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ボツ小説
- 1 :1:2004/03/23(火) 08:25
-
なんとなく入ったカレー屋でなぜかソニンが店員をしていた。
- 28 :名無し娘。:2004/03/23(火) 19:40
- BとCがよくわかんね
- 29 :名無し娘。:2004/03/23(火) 20:09
- >>28
だからボツなんじゃない。
意味はわからんがシュールで面白いなと思ったよ。
- 30 :名無し娘。:2004/03/23(火) 20:21
- シュールってそういう風に使うもんじゃないよ
- 31 :名無し娘。:2004/03/23(火) 21:57
- 从0‘ ∀‘ 从<期待ニダ
- 32 :名無し娘。:2004/03/23(火) 22:13
- sageで立ったスレをageる池沼
- 33 :名無し娘。:2004/03/23(火) 22:37
- >>32
ドンマイ
- 34 :名無し娘。:2004/03/24(水) 18:22
- Aがなぜボツったのか?秀逸だと思うんだが。
- 35 :名無し娘。:2004/03/24(水) 23:14
- Aの雰囲気が好きだ
- 36 :4:2004/03/25(木) 08:15
- その時モーニング娘。のみなさんは広い会議室でなにやら難しい顔で会議をしていた。
カオリが眉間にしわをよせて言う。
「私たちはこれからの娘。の展望について語らなければいけない。右、矢口から。」
「はい、矢口です。」
とやぐっちゃんが立ち上がって喋りだす。
「これからの私たちが押さえるべき重要なポイントはふたつ。ひとつ、新しいファン層の獲得。ひとつ、古いファン層の維持。」
「つまり改革と保守ですね。」
「それは重要なポイントだ。」
みんな頷く。真顔だ。
- 37 :4:2004/03/25(木) 08:15
- そこへ市井ちゃんが入ってくる。笑顔だ。
しかしみんなは市井ちゃんに気づかずに議論に熱中している。
「見てください。これが今月の我々が出演した番組の視聴率一覧です。これによると。」
「ほほう。興味深い。」
「しかしながら。」
出されたスライドを前にして会議室では短い語尾の、鋭い言葉が交わされていく。みんな真剣だ。額に汗を浮かべ、つばを飛ばしながら議論は続く。
「バラエティ路線を開拓していかなければならないのではないか。」
「いや、もう少しドラマ部門に力を入れるべきでは。」
「忘れてはいけない、我々は歌手だ。歌こそが。」
そんな話をよそに市井ちゃんは壁にそっててくてくと歩く。やがて部屋の隅のゴミ箱を見つけ、嬉しそうに目を輝かせる。
- 38 :4:2004/03/25(木) 08:15
- がしゃん。
おおきな音がして娘。たちは一様に目を向ける。市井ちゃんは倒れたゴミ箱と、みんなを見比べるようにして得意げな顔で笑っている。
市井ちゃんは無言だ。みんなも。
「・・・あのねえサヤカ。」
「今、大事な話してるから。」
すこしの沈黙の後カオリとやぐっちゃんが同時に口を開く。市井ちゃんはつまらなそうに口を尖らせる。
「出てって、とは言いませんから。」
「大人しくしててくださいね。」
そんな声も、出る。
- 39 :4:2004/03/25(木) 08:16
- 再び議論がはじまる。カオリが悲鳴のような声をあげる。
「あなたたちには危機感が足りないの。五万枚手売りしろとは言わないけれど。」
「飯田さんの考え方は古いんですよ。これからの時代は。」
「そうだよカオリ。否定してたらなんもはじまんないじゃん。」
「矢口さんそれは違うんじゃないですか。飯田さんだって考えが。」
「梨華ちゃんは口はさまないでややっこしくなるから。」
やぐっちゃんが怒鳴り、梨華ちゃんは顔を真っ赤にする。そして市井ちゃんはいつのまにかやぐっちゃんの後ろにスタンバっている。
そして静かな動作で両手をそっと伸ばして、やぐっちゃんの唇を指で、上下からはさむ。
- 40 :4:2004/03/25(木) 08:16
- 口をはさまれたやぐっちゃんは一瞬驚いたようにびくっと跳ね、それからすぐに手を振りほどく。苛々した口調で、言う。
「口をはさむってそういう意味じゃないの。」
市井ちゃんはすでに聞いていない。部屋の隅でひたすらに笑い転げている。
「もうよそう、矢口。」
「でも。」
思わず立ち上がりかけたやぐっちゃんを静かにカオリが制する。そして諦めたような口調で言う。
「サヤカにマジレスしたってしょうがないよ。」
- 41 :4:2004/03/25(木) 08:16
- やぐっちゃんは諦めたように首を振った。みんなは静かにうんうんと頷く。
真顔だ。
静まりかえった部屋に、市井ちゃんの笑い声だけが響いている。
私はそれを物陰からぜんぶ見ていました。
ちょっと泣きそうになりながら。
横では圭ちゃんがおいおい泣いていました。
- 42 :4:2004/03/25(木) 08:17
- ボツD 終
- 43 :5:2004/03/25(木) 08:17
- 夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと子供の頃遊んでいて、お母さんが
迎えにきてもう帰らなくちゃいけなかった時間、その記憶が残っているから・・・だと思った。私はそれを
吉澤さんに話した。
「え、でもウチ迎えになんて来なかったよ」
と言って吉澤さんは笑った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。吉澤さんはまだ笑いながら、
「うん。」
と言った。
- 44 :5:2004/03/25(木) 08:17
- 次の日私は夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと夕焼けの赤には
見ている人を切なくさせる成分が含まれているんだ、と思った。私はそれを矢口さんに話した。
「でも矢口こないだ朝焼け見たけど全然切なくなかったよ」
と言って矢口さんは笑った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。矢口さんはまだ笑いながら、
「うん。」
と言った。
- 45 :5:2004/03/25(木) 08:18
- その次の日私は夕焼けを見ながら考えた。夕焼けが切ないのはなんでだろう。きっと昇っていた太陽が
沈み行く、その事実が切なさを醸し出しているんだ、と思った。私はそれを飯田さんに話した。
「何それ。アンタ何が言いたいの。ねえ。」
と言って飯田さんは怒った。
「でも夕焼けって切ないですよね。」
と私はたずねた。ぷちっという音がして、飯田さんは右腕を上げた。
- 46 :5:2004/03/25(木) 08:18
- そのまた次の日私は病院のベッドから夕焼けを眺めていた。私がこうしてる間にもみんなは仕事して
レッスンして笑って歌って踊っているんだなあ、と思ったら右目から涙がひとしずくぽろっ、とこぼれた。
私はそれを夕焼けのせいにした。夕焼けが切ないのはなんでだろう。
その時病室のドアが開いた。「お見舞いだよ。」と言って辻さんがヤキソバを持って入ってきた。私は
辻さんに夕焼けが切ない理由をたずねてみた。
「なにそれ。新曲?」
辻さんは笑いながらそう言った。私はため息をついてヤキソバの蓋をあけた。半分しか入ってなかった。
- 47 :5:2004/03/25(木) 08:18
- さらにまた次の日私はまだ病院のベッドから夕焼けを眺めていた。一日何もすることがない、というのは
ずいぶん久しぶりでそれが二日も続くとなんだか退屈で仕方なかった。仕方なく考え事なんかしてたけど
そのうち悪い想像とか不安とかどんどん湧き上がってきて私は悲しくなった。私はそれを夕焼けのせいに
した。夕焼けが切ないのはなんでだろう。
その時病室のドアが開いた。「お見舞いだよ。」と言って加護さんが手ぶらで入ってきた。私は加護さんに
夕焼けが切ない理由をたずねてみた。
「そんなことよりこのTシャツどう?どう?」
加護さんは笑いながらそう言った。私はため息をついて加護さんが着ているTシャツを誉めた。色あせた
古着でとても可愛い感じだった。
- 48 :5:2004/03/25(木) 08:18
- そうしてまた次の日ついに退院した私は楽屋の窓から夕焼けを眺めていた。隣でれいなとさゆが言った。
「忙しくてお見舞い行けなくてごめんね。」
「辻さんと加護さんに代表で行ってもらったんだ。」
私は返事をせずに笑って頷いた。二人もそれでやっと笑った。
「大盛りのヤキソバどうだった?差し入れ。あたしのアイディアなんだよ。びっくりしたでしょ。」
とれいなが言った。
「お見舞いのTシャツはどうだった?あれ選んだのあたし。気に入った?」
とさゆが言った。
私はあいまいに頷いて、視線をぼんやりと窓の外にうつした。真っ赤な空の遥か向こうでは、傾いた太陽が
今にも地平線に沈もうとしているところだった。
こりゃあ切ないや、と私は思った。
- 49 :5:2004/03/25(木) 08:18
- ボツE 終
- 50 :名無し娘。:2004/03/25(木) 11:56
- なんだろうこの感情はなんだろう
まったく言い表すことができない
- 51 :名無し娘。:2004/03/25(木) 15:11
- ちらしずし
- 52 :名無し娘。:2004/03/25(木) 16:59
- 4は最初のインパクトが抜群だったのに尻すぼみだったな
5は不条理劇か
- 53 :名無し娘。:2004/03/25(木) 18:58
- ボツEが素晴らしい。
- 54 :名無し娘。:2004/03/25(木) 20:57
- どうみても傑作短編集なんですが
- 55 :名無し娘。:2004/03/25(木) 22:26
- そうでもないな
玉石混淆
- 56 :名無し娘。:2004/03/26(金) 17:48
- 玉石混交?
- 57 :名無し娘。:2004/03/26(金) 18:47
- 「ボツ小説」ていうタイトルなのに違いない。たぶん。
- 58 :名無し娘。:2004/03/26(金) 19:24
- ボツだからこそ気軽に書けるのかもね
- 59 :6:2004/04/05(月) 21:34
- カオリが一冊の本を片手に楽屋に入ってくる。
困った顔で言う。
「のんちゃんが出てこないの」
テーブルにどさっと置かれたそれはまごうかたなき辻希美写真集「のの」だった。
頭がくらくらするのを辛うじておさえながら私は言う。
「なんの話なの」
するとカオリは困った様に笑って
「のんちゃんが本の中から出てこないの」
ぱらぱらとページをめくりながら私は言う。
「出てこないって言うか、最初からこれ写真だし」
- 60 :6:2004/04/05(月) 21:34
- 「違うの」
カオリは私の言葉を遮って
ぐっと手首を掴んでくる。
物凄い力だ。
痛い。
「見てよ、こんなページ無かったでしょ」
指差されたページは辻ちゃんが笑っているだけで
もちろんおかしなところなどないし
私が全ページを把握しているはずもない
のだが
「あ、ほんとだ」
と私は言った。
だって手首を締め付ける力ときたら、まるで万力。
「きっときつく叱ったから出てこないんだ、ねえごっちんお願いのんちゃんを捕まえて」
カオリは血走った目でそうせがんだ。
- 61 :6:2004/04/05(月) 21:35
- 私は手首を振りほどくことだけを考えていた。
やがてひとつ名案を思いつく。
「あ、そうだ、じゃああたしここで構えてるから、カオリは辻ちゃんをそこから追い出してよ、そしたらあたしが戻れないように捕まえるから」
「わかった」
と言ってカオリは辻ちゃんをそこから追い出した。
- 62 :6:2004/04/05(月) 21:36
- 辻ちゃんはぽんと飛び出した後、すぐに気づいて写真集のなかに戻ってしまった。私は呆然と突っ立っていた。とたんにカオリの怒鳴り声が響く。
「捕まえてってカオリあれほど言ったでしょ、何ぼーっとしてんの!」
襟首を掴まれて、私はがんがん怒鳴られる。
どうしよう。
怖い。
「大体ごっちんは人の話を軽く考えすぎなの、そもそも仲間ってのはねえ」
説教を食らいながら、頭がぼーっとしてくるのを感じる。
辻ちゃんが写真集のなかから出てこなくなった理由が、ちょっとだけわかった気になったその時、視界のすみに入ったのは、たまたま持ってた「後藤真希写真集―後藤真希 in Hello!Project2003夏」だった。
スキをついて私はそれに飛び込む。
そしたらカオリはニヤリと笑って本を閉じた。
私は
- 63 :6:2004/04/05(月) 21:36
- ボツF 終
- 64 :7:2004/04/05(月) 21:37
- 辻と加護が脱退したその日カオリは涙をダラダラダラダラ流しながら言った。
「涙に終わりはあるのかしら」
私は困った。もちろん、止まることのない涙など有り得ないはずだった。しかしカオリの目からはさっきからずっと変わらないペースで涙がダラダラ流れていてそれは止まることがないようにも思えた。
「教えて矢口、涙に終わりはあるのかしら」
その時カオリの髪は風もないのにざわついた。なんとなくだけど答えないと殺される気がした。なんとなくだけど適当に答えても殺される気がして。
- 65 :7:2004/04/05(月) 21:37
- 仕方なく私は涙の終わりを探すために七つの山を越え七つの海を旅した。それは果ての見えない旅だった。私は行く先々で色々な人に出会い色々なことを学んだ。そして別れの日には必ずこう聞いた。
「涙に終わりはあるんですか。」
みんな笑って首を振った。だから私はどんどん次の街から、街へと進んで。
- 66 :7:2004/04/05(月) 21:37
- 気が付けば私はしらない山奥にいた。ひゅうひゅうなる風が私を震わせて、うっそうと生い茂る木々の群れが私に恐怖をもたらした。私は完全に道に迷っていた。陽は完全に傾いていていつ光が消えてもおかしくない、そう思った時私の頬を涙がつたった。
私は冷たい地面に突っ伏す。泣いてる場合じゃないと、思えば思うほどそれは止まらなくて。
- 67 :7:2004/04/05(月) 21:38
- いつか完全に夜になっても私はずっと泣きつづけた。涙に終わりはないんだって、そう思った時私の肩に手が触れた。
「矢口、助けに来たよ」
顔を上げるとカオリが笑っていた。頭上ではヘリコプターがぱらぱら音を立てている。私全然気づかなかった。カオリはまだ笑ったまま。私はありがとうも言わずに、ただひたすらに泣きつづけて。
- 68 :7:2004/04/05(月) 21:38
- でもそれは嬉し涙だった。ほっとした涙だった。涙に終わりなんてなければ良いと思える涙だった。そう思ったら涙はすぅっと止まった。私は笑う。
「カオリわかったよ、涙に終わりはあるんだよ」
- 69 :7:2004/04/05(月) 21:38
- カオリはうすく笑いながら言った。
「ねえ矢口、カオリの脱退が決まったよ」
- 70 :7:2004/04/05(月) 21:38
- ボツG 終
- 71 :名無し娘。:2004/04/05(月) 21:43
- 筒井康隆っぽい、といえば褒め過ぎか。
- 72 :名無し娘。:2004/04/05(月) 23:59
- ちょいと背筋がゾクッとした
- 73 :名無し娘。:2004/04/06(火) 00:29
- 筒井康隆を軽く見すぎな>>71
- 74 :名無し娘。:2004/04/11(日) 03:29
- 初期の筒井康隆っぽいね
- 75 :名無し娘。:2004/04/12(月) 21:28
- 不条理っていいね
- 76 :8:2004/04/15(木) 00:31
- 私が楽屋でぐったりしていた時の話です。
突然カオリとなっちが入ってきました。二人とも背の高い帽子被ってて・・・まるで、コックみたいだな、と私は思ったのです。
「絶対おいしいから、食べてみて」
カオリがそう言って崩れたお団子みたいなものを出してきました。
勘弁してくれよ、と私は思ったのです。
けれど、壁際に追い詰められて、脱出することが出来なかったのです。
- 77 :8:2004/04/15(木) 00:31
- どうやらそのお菓子もどきはアンブランという名前のようです。
なっちはそれがとても画期的だと笑っていました。
仕方なく本当に仕方なく私はそれを一口ぱくっと食べたのです。
「どう?」とカオリが言いました。
なんていうかこう、微妙に、吐き出すまでもないんだけど、かと言ってあんまり長いこと味わいたくないっていうか、ほんとうに、微妙に、まずかったのです。
例えるならあんことモンブランを一緒に食べたような味でした。
- 78 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 「やっぱりダメだったか」となっちが薄笑いを浮かべながら呟きました。
それから新しい包みを取り出しました。
「次は、モンコを試してみよう」
あぶない名前だな、と思いました。
「そうだね、モンコならおいしいかもしれない」
そう言ってカオリも笑うのです。
- 79 :8:2004/04/15(木) 00:32
- でもちょっと待って。モンコのモンはおそらくモンブラン。コはおそらくあんこ。
そしたらアンブランと一緒じゃない。
って言おうと思ったんですけど、もうその時には口のなかにモンコが突っ込まれていました。
次の瞬間私ほんとうにびっくりしました。
おいしいのです。
- 80 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 「すごいすごいこれならハロー・プロジェクトやめて和ケーキ屋やっても成功するよ」
と私は言いました。
カオリとなっちは嬉しそうに、でもちょっと寂しそうに笑って
「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」
「また新作が出来たらお願いね」
なんて言いながら手を振って出て行きました。
- 81 :8:2004/04/15(木) 00:32
- 二人が居なくなってからも私は口のなかを舌で舐めまわすようにして後味を楽しんでいました。
おいしいものを食べたおかげでしょう、さっきまでの陰鬱な気分が嘘のように私の心はまるで春の空のように。
その時ふと、かすかに桃の味がしました。
きっと春のせいでしょう。
- 82 :8:2004/04/15(木) 00:33
- ボツH 終
- 83 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 事務所の一室。コの字型のテーブルに娘。のメンバーが揃って座っている。そわそわと落ち着きの無い様子が急に集められたことを示している。
そこへつんく♂がおもむろに入ってくる。慌てて挨拶する娘。たちを見回すようにしてつんく♂が言う。
「吉澤、お前の卒業が決まった。おめでとう。」
楽屋の空気は固まる。言われた吉澤はぽかんと口をあけている。
「なんや嬉しくないんか。」
つんく♂の頬が小刻みにぴくぴくと震えだす。
- 84 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「そんな、急すぎます。」
とリーダーの飯田が口をはさむ。彼女の顔も声も真剣かつ切実さがこもったものであり本当にメンバーの卒業を反対していることがうかがえる。一方つんく♂はと言えばすでに顔を真っ赤にして怒りだす準備をはじめている。
「なんや、オレの決定に文句があるんか。」
そう言う息が酒臭い。そばにいた亀井が顔をしかめてうつむく。
「文句ってわけじゃないです。ただ。」
「ただ、やないわボケ!オレが作ったグループやぞ。言うなればお前等オレの人形や。黙って従っといたらええねん。ええか吉澤。ちなみに日付は例によって半年後や。そやな、秋の・・・」
「ちょっと待ってください。」
黙って聞いていた吉澤が突然口を開く。はっきりとよく通る声で続ける。
「卒業なんてイヤです。」
- 85 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 途端に水を打ったように静まり返る楽屋。口をぱくぱくさせ、何か言おうとするも、しかし声にならない様子の
つんく♂の荒い息遣いだけが響いている。
娘。たちは口に手を当て、あるいは眉根を寄せ、その様子を心配そうに見守っている。そんな中、吉澤が再びゆっくりと口を開く。
「モーニング娘。をやめるのはオッケーです。でも卒業って言う響きがヤなんです。」
「え?」という声がする。
- 86 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「・・・どういうことやねん。」
つんく♂がひどく面食らった顔で呟く。もっとも、そこにいた吉澤以外の全員は似たような表情をしている。吉澤一人が涼しげな、しかし強い意志を感じさせる表情を見せている。
しばらく沈黙が続く。皆は一様に口を半開きにしたまま、吉澤の言葉を待っているらしくつんく♂もそれは同様だ。吉澤はそんな雰囲気を楽しむかのように笑って、口を開く。
「もっとカッコいいのにしてください。脱走とか。」
再び「え?」という声がする。今度は部屋のあちこちから聞こえる。
- 87 :9:2004/04/15(木) 00:35
- しばらく場は静まり返る。やがてつんく♂がいかにも理解できないという表情で、頭を振りながら口を開く。
「脱走てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ逃亡とか。」
「逃亡てお前・・・。」
「ダメですか。じゃあ・・・」
口を開きかけた吉澤をさえぎるようにつんく♂が言う。
「じゃあも何もあれへん。お前フザけとったらあかんわ。こっちはマジな話しとんね・・・」
「こっちもマジですよ。」
- 88 :9:2004/04/15(木) 00:35
- 「・・・よっすぃー。」
「吉澤。」
「わたしも正直言って娘。をやめたくはないです。それはさびしいからとか、そういうこともありますけど、やっぱり自分が娘。に居たんだ、っていう証をまだ手に入れてないからなんです。だからつんく♂さんお願いします。卒業なんて呼ばれたくないです。わたしだけの。わたしだけに言葉を。」
言葉を切った吉澤の頬はいつのまにか紅潮している。娘。たちは静まり返ってつんく♂の様子をうかがう。それまで首をぐるぐるひねりながら聞いていたつんく♂の濁った目に、突然輝きが宿る。
「任しとけ吉澤、オレが最高のキャッチフレーズ考えたる。お前の名前、歴史に残したるから。」
それを合図にして部屋には歓声が響く。
「あたし達も頑張ります!」
「あたしも手伝う!」
「そうかお前らも手伝ってくれるか・・・楽しみにしといてくれや、吉澤。」
吉澤は答えずに、ゆっくりと笑いながら頷く。
- 89 :9:2004/04/15(木) 00:36
- 舞台は事務所の一室。吉澤をのぞく全員が、さきほどと同じようにコの字型のテーブルに座っている。その中央にはホワイトボードが置かれ、そばにはつんく♂が一人、腕組みをしながら立っている。大きなホワイトボードには既にいくつもの文字が書き付けられている。ブラインドの向こうは闇。つんく♂の足元に置かれた灰皿、その積みあがった吸殻が時間の経過を示している。
つんく♂が腕組みをしながら、掠れた声でホワイトボードを読み上げる。
「勇退。離脱。脱出。脱皮。中退。脱獄。消滅。・・・違うな。」
誰かが口走る。
「・・・卒園。」
「卒園。」
ホワイトボードに字が書き加えられる。マジックの音だけが響き、そして再び沈黙が訪れる。しばらくしてまた誰かが口走る。
「・・・退学。」
「退学。」
先ほどと同じように、ホワイトボードに字が書き加えられる。全てが淡々とこなされていく。
「・・・脱会。」
「脱会。」
「・・・脱獄。」
「・・・それさっき出たよ・・・」
- 90 :9:2004/04/15(木) 00:36
- やがて電気の消えた部屋で娘。たちは机に突っ伏したまま寝てしまっている。上げられたブラインドからわずかに差し込む月明かりがホワイトボードを照らす。
そこにはびっしり文字が書かれていて、何度も消され上から書かれたであろう形跡がわずかに見てとれる。
文字の群れの中、一つだけつけられた赤い丸を見ながらつんく♂が呟く。
「・・・これで決定や。インパクト、オリジナリティ、何もかもこの上ない。卒業に替わる言葉としては、これしかあれへんと言ってもええ。早速ファックス送らなアカンな。
・・・そや、吉澤に言ったらアカンで。あいつには報道の時にビックリしてもらわなアカンからな。ふぅ。・・・って、みんな寝てもうたか。無理もないもう真夜中やからな。明日も仕事、あるっちゅうのに・・・でもな、オレは、なんだか久しぶりに大事なことを・・・」
呟きながらつんく♂はふらふらと部屋を出て行く。
- 91 :9:2004/04/15(木) 00:36
- 朝日が差し込むどこかの居間。夫婦らしき男女とちいさな子供が食卓を囲んでいる。部屋の隅ではテレビ画面が朝のワイドショーを流している。小太りで眼鏡をかけた男が、すこし苦しそうな表情で喋っている。
「・・・卒業ということで。一面は全てこの記事ですね。こちらもです。吉澤ひとみさん、モーニング娘。を卒業。こちらもですね。吉澤ひとみ、モー娘。を卒業。ええ、なんでも昨日の夜中につんく♂さんから突然のファックスがあったということで、各紙は・・・」
「ほら、早く食べちゃいなさい。」
女の声がして、退屈そうに画面を見ていた子供が、再び食卓へと目を戻す。夫はやはり退屈そうな顔でスポーツ新聞を眺めている。そこには、こんな文字が大きく印刷されている。
【吉澤ひとみ、モーニング娘。を卒業】
- 92 :9:2004/04/15(木) 00:37
- 場面は再び事務所の一室。先ほどと同じ部屋だが、コの字型のテーブルは片付けられている。
娘。たちが見守るなか、頬のげっそりとこけたつんく♂がスポーツ紙を片っ端から無言で引き裂き、膝をつく。部屋にいた全員が、やりきれないと言った顔で引き裂かれた新聞を、そしてうちひしがれるつんく♂を、眺めている。
「ああ、オレは無力やなあ。所詮オレの力なんてこんなもんやった。」
自嘲的に呟き、顔を伏せる。飯田が言う。
「つんく♂さん・・・つんく♂さんは、いや、ウチ等は精一杯やりましたよ。」
「そうですよつんく♂さん、そんな顔しないでください。」
「つんく♂さん。」
「飯田・・・みんな・・・オレは・・・オレは・・・」
気づけば全員がつんく♂に寄り添うようにして泣いている。つんく♂も泣いている。その様子を眺めながら吉澤がひとり、輪からぽつんと離れた形で嬉しそうに笑っている。
- 93 :9:2004/04/15(木) 00:37
- ボツI 終
- 94 :名無し娘。:2004/04/15(木) 07:15
- なんだこりゃ
- 95 :名無し娘。:2004/04/15(木) 21:40
- 8って誰だろう
- 96 :名無し娘。:2004/04/15(木) 22:20
- >95
>80
>「ありがとうごっちんちょっと自信ついたよ」
- 97 :名無し娘。:2004/04/17(土) 00:57
- 飯田はもういいよ
全部同じに見えてくる
- 98 :10:2004/04/20(火) 19:55
- 「なんか最近元気ないよね」と私はとりあえず言ってみた。
よっすぃは力なく笑った。
「ああ、ちょっとねえ・・・寝られないんだ」
それは大変な事態だと私は思う。なぜならアイドルは健康がだいじだからだ。それを私はどこかで読んだ。
「あたしでよかったら、聞くけど」
「ありがと」とよっすぃは言った。しかし会話は続かない。
よっすぃは切なそうな顔でうつむくだけ。
- 99 :10:2004/04/20(火) 19:55
- 「引越しなんてすんじゃなかったよ」とよっすぃは壁に向かってぼやく。暗い部屋で、ぼやく。
「なんで?」
私は部屋を見回す。10畳ほどの寝室にはウォーター・ベッドだけがどすんと置かれていてかなりいい感じだ。
「めちゃくちゃいい部屋だと思うよ、リビングだって綺麗だしさぁ」
「でもさあ、出るんだよね」
「なにが」
「霊が」
- 100 :10:2004/04/20(火) 19:55
- よっすぃの目の下にはうっすらクマが出来ている。かなり思いつめた表情だ。
「でもあたしがここに前住んでた時、霊なんてぜんぜん出なかったよ」
と私は言う。なぐさめるような口調で、言う。
「へえ」
「どんな霊が出るの?」
「なんか、前住んでた奴の霊。夜んなると、出るんだ」
「ふふん、なるほど」
私は考えた。私とよっすぃは親友だ。私が明け渡した部屋に、よっすぃが住んじゃうくらいの親友だ。だから私はよっすぃの悩みを解決してあげなくちゃ、いけない。
- 101 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「とりあえずあたしね、前聞いたんだけど、霊ってのはなんか悔いが残ってると出やすいんだって。その悔いを解決してあげれば、霊、出なくなるかもしれないよ?」
よっすぃは壁を見つめたままじっとしている。聞いているのか、いないのか、わからない。私は続ける。
「例えばさ、霊はどんなこと言うの?」
「・・・ええと、的外れなアドバイスとか」
「アドバイス?」
私は考えた。アドバイスということは、よっすぃを気遣っているということだと思う。と、すると、あんまり悪い霊じゃあないのかもしれない。
- 102 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「その霊は、女の子なの?」
よっすぃは呆れたように口を開くと、何かを言いかけて黙った。それから、静かに頷く。
「可愛い?」
私は続いてそう言った。なんとなく胸の辺りがもやもやしてくるのを感じながら。
「可愛いかって・・・なんつっていいんだか」
「いいから答えてよ、可愛いの?」
「しらないよ」
なかなか答えてくれないよっすぃを私は睨みつける。こういうのすごい気に入らない。私は考える。もしかしてよっすぃは何かを隠しているのでは。
- 103 :10:2004/04/20(火) 19:56
- 「・・・ねえよっすぃ、もしかしてその霊のこと・・・」
「はぁ?」
よっすぃは目をむいて怒鳴るように言う。すごいリアクションが返ってきた。ますます怪しい。こうなったらはっきりさせるべきだ。私は断固決意を固める。
「つーかそんな霊除霊しないとだめだよ!早速除霊しようよ。ねえ。」
- 104 :10:2004/04/20(火) 19:56
- よっすぃはとつぜん笑い出した。はははははと暗い部屋に響き渡る笑い声を私はぼうぜんと聞いている。しばらくしてよっすぃはやっと笑い止んで、
「いいよ、面倒くさい」
と言って布団をかぶり、ベッドに寝っ転がってしまった。私はその肩を揺さぶりながら、言う。「ねえ、まだ話終わってないよ、終わってないよ・・・」よっすぃは眠たそうな目を開くと、言う。「・・・もう四時か。あと1時間くらいかな、朝日でるまで」
「朝日出るとどうなるって言うの」
「あたしが、ようやくぐっすり眠れるんだ」
よっすぃは柔らかく笑った。
- 105 :10:2004/04/20(火) 19:56
- ボツJ 終
- 106 :名無し娘。:2004/04/20(火) 22:23
- ナイス
- 107 :名無し娘。:2004/04/21(水) 22:09
- スバラシイ
- 108 :名無し娘。:2004/04/22(木) 18:14
- とてもきれい
- 109 :名無し娘。:2004/04/22(木) 22:40
- このスレ以外に書いたことないんですか?
あるなら教えて欲しいんですが
- 110 :名無し娘。:2004/04/24(土) 12:35
- 大胆にして細心
- 111 :11:2004/04/26(月) 00:10
- 「影がね、なんかおかしいんだ」
やぐっちゃんの声は深刻だった。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、ひょいと背中のほうから、やぐっちゃんの足元を覗き込んで見たのだけれど、そこには、小さなやぐっちゃんのシルエットが、夕陽のおかげで大きく、黒々と伸びてるだけで。
「あたしには、普通にしか見えないけど」
と圭ちゃんが呟きます。私も言う。
「あたしにも普通に見えるよ」
- 112 :11:2004/04/26(月) 00:11
- やぐっちゃんは難しい顔で頷いた。
「そっか、でもどっか違うんだよなあ」
「おかしいね」
私は首をかしげた。圭ちゃんも首をかしげた。
それからいつまでもやぐっちゃんは、腕組みしたまま、難しい顔でぶつぶつ、影を眺めながら呟いてました。
「何かがおかしいんだよ」
- 113 :11:2004/04/26(月) 00:11
- じゃあ、あたしの影と比べてみようか。
なんて言おうと思って気づいた。
「あれえ」
素っ頓狂な声をあげてしまい、やぐっちゃんは驚いて顔をあげた。圭ちゃんもこっちを見ている。私は腕組みをしながら、呟いた。
「影が、ない」
- 114 :11:2004/04/26(月) 00:11
- 私の足元からは影が伸びていませんでした。並んで立っている、やぐっちゃんの足元からは、すらっとシルエットが伸びてるのに。
「どしたんだろ、一体」
「うぅん、どしたんだ」
すると圭ちゃんも言います。
「ていうかさ、あたしの影もないや」
三人並んで唸ります。こうなるとおかしいのは逆に私たち二人のほう。
- 115 :11:2004/04/26(月) 00:11
- 「もっと、明るいところに出てみよう」
と言って私たちは、広い場所へと移動しました。右手をブラインドがわりに、眩しい夕陽を遮りながら、見下ろした私と、圭ちゃんの足元にやはり影はなく。
「オイラにはあんのに」
やぐっちゃんの足元には影が。
- 116 :11:2004/04/26(月) 00:12
- そこで不意に私は気づいた。
「なぁんだ」と言って私は笑いました。
「真正面から太陽が来てるんだから、ほら、影はこっちだよ」
- 117 :11:2004/04/26(月) 00:12
- そう言って振りかえると、確かにすらっと影が伸びています。私のと、やぐっちゃんのと、圭ちゃんのと。
私と圭ちゃん、顔を見合わせて、大笑い。
「あはははははははははははははは」「あははははははははははははははは」「じゃあ、オイラのは一体、なんだよう」「あははははははははははははははははは」
- 118 :11:2004/04/26(月) 00:12
- ボツL 終
- 119 :12:2004/04/26(月) 00:13
- 「つーか話聞いてる?」
「ああごめん、クロスワード、やってるんだよ、今」
「へえ」
「わかんなくてさ・・・最初がモで始まってるんだ」
「うん」
「それで、12345・・・8文字だ」
「うん」
「で、最後は・・・め だ」
「うん」
「あと多分だけど2文字目は棒だ」
「棒って」
「あれだよ、あの、伸ばす棒」
「ああ、伸ばす棒」
「そう、伸ばす棒」
「なるほど」
「あと5文字目、5文字目は グ だな」
「結構分かってんじゃん」
「必死で埋めたからな」
「で、問題はどうなってんの」
「それがなぁ、結構長いんだよ」
「言ってみてよ」
「増えたり減ったり分裂したり戻ったり改造されたりばら売りされたり歌ったり踊ったり泣いたり笑ったりするものってなんだ?」
「あー」
「わかるか?」
「うーん、ミジンコ」
「・・・なんでミジンコ?」
- 120 :12:2004/04/26(月) 00:13
- ボツM 終
- 121 :13:2004/04/26(月) 00:19
- 「神様おねがいソロ活動がしたいです」と私はある日星に祈った。そうして部屋に帰ると中澤さんがいた。私はびっくりする。
「なんでこんなところにいるんですか」
「お前の願いかなえに来たんやないか」と中澤さんは言った。中澤さんは、右手に大きなナタを持っていた。
- 122 :13:2004/04/26(月) 00:19
- わるい予感がした。
「まさかとは思いますけどー、そのナタで娘。のみんなをみなごろしにして、残ったあたし一人でソロ、なんてオチじゃないですよね」
と私は言った。
「なんや、アカンのかぁ」と中澤さんは首を振る。「したらどんなんがええ?ミキティてきには」
- 123 :13:2004/04/26(月) 00:19
- 「ていうかあたし的にはやっぱりすっごい名曲を、なんか感動するテーマに基づいて歌って、それで初登場は五位くらいなんだけど二ヵ月後くらいに一位とって、そんであたし感動して泣いちゃう、みたいなのがいいですね」
と私は言った。
「わかった」
と中澤さんは言った。
- 124 :13:2004/04/26(月) 00:19
- それからすぐ中澤さんは窓から飛び降りて消えてしまって、ここ三階なのに、とか、何しに来たんだろう、とか、私はぼんやりと色々考えながらベッドに横たわっている。
もしかするとさっきの中澤さん、ほんとに神様なのかもしれない。ううん、ていうかきっとそうだ。だってあたし誰にも言ってないもん神様に祈ったこと。それになんか窓から飛び降りてたし。ふつう死ぬよねこんな高さから飛び降りたら。とか思ってたその時、
いきなりうううううううううううううううううううんってサイレンの音がして私は跳ね起きた。それでカーテン開けて外見たらすごい大騒ぎになっていた。
- 125 :13:2004/04/26(月) 00:20
- 『中澤裕子飛び降り自殺』
なんて文字がいろんなスポーツ新聞の見出しを埋め尽くして私はもうしらない。とか思ってたんだけど、やっぱり現場が私の家である以上は知らないフリも出来ずに仕方なく私は、「そう言えば最近悩んでるみたいでした・・・」なんて、会見の席でうつむいてみたりもした。
最初はすごい私のこと、警察の人とかに疑われてたみたいなんだけど、私の迫真の演技が功を奏したらしく、ほとぼりが冷めると今度は逆に私と中澤さんの関係がクローズアップされるようになった。実は仲良しだった、というのがファンにも事務所にもえらく新鮮だったみたいで、というのは、私が苦し紛れに「よく遊びに来てました」なんて言ったからだと思うんだけど。
で、その組み合わせはずいぶん意外性があったらしく。
- 126 :13:2004/04/26(月) 00:20
- というわけでつんく♂さん曰く「気持ちをこめて歌ったらええ」と渡された曲を私はソロで歌うことになった。表立ってコメントはなかったけどそれが中澤さんへの追悼ソングであることは周知の事実だった。偶然とは言え私は中澤さんに感謝した。
渡された歌はなかなかにいい曲で私はブース席で歌いながら、もしかすると中澤さんはほんとに神様だったのかもしれないな、なんてちらりと思った。私は、気持ちをこめて歌った。
- 127 :13:2004/04/26(月) 00:20
- 初登場五位だったその曲は二週目にランキング圏外に落ちた。また変わらない日々がはじまった。私はもうソロがしたいとか誰にも言わなくなったし、考えることもなくなった。そうして替わりにわきあがってきたのは中澤さんが死んだことに対する悲しみだった。
それは、ほんとに、急にせり上がってきた感じだった。けれど娘。のみんなや他の人たちがさんざん泣いて、悲しんで、やっと悲しみを忘れかけた今になっちゃ、誰にも言えなくて私は時々夜中ひとりで泣いた。星を見ると祈った。
- 128 :13:2004/04/26(月) 00:21
- しばらくして梅雨がきた。悲しみはちっとも薄れないどころかどんどん強くなった。その上目の前で自殺された責任なんかもちょっとずつ感じるようになって、私は梅雨の空に負けないくらいどんより湿った毎日を過ごしていた。
仕事は忙しかった。娘。の新曲が出るというのでレッスンがあったりレコーディングがあったり、歌番組の収録があったりして、それでも虚しさは紛れなかった。発売日はぐんぐん近づいていった。いつもと違って、それに対して緊張感のかけらもなかった。ただただ虚しかった。
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