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ボツ小説
- 1 :1:2004/03/23(火) 08:25
-
なんとなく入ったカレー屋でなぜかソニンが店員をしていた。
- 71 :名無し娘。:2004/04/05(月) 21:43
- 筒井康隆っぽい、といえば褒め過ぎか。
- 72 :名無し娘。:2004/04/05(月) 23:59
- ちょいと背筋がゾクッとした
- 73 :名無し娘。:2004/04/06(火) 00:29
- 筒井康隆を軽く見すぎな>>71
- 74 :名無し娘。:2004/04/11(日) 03:29
- 初期の筒井康隆っぽいね
- 75 :名無し娘。:2004/04/12(月) 21:28
- 不条理っていいね
- 76 :8:2004/04/15(木) 00:31
- 私が楽屋でぐったりしていた時の話です。
突然カオリとなっちが入ってきました。二人とも背の高い帽子被ってて・・・まるで、コックみたいだな、と私は思ったのです。
「絶対おいしいから、食べてみて」
カオリがそう言って崩れたお団子みたいなものを出してきました。
勘弁してくれよ、と私は思ったのです。
けれど、壁際に追い詰められて、脱出することが出来なかったのです。
- 77 :8:2004/04/15(木) 00:31
- どうやらそのお菓子もどきはアンブランという名前のようです。
なっちはそれがとても画期的だと笑っていました。
仕方なく本当に仕方なく私はそれを一口ぱくっと食べたのです。
「どう?」とカオリが言いました。
なんていうかこう、微妙に、吐き出すまでもないんだけど、かと言ってあんまり長いこと味わいたくないっていうか、ほんとうに、微妙に、まずかったのです。
例えるならあんことモンブランを一緒に食べたような味でした。
- 78 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 「やっぱりダメだったか」となっちが薄笑いを浮かべながら呟きました。
それから新しい包みを取り出しました。
「次は、モンコを試してみよう」
あぶない名前だな、と思いました。
「そうだね、モンコならおいしいかもしれない」
そう言ってカオリも笑うのです。
- 79 :8:2004/04/15(木) 00:32
- でもちょっと待って。モンコのモンはおそらくモンブラン。コはおそらくあんこ。
そしたらアンブランと一緒じゃない。
って言おうと思ったんですけど、もうその時には口のなかにモンコが突っ込まれていました。
次の瞬間私ほんとうにびっくりしました。
おいしいのです。
- 80 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 「すごいすごいこれならハロー・プロジェクトやめて和ケーキ屋やっても成功するよ」
と私は言いました。
カオリとなっちは嬉しそうに、でもちょっと寂しそうに笑って
「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」
「また新作が出来たらお願いね」
なんて言いながら手を振って出て行きました。
- 81 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 二人が居なくなってからも私は口のなかを舌で舐めまわすようにして後味を楽しんでいました。
おいしいものを食べたおかげでしょう、さっきまでの陰鬱な気分が嘘のように私の心はまるで春の空のように。
その時ふと、かすかに桃の味がしました。
きっと春のせいでしょう。
- 82 :8:2004/04/15(木) 00:33
- ボツH 終
- 83 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 事務所の一室。コの字型のテーブルに娘。のメンバーが揃って座っている。そわそわと落ち着きの無い様子が急に集められたことを示している。
そこへつんく♂がおもむろに入ってくる。慌てて挨拶する娘。たちを見回すようにしてつんく♂が言う。
「吉澤、お前の卒業が決まった。おめでとう。」
楽屋の空気は固まる。言われた吉澤はぽかんと口をあけている。
「なんや嬉しくないんか。」
つんく♂の頬が小刻みにぴくぴくと震えだす。
- 84 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「そんな、急すぎます。」
とリーダーの飯田が口をはさむ。彼女の顔も声も真剣かつ切実さがこもったものであり本当にメンバーの卒業を反対していることがうかがえる。一方つんく♂はと言えばすでに顔を真っ赤にして怒りだす準備をはじめている。
「なんや、オレの決定に文句があるんか。」
そう言う息が酒臭い。そばにいた亀井が顔をしかめてうつむく。
「文句ってわけじゃないです。ただ。」
「ただ、やないわボケ!オレが作ったグループやぞ。言うなればお前等オレの人形や。黙って従っといたらええねん。ええか吉澤。ちなみに日付は例によって半年後や。そやな、秋の・・・」
「ちょっと待ってください。」
黙って聞いていた吉澤が突然口を開く。はっきりとよく通る声で続ける。
「卒業なんてイヤです。」
- 85 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 途端に水を打ったように静まり返る楽屋。口をぱくぱくさせ、何か言おうとするも、しかし声にならない様子の
つんく♂の荒い息遣いだけが響いている。
娘。たちは口に手を当て、あるいは眉根を寄せ、その様子を心配そうに見守っている。そんな中、吉澤が再びゆっくりと口を開く。
「モーニング娘。をやめるのはオッケーです。でも卒業って言う響きがヤなんです。」
「え?」という声がする。
- 86 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「・・・どういうことやねん。」
つんく♂がひどく面食らった顔で呟く。もっとも、そこにいた吉澤以外の全員は似たような表情をしている。吉澤一人が涼しげな、しかし強い意志を感じさせる表情を見せている。
しばらく沈黙が続く。皆は一様に口を半開きにしたまま、吉澤の言葉を待っているらしくつんく♂もそれは同様だ。吉澤はそんな雰囲気を楽しむかのように笑って、口を開く。
「もっとカッコいいのにしてください。脱走とか。」
再び「え?」という声がする。今度は部屋のあちこちから聞こえる。
- 87 :9:2004/04/15(木) 00:35
- しばらく場は静まり返る。やがてつんく♂がいかにも理解できないという表情で、頭を振りながら口を開く。
「脱走てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ逃亡とか。」
「逃亡てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ・・・」
口を開きかけた吉澤をさえぎるようにつんく♂が言う。
「じゃあも何もあれへん。お前フザけとったらあかんわ。こっちはマジな話しとんね・・・」
「こっちもマジですよ。」
- 88 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「・・・よっすぃー。」
「吉澤。」
「わたしも正直言って娘。をやめたくはないです。それはさびしいからとか、そういうこともありますけど、やっぱり自分が娘。に居たんだ、っていう証をまだ手に入れてないからなんです。だからつんく♂さんお願いします。卒業なんて呼ばれたくないです。わたしだけの。わたしだけに言葉を。」
言葉を切った吉澤の頬はいつのまにか紅潮している。娘。たちは静まり返ってつんく♂の様子をうかがう。それまで首をぐるぐるひねりながら聞いていたつんく♂の濁った目に、突然輝きが宿る。
「任しとけ吉澤、オレが最高のキャッチフレーズ考えたる。お前の名前、歴史に残したるから。」
それを合図にして部屋には歓声が響く。
「あたし達も頑張ります!」
「あたしも手伝う!」
「そうかお前らも手伝ってくれるか・・・楽しみにしといてくれや、吉澤。」
吉澤は答えずに、ゆっくりと笑いながら頷く。
- 89 :9:2004/04/15(木) 00:36
- 舞台は事務所の一室。吉澤をのぞく全員が、さきほどと同じようにコの字型のテーブルに座っている。その中央にはホワイトボードが置かれ、そばにはつんく♂が一人、腕組みをしながら立っている。大きなホワイトボードには既にいくつもの文字が書き付けられている。ブラインドの向こうは闇。つんく♂の足元に置かれた灰皿、その積みあがった吸殻が時間の経過を示している。
つんく♂が腕組みをしながら、掠れた声でホワイトボードを読み上げる。
「勇退。離脱。脱出。脱皮。中退。脱獄。消滅。・・・違うな。」
誰かが口走る。
「・・・卒園。」
「卒園。」
ホワイトボードに字が書き加えられる。マジックの音だけが響き、そして再び沈黙が訪れる。しばらくしてまた誰かが口走る。
「・・・退学。」
「退学。」
先ほどと同じように、ホワイトボードに字が書き加えられる。全てが淡々とこなされていく。
「・・・脱会。」
「脱会。」
「・・・脱獄。」
「・・・それさっき出たよ・・・」
- 90 :9:2004/04/15(木) 00:36
- やがて電気の消えた部屋で娘。たちは机に突っ伏したまま寝てしまっている。上げられたブラインドからわずかに差し込む月明かりがホワイトボードを照らす。
そこにはびっしり文字が書かれていて、何度も消され上から書かれたであろう形跡がわずかに見てとれる。
文字の群れの中、一つだけつけられた赤い丸を見ながらつんく♂が呟く。
「・・・これで決定や。インパクト、オリジナリティ、何もかもこの上ない。卒業に替わる言葉としては、これしかあれへんと言ってもええ。早速ファックス送らなアカンな。
・・・そや、吉澤に言ったらアカンで。あいつには報道の時にビックリしてもらわなアカンからな。ふぅ。・・・って、みんな寝てもうたか。無理もないもう真夜中やからな。明日も仕事、あるっちゅうのに・・・でもな、オレは、なんだか久しぶりに大事なことを・・・」
呟きながらつんく♂はふらふらと部屋を出て行く。
- 91 :9:2004/04/15(木) 00:36
- 朝日が差し込むどこかの居間。夫婦らしき男女とちいさな子供が食卓を囲んでいる。部屋の隅ではテレビ画面が朝のワイドショーを流している。小太りで眼鏡をかけた男が、すこし苦しそうな表情で喋っている。
「・・・卒業ということで。一面は全てこの記事ですね。こちらもです。吉澤ひとみさん、モーニング娘。を卒業。こちらもですね。吉澤ひとみ、モー娘。を卒業。ええ、なんでも昨日の夜中につんく♂さんから突然のファックスがあったということで、各紙は・・・」
「ほら、早く食べちゃいなさい。」
女の声がして、退屈そうに画面を見ていた子供が、再び食卓へと目を戻す。夫はやはり退屈そうな顔でスポーツ新聞を眺めている。そこには、こんな文字が大きく印刷されている。
【吉澤ひとみ、モーニング娘。を卒業】
- 92 :9:2004/04/15(木) 00:37
- 場面は再び事務所の一室。先ほどと同じ部屋だが、コの字型のテーブルは片付けられている。
娘。たちが見守るなか、頬のげっそりとこけたつんく♂がスポーツ紙を片っ端から無言で引き裂き、膝をつく。部屋にいた全員が、やりきれないと言った顔で引き裂かれた新聞を、そしてうちひしがれるつんく♂を、眺めている。
「ああ、オレは無力やなあ。所詮オレの力なんてこんなもんやった。」
自嘲的に呟き、顔を伏せる。飯田が言う。
「つんく♂さん・・・つんく♂さんは、いや、ウチ等は精一杯やりましたよ。」
「そうですよつんく♂さん、そんな顔しないでください。」
「つんく♂さん。」
「飯田・・・みんな・・・オレは・・・オレは・・・」
気づけば全員がつんく♂に寄り添うようにして泣いている。つんく♂も泣いている。その様子を眺めながら吉澤がひとり、輪からぽつんと離れた形で嬉しそうに笑っている。
- 93 :9:2004/04/15(木) 00:37
- ボツI 終
- 94 :名無し娘。:2004/04/15(木) 07:15
- なんだこりゃ
- 95 :名無し娘。:2004/04/15(木) 21:40
- 8って誰だろう
- 96 :名無し娘。:2004/04/15(木) 22:20
- >95
>80
>「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」
- 97 :名無し娘。:2004/04/17(土) 00:57
- 飯田はもういいよ
全部同じに見えてくる
- 98 :10:2004/04/20(火) 19:55
- 「なんか最近元気ないよね」と私はとりあえず言ってみた。
よっすぃは力なく笑った。
「ああ、ちょっとねえ・・・寝られないんだ」
それは大変な事態だと私は思う。なぜならアイドルは健康がだいじだからだ。それを私はどこかで読んだ。
「あたしでよかったら、聞くけど」
「ありがと」とよっすぃは言った。しかし会話は続かない。
よっすぃは切なそうな顔でうつむくだけ。
- 99 :10:2004/04/20(火) 19:55
- 「引越しなんてすんじゃなかったよ」とよっすぃは壁に向かってぼやく。暗い部屋で、ぼやく。
「なんで?」
私は部屋を見回す。10畳ほどの寝室にはウォーター・ベッドだけがどすんと置かれていてかなりいい感じだ。
「めちゃくちゃいい部屋だと思うよ、リビングだって綺麗だしさぁ」
「でもさあ、出るんだよね」
「なにが」
「霊が」
- 100 :10:2004/04/20(火) 19:55
- よっすぃの目の下にはうっすらクマが出来ている。かなり思いつめた表情だ。
「でもあたしがここに前住んでた時、霊なんてぜんぜん出なかったよ」
と私は言う。なぐさめるような口調で、言う。
「へえ」
「どんな霊が出るの?」
「なんか、前住んでた奴の霊。夜んなると、出るんだ」
「ふふん、なるほど」
私は考えた。私とよっすぃは親友だ。私が明け渡した部屋に、よっすぃが住んじゃうくらいの親友だ。だから私はよっすぃの悩みを解決してあげなくちゃ、いけない。
- 101 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「とりあえずあたしね、前聞いたんだけど、霊ってのはなんか悔いが残ってると出やすいんだって。その悔いを解決してあげれば、霊、出なくなるかもしれないよ?」
よっすぃは壁を見つめたままじっとしている。聞いているのか、いないのか、わからない。私は続ける。
「例えばさ、霊はどんなこと言うの?」
「・・・ええと、的外れなアドバイスとか」
「アドバイス?」
私は考えた。アドバイスということは、よっすぃを気遣っているということだと思う。と、すると、あんまり悪い霊じゃあないのかもしれない。
- 102 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「その霊は、女の子なの?」
よっすぃは呆れたように口を開くと、何かを言いかけて黙った。それから、静かに頷く。
「可愛い?」
私は続いてそう言った。なんとなく胸の辺りがもやもやしてくるのを感じながら。
「可愛いかって・・・なんつっていいんだか」
「いいから答えてよ、可愛いの?」
「しらないよ」
なかなか答えてくれないよっすぃを私は睨みつける。こういうのすごい気に入らない。私は考える。もしかしてよっすぃは何かを隠しているのでは。
- 103 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「・・・ねえよっすぃ、もしかしてその霊のこと・・・」
「はぁ?」
よっすぃは目をむいて怒鳴るように言う。すごいリアクションが返ってきた。ますます怪しい。こうなったらはっきりさせるべきだ。私は断固決意を固める。
「つーかそんな霊除霊しないとだめだよ!早速除霊しようよ。ねえ。」
- 104 :10:2004/04/20(火) 19:56
- よっすぃはとつぜん笑い出した。はははははと暗い部屋に響き渡る笑い声を私はぼうぜんと聞いている。しばらくしてよっすぃはやっと笑い止んで、
「いいよ、面倒くさい」
と言って布団をかぶり、ベッドに寝っ転がってしまった。私はその肩を揺さぶりながら、言う。「ねえ、まだ話終わってないよ、終わってないよ・・・」よっすぃは眠たそうな目を開くと、言う。「・・・もう四時か。あと1時間くらいかな、朝日でるまで」
「朝日出るとどうなるって言うの」
「あたしが、ようやくぐっすり眠れるんだ」
よっすぃは柔らかく笑った。
- 105 :10:2004/04/20(火) 19:56
- ボツJ 終
- 106 :名無し娘。:2004/04/20(火) 22:23
- ナイス
- 107 :名無し娘。:2004/04/21(水) 22:09
- スバラシイ
- 108 :名無し娘。:2004/04/22(木) 18:14
- とてもきれい
- 109 :名無し娘。:2004/04/22(木) 22:40
- このスレ以外に書いたことないんですか?
あるなら教えて欲しいんですが
- 110 :名無し娘。:2004/04/24(土) 12:35
- 大胆にして細心
- 111 :11:2004/04/26(月) 00:10
- 「影がね、なんかおかしいんだ」
やぐっちゃんの声は深刻だった。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、ひょいと背中のほうから、やぐっちゃんの足元を覗き込んで見たのだけれど、そこには、小さなやぐっちゃんのシルエットが、夕陽のおかげで大きく、黒々と伸びてるだけで。
「あたしには、普通にしか見えないけど」
と圭ちゃんが呟きます。私も言う。
「あたしにも普通に見えるよ」
- 112 :11:2004/04/26(月) 00:11
- やぐっちゃんは難しい顔で頷いた。
「そっか、でもどっか違うんだよなあ」
「おかしいね」
私は首をかしげた。圭ちゃんも首をかしげた。
それからいつまでもやぐっちゃんは、腕組みしたまま、難しい顔でぶつぶつ、影を眺めながら呟いてました。
「何かがおかしいんだよ」
- 113 :11:2004/04/26(月) 00:11
- じゃあ、あたしの影と比べてみようか。
なんて言おうと思って気づいた。
「あれえ」
素っ頓狂な声をあげてしまい、やぐっちゃんは驚いて顔をあげた。圭ちゃんもこっちを見ている。私は腕組みをしながら、呟いた。
「影が、ない」
- 114 :11:2004/04/26(月) 00:11
- 私の足元からは影が伸びていませんでした。並んで立っている、やぐっちゃんの足元からは、すらっとシルエットが伸びてるのに。
「どしたんだろ、一体」
「うぅん、どしたんだ」
すると圭ちゃんも言います。
「ていうかさ、あたしの影もないや」
三人並んで唸ります。こうなるとおかしいのは逆に私たち二人のほう。
- 115 :11:2004/04/26(月) 00:11
- 「もっと、明るいところに出てみよう」
と言って私たちは、広い場所へと移動しました。右手をブラインドがわりに、眩しい夕陽を遮りながら、見下ろした私と、圭ちゃんの足元にやはり影はなく。
「オイラにはあんのに」
やぐっちゃんの足元には影が。
- 116 :11:2004/04/26(月) 00:12
- そこで不意に私は気づいた。
「なぁんだ」と言って私は笑いました。
「真正面から太陽が来てるんだから、ほら、影はこっちだよ」
- 117 :11:2004/04/26(月) 00:12
- そう言って振りかえると、確かにすらっと影が伸びています。私のと、やぐっちゃんのと、圭ちゃんのと。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、大笑い。
「あはははははははははははははは」「あははははははははははははははは」「じゃあ、オイラのは一体、なんだよう」「あははははははははははははははははは」
- 118 :11:2004/04/26(月) 00:12
- ボツL 終
- 119 :12:2004/04/26(月) 00:13
- 「つーか話聞いてる?」
「ああごめん、クロスワード、やってるんだよ、今」
「へえ」
「わかんなくてさ・・・最初がモで始まってるんだ」
「うん」
「それで、12345・・・8文字だ」
「うん」
「で、最後は・・・め だ」
「うん」
「あと多分だけど2文字目は棒だ」
「棒って」
「あれだよ、あの、伸ばす棒」
「ああ、伸ばす棒」
「そう、伸ばす棒」
「なるほど」
「あと5文字目、5文字目は グ だな」
「結構分かってんじゃん」
「必死で埋めたからな」
「で、問題はどうなってんの」
「それがなぁ、結構長いんだよ」
「言ってみてよ」
「増えたり減ったり分裂したり戻ったり改造されたりばら売りされたり歌ったり踊ったり泣いたり笑ったりするものってなんだ?」
「あー」
「わかるか?」
「うーん、ミジンコ」
「・・・なんでミジンコ?」
- 120 :12:2004/04/26(月) 00:13
- ボツM 終
- 121 :13:2004/04/26(月) 00:19
- 「神様おねがいソロ活動がしたいです」と私はある日星に祈った。そうして部屋に帰ると中澤さんがいた。私はびっくりする。
「なんでこんなところにいるんですか」
「お前の願いかなえに来たんやないか」と中澤さんは言った。中澤さんは、右手に大きなナタを持っていた。
- 122 :13:2004/04/26(月) 00:19
- わるい予感がした。
「まさかとは思いますけどー、そのナタで娘。のみんなをみなごろしにして、残ったあたし一人でソロ、なんてオチじゃないですよね」
と私は言った。
「なんや、アカンのかぁ」と中澤さんは首を振る。「したらどんなんがええ?ミキティてきには」
- 123 :13:2004/04/26(月) 00:19
- 「ていうかあたし的にはやっぱりすっごい名曲を、なんか感動するテーマに基づいて歌って、それで初登場は五位くらいなんだけど二ヵ月後くらいに一位とって、そんであたし感動して泣いちゃう、みたいなのがいいですね」
と私は言った。
「わかった」
と中澤さんは言った。
- 124 :13:2004/04/26(月) 00:19
- それからすぐ中澤さんは窓から飛び降りて消えてしまって、ここ三階なのに、とか、何しに来たんだろう、とか、私はぼんやりと色々考えながらベッドに横たわっている。
もしかするとさっきの中澤さん、ほんとに神様なのかもしれない。ううん、ていうかきっとそうだ。だってあたし誰にも言ってないもん神様に祈ったこと。それになんか窓から飛び降りてたし。ふつう死ぬよねこんな高さから飛び降りたら。とか思ってたその時、
いきなりうううううううううううううううううううんってサイレンの音がして私は跳ね起きた。それでカーテン開けて外見たらすごい大騒ぎになっていた。
- 125 :13:2004/04/26(月) 00:20
- 『中澤裕子飛び降り自殺』
なんて文字がいろんなスポーツ新聞の見出しを埋め尽くして私はもうしらない。とか思ってたんだけど、やっぱり現場が私の家である以上は知らないフリも出来ずに仕方なく私は、「そう言えば最近悩んでるみたいでした・・・」なんて、会見の席でうつむいてみたりもした。
最初はすごい私のこと、警察の人とかに疑われてたみたいなんだけど、私の迫真の演技が功を奏したらしく、ほとぼりが冷めると今度は逆に私と中澤さんの関係がクローズアップされるようになった。実は仲良しだった、というのがファンにも事務所にもえらく新鮮だったみたいで、というのは、私が苦し紛れに「よく遊びに来てました」なんて言ったからだと思うんだけど。
で、その組み合わせはずいぶん意外性があったらしく。
- 126 :13:2004/04/26(月) 00:20
- というわけでつんく♂さん曰く「気持ちをこめて歌ったらええ」と渡された曲を私はソロで歌うことになった。表立ってコメントはなかったけどそれが中澤さんへの追悼ソングであることは周知の事実だった。偶然とは言え私は中澤さんに感謝した。
渡された歌はなかなかにいい曲で私はブース席で歌いながら、もしかすると中澤さんはほんとに神様だったのかもしれないな、なんてちらりと思った。私は、気持ちをこめて歌った。
- 127 :13:2004/04/26(月) 00:20
- 初登場五位だったその曲は二週目にランキング圏外に落ちた。また変わらない日々がはじまった。私はもうソロがしたいとか誰にも言わなくなったし、考えることもなくなった。そうして替わりにわきあがってきたのは中澤さんが死んだことに対する悲しみだった。
それは、ほんとに、急にせり上がってきた感じだった。けれど娘。のみんなや他の人たちがさんざん泣いて、悲しんで、やっと悲しみを忘れかけた今になっちゃ、誰にも言えなくて私は時々夜中ひとりで泣いた。星を見ると祈った。
- 128 :13:2004/04/26(月) 00:21
- しばらくして梅雨がきた。悲しみはちっとも薄れないどころかどんどん強くなった。その上目の前で自殺された責任なんかもちょっとずつ感じるようになって、私は梅雨の空に負けないくらいどんより湿った毎日を過ごしていた。
仕事は忙しかった。娘。の新曲が出るというのでレッスンがあったりレコーディングがあったり、歌番組の収録があったりして、それでも虚しさは紛れなかった。発売日はぐんぐん近づいていった。いつもと違って、それに対して緊張感のかけらもなかった。ただただ虚しかった。
- 129 :13:2004/04/26(月) 00:21
- そんなある日、私たちは事務所に集まっていた。色々な打ち合わせが交わされていくのを私はぼんやりと眺めていた。と、誰かが言った。
「そう言えば、新曲のランキングが出てるから。」
そして全員に何やらコピー用紙が回された。それを見てみんなは歓声をあげた。私もぼんやりと紙に目を落とした。
娘。の曲は四位くらいだった。そして一位にはあの時出した私の曲がランクインされていた。
- 130 :13:2004/04/26(月) 00:21
- はじめ印刷ミスかと思った。「すごいじゃん」とか「良かったねぇ」って声がして私に言ってるんだって最初わからなかった。私は笑うでもなく喋るでもなくただぼーっとみんなを眺めていた。みんなすごい嬉しそうだった。矢口さんとかめちゃくちゃ喜んでいた。胸の、奥の方から、何かがこみあげてくるのを感じた。
「なんで今更一位になったんですかねえ」と私は照れ隠しに呟いた。
矢口さんが、笑いすぎて眼に溜まったんだろう涙を、拭いながら教えてくれた。
「きっとファンのみんなが買ったんだよ。だって、ほら、こないだの土曜ってさ──」
- 131 :13:2004/04/26(月) 00:21
- そんであたし感動して泣いた。
- 132 :13:2004/04/26(月) 00:21
- ボツN 終
- 133 :名無し娘。:2004/04/26(月) 12:48
- 11 ワカラン
12 ワロタ
13 イイ!
- 134 :名無し娘。:2004/04/26(月) 19:26
- 最後の一行がいいね。
- 135 :名無し娘。:2004/04/26(月) 20:28
- 11 矢口の影は反対方向にも伸びてる
っていうことだと思う
- 136 :14:2004/04/27(火) 23:58
- 「ふふ、綺麗なバラ・・・」
「あ、道重、どしたのそれ?」
「ほら、見てみてくださいよ飯田さん、綺麗なバラにはトゲがあるって。このバラ、こんな鋭いの」
「ほんとだ・・・すごいトゲ・・・痛っ」
- 137 :14:2004/04/27(火) 23:58
- 「あれ、バラが一本増えてるよ」
「ほんとですか?気づかなかった」
「あたしもー」
「さっきは確かに・・・、一本しかなかった気がするけど。飯田さんに聞いてみよう。飯田さーん」
「あれ・・・いないみたいだねぇ」
「何やってんだろ、もうすぐ本番なのに・・・ちょっとあたし探してくるよ」
「あ、行ってらっしゃい・・・ねえ、ウチ等も探しにいこうか?田中?」
「ん・・・それにしても・・・綺麗なバラですね、それにすごいトゲ」
「あれ、田中?」
- 138 :14:2004/04/27(火) 23:59
- 「あれ、バラが置いてあるよ」
「ほんとだー、綺麗なバラ」
「そしてなぜか誰もいない・・・梨華ちゃんとかどこ行ったんだろう」
「藤本さんさっき廊下ですれ違ったよ、なんか飯田さん探してたみたいだけど」
「まこっちゃん何やってんの?」
「いや、ちょっとバラを咥えてみようかな、と思って」
「・・・なんでもいいけど、トゲ、気をつけなよ」
「折っちゃったら怒られるかな」
「へーきだよ、四本もある」
「痛て。トゲ刺さった」
「だから言ったじゃ・・・ん?」
- 139 :14:2004/04/27(火) 23:59
- 「みきちゃん大変、まこっちゃんが消えた。こつぜんと」
「何フザけてんの」
「フザけてるとかじゃなくて」
「そんなことより辻ちゃん、飯田さん見なかった?」
「いや、見てないけど」
「・・・本番まであと30分か。よし、手分けして探そう」
「えー」
「辻ちゃんはあっち。で、他のひとは・・・って、なんで二人しかいないの?」
「だからまこっちゃんが消えたんだってば」
「・・・ちょっと待って、バラ、めちゃめちゃ増えてない?」
「んー、いちにいさん、・・・五本?あれれ?さっきは確か」
「誰か持ってきた?」
「みてないけど」
「ちょっと調べてみる必要ありそう」
「調べるって」
「なんか怪しいよ、このバラ」
「うーん・・・普通のバラに見えるけどなあ、綺麗なだけで」
「どれどれ・・・痛っ」
「あー、トゲ気をつけないと・・・って、ののも刺さっちった」
- 140 :14:2004/04/27(火) 23:59
- 「わあ、バラがこんなに。」
- 141 :14:2004/04/28(水) 00:00
- ボツO 終
- 142 :名無し娘。:2004/05/01(土) 01:38
- ( ‘д‘)ノ<ブロ、ワルサーあるで
- 143 :名無し娘。:2004/05/03(月) 15:48
- かつて読んだどのボツ小説よりもボツ小説らしいボツ小説だ。
- 144 :名無し娘。:2004/05/07(金) 16:45
- 書けそうで書けない味だ
- 145 :名無し娘。:2004/05/16(日) 07:53
- >>142
南の診療に赤、さっき保田を東で漁ってるのを見た。武器はセクビ、漁りたい。
- 146 :15:2004/05/21(金) 22:32
- 石川 突然ですが問題です。この楽屋のどこかに、ヤグチさんが隠れています。
吉澤 さて、ドコでしょう。
飯田 へ?
藤本 …っていうか、ありえないよね。
- 147 :15:2004/05/21(金) 22:32
- 吉澤 ありえない、なんてことはないです。
石川 隅々まで探しましょう。
亀井 ロッカーの中…いませーん。
田中 テーブルの下もいないよ。
道重 カーテンの奥もいませんでした。
加護 …いるわけないじゃん。こんな狭い部屋に。
辻 かくれるトコなんてもうないじゃん。
新垣 石川さん、吉澤さんも、あんまり適当なこと言わないで下さい。
- 148 :15:2004/05/21(金) 22:33
- 吉澤 はい、全員ブー。
石川 正解は鏡の中でした。
紺野 何を言ってるんですか。
小川 鏡?
吉澤 じゃあリカちゃん、ヤグチさんを呼んでくださーい。
石川 はーい。
- 149 :15:2004/05/21(金) 22:33
- 石川、馬鹿でかいハンマーを取り出して、鏡に向かって振り下ろす。
がしゃん。
飯田 うわっ。
藤本 なんてことを。
割れた鏡の奥から、矢口の死体が転がり落ちてくる。
- 150 :15:2004/05/21(金) 22:33
- 石川 と、言うわけでしたー。
吉澤 ちょっと難しかったかな?
辻 こんなのわかるわけねーだろ。
藤本 インチキだよね。
石川 インチキだなんて。
加護 かえれー。
全員 かえれー。
吉澤 一生懸命考えたのに。
石川 ぐすっ。
警官 殺人と死体遺棄の現行犯で逮捕する。
- 151 :15:2004/05/21(金) 22:34
- がつん。
警官、ゆっくりと倒れる。
後ろで飯田がさっきのハンマーを持って立っている。
飯田 ふー、あぶなかった。
石川 助かりました!
吉澤 さすがリーダー。
藤本 でもさー、この人どうすんの?
石川 ん、いいこと考えた。
吉澤 ふふ、じゃあみなさん、10分だけ出て行ってください。
加護 また?
石川 今度はすごいよ、すっごい隠し場所見つけたんだから!
飯田 しょうがないなー。
- 152 :15:2004/05/21(金) 22:34
- 石川と吉澤をのぞく全員、嬉しそうに出て行く。
残った二人は目をキラキラさせて言い合う。
吉澤 床下?
石川 天井裏!
- 153 :15:2004/05/21(金) 22:34
- ボツP 終
- 154 :16:2004/05/21(金) 22:36
- 「なんか、つんくさんがめちゃくちゃいい歌つくってました」
「マジで?」
「なんか、昨日事務所で、あのエライ人とか集まる部屋あるじゃないですか」
「あ、三階の会議室?」
「そう、で、偶然前通ったら、テープがかかってて」
「ふぅん」
「スゴイんですよ、もうあたしうっとりしちゃって」
「そんなにいい歌だったんだ」
「その後の会議も大盛り上がりでしたよ。これは売れる!とか、最高だ!って感じで」
「へえ、すごいね、ウチ等の歌かなあ」
「そこまでは聞いてませんでしたけど、でももしあの曲もらったらミリオン行くかも」
「マジで?ていうか一回聞いただけでそこまでわかるの?」
「はい。ていうか一回聞いただけなのに、未だに耳から離れない」
「すごい・・・そこまで言うなら、リカちゃんちょっと歌ってみてよ」
「いいですよ。ふー、ふふふー、ふふー、ふふふふふふー」
「・・・」
「どうでした?」
「どうでした?って言うか・・・とりあえずミリオンは行かないっぽい」
「またそうやって・・・あ、あたしが歌ったからいい歌に聞こえない、って言うんでしょ?」
「違うけど・・・まあ、そう言うことかな」
- 155 :16:2004/05/21(金) 22:36
- ボツQ 終
- 156 :17:2004/05/21(金) 22:39
- リカちゃんと家で料理つくって食べる約束だったので、私、台所にいるんだけど、フライパンとかいろいろ久しぶりに取り出して洗ってたら、ナベのフタがぶっ壊れてることに気づいた。
『今駅ついた。あと10分くらいで着きます。何か買ってくるものあったら言ってね』
というリカちゃんからのメールに、私はカチカチと返事をかえす。
『ナベブタ買ってきて。なんでもいいから。』
- 157 :17:2004/05/21(金) 22:39
- 20分くらいしてチャイムが鳴る。ドアを開けるとブタを小脇に抱えたリカちゃんが汗まみれの顔で笑っている。
「あー重かったァ」
そう言ってブタを床に下ろす。ブタはよちよちと部屋の隅へ走っていく。私はそれを目だけで追う。
「忘れてた、リカちゃんはバカだったよね。」
「なにが?」
- 158 :17:2004/05/21(金) 22:39
- ブタはやっと落ち着いたらしく、部屋の隅っこで大人しくうずくまっている。よく見るとその背中にはナベが括り付けられていて野菜なんかがたくさん入っている。
「なるほどナベが括り付けられてるからナベブタなんだね。なっとく。」
私はわざとはっきりした声で言う。リカちゃんは嬉しそうに笑う。
「かわいいよね。」
「うん」
にこにことブタを眺めるリカちゃんは私のシラけた視線に気づかない。私はため息をつく。気づいたところでどうにもならないだろう。まあ、野菜とナベつきのブタ。悪くは無い。私は包丁を手にとって振り返る。
「とりあえず食っちゃおうよこのブタ」
- 159 :17:2004/05/21(金) 22:40
- ブタはびくっと顔をあげる。リカちゃんもさらにびくっと顔をあげる。口をとがらせてまくしたてる。
「何なの何よそれ、そんなオニみたいなことあたし絶対はんたい。」
「はぁ?じゃあなんのつもりで買ってきたんだよこんなブタ。あたしはナベのフタ買って来いっつったんだよ」
「ちがうよちがうよヨッスィナベブタって言ったよ?ほら、メール、ほらほら」
「たしかにナベブタってあるけどナベブタっつってブタ買ってくる奴がドコにいんだよ!」
怒りを堪えきれずに私はリカちゃんの顎を掴む。
「は、離してよぅ」とか言いながらリカちゃんはちょっと嬉しそうでそれがまたむかつく。
- 160 :17:2004/05/21(金) 22:40
- そんな私たちを途中までは不安そうに眺めていたブタだったけど、私が顎を掴むために包丁を置いたせいか、気づくと安心したようにまた、部屋の隅でだらしなくうずくまっている。ふいに何もかもバカバカしくなる。私はため息をついて顎から手を離す。
「とりあえずナベはもういいや、何しようか」
呟きながら私は冷蔵庫を開ける。リカちゃんも背中から「うーん、どうしよう」なんて言う。ブタはそのすぐ後ろで「ぶいぶい」と鼻を鳴らしている。
「・・・って、いつの間に。」
「きっとお腹空いてるんだよ。」
リカちゃんはいとおしそうにブタの耳あたりをさする。なんか気に入らない。
- 161 :17:2004/05/21(金) 22:40
- 「これ食べるかな。」
ごそごそとリカちゃんが差し出したのは捨てようと思ってた余り物の野菜炒めだった。
「どうだろ・・・つーかそれ傷んでるっぽいけど」
「ほら、お食べ?」
ちょっと嬉しそうにリカちゃんはサランラップを取った。
瞬間、たぶん0.7秒くらい、ブタはありえない勢いでそれを平らげた。
- 162 :17:2004/05/21(金) 22:40
- 食べ終わったブタは顔をあげると「ぶい」と言う。
私とリカちゃんは顔を見合わせる。リカちゃんの目は輝いていた。きっと私の目も同じくらいキラキラしていただろう。
「すっげえええ!」
「フードファイターだ、フードファイターだよ」
「見た?見た?今のスピード。一秒かかってねーよ、まじカッケーよこいつ」
「あ、これも食べるかな・・・?あ!」
「うぉ、早ぇ!」
「すごい!これも!これも!」
「これなんて生だけど!」
「これも!明らかにもう腐ってるけど!」
「これはどうだ!」
- 163 :17:2004/05/21(金) 22:40
- 1時間くらいしてブタは満足げに部屋の隅っこでうずくまっている。
私は空っぽの冷蔵庫の前で、リカちゃんの顎をつかんでいる。
「どうすんだよ。食うもん無くなっちゃったじゃんか。」
「ヨッスィが調子乗って食べさせるからだよ。」
「自分だって。」
私たちはお互いを責める。けれどお腹が空いては喧嘩も出来やしない。
「やっぱブタ食おうよ・・・」
「ダメだよ・・・」
なんて言いながらもうベッドでぐったりしてる。大切な時間はこんな風に過ぎていく。
- 164 :17:2004/05/21(金) 22:41
-
そして気づくと朝になっている。
私は体を起こす。
一人きりだ。目を擦る。いくら擦ってもリカちゃんもいないしナベブタもいない。
そしてテーブルにはなにやら。
「・・・うまそうな、におい」
- 165 :17:2004/05/21(金) 22:41
- テーブルの上には大盛りのナベ。豚汁みたいな感じのものが湯気を立てている。やたら食欲をそそる匂い。
私はふたたび目を擦る。擦りながら、呟く。
「・・・材料どこあったんだ、一体」
その時トイレからごそごそという気配を感じる。とするとリカちゃんはいる。しかしブタは。いっぺんに目がさめるのを感じる。
- 166 :17:2004/05/21(金) 22:41
- 思い出すのはあの、ブタに括り付けられていたナベ。そして野菜。そしてゆうべ無くなったはずの肉。そしてここにある肉。いなくなった、ブタ。
私はふたたびナベに目をやる。
ナベの隣に置かれたちいさなメモが目に入る。手紙だ。
それは小学生が左手で書いたような字で。
「おせわになりました ナベブタです ゆうべのごおんはいっしょうわすれません せめてものおんがえしとして わたしの いちばんとくいな りょうりで おんがえしさせて もらおうとおもいます いっしょうけんめい つくりました おいしいと いいです おいしいと いってくれれば いちばん しあわせです ナベブタより」
- 167 :17:2004/05/21(金) 22:41
- 私は泣いた。
泣きながら汁をすくって飲んで肉を頬張った。
それは今までにない味だった。今まで食べたことのない味だった。おいしいとかまずいとか、私にとってはそういう問題じゃなかったけれど、私は一口ごとに「おいしい」と、しつこいくらいに言いながら食べた。
もう夢中だった。
- 168 :17:2004/05/21(金) 22:41
- けれど半分くらい食べ終わったところでトイレから流す音が聞こえて、私はやっと正気にかえった。リカちゃんは私が起きるまで取っといてくれたんだから、一人で全部食べるわけにはいかないな、と思った。
「これ、おいしいよ、一緒に食べよう」
私が涙声でそう呼びかけると、半分くらい開いたトイレのドアから、ナベブタが照れくさそうに顔を出す。
- 169 :17:2004/05/21(金) 22:42
- ボツR 終
- 170 :名無し娘。:2004/05/21(金) 22:56
- うっわぁ
- 171 :名無し娘。:2004/05/22(土) 02:09
- うあぁ、後味悪ぅ。
なのに読み返しちまった。うぁぁ。
カチカチ山思い出したよ。
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