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あああああああああああああああああああ
- 1 :あああああ「:02/08/04 03:19
- あああああああああああああああああ
- 101 :なんちてクエスト:2003/01/11 10:50:57
- ----------------------------------------------
- 102 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:50:06
- 武器屋を後にした私たち3人は、次に道具屋に行くことにした。
ここの道具屋は、みっちゃんと大の仲良しである中澤裕子という人
がやっているお店だ。
そういうわけで、私や紺野もまるで友達のように(母親のように?)
親しく接してくれ、小さい頃からこのお店は、私たちの遊び場でも
あった。
「裕ちゃん、裕ちゃん。」
「あ、また悪ガキ3人か。しっ、しっ。」
訂正しとく。私たちは、まるで犬か猫かのように扱われていた。
「ぶ〜〜。ひどいなあ、もう。」
「あ〜ん。そのなっちの膨れた顔、好き。」
はっきり言っておこう。裕ちゃんはバカかもしれない。
- 103 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:50:34
- 「裕ちゃん。私たち、今日はお客さんだよ。」
「ちゃんとお金、持ってきてんの?」
「うん。」
「それを先にゆうてんか。ようこそ〜、いらっしゃいませ。」
すごい替わりようだ。なんか、、笑顔が怖い。
「お嬢様方、今日は何をお求めですか?」
「え〜っと、何にしようかなあ? どうする、明日香?」
「やっぱ、よそで買う?」
「あ〜ん、そんなことおっしゃらずに。あさ美ちゃんからもお二人
になんか言ってくださらない?」
「・・・中澤さん、変です。」
- 104 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:51:03
- 「で、お予算はいかほど?」
「う〜んとね、紺野、あといくらあったっけ?」
「60ゴールドです。」
「ああん? このくそガキゃ〜。奥歯ガタガタ言わせるど。」
「裕ちゃん、裕ちゃん。私たち、お客さんだってば。」
「うっさいわい。このボケ。」
やっといつもの裕ちゃんらしくなった。
「みっちゃんから聞いとるで。なんでも冒険者になるんだって?」
「うん。今日ね、紺野と冒険者免許をもらってきたんだ。」
「そうかあ、私も子供ん時はねえ、みっちゃんと2人して冒険した
もんさ。」
え、そうだったんだ。初耳。みっちゃん何も言ってなかったけどな。
てっきり免許証を持ってるだけかと思ってた。
- 105 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:52:25
- 「すっご〜い。レベルいくつなの?」
「聞いて驚くなよ。なんとなんと、レベル3。」
あ、あの〜、、、もしもし?
私は耳の穴に指を突っ込んでホジホジして、もう一回聞いた。
「ごめん。よく聞こえなかった。レベルいくつ?」
「しかたないなあ。ほら、レベル3。」
裕ちゃんは片手を腰に当てて、もう一方の手で冒険者免許証を高々
と差し出した。
う〜ん、確かにレベル3って書いてある。
けど、レベル3って、、ホントに冒険したのかあ??
- 106 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:52:58
- 「もうほんまにねえ、みっちゃんとスライムをぶちぶちと潰しまく
ったあの戦いの日々を、3人にも見せたかったわ〜。」
スライムってのはこの世で一番弱いとされているモンスターで、
村はずれの森や茂みの中に、よくいるのだ。私も何度か見かけたこ
とがある。逃げたけど。
話を聞いていると何のことは無い。小さい頃、みっちゃんと2人で
スライムを潰して遊ぶのが流行っていたんだそうだ。
それにしてもスライムだけでレベル3か。いったいいくつ潰したんだ?
「いやあ、レベル2にはすぐなったんやけどね、どうせなら目指せ
レベル3ってんで、もう最後の方は意地になってやってたんや。
やから私もみっちゃんもレベル3になったらとっとと止めてもう
たけどな。はっはっは〜。」
そりゃ自慢にもならないよね。
あ、裕ちゃんは思いっきり自慢してるけど。
- 107 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:53:58
- 裕ちゃんが冒険者免許証を指でぶらんぶらんとしてたんで、裏に何
か書かれてあるのを見つけてしまった。
確か事務所のおじさんの話だと、使える魔法が免許証の裏に表示さ
れるらしい。
「あ、裕ちゃん。それ。」
「ん? なあに?」
「裕ちゃん。裕ちゃん。。魔法、使えるの?」
「あら、やだ〜。気付いた?」
う、その目は気付かれるのを待ってた目だな? やられた。
「ほらほらほら〜、見る? 見る? 見る〜?」
そういって裕ちゃんは免許証を裏にして私の目の前に押し付けた。
明日香や紺野も覗いてくる。
「ポイズンキラー?」
「そうそう、なんとねえ、毒消しの呪文なの。毒消し。私こう見え
ても魔法が使えるのよ。魔法が。」
はいはい。
「私って、白魔法の才能、あるのかもね。うん。」
分かった。分かった。
- 108 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:54:51
- なんでも裕ちゃんの話によると、レベル3になったときに魔法が使
えるようになったらしい。
ということは、みっちゃんも何か魔法が使えるのかな?
「いやあ、みっちゃんはねえ、魔法が使えないの。まあ、ひょっと
したらもう少しレベルが上がれば何か使えるようになるのかもし
れないんだけど、まだレベル3だからねえ。。」
あんたもそうでしょが。
まあ、レベルの低いうちは、そんなにすごい魔法が使えるはずなん
て無いか。けど、一度でいいから、火を出すとか、雷を落とすとか、
そういう魔法が見てみたいな。明日香にでも期待しとくとするか。
- 109 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:55:55
- 「でさあ、あんたたち、何を買いに来たの?」
あ、そだそだ。忘れてた。
「やっぱゼタナビンっしょ。」
ゼタナビンというのは体力回復剤のことだ。実はこのゼタナビンっ
てのは、とある企業の商品名なんだけど、みんなゼタナビンって言
っている。まあ、それが一般用語のように使われるぐらい有名なのだ。
「はいよ。100ゴールド。」
「え〜、高いよぉ。いっつも買ってるの、10ゴールドじゃん。」
「ばか。あれはゼタナビン・ミニでしょ。一般家庭用に効力が薄ま
ってるのよ。こっちは気力体力が一気にガンと回復するんだから。」
たまにみっちゃんが疲れた〜っていいながら飲んだり、私や紺野が
病気になったときに飲まされたりしてたんだけど、そういやよく見
りゃ『ミニ』って書いてあったよな。
「冒険者用は普通のゼタナビンとか、ゼタナビン皇帝とかなのよ。
あんたらもさ、冒険者目指すんならゼタナビン皇帝を10本ぐら
いまとめ買いできるようにならなあかんで。」
うう、ゼタナビンすら買えないのか。
- 110 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:56:24
- 「あんたら、いくらあるんだっけ?」
「60ゴールド。」
「それじゃあ、この作業用の手袋なんてどうや。50ゴールドやで。」
「いらない。」
「じゃあ、冒険者の免許証ケース買わんか? ほら。」
裕ちゃんが取り出したのは、透明なカードケースだ。
汚れとかから守れるようになってるんだ。やっぱあるといいよなあ。
「完全防水やで。1つたったの10ゴールド。どや?」
紺野の顔を見る。
なんか欲しそうに見える。
「紺野、、買う?」
「あ、でも、他のものが買えなくなっちゃいますよ。」
う〜ん。
- 111 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:56:50
- 「あとな、冒険に行くんだったら、この毒消薬も買っといた方が
ええで。毒もってるモンスターや植物もあるからな。万が一に
でも毒に犯されると、無かったら困るで。」
「あ、でもでも、裕ちゃん。ポイズンキラー使えるんでしょ。」
「ああ、使えるで。うちんとこまで来たら、ただでやったるわ。」
じゃあ毒消薬、買わなくてもいいじゃん。ね?
「うちんとこ来るまで生きてりゃな。」
あ〜ん、そういうこと、ボソッと言わないでよ。
「分かったわよ。いくらすんのよ。それ。」
「まいどあり。1つ50ゴールドやで。」
このバカ裕子。
- 112 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:57:42
- 「そんな怖い顔しないでよ。免許証ケース、2つで10ゴールドに
しといたるさかい。」
やった。でも、
「明日香の分は?」
「私は持ってるからいいよ。」
「はい。これでしめて60ゴールドちょうどね。」
このハイエナ裕子め。
しぶしぶとお金を払う。
「お〜ほっほっほっほっ。なっち、もうすっからかんやね。」
何? この敗北感は? なんか悔しい。
何で明日香も裕ちゃんみたいな目で私を見るのよぉ。2人して口に
笑みまで浮かべてさ。いぢわる。
あ、でも紺野が免許証ケースをうれしそうに受け取る姿を見ると
私もうれしくなってくる。よかった。
さっそく紺野と2人して冒険者免許証をケースにはめてみる。
うんうん。やっぱいい。
「あんたら、幸せそうやね。」
うっさい。
- 113 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:58:13
- 「あ、でも安倍さん。結局、ゼタナビン買えませんでしたね。」
しかたないよ。お金ないんだもん。
「なっちが毒消薬買ってくれたからさ、じゃあ私がゼタナビン買うよ。」
まあ、明日香が買うならそれでいっか。やっぱパーティのいいとこ
ろだな。うん。
「明日香、いくつ買うの?」
「それよりさあ、裕ちゃん。このゼタナビン、有効期限がもうすぐ
だよ。」
「あれ? ほんまや。」
「知ってて売ってるでしょ。これ。」
「いや、ほんまほんま。信じてよぉ。ねえ、明日香。」
「有効期限がもうすぐなの、ちゃんと手前に並べてるじゃない。」
「あはは。ばれた?」
キツネとタヌキの化かし合いって、こういうことをいうんだろうな。
- 114 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:59:10
- 「ちょっとまけてよね。これ買うからさあ。」
明日香ってば、有効期限が切れそうなゼタナビンを買うつもりなのかな。
「そんなこといったって、それまだ有効期限、残ってんだから。」
「けど、ここで私が買わなかったら、他に誰も買わないんじゃない?」
「そ、そんなことないわよ。」
「そうして有効期限が過ぎて、このゼタナビンたちは捨てられてい
くんだろうな。。もったいないなあ。」
「売る。それまでに絶対、売るんだから。」
「最近、冒険者あまり来ないよね。この村。」
「ま、まあ、田舎やしな。」
「もったいないなあ。ああ、あの時、安くしてでも売っとけばよか
ったなあって後悔するんだろうな、きっと。」
「そ、そんなことあらへんもん。」
「・・・もったいないなあ。」
「いい。冒険者が来んかったら、村の人にでも誰でも売るもん。」
「そして買った人がゼタナビンを飲もうとして、そのときに有効期
限が過ぎてることを知って、そうやってこの店の信用はどんどん
落ちていくんだろうなあ。」
「・・・」
「ああ、いい店だったのにね。潰れちゃうのかあ。残念だねえ。」
「分かったわよ。そんなとこでしみじみしないでよ。縁起でもない。
その代わり、この有効期限の切れそうなやつ、全部買いなさいよ。」
結局、明日香は有効期限の切れそうなゼタナビン、あ、4本だけだ
ったんだけどね。4本まとめて200ゴールドで買うことになった
のだ。さすがだ。
- 115 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:59:59
- ----------------------------------------------
- 116 :名無し娘。:2003/01/22 23:49:51
- どっかで見たこと有る内容だな(w
期待sage
- 117 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:05:07
- ----------------------------------------------
- 118 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:05:40
- 暗くなってきたから明日香と分かれて、私と紺野は家に帰ってきた。
さあ、明日から冒険の開始だ。なんかわくわくするな。
「おかえり。ご飯できてるよ。」
「みっちゃん、ただいま〜。」
「ただいま。」
食卓に着くと、おいしそうな肉じゃがが出てきた。
「今日、どうだった?」
「明日香とね、3人でパーティを組むことにしたの。」
「へ〜、そうなんだ。よかったね。」
みっちゃんに今日あった出来事を話した。
途中で私の話の怪しいところを紺野が補足してくれる。
いつもの風景だ。
あらためて思う、やっぱ家族っていいな。
- 119 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:06:35
- 「あれ? みっちゃん。まだ起きてたの?」
「うん。もう寝る。なっちも早よ寝ないかんで。」
「分かった。」
みっちゃんは何か本を読んでたみたいだ。
「何読んでたの?」
「ああ、これ? 『安倍と後藤』っていうほのぼのネタなんだけど、
知らない?」
「なんか聞いたことある。誰が書いてるやつだっけ?」
「え〜と、ちょっと待ってよ。『たまに aa って名前を使うことも
あります』だって。」
へ〜。えらい名前が長い人なんだね。
「『詳しくはこちらをご覧ください』だってさ。」
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1018355300/
(〜^◇^)<以上、自スレの宣伝でした。ちゃんちゃん。
- 120 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:06:57
- ----------------------------------------------
- 121 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:07:23
- う〜ん。今日も、いい朝だ。
さあ、今日から私の冒険人生が始まるのさ。わくわく。
食卓に行くと、ちょうど紺野も起きてきたところだった。
「あら、あんたたち。今日は2人とも早いのねえ。」
「だってぇ〜。」
「あら、あさ美も目が輝いてるわよ。」
見ると紺野も、満面の笑みを浮かべていた。
「早く顔を洗ってきなさい。」
「は〜い。」
- 122 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:08:06
- 食事をしていると、みっちゃんは何か手帳のようなものを取り出した。
ちょっと使い古されているっていう感じがする。
「これねえ、わたしが子供の頃使っていたものなんだけど、まだ今
でも使えると思うの。」
「みっちゃん、それ何?」
「モンスター辞典よ。冒険入門者用だから、レベル5や6ぐらいの
モンスターまでしか載ってないんだけど、まああんたたちには十
分でしょ。」
パラパラめくってみる。なんかちょっと落書きとかもしてるみたい。
裕ちゃんと遊んでたときに使ってたのかな。
「大事にするんだよ。それ、買うと高いんだから。」
「え、みっちゃんがモンスター退治して遊んでたのって、今の紺野
よりちょっと下ぐらいの頃だったんでしょ。」
「そうよ。裕ちゃんが今のあさ美ぐらいん時だったから。」
「よく買えたねえ。お金持ちだったの?」
「裕ちゃんが家からこっそり借りてきたのよ。」
ど、泥棒。
- 123 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:08:39
- 「すべてのモンスターが書いてあるやつって、ないの?」
「そんなのあっても重くて持ち歩けないわよ。
だいたいそんなの、冒険者事務所の端末いきゃあタダで見れるで
しょが。」
「ノン、ノン、ノン。みっちゃん。今はねえ、携帯用の冒険者端末
ってのが売られててさ、それでいつでもどこでも見れるようにな
ってんだから。」
「へ〜、便利ねえ。」
「でしょ? でしょ?」
「買わないわよ。」
ちっ。
「あさ美、持ってきなさい。」
「え、なんで紺野なの?」
「あんたが持ってても読まないでしょ。」
失礼な。落書きぐらいはするぞ。
- 124 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:09:10
- 今日はみっちゃんが朝から畑に出かけるというので、私たちと同時
に家を出た。
「遊び終わったら、ちゃんと手伝いなさいよ。」
「遊びじゃないもん。」
「2人とも気をつけてね。」
「うん。いってきま〜す。」
みっちゃんの畑は村のすぐ外にある。みっちゃん1人でできる程度
の規模でやってるんで、そんなに大きな畑じゃないんだ。でも、そ
こでできた野菜なんかを売って、私たちの生活が成り立っているの
だ。
みっちゃんの夢は、私や紺野が畑を本格的に手伝いだしたら(たま
にしているお手伝い程度じゃなくってね)、大農園にするんだって。
だったら人を雇えばいいって言ったんだけど、みっちゃんにその気
は無いみたい。今の生活で十分満足してるってさ。
ごめんね、みっちゃん。私と紺野は冒険者になるんだ。
- 125 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:09:30
- ----------------------------------------------
- 126 :名無し娘。:2003/01/26 20:26:03
- >>117
ファンタジー小説ヲタには見覚えが有る感じだなと思っただけ(w
強いて言えば昔某HPでスレイヤーズのパクリを娘。でやってたのに似てる気がする(w
- 127 :名無し娘。:2003/01/31 22:43:21
- 面白いよ。後藤の登場が楽しみだ
- 128 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:37:04
- すでに見た人もいると思いますが、このスレをごらんの方は
ぜひこちらを読んでおいてください。
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/999352480/716
>126
学生の頃はファンタジー小説よく読んでました。
スレイヤーズはTVで見てたけど、その小説は知らないです。
>127
なっちがある程度レベル上がったら登場させようと思ってるけど、
それまで私が飽きてないかどうか、難しい問題です。
----------------------------------------------
- 129 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:38:12
- 村の入り口で明日香と待ち合わせをしていた。
「なっちも紺野も、遅〜い。」
「ごめんねえ。明日香〜。」
「ごめんなさい。」
「いったい、何やってたのよぉ。」
違うのだ。明日香が早いんだ。
明日香は昨日買った黒い杖を握り締めていた。
私と紺野も、昨日買った短剣を腰に装備している。
「なんか黒い杖持ってると、黒魔法が使えるような気がしない?」
「しないしない。」
そんなこと考えてその杖、買ったのかい?
- 130 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:39:12
- 「それよりさ〜、明日香。今日、どうする?」
「なっち、あんたがリーダーでしょが。」
あ、そうだった。
明日香が笑いながら言う。
「とりあえず村はずれのあそこの森にでも行ってみようよ。どう、
なっち?」
「あ、いいねえ。紺野、どう?」
「私もその方がいいと思います。昨日考えたんですけど、やっぱり
最初はスライムで経験値稼ぎするしかないかなっと。。」
つまり、裕ちゃんやみっちゃんと同じようにってことだね。
まあ、私たちみんなレベル1だし、当然といえば当然か。
村はずれの森ってのは、モンスターが出るってことで近寄ってはい
けないと小さい頃から聞かされていた。まあ、大体、森ってのはモ
ンスターの住みかって相場が決まってんだけどさ。だから私は森に
入ったことがまだ無いんだ。紺野も多分、無いと思う。明日香はあ
るんだろうか?
- 131 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:39:50
- 私たち3人は、森に向けて歩き出した。
といっても、そんなに距離があるわけではない。
歩いて10分か20分ぐらいのものだ。
「なっち、昨日の晩は眠れた?」
「え? よく寝てたけど。」
「あはは。さすがなっちだ。」
「どういう意味よぉ〜。」
聞くと明日香もぐっすり寝てたらしいが、紺野は少し寝不足らしい。
うんうん。かわいいやつ。
- 132 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:40:39
- もう少しで森に入るっていうところで、私たちは足を止めた。
ここらへんは少し茂みになっているが、別に歩きづらいほどでもない。
「あそこ。」
紺野が何かを見つけたようだ。何かを指差している。
「何々? どうしたの?」
「何かあります。」
あ、ほんとだ。何か太陽の光に反射して光っている。何だろ?
大体30cm程度の半透明の物体。スライムだ。かすかに向こうが
透けて見えている。
向こうはまだこちらに気付いていないようだった。
私たちはスライムに気付かれないようにしゃがんで、小声で話し合
った。
「あれぐらいの大きさなら、立派な大人かな。」
「1匹だけみたいだね。」
「やっつけようか。」
「そうだね。あ、その前に紺野。みっちゃんからモンスター辞典も
らったでしょ。なんて書いてあるの? スライムのとこ。」
「えーっと、ちょっと待ってください。。」
ぺちょ。
ん? 何か私のほっぺにちょっとヒヤッとしていてやわらかい感触
が、、痛っ。
「うぎゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。ス、スライムがぁ〜〜〜。」
- 133 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:41:20
- 「な、なっち。これ、動くな。」
「取って。取って。取って。取って。早くぅ〜〜〜。」
「あ、安倍さん。暴れないでください。」
「痛た、痛た、痛た、、」
「なっち、どこ行くの。こら、止まれ。」
ボコッ。
紺野が振り回した袋が私の後頭部を直撃した。
「痛っ。紺野、何で殴るのよぉ。」
「だからじっとしててくださいってば。」
ボコッ。
今度はきちんとスライムに当たり、スライムが飛ばされた。
「痛〜い。」
「安倍さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃなぁ〜い。」
ほっぺがヒリヒリしている。
見ると明日香が杖を思いっきり振りかぶっていた。
明日香と目が合う。
「あ、取れたの?」
あんた、私を殺す気かい。
- 134 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:42:20
- 「それよりスライムは?」
そうだ。辺りを見渡した。あ、あっちにいた。
「明日香。あっち。」
「このやろ〜。」
明日香は杖を振りかぶったままスライムに走りより、スライムめが
けて杖を振り下ろした。
ボコッ。
見事スライムを直撃し、スライムは消滅した。
「明日香。やっつけたの?」
「・・・そうみたい。」
「明日香さん。やりましたね。」
初めて私たちのパーティがモンスターをやっつけた瞬間だった。
- 135 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:43:06
- あ、そうだ。冒険者免許証。
私はあわてて冒険者免許証を取り出した。
経験値が10ポイント入っている。やった。
明日香や紺野たちと冒険者免許証を見せ合った。
明日香も紺野も同じように10ポイント入っていた。
「あれ? なんでなっちにも10ポイント入ってんのよ。」
な、何言ってんのよ。明日香。
「だってさっきのスライムは私と紺野とで倒したんじゃない?」
「な、なっちだって。。」
「なっちは叫んでただけでしょ。」
うう、、言われてみれば。。
「あ、でも、安倍さんの体の一部に接触してましたから、安倍さんも
攻撃したと判定されたんじゃないんですか?」
「なっち、ずる〜〜い。」
ず、ずるくなんかないもん。
「だってなっちが一番、痛かったんだよぉ。」
「なっちがどんくさいからでしょ。」
そ、そりゃそだけどさ。明日香のバカ。
- 136 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:43:38
- 「明日香〜。ほっぺ痛〜い。ゼタナビンちょうだい。」
「・・・」
「ゼタナビン。ゼタナビン。」
「そんだけ元気だったら、いらないって。」
「ゼタナビン。ゼタナビン。」
「・・・」
「ゼタナビ〜ン。ゼタナビ〜ン。」
「・・・」
「ゼタナビ〜ン。ゼタナビ〜ン。」
「あ〜もう、うっさい。ばか。」
「ばかとはなによぉ、ばかとは。。ホントに痛いんだよぉ。」
明日香がため息をついた。
「なっちさあ、これ、家庭用のゼタナビンじゃないんだよ。」
「知ってるよ。それぐらい。」
「ってことは、ずいぶんときついわけなの。」
「どれぐらい?」
ちょっとぉ〜、なんで頭を抱えてるのよ。
- 137 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:44:11
- 「あのねえ、私たちぐらいの体力だったら、もう瀕死の状態に飲む
ぐらいがちょうどいいんだから。でないと逆に体に悪いんだよ。」
「そ、そうなの?」
「あんまり体力の無い小さい子供とかに飲ませると、死んじゃうこ
とだってあるんだから。」
・・・そうなんだ。
「じゃあ、ゼタナビンより強いゼタナビン皇帝って売ってるけどあ
れは?」
「さらに強いって。今のなっちが瀕死になったとしても、ゼタナビ
ン皇帝なんて飲んだら、よけい命があぶないと思うよ。」
そんな危ないもの、売るなよ。
「あ、でも、ゼタナビンの宣伝で、モデルさんがぐいぐい飲んでる
の、なっち見たことあるよ。あれ、いいの?」
「あれぐらい体が大きくて筋肉もしっかり付いてる冒険者なら、ち
ょっと疲れたなあぐらいでちょうどいいんじゃないの?」
- 138 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:44:40
- ん、まてよ。それだったら私たちにはゼタナビンは不要だってこと
なんじゃないのかな。だってさ、死にかけるなんてことはそうそう
無いような気がするんだけどさ。
「明日香。ゼタナビンさあ、念のために1つってんならともかく、
4つもいらなかったんじゃないの。」
「まあ、普通は何日もかけて森や洞窟で冒険してってんならともか
く、私たちみたいな日帰りだったら、疲れたら家で寝てりゃいい
んだけどね。」
「でしょ〜。」
「でも私たちのパーティには、なっちがいるからなあ。」
そうかあ、そりゃゼタナビン4つでも足りないかも、、って、おい。
紺野もそうですねって何だよ。
- 139 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:45:06
- 「あ、それとね、ゼタナビンだけど3つしかないよ。」
「え、何で?」
「1つ、じいちゃんにあげてきた。」
あれ? 明日香のじいちゃん、元気じゃなかったっけ?
普通の状態で飲んだら、命が危ないんじゃないの?
「大丈夫だって。うちのじいちゃん、元気だから。」
「ほんとに大丈夫なの? 飲んでも。」
「大丈夫、大丈夫。ああ見えても結構体力あるんだから。かなり疲
れたときに飲むんだったら、まあ、効きすぎることはあっても死
にはしないって。」
おいおい。
- 140 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:45:39
- 「それにさ、じいちゃんに結構値切ってもらったでしょ。だからそ
の私たちが得した分のうち、100ゴールドだけでも恩返しして
あげたら喜ぶでしょ。」
「そうかあ〜。あ、でもそのゼタナビン、安く買えたから100ゴ
ールドもしなかったでしょ。」
「なっちも紺野もいい? じいちゃんにあげたのは100ゴールド
で買ったやつだからね。あとの3本がまけてもらったやつだから
ね。」
おいおい。
「あ、でも、福田さん。有効期限は大丈夫なんですか?」
「じいちゃん、そんなとこ見ないって。ばれない。ばれない。」
「あの、、そういう問題じゃなくてですねえ。」
「ちょっと過ぎたぐらいで死にはしないって。それにもし古くなっ
て効果が落ちてきたんなら、ちょうどよくなるだろうしさ。」
おいおい。
- 141 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:43:52
- 「あ、そだ。紺野〜、モンスター辞典のスライムのとこ、なんて書
いてんの?」
「えっと、ちょっと待ってくださいね。」
紺野は袋からモンスター辞典を取り出そうとしていた。
さっきはスライムのせいで読めなかったのだ。
「え〜っとですねえ、、スライム。レベル1。報酬10ゴールド。」
「ほ、報酬? 10ゴールド? さっきので私たち、10ゴールド
稼いだんだよね。やった〜。」
「なっち、うれしそうだね。」
「そりゃそうさ。」
「たった10ゴールドで。」
「だってさ〜、だってさ〜。初めてモンスター倒して稼いだお金なんだよ。
金額の問題じゃないよ〜。」
何、買おうかなあ。。
あれ? 1人10ゴールドづつなら30ゴールド?
「バカじゃないの? 1人10ゴールドなら、パーティー1000
人いたらいくらもらえるのよ。あくまで1匹10ゴールドだって。」
あ、そうなんだ。
- 142 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:44:54
- 明日香の話によると、パーティー登録しているからパーティーの口
座にお金が入るんだって。今回の場合、スライム1匹分で10ゴー
ルド。当たり前だけど、何人組のパーティだろうと、10ゴールド。
もし、いくつかのパーティが協力してモンスターを倒したんだった
ら、その度合いに応じて報酬が自動的に分けられてそれぞれの口座
に入るんだって。
で、口座からお金を下ろしたり、逆に預けたりするには、冒険者事
務所でできるんだそうだ。
「さすが明日香、詳しいね。紺野も知らなかったでしょ。勉強にな
ったね。」
「安倍さん。昨日、冒険者事務所でもらった『冒険初心者の心得』
に書いてましたよ。まだ読んでないんですか?」
え、そなの?
私がそんなの、読むわけ無いじゃん。
「紺野〜。。あんた、いったいいつ読んだのよぉ?」
「昨日、寝る前に一通り読みましたけど。。」
「なっちも冒険者目指すんだったらさ〜、それぐらい読んどいてよ
ね。」
なんだ。それで紺野のやつ、昨日、寝るのが遅かったのか。
- 143 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:46:34
- 「紺野さ、他になんて書いてあるの?」
「え〜っとですねえ、、弱い。弱い。弱〜い。」
・・・へ?
モンスター辞典を読んでる紺野自身も困った目で私のほうを見ている。
「あの、、そう落書きされてるんです。」
のぞき込む。
あ、裕ちゃんの落書きだな。こりゃ。
「確かに弱かったよねえ。」
「そういうなっちはスライムに負けてたじゃない?」
ま、負けてないもん。逃げただけだもん。
- 144 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:47:27
- 「ちゃんと本文読みますね。。スライムは草原や茂み、森などに幅
広く生息している。攻撃力・守備力共に低く、剣や魔法などあら
ゆる攻撃に弱い。スライムはエサを見つけると相手に接触し、体
内からたんぱく質を溶かす物質を出す。これにより相手をゆっく
りと溶かし、体内に栄養分として取り込む特質がある。このため、
直接素手で触ると刺すような痛みを感じるので注意すること。」
注意することって、、遅いわい。くっそ〜。
「へ〜、なっちはエサだったんだ。」
明日香、うるさいぞ。
「なっちさ〜、どうする? 森に入る?」
「は、入るに決まってるじゃない。」
「怖いんならさ、なっちはここで待っててもいいよ。私と紺野だけ
で行ってくるからさあ。」
バカにしやがって。
私はずんずんと森に向かって歩き出した。
「おいおい、、」
「安倍さん、待ってくださいよぉ。」
明日香と紺野も私の後を追ってきた。
- 145 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:48:12
- 森に入る。
最初、薄暗く感じたけど、しばらく時間が経って目が慣れてくると
そうでもない。枝葉でいくぶん太陽の光がさえぎられているんだけ
ど、思ってたより明るく感じる。
鳥か何かの鳴き声が聞こえる。う〜ん、なんとなく気持ちいい。
「どっちいく?」
「どっちでもいいけどさ、最初だし、迷子にならない程度にしとこ。」
「そだね。うん。」
ということで、元いた場所に戻れる程度に歩き回ることにした。
「モンスター、いないなあ。」
「いないほうがいいじゃない。」
「安倍さん、それじゃあレベルが上がらないじゃないですか。」
「そうそう、お金も儲からないじゃないの。」
そ、そうか。。
出て来い、モンスター。
- 146 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:48:43
- 私たちはおしゃべりをしながら、そこいらへんを歩き回った。
なんだか3人で森にピクニックにでもしに来たような感じだ。
「あ、またここに出た。」
「もう、ここらへんも覚えたよね。」
「お腹すいたねえ。」
「ねえ、さっきからさ〜、気になるんだけど、、」
「安倍さん。どうしたんですか?」
「この実、食べられるかなあ。紺野、知らない?」
「あ、じゃあ今度、調べときますね。」
今度じゃなくて、今、食べたいのにぃ〜。
「なっち、なっち。何しに来たのさ〜。」
えと、、あの、何だっけ?
- 147 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:49:16
- 「あ、スライム発見。」
明日香が杖を構えた。
私と紺野も明日香が向いている方向に剣を構える。
スライムが4匹。どうやらこっそりこちらに近づこうとしていたみ
たいだ。
「ねえ、明日香、、」
「なによ。」
「あれ、、親子かな?」
「ば、ばか。何考えてんのよ。」
だってさ、だってさ、4匹のうち2匹は心なしか小さい気がするん
だもん。
「安倍さん。スライムって分裂して増殖しますから、あんまりその〜、
親子の縁とかそういうのは、、」
- 148 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:50:23
- 私が紺野の説明を聞いているところにスライムが飛びかかってきた。
「ぎゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
思いっきり剣を振り回す。
「うわっ。」
「きゃあ〜〜。」
「ば、ばか。危ないって。私たちを殺す気?」
見ると明日香も紺野もその場に座り込んでいた。
「あ、ごめ〜ん。大丈夫?」
「大丈夫じゃないっ。ばかなっち。」
「安倍さん。危ないじゃないですか。気をつけてくださいね。もう
少しで当たってましたよ。」
ごめん。。
「こら、ばかなっち。さっき剣を振った時に目をつぶってたでしょ。
何考えてんのよぉ。」
いいじゃん。ケガ無かったんだしさ。
- 149 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:51:06
- あ、スライムは? どこ?
いた。あっちだ。
なんか1匹だけ弱っているみたいに見える。
「ねえねえ、さっきの私の剣が当たったのかな? ねえねえ、ねえ
ってば〜。」
「ばかなっち、うるさい。」
「安倍さん。戦闘中ですよ。」
ちぇっ。
「だあ〜〜〜。」
明日香がスライムめがけて飛び込んでいく。
ボコッ。
1匹やっつけたみたいだ。
「2匹そっちへ行ったよ。」
- 150 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:51:40
- スライムが2匹、明日香の右側からこちらに向かってきた。
私と紺野は剣を握って身構えた。
「来るな。来るな。」
私の唱えた呪文にも負けず、スライムが1匹づつそれぞれ私と紺野
の方に飛びかかってきた。
紺野が剣を振り下ろした。
ボコッ。
「やった。」
私も負けじと剣を振り下ろす。
ぺちょ。
あれ? 私の肩にスライムがくっついている。何で?
服の上からだから痛くないけど、、落ちろって、このぉ。このぉ。
- 151 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:52:31
- 「安倍さん。大丈夫ですか?」
やっとのことでスライムを振り落とした。
すかさず紺野が剣を突き刺す。
ボコッ。
「落ち着いてやれば大丈夫みたいですよ。」
うっ、、紺野に慰められているのかな。私。
明日香もスライムをやっつけたようで、こっちに戻ってきた。
「なっち、紺野、大丈夫?」
「あ、大丈夫です。」
「なんか悲鳴が聞こえたけど、、」
「大丈夫だって。ほら。ちゃんとスライムをやっつけたし。」
「え、うそ。なっちがやっつけたの?」
2匹とも紺野がだけどさ。
- 152 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:53:48
- ----------------------------------------------
- 153 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:23:04
- スライム4匹をやっつけた後、ちょっとの間だけ森の中を歩いてい
たんだけど、もう暗くなりそうなので帰ることにした。
森を出ながら、私たちはさっきの戦闘について話し合っていた。
「え、うそ? じゃあなっちは1匹もやっつけられなかったの?」
悪かったわね〜。
「また?」
またって何よ?
「だって、最初森に入る前だって、、」
「でも明日香、ほら見てよ。冒険者免許証。ほら、30ポイントに
なってる。。ほら。ほら。」
明日香に私の冒険者免許証を見せつける。
「え〜〜〜? 何で?」
明日香と紺野はそれぞれ2匹づつやっつけたので、それぞれ20ポ
イント加算されている。私たち、これで3人とも30ポイントなの
だ。
- 154 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:23:40
- 「だってほら、最初に私がスライムに一撃入れたじゃない?」
「あれは分かるけどさ〜。。けどあれ、当たってたんだね。」
私も驚いたんだけどさ、、そうみたい。
「そうみたいですね。でも福田さん。あれのおかげでスライムたち
もひるんでくれたみたいでしたから。」
「・・・私もひるんだけどね。」
「もし4匹いっせいにかかってこられたら大変でしたよ。」
「でしょ? でしょ? さすが紺野。分かってる〜。」
「うるさい。」
せっかく私が一番活躍したところの話をしてるっていうのにさあ、
うるさいは無いでしょ。うるさいは。
- 155 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:24:23
- 「でもあれで1匹分でしょ。あと1匹分は何なのよ?」
「安倍さんが空振りして、スライムが安倍さんの肩にくっつきまし
たから、たぶんそれで。。」
「また?」
だからまたって何よ?
「ひょっとしてなっち、また目を閉じてたの?」
「失礼な。ちゃんと開けてたもん。」
「・・・」
明日香が紺野の方を見た。
ちょっと間があったが、紺野は黙ってうなづく。
「何よぉ。なっちの言うこと、信じてないの?」
「だったら何で空振りするのよ?」
「違うもん。剣が短かったんだもん。」
そうなのだ。この短剣があと20cm長ければ、スライムをやっつ
けていたはずなのだ。
「そのなっちが持ってる剣ってさあ、、」
「何よ?」
「短いから短剣っていうんだよ。知ってる?」
うまい。。いや、うまくない。
- 156 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:25:20
- 「決めた。お金を貯めて絶対、長い剣を買うんだから。」
ぜ〜ったい、買うんだから。
「もうちょっと強くなってからにしなよ。それより私は黒マントが
欲しいなあ。」
「明日香、お金持ってるでしょが。」
「あれは私が小さい頃からずっと貯めてたんだから、だめ。」
「けち。」
「けちとかそういう問題じゃないでしょ。」
「なっち、もっと長い剣が欲し〜い。」
「安倍さん。福田さん。それよりもこれから強いモンスターも出て
くるかもしれませんから、防具とか買いそろえていったほうが、、」
「剣。」
「黒マント。」
「剣。」
「黒マント。」
「あの〜、、もしもし?」
- 157 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:34:08
- 気付くと、裕ちゃんの店の前まで来ていた。
裕ちゃんとみっちゃんは店先の縁台に座って囲碁をしていた。
二人は囲碁仲間なのだ。私はルールがよく分からないので、何が面
白いのかよく分かんないんだけどさ。
「ちょ、ちょっと待て〜。なんでそこハネんのや。」
「何言ってんの。ハネたら切るでしょが。」
「当たり前やん。それが狙いやのに。」
「このボケ。誰がそんなとこ行くか。もうそれ、死んでるで。」
なんか楽しそう。
「え〜い、投了や。ボケッ〜。」
「はっはっは〜。このみっちゃんに勝てると思ったか。」
「もってけドロボー。」
「おおきに。」
どうやらみっちゃんが勝ったようだ。
裕ちゃんがみっちゃんにお金を渡す。
賭けてなきゃ、楽しそうなんだけどな。
「ただいま〜。」
「あ、おかえり〜。」
「おかえり。」
「また囲碁してたの?」
「ああ、ちょうど終わったところや。さあ、帰って飯でも食おか。」
「うん。」
- 158 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:35:09
- 裕ちゃんとみっちゃんは碁石を片付け始めた。
「あ、そうだ。なっち。」
「ん? 何? 裕ちゃん。」
「なっちさ〜、今日何ポイント稼いだ?」
良くぞ聞いてくれました。裕ちゃん、偉い。
私は冒険者免許証を取り出した。
「じゃ〜ん。見て見て。30ポイント。ほら。」
「あ、ほんまや〜。なっち、よくやった。」
すごいっしょ。すごいっしょ。
裕ちゃんは私の冒険者免許証を見て、私を抱きしめた。
「ほんまようやったなあ。なっち、偉いで。」
ゆ、裕ちゃん? ちょっと大げさじゃない?
「ほら、みっちゃんも見いや。0ちゃうで。30やで、30。」
「はいはい。」
みっちゃんが裕ちゃんにお金を渡す。
「おおきに。これでさっきの、チャラやね。」
明日香と紺野が笑いだす。
ん? 何? ひょっとして賭けてたの? バカ。
しかもみっちゃん。私が0ポイントの方に? みっちゃん、ひどい
よぉ。
- 159 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:36:38
- ----------------------------------------------
- 160 :名無し娘。:2003/03/22 21:47:13
- 更新乙。
個人的にこの面子+辻で完璧なんだが(w
- 161 :名無し娘。:2003/04/03 21:30:45
- がんばれ
- 162 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:39:27
- 書いてる時間がねえよ〜。
辻は当分予定なしだったけど、ちょい役でならそのうち。
----------------------------------------------
- 163 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:40:24
- 翌日、私は昨日がんばりすぎたせいか、ちょっとだけ寝坊した。
朝から雨が降っていた。
「みっちゃん、おはよ〜。」
「やっと起きたんかいな。あさ美、出かけてもうたで。」
えっ? 私を置いて?
「朝な、明日香ちゃんが来て今日は雨だからどうするって言いに来
たらしいんだけど、あんたがまだ寝てるって言ったら笑いながら
帰ってったで。」
もうっ。ちょっと寝坊しただけじゃないの。ほんのちょっとだけさ。
「みっちゃん。なんで起こしてくれなかったのよ。」
「いや、明日香ちゃんと起こしにいったんだけど、あんたの寝てる
姿見て起こす気なくなったっていって、、笑いながら帰っていっ
たで。」
「失礼ね。何がそんなに面白いのさ?」
「・・・寝相。」
みっちゃん、思い出し笑いをしている。。ほんとに失礼なやつらだ。
- 164 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:41:05
- 「あれ? じゃあ紺野はどこ行ったの?」
「ああ、あさ美ちゃんは冒険者事務所になんか調べに行くって出て
った。」
そういやいろいろと本が並んでて、あそこのおじさんが自由に読ん
でいいよって言ってたっけ。
それにしても、あんなところで何を調べてんだろ?
「なんか森の植物とか調べるって言ってたで。」
ふ〜ん。私は何をしようかなあ。
あ、そうだ。剣の練習でもしようっと。
- 165 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:41:54
- 自分の部屋に戻って、ちょっと部屋に散らかっているものを片付け、
短剣を構える。イメージトレーニング開始。。
「やあっ。」
ゴチッ。
痛っ。
「とうっ。」
ドンッ。
痛っ。
「えいっ。」
ガシャーン。
あ、まずっ。。
今日はこれぐらいにしといてやるか。
- 166 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:42:39
- 「こら、なっち。ドタバタうるさいで。何やっとんや。」
向こうからみっちゃんの怒鳴り声がしてくる。
「ごめ〜ん。もう止めたから。」
さてっと、、う〜んと、、そうだ。冒険者事務所でもらったやつで
も読もうっと。
あれ? どこだっけ? あ、あったあった。冒険初心者の心得。
うげっ。結構、文字書いてるなあ。紺野、これ全部読んだのか。す
ごいな。。よしっ、がんばるぞっ。
・・・・・・
・・・ん〜。
「安倍さん。起きてくださいってば〜。」
あれ、紺野・・・いたの?
「ほら、晩御飯できてますよ。早く食べないと冷めちゃいますよ。」
あ、、晩御飯? もうそんな時間?
- 167 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:43:04
- ----------------------------------------------
- 168 :名無し娘。:2003/04/14 05:16:17
- なっちのんきだな(w
- 169 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:32:27
- ----------------------------------------------
- 170 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:32:57
- 「明日香。おはよ。」
「おはよ。ちょっと待ってて。」
今日は、昨日の雨がうそみたいに快晴なのだ。
私は紺野と一緒に明日香を誘いに来ていた。
「明日香、遅〜い。」
「うるさい。」
明日香が奥から出てくるのが見えた。
食事中だったらしく、口の中をまだもぐもぐさせている。
「行って来ま〜ふ。」
杖を持ち、靴を履きながら表に出てくる。
「福田さん。口の辺り、ついてますよ。」
「どこ?」
自分の服のすそでごしごしと顔をこすってる。
「とれた?」
「はい。」
「よしっ、行こうか。」
今日も3人で森に行くのだ。
冒険2日目。がんばるぞ〜、おうっ。
- 171 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:33:37
- 「あれ? なっち? どしたの?」
「ん? 何が?」
「アザだらけじゃん。」
ふっふっふっふっふっ。実はね、、
「福田さん。何言ってるんですか? いつもですよ。」
「あ、そりゃそうだ。」
おいっ。こら待て。
「違うよ。これはね、なんとね、、」
「なっち、もういいから。」
ちっとも良くないっ。
「なっちはね、何を隠そう、」
「いや、ず〜っと隠していいから。」
ばか。
- 172 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:33:59
- 「なっちはね、秘密の特訓をしてたんだよ。」
「・・・」
「・・・」
2人とも驚いたようだ。私もやるときはやるのよ。
「いつ?」
「昨日に決まってるじゃない。」
明日香も何、バカなこと聞いてるのよ。
「・・・」
「・・・」
「寝てましたよねえ。。福田さん?」
「うん、寝てたよねえ。確か。」
紺野と明日香が、うなづき合っている。
「なっち、寝てたから知らないだろうけど、私、昨日の朝、行った
んだよ。」
「あれは朝でしょ。」
「私が帰ったときもまだ、安倍さん、寝てましたよねえ?」
「あれは晩でしょ。」
「・・・」
「・・・」
もういいもん。
- 173 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:34:23
- ----------------------------------------------
- 174 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:34:46
- 森に着いた。中に入っていく。
う〜ん、やっぱりなんか、いい。
こう、なんての? 自然がいっぱいだよね。
「ところで紺野さあ、」
「何ですか?」
「昨日、冒険者事務所に何調べに行ってたの?」
「ああ、いろいろと。。森の植物とか、、」
ふ〜ん。
「あ、安倍さん。そこの赤い実のやつ。」
あ、こないだ私が食べれるのかなって聞いたやつだ。
「それ、食べられるらしいですよ。」
「そうなんだ。」
「水分を多く含んでいるらしいので、お腹の足しというより水分補
給が目的で冒険者が採って食べるそうですよ。」
ふ〜ん。そうなんだ。
「でもさあ、のどが渇けば水飲めばいいんじゃない?」
「なっち。冒険者って、毎日家に帰ってご飯食べるわけじゃないよ。」
あ、そっか。私たちみたいにかけだしじゃなくて、何日も何日も冒
険し続けている人たちだっているもんね。
- 175 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:35:11
- しばらく森を歩いているんだけど、、モンスターいないなあ。
今日はお休みなのかなあ?
プチッ。
ん? 何か踏んだ?
ボコッ。
ん? あれ?
明日香と紺野も立ち止まって、私を見た。
私も何がなんだかよく分からない。
「なっち、ちょっと冒険者免許証見せてみ。」
「なによぉ。明日香、自分の持ってるじゃない。」
「いいから。」
明日香が奪い取るかのように私の冒険者免許証をつかんで見ている。
どしたのよ?
「あ、やっぱり。10ポイント増えてる。」
えっ、何で?
「安倍さん。さっき、スライム踏みませんでした?」
「たぶん、子供ぐらいのスライムじゃないかな?」
・・・そなの?
- 176 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:35:44
- 「え〜っと、、わ〜い、って、喜んでいいのかな、これ?」
とまどう私に、明日香が喜びの表情を向ける。
「おめでとう。なっち。」
「あ、ありがと・・・」
よ、喜んでいいのかな? 素直に喜ぼうかな?
わ〜い。やった〜。。実感無いけど。
「初めてなっちが自分一人でモンスターを倒したんだよ。」
明日香・・・
「そうですよね。今まで棚からぼた餅ばっかりでしたものね。」
紺野・・・
「いよっ、めでたい。なっち、おめでと〜。」
「安倍さん。おめでとうございます。」
あの〜〜
「今夜は赤飯ですね。」
バカにしてるでしょ。ぜったい私のことバカにしてるでしょ。
「なっち、なっち。さっきから何、膨れてんのさ〜。」
「だって、、」
「何だよ。素直によろこんであげたんじゃないの?」
「安倍さん、すねないでくださいよ。謝ります。」
「もういいもん。すねてなんかないもん。」
「ほら、やっぱりすねてる。」
ふんっ。
- 177 :名無し娘。:2003/05/03 12:47:50
- ----------------------------------------------
これも棚からぼた餅、いや犬も歩けばスライムを潰すって奴だな。
- 178 :名無し娘。:2003/05/30 19:18:10
- 保全
- 179 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:16:12
- ----------------------------------------------
- 180 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:16:48
- 何か向こうの茂みでがさごそしてるなと思ってたら、猫ぐらいの大
きさの白い生き物が飛び出てきた。
耳が長めで、赤目をしている。
か、かわい〜。
「あ、ばか。なっち、近づいちゃダメ。」
え、何で?
明日香が杖を構えた。
「モンスターですよ。えーっと確か、、ギサウ、でしたっけ?」
紺野が剣を構えつつも、一生懸命思い出そうとしている。
「レベル2、、だったような?」
「え〜。なっちたちより強いじゃない? に、逃げようか。」
「こっちは3人だし、相手は1匹。何とかなる。」
「でも明日香〜。」
「何よ。」
「あっちにももう1匹いるんだけど、、」
「・・・早くいいなよ。ばか。」
- 181 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:17:16
- ギサウが私に飛び掛ってきた。
ドンッ。
あいた。
私は突き飛ばされてたまらずしりもちをついた。
すかさずギサウは私の腕に噛み付いてきた。
痛っ。
明日香が杖を横に払うとギサウが飛びのいた。
素早い。
ひぃ〜〜。
「あ、明日香のバカ。もう少しでなっちに当たってたじゃないの。」
「当たんなかったでしょ。早く立って剣を構えなさい。」
い、言われなくたって。くそっ。
- 182 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:17:52
- 向こうでもう1匹のギサウと交戦中の紺野が叫んだ。
「ギサウは歯が鋭くて噛み付き攻撃が得意ですから気をつけてくだ
さいね。」
お、遅いわい。
「紺野、他には?」
「見ての通り素早いのが特徴です。」
・・・見りゃ分かるって。
「弱点は無いの?」
「スライムと一緒で剣でも魔法でも効くそうです。」
・・・あっそ。
それなら、よ〜し、とりあえず、、
「えいっ。」
ギサウめがけて剣を振り下ろす。かわされた。
「ねえ、剣を振っても当たらない場合は?」
「・・・強くなってください。」
・・・やっぱ逃げようよぉ。
- 183 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:18:26
- 「きゃっ。」
「紺野、大丈夫?」
「は、はい。」
紺野が立ち上がるのが見えた。
私はすぐにも紺野のそばに行ってあげたかったけど、目の前にいる
ギサウがそうもさせてくれそうにない。
「逃げたいけど、ちょっと逃げられそうに無いね。」
ほら、だから言ったじゃない。
「明日香。紺野の方に行ってあげて。」
「ばか。なっちの方が危ないじゃないの。」
「どういう意味よ〜。」
「ほら、戦闘中によそ見しないのっ。」
明日香が杖を振り下ろす。
えっ?
- 184 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:18:47
- あわててギサウの方を見ると、なんと私に飛びかかってきてるじゃ
ないの。明日香の杖がギサウに当たって、ギサウは地面に叩きつけ
られた。
チャ〜ンス。
そこにすかさず私のキ〜ック。
ギサウが吹っ飛んで向こうの木に叩きつけられた。
ボコッ。
や、やっつけたぞ。
「わ〜い。作戦通り。」
「うそつけ。」
「ほんとだも〜ん。」
「だいたいそれにさ、剣を使いなよ。せっかく持ってんだからね。」
やっつけれたんだからいいもん。
- 185 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:10
- あ、そだ。紺野は?
紺野と交戦中のギサウは紺野の方を向いていて、私と明日香に気付
いていないみたい。後ろからそ〜っと近づいて剣を振り下ろす。
「えいっ。」
当たった。けどまだだ。
ギサウは横に飛び逃げた。
「あ、逃げるか。」
ギサウがこっちを向く。
と同時に、明日香がギサウめがけて杖を振り下ろした。
ボコッ。
よし。やっつけた。
「紺野、大丈夫?」
「は、はい。なんとか。ありがとうございます。」
紺野がその場にへたり込んだ。
周りを見渡す。もうモンスターはいないようだ。
私もその場に座り込んだ。
- 186 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:28
- 「疲れた〜。」
「そだね。」
「疲れましたね。」
3人ともハアハア言いながら、肩で息をしている。
明日香や紺野と顔を見合わせる。
「あはははははは。」
「はははは。」
「はははははは。」
なんか不気味な感じがするかもしれないけど、なんとなく3人で笑
いあっていた。安心したせいかな?
「それにしても強かったね〜。なっち、もうくたくただよ〜。」
「何言ってんの、って、私も疲れた。はあ〜。」
「ちょっと休んでいきましょうか。」
賛成。
- 187 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:53
- はあ〜。疲れた。
それにしてもいい天気だな。こんな日はお布団でも干して、、
ボガッ。
「こら、なっち。寝るな。」
うう〜。殴らなくたって。
「こんなところで寝てて、モンスターに襲われたらどうするのよ。」
「だぁってぇぇ〜。」
「だってじゃないっ。」
「けど福田さん。今、スライムに襲われても苦戦しますよ。」
そうだそうだ。紺野の言うとおりだ。
「大量に出てこられたらやられちゃうよね〜。」
「だからって、寝るんじゃないって。」
結局、しばらくここで休息をとることにした。
といっても、正直なところ、3人とも動けないほど疲れていただけ
なんだけどさ。
- 188 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:20:27
- 「それよりさ〜、紺野。私たち結構稼いだんじゃな〜い?」
「何でです?」
「だって、あんなに強かったじゃん。しかも2匹もさ。」
「ちょっと待ってくださいね。。」
紺野がモンスター辞典を調べる。
「え〜っとですねえ、さっきのはただのギサウですから、、」
「え? ただのってどういうこと?」
「いや、あの〜、普通の白ギサウですから。」
ってことは、赤ギサウとかピンクギサウとかいるんだろうか??
「1匹当たり20ゴールド20ポイントですね。」
「え? たったの?」
「はい。」
ってことはスライム2匹分ってこと?? へ?
「え”〜。こんなに疲れたのに〜??」
「そこのばかなっち。」
「何よ。明日香。」
「白ギサウはレベル2でしょ。レベル2。そんなに高いわけ無いじ
ゃない。私たちが弱いだけなんだよ。」
うう、でもでも、、
- 189 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:21:09
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- 190 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:19:45
- どれぐらい休んでいただろう。幸い、その間にモンスターは現れな
かった。
「どうする? 明日香〜?」
「何が?」
「今日はもう帰らない?」
「ん〜。。」
ちょっと体力も回復して十分動けるようにはなっていたけど、さす
がにまたギサウが出てきたら危ないと思うんだよね。
「どうします? 余力のあるうちに帰りませんか?」
「ん〜、そだね。帰りにモンスターに会うかもしれないしね。」
よしっ、決定。
そうとなれば、、
「なっち、急に元気になったね。」
そ、そう?
- 191 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:20:19
- ピトッ。
あ、なんか背中が気持ちい〜。。痛っ。
「ぎゃああ〜〜〜〜。」
「どしたの、なっち?」
「あ、安倍さん。背中にスライムが付いてますよ。」
「嫌だ〜〜。取って。取って。取って。」
ドンッ。
痛っ。
明日香に背中を蹴飛ばされた私は、その場に転げた。
「な、何すんのよぉ。」
「スライム取ったんでしょ。」
「蹴飛ばさなくたっていいじゃないの。」
「スライムなんだから、手でつかめないでしょ。」
うっ、そりゃそうだ。
「いいから早く立ちなさいよ。」
ばか。言われなくたって。。
- 192 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:21:05
- それにしても人の背後から襲うなんて、なんて卑劣な。
「あんたたち、襲うときは『これから襲いますけどいいですか』っ
て聞いて、こちらが『はい。いいですよ』って答えてから襲うの
が礼儀でしょが〜。」
「・・・なっち。誰に向かって言ってんの?」
「そこのスライムたちよっ。」
「安倍さん・・・大丈夫ですか?」
失礼な紺野と明日香に文句を言いたいが、まずはスライムだ。
え〜っと、、1、2、3匹。
明日香がスライムめがけて飛び込んだ。
「やあ〜〜〜〜。」
ボコッ。
よし、一匹退治。
そのまま杖を横に払うがスライムは左右に逃げた。
- 193 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:21:35
- 「ようし、かかって来い。」
「なっち、いいから行きなさいよ。」
もう、仕方ないなあ〜。
「えいっ。」
私の振り下ろした剣はスライムに当たったが、致命傷じゃない。
明日香が飛び込む。
外れた。
明日香の2撃目。
ボコッ。
よし、やっつけた。
どうやら私も明日香もかなり疲れが出てきているみたい。
向こう側のもう一匹は紺野がやっつけたようだ。
紺野も成長しているな。うんうん。
「なっち。なっち。」
「どしたの?」
「『これから襲いますけどいいですか』って聞かなかったの?」
な、何、笑ってんだ? ばか。
- 194 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:00
- チャララチャッチャチャ〜ン。
ん? 何の音だ?
あれ? 私の冒険者免許証が光ってる? なんで?
明日香と紺野もよって来て私の冒険者免許証をのぞきこむ。
「え〜〜〜? 何でなっちが??」
「システムがトラブルでも起こしたんでしょうか?」
な、何々? どしたの? どしたの?
「なんでこれ、光ってるのよぉ〜。」
「何言ってんの? レベルアップしたんでしょが?」
「あ、福田さん。安倍さんはそういう冒険者として当然のことを知
りませんから、もしかして、、」
「えっ? 知らなかったの? ホント? ねえ、なっち?」
ん? 事態がよく飲み込めないんだけど、、
「レベルアップしたんだよ。」
「・・・誰が?」
「安倍さんですよ。」
「自分の冒険者免許証ちゃんとよく見てみてよ。」
もう光っていないが、ほんとだ。レベル2になっている。
うわ〜〜い。やった〜〜〜。
- 195 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:32
- 「それにしてもおかしいな。なんでなっちが一番にレベルアップし
たんだろ?」
あ、明日香。悔しんでる。うひひひひひひ。
「ちゃんと見なさいよぉ。ほらほら、100ポイントになってるじ
ゃないの。」
もうっ。なんで素直に喜べないのよ。
人間、素直が一番だよ。
「順番から行ったら、私と紺野が先だよねえ。なっち、逃げてばっ
かりだし。」
「福田さん。今、何ポイントですか? 私は60ポイントですけど。」
「ちょっと待って、、あ、90ポイントだ。あとスライム1匹。」
「やっぱりトラブルか何かでしょうか?」
「あれ? なっち。何、怒ってんの?」
知らないっ。
- 196 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:51
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- 197 :名無し娘。:2003/07/13 08:16:28
- 乙
安倍はなんだかんだでオイシイとこもってくなw
- 198 :名無し娘。:2003/07/13 08:17:00
- ageてもた・・・逝ってきます・・
- 199 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:18:40
- てきとーにあげたりさげたりでいいですよ。
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- 200 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:19:00
- あの後、明日香がスライム1匹倒すまで帰らないって言いだしたか
らすっかり日が暮れてしまった。
「ねえ明日香〜。帰ろうよぉ。」
「・・・」
「暗くなってきたしさあ〜。」
「・・・」
「お腹すいたよぉ〜。」
「え〜い、うるさい。」
なによぉ。もうっ。
レベルアップ、別に明日だっていいじゃない。
「なっちもしっかりモンスター探しなさいよ。」
「だってぇ〜〜。」
「あとスライム1匹でいいんだからね。スライム1匹。」
そういってもなぁ〜。そううまくいるわけないっしょ。
「あ、福田さん。。あそこ。」
「どこ?」
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