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小説?『娘。戦記』
- 1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
- 【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。
管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。
- 53 :名無し娘。:2003/09/13(土) 01:10
- 乙です。
毎日がんばるなぁ、根詰めすぎないでくれい。
- 54 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:31
- ( ●´ー`)<続きだべ!
「今日はアカンかったな。あちこち回ったけど大した収穫もあらへんかった」
「そうだね、これじゃあ赤字だよ・・・・ん?」
「どうしたん?」
「見てあれ!」
そんな会話をしていた2人の視界に何やら飛び込んで来た。
「あれは・・・・戦闘機のシートか?やりぃ、バーニアがついとるやん」
2人の乗る船の前に浮かんでいたのは戦闘機のシートであった。
バーニアとは移動用のジェット推進器の事であり、
緊急脱出を図ったパイロットがその後シートに座ったまま移動出来る用に
取り付けられている物でこの装置がついているシートは高く売れるのだ。
「お宝、お宝・・・早速回収や!」
2人はそう言うと船体に取り付けられたアームを操作しシートを回収する。
「やったね、今日はツイテルぞ」
大喜びで2人は現場を後にした。
- 55 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:31
- 「えっ?もう一度おねがいします」
「ですから、もうこの空域は捜し尽くしました」
辻遭難から丸一日が経とうとしていた。
捜索隊による懸命の捜索にも関わらず辻の消息は不明であった。
つい先程アレスに捜索打ち切りの連絡が入って来たのである。
「中澤さん・・・・」
連絡を受けた斉藤が中澤を見る。
「アレスの中澤です・・・了解しました。皆さんのお力添えに感謝します」
中澤はそう言うと捜索隊との通信を終える。
「裕ちゃん・・・・ののは・・・ののは見つかったの?」
既に休息を終えた飯田が中澤にしがみついた。
- 56 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:32
- 「圭織・・・・残念やけど・・・・・」
「そんな・・・・私やだよぅ・・・・そんなのやだよぅ・・・」
「仕方ない・・・・辻かて軍人や、それ位の覚悟は出来とった筈や」
「わあぁぁぁぁぁ!!!」
辻の生存が絶望視された今、飯田はその場に崩れ落ちた。
「嘘だ・・・・辻が・・・・」
「のの・・・・嘘やろ・・・・」
その場にいたマルス1のメンバーは信じられないと言った表情を浮かべる。
マルス1のマスコット的存在であった辻がいなくなってしまった。
特に飯田は辻を実の妹の様に可愛がっていたので
そのショックは計り知れない。
「とにかくみんな落ち着くんや・・・といっても無理やな・・・・
柴田、圭織を部屋に連れて行ってや」
「了解!」
中澤の指示に柴田は席を立つと飯田と一緒に司令室を出て行った。
- 57 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:32
- 「圭織にはショックが大きすぎるな。しばらくは・・なっち頼んだで!」
中澤がそう言って指名したのは「安倍なつみ」
このアレスに配備されているマルス級戦闘艦の二番艦
「マルス2」の艦長で階級は飯田と同じ少佐である。
安倍もまた辻の事ではショックを受けていた。
だが飯田よりは落ち着きを保っていたのである。
「了解しました。みんな大丈夫?」
安倍はそう言うと後ろを振り返る。
後ろにはマルス2のメンバーが控えている。
メンバーはショックを受けながらも、安倍の言葉に大きく頷くのであった。
- 58 :名無し狩人:2003/09/13(土) 23:38
- >>53
何と言ったら良いか。このペースが染み付いている様です。
毎日の気晴らしにもなるので無理はないですよ。
- 59 :名無し娘。:2003/09/14(日) 13:13
- 頼もしいねぇ。更新乙。
- 60 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:29
- 「保田さん、どうですか?」
「うん、良いよ。反応速度が上がったって言うのかな?
自分の思う様に動いてくれるね」
辻の訃報を受けた翌日の事である、アレスのまわりを
一機の戦闘機が飛んでいた。
乗り込んでいるのはマルス2艦載機隊「レッド」のリーダー
保田圭大尉である。
保田は前から整備班に自分の愛機「ケメンダヤス」の
反応速度が速くならないか相談していた。
反応速度とは・・・操縦桿を操作してから実際に機体が
アクションを起こすまでのタイムラグの事である。
「良かった。ダイレクトコントロールが、上手く働いてくれてるみたいですね」
「えっ?テストはしたんでしょ?」
「いいえ、今の飛行が始めてですよ」
- 61 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:30
- 保田と会話をしているのはアレス戦闘艦ドックのメカニック、大谷雅恵中尉。
大谷は昨日新しく導入されたユニット「ダイレクトコントロール」を
保田の機体に取り付けそれをテストしているのである。
「なんだよ、私は実験台かよ」
「だって、早く試したいって言ったのは保田さんですよ。だから一番に・・・」
「そりゃそうだけど・・・」
「大丈夫、私よりはるかに優秀なエンジニアが開発した物ですよ。
それに保田さんの腕を信頼しているからこそお願いしたんですから」
「ダイレクトコントロール」・・・このユニットは連邦軍の兵器開発部門で
開発された物で、戦闘機の反応速度を向上させる新機能である。
- 62 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:30
- 「成果は上々、充分使えるよ」
「それじゃあそれで前からの課題はクリアって事で良いですか?」
「OK、期待以上の仕上がりだよ」
「そうですか・・・・」
「ん?どうした大谷?」
「いえ・・・・これがせめてあと二日早く届いていれば・・・・」
「大谷!どんな事でもタラレバは無い!私達の仕事は今できる事を
精一杯やる!そうでしょ?」
「はい、スイマセン!」
大谷が何を考えていたのか保田はすぐに理解した。
あと二日早くこのユニットが届いていれば・・・・
そんな大谷の悔しい思いが保田には痛いほど解った。
なぜならそれは保田も同じだからである。
- 63 :名無し娘。:2003/09/14(日) 23:34
- 川’ー’川 オメ!
川o・o・)<ハッピバースデー!
- 64 :名無し狩人:2003/09/14(日) 23:36
- また名前間違えました・・・・・ 川o・д・)<ダァァァァァ!!
- 65 :名無し狩人:2003/09/15(月) 23:59
- 「もう戻るよ、データは取れた?」
「はい、充分です」
アレスに戻った保田、機体から降りると大谷の肩に手を置いた。
「最高の技術で最高の状態に・・・ね!」
「はい、今私に出来る事はみんなの機体をそしてマルスを
最高の状態で送り出す事ですね」
大谷の言葉に小さく頷いた保田はエレベーターの方へ歩き出す。
「ありがとうございました!」
後姿の保田に大谷はこう言ってお辞儀をする。
保田はそれに応える様に軽く右手を上げた。
司令室に戻った保田は自分の席に座る飯田を見つけた。
- 66 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:00
- 「圭織、少しは落ち着いた?」
「・・・ごめん、心配かけて・・・・でも・・・もう大丈夫だよ。
ののは生きてる、絶対・・・・」
「当たり前じゃない。辻が見つからないって事は何処かで
生きてるって事だよ。そのうち連絡もあるでしょ」
この慰めにも似た保田の言葉。
だがあながちテキトーに出た言葉でもない。
それは保田が心の隅で思っている事でもあるのだ。
「そうだよね、うん。辻はきっと帰ってくる」
保田の言葉に元気付けられた飯田はやっと笑顔を見せた。
2人の祈り・・・いや、マルス隊、そして辻に関わった全ての人間の祈り。
その祈りは神に通じたのあろうか・・・・
- 67 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:00
- 話は二週間後に飛ぶ。
「こんにちはー!」
「まいどー!」
「お腹すいたー!」
地球と火星の間に浮かぶ民間ドック「ハーモニー」
ここはその中にある一軒の小さな喫茶店「E−ジャン」
そこの女主人は3人の来店客を笑顔で出迎えた。
「お久しぶりですね、平家さん、稲葉さん。
そちらの方は?新しいお仲間ですか?」
女主人の名は「ソン・ソニン」。ソニンは今しがた店にやってきた
客とは馴染みの様である。
- 68 :名無し狩人:2003/09/16(火) 00:01
- 「いや・・・仲間って言うか、拾い物って言うか・・・」
「実は最近ゲットしたお宝にくっ付いとってな・・・捨てる訳にもいかんし
なんや記憶喪失みたいやし、仕方ないから一緒におんねん」
そう言ったのは「平家みちよ」と「稲葉貴子」
この2人は勿論小型貨物船「ナノニイーコ号」の乗員である。
その2人が最近ゲットしたお宝と言えば・・・
マルス1の戦いがあった現場で手に入れたバーニア付きのシート。
そのシートは戦闘機の物であった。
そしてそのシートに付いて来たおまけ・・・・
話はまた二週間前に戻る・・・・(あーややこしい)
- 69 :名無し娘。:2003/09/16(火) 00:19
- 毎日更新乙です。
- 70 :名無し狩人:2003/09/16(火) 23:42
- 川σ_σ||今日はお休みです。
- 71 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:16
- お宝を回収した平家と稲葉。2人の乗るナノニイーコ号は
地球圏を目指し発進する。
「さてと、後は途中でどれくらいお宝を見つけられるかやな」
「そうだね。あのシートとここまで集めた物を足しても
必要経費くらいにしかならないかな」
赤字は免れたが儲けを出す為にはまだ足りない様である。
2人はこれからの航程で他にも売れる物を見つける為
休む事にした。
「オートパイロット作動」
平家は操縦をオートパイロットに切り替えると稲葉と2人眠りに就く。
どれくらい時間が経ったであろうか?稲葉は物音で目を覚ました。
- 72 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:17
- (ドン!ドンドン!開けろー!ドン!)
「何や!・・みっちゃん、起きてや!オバケや、オバケがおる!」
「何?どうしたの?」
稲葉に叩き起こされた平家はそこでやっと船内に響く音に気がついた。
(ドン!開けろー。ドンドン!)
「オバケや、オバケが貨物室におるんや!」
「うそ!・・・でも・・・声も聞こえるし、夢じゃないね」
「そうやろ。この船にはうちらしかおらんのやで、オバケや!」
「オバケって・・・・でも誰かいる事は確かみたい。開けてみようか」
「いやや、怖い!」
「そんなこと言ったて仕方ないでしょ」
- 73 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:17
- いつの間に入り込んだのか、ナノニイーコ号の貨物室に
人が入り込んでいる様である。
「あっちゃん、銃は?私が貨物室の扉を開けるから
もしおかしな奴ならお願いね」
「ああ、解った。でもすぐに閉められる様にしといてや」
覚悟を決めた2人、平家は貨物室の開閉ボタン押した。
「うわぁ!」
扉の開いた貨物室から1人の女の子が飛び出してくる。
稲葉は銃を構えると叫んだ。
- 74 :名無し狩人:2003/09/17(水) 23:18
- 「動くな!いや、そのままゆっくりと顔を上げろ!」
出てきた女の子はその場に転んでいたが稲葉の言葉を聞くと
ゆっくりと顔を上げながら言った。
「・・・・ここ何処?あんた誰?」
「はぁ?何言ってるの?こっちが聞きたいよ。
貴女こそ誰?この船にいつ忍び込んだの?」
女の子の言葉に平家は少しキレ気味に言った。
「・・・・わかんない。思い出せないよ。
気がついたらあの椅子に座ってた・・・・ねえ、ここ何処なの?」
女の子はそう言って今まで自分が座っていたと言う椅子を指差した。
その椅子とは、あの戦場で拾ったシートである。
どうやら女の子はそのシートが装着されていた戦闘機のパイロットの様だ。
平家と稲葉はこの小柄な女の子が座っている事に気がつかずに
シートを回収したのである。
- 75 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:12
- 「まいったなぁ。パイロットがおったとは気がつかんかった。
みっちゃんどうする?」
「どうするって・・・ここに置いてく訳にもいかないでしょ。貴女名前は?」
平家は女の子に聞いた。
「だから、解んないの」
「へっ?どう言うこっちゃ」
「貴女ひょっとして・・・・記憶がないの?」
「うん」
どうやらこの女の子は記憶喪失の様である。
自分が何者なのか思い出せないでいた。
- 76 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:12
- 「困ったなぁ・・・。それじゃあ、送っていくって訳にもいかないし
このパイロットスーツは、連邦軍かな?でも見たことないなぁ」
平家は女の子の着ていたパイロットスーツを見たが
それだけでは女の子が何処の所属なのか解らなかった。
なぜなら、もう既にお気付きだろうとは思うがこの女の子こそ
行方不明になっている、イエロー3こと辻希美である。
辻は一般の連邦軍人が着ているパイロットスーツとは
違うデザインのスーツを着用していた。
これはマルス隊のパイロット全てがそうなのだが
試験的に好きなデザインのスーツの着用が許されているのである。
「何か手がかりになる物があれば良いんだけど・・・・
何もないか・・・ん?これは・・・」
- 77 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:13
- そう言って平家が見つけた物は辻の胸のワッペンに記されていた
「NON」の文字。
本来「NONO]と入っていたのだがそれは階級章や
所属の記されたワッペンと一緒に脱出時の爆発で
何処かに飛ばされてしまったのだ。
「ノン・・・か。でもこれはたぶん名前だなぁ。
これだけじゃ貴女の所属は解らないわね」
「そうなの?どうしよう?」
「お前、記憶が無い割にはのんきやな」
「わかんない物はしょうがないじゃん。悩んだって意味無いでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・・」
辻のあっけらかんとして態度に2人は思わず笑い出した。
- 78 :名無し狩人:2003/09/19(金) 00:14
- 「仕方ない、思い出すまで一緒に連れて行こう」
「それしかないな。そんじゃ、何て呼んだらええかな?」
「ノンで良いよ。ここに書いてあるし」
辻はそう言うと自分の胸を指差した。
こうして辻は平家、稲葉と行動を共にする事になったのだが
かなりの我がままぶりを発揮した。
しかしそこは元々アレスでもマスコット的存在であった辻の事
2人はたいしたモンクも言わないでいた。
はたして辻の記憶は戻るのか?
話はまたまた二週間後に戻る (あー本当にややこしい)
- 79 :名無し娘。:2003/09/19(金) 00:28
- 定期乙。
特殊なデザインなら、逆に一発でマルスだってわかったりして・・・
- 80 :名無し娘。:2003/09/19(金) 05:04
- 更新乙です
辻のん気杉w
>>79
敵(って言っていいのかな?)も同じ事してたらどうなんだろう
とかそのレス見て思った
勢力図が分かんないとどうとも言えないけど
- 81 :名無し娘。:2003/09/19(金) 15:46
- 某公国軍なんか改造軍服だらけだぞw
- 82 :名無し娘。:2003/09/19(金) 16:24
- 敵は軍隊じゃないんだよね?
- 83 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:47
- 「とまあ、そう言う訳や」
稲葉は、辻が一緒にいる理由をソニンに説明した。
「そうだったんですか。ノンちゃんね。私はソニン、よろしくね」
ソニンはそう言うと3人にコーヒーを出した。
「ごはん、まだ?」
「おっと、そうやったな。ソニン、カレーライス三つや。
まったくこいつには参ったで。スペースレーヨンには飽きたから
なんか違うもん食わせろって・・・困った居候やな」
そう言いながらも笑顔の稲葉を見てソニンは言う。
- 84 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:48
- 「確かに毎日スペースレーヨンじゃ飽きるかも知れないですね。
ノンちゃん待っててね。すぐ作るから」
「うん、稲葉さんは太陽系一美味しいカレーだって言ってたよ」
「一番美味しいかは解らないけど、自信はあるよ。
天然栽培の材料を使った本物だからね。
オマケに太陽野菜のサラダもつけてあげるね」
「本当?やったー!!」
辻はソニンの言葉を聞いて大喜びだった。それは何故か?
ソニンの言う「太陽野菜」とは太陽光を利用して育てた野菜の事である。
この時代の食材は殆んどが人工栽培の物で、天然栽培の食材は少ない。
人工栽培は天然のそれと比べるとコストも安く大量生産が可能なので
農業の主流は人工栽培なのである。
だがこの民間ドック「ハーモニー」には珍しく天然栽培を目指す
農業プラントがある。そこで作られた野菜は人工物と比べると
その味はまったく違う。辻が普段口にする物は、
人工物の食材で作られた料理やスペースレーヨンなのだ。
だから「太陽野菜」と聞いた時の辻の反応は当然と言えるかも知れない。
因みにスペースレーヨンとは宇宙食の事である。
- 85 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:49
- それからしばらくして3人の前にカレーが運ばれて来た。
「うーん、美味しそう・・・いっただっきまーす!」
辻は嬉しそうにカレーを頬張る。平家も稲葉もそれに習った。
「あー美味しかった。ごちそう様でした」
満足そうに笑う辻を見てソニンは微笑む。
「満足してくれた?」
「うん、とっても美味しかったよ」
「ありがとう、そう言ってもらえるのが一番うれしいよ」
- 86 :名無し狩人:2003/09/19(金) 23:49
- こうして3人が食事を終えた頃、ドックの外壁に位置する
「Eージャン」の窓に強烈な光が飛び込んで来た。
「なんだ?」
光が消えるとそこには一隻の戦闘艦が姿を現した。
「あれは・・・マルス・・・か?」
その戦闘艦の姿を見た稲葉は呟く。
「うそ?ちょっと・・・こんな所で戦闘行為する気?信じられない!」
そう言ってソニンが怒るとその戦闘艦はすぐに方向を変え飛び去って行った。
「緊急出動か?おおっ、始まったみたいやな」
遠くの方で光が飛び交うのが見える。どうやらそこで戦闘がはじまった様だ。
- 87 :名無し狩人:2003/09/20(土) 00:01
- ( `_´)<何やら意外なことが話題になっている様ですね。
まずマルス隊の敵ですが今のところ正式な軍隊ではありません。
宇宙海賊とでも言ったら良いですかね。
大きな組織ではありません。ただしこれからは解りませんよ。
( `_´)<それから平家さん達は自由業です。
ですから辻ちゃんが何処の所属であったとしても
敵、味方は無いのです。
みっちゃんは「いい子」なので困ってる人がいたら
たとえそれが「ガミラス星人」でも助けます。
- 88 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:05
- 「ここからそう遠くはないみたいだね。終ったら行ってみようか?」
「そうやな、状況はここから解るし、アレスの戦闘艦みたいやったから
すぐに決着もつくやろ」
平家と稲葉は仕事の話を始めていた。それを聞いていたソニンは
呆れた様に苦笑いを浮かべると辻にアイスクリームを差し出した。
「これ食べて、サービスでいいよ」
「ありがとう・・・・」
差し出されたアイスクリームを手に取った辻であったが
少し前から様子がおかしい。目の前に戦闘艦が現れてから
なにやらソワソワしているのだ。
「どうしたの?アイス溶けちゃうよ」
「うん・・・」
ソニンにそう言われアイスクリームを口にする辻であったが
遠くで展開する戦闘に見とれている。
- 89 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:06
- 戦闘艦が現れてからだいぶ時間が経った。
だが依然として戦闘が終る様子はない。
「何やおかしいな、いつもならとっくに決着がついとる筈や」
「そうだね、マルスじゃなかったのかな?」
稲葉と平家がそんな会話をしていると
「あれはマルスだよ。マルス2だった」
「そう?でもそれにしては時間がかかってるよね。
マルスタイプなら並みの海賊は手も足も出ない筈だよ」
「って事は並みの相手やないって事やな・・・・ん?
ノン、お前何か思い出したんか?今「マルス2」って言うたやろ?」
辻が何気なく吐いた言葉に稲葉が反応する。
- 90 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:07
- 「あっ、なんでだろう?なぜかそう思ったんだよね。
それに・・・私、今あそこに行きたい気持ちでいっぱいなんだ。
行かなくっちゃって。ねえ連れてってよ」
約二週間一緒にいた辻が、始めて2人に見せる真剣な表情。
2人は辻がマルスと何か関係がある事を確信した。
「でもなぁ、戦闘空域に入って行くなんて自殺行為やで
それにうちらの船じゃ戦闘には不向きやしなぁ」
稲葉は辻の頼みに難色を示した。
単なる貨物船であるナノニイーコ号でバトルフィールドに突入するのは
危険な行為である。
「そうだね、行ってあげたいけどナノニイーコ号じゃ
武装が貧弱すぎるんだよ。だから・・・」
「お願いします。どうしても行きたいの!」
- 91 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:07
- 辻の必死の頼みに2人は悩んだ。するとそこにソニンが言った。
「確かナノニイーコ号は(シスコM型)でしたよね。
だったら・・・・ついて来て下さい」
ソニンはそう言うと3人を港まで案内する。
「なんやソニン。ここに何かあるんか?」
黙って先頭を歩くソニンに、稲葉は聞いた。
「ここです。この倉庫の中の物を使って下さい」
「中の物?・・・」
ソニンはそう言って倉庫を開けた。薄暗い倉庫の中に何かが見える。
ソニンは倉庫の照明を点けた。
- 92 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:08
- 「これは・・・・戦闘機やないか。なんでこんなもん持ってんの?」
「この戦闘機は昔の相棒が置いていった物です。
私じゃ使えないから、ノンちゃんに使って貰えれば・・・」
「相棒?・・・ああ、そう言えば昔おったな。ユウキやったっけ?
何や旅に出るとか言ってどっか行ってるんやったな」
「はい、最近は連絡も取れなくなちゃって・・・こいつも私に任せるって・・
何でもユウキのお姉さんが昔使っていた物らしいんですけど」
ソニンはそう言うと一着のパイロットスーツを辻に手渡した。
「ユウキが使っていた物だから少し大きいと思うけど・・・」
「いいの?大事な物なんじゃ・・・」
「今の私には必要ない物だから・・・それにさっきの話を聞く限り
ノンちゃんはパイロットみたいだし、きっと乗りこなせるよ」
辻はソニンからスーツを受け取るとコクピットに向かった。
機体の脇にあるハシゴをのぼるとキャノピーの開閉ボタンを押す。
キャノピーが開くと辻はコクピットに滑り込んだ。
- 93 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:08
- 「どうやノン。行けそうか?」
「うん・・・・不思議だけど解る。何だか凄く懐かしい気がするよ」
「そう、でも・・・ソニンちゃん本当にいいの?」
「はい、シスコM型ならこいつも乗せられますよね。
ノンちゃんがあんなにあそこに行きたがってるなら
そうさせてあげましょう。ひょっとしたら記憶が戻るかも」
ソニンの言葉に大きく頷く平家と稲葉。
港のスタッフに頼みソニンからの贈り物は早速ナノニイーコ号の
甲板に乗せられた。
「ノンちゃん、気をつけてね」
ソニンはそう言うと辻の頭を撫でた。
「ありがとう、ところでこのコの名前は?」
辻はソニンから送られた機体の名前を聞く。
- 94 :名無し狩人:2003/09/20(土) 22:09
- 「サントマミ」
「どう言う意味?」
「さー、知らない。でも昔活躍した有名なパイロットの愛機の
名前らしいよ」
辻はソニンに別れを告げるとナノニイーコ号に走って行った。
「そんじゃまたね」
稲葉も船に向かう。
「あっ、これカレーのお金。おつりはとっといて」
「ありがとうございます。またよって下さいね」
平家からカレー代を受け取るとソニンはお礼を言って戻って行った。
「よし、それじゃあ出発しよう。ナノニイーコ発進!」
平家の合図と共にナノニイーコ号は戦場に向けて発進した。
- 95 :名無し娘。:2003/09/20(土) 22:23
- 後藤の愛機か・・・いいなぁ
- 96 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:54
- 「マルス2よりレッドリーダーへ、グリーン隊が補給の為帰艦します。
敵艦載機の方はよろしくお願いします」
「レッドリーダー了解!でも早くしてよ。こっちもキツイんだから」
「マルス2了解!」
マルス2は今まさに戦闘状態にある。
敵の戦力は戦闘艦が五隻、艦載機多数。
それに対してマルス2側の戦力はマルス2の他に
近くの軍の基地からやって来た警備艇が二隻。
艦載機も敵のそれと比べると少ない。
戦力としては圧倒的に不利な立場にあった。
「レッドリーダーよりレッド3へ、紗耶香!まだ?」
マルス2艦載機隊の「レッド」
率いるのは一番機「ケメンダヤス」の保田圭である。
二番機「マックゴルド」のパイロットは後藤真希
三番機「テレパシー」のパイロットは市井紗耶香
四番機「ケッカ−」のパイロットは吉澤ひとみ
五番機「スコロンダ」のパイロットは木村絢香
以上5人、五機で編成されているのが「レッド」である。
- 97 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:55
- 「レッド3よりレッドリーダーへ、まだ修理が終んないよ」
「そんな・・・早くしてよぉ。村田!頼むから頑張って!」
レッド隊三番機、レッド3・市井の機体は被弾して修理中である。
保田は市井の機体の修理を急ぐ様にマルス2のチーフメカニックである
村田めぐみに言った。
「メカ班からレッドリーダへ、あと10分頑張って下さい!」
「レッドリーダー了解!」
久々の手強い相手にマルス2のメンバーも必死であった。
「何や、苦戦しとるみたいやな」
現場近くに到着したナノニイーコ号。
近くに浮かんでいた隕石の様な岩の陰に船体を隠し
戦いの様子を窺っている。
- 98 :名無し狩人:2003/09/20(土) 23:56
- 「敵の戦闘艦・・・どっかで見たことあるぞ、あれは確か・・・・
そうだ!ナンバカーズの戦闘艦だよ」
「そうかあのカラーリング・・・見たことあると思っとったけど・・・
ナンバカーズの「タマヨ」やな」
ナンバカーズ・・・それは主に宇宙海賊達で構成された組織で
この太陽系航路では恐れられている存在なのだ。
そして稲葉の言った「タマヨ」とはナンバカーズでもその実力は
かなり物とされる一団である。
「ふふふ・・・ええとこで会ったやないか。タマヨには借りもあるしなぁ
なんと言っても奴らは懸賞つきのお尋ね者や。
ここは一丁、連邦の助太刀と行こうか!」
マルス2と戦う相手を見た稲葉と平家の表情が変わった。
タマヨには過去に何度か、お宝を横取りされた事があり
2人はその借りを返すチャンスをずっと待っていたのである。
- 99 :名無し狩人:2003/09/21(日) 00:08
- ( `_´)<少し出来たので追加うP。
ここではマルス2の登場になる訳ですが、
マルス2のグリーン隊の2人の機体の名称が浮かばない。
誰になるのかはお解かりだと思いますが
特徴って言うか象徴って言うか何かありましたっけ?
- 100 :名無し娘。:2003/09/21(日) 01:09
- うーん・・・事故死とピンク映画・・・?
- 101 :名無し狩人:2003/09/21(日) 01:50
- ( `_´)<やっぱりそれしかないですかね・・・
あの頃はあまりカントリーに興味なかったし
強いて言えばモーニング刑事で見たくらいでしょうか・・・
ってそっちじゃなくて現役の方です。
どっちも牧場のイメージがないのでどうしようかと。
- 102 :名無し娘。:2003/09/21(日) 02:15
- どっちも娘正式メンバー選考落ち
- 103 :名無し娘。:2003/09/21(日) 09:43
- 里田はヤンタンでは、「〜だべ」と北海道弁で売ってますね。後はセクシーか。
「ドサンコ・セクシー」とか…
みうなは静岡ぐらいしか…
- 104 :名無し娘。:2003/09/21(日) 12:43
- 里田はロマンスぐらいしかしらんなぁ
みうなに関しては無印象
強いて言えば里田が来た辺りから農業色が薄くなった?
- 105 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:39
- 「補給完了!ノンクラクション出ます!」
そう言って飛び出したのは、たった今補給を終えたマルス2所属の
グリーン隊、三番機「ノンクラクション」のパイロット里田まいである。
里田はバトルフィールドに出ると、すぐさま迎撃態勢に入った。
「補給完了!ホカノドーガ出ます!」
続いてグリーン隊、四番機「ホカノドーガ」が補給を終えて飛び出した。
パイロットはグリーン隊の新人、斎藤美海である。
「グリーン3よりレッドリーダーへ、補給が終りました。任務に戻ります」
「レッドリーダー了解!後は任せたよ!」
グリーン隊の戦線復帰によりマルス2の防衛にあたっていた
保田のケメンダヤスは敵艦に向かって飛び去って行く。
「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、ミサイルその他、残量を確認せよ」
「レッド2、まだ半分以上残ってます」
「レッド4、まだ行けるYO−!」
「レッド5、まだOKです」
「上等!みんなたいしたもんだ。それにしても・・・・市井のやつ遅いぞ!」
敵艦の周りにいる艦載機のだいぶ減っている。
このあたりで一気にけりをつけたい保田であったが
レッド3の市井がまだ戻って来ない為、迂闊には敵艦に近づけなかった。
- 106 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:40
- その頃、ナノニイーコ号では辻の出撃準備が進んでいた。
「ええかノン。決して無理はするなよ。ヤバイと思ったらすぐに逃げや。
後はお前の運と実力だけや、お前の実力・・・しっかり見してや」
既に機体に乗り込んでいる辻に対して稲葉は声をかけた。
「了解!最終チェック・・・出撃準備完了!サントマミ・・・出ます!!」
勢い良く甲板を飛び出した辻は機首を迷わず敵艦に向けた。
「さてと・・・そんじゃこっちも行きますか・・・みっちゃんええか?」
「良いよ、それでは久々に・・・・やりますよ」
稲葉の言葉に頷いた平家は手元のボタンを押す。
「バトルモード、変身!」
平家がそう言うとナノニイーコ号は変形を始める。
通常の武装はレーザー砲が二門だけのこの船。
だがこのバトルモードにすると更に砲が二門増えて
合計四門。さらにミサイル発射管が二門現れる。
ナノニイーコ号バトルモード「イーコボンバー」である。
「突撃ー!」
- 107 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:41
- 辻に続き、ナノニイーコ号もバトルフィールドに突入する。
突然参戦してきた二機をマルス2のレーダーが捕らえた。
「右舷に接近する物体があります・・・識別信号・・
民間貨物船のナノニイーコ号です」
「民間船?退避勧告だして」
マルス2レーダー班、北上アミ准尉の報告に
マルス2艦長の安倍はオペレーターの石川に指示を出した。
「ナノニイーコ号・・・聞こえますか?こちらは連邦軍のマルス2です。
この空域は現在戦闘状態にあります。
危険ですから速やかに退避して下さい。繰り返します。
こちらは連邦軍です。ナノニイーコ号、速やかに退避して下さい」
石川がナノニイーコに退避勧告を出す。すると
「あー、こちらナノニイーコ号、助太刀いたす」
「はい?」
「そやから、うちらも手伝う言うとるんや、苦戦しとるみたいやからね」
稲葉からの思わぬ返答に石川は安倍を見た。
- 108 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:41
- 「・・・アミちゃん、ナノニイーコのタイプは?」
「えーと・・・シスコM改ですね。シスコMの武装強化型です」
「一緒にいる小型機は?」
「SF−14R艦載用戦闘機です。機体コード不明、識別は・・・・うそ?」
「どうしたの?」
「識別・・・イエロー3・・・・」
「えっ?のの?まさか・・・機体が違うしそんなの有りえないよ」
「確かに機体確認コードは違うけど、識別コードは・・・辻ちゃんです」
北上の報告にブリッジにいた全員が驚きの表情を浮かべる。
戦闘中の戦闘機は通常二種類のコードを発している。
一つが機体本体を現す機体確認コード、そしてもう一つが
その機体に乗り込むパイロットが任意に打ち込む識別コードである。
本来であればこの識別コードは使う事はない、なぜなら識別コードは
そのほとんどが軍のみで使用され、民間人が使用する機体には
それを発信する装置はないのである。
時にはその装置が搭載された機体はあるがほとんどが使用されないか
コードを発信していたとしても未登録コードがほとんどなのだ。
そして今現れた機体は機体コードこそ不明であるが
識別コードは間違いなく連邦軍に登録されたコードである。
識別コード発信装置が搭載されたこの機体に辻は無意識の内に
自分の識別コードを打ち込んでいたのだ。
- 109 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:42
- 「とにかく今はそれは忘れよう。みんな仕事に集中して。
石川、ナノニイーコには協力をお願いして、
全てが終ればあの機体に乗ってるパイロットも確認できる」
「了解!マルス2よりナノニイーコへ、ご協力に感謝します。
私は戦闘オペレーターの石川です。戦闘中は私の指示に従って下さい」
「ナノニイーコ了解です」
「ありがとうございます。では貴艦は敵艦隊側面から攻撃を行って下さい。
敵艦隊のかく乱が狙いです」
「ナノニイーコ了解!これより作戦を開始します」
石川の指示によりナノニイーコは敵艦隊側面に陣取った。
一方既に敵艦隊に向かっていた辻は・・・
「後藤!突っ込みすぎだよ!」
一瞬ではあったがマルス2のブリッジに生じた混乱で
レッド隊の指揮系統にも混乱が生じていた。
その指揮の乱れによりレッド2、後藤のマックゴルドは
友軍機より敵艦に接近していたのである。
それを確認した保田は後藤に注意を促したが
次の瞬間マックゴルドは敵艦載機に後ろを取られてしまった。
- 110 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:42
- 「しまった・・・・」
「後藤!気をつけて!すぐ後ろに一機いるよ」
「駄目だ・・・引き離せない・・・」
敵機に狙われた後藤、必死に回避を試みるがついに敵機にロックされた。
「やられる・・・・」
後藤がそう思った瞬間、突然後ろにいた敵機が爆発した。
「あれっ?・・・・誰?」
仲間によって救われたと思った後藤であったが自分の近くには
誰もいない事は解っていた。では誰が・・・
そう思った後藤の視界に一機の戦闘機が姿を現す。
それを見た後藤は驚きで言葉を失った。
- 111 :名無し狩人:2003/09/22(月) 11:44
- ( `_´)<皆さんも一緒ですか。結局2人は歌詞から取りました。
ご協力に感謝です。
- 112 :名無し娘。:2003/09/22(月) 17:30
- グリーン隊は呪われてたりして
- 113 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:58
- 「・・・・・」
一体なぜ?・・・・後藤は混乱している。
ここに存在する筈のない機体が目の前に存在する・・・
ソニンはサントマミは相棒のユウキの姉が使っていたと言った。
そのユウキの苗字は後藤。
そう、今ここにいる後藤真希はユウキの姉であり
目の前を飛行しているサントマミの元パイロットなのだ。
「レッド2よりサントマミへ・・・ユウキ?ユウキなの?」
後藤はサントマミのパイロットに話し掛けた。
「違うよ・・・」
かえってきた声は女の声である。
「ひょっとしてソニンちゃん?」
「違う・・・私はノン」
- 114 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:59
- 弟の相棒ソニンでもないそのパイロットは「ノン」と名乗った。
何処かで聞いた事がある声・・・モニターに視線を落とした後藤は
またしても驚いた。
そこに表示されているサントマミの識別コードはイエロー3だったのだ。
「後藤!なにボケッとしてるの!」
後藤に迫る敵機を叩いた保田から激が飛ぶ。
「圭ちゃん、あの機体のパイロット・・・」
「解ってるよ、でも様子が変だ。ひょっとしたら罠かも知れない。
私に考えがあるの、だから任せて」
保田はそう言うと通信機に叫んだ。
「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、Wフォーメーション!」
保田がそう言うとレッド隊の各機はWの形に陣取る。
保田、後藤、吉澤が前に三機横並び。
市井、絢香がその後ろに付くのだが市井はまだ到着していない。
- 115 :名無し狩人:2003/09/22(月) 21:59
- 「レッドリーダーよりイエロー3へ市井がいない。
市井の分のフォローをお願い!」
「・・・・・」
「ちょっと辻、聞いてんの?」
「・・・あっ、イエロー3了解!」
保田の指示に辻は、自然と市井が入る場所に機体を移動した。
「行くぞ!アタ−ック!!」
一気に敵艦隊に突っ込む五機、次の瞬間敵艦一隻を破壊した。
「上出来!辻、やるじゃん!」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
保田の問いかけに返事を待つメンバー。すると
- 116 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:00
- 「えへへへ、これくらい朝飯前ですよ」
戻って来た返事は紛れもないイエロー3辻希美の物であった。
「つーじー・・・・よし、この調子で全部叩く」
辻の参戦により勢いに乗ったマルス2は一気に敵を蹴散らす。
「目標敵旗艦、主砲発射!」
安倍が叫ぶとマルス2から強力なエネルギー弾が放たれる。
主砲の直撃を受けた敵旗艦は既にスクラップであった。
「敵旗艦より脱出した小型艦があります」
北上が言うと
「マルス2へ、任しとき」
ナノニイーコは小型艦にミサイルを放った。
ミサイルは見事直撃、2人はついに借りを返したのであった。
- 117 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:00
- 「作戦終了。各艦載機は順次帰艦して下さい。お疲れ様でした」
石川の指示で帰艦を始めるレッド隊とグリーン隊。
辻はそこに一機だけ取り残された。
「マルス2よりナノニイーコへ、マルス2艦長の安倍です。
ご協力ありがとうございました。お陰で様で敵も撃破できました。
それと・・・・」
「こちらナノニイーコ号船長の平家です。おっしゃりたい事は解っています。
こちらは彼女の意思に任せます」
平家からの返信を聞いた石川はすぐさま辻に言った。
「辻ちゃん、お帰り、みんな待ってるよ」
「・・・・うん・・・・でも・・・安倍さん、少し時間もらえますか?」
「良いよ、2人にお礼言ってきな」
「はい!」
安倍にそう言われた辻は一旦ナノニイーコ号に戻る。
- 118 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:01
- 「ノンはやっぱり連邦軍の人間だったんだ」
「ノンの本当の名前は?教えてくれるよな?」
「はい、連邦軍火星衛星基地アレス所属、
戦闘艦マルス1艦載機隊イエローの辻希美です」
「そうか、辻希美言うんか。で?NONって言うのは?」
「あれはNONOって書いてあったんですよ。
私みんなにののって呼ばれてるんです」
辻にそう言われた稲葉と平家は寂しそうな表情を浮かべると言った。
「ののか・・・のの、短い間やったけど楽しかったで元気でな」
「ののちゃん、私達の事も忘れないでね」
「はい、平家さん、稲葉さん、本当に助けてくれてありがとうございました。
お2人もお元気で・・・」
辻はそう言って敬礼をするとナノニイーコ号を後にした。
- 119 :名無し狩人:2003/09/22(月) 22:21
- グリーン隊だけでなくきっとマルス隊全体が呪われている気がする。
┌──────────┐
│ |ill|| lll . () () │
| |ill|| lll || || カーンカーン│
| ll|l(マルス)ヽ||'-' 川ノ-[] │
| |::l||大| ( ) │
| ノ;;;i!! !!ヽ | | │
└──────────┘
- 120 :名無し娘。:2003/09/22(月) 22:40
- グリーン隊りんねの安否が気にかかる・・・((((;゚Д゚)))
- 121 :名無し娘。:2003/09/23(火) 09:19
- >>119
その呪いだと諦めるしかないってのが辛いねw
- 122 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:12
- 「皆さん、ご心配をおかけしました」
マルス2に戻った辻は深々と頭を下げる。
「・・・・無事であればそれだけでじゅうぶんだべ・・・」
安倍はそう言うと辻を抱きしめた。
「本当に心配かけやがって・・・・でもなっちの言う通り
無事に戻って来てくれただけで嬉しいよ」
辻の生還にマルス2の乗員皆が喜んでいる。
「みんなの祈りが神様に通じたんですよ。 口には出さなかったけど・・・
そうだ、アレスのみんなにも教えてあげないと」
石川がそう言って連絡を入れようとすると
「ちょっと待った!」
安倍がなにやら企んだ様な表情を浮かべそれを止めた。
- 123 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:14
- 「何ですか?」
「みんなには内緒にしよう。何事もなかったかの様に帰ってさ・・」
こっそり辻を連れて帰って何も知らないアレスやマルス1のメンバーを
驚かそう・・・安倍の提案に皆が乗った。
その後マルス2のメンバーが楽しそうに帰還の準備を始めると辻が言う。
「あの・・・帰りにハーモニーによって貰えませんか?
サントマミをソニンさんに返さないと・・・」
「ん、いいよ。確かに貰っちゃうには高価過ぎる物だしね」
辻の頼みを安倍が承諾すると後藤が言った。
「たぶん返さなくていいと思う。って言うかサントマミは私のだし
マックゴルドに乗り換える時にサントマミがスクラップになるって
聞いたから頼んで譲って貰ったんだよ。その後大谷さんに頼んで
整備して貰って実家に置いといたらユウキが勝手に持ち出して・・・
だから、ののさえ良ければ使ってくれないかな?
SFー14Rはまだまだ現役で使われてるし、
実際圭ちゃんのケメンダヤスだってSF−14Sだもん。
性能から言えばレスラッテのSF−18Aとさほど変わらないと思うよ」
後藤の思わぬ発言に辻は驚いた。確かにそう言われれば
後藤が使っていた軍用機であるサントマミが民間に流れる事が
本来ありえないのである。
- 124 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:14
- 「いいの?私が使って」
「うん、私はその方が嬉しいし、サントマミだって使ってあげないと
かわいそうだよ」
後藤がそう言うと辻は嬉しそうに頷いた。
「ちょっと待ってよ、それはいいとしても機体は大丈夫なの?
もう激しい戦闘に耐えられないから変えた筈でしょ?」
保田が思い出した様に言うと
「大丈夫その点は私が保証するよ。サントマミはまだまだ現役で行ける。
フルオーバーホールしてあるし、なんと言っても一緒に整備した
この私が言うんだから安心でしょう」
そう言ったのはマルス2メカニックの村田である。
村田は後藤が大谷にサントマミの整備を頼んだ時に
大谷から頼まれて一緒に作業をやっていたのである。
「これで決まりだね。きっとソニンちゃんだってそう言うつもりで
ののにサントマミを託したんだと思うよ。だから・・ね」
話は決まった。辻の次の愛機はサントマミ。
サントマミはこの後レスラッテ+に改名される。
もっともこの勝手な決定は後に中澤に物凄く怒られる事に
なるのだが結局はOKがでるのである。
- 125 :名無し狩人:2003/09/23(火) 23:17
- ( ´ Д `)<んぁ・・・・
( ´D`)<後藤しゃん、オメなのれす。
- 126 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:10
- 「識別信号送信・・・こちらマルス2。入港許可を申請します」
マルス2航海班、前田有紀曹長はアレスに入港の許可を求める。
「識別信号確認、マルス2の入港を許可します。
誘導ビームに乗って進入して下さい」
アレスオペレーター斉藤とのいつものやり取りを終えると
前田はアレスへの進入を開始した。
「機関停止・・・逆噴射開始・・・」
慣性と額噴射を巧みに使い分けてマルス2はゆっくりと進む。
少しすると完全に停止するマルス2。
その場所は船体固定リフトの上である。
「リフトオン!マルス2航海を終了します」
- 127 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:10
- 蝶が舞い降りるように船体をリフトに乗せた前田、
マルス1の小川の荒っぽい入港に比べると、その熟練度を感じさせる。
「さてと・・・ここからがお楽しみだ。問題はどうやってののを
みんなにみつからない様にするかだね」
「マルス1はまだ戻ってないみたいだね。今がチャンスじゃない?」
安倍と保田は作戦を練っている。いかに他のメンバーを驚かせるか。
マルス2出撃後、他の場所でスクランブルがありマルス1も出撃していた。
とりあえず辻を囲む様にして船を下りると司令室に歩いて行く
マルス2のメンバー。司令室に入ると
「マルス2、ただ今帰還いたしました」
安倍が中澤に報告を入れメンバー全員で敬礼をする。
「お疲れさん、今のところ他はないからゆっくりと休んでええよ」
中澤にそう言われたマルス2メンバー+1人は指令室の奥にある
休憩室に歩いて行く。
それを何気なく見ていた柴田が驚きの声を上げた。
- 128 :名無し狩人:2003/09/25(木) 01:11
- 「ああっ!!」
「何や、柴田?いきなり大声出して、びっくりするやないか!」
中澤はそう言って柴田を見る。
柴田は固まったままマルス2のメンバー+1人を見つめていた。
その視線を追って中澤もその方向を見るとメンバーが笑っている。
「なんやお前達ニヤニヤして、私の顔に何か・・・・って、おいっ!」
中澤はそこで初めて+1人の存在に気がついた。
「つ・・・つじ・・・これは夢か?・・・違う、現実や・・・
お前達・・・隠してたな。まったく・・・・」
心配していた辻の生還は「悪魔鬼」と呼ばれた中澤の涙を誘った。
「辻・・・無事やったんやな・・・まったく、心配させやがって・・・
じゃない!こら、なっち!何処でみつけたんや?
ちゃんと報告せんとアカンやろが!」
喜びのあまり普段であればカミナリが落ちるこのシュチュエーションでも
中澤は笑顔である。
- 129 :名無し娘。:2003/09/25(木) 06:21
- 更新乙です
辻はやっとこ家に帰還かぁ
- 130 :名無し娘。:2003/09/25(木) 15:02
- のの生還おめ
ホー(ryからトム(ryに乗り換えかぁw
- 131 :ナナシ娘。:2003/09/26(金) 00:11
- 戦闘シーンなどの描写が羊のときよりもさらに読ませてくれるものが
ありますよね。機体名の由来などを考えるのも楽しみの一つですが(w。
ともあれ今後もチェックさせて頂きますのでガンガッテくらさい。
- 132 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:09
- 辻が帰って来た・・・・
この事実はすぐにアレス全体に広がった。
他の主要基地に比べて仲間意識の強いアレスならではの事である。
では、なぜそうなのか?これはこの基地を指揮している中澤の
やり方もあるが、ここにいるメンバーがほとんど女性であり
また同じ空域のコロニー出身である事が大きな理由であろう。
地球連邦が出来たとは言え、人種や宗教などによって
その考えさまざまである。宇宙移住が始まった当初は
そう言った枠をなくそうと様々な人種が一つのコロニーに集まった。
だが、これは結局コロニー内の争いを招く結果となってしまう。
そこで急遽今までの国の枠内での移住に切り替えられたのだ。
そしてそれは連邦軍内でも一緒であった。
人種や宗教の考え方の違いによりその部隊の統制に
問題が生じる事件が起こったのだ。そこで連邦軍は部隊を人種によって
分けていかなくてはならなくなった。だがそれで上手く行くのか?
そこで建造中であったアレスに配置する人員を同じ空域のコロニーの
出身者によってまとめるとし、更に計画中であった女性軍人の
積極的重要ポストへの昇進及び配置。
この計画によりアレスにはコロニー集団「ジャップス」出身の
女性が集中して配置されている。
つまりアレスは一種の実験的要素の多い基地なのである。
- 133 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:11
- 「完全にやられわ。なっちも結構悪やな」
中澤が呆れた様に言う。だがその中澤もまた同じ事を考えた。
それは・・・・
「こうなったら圭織達も同じ目に遭わせてやろうやないか」
先程帰還の連絡を入れてきたマルス1には辻の生還は
知らされないままになったのだ。
それからしばらくして何も知らないマルス1がアレスに戻って来た。
「リフトオン!」
(ガシャーン!)
マルス1帰還と共に訪れるいつのも轟音、アレスのドックのメンバーは
既に慣れている様である。
「小川・・・頼むから一回くらい静かに船体をリフトに乗せてくれ」
コーヒーで顔を濡らした矢口が不機嫌そうに言う。
「ごめんなさい。でもドック進入時は何もしないで座ってて下さいって
いつも言ってるじゃないですか」
「・・・そうだけど・・・」
マルス1のドック進入時はおとなしくしている。これはお約束である。
この日の矢口はそれを忘れ、うっかりコーヒーを飲んでいた為、
リフトに船体を乗せる時の衝撃でコーヒーをかぶる羽目になったのだ。
- 134 :名無し狩人:2003/09/26(金) 01:27
- ( `_´)<今日はすすみませんですみません。
(;`_´)<・・・・
(;`_´)ノ>ホー(ryからトム(ryに乗り換えかぁw
メカの形状については皆さんの想像にお任せします。
いや、ホントお任せします・・・(w
- 135 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:18
- 「マルス1、飯田圭織以下、全乗組員無事帰還しました!」
司令室に入り敬礼をするマルス1のメンバー。
「1人おらんやんか」
中澤がとぼけた様に言うと
「裕ちゃん・・・冗談でもそんなこと言わないでよぉ」
「そうだよ、オイラ達だって辛いんだからさ」
飯田と矢口が怒った様に言った。
「おっと、いたいた、全員おったわ。辻!帰還報告時は全員揃ってやで!」
そう言う中澤に飯田がキレた。
- 136 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:19
- 「裕ちゃん、いい加減にしてよ。そんな事やって何が楽しいの?」
飯田が大声で叫んだその時、
「はい!もうし訳ありません。辻希美、無事帰還しました!」
「・・・・えっ?」
突然後ろから聞こえて来た声にマルス1のメンバーが全員振り返った。
「・・・・うそ・・・・のの・・・どうして・・・」
「つじぃ〜・・・良かったぁ〜・・・」
「のの、ぶじやったんやな・・・」
自分達の後ろに居るのは間違いなく辻希美である。
飯田、矢口、加護・・・・メンバー全員辻に駆け寄った。
- 137 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:19
- 「飯田さん、矢口さん・・・それにみんなも・・・本当に心配かけてごめん」
「いいよ、そんなのぜんぜんいいよ。だって無事だったんだもん」
「そうだよ。オイラだって気にしてなんかいないよ。お帰り辻ちゃん」
「ほんま、心配かけやがって・・・のの〜っ!」
涙で顔がくしゃくしゃになった加護が辻に抱きついた。
辻もまた泣いている。一番の親友である加護との再会は
辻にとっても泣きたくなるほど嬉しい事なのである。
「まったくもう。みんな意地が悪いよ」
そう言いながらも飯田には笑顔が戻っている。
「そんな怒る事ないやろ。私らだって、なっち達にやられたんやから」
「それじゃあ、ののは、なっち達が連れて来たの?」
中澤の言葉に飯田は安倍の顔を見る。
「説明すると長いんだけどね・・・・」
安倍が辻発見について説明を始めた。それを聞いていた中澤が言う。
- 138 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:20
- 「なんや、そんじゃ辻はみっちゃん達に助けられたんか?」
「裕ちゃん平家さん知ってるの?」
「まあな、そうか、あいつらがなぁ〜・・・・」
中澤はそう言うと平家との関係を話し始めた。
それはまだアレスが完成する前の話である。
その頃連邦軍の月面防衛隊にいた中澤は平家と同じ部隊にいた。
その名も「サーガ・アイ」
2人はこの部隊のエースパイロット兼部隊長であり良きライバルでもあった。
そんなある日、2人に昇進の話が舞い込む。
それは今度新しく出来る火星衛星基地の指揮官の話であった。
だがそのポストに就けるのは2人のうちのどちらか1人。
よく漫画などでありがちな話であった。
話があってから一週間後、2人は参謀本部に呼び出される。
2人の適性を競う為、模擬戦を行うと言うのだ。
試験は三週間後、その模擬戦に勝った方が昇進する。
これまた漫画みたいな話であった。
そして試験の三日前になったその日、中澤は平家が軍を
去った事を知らされる。その事により試験はなくなり
中澤はそのままこのアレスの指揮官に就任したのである。
- 139 :名無し狩人:2003/09/27(土) 00:20
- 「本当に今でもムカツク奴やな。でも・・・いい奴や・・・」
中澤がそう言って話を終えるとなぜか笑いが起こった。
「あはははは・・・・漫画みたい・・・」
「きゃははは、ホント・・・裕ちゃんそう言うの全然似合わないね」
そう言って笑うメンバーを見て中澤も笑う。
「ははは・・そんな事言ったって仕方ないやん。そうなったんやから」
辻の生還。中澤の過去、この日のアレスは終始笑顔に包まれていた。
- 140 :名無し娘。:2003/09/27(土) 00:27
- ミチャーソ・・・
- 141 :名無し娘。:2003/09/27(土) 06:02
- めっちゃいい子や・・・゜・(ノД`)・゜・
- 142 :名無し狩人:2003/09/28(日) 00:05
- 辻の帰還から一ヶ月が経った。火星衛星基地アレスはいつもと変わらない。
「おっ、もうすぐ時間やな。石川、「二ュージクス」入港の時間や。
悪いけどこの書類届けてくれんかな?」
「はーい、解りましたぁ」
中澤から手渡された書類を受け取ると石川はアレスの玄関である
メインポートに向かった。
今日は物資運搬船「ニュージクス」入港の日であり
軍で必要な物資の受け取りをなぜかいつも石川が担当していた。
「♪チャ−ミーグリーンを使うと可愛くなるぅ〜♪」
今日はご機嫌な石川、歌を唄いながら通路を歩いていると
(ニュージクス入港・・)
貨物船ニュージクスの一団の入港アナウンスが流れた。
- 143 :名無し狩人:2003/09/28(日) 00:05
- 「いけない、もう来ちゃった・・・」
ニュージクス率いる貨物船団は約一週間かけて
地球圏からこの火星圏までやって来る。
民間の輸送船団としては最速の船団である為
到着時間も予定より少し早かった様だ。
アナウンスを聞いた石川は、早足で港に向かって歩き出す。
到着から荷卸しまで僅かな時間しかない。
受け取りその他、仕事はいっぱいなのだ。
「♪焦ってたって仕方ないでしょ・・・♪」
またしても歌を唄いながら歩く石川。
すると石川の前に私服の4人組が姿を現した。
今石川がいる場所は軍のブロックで民間人はもちろん立ち入り禁止である。
石川は慌てて4人の所へ行って声をかけた。
- 144 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:01
- 「あっ!すいません、そこの方、ここは軍のブロックなので
民間の方はご遠慮ください」
前から来る4人組はいずれも女の子であった。
石川に声をかけられ先頭を歩いていた女の子が言う。
「梨華ちゃん、私だよ」
いきなり名前を呼ばれた石川。よく見ればその女の子は
見覚えのある顔であった。
「藤本ちゃん!誰かと思ったよ。今日はどうしたの?船団の護衛?」
石川の名前を呼んだのは藤本美貴。
彼女は航路監視隊に所属している軍人で、何度かこのアレスにも訪れていた。
「あれっ?聞いてないの?今度ここの配属になったんだけど」
「えっ?・・あっ、そう言えば新人が来るって聞いた様な気がする」
「そうでしょ、それが私達って訳。紹介するね、右から田中、亀井、道重
3人とも航路監視隊の後輩だよ」
- 145 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:02
- 藤本に紹介され後ろにいた3人は石川に挨拶をした。
「初めまして、田中れいなです。よろしくお願いします」
「亀井絵里です。よろしくお願いします」
「みっ、道重さゆみです。よろしくお願いします」
3人は緊張した様子で自己紹介をする。
「はい、私はマルス隊、マルス2オペレーターの石川梨華です。よろしくね」
石川がそう言うと3人は改めて頭を下げた。
「ごめんね、私仕事があるから行くね」
「それじゃあまた後で」
「うん」
石川はそう言うと藤本達と別れ、港に急いだ。
「ごめんなさい。遅れましたぁ」
港に着いた石川はいつもの係員に声をかける。
- 146 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:02
- 「おっ、来たな。時間に厳しい梨華ちゃんがどうした?・・・
そうか、あの子達と話をしてたんだな。えーっと藤本ちゃん!」
「はい、通路でバッタリ・・・って言っても一本しかないから当然ですね」
石川はそう言うと係員と2人で検品を始める。
チェックを終え書類にサインをすると後ろで待っているスタッフに
指示をだし、荷物の振り分けを始める。
全てが終了するとこの仕事は終わり。石川は司令室に戻って行った。
「受け取りおわりましたぁ」
「ん、ご苦労さん。それじゃ石川も来たから自己紹介してくれ」
中澤が先程の4人組に言う。司令室には既に主なメンバーが集合していた。
「はい、では私から・・・田中れいなです・・・・」
4人は改めて順番に自己紹介を始める。
「・・・・さゆみです。よろしくお願いします」
田中、亀井、道重、3人の新人がそれぞれ自己紹介を終えると
藤本が自己紹介を始めようとした。
- 147 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:03
- 「それでは私も・・・・」
「いや、藤本はええやろ、知らんやつなんかおらんからな」
「えっ?・・・そんな・・・」
藤本の自己紹介を中澤が遮る。そして
「これから、この4人が新しい仲間になる。担当部署はまた明日って事にして
とにかく一週間の長旅や、今日の所は部屋でゆっくり休んでや。
えーっと・・・紺野!4人を居住ブロックに案内してやってくれ」
「了解!」
中澤に言われ紺野は席を立つと4人を居住ブロックに案内した。
- 148 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:25
- ( `_´)<更新の量が少なくて申し訳・・・・
本日仕事中に目を傷めまして・・・
とりあえず明日は様子を見てになるのでひょっとしたら
お休みになるかも・・・・よろしくです。
- 149 :名無し娘。:2003/09/29(月) 01:11
- 無理は傷に触るので養生しる。
- 150 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 藤本達4人が到着してから既に数時間が経過していた。
中澤は、飯田、安倍、保田、矢口の4人と藤本達の
配置について話し合ってる。
「4人とも基本的にはパイロットな訳やし、やっぱ艦載機隊やろうな」
中澤はそう言うと4人の意見を求める。
「そうだなぁ、ブリッジはそれ程でもないし、この前の、のの、の件もあるし
やっぱりイエローの増員かな?矢口どう思う?」
「オイラはそれよりオイラ達とグリーン隊の間に入る部隊が欲しいな。
けどそうなるとそこに入るのは経験者になるよね」
結局はっきり決まらないまま、とりあえず明日以降の出動で
藤本達を実戦投入しどうするか決定する事になった。
ただし4人の振り分けは決定していた。
田中・亀井がマルス1、藤本・道重はマルス2である。
- 151 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 「MJ−04より緊急連絡!護衛船団のSOSをキャッチしたとの事です」
オペレーター斉藤が言う。
「情報分析!柴田!レーダーは?」
「MJ−04・・・第三輸送船団が航行中です」
柴田が答える。すると
「護衛艦、ネープルVより緊急入電!第三輸送船団が襲撃を受けています」
「第三輸送船団後方・・・所属不明の船団をキャッチしました・・・
うそ!速度が速い・・・第三船団囲まれました」
斉藤、柴田が珍しく焦っている。事態は急を要する様だ。
慌ててレーダーを確認する中澤
「まずいな、敵の数も多いみたいや。スクランブル!マルス1・2出動!」
状況から判断し、中澤が珍しくマルス1・2の同時出撃の指示をだした。
警報が鳴り響く中、両艦のメンバーが素早く出撃準備にとりかかる。
- 152 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- その頃ドックでは・・・
「おらぁ!モタモタすんな!さっさとリフトのロックを外せ!
動きの遅い奴は一時間石川の唄を聞かせるぞ!」
アレス戦闘艦ドックのチーフメカニック大谷がスタッフに激を飛ばす。
するとそこに後藤がやって来た。
「大谷さん、お願いがあります」
「なんだよこの忙しい時に?」
「ブギ−03をマルス2に乗せてください」
「はぁ?なんで?藤本は明日からだろ?」
「たぶん・・・いや絶対に藤本ちゃんは行きたがる筈です」
「でもなぁ・・・」
「私には解るんです。絶対に藤本ちゃんも出る事になりますから・・・」
「・・・・本当に?・・・・よし、解った、すぐに搬入するよ」
「ブギ−03」これは藤本の愛機である。
大谷の指示でブギ−03はマルス2に運び込まれた。
- 153 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- 一方こちらは司令室、警報が鳴り出してすぐに藤本が飛び込んで来た。
「藤本さん・・・」
「新垣、襲われてるの、第三船団って本当?」
「はい、第三輸送船団の護衛艦隊ネープルVから連絡がありました」
「ネープルV・・・」
それを聞いた藤本は中澤に言った。
「中澤さん、私も行きます!」
「何や藤本、お前は明日からやから今日はええよ」
「いえ、行かせて下さい。ネープルVは、あやっぺが・・・松浦がいるんです!」
藤本が言った、「あやっぺ」とは航路監視隊所属の松浦亜弥の事である。
そして現在戦闘中のネープルVの艦載機隊を指揮するのがその松浦であり
当然松浦も戦闘に参加している筈であった。
藤本は親友である松浦を助けるべく自分も出撃したいと中澤に申し出た。
「松浦か・・・・この仕事に私情は挟むな!・・・と、言いたいとこやけど
ええやろう、言って来い!その代わり無茶はアカンで!」
「ありがとうございます!」
「そんじゃ、藤本は、マルス2に乗艦や」
- 154 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:50
- 藤本の申し出を中澤は了解した。松浦もまたこのアレスを何度か
訪れた事があり、藤本との関係を中澤は知っていたのだ。
そして今の藤本の状況が、過去に平家を助けようと出撃した自分と
重なって見えたのである。
中澤は藤本にOKを出すとドックに指示を出す。
「大谷!藤本も出る!ブギ−03の搬入を急げ!」
「もう終ってます」
「へっ?何で?」
「ごっちんからそう言われて・・・」
「後藤が?・・・・そう、それならええよ。・・・後藤め、こうなる事が解ってたか。
そうだよな、後藤だって・・・・」
出撃の許可を貰った藤本は出撃準備を整えるとマルス2に乗り込んだ。
そして・・・・
「マルス1発進!」
小川はそう叫ぶとマルス1を発進させる。
「マルス2発進!」
続いて前田もマルス2を発進させた。
そんなマルス2の中で藤本と後藤が話をしている。
- 155 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:51
- 「ごっちん、ありがとう。私も行きたがるってよく解ったね」
「あははは、当たり前でしょ。昔は3人で暴れ回ったんだし
私達3人なら誰がどの立場にあっても同じ事するでしょ?
だから、大谷さんに無理言ってお願いしたんだよ」
そう言う後藤もまた松浦・藤本を親友と呼べる関係で
昔はならず者相手に3人で暴れていたのだ。
話を終えると2人とも機体に乗り込む。
そこに安倍の声が響く。
「本艦はこれよりピースドライブに入る。各自所定の位置で待機!」
安倍の声が響き渡った直後、マルス2はピースドライブを開始した。
- 156 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:52
- ( `_´)<とりあえず大丈夫そうなので更新です。
>>149さん、どうもです。
- 157 :名無し娘。:2003/09/29(月) 23:14
- おお、読みきりスレのやつとつながったよ
- 158 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- ピースドライブを開始して数分後、マルス1・2の両艦は
MJ−04付近に到着した。
「ピースドライブ終了!総員戦闘準備!」
飯田、安倍の声が両艦に響き渡った。
「マルス2、目標に到着、これよりオペレーションを開始します」
石川の声がマルス2の艦載機隊に伝わる。
「レッドリーダーへ、出撃後はイエロー隊と連携して
敵艦隊を叩いてください」
「レッドリーダー了解!ケメンダヤス、出ます!」
保田が先頭で飛び出した。同じ頃マルス1からイエロー隊が
発艦を始めていた。
- 159 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- 「速い・・・たった数分でここまで移動出来るなんて・・・」
石川の目の前のパネルにピースドライブに驚く、藤本の顔が映った。
「びっくりした?無理もないけど・・・すぐにバトルフィールドだよ。
気を抜かないで指示に従って順次発艦して下さい」
石川は藤本の緊張を解くべく話しかける。
藤本は落ち着きを取り戻すと出撃体制に入った。
「了解!ブギ−03出ます!」
後藤のマックゴルドに続き出撃した藤本。
その後にレッド隊の面々が続く。
「レッドリーダーより、イエローリーダーへ。
こっちで敵旗艦は叩く。残りの戦闘艦の攻撃をよろしく!」
「イエローリーダー了解。圭ちゃんずるいよ。おいしい所ばっか!」
- 160 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- 保田の申し出を渋々受けた矢口
イエロー隊は敵艦隊サイドに向かって進んで行った。
「レッドリーダーよりレッド隊各機及びブギ−03へ、
これより突入を開始する。レッド2、ブギ−03は私に続け、
敵旗艦を叩く!レッド3・4・5は敵艦載機を叩け、援護を頼む!」
保田の指示によりレッド隊と藤本が敵艦隊目掛けて進む
そこで初めて今の状況が見えて来た。
- 161 :名無し娘。:2003/10/01(水) 20:32
- はじめて見たけどおもろいね。
がんばってね、作者さん。
- 162 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:56
- 数隻の敵艦に囲まれる様になっている第三船団。
その船団を護衛する艦隊は酷くやられていた。
「マルス2よりレッドリーダーへ、敵戦闘艦は六隻。うち二隻は
護衛艦隊が叩いた模様です。残りの四隻は健在。
護衛艦隊には離脱の指示を出しました。残りは私達でケリを着けます」
「レッドリーダー了解!でもまだ護衛艦隊の艦載機が頑張ってるみたい」
マルス1オペレーター紺野の指示でネープルVをはじめとする
護衛艦隊は戦闘空域の離脱を始める。
だがその中にあって一つの艦載機隊が戦闘を続けていた。
「おかしいなぁ、あのチームは指示が届いてないのかな?」
離脱の指示が出ているのに撤退を始めない護衛艦隊の
艦載機隊に石川がコンタクトを取ろうとした時である。
「ピーチリーダーよりマルス2へ、こちらネープルV艦載機隊
ピーチの松浦です。マルス2に補給の要請をします」
戦闘を続けていた艦載機隊ピーチのリーダー、松浦から連絡が入った。
- 163 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:57
- 「マルス2よりピーチリーダーへ、撤退の指示が出ている筈です。
戦闘は我々が引き受けます。直ちに戦闘空域から離脱して下さい」
松浦の突然の申し出を石川は却下する。
ピーチ隊にも戦線離脱の指示を出した。
「いやです。それは出来ません。やられた仲間の仇を取りたいんです。
石川さん、お願いします!」
「ピーチリーダーへ、軍規に従って下さい。これ以上の戦闘行為は
認めません。すぐに撤退を開始して下さい」
「石川さん・・・・私、このままじゃ悔しくって・・・お願いです!」
松浦の必死の頼みを石川は受け付けない。
だが石川も松浦の気持ちが解っていない訳では無い。
消耗したピーチ隊を、これ以上戦わせるのは危険と判断したからである。
そんな石川の気持ちは、今の松浦に届かなかった。
ただ闇雲に補給の要請を繰り返すばかりである。すると
「マルス2より、ピーチリーダーへ、マルス2艦長の安倍です。
ピーチ隊補給の許可を出します。第二カタパルトにて補給を受けて下さい」
「ピーチリーダー了解!安倍さん、お心遣いに感謝します」
- 164 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:57
- 松浦の異常なまでの要請にマルス2艦長の安倍が折れた。
ピーチ隊は補給の為マルス2に着艦を始める。
だがこの決定に石川が怒り出した。
「安倍さん!いくら艦長でも勝手な真似は謹んで下さい。
そんなことされたら困ります!作戦に影響が出るし示しがつきません。
これじゃあ、オペレーターの意味が無いじゃないですか!」
「石川だって松浦の気持ちが解らない訳じゃないでしょ?やらせてあげようよ」
「・・・・でも、危険です!万が一の事があったら・・・」
「それは解ってるよ、責任は私が取る。だから、悪いけど第二カタパルトに
ピーチ隊補給の指示を出して」
「もう、どうなっても知らないですよ!」
石川は渋々補給の指示を送る。
その指示により第二カタパルトではピーチ隊の補給が始まった。
- 165 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:13
- 「補給は素早く確実に!」
マルス2メカニック村田が他のスタッフに指示をだす。
「村田さん、ありがとうございます」
愛機の「ピンキーモンキー」から降りてきた松浦は村田に頭を下げた。
「艦長安倍さん、直々の許可なんて滅多にないからね。
心して補給を受けるように!」
「ははぁ〜!!」
村田が笑いながらそう言うと松浦も笑顔で答える。
「それから松浦、これ!」
村田は松浦にピーチ隊人数分の栄養ドリンクを手渡す。
- 166 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:14
- 「機体だけじゃなくて自分の補給もしないとね。
みんな疲れてるでしょ?」
「ありがとうございます。みんな喜びますよ!」
ドリンクを受け取った松浦は仲間の所に行くとそれを配る。そして
「ファイトー!」
「いっぱ〜つ!」
ピーチ隊の面々はドリンクを一気に飲み干した。
「全機補給完了!」
マルス2メカスタッフが補給の終了を伝える。
ピーチ隊のメンバーは機体に乗り込むと次々に飛び出して行った
- 167 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:14
- その頃、レッド隊と藤本は敵艦載機を叩きながら
旗艦と思われる戦闘艦に攻撃を開始していた。
「喰らえ!」
藤本のブギ−03から放たれたミサイルが敵艦に向かう。
同時にケメンダヤス、マックゴルドからもミサイルが放たれ
三機がほぼ同時に放ったミサイルは敵艦に命中した。
「クソッ!あまり効果がないみたいだね。後藤、藤本、もっと接近するよ!」
保田は後藤、藤本に二次攻撃の指示をだす。
ケメンダヤスを先頭に、編隊を組んだ三機は態勢を整える。
「イエローリーダーよりレッドリーダーへ、こっちはほぼ片付いたから
私達は援護にまわるよ!」
「レッドリーダー了解!矢口、サンキュー!」
保田達がいるポイントに矢口のセクビム以下
加護のザシチェッキ、辻のレスラッテ+が応援にやって来た。
- 168 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:15
- 「レッドリーダーよりレッド2、ブギ−03へ、突っ込むよ!」
「了解!」「了解!」
再び敵艦目がけて保田が突っ込もうとした時であった。
「うわー!何だ?・・・・誰だ?危ないじゃないか!」
保田の機体の先端ギリギリをかすめ、松浦のピンキーモンキーが
飛び込んできた。
「こらー!松浦!お前何考えてるんだよ!」
「ごめんなさい!でもあいつは私達にやらせて下さい!」
「バカ!何言ってるの!疲れた状態で無理するのは自殺行為だよ!
それとも、これ以上仲間を犠牲にする気?」
「・・・・だったら・・・だったら、私1人でやります。だから・・・」
「ったく・・・あんたは・・・相変わらず頑固だね・・・解ったよ、後藤、藤本
松浦と一緒に行け!他のピーチ隊は私に続いて、3人の援護だよ。
松浦!もう一度態勢を立て直すんだ。矢口達も援護頼んだよ!」
松浦、後藤、藤本・・・・3人の機体が旋回を始める。
それを援護するようにレッド隊、イエロー隊、ピーチ隊の
各メンバーが敵艦載機に襲いかかった。
- 169 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- 「松浦隊長!指示をお願いします」
藤本が松浦に話しかける。
「みきすけ・・・なんでここにいるの?ごっちんはわかるけど・・・」
「あははは・・・びっくりした?でもおしゃべりは後にしよう。
攻撃の指示はあやっぺがやってよ。シャルウィ・アタック?」
「OK、じゃあ行くよ!1・2・3!」
態勢を整えた三機の戦闘機は松浦の掛け声とともに敵艦に襲い掛かった。
「目標!敵旗艦艦橋、ターゲットロック!」
3人は敵旗艦の艦橋にロックをする。
「アタァァァァァァック!」
それぞれの機体からミサイルが放たれる。
ミサイルはそのまま敵艦艦橋に吸い込まれて行った。
- 170 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- 「着弾確認・・・・敵旗艦沈黙しました!」
松浦達の攻撃を確認した石川が報告を入れる。
「敵艦は沈黙した!マルス1主砲発射準備!」
「マルス2主砲発射準備!」
飯田、安倍、両艦長の指示によりマルス1・2両艦が主砲の
発射準備を整えた。
「マルス1よりレッド、イエロー、ピーチ各隊へ、本艦及びマルス2は
主砲を発射します。射程圏内の機体は速やかに離脱して下さい。
繰り返します。マルス1、マルス2は主砲を発射します。
射程圏内の機体は速やかに射程圏内から離脱して下さい」
紺野が主砲発射を発射を伝える。レッド、イエロー、ピーチの各艦載機隊は
主砲の射程圏内から離脱を終えた。
「てぇぇぇぇぇぇ!!!」
飯田の声と同時にマルス1から強力なエネルギー弾が放たれる。
同時にマルス2の主砲も火を吹いた。
- 171 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- (ピカッ!!)
両艦のエネルギー弾の直撃を受けた敵艦隊が閃光に包まれる。
その直後敵艦隊は消滅した。
「作戦終了!イエロー隊は速やかに帰艦して下さい。
繰り返します。イエロー隊は速やかに帰艦して下さい」
「イエローリーダー了解!みんな戻るよ!」
矢口のセクビムを先頭にイエロー隊が帰艦を始める。
「マルス2よりレッドリーダーへ、作戦終了です。お疲れ様でした。
紅茶でも用意しておきますね」
「レッドリーダー了解!サンキュ!」
レッド隊と藤本も帰艦を始める、するとマルス2に通信が入った。
「ネープルVよりマルス2へ、本艦はカタパルト被弾によりピーチ隊の
収容が出来ません。貴艦にピーチ隊収容の要請をいたします」
「マルス2よりネープルVへ、了解しました。
マルス2よりピーチリーダーへ、帰艦は本艦に願います」
「ピーチリーダー了解。石川さん・・・・ありがとうございました。
本当に・・・我がまま言ってごめんなさい」
「もういいよ。お疲れ様」
戦闘を終えた艦載機が次々に帰艦する。
先に着艦を終えていた藤本と後藤は松浦の着艦を待っていた。
- 172 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:39
- (プシュー!)
着艦したピンキーモンキーのハッチが開く。
コクピットから勢い良く飛び出して来た松浦は二人のもとに走る。
「みきすけぇー!」
そう叫んだ松浦はそのまま藤本に抱きついた。
「お疲れ様、怪我はない?本当に良く頑張ったね」
「ありがとう・・・・でもね・・・・でも仲間がいっぱい・・・うわぁぁぁ・・・」
藤本の腕の中で泣き崩れる松浦、戦場では鬼になっても
戦いが終ればやはり、ただの女の子である。
そんな松浦に後藤が言った。
「あのね・・・上手くは言えないと思うけど・・・・みんなさ、立派に戦って・・・
それで立派に散って行ったんだよね。だからさ・・・・ね。
散って行ったみんなを笑顔で送ってあげようよ。
そうじゃないとみんな安心して天国に行けないよ」
「・・・・うん、そうだよね。みんな・・・大切な仲間なんだ・・・
もう泣かないよ、だから安心して・・・・ありがとうみんな・・・」
後藤の言葉に落ち着きを取り戻した松浦、その目に涙を浮かべながも
精一杯の笑顔をみせた。
- 173 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 全ての艦載機が着艦を終え少ししての事であった。
「総員艦橋に集合!繰り返す、総員艦橋に集合」
マルス1・2両艦でほぼ同時に艦長から艦橋に集まる様指示が入った。
「どうしたの?何かあった?」
突然の集合のアナウンスに保田が慌てて艦橋にやって来た。
「圭織がね、散っていった護衛艦隊の仲間をみんなで送ってあげようって」
安倍は艦橋に集まったメンバーに召集の理由を説明する。
事の始まりは戦いが終った直後の事である。
マルス1艦長飯田から安倍に連絡が入った。
その連絡とは、この戦いで名誉の戦死を遂げた護衛艦隊の
仲間の霊を慰めるべく、生き残った自分達でその旅立ちを
見送ってあげようではないか、と言う物である。
その提案に賛成した安倍はすぐにマルス2のメンバーを艦橋に集めたのだ。
そして・・・・
- 174 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 「これよりこの戦いで散っていった戦士に弔意を示し黙祷を行う。
偉大なる戦士諸君、君達は明日の人類の力となりました。
我々もまた、諸君の意思を継ぎ戦います・・・・・黙祷!」
飯田の言葉がマルス1・2の両艦に響き渡った。
その声を合図に両艦のメンバーは黙祷をする。
「黙祷終わり!偉大なる英霊に敬礼!」
またしても飯田の声が響くと今度はメンバー全員で敬礼を行った。
見送りを終え、両艦が帰還の準備に入った時である。
「安倍さん、中澤さんより連絡が入ってます!」
石川がそう告げると安倍は通信機を手に取った。
- 175 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 「安倍です」
「お疲れさんでした。そんな所悪いんやけどマルス2はそのまま
第三船団の護衛について貰いたい。
護衛艦隊も大打撃を受けたみたいやし、他に護衛をつけるとなると
時間もかかる。大切な資源やから予定通り運ばないと
問題も発生しかねないからな。よろしく頼むわ」
「了解しました。これよりマルス2は第三船団の護衛任務に就きます」
「悪いな、それと村田おる?」
安倍の了解を得た中澤は今度は村田を呼び出す。
「村田です」
「お疲れね。悪いけど村田達にも追加の任務や。
ダメージを受けた護衛艦隊の修理も同時にやって貰いたい。
移動しながらでええから頼むわ」
「了解しました!」
こうしてマルス1は帰路につき、マルス2は第三船団の
護衛の任務を与えられた。
「さようなら・・・・」
松浦がそう呟くと第三船団とマルス2は戦場を後にした
- 176 :名無し娘。:2003/10/05(日) 10:32
- 読みきりの分はこれで終わったのかな
これからの話にも期待
- 177 :名無し狩人:2003/10/05(日) 23:44
- (;`_´)<・・・・本日近所の運動会に狩り出されますた。
終ってから飲めない酒を飲まされ撃沈。
夕方6時ごろに氏んで今、目が覚めますた。
本日はお休みです。あー、胃が痛い・・・
- 178 :名無し娘。:2003/10/05(日) 23:47
- 俺のご近所も運動会だったから痛いほどわかるぞその状況
- 179 :名無し娘。:2003/10/05(日) 23:52
- >>177
僕も下戸なので>>178さんじゃないんですけどよく判ります。毎回楽しみに
してますが、ご無理なさらぬよう。
- 180 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:11
- マルス1・2がMJ−04付近で戦っていた頃
火星衛星基地アレスの近くでも戦いがあった。
「民間船キーダムのSOS信号をキャッチ!ポイントMSー10」
斉藤がSOS信号の受信を伝える。
「近くの警備艇は・・・・・ありゃ、ここから出るのが一番速いか・・・」
レーダーをみた柴田は警報を発令する。
(MS−10付近にてSOSをキャッチ、戦闘艇ピーチ−!スクランブル)
アレスに配備されているマルスタイプに次ぐスピードを誇るのが
このエスパタイプの小型戦闘艇「ピーチ−」である。
因みに松浦のピーチ隊とは関係はない。
「石井、お前の任務はあくまで敵の注意を引く事や、
すぐに他の戦闘艦も出すから無茶すんなや!」
「了解!ピーチ−出ます!」
戦闘艇ピーチ−の指揮を取るのは石井リカ中尉。
ピーチ−は勢い良くアレスを飛び出して行った。
- 181 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:12
- 「戦闘艦ガスプラ出撃準備!」
マルスタイプとは別にアレスに配備されている戦闘艦ガスプラに
出撃命令が下った。
ガスプラは連邦軍の主軸を形成するセレス級戦闘艦で
アレスには同型艦のイダ、マチルダなどが配備されている。
ただしこのセレス級にはピースドライブは装備されていない為、
通常のスクランブル任務にはほとんど出撃する事はない。
「ガスプラ、発進しました」
新垣の声に中澤はレーダーを見つめる。
「ピーチ−が問題の空域に侵入します!」
「敵の様子は?」
「それが・・・・レーダーには反応しないんですよ」
「ステルス艦・・・って事か?」
「解りません・・・・」
キーダムからは今もSOSが発信されている。
つまりまだキーダムは健在なのである。
「ピーチ−よりアレスへ、キーダムを発見、海賊に襲われています」
「アレス了解!とにかく敵の注意をこっちに惹きつけてください。
ガスプラがそちらに向かいました。それまで頑張って下さい」
- 182 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:13
- 石井からの連絡に斉藤はガスプラが出撃した事を伝える。
ピーチ−はガスプラ到着まで海賊を相手にする事になったのである。
「ピーチ−よりアレスへ、駄目です。敵の戦力が・・・・
戦闘艦二隻で・・・艦載機も多数・・・」
アレスに緊張が走る・・・このままではガスプラが到着する前に
キーダムだけでなくピーチ−までもがやられてしまう。
「クソ!よりによってこんな時に・・・・ん?まてよ・・・」
中澤は何かを思いついた様に戦闘艦ドックに連絡を入れた。
「はい、大谷です。どうしました?」
「大谷、フリージアはすぐに出せるか?」
「へっ?・・・あっ、はい・・・」
「OKそんじゃ準備しといてや!」
「りょ、了解!」
中澤はそう言うと新垣に田中、道重、亀井の3人を呼びに行かせ
自分もロッカールームで着替えを始めた。
- 183 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:13
- 「中澤さん、みんな連れて来ました・・・・・ってその格好まさか・・・」
3人を連れて来た新垣はパイロットスーツに身を包む中澤を見て絶句する。
「田中、道重、亀井、出撃や!三分で準備しろ!」
「・・・・えっ?」
突然の指令に3人があっけに取られていると
「返事は?」
「りょ、了解!」
訳の解らぬまま3人もパイロットスーツに着替えた。
一方こちらは戦闘艦ドック。
ここでは今、パイロットスーツに着替えた大谷がスタッフに四機の戦闘機を
訓練艇フリージアに載せるように指示を出していた。
訓練艇フリージアは元々マルスタイプの試作型戦闘艇である。
マルスタイプ完成後その役目がなくなり研究の為このアレスに送られて来た。
フリージアはその後、アレスのメカニック達の教材となりその役目も終えると
今度は大谷や村田達の手によっていろいろ改造が施された。
またフリージアはマルスタイプの試作型なのでここアレスから
今、ピーチ−が頑張っている現場までならピースドライブも可能なのだが
あくまで試作機なので航行距離はその程度が限界である。
そして今現在は訓練艇として連邦軍には登録されているのだが
ある意味、大谷個人の持ち物と言っても過言ではない状態にある。
- 184 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:14
- 「積み込み終わりました」
「よし、こっちは準備OKだね」
大谷は満足そうに笑う。
フリージアに積み込まれた戦闘機は
田中の愛機「ノギ−メタンア」 道重の愛機「サーユナルシス」
亀井の愛機「キースギテック」 そして・・・・
中澤の愛機「クロウブライド」の四機であった。
「中澤さん、準備おわりましたぁ」
「よっしゃ、そんじゃ行くで!」
ドックに下りてきた中澤は張り切っている。
「でも本当に行くんですか?」
「当たり前やろ!こいつらの実力を見るのに絶好の機会やんか。
圭織達がおらんのやから、私が行くしかないないやんなぁ」
中澤は後ろを歩く田中達3人にそう言ったが3人の笑顔は
明らかに引きつっていた。
本来なら仕事は明日からの筈、それがまったく予期しない出撃命令に
怪しげな戦闘艇、さらにその現場指揮官がよりによって中澤である。
田中達3人は半ばヤケクソに近い状態であった。
「ごめんなさい、準備出来ました!」
そこにぶかぶかの慣れないパイロットスーツを着た柴田が走って来る。
柴田はレーダー係り兼オペレーターとしてフリージアに乗るように
中澤に言われて来たのである。
- 185 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:15
- 「本当にこいつで大丈夫なの?だいたい実戦に使うの初めてでしょ?
それにだいぶいじってあるみたいだし・・・・」
フリージアを見上げる柴田が不安そうに言う。
フリージアが初の実戦投入と聞き既に道重は半泣き状態である。
「大丈夫だって、安心しなさい。ほら、道重もそんな顔すんじゃないの!
大谷さんを信じなさい!」
大谷は自信満々にそう言うと5人と共にフリージアに乗り込んだ。
6人が乗り込んだフリージアはカタパルトへと移動を開始する。
(フリージアリフトUP)・・・・・クゥィ−ン!!
フリージアを載せたリフトが動き始める。
(ゲートオープン)・・・・(ゲートオープン)
カタパルトのゲートが開く。
(オールライト!Let’s GO!)
カタパルトのシグナルが光を放つそして・・・
「フリージア発進!」
大谷の声と共にフリージアは宇宙空間へと飛び出して行った。
- 186 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:24
- 「座標入力・・・」
ピースドライブの準備に入った大谷。
フリージアはマルスタイプと違い、ピースドライブを行うのに
多少の手間がかかるのだ。
「自分で言い出しといてなんなんやけど・・・大谷、ホンマに大丈夫なん?」
「中澤さん、今更遅いですよ。では行きますよ!ピースドライブスタート!」
大谷の声と共にフリージアは光に包まれる。
ピースドライブにより超空間に突入したのである。
「時間にして二、三分ですかね・・・ほらもうすぐ終りますよ」
超空間では窓に映る景色などない、ただ眩しい光が見えるだけである。
そんな光のなかで大谷は計器を見つめ目的地に近づくと
ハローエンジンの出力を下げて行った。
「ピースドライブ終了!・・・・ってあれ?どこだここ?」
- 187 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:24
- 予定では目の前に敵とピーチーのの姿が見える筈であった。
しかし目の前に広がるのは宇宙空間だけである。
「柴田!どうなってるの?」
「ちょっとまって・・・・げっ!行き過ぎだよ!」
柴田の見つめるレーダーはピーチーの機影がフリージアの
後ろにあると示している。
「うーん、イマイチ調子が出なかったかったか・・・
まいいや、すぐ近くにいるんでしょ?」
「・・・・うん・・・・すぐちかくにいるよ・・・ほら・・・囲まれてる」
柴田がそう言って窓を指差す。見るとフリージアはいつの間にか
敵艦載機に囲まれていた。
- 188 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:25
- 「アホー!何やってんのや!」
中澤が怒りの雄たけびを上げる。
「のーぷろぐれむ・・・見ててください!」
大谷はそう言うが既に敵の艦載機の攻撃が始まっていた。
「えーい、ごちゃごちゃと・・・蛾トンボが、さかしいよ!」
大谷はそう言うと手元にあったボタンを押した。
「おらー!消えやがれぇ!」
大谷の叫びと共にフリージアから無数のミサイルが飛び出す。
その様子はまるで散弾銃の乱れ撃ちとでも言ったらいいだろうか?
放たれたミサイルにより周りにいた敵機は次々に叩かれて行く。
難を逃れた敵機は慌てて逃げて行った。
- 189 :名無し娘。:2003/10/08(水) 00:40
- 「さかしいよ!」ってキャラ・スーンだっけ?
- 190 :名無し娘。:2003/10/08(水) 01:33
- >>189
U.C.系ガンダムなら誰でも言いそう
プル・トゥーとか
- 191 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:21
- 「わははは、口ほどにもない!」
大谷はそう言うと機首を敵艦の方向に向けた。
「敵さんは何も言っとらんがな。それより今のはミサイルの無駄遣いと違うの?
あんなに一気に使ったらもったいないやん」
「大丈夫です。もうやりませんから」
「あたりまえや!これ以上無駄遣いされてたまるか!
ミサイルかてタダじゃないんやで!」
「いや、無駄遣いしようにも、今ので搭載していたミサイル全部使いました」
「アホ!何考えとるんや!それやったらどうやって戦うねん」
「無問題!まだキャノン砲があります!」
「・・・・もうええ・・・お前には付き合っておれんわ。
そんじゃ行こうか!田中、道重、亀井、準備はええか?」
大谷の暴走に呆れた中澤は3人にそう言うと格納庫に向かう。
- 192 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:22
- 「準備よし!柴田、開けてくれ!」
出撃準備の整った四機の戦闘機は格納庫が開くと飛び出して行った。
「ええか、お前達の経歴は解ってるつもりや。もちろん即戦力になるって事もな。
そやから今更細かい事は言わん、とにかく叩けるだけ敵を叩け。
今日の所はとりあえずこのチームをゴールド隊とする。
田中がゴールド2、道重がゴールド3、亀井がゴールド3や。
うー・・・久しぶりの現場や、腕が鳴るなぁ・・・」
中澤は3人にそう言うと敵に攻撃を開始した。
「ゴールドリーダーよりフリージアへ、キャノン砲で敵を牽制してくれ。
その隙にうちらが突っ込む!」
「フリージア了解!攻撃を開始します」
- 193 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:22
- フリージアが敵に向かってキャノン砲を放つ。
その隙に中澤他三機は敵艦に向かって突進した。
「フリージアよりピーチーへ、柴田です、援護に来ました。
これよりピーチーはフリージアの指揮下に入って下さい」
「ピーチ−了解!援護って・・・柴田ちゃんフリージアって
ドックにあった、あのオンボロ?」
「オンボロとは何だ!れっきとした訓練艇だぞ!」
「ごめん、大谷ちゃんも来てくれたんだ。ありがとう。それじゃあ指示をお願い」
「それでは指示を出します。敵艦は二隻ですね。艦載機は中澤さん達が
引き受けてくれるそうですので、私達は戦闘艦を攻撃します。
とりあえず一隻ずつ担当しましょう」
「ピーチ−了解しました。中澤さんも来てるんだ・・・」
中澤が来ていると聞き石井は少しビビっている様子であった。
- 194 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:28
- >>189
( `_´)<イメージとしてはレズン・シュナイダ−(だったかな?)
なのですが、そう言われるとキャラの方が合ってる気がする。
でもプル2とかも言いそうですね。
- 195 :名無し娘。:2003/10/09(木) 04:39
- > 田中がゴールド2、道重がゴールド3、亀井がゴールド3や
亀井がゴールド4でOK?
- 196 :名無し娘。:2003/10/09(木) 13:07
- あたしが直撃を受けている!?が大谷の最後か
- 197 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:48
- 迫り来る敵機、それに臆する事もなく自在に動き回る中澤
数からいえば圧倒的に不利な状況であるが、それを感じさせない。
そしてそれはいつの間にか新人の3人にも伝わっていた。
「おおっ、すげーな、あの3人。しかっり中澤さんについて行ってるじゃん。
機体の性能もあるとは思うけど、腕も確かな様だね」
中澤の動きにしっかりと追従する3人に大谷は驚いていた。
中澤が乗るクロウブライドは連邦軍型式SF−15Sと言う
連邦軍の主力戦闘機の強化版である。
一方、田中のノギ−メタンア、道重のサーユナルシス、亀井のキースギテックは
連邦軍次期主力戦闘機として開発されたSF−22Rであった。
機体性能で言えば田中達のSF−22Rの方が上なのは解るが
中澤のパイロットとしての腕はそんな性能の差など感じさせない超一流である。
なので普通であれば経験の浅いパイロットは中澤についていけない。
だが3人はしっかりと中澤に追従しているのである。
大谷の驚きはこんな理由からであった。
- 198 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:48
- 「もう、そっちは中澤さんに任せて、こっちに集中してよ。
オートコンバットなんて訳の解んない装置じゃ心配なんだから」
「ごめん、ごめん。でも敵のマイティチャフを何とかして貰わないと
こっちの攻撃もあまり意味がないからね。あの4人には頑張って貰わないと」
柴田の言った「オートコンバット」とは大谷が趣味で作り上げた
自動応戦装置である。迫り来る敵やミサイルに対し自動的に反応し
応戦を始める装置なのだが、今の所実験段階であり
大谷は柴田に黙っているが今回が初の実戦投入なのである。
そんなまだ不安定な装置に不安をもっている柴田は
応戦を完全にその装置に任せていた大谷に不満をぶつけたのだ。
「ゴールドリーダーよりフリージアへ、対艦ミサイル射程圏内に入った。
これより敵艦に対し攻撃を開始する。トドメは任せたで!」
「フリージア了解!成功を祈ります。フリージアよりピーチーへ
ゴールド隊が対艦攻撃を開始します。敵艦の沈黙を確認次第
総攻撃を行って下さい」
「ピーチ−了解です」
- 199 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:49
- 遂に敵艦にたどり着いたゴールド隊、敵艦に対艦ミサイルを叩き込むべく
準備を開始した。
「ゴールドリーダーより各機へ、田中は対艦ミサイルを準備や
うちと一緒に敵艦にオミマイするで!道重、亀井は残っとる
敵機の相手をするんや。ええな!」
「ゴールド2了解!」「ゴールド3了解!」「ゴールド4了解!」
中澤の後に続く田中、その2人を援護するように飛行する道重と亀井。
その連携は初めてとは思えないほど見事な物であった。
「まったく嘘みたい。本当にあの子達実戦経験浅いの?」
田中、道重、亀井の3人の動きを見ていた石井もまた驚きの声を上げた。
いったい、3人がどんな訓練を受けて来たのか想像も出来ない様子であった。
- 200 :名無し狩人:2003/10/11(土) 00:01
- >>195
( `_´)<まったく気がつきませんですた。ありがとうです。
>>196
( `_´)<大谷さんはたぶんやられる事は無いと思います。
なぜって?それは大谷さんだからです。
( `_´)今日の私・・・本屋さん三軒も回ったのに「おいら」
が置いてありませんでした・・・・で、思わず・・・
メロンの写真集買っちゃいました!
- 201 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
- 「なあ、田中。お前達には先に謝っとくわ」
「は?」
「いやね、正直ここまでの実力とは解らんかった。
過去の戦闘データを見る限りではそれ程でもなかったからな」
「はぁ・・・でも、私達も正直驚いています。こんなに楽に動ける戦闘は
過去に無かったと記憶しています」
「そうなん?そんな事ないやろ、自分謙遜し過ぎやわ」
「そんな事はありません、私達3人の連携がここまで出来たのは
訓練の時以来です」
「教官は?」
「ムーンベースの福田中尉です」
「福田?・・・・ああ、明日香か・・」
「はい、お知り合いですか?」
「まあな・・・そうか、それで解ったわ。明日香に訓練されたんなら
うちの動きに合わせられるのも納得や」
「良く解らないですが、そう言われると中澤指令と福田中尉は
戦闘スタイルが似てますね」
「当たり前や、それよりその大佐とか指令とか言うの止めえや。
そう言うの苦手なんよ・・・・おっとお喋りはここまでやな」
- 202 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
- 話をしている間に、二機は敵艦の目前に迫っていた。
田中に攻撃の指示を出すと中澤もミサイルを放った。
「よっしゃ!命中や。田中、次行くで!」
「了解!」
一隻の敵艦を黙らせた中澤と田中はそのまま
もう一隻の敵艦に襲い掛かった。
「ターゲットロック!ファイア!!」
残りの敵艦にミサイルを放つ田中、だがそのミサイルは
敵艦載機の捨て身の防御で不発に終った。
「身を捨てて母艦を守るとは敵ながら見事やな。
けどそれも無駄に終る!」
中澤の指示により今度は亀井と道重の機体からミサイルが放たれる。
同時に中澤も残りのミサイルを放った。
「敵艦沈黙!石井ちゃん、今がチャンスだよ!」
- 203 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
- 中澤達の二次攻撃は成功だった。
艦橋を破壊された敵艦二隻に対しフリージアとピーチーが総攻撃を行う。
流石にマルスタイプの主砲の様に一撃で、とは行かないが
敵艦の撃破に成功した。
「よっしゃ!みんな良くやった。作戦終了や!」
ピーチーがいち早く駆けつけた為、キーダムの被害はそれ程でもなかった。
それを確認したピーチ−、フリージアの両戦闘艇は現場を後にした。
「いやー、久々にパイロットやったから疲れたわ」
アレスに戻った中澤がそう言うと
「お疲れさまでした。何か飲みますか?」
新垣は出撃メンバーの注文を聞き始めた。
そんな中
「中澤指令、先程のお話ですが、どう言う意味ですか?」
- 204 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
- 紅茶をすする中澤に田中が質問をする。
「なんやったっけ?」
「指令とか大佐とか言うなって・・・・」
「ああ、その事か、それがここのルールや、勿論外から来たお偉いさんには
必要やけど、このアレスの仲間うちでは階級とか必要ない」
「しかし・・・・」
「田中は今日ここに来たばっかりやから解らんかもしれんけど
みんなそんな呼び方しとらんやろ、なあ新垣」
「はい、田中ちゃん、ここではみんな名前とかニックネームで
呼び合う事になってるんだよ。みんなそうしてるでしょ」
「・・・・確かに、そう言われれば・・・」
「それでええんや、だからうちの事は裕ちゃんでええよ」
「いや・・・それはちょっと・・・・では中澤さんで」
「なんや、裕ちゃんて呼んでくれんの?寂しいなあ」
田中の引きつった笑いを見てその場のメンバーが笑い出した時であった。
「ガスプラよりアレスへ、現場に到着しました。
しかしながら敵艦どころかピーチーやキーダムも発見出来ません」
- 205 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:52
- ピーチーのすぐ後に出撃したガスプラから連絡が入って来た。
「・・・・・・おい、斉藤、どうなっとるんや?」
「・・・・・・しまった・・・・ついうっかり・・・・」
重い空気が司令室を支配する。
「アレス、応答して下さい。こちらガスプラ、指示を願います」
「・・・・・アレスよりガスプラへ、斉藤です。作戦は終了しました」
「はぁ?」
「とにかく帰って来てください・・・・・ごめんなさーい!」
斉藤の声が司令室に響き渡る。マルス隊に気を取られていた斉藤は
ガスプラの存在をすっかり忘れていたのだ。
この後当然斉藤に中澤のカミナリが落ちるのである。
訳の解らぬまま初日を終えた田中、道重、亀井の3人は
先行きに不安を感じずにはいられなかった。
- 206 :名無し娘。:2003/10/12(日) 01:12
- ごめんじゃ済まないんじゃないかボス
- 207 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
- 普段は穏やかな空気が流れているアレスに、今日は緊張感があった。
それはもうすぐ到着する大船団が原因である。
連邦軍太陽系艦隊の「和田中将」が率いる「第三艦隊」がやってくるのだ。
出迎えの為にアレスの主要メンバーはメインポートに集合していた。
「オイラなんだか緊張してきたよ」
「私も・・・でもなんで突然第三艦隊が来る事になったの?」
普段からこう言う事に慣れていない、矢口や飯田は
不思議そうな表情を浮かべる。
「それがよう解らんねん。昨日突然連絡があって
寄港するから準備しとけって」
アレス司令官の中澤も第三艦隊の寄港理由が解っていない様であった。
第三艦隊は連邦軍の中核を成す大艦隊である。
演習やその他の作戦でこう言った大艦隊がアレス近くの空域を
通過する事は、たまにはある。だがアレスに寄港した事など一度もないのだ。
- 208 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
- 「こちら第三艦隊旗艦アポロン。アレス入港の許可を申請します」
「アレス了解しました。貴艦及び第三艦隊の入港を歓迎します。
誘導ビームに乗って進入して下さい」
「アポロン了解」
第三艦隊旗艦アポロンのオペレーターと斉藤のやり取りが聞こえる。
メインポートの緊張感が一気に高まった瞬間であった。
「今思ったんだけどさ、あんな大艦隊どうやって入港するのさ?」
安倍が思いついた様に言う。確かにアレスのメインポートのキャパでは
第三艦隊全ての艦艇が入港するのは無理である。
「それなら心配はいらん、実際に入港するのはアポロンだけや」
「そうなの?オイラてっきり補給かなんかかと思ったよ」
「そんな訳ないじゃん、あんな大艦隊に補給したら
私達のぶんがなくなっちゃうよ」
メンバーがそんな話をしている中、艦隊旗艦アポロンが港に入って来る。
アポロンが完全に停止するとその場にいたメンバーは桟橋に立った。
- 209 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
- 「うわー、オイラもう駄目だ・・・」
「矢口、うるさいぞ!」
アポロンのハッチが開くと中から数人の男性が降りてきた。
「総員、敬礼!」
中澤の声がメインポートに響く。その場にいた全員が下りてくる男性に
敬礼をして見せた。
「将軍、お久しぶりです!」
敬礼をしながら中澤は言う。相手は艦隊を率いる和田中将である。
「はははは、そんなに固くなるなよ。昔みたいに和田さんでいいぞ」
緊張した空気を感じ取った和田は笑いながら中澤にそう言った。
「あ、いや、しかし・・・今と昔とでは立場が違いすぎますから・・・」
「気にするな、それがアレスのルールじゃなかったのか?
階級は関係なく最低限のマナーが出来ていればそれでOKなんだろう?」
「まあ、確かにそうですが・・・・まいったな・・・・」
- 210 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
- どこかで見た様なやり取りに中澤は苦笑いを浮かべている。
その様子を遠くから眺めていた田中や新垣は笑いを堪えるのに必死であった。
「まあいい、あまり時間が無いんだ。どこか落ちついて
話が出来る場所はあるか?」
「はい、準備してあります。どうぞ!」
中澤はそう言うと和田とその連れの将校を準備した部屋に案内した。
「それじゃ、解散ね!」
中澤と和田が部屋に向かうと飯田がメンバーに解散の指示をだした。
和田はどんな用件でここを訪れたのか?
アレスメンバーの話題はそれで持ちきりであった。
- 211 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:42
- 「うわぁ〜、凄い、綺麗だね〜」
アレスの食堂から外を眺めていた辻が言う。
外には第三艦隊の大艦隊が並んでいた。
色とりどりの光を放つ艦隊はかつて地球にあった夜景にも似ている。
こんな数の艦隊など見たこともないメンバーはしばしその光景に見とれていた。
「あっ、アポロンだ!」
艦隊に向かう一隻の船を紺野が見つける。
第三艦隊が到着してから既に二時間が経過していた。
中澤との話も終ったのであろう、和田乗艦のアポロンが
艦隊に戻るのが見えた。
「本当に何しにきたのかな?」
石川がそう言った時、第三艦隊の艦船が動き出すのが見えた。
エンジンが一斉に火を吹く。空気中であれば物凄い轟音がしたに違いない。
だがここは宇宙空間である。第三艦隊の放つエンジンの光は
まるで沢山のキャンドルの様であった。
- 212 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
- 第三艦隊がアレスを後にした数時間後、大谷と村田が中澤に呼ばれた。
メカニックの2人が中澤に呼び出される事など滅多にないので
メンバーは2人をからかう。
「何やらかしたの?」 「減俸か?謹慎か?」
「知らないよ、それに何もやってないって・・・でも、なんだろう?」
2人は顔を見合わせながら中澤の部屋に向かった。
「なんだか今日はおかしな事が続くね」
椅子の背もたれに両腕と顔を乗せながら座る矢口が言う。
「2人の呼び出しも和田中将が来た事と関係あるんですかね」
矢口の言葉に答える様に新垣が言った。
「う〜ん・・・何とも言えないけどそんな気がするなぁ」
矢口がそう言うと中澤に呼ばれた2人が戻って来た。
- 213 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
- 「裕ちゃん何だって?」
「それが・・・・よく解らないんだけど、急に三ヶ月ムーンベースに
行く事になったんだって。村田と2人で・・・」
矢口の質問に大谷は何が何だか解らないと言った表情で答える。
そんな言葉にその場のメンバーも「何で?」と言った表情を浮かべた。
それから二日後、大谷と村田を乗せたフリージアが
ムーンベースに向けて出発した。
ムーンベースとは連邦軍の重要拠点であり、軍の参謀本部もここにある。
結局2人の出張理由について中澤の口から説明は無かった。
と言うより、中澤本人もその理由を知らないとの事であった。
だが、中澤と古くから付き合いのある数人のメンバーは知っている。
中澤が隠し事をしているとそれが態度に出るのだ。
中澤に2人の出張理由や、和田がここに来た理由などを聞いた時
中澤の態度にそれが出ていたのである、何か隠しているのは確かであった
- 214 :名無し娘。:2003/10/15(水) 01:13
- 更新乙です
最近「アレス」って単語が「ホワイトベース」とかと同じくらいしっくり馴染んでるw
- 215 :名無し娘。:2003/10/16(木) 00:24
- >>214
何かそれ判る気がするね。ともあれ乙。
- 216 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
- 「裕子め、いったい何を隠していやがるんだ?」
いくら聞いても「知らない」の一点張りの中澤に矢口は少々ムッとしている。
「軍機かな?でも裕ちゃんだけが知ってるなんて今までなかったよね?」
飯田も中澤の態度に気がついた1人である。
矢口、飯田、安倍、保田など前から中澤の下について来たメンバーは
何とか秘密を聞き出そうと必死であった。
「こうなったらバナナで責めてやる!」
矢口がそう言うと
「いや、それはやめておいたほうが・・・」
- 217 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
- 安倍がそれを止めた。バナナは中澤の苦手な物の一つである。
矢口はそれを使って攻め込もうと画策したのだが
後が怖いと言う事でその作戦は却下された。
そして何も解らないまま二ヶ月が経ったある日
久々にフリージアがアレスに戻って来た。
だが乗っていたのは村田1人である。村田はムーンベースからの
指令書を中澤に渡すと、小川と前田を連れて、ムーンベースに戻って行った。
「いよいよ怪しいぞ!村さんの顔見た?元気そうだったけど
だいぶやつれてたよね。何やってるのか聞いたんだけど
教えてくれなかった。陰謀の匂いがプンプンするぞ」
矢口がそんな事を言っていると、後ろから中澤がやって来て
持っていたファイルで頭を殴った。
「痛った〜・・・何すんだよ!」
「まったく、くだらん妄想ばっかしやがって・・・そんな暇あったら
セクビムの手入れでもしてろ!大谷も村田も、おらんのやから
メカスタッフだって忙しいやろ」
「だったら何があったのか教えてよ!オイラ達何も聞いてないぞ!」
「・・・・・だから・・・何も知らんて・・・」
「嘘だ!裕ちゃんの態度で解るもん。何年一緒に仕事してると思ってるの?」
「・・・・はぁ・・・・解ったよ・・・だけどな他のメンバーには絶対言うなよ」
「うん・・・」
- 218 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:13
- 矢口のしつこい位の質問攻めにとうとう中澤は折れた。
中澤は仕方なく、矢口、飯田、安倍、保田、
そして偶然その場にいた斉藤の5人にだけ話を始める。
「実は大谷と村田は建造中の新型艦の調整に行ってもらってるんや。
そんで小川と前田はその新型のテストパイロットや」
「どう言う事?」
「解らん。和田中将も、ただその新型はお前達にきっと関わって来るとしか
言わんかった。だから今後うちらがその新型にどう関わるのか
皆目検討もつかん」
この中澤の言葉に嘘は無かった。例の態度が出ていないのだ。
中澤も知らないプロジェクトが進んでいる。
しかもそれが自分達に直接関わってくるかも知れない。
これから先何があるのか、矢口達はただ考えるしかなかった。
- 219 :みゅん八先生:2003/10/16(木) 23:48
- ( `_´)<ういんどうずのあっぷでーとしてたら急に眠くなりますた。
本日はこのまま眠ってしまおうと企んでおります。
( `_´)<と言う訳でお休みいたしますがついでにレスなど・・・
「アレス」にもだいぶ馴染んでいただいた様で、
後はメンバー個人の機体名もガンダムとかザクみたく
馴染んでいただける様になればと思っております。
もっとも機体名はあれですからすぐに解るか・・・
- 220 :名無し狩人:2003/10/16(木) 23:51
- やべ!ハンドルまちげーた(w
やっぱ寝ぼけてるぞ!
- 221 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:28
- そ、そうだったのか…
- 222 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:43
- いろんな意味でガンガレw
- 223 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
- 小川達がムーンベースに行ってから更に一ヶ月が経った。
この間、大した出動も無く、4人のメンバーがいなくても
何とかアレス基地は機能していた。そんなある日
「ん?あれ?おかしいなぁ・・・」
「どうしたの?何か問題発生?」
ノートを手に悩む新垣に柴田が聞く。
「いや、この前の第三艦隊なんですけど・・・ポイント通過記録が
残ってないんですよ」
「じゃあ、戻ったって事じゃないの?」
「でもこのノートにはそれがないんですよね」
火星衛星基地アレスの仕事は戦闘だけではない。
宇宙定期航路の管制業務も仕事の内である。
そして、その管制空域を通過した船はアレスのコンピュータに記録され
その船が帰りにこの管制空域を通過する事により
その記録はコンピュータの画面上から消える様になっている。
もしこの記録が画面上に残ったままであればそれはその船に
何かがあって戻って来ていない事を意味するのである。
だがその作業は基本的に管制を担当した人間の手動で行われる為
時には間違いもある。その間違いを防止する為に新垣が個人的に
記録を始めたのが、今新垣が手にする「お豆ノート」である。
最初は新垣が自分で担当した物だけを書き込んでいたが
今では全ての担当者が自然に書き込む様になり、
記録の入力ミスも激減した。
そして今日、新垣がそのノートと画面上の記録をチェックしてると
第三艦隊の記録がおかしい事に気がついたのだ
- 224 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
- 「書き忘れかなぁ・・・でも私は記憶にないし、柴田さんは?」
「私も知らないよ、だいいちあんだけの艦隊が
このポイント通過するなら担当じゃなくても気がつくと思うけど・・・」
「うーん、やっぱりおかしいぞ。チェックします」
新垣はそう言うと管制記録のチェックを始めた。すると
「あっ、一週間前に通過した事になってますね・・・担当は・・・
ん?中澤さんになってます。何でだ?」
通過記録を入力する時には必ず担当者のIDを入力する事になっているが
第三艦隊の復路の通過記録には、普通ならあり得ない
中澤のIDが記録されていたのである。
「私、ちょっと聞いてきます」
新垣はそう言うと中澤の部屋に向かった。
「失礼します!中澤さん、第三艦隊の通過記録なんですけど・・・」
中澤の部屋に到着した新垣がそう言いかけると、中澤が慌てて立ち上がった。
- 225 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 「新垣!それ他の奴に喋ったか?」
「えっ?・・・何の事ですか?」
「だから、第三艦隊の話や!」
「ああ、柴田さんにさっき・・・」
「そうか、ちょっと柴田も呼んで来い!」
中澤のただならぬ慌てぶりに新垣は、訳も解らず柴田を呼びに行く。
そして柴田と部屋に戻った新垣に中澤は言った。
「お前らそれ、良く気がついたな」
「いや、それが仕事ですから・・・」
「まあ、そうなんやけど・・・・まあええ、バレたもんは仕方ないな・・・
実はな、第三艦隊は今、極秘任務についてるんや。
一週間くらい前に連絡があったんやけどその・・・・」
中澤はそこで言葉を切ると決心した様な表情を浮かべた。
「・・・・いや、もうみんなに話しても、ええ頃やろ。柴田みんなを集めてくれ!」
中澤にそう言われ柴田はマルス隊のメンバーを始めとする
アレスの戦闘部隊に召集をかけた。
突然の召集に皆、何事かと話をしながらミーティングルームに集まる。
メンバーが集まると中澤は普段あまり見せない様な表情で話を始めた。
「これから話す事は正直言って断りたかった・・・そやけど軍人として
上からの命令は絶対や、そやから断れんかった・・・・
今から出される指令は、みんなの・・・いや地球の運命を
決める戦いになるかも解らん事や」
- 226 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 中澤のあやふやな言葉にメンバーはきょとんとしている。
「どう言う事?地球の運命なんて訳わかんないよ」
矢口がそう言うと中澤は微笑みと言ったら良いのか
何とも言いようのない表情で話を続けた。
「今、第三艦隊は天王星軌道上に展開している筈や。
これからやって来るはずの敵を迎え撃つ為にな」
「敵?天王星って・・・・宇宙人でも来るって言うの?バカバカしい。
だいいちこの地球圏に来られる様な星に生命のしかも
知的生命体なんて見つかってないんでしょ」
「確かにそうやな、でも、もしそれがいたとしたら?」
「・・・・・うそでしょ?・・・そんな事信じられないよ」
中澤の思わぬ発言にメンバーは驚きの表情を浮かべた。
「うそやない・・・ただ正確には異星人と言うよりは地球人と言うべきかな・・・
だが敵は人間ではない」
「・・・・・?・・・どう言う事?解る様に説明してよ」
地球まで簡単にやってこられる様な天体に知的生命体などいない事は
既に古くから解っている事である。そんな中、敵は太陽系の外から
やってくると中澤は語った。異星人ではなく、ある意味地球人
しかし人間ではない・・・メンバーは話の意味が解らなかった。
- 227 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 「もうだいぶ昔・・・22世紀の頃の話や・・・
宇宙移住計画が始まってその後に、他の計画もあったらしいんや。
それは、宇宙殖民計画、つまり他の星への移住やな。
そしてその候補となる星を捜す為に、一隻の宇宙船が太陽系から
旅立って行ったんやけどその時の宇宙船のパイロットがその・・・
人間やなくてロボットと言うか、そんな奴やったんや・・・」
中澤がここまで話した所で紺野が言った。
「まさか、それって・・・・ユリシーズ計画・・・・・」
「そうや、紺野、お前よう知ってたな。そのユリシーズ計画で
宇宙船のパイロットを務めたのが当時の技術を結集した
アンドロイド、ユリシーズシリーズ、やった。
完璧なプログラムと完璧な機能を備えた筈のその
ユリシーズ型アンドロイドにただ一つ問題点があった。
それは自己学習プログラムや。そのプログラムによって
学習したユリシーズは宇宙船と共に消息を絶った。
政府はその時事故によって消息を絶ったと判断したんやけど
ユリシーズは健在やった・・・・そして今地球を目指して戻ってくる」
「それの何処が問題なのさ?どっか良い星を見つけて
戻ってくるんじゃないの?だったら問題無いじゃん」
話を聞いた安倍がそう言うと中澤は頷きながら言った。
- 228 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:04
- 「確かにそれやったら何の問題もない。しかし事態は
予想をはるかに越えていたんや。
自己学習の結果ユリシーズは人類の移住は不可能と判断した。
ではどうやって与えられた任務を果すのか・・・・・
ユリシーズが考えた事は・・・このまま地球に戻れば自分達は処分される。
あまりに完璧な自己学習機能は自然に自己防衛本能を目覚めさせた訳や。
つまり「殺られるな殺れ」そう判断したユリシーズは仲間を増やし
人類と戦う為に準備しとったんや。そして偵察の為に先発隊が出された。
それとたまたま出くわしたのが第三輸送船団やった」
「ちょっと待ってよ・・・・って事はあの時私達が戦った相手って・・・」
「そうや、あの戦いの後、調査隊が残った敵のデータを分析して解った事や。
奴らの本隊はもうすぐこの太陽系にやって来る。
慌てた参謀本部は第三艦隊の派遣を決定し、更に今建造中だった
新型艦に急遽改良を加える事になった。その為に大谷と村田が呼ばれた。
そして小川と前田も・・・・これ以上は話さんでも解るよな?」
中澤の言葉にメンバー全員言葉を失う。当然であろう。
「つまり、その新造艦はオイラ達の為に改良されたって事だよね?
そしてその目的は、オイラ達がそれに乗って・・・・」
「そう言う事や、大谷達ももうすぐ戻って来る筈や。
その新造艦に乗ってな」
アレスに衝撃が走ったのは言うまでも無い。
自分達に与えられた任務はその実態も解らない未知の相手である。
これからどうなるのか?中澤はそれ以上何も言わなかった。
- 229 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:48
- 中澤の話があった二日後、アレスに新造艦と共に大谷達が戻って来た。
前田が舵を取り、静かに入港したその新造艦はマルス級と比べると
明らかに巨大である。更に戦闘機搭載能力も増えているらしく
カタパルトが四つある。もちろん武装も強化されており
第三艦隊旗艦「アポロン」と同クラスの戦闘艦と言う印象を与えていた。
「ただ今戻りました」
大谷、村田、小川、前田の4名は、ドックに出迎えに出てきた中澤に
帰還の報告を入れる。
「お疲れさん、それにしてもまた凄い船やなぁ・・・プロメテウス級か?」
中澤はあまりの船の大きさに驚いていた。
因みに「プロメテウス級戦闘艦」とは、アポロンを始めとする
艦隊の旗艦クラスに位置する連邦軍でも最強の戦闘艦である。
- 230 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:50
- 「気に入りましたか?でもこの子はプロメテウス級なんかじゃないですよ。
なんってったって、私達アレスのメンバーが搭乗するんですから」
大谷は嬉しそうに語る。そしてこの新造艦の名前を発表した。
「この子はこう見えてもマルス級の戦闘艦です。
マルス級強襲戦闘艦「スペース・マルス」
スペースは私達のマルスが更に広い宇宙に
羽ばたくと言う意味を込めてみました」
大谷がそう説明するがアレスメンバーの反応はイマイチであった。
「スペース・マルスか・・・・何か冴えない名前やなぁ・・・」
「そんな事無いですよ。元々開発時はスペース・ウルフって
名前だったらしいんですけど、それじゃあ私達には
似合わないですから、ウルフをやめてマルスにしたんです」
「なんや、そのまんまかいな。まあええけど・・・」
大谷の言葉に半分諦めた様な感のあるアレスメンバーであったが
決まってしまった物は仕方がない。全員で新しい船を歓迎するのであった。
- 231 :名無し娘。:2003/10/20(月) 15:56
- 更新Z
艦名、いっそダイ○ロスにw
- 232 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:37
- 「中澤さん、いや、中澤司令。これ預かって来ました」
大谷はそう言うと一枚のメモリーカードを中澤に手渡した。
「遂に来たか・・・みんな、ミーティングルームに集合や!
それから大谷、村田、お前達はもう準備を始めてくれ。
恐らくそれ程時間もないやろ」
「了解!」「了解!」
中澤はそう言うと大谷、村田を残し、その他のメンバーと共に
ミーティングルームに向かった。
「さてと・・・それじゃ見てみましょうか」
中澤は大谷から受け取ったカードをコンピュータに入れる。
カードはアレスメンバーに対する指令であった。
「やっぱりな・・・みんな、とうとう来よったで。
新しい辞令や。覚悟は出来とるか?」
中澤の言葉にその場のメンバーは黙って頷く。
新しい船、「スペース・マルス」の配属辞令が中澤から発表された
- 233 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
- 「まず、艦長は・・・えっ?私?・・・・うそやろ・・・」
「裕ちゃん・・・?まさか・・・・」
中澤の態度に思わず保田が突っ込みを入れる。
中澤が自分はスペースマルスのメンバーに入っていないと
思っていたのだと考えたからだ。
「いやいや、そう言う意味やなくてやな・・・ほら・・・艦長は
圭織かなっちか・・どっちかやと思っとったから・・・・
私はどっちかと言うとそんな器やないし・・・戦闘機乗っとる方が
合ってるからなぁ」
「なに言ってんの。ここの司令官は誰なのよ?
艦長は裕ちゃんしかいないでしょ」
安倍が呆れた様に言う。すると中澤も「そうだよな」と
言った表情を浮かべていた。
「それから・・・・」
中澤の口から次々に配属が読み上げられる。
スペースマルスの人事は次の様になっていた。
- 234 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
- 艦長 中澤裕子
副長 安倍なつみ
航海班 前田有紀 その他
レーダー班 北上アミ 大木衣吹
オペレーター 斉藤瞳 柴田あゆみ
艦艇搭載武装担当 末永真己 荒井沙紀 その他
メカニック 大谷雅恵 村田めぐみ その他
戦闘機隊
レッド隊
隊長 保田圭(ケメンダヤス) 二番機 後藤真希(マックゴルド)
三番機 市井紗耶香(テレパシー) 四番機 吉澤ひとみ(ケッカ−)
五番機 木村絢香(スコロンダ) 六番機 小川麻琴(ゴロMAX)
イエロー隊
隊長 矢口真里(セクビム) 二番機 加護亜依(ザシチェッキ)
三番機 辻希美(レスラッテ+) 四番機 ミカ・トッド(タレンザ)
五番機 高橋愛(ヤヨオーラ) 六番機 新垣里沙(マユビム)
グリーン隊
隊長 戸田鈴音(クレージーホース) 二番機 木村あさみ(フリーダムドック)
三番機 里田まい(ノンクラクション) 四番機 斎藤美海(ホカノドーガ)
五番機 藤本美貴(ブギ−03) 六番機 紺野あさ美(オジャマール)
ホワイト隊
隊長 飯田圭織(デイオウル) 二番機 石川梨華(チャ−ミーV)
三番機 田中れいな(ノギ−メタンア) 四番機 道重さゆみ(サーユナルシス)
五番機 亀井絵里(キースギテック) 六番機???
- 235 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:39
- 「以上、本日付での配属となるそうや」
中澤の発表を皆黙って聞いている。
遂に指令は下されたのだ。新たなそして未知なる敵との戦いが
新しい船「スペースマルス」と共に始まろうとしていた。
「おらー!モタモタすんな!とろい奴は一時間鏡の部屋に
道重と一緒に閉じ込めるぞ!」
大谷の声がアレス戦闘艦ドックに響き渡る。
今まさに、スペースマルスの出港準備が進められていた。
艦載機の積み替え、物資の搬入、メカスタッフに休みはなかった。
「ところでさ、オイラ達がここ出てっちゃたら、ここの仕事はどうなるの?」
矢口が中澤に聞く。まあ確かに当然の疑問ではあろう。
マルス隊の人間がいなくなってしまうのだ。
「その心配は無用だ!」
矢口の質問に答えたのは中澤ではなかった。
メンバーは一斉に部屋の入り口を見る。
そこには奇妙な格好をした男が立っていた。
- 236 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:40
- 「ダスマン提督・・・・」
そこに立っていたのは連邦軍特殊部隊司令の「ダスマン中将」であった。
さらによく見るとダスマンの後ろにも人影があった。
「彩っぺ・・・明日香・・・・」
ダスマンと一緒に現れたのは「石黒彩」「福田明日香」
石黒はダスマンの指揮する特務艦「ミラーボール」戦闘機隊のリーダーであり
福田は「ムーンベース」の戦闘機中隊の隊長である。
「提督、いつこちらに・・・?」
突然のダスマンの登場に中澤は驚いている様だ。
「さっき着いたばかりだ。それより中澤、ここの警備は大丈夫か?
「ミラーボール」の接近にまったく気がついていなかったぞ」
ダスマンはそう言って中澤を見る、すると
「提督、あたりまえですよ。どうせまた訓練とか言って
こっそり近づいたんでしょ?それだったら逆に見つかる方が
ヤバイんじゃないですか?」
藤本が突っ込みを入れる。藤本は航路監視隊時代に
ダスマンによくこんな事をされていたのだ。
- 237 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:37
- 「あれ?藤本・・・お前ここだったか?」
「移動になったんです!」
藤本がいる事に少々驚いた感じのダスマンであったが
すぐに何事もなかったかの様に話を始めた。
「とにかくだ、今、矢口が言った事は問題はない。
ここの任務は私が引き継ぐ事になった」
ダスマンの言葉に皆驚きの表情を浮かべる。
「提督が・・・ですか?」
「そうだ、このアレスの指揮は私が取る。それからマルス1・2は
石黒のブラック中隊と福田のシルバー中隊が引き継ぐ。
どうだ?思い入れのある基地も船も、知らない奴らに任せるよりいいだろう?
石黒も福田も、お前達の新しい任務の話を聞いて名乗り出たんだぞ」
ダスマンがそう言うと中澤は不思議そうに聞いた。
- 238 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:38
- 「そうなんですか・・・?でも、私達の任務って軍機なのでは?
なのに明日香も彩っぺも、なんでその事知ってるの?」
中澤がそう言うと石黒は笑いながら言う。
「確かに私達は、ここの後任の志願はしたよ。
でもね、その事を教えてくれたのはダスマン中将なの。
だからここの後任の事は全てダスマン中将が仕組んだ事なんだよ。
私と明日香にこの話をすれば、絶対こうなるって思ったんでしょ」
石黒彩、福田明日香の両名は元々飯田や安倍達と一緒に
中澤の下について仕事をしていたのである。
なので、その後に配属になった矢口や保田達とも知り合いであり
藤本や松浦よりもマルス隊のメンバーの事は良く知っているのだ。
また、ダスマンは昔から中澤のよき相談相手であり
石黒や福田ともつながりのある不思議な立場の人間であった。
「提督・・・ありがとうございます。これで私達も安心して
ここを後にできます」
中澤だけでなくスペースマルスに配属になったメンバー全員が
一斉に頭を下げる。信頼できる仲間に後を任せられるのだから
これ以上嬉しい事はないのであろう。
- 239 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
- 「明日には出発かぁ・・・」
新しい船に自分の荷物を運び込む矢口が呟く。
「それほど深く考える事でもないんじゃない?」
「そうだけどさあ・・・」
一緒にいた保田はそれ程深くは考えていない様子である。
これから自分達が向かおうとする所は間違いなく「フロントライン」
つまり最前線になるのである。
どれだけの力を持ち、どんな戦い方をするのか?
一度先発隊と戦った事はあるがそんなものは参考にならないであろう。
矢口に限らず一抹の不安を覚えるメンバーはいるのだ。
「あれっ?意外に中は広くないんだね」
「本当だ、マルス1・2とそんなに変わらないみたい」
スペースマルスに乗り込んだ保田はそんな感想を持った。
一緒にいた矢口もそれは感じた様である。
通路の広さや天井の高さなど中に入ればもっと広い物だと2人は思っていたのだ。
実際過去に2人が乗艦経験のある、プロメテウス級戦闘艦「ダイダロス」は
通路も天井も広く、流石旗艦を務めるタイプだけあって快適であった。
だがこのスペースマルスは、マルス級だからなのか見た目は同じ大きさでも
中が非常に狭い構造になっている様である。
- 240 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
- 「なーんだ、ガタイが大きいからもっと快適な船だと思ってたのに
これじゃあ、マルス1と変わんないじゃん」
「まあまあ、所詮戦艦なんだから快適性を求める方がおかしいよ」
がっかりする矢口に保田は笑いながら言った。
だがそんな矢口の考えは次の瞬間一気に吹き飛んだ。
「あっ!矢口さん、保田さん。居住ブロック見ました?」
「流石新造艦!ビックリしましたよ!」
先に乗艦を終えていた紺野と小川が興奮してやって来た。
「えっ?まだだけど・・・」
「何かあったの?」
2人のハシャギぶりに保田も矢口もポカンとしている。
- 241 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
- 「凄いですよ、ほら、早く来てください!」
紺野と小川は、保田と矢口の手を引くと居住ブロックに連れて行った。
いったい何があったのか?手を引かれるままに居住ブロックにやって来た
保田と矢口は言葉を失った。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「どうですか?凄いでしょ?」
「みんな個室なんですよ。シャワールームもあるし、ほら食堂も」
今まで二段ベットの仮眠室しかなかったマルス1・2と比べて
この変わり様は誰しも言葉を失う。
後からやって来た後藤と市井も反応は同じであった。
「どう?凄いでしょ?」
- 242 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
- 驚きのあまり呆然とするメンバーに声をかけたのは村田だった。
村田はまるでアレスの居住ブロックを思わせるこの空間を誇らしげに見渡す。
本来居住ブロックは艦長やその他幹部メンバーと一般の兵士とでは
まったく待遇が違う。当然立場の違う上の人間の方が待遇は良いのだ。
まだ軍隊が陸、海、空と分けられていた地球時代の名残で
今までの連邦軍の宇宙艦は階級に合わせて部屋が用意されていて
艦長や幹部などはより快適に過ごせる様になっているのである。
だがこのスペースマルスは違っていた。
艦長の中澤から、新人の田中や道重達までまったく同じ広さの個室が
与えられ誰もが同じ様に快適に過ごせる様になっているのである。
ではなぜそうなっているのか、それは村田と大谷の仕業であった。
「実はね、私達がムーンベース行った時にはまだこの居住ブロックは
出来ていなかったの。まあこのブロックはどんな船でも最後に作るからね。
それでね、設計図を見たらいらないスペースがいっぱいあったから
それならみんな居住スペースにしちゃえって勝手に設計変えちゃったの。
だってさ、乗りもしない参謀用のスペースなんていらないでしょ。
あと応接部屋とか、訳の解んない幹部用作戦室とか
無駄な空間を一切排除してみんなの為に・・・怒られてきました!」
当然勝手な設計変更はすぐにバレた。だが大谷がそこでどうせ自分達が
使う船なのだから好きにやらせてくれと抗議したのである。
元々実験要素が多いこのアレスのメンバーである。
大谷と村田の頑張りもあり、渋々だが許可が下りたのであった。
- 243 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
- 「へぇー、なかなかやるやないか」
村田が話を終えると中澤がやって来て言う。
この空間を中澤も気に入った様である。
「あっ、中澤さん・・・・これで大丈夫ですか?」
「何がよ?ええやん、じゅうぶんよ。広い艦長室なんていらんで。
ましてや艦長専用のベットルームなんてお笑いや。
艦長なんて指示だけ出してりゃええんやから一番楽やんか。
そんな奴が一番快適な部屋を使うなんてアホらしいで」
心配そうな表情を浮かべていた村田に中澤は笑いながらこう言った。
それを聞いた村田も安心した様に笑顔を浮かべるのであった。
「そうや、矢口。お守り忘れとるで。艦橋に貼っといてや」
中澤はそう言うと村田と2人で居住ブロックを後にする。
「いけね、忘れてた」
矢口はそう言うと、今ロッカーにしまったばかりのバックから
一枚のお札の様な物を取り出した。
- 244 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
- 「何ですかそれ?」
紺野が興味を示し聞いて来る。
「あ、これ?一応お守り。マルス1にも2にも貼ってあったでしょ。
このお札はね、代々矢口家に伝わる太陽のお札なんだって。
その昔、私のご先祖様がこのお札で仲間の命を救ったらしいの
それで私もそのご利益にあずかろうとマルス1・2に貼った訳よ。
そのご利益か解らないけど、我がマルス隊は今まで殉職者なし!
だからこの船にも貼っとけって裕ちゃんに言われてたんだよ」
矢口はそう言うと、そのお札を持って艦橋に向かう。
お札によほど興味があったのか紺野がついて行った。
「本当にご利益なんてあるんですか?」
「何?小川は信じないの?」
「そう言う訳じゃないんですけど、あのお札、昨日矢口さんが
自分で書いてたやつですよね?」
「そうだよ、良く知らないけど矢口が書かないと意味がないんだって。
でもきっとご利益はあるよ。私なんかあれ見てると安心するもん」
矢口のお札をイマイチ信用していない小川に保田は笑いながらこう言った。
- 245 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
- 場所は変わってこちらは船の外、村田と中澤は甲板にいた。
「やっぱみんなを代表して礼を言っとくな。ありがとう」
「いや、それなら大谷に言って下さい。あの居住ブロックにこだわったのは
大谷なんです。いくらピースドライブがあるからって戦闘が長引けば
艦内生活だって長くなる訳だからって、あの時の勢いは
OKが出なかったらきっとムーンベースメカニックの総責任者の
タイーゼ少将の所まで行ってたと思いますよ」
村田がそう言うと中澤は何も言わずに下でスタッフに指示を出す
大谷を見つめている。
「ほら、モタモタすんな!ドン臭い奴は一時間圭織のダジャレに
つきあわせるからな!」
そう叫びながら走りまわる大谷を見て村田は続けた。
- 246 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
- 「大谷は普段あんなだから、みんなあまり気がつかないけど
パイロットのコンディションとか状態を見てるんです。
調子が悪かったり疲れている子がいれば必ず声をかけてますから。
戦闘機を壊して欲しくないって事もあるとは思いますけど
それ以上に普段現場に出ないから、みんなが無事に戻って来るのを
願ってる筈です。口には出さないけど・・・」
村田の言葉に中澤は黙って頷く。すると
「おい村田!暇なら手伝えよ!まだまだやる事いっぱいあるんだぞ!」
甲板にいた村田を見つけた大谷が叫んだ。
村田は返事をすると下に下りて行く。
「・・・・言わんでもみんな解ってるやろ・・・」
中澤は1人呟くとまた船の中に戻って行った。
- 247 :名無し娘。:2003/10/25(土) 02:44
- 手書きのお守りってもしや・・・考えすぎですか?w
- 248 :名無し狩人:2003/10/26(日) 00:43
- 「メカニカル最終チェック!」
スペースマルスブリッジのチーフエンジニアシートに座る
大谷が通信機に向かって言った。
「コンディションオールグリーン!」
エンジンルームにいる村田から返事が戻って来る。
それを聞いた大谷は前田に向かって合図を送った。
「補助エンジンスタート!」
前田がレバーを倒すとマルスの補助エンジンが静かに始動する。
「メインリフトOFF!微速前進!」
船体を固定していたリフトが外されマルスの船体が揺れる。
そのままゆっくりと前進を始めたマルスはドックを出て行った。
「ハローエンジン始動!」
前田の声と共にマルスのメインエンジンが動き始める。
- 249 :名無し狩人:2003/10/26(日) 00:45
- 「スペースマルス 発 進 !」
中澤の声と共にメインエンジンが火を吹いた!
「アレスより入電!ダスマン中将です」
斉藤はそう言うとブリッジのメインモニターを開いた。
ブリッジの正面にあるモニターにはダスマンが映し出された。
「出発にあたって君達に言っておきたい事がある。
今回の任務は君達がかつて経験をした事のない物になるだろう。
だが私は信じている。君達が誰一人欠けることなく無事
このアレスに戻ってくる事を。では諸君の検討を祈る!」
ダスマンはそう言うと敬礼をして見せた。
すると艦橋にいたメンバー全員立ち上がりそれに応える。
「提督、私達は全員ここに戻って来ることをお約束します。
ですからアレスをよろしくお願いします」
中澤がそう言うとメンバー全員がモニターに向かって敬礼をした。
それを見たダスマンは満足そうに頷く。
「目標。MJ−09、ピースドライブスタート!」
中澤の指示でピースドライブがスタートする。
最初の目標であるMJ−09に向かってマルスは超空間に飛び込んだ。
遂にスぺースマルスは未知の敵を迎え撃つべく発進したのである。
- 250 :名無し狩人:2003/10/26(日) 01:12
- >>247
( `_´)<どうなんでしょうね、まったく関係はないのかも知れないし
ひょっとしたら真里は真里の子孫なのかも知れません。
その辺はご想像にお任せしますよ。
- 251 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:12
- 「ハローエンジン出力良好!もうすぐ目的地です」
天王星軌道上までは火星から木星までのざっと五倍くらいであろうか。
新型ハローエンジンでも約五日の航程だ。
「ポイントMJ−09に接近、エンジン出力ダウン」
前田はエンジンの出力を下げる。するとスペースマルスは超空間を出た。
ピースドライブの終了である。
「マルスよりMJ−09へ、こちらスペースマルス。予定通り到着しました」
柴田がMJ−09と交信を始めた。
「こちらMJ−09、お疲れ様でした。こちちらの準備は終っています。
もうすぐそちらに到着すると思います」
「マルス了解!」
柴田は答えると今度はカタパルトに向かった大谷に指示を出した。
- 252 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
- 「もうすぐ来るって、受け入れ準備はOK?」
「こちらカタパルトデッキ、準備はOK。第三カタパルトに誘導して」
「了解!」
ここで訳の解らなくなった矢口が聞いた。
「まだ誰か来るの?」
「ああ、もう一人パイロットが来る。ホワイト隊の人数が1人足りんやろ」
「ああ、そうか、5人だもんね。で?誰が来るの?」
矢口の問いに中澤は薄笑いを浮かべる。
「本艦に近づく機影を捕らえました。識別・・・ピンキーモンキー!」
「やっと来たか・・・」
大木の声に中澤は静かに呟く。
「ピンキーモンキーよりマルスへ。松浦です。着艦許可願います」
「こちらマルス、識別信号確認。第三カタパルトに着艦して下さい」
「ピンキーモンキー了解!」
着艦の許可が出たピンキーモンキーはマルスのかすめると
旋回を始める。そして次の瞬間一回転して見せた。
- 253 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
- 「こら、松浦!さっさと着艦せんかい!」
「すいませーん!」
中澤に怒られた松浦は素直に着艦の体制に入る。
マルスの第三カタパルトが静かに開く。
「おじゃましまーす!」
松浦はそう言うと第三カタパルトに着艦する。
着艦したピンキーモンキーはメカスタッフに誘導され格納庫に入った。
「松浦亜弥、ただ今参上!」
キャノピーが開くと元気良く飛び出して来た松浦。
ピンキーモンキーはすぐさま大谷達によって整備が始まった。
「松浦、荷物は?」
何も持たずに現れた松浦に大谷は聞く。
「それならもうみきすけに頼んであります」
「そうなの?準備いいね」
「はい、これからよろしくお願いしますね」
- 254 :名無し狩人:2003/10/27(月) 00:13
- 松浦はそう言うとスペースマルスメカスタッフにお辞儀をして
ブリッジへと上がって行った。
階段を駆け上がり、エレベーターに乗った松浦。
ブリッジに到着するとこれでもかと言わんばかりの声で言った。
「松浦亜弥、ただ今到着しました。本日付でマルスに配属になります。
よろしくお願いしまーす!」
「やたら元気やなぁ。まあええけど、とりあえず松浦は
圭織の指揮下に入ってくれ。ホワイト隊六番機、ホワイト6や」
中澤の指示に大きく頷く松浦、飯田と硬い握手を交わすと
藤本が待つ居住ブロックに走って行った。
「あの子はいつも元気だねぇ」
何気ない保田の言葉にみんなが笑った。
「なんだよ−、なにがおかしいんだよ」
「あのさー、そう言う台詞圭ちゃんが言うと、なんかおばちゃんくさいんだよね」
「なんだとー!」
矢口の言葉に怒り出した保田。松浦の到着によりスペースマルスの
乗員は全て揃った。
- 255 :名無し娘。:2003/10/27(月) 20:06
- 更新乙です。ついにクルーが勢ぞろいしたわけですね。
- 256 :名無し狩人:2003/10/27(月) 23:52
- ( `_´)<下書きが終ったらPCがフリーズ・・・・
せっかく書いたのにィィィィ!!なので今日はお休みです。
もし待っていた人がいたらごめんなさい。
代わりと言ってはなんですが、みゅん八は更新されてますので
よろしかったらどうぞ・・・・
- 257 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
- 松浦を拾いMJ−09を後にしたスペースマルス
出来ればこのまますぐにでもピースドライブに入りたい所であるが
それを行う訳にはいかなかった。
ピースドライブは本来人間が存在しない空間に突入する
極めて危険な航法である為、連続での超空間突入は人体に
どんな影響を与えるのか解らないのである。
マルス1・2出動時の様に短い距離での移動であれば
2、3時間のインターバルで次のピースドライブに備える事が出来る。
だが今回の様に長距離の移動となると一度ピースドライブを行うと
次のピースドライブを行うのに最低半日の通常航法を余儀なくされるのである。
「ごはん、ごはん」
食事の時間となり最初に食堂に姿を現したのは辻と紺野。
食べる事に生きがいを見出している2人である。
「おおっ、すっげー!スペースレーヨンじゃないよ!」
- 258 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
- 辻の顔に喜びの表情が浮かんでいた。
スペースレーヨンとは宇宙食の事である。
通常、民間の宇宙食はスペースフードなどと呼ばれている事が多いが
軍では宇宙食をこう呼んでいる。
まだ地球上に各国の軍隊と言う物が存在していた頃には
戦場での食事をコンバットレーション、あるいは種類によって
Aレーション、Bレーション、Cレーションなどと呼んでいたらしい。
その名残であろう現在の軍用食料はスペースレーションまたは
スペースレーヨンと呼ばれている。
で今回のマルスの食事であるが、辻達の目の前に並べられているのは
普通の食事である。
いやアレスの食堂に並んでいる、いつものAランチより豪華かも知れない。
「いやいや、驚いたね。どうなってんのよ?」
あとからやって来た矢口や市井達も大喜びである。
生きる上での楽しみにの一つに食事は欠かせないであろう。
そんな観点からスペースマルスには調理用の厨房も完備されていた。
そしてそれを使って料理を作ったのが後藤である。
「先に言うとくけど食事作るのは当番制やで」
中澤がそう言うと
「えっ?マジで?」
飯田が咄嗟に聞き返す。
- 259 :名無し狩人:2003/10/28(火) 23:41
- 「当たり前やないの、みんな条件は一緒や」
「って事はだよ・・・今回これを作ったのはごっちんでしょ。
まあ、それはいいよ。でもさ裕ちゃんとか圭ちゃんとか・・・・」
「ふふふふ・・・・美味いもん食いたかったら自分で作ってもええよ
なあ圭ちゃん・・・・」
中澤と保田はなにやら企んでいる笑いを浮かべていた。
「裕ちゃんずるいべ!」
「いやだから、作らんとは言ってないやんか・・・・」
「そりゃそうだけど・・・オイラ裕ちゃんが料理してるの見たことない」
「失礼な!私かて魚くらい焼けるで」
「そんなもん誰だって焼けるじゃん!」
「野菜も煮るよ」
「・・・・・もういいよ・・・・仕方ない・・・得意な奴で交代でやろう」
中澤の企みにまんまとはまってしまったマルスのメンバー
余計な仕事が一つ増えた様である。
- 260 :名無し狩人:2003/10/31(金) 22:35
- ポイントJS−06付近を航行中、レーダーが敵影を捉えた。
「所属不明艦二隻、本艦に接近!映像をメインスクリーンに出します」
北上の報告で敵の映像がスクリーンに映し出される。
「あれは・・・・ナンバカーズやな。こんなとこにまでおるとは・・・
まったくご苦労なこっちゃ・・・まあいい腕試しには持って来いやな」
中澤はそう言うと迎撃の指示を出す。
「ホワイト隊出撃準備!グリーン隊は待機、レッド隊は準待機や」
中澤の指示で飯田以下ホワイト隊のメンバーが出撃の準備を整える。
メカスタッフの手によって既に出撃の準備が終っていた
ホワイト隊の機体は次々に飛び出して行った。
「ホワイトリーダより各機へ、ホワイト隊の初陣だ、気合入れて行くよ」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」
「ホワイト4了解!」 「ホワイト5了解!」
「松浦了解!」
「こらー!あんた達ね、コールサインくらい統一しなさいよ!」
- 261 :名無し狩人:2003/10/31(金) 22:35
- バラバラの名前で返答するメンバーに飯田が怒る。
因みにコールサインとは無線交信などで使う名前の事である。
「だってTACネームなんか無いじゃないですか!」
飯田の言葉に石川が反論した。
因みにTACネームとは・・・・・・まあコールサインと同じ様な物だと
思っていただければ良いと思います。
「そうか・・・それじゃ機体名に統一!」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」
「サーユナルシス了解!」 「キースギテック了解!」
「ピンキーモンキー了解!」
やっと揃ったホワイト隊は敵艦に向かって行く。
「・・・・おい、あいつら大丈夫なんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・多分・・・・」
ホワイト隊のやり取りを聞いた中澤が傍にいた安倍に聞く。
安倍はなぜが自信なさそうに答える。
「・・・・うーん・・・・・・・・・・・レッド隊、バックアップ準備や!」
少しの間考えた中澤は保田達レッド隊にいつでも出られる様に
指示を出すのであった。
- 262 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:36
- 「ホワイトリーダーより各機へ、三機ずつ左右に分かれるよ。
ピンキーモンキー、サーユナルシス、キースギテックは左に
松浦任せたよ。チャ−ミーV、ノギ−メタンアは私に続いて!」
飯田の指示で松浦、道重、亀井に三機が左に展開する。
「ピンキーモンキー了解!道重ちゃん、亀井ちゃん行くよ!」
「サーユナルシス了解!」 「キースギテック了解!」
そして
「石川、田中、ついて来な!」
「チャ−ミーV了解!」 「ノギ−メタンア了解!」
飯田、石川、田中は右に進路を変えた。
「ホワイト隊、敵艦射程圏内侵入!」
「マルスよりホワイトリーダーへ、敵の攻撃が来るよ!先手必勝!」
大木の報告に斉藤が飯田に注意を促す。
「ホワイトリーダー了解!攻撃を開始します!」
ホワイト隊は攻撃を開始した。だが・・・・
敵艦は艦載機を出すどころか攻撃もしてこない。
- 263 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:37
- 「圭織!攻撃やめ!」
異変を察知した中澤がホワイト隊の攻撃を止めさせる。
「斉藤!奴らと交信できるか?」
「やってみます・・・・・こちらは連邦軍です。貴艦の船名と
所属を答えてください!」
「・・・・・・・・・・」
「敵艦、応答なし!」
柴田が言う。
「もう一度や!」
「こちらは連邦軍です。貴艦の・・・・」
斉藤がそう言いかけた時、反応があった。
「・・・・・こちら、貿易船ナンダカンダ・・・・・いや・・・・
元ナンバカーズ戦闘艦ナンダカンダであります・・・・・
我々には既に戦う力は残っていません・・・・」
やはり相手はナンバカーズであった。
- 264 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:37
- 「元・・・?元ってどう言う意味や?私は連邦軍の中澤や。
いったいあんたらに何があったん?」
「中澤さん・・・・・ああ、アレスの中澤さんですね。
私はナンダカンダ艦長、マシューミナミです。ナンバカーズは壊滅しました。
先日土星軌道上の我々の本拠地が攻撃を受けました。
突然の事で敵の接近にもまったく気がつきませんでした。
なのでろくに迎撃も出来ずに・・・・
相手の正体は不明。我々はやっと逃げ出したのですが、他の奴らは
どうなったかまったく解りません」
相手の返答にメンバーは驚きを隠せなかった。
いくら捜しても解らなかったナンバカーズの本拠地が土星軌道上に
あったのにも驚いたが、それ以上に相当の戦力を持つ
ナンバカーズが壊滅させられた事に驚いていたのである。
「壊滅て・・・・相手は何もんや・・・・」
中澤がそう言ったとほぼ同時であった。
「ポイントB−36隕石の動きがおかしい!沙紀、砲撃して!」
レーダを見つめていた北上が砲塔担当の荒井に砲撃の指示をだす。
- 265 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:38
- 『パシュー!!』
指示を受けた荒井がレーザーカノンを放つ、次の瞬間、
標的の隕石が爆発を起こした。
「レーダーに反応!所属不明艦五隻!・・・・急速接近!」
「北上!お手柄やで!なるほどダミーで偽装してか・・・・
総員第一級戦闘配備!レッド隊、グリーン隊出動!
イエロー隊出撃準備!」
思わぬ敵の出現に中澤は総力戦の指示を出した。
「マルスより、ホワイトリーダーへ、ホワイト隊はそのままその二隻の
護衛にあたって下さい。本艦もすぐに合流します!」
柴田がホワイト隊に指示を送る。
「前田、急速反転!ナンダカンダと合流や!」
マルスが艦首を反転させ動き出す。
- 266 :名無し狩人:2003/11/03(月) 00:38
- 「マルスよりレッドリーダーへ、敵艦載機の離艦を確認、迎撃せよ!」
「レッドリーダー了解!」
指示を受けたレッド隊が敵艦載機の迎撃に向かう。
「グリーンリーダーよりマルスへ、グリーン隊配置完了!」
「マルス了解!」
出撃したグリーン隊はマルスの周りで待機した。
「イエロー隊出ます!」
「マルスよりイエローリーダーへ、敵艦載機迎撃中のレッド隊に
合流した後、敵艦攻撃を始めてください!」
「イエローリーダー了解!」
幾多の戦闘を潜り抜けてきたスペースマルスのメンバーは
中澤を始めとして突如現れた敵がナンバカーズを壊滅させた
奴らと同じであると直感で感じとっていたのである。
- 267 :名無し狩人:2003/11/04(火) 23:13
- 「レッド隊、敵艦載機隊に接近!」
マルスブリッジにはレーダー班とオペレーターの声が飛び交っている。
「敵さんのお出ましだよ!ショットガン!」
間近に迫った敵艦載機隊を見た保田がレッド隊メンバーに指示をだす。
するとレッド隊は市井、吉澤、アヤカ、小川、4人機体が前に
保田、後藤の機体が後ろにとフォーメーションを取った。
「攻撃開始!」
保田の声がレッド隊メンバーに響き渡る。
指示を受けた先行する四機のミサイルポットが開く。
「消えろ邪魔者!」
市井はそう言うと発射ボタンを押した。
続いて吉澤、アヤカ、小川もミサイルを放つ!
- 268 :名無し狩人:2003/11/04(火) 23:14
- まさにミサイルの雨霰、その弾幕に敵機は回避できず、
次々に爆発していった。
「一丁あがり!」
「ほら、よっすぃー、油断すんじゃないよ!」
「OK牧場!」
敵艦載機の第一陣を打ち破ったレッド隊に第二陣が迫る!
「あー!みっけ!」
迫り来る敵機を前に小川の声が聞こえる。
「何?」
「ほら、一機だけ違うカラーリング!きっと指揮官ですよ」
小川の言う通り敵機第二陣の中に一機だけカラーリングの違う機体が見える。
「アホだね、狙って下さいって言ってる様なもんじゃん!
Tフォーメーション!」
保田はそう言うとその機体に狙いを定める。
今度のレッド隊の陣形は保田を先頭に一列に並ぶ物であった。
- 269 :名無し狩人:2003/11/10(月) 02:03
- (;`_´)<ただ今お話をまとめております。
もしお待ちの方いらっしゃいましたらもう少々お待ちください。
( `.∀´)<誰かいるのかしら・・・?
(;`_´)<・・・いなかったらいないで、それもありの気がしますが
それはそれで寂しいかな・・・・(w
- 270 :名無し娘。:2003/11/10(月) 12:57
-
|D`) …またーり、まってるのれす
- 271 :名無し娘。:2003/11/10(月) 17:57
- ノ
- 272 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:07
- 突っ込んでくるレッド隊に対し、敵も黙ってはいない。
一列に並ぶレッド隊に敵機の集中攻撃が襲い掛かった。
「甘い!」
敵の攻撃を紙一重でかわしながら市井が先頭に飛び出す。
すると敵の攻撃が市井に集中した。
「今だ!行けー!」
すかさず保田の指示がレッド隊全機に飛ぶと
メンバーが市井に集中する敵機に襲い掛かった。
ミサイルを放つ後藤のマックゴルド、そのミサイルをかわした敵を
バルカン砲で叩く吉澤のケッカー。
アヤカのスコロンダと小川のゴロMAXはその合間を飛び回り
敵機の霍乱を行っている。
「よっしゃ!貰った!」
メンバーがそんな戦いをするさなか、保田のケメンダヤスが
指揮官と思われるカラーリングの違う敵機の後ろを取る。
- 273 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:07
- 「ロックンロール!」
保田はそう言うとミサイルを放ちその機体を破壊した。
「・・・・あれ?おかしいな・・・」
指揮官がやられたにも関わらず敵の攻撃パターンは
まったく変わる様子がなかった。
保田はここで始めて敵の様子がおかしい事に気がつく。
「レッドリーダーよりマルスへ、こいつらひょっとしたら・・・・」
「こちらマルス、圭ちゃん多分そうみたいだよ。
敵の動きはまるで何かに制御されてるみたいに正確なの。
無駄な動きがまったく無い。それに何て言ったらいいのかな・・・
動きに何の迷いもない・・・まるで機械だよ」
そう言ったのは安倍であった。副長の安倍は戦闘が始まってからの
敵の動きのデータを取っていた。
そこでレッド隊の戦いのデータに本来なら考えられない異変を見つけたのだ。
- 274 :名無し娘。:2003/11/11(火) 23:16
- リアルでは芸能人的立場として死んだ市井がいるって・・・なんか違和感
- 275 :名無し狩人:2003/11/11(火) 23:36
- ( `_´)<プッチモニはずっと3人なのだよ・・・
と言ってみたもののそこはそこ、どうなる事やら
川o・ー・)
- 276 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:37
- 「奴らなのか・・・・しかしこの先には第三艦隊がいる筈や、どうやって・・・」
中澤は敵が本来戦うべき相手の一部であると確信していた。
しかしながらどうやってこいつらはここまでやってきたのであろうか・・・?
「ナンダカンダよりマルスへ、こいつらは調査隊やと思います。
何回かうちの連中が遭遇してます。ですから・・・」
「マルス了解や。マシュー、あんたんとこの仲間が遭遇したんは
こいつらだけなん?」
「恐らくそうやと思います。本拠地に現れたのもこいつらやし
それを見た仲間もそう言ってました」
ナンバカーズのマシューミナミの情報ではここにいる敵も調査隊らしい。
それを聞いた中澤はある決心をする。
「大谷!聞こえるか?これよりナンダカンダに補給を開始する!」
中澤の突然の言葉にブリッジのメンバーは驚きの声を上げた。
「裕ちゃん!なに言ってるべ!」
「中澤さん本気ですか?」
安倍と柴田がほぼ同時に叫ぶ。
- 277 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:37
- 「本気や、二度もこいつらに出会った言う事は他にもおるかも解らん。
そやからマシュー達にアレスに行って貰ってこの事を伝えて貰うんや」
「でもそれだったら航路監視隊に言えば・・・・」
「今のところ、うちらの任務は公に出来んのや。
それは航路監視隊にも言えん。そやからあいつ等に頼むんや」
「無茶だよ、それに相手はナンバカーズでしょ?敵だよ」
安倍の説得は無駄であった中澤は通信機に向かって言う。
「マシュー!聞こえるか?これから自分らに補給を行う!
それが終わったらアレスのダスマン中将に今の事を伝えて欲しいんや」
中澤の提案にマシューミナミは答える。
「・・・・・いいんですか・・・?裏切るかも知れませんよ・・・・?」
「そんならそれで構わん!そやけど普通助けて貰った恩くらいは返すよなぁ。
それにあんたも男やったら、いい女の頼みは聞いとくもんやで!」
「・・・・突っ込むところですか・・・?」
「違う!」
「解りました・・・・お引き受けします。でもアレスは我々を
受け入れてくれるでしょうか?」
「今からうちのメッセージと特別進入コードをそっちに送る」
「了解です」
こうしてスペースマルスからナンダカンダともう一隻の船に補給が始まった。
マシューミナミは信用できるのか?ブリッジには不安の空気が流れていたが
中澤の命令に従うしかなかった。
- 278 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
- 一方その頃レッド隊は・・・
「レッドリーダーより各機へ、敵がなんであろうと関係ない。
叩きのめすだけだ!」
「レッド2了解!」「レッド4了解!」「レッド5了解!」「レッド6了解!」
「おい、紗耶香返事は?」
「・・・・敵に囲まれちゃったよ、何とかして〜!!」
レッド隊一瞬の隙に敵機に市井が囲まれていた。
何とか逃げ回ってはいたが危険な状態であった。
「しまった!」
一瞬の隙を突かれた保田はすぐに救出に向かおうとするが
それを他の敵機が邪魔をする。
「こらー!邪魔するな!」
保田は目の前に立ちはだかる敵機を次々に破壊するが間に合わなかった。
市井を囲む敵機の集中砲火がテレパシーを襲う!
「紗耶香!」
次の瞬間テレパシーから火の手があがった。
トドメを刺そうとテレパシーに迫る敵機。
保田以下レッド隊はそれを救う事は出来ない。だが
- 279 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
- 「おいらにお任せ!」
レッド隊の横を矢口以下イエロー隊が通り過ぎて行く!
後発のイエロー隊が追いついて来たのである。
「イエローリーダーより各機へ、イエロー6は紗耶香の救出!
その他は・・・・好きなように暴れろー!!」
「イエッサー!!」
到着したばかりのイエロー隊メンバーは元気いっぱいである。
市井の周りを囲む敵機を次々に叩くと新垣のマユビムが
市井の機体に接近を開始した。
「イエローリーダーより、イエロー6へ、時間がない急げ!」
「イエロー6了解!」
矢口に指示された新垣は自分の機体に装備されている
小さなアームの操作を開始する。アームは市井の機体の
機首に向かってのびて行った。
- 280 :名無し狩人:2003/11/13(木) 21:38
- 「セーフティーロック解除!切り離します」
新垣がそう言うとテレパシーは機首と機体が切り離され
二つに分割する。そして機首を自機のアームでしっかり固定した
新垣は素早くテレパーから離れた。
「イエロー6よりイエローリーダーへ、私はこのままマルスに戻ります」
「イエローリーダー了解!頼んだよ!」
「了解!」
負傷し気を失っている市井を連れ新垣はマルスに戻って行く。
それを見届けた保田は安堵の表情を浮かべていた。
- 281 :名無し狩人:2003/11/16(日) 01:58
- 「レッドリーダーよりイエローリーダーへ、ここは私達が引き受ける」
「イエローリーダー了解。無理しないでね!」
「その言葉そっくりお返しするよ!」
保田はそう言うとレッド隊メンバーに指示を出した。
「レッドリーダ−よりレッド隊各機へ、こっちも好きに暴れろ!
ここにいる敵は一機も残さずに叩きのめせ!」
「了 解 !!」
市井を欠いたレッド隊であったが、イエロー隊の援護もあり息を吹き返すと
残った敵機を殲滅すべく動き出した。
- 282 :名無し狩人:2003/11/16(日) 01:59
- 「こちら大谷、二隻の補給終わりました!」
大谷から補給終了の連絡がブリッジに届いた。
「了解や!マルスよりナンダカンダへ、そんじゃよろしく頼むで」
「了解しました。・・・・中澤さん・・・ありがとうございます。
必ずメッセ−ジは届けます」
「おう、がんばりや」
「はい」
そうして交信が終わるとナンバカーズの二隻は発進する。
中澤のメッセージを携え、アレスへ向かって行った。
「よし、そんじゃ・・・こっちも行きますか」
中澤はそう言うと敵に向かっての指示を出した。
- 283 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:43
- 「対艦戦準備!レッド、イエロー両隊を援護する!」
「了解!両舷全速目標的艦隊!」
マルスが敵艦隊に向かって行く。
「レッドリーダーよりマルスへ、こちらは片付いた。
これより先行するイエロー隊に合流する」
「マルス了解!」
保田から敵機殲滅の報告が入る。斉藤はホワイト隊に指示を送った。
「マルスよりホワイトリーダーへ、先行するイエロー、レッド両隊に合流せよ」
「ホワイトリーダー了解!先行する両隊に合流します」
飯田はそう言うと一気にスロットルを倒した。
「ホワイトリーダーより各機へ遅れるな!」
「了解!」
飯田に続きホワイト隊のメンバーもスロットルを引く。
するとあっという間にホワイト隊はマルスの前から飛び去っていった。
- 284 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:44
- 「イエロー隊、敵艦射程圏内に侵入!」
「マルスよりイエローリーダーへ、中澤や、うちらもすぐに追いつく無茶すんなや」
「イエローリーダー了解!!」
中澤の言葉を皮切りに、矢口達イエロー隊は、敵艦隊に攻撃を開始する。
その様子はマルスからも確認出来た。
「・・・・敵艦また艦載機を出しました」
「まだ残っとったか・・・・」
「レッド隊敵艦隊に接近!」
「追いついたか・・・」
イエロー隊が攻撃を開始すると同時に敵艦は艦載機を出してきた。
一瞬イエロー隊の心配をする中澤であったがレッド隊の合流を聞き
特に指示を出そうとはしなかった。
「レッドリーダーよりイエローリーダーへ、細かいのが出てきたよ」
「解ってるよ、雑魚はお願いね」
「了解!」
敵艦載機が出てきたのを無視して矢口は艦艇攻撃をメンバーに指示する。
イエロー隊のメンバーはそれに従うと攻撃を続けた。
- 285 :名無し狩人:2003/11/17(月) 00:44
- 「ホワイトリーダーよりレッド・イエロー両リーダーへ
援護に来たよ」
「レッドリーダー了解!それじゃあ圭織達は右舷に回って!」
「ホワイトリーダー了解!」
飯田達ホワイト隊も駆けつけると本格的な攻撃が開始された。
イエロー隊は正面から敵艦隊を、レッド隊は左舷から
ホワイト隊は右舷からそれぞれ艦載機を攻撃をしかけるのであった。
「敵艦隊本艦の射程圏内に入りました!」
「対艦ミサイル用意」
「ターゲットスコープロック!」
「撃て!」
マルスが敵艦に向かってミサイルを放つ。
その延長線上に位置していたイエロー隊が一気に散開した。
「イエローリーダーよりマルスへ!こら!一声かけろ!」
「ドン臭いやつは一緒に打ち抜くで!」
「・・・・マジかよ・・・」
いつもであれば石川なり紺野なりから攻撃の連絡があるが
2人とも一緒にこの場にいる、そう現在のオペレーターは斉藤なのだ
そして艦長は中澤である。今言った中澤の言葉は一歩間違えれば
現実の物になりかねなかった。
- 286 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:57
- 「イエローリーダーより各艦載機へ、マルスの攻撃にも注意されたし」
「おいおい、勘弁してよ・・・」
「しょうがないじゃん。裕ちゃんがそう言ってんだもん」
「なんだかなぁ・・・」
イエロー、レッド、ホワイト各艦載機隊はそう言いながらも
敵艦から離れる事はなかった。
「いい根性や、そうでないとイカンわな。フォンメザー砲準備!」
中澤がそう言うとマルス船体の両脇から二門の砲身が現れる。
「水平射撃!三連速射!」
中澤の指示にフォンメザー砲が唸る!
「撃て!!」
二門の砲身から三回、計六発のエネルギー弾が放たれた。
「反転!散開!」
マルスからの攻撃を察知した矢口はイエロー隊に指示を出す。
今回もマルスの射程圏内にいたのはイエロー隊である。
各メンバーがすぐさま退避を終えた直後。
エネルギー弾が二隻の敵艦にヒットした。
- 287 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:58
- 「対艦ミサイル用意!よっすいー、小川ついて来な!」
保田はそう言うとたった今、マルスの攻撃の直撃を受けた
敵艦一隻に接近する。
「こっちも対艦ミサイル用意!田中、道重、行くよ!」
保田達とほぼ同時に飯田が田中、道重を従えもう一隻の
被弾した敵艦に接近を開始した。
「アタァァァァック!!」
保田の掛け声でケメンダヤス、ケッカ−、ゴロMAXからミサイルが放たれた。
「てぇぇぇぇ!!」
同時に飯田も攻撃の指示をだす。
そしてデイオウル、ノギ−メタンア、サーユナルシスの三機からも
ミサイルが放たれた。
戦場に閃光が走る。と同時に激しい爆発が起こった。
- 288 :名無し狩人:2003/11/20(木) 02:58
- 「敵艦二隻撃沈!!」
大木の声がブリッジに響く。
「敵機接近!」
続いて北上の声が響いた。
「マルスよりグリーンリーダーへ、出番だよ!」
「グリーンリーダー了解!」
味方機の攻撃を掻い潜り十数機の敵機がマルスに迫る。
「グリーンリーダーより各機、迎撃せよ!」
「グリーン2了解!」「グリーン3了解!」
「グリーン4了解!」「グリーン5了解!」
「グリーン6了解!」
りんねの指示で待機していたグリーン隊のメンバーが動き出す。
藤本のブギー03が先頭を切って飛び出して行った。
「ミキティ、無茶しないでよ!」
りんねがそう言うと
「了解!大丈夫です!」
藤本はそう言ったが早いか次の瞬間には一機敵機を叩いていた。
- 289 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:48
- 「弾幕を張れ!これ以上の敵機の接近を許すな!」
「了解!!対空パルス砲準備!」
斉藤が機関室に叫ぶ
「準備完了!いつでも良いですよ!」
末永の返事が戻って来た。
「マルスよりグリーンリーダーへ、対空攻撃を開始する!!」
「了解!グリーンリーダーより各機、味方にやられないでよ!」
「了解!」
迫り来る敵機に対してマルスの攻撃が開始される。
その弾幕をぬうように飛び回るグリーン隊。
弾幕の餌食になるモノ、はたまたグリーン隊の攻撃に倒れるモノ
敵艦載機はマルスに近づくことすら出来なかった。
- 290 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:48
- 「それにしても単調な攻撃しかして来ないね」
データを見ていた安倍が呟く。
「そう言えばそうやね。ナンバカーズはこんな奴らにやられたんか・・・?」
中澤は納得行かない様な表情を浮かべていた。
「敵艦隊後方、エネルギー反応!」
突然大木が叫んだ。
「何や・・・・?」
「・・・・所属不明艦出現!!」
「アホな・・・・ピースドライブやないか」
突然この場に三隻の戦艦が姿を現す。
その形状から今戦っている敵の援軍に間違い無かった。
敵もピースドライブを使っていたのである。
- 291 :名無し狩人:2003/11/20(木) 21:49
- 「更にエネルギー反応確認・・・・・第三艦隊エウロパとガニメデです」
その敵を追ってきたのか、続いて第三艦隊の戦艦が姿を現した。
「何がどうなっとるんや?柴田!エウロパに連絡!」
「りょ、了解!スペースマルスよりエウロパへ・・・・
こちらは連邦軍特務艦スペースマルスです。
ただ今本艦は目的と思われる敵と交戦中です。
貴艦の現状を知らせて下さい」
「エウロパよりマルスへ、こちらはまずい事になっている・・・
信じられんがユリシーズ達はピースドライブを使っている様だ・・・・
早くこの事を参謀本部に知らせないと・・・・
我が第三艦隊は現在本艦同様散開している敵艦を追跡している。
とにかく今は協力してこいつらを叩くんだ!」
第三艦隊から告げられた情報は予想もしていなかった事であった。
敵もピースドライブを使う・・・・これは敵の進行が予想より
早いことを意味していた。
- 292 :名無し狩人:2003/11/20(木) 22:24
- 「くそ!最悪や・・・・とにかくこの事を知らせんと・・・・大谷、聞こえるか?」
「はい、なんでしょう?」
「悪いが、アレスに行ってくれ!」
「は?」
「ええから・・・・フリージアの準備や!!」
「りょ、了解!!」
スペースマルスの艦底部には巨大な格納庫がある。
そしてそこには・・・アレスから持って来た改良されたフリージアが
搭載されているのである。
大谷と村田は、ムーンベースに行っていた時、時間を見つけて
フリージアの改良を行っていたのである。
「マユビム戻ります!」
市井を連れて戻って来ていた新垣が再び出撃しようとしていた。だが
- 293 :名無し狩人:2003/11/20(木) 22:25
- 「新垣、ちょっと待て!」
新垣の出撃を中澤が止める。そして傍らにいた安倍にも声をかけた。
「なっち、大谷、柴田、新垣とアレスに行ってくれ。
現状をダスマン提督に伝えるんや!」
「え?でもそれはマシューさんが・・・」
「状況が変わった。そやから頼む」
「了解!柴ちゃん、すぐに準備して!」
「はい、解りました」
こうして安倍と柴田はブリッジを出て行く。
出撃を止められた新垣もフリージア出動の準備に取り掛かった。
「マユビム、ドローゼの積み込み終わりました!」
メカスタッフが大谷に報告を入れる。
マユビムは勿論新垣の愛機である。
一方のドローゼとはマルス副長である安倍の愛機なのだ。
- 294 :名無し狩人:2003/11/20(木) 23:19
- 「メカニカルチェック・・・・異常なし!」
「通信回路・・・正常!」
大谷と柴田は発進前のチェックをしている。
「じゃあ裕ちゃん、こっちは頼んだよ。行って来るね!」
安倍がそう言うとフリージアはマルスから切り離された。
「目標、火星基地アレス!フリージア発進!」
安倍の声と共にフリージアのエンジンが唸った。
そして次の瞬間には眩い光に包まれ超空間に消えて行った。
「なっち、頼んだで・・・」
中澤はそう言うと戦闘の指揮に戻った。
「まずは当初の敵を叩くんや、ここにおる敵は全て沈める!」
その言葉にマルスメンバーの士気は一気に高まる。
そしてマルスも敵に対し総攻撃を開始するのであった。
- 295 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:17
- 「くっ、これが限界です!!」
フリージアのハローエンジンが悲鳴をあげていた。
大谷がエンジンの限界を告げる。
「ピースドライブ終了します!!」
柴田の声と共にフリージアは超空間を飛び出した。
「現在地・・・MJ−08付近・・・」
「駄目だよ・・・ここからじゃまだまだ時間が・・・何とかならないの?」
「そんな事言われても無理です!それとも連続ピースドライブにチャレンジしますか?」
ピースドライブを終えたフリージアの現在地は
火星と木星の間でも木星よりのMJ−08付近であった。
その事を知った安倍は早くアレスに行かなければいけないと言う焦りから
大谷に何とかする様に言うのだが、それを言われた大谷は
無謀だとされる連続ピースドライブをやるしかないと言い放ったのだ。
「大谷、無茶言わないでよ!」
その言葉に柴田が席を立ち反論をする。
「じゃあ他に方法があるのかよ?」
「・・・やろうよ。他のみんなだって命をかけてるんだから・・・」
「・・・えっ?」
「だって・・・他に方法がないんでしょ?」
予想外の安倍の言葉に大谷は何も言えなかった
- 296 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:17
- 「安倍さん、無茶です!今まで誰もやった事がないんですよ。
それに私達の使命は確実にアレスに情報を持ち帰る事です」
「そんなの解ってるべ!・・・でもね、やらないと・・・今は時間がないんだよ。
ここで最大船速で行っても一日は掛かるでしょ?
その間にあいつらが何処まで迫るのか解らないんだよ。
だから今日中にこの事を伝えないといけないの。
万が一失敗しても結果は大して変わらないなら私はやる!」
安倍の言葉に柴田はまだ何か言いたそうな表情を浮かべる。
「いやなら無理に付き合う事はないよ。なっちのドローゼ使っていいから」
柴田に安倍が言う。すると
「・・・私は安倍さんと一緒に行く・・・」
新垣が言った。
「よし、私も付き合うよ」
大谷も同意する。
「・・・・・もう、どうなっても知らないからね」
柴田はそう言うと席に座り再びピースドライブの準備に入った。
「ありがとう、みんな。うん、きっと上手く行くよ・・・」
安倍はそう言うと再び掛け声をかける。
- 297 :名無し狩人:2003/11/22(土) 00:20
- 「目標、アレス!ピースドライブスタート!」
そして・・・フリージアは再び超空間に突入する。
禁じ手とされる連続ピースドライブ。
4人は命懸けであった。
- 298 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:50
- 「敵艦載機発艦確認!新手の敵艦からです」
「あっちは、エウロパとガニメデに任せるんや!」
新手の敵艦から艦載機が出てくるもマルスは最初の目標と
戦う様に指示が出される。
「レッドリーダーよりマルスへ、残弾が少ない。補給に戻ります!」
「マルス了解!」
先頭を切って戦っていたレッド隊が補給の為に帰艦する。
「市井は?」
「大丈夫です。命に別状はありません」
「そう・・・」
その事を聞いた保田は補給が終わると再び出撃して行った。
「敵艦動き出しました!」
目標と定めていた敵艦三隻がマルスに向かって動き始めた。
敵艦載機隊もだいぶ消耗し作戦を変えて来たようである。
- 299 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:51
- 「上等!斉藤、圭織、圭ちゃん、矢口に連絡!
集中攻撃でとにかく一隻叩くように伝えろ!」
「了解!マルスよりレッド、イエロー、ホワイト各リーダーへ。
ピンポイント攻撃に切り替えよ。とにかく一隻叩け!」
「レッドリーダー了解!」
「イエローリーダー了解!」
「ホワイトリーダー了解!」
指示を出された各隊はフォーメーションを組んだ。
「ホワイトリーダーよりホワイト、レッド、イエロー隊各機へ。
目標は右舷に位置する敵艦とする。
モニターに出てるでしょ?マークしたこいつ。こいつを叩く!」
「了 解 ! !」
飯田の指示により艦載機隊が叩く目標は決まった。
各隊各機共にその目標目掛けて集中攻撃を開始した。
「始めたな。よっしゃこっちも行くで!主砲発射準備!
目標左舷敵艦!撃て!」
スペースマルスからエネルギー弾が飛び出す。
そのエネルギーは目標の戦艦を消し去った。
- 300 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:51
- 「残るはあいつだけやな・・・・」
「敵艦、マイティチャフを更に放出!」
「まずいな、ここで主砲を使ったら、圭織達にも被害が出るかも解らん。
ならば・・・そうか!斉藤このスペースマルスにもアレはあるんか?」
「え?・・・ああ、あれですか?どうだろう・・・・?」
そう言うと斉藤は村田に連絡した。
「村田!このマルスにもダイモランスってあるの?」
「勿論!ありますよ。やるの?」
「うん」
「了解!すぐに準備するよ!」
斉藤は話を終えると中澤に言った。
「あるそうです」
「そうか・・・総員衝撃に備えろ!ダイモスアタック準備!」
中澤の言葉にブリッジの人間だけでなくマルスの乗員全てが
シートに座るとベルトで身体を固定する。
- 301 :名無し 狩人:2003/11/22(土) 22:52
- 「ダイモランス準備完了!」
村田の声が聞こえて来る。
その声と同時にスペースマルス艦首に巨大な槍の様な物が現れた。
「目標正面敵艦!」
中澤の声と共にマルスのエンジンが唸りを上げ敵艦に向かって
突進を始めた。
「5・4・3・2・1・ダイモスアタック!!」
斉藤の声が艦橋に響く・・・と次の瞬間、物凄い衝撃が
スペースマルス全体を襲った。
- 302 :名無し娘。:2003/11/23(日) 14:52
- リー○ホー○jrキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
- 303 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:38
- 衝撃・・・そして轟音・・・次の瞬間マルスの後方で大爆発が起こる!
ダイモスアタック・・・それは戦艦の常識を破った攻撃・・・
艦首に装備した大きな槍の様な物で敵艦に体当たりを食らわすのである。
「敵艦隊撃沈!」
「マルスよりイエロー、ホワイト両隊へ、今のうちに補給をせよ」
「イエローリーダー了解!」
「ホワイトリーダー了解!」
指示を受けたイエロー、ホワイト両艦載機隊が帰艦する。
残りの新手三隻を叩く為マルスは準備に入った。
「スペースマルスよりエウロパへ、こっちは片付いたので応援に入ります」
「エウロパ了解!」
斉藤が僚艦に対し連絡を行った後の事である。
- 304 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:38
- 「・・・・巨大エネルギー反応確認・・・・測定不能・・・・」
北上が蒼ざめた表情を浮かべ呟いた。
「北上どうした?何があったんや?」
「・・・・十時の方向、敵艦隊が現れました・・・・数5・・・
しかし・・・一隻巨大艦がいます・・・・」
「敵の指揮艦か・・・・?」
中澤がそれを確認すると同時にその巨大艦の攻撃で僚艦ガニメデが消えた。
- 305 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:39
- 「ピースドライブ終了、超空間を出ます!」
アレスに向かっていたフリージアはタブーとされる連続ピースドライブを
終わろうとしたいた。
「エンジン出力ダウン・・・・現在地・・・アレス付近です!」
「やった!成功だよ!みんな、成功したんだよ!」
安倍が喜びの声をあげた次の瞬間である。
「レーダーに反応・・・ん?マルス1だよ何で?」
柴田が見つめるレーダーにマルス1の反応が現れる。そして更に
「違う、それだけじゃない、マルス2、ピーチ−、ガスプラ・・・・
アレスの戦闘部隊が・・・・みんな出撃してます!!」
「どう言う事?」
「所属不明の敵多数・・・交戦中です!」
「まさか・・・・柴ちゃんアレスと連絡とって!」
- 306 :名無し狩人:2003/11/24(月) 16:39
- 安倍の喜びもつかの間、フリージアは戦闘状態にあるアレスに
到着した事に気付く。
「フリージアよりアレスへ、こちらフリージアの柴田です。
いったい何が起こっているんですか?」
「こちらアレスのダスマンだ・・・柴田、お前なんでここにいる?」
「緊急連絡で戻ってきました。スペースマルスはJSー06付近で
目的の敵と交戦状態になっています。そこで敵が・・・ユリシーズ達は
ピースドライブを使っていたんです。だから早くその事を伝えないと・・・」
「そうか・・・だがそれは既にこちらも解っている。見れば解るだろう。
こちらも交戦中だ!」
安倍の予感は的中した様だ、今アレスが戦っている相手は
ピースドライブでやってきたユリシーズの艦隊なのである。
- 307 :名無し狩人:2003/11/24(月) 17:05
- 飛び交う閃光、と同時に起こる爆発・・・
双方にかなりの被害が出ていることは事は明白であった。
その様子を到着したアレスのモニターで見ていた安倍は言った。
「みんな行くよ!」
既にダスマンには全ての報告を終えていた。
安倍達に課せられた任務は終了してしたのである。
「どうするつもりだ?」
「私達もあそこに行きます!」
安倍はモニターを指差した。
「向こうには戻らないのか?」
「向こうは大丈夫です。私はそう信じて言います」
安倍はそう言うと大谷、柴田、新垣と共に司令室を後にする。
- 308 :名無し狩人:2003/11/24(月) 17:06
- 「お前達!ここは頼んだぞ!」
アレスメカスタッフに大谷は通信機から叫んだ。
「お任せください!フリージアのミサイルも積めるだけ積みました」
部下からの返事に大谷はフリージアの窓から右手を挙げて答える。
「そんじゃ行きますか!」
「暴れるぞぉ!」
大谷と柴田の気合に安倍と新垣も頷く。
「フリージア発進!!」
アレスを飛び立ったフリージアはそのまま戦闘空域に突っ込んで行った。
- 309 :名無し狩人:2003/11/24(月) 22:23
- 「戦闘空域突入!ハンガーオープン!」
柴田の合図で格納庫が開く。
新垣と安倍は既に愛機で待機をしている。
「マユビム出ます!」「ドローゼ出ます!」
二機の戦闘機は勢い良く飛び出して行くと
傍にいた敵機を次々叩く。
「さーてこっちも始めるよ」
「了解!多弾頭ミサイル準備・・・」
「発射!!」
フリージアはミサイルを放つと近くの敵艦に向かって行った。
- 310 :名無し狩人:2003/11/25(火) 23:02
- 一方・・・・
「ガニメデ消滅!!」
「・・・・アカン!マイティチャフ放出!!」
目の前で僚艦が撃沈されるのを見た中澤に・・・いや中澤だけではない
スペースマルスの乗員全てに衝撃が走る。
強力な戦力を持つ新たな敵艦に恐怖さえ感じていたのだ。
「中澤さんエウロパから連絡です。転進せよとの事です」
「逃げるやと?アホな・・・今ここで逃げたって・・・」
中澤がそう言いかけた時ブリッジに飯田がやって来た。
「逃げるのも立派な戦闘手段だよ。逃げたい奴は行かせれば良いんだ」
「・・・?圭織?何言ってんの?」
「だから、エウロパが逃げるんだったら勝手にやらせとけばって事だよ」
飯田はそう言うとブリッジを後にした。
「あいつ、何しに来たんや・・・?」
「たぶん、私達は逃げないで戦おうって言いたかったんじゃ・・・」
- 311 :名無し狩人:2003/11/25(火) 23:02
- 近くで飯田の話を聞いていた斉藤が中澤に言う。
それを聞いた中澤は薄笑いを浮かべながら言った。
「やっぱそうか・・・で?斉藤はどうなん?逃げる?戦う?」
「私は軍人ですよ。命令に従うだけです」
そう言うと斉藤は笑った。どうやら彼女にも逃げる意志は無いようだ。
「・・・他のみんなはどうや?このまま退くか?戦うか?」
中澤の言葉にブリッジのメンバーは何も言わずに笑顔で頷いた。
「そうか・・・ついて来てくれるんやな。そうと決まれば・・・
斉藤、ガニメデに返信や!「馬鹿め」って言ってやれ」
「はい?」
「「馬鹿め」だ!」
「了解〜!」
中澤にそう言われた斉藤は本当に「馬鹿め」と返した。
スペースマルスは最後まで戦う意思を見せたのである。
- 312 :名無し娘。:2003/11/26(水) 06:31
- どうでるのか楽しみ
- 313 :名無し娘。:2003/11/26(水) 19:19
- 「馬鹿め」か・・・何もかも懐かしい・・・
- 314 :名無し狩人:2003/11/26(水) 22:56
- ( `_´)<間違いハケーン!!
「斉藤、ガニメデに返信や」は「斉藤、エウロパに返信や」です。
( `_´)<ついでにレス
>>302
・・・・?ごめんなさい。何だか解りません!
一応ダイモスアタックの元ネタはアルカディア号の衝角戦です。
>>312
こんな感じで出てみますた・・・えっ?違う?
>>313
本当に懐かしい・・・って歳がバレますよ(w
- 315 :名無し狩人:2003/11/27(木) 00:11
- 「エウロパよりマルスへ・・・「馬鹿め」か・・・中澤らしいな。
転進・・いや、逃げるのも立派な戦術の一つだと思って欲しい・・
我々にもやらねばならない事があるからな・・・・
今は貴艦の健闘と祈る・・・・死ぬなよ・・・・」
そう通信してきたのはエウロパの艦長、マコード准将であった。
マコードは和田やダスマンと同じく、中澤達を良く知る人物で
逃げないと言う中澤達の言葉に反対をする事は無かったのだ。
「ありがとうございます。准将もご無事で・・・・」
中澤がそう言って通信を終えるとエウロパは方向転換をして
動き始め、次の瞬間、超空間に消えて行った。
「たいしたインターバルも無くピースドライブが使えるのか・・・
流石は第三艦隊の戦艦やな・・・」
中澤が感心した様にそう言った時、敵艦三隻が超空間に消えて行った。
「敵艦三隻、ピースドライブに入った模様です」
「エウロパを追って行ったか・・・まあそう簡単にはやられはしないやろ」
こちらに残ったのは大型艦ともう一隻の二隻の敵艦である。
スペースマルスは再び艦載機隊を出した。
- 316 :名無し狩人:2003/11/27(木) 00:11
- 「マルスより各艦載機へ・・・・これと言った指示はもはやない。
各リーダーの指示に従って行動せよ!」
艦載機隊に対する中澤の指示はこれだけある。
一撃で僚艦を消し去った敵に対してはもはや小細工など
何も必要ないと考えていたのであろう。
「対艦ミサイルをありったけ打ち込め!敵に攻撃する隙を与えるな!」
一瞬の睨みあいで先に動いたのはスペースマルスであった。
巨大艦目掛けて一気にミサイル攻撃を始めたのである。
「レッドリーダーよりレッド隊各機へ、マルスのミサイル攻撃に乗って
できるだけ敵艦に接近する・・・・くれぐれも味方の攻撃にやられるなよ!」
保田の指示でレッド隊が最初に動いた。
「ホワイトリーダーより各機へ、私達はもう一隻を攻撃するよ」
ホワイト隊はデイオウルを戦闘にマルスが攻撃を行っているのとは違う
敵艦に向かって行った。
「イエローリーダーより各機へ、おいら達はレッド隊に続く、
手持ちのミサイルを全部おみまいしてやれ!」
「グリーンリーダーより各機、ホワイト隊の援護だよ。
ミサイルポッドは出来るだけ敵艦に近づいたら使用する様に!」
イエロー、グリーン両隊も動き出す。
敵の激しい攻撃の中を各艦載機隊は決死の覚悟で飛び込んで行った。
- 317 :名無し娘。:2003/11/27(木) 18:16
- >>314
>>302はVガンネタ
艦首にビームラム(衝角)装備した戦艦
- 318 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:26
- 「敵艦ミサイルを発射しました」
「弾幕をはれ!全て撃ち落とすんや!」
迫り来る敵艦のミサイルに対しマルスは機関砲で応戦する。
「レッドリーダーよりマルスへ、敵艦を射程圏内に捕らえた。
これより攻撃を開始します!」
「マルス了解!気をつけて!」
普段「気をつけて」などと口にしない斉藤が保田に対してこう言った。
何気なく出た言葉であろうが、それだけ事態は緊迫していたのである。
「ホワイト隊、敵艦に攻撃を開始しました」
「あっちは圭織とりんねに任せよう。うちらはあの旗艦を叩く!」
「了解!」
マルスは攻撃を敵を、旗艦と思われる巨大艦に絞った。
隣にいる巡洋艦クラスの敵戦艦はホワイト隊とグリーン隊に任せたのだ。
「敵のミサイル多数接近!!」
「弾幕薄いぞ!」
敵艦から放たれた多数のミサイルがマルスを襲う。
ほとんどが弾幕により打ち落とされたが、数発撃ち損じてしまった。
- 319 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
- 次の瞬間、激しいショックと振動がスペースをマルスを襲った。
「第一、第二カタパルト被弾!!」
「メカ班大丈夫か?」
二発の敵ミサイルがマルスの第一、第二カタパルトを襲った。
破壊されたカタパルトには数名のメカスタッフがいた筈である。
「おい!返事しろ!・・・村田!聞こえるか?」
「・・・・・・こちら村田、第一、第二カタパルト使用不能・・・
三名が重傷です!」
「了解や!みんな第三、第四カタパルトに移動しろ!」
「了解!」
被弾したカタパルトでは死者こそ出なかったが三名が負傷していた。
これを受けて中澤はある決断を行った。
「これからどうなるか解らんからな、動きにくいかも知れんけど・・・
斉藤、全員にコスモスーツの着用を指示や」
「了解!・・・総員に告ぐコスモスーツを着用せよ」
- 320 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
- 中澤の指示は乗員の宇宙服の着用であった。
そもそも負傷したメカスタッフが重傷で助かったのも
宇宙服を着用していたからなのだ。
「こっちもお返しや!ミサイル攻撃を続けろ!」
スペースマルスも負けじとミサイルを連続で放つ。
敵の艦載機は途中でイエロー隊が相手をしていたので
攻撃される事は無かったが敵艦の放つミサイルは時々
マルスの船体を破壊してたのである。
「くっ・・・・このままじゃまずいな・・・・」
戦況は不利な状態にあった。
こちらの攻撃が敵にあまり当たっていないのである。
敵旗艦に対する有効的な攻撃はレッド隊の対艦ミサイル攻撃だけで
しかしそれも敵艦の弾幕でまともに攻撃出来ない状態であった。
- 321 :名無し狩人:2003/11/30(日) 00:27
- 「あれ?・・・・・本艦後方より小型艦が接近中です」
北上がそう言うと
「また新手か・・・・」
中澤の表情が曇った。
「いえ・・・・地球の船ですね・・・・小型戦闘艇です」
「識別は・・・?」
「・・・該当なしです・・・」
そう北上が言いかけると、大木が言う。
「この識別コード旧コードじゃない?」
連邦軍の識別コードは数年前に新しくなっている。
大木のその言葉を聞いた北上はキーボードを叩いた。
「えっ・・・・?すぐに照会します・・・・出ました。
えーっ・・・ムーンベースの突撃艇ムラサキシキブになってます」
「・・・うそやろ・・・?マジかいな・・・」
ムラサキシキブと聞いた中澤の表情は一瞬にして変わっていた。
- 322 :名無し娘。:2003/11/30(日) 23:02
- 連邦軍の突撃艇はムーンベース防衛用に開発されたミサイル艇である。
四発の大型ミサイルを船体に抱え、そのミサイルを敵に打ち込んで
攻撃をする機体なのだが、出来るだけ敵に近づいてから攻撃を
しかけないといけない為、かなりの危険性が伴う機体でもあった。
さらにその航行距離は短く、本来であればここまでやってくるなど
到底無理な事なのである。
「ムラサキシキブやて・・・しかもこんなとこまで・・・」
「でも、識別コードはそうなってます」
中澤の言葉に北上が答える。
「斉藤、連絡や・・・多分パイロットはあいつや・・・」
中澤がそう言うと斉藤は通信を試みた。
「スペースマルスよりムラサキシキブへ、応答してください」
「はーい、こちらムラサキシキブ。お待たせしましたぁ」
中澤にとって懐かしい声である。
- 323 :名無し娘。:2003/11/30(日) 23:02
- 「アホ!誰も呼んでなんかおらん」
「なんだよー、じゃあ帰る!」
「あー、うそ、うそ。それにしても・・みっちゃんどうやってここまで?」
ムラサキシキブのパイロットは中澤の親友、平家であった。
今は連邦軍から放れている平家がなぜ、しかも軍の機体で
どうやってここまでやってきたのか中澤は聞いた。
「へ?どうやってって・・・あれ・・・・?」
平家がそう言った時大木が叫ぶ。
「フリージアが戻ってきましたぁ」
見るとレーダーにフリージアの機影が映っている。
「あいつら・・・・何考えとるんや・・・たいして時間もおかないで
ピースドライブ使いやがって・・・・」
中澤は知らなかった、これがフリージア本日三回目の
ピースドライブであった事を。
- 324 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
- 「中澤さん、平家さん連れてきましたよ」
柴田の声が聞こえて来る。
「ご苦労・・・と言いたい所やけど、もうみっちゃんは民間人やで。
それにピースドライブ・・・大した時間も空けんと二回目なんて・・・」
「・・・いえ・・三回目です・・・ってか四回かな?こっちに戻る時は
本当に連続だったから・・・それに平家さんは自分で来るって・・・」
「・・・・まあええ、なっちに戻る様に言ってくれ」
「あ、安倍さんとお豆はあっちに残りました。アレスも・・・って言うか
太陽系全体で戦闘が始まってるみたいで・・・」
「・・・・マジでか?最悪や・・・・」
柴田の報告は中澤の予想を上回っていた。
ここで敵を食い止めていればなんとかなるそう考えていたからだ。
「とにかく今は目の前の敵に集中しましょう」
斉藤の声に中澤は我に返ると平家に言う。
- 325 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
- 「みっちゃん、何考えてんねん」
「スペースマルスの事は明日香から聞いてたから・・・だから
ムーンベースでタイ−ゼ中将に無理言ってこれ借りてきたんだよ。
それでアレス付近まで送ってもらってたら戦闘が始まって、
途中で切り離されちゃってさ・・・どうしようか考えてたら
なっちの声が聞こえて来たから話をしたら、じゃあフリージアを使えって」
「あー、もうええ、とにかくや。フリージアは圭織達の援護。
さっさと行ってあのちっさい方を沈めて来ぃや。
みっちゃんは指示があるまでここで待機!ええな!」
「フリージア了解!」
「ムラサキシキブ了解!」
中澤の指示が出るとフリージアは敵巡洋艦タイプ目掛けて突進する。
既にホワイト、グリーン両隊の攻撃で目的の敵艦も消耗していた。
「よっしゃ!フリージアよりホワイト・グリーン両隊へ・・・どけ!」
大谷はそう言うとミサイルを一気に放つ。そして
「キャノン砲準備・・・・いっけー!!」
すぐさまキャノン砲も放たれた。
- 326 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:16
- 「敵艦一隻沈黙・・・・」
斉藤の言葉に
「みっちゃん、出番やで。グリーン隊!ムラサキシキブの援護や」
敵巡洋艦タイプを叩いたホワイト隊はすぐさま敵旗艦に向かって行った。
グリーン隊は中澤の指示でムラサキシキブの援護につく。
「敵艦を射程圏内に捕らえた!」
平家の声が聞こえるとムラサキシキブから信号弾が上がった。
それを見た中澤が叫ぶ
「斉藤・・・・」
「全艦対閃光防御!」
中澤の指示が出る前に斉藤は叫ぶ。更に
「各員対閃光シールド降ろせ!」
各艦載機リーダーが指示を出すのが聞こえて来た。
- 327 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:17
- 「発射!」
平家の声が聞こえるとムラサキシキブから二発のミサイルが
敵旗艦に向かって放たれる。
しかしそのミサイルも敵の弾幕によって破壊された。だが次の瞬間
強烈な閃光が戦場に走る。
平家が放ったのは閃光弾で破壊されると同時に
強烈な閃光を放つ物であった。最初に放った信号弾は
それを味方に知らせる為の物で中澤はその信号を見て慌てて
指示を出したのだがなぜか主要メンバーはその事を知っていた様だ。
そして
「今や!総攻撃!!」
中澤の声をきっかけに各艦載機隊、フリージアそしてムラサキシキブが
一気に残っていたミサイルを放つ。
視界を奪われてた敵旗艦はマルス隊の接近を簡単にゆるした。
その為ミサイル攻撃をまともに喰らっていた。
攻撃機が一斉に敵艦から離れるそして・・・・
大爆発が起こった。
- 328 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:17
- 「・・・・・やった・・・・やったで!!」
沈む敵旗艦の姿を確認した中澤が叫ぶ!
「ワー!!」「っしゃあ!!」「キャー!!」
あちこちから歓声が上がる。
スペースマルスは目の前の敵艦を全て倒す事に成功したのである。
それと同じ頃・・・・アレスでは・・・・
「敵艦隊の様子がおかしいな・・・・・」
戦闘の様子を見ていたダスマンが呟く。
「統制が・・・・取れなくなった・・・・?みたいですね」
傍にいた副官が言う。
「とにかく絶好の機会だ・・・・全艦隊総攻撃!!」
- 329 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
- 突然様子の変わった敵艦隊の隙をダスマンは見逃さなかった。
一気に総攻撃に出たアレス艦隊は簡単に敵艦隊を殲滅させる。
そしてそれは他の戦場でも同じであった。
ほぼ同時期に敵艦隊の指揮系統の乱れが確認され
同じ様に連邦軍の勝利に終わったのだ。
「さてと・・・・ここはこれで終わりやね・・・でも・・・
先に進むにも戻るにもこれじゃピースドライブも使えんし・・・」
先の戦闘でかなり破壊されたスペースマルスは
通常航法は行えるものの、ピースドライブを使える状態ではなかった。
「各艦載機隊は戻って下さい。お疲れ様でした」
斉藤の声が伝わると艦載機隊は次々に着艦を開始する。
「村田です、すいません、格納庫がいっぱいで・・・」
第一、第二カタパルトを破壊された為全艦載機の収容が
スペースマルスには出来なかった。
- 330 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
- 「ちょっと、どうしたらいいんだよ!」
矢口の声が聞こえて来る。
「参ったなぁどうしよう・・・?」
そんな事をしているうちに大きなエネルギー反応をレーダーが捕らえた。
「エネルギー反応確認・・・・・」
「何や?また敵か?」
「・・・いえ・・・あっ、アポロンです」
現れたのは第三艦隊旗艦アポロンである。
その後アポロンから現在の状況を聞いた中澤は
戦いが終わった事を知る。
「おそらくお前達が叩いたのがユリシーズの旗艦だったのだろう」
マルスのモニターにはアポロン艦長の和田が映し出されている。
- 331 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:18
- 「そんな筈は・・・だって護衛は一隻だけですよ」
「甘くみたんだろ。だからやられた」
「そうですか・・・・とにかくお疲れ様でした」
自分達が敵の総指揮艦を倒したと言う実感が中澤には無かった。
いやそれはスペースマルス隊全員の思いでもある。
「とにかく帰りましょう」
「そうやね、もうどうでもええわ」
収容しきれなった艦載機はアポロンに任せスペースマルスは帰路につく。
これからまたアレスまで長い旅が始まるのである・・・・・・
娘。戦記
【スペースマルス】
終了!
- 332 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:40
- 【大谷さんのメカニック講座】最終回!
(;`_´)<最終回て・・・・まだ二回目だぞ!
( `_´)<どうも、大谷です。【スペースマルス】は
楽しんでいただけたでしょうか?
今回は皆さんの想像にお任せしていたメカニックのモデルを
紹介したいと思います。
( `_´)<書き人の頭の中にあったのは次の通りです。
「スペースマルス」・・・・ドゴスギア(Zガンダム)
「マルス1・2」・・・・ラーディッシュ(Zガンダム)
「フリージア」・・・・Gフォートレス(ZZガンダム)
「アポロン」・・・・アンドロメダ(宇宙戦艦ヤマト)
「エウロパ」・・・・スペースアーク(ガンダムF91)
「ガスプラ」・・・・マゼラン(ガンダム)
「ピーチ−」・・・・チベ(ガンダム)
「ムラサキシキブ」・・・・パブリク(ガンダム)
- 333 :名無し狩人:2003/12/01(月) 15:50
- ( `_´)<艦載機は実在の戦闘機です。
イーグル・トムキャット・ホーネット
ファイティングファルコンなど・・・・
( `_´)<詳しく書いてるメンバーとそうでないメンバーがいますが・・・
そこまでは考えていません。
因みに敵艦はまったくモデルなし。
唯一マシューの船がムサイ(ガンダム)くらいでしょうか
( `_´)<ナノニイーコ号は「ヤマトよ永遠に」で古代が最初の方で
乗っていた連絡艇みたいなやつですが・・・
マイナーすぎてわかならいかもですね。
( `_´)<以上で終わりですが・・・・・
( `_´)<えー、読んでいただいた皆さん。ありがとうございます。
【スペースマルス】は終了ですが
娘。戦記は続きます。次回もよろしくです。
- 334 :名無し娘。:2003/12/01(月) 16:25
- パブリクかよ!
- 335 :名無し狩人:2003/12/01(月) 22:24
- ( `_´)<>>334ジッコよりはいいでしょ?
(;`_´)<では「娘。戦記」新編です。前にやっていたお話の続編ですが
知らない人にも解る様に努力いたします。
訳の解らない事があれがドンドン質問してください。
( `_´)ノ<それではどうぞ!!
- 336 :名無し狩人:2003/12/01(月) 22:25
- 妖怪・化け物・魑魅魍魎・・・・・恨み・つらみ・妬み・・・・・
この世に蔓延る邪悪と戦う者達・・・・その名を「M刑事」といふ・・・
警察省特務部には「妖魔対策室」と呼ばれる部署がある。
妖魔と呼ばれるモノ達が引き起こす事件を担当する専門のチームである。
「M刑事」と呼ばれるそのチームは特殊な能力を持つ人間が集められていた。
娘。戦記
【邪悪狩人M刑事・頃の章】
初めまして、そしてお久しぶりです。さてあなたはどちらですか?
M刑事捜査課の「紺野あさ美」です。
「主天童子」との戦いも終わりM刑事は変わりました。
今回はその後のお話をしたいと思います。
まずはその前に「主天童子とM刑事の戦い」を知らない人達に説明をしましょう。
私達M刑事は警察省特務部の妖魔対策室と呼ばれる所で働いています。
簡単に言うと怪物と戦う事が仕事です。
少し前の事ですがある時期から怪物達が引き起こす事件が多発しました。
それを追っていた私達がたどりつたのが主天童子と呼ばれる鬼だったのです。
その頃のM刑事は「退魔師・能力者」と呼ばれる昔から妖魔と戦っている
人達が作る「連合」と呼ばれる組織に邪魔をされ活動を休止されていたのです。
ですがその時に出会った連合に属さない退魔師集団「虚空山」の
協力を得て、私達は自分達の能力を向上させる事に成功していました。
それと同じ頃、京都で主天童子と戦った連合が敗北し
私達は、虚空山、そして連合を離れた少数の能力者と共に
主天童子との決戦に挑んだのです。結果は私達の勝利!!
その後連合はなくなりM刑事は活動拠点を増やし、現在に至ります。
説明が長くなりましたね、ごめんなさい。
まあ、そんな事があり、今回はその後に配属となった
私の後輩達の活躍をお話したいと思います。
- 337 :名無し:2003/12/02(火) 10:18
- 作者さん
前にやってた話って、どこかで読めますか?
是非、読んでみたいんですが
- 338 :名無し狩人:2003/12/02(火) 21:26
- >>337
(;`_´)<さて、どうしたものか・・・うPできるほどの知識も無く・・・
ttp://tv2.2ch.net/ainotane/kako/1033/10334/1033425565.html
途中までならここで読めますが続きは羊の倉庫の奥深く・・・・
htmlなど期待出来ないですからねぇ。
●をお持ちなら「邪悪狩人M刑事」で続きは読めますが・・・・
(;`_´)<ごめんなさい。
- 339 :名無し娘。:2003/12/02(火) 22:45
- >>338
「邪悪狩人M刑事」うpスマスタ
ttp://f22.aaacafe.ne.jp/~honeypie/pakapaka/img/ahya0022.lzh
1047550726.dat:2ちゃん形式DAT(かちゅのログからコンバート)
1047550726.html:HTML形式(↑からコンバート)
かちゅ\1047550726.dat:かちゅのログ
かちゅ\1047550726.idx:同
その他の2ちゃんねるビューアの場合は、適当にコンバートしてください
注)
aaacafeなので、上記URLでは落とせないかもしれません。
その場合は、
ttp://f22.aaacafe.ne.jp/~honeypie/pakapaka/img/ahya0022
を落としてから.lzhにリネームしてください。
- 340 :名無し娘。:2003/12/03(水) 00:04
- 一応
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1047550726/
html化はされてないですね
- 341 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:08
- >>339-340
( `_´)<どうもです。一応自分では保存はしていますが
いかんせん知識が無い物で助かります。
それでは続きです。
M刑事の新人は大体半年から一年の見習い期間があります。
その期間は先輩のM刑事と一緒に行動して仕事を覚える訳ですが
その日は私が後輩と組んで行動する事になったのです。
「紺野さん、今回の捜査はどんな内容ですか?」
「なんかこの辺で狐に憑かれたとか言う話があるらしいんだけど・・・」
私と行動を共にしていたのは新人の「田中れいな」
他にも捜査課の新人は2人いて私の同期が同じ様に行動を共にしていました。
「狐・・・ですか?昔話みたいですね」
「こらこら、そう言う事を言わないの!些細な事が
大事件になる事だってあるんだから・・・」
「すいません」
田中ちゃんは、3人の新人の中では結構活発な方だと私は思います。
普段から訓練も怠らないし、これは他の2人にも言える事ですが
なんと言ったら良いか・・・私が新人の頃に比べると・・・・
これ以上は・・・言うまでもないかな。
- 342 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:09
- 私達2人は情報があった地域を自転車で回っていました。
先輩達は車やバイクで行動する人もいますが私達は運転免許を持っていません。
そんな訳で自転車なのですが、これがまた・・・LOOK?チネリ?
何でも有名なメーカーの自転車らしく無駄にカッコ良いので結構目立ちます。
「レーダー反応しませんね」
「そうだね。でもそうそう反応されても正直困るよ」
私達M刑事は妖魔をみつける為常に妖魔専用のレーダーを持ち歩いています。
基本的にはそのレーダーを頼りに目標を捜す訳です。
私達は手掛かりもないまま近くの公園で休憩する事にしました。
「私、何か飲み物買ってきます。紺野さん何が良いですか?」
「スポーツドリンク」
「はい」
田中ちゃんがコンビニに行った後、私は近くを捜査している
同期のメンバーに連絡を取ってみました。
他の子達は何か手掛かりを掴んでいるかも知れないと思ったからです。
「はぁ〜い、紺野です。がきさんそっちは何か掴めた?」
「いやぁ、特に何もないねぇ。そっちはどうなの?」
「まったく反応ナシ!どうしようか?」
「さっきまこっちゃんから連絡があって向こうも手掛かりナシだって
こうなったら愛ちゃんの情報が頼りだなぁ」
私が話をしている相手は「新垣里沙」通称「がきさん」私と同期のM刑事で
彼女は田中ちゃんの同期の「亀井絵里」ちゃんと行動しています。
更にがきさんの言った「まっこちゃん」とは同じく私の同期の「小川麻琴」
彼女は田中ちゃんの同期「道重さゆみ」ちゃんと行動を共にしていました
- 343 :名無し狩人:2003/12/03(水) 00:10
- 「あとは愛ちゃん達が頼りか・・・・」
私ががきさんとの通信を終え独り言を言っていると
「こっちも手掛かりナシやよ」
そう言って話し掛ける声が聞こえて来ました。
振り返るとそこには愛ちゃんこと「高橋愛」が立っています。
私達4人の同期の最後の1人で彼女は私達とは別行動を取っていたのです。
「MMKの情報網にも引っかからないの?ガセかな?」
「どうやろ?なんとも言えんね。今他の3人の連絡待ちやからね」
そう言って愛ちゃんが私の隣に座った時、田中ちゃんが戻って来ました。
「あれ?高橋さんも一緒だったんですか?良かったぁ」
田中ちゃんはそう言うとなぜかペットボトルを3本持っていました。
彼女がM刑事に選ばれた理由の一つにはこの勘の鋭さがあります。
話によるとコンビニでなぜか3本買って行こうと思ったらしいのです。
「さすが田中ちゃんやね。ありがとう」
愛ちゃんはそう言うと嬉しそうにペットボトルを受け取ると
そうとう喉が渇いていた様でキャップをあけると一気に飲んでいました。
- 344 :名無し娘。:2003/12/03(水) 00:20
- 念のため。
2ちゃんねるのex系鯖は、隔離鯖のため、一生HTML化されません。
- 345 :名無し狩人:2003/12/04(木) 22:50
- 「さて、じゃあ私はもう一回り行ってくるよ」
愛ちゃんはそう言うと立ち上がります。
「他のMMKのみんなからの連絡を待ってるんじゃないの?」
「そうも言ってられんわ。だいいち、中澤さんがこれだけの人数で
捜査させてる訳なんやから、それなりに考えんといかんよ。
うちらMMKだけやなく、あさ美ちゃん、まこっちゃん、里沙ちゃん
それに田中、道重、亀井、全部で十人やよ」
「そうだけど、手掛かりも見つかんない訳だし・・・」
「あさ美ちゃん・・・まさかガセなんて考えておらんよね?」
「もちろん、そんな事はないけど・・・」
「だったら頑張ろう。とにかく行動せんといかんわ」
「うん」
そう言って愛ちゃんは町に消えて行きます。
私と田中ちゃんも休憩を終えると行動を開始しました。
- 346 :名無し狩人:2003/12/04(木) 22:50
- 本来M刑事の捜査は個人行動が基本なのですが
今回の様にチームで捜査にあたる事もあります。
特に愛ちゃんが所属する「MMK」は常にチームで行動しているのです。
MMKとは「ミニM刑事」を意味します。
簡単に言うと子供からの情報を集め捜査にあたるチームで人数は4人。
大人と子供の感覚は違い、大人が感じ取れないモノを子供の観点から
見つけ出そうと結成されたM刑事でも特殊なチームなのです。
「高橋さんて、不思議な人ですね」
「どうして?」
「なんて言うか・・・・こう・・・・」
「気合が空回りしてるって言いたいんでしょ?」
「解ります?」
「愛ちゃんはそれでいいの、って言うかMMKはみんなあんな感じだよ」
私の言葉に田中ちゃんは不思議そうな顔をしています。
私はただ笑っていると通信機に連絡が入りました。
「紺野、聞こえる?大谷だよ。今どこ?」
「荒川の・・・例の公園です」
「そう、じゃあ今からさそこに行くからちょっと待ってって・・五分で着く!」
「解りました」
連絡は車輌課の大谷さんからです。車輌課とはM刑事の使用する
車輌は勿論、通信機、レーダー、その他・・・M刑事で使用する
機械全般を担当する課で、メンバーは大谷さんの他3名程いるのです。
- 347 :337:2003/12/05(金) 00:04
- >>339
ありがとうございました
作者さん、これから前作から読ませていただきます
頑張って下さい
- 348 :名無し狩人:2003/12/08(月) 21:45
- >>347
( `_´)<どうもです。よろしくです。
それでは続きなど・・・
連絡があってから約五分後、大谷さんが姿を現しました。
「お待たせ。ほい、これ!」
そう言って大谷さんから手渡されたのは「Mアナライザー」
これは温度や湿度、地磁気、電波と言った現場の色々なデータを集める機械です。
「あの、これで何をしたら良いんですか?」
「ん?ああ、聞き込みとか、色々やってるんでしょ?だったらついでに
その場所のデータも欲しいんだよ。後で資料課と一緒に分析するからさ」
大谷さんはそう言うと他のメンバーにもMアナライザーを渡すからと
さっさと行ってしまいました。
「データ取って分析か・・・・私もやるんだろうなぁ・・・」
私は今、資料課の手伝いもやっています。
M刑事の資料課とは妖魔の資料は勿論、現場の地図やその他諸々
M刑事が行動するにあたって必要な資料を集める課なのです。
因みに人数は3人、それに捜査課のメンバーが時々手伝いにはいります。
- 349 :名無し狩人:2003/12/08(月) 21:45
- 私と田中ちゃんはその日一日あちこち回って夕方に本部に戻りました。
「ただ今戻りました〜!」
「はい、お疲れさんね。収穫はあったん?」
私達が戻った時には部屋には中澤さんしかいませんでした。
中澤さんは、この「妖魔対策室」の寺田室長に次ぐNO・2で
実質M刑事の全てを取りまとめている人物なのです。
「ごめんなさい、これと言って収穫はありませんでした」
「そうかぁ、まあしゃあないな。もっとも田中の指導も兼ねてるから
無駄ではないんやし、また頑張りぃ」
「はい!」
中澤さんはそう言うと、私達に休む様に言ってくれます。
私と田中ちゃんは休憩室に行くとみんなの帰りを待つことにしました。
- 350 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
- しばらくすると他のみんなも帰って来たので
お互いの情報交換をすることにしました。すると
「おっ、みんな戻ってきたね。じゃあこれ持ってくよ」
大谷さんがやってきてみんなが持っていたMアナライザーを
持って部屋を出て行きます。
「収穫はなかったけど良かったのかなぁ?」
大谷さんが出て行った後、まこっちゃんが呟くと
「あっちには何か考えがあるんだよ。それより情報交換しよ」
がきさんがそう言ったので私達は情報交換を始めました。
それから少し時間が経つと
「毎度!山王軒です。チャーハン2つに味噌ラーメンと中華丼お持ちしました」
M刑事本部ご用達のラーメン屋さん「山王軒」の三夫さんが出前にやってきました。
「誰か頼んだ?」
私がそう聞くとみんな首を横に振ります。
- 351 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
- 「三夫さん、私達じゃないですよ」
「あれ・・・?ああ、すいません斉藤さんの注文だ。
てことは、下に持って行った方がいいかなぁ・・・」
三夫さんがそう言うと
「待ってください、今確認しますから・・・」
亀井ちゃんが内線電話で車輌課に確認を入れます。
「もしもし、亀井です。今、山王軒さんがみえられて・・・・はい・・・・はい・・・
解りました。そう伝えます」
亀井ちゃんは電話を切ると斉藤さんがこっちにくる事を伝えます。
三夫さんは頷くと道重ちゃんが用意した椅子に座り話を始めました。
「そう言えばみんなオカルトとか好きだったよな」
「はい」
「実は最近、近所の人が狐に憑かれたなんて噂があってさ・・・」
「本当ですか!!」
思わず身を乗り出す私達に三夫さんは驚きながら話を続けてくれました。
もっとも三夫さんが驚くのは無理もありません。
彼は私達が単なる警察の事務の仕事をしていると思っているからです。
この妖魔対策室の表の看板には経理課と書いてあります。
つまりM刑事はその存在を世間には公表していないのです。
- 352 :名無し狩人:2003/12/09(火) 22:51
- 「・・・そんなに興味あるのか・・・?まあいいけどね。
でさ、 誰とは言えないんだけど最近その人の様子が変だって話でな
狐に憑かれたなんて言い出す人がいたりして、
ちょっとした騒ぎになってるって話だぜ」
「場所は・・・・その場所って何処ですか?」
「うちの近所だよ。でも何処の誰だかは言えないぞ」
「近所って山王軒の?」
「違う違う、俺のアパート」
「ああ、そっちか」
三夫さんのアパートはここから少し離れた場所にあり
ちょうど今日、私と田中ちゃんで回っていた範囲の中にあります。
どうして私がそんな事を知っているのか?
それは私達の寮がすぐ近くにあるからです。
しかし寮の近くとは盲点でした。私達はそんな噂を聞いた事も無かったからです。
- 353 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:03
- 「どうする?」
「どうするって・・・調べるしかないでしょう」
「だね・・・」
私達は三夫さんの話を聞いた後に相談して、寮の周りを調べる事にしました。
正直言ってあまりアテにならない情報だとは思いましたが、他にアテもなく・・・
とりあえず今日は私と、まこっちゃん、田中ちゃん、道重ちゃん、亀井ちゃんの
5人で調査する事になり、夕食を済ませると早速行動を開始しました。
「センサーは感度を最大に、周りにも充分注意してね」
まこっちゃんがリーダーになり、指揮を取ります。
私達は、マルチカムを装備すると5人バラバラに散って行きました。
因みにマルチカムとはM刑事自慢の通信システムです。
捜査を開始して30分、
「こちら小川、異常なし」 「こちら田中、異常なし」
「こちら亀井、異常ありません」 「道重です、こっちも問題なしです」
四人が連絡を入れて来ました。
- 354 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:03
- 「こちら紺野、こっちも異常なし」
私が通信を終えると
「・・・・道重です、センサーに反応がありました!」
道重ちゃんか連絡が入ります。
「こちら小川、道重、気を付けな!すぐそっちに行くから」
道重ちゃんの一番近くにいたのはまこっちゃんでした。
まこっちゃんに続き、私もすぐに駆けつけます。
「こっちです!」
私が現場に行くと既にみんな集まっていて、そこは公園の入り口でした。
「センサーの反応がどんどん強くなってるよ。しかも一体だけじゃない」
センサーの反応を見ていたまこっちゃんが呟きます。
そう言われると確かに、私が手にしているセンサーも強く反応していました。
- 355 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
- 「行くよ!」
センサーの反応は明らかに何かが、その公園にいる事を示しています。
まこっちゃんの合図で私達5人は公園の中に突入しました。
公園に入ると常夜灯の下に数人の男の人が集まっているのがみえました。
「えっ?人間?」
田中ちゃんの声に
「見かけで判断しちゃ駄目!センサーが反応してるのは
間違いなくあの人達だよ」
私は諭すように言ったのです。
「しかし困ったぞ!こう言った場合はどうしたら良いんだ?
どう見てもあの人達は人間だし、でも・・・・」
まこっちゃんがそう言った時、目の前の男の人達が私達に気がつきました。
しかし、その人達は私達など眼中に無い様です。
- 356 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
- 「あれ・・・・なんですか?」
その男の人達を見つめている亀井ちゃんが聞きます。
見るとその男の人達は、意味不明の言葉を発したり
不思議な行動をとっているのです。
「確かにあれじゃ、狐憑きですね」
田中ちゃんがそう言った時
「正体を見極めないと・・・・」
私はその人達に憑いているモノが何なのか考えていました。
- 357 :名無し狩人。:2003/12/21(日) 00:04
- 「どうしようか・・・・」
まこっちゃんも困っている様でした。
とにかく何が憑いているにしても、あの人達からそれを
切り離す事が先決です。しかしそれには敵の正体を見極めなければなりません。
「あの・・・・私、やってみます・・・・」
そう道重ちゃんが言います。
「やってみるって・・・どうやって?」
「この鏡で・・・・この鏡は化け物を映し出す事が出来る鏡だと言われています。
だからきっと、この鏡にあの人達を映せば・・・・」
そう言って道重ちゃんは古い鏡を取り出しました。
- 358 :名無し娘。:2003/12/21(日) 08:43
- やはり鏡使いがここにもいたか
- 359 :名無し娘。:2003/12/22(月) 19:50
- >>344
うそだといってくれ
- 360 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:32
- 「ミネルバの鏡よ!悪しきモノを映し出せ!」
道重ちゃんはそう言うと鏡を男の人達に向けました。
「ミネルバ」とは、ギリシャ神話の女神「アテナ」から来ています。
アテナの別名がミネルバであり、その「ミネルバの鏡」とは
メデゥーサ退治の時にアテナがペルセウスに送った鏡なのです。
道重ちゃんの持つ鏡はその鏡の能力を受け継ぐ物と言った感じなのでしょう。
「やった、映りました・・・・これは・・・・」
みんなで鏡を覗き込むと、そこには数体の怪物が映し出されています。
「こいつは・・・飯綱・・・それに犬神、おさき狐、おとら狐・・・・」
飯綱(いづな)、犬神(いぬがみ)、おさき狐(おさききつね)、おとら狐(おとらきつね)
この四体の怪物は、いずれも人にとり憑く妖怪の様なモノで
いずれもとり憑かれた人は、訳の解らない言葉を発したり
奇妙な行動を取ったりと、俗に言う「狐憑き」と呼ばれる状態になるのです。
- 361 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:33
- 「相手は解ったけど・・・でも、どうしてこいつらが
しかも四体も同時に現れるなんて、考えなれないよ」
がきさんはそう言うと考え込んだ表情を浮かべていました。
確かにがきさんの言う通り、地方によっては同じモノとされている
怪物達ですが、実際には違うモノであり、今回の様に
同時に現れた記録は、私の知る限りではありませんでした。
「考えられなくても現実に起こってる事でしょ。
それより今はあの人達からどうやって妖魔を引き離すかだよ」
「そうか、そうだよね。御祓いみたいな・・・・ん?」
私の言葉にがきさんが同調した時、私達はある事に気がついたのです。
「ちょっと待って・・・・御祓いったってどうするの?」
まこっちゃんいいます。
私達が気がついた事・・・・それは、M刑事で今回の様な事件に
対応できる人がいないと言う事です。
実際はまあ、何とか今回の様な事件の場合、上手く引き離していたのですが
少なくとも今いるメンバーの中でそう言った能力のある人間がいないのです。
いや、私がいないと思っていました。
- 362 :名無し狩人:2003/12/23(火) 23:33
- 「どうしよう?誰か応援呼ぶ?」
まこっちゃんの言葉に
「誰かって誰?こう言う場合の適任って誰?」
がきさんがこたえ、それに
「誰だろう・・・?矢口さん?加護ちゃん?」
私がこたえましたが矢口さんも、加護ちゃんも、ちょっと違う気がしました。
「あの・・・要するに、この飯綱とか言う妖魔を、あの人達から
引き離せば良いわけですよね?だったら私できるかもしれません」
そう言って名乗り出たのは亀井ちゃんでした。
- 363 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:46
- 「大空に輝きし六連星よ、その大いなる力を我に貸し与えよ。昴、来来降臨!
六字結界展開!」
亀井ちゃんの言葉と共に男の人達の頭上に六角形の光が現れ
その光が彼らを包みこみます。
「悪しきモノよその姿を現せ!」
亀井ちゃんが叫ぶと光は輝きを増しそこから四体の妖魔が姿を現したのです。
「よし!成功だ!こうなればこっちのもんだ、亀井、道重はあの人達を介抱して
あさみちゃん、がきさん、田中、行くよ!」
まこっちゃんはそう言うと、妖魔に向かって走り出しました。
「お前たち!聞こえるか?我らはM刑事。この場所はお前達のいる場所ではない。
素直に消えるか、それとも封印されるか、もしくは・・・我らと戦うか・・・」
私がそう言い終わらない内に、飯綱が襲い掛かってきます。
- 364 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:47
- 「上等!ならば清めるだけ!」
がきさんはそう言うと構えます。
「鷹爪針!」
がきさんの武器「鷹爪針」は書いて字の如く細身の針の様な武器で
それを敵に投げつけます。
「チェーンカッター!」
続いてまっこちゃんが攻撃をしかけます。
まこっちゃんの武器は特殊なチェーンでそれをカッターの様にして
相手を切り裂くのです。
「百手刀殺!」
私の武器は鉤爪。それを装備した拳で無数の突きを繰り出し
敵にダメージをあたえます。
そして田中ちゃんは・・・・・
「光よ!刃となれ!」
私は田中ちゃんが戦う姿を初めて見ました。
と言うより、この新人の能力を今日始めて目にしたのです
- 365 :名無し狩人:2003/12/29(月) 00:47
- 「光刃衝破!」
「光刃衝破」(こうじんしょうは)。田中ちゃんが見せた技は光の刃でした。
この刃がいくつかに別れ、敵を切り裂きます。
「凄い!田中ちゃん凄いよ!」
攻撃を見たがきさんがそう言うと、田中ちゃんは照れくさそうに笑いました。そこに
「ほら!よそ見しない!」
一瞬の隙をついた犬神に田中ちゃんがやられそうになると
それをまこっちゃんがフォローしました。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
「いいから!ほら、来るよ!」
まこっちゃん、田中ちゃんが構える所に犬神と飯綱が突っ込みます
しかし2人がそれをかわすと、その二体は空中に逃げました。
「あー、こら逃げるな卑怯だぞ!」
いつの間にか他の二体も空に逃げています。
それは私達の攻撃が届かない高さでした。
- 366 :名無し狩人:2004/01/02(金) 00:38
- 人◎∀◎)つ<あけオメ&ことヨロ〜!!ついでに辻さん加護さん世界記録オメ!
それでは新年一発目でございます。
攻撃が出来ない高さに逃げた敵・・・しかし奴らは知らなかったのです。
M刑事は空でも戦える事を・・・・
「ガルーダ飛行呪!」
敵が空に逃げた事を確認するとすぐにがきさんがそう叫びます。
虚空山の迦楼羅さん直伝「ガルーダ飛行呪」
これはがきさんの得意技の一つで独特の印を結ぶ事により
身体を空に浮かび上がらせる事ができるのです。
「がきさん、頼んだよ!」
「了解!任せなさい!」
まこっちゃんの声にがきさんは応えると、敵に向かって行きます。
「うわー・・・新垣さんは凄いですね」
傍にいた新人の3人は感心したように見上げています。
確かにこの飛行術はM刑事だとがきさんの他は、
資料課の里田さんしか使えません。3人が感心するのも解る様な気がしました。
なぜなら私だって使える様になりたいですからね。
- 367 :名無し狩人:2004/01/02(金) 00:38
- 「鷹嘴破!」
空中でがきさんが叫ぶと身体から気の塊が飛び出します。
その攻撃は飯綱に襲い掛かりましたが飯綱は素早くかわします。
しかしがきさんも負けてはいません。
「転!」
そう一言言うと、気の塊は反転してまたしても飯綱に襲い掛かりました。
その時です。
「光槍飛天衝!」
田中ちゃんの声が聞こえました。
見ると田中ちゃんの右腕から光の槍の様な物が空に向かって飛び出します。
それはがきさんの背後から襲い掛かる「おとら狐」に向かって行きました。
ドーン!! バシュ!!
2人の攻撃は、ほぼ同時にそれぞれの妖魔を捕らえます。
飯綱は消え去り、おとら狐は地上に落ちてきました。
- 368 :名無しkariudo:2004/01/06(火) 02:11
- 「トドメだ」
私はそう言うと手にした武器で、おとら狐にとどめを刺します。
その直後、またしても上から声が聞こえてきました。
「鷹爪針乱れ撃ち!」
がきさんが手にした武器・鷹爪針を素早く敵に向かって投げつけ
投げつけた鷹爪針はおさき狐を見事に捕らえました。
「喰らえ!チェーンランス!」
がきさんに打ち落とされたおさき狐を、まこっちゃんのチェーンが襲います。
まこっちゃんの腕に装着されたチェーンは槍の様になり
おさき狐を貫きました。
- 369 :名無し狩人:2004/01/06(火) 02:13
- 人◎∀◎)つ<名前変換ミス!スマソ!
- 370 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:39
- 人;◎∀◎)つ<しまった・・・読み返したらここにはがきさんが
いないことになってるぞ!とりあえず途中で合流した事に・・・
「残るは・・・・犬神か」
私は空を見上げました。空中ではがきさんと犬神が睨みあっています。
「まこっちゃん、こいつ実体がない!」
既に一度攻撃を仕掛けていたのでしょう。がきさんが言いました。
私とまこっちゃんは顔を見合わせ、辺りを見回します。
飯綱、おとら狐、おさき狐、そして犬神。
いずれも人にとり憑き奇怪な行動をさせる妖魔。そして実体の無い犬神。
どうやらこの事件には黒幕がいるようです。それも私達のすぐ近くに・・・・
「あはははは・・・・・あはははは・・・・」
何処からか笑い声が聞こえてきました。
すると
- 371 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:39
- 「そこだ!」
まこっちゃんが私達の後ろにある木に向かって、ナイフを投げつけます。
「あははははは・・・・M刑事・・・やっと気がついた様だね・・・」
見ると木の陰から不気味な女の人が姿を現しました。
「お前は・・・・妖術師か・・・・?」
私はその女に向かって言います。すると
「M刑事、これは警告だよ!あんた達は気がついていない様だからねぇ。
もうすぐ新たな敵がやって来るんだ・・・・いやもう既に来てるかも知れない。
我らが犬神一族は鼻が利くんだよ。奴らは強敵だ・・・・」
訳の解らない言葉に亀井ちゃんが言いました。
「奴ら・・・・?どう言う事?何が来るの?あなたはいったい・・・・?」
亀井ちゃんの質問に女は答えます
- 372 :名無し狩人:2004/01/06(火) 21:40
- 「奴らは、海の向こうからやって来る。そう・・・外敵だ・・・・
我々日本の妖魔ですら太刀打ちできるかどうか・・・・・
お前達が倒した主天童子が奴らの防波堤だった・・・・・
だがそれが無くなり奴らは動き出した・・・・もうすぐやって来るぞ
お前達にそれが止められるか?今日のはお前達の腕試しさ。
だがその程度腕では奴らに勝てはしない・・・・M刑事どうする?」
女はそう言うとまたしても笑います。
「・・・・何がおかしい!だいたいお前は何者だ?
それに・・・・敵が来るって、いったい何のつもりだ?」
まこっちゃんはそう言うと攻撃をするべく構えました。
「気が短い子だね・・・まったく・・・私は、犬神凶子。誇り高き犬神一族。
そして奴らとは、海外の妖魔の事さ。奴らがこの日本にやって来る。
私を信じるかどうかはお前達の自由。私の役目はそれだけだ。
それでは、またお会いしましょう。ごきげんよう・・・・」
「あっ、待てぇぇぇ!」
がきさんが叫んだ時には犬神を名乗る女は消えていました。
いったい何が何やら、訳の解らない内に事件は終わったのです。
- 373 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:42
- 事件も終わり帰ろうとした時の事でした。
「こら、あんたたち!こんな所で何してるん?」
何処からか声が聞こえます。
「い・・稲葉さん・・・」
道重ちゃんが驚いた顔をして見つめる視線の先には・・・
M刑事本部司令室の稲葉さんが立っていました。
「あんたら寮に帰ったんちゃうの?」
稲葉さんは明らかに怒っています。
それもその筈、私達は本当なら今は寮で寝ている筈だったからです。
「まったく勝手しよってからに・・・しかも6人も・・・
小川!紺野!新垣!あんたらは今後輩の指導してるんやろ?
そやったら、ルールーは守ってもらわんと・・・」
そうなのです。私達は上司の許可を取らないで動いていたのです。
三夫さんの話を聞いた後勤務の交代があり、私達は非番になりました。
本来ならこの捜査は引継ぎするべき事だったのです。
- 374 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:42
- 「ごめんなさい・・・まさかこんな事になるとは思ってもいなかったから・・・」
私がそう言うと
「どうであろうと本来なら怒る所やな・・・・せやけど、うん今回は見逃したる。
ずっと見てたで、なかなかやるやないか」
稲葉さんはそう言うと笑い出しました。
「稲葉さん、笑ってる場合じゃないですよ。大変なんです!」
笑っている稲葉さんにまこっちゃんが慌てた様に言いました。
「どないしたんや?」
「実はさっき、犬神って人が外国の妖魔が攻めてくるって・・・・」
「あはははは、その事か、それやったら聞いてたわ。ずっと見てた言うたやろ?
犬神凶子か・・・・相変わらず訳の解らんやっちゃで・・・」
稲葉さんはまるで先程の犬神さんを知っている様な口調で言います。
- 375 :名無し狩人:2004/01/11(日) 23:43
- 「知ってるんですか?」
「まあね、けどあいつの言ってる事もあながち嘘じゃないみたいやね」
「どう言う事ですか?」
「これ見てみい!」
稲葉さんはそう言うと数枚の写真を取り出しました。
「これは・・・・?」
見ると見たこともない様な、妖魔が写っています。
「一枚目は今日圭織が仕留めた奴や、二枚目は石川が、
それから他のは虚空山から送られて来たもんや!」
「こいつらは何ですか?見た事ないのばっかりですけど」
がきさんは不思議そうに写真を見つめていました。
写真に写っている妖魔は確かに今までに見たり戦ったり
もしくは資料で見た事あったりするモノとはまったく違っています。
「それが恐らく犬神の言った外敵言うやつやろ。もう既に来とるみたいやね」
稲葉さんの言葉に私は驚いていました。
- 376 :名無し娘。:2004/01/15(木) 21:02
- 「これからどうなるんですか?」
道重ちゃんは不安そうな顔で稲葉さんを見つめます。
そんな道重ちゃんに稲葉さんは言いました。
「そら悪さすれば戦うしかないやろな。現に今日も圭織と石川が戦った訳やし」
「でも犬神さんは私達じゃ勝てないって・・・」
「はははは・・・道重あんたおもろいな、こう言っちゃ失礼かも解らんけど
小川・紺野・新垣と本気で戦ったってうちは負けるつもりは無いで」
流石にこの言葉にはカチンと来ましたが、確かに3人が束になった所で
稲葉さんに勝てるかどうか・・・自信はありませんでした。
「まあ、そう言う事だ。道重ちゃん、M刑事は負けないよ」
まこっちゃんは先程の稲葉さんの言葉を気にしていない様で笑っています。
道重ちゃんも頷くと笑顔に戻りました。
「さてと、うちはあんたらを迎えに来たんや。スマンけど本部に戻るで」
稲葉さんはそう言うとさっさと行ってしまいます。
理由の説明もないまま私達は本部に戻りました。
- 377 :名無し娘。:2004/01/15(木) 21:02
- 「やっと来たか・・・まったく携帯の電源位入れとけや!」
本部に戻るなり、中澤さんのお説教が始まります。
今回は私達の勝手な行動だったので何も言えませんでした。
「お説教はこのくらいにしてやな、本題に入るで。もうみんな知っとるとは
思うけど、何や訳の解らん連中が我国に侵入しつつある。
これが人間やったらええんやけど、どうもうちらが取り締まらな
アカン連中みたいやねん。外国の妖魔が日本を攻めるて・・・
まったく鬼太郎やないんやから勘弁して欲しい所やけどそうもイカン。
よってこれより特別体制でこれに当たる事になった。
M刑事各分室及び、虚空山との連携になるとは思うけど
みんなには頑張って欲しい。以上や!」
これからまた新たな戦いがはじまりそうです。
その事についてはまた今度お話したいと思います。
娘。戦記
【邪悪狩人M刑事・頃の章】 終了!
- 378 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:06
- 人◎∀◎)つ<娘。戦記 新章です
http://www.omosiro.com/~sakuraotome/live/test/read.cgi/bbs/1062147283/344-354
人◎∀◎)つ<まずは上記のプロローグをご覧下さい。
- 379 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:06
- 娘。戦記
「矢口真里の戦場レポート」
私の名は矢口真里。孤高のフリージャーナリストである・・・
と言えば格好は良いが、平たく言えば貧乏カメラマンなのだ。
今、私は中東の国アスガラフタン、通称アスガンにいる。
半年前の豪華客船「プレジデントワトソン」爆破事件の報復として
軍事大国カメリアがこの国に戦争を仕掛け、その取材に来ているのだ。
正直言って戦争の取材は、今回が初めてである。
こんな素人にも近い私は、無謀にも単身でこの取材に挑もうとしていた。
そしてこの考えはあまりにも無謀であった事は、充分身に染みて解った。
もしあのまま1人でいたら今頃私は、良くて無一文、悪くて砂漠の砂に消えていたであろう。
そんな私がなぜ今まで無事でいられたのか、それは約二週間前の出会いがあったからだ。
この国に潜入する前に、私はお隣の国タジギリスンのドンシャリバンにいた。
このドンシャリバンにあるアスガン大使館の前で、偶然にも過去の戦友である
アニバーサル通信の大谷マサオ記者に出会ったのだ。
大谷記者の名はTVなどで、見たり聞いたりした事がある人もいるかもしれない。
アニバーサル通信と言えば、世界各国に支局を置く日本でも有数の通信社である。
その大谷記者に、今回の私の計画がいかに無謀であったかを思い知らされた。
しかし、それ位で諦める私ではない。大谷記者を持っていたタバコで買収し
見事に助手の座に納まったのである。・・・・しかしこれは後に後悔にもなった・・・
そしてスッタモンダの挙句にやっとアスガンに潜入した私と大谷記者は
アスガンの北の町、フェイサンバハダに来ていた。
- 380 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:07
- 「ここからは陸路で首都タベミールを目指す」
大谷記者はそう言うと車とガイドを捜し始めた。
「タベミールまでどれ位なんですか?」
「アホ!それ位調べてから来い!どれ位かかるかなんて解るか!」
大谷記者はそう言うと地図を投げてよこした。
私は渡された地図を広げると絶句した。
大谷記者がつけたのであろうルートの記しをたどると
途中で等高線がやたら込み合っている。その標高ざっと4000M。
富士山より高い所を進もうと言うのか・・・・
私は地図を返すと黙って大谷記者の後について行った。
「車はやっぱり日本製が良いな・・・おっ!」
大谷記者はそう呟くと一台の車に走って行く。
そこにはTOYOTAのハイラックスが止まっている。
大谷記者は傍にいた運ちゃんらしき人物と交渉を始めていた。
少しすると大谷記者が手招きをする。私が走って行くと
「駄目だ、いまいち話が通じない。矢口、どっかで通訳見つけて来い!」
大谷記者の命令は絶対である。なにせ助手と言う名のしもべなのだから・・・
- 381 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:07
- 通訳と言われてもどうしたら良いのか・・・
優秀な通訳など、トウの昔に売り切れである。
後に残っているのは中学生程度の英語が出来る奴らだけである。
そのくせ奴らは一日100ドルよこせなどと戯けた事をぬかし
イライラが募るばかりであった。そんな時である・・・
「お姉しゃん、通訳探すれすか?」
なんと片言ではあるが、日本語で話し掛ける奴が現れた。
見た目は中学生位であろうか?しかも女の子である。
「あなた日本語解るの?」
「少し解るれす」
「英語は?」
「OKれす」
話を聞くとガイド料を含め、料金は300ドルで良いとの事。
しかも一日ではなく、別れるまでの料金だと言う。
話は決まった。私はこの少女を連れ、大谷記者の所に戻った。
- 382 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:08
- 「大谷さん、ガイド見つかったよ!」
「お、早かったな・・・ってなんだそのガキは?」
「なんだって・・・ガイドですよ。見た目は子供だけど日本語も解るって・・・」
大谷さんは疑いの視線を投げかけながらも、その少女に交渉を任せた。
「何処行くれすか?」
「!?・・・・ジャボシラ・・・・」
少女の日本語に大谷さんは驚きながらも目的地を伝える。
ジャボシラはここから山脈を越えて最初の大きな町である。
少女はその言葉を聞くと運ちゃんと話を始めた。
「・・・・ジャボシラ、1500ドルれす!」
「もっと安くならない?」
「安く・・・・?」
「プライスダウン」
少女は頷くとまた話をしている。しかし運ちゃんは首を横に振った。
その意味は世界各国何処でもほぼ同じであろう。
私は安くはならないと思った。
- 383 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:08
- 「・・・ダウン駄目れす。オール1500ドルれす」
どうやら運ちゃん達の間で談合でも行われているのであろう。
誰を雇っても1500ドルは変わらないとの事であった。
「仕方ないな・・・矢口お前500ドル出せよ」
大谷記者の言葉に私は素直に頷く。1000ドルは大谷記者持ちである。
「でもそれだけじゃ悪いですから、おいらこの子のガイド代も出しますよ」
「当たり前だろ、お前が雇ったんだから・・・」
「えっ・・・・?」
大谷記者はそう言って笑った。どうやらこいつは最初からガイド代を
私に出させるつもりでいたらしい・・・・
「んじゃ、荷物積み込んで・・・・そうだ!あなた名前は?」
「ノノンれす」
- 384 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
- 少女はノノンと名乗った。この国ではこの位の女の子でも
働かないといけないらしい。しかもこれから何日かかるか解らない行程を
私達と一緒に行くのである。それを考えると少し寂しかった。
荷物を積み終え、いざ出発と思っていたら、運ちゃんがまだ必要な物があると
出かけて行った。少し空き時間の出来た私はノノンと買い物に出かける。
マーケットで帽子とスカーフを買う。
いくらかでも砂埃の対策になればと思っての事だ。
ノノンは防寒服とやはり帽子を買っていた。
ガイド料の一部を先に渡していたので、それで買ったらしい。
私は大谷記者に止められていたが、スカーフを彼女に買ってあげた。
「大谷さんには内緒だぞ!」
「どうもれす」
ノノンは嬉しそうにスカーフを首に巻く。
マーケットの帰り道、ノノンに色々聞いた。
- 385 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
- 「あなた何処で日本語覚えたの?」
「前、来たお姉しゃん・・・レクチャーれす」
「・・・?ああ、前に来た誰かに習ったのね。名前覚えてる?」
「・・・アヤカしゃん」
「!?・・・アヤカ・・・女の人?カメラマンの・・」
「YESれす。また来る、ノノン待ってた。アヤカしゃん来ない。
来ないから矢口しゃん手伝う」
なんと、ノノンは木村さんから日本語を習っていた様である。
前回何が目的で来たのかは解らないが、滞在時間は長くなかった筈である。
その間にノノンはこれだけの言葉を覚えたのだ。凄い・・・・
運ちゃんが戻って来た。いよいよ出発である。
ノノンは助手席に乗り込み。私と大谷記者は後ろに座る。
しかし今回は運が良いと言えるだろう。車はハイラックスサーフ。
荷物も車内に収まる車である。
本当ならランクル辺りが一番良いがこの際もんくは言わないでおく。
なぜなら一緒に出発した他の国のジャーナリスト達がチャーターした車は
良くてハイラックスのピックアップ、酷いのになると何処製かも解らない
怪しげな4WDなのである。
私達のサーフは快調に走り出した。
まだそれ程古くないのか、調子は良さそうだ。
しかしよく見ると走行距離は15万キロ、インパネにオートバックスのシールが・・・
明らかに出所の良くない車に思えた。しかしこうして今私達の役に立っている。
日本の被害者も自分の車がこうして日本人の役に立っているのなら
まだ諦めが・・・つかないか・・・・
- 386 :名無し狩人:2004/01/18(日) 21:09
- 「矢口、お前高い山とか大丈夫か?」
大谷記者が聞いて来た。
「へ・・?富士山には登った事ありますけどそれ程酷くはならなかったです」
「そうか・・・でもこれから行く所はそれ以上の標高だぞ。
恐らく酸素も薄くなる。頑張れよ」
頑張れよと言われても、何を頑張ったら良いのやら・・・・
とにかく私は頷いて見せた。
暫く車で走ると大きな湖が見えて来た。
何とものどかな光景である。車内から景色を眺め、しばしの気休めだ。
湖が見えなくなるとそこからは頂上まで上りである。
車は道では無い様な場所を進む。
車内で荷物があばれ、大谷記者は天井に頭をぶつけていた。
幸い、私とノノンは背が低いのでゆれてもそこまではいかない。
大谷記者の恨めしそうな視線が面白かった。
- 387 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:58
- 人◎∀◎)つ<石川さんオメ〜!!
車内の皆がほぼ無言で車は進む。喋ったら間違いなく舌をかむ。
車道・・とはとても呼べた代物ではない道である。
更にすぐ脇は断崖絶壁とでも言ったら良いのか・・・深い谷が続く・・・
砂埃が車のラジエータを襲う。ほぼローギアで進む車はたちまち水温が上がった。
オーバーヒートを防ぐ為に、車を定期的に休ませる。なのでちとっも進まない。
止まるたびに運ちゃんは黙々とラジエータに水を足し、コアを掃除する。
更に時々エアクリーナを開けると物凄い誇りが舞った。
マーケットでスカーフを買ってきて正解であった。
砂避けのマスクとして大いに役に立ったのである。
「矢口しゃん、何処で寝るれすか?」
「そうだなぁ・・・大谷さんどうします?」
「ホテルなんて・・・・ないよなぁ・・・ノノン何処か休める所はあるのか?」
既に大分日も落ちて来ていた。
ノノンが今日の宿はどうするのか聞いてくる。
しかしこんな所にホテルなんてある訳が無い。
大谷記者が聞くとノノンは運ちゃんと話を始めた。
- 388 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:58
- 「この先、村があるれす」
「あとどの位?」
ノノンが運ちゃんを見る。運ちゃんは指を4本立てた。
「四時間れす」
「マジで・・?参ったなぁ・・・」
「仕方ないさ、矢口ここまで来たら運ちゃんに任せよう。
運ちゃんを信じるしかないからな」
大谷記者がそう言うと運ちゃんが合図をした。
整備が終わった様だ。大谷記者はノノンに後ろに乗るように言った。
助手席に乗り込んだ大谷記者は、シートベルトをするとシートを倒し横になった。
「これで頭もぶつけないだろう。あまり無茶したらはげるからな・・・」
大谷記者は頭を撫でながらこう言った。
道無き道を進む。既に車は悲鳴を上げているに違いない。
さっきの場所から少し走った所でまたしても車は止まった。
- 389 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:59
- 「今度はなに?」
車から降りると私は聞いた。運ちゃんは黙ってボンネットを開ける。
何やらゴムの焼けた匂いが漂ってきた。
見るとファンベルトがズタズタになっている。更に右前タイヤがパンクをしていた。
「あちゃー・・・こりゃ大変だなぁ・・・・」
さてどうしたものか・・・ファンベルトが切れてしまっては
どうにもならないではないか・・・・私が焦っていると
「おい、矢口邪魔だ!」
大谷記者がジャッキとレンチを持って立っていた。
「タイヤ交換するから手伝え!」
大谷記者はそう言うと荷台を指差す。
見ると運ちゃんがファンベルトとスペアタイヤを降ろしている所であった。
- 390 :名無し狩人:2004/01/19(月) 22:59
- 「随分用意が良いんだなぁ・・・」
「感心してないでタイヤ持って来い!」
「了解!」
こうして運ちゃんはベルト交換、私達はタイヤ交換・・・・
こんな所に整備工場などあるはずも無い。
整備は全て自分達の手でやらなければならないのである。
「適当な石をリヤタイヤの後ろに置いて輪留めだ!・・・
クソッ・・・このボルト・・・緩まねーじゃねーか!」
大谷記者の指示で私とノノンは手頃な大きさの石で輪留めをした。
大谷記者がエンジンルームで作業している運ちゃんに何やら言っている。
「おいノノン、運ちゃんにジャッキUPするって言ってくれ!」
ノノンが運ちゃんの所に行って話をすると運ちゃんが頷く。
「・・・・場所が悪いな・・・・慎重に・・・・」
運ちゃんは比較的平らな場所に車を止めていたのだが多少の傾斜があった。
ジャッキUPは慎重にやらなくては車体のバランスが崩れる。
そんな中でも大谷記者は手際良くタイヤを交換していた。
更に暫くすると運ちゃんの方の作業も終わった様だ。
これでやっと出発できる。辺りは既に暗くなっていた
- 391 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:51
- 標高もだいぶ高くなって来た様である。多少息苦しい。
日が落ちた途端に気温が一気に下がる。車のヒーターが壊れているのか
車内もそれ程暖かくはない。
「ノノン、まだ着かないの?」
「あと少しれす」
ノノンがそう言ってから暫くすると、ヘッドライトの光が数台の車を映し出した。
「やっと着いたか、今日はここで一泊だね」
村に着くと数件の小屋の様な物が並んでいた。
どうやらここの住人の家の様だ。
車を停め外に出ると寒さが一気に体温を奪う。
「うわ、寒っ!」
外気は氷点下に近いのであろう。問題はどうやって眠るかである
- 392 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:52
- 「どっか泊めてくれるとこないですかね」
「ある訳ないだろ。今夜はお前達は車の中で寝るんだ。俺は外に寝る」
大谷記者はそう言うと荷物の中から簡易テントを取り出した。
よく周りを見渡せばいくつかテントらしき物が見えた。
ここまでたどり着いた同業者達が設営した物であろう。
「食事、どうします?」
「何か食う物持ってないのか?」
「缶詰でいいですか?」
「ああ・・・」
大谷記者はそう言うとテント設営のを始めた。
私は荷物の中から缶詰と、乾パンを取り出すと食事の準備をする。
「ノノンは・・・食べる物なんか持ってないよね?」
その言葉にノノンは頷く。仕方がない、私は自分と大谷記者の分の他に
ノノンと運ちゃんの分の食事も準備した。
- 393 :名無し狩人:2004/01/21(水) 23:52
- 「ごめんなさい、ノノン何も持ってない。矢口しゃん大丈夫?」
缶詰と乾パンを手渡すとノノンがすまなそうな顔で言う。
「大丈夫だよ。それにノノンが元気じゃないとこっちが困るからね」
そう言って私は笑う。その後運ちゃんにも食べ物を渡したのだが
運ちゃんは何も言わずに受け取ると黙ってそれを口に運んだ。
それにしてもこのおっさんは、まったく無愛想である。
必要以外の事は一言も口をきかないのである。
食事が終わると一気に疲れが出てきた。
私は寝袋を出すとリヤシートに広げる。背が低いとこんな所で便利なのだ。
大谷記者は寝袋を持ってさっさとテントに歩いて行った。
流石の大谷記者も疲れている様子である。
ノノンと運ちゃんも前の席でシートを倒すと横になった。
運ちゃんとノノンに持っていたブランケットを渡す。
2人ともそれを身体にかけると眠りに就いた。
私も疲れきっていた様だ。それ以降の事は覚えていなかった。
- 394 :名無し狩人:2004/01/22(木) 22:46
- 人の話し声で目が覚めた。寝袋から出ると寒さが身に凍みる。
車のドアを開け外に出ると寒いが非常に気持ちが良かった。
昨日はあった目眩の様な物が今日はない。高さにも身体が慣れた様だ。
「さて、今日も一日頑張りますか」
気合を入れて大谷記者を起こしに行った。
「おはようございますぅ」
テントの中に呼びかけると、眠そうな声で答えが返って来た。
昨日ここに泊まった他の連中も動き始めている。
既に出発の仕度を整えているチームもあった。
ここでふと疑問が生じた。皆起きるとさっさと身支度をして
出発しようとしているのだ。近くには小さな小川が流れている。
誰か1人くらい顔を洗うなりの行動を取っても良さそうな物である。
そう思いながら私は小川の水に手を突っ込んだ。
次の瞬間、身体に衝撃が走る。冷たいなんて物ではない。
冷たいを通り越して痛いのである。
「お前、何してんの?」
後ろから大谷記者が声をかけて来た。
- 395 :名無し狩人:2004/01/22(木) 22:47
- 「顔でも洗おうかと思って・・・・」
「ここの水で・・・?お前は修行僧か?」
あまりにも冷たい水は顔を洗う気力を無くさせる。
なるほど、誰も水を使わないわけだ。
「なんか食べます?」
「んー・・・今はいいだろう。それより出発の準備だ。
ノノンも運ちゃんも起きたぞ。お前も仕度しろ」
大谷記者はそう言うとテントの撤収を始めた。
私も寝袋とブランケットをしまうと大谷記者を手伝った。
「さて、それじゃ行きますか」
出発の準備も終わり、私達のチームも出発する。
既に他のチームは出発していて、私達のチームが一番最後であった。
再び山道をひた走る。頂上までまだまだかかりそうだ。
私はバックからチョコレートを取り出すと口に入れる。
大谷記者、ノノン、そして運ちゃんにも配る。朝食はこの程度であった。
ところでこの山道は時々牛車の様な物とすれ違う事がある。
何処かのどかな風景でもあるが、一体彼らは何を運んでいるのだろうか?
そして何よりどうやってこの山中で夜を過ごしているのか?
昨日の夜はかなり寒かった。そんな中どうやって・・・・
考えればこの国は戦争中である。住人が何故これほど平和に見えるのか?
確かにこの辺りはアスガンでも穏健な民族が住んでいる場所である。
過激派ガルーダの人間が首都に近い場所にいるとはいえ、
これほどのどかなのは何だか不思議であった。
- 396 :名無し娘。:2004/01/23(金) 00:34
- おお新しい話が始まってる!
どういう話になるか分かんないんで楽しみ
- 397 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:34
- 頂上に近づくにつれて道の傾斜も厳しくなる。車もとうとう限界を迎えた。
「矢口、降りて押すぞ!ノノン、お前も手伝えるか?」
大谷記者がそう言うと私とノノンは頷き、3人で車を降りる。
唸りを上げる車の後ろを3人で押すが、あまり前に進まない。
それでも必死になって車を押す。すぐに息が上がってきた。
慣れたとは言えやはり空気が薄いのだ、少しでも身体を動かすと辛いのである。
「頑張れ!もう少しだ!」
大谷記者の声に前を見ると道の傾斜が緩くなっている。
運ちゃんの話によれば、あそこまで行けばなんとかなるらしい。
「矢口しゃん、頑張る!」
ノノンは小さい身体ながらも結構力がある様だ。
更に地元なので高地にも強い。本当に頼りになるやつだ。
やっとの思いで車を押し上げる。私はその瞬間地べたに座り込んでしまった。
- 398 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:35
- 「お疲れ!大丈夫か?」
大谷記者も肩で息をしている。相当辛いのだろう。
それに比べてノノンは元気だった。水筒を持って水を汲みに行ってくれたのだ。
「矢口しゃん、水!」
ノノンに差し出された水を一気に飲み干す。
冷たい雪解け水が身体に染み渡る。本物のミネラルウォーターだ。
「ありがとう。だいぶ楽になったよ」
私はノノンそう言うと立ち上がった。
「ここらで何か食べるか・・・」
既に時間は昼を過ぎている。大谷記者がバックから食べ物を出してきた。
- 399 :名無し狩人:2004/01/26(月) 17:35
- 「おい、ノノン、運ちゃん呼んで来い。一緒に食べよう」
大谷記者がそう言うとノノンが運ちゃんを連れて来た。
そこで私は運ちゃんの様子がおかしい事に気が付く。
元々厳しい表情が余計に厳しくなっている。
「ねえ、ノノン、運ちゃんどうかしたの?」
私の横でビスケットを頬張っていたノノンは運ちゃんを見た。
「運ちゃん変?解らない。聞く」
少し離れた所で食事をしていた運ちゃんにノノンが駆け寄る。
2人は何かを話していた。そして暫くするとノノンは運ちゃんと
こちらにやって来た。
「矢口しゃん、大丈夫運ちゃんに説明する」
ノノンはそう言うと説明を始めた。どうやら運ちゃんは私や大谷記者の
行動を疑っていた様なのだ。前に同じ様にジャーナリストを乗せ
この道を進んだ時に、彼は今回と同じ様に食べ物を雇い主から
分けて貰っていた。しかし、現場に着くと約束の金額が貰えず
問いただすと、途中で渡した食料分を引いたと言われたらしい。
まったくクズは何処にでもいるの物だ。
私は運ちゃんにちゃんと約束のお金を払う事を伝えた。
今渡した食べ物はサービスであるとも言ったのだ。
ノノンがその事を伝えると運ちゃんは黙って頷き
今度は近くに腰を下ろして食事の続きを口に運んでいた。
- 400 :名無し娘。:2004/01/27(火) 17:18
- ( ´ Д `)<400・・・がんばってねぇ
- 401 :名無し狩人:2004/01/28(水) 13:32
- >>400
( `_´)<石川さんが来ると思ったら後藤さんでしたか。頑張ります。
「あー、ビールでも飲みてーなぁー」
大谷記者が呟く。この国はイラスラ教の国である。
イラスラ教はアルコールを禁じているのだ。
大谷記者は私より早くからこの地方に来ていた。
ドンシャリバン滞在中も酒は飲めなかった様だ。
「この際禁酒でもしたらどうですか?」
「はははは・・・氏ね!酒が無くて何が喜びか!
いざ飲まん!酒は朋友の徳あり!酒は百薬の長!」
大谷記者はそう言うと右手を掲げた。
「取材が終わるまでの我慢ですね・・・そうだ!」
私はそう言うと車のバックから箱を取り出した。
「代わりにこれでも飲んで下さい」
そう言ってジンジャーエールのミニ缶を大谷記者に渡した。
- 402 :名無し狩人:2004/01/28(水) 13:32
- 「こんなもんどっから持って来たんだ?」
「来る途中の免税店でみつけて・・・」
「なるほど、ジンジャーエールか。まさに禁酒時代だな」
そう言いながらも大谷記者は缶を受け取るとプルタブを開けた。
「ほら、乾杯だ!運ちゃんとノノンにも渡せ!」
缶は5本あった。私が運ちゃんとノノンにも缶を渡すと
「この取材の成功を祈って!乾杯!」
と叫ぶ!
その行動は各国共通なのだろうか?
ノノンはもちろん運ちゃんも何も説明しなかったのにそれに続いた。
- 403 :名無し狩人:2004/01/28(水) 13:33
- 食事が終わると再び決死の行軍である。
道は緩やかになってきたがまだ登りであった。
「ちょ、ちょっとSTOP!」
外を見ていた私は叫んだ。運ちゃんが車を止める。
「なんだいきなり?どうしたんだ?」
「あれ!爆弾みたいなやつ!」
私は道端に無造作に放置された爆弾の様な物を指差した。
「ああ、ありゃ不発弾だな。この辺じゃそれほど珍しくないぞ!」
大谷記者は当たり前の様に言ってのける。
珍しくないって・・・なんでやねん!
- 404 :名無し狩人:2004/01/28(水) 13:33
- 「ほら、覚えてないかロスイラのアスガン進行。
あの時ロスイラはこの辺りまで攻めて来たんだ。
この不発弾はその時の遺品だよ」
「何で?どうしてこんな所に平気で放置してあるんですか?」
「回収しなかったからだろ?」
「そりゃそうですけど・・・・」
「ほら、写真撮らないのか?その為に止めたんだろ?」
大谷記者に言われ私は急いでその風景をカメラに収めた。
やはりここは戦闘地域なのだ。爆弾が平気で放置されているのである。
ロスイラ進行、内戦、カメリア進行・・・・この国に銃声が無かった事はない。
ここにいる運ちゃんも・・・そしてノノンも皆戦争に慣れている。
日本が平和ボケならこの国は戦争ボケなのかもしれない・・・
- 405 :名無し娘。:2004/01/29(木) 03:20
- ▽^)つ( ´ Д `)
( ^▽^)<お面つけさせてもらってたのよ♪
- 406 :名無し狩人:2004/01/29(木) 23:50
- ( `_´)<ありゃ、お面とは・・・気がつかなかった。
更に道無き道を行く。ついに頂上到着する。
「だいぶ日も落ちてますね。どうします?今日はここで一泊しますか?」
山道の頂上はキャンプには丁度良い広さの場所があり
既に数チームの同業者がテントを設営していた。
「そうだな、だいぶ疲れも溜まってるだろう。
何しろ運ちゃんが大変だろうから今日はここで休もう」
大谷記者はそう言うと昨日と同じ様に簡易テントを組み立て始めた。
私はと言うとここから眺める絶景にしばし見とれてた。
夕日が山々を照らし、幻想的な風景を作りあげている。
三脚を取り出すと愛機を固定し風景の撮影を始める。すると
「珍しいな。お前が風景写真を撮ってる所は初めて見た。
いつもは他のカメラマンに押しつぶされて鬼の形相なのに・・・・
ははは・・・良い顔してるじゃないか」
いつの間にか大谷記者が後ろに立っていてこんな事を言われた。
- 407 :名無し狩人:2004/01/29(木) 23:50
- 「からかわないで下さいよ。恥ずかしいじゃないですか」
「からかってなんかないよ。思った事を言っただけだ。なあノノン」
大谷記者がそう言うとこれまたいつの間にか後ろにいたノノンが頷いた。
そんなにいつもとは違う顔をしていたのだろうか?
もっとも、取材現場が報道カメラマンの戦場である。
戦場で穏やかな顔をしているやつなんていない筈だ。
「ここはここ、現場は現場、矢口の違う一面に惚れ直しましたか?」
「そうだな、あと5・6年したら付き合ってくれ」
「はい?5・6年て・・・・微妙な・・・・」
「ははは・・・命短し恋せよ乙女ってやつだ。
相手が見つからなかったら貰ってやるよ」
「結構です!おいらだって彼氏の1人や2人すぐ見つけますよ」
「おう、頑張れよ」
大谷記者から見れば私はまだまだガキって事なのだろうか?
確か歳はそれ程違わない筈だったと思っていたのだが・・・・
「HEY!マサオ!」
そんな事を考えていた時、不意に違うチームから大谷記者を呼ぶ声が聞こえた。
大谷記者は振り返ると手を振っている。どうやら知り合いのジャーナリストらしい。
- 408 :名無し狩人:2004/01/31(土) 23:38
- 「マサオ、やはりお前も来てたのか」
どこの国の人であろうか。男性が大谷記者に近づいて来た。
「よう、ダニエルか久しぶりだな。まだ生きてたのか?
ははは、相変わらず現場に女連れとはいい度胸だな」
ダニエルと呼ばれたその男性の後ろに女の人がいる。
私はその人も取材クルーだと思っていたのだがどうやら違うらしい。
戦場に来るのに女連れとは本当に良い度胸である。
「マサオも女連れじゃないか・・・ん?子供か?」
私とノノンを見たダニエルはそう言うと肩をすくめる。
子供とは・・・非常に失礼な奴である。
- 409 :名無し狩人:2004/01/31(土) 23:39
- 「ははは・・・べーギル人から見ればこいつは子供に見えるかな。
おい矢口、何か言ってやれ!」
どうやらダニエルはヨーロッパはべーギルから取材に来ている様だ。
こんなナンパ野郎にどうして良い取材が出来ようか・・・?
「初めまして、マリ・ヤグチと申します。ダニエルさんでしたか
失礼ですがこう見えても私は二十歳はこえております」
「これは失礼マドマゼル!私はダニエル、お見知りおきを・・・」
「はあ・・・・」
やはりいけ好かない奴である。目が完全に馬鹿にしているではないか!!
この時私はこんな奴らと運命を共にするとは夢にも思っていなかった。
- 410 :名無し狩人:2004/02/02(月) 21:01
- 「マサオ、こいつ知ってるか?日本ではかなり有名なジャーナリストだって
聞いたことある名前だったから途中で少し情報交換したんだが信用して良いのか?」
ダニエルはそう言うと一枚の名刺を大谷記者に差し出した。
私が横から覗き込むとなんとそこには大物の名前が・・・
「中井・・・・?あれ、おかしいな中井記者はここには来ていない筈だが・・・」
中井記者とは日本でも戦場レポーターとして有名な人でTTSとかの
ニュース番組に良く登場しているあの人だ。
「・・・そうか、ダニエルそいつは偽者だぞ」
「偽者・・・?」
「そうだ、俺らの間じゃ偽中井って呼んでる」
「ちくしょう、騙されたのか!」
「いや・・・たぶん交換した情報は本物だ。何処から仕入れてくるのか知らないが
あいつの情報はしっかりしている。だから情報自体は信じて良いと思う」
「でも、人の名前を騙りやがったぞ!」
「ははは・・ジャーナリストなんて詐欺師と紙一重の所もあるんじゃないのか?
それに聞いたことも無い名前の日本人とお前だったら情報交換するか?」
「・・・・いや・・・しないな」
「そうだろう、だからあいつはいつも中井記者を語るんだ。だから偽中井」
- 411 :名無し狩人:2004/02/02(月) 21:01
- 大谷記者の話を聞きながら私はみょうに納得してしまった。
取材は情報が命である。私だって得体の知れない外国人に情報など教えないだろう。
そこに少しでも名の知れた人間を騙った奴が来たらどうなるだろうか。
たぶん情報交換なら応じてしまうかも知れない。
偽中井・・・・大したつわものもいたもんだ。
「大谷さん、おいらあいつなんか気に入らないよ。
仕事現場に彼女なんか連れてきてさ、何考えてんだ?」
ダニエルと別れた後私は大谷記者に言った。
「ははは、ダニエルもそんな悪い奴じゃないぞ。
それに彼女のチェルシーだって腕利きのジャーナリストだ。
戦場取材だってお前なんかとは腕も経験も格段に上だ」
「うそ・・・・て事は彼女もある意味スタッフなんだ」
「ああ、俺だって一緒に行動するならお前よりチェルシーの方が
何かと頼りになって良いと思うしな」
「そーですか!それは至りませんで申し訳ないですね」
私が怒ってそう言うと大谷記者はポンと私の頭を叩いた。
- 412 :名無狩人:2004/02/03(火) 23:00
- 「ご飯にするれす」
むくれる私の手をノノンが引っ張る。
それを見たらなんだか怒っているのがアホらしくなって来た。
私はノノンと一緒に食事の準備を始めた。
「また缶詰だけど良い?」
「OKれす」
私は何となく気分が良かったのでとっておきの缶詰を開ける。
それは・・・パンの缶詰であった。
今やパンも缶詰で売っている時代なのである。
ノノンはそれを興味深そうにのぞいていた。
- 413 :名無し狩人:2004/02/03(火) 23:44
- 一晩をここで過ごし夜が明ける。
私達は出発の準備を済ませると車に乗り込んだ。
今日は早く仕度した事もあり他のチームの車と一緒のスタートである。
数台の車がキャラバンを組み山道を下り始めた。
「なんだか前に車がいると安心しますね」
私は大谷記者に言った。
「そうだな。結局は人は群れをなしたがる習性があるんじゃないか?
自分だけじゃ何かと不安な事も穂かに仲間がいれば
安心できる事もあるだろうし、前の車、お前が嫌ってる
ダニエル達のチームだぞ。そんな奴でも一緒にいる方が安心だろう?」
ありゃ、前の車はあいつ等だったのか・・・
でも確かに大谷記者の言う通りではあった。
嫌な奴でもこんな場所では一緒にいた方が安心できる。
人間とは不思議なものである。
- 414 :名無し狩人:2004/02/03(火) 23:45
- しばらく走ると突然前の車が止まった。何かあったのだろうか?
良く見ると止まっているのはダニエルのチームだけはない。
その前、更に前・・・今朝一緒にスタートした車が全て止まっているのだ。
「何かあったのか・・・・・」
大谷記者はそう言うと車を降りる。
私も気になって外に出ようとした。すると
「矢口!車の中にいろ!」
大谷記者の叫び声が聞こえて来た。
私は訳の解らぬまま言われた通り車の中に戻った。
中から前を見るとダニエルと大谷記者が話をしているのが見える。
いったい、何があったのだろうか?
- 415 :名無し狩人:2004/02/05(木) 21:32
- 少しすると大谷記者が戻って来た。なにやらかなり深刻な顔をしている。
「この車列の一番先頭の所で車が一台止まってる。
それも滅茶苦茶にされてだ・・・・この意味解るな」
大谷記者の言っている事がいまいち理解できない私は首を横に振った。
すると大谷記者は呆れた様な表情を浮かべ言う。
「話は簡単。恐らくは昨日の夜、ここを通ろうとした連中が
山賊と化したガルーダの兵士に襲われたんだろう。
連中はまだこの辺りにいるかもしれない。
車には銃弾の痕もあった。かなりヤバイな」
やはりここは戦場であった。もし昨日あそこで休まないでこの場所を通っていたら
私達がやらていたかも知れないのだ。
「今、他の車の連中と話をしてきた。ジャボシラに着くまではこのキャラバンを
崩すことなく進む。とりあえずそれまでは協力して行こうってな。
矢口、お前もじゅうぶん注意するんだぞ!」
- 416 :名無し狩人:2004/02/05(木) 21:32
- 大谷記者にそう言われたがどうすれば良いのやら。
だいいち連中が持っている銃で撃たれたらこんな車ひとたまりも無いではないか。
しかし何もしないよりはした方が良いだろう。
私とノノンは出来るだけシートの真ん中に座りその両脇を
カメラバックや缶詰など弾避けになりそうな物で固めた。まあ気休めではあるが・・
更に私はバックを開けると中から日本出発前にドンキホーテで買って来た
警棒と唐辛子スプレーを取り出し腰に装備する。
こちらも気休めの武装でしかないのだが無いよりは良いだろう。
他のチームも準備が終わった様だ。車列がゆっくりと走り出す。
少しすると襲われた車の横を通り過ぎた。
一瞬にして言葉を失う。酷い・・・・その一言である。
車体にくっきりと残った弾痕、窓ガラスは全て割られていて
シートにはくっきりと血痕が残っている。
車内の緊張感は先程とはうって変わって高まっていた。
- 417 :名無し狩人:2004/02/12(木) 22:44
- 峠道も半分を通り越した。本来であればこのままジャボシラまでまっしぐら
と、行きたい所であったが、戦場に「本来」なんて言葉がないのである。
細心の注意をはらい、車は進むのである。
「矢口しゃん、大丈夫?」
私の顔は緊張で引きつっていた様だ。心配したノノンが話しかけて来た。
「ん、大丈夫だよ。怖くないって言えば嘘だけど・・・・大丈夫。
それよりノノンは大丈夫なの?怖くないの?」
私がそう聞くとノノンはただ笑って見せた。
そうだ、この子はこの国の人間なのだ。
「ははは・・・ノノンは強いね。それに比べておいらは・・・・」
私がそう言うとノノンは首を横に振る。
「ノノン怖い。でもお仕事。矢口しゃんお手伝いする約束した。」
私はこの言葉を聞いてハッとした。そうなのである。
いくら戦争ばかりの国の人間であっても怖い物は怖いのである。
ノノンは私の不安が増えないように笑って見せたのだ。
- 418 :名無し狩人:2004/02/12(木) 22:45
- 「矢口、お前ここに来た事今更後悔してるんじゃないだろうな?
もう後戻りは出来ないんだぞ。覚悟は決めとけよ」
私とノノンの話を聞いて大谷記者が呆れた様に言う。
これで何回目であろうか?大谷記者に注意されるのは・・・・
このままでは大谷記者の足も引っ張る事になる。
私は気合を入れなおした。
「大丈夫です。おいらだって報道カメラマンの端くれですよ。
今のノノンの言葉を聞いて覚悟は出来ました。
もう迷いません。怖いけど・・・・はい、覚悟を決めました」
そんな私の言葉に大谷記者は頷くとじっと前を見つめた。
私とノノンも周りを見ながら警戒を怠らないようにするのであった。
- 419 :名無し娘。:2004/02/14(土) 22:47
- ここまで読んだ。
- 420 :名無し狩人:2004/02/15(日) 18:01
- 何事もなく車は進んでいた。しかし、突然車列が停止したのだ。
思わず私は身構える。前の方を見ると銃を持った連中が
前方の車を囲んでいた。
「うそ・・・お、大谷さん・・・・」
ビビル私にノノンが言う。
「チェックポイントれす」
「チャックポイント・・・?」
実はこの辺りはアスガンでも、ガルーダとは違う連中が支配しているのである。
その名も「北方連合」アスガンの北部に住む民族の集まりである。
私がドンシャリバンで入った大使館も、正確にはこの北方連合の
大使館なのである。彼らはここを通る車を監視していたのだ。
「なんだ・・・・よかったぁ・・・おいらはまたガルーダの連中かと・・・」
「ははは・・・気張りすぎだよ。それより矢口、ビザとか書類用意しとけよ」
「あっ、はい・・・」
ここは一種の検問所である。私は大谷記者に言われ書類を取り出す。
少しすると奴らは私達の車にもやって来た。
マドを開けた大谷記者に何やら話し掛けている。
- 421 :名無し狩人:2004/02/15(日) 18:02
- 「ビザとプレスカード・・・取材許可証出せ言ってるれす」
ノノンの言葉に私は固まった・・・・
許可証・・・・?ビザとプレスカードは貰ったでも許可証なんて・・・・
私はノノンの小声で話し掛ける。
「ノノン・・・おいら許可証なんて貰ってないよ・・・・」
「矢口しゃんそれ駄目れす・・・・・どうしよう・・・・」
困っていると検問所の兄ちゃんは大谷記者の書類を持って車を離れた。
その隙に私は大谷記者に事情を話した。
「大谷さん、おいら許可証なんて貰ってないよぅ・・・・」
「おい、嘘だろ?プレスカード一緒に貰っただろう?」
「プレスカードと一緒に・・・・・?あっ!まさかあの落書きみたいな・・・」
「そうだ、早く出せ!」
「・・・・・捨てちゃった・・・・・だって・・・・」
「馬鹿野郎!どうすんだよ?」
そんなやり取りをしていると運ちゃんがノノンに何やら話し掛けていた。
話が終わると運ちゃんの表情が固くなる。どうやら事態を飲み込んだ様だ。
流石に私を乗せているとマズイのかも知れない。
そんな中検問所の兄ちゃんが戻って来た。万事休すである。
兄ちゃんは大谷記者に書類を手渡すと私達を指差して何やら聞いている。
もう駄目だ・・・・そう思った時であった。運ちゃんが何やら兄ちゃんに
説明をしている。その話を聞いていたノノンの表情がパッと明るくなる。
運ちゃんの話に頷くと兄ちゃんは行ってしまい、車は動き出した。
- 422 :名無し狩人:2004/02/15(日) 18:03
- 「ノノン、なんて言ってる?」
「・・・・・・何がどうなったの・・・・?」
何故か検問所を通過できた私はノノン聞く。
「ノノンと矢口しゃん運ちゃんの子供」
「はい?」
ノノンから詳しく話を聞いた私と大谷記者は驚いた。
なんとあの時運ちゃんは、後ろの2人は自分の娘で、大谷記者の手伝いで
一緒に乗っていると説明してくれていたのだ。
確かにノノンは通訳をしていたし、私も取材用の機材を抱えていた。
私の格好も出発前にマーケットで仕入れた服を着ていたので
どうやら兄ちゃんには本当にそう見えたようであっさりとOKが出たのだ。
「取材の時は現地で優秀なガイドを雇いなさい」
日本を出る前に木村さはそう私に言った。
ノノンと運ちゃん、この2人は間違いなく当たりの人材であった。
- 423 :名無し狩人:2004/03/01(月) 00:51
- ついに山越えも終了した。車が進むにつれて文明の匂いがしてくる。
道端にある人家、道も整備された物になってきてついに・・・
「お店だ!」
私が叫ぶと運ちゃんがびっくりして車を止めた。
「なんだよ矢口、びっくりするじゃねーか!」
「いや・・・すいません。お店が見えたんで、つい嬉しくなっちゃって・・・」
「ははは・・・まあな。止まったついでだ。寄ってくか」
大谷記者はそう言うと車を降りる。見ると前の車も止まっていた。
「マリ!プレゼントだ!」
私が車を降りるとダニエルが缶を投げてよこした。
それはだいぶ擦れてはいたが間違いなくコーラの缶であった。
- 424 :名無し狩人:2004/03/01(月) 00:51
- 「これどうしたの?」
「そこで売ってるよ。ほれ、これも」
ダニエルはそう言って袋いっぱいのピーナッツもくれた。
やっと文明圏にやってきたのだ。たかだか2・3日の山越えであったが
なぜか非常に懐かしい。
コーラをくれたダニエルがいい奴に見えて来た。
「さて、どうやら俺達はここでお別れの様だな」
ダニエルはそう言うとその先の検問所を指差した。
ここから先はみんなバラバラに取材を始めるのである。
「じゃあ、生きてたらまた会おう」
ダニエル達のチームはそう言うと一足先に検問所を目指し行ってしまった。
「さて、俺達も行くか」
大谷記者はそう言うと買って来たコーラをノノンと運ちゃんに渡し車に乗り込んだ。
- 425 :名無し狩人:2004/03/01(月) 00:52
- 「さてと、おい矢口。いつまでも運ちゃんの娘って訳にはいかないだろう。
ここの検問所で許可証貰える様に頼んでみよう」
「はい、ノノン頼んだよ」
「大丈夫れす」
車は検問所目がけて一気に進む。
しかし途中で何故かダニエル達の車が戻ってきた。
「あれ?どうしたんだ?」
大谷記者が不思議そうに見つめていると車は何事も無かった様に
私達の車とすれ違った。見るとダニエル達が乗っていない。
訳がわからないまま私達は検問所に向かった。
- 426 :名無し娘。:2004/03/01(月) 05:39
- どうなるんだろう
- 427 :名無し狩人:2004/03/08(月) 21:42
- 検問所に着くと早速検査が始まる。
私と大谷記者はノノンを連れて交渉を始めた。
「ノノン頼りにしてるよ」
「OKれす」
ノノンはそう言うと検問所の責任者の所に臆する事も無く向かって行った。
すぐに交渉は始まった。一体どんな会話をしているのだろうか?
最初は難しい顔をしていた責任者の表情が徐々に変わって行く。
逆にノノンの顔が厳しくなって行く、しかし
遂には両者笑顔になって頷いた。どうやら交渉は上手く行った様だ。
「矢口しゃん、100ドルれす」
「はい?」
「証明書100ドルれす」
どうやら証明書の再発行に100ドルを要求された様だ。
「なんだよまた金取んのかよ!」
「我慢れす。これでもプライスダウンしたのれす」
あの時ノノンの表情が厳しくなったのはこれが原因の様だ。
しかなく100ドルを払う。ここでゴネてせっかくのノノンの努力を
無駄には出来ない。
- 428 :名無し狩人:2004/03/08(月) 21:43
- 「さてこれで大腕を振って取材が出来るぞ」
私がそう言うと大谷記者に怒られた。
「アホ!元はと言えばお前が悪いんだろ!まったく・・・・」
ノノンに笑われながらも私達は車に乗り込んだ。
しかしそこで問題が発生したのである。
出発しようとしようとした車が再び止められた。どうしたのか?
「ノノンどうしたの?」
車を止める兵士にノノンが事情を聞く。
するとノノンは驚き、悲しそうな表情を浮かべたのだ。
「何?何があったの?」
「運ちゃん・・・・ここでお別れ・・・」
「どうして?」
「ここから先、車チェンジなのれす・・・・」
訳が解らない。ノノンはその後も必死になって話をしている。
しかし、途中で運ちゃんがそれを遮った。
すると今度はノノンが運ちゃんに何か話をしている。
しかし運ちゃんは首を横に振るだけである。
少しするとノノンは諦めた様に小さく頷いた。
- 429 :名無し狩人:2004/03/08(月) 21:43
- 「ノノン悪いけど解る様に説明してくれない?」
私の言葉にノノンは説明を始める。詳細はこうだ。
あの峠を超えてやってきた車はここから先には進めない。
ここから先は車を変えないといけないのである。
理由としてはここで運ちゃんと同じ商売をしている人の仕事が
なくなってしまうかららしいが、実際はここの検問所の連中が
ここでそう言った商売をしている人達から売上の一部をピンはねしている様だ。
だからこそ無理やりここで止められるのである。
だからさっきダニエル達の車も帰って行ったのだ。
「残念だけどここでお別れですね」
ノノンにお別れは残念だと伝えて貰う。
すると運ちゃんは約束の場所まで行っていないので料金は
1000ドルで良いと言ってくれた。
しかし大谷記者は1500を渡す。
「貴方には色々と助けて貰った。だから約束の料金は払う」
運ちゃんはそれを受け取ると100ドルを私に差し出し何か言っている。
「証明書の料金は運ちゃんが出すって、言ってるのれす」
「どうして?いらないよ!」
すると運ちゃんはまたしても何か言っている。
- 430 :名無し狩人:2004/03/08(月) 21:44
- 「運ちゃん女の子供がいるのれす。仕事で会えない事が多いから
矢口しゃんと一緒、楽しかったと言ってるれす」
「そんな・・・だったらその子にこれでお土産買ってあげてよ」
だが運ちゃんは首を振る。
「しばらくは会えないのれす。だから・・・」
「じゃあさ、おいら何か変わりにあげるよ。欲しい物ある?」
私の言葉をノノンが運ちゃんに伝えると運ちゃんは
私のカメラバックについていたぬいぐるみを指差した。
「へ?こんなんでいいの?だったらこれも・・・・」
私はそう言うとカメラバックからもう一つぬいぐるみを取り出した。
このぬいぐるみは私がお守り代わりにいつも持ち歩いている物である。
ここからのお守りはこの100ドルだ。
運ちゃんはその事を伝えると、嬉しそうに二つのぬいぐるみを受け取り
握手を求めて来た。
「ありがとう。ほんとうにありがとう・・・・ここでお別れだけど元気でね・・・」
運ちゃんはその後すぐに帰って行った。あの厳しい山道をまた戻るのだ。
私達は寂しさを押し殺し新しい車を探すのであった。
- 431 :名無し狩人:2004/03/14(日) 23:23
- 次の車はすぐに見つかった。この辺りにはそんな連中がウロウロしていたからだ。
次の車で遂に私達はタベミールに到着する。ここからは本当の戦場である。
戦場・・・・それは想像を絶する物であった。
飛び交うミサイル、あちこちで聞こえる銃声・・・・
逃げ惑いながらも何とか取材を行う。
大谷記者も私も必死である。そんな中ノノンは頑張ってくれた。
私たちの無茶にも必死について来て仕事をこなしてくれた。
そして帰国の日・・・・
「ノノン、今日まで本当にありがとうね」
「矢口しゃん、また来るのれす」
「うん、約束するよ。戦争中は来れないと思うけど・・・・
絶対・・・戦争が終わったら取材に来るよ。この国の復興を・・・・
それからノノン達の頑張ってる姿を取材しにね」
「約束れす」
「うん」
それから二日後私は機上の人となっていた。
そして途中の中継地ロスイラで戦争の終結を知る。
なんと私達がアスガンを出国してすぐにカメリアが首都を制圧していたのだ。
あと二日・・・・あそこにいれば終結も取材出来たのに・・・・
それから数ヶ月が経っていた。
その日私は再び機上の人になっている。それも自衛隊の機体である。
私は復興支援の人達の取材団に紛れ込む事が出来たのだ。
アスガンに到着したら目指すはフェイサンハバダである。
ノノンが待つあの街へ・・・私はカメラを握る手に気合が入るのが解った・・・・
娘。戦記
「矢口真里の戦場レポート」
ザ・エンド!
- 432 :名無し娘。:2004/03/15(月) 00:15
- お疲れ様でした。たった今読み終えたところでしたが楽しませていただきました。
- 433 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:02
- 人◎∀◎)つ<ネタバトルに勝利! それはおいといて
マルスの続編の構想がまとまりましたので始めます。
- 434 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:04
- 宇宙に蔓延るならず者の脅威となるべく国際政府の軍部は
新造艦にそんな軍神「マルス」の名をつけた。
迫りくる環境破壊の波。もはや国家レベルで対応できる問題では無かった。
22世紀初頭、「人類皆兄弟」を謳い文句に設立された「国際連邦」。
国際連邦が発表した環境対応策は人類の「宇宙移住計画」。
人類は一度地球から離れ、地球環境を改善する。
この計画の主だった目的である。
スペースコロニー、月面都市。人類の生活圏は既に宇宙になっていた。
娘。戦記
【スペースマルス2】
地球から調査の為に派遣されたアンドロイド・ユリシーズ。
このアンドロイドの反乱も連邦軍戦闘艦「スペースマルス」の活躍で終結。
これはそれから数年後のお話である。
「お久しぶりです。お変わりありませんか?」
「おう、紗耶香も元気だった?」
「はい、おかげさまで。平家さんいい時に来ましたよ。
昨日美味しいチョコレートが手に入ったんですよ」
「マジ?そら楽しみやね」
「はい、それから・・・・・・」
「ん?紗耶香・・・?おい、紗耶香!どうした・・・・?」
土星軌道上にある防衛宇宙ステーション「CBC」
今ここに航路監視隊の訓練艦「プロポーズ」が到着して
その連絡をしている最中であった。
- 435 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:04
- 「あっちゃん。どうなっての?」
「オカシイなぁ。通信回路は正常やで。向こうから応答信号も出とるし」
プロポーズの艦長は平家みちよ。かつては連邦軍を離れ
ジャンク屋を営んでいた平家は稲葉と共に再び軍に戻っていた。
一方、平家と話をしていたのは市井紗耶香。
元スペースマルス艦載機隊レッドのパイロットであるが
現在はこの防衛宇宙ステーション「CBC」の警備隊長をやっている。
「CBC応答せよ!こちら訓練艦プロポーズ。CBC?メリットありますか?」
途中で途絶えたCBCからの連絡に
プロポーズの副長稲葉が呼びかけるが応答がない。
「おかしい・・・・何かあったのか?こうなったら強行入港だ。ルル!行ける?」
平家は航海班長のルルに船の強行入港を指示する。
「駄目です。ゲートが閉まってる」
「駄目か・・・ん?アレは・・・?」
強行を諦めた平家はステーションの外壁に
比較的大きな出入り口があるのを見つけた。
- 436 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:05
- 「あれは・・・・ステーショントレインの出入り口じゃないですか?」
ルルが言う。ステーショントレインとは宇宙ステーションの外壁を走る
いわばモノレールの様なものである。
「あそこからなら入れるかな・・・?のの、行ける?」
「うん、大丈夫!バトルポットなら入れるよ」
「じゃあ、行って様子見てきてくれないかな?」
「了解!」
そう言ってブリッジを出て行ったのは辻希美。
これまた元スペースマルスの一員であったが今はこの訓練艦の教官である。
辻はパイロット候補生のマーサ・スドーを引きつれ二機のバトルポットで
ステーション内部へと入って行った。
因みにバトルポットとは小型の戦闘用の機体である。
辻がステーションに入ってからしばらくすると通信が入った。
- 437 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:06
- 「へーけさん・・・・みんな・・・・みんな死んでる!」
「何?」
「いちーちゃんも・・・・みんなも・・・・眠ってるみたいだけど冷たいの・・・」
「何があったんや?」
「解らない・・・でもみんな・・・・動かないんだよぉ〜!!」
「のの・・・落ち着いて!パイロットスーツは脱いでないよね?」
「うん・・・」
「ステーションの管制システムは生きてるの?」
「うん、ステーションのシステムは正常みたい」
「よし、とにかく港のゲートを開けて・・・・出来るよね」
「了解・・・」
少しするとステーションのゲートが開き、プロポーズが港に入った。
「へーけさーん!」
船から下りた平家達の所に辻とマーサが走って来る。
平家達もコスモスーツを着用していた。
本来ならこの港ではスーツなど必要ないのだが安全の為に
稲葉がスーツ着用指示を乗員にしていたのだ。
- 438 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:06
- 「へーけさんみんなが・・・・いちーちゃんが・・・・」
「うん、すぐに調査しよう」
こうしてプロポーズの乗組員によってCBCの調査が始まった。
テロの可能性。あらゆる毒物・細菌兵器の調査など。
しかし、瞬時にステーションの人間全員が死亡する原因は見つからなかった。
「みんな、苦しんでる様子もない・・・・紗耶香笑ってるよ・・・・」
「きっと楽しみだったんだね。私達が来るの・・・・私だって楽しみにしてた・・・
久しぶりにいちーちゃんに会えると思ってたのにこんなのって・・・・」
平家や辻、稲葉など市井を知るメンバーは悲痛の表情を浮かべている。
もちろん他のメンバーの表情も暗い。
「とにかく戻って報告せんとアカンな」
「でも・・・みんなをこのままには出来ないよ」
「しかし連れて行く訳にもイカンやろ?原因が解らんのやし
未知の病原体の可能性だって充分に考えられるんやで」
稲葉の言葉に平家は頷く。
- 439 :名無し狩人。:2004/03/22(月) 22:07
- 「・・・て事は私たちもヤバイの?」
「さあてね。どうやろうな?けど基地に戻ってもすぐには入れてはくれんやろなぁ」
「だよね・・・・だいいちこのまま無事に戻れるかもあやしいんだよ」
辻の言葉に稲葉や平家は最悪の事も覚悟するようにメンバーに言った。
「ピースドライブ準備!」
艦内に平家の声が響く。
調査を終えた平家達は事態の報告の為、訓練を中止して
近くの拠点となる軍事基地を目指しピースドライブに入った。
- 440 :名無し狩人:2004/03/28(日) 23:00
- ハローエンジンが開発されてから数年が経っている現在では
その航続距離も飛躍的に伸びていた。
フリージアのハローエンジンに比べるともう別の物と言っても過言ではない。
地球軌道上から土星軌道上までなら、その時の惑星の位置にもよるが
大体一週間以内に行き来出来るようになったのである。
そしてこのプロポーズにもその新型エンジンが搭載されている。
今現在の位置から一番近いのは木星軌道上に浮かぶ
「サウザン・ジュピター」である。
「サウザンジュピターへ。こちらは訓練艦プロポーズ艦長平家です。
至急マコード司令に連絡したい事があります」
サウザン・ジュピターから少し離れた所でピースドライブを終えた
平家はすぐに司令官のマコードに連絡を入れようとしたのである。
「マコードだ。平家か。どうした?お前達は天王星軌道まで
訓練航海じゃなかったのか?」
「そうなのですが、至急准将にお伝えしたい事がありまして・・・」
平家がそう言うとプロポーズのメインモニターに映った
マコードの表情が曇る。
- 441 :名無し狩人:2004/03/28(日) 23:01
- 「みっちゃん、マコード司令は今、小将やで!」
隣にいた稲葉が慌てて平家に言う。
「・・・・申し訳ありません。小将・・・・」
「いや、構わんよ。で何があった?」
平家は数時間前の出来事をマコードに伝える。
報告を受けたマコードは意外にもプロポーズに基地への入港を指示した。
「このままの入港はマズイのでは?」
平家はマコードに問い掛ける。
「いや、大丈夫だ。だが隔離ポートに入って貰うぞ。そこで検査を行う」
「了解!よろしくお願いいたします」
指示があってからすぐにプロポーズはサウザンジュピターに入った。
この基地にやってくる船はいわゆる宇宙線などを浴びた船も入港する為
こう言った場合の施設も完備されているのである。
「チェック完了!基地内への進入を許可します」
船及び搭乗員の検査が終わり平家達は基地内の出入りを許可された。
早速詳しい報告をする為、全員司令室に向かうのであった。
- 442 :みゅん八先生:2004/04/05(月) 22:14
- 「状況は解った。後は調査隊を送れば詳しい事は解るだろう」
平家の報告を受けたマコードはすぐさま調査隊をCBCに派遣する。
一方、プロポーズはこの基地で一時待機の命令が下された。
「一体何がどうなってるの?」
「解らん。調査隊の報告待ちやな」
「へーけさん、私達はどうなるんですかね?」
「どうって?」
「訓練は中止ですか?」
「どうだろうなぁ・・・命令がどう来るか解んないや」
プロポーズのクルーは基地内のロビーで話をしていた。すると
「お久しぶり」
作業服を着た女性がメンバーに近づいて来た。
「おう、村さんやないか。ここやったっけか?」
そう言って稲葉が話し掛けたのは村田めぐみ。
元スペースマルスメカニックである。
- 443 :名無し狩人:2004/04/05(月) 22:15
- またまちげーた!
「話聞いたよ。市井ちゃん・・・・本当なの?」
「ああ・・・残念やけどな。この目で確認してきたわ」
「・・・・・・」
稲葉の言葉に村田は絶句する。何を言ったら良いのか。
言葉にならずただ涙がこぼれ落ちた。
「あの・・・これ・・・」
涙を拭きながら村田はファイルを平家に手渡す。
「なにこれ・・・?ん?カリワカC?」
村田の持って来たファイルには「カリワカC」と記されている。
何かの資料の様だ。
「ふむ・・・・成る程。で、今回のCBCの件はこれが原因なの?」
「解りません。でも平家さん達のデータを考えるとこれじゃないかって柴田が・・・」
「マコード司令には話したの?」
「はい、柴田から資料が来てすぐに持って行ったら平家さんに見せろって」
「そうか・・・」
平家はそう言うとファイルをメンバーに見せた。
- 444 :名無し狩人:2004/04/05(月) 22:15
- 「イマイチ解らないよ。村さん、このカリワカCってなんなの?」
「辻ちゃんは解りにくいかな。専門用語も多いしね。
このカリワカCって言うのはね、簡単に言うと人間の脳細胞を破壊する物なの」
「脳細胞?」
「そう、宇宙線・・・いや、超音波みたいな物かな?
とにかくそれを浴びた人間は脳内物質のドーパミンだかエンドルフィンだか
そんなのが異常に分泌されて最悪の場合には死亡。
良くても脳に後遺症が残って記憶障害とかあるらしいんだ」
「それじゃあ、いちーちゃんは・・・」
「まだ解らないよ。柴田も自信はないって言ってたし」
そう言うと村田は辻の横に腰をおろしす。久しぶりの再会であったが
素直には喜べない何やら微妙な空気が漂っていた。
- 445 :名無し狩人:2004/04/11(日) 22:53
- 平家達がこの基地に到着してから丸一日が経とうとしている。
プロポーズのクルーはマコードに呼ばれミーティングルームに集まっていた。
「調査隊から報告があった。結果から言おう・・・CBCの件はテロだ!」
「テロ?」
「何者かがCBCでカリワカCを使ったと思われる。
更に亜空間レーダーにお前達が調査を始めた頃にCBCから
発進したと思われる機体の記録も残っていた」
マコードも説明にメンバーは顔を見合わせる。そんな奴等を確認していないからだ。
「お前達の言いたい事は解る。だが実際の所はこれが真相だろう。
お前達の調査が甘かったんじゃない。相手が悪かったんだ。
しかし、お前達が一つだけ相手に勝っていた所もある」
マコードはそう言うとマーサを見た。
「マーサが何か?」
平家がそう言うとマコードは薄笑いを浮かべ話し始める。
- 446 :名無し狩人:2004/04/11(日) 22:53
- 「犯人の目的も正体も現在は解らない。しかしこれがテロだあることは
ほぼ断定できる。それを決定付けたのはマーサ、お前だ」
マコードの説明によるとこうだ。
犯人達はプロポーズ入港の隙をついてCBC内でカリワカCを使用する。
その際、基地の機能をダウンさせた。
これは自分達の存在の記録を残さない為であった。
プロポーズはすぐに異常に気が付く筈であるが
CBC内にメンバーが入るまでに十分脱出する時間はあると考えていた。
そして実際脱出は成功。後は逃げるだけである。
しかしここで犯人達には予想もしない誤算があったのだ。
プロポーズがCBC内に入る際、犯人達は辻がゲートの非常開閉装置を
使用すると考えていたのである。実際辻もそうしようとしていた。
しかし、辻と一緒にCBCに入ったマーサがCBCのシステムを
短時間で復帰させた為、辻は通常の操作でゲートを開けていたのだ。
「それとテロであるとの関連付けは?」
「マーサが機能を復帰させたお陰で亜空間レーダーも復帰した。
そしてやつらが逃げた形跡をギリギリながらレーダーが捕らえた訳だな」
マコードの説明に辻は不思議そうな表情を浮かべていた。
- 447 :名無し狩人:2004/04/11(日) 22:54
- 「だったら犯人はシステムを壊しちゃえば・・・」
「それだとテロだってすぐに解っちゃうでしょ。逃げる時間を稼ぐ為に
私達に考える時間を持たせたかったんじゃない?
けど予想外にCBCの機能が早く復帰した。
犯人は逃げる事には成功したけど足跡を残してる訳だね。
それに気が付いているかは解んないけどさ」
平家の言葉に辻は納得するとマーサの肩に手を乗せた。
「少なくともマーサのお陰で敵の足跡は残ったんだ。
手掛かりはゼロじゃない。いちーちゃんの仇を討てるチャンスが残ってる。
マーサ、ありがとう!」
辻の言葉にマーサは照れくさそうに笑う。
それを見ていたマコードも頷くと言った。
「辻の言う通りだ。足跡が残っている以上犯人特定の可能性はゼロじゃない。
それでだ、お前達には訓練を中止して新しい任務に就いて貰う」
マコードの言葉にメンバーは大きく頷いた。
これからマコードが出す指令の内容は誰もが瞬時に分かっていたからである。
- 448 :名無し娘。:2004/04/12(月) 06:51
- 小ネタ満載だねw イイヨーイイヨー
- 449 :名無し娘。:2004/04/12(月) 20:36
- 「総員出撃に備えて準備!明日には出発だ!」
平家の言葉にメンバーが頷く。
「訓練生はここに残って貰う。すぐに迎えも来るからそれまでは待機!」
「艦長、私も連れてってください!」
平家の指示ににマーサはこう言う。
「マーサ、気持ちは解るけどこれは訓練やないんや。
場合によっては実戦になる。お前はまだまだ訓練不足や
そんな所で優秀なお前を失う訳にはイカンからな」
稲葉はそう言うとマーサの肩に手をおいた。
「大尉・・・・どうしても駄目でしょうか?」
「ああ、アカン。お前らはこれからの軍の大切な人材や。解るな?」
「はい・・・・では皆さんご無事で・・・」
「ん、ありがとう。大丈夫や、きっと無事に戻って来る」
稲葉にそう言われたマーサはミーティングルームを出て行く。
それを見送った残りのメンバーは出撃準備の為プロポーズに向かった。
- 450 :名無し娘。:2004/04/12(月) 20:36
- 「さて・・・カッコ良いこと言ったはエエけど補充の人員はどうなってるん?」
「少将が何とかするって言ってたけど・・・」
プロポーズに出された新たな任務とは勿論CBC事件の犯人の追跡である。
敵はピースドライブを使える船を持っていることは亜空間レーダーの反応で
既に解っている事である。
そして訓練艦プロポーズにはその亜空間レーダーが装備されている。
本来であればこの亜空間レーダーは艦隊の旗艦など
数少ない艦艇にしか装備されていない。そして訓練艦であるプロポーズは
その数少ない艦艇の一隻なのである。
「さし当たってはメカニッククルーとパイロットやな」
「メカは村さんのチームが乗ってくれるって言ってたよ」
稲葉の独り言に辻が答えた。
そしてパイロットの話になった時に平家が難しそうな顔をしてやって来た。
「どうや?パイロットは?」
「それが・・・この基地の人間だと手一杯らしくて・・・」
「アホな・・・んじゃどないすんねんな?」
「参ったなぁ・・・・」
マコードは人員を用意すると約束していたが上層部の意見で
それが出来ないと言ってきたのだ。
しかしプロポーズの任務はそのまま実行との命令もあり
平家はどうすることも出来ないでいたのである。
- 451 :名無し狩人:2004/04/12(月) 20:37
- 「こうなったらマーサ達を連れて行くしかないかなぁ?」
「それは無茶やで。賛成はできひんな」
「だよね。そなると・・・・」
そんな話を2人がしている所に一隻の船が入って来た。
「なんや?・・・・輸送船か?」
その船は輸送船オネーモであった。この基地に定期的に物資を運搬してるのである。
平家と稲葉はただ何となくその船を見つめていた。
すると乗員と思われる一団が次々に降りて来る。そしてそこには・・・
「おい、みっちゃん。あいつ等・・・」
「うん。どうしてあの船に乗ってるんだろう?」
「どう見ても護衛の任務には見えんな。まあエエ、
飛んで火にいる何とやらってやつや・・・」
稲葉と平家は顔を見合わせるとその一団に近づいて行った。
- 452 :名無し狩人:2004/04/12(月) 20:37
- 「おう、お前らどうしてここにおるんや?」
稲葉は一団の中にいた数人に話し掛けた。
「あっ!稲葉さん、それに平家さんも・・・お久しぶりです」
「護衛には見えんけど・・・」
「えっ?ああ、休暇ですよ。土星の輸送船団の護衛で二ヶ月の任務でしたから
そこで人員の交代があったんです。それでジュピトリスリゾートで
ゆっくりしようと思って・・・」
ジュピトリスリゾートとは木星の衛星に作られた保養施設であり
軍人は勿論一般の観光客も訪れる場所である。
「そうか・・・でいつまでなん?」
「一応一ヶ月・・・次の船団が来るまでは・・・・って、どうしてですか?」
「そうか・・・なるほどねぇ・・・そら結構なお話やなぁ・・・」
「稲葉さん・・・?何か企んでません・・・?勘弁して下さいよ
久しぶりの長期休暇なのに・・・」
「なあに、大した事やない。ちょっとうちらに付き合ってくれればエエんや。
悪いようにはせんから・・・なあ田中ちゃん・・・」
不幸にも稲葉達に捕まったのは、田中、道重、亀井の3人。
いずれも元スペースマルスの艦載機パイロットである。
- 453 :名無し狩人:2004/04/19(月) 22:55
- 「稲葉さん・・・?冗談ですよね?」
「いんや本気やで」
「だって・・せっかくの休暇なのに・・・」
「そんなんええやん、それとも田中は市井が仲間やない言うんか?」
「は?何の事ですか?」
「えっ・・・・?ああ、悪い悪い。まだ説明しとらんかったな・・・」
そう言うと稲葉は田中達3人に事情を説明する。
CBCでの事件の事。そして自分達の任務とクルーが足りない事など・・・
「うそ・・・ですよね。そんな事じゃ騙されませんよ」
「アホ!嘘でこんな事言えるか!」
「じゃあ・・・」
田中は平家を見た。すると平家は黙って頷く。
「そんな・・・私約束したのに!今度会ったらとっておきの技教えてくれるって・・・」
話を黙って聞いていた亀井が叫ぶ。道重はただ呆然としていた。
田中は平家の頷きをみるとその場に座り込むそして・・・・
- 454 :名無し狩人:2004/04/19(月) 22:56
- 「みんな・・・・そう言う訳なんだ。力を貸してくれないかな?」
平家が3人に言った瞬間
「勿論です。こちらからお願いしますよ」
「私もやります。平家さんよろしくお願いします」
「私も・・・・あっでも一ヵ月後はどうしよう・・・?」
士気が上がる3人の中で道重は一ヵ月後の任務を気にしている。
勿論この作戦には参加するつもりではいるが自分の任務に穴をあけるのが嫌らしい。
「大丈夫それは私から少将にお願いしとくよ。じゃあ決まりって事で良いね」
平家の言葉に3人は大きく頷いた。
田中達は早速予定を変更するとプロポーズの乗艦準備を始めた。
「さて、オペレーターとかはもうすぐ柴田と斉藤が来てくれるけど
パイロットが辻を入れても4人か・・・・せめてもう一人ほしいね」
「そうやねぇ。かと言って他にあてがある訳でも無し・・・こうなると・・・」
「うん」
「あいつしかおらんか・・・けど引き受けてくれるん?」
「大丈夫でしょ。あの子は元々紗耶香の同期だし」
「だな」
こんな会話があった翌日直前に到着した柴田と斉藤を乗せ
プロポーズは一路土星軌道を目指し出航した。
目的地は勿論CBC。そしてもう一つ・・・
- 455 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:30
- 「こちら特務艦プロポーズ、オペレーター斉藤です。CBC応答願います」
「CBCです。任務お疲れ様です」
「その後変わったことはありませんか?」
「はい、我々が任務についてからは特に無いです」
「了解しました」
CBCに到着したプロポーズは連絡を取っただけでCBCに入港せず進路を変えた。
「目標、タイタンコロニー」
「了解!」
犯人の追跡は亜空間レーダーからおおよその進路は特定できている。
そして何処に向かったのかも大体の見当はついていた。
本来であればそちらに直行するのであるがプロポーズにはまだやる事があった。
そう、人員の確保である。
- 456 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:31
- 土星衛星タイタン・・・・この衛星にはコロニーが存在する。
その名もタイタンコロニー。ここは地球圏を離れ
自由気ままに暮らす人々が集まった場所である。
老後をゆっくりと過ごす人。更には金持ちで悠悠自適な人。
はたまたヒトヤマ当てて気ままに暮らす人など地球人の憧れの場所でもある。
そんな人々の中に平家達が探す人物はいるのである。
「こちらタイタンコロニー管理局です。貴艦の所属と航行目的を知らせて下さい。
貴艦は当コロニーの防衛ラインに侵入しています」
タイタンコロニーにやって来たプロポーズに予想もしない通信が飛び込んで来た。
「何これ?失礼なやつらだなぁ」
通信を受けた柴田がムッとした表情を見せる。
「本当になんだろうね。今までこんな事無かったのに。
でもまあ柴田とりあえず喧嘩してもしょうがないし
答えられる範囲で返信して」
「了解!」
平家の指示に柴田は怒りながらも返信をした。
- 457 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:31
- 「こちらは連邦軍訓練艦プロポーズです。これより識別コードを送信します。
航行目的は軍機によりお応えできませんが入港の許可をお願いします」
柴田はそう言うと識別コードを送信した。それからすぐに返事が返ってくる。
「コード確認。失礼致しました入港を許可します。誘導ビームに乗ってください」
コロニー側からそう連絡があると港のゲートが開き、誘導ビームが現れる。
ルルが誘導ビームにしたがって艦を操り、プロポーズはコロニーに入港した。
「タイタンコロニー駐留軍責任者のケンコバー大尉であります。
先程は大変失礼いたしました。実はCBCの方で何かあったらしいとの
連絡を受けまして警戒をしている所でして・・・・平家少佐でいらっしゃいますね?
CBCの事は何かご存知でいらっしゃいますか?」
平家達が艦から降りるとコロニー警備担当のケンコバー大尉が出迎えた。
ケンコバーの質問に平家は首を横に振るだけである。
- 458 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「大尉、私からは何も答えらる事はありません。しかしこの態勢は続けて下さい。
じきに軍の方からも正式に連絡があるでしょう」
「はっ。やはり何かあった様ですね。解りました、それでは連絡を待ちます」
「お願いします」
平家はそう言うと稲葉、辻、柴田を連れてコロニーの中の街に繰り出した。
この街は緑豊かな別荘地をイメージして作られた為かなりのんびりしている。
そんな街をしばらく車で走ると現れるのが巨大なショッピングモール。
ここには食料、衣料、日用雑貨から美容、医療施設など生活に必要な
施設がほとんど揃っているのである。
そんなモールの横にそびえる一軒のホテル。平家達はそのホテルの駐車場に
車を止めるとフロントに向かった。
「いらっしゃいませ。ようこそ!フロントまでご案内します」
入り口でべルボーイが丁寧に4人を迎えてくれた。
フロントに着くと稲葉が開口一番こう言った。
「オーナーおる?」
「は?お客様本日はどういったご用件で・・・?」
宿泊客だと思って対応に出たフロントの担当者は驚いた様に言う。
- 459 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「そやからオーナーに会いに来たんや。おるの?おらんの?」
「申し訳ございません。オーナーはただ今外出しておりまして・・・」
「そうなん。じゃあ待たせて貰うわ」
そう言うと稲葉はロビーの椅子に座る。
あっけに取られていた3人もそれに従った。
そんな4人の所に少しすると一人近づいて来る。そして・・・・
「お客様、失礼ですがオーナーは外出しておりますので
よろしければ支配人の私がご用件をお伺いいたします」
そう言う声に4人は聞き覚えがあった。
そしてその人物を見た瞬間、4人は笑い出した。
「わはははは・・・・なんやその格好・・・」
「あははは・・・・ホントどうしちゃったの?」
「はははは・・・・全然にあってないよ・・・・圭ちゃん」
支配人と名乗って現れた女性は保田圭、彼女も元スペースマルスクルーである。
- 460 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:32
- 「あれ!みんなどしたの?休暇?」
久しぶりの再会に保田は驚いているが当の4人は笑い続けている。
「何だよ〜。そんなに笑う事ないだろう!」
先程までの態度とはコロッと変わり素が出てきた様な保田に
「ほらほら・・・支配人がそんな言葉づかいじゃアカンて・・・それにしても・・・」
「ごめんごめん、圭ちゃんがいるなんて思ってもいなかったから」
「圭ちゃん・・・どうしてここにいるの?」
保田はユリシーズとの戦いが終わって少しすると軍を辞めていた。
普通の女の子になる。そう言って軍を去っていったのである。
「ホテルの支配人だって普通の女の子の仕事だよ!
女の子はおしとやかにして・・・・戦闘機なんて乗らないの!」
そう保田が言うとやっと4人の笑いが収まった。
保田は呆れた様な表情を浮かべながら4人を事務所に案内した。
- 461 :名無し狩人:2004/04/20(火) 22:33
- 「で?今日は何しに来たの?」
「何しにて、言うたやろ?親分に用があって来たんや」
「そうなの?でも・・・ごめんね今出かけてていないないんだよ。
二時間位前に電話があっていきなり飛び出して行っちゃったらしんだけど・・・」
「なんや圭ちゃんはそん時おらんかったんか?」
「うん」
そんな話をしていると事務所の電話が鳴った。
「はい、保田です。・・・ああ丁度良かった今平家さん達が来てるんだけど・・・えっ?」
話をしている保田の顔色が急に蒼ざめて行くのが4人には解った。
電話の相手は・・・・恐らく探している人物である。
「うん・・・・うん・・・解った。待ってる様に行っとく・・・じゃあ・・・」
受話器を置いた保田は振り返ると4人をじっと見つめた。
「本当なの・・・?」
「紗耶香?」
「うん」
「私達が第一発見者だよ。残念だけど本当なんだよ。
紗耶香笑ってたよ。笑いながら眠ってた・・・・」
「そう・・・・」
保田はそう言うと椅子に座り込み4人にここにいるように告げた。
- 462 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:24
- 「紗耶香は確かCBCだったよね?何があったの?・・・って言っても答えられないか」
「ごめんね。いくら圭ちゃんでも今はまだ・・・・」
「だよね。それにしても・・・信じられないよ・・・・」
市井の事を知った保田は落ち込んでいるが比較的冷静な表情を浮かべている。
「で?親分は何処行ってるの?」
「良く解んないけど・・・話の感じからすると紗耶香の家族と連絡取ってるみたい」
「家族・・・?何や?どうして家族から・・・・」
「解んないけど、この前紗耶香が家族連れて来たんだ。
そん時元同僚だって話したから・・・それで連絡があったのかも」
「そうか・・・いくら軍機とは言え、家族には連絡するからなぁ」
そんな話をしているとまたしても事務所の電話がなった。
「はい保田・・・・ああ・・・今何処にいるの?・・・・タイタン?
タイタンのスペースポートだね。・・・・うん・・・お葬式?・・・うん・・・」
保田はしばらく話をすると再び受話器を置いて言った。
- 463 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:24
- 「あのね。今紗耶香の家族がタイタンにいるんだって・・・
いろいろ話があるから今日は戻れないって・・・・」
「マジか?参ったな・・・・」
「そうか・・・・どうしよう・・・?」
保田の言葉に稲葉と平家が困惑していると
「あの・・・保田さんじゃ駄目なんですか?」
柴田が2人に言った。
「へ?圭ちゃん・・・・?」
「そうか!そうだよね!」
平家が思い出した様に言う。
「何・・・?一体何なの?」
「ごめん・・・実は矢口に頼みごとしようと思ったんだけど・・・
うん圭ちゃんでも良いんだよ。あのね・・・・」
平家はそう言うと事件の経緯、そして任務に当たってのパイロットが
足りない事を保田に話した。
- 464 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「・・・・そうか・・・・紗耶香はそれで・・・・って事はこれは敵討ちだね。
パイロットか・・・・うん解った。引き受けるよ。
でも大丈夫なの?私はもう軍の人間じゃないんだよ」
「それは問題なし!マコード司令に許可は貰ってあるの。
民間人の一時的な起用を申請してあるから・・・・」
「そんな制度あったっけ?」
「今回の特例。元軍人で身元はしっかりしてるし、本当は矢口で申請したんだけど
圭ちゃんでも立場は同じだし問題無いでしょ」
平家がそう言うと保田は早速親分・・・つまりこのホテルのオーナーであり
雇い主の矢口に連絡を入れた。
矢口とは・・・そう、これまた元スペースマルス隊の一員である矢口真里の事である。
矢口はユリシーズとの戦いが終わってしばらくすると、突然大金持ちになっていた。
これはまだ人類が地球で暮らしていた頃に「月の土地の権利」と言う物が
シャレで販売されていたのだ。その時に矢口の数代前の先祖がその権利を
シャレで買っていたのだが、なんとその権利が現在実際に認められていて
そんな事など知らない矢口の元に「月開発公社」より突然連絡があり
土地を買い取りたいと言われ、その土地を売ったお金でこのホテルを
始めていたのだが、その時に矢口は軍を辞めており
現在は保田と同じ民間人なのである。
- 465 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「矢口驚いてたよ。でも出張扱いにしてくれるって・・・・
本当なら自分が行きたいって言ってた。でも今は・・・・」
「解っとるよ。矢口の仕事は敵討ち以上に大切な仕事や。
家族直々の頼みじゃしゃーないやん」
元スペースマルス艦載機隊レッドのリーダー保田圭が新たにクルーとして
プロポーズに加わった。
これ以上の時間は無駄に出来ない為、保田が乗り込むとプロポーズは
すぐに出航した。
「目標、天王星!ピースドライブ準備!」
亜空間レーダーの痕跡から敵は土星よりも外宇宙に移動した事が解っていた。
そして、このところ太陽系を騒がせている反連邦組織の拠点も
この辺りにあるのでないかとも予測されていた為、平家の出した答えが
天王星だったのである。
「それで?向こうに着いたらどうするの?」
「どうって?」
「ただ闇雲に探す訳じゃないでしょ?」
「目星はついてるの。実はね今回の訓練もそれを探るって言う
意味もあったんだよね」
「ホンマか?聞いとらんでそんなん!」
ブリッジで話をする保田と平家の会話に稲葉が入って来た。
- 466 :名無し狩人:2004/04/22(木) 22:25
- 「みっちゃん、そう言うんはうちにも言っといてもらわんとなぁ」
「いや、これはあくまで私と和田中将の推測だから・・・・
だから正式なミッションじゃなかったんだ」
「けどやなぁ・・・」
「ごめん。これからは言うよ」
そんな話が終わりかけると
「ピースドライブ終了・・・・現在地、天王星まで6万ミニモ」
柴田の声が聞こえて来た。
ミニモとは宇宙単位で、宇宙を航行する船舶などが使用する距離を表す単位である。
「さて、ここからが本番だよ」
「作戦は?」
遂にプロポーズは作戦空域に入った。ここからは決して気を抜けないのである。
- 467 :名無し狩人:2004/04/27(火) 00:58
- 平家はルルに天王星に向かう様に指示を出す。
作戦はとにかく敵をおびき出すと言う無謀とも言える物であった。
「天王星に敵の根拠地があるの?」
辻の問いにメンバーは笑い出した。
「ははは・・・辻さん。天王星は主成分が水素とヘリュウムの
ガスで覆われた惑星ですよ」
「え?」
「お前、良くそんなんで軍の入隊試験に通ったね」
田中と保田の言葉に辻はまだ不思議そうな顔をしていた。
「こらこら、笑っとる場合やないで。可能性としてはあるかも解らんのやから」
「そうなの?」
「そりゃそうやろ。全部がガスな訳やないんやし・・・なぁ、みっちゃん」
稲葉の言葉に平家は首を横に振る。
- 468 :名無し狩人:2004/04/27(火) 00:59
- 「可能性はゼロじゃないけど・・・・」
「目星はついとるんか?」
「ミランダ・・・・」
平家は言う。ミランダとは天王星の衛星の一つで
地表に大きな溝を持ち、ゲリラの隠れ家に丁度良い場所でもあるのだ。
「そこまで解っててなんで今まで何もしなかったの?」
保田の問いに
「今の連邦軍は荒廃しきってるからね」
平家は寂しそうに答える。
反連邦組織は別に今プロポーズが追っている組織だけはない。
ただどれも大きな組織ではない為、軍はあまり重視していないのである。
その為、何か事件があってもその場しのぎの対応しかせず
今回の様に調査隊が出ることは稀であった。
- 469 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:06
- 「ミランダまで5000ミニモ。エネルギー反応キャッチ!」
柴田の声に平家が動いた。
「総員戦闘配備!ミネルバシステム作動!」
艦内に警報が鳴り響く。保田達艦載機チームは素早くカタパルトに行くと
戦闘機に乗り込んだ。
柴田と斉藤はミネルバシステムを作動させる。
「ミネルバシステム」とは自動迎撃システムの事で
ユリシーズとの戦いがあった頃に、スペースマルス隊のメカニックであった
大谷雅恵が開発した「オートコンバットシステム」を原型とし
それを発展させシステムである。
因みに名前の由来はギリシャ神話に登場する英雄「ペルセウス」に
盾を送った女神「アテナ」のローマ名から来ているのだが
これは数世紀昔にあった「イージスシステム」のからの名残であるとも言われている。
- 470 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:07
- 「前方より艦艇3隻接近!セレス級戦闘艦です!」
「識別は?」
「識別コード・・・あれ?」
「どうした?」
「イダとマチルダ・・・それにガスプラになってます」
「アホな・・・」
プロポーズに接近する戦闘艦の識別コードは、火星衛星基地「アレス」に
籍を置く戦闘艦のコードであった。
しかしながらこの場所にその三隻が存在する筈など無い事は
プロポーズのメンバーなら誰でも知っている事である。
なぜならクルーのほとんどがかつてアレスにいた者ばかりだからである。
「斉藤・・・・」
平家が斉藤を見る。
「間違いなく偽物です。あの三隻は今改修中です」
斉藤は言った。オペレーターの斉藤瞳は今でもアレスに籍を置いている。
その斉藤はこのプロポーズに乗り込む為、アレスからやって来た。
そして出発前に、今目の前にいる三隻の改修を行っていた大谷に
声をかけて来たのだ。
- 471 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:07
- 「柴田、コンタクト取れる?」
「やってみます・・・・ガスプラ応答願います・・・・」
柴田が現れた戦闘艦に通信を試みた。
「・・・ガスプラです」
「こちらは連邦軍訓練艦のプロポーズです。貴艦隊の航行目的を知らせて下さい」
「申し訳ありませんが軍機によりお答えできません」
「了解しました。私はプロポーズ艦長の平家です。貴艦の艦長をお願いします」
「は?」
平家はガスプラの艦長と話がしたいと申し出た。
ガスプラの艦長・・・もしガスプラが本物であれば
アレスのカドー大尉が指揮を取っている筈である。
「・・・・艦長はただ今休憩中です・・・」
「休憩中?ほう・・・いい根性やな!上官の呼び出しをシカトかい!」
平家がそう言うと相手の通信が途絶えた。
「作戦開始!」
平家の声が艦内に響き渡った。
と同時に保田達艦載機チームが飛び出してゆく。
- 472 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:08
- 「レーザーカノン三連速射!右舷対艦ミサイル開け!」
プロポーズは先制攻撃を仕掛けた。
思わぬ攻撃に敵艦隊は混乱しているようだ。
「レッドリーダーより各機へ!私達は偽マチルダを叩くよ!」
「圭ちゃん・・・」
「何?」
攻撃を仕掛けようとした保田に辻が言う。
「私、レッド隊じゃないよ」
「あっ・・・・しまった。ブリーフィングしとけば良かったね・・・基本だったのに・・・
ごめん、じゃあ昔のコールサインで行くよ。みんな良い?」
「レスラッテ+了解!」 「ノギーメタンア了解!」
「キースギテック了解!」 「サーユナルシス了解!」
「いいねえ、その調子!んじゃ改めて・・・ケメンダヤスより各機へ・・・
指示は・・・さっきの通り!行くよ!」
保田は軍を離れてかなり経つ。
今回は久々の戦闘であった為、つい昔の癖が出てしまったのだ。
保田はかつてのスペースマルスレッド隊のリーダーであるが
辻はイエロー隊であり、他の3人はホワイト隊である。
それに今の辻達には現在の所属の部隊があり
それぞれのコールサインを持っている。
なので混乱を避けるため保田は昔のコールサインで指示を出したのである。
- 473 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:08
- 「敵艦、艦載機を出してきました」
「とうとう化けの皮をはいだか・・・・」
攻撃を始めた敵艦から艦載機が発艦してプロポーズに襲い掛かってくる。
するとミネルバシステムが自動的に応戦を開始した。
「戦闘も楽になったな。まったく大谷はエライもん作ったもんやで」
ミネルバシステムの働きに稲葉は感心をしていた。
それ程このシステムは画期的だったのである。
「亜空間レーダーに反応あり!」
斉藤の声がするとプロポーズの後方に艦隊が現れた。
「・・・・・所属不明艦多数・・・・・識別にありません・・・」
「えっ?・・・・・・・」
柴田の声に平家は絶句する。すると
「敵艦隊沈黙!軽い軽い!」
保田の声が通信機から聞こえて来た。
しかしそれに答える者は誰もいない。
- 474 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「ケメンダヤスよりプロポーズへ。どうしたの?」
「圭ちゃん・・・まずいよ・・・」
異変に気がついた辻はプロポーズの後方に展開する艦隊に気がついた。
「なんだあいつ等・・・」
「うそ・・・保田さんあいつ等ウィラポーンです!」
田中はそう言ったが保田はそれが何なのか知らなかった。
反連邦組織「ウィラポーン」田中は過去に戦った経験があった。
「田中。ウィラポーンってどんな連中なの?」
「かなり戦いには慣れていると思います。まえに一度戦った事があります」
「その時の状況は・・・?」
「決着は付かなかったですが・・・・正直あのままだったら負けてたかも・・・」
田中は現在物資輸送船団の護衛部隊にいる。
そしてその船団の護衛中に突然現れたのがウィラーポーンであった。
田中は出撃する間もなく一隻の僚艦が目の前で撃沈された。
そして田中が出撃した時には既に消えていたのだ。
- 475 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「あいつら・・・・あの時には解らなかった・・・でもその後犯行声明が出て・・・」
「ニュースには無かったね・・・」
「上は大した問題じゃないって・・・・」
田中の言葉からその時の悔しさが伝わってきた。
保田はすぐに機首を反転させた。
「みんな行くよ!」
そうして艦載機隊が攻撃に出ようとすると
「やめなさい!圭ちゃん・・・勝てないよ」
平家が止めた。
「逃げるの!」
「あたりまえでしょ。早く戻って」
「でも・・・・紗耶香の仇だよ」
「自分がやられたら意味無いでしょ!」
平家の指示に保田は従うしかなかった。
普通に考えれば今は勝てる状況ではない。
敵艦隊は五隻。それも先程叩いた旧式の戦闘艦とは訳が違うのである。
- 476 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:09
- 「敵艦隊が攻撃開始しました」
「艦載機隊収容急げ!」
敵の攻撃を何とか迎撃しながらプロポーズは保田達を収容する。
「全速転進!離脱急げ!」
敵の攻撃を掻い潜り何とか逃げようとするプロポーズ。
「駄目です。逃げ切れません」
柴田の叫び声が響く。
「諦めるな!爆雷散布!」
何とかして離脱を図るプロポーズだったが敵の追撃も厳しい。
「第二ブースター被弾!速度低下・・・」
逃げるプロポーズにこの被弾は致命的であった。
- 477 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:10
- 「ピースドライブ準備!」
「無茶です!こんな状態で!」
「他に方法はない!」
敵の追撃をかわすにはもうピースドライブしか方法は無かった。
しかしながら高速移動中のピースドライブはあまりにも危険なのである。
そんな中、平家は決断をした。無茶でもやるしかない・・・だが
「ハローエンジン出力低下・・・どこか被弾した様です」
最後の策であるピースドライブもハローエンジン被弾により出来なくなった。
「くそ!こうなったら・・・攻撃だ!」
逃げ切れないと判断した平家は戦いを挑む覚悟を決めた。
メンバーもまたその覚悟が固まっている様だ。
「みんな・・・やれるだけやるよ」
「了解!」
保田達は再び出撃して行った。その後に稲葉と村田が続く。
- 478 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:10
- 「戦闘機は多いほうがええやろ。指揮は・・・圭ちゃん任せたで!」
「了解!ケメンダヤスより各機、敵機を一機もプロポーズに近づけるな!」
「了解!」
艦載機7機はプロポーズの正面に陣取った。
迫り来る敵艦載機を迎え撃つ為である。
「対艦ミサイル多数接近!」
「打ち落とせ!」
プロポーズの艦橋も既に修羅場と化していた。
死をも覚悟したメンバーが必死になっていたのである。
「第一、第二カタパルト被弾!」
「ミネルバシステム使用不能」
被害状況が続々と報告される。
「ほらほら・・・どんどんきやがれ!」
迎え撃つ保田は次々に敵機を叩いて行った。
しかし
- 479 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「主砲使用不能・・・・レーザーカノン・・・消滅・・・」
「これ以上応戦は不能です!」
斉藤は平家を見た。
「総員退艦急げ!」
「えっ?」
「早くしろ!」
「平家さんは?」
「私は・・・・残るよ・・・」
プロポーズは既に撃沈寸前であった。
クルーに退艦を指示した平家は艦長席に座ったままである。
「みんな早く!」
柴田が指示を出し脱出用の小型艇にクルーは乗り込んで行く。
「馬鹿な事言ってないで行くよ!艦と運命を共にする艦長なんて
時代遅れもいいとこだよ!」
斉藤はそう言うと平家の右手を引っ張った。
- 480 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「・・・・・」
動こうとしない平家、すると
「ほら!みちよ!行くぞ」
柴田が平家の背中を叩いた。
「痛いな〜・・・何すんだよ!」
思わず立ち上がる平家。
その瞬間ここぞとばかりに斉藤が平家を引っ張った。
「こら!放しなさい!」
斉藤と柴田の2人がかりで引きずられる平家が叫んでいる。
- 481 :名無し狩人:2004/04/28(水) 18:11
- 「はいはい、脱出艇に着いたら離しますからね。
それまではおとなしくしてましょうね」
まるで子供をあやすかのような口調で言う斉藤。
それでも平家はもがいていた。
「お待たせ!ルル良いよ!」
やっとの思いで脱出艇に平家を引きずり込んだ斉藤が
操縦席に座るルルに叫んだ。
「出ます!」
既にあちこちが火を吹いているプロポーズから
何とか脱出艇は飛び出して行った。
- 482 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:08
- 平家達が脱出してから少しすると遂にプロポーズが大爆発を起こした。
「ああっ・・・」
消え行くプロポーズをメンバーが呆然と見ていると
「ちくしょー!これで終わりだと思うなよ!」
柴田はそう言うとルルの隣のシートに滑り込んだ。
すると斉藤もそれに従い動きだす。
「フリージア2よりケメンダヤスへ。作戦続行!」
柴田はそう言うとボーっとしているメカニックメンバーに叫んだ。
「何やってんの?後ろにバトルポッドがあるからさっさと行って来い!」
この脱出艇は見かけの割には中が狭かった。
みると後ろの方に扉が見える。
- 483 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:09
- 「ちょっと柴田。解る様に説明してよ」
訳の解らない平家は柴田に聞く。
元々この脱出艇は柴田と斉藤がアレスから持って来た物である。
そして名前がフリージア2。そうこの機体はアレスにある訓練艇フリージアの
後継機なのである。小型ながらその戦闘能力は航路監視隊の警備艇に匹敵し
後部の格納庫にはバトルポッドも搭載している。
「諦めないで行きましょう。まだ終わってませんよ」
柴田の説明が終わると平家は頷く。
「バトルポッド隊出撃!簡単にやられるな!」
その言葉にフリージア2のバトルポッド隊6機が飛び出して行く。
保田達に合流すると戦闘を開始した。
「こっちも負けてられないよ。攻撃開始!」
斉藤はそう言うとミサイル攻撃を開始する。
更にはフリージア2の機体内部に収納されていたレーザーカノンが姿を現す。
- 484 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:09
- 「目標補足・・・・発射!」
レーザーカノンが敵艦に向かって放たれる。
「・・・駄目か・・・・あまり効果はないみたいだね」
残念ながらフリージア2のレーザーでは敵艦に致命的なダメージを
与える事が出来なかった。
「レスラッテ+よりフリージア、補給は・・・無理・・・?」
「辻ちゃんごめん。余裕はないよ」
辻の連絡に斉藤が悔しそうに答える。
「解った。まだ何とかなるけど・・・うん頑張ってみるよ」
「お願い」
辻の言葉はそのまま戦闘機に乗っているメンバーの言葉でもあった。
敵の艦載機こそかなり叩いてはいるが肝心の戦闘艦の方には
まったくと言ってほど攻撃ができていない。
こちらは消耗するばかりである。
言葉には出さないでいたが攻撃手段がなくなるのは時間の問題である。
- 485 :名無し狩人:2004/04/28(水) 21:10
- 「・・・・・逃げると言ってもこれじゃあね・・・・・」
平家は考えた。この状況を打破できる策はないのか・・・・
こちらは消耗するばかりだ。フリージア2も被弾こそしていないが
いつやられるか解らない状況である。
みんなで無事に生きて帰る方法悩む平家・・・そんな時である。
フリージア2のレーダに反応があった。
「レーダに反応・・・・ピースドライブを終えた艦艇が現れたようです」
「新手か・・・」
「・・・いえ・・・・平家さん!マルス2とガスプラです!」
そこに現れたのは連邦軍戦闘艦マルス2。
そして本物の戦闘艦ガスプラであった。
- 486 :名無し狩人:2004/04/28(水) 23:08
- 「ピースドライブテスト終了。現在地天王星付近」
マルス2オペレーター石川梨華がテストの終了を告げる。
「コンディションオールグリーン。航海に問題なし!」
航海班の前田有紀は船体に問題が無い事を告げた。
「これでテストは終了だね。連続でのピースドライブも問題無いみたいね」
マルス2艦長の安倍なつみは安心した様に呟いた。すると
「レーダーに反応。三時の方向・・・・戦闘中の艦艇があります」
「総員戦闘準備!梨華ちゃん。情報収集急いで!」
「了解!」
火星衛星基地アレスの戦闘艦マルス2とガスプラは
新しく搭載されたハローエンジンの性能を確かめる為
連続でのピースドライブテストを行っていた。
そしてテスト終了と共に平家達が戦っている空域に姿を現したのである。
これは偶然の一致なのであろうか?
「戦闘中の艦艇の識別が確認出来ました。一方はまったくの所属不明ですが
もう一方は・・・・大変!フリージア2ですよ!」
石川の報告に安倍は慌てて指示を出した。
- 487 :名無し狩人:2004/04/28(水) 23:09
- 「砲門開け!目標所属不明艦隊!当艦はこれよりフリージア2の援護を開始する」
安倍の声にブリッジに緊張が走った。
「レッド隊順次発艦して下さい。攻撃目標は所属不明艦隊です」
「レッドリーダー了解!」
石川の指示に答えたのは後藤真希。後藤は保田がいなくなってから
レッド隊のリーダーを任されているのである。
「レッドリーダーより各機へ。味方機を攻撃するなよ!」
「ケッカー了解!」 「スコロンダ了解!」 「ゴロMAX了解!」
後藤率いるレッド隊は素早く戦闘空域に斬り込んで行く。
「フリージア2より、マルス2へ。ありがとう、助けに来てくれたんだね」
マルス2に平家から通信が入った。
「マルス2よりフリージア2へ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない。プロポーズやられちゃったよ」
平家の言葉に石川の表情が曇った。プロポーズと言えば戦力は
マルス2とさほど変わらない。むしろマルス2より性能は上の筈である。
「安倍です。平家さん敵の戦力は?」
「解らないよ。1対5であっという間にやられちゃったから」
敵の戦力はまったくの未知数。しかも数はこちらより多い。
テスト航海でいきなり戦闘に巻き込まれた安倍の脳裏に不安がよぎっていた。
- 488 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:48
- 「シルバーリーダーよりマルス2、フリージアの艦載機隊は何機?」
ガスプラ艦載機隊リーダーの福田から通信が入る。
「すいません。えーと・・・フリージアのバトルポットは6機です・・・
それから・・・プロポーズの艦載機が・・・・現在7機・・・計13機です。
リーダーは・・・・え?ケメンダヤス・・・・何これ?」
石川は現場に保田がいることなど当然知らない。
更には田中、道重、亀井、村田、予想もしていないメンバーの
識別コードが飛び交い混乱している。
「ちょっと梨華ちゃんしっかりしてよ!プロポーズ隊のリーダーは?」
シルバー隊リーダー福田明日香は混乱している石川に喝を入れた。
「ごめんなさい・・・・えーと・・はい大丈夫です。
プロポーズ艦載機隊はよく解んないですけど保田さんが指揮してる様です」
「シルバーリーダー了解!」
情報が交錯する中なんとか石川は全てを把握し始めた。
現在の状況その他諸々・・・・
- 489 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:49
- 「マルス2よりケメンダヤスへ、保田さんですよね?ここにいる理由は後で聞きます。
今はレッド隊と合流して敵艦に攻撃をお願いします」
「ケメンダヤス了解!石川・・・成長したね」
「ありがとうございます。えーと・・・稲葉さん聞こえますか?」
「あいよ」
「石川です。稲葉さんはプロポーズ隊の指揮をお願いします。
これからガスプラのシルバー隊がそちらに向かいます。
到着次第レッド、シルバー両隊のバックアップをお願いします」
「了解や!」
マルス2の参戦により艦載機隊は陣形を組みなおすと
新たな攻撃隊形を作り始めた。
「敵艦載機フリージアに接近!」
マルス2の大木がフリージアへの敵機の接近を知らせる。
「グリーン隊、フリージアのバックアップをお願いします」
「グリーン3了解!」 「グリーン4了解!」
マルス隊の自艦防衛部隊グリーン隊。
里田まい搭乗のノンクラクション、そして斎藤美海搭乗ホカノドーガ。
二機の戦闘機はフリージアを護衛すべく出撃する。
- 490 :名無し狩人:2004/05/02(日) 00:49
- 「マックゴルドよりケメンダヤスへ。攻撃の指示を願います」
「・・・・自分で考えなさい」
「えっ?」
レッド隊と合流した保田に、レッドリーダー後藤は昔の様に指示を仰ぐ。
しかし保田の答えは「自分で考えろ」であった。
「後藤、もう私はあなたの上官じゃないんだよ。今のレッドリーダーは後藤でしょ。
だったら私が従うよ。レッドリーダー、指示をお願いします」
「・・・・・レッドリーダーよりレッド隊各機へ、Wフォーメーション!」
保田の言葉に後藤が出した指示は、「Wフォーメーション」
この陣形はリーダー保田時代からレッド隊が得意とする
必殺のフォーメーションである。
- 491 :名無し娘。:2004/05/02(日) 01:11
- 更新お疲れ様です。前のもそうだったけど艦隊戦は特に好き。
- 492 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:17
- 「レッドリーダーよりシルバーリーダーへ、援護をお願いします」
「シルバーリーダー了解!」
既に敵艦隊を射程圏内に捕らえていたレッド隊は
攻撃の為、更に敵に接近する。
「レッドリーダーより前衛三機へ、攻撃開始!」
後藤の指示で吉澤のケッカー、アヤカのスコロンダ、小川のゴロMAXが
突破口を開く為、敵艦隊の護衛機に襲い掛かる。
「レッドリーダーよりケメンダヤスへ、突っ込むよ」
「了解!」
吉澤達が作った突破口から後藤と保田が敵艦隊に襲いかかった。
「ロックンロール!」
後藤と保田はほぼ同時にこう叫ぶと、対艦ミサイルを放つ。
ミサイルは敵艦隊で一番前に出ていた戦闘艦の艦橋を破壊した。
- 493 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:17
- 「各機、全速反転離脱する!」
後藤の声にレッド隊のメンバーは機首を反転させると敵艦隊の前から
一気に飛び去って行った。
「シルバーリーダーより各機、攻撃開始!」
レッド隊からすぐに、間髪を入れず福田のシルバー隊が攻撃を開始する。
「うちらはバックアップやで。ええか?」
稲葉を先頭にプロポーズ艦載機隊が敵艦載機隊に襲い掛かる。
田中、道重、亀井、村田は敵艦隊の弾幕をぬって次々に敵機を叩いて行った。
「レッドリーダーよりマルス2へ、これより補給の為帰艦する」
「マルス2了解!」
敵艦隊に最初に攻撃を仕掛けたレッド隊はかなりの消耗をしていた。
残弾も残り少ない為マルス2に補給の為、戻るのである。
「至急補給お願いします。すぐに出ます!」
マルス2に帰艦した後藤はカタパルトデッキにいたメカニック
大谷雅恵に声をかけた。
- 494 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:18
- 「OK、すぐにやるから・・・」
大谷はそう言うとメカスタッフに指示を送る。そこに保田がやってきた。
「大谷ちゃん、元気だった?」
「保田さん!どうしたんですか?」
予想もしていなかった保田の登場に大谷は驚きを隠せない。
一瞬固まっていたが保田の簡単な説明で現状を理解した様である。
「事情は解りましたけど・・・保田さん大丈夫なんですか?」
「何が?」
「だって、しばらく戦闘はやってないでしょ?ブランクもあるだろうし」
大谷はしばらく軍から離れていた保田を心配している。
- 495 :名無し狩人:2004/05/04(火) 02:18
- 「大丈夫だよ。戦闘はしてなかったけど、腕は鈍ってないよ」
「そうですか。なら良いですけど」
「それより大谷さあ、このSF−22って乗りにくくない?」
「そんなこと無いですよ。SF−22は軍の主力戦闘機ですよ」
「でもしっくり来ないんだよね」
「うーん・・・機体との相性なのかなぁ・・・・あっ!そうだ!」
大谷は何かを思い出した様に1人のメカスタッフに声をかける。
「7号リフト下ろせ!」
大谷がそう言うとデッキの奥にあるリフトが動き出した。
ゆっくりと動くリフト。見ると戦闘機が一機乗っている。
連邦軍型式SF−14S。SF−14戦闘機の強化タイプである。
そしてその機体の機首にはローマ字の「K」を象ったエンブレムが
「大谷!」
今度は保田が驚きの声をあげる番である。
「K」のエンブレムが描かれたSF−14Sと言えば連邦軍ではたった一機しかない。
旧レッドリーダー「レッドワン」
そうこの機体こそ正真正銘の保田の愛機「ケメンダヤス」なのである。
- 496 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:46
- 「またこいつに乗れるなんて思ってもみなかったよ」
懐かしい愛機のコクピットに座る保田は笑った。
「何もかも昔のままですよ。それじゃあ行ってらっしゃい!」
補給が終わり再び出撃するレッド隊。
保田は愛機の操縦桿を握ると言った。
「ケメンダヤス出ます!」
マルス2より飛び出したレッド隊。
「攻撃目標セットアップ完了・・・」
機体を乗り換えた保田は全てのデータの入力を終える。
そして
「レッドリーダーより各機、まずは近くにいる敵機を叩く。
それが終わり次第シルバー隊のバックアップに入る」
保田の突然の指示に本来のリーダーである後藤は一瞬躊躇ったが
何も言わずに指示に従う。
- 497 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:47
- それは他のメンバー同じであった。保田が先程後藤に言った事に
あえて突っ込みを入れる事もなく指示通り動き始めた。
一方こちらは敵艦隊の旗艦の中・・・・
「連邦軍もなかなかやるな・・・どこの部隊だ?」
そう言ったのは「キオナ・ザワーショ」・・ウィラポーンの総帥である。
「あれはマルス2とガスプラ・・・・アレスの戦闘艦の様です」
「ガスプラ・・・?なんとも良いタイミングで現れたな。
それにマルス2か・・・すると連中は例のアンドロイドの・・・」
「はい、ユリシーズを叩いた連中です」
「そうか・・・そうなると面倒だな」
キオナは表情を変えず淡々と話をしている。
しかしその言葉からはマルス隊が簡単な相手では無いと言う
認識を持っている事がうかがい知れた。
「今の戦力なら奴等を叩く事は出来るか・・・しかしこちらもただでは済むまい」
「撤退しますか?」
「そうだな・・・・」
キナオはそう言うと全艦に撤退命令を下す。
同時にあれだけいた艦載機隊が一気に引き上げて行く。
- 498 :名無し狩人:2004/05/05(水) 22:47
- 「なんだ?どうしたんだ?」
目の前の敵が急に引き返して行き保田は驚いている。
福田は突然の事に警戒しシルバー隊及びプロポーズ隊を敵艦隊から離脱させた。
そしてシルバー隊とプロポーズ隊が引き返した時である
ウィラポーン艦隊が保田達が叩いた一隻を残しピースドライブを開始した。
「敵艦隊ピースドライブに入ります!」
「えっ?急にどうしたんだろう・・・?」
突然の敵艦隊の撤退にマルス2のクルーは驚きの表情を浮かべる。
「一隻残ってますね・・・」
石川は敵艦が一隻残っている事に疑問を抱く。
だが安倍は躊躇いも無く主砲発射の指示を出した。
「発射!」
合図と共に放たれた主砲のエネルギー弾は残っていた敵艦を消し去る。
これによって特に問題が発生する事は無かった。
「急にどうしたんだろう・・・?」
「さあ・・・・」
明らかに劣勢の状況であったが敵艦隊は撤退をして行った。
いったい何故敵は撤退したのか・・・・
彼女達がその理由を解る筈も無かった。
- 499 :名無し娘。:2004/05/08(土) 18:02
- 良い感じだね
- 500 :名無し娘。:2004/05/09(日) 17:07
- 500
- 501 :名無し狩人:2004/05/10(月) 22:55
- 申し訳。ここで一旦切ります。
再開は・・・なんとも・・・はい・・・。
スマソ。
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