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あああああああああああああああああああ

1 :あああああ「:02/08/04 03:19
あああああああああああああああああ

301 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
「なんだい、あんたたち。そんなレベルで森を抜けてきたって言う
 のかい。そりゃ危ないってば。」

ごめんなさい。

「まったくもう。明日香ちゃんとあさ美ちゃんが付いていながら。
 みっちゃんとかは何も言わなかったの? でもまああの子も小さ
 い頃は裕ちゃんと一緒にわんぱくしてたもんだし。」

おいおい。

「あのねぇ。森はとっても危ないんだよ。もしなっちがお魚さんと
 するじゃない。川はとっても気持ちがいいんだよ。スイスイッと
 ね。でも川には熊さんとかがいてこう、食べられたりとかもする
 かもしれないけど・・・」

あ、しまった。圭織おばあちゃんの話が始まった。。

「でね、ちょっとぉ〜、聞いてる? 海に出るとね、こう、海は広
 いんだよ。でね、川と比べて海はと〜っても広くて気持ち良くて
 ね・・・」

話し出すと長いんだよなぁ〜。

「でもね、海は危険がいっぱいなわけよ。クジラさんだっているん
 だから。でもクジラさんもね、クジラさんで大変なわけよ。なん
 たっておなかの中に・・・」

あ、ノンがいないや。逃げたな。

「ねえ、なっち、聞いてる?」
「聞いてる。聞いてる。」

302 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
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303 :名無し娘。:2004/04/05(月) 04:27
圭織おばあちゃんの話
キタ─wwヘ√レvv〜川 ゜皿゜)||─wwヘ√レvv〜─ !!!

304 :名無し娘。:2004/05/04(火) 06:09
ほぜん

305 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:15
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306 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:15
翌朝、私はにぎやかなんだか騒がしいんだかよく分からないものに
よって起こされた。
だんだん意識がはっきりしてくると、それが隣の部屋からもたらさ
れる陽気な音楽と歌声だということが分かった。

「あ、安倍さん。おはようございます。」
「なっち、めずらしく早いね。」
「あ、うん。おはよ。。何してるの?」

ノンがギターをかき鳴らしていた。

「ノン。ギター弾けるの?」
「うん。最近始めたんだ。君のハートをキャッチするぜ。」

なんか無意味にポーズを決めてるノンが滑稽に見えて、つい笑って
しまった。

307 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:16
「すごいんだよ、ノン。昨日一晩で曲作ったんだって。」

あら、明日香も妙にテンションが高いぞ。

ノンはと見ると、自慢げに右手の指で鼻をかいていた。

「ねえ、どんな曲? 聞かせてよ。」
「じゃあ行くよ。それっ。」

  なっちだポン! パワフル魂〜
  なっちだポン! すいもあまいも〜

なんじゃああ? その歌。
なんか明日香と紺野も一緒に口ずさんでるぞ?
しかも飛び跳ねながら踊ってるし。
あ〜、頭痛くなってきた。もっかい寝よぉっと。

「ほらほら、ご飯できたよ〜。」
「あ、わ〜い。」

私はテーブルへと駆けだしていた。

308 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:17
「それがね、あの子達ったらね、、」

圭織おばあちゃんがみっちゃんや裕ちゃんの小さい頃のことを話し
てくれていた。小さい頃は二人でパーティを組んで、今の私たちの
ように圭織おばあちゃんちに遊びに来ていたのは知っていたけど、
こうして圭織おばあちゃんの口から当時のみっちゃんのお転婆ぶり
の話を聞くと、なんとなくむずがゆい気持ちがする。

「もうねえ、二人してスライムを殴りまくってね。」
「え? 殴るんですか?」

黙々と食べていた紺野の手が止まった。

「そうなの。スライムってほら、直接触ると手が荒れるじゃない。」

あ、荒れるっていうのかぁ?

「だから軍手をはいてね、そしてスライムを見つけると殴るわ蹴る
 わ、そりゃあ、あの二人はスライム達から恐れられててね。」

なんか、想像できる・・・

「しまいにはスライムをボール代わりに遊びだしてね、」

ひぇっ。スライムさん達。かわいそう。。

309 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:18
「もうね、スライムの一族が滅びるんじゃないのかっていう冗談も
 流れたもんだよ。」

あれ、一族っていうのかなあ。なんか違う気がするけど。

「そういえば裕ちゃんの店で軍手売ってたね。買っときゃ良かったな。」

明日香がこっちを見て微笑んだ。

明日香。あんたって見かけによらず、、

「クジナメもそれでつかめるかもしれないじゃない。」
「あ、そうか。明日香、頭いいねぇ〜。」
「安倍さんが軍手をはいてクジナメを押さえつけといてくれれば、
 クジナメがクニクニしませんから攻撃が効くかもしれませんね。」
「そうそう。なっちも役に立つじゃん。」

そうか、私が、、ってなんで私なのよぉ。

「残念だなあ。なっち、軍手持ってないもんなあ。」

私はいかにも残念そうに言ってやった。

「うちにあるよ。1つだけど持ってきな。」
「え〜〜。何であるのよぉ。」
「何か問題でも?」
「あ、いや。別に、、」

くそっ。

310 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:18
「だってノンに買ってあげたのに、ノン、ぜんぜんしないんだもん。」
「あんなだっせーの、いらねえって。」
「せっかく圭織が一生懸命選んで買ってきてあげたのに。」

圭織おばあちゃんがちょっとイジイジしだす。

なんか、かわいいっ。

「これでクジナメ対策は完璧ですね。」
「ちょっと待ってよ。1つしかないんでしょ? なんでなっちがす
 ることに決まったのさ。」
「なっち。圭織おばあちゃんの選んだ軍手が嫌なの?」
「だったら明日香が、、」

圭織おばあちゃんが私の方にじ〜っと視線を送ってきている。
私は明日香に伸ばしていた右手をゆっくりと降ろさざるおえなかった。

「圭織おばあちゃん。なっち、がんばるっ。」

私が圭織おばあちゃんに向かって笑みを向けると、
圭織おばあちゃんの顔がみるみる笑顔になっていった。

「ありがと、なっち。今すぐ持ってくるからね。」

ふぇ〜ん。

311 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:19
圭織おばあちゃんが奥の部屋に入ったかと思うと、すぐに戻ってき
た。手には布きれらしきものを、、ひょっとしてあれ、軍手かあぁ?

「ほら。すてきでしょ。」

ピンク色をした軍手がテーブルの上に置かれた。なぜだかひらひら
の白のフリル付きである。

あ、ありえない〜。

「ど、ど、ど、どこで買ったの、これ?」
「以前、街に行ったときにね。かわいいでしょ?」

テーブルの向こうから聞こえてくる「なっち、似合うよ」とかいう
無責任な声は無視、無視。

「あ、ありがと。大事にするよ。」

きっとそのときの私の笑顔は引きつっていたと思う。

312 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:19
「で、どうするの? いつもみたいにしばらくこっちで遊んでくの?」
「うん。そのつもり。」
「じゃあ、今晩も腕によりをかけてご飯作って待ってるからね。」
「楽しみにしてる。」

朝ご飯食べながら晩ご飯の話をするのも何だけど、圭織おばあちゃ
んは優しい人なのだ。

「あ、これっ。ノン。」

圭織おばあちゃんがノンに向かって何か叫んでいる。
ノンはというと、何か紙袋に手を突っ込んで食べているようだった。

「それおやつでしょ。何いまから食べてんの。」

ノンの座っているテーブルの上には、ピーナッツの殻が散らかされていた。

「いいじゃん。」
「また太るよ。」
「うっせい。ババア。」

ボンッ。

ノンは猫に姿を変えてどこかに逃げていってしまった。

313 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:20
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314 :名無し娘。:2004/05/08(土) 14:12
この雰囲気ホントいいなぁ〜
読んでて思わず顔がほころぶw

315 :名無し娘。:2004/05/09(日) 08:42
更新乙です

316 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

317 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:00
>>316
そういやそろそろ保全の時期だな。
素直じゃないな、まったく。

318 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:00
>>316
君の気持ちが分からないのが正直つらいけど、何とか理解できる様に
がんばってみる

319 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:31
保全。

320 :名無し娘。:2004/06/04(金) 21:32
人口木へ一土

321 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:43
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322 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:43
私たち3人は昨日抜け出ていた森の前に来ていた。
当面の私たちの課題はレベルアップだ。もっともっと強くならない
とね。
今日は森の奥深くに入っていくんじゃなくて、疲れたらいつでも圭
織おばあちゃんの家に戻れるようにちょっと浅く入ったところをう
ろちょろとするつもりなのだ。

「クジナメいないかなあ?」
「なんでいきなりクジナメなのよ。」
「何言ってんですか、安倍さん。体力のある今のうちにクジナメと
 戦った方がいいじゃないですか。」

う〜ん、、

「もし安倍さんのその手袋が役に立たなくても、サンダーでなんと
 かなりそうですし。」

手袋に期待するなよ。

「でもさ〜、クジナメ1匹とスライム3匹がポイント的に同じわけ
 でしょ? だったらスライム3匹やっつけた方が体力も魔法も使
 わなくていいんだから、お得なんじゃないの?」
「そういう考え方もありますね。福田さんはどう思います?」

323 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
歩きながら明日香は私の方に顔を向けて笑う。

「なっちも考えてるんだね〜。」

何よっ。

「でもさ、どっちにしたってモンスター見つけないと話にならない
 し。それに私たちがどっちがいいって選べるもんでもないような
 気がするけどさ。」

まあ確かに。
やっぱ明日香は冷静だな。

「とりあえず言えることは、クジナメが出てきたとしてそれなりに
 やっつけられるようになるか、逃げようと思えばいつでも逃げら
 れるようにね、とにかく強くなるしかないんじゃない?」

そうだよね。
目指せ、とにかくレベルアップ!!

私はひそかに気合いを入れた。

324 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
「あ、スライム発見! 2匹見ぃ〜つけた。」
「なっち。ほら、手袋。手袋。」
「えぇ〜〜っ。」
「安倍さん、早く。」

ううっ、紺野まで。

「有効かどうか試すんですよ。」

紺野と明日香はそれぞれ武器を構えて、スライムを逃がさないよう
に辺りを囲んだ。

仕方ないなぁ〜。とうとうこの手袋を・・・

「なっち。早くっ。」

はぁ〜〜。

圭織おばあちゃんからもらったピンクの手袋をいやいやながら手に
はめた。

「二人とも逃がしちゃダメよ。」

私はゆっくりとスライムの方に歩み寄っていった。
何となくスライムと目があった気がした。

325 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
そいつが私の方に飛び跳ねてくる。

キャッチ。

おお〜。うまいうまい。我ながらちょっと感動。
両手でスライムをつかんだ状態で、ちょっと顔の前に持ってきての
ぞき込んでみる。

「なっち、どお?」
「ん? ん〜っとね・・・」
「うん。」
「こうやってよく見ると、かわいいかも。」
「・・・」

ど、どしたの。みんな? そんなに呆けた顔して。。

「安倍さん。すっごい楽しそうなところ申し訳ないんですが、」
「何?」
「手は何ともありませんか? 痛みとか、しびれとか。」
「んっ〜とね。。大丈夫みたい。」
「紺野さあ。あの笑顔見たら聞くまでもないでしょ。」

明日香が微笑んで私の方を見た。

「なっちの頭の中ってお花畑でしょ。ぜったい。」

・・・何で?

326 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
「とりあえずそのスライムをこっちに投げて。」

ん? よく分からないけど明日香めがけて、、

「だああ〜。待った待った。」

どしたんだ??

「いや、あの、、今思いっきりぶつけようとしたでしょ。絶対。」
「うん。」
「いや、うんじゃなくて。。ほら、下から軽〜くね。」

いいじゃん。どっちでも。
とりあえず明日香に言われたように軽〜く、ほいっ。

スライムは緩やかな放物線を描きながら明日香の方に、、

「紺野行くよっ。」

明日香は杖を後ろに引いて、軽くスライムめがけて振り抜いた。

ポンッ。

327 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
紺野の方にスライムが飛んでいく。
待っていましたとばかりに、紺野が剣を振るった。

「えいっ。」

ボコッ。

「ああ〜っ。なんてことするの。私のスライムを。」
「なんだよ。私のスライムって。」

うう、、

「やっつけただけじゃん。まだもう1匹いるんだから気を抜いちゃ
 ダメだよ。」
「それにしてもあんな事しなくたって。」
「安倍さん。スライムに触る事で3人共にポイントが入るんですよ。」
「そうだよ。私が杖で思いっきり殴ったら一撃でやっつけられるけ
 ど、それじゃ私にしかポイントつかないしさ。」

そりゃレベルアップが必要だけどさ。
後でお墓作ってあげようかなあ〜。

「ほら。もう一匹いるんですから、逃がしちゃダメですよ。」

328 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
なんとなくあのスライム。おびえているかのように見える。
紺野がスライムに詰め寄ると、逃げるようにして明日香の方に進ん
でいった。

「いくよ。なっち。」

ポンッ。

明日香が杖で下からスライムをたたき上げた。
スライムが私の方めがけて飛んできた。

「きゃっ。」

私の手に弾かれたスライムは紺野の方に飛んでいって、

「ナイス、安倍さん。」

ボコッ。

「よし。やっつけたぞ。」
「3人ともうまくポイント入りましたね。」
「そうだね。そんなに体力も消耗しなかったし。」
「手袋も意外と役に立ちそうですね。」
「あれ? どうしたの、なっち。うれしくないの?」

う〜、なんだかなあ。
でもちょっと楽しかったかも。なんか複雑。

329 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
----------------------------------------------

330 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

331 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

332 :だぎゃー:2004/06/11(金) 10:04
死に腐れ

333 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

334 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

335 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

336 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

337 :名無し娘。:2004/06/11(金) 16:17
いんどけ

338 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

339 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

340 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

341 :名無し墓集中。。。 :2004/06/12(土) 19:24
人口木へ一土

342 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:26
sage

343 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:28
sage

344 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:31
>>330-343
「なんちてクエスト」の邪魔はしないでください。

345 :名無し娘。:2004/06/13(日) 17:04
341は一応、保全のつもりなんじゃないの

346 :名無し娘。:2004/06/13(日) 18:00
>345
他の>339以降も保全のつもりなんじゃないか?
狼じゃあるまいし毎日保全する意味もないと思うけど。

347 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

348 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

349 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

350 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

351 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

352 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

353 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

354 :なんちてクエスト作者:2004/07/03(土) 10:52
保全してくれているからあと一ヶ月ぐらい書かなくても大丈夫だね。
2,3ヶ月以内には更新するつもりです。

355 :nanasi:2004/07/03(土) 19:46
更新頑張って下さい。

356 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

357 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

358 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

359 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

360 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

361 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

362 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

363 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

364 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

365 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

366 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

367 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

368 :名無し娘。:2004/07/18(日) 21:59
あああ

369 :名無し娘。:2004/07/18(日) 22:01
ウチさルフィ好きの2ちゃんねらー探してんだけどしらね?

370 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:22
ひどく荒れたもんだね。
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371 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
とりあえず気を取り直して、私たちはうろうろ歩きを再開した。

「福田さん。今、あっちで何か動きませんでした?」

紺野が何か左の方を見ていた。
私と明日香も足を止めて紺野が指さした方を凝視したけど、特に何
も変わったところはなかった。

「気のせいじゃない?」
「・・・そのようですね。ごめんなさい。」

あれ?

「ちょっと待って。なんかいるよ。」
「ホント?」

なんか大きそうだな。クジナメさんかなあ。。ん〜〜、

「まだ気づかれてないね。ゆっくりと近づいてみようよ。」
「ちょっと待ってください。」
「何? どしたの?」
「少し風がありますから、風下から回りましょう。」

なるほど。

372 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
「なっち。行くよ。」
「あ、うん。」
「ほら、もっとかがんで。見つかっちゃうじゃない。」

私たちは獲物を見失わないようにしながらも、遠回りで近づいていった。

う〜、それにしてもこの体勢が続くと、腰痛いよぉ。

モンスターの姿が見えそうなところまで来ると、私たちは息を潜め
て木の陰に隠れた。

やっと休める。はぁ。

「福田さん。見つかっちゃいましたかねえ。」
「ん〜。まだ気づかれてはいないと思うんだけど。」

明日香と紺野がひそひそと話している。
どうやらモンスターも動きを止めて辺りを警戒しているらしい。

「なっち。なんでおしりつけて休んでるの。いつでも戦えるように
 立って。ほら。」

だってぇ〜〜。

373 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
「モンスターの種類、分かる? クジナメより大きそうだけど。」
「ダメですって、福田さん。今覗くと気づかれちゃいますよ。」

ほらほら。私のようにだねえ、木の横の茂みに体を隠しながらだね
え、相手の様子をだねえ、、

「なっち。こら、寝るなっ。」

ち、違うもん・・・

「ホッピーデホップ・・・」

どこからともなくそう聞こえた気がした。気のせいかもしれないけ
れど。
ん? 何だ?

そのとき急に突風が吹き抜けた。

「きゃっ。」

木の陰に身を潜めていた明日香と紺野はその場になんとか踏みとど
まれたみたいだけど、私はというと、、転がっていた。

あ、やばっ。

なんとか回転を止めたけど、茂みから離されてすっかり丸見えだ。
顔を上げると同時に、何かが飛びついてきた。

374 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
「ひゃっ!!」

なぜか時間が止まったような感覚。あれ?

「なんだ。人間か。」

ゆっくりと目を開けると、人の顔があった。
剣を今にも私に突き刺ささんとする体勢で止まっていたが、
そう言って彼女はゆっくりと剣を腰に納めた。

装備は私たちと同じようにいたってほとんど軽装だけど、長剣だ。
長剣。これがあの夢にまで見た長剣。
あ、いやいや、そうじゃなくて、体が引き締まっているのが見て分
かる。

「名前は?」

彼女はそう言って私に手をさしのべた。

「安倍、、なつみ。」

ゆっくりとその手に捕まる。

彼女の後ろで、武器を構えた明日香と紺野の姿が目に入った。
彼女も気づいたみたいだ。

375 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
「ちょっと待って。危害を加えるつもりは無いみたいだから。」

彼女が剣をしまっているのを確認すると、明日香と紺野も武器をし
まった。

「なんだ。冒険者か。」
「君たちもそうなの?」
「うん。名前、なんて〜の?」
「後藤真希。ごっちんって呼んで。」

そういってごっちんは私たちに笑いかけた。
私たちも笑顔で答える。

「ごっちんはさあ、、って、呼びにくいなあ。」
「ひどぉ〜。」
「そうだ。君は今日からごっつぁんだ。」
「なんじゃそれ。」
「いいじゃん。私はそう呼ぶ事に決めたんだから。私の事はなっち
 って呼んでいいよ。」

なんか困ったような顔をして私を見てる。

「ん〜。まあ、いっか。」

ほら、やっぱ、いいんだ。なんとなく分かってた。何でだろ。

376 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
「でさ、ごっちゃんは見たところ一人なの?」
「ごっちんだってば。」

明日香のやつ、わざと間違えたな。

「いいじゃん。」
「良くない。」

あはは。

「あっちに仲間がいるよ。高橋、出ておいで。」

向こうで姿を隠していたのか、高橋と呼ばれた女の子が立ち上がっ
て恐る恐るって感じでこっちに歩いてくる。紺野と同じぐらいの歳
かな。

「高橋。モンスターじゃなかったみたい。」
「・・・」
「おいでよ。大丈夫だから。」

なんかえらい怯えられてるみたい。私たち。

377 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:25
「こっちが安倍なつみさん。なっちだって。それと、、その仲間達。」
「こらっ。福田明日香です。」
「紺野あさ美です。よろしく。」
「高橋愛ですぅ。よろしくお願いしますぅ。」

なんか微妙なイントネーションで話すその子は、なぜか私たちに
一礼した。

きっといい子なんだな。

「あ、高橋さんって、、間違ってたらごめんなさい。もしかして、
 エルフなんですか?」

高橋は目玉が飛び出るかのように驚いていた。
大げさってんじゃなく、ホントに飛び出るのかと思うぐらい目を見
開いて、そしてなぜか固まっている。

「ご、ごめんなさい。」

紺野がすかさず謝る。

紺野ってば、なんて事言うの? そらいきなりそんなこと言われた
ら驚くってば。
にしても、高橋って子。驚きすぎだよ。そんなに驚かなくてもいい
のにさ。

「あ、気づいた?」
「な、何で分かったんですか?」
「いや、耳の形とか、話すときのイントネーションとか、、以前本
 で読んだエルフ族の特徴に似ていたから。」

378 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:25
え? エルフ族なの? 高橋っていうこの子。

へぇ〜。見た目は人間とよく似ているねえ。初めて見た。
確かに耳は少しとんがってるな。

「これなっち、あんまりじろじろ見ないの。」
「あ、明日香だって。」
「あはははは。面白いなあ、君たち。」

愉快そうに笑っているごっつぁんの隣で、高橋は恥ずかしそうに顔
を少し下に向けた。

「そ、そんなにジロジロ見ないでください。」

うんうん。紺野の言うように、言葉のアクセントがちょっと違うな。

「へ〜、これがエルフ語かぁ。」
「ち、違いますぅ。失礼な。」
「え? だってアクセントがちょっと変じゃん。」
「え?! 全然、変じゃないですよ。」
「あ、ごめん。」

いや、だからあの、、その目を大きく見開かないでよ。
ひょっとしてこれもエルフ族の特徴なのかな?
後で紺野にでも聞いてみよっと。

379 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:26
「それにしてもごっつぁんってすごいね。風が吹いたかと思ったら
 もうなっちの上にごっつぁんがいたんだもん。」
「ああ、あの風? あれは高橋の魔法だよ。」
「え? 魔法で風がおこせるの?」

つぶやくようなごっつぁんの言葉により、私たちは高橋に注目した。
高橋はぶるぶると左右に首を振った。

だから目を見開かないでぇ〜。

「違うんですぅ。魔法じゃなくて風の精霊なんですぅ。」

なんだか良く分かんないや。風の精霊が勝手に風を吹かしたのかぁ?

「私が風の精霊を召還したんですぅ。でも私の力ではまだあれぐら
 いの風しか無理で、まだまだ修行中なんですぅ。」

今ひとつよく分かんないぞ?

「精霊使いなんですか?」
「はい。」
「へえ〜。すごいです。」

なんか会話が成り立ってる。さすが紺野だ。

380 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:26
「そ、そんなことないですぅ。私の力では気持ちいい程度の風が精
 一杯なんですぅ。」
「それでもすごいですよ。」
「なっちなんかごろごろ転がってたもんね。」

明日香が意地悪そうな目でこっちを見た。

「初めてですぅ。普通は踏ん張られて、でも体が大きな人とかは踏
 ん張る必要もなくて、だからあんなに転がってくれたのは初めて
 ですぅ。」
「そうなんだ。よかったね。」

ホントに心底うれしそうな顔をしている。さっきまでとはうってか
わって、はち切れんばかりの笑顔だ。

「ありがとうございますぅ。」
「いえいえ、どういたしまして。」

なんかよく分かんないけど、お礼を言われてしまった。

何でだ?

381 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
「でもごっつぁんもすごいよね。あんなに離れてたのになっちんと
 こまで一瞬で来ちゃったしさ。」
「うん、そうそう。私もそう思うよ。すごいよね。」

いきなり話を振ったもんだから、ごっつぁんったらきょとんとしてる。

「ありがと。でも高橋の風を背に受けてるからすこし加速力が増す
 んだ。私、今、レベル3だし、まだまだだよ。」

なるほどね。
でもごっつぁんの体が鍛えられていることは見れば分かる。あの長
剣をなんなく振り回していたし。

「魔法とか使えるの?」
「ううん。私は剣士だから。いつか共和国一の剣士になるんだ。」
「じゃあ、なっちのライバルだ。」
「おいっ。嘘つけ。」
「安倍さん、安倍さん。」

なんだよぉ。

「なっちも剣士なの?」
「ううん。なっちはねえ、勇者んん、ぐ、んがが・・・」

こ、こら。明日香、口から手を放せ。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

紺野、何で謝るのさっ。

「あはっ。」

ごっつぁんも笑ってないで助けろよ。

382 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
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383 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
その後、ごっつぁんや高橋とすっかり話し込んでしまった。
紺野と高橋が同じぐらいな歳だと分かって、すっかり仲良くなって
しまっていた。私と明日香もごっつぁんとは気が合ったし、すっか
り友達になっていた。

近くに村はないかと訪ねられたので、私たちの住んでいる村を教え
てあげた。あと、私たちが今泊まっている圭織おばあちゃんちも教
えといた。

後で遊びに行くかもといっていたけど、私たちが村に戻る方が先か
もしれない。いずれまた会いたいね。そう思った。

「気持ちのいい連中だったね。」
「うん。」
「楽しかったですね。また会えたらいいですね。」
「会えるよ、きっと。」

だって友達になったんだもん。

「さて、どうする?」
「どうするって何が?」

一瞬、明日香の質問の意味が分からなかった。

「もう日が落ちてくる頃だし、いったん帰る?」
「まだ大丈夫だよ。それにほら、なっちはまだまだ元気だし。」
「私もぜんぜん疲れてないし。」

出てこい、モンスター。

384 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
「じゃあ、圭織おばあちゃんの家に向かいながら、魔法がんがんモ
 ードで行きましょうか。」
「そだね。なっちがいつ倒れてもいいようにさ。」
「なっちは倒れないさっ。」
「あ、ごめん。」

分かってくれればいいんだ。

「なっちがいつごろごろと転がっててもいいようにだったね。」

違〜う。

「なっち、なっち。冗談だって。ほら、気を取り直して。」

うう。

「ほら、くちびる突き出さないのっ。」

仕方ない。気を取り直して、、

「さ〜、ほら行こうぜっ!」

私は歩き出した。

「安倍さん。森の奥に向かってどうするんですか。」

ま、間違っただけだいっ。

385 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
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386 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
しばらく進んだんだけど、モンスターが現れそうにない。

「ねえねえ、もうすぐ森を抜けちゃうよ。」
「どうする? ちょっとだけ引き返す?」
「この辺りをうろうろとしていようか?」

もうすぐしたら薄暗くなってしまうなあ。

「しかたない。今日はこのまま帰ろうよ。」
「そうですね。暗くなってしまってからモンスターに出会いたくな
 いですしね。」

私たち3人はこのまま森を抜けることにした。
あとは圭織おばあちゃんちまで一直線。って思ってたら、

「なっち、なっち。モンスターいたー。」

明日香がモンスターを見つけたようだ。

「グッドタイミングです。これやっつけて圭織おばあちゃんちに帰
 りましょう。」

そだね。よしっ。

387 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
「明日香。モンスター、どこ?」

明日香の方に駆け寄った。

げっ。クジナメ3匹。

「福田さん。これはちょっと、、」
「いいじゃん。やろうぜ。3人とも体調がフルに近い状態だし、こ
 の一戦に全力をかけて戦って、そのまま帰ろうよ。」

ん〜、しかたないなあ。でも勝てるのかぁ??

「ほらいけ。なっち。」

じゃあ私から。

「サンダー!」

パシッ。

よしっ。1匹に当たって焦げ目が付いた。

「ポイズン!」

紺野の魔法が違う1匹にヒットした。
少し肌の色(?)が悪くなったように見える。

388 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
「おお。紺野の魔法、効いているみたい。クジナメだから分かりづ
 らいけど、なんかじたばたしているようにも見えるよね。」

私も紺野も肩で息をしていた。でもまだ大丈夫。体力は残っている。

「明日香、行けっ。」
「おうっ。」

明日香がサンダーの当たったクジナメに向かっていき、焦げ目に杖
を突きつける。

ドンッ。

クジナメが少しだけ向こうに飛ばされたが、もう一息だ。
残る別の元気なクジナメが宙を飛ぶ。

「明日香、よけて。」

明日香がステップを踏むように後ろに飛んだ。

「かっこい〜。」

と思ったら、後ろ向きに転がってた。

「やっぱ、かっこわる〜。」
「うっさい。」

389 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
やっぱ私の出番だな。

「ポイズン!」

紺野の魔法がさっき明日香を襲った元気なやつに当たった。
こちらも効いてるみたい。

紺野を見ると、お尻を付けて座り込んでいた。

「大丈夫?」
「はい。なんとか。」

紺野を少し休ませてあげなきゃ。

私はさっき紺野がポイズンをかけたクジナメに向かっていった。

「えいっ。」

剣を突き立てると、致命的な打撃ではないものの、相手に少しダメ
ージを与えられたようだ。
やっぱポイズンが効いているんだろな。

「この〜っ。」

そのまま蹴る。

す、滑らないぞ。よしっ。

390 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
続けざまに蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。

「このっ。このっ。このっ。この〜っ。」

これはいい。少しづつだけど、クジナメが向こう
側にずるずると押されて行っている。

「てやぁ〜。」

明日香が杖で殴りつけた。

殴る。殴る。殴る。殴る。

私も負けじと

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。

ボコッ。

よしっ。一匹退治したぞ。

「やったね。」

気分爽快。
私も明日香もハアハア息をしながら見つめ合った。

391 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
「・・・なっち。」
「何?」
「剣を使いなよ。」

あ”。

「そういうことは早く言いなよ。もうっ。」
「ごめん・・・」

ど、どしたんだ? 明日香が妙に素直だ。

「なっちがボケボケだってこと、忘れてた。」

バカ〜〜〜〜〜。

ドンッ。

いきなり後ろから何かに体当たりされて、私は突き飛ばされた。

「痛った〜。」

何かって、まあ、クジナメなんだけどさ。

「安倍さん。転がって。早くっ。」
「え?」

392 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
私はそのまま横に転がる。
と同時ぐらいにフライングしていたクジナメが落ちてきた。

あっぶな〜。

そのままゴロゴロと転がり続けてクジナメから遠ざかっていくと、
紺野にぶつかってしまった。紺野は立ち上がって剣を構えていた。

「安倍さん。邪魔です。」

ごめん・・・

「やあ〜〜。」

紺野がサンダーの焦げ目のついたクジナメにかかっていったが、
剣が焦げ目に当たらずに滑ってしまった。
そのままクジナメに寄られて紺野は弾き飛ばされてしまった。

「大丈夫?」
「は、はい・・・」
「紺野、もう少し休んでなよ。まだ無理だって。」

明日香がすかさず紺野の前に回る。

393 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
「なっちこそ早く立ちなよ。」
「うん。」

私も結構疲れてるんだけどな。でも、、

2匹のクジナメが少しづつ私の方にじりじりと寄ってきた。
剣を構える。

まずいぞ。1匹でもまずいのに2匹もこっちに来るなよな。

「でやぁ〜〜。」

そのうち動きの鈍い1匹に明日香が横から跳び蹴りを食らわした。

ドンッ。

蹴られたクジナメがもう1匹のクジナメとぶつかった。

「なっち、早くこっちに。」

私は明日香の方に回っていった。

まだクジナメは二体が寄りそうような感じでうまく身動きが取れな
いようだ。

よしっ。

394 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
私と明日香は手前のクジナメに対して剣と杖で襲い掛かった。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

剣で突き刺す。突き刺す。突き刺す。突き刺す。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

杖で殴る。殴る。殴る。殴る。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

突き刺す。突き刺す。突き刺す。突き刺す。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

杖で殴る。殴る。殴る。殴る。

もうめんどくさいぞっ。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

足で蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。

ボコッ。

395 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
「よし、あと1匹。」
「うん。」

あと1匹なんだけど、最初にサンダーが当たったまだまだ元気のい
いクジナメが残ったわけで。。

二人ともハアハア肩で息をしている。
そこにクジナメ、フライッ。

「ぎゃあ〜〜。」

私と明日香が元いたところに、クジナメがドスンと落ちて来た。

「痛っ。」
「明日香!」

クジナメと少し接触してしまい弾き飛ばされた私は、なんとか明日
香の方を振り向くと、明日香の左足首あたりがクジナメの下に埋も
れているのが見えた。

明日香が右足でクジナメを蹴飛ばしまくって、なんとか左足を引き
抜いた。そのまま転がってクジナメから遠ざかる。

「立てる?」

自分で立ちながら、明日香に聞く。

「ん〜、、意地でも立つ。」

明日香もなんとか立ち上がったけど、ちょっと左足を引きずってい
るような感じだった。

ちょっとヤバいかも。。

396 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
「なっち、クジナメの動きを止めといてよ。私が跳び蹴り食らわす
 からさ。」
「ど、どうやってよぉ〜。」
「手袋あるでしょ。」
「や、やだ。ダサいんだもん。」
「バカッ。」
「私がもう1度ポイズンで。」

紺野も立ち上がっていた。でも無理しているのが分かる。

「ダメ。今の紺野の体調じゃ、ポイズン無理。」

それは紺野も分かっていただろう。例え魔法を唱えたとしても、何
も起こらないかもしれない。いや、起らない確率の方が高い。

「じゃ、じゃあ、私がサンダーで。」
「ダメ。今のなっちの体調じゃあ、サンダー外すでしょ。」

うぅ〜〜。いいもん。いいもん。

「そこっ。イジイジしないでさっさと手袋はめてクジナメ押さえろ。
 バカッ。」

そうこうしている間にクジナメがこちら側に向きを変えてじわじわ
と寄ってきた。

やばい。飛ばれる。

397 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
私は逃げ出した。

「バ、バカ。こっち来んな。」
「明日香こそ、そこどいてよっ。」

私がちょうど逃げている方向にクジナメが飛んできた。

まずっ。

明日香が向こうに逃げた。
とりあえず明日香とぶつかる事態は避けられたが、勢いのついた私
はこのままクジナメの着地点へと向かって突っ込んでいっているだ
けだった。

「安倍さん!」

ドンッ。

紺野に全力で体当たりされた私は、ずいぶん体が飛ばされて、転が
って止まった。
でもそのおかげで私はクジナメの下敷きにならなくてすんだけど、
紺野はクジナメのすぐ前に倒れこんでしまっていた。

「紺野っ。」

ドンッ。

クジナメに弾き飛ばされた紺野の体は、木の根元にぶつかるように
止まった。

398 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
「この〜ぉ。」

明日香が杖で何度も殴りつけるが杖が滑ってクジナメにダメージを
与えられていない。

まずい。クジナメが動き出す。
私は手袋をはめてクジナメを押さえつけた。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

ガンッ。ガンッ。ガンッ。ガンッ。

明日香の打撃がクジナメに効きだした。

そうか、クジナメがヌメヌメと動かないように固定してやればいいんだ。
でも表面がヌメヌメしているので、幾分は効きが弱い。

「明日香。焦げ目。焦げ目。」

はっとして一瞬明日香の動きが止まったが、明日香が攻撃を再開した。

「このっ。このっ。このっ。このっ。」

焦げ目に向かって明日香の蹴り。蹴り。蹴り。蹴り。

クジナメが暴れようとするが、そうはさせない。
絶対、何が何でも離さないんだから。

399 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
「このっ。このっ。このっ。このっ。」

蹴り。蹴り。蹴り。蹴り。

ボコッ。

よしっ。全部やっつけたぞ。

「明日香。」
「何?」
「杖、使えよな。」
「焦げ目の位置が低いんだって。」
「怪我してたんじゃないの? 左足。」
「・・・痛〜〜〜っ。思い出したじゃないか。ばか。」

お互いに自然と笑みがこぼれる。
力ない笑顔だけど、うれしさがこみ上げてくる。

チャララチャッチャチャ〜ン。
チャララチャッチャチャ〜ン。

誰かレベルアップしたみたいだ。しかも2人も。
あ、それより紺野は?

「紺野?」
「紺野どこ?」

私たちはあわてて辺りを眺め回した。
紺野の体は木の根元に転がっていた。

400 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:32
「紺野っ。」

私は駆け寄ろうとしたけど、体がいうことをきかなかった。

くそっ。這ってでも、、
なっち。がんばれ、なっち。
まだまだ大丈夫だよ、私の体。
お願いだから動いて・・・

「紺野。」

明日香が左足を引きずりながら紺野のところまで歩み寄った。

「紺野、大丈夫?」

明日香が紺野の顔の辺りや首の辺りに手をやって、しばらくして言
った。

「大丈夫。気絶してるだけみたい。」

そう、よかった。

「おい。なっちも寝るなよっ。」

そう明日香が叫んでいたような気がした・・・

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