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俺と娘。の夢物語〜in 狩狩〜

223 :とある夢見男1号:2003/12/25(木) 23:21

今日は、12月25日。
安倍さんとコンビニへ行った帰り道、僕たちはとあるケーキ屋さんの前を通りかかった。

「ほんとは今日が本番なんですけどねー」
店内をちらっと見てみると、もうクリスマスケーキが割引で売られている。
街の様子も昨日のお祭りのようなムードに比べると、随分大人しくなっていた。
「・・・かわいそうだな・・・」
すると、その時、僕の隣で安倍さんがぽつりとそう呟く。
「え? 何がですか・・・って、嘘ぉ!?」
何気なく聞き返した僕は、予想外のことにびっくりした。安倍さんが目に涙を溜めている。
「ど、どうしたんですか!?」
「・・・あのね、あのケーキ見てたらね、ほんとならみんなにわーって囲まれて幸せなのに、
 何かかわいそうになっちゃってさ・・・はは、なっち変だね、泣かなくてもいいべさ」
そう言って、安倍さんは照れ臭そうに笑う。
僕はもう一度店内を見ながら、すぐには安倍さんに言葉を返せなかった。

「買って帰りましょっか、ケーキ」
「・・・え」
ぽそっと呟いた僕を見上げながら、安倍さんは涙の乾きかけた目をパチパチさせる。
「昨日も食べたけど・・・ま、いいじゃないですか。あれば飛びつきますよ、みんな」
「・・・うん、ありがと」
少し恥ずかしそうにマフラーに顔を埋めながらそう言うと、安倍さんはへへっと鼻をこすっていた。

「2つぐらい買ってもよかったんじゃないですか?」
安倍さんが持っているケーキの箱を見ながら、僕はそう聞いてみる。
「だめ。そんなことしたら、下の子たちがいくらでも食べるっしょ?」
こんな時だけ、お姉さんの顔になる安倍さん。僕はおかしくて少し笑った。

「何よー。何がおかしいべさー? 失礼しちゃうねー」
そう言って、膨れっ面の安倍さんはケーキに言葉をかける。
箱の中のケーキはきっと少し困りながら、でも幸せそうに微笑んでいるに違いなかった。

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0ch BBS 2006-02-27