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じゅきに あんkn@狩板

133 :名無し娘。 :2003/10/04(土) 18:13

広場では、男の罪状を役人が読み上げている。
その横では、短銃を持った男が退屈そうに立っている。いまから人の命を奪おうとする者の顔ではなく、
今晩の秘め事でも想像しているんじゃないのかと思うような、にやけた顔だ。

縛られた男は気絶しているのか、首をうな垂れたまま身動きひとつしていなかった。
読み上げられている罪状は真実なんだろうか?あの男は本当に殺されるようなことをしたんだろうか?
警察や公安が信じるに値しなくなってからもう随分経つ。彼らのご機嫌を損ねることがあれば、
いつだって誰だってあの広場の真ん中で縛り付けられてしまうんだ。
気をつけなくてはいけないのは、なにも彼らだけじゃない。

例えばあたしが適当に理由をつけて小川を警察に告発すれば、簡単に小川はあたしの目の前から消えるんだ。
でも、そんなの人間のやることじゃない。
人として… 人は…

「アイヌ ネノ アン アイヌ」

「えっ?なんですか安倍さん」

長たらしい前置きが終わり、執行人が死刑囚の前に移動した。

「行こ、小川」

あたしは小川の答えを待たずに、人垣の中へと潜り込んでいった。

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