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仮面ライダー紺野

20 :車山:2003/10/08(水) 00:26
(ビーッ!!ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!・・・)
その時、突然赤いサイレンと共に警報機が部屋中やかましく鳴り響いた。驚いた科学者はメスを置き、様子を伺う。大変取り乱した様子で手術室に放送が入った。
「神(ゴッド)・・・大変です!!生体実験中の『0号』が突然暴れだし、科学者2名、警備兵3名を殺害して逃走!!現在、基地内を破壊しながらそちらに向かっています!!」
「馬鹿者めが!!とんだヘマをしおって・・・急いで確保しろ!!最悪の場合は抹殺しても構わん!!」
スピーカーの声が途端に大きくなった。
周囲が騒がしくなった。奥の扉から、銃を持った黒い衣装の兵士達が次々と駆け出して行く。紺野を囲んでいた科学者達も緊急配備のために手術室を急いで出て行った。紺野は1人取り残されてしまった。
「く・・・ま、待ちなさい!私を・・・!」
紺野は無意識にその身を起こそうとした。すると、
(ブツッ、ブッ、ブツッ・・・チャリ、ジャリィン・・・)
「く、鎖が・・・切れた!?それじゃ、本当に私の身体は・・・」
自ら思い知った残酷な事実に紺野は愕然とするしかなかった。しかし、窮地に追い込まれている今は、弱音を吐いてばかりはいられない。
(きっと、さっき実験用に流された高圧電流のおかげで、体内の人工組織が作動したんだ・・・)
(バッ!バシッ!バッ!・・・)
手術室の電子機器がショートし始めた。例の「0号」の仕業だろうか。基地内は完全に混乱している。
「今のうちに・・・早くここを脱出しなくては・・・!」
(ガシュン!)
「・・・・・・?」
(ガシュン!)
「な・・・!!」
(ガシュン!)
爆音と物凄い衝撃と共に、ロックされていた手術室の鋼鉄製の扉がグニャグニャにへこんでいく。おそらくは「0号」が扉の向こう側からこれを破壊しようとしているのだ。
(ガシュン!)
今度は拳のような形がしっかりと浮き出てきた。
(これが・・・『0号』なの!?)
紺野は言い知れぬ恐怖を覚え、思わず後ずさりした。扉の向こうでは最後の拳が振り上げられた。
(バッキャアアアァァァァン!!)
遂に扉の中央に大きな穴が開いた。緑色をした、見るからに不気味な腕がうごめいていた。穴の縁に両腕をかけ、力任せに扉を破り裂いた。真っ赤な眼が紺野をしっかりと見据えていた。
背後には先ほどの戦闘兵や科学者の死体が血の海に浸っている。
「あ、あぁ・・・!!」
バッタ型改造人間「0号」の脅威を前に、紺野は立ち尽くした。
(わ、私も・・・殺される)
「ギ・・・ギ・・・」
「0号」は妙なうめき声をあげながら、ゆらゆらと手術室に進入して来た。途中で例の兵士たちの攻撃を受けたのだろう、身体の所々から血を流している。疲労も激しいようだ。
「こ、来ないで・・・殺さないでぇ・・・!!」
紺野は恐ろしさのあまり床にへたれ込んでしまった。1メートルほどの距離を残して「0号」は立ち止まった。紺野を見つめている。
「や・・・いや、助けて・・・!!」
「ギ・・・あ、あさ美・・・ちゃ・・・ん」
「・・・・・・は!?」
紺野ははっと気付いて「0号」を見上げた。バッタの鋭い牙の間から確かに聞き覚えのある声がした。それは、紺野が捜し求めていた声だった。
「私・・・ま・・・こ、と・・・」
そういい残すとバッタ人間はその場に崩れた。

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