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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3
- 1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
- すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m
- 248 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:14
- >>244
イイ!
けど誰が主役なんだかw
- 249 :名無し娘。:2007/02/27(火) 22:17
- ポッポーもいいな
ハトミキティカワゆい
- 250 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:35
-
「あー! なにしてんですかぁ?」
開口一番問いかけられて、僕は返答に困りながらも口を開く。
「や、やぁ亀井さん。……なにしてるんだろーね」
笑顔でそう返しはしたけれど、亀井さんは少しプリプリした顔で、さも不満げに僕の言葉をスルーした。
「絵里もぉ!」
“も”と言われても……なんとかしてあげたいけれど、すでに僕にはそんな“余裕”はないように思えた。
膝から胸元、そして背中に、やわらかな重みを感じながら、僕は心の中で嘆息していた。
『さて、どうしたもんだろ』と。
- 251 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:36
-
ことの発端はあのレッスンの後。
軽く汗を流して一息ついて、置いてあったギターを手持ち無沙汰の慰みにしていた。
そんなところへ、同じくシャワー上がりの愛佳ちゃんが入ってきたんだっけ。
「お疲れさま」
「あ、今日はありがとうございました」
ギターを脇に置いてそう言うと、いると思っていなかったのか、少し驚いたように愛佳ちゃんがぺこりとお辞儀をした。
「どう? 間に合いそう?」
「んー……あ、いやぁ、はいっ」
「あははっ、ちょっと正直だったね」
「えーっと……はい」
笑った僕にどう返していいのか、少し困りながらも愛佳ちゃんも笑って。
さほど長い時間ではなかったけれど、今日のレッスンは僕にとってもいい方向に進めた気がした。
「疲れたでしょ」
「あっ……少し」
「ホントに少し?」
「……えー」
「ん?」
笑いながら促す。
正直に言ってもいいんだよって。
- 252 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:37
-
「ホントは結構疲れました」
「うん。お疲れ」
遠慮がちに笑う愛佳ちゃんへ、よくできましたって意味を込めて笑い返す。
「この後は? なにかあるの?」
「ちょっとしたらボイスレッスン、行ってきます」
「そっか。じゃあそれまでゆっくり休むといいよ。ここ、おいで」
自分の隣をポンポンと叩く。
少し困ったような、迷うような素振りでいる愛佳ちゃんに、もう一度、先輩らしく偉ぶってみせながら、ポンポンと繰り返す。
「はあい」
少し照れくさそうだけど、それでも隣に座った愛佳ちゃんは、きっと自分で思っている以上に疲れていたんだろう。
ほう、と大きく息をつき、背もたれに深く身体を預けてしまう。
揃えて膝に置かれた手だけが、僅かに緊張していることを教えてくれていた。
そっと横目で窺うと、頑なに目を合わせようとしない愛佳ちゃんがいて。
僕もあまりジッと見るのは控えたままでいて。
どちらも口を開かずに、離れた場所から聞こえる微かな物音と互いの呼吸だけが部屋を満たしていた。
- 253 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39
-
別になにかを意図したわけじゃなく、ただ静かすぎる“間”が厭わしくて、置いたギターに手を伸ばした。
一音一音を意識しながら爪弾いていく。
『I WISH』、とても印象深くて大切な曲。
そっと口ずさむと控えめな声が重なる。
こんなのも悪くない、そう思った。
二曲、三曲とゆっくりとしたリズムを刻んでいく。
右の肩に微かな重みを感じ、控えめだった声が静かな寝息に変わっていることに気がついて、そっとギターを置いた。
「お疲れさま」、もう一度、口の中だけで呟いた。
少しでも休むといい、そう思いながら、愛佳ちゃんの姿勢が楽になるように、ほんの少し身体を傾けて。
どれくらいの時間が過ぎたろう。
軽快なノックと軽やかな音を立ててドアが開かれた。
入ってきたその娘は室内の様子に気がつくや、すっと息を吸い込んだ。
間一髪、口元にあてた指先に気がついたその娘が、やや不満げに頬を膨らませる。
「小春ちゃんもレッスン?」
「……はいー」
「そっか。お疲れさま」
肩を揺らさないように、抑えた声でそう返す。
相変わらず小春ちゃんは不満げな顔をしてる。
「寝てるんですかー?」
「うん。たくさん踊ったからね。少し前の小春ちゃんみたいにさ」
「……じゃあしょーがないですよねー」
昔の自分を思い出したのか、少し表情がやわらかに変わった。
そう思ったとたん、ニッコリと笑って、「じゃあ小春はこっちでいいですー」と、ギターと僕の間に自分の身体をすべり込ませてきた。
そんな納得の仕方……、そう思ったけれど、子犬みたいな目で見上げられ、なにも言えなくなってしまった。
つくづく自分の甘さを感じながらも、小春ちゃんには敵わないなあ、なんて諦念めいた思いもあったりもする。
- 254 :『自然の流れ?』:2007/02/27(火) 22:39
-
そして更に時間が過ぎて、今に至る、と。
「二人ばっかりズルイですよぅ。絵里もー」
「って言われてもさ。もうこっちには座れないし。ほら、先輩でしょ?」
「むー……」
あひる口で拗ねられる。
亀井さんも可愛い後輩なわけで、そうしたいと言われればそうさせてあげたいんだけど……
「じゃあ、絵里はここでいいですっ」
「えっ?」
とてもいいことを思いついたかのように、満面の笑顔を浮かべた亀井さんが……
「しつれーしまーす♪」
僕の膝の上に座り込んだ。
僕の胸に背中を預けて、揺れる髪が鼻先をくすぐる。
嬉しそうに鼻歌なんか歌っている亀井さんの髪が、視界を一杯に埋める中、完全に身動きできなくなった僕は思う。
もしここに道重さんでもきたらどうなっちゃうんだろうって。
- 255 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/27(火) 22:42
-
>>234 の続き。
- 256 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:15
-
なんでそうなったのかは覚えていない。
ただ誰もが妙なテンションだったことだけが記憶の片隅に残っているだけ。
それはそれほど長くもない人生の中で、もっとも生きるということを考えさせられた出来事だった。
最初はたまたま近くにいた愛佳ちゃんと新曲について話していただけだったハズだ。
多少は互いの距離が縮まることもあったかもしれない。
その光景になにを見たのか久住さんが近寄ってきて、座ったままでいる僕に腕を絡めてなにかしてほしいとせがまれた。
今となってはそれがなんだったのかすら覚えていない。
それへ妙な対抗心を燃やしたのは亀井さんだった。
ツカツカと歩み寄ってくると、僕の後ろへ回り込んで、おんぶでもせがむように甘えてきた。
こうやって記憶を辿って思いだした。
その始まりはこの亀井さんだったかもしれない。
- 257 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:16
-
話を元に戻そう。
べったりと背中へ寄りかかる亀井さんを支えながら、僕の目には近寄ってくる田中さんが映っていた。
先程の亀井さんと同じように僕の後ろへ回り込んで、なにやらバタバタと暴れ出した。
多分、亀井さんを引き剥がそうとでもしていたんだと思う。
そして亀井さんは意地になってそれを拒むためだろう、よりいっそう強くしがみついてきた。
当然のごとく僕の身体も前後に揺すられてガクガクと揺れた。
その負荷が突然軽くなり、後ろで何かが――きっと田中さんだろうけれど――壁にぶつかる音が聞こえて。
同時に僕は胡座のままで前に倒れ込むような姿勢になり、背中には亀井さんが倒れかかってきていた。
ひどく窮屈な姿勢になったのを覚えて……、あぁ、また思いだした。
たまたま遊びに来ていた辻ちゃんが、昔のノリで飛びついてきたんだった。
その行動が、窮屈な姿勢からキツイ姿勢に変わる契機になって。
亀井さん、辻ちゃんに続いて重なってきたのは、それはそれは楽しそうに笑う小春ちゃんだった。
キツイ姿勢のままで全身の筋力を振り絞って身体を支え、なんとか脚だけは抜いて腰をやられるのは防いだ。
けれどそれが幸いだったのか、そうでなかったのかは解らない。
直後に力尽きた僕は、痛みを堪えながらもこの状況を脱しようと苦闘していただけだったのだから。
彼女たちに――誰を、なのかはもう解らなかった――どいてもらおうと声を出そうとしたけれど、三人……以上に圧迫された身体がいうことをきかなかった。
何人かは止めようとしていた、かもしれないけれど、朦朧とした意識の中での幻聴だったかもしれない。
- 258 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:17
-
ともかく。
こうして僕は“娘。たち”に包まれて海の底へ沈むように意識を飲まれていったんだ。
うっすらと聞こえてくる誰かの声で、あぁ、まだ生きてるんだと、そう思った。
徐々に覚醒していく意識と共に僅かに開いた視界の中で、見覚えのあるスーツの背中と、その向こうで一列に正座をさせられている娘。たちの姿。
半ば霧に包まれたようにあやふやな意識の中で、彼女たちと“生きている“幸せを感じていた。
- 259 :『生きてる?』:2007/02/28(水) 21:18
-
「まだ辻ちゃんはこんなことやってんねやなぁ」
「そうですよねえ。……って、そうじゃなく、人の日記を音読しないでくださいっ」
取り上げられた日記を奪い返そうとする中澤さんへ心の中で思う。
アナタも時々辻ちゃんたちと変わらなく感じますよ、と。
- 260 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/02/28(水) 21:22
-
『生きてる?』
でした。
なんとなく、タイトルは英語にした方がよかったかな、とか思ったり思わなかったり。
どっちでも変わらんか。
- 261 :『にゃー』:2007/03/01(木) 20:36
-
コンサのためのリハ、その休憩中のことだった。
壁に背もたれて座り汗を拭っている田中さん。
「疲れたねえ」
汗をかいたミネラルウォーターを差し出しながら同意を求めると、ニカッと笑いながら「ありがとーございます」とペットボトルを受け取った。
封を開けて一口口にしてからハッと気がついたみたいに「疲れましたー」と笑い返してきた。
「隣、いい?」
「あっ、どーぞどーぞ」
「なに見てたの?」
「や、あれ、のんつぁん」
指差された先では辻ちゃんがキッズの娘たちを掴まえてじゃれついていた。
「おー、元気だねぇ」
「れなより年上には思えんちゃけど」
「ホントにね。でも楽しそうでいいね。田中さんも交じってくれば?」
「やー、疲れたし。ここにいる方がいいです」
「そっか」
二人の視線の先では相変わらず楽しげな辻ちゃんが、キッズの娘たちになにかギャグを教えているようで。
その中の一つの動作がなにを教えているのか気がつかせてくれた。
- 262 :『にゃー』:2007/03/01(木) 20:37
-
「うわっ、猫、最近やらなくなったと思ったら……」
「辻ちゃん飽きっぽいからね」
二人して、子供にあんなことばっかり教え込んでると苦笑いをして。
ふと思い浮かんだことをそのまま口にしてみる。
「猫と言えば田中さんなのにね」
「もぉー、いーです。ホント恥ずかしいっちゃけん」
「そう? いいじゃん、猫。可愛いし。好きなのになぁ……」
「好き……ですか?」
「うん、好き。気まぐれだけどさ、急にニャーなんて甘えてすり寄られたりするとさ、可愛いくて撫でたりしちゃうよね」
「そ、うですか……」
「……うん? どうかした?」
なんだか突然大人しくなってしまった田中さんへ目をやると、それがきっかけのようにもそもそと動き出した。
すっと距離を埋めるとTシャツの袖を軽くつまんで、どこか躊躇いながら僕を見上げてきた。
「っ、……にゃあ」
意を決したとでもように開かれた口から出たのは言葉ではない言葉。
僅かな時間二人の時を止めた言葉をようやく飲み込めた僕は、言ってしまってから恥ずかしそうにしている田中さんへ笑いかける。
「可愛いなぁ」
裾を掴まれた手を取って、空いた手でふわふわな髪を撫でる。
くすぐったそうな田中さんはそれでも嬉しそうにしてくれた。
少し気まぐれで気の強いところがある、けれど甘えたさんな可愛い猫だった。
- 263 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/01(木) 20:39
-
……ニャー!
そんな感じで。
- 264 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:36
-
浮き輪に身体を任せて海に浮かんでいるような感覚。
そして耳に馴染んだ声がすぐ側で聞こえた気がした。
そこで初めて「ああ、寝てたんや」って認識ができた。
とろとろとしたまどろみから引き戻されたけれど重いまぶたはいうことをきかんくて。
耳元で聞こえてきた吉澤さんの声が離れてく。
「寝てるみたいだけど。でもこれだけ揺すったんだから起きたっしょ」
「でも動かないし、寝てるんじゃない? 気持ちよさそうだよね、愛ちゃん」
「ったって、もうすぐ行かなきゃなんないし、寝かせとくわけにもいかないじゃんか」
あっ、先輩も……って、すぐに気がついたけど、その後にすぐ吉澤さんの声が被さって。
「そうだけどさ。ぎりぎりまでいいじゃん。もう少し」
「んー……ま、いっか」
目を閉じたままで、なんとなく起きてますよー、ってタイミングを逃した気がする。
「またなにかの本読んでたんだろうね。起きてたトコまでかな、指がかかってる」
そう話して先輩がクスクス笑ってる。
そういえばそうだったかも。
確かに指先になんか挟まってる感覚があるし。
- 265 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:37
-
「好きだねー」
「いいじゃん。なんでも、本読むのはいいことだと思うよ? まあヘンに影響されなきゃだけど」
「そーだけど。じゃあ本、そのまんまなんか挟んどいてやれば?」
「おー、めずらしく優しいじゃん」
「バッカ、あたしはいつも優しいっつーの」
「はいはい」
茶化して笑う先輩の声が近づいた気がする。
そりゃそっか。本を取りにくるんなら……って、考える間もなく、まぶた越しに感じた蛍光灯の灯りを感じなくなった。
すぐ側に人が……先輩がいるってことなんかな。
「そぉーっと、ね」
起こさないようにって気遣い、小さな声でそうささやく先輩の声が異常に近い。
っていうか近すぎやで。多分。
体温まで感じそうなほど近くに先輩がいて、ちょっとドキドキする。
ステージでの距離ならともかく、こんな状況で……
「やらしーことすんなよ?」
吉澤さんが笑いながらからかってる。
「するかっ」
先輩も笑いながら返す。
多分、わたしに覆い被さるような形になってるのかな? そのままで交わされてるやりとり。
近すぎですってば……でも、そんなやりとりがちょっとうらやましいって場違いなこと考えたり。
- 266 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:38
-
「そうだ」
「ん?」
「そのままチューしちゃってみ」
「はあっ!?」
「チューすれば起きんじゃね。まぁする直前に起きんかもしんねーけど」
吉澤さんには起きてるってバレてる。
先輩は寝てるって思ってるのかな。
キス、する……?
「愛ちゃん?」
問いかけてくる声。
はーい、って普通なら返事をするんだけども。
閉じた目が開けられない。完全にタイミングが悪い、と思う。
「寝てる、よね? ……起きてるの?」
起きてます……ごめんなさい。
心の中で返事をして、心の中で謝って。
「起きてるなら……起きてくれないとキスしちゃうぞ」
「しちゃえよ」
確かめるみたいな調子で先輩の声。
すぐに悪魔の声で吉澤さんが唆す。
先輩の声はさっきまでよりも近い気がする。
ホントに?
ものすごくドキドキしてきた。
「愛ちゃ〜ん。しちゃうぞ?」
- 267 :『沈黙はYes?』:2007/03/02(金) 21:39
-
ドキドキしたままで、少しだけ身体が硬くなるのを意識した。
でも目は開けられない。
もう自分でもハッキリした理由がわからないくらいにドキドキしてる。
頬に吐息がかかる。
キス……されてもた。
「愛ちゃん。起きて、るよね?」
少し困ったような、呆れの混じった先輩の笑い声。
そっと目を開いて頬に手をあてた。
「気づいてたんですか?」
「顔、覗き込んでから気づいたよ。朱くなってるんだもん」
「だから……ですか」
身体を起こして呟くみたいに聞き返す。
なにが“だから”なんだか自分でも微妙だけど。
「あっ……」
わたしの声が届かなかった先輩が指差す先で……読みかけの小説が綺麗に閉じられていた。
あー、もう。
なんもかんも……。
- 268 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/02(金) 21:41
-
愛ちゃん愛ちゃん♪
もっと愛してあげてくださいw
- 269 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 22:57
-
匿名さんのすごい作品ラッシュにびっくりしてますw
今日のうちに一本ネタ載せるつもりなんでお楽しみに〜
- 270 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:31
-
何気ない平日。楽屋で、雑誌を呼んでいると勢いよく楽屋の扉が開いた。
「先輩!! ちょっと来てください」
「絵里? どうしたのさ」
「いいから!!」
なにがなにやらわからず、娘。の女の子用の楽屋に連れてこられた。
楽屋には、田中さん、道重さん、ミキティが怒った表情で僕を見た。
「な、なに? 何で、怒ってんの?」
「先輩、身に覚えがないんですか?」
亀井さんも、怒った表情で三人に加わる。
「はい? だから、なんの事?」
「そこに正座!!」
ミキティからの怒りの命令口調で、納得いかないながらも正座する。
「あのさ…僕何か悪い事…」
「「「「しました」」」」
四人のそろった声。只事では、ないと思い必死に思い返す。
「あ!! わかった、みんなのソロ写真集見てないから怒ってるとか?」
「違います!! ってか、先輩見てなかったと!?」
田中さんから、すごい勢いで迫られる。
「いや、だってさ何か恥ずかしいんだよ…じゃあ、何だ?・・・
あ、嫌、これは言わないほうがいいかも…」
「正直に言ってください!!」
「あのさ、ミキティ…僕はあの事言ってないからね」
「あのこと?? ・・・っ!!??」
その瞬間ミキティの顔がすごい勢いで真っ赤になった。
- 271 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:32
-
「なんなんですか? さゆ、すごい聞きたいです!!」
「シゲさん、いいから…はぁ〜…●●、ホントにわかってないんだね」
「いや、マジでわかりません」
「先輩、これどういうことなんですか!!」
道重さんから、差し出されたのは『写真週刊誌』だった。
そして、開かれたページには大きな文字で『モー娘。●●。モデルの○○とお忍びデート!?』と
書かれていて、写真には僕と女性が手を繋いで歩いている場面が写っていた。
「!!??」
「先輩、この女性なんなんですか!!」
「先輩の彼女なんやろ? 先輩、いつから彼女おったと!!」
「さゆより綺麗な女性連れて歩いてるなんて、さゆ許せない〜!!」
「●●、はっきり答えなさい!!」
「あ、あの…その…」
その時、よっすぃーが楽屋に入ってきた。
「な、なに? どうしたの?」
「吉澤さん、聞いてくださいよ。●●さん、彼女が居たんですよ!!」
道重さんは、よっすぃーにもその週刊誌を差し出す。
「・・・あははは!! 撮られてやんの!!」
「吉澤さん、笑い事じゃないの〜」
「ごめんごめん、ふふ、●●も大変だ。お姉ちゃんと一緒のところ撮られちゃうなんて」
「そうそう、お姉ちゃ…「「「お姉ちゃん!!??」」」」
全員が、一斉に僕の方を振り向いた。
- 272 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:32
-
「もう、よっすぃー言っちゃダメだって」
「あぁ、ごめんごめん。ってか、言ったほうがよかったんじゃないの??」
「だって、姉貴の事知られたくなかったんだって」
今さっきまで勢いのよかった4人が真っ赤な顔になってモジモジしている。
「さてと、その4人どうする?」
「まぁ、僕を正座させて色々と問い詰めた代償は大きいよね」
「だ、だって、●●『お姉ちゃん』だなんて…」
「ってか、その雑誌の内容に思いっきり『モーニング娘。の●●君にもようやく春が…
というのは、冗談で実は…この二人姉弟なのだ』ってちゃんと書いてあるじゃん」
よっすぃーの指差した先には、小さな白い文字でそう書かれていた。
「やけど、そげん事れな達知らんかったんですよ。●●先輩のお姉ちゃんが○○さんやなんて。
吉澤さんは、知っとったと?」
「うん、あたしも何回か会ったことあるし。ってか、娘。のライブに何回か来てくれてるよ」
「「「「ええ〜!?」」」」
4人が、テレビのときよりもすごくいいリアクションをする。このリアクションを
テレビでもやってくれたらなぁ〜…
「ということで、全員正座〜!!」
4人は、ものすごい勢いで正座をしてシュンとなる。
「ってかさ、週刊誌の中身をちゃんと最後まで見て確認しようよ」
「「「「はい」」」」
「僕が、姉貴の事を秘密にしてたのも悪かったけど、人には知られたくない秘密の
一つや二つ絶対にあるの!! ということで、今から4人には今まで言ってこなかった
秘密を暴露してもらいましょ〜」
「いぇ〜い♪♪」
「「「「えぇ〜!!」」」」
僕の提案によっすぃーは、手を叩いて喜んでいる。対照的に4人は、ものすごく焦っていた。
「何か文句あんの?」
「「「「い、いえ」」」」
僕の少しキレた言い方に4人は、見事にハモった。少し笑ってしまいそうになったが、
ここで、笑ってはこの面白い事がなくなりそうだったので、必死に顔を真面目な顔に戻した。
- 273 :−『金曜日』−:2007/03/02(金) 23:33
-
「さて…最初は、誰から??」
皆さん、今から面白い事が起きそうです。
「先輩、どういうことやよ〜!!」
「愛ちゃん、みんなと一緒におちょきんしねま!!」
5人に増えました・・・。
- 274 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/02(金) 23:36
-
タイトル入れ忘れた・・・orz
今日は、ここまでですw 『秘密暴露』編は、明日までのお楽しみってことで・・・
>>248
た、確かに…誰が主役なんなんでしょう?w
僕も、書いている途中にわけがわからなくなっていましたw
- 275 :名無し娘。:2007/03/02(金) 23:39
- 新キャラ使っていいね
- 276 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:14
-
『……誰?』
「誰って……、自分で呼んでおいてそりゃないでしょ」
『遅いじゃん』
「これでも急いで来たんですけどねえ」
『開けるから、早く上がってきてよ』
「はいはい」
こんな夜中に急に呼び出してこれだもんなあ。
半分呆れながら部屋の前、インターフォンを鳴らして数秒でドアが開けられた。
「よかった」
「なに?」
「さ、上がって。早く。で、見て」
「なに? なにを? え?」
訳の解らないままに通された部屋の中は電気が消されているらしく、閉ざされたドアのそばでは真っ暗といってもいい状態だった。
闇に慣れていない目を凝らしながら藤本さんの気配へ声を掛ける。
「電気、つけないの? 全然見えないんだけど」
「だから呼んだんだよ」
妙に意味深にとれるセリフ。
新手のドッキリかと疑いたくなる、ささやくような声音。
なんとなく話を逸らしたくて話題を探した。
- 277 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:15
-
「暖房もいれてない? あんなに寒がりなのに」
「あの……ね」
からかいを滲ませても返ってくる声は弱く細い。
いつもにもまして鼻にかかった声が甘く聞こえるのは気のせいだろうか。
「……ほしいの」
「え?」
「つけて」
「えっと……ごめん、よく聞こえなかったんだけど」
いつもの強さの十分の一にも満たない声。
いつもの藤本さんからは聞いたことのない種類の声。
「だからぁ……してほしいの」
やはりよく聞き取れない。
けれど妙に胸をざわつかせる求めるような声にドキッとさせられてしまう。
「ね? お願いだから、さ」
乞うようにささやく声は驚くほど近く耳元で響き、同時になにか恐れるみたいにそっと僕の手を包み込むやわらかな感覚。
手を握られたんだと気がついたとき、もう一度耳元で声が誘う。
「早く……」
「ふ、ふじもと、さん……?」
「美貴だって、怖いんだよ?」
そんなこと……言われても、仲間だし……普通の環境じゃあないし。
自覚できるほどに早くなっている鼓動に逆らって、僕はなんとか思考を取り纏めようと努めた。
- 278 :『暗闇に感謝を』:2007/03/03(土) 18:16
-
「早くつけてって言ってんじゃん!!」
堪えきれなくなったのか急にキレた藤本さんがいつもの声音を取り戻した。
よくよく聞いてみればエアコンをつけ、電源を入れたパソコンを放置したままでシャワーを浴びて。
ドライヤーを使いながらコタツでDVDを観ていたら急に真っ暗になったそうだ。
しばらく自分で四苦八苦した挙げ句、比較的近くに住む僕を呼びつけたらしい。
「ブレーカー落ちたんでしょ」
「どこだかワカンナイし」
お互いに気まずさを隠したやりとりの後、ブレーカーを探しに動き出した僕は、互いの顔もハッキリ見えない暗闇に感謝した。
きっと僕は灯りの下では隠しようもないほど顔を赤くしているだろうから。
しばらくして取り戻した灯りの下で藤本さんは消え去った暗闇を惜しんだ。
「笑うなっ!」
「だって――、プッ、その格好はいくらなんでも……」
「うるさいっ! もう……」
そそくさと服を脱ぎだした藤本さんは、よほど寒かったのかありったけの服を着込んでいたようで。
日頃のほっそりした面影も感じさせないほど着ぶくれして、まるで出来の悪い雪だるまのようになっていたから。
- 279 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/03(土) 18:18
-
藤本さんの声はたまらんものがあるのです。
- 280 :名無し娘。:2007/03/04(日) 17:40
- 私は考えた。
「私だと可愛すぎるから、先輩が照れちゃうんだ」
私はウサギの着ぐるみを買った。
これを着れば普通のウサギさんだから先輩も可愛がってくれるだろう。
私はウサギの着ぐるみを着て先輩を待った。
先輩が来ると飛びついた。
「だれ?」
私は可愛いウサギだよ。遊んでね。
と書いてある紙を見せた。
「じゃあ、遊ぼうか」
ニコニコしている先輩と遊んだ。
「さゆか絵里でしょ」
「なんで分かったんですか」
「こんなの事やるの他にそういないからね」
「さゆ、なんで着ぐるみ着てるの」
「先輩が可愛がってくれると思って」
「そんな事しなくてもしてあげるよ」
「先輩」
先輩は優しく抱いてくれた。
- 281 :名無し娘。:2007/03/04(日) 19:59
- キグルミよりカワイイよさゆ
- 282 :『充電』:2007/03/04(日) 20:20
-
スケジュールの確認も兼ねて事務所に顔を出した。
たまたま通りかかった部屋の前、ふと聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
軽くノックをして耳を澄ますけれど返事はない。
しばらく考えて、そっと扉を開いて室内へ身体をすべり込ませた。
「やっぱり。いるんなら返事くらいしろー」
「せんぱい」
おや? って、違和感。
声に張りがない。らしくない。
「元気ないね、田中さん」
「せんぱいが“れいな”って呼んでくれたら元気んなります」
「またそーゆーこと言う」
「愛ちゃんや小春ちゃんたちは名前じゃないですか。やけんれいなも」
時々するやりとり。
でもいつもの元気はない。
どうやら本当にお疲れのようだ。
「なんとなく、馴染んじゃってるんだよね」
そういっていつものように笑ってみせる。
田中さんはよほど疲れているのか、両足を投げ出してソファーに座ったままで、それでも不満げな顔をしてみせる。
- 283 :『充電』:2007/03/04(日) 20:22
-
「なら別のお願いきいてくれたら元気になります」
「なんだろ? 言ってみて」
あまりに力のない声にほだされてしまう自分に苦笑い。
田中さんがヒョイと腕を上げてぼそりとなにか呟いて、聞き取れなかった僕はその手に呼ばれたように近づく。
「ごめん、聞こえなかった」
「ぎゅってしてください」
「え?」
子供みたいに両手を差し出して「ぎゅっ」って短い言葉を繰り返す。
困った僕が黙っていると、田中さんがもう一度。
「ぎゅぅ〜、してくれよらんですか?」
見上げてくる目が僕の中の抗おうとする心を打ち負かしていく。
「ああ、もう……はい」
「ん……」
子供みたいに甘えてくる田中さんを“ぎゅっ”てしながら、背中に廻された手の強さに気がつく。
これ、ぎゅってされてるのは僕の方なんじゃないだろうか、って考えたけど。
日向で眠る猫みたいに満足げな田中さんの吐息が耳に入り込んできて……まあどっちでもいいやと笑った。
- 284 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/04(日) 20:24
-
先輩は充電器。
- 285 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:29
-
こんな天気に。
- 286 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:30
-
「きゃっ!」
二月とは思えないような生ぬるい風が雨粒を踊らせている。
そんな中で聞こえた悲鳴にどこか聞き覚えがあるなあ、なんて場にそぐわない感想を抱いた。
少し前を歩く人が風で煽られてのものらしい。
確かに時折勢いを増して吹きつける風は相当な強さで。
ともすればふらつきかねないほどのものだった。
どうやら前を歩く子は折りたたみの傘らしく、風の強さに辟易しているようだった。
そんなとき、正面から強い風が来る。
傘を傾けて風を避けた僕の耳に同じ声が聞こえた。
さっきよりも切羽詰まった声に少しだけ傘を上げて覗き込むと、さっきまでとは形を変えた折りたたみ傘が転がってくる。
ギリギリで拾い上げた薄いピンクのそれは華奢な作りでデザイン重視のものらしい。
- 287 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:31
-
「これじゃあダメだよね」
呟いてあげた視線の先に見覚えある姿。
僅かな間をおいて二人の声が重なった。
「せんぱい!?」
「道重さん?」
先に我に返ったのは僕で、小走りに近づいて自分の傘を道重さんの上にもかざした。
拾い上げた傘を手渡すと嬉しそうな顔で受け取った道重さんが悲しげに言った。
「ありがとうございます。あ〜ぁ……お気に入りだったのにキズついちゃった」
「この風じゃ仕方な――っ、仕方ないよね」
言ってるそばから吹きつける風に会話すら邪魔される。
道重さんも乱れた髪を抑えつけながら眉根を寄せていた。
「仕方ないですよね」
「うん、……? 傘、しまっちゃうの?」
「仕方ないんですよ」
要領を得ない。
僕の傘の下で自分の傘を折りたたんでいる道重さんは悲しそうに言いながら嬉しそうに笑う。
- 288 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:32
- その様子を見ている僕を、そしてその上で風と雨を避けてくれている傘を見上げて言った。
「仕方ないですよね。傘、入れてください♪」
ああ、なるほど。
確かに僕の手にしている傘は実用性に富んでいて、これくらいの風でも雨風をしのげるくらいの大きさと丈夫さがある。
と、まぁもとよりそう誘おうかと思ってもいたことだし、笑って道重さんに同意することにした。
自分の傘を手に、ほんわかと笑う道重さんはするりと腕を絡ませてくる。
「ち、ちょっと……それはどうなのかな」
「へーきですよぉ、こんな天気だし。それにピッタリ寄らないとさゆみ濡れちゃいますよ?」
「……はいはい」
えらくまっとうな理由で言い含められた僕は納得せざるを得ない。
……まぁ仕方ないか。そんな感じだった。
右手で傘を持ち、左手を道重さんに奪われて歩く僕は、右肩を黒く染めていく雨を恨めしげに見つめて。
それでも並んで歩く道重さんが濡れずに済んで、そしてなにより楽しそうにしているから。
「まぁいっか」
黒い瞳で問いかけるように見上げる道重さんに笑いかけ、僕はそう口にしたとおりの気分だった。
- 289 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:37
-
風が強くてどーもこーも……。
あ、シチュエーションとか誰がいいとか、なにかキーワードとか。
ありましたらくださーい。
今週末までで手持ちが尽きる予定なので(^^;)
- 290 :名無し娘。:2007/03/06(火) 00:09
- >>289
いつも乙です
参考になるかどうか分かりませんがせっかくなので一つ書かせて頂きます
なっちで、キーワードは「髪型」
切るかどうか悩んでいるらしく、この間のラジオの公開収録で集まったファンに票決取ったらしいですw
僕も含めなちヲタはショート派が圧倒的多数のようですがw
- 291 :名無し娘。:2007/03/06(火) 01:57
- なちヲタイタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
- 292 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 19:52
-
>>290
ありがとーございます。
うけたまわり♪
ちょうどあげようとしてたネタで安倍さんのがあるのです。
その続きとして考えさせていたたきますー。
まずはそっちを。
- 293 :『限定』:2007/03/06(火) 19:54
-
「んん……」
吐息のような声に窓の外へ向けていた視線を戻した。
少し苦しそうに見える寝顔は額に玉のような汗が浮かんでいた。
僕はいつの間にかずれ落ちてしまっていたタオルを拾い、水にひたしてしっかりと絞る。
乱れている前髪を梳き分けて、そっと濡れタオルをのせた。
ピクンと眉が寄せられ長い睫毛が微かに揺らいだ。
一度、二度と瞬いた目がゆっくりと開かれて、しっとりと潤んだ瞳が僕を捉えた。
「あれ……?」
熱のせいか、それとも汗をかいたからか、少しだけ掠れている声が痛々しい。
「起こしちゃいましたね。すいません」
「……えっと」
「あっ、お母さんにここへ通されて……、どうしようかとも思ったんですけど、うろつくわけにもいかなくて」
多少言い訳がましかったけれど事実だから仕方がない。
けれど安倍さんはそんな言葉なんて聞こえてないようで、とろんとした眼差しで僕を見ている。
「安倍さん? 大丈夫ですか?」
「……そっかぁ」
「え?」
- 294 :『限定』:2007/03/06(火) 19:55
-
問い返す僕を見たままで、安倍さんがくすりと弱々しく微笑んだ。
「なぁんでもない。なんで? わざわざ来てくれたんだ」
笑みの理由は明かされず、少し普段の安倍さんに近い笑顔で話を逸らされた。
「ええ、たまたま帰りに事務所に寄ったら熱出して休んでるって聞いたんで」
「ごめんねえ、心配かけちゃったかあ」
「来たいから来ただけですから、それより具合はどうですか?」
「久しぶりに顔が見れたんでちょっと元気になったかな」
「冗談でも嬉しいです。熱はどうですか?」
「ん〜……計ってない」
「ダメですよ。ちゃんと計ってみないと。ちゃんとここに用意されてるじゃないですか」
「だってえ……」
「計りなさいっ」
「はぁーい」
言い聞かすように僕が言葉を強めると、安倍さんはワガママを叱られた子供みたいに眉尻を下げた。
少しだけくちびるがとがっていたのはご愛敬だと思っておこう。
- 295 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「食欲はないですか? お粥くらいでよければ作りますけど」
「あれ、うちのお母さん……」
「薬とか、買い物に出かけたらしいんですよ」
「そっか」
「だから僕でよければ」
「嬉しいけど……。ごめん、あんま食欲ないかな」
「そうですか。少しでも食べた方がいいんですけどね……。じゃあなにか飲み物持ってきますか?」
「あ、うん。お願いします」
妙にかしこまった言い様の安倍さんへ笑いかけてから部屋を出た。
冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターをグラスに注ぎ、目についたレモンを数滴だけ落として安倍さんの部屋へ戻る。
手渡されたグラスを、落とさないように両手で持って飲む安倍さんは、僕よりも年上だなんて思えない感じがする。
こ……いや、妹を看病するならこんな感じかなって、そんな気さえするくらいだった。
「……はぁ。ありがと」
「いえいえ。他になにかないですか?」
「ん、へーき」
そう言った安倍さんはまたくすりと微笑んだ。
「いっつもそうだったけどさあ……今日は特別優しいねえ」
「今日だけですよ」
「えー?」
照れくささをからかいでごまかした僕へ不平を訴える声が返される。
「今日だけ。安倍さんにだけ。限定の優しさなんです」
「……ありがと」
ささやくようなお礼を言った安倍さんの顔が朱いのは熱のせいにしておこう。
- 296 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「やっぱり少しだけ食べたいかな」
話題を変えるように安倍さんがささやく。
「すぐにお持ちします」と仰々しく立ち上がった僕の背中へ安倍さんの声が届く。
「さっき目が覚めたときね」
振り返ろうとしかけた僕は、その声のトーンからそうしない方がいいと感じた。
「一瞬昔に戻ったのかって思っちゃった」
安倍さんも振り返ることを望んではいないみたいに言葉を続ける。
少しだけセンチメンタルなのも熱のせいなのかな。
そんなことを考えながらも別のことを口にした。
「今も、昔も、僕にとって安倍さんという存在の大切さは変わりませんから」
振り返っていたら口にできそうにもない台詞。
こんなことを言えるのも今日限定……ということにしておこう。
- 297 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 20:00
-
>>291
わたしもわたしもw
さて、考えるぞー。
日付が変わるまでにいけるかな…?
- 298 :名無し娘。:2007/03/06(火) 20:02
- 新メンバーの光井さんとなかなか話せない
手なづけようとイワシをちらつかせてみた
・・・なぜか泣かれてしまった
まったく女の子というのはわからない
- 299 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:29
- イワシw
ちょっと懐かしい感じがいいね
- 300 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:54
- イワシが生魚だったのがいけなかったようだ
さすがに光井さんをアシカ扱いしては泣かれるのも当然だ
というわけで、焼いてみた。
光井さんは魚を綺麗に食べることがわかった。
だが、距離が縮まった気がしないのはどういうわけだ?
- 301 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:07
-
久々のオフにも関わらず、早い時間に鳴り響く目覚まし。
被った布団から腕だけ出して、アラームを止めたところで思いだした。
大急ぎで、それでもそうと悟られないだけの身支度はして家を出た。
目的のマンションの前で車を停めて、時計へ目を落とすと、まさにちょうどいい頃合い。
途中で買った缶コーヒーをあけながら、ハンドルへ身体を預けてマンションのエントランスを見つめていた。
待つこと十数分、待ち人来たる。
助手席側の窓を開け、エントランスから姿を現した人影に声を掛ける。
芝居がかった声を作って。
「そこのおねーさん、乗ってかない?」
声をかけられた人影は、さっと周囲を見回して、それが自分にかけられた声だと確認してから僕へ視線を向けた。
深く被った帽子越しでも、その表情が胡乱な人間に向けられるものであるだろうと解る。
クスリと笑って身体を乗り出すと、驚いた仕草をみせて安倍さんが近づいてきた。
僕は車を降り、助手席のドアを開いて仰々しく口を開く。
「お迎えに参りました」
「なっ……え〜? なんでさ」
「僕、今日休みなんですよ。だから病み上がりの安倍さんの運転手です」
「なぁんで……そんなの悪いよぉ」
「言うと思いました。だから言わないで来ちゃいました」
そう笑ってみせる僕へ、安倍さんはお姉さんのように「しょーがない子だねえ」とため息をつく。
少し身体をずらせ助手席へ手招くと、安倍さんは困ったように笑いながら口を開いた。
「今度のお休みは自分のために使うんだよ?」
まるで弟に言い聞かすように話すけれどその表情は優しい。
僕は安倍さんがちゃんと座ったのを見届けて、そっとドアを閉めると運転席へと戻った。
- 302 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:08
-
「自分の気持ちに正直に休みを使おうとしたらこうなったんですけどね」
車を走らせながらそう話す。
前へ固定した視界の隅で、“やれやれ”って仕草をする安倍さんは、それでもどこか嬉しそうだった。
順調に車を走らせて、ふと通りかかったラジオ局の前で、思いだしたように安倍さんが話し出す。
「この前さ、公開収録やったのね」
「あぁ、ラジオのですね。知ってますよ」
「知っててくれたんだ? 嬉しいな。あ、それでね、ファンのみんなに色々訊いたの」
「っていうと?」
「ほらこれ」
その言葉で視線を向けると、自分の髪の一房をヒョイと持ち上げた安倍さんがいた。
「髪? 伸びましたよね、結構」
「そうなのっ。髪、せっかく伸ばしたんだけどさ、もう春だし、切ってみようかな……なんてね」
「それを、訊いたんですか?」
「そう。みんなショートがいいって言うの。なぁんか安倍さんビックリしちゃったよぉ」
少しはしゃぐように話す安倍さんの声。
どこか懐かしく思いだす。
「なにー? なんかおかしい?」
どうやら自然と笑顔になっていたらしい。
少し拗ねたような可愛らしい安倍さん声が僕を現実へ引き戻す。
「いえ、すいません。思いだしてました」
「うん?」
「初めて安倍さんと会ったときのこと。あのときはまだショートだったんですよね」
「あぁー、まだゆーちゃんも娘。だった頃だもんねえ。あの頃のキミは可愛かったなぁ」
「なんかヤな言い様ですね」
「ふふっ、今は可愛くないっしょ? だってカッコイイから」
からかうように笑う安倍さんへ憮然とした顔を作ってみせる。
- 303 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:12
-
「好きに言っててください」
「やーん、ホントだよ?」
「なら僕も言わせてもらいますけど」
「な、なにをさ」
少し低めに出た僕の声に、驚いたような、焦ったような安倍さんの声が返ってくる。
一拍ためて、元の、努めて平静を装ったトーンで「すごく好きだったんです」、と呟いた。
「え?」
「娘。に入る前から、年上だけど可愛い人だなって」
「えー? またぁ。お姉さんをからかったら怒るよ」
「本当ですよ? こっちまで幸せにしてくれるような笑顔も、今みたいに長くなかった髪も」
「そ、……そう?」
「嘘じゃないですよ」
「そっかぁ……」
どこかビックリしたように聞き返す安倍さんへ、心からの言葉でそう言った。
それっきり安倍さんは静かになってしまい、僕も運転に集中していた。
そうこうしているうちに取材があるという現場へ到着して、安倍さんを降ろして運転席へ戻って。
車の横で立っている安倍さんに一声かけようと窓を開けた。
「安倍さん。じゃあ――」
「あのね……」
「え?」
僕が言い切るよりも早く重なった安倍さんの声。
「髪、切ろっかな」
そう呟くように言い残して安倍さんの背中が建物へ消えていく。
その去り際の言葉が、そしてはにかむような笑みが、とても印象強く心に焼きついていた。
- 304 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 22:17
-
こんなんなりました。
……いまひとつかなあ。
そして気がついた。
お題いただいても、ストックも載せてりゃ変わらないよママンw
ってことで、引き続きお題募集中でーす(^^;)
- 305 :名無し娘。:2007/03/07(水) 01:22
- 早速の採用&なっちネタ二連発ごちそうさまでした。
引き続きお題募集中ということで、ベタですがミキティで胸ネタなんてどうでしょう?
昨日のドキみきで胸イジりネタを読んでたのでw
- 306 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
-
出番がなく空いた時間、目の前で行われている収録を見ながら笑いを堪えきれずにいた。
まるで差し込まれる効果音みたいな笑い声をあげている間に、スタッフさん数人でセットの半分が移動していく。
「はい、オッケーです」
収録の終わりを告げる声と同時に、移動したセットから駆け下りてくる亀井さん。
フリフリのお嬢さまコスでロングのスカートをなびかせて、なんの躊躇いも遠慮もなく勢いそのままに飛びつかれた。
「せんぱぁい、絵里よかったです? よかったですかぁ?」
強く胸から抱きついてきた亀井さんが甘えた声で訊いてくる。
けれど僕はそれどころじゃなくて。
意識してのことではなく押し当てられる形になっているふくらみのやわらかさにドキリとさせられていた。
「あぁっ……う、うん、よかった。とても。だからちょっとだけ離れない?」
「やーですよぅ」
「やーじゃなく、ホント、ちょっとだけ、ね?」
「もおー、しょーがないなぁ。せんぱいにお願いされちゃ」
ぶつぶつと、だけど満面の笑みで少しだけ――本当に少しだけ――離れてくれた亀井さん。
なんとか体裁を繕って先輩らしく収録の出来を誉めてあげた。
- 307 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
- 締まりがないけど愛らしい笑顔で、照れながらも嬉しそうな亀井さんを黒い影が突き飛ばした。
「ドーンッ」
楽しげな声で発せられた擬態語と共に目の前へ。
押し退けられた亀井さんへ目をやったその間に、ゴスロリな藤本さんに抱きつかれていた。
「美貴は? 美貴は?」
収録そのままうえうえなテンションで、なかなか見られない末っ子甘えたな藤本さん。
上目遣いで見つめられながら鼻にかかった声で甘えられるとどうにも弱かった。
「やっ、もちろん藤本さんもよかったと思う……よ」
亀井さんのように抱きついていた藤本さん、だけど……なんだろう、ちょっとした違和感。
微妙に口籠った言葉と曖昧な思考が表情に出たんだろうか、藤本さんが“ん?”って顔で見つめてくる。
「なんだろ、抱きつかれたときに……」
つい。
ついポロリと零れてしまった言葉。
返ってきたのは過剰な反応だった。
「くっ、比べんなよっ! どーせ亀ちゃんよりないよ!」
「あっ、いや、そうじゃ――」
「藤本さんヒドイですー」
- 308 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:53
-
言いかけた釈明を立ち直った亀井さんの言葉が遮る。
僕がなにかを言うよりも先にキャンキャンとやりあう二人。
お互いが一方的に捲し立てあう言葉の中に「ちょっと大きいからって」などとい言葉が紛れていた。
あっという間に外野へ廻された僕は、ほうと一つため息をついて仲裁へ入る覚悟を決めた。
まずは亀井さんへ「後でゆっくり話そうね」と、そうささやきかけると少しふにゃりとした笑顔になってくれて。
その間に藤本さんを引っ張ってスタジオの隅へ。
「なんだよっ、亀ちゃんと行けばいーじゃん」
「そうじゃなくってさ。さっき抱きつかれたときね」
「だからどーせ――」
「いや、その……」
さすがに大きな声では言いづらくて、耳元へ口を寄せてささやく。
「ちょっと大きくなった?」
「バッ――バカッ」
僕を突き飛ばしてスタジオを出て行ってしまった藤本さん。
その去り際の表情が少しだけ嬉しそうだったのは気のせい、かな?
- 309 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/07(水) 22:00
-
>>305
書いてみました……けど、なんかダメな気がしますorz
ラジオ聴いて書けばもうちょっと……いや、言い訳です(^^;
また何かありましたらぜひ。
- 310 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:22
- なんか凄いなこれw
- 311 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:40
- ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!
ベタな感想ですけど、いいなぁ「僕」w
>また何かありましたらぜひ。
う〜ん、じゃあ梨華ちゃんでどうでしょう?
セクシーな姿満載のライブDVDとアロハロ!が発売されたのでそのあたりを絡めて。
僕ばっかりリク?するのもなんなんで、他の住人の皆さんもお題提供してあげてください。
- 312 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:31
-
ハロモニの収録も一段落し、一度戻ってきた僕個人の楽屋。
なんだけど……
「誰か入った……んだろうねえ」
思わず独り言のように口に出していた。
ここを出たときにはなかったものがテーブルの上に。
「DVDプレイヤー……だよね」
また呟く。
テーブルの上には見慣れないポータブルDVDプレイヤーが置かれている。
その横にパッケージが二つ。
「なるほど、そういえば発売したんだっけね」
どちらのパッケージも、素敵な笑顔を浮かべた石川さんがいる。
まぁ時間もあることだし、そう思ってなんとなく再生ボタンを押してみた。
ステージの上で三好さんや岡田さんと肩を並べて歌い踊る石川さん。
なんとなくだけど少し歌が上手くなったような気さえする。
「なんだろ、この曲いいなあ。石川さんの声にも合ってるし……、――?」
画面に注いでいた視線を彷徨わせる。
- 313 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:32
-
「気のせい、だよね」
誰にともなくこぼした言葉が虚しく響く。
ヒョイと肩をすくめて画面へ目を戻した。
画面の中では美勇伝の三好さんと岡田さん、そして石川さんが艶めかしくすらある衣装でパフォーマンスを続けている。
三人の中でも、やっぱり付き合いも長く仲もいい石川さんへ目がいってしまうのは仕方がないことだろう。
「石川さんか……やっぱり綺麗だよなあ」
追いかけるカメラの先で、しなやかな身体を躍動させている姿は誰が見てもそう思わされるんじゃないかと思える。
つい呟いてしまったそのとき、さっき感じたのと同じ違和感を感じた。
反射的に振り返って、そしてまた部屋を見回してみるけれど、誰がいるわけでもない楽屋の中。
「アロハロ、観てみよっかな」
そう口にしてDVDを入れ替える。
南の島の明るい日差しの中を、健康的な姿態で様々なスポットへ足を運ぶ石川さん。
こちらもやはり魅力的で、見入って……魅入ってかもしれないくらいに惹きつけられるものではある、けれど。
「やっぱ石川さんってばセクシーだよね」
声に出して呟く。
間違いない。確信できた。
- 314 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:33
-
「こんな可愛くて素敵な娘とあれだけ身近にいられたなんて……」
自分でもよくこんなことが口にできるなと首を捻るような台詞。
「あっ、ビキニじゃん……これすっごいエロいなあ」
意図的に声を大きくして、まるでアダルトビデオでも観ているかのような感想。
そろそろいい加減にしてもらえないかと思いはじめる。
「……今度デートにでも誘ってみようかな」
背中でガタンとロッカーが揺れた。
「ね。石川さん?」
振り向いて話しかけたロッカーが小さく揺れて、そしてDVDがBGMになるおかしな空気。
バタンと音を立てて開いたロッカーから、高々と響く声。
「ハッピー……ぃ?」
広げた腕がゆっくりと下りていくのと同時に尻つぼみに小さくなっていく声。
隠れていたことがバレた気まずさを、彼女なりに精一杯誤魔化そうとしたんだろうことは解る。
- 315 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:34
-
「わかるけどね。それはないなぁ」
「っ……、でもっ、……DVD、観たじゃん」
落ち込んで、立ち直って、気を取り直して強気に出て。
やけになったように口にした言葉は、めずらしく痛いところをついていた。
「み、観た、けどさ」
「その……さっきの、ホント?」
少し俯いて上目遣いで、ささやくように問いかける石川さん。
改めてそう聞き返されると、口にした言葉がリアルに感じられる。
「ホント、だったら?」
「あの……もしそうだったら、ちょっと嬉しい、かな」
「あっ――」
そう言って恥ずかしそうに頬を染めた石川さんは楽屋を出て行ってしまった。
一人取り残された楽屋で考える。
さて、“ホント”だったのは“どれ”なんだろう?
- 316 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/08(木) 21:43
-
さて、書いてはみました。
デキが怪しいのは気にしちゃダメです。
もうすぐ二週間、いつまで続くかなぁ…。
>>310
どう凄いのかが自分では解らないという
>>311
詳しい内容に触れていないのはそういうことですw
でも思い出して注文しちゃったりして
- 317 :名無し娘。:2007/03/08(木) 21:47
- 風船をたくさんもらってきて空を飛ぼうとする話を書いてくださいなのれす
- 318 :名無し娘。:2007/03/09(金) 01:24
- またまた採用ありがとうございます。
すみません、お題もう思いつきませんw
- 319 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:48
-
収録終わりのスタジオで、なにやら見慣れない物体を目にした。
いや、正しくは何度か目にしたことはあるけれど、それがそんな状態にあるのはなかなか見たことがない、という意味で。
ジッとその様子を見ていると、そこから出ている足が見たことのあるジャージ姿であることに気がついた。
「つっじちゃん」
大きな物体がくるりと回った。
色とりどりの色彩を押し退けて、ひょっこりと顔を見せた辻ちゃんがニッと笑った。
「おー、お疲れさまー」
「お疲れさま。どうしたの? それ」
「あっ――、もうっ! ……スタッフさんが要らないっていうから。もらってきちゃった」
話しだしたところで、押し退けたハズのものがふわふわと顔を隠して。
視界を塞がれた辻ちゃんは、もう一度それを押し退けてから話を続けた。
ふわーりふわりと舞うそれは辻ちゃんの顔よりも大きく膨らんだ風船たち。
パッと見ていくつとは数えきれないくらいにたくさんの。
「そんなにもらってどうすんの」
- 320 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:49
-
辻ちゃんの上半身を丸々隠してしまえるくらいの風船を手にした姿に苦笑い。
そんな僕から風船たちへ、視線を移した辻ちゃんが見せた笑顔はどこか懐かしいものだった。
少しずつ大人びた表情を見せるようになってきた辻ちゃんとは違う、娘。で一緒だった頃の辻ちゃんのような。
「飛べないかな」
「え?」
「こんだけあったら飛べないかな」
いくらなんでもそれは無理ってもんだよ。
そう言ってしまおうかと口を開きかけたけれど、辻ちゃんの表情が僕の言葉を止める。
無垢な子供のような笑顔。
そんなに無邪気な顔で笑われちゃ、僕の口から出せる言葉なんて決まってしまったようなものだった。
「飛べるかもね」
僕がそんなことを言うだなんて思っていなかったと、辻ちゃんの表情がそう教えてくれた。
風船を見つめて、それから僕へと視線を戻した表情からは、さっき感じた懐かしさが消えていて。
今の辻ちゃんらしい少女から大人の女性へ移り変わる、そんな不確かで曖昧な笑顔。
- 321 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:50
-
「飛べねーよ」
吐き出された言葉はからかうように挑発的な口の悪さで。
それが解る僕は同じ色で塗り込めた言葉を返す。
「解んないよ? それ、腰にでも結んで思いっきりジャンプしてみれば」
「なんだよそれー」
そう笑う辻ちゃんは、そんなわけないと解っていながら僕の言葉を実行している。
たくさんの風船で包まれた辻ちゃんがグッとしゃがみ込んで、そして跳んだ。
「これ飛んでるなんて言わないじゃん」
数秒後、そう洩らした辻ちゃんは僕に腰を抱えられて笑っていた。
僕も笑顔になって「ならこれならどう?」、と一度降ろした辻ちゃんを肩車して、セットをバラしてるスタッフさんたちの間を走り回った。
昔よりも肩に乗った感じ方は違うけれど、それでも少し懐かしく、とても楽しく、子供みたいにはしゃぎまわった時間だった。
- 322 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/09(金) 21:56
-
>>317
ののたんにささげる319から321
こんなん出ましたけど
>>318
ご協力感謝なのれす
またのご利用お待ち致しております。
……このペースで書いててもいいものだろうか?
邪魔っぼくない?
- 323 :名無し娘。:2007/03/09(金) 22:03
- 新メンバーの光井さんとの距離が縮まらない
今日楽屋でポッキーを開けたらメンバーに少しずつ持っていかれた。
光井さんは、と思って見てみるとどうやら小春が気を利かせたらしい。
光井さんはポッキーを食べるときに
まずチョコレート部分だけ削ぎとるように食べることがわかった。
親近感が沸いたが光井さんとの距離は相変わらずのままだ。
- 324 :317:2007/03/10(土) 00:03
- >>322
どうもありがとうございました。
なんだか楽しい気持ちになりました。
- 325 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:26
-
卒業までの時間も少なくなってきたある日、ちょっとした偶然から二人は食事の席を共にすることになった。
少し先輩であることを意識しない彼女と、少し後輩なことを自覚している彼は、どちらも微妙に寄り添い同期にも近い関係を築いてきた。
そんな二人が二人きりでいる場にあれば、それは必然そんな話題で盛り上がる。
同じグループ内では、以前として未成年者の多い現状も手伝って、限られたメンバー同士ではアルコールが入ることもあった。
話が弾めば杯も重ねられていき、どちらも酔いに任せた言動が少しずつ増え始めた頃。
「やっばいね……そろそろやめとく?」
「あっ? まだまだいけるっしょ。もう一杯いこ」
「んー……でも、正体無くすほど酔って帰るのは――」
「わかったよ! ならあんたんちで飲もう」
「はっ? あ〜……、まぁ、それなら」
- 326 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:27
-
こうして二人は食事の場を後にし、後輩の家で飲み直すことにした。
コンビニで買い込んだビールやチューハイも半ばまで飲み干し、つまみもあらかた食べ散らかした頃、先に落ちていったのは先輩の方だった。
うとうとと船をこぎ出した先輩に気がついた後輩は、やれやれと身を乗り出して揺れる肩へ手を伸ばす。
「よっすぃー。おーい、リーダー。んなとこで寝なさんなよ」
「……んー」
「風邪ひくって。おーい?」
「んんー……」
「ダメだなこりゃ。……ったく、僕より強いハズなのに、めずらしいな」
後輩は呟きながら立ち上がり、ふらつく先輩と自身の身体を支えながらベッドまで運ぶことにした。
苦労して辿り着いたベッドルームで脚を踏ん張りながら、そっと先輩を寝かせようと傾けた上体が引きずられた。
「うぁっ!?」
バランスを崩した身体はベッドへ倒れ込み、折り重なった身体は稀にみる至近距離に。
後輩を引きずり倒した腕は彼の首に廻されて、ガッチリと二人の距離を固めていた。
- 327 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:28
-
「よ、よっすぃ……」
「んー……」
息がかかるほどの距離で呼びかけるけれど、返ってくるのは甘い吐息だけ。
恋人たちが睦言を交わすようなその距離と、過剰に身体を満たした酒気は、常の二人にあらざる空気を作り出していた。
艶のある薄いくちびるが微かに動き、低く掠れた声で後輩の名を呼んだ。
「よっす、ぃ……?」
それは甘美な呼びかけで、酒気を帯びた理性を崩すのには充分な魅力を秘めていた。
呼びかけられた後輩が僅かに身体を寄せて二人の距離が限りなくゼロに近づいていく。
静寂
ギシリとなるベッドへ後輩がささやく。
「おやすみ」
閉ざされたドアへ先輩がささやく。
「臆病モン」
残された闇が静寂で唄う。
酒気に包まれて起こした行動と、酒気に包まれてなお壊せなかった一線。
どちらがより臆病なのかと。
- 328 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/10(土) 19:35
-
今までとちょっと違って、『僕』でも『わたし』でもなく書いてみたんですが。
あんま向いてないですかねえ。
>>324
そんな気持ちになってもらいたなら、こちらも喜ばしいことです
- 329 :名無し娘。:2007/03/10(土) 19:39
- 面白いですー>>328
- 330 :『無防備にも程がある』:2007/03/11(日) 09:46
-
「イタッ」
小さな悲鳴めいた声に振り返ると、ステージ衣装で豪快に転んでいる姿が目に入る。
フレアスカートの衣装で俯せに倒れ込んで、その……スカートの中が丸見えになっていた。
転んだショックから立ち直り、慌てて周囲を見遣りながら身体を起こして、乱れたスカートを整えながら動いた視線が僕を捉えた。
黙って見つめ合う時間が何とも気まずい。
「だ、大丈夫、かな?」
「み、見えました?」
なにを、なんて問い返すのはうまくない気がした。
「ハデに転んだよね」
顔を朱らめた亀井さんが諦めたように息をつく。
「せんぱいなら見られても……いっかな、なぁんて」
「いやいやいや、よくないでしょ」
「やっぱ見たんだ! あ〜ん、見られたぁ」
どうみても真似だとはっきり解る泣き真似をして亀井さんが言う。
しまった……。
ツッコんだつもりが、まさか亀井さん相手に墓穴を掘る羽目になるなんて。
小さな動揺を押し殺して、平静をよそおいながら手を差し出す。
「はい、そんなトコで座ってないで」
「えへへ、ありがとぉございます」
嬉しそうに僕の手に掴まった亀井さんを立たせてあげると、ポンポンとスカートに付いた埃を払う仕草。
「あんま転ばないように気をつけてね」
そう言った僕の言葉をどう受け取ったのか、亀井さんは「だいじょーぶですよぅ」と笑って。
くるりと一つ、きれいなターンをしてみせた。
「ちゃんと見えても平気なやつですもん」
回る身体に合わせてフワリと舞うスカートの裾。
やれやれ。
だからって見せるのはどうかと思わない?
- 331 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/11(日) 09:52
-
ハロモニ前に一更新。
久しぶりに一レスにまとめてみた。
短くてもなんとかなりそうな…いや解りませんが。
>>329
悪くはないようですか。
なんとなく、幅が広がりました、自分の中の。
- 332 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:33
-
娘。揃ってダンスレッスンのある日。散々踊らされてへたっていた僕らに与えられた昼食の時間。
なんでもマネージャーさんの話では出前を取ってくれるらしい。
いくつか渡されたメニューの中から各々が選んだ品をマネージャーさんが書きとめていく。
用意されたお弁当なんかとは違って、やはり温かいものが温かいままで食べられるというのは幸せなことで、疲れていたはずのメンバーたちの声も弾んでいた。
待つこと数十分、「お待たせしました」という声と共に運ばれてきた昼食は、メンバーやマネージャーさん、レッスンの先生たちの分まで含めたあるようで相当な大荷物だった。
店員さんとマネージャーさんの手で、運び込まれた品々がそれぞれの元へ手渡されていく。
「あれ? これはどちらです?」
店員さんが掲げた皿に皆の視線が集まる。
けれど誰も名乗りを上げる人はいなくて。
「誰か頼んだ?」
「や、肉が入ってないから違うし」
「同じく」
「知らないですぅ」
「おかしいなぁ……十四品でしたよね」
弱った様子で不思議そうに首を傾げる店員さん。
- 333 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:34
-
「十……、ん? 十四品? 十三人のハズだけど」
「え? ですけどご注文では……」
「誰か二つ頼んだんじゃない?」
「マネージャーさんが間違えたんじゃないの?」
「いや、そこはちゃんとしたんだけど……まぁとりあえず置いていってください」
「あ、よろしいですか? では」
置いていかれた十四人目の料理。
メンバーの十人、マネージャーさんが二人、そして先生、みなが訝しげな顔をしながらも昼食を摂りだした。
わいわいといくつかのグループに分かれてそれぞれの時間を過ごし、そしてなごやかな休憩を終えようとしていた。
「あっ!?」
「なに?」
それに気がついたのは新垣さんだった。
新垣さんのその様子によっすぃーが声を掛けた。
「これ……」
- 334 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
新垣さんが指差した先、そこには件の浮いていた料理がある……ハズだった。
「皿だ」
よっすぃーの言葉は短い。
が、間違いではなく、まさにそれは皿、でしかあり得ない。
そこにあるはずの料理はなく、盛られていたパスタはキレイになくなっていた。
「誰か食った?」
よっすぃーの問いかけに答える者はいなかった。
どこか薄ら寒い表情で皆が空いてしまった皿を見ていた。
「そういえば聞いたことがある」
「なにをですか?」
そう呟いた先生にそばにいた愛佳ちゃんが問い返す。
問い返された先生は震えを抑えるように自身の肩を抱き、小さな声でこう話しだした。
- 335 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
「噂だと思ってたんだけど……“出る”って」
「出るって……?」
そう訊いたのは小春ちゃんだった。
続く言葉はきっと小春ちゃんにも解っているんだろう、表情がそう物語っていた。
「プロになれなかったダンサーでね……」
そう先生が切り出した話は、ダンスも生業の一つである僕らには身につまされる話だった。
プロとして華やかなライトの下で踊ることを夢見ていた彼女は、幾度もオーディションを受けては落ち、そのたびに自身に過度な練習を課していたそうだ。
バイトで得た収入のほとんどをレッスン料やスタジオのレンタル料に廻し、それでも足りず公園などでも練習に励んでいた。
それはどこかしら狂気にも似た思いだったのかもしれない。
いつからか金銭的にも、時間的にも踊ることが全てになっていった彼女は周囲に心配されるほどに痩せ細っていき、それでも踊ることをやめずにいたらしい。
そして限界は不意に訪れた。
彼女は一人、休憩時間にも踊っていた、その最中に倒れ、そのまま意識が戻ることはなかったそうだ。
- 336 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:37
-
「立て替えられはしたけれど、このスタジオがそうだったって。
そしてそれ以来、いつからか彼女がこのスタジオに現れて――」
「ヤだァー!!」
誰かが叫んだ。
途端にパニックは伝染し、次々と恐慌状態に陥るメンバーたち。
亀井さんと新垣さんは互いにすがるように抱き合い、田中さんは眼を閉じ耳を塞いでいた。
立ち上がり部屋から出ようとした道重さんは、ガチャガチャとノブを動かし、「開かない」と叫ぶ声は涙声になっている。
混乱のまっただ中にある部屋で気丈なリーダーがドアへ駆け寄った。
「どいて!」
ノブにすがりついていた道重さんを脇に押し退けてノブに手を掛けようとしたよっすぃーが弾けたように倒れた。
それを見た愛佳ちゃんが悲鳴を上げ、混乱は極みに達し、僕はそれらを目にしながら身動きもできずにいた。
恐慌を煽るように唐突に爆ぜたドア。
そこから姿を現したものは……
- 337 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:39
-
「なんでドア押さえてんだよっ!!」
十数分後。
ことの真相は、たまたま寄った辻ちゃんが、いつの間にかデリバリーの注文に紛れ込んでいて。
ちょっと飲み物を買いに行っている間に注文が届き、置いてあった自身の注文を平らげ、お手洗いに行っている間にこうなった。
そして戻ってきた辻ちゃんがドアに手を掛けたタイミングで、混乱した道重さんが引くべきドアを押そうとした。
それをイタズラだと思った辻ちゃんが、ドアに体当たりをしてよっすぃーが倒れ、跳ね返ったドアがまた閉じる。
それにキレたのは辻ちゃんが柄の悪い怒声と共に飛び込んできたと、そういうことだった。
それぞれがそれぞれでいたとはいえ……。
あまりに自然に紛れ込んだとはいえ……。
居ないハズの辻ちゃんに誰も気がつかないなんて……。
後に残ったのは、目を真っ赤にしたメンバーたちと鼻にティッシュを詰めたよっすぃーと。
そしていまだ半べそ状態の愛ちゃんと小春ちゃんにすがりつかれて動けずにいる僕だった。
- 338 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/12(月) 19:40
-
時期外れの怪談でした(違)
- 339 :ののじぃ ◆NONOJisxz2 :2007/03/12(月) 23:26
- 面白いなぁ
, ' ~ミ
, ''^⌒∞リ
── =≡ノノ人ヾヽ =
── =≡从 `D´) <なんでドア押さえてんだよっ!!゙ッ ノノハヽ
─ =≡○_ ⊂)_=_ \ 从/-=≡ ( ;゚∀゚)
── =≡ > __ ノ ))< > -= ── =≡ =≡ 彡〉 つ
─ =≡ ( / ≡ /VV\-=≡ ── =≡ =≡⊂ 、 ノ
── .=≡( ノ =≡ -= ── =≡ =≡ し
- 340 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:45
-
目の前には、5人の正座した女の子。
「はぁ〜、愛ちゃんも加わっちゃったか」
「ごめんなさいやよ」
「さて、誰から暴露する?」
みんな、キョロキョロとお互いの顔を見合わせている。
「あのさ、最初の方が楽だと思うよ。ハードル今なら低いし」
この僕の言葉にみんなが反応して一斉に手が挙がる。
「じゃあ、最初は・・・さゆから!!」
「はい。 ・・・あの、その、この前ダンスレッスンの時先輩のTシャツ無断で借りたまま、
まだ返してません!! ごめんなさい!!」
「はぁ!? あれ、さゆだったの? ボク、てっきりミキティだと思ってた」
「ちょっと、勝手に美貴のせいにしないでよ」
「あぁ、ごめんごめん」
この前のダンスレッスンのとき、僕が一枚余分に持ってきていたTシャツが、
なくなるという事件が起きて、見つからないまま僕は諦めて帰宅したという事件があった。
「あの、私あの時着替えのシャツ忘れちゃって、その時目についたのが先輩のシャツで・・・
帰るときに言おうと思ったんですけど、言いだせなくて・・・」
「はぁ〜・・・わかった。今度シャツ持ってきてね」
「はい!!」
「よし、さゆ合格!!」
僕は、道重さんを立ち上がらせる。
- 341 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:45
-
「さて、次は?」
残り4人・・・
「はいはいはいはい!!」
ミキティが、何回も「はい」を連呼する。
「じゃあ〜・・・愛ちゃん」
ミキティが、その場に崩れた。ナイスリアクション!!
「あの・・・私、先輩に内緒にしてたことがあって・・・」
「なに?」
「この前、先輩の楽屋にお邪魔したんですけど、その時先輩お昼寝してて・・・
その・・・先輩可愛くて・・・先輩に無断で写メとりました!!」
「・・・マジでか!?」
「ごめんなさい!!」
「その写メ見せて」
愛ちゃんは、携帯を取り出すと僕に画面を向けた。そこには、僕が気持ちよさそうに
眠っている画像だった。
僕の顔の温度が上がるのがわかる。
「これさ、もしかして誰かに送ったとかないよね??」
「え!? あの、その・・・」
「誰に送ったのかな??」
「あの美貴ちゃんに・・・」
僕は、すぐにミキティの方を向く。
「ミキティは、それ誰かに送ったりした?」
「え? ま、まさか〜そ、そんなわけないじゃん!!」
「(この反応は誰かに送ったな・・・)誰に送ったの!!」
「亜弥ちゃんに・・・」
「はぁ〜・・・もう、駄目だ・・・これは、絶対全員に送られてる・・・」
僕が、この室内に居る全員を見渡すと全員が苦笑いしていた。
やっぱり・・・
「ん〜・・・もう過ぎちゃったことは仕方ない・・・けど、今度から勝手に人の寝顔は撮らないこと
わかった??」
「はい。わかりました」
「よし、愛ちゃん合格!!」
- 342 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:46
-
残り三人・・・
「次はぁ〜・・・」
「はいはいはいは〜〜い!!」
「はいはいはい!!」
目の前には、田中さんととミキティがものすごい勢いで手を上げている。
「じゃあ・・・絵里!!」
選ばれなかった二人が、前のめりに倒れた。これ、どっかで見たことある気がするなぁ・・・
「え〜っと、この前先輩のシャツにキスマークついてたじゃないですかぁ?」
「ま、まさか・・・あれ、絵里だったのか!!」
この前のハロモニの収録が終わったあと、女の子用の楽屋に遊びに行くと
田中さんから、「先輩、シャツにキスマークついとー!!」と言われ、シャツを見てみると
はっきりと背中のところに唇の形で、キスマークがついていて皆から笑われた。あの時の、
恥ずかしさは今まで生きてきた中で、三本の指に入るぐらい。
「ハロプロちゃんねるの収録の時に、廊下で先輩に後ろから抱きついたじゃないですかぁ?」
あの時、僕が廊下を歩いていると、ものすごい勢いで、エリザベスキャメイの格好をした
亀井さんが後ろから抱きついてきたのを僕は覚えていた。
「あの時か〜!!」
「はい。えへへ〜ごめんなちゃい」
「ったく・・・あの時どんだけ恥ずかしい思いをしたと・・・絵里、当分後ろから抱き着いてくるの
禁止ね!!」
「えぇ〜そんなぁ〜絵里の楽しみがぁ〜」
「わかった??」
「はぁ〜い・・・」
アヒル口をしてつまらなそうな顔になった亀井さんを立たせた。
- 343 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:46
-
「さて、残るは二人か・・・」
「はいはいはぁ〜い!!」「はいはいは〜い!!」
もうミキティなんか、指されないのが面白いのか笑いすぎて少し涙目になっていた。
これは・・・僕のキー坊スイッチが入った。
「じゃあ、れいなぁ」
僕の言葉にミキティは、もう笑うしかないみたいだ。
「も〜!! 美貴当ててよ〜!!」
「いや、なんか当ててはいけないって天の声が聞こえた。じゃあ、れいなどうぞ」
文句を言っているミキティを無視して田中さんの方を向いた。
「あの・・・この前のハロプロのコンサートのとき・・・先輩のシャワーしとるところ
覗いちゃいました!!」
「・・・はぁぁぁあ!!??」
田中さんの突然のびっくり発言に全員が目を見開いた。さすがに、これは暴露しすぎだろ。
「あ、あの、ワザとじゃないとよ。コンサートが、終わって先輩の部屋に遊びに行ったら
ちょうど先輩ドア開けてシャワー浴びとって・・・」
「ま、まじですか・・・」
僕の問いかけに田中さんは、顔を真っ赤にして小さくうなづいた。
「最初は、声かけようと思っとったんやけど・・・先輩が、歌ってた曲『シャボン玉』やったけん…
その歌ずっと聴いときたかったと・・・」
「あのさ・・・もしかして、ばっちり全身見た?」
「・・・」
田中さんは、顔を今さっき以上に真っ赤にして僕に顔を合わせないようにして小さくうなづいた。
僕は、顔の温度が急上昇するのがわかった。まさか、田中さんに見られていると思って
いなかったし、こんな事ないって思ってたから。
「ふぅ〜・・・そっか・・・」
「ごめんなさい・・・」
田中さんは、小さな小さな声で僕にそう呟いた。
「いや、れいなは悪くないよ。僕が、人が来るわけないって思ってドアを開けたままシャワー
してたのが悪いんだし。けど、今度からは人の部屋に入るときは、ノックなり声を
かけるなりしてから部屋に入るように・・・わかった??」
「・・・はい」
- 344 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:47
-
「よし。じゃあ、最後となりましたミキティ。れいな以上の暴露おねがいね」
「え〜っと・・・う〜んっと・・・ハロプロちゃんねるの衣装は美貴が・・・」
「いや、ミキティが選んでるのファンのみんな知ってるし・・・」
「え〜っと、え〜っと・・・」
必死に考え込んでいるミキティ。僕は、あることを思い出してミキティにニヤリと笑った。
「な、なに?」
「ミキティと僕の始めての出会い聞きたい人〜」
「「「「「はぁ〜い」」」」」
ミキティを除く5人が、手を上げて賛成した。
「ちょ、ちょっとそれはダメだって・・・」
「何か文句でも??」
僕は、無表情でミキティを睨みつける。
「い、いえ、文句なんてありません」
「ミキティね、最初僕と会ったとき緊張しすぎてさ・・・」
僕の話にみんなが耳を傾ける。顔を真っ赤にさせた一名を除いて。
ミキティと僕との出会いは、また別のお話しの時に・・・
- 345 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 04:48
-
まさか、こんなに長くなるとは・・・読む人大変だ・・・
- 346 :名無し娘。:2007/03/13(火) 08:50
- あのときは高橋さんいなかったけど、あれはいい番組だった
- 347 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:42
-
「せんぱいせんぱいせんぱぁーい!」
大きな声で駆け寄ってきたのは、なにやら大きめの紙袋を手にした亀井さん。
なんだかやけに嬉しそうにバタバタと近づいてくる。
「どーしたの? なんか嬉しそうだけど」
「はぁ。……んふふふ♪ せんぱい? ちょっとついてきてくださぁい」
妙なテンションのままで堪えきれないという風に笑う亀井さん。
僕は「時間が」ないと言いかけるけれど、「すぐに済みますよぅ」と笑う亀井さんに引っ張られていた。
連れ込まれたのは僕が元いた自身の楽屋で、後ろ手にドアを閉めた亀井さんが「見てください」と袋を置いた。
「な、なに?」
僕の問いかけなんて無視で、引っ張り出されたそれは体重計。
疑問符だらけの僕へ亀井さんの指先が体重計の表示部分を指差す。
「ちゃんとゼロになってるの、確認してくださいね。嘘なんかつかないんですから」
「……はい」
亀井さんの仰るとおり、確かにそれはゼロを示していて。
だからといってどうなのかという疑問の答えにはなっていないわけで。
- 348 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:43
-
「のりますよぉ、見ててくださぁい」
「あ、はあ」
慎重に右足から、そっとそっとのった体重計は……
「……キロだね」
「どうですか」
少し恥ずかしそうだけど勝ち誇った亀井さんの顔が“あれ?”って表情に変わる。
まあ僕があれ? って表情をしているからなんだろうけど。
「せんぱい?」
「え? はい?」
「どーですかっ?」
「っと、なにが、だろう?」
「せんぱいヒドイ! 覚えてないんですか?」
「え? ごめん、なんだっけ?」
「約束したのに……」
悲しそうに俯いてみせる亀井さん。
やばい、本気で思い出せないんだけど……約束? なんだっけ?
思い出そうと努力はするけれど、何一つそれらしい約束なんて浮かんでこない。
というよりも、約束なんてしただろうかってレベルだった。
「ごめん、ホントに。覚えてないんだ。教えてくれない?」
「約束したじゃないですか! デートしてくれるってえ」
「デート? 僕が?」
「他に誰がいるんですかっ」
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