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【小説】チープなドラマ感覚で【みたいな】
- 551 :『ゲーム』:2006/12/07(木) 20:25
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まさかとは思うものの、恐る恐る鼻先に手を伸ばしてみると、掌に感じる微かな息遣い。
一つ安堵の息をはいて揺り起こそうと試みた。
揺すっても叩いても、全く返ってこないリアクションに、先程から湧き上がっていた疑念を確かめる事にした。
コートの裾を少々捲り上げ、ゆったりとしたパンツの上に手を伸ばした。
予想は的中したようだった。
その感触は男の尻とは比べものにならない柔らかな弾力を伝えてきた。
ついついモゾモゾと動きそうになる手に、グッと自制して一つ溜息をついた。
はてさて、どうしたものかと考える。
男だったら蹴っ飛ばしてでも起こしてやれば、後は放置で構わなかろうものだった。
が、女を蹴り飛ばせるタイプではないと自覚していた。
少し考えて、仕方がないと溜息を一つ。
俯せの両脇に手を突っ込み、今起きてはくれるなよと祈りながらグッと力を込めた。
何とか自身の体に寄り掛からせてバランスを取ると、極めて小さくなった相互の距離に鼻腔をくすぐる甘い匂いが刺激的だった。
邪念を振り払おうと小さく首を振り一息に身体を捻って、驚くほど華奢な身体を背負った。
家まで残り数分だったハズの距離が長く、短く感じた不可思議な冬の夜だった。
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