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あああああああああああああああああああ
- 1 :あああああ「:02/08/04 03:19
- あああああああああああああああああ
- 100 :なんちてクエスト:2003/01/11 10:50:33
- これで武器は装備した。次は防具だけど、、あと60ゴールドか。
「明日香のじいちゃん。一番安い防具って何?」
「うーんと、この皮の肩アテかなあ。こっちの皮なら280ゴールド。」
なんかいいんだけど、買えない。
そのうち、お金を貯めて買おうかなあ。
「防具じゃないけど、このヘルメットなんてどうだい? 100ゴ
ールドだよ。」
買えないけど、絶対いらない。
「60ゴールドったら、、あ、あったあった。この手袋なら50ゴ
ールド。どうだい?」
買えるけど、死んでもいらない。
- 101 :なんちてクエスト:2003/01/11 10:50:57
- ----------------------------------------------
- 102 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:50:06
- 武器屋を後にした私たち3人は、次に道具屋に行くことにした。
ここの道具屋は、みっちゃんと大の仲良しである中澤裕子という人
がやっているお店だ。
そういうわけで、私や紺野もまるで友達のように(母親のように?)
親しく接してくれ、小さい頃からこのお店は、私たちの遊び場でも
あった。
「裕ちゃん、裕ちゃん。」
「あ、また悪ガキ3人か。しっ、しっ。」
訂正しとく。私たちは、まるで犬か猫かのように扱われていた。
「ぶ〜〜。ひどいなあ、もう。」
「あ〜ん。そのなっちの膨れた顔、好き。」
はっきり言っておこう。裕ちゃんはバカかもしれない。
- 103 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:50:34
- 「裕ちゃん。私たち、今日はお客さんだよ。」
「ちゃんとお金、持ってきてんの?」
「うん。」
「それを先にゆうてんか。ようこそ〜、いらっしゃいませ。」
すごい替わりようだ。なんか、、笑顔が怖い。
「お嬢様方、今日は何をお求めですか?」
「え〜っと、何にしようかなあ? どうする、明日香?」
「やっぱ、よそで買う?」
「あ〜ん、そんなことおっしゃらずに。あさ美ちゃんからもお二人
になんか言ってくださらない?」
「・・・中澤さん、変です。」
- 104 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:51:03
- 「で、お予算はいかほど?」
「う〜んとね、紺野、あといくらあったっけ?」
「60ゴールドです。」
「ああん? このくそガキゃ〜。奥歯ガタガタ言わせるど。」
「裕ちゃん、裕ちゃん。私たち、お客さんだってば。」
「うっさいわい。このボケ。」
やっといつもの裕ちゃんらしくなった。
「みっちゃんから聞いとるで。なんでも冒険者になるんだって?」
「うん。今日ね、紺野と冒険者免許をもらってきたんだ。」
「そうかあ、私も子供ん時はねえ、みっちゃんと2人して冒険した
もんさ。」
え、そうだったんだ。初耳。みっちゃん何も言ってなかったけどな。
てっきり免許証を持ってるだけかと思ってた。
- 105 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:52:25
- 「すっご〜い。レベルいくつなの?」
「聞いて驚くなよ。なんとなんと、レベル3。」
あ、あの〜、、、もしもし?
私は耳の穴に指を突っ込んでホジホジして、もう一回聞いた。
「ごめん。よく聞こえなかった。レベルいくつ?」
「しかたないなあ。ほら、レベル3。」
裕ちゃんは片手を腰に当てて、もう一方の手で冒険者免許証を高々
と差し出した。
う〜ん、確かにレベル3って書いてある。
けど、レベル3って、、ホントに冒険したのかあ??
- 106 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:52:58
- 「もうほんまにねえ、みっちゃんとスライムをぶちぶちと潰しまく
ったあの戦いの日々を、3人にも見せたかったわ〜。」
スライムってのはこの世で一番弱いとされているモンスターで、
村はずれの森や茂みの中に、よくいるのだ。私も何度か見かけたこ
とがある。逃げたけど。
話を聞いていると何のことは無い。小さい頃、みっちゃんと2人で
スライムを潰して遊ぶのが流行っていたんだそうだ。
それにしてもスライムだけでレベル3か。いったいいくつ潰したんだ?
「いやあ、レベル2にはすぐなったんやけどね、どうせなら目指せ
レベル3ってんで、もう最後の方は意地になってやってたんや。
やから私もみっちゃんもレベル3になったらとっとと止めてもう
たけどな。はっはっは〜。」
そりゃ自慢にもならないよね。
あ、裕ちゃんは思いっきり自慢してるけど。
- 107 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:53:58
- 裕ちゃんが冒険者免許証を指でぶらんぶらんとしてたんで、裏に何
か書かれてあるのを見つけてしまった。
確か事務所のおじさんの話だと、使える魔法が免許証の裏に表示さ
れるらしい。
「あ、裕ちゃん。それ。」
「ん? なあに?」
「裕ちゃん。裕ちゃん。。魔法、使えるの?」
「あら、やだ〜。気付いた?」
う、その目は気付かれるのを待ってた目だな? やられた。
「ほらほらほら〜、見る? 見る? 見る〜?」
そういって裕ちゃんは免許証を裏にして私の目の前に押し付けた。
明日香や紺野も覗いてくる。
「ポイズンキラー?」
「そうそう、なんとねえ、毒消しの呪文なの。毒消し。私こう見え
ても魔法が使えるのよ。魔法が。」
はいはい。
「私って、白魔法の才能、あるのかもね。うん。」
分かった。分かった。
- 108 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:54:51
- なんでも裕ちゃんの話によると、レベル3になったときに魔法が使
えるようになったらしい。
ということは、みっちゃんも何か魔法が使えるのかな?
「いやあ、みっちゃんはねえ、魔法が使えないの。まあ、ひょっと
したらもう少しレベルが上がれば何か使えるようになるのかもし
れないんだけど、まだレベル3だからねえ。。」
あんたもそうでしょが。
まあ、レベルの低いうちは、そんなにすごい魔法が使えるはずなん
て無いか。けど、一度でいいから、火を出すとか、雷を落とすとか、
そういう魔法が見てみたいな。明日香にでも期待しとくとするか。
- 109 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:55:55
- 「でさあ、あんたたち、何を買いに来たの?」
あ、そだそだ。忘れてた。
「やっぱゼタナビンっしょ。」
ゼタナビンというのは体力回復剤のことだ。実はこのゼタナビンっ
てのは、とある企業の商品名なんだけど、みんなゼタナビンって言
っている。まあ、それが一般用語のように使われるぐらい有名なのだ。
「はいよ。100ゴールド。」
「え〜、高いよぉ。いっつも買ってるの、10ゴールドじゃん。」
「ばか。あれはゼタナビン・ミニでしょ。一般家庭用に効力が薄ま
ってるのよ。こっちは気力体力が一気にガンと回復するんだから。」
たまにみっちゃんが疲れた〜っていいながら飲んだり、私や紺野が
病気になったときに飲まされたりしてたんだけど、そういやよく見
りゃ『ミニ』って書いてあったよな。
「冒険者用は普通のゼタナビンとか、ゼタナビン皇帝とかなのよ。
あんたらもさ、冒険者目指すんならゼタナビン皇帝を10本ぐら
いまとめ買いできるようにならなあかんで。」
うう、ゼタナビンすら買えないのか。
- 110 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:56:24
- 「あんたら、いくらあるんだっけ?」
「60ゴールド。」
「それじゃあ、この作業用の手袋なんてどうや。50ゴールドやで。」
「いらない。」
「じゃあ、冒険者の免許証ケース買わんか? ほら。」
裕ちゃんが取り出したのは、透明なカードケースだ。
汚れとかから守れるようになってるんだ。やっぱあるといいよなあ。
「完全防水やで。1つたったの10ゴールド。どや?」
紺野の顔を見る。
なんか欲しそうに見える。
「紺野、、買う?」
「あ、でも、他のものが買えなくなっちゃいますよ。」
う〜ん。
- 111 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:56:50
- 「あとな、冒険に行くんだったら、この毒消薬も買っといた方が
ええで。毒もってるモンスターや植物もあるからな。万が一に
でも毒に犯されると、無かったら困るで。」
「あ、でもでも、裕ちゃん。ポイズンキラー使えるんでしょ。」
「ああ、使えるで。うちんとこまで来たら、ただでやったるわ。」
じゃあ毒消薬、買わなくてもいいじゃん。ね?
「うちんとこ来るまで生きてりゃな。」
あ〜ん、そういうこと、ボソッと言わないでよ。
「分かったわよ。いくらすんのよ。それ。」
「まいどあり。1つ50ゴールドやで。」
このバカ裕子。
- 112 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:57:42
- 「そんな怖い顔しないでよ。免許証ケース、2つで10ゴールドに
しといたるさかい。」
やった。でも、
「明日香の分は?」
「私は持ってるからいいよ。」
「はい。これでしめて60ゴールドちょうどね。」
このハイエナ裕子め。
しぶしぶとお金を払う。
「お〜ほっほっほっほっ。なっち、もうすっからかんやね。」
何? この敗北感は? なんか悔しい。
何で明日香も裕ちゃんみたいな目で私を見るのよぉ。2人して口に
笑みまで浮かべてさ。いぢわる。
あ、でも紺野が免許証ケースをうれしそうに受け取る姿を見ると
私もうれしくなってくる。よかった。
さっそく紺野と2人して冒険者免許証をケースにはめてみる。
うんうん。やっぱいい。
「あんたら、幸せそうやね。」
うっさい。
- 113 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:58:13
- 「あ、でも安倍さん。結局、ゼタナビン買えませんでしたね。」
しかたないよ。お金ないんだもん。
「なっちが毒消薬買ってくれたからさ、じゃあ私がゼタナビン買うよ。」
まあ、明日香が買うならそれでいっか。やっぱパーティのいいとこ
ろだな。うん。
「明日香、いくつ買うの?」
「それよりさあ、裕ちゃん。このゼタナビン、有効期限がもうすぐ
だよ。」
「あれ? ほんまや。」
「知ってて売ってるでしょ。これ。」
「いや、ほんまほんま。信じてよぉ。ねえ、明日香。」
「有効期限がもうすぐなの、ちゃんと手前に並べてるじゃない。」
「あはは。ばれた?」
キツネとタヌキの化かし合いって、こういうことをいうんだろうな。
- 114 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:59:10
- 「ちょっとまけてよね。これ買うからさあ。」
明日香ってば、有効期限が切れそうなゼタナビンを買うつもりなのかな。
「そんなこといったって、それまだ有効期限、残ってんだから。」
「けど、ここで私が買わなかったら、他に誰も買わないんじゃない?」
「そ、そんなことないわよ。」
「そうして有効期限が過ぎて、このゼタナビンたちは捨てられてい
くんだろうな。。もったいないなあ。」
「売る。それまでに絶対、売るんだから。」
「最近、冒険者あまり来ないよね。この村。」
「ま、まあ、田舎やしな。」
「もったいないなあ。ああ、あの時、安くしてでも売っとけばよか
ったなあって後悔するんだろうな、きっと。」
「そ、そんなことあらへんもん。」
「・・・もったいないなあ。」
「いい。冒険者が来んかったら、村の人にでも誰でも売るもん。」
「そして買った人がゼタナビンを飲もうとして、そのときに有効期
限が過ぎてることを知って、そうやってこの店の信用はどんどん
落ちていくんだろうなあ。」
「・・・」
「ああ、いい店だったのにね。潰れちゃうのかあ。残念だねえ。」
「分かったわよ。そんなとこでしみじみしないでよ。縁起でもない。
その代わり、この有効期限の切れそうなやつ、全部買いなさいよ。」
結局、明日香は有効期限の切れそうなゼタナビン、あ、4本だけだ
ったんだけどね。4本まとめて200ゴールドで買うことになった
のだ。さすがだ。
- 115 :なんちてクエスト:2003/01/19 18:59:59
- ----------------------------------------------
- 116 :名無し娘。:2003/01/22 23:49:51
- どっかで見たこと有る内容だな(w
期待sage
- 117 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:05:07
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- 118 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:05:40
- 暗くなってきたから明日香と分かれて、私と紺野は家に帰ってきた。
さあ、明日から冒険の開始だ。なんかわくわくするな。
「おかえり。ご飯できてるよ。」
「みっちゃん、ただいま〜。」
「ただいま。」
食卓に着くと、おいしそうな肉じゃがが出てきた。
「今日、どうだった?」
「明日香とね、3人でパーティを組むことにしたの。」
「へ〜、そうなんだ。よかったね。」
みっちゃんに今日あった出来事を話した。
途中で私の話の怪しいところを紺野が補足してくれる。
いつもの風景だ。
あらためて思う、やっぱ家族っていいな。
- 119 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:06:35
- 「あれ? みっちゃん。まだ起きてたの?」
「うん。もう寝る。なっちも早よ寝ないかんで。」
「分かった。」
みっちゃんは何か本を読んでたみたいだ。
「何読んでたの?」
「ああ、これ? 『安倍と後藤』っていうほのぼのネタなんだけど、
知らない?」
「なんか聞いたことある。誰が書いてるやつだっけ?」
「え〜と、ちょっと待ってよ。『たまに aa って名前を使うことも
あります』だって。」
へ〜。えらい名前が長い人なんだね。
「『詳しくはこちらをご覧ください』だってさ。」
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1018355300/
(〜^◇^)<以上、自スレの宣伝でした。ちゃんちゃん。
- 120 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:06:57
- ----------------------------------------------
- 121 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:07:23
- う〜ん。今日も、いい朝だ。
さあ、今日から私の冒険人生が始まるのさ。わくわく。
食卓に行くと、ちょうど紺野も起きてきたところだった。
「あら、あんたたち。今日は2人とも早いのねえ。」
「だってぇ〜。」
「あら、あさ美も目が輝いてるわよ。」
見ると紺野も、満面の笑みを浮かべていた。
「早く顔を洗ってきなさい。」
「は〜い。」
- 122 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:08:06
- 食事をしていると、みっちゃんは何か手帳のようなものを取り出した。
ちょっと使い古されているっていう感じがする。
「これねえ、わたしが子供の頃使っていたものなんだけど、まだ今
でも使えると思うの。」
「みっちゃん、それ何?」
「モンスター辞典よ。冒険入門者用だから、レベル5や6ぐらいの
モンスターまでしか載ってないんだけど、まああんたたちには十
分でしょ。」
パラパラめくってみる。なんかちょっと落書きとかもしてるみたい。
裕ちゃんと遊んでたときに使ってたのかな。
「大事にするんだよ。それ、買うと高いんだから。」
「え、みっちゃんがモンスター退治して遊んでたのって、今の紺野
よりちょっと下ぐらいの頃だったんでしょ。」
「そうよ。裕ちゃんが今のあさ美ぐらいん時だったから。」
「よく買えたねえ。お金持ちだったの?」
「裕ちゃんが家からこっそり借りてきたのよ。」
ど、泥棒。
- 123 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:08:39
- 「すべてのモンスターが書いてあるやつって、ないの?」
「そんなのあっても重くて持ち歩けないわよ。
だいたいそんなの、冒険者事務所の端末いきゃあタダで見れるで
しょが。」
「ノン、ノン、ノン。みっちゃん。今はねえ、携帯用の冒険者端末
ってのが売られててさ、それでいつでもどこでも見れるようにな
ってんだから。」
「へ〜、便利ねえ。」
「でしょ? でしょ?」
「買わないわよ。」
ちっ。
「あさ美、持ってきなさい。」
「え、なんで紺野なの?」
「あんたが持ってても読まないでしょ。」
失礼な。落書きぐらいはするぞ。
- 124 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:09:10
- 今日はみっちゃんが朝から畑に出かけるというので、私たちと同時
に家を出た。
「遊び終わったら、ちゃんと手伝いなさいよ。」
「遊びじゃないもん。」
「2人とも気をつけてね。」
「うん。いってきま〜す。」
みっちゃんの畑は村のすぐ外にある。みっちゃん1人でできる程度
の規模でやってるんで、そんなに大きな畑じゃないんだ。でも、そ
こでできた野菜なんかを売って、私たちの生活が成り立っているの
だ。
みっちゃんの夢は、私や紺野が畑を本格的に手伝いだしたら(たま
にしているお手伝い程度じゃなくってね)、大農園にするんだって。
だったら人を雇えばいいって言ったんだけど、みっちゃんにその気
は無いみたい。今の生活で十分満足してるってさ。
ごめんね、みっちゃん。私と紺野は冒険者になるんだ。
- 125 :なんちてクエスト:2003/01/26 10:09:30
- ----------------------------------------------
- 126 :名無し娘。:2003/01/26 20:26:03
- >>117
ファンタジー小説ヲタには見覚えが有る感じだなと思っただけ(w
強いて言えば昔某HPでスレイヤーズのパクリを娘。でやってたのに似てる気がする(w
- 127 :名無し娘。:2003/01/31 22:43:21
- 面白いよ。後藤の登場が楽しみだ
- 128 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:37:04
- すでに見た人もいると思いますが、このスレをごらんの方は
ぜひこちらを読んでおいてください。
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/999352480/716
>126
学生の頃はファンタジー小説よく読んでました。
スレイヤーズはTVで見てたけど、その小説は知らないです。
>127
なっちがある程度レベル上がったら登場させようと思ってるけど、
それまで私が飽きてないかどうか、難しい問題です。
----------------------------------------------
- 129 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:38:12
- 村の入り口で明日香と待ち合わせをしていた。
「なっちも紺野も、遅〜い。」
「ごめんねえ。明日香〜。」
「ごめんなさい。」
「いったい、何やってたのよぉ。」
違うのだ。明日香が早いんだ。
明日香は昨日買った黒い杖を握り締めていた。
私と紺野も、昨日買った短剣を腰に装備している。
「なんか黒い杖持ってると、黒魔法が使えるような気がしない?」
「しないしない。」
そんなこと考えてその杖、買ったのかい?
- 130 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:39:12
- 「それよりさ〜、明日香。今日、どうする?」
「なっち、あんたがリーダーでしょが。」
あ、そうだった。
明日香が笑いながら言う。
「とりあえず村はずれのあそこの森にでも行ってみようよ。どう、
なっち?」
「あ、いいねえ。紺野、どう?」
「私もその方がいいと思います。昨日考えたんですけど、やっぱり
最初はスライムで経験値稼ぎするしかないかなっと。。」
つまり、裕ちゃんやみっちゃんと同じようにってことだね。
まあ、私たちみんなレベル1だし、当然といえば当然か。
村はずれの森ってのは、モンスターが出るってことで近寄ってはい
けないと小さい頃から聞かされていた。まあ、大体、森ってのはモ
ンスターの住みかって相場が決まってんだけどさ。だから私は森に
入ったことがまだ無いんだ。紺野も多分、無いと思う。明日香はあ
るんだろうか?
- 131 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:39:50
- 私たち3人は、森に向けて歩き出した。
といっても、そんなに距離があるわけではない。
歩いて10分か20分ぐらいのものだ。
「なっち、昨日の晩は眠れた?」
「え? よく寝てたけど。」
「あはは。さすがなっちだ。」
「どういう意味よぉ〜。」
聞くと明日香もぐっすり寝てたらしいが、紺野は少し寝不足らしい。
うんうん。かわいいやつ。
- 132 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:40:39
- もう少しで森に入るっていうところで、私たちは足を止めた。
ここらへんは少し茂みになっているが、別に歩きづらいほどでもない。
「あそこ。」
紺野が何かを見つけたようだ。何かを指差している。
「何々? どうしたの?」
「何かあります。」
あ、ほんとだ。何か太陽の光に反射して光っている。何だろ?
大体30cm程度の半透明の物体。スライムだ。かすかに向こうが
透けて見えている。
向こうはまだこちらに気付いていないようだった。
私たちはスライムに気付かれないようにしゃがんで、小声で話し合
った。
「あれぐらいの大きさなら、立派な大人かな。」
「1匹だけみたいだね。」
「やっつけようか。」
「そうだね。あ、その前に紺野。みっちゃんからモンスター辞典も
らったでしょ。なんて書いてあるの? スライムのとこ。」
「えーっと、ちょっと待ってください。。」
ぺちょ。
ん? 何か私のほっぺにちょっとヒヤッとしていてやわらかい感触
が、、痛っ。
「うぎゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。ス、スライムがぁ〜〜〜。」
- 133 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:41:20
- 「な、なっち。これ、動くな。」
「取って。取って。取って。取って。早くぅ〜〜〜。」
「あ、安倍さん。暴れないでください。」
「痛た、痛た、痛た、、」
「なっち、どこ行くの。こら、止まれ。」
ボコッ。
紺野が振り回した袋が私の後頭部を直撃した。
「痛っ。紺野、何で殴るのよぉ。」
「だからじっとしててくださいってば。」
ボコッ。
今度はきちんとスライムに当たり、スライムが飛ばされた。
「痛〜い。」
「安倍さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃなぁ〜い。」
ほっぺがヒリヒリしている。
見ると明日香が杖を思いっきり振りかぶっていた。
明日香と目が合う。
「あ、取れたの?」
あんた、私を殺す気かい。
- 134 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:42:20
- 「それよりスライムは?」
そうだ。辺りを見渡した。あ、あっちにいた。
「明日香。あっち。」
「このやろ〜。」
明日香は杖を振りかぶったままスライムに走りより、スライムめが
けて杖を振り下ろした。
ボコッ。
見事スライムを直撃し、スライムは消滅した。
「明日香。やっつけたの?」
「・・・そうみたい。」
「明日香さん。やりましたね。」
初めて私たちのパーティがモンスターをやっつけた瞬間だった。
- 135 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:43:06
- あ、そうだ。冒険者免許証。
私はあわてて冒険者免許証を取り出した。
経験値が10ポイント入っている。やった。
明日香や紺野たちと冒険者免許証を見せ合った。
明日香も紺野も同じように10ポイント入っていた。
「あれ? なんでなっちにも10ポイント入ってんのよ。」
な、何言ってんのよ。明日香。
「だってさっきのスライムは私と紺野とで倒したんじゃない?」
「な、なっちだって。。」
「なっちは叫んでただけでしょ。」
うう、、言われてみれば。。
「あ、でも、安倍さんの体の一部に接触してましたから、安倍さんも
攻撃したと判定されたんじゃないんですか?」
「なっち、ずる〜〜い。」
ず、ずるくなんかないもん。
「だってなっちが一番、痛かったんだよぉ。」
「なっちがどんくさいからでしょ。」
そ、そりゃそだけどさ。明日香のバカ。
- 136 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:43:38
- 「明日香〜。ほっぺ痛〜い。ゼタナビンちょうだい。」
「・・・」
「ゼタナビン。ゼタナビン。」
「そんだけ元気だったら、いらないって。」
「ゼタナビン。ゼタナビン。」
「・・・」
「ゼタナビ〜ン。ゼタナビ〜ン。」
「・・・」
「ゼタナビ〜ン。ゼタナビ〜ン。」
「あ〜もう、うっさい。ばか。」
「ばかとはなによぉ、ばかとは。。ホントに痛いんだよぉ。」
明日香がため息をついた。
「なっちさあ、これ、家庭用のゼタナビンじゃないんだよ。」
「知ってるよ。それぐらい。」
「ってことは、ずいぶんときついわけなの。」
「どれぐらい?」
ちょっとぉ〜、なんで頭を抱えてるのよ。
- 137 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:44:11
- 「あのねえ、私たちぐらいの体力だったら、もう瀕死の状態に飲む
ぐらいがちょうどいいんだから。でないと逆に体に悪いんだよ。」
「そ、そうなの?」
「あんまり体力の無い小さい子供とかに飲ませると、死んじゃうこ
とだってあるんだから。」
・・・そうなんだ。
「じゃあ、ゼタナビンより強いゼタナビン皇帝って売ってるけどあ
れは?」
「さらに強いって。今のなっちが瀕死になったとしても、ゼタナビ
ン皇帝なんて飲んだら、よけい命があぶないと思うよ。」
そんな危ないもの、売るなよ。
「あ、でも、ゼタナビンの宣伝で、モデルさんがぐいぐい飲んでる
の、なっち見たことあるよ。あれ、いいの?」
「あれぐらい体が大きくて筋肉もしっかり付いてる冒険者なら、ち
ょっと疲れたなあぐらいでちょうどいいんじゃないの?」
- 138 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:44:40
- ん、まてよ。それだったら私たちにはゼタナビンは不要だってこと
なんじゃないのかな。だってさ、死にかけるなんてことはそうそう
無いような気がするんだけどさ。
「明日香。ゼタナビンさあ、念のために1つってんならともかく、
4つもいらなかったんじゃないの。」
「まあ、普通は何日もかけて森や洞窟で冒険してってんならともか
く、私たちみたいな日帰りだったら、疲れたら家で寝てりゃいい
んだけどね。」
「でしょ〜。」
「でも私たちのパーティには、なっちがいるからなあ。」
そうかあ、そりゃゼタナビン4つでも足りないかも、、って、おい。
紺野もそうですねって何だよ。
- 139 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:45:06
- 「あ、それとね、ゼタナビンだけど3つしかないよ。」
「え、何で?」
「1つ、じいちゃんにあげてきた。」
あれ? 明日香のじいちゃん、元気じゃなかったっけ?
普通の状態で飲んだら、命が危ないんじゃないの?
「大丈夫だって。うちのじいちゃん、元気だから。」
「ほんとに大丈夫なの? 飲んでも。」
「大丈夫、大丈夫。ああ見えても結構体力あるんだから。かなり疲
れたときに飲むんだったら、まあ、効きすぎることはあっても死
にはしないって。」
おいおい。
- 140 :なんちてクエスト:2003/02/09 22:45:39
- 「それにさ、じいちゃんに結構値切ってもらったでしょ。だからそ
の私たちが得した分のうち、100ゴールドだけでも恩返しして
あげたら喜ぶでしょ。」
「そうかあ〜。あ、でもそのゼタナビン、安く買えたから100ゴ
ールドもしなかったでしょ。」
「なっちも紺野もいい? じいちゃんにあげたのは100ゴールド
で買ったやつだからね。あとの3本がまけてもらったやつだから
ね。」
おいおい。
「あ、でも、福田さん。有効期限は大丈夫なんですか?」
「じいちゃん、そんなとこ見ないって。ばれない。ばれない。」
「あの、、そういう問題じゃなくてですねえ。」
「ちょっと過ぎたぐらいで死にはしないって。それにもし古くなっ
て効果が落ちてきたんなら、ちょうどよくなるだろうしさ。」
おいおい。
- 141 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:43:52
- 「あ、そだ。紺野〜、モンスター辞典のスライムのとこ、なんて書
いてんの?」
「えっと、ちょっと待ってくださいね。」
紺野は袋からモンスター辞典を取り出そうとしていた。
さっきはスライムのせいで読めなかったのだ。
「え〜っとですねえ、、スライム。レベル1。報酬10ゴールド。」
「ほ、報酬? 10ゴールド? さっきので私たち、10ゴールド
稼いだんだよね。やった〜。」
「なっち、うれしそうだね。」
「そりゃそうさ。」
「たった10ゴールドで。」
「だってさ〜、だってさ〜。初めてモンスター倒して稼いだお金なんだよ。
金額の問題じゃないよ〜。」
何、買おうかなあ。。
あれ? 1人10ゴールドづつなら30ゴールド?
「バカじゃないの? 1人10ゴールドなら、パーティー1000
人いたらいくらもらえるのよ。あくまで1匹10ゴールドだって。」
あ、そうなんだ。
- 142 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:44:54
- 明日香の話によると、パーティー登録しているからパーティーの口
座にお金が入るんだって。今回の場合、スライム1匹分で10ゴー
ルド。当たり前だけど、何人組のパーティだろうと、10ゴールド。
もし、いくつかのパーティが協力してモンスターを倒したんだった
ら、その度合いに応じて報酬が自動的に分けられてそれぞれの口座
に入るんだって。
で、口座からお金を下ろしたり、逆に預けたりするには、冒険者事
務所でできるんだそうだ。
「さすが明日香、詳しいね。紺野も知らなかったでしょ。勉強にな
ったね。」
「安倍さん。昨日、冒険者事務所でもらった『冒険初心者の心得』
に書いてましたよ。まだ読んでないんですか?」
え、そなの?
私がそんなの、読むわけ無いじゃん。
「紺野〜。。あんた、いったいいつ読んだのよぉ?」
「昨日、寝る前に一通り読みましたけど。。」
「なっちも冒険者目指すんだったらさ〜、それぐらい読んどいてよ
ね。」
なんだ。それで紺野のやつ、昨日、寝るのが遅かったのか。
- 143 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:46:34
- 「紺野さ、他になんて書いてあるの?」
「え〜っとですねえ、、弱い。弱い。弱〜い。」
・・・へ?
モンスター辞典を読んでる紺野自身も困った目で私のほうを見ている。
「あの、、そう落書きされてるんです。」
のぞき込む。
あ、裕ちゃんの落書きだな。こりゃ。
「確かに弱かったよねえ。」
「そういうなっちはスライムに負けてたじゃない?」
ま、負けてないもん。逃げただけだもん。
- 144 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:47:27
- 「ちゃんと本文読みますね。。スライムは草原や茂み、森などに幅
広く生息している。攻撃力・守備力共に低く、剣や魔法などあら
ゆる攻撃に弱い。スライムはエサを見つけると相手に接触し、体
内からたんぱく質を溶かす物質を出す。これにより相手をゆっく
りと溶かし、体内に栄養分として取り込む特質がある。このため、
直接素手で触ると刺すような痛みを感じるので注意すること。」
注意することって、、遅いわい。くっそ〜。
「へ〜、なっちはエサだったんだ。」
明日香、うるさいぞ。
「なっちさ〜、どうする? 森に入る?」
「は、入るに決まってるじゃない。」
「怖いんならさ、なっちはここで待っててもいいよ。私と紺野だけ
で行ってくるからさあ。」
バカにしやがって。
私はずんずんと森に向かって歩き出した。
「おいおい、、」
「安倍さん、待ってくださいよぉ。」
明日香と紺野も私の後を追ってきた。
- 145 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:48:12
- 森に入る。
最初、薄暗く感じたけど、しばらく時間が経って目が慣れてくると
そうでもない。枝葉でいくぶん太陽の光がさえぎられているんだけ
ど、思ってたより明るく感じる。
鳥か何かの鳴き声が聞こえる。う〜ん、なんとなく気持ちいい。
「どっちいく?」
「どっちでもいいけどさ、最初だし、迷子にならない程度にしとこ。」
「そだね。うん。」
ということで、元いた場所に戻れる程度に歩き回ることにした。
「モンスター、いないなあ。」
「いないほうがいいじゃない。」
「安倍さん、それじゃあレベルが上がらないじゃないですか。」
「そうそう、お金も儲からないじゃないの。」
そ、そうか。。
出て来い、モンスター。
- 146 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:48:43
- 私たちはおしゃべりをしながら、そこいらへんを歩き回った。
なんだか3人で森にピクニックにでもしに来たような感じだ。
「あ、またここに出た。」
「もう、ここらへんも覚えたよね。」
「お腹すいたねえ。」
「ねえ、さっきからさ〜、気になるんだけど、、」
「安倍さん。どうしたんですか?」
「この実、食べられるかなあ。紺野、知らない?」
「あ、じゃあ今度、調べときますね。」
今度じゃなくて、今、食べたいのにぃ〜。
「なっち、なっち。何しに来たのさ〜。」
えと、、あの、何だっけ?
- 147 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:49:16
- 「あ、スライム発見。」
明日香が杖を構えた。
私と紺野も明日香が向いている方向に剣を構える。
スライムが4匹。どうやらこっそりこちらに近づこうとしていたみ
たいだ。
「ねえ、明日香、、」
「なによ。」
「あれ、、親子かな?」
「ば、ばか。何考えてんのよ。」
だってさ、だってさ、4匹のうち2匹は心なしか小さい気がするん
だもん。
「安倍さん。スライムって分裂して増殖しますから、あんまりその〜、
親子の縁とかそういうのは、、」
- 148 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:50:23
- 私が紺野の説明を聞いているところにスライムが飛びかかってきた。
「ぎゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
思いっきり剣を振り回す。
「うわっ。」
「きゃあ〜〜。」
「ば、ばか。危ないって。私たちを殺す気?」
見ると明日香も紺野もその場に座り込んでいた。
「あ、ごめ〜ん。大丈夫?」
「大丈夫じゃないっ。ばかなっち。」
「安倍さん。危ないじゃないですか。気をつけてくださいね。もう
少しで当たってましたよ。」
ごめん。。
「こら、ばかなっち。さっき剣を振った時に目をつぶってたでしょ。
何考えてんのよぉ。」
いいじゃん。ケガ無かったんだしさ。
- 149 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:51:06
- あ、スライムは? どこ?
いた。あっちだ。
なんか1匹だけ弱っているみたいに見える。
「ねえねえ、さっきの私の剣が当たったのかな? ねえねえ、ねえ
ってば〜。」
「ばかなっち、うるさい。」
「安倍さん。戦闘中ですよ。」
ちぇっ。
「だあ〜〜〜。」
明日香がスライムめがけて飛び込んでいく。
ボコッ。
1匹やっつけたみたいだ。
「2匹そっちへ行ったよ。」
- 150 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:51:40
- スライムが2匹、明日香の右側からこちらに向かってきた。
私と紺野は剣を握って身構えた。
「来るな。来るな。」
私の唱えた呪文にも負けず、スライムが1匹づつそれぞれ私と紺野
の方に飛びかかってきた。
紺野が剣を振り下ろした。
ボコッ。
「やった。」
私も負けじと剣を振り下ろす。
ぺちょ。
あれ? 私の肩にスライムがくっついている。何で?
服の上からだから痛くないけど、、落ちろって、このぉ。このぉ。
- 151 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:52:31
- 「安倍さん。大丈夫ですか?」
やっとのことでスライムを振り落とした。
すかさず紺野が剣を突き刺す。
ボコッ。
「落ち着いてやれば大丈夫みたいですよ。」
うっ、、紺野に慰められているのかな。私。
明日香もスライムをやっつけたようで、こっちに戻ってきた。
「なっち、紺野、大丈夫?」
「あ、大丈夫です。」
「なんか悲鳴が聞こえたけど、、」
「大丈夫だって。ほら。ちゃんとスライムをやっつけたし。」
「え、うそ。なっちがやっつけたの?」
2匹とも紺野がだけどさ。
- 152 :なんちてクエスト:2003/02/15 13:53:48
- ----------------------------------------------
- 153 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:23:04
- スライム4匹をやっつけた後、ちょっとの間だけ森の中を歩いてい
たんだけど、もう暗くなりそうなので帰ることにした。
森を出ながら、私たちはさっきの戦闘について話し合っていた。
「え、うそ? じゃあなっちは1匹もやっつけられなかったの?」
悪かったわね〜。
「また?」
またって何よ?
「だって、最初森に入る前だって、、」
「でも明日香、ほら見てよ。冒険者免許証。ほら、30ポイントに
なってる。。ほら。ほら。」
明日香に私の冒険者免許証を見せつける。
「え〜〜〜? 何で?」
明日香と紺野はそれぞれ2匹づつやっつけたので、それぞれ20ポ
イント加算されている。私たち、これで3人とも30ポイントなの
だ。
- 154 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:23:40
- 「だってほら、最初に私がスライムに一撃入れたじゃない?」
「あれは分かるけどさ〜。。けどあれ、当たってたんだね。」
私も驚いたんだけどさ、、そうみたい。
「そうみたいですね。でも福田さん。あれのおかげでスライムたち
もひるんでくれたみたいでしたから。」
「・・・私もひるんだけどね。」
「もし4匹いっせいにかかってこられたら大変でしたよ。」
「でしょ? でしょ? さすが紺野。分かってる〜。」
「うるさい。」
せっかく私が一番活躍したところの話をしてるっていうのにさあ、
うるさいは無いでしょ。うるさいは。
- 155 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:24:23
- 「でもあれで1匹分でしょ。あと1匹分は何なのよ?」
「安倍さんが空振りして、スライムが安倍さんの肩にくっつきまし
たから、たぶんそれで。。」
「また?」
だからまたって何よ?
「ひょっとしてなっち、また目を閉じてたの?」
「失礼な。ちゃんと開けてたもん。」
「・・・」
明日香が紺野の方を見た。
ちょっと間があったが、紺野は黙ってうなづく。
「何よぉ。なっちの言うこと、信じてないの?」
「だったら何で空振りするのよ?」
「違うもん。剣が短かったんだもん。」
そうなのだ。この短剣があと20cm長ければ、スライムをやっつ
けていたはずなのだ。
「そのなっちが持ってる剣ってさあ、、」
「何よ?」
「短いから短剣っていうんだよ。知ってる?」
うまい。。いや、うまくない。
- 156 :なんちてクエスト:2003/03/10 22:25:20
- 「決めた。お金を貯めて絶対、長い剣を買うんだから。」
ぜ〜ったい、買うんだから。
「もうちょっと強くなってからにしなよ。それより私は黒マントが
欲しいなあ。」
「明日香、お金持ってるでしょが。」
「あれは私が小さい頃からずっと貯めてたんだから、だめ。」
「けち。」
「けちとかそういう問題じゃないでしょ。」
「なっち、もっと長い剣が欲し〜い。」
「安倍さん。福田さん。それよりもこれから強いモンスターも出て
くるかもしれませんから、防具とか買いそろえていったほうが、、」
「剣。」
「黒マント。」
「剣。」
「黒マント。」
「あの〜、、もしもし?」
- 157 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:34:08
- 気付くと、裕ちゃんの店の前まで来ていた。
裕ちゃんとみっちゃんは店先の縁台に座って囲碁をしていた。
二人は囲碁仲間なのだ。私はルールがよく分からないので、何が面
白いのかよく分かんないんだけどさ。
「ちょ、ちょっと待て〜。なんでそこハネんのや。」
「何言ってんの。ハネたら切るでしょが。」
「当たり前やん。それが狙いやのに。」
「このボケ。誰がそんなとこ行くか。もうそれ、死んでるで。」
なんか楽しそう。
「え〜い、投了や。ボケッ〜。」
「はっはっは〜。このみっちゃんに勝てると思ったか。」
「もってけドロボー。」
「おおきに。」
どうやらみっちゃんが勝ったようだ。
裕ちゃんがみっちゃんにお金を渡す。
賭けてなきゃ、楽しそうなんだけどな。
「ただいま〜。」
「あ、おかえり〜。」
「おかえり。」
「また囲碁してたの?」
「ああ、ちょうど終わったところや。さあ、帰って飯でも食おか。」
「うん。」
- 158 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:35:09
- 裕ちゃんとみっちゃんは碁石を片付け始めた。
「あ、そうだ。なっち。」
「ん? 何? 裕ちゃん。」
「なっちさ〜、今日何ポイント稼いだ?」
良くぞ聞いてくれました。裕ちゃん、偉い。
私は冒険者免許証を取り出した。
「じゃ〜ん。見て見て。30ポイント。ほら。」
「あ、ほんまや〜。なっち、よくやった。」
すごいっしょ。すごいっしょ。
裕ちゃんは私の冒険者免許証を見て、私を抱きしめた。
「ほんまようやったなあ。なっち、偉いで。」
ゆ、裕ちゃん? ちょっと大げさじゃない?
「ほら、みっちゃんも見いや。0ちゃうで。30やで、30。」
「はいはい。」
みっちゃんが裕ちゃんにお金を渡す。
「おおきに。これでさっきの、チャラやね。」
明日香と紺野が笑いだす。
ん? 何? ひょっとして賭けてたの? バカ。
しかもみっちゃん。私が0ポイントの方に? みっちゃん、ひどい
よぉ。
- 159 :なんちてクエスト:2003/03/22 21:36:38
- ----------------------------------------------
- 160 :名無し娘。:2003/03/22 21:47:13
- 更新乙。
個人的にこの面子+辻で完璧なんだが(w
- 161 :名無し娘。:2003/04/03 21:30:45
- がんばれ
- 162 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:39:27
- 書いてる時間がねえよ〜。
辻は当分予定なしだったけど、ちょい役でならそのうち。
----------------------------------------------
- 163 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:40:24
- 翌日、私は昨日がんばりすぎたせいか、ちょっとだけ寝坊した。
朝から雨が降っていた。
「みっちゃん、おはよ〜。」
「やっと起きたんかいな。あさ美、出かけてもうたで。」
えっ? 私を置いて?
「朝な、明日香ちゃんが来て今日は雨だからどうするって言いに来
たらしいんだけど、あんたがまだ寝てるって言ったら笑いながら
帰ってったで。」
もうっ。ちょっと寝坊しただけじゃないの。ほんのちょっとだけさ。
「みっちゃん。なんで起こしてくれなかったのよ。」
「いや、明日香ちゃんと起こしにいったんだけど、あんたの寝てる
姿見て起こす気なくなったっていって、、笑いながら帰っていっ
たで。」
「失礼ね。何がそんなに面白いのさ?」
「・・・寝相。」
みっちゃん、思い出し笑いをしている。。ほんとに失礼なやつらだ。
- 164 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:41:05
- 「あれ? じゃあ紺野はどこ行ったの?」
「ああ、あさ美ちゃんは冒険者事務所になんか調べに行くって出て
った。」
そういやいろいろと本が並んでて、あそこのおじさんが自由に読ん
でいいよって言ってたっけ。
それにしても、あんなところで何を調べてんだろ?
「なんか森の植物とか調べるって言ってたで。」
ふ〜ん。私は何をしようかなあ。
あ、そうだ。剣の練習でもしようっと。
- 165 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:41:54
- 自分の部屋に戻って、ちょっと部屋に散らかっているものを片付け、
短剣を構える。イメージトレーニング開始。。
「やあっ。」
ゴチッ。
痛っ。
「とうっ。」
ドンッ。
痛っ。
「えいっ。」
ガシャーン。
あ、まずっ。。
今日はこれぐらいにしといてやるか。
- 166 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:42:39
- 「こら、なっち。ドタバタうるさいで。何やっとんや。」
向こうからみっちゃんの怒鳴り声がしてくる。
「ごめ〜ん。もう止めたから。」
さてっと、、う〜んと、、そうだ。冒険者事務所でもらったやつで
も読もうっと。
あれ? どこだっけ? あ、あったあった。冒険初心者の心得。
うげっ。結構、文字書いてるなあ。紺野、これ全部読んだのか。す
ごいな。。よしっ、がんばるぞっ。
・・・・・・
・・・ん〜。
「安倍さん。起きてくださいってば〜。」
あれ、紺野・・・いたの?
「ほら、晩御飯できてますよ。早く食べないと冷めちゃいますよ。」
あ、、晩御飯? もうそんな時間?
- 167 :なんちてクエスト:2003/04/12 10:43:04
- ----------------------------------------------
- 168 :名無し娘。:2003/04/14 05:16:17
- なっちのんきだな(w
- 169 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:32:27
- ----------------------------------------------
- 170 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:32:57
- 「明日香。おはよ。」
「おはよ。ちょっと待ってて。」
今日は、昨日の雨がうそみたいに快晴なのだ。
私は紺野と一緒に明日香を誘いに来ていた。
「明日香、遅〜い。」
「うるさい。」
明日香が奥から出てくるのが見えた。
食事中だったらしく、口の中をまだもぐもぐさせている。
「行って来ま〜ふ。」
杖を持ち、靴を履きながら表に出てくる。
「福田さん。口の辺り、ついてますよ。」
「どこ?」
自分の服のすそでごしごしと顔をこすってる。
「とれた?」
「はい。」
「よしっ、行こうか。」
今日も3人で森に行くのだ。
冒険2日目。がんばるぞ〜、おうっ。
- 171 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:33:37
- 「あれ? なっち? どしたの?」
「ん? 何が?」
「アザだらけじゃん。」
ふっふっふっふっふっ。実はね、、
「福田さん。何言ってるんですか? いつもですよ。」
「あ、そりゃそうだ。」
おいっ。こら待て。
「違うよ。これはね、なんとね、、」
「なっち、もういいから。」
ちっとも良くないっ。
「なっちはね、何を隠そう、」
「いや、ず〜っと隠していいから。」
ばか。
- 172 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:33:59
- 「なっちはね、秘密の特訓をしてたんだよ。」
「・・・」
「・・・」
2人とも驚いたようだ。私もやるときはやるのよ。
「いつ?」
「昨日に決まってるじゃない。」
明日香も何、バカなこと聞いてるのよ。
「・・・」
「・・・」
「寝てましたよねえ。。福田さん?」
「うん、寝てたよねえ。確か。」
紺野と明日香が、うなづき合っている。
「なっち、寝てたから知らないだろうけど、私、昨日の朝、行った
んだよ。」
「あれは朝でしょ。」
「私が帰ったときもまだ、安倍さん、寝てましたよねえ?」
「あれは晩でしょ。」
「・・・」
「・・・」
もういいもん。
- 173 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:34:23
- ----------------------------------------------
- 174 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:34:46
- 森に着いた。中に入っていく。
う〜ん、やっぱりなんか、いい。
こう、なんての? 自然がいっぱいだよね。
「ところで紺野さあ、」
「何ですか?」
「昨日、冒険者事務所に何調べに行ってたの?」
「ああ、いろいろと。。森の植物とか、、」
ふ〜ん。
「あ、安倍さん。そこの赤い実のやつ。」
あ、こないだ私が食べれるのかなって聞いたやつだ。
「それ、食べられるらしいですよ。」
「そうなんだ。」
「水分を多く含んでいるらしいので、お腹の足しというより水分補
給が目的で冒険者が採って食べるそうですよ。」
ふ〜ん。そうなんだ。
「でもさあ、のどが渇けば水飲めばいいんじゃない?」
「なっち。冒険者って、毎日家に帰ってご飯食べるわけじゃないよ。」
あ、そっか。私たちみたいにかけだしじゃなくて、何日も何日も冒
険し続けている人たちだっているもんね。
- 175 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:35:11
- しばらく森を歩いているんだけど、、モンスターいないなあ。
今日はお休みなのかなあ?
プチッ。
ん? 何か踏んだ?
ボコッ。
ん? あれ?
明日香と紺野も立ち止まって、私を見た。
私も何がなんだかよく分からない。
「なっち、ちょっと冒険者免許証見せてみ。」
「なによぉ。明日香、自分の持ってるじゃない。」
「いいから。」
明日香が奪い取るかのように私の冒険者免許証をつかんで見ている。
どしたのよ?
「あ、やっぱり。10ポイント増えてる。」
えっ、何で?
「安倍さん。さっき、スライム踏みませんでした?」
「たぶん、子供ぐらいのスライムじゃないかな?」
・・・そなの?
- 176 :なんちてクエスト:2003/05/03 12:35:44
- 「え〜っと、、わ〜い、って、喜んでいいのかな、これ?」
とまどう私に、明日香が喜びの表情を向ける。
「おめでとう。なっち。」
「あ、ありがと・・・」
よ、喜んでいいのかな? 素直に喜ぼうかな?
わ〜い。やった〜。。実感無いけど。
「初めてなっちが自分一人でモンスターを倒したんだよ。」
明日香・・・
「そうですよね。今まで棚からぼた餅ばっかりでしたものね。」
紺野・・・
「いよっ、めでたい。なっち、おめでと〜。」
「安倍さん。おめでとうございます。」
あの〜〜
「今夜は赤飯ですね。」
バカにしてるでしょ。ぜったい私のことバカにしてるでしょ。
「なっち、なっち。さっきから何、膨れてんのさ〜。」
「だって、、」
「何だよ。素直によろこんであげたんじゃないの?」
「安倍さん、すねないでくださいよ。謝ります。」
「もういいもん。すねてなんかないもん。」
「ほら、やっぱりすねてる。」
ふんっ。
- 177 :名無し娘。:2003/05/03 12:47:50
- ----------------------------------------------
これも棚からぼた餅、いや犬も歩けばスライムを潰すって奴だな。
- 178 :名無し娘。:2003/05/30 19:18:10
- 保全
- 179 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:16:12
- ----------------------------------------------
- 180 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:16:48
- 何か向こうの茂みでがさごそしてるなと思ってたら、猫ぐらいの大
きさの白い生き物が飛び出てきた。
耳が長めで、赤目をしている。
か、かわい〜。
「あ、ばか。なっち、近づいちゃダメ。」
え、何で?
明日香が杖を構えた。
「モンスターですよ。えーっと確か、、ギサウ、でしたっけ?」
紺野が剣を構えつつも、一生懸命思い出そうとしている。
「レベル2、、だったような?」
「え〜。なっちたちより強いじゃない? に、逃げようか。」
「こっちは3人だし、相手は1匹。何とかなる。」
「でも明日香〜。」
「何よ。」
「あっちにももう1匹いるんだけど、、」
「・・・早くいいなよ。ばか。」
- 181 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:17:16
- ギサウが私に飛び掛ってきた。
ドンッ。
あいた。
私は突き飛ばされてたまらずしりもちをついた。
すかさずギサウは私の腕に噛み付いてきた。
痛っ。
明日香が杖を横に払うとギサウが飛びのいた。
素早い。
ひぃ〜〜。
「あ、明日香のバカ。もう少しでなっちに当たってたじゃないの。」
「当たんなかったでしょ。早く立って剣を構えなさい。」
い、言われなくたって。くそっ。
- 182 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:17:52
- 向こうでもう1匹のギサウと交戦中の紺野が叫んだ。
「ギサウは歯が鋭くて噛み付き攻撃が得意ですから気をつけてくだ
さいね。」
お、遅いわい。
「紺野、他には?」
「見ての通り素早いのが特徴です。」
・・・見りゃ分かるって。
「弱点は無いの?」
「スライムと一緒で剣でも魔法でも効くそうです。」
・・・あっそ。
それなら、よ〜し、とりあえず、、
「えいっ。」
ギサウめがけて剣を振り下ろす。かわされた。
「ねえ、剣を振っても当たらない場合は?」
「・・・強くなってください。」
・・・やっぱ逃げようよぉ。
- 183 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:18:26
- 「きゃっ。」
「紺野、大丈夫?」
「は、はい。」
紺野が立ち上がるのが見えた。
私はすぐにも紺野のそばに行ってあげたかったけど、目の前にいる
ギサウがそうもさせてくれそうにない。
「逃げたいけど、ちょっと逃げられそうに無いね。」
ほら、だから言ったじゃない。
「明日香。紺野の方に行ってあげて。」
「ばか。なっちの方が危ないじゃないの。」
「どういう意味よ〜。」
「ほら、戦闘中によそ見しないのっ。」
明日香が杖を振り下ろす。
えっ?
- 184 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:18:47
- あわててギサウの方を見ると、なんと私に飛びかかってきてるじゃ
ないの。明日香の杖がギサウに当たって、ギサウは地面に叩きつけ
られた。
チャ〜ンス。
そこにすかさず私のキ〜ック。
ギサウが吹っ飛んで向こうの木に叩きつけられた。
ボコッ。
や、やっつけたぞ。
「わ〜い。作戦通り。」
「うそつけ。」
「ほんとだも〜ん。」
「だいたいそれにさ、剣を使いなよ。せっかく持ってんだからね。」
やっつけれたんだからいいもん。
- 185 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:10
- あ、そだ。紺野は?
紺野と交戦中のギサウは紺野の方を向いていて、私と明日香に気付
いていないみたい。後ろからそ〜っと近づいて剣を振り下ろす。
「えいっ。」
当たった。けどまだだ。
ギサウは横に飛び逃げた。
「あ、逃げるか。」
ギサウがこっちを向く。
と同時に、明日香がギサウめがけて杖を振り下ろした。
ボコッ。
よし。やっつけた。
「紺野、大丈夫?」
「は、はい。なんとか。ありがとうございます。」
紺野がその場にへたり込んだ。
周りを見渡す。もうモンスターはいないようだ。
私もその場に座り込んだ。
- 186 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:28
- 「疲れた〜。」
「そだね。」
「疲れましたね。」
3人ともハアハア言いながら、肩で息をしている。
明日香や紺野と顔を見合わせる。
「あはははははは。」
「はははは。」
「はははははは。」
なんか不気味な感じがするかもしれないけど、なんとなく3人で笑
いあっていた。安心したせいかな?
「それにしても強かったね〜。なっち、もうくたくただよ〜。」
「何言ってんの、って、私も疲れた。はあ〜。」
「ちょっと休んでいきましょうか。」
賛成。
- 187 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:19:53
- はあ〜。疲れた。
それにしてもいい天気だな。こんな日はお布団でも干して、、
ボガッ。
「こら、なっち。寝るな。」
うう〜。殴らなくたって。
「こんなところで寝てて、モンスターに襲われたらどうするのよ。」
「だぁってぇぇ〜。」
「だってじゃないっ。」
「けど福田さん。今、スライムに襲われても苦戦しますよ。」
そうだそうだ。紺野の言うとおりだ。
「大量に出てこられたらやられちゃうよね〜。」
「だからって、寝るんじゃないって。」
結局、しばらくここで休息をとることにした。
といっても、正直なところ、3人とも動けないほど疲れていただけ
なんだけどさ。
- 188 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:20:27
- 「それよりさ〜、紺野。私たち結構稼いだんじゃな〜い?」
「何でです?」
「だって、あんなに強かったじゃん。しかも2匹もさ。」
「ちょっと待ってくださいね。。」
紺野がモンスター辞典を調べる。
「え〜っとですねえ、さっきのはただのギサウですから、、」
「え? ただのってどういうこと?」
「いや、あの〜、普通の白ギサウですから。」
ってことは、赤ギサウとかピンクギサウとかいるんだろうか??
「1匹当たり20ゴールド20ポイントですね。」
「え? たったの?」
「はい。」
ってことはスライム2匹分ってこと?? へ?
「え”〜。こんなに疲れたのに〜??」
「そこのばかなっち。」
「何よ。明日香。」
「白ギサウはレベル2でしょ。レベル2。そんなに高いわけ無いじ
ゃない。私たちが弱いだけなんだよ。」
うう、でもでも、、
- 189 :なんちてクエスト:2003/06/12 18:21:09
- ----------------------------------------------
- 190 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:19:45
- どれぐらい休んでいただろう。幸い、その間にモンスターは現れな
かった。
「どうする? 明日香〜?」
「何が?」
「今日はもう帰らない?」
「ん〜。。」
ちょっと体力も回復して十分動けるようにはなっていたけど、さす
がにまたギサウが出てきたら危ないと思うんだよね。
「どうします? 余力のあるうちに帰りませんか?」
「ん〜、そだね。帰りにモンスターに会うかもしれないしね。」
よしっ、決定。
そうとなれば、、
「なっち、急に元気になったね。」
そ、そう?
- 191 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:20:19
- ピトッ。
あ、なんか背中が気持ちい〜。。痛っ。
「ぎゃああ〜〜〜〜。」
「どしたの、なっち?」
「あ、安倍さん。背中にスライムが付いてますよ。」
「嫌だ〜〜。取って。取って。取って。」
ドンッ。
痛っ。
明日香に背中を蹴飛ばされた私は、その場に転げた。
「な、何すんのよぉ。」
「スライム取ったんでしょ。」
「蹴飛ばさなくたっていいじゃないの。」
「スライムなんだから、手でつかめないでしょ。」
うっ、そりゃそうだ。
「いいから早く立ちなさいよ。」
ばか。言われなくたって。。
- 192 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:21:05
- それにしても人の背後から襲うなんて、なんて卑劣な。
「あんたたち、襲うときは『これから襲いますけどいいですか』っ
て聞いて、こちらが『はい。いいですよ』って答えてから襲うの
が礼儀でしょが〜。」
「・・・なっち。誰に向かって言ってんの?」
「そこのスライムたちよっ。」
「安倍さん・・・大丈夫ですか?」
失礼な紺野と明日香に文句を言いたいが、まずはスライムだ。
え〜っと、、1、2、3匹。
明日香がスライムめがけて飛び込んだ。
「やあ〜〜〜〜。」
ボコッ。
よし、一匹退治。
そのまま杖を横に払うがスライムは左右に逃げた。
- 193 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:21:35
- 「ようし、かかって来い。」
「なっち、いいから行きなさいよ。」
もう、仕方ないなあ〜。
「えいっ。」
私の振り下ろした剣はスライムに当たったが、致命傷じゃない。
明日香が飛び込む。
外れた。
明日香の2撃目。
ボコッ。
よし、やっつけた。
どうやら私も明日香もかなり疲れが出てきているみたい。
向こう側のもう一匹は紺野がやっつけたようだ。
紺野も成長しているな。うんうん。
「なっち。なっち。」
「どしたの?」
「『これから襲いますけどいいですか』って聞かなかったの?」
な、何、笑ってんだ? ばか。
- 194 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:00
- チャララチャッチャチャ〜ン。
ん? 何の音だ?
あれ? 私の冒険者免許証が光ってる? なんで?
明日香と紺野もよって来て私の冒険者免許証をのぞきこむ。
「え〜〜〜? 何でなっちが??」
「システムがトラブルでも起こしたんでしょうか?」
な、何々? どしたの? どしたの?
「なんでこれ、光ってるのよぉ〜。」
「何言ってんの? レベルアップしたんでしょが?」
「あ、福田さん。安倍さんはそういう冒険者として当然のことを知
りませんから、もしかして、、」
「えっ? 知らなかったの? ホント? ねえ、なっち?」
ん? 事態がよく飲み込めないんだけど、、
「レベルアップしたんだよ。」
「・・・誰が?」
「安倍さんですよ。」
「自分の冒険者免許証ちゃんとよく見てみてよ。」
もう光っていないが、ほんとだ。レベル2になっている。
うわ〜〜い。やった〜〜〜。
- 195 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:32
- 「それにしてもおかしいな。なんでなっちが一番にレベルアップし
たんだろ?」
あ、明日香。悔しんでる。うひひひひひひ。
「ちゃんと見なさいよぉ。ほらほら、100ポイントになってるじ
ゃないの。」
もうっ。なんで素直に喜べないのよ。
人間、素直が一番だよ。
「順番から行ったら、私と紺野が先だよねえ。なっち、逃げてばっ
かりだし。」
「福田さん。今、何ポイントですか? 私は60ポイントですけど。」
「ちょっと待って、、あ、90ポイントだ。あとスライム1匹。」
「やっぱりトラブルか何かでしょうか?」
「あれ? なっち。何、怒ってんの?」
知らないっ。
- 196 :なんちてクエスト:2003/07/12 13:22:51
- ----------------------------------------------
- 197 :名無し娘。:2003/07/13 08:16:28
- 乙
安倍はなんだかんだでオイシイとこもってくなw
- 198 :名無し娘。:2003/07/13 08:17:00
- ageてもた・・・逝ってきます・・
- 199 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:18:40
- てきとーにあげたりさげたりでいいですよ。
----------------------------------------------
- 200 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:19:00
- あの後、明日香がスライム1匹倒すまで帰らないって言いだしたか
らすっかり日が暮れてしまった。
「ねえ明日香〜。帰ろうよぉ。」
「・・・」
「暗くなってきたしさあ〜。」
「・・・」
「お腹すいたよぉ〜。」
「え〜い、うるさい。」
なによぉ。もうっ。
レベルアップ、別に明日だっていいじゃない。
「なっちもしっかりモンスター探しなさいよ。」
「だってぇ〜〜。」
「あとスライム1匹でいいんだからね。スライム1匹。」
そういってもなぁ〜。そううまくいるわけないっしょ。
「あ、福田さん。。あそこ。」
「どこ?」
- 201 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:19:59
- 紺野が人差し指を自分の口元に当て、そしてゆっくりと向こうの茂
みを挿した。
何かいる。。暗くてよく見えないや。
「もうちょっと近づいてみようか?」
私は小さい声でささやくと、明日香が左手で私を制するような仕草
をして目を細めた。
私も少しかがみ気味な姿勢で覗き込んだ。。何匹かいるみたいだ。
どうやら向こうは私たちのことに気付いていないらしい。
モンスターと私たちの間にはまだ距離がある。
しばらくして明日香がつぶやいた。
「あれ、ギサウじゃない? 3匹、かな?」
「4匹、、じゃないですか?」
う〜ん。ひざぐらいの高さの草の向こうに重なるようにいるので
何匹だかはっきりしないや。もう少し近づいたら分かるんだけどな。
「そこのレベル2。」
な、なによ、それ。ひょっとして私のこと?
「元気ある?」
「お腹すいた。」
「・・・逃げようっか?」
「賛成。」
ということで、私たちはひっそりとこっそりと、その場を後にした。
- 202 :なんちてクエスト:2003/08/02 20:20:37
- ----------------------------------------------
- 203 :名無し娘。:2003/08/02 20:36:59
- 更新乙
- 204 :名無し娘。:2003/08/21 18:39:27
-
- 205 :名無し娘。:2003/09/04(木) 00:42
- なんだか好き。
がんがって。
- 206 :名無し娘。:2003/10/01(水) 21:16
- 保全
- 207 :名無し募集中。。。:2003/10/20(月) 16:41
- フォーチュンクエストに似てますな。
語り手のだめっぷりといい
- 208 :名無し娘。:2003/11/06(木) 21:24
- 未然
- 209 :名無し娘。:2003/11/11(火) 22:33
- お膳
- 210 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:22
- 3ヶ月ぶりでございます。
自分で移転願い出したスレですので、1度ぐらい更新しなければ。
これからもほとんど更新でけまへん。次は年内にはなんとか。
----------------------------------------------
- 211 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:23
- それは私が朝ごはんを食べていたときだった。
「あ、そうだ。圭織んとこに昨日取れた野菜を持っててよ。」
みっちゃんは何事もなかったかのように、そう言った。
一瞬、にぎやかだった食卓が嘘のように静まり返る。
不幸とはいつも突如としてこうした平和なときに忍び寄るのだ。
「なにぶつぶつ言ってんの? なっち、聞いてる?」
「え〜〜〜。なっち、圭織おばあちゃん、苦手なんだもん。」
何を隠そう、圭織おばあちゃんは話しをしだすと長いのだ。
「あんたたち、冒険者なんでしょ。これも一種の冒険やん。」
「どこがぁ?」
「ふっふっふっ。あんたたちに使命が授かったのよ。」
そんな使命、いらない。
「明日香ちゃんのご家族の方には昨日のうちに言ってあるから、
みんなで泊まってらっしゃいな。」
「ふぁ〜〜い。」
「いいから行ってきなさい。いい子にするのよ。」
「はぁぁぁ〜〜〜い。」
やれやれ、朝からしんどいなあ。
「いいからとっとと行け。」
- 212 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:23
- 圭織おばあちゃんの家は森の少しだけ向こう側にある。
距離的には近いのだが、森を回っていかなければいけないので着く
のはいつも夕方ぐらいになるのだ。
そして私たち3人は今、この道を歩いているわけなのだ。
「で、何で私も行かなきゃいけないのよ。」
「だって明日香だってかわいがってもらってるじゃん。」
「かわいがられてあげてるだけだって。」
とかなんとか言っちゃって、明日香だって圭織おばあちゃんのこと
嫌いじゃないのは知っている。私と一緒で圭織おばあちゃんの長い
話が嫌いなだけなのだ。しかしなぜか紺野だけは、そんなに苦痛じゃ
ないらしい。何でだろな?
「で、なっちさあ。」
「何よ。」
「何で私まであんたんとこの野菜を背負わなくちゃいけないんだよ。」
「いいじゃん。紺野と2人で持ちきれないんだからさあ。」
「そうですよ。これもトレーニングだと思えば。」
前向きだねえ〜。
「でないとあの福田さんのところの鉄よろいなんか着れませんよ。」
ひょっとしてあの錆びたの、着る気なの?
- 213 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:26
-
「ねえ、ねえ。つまんな〜い。」
「じゃあさ、なっち。」
「何?」
「この森の中を抜けて行ってみる?」
「え? モンスターが出るよ。」
「私たち、冒険者になったじゃないの。」
あ、そうか。
う〜ん。でも、あんまり奥に行くと強いモンスターが出てくるかも
しれないしなあ。
「大丈夫だよ。ここからおばあちゃん家までなら、まっすぐ直線距
離で進んでもそんなに森の奥には入らないから。」
それもそだな。
よしっ、行こう!
「食料もたっぷりあるし。」
おいっ。
- 214 :なんちてクエスト:2003/11/15(土) 14:26
- ----------------------------------------------
- 215 :名無し娘。:2003/11/15(土) 23:24
- ヒサブリ更新乙
飯田おばあちゃんが今から楽しみでしょうがない
- 216 :名無し娘。:2003/11/25(火) 09:53
- 保全
- 217 :名無し娘。:2003/12/17(水) 15:50
- sine------
- 218 :名無し娘。:2003/12/21(日) 16:35
- ho
- 219 :名無し娘。:2003/12/22(月) 20:07
- 次は年内になんとか
- 220 :名無し娘。:2003/12/22(月) 21:15
- 保全したいのか荒らしたいのか、どっちだ?
- 221 :名無し娘。:2003/12/29(月) 01:54
- ほ
- 222 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:31
- いつも一言感想ありがとう。
それがなかったらもう辞めてたと思う。
私は私が書きたいときに書く。
でも私の小説の能力では思ったものを書くことが厳しいんだよね。
----------------------------------------------
- 223 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:31
- 森に入ってすぐにスライム発見!
「やっほ〜い。スライム、スライム。」
「どしたの? なっち。」
「きっとレベル2になって浮かれているんですよ。」
言っとけ、言っとけ。
え〜っと、ひぃ、ふぅ、みぃ、、4匹だな。
「いっちばんのり〜。」
あ、ずる〜い。
明日香がスライムめがけて飛び込んでいった。
あっというまにスライム2匹を倒した。
私も負けじとスライムめがけて剣を振るった。
ボコッ。
よしっ。
残る1匹が逃げ出そうとしてたけど、紺野が追いかけてってしとめ
たようだ。
「う〜ん。快調。快調。」
今まで退屈してたぶん、やっぱり3人とも元気が有り余っている感
じだ。
- 224 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:32
- チャララチャッチャチャ〜ン。
明日香の冒険者免許証が光っている。明日香もレベルアップしたみ
たいだ。
「よしっ、レベル2。」
「なんだ明日香、まだレベル2なの?」
「なっちだって一緒でしょ。」
ちょっとすねてほっぺを膨らしている明日香の顔、、かわいい。
「なによ。」
「いや、何でも。」
「何笑ってんのよ。」
「べっつに〜〜。」
あ、怒った。怒った。。かわいいっ。
「いいじゃないですか、お二人ともレベル2で。私なんてまだ1で
すよ。」
そうか、そうだね。
今度モンスターが出たときは紺野にとどめを刺してあげさせるからね。
うん。そうしよっ。
- 225 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- あれ? さっきから明日香のやつ、何してんだ?
「ねえねえ、明日香〜。さっきから何してんのさ〜? 自分の冒険
者免許証ばっか眺めて。」
「あ、、うん。魔法覚えてないかな〜と思ってさ。」
??
「ほら、レベルアップしたしさ。」
何言ってんだ??
「福田さんまだレベル2じゃないですか。まだ魔法覚えられるわけ
ありませんよ。よっぽど適正がないと。」
「それもそうだね。裕ちゃんだってレベル3で初めて魔法使えるよ
うになったんだしね。」
「未だにレベル3ですけどね。」
「そのうち、私たちの方が上になっちゃうかもよ。」
「がんばりましょうね。」
う〜ん。レベルアップすると魔法を覚えられるのか。
けどそれが冒険者免許証と何か関係あるのかな?
う〜ん、、聞きたいけど、また2人にバカにされるのも嫌だしなあ・・・
- 226 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- 「どうしたんですか、安倍さん?」
「え? い、いや。別に。」
ば、ばか。急に声かけられるとびっくりしちゃうじゃないの。
「あ、分かった。なっち、知らないんだ〜。」
「え? 何をですか?」
「ま、ほ、う。」
「安倍さんもまだ魔法は覚えてるはずないじゃないですか〜。」
「じゃなくってさ。紺野。」
あ、また明日香がニタニタ笑いしてるっ。
「・・・・・・え、うそっ? ほんとですか、安倍さん?」
なによ。紺野までその顔は?
「な、な〜に言ってんのよ。2人とも。知ってるに決まってるじゃないの。」
え〜っと、『冒険初心者の心得』持ってきてたっけな?
「あ、あの顔はウソだね。」
「なんだ、安倍さん。早く言ってくれればいいのに。」
あれ? 何でバレたんだろ?
- 227 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:33
- ----------------------------------------------
- 228 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- なんでも自分の使える魔法が冒険者免許証の裏に表示されるんだそ
うだ。魔法が使えるようになったかどうか、これみて確認するらしい。
ふ〜ん。私のなんて『サンダー』としか書いてないや。
冒険者免許証をもらったときに裏には文字が何も書かれていなかっ
たからそういうもんだと、、あれ? サンダー??
「え”〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
「な、なっちどうしたの?」
「大丈夫ですか? 安倍さん?」
2人に私の冒険者免許証の裏を見せる。
「ほ、ほ、ほ、ほほほ、、ほら。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
あ〜〜、明日香のバカ。人の冒険者免許証を捨てるな〜。
「紺野、のど渇かない?」
「あ〜、渇きましたねえ。あ、ほら、あそこの果実、食べられますよ。」
「あ、ほんとだ。食べてみようか。」
こら〜〜!
「紺野、ちょっと剣貸してよ。あの枝、切るからさ。」
「あ、私が切りますよ。ちょっと待っててください。」
- 229 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- 私は自分の冒険者免許証を拾って、土を払った。
「何すんのよぉ。」
「え? 何って、あの果実を枝から取ろうと、、」
「なっち、いらないの?」
「そうじゃないっ。」
「あ、じゃあ、、紺野、3つね。」
「じゃなくって、」
「食べないの?」
違〜〜うぅぅぅ。
ほらそこ、現実逃避するんじゃないっ。
「え〜。だって、ありえないよ。」
「そうですよ。」
「何がよ?」
「なっち、自分で書いたんじゃないの?」
そんなこと、するかい!
「ちょっと冒険者免許証貸してみて。」
「何すんの?」
「マジックで塗りつぶすから。」
せんでいいっ。
- 230 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:34
- ----------------------------------------------
- 231 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「もう、なっち〜。まだ怒ってんの?」
「当ったり前じゃないのぉ。」
「さっきの果実、おいしかったじゃないですかぁ。」
「そうだね。」
「じゃあ、いいじゃない。」
何がよっ。
「そろそろ機嫌直したら?」
「一番大きいの、上げましたのにねえ。」
「そうだよねえ。」
それはそれ。これはこれ。
「だいたいさあ、、」
「何よ。」
「なっち、覚えといてよ。」
「だから何よ。」
「そもそも私が黒魔法使いになるんだからね。」
知らないわよ。
「それなのに何でなっちがサンダーとか使えるようになるわけ?」
そりゃ、、なんでだろ?
「安倍さん。福田さん。モンスターです。」
紺野が剣を構えながら叫んだ。
- 232 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「何々? スライム?」
違う。スライムじゃないぞ。何だ?
「紺野、あれ何ていうモンスター?」
私も剣を構える。
大の大人がひざを抱えて丸まったぐらいの大きさだ。
結構でかい。
なんとなく表面がミルク色で、ぬるるんっていう感じ。
「なっち、あれはクジナメだよ。私、以前見たことある。」
「強いの?」
「たしかレベル3。」
「・・・逃げよっか?」
「大丈夫だよ。私たち3人いるんだしさ。」
そうか。レベル3ったって、1匹だけだしね。こっちは3人だし、
なんたって私と明日香はレベル2だ。まあ、明日香はなりたてだけどね。
- 233 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:35
- 「なんか襲ってこないね。」
「こっちに気付いていないんじゃない?」
や、それはないでしょ。思いっきり目は私たちを見てるし。
「弱点は何なの?」
「ん〜っと、何だっけ?」
「私、覚えてます。魔法が弱点ですよ。その代わり、あまり剣によ
る攻撃とかは有効じゃないって書いてました。」
紺野は勉強家だな。なんて感心してられるほど、のほほんとした空
気が私たちとクジナメの間を流れている気がする。
ふ〜ん。そうか。剣による攻撃が効かないのかあ。そりゃあのヌメ
ヌメっとした体つきじゃあ、よっぽど剣先が速いぐらいの剣の腕前
か、よっぽど切れ味がいいような剣でないと致命傷は与えづらいかな?
って、ダメじゃん。あたしたちじゃ。やっぱ、逃げよっかな〜。
「ねえ、それにしてもこのモンスター、おとなしいね。ひょっとし
て戦う気がないんじゃない?」
「それは大丈夫ですよ。敵が後姿を見せたとたん、ものすごい勢い
で追いかけてきて、相手を押し倒してその上でゆっくり食すって
書いてましたよ。」
うぎゃあ、どこが大丈夫なんだいって。
- 234 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:36
- 「それにしてもおかしいですねえ。」
今度は何よ。
「1匹しかいないですよ。そもそもクジナメって集団で行動して集
団で狩をするモンスターらしいんですけどね。」
う〜、、こんなのが集団でものすごい勢いで追いかけてきて、私た
ちの上におぶさってくることを想像するだけで、、、いやぁぁぁ〜。
「仲間とはぐれたんでしょうかね?」
「この1匹、おとりかもしれないよ。」
怖いこと言わないでよ。明日香。
辺りを見渡す。大丈夫。他にいないみたい。
あ〜、よかった。
「なっち、なにうろちょろしてんの。」
「だあってぇ〜。」
「で、どうします?」
「紺野さあ、クジナメってどれぐらい速いの?」
「あ、私、知ってる。人間が走るよりずいぶん速いよ。」
そうなんだ。明日香は以前見たことがあるんだったよね。
- 235 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:36
- 「ということで、なっち、そこに寝転がってて。」
「ん? なんで?」
「その間に私たちが逃げるから。」
・・・死ね。
なんかクジナメとの間隔がせまくなった気がする。。
って、気がするだけじゃなくて、じりじりとこっちに間合いを詰め
てきている。
「なっち、あんた魔法が使えるようになったんでしょ。」
そ、そうだった。私にはサンダーがあるんだ。
・・・
「ほら、なっち。」
・・・・・・
「安倍さん。」
・・・・・・・・・
「なっち、どしたの?」
「あのさ・・・魔法ってどうやって使うの?」
- 236 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- 「・・・知らないの?」
「知らないわよ。だって使ったことないんだもん。どうするのよっ。」
「私だって知らないよ。まだ使えないんだもん。」
「明日香ってば黒魔法使い希望なんでしょ。」
「いいからとにかく叫んでみれば。」
それもそうね。
「安倍さん。早くしてくださいっ。」
私は両手を挙げ、声高らかに叫んだ。
「サンダー!」
・・・何も起こらない。
「なっち、ふざけてないでさ。早くっ。」
いや、、あの、、
「安倍さんっ。」
決してふざけているわけじゃなくってさ。
- 237 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- 「安倍さん。もっと精神を集中してください。」
集中? どうやって?
「片手を対象となるモンスターに向けて、気を集中させてください。」
とにかく紺野の言うとおりにやってみるしかない。
私は剣を持っていないほうの腕をクジナメに向けた。
そうしている間にもクジナメはじりじりと寄ってきている。
まるで私たちが後ろを向いて逃げ出すのを待つかのごとく。
「精神を集中してください。左手に何かが集まる感じがありますか?」
う〜ん? う〜ん。。なんとなくだけどさ。
「はい、、もっと集中して集中して。」
目を閉じた。
「安倍さん、目を閉じないで。対象となるモンスターを凝視して。」
クジナメを見つめる。これでもかというぐらい睨み付けた。
「そして一気に気を爆発させる感じでサンダーと叫んでください。」
- 238 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:37
- よし、分かった。う〜〜〜〜〜〜、、、
「サンダーー!」
私の左の手のひらが一瞬、光が放された。
まぶしいと思うまもなく、その光は1本のちぢ切れた糸のようにク
ジナメに向かった。
パシッ。
一瞬、クジナメがひるんだような気がしたが、そして何事もなかっ
たかのごとく、先ほどと同じ見慣れた光景に戻った。
あ、何か私の中で脱力感が・・・
「ダメ。」
「何が?」
「もんのすごい脱力感が。」
「なんで?」
「知らないわよっ。」
「何もしてないのに?」
「サンダー打ったでしょ。」
「・・・」
「・・・いつ? 何か光ってクジナメにちょろちょろと光がつなが
った気がしたけど。」
- 239 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:38
- それがそうなんだってば。
「ぜんぜんダメージ与えてないというか、なっちの方がダメージ受
けてない?」
知らないわよ。そんなの。
「福田さん。あの〜、、安倍さんはまだレベル2ですから。」
「・・・」
「静電気に弱いモンスターもいるかもしれませんし・・・」
紺野、、なにげにひどいこと言ってるね。今、グサッっと来たよ。
「なっち、もう1度だ。」
「ようっし、今度こそ。」
私は剣を左手に持ち替え、今度は右手を差し出した。
今の私のレベルでできるベストな体勢を考えると、右手の人差し指
を銃のようにして、クジナメに向けることだ。
- 240 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:38
- 「あ、ダメですよ。安倍さん。」
紺野が叫んでいた声が聞こえたが、私はもう精神を集中しきっていた。
「サンダー!!」
パシッ。
さっきよりかはほんのちょっとだけ太い、けど糸みたいな光がクジ
ナメにぶつかった。
その光のあたったクジナメの表面部分が少し焦げたようにすすけた
色に変色している。
よしっ。
あれ? でもなんかダメージを与えたような手ごたえがないぞ。
あれ? 体中の力が抜けていく感じがする。
私はその場に両手を着き、しゃがみこんでしまった。
意識が遠のいて行くのをなんとか食い止める。
- 241 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:39
- 「なっち、あぶな〜い。」
ボコッ。
あ、明日香の蹴りが・・・
何すんの? 明日香のバカ。
明日香に蹴り飛ばされて宙に浮いている私が見たものは、さっきま
で私がしゃがみこんでいた場所に、クジナメが上から降ってきたと
ころだった。あのままだったらまちがいなく私はクジナメの下敷き
となっていたことだろう。
クジナメさん。あんなに飛ぶんだ・・・
「え〜い。もう破れかぶれだ〜。」
明日香の声が聞こえる。
そして私の意識は途切れた。
- 242 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 14:39
- ----------------------------------------------
- 243 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:30
- 私は森の中にいた。
あれ? 紺野は? 明日香は?
私一人だ。
仕方ないなあ。2人とも迷子になっちゃって。
ん? 何か地面が揺れているぞ。
足元を見る。
おかしい。一面白色だ。
土や草がないぞ。どうして?
白色な地面がうねりだした。
あれ? よくみるとクジナメじゃないの。それも無数の。
うぎゃぁあぁ。
私はクジナメの上に立っていた。
あ、足元が滑るっ。
まずっ。
私はクジナメの上に倒れこんだ。
無数のクジナメ。
ヌメヌメ。
だ、誰か助けてよぉ〜。
- 244 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:30
- ----------------------------------------------
- 245 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:31
- 「なっち。なっち。」
ん? 誰? 私を呼ぶのは?
「安倍さん。しっかりしてください。」
「あ、なっち。気がついた?」
いきなり私の視野の中に、明日香と紺野の顔がドアップで現れた。
ぎゃっ、何? 何よ?
「大丈夫ですか? 安倍さん?」
「ん? 紺野・・・」
紺野? なんで泣いてるのよ。
ひょっとして、私、死んだの?
「よかった。。」
「何がよかったのよぉ〜。」
「なっち。しっかりしなよ。ほら、水飲みな。」
- 246 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:31
- 明日香が私の頭を軽く持ち上げてくれ、水筒を私の口元にそっとあ
てた。
私は一口二口、中に入っている水を飲んだ。
はぁ〜〜。
私はなにげに手を動かした。
あ、地面だ。おっ、土だ。草だ。わぁ〜い。
「福田さん。安倍さん、どっか打ちどころが悪かったんでしょうか?
なんか笑ってますよ?」
「・・・もともとなんじゃない? おかしいのは。」
二人とも何言ってんだ?
「あれ? 私? どうしたの?」
「覚えてないの? クジナメにサンダー唱えたあと、ぶっ倒れたん
だよ。」
- 247 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:32
- ん? ぶっ倒れる前に誰かに、、まあいいか。
「思い出した。」
明日香をにらむ。
「そう、、よかった。」
明日香が視線をはずした。
おい、こら。
「あ、そだ。クジナメは?」
「紺野と二人でやっつけたよ。」
「そうそう、クジナメの大群が、、それでね、地面が真っ白なの。
で、ぐにゃぐにゃぁ〜って、地面が揺れるんだよ。」
紺野が真剣な顔をして私の顔を覗き込んだ。
「ひょっとして、、寝ぼけてます?」
なんでよ。
- 248 :なんちてクエスト:2003/12/30(火) 20:32
- ----------------------------------------------
- 249 :名無し娘。:2003/12/31(水) 11:03
- ヒサブリ更新キテタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!
- 250 :名無し娘。:2003/12/31(水) 12:07
- 3人の掛け合いもテンポ良くていいね
- 251 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:10
- ----------------------------------------------
- 252 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:10
- 私たちはみっちゃんが作ってくれたお弁当を食べていた。
私は肉体的にはまだまだ元気なんだけど、ちょっと疲労感があったし、
なんたって紺野や明日香なんかは見るからに疲れ切っていたから。
これで少し休んだら、みんな元気になれるだろう。
「それにしてもよく二人でクジナメを倒せたね。」
「そりゃもう、楽勝だよ。」
ぜんぜん楽勝そうに見えないんだけど、、
「もうねえ、紺野が剣で切ろうとしても、私が杖で叩いても、なん
かヌルッとしてあんまり効いてない感じなんだよね。」
だろうな。
「少しづつでも殴り続けていたら、ちょっとづつでも相手の体力を
奪ってやっつけられるかなと思っていたんだけどさ、こっちが先
に体力がなくなってきてさ。なんたってクジナメったら飛びつい
てくるんだよ。」
うん。見た。
- 253 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:11
- 「下敷きになったら最後じゃん。1匹だけとはいえ私たちより重そ
うだからさ。」
「よく勝てたねえ。どうやったの?」
「あのね。なっちがサンダーで焦げ跡つけてくれたじゃない。そこ
の部分だけがさ、ヌメヌメ感が無くなっててさ、そこ殴ると効く
んだよね。」
「じゃあ、なっちのおかげなんだ。」
「・・・」
なんで黙るのよ?
「違うよ。弱点を見つけたのは紺野なんだからね。」
「いやあ、それほどでも〜。」
おいおい。
「でもなっちがサンダーしてなかったら焦げ目もついてないんじゃ
ない?」
「その後、ぶっ倒れたから紺野と2人で戦うはめになったのよ。」
「ごめん。。」
それを言われると痛いんだよなあ。
- 254 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:11
- 「なっちのサンダー、使いもんにならないねえ。」
「そんなことないよぉ。」
「だって、使うたびにぶっ倒れちゃったら困るじゃない。」
うう、、
「安倍さん。」
「何? 紺野?」
「もうちょっとレベルが上がるまでサンダーは使わない方がいいと
思いますよ。」
う〜ん。そだなぁ〜。
「今の安倍さんの精神力じゃ、1回が限度と考えていた方がよさそ
うですからね。」
「ごめん。」
「もう無茶して倒れたりしないでくださいね。」
あ、紺野がなみだ目になっている。
心配かけたよね。ごめんよ。紺野。
私は紺野の頭をそっとなでてあげると、紺野はしばらくうつむいていた。
- 255 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- ----------------------------------------------
- 256 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- そして再び、私たちは圭織おばあちゃんちに向かって前進を、、
「なっち、そっちじゃないよ。」
「え、うそ? そうなの?」
明日香が私の少し左側に向けて歩き出した。
私と紺野も続く。
そして今度こそ、私たちは圭織おばあちゃんちに向かって前進を、、
「福田さん。もうちょっとこっちじゃありません?」
紺野がほんのちょっと右側を指差す。
「え、そう?」
私たち3人は、ちょっと進路を右に修正した。
おいおい、大丈夫かいな?
「二人ともしっかりしてよぉ。」
「なっちには言われたくないよ。」
「そうですよ。」
うるさいっ。
- 257 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:12
- 「あ、そうそう。」
「どしたの? 明日香。」
明日香が振り向きざまに私に声をかける。
「なんとね、さっきの戦闘でさ、紺野がレベルアップしたんだ。」
「え、うそ? ほんと?」
紺野を見ると、少し恥ずかしそうにうつむいた。
「おめでと〜、紺野。」
「ありがとございます。」
これで3人ともレベル2だね。
「あ、そうそう。紺野もなんか魔法覚えた?」
「え? あ、、」
どうやら私が気を失っていたことに動揺して、それどころではなか
ったらしい。
紺野が自分の冒険者免許証を取り出す。
- 258 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:13
- 「まさかレベル2で魔法なんか使えるようにならないでしょ。」
「分かんないよ。なっちだって覚えたもん。」
「なっちが変なんだって。」
なにを〜。
「だって普通、魔法の適正がある人だったらレベル3か4から使え
るようになるもんだもん。」
「でも、なっちはもう使えるよぉ〜。」
「あんなの、使えるうちに入んないよ。」
でも明日香が何を言ったところで、使えるのは事実。
「きっとなっちにはものすごい才能が秘められているんだよ。」
「そうかもね。」
あ、認めるんだ。
「一生、秘められているだけかもね。」
明日香が笑った。
ばか。
- 259 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:13
- 「で、どうなのよ。紺野。」
さっきから紺野が冒険者免許証を凝視している。
「あ〜〜。」
ど、どしたの?
「安倍さん。福田さん。私、魔法が使えるようになってます。」
「え、うそ?」
「うそうそ?」
そういや紺野は白魔法使いにあこがれていたっけな。
やっぱ、紺野も魔法の才能があるんだ。
よかったね。夢が実現するかもしれないね。
「そだ、紺野〜。なっち疲れたからさぁ、回復の魔法かけてよ。」
「え? そんなこと言われても。。」
「あ、なっち、ずる〜い。私だって疲れてるんだから。」
「でも回復の魔法じゃないみたいですよ。」
あれ? 違うんだ。
- 260 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:14
- 「何の魔法?」
「・・・たぶん、中澤さんと同じやつですかね?」
裕ちゃんと一緒ってことは、毒消しのやつかな?
「それでもいいや。ちょっとやってみてよ。」
「意味ないですよ。」
「ひょっとしたら、疲れが取れるかもしれないじゃない?」
「そんなわけないでしょ。なっち。」
そうかなあ、やっぱり。
「でも練習が必要だよ。私にかけてみてよ。」
「あ、明日香、ずる〜い。」
「練習だよ、練習。」
「やっぱりひょっとしたら疲れが取れるかもしれないんだ。」
「そんなわけないじゃん。」
「だったら、なっちでもいいでしょ。」
「だめ。なっちは疲れてるんでしょ。」
明日香。顔が笑ってるぞ。
- 261 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 「紺野、なっちにかけな。」
「ダメ。私が先だよ。なっち、魔法が使えるじゃん。」
なんだそれ。関係ないじゃん。
「う〜ん、分かった。じゃあ次、なっちね。」
明日香の結果を見てから決めればいいか。
「あのぉ〜、たぶん今の私じゃ、1回ぐらいしか使えないと思うん
ですけど、、」
あ、それもそうか。紺野がぶっ倒れたら困るもんな。
じゃあ、やっぱ、やめとくか。
「でも、やっぱり練習もしときたいんですよ。どれぐらい疲労がく
るのかも知っておきたいし。」
「あ、じゃあ、私ね。」
あ、明日香。ずる〜い。
- 262 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 「行きますよ。いいですか?」
「オ〜ケ〜。」
両腕を上げている明日香に対し、紺野は右の手のひらを向けた。
「行きますよ。」
紺野が精神を集中しだしたみたい。
どうもそばで見ている私には、緊張している時の紺野の顔にしか見
えない。
私もあんな顔してるのかな。
足の方を見ていた紺野の視線が、明日香の顔に向けられた。
「ポイズン!」
私のときとは違って、紺野の差し出した手のひらから、紫色の空気
というか、光の帯というか、そういうのが出て明日香とつながった。
「うぎゃっ。」
明日香の顔色が少しづつ悪くなっていく。
紺野は一瞬驚いた表情をうかべたけど、すぐさま今にも泣き出しそ
うな顔に変わった。
- 263 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- へ? どしたの? 何が起こったの?
「ど、毒消薬。。は、早くっ。」
明日香がしゃがみこみ、のど元や胸元をかきむしるようなしぐさで
叫ぶ。
なんだかよく分からないが、私は明日香の袋から毒消薬を取り出し
て、明日香に飲ませた。
だ、大丈夫?
明日香の顔色が少しづつ元に戻って行くのが分かる。
息が荒いが、少しづつ呼吸の速度が深呼吸するような感じに変わっ
ていく。
そしていつもの明日香に戻っていった。
よかったぁ。
「あ〜、死ぬかと思った。」
「大丈夫?」
「うん、、なんとか。」
- 264 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:15
- 紺野を見ると、両手は口元のあたりを隠すようにあてられ、もう今
すぐにでも目から涙がこぼれそうだった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
あ〜あ。とうとう目から涙がこぼれ落ちてしまった。
「紺野、泣かないで。もう大丈夫だから。」
「ごめんなさい。私、、」
紺野がその場にしゃがみこむ。
そのかわいそうなぐらい打ちひしがれている紺野の姿を、明日香は
優しい目で見ていた。
「もういいよ。紺野。」
「ごめんなさい。。」
「大丈夫だよ。なんともなかったんだしさ。」
「そうそう、大丈夫だって。明日香もそう言ってんだしさあ。」
しばらく紺野のすすり泣く音だけが聞こえていた。
- 265 :なんちてクエスト:2004/01/02(金) 22:16
- ----------------------------------------------
- 266 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:40
- やっと紺野が泣き止んで落ち着いてくれたので、私たちは先に進む
ことした。
「あ、そだ。紺野。」
「何でしょう?」
「疲れはどぉ?」
「・・・」
「ほら、1回でどれぐらい疲れるのかって話。」
「・・・覚えてません。」
そうか。でもまあ、仕方ないな。
それにしても紺野ってば、やっぱ魔法の才能あるんだ。
「でもよかったじゃん。紺野も魔法が使えるんだよ。」
「私、白魔法使いになりたかったんですけど・・・」
そりゃまあ、毒消しじゃなくて毒をおかす方の魔法だったけどね。
「いいじゃん。黒魔法でも使えるんならさ。明日香なんて、」
「うるさいっ。私だってレベル3になれば何か使えるようになるさ。」
「なるかなぁ〜?」
「なっちだって、サンダー使えるったって役に立たないじゃないの。」
「そんなことないもん。」
「ぶったおれたじゃん。」
いったい誰のせいで倒れたと思ってんのさ。
- 267 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:40
- あ、スライム発見。
「明日香。紺野。スライムだよっ。」
明日香と紺野はすばやく私の向いている方を向いた。
既に手には杖と短剣をそれぞれ握り締めている。
うんうん。冒険者っぽくなってきたじゃん。
「なっち、何してんの。はやく剣を抜きなさいよっ。」
あ、ごめん。
「なんだ。スライム1匹じゃん。」
何だってなによぉ。 1匹じゃ不満なの?
不満なんだったらスライムに言いなよ。
「ここはこのなっち様にまかせなさい。サンダーでしとめてやる。」
「あほなっち。スライムごときでサンダー使うんじゃないよ。」
え? なんでよぉ?
- 268 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:41
- 「まだ圭織おばあちゃんとこまでちょっと距離があるんだからね。」
「そうですよ。こんなところでぶったおられても困りますし。」
紺野、ひどぉ〜い。
「ここはひとつ、私のポイズンで、、」
「こらこら。」
とかなんとかいっているうちに明日香が杖でなぐりかかっていた。
「とりゃあ〜。」
ボコッ。
「よしっ。」
明日香が小さくガッツポーズ。
「目指せレベル3。」
おいっ。
「ずるいよ、明日香。」
「そうですよ。」
「何がずるいのさあ。」
「なっちだってレベル上げたいんだもん。」
「いいじゃん。魔法使えるんだから。」
- 269 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:41
- 今まであれほどバカにしてたくせに。
やっぱ、悔しいんだろな。。
や〜い。や〜い。
「あの〜、、」
「何?」
「ほら、紺野もレベル上げたいって、、」
「じゃなくってですねえ。」
「あれ? 違うの?」
「いや、上げたいのは上げたいんですけど。」
「そうでしょ。明日香、反省しなさい。」
「何言ってんの。なっちがとろかっただけじゃん。」
「そんなこというんならみっちゃんに電話するよ。もしもし、みっ
ちゃん?」
「ガキっ。」
あ〜。ガキって言ったなあ。みっちゃんにいいつけてやる。
私は見えない腕時計型トランシーバに向かって、、
「あの、、」
「だから何よ?」
「さっきからモンスターがお待ちかねで。。」
早く言いなさいって。そういうことは。
- 270 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- ギサウが、、うげっ、3匹もいるぞ。
こころなしか、3匹とも私たちをバカにしたような目つきでにらん
でいる気がする。
ドンッ。
あいたぁ〜。
1匹のギサウが私に体当たりをかけた。
明日香の方にも1匹突っ込んでいったけど、明日香は杖で防いだ。
「レベル2になったなっち様をなめるなよぉ。」
ドンッ。
いてっ。
う、後ろからとは卑怯な。正々堂々と正面から、、
ドンッ。
あたっ。
私はしりもちをついてしまった。
「も〜〜、バカ〜〜。」
なにも顔面に突っ込んでこなくたっていいじゃないっ。
- 271 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 「なっち、何遊んでんの。」
「これが遊んでるように見える?」
「・・・うん。」
失礼な。
座り込んでいる私にギサウが突っ込んでくる。
紺野が私の前に立ちふさがり、その攻撃を剣で防いだ。
「安倍さん。早く立って。」
「うん。」
やっぱ3匹はきついな。
「ありがと、紺野。もう大丈夫。」
「どこがよ?」
もうっ。明日香だって必死のくせして。
- 272 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 紺野めがけて飛びついてきたギサウを、紺野がすっと一歩足を引い
てかわす。
あ、紺野ってば、すご〜い。
そして攻撃をかわされたギサウはそのまま私の顔に、、げっ。
ドンッ。
痛って〜。
「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
紺野、紺野。目が笑ってるよ、あんた。
「なっち、、あははははははははは。」
明日香なんて腹抱えて笑ってるよ。戦闘中だってのにさ。
- 273 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:42
- 「ほら、なっち。サンダーだ。」
「何よ、さっきまで撃つな撃つなって言ってたじゃん。」
「そういう状況じゃないでしょ。今使わないでいつ使うんだって。」
それもそうか。
私は剣を左手に持ち替え、右手の人差し指を、
ドンッ。
ああ、も〜、イヤッ。
「なっちのばか。戦闘中に剣を離してどうすんのさ。」
「ひ、左手に持ち替えただけだもん。」
「あんた、左手で剣を振れるの?」
「・・・できない。」
「じゃあ、左手でサンダー出しなさいってば。」
そりゃそうだ。
今度は剣を右手に持ち替え、左手の人差し指を、、
ドンッ。
ばかぁ〜〜。
- 274 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- 「なにやってんの。」
「ギサウがあんだけピョンピョンしてたら魔法に集中できないんだ
からね。」
「・・・使えんやつ。」
あ、聞こえたぞ。明日香。
「も〜、世話の焼けるやつだなあ。ちょっと待ってよ、そっち行く
から。」
そう言うと、明日香がギサウを蹴飛ばして私の方に来た。
私の少し斜め前に立つ。
「ほら、援護しててやるから今のうちに早くしなっ。」
そういってる間にも一匹のギサウが私の方に向かってきたが、
明日香が杖で殴りつけた。
ボコッ。
「よし、あと2匹だ。」
ありがと、明日香・・・
- 275 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- よし、私は左手の指を1匹のギサウに向けた。
神経を集中させる。
いくぞっ。
「サンダー!」
パシッ。
私の左手の指の先から飛び出した黄色の光線はギサウめがけて、、
いったんだけど、ギサウがよけっちゃったのでその背後にあった木
に命中した。
「あ・・・」
「ドジッ。」
木の表面には1センチぐらいの焦げ跡がついていた。
ギサウはそのまま明日香めがけて飛び掛るが、明日香も杖で応戦し
ていた。
「なっち、もう1発、いける?」
「ううん、ダメ。」
立って剣こそ構えているものの、もう1発は無理。
「ポイズン!」
紺野の方をみると、伸ばされた左の手のひらから紫色の光が1匹の
ギサウを捕らえていた。
- 276 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:43
- 「やった。紺野。」
あ、でもギサウはやっつけられていない。
けどよく見ると、ギサウの動きにすばやさが無くなっていた。
毒が効いているようだ。
明日香がすばやくその横っ腹を蹴飛ばした。
ボコッ。
よしっ、あと1匹。
紺野も明日香も肩で息をしている。
この中で一番元気そうなのは、、私か。
「よ〜し、あとはなっちにまかせといて。」
「ほんとに大丈夫?」
「明日香より大丈夫だよ。」
「分かった。」
そういうと明日香が残りのギサウに踏み込んでいって杖を振るうと、
ギサウはそれを飛び逃げて私の方に来た。
ギサウの視線は明日香の方に向けられていて、私に気付いていない。
ギサウが私に気付いたようだ。けど、もう遅い。
私はギサウめがけて剣を振るっていた。
ボコッ。
- 277 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:44
- 「はぁ〜〜。終わったね。」
「あ、一撃でやっつけられたんだ。じゃ、結構弱っていたんだね。」
「そりゃそうですよ。私と明日香さんで結構ダメージ与えてたじゃ
ないですか。」
君たち。人の成長を素直に祝えないのは悲しいことだと思わない?
「なっちがあそこでサンダー外すんだもんなぁ。」
う、
「あそこで1匹やっつけられてたら、紺野もポイズンあそこで使わ
なくても勝ててたのに。ああ、残しておきたかったなぁ。」
うう、
「安倍さん。もうちょっと攻撃の受け方を練習しといた方がいいと
思いますけど。。」
ううう、
「顔、痛くありません?」
そうさ、どうせ私はまだまだだいっ。
- 278 :名無し娘。:2004/01/12(月) 14:44
- ----------------------------------------------
- 279 :名無し娘。:2004/01/12(月) 21:51
- ほのぼのしてていいね
- 280 :名無し娘。:2004/01/27(火) 17:16
- 自分も体験してるみたいな気分になるので好き
- 281 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:28
- ----------------------------------------------
- 282 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:28
- 辺りはすっかり日も暮れ、薄暗くなっていた。
遠くに見えている圭織おばあちゃんの家の窓からは明かりが漏れて
いた。
そう。私たちはやっと森を抜け、草原を歩いていたのだ。
もうすぐだ。
時たま吹く風に、私の膝元ぐらいまである草たちが海辺の波のよう
にさあっと倒れ、そして引くように戻っていく。
圭織おばあちゃん家までもう少しだ。
こうしている今も、風が私の体の中をすり抜けていくように感じる。
そして今、私たち3人は、、
「なっち、なに戦闘中に現実逃避してんのよ。」
「あ〜ん。だってぇ〜。」
なんでこんなところにクジナメがいるのよぉ。
- 283 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:29
- 私たちが森を抜けてすぐに、クジナメがいたのだ。
1匹だけだけど、でーんといたのだ。
「明日香。」
「何?」
「なっち、疲れたからあとよろしく。」
ドンッ。
明日香のけりが私の背中に入った。
「痛〜い。何すんのよぉ。相手が違うじゃないの?」
「いいから、戦え。」
「だって、もうサンダー使えないんだもん。紺野は?」
「私ももう魔法使う力が残ってません。」
「どうすんのよぉ?」
「だからって現実逃避してんじゃないってば。」
クジナメが飛んだ。
「きゃ〜。」
紺野が逃げる。
ドタンッ。
- 284 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:30
- もと紺野がいた場所にクジナメが着地した。
う〜ん、着地というより、落ちたといった方が適切かも。
「どりゃっ。」
クジナメがこっちに向きを変えようとしているところに、私が蹴り
を入れた。
つるんっ。ドタッ。
痛。
「やあっ。」
今度は明日香が杖で殴りかかった。
つるんっ。
クジナメが完全にこっちを向いてしまった。
こりゃいかん。
- 285 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:30
- 「明日香〜、何とかしてえよぉ。」
「何とかって、、何よ。」
困ったな。このまま逃げたとして、圭織おばあちゃんの家までクジ
ナメに追いかけられるのもなあ。
「明日香、魔法使えないのぉ?」
「使えないの知ってるでしょ。」
うう、明日香の声が怒ってる。。怖い。
「紺野。なんかいい方法、ない?」
「いい方法って言われても。」
あ、紺野。そんな思いっきり困ってますって顔で私を見ないで。
困ったぞ。。どうしよう。
- 286 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:31
- あれ? クジナメの後ろの草がなぎ倒されているあたりから、1匹
の猫が顔を出した。
「あ、ノンだ。」
ノンというのは、圭織おばあちゃんのところで飼われている猫のこ
とだ。白い毛なみがきれいで、なでると気持ちいいの。
ボンッ。
ノンが人間の少女の姿に変化した。
ノンは、なんていうのかな〜。化け猫? よく分からないんだけど、とにかく
変化できるのだ。
「ノン。危ないよ。」
「なちみたちが遅いから、迎えにきたんだよ。」
ノンは私のことをなちみと呼ぶんだ。
「くじなめだって。ほれ。」
私はくじなめを指さした。
ノンはくじなめに目をやった。
- 287 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:31
- 「見りゃ分かるよ。」
そりゃ目の前にいるんだもんな。
くじなめを間にはさんで、ちょっと間抜けな会話だよね。
「だから危ないって。」
「大丈夫。」
そう言うと、ノンはくじなめを後ろから抱きかかえた。
「う〜〜〜〜。」
え、うそ? 持ち上げるつもり?
手が滑らないの?
ノンの2本の腕に両方からはさまれたくじなめは、ちょっとへこん
だようないびつな形になっている。
あ、ちょっと浮いたぞ。
「どりゃあ〜。」
ノンはくじなめを抱えたまま、一気に後ろ側に倒れ込んだ。
ドシーン。
- 288 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:32
- 素早くノンが立ち上がり、横向きに倒れ込んで身動きのとれないく
じなめに蹴りをいれた。
「えいっ。」
ボガッ。
え、滑らないの?
私と明日香、そして紺野が3人であれほど手こずったのに。という
よりまったくダメージを与えられなかったというのに、こう、いと
も簡単にノンがやっつけてしまった。
私たち3人は、目の前に起こっている光景を、ただただ呆然として
見ていた。
紺野なんて、ほら、口がぽかーんと開いている。
ノン、、すごい。すごいよ。
チャララチャッチャチャ〜ン。
なんだか場違いな音が鳴り響く。
- 289 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:33
- あれ? 誰がレベルアップしたんだ?
ん? ノンがポケットから何か取り出して見てる。
そして無造作にそれをポケットにしまい込んだ。
「ノン、冒険者だったの?」
圭織おばあちゃんのところに行ったときには、いつもノンと遊んで
いる。全然知らなかった。
ノンがこっちを向く。
「別に。」
「だってそれ、冒険者免許証でしょ?」
「うん。でも冒険してないし。」
「パーティとか組んでるの?」
「別に。ババアが身分証になるから持っとけって言うからさ。」
そうなんだ。
「それに小遣いになるし。ババア、ケチだからな。」
ババアというのは、圭織おばあちゃんの事だ。
私は紺野と明日香を見る。
どうやら2人とも知らなかったようだ。
- 290 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:34
- 「ノン、レベルいくつ?」
「ん? さっき5になった。」
私たちより上、なんだ。
なんだかなあ。。
「魔法とか使えるの?」
「ぜんぜん。」
「それにしてもすごいね。くじなめって手とか足とか滑らない?」
「レベル2の頃は滑って持ち上げられなかったよ。だからひたすら
殴ったり蹴ったりしてた。」
それでも殴れてたんだ。
ちょっとショック。
「それよりほら、早く行こ。ババアんち。」
ボンッ。
そう言うとノンは猫の姿に戻って、私の肩の上にひょいと乗っかった。
- 291 :なんちてクエスト:2004/02/15(日) 22:34
- ----------------------------------------------
- 292 :名無し娘。:2004/02/15(日) 22:51
- ネコ姐さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
- 293 :名無し娘。:2004/02/16(月) 19:16
- おおう!タイムリー!
ねこ姐さん!
ドキドキ
- 294 :名無し娘。:2004/03/10(水) 20:45
- (・´ー`・)<ほぜん!
- 295 :名無し娘。:2004/03/15(月) 01:45
- ノ
- 296 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:28
- ----------------------------------------------
- 297 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- 「よく来たね。ゆっくりしてってよ。」
入り口の扉を開けると、圭織おばあちゃんは笑顔で私たちを迎えて
くれた。と同時に、おいしそうなにおいが部屋の奥から漂ってくる。
圭織おばあちゃんの歳がいくつのなのかは知らないんだけど、結構
高齢なはず。髪の毛も白いのが混じっている、というか黒いところ
の方が少ないほどなんだけど、今でも元気だ。
ボンッ。
「メシ〜。」
ノンが私の肩から飛び降り、少女の姿に変化して奥に駆けだしてい
った。
「これ、ノン。もうあの子ったら。」
私たちは圭織おばあちゃんに挨拶をすると、持ってきた野菜を部屋
の隅に置いた。
「これ、みっちゃんから。」
「ありがとね。重たかったでしょ。」
「大丈夫だよ。」
ちょっとぐちゃぐちゃになっちゃったけどね。
- 298 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- 奥に入っていくとそこにはキッチンがある。
部屋の真ん中にテーブルが置いてあって、ごちそうが私たちを出迎
えてくれている。
うわ〜。クリームシチューだ。おいしそ〜。
ノンは一人テーブルについて、すでにがつがつと食べ始めていた。
「ノンは相変わらずだなあ。」
私の声も聞こえないぐらい、食事に集中しているようだ。
何で猫なのにわざわざ人間の姿に変化して食事をするのか不思議に
思う人もいるだろう。私はそのことを、以前ノンに聞いたことがあ
った。
「だって猫のまんまだとさ、ババアのやつ、ミルクしかくれないんだよ。」
そりゃノンには耐えられないだろうな。それにノン、牛乳嫌いだしね。
- 299 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:29
- ----------------------------------------------
- 300 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
- 圭織おばあちゃんちでの夕食は、にぎやかなものとなっていた。
「もうほんとにね〜、グッドタイミングでノンが現れたんだよ。」
「それにしてもノン、何であんなところにいたの?」
ノンは何杯目かのクリームシチューと格闘していた。
「あんた達が遅いから、ノンを迎えにやったんだよ。」
そうだったんだ。
「でもよく私たちのいる場所が分かったよね。いつもここに来ると
きとは別のルートで来たってのにさ。」
「においだよ。3人のにおいは覚えているからね。」
スプーンを握った手を止めて、ノンが言った。
「でもなんであんたたち、あっちの方から出てきたの?」
「圭織おばあちゃん、あのね、なっちたち冒険者になったんだ。」
「へぇ〜〜。」
「ね。すごいっしょ。すごいっしょ。」
「で、レベルは?」
・・・
- 301 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
- 「なんだい、あんたたち。そんなレベルで森を抜けてきたって言う
のかい。そりゃ危ないってば。」
ごめんなさい。
「まったくもう。明日香ちゃんとあさ美ちゃんが付いていながら。
みっちゃんとかは何も言わなかったの? でもまああの子も小さ
い頃は裕ちゃんと一緒にわんぱくしてたもんだし。」
おいおい。
「あのねぇ。森はとっても危ないんだよ。もしなっちがお魚さんと
するじゃない。川はとっても気持ちがいいんだよ。スイスイッと
ね。でも川には熊さんとかがいてこう、食べられたりとかもする
かもしれないけど・・・」
あ、しまった。圭織おばあちゃんの話が始まった。。
「でね、ちょっとぉ〜、聞いてる? 海に出るとね、こう、海は広
いんだよ。でね、川と比べて海はと〜っても広くて気持ち良くて
ね・・・」
話し出すと長いんだよなぁ〜。
「でもね、海は危険がいっぱいなわけよ。クジラさんだっているん
だから。でもクジラさんもね、クジラさんで大変なわけよ。なん
たっておなかの中に・・・」
あ、ノンがいないや。逃げたな。
「ねえ、なっち、聞いてる?」
「聞いてる。聞いてる。」
- 302 :なんちてクエスト:2004/04/04(日) 22:30
- ----------------------------------------------
- 303 :名無し娘。:2004/04/05(月) 04:27
- 圭織おばあちゃんの話
キタ─wwヘ√レvv〜川 ゜皿゜)||─wwヘ√レvv〜─ !!!
- 304 :名無し娘。:2004/05/04(火) 06:09
- ほぜん
- 305 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:15
- ----------------------------------------------
- 306 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:15
- 翌朝、私はにぎやかなんだか騒がしいんだかよく分からないものに
よって起こされた。
だんだん意識がはっきりしてくると、それが隣の部屋からもたらさ
れる陽気な音楽と歌声だということが分かった。
「あ、安倍さん。おはようございます。」
「なっち、めずらしく早いね。」
「あ、うん。おはよ。。何してるの?」
ノンがギターをかき鳴らしていた。
「ノン。ギター弾けるの?」
「うん。最近始めたんだ。君のハートをキャッチするぜ。」
なんか無意味にポーズを決めてるノンが滑稽に見えて、つい笑って
しまった。
- 307 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:16
- 「すごいんだよ、ノン。昨日一晩で曲作ったんだって。」
あら、明日香も妙にテンションが高いぞ。
ノンはと見ると、自慢げに右手の指で鼻をかいていた。
「ねえ、どんな曲? 聞かせてよ。」
「じゃあ行くよ。それっ。」
なっちだポン! パワフル魂〜
なっちだポン! すいもあまいも〜
なんじゃああ? その歌。
なんか明日香と紺野も一緒に口ずさんでるぞ?
しかも飛び跳ねながら踊ってるし。
あ〜、頭痛くなってきた。もっかい寝よぉっと。
「ほらほら、ご飯できたよ〜。」
「あ、わ〜い。」
私はテーブルへと駆けだしていた。
- 308 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:17
- 「それがね、あの子達ったらね、、」
圭織おばあちゃんがみっちゃんや裕ちゃんの小さい頃のことを話し
てくれていた。小さい頃は二人でパーティを組んで、今の私たちの
ように圭織おばあちゃんちに遊びに来ていたのは知っていたけど、
こうして圭織おばあちゃんの口から当時のみっちゃんのお転婆ぶり
の話を聞くと、なんとなくむずがゆい気持ちがする。
「もうねえ、二人してスライムを殴りまくってね。」
「え? 殴るんですか?」
黙々と食べていた紺野の手が止まった。
「そうなの。スライムってほら、直接触ると手が荒れるじゃない。」
あ、荒れるっていうのかぁ?
「だから軍手をはいてね、そしてスライムを見つけると殴るわ蹴る
わ、そりゃあ、あの二人はスライム達から恐れられててね。」
なんか、想像できる・・・
「しまいにはスライムをボール代わりに遊びだしてね、」
ひぇっ。スライムさん達。かわいそう。。
- 309 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:18
- 「もうね、スライムの一族が滅びるんじゃないのかっていう冗談も
流れたもんだよ。」
あれ、一族っていうのかなあ。なんか違う気がするけど。
「そういえば裕ちゃんの店で軍手売ってたね。買っときゃ良かったな。」
明日香がこっちを見て微笑んだ。
明日香。あんたって見かけによらず、、
「クジナメもそれでつかめるかもしれないじゃない。」
「あ、そうか。明日香、頭いいねぇ〜。」
「安倍さんが軍手をはいてクジナメを押さえつけといてくれれば、
クジナメがクニクニしませんから攻撃が効くかもしれませんね。」
「そうそう。なっちも役に立つじゃん。」
そうか、私が、、ってなんで私なのよぉ。
「残念だなあ。なっち、軍手持ってないもんなあ。」
私はいかにも残念そうに言ってやった。
「うちにあるよ。1つだけど持ってきな。」
「え〜〜。何であるのよぉ。」
「何か問題でも?」
「あ、いや。別に、、」
くそっ。
- 310 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:18
- 「だってノンに買ってあげたのに、ノン、ぜんぜんしないんだもん。」
「あんなだっせーの、いらねえって。」
「せっかく圭織が一生懸命選んで買ってきてあげたのに。」
圭織おばあちゃんがちょっとイジイジしだす。
なんか、かわいいっ。
「これでクジナメ対策は完璧ですね。」
「ちょっと待ってよ。1つしかないんでしょ? なんでなっちがす
ることに決まったのさ。」
「なっち。圭織おばあちゃんの選んだ軍手が嫌なの?」
「だったら明日香が、、」
圭織おばあちゃんが私の方にじ〜っと視線を送ってきている。
私は明日香に伸ばしていた右手をゆっくりと降ろさざるおえなかった。
「圭織おばあちゃん。なっち、がんばるっ。」
私が圭織おばあちゃんに向かって笑みを向けると、
圭織おばあちゃんの顔がみるみる笑顔になっていった。
「ありがと、なっち。今すぐ持ってくるからね。」
ふぇ〜ん。
- 311 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:19
- 圭織おばあちゃんが奥の部屋に入ったかと思うと、すぐに戻ってき
た。手には布きれらしきものを、、ひょっとしてあれ、軍手かあぁ?
「ほら。すてきでしょ。」
ピンク色をした軍手がテーブルの上に置かれた。なぜだかひらひら
の白のフリル付きである。
あ、ありえない〜。
「ど、ど、ど、どこで買ったの、これ?」
「以前、街に行ったときにね。かわいいでしょ?」
テーブルの向こうから聞こえてくる「なっち、似合うよ」とかいう
無責任な声は無視、無視。
「あ、ありがと。大事にするよ。」
きっとそのときの私の笑顔は引きつっていたと思う。
- 312 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:19
- 「で、どうするの? いつもみたいにしばらくこっちで遊んでくの?」
「うん。そのつもり。」
「じゃあ、今晩も腕によりをかけてご飯作って待ってるからね。」
「楽しみにしてる。」
朝ご飯食べながら晩ご飯の話をするのも何だけど、圭織おばあちゃ
んは優しい人なのだ。
「あ、これっ。ノン。」
圭織おばあちゃんがノンに向かって何か叫んでいる。
ノンはというと、何か紙袋に手を突っ込んで食べているようだった。
「それおやつでしょ。何いまから食べてんの。」
ノンの座っているテーブルの上には、ピーナッツの殻が散らかされていた。
「いいじゃん。」
「また太るよ。」
「うっせい。ババア。」
ボンッ。
ノンは猫に姿を変えてどこかに逃げていってしまった。
- 313 :なんちてクエスト:2004/05/08(土) 09:20
- ----------------------------------------------
- 314 :名無し娘。:2004/05/08(土) 14:12
- この雰囲気ホントいいなぁ〜
読んでて思わず顔がほころぶw
- 315 :名無し娘。:2004/05/09(日) 08:42
- 更新乙です
- 316 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 317 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:00
- >>316
そういやそろそろ保全の時期だな。
素直じゃないな、まったく。
- 318 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:00
- >>316
君の気持ちが分からないのが正直つらいけど、何とか理解できる様に
がんばってみる
- 319 :名無し娘。:2004/05/31(月) 22:31
- 保全。
- 320 :名無し娘。:2004/06/04(金) 21:32
- 人口木へ一土
- 321 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:43
- ----------------------------------------------
- 322 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:43
- 私たち3人は昨日抜け出ていた森の前に来ていた。
当面の私たちの課題はレベルアップだ。もっともっと強くならない
とね。
今日は森の奥深くに入っていくんじゃなくて、疲れたらいつでも圭
織おばあちゃんの家に戻れるようにちょっと浅く入ったところをう
ろちょろとするつもりなのだ。
「クジナメいないかなあ?」
「なんでいきなりクジナメなのよ。」
「何言ってんですか、安倍さん。体力のある今のうちにクジナメと
戦った方がいいじゃないですか。」
う〜ん、、
「もし安倍さんのその手袋が役に立たなくても、サンダーでなんと
かなりそうですし。」
手袋に期待するなよ。
「でもさ〜、クジナメ1匹とスライム3匹がポイント的に同じわけ
でしょ? だったらスライム3匹やっつけた方が体力も魔法も使
わなくていいんだから、お得なんじゃないの?」
「そういう考え方もありますね。福田さんはどう思います?」
- 323 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
- 歩きながら明日香は私の方に顔を向けて笑う。
「なっちも考えてるんだね〜。」
何よっ。
「でもさ、どっちにしたってモンスター見つけないと話にならない
し。それに私たちがどっちがいいって選べるもんでもないような
気がするけどさ。」
まあ確かに。
やっぱ明日香は冷静だな。
「とりあえず言えることは、クジナメが出てきたとしてそれなりに
やっつけられるようになるか、逃げようと思えばいつでも逃げら
れるようにね、とにかく強くなるしかないんじゃない?」
そうだよね。
目指せ、とにかくレベルアップ!!
私はひそかに気合いを入れた。
- 324 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
- 「あ、スライム発見! 2匹見ぃ〜つけた。」
「なっち。ほら、手袋。手袋。」
「えぇ〜〜っ。」
「安倍さん、早く。」
ううっ、紺野まで。
「有効かどうか試すんですよ。」
紺野と明日香はそれぞれ武器を構えて、スライムを逃がさないよう
に辺りを囲んだ。
仕方ないなぁ〜。とうとうこの手袋を・・・
「なっち。早くっ。」
はぁ〜〜。
圭織おばあちゃんからもらったピンクの手袋をいやいやながら手に
はめた。
「二人とも逃がしちゃダメよ。」
私はゆっくりとスライムの方に歩み寄っていった。
何となくスライムと目があった気がした。
- 325 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:44
- そいつが私の方に飛び跳ねてくる。
キャッチ。
おお〜。うまいうまい。我ながらちょっと感動。
両手でスライムをつかんだ状態で、ちょっと顔の前に持ってきての
ぞき込んでみる。
「なっち、どお?」
「ん? ん〜っとね・・・」
「うん。」
「こうやってよく見ると、かわいいかも。」
「・・・」
ど、どしたの。みんな? そんなに呆けた顔して。。
「安倍さん。すっごい楽しそうなところ申し訳ないんですが、」
「何?」
「手は何ともありませんか? 痛みとか、しびれとか。」
「んっ〜とね。。大丈夫みたい。」
「紺野さあ。あの笑顔見たら聞くまでもないでしょ。」
明日香が微笑んで私の方を見た。
「なっちの頭の中ってお花畑でしょ。ぜったい。」
・・・何で?
- 326 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
- 「とりあえずそのスライムをこっちに投げて。」
ん? よく分からないけど明日香めがけて、、
「だああ〜。待った待った。」
どしたんだ??
「いや、あの、、今思いっきりぶつけようとしたでしょ。絶対。」
「うん。」
「いや、うんじゃなくて。。ほら、下から軽〜くね。」
いいじゃん。どっちでも。
とりあえず明日香に言われたように軽〜く、ほいっ。
スライムは緩やかな放物線を描きながら明日香の方に、、
「紺野行くよっ。」
明日香は杖を後ろに引いて、軽くスライムめがけて振り抜いた。
ポンッ。
- 327 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
- 紺野の方にスライムが飛んでいく。
待っていましたとばかりに、紺野が剣を振るった。
「えいっ。」
ボコッ。
「ああ〜っ。なんてことするの。私のスライムを。」
「なんだよ。私のスライムって。」
うう、、
「やっつけただけじゃん。まだもう1匹いるんだから気を抜いちゃ
ダメだよ。」
「それにしてもあんな事しなくたって。」
「安倍さん。スライムに触る事で3人共にポイントが入るんですよ。」
「そうだよ。私が杖で思いっきり殴ったら一撃でやっつけられるけ
ど、それじゃ私にしかポイントつかないしさ。」
そりゃレベルアップが必要だけどさ。
後でお墓作ってあげようかなあ〜。
「ほら。もう一匹いるんですから、逃がしちゃダメですよ。」
- 328 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
- なんとなくあのスライム。おびえているかのように見える。
紺野がスライムに詰め寄ると、逃げるようにして明日香の方に進ん
でいった。
「いくよ。なっち。」
ポンッ。
明日香が杖で下からスライムをたたき上げた。
スライムが私の方めがけて飛んできた。
「きゃっ。」
私の手に弾かれたスライムは紺野の方に飛んでいって、
「ナイス、安倍さん。」
ボコッ。
「よし。やっつけたぞ。」
「3人ともうまくポイント入りましたね。」
「そうだね。そんなに体力も消耗しなかったし。」
「手袋も意外と役に立ちそうですね。」
「あれ? どうしたの、なっち。うれしくないの?」
う〜、なんだかなあ。
でもちょっと楽しかったかも。なんか複雑。
- 329 :なんちてクエスト:2004/06/06(日) 11:45
- ----------------------------------------------
- 330 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 331 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 332 :だぎゃー:2004/06/11(金) 10:04
- 死に腐れ
- 333 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 334 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 335 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 336 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 337 :名無し娘。:2004/06/11(金) 16:17
- いんどけ
- 338 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 339 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 340 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 341 :名無し墓集中。。。 :2004/06/12(土) 19:24
- 人口木へ一土
- 342 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:26
- sage
- 343 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:28
- sage
- 344 :名無し娘。:2004/06/12(土) 20:31
- >>330-343
「なんちてクエスト」の邪魔はしないでください。
- 345 :名無し娘。:2004/06/13(日) 17:04
- 341は一応、保全のつもりなんじゃないの
- 346 :名無し娘。:2004/06/13(日) 18:00
- >345
他の>339以降も保全のつもりなんじゃないか?
狼じゃあるまいし毎日保全する意味もないと思うけど。
- 347 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 348 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 349 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 350 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 351 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 352 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 353 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 354 :なんちてクエスト作者:2004/07/03(土) 10:52
- 保全してくれているからあと一ヶ月ぐらい書かなくても大丈夫だね。
2,3ヶ月以内には更新するつもりです。
- 355 :nanasi:2004/07/03(土) 19:46
- 更新頑張って下さい。
- 356 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 357 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 358 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 359 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 360 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 361 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 362 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 363 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 364 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 365 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 366 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 367 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 368 :名無し娘。:2004/07/18(日) 21:59
- あああ
- 369 :名無し娘。:2004/07/18(日) 22:01
- ウチさルフィ好きの2ちゃんねらー探してんだけどしらね?
- 370 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:22
- ひどく荒れたもんだね。
----------------------------------------------
- 371 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
- とりあえず気を取り直して、私たちはうろうろ歩きを再開した。
「福田さん。今、あっちで何か動きませんでした?」
紺野が何か左の方を見ていた。
私と明日香も足を止めて紺野が指さした方を凝視したけど、特に何
も変わったところはなかった。
「気のせいじゃない?」
「・・・そのようですね。ごめんなさい。」
あれ?
「ちょっと待って。なんかいるよ。」
「ホント?」
なんか大きそうだな。クジナメさんかなあ。。ん〜〜、
「まだ気づかれてないね。ゆっくりと近づいてみようよ。」
「ちょっと待ってください。」
「何? どしたの?」
「少し風がありますから、風下から回りましょう。」
なるほど。
- 372 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
- 「なっち。行くよ。」
「あ、うん。」
「ほら、もっとかがんで。見つかっちゃうじゃない。」
私たちは獲物を見失わないようにしながらも、遠回りで近づいていった。
う〜、それにしてもこの体勢が続くと、腰痛いよぉ。
モンスターの姿が見えそうなところまで来ると、私たちは息を潜め
て木の陰に隠れた。
やっと休める。はぁ。
「福田さん。見つかっちゃいましたかねえ。」
「ん〜。まだ気づかれてはいないと思うんだけど。」
明日香と紺野がひそひそと話している。
どうやらモンスターも動きを止めて辺りを警戒しているらしい。
「なっち。なんでおしりつけて休んでるの。いつでも戦えるように
立って。ほら。」
だってぇ〜〜。
- 373 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:23
- 「モンスターの種類、分かる? クジナメより大きそうだけど。」
「ダメですって、福田さん。今覗くと気づかれちゃいますよ。」
ほらほら。私のようにだねえ、木の横の茂みに体を隠しながらだね
え、相手の様子をだねえ、、
「なっち。こら、寝るなっ。」
ち、違うもん・・・
「ホッピーデホップ・・・」
どこからともなくそう聞こえた気がした。気のせいかもしれないけ
れど。
ん? 何だ?
そのとき急に突風が吹き抜けた。
「きゃっ。」
木の陰に身を潜めていた明日香と紺野はその場になんとか踏みとど
まれたみたいだけど、私はというと、、転がっていた。
あ、やばっ。
なんとか回転を止めたけど、茂みから離されてすっかり丸見えだ。
顔を上げると同時に、何かが飛びついてきた。
- 374 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
- 「ひゃっ!!」
なぜか時間が止まったような感覚。あれ?
「なんだ。人間か。」
ゆっくりと目を開けると、人の顔があった。
剣を今にも私に突き刺ささんとする体勢で止まっていたが、
そう言って彼女はゆっくりと剣を腰に納めた。
装備は私たちと同じようにいたってほとんど軽装だけど、長剣だ。
長剣。これがあの夢にまで見た長剣。
あ、いやいや、そうじゃなくて、体が引き締まっているのが見て分
かる。
「名前は?」
彼女はそう言って私に手をさしのべた。
「安倍、、なつみ。」
ゆっくりとその手に捕まる。
彼女の後ろで、武器を構えた明日香と紺野の姿が目に入った。
彼女も気づいたみたいだ。
- 375 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
- 「ちょっと待って。危害を加えるつもりは無いみたいだから。」
彼女が剣をしまっているのを確認すると、明日香と紺野も武器をし
まった。
「なんだ。冒険者か。」
「君たちもそうなの?」
「うん。名前、なんて〜の?」
「後藤真希。ごっちんって呼んで。」
そういってごっちんは私たちに笑いかけた。
私たちも笑顔で答える。
「ごっちんはさあ、、って、呼びにくいなあ。」
「ひどぉ〜。」
「そうだ。君は今日からごっつぁんだ。」
「なんじゃそれ。」
「いいじゃん。私はそう呼ぶ事に決めたんだから。私の事はなっち
って呼んでいいよ。」
なんか困ったような顔をして私を見てる。
「ん〜。まあ、いっか。」
ほら、やっぱ、いいんだ。なんとなく分かってた。何でだろ。
- 376 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:24
- 「でさ、ごっちゃんは見たところ一人なの?」
「ごっちんだってば。」
明日香のやつ、わざと間違えたな。
「いいじゃん。」
「良くない。」
あはは。
「あっちに仲間がいるよ。高橋、出ておいで。」
向こうで姿を隠していたのか、高橋と呼ばれた女の子が立ち上がっ
て恐る恐るって感じでこっちに歩いてくる。紺野と同じぐらいの歳
かな。
「高橋。モンスターじゃなかったみたい。」
「・・・」
「おいでよ。大丈夫だから。」
なんかえらい怯えられてるみたい。私たち。
- 377 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:25
- 「こっちが安倍なつみさん。なっちだって。それと、、その仲間達。」
「こらっ。福田明日香です。」
「紺野あさ美です。よろしく。」
「高橋愛ですぅ。よろしくお願いしますぅ。」
なんか微妙なイントネーションで話すその子は、なぜか私たちに
一礼した。
きっといい子なんだな。
「あ、高橋さんって、、間違ってたらごめんなさい。もしかして、
エルフなんですか?」
高橋は目玉が飛び出るかのように驚いていた。
大げさってんじゃなく、ホントに飛び出るのかと思うぐらい目を見
開いて、そしてなぜか固まっている。
「ご、ごめんなさい。」
紺野がすかさず謝る。
紺野ってば、なんて事言うの? そらいきなりそんなこと言われた
ら驚くってば。
にしても、高橋って子。驚きすぎだよ。そんなに驚かなくてもいい
のにさ。
「あ、気づいた?」
「な、何で分かったんですか?」
「いや、耳の形とか、話すときのイントネーションとか、、以前本
で読んだエルフ族の特徴に似ていたから。」
- 378 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:25
- え? エルフ族なの? 高橋っていうこの子。
へぇ〜。見た目は人間とよく似ているねえ。初めて見た。
確かに耳は少しとんがってるな。
「これなっち、あんまりじろじろ見ないの。」
「あ、明日香だって。」
「あはははは。面白いなあ、君たち。」
愉快そうに笑っているごっつぁんの隣で、高橋は恥ずかしそうに顔
を少し下に向けた。
「そ、そんなにジロジロ見ないでください。」
うんうん。紺野の言うように、言葉のアクセントがちょっと違うな。
「へ〜、これがエルフ語かぁ。」
「ち、違いますぅ。失礼な。」
「え? だってアクセントがちょっと変じゃん。」
「え?! 全然、変じゃないですよ。」
「あ、ごめん。」
いや、だからあの、、その目を大きく見開かないでよ。
ひょっとしてこれもエルフ族の特徴なのかな?
後で紺野にでも聞いてみよっと。
- 379 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:26
- 「それにしてもごっつぁんってすごいね。風が吹いたかと思ったら
もうなっちの上にごっつぁんがいたんだもん。」
「ああ、あの風? あれは高橋の魔法だよ。」
「え? 魔法で風がおこせるの?」
つぶやくようなごっつぁんの言葉により、私たちは高橋に注目した。
高橋はぶるぶると左右に首を振った。
だから目を見開かないでぇ〜。
「違うんですぅ。魔法じゃなくて風の精霊なんですぅ。」
なんだか良く分かんないや。風の精霊が勝手に風を吹かしたのかぁ?
「私が風の精霊を召還したんですぅ。でも私の力ではまだあれぐら
いの風しか無理で、まだまだ修行中なんですぅ。」
今ひとつよく分かんないぞ?
「精霊使いなんですか?」
「はい。」
「へえ〜。すごいです。」
なんか会話が成り立ってる。さすが紺野だ。
- 380 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:26
- 「そ、そんなことないですぅ。私の力では気持ちいい程度の風が精
一杯なんですぅ。」
「それでもすごいですよ。」
「なっちなんかごろごろ転がってたもんね。」
明日香が意地悪そうな目でこっちを見た。
「初めてですぅ。普通は踏ん張られて、でも体が大きな人とかは踏
ん張る必要もなくて、だからあんなに転がってくれたのは初めて
ですぅ。」
「そうなんだ。よかったね。」
ホントに心底うれしそうな顔をしている。さっきまでとはうってか
わって、はち切れんばかりの笑顔だ。
「ありがとうございますぅ。」
「いえいえ、どういたしまして。」
なんかよく分かんないけど、お礼を言われてしまった。
何でだ?
- 381 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
- 「でもごっつぁんもすごいよね。あんなに離れてたのになっちんと
こまで一瞬で来ちゃったしさ。」
「うん、そうそう。私もそう思うよ。すごいよね。」
いきなり話を振ったもんだから、ごっつぁんったらきょとんとしてる。
「ありがと。でも高橋の風を背に受けてるからすこし加速力が増す
んだ。私、今、レベル3だし、まだまだだよ。」
なるほどね。
でもごっつぁんの体が鍛えられていることは見れば分かる。あの長
剣をなんなく振り回していたし。
「魔法とか使えるの?」
「ううん。私は剣士だから。いつか共和国一の剣士になるんだ。」
「じゃあ、なっちのライバルだ。」
「おいっ。嘘つけ。」
「安倍さん、安倍さん。」
なんだよぉ。
「なっちも剣士なの?」
「ううん。なっちはねえ、勇者んん、ぐ、んがが・・・」
こ、こら。明日香、口から手を放せ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
紺野、何で謝るのさっ。
「あはっ。」
ごっつぁんも笑ってないで助けろよ。
- 382 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
- ----------------------------------------------
- 383 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
- その後、ごっつぁんや高橋とすっかり話し込んでしまった。
紺野と高橋が同じぐらいな歳だと分かって、すっかり仲良くなって
しまっていた。私と明日香もごっつぁんとは気が合ったし、すっか
り友達になっていた。
近くに村はないかと訪ねられたので、私たちの住んでいる村を教え
てあげた。あと、私たちが今泊まっている圭織おばあちゃんちも教
えといた。
後で遊びに行くかもといっていたけど、私たちが村に戻る方が先か
もしれない。いずれまた会いたいね。そう思った。
「気持ちのいい連中だったね。」
「うん。」
「楽しかったですね。また会えたらいいですね。」
「会えるよ、きっと。」
だって友達になったんだもん。
「さて、どうする?」
「どうするって何が?」
一瞬、明日香の質問の意味が分からなかった。
「もう日が落ちてくる頃だし、いったん帰る?」
「まだ大丈夫だよ。それにほら、なっちはまだまだ元気だし。」
「私もぜんぜん疲れてないし。」
出てこい、モンスター。
- 384 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:27
- 「じゃあ、圭織おばあちゃんの家に向かいながら、魔法がんがんモ
ードで行きましょうか。」
「そだね。なっちがいつ倒れてもいいようにさ。」
「なっちは倒れないさっ。」
「あ、ごめん。」
分かってくれればいいんだ。
「なっちがいつごろごろと転がっててもいいようにだったね。」
違〜う。
「なっち、なっち。冗談だって。ほら、気を取り直して。」
うう。
「ほら、くちびる突き出さないのっ。」
仕方ない。気を取り直して、、
「さ〜、ほら行こうぜっ!」
私は歩き出した。
「安倍さん。森の奥に向かってどうするんですか。」
ま、間違っただけだいっ。
- 385 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
- ----------------------------------------------
- 386 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
- しばらく進んだんだけど、モンスターが現れそうにない。
「ねえねえ、もうすぐ森を抜けちゃうよ。」
「どうする? ちょっとだけ引き返す?」
「この辺りをうろうろとしていようか?」
もうすぐしたら薄暗くなってしまうなあ。
「しかたない。今日はこのまま帰ろうよ。」
「そうですね。暗くなってしまってからモンスターに出会いたくな
いですしね。」
私たち3人はこのまま森を抜けることにした。
あとは圭織おばあちゃんちまで一直線。って思ってたら、
「なっち、なっち。モンスターいたー。」
明日香がモンスターを見つけたようだ。
「グッドタイミングです。これやっつけて圭織おばあちゃんちに帰
りましょう。」
そだね。よしっ。
- 387 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
- 「明日香。モンスター、どこ?」
明日香の方に駆け寄った。
げっ。クジナメ3匹。
「福田さん。これはちょっと、、」
「いいじゃん。やろうぜ。3人とも体調がフルに近い状態だし、こ
の一戦に全力をかけて戦って、そのまま帰ろうよ。」
ん〜、しかたないなあ。でも勝てるのかぁ??
「ほらいけ。なっち。」
じゃあ私から。
「サンダー!」
パシッ。
よしっ。1匹に当たって焦げ目が付いた。
「ポイズン!」
紺野の魔法が違う1匹にヒットした。
少し肌の色(?)が悪くなったように見える。
- 388 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:28
- 「おお。紺野の魔法、効いているみたい。クジナメだから分かりづ
らいけど、なんかじたばたしているようにも見えるよね。」
私も紺野も肩で息をしていた。でもまだ大丈夫。体力は残っている。
「明日香、行けっ。」
「おうっ。」
明日香がサンダーの当たったクジナメに向かっていき、焦げ目に杖
を突きつける。
ドンッ。
クジナメが少しだけ向こうに飛ばされたが、もう一息だ。
残る別の元気なクジナメが宙を飛ぶ。
「明日香、よけて。」
明日香がステップを踏むように後ろに飛んだ。
「かっこい〜。」
と思ったら、後ろ向きに転がってた。
「やっぱ、かっこわる〜。」
「うっさい。」
- 389 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
- やっぱ私の出番だな。
「ポイズン!」
紺野の魔法がさっき明日香を襲った元気なやつに当たった。
こちらも効いてるみたい。
紺野を見ると、お尻を付けて座り込んでいた。
「大丈夫?」
「はい。なんとか。」
紺野を少し休ませてあげなきゃ。
私はさっき紺野がポイズンをかけたクジナメに向かっていった。
「えいっ。」
剣を突き立てると、致命的な打撃ではないものの、相手に少しダメ
ージを与えられたようだ。
やっぱポイズンが効いているんだろな。
「この〜っ。」
そのまま蹴る。
す、滑らないぞ。よしっ。
- 390 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
- 続けざまに蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
「このっ。このっ。このっ。この〜っ。」
これはいい。少しづつだけど、クジナメが向こう
側にずるずると押されて行っている。
「てやぁ〜。」
明日香が杖で殴りつけた。
殴る。殴る。殴る。殴る。
私も負けじと
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
ボコッ。
よしっ。一匹退治したぞ。
「やったね。」
気分爽快。
私も明日香もハアハア息をしながら見つめ合った。
- 391 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
- 「・・・なっち。」
「何?」
「剣を使いなよ。」
あ”。
「そういうことは早く言いなよ。もうっ。」
「ごめん・・・」
ど、どしたんだ? 明日香が妙に素直だ。
「なっちがボケボケだってこと、忘れてた。」
バカ〜〜〜〜〜。
ドンッ。
いきなり後ろから何かに体当たりされて、私は突き飛ばされた。
「痛った〜。」
何かって、まあ、クジナメなんだけどさ。
「安倍さん。転がって。早くっ。」
「え?」
- 392 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:29
- 私はそのまま横に転がる。
と同時ぐらいにフライングしていたクジナメが落ちてきた。
あっぶな〜。
そのままゴロゴロと転がり続けてクジナメから遠ざかっていくと、
紺野にぶつかってしまった。紺野は立ち上がって剣を構えていた。
「安倍さん。邪魔です。」
ごめん・・・
「やあ〜〜。」
紺野がサンダーの焦げ目のついたクジナメにかかっていったが、
剣が焦げ目に当たらずに滑ってしまった。
そのままクジナメに寄られて紺野は弾き飛ばされてしまった。
「大丈夫?」
「は、はい・・・」
「紺野、もう少し休んでなよ。まだ無理だって。」
明日香がすかさず紺野の前に回る。
- 393 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
- 「なっちこそ早く立ちなよ。」
「うん。」
私も結構疲れてるんだけどな。でも、、
2匹のクジナメが少しづつ私の方にじりじりと寄ってきた。
剣を構える。
まずいぞ。1匹でもまずいのに2匹もこっちに来るなよな。
「でやぁ〜〜。」
そのうち動きの鈍い1匹に明日香が横から跳び蹴りを食らわした。
ドンッ。
蹴られたクジナメがもう1匹のクジナメとぶつかった。
「なっち、早くこっちに。」
私は明日香の方に回っていった。
まだクジナメは二体が寄りそうような感じでうまく身動きが取れな
いようだ。
よしっ。
- 394 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
- 私と明日香は手前のクジナメに対して剣と杖で襲い掛かった。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
剣で突き刺す。突き刺す。突き刺す。突き刺す。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
杖で殴る。殴る。殴る。殴る。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
突き刺す。突き刺す。突き刺す。突き刺す。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
杖で殴る。殴る。殴る。殴る。
もうめんどくさいぞっ。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
足で蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
ボコッ。
- 395 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:30
- 「よし、あと1匹。」
「うん。」
あと1匹なんだけど、最初にサンダーが当たったまだまだ元気のい
いクジナメが残ったわけで。。
二人ともハアハア肩で息をしている。
そこにクジナメ、フライッ。
「ぎゃあ〜〜。」
私と明日香が元いたところに、クジナメがドスンと落ちて来た。
「痛っ。」
「明日香!」
クジナメと少し接触してしまい弾き飛ばされた私は、なんとか明日
香の方を振り向くと、明日香の左足首あたりがクジナメの下に埋も
れているのが見えた。
明日香が右足でクジナメを蹴飛ばしまくって、なんとか左足を引き
抜いた。そのまま転がってクジナメから遠ざかる。
「立てる?」
自分で立ちながら、明日香に聞く。
「ん〜、、意地でも立つ。」
明日香もなんとか立ち上がったけど、ちょっと左足を引きずってい
るような感じだった。
ちょっとヤバいかも。。
- 396 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
- 「なっち、クジナメの動きを止めといてよ。私が跳び蹴り食らわす
からさ。」
「ど、どうやってよぉ〜。」
「手袋あるでしょ。」
「や、やだ。ダサいんだもん。」
「バカッ。」
「私がもう1度ポイズンで。」
紺野も立ち上がっていた。でも無理しているのが分かる。
「ダメ。今の紺野の体調じゃ、ポイズン無理。」
それは紺野も分かっていただろう。例え魔法を唱えたとしても、何
も起こらないかもしれない。いや、起らない確率の方が高い。
「じゃ、じゃあ、私がサンダーで。」
「ダメ。今のなっちの体調じゃあ、サンダー外すでしょ。」
うぅ〜〜。いいもん。いいもん。
「そこっ。イジイジしないでさっさと手袋はめてクジナメ押さえろ。
バカッ。」
そうこうしている間にクジナメがこちら側に向きを変えてじわじわ
と寄ってきた。
やばい。飛ばれる。
- 397 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
- 私は逃げ出した。
「バ、バカ。こっち来んな。」
「明日香こそ、そこどいてよっ。」
私がちょうど逃げている方向にクジナメが飛んできた。
まずっ。
明日香が向こうに逃げた。
とりあえず明日香とぶつかる事態は避けられたが、勢いのついた私
はこのままクジナメの着地点へと向かって突っ込んでいっているだ
けだった。
「安倍さん!」
ドンッ。
紺野に全力で体当たりされた私は、ずいぶん体が飛ばされて、転が
って止まった。
でもそのおかげで私はクジナメの下敷きにならなくてすんだけど、
紺野はクジナメのすぐ前に倒れこんでしまっていた。
「紺野っ。」
ドンッ。
クジナメに弾き飛ばされた紺野の体は、木の根元にぶつかるように
止まった。
- 398 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
- 「この〜ぉ。」
明日香が杖で何度も殴りつけるが杖が滑ってクジナメにダメージを
与えられていない。
まずい。クジナメが動き出す。
私は手袋をはめてクジナメを押さえつけた。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
ガンッ。ガンッ。ガンッ。ガンッ。
明日香の打撃がクジナメに効きだした。
そうか、クジナメがヌメヌメと動かないように固定してやればいいんだ。
でも表面がヌメヌメしているので、幾分は効きが弱い。
「明日香。焦げ目。焦げ目。」
はっとして一瞬明日香の動きが止まったが、明日香が攻撃を再開した。
「このっ。このっ。このっ。このっ。」
焦げ目に向かって明日香の蹴り。蹴り。蹴り。蹴り。
クジナメが暴れようとするが、そうはさせない。
絶対、何が何でも離さないんだから。
- 399 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:31
- 「このっ。このっ。このっ。このっ。」
蹴り。蹴り。蹴り。蹴り。
ボコッ。
よしっ。全部やっつけたぞ。
「明日香。」
「何?」
「杖、使えよな。」
「焦げ目の位置が低いんだって。」
「怪我してたんじゃないの? 左足。」
「・・・痛〜〜〜っ。思い出したじゃないか。ばか。」
お互いに自然と笑みがこぼれる。
力ない笑顔だけど、うれしさがこみ上げてくる。
チャララチャッチャチャ〜ン。
チャララチャッチャチャ〜ン。
誰かレベルアップしたみたいだ。しかも2人も。
あ、それより紺野は?
「紺野?」
「紺野どこ?」
私たちはあわてて辺りを眺め回した。
紺野の体は木の根元に転がっていた。
- 400 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:32
- 「紺野っ。」
私は駆け寄ろうとしたけど、体がいうことをきかなかった。
くそっ。這ってでも、、
なっち。がんばれ、なっち。
まだまだ大丈夫だよ、私の体。
お願いだから動いて・・・
「紺野。」
明日香が左足を引きずりながら紺野のところまで歩み寄った。
「紺野、大丈夫?」
明日香が紺野の顔の辺りや首の辺りに手をやって、しばらくして言
った。
「大丈夫。気絶してるだけみたい。」
そう、よかった。
「おい。なっちも寝るなよっ。」
そう明日香が叫んでいたような気がした・・・
- 401 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:32
- ----------------------------------------------
- 402 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:32
-
エピローグ
- 403 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:33
- あの後の記憶はないんだけど、気が付いたら圭織おばあちゃんちに
いた。圭織おばあちゃんとノンが運んでくれたらしい。
目が覚めたときには、圭織おばあちゃんに大いに説教された。
3人とも回復して家に帰ることになったとき、圭織おばあちゃんが
見張り役にノンを私たちに同行させた。
だから帰るときには森を通ることもなく、モンスターにも会わなか
った。
ノンがそのときの様子を面白おかしくみっちゃんや裕ちゃんに話し
たもんだから、裕ちゃんには大いに笑われ、みっちゃんに大いに泣
かれた。
ノンはというと、話すだけ話して満足したのか、圭織おばあちゃん
ちに帰っていった。来るときと違って帰りは猫の姿に戻っていたか
ら、きっと夕食までには帰れるだろう。
それにしても迷惑なやつだ。
- 404 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:33
- これから私の家で、みんなであつまって食事をすることになった。
裕ちゃんは先にきてビール飲んでたけど。
「明日香となっちがレベル3になったか。いやあ、めでたい。」
めでたいのはいいけど、飲みすぎじゃない?
「こりゃあ、飲まずにはいられんな。」
いつも飲んでるでしょ。
「みっちゃ〜ん。飯まだぁ〜?」
「もう少し待ってよ。」
「早よせんと、みっちゃんのビール、無くなるでぇ。」
おいおい。
「あんたも手伝いいなぁ。」
「ええんか? うちに料理させるなんて、、ほんまに手伝おうか?」
「ごめん。やっぱ何もせんといて。せっかくの料理が食えなくなる。」
「そやろ。そやろ。」
裕ちゃん、、笑ってる場合か?
食卓にはごっつぁんと高橋もいた。ごっつぁん達がこの村に来て裕
ちゃんの店に寄ったときになぜか私の話で盛り上がり、なぜかその
まま裕ちゃんちの空き部屋に泊まっているらしい。
- 405 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:33
- 「なんか魔法使えるようになったんか?」
「なっちはサンダーが使えるんだよぉ。」
「おお、すごいな。」
えっへん。
「明日香はどうなん?」
明日香が困ったような顔をした。
「なっち、何だよ。そのうれしそうな顔。」
「そ、そお?」
「思いっきり、顔がにやけてる。目が三角だよ。」
「そ、そんなことないもん。」
えへへへへ。
「なんや。明日香は魔法が使えんのかいな。」
「いや、それがね〜。レベル3になって使えるようになったんだよ
ねぇ〜〜。」
不機嫌そうに明日香がにらむ。
「よかったやんか。何でそんな嫌そうな顔してんねんな。」
「いや、裕ちゃん。それがねぇ、なんとリカバーなのよぉ。」
「リカバー? すごいやん。」
- 406 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:34
- リカバーとは回復魔法だ。
「白魔法使いやんけ。明日香すごいやん。」
いや、ほんとすごいんだけど、パーティーに白魔法使いがいるって
のも頼もしいし。
「でも明日香ったらさぁ、黒魔法使いに憧れてたんだもんね〜。」
「そうなんかぁ。でもええやん、白魔法でも。裕ちゃんなんかポイ
ズンキラーだけなんやで。裕ちゃんももうちょっとがんばればリ
カバー使えるようになったかもしれんけどな。」
リカバーなんて、白魔法使いを目指すものには憧れにも等しいのだ。
なんたって白魔法を代表する魔法だからね。
「明日から白い杖と白いマントにしなきゃね。」
「うるさい。」
裕ちゃんがビールを一口飲む。
「はいはい。おまたせ〜。」
奥からみっちゃんと紺野が料理を持って来た。
「乾杯しよ。乾杯。」
「あんたもう飲んでるでしょが。」
「だって、明日香となっちが私達とおんなじレベル3になったんだ
し、めでたいやん。」
「そ、そりゃまあ・・・」
- 407 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:34
- 紺野が高橋の隣に座った。
さて、料理も出てきたし、、
「いっただきま〜す。」
みんないっせいに食べだした。
「おお、うまいやんけ。これ。」
「当たり前よぉ。誰が作ったと思ってんねん。」
「おいしいです。」
「ありがと。後藤ちゃん。ほんまにええ子やん。」
みっちゃんが私を見る・・・
「あ、うん。おいしい、おいしい。」
「素直じゃないんだから、もう。」
どっちがじゃ。
「紺野はレベル2だし、魔法はまだよね?」
「いやあ。それがさあ、紺野も魔法使えるんだよね。」
「え? ほんまなん?」
紺野が恥ずかしそうに下を向く。
そして、軽くうなずいた。
- 408 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:34
- 「そりゃすごいやん。ねえ、みっちゃん。やったやん。」
「何がやったやんなん?」
「乾杯や。乾杯。」
「一人でしてろ。」
裕ちゃんはそんなみっちゃんを無視して、紺野に話しかける。
「で、何なん?」
「・・・ポイズン。」
「ほえ〜〜。ポイズン言うたら黒魔法やん。しかもレベル2で。才
能あるでなあ。」
そして紺野がポイズンをポイズンキラーだと思って明日香に試しに
かけてみた話になった。
「まったくあぶないなあ。もし毒消薬持ってなかったら死んでたで。」
「あんたらもうちで毒消薬買うとってよかったやろ。な?」
「うん。まあ。」
「それよりなんでうちんとこまで来んかったん。うちがポイズンキラ
ーかけてあげたのに。」
「ここまで戻ってたらその前に死んじゃうじゃん。」
「ええやん。一回、ポイズンキラーをやってみたいねん。」
こらこら。
- 409 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:35
- 「知ってる? 裕ちゃんな、ポイズンキラー使えるっていっても使
ったことないねんで。」
「しゃあないやん。誰も毒にかからんのやもん。」
まあ、この村の近くには、毒をもったモンスターっていないしね。
たぶん・・・
「紺野、うちが許す。みっちゃんにポイズンかけぇ〜。」
「どあほ。あさ美ちゃん。裕ちゃんにならかけてもええで。」
「待て待て、うちにかけたら誰がポイズンキラーするねん。」
「いっぺん死んでこい。」
こらこら。
「でもこの裕ちゃんもね、魔法使えるようになって最初はポイズン
だと勘違いしててさ、スライムにポイズンキラーかけまくってた
んよ。」
「え? それって意味ないよね?」
「当たり前やん。しまいに裕ちゃんが倒れてもうてな、あの時は困
ったで。」
裕ちゃんが遠くを見るような目をして言った。
「昔の話やん。」
あはは。
- 410 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:35
- 「でも、冒険ごっこももう禁止ね。なっちもあさ美ちゃんも。」
え? 今、何てったの? みっちゃん?
「危ないから、ダメ。」
「え〜〜〜〜〜〜〜。」
紺野もはっとして顔を上げた。悲しそうな表情をしている。
「何でよぉ。」
「危ないやん。」
「なっち、冒険者だもん。」
「ごっこはお終い。」
「ごっこじゃないもん。」
みっちゃんは黙る。
私はすがるような気持ちで裕ちゃんの方を見た。
「ええやん。2人の好きにさせたりいな。」
「でも・・・」
「みっちゃんが心配なんは分かるけどさ、この子達の人生なんだし。」
「・・・」
「わかった。みっちゃん自分が魔法使えへんもんやから、」
「アホ。もうええわ。好きにし。」
やった〜。
- 411 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:35
- 紺野もなぜか高橋と手と手を取り合って喜んでいた。
「みっちゃん。大好き。」
「裕ちゃんはぁ?」
「はいはい。」
「なんやそれ。」
何でそこでさびしそうな顔をするんだ? まったく大人気ないなあ。
「ごめんね。みっちゃん。」
私がそう言うと、みっちゃんは困ったような微妙な顔をして私を見
ていた。
「危なくなったらすぐ逃げるんやで。」
「うんっ。」
「明日香ちゃんのところは何も言われんかったん?」
今まで静かに成り行きを見守っていた明日香が言った。
「別に。じいちゃん、冒険とか好きだし。どっちかっていうとどん
どん行けっていう方かな。」
言葉とは裏腹に、どことなく寂しそうな顔をしていた。
- 412 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:36
- 「でも私はもう冒険をやめるつもりなんだ。」
え?
「何で? どしてよ。明日香。」
明日香が私の方を向く。
「黒魔法使いになれないから?」
「それもあるけど、商人になりたいんだ。お父さんが久しぶりに街
から帰ってきててね、私もお父さんについて街をまわろうと思う
んだ。」
そうなんだ・・・
「一流の商人になって、なっちや紺野にいい武器や防具を安く売っ
てあげるからね。」
紺野も初耳だったらしく、かなり驚いているようだった。
さびしい。さびしいけど、、
「福田さんならなれますよ。きっと。」
「うん、明日香なら大丈夫さ。」
「ありがと。二人とも。」
明日香の決めた道だ。応援するっ。
- 413 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:36
- 「なっち。なに泣いてんのさあ。」
「泣いてなんかないもん。」
泣いてなんか・・・
「武器や防具は明日香から買うからね。早く一人前になりなよ。」
「ありがと。なっちからお金を巻き上げてあげるからね。」
「ばか。」
「泣くなって、よしよし。」
明日香が私の頭をなでてくれた。
ばか・・・
「で、どうすんの? あんたたちは?」
みっちゃんがやさしく声をかけてくれた。
「どうって?」
「二人で冒険続けるの?」
どうしよう?
「なっちさあ、ごっちんとパーティー組めば?」
明日香があっけらかんと言った。
ごっつぁんが私を見た。
- 414 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:36
- 「ごっちん、どうよ。」
「私? 別にいいけど。1人つれて歩くのも3人つれて歩くのも変
わらないし。」
おいっ。ちょっと言葉にひっかかるものがあるぞ。
「高橋は、どう?」
「わ、私はあさ美ちゃんと一緒ならうれしい。」
「私も愛ちゃんと一緒なら楽しいし、いいですよ。」
何だ? 何だ? いつからあんなに仲良くなってたんだ?
愛ちゃんってのは、高橋のことかな?
「なっち、ドジだからさぁ。これで安心してこの街から旅立てるよ。」
「とっとと行けっ。」
「じゃあ決まりね。なっちもいい?」
そう私に聞く明日香が一番楽しそうだった。
私はうなづいた。
「安倍さん。明日さっそく冒険者事務所に行きませんとね。」
・・・そうだね。
- 415 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:37
-
私はみんなの笑顔が見ていたい。
目には見えないけれど、元気になあれってパワーを放しているんだ。
そしてみんなからもパワーをもらっているよ。
私はみんなの笑顔を見ていたい。
だから人にやさしくなれるし、幸せを感じられる。
みんなにもやさしくしてほしいし、幸せを感じて欲しい。
これからも自然体に生き、日常の何気ないことにも幸せを感じて。
みんなで幸せになろうよ。
- 416 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:37
- 「また寝坊しないでくださいね。」
おいおい。
「寝坊はダメだよねぇ〜。」
ご、ごっつぁんまで、、
「・・・」
高橋、そんな驚いたような目で見ないで。
「なっち、忘れないでね。私のこと。」
「誰が忘れるもんかいっ。なっちのことも忘れるなよ。」」
「・・・早く忘れたいけどね。」
あはは。夢に出てやるんだから。
「そうだ。大きくなったら一緒にお酒飲もうよ。約束だよ。」
「いいよ。約束だ。」
お互い、酒乱になってなきゃいいけどさ。
今から楽しみ。
- 417 :なんちてクエスト:2004/07/19(月) 21:37
-
fin
- 418 :名無し娘。:2004/07/19(月) 22:06
- 感動をありがとう
- 419 :名無し娘。:2004/07/19(月) 22:36
- 作品の雰囲気とキャラの性格が大好きでした。
いい作品をありがとうございました。
- 420 :名無し娘。:2004/07/20(火) 03:58
- すごく楽しみにしていたのですが
飼育あたりで続きを書かれては如何ですか?
- 421 :名無し娘。:2004/07/20(火) 13:31
- 雰囲気とかひっくるめて全部好きでした 良作ありがとう
- 422 :名無し娘。:2004/07/20(火) 13:51
- いつか気が向いたときでいいので、飼育あたりでぜひ続きを。
- 423 :名無し娘。 :2004/07/20(火) 22:42
- 狩狩で初めて読んだ小説がここでした。
楽しい作品を本当にありがとうございました。
- 424 :名無し娘。:2004/07/20(火) 23:28
- 楽しかったです。のんびりな雰囲気好きでした。
最初の頃から見てましたよ。続編、できれば見たいです。
楽しい作品をありがとうございました。
- 425 :名無し娘。:2004/07/21(水) 02:55
- 1回しかレスしなかったけど
更新のたびに心おどらせていたよ
ありがとう
- 426 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 427 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 428 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 429 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 430 :名無し娘。:2004/07/24(土) 16:18
- 題名が凄い・・
荒らしてみてっているみたいなもんじゃんかぁ
- 431 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 432 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 433 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 434 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 435 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 436 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 437 :名無し娘。:2004/07/31(土) 02:49
- DO IT NOW編だな。
- 438 :名無し娘。:2004/08/01(日) 20:40
- ↑
あべ・こんの+ごとう・たかはし
なるほどな。で、職業はどうなんだ?
- 439 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 440 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 441 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 442 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 443 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 444 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 445 :名無し娘。:2004/08/16(月) 22:00
- このスレが荒らされるのはスレタイがいけないんだと思う
響子さんに頼んでもうちょっとまともなスレタイに代えてもらおう
漏れは「なんちてクエスト」でいいと思う
- 446 :名無し娘。:2004/08/17(火) 20:51
- だったら、このスレ落としてもらった方がいいんじゃね。
- 447 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 448 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 449 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 450 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
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- あぼーん
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- あぼーん
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- あぼーん
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- あぼーん
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- あぼーん
- 460 :xvdb:2004/09/01(水) 16:54
- いやんあはん
- 461 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
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- あぼーん
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- あぼーん
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