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ボツ小説

1 ::2004/03/23(火) 08:25

なんとなく入ったカレー屋でなぜかソニンが店員をしていた。

2 ::2004/03/23(火) 08:26
動揺をなんとか隠し切って私はなんでもなさそうに席についた。店内はガラガラだった。こちらにゆっくりと、だるそうに近づいてくるソニンはあきらかに私に気がついている様子だったがお互いに言葉はなかった。
ごとんという音がしてテーブルが軽く揺れた。顔を上げるとやはりソニンが無愛想な顔で、
「注文は。」
と言った。

3 ::2004/03/23(火) 08:26
私はすばやくメニューに目を通して、一番早く来そうな、一番早く食べ終われそうなものを探した。やがてカレーライスしかないことに気がついた。私は顔を上げずに言った。
「カレー。」
「はい。」
ソニンはそっけなく言うと奥へ引っ込んだ。私はほっと息をついた。厨房の奥は席から見えないようになっていて私は落ち着くと同時に色んなことに考えをめぐらすことが出来た。普通にアイサツすればよかったとか、そう言えば最近ソニン見ないなあとか。しかし何故ソニンがここに居るのかは幾ら考えてもわからなかった。

4 ::2004/03/23(火) 08:27
カレーはすぐに来た。ソニンは全く感情のない声で「ご注文は以上ですか。」と言った。そして私がうなずくとすぐにまた奥へと行ってしまった。
ああ、気まずいな、と私はカレーをほおばりながら思った。なんとなく話し掛けるキッカケが欲しかった。やがて途中まで食べ終わったところで私はソニンを呼んだ。
「あのさ、福神漬け頂戴。」

5 ::2004/03/23(火) 08:27
ソニンは返事もせずに近づいてくると、どん、とテーブルに銀の入れ物を置いて、さっさと引っ込んでしまった。私はやるせない気持ちでそれをどばっとカレーにかけた。一気にかきこんだけど味はほとんどわからなかった。
もう何も考えずに食べ終わって、とっとと帰ろう、と思った。全部胃に無理やり流し込んで、私はバッグから財布を取り出そうとした。

財布はドコにもなかった。

「オキャクサン財布落としましたね。」
後ろから聞こえたソニンの声には、はじめて感情がこもっていた。それはひどく嬉しそうな声だった。

6 ::2004/03/23(火) 08:27
と言うわけで私は走っている。
「陽が沈むまでに帰ってこなかったら・・・・・・」
ソニンはそこで言葉を切ってにやりと笑った。その手には私の携帯とバッグがあった。質として取られたものだ。
「ああどこで落としたんだろう財布。」
考えてもキリがなかった。とにかく私は家へとひた走るのみだ。

7 ::2004/03/23(火) 08:28
アスファルトからは砂埃みたいな湯気みたいなものがそこらに立ち上っていて人通りはぜんぜんなかった。「蜃気楼だ。」と、蜃気楼なんて見たこと無いけど走りながらそう思った。すでにおでこからはだらだらと汗が流れてきていた。太陽はほとんど真上にあって春先とは思えないくらい暑かった。
どうも走りづらいと思ったらヒールをはいていた。脱ぐのもめんどうだったけど折れそうな気配を感じたのでしばらく走った後私はそれを脱ぎ捨てた。ニ、三歩走ると裸足にも慣れた。その時一台のバイクが後ろから走ってきて私の横でとまった。私もあわせて立ち止まった。

8 ::2004/03/23(火) 08:28
それは私の弟だった。
「何走ってんの。」
と弟は言った。私はぜえぜえ息をつきながら辛うじて
「……ソニンが。」
とだけ言うことが出来た。弟は「へえ」と言って笑った。
「ソニンから逃げてんだ、俺と一緒だな、さすが姉」
私はその鼻面のあたりを思いっきりぶん殴った。それから言った。
「逆だよ。てゆーかあんた金ぜんぶ出して。」

9 ::2004/03/23(火) 08:28
鼻をおさえてうずくまる弟は返事をしなかった。私は強引にそのポケットから財布を取り出して、すぐに店へと走り出した。見上げた太陽はもうずいぶん落ちてきているようにも見えた。ふたたびおでこから汗が流れ出すのを感じた。疲れは全く感じなかったがなんとなく気だるい感じを頭の奥に覚えていた。

赤い看板を目印にひたすら走った。店にはなかなか戻れなかった。真上にあったはずの太陽はもうずいぶん落ちてきていた。それっぽい交差点は何度も通り過ぎたけどあの赤い看板はなかなか見つからなかった。もう何時間走りつづけているかわからなかった。こんなことなら弟のバイクで送ってもらえば良かったと、後悔しながらも足は止めなかった。

10 ::2004/03/23(火) 08:29
空は遠くのほうからじょじょに赤みを帯びてきていた。陽が沈むまでというのは一体どこまでを指すのだろうと私はすこし考えた。走りながら右手に握っていた財布を左手にもちかえると汗でじっとりと濡れているのがわかった。その時不意に右手に赤いものが目に入った。見るとあの看板だった。私は足を止めずにほとんど直角に曲がって開けっ放しのドアから店に飛び込んだ。

11 ::2004/03/23(火) 08:29
ソニンはさっきのテーブルに足を乗っけたまま私を待っていた。ぜえぜえと荒い息をする私を冷たい目で見ながら、口端を曲げるようにして笑った。
「ごうかく。」
テーブルの上には私のバッグと携帯が乗っていた。私は息を整え終わると弟の財布を取り出して中を開いた。そして顔を上げずに言った。
「カレーライスって幾らだっけ。」
「500円。」
「ふぅん。」
私は言いながら100円玉の数を数えた。丁度五枚。そのほかに硬貨はなかった。札入れも開いてみたがレシートしか入ってなかった。
心臓の鼓動がはやくなるのを感じながら私は言った。
「消費税は。」
ソニンの返事は一拍おくれた。私が顔をあげると彼女はさっきとまったく同じ顔で笑っていた。
「込み。」

12 ::2004/03/23(火) 08:29
すうっと背中のほうから楽になった。私は笑い出しそうになりながら財布をぽん、とソニンに向かって投げてわたした。
「じゃあ返してもらうね。」
と言って私はテーブルへ向かい、バッグと携帯を手にとった。その時メニューが目に入った。表紙に書かれた文字に一瞬、私の目は釘付けになった。
【ちなみに福神漬けは+30円です。お気軽にお申し付けください。あと食い逃げは殺します。】

13 ::2004/03/23(火) 08:29
手書きだった。ふたたびずぅんと重いものがおなかからこみ上げてきた。私は財布を開けようとするソニンを横目で見ながらゆっくりと後ずさった。幸いにもソニンがまだ札入れをチェックしているところで出口に行き着くことが出来た。
開けっ放しのドアから店を飛び出すと私は振り返らずに走った。

14 ::2004/03/23(火) 08:30
またあの終わりのない通りが私を待っていた。私はバッグに携帯を入れてジャマにならないよう肩にかけた。陽はほとんど沈みかけていて空は赤黒く染まっていた。まるで乾きかけた血のような色だと私は走りながら思った。

一つ目の交差点のところでバイクにまたがったままの弟が笑っていた。
「乗んなよ、姉ちゃん。」
その時後ろで激しい音がした。振り返るとあの赤い看板が激しい勢いで吹っ飛び、負けないくらいの勢いでソニンが飛び出してくるのが見えた。

15 ::2004/03/23(火) 08:30
私は慌てて後部座席に飛び乗った。弟がアクセルを回しながら言う。
「なあ、姉ちゃん」
「何よ。」
「やっぱり俺と一緒だな。」
弟が嬉しそうにそう言うと同時に、すさまじい勢いでバイクは走り出した。慣性の法則にしたがい私は背中から地面に落ちて後頭部をつよく打った。
うううとうめく私の視界はもうすでに真っ赤だった。それは夕焼けの色なのかもしれなかった。私を見下ろすソニンの顔に貼り付いた笑いを見ながら弟も笑っていたことを思い出した。だから私も笑おうとしたがそれはくくくという声にしかならなかった。

16 ::2004/03/23(火) 08:30
ボツA 終

17 ::2004/03/23(火) 08:34
飯田さんはさっきからピアノをめちゃくちゃに弾いているとても適当だ。
メロディも和音もあったもんじゃない。
でもそれを言うと矢口さんのように背骨から腰骨にかけて串のようなもので突き刺されてしまうから私は口を閉じたまんまじっとその不愉快なピアノの音色を聞いているのだ。

18 ::2004/03/23(火) 08:34
つんく♂さんが部屋に入ってきても飯田さんはピアノを弾きつづけた。
それはますます強い調子になってそのデタラメっぷりも強まっている。
耳を塞ぎたかったがそうすると石川さんのように上唇から髪の生え際くらいまでの皮膚を剥がれてしまうから私は両手をヒザの上に揃えておいたままだ。

19 ::2004/03/23(火) 08:34
つんく♂さんが何かを叫んでいるけれどピアノの音はそれを遥かに上回りかき消す。
私は飯田さんにつんく♂さんが来たことを伝えようかとちらっと思う。
ただピアノを弾いている時の飯田さんに触ると辻さんのように×××に棒のようなものを胃を突き破るくらいの勢いで何度も差し込まれてしまうから私は目を閉じて眠ったふりをする。

20 ::2004/03/23(火) 08:34
もしかすると飯田さんはわざとアピールで、自作の曲をつんく♂さんに聞かせているのかもしれない。
そう言えば「カオリは作曲も出来るから」というようなことをつねづね言っていた気がする。
「ほんとですか?じゃあ聞かせてくださいよ」と言ったまま行方不明になってしまったれいなちゃんは今ごろ一体何をしているのだろうかと思う。

21 ::2004/03/23(火) 08:35
「れいなちゃんはわたしの大切な友達だったのに。」と私はつぶやく。
いつのまにかピアノの音はやんでつんく♂さんと飯田さんはもの凄い顔でこっちを睨んでいる。
「わたしがそんなに邪魔ですか」とたずねる前に飯田さんの手が私の首にかかってつんくさんは嬉しそうにチャックを下ろした。

22 ::2004/03/23(火) 08:35
ボツB 終

23 ::2004/03/23(火) 08:39
どんよりとした天気の午後3時なっちが鶴嘴を持って訪ねてきた。
「どうしたのなっちその鶴嘴」と私は尋ねた。するとなっちは笑って、
「芸能界に巣食う悪鬼羅刹共を鏖にしてその血潮で罪過を贖わせるべさ」と血走った目で言う。

「ごっつぁんも一緒に行くべ。ほらこれを使うべさ」と言ってなっちは懐から一振りの刀を取り出した。
「梨地螺鈿金装飾剣の複製品だべ、切れ味は抜群っしょ」

24 ::2004/03/23(火) 08:39
仕方なく二人連れ立って事務所へと向かった。正面扉を開けた刹那火の玉のような勢いでなっちが躍り込んで往く。正に鎧袖一触続々と斃れていく敵達を省みる事も無くなっちは次々と鶴嘴を振り翳しては其処らの人間を薙ぎ倒して行く。糾える縄の如く絡み合い折重なる遺骸を仕方なく私も後ろから梨地螺鈿金装飾剣で突ついたりもしてみる。
逃亡を企てて窓の辺りで啀み合っていた二人を一刀両断。後は社長室を残すのみにあたり、なっちは一息深呼吸をするとそのまま飛び込んで往く。社長の驚愕した顔は稍あって寛恕を請う様な笑みに変わるも既に其の喉笛は鶴嘴により十文字に斬り裂かれて居る。社長は嘶く様に一寸吼えると踞り直に斃れた。殷賑を極めたUFAもここに時代の塵芥と化したのであった。

25 ::2004/03/23(火) 08:40
「全ての事がまるで泡沫の夢の様に感じるべさ」
となっちは菠薐草サラダを頬張り乍ら言う。私は蕃茄を口にしながら「その通りだね」と笑った。
テレビではニュースが流れている。音楽事務所に殴りこみ。犯人は不明。流れてくる声を聞きながらなっちがぼんやり言うのだ。
「さいしょからこうすればよかったよ」
「そうだね」と私も笑った。

26 ::2004/03/23(火) 08:40
ボツC 終

27 :名無し娘。:2004/03/23(火) 19:22
ボツAが非常に面白い。

28 :名無し娘。:2004/03/23(火) 19:40
BとCがよくわかんね

29 :名無し娘。:2004/03/23(火) 20:09
>>28
だからボツなんじゃない。
意味はわからんがシュールで面白いなと思ったよ。

30 :名無し娘。:2004/03/23(火) 20:21
シュールってそういう風に使うもんじゃないよ

31 :名無し娘。:2004/03/23(火) 21:57
从0‘ ∀‘ 从<期待ニダ

32 :名無し娘。:2004/03/23(火) 22:13
sageで立ったスレをageる池沼

33 :名無し娘。:2004/03/23(火) 22:37
>>32
ドンマイ

34 :名無し娘。:2004/03/24(水) 18:22
Aがなぜボツったのか?秀逸だと思うんだが。

35 :名無し娘。:2004/03/24(水) 23:14
Aの雰囲気が好きだ

36 ::2004/03/25(木) 08:15
その時モーニング娘。のみなさんは広い会議室でなにやら難しい顔で会議をしていた。
カオリが眉間にしわをよせて言う。
「私たちはこれからの娘。の展望について語らなければいけない。右、矢口から。」
「はい、矢口です。」
とやぐっちゃんが立ち上がって喋りだす。
「これからの私たちが押さえるべき重要なポイントはふたつ。ひとつ、新しいファン層の獲得。ひとつ、古いファン層の維持。」
「つまり改革と保守ですね。」
「それは重要なポイントだ。」
みんな頷く。真顔だ。

37 ::2004/03/25(木) 08:15
そこへ市井ちゃんが入ってくる。笑顔だ。
しかしみんなは市井ちゃんに気づかずに議論に熱中している。
「見てください。これが今月の我々が出演した番組の視聴率一覧です。これによると。」
「ほほう。興味深い。」
「しかしながら。」
出されたスライドを前にして会議室では短い語尾の、鋭い言葉が交わされていく。みんな真剣だ。額に汗を浮かべ、つばを飛ばしながら議論は続く。
「バラエティ路線を開拓していかなければならないのではないか。」
「いや、もう少しドラマ部門に力を入れるべきでは。」
「忘れてはいけない、我々は歌手だ。歌こそが。」
そんな話をよそに市井ちゃんは壁にそっててくてくと歩く。やがて部屋の隅のゴミ箱を見つけ、嬉しそうに目を輝かせる。

38 ::2004/03/25(木) 08:15
がしゃん。
おおきな音がして娘。たちは一様に目を向ける。市井ちゃんは倒れたゴミ箱と、みんなを見比べるようにして得意げな顔で笑っている。
市井ちゃんは無言だ。みんなも。
「・・・あのねえサヤカ。」
「今、大事な話してるから。」
すこしの沈黙の後カオリとやぐっちゃんが同時に口を開く。市井ちゃんはつまらなそうに口を尖らせる。
「出てって、とは言いませんから。」
「大人しくしててくださいね。」
そんな声も、出る。

39 ::2004/03/25(木) 08:16
再び議論がはじまる。カオリが悲鳴のような声をあげる。
「あなたたちには危機感が足りないの。五万枚手売りしろとは言わないけれど。」
「飯田さんの考え方は古いんですよ。これからの時代は。」
「そうだよカオリ。否定してたらなんもはじまんないじゃん。」
「矢口さんそれは違うんじゃないですか。飯田さんだって考えが。」
「梨華ちゃんは口はさまないでややっこしくなるから。」
やぐっちゃんが怒鳴り、梨華ちゃんは顔を真っ赤にする。そして市井ちゃんはいつのまにかやぐっちゃんの後ろにスタンバっている。
そして静かな動作で両手をそっと伸ばして、やぐっちゃんの唇を指で、上下からはさむ。

40 ::2004/03/25(木) 08:16
口をはさまれたやぐっちゃんは一瞬驚いたようにびくっと跳ね、それからすぐに手を振りほどく。苛々した口調で、言う。
「口をはさむってそういう意味じゃないの。」
市井ちゃんはすでに聞いていない。部屋の隅でひたすらに笑い転げている。
「もうよそう、矢口。」
「でも。」
思わず立ち上がりかけたやぐっちゃんを静かにカオリが制する。そして諦めたような口調で言う。
「サヤカにマジレスしたってしょうがないよ。」

41 ::2004/03/25(木) 08:16
やぐっちゃんは諦めたように首を振った。みんなは静かにうんうんと頷く。
真顔だ。
静まりかえった部屋に、市井ちゃんの笑い声だけが響いている。
私はそれを物陰からぜんぶ見ていました。

ちょっと泣きそうになりながら。
横では圭ちゃんがおいおい泣いていました。

42 ::2004/03/25(木) 08:17
ボツD 終

43 ::2004/03/25(木) 08:17
夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと子供の頃遊んでいて、お母さんが
迎えにきてもう帰らなくちゃいけなかった時間、その記憶が残っているから・・・だと思った。私はそれを
吉澤さんに話した。
「え、でもウチ迎えになんて来なかったよ」
と言って吉澤さんは笑った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。吉澤さんはまだ笑いながら、
「うん。」
と言った。

44 ::2004/03/25(木) 08:17
次の日私は夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと夕焼けの赤には
見ている人を切なくさせる成分が含まれているんだ、と思った。私はそれを矢口さんに話した。
「でも矢口こないだ朝焼け見たけど全然切なくなかったよ」
と言って矢口さんは笑った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。矢口さんはまだ笑いながら、
「うん。」
と言った。

45 ::2004/03/25(木) 08:18
その次の日私は夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと昇っていた太陽が
沈み行く、その事実が切なさを醸し出しているんだ、と思った。私はそれを飯田さんに話した。
「何それ。アンタ何が言いたいの。ねえ。」
と言って飯田さんは怒った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。ぷちっという音がして、飯田さんは右腕を上げた。

46 ::2004/03/25(木) 08:18
そのまた次の日私は病院のベッドから夕焼けを眺めていた。私がこうしてる間にもみんなは仕事して
レッスンして笑って歌って踊っているんだなあ、と思ったら右目から涙がひとしずくぽろっ、とこぼれた。
私はそれを夕焼けのせいにした。夕焼けが切ないのはなんでだろう。
その時病室のドアが開いた。「お見舞いだよ。」と言って辻さんがヤキソバを持って入ってきた。私は
辻さんに夕焼けが切ない理由をたずねてみた。
「なにそれ。新曲?」
辻さんは笑いながらそう言った。私はため息をついてヤキソバの蓋をあけた。半分しか入ってなかった。

47 ::2004/03/25(木) 08:18
さらにまた次の日私はまだ病院のベッドから夕焼けを眺めていた。一日何もすることがない、というのは
ずいぶん久しぶりでそれが二日も続くとなんだか退屈で仕方なかった。仕方なく考え事なんかしてたけど
そのうち悪い想像とか不安とかどんどん湧き上がってきて私は悲しくなった。私はそれを夕焼けのせいに
した。夕焼けが切ないのはなんでだろう。
その時病室のドアが開いた。「お見舞いだよ。」と言って加護さんが手ぶらで入ってきた。私は加護さんに
夕焼けが切ない理由をたずねてみた。
「そんなことよりこのTシャツどう?どう?」
加護さんは笑いながらそう言った。私はため息をついて加護さんが着ているTシャツを誉めた。色あせた
古着でとても可愛い感じだった。

48 ::2004/03/25(木) 08:18
そうしてまた次の日ついに退院した私は楽屋の窓から夕焼けを眺めていた。隣でれいなとさゆが言った。
「忙しくてお見舞い行けなくてごめんね。」
「辻さんと加護さんに代表で行ってもらったんだ。」
私は返事をせずに笑って頷いた。二人もそれでやっと笑った。
「大盛りのヤキソバどうだった?差し入れ。あたしのアイディアなんだよ。びっくりしたでしょ。」
とれいなが言った。
「お見舞いのTシャツはどうだった?あれ選んだのあたし。気に入った?」
とさゆが言った。
私はあいまいに頷いて、視線をぼんやりと窓の外にうつした。真っ赤な空の遥か向こうでは、傾いた太陽が
今にも地平線に沈もうとしているところだった。
こりゃあ切ないや、と私は思った。

49 ::2004/03/25(木) 08:18
ボツE 終

50 :名無し娘。:2004/03/25(木) 11:56
なんだろうこの感情はなんだろう
まったく言い表すことができない

51 :名無し娘。:2004/03/25(木) 15:11
ちらしずし

52 :名無し娘。:2004/03/25(木) 16:59
4は最初のインパクトが抜群だったのに尻すぼみだったな
5は不条理劇か

53 :名無し娘。:2004/03/25(木) 18:58
ボツEが素晴らしい。

54 :名無し娘。:2004/03/25(木) 20:57
どうみても傑作短編集なんですが

55 :名無し娘。:2004/03/25(木) 22:26
そうでもないな
玉石混淆

56 :名無し娘。:2004/03/26(金) 17:48
玉石混交?

57 :名無し娘。:2004/03/26(金) 18:47
「ボツ小説」ていうタイトルなのに違いない。たぶん。

58 :名無し娘。:2004/03/26(金) 19:24
ボツだからこそ気軽に書けるのかもね

59 ::2004/04/05(月) 21:34
カオリが一冊の本を片手に楽屋に入ってくる。
困った顔で言う。
「のんちゃんが出てこないの」

テーブルにどさっと置かれたそれはまごうかたなき辻希美写真集「のの」だった。
頭がくらくらするのを辛うじておさえながら私は言う。
「なんの話なの」 

するとカオリは困った様に笑って
「のんちゃんが本の中から出てこないの」

ぱらぱらとページをめくりながら私は言う。
「出てこないって言うか、最初からこれ写真だし」

60 ::2004/04/05(月) 21:34
「違うの」
カオリは私の言葉を遮って
ぐっと手首を掴んでくる。
物凄い力だ。
痛い。 

「見てよ、こんなページ無かったでしょ」
指差されたページは辻ちゃんが笑っているだけで
もちろんおかしなところなどないし
私が全ページを把握しているはずもない
のだが 
「あ、ほんとだ」
と私は言った。 

だって手首を締め付ける力ときたら、まるで万力。

「きっときつく叱ったから出てこないんだ、ねえごっちんお願いのんちゃんを捕まえて」
カオリは血走った目でそうせがんだ。

61 ::2004/04/05(月) 21:35
私は手首を振りほどくことだけを考えていた。
やがてひとつ名案を思いつく。
「あ、そうだ、じゃああたしここで構えてるから、カオリは辻ちゃんをそこから追い出してよ、そしたらあたしが戻れないように捕まえるから」 

「わかった」
と言ってカオリは辻ちゃんをそこから追い出した。

62 ::2004/04/05(月) 21:36
辻ちゃんはぽんと飛び出した後、すぐに気づいて写真集のなかに戻ってしまった。私は呆然と突っ立っていた。とたんにカオリの怒鳴り声が響く。
「捕まえてってカオリあれほど言ったでしょ、何ぼーっとしてんの!」

襟首を掴まれて、私はがんがん怒鳴られる。
どうしよう。
怖い。
「大体ごっちんは人の話を軽く考えすぎなの、そもそも仲間ってのはねえ」

説教を食らいながら、頭がぼーっとしてくるのを感じる。
辻ちゃんが写真集のなかから出てこなくなった理由が、ちょっとだけわかった気になったその時、視界のすみに入ったのは、たまたま持ってた「後藤真希写真集―後藤真希 in Hello!Project2003夏」だった。
スキをついて私はそれに飛び込む。

そしたらカオリはニヤリと笑って本を閉じた。
私は

63 ::2004/04/05(月) 21:36
ボツF 終

64 ::2004/04/05(月) 21:37
辻と加護が脱退したその日カオリは涙をダラダラダラダラ流しながら言った。
「涙に終わりはあるのかしら」
私は困った。もちろん、止まることのない涙など有り得ないはずだった。しかしカオリの目からはさっきからずっと変わらないペースで涙がダラダラ流れていてそれは止まることがないようにも思えた。
「教えて矢口、涙に終わりはあるのかしら」
その時カオリの髪は風もないのにざわついた。なんとなくだけど答えないと殺される気がした。なんとなくだけど適当に答えても殺される気がして。

65 ::2004/04/05(月) 21:37
仕方なく私は涙の終わりを探すために七つの山を越え七つの海を旅した。それは果ての見えない旅だった。私は行く先々で色々な人に出会い色々なことを学んだ。そして別れの日には必ずこう聞いた。
「涙に終わりはあるんですか。」
みんな笑って首を振った。だから私はどんどん次の街から、街へと進んで。

66 ::2004/04/05(月) 21:37
気が付けば私はしらない山奥にいた。ひゅうひゅうなる風が私を震わせて、うっそうと生い茂る木々の群れが私に恐怖をもたらした。私は完全に道に迷っていた。陽は完全に傾いていていつ光が消えてもおかしくない、そう思った時私の頬を涙がつたった。
私は冷たい地面に突っ伏す。泣いてる場合じゃないと、思えば思うほどそれは止まらなくて。

67 ::2004/04/05(月) 21:38
いつか完全に夜になっても私はずっと泣きつづけた。涙に終わりはないんだって、そう思った時私の肩に手が触れた。
「矢口、助けに来たよ」
顔を上げるとカオリが笑っていた。頭上ではヘリコプターがぱらぱら音を立てている。私全然気づかなかった。カオリはまだ笑ったまま。私はありがとうも言わずに、ただひたすらに泣きつづけて。

68 ::2004/04/05(月) 21:38
でもそれは嬉し涙だった。ほっとした涙だった。涙に終わりなんてなければ良いと思える涙だった。そう思ったら涙はすぅっと止まった。私は笑う。
「カオリわかったよ、涙に終わりはあるんだよ」

69 ::2004/04/05(月) 21:38
カオリはうすく笑いながら言った。
「ねえ矢口、カオリの脱退が決まったよ」

70 ::2004/04/05(月) 21:38
ボツG 終

71 :名無し娘。:2004/04/05(月) 21:43
筒井康隆っぽい、といえば褒め過ぎか。

72 :名無し娘。:2004/04/05(月) 23:59
ちょいと背筋がゾクッとした

73 :名無し娘。:2004/04/06(火) 00:29
筒井康隆を軽く見すぎな>>71

74 :名無し娘。:2004/04/11(日) 03:29
初期の筒井康隆っぽいね

75 :名無し娘。:2004/04/12(月) 21:28
不条理っていいね

76 ::2004/04/15(木) 00:31
私が楽屋でぐったりしていた時の話です。
突然カオリとなっちが入ってきました。二人とも背の高い帽子被ってて・・・まるで、コックみたいだな、と私は思ったのです。
「絶対おいしいから、食べてみて」
カオリがそう言って崩れたお団子みたいなものを出してきました。
勘弁してくれよ、と私は思ったのです。
けれど、壁際に追い詰められて、脱出することが出来なかったのです。

77 ::2004/04/15(木) 00:31
どうやらそのお菓子もどきはアンブランという名前のようです。
なっちはそれがとても画期的だと笑っていました。
仕方なく本当に仕方なく私はそれを一口ぱくっと食べたのです。
「どう?」とカオリが言いました。
なんていうかこう、微妙に、吐き出すまでもないんだけど、かと言ってあんまり長いこと味わいたくないっていうか、ほんとうに、微妙に、まずかったのです。
例えるならあんことモンブランを一緒に食べたような味でした。

78 ::2004/04/15(木) 00:32
「やっぱりダメだったか」となっちが薄笑いを浮かべながら呟きました。
それから新しい包みを取り出しました。
「次は、モンコを試してみよう」
あぶない名前だな、と思いました。
「そうだね、モンコならおいしいかもしれない」
そう言ってカオリも笑うのです。

79 ::2004/04/15(木) 00:32
でもちょっと待って。モンコのモンはおそらくモンブラン。コはおそらくあんこ。
そしたらアンブランと一緒じゃない。
って言おうと思ったんですけど、もうその時には口のなかにモンコが突っ込まれていました。
次の瞬間私ほんとうにびっくりしました。
おいしいのです。

80 ::2004/04/15(木) 00:32
「すごいすごいこれならハロー・プロジェクトやめて和ケーキ屋やっても成功するよ」
と私は言いました。
カオリとなっちは嬉しそうに、でもちょっと寂しそうに笑って
「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」
「また新作が出来たらお願いね」
なんて言いながら手を振って出て行きました。

81 ::2004/04/15(木) 00:32
二人が居なくなってからも私は口のなかを舌で舐めまわすようにして後味を楽しんでいました。
おいしいものを食べたおかげでしょう、さっきまでの陰鬱な気分が嘘のように私の心はまるで春の空のように。
その時ふと、かすかに桃の味がしました。

きっと春のせいでしょう。

82 ::2004/04/15(木) 00:33
ボツH 終

83 ::2004/04/15(木) 00:35
事務所の一室。コの字型のテーブルに娘。のメンバーが揃って座っている。そわそわと落ち着きの無い様子が急に集められたことを示している。
そこへつんく♂がおもむろに入ってくる。慌てて挨拶する娘。たちを見回すようにしてつんく♂が言う。
「吉澤、お前の卒業が決まった。おめでとう。」
楽屋の空気は固まる。言われた吉澤はぽかんと口をあけている。
「なんや嬉しくないんか。」
つんく♂の頬が小刻みにぴくぴくと震えだす。

84 ::2004/04/15(木) 00:35
「そんな、急すぎます。」
とリーダーの飯田が口をはさむ。彼女の顔も声も真剣かつ切実さがこもったものであり本当にメンバーの卒業を反対していることがうかがえる。一方つんく♂はと言えばすでに顔を真っ赤にして怒りだす準備をはじめている。
「なんや、オレの決定に文句があるんか。」
そう言う息が酒臭い。そばにいた亀井が顔をしかめてうつむく。
「文句ってわけじゃないです。ただ。」
「ただ、やないわボケ!オレが作ったグループやぞ。言うなればお前等オレの人形や。黙って従っといたらええねん。ええか吉澤。ちなみに日付は例によって半年後や。そやな、秋の・・・」
「ちょっと待ってください。」
黙って聞いていた吉澤が突然口を開く。はっきりとよく通る声で続ける。
「卒業なんてイヤです。」

85 ::2004/04/15(木) 00:35
途端に水を打ったように静まり返る楽屋。口をぱくぱくさせ、何か言おうとするも、しかし声にならない様子の
つんく♂の荒い息遣いだけが響いている。
娘。たちは口に手を当て、あるいは眉根を寄せ、その様子を心配そうに見守っている。そんな中、吉澤が再びゆっくりと口を開く。
「モーニング娘。をやめるのはオッケーです。でも卒業って言う響きがヤなんです。」
「え?」という声がする。

86 ::2004/04/15(木) 00:35
「・・・どういうことやねん。」
つんく♂がひどく面食らった顔で呟く。もっとも、そこにいた吉澤以外の全員は似たような表情をしている。吉澤一人が涼しげな、しかし強い意志を感じさせる表情を見せている。
しばらく沈黙が続く。皆は一様に口を半開きにしたまま、吉澤の言葉を待っているらしくつんく♂もそれは同様だ。吉澤はそんな雰囲気を楽しむかのように笑って、口を開く。
「もっとカッコいいのにしてください。脱走とか。」
再び「え?」という声がする。今度は部屋のあちこちから聞こえる。

87 ::2004/04/15(木) 00:35
しばらく場は静まり返る。やがてつんく♂がいかにも理解できないという表情で、頭を振りながら口を開く。
「脱走てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ逃亡とか。」
「逃亡てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ・・・」
口を開きかけた吉澤をさえぎるようにつんく♂が言う。
「じゃあも何もあれへん。お前フザけとったらあかんわ。こっちはマジな話しとんね・・・」
「こっちもマジですよ。」

88 ::2004/04/15(木) 00:35
「・・・よっすぃー。」
「吉澤。」
「わたしも正直言って娘。をやめたくはないです。それはさびしいからとか、そういうこともありますけど、やっぱり自分が娘。に居たんだ、っていう証をまだ手に入れてないからなんです。だからつんく♂さんお願いします。卒業なんて呼ばれたくないです。わたしだけの。わたしだけに言葉を。」
言葉を切った吉澤の頬はいつのまにか紅潮している。娘。たちは静まり返ってつんく♂の様子をうかがう。それまで首をぐるぐるひねりながら聞いていたつんく♂の濁った目に、突然輝きが宿る。
「任しとけ吉澤、オレが最高のキャッチフレーズ考えたる。お前の名前、歴史に残したるから。」
それを合図にして部屋には歓声が響く。
「あたし達も頑張ります!」
「あたしも手伝う!」
「そうかお前らも手伝ってくれるか・・・楽しみにしといてくれや、吉澤。」
吉澤は答えずに、ゆっくりと笑いながら頷く。

89 ::2004/04/15(木) 00:36
舞台は事務所の一室。吉澤をのぞく全員が、さきほどと同じようにコの字型のテーブルに座っている。その中央にはホワイトボードが置かれ、そばにはつんく♂が一人、腕組みをしながら立っている。大きなホワイトボードには既にいくつもの文字が書き付けられている。ブラインドの向こうは闇。つんく♂の足元に置かれた灰皿、その積みあがった吸殻が時間の経過を示している。

つんく♂が腕組みをしながら、掠れた声でホワイトボードを読み上げる。
「勇退。離脱。脱出。脱皮。中退。脱獄。消滅。・・・違うな。」
誰かが口走る。
「・・・卒園。」
「卒園。」
ホワイトボードに字が書き加えられる。マジックの音だけが響き、そして再び沈黙が訪れる。しばらくしてまた誰かが口走る。
「・・・退学。」
「退学。」
先ほどと同じように、ホワイトボードに字が書き加えられる。全てが淡々とこなされていく。
「・・・脱会。」
「脱会。」
「・・・脱獄。」
「・・・それさっき出たよ・・・」

90 ::2004/04/15(木) 00:36
やがて電気の消えた部屋で娘。たちは机に突っ伏したまま寝てしまっている。上げられたブラインドからわずかに差し込む月明かりがホワイトボードを照らす。
そこにはびっしり文字が書かれていて、何度も消され上から書かれたであろう形跡がわずかに見てとれる。
文字の群れの中、一つだけつけられた赤い丸を見ながらつんく♂が呟く。
「・・・これで決定や。インパクト、オリジナリティ、何もかもこの上ない。卒業に替わる言葉としては、これしかあれへんと言ってもええ。早速ファックス送らなアカンな。
・・・そや、吉澤に言ったらアカンで。あいつには報道の時にビックリしてもらわなアカンからな。ふぅ。・・・って、みんな寝てもうたか。無理もないもう真夜中やからな。明日も仕事、あるっちゅうのに・・・でもな、オレは、なんだか久しぶりに大事なことを・・・」
呟きながらつんく♂はふらふらと部屋を出て行く。

91 ::2004/04/15(木) 00:36
朝日が差し込むどこかの居間。夫婦らしき男女とちいさな子供が食卓を囲んでいる。部屋の隅ではテレビ画面が朝のワイドショーを流している。小太りで眼鏡をかけた男が、すこし苦しそうな表情で喋っている。
「・・・卒業ということで。一面は全てこの記事ですね。こちらもです。吉澤ひとみさん、モーニング娘。を卒業。こちらもですね。吉澤ひとみ、モー娘。を卒業。ええ、なんでも昨日の夜中につんく♂さんから突然のファックスがあったということで、各紙は・・・」
「ほら、早く食べちゃいなさい。」
女の声がして、退屈そうに画面を見ていた子供が、再び食卓へと目を戻す。夫はやはり退屈そうな顔でスポーツ新聞を眺めている。そこには、こんな文字が大きく印刷されている。
【吉澤ひとみ、モーニング娘。を卒業】

92 ::2004/04/15(木) 00:37
場面は再び事務所の一室。先ほどと同じ部屋だが、コの字型のテーブルは片付けられている。
娘。たちが見守るなか、頬のげっそりとこけたつんく♂がスポーツ紙を片っ端から無言で引き裂き、膝をつく。部屋にいた全員が、やりきれないと言った顔で引き裂かれた新聞を、そしてうちひしがれるつんく♂を、眺めている。
「ああ、オレは無力やなあ。所詮オレの力なんてこんなもんやった。」
自嘲的に呟き、顔を伏せる。飯田が言う。
「つんく♂さん・・・つんく♂さんは、いや、ウチ等は精一杯やりましたよ。」
「そうですよつんく♂さん、そんな顔しないでください。」
「つんく♂さん。」
「飯田・・・みんな・・・オレは・・・オレは・・・」
気づけば全員がつんく♂に寄り添うようにして泣いている。つんく♂も泣いている。その様子を眺めながら吉澤がひとり、輪からぽつんと離れた形で嬉しそうに笑っている。

93 ::2004/04/15(木) 00:37
ボツI 終

94 :名無し娘。:2004/04/15(木) 07:15
なんだこりゃ

95 :名無し娘。:2004/04/15(木) 21:40
8って誰だろう

96 :名無し娘。:2004/04/15(木) 22:20
>95
>80
>「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」

97 :名無し娘。:2004/04/17(土) 00:57
飯田はもういいよ
全部同じに見えてくる

98 :10:2004/04/20(火) 19:55
「なんか最近元気ないよね」と私はとりあえず言ってみた。
よっすぃは力なく笑った。
「ああ、ちょっとねえ・・・寝られないんだ」
それは大変な事態だと私は思う。なぜならアイドルは健康がだいじだからだ。それを私はどこかで読んだ。
「あたしでよかったら、聞くけど」
「ありがと」とよっすぃは言った。しかし会話は続かない。
よっすぃは切なそうな顔でうつむくだけ。

99 :10:2004/04/20(火) 19:55
「引越しなんてすんじゃなかったよ」とよっすぃは壁に向かってぼやく。暗い部屋で、ぼやく。
「なんで?」
私は部屋を見回す。10畳ほどの寝室にはウォーター・ベッドだけがどすんと置かれていてかなりいい感じだ。
「めちゃくちゃいい部屋だと思うよ、リビングだって綺麗だしさぁ」
「でもさあ、出るんだよね」
「なにが」
「霊が」

100 :10:2004/04/20(火) 19:55
よっすぃの目の下にはうっすらクマが出来ている。かなり思いつめた表情だ。
「でもあたしがここに前住んでた時、霊なんてぜんぜん出なかったよ」
と私は言う。なぐさめるような口調で、言う。
「へえ」
「どんな霊が出るの?」
「なんか、前住んでた奴の霊。夜んなると、出るんだ」
「ふふん、なるほど」
私は考えた。私とよっすぃは親友だ。私が明け渡した部屋に、よっすぃが住んじゃうくらいの親友だ。だから私はよっすぃの悩みを解決してあげなくちゃ、いけない。

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