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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜3
- 1 :TACCHI:2006/09/18(月) 03:42
- すいません、前スレ埋めてしまいまして(汗)
今度から、こっちでお願いしますm(_ _)m
- 284 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/04(日) 20:24
-
先輩は充電器。
- 285 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:29
-
こんな天気に。
- 286 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:30
-
「きゃっ!」
二月とは思えないような生ぬるい風が雨粒を踊らせている。
そんな中で聞こえた悲鳴にどこか聞き覚えがあるなあ、なんて場にそぐわない感想を抱いた。
少し前を歩く人が風で煽られてのものらしい。
確かに時折勢いを増して吹きつける風は相当な強さで。
ともすればふらつきかねないほどのものだった。
どうやら前を歩く子は折りたたみの傘らしく、風の強さに辟易しているようだった。
そんなとき、正面から強い風が来る。
傘を傾けて風を避けた僕の耳に同じ声が聞こえた。
さっきよりも切羽詰まった声に少しだけ傘を上げて覗き込むと、さっきまでとは形を変えた折りたたみ傘が転がってくる。
ギリギリで拾い上げた薄いピンクのそれは華奢な作りでデザイン重視のものらしい。
- 287 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:31
-
「これじゃあダメだよね」
呟いてあげた視線の先に見覚えある姿。
僅かな間をおいて二人の声が重なった。
「せんぱい!?」
「道重さん?」
先に我に返ったのは僕で、小走りに近づいて自分の傘を道重さんの上にもかざした。
拾い上げた傘を手渡すと嬉しそうな顔で受け取った道重さんが悲しげに言った。
「ありがとうございます。あ〜ぁ……お気に入りだったのにキズついちゃった」
「この風じゃ仕方な――っ、仕方ないよね」
言ってるそばから吹きつける風に会話すら邪魔される。
道重さんも乱れた髪を抑えつけながら眉根を寄せていた。
「仕方ないですよね」
「うん、……? 傘、しまっちゃうの?」
「仕方ないんですよ」
要領を得ない。
僕の傘の下で自分の傘を折りたたんでいる道重さんは悲しそうに言いながら嬉しそうに笑う。
- 288 :『相合い傘』:2007/03/05(月) 18:32
- その様子を見ている僕を、そしてその上で風と雨を避けてくれている傘を見上げて言った。
「仕方ないですよね。傘、入れてください♪」
ああ、なるほど。
確かに僕の手にしている傘は実用性に富んでいて、これくらいの風でも雨風をしのげるくらいの大きさと丈夫さがある。
と、まぁもとよりそう誘おうかと思ってもいたことだし、笑って道重さんに同意することにした。
自分の傘を手に、ほんわかと笑う道重さんはするりと腕を絡ませてくる。
「ち、ちょっと……それはどうなのかな」
「へーきですよぉ、こんな天気だし。それにピッタリ寄らないとさゆみ濡れちゃいますよ?」
「……はいはい」
えらくまっとうな理由で言い含められた僕は納得せざるを得ない。
……まぁ仕方ないか。そんな感じだった。
右手で傘を持ち、左手を道重さんに奪われて歩く僕は、右肩を黒く染めていく雨を恨めしげに見つめて。
それでも並んで歩く道重さんが濡れずに済んで、そしてなにより楽しそうにしているから。
「まぁいっか」
黒い瞳で問いかけるように見上げる道重さんに笑いかけ、僕はそう口にしたとおりの気分だった。
- 289 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/05(月) 18:37
-
風が強くてどーもこーも……。
あ、シチュエーションとか誰がいいとか、なにかキーワードとか。
ありましたらくださーい。
今週末までで手持ちが尽きる予定なので(^^;)
- 290 :名無し娘。:2007/03/06(火) 00:09
- >>289
いつも乙です
参考になるかどうか分かりませんがせっかくなので一つ書かせて頂きます
なっちで、キーワードは「髪型」
切るかどうか悩んでいるらしく、この間のラジオの公開収録で集まったファンに票決取ったらしいですw
僕も含めなちヲタはショート派が圧倒的多数のようですがw
- 291 :名無し娘。:2007/03/06(火) 01:57
- なちヲタイタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
- 292 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 19:52
-
>>290
ありがとーございます。
うけたまわり♪
ちょうどあげようとしてたネタで安倍さんのがあるのです。
その続きとして考えさせていたたきますー。
まずはそっちを。
- 293 :『限定』:2007/03/06(火) 19:54
-
「んん……」
吐息のような声に窓の外へ向けていた視線を戻した。
少し苦しそうに見える寝顔は額に玉のような汗が浮かんでいた。
僕はいつの間にかずれ落ちてしまっていたタオルを拾い、水にひたしてしっかりと絞る。
乱れている前髪を梳き分けて、そっと濡れタオルをのせた。
ピクンと眉が寄せられ長い睫毛が微かに揺らいだ。
一度、二度と瞬いた目がゆっくりと開かれて、しっとりと潤んだ瞳が僕を捉えた。
「あれ……?」
熱のせいか、それとも汗をかいたからか、少しだけ掠れている声が痛々しい。
「起こしちゃいましたね。すいません」
「……えっと」
「あっ、お母さんにここへ通されて……、どうしようかとも思ったんですけど、うろつくわけにもいかなくて」
多少言い訳がましかったけれど事実だから仕方がない。
けれど安倍さんはそんな言葉なんて聞こえてないようで、とろんとした眼差しで僕を見ている。
「安倍さん? 大丈夫ですか?」
「……そっかぁ」
「え?」
- 294 :『限定』:2007/03/06(火) 19:55
-
問い返す僕を見たままで、安倍さんがくすりと弱々しく微笑んだ。
「なぁんでもない。なんで? わざわざ来てくれたんだ」
笑みの理由は明かされず、少し普段の安倍さんに近い笑顔で話を逸らされた。
「ええ、たまたま帰りに事務所に寄ったら熱出して休んでるって聞いたんで」
「ごめんねえ、心配かけちゃったかあ」
「来たいから来ただけですから、それより具合はどうですか?」
「久しぶりに顔が見れたんでちょっと元気になったかな」
「冗談でも嬉しいです。熱はどうですか?」
「ん〜……計ってない」
「ダメですよ。ちゃんと計ってみないと。ちゃんとここに用意されてるじゃないですか」
「だってえ……」
「計りなさいっ」
「はぁーい」
言い聞かすように僕が言葉を強めると、安倍さんはワガママを叱られた子供みたいに眉尻を下げた。
少しだけくちびるがとがっていたのはご愛敬だと思っておこう。
- 295 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「食欲はないですか? お粥くらいでよければ作りますけど」
「あれ、うちのお母さん……」
「薬とか、買い物に出かけたらしいんですよ」
「そっか」
「だから僕でよければ」
「嬉しいけど……。ごめん、あんま食欲ないかな」
「そうですか。少しでも食べた方がいいんですけどね……。じゃあなにか飲み物持ってきますか?」
「あ、うん。お願いします」
妙にかしこまった言い様の安倍さんへ笑いかけてから部屋を出た。
冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターをグラスに注ぎ、目についたレモンを数滴だけ落として安倍さんの部屋へ戻る。
手渡されたグラスを、落とさないように両手で持って飲む安倍さんは、僕よりも年上だなんて思えない感じがする。
こ……いや、妹を看病するならこんな感じかなって、そんな気さえするくらいだった。
「……はぁ。ありがと」
「いえいえ。他になにかないですか?」
「ん、へーき」
そう言った安倍さんはまたくすりと微笑んだ。
「いっつもそうだったけどさあ……今日は特別優しいねえ」
「今日だけですよ」
「えー?」
照れくささをからかいでごまかした僕へ不平を訴える声が返される。
「今日だけ。安倍さんにだけ。限定の優しさなんです」
「……ありがと」
ささやくようなお礼を言った安倍さんの顔が朱いのは熱のせいにしておこう。
- 296 :『限定』:2007/03/06(火) 19:57
-
「やっぱり少しだけ食べたいかな」
話題を変えるように安倍さんがささやく。
「すぐにお持ちします」と仰々しく立ち上がった僕の背中へ安倍さんの声が届く。
「さっき目が覚めたときね」
振り返ろうとしかけた僕は、その声のトーンからそうしない方がいいと感じた。
「一瞬昔に戻ったのかって思っちゃった」
安倍さんも振り返ることを望んではいないみたいに言葉を続ける。
少しだけセンチメンタルなのも熱のせいなのかな。
そんなことを考えながらも別のことを口にした。
「今も、昔も、僕にとって安倍さんという存在の大切さは変わりませんから」
振り返っていたら口にできそうにもない台詞。
こんなことを言えるのも今日限定……ということにしておこう。
- 297 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 20:00
-
>>291
わたしもわたしもw
さて、考えるぞー。
日付が変わるまでにいけるかな…?
- 298 :名無し娘。:2007/03/06(火) 20:02
- 新メンバーの光井さんとなかなか話せない
手なづけようとイワシをちらつかせてみた
・・・なぜか泣かれてしまった
まったく女の子というのはわからない
- 299 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:29
- イワシw
ちょっと懐かしい感じがいいね
- 300 :名無し娘。:2007/03/06(火) 21:54
- イワシが生魚だったのがいけなかったようだ
さすがに光井さんをアシカ扱いしては泣かれるのも当然だ
というわけで、焼いてみた。
光井さんは魚を綺麗に食べることがわかった。
だが、距離が縮まった気がしないのはどういうわけだ?
- 301 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:07
-
久々のオフにも関わらず、早い時間に鳴り響く目覚まし。
被った布団から腕だけ出して、アラームを止めたところで思いだした。
大急ぎで、それでもそうと悟られないだけの身支度はして家を出た。
目的のマンションの前で車を停めて、時計へ目を落とすと、まさにちょうどいい頃合い。
途中で買った缶コーヒーをあけながら、ハンドルへ身体を預けてマンションのエントランスを見つめていた。
待つこと十数分、待ち人来たる。
助手席側の窓を開け、エントランスから姿を現した人影に声を掛ける。
芝居がかった声を作って。
「そこのおねーさん、乗ってかない?」
声をかけられた人影は、さっと周囲を見回して、それが自分にかけられた声だと確認してから僕へ視線を向けた。
深く被った帽子越しでも、その表情が胡乱な人間に向けられるものであるだろうと解る。
クスリと笑って身体を乗り出すと、驚いた仕草をみせて安倍さんが近づいてきた。
僕は車を降り、助手席のドアを開いて仰々しく口を開く。
「お迎えに参りました」
「なっ……え〜? なんでさ」
「僕、今日休みなんですよ。だから病み上がりの安倍さんの運転手です」
「なぁんで……そんなの悪いよぉ」
「言うと思いました。だから言わないで来ちゃいました」
そう笑ってみせる僕へ、安倍さんはお姉さんのように「しょーがない子だねえ」とため息をつく。
少し身体をずらせ助手席へ手招くと、安倍さんは困ったように笑いながら口を開いた。
「今度のお休みは自分のために使うんだよ?」
まるで弟に言い聞かすように話すけれどその表情は優しい。
僕は安倍さんがちゃんと座ったのを見届けて、そっとドアを閉めると運転席へと戻った。
- 302 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:08
-
「自分の気持ちに正直に休みを使おうとしたらこうなったんですけどね」
車を走らせながらそう話す。
前へ固定した視界の隅で、“やれやれ”って仕草をする安倍さんは、それでもどこか嬉しそうだった。
順調に車を走らせて、ふと通りかかったラジオ局の前で、思いだしたように安倍さんが話し出す。
「この前さ、公開収録やったのね」
「あぁ、ラジオのですね。知ってますよ」
「知っててくれたんだ? 嬉しいな。あ、それでね、ファンのみんなに色々訊いたの」
「っていうと?」
「ほらこれ」
その言葉で視線を向けると、自分の髪の一房をヒョイと持ち上げた安倍さんがいた。
「髪? 伸びましたよね、結構」
「そうなのっ。髪、せっかく伸ばしたんだけどさ、もう春だし、切ってみようかな……なんてね」
「それを、訊いたんですか?」
「そう。みんなショートがいいって言うの。なぁんか安倍さんビックリしちゃったよぉ」
少しはしゃぐように話す安倍さんの声。
どこか懐かしく思いだす。
「なにー? なんかおかしい?」
どうやら自然と笑顔になっていたらしい。
少し拗ねたような可愛らしい安倍さん声が僕を現実へ引き戻す。
「いえ、すいません。思いだしてました」
「うん?」
「初めて安倍さんと会ったときのこと。あのときはまだショートだったんですよね」
「あぁー、まだゆーちゃんも娘。だった頃だもんねえ。あの頃のキミは可愛かったなぁ」
「なんかヤな言い様ですね」
「ふふっ、今は可愛くないっしょ? だってカッコイイから」
からかうように笑う安倍さんへ憮然とした顔を作ってみせる。
- 303 :『髪を切る日』:2007/03/06(火) 22:12
-
「好きに言っててください」
「やーん、ホントだよ?」
「なら僕も言わせてもらいますけど」
「な、なにをさ」
少し低めに出た僕の声に、驚いたような、焦ったような安倍さんの声が返ってくる。
一拍ためて、元の、努めて平静を装ったトーンで「すごく好きだったんです」、と呟いた。
「え?」
「娘。に入る前から、年上だけど可愛い人だなって」
「えー? またぁ。お姉さんをからかったら怒るよ」
「本当ですよ? こっちまで幸せにしてくれるような笑顔も、今みたいに長くなかった髪も」
「そ、……そう?」
「嘘じゃないですよ」
「そっかぁ……」
どこかビックリしたように聞き返す安倍さんへ、心からの言葉でそう言った。
それっきり安倍さんは静かになってしまい、僕も運転に集中していた。
そうこうしているうちに取材があるという現場へ到着して、安倍さんを降ろして運転席へ戻って。
車の横で立っている安倍さんに一声かけようと窓を開けた。
「安倍さん。じゃあ――」
「あのね……」
「え?」
僕が言い切るよりも早く重なった安倍さんの声。
「髪、切ろっかな」
そう呟くように言い残して安倍さんの背中が建物へ消えていく。
その去り際の言葉が、そしてはにかむような笑みが、とても印象強く心に焼きついていた。
- 304 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/06(火) 22:17
-
こんなんなりました。
……いまひとつかなあ。
そして気がついた。
お題いただいても、ストックも載せてりゃ変わらないよママンw
ってことで、引き続きお題募集中でーす(^^;)
- 305 :名無し娘。:2007/03/07(水) 01:22
- 早速の採用&なっちネタ二連発ごちそうさまでした。
引き続きお題募集中ということで、ベタですがミキティで胸ネタなんてどうでしょう?
昨日のドキみきで胸イジりネタを読んでたのでw
- 306 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
-
出番がなく空いた時間、目の前で行われている収録を見ながら笑いを堪えきれずにいた。
まるで差し込まれる効果音みたいな笑い声をあげている間に、スタッフさん数人でセットの半分が移動していく。
「はい、オッケーです」
収録の終わりを告げる声と同時に、移動したセットから駆け下りてくる亀井さん。
フリフリのお嬢さまコスでロングのスカートをなびかせて、なんの躊躇いも遠慮もなく勢いそのままに飛びつかれた。
「せんぱぁい、絵里よかったです? よかったですかぁ?」
強く胸から抱きついてきた亀井さんが甘えた声で訊いてくる。
けれど僕はそれどころじゃなくて。
意識してのことではなく押し当てられる形になっているふくらみのやわらかさにドキリとさせられていた。
「あぁっ……う、うん、よかった。とても。だからちょっとだけ離れない?」
「やーですよぅ」
「やーじゃなく、ホント、ちょっとだけ、ね?」
「もおー、しょーがないなぁ。せんぱいにお願いされちゃ」
ぶつぶつと、だけど満面の笑みで少しだけ――本当に少しだけ――離れてくれた亀井さん。
なんとか体裁を繕って先輩らしく収録の出来を誉めてあげた。
- 307 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:52
- 締まりがないけど愛らしい笑顔で、照れながらも嬉しそうな亀井さんを黒い影が突き飛ばした。
「ドーンッ」
楽しげな声で発せられた擬態語と共に目の前へ。
押し退けられた亀井さんへ目をやったその間に、ゴスロリな藤本さんに抱きつかれていた。
「美貴は? 美貴は?」
収録そのままうえうえなテンションで、なかなか見られない末っ子甘えたな藤本さん。
上目遣いで見つめられながら鼻にかかった声で甘えられるとどうにも弱かった。
「やっ、もちろん藤本さんもよかったと思う……よ」
亀井さんのように抱きついていた藤本さん、だけど……なんだろう、ちょっとした違和感。
微妙に口籠った言葉と曖昧な思考が表情に出たんだろうか、藤本さんが“ん?”って顔で見つめてくる。
「なんだろ、抱きつかれたときに……」
つい。
ついポロリと零れてしまった言葉。
返ってきたのは過剰な反応だった。
「くっ、比べんなよっ! どーせ亀ちゃんよりないよ!」
「あっ、いや、そうじゃ――」
「藤本さんヒドイですー」
- 308 :『成長?』:2007/03/07(水) 21:53
-
言いかけた釈明を立ち直った亀井さんの言葉が遮る。
僕がなにかを言うよりも先にキャンキャンとやりあう二人。
お互いが一方的に捲し立てあう言葉の中に「ちょっと大きいからって」などとい言葉が紛れていた。
あっという間に外野へ廻された僕は、ほうと一つため息をついて仲裁へ入る覚悟を決めた。
まずは亀井さんへ「後でゆっくり話そうね」と、そうささやきかけると少しふにゃりとした笑顔になってくれて。
その間に藤本さんを引っ張ってスタジオの隅へ。
「なんだよっ、亀ちゃんと行けばいーじゃん」
「そうじゃなくってさ。さっき抱きつかれたときね」
「だからどーせ――」
「いや、その……」
さすがに大きな声では言いづらくて、耳元へ口を寄せてささやく。
「ちょっと大きくなった?」
「バッ――バカッ」
僕を突き飛ばしてスタジオを出て行ってしまった藤本さん。
その去り際の表情が少しだけ嬉しそうだったのは気のせい、かな?
- 309 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/07(水) 22:00
-
>>305
書いてみました……けど、なんかダメな気がしますorz
ラジオ聴いて書けばもうちょっと……いや、言い訳です(^^;
また何かありましたらぜひ。
- 310 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:22
- なんか凄いなこれw
- 311 :名無し娘。:2007/03/07(水) 23:40
- ハァ━━━━━━ *´Д`* ━━━━━━ン!!!!!!
ベタな感想ですけど、いいなぁ「僕」w
>また何かありましたらぜひ。
う〜ん、じゃあ梨華ちゃんでどうでしょう?
セクシーな姿満載のライブDVDとアロハロ!が発売されたのでそのあたりを絡めて。
僕ばっかりリク?するのもなんなんで、他の住人の皆さんもお題提供してあげてください。
- 312 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:31
-
ハロモニの収録も一段落し、一度戻ってきた僕個人の楽屋。
なんだけど……
「誰か入った……んだろうねえ」
思わず独り言のように口に出していた。
ここを出たときにはなかったものがテーブルの上に。
「DVDプレイヤー……だよね」
また呟く。
テーブルの上には見慣れないポータブルDVDプレイヤーが置かれている。
その横にパッケージが二つ。
「なるほど、そういえば発売したんだっけね」
どちらのパッケージも、素敵な笑顔を浮かべた石川さんがいる。
まぁ時間もあることだし、そう思ってなんとなく再生ボタンを押してみた。
ステージの上で三好さんや岡田さんと肩を並べて歌い踊る石川さん。
なんとなくだけど少し歌が上手くなったような気さえする。
「なんだろ、この曲いいなあ。石川さんの声にも合ってるし……、――?」
画面に注いでいた視線を彷徨わせる。
- 313 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:32
-
「気のせい、だよね」
誰にともなくこぼした言葉が虚しく響く。
ヒョイと肩をすくめて画面へ目を戻した。
画面の中では美勇伝の三好さんと岡田さん、そして石川さんが艶めかしくすらある衣装でパフォーマンスを続けている。
三人の中でも、やっぱり付き合いも長く仲もいい石川さんへ目がいってしまうのは仕方がないことだろう。
「石川さんか……やっぱり綺麗だよなあ」
追いかけるカメラの先で、しなやかな身体を躍動させている姿は誰が見てもそう思わされるんじゃないかと思える。
つい呟いてしまったそのとき、さっき感じたのと同じ違和感を感じた。
反射的に振り返って、そしてまた部屋を見回してみるけれど、誰がいるわけでもない楽屋の中。
「アロハロ、観てみよっかな」
そう口にしてDVDを入れ替える。
南の島の明るい日差しの中を、健康的な姿態で様々なスポットへ足を運ぶ石川さん。
こちらもやはり魅力的で、見入って……魅入ってかもしれないくらいに惹きつけられるものではある、けれど。
「やっぱ石川さんってばセクシーだよね」
声に出して呟く。
間違いない。確信できた。
- 314 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:33
-
「こんな可愛くて素敵な娘とあれだけ身近にいられたなんて……」
自分でもよくこんなことが口にできるなと首を捻るような台詞。
「あっ、ビキニじゃん……これすっごいエロいなあ」
意図的に声を大きくして、まるでアダルトビデオでも観ているかのような感想。
そろそろいい加減にしてもらえないかと思いはじめる。
「……今度デートにでも誘ってみようかな」
背中でガタンとロッカーが揺れた。
「ね。石川さん?」
振り向いて話しかけたロッカーが小さく揺れて、そしてDVDがBGMになるおかしな空気。
バタンと音を立てて開いたロッカーから、高々と響く声。
「ハッピー……ぃ?」
広げた腕がゆっくりと下りていくのと同時に尻つぼみに小さくなっていく声。
隠れていたことがバレた気まずさを、彼女なりに精一杯誤魔化そうとしたんだろうことは解る。
- 315 :『今日は強気』:2007/03/08(木) 21:34
-
「わかるけどね。それはないなぁ」
「っ……、でもっ、……DVD、観たじゃん」
落ち込んで、立ち直って、気を取り直して強気に出て。
やけになったように口にした言葉は、めずらしく痛いところをついていた。
「み、観た、けどさ」
「その……さっきの、ホント?」
少し俯いて上目遣いで、ささやくように問いかける石川さん。
改めてそう聞き返されると、口にした言葉がリアルに感じられる。
「ホント、だったら?」
「あの……もしそうだったら、ちょっと嬉しい、かな」
「あっ――」
そう言って恥ずかしそうに頬を染めた石川さんは楽屋を出て行ってしまった。
一人取り残された楽屋で考える。
さて、“ホント”だったのは“どれ”なんだろう?
- 316 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/08(木) 21:43
-
さて、書いてはみました。
デキが怪しいのは気にしちゃダメです。
もうすぐ二週間、いつまで続くかなぁ…。
>>310
どう凄いのかが自分では解らないという
>>311
詳しい内容に触れていないのはそういうことですw
でも思い出して注文しちゃったりして
- 317 :名無し娘。:2007/03/08(木) 21:47
- 風船をたくさんもらってきて空を飛ぼうとする話を書いてくださいなのれす
- 318 :名無し娘。:2007/03/09(金) 01:24
- またまた採用ありがとうございます。
すみません、お題もう思いつきませんw
- 319 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:48
-
収録終わりのスタジオで、なにやら見慣れない物体を目にした。
いや、正しくは何度か目にしたことはあるけれど、それがそんな状態にあるのはなかなか見たことがない、という意味で。
ジッとその様子を見ていると、そこから出ている足が見たことのあるジャージ姿であることに気がついた。
「つっじちゃん」
大きな物体がくるりと回った。
色とりどりの色彩を押し退けて、ひょっこりと顔を見せた辻ちゃんがニッと笑った。
「おー、お疲れさまー」
「お疲れさま。どうしたの? それ」
「あっ――、もうっ! ……スタッフさんが要らないっていうから。もらってきちゃった」
話しだしたところで、押し退けたハズのものがふわふわと顔を隠して。
視界を塞がれた辻ちゃんは、もう一度それを押し退けてから話を続けた。
ふわーりふわりと舞うそれは辻ちゃんの顔よりも大きく膨らんだ風船たち。
パッと見ていくつとは数えきれないくらいにたくさんの。
「そんなにもらってどうすんの」
- 320 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:49
-
辻ちゃんの上半身を丸々隠してしまえるくらいの風船を手にした姿に苦笑い。
そんな僕から風船たちへ、視線を移した辻ちゃんが見せた笑顔はどこか懐かしいものだった。
少しずつ大人びた表情を見せるようになってきた辻ちゃんとは違う、娘。で一緒だった頃の辻ちゃんのような。
「飛べないかな」
「え?」
「こんだけあったら飛べないかな」
いくらなんでもそれは無理ってもんだよ。
そう言ってしまおうかと口を開きかけたけれど、辻ちゃんの表情が僕の言葉を止める。
無垢な子供のような笑顔。
そんなに無邪気な顔で笑われちゃ、僕の口から出せる言葉なんて決まってしまったようなものだった。
「飛べるかもね」
僕がそんなことを言うだなんて思っていなかったと、辻ちゃんの表情がそう教えてくれた。
風船を見つめて、それから僕へと視線を戻した表情からは、さっき感じた懐かしさが消えていて。
今の辻ちゃんらしい少女から大人の女性へ移り変わる、そんな不確かで曖昧な笑顔。
- 321 :『あんまり無邪気に笑うから』:2007/03/09(金) 21:50
-
「飛べねーよ」
吐き出された言葉はからかうように挑発的な口の悪さで。
それが解る僕は同じ色で塗り込めた言葉を返す。
「解んないよ? それ、腰にでも結んで思いっきりジャンプしてみれば」
「なんだよそれー」
そう笑う辻ちゃんは、そんなわけないと解っていながら僕の言葉を実行している。
たくさんの風船で包まれた辻ちゃんがグッとしゃがみ込んで、そして跳んだ。
「これ飛んでるなんて言わないじゃん」
数秒後、そう洩らした辻ちゃんは僕に腰を抱えられて笑っていた。
僕も笑顔になって「ならこれならどう?」、と一度降ろした辻ちゃんを肩車して、セットをバラしてるスタッフさんたちの間を走り回った。
昔よりも肩に乗った感じ方は違うけれど、それでも少し懐かしく、とても楽しく、子供みたいにはしゃぎまわった時間だった。
- 322 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/09(金) 21:56
-
>>317
ののたんにささげる319から321
こんなん出ましたけど
>>318
ご協力感謝なのれす
またのご利用お待ち致しております。
……このペースで書いててもいいものだろうか?
邪魔っぼくない?
- 323 :名無し娘。:2007/03/09(金) 22:03
- 新メンバーの光井さんとの距離が縮まらない
今日楽屋でポッキーを開けたらメンバーに少しずつ持っていかれた。
光井さんは、と思って見てみるとどうやら小春が気を利かせたらしい。
光井さんはポッキーを食べるときに
まずチョコレート部分だけ削ぎとるように食べることがわかった。
親近感が沸いたが光井さんとの距離は相変わらずのままだ。
- 324 :317:2007/03/10(土) 00:03
- >>322
どうもありがとうございました。
なんだか楽しい気持ちになりました。
- 325 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:26
-
卒業までの時間も少なくなってきたある日、ちょっとした偶然から二人は食事の席を共にすることになった。
少し先輩であることを意識しない彼女と、少し後輩なことを自覚している彼は、どちらも微妙に寄り添い同期にも近い関係を築いてきた。
そんな二人が二人きりでいる場にあれば、それは必然そんな話題で盛り上がる。
同じグループ内では、以前として未成年者の多い現状も手伝って、限られたメンバー同士ではアルコールが入ることもあった。
話が弾めば杯も重ねられていき、どちらも酔いに任せた言動が少しずつ増え始めた頃。
「やっばいね……そろそろやめとく?」
「あっ? まだまだいけるっしょ。もう一杯いこ」
「んー……でも、正体無くすほど酔って帰るのは――」
「わかったよ! ならあんたんちで飲もう」
「はっ? あ〜……、まぁ、それなら」
- 326 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:27
-
こうして二人は食事の場を後にし、後輩の家で飲み直すことにした。
コンビニで買い込んだビールやチューハイも半ばまで飲み干し、つまみもあらかた食べ散らかした頃、先に落ちていったのは先輩の方だった。
うとうとと船をこぎ出した先輩に気がついた後輩は、やれやれと身を乗り出して揺れる肩へ手を伸ばす。
「よっすぃー。おーい、リーダー。んなとこで寝なさんなよ」
「……んー」
「風邪ひくって。おーい?」
「んんー……」
「ダメだなこりゃ。……ったく、僕より強いハズなのに、めずらしいな」
後輩は呟きながら立ち上がり、ふらつく先輩と自身の身体を支えながらベッドまで運ぶことにした。
苦労して辿り着いたベッドルームで脚を踏ん張りながら、そっと先輩を寝かせようと傾けた上体が引きずられた。
「うぁっ!?」
バランスを崩した身体はベッドへ倒れ込み、折り重なった身体は稀にみる至近距離に。
後輩を引きずり倒した腕は彼の首に廻されて、ガッチリと二人の距離を固めていた。
- 327 :『臆病なのは……』:2007/03/10(土) 19:28
-
「よ、よっすぃ……」
「んー……」
息がかかるほどの距離で呼びかけるけれど、返ってくるのは甘い吐息だけ。
恋人たちが睦言を交わすようなその距離と、過剰に身体を満たした酒気は、常の二人にあらざる空気を作り出していた。
艶のある薄いくちびるが微かに動き、低く掠れた声で後輩の名を呼んだ。
「よっす、ぃ……?」
それは甘美な呼びかけで、酒気を帯びた理性を崩すのには充分な魅力を秘めていた。
呼びかけられた後輩が僅かに身体を寄せて二人の距離が限りなくゼロに近づいていく。
静寂
ギシリとなるベッドへ後輩がささやく。
「おやすみ」
閉ざされたドアへ先輩がささやく。
「臆病モン」
残された闇が静寂で唄う。
酒気に包まれて起こした行動と、酒気に包まれてなお壊せなかった一線。
どちらがより臆病なのかと。
- 328 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/10(土) 19:35
-
今までとちょっと違って、『僕』でも『わたし』でもなく書いてみたんですが。
あんま向いてないですかねえ。
>>324
そんな気持ちになってもらいたなら、こちらも喜ばしいことです
- 329 :名無し娘。:2007/03/10(土) 19:39
- 面白いですー>>328
- 330 :『無防備にも程がある』:2007/03/11(日) 09:46
-
「イタッ」
小さな悲鳴めいた声に振り返ると、ステージ衣装で豪快に転んでいる姿が目に入る。
フレアスカートの衣装で俯せに倒れ込んで、その……スカートの中が丸見えになっていた。
転んだショックから立ち直り、慌てて周囲を見遣りながら身体を起こして、乱れたスカートを整えながら動いた視線が僕を捉えた。
黙って見つめ合う時間が何とも気まずい。
「だ、大丈夫、かな?」
「み、見えました?」
なにを、なんて問い返すのはうまくない気がした。
「ハデに転んだよね」
顔を朱らめた亀井さんが諦めたように息をつく。
「せんぱいなら見られても……いっかな、なぁんて」
「いやいやいや、よくないでしょ」
「やっぱ見たんだ! あ〜ん、見られたぁ」
どうみても真似だとはっきり解る泣き真似をして亀井さんが言う。
しまった……。
ツッコんだつもりが、まさか亀井さん相手に墓穴を掘る羽目になるなんて。
小さな動揺を押し殺して、平静をよそおいながら手を差し出す。
「はい、そんなトコで座ってないで」
「えへへ、ありがとぉございます」
嬉しそうに僕の手に掴まった亀井さんを立たせてあげると、ポンポンとスカートに付いた埃を払う仕草。
「あんま転ばないように気をつけてね」
そう言った僕の言葉をどう受け取ったのか、亀井さんは「だいじょーぶですよぅ」と笑って。
くるりと一つ、きれいなターンをしてみせた。
「ちゃんと見えても平気なやつですもん」
回る身体に合わせてフワリと舞うスカートの裾。
やれやれ。
だからって見せるのはどうかと思わない?
- 331 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/11(日) 09:52
-
ハロモニ前に一更新。
久しぶりに一レスにまとめてみた。
短くてもなんとかなりそうな…いや解りませんが。
>>329
悪くはないようですか。
なんとなく、幅が広がりました、自分の中の。
- 332 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:33
-
娘。揃ってダンスレッスンのある日。散々踊らされてへたっていた僕らに与えられた昼食の時間。
なんでもマネージャーさんの話では出前を取ってくれるらしい。
いくつか渡されたメニューの中から各々が選んだ品をマネージャーさんが書きとめていく。
用意されたお弁当なんかとは違って、やはり温かいものが温かいままで食べられるというのは幸せなことで、疲れていたはずのメンバーたちの声も弾んでいた。
待つこと数十分、「お待たせしました」という声と共に運ばれてきた昼食は、メンバーやマネージャーさん、レッスンの先生たちの分まで含めたあるようで相当な大荷物だった。
店員さんとマネージャーさんの手で、運び込まれた品々がそれぞれの元へ手渡されていく。
「あれ? これはどちらです?」
店員さんが掲げた皿に皆の視線が集まる。
けれど誰も名乗りを上げる人はいなくて。
「誰か頼んだ?」
「や、肉が入ってないから違うし」
「同じく」
「知らないですぅ」
「おかしいなぁ……十四品でしたよね」
弱った様子で不思議そうに首を傾げる店員さん。
- 333 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:34
-
「十……、ん? 十四品? 十三人のハズだけど」
「え? ですけどご注文では……」
「誰か二つ頼んだんじゃない?」
「マネージャーさんが間違えたんじゃないの?」
「いや、そこはちゃんとしたんだけど……まぁとりあえず置いていってください」
「あ、よろしいですか? では」
置いていかれた十四人目の料理。
メンバーの十人、マネージャーさんが二人、そして先生、みなが訝しげな顔をしながらも昼食を摂りだした。
わいわいといくつかのグループに分かれてそれぞれの時間を過ごし、そしてなごやかな休憩を終えようとしていた。
「あっ!?」
「なに?」
それに気がついたのは新垣さんだった。
新垣さんのその様子によっすぃーが声を掛けた。
「これ……」
- 334 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
新垣さんが指差した先、そこには件の浮いていた料理がある……ハズだった。
「皿だ」
よっすぃーの言葉は短い。
が、間違いではなく、まさにそれは皿、でしかあり得ない。
そこにあるはずの料理はなく、盛られていたパスタはキレイになくなっていた。
「誰か食った?」
よっすぃーの問いかけに答える者はいなかった。
どこか薄ら寒い表情で皆が空いてしまった皿を見ていた。
「そういえば聞いたことがある」
「なにをですか?」
そう呟いた先生にそばにいた愛佳ちゃんが問い返す。
問い返された先生は震えを抑えるように自身の肩を抱き、小さな声でこう話しだした。
- 335 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:36
-
「噂だと思ってたんだけど……“出る”って」
「出るって……?」
そう訊いたのは小春ちゃんだった。
続く言葉はきっと小春ちゃんにも解っているんだろう、表情がそう物語っていた。
「プロになれなかったダンサーでね……」
そう先生が切り出した話は、ダンスも生業の一つである僕らには身につまされる話だった。
プロとして華やかなライトの下で踊ることを夢見ていた彼女は、幾度もオーディションを受けては落ち、そのたびに自身に過度な練習を課していたそうだ。
バイトで得た収入のほとんどをレッスン料やスタジオのレンタル料に廻し、それでも足りず公園などでも練習に励んでいた。
それはどこかしら狂気にも似た思いだったのかもしれない。
いつからか金銭的にも、時間的にも踊ることが全てになっていった彼女は周囲に心配されるほどに痩せ細っていき、それでも踊ることをやめずにいたらしい。
そして限界は不意に訪れた。
彼女は一人、休憩時間にも踊っていた、その最中に倒れ、そのまま意識が戻ることはなかったそうだ。
- 336 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:37
-
「立て替えられはしたけれど、このスタジオがそうだったって。
そしてそれ以来、いつからか彼女がこのスタジオに現れて――」
「ヤだァー!!」
誰かが叫んだ。
途端にパニックは伝染し、次々と恐慌状態に陥るメンバーたち。
亀井さんと新垣さんは互いにすがるように抱き合い、田中さんは眼を閉じ耳を塞いでいた。
立ち上がり部屋から出ようとした道重さんは、ガチャガチャとノブを動かし、「開かない」と叫ぶ声は涙声になっている。
混乱のまっただ中にある部屋で気丈なリーダーがドアへ駆け寄った。
「どいて!」
ノブにすがりついていた道重さんを脇に押し退けてノブに手を掛けようとしたよっすぃーが弾けたように倒れた。
それを見た愛佳ちゃんが悲鳴を上げ、混乱は極みに達し、僕はそれらを目にしながら身動きもできずにいた。
恐慌を煽るように唐突に爆ぜたドア。
そこから姿を現したものは……
- 337 :『一つ多い』:2007/03/12(月) 19:39
-
「なんでドア押さえてんだよっ!!」
十数分後。
ことの真相は、たまたま寄った辻ちゃんが、いつの間にかデリバリーの注文に紛れ込んでいて。
ちょっと飲み物を買いに行っている間に注文が届き、置いてあった自身の注文を平らげ、お手洗いに行っている間にこうなった。
そして戻ってきた辻ちゃんがドアに手を掛けたタイミングで、混乱した道重さんが引くべきドアを押そうとした。
それをイタズラだと思った辻ちゃんが、ドアに体当たりをしてよっすぃーが倒れ、跳ね返ったドアがまた閉じる。
それにキレたのは辻ちゃんが柄の悪い怒声と共に飛び込んできたと、そういうことだった。
それぞれがそれぞれでいたとはいえ……。
あまりに自然に紛れ込んだとはいえ……。
居ないハズの辻ちゃんに誰も気がつかないなんて……。
後に残ったのは、目を真っ赤にしたメンバーたちと鼻にティッシュを詰めたよっすぃーと。
そしていまだ半べそ状態の愛ちゃんと小春ちゃんにすがりつかれて動けずにいる僕だった。
- 338 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/12(月) 19:40
-
時期外れの怪談でした(違)
- 339 :ののじぃ ◆NONOJisxz2 :2007/03/12(月) 23:26
- 面白いなぁ
, ' ~ミ
, ''^⌒∞リ
── =≡ノノ人ヾヽ =
── =≡从 `D´) <なんでドア押さえてんだよっ!!゙ッ ノノハヽ
─ =≡○_ ⊂)_=_ \ 从/-=≡ ( ;゚∀゚)
── =≡ > __ ノ ))< > -= ── =≡ =≡ 彡〉 つ
─ =≡ ( / ≡ /VV\-=≡ ── =≡ =≡⊂ 、 ノ
── .=≡( ノ =≡ -= ── =≡ =≡ し
- 340 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:45
-
目の前には、5人の正座した女の子。
「はぁ〜、愛ちゃんも加わっちゃったか」
「ごめんなさいやよ」
「さて、誰から暴露する?」
みんな、キョロキョロとお互いの顔を見合わせている。
「あのさ、最初の方が楽だと思うよ。ハードル今なら低いし」
この僕の言葉にみんなが反応して一斉に手が挙がる。
「じゃあ、最初は・・・さゆから!!」
「はい。 ・・・あの、その、この前ダンスレッスンの時先輩のTシャツ無断で借りたまま、
まだ返してません!! ごめんなさい!!」
「はぁ!? あれ、さゆだったの? ボク、てっきりミキティだと思ってた」
「ちょっと、勝手に美貴のせいにしないでよ」
「あぁ、ごめんごめん」
この前のダンスレッスンのとき、僕が一枚余分に持ってきていたTシャツが、
なくなるという事件が起きて、見つからないまま僕は諦めて帰宅したという事件があった。
「あの、私あの時着替えのシャツ忘れちゃって、その時目についたのが先輩のシャツで・・・
帰るときに言おうと思ったんですけど、言いだせなくて・・・」
「はぁ〜・・・わかった。今度シャツ持ってきてね」
「はい!!」
「よし、さゆ合格!!」
僕は、道重さんを立ち上がらせる。
- 341 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:45
-
「さて、次は?」
残り4人・・・
「はいはいはいはい!!」
ミキティが、何回も「はい」を連呼する。
「じゃあ〜・・・愛ちゃん」
ミキティが、その場に崩れた。ナイスリアクション!!
「あの・・・私、先輩に内緒にしてたことがあって・・・」
「なに?」
「この前、先輩の楽屋にお邪魔したんですけど、その時先輩お昼寝してて・・・
その・・・先輩可愛くて・・・先輩に無断で写メとりました!!」
「・・・マジでか!?」
「ごめんなさい!!」
「その写メ見せて」
愛ちゃんは、携帯を取り出すと僕に画面を向けた。そこには、僕が気持ちよさそうに
眠っている画像だった。
僕の顔の温度が上がるのがわかる。
「これさ、もしかして誰かに送ったとかないよね??」
「え!? あの、その・・・」
「誰に送ったのかな??」
「あの美貴ちゃんに・・・」
僕は、すぐにミキティの方を向く。
「ミキティは、それ誰かに送ったりした?」
「え? ま、まさか〜そ、そんなわけないじゃん!!」
「(この反応は誰かに送ったな・・・)誰に送ったの!!」
「亜弥ちゃんに・・・」
「はぁ〜・・・もう、駄目だ・・・これは、絶対全員に送られてる・・・」
僕が、この室内に居る全員を見渡すと全員が苦笑いしていた。
やっぱり・・・
「ん〜・・・もう過ぎちゃったことは仕方ない・・・けど、今度から勝手に人の寝顔は撮らないこと
わかった??」
「はい。わかりました」
「よし、愛ちゃん合格!!」
- 342 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:46
-
残り三人・・・
「次はぁ〜・・・」
「はいはいはいは〜〜い!!」
「はいはいはい!!」
目の前には、田中さんととミキティがものすごい勢いで手を上げている。
「じゃあ・・・絵里!!」
選ばれなかった二人が、前のめりに倒れた。これ、どっかで見たことある気がするなぁ・・・
「え〜っと、この前先輩のシャツにキスマークついてたじゃないですかぁ?」
「ま、まさか・・・あれ、絵里だったのか!!」
この前のハロモニの収録が終わったあと、女の子用の楽屋に遊びに行くと
田中さんから、「先輩、シャツにキスマークついとー!!」と言われ、シャツを見てみると
はっきりと背中のところに唇の形で、キスマークがついていて皆から笑われた。あの時の、
恥ずかしさは今まで生きてきた中で、三本の指に入るぐらい。
「ハロプロちゃんねるの収録の時に、廊下で先輩に後ろから抱きついたじゃないですかぁ?」
あの時、僕が廊下を歩いていると、ものすごい勢いで、エリザベスキャメイの格好をした
亀井さんが後ろから抱きついてきたのを僕は覚えていた。
「あの時か〜!!」
「はい。えへへ〜ごめんなちゃい」
「ったく・・・あの時どんだけ恥ずかしい思いをしたと・・・絵里、当分後ろから抱き着いてくるの
禁止ね!!」
「えぇ〜そんなぁ〜絵里の楽しみがぁ〜」
「わかった??」
「はぁ〜い・・・」
アヒル口をしてつまらなそうな顔になった亀井さんを立たせた。
- 343 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:46
-
「さて、残るは二人か・・・」
「はいはいはぁ〜い!!」「はいはいは〜い!!」
もうミキティなんか、指されないのが面白いのか笑いすぎて少し涙目になっていた。
これは・・・僕のキー坊スイッチが入った。
「じゃあ、れいなぁ」
僕の言葉にミキティは、もう笑うしかないみたいだ。
「も〜!! 美貴当ててよ〜!!」
「いや、なんか当ててはいけないって天の声が聞こえた。じゃあ、れいなどうぞ」
文句を言っているミキティを無視して田中さんの方を向いた。
「あの・・・この前のハロプロのコンサートのとき・・・先輩のシャワーしとるところ
覗いちゃいました!!」
「・・・はぁぁぁあ!!??」
田中さんの突然のびっくり発言に全員が目を見開いた。さすがに、これは暴露しすぎだろ。
「あ、あの、ワザとじゃないとよ。コンサートが、終わって先輩の部屋に遊びに行ったら
ちょうど先輩ドア開けてシャワー浴びとって・・・」
「ま、まじですか・・・」
僕の問いかけに田中さんは、顔を真っ赤にして小さくうなづいた。
「最初は、声かけようと思っとったんやけど・・・先輩が、歌ってた曲『シャボン玉』やったけん…
その歌ずっと聴いときたかったと・・・」
「あのさ・・・もしかして、ばっちり全身見た?」
「・・・」
田中さんは、顔を今さっき以上に真っ赤にして僕に顔を合わせないようにして小さくうなづいた。
僕は、顔の温度が急上昇するのがわかった。まさか、田中さんに見られていると思って
いなかったし、こんな事ないって思ってたから。
「ふぅ〜・・・そっか・・・」
「ごめんなさい・・・」
田中さんは、小さな小さな声で僕にそう呟いた。
「いや、れいなは悪くないよ。僕が、人が来るわけないって思ってドアを開けたままシャワー
してたのが悪いんだし。けど、今度からは人の部屋に入るときは、ノックなり声を
かけるなりしてから部屋に入るように・・・わかった??」
「・・・はい」
- 344 :−ひ・み・つ−:2007/03/13(火) 04:47
-
「よし。じゃあ、最後となりましたミキティ。れいな以上の暴露おねがいね」
「え〜っと・・・う〜んっと・・・ハロプロちゃんねるの衣装は美貴が・・・」
「いや、ミキティが選んでるのファンのみんな知ってるし・・・」
「え〜っと、え〜っと・・・」
必死に考え込んでいるミキティ。僕は、あることを思い出してミキティにニヤリと笑った。
「な、なに?」
「ミキティと僕の始めての出会い聞きたい人〜」
「「「「「はぁ〜い」」」」」
ミキティを除く5人が、手を上げて賛成した。
「ちょ、ちょっとそれはダメだって・・・」
「何か文句でも??」
僕は、無表情でミキティを睨みつける。
「い、いえ、文句なんてありません」
「ミキティね、最初僕と会ったとき緊張しすぎてさ・・・」
僕の話にみんなが耳を傾ける。顔を真っ赤にさせた一名を除いて。
ミキティと僕との出会いは、また別のお話しの時に・・・
- 345 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 04:48
-
まさか、こんなに長くなるとは・・・読む人大変だ・・・
- 346 :名無し娘。:2007/03/13(火) 08:50
- あのときは高橋さんいなかったけど、あれはいい番組だった
- 347 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:42
-
「せんぱいせんぱいせんぱぁーい!」
大きな声で駆け寄ってきたのは、なにやら大きめの紙袋を手にした亀井さん。
なんだかやけに嬉しそうにバタバタと近づいてくる。
「どーしたの? なんか嬉しそうだけど」
「はぁ。……んふふふ♪ せんぱい? ちょっとついてきてくださぁい」
妙なテンションのままで堪えきれないという風に笑う亀井さん。
僕は「時間が」ないと言いかけるけれど、「すぐに済みますよぅ」と笑う亀井さんに引っ張られていた。
連れ込まれたのは僕が元いた自身の楽屋で、後ろ手にドアを閉めた亀井さんが「見てください」と袋を置いた。
「な、なに?」
僕の問いかけなんて無視で、引っ張り出されたそれは体重計。
疑問符だらけの僕へ亀井さんの指先が体重計の表示部分を指差す。
「ちゃんとゼロになってるの、確認してくださいね。嘘なんかつかないんですから」
「……はい」
亀井さんの仰るとおり、確かにそれはゼロを示していて。
だからといってどうなのかという疑問の答えにはなっていないわけで。
- 348 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:43
-
「のりますよぉ、見ててくださぁい」
「あ、はあ」
慎重に右足から、そっとそっとのった体重計は……
「……キロだね」
「どうですか」
少し恥ずかしそうだけど勝ち誇った亀井さんの顔が“あれ?”って表情に変わる。
まあ僕があれ? って表情をしているからなんだろうけど。
「せんぱい?」
「え? はい?」
「どーですかっ?」
「っと、なにが、だろう?」
「せんぱいヒドイ! 覚えてないんですか?」
「え? ごめん、なんだっけ?」
「約束したのに……」
悲しそうに俯いてみせる亀井さん。
やばい、本気で思い出せないんだけど……約束? なんだっけ?
思い出そうと努力はするけれど、何一つそれらしい約束なんて浮かんでこない。
というよりも、約束なんてしただろうかってレベルだった。
「ごめん、ホントに。覚えてないんだ。教えてくれない?」
「約束したじゃないですか! デートしてくれるってえ」
「デート? 僕が?」
「他に誰がいるんですかっ」
- 349 :『思い出せない約束』:2007/03/13(火) 19:44
-
すっかりむくれてしまった亀井さんの語気は荒い。
僕はといえば完全に弱腰になっていて、下手に出るしかない状況だった。
「……すいません」
「もうっ、せんぱいが忘れちゃうなんてえ」
「申し訳ないです。……で、約束ってのはなんでしたでしょう?」
「痩せたらデート」
「って言った? 僕が?」
「言いましたよお」
「い、いつ? 最近そんなこと言った覚えは……」
「そ、それはその……」
おや? 途端に亀井さんの怒気が集束していく。
声も尻すぼみに小さくなって、さっきまでの勢いは全くなくなっている。
「……いつ?」
「い、……」
「い?」
「一年くらい前、です」
「……もしかしたら、亀井さんも忘れてたってこと?」
「で、でもぉ、絵里はちゃんと思い出しましたよ?」
「うっ」
「だからデート♪」
「……う〜ん」
「でーとでーと」
「え〜?」
「で・え・と」
「わかりました。近いうちにね」
押し切られた。
まあ約束は約束だし、そんなに喜んでもらえるんなら、思い出せないほど前の約束でも構わないでしょ。
- 350 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/13(火) 19:54
-
今回はちょうど一年ほど前のMONIXさんのネタから。
さーっと見返してたら目に付いたもので。
MONIXさんお借りしましたー(事後承諾)。
>>339
わーい、ののじぃさんありがとーございます。
AAいただきましたー。
- 351 :−さくらチラリ−:2007/03/13(火) 22:24
-
今日は、娘。の仕事も休みだったので前から矢島さんから来てほしいと
頼まれていた。℃-uteのコンサートに来ていた。
コンサートが、始まる前にみんなに挨拶しておこうと廊下を歩く。
「あ、お兄ちゃんだぁ〜」
僕が、その声に振り返るとライブの衣装を着たマイマイが、こちらに走ってきて
勢いよく抱きついてきた。僕は、そのままマイマイを抱っこする。
「やっほ〜、マイマイ。調子はどう?」
「バッチシ〜♪」
「そうか〜、それはよかった」
「マイマイ、駄目でしょ。廊下を走ったりしたら」
萩原ちゃんの後ろからゆっくりと歩いてきた矢島さんは、ちょっと頬を膨らませて
怒ったような表情を作る。
「あ、●●さん、すいません。せっかくの休みなのに来てもらって」
「ううん、全然いいよ。僕も、マイマイや矢島さんたちのコンサート見てみたかったしさ」
「そうだよねぇ〜●●♪」
「ねぇ〜♪」
「こら、マイマイ。先輩を呼び捨てしちゃ駄目でしょ? すいません、●●さん」
「いいって。ってか、『●●さん』は止めようよ。つい最近まで、『お兄ちゃん』って
呼んでくれてたじゃん」
「え、あの・・・失礼かなって思って・・・」
「ねぇねぇ、●●」
「ん?」
マイマイから呼ばれた僕は耳打ちである提案をされた。
僕とマイマイの内緒話を不思議そうな顔で見る、矢島さん。
小さな会議も終わり僕たちは、ニヤッと笑うとそのまま矢島さんのほうを向く。
- 352 :−さくらチラリ−:2007/03/13(火) 22:25
-
「じゃあ、そっちが『●●さん』って呼ぶなら。僕は、『舞美』って呼ぶからね
そう呼ばれたくなかったら僕を『お兄ちゃん』と呼ぶ事」
「・・・えぇ〜!!」
矢島さんの顔が、ものすごく赤くなったのがわかった。
「そ、それは…ちょ、ちょっと・・・」
「ん? 舞美、何?」
僕は、矢島さんに近づいて顔を近づける。
「!!?? わ、わかりました、わかりましたから」
「よし、僕たちの勝ち〜イェ〜イ♪」
「イェ〜イ♪」
僕とマイマイは、ハイタッチをしてこの勝利を喜んだ。
「もう!! マイマイ、こら〜!!」
「きゃぁ〜〜」
矢島さんが、マイマイを追いかける。逃げるマイマイ。
「じゃあね〜お兄ちゃん!!」
マイマイは、そう言って僕に手を振り曲がり角を曲がった。
そのまま矢島さんも、マイマイを追いかけるように曲がろうとしていた。
「舞美〜!! ライブ頑張れよ!!」
僕の声に振り返った矢島さんは、すごく笑顔で
「はい!! 頑張ります!! 『お兄ちゃん』!!」
と言って、頭を下げて曲がり角を曲がっていった。
矢島さんの『お兄ちゃん』の言葉になんだかうれしくなった。
あれ? ボク、ロリコンではないよね? ね??
- 353 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/13(火) 22:26
-
なんか書きたくなったので書いてみましたw
いかがでしたでしょうか??
- 354 :名無し娘。:2007/03/13(火) 23:05
- よかったですよー。
- 355 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:22
- よろしいんじゃないでしょうか
- 356 :名無し娘。:2007/03/14(水) 00:28
- あーたっつぁんが遠くに旅立って行くのが見える…
- 357 :名無し娘。:2007/03/14(水) 15:15
- せっかくなのでホワイトデーネタをひとついかがでしょうか?
- 358 :名無し娘。:2007/03/14(水) 19:24
-
>>357
バレンタイン書きそびれたんでスルーしよっかと思ってたんですが…
のせてもらお。今から書きまーす。
- 359 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
三月十四日。今年もこの日がきてしまった。
両肩にかさばる鞄を抱え直し、気合いを入れ直した朝だった。
自分の楽屋に鞄を一つ置いて、もう一つを手に、まずは娘。たちの楽屋へ足を運んだ。
「おはよっ」
軽く手をあげて挨拶をすると、いつも通りにそれぞれから挨拶を返され、いつにないほどみんなから注視される。
さりげなく見渡せば、一人を除いたみんなの目が期待にキラキラと輝いているような気すらする。
「はい。じゃあ一番後輩からいこっか。愛佳ちゃんね」
「はぁい」
ほわほわとした返事だけれど、彼女だけは状況が飲み込めない風で。
それも最もだ。彼女は知らない。
一昨年、そして去年と繰り返してしまった僕の――というしかない?―― 過ちを。
- 360 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:32
-
それ以前はそうでもなかった……はずなのに。
特に藤本さんを除いた六期の三人が、だいぶ馴染んできた一昨年、そして去年はひどかった。
安易に考えた僕も悪かったけれど、それにしてもホワイトデーのお返しであんな荒んだ状況になるだなんて思いもしなかった。
一昨年は確か、道重さんがポツリと呟いたのがきっかけだった。
「絵里のヤツいいね」、と。
一人一人に用意したお返しとは別につけたマシュマロの味についてだったらしい。
「一個ちょうだい」
「やだ」
「一個だけ」
「やーだってば」
揉めてる二人をよそに誰かが伸ばした手が道重さんのマシュマロを掴んでしまった。
同じテーブルに全てを広げて渡したが故の悲劇だった。
六期、五期を巻き込んでの大騒動になるだなんて……
- 361 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:33
-
昨年はその轍を踏むまいと個別に渡し、マシュマロからクッキーに変わったけれど全て同じ味に統一させてもらった。
「じゃあ、はい。道重さんにはこれね」
「えー? なんでさゆからなん?」
「そーだよ。なんでさゆからぁ?」
「さゆみが一番可愛いからあ?」
まさか手渡した順番で揉めることになるだなんて。
不平の声を上げた田中さん、亀井さんという火に油を注いだ道重さんの言葉で悲劇は繰り返された。
ただ一番渡しやすい位置にいただけだったのに……
が、今年はそうはいかない。ましてや他にも山場を控えている身とあっては。
- 362 :『そっちがいいの』:2007/03/14(水) 20:34
-
ともかく。
訳が解らないながらも手渡されたクッキー――マシュマロよりも受けがよかった――と、今となってはどちらがメインだか解らないちょっとしたプレゼントと。
笑顔で「ありがとぉございます」と、ごく普通に受け取ってくれた。
なによりもこの“普通”がありがたくも嬉しい言葉だったことは言うまでもない。
その後は小春ちゃんへ。
同期では年齢順に田中さん、道重さん、亀井さん。
そして新垣さん、愛ちゃん、サブリーダーの藤本さん。
最後にリーダーのよっすぃーへ手渡して、今年こそはと意気込んだイベントが無事に終了した。
みんなが嬉しそうに、なんの不平不満もなく終わるホワイトデー。
ここ二年の騒動があっただけに、目に映る光景に小さな幸せを感じた。
そしてこの後、僕は移動するたびに楽屋を抜け出して。
まるで季節ハズレのサンタのようにお返しを配るために走り回った……
- 363 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/14(水) 20:39
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>>358 名前もsageも……orz
それはそれとして。
もうちょっと長くて書いた方がよかったかも?
ま、いいか。
- 364 :『足音二つ』:2007/03/15(木) 20:25
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ツアーに向けてのダンスレッスン。
特別踊るのが好きじゃない……ってゆーか、どっちかっていうと嫌いに近いかも。
そんな自分としては、大勢でやるよりも、やれるところくらいは一人でやりたかったりする。
んなわけで、空いた時間に一人で踊っていたんだけど、ちょっと意外な邪魔が入った……入ってきた。
「あれ? 藤本さん。なにしてんの?」
「なにしてるように見えんの」
「ダンスレッスン、かな」
「じゃ聞くまでもないじゃん」
「そうだね。ご一緒してもよろしいですかね?」
「イヤだつっても混ざるんでしょ」
「うん。混ぜて」
やっぱりそんなことを言って笑う。
まったく……
「この続きでいい?」
「おまかせで」
さらりと言われた笑顔から目を逸らして、止めた音楽をアタマからスタートさせる。
流れてくるリズムに合わせて、習った振り付けをなぞっていく。
鏡に映る美貴の後ろにアイツの姿が映っている。
癪に障るけどなかなか覚えがよかったりするんだよね。
ダンスに関して独創的ではないけど基本に忠実で、習ったことを習ったとおりに踊るのがうまかったりする。
こうやって鏡で見比べていると、それがハッキリとわかる。
けど……
タンタンと刻むステップ、その足音が重なる瞬間。
それは結構キライじゃない。
フォーメーション通りに動いて、アイツと擦れ違う瞬間。
チラリと重なる視線が「楽しいね」って言ってるように笑ってる。
微妙に感情を抑えてる自分はどんな目をしてるんだろうって、それは気になったりもするけど。
こんな時間はキライじゃない。
- 365 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/15(木) 20:26
-
一レスで収まるのも気持ちよいですなあ。
- 366 :−マジですか・・・−:2007/03/16(金) 00:18
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「この二人を、娘。の新メンバーとして迎え入れる事にした」
みんなが、驚きですごい顔になってる。僕も…
つんく♂さんの横には、可愛らしい長身の女の子と小さな女の子。
「(ってか、この子たちエッグの子だよな? ちょっと話した事があるような・・・)」
僕は、頭を抱えて必死に思い出そうとしている光景をみんなが不思議そうに見ていた。
「なんや、●●。頭でも痛いんか?」
「いや、その子たちコンサートで話した事あると思うんですけど…
なんか話せなかったような覚えが…」
「そうやろな。なんてったって二人は中国出身の子たちやからな。名前は、リンリンとジュンジュンや」
『・・・はぁ〜!!!!????』
全員の声が、ハモった。
「ちょ…ちょっと待ってください。私たち、中国語なんて話せないですよ?」
ミキティから、的確な質問。みんながウンウンって頷いた。
「あぁ、この子たちならもう日本語は理解できるくらいやから大丈夫や。話せるしな。カタコトやけども」
この後、新メンバーとなる女の子とメンバーが続々と握手を交わす。なぜか、僕のときだけ
二人は焦っていた。
僕は、なるべく相手を緊張させないために笑顔で握手する。
その光景を凝視している人がいるのも知らずに・・・
- 367 :TACCHI ◆wJKONNaqEI :2007/03/16(金) 00:20
-
いや〜、即効で作りましたw
なんか、マジでビビったんでここに作品作ることで俺の気持ちが表せればと
思ってます。
いや〜、どうしよ・・・
- 368 :名無し娘。:2007/03/16(金) 20:45
- まだなんとも言えんけど
RuRuを前例だと思えば
……どーなるんだかね
とりあえずどう続くのか早くて続くを
- 369 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:28
-
「ねーねー、気づいてた?」
「ん? なにを?」
「美貴ね、入った当時はあんたのことキライだったんだよ」
「知ってたけど、それがどうかしたの?」
「なにそのリアクション」
「なにって……そっちこそ。なに急に」
「や、なんか急に思いだしたから。ほら、美貴六期だけどさ、一人だけ先に合流したじゃん?」
「ハロモニだっけ。そうだね」
「でさ、外から見てる分にはアンタのことも“へえ”くらいにしか思ってなかったんだけど」
「うん?」
「いざ中に入ってみたらさ、あんたそのまんまなヤツじゃん」
「っていうと?」
「えー? なんだろ、女の子ん中に男一人でさあ、普通に笑ってんじゃん」
「そーゆーお仕事でしょ、僕ら」
「そうだけどー。なんかイラっとしたわけよ」
「んなもんイラつかれても」
「だってさー、こう、なんかチヤホヤされてにやけてんじゃねーよ、とか思った」
「なんだそれ」
「誰にでも優しくしててさ。うわっ、コイツ絶対裏があんだろ、とか」
「ひどいなあ」
「やー、誰だって思うでしょ」
「そうかもしれないけどさ」
「だから美貴が本性暴いてやろっかなと」
「なんだよ本性って……。で、どうだったの?」
「……その微妙な笑顔うぜー」
「ほら、どうだったのさ」
「……さっき言ったじゃん。まんまだった」
「でしょ。嘘偽りのない自分だもん」
「ホンットそう」
- 370 :『気づいてた?』:2007/03/16(金) 21:29
-
「じゃあいつごろからキライじゃなくなった?」
「はぁっ? 今でもキライだから」
「うわ、言っちゃったよこの人」
「なに笑ってんだよー」
「怒るとこ?」
「あっ!」
「お?」
「今気がついた」
「なにに?」
「美貴アンタが怒ってるトコ見た覚えがない」
「そう、かな? そう? んー……そっか」
「なんかすっごい怒らせてみたいんだけど」
「そんな風に思われると意地でも怒ってやらない」
「ホラッ、その笑顔!」
「え? なに」
「うぜー」
「ヒドイ言われようだな、もう」
「いや正直な気持ちだから」
「少しはオブラートで包んだ方が――」
「そんなキャラじゃないし」
「……そりゃそうか」
「そう納得されるのもなんかムカつくんですけど」
「もうどーしろっての」
「……さあ」
「はぁ、……まぁわかったよ」
「なにが?」
「藤本さんが僕を嫌いだってこと、が、かな」
「ま、まーね」
「うん。藤本さんは僕を嫌い。嫌い嫌い、だーいっきらい、と」
「そっ……そこまで言ってないじゃん」
- 371 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/16(金) 21:32
-
てとさんが書かれた『二人ゴト』風味で。
読んでくれる方の想像力任せ。
- 372 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:54
-
どこかから聞こえてくるメロディ。
――あぁ、新曲だ
微睡みの中でそう思う。
思い、意識してしまえば、それは自分の携帯が着信を告げているんだと認識できる。
開かない目蓋にも構わずに、手探りで携帯を掴んだ。
「……はい」
『あ、寝てた?』
「んん……? 誰?」
『美貴だけどぉ』
ああ、うん。解ってたけどね。
知っているけれど訊いちゃうことってあるじゃない。
ちょっと甘えたな声はものすごく可愛らしいなぁ。
なんて考えながら、少しずつハッキリしてきた意識の中で呟く。
「うん。GAMの新曲が鳴ったから、藤本さんなのは知ってる」
『なんでさ。なら亜弥ちゃんだって可能性もあるじゃん』
「いや、松浦さんはこんな時間にかけてこないから」
『……。いい歳した男がそんな早寝すんなよっ』
逆ギレだ。
四時だよ? 多少イケイケでも朝から仕事なんだから寝るってば。
「はいはい」
『あっ、軽く流した!?』
「気にしないで。半分寝てるせいだから」
『起きろー。ちゃんと聞けー』
- 373 :『ねむれない』:2007/03/22(木) 20:55
-
夜中――、早朝? どっちでもいいや。
こんな時間だってのに声デカイよ。
「お願いだからもうちょっとボリューム落としてくれる、みきたん」
『お前がみきたん言うなっ』
「はいはい」
『流すなってば』
「……めんどくさいなぁ、もう」
『あっ、今めんどくさいっていった?』
うぁ、こっそり呟いたつもりだったけど、寝ぼけてたのかちゃんと口にしちゃったらしい。
あぁ、でもホントめんどくさいから、藤本さん。
「言ってないから、気のせい」
『ウソだぁ。絶対言った』
「聞き間違いだから。で、なんだっけ、こんな時間に」
聞くだけ野暮な質問だけど、常套句みたいなもんだからね。
どうせ答えは解ってるんだ。
『や、なんか眠れなかったから』
やっぱりね。解ってたけどさ。
「そういうのは松浦さんトコにやってくれるとありがたいなあ」
『なにその面倒くさそうな……、あっ、やっぱさっき言ったでしょっ』
もう勘弁してください。
少し離した携帯から聞こえてくる藤本さんの声にそう願う。
- 374 :匿名 ◆TokDD0paCo :2007/03/22(木) 20:58
-
ageてたw
今日の『とくばん』から。
そして気がついてみれば藤本さん三連発。
気がついてなかった自分にビックリ。
- 375 :名無し娘。:2007/03/23(金) 03:54
- 素晴らしい
- 376 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:09
- お久しぶりです、相変わらずまとまり無いですが
いかせていただきま〜す
- 377 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:10
- 自宅近くのコンビニで、これからうちに遊びに来る田中さんと買い物をしていた
適当な買い物を済ませてコンビニを出る、ここからうちまでは5分もかからない・・・けど
ふと隣に目を移すと田中さんがいない・・・
「あ・・・れ?」
「先輩、れーなはここ」
「ん?」
僕は声のする方向へ振り返る、田中さんは僕のちょっと後ろで座り込んでいた
「どしたの?」
「先輩、迷子みたい」
田中さんの傍らには小さなネコ・・・僕は一瞬、田中さんに似てるな〜と思ってしまった
田中さんは「かわいい〜」なんていいながら子ネコを撫でている、子ネコもまんざらではなさそうだ
「ふ〜ん、どうすっかなぁ〜」
僕はひとしきり思案する・・・・・・この子ネコ、どうしよう・・・このまま置いていくって言うのは
ちょっとなぁ・・・う〜ん、面倒くさい!うちで考えるか・・・寒いしね
- 378 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「おーい、れーな」
「「はい?(ニャー)」」
1人と1匹が同時に返事をする、僕と田中さんは顔を見合わせながら笑った
「チビもれーなってって言うのか?よしよし」
僕がネコを抱き上げると、田中さんは僕に訪ねる
「先輩、どーすると?」
「とりあえず、うちに行って考えよう。寒いし、人間のれーなもネコのれーなも風邪ひいちゃうよ
うちペットOKだから長くいる事になっても平気だし」
「うん、さすが先輩、やさしいっちゃね〜」
「そっかな〜?」
僕と田中さんとレーナ(ネコ)は家路を急いだ、うちに帰った後も田中さんは帰るまで
ず〜っとレーナ(ネコ)と遊んでいた。なんとなくそれを見ているとネコの親子が遊んでいるように見えるw
散々レーナ(ネコ)と遊んでから田中さんは帰っていった
「じゃあ先輩、レーナ(ネコ)をよろしく頼むっちゃ」
「あいよ♪」
「じゃあね、レーナ(ネコ)♪」
「ニャ〜」
僕の腕に抱かれていたレーナ(ネコ)は少しだけ寂しそうな声で鳴いた
- 379 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
翌朝・・・僕が日課のランニングをしていると昨日子ネコを拾った場所に女の人が立っていた
その人は大人の猫を連れている、まさかとは思ったけど僕は声をかけてみた
-
--
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-----
僕が楽屋に入ると田中さんは待ってましたとばかりに僕の所に飛んでくる
「先輩!レーナ(ネコ)は元気と?」
「ん・・・う〜ん・・・」
「先輩?どうしたと?」
「実はね・・・」
僕は田中さんに朝方にあったことを全て話した、レーナ(ネコ)の飼い主がいてその人に
レーナ(ネコ)を返してあげたこと、いつでもレーナ(ネコ)に会いに行けば会えること
そして、拾った猫が本当にレーナ(ネコ)という名前だった事・・・全てをちゃんと伝えた
「そう」
一瞬田中さんは残念そうな顔を見せたが、すぐに笑顔になった
- 380 :ネコがニャーと鳴いた日:2007/03/24(土) 02:11
-
「ちゃんとお母さんがいるなら、一緒にいるのが1番っちゃ、それに会おうと思えば会えるんでしょ?」
「うん、飼い主の人がいつでも会いに来て下さいって言ってたよ」
「じゃあ、今度レーナ(ネコ)に会いに行こう」
「うん」
僕と田中さんの会話にメンバー一同は首をかしげている・・・そりゃそうだ田中れいながレーナ(ネコ)に
会いに行こうって言ってるんだから無理も無い
「せんぱ〜い、さっきから何の話をしてるんですかぁ〜?」
亀井さんが横からいつもの調子で割り込んでくる
僕はテーブルの上にあった柿ピーのピーナッツを手に取るとそのまま亀井さんの鼻の穴に突っ込む
「フ・・・フフ・・・亀ちゃんには関係ないお話だよw」
「なにするんですかぁ〜〜〜!」
僕は亀ちゃんがそういうと同時に楽屋を飛び出す・・・さぁ、いつもの賑やかな日常の始まりだ♪
- 381 :MONIX ◆XBvOzcZfYg :2007/03/24(土) 02:19
- あとがき
( M _ O)<うわ〜〜〜、ちゃんとまとまってない!
本当にご無沙汰しており申し訳ないです
>>374(匿名タソ)
ちょい前のネタで亀ちゃん体重ネタを
活かしていただきありがとうございます♪
今回、ピーナッツネタを使わせていただきやした〜
次回はりかみき絡みの話か紺野さんあたりを
登場させる予定であります♪
- 382 :名無し娘。:2007/03/24(土) 17:31
- ニャー 誰かのツボをついてそうだw
- 383 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:05
-
「デート♪ デート♪ 」
「やめなさいっ。目立つから」
大きな帽子を目深に被ったその下で、えらく楽しそうに妙な歌を口ずさみながら、歩く僕の廻りをクルクルと回っている亀井さん。
約束を果たしたここまでの半日で、こうまで喜んでもらえるのは嬉しいけれど……
「そのはしゃぎっぷりはなんとかならないの?」
「えー? だって、楽しいじゃないですかあ」
「まーね。楽しいけど」
「でしょ? でしょぉ?」
まぁいいけどね。
でも、はしゃぎすぎだと思ったら……
「それにしても……あっつーい」
「やっぱり? ずいぶん着込んでるもんね」
「だって……寒くなるってテレビで言ってたんですよぉ」
情けない声でそう話す亀井さんはもこもこに着込んだ首もとをパタパタと扇いでる。
「日が出てきたらだいぶあったかくなったよね」
「あっついから上脱いじゃいたいんですけど……」
「ん? どうしたの?」
「これ脱ぐと寒いんです」
「微妙なのね」
「そーなんですよー」
そう笑いあった僕の目線が少し先の店で止まった。
僕の目線に気がついた亀井さんもその店へ目をやる。
なんとも言えない沈黙が生まれた。
- 384 :『この一言しか思い浮かばなかった』:2007/03/24(土) 22:06
-
「……良さそうなの、買う?」
「それはもしかしてぇ……」
「わかりましたってば。買ったげるから」
「わーい。せんぱいやっさしいんだ」
さも嬉しそうにフニャフニャした笑みをみせる亀井さんと店に入って。
あれやこれやと次々と手に取っては鏡の前に立ち、それから僕へと見せる。
女の子の買い物が長いのは解っているけれど、間に合わせの上着一枚選ぶのにかれこれ一時間以上。
「どっちが似合うと思います?」
結局最初の頃に手にした――と思う――二枚を両手に持って聞いてくる。
デザイン的にはどちらもそれほど差はなく、表を歩くのにもほど良さそうな感じに見える。
「どっちも似合ってると思うけど」
「そーじゃなくてぇ……、せんぱいはどっちの絵里が好きですか?」
ちょって照れくさそうに、両手に提げたジャケットとハーフコートと、そして僕へと視線を動かした。
なんとなく言わんとするところは解るけど……
「だったらこれ。それに、そーだなあ……」
右手に持ったコートは今の亀井さんのインナーに合わなくもない。
けれど、どうせだったらとすぐそばにあった淡いグリーンのシャツを手渡した。
「合わせるならこれの方がよくない?」
「え? でも――」
「どうせなら合わせちゃおう。着て見せてよ」
「あっ」
らしくもなく遠慮している亀井さんを試着室へと押し込んだ。
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