■掲示板に戻る■
全部
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
最新50
レス数が950を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜
394 :
とある夢見男1号
:2004/03/09(火) 00:39
>>390
の続きです。
その日は、藤本さんと帰りが一緒になった。
でも、2人の間に流れる空気が、いつも通りの明るさの中にも、どこかぎこちない。
「ソロか・・・」
その時、不意に藤本さんがぽつりと呟いた。
「・・・正直、羨ましいな」
そう言うと、藤本さんは、どこか自嘲気味にふふっと笑う。遠くで、パァンと車のクラクションが鳴った。
「ご・・・」
ごめん。僕は、喉まで出かかったその言葉をかろうじて飲み込む。
すると、そんな僕の様子を察したのか、藤本さんが今度は意地悪な笑顔を浮かべて僕の顔を覗き込んだ。
「・・・今、『ごめん』って言おうとしたでしょ?」
「え・・・いや、あの・・・」
見事に図星な藤本さんの指摘に、僕は返す言葉もなく慌てふためく。
「あのね、そりゃ確かに羨ましいけど・・・『ごめん』なんて言ったら殴るよ、ほんと」
そう言って、藤本さんは、ちょっぴり怖い顔をしながら、握りこぶしをポコポコと僕の肩に当てていた。
「分かったって。もう怖いから、その顔やめて」
そんなふうに僕がふざけると、藤本さんの顔にどこか安心したような笑みが広がる。
「あ、やっといつもに戻った。ちょっと気使ってたでしょ? 何かヤだったんだよね」
「・・・ごめん」
「あーっ、『ごめん』って言ったーーっ。殴ろ」
「こら、待て! 今のは違うだろ!」
慌てて藤本さんの手から逃げようとする僕。でも、伸びてきた藤本さんの手は、僕の頬を優しく包み込んだ。
「言っとくけど・・・ミキ、みんなのこと結構好きなんだから」
両手で僕の顔を自分の方へ向けると、藤本さんはじっと僕を見上げる。
「・・・もちろん、あんたのこともね」
ぺち。両手で軽く僕の頬を挟むと、藤本さんはニコッと笑って目を細めた。
「じゃあね。また、明日」
いつもと違う帰り道、いつもと同じ別れ道。藤本さんは、静かに微笑んで手をぶんぶんと振っていた。
500KB
続きを読む
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50
名前:
E-mail
(省略可)
:
0ch BBS 2006-02-27