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小説?『娘。戦記』
- 1 :名無し狩人:2003/09/08(月) 17:51
- 【ご挨拶】
どうもです。名無し狩人と申します。
羊で小説もどきをやっておりました。
誰でも参加OKと言う管理人さんのご厚意に甘え
こちらで一つ始めさせていただきたいと思います。
管理人様、及び狩狩板の皆様。よろしくお願いいたします。
- 147 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:03
- 「それでは私も・・・・」
「いや、藤本はええやろ、知らんやつなんかおらんからな」
「えっ?・・・そんな・・・」
藤本の自己紹介を中澤が遮る。そして
「これから、この4人が新しい仲間になる。担当部署はまた明日って事にして
とにかく一週間の長旅や、今日の所は部屋でゆっくり休んでや。
えーっと・・・紺野!4人を居住ブロックに案内してやってくれ」
「了解!」
中澤に言われ紺野は席を立つと4人を居住ブロックに案内した。
- 148 :名無し狩人:2003/09/29(月) 00:25
- ( `_´)<更新の量が少なくて申し訳・・・・
本日仕事中に目を傷めまして・・・
とりあえず明日は様子を見てになるのでひょっとしたら
お休みになるかも・・・・よろしくです。
- 149 :名無し娘。:2003/09/29(月) 01:11
- 無理は傷に触るので養生しる。
- 150 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 藤本達4人が到着してから既に数時間が経過していた。
中澤は、飯田、安倍、保田、矢口の4人と藤本達の
配置について話し合ってる。
「4人とも基本的にはパイロットな訳やし、やっぱ艦載機隊やろうな」
中澤はそう言うと4人の意見を求める。
「そうだなぁ、ブリッジはそれ程でもないし、この前の、のの、の件もあるし
やっぱりイエローの増員かな?矢口どう思う?」
「オイラはそれよりオイラ達とグリーン隊の間に入る部隊が欲しいな。
けどそうなるとそこに入るのは経験者になるよね」
結局はっきり決まらないまま、とりあえず明日以降の出動で
藤本達を実戦投入しどうするか決定する事になった。
ただし4人の振り分けは決定していた。
田中・亀井がマルス1、藤本・道重はマルス2である。
- 151 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:48
- 「MJ−04より緊急連絡!護衛船団のSOSをキャッチしたとの事です」
オペレーター斉藤が言う。
「情報分析!柴田!レーダーは?」
「MJ−04・・・第三輸送船団が航行中です」
柴田が答える。すると
「護衛艦、ネープルVより緊急入電!第三輸送船団が襲撃を受けています」
「第三輸送船団後方・・・所属不明の船団をキャッチしました・・・
うそ!速度が速い・・・第三船団囲まれました」
斉藤、柴田が珍しく焦っている。事態は急を要する様だ。
慌ててレーダーを確認する中澤
「まずいな、敵の数も多いみたいや。スクランブル!マルス1・2出動!」
状況から判断し、中澤が珍しくマルス1・2の同時出撃の指示をだした。
警報が鳴り響く中、両艦のメンバーが素早く出撃準備にとりかかる。
- 152 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- その頃ドックでは・・・
「おらぁ!モタモタすんな!さっさとリフトのロックを外せ!
動きの遅い奴は一時間石川の唄を聞かせるぞ!」
アレス戦闘艦ドックのチーフメカニック大谷がスタッフに激を飛ばす。
するとそこに後藤がやって来た。
「大谷さん、お願いがあります」
「なんだよこの忙しい時に?」
「ブギ−03をマルス2に乗せてください」
「はぁ?なんで?藤本は明日からだろ?」
「たぶん・・・いや絶対に藤本ちゃんは行きたがる筈です」
「でもなぁ・・・」
「私には解るんです。絶対に藤本ちゃんも出る事になりますから・・・」
「・・・・本当に?・・・・よし、解った、すぐに搬入するよ」
「ブギ−03」これは藤本の愛機である。
大谷の指示でブギ−03はマルス2に運び込まれた。
- 153 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:49
- 一方こちらは司令室、警報が鳴り出してすぐに藤本が飛び込んで来た。
「藤本さん・・・」
「新垣、襲われてるの、第三船団って本当?」
「はい、第三輸送船団の護衛艦隊ネープルVから連絡がありました」
「ネープルV・・・」
それを聞いた藤本は中澤に言った。
「中澤さん、私も行きます!」
「何や藤本、お前は明日からやから今日はええよ」
「いえ、行かせて下さい。ネープルVは、あやっぺが・・・松浦がいるんです!」
藤本が言った、「あやっぺ」とは航路監視隊所属の松浦亜弥の事である。
そして現在戦闘中のネープルVの艦載機隊を指揮するのがその松浦であり
当然松浦も戦闘に参加している筈であった。
藤本は親友である松浦を助けるべく自分も出撃したいと中澤に申し出た。
「松浦か・・・・この仕事に私情は挟むな!・・・と、言いたいとこやけど
ええやろう、言って来い!その代わり無茶はアカンで!」
「ありがとうございます!」
「そんじゃ、藤本は、マルス2に乗艦や」
- 154 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:50
- 藤本の申し出を中澤は了解した。松浦もまたこのアレスを何度か
訪れた事があり、藤本との関係を中澤は知っていたのだ。
そして今の藤本の状況が、過去に平家を助けようと出撃した自分と
重なって見えたのである。
中澤は藤本にOKを出すとドックに指示を出す。
「大谷!藤本も出る!ブギ−03の搬入を急げ!」
「もう終ってます」
「へっ?何で?」
「ごっちんからそう言われて・・・」
「後藤が?・・・・そう、それならええよ。・・・後藤め、こうなる事が解ってたか。
そうだよな、後藤だって・・・・」
出撃の許可を貰った藤本は出撃準備を整えるとマルス2に乗り込んだ。
そして・・・・
「マルス1発進!」
小川はそう叫ぶとマルス1を発進させる。
「マルス2発進!」
続いて前田もマルス2を発進させた。
そんなマルス2の中で藤本と後藤が話をしている。
- 155 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:51
- 「ごっちん、ありがとう。私も行きたがるってよく解ったね」
「あははは、当たり前でしょ。昔は3人で暴れ回ったんだし
私達3人なら誰がどの立場にあっても同じ事するでしょ?
だから、大谷さんに無理言ってお願いしたんだよ」
そう言う後藤もまた松浦・藤本を親友と呼べる関係で
昔はならず者相手に3人で暴れていたのだ。
話を終えると2人とも機体に乗り込む。
そこに安倍の声が響く。
「本艦はこれよりピースドライブに入る。各自所定の位置で待機!」
安倍の声が響き渡った直後、マルス2はピースドライブを開始した。
- 156 :名無し狩人:2003/09/29(月) 22:52
- ( `_´)<とりあえず大丈夫そうなので更新です。
>>149さん、どうもです。
- 157 :名無し娘。:2003/09/29(月) 23:14
- おお、読みきりスレのやつとつながったよ
- 158 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- ピースドライブを開始して数分後、マルス1・2の両艦は
MJ−04付近に到着した。
「ピースドライブ終了!総員戦闘準備!」
飯田、安倍の声が両艦に響き渡った。
「マルス2、目標に到着、これよりオペレーションを開始します」
石川の声がマルス2の艦載機隊に伝わる。
「レッドリーダーへ、出撃後はイエロー隊と連携して
敵艦隊を叩いてください」
「レッドリーダー了解!ケメンダヤス、出ます!」
保田が先頭で飛び出した。同じ頃マルス1からイエロー隊が
発艦を始めていた。
- 159 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- 「速い・・・たった数分でここまで移動出来るなんて・・・」
石川の目の前のパネルにピースドライブに驚く、藤本の顔が映った。
「びっくりした?無理もないけど・・・すぐにバトルフィールドだよ。
気を抜かないで指示に従って順次発艦して下さい」
石川は藤本の緊張を解くべく話しかける。
藤本は落ち着きを取り戻すと出撃体制に入った。
「了解!ブギ−03出ます!」
後藤のマックゴルドに続き出撃した藤本。
その後にレッド隊の面々が続く。
「レッドリーダーより、イエローリーダーへ。
こっちで敵旗艦は叩く。残りの戦闘艦の攻撃をよろしく!」
「イエローリーダー了解。圭ちゃんずるいよ。おいしい所ばっか!」
- 160 :名無し狩人:2003/10/01(水) 00:42
- 保田の申し出を渋々受けた矢口
イエロー隊は敵艦隊サイドに向かって進んで行った。
「レッドリーダーよりレッド隊各機及びブギ−03へ、
これより突入を開始する。レッド2、ブギ−03は私に続け、
敵旗艦を叩く!レッド3・4・5は敵艦載機を叩け、援護を頼む!」
保田の指示によりレッド隊と藤本が敵艦隊目掛けて進む
そこで初めて今の状況が見えて来た。
- 161 :名無し娘。:2003/10/01(水) 20:32
- はじめて見たけどおもろいね。
がんばってね、作者さん。
- 162 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:56
- 数隻の敵艦に囲まれる様になっている第三船団。
その船団を護衛する艦隊は酷くやられていた。
「マルス2よりレッドリーダーへ、敵戦闘艦は六隻。うち二隻は
護衛艦隊が叩いた模様です。残りの四隻は健在。
護衛艦隊には離脱の指示を出しました。残りは私達でケリを着けます」
「レッドリーダー了解!でもまだ護衛艦隊の艦載機が頑張ってるみたい」
マルス1オペレーター紺野の指示でネープルVをはじめとする
護衛艦隊は戦闘空域の離脱を始める。
だがその中にあって一つの艦載機隊が戦闘を続けていた。
「おかしいなぁ、あのチームは指示が届いてないのかな?」
離脱の指示が出ているのに撤退を始めない護衛艦隊の
艦載機隊に石川がコンタクトを取ろうとした時である。
「ピーチリーダーよりマルス2へ、こちらネープルV艦載機隊
ピーチの松浦です。マルス2に補給の要請をします」
戦闘を続けていた艦載機隊ピーチのリーダー、松浦から連絡が入った。
- 163 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:57
- 「マルス2よりピーチリーダーへ、撤退の指示が出ている筈です。
戦闘は我々が引き受けます。直ちに戦闘空域から離脱して下さい」
松浦の突然の申し出を石川は却下する。
ピーチ隊にも戦線離脱の指示を出した。
「いやです。それは出来ません。やられた仲間の仇を取りたいんです。
石川さん、お願いします!」
「ピーチリーダーへ、軍規に従って下さい。これ以上の戦闘行為は
認めません。すぐに撤退を開始して下さい」
「石川さん・・・・私、このままじゃ悔しくって・・・お願いです!」
松浦の必死の頼みを石川は受け付けない。
だが石川も松浦の気持ちが解っていない訳では無い。
消耗したピーチ隊を、これ以上戦わせるのは危険と判断したからである。
そんな石川の気持ちは、今の松浦に届かなかった。
ただ闇雲に補給の要請を繰り返すばかりである。すると
「マルス2より、ピーチリーダーへ、マルス2艦長の安倍です。
ピーチ隊補給の許可を出します。第二カタパルトにて補給を受けて下さい」
「ピーチリーダー了解!安倍さん、お心遣いに感謝します」
- 164 :名無し狩人:2003/10/01(水) 23:57
- 松浦の異常なまでの要請にマルス2艦長の安倍が折れた。
ピーチ隊は補給の為マルス2に着艦を始める。
だがこの決定に石川が怒り出した。
「安倍さん!いくら艦長でも勝手な真似は謹んで下さい。
そんなことされたら困ります!作戦に影響が出るし示しがつきません。
これじゃあ、オペレーターの意味が無いじゃないですか!」
「石川だって松浦の気持ちが解らない訳じゃないでしょ?やらせてあげようよ」
「・・・・でも、危険です!万が一の事があったら・・・」
「それは解ってるよ、責任は私が取る。だから、悪いけど第二カタパルトに
ピーチ隊補給の指示を出して」
「もう、どうなっても知らないですよ!」
石川は渋々補給の指示を送る。
その指示により第二カタパルトではピーチ隊の補給が始まった。
- 165 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:13
- 「補給は素早く確実に!」
マルス2メカニック村田が他のスタッフに指示をだす。
「村田さん、ありがとうございます」
愛機の「ピンキーモンキー」から降りてきた松浦は村田に頭を下げた。
「艦長安倍さん、直々の許可なんて滅多にないからね。
心して補給を受けるように!」
「ははぁ〜!!」
村田が笑いながらそう言うと松浦も笑顔で答える。
「それから松浦、これ!」
村田は松浦にピーチ隊人数分の栄養ドリンクを手渡す。
- 166 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:14
- 「機体だけじゃなくて自分の補給もしないとね。
みんな疲れてるでしょ?」
「ありがとうございます。みんな喜びますよ!」
ドリンクを受け取った松浦は仲間の所に行くとそれを配る。そして
「ファイトー!」
「いっぱ〜つ!」
ピーチ隊の面々はドリンクを一気に飲み干した。
「全機補給完了!」
マルス2メカスタッフが補給の終了を伝える。
ピーチ隊のメンバーは機体に乗り込むと次々に飛び出して行った
- 167 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:14
- その頃、レッド隊と藤本は敵艦載機を叩きながら
旗艦と思われる戦闘艦に攻撃を開始していた。
「喰らえ!」
藤本のブギ−03から放たれたミサイルが敵艦に向かう。
同時にケメンダヤス、マックゴルドからもミサイルが放たれ
三機がほぼ同時に放ったミサイルは敵艦に命中した。
「クソッ!あまり効果がないみたいだね。後藤、藤本、もっと接近するよ!」
保田は後藤、藤本に二次攻撃の指示をだす。
ケメンダヤスを先頭に、編隊を組んだ三機は態勢を整える。
「イエローリーダーよりレッドリーダーへ、こっちはほぼ片付いたから
私達は援護にまわるよ!」
「レッドリーダー了解!矢口、サンキュー!」
保田達がいるポイントに矢口のセクビム以下
加護のザシチェッキ、辻のレスラッテ+が応援にやって来た。
- 168 :名無し狩人:2003/10/03(金) 00:15
- 「レッドリーダーよりレッド2、ブギ−03へ、突っ込むよ!」
「了解!」「了解!」
再び敵艦目がけて保田が突っ込もうとした時であった。
「うわー!何だ?・・・・誰だ?危ないじゃないか!」
保田の機体の先端ギリギリをかすめ、松浦のピンキーモンキーが
飛び込んできた。
「こらー!松浦!お前何考えてるんだよ!」
「ごめんなさい!でもあいつは私達にやらせて下さい!」
「バカ!何言ってるの!疲れた状態で無理するのは自殺行為だよ!
それとも、これ以上仲間を犠牲にする気?」
「・・・・だったら・・・だったら、私1人でやります。だから・・・」
「ったく・・・あんたは・・・相変わらず頑固だね・・・解ったよ、後藤、藤本
松浦と一緒に行け!他のピーチ隊は私に続いて、3人の援護だよ。
松浦!もう一度態勢を立て直すんだ。矢口達も援護頼んだよ!」
松浦、後藤、藤本・・・・3人の機体が旋回を始める。
それを援護するようにレッド隊、イエロー隊、ピーチ隊の
各メンバーが敵艦載機に襲いかかった。
- 169 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- 「松浦隊長!指示をお願いします」
藤本が松浦に話しかける。
「みきすけ・・・なんでここにいるの?ごっちんはわかるけど・・・」
「あははは・・・びっくりした?でもおしゃべりは後にしよう。
攻撃の指示はあやっぺがやってよ。シャルウィ・アタック?」
「OK、じゃあ行くよ!1・2・3!」
態勢を整えた三機の戦闘機は松浦の掛け声とともに敵艦に襲い掛かった。
「目標!敵旗艦艦橋、ターゲットロック!」
3人は敵旗艦の艦橋にロックをする。
「アタァァァァァァック!」
それぞれの機体からミサイルが放たれる。
ミサイルはそのまま敵艦艦橋に吸い込まれて行った。
- 170 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- 「着弾確認・・・・敵旗艦沈黙しました!」
松浦達の攻撃を確認した石川が報告を入れる。
「敵艦は沈黙した!マルス1主砲発射準備!」
「マルス2主砲発射準備!」
飯田、安倍、両艦長の指示によりマルス1・2両艦が主砲の
発射準備を整えた。
「マルス1よりレッド、イエロー、ピーチ各隊へ、本艦及びマルス2は
主砲を発射します。射程圏内の機体は速やかに離脱して下さい。
繰り返します。マルス1、マルス2は主砲を発射します。
射程圏内の機体は速やかに射程圏内から離脱して下さい」
紺野が主砲発射を発射を伝える。レッド、イエロー、ピーチの各艦載機隊は
主砲の射程圏内から離脱を終えた。
「てぇぇぇぇぇぇ!!!」
飯田の声と同時にマルス1から強力なエネルギー弾が放たれる。
同時にマルス2の主砲も火を吹いた。
- 171 :名無し狩人:2003/10/03(金) 23:34
- (ピカッ!!)
両艦のエネルギー弾の直撃を受けた敵艦隊が閃光に包まれる。
その直後敵艦隊は消滅した。
「作戦終了!イエロー隊は速やかに帰艦して下さい。
繰り返します。イエロー隊は速やかに帰艦して下さい」
「イエローリーダー了解!みんな戻るよ!」
矢口のセクビムを先頭にイエロー隊が帰艦を始める。
「マルス2よりレッドリーダーへ、作戦終了です。お疲れ様でした。
紅茶でも用意しておきますね」
「レッドリーダー了解!サンキュ!」
レッド隊と藤本も帰艦を始める、するとマルス2に通信が入った。
「ネープルVよりマルス2へ、本艦はカタパルト被弾によりピーチ隊の
収容が出来ません。貴艦にピーチ隊収容の要請をいたします」
「マルス2よりネープルVへ、了解しました。
マルス2よりピーチリーダーへ、帰艦は本艦に願います」
「ピーチリーダー了解。石川さん・・・・ありがとうございました。
本当に・・・我がまま言ってごめんなさい」
「もういいよ。お疲れ様」
戦闘を終えた艦載機が次々に帰艦する。
先に着艦を終えていた藤本と後藤は松浦の着艦を待っていた。
- 172 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:39
- (プシュー!)
着艦したピンキーモンキーのハッチが開く。
コクピットから勢い良く飛び出して来た松浦は二人のもとに走る。
「みきすけぇー!」
そう叫んだ松浦はそのまま藤本に抱きついた。
「お疲れ様、怪我はない?本当に良く頑張ったね」
「ありがとう・・・・でもね・・・・でも仲間がいっぱい・・・うわぁぁぁ・・・」
藤本の腕の中で泣き崩れる松浦、戦場では鬼になっても
戦いが終ればやはり、ただの女の子である。
そんな松浦に後藤が言った。
「あのね・・・上手くは言えないと思うけど・・・・みんなさ、立派に戦って・・・
それで立派に散って行ったんだよね。だからさ・・・・ね。
散って行ったみんなを笑顔で送ってあげようよ。
そうじゃないとみんな安心して天国に行けないよ」
「・・・・うん、そうだよね。みんな・・・大切な仲間なんだ・・・
もう泣かないよ、だから安心して・・・・ありがとうみんな・・・」
後藤の言葉に落ち着きを取り戻した松浦、その目に涙を浮かべながも
精一杯の笑顔をみせた。
- 173 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 全ての艦載機が着艦を終え少ししての事であった。
「総員艦橋に集合!繰り返す、総員艦橋に集合」
マルス1・2両艦でほぼ同時に艦長から艦橋に集まる様指示が入った。
「どうしたの?何かあった?」
突然の集合のアナウンスに保田が慌てて艦橋にやって来た。
「圭織がね、散っていった護衛艦隊の仲間をみんなで送ってあげようって」
安倍は艦橋に集まったメンバーに召集の理由を説明する。
事の始まりは戦いが終った直後の事である。
マルス1艦長飯田から安倍に連絡が入った。
その連絡とは、この戦いで名誉の戦死を遂げた護衛艦隊の
仲間の霊を慰めるべく、生き残った自分達でその旅立ちを
見送ってあげようではないか、と言う物である。
その提案に賛成した安倍はすぐにマルス2のメンバーを艦橋に集めたのだ。
そして・・・・
- 174 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 「これよりこの戦いで散っていった戦士に弔意を示し黙祷を行う。
偉大なる戦士諸君、君達は明日の人類の力となりました。
我々もまた、諸君の意思を継ぎ戦います・・・・・黙祷!」
飯田の言葉がマルス1・2の両艦に響き渡った。
その声を合図に両艦のメンバーは黙祷をする。
「黙祷終わり!偉大なる英霊に敬礼!」
またしても飯田の声が響くと今度はメンバー全員で敬礼を行った。
見送りを終え、両艦が帰還の準備に入った時である。
「安倍さん、中澤さんより連絡が入ってます!」
石川がそう告げると安倍は通信機を手に取った。
- 175 :名無し狩人:2003/10/04(土) 23:40
- 「安倍です」
「お疲れさんでした。そんな所悪いんやけどマルス2はそのまま
第三船団の護衛について貰いたい。
護衛艦隊も大打撃を受けたみたいやし、他に護衛をつけるとなると
時間もかかる。大切な資源やから予定通り運ばないと
問題も発生しかねないからな。よろしく頼むわ」
「了解しました。これよりマルス2は第三船団の護衛任務に就きます」
「悪いな、それと村田おる?」
安倍の了解を得た中澤は今度は村田を呼び出す。
「村田です」
「お疲れね。悪いけど村田達にも追加の任務や。
ダメージを受けた護衛艦隊の修理も同時にやって貰いたい。
移動しながらでええから頼むわ」
「了解しました!」
こうしてマルス1は帰路につき、マルス2は第三船団の
護衛の任務を与えられた。
「さようなら・・・・」
松浦がそう呟くと第三船団とマルス2は戦場を後にした
- 176 :名無し娘。:2003/10/05(日) 10:32
- 読みきりの分はこれで終わったのかな
これからの話にも期待
- 177 :名無し狩人:2003/10/05(日) 23:44
- (;`_´)<・・・・本日近所の運動会に狩り出されますた。
終ってから飲めない酒を飲まされ撃沈。
夕方6時ごろに氏んで今、目が覚めますた。
本日はお休みです。あー、胃が痛い・・・
- 178 :名無し娘。:2003/10/05(日) 23:47
- 俺のご近所も運動会だったから痛いほどわかるぞその状況
- 179 :名無し娘。:2003/10/05(日) 23:52
- >>177
僕も下戸なので>>178さんじゃないんですけどよく判ります。毎回楽しみに
してますが、ご無理なさらぬよう。
- 180 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:11
- マルス1・2がMJ−04付近で戦っていた頃
火星衛星基地アレスの近くでも戦いがあった。
「民間船キーダムのSOS信号をキャッチ!ポイントMSー10」
斉藤がSOS信号の受信を伝える。
「近くの警備艇は・・・・・ありゃ、ここから出るのが一番速いか・・・」
レーダーをみた柴田は警報を発令する。
(MS−10付近にてSOSをキャッチ、戦闘艇ピーチ−!スクランブル)
アレスに配備されているマルスタイプに次ぐスピードを誇るのが
このエスパタイプの小型戦闘艇「ピーチ−」である。
因みに松浦のピーチ隊とは関係はない。
「石井、お前の任務はあくまで敵の注意を引く事や、
すぐに他の戦闘艦も出すから無茶すんなや!」
「了解!ピーチ−出ます!」
戦闘艇ピーチ−の指揮を取るのは石井リカ中尉。
ピーチ−は勢い良くアレスを飛び出して行った。
- 181 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:12
- 「戦闘艦ガスプラ出撃準備!」
マルスタイプとは別にアレスに配備されている戦闘艦ガスプラに
出撃命令が下った。
ガスプラは連邦軍の主軸を形成するセレス級戦闘艦で
アレスには同型艦のイダ、マチルダなどが配備されている。
ただしこのセレス級にはピースドライブは装備されていない為、
通常のスクランブル任務にはほとんど出撃する事はない。
「ガスプラ、発進しました」
新垣の声に中澤はレーダーを見つめる。
「ピーチ−が問題の空域に侵入します!」
「敵の様子は?」
「それが・・・・レーダーには反応しないんですよ」
「ステルス艦・・・って事か?」
「解りません・・・・」
キーダムからは今もSOSが発信されている。
つまりまだキーダムは健在なのである。
「ピーチ−よりアレスへ、キーダムを発見、海賊に襲われています」
「アレス了解!とにかく敵の注意をこっちに惹きつけてください。
ガスプラがそちらに向かいました。それまで頑張って下さい」
- 182 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:13
- 石井からの連絡に斉藤はガスプラが出撃した事を伝える。
ピーチ−はガスプラ到着まで海賊を相手にする事になったのである。
「ピーチ−よりアレスへ、駄目です。敵の戦力が・・・・
戦闘艦二隻で・・・艦載機も多数・・・」
アレスに緊張が走る・・・このままではガスプラが到着する前に
キーダムだけでなくピーチ−までもがやられてしまう。
「クソ!よりによってこんな時に・・・・ん?まてよ・・・」
中澤は何かを思いついた様に戦闘艦ドックに連絡を入れた。
「はい、大谷です。どうしました?」
「大谷、フリージアはすぐに出せるか?」
「へっ?・・・あっ、はい・・・」
「OKそんじゃ準備しといてや!」
「りょ、了解!」
中澤はそう言うと新垣に田中、道重、亀井の3人を呼びに行かせ
自分もロッカールームで着替えを始めた。
- 183 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:13
- 「中澤さん、みんな連れて来ました・・・・・ってその格好まさか・・・」
3人を連れて来た新垣はパイロットスーツに身を包む中澤を見て絶句する。
「田中、道重、亀井、出撃や!三分で準備しろ!」
「・・・・えっ?」
突然の指令に3人があっけに取られていると
「返事は?」
「りょ、了解!」
訳の解らぬまま3人もパイロットスーツに着替えた。
一方こちらは戦闘艦ドック。
ここでは今、パイロットスーツに着替えた大谷がスタッフに四機の戦闘機を
訓練艇フリージアに載せるように指示を出していた。
訓練艇フリージアは元々マルスタイプの試作型戦闘艇である。
マルスタイプ完成後その役目がなくなり研究の為このアレスに送られて来た。
フリージアはその後、アレスのメカニック達の教材となりその役目も終えると
今度は大谷や村田達の手によっていろいろ改造が施された。
またフリージアはマルスタイプの試作型なのでここアレスから
今、ピーチ−が頑張っている現場までならピースドライブも可能なのだが
あくまで試作機なので航行距離はその程度が限界である。
そして今現在は訓練艇として連邦軍には登録されているのだが
ある意味、大谷個人の持ち物と言っても過言ではない状態にある。
- 184 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:14
- 「積み込み終わりました」
「よし、こっちは準備OKだね」
大谷は満足そうに笑う。
フリージアに積み込まれた戦闘機は
田中の愛機「ノギ−メタンア」 道重の愛機「サーユナルシス」
亀井の愛機「キースギテック」 そして・・・・
中澤の愛機「クロウブライド」の四機であった。
「中澤さん、準備おわりましたぁ」
「よっしゃ、そんじゃ行くで!」
ドックに下りてきた中澤は張り切っている。
「でも本当に行くんですか?」
「当たり前やろ!こいつらの実力を見るのに絶好の機会やんか。
圭織達がおらんのやから、私が行くしかないないやんなぁ」
中澤は後ろを歩く田中達3人にそう言ったが3人の笑顔は
明らかに引きつっていた。
本来なら仕事は明日からの筈、それがまったく予期しない出撃命令に
怪しげな戦闘艇、さらにその現場指揮官がよりによって中澤である。
田中達3人は半ばヤケクソに近い状態であった。
「ごめんなさい、準備出来ました!」
そこにぶかぶかの慣れないパイロットスーツを着た柴田が走って来る。
柴田はレーダー係り兼オペレーターとしてフリージアに乗るように
中澤に言われて来たのである。
- 185 :名無し狩人:2003/10/06(月) 20:15
- 「本当にこいつで大丈夫なの?だいたい実戦に使うの初めてでしょ?
それにだいぶいじってあるみたいだし・・・・」
フリージアを見上げる柴田が不安そうに言う。
フリージアが初の実戦投入と聞き既に道重は半泣き状態である。
「大丈夫だって、安心しなさい。ほら、道重もそんな顔すんじゃないの!
大谷さんを信じなさい!」
大谷は自信満々にそう言うと5人と共にフリージアに乗り込んだ。
6人が乗り込んだフリージアはカタパルトへと移動を開始する。
(フリージアリフトUP)・・・・・クゥィ−ン!!
フリージアを載せたリフトが動き始める。
(ゲートオープン)・・・・(ゲートオープン)
カタパルトのゲートが開く。
(オールライト!Let’s GO!)
カタパルトのシグナルが光を放つそして・・・
「フリージア発進!」
大谷の声と共にフリージアは宇宙空間へと飛び出して行った。
- 186 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:24
- 「座標入力・・・」
ピースドライブの準備に入った大谷。
フリージアはマルスタイプと違い、ピースドライブを行うのに
多少の手間がかかるのだ。
「自分で言い出しといてなんなんやけど・・・大谷、ホンマに大丈夫なん?」
「中澤さん、今更遅いですよ。では行きますよ!ピースドライブスタート!」
大谷の声と共にフリージアは光に包まれる。
ピースドライブにより超空間に突入したのである。
「時間にして二、三分ですかね・・・ほらもうすぐ終りますよ」
超空間では窓に映る景色などない、ただ眩しい光が見えるだけである。
そんな光のなかで大谷は計器を見つめ目的地に近づくと
ハローエンジンの出力を下げて行った。
「ピースドライブ終了!・・・・ってあれ?どこだここ?」
- 187 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:24
- 予定では目の前に敵とピーチーのの姿が見える筈であった。
しかし目の前に広がるのは宇宙空間だけである。
「柴田!どうなってるの?」
「ちょっとまって・・・・げっ!行き過ぎだよ!」
柴田の見つめるレーダーはピーチーの機影がフリージアの
後ろにあると示している。
「うーん、イマイチ調子が出なかったかったか・・・
まいいや、すぐ近くにいるんでしょ?」
「・・・・うん・・・・すぐちかくにいるよ・・・ほら・・・囲まれてる」
柴田がそう言って窓を指差す。見るとフリージアはいつの間にか
敵艦載機に囲まれていた。
- 188 :名無し狩人:2003/10/08(水) 00:25
- 「アホー!何やってんのや!」
中澤が怒りの雄たけびを上げる。
「のーぷろぐれむ・・・見ててください!」
大谷はそう言うが既に敵の艦載機の攻撃が始まっていた。
「えーい、ごちゃごちゃと・・・蛾トンボが、さかしいよ!」
大谷はそう言うと手元にあったボタンを押した。
「おらー!消えやがれぇ!」
大谷の叫びと共にフリージアから無数のミサイルが飛び出す。
その様子はまるで散弾銃の乱れ撃ちとでも言ったらいいだろうか?
放たれたミサイルにより周りにいた敵機は次々に叩かれて行く。
難を逃れた敵機は慌てて逃げて行った。
- 189 :名無し娘。:2003/10/08(水) 00:40
- 「さかしいよ!」ってキャラ・スーンだっけ?
- 190 :名無し娘。:2003/10/08(水) 01:33
- >>189
U.C.系ガンダムなら誰でも言いそう
プル・トゥーとか
- 191 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:21
- 「わははは、口ほどにもない!」
大谷はそう言うと機首を敵艦の方向に向けた。
「敵さんは何も言っとらんがな。それより今のはミサイルの無駄遣いと違うの?
あんなに一気に使ったらもったいないやん」
「大丈夫です。もうやりませんから」
「あたりまえや!これ以上無駄遣いされてたまるか!
ミサイルかてタダじゃないんやで!」
「いや、無駄遣いしようにも、今ので搭載していたミサイル全部使いました」
「アホ!何考えとるんや!それやったらどうやって戦うねん」
「無問題!まだキャノン砲があります!」
「・・・・もうええ・・・お前には付き合っておれんわ。
そんじゃ行こうか!田中、道重、亀井、準備はええか?」
大谷の暴走に呆れた中澤は3人にそう言うと格納庫に向かう。
- 192 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:22
- 「準備よし!柴田、開けてくれ!」
出撃準備の整った四機の戦闘機は格納庫が開くと飛び出して行った。
「ええか、お前達の経歴は解ってるつもりや。もちろん即戦力になるって事もな。
そやから今更細かい事は言わん、とにかく叩けるだけ敵を叩け。
今日の所はとりあえずこのチームをゴールド隊とする。
田中がゴールド2、道重がゴールド3、亀井がゴールド3や。
うー・・・久しぶりの現場や、腕が鳴るなぁ・・・」
中澤は3人にそう言うと敵に攻撃を開始した。
「ゴールドリーダーよりフリージアへ、キャノン砲で敵を牽制してくれ。
その隙にうちらが突っ込む!」
「フリージア了解!攻撃を開始します」
- 193 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:22
- フリージアが敵に向かってキャノン砲を放つ。
その隙に中澤他三機は敵艦に向かって突進した。
「フリージアよりピーチーへ、柴田です、援護に来ました。
これよりピーチーはフリージアの指揮下に入って下さい」
「ピーチ−了解!援護って・・・柴田ちゃんフリージアって
ドックにあった、あのオンボロ?」
「オンボロとは何だ!れっきとした訓練艇だぞ!」
「ごめん、大谷ちゃんも来てくれたんだ。ありがとう。それじゃあ指示をお願い」
「それでは指示を出します。敵艦は二隻ですね。艦載機は中澤さん達が
引き受けてくれるそうですので、私達は戦闘艦を攻撃します。
とりあえず一隻ずつ担当しましょう」
「ピーチ−了解しました。中澤さんも来てるんだ・・・」
中澤が来ていると聞き石井は少しビビっている様子であった。
- 194 :名無し狩人:2003/10/09(木) 00:28
- >>189
( `_´)<イメージとしてはレズン・シュナイダ−(だったかな?)
なのですが、そう言われるとキャラの方が合ってる気がする。
でもプル2とかも言いそうですね。
- 195 :名無し娘。:2003/10/09(木) 04:39
- > 田中がゴールド2、道重がゴールド3、亀井がゴールド3や
亀井がゴールド4でOK?
- 196 :名無し娘。:2003/10/09(木) 13:07
- あたしが直撃を受けている!?が大谷の最後か
- 197 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:48
- 迫り来る敵機、それに臆する事もなく自在に動き回る中澤
数からいえば圧倒的に不利な状況であるが、それを感じさせない。
そしてそれはいつの間にか新人の3人にも伝わっていた。
「おおっ、すげーな、あの3人。しかっり中澤さんについて行ってるじゃん。
機体の性能もあるとは思うけど、腕も確かな様だね」
中澤の動きにしっかりと追従する3人に大谷は驚いていた。
中澤が乗るクロウブライドは連邦軍型式SF−15Sと言う
連邦軍の主力戦闘機の強化版である。
一方、田中のノギ−メタンア、道重のサーユナルシス、亀井のキースギテックは
連邦軍次期主力戦闘機として開発されたSF−22Rであった。
機体性能で言えば田中達のSF−22Rの方が上なのは解るが
中澤のパイロットとしての腕はそんな性能の差など感じさせない超一流である。
なので普通であれば経験の浅いパイロットは中澤についていけない。
だが3人はしっかりと中澤に追従しているのである。
大谷の驚きはこんな理由からであった。
- 198 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:48
- 「もう、そっちは中澤さんに任せて、こっちに集中してよ。
オートコンバットなんて訳の解んない装置じゃ心配なんだから」
「ごめん、ごめん。でも敵のマイティチャフを何とかして貰わないと
こっちの攻撃もあまり意味がないからね。あの4人には頑張って貰わないと」
柴田の言った「オートコンバット」とは大谷が趣味で作り上げた
自動応戦装置である。迫り来る敵やミサイルに対し自動的に反応し
応戦を始める装置なのだが、今の所実験段階であり
大谷は柴田に黙っているが今回が初の実戦投入なのである。
そんなまだ不安定な装置に不安をもっている柴田は
応戦を完全にその装置に任せていた大谷に不満をぶつけたのだ。
「ゴールドリーダーよりフリージアへ、対艦ミサイル射程圏内に入った。
これより敵艦に対し攻撃を開始する。トドメは任せたで!」
「フリージア了解!成功を祈ります。フリージアよりピーチーへ
ゴールド隊が対艦攻撃を開始します。敵艦の沈黙を確認次第
総攻撃を行って下さい」
「ピーチ−了解です」
- 199 :名無し狩人:2003/10/10(金) 23:49
- 遂に敵艦にたどり着いたゴールド隊、敵艦に対艦ミサイルを叩き込むべく
準備を開始した。
「ゴールドリーダーより各機へ、田中は対艦ミサイルを準備や
うちと一緒に敵艦にオミマイするで!道重、亀井は残っとる
敵機の相手をするんや。ええな!」
「ゴールド2了解!」「ゴールド3了解!」「ゴールド4了解!」
中澤の後に続く田中、その2人を援護するように飛行する道重と亀井。
その連携は初めてとは思えないほど見事な物であった。
「まったく嘘みたい。本当にあの子達実戦経験浅いの?」
田中、道重、亀井の3人の動きを見ていた石井もまた驚きの声を上げた。
いったい、3人がどんな訓練を受けて来たのか想像も出来ない様子であった。
- 200 :名無し狩人:2003/10/11(土) 00:01
- >>195
( `_´)<まったく気がつきませんですた。ありがとうです。
>>196
( `_´)<大谷さんはたぶんやられる事は無いと思います。
なぜって?それは大谷さんだからです。
( `_´)今日の私・・・本屋さん三軒も回ったのに「おいら」
が置いてありませんでした・・・・で、思わず・・・
メロンの写真集買っちゃいました!
- 201 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
- 「なあ、田中。お前達には先に謝っとくわ」
「は?」
「いやね、正直ここまでの実力とは解らんかった。
過去の戦闘データを見る限りではそれ程でもなかったからな」
「はぁ・・・でも、私達も正直驚いています。こんなに楽に動ける戦闘は
過去に無かったと記憶しています」
「そうなん?そんな事ないやろ、自分謙遜し過ぎやわ」
「そんな事はありません、私達3人の連携がここまで出来たのは
訓練の時以来です」
「教官は?」
「ムーンベースの福田中尉です」
「福田?・・・・ああ、明日香か・・」
「はい、お知り合いですか?」
「まあな・・・そうか、それで解ったわ。明日香に訓練されたんなら
うちの動きに合わせられるのも納得や」
「良く解らないですが、そう言われると中澤指令と福田中尉は
戦闘スタイルが似てますね」
「当たり前や、それよりその大佐とか指令とか言うの止めえや。
そう言うの苦手なんよ・・・・おっとお喋りはここまでやな」
- 202 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:50
- 話をしている間に、二機は敵艦の目前に迫っていた。
田中に攻撃の指示を出すと中澤もミサイルを放った。
「よっしゃ!命中や。田中、次行くで!」
「了解!」
一隻の敵艦を黙らせた中澤と田中はそのまま
もう一隻の敵艦に襲い掛かった。
「ターゲットロック!ファイア!!」
残りの敵艦にミサイルを放つ田中、だがそのミサイルは
敵艦載機の捨て身の防御で不発に終った。
「身を捨てて母艦を守るとは敵ながら見事やな。
けどそれも無駄に終る!」
中澤の指示により今度は亀井と道重の機体からミサイルが放たれる。
同時に中澤も残りのミサイルを放った。
「敵艦沈黙!石井ちゃん、今がチャンスだよ!」
- 203 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
- 中澤達の二次攻撃は成功だった。
艦橋を破壊された敵艦二隻に対しフリージアとピーチーが総攻撃を行う。
流石にマルスタイプの主砲の様に一撃で、とは行かないが
敵艦の撃破に成功した。
「よっしゃ!みんな良くやった。作戦終了や!」
ピーチーがいち早く駆けつけた為、キーダムの被害はそれ程でもなかった。
それを確認したピーチ−、フリージアの両戦闘艇は現場を後にした。
「いやー、久々にパイロットやったから疲れたわ」
アレスに戻った中澤がそう言うと
「お疲れさまでした。何か飲みますか?」
新垣は出撃メンバーの注文を聞き始めた。
そんな中
「中澤指令、先程のお話ですが、どう言う意味ですか?」
- 204 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:51
- 紅茶をすする中澤に田中が質問をする。
「なんやったっけ?」
「指令とか大佐とか言うなって・・・・」
「ああ、その事か、それがここのルールや、勿論外から来たお偉いさんには
必要やけど、このアレスの仲間うちでは階級とか必要ない」
「しかし・・・・」
「田中は今日ここに来たばっかりやから解らんかもしれんけど
みんなそんな呼び方しとらんやろ、なあ新垣」
「はい、田中ちゃん、ここではみんな名前とかニックネームで
呼び合う事になってるんだよ。みんなそうしてるでしょ」
「・・・・確かに、そう言われれば・・・」
「それでええんや、だからうちの事は裕ちゃんでええよ」
「いや・・・それはちょっと・・・・では中澤さんで」
「なんや、裕ちゃんて呼んでくれんの?寂しいなあ」
田中の引きつった笑いを見てその場のメンバーが笑い出した時であった。
「ガスプラよりアレスへ、現場に到着しました。
しかしながら敵艦どころかピーチーやキーダムも発見出来ません」
- 205 :名無し狩人:2003/10/12(日) 00:52
- ピーチーのすぐ後に出撃したガスプラから連絡が入って来た。
「・・・・・・おい、斉藤、どうなっとるんや?」
「・・・・・・しまった・・・・ついうっかり・・・・」
重い空気が司令室を支配する。
「アレス、応答して下さい。こちらガスプラ、指示を願います」
「・・・・・アレスよりガスプラへ、斉藤です。作戦は終了しました」
「はぁ?」
「とにかく帰って来てください・・・・・ごめんなさーい!」
斉藤の声が司令室に響き渡る。マルス隊に気を取られていた斉藤は
ガスプラの存在をすっかり忘れていたのだ。
この後当然斉藤に中澤のカミナリが落ちるのである。
訳の解らぬまま初日を終えた田中、道重、亀井の3人は
先行きに不安を感じずにはいられなかった。
- 206 :名無し娘。:2003/10/12(日) 01:12
- ごめんじゃ済まないんじゃないかボス
- 207 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
- 普段は穏やかな空気が流れているアレスに、今日は緊張感があった。
それはもうすぐ到着する大船団が原因である。
連邦軍太陽系艦隊の「和田中将」が率いる「第三艦隊」がやってくるのだ。
出迎えの為にアレスの主要メンバーはメインポートに集合していた。
「オイラなんだか緊張してきたよ」
「私も・・・でもなんで突然第三艦隊が来る事になったの?」
普段からこう言う事に慣れていない、矢口や飯田は
不思議そうな表情を浮かべる。
「それがよう解らんねん。昨日突然連絡があって
寄港するから準備しとけって」
アレス司令官の中澤も第三艦隊の寄港理由が解っていない様であった。
第三艦隊は連邦軍の中核を成す大艦隊である。
演習やその他の作戦でこう言った大艦隊がアレス近くの空域を
通過する事は、たまにはある。だがアレスに寄港した事など一度もないのだ。
- 208 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:14
- 「こちら第三艦隊旗艦アポロン。アレス入港の許可を申請します」
「アレス了解しました。貴艦及び第三艦隊の入港を歓迎します。
誘導ビームに乗って進入して下さい」
「アポロン了解」
第三艦隊旗艦アポロンのオペレーターと斉藤のやり取りが聞こえる。
メインポートの緊張感が一気に高まった瞬間であった。
「今思ったんだけどさ、あんな大艦隊どうやって入港するのさ?」
安倍が思いついた様に言う。確かにアレスのメインポートのキャパでは
第三艦隊全ての艦艇が入港するのは無理である。
「それなら心配はいらん、実際に入港するのはアポロンだけや」
「そうなの?オイラてっきり補給かなんかかと思ったよ」
「そんな訳ないじゃん、あんな大艦隊に補給したら
私達のぶんがなくなっちゃうよ」
メンバーがそんな話をしている中、艦隊旗艦アポロンが港に入って来る。
アポロンが完全に停止するとその場にいたメンバーは桟橋に立った。
- 209 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
- 「うわー、オイラもう駄目だ・・・」
「矢口、うるさいぞ!」
アポロンのハッチが開くと中から数人の男性が降りてきた。
「総員、敬礼!」
中澤の声がメインポートに響く。その場にいた全員が下りてくる男性に
敬礼をして見せた。
「将軍、お久しぶりです!」
敬礼をしながら中澤は言う。相手は艦隊を率いる和田中将である。
「はははは、そんなに固くなるなよ。昔みたいに和田さんでいいぞ」
緊張した空気を感じ取った和田は笑いながら中澤にそう言った。
「あ、いや、しかし・・・今と昔とでは立場が違いすぎますから・・・」
「気にするな、それがアレスのルールじゃなかったのか?
階級は関係なく最低限のマナーが出来ていればそれでOKなんだろう?」
「まあ、確かにそうですが・・・・まいったな・・・・」
- 210 :名無し狩人:2003/10/13(月) 00:15
- どこかで見た様なやり取りに中澤は苦笑いを浮かべている。
その様子を遠くから眺めていた田中や新垣は笑いを堪えるのに必死であった。
「まあいい、あまり時間が無いんだ。どこか落ちついて
話が出来る場所はあるか?」
「はい、準備してあります。どうぞ!」
中澤はそう言うと和田とその連れの将校を準備した部屋に案内した。
「それじゃ、解散ね!」
中澤と和田が部屋に向かうと飯田がメンバーに解散の指示をだした。
和田はどんな用件でここを訪れたのか?
アレスメンバーの話題はそれで持ちきりであった。
- 211 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:42
- 「うわぁ〜、凄い、綺麗だね〜」
アレスの食堂から外を眺めていた辻が言う。
外には第三艦隊の大艦隊が並んでいた。
色とりどりの光を放つ艦隊はかつて地球にあった夜景にも似ている。
こんな数の艦隊など見たこともないメンバーはしばしその光景に見とれていた。
「あっ、アポロンだ!」
艦隊に向かう一隻の船を紺野が見つける。
第三艦隊が到着してから既に二時間が経過していた。
中澤との話も終ったのであろう、和田乗艦のアポロンが
艦隊に戻るのが見えた。
「本当に何しにきたのかな?」
石川がそう言った時、第三艦隊の艦船が動き出すのが見えた。
エンジンが一斉に火を吹く。空気中であれば物凄い轟音がしたに違いない。
だがここは宇宙空間である。第三艦隊の放つエンジンの光は
まるで沢山のキャンドルの様であった。
- 212 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
- 第三艦隊がアレスを後にした数時間後、大谷と村田が中澤に呼ばれた。
メカニックの2人が中澤に呼び出される事など滅多にないので
メンバーは2人をからかう。
「何やらかしたの?」 「減俸か?謹慎か?」
「知らないよ、それに何もやってないって・・・でも、なんだろう?」
2人は顔を見合わせながら中澤の部屋に向かった。
「なんだか今日はおかしな事が続くね」
椅子の背もたれに両腕と顔を乗せながら座る矢口が言う。
「2人の呼び出しも和田中将が来た事と関係あるんですかね」
矢口の言葉に答える様に新垣が言った。
「う〜ん・・・何とも言えないけどそんな気がするなぁ」
矢口がそう言うと中澤に呼ばれた2人が戻って来た。
- 213 :名無し狩人:2003/10/14(火) 21:43
- 「裕ちゃん何だって?」
「それが・・・・よく解らないんだけど、急に三ヶ月ムーンベースに
行く事になったんだって。村田と2人で・・・」
矢口の質問に大谷は何が何だか解らないと言った表情で答える。
そんな言葉にその場のメンバーも「何で?」と言った表情を浮かべた。
それから二日後、大谷と村田を乗せたフリージアが
ムーンベースに向けて出発した。
ムーンベースとは連邦軍の重要拠点であり、軍の参謀本部もここにある。
結局2人の出張理由について中澤の口から説明は無かった。
と言うより、中澤本人もその理由を知らないとの事であった。
だが、中澤と古くから付き合いのある数人のメンバーは知っている。
中澤が隠し事をしているとそれが態度に出るのだ。
中澤に2人の出張理由や、和田がここに来た理由などを聞いた時
中澤の態度にそれが出ていたのである、何か隠しているのは確かであった
- 214 :名無し娘。:2003/10/15(水) 01:13
- 更新乙です
最近「アレス」って単語が「ホワイトベース」とかと同じくらいしっくり馴染んでるw
- 215 :名無し娘。:2003/10/16(木) 00:24
- >>214
何かそれ判る気がするね。ともあれ乙。
- 216 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
- 「裕子め、いったい何を隠していやがるんだ?」
いくら聞いても「知らない」の一点張りの中澤に矢口は少々ムッとしている。
「軍機かな?でも裕ちゃんだけが知ってるなんて今までなかったよね?」
飯田も中澤の態度に気がついた1人である。
矢口、飯田、安倍、保田など前から中澤の下について来たメンバーは
何とか秘密を聞き出そうと必死であった。
「こうなったらバナナで責めてやる!」
矢口がそう言うと
「いや、それはやめておいたほうが・・・」
- 217 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:12
- 安倍がそれを止めた。バナナは中澤の苦手な物の一つである。
矢口はそれを使って攻め込もうと画策したのだが
後が怖いと言う事でその作戦は却下された。
そして何も解らないまま二ヶ月が経ったある日
久々にフリージアがアレスに戻って来た。
だが乗っていたのは村田1人である。村田はムーンベースからの
指令書を中澤に渡すと、小川と前田を連れて、ムーンベースに戻って行った。
「いよいよ怪しいぞ!村さんの顔見た?元気そうだったけど
だいぶやつれてたよね。何やってるのか聞いたんだけど
教えてくれなかった。陰謀の匂いがプンプンするぞ」
矢口がそんな事を言っていると、後ろから中澤がやって来て
持っていたファイルで頭を殴った。
「痛った〜・・・何すんだよ!」
「まったく、くだらん妄想ばっかしやがって・・・そんな暇あったら
セクビムの手入れでもしてろ!大谷も村田も、おらんのやから
メカスタッフだって忙しいやろ」
「だったら何があったのか教えてよ!オイラ達何も聞いてないぞ!」
「・・・・・だから・・・何も知らんて・・・」
「嘘だ!裕ちゃんの態度で解るもん。何年一緒に仕事してると思ってるの?」
「・・・・はぁ・・・・解ったよ・・・だけどな他のメンバーには絶対言うなよ」
「うん・・・」
- 218 :名無し狩人:2003/10/16(木) 01:13
- 矢口のしつこい位の質問攻めにとうとう中澤は折れた。
中澤は仕方なく、矢口、飯田、安倍、保田、
そして偶然その場にいた斉藤の5人にだけ話を始める。
「実は大谷と村田は建造中の新型艦の調整に行ってもらってるんや。
そんで小川と前田はその新型のテストパイロットや」
「どう言う事?」
「解らん。和田中将も、ただその新型はお前達にきっと関わって来るとしか
言わんかった。だから今後うちらがその新型にどう関わるのか
皆目検討もつかん」
この中澤の言葉に嘘は無かった。例の態度が出ていないのだ。
中澤も知らないプロジェクトが進んでいる。
しかもそれが自分達に直接関わってくるかも知れない。
これから先何があるのか、矢口達はただ考えるしかなかった。
- 219 :みゅん八先生:2003/10/16(木) 23:48
- ( `_´)<ういんどうずのあっぷでーとしてたら急に眠くなりますた。
本日はこのまま眠ってしまおうと企んでおります。
( `_´)<と言う訳でお休みいたしますがついでにレスなど・・・
「アレス」にもだいぶ馴染んでいただいた様で、
後はメンバー個人の機体名もガンダムとかザクみたく
馴染んでいただける様になればと思っております。
もっとも機体名はあれですからすぐに解るか・・・
- 220 :名無し狩人:2003/10/16(木) 23:51
- やべ!ハンドルまちげーた(w
やっぱ寝ぼけてるぞ!
- 221 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:28
- そ、そうだったのか…
- 222 :名無し娘。:2003/10/17(金) 00:43
- いろんな意味でガンガレw
- 223 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
- 小川達がムーンベースに行ってから更に一ヶ月が経った。
この間、大した出動も無く、4人のメンバーがいなくても
何とかアレス基地は機能していた。そんなある日
「ん?あれ?おかしいなぁ・・・」
「どうしたの?何か問題発生?」
ノートを手に悩む新垣に柴田が聞く。
「いや、この前の第三艦隊なんですけど・・・ポイント通過記録が
残ってないんですよ」
「じゃあ、戻ったって事じゃないの?」
「でもこのノートにはそれがないんですよね」
火星衛星基地アレスの仕事は戦闘だけではない。
宇宙定期航路の管制業務も仕事の内である。
そして、その管制空域を通過した船はアレスのコンピュータに記録され
その船が帰りにこの管制空域を通過する事により
その記録はコンピュータの画面上から消える様になっている。
もしこの記録が画面上に残ったままであればそれはその船に
何かがあって戻って来ていない事を意味するのである。
だがその作業は基本的に管制を担当した人間の手動で行われる為
時には間違いもある。その間違いを防止する為に新垣が個人的に
記録を始めたのが、今新垣が手にする「お豆ノート」である。
最初は新垣が自分で担当した物だけを書き込んでいたが
今では全ての担当者が自然に書き込む様になり、
記録の入力ミスも激減した。
そして今日、新垣がそのノートと画面上の記録をチェックしてると
第三艦隊の記録がおかしい事に気がついたのだ
- 224 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:02
- 「書き忘れかなぁ・・・でも私は記憶にないし、柴田さんは?」
「私も知らないよ、だいいちあんだけの艦隊が
このポイント通過するなら担当じゃなくても気がつくと思うけど・・・」
「うーん、やっぱりおかしいぞ。チェックします」
新垣はそう言うと管制記録のチェックを始めた。すると
「あっ、一週間前に通過した事になってますね・・・担当は・・・
ん?中澤さんになってます。何でだ?」
通過記録を入力する時には必ず担当者のIDを入力する事になっているが
第三艦隊の復路の通過記録には、普通ならあり得ない
中澤のIDが記録されていたのである。
「私、ちょっと聞いてきます」
新垣はそう言うと中澤の部屋に向かった。
「失礼します!中澤さん、第三艦隊の通過記録なんですけど・・・」
中澤の部屋に到着した新垣がそう言いかけると、中澤が慌てて立ち上がった。
- 225 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 「新垣!それ他の奴に喋ったか?」
「えっ?・・・何の事ですか?」
「だから、第三艦隊の話や!」
「ああ、柴田さんにさっき・・・」
「そうか、ちょっと柴田も呼んで来い!」
中澤のただならぬ慌てぶりに新垣は、訳も解らず柴田を呼びに行く。
そして柴田と部屋に戻った新垣に中澤は言った。
「お前らそれ、良く気がついたな」
「いや、それが仕事ですから・・・」
「まあ、そうなんやけど・・・・まあええ、バレたもんは仕方ないな・・・
実はな、第三艦隊は今、極秘任務についてるんや。
一週間くらい前に連絡があったんやけどその・・・・」
中澤はそこで言葉を切ると決心した様な表情を浮かべた。
「・・・・いや、もうみんなに話しても、ええ頃やろ。柴田みんなを集めてくれ!」
中澤にそう言われ柴田はマルス隊のメンバーを始めとする
アレスの戦闘部隊に召集をかけた。
突然の召集に皆、何事かと話をしながらミーティングルームに集まる。
メンバーが集まると中澤は普段あまり見せない様な表情で話を始めた。
「これから話す事は正直言って断りたかった・・・そやけど軍人として
上からの命令は絶対や、そやから断れんかった・・・・
今から出される指令は、みんなの・・・いや地球の運命を
決める戦いになるかも解らん事や」
- 226 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 中澤のあやふやな言葉にメンバーはきょとんとしている。
「どう言う事?地球の運命なんて訳わかんないよ」
矢口がそう言うと中澤は微笑みと言ったら良いのか
何とも言いようのない表情で話を続けた。
「今、第三艦隊は天王星軌道上に展開している筈や。
これからやって来るはずの敵を迎え撃つ為にな」
「敵?天王星って・・・・宇宙人でも来るって言うの?バカバカしい。
だいいちこの地球圏に来られる様な星に生命のしかも
知的生命体なんて見つかってないんでしょ」
「確かにそうやな、でも、もしそれがいたとしたら?」
「・・・・・うそでしょ?・・・そんな事信じられないよ」
中澤の思わぬ発言にメンバーは驚きの表情を浮かべた。
「うそやない・・・ただ正確には異星人と言うよりは地球人と言うべきかな・・・
だが敵は人間ではない」
「・・・・・?・・・どう言う事?解る様に説明してよ」
地球まで簡単にやってこられる様な天体に知的生命体などいない事は
既に古くから解っている事である。そんな中、敵は太陽系の外から
やってくると中澤は語った。異星人ではなく、ある意味地球人
しかし人間ではない・・・メンバーは話の意味が解らなかった。
- 227 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:03
- 「もうだいぶ昔・・・22世紀の頃の話や・・・
宇宙移住計画が始まってその後に、他の計画もあったらしいんや。
それは、宇宙殖民計画、つまり他の星への移住やな。
そしてその候補となる星を捜す為に、一隻の宇宙船が太陽系から
旅立って行ったんやけどその時の宇宙船のパイロットがその・・・
人間やなくてロボットと言うか、そんな奴やったんや・・・」
中澤がここまで話した所で紺野が言った。
「まさか、それって・・・・ユリシーズ計画・・・・・」
「そうや、紺野、お前よう知ってたな。そのユリシーズ計画で
宇宙船のパイロットを務めたのが当時の技術を結集した
アンドロイド、ユリシーズシリーズ、やった。
完璧なプログラムと完璧な機能を備えた筈のその
ユリシーズ型アンドロイドにただ一つ問題点があった。
それは自己学習プログラムや。そのプログラムによって
学習したユリシーズは宇宙船と共に消息を絶った。
政府はその時事故によって消息を絶ったと判断したんやけど
ユリシーズは健在やった・・・・そして今地球を目指して戻ってくる」
「それの何処が問題なのさ?どっか良い星を見つけて
戻ってくるんじゃないの?だったら問題無いじゃん」
話を聞いた安倍がそう言うと中澤は頷きながら言った。
- 228 :名無し狩人:2003/10/18(土) 20:04
- 「確かにそれやったら何の問題もない。しかし事態は
予想をはるかに越えていたんや。
自己学習の結果ユリシーズは人類の移住は不可能と判断した。
ではどうやって与えられた任務を果すのか・・・・・
ユリシーズが考えた事は・・・このまま地球に戻れば自分達は処分される。
あまりに完璧な自己学習機能は自然に自己防衛本能を目覚めさせた訳や。
つまり「殺られるな殺れ」そう判断したユリシーズは仲間を増やし
人類と戦う為に準備しとったんや。そして偵察の為に先発隊が出された。
それとたまたま出くわしたのが第三輸送船団やった」
「ちょっと待ってよ・・・・って事はあの時私達が戦った相手って・・・」
「そうや、あの戦いの後、調査隊が残った敵のデータを分析して解った事や。
奴らの本隊はもうすぐこの太陽系にやって来る。
慌てた参謀本部は第三艦隊の派遣を決定し、更に今建造中だった
新型艦に急遽改良を加える事になった。その為に大谷と村田が呼ばれた。
そして小川と前田も・・・・これ以上は話さんでも解るよな?」
中澤の言葉にメンバー全員言葉を失う。当然であろう。
「つまり、その新造艦はオイラ達の為に改良されたって事だよね?
そしてその目的は、オイラ達がそれに乗って・・・・」
「そう言う事や、大谷達ももうすぐ戻って来る筈や。
その新造艦に乗ってな」
アレスに衝撃が走ったのは言うまでも無い。
自分達に与えられた任務はその実態も解らない未知の相手である。
これからどうなるのか?中澤はそれ以上何も言わなかった。
- 229 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:48
- 中澤の話があった二日後、アレスに新造艦と共に大谷達が戻って来た。
前田が舵を取り、静かに入港したその新造艦はマルス級と比べると
明らかに巨大である。更に戦闘機搭載能力も増えているらしく
カタパルトが四つある。もちろん武装も強化されており
第三艦隊旗艦「アポロン」と同クラスの戦闘艦と言う印象を与えていた。
「ただ今戻りました」
大谷、村田、小川、前田の4名は、ドックに出迎えに出てきた中澤に
帰還の報告を入れる。
「お疲れさん、それにしてもまた凄い船やなぁ・・・プロメテウス級か?」
中澤はあまりの船の大きさに驚いていた。
因みに「プロメテウス級戦闘艦」とは、アポロンを始めとする
艦隊の旗艦クラスに位置する連邦軍でも最強の戦闘艦である。
- 230 :名無し狩人:2003/10/20(月) 02:50
- 「気に入りましたか?でもこの子はプロメテウス級なんかじゃないですよ。
なんってったって、私達アレスのメンバーが搭乗するんですから」
大谷は嬉しそうに語る。そしてこの新造艦の名前を発表した。
「この子はこう見えてもマルス級の戦闘艦です。
マルス級強襲戦闘艦「スペース・マルス」
スペースは私達のマルスが更に広い宇宙に
羽ばたくと言う意味を込めてみました」
大谷がそう説明するがアレスメンバーの反応はイマイチであった。
「スペース・マルスか・・・・何か冴えない名前やなぁ・・・」
「そんな事無いですよ。元々開発時はスペース・ウルフって
名前だったらしいんですけど、それじゃあ私達には
似合わないですから、ウルフをやめてマルスにしたんです」
「なんや、そのまんまかいな。まあええけど・・・」
大谷の言葉に半分諦めた様な感のあるアレスメンバーであったが
決まってしまった物は仕方がない。全員で新しい船を歓迎するのであった。
- 231 :名無し娘。:2003/10/20(月) 15:56
- 更新Z
艦名、いっそダイ○ロスにw
- 232 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:37
- 「中澤さん、いや、中澤司令。これ預かって来ました」
大谷はそう言うと一枚のメモリーカードを中澤に手渡した。
「遂に来たか・・・みんな、ミーティングルームに集合や!
それから大谷、村田、お前達はもう準備を始めてくれ。
恐らくそれ程時間もないやろ」
「了解!」「了解!」
中澤はそう言うと大谷、村田を残し、その他のメンバーと共に
ミーティングルームに向かった。
「さてと・・・それじゃ見てみましょうか」
中澤は大谷から受け取ったカードをコンピュータに入れる。
カードはアレスメンバーに対する指令であった。
「やっぱりな・・・みんな、とうとう来よったで。
新しい辞令や。覚悟は出来とるか?」
中澤の言葉にその場のメンバーは黙って頷く。
新しい船、「スペース・マルス」の配属辞令が中澤から発表された
- 233 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
- 「まず、艦長は・・・えっ?私?・・・・うそやろ・・・」
「裕ちゃん・・・?まさか・・・・」
中澤の態度に思わず保田が突っ込みを入れる。
中澤が自分はスペースマルスのメンバーに入っていないと
思っていたのだと考えたからだ。
「いやいや、そう言う意味やなくてやな・・・ほら・・・艦長は
圭織かなっちか・・どっちかやと思っとったから・・・・
私はどっちかと言うとそんな器やないし・・・戦闘機乗っとる方が
合ってるからなぁ」
「なに言ってんの。ここの司令官は誰なのよ?
艦長は裕ちゃんしかいないでしょ」
安倍が呆れた様に言う。すると中澤も「そうだよな」と
言った表情を浮かべていた。
「それから・・・・」
中澤の口から次々に配属が読み上げられる。
スペースマルスの人事は次の様になっていた。
- 234 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:38
- 艦長 中澤裕子
副長 安倍なつみ
航海班 前田有紀 その他
レーダー班 北上アミ 大木衣吹
オペレーター 斉藤瞳 柴田あゆみ
艦艇搭載武装担当 末永真己 荒井沙紀 その他
メカニック 大谷雅恵 村田めぐみ その他
戦闘機隊
レッド隊
隊長 保田圭(ケメンダヤス) 二番機 後藤真希(マックゴルド)
三番機 市井紗耶香(テレパシー) 四番機 吉澤ひとみ(ケッカ−)
五番機 木村絢香(スコロンダ) 六番機 小川麻琴(ゴロMAX)
イエロー隊
隊長 矢口真里(セクビム) 二番機 加護亜依(ザシチェッキ)
三番機 辻希美(レスラッテ+) 四番機 ミカ・トッド(タレンザ)
五番機 高橋愛(ヤヨオーラ) 六番機 新垣里沙(マユビム)
グリーン隊
隊長 戸田鈴音(クレージーホース) 二番機 木村あさみ(フリーダムドック)
三番機 里田まい(ノンクラクション) 四番機 斎藤美海(ホカノドーガ)
五番機 藤本美貴(ブギ−03) 六番機 紺野あさ美(オジャマール)
ホワイト隊
隊長 飯田圭織(デイオウル) 二番機 石川梨華(チャ−ミーV)
三番機 田中れいな(ノギ−メタンア) 四番機 道重さゆみ(サーユナルシス)
五番機 亀井絵里(キースギテック) 六番機???
- 235 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:39
- 「以上、本日付での配属となるそうや」
中澤の発表を皆黙って聞いている。
遂に指令は下されたのだ。新たなそして未知なる敵との戦いが
新しい船「スペースマルス」と共に始まろうとしていた。
「おらー!モタモタすんな!とろい奴は一時間鏡の部屋に
道重と一緒に閉じ込めるぞ!」
大谷の声がアレス戦闘艦ドックに響き渡る。
今まさに、スペースマルスの出港準備が進められていた。
艦載機の積み替え、物資の搬入、メカスタッフに休みはなかった。
「ところでさ、オイラ達がここ出てっちゃたら、ここの仕事はどうなるの?」
矢口が中澤に聞く。まあ確かに当然の疑問ではあろう。
マルス隊の人間がいなくなってしまうのだ。
「その心配は無用だ!」
矢口の質問に答えたのは中澤ではなかった。
メンバーは一斉に部屋の入り口を見る。
そこには奇妙な格好をした男が立っていた。
- 236 :名無し狩人:2003/10/21(火) 00:40
- 「ダスマン提督・・・・」
そこに立っていたのは連邦軍特殊部隊司令の「ダスマン中将」であった。
さらによく見るとダスマンの後ろにも人影があった。
「彩っぺ・・・明日香・・・・」
ダスマンと一緒に現れたのは「石黒彩」「福田明日香」
石黒はダスマンの指揮する特務艦「ミラーボール」戦闘機隊のリーダーであり
福田は「ムーンベース」の戦闘機中隊の隊長である。
「提督、いつこちらに・・・?」
突然のダスマンの登場に中澤は驚いている様だ。
「さっき着いたばかりだ。それより中澤、ここの警備は大丈夫か?
「ミラーボール」の接近にまったく気がついていなかったぞ」
ダスマンはそう言って中澤を見る、すると
「提督、あたりまえですよ。どうせまた訓練とか言って
こっそり近づいたんでしょ?それだったら逆に見つかる方が
ヤバイんじゃないですか?」
藤本が突っ込みを入れる。藤本は航路監視隊時代に
ダスマンによくこんな事をされていたのだ。
- 237 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:37
- 「あれ?藤本・・・お前ここだったか?」
「移動になったんです!」
藤本がいる事に少々驚いた感じのダスマンであったが
すぐに何事もなかったかの様に話を始めた。
「とにかくだ、今、矢口が言った事は問題はない。
ここの任務は私が引き継ぐ事になった」
ダスマンの言葉に皆驚きの表情を浮かべる。
「提督が・・・ですか?」
「そうだ、このアレスの指揮は私が取る。それからマルス1・2は
石黒のブラック中隊と福田のシルバー中隊が引き継ぐ。
どうだ?思い入れのある基地も船も、知らない奴らに任せるよりいいだろう?
石黒も福田も、お前達の新しい任務の話を聞いて名乗り出たんだぞ」
ダスマンがそう言うと中澤は不思議そうに聞いた。
- 238 :名無し狩人:2003/10/21(火) 23:38
- 「そうなんですか・・・?でも、私達の任務って軍機なのでは?
なのに明日香も彩っぺも、なんでその事知ってるの?」
中澤がそう言うと石黒は笑いながら言う。
「確かに私達は、ここの後任の志願はしたよ。
でもね、その事を教えてくれたのはダスマン中将なの。
だからここの後任の事は全てダスマン中将が仕組んだ事なんだよ。
私と明日香にこの話をすれば、絶対こうなるって思ったんでしょ」
石黒彩、福田明日香の両名は元々飯田や安倍達と一緒に
中澤の下について仕事をしていたのである。
なので、その後に配属になった矢口や保田達とも知り合いであり
藤本や松浦よりもマルス隊のメンバーの事は良く知っているのだ。
また、ダスマンは昔から中澤のよき相談相手であり
石黒や福田ともつながりのある不思議な立場の人間であった。
「提督・・・ありがとうございます。これで私達も安心して
ここを後にできます」
中澤だけでなくスペースマルスに配属になったメンバー全員が
一斉に頭を下げる。信頼できる仲間に後を任せられるのだから
これ以上嬉しい事はないのであろう。
- 239 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
- 「明日には出発かぁ・・・」
新しい船に自分の荷物を運び込む矢口が呟く。
「それほど深く考える事でもないんじゃない?」
「そうだけどさあ・・・」
一緒にいた保田はそれ程深くは考えていない様子である。
これから自分達が向かおうとする所は間違いなく「フロントライン」
つまり最前線になるのである。
どれだけの力を持ち、どんな戦い方をするのか?
一度先発隊と戦った事はあるがそんなものは参考にならないであろう。
矢口に限らず一抹の不安を覚えるメンバーはいるのだ。
「あれっ?意外に中は広くないんだね」
「本当だ、マルス1・2とそんなに変わらないみたい」
スペースマルスに乗り込んだ保田はそんな感想を持った。
一緒にいた矢口もそれは感じた様である。
通路の広さや天井の高さなど中に入ればもっと広い物だと2人は思っていたのだ。
実際過去に2人が乗艦経験のある、プロメテウス級戦闘艦「ダイダロス」は
通路も天井も広く、流石旗艦を務めるタイプだけあって快適であった。
だがこのスペースマルスは、マルス級だからなのか見た目は同じ大きさでも
中が非常に狭い構造になっている様である。
- 240 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:04
- 「なーんだ、ガタイが大きいからもっと快適な船だと思ってたのに
これじゃあ、マルス1と変わんないじゃん」
「まあまあ、所詮戦艦なんだから快適性を求める方がおかしいよ」
がっかりする矢口に保田は笑いながら言った。
だがそんな矢口の考えは次の瞬間一気に吹き飛んだ。
「あっ!矢口さん、保田さん。居住ブロック見ました?」
「流石新造艦!ビックリしましたよ!」
先に乗艦を終えていた紺野と小川が興奮してやって来た。
「えっ?まだだけど・・・」
「何かあったの?」
2人のハシャギぶりに保田も矢口もポカンとしている。
- 241 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
- 「凄いですよ、ほら、早く来てください!」
紺野と小川は、保田と矢口の手を引くと居住ブロックに連れて行った。
いったい何があったのか?手を引かれるままに居住ブロックにやって来た
保田と矢口は言葉を失った。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「どうですか?凄いでしょ?」
「みんな個室なんですよ。シャワールームもあるし、ほら食堂も」
今まで二段ベットの仮眠室しかなかったマルス1・2と比べて
この変わり様は誰しも言葉を失う。
後からやって来た後藤と市井も反応は同じであった。
「どう?凄いでしょ?」
- 242 :名無し狩人:2003/10/23(木) 20:05
- 驚きのあまり呆然とするメンバーに声をかけたのは村田だった。
村田はまるでアレスの居住ブロックを思わせるこの空間を誇らしげに見渡す。
本来居住ブロックは艦長やその他幹部メンバーと一般の兵士とでは
まったく待遇が違う。当然立場の違う上の人間の方が待遇は良いのだ。
まだ軍隊が陸、海、空と分けられていた地球時代の名残で
今までの連邦軍の宇宙艦は階級に合わせて部屋が用意されていて
艦長や幹部などはより快適に過ごせる様になっているのである。
だがこのスペースマルスは違っていた。
艦長の中澤から、新人の田中や道重達までまったく同じ広さの個室が
与えられ誰もが同じ様に快適に過ごせる様になっているのである。
ではなぜそうなっているのか、それは村田と大谷の仕業であった。
「実はね、私達がムーンベース行った時にはまだこの居住ブロックは
出来ていなかったの。まあこのブロックはどんな船でも最後に作るからね。
それでね、設計図を見たらいらないスペースがいっぱいあったから
それならみんな居住スペースにしちゃえって勝手に設計変えちゃったの。
だってさ、乗りもしない参謀用のスペースなんていらないでしょ。
あと応接部屋とか、訳の解んない幹部用作戦室とか
無駄な空間を一切排除してみんなの為に・・・怒られてきました!」
当然勝手な設計変更はすぐにバレた。だが大谷がそこでどうせ自分達が
使う船なのだから好きにやらせてくれと抗議したのである。
元々実験要素が多いこのアレスのメンバーである。
大谷と村田の頑張りもあり、渋々だが許可が下りたのであった。
- 243 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
- 「へぇー、なかなかやるやないか」
村田が話を終えると中澤がやって来て言う。
この空間を中澤も気に入った様である。
「あっ、中澤さん・・・・これで大丈夫ですか?」
「何がよ?ええやん、じゅうぶんよ。広い艦長室なんていらんで。
ましてや艦長専用のベットルームなんてお笑いや。
艦長なんて指示だけ出してりゃええんやから一番楽やんか。
そんな奴が一番快適な部屋を使うなんてアホらしいで」
心配そうな表情を浮かべていた村田に中澤は笑いながらこう言った。
それを聞いた村田も安心した様に笑顔を浮かべるのであった。
「そうや、矢口。お守り忘れとるで。艦橋に貼っといてや」
中澤はそう言うと村田と2人で居住ブロックを後にする。
「いけね、忘れてた」
矢口はそう言うと、今ロッカーにしまったばかりのバックから
一枚のお札の様な物を取り出した。
- 244 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:26
- 「何ですかそれ?」
紺野が興味を示し聞いて来る。
「あ、これ?一応お守り。マルス1にも2にも貼ってあったでしょ。
このお札はね、代々矢口家に伝わる太陽のお札なんだって。
その昔、私のご先祖様がこのお札で仲間の命を救ったらしいの
それで私もそのご利益にあずかろうとマルス1・2に貼った訳よ。
そのご利益か解らないけど、我がマルス隊は今まで殉職者なし!
だからこの船にも貼っとけって裕ちゃんに言われてたんだよ」
矢口はそう言うと、そのお札を持って艦橋に向かう。
お札によほど興味があったのか紺野がついて行った。
「本当にご利益なんてあるんですか?」
「何?小川は信じないの?」
「そう言う訳じゃないんですけど、あのお札、昨日矢口さんが
自分で書いてたやつですよね?」
「そうだよ、良く知らないけど矢口が書かないと意味がないんだって。
でもきっとご利益はあるよ。私なんかあれ見てると安心するもん」
矢口のお札をイマイチ信用していない小川に保田は笑いながらこう言った。
- 245 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
- 場所は変わってこちらは船の外、村田と中澤は甲板にいた。
「やっぱみんなを代表して礼を言っとくな。ありがとう」
「いや、それなら大谷に言って下さい。あの居住ブロックにこだわったのは
大谷なんです。いくらピースドライブがあるからって戦闘が長引けば
艦内生活だって長くなる訳だからって、あの時の勢いは
OKが出なかったらきっとムーンベースメカニックの総責任者の
タイーゼ少将の所まで行ってたと思いますよ」
村田がそう言うと中澤は何も言わずに下でスタッフに指示を出す
大谷を見つめている。
「ほら、モタモタすんな!ドン臭い奴は一時間圭織のダジャレに
つきあわせるからな!」
そう叫びながら走りまわる大谷を見て村田は続けた。
- 246 :名無し狩人:2003/10/25(土) 00:27
- 「大谷は普段あんなだから、みんなあまり気がつかないけど
パイロットのコンディションとか状態を見てるんです。
調子が悪かったり疲れている子がいれば必ず声をかけてますから。
戦闘機を壊して欲しくないって事もあるとは思いますけど
それ以上に普段現場に出ないから、みんなが無事に戻って来るのを
願ってる筈です。口には出さないけど・・・」
村田の言葉に中澤は黙って頷く。すると
「おい村田!暇なら手伝えよ!まだまだやる事いっぱいあるんだぞ!」
甲板にいた村田を見つけた大谷が叫んだ。
村田は返事をすると下に下りて行く。
「・・・・言わんでもみんな解ってるやろ・・・」
中澤は1人呟くとまた船の中に戻って行った。
- 247 :名無し娘。:2003/10/25(土) 02:44
- 手書きのお守りってもしや・・・考えすぎですか?w
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