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ボツ小説

1 ::2004/03/23(火) 08:25

なんとなく入ったカレー屋でなぜかソニンが店員をしていた。

101 :10:2004/04/20(火) 19:56
「とりあえずあたしね、前聞いたんだけど、霊ってのはなんか悔いが残ってると出やすいんだって。その悔いを解決してあげれば、霊、出なくなるかもしれないよ?」
よっすぃは壁を見つめたままじっとしている。聞いているのか、いないのか、わからない。私は続ける。
「例えばさ、霊はどんなこと言うの?」
「・・・ええと、的外れなアドバイスとか」
「アドバイス?」
私は考えた。アドバイスということは、よっすぃを気遣っているということだと思う。と、すると、あんまり悪い霊じゃあないのかもしれない。

102 :10:2004/04/20(火) 19:56
「その霊は、女の子なの?」
よっすぃは呆れたように口を開くと、何かを言いかけて黙った。それから、静かに頷く。
「可愛い?」
私は続いてそう言った。なんとなく胸の辺りがもやもやしてくるのを感じながら。
「可愛いかって・・・なんつっていいんだか」
「いいから答えてよ、可愛いの?」
「しらないよ」
なかなか答えてくれないよっすぃを私は睨みつける。こういうのすごい気に入らない。私は考える。もしかしてよっすぃは何かを隠しているのでは。

103 :10:2004/04/20(火) 19:56
「・・・ねえよっすぃ、もしかしてその霊のこと・・・」
「はぁ?」
よっすぃは目をむいて怒鳴るように言う。すごいリアクションが返ってきた。ますます怪しい。こうなったらはっきりさせるべきだ。私は断固決意を固める。
「つーかそんな霊除霊しないとだめだよ!早速除霊しようよ。ねえ。」

104 :10:2004/04/20(火) 19:56
よっすぃはとつぜん笑い出した。はははははと暗い部屋に響き渡る笑い声を私はぼうぜんと聞いている。しばらくしてよっすぃはやっと笑い止んで、
「いいよ、面倒くさい」
と言って布団をかぶり、ベッドに寝っ転がってしまった。私はその肩を揺さぶりながら、言う。「ねえ、まだ話終わってないよ、終わってないよ・・・」よっすぃは眠たそうな目を開くと、言う。「・・・もう四時か。あと1時間くらいかな、朝日でるまで」
「朝日出るとどうなるって言うの」
「あたしが、ようやくぐっすり眠れるんだ」
よっすぃは柔らかく笑った。

105 :10:2004/04/20(火) 19:56
ボツJ 終

106 :名無し娘。:2004/04/20(火) 22:23
ナイス

107 :名無し娘。:2004/04/21(水) 22:09
スバラシイ

108 :名無し娘。:2004/04/22(木) 18:14
とてもきれい

109 :名無し娘。:2004/04/22(木) 22:40
このスレ以外に書いたことないんですか?
あるなら教えて欲しいんですが

110 :名無し娘。:2004/04/24(土) 12:35
大胆にして細心

111 :11:2004/04/26(月) 00:10
「影がね、なんかおかしいんだ」
やぐっちゃんの声は深刻だった。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、ひょいと背中のほうから、やぐっちゃんの足元を覗き込んで見たのだけれど、そこには、小さなやぐっちゃんのシルエットが、夕陽のおかげで大きく、黒々と伸びてるだけで。
「あたしには、普通にしか見えないけど」
と圭ちゃんが呟きます。私も言う。
「あたしにも普通に見えるよ」

112 :11:2004/04/26(月) 00:11
やぐっちゃんは難しい顔で頷いた。
「そっか、でもどっか違うんだよなあ」
「おかしいね」
私は首をかしげた。圭ちゃんも首をかしげた。
それからいつまでもやぐっちゃんは、腕組みしたまま、難しい顔でぶつぶつ、影を眺めながら呟いてました。
「何かがおかしいんだよ」

113 :11:2004/04/26(月) 00:11
じゃあ、あたしの影と比べてみようか。
なんて言おうと思って気づいた。
「あれえ」
素っ頓狂な声をあげてしまい、やぐっちゃんは驚いて顔をあげた。圭ちゃんもこっちを見ている。私は腕組みをしながら、呟いた。
「影が、ない」

114 :11:2004/04/26(月) 00:11
私の足元からは影が伸びていませんでした。並んで立っている、やぐっちゃんの足元からは、すらっとシルエットが伸びてるのに。
「どしたんだろ、一体」
「うぅん、どしたんだ」
すると圭ちゃんも言います。
「ていうかさ、あたしの影もないや」
三人並んで唸ります。こうなるとおかしいのは逆に私たち二人のほう。

115 :11:2004/04/26(月) 00:11
「もっと、明るいところに出てみよう」
と言って私たちは、広い場所へと移動しました。右手をブラインドがわりに、眩しい夕陽を遮りながら、見下ろした私と、圭ちゃんの足元にやはり影はなく。
「オイラにはあんのに」
やぐっちゃんの足元には影が。

116 :11:2004/04/26(月) 00:12
そこで不意に私は気づいた。
「なぁんだ」と言って私は笑いました。
「真正面から太陽が来てるんだから、ほら、影はこっちだよ」

117 :11:2004/04/26(月) 00:12
そう言って振りかえると、確かにすらっと影が伸びています。私のと、やぐっちゃんのと、圭ちゃんのと。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、大笑い。
「あはははははははははははははは」「あははははははははははははははは」「じゃあ、オイラのは一体、なんだよう」「あははははははははははははははははは」

118 :11:2004/04/26(月) 00:12
ボツL 終

119 :12:2004/04/26(月) 00:13
「つーか話聞いてる?」
「ああごめん、クロスワード、やってるんだよ、今」
「へえ」
「わかんなくてさ・・・最初がモで始まってるんだ」
「うん」
「それで、12345・・・8文字だ」
「うん」
「で、最後は・・・め だ」
「うん」
「あと多分だけど2文字目は棒だ」
「棒って」
「あれだよ、あの、伸ばす棒」
「ああ、伸ばす棒」
「そう、伸ばす棒」
「なるほど」
「あと5文字目、5文字目は グ だな」
「結構分かってんじゃん」
「必死で埋めたからな」
「で、問題はどうなってんの」
「それがなぁ、結構長いんだよ」
「言ってみてよ」
「増えたり減ったり分裂したり戻ったり改造されたりばら売りされたり歌ったり踊ったり泣いたり笑ったりするものってなんだ?」
「あー」
「わかるか?」
「うーん、ミジンコ」
「・・・なんでミジンコ?」

120 :12:2004/04/26(月) 00:13
ボツM 終

121 :13:2004/04/26(月) 00:19
「神様おねがいソロ活動がしたいです」と私はある日星に祈った。そうして部屋に帰ると中澤さんがいた。私はびっくりする。
「なんでこんなところにいるんですか」
「お前の願いかなえに来たんやないか」と中澤さんは言った。中澤さんは、右手に大きなナタを持っていた。

122 :13:2004/04/26(月) 00:19
わるい予感がした。
「まさかとは思いますけどー、そのナタで娘。のみんなをみなごろしにして、残ったあたし一人でソロ、なんてオチじゃないですよね」
と私は言った。
「なんや、アカンのかぁ」と中澤さんは首を振る。「したらどんなんがええ?ミキティてきには」

123 :13:2004/04/26(月) 00:19
「ていうかあたし的にはやっぱりすっごい名曲を、なんか感動するテーマに基づいて歌って、それで初登場は五位くらいなんだけど二ヵ月後くらいに一位とって、そんであたし感動して泣いちゃう、みたいなのがいいですね」
と私は言った。
「わかった」
と中澤さんは言った。

124 :13:2004/04/26(月) 00:19
それからすぐ中澤さんは窓から飛び降りて消えてしまって、ここ三階なのに、とか、何しに来たんだろう、とか、私はぼんやりと色々考えながらベッドに横たわっている。
もしかするとさっきの中澤さん、ほんとに神様なのかもしれない。ううん、ていうかきっとそうだ。だってあたし誰にも言ってないもん神様に祈ったこと。それになんか窓から飛び降りてたし。ふつう死ぬよねこんな高さから飛び降りたら。とか思ってたその時、
いきなりうううううううううううううううううううんってサイレンの音がして私は跳ね起きた。それでカーテン開けて外見たらすごい大騒ぎになっていた。

125 :13:2004/04/26(月) 00:20
『中澤裕子飛び降り自殺』
なんて文字がいろんなスポーツ新聞の見出しを埋め尽くして私はもうしらない。とか思ってたんだけど、やっぱり現場が私の家である以上は知らないフリも出来ずに仕方なく私は、「そう言えば最近悩んでるみたいでした・・・」なんて、会見の席でうつむいてみたりもした。
最初はすごい私のこと、警察の人とかに疑われてたみたいなんだけど、私の迫真の演技が功を奏したらしく、ほとぼりが冷めると今度は逆に私と中澤さんの関係がクローズアップされるようになった。実は仲良しだった、というのがファンにも事務所にもえらく新鮮だったみたいで、というのは、私が苦し紛れに「よく遊びに来てました」なんて言ったからだと思うんだけど。
で、その組み合わせはずいぶん意外性があったらしく。

126 :13:2004/04/26(月) 00:20
というわけでつんく♂さん曰く「気持ちをこめて歌ったらええ」と渡された曲を私はソロで歌うことになった。表立ってコメントはなかったけどそれが中澤さんへの追悼ソングであることは周知の事実だった。偶然とは言え私は中澤さんに感謝した。
渡された歌はなかなかにいい曲で私はブース席で歌いながら、もしかすると中澤さんはほんとに神様だったのかもしれないな、なんてちらりと思った。私は、気持ちをこめて歌った。

127 :13:2004/04/26(月) 00:20
初登場五位だったその曲は二週目にランキング圏外に落ちた。また変わらない日々がはじまった。私はもうソロがしたいとか誰にも言わなくなったし、考えることもなくなった。そうして替わりにわきあがってきたのは中澤さんが死んだことに対する悲しみだった。
それは、ほんとに、急にせり上がってきた感じだった。けれど娘。のみんなや他の人たちがさんざん泣いて、悲しんで、やっと悲しみを忘れかけた今になっちゃ、誰にも言えなくて私は時々夜中ひとりで泣いた。星を見ると祈った。

128 :13:2004/04/26(月) 00:21
しばらくして梅雨がきた。悲しみはちっとも薄れないどころかどんどん強くなった。その上目の前で自殺された責任なんかもちょっとずつ感じるようになって、私は梅雨の空に負けないくらいどんより湿った毎日を過ごしていた。
仕事は忙しかった。娘。の新曲が出るというのでレッスンがあったりレコーディングがあったり、歌番組の収録があったりして、それでも虚しさは紛れなかった。発売日はぐんぐん近づいていった。いつもと違って、それに対して緊張感のかけらもなかった。ただただ虚しかった。

129 :13:2004/04/26(月) 00:21
そんなある日、私たちは事務所に集まっていた。色々な打ち合わせが交わされていくのを私はぼんやりと眺めていた。と、誰かが言った。
「そう言えば、新曲のランキングが出てるから。」
そして全員に何やらコピー用紙が回された。それを見てみんなは歓声をあげた。私もぼんやりと紙に目を落とした。
娘。の曲は四位くらいだった。そして一位にはあの時出した私の曲がランクインされていた。

130 :13:2004/04/26(月) 00:21
はじめ印刷ミスかと思った。「すごいじゃん」とか「良かったねぇ」って声がして私に言ってるんだって最初わからなかった。私は笑うでもなく喋るでもなくただぼーっとみんなを眺めていた。みんなすごい嬉しそうだった。矢口さんとかめちゃくちゃ喜んでいた。胸の、奥の方から、何かがこみあげてくるのを感じた。
「なんで今更一位になったんですかねえ」と私は照れ隠しに呟いた。
矢口さんが、笑いすぎて眼に溜まったんだろう涙を、拭いながら教えてくれた。
「きっとファンのみんなが買ったんだよ。だって、ほら、こないだの土曜ってさ──」

131 :13:2004/04/26(月) 00:21
そんであたし感動して泣いた。

132 :13:2004/04/26(月) 00:21
ボツN 終

133 :名無し娘。:2004/04/26(月) 12:48
11 ワカラン
12 ワロタ
13 イイ!

134 :名無し娘。:2004/04/26(月) 19:26
最後の一行がいいね。

135 :名無し娘。:2004/04/26(月) 20:28
11 矢口の影は反対方向にも伸びてる
っていうことだと思う

136 :14:2004/04/27(火) 23:58
「ふふ、綺麗なバラ・・・」
「あ、道重、どしたのそれ?」
「ほら、見てみてくださいよ飯田さん、綺麗なバラにはトゲがあるって。このバラ、こんな鋭いの」
「ほんとだ・・・すごいトゲ・・・痛っ」

137 :14:2004/04/27(火) 23:58
「あれ、バラが一本増えてるよ」
「ほんとですか?気づかなかった」
「あたしもー」
「さっきは確かに・・・、一本しかなかった気がするけど。飯田さんに聞いてみよう。飯田さーん」
「あれ・・・いないみたいだねぇ」
「何やってんだろ、もうすぐ本番なのに・・・ちょっとあたし探してくるよ」
「あ、行ってらっしゃい・・・ねえ、ウチ等も探しにいこうか?田中?」
「ん・・・それにしても・・・綺麗なバラですね、それにすごいトゲ」
「あれ、田中?」

138 :14:2004/04/27(火) 23:59
「あれ、バラが置いてあるよ」
「ほんとだー、綺麗なバラ」
「そしてなぜか誰もいない・・・梨華ちゃんとかどこ行ったんだろう」
「藤本さんさっき廊下ですれ違ったよ、なんか飯田さん探してたみたいだけど」
「まこっちゃん何やってんの?」
「いや、ちょっとバラを咥えてみようかな、と思って」
「・・・なんでもいいけど、トゲ、気をつけなよ」
「折っちゃったら怒られるかな」
「へーきだよ、四本もある」
「痛て。トゲ刺さった」
「だから言ったじゃ・・・ん?」

139 :14:2004/04/27(火) 23:59
「みきちゃん大変、まこっちゃんが消えた。こつぜんと」
「何フザけてんの」
「フザけてるとかじゃなくて」
「そんなことより辻ちゃん、飯田さん見なかった?」
「いや、見てないけど」
「・・・本番まであと30分か。よし、手分けして探そう」
「えー」
「辻ちゃんはあっち。で、他のひとは・・・って、なんで二人しかいないの?」
「だからまこっちゃんが消えたんだってば」
「・・・ちょっと待って、バラ、めちゃめちゃ増えてない?」
「んー、いちにいさん、・・・五本?あれれ?さっきは確か」
「誰か持ってきた?」
「みてないけど」
「ちょっと調べてみる必要ありそう」
「調べるって」
「なんか怪しいよ、このバラ」
「うーん・・・普通のバラに見えるけどなあ、綺麗なだけで」
「どれどれ・・・痛っ」
「あー、トゲ気をつけないと・・・って、ののも刺さっちった」

140 :14:2004/04/27(火) 23:59
「わあ、バラがこんなに。」

141 :14:2004/04/28(水) 00:00
ボツO 終

142 :名無し娘。:2004/05/01(土) 01:38
( ‘д‘)ノ<ブロ、ワルサーあるで

143 :名無し娘。:2004/05/03(月) 15:48
かつて読んだどのボツ小説よりもボツ小説らしいボツ小説だ。

144 :名無し娘。:2004/05/07(金) 16:45
書けそうで書けない味だ

145 :名無し娘。:2004/05/16(日) 07:53
>>142
南の診療に赤、さっき保田を東で漁ってるのを見た。武器はセクビ、漁りたい。

146 :15:2004/05/21(金) 22:32
石川 突然ですが問題です。この楽屋のどこかに、ヤグチさんが隠れています。
吉澤 さて、ドコでしょう。
飯田 へ?
藤本 …っていうか、ありえないよね。

147 :15:2004/05/21(金) 22:32
吉澤 ありえない、なんてことはないです。
石川 隅々まで探しましょう。
亀井 ロッカーの中…いませーん。
田中 テーブルの下もいないよ。
道重 カーテンの奥もいませんでした。
加護 …いるわけないじゃん。こんな狭い部屋に。
辻  かくれるトコなんてもうないじゃん。
新垣 石川さん、吉澤さんも、あんまり適当なこと言わないで下さい。

148 :15:2004/05/21(金) 22:33
吉澤 はい、全員ブー。
石川 正解は鏡の中でした。
紺野 何を言ってるんですか。
小川 鏡?
吉澤 じゃあリカちゃん、ヤグチさんを呼んでくださーい。
石川 はーい。

149 :15:2004/05/21(金) 22:33
石川、馬鹿でかいハンマーを取り出して、鏡に向かって振り下ろす。
がしゃん。

飯田 うわっ。
藤本 なんてことを。

割れた鏡の奥から、矢口の死体が転がり落ちてくる。

150 :15:2004/05/21(金) 22:33
石川 と、言うわけでしたー。
吉澤 ちょっと難しかったかな?
辻  こんなのわかるわけねーだろ。
藤本 インチキだよね。
石川 インチキだなんて。
加護 かえれー。
全員 かえれー。 
吉澤 一生懸命考えたのに。
石川 ぐすっ。
警官 殺人と死体遺棄の現行犯で逮捕する。

151 :15:2004/05/21(金) 22:34
がつん。
警官、ゆっくりと倒れる。
後ろで飯田がさっきのハンマーを持って立っている。

飯田 ふー、あぶなかった。
石川 助かりました!
吉澤 さすがリーダー。
藤本 でもさー、この人どうすんの?
石川 ん、いいこと考えた。
吉澤 ふふ、じゃあみなさん、10分だけ出て行ってください。
加護 また?
石川 今度はすごいよ、すっごい隠し場所見つけたんだから!
飯田 しょうがないなー。

152 :15:2004/05/21(金) 22:34
石川と吉澤をのぞく全員、嬉しそうに出て行く。
残った二人は目をキラキラさせて言い合う。

吉澤 床下?
石川 天井裏!

153 :15:2004/05/21(金) 22:34
ボツP 終

154 :16:2004/05/21(金) 22:36
「なんか、つんくさんがめちゃくちゃいい歌つくってました」
「マジで?」
「なんか、昨日事務所で、あのエライ人とか集まる部屋あるじゃないですか」
「あ、三階の会議室?」
「そう、で、偶然前通ったら、テープがかかってて」
「ふぅん」
「スゴイんですよ、もうあたしうっとりしちゃって」
「そんなにいい歌だったんだ」
「その後の会議も大盛り上がりでしたよ。これは売れる!とか、最高だ!って感じで」
「へえ、すごいね、ウチ等の歌かなあ」
「そこまでは聞いてませんでしたけど、でももしあの曲もらったらミリオン行くかも」
「マジで?ていうか一回聞いただけでそこまでわかるの?」
「はい。ていうか一回聞いただけなのに、未だに耳から離れない」
「すごい・・・そこまで言うなら、リカちゃんちょっと歌ってみてよ」
「いいですよ。ふー、ふふふー、ふふー、ふふふふふふー」
「・・・」
「どうでした?」
「どうでした?って言うか・・・とりあえずミリオンは行かないっぽい」
「またそうやって・・・あ、あたしが歌ったからいい歌に聞こえない、って言うんでしょ?」
「違うけど・・・まあ、そう言うことかな」

155 :16:2004/05/21(金) 22:36
ボツQ 終

156 :17:2004/05/21(金) 22:39
リカちゃんと家で料理つくって食べる約束だったので、私、台所にいるんだけど、フライパンとかいろいろ久しぶりに取り出して洗ってたら、ナベのフタがぶっ壊れてることに気づいた。
『今駅ついた。あと10分くらいで着きます。何か買ってくるものあったら言ってね』
というリカちゃんからのメールに、私はカチカチと返事をかえす。
『ナベブタ買ってきて。なんでもいいから。』

157 :17:2004/05/21(金) 22:39
20分くらいしてチャイムが鳴る。ドアを開けるとブタを小脇に抱えたリカちゃんが汗まみれの顔で笑っている。
「あー重かったァ」
そう言ってブタを床に下ろす。ブタはよちよちと部屋の隅へ走っていく。私はそれを目だけで追う。
「忘れてた、リカちゃんはバカだったよね。」
「なにが?」

158 :17:2004/05/21(金) 22:39
ブタはやっと落ち着いたらしく、部屋の隅っこで大人しくうずくまっている。よく見るとその背中にはナベが括り付けられていて野菜なんかがたくさん入っている。
「なるほどナベが括り付けられてるからナベブタなんだね。なっとく。」
私はわざとはっきりした声で言う。リカちゃんは嬉しそうに笑う。
「かわいいよね。」
「うん」
にこにことブタを眺めるリカちゃんは私のシラけた視線に気づかない。私はため息をつく。気づいたところでどうにもならないだろう。まあ、野菜とナベつきのブタ。悪くは無い。私は包丁を手にとって振り返る。
「とりあえず食っちゃおうよこのブタ」

159 :17:2004/05/21(金) 22:40
ブタはびくっと顔をあげる。リカちゃんもさらにびくっと顔をあげる。口をとがらせてまくしたてる。
「何なの何よそれ、そんなオニみたいなことあたし絶対はんたい。」
「はぁ?じゃあなんのつもりで買ってきたんだよこんなブタ。あたしはナベのフタ買って来いっつったんだよ」
「ちがうよちがうよヨッスィナベブタって言ったよ?ほら、メール、ほらほら」
「たしかにナベブタってあるけどナベブタっつってブタ買ってくる奴がドコにいんだよ!」
怒りを堪えきれずに私はリカちゃんの顎を掴む。
「は、離してよぅ」とか言いながらリカちゃんはちょっと嬉しそうでそれがまたむかつく。

160 :17:2004/05/21(金) 22:40
そんな私たちを途中までは不安そうに眺めていたブタだったけど、私が顎を掴むために包丁を置いたせいか、気づくと安心したようにまた、部屋の隅でだらしなくうずくまっている。ふいに何もかもバカバカしくなる。私はため息をついて顎から手を離す。
「とりあえずナベはもういいや、何しようか」
呟きながら私は冷蔵庫を開ける。リカちゃんも背中から「うーん、どうしよう」なんて言う。ブタはそのすぐ後ろで「ぶいぶい」と鼻を鳴らしている。
「・・・って、いつの間に。」
「きっとお腹空いてるんだよ。」
リカちゃんはいとおしそうにブタの耳あたりをさする。なんか気に入らない。

161 :17:2004/05/21(金) 22:40
「これ食べるかな。」
ごそごそとリカちゃんが差し出したのは捨てようと思ってた余り物の野菜炒めだった。
「どうだろ・・・つーかそれ傷んでるっぽいけど」
「ほら、お食べ?」
ちょっと嬉しそうにリカちゃんはサランラップを取った。
瞬間、たぶん0.7秒くらい、ブタはありえない勢いでそれを平らげた。

162 :17:2004/05/21(金) 22:40
食べ終わったブタは顔をあげると「ぶい」と言う。
私とリカちゃんは顔を見合わせる。リカちゃんの目は輝いていた。きっと私の目も同じくらいキラキラしていただろう。
「すっげえええ!」
「フードファイターだ、フードファイターだよ」
「見た?見た?今のスピード。一秒かかってねーよ、まじカッケーよこいつ」
「あ、これも食べるかな・・・?あ!」
「うぉ、早ぇ!」
「すごい!これも!これも!」
「これなんて生だけど!」
「これも!明らかにもう腐ってるけど!」
「これはどうだ!」

163 :17:2004/05/21(金) 22:40
1時間くらいしてブタは満足げに部屋の隅っこでうずくまっている。
私は空っぽの冷蔵庫の前で、リカちゃんの顎をつかんでいる。
「どうすんだよ。食うもん無くなっちゃったじゃんか。」
「ヨッスィが調子乗って食べさせるからだよ。」
「自分だって。」
私たちはお互いを責める。けれどお腹が空いては喧嘩も出来やしない。
「やっぱブタ食おうよ・・・」
「ダメだよ・・・」
なんて言いながらもうベッドでぐったりしてる。大切な時間はこんな風に過ぎていく。

164 :17:2004/05/21(金) 22:41

そして気づくと朝になっている。
私は体を起こす。
一人きりだ。目を擦る。いくら擦ってもリカちゃんもいないしナベブタもいない。
そしてテーブルにはなにやら。
「・・・うまそうな、におい」

165 :17:2004/05/21(金) 22:41
テーブルの上には大盛りのナベ。豚汁みたいな感じのものが湯気を立てている。やたら食欲をそそる匂い。
私はふたたび目を擦る。擦りながら、呟く。
「・・・材料どこあったんだ、一体」
その時トイレからごそごそという気配を感じる。とするとリカちゃんはいる。しかしブタは。いっぺんに目がさめるのを感じる。

166 :17:2004/05/21(金) 22:41
思い出すのはあの、ブタに括り付けられていたナベ。そして野菜。そしてゆうべ無くなったはずの肉。そしてここにある肉。いなくなった、ブタ。
私はふたたびナベに目をやる。
ナベの隣に置かれたちいさなメモが目に入る。手紙だ。
それは小学生が左手で書いたような字で。

「おせわになりました ナベブタです ゆうべのごおんはいっしょうわすれません せめてものおんがえしとして わたしの いちばんとくいな りょうりで おんがえしさせて もらおうとおもいます いっしょうけんめい つくりました おいしいと いいです おいしいと いってくれれば いちばん しあわせです ナベブタより」

167 :17:2004/05/21(金) 22:41
私は泣いた。
泣きながら汁をすくって飲んで肉を頬張った。
それは今までにない味だった。今まで食べたことのない味だった。おいしいとかまずいとか、私にとってはそういう問題じゃなかったけれど、私は一口ごとに「おいしい」と、しつこいくらいに言いながら食べた。
もう夢中だった。

168 :17:2004/05/21(金) 22:41
けれど半分くらい食べ終わったところでトイレから流す音が聞こえて、私はやっと正気にかえった。リカちゃんは私が起きるまで取っといてくれたんだから、一人で全部食べるわけにはいかないな、と思った。
「これ、おいしいよ、一緒に食べよう」
私が涙声でそう呼びかけると、半分くらい開いたトイレのドアから、ナベブタが照れくさそうに顔を出す。

169 :17:2004/05/21(金) 22:42
ボツR 終

170 :名無し娘。:2004/05/21(金) 22:56
うっわぁ

171 :名無し娘。:2004/05/22(土) 02:09
うあぁ、後味悪ぅ。
なのに読み返しちまった。うぁぁ。

カチカチ山思い出したよ。

172 :名無し娘。:2004/05/22(土) 04:54
俺は弟切草のバッドエンディング思い出した。
自分の彼女は焼け死んで、
間違えて助け出したのは狂った双子の姉の方だったっていう…

173 :名無し娘。:2004/05/23(日) 03:42
凄いとしか表現できないのが悲しい

174 :名無し娘。:2004/05/23(日) 04:17


175 :名無し娘。:2004/05/25(火) 23:59
うわぁ、まじですげぇ。。。

176 :18:2004/06/06(日) 23:46

楽屋にゴマキ人形が落ちていた。

「へんな人形。ごっちんそっくり。」
楽屋に一人きり、辻が退屈しのぎに人形の鼻を掴むと、それはまるで生き物のようにむくむく動き出す。
「ハナヲツカマナイデクダサイ。ハナヲ。」
「うわあ。ごっちんの声だ。」
辻は目を丸くする。
「イイカラアヤマリナサイ。」
「わ、ほんとにごっちんみてえ。もっと喋ってよ。もっと。」
辻は嬉しそうに笑う。ゴマキ人形は頭をかく。そして言う。
「ツジ、アヤマレ。」
「うわあ。」
辻は一向に謝らない。ゴマキ人形もそれでいいみたいな風で。

177 :18:2004/06/06(日) 23:47

楽屋にゴマキ人形が落ちていた。

「あれ、ごっちんの人形。」
楽屋に一人きり、人形を拾い上げながら、なっちが言う。
「見ればみるほどそっくり。」
言いながら、乱暴に人形を揺する。手を引っ張って見たりする。なっちは笑顔を崩さない。
「ばーかばーかばーか。ねえごっちん、聞こえてる?」

「最近大変なんだよ、ドラマとかさ。歌も一人っきりだしさ。」
人形を相手に、一人喋りつづけるなっち。
時折頭をふんわり撫でられて、ゴマキ人形は心地よさそうに膝でじっとしている。

178 :18:2004/06/06(日) 23:47

楽屋にゴマキ人形が落ちていた。

「何これ、ごっちんの人形じゃん。」
そう言って飯田が人形を拾い上げる。
「床に置いとくなんてヒドイね。カオが飾っといてあげるからね。」
言いながら、飯田は優しくゴマキ人形のホコリを払う。すると突然人形は口をぱくっと開く。
「アナタハイイヒトデス、ネガイヲヒトツ、カナエテアゲマス」
飯田は笑って答える。
「じゃあごっちん娘。に戻ってきてよ、何人も抜けちゃうから不安なんだよ」
ゴマキ人形はその途端にくたっとなって、それは何回ゆすぶってももうただのぬいぐるみに過ぎなかった。

179 :18:2004/06/06(日) 23:47
ボツS 終

180 :名無し娘。:2004/06/10(木) 21:24
悪くない。
いや
素晴らしい。

181 :19:2004/06/27(日) 01:42
ある日。
ほんのイタズラのつもりで楽屋の電気を消したら飯田さんだけがぼわっと白く浮かび上がった。
私は泣いた。
「いいださんはオバケだったんですね」
「違うよ道重、実はカオリは牛乳で出来てるんだよ」

182 :19:2004/06/27(日) 01:42
なるほど白いえのぐで書いた絵のように綺麗な飯田さんが「牛乳で出来てるんだよ。」なんてもっともらしい顔で言うとそれはそれっぽく聞こえるのだ。私は泣き止む。
「じゃあいいださんは冷やしておかないといけないんですね」
「違うよ道重、カオリはロングライフ牛乳で出来てるんだ」

183 :19:2004/06/27(日) 01:42
とすると冷蔵庫に入れておかなくても飯田さんが腐る、ということはないのだ。私は少しつまらなく思う。まっしろな飯田さんが腐っていくさまはさぞかし儚く綺麗なことだろうに、という思いが私を掴んで離れない。
「だからいいださんは北海道出身なんですね」
「それとこれとは関係ないよ道重」

184 :19:2004/06/27(日) 01:42
ある日。
ほんの冗談のつもりで石川さんの肩に噛み付いたらぽろっと肉が取れた。
私は泣いた。
「いしかわさんは妖怪だったんですね」
「違うよ道重、実はわたしチョコレートで出来てるんだよ」

185 :19:2004/06/27(日) 01:43
なるほど言われてみれば確かに、口の中に広がるあまあい香りはチョコレートのものだった。私は泣き止む。
「じゃあいしかわさんは冷やしておかないといけないんですね」
「違うよ道重、わたしガーナ産だから溶けにくいんだ」

186 :19:2004/06/27(日) 01:43
とすると火でもつけない限り石川さんが溶けてなくなる、ということはないのだ。私は少しつまらなく思う。溶けかけたチョコレートを慌てて頬張るのが案外好きなのだ。
「だからいしかわさんは色がくろいんですね」
「それとこれとは関係ないよ道重」

187 :19:2004/06/27(日) 01:43
さてそんなある日牛乳とチョコレートが脱退することが発表された。
なんだか胸がむかむかするような落ち着かない感じ。
ガマンが出来ない。楽屋で、三人だけになるのを見計らってから、私は二人に言う。
「どうしても辞めるんですか」
二人は答えずに笑っている。私のむかむかはどんどん強くなってばっくんばっくん胸を内側から打ち付ける。それは鼓動のようで衝動のような抑えきれない感情だった。
「まーしょうがないよねー」
「ずいぶん先の話だし・・・それに、道重もすぐに慣れるよ」
その味気ない感じがとても嫌だ。私は必死で耐えたがこみあげてくるものを抑えきる事が出来ない。痛みが辛いのではなくてこの痛みに終わりがないと思うことが、とにかく辛いのだ。だから泣きながら

188 :19:2004/06/27(日) 01:44
私は楽屋で一人ミルク・チョコレートを頬張る。
矢口さんが入ってきたので私は笑いながら言う。
「ねえ矢口さん知ってましたか、ガーナ産チョコレートはミルクとの相性がバッチリなんですよ!」
矢口さんは私の手元を見て、それから少しつまらなそうに笑った。
「知ってた。」

189 :19:2004/06/27(日) 01:44
ボツT 終

190 :20:2004/06/27(日) 01:44
つんく♂が一升瓶を片手に楽屋に入ってくる。
濁った目でわめくように言う。
「なあお前ら、娘。が5人になるとしたらどういうメンバーがええと思う?」
やばい本気だ、と矢口は直感する。

191 :20:2004/06/27(日) 01:45
飯田が悲しげに視線を伏せる。
石川が何か言いたそうな素振りをみせる。
吉澤がとっさに石川の口を後ろからふさぐ。
高橋はぽかんと口をあけている。
紺野は横目でみんなの様子をうかがっている。
新垣が難しそうな顔で首をかしげる。
田中はすでにちょっと泣きそうだ。
道重は悩んだフリして鏡を見ている。
亀井は汚いモノを見る目でつんく♂を見ている。
そして藤本が嬉しそうに手を挙げて言う。
「あたしが5人いればいいと思います。」

192 :20:2004/06/27(日) 01:45
「いい案だと思ったんだけどなあ。」
グーでぶたれて、赤くはれたおでこをさすりながら藤本がぼやく。
つんく♂が出て行ったドアを、そっと閉めながら、矢口が嬉しそうに言う。
「いや、最高の案だったよ。」

193 :20:2004/06/27(日) 01:45
ボツU 終

194 :21:2004/06/27(日) 01:46
瀕死の重傷を負ったカゴちゃんが言う。
「ああごっちんもうあたし助かんないよ、自分でわかるんだ・・・今までありがと・・・」
私はその手を握りながら答える。
「そんなことないよ、ほら、今救急車くるから!」
カゴちゃんは弱弱しくうなずく。
カゴちゃんは私の可愛い後輩であり弟子であり仲間であり親友だ。私は泣きそうになるのをぐっと堪える。

195 :21:2004/06/27(日) 01:46
「あたし天国行くんだ・・・でも・・・天国行く前に・・・うなぎ・・・」
とカゴちゃんは呟く。
「何、うなぎ?うなぎが食べたいの?ねえ、うなぎが?」
私は焦ってなんども聞き返す。カゴちゃんはすっと無表情になり、ふかく息を吸い込むと、喋りだす。

196 :21:2004/06/27(日) 01:46
「ああ天国行く前に一度でいいからごっちんが生きたままのうなぎを、あたしのために買って来て、料理しようとするんだけど手からすっぽ抜けちゃって、捕まえようとするとまたすっぽ抜けて、そのまま延々とうなぎと格闘するところが見たかったなあ。」

197 :21:2004/06/27(日) 01:47
というわけで私は走っている。一番近くの魚屋が待ち構えたように笑う。
「ほら姉ちゃん、イキのいいうなぎだ、持ってきな」
私はバケツごとそれを受け取る。受け取りながら代金を払って踵を返す。そして部屋に戻るとカゴちゃんはもう虫の息だ。どうやら救急車はまだ来ていないようだった。
「今すぐ作るからね待っててね!」
言いながら私は献立を考える。とりあえずカバヤキだ。私はバケツからうなぎを取り出そうとする。視界の隅でカゴちゃんの目がきらりと光ったように見える。気のせいだったかもしれない。

198 :21:2004/06/27(日) 01:47
水を離れ私の手のなかに入るのを、待ち構えていたかのようにうなぎは暴れだす。そしてつるっと手から抜けていく。焦って私はそれを掴む。うなぎはまたつるっと抜ける。私はそれを掴む。うなぎはさらにつるっと滑ってそこはもう窓の外だ。私はひたすらに追いかける。うなぎはどんどん上へ上へと、私もどんどん上へ上へと。

199 :21:2004/06/27(日) 01:47
気づけば雲が遥か下に見える。うなぎはさらに昇りつづける。私もさらに昇りつづける。カゴちゃんが笑いながら言う。
「頑張ってね、もうすぐ着くからね」
私はようやくだまされたことに気づく。カゴちゃんはふわふわ浮きながら、ごめんねという感じで手を立てる。そして言う。
「着いたら、一緒にカバヤキ食べようね」

200 :21:2004/06/27(日) 01:48
ボツV 終

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