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仮面ライダー紺野

55 :車山:2003/10/29(水) 00:10
(ひゅうううぅぅぅ・・・びゅうううぅぅぅ・・・)
「・・・風の音が聞こえる・・・」
「仮面ライダー」は鏡に映る姿を見つめ呟いた。郊外に設けたアジトのガレージ内である。
「・・・体の中を駆け巡る・・・残ったエネルギーの雄叫びが聞こえる!う、う・・・」
マフラーの下にある仮面と強化服とを固定するストッパーを解除する。
「・・・この顔!!」
緑色の仮面に両手をかけ、ゆっくりと確かめるように脱ぐ。
「この顔が、今の私の本当の顔だ!そしてこの顔が・・・」
仮面を脇に抱え、改造人間「1号」は鏡を見つめた。
「・・・怒りや悲しみが傷跡を浮かび上がらせるこの顔が・・・偽物の顔なんだ!」
暗闇のガレージに紺野の白い顔だけが、ぼんやりと浮かび上がる。
「・・・今の私は・・・人間であって人間でない!」
「サイクロン」のシートに仮面を収納すると、両手をついて項垂れた。
「この体の中には、『やつら』の手で様々な人工組織が埋め込まれている!普通の人間の何倍もの能力を発揮するための人工筋肉や骨や心臓が組み込まれている!」
紺野は、強化服を乱暴に床に脱ぎ捨てた。雪のような真っ白い素肌が現れる。
「・・・うっかりすると、握手した相手の手さえも握りつぶしかねない・・・まるでバケモノのような恐ろしい力・・・!」
まるで他人のものであるかのような身体を、紺野は震わせた。
「・・・だから『紺野あさ美』のこの顔は・・・改造人間(サイボーグ)『仮面ライダー』の”仮面”に過ぎないんだ!!」
紺野はぎゅっと拳を固めた。
「・・・私は人間であって人間でない」
すでに真夜中だった。淡い月明かりが「サイクロン」の白いカウルを妖しく撫で上げる。
「しかも、私達の同類と呼べる『怪人』達は・・・全て敵になる運命になっている!」
紺野は淋しくてたまらなくなった。
「・・・私は、この広い世界にただ1人なんだ!」
「う、う・・・・・・ん」
「いや・・・2人か・・・」
小川の意識が戻りかけている。「蜘蛛男」に監禁されている間、強力な麻酔で昏睡状態にさせられていたのだ。紺野はあどけない小川の顔をじっと見つめた。
彼女もまた、改造人間「0号」として悲劇的な運命を背負うことになった「秘密結社」の被害者である。小川を抱きかかえると、紺野はガレージの階段を一歩ずつ上がっていった。
「・・・私達は戦わねばならない!戦いつづけなければならない!世界を支配しようとしている『やつら』に立ち向かえるのは、私達『仮面ライダー』だけなのだから・・・!!」




第1話 END

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