンの言葉を聞いて大喜びだった。それは何故か?
ソニンの言う「太陽野菜」とは太陽光を利用して育てた野菜の事である。
この時代の食材は殆んどが人工栽培の物で、天然栽培の食材は少ない。
人工栽培は天然のそれと比べるとコストも安く大量生産が可能なので
農業の主流は人工栽培なのである。
だがこの民間ドック「ハーモニー」には珍しく天然栽培を目指す
農業プラントがある。そこで作られた野菜は人工物と比べると
その味はまったく違う。辻が普段口にする物は、
人工物の食材で作られた料理やスペースレーヨンなのだ。
だから「太陽野菜」と聞いた時の辻の反応は当然と言えるかも知れない。
因みにスペースレーヨンとは宇宙食の事である。
- 85 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:49
- それからしばらくして3人の前にカレーが運ばれて来た。
「うーん、美味しそう・・・いっただっきまーす!」
辻は嬉しそうにカレーを頬張る。平家も稲葉もそれに習った。
「あー美味しかった。ごちそう様でした」
満足そうに笑う辻を見てソニンは微笑む。
「満足してくれた?」
「うん、とっても美味しかったよ」
「ありがとう、そう言ってもらえるのが一番うれしいよ」
- 86 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:49
- こうして3人が食事を終えた頃、ドックの外壁に位置する
「Eージャン」の窓に強烈な光が飛び込んで来た。
「なんだ?」
光が消えるとそこには一隻の戦闘艦が姿を現した。
「あれは・・・マルス・・・か?」
その戦闘艦の姿を見た稲葉は呟く。
「うそ?ちょっと・・・こんな所で戦闘行為する気?信じられない!」
そう言ってソニンが怒るとその戦闘艦はすぐに方向を変え飛び去って行った。
「緊急出動か?おおっ、始まったみたいやな」
遠くの方で光が飛び交うのが見える。どうやらそこで戦闘がはじまった様だ。
- 87 :名無し狩人:2003/09/20(土) 00:01
- ( `_´)<何やら意外なことが話題になっている様ですね。
まずマルス隊の敵ですが今のところ正式な軍隊ではありません。
宇宙海賊とでも言ったら良いですかね。
大きな組織ではありません。ただしこれからは解りませんよ。
( `_´)<それから平家さん達は自由業です。
ですから辻ちゃんが何処の所属であったとしても
敵、味方は無いのです。
みっちゃんは「いい子」なので困ってる人がいたら
たとえそれが「ガミラス星人」でも助けます。
- 88 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:05
- 「ここからそう遠くはないみたいだね。終ったら行ってみようか?」
「そうやな、状況はここから解るし、アレスの戦闘艦みたいやったから
すぐに決着もつくやろ」
平家と稲葉は仕事の話を始めていた。それを聞いていたソニンは
呆れた様に苦笑いを浮かべると辻にアイスクリームを差し出した。
「これ食べて、サービスでいいよ」
「ありがとう・・・・」
差し出されたアイスクリームを手に取った辻であったが
少し前から様子がおかしい。目の前に戦闘艦が現れてから
なにやらソワソワしているのだ。
「どうしたの?アイス溶けちゃうよ」
「うん・・・」
ソニンにそう言われアイスクリームを口にする辻であったが
遠くで展開する戦闘に見とれている。
- 89 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:06
- 戦闘艦が現れてからだいぶ時間が経った。
だが依然として戦闘が終る様子はない。
「何やおかしいな、いつもならとっくに決着がついとる筈や」
「そうだね、マルスじゃなかったのかな?」
稲葉と平家がそんな会話をしていると
「あれはマルスだよ。マルス2だった」
「そう?でもそれにしては時間がかかってるよね。
マルスタイプなら並みの海賊は手も足も出ない筈だよ」
「って事は並みの相手やないって事やな・・・・ん?
ノン、お前何か思い出したんか?今「マルス2」って言うたやろ?」
辻が何気なく吐いた言葉に稲葉が反応する。
- 90 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:07
- 「あっ、なんでだろう?なぜかそう思ったんだよね。
それに・・・私、今あそこに行きたい気持ちでいっぱいなんだ。
行かなくっちゃって。ねえ連れてってよ」
約二週間一緒にいた辻が、始めて2人に見せる真剣な表情。
2人は辻がマルスと何か関係がある事を確信した。
「でもなぁ、戦闘空域に入って行くなんて自殺行為やで
それにうちらの船じゃ戦闘には不向きやしなぁ」
稲葉は辻の頼みに難色を示した。
単なる貨物船であるナノニイーコ号でバトルフィールドに突入するのは
危険な行為である。
「そうだね、行ってあげたいけどナノニイーコ号じゃ
武装が貧弱すぎるんだよ。だから・・・」
「お願いします。どうしても行きたいの!」
- 91 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:07
- 辻の必死の頼みに2人は悩んだ。するとそこにソニンが言った。
「確かナノニイーコ号は(シスコM型)でしたよね。
だったら・・・・ついて来て下さい」
ソニンはそう言うと3人を港まで案内する。
「なんやソニン。ここに何かあるんか?」
黙って先頭を歩くソニンに、稲葉は聞いた。
「ここです。この倉庫の中の物を使って下さい」
「中の物?・・・」
ソニンはそう言って倉庫を開けた。薄暗い倉庫の中に何かが見える。
ソニンは倉庫の照明を点けた。
- 92 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:08
- 「これは・・・・戦闘機やないか。なんでこんなもん持ってんの?」
「この戦闘機は昔の相棒が置いていった物です。
私じゃ使えないから、ノンちゃんに使って貰えれば・・・」
「相棒?・・・ああ、そう言えば昔おったな。ユウキやったっけ?
何や旅に出るとか言ってどっか行ってるんやったな」
「はい、最近は連絡も取れなくなちゃって・・・こいつも私に任せるって・・
何でもユウキのお姉さんが昔使っていた物らしいんですけど」
ソニンはそう言うと一着のパイロットスーツを辻に手渡した。
「ユウキが使っていた物だから少し大きいと思うけど・・・」
「いいの?大事な物なんじゃ・・・」
「今の私には必要ない物だから・・・それにさっきの話を聞く限り
ノンちゃんはパイロットみたいだし、きっと乗りこなせるよ」
辻はソニンからスーツを受け取るとコクピットに向かった。
機体の脇にあるハシゴをのぼるとキャノピーの開閉ボタンを押す。
キャノピーが開くと辻はコクピットに滑り込んだ。
- 93 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:08
- 「どうやノン。行けそうか?」
「うん・・・・不思議だけど解る。何だか凄く懐かしい気がするよ」
「そう、でも・・・ソニンちゃん本当にいいの?」
「はい、シスコM型ならこいつも乗せられますよね。
ノンちゃんがあんなにあそこに行きたがってるなら
そうさせてあげましょう。ひょっとしたら記憶が戻るかも」
ソニンの言葉に大きく頷く平家と稲葉。
港のスタッフに頼みソニンからの贈り物は早速ナノニイーコ号の
甲板に乗せられた。
「ノンちゃん、気をつけてね」
ソニンはそう言うと辻の頭を撫でた。
「ありがとう、ところでこのコの名前は?」
辻はソニンから送られた機体の名前を聞く。
- 94 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:09
- 「サントマミ」
「どう言う意味?」
「さー、知らない。でも昔活躍した有名なパイロットの愛機の
名前らしいよ」
辻はソニンに別れを告げるとナノニイーコ号に走って行った。
「そんじゃまたね」
稲葉も船に向かう。
「あっ、これカレーのお金。おつりはとっといて」
「ありがとうございます。またよって下さいね」
平家からカレー代を受け取るとソニンはお礼を言って戻って行った。
「よし、それじゃあ出発しよう。ナノニイーコ発進!」
平家の合図と共にナノニイーコ号は戦場に向けて発進した。
- 95 :名無し娘。:2003/09/20(土) 22:23
- 後藤の愛機か・・・いいなぁ
- 96 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:54
- 「マルス2よりレッドリーダーへ、グリーン隊が補給の為帰艦します。
敵艦載機の方はよろしくお願いします」
「レッドリーダー了解!でも早くしてよ。こっちもキツイんだから」
「マルス2了解!」
マルス2は今まさに戦闘状態にある。
敵の戦力は戦闘艦が五隻、艦載機多数。
それに対してマルス2側の戦力はマルス2の他に
近くの軍の基地からやって来た警備艇が二隻。
艦載機も敵のそれと比べると少ない。
戦力としては圧倒的に不利な立場にあった。
「レッドリーダーよりレッド3へ、紗耶香!まだ?」
マルス2艦載機隊の「レッド」
率いるのは一番機「ケメンダヤス」の保田圭である。
二番機「マックゴルド」のパイロットは後藤真希
三番機「テレパシー」のパイロットは市井紗耶香
四番機「ケッカ−」のパイロットは吉澤ひとみ
五番機「スコロンダ」のパイロットは木村絢香
以上5人、五機で編成されているのが「レッド」である。
- 97 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:55
- 「レッド3よりレッドリーダーへ、まだ修理が終んないよ」
「そんな・・・早くしてよぉ。村田!頼むから頑張って!」
レッド隊三番機、レッド3・市井の機体は被弾して修理中である。
保田は市井の機体の修理を急ぐ様にマルス2のチーフメカニックである
村田めぐみに言った。
「メカ班からレッドリーダへ、あと10分頑張って下さい!」
「レッドリーダー了解!」
久々の手強い相手にマルス2のメンバーも必死であった。
「何や、苦戦しとるみたいやな」
現場近くに到着したナノニイーコ号。
近くに浮かんでいた隕石の様な岩の陰に船体を隠し
戦いの様子を窺っている。
- 98 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:56
- 「敵の戦闘艦・・・どっかで見たことあるぞ、あれは確か・・・・
そうだ!ナンバカーズの戦闘艦だよ」
「そうかあのカラーリング・・・見たことあると思っとったけど・・・
ナンバカーズの「タマヨ」やな」
ナンバカーズ・・・それは主に宇宙海賊達で構成された組織で
この太陽系航路では恐れられている存在なのだ。
そして稲葉の言った「タマヨ」とはナンバカーズでもその実力は
かなり物とされる一団である。
「ふふふ・・・ええとこで会ったやないか。タマヨには借りもあるしなぁ
なんと言っても奴らは懸賞つきのお尋ね者や。
ここは一丁、連邦の助太刀と行こうか!」
マルス2と戦う相手を見た稲葉と平家の表情が変わった。
タマヨには過去に何度か、お宝を横取りされた事があり
2人はその借りを返すチャンスをずっと待っていたのである。
- 99 :名無し狩人:2003/09/21(日) 00:08
- ( `_´)<少し出来たので追加うP。
ここではマルス2の登場になる訳ですが、
マルス2のグリーン隊の2人の機体の名称が浮かばない。
誰になるのかはお解かりだと思いますが
特徴って言うか象徴って言うか何かありましたっけ?
- 100 :名無し娘。:2003/09/21(日) 01:09
- うーん・・・事故死とピンク映画・・・?
- 101 :名無し狩人:2003/09/21(日) 01:50
- ( `_´)<やっぱりそれしかないですかね・・・
あの頃はあまりカントリーに興味なかったし
強いて言えばモーニング刑事で見たくらいでしょうか・・・
ってそっちじゃなくて現役の方です。
どっちも牧場のイメージがないのでどうしようかと。
- 102 :名無し娘。:2003/09/21(日) 02:15
- どっちも娘正式メンバー選考落ち
- 103 :名無し娘。:2003/09/21(日) 09:43
- 里田はヤンタンでは、「〜だべ」と北海道弁で売ってますね。後はセクシーか。
「ドサンコ・セクシー」とか…
みうなは静岡ぐらいしか…
- 104 :名無し娘。:2003/09/21(日) 12:43
- 里田はロマンスぐらいしかしらんなぁ
みうなに関しては無印象
強いて言えば里田が来た辺りから農業色が薄くなった?
- 105 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:39
- 「補給完了!ノンクラクション出ます!」
そう言って飛び出したのは、たった今補給を終えたマルス2所属の
グリーン隊、三番機「ノンクラクション」のパイロット里田まいである。
里田はバトルフィールドに出ると、すぐさま迎撃態勢に入った。
「補給完了!ホカノドーガ出ます!」
続いてグリーン隊、四番機「ホカノドーガ」が補給を終えて飛び出した。
パイロットはグリーン隊の新人、斎藤美海である。
「グリーン3よりレッドリーダーへ、補給が終りました。任務に戻ります」
「レッドリーダー了解!後は任せたよ!」
グリーン隊の戦線復帰によりマルス2の防衛にあたっていた
保田のケメンダヤスは敵艦に向かって飛び去って行く。
「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、ミサイルその他、残量を確認せよ」
「レッド2、まだ半分以上残ってます」
「レッド4、まだ行けるYO−!」
「レッド5、まだOKです」
「上等!みんなたいしたもんだ。それにしても・・・・市井のやつ遅いぞ!」
敵艦の周りにいる艦載機のだいぶ減っている。
このあたりで一気にけりをつけたい保田であったが
レッド3の市井がまだ戻って来ない為、迂闊には敵艦に近づけなかった。
- 106 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:40
- その頃、ナノニイーコ号では辻の出撃準備が進んでいた。
「ええかノン。決して無理はするなよ。ヤバイと思ったらすぐに逃げや。
後はお前の運と実力だけや、お前の実力・・・しっかり見してや」
既に機体に乗り込んでいる辻に対して稲葉は声をかけた。
「了解!最終チェック・・・出撃準備完了!サントマミ・・・出ます!!」
勢い良く甲板を飛び出した辻は機首を迷わず敵艦に向けた。
「さてと・・・そんじゃこっちも行きますか・・・みっちゃんええか?」
「良いよ、それでは久々に・・・・やりますよ」
稲葉の言葉に頷いた平家は手元のボタンを押す。
「バトルモード、変身!」
平家がそう言うとナノニイーコ号は変形を始める。
通常の武装はレーザー砲が二門だけのこの船。
だがこのバトルモードにすると更に砲が二門増えて
合計四門。さらにミサイル発射管が二門現れる。
ナノニイーコ号バトルモード「イーコボンバー」である。
「突撃ー!」
- 107 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:41
- 辻に続き、ナノニイーコ号もバトルフィールドに突入する。
突然参戦してきた二機をマルス2のレーダーが捕らえた。
「右舷に接近する物体があります・・・識別信号・・
民間貨物船のナノニイーコ号です」
「民間船?退避勧告だして」
マルス2レーダー班、北上アミ准尉の報告に
マルス2艦長の安倍はオペレーターの石川に指示を出した。
「ナノニイーコ号・・・聞こえますか?こちらは連邦軍のマルス2です。
この空域は現在戦闘状態にあります。
危険ですから速やかに退避して下さい。繰り返します。
こちらは連邦軍です。ナノニイーコ号、速やかに退避して下さい」
石川がナノニイーコに退避勧告を出す。すると
「あー、こちらナノニイーコ号、助太刀いたす」
「はい?」
「そやから、うちらも手伝う言うとるんや、苦戦しとるみたいやからね」
稲葉からの思わぬ返答に石川は安倍を見た。
- 108 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:41
- 「・・・アミちゃん、ナノニイーコのタイプは?」
「えーと・・・シスコM改ですね。シスコMの武装強化型です」
「一緒にいる小型機は?」
「SF−14R艦載用戦闘機です。機体コード不明、識別は・・・・うそ?」
「どうしたの?」
「識別・・・イエロー3・・・・」
「えっ?のの?まさか・・・機体が違うしそんなの有りえないよ」
「確かに機体確認コードは違うけど、識別コードは・・・辻ちゃんです」
北上の報告にブリッジにいた全員が驚きの表情を浮かべる。
戦闘中の戦闘機は通常二種類のコードを発している。
一つが機体本体を現す機体確認コード、そしてもう一つが
その機体に乗り込むパイロットが任意に打ち込む識別コードである。
本来であればこの識別コードは使う事はない、なぜなら識別コードは
そのほとんどが軍のみで使用され、民間人が使用する機体には
それを発信する装置はないのである。
時にはその装置が搭載された機体はあるがほとんどが使用されないか
コードを発信していたとしても未登録コードがほとんどなのだ。
そして今現れた機体は機体コードこそ不明であるが
識別コードは間違いなく連邦軍に登録されたコードである。
識別コード発信装置が搭載されたこの機体に辻は無意識の内に
自分の識別コードを打ち込んでいたのだ。
- 109 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:42
- 「とにかく今はそれは忘れよう。みんな仕事に集中して。
石川、ナノニイーコには協力をお願いして、
全てが終ればあの機体に乗ってるパイロットも確認できる」
「了解!マルス2よりナノニイーコへ、ご協力に感謝します。
私は戦闘オペレーターの石川です。戦闘中は私の指示に従って下さい」
「ナノニイーコ了解です」
「ありがとうございます。では貴艦は敵艦隊側面から攻撃を行って下さい。
敵艦隊のかく乱が狙いです」
「ナノニイーコ了解!これより作戦を開始します」
石川の指示によりナノニイーコは敵艦隊側面に陣取った。
一方既に敵艦隊に向かっていた辻は・・・
「後藤!突っ込みすぎだよ!」
一瞬ではあったがマルス2のブリッジに生じた混乱で
レッド隊の指揮系統にも混乱が生じていた。
その指揮の乱れによりレッド2、後藤のマックゴルドは
友軍機より敵艦に接近していたのである。
それを確認した保田は後藤に注意を促したが
次の瞬間マックゴルドは敵艦載機に後ろを取られてしまった。
- 110 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:42
- 「しまった・・・・」
「後藤!気をつけて!すぐ後ろに一機いるよ」
「駄目だ・・・引き離せない・・・」
敵機に狙われた後藤、必死に回避を試みるがついに敵機にロックされた。
「やられる・・・・」
後藤がそう思った瞬間、突然後ろにいた敵機が爆発した。
「あれっ?・・・・誰?」
仲間によって救われたと思った後藤であったが自分の近くには
誰もいない事は解っていた。では誰が・・・
そう思った後藤の視界に一機の戦闘機が姿を現す。
それを見た後藤は驚きで言葉を失った。
- 111 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:44
- ( `_´)<皆さんも一緒ですか。結局2人は歌詞から取りました。
ご協力に感謝です。
- 112 :名無し娘。:2003/09/22(月) 17:30
- グリーン隊は呪われてたりして
- 113 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:58
- 「・・・・・」
一体なぜ?・・・・後藤は混乱している。
ここに存在する筈のない機体が目の前に存在する・・・
ソニンはサントマミは相棒のユウキの姉が使っていたと言った。
そのユウキの苗字は後藤。
そう、今ここにいる後藤真希はユウキの姉であり
目の前を飛行しているサントマミの元パイロットなのだ。
「レッド2よりサントマミへ・・・ユウキ?ユウキなの?」
後藤はサントマミのパイロットに話し掛けた。
「違うよ・・・」
かえってきた声は女の声である。
「ひょっとしてソニンちゃん?」
「違う・・・私はノン」
- 114 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:59
- 弟の相棒ソニンでもないそのパイロットは「ノン」と名乗った。
何処かで聞いた事がある声・・・モニターに視線を落とした後藤は
またしても驚いた。
そこに表示されているサントマミの識別コードはイエロー3だったのだ。
「後藤!なにボケッとしてるの!」
後藤に迫る敵機を叩いた保田から激が飛ぶ。
「圭ちゃん、あの機体のパイロット・・・」
「解ってるよ、でも様子が変だ。ひょっとしたら罠かも知れない。
私に考えがあるの、だから任せて」
保田はそう言うと通信機に叫んだ。
「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、Wフォーメーション!」
保田がそう言うとレッド隊の各機はWの形に陣取る。
保田、後藤、吉澤が前に三機横並び。
市井、絢香がその後ろに付くのだが市井はまだ到着していない。
- 115 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:59
- 「レッドリーダーよりイエロー3へ市井がいない。
市井の分のフォローをお願い!」
「・・・・・」
「ちょっと辻、聞いてんの?」
「・・・あっ、イエロー3了解!」
保田の指示に辻は、自然と市井が入る場所に機体を移動した。
「行くぞ!アタ−ック!!」
一気に敵艦隊に突っ込む五機、次の瞬間敵艦一隻を破壊した。
「上出来!辻、やるじゃん!」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
保田の問いかけに返事を待つメンバー。すると
- 116 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:00
- 「えへへへ、これくらい朝飯前ですよ」
戻って来た返事は紛れもないイエロー3辻希美の物であった。
「つーじー・・・・よし、この調子で全部叩く」
辻の参戦により勢いに乗ったマルス2は一気に敵を蹴散らす。
「目標敵旗艦、主砲発射!」
安倍が叫ぶとマルス2から強力なエネルギー弾が放たれる。
主砲の直撃を受けた敵旗艦は既にスクラップであった。
「敵旗艦より脱出した小型艦があります」
北上が言うと
「マルス2へ、任しとき」
ナノニイーコは小型艦にミサイルを放った。
ミサイルは見事直撃、2人はついに借りを返したのであった。
- 117 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:00
- 「作戦終了。各艦載機は順次帰艦して下さい。お疲れ様でした」
石川の指示で帰艦を始めるレッド隊とグリーン隊。
辻はそこに一機だけ取り残された。
「マルス2よりナノニイーコへ、マルス2艦長の安倍です。
ご協力ありがとうございました。お陰で様で敵も撃破できました。
それと・・・・」
「こちらナノニイーコ号船長の平家です。おっしゃりたい事は解っています。
こちらは彼女の意思に任せます」
平家からの返信を聞いた石川はすぐさま辻に言った。
「辻ちゃん、お帰り、みんな待ってるよ」
「・・・・うん・・・・でも・・・安倍さん、少し時間もらえますか?」
「良いよ、2人にお礼言ってきな」
「はい!」
安倍にそう言われた辻は一旦ナノニイーコ号に戻る。
- 118 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:01
- 「ノンはやっぱり連邦軍の人間だったんだ」
「ノンの本当の名前は?教えてくれるよな?」
「はい、連邦軍火星衛星基地アレス所属、
戦闘艦マルス1艦載機隊イエローの辻希美です」
「そうか、辻希美言うんか。で?NONって言うのは?」
「あれはNONOって書いてあったんですよ。
私みんなにののって呼ばれてるんです」
辻にそう言われた稲葉と平家は寂しそうな表情を浮かべると言った。
「ののか・・・のの、短い間やったけど楽しかったで元気でな」
「ののちゃん、私達の事も忘れないでね」
「はい、平家さん、稲葉さん、本当に助けてくれてありがとうございました。
お2人もお元気で・・・」
辻はそう言って敬礼をするとナノニイーコ号を後にした。
- 119 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:21
- グリーン隊だけでなくきっとマルス隊全体が呪われている気がする。
┌──────────┐
│ |ill|| lll . () () │
| |ill|| lll || || カーンカーン│
| ll|l(マルス)ヽ||'-' 川ノ-[] │
| |::l||大| ( ) │
| ノ;;;i!! !!ヽ | | │
└──────────┘
- 120 :名無し娘。:2003/09/22(月) 22:40
- グリーン隊りんねの安否が気にかかる・・・((((;゚Д゚)))
- 121 :名無し娘。:2003/09/23(火) 09:19
- >>119
その呪いだと諦めるしかないってのが辛いねw
- 122 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:12
- 「皆さん、ご心配をおかけしました」
マルス2に戻った辻は深々と頭を下げる。
「・・・・無事であればそれだけでじゅうぶんだべ・・・」
安倍はそう言うと辻を抱きしめた。
「本当に心配かけやがって・・・・でもなっちの言う通り
無事に戻って来てくれただけで嬉しいよ」
辻の生還にマルス2の乗員皆が喜んでいる。
「みんなの祈りが神様に通じたんですよ。 口には出さなかったけど・・・
そうだ、アレスのみんなにも教えてあげないと」
石川がそう言って連絡を入れようとすると
「ちょっと待った!」
安倍がなにやら企んだ様な表情を浮かべそれを止めた。
- 123 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:14
- 「何ですか?」
「みんなには内緒にしよう。何事もなかったかの様に帰ってさ・・」
こっそり辻を連れて帰って何も知らないアレスやマルス1のメンバーを
驚かそう・・・安倍の提案に皆が乗った。
その後マルス2のメンバーが楽しそうに帰還の準備を始めると辻が言う。
「あの・・・帰りにハーモニーによって貰えませんか?
サントマミをソニンさんに返さないと・・・」
「ん、いいよ。確かに貰っちゃうには高価過ぎる物だしね」
辻の頼みを安倍が承諾すると後藤が言った。
「たぶん返さなくていいと思う。って言うかサントマミは私のだし
マックゴルドに乗り換える時にサントマミがスクラップになるって
聞いたから頼んで譲って貰ったんだよ。その後大谷さんに頼んで
整備して貰って実家に置いといたらユウキが勝手に持ち出して・・・
だから、ののさえ良ければ使ってくれないかな?
SFー14Rはまだまだ現役で使われてるし、
実際圭ちゃんのケメンダヤスだってSF−14Sだもん。
性能から言えばレスラッテのSF−18Aとさほど変わらないと思うよ」
後藤の思わぬ発言に辻は驚いた。確かにそう言われれば
後藤が使っていた軍用機であるサントマミが民間に流れる事が
本来ありえないのである。
- 124 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:14
- 「いいの?私が使って」
「うん、私はその方が嬉しいし、サントマミだって使ってあげないと
かわいそうだよ」
後藤がそう言うと辻は嬉しそうに頷いた。
「ちょっと待ってよ、それはいいとしても機体は大丈夫なの?
もう激しい戦闘に耐えられないから変えた筈でしょ?」
保田が思い出した様に言うと
「大丈夫その点は私が保証するよ。サントマミはまだまだ現役で行ける。
フルオーバーホールしてあるし、なんと言っても一緒に整備した
この私が言うんだから安心でしょう」
そう言ったのはマルス2メカニックの村田である。
村田は後藤が大谷にサントマミの整備を頼んだ時に
大谷から頼まれて一緒に作業をやっていたのである。
「これで決まりだね。きっとソニンちゃんだってそう言うつもりで
ののにサントマミを託したんだと思うよ。だから・・ね」
話は決まった。辻の次の愛機はサントマミ。
サントマミはこの後レスラッテ+に改名される。
もっともこの勝手な決定は後に中澤に物凄く怒られる事に
なるのだが結局はOKがでるのである。
- 125 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:17
- ( ´ Д `)<んぁ・・・・
( ´D`)<後藤しゃん、オメなのれす。
- 126 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:10
- 「識別信号送信・・・こちらマルス2。入港許可を申請します」
マルス2航海班、前田有紀曹長はアレスに入港の許可を求める。
「識別信号確認、マルス2の入港を許可します。
誘導ビームに乗って進入して下さい」
アレスオペレーター斉藤とのいつものやり取りを終えると
前田はアレスへの進入を開始した。
「機関停止・・・逆噴射開始・・・」
慣性と額噴射を巧みに使い分けてマルス2はゆっくりと進む。
少しすると完全に停止するマルス2。
その場所は船体固定リフトの上である。
「リフトオン!マルス2航海を終了します」
- 127 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:10
- 蝶が舞い降りるように船体をリフトに乗せた前田、
マルス1の小川の荒っぽい入港に比べると、その熟練度を感じさせる。
「さてと・・・ここからがお楽しみだ。問題はどうやってののを
みんなにみつからない様にするかだね」
「マルス1はまだ戻ってないみたいだね。今がチャンスじゃない?」
安倍と保田は作戦を練っている。いかに他のメンバーを驚かせるか。
マルス2出撃後、他の場所でスクランブルがありマルス1も出撃していた。
とりあえず辻を囲む様にして船を下りると司令室に歩いて行く
マルス2のメンバー。司令室に入ると
「マルス2、ただ今帰還いたしました」
安倍が中澤に報告を入れメンバー全員で敬礼をする。
「お疲れさん、今のところ他はないからゆっくりと休んでええよ」
中澤にそう言われたマルス2メンバー+1人は指令室の奥にある
休憩室に歩いて行く。
それを何気なく見ていた柴田が驚きの声を上げた。
- 128 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:11
- 「ああっ!!」
「何や、柴田?いきなり大声出して、びっくりするやないか!」
中澤はそう言って柴田を見る。
柴田は固まったままマルス2のメンバー+1人を見つめていた。
その視線を追って中澤もその方向を見るとメンバーが笑っている。
「なんやお前達ニヤニヤして、私の顔に何か・・・・って、おいっ!」
中澤はそこで初めて+1人の存在に気がついた。
「つ・・・つじ・・・これは夢か?・・・違う、現実や・・・
お前達・・・隠してたな。まったく・・・・」
心配していた辻の生還は「悪魔鬼」と呼ばれた中澤の涙を誘った。
「辻・・・無事やったんやな・・・まったく、心配させやがって・・・
じゃない!こら、なっち!何処でみつけたんや?
ちゃんと報告せんとアカンやろが!」
喜びのあまり普段であればカミナリが落ちるこのシュチュエーションでも
中澤は笑顔である。
- 129 :名無し娘。:2003/09/25(木) 06:21
- 更新乙です
辻はやっとこ家に帰還かぁ
- 130 :名無し娘。:2003/09/25(木) 15:02
- のの生還おめ
ホー(ryからトム(ryに乗り換えかぁw
- 131 :ナナシ娘。:2003/09/26(金) 00:11
- 戦闘シーンなどの描写が羊のときよりもさらに読ませてくれるものが
ありますよね。機体名の由来などを考えるのも楽しみの一つですが(w。
ともあれ今後もチェックさせて頂きますのでガンガッテくらさい。
- 132 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:09
- 辻が帰って来た・・・・
この事実はすぐにアレス全体に広がった。
他の主要基地に比べて仲間意識の強いアレスならではの事である。
では、なぜそうなのか?これはこの基地を指揮している中澤の
やり方もあるが、ここにいるメンバーがほとんど女性であり
また同じ空域のコロニー出身である事が大きな理由であろう。
地球連邦が出来たとは言え、人種や宗教などによって
その考えさまざまである。宇宙移住が始まった当初は
そう言った枠をなくそうと様々な人種が一つのコロニーに集まった。
だが、これは結局コロニー内の争いを招く結果となってしまう。
そこで急遽今までの国の枠内での移住に切り替えられたのだ。
そしてそれは連邦軍内でも一緒であった。
人種や宗教の考え方の違いによりその部隊の統制に
問題が生じる事件が起こったのだ。そこで連邦軍は部隊を人種によって
分けていかなくてはならなくなった。だがそれで上手く行くのか?
そこで建造中であったアレスに配置する人員を同じ空域のコロニーの
出身者によってまとめるとし、更に計画中であった女性軍人の
積極的重要ポストへの昇進及び配置。
この計画によりアレスにはコロニー集団「ジャップス」出身の
女性が集中して配置されている。
つまりアレスは一種の実験的要素の多い基地なのである。
- 133 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:11
- 「完全にやられわ。なっちも結構悪やな」
中澤が呆れた様に言う。だがその中澤もまた同じ事を考えた。
それは・・・・
「こうなったら圭織達も同じ目に遭わせてやろうやないか」
先程帰還の連絡を入れてきたマルス1には辻の生還は
知らされないままになったのだ。
それからしばらくして何も知らないマルス1がアレスに戻って来た。
「リフトオン!」
(ガシャーン!)
マルス1帰還と共に訪れるいつのも轟音、アレスのドックのメンバーは
既に慣れている様である。
「小川・・・頼むから一回くらい静かに船体をリフトに乗せてくれ」
コーヒーで顔を濡らした矢口が不機嫌そうに言う。
「ごめんなさい。でもドック進入時は何もしないで座ってて下さいって
いつも言ってるじゃないですか」
「・・・そうだけど・・・」
マルス1のドック進入時はおとなしくしている。これはお約束である。
この日の矢口はそれを忘れ、うっかりコーヒーを飲んでいた為、
リフトに船体を乗せる時の衝撃でコーヒーをかぶる羽目になったのだ。
- 134 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:27
- ( `_´)<今日はすすみませんですみません。
(;`_´)<・・・・
(;`_´)ノ>ホー(ryからトム(ryに乗り換えかぁw
メカの形状については皆さんの想像にお任せします。
いや、ホントお任せします・・・(w
- 135 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:18
- 「マルス1、飯田圭織以下、全乗組員無事帰還しました!」
司令室に入り敬礼をするマルス1のメンバー。
「1人おらんやんか」
中澤がとぼけた様に言うと
「裕ちゃん・・・冗談でもそんなこと言わないでよぉ」
「そうだよ、オイラ達だって辛いんだからさ」
飯田と矢口が怒った様に言った。
「おっと、いたいた、全員おったわ。辻!帰還報告時は全員揃ってやで!」
そう言う中澤に飯田がキレた。
- 136 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:19
- 「裕ちゃん、いい加減にしてよ。そんな事やって何が楽しいの?」
飯田が大声で叫んだその時、
「はい!もうし訳ありません。辻希美、無事帰還しました!」
「・・・・えっ?」
突然後ろから聞こえて来た声にマルス1のメンバーが全員振り返った。
「・・・・うそ・・・・のの・・・どうして・・・」
「つじぃ〜・・・良かったぁ〜・・・」
「のの、ぶじやったんやな・・・」
自分達の後ろに居るのは間違いなく辻希美である。
飯田、矢口、加護・・・・メンバー全員辻に駆け寄った。
- 137 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:19
- 「飯田さん、矢口さん・・・それにみんなも・・・本当に心配かけてごめん」
「いいよ、そんなのぜんぜんいいよ。だって無事だったんだもん」
「そうだよ。オイラだって気にしてなんかいないよ。お帰り辻ちゃん」
「ほんま、心配かけやがって・・・のの〜っ!」
涙で顔がくしゃくしゃになった加護が辻に抱きついた。
辻もまた泣いている。一番の親友である加護との再会は
辻にとっても泣きたくなるほど嬉しい事なのである。
「まったくもう。みんな意地が悪いよ」
そう言いながらも飯田には笑顔が戻っている。
「そんな怒る事ないやろ。私らだって、なっち達にやられたんやから」
「それじゃあ、ののは、なっち達が連れて来たの?」
中澤の言葉に飯田は安倍の顔を見る。
「説明すると長いんだけどね・・・・」
安倍が辻発見について説明を始めた。それを聞いていた中澤が言う。
- 138 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:20
- 「なんや、そんじゃ辻はみっちゃん達に助けられたんか?」
「裕ちゃん平家さん知ってるの?」
「まあな、そうか、あいつらがなぁ〜・・・・」
中澤はそう言うと平家との関係を話し始めた。
それはまだアレスが完成する前の話である。
その頃連邦軍の月面防衛隊にいた中澤は平家と同じ部隊にいた。
その名も「サーガ・アイ」
2人はこの部隊のエースパイロット兼部隊長であり良きライバルでもあった。
そんなある日、2人に昇進の話が舞い込む。
それは今度新しく出来る火星衛星基地の指揮官の話であった。
だがそのポストに就けるのは2人のうちのどちらか1人。
よく漫画などでありがちな話であった。
話があってから一週間後、2人は参謀本部に呼び出される。
2人の適性を競う為、模擬戦を行うと言うのだ。
試験は三週間後、その模擬戦に勝った方が昇進する。
これまた漫画みたいな話であった。
そして試験の三日前になったその日、中澤は平家が軍を
去った事を知らされる。その事により試験はなくなり
中澤はそのままこのアレスの指揮官に就任したのである。
- 139 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:20
- 「本当に今でもムカツク奴やな。でも・・・いい奴や・・・」
中澤がそう言って話を終えるとなぜか笑いが起こった。
「あはははは・・・・漫画みたい・・・」
「きゃははは、ホント・・・裕ちゃんそう言うの全然似合わないね」
そう言って笑うメンバーを見て中澤も笑う。
「ははは・・そんな事言ったって仕方ないやん。そうなったんやから」
辻の生還。中澤の過去、この日のアレスは終始笑顔に包まれていた。
- 140 :名無し娘。:2003/09/27(土) 00:27
- ミチャーソ・・・
- 141 :名無し娘。:2003/09/27(土) 06:02
- めっちゃいい子や・・・゜・(ノД`)・゜・
- 142 :名無し狩人:2003/09/28(日) 00:05
- 辻の帰還から一ヶ月が経った。火星衛星基地アレスはいつもと変わらない。
「おっ、もうすぐ時間やな。石川、「二ュージクス」入港の時間や。
悪いけどこの書類届けてくれんかな?」
「はーい、解りましたぁ」
中澤から手渡された書類を受け取ると石川はアレスの玄関である
メインポートに向かった。
今日は物資運搬船「ニュージクス」入港の日であり
軍で必要な物資の受け取りをなぜかいつも石川が担当していた。
「♪チャ−ミーグリーンを使うと可愛くなるぅ〜♪」
今日はご機嫌な石川、歌を唄いながら通路を歩いていると
(ニュージクス入港・・)
貨物船ニュージクスの一団の入港アナウンスが流れた。
- 143 :名無し狩人:2003/09/28(日) 00:05
- 「いけない、もう来ちゃった・・・」
ニュージクス率いる貨物船団は約一週間かけて
地球圏からこの火星圏までやって来る。
民間の輸送船団としては最速の船団である為
到着時間も予定より少し早かった様だ。
アナウンスを聞いた石川は、早足で港に向かって歩き出す。
到着から荷卸しまで僅かな時間しかない。
受け取りその他、仕事はいっぱいなのだ。
「♪焦ってたって仕方ないでしょ・・・♪」
またしても歌を唄いながら歩く石川。
すると石川の前に私服の4人組が姿を現した。
今石川がいる場所は軍のブロックで民間人はもちろん立ち入り禁止である。
石川は慌てて4人の所へ行って声をかけた。
- 144 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:01
- 「あっ!すいません、そこの方、ここは軍のブロックなので
民間の方はご遠慮ください」
前から来る4人組はいずれも女の子であった。
石川に声をかけられ先頭を歩いていた女の子が言う。
「梨華ちゃん、私だよ」
いきなり名前を呼ばれた石川。よく見ればその女の子は
見覚えのある顔であった。
「藤本ちゃん!誰かと思ったよ。今日はどうしたの?船団の護衛?」
石川の名前を呼んだのは藤本美貴。
彼女は航路監視隊に所属している軍人で、何度かこのアレスにも訪れていた。
「あれっ?聞いてないの?今度ここの配属になったんだけど」
「えっ?・・あっ、そう言えば新人が来るって聞いた様な気がする」
「そうでしょ、それが私達って訳。紹介するね、右から田中、亀井、道重
3人とも航路監視隊の後輩だよ」
- 145 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:02
- 藤本に紹介され後ろにいた3人は石川に挨拶をした。
「初めまして、田中れいなです。よろしくお願いします」
「亀井絵里です。よろしくお願いします」
「みっ、道重さゆみです。よろしくお願いします」
3人は緊張した様子で自己紹介をする。
「はい、私はマルス隊、マルス2オペレーターの石川梨華です。よろしくね」
石川がそう言うと3人は改めて頭を下げた。
「ごめんね、私仕事があるから行くね」
「それじゃあまた後で」
「うん」
石川はそう言うと藤本達と別れ、港に急いだ。
「ごめんなさい。遅れましたぁ」
港に着いた石川はいつもの係員に声をかける。
- 146 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:02
- 「おっ、来たな。時間に厳しい梨華ちゃんがどうした?・・・
そうか、あの子達と話をしてたんだな。えーっと藤本ちゃん!」
「はい、通路でバッタリ・・・って言っても一本しかないから当然ですね」
石川はそう言うと係員と2人で検品を始める。
チェックを終え書類にサインをすると後ろで待っているスタッフに
指示をだし、荷物の振り分けを始める。
全てが終了するとこの仕事は終わり。石川は司令室に戻って行った。
「受け取りおわりましたぁ」
「ん、ご苦労さん。それじゃ石川も来たから自己紹介してくれ」
中澤が先程の4人組に言う。司令室には既に主なメンバーが集合していた。
「はい、では私から・・・田中れいなです・・・・」
4人は改めて順番に自己紹介を始める。
「・・・・さゆみです。よろしくお願いします」
田中、亀井、道重、3人の新人がそれぞれ自己紹介を終えると
藤本が自己紹介を始めようとした。
- 147 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:03
- 「それでは私も・・・・」
「いや、藤本はええやろ、知らんやつなんかおらんからな」
「えっ?・・・そんな・・・」
藤本の自己紹介を中澤が遮る。そして
「これから、この4人が新しい仲間になる。担当部署はまた明日って事にして
とにかく一週間の長旅や、今日の所は部屋でゆっくり休んでや。
えーっと・・・紺野!4人を居住ブロックに案内してやってくれ」
「了解!」
中澤に言われ紺野は席を立つと4人を居住ブロックに案内した。
- 148 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:25
- ( `_´)<更新の量が少なくて申し訳・・・・
本日仕事中に目を傷めまして・・・
とりあえず明日は様子を見てになるのでひょっとしたら
お休みになるかも・・・・よろしくです。
- 149 :名無し娘。:2003/09/29(月) 01:11
- 無理は傷に触るので養生しる。
- 150 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 藤本達4人が到着してから既に数時間が経過していた。
中澤は、飯田、安倍、保田、矢口の4人と藤本達の
配置について話し合ってる。
「4人とも基本的にはパイロットな訳やし、やっぱ艦載機隊やろうな」
中澤はそう言うと4人の意見を求める。
「そうだなぁ、ブリッジはそれ程でもないし、この前の、のの、の件もあるし
やっぱりイエローの増員かな?矢口どう思う?」
「オイラはそれよりオイラ達とグリーン隊の間に入る部隊が欲しいな。
けどそうなるとそこに入るのは経験者になるよね」
結局はっきり決まらないまま、とりあえず明日以降の出動で
藤本達を実戦投入しどうするか決定する事になった。
ただし4人の振り分けは決定していた。
田中・亀井がマルス1、藤本・道重はマルス2である。
- 151 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 「MJ−04より緊急連絡!護衛船団のSOSをキャッチしたとの事です」
オペレーター斉藤が言う。
「情報分析!柴田!レーダーは?」
「MJ−04・・・第三輸送船団が航行中です」
柴田が答える。すると
「護衛艦、ネープルVより緊急入電!第三輸送船団が襲撃を受けています」
「第三輸送船団後方・・・所属不明の船団をキャッチしました・・・
うそ!速度が速い・・・第三船団囲まれました」
斉藤、柴田が珍しく焦っている。事態は急を要する様だ。
慌ててレーダーを確認する中澤
「まずいな、敵の数も多いみたいや。スクランブル!マルス1・2出動!」
状況から判断し、中澤が珍しくマルス1・2の同時出撃の指示をだした。
警報が鳴り響く中、両艦のメンバーが素早く出撃準備にとりかかる。
- 152 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- その頃ドックでは・・・
「おらぁ!モタモタすんな!さっさとリフトのロックを外せ!
動きの遅い奴は一時間石川の唄を聞かせるぞ!」
アレス戦闘艦ドックのチーフメカニック大谷がスタッフに激を飛ばす。
するとそこに後藤がやって来た。
「大谷さん、お願いがあります」
「なんだよこの忙しい時に?」
「ブギ−03をマルス2に乗せてください」
「はぁ?なんで?藤本は明日からだろ?」
「たぶん・・・いや絶対に藤本ちゃんは行きたがる筈です」
「でもなぁ・・・」
「私には解るんです。絶対に藤本ちゃんも出る事になりますから・・・」
「・・・・本当に?・・・・よし、解った、すぐに搬入するよ」
「ブギ−03」これは藤本の愛機である。
大谷の指示でブギ−03はマルス2に運び込まれた。
- 153 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- 一方こちらは司令室、警報が鳴り出してすぐに藤本が飛び込んで来た。
「藤本さん・・・」
「新垣、襲われてるの、第三船団って本当?」
「はい、第三輸送船団の護衛艦隊ネープルVから連絡がありました」
「ネープルV・・・」
それを聞いた藤本は中澤に言った。
「中澤さん、私も行きます!」
「何や藤本、お前は明日からやから今日はええよ」
「いえ、行かせて下さい。ネープルVは、あやっぺが・・・松浦がいるんです!」
藤本が言った、「あやっぺ」とは航路監視隊所属の松浦亜弥の事である。
そして現在戦闘中のネープルVの艦載機隊を指揮するのがその松浦であり
当然松浦も戦闘に参加している筈であった。
藤本は親友である松浦を助けるべく自分も出撃したいと中澤に申し出た。
「松浦か・・・・この仕事に私情は挟むな!・・・と、言いたいとこやけど
ええやろう、言って来い!その代わり無茶はアカンで!」
「ありがとうございます!」
「そんじゃ、藤本は、マルス2に乗艦や」
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