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仮面ライダー紺野

36 :車山:2003/10/19(日) 01:57
数時間後、2人は廃業した造船所を隠れ蓑にアジトを確保していた。
「『やつら』秘密結社は・・・乱れきったこの社会を住みやすくするための一種の革命集団なんだって教えられた」
「革命集団・・・か、ある意味ではそうかもね」
「・・・だから、無益な闘争心を無くし、秩序正しい平和で穏やかな世界を作るんだって・・・」
「何が・・・平和で穏やかなもんか!」
紺野は唇をきゅっと噛み締めた。
「確実なのは、『やつら』の大儀に踏み砕かれて、その命を・・・人生を・・・家族を奪われる無実の人々が数え切れないほどいるってこと・・・!」
「・・・誰かが秘密結社の野望にストップをかけなきゃいけない!!誰かが・・・人間を奴隷にして、世界を独裁支配しようと企んでる『やつら』と戦わなきゃならないんだ!!」
「そして、その誰かは・・・今のところ私達以外には、いない・・・」
小川は切り裂かれるような胸の痛みに襲われた。
あの日、コンサート中に会場を停電させ、小川を誘拐したのはやはり『やつら』の仕業だったのだ。例の地下研究施設に監禁され、「System MASKED RIDER」試作素体「0号」に改造されてしまったのである。
紺野もまた同様に実験素体「1号」に改造され「訓練室」に入る予定だった。
「『やつら』は命に、こだわってるみたい」
「・・・命?」
「殺戮を繰り返す一方で、自分たちを命の守護者と言ってる。『やつら』は、戦力である改造人間・・・動植物の力と、人間を合成して生み出されるキメラに対して異常な執着を見せるんだ」
「魔術、みたいなもの?」
「それが『やつら』の・・・秘密結社上部の隠された理念のような気がする。きっと科学的合理精神なんかからは最も遠い・・・」
(シャアアアアァァァァァ・・・)
「・・・む!?」
(・・・シャッ!!)
「!!」
「ああっ!!」
突如、天井から蜘蛛の糸が小川に絡み付いてきた。華奢な身体をとてつもない力で締め上げる。脱出しようともがくほど、糸はさらに強力に小川を圧迫する。
「ぐ・・・!!ぐあああぁぁぁ!!」
「ま、まこっちゃん!!」
(グウウウ・・・ゥゥゥン)
蜘蛛の糸に包まれた小川が勢い良く引き上げられた。天井には8本の手足をもつ不気味な怪人が張り付いていた。
秘密結社の改造人間「蜘蛛男」だ。
「しまった!!」
気付いた時には、怪人は既に採光窓を破って、造船所の屋根へと上がって行った。紺野も慌てて外へと駆け出した。
「ふふふ・・・ふふふふふ・・・」
蜘蛛男が紺野の頭上で嘲笑を浮かべていた。糸の塊となり気を失った小川を脇に抱えている。紺野が飛び出してきたのを見届けると、埠頭の倉庫群の屋根を飛び移りながら姿を消してしまった。間もなく、少し遠くの方で自動車の発進する音がした。
「う・・・う・・・くそっ!!」
紺野の顔に改造手術の傷跡が浮かび上がる。怒りが紺野の顔の、全身の傷跡をよみがえらせるのだ。
紺野は踵を返し、アジト奥に隠してあった「サイクロン」の元へと急いだ。仮面と強化スーツを素早く装着し、固定する。「System MASKRED RIDER」は防御、倍力、知覚といった多くの機能の拡大をこの仮面と強化スーツに依存するのだ。
(この仮面だけが、傷跡を・・・心を・・・隠してくれる)
コックピット横のボタンを押し「サイクロン」を変形させると、勢い良く発進させた。
(バルルル・・・ババババ・・・・・・)
(ピッ!ピッ!ピッ!・・・)
仮面中央の複眼(レセプター)が改造人間特有の脳波を感知する。
「・・・奴はまだ・・・4キロも離れてはいない」
(チッチッチッ・・・)
「北北東・・・こっちだ!!」
強烈な向かい風も苦にせず、「サイクロン」がいよいよ最高速度に達した。
(風よ、叫べ!!風よ、唸れ!!私の身体の中で渦を巻け、嵐になれ!!大自然のエネルギーが、この私の力だ!!)
猛々しい風音と共に、ベルト中央に据え付けられた赤い風車「タイフーン」が高速回転を始めた。

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