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ふにゃちん☆レボリューション

1 ：名無し娘。：2006/09/02(土) 21:36

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　　　　　　　＿,に: ::,:へ: :ｨ: : ::＿; ;_: :｀;ヽ
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　 .| .|ｌ: ｌ: :ｌ: : ::/: /ｉ: ｌﾊ| |:|::|: :|:|: :|: : :|: ::ｌ: ::ｌ: :ｌ: : :ｌ:＼
. ∧/ |:ｌ: :ｌ: : :/:斗|‐;ト|､ |; ｌ; ｉ: :ｉ ;,Ｌ;;;_ｌ_: :ｌ: :ｌ: :ｌ: : :|: ,へ
//: :| |:|: :ｌ: ::ｲ｢|:| |ｉ |　|　 ｌ;　ｌｉく｢ ｉ ｌｉ ｉ;｢ヽ;ｌ: ｌ: :ｌ: : レ ∧＼
| |: : | |ﾊ: |: ::| | ﾚｆ千;ﾐ ｉ　 ｌ　|　斗ぇL_い: ｌ::ｌ: :ｌ:: :ﾄイ::| |　.}
| |: ::| .|　いハ / |ﾞ ｉ:::::}　　　　　}ﾞ｢::::ﾞｉﾊヽ〉ｌ:ｌ: :ｌ / | .|: | |　ｉ　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
ｉ　ｌ; |　ヽ ` .ハヽ.〔ﾞこｿ　　　　　[.ｉ::::ｿ}ﾉ /;;Ｖレ/　ﾚｖ:;| ｌ　　 |　心配しないで！　どんなチンコでも
　　ｌ:|　　 　|: :ﾊ .:::￣　　　　　　 ﾞ'-''ﾟ　∧::|.Ｖ 　　 |:./　　 ＜
　　 ヽ　　　ｌ: ::へ　　　　__'_　　　..:::::../　|::| |　　　 ｌ/　　　　|　絶対、小春が勃たせてみせるから☆
　　　　　　_｣Ｌ:: ;ト` .､　ヾ. ノ　　 ,　'´ ノ|::ｌ/　　　 /　　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　く＼　ヽ:ｉｒ‐‐｢`　--　' ｢ ､＿/-くヽ‐- 、
　　　／ 　＼＼. ｉ:ｉ　 |　　　　　 ｉ ム.._＼ ヽ ヾ　}
　　/ |　　　　＼ ヾ、_　　　 _, -'´　／}　 ﾞ　ﾟ　ﾞ　|
　　|　＼　　　 　`- 二二二 -‐ '´ 　/　　　　　∧
　　|　　 ゝ、.ｉ　　　　　　　 :　　　　　|　　　　 /　 .}
　　|　　　　Ｖ　　　　　　　:::　　　　 .∧　　　/ {　　|
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467 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:39

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　（’；川川＼
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ∩　　　） ＼.＼
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468 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼
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　　　彼女は私の制止を振り切り　行ってしまいました
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469 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼　ｶﾞﾀﾝ
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　でも私には　彼女の気持ちが痛いほど理解できます
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470 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　彼女は　やっぱり　私の友達だったのです
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471 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼　ｶﾞﾀﾝ
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　だからこそ　私との再会を　拒絶しようとしたのです
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472 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　なぜなら　彼女もきっと　理解していたはずだから
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473 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼　ｶﾞﾀﾝ
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　今の私が　モーニング娘。のリーダーであることを
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474 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:40

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　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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475 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:41

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼　ｶﾞﾀﾝ
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　噂は本当だと　言ったことも
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476 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:41

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　　　友達ではないのだと　強がりを言ったことも
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477 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:41

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　　　　　　　／／!.　 　 　 　 　 |　　　　　　（ｰ’川.＼　ｶﾞﾀﾝ
　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　どちらも　彼女のついたかわいい嘘なのでしょう
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478 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:41

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　　　だって　彼女は今も　私の大事な友達だし
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479 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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　　　その彼女がAV出演なんて　そもそも荒唐無稽だから
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480 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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　　彼女は最後まで　私の友達でいることを選んだのです
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481 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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　　　だって私のために　嘘をついてくれたのだから
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482 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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483 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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　　　一人で見る景色は　いつもの景色とは異なり
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484 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:42

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　　　　　 ／／　 |ニニニニニニニニニ　⊂　　ﾉ ＼.＼　ｺﾞﾄﾝ
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　　　まるで美術館の絵画を　見ているようでした……
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485 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:43

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　　　　　　　　　　　│　　タビモニ。 　 .│
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486 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:43

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　〜終着〜

487 ：名無し娘。：2007/08/24(金) 23:43

大事なとこで言葉ミスッてたorz

488 ：名無し娘。：2007/08/25(土) 16:20

ダッシュで狼をチェックしてしまった

489 ：名無し娘。：2007/09/08(土) 16:14

ある意味切ないｗ

490 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:38

やったー変態小説できたよー（＾o＾）ﾉ

491 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:38

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┃　　　　　　　＿,に: ::,:へ: :ｨ: : ::＿; ;_: :｀;ヽ　　　　　　　アイドル昇進戦記　　　　　　　　　　　　　　　　┃
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┃　　ｌ:|　　 　|: :ﾊ .:::￣　　　　　　 ﾞ'-''ﾟ　∧::|.Ｖ 　　 |:./ 　 　 　 　 　 アタシの名前はコハル。 　 　 　 ┃
┃　　 ヽ　　　ｌ: ::へ　　　　__'_　　　..:::::../　|::| |　　　 ｌ/　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
┃　　　　　　_｣Ｌ:: ;ト` .､　ヾ. ノ　　 ,　'´ ノ|::ｌ/　　　 /　　　　心に傷を負ったアイドル。　　　　　　　 　 ┃
┃　　　　　く＼　ヽ:ｉｒ‐‐｢`　--　' ｢ ､＿/-くヽ‐- 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ┃
┃　　　／ 　＼＼. ｉ:ｉ　 |　　　　　 ｉ ム.._＼ ヽ ヾ､}, 　 モテカワスリムで変態体質のミラクルガール♪┃
┃　　/ |　　　　＼ ヾ、_　　　 _, -'´　／}　 ﾞ　ﾟ　ﾞ　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
┃　　|　＼　　　 　`- 二二二 -‐ '´ 　/　　　　　∧　　(省略されました・・　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ┃
┃　　|　　 ゝ、.ｉ　　　　　　　 :　　　　　|　　　　 /　 .}　　　　　全てを読むには乳首を押してください)　┃
┃　　|　　　　Ｖ　　　　　　　:::　　　　 .∧　　　/ {　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
┃.　 ｌ　　　|　K .... 　　　　　:::　　　　　　}　　　}　ｉ　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ┃
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492 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

　――アタシの名前はコハル。心に傷を負ったアイドル。モテカワスリムで変態体質のミラクルガール♪
アタシがつるんでるアイドルは仕事そっちのけで株投資で荒稼ぎ（＆脱税）してるリサ、
事務所にナイショで枕営業をやってるマイ、離婚危機説でしか話題になれない人妻アヤ。
　仲間がいてもやっぱり弱小事務所はタイクツ。今日もリサとちょっとしたことで口喧嘩になった。
格差社会だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは声優の裏バイトをすることに
している。売れない自分へのリスペクトってやつ？格差の是正とも言うかな！
　「あぁん、い、いくぅ」・・。そんな台本を棒読みしながらスタッフどものエロ目線をあしらう。
「カノジョー、もうちょっと感情こめてくれない？」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
ディレクタークラスになると年収そこそこだけどやっぱりヲタっぽくてキライだ。もっと陽の当たる道を歩きたい。
　「ええんか？これがええのんか・・？」・・・またか、と自分に甘く他人に厳しいアタシは思った。
シカトするつもりだったけど、チラッと声優の男の顔を見た。
「・・！！」
　・・・チガウ・・・今までの相手とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・（カ、カンじる・・！！・・これってプレイ・・？」
男は鬼畜アニメ専門の声優だった。アニメの中でレイプされた。「キャーやめて！」潮を噴いた。
「ズッコン！バッコン！」アタシは逝った。バラライカ（笑）

493 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

「ふー、あぶねえ、あぶねえ」・・。まさかアフレコでアタシを逝かす男がいるなんて、
これだから声優業界は恐ろしい。しかし相手が大御所の団鬼八センセイだったと聞けばナットク☆
バイト代も直で一万円もらったし、センセイのおかげでお肌もツヤツヤ、なんかアタシにも運が向いてきた？
　・・なんてことを考えつつ、アタシはシータクで事務所に戻るのであった。
「コハルくーん、いったいどこ行ってたんだい？」
　うわあ・・まだいたのかよ・・。思わず心の中で舌打ちする。でもそんな素振りは決して見せないのが
アタシのアイドルとしてのしたたかさだ。夢は日本一のアイドル。笑顔はそのための大切な武器なのだ！
「あ、すいませーん。暇だったんで、今流行りのスイーツでもチェキしとこうカナ☆って・・。
だってジャーマネもいつも見聞を広げろって言ってるし・・。仕事にプラスになるカナ☆って思って」
　こいつは事務所のマネージャーで、名前はヨネダ。肩書きはマネージャーなのに
一つも仕事を取ってこないどうしようもなく使えない男だ。それなのにアタシたちには小うるさく、
アイドルは日常からアイドルじゃなきゃいけないだとか、アイドルも常識を身につけなきゃいけないだとか、
とにかく小言をちらし寿司のようにまきちらす。そのくせ具はシイタケとキンシタマゴだけだ。
「困るんだよねえ。たしかに今のアイドルにはそういう勉強も必要だけど、一言くらい言ってくれないと」
　常識人のアタシはその言い分にも一理あることくらい知ってる。でもこいつに頭を下げるのはゴメンだ。
「エヘッ」・・。舌を出してごまかす。アホな男だ。ぶりっことも知らずにすっかり騙されてやがる。
もしかしてこいつロリコンか？・・うーん、そうならこれからちょっと気をつけるべきかもしれない。

494 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

「まあいいじゃないですか。どうせ仕事もないんだし」
　口を挟んだのはリサ。助け舟のようにも聞こえるけど、半分はアタシの仕事のなさを皮肉った言葉だ。
そっちの方がもっと仕事ないだろ・・って言いたいけど、リサにはそんな言葉は通用しない。なぜなら
リサは仕事をしなくても一生食べていけるくらいの金を持ってて、さらにその金を贅沢に運用してる。
今だって口を挟みながらも顔はパソコンの画面を向いている。すでに株式市場は閉まってるから、
どうせ今日の市況を振り返りながら明日の傾向でも思案しているに違いない。
　パチパチパチ・・・☆・・・パチパチパチ。アタシとリサとの間に見えない火花が散る。
親の金でアイドルの肩書きを手に入れ、さらにゲーム感覚で資産を増やしまくるリサを見ていると、
やっぱり世の中は不公平だと思えてくる。でも、だからって共産党を支持するようなアタシではない。
資産がないかわりに、アタシには生まれながらのモテカワスリムな素質があるのだ。うはははは☆
「あ、ジャーマネ。用事あるんで帰っていいですか？」
　誰が見ても水商売風ギャルにしか見えない衣装に身を包んだマイが平気で割り込んでくる。
でも空気が読めないんじゃなくて、単に頭が悪すぎて状況が理解できないだけだ。どうせ頭の中には
今夜の枕営業のことしかないのだろう。リサが￥でしか自己主張できないように、バカにはカラダしかない。
そういうアタシも顔しかないんだけど、アイドルで一番重要なのはやっぱり顔だよね？

495 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

　マイが帰ったことで事務所の中はリセットボタンを押したように静かになる。
「コハルちゃん、お肌ツヤツヤしてるわね」・・と、部屋の片隅にいたアヤさんが
不敵な笑みを浮かべながら近寄ってくる。・・わわわ・・ど、どうしてそれを・・！
「あ、いや、どっかでマイナスイオン浴びちゃったりしちゃったりしたかも？」
「いいわねえ、若いって。ワタシも若い頃は毎日のようにマイナスイオンを浴びたものよ。ドロドロの
マイナスイオンを顔にかけてもらったり、シーフードの香りを楽しんだり。今ではいい思い出だけど。ふふふ」
　うー、なんか誤解されてるみたいだ。しかし、この人はそういうことに関してだけは変に鋭いから危険だ。
アタシの裏バイトもそのうち気づかれるかもしれない。これからは気をつけなきゃ。
　・・なんてことを考えているうちに勤務時間が終わる。うちは弱小だし給料制だから、アイドルと言えども
扱いは社員と同じ。毎日のように出勤し、（名目上）電話番やら雑用やらをしながら時間を潰す。
思い描いていた夢のアイドル生活とは程遠いけど、これも日本一のアイドルになるための下積み
だから、我慢しないとね☆
「コハルちゃん、穴場の店を見つけたんだけど、一緒に行く？」
　帰り支度をしているアタシにリサが声をかけてきた。さっきまでの確執などとっくに忘れているらしい。
「あ、今日はいいや。お母さんに早く帰って来いって言われてるから」・・。もちろん嘘だ。
リサは生まれながらの大金持ちだけど、高級フレンチも高級イタリアンも高級懐石も食べ飽きていて、
逆に庶民の安価なテーショクや下町のオソーザイなどに喜びを感じるという変態的な舌を持っている。
リサが「穴場の店」とか「隠れ家的存在」とか「どこの雑誌もノーマーク」とか口にした時は
たいていが大衆食堂やら赤提灯やらに連れて行かれる。そりゃどこの雑誌にも載ってないに決まってる。

496 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

　しつこい誘いを振り切り、アタシは家路についた。電車は上京した初日に痴漢に遭って以来乗らないことに
している。都会には魔物が住んでいると聞いていたけど、いきなりの魔物にはアタシもビックリ☆しかも
かなりのテクニシャンだったから声を抑えるのに必死だった。ああん、すごい、すごいっ！・・てね。
アタシが電車に乗らないのは癖になっちゃうかもって危惧したからだ。アイドルが痴漢プレイで興奮だなんて
ばれたら大変だもんね・・。夢を実現するためには冷静な禁欲も必要なのだ。うーん、色即☆是空。
　バスを乗り継ぎ、郊外の停留所で降りる。歩いて十分のところのマンションが今のアタシの家だ。
そこにはお母さんがいて、アタシの大好きなコシヒカリを炊いて待っていてくれる☆それも新潟のお父さんが
作った自家製のコシヒカリ、そしてそのコシヒカリを炊く水は新潟からわざわざ運んだ産地の水だ！
　コシヒカリの甘く豊かな味と香りとその他もろもろを想像しながら公園脇の道を進む。
悲劇が起きたのはそう、その時だった。
「おとなしくしろ！」・・。突然男が茂みから飛び出してきたのだ。
　う、うそっ、こ、これって・・もしかしてレイプ？・・「きゃー」
「さ、騒ぐな！騒ぐとレイプするぞ！」
「ぎゃー、ぎゃー、ぎゃー」・・レイプという言葉にアタシは思わず反応してしまった。もしかすると
心の中でそれを望んでいたのかもしれない。アタシはいけない子だ。そしてすぐにいく子だ。
「レ、レイプするって言ってるだろ！」・・アタシの素直すぎる反応に男の方が困惑しているようだった。
なんて頼りない暴漢なのだろうか。アタシはやや幻滅しながらも声を限りに叫び続けた。うぎゃー。

497 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:39

「おとなしくしろっつってんだろ！！！」男が声を荒げる。
・・その瞬間、キュンっときた。なに・・なにこの感覚？これってもしかして・・恋？
アタシは頬を赤らめながら男の顔を見た。か、かっこいい！
「ふう・・やっとおとなしくなったか。手間かけさせやがって」・・男はおとなしくなったアタシの両肩をガシッと
掴み、トイレのある方へと連れて行った。アタシの方はもうドキドキだ。こんなイケメンにレイプされるなんて、
さっすが東京。東京に来てよかった〜！
　って思ったのに、こんな時に限って邪魔が入るのだ。うーん、諸行☆無常。
「な、なにしてるんだ！やめたまえ！」・・トウッという掛け声とともにアタシたちの前に男が飛び出してきた。
くそ、せっかくのプレイを・・と恨みつつ顔を見ると・・・か、かっこいい！こっちもかなりのイケメン君だ！
「な、なんだおまえは！」「オレは皆本九郎（クロー）。ロックバンドGEN×PEIのヴォーカルだ！」
　うおおお、こっちはバンドマンだ！聞いたことないバンドだけど、これはポイントが高い！
「そ、そんなバンド聞いたことないぞ！」・・。アタシもそれは同じだ。
「ふふふ、まだ売り出してないからな。今はロッカーの卵だが、いつかは日本一のロッカーになってやる！
オレの夢は日本一のロックバンドを率いること！日本のロックシーンを劇的に変えるのがオレの宿命だ！」
　ヅガーーーン。アタシの脳天に雷が直撃した。それは今の今まで経験したことのないような衝撃だった。
特に率いるって言葉の響き☆これって、これってもしかして・・本当の恋？

498 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:40

「なにが日本一だ。どうせ口先だけだろ！」・・。レイプマンもまだ降参はしていない。がんばれレイプマン！
「口先だけじゃない！今はまだインディーズだが、ライブハウスには４６人も集めた！」
　うおお、なんか凄いのか凄くないのかよくわからんが、具体的なところ（＝数字）が凄い！
「な、なに・・よ、４６人も、だと？」・・恐るべし４６人の魔力！
「そういうそっちはどうなんだ！人に名前を名乗らせておいて自分のことは棚ぼたか！」
棚ぼた（棚からぼた餅）じゃなくて棚あげ（棚にあげる）だと思うけど、
そういうちょっと抜けてるところもオトメゴコロをくすぐられるから要注意だ。
「オレは一之瀬啓（ハジメ）だ。六本木のホストクラブのナンバーツーだ！」・・。ホ、ホストクラブ！
なんという劇的な場面☆アタシをめぐってバンドマンとホスト（レイプマン）とが激突するなんて！
「ホ、ホストだか郵便ポストだか知らんが、レイプのような悪行を黙って見過ごすわけにはいかん！」
　クロー、かっこよすぎだよ！アタシもうホレまくりだよ！
「なら力ずくだ！」・・。レイプマンもがんばれ！
クローとハジメが激突する。ガシッボカッ。ウギャー。・・クロー弱すぎ・・・。幻滅だよ。

499 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:40

「ふっ、やっぱり口先だけだったか」・・。レイプマンハジメが拳をペロッと舐める。
ピピピーン。その瞬間、アタシの中で何かが芽生えた。超絶にかっこいい！これって真実の恋？
「オレの勝ちだな。コハルはもらっていくぞ」
　ハジメがアタシの肩をガシッと掴み、トイレへ向かう。ああ、アタシ、この人にレイプされるんだ・・。
そう思うと股間がヌレヌレになってそれだけで逝っちゃいそうだ。東京バンザーイ！
　・・あ、あれ？でも、なんか変だ。なんかおかしいような気がする。
冷静なアタシはそれに気づいた。ハジメはアタシの名前を知っていた・・・。どういうこと？
どういうことなの？・・「ど、どうしてアタシの名前を？」
　ハジメの顔色が変わった。か、隠してる！何かをアタシに隠してる顔だ！
「そ、そんなの関係ねえ！」・・。うぎゃ、小島よしおかよ・・せっかくかっこよかったのにこれは減点だよ。
「ま、待てっ！」・・。おお！クロー死んでなかった（笑）
「このヤロー、まだやんのか！」
「ヤローじゃない・・オレの名前はクローだ・・ロックバンドGEN×PEIのヴォーカル、皆本クローだ！」
　ヅガドーーーン！か、かかかか、かっこよすぎだよクロー！しびれたよクロー！がんばれクロー！

500 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:40

「き、きさま！」・・。ドカッバシッドゴッドバッ。マウントから乱打が飛ぶ。ああ、や、やばい、これやばいよ！
「や、やめて・・これ以上やったら死んじゃうよ・・・死んじゃう・・・クローが死んじゃうよ・・」
「うるせえ！どけっ！」ハジメがバシッとアタシを蹴った。痛い・・痛いよ・・・涙が止まらないよ・・・。
その時アタシの中でなにかがはじけた。ウオリャーーーーーーー☆★☆・；’，”。
　気づいたらハジメが目の前に倒れてた。そう、アタシには古武術の経験があったのだ。自分でも意外。
「だ、大丈夫か？」・・ボコボコにやられたくせに、さも自分がやったみたいな顔でクローがアタシに尋ねた。
でもそれも悪くないよ。だってクローはアタシのためにイッパイイッパイ闘ったんだもん！恋は盲☆目だ！
「うん、クローのおかげ」
　・・・目と目が合った。お互いに相手に落ちていた。アタシたちはキスをし・・・。
「チッ、使えねえヤツだな」と、茂みから声がした。振り向く。そこに一人の女がいた。
　アッ！と思った。その女の顔をアタシは忘れてなかった。アタシをどん底に突き落とした女、マコト！
「マコト！」
「ふっ、レイプシーンを撮影して引退に追い込んでやろうと思ったのに、どうやら失敗したようだ」
　な、なんですとー！じゃ、じゃあハジメはマコトの手先？
「な、なんでそんなことを！」
「オマエが邪魔だからだよ。オレはなあ、オマエのことがダイッキライなんだよ！！！」
　ガーーーン。アタシがこんなにまで恨まれていただなんて・・。
でも・・でも・・でもでもでも・・・こいつだけは・・こいつだけは・・・絶対に許さないんだから！

501 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:40

　アタシがまだ新潟にいた頃。アタシはシグナル５（ファイブ）という新潟コメドコロテレビに所属する
ローカルアイドルグループの新メンバーオーディションを受けた。そのグループのリーダーがマコトだった。
アタシは順調に審査を勝ち進んだ。でも、その途中からマコトの執拗な嫌がらせが始まった。
　「いやあ、久住コハル君とかいったかね。キミはシグナル５にはもったいないくらいの逸材だ」
　「なんならシグナル５を解散させて、キミをテレビ局のソロマスコットアイドルにしてもいいくらいだ」
・・審査員たちがエロい目つきでそんなことを口にした。その時、マコトも審査員の一人だった。
マコトの目がアタシを睨んでいた。この世のものとは思えないほどの憎しみがこもった陰険な目だった。
その後でアタシはマコトに呼び出された。・・「オマエよお、ちょっとカワイイからって調子こいてんじゃ
ねえぞ。オマエみたいな少女ぶったヤツが合格したら、新潟県民はみんな噂するだろうな。
社長と寝たんだろって・・」・・・・・・・・。
　ガーン。目の前がクラクラした。そんなことになったらアタシは終わりだ。なぜなら
アタシのクラスメイトも先生も家族も親戚も近所の人もみんな新潟県民だからだ。
そんな噂が流れたらアタシの人生、島木のギャグで言えば、愛知県、名古屋、尾張だ・・。
　数日後、アタシは最終審査を辞退した。でも一年が過ぎた頃、やっぱり夢を捨てきれず、
アタシは新潟ではなく東京の弱小事務所の新人募集に応募した。それが今の事務所ブラックリバーだ。
　アタシが上京した後、マコトも東京の事務所に移ったという噂を聞いた。ただそれだけだった。
だけど、マコトはアタシのことをまだ狙っていたのだ。アタシを地獄に突き落とすために・・。

502 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:40

「どんな事情があるのかは知らん。だが、人を使って女の子をレイプさせるなんて、
人間のクズだ！自分は安全なところにいて他人に危害を加えさせるなど言語道断！
お天道様も聞いて呆れるわ！」クローが立ち上がって吠えた。
うーん、弱いのはアレだけどやっぱかっこいい！口先だけでも全然オッケー！
「くそっ、今日のところはこれで許してやる！おいハジメ、帰るぞ！」
マコトがハジメを片手で肩に担ぎ上げ、そのままドスンドスンと地面に足跡をめりこませながら帰っていく。
うーん、ハジメにレイプされてもよかったんだけど、でもクローと知り合えたからそれでよしとするか。
　それからアタシとクローは公園のブランコに座ってお互いの夢を語り合った。
夢のような時間だった。アタシにもついにイケメンのカレシができたんだ。それもバンドマンだ。
喧嘩に弱いのがアレだけど、クローは最後まで闘おうとしてた。正義の味方は最後まで諦めないのだ☆
「ねえクロー、アタシん家、この近くなの・・・よかったら・・食べてって・・くれない？」
　ポッ。恥ずかしくて頬が真っ赤になってるはずだ。女の子からこんなセリフ言わせるだなんて
クローも罪な男だよね。でもクローってなんかほっとけない感じがするんだよね。これが母性☆本能ってやつ？
「い、いいのかい？」・・。うわあ、めっちゃ緊張してる表情だ。こいつもしかしてドーテイ？
「う、うん」アタシはうつむいて答えた。恥ずかしさのあまり目を合わせることができなかった。
　その晩、クローはうちでコシヒカリの御飯を三杯も食べた。そんですぐに帰った。恋ってサイコー！

503 ：名無し娘。：2007/11/20(火) 20:41

人物紹介（暫定）だよー（＾o＾）ﾉ

久住小春（コハル）：日本一のアイドルを夢見る女の子。新潟から上京してお母さんと二人暮し。
新垣里沙（リサ）：親の金を使ってブスのくせにアイドルになる。当然仕事はなく株投資に熱中。
里田まい（マイ）：枕営業で売り出し＆中出し中。後に大物司会者をゲットし、アホキャラでブレイク（予定）。
石黒彩（アヤ）：十代の頃にチャート3位を記録。でき婚・出産（三子）を経て復帰するも需要ゼロでお局状態。
小川麻琴（マコト）：新潟ローカルアイドル出身。コハルを潰そうと画策し、わざわざ東京に進出する。
松浦亜弥（アヤヤ）：元トップアイドル。人気が減少し、旬な新人アイドルにきつくあたる。通称新人キラー。
ロッキーズ：大手芸能プロに所属する三人組ユニット。資金力にものを言わせて大々的に売り出す。
平家充代（ミチヨ）：アヤがデビューした頃の強力なライバル。ロック歌手。没落し、現在は消息不明。
コンノタカハシ：素人漫才コンビ。MeTubeの投稿動画で人気が急騰し話題に。しかしM-1は一回戦敗退。

蘆名盛氏（ダンディ）：ブラックリバー社長。やり手で知られる業界マン。ただしアイドルの売り方は知らない。
蘆名盛興（オッキー）：御曹子で子会社の社長。イケメンで女好き。そのせいで事務所には出入り禁止。
米田二郎（ヨネダ）：ブラックリバー社員。コハルたちのマネージャーを務める。三十歳独身。顔は普通。

団鬼八（センセイ）：鬼畜アニメ専門の大御所声優。アフレコ中に逝かせた女は数知れず。
一之瀬啓（ハジメ）：六本木のホストで小川のヒモ。コハルを付け狙ううちに恋をする？
皆本九郎（クロー）：ロックバンドGEN×PEIのヴォーカル。正義感に溢れるが喧嘩に弱い。コハルのカレシ。
種無権六（カントク）：厳しいが愛情溢れる舞台監督兼役者。コハルの素質に気づく。
勅使河原七之助（ハカセ）：搭乗型ロボットGRの開発者。この開発により業界に革命が起きる。
上杉参（マイル）：人気ダンスユニットのメンバー。実はコハルとは・・・。
五反田剛（ツヨシ）：マンションの隣人。現役大学生だが人間不信でヒキコモリに。メガネを外すとイケメン。
ジン・ヨンクン（ヨン君）：台湾の若手俳優。新潟県に留学（ホームステイ）していたことがあるとかないとか。

504 ：名無し娘。：2007/11/21(水) 11:48

ﾜﾗﾀ　期待

505 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:26

やったー第二話できたよー（＾o＾）ﾉ

506 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:26

　カレシができるって、こういうことなんだね。なにげない景色がとってもキ☆ラ☆キ☆ラして見える。
空気も新鮮で、御飯もいつもよりおいしく感じる。今朝はコシヒカリのご飯を四杯もおかわりしたのだ。
・・って、いくらモテカワスリムだからって、ちょっと食べすぎちゃったカナ？
　夏休みに入って一週間。学校のトモダチタチは塾だ部活だ海だ山だって楽しんでるんだろうな・・。
でもアタシはアタシで普段あまり来れない事務所に朝から出勤。これってチョー大人って感じじゃん☆
あ、そうそう、トモダチタチって重複語のように思えるけど、トモダチって言葉自体が単数形でもあるから
間違いってわけでもないんだって。伊勢物語にもトモダチドモって言葉があるって、言葉おじさんが言ってた。
うーん、だからなんだって言われたらそれまでだけど、ちょっと知的なアタシをアピール？
　バスに乗って事務所にとうちゃーく！「おはよーございまーす」
爽やかな出勤風景。でもアタシはいつも以上の笑顔なのだ。
なんてったってアタシにイケメンのカレシができたのだよ。それもバンドマンだよバンドマン☆
昨日までのロンリーなアタシではないのだ・・ガハハハハハハ！
　って、せっかく自己マンな優越感に浸ってたのに、なにこの異臭は？それも近寄ってくる？
「あらコハルちゃん、なんかいいことでもあった？」・・。うおおお、やっぱりアヤさん、気づいたか！
でもそれはこの際おいとくとして、異臭はどこから？
・・・「おんぎゃー、おんぎゃー」って・・げげげげっ！赤ちゃんおんぶしてるーーー！

507 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:26

子連れ出勤かよ！ってことは異臭はウンチかよ！
「あのー・・・なんかすんごい芳醇な大地の恵みっぽい香りが漂ってるんですけど・・・」
・・アヤさんの背中に苦労が透けて見え、アタシはかなり控えめに発言した。子供に罪はないのだ。
「あら、この子ったら。さっき変えたばっかなのに・・・。あ、コハルちゃん、オシメ変えといてくれる？」
ななな、なんでアタシが？・・って、あ、あれ？・・なんか今、足にものすごいねっちょりした感覚が・・・。
おもむろに足元を見るアタシ。お気に入りのスニーカーの下になにやら味噌のような物体が・・。げげげ！
「ウンチ踏んでるーーー！」ショショショ、ショッキング！
こらこのガキ！アタシのスニーカーになんてことをすんのだ！懲役くらわすぞ！
・・って、ん？なんだこいつ？アタシの目の前に見知らぬガキが立ってる・・。
「ママー、おもらししちゃったあ」
ぐはっ・・こいつもオマエのガキかーーーーー！！！

508 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

　・・・十分後、アタシはスニーカーを洗い終えて部屋に戻った。
アヤさんも一番下の子のオシメを変え終わったところで、二番目のガキの糞も片付けてある。
でも異臭はまだ残っていて、それがアタシのせっかくのハッピーな気分をズタボロのボロカスにする・・。
芸能界がこんなに厳しいところだったとは・・アタシの心構えはまだまだ甘かったようだ・・。
「ごめんなさいねえ。いつもは預けてくるんだけど、今日はどうしても都合がつかなくて・・」
これが金持ちのリサだったりクルクルパーのマイだったりしたら怒鳴ってぶん殴ってやるところだけど、
相手はアヤさんだ。ダンナが借金こしらえて自己破産したという話はワイドショーを見て知ってる。
離婚したくても養育費が一銭ももらえないから離婚できないのだという話はリサから聞いた。
でもだからって無差別ウンチ地雷を許容するわけにはいかない。アタシは清潔好きなのだよ、明智君。
「うーわ、なにこのニオイ？」・・。
アタシが抗議しようとした矢先、鼻をつまみながらマイが入ってきた。
昨夜の枕営業に失敗したのか、うかない顔をしている。
「あ、ごめんなさい。うちの子供たちが・・・」
「わあ、かぁわいぃぃ☆」
意外にもマイは子供好きらしい。アヤさんがおぶっている赤子のところに行って、
手のひらがちっちゃーいなどと言ってはしゃぎ、次にアタシのスニーカーを穢したガキの頭をなで、
それから・・もう一人の・・・。
・・って、えっ？・・そういえば隅のソファのところになにやら見慣れない顔がもう一つ・・・。

509 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

ぎょええええええ！な、なんだこの負のオーラは！
ソファには女の子らしき物体が一人座っていた。
ガキのくせに金髪・・なのに髪型はオカッパで、第二次性徴もまだなのにうっすらとヒゲが生えている。
そして目はどこを見ているのやら、感じとしては幽界を見つめているような死んだ目をしている。
「・・（もしや、これが噂のリムか・・」
アタシもその噂は知っている。DQNネームをつけられたことを恨み、わずか生後三ヶ月で
悪魔に魂を売ったとか、一度はコインロッカーに捨てられたものの、思い直したアヤさんが戻ってみると、
なぜか隣のロッカーの中に移動していたとか、産まれた直後は宮沢喜市にそっくりだったとか、
タケモトピアノのCMを聞くと泣き止むとか・・。いや、最後の二つはどの赤ん坊にも当てはまることだけど、
とにかく、そのリムには邪悪な噂がつきまとうのだ。
鈍感なマイもさすがにその負のオーラに気づいたようだ。
「か、かわいい・・ですね・・」と言いつつ、リムにだけは近寄ろうとしない。うん、正しい選択だ。
「ほら、リム、ご挨拶は？・・ほんっとこの子、人見知りするんだから・・」
・・・・・・・・・・それからの一時間、事務所内には怪しげな空気が流れ続けた。
マイはすぐに仕事があると言って逃げ出し、遅れてやって来たリサはすぐに政財界のパーティーが
あるとか言って引き返した。こんな時にかぎってヨネダは遅刻、他の社員も出払っている。

510 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

でもそれも一時間の辛抱だった。その日、アタシには仕事があったのだ。
ようやくヨネダがやって来て、アタシをNHKまで送り、仕事ぶりを見守る。
その日の仕事はNHKの「スイーツ笑百科」という番組。夏前からアタシはこの番組でアシスタントをしている。
まだ本格デビュー前ってことになってるけど、テレビ番組の現場に慣れるためのプレ活動なんだとか。
クイズの正解者にイチゴ君人形を渡すのがアタシの役割☆映るのはほんの一瞬なんだけど、
ただそれだけのことでアタシにはすでに私設ファンクラブまでできているというから
世の中はチョロイもんだ。
「おつかれさまでしたー」
収録が終わって、スタジオの隅で一時間もぼーっと突っ立っていたヨネダの元に駆け寄る。
ようやく慣れてきたとはいえ、周りは大人だらけ。さすがのアタシも現場ではいつも心細くなるのだ。
「ヨネダさん、どうでした？」
「うん、まあまあじゃないかな。それじゃ、着替え済ませて帰るか。夕方にはアニメの方もあるし」
このアシスタントと並んでアタシはアニメの声優もやってる。ダンディ、あ、これうちの社長のことだけど、
ダンディが言うには、どういう方向に進むにしろ、アイドルはセリフ慣れしなきゃいけないとかで、
アニメのレコーディングはその経験を積むのにちょうどいいんだとか。だからアタシが声優の裏バイト
してるのも、ある意味では自主トレみたいなものかな。・・なーんて、ほんとはただの格差是正のため
なんだけどね☆・・。何事にも最低限のお金ってものがいるのが社会の残酷なところなのだ。ボンビー☆

511 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

　割り当てられた二畳だけの小さな楽屋に戻り、博覧会のコンパニオンのような水色のブレザーを脱ぐ。
それを畳んで机の上に置き、荷物を持って楽屋を出る。ヨネダはどうせ喫煙所でタバコだ。
・・と、廊下を進んでいたアタシの前に、なにやら見たことのある顔が・・・。
「・・（あ、おつかれさまでした・・」と、言おうとしたんだけど、こっちはアシスタント、向こうは番組のゲスト。
それもかつてトップアイドルとして君臨したこともある松浦亜弥だから、声をかけていいのかわるいのか。
頭だけを下げて通り過ぎ・・ようとしたのに、アタシは前に進むことができなかった。
アヤヤがアタシの前に立ちはだかったのだ。・・な、なんで？なんでアタシの前に？
「オメエ、新人か？」
「えっ？あ、あの・・」
「新人かって訊いてんだ。どうなんだ。答えろよ」クッチャクッチャとガムを噛みながらアヤヤが言った。
ぐあああ・・・な、なんだこのイメージとの違いは！収録中は笑顔いっぱいだったのに・・。
「は、はい・・・あの、ブラックリバーに所属する・・久住コハルって言います・・・」
「ふーん、新人のくせにアタイんとこにゃ挨拶なしかい」
「あ、いや、そういうわけでは・・・」
うわあああ・・頭の中が大混乱だよ。まさか天下のアヤヤに因縁をつけられるなんて・・ビクビクもんだ・・。
アタシは泣きそうになりながら、なんて言ったらいいのか考えた。でも、なにも浮かばなかった。
まだまだアタシには経験が足りないのだ。だってナイショだけど、アタシほんとは処☆女だし・・・。

512 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

「す、すいませんでした・・・あ、あの、た、ただ身分が違いすぎて・・・その、声をかけていいものかどうか・・」
もうダメだ。アタシは終わりかもしれない。アヤヤの楽屋に挨拶にいかなかったのがわるかったのだ。
まだ義務教育中のアタシなんかにそんな業界の◆仁義◆なんてわかるはずもないけど、
そんなイイワケが通用するような甘っちょろい業界ではない。アタシもそれくらいのことは勉強している。
クチャクチャというガムの音が止まり、アタシは殴られるのを覚悟した。
こわごわ顔を上げる。アヤヤと目が合う。縄文ドキドキ・・・弥生ドキドキ・・・。
「ま、たしかに身分が違うわな。仕方ねえ、今日のところはカンベンしてやる」・・。アヤヤがニコッと笑う。
た、たすかった〜。アタシは喜んだ。緊張がとけて、急にカラダが軽くなったように感じた。
そりゃそうだ、天下のアヤヤがアタシのような無名の新人をいびるようなことをするはずがないのだ。
それにアヤヤがアタシに挨拶を求めたというのも、アヤヤがアタシのことを番組のアシスタントではなく
一人のアイドルとして見てくれたということ。だとするとこんなに嬉しいことはない☆ミ
「今日はご一緒できて嬉しかったです☆これからもゴシドーゴベンタツのほど、よろしくお願いします^^」
言っちゃったよゴシドーゴベンタツ。これは事務所で覚えたとっておきの大人用語だ！
「うむ」・・。アヤヤがいつもテレビで見るのと同じ笑顔で答えた。さすが大人用語。効果☆絶大。

513 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 16:27

アタシはいっぱいいっぱい頭を下げて、アヤヤが通り過ぎるのを待った。
そして頭を上げて振り返った。その瞬間だった・・。
「ガッシ！ボカ！」
アヤヤのパンチが二発、アタシのボディにめり込んでいた。ぐはっ。なななんて、ひ、卑怯な・・・。
「クズのコハルとか言ったな。オメエ、業界を甘く見んじゃねえぞ・・」
ペッと床に唾を吐き、アタシからフフンと顔を背け、アヤヤが去っていく。
な、なんていうヤツだ。アタシはその数分の間に芸能界の恐さを嫌というほど味わっていた。
今はやや人気が下降してるとはいえ、トップアイドルに君臨した人間というのは、
こんなにまで凄いものなのか・・。
「・・（恐ろしい・・なんという恐ろしいヤツだ・・。ガムを吐き出さずに唾だけを吐き出すとは・・・」
床に残った唾を見ながらアタシは思った。アタシならガムも吐き出しちゃうはずだ・・・。
その戦慄はしばらく消えなかった・・。恐るべし松浦亜弥・・ガムを自由自在に操るアイドル・・。

514 ：名無し娘。：2007/11/24(土) 23:03

ﾜﾛﾀ　　　　

515 ：名無し娘。：2008/06/28(土) 20:20

きらりちゃんに二度と勃たなくなるまで搾り取られたい

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