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あああああああああああああああああああ
- 1 :あああああ「:02/08/04 03:19
- あああああああああああああああああ
- 201 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:19:59
- 紺野が人差し指を自分の口元に当て、そしてゆっくりと向こうの茂
みを挿した。
何かいる。。暗くてよく見えないや。
「もうちょっと近づいてみようか?」
私は小さい声でささやくと、明日香が左手で私を制するような仕草
をして目を細めた。
私も少しかがみ気味な姿勢で覗き込んだ。。何匹かいるみたいだ。
どうやら向こうは私たちのことに気付いていないらしい。
モンスターと私たちの間にはまだ距離がある。
しばらくして明日香がつぶやいた。
「あれ、ギサウじゃない? 3匹、かな?」
「4匹、、じゃないですか?」
う〜ん。ひざぐらいの高さの草の向こうに重なるようにいるので
何匹だかはっきりしないや。もう少し近づいたら分かるんだけどな。
「そこのレベル2。」
な、なによ、それ。ひょっとして私のこと?
「元気ある?」
「お腹すいた。」
「・・・逃げようっか?」
「賛成。」
ということで、私たちはひっそりとこっそりと、その場を後にした。
- 202 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:20:37
- ----------------------------------------------
- 203 :名無し娘。:2003/08/02 20:36:59
- 更新乙
- 204 :名無し娘。:2003/08/21 18:39:27
-
- 205 :名無し娘。:2003/09/04(木) 00:42
- なんだか好き。
がんがって。
- 206 :名無し娘。:2003/10/01(水) 21:16
- 保全
- 207 :名無し募集中。。。:2003/10/20(月) 16:41
- フォーチュンクエストに似てますな。
語り手のだめっぷりといい
- 208 :名無し娘。:2003/11/06(木) 21:24
- 未然
- 209 :名無し娘。:2003/11/11(火) 22:33
- お膳
- 210 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:22
- 3ヶ月ぶりでございます。
自分で移転願い出したスレですので、1度ぐらい更新しなければ。
これからもほとんど更新でけまへん。次は年内にはなんとか。
----------------------------------------------
- 211 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:23
- それは私が朝ごはんを食べていたときだった。
「あ、そうだ。圭織んとこに昨日取れた野菜を持っててよ。」
みっちゃんは何事もなかったかのように、そう言った。
一瞬、にぎやかだった食卓が嘘のように静まり返る。
不幸とはいつも突如としてこうした平和なときに忍び寄るのだ。
「なにぶつぶつ言ってんの? なっち、聞いてる?」
「え〜〜〜。なっち、圭織おばあちゃん、苦手なんだもん。」
何を隠そう、圭織おばあちゃんは話しをしだすと長いのだ。
「あんたたち、冒険者なんでしょ。これも一種の冒険やん。」
「どこがぁ?」
「ふっふっふっ。あんたたちに使命が授かったのよ。」
そんな使命、いらない。
「明日香ちゃんのご家族の方には昨日のうちに言ってあるから、
みんなで泊まってらっしゃいな。」
「ふぁ〜〜い。」
「いいから行ってきなさい。いい子にするのよ。」
「はぁぁぁ〜〜〜い。」
やれやれ、朝からしんどいなあ。
「いいからとっとと行け。」
- 212 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:23
- 圭織おばあちゃんの家は森の少しだけ向こう側にある。
距離的には近いのだが、森を回っていかなければいけないので着く
のはいつも夕方ぐらいになるのだ。
そして私たち3人は今、この道を歩いているわけなのだ。
「で、何で私も行かなきゃいけないのよ。」
「だって明日香だってかわいがってもらってるじゃん。」
「かわいがられてあげてるだけだって。」
とかなんとか言っちゃって、明日香だって圭織おばあちゃんのこと
嫌いじゃないのは知っている。私と一緒で圭織おばあちゃんの長い
話が嫌いなだけなのだ。しかしなぜか紺野だけは、そんなに苦痛じゃ
ないらしい。何でだろな?
「で、なっちさあ。」
「何よ。」
「何で私まであんたんとこの野菜を背負わなくちゃいけないんだよ。」
「いいじゃん。紺野と2人で持ちきれないんだからさあ。」
「そうですよ。これもトレーニングだと思えば。」
前向きだねえ〜。
「でないとあの福田さんのところの鉄よろいなんか着れませんよ。」
ひょっとしてあの錆びたの、着る気なの?
- 213 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:26
-
「ねえ、ねえ。つまんな〜い。」
「じゃあさ、なっち。」
「何?」
「この森の中を抜けて行ってみる?」
「え? モンスターが出るよ。」
「私たち、冒険者になったじゃないの。」
あ、そうか。
う〜ん。でも、あんまり奥に行くと強いモンスターが出てくるかも
しれないしなあ。
「大丈夫だよ。ここからおばあちゃん家までなら、まっすぐ直線距
離で進んでもそんなに森の奥には入らないから。」
それもそだな。
よしっ、行こう!
「食料もたっぷりあるし。」
おいっ。
- 214 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:26
- ----------------------------------------------
- 215 :名無し娘。:2003/11/15(土) 23:24
- ヒサブリ更新乙
飯田おばあちゃんが今から楽しみでしょうがない
- 216 :名無し娘。:2003/11/25(火) 09:53
- 保全
- 217 :名無し娘。:2003/12/17(水) 15:50
- sine------
- 218 :名無し娘。:2003/12/21(日) 16:35
- ho
- 219 :名無し娘。:2003/12/22(月) 20:07
- 次は年内になんとか
- 220 :名無し娘。:2003/12/22(月) 21:15
- 保全したいのか荒らしたいのか、どっちだ?
- 221 :名無し娘。:2003/12/29(月) 01:54
- ほ
- 222 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:31
- いつも一言感想ありがとう。
それがなかったらもう辞めてたと思う。
私は私が書きたいときに書く。
でも私の小説の能力では思ったものを書くことが厳しいんだよね。
----------------------------------------------
- 223 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:31
- 森に入ってすぐにスライム発見!
「やっほ〜い。スライム、スライム。」
「どしたの? なっち。」
「きっとレベル2になって浮かれているんですよ。」
言っとけ、言っとけ。
え〜っと、ひぃ、ふぅ、みぃ、、4匹だな。
「いっちばんのり〜。」
あ、ずる〜い。
明日香がスライムめがけて飛び込んでいった。
あっというまにスライム2匹を倒した。
私も負けじとスライムめがけて剣を振るった。
ボコッ。
よしっ。
残る1匹が逃げ出そうとしてたけど、紺野が追いかけてってしとめ
たようだ。
「う〜ん。快調。快調。」
今まで退屈してたぶん、やっぱり3人とも元気が有り余っている感
じだ。
- 224 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:32
- チャララチャッチャチャ〜ン。
明日香の冒険者免許証が光っている。明日香もレベルアップしたみ
たいだ。
「よしっ、レベル2。」
「なんだ明日香、まだレベル2なの?」
「なっちだって一緒でしょ。」
ちょっとすねてほっぺを膨らしている明日香の顔、、かわいい。
「なによ。」
「いや、何でも。」
「何笑ってんのよ。」
「べっつに〜〜。」
あ、怒った。怒った。。かわいいっ。
「いいじゃないですか、お二人ともレベル2で。私なんてまだ1で
すよ。」
そうか、そうだね。
今度モンスターが出たときは紺野にとどめを刺してあげさせるからね。
うん。そうしよっ。
- 225 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- あれ? さっきから明日香のやつ、何してんだ?
「ねえねえ、明日香〜。さっきから何してんのさ〜? 自分の冒険
者免許証ばっか眺めて。」
「あ、、うん。魔法覚えてないかな〜と思ってさ。」
??
「ほら、レベルアップしたしさ。」
何言ってんだ??
「福田さんまだレベル2じゃないですか。まだ魔法覚えられるわけ
ありませんよ。よっぽど適正がないと。」
「それもそうだね。裕ちゃんだってレベル3で初めて魔法使えるよ
うになったんだしね。」
「未だにレベル3ですけどね。」
「そのうち、私たちの方が上になっちゃうかもよ。」
「がんばりましょうね。」
う〜ん。レベルアップすると魔法を覚えられるのか。
けどそれが冒険者免許証と何か関係あるのかな?
う〜ん、、聞きたいけど、また2人にバカにされるのも嫌だしなあ・・・
- 226 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- 「どうしたんですか、安倍さん?」
「え? い、いや。別に。」
ば、ばか。急に声かけられるとびっくりしちゃうじゃないの。
「あ、分かった。なっち、知らないんだ〜。」
「え? 何をですか?」
「ま、ほ、う。」
「安倍さんもまだ魔法は覚えてるはずないじゃないですか〜。」
「じゃなくってさ。紺野。」
あ、また明日香がニタニタ笑いしてるっ。
「・・・・・・え、うそっ? ほんとですか、安倍さん?」
なによ。紺野までその顔は?
「な、な〜に言ってんのよ。2人とも。知ってるに決まってるじゃないの。」
え〜っと、『冒険初心者の心得』持ってきてたっけな?
「あ、あの顔はウソだね。」
「なんだ、安倍さん。早く言ってくれればいいのに。」
あれ? 何でバレたんだろ?
- 227 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- ----------------------------------------------
- 228 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- なんでも自分の使える魔法が冒険者免許証の裏に表示されるんだそ
うだ。魔法が使えるようになったかどうか、これみて確認するらしい。
ふ〜ん。私のなんて『サンダー』としか書いてないや。
冒険者免許証をもらったときに裏には文字が何も書かれていなかっ
たからそういうもんだと、、あれ? サンダー??
「え”〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
「な、なっちどうしたの?」
「大丈夫ですか? 安倍さん?」
2人に私の冒険者免許証の裏を見せる。
「ほ、ほ、ほ、ほほほ、、ほら。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
あ〜〜、明日香のバカ。人の冒険者免許証を捨てるな〜。
「紺野、のど渇かない?」
「あ〜、渇きましたねえ。あ、ほら、あそこの果実、食べられますよ。」
「あ、ほんとだ。食べてみようか。」
こら〜〜!
「紺野、ちょっと剣貸してよ。あの枝、切るからさ。」
「あ、私が切りますよ。ちょっと待っててください。」
- 229 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- 私は自分の冒険者免許証を拾って、土を払った。
「何すんのよぉ。」
「え? 何って、あの果実を枝から取ろうと、、」
「なっち、いらないの?」
「そうじゃないっ。」
「あ、じゃあ、、紺野、3つね。」
「じゃなくって、」
「食べないの?」
違〜〜うぅぅぅ。
ほらそこ、現実逃避するんじゃないっ。
「え〜。だって、ありえないよ。」
「そうですよ。」
「何がよ?」
「なっち、自分で書いたんじゃないの?」
そんなこと、するかい!
「ちょっと冒険者免許証貸してみて。」
「何すんの?」
「マジックで塗りつぶすから。」
せんでいいっ。
- 230 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- ----------------------------------------------
- 231 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「もう、なっち〜。まだ怒ってんの?」
「当ったり前じゃないのぉ。」
「さっきの果実、おいしかったじゃないですかぁ。」
「そうだね。」
「じゃあ、いいじゃない。」
何がよっ。
「そろそろ機嫌直したら?」
「一番大きいの、上げましたのにねえ。」
「そうだよねえ。」
それはそれ。これはこれ。
「だいたいさあ、、」
「何よ。」
「なっち、覚えといてよ。」
「だから何よ。」
「そもそも私が黒魔法使いになるんだからね。」
知らないわよ。
「それなのに何でなっちがサンダーとか使えるようになるわけ?」
そりゃ、、なんでだろ?
「安倍さん。福田さん。モンスターです。」
紺野が剣を構えながら叫んだ。
- 232 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「何々? スライム?」
違う。スライムじゃないぞ。何だ?
「紺野、あれ何ていうモンスター?」
私も剣を構える。
大の大人がひざを抱えて丸まったぐらいの大きさだ。
結構でかい。
なんとなく表面がミルク色で、ぬるるんっていう感じ。
「なっち、あれはクジナメだよ。私、以前見たことある。」
「強いの?」
「たしかレベル3。」
「・・・逃げよっか?」
「大丈夫だよ。私たち3人いるんだしさ。」
そうか。レベル3ったって、1匹だけだしね。こっちは3人だし、
なんたって私と明日香はレベル2だ。まあ、明日香はなりたてだけどね。
- 233 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「なんか襲ってこないね。」
「こっちに気付いていないんじゃない?」
や、それはないでしょ。思いっきり目は私たちを見てるし。
「弱点は何なの?」
「ん〜っと、何だっけ?」
「私、覚えてます。魔法が弱点ですよ。その代わり、あまり剣によ
る攻撃とかは有効じゃないって書いてました。」
紺野は勉強家だな。なんて感心してられるほど、のほほんとした空
気が私たちとクジナメの間を流れている気がする。
ふ〜ん。そうか。剣による攻撃が効かないのかあ。そりゃあのヌメ
ヌメっとした体つきじゃあ、よっぽど剣先が速いぐらいの剣の腕前
か、よっぽど切れ味がいいような剣でないと致命傷は与えづらいかな?
って、ダメじゃん。あたしたちじゃ。やっぱ、逃げよっかな〜。
「ねえ、それにしてもこのモンスター、おとなしいね。ひょっとし
て戦う気がないんじゃない?」
「それは大丈夫ですよ。敵が後姿を見せたとたん、ものすごい勢い
で追いかけてきて、相手を押し倒してその上でゆっくり食すって
書いてましたよ。」
うぎゃあ、どこが大丈夫なんだいって。
- 234 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:36
- 「それにしてもおかしいですねえ。」
今度は何よ。
「1匹しかいないですよ。そもそもクジナメって集団で行動して集
団で狩をするモンスターらしいんですけどね。」
う〜、、こんなのが集団でものすごい勢いで追いかけてきて、私た
ちの上におぶさってくることを想像するだけで、、、いやぁぁぁ〜。
「仲間とはぐれたんでしょうかね?」
「この1匹、おとりかもしれないよ。」
怖いこと言わないでよ。明日香。
辺りを見渡す。大丈夫。他にいないみたい。
あ〜、よかった。
「なっち、なにうろちょろしてんの。」
「だあってぇ〜。」
「で、どうします?」
「紺野さあ、クジナメってどれぐらい速いの?」
「あ、私、知ってる。人間が走るよりずいぶん速いよ。」
そうなんだ。明日香は以前見たことがあるんだったよね。
- 235 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:36
- 「ということで、なっち、そこに寝転がってて。」
「ん? なんで?」
「その間に私たちが逃げるから。」
・・・死ね。
なんかクジナメとの間隔がせまくなった気がする。。
って、気がするだけじゃなくて、じりじりとこっちに間合いを詰め
てきている。
「なっち、あんた魔法が使えるようになったんでしょ。」
そ、そうだった。私にはサンダーがあるんだ。
・・・
「ほら、なっち。」
・・・・・・
「安倍さん。」
・・・・・・・・・
「なっち、どしたの?」
「あのさ・・・魔法ってどうやって使うの?」
- 236 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- 「・・・知らないの?」
「知らないわよ。だって使ったことないんだもん。どうするのよっ。」
「私だって知らないよ。まだ使えないんだもん。」
「明日香ってば黒魔法使い希望なんでしょ。」
「いいからとにかく叫んでみれば。」
それもそうね。
「安倍さん。早くしてくださいっ。」
私は両手を挙げ、声高らかに叫んだ。
「サンダー!」
・・・何も起こらない。
「なっち、ふざけてないでさ。早くっ。」
いや、、あの、、
「安倍さんっ。」
決してふざけているわけじゃなくってさ。
- 237 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- 「安倍さん。もっと精神を集中してください。」
集中? どうやって?
「片手を対象となるモンスターに向けて、気を集中させてください。」
とにかく紺野の言うとおりにやってみるしかない。
私は剣を持っていないほうの腕をクジナメに向けた。
そうしている間にもクジナメはじりじりと寄ってきている。
まるで私たちが後ろを向いて逃げ出すのを待つかのごとく。
「精神を集中してください。左手に何かが集まる感じがありますか?」
う〜ん? う〜ん。。なんとなくだけどさ。
「はい、、もっと集中して集中して。」
目を閉じた。
「安倍さん、目を閉じないで。対象となるモンスターを凝視して。」
クジナメを見つめる。これでもかというぐらい睨み付けた。
「そして一気に気を爆発させる感じでサンダーと叫んでください。」
- 238 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- よし、分かった。う〜〜〜〜〜〜、、、
「サンダーー!」
私の左の手のひらが一瞬、光が放された。
まぶしいと思うまもなく、その光は1本のちぢ切れた糸のようにク
ジナメに向かった。
パシッ。
一瞬、クジナメがひるんだような気がしたが、そして何事もなかっ
たかのごとく、先ほどと同じ見慣れた光景に戻った。
あ、何か私の中で脱力感が・・・
「ダメ。」
「何が?」
「もんのすごい脱力感が。」
「なんで?」
「知らないわよっ。」
「何もしてないのに?」
「サンダー打ったでしょ。」
「・・・」
「・・・いつ? 何か光ってクジナメにちょろちょろと光がつなが
った気がしたけど。」
- 239 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:38
- それがそうなんだってば。
「ぜんぜんダメージ与えてないというか、なっちの方がダメージ受
けてない?」
知らないわよ。そんなの。
「福田さん。あの〜、、安倍さんはまだレベル2ですから。」
「・・・」
「静電気に弱いモンスターもいるかもしれませんし・・・」
紺野、、なにげにひどいこと言ってるね。今、グサッっと来たよ。
「なっち、もう1度だ。」
「ようっし、今度こそ。」
私は剣を左手に持ち替え、今度は右手を差し出した。
今の私のレベルでできるベストな体勢を考えると、右手の人差し指
を銃のようにして、クジナメに向けることだ。
- 240 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:38
- 「あ、ダメですよ。安倍さん。」
紺野が叫んでいた声が聞こえたが、私はもう精神を集中しきっていた。
「サンダー!!」
パシッ。
さっきよりかはほんのちょっとだけ太い、けど糸みたいな光がクジ
ナメにぶつかった。
その光のあたったクジナメの表面部分が少し焦げたようにすすけた
色に変色している。
よしっ。
あれ? でもなんかダメージを与えたような手ごたえがないぞ。
あれ? 体中の力が抜けていく感じがする。
私はその場に両手を着き、しゃがみこんでしまった。
意識が遠のいて行くのをなんとか食い止める。
- 241 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:39
- 「なっち、あぶな〜い。」
ボコッ。
あ、明日香の蹴りが・・・
何すんの? 明日香のバカ。
明日香に蹴り飛ばされて宙に浮いている私が見たものは、さっきま
で私がしゃがみこんでいた場所に、クジナメが上から降ってきたと
ころだった。あのままだったらまちがいなく私はクジナメの下敷き
となっていたことだろう。
クジナメさん。あんなに飛ぶんだ・・・
「え〜い。もう破れかぶれだ〜。」
明日香の声が聞こえる。
そして私の意識は途切れた。
- 242 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:39
- ----------------------------------------------
- 243 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:30
- 私は森の中にいた。
あれ? 紺野は? 明日香は?
私一人だ。
仕方ないなあ。2人とも迷子になっちゃって。
ん? 何か地面が揺れているぞ。
足元を見る。
おかしい。一面白色だ。
土や草がないぞ。どうして?
白色な地面がうねりだした。
あれ? よくみるとクジナメじゃないの。それも無数の。
うぎゃぁあぁ。
私はクジナメの上に立っていた。
あ、足元が滑るっ。
まずっ。
私はクジナメの上に倒れこんだ。
無数のクジナメ。
ヌメヌメ。
だ、誰か助けてよぉ〜。
- 244 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:30
- ----------------------------------------------
- 245 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:31
- 「なっち。なっち。」
ん? 誰? 私を呼ぶのは?
「安倍さん。しっかりしてください。」
「あ、なっち。気がついた?」
いきなり私の視野の中に、明日香と紺野の顔がドアップで現れた。
ぎゃっ、何? 何よ?
「大丈夫ですか? 安倍さん?」
「ん? 紺野・・・」
紺野? なんで泣いてるのよ。
ひょっとして、私、死んだの?
「よかった。。」
「何がよかったのよぉ〜。」
「なっち。しっかりしなよ。ほら、水飲みな。」
- 246 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:31
- 明日香が私の頭を軽く持ち上げてくれ、水筒を私の口元にそっとあ
てた。
私は一口二口、中に入っている水を飲んだ。
はぁ〜〜。
私はなにげに手を動かした。
あ、地面だ。おっ、土だ。草だ。わぁ〜い。
「福田さん。安倍さん、どっか打ちどころが悪かったんでしょうか?
なんか笑ってますよ?」
「・・・もともとなんじゃない? おかしいのは。」
二人とも何言ってんだ?
「あれ? 私? どうしたの?」
「覚えてないの? クジナメにサンダー唱えたあと、ぶっ倒れたん
だよ。」
- 247 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:32
- ん? ぶっ倒れる前に誰かに、、まあいいか。
「思い出した。」
明日香をにらむ。
「そう、、よかった。」
明日香が視線をはずした。
おい、こら。
「あ、そだ。クジナメは?」
「紺野と二人でやっつけたよ。」
「そうそう、クジナメの大群が、、それでね、地面が真っ白なの。
で、ぐにゃぐにゃぁ〜って、地面が揺れるんだよ。」
紺野が真剣な顔をして私の顔を覗き込んだ。
「ひょっとして、、寝ぼけてます?」
なんでよ。
- 248 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:32
- ----------------------------------------------
- 249 :名無し娘。:2003/12/31(水) 11:03
- ヒサブリ更新キテタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!
- 250 :名無し娘。:2003/12/31(水) 12:07
- 3人の掛け合いもテンポ良くていいね
- 251 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:10
- ----------------------------------------------
- 252 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:10
- 私たちはみっちゃんが作ってくれたお弁当を食べていた。
私は肉体的にはまだまだ元気なんだけど、ちょっと疲労感があったし、
なんたって紺野や明日香なんかは見るからに疲れ切っていたから。
これで少し休んだら、みんな元気になれるだろう。
「それにしてもよく二人でクジナメを倒せたね。」
「そりゃもう、楽勝だよ。」
ぜんぜん楽勝そうに見えないんだけど、、
「もうねえ、紺野が剣で切ろうとしても、私が杖で叩いても、なん
かヌルッとしてあんまり効いてない感じなんだよね。」
だろうな。
「少しづつでも殴り続けていたら、ちょっとづつでも相手の体力を
奪ってやっつけられるかなと思っていたんだけどさ、こっちが先
に体力がなくなってきてさ。なんたってクジナメったら飛びつい
てくるんだよ。」
うん。見た。
- 253 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:11
- 「下敷きになったら最後じゃん。1匹だけとはいえ私たちより重そ
うだからさ。」
「よく勝てたねえ。どうやったの?」
「あのね。なっちがサンダーで焦げ跡つけてくれたじゃない。そこ
の部分だけがさ、ヌメヌメ感が無くなっててさ、そこ殴ると効く
んだよね。」
「じゃあ、なっちのおかげなんだ。」
「・・・」
なんで黙るのよ?
「違うよ。弱点を見つけたのは紺野なんだからね。」
「いやあ、それほどでも〜。」
おいおい。
「でもなっちがサンダーしてなかったら焦げ目もついてないんじゃ
ない?」
「その後、ぶっ倒れたから紺野と2人で戦うはめになったのよ。」
「ごめん。。」
それを言われると痛いんだよなあ。
- 254 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:11
- 「なっちのサンダー、使いもんにならないねえ。」
「そんなことないよぉ。」
「だって、使うたびにぶっ倒れちゃったら困るじゃない。」
うう、、
「安倍さん。」
「何? 紺野?」
「もうちょっとレベルが上がるまでサンダーは使わない方がいいと
思いますよ。」
う〜ん。そだなぁ〜。
「今の安倍さんの精神力じゃ、1回が限度と考えていた方がよさそ
うですからね。」
「ごめん。」
「もう無茶して倒れたりしないでくださいね。」
あ、紺野がなみだ目になっている。
心配かけたよね。ごめんよ。紺野。
私は紺野の頭をそっとなでてあげると、紺野はしばらくうつむいていた。
- 255 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- ----------------------------------------------
- 256 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- そして再び、私たちは圭織おばあちゃんちに向かって前進を、、
「なっち、そっちじゃないよ。」
「え、うそ? そうなの?」
明日香が私の少し左側に向けて歩き出した。
私と紺野も続く。
そして今度こそ、私たちは圭織おばあちゃんちに向かって前進を、、
「福田さん。もうちょっとこっちじゃありません?」
紺野がほんのちょっと右側を指差す。
「え、そう?」
私たち3人は、ちょっと進路を右に修正した。
おいおい、大丈夫かいな?
「二人ともしっかりしてよぉ。」
「なっちには言われたくないよ。」
「そうですよ。」
うるさいっ。
- 257 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- 「あ、そうそう。」
「どしたの? 明日香。」
明日香が振り向きざまに私に声をかける。
「なんとね、さっきの戦闘でさ、紺野がレベルアップしたんだ。」
「え、うそ? ほんと?」
紺野を見ると、少し恥ずかしそうにうつむいた。
「おめでと〜、紺野。」
「ありがとございます。」
これで3人ともレベル2だね。
「あ、そうそう。紺野もなんか魔法覚えた?」
「え? あ、、」
どうやら私が気を失っていたことに動揺して、それどころではなか
ったらしい。
紺野が自分の冒険者免許証を取り出す。
- 258 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:13
- 「まさかレベル2で魔法なんか使えるようにならないでしょ。」
「分かんないよ。なっちだって覚えたもん。」
「なっちが変なんだって。」
なにを〜。
「だって普通、魔法の適正がある人だったらレベル3か4から使え
るようになるもんだもん。」
「でも、なっちはもう使えるよぉ〜。」
「あんなの、使えるうちに入んないよ。」
でも明日香が何を言ったところで、使えるのは事実。
「きっとなっちにはものすごい才能が秘められているんだよ。」
「そうかもね。」
あ、認めるんだ。
「一生、秘められているだけかもね。」
明日香が笑った。
ばか。
- 259 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:13
- 「で、どうなのよ。紺野。」
さっきから紺野が冒険者免許証を凝視している。
「あ〜〜。」
ど、どしたの?
「安倍さん。福田さん。私、魔法が使えるようになってます。」
「え、うそ?」
「うそうそ?」
そういや紺野は白魔法使いにあこがれていたっけな。
やっぱ、紺野も魔法の才能があるんだ。
よかったね。夢が実現するかもしれないね。
「そだ、紺野〜。なっち疲れたからさぁ、回復の魔法かけてよ。」
「え? そんなこと言われても。。」
「あ、なっち、ずる〜い。私だって疲れてるんだから。」
「でも回復の魔法じゃないみたいですよ。」
あれ? 違うんだ。
- 260 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:14
- 「何の魔法?」
「・・・たぶん、中澤さんと同じやつですかね?」
裕ちゃんと一緒ってことは、毒消しのやつかな?
「それでもいいや。ちょっとやってみてよ。」
「意味ないですよ。」
「ひょっとしたら、疲れが取れるかもしれないじゃない?」
「そんなわけないでしょ。なっち。」
そうかなあ、やっぱり。
「でも練習が必要だよ。私にかけてみてよ。」
「あ、明日香、ずる〜い。」
「練習だよ、練習。」
「やっぱりひょっとしたら疲れが取れるかもしれないんだ。」
「そんなわけないじゃん。」
「だったら、なっちでもいいでしょ。」
「だめ。なっちは疲れてるんでしょ。」
明日香。顔が笑ってるぞ。
- 261 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 「紺野、なっちにかけな。」
「ダメ。私が先だよ。なっち、魔法が使えるじゃん。」
なんだそれ。関係ないじゃん。
「う〜ん、分かった。じゃあ次、なっちね。」
明日香の結果を見てから決めればいいか。
「あのぉ〜、たぶん今の私じゃ、1回ぐらいしか使えないと思うん
ですけど、、」
あ、それもそうか。紺野がぶっ倒れたら困るもんな。
じゃあ、やっぱ、やめとくか。
「でも、やっぱり練習もしときたいんですよ。どれぐらい疲労がく
るのかも知っておきたいし。」
「あ、じゃあ、私ね。」
あ、明日香。ずる〜い。
- 262 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 「行きますよ。いいですか?」
「オ〜ケ〜。」
両腕を上げている明日香に対し、紺野は右の手のひらを向けた。
「行きますよ。」
紺野が精神を集中しだしたみたい。
どうもそばで見ている私には、緊張している時の紺野の顔にしか見
えない。
私もあんな顔してるのかな。
足の方を見ていた紺野の視線が、明日香の顔に向けられた。
「ポイズン!」
私のときとは違って、紺野の差し出した手のひらから、紫色の空気
というか、光の帯というか、そういうのが出て明日香とつながった。
「うぎゃっ。」
明日香の顔色が少しづつ悪くなっていく。
紺野は一瞬驚いた表情をうかべたけど、すぐさま今にも泣き出しそ
うな顔に変わった。
- 263 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- へ? どしたの? 何が起こったの?
「ど、毒消薬。。は、早くっ。」
明日香がしゃがみこみ、のど元や胸元をかきむしるようなしぐさで
叫ぶ。
なんだかよく分からないが、私は明日香の袋から毒消薬を取り出し
て、明日香に飲ませた。
だ、大丈夫?
明日香の顔色が少しづつ元に戻って行くのが分かる。
息が荒いが、少しづつ呼吸の速度が深呼吸するような感じに変わっ
ていく。
そしていつもの明日香に戻っていった。
よかったぁ。
「あ〜、死ぬかと思った。」
「大丈夫?」
「うん、、なんとか。」
- 264 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 紺野を見ると、両手は口元のあたりを隠すようにあてられ、もう今
すぐにでも目から涙がこぼれそうだった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
あ〜あ。とうとう目から涙がこぼれ落ちてしまった。
「紺野、泣かないで。もう大丈夫だから。」
「ごめんなさい。私、、」
紺野がその場にしゃがみこむ。
そのかわいそうなぐらい打ちひしがれている紺野の姿を、明日香は
優しい目で見ていた。
「もういいよ。紺野。」
「ごめんなさい。。」
「大丈夫だよ。なんともなかったんだしさ。」
「そうそう、大丈夫だって。明日香もそう言ってんだしさあ。」
しばらく紺野のすすり泣く音だけが聞こえていた。
- 265 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:16
- ----------------------------------------------
- 266 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:40
- やっと紺野が泣き止んで落ち着いてくれたので、私たちは先に進む
ことした。
「あ、そだ。紺野。」
「何でしょう?」
「疲れはどぉ?」
「・・・」
「ほら、1回でどれぐらい疲れるのかって話。」
「・・・覚えてません。」
そうか。でもまあ、仕方ないな。
それにしても紺野ってば、やっぱ魔法の才能あるんだ。
「でもよかったじゃん。紺野も魔法が使えるんだよ。」
「私、白魔法使いになりたかったんですけど・・・」
そりゃまあ、毒消しじゃなくて毒をおかす方の魔法だったけどね。
「いいじゃん。黒魔法でも使えるんならさ。明日香なんて、」
「うるさいっ。私だってレベル3になれば何か使えるようになるさ。」
「なるかなぁ〜?」
「なっちだって、サンダー使えるったって役に立たないじゃないの。」
「そんなことないもん。」
「ぶったおれたじゃん。」
いったい誰のせいで倒れたと思ってんのさ。
- 267 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:40
- あ、スライム発見。
「明日香。紺野。スライムだよっ。」
明日香と紺野はすばやく私の向いている方を向いた。
既に手には杖と短剣をそれぞれ握り締めている。
うんうん。冒険者っぽくなってきたじゃん。
「なっち、何してんの。はやく剣を抜きなさいよっ。」
あ、ごめん。
「なんだ。スライム1匹じゃん。」
何だってなによぉ。 1匹じゃ不満なの?
不満なんだったらスライムに言いなよ。
「ここはこのなっち様にまかせなさい。サンダーでしとめてやる。」
「あほなっち。スライムごときでサンダー使うんじゃないよ。」
え? なんでよぉ?
- 268 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:41
- 「まだ圭織おばあちゃんとこまでちょっと距離があるんだからね。」
「そうですよ。こんなところでぶったおられても困りますし。」
紺野、ひどぉ〜い。
「ここはひとつ、私のポイズンで、、」
「こらこら。」
とかなんとかいっているうちに明日香が杖でなぐりかかっていた。
「とりゃあ〜。」
ボコッ。
「よしっ。」
明日香が小さくガッツポーズ。
「目指せレベル3。」
おいっ。
「ずるいよ、明日香。」
「そうですよ。」
「何がずるいのさあ。」
「なっちだってレベル上げたいんだもん。」
「いいじゃん。魔法使えるんだから。」
- 269 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:41
- 今まであれほどバカにしてたくせに。
やっぱ、悔しいんだろな。。
や〜い。や〜い。
「あの〜、、」
「何?」
「ほら、紺野もレベル上げたいって、、」
「じゃなくってですねえ。」
「あれ? 違うの?」
「いや、上げたいのは上げたいんですけど。」
「そうでしょ。明日香、反省しなさい。」
「何言ってんの。なっちがとろかっただけじゃん。」
「そんなこというんならみっちゃんに電話するよ。もしもし、みっ
ちゃん?」
「ガキっ。」
あ〜。ガキって言ったなあ。みっちゃんにいいつけてやる。
私は見えない腕時計型トランシーバに向かって、、
「あの、、」
「だから何よ?」
「さっきからモンスターがお待ちかねで。。」
早く言いなさいって。そういうことは。
- 270 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- ギサウが、、うげっ、3匹もいるぞ。
こころなしか、3匹とも私たちをバカにしたような目つきでにらん
でいる気がする。
ドンッ。
あいたぁ〜。
1匹のギサウが私に体当たりをかけた。
明日香の方にも1匹突っ込んでいったけど、明日香は杖で防いだ。
「レベル2になったなっち様をなめるなよぉ。」
ドンッ。
いてっ。
う、後ろからとは卑怯な。正々堂々と正面から、、
ドンッ。
あたっ。
私はしりもちをついてしまった。
「も〜〜、バカ〜〜。」
なにも顔面に突っ込んでこなくたっていいじゃないっ。
- 271 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 「なっち、何遊んでんの。」
「これが遊んでるように見える?」
「・・・うん。」
失礼な。
座り込んでいる私にギサウが突っ込んでくる。
紺野が私の前に立ちふさがり、その攻撃を剣で防いだ。
「安倍さん。早く立って。」
「うん。」
やっぱ3匹はきついな。
「ありがと、紺野。もう大丈夫。」
「どこがよ?」
もうっ。明日香だって必死のくせして。
- 272 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 紺野めがけて飛びついてきたギサウを、紺野がすっと一歩足を引い
てかわす。
あ、紺野ってば、すご〜い。
そして攻撃をかわされたギサウはそのまま私の顔に、、げっ。
ドンッ。
痛って〜。
「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
紺野、紺野。目が笑ってるよ、あんた。
「なっち、、あははははははははは。」
明日香なんて腹抱えて笑ってるよ。戦闘中だってのにさ。
- 273 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 「ほら、なっち。サンダーだ。」
「何よ、さっきまで撃つな撃つなって言ってたじゃん。」
「そういう状況じゃないでしょ。今使わないでいつ使うんだって。」
それもそうか。
私は剣を左手に持ち替え、右手の人差し指を、
ドンッ。
ああ、も〜、イヤッ。
「なっちのばか。戦闘中に剣を離してどうすんのさ。」
「ひ、左手に持ち替えただけだもん。」
「あんた、左手で剣を振れるの?」
「・・・できない。」
「じゃあ、左手でサンダー出しなさいってば。」
そりゃそうだ。
今度は剣を右手に持ち替え、左手の人差し指を、、
ドンッ。
ばかぁ〜〜。
- 274 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- 「なにやってんの。」
「ギサウがあんだけピョンピョンしてたら魔法に集中できないんだ
からね。」
「・・・使えんやつ。」
あ、聞こえたぞ。明日香。
「も〜、世話の焼けるやつだなあ。ちょっと待ってよ、そっち行く
から。」
そう言うと、明日香がギサウを蹴飛ばして私の方に来た。
私の少し斜め前に立つ。
「ほら、援護しててやるから今のうちに早くしなっ。」
そういってる間にも一匹のギサウが私の方に向かってきたが、
明日香が杖で殴りつけた。
ボコッ。
「よし、あと2匹だ。」
ありがと、明日香・・・
- 275 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- よし、私は左手の指を1匹のギサウに向けた。
神経を集中させる。
いくぞっ。
「サンダー!」
パシッ。
私の左手の指の先から飛び出した黄色の光線はギサウめがけて、、
いったんだけど、ギサウがよけっちゃったのでその背後にあった木
に命中した。
「あ・・・」
「ドジッ。」
木の表面には1センチぐらいの焦げ跡がついていた。
ギサウはそのまま明日香めがけて飛び掛るが、明日香も杖で応戦し
ていた。
「なっち、もう1発、いける?」
「ううん、ダメ。」
立って剣こそ構えているものの、もう1発は無理。
「ポイズン!」
紺野の方をみると、伸ばされた左の手のひらから紫色の光が1匹の
ギサウを捕らえていた。
- 276 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- 「やった。紺野。」
あ、でもギサウはやっつけられていない。
けどよく見ると、ギサウの動きにすばやさが無くなっていた。
毒が効いているようだ。
明日香がすばやくその横っ腹を蹴飛ばした。
ボコッ。
よしっ、あと1匹。
紺野も明日香も肩で息をしている。
この中で一番元気そうなのは、、私か。
「よ〜し、あとはなっちにまかせといて。」
「ほんとに大丈夫?」
「明日香より大丈夫だよ。」
「分かった。」
そういうと明日香が残りのギサウに踏み込んでいって杖を振るうと、
ギサウはそれを飛び逃げて私の方に来た。
ギサウの視線は明日香の方に向けられていて、私に気付いていない。
ギサウが私に気付いたようだ。けど、もう遅い。
私はギサウめがけて剣を振るっていた。
ボコッ。
- 277 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:44
- 「はぁ〜〜。終わったね。」
「あ、一撃でやっつけられたんだ。じゃ、結構弱っていたんだね。」
「そりゃそうですよ。私と明日香さんで結構ダメージ与えてたじゃ
ないですか。」
君たち。人の成長を素直に祝えないのは悲しいことだと思わない?
「なっちがあそこでサンダー外すんだもんなぁ。」
う、
「あそこで1匹やっつけられてたら、紺野もポイズンあそこで使わ
なくても勝ててたのに。ああ、残しておきたかったなぁ。」
うう、
「安倍さん。もうちょっと攻撃の受け方を練習しといた方がいいと
思いますけど。。」
ううう、
「顔、痛くありません?」
そうさ、どうせ私はまだまだだいっ。
- 278 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:44
- ----------------------------------------------
- 279 :名無し娘。:2004/01/12(月) 21:51
- ほのぼのしてていいね
- 280 :名無し娘。:2004/01/27(火) 17:16
- 自分も体験してるみたいな気分になるので好き
- 281 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:28
- ----------------------------------------------
- 282 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:28
- 辺りはすっかり日も暮れ、薄暗くなっていた。
遠くに見えている圭織おばあちゃんの家の窓からは明かりが漏れて
いた。
そう。私たちはやっと森を抜け、草原を歩いていたのだ。
もうすぐだ。
時たま吹く風に、私の膝元ぐらいまである草たちが海辺の波のよう
にさあっと倒れ、そして引くように戻っていく。
圭織おばあちゃん家までもう少しだ。
こうしている今も、風が私の体の中をすり抜けていくように感じる。
そして今、私たち3人は、、
「なっち、なに戦闘中に現実逃避してんのよ。」
「あ〜ん。だってぇ〜。」
なんでこんなところにクジナメがいるのよぉ。
- 283 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:29
- 私たちが森を抜けてすぐに、クジナメがいたのだ。
1匹だけだけど、でーんといたのだ。
「明日香。」
「何?」
「なっち、疲れたからあとよろしく。」
ドンッ。
明日香のけりが私の背中に入った。
「痛〜い。何すんのよぉ。相手が違うじゃないの?」
「いいから、戦え。」
「だって、もうサンダー使えないんだもん。紺野は?」
「私ももう魔法使う力が残ってません。」
「どうすんのよぉ?」
「だからって現実逃避してんじゃないってば。」
クジナメが飛んだ。
「きゃ〜。」
紺野が逃げる。
ドタンッ。
- 284 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:30
- もと紺野がいた場所にクジナメが着地した。
う〜ん、着地というより、落ちたといった方が適切かも。
「どりゃっ。」
クジナメがこっちに向きを変えようとしているところに、私が蹴り
を入れた。
つるんっ。ドタッ。
痛。
「やあっ。」
今度は明日香が杖で殴りかかった。
つるんっ。
クジナメが完全にこっちを向いてしまった。
こりゃいかん。
- 285 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:30
- 「明日香〜、何とかしてえよぉ。」
「何とかって、、何よ。」
困ったな。このまま逃げたとして、圭織おばあちゃんの家までクジ
ナメに追いかけられるのもなあ。
「明日香、魔法使えないのぉ?」
「使えないの知ってるでしょ。」
うう、明日香の声が怒ってる。。怖い。
「紺野。なんかいい方法、ない?」
「いい方法って言われても。」
あ、紺野。そんな思いっきり困ってますって顔で私を見ないで。
困ったぞ。。どうしよう。
- 286 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:31
- あれ? クジナメの後ろの草がなぎ倒されているあたりから、1匹
の猫が顔を出した。
「あ、ノンだ。」
ノンというのは、圭織おばあちゃんのところで飼われている猫のこ
とだ。白い毛なみがきれいで、なでると気持ちいいの。
ボンッ。
ノンが人間の少女の姿に変化した。
ノンは、なんていうのかな〜。化け猫? よく分からないんだけど、とにかく
変化できるのだ。
「ノン。危ないよ。」
「なちみたちが遅いから、迎えにきたんだよ。」
ノンは私のことをなちみと呼ぶんだ。
「くじなめだって。ほれ。」
私はくじなめを指さした。
ノンはくじなめに目をやった。
- 287 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:31
- 「見りゃ分かるよ。」
そりゃ目の前にいるんだもんな。
くじなめを間にはさんで、ちょっと間抜けな会話だよね。
「だから危ないって。」
「大丈夫。」
そう言うと、ノンはくじなめを後ろから抱きかかえた。
「う〜〜〜〜。」
え、うそ? 持ち上げるつもり?
手が滑らないの?
ノンの2本の腕に両方からはさまれたくじなめは、ちょっとへこん
だようないびつな形になっている。
あ、ちょっと浮いたぞ。
「どりゃあ〜。」
ノンはくじなめを抱えたまま、一気に後ろ側に倒れ込んだ。
ドシーン。
- 288 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:32
- 素早くノンが立ち上がり、横向きに倒れ込んで身動きのとれないく
じなめに蹴りをいれた。
「えいっ。」
ボガッ。
え、滑らないの?
私と明日香、そして紺野が3人であれほど手こずったのに。という
よりまったくダメージを与えられなかったというのに、こう、いと
も簡単にノンがやっつけてしまった。
私たち3人は、目の前に起こっている光景を、ただただ呆然として
見ていた。
紺野なんて、ほら、口がぽかーんと開いている。
ノン、、すごい。すごいよ。
チャララチャッチャチャ〜ン。
なんだか場違いな音が鳴り響く。
- 289 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:33
- あれ? 誰がレベルアップしたんだ?
ん? ノンがポケットから何か取り出して見てる。
そして無造作にそれをポケットにしまい込んだ。
「ノン、冒険者だったの?」
圭織おばあちゃんのところに行ったときには、いつもノンと遊んで
いる。全然知らなかった。
ノンがこっちを向く。
「別に。」
「だってそれ、冒険者免許証でしょ?」
「うん。でも冒険してないし。」
「パーティとか組んでるの?」
「別に。ババアが身分証になるから持っとけって言うからさ。」
そうなんだ。
「それに小遣いになるし。ババア、ケチだからな。」
ババアというのは、圭織おばあちゃんの事だ。
私は紺野と明日香を見る。
どうやら2人とも知らなかったようだ。
- 290 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:34
- 「ノン、レベルいくつ?」
「ん? さっき5になった。」
私たちより上、なんだ。
なんだかなあ。。
「魔法とか使えるの?」
「ぜんぜん。」
「それにしてもすごいね。くじなめって手とか足とか滑らない?」
「レベル2の頃は滑って持ち上げられなかったよ。だからひたすら
殴ったり蹴ったりしてた。」
それでも殴れてたんだ。
ちょっとショック。
「それよりほら、早く行こ。ババアんち。」
ボンッ。
そう言うとノンは猫の姿に戻って、私の肩の上にひょいと乗っかった。
- 291 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:34
- ----------------------------------------------
- 292 :名無し娘。:2004/02/15(日) 22:51
- ネコ姐さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
- 293 :名無し娘。:2004/02/16(月) 19:16
- おおう!タイムリー!
ねこ姐さん!
ドキドキ
- 294 :名無し娘。:2004/03/10(水) 20:45
- (・´ー`・)<ほぜん!
- 295 :名無し娘。:2004/03/15(月) 01:45
- ノ
- 296 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:28
- ----------------------------------------------
- 297 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- 「よく来たね。ゆっくりしてってよ。」
入り口の扉を開けると、圭織おばあちゃんは笑顔で私たちを迎えて
くれた。と同時に、おいしそうなにおいが部屋の奥から漂ってくる。
圭織おばあちゃんの歳がいくつのなのかは知らないんだけど、結構
高齢なはず。髪の毛も白いのが混じっている、というか黒いところ
の方が少ないほどなんだけど、今でも元気だ。
ボンッ。
「メシ〜。」
ノンが私の肩から飛び降り、少女の姿に変化して奥に駆けだしてい
った。
「これ、ノン。もうあの子ったら。」
私たちは圭織おばあちゃんに挨拶をすると、持ってきた野菜を部屋
の隅に置いた。
「これ、みっちゃんから。」
「ありがとね。重たかったでしょ。」
「大丈夫だよ。」
ちょっとぐちゃぐちゃになっちゃったけどね。
- 298 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- 奥に入っていくとそこにはキッチンがある。
部屋の真ん中にテーブルが置いてあって、ごちそうが私たちを出迎
えてくれている。
うわ〜。クリームシチューだ。おいしそ〜。
ノンは一人テーブルについて、すでにがつがつと食べ始めていた。
「ノンは相変わらずだなあ。」
私の声も聞こえないぐらい、食事に集中しているようだ。
何で猫なのにわざわざ人間の姿に変化して食事をするのか不思議に
思う人もいるだろう。私はそのことを、以前ノンに聞いたことがあ
った。
「だって猫のまんまだとさ、ババアのやつ、ミルクしかくれないんだよ。」
そりゃノンには耐えられないだろうな。それにノン、牛乳嫌いだしね。
- 299 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- ----------------------------------------------
- 300 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
- 圭織おばあちゃんちでの夕食は、にぎやかなものとなっていた。
「もうほんとにね〜、グッドタイミングでノンが現れたんだよ。」
「それにしてもノン、何であんなところにいたの?」
ノンは何杯目かのクリームシチューと格闘していた。
「あんた達が遅いから、ノンを迎えにやったんだよ。」
そうだったんだ。
「でもよく私たちのいる場所が分かったよね。いつもここに来ると
きとは別のルートで来たってのにさ。」
「においだよ。3人のにおいは覚えているからね。」
スプーンを握った手を止めて、ノンが言った。
「でもなんであんたたち、あっちの方から出てきたの?」
「圭織おばあちゃん、あのね、なっちたち冒険者になったんだ。」
「へぇ〜〜。」
「ね。すごいっしょ。すごいっしょ。」
「で、レベルは?」
・・・
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