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じゅきに あんkn@狩板
- 1 :今イ`:2002/09/03 13:58:23
- 笑え。
本家スレ「じゅきに あんkn」
http://natto.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1030964092/l50
- 301 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:09
-
「石黒さん!」
「こっち」
「どこですか?」
「こっちよ」
声は下の方から聞こえてくる。
兎に角、声がした方に夢中で走り出した。
息が続かない。吐きそうだ。もう何度転げ落ちただろう。
右足を捻挫してしまった。手のひらには幾つも小石が刺さっている。
助けて、助けて 助けて
「助けて!」
何かが、あたしの横をものすごい勢いで通っていった。
銃弾だ。
分かった瞬間、右手で木の幹を掴んだまま崩れ落ちてしまった。
もうもう立てない。気が遠くなりそうだ。
でも、でも後もう一歩だけ…
- 302 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:09
-
踏出した足が滑り、あたしは坂を転げ落ちた。
「いったぁ〜」
頭を思いっきり地面に打ち付けられた。口の中に血の味が広がった。
「安倍さん、こっちです。早く」
紺野だった。
あたしは道に飛び出していた。
「紺野」
「早くトラックに乗ってください」
紺野の指差す先に、仙台から乗ってきたトラックがあった。
後ちょっとだ。あたしは残る力を振り絞ってトラックに走りよった。
- 303 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:09
-
トラックには、あの部屋から逃げてきた女の人が何人も乗っていた。
その中に小川もいる。
「上がって」
りんねさんが手を差し伸べてきた。
「ありがとう…」
一瞬、戸惑ったけど、りんねさんの手を握り荷台に上がった。
あたしの後にも、何人かがトラックに乗ってきた。
山の中では銃声がまだ聞こえる。
圭織はまだ山の中なんだろうか?
荷台から顔を出すと、石黒さんの姿が見えた。山に向かって機関銃を乱射している。
その奥に、同じように銃を撃っている紺野の姿があった。
いつの間に銃なんか使えるようになったんだろうか?
結構様になっている。
- 304 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:10
-
まだ、圭織が山から下りてこない。石黒さんも山の中に消えていった。
銃声は随分疎らになっている。みんなどんどん死んでいっているんだ。
圭織が死んじゃっている可能性もある。
「きゃ!」
突然、トラックの幌に穴が開いた。
近くにいるんだ。りんねさんがトラックを飛び降りると、りんねさんも山の中に消えていった。
どうしよう。誰もいなくなっっちゃった。
「紺野!紺野!こっち!こっちでトラック守ってよ!」
「あっ、はい」
紺野が走ってくる。
紺野なんかじゃ頼りにならないけど、銃を持った人が誰もいないよりはましだ。
- 305 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:10
-
「ねえ、早く逃げようよ」
トラックの中では、そんな無責任な声も上がり始めた。
「ちょっと待っててよ」
「待てないよ。あんた達がこんなことしなければ、こんな危ない目にあうことはなったのに」
「何無責任なこといっているのよ」
みんな身勝手だけど、あたしだってそうしたいんだけど、そんなことしたら、
後で、石黒さんに殺される気がしていたし、さすがにあたしもみんなを置いて逃げたくはなかった。
- 306 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:11
-
雑木林の中から、突然石黒さんが現れた。
紺野が驚いて、石黒さんを撃ちそうになった。
やっぱり、役立たずなんだから。
そのちょっと後に、圭織が現れた。
「圭織!早く」
圭織の後ろを銃弾が追っかけてくる。
圭織は走りながら後ろに向けて、矢に雲に銃を乱射したけど、そんなものが当たるわけも無く
銃弾がなくなったのか、機関銃を投げてしまった。
- 307 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:11
-
「飯田さん、早く」
紺野が圭織のほうに走っていく。
林から男が二人飛び出してきた。
銃撃戦が始まった。あたしはトラックの奥に逃げ込んだ。
後ろの幌に穴が開く。何してんのよ!
車のエンジンがかかった。石黒さんだろうか?
「早く車を出して!」
あたしの声は運転席には届いていないのだろうか?
車は動き出さない。
突然、幌が開いて圭織が乗り込んできた。
「りんねは?」
「知らない。山の中に入ったままじゃないの?」
「ねぇ、りんね…OK」
圭織が運転席の後ろの窓を開けると、りんねさんの声が聞こえてきた。
後は紺野だけだった。
- 308 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:11
-
圭織が開ける幌の隙間から、紺野の姿が見える。
紺野はまだ、銃を撃ちながら、こちらに近づいてくるところだった。
「紺野早く!」
圭織はトラックの奥に置いてある機関銃を1丁取り上げると、勢い良くトラックから飛び出した。
裸に羽織った男物のジャケットが棚引いていた。
あのジャケットは、圭織が撃ち殺した死体から剥ぎ取ったものなんだろうか?
銃声が止んだ。
圭織は生きているんだろうか?
ちょっとだけ心配になって、後ろの幌を開けようとした時、圭織が紺野を連れて戻ってきた。
「あやっぺ、出して」
「OK!」
圭織の声で、トラックが動き出した。
助かった…
助かったんだ。
一気に力が抜けてしまった。
- 309 :名無し娘。:2004/03/22(月) 23:12
-
「安倍さん」
紺野が毛布を渡してくれた。
「ありがとう」
トラックが揺れている。
相変わらず揺れが激しくて、座っているとお尻が痛くなりそうだった。
でも、そんなことはなんでもなかった。
トラックの中には、毛布に包まった裸の女性達が、気が抜けたかのように眠っていた。
あたしも、少し寝よう。
次に目を覚ます時は、きっと目が眩むほどの陽射しが迎えてくれるだろう。
明るい光が、きっと。
- 310 :名無し娘。:2004/03/25(木) 20:39
- 玉砕放送 ←これは意図があっての表記?
誤字なら訂正しておかないと、馬鹿扱いされかねないよ
- 311 :名無し娘。:2004/03/25(木) 21:39
- すみません。間違いです。玉音放送です。
キーボード打つ手が震えている・・・勘弁してください
- 312 :名無し娘。:2004/03/25(木) 23:57
- >311
作者さんですか?
その程度の打ち間違えは誰にでもあることです
気にしてませんよ
あれだけ作りこんだ設定がどう動いていくか楽しみにしてるんです
気を落とさずに頑張ってください
- 313 :名無し娘。:2004/04/03(土) 20:14
- 飼育の緑で同名の話を発見しましたが、同じ作者さんですか?
向こうははじまったばかりだけどなかなか面白そう。
- 314 :名無し娘。:2004/04/22(木) 23:27
- すみません、まったく書けていないです…
書いては全消去の繰り返しをしています。
突然小学生三年生の作文レベルになってしまいました _| ̄|○
- 315 :名無し娘。:2004/04/22(木) 23:30
- 小学生三年生 ←これは意図があってのことではありません。
小学生三年生ですから…
- 316 :名無し娘。:2004/04/23(金) 06:35
- 納得いくまでがんがれー
- 317 :名無し娘。 :2004/05/25(火) 22:32
- そろそろ保
- 318 :名無し娘。 :2004/05/27(木) 23:31
- 田
- 319 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 09:36
- 登
- 320 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 22:59
- 場
- 321 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:02
-
「どう?」
今日10回目の台詞が、あたしに投げかけられた。
「どうって?」
「すごいでしょ」
「ん〜」
「なによ〜、すごいじゃない。見てみなさいよ、30階建てだよ」
保田の圭ちゃんが、自分のことを自慢するみたいに、自信満々で、成田の街並みを自慢して回っている。
- 322 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:04
-
目の前にそびえる迎賓ホテルは首が痛くなるほど高くて、すごいとは思うんだけど、
いい加減、圭ちゃんの自慢話にはうんざりしていた。
「でもね…」
ほら、また…
「西じゃあもっと高いビルが、いっぱい建ってるんだ。このぐらいの高さは当たり前なんだよね」
そりゃあ、買出しに出たときは、まっすぐ道を歩いてなかったっさ。
上とか横とかきょろきょろしてばかりいたさ。札幌も仙台も見てきたけど、こんなに人の多いのは
初めてだし、始めて見るよな物ばかりで、何を見てもびっくりしていて、圭ちゃんに「早く歩いてよ」と急かされてばかりいたさ。
でも、買出しを終えるころには、流石に初めほどは驚かなくなった。
それは圭ちゃんが悪いわけじゃないんだけど…まあ、ちょっとしつこいけど…
このコンクリートだらけの街に、少し疲れたのかもしれない。
地面という地面は、全部アスファルトに多い尽くされているし、圭ちゃんに「今日、お祭りなの?」と聞くほど、
人がいっぱい過ぎて、ちょっと気分も悪くなってもいた。
それに、成田に来てから初めての外出だったし、2週間じゃあ完全に回復なんかしてないし…。
小川なんか、顔の右半分が麻痺したままだったし、一緒に逃げ出した人達もまだ4,5人が、
圭ちゃんの家というか倉庫で治療している状態なんだ。
- 323 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:05
-
あそこには、結局1ヶ月以上も監禁されていた。
1ヶ月…
あたしはもっと長く感じられた。
あそこに監禁される前の記憶が無くなってしまった気がするほどインパクトが大きく、
あたしの記憶のほとんどがあの悪夢で占められた状態のままだ。
思い出したくも無い…ていうか、無かったことにしてしまいたい…。
うん、あれは無かったんだ。
小川が人売りに捕まったのを、あたしが助けに行ったというだけのこと。
小川がボケーってしてるから変な連中に捕まっちゃって、あたしが苦労して助けにいくことになっちゃったんだ。
そう言い聞かせてはみるものの、未だになんの前触れも無く体が震え、わけも無く涙があふれだすことも
少なくは無かった。
- 324 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:06
-
「ねえ、昇ってみる?」
「えっ?昇れるの?」
「展望室があるから、そこから成田一帯を見渡せるし、運がよければ富士山だって見られるかもしれないよ」
「富士山かぁ…」
あたしは、ずっと羊蹄山が富士山の事だと思っていた。
周りの大人も、あの山のことを富士山と呼んでいたし、本物の富士山なんて写真とかでしか見たことが無いんだから、
あたしにとっては写真だけの富士山が偽者で、羊蹄山こそが本物の富士山だった。
第一…
「なっち、富士山見たこと無いでしょ」
「そりゃ…だって北海道からじゃ見えないしょ」
「じゃあ、見に行こうよ。日本人なら富士山ぐらい見とかなきゃ」
「えー、圭織たち待ってるし…」
「いいから、ほら」
圭ちゃんは、もうどんどん坂を上り始めていた。
第一…あんな高いところ…
- 325 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:07
-
迎賓ホテルは小高い丘の上に建っていた。
丘というより、尾根の上と言った方がいいのかもしれない。
昔、成田山への参道があった道は、そういった尾根の上にあり、道の両側はすぐ崖になっていた。
坂を上りきると正面に成田の駅が見えてきた。この鉄道は仙台まで繋がっている。
昔は札幌まで繋がっていたという話だけど、あたしが物心付いたころには、既にいくつかに分断され、
利用者も許可を得た役人や軍人、じゃなければ金持ちの商人だけで、あたしみたいな一般人が乗る機会など無かった。
駅前の小さな広場の中央に、ひとみ親王と直樹親王様の銅像が並んでいる。
直樹親王がひとみ親王の右肩に左手を置き、右の手のひらを国民に向けている。
直樹親王がひとみ親王に「さあ、今度はお前がこの地を治めるんだ」といっているんだそうだ。
「あの像は成長するんだよ」
「成長するって?」
「毎年、ひとみの親ちゃんの成長に合わせて、作り変えてるんだよ」
「ふ〜ん」
今、自分はこの人に歯向かおうとしているんだ。
ひとみ親王と直樹親王に…
「いくよ」
あたしは、すこし後ろめたい気持ちで、像の後ろ側を早足で通り抜けた。
- 326 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:08
-
迎賓ホテルは、その広場の一角に建てられていた。
もちろん、泊まっているのはロシア人だけなんだろう。中にはそれらしい外人の姿と、
綺麗に身なりを整えたホテルの男性が立っていた。
この中に入っていってもいいのだろうか?
赤いじゅうたんにと金色に輝く窓枠に吸い込まれるように歩いていると、圭ちゃんに服を掴まれた。
「ちょっと、あんたどこに行くのよ」
「えっ?どこって入り口…」
「馬鹿。あんなところから入ったら、逮捕されちゃうよ」
「あっ、そっか…そっかそっか」
当たり前だ。同じ入り口から入れるわけ無い。
駅にだって入り口が2つあるんだから、迎賓ホテルの入り口がひとつなわけない。
あたしは圭ちゃんに引っ張られながら、ホテルの横の素っ気ない入り口へと向かった。
- 327 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:14
-
「あっちに見えるのが空港で、あれが国会議事堂…」
圭ちゃんがまた、この展望室から見える建物をひとつずつ得意げに説明を始めた。
展望室といっても、最上階じゃない。30階建ての20階で、その上に親王様が滞在される時に使う部屋とか、
すんごくえらい人達泊まる部屋があるんだそうだ。
あたしは別に高いところが恐いわけじゃないんだけど、こういった人工物は別だった。
室蘭にいたころは高い木のてっぺんまで登ったり、足を滑らしたら絶対生きていられないような崖の細道でも
全然平気なんだけど、誰がどんな風に作ったかわからない建物の窓際なんか、おっかなくって近寄れない。
ガラスにへばりつくように下を除いている圭ちゃんを見ているだけで、気が遠くになりそうだった。
あたしは一歩も二歩も下がって窓の外を眺めていた。
- 328 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:15
-
窓の向こうには成田の街並みが広がっている。
色とりどりな…とまでは行かないけど、札幌や仙台に比べると遥かに綺麗で、清潔な街並みが地平線の彼方まで広がっている。
左奥には、成田空港の管制塔が、ビルの上からちょこんと顔を出していた。
メイン通りは幅が50メートルもあって、両側には銀杏並木が続いていた。
銀杏は戦後に植えられたものだけど、今では1000円札にも印刷されるほどに立派で威厳があった。
並木道は空港を始点にし、成田山の横を通って松戸へ続いている。松戸まで辿り着くと
道はその向きを大きく変え、皇居のある岩井市まで続いているんだそうだ。
- 329 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:16
-
あたしたちの足元に狭い道が見える。ホテルの前の小さな道だ。
あの大通りに比べると、随分弱々しい感じのするくねくねと曲がっている。
それをずっと辿っていくと、そこに圭ちゃんが指差していた国会議事堂があった。
そして、その横には議事堂と同じぐらいの規模を持つ神田明神が建っていた。
戦後まで、そこには成田山新勝寺があった場所だ。寛空僧正が将門様の乱を収めるために建てたお寺。
謂わば朝廷の霊的本拠地であり、将門様にとっては敵の本拠地だったところなのに…。
「ねえ、なんであそこにでっかい神社があるか知ってる?」
「ん〜やっぱ将門様と縁の深いこの国に、憎き朝廷の本拠地があるのがいやだったからじゃないの?」
「うん、まあそれもそうなんだけど」
「ほら、西にあった神田明神が原爆で吹き飛んじゃったし、向こうでいつまで経っても建て直さなかったから」
「う〜ん、神田明神は西で建て直すって計画があったんだけど、先にこっちで建てちゃったからね」
- 330 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:17
-
「でも、何でそんなにまでして、あそこに建てたんだろうね」
「そうねえ…ねえ、成田ってさ、首都としてはあまりいい場所じゃないって知ってる?」
「ちょっと圭ちゃん!まずいよ、こんなところで」
「大丈夫だよ。ここいらじゃあ、そんなことで逮捕するほど警察も暇じゃないからね。ほら、あそこ」
そういって指差す先に、崩れかけた古いビルがあった。
5階建のビルは1/3ぐらい壁が崩れ、部屋の中をさらけ出していた。
「あそこは官僚の高級マンションがあったところだよ」
「国賊…」
「国賊ね…。あたしらも似たようなもんだけどね。で、あっち」
そのビルのずっと奥にも、同じように半壊しているビルがあった。
「あっちは、その"国賊"っていう連中のアジトだったってところ」
「報復されたんだね」
「力じゃこの国は変わらないよ。力はもっと大きな力に押し返されるだけなのにね」
- 331 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:18
-
「…で、なんだっけ?」
「なにいってんの。成田が首都に…」
「あっそうそう、成田ね…。えっと、なっちさぁ風水って聞いたことある?ほら、東北の方角は鬼門…縁起が悪いとかさ」
「うん、聞いたことある」
「その風水を利用して作られた都市っていうのが、京都とか平安京とか江戸なんかもそうなんだけど、この成田もそれに習って作ろうとしたんだけどね…」
「上手くいかなかったの?」
「うん」
風水は地の利を生かし、要所に神を置くことで結界を張り、霊的に都を守ろうとするものなんだそうだ。
北に高い山を従えて寒い北風を防いで、東に川があり、西に続く大きな道を従え、
南に平地が広がる地が風水的に良いと言われる場所なんだけど、成田はそんな地形にはなっていなかった。
だから人工的に神とか将軍とかを祀って結界を張る必要があった。
成田も東に八坂神社、西に宗像神社、北には八幡神社、そして南に諏訪神社があるといわれているんだそうだ。
- 332 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:22
-
「日本には西もこっちも神社なんて沢山あるんだ。どこかを始点に東西南北を辿れば、
何かしらの神社にぶち当たるのよ。
今あげたものは、昔からってわけじゃなくって、直樹親王が謂わばこじつけたようなものだと思うんだ。
でもね、本当に大事なのは東西南北、つまり四方じゃなくて、四隅の方なんだよ」
「四隅って?」
「方位で言えば、北東、北西、南西、南東だよ。都に結界を作る場合、四方に神を祀って四隅に大将軍を祀るの。
成田を中心に考えると、鬼門である北東には鹿島神社、裏鬼門の南西には木更津の八劔八幡神社があるの。
鹿島神社の御祭神の武甕槌命」(たけみかづちのみこと)は、天照大御神の命令によって日本の国を
一つにまとめることに成功した神なの。
で、八劔八幡神社の御祭神は素盞鳴命(すさのおのみこと)や日本武尊(やまとたけるのみこと)なのよ。どう?」
- 333 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:23
-
「どうって?」
「将門が好きそうなキャラでしょ?」
「ん〜そうなのかなぁ」
「そうなの。でも、それだけじゃないのよ。北西には将門の出身地の岩井市があるのよ。
ねっ?そう考えると、これらの中心に位置する成田が敵の本拠地であったわけないじゃない。
あたしが思うに、ここにあったのは平将門の本拠地だったのよ。寛空僧正が護摩を焚いたのは
別の場所で、戦が終わってからこの地を乗っ取って新勝寺を建てと思う方が、自然じゃない?」
「どうして自然なの?」
「敵の本拠地なのよ?将門乱っていうのは、謂わば将門と朝廷の霊的戦争だったのよ。
呪文のかけ合い、式神の飛ばし合いだったのよ。そんな、将門の本拠地に呪いがかかっていないわけ
ないじゃない。だから、将門を討ち取った後に、この地を不動明王で霊的に鎮圧させたとんだと思うの」
- 334 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:23
-
「ん〜なんか頭ごちゃごちゃ。でも、でもさ、もう一箇所…ん〜どっちだっけ?」
「南東?」
「そう、南東には神社とか無いべさ」
「それよ、それ。なぜ南東には神社が無いのか?答えは簡単、そこは海の中だからなのよ」
「なにそれ。馬鹿みたい。だったら、結界が張れないじゃない」
「南東の四隅に当たる箇所って、ちょうど九十九里浜のあの弧の中心点なのよ。
多分、将門もその海の中に何か建てようとしたんだと思うの」
「海の中に?」
「別に建物じゃなくってもいいのよ。何か要となる石造を沈めるだけでも良かったんだと思うの。
でも、将門はそれができなかった。できなかったから、結界は完成しなかったのよ。
知ってる?将門を倒した寛空僧正がどこからやってきたか?」
「お寺からじゃないの?」
「違う、そういう意味じゃなくって…、あ〜もう、いいわ、もうあんたには聞かない。
寛空僧正は海からやってきたのよ。ちゃんと成田までの道があるのに、わざわざ海からやってきたのは、
そこが結界の穴だったからなの」
「じゃあ、今は?今もそこは穴のままなの?」
「そう、だから成田は首都に向いてないのよ」
- 335 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:24
-
「長っ!説明長っ。富士山見えないし、あたしもう帰る」
「なによ〜、人がせっかく教えてあげたのに」
「だって、もう圭ちゃん話長いし、正直…将門様に興味ないし…」
「あっそんなこといってると、逮捕されるんだよ」
「逮捕されないっていったじゃん」
「逮捕されなくっても、将門様の祟りがあるわよ。あたしの家がある野毛平だって、朝廷との戦いで
死んでいった人の髪の毛が、野原のように風に靡いていたから野毛平になったんだから、
将門様の悪口言ってると…でるわよ。」
「大丈夫よ、ゼンゼン恐くないから」
- 336 :名無し娘。 :2004/05/30(日) 23:24
-
本当に恐くなんかなかった。昔なら、そう言われただけでキャーキャー大騒ぎしていたんだろうけど、
あれ以来、そんなことで大騒ぎをする気になれなかった。
一番恐いのは、お化けでもタタリでもなく、人間が一番恐いということを、嫌というほど経験させられたから。
人は必ず闇を抱えているんだ。だから、信じてはダメ。
極限状態になったら、他人なんか関係ない。自分だけなんだ。
人が死のうが助けを求めようが、かまってなんかいられない。
あたしが圭織や石黒さんと一緒にいるのは、彼女達を信じているからじゃない。
利用しているだけ。
誰だってそうだ。利用できるものを利用しているだけだ。
「なっち、帰らないの?」
あたしは学んだんだ。
上手く他人を利用できたものだけが、上手く生きていくことができるということを。
- 337 :名無し娘。:2004/05/31(月) 07:05
- ヒサブリ更新乙
更に闇が深まったか・・
- 338 :名無し娘。 :2004/06/16(水) 18:58
- 完
- 339 :名無し娘。 :2004/06/19(土) 18:31
- 壁
- 340 :名無し娘。:2004/06/20(日) 19:44
- で
- 341 :名無し娘。 :2004/06/26(土) 18:31
- す
- 342 :名無し募集中。。。:2004/06/26(土) 20:27
- ♥
- 343 :名無し娘。 :2004/07/23(金) 18:27
- これ、続き書いていいですか?
- 344 :名無し娘。:2004/07/24(土) 11:04
- 別にいいよ
- 345 :名無し娘。 :2004/08/03(火) 00:14
- ∬`▽´∬<じゃあ、お言葉に甘えて続き書かせてもらうよ
( -_-)<おい!
∬`▽´∬<・・・・・・えっ、何?
( -_-)<そっちかよ!小説の作者に怒られるだろ
∬`▽´∬<えっ、別に・・・平気だよ・・・ だって、あたしがその小説の作者なんだもん
- 346 :名無し娘。:2004/08/03(火) 11:24
- お、そう来ましたか
- 347 :名無し娘。 :2004/08/04(水) 21:02
- ( -_-)<なあ、お前本当に小説の作者なのか?
∬`▽´∬<そうだよ
( -_-)<その割には >>105 で自分の名前間違えてるよな
∬;`◇´∬<・・・・
( -_-)<いや、そのぽかーんと開けた口は真似せんでもいいから
- 348 :あぼーん:あぼーん
- あぼーん
- 349 :名無し娘。:2004/08/06(金) 00:25
- 期待しますぞ
- 350 :名無し娘。:2004/09/20(月) 13:13
- 再開期待保全
- 351 :あぼーん:2004/09/22(水) 22:44
- どっちをだよ!
- 352 :名無し娘。:2004/10/02(土) 00:04
- 深い朝霧の中へと体を沈めていくと、視界は白一色になった。
ぼんやりと見える街路樹もアスファルトも、霧の中でしっとりと濡れている。
自分の足音すら霧の中に吸収されてしまいそうだ。
朝方この場所は霧に包まれる。
小さな小川を底辺に、盆地となっているこの場所を走り抜けるのが最近のお気に入りだ。
- 353 :名無し娘。:2004/10/02(土) 00:04
-
外出禁止令のとけるこの時間に、外を出歩くものなどいない。
軍隊もその勤を終え、宿舎に戻っている時間だ。
まして、軍人でもないのに体を鍛えるために走るなんて滑稽でしかなかった。
今、走っているあたしでさえ、数ヶ月前まで考えることすらなかった。
何かに追われているわけでもなく、どこかに急いでいくわけでもなく、
どこにも寄らずに、ただ走ってもとの場所に戻るという発想すらなかった。
初めに圭織から話を聞いたとき、紺野と大笑いした。
でも、それがあちら側にたどり着くのに必要な体力をつけるためなら、
他の人に笑われようとも、毎日続けようと決めたんだ。
- 354 :名無し娘。:2004/10/02(土) 00:05
-
石黒さん達は、別にあたしたちの体力が上がるのをずっと待っているわけではなかった。
西に行くタイミングを待っているだけのことだ。その時がくれば、あたしたちの体力が
有ろうが無かろうが、西に向かっていくんだ。そして、体力が無い者は辿り着く前に死ぬしかないんだ。
霧を抜けた。
後ろから足音が聞こえてきた。
紺野と小川の足音だ。
あたしは振り向くことも無く、前を見て走り続けていく。
- 355 :名無し娘。:2004/10/02(土) 17:29
- 再開?マジなら嬉しいな
- 356 :名無し娘。:2004/10/09(土) 04:33
- 期待しる(・∀・)!!
- 357 :名無し娘。:2004/10/14(木) 17:33
- 小川編はフリだけ?
- 358 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:38
- 「ほら、パスパス」
矢口さんがフェンスの向こうで両手を上に向けて、あたしに催促をしている。
そんな足場の悪い所でぴょんぴょん飛び跳ねてたら、崖下におっこっちゃうのに。
「パスって…」
あたしは両手でしっかりと握り締めた小さな箱を眺めた。
いつだったか、一緒にピクニックに行く時にって、百均で買ったお弁当箱…
「大丈夫だって、ちゃんとキャッチするから」
「そういう問題じゃなくって…」
「大丈夫、爆発しないって」
「だって…本当に爆発しないの?」
「作った本人が言ってるんだから間違いないって」
- 359 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:39
- 潜めていた声が段々声が大きくなっていく。
矢口さんの後ろは急な崖になっている。その崖を5メートルぐらい降りたところに二本の線路がある。
山手線だ。
東京の中心街をぐるっと回っているこの線路の上を、昼間は3分間隔で電車が通っていく。
3分間隔で電車が走ってるのに、どの電車も満員だ。
そこに乗っている人たちは、どの人もなるべく他人と関わらないようにと感情を押し殺し、
自分の自分達の世界に浸っている。
ニコニコしてるだけで「何わらってるんだ?」って殺されてしまうんだから、当たり前なんだけれど、
あたしは何だが電車っていう乗り物を好きになれなかった。
別に和気藹々と見知らぬ同士が仲良くする必要は無いんだけど、あのなんとも気まずい雰囲気が好きになれない。
エレベーターの個室と同じだ。あんな状態でよく乗ってられるよ。
- 360 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:39
-
「ごっつぁん?ごっつぁんごっつぁん!なにボーっとしてんの、早く」
「ん〜」
「時間無いんだから」
「うん、分かってるよ」
夜中に生活する者たちと、昼に生活する者たちが入れ替わろうとするほんの短い時間、この街は静寂を取り戻す。
その時間は季節によっても違うし、日によっても違っている。
雨が降ればその時間は長くなるし、今日みたいな晴れて気温の高い日は短くなる。
この短い時間にさっさと仕事を終わらせないと、誰かに目撃される可能性が高くなる。
「う〜ん、じゃあ渡すよ」
「おいよ」
フェンスの網目に右足をかけてよじ登ると、何とかフェンスの上に手が届いた。
「いくよ」
「う、うん」
手を離すと、弁当箱は矢口さんに向かって落ちていった。
- 361 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:40
-
「うわっ!」
「えっ!」
「やばい!やばいやばいって、ごっつぁん逃げろ」
「えっ!なに?なに?どうしたの!?爆発すんの?」
「やばいって、マジやばいって、早く逃げて」
「そんな、やぐっつぁん置いて逃げれないよ」
「うっそ〜」
そう言うと満足そうに笑い始めた。
まだ心臓がバクバクしている。目尻に涙すら滲んでいた。
「もう!本当に心配したんだから」
「ごめん」
「もう」
「あっ、ホントごめん。マジ悪かった。ごめん」
頬を伝う涙を見て、矢口さんが慌ててる。両手を合わせて…っていってもお弁当箱を
挟んでだけど…何度も頭を下げている。
- 362 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:40
-
「絶対許さないんだから、本当にびっくりしたんだから」
「だから、ごめん。本当ごめん。おいらが悪かった」
「ん〜、帰る」
「あっ、ちょっちょっと待って、待ってよごっちん。ねっねっねっ、ひとりやだ、ひとりぃや。
ごっつぁん帰るなら、おいらも帰るから」
「帰っちゃったら、裕ちゃんに怒られるよ」
「でも、ひとりいやだ、恐い」
もう、半べそ状態だ。泣いてもいないのに目が腫れぼったくなっていて、
目も口も横に一文字になっている。
この状態になると、かなりやばい。
1時間ぐらいそばにいて慰めなていないと、矢口さん歩くこともできなくなってしまうんだ。
- 363 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:41
-
「ん〜じゃあパフェね」
「ほ・・ほんと?パフェね?」
「うん、池袋の金魚鉢パフェね」
「うんうん…えっ?だって…あれ…ごっつぁん甘いものそんなに好きじゃないくせに」
「いいの。食べたいの」
金魚鉢パフェは矢口さんの大好物だった。
パフェを食べている時の矢口さんの顔を見ていると、あたしまで幸せな気分になれるんだ。
「わかった。わかったから、ねっ?ねっ?早く来て」
「しょうがないなー」
フェンスに足をかけてよじ登っていく。
景色はそのたびに変わり、その分遠くまで線路が続く。
その奥っ側線路が暗闇から浮かび始めた。
もうすぐ夜が明ける。
「ごっつぁん、そんなところで止まってると見つかっちゃうって」
「あ〜ごめんごめん」
あたしはフェンスの上から飛び降りた。
- 364 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:41
-
みんな死んじゃえばいいんだ。
何もかもあたしがぶっ壊してやる。
- 365 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:41
-
矢口さんの仕掛けた爆弾は、双眼鏡の先300メートルのところにある。
重装備した警官が2,3人取り囲み、両方の土手の上に楯を持った警官が何人か並んでいる。
通報したのが6時だから、30分足らずでこの体制を組めるようになったのも、
矢口さんのお陰なのかもしれない。
「あ〜なんで柴田は来ないんだよ!村田なんかじゃ話にならんつーの」
矢口さんがだんだん荒れ始めている。
警官が来るまでは、超ハイテンションで楽しそうで鼻歌すら歌っていたのに
今は双眼鏡すらのぞこうとしないで、両足を投げ出して座っているだけだった。
これが上層部の計画なのか、矢口さんの趣味なのかあたしにはわからなかった。
でも、何度も続けているうちにあたしが分かったのは、これもひとつのテロなのかもしれないということだった。
まあ、どちらにしても、毎回矢口さんは楽しんでいることには違いなかった。
なんやかんやいっても、今回だって実は楽しんでいるんだ。
その証拠に、すでにストップウォッチを握り締めて、さっきから頻りにあたしに処理状況を確認している。
- 366 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:42
-
「ねえ、どうなの?村田の馬鹿まだもたもたしてるの?」
「うん、そうみたい」
「あいつは慎重すぎるよ。あれじゃあいつまでたっても柴田には追いつけやしないよ」
そんなことは村田にとって大きなお世話だ。
あっちは同一犯ということだけで、それ以外何もあたしらのことなんか知っちゃいない。
まあ、あたしらも同じようなものかもしれない。相手の名前と爆弾の解除時間しか分かっちゃいない。
でも、その名前と解除時間の長短から、矢口さんは彼女らの性格や趣味なんかを想像して、
双眼鏡の向こうのやり取りを勝手に想像して、勝手に物語を作って、勝手にライバルにしていた。
- 367 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:42
-
「楽しいゲーム」
矢口さんはそういった。
あたしがしているのは?
「あ〜面白かった」
面白いなんて思ったことはなかった。
腕に止まった蚊をたたき殺すのと何も変わらない。
何も変わらないんだ…
「ねえ、まだ解除できないの?もう30分たってるんだよ」
「まだみたい」
「馬鹿じゃないの?ちょっと貸して」
矢口さんが我慢しけれずにあたしの手から双眼鏡を奪った。
- 368 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:43
-
「あ〜もう!横で斉藤が邪魔してるよ。あ〜だめだって代わっちゃ。あいつにあたしの
繊細なボムが解除できるわけないじゃない。あ〜もう村田は…」
斉藤は解除を好まず、爆発させてとっとと終わらすタイプだった。
爆発させるといったって、その場で爆発させるわけじゃない。
処理する専用の車に放り込んで行うんだ。
「あっ、行け!村田!奪い返すんだ。…わっ、ひでー何も殴ること…あっ!だめ!
だめだって!あっやばいってまずいって!」
300メートル先で閃光が走り、その数秒後に爆発音があたしたちを通り過ぎていった。
- 369 :名無し娘。:2004/10/19(火) 23:47
- ( ゚Д゚) ハァ?
- 370 :名無し娘。:2004/10/20(水) 11:47
- (゜凵K)ポカーン
- 371 :名無し娘。:2004/10/20(水) 20:31
- 氏ね
二度とくるな。ここはおまえの落書きをうpする場所じゃねえ
- 372 :名無し娘。:2004/10/20(水) 21:40
- なんで人のスレに無断で書き込んでいるんだ氏ね
- 373 :名無し娘。:2004/10/22(金) 03:23
- なぜよりによってここに・・・
氏にスレなら上の方にいくつもあるのに
- 374 :名無し娘。:2004/10/23(土) 15:40
- んー、これは飼育で落ちちゃった方の続きなのかなとか思ったり
- 375 :名無し娘。:2004/10/25(月) 18:13
- そういえば矢口と後藤が出てたっけ・・・>飼育の方
- 376 :名無し娘。:2004/11/04(木) 02:52
- >>371
言い杉。
前スレと誘導だれか頼む。
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