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さくら組とおとめ組ってどっちが最強なの?
- 1 :名無し娘。:2006/01/08(日) 15:59
- どっちよ?
- 54 :名無し娘。:2006/04/28(金) 22:54
-
えっと、前にも言われたんだけどさ、誤解なんだよ。
俺ら別に付き合ってるとかじゃないから。
「えっ、あっそうなんだ・・・。それじゃもっとお話しとけばよかったね。」
そういって微笑む彼女。
・・・オレンジ色の夕陽に照らされる少女。
はは、いいもんだね。
そうだなぁ。もう卒業だもんな。
「進路。」
ん?
「あ、進路どうするの?大学?」
うん、専門的な大学だけどね。”夢”あるんだよ。俺。
「そうなんだ、素敵。」
彼女はそういって僕の目をみつめてくる。
- 55 :名無し娘。:2006/04/28(金) 22:55
-
”夢”の話をすると普通の人はどんな”夢”なのか聞いてくるが、
彼女は違った。
ただ、俺に”夢”があることについて素敵と言ってくれた彼女は、
僕と同級生とは思えない、とても大人な女性に見えた。
そんな彼女を見て、目で合図を送る。
「あ、私?私は・・・大学。私も”夢”のために。”夢”ために勉強するの。」
そっか、お互い頑張ろうな。
俺もあえて、その”夢”のことは聞かなかった。
きっと・・・いつかわかるだろう。そんな気がする。
「・・・はいっ、完璧です!」
今日一番大きな声を出して、彼女はそう答えた。
正直、なにが完璧なのかはよくわからなかったが・・・。
彼女にもそういうとこあるんだな。
- 56 :名無し娘。:2006/04/28(金) 22:55
-
俺たちはそのまま二人で帰ることにした。
帰る途中、亀井さんらしき人と自称れいなさんらしき人が一緒にいたような気もするが・・・。
気のせいということにしよう。
下校中、今まで話せなかったぶん彼女と言葉を交わしまくった。
まるで今日で卒業してしまうかのように、二人で。
学校近くの駅についたところで、彼女が反対のホームということを知る。
ってことは彼女とはここでお別れか。
「ありがとう、こんなに話せると思ってなかったから、楽しかった。」
こちらこそ。
あっ電車きそうだよ?
「はい。・・・藤本さんと仲良くしてくださいね。」
えっだから俺たちはそういう・・・。
「藤本さんならいいんです。でも、他の人なら・・・諦められないです。」
そういって彼女は向こう側のホームへ走っていった。
彼女がホームについた途端に電車が来て、そのまま彼女は帰ってしまった。
- 57 :名無し娘。:2006/04/28(金) 22:55
-
・・・紺野さん?
・・・俺は、どうするべきなのか。
彼女が最後に言った言葉は、恐らくそういう意味なんだろう。
いや、自意識過剰か・・・いやしかし・・・。
「なに難しい顔してんの?」
・・・美貴。
「うわ、顔怖いって。スマイルスマーイル。」
・・・俺の高校生活・・・まだまだ終わりそうにないな。
「そういや麻琴、留学するらしいよ。」
えっウッソ!!”あの”麻琴が!?
- 58 :名無し娘。:2006/04/28(金) 22:56
- ・・・マコすまん。
- 59 :名無し娘。:2006/04/29(土) 22:18
- ギャルゲのやりすぎじゃねーーの?wwwwwwww
萌え
- 60 :名無し娘。:2006/05/29(月) 02:04
-
本心
今日も難なく勉学を終え、部活に行く。
しかし今日は亀井はいなくて、部員わずか4名の映像研究部の部室、
まぁ視聴覚室なんだが、には俺しかいなかった。
亀井がなぜいなかったのかは気にはなったが、
今日は疲れているような気がしたのでとっとと帰ることにした。
俺の通ってる高校は校門を出るとすぐに長い下り坂がある。
野球部とかサッカー部とかはよくこの坂をダッシュさせられている。
この坂は遅刻常習犯には強敵で、
美貴はよくこれのせいでぜぇぜぇ言いながら教室に駆け込んでくることがる。
かくいう俺も遅刻しそうな時はこの坂で訓練させてもらっている。
その坂を1人で下っていると、背後に人気を感じた。
が、後ろを振り返ってみても誰もいない。
まぁこんなことはよくあることだ。
きっと幽霊か何かだろう。あはは。
しかしその幽霊は随分俺のことが好きなようで、じょじょに近づいてきている。
あんまり気になったもので、急に後ろを振り返って見る。
「にゃっ!?」
- 61 :名無し娘。:2006/05/29(月) 02:04
-
・・・れいなさん?
この前図書室で出会った自称れいなさんが電柱の影からこっちを見ていた。
れいなちゃんだったよね?何してるの?
「別になんにもしてなか!・・・いや、先輩かどうかわからんくて、話しかけづらかったから・・・。」
なるほど、それで後をつけてたワケね。
うんうん、カワイイじゃないか。
一緒に帰るか?
「よかと?」
当たり前だろ?
あ、腹減ったからコンビニ寄るか。奢るよ。
「ほんと!?やった、れな、肉まん食べたい!」
れいなちゃんはニヒヒと笑うと、電柱から飛び出し俺の横について歩き出した。
二人でコンビニに向かって歩き出す。
途中で野良犬にビクつくれいなちゃんが非常に楽しかった。
コンビニに着くと、れいなちゃんは真っ先にレジ前の肉まんコーナーに向かった。
「肉まんもよかけど、ピザまんも捨てがたいなぁ。いや、ここはやっぱり肉まんで。」
そういうと僕の顔を見て笑う。
わかった、肉まんな。
俺ピザまん食うからちょっとやるよ。
「ほんと!?先輩やさしいー!」
「ほんとやさしー」
- 62 :名無し娘。:2006/05/29(月) 02:05
-
みみみ美貴!!?
お前はどうしていっつも俺の行く先々にいるんだ!
ちくしょう!また女の子といるとこ見られたよ!!
「やさしい先輩は美貴ちゃんにも何か奢ってくれるのかな?」
「せんぱぁい。こん人誰?」
うぐ・・・とりあえずれいなちゃん!
この人は藤本美貴さんと言って俺の・・・
「彼女でーっす!ウフ」
ちくしょう!デジャブか!!
「先輩彼女いたんやろか!?」
うおおおお!美貴、お前今日暇か!!
「え?何いきなり」
暇か!!
「暇だけど・・・」
よし今日の夜お前んち行くからよろしく!
そう言い残すと俺はすばやくお会計を済ませ、
れいなちゃんと肉まんとピザまんを抱え、走り出した。
「ちょっと!オイ!!」
後ろで叫ぶ美貴を無視して、一気に走り抜ける。
「せんぱい!ちょっと!れなのパンツ!絶対見えてる!ちょっとせんぱい!」
- 63 :名無し娘。:2006/05/29(月) 02:06
-
よしこの辺でいいか。
れいなちゃんと肉まんとピザまんを降ろす。
「なん先輩!?急に走り出すからびっくりしたっちゃ。」
よし、説明するぞ。
さっきのアイツは藤本美貴っていう俺のクラスメイトだ。
彼女ではないからな。
「・・・ふーん、怪しいっちゃね。」
ま、まぁ肉まん食え!
「あ、肉まん。いただきまーす!」
ほら俺のピザまんもあるぞ。
「あ、あほれほらふ」
よし、ゆっくり食うんだぞ。
これでれいなちゃんのほうは大丈夫だな。
あとは美貴か。
勢いであとで家に行くとは言ったもののどうしたものか。
逆に話しにくくなっちまったな。
「先輩。れなバイトあるからそろそろ帰らなかといけなか。」
お、そうかそうか。
気がつくと肉まんと俺のピザまんをすべてたいらげていたれいなちゃん。
全部いっちゃいましたか・・・。
- 64 :名無し娘。:2006/05/29(月) 02:06
-
バイトのれいなちゃんを駅まで送ってあげる。
帰り道の途中でピザまんのことを聞こうとも思ったが、せこい奴と思われたくないのでやめておいた。
「先輩、今日はありがとうございました!今度お返しするんで期待しててくれんねね。」
そういってまたニヒヒと笑うと向こう側のホームに走っていった。
電車が来るまでれいなちゃんはずっとこっちに手を振っていた。
ちょっと恥ずかしかったが、俺もしぶしぶ手を振り返しておいた。
可愛らしい子だな・・・いかんいかん。
れいなちゃんが帰ったあと、1人ホームで電車を待つ。
美貴、もう帰ってるかな。
電車に乗って、とりあえず一回家に帰る。
俺の家から美貴の家は近くて、歩いて10分ほどの距離にある。
そんなワケですぐいけるもんだから、ゆっくり飯を食ってから行くことにする。
飯を食いながら、美貴となんの話をするか考える。
とりあえず今日の言い訳をしよう。
あとは・・・どうにでもなるだろう。
さて、休憩もしたし、そろそろ行くか。
続く
- 65 :名無し娘。:2006/05/29(月) 03:10
- れいなちゃんと肉まんとピザまんを抱えた人の後ろを走りたいです
- 66 :名無し娘。:2006/05/29(月) 20:19
- 欲張りな先輩だなぁ
- 67 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:49
-
外に出てみるともう日も随分落ちていて、意外に寒かった。
上着は・・・いいか。
美貴の部屋に入れてもらえば大丈夫だな。
携帯を出して美貴にメールを送る。
これから行くわ。待っててくれ(^o^)
・・・我ながらなんだこの顔文字は。
明らかにすべってるが気にせずいこう。
美貴の家に向かって歩き出す。
そういや美貴の家に行くのなんて随分久しぶりだなぁ。
高3になってからは・・・初めてかな?
俺の家と美貴の家は多少なり交流がある。
といっても親同士はそんなに仲良くはない・・・のかな?
仲良くない、と言ってしまうと間違いかもしれんが。
俺の家族の中では妹の小春が一番美貴の家族と仲良いのかもしれないな。
小春は美貴の事をお姉ちゃんのように思ってるようで、
よく遊びにいったりしているようだ。
ちなみに俺は美貴のお母さんに気に入られている。
「私があと20歳若かったら間違いなく狙ってる」とまで言われたぐらいだ。
・・・なにがそんなにいいのかわからんが。
美貴の家までの道程の半分ぐらいを過ぎたところでメールがきた。
「ちょっとなんで来る直前に言うワケ!?30分待て!!」
- 68 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:50
-
・・・それは無理だな。
もうすぐ美貴の家だ。
あえてメールの返信はせずにおいた。
あとで怒鳴られるかもしれんが、それもまたいい・・・のか?
そんなこんなで美貴の家に着いた。
インターホンを押すのも気が引けたので・・・いや、美貴のお母さんが出てくると大変だから。
美貴に電話して開けてもらうことにした。
・・・・・・
あ、美貴?着いた。
「は!?30分待てっていったじゃん!早いよ!」
うん、着いた。
「聞けよ!・・・外でいい?」
外かぁ。何気に寒いんだけどなぁ。
「アンタが30分待たないからでしょ!!」
なんの話だ。あぁ、部屋汚ねぇんだ。
「うっさい!いいから待ってろ!行くから。」
- 69 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:50
-
10分ほど待っただろうか。
美貴がやっと出てきた。
なんかやけに着飾ってるな。いまからお出かけですか?
・・・遅ぇよ。
「うるさい。」
片付けたんだろ?部屋入れろ。
「片付けてない。」
は?
「女の子には色々あるんだよ。いいから公園行こ。」
なんだよ色々って。
ほんとにお出かけになってしまった。
・・・上着持ってくりゃよかったな。
美貴が言う”公園”まではほんの数十秒で行ける。
公園に向かう途中、隣で歩いてる美貴からシャンプーのいい香りが漂ってきた。
おまけに少し化粧もしてるようだ。
・・・原因はこれか。
俺と会うだけなのにいちいちこんな・・・。
しかしこれは・・・俺を男として見てるってことなのかな。
俺は美貴のこと女として・・・。
- 70 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:51
-
「なにブツブツいってんの?キモイ。」
はは。すまんすまん。
気付けばそこはもう公園。夜の公園なんてちょっとエロティックですなぁ。
よしここに座ろう。
俺と美貴は公園にあるありがちなベンチに腰をかけた。
「で、話って何?今日の言い訳でもしてくれるの?」
あ、大当たり。
今日一緒にいた子はれいなちゃんって言って・・・
「別にどうでもいい。聞きたくないよ。」
・・・あれ?これはマジで怒ってる?
少し寒気がした俺は美貴の方を向くことができなかった。
「あ、ごめん。言い方悪かった。どうせ亀井ちゃんの友達とかでしょ?」
・・・よかった。このまま沈黙が続けば逃げてしまうとこだった。
うーん、亀井の友達・・・なのか?
よくわからんがそうかも。いや、そうだ。
この前一緒にいたような気もするし、そうだと思う。
「たまたま帰りに出会って、肉まん奢ってあげただけ、でしょ?」
そうそう、さすが美貴。話が早い。
美貴は非常に理解力がある。
おそらく俺よりも頭は切れるだろう。
「最近美貴と一緒に帰んないよね。」
・・・え?
うん?あ、そうかな。部活行ってること多いからなぁ。
「去年まで部活とか、そんなに行かなかったのにね。」
・・・美貴?
あーそうかなぁ?去年もこんな感じだったと思うんだが。
「違う。亀井ちゃんが入って来てからだ。」
- 71 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:51
-
一瞬空気が凍る。
今度はビビらずに美貴の方を見てみる。が、美貴はこっちを向こうとはしない。
美貴、お前何言って・・・
「アンタは・・・亀井ちゃんに会うために部活行ってんでしょ?」
・・・。
「亀井ちゃんいなかったらすぐ帰ってるみたいだし。」
・・・返す言葉がない。
実際そうなのかも・・・しれない。
俺は亀井のこと、どう思ってんだ・・・。
自分の気持ちがわからん。
「・・・。」
気まずい。
なんだこの感じは。
まるで浮気がバレた恋人同士のような・・・。
美貴は・・・もしかして・・・。
「ごめん。美貴、今日おかしいや。帰るね。」
そういうと美貴は走って行ってしまった。
ちょ、待て!おーい・・・
足速いな・・・。
1人で公園でうなだれてるワケにもいかんので、
仕方なく帰ることにする。
- 72 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:51
-
帰り道、俺は色んなことを考えていた。
美貴の気持ち。
美貴は俺のこと・・・。
俺の気持ち。
俺は美貴のこと・・・?
俺は亀井のこと・・・?
俺は、明日からどうすればいいのか。
家に着いたと同時に美貴からメールが来た。
こんなに開くのが怖いメールは初めてだ。
いっそこのまま未読のまま寝てやろうかとも思ったが、
それをしてしまうと、俺と美貴はもうダメだ。
大袈裟かもしれないが、そう思った。
美貴からのメール。
深呼吸を一回して、あまりにも緊張してる自分にちょっと笑ってから、開ける。
- 73 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:52
-
「浮気すんなよ。バーカ。」
・・・はは、この野郎。
それでこそ美貴だよ。
よかった、俺らの関係は壊れない。
俺はそれを怖れていた。
今日気付き始めた美貴の気持ち。
はっきりさせたい俺の気持ち。
これから俺はどうなるのか。
・・・全部俺次第なんだけどな。はは。
とりあえず美貴にメールを返す。
「パオーン」
「死ね」
- 74 :名無し娘。:2006/06/07(水) 02:52
- おやすみなさい
- 75 :名無し娘。:2006/06/07(水) 03:08
- 俺このネタかなり好きかもしれない
- 76 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:41
- あの日の思い出。
いつもと変わらぬ朝。
いつもと変わらぬ通学路。
いつもと変わらぬ教室・・・?
いや教室の中だけはいつもと違っていた。
教室の左奥・・・つまり窓側の一番後ろ、使われてなかったハズの机に人だかりができていた。
「なんだ、なんかあったのか?」
俺の言いたかった言葉が俺の背後から聞こえてきた。
おお、お前か。さぁ?知らねぇ。
後ろにいたのは例の男友達。
こいつも今来たばかりで状況が把握できてないらしい。
「・・・なぁあの席ってさ、後藤の席じゃねぇの?」
え?
「いや、後藤だよ。後藤真希。お前が中学の時」
真希が、帰ってきたのか?
- 77 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:41
-
俺はなんとも言えない気持ちになっていた。
興奮からなのか、不安からなのか、とにかくドキドキしていた。
これまでにないくらいに。
後ろで話し続けてた友達の声はもう耳に入っていなかった。
ただ、本当に真希がそこにいるのか、それが確かめたくて俺は真希の机に向かった。
人だかりの真ん中には、たしかに、後藤真希がいた。
俺が知ってる後藤真希から2年ほど経っていたが、間違いなくそこにいたのは後藤真希だった。
後藤真希。
彼女とは中学のときに知り合った。
最初に話したきっかけとかは覚えてないが、妙に馬が合って俺達はすぐ友達になった。
中学時代といえば男女関係は普通複雑になるもんだが、俺らはそんなことはなかった。
普通に男友達と遊ぶように真希と遊んだ。
真希も女友達と遊ぶように俺に接していた。
・・・そう、ちょうど今の俺と美貴のような関係。
中3の夏までは。
- 78 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:42
- 中学3年生の暑い夏の日。
その日は本当に暑くて、あの暑さは今でも覚えているぐらいだ。
いや、こんなにもあの日のことを覚えているのは暑さのせいだけじゃない。
放課後、俺と真希は教室でダベっていた。
特にすることもなく、暑さに身を委ね、ただダラダラしていた。
今でも思い出せる、あの時の会話。
「あーあっちーねー。」
俺と真希は机を向かい合わせにしてダラけていた。
暑い暑い言うな。
余計に暑くなるっていうだろ。
「暑いもんは暑いーうあー溶けるよー。」
机に突っ伏した真希の背中が丸見えだ。
腰ほっせぇなぁ。
・・・どこ見てんだ俺。
溶けるかバカ。
「どうせバカですよー。お兄さんも人のこと言えないと思いマース。」
真希はなぜか俺のことを「兄さん」と呼んでいた。
怪しいキャッチセールスのようであるが、別に悪い気もしなかったので特になにも言わなかったが。
はいはい。あ、俺ジュース買って来る。
そういって席を立って真希の後ろを通ったとき、真希が机に突っ伏したまま俺にこう言った。
「兄さん兄さん、ごとーも。」
めんどくさいから自分で買いに行け。
めんどくさいも何もついでに買ってくればいいだけなんだが、
真希のあまりのだらしなさに自分で買いに行くよう促した。
その時、事件は起こった。
- 79 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:43
-
「いじわるする兄さんにはおしおきだー!」
うおっ!?
机に突っ伏していた真希が急に起き上がったかと思うとそのまま俺に乗しかかってきた。
後ろから覆い被さって抱きつくような形になってしまったのだ。
真希の髪からいい匂いがする。
真希の胸が背中に当たってる。
俺の顔のすぐ横に、真希がいる。
俺は、口から心臓が飛び出そうだった。
真希のことは友達として見ていたが、やはりこんなことをされては・・・女として見てしまう。
このままでいるとそう思ってるを知られそうな気がして、真希を振りほどこうとする。
やめろって、暑いから!
「・・・兄さんはさ、ごとーのことどう思う?」
まったくもって突然の言葉だった。
あまりにも突然すぎて上手く理解できなかった俺は何も言えなかった。
「あたしにこういうことされるのヤダ?」
真希が言葉を続ける。
「あたしはね、兄さんのことが好き。」
頭がぶっ飛ぶ。
真希の顔は見えなかったが、耳元でそう囁いた真希の声はひどく優しく、そして色っぽかった。
そこからは上手く記憶が整理されてない。
覚えていることは、そのあと真希とキスしたことと、俺達はその日から恋人になったこと。
真希の大胆な告白を受けた俺は、完全に真希に惚れていた。
わずか数分前まで友達だったハズなのに。
- 80 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:43
-
それから俺達は普通の恋人同士として楽しい日々を過ごした。
中学卒業とともに別れが来るんじゃないかという不安もあったが、
学力も成績も丁度同じぐらいだった俺達は特に行きたい高校もなかったので、同じ高校に行くことにした。
俺達はずっと付き合っていくものだと思ってた。
だが、ある日突然別れの日は来た。
「お兄さん、ちょっとお話が。」
それは俺達が高校生になったばかりの春、俺の部屋でくつろいでいた時だった。
ん、どした?
「あのねーうんとねー」
真希は思ったことはズバズバ言うタイプだ。
そんな真希がどもっているのだ。
ただ事ではないことは薄々感じていた。
「えっとね、あたし海外に引っ越すの。」
その言葉を聞いた俺の顔はさぞかしヒドイものだっただろう。
真希が思わず「変な顔」って吹き出したのを覚えてる。
でも、俺はとても笑えなかった。
真希の両親はどうやら結構偉いさんだったらしく、仕事の関係でとかどうのこうの言ってた。
正直、俺はそんなことどうでもいい。
ただ、真希が遠くに行ってしまうのが嫌だった。
でも高1の俺にできることといえば、真希に1人暮らしを頼むことぐらしかできない。
しかし真希が凄く家族想いだってのは俺が一番よく知ってる。
頼むだけ無駄・・・いや、真希を悩ませてしまうかもと考えると、できなかった。
- 81 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:43
-
真希が引っ越す2週間前、俺達は別れることになった。
「いつ帰ってくるかわかんないし・・・兄さんはごとーなんかよりもっといい人見つけてね。」
電話越しにそう言った真希の声は少し震えていた。
真希よりいい人なんていない。俺には真希が一番だ。
言えなかった。
それから2年後、真希が帰ってきた。
「・・・兄さん?うは、ヒサブリ。」
2年ぶりに聞いた真希の声は、あの頃よりずいぶん大人になっていたように感じた。
真希、ちょっといいか?
俺は真希と2人で話がしたかった。
- 82 :名無し娘。:2006/06/16(金) 01:45
- またもや続く
- 83 :名無し娘。:2006/06/16(金) 03:09
- 更新キテタ
79あたりが素晴らしいね
- 84 :名無し娘。:2006/06/16(金) 07:10
- 後藤が出てきてしまった!こいつぁ大変だ・・・
- 85 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:52
-
「どしたの兄さん?みんなの前じゃ恥ずかしい?」
はは、変わってないみたいで嬉しいよ。とりあえず、おかえり。
「へへ、ただいまー。」
教室から真希を連れ出した俺は、廊下の一番奥にある非常階段に来ていた。
俺は2年ぶりの真希との会話を楽しんだ。
そう、朝のHRの存在を忘れるくらいに。
なんとか一時間目には間に合った俺達だったが、二人で出て行ってHRにも出ず、
二人で仲良く戻ってきたのだ。
クラスのみんなの視線が痛かった。
・・・美貴はこっちを見なかった。
そういえば、美貴は真希と面識がない。
俺が美貴と知り合ったのは高校2年になってから。
1年の時はクラスも違ったので、俺と真希の関係も知らない。
話しておこう、そう思ったが、授業が始まりそうだったので仕方なく俺は席に着いた。
休み時間にでもゆっくり話すか。
- 86 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:52
-
授業が始まるとすぐ隣の席の例の男友達が話しかけてくる。
「お前、後藤とどこ行ってたんだよ?」
いや、非常階段でお話してただけ。
昔話に花が咲いちゃってついついHR忘れちゃったんだよ。
「後藤とより戻したのか?」
ブッ!!
バカか!そんなんじゃねぇよ。
「そうだよな、お前には藤本がいるもんな。」
・・・そういえばコイツ俺の冗談を信じたままだったな。
しかし、冗談だということを伝えようと思った瞬間に先生に怒られ、話すタイミングを失くしてしまった。
ま、なんとかなるか。
まずは美貴だ。
- 87 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:53
-
眠い目をこすりながらなんとか授業を終える。
さて、美貴のところに・・・
とその瞬間何者かに後ろから抱きつかれる。
この匂い。この感触。・・・いや昔より随分・・・いやいや、これは・・・。
「兄さん兄さん、学校案内してー」
うおっ!真希、お前なにやってんだよ!
俺の鼓動が一気に速まる。
そしてあの暑い夏の日を思い出す。
真希の腰・・・真希とのキス・・・。
「何ってハグだよハグ。向こうじゃアイサツだよー。」
アイサツってさっきから会ってるだろ!それにここはジャパンだ!
落ち着け、落ち着くんだ俺。
「あはは、そうでしたー。」
口では反省しているが、顔は全く反省していない。
それどころかにへらと笑っている。
・・・ほんと変わってないな。
嬉しいような、なんとも言えないような・・・。
とりあえず真希をはがした俺は、呼吸を整える。
- 88 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:53
-
学校案内ってお前一年のときこの学校いたじゃねぇか。
その言葉を言ったと同時に、真希と過ごした高1の思い出が頭をよぎる。
お金がないから大抵はどちらかの家、そしてたまに映画館や遊園地。
それでも学生のデートって感じで楽しかった。
真希はどうだったのかな?楽しかっただろうか。
・・・もうそんな事どうでもいいじゃないか。
自分に言い聞かす。
「高校入ってすぐだったもん、イマイチ覚えてないよー。」
たしかに真希が引っ越したのは5月頃だったのでそれも一理ある。
ちなみになんで今3年になれてるのかというと、向こうで学校に行ってたのでどうのこうのって感じらしい。
んー、案内してやってもいいけどその前にちょっと用事あるんだ。
「なになに?ごとーも連れてってよ。」
真希を美貴のとこに連れてったら何言うかわからんからな・・・。
すぐ終わるから待ってな。
「はーい。」
真希は頬を膨らまして、拗ねたフリをして俺の席に座った。
「ここで待ってる。」
- 89 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:53
-
俺は1人で美貴の席に向かう。
美貴、ちょっといいか?
一瞬ビクッとしてだるそうに頭を上げた美貴の目からは明らかに殺意が感じ取れた。
「・・・何?」
いやー、朝のHRの時とか俺と後藤帰って来なかったじゃん?
それで変な誤解してないかなー・・・なんて。
「別に・・・関係ないし。」
じゃあ睨むのをやめてくれ・・・。
構わず続ける。
俺と真希はさ、中学の時からの付き合いで、
「モトカノってやつだよね?」
「へっ!?」
俺ってこういう場面で激しくツイてないよな・・・。
突然現れた真希の言葉に、素っ頓狂な声を上げた美貴は固まっている。
「モトカノって・・・どういう・・・。」
「うん、まぁ昔付き合ってたワケですよ。あ、始めまして藤本さん。あたし後藤真希です。」
「へ!?あ、そうなんだ・・・。え、あ、どうも藤本です?」
独特な真希のペースに美貴の頭が付いていけてない。
なんでこのタイミングで自己紹介なんだか・・・。
- 90 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:53
-
っと、まぁつまりそういうことなんだけど、高1の時に海外に引っ越してさ、
「それは先生に聞いた。」
あ、そっかHRとかで言ってるわな。
それでさっきはついつい昔話が盛り上がっちゃって・・・
「・・・なんで2人きりで・・・。」
えっ?
「なんで教室じゃダメだったの?」
う・・・それを言われると困る。
別に教室でも構わなかったのだが・・・なぜか俺は2人きりで話したかった。
深い意味はない・・・ハズ。
「んー、兄さんはまだあたしのことが好きなんじゃないの?」
おおおおおお前何言い出すんだ!
「なーんちって。あはははは。」
真希!シャレになってない!
美貴は・・・どうしていいのかわからないような表情をしている。
「はは、後藤さんておもしろい人だね。」
もうちょっとうまく笑えないのかお前は。
顔引きつりまくりだぞ、美貴。
「やだなぁ”後藤さん”だなんて。”真希”とか”ごっちん”でいいよ。」
「じゃあごっちん・・・。美貴は”ミキティ”でいいよ。」
「あはっカワイー。ミキティかぁよろしく!」
- 91 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:53
-
その時チャイムが鳴る。
俺達はそれぞれ席に戻る。
が、美貴の表情はずっとぎこちないままだった。
まぁ真希の暴言もあったものの、2人が仲良くなれたみたいでよかった。
・・・本当に仲良くなったのかはわからんが。
しかし今思ってみると普通の10分しかない休み時間に、
どうやって学校を案内させるつもりだったんだ?
・・・真希のことだからサボるつもりだったんだろうな。
俺には真希の考そうなことは大体わかる。
なぜなら真希は俺の友人であり、元・恋人。
でも時々予想もつかないような行動を起こすこともある。
そんな所がおもしろい、後藤真希。
これからまた騒がしくなりそうだな・・・。
- 92 :名無し娘。:2006/06/25(日) 00:54
- 優勝はイタリア
- 93 :名無し娘。:2006/06/25(日) 15:50
- 段々胃が痛くなってきたw
- 94 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:17
- しかしなんでこうも毎日眠いかなぁ。
原因は夜遅くまで起きてるからなのはわかってるが、若いんだからもうちょっと頑張って欲しい。
そんなおっさん臭いことを考えながらではあったが、この登校ルートを通るのももう3年目。
体に染み込んでいるので自然と足は進んでいた。
「おはよ。」
ふいに後ろから話しかけられる。
この聞きなれた声、美貴だ。
おう、おはよう。
「相変わらず眠そうな顔してるねぇ。シャキっとしなよ。」
お前母親みたいだな。
「ひっどーい。美貴はまだ華の女子高生なんだよぉ?」
美貴がこれでもかというくらい甘ったるい声を出す。
美貴は小動物を前にするとよくこういう声を出す。
そして何故か匂う。鼻を思いっきり近づけて匂う。
・・・そんな美貴を見ているのはとても楽しい。
普段の美貴とは果てしなく違うから。やっぱりギャップってのは素晴らしいな。
「・・・スベってるのはわかってるからさ、突っ込むとかしてよ。」
おっと美貴を放置してしまった。
可哀相だから一応突っ込んでやるか。
なんでやねーん。
「死ね。」
- 95 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:17
-
そんなこんなで最寄駅。
この駅から俺らの高校に通ってる生徒はほとんどいなくて、今も周りを見渡しても他に生徒は見当たらなかった。
今日は余裕を持って家を出たので遅刻の心配もないな。
特に時間を気にしてたわけではないが、いいタイミングで電車が来る。
「んあ、兄さんじゃん。」
電車のドアが開くと俺らの目の前には後藤真希。
隣に立ってる美貴のオーラが一瞬にして警戒色に変わったのを肌で感じた。
とりあえず電車に乗った俺は真希に挨拶をする。
おう、真希。
「おうおう。兄さんまだここに住んでたんだねぇ。」
まだって・・・2年しか経ってないのにそう簡単に引越しはせんだろ。
「あはは、それもそうだね。」
隣から感じる美貴のオーラが凄い。誰か助けて。
「そういえばさ、兄さんとミキティはいつも一緒に登校してるの?」
いや、いつもってワケじゃないけどたまたま出会った時は一緒に行くよ、なぁ美貴?
「・・・そだね。」
美貴ちゃーん、目が怖いよっ☆
「ふーん。2人は付き合ってるの??」
真希の純粋な質問にむせそうになる。
つつつ付き合ってないって!!
動揺しまくってうまく否定できていない。逆に怪しいなこれは。
「・・・。」
おいおい、美貴。黙るなよ・・・。
- 96 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:18
-
「じゃあさ、これからごとーと一緒にガッコ行こうよ。」
うえ!?
「いっつもこの電車のこの車両で待ってるからさ。」
お前よりによって美貴の前で・・・。
いやぁ気持ちは嬉しいんだけどさ、俺学校行く時間バラバラだからさ。
ほら、一年の時もそうだったじゃん。
「そういやそうだったね。付き合ってるのに一緒に登校したことなかったもん。」
でもそのぶん一緒に帰ったじゃねぇか。
また高校1年の時の記憶が蘇る。
夕陽が照らす道を2人で歩いている。
隣には、真希。
手を繋いで、駅まで歩く。
今日あった嬉しかった事や悲しかった事を2人で共有する。
あの頃は、真希が俺の心の支えだった。
「でもさー、やっぱ朝から会いたいじゃん?普通はさー・・・」
あっヤベ、美貴。
- 97 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:19
-
美貴ー、今日一時間目なんだっけ。
とっさに出た言葉に我ながら死にたくなる。
なんだその質問。意味あるのか。
「・・・現国?」
そう素っ気無く応えた美貴は先ほどからそうしていたのか、目線を窓の外へ戻した。
「ミキティ元気ないねー?どしたの?」
たぶん君が原因だよ。
「ん、いや別に。眠いだけ。」
ウソつけ。
「さては夜更かしさんだなぁ!いけないんだぞー。あははは。」
真希・・・ある意味尊敬するよ。
「はは、そうだね。」
だからお前はもうちょっとうまく笑えよ、美貴。
そんなこんなでやっと学校の最寄駅に到着。
はぁ、学校行くだけでこの疲労感・・・。
そう、俺はもうこの後何もなく学校に着けるものだと思っていた。
『せんぱーい!!』
- 98 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:22
- 続くんだけど
>>94の最初の2行が消えた
- 99 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:22
- んー、今日もいい天気だなぁ。
家から出た俺はひと伸びして、明らかに寝不足で重い足を引きずりながらいつもの登校ルートを歩き出す。
- 100 :名無し娘。:2006/07/02(日) 00:24
- >>99>>94>>95>>96>>97
の順番で読んでください。無理ですね、ごめんなさい。
- 101 :名無し娘。:2006/07/02(日) 10:32
- ドンマイ
面白いからいいよ
- 102 :名無し娘。:2006/07/02(日) 13:04
- 王道だな〜w
あと足りないのはお姉さんかな?
- 103 :名無し娘。:2006/07/02(日) 16:39
- 朝からこんな目にあったらおれは持たないなw
- 104 :名無し娘。:2006/08/03(木) 20:24
- 軽いね
- 105 :名無し娘。:2006/08/15(火) 00:03
-
やっと学校の最寄り駅に着いた俺たち。
電車に揺られている時間がいつもより随分長く感じられたのは気のせいではないだろう。
さすがにこの最寄り駅までくると、俺の通う学校の生徒たちがうじゃうじゃといる。
そんな生徒たちの中で一番羨ましい思いをしているのはきっと俺だろう。
学校へ向かう俺の両サイドには美貴と真希。
まさに両手に華状態だ。
しかし、左の華が黙りこくってまったく口を開こうとしない。
対照的に右の華は、あははは笑いながら口をずっと開けている。
うーむ、この状態、何気に辛いな。
その時だった。
- 106 :名無し娘。:2006/08/15(火) 00:03
-
『せんぱーい!!』
そう叫ぶ声が聞こえて、無意識的に振り向こうとした俺の背中にいきなり突撃してくる物体。
ゴフッ!
「せーんぱい!おはよぉございまぁすっ!」
亀井だ。
朝から元気なのはいいことだが、タックルはやめて欲しいものだ。
ん、亀井の横には女の子がもう1人。
この子は・・・
あれ?れいなちゃん?亀井と友達だったんだ。
「あ、おはようございます。」
れいなちゃんはなんだか照れ気味に挨拶をしてきた。
「そうなんですよー。同じクラスなんです。ねっ、れーな?」
「ちょ、先輩はいまれなに聞いたけん!なんで絵里が答えると!!」
「違いますー、絵里に聞いたんですー。」
・・・あはは、どっちでもいいよー。
- 107 :名無し娘。:2006/08/15(火) 00:03
-
そう呆れている俺の背中に鋭い視線が2つ。
振り向くとそこには、もういいよという感じの表情をした美貴と、
先輩君はモテモテだねぇと言わんばかりの満面の笑みを浮かべた真希。
あー、美貴はこの2人知ってるよな?
「まぁ・・・一応。」
んで、真希に紹介しとくよ。
こっちの「カワイイ」子が亀井さんで、
・・・亀井さん自分でカワイイとか言わないの。
んでこっちの子がれいなちゃん。
2人とも1年生で、亀井さんは同じ部活の後輩で、れいなちゃんはこの前図書室でたまたま出会ったんだ。
「ほーほー、よろしくね。あたしは後藤真希。先輩君のモトカノだよ。」
時が―――――止まった―――。
- 108 :名無し娘。:2006/08/15(火) 00:04
- そこそこ続きます
すいません1ヵ月ぶりの上に短いです
- 109 :名無し娘。:2006/08/16(水) 01:46
- ここまでくるとごっちんが怖いw
- 110 :名無し娘。:2006/09/11(月) 14:08
- やるなごっちん(ワクワク)
- 111 :名無し娘。:2006/09/18(月) 23:26
- 次に時が動き出したときには俺は真希の手を引いて走り出していた。
「うわっ!ちょっと兄さん!?速いって!足もつれるよー!」
そんな真希の言葉や、後ろから聞こえてくる後輩達の声も無視して、俺は走る、走る。
学校の校門の前を過ぎその先にある公園へと駆け込んだ。
「はぁ・・・・ど、どしたの兄さん。学校・・・過ぎてるよ・・・?はぁ・・・。」
手を掴んで全速力で駆け出したので、真希の息は完全にあがっている。
かくいう俺もだが。
お、お前な!こないだからなんなんだよ!モトカノとかあんまりそういうのは
「なんで?ほんとのことじゃん?」
俺の言葉を制して真希が話す。
「別にさ、昔付き合ってたのは悪いことじゃないでしょ?それとも兄さんは嫌だった?」
そ、そんなワケないだろ・・・。
なんで俺が怒られてんねん。
「・・・まぁわざと言いふらしてるってのもあるよ。」
俺は真希のその言葉に「やっぱりな。」と思った。
どうしてそんなこと・・・
- 112 :名無し娘。:2006/09/18(月) 23:26
-
「だってなんかさー、兄さんの周りに女の子いっぱいいるんだもん。」
ん、まぁたしかに増えたかもなぁ。でもそれが一体
「ミキティと兄さんなんかさ、昔のアタシ達見てるみたいだし。後輩の子にまでキャーキャー言われてんじゃん?」
こいつ俺の発言は無視する気だな。
「やっぱそういうのっておもしろくないわけですよ。好きな人にはさ、あんまモテて欲しくないよねぇ。」
ん?
「まぁ、それだけカッコイイってことなんだから彼氏になったときには自慢できるけどねー。」
待て、君はなんの話をしてるんだ。
「でもミキティとか敵に回すと怖そうだよねー。体育館裏とかに呼び出されちゃったりして。あはははー。」
確かにアイツは怖いぞ。ってだから君はなんの話しを
「なんのって、告白してるの。」
はぁ、告白ですか。
「後藤真希はね、まだ兄さんのことが好きなんです。」
- 113 :名無し娘。:2006/09/18(月) 23:27
-
その言葉に頭が真っ白になっていた。
だからそのすぐ後に起こったことにも、唇になにか当たってるな、ぐらいにしか頭が認識できなかった。
だがその5秒後に俺の頭は活動を再開する。
「ぷはー。ごちそうさま。あはは。」
ななななななななにをした!!貴様何をした!!
「あ、ごちそうさまとかおっさんくさいね、あは。」
そそそそそそそんな話はどうでもよくてだな!!
君はいまちゅーちゅちゅーちゅー!!!
「ヤバ、兄さん。授業始まっちゃうよ。ほら、れっつごー!」
そういって真希は走り出す。
お前普段遅刻とか気にしないだろうが。
俺にはわかってる、真希も恥ずかしいんだ。
「あ、返事は放課後でいいからねー。」
そういって真希は消えていった。
1人公園に残された俺はいまだ混乱している頭を抱え、公園のど真ん中で叫んだ。
おかーーーーーーーさーーーーーーーーん!!
- 114 :名無し娘。:2006/09/18(月) 23:27
- 続く
- 115 :名無し娘。:2006/09/18(月) 23:41
- 押されっぱですな(笑)
- 116 :名無し娘。:2006/09/20(水) 07:10
- 後藤が「兄さん」って言う響きがジワジワくるなぁ
- 117 :名無し娘。:2006/10/02(月) 01:52
-
ひとしきり叫び終えた俺はとりあえず学校に向かうことにした。
色々と考えたいことはあったが、ずっと公園にいるわけにもいかない。
今から走ればHRは無理でも、一時間目には間に合いそうだ。
走りながら俺はあることに気付いた。
そういえば美貴達を放置してしまった。これはまた亀井がうるさそうだな・・・。
それに美貴。
いい加減愛想尽かされそうだな、俺。
教室に入るとそこに真希の姿はなかった。
遅刻する、とか言って先に行ったくせに教室にいないとは。
おそらく屋上とかその辺でサボってるんだろう。
美貴は・・・いるにはいたが、不機嫌最高潮のようだ。
朝の言い訳をしたかったんだが、後にするか。
なんか最近言い訳ばっかしてるな、俺。いい男にはなれそうもない。
とりあえず席に座った俺は、色々と考えた。
真希がやたらと『モトカノ』を主張してくる理由はわかった。
真希はまだ俺のことを・・・好きなんだ。
公園での出来事は物凄い急展開だったが告白されたってことらしい。
返事は・・・放課後って言ってたな。
放課後までにこの気持ちをはっきりさせないと。
- 118 :名無し娘。:2006/10/02(月) 01:53
-
正直言って、自分がこんなモテモテ君になるなんて想像もつかなかった。
今まで付き合った子なんて真希だけだし、特別そんなに目立ったこともしてないつもりだ。
なのに一年の2人には随分慕われてるみたいだし、真希には告白されるし。
それに、美貴。
これは俺の自意識過剰なのかもしれないが、恐らく美貴は俺のことを・・・。
俺はどうなんだ?
一年に慕われてるとか、真希に告白されたとか、美貴がどうとか。
そんなのはどうでもよくて、俺の気持ちはどうなのか。
いまだにはっきりとした気持ちはわからないが、今日の放課後までにはどうにかしないと・・・。
考え事をしていると時間なんてものはすぐ過ぎるもので。
結局美貴に言い訳もできないまま放課後になってしまった。
ヤバイ、まだ結論が出てないぞ。
というか真希はどこに行ったのか。
放課後になっても真希は教室には現れなかった。
まさか・・・帰ったのか?
- 119 :名無し娘。:2006/10/02(月) 01:53
-
そんな嫌な予感が脳裏をよぎった瞬間、誰かに話しかけられた。
「ねぇ、何難しい顔してんの?」
美貴。
「今日は言い訳はしてこないんだね。」
最近言い訳君になってるから、美貴も何か言ってくるだろうなっていう予想をしてたみたいだ。
しかし残念、その予想は今日ははずれている。
いやぁ、言い訳する方が怪しいだろ?
「まぁね。いい加減アンタの浮気にも慣れたよ。」
浮気て。人聞きの悪い。
「で、今日は部活は行かないの?」
部活かぁ。あるにはあるがそういう気分でもないな。
今日は行かないな。どうかしたか?
「そうなんだ。じゃあさ、あの、久しぶりに一緒に」
「兄さーん!いるー?」
- 120 :名無し娘。:2006/10/02(月) 01:54
-
美貴が何か言いかけたその時、真希が大声を上げながら教室に入ってくる。
俺もバカじゃない。美貴は今、確実に『一緒に帰ろう』と言おうとしたはずだ。
久しぶりに美貴と帰りたかったんだが・・・。
しかし放課後は真希との約束があったからな。仕方ない。
「兄さん発見!いやーごめんねー。屋上で寝ちゃっててさ。気付いたら放課後だよ、ナハハ。」
なんて野郎だ。
真希がナハナハ言いながら近寄ってくる間、美貴はなんともいえない寂しそうな表情を浮かべていた。
「あれ、ミキティじゃん。兄さんとお楽しみ中だった?」
「いや、美貴達そんなのじゃないし。」
いつかこいつらは殺し合いをするんじゃないだろうかと思う。
「兄さん嫌われてるねー。まぁごとー的にはそっちの方がいいんですけどねぇ。」
「嫌われてる方がいい?なんで?」
待て、まさか真希・・・。
「うん、ごとーさ、今朝兄さんに告っちった。」
待て待て待て待て。
「告っちった?・・・え?告白?え、ええ?コイツに?え?」
美貴がそうとうテンパってる。
だが、それと同じぐらいに俺もテンパってる。
「そそ。じゃあそういうことで、お返事お願いします、兄さん。」
ここここの状況でか!?
- 121 :名無し娘。:2006/10/02(月) 01:54
- 続く
- 122 :名無し娘。:2006/10/02(月) 15:48
- なんて攻撃的なんだ
- 123 :名無し娘。:2006/10/02(月) 15:55
- おかっ、おか……
おかああああああああさぁあああああああああんn
- 124 :名無し娘。:2006/10/02(月) 21:47
- /´〉,、 | ̄|rヘ
l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /)
二コ ,| r三'_」 r--、 (/ /二~|/_/∠/
/__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉
'´ (__,,,-ー'' ~~ ̄ ャー-、フ /´く//>
`ー-、__,| ''
- 125 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:25
- ちょっと番外編を書いてみたくなったので今回は番外編です。
前回の続きではなく、主人公と藤本さんの出会いのお話です。
- 126 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:25
-
朝。
今日から俺も晴れて高校2年生になる。
まぁ2年になったからといって特に何もないのだが、少しだけいつもより気合を入れて学校に行くとするか。
いつも通りの登校ルートで学校へ向かう。
その間、新しいクラスのことを考えていた。
俺の学校は1年ごとにクラス替えがあるらしく、1年のときの友達と離れるかもしれないという心配もあったが、
俺は新しい出会いに期待していた。
人との繋がりが増えるというのは素晴らしいことだ、うん。
長い坂を上り終え校門をこえる。
下駄箱の先の掲示板に新しいクラスが貼り出してあった。
すでに人だかりができていてかなりの騒々しさだったが、見ないわけにもいかないので人ごみの中に入っていく。
えーと、お、アイツ一緒じゃん。
”アイツ”というのは1年のときに仲良くなった男友達で、かなりのアホだがいい奴だ。
そいつが同じクラスだというのが分かったので、ずいぶん気が楽になった。
他には・・・稲葉?知らないな・・・藤本・・・知らない・・・。
・・・後藤。
- 127 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:26
-
真希、同じクラスみたいだぞ。
もしお前が向こうに行ってなかったら喜んでくれただろうか。
きっと・・・。
「おっす。同じクラスみたいだな。」
おお、ウワサの”アイツ”君。
みたいだな。お互い1人ぼっちにはならなくて済みそうだな。
「お前よりは友達多いぞ俺は。そんなことより俺らのクラス、結構カワイコちゃん揃いだぜ。」
カワイコちゃんて!!
そ、そうなのか?
さっきまで感傷に浸ってたというのに男というのは悲しい生き物で。
「ああ。レベルはかなり高いぞ。まぁ4組の藤本が一番ってとこかな。」
藤本・・・?知らないな。
「マジ?知らねぇの?胸はアレだが、スタイルは良いし顔も綺麗だぞー。まぁ性格が・・・。」
何?性格が?
「もともとクールな性格っぽいんだが、男には特に冷たくてな。まぁそれがいいってヤツもいるんだけど。」
ふーん。まぁそこまで言うなら楽しみにしておこうじゃないか。
「あと1組の紺野なんかも俺は好きだな。頭脳明晰の癒し系学級委員長タイプ!!」
軽く興奮してきてるな、コイツ。
まぁその紺野さんも後でじっくり拝ませてもらうよ。とりあえず教室行こうぜ。
ホームルームの時間も迫っているし、いつまでもここでコイツの話を聞いてるワケにもいかない。
バカでかい声で話すもんだから周りの目が少し痛かったしな。
- 128 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:26
-
教室は1年のときは3階だったのだが2階になっていた。
学年が上がるごとに下の階になるらしい。これはたまに遅刻をやらかす俺にとっては嬉しいことだ。
俺達の新しい教室に入ると、すでに先生が来ておりHRを始めようとしているところだった。
「お、今からHR始めるから。席はランダムに決めてあるから前の座席表を見て座るように。」
新しく担任になる先生にそう言われ、俺達は座席表を見にいく。
廊下側から2番目の後ろから3番目か。
うん、微妙な位置だな。
まぁ文句を言っても仕方がないのでその席へと向かう。
俺の周りの席はすでに埋まっていた・・・って周り全部女子かよ!!
しかもアイツの言ってた通り、かなりの美人揃いではないか!
これは俺の時代が来たと思い、思わずアイツの方を見る。
・・・周りを男に囲まれた席に座る彼は、
いっそのこと無理心中でもしてやろうかというぐらいの表情でこちらを睨みつけていた。
そんな彼に微笑み返し、おもっくそガッツポーズをしてやった。
「・・・バカみたい。」
- 129 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:26
-
ガッツポーズをしたままの俺の後ろから声が聞こえた。
俺はその声の方に振り返る。
そこにはこのクラスで一番カワイイかもしれない女の子が、頬杖をついて窓の外を見ていた。
この子は・・・?
席に座った俺は、後ろの席のその子に話しかけていた。
君、名前は?
おかしいな、俺は普段こんなことする勇気なんてない男なのに。
「・・・藤本だけど。」
藤本さんか。俺は・・・
自分の名前を名乗った後、藤本という名に聞き覚えがあったので頭の中を検索してみた。
藤本・・・ああ、この子が”噂”の藤本さん。
たしかにカワイイな。けど・・・。
あのさ、俺・・・なんかやらかしちゃった?
ずっと睨まれてるんだよな。
「・・・別に。」
うわ、超クール。
たしかにアイツの言ってた通りだな。
これはちょっと会話にならないと思った俺は、HRに集中することにした。
- 130 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:26
-
HRが始まって十数分、いつもより気合の入ってるはずの俺の眠気は絶好調だった。
延々と話を聞かされてるだけでは眠くなって当然だ。俺は悪くない。
「えー、じゃあ部活登録書を書いてもらわないといけないんだが。」
ようやく眠気から開放されそうだ。
なんでも1年から部活に入ってる者でも、もう一度登録し直さなければならないらしい。
1年のとき俺は映像研究部に入っていた。
なんで映像研究部に入ったかっていうと・・・また真希を思い出すだけだ。思い出すのはよそう。
とにかく、部活登録書に『映像研究部』と書く。
別にもうやめてしまってもよかったのだが・・・帰宅部ってのもアレだしな。
「あっ」
ん?
後ろから声が聞こえたのとほぼ同じタイミングで、俺の足に何か小さいものが当たった。
足元をのぞいてみるとそこにはキティちゃんの消しゴム。
とりあえず拾う。
「・・・ちょっと。返してくれる?」
またもや後ろから声。
これ・・・藤本の?
「そうだけど。・・・わ、悪い?どうせ美貴みたいなのがキティちゃんとか持ってんのがおかしいんでしょ?笑えばいいじゃん。」
顔を赤らめてこっちを睨んでくる。が、さっきのような迫力なんて全くない。
俺のツボをついてくる反応をした藤本を若干イジりたくなったが、嫌われてしまう恐れもあったので素直に返してあげた。
いや、全然おかしくないって。カワイイじゃんキティ。それにこういうギャップって結構男ウケいいぞ?
消しゴムを受け取った藤本は、悪戯っぽく笑う俺を見てこう言った。
「だよね?キティちゃんカワイイよね?」
何っ!!そこに食いつくのか!
- 131 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:27
-
「このつぶらな瞳がさ・・・たまんないよねぇー。ね?」
とびっきりの笑顔でそう言った藤本の声はひどく俺の脳を揺さぶる声だった。
うっ・・・なんだこいつすっげぇ甘い声出しやがる!
それにこの笑顔は反則だぞ!
あ・・・あぁ。俺、妹いるからさ、妹にキティちゃんのグッズとかもらってきてやろうか?
妹がそんなもの持ってるかは知らんが、なかったとしたらこの笑顔とこの声のために俺が買ってきてやろう。
「ホント!?嬉しい!楽しみにしてるから!」
よっぽど嬉しかったのだろう、藤本は自分でも気付かないほど大声を出していた。
クラス中の視線が痛い。
特に”アイツ”の・・・。
「あ・・・すいません・・・。」
我に返ったのか藤本は先生に謝り、小声で俺に話しかけてきた。
「ちょっと!アンタのせいで変な目で見られちゃったじゃん!」
ええ!俺のせいなんですか!?
なんて野郎だ!
おいおい、今のは俺悪くないだろ!
「・・・と、とにかくキティちゃんよろしくね!あと・・・消しゴム拾ってくれて・・・・あ、ありがとう。」
あまり人にお礼を言いなれていないのだろう。
また顔を赤らめた藤本は、少し上目使いでお礼を言ってきた。
その仕草がまた俺の脳を刺激する。
あ、ああ。
ドキドキしまくってた俺は愛想のない返ししかできなかった。
HRが終わった後、さんざんアイツに文句を言われたが、そんなこと気にならないぐらい今日はいいことがあった。
藤本・・・美貴か。
- 132 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:27
-
あの頃はよかったなぁ・・・。
痛ぇ!!
なんだよ美貴、いきなり殴んな!
「アンタが美貴の方見ながらため息なんかつくからじゃん。」
それだけで殴らないでください・・・。
あ、そうだ、美貴。今日放課後俺んち来ない?小春が新しいキティちゃん手に入れたんだってよ。
「え!ホント!行く行く!はぁ・・・今度はどんなキティちゃんかなぁ・・・。」
美貴は出会った頃に比べて髪も伸びたし、さらに綺麗になった。
しかし、暴力は振るうようになったし、ワガママも言うようになった。
でも、キティちゃんの話になると、目を輝かせながら甘い声。
こういうとこは変わってない。
これからもよろしくな、美貴。
- 133 :名無し娘。:2006/10/03(火) 23:28
- 終わりです。
前回の続きはまた。
- 134 :名無し娘。:2006/10/04(水) 00:30
- 初々すぃ
赤面するみきてー萌え
- 135 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:19
-
どうやら真希は真剣らしい。
真希の言葉によって俺は固められ動けなくなっていたが、
その間真希は俺の答えをフニャフニャしながら待っていた。
しかし答えようにもまだ頭を整理できてないし、なにより美貴が聞いているではないか。
こんな状況普通に生きててまずないぞ。
ちなみに美貴はと言うと、ずっと口を半開きのまま俺と真希を交互に見続けていた。
目の前で人の告白の結果を聞かされようとしているので、テンパるのは当然だろう。
「兄さーん、早くしてくださーい。」
まるで真希は他人事のように俺を茶化してくる。
ひとつ聞きたいんだが…、どうしても今じゃなきゃダメか?
俺としてはこの状況は避けたい。きっと美貴もそうだろう。
「いますぐでお願いします。」
こいつ・・・
真希はこういう部分は絶対に折れない。
覚悟を決めるしかなさそうだ。
わかった。あともうひとついいか?・・・マジだよな?
俺がそう聞いた瞬間、真希は一瞬真剣な顔をして、
「うん。ごとーは兄さんが好き。」
- 136 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:20
-
体が熱くなる。
美貴がビクッと小さく震えたのが目に入った。
俺は…
ごめん、俺は真希の気持ちには答えられない。
今は正直自分の気持ちがわからないんだ。
「わからないってどういうこと?」
真希は先ほどまでとは違い、再び真剣な顔で聞いてくる。
その…誰が好きかわからないんだ。
「うわ、兄さんサイテーだね。」
そうだ俺は最低だ。わかっていたことだが、いざ言われると結構ショックなものだ。
「まぁいいや、そういうとこも兄さんらしいよ。」
俺らしいって俺はこういう人間なのか・・・。
たしかに結構優柔不断な方ではあるが。
「あたしさ、こっち帰ってくるのが決まったとき、すぐに兄さんのこと考えたんだ。」
真希が話しだす。
「あたしはね、ずっと兄さんのこと好きだった。」
- 137 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:20
-
ずっと好きだった。
その言葉になぜか心が痛む。
やっぱりあの時、電話で告げた別れは本心ではなかった。
わかってはいたことだったが、本人の口から聞いたことでそれが確信へと変わった。
・・・いまさらどうでもいいことだが。
「久しぶりに会って、新しい彼女とか紹介されたらどうしようとか結構心配してたんだー。」
そんなこと考えてたのか・・・。
真希のことはなんでも知っているつもりだったが、今のは俺の知らない真希の部分。
真希にはこういう弱いところもあったんだ。
しかし会っていきなり彼女紹介はないだろうよ。
「彼女はいなさそうなんだけど、なんだかモテモテだったのはちょっとムカついたかな、うん。」
どうしてだろう返す言葉がない。
普通に考えたらやっぱりモテているのかもしれない。
おそらく今が人生で一番輝いている時だろう。
「あーあ、あたしフラれちゃったのかー。あ、でもさ、このフラれ方ってまだチャンスあるよねー。」
- 138 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:20
-
・・・え?
「だってさ、誰が好きかわかんないってことは、好きな人はいないってことでしょ。」
うん、いやまぁそういうことだが。
「まだごとーにもチャンスはあるってことですよ、兄さん。」
真希がにへらとした顔で笑いながら言う。
・・・さすが真希だよ。
「んじゃ今日はフラれたってことで一応悲しいから、一人で寂しく帰るねー。」
待て、一応悲しいってなんだ。
俺のそんな言葉など聞こえてないような素振りで、真希は自分のカバンをつかむ。
「それじゃグッバイ兄さん&ミキティ!また会おう!」
真希はそう言ってビシッっと敬礼すると走り去っていった。
と思ったがドアから顔だけを出して最後に一言。
「ミキティには渡さないからねー!」
教室には呆気にとられた俺と美貴だけが残っていた。
- 139 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:20
- 続く
- 140 :名無し娘。:2006/11/01(水) 00:32
- なんだよ面白いよ
- 141 :名無し娘。:2006/11/01(水) 01:43
- 地獄の先延ばしだなw
- 142 :名無し娘。:2006/11/01(水) 21:47
- うまくひいたですね。
さてさて……まだまだ楽しみです。
- 143 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:36
- 嵐のように過ぎ去って行った真希。
俺は真希が出て行ったドアをずっと見続けていた。
ミキティには渡さないからねー・・・か。
俺の横にはポカーンとしている美貴。
突然他人の告白の現場に居合わせた挙句、捨て台詞に自分の名前まで使われたのだ。
相当テンパっているのだろう。
ミキティには渡さないらしいぞ。
「・・・え?あ、はぁ!?だだだだれがアンタなんか!こっちから願い下げみたいなー!!」
落ち着け美貴。お前の語尾はそんなんじゃないだろう。
じゃあミキティにフラれて悲しい僕と一緒に帰りませんか、藤本さん?
「・・・ミキティいうな。」
- 144 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:37
-
校門を出たあたりで、随分日が暮れていることに気付く。
なんだかんだで結構時間をくってたみたいだな。
学校前の長い坂を2人で下る。
こうして美貴と帰るのも久しぶりだな。
「アンタが浮気ばっかりしてるからでしょ。」
アンタなんか願い下げだの浮気だのよくわからんヤツだな。
と、さっきまでいつものように冗談交じりの会話をしていたのだが、突然美貴がうつむき黙り込んでしまう。
「ごと・・・ごっちんさ、アンタのことまだ好きだったんだね。」
その話か。
ああ、まぁ・・・そういうことらしいな。
「ケンカ別れとか、そういうのじゃなかったんだ?」
そういや俺達が別れた理由なんて誰にも言ってなかったな。
いやさ、真希が向こうに行っちゃうってんで、俺がフラれたんですよ。
兄さんにはもっといい人がいるよー、みたいな感じで。
「そっか・・・向こうにいる間もずっと好きだったんだね。凄いな。」
美貴が何故かしょんぼりとして遠くを見ている。
そんな美貴に俺はなんて声を掛ければいいのか・・・・ん?
この気配、前にも感じたことがあるぞ。
これは・・・。
- 145 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:37
-
俺は後ろからの気配が気になり、サッと後ろを振り返る。
「にゃっ!?」
・・・れいなちゃん。何してるの。
そこには電柱の影からこちらを見ている、いつぞやと同じ姿のれいなちゃんがいた。
「先輩見かけたけん、一緒に帰ろう思たけど、ふ、藤本先輩と一緒におったけん、れなどしたらいいか・・・。」
・・・相変わらず可愛いこと言ってくれるじゃないか。
いつもの俺なら問答無用で一緒に帰ろうと誘うのだが、今日は美貴が・・・
美貴?なんか嬉しそうな顔してないか?
「た、田中ちゃんカワイイっ!!」
何ィ!!
「え、え、え?れな何かしましたっけ?」
突然の美貴の告白にれいなちゃんも驚きを隠せない。
そりゃそうだ。
話を聞くところによると、この間と同じように電柱の影からこっちを見ていたれいなちゃんの姿が、
美貴的にはツボだったらしい・・・。
結局、美貴がえらくれいなちゃんを気に入ったので3人で帰ることになった。
- 146 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:37
- 続く
短くてすいません
- 147 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:38
- それと、沢山のレスありがとうございます
とても励みになってます
そのわりに更新ペースは遅いですが・・・
これからも頑張ります
- 148 :名無し娘。:2006/11/08(水) 23:55
- れいななにしとんw
狩狩では結構早い方だと思います>更新ペース
- 149 :名無し娘。:2006/11/09(木) 00:48
- 新展開か!
- 150 :名無し娘。:2006/11/09(木) 00:49
- イイヨイイヨ
みきれなだみきれなだ
- 151 :名無し娘。:2006/11/18(土) 22:44
- 一体これはどういうことなのだろう。
確か俺は美貴と2人で下校していたハズなのだが、今俺の横には誰もいない。
俺の横にいるハズだった美貴は数メートル先を歩いている。
・・・れいなちゃんと。
こんなことになろうとは誰が想像しただろうか。
確かに美貴はカワイイものが好きだ。
そしてれいなちゃんの仕草なんかがカワイイのも認めよう。
だがしかし、ついこの間まで会うだけで険悪なムードになっていたハズの2人がこうして仲良く歩いているのだ。
なんとも不思議な光景だな。
俺の前を歩く2人から楽しそうな声が聞こえる。
「っていうか田中ちゃんって猫っぽいよね。」
「そうなんですよー!れな結構猫っぽいって言われるんですよねー。にゃぁーみたいな。」
「うごっ・・・かわいいーーーー!!」
美貴がどんどんダメになっていく。
- 152 :名無し娘。:2006/11/18(土) 22:45
-
美貴はあまり友達が多い方ではない。
美貴の性格と合うヤツなんてそうそういないのだ。
だが、この2人は凄いスピードで打ち解けていっているようだ。
まぁ俺としては、この2人は今後何かと会う機会も増えると思うので仲良くしてくれるのは嬉しいことなのだが・・・。
しかし俺を無視するのはどうか。
あまりにも寂しくなってきたので、前の2人に声を掛けてみる。
「なぁ、腹減らね?コンビニにでも寄らない?」
「いや、美貴お腹いっぱいだから。」
やっとこっちを向いた美貴は、そう言い放つと視線をれいなちゃんへ戻した。
・・・美貴、お父さん悲しいぞ。
美貴はもうダメだ。となると、れいなちゃんの気をこっちにやればいいわけだ。
「れいなちゃんはどう?」
「んー、ちょっとだけ減ったかもしれん。」
「よし!じゃあコンビニ行こっか!コイツの奢りでね。」
先程俺を冷たくあしらった美貴とは別人のような・・・いや、もう別人だ、こんなの美貴じゃない・・・。
- 153 :名無し娘。:2006/11/18(土) 22:45
-
「ありがとうございましたー。」
結局、美貴とれいなちゃんに奢るハメになってしまった。
お前さっきお腹いっぱいって言ったじゃねぇかよ・・・。
コンビニから出る頃には、俺の財布の中身は可哀想なことになっていた。
「先輩、前も奢ってもらったけん、ほんとによかと?」
「いいのいいの、コイツは女の子だーいすきだから。ね?」
美貴が憎たらしい声で言う。
っていうかなんでお前の分まで奢ってるんだよ、俺は。
「別にいいじゃん。美貴だって女の子だもんっ!」
う、コイツ俺がこういうのに弱いと知っててやってるな・・・。
「先輩は女の子やったら誰にでも優しいけん。」
れ、れいなちゃん?
「そうだよねー!!ホントこいつはね、誰にでも優しいってのは罪なことだって知らないんだよ。」
ちょっとちょっと。
「ですよね!れいなこの前」
またトークに花が咲いてしまった・・・。
しかもお題は「俺の女好き」について、だ。
おい美貴!あることないこと言うんじゃねぇよ!
と言いたくても、言うと逆効果になりそうなので言えない俺。可哀想。
- 154 :名無し娘。:2006/11/18(土) 22:45
- 続く
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